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1986-03-20 第104回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 北川 石松君    理事 奥田 敬和君 理事 田中 秀征君    理事 西山敬次郎君 理事 村田敬次郎君    理事 河上 民雄君 理事 玉城 栄一君    理事 渡辺  朗君       愛野興一郎君    後藤 一郎君       竹内 黎一君    仲村 正治君       山下 元利君    小林  進君       鳥居 一雄君    渡部 一郎君       岡崎万寿秀出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎出席政府委員         外務大臣官房審         議官      福田  博君         外務大臣官房審         議官      斉藤 邦彦君         外務省経済局長 国広 道彦君 委員外出席者         外務省経済局次         長       池田 廸彦君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      松田 憲和君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      北畠 多門君         外務委員会調査         室長      高橋 文雄君     ――――――――――――― 三月十七日  雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結  について承認を求めるの件(条約第六号)  人的資源の開発における職業指導及び職業訓練  に関する条約(第百四十二号)の締結について  承認を求めるの件(条約第七号)  扶養義務準拠法に関する条約締結について  承認を求めるの件(条約第五号)(予) 二月二十七日  核兵器全面禁止に関する請願中川利三郎君  紹介)(第八九〇号) 三月七日  ILO批准条約批准に関する請願稲葉誠  一君紹介)(第一〇〇八号)  同(河上民雄紹介)(第一〇〇九号)  同(堀昌雄紹介)(第一〇一〇号)  同(井上一成紹介)(第一〇六九号)  同(上西和郎紹介)(第一〇七〇号)  同(鈴木強紹介)(第一〇七一号)  同(高沢寅男紹介)(第一〇七二号)  同(辻一彦紹介)(第一〇七三号)  同(横江金夫紹介)(第一〇七四号)  同(上田哲紹介)(第一一二五号)  同(島田琢郎紹介)(第一一二六号)  同(藤田高敏紹介)(第一一二七号)  核兵器廃絶等に関する請願井上泉紹介)  (第一〇一一号)  同(上西和郎紹介)(第一〇一二号)  同(後藤茂紹介)(第一〇一三号)  同(鈴木強紹介)(第一〇一四号)  同(田並胤明君紹介)(第一〇一五号)  岡(竹村泰子紹介)(第一〇一六号)  同(辻一彦紹介)(第一〇一七号)  同(戸田菊雄紹介)(第一〇一八号)  同(堀昌雄紹介)(第一〇一九号)  同(横江金夫紹介)(第一〇二〇号) 同月十三日  ILO批准条約批准に関する請願岡田春  夫君紹介)(第一一八七号)  同(奥野一雄紹介)(第一一八八号)  同(佐藤敬治紹介)(第一一八九号)  同(島田琢郎紹介)(第一一九〇号)  同(和田貞夫紹介)(第一一九一号)  同(上野建一紹介)(第一二九三号)  同(小川仁一紹介)(第一二九四号)  同(新村源雄紹介)(第一二九五号)  同(土井たか子紹介)(第一二九六号)  同(松浦利尚君紹介)(第一二九七号)  同(武藤山治紹介)(第一二九八号)  同(山本政弘紹介)(第一二九九号)  同(和田貞夫紹介)(第一三〇○号)  核兵器廃絶等に関する請願西田八郎紹介)  (第一一九二号)  同外七件(古川雅司紹介)(第一一九三号)  同(宮崎角治紹介)(第一一九四号)  核兵器全面禁止に関する請願梅田勝紹介)  (第一二三七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一二三八号)  同(経塚幸夫紹介)(第一二三九号)  同(柴田睦夫君紹介)(第一二四〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一二四一号)  同(田中美智子紹介)(第一二四二号)  同(津川武一紹介)(第一二四三号)  同(辻第一君紹介)(第一二四四号)  同(中島武敏紹介)(第一二四五号)  同(中林佳子紹介)(第一二四六号)  同(野間友一紹介)(第一二四七号)  同(東中光雄紹介)(第一二四八号)  同(不破哲三紹介)(第一二四九号)  同(藤木洋子紹介)(第一二五〇号)  同(正森成二君紹介)(第一二五一号)  同(松本善明紹介)(第一二五二号)  同(三浦久紹介)(第一二五三号)  同(山原健二郎紹介)(第一二五四号)  同(正森成二君紹介)(第一二九二号) 同月十八日  核兵器全面禁止に関する請願経塚幸夫君紹  介)(第一四一八号)  同(田中美智子紹介)(第一四一九号)  同(野間友一紹介)(第一四二〇号)  同(東中光雄紹介)(第一四二一号)  ILO批准条約批准に関する請願上原康  助君紹介)(第一四二二号)  同(小澤克介紹介)(第一四二三号)  核トマホーク積載艦船日本寄港反対等に関す  る請願山花貞夫紹介)(第一五一〇号)  核兵器廃絶等に関する請願江田五月紹介)  (第一五一一号) 同月二十日  核兵器廃絶等に関する請願江田五月紹介)  (第一五六九号)  同(阿部昭吾紹介)(第一六八一号)  同(江田五月紹介)(第一六八二号)  同(菅直人紹介)(第一六八三号)  核トマホーク積載艦船日本寄港反対等に関す  る請願中村正男紹介)(第一六七九号)  ILO批准条約批准に関する請願中村正  男君紹介)(第一六八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十四日  非核三原則の堅持に関する陳情書外一件  (第  二七号)  核兵器全面禁止に関する陳情書外六件  (第  二八号)  人種差別撤廃条約早期批准に関する陳情書  (第  二九号)  国際人権規約完全実施等に関する陳情書 (第三〇号)  韓国における尹正憲氏に関する陳情書  (第三一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉  の結果に関する文書締結について承認を求め  るの件(条約第一号)  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉  の結果に関する文書締結について承認を求め  るの件(条約第二号)      ――――◇―――――
  2. 北川石松

