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安倍国務大臣 いろいろな意見を交えての御
質問でございますが、今
円高差益の問題が出ております。また油益の問題も出ております。
円高については、メリット、デメリットがあると思います。
輸出産業等は、急速な
円高によりまして非常な打撃を受けておるということは間違いありませんし、また、主として
輸入を仰いでいる企業等は大きなメリットもあるでしょう。しかし、急激な
円高というのは、円安にしてもそうですが、経済全体に非常な問題を起こすということで好ましいことじゃないと思います。
同時にまた、油益については、確かに
日本は油についてはもうほとんど
輸入ということですから、油が下がるというのは、
日本経済にとってはプラスの面の方が全体的には多いんじゃないか。そういう中で油益も確かに発生するわけですが、今のところは長期契約等が中心になっているわけですから、油益というのが表に出てくるというところまでなかなかいってないようでございます。しかし、油が下がっていく
状況がずっと続いておりますから、今後油益という形が確実に出てくることは間違いないと思っております。やはりこうした
日本の油益とか差益とかいう点に着目して、今の
日本の経済のいろいろな大きな問題を何とか
解決していかなきゃならぬ。消費者に返すというのも
一つの
方向でしょうし、あるいはまた、今内需振興が大きく叫ばれているわけですから設備投資等に回して内需を高めていく、そういうこともそれなりに必要な
一つの大きな政策の課題として、これから検討しなければならぬと思います。
また一面、こうした油益とかあるいは為替差益とか、そういうものが国内だけに充当されるということじゃなくて、これは私、
外務大臣として言っているんじゃありません、
外務大臣としてだけじゃなくて
日本の政治家としても、今の
日本が国際的な国家として国際的責務を果たしていくべきだと思います。例えば油が大変安くなるということで、開発途上国の特に油を産出している国等は大変なダメージを受けるわけです。インドネシアなんかは特にそうでありますし、メキシコなんかもそうであります。また、今の開発途上国の第一次産品の低落等によるところの苦悩というのも、やはり相当厳しいものがあるわけです。この南北問題というのは、今度のサミットでも大きな課題になると思いますが、
日本も先進国の一国でありますから、我々としても非常に責任を感じなければならぬ問題だと思います。
そういうことを
考えますと、やはり世界経済といいますか、開発途上国の立場に立つといいますか、そうした国際的な面でこの点も還元をしていくという
方向で、何らか柱として
考えていく必要があるんじゃないか、これは私は非常に痛感いたしております。ですから、国際的、国内的にこうした問題をとらえて、これから政策を進める
一つの議論の中心に置いていきたい、こういうふうに思うわけでございます。
日本が国際的にしっかりした友人を持たない、これは
日本の政策にもいろいろと問題があるのじゃないか、こういうことでありますけれ
ども、これからやはり
日本としては国際的な協力、信頼を得るために外交も進めておるわけですし、外国の信頼とか協力がなければ
日本の今後の二十一世紀に向かっての発展とか平和というのはあり得ない、私はこういうふうにも
考えておりますし、その点については、我々は国際責任を積極的に果たすという姿勢でこれから
努力していけば、私は、今の
日本はいろいろな世界的な役割も果たし得るし、また信頼も確保できるんじゃないか、これからの問題だろう、こういうふうに
考えております。