○藤田(ス)
委員 時間がなくなってきたので大変心細いのですが、
大気汚染の問題に移りまして、
NOxのバックグラウンド濃度の予測値を見てみても、ここでも大きな疑問を感ぜざるを得ません。なぜならば、
NOxの排出量は、大阪、兵庫、和歌山の三府県にまたがる広域では昭和五十五年度五万九千九百トン年に比べて、二〇〇〇年では固定
発生源で二千七百三十トン減り、それから移動
発生源では一万四百九十トン減るんだというふうに予測を出しているわけです。だから、空港
関係で仮に四千三百五十トンふえたとしても全体として年間約九千五百トン減少するんだ、こういうふうに予測をしているわけです。これも地元の人間は、もう辛抱できへんなということになるわけです。
何でかといいましたら、これは地元の
地域のあれですが、泉北
地域というところでとっているのを見ましたら、三千九百九十トン現在を、二〇〇〇年は三千三百トンに減少するというふうに
考えておられるわけですが、ここは御承知のように新空港につなぐ大型のアクセスがばんばんと通るわけですね。三本か四本ぐらい通りますからね。だから
自動車は何ぼ低く見積もっても四倍、これでは四倍というふうに書いておりますが、ふえるわけです。しかも、恐らくそれはディーゼル車がふえるわけです。なのに、どうしてこういうふうに減るのかという点では理解に苦しむわけです。
この点については地方自治体も同様に警告をしております。第一に、その予測というのは、五十四年から五十八年の経年変化がその傾向でそのまま続くということを前提としているわけです。だけれ
ども、先ほどからお話にありましたように、
NOxの総量削減計画というのは、
自動車がふえたりなんかしてうまくいかなかったわけですよね。そして今なお
環境基準は達成できない。だから中期展望を出してみたけれ
ども、それでも六十三年の達成は非常に難しいということでその先に追いやられてしまって、
環境基準はいつ達成できるのかということについては今明確に言えないというような状態になっているわけです。恐らくこれをシミュレーションしていくときには、削減計画はずっと下り坂でころころとうまく転がって二〇〇〇年には、というふうになったと思うのですが、そういう点では、条件が大きく変わってきているんだからバックグラウンドも変えるべきではないかということは、当然の
意見として自治体からも出されてきております。
それから、この問題でもう
一つ言いますが、この新空港の
影響は大阪湾岸に均等に広がるということを念頭に入れた、いわば拡散方式をとっているわけですが、地元の方からいうと、その
地域で今、年間に排出されている
NOxの量とほぼ同量のものが空港から排出されるわけですから、この
地域は西に海をもらって東に山を抱いていますので、風の向きによってはどうしても滞留しますし、そんな簡単に拡散方式でやられたのではたまらないという思いになるのは当然であります。
例えば、岸
和田市の
意見書でも、「昭和五十五年度の二酸化窒素の年平均値が〇・〇二八ppmであり、基準値が〇・〇三ppmであることを
考え合わせるならば、
環境基準の維持に支障を及ぼす
可能性があり、再度
検討する必要がある。」と述べておりますし、貝塚市は「供用開始段階において、
環境基準が未達成の状況下に開港するならば環境保全上憂慮すべき事態が予想される」と言い、泉佐野市は「アクセス交通に伴う
道路沿道への
影響が
考えられる」と
指摘をして、あわせて、光化学スモッグや浮遊粒子状物質についてもこういう予測どおりに事がうまく運ぶのかどうかという点で疑問を投げかけているわけです。これが大気の問題です。
同様に、
騒音の問題についても一言だけ御答弁を求めることにして述べておきます。
これも各自治体は一斉に、夜間の空港なんだからということで
意見を出しておられます。まして、この間のように厚木基地の裁判で、高度の公共性を
考えると
被害は受忍限度内であるというふうに退けられたのを聞くと、三分十七秒に一回ずつ離発着になり、九分余に一回ずつ深夜にも離発着される空港ができることに対して、一体どういう
影響があるのか住民はもっと知りたい。環境
影響評価準備書を見ましたら、コンターが書かれておりまして、そしてコンターは、海の中に入っているから陸地に
影響を及ぼさないのだという二言で片づけられているわけです。しかし、どう
考えても陸地に
影響が出てくることは避けられない。ないというならばどういうふうに安心ができるのか、そういう予測
評価をするべきだということを自治体は述べているわけです。航空機
騒音が、間欠音であっても「生活環境
騒音」に
影響を与えることは明らかであり、良好適を望む住民にとっては、「生活環境
騒音」が、どのように変化するのか心配である。WECPNLの予測
評価だけでは、環境
騒音全体を把握することはむずかしく、住民の生活環境に、航空機
騒音がどの程度
影響を及ぼすのかを明らかにはできない。従って、これを行うためには、環境
騒音の特徴に合った共通の
評価法を用いて、航空機
騒音が環境
騒音にどのように
影響を及ぼすのかを、予測
評価すべきであると思われる。これが自治体の
意見であり、住民の
意見でもございます。
時間が参りましたので、私も心ならずも一気にしゃべっておりますが、つまりこういうことなんです。これはできてしまったら言われることがわかっているから、私は今本当に必死になって言っているのです。だから、
環境庁が今手をこまねいてという言い方は少し失礼になるかもしれませんけれ
ども、自治体や住民からしてみれば、公有水面埋立法の申請を待って、建設大臣から
意見を問われたときに初めて
環境庁長官として
意見を述べるというようなことではなしに、もう少し前に進んで、まさにアセスメントの根本にかかわるような重大な問題がいろいろ
指摘されている中で、ここでこういうものが退けられてそれこそ欠陥を抱えたまま手続を進めることがあってはならないわけですから、私は、
環境庁として運輸省とタイアップしてでも空港会社に指導に入るべきじゃないかというふうに
考えるわけです。
以上、大変長くなりましたが、片っ端から答えてください。