    北川委員長 これより会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 ただいま委員長からお話がございました二つ関税協定に関連いたしまして、その背景ともなっております経済摩擦の問題も含めて大臣の御意見を承りたいと思います。  この席には、前通産大臣として大変この件について外務大臣とともに御苦労なさった村田委員もおいでになりますので、できるだけ丁寧にこの問題を扱いたいと思います。また同時に、もう大臣も御承知のとおり皮革業界、この分野というものが地場産業として非常に重要な意味を持っておりますだけに、ぜひこの問題につきましては力強く、また慎重に対処していただきたい、このように思っておる次第でございます。  まず初めに、大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、先日、去る十八日の日本新聞の夕刊に報道せられたのでありますけれども皮革関税につきましてアメリカ大統領が、今回の協定に関連してではないかと思いますが、報復措置指示したという報道がございます。私どもから考えますと、こういうようなことがないように、片方はECでございますけれども、今回のこの二つ協定が非常な努力の末結ばれたのではないか、このように思うのでありますけれども、なおかつこのような報復措置大統領じきじき指示でなされるというのは、外務大臣としてどういうふうに受け取っておられるか、一体このアメリカ大統領指示はどのような根拠に基づいて行われておるのか、私どもとして非常に疑問に思うわけでありますが、大臣のお考えをまず最初に承りたいと思います。
  4. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 本件交渉につきましては、御承知のように、我が国皮革及び革靴輸入数量制限につきまして、ガット違反の疑いが生じておるということでアメリカが非常に問題にいたしまして、そういう中での日米交渉が行われたわけでございます。したがって、非常に困難な状況にもしばしば際会をいたしました。しかし、日米双方が話し合いによる解決を目指して最大限の努力を払いました結果、ガット上の交渉妥結を見まして、アメリカによる全面報復といった事態は回避をされまして、一応貿易拡大均衡という方向解決を見たわけでございます。  しかしながら、米国は、我が国皮革革靴に関する市場アクセス等観点からは必ずしも満足をしておらない、我が国皮革及び革靴に限っての部分的対抗措置をとる旨をその際も表明してきておりました。今般、所要の国内手続を経て、先ほどお話しのような大統領指示という形で措置が発動されるということになったわけでございます。これは、今、村田委員も当時の通産大臣として、全面的な責任を持って取り組まれたわけでございます。非常に困難な交渉でありました。我々政府としましては、何とか全面対決といいますか、全面報復ということによって日米貿易関係が一挙に対立状況に行く、それはやはり保護主義をさらに拡大をして、そして縮小均衡に何かってしまうということを大変憂慮いたしまして、日本日本でできるだけ、譲るべきことは譲らなければならぬ、しかし、アメリカ側にもそうした保護主義のいろいろな面での自制を求めまして、困難な努力をいたしまして、形としては関税に移行しましたわけで、その限りにおいては拡大均衡という方向で決着したと思います。  しかし、今お話しのように、また私も申し上げましたように、一部の対抗措置アメリカは留保してこれを今回発動ということになったわけで、この点については私、非常に残念に思っておるわけでございます。しかし、今までの交渉経緯それからその後の日米間の関係から見まして、この措置がとられるであろうということは、もちろん予測はしておったような状態でありまして、こうした措置が一日も早く撤回されるようにこれからひとつ努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  5. 河上民雄

    河上委員 今の大臣の御答弁で、こういうアメリカ側措置があり得ることは予想はしていたけれども、非常に残念であったというお話でございますが、今私どもに提案されております二協定審議を求められておるわけでございますが、これは、そういう報復措置が今後もあり得るということを含んだ上で、我々国会に提案されておるわけでございますか。
  6. 国広道彦

    国広政府委員 現在御審議を願っております案件は、ガットとの関係におきまして譲許しております我が国譲許表修正でございます。今回の日米交渉によりまして、ガット本件米側が取り上げ、パネルをつくって日本の是正を求めていたそのアクションは一応妥結して、米側もそれを取り下げることとなったわけでございます。その御審議をお願いしているわけでございます。  今御質問の点につきましては、交渉当事者はこの妥結時点において、アメリカ輸出利益が阻害されているその度合いにおきまして、米国通商法三百一条の観点から見まして必ずしも満足していない、したがってごく——ごくといいますか局限された範囲におきまして、米側として対抗措置をとることはあり得べしということは、交渉当事者は予想しておりました。したがいまして、いずれ米側がこういう措置をとる可能性はあるものというふうに考えておりまして、それは今回の御提案申し上げたときの段階でもそういう認識でございます。
  7. 河上民雄

    河上委員 恐らく皮革に関する業界といいますか分野では、政府間で非常に努力をして、ぎりぎりのところでこれは妥結した、これが最後だというふうな受けとめ方があるかと思うのですけれども、現実にこういうふうになってきますと、まだまだ、ずるずる条件が悪くなるのではないかという心配が出てくると思うのですが、その点はいかがでございますか。そして、今のお話ですと、交渉者同士ではそういうことは大いにあり得るという含みで、しかし、できればないことを期待するというか、そういうお気持ちだったのではないかと思いますが、アメリカ側との交渉の経過というのは何か文書的に確認ができているのか、それともただ交渉者が口頭で言い合ったというだけなのか、そのことはいかがでございますか。
  8. 国広道彦

    国広政府委員 対米交渉経緯から判断いたしまして、今回米側がとった措置以上に、またずるずる将来も措置がとられるということはないと確信しております。その確信の根拠となる文書があるかという御質問につきましては、私の承知している限りございません。また後で通産省から補足説明していただきたいと思いますが、私が承知している限りはございません。しかしながら、これ以上またずるずるやってくるということはないと確信しております。
  9. 河上民雄

    河上委員 その点はいかがですか。外務大臣、今の局長の御答弁を確認していただけますか。
  10. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは交渉経緯から見ましても、本件についてはもうここで決着ということでありまして、これ以上さらにアメリカ側措置を講じてくるということは全く考えられませんし、そういうことはあり得ないと私も確信しております。
  11. 河上民雄

    河上委員 それは、国会の場で大臣の御答弁があったわけでございますから、私どもとしてはそれを一つ確認さしていただきたいと思います。もしそうではない事態が起きました場合は、また本委員会でこの問題をさらに追及いたしたいと思うのでございます。  新聞によりますと、報復措置の一部であるという言い方をされておりますが、この一部であるということはどういうことを意味するのか。  それからもう一つは、今回大統領がとるように指示した措置、その内容はまだ必ずしも明記されておりませんが、それについて先ほど大臣からちょっと残念だというようなお言葉がありましたけれども、それについても再交渉をされるおつもりなのか、アメリカから言ってきたらもうそれはしようがないというふうにお考えなのか、その点を伺いたい。
  12. 池田廸彦

    池田説明員 まず第一点の一部という点でございますが、元来、昨年の九月にアメリカ側はいわゆる三百一条に基づきます対抗措置を発表しまして、その時点対抗措置候補品目というものを明らかにいたしまして、それは約四十品目ございます。例えば玩具でございますとかあるいは陶磁器それから釣り具、眼鏡のつる等、御案内のように、我が国から見ました場合に重要な輸出品目でございますし、それから中小企業の産品でございます。さらに加えまして、グラスファイバーとかあるいはカラーテレビカメラ等のハイテクも入っておりますし、またそのほかに皮革及び靴というものも入っております。  今回、アメリカ側が明らかにいたしましたいわゆる対抗措置内容は、その四十品目から大幅に縮小いたしておりまして、我が国輸入数量制限の対象としております革類それから履物類、これにほぼ対応するものと承知しております。全くの試算でございますので、確定的な数字ではございませんが、計算しましたところによりますと、輸出額我が国皮革類及び履物類の総出荷額の一%を下回るだろう、一%に達しないだろうというのが目下のところの試算でございます。  それから第二の点につきましては、こういう対抗措置というのは、たとえ規模が縮小されたにせよ貿易縮小であるので、なるべく早く撤回してほしいということを今後ともあらゆる機会をとらえまして、アメリカ側に繰り返し働きかけていこうと思っております。
  13. 河上民雄

    河上委員 この問題についての政府の態度は今ので大体わかりましたが、しかし我々が非常に疑問に思いますのは、この皮革アメリカあるいはヨーロッパから見て、なぜこういう貿易摩擦の焦点になったのかということでございます。今、額のお話がございましたけれども、私どもが聞いているところによれば、日本アメリカとの関係でいいますと、皮革日本からの輸出日本輸入するものとはほぼ同額であって、むしろアメリカの方が日本に対する輸出が多いという状態であるにもかかわらず、こういう本来の輸出入アンバランスの象徴としてなぜ皮革が取り上げられたかということについて、非常に疑義を持っているわけでございます。政府としてはその点、どうお考えになっておられますか。
  14. 国広道彦

    国広政府委員 国際貿易の憲法的なものとして我が国も加盟しておりますガットの規則上、本来ガット輸入制限をしないという原則例外扱いをしている品目が、我が国として二十七ございます。そのうち二十二品目農産品でございまして、工業製品につきましては石炭と皮革でございます。したがいまして、ガットの一般的に自由化するという原則から見て、工業製品では皮革がどうしても目立つわけでございます。  これは、輸出幾ら輸入幾らという二国間の貿易取引量観点とは別に、例外的に輸入制限をしているという見地からどうしても目立つわけですし、これは現在の貿易量はそれほど大きくございませんが、米国その他の国から見ますと日本の革製品の市場は非常に大きいので、もっと自由化されれば自分たち輸出が伸びるはずだという非常に強い関心を持っている分野でもございます。そういうことから、ガット原則に照らして、輸入制限が行われているという彼らの立場からしますとこの点は非常に重要でございまして、ガットにも持ち出され、ガットパネルで討議が行われたという、これは革についてもそうでございますし、靴についても見方は同じでございます。
  15. 河上民雄

    河上委員 日米間の輸出入アンバランスの中で、自動車など大きなもののかわりに、皮革という非常に小さなものがいけにえにされているのではないかという感じは、絶対に否めないと思うのです。  通産省の方、おられると思うのですが、皮革革靴問題というので「ガット二十八条に基づく関税交渉関税割当制度の導入について」という、ことし二月に発表された文書がございます。通商政策局生活産業局二局合同の資料でございますけれども、その中でも皮革というのが、零細企業であって非常に危機的な状況にあるということが強調されておるわけでございます。御存じかと思いますけれども、この三年間で約二五%に当たる百三十社が既に倒産している、こういう状況でございます。こういうことは、通産省も十分御承知のわけです。また、御案内のとおり、皮革が同和との深いかかわりの中における地場産業であるという伝統的な歴史というものもあるわけでございます。外務省としては、そういうことは十分おわかりの上で交渉に臨まれたのかどうか、その点を伺いたい。
  16. 国広道彦

    国広政府委員 今御指摘の諸問題、そういう側面につきましては、私どもなりの心構えとしては十分理解しているつもりでございます。過去数年間にわたりまして、この問題が取り上げられるたびに米国その他の国々にそういう側面を強調しまして、これがいかに難しい問題であるかということについては、私ども全力を挙げて説明をしてきましたし、現在もしているつもりでございます。  同時に、先ほど申しました貿易一般原則との兼ね合いの問題がございます。しかしながら、今先生お話しになりましたような深刻な社会的側面がございますがゆえに、私どもとしましては、今回も、通産省の方でさんざん苦労した結果考案された関税割り当て制度を採用する、そして最小限の手だてはしなければいかぬ、こういう認識でこの関税割り当て制度ガット関係諸国に理解させ、それに基づいて再調整させる努力をしてまいったわけでございます。
  17. 河上民雄

    河上委員 これは一般原則という問題とあわせて、皮革分野が当面しておりますいろいろな難しい問題を十分理解していただかなければならないと思うのです。特に、今回いわゆる二次関税ということで一つ対応をされているわけでありますけれども、御案内のとおり円高が非常に進行しておりまして、今回の交渉によって実害をもたらさないようにした措置だということでありますけれども、それは円のレートが二百四十二円当時に考えられたものだと思うのです。それが現在は百七十円台になっておりますので、実害というのはどのくらいだとお考えになっておられますか。
  18. 北畠多門

    北畠説明員 先生の御質問に対してお答えいたしたいと思います。  ただいま御指摘のございました関税割り当て制度国内産業への影響でございますが、私ども、この影響につきましていろいろ検討もし、関係方面とも相談をしたわけでございますが、現在の税率が皮革につきましては六〇%、革靴については六〇%もしくは一足当たり四千八百円、こういうようなことで国際競争力格差を埋めるということ等も考慮に入れまして、当初の段階からある程度含みを持たせた形で対応してきておるつもりでございますし、現在の状況の中で直ちに国内産業へ非常に大きな影響を与えるとは、考えておらないわけでございます。
  19. 河上民雄

    河上委員 今、ほかの産業でも大変な影響が既に出始めておるわけで、それは当然タイムラグはあると思うのですけれども、そんなのんびりした状況じゃないと思いますね。五月ごろになればはっきり出てくると思うのですが、外務大臣、そういう問題につきましてはいかがですか。
  20. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 急速な円高影響というのは、今後このまま推移すれば非常に厳しいものが出てくるのじゃないか、特に輸出に依存している中小企業は、この円高状況がこのままずっと続いていけば大変なダメージを受けるのではないか、こういう心配はいたしておりますし、これに対する対策等につきましては、政府としてもいろいろと研究、検討していかなければならない、こういうふうに思っております。
  21. 河上民雄

    河上委員 ぜひ、これは皮革に限りませんけれども皮革には特にそういうことがあらわれてくると思いますし、皮革は既に御承知のとおり輸入輸出と両方あるわけでして、今回の協定では輸入の方の対抗措置といいますか対応措置で、輸出の方には十分この協定そのものの本質からいって難しいような状況だと思うので、特にそういう点考えていただきたいと思うのです。  それでは先に進みたいと思いますけれども、今回協定の中で、第二次関税六〇%を適用する、数量制限廃止かわりにそれを適用するということになりましたが、その代償としてアルミを含む二百七十八品目が犠牲になったと言われているわけでございます。このアルミにつきましては、政府はどういうふうにお考えになっておられますか。一般的に、アルミ電力消費が非常に著しいのでそのコスト高日本アルミ生産というのは国際競争力を失っているというような説もあるわけでございますが、これについてどういうふうにお考えになっておられますか。
  22. 松田憲和

    松田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、オイルショック以降、日本電力料金世界最高と言われるほどの価格になりまして、電力アルミ一トンについて約一万五千キロワットアワー使うということで、コストの半分以上が電力代になってしまうというような事態が生じたわけでございます。  また御承知のように、アルミの世界の需給というものが非常に緩んでおります。オイルショック以降の景気の後退というのが一つの要因でございますが、一方、アルミの生産、地金の生産という観点では、発展途上国が主力になってまいりました。そういう発展途上国の生産というのは、どちらかというと政府輸出振興なり自分の資源を生産して輸出する、こういう観点で生産を続けておりまして、どうしても景気に合わせた減産とか、そのような生産調整をしていくという方法をとらないということで、世界の市況は非常に下がっております。  そういうことで五十三年以降、我が国アルミニウム産業というのは構造改善を重ねておりまして、現在、年産三十五万トンの生産にまで生産能力を落としてきた、そういう状態でございます。
  23. 河上民雄

    河上委員 今回の協定では、そのアルミ関税については〇%ですか、ということは今言ったような状況対応してアルミは犠牲にしても構わぬ、こういう政府の方針ですか。
  24. 松田憲和

    松田説明員 今御説明しましたように、アルミニウム産業といいますか、アルミの製錬産業というものは非常に厳しい状態にあることは十分認識して、我々も構造改善対策というものを進めてきておるわけでございますが、米国は、アルミ日本市場というものに対して非常に強い関心を年来持ってきておりまして、今回の交渉の中でも、アルミについての関税の引き下げというものを強く要求されております。構造改善期間中でもあるということをるる説明をし、そういう期間を考慮して八八年以降ということで、日米関係という大局的見地から合意に達したというものでございます。
  25. 河上民雄

    河上委員 日本政府は、一九七五年の閣議決定に基づいてアサハン開発について、大臣もう既に御承知だと思いますが、対インドネシアの円借款を決定されておるのでございますが、このときにもう既に日本アルミ産業に対する一つ日本政府の方針というのは始まっていたように思うわけなんですが、これとの関連というのは十分にあると外務大臣はお考えでいらっしゃいますか。つまり、国内で生産することはもうコスト高でとてもやり切れない、したがって、東南アジアのようなところのアルミ生産の開発に日本政府は協力する、業者を督励してそういうところへも入っていかせる、こういうような方針でいらっしゃるのですか。
  26. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アルミ産業につきましては、今通産省からお答えをいたしましたように、電力料金が先進国の中で一番高いということですし、電力を食う産業ですから、競争力といいますか、アメリカ初めその他の国との競争力からいうと、対等に競争した場合は到底太刀打ちできないということで、実は私が通産大臣のときも大変なピンチに立ちまして、構造政策等進めたわけですし、また関税に対する措置等も行ったわけでございますが、しかし、全体的には縮小の方向に行かざるを得ないということで、漸次縮小していこうということでありました。  そして、この方向というのは、一つの流れとしてやむを得ないんじゃないかと思っておりますし、さらに今回の日米間の交渉の結果、関税をゼロにするということになれば、これはよほど国内的な構造政策をしっかりして、残れるのがどれだけあるかわかりませんけれども、しかし今の状況では大変難しい事態だろう。特に、これだけの円高になりますれば、さらに大きな影響が出てくることも事実であります。  全体的には、そうした一つの国際的な流れというものを無視もできないわけでございますし、そういう中で、できるだけ産業政策としては、構造改善等で合理化等によって競争力を維持させたいということで努力をしたわけでしょう。しかし、全体的にはそうした大きな流れというのは無視できない。  そうした中で、アサハンというのは長い間のインドネシアの大きなプロジェクト、スハルト大統領の大変大きな夢でもありますし、また将来のことを考えると、日本の技術協力とかあるいはまた資金協力とか、そういうことはインドネシアとの協力関係等を見ましてもこれはやはり必要であろう、こういうことで基本的に協力を進めまして、その結果アサハンが一応の完成を見たことは、私は、それなりに日本とインドネシアの関係から見ましても、大変方向としてはいい方向ではないだろうか、こういうふうに考えております。
  27. 河上民雄

    河上委員 今大臣は、通産大臣時代からこの問題については大変深く御経験になっておられるわけでございますけれども、今たまたまインドネシアに対する円借款の問題も出てきたのですが、私は貿易摩擦解消という点、いろんな点から考えましても、また、日本と東南アジア諸国との真の信頼関係という点から考えましても、円借款の取り扱いというのは非常に大切にしなければいかぬ、こんなふうに思っておるのでございます。特に最近フィリピンとの関係で、マルコス政権に対する日本の経済援助の中でいろんな問題が起きております。  きょう、その直接のテーマでございませんけれどもアメリカ政府アメリカ議会ですね、アジア・太平洋小委員会委員長ソラーズ氏から既に公表されておりますが、日本の企業がそういういろんなプロジェクトに関連しましてマルコス政権に対しリベートを贈っておる、こういうようなことが既に発表されておるわけです。はっきりとした名指してはありませんけれども日本企業ということにはなっているわけでして、これは非常に重要な問題でございます。まだ二日後に、これがはっきりと内容までにわたって発表されるという予告はされておりますけれども、こういうような問題につきまして日本政府として協力をされるおつもりですか。これは非常に大事なことですので、関連して伺いたいと思います。
  28. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いわゆるマルコス前大統領の資産について、その形成等にかかわるいろいろな処理について、これはアメリカ政府を通じましてフィリピンのサロンガ委員長に渡したということも承知しておりますし、また、議会のソラーズ小委員長の手元に渡されたということも承知しております。報道としては、その中に日本企業の名前も出ておるということを聞いておるわけで、日本政府としても関心は持っておるわけでございますが、しかし、今後これがどういうふうな形でなっていくのか、ソラーズ委員会で発表もされるということも聞いておりますし、そういうところは今後ともひとつ関心を持って見守ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  29. 河上民雄

    河上委員 それは、もし発表になった場合は、恐らく名前も出てくるのではないかと思いますが、それだけにただ一方的に向こうで発表になったというだけでは、日本の名誉のためにも大変好ましくないわけですから、やはりしっかりとした資料を確認する必要があろうと思うのですけれども、発表されましたら、そういうことも含めて積極的なアクションを起こされるおつもりかどうか。
  30. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは少なくとも、日本政府ということではありませんとしても、日本の企業の名前が出るということになれば、我々としても関心を持たざるを得ないわけでありまして、発表された段階でこの問題についてもいろいろと研究はしてみなければならぬ、こういうふうに思います。
  31. 河上民雄

    河上委員 今回の二件というものも、その背景には、経済摩擦解消をどうするかという大きな課題があるわけでございますね。  そこで、経済摩擦解消策というものにつきまして外務大臣としてどういうふうにお考えになっておられるか、ここで承っておきたいと思うのでありますが、一応考えられることとしては、円高政策をとるということ。一つは今言ったような、この委員会に提起されているような関税政策、関税の障壁を下げるということ。三番目には、内需をもっと拡大をする。それから四番目には、対外経済援助をもっとやるというような、それ以外にも考えられると思うのでありますが、今のところ日本政府がとっておられる政策は円高政策と関税の障壁を下げるということになっておりまして、内需拡大あるいは対外経済援助につきましては、まだまだ国際的な水準まで達していないというような状況でございます。また、対外経済援助ということになりますと、フィリピンの一つの経験からも、先ほど外務大臣は、NHKのテレビ討論でも、もう少し抜本的に誤りのないような仕組みをつくる必要はある、そういう研究会もつくりたいというようなお話もございました。それを今後どういうふうにされるか。  この内需拡大、対外経済援助というような点につきまして、どういう方向で行かれるか、ちょっと伺いたいと思います。
  32. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 貿易摩擦の解消につきましては、日本としましても、これまであらゆる面から努力を傾けてきたわけでありますし、お話のように、市場アクセスの改善、関税・非関税障壁の撤去、撤廃あるいは改善等につきまして、アクションプログラムなんかをつくりまして努力をし、そしてまた、これはそれなりに成果も上げてきたと思いますし、また、円高誘導につきましては、G5によりまして一つ方向が出てきたわけでありまして、その他いろいろの面で努力を注いでおります。  そういう中で大事なことは、やはり輸入拡大輸入拡大を図っていく一つ方向として、内需振興ということが大きな課題になるわけでありますし、さらにまた、開発途上国等の経済をしっかりさせるための援助ということも、これまた開発途上国の輸出力を高める上においてもそれ有りに必要であるわけでございます。そういう意味での援助の拡大ということも必要でありますが、我が国はそういう面では内需振興策も、民活その他、予算、いろいろの面で努力は重ねております。見通しとしては、六十一年度は大体四%実質成長ということを政府は見通しを立てまして、今いろいろの面で政策を進めておるわけで、私は、先進国の中で日本が実質成長四%を確保できる状況になれば、それはそれなりに日本の国際的な役割を果たしていくということにつながっていく、こういうふうに思っております。  今のアメリカの経済成長、ヨーロッパの経済成長、そういう中で日本の成長が実質四%ということになれば、それなりの責任を果たしたことになろう。そして、やはり成長の中でも大きなウエートを占めるのは、内需でなければならぬのは当然のことでございます。しかし、今の状況から見ると、円高の急激な進展によりまして、むしろ四%が可能性があるかどうかということについて疑問も出ておるという状況ですし、OECD等は、三・五%あるいはそれ以下になるのではないかという見通しも立てておりますし、円高状況はむしろデフレ的な傾向にもなりかねない。この辺は、政府がこれからの経済政策として配慮をしなければならぬ点であろう、こういうふうに思います。  それから、いわゆる援助につきましては、これはこれまでも三年倍増、五カ年倍増とやって、今度は七カ年倍増を今年度から進めるわけでございますが、私は、日本の援助の進展につきましては、国際的にも非常に援助疲れという中では非常な努力が評価をされつつある、この七カ年倍増というものを確実に果たしていくということが必要であろうと思います。初年度のことしは、円高等もありまして、相当な思い切った援助の増大ということにつながっていくと思いますが、このペースを着実に進めて七カ年計画を実行するということが必要である、責任である、こういうふうに思っております。  そういう中で、援助のあり方については、ODA研究会等々をつくりまして、援助を行う、与える国々の国民の福祉だとかあるいはまた経済の安定だとか、そういうものに直接結びつくような、そして援助を受ける国々から評価され、国民から感謝されるようなそういう援助につながっていかなきゃならぬ。そういう面では、今までの援助のあり方等全体につきましても、いろいろの角度からやはり再検討するところは再検討してみる必要がある、そういうことで今やっております。  全体的に日本の援助というのは、各国の経済の安定、国民生活の向上には非常に裨益してきた、こういうふうに私は思っておりますが、これからも倍増していくわけですから、さらに効率的に行うにはどうしたらいいか、効果的に行うにはどうしたらいいかということについては、総合的にいろいろの面から、角度から研究は進めていく必要がある、こういうふうに思っております。
  33. 河上民雄

    河上委員 今外務大臣の基本的なお考えを承りまして、残された時間余りないのでございますけれども、項目的に幾つか承りまして、私のきょうの質問を終わりたいと思うのであります。  一つは、円高差益をこの際消費者に還元した方がいいんじゃないかという議論、あるいはこれは対外経済援助に回した方がいいんじゃないかというような議論がございますが、これについて大臣はどういうふうにお考えになるか。  それから、どうも日米は非常に不均衡で、日本はただ、何か世界じゅうから責められているような状況でございますけれども、しかし、私ども日本人がアメリカの製品を買わない買わないといって、中曽根総理などは百ドル外国製品を買え、こういう運動を起こした。私はある外人から言われたんですけれども、世界の総理大臣で、テレビ演説で、自分の国の商品を買えという演説をした人はたくさんおるけれども、外国の製品を買えと言って演説したのは、歴史上、中曽根さんただ一人じゃないか、こういうふうな話であります。  しかし、我々ごく常識的に考えまして、夏になればコカコーラなんかじゃんじゃん飲みますし、日本に進出している企業とアメリカに進出している企業がありますが、一体、日本人はそういうものを含めて、米国製品を年間どのくらい買っているというふうに考えるか。あるいは、アメリカ人は日本の製品を年間どのくらい買っているとお考えか。非常にこれは象徴的なことでございます。  それから、ボーゲルさんという。アメリカの教授、非常に日本のことを高く評価する方ですけれども、そのボーゲルさんですら、どうも日本というのは、今世界じゅうに真の友好国を余り持っていない国ではないかというような、非常に批判的なエッセイを最近発表しておられるのです。その中で非常に大切なことを指摘しているのは、単に経済摩擦というか貿易アンバランスというようなことが本当は問題ではなくて、もっと精神的なこと、例えば日本の教科書で南京大虐殺のことをちゃんと教えるようになったら、恐らく世界の日本を見る目はがらっと変わるのではないか、こういうようなことも言っているのであります。  そういう意味で、私は先般もちょっとお伺いいたしましたけれども、靖国神社公式参拝問題なども実は非常に迂遠な、距離がある問題のようでありますが、今日の四面楚歌という形になっております日本の立場を基本的に解消するためには、おろそかにできない非常に大事な問題、これ自体として大きな問題ですけれども、これが日本に対する不信感を引き起こしておるということは言えるのではないかと思います。  けさの新聞を見ますと、天皇の中国訪問というようなことが議題に上っているようでございますけれども、これも私が思いますのに、この八月十五日に中曽根総理が靖国神社に公式参拝されるかされないかということと非常に深くかかわってくるんじゃないか、こんなような気がいたします。この点につきまして大臣のお考えを承りたい。
  34. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いろいろな意見を交えての御質問でございますが、今円高差益の問題が出ております。また油益の問題も出ております。円高については、メリット、デメリットがあると思います。輸出産業等は、急速な円高によりまして非常な打撃を受けておるということは間違いありませんし、また、主として輸入を仰いでいる企業等は大きなメリットもあるでしょう。しかし、急激な円高というのは、円安にしてもそうですが、経済全体に非常な問題を起こすということで好ましいことじゃないと思います。  同時にまた、油益については、確かに日本は油についてはもうほとんど輸入ということですから、油が下がるというのは、日本経済にとってはプラスの面の方が全体的には多いんじゃないか。そういう中で油益も確かに発生するわけですが、今のところは長期契約等が中心になっているわけですから、油益というのが表に出てくるというところまでなかなかいってないようでございます。しかし、油が下がっていく状況がずっと続いておりますから、今後油益という形が確実に出てくることは間違いないと思っております。やはりこうした日本の油益とか差益とかいう点に着目して、今の日本の経済のいろいろな大きな問題を何とか解決していかなきゃならぬ。消費者に返すというのも一つ方向でしょうし、あるいはまた、今内需振興が大きく叫ばれているわけですから設備投資等に回して内需を高めていく、そういうこともそれなりに必要な一つの大きな政策の課題として、これから検討しなければならぬと思います。  また一面、こうした油益とかあるいは為替差益とか、そういうものが国内だけに充当されるということじゃなくて、これは私、外務大臣として言っているんじゃありません、外務大臣としてだけじゃなくて日本の政治家としても、今の日本が国際的な国家として国際的責務を果たしていくべきだと思います。例えば油が大変安くなるということで、開発途上国の特に油を産出している国等は大変なダメージを受けるわけです。インドネシアなんかは特にそうでありますし、メキシコなんかもそうであります。また、今の開発途上国の第一次産品の低落等によるところの苦悩というのも、やはり相当厳しいものがあるわけです。この南北問題というのは、今度のサミットでも大きな課題になると思いますが、日本も先進国の一国でありますから、我々としても非常に責任を感じなければならぬ問題だと思います。  そういうことを考えますと、やはり世界経済といいますか、開発途上国の立場に立つといいますか、そうした国際的な面でこの点も還元をしていくという方向で、何らか柱として考えていく必要があるんじゃないか、これは私は非常に痛感いたしております。ですから、国際的、国内的にこうした問題をとらえて、これから政策を進める一つの議論の中心に置いていきたい、こういうふうに思うわけでございます。  日本が国際的にしっかりした友人を持たない、これは日本の政策にもいろいろと問題があるのじゃないか、こういうことでありますけれども、これからやはり日本としては国際的な協力、信頼を得るために外交も進めておるわけですし、外国の信頼とか協力がなければ日本の今後の二十一世紀に向かっての発展とか平和というのはあり得ない、私はこういうふうにも考えておりますし、その点については、我々は国際責任を積極的に果たすという姿勢でこれから努力していけば、私は、今の日本はいろいろな世界的な役割も果たし得るし、また信頼も確保できるんじゃないか、これからの問題だろう、こういうふうに考えております。
  35. 河上民雄

    河上委員 もう時間余りありませんが、先ほどちょっとお尋ねいたしましたことを、事務当局からでも結構でございますがちょっと伺いました上で、もう一度大臣、天皇陛下の中国訪問について既に新聞等でいろいろ取りざたされておりますけれども、これについてのお考え、特に私は、今言ったようなことを踏まえておかなければ大変なことになるのではないかというふうに思っておりますので、重ねてもう一度そこを後で伺いたいと思います。
  36. 国広道彦

    国広政府委員 御質問一つの点、つまり、日本人が米国品を買っているのとアメリカ人が日本品を買って使っているのと、どっちが多いと思うかという御質問でございますが、これにつきましては一、二調査したものがありまして、お互いに輸出したものとそれから現地で生産したものとを足してみますと、どうも片貿易だとは言われるけれども日本人がアメリカ品を使っている方が多いのじゃないか、そういうふうな観点からの調書は私が見たものでも二つございます。  確かにそういう計算も可能かと思います。ただ違う側面は、今日、日本の進出企業が非常にハイスピードでアメリカに出ておりますので、そういう最近の情勢まで入れるとどうかなということがもう一つと、それから技術提携して名前だけ売ってライセンスフィーを取っている、そういうふうなものをアメリカ製というふうに、生産品というふうにカウントするのかとか、技術的には若干難しい面があると思います。  しかしながら、繰り返しますが、アメリカ人が言っているほど日本人はアメリカ品を買わないのではない、アメリカ品を使わないのではないということは確かに事実であると私も思っておりまして、たびたびその点はアメリカ人にも指摘して、認識を改めるように努力しております。
  37. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 十九日に、中国の外交部スポークスマンが定例の記者会見の席上におきまして、皇室の訪中について次のように述べております。「日本の皇族訪中問題に関し、一九七五年天皇陛下御自身がもし機会が有り訪中出来ればうれしい旨公けに表明された。しかし、日本側の理由により未だ実現していない。今後時期が熟せば、日本政府が皇族の訪中問題について明確な解決方法を見い出すものと信じている。」こういうことをスポークスマンが発表いたしております。  この問題につきましては、まだ日本政府と中国政府との間で公のルートでは、公な立場で話し合われたということはありませんし、そういう点では白紙であるわけでございますが、非公式にはいろいろの人が、天皇陛下あるいはまた皇太子殿下の訪中を歓迎したいという趣旨の発言をされていることも、私は承知をいたしておるわけでございます。  この問題については、慎重に対応していかなければならぬと思っております。現在は、日本政府としては白紙という立場でございます。しかし同時に、中国側からの正式な御招待等があれば、この点について関係方面ともひとつ検討をさせていただこう、こういうふうに考えております。
  38. 河上民雄

    河上委員 質問を終わります。
  39. 北川石松

    北川委員長 次に、鳥居一雄君。
  40. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 今回のアメリカに対する、またECとの間の合意文書ができ上がりましたけれども、この背景を考えてみますと、大変な貿易不均衡という問題があるわけでございます。  それで、日米間には昨年末五百億ドルに上る、四百九十七億ドルの黒字。それで対日批判というのが大変勢いを増している現状でございまして、マスコミの表現等では、今やOPECにかわってJAPECというような呼称が我が方に与えられる、こういう状況にございます。これは多分に数字の上から来るもの。  それからもう一つには、いわゆる文化の違い、あるいはマインドといいますかメンタルな要素も非常に多いわけでございますが、日本の商慣習という観点からいいますと、非常に好ましくない現象が実は今公になろうとしているわけであります。新聞報道がございましたフィリピンの前大統領マルコス氏へのリベート、大変巨額なものだということであります。続報がけさございましたけれども、複数の日本企業、しかも各国の常識で言うリベートというものではなくて非常に巨額である、こういう報道でございます。  ただいまの質問の中で大臣がお答えになっていますが、大臣のおっしゃる重大な関心、これは一体どういうことでございましょうか。企業名が公表されるようなことになりますと、これはまた我が国にとりまして対フィリピン経済援助、これが問われることになるんじゃないかと思いますけれども外務大臣、重大な関心というのは具体的にどういうことでございましょう。
  41. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは報道で出ておるわけでございますし、サロンガ委員長至言及をしているわけですし、少なくとも日本の企業が、名前が出ておるということですから、日本政府としても関心を持っておりますし、今情報を集めておるわけです。  しかし、この問題が日本の法律に照らしてどういうものであるかということは、今後の問題にもなるでしょうし、そういう点についてはまだ言及する立場にないわけでございます。また、この内容日本の援助に関係があるかどうかということも、今後の推移を見なければわかりませんが、これまでのフィリピンに対する援助は、積み上げ方式で非常に念を入れて行っておるわけでございます。事前のフィージビリティースタディーもやっておりますし、事後のフォローアップ等もやっておりますし、評価等も行っておるわけでございまして、これまでの日本の援助は、フィリピンの経済には大きく裨益していたと私は考えておるわけでございます。  そういう意味で、全体的には日本の援助というものが、フィリピンの経済の発展に大きく役立っておるということは確信をいたしておるわけでございますが、この問題が単なる民間の問題であるのか、それとも援助に絡んだものであるかということについては、注意をして今後の情報等を集めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  しかし、援助とこうした問題と直接結びついておるというふうには私は理解しておりませんが、とにかく日本の企業が関係しておるというところだけで、内容についてはまだ何もわかっておりませんから、これは今後を見てまいらないと何とも言えない、こういうことであります。
  42. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 複数企業、額も巨額である、こういう報道は非常にショックだと思うのです。つまり、JAPECという表現の中には、とてもじゃないが我が国の商習慣は受け入れられないという、ダーティーなイメージといいますか、アンフェアと言われる表現の中にこれが端的にあらわれている。そういう意味からいって、日本政府として、この問題の解明に積極的に取り組むのだという姿勢が必要じゃないかと私は思うのです。二千数百ページに及ぶ資料、今公開できるかどうか、アメリカの下院で検討中だという話でありますけれども政府としてこの資料を要求する考えはないか、まず伺いたいと思います。
  43. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは今後、例えばアメリカの議会で、ソラーズ委員会でどういう形で公にされるかということ等も我々は見なければならぬと思いますが、文書の公表等については、日本政府としても情報はできるだけキャッチしたい、アメリカ政府との間についても、そういう情報等の提供は求めたいと思っておりますけれども、いろいろな制約等もあるわけでしょうし、アメリカ政府あるいはまたフィリピン政府でどういうふうに対応されるかということは、今の段階では何とも申し上げられる状況ではないわけであります。
  44. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 報道によると、かなり具体的ですね。くみ上げポンプに絡むリベート、プロジェクト関係の事業に係る入札をめぐるリベート、これが商業ベースの上で常識的な線をはるかに超えている、こういうことでもし非難があるとすれば、こちら側としては対日批判を幾分でも和らげなければならない、こういう立場からいえば解明に取り組むのが当然だろうと思うのです。これは、海外における巨額なリベートという形になった場合には、外務省の経済局としても解明しなければならない、あるいは国税当局に対する告発を含む措置をとらなければならない、いろいろなことが考えられると思うのですが、経済局はどういうふうにお考えですか。
  45. 国広道彦

    国広政府委員 先生指摘のとおり、我が国貿易摩擦の一環としまして、不公正イメージとかいう問題が非常に大きな要素であるということは、否めない事実でございます。我々は、そのイメージがいかに間違っているかということをわからせる努力も常々しているわけでございますが、同時に、誤解を招くような行動はぜひとも慎むべきであるとも考えておりまして、民間業界の方々にも、そういう面での認識を高めていただくようにお願いしているわけでございます。また、商社及びメーカーその他の方々は、海外で活躍されるに当たりましては、その土地の法律、慣行その他を十分わきまえて行動されることは当然でございまして、そういう面も自覚してやっておられると信じておりますが、そういう面の重要性もあわせて強調しております。  私どもとしましても、現在、御指摘のフィリピンにおけるケースがどういうことか、まだ詳しいことはつまびらかにしておりませんので、具体的なことまで申し上げられる段階ではございませんけれども、先ほど申し上げました基本的な考え方に基づいて、関心を持って対処していきたいと思っております。
  46. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 今回、合意文書ができ上がったわけでありますけれども、大変難航の末にでき上がった。日米間でありますが、米側としては、今回の合意文書成立によりまして、日本側がおよそ二億三千六百万ドルの輸入をするであろう、こういう見込みを立てているようであります。これは関税の引き下げということで、二百七十八品目関税の引き下げ等が行われる。現在の日米間の貿易不均衡はざっと五百億ドル、その中の二億三千六百万ドルというのは余りにも小さい。この合意文書交渉の中で、なぜそんなにまでアメリカ側はこだわって当方との間でやりとりをしたのか、この辺がよくわからない。  もう一つには、通商法三百一条、不公正貿易慣行に関する報復措置というのが、事実上の貿易収支の改善がなされない段階で出てくるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのですけれども、この点についてお答えいただきたい。
  47. 池田廸彦

    池田説明員 お答え申し上げます。  御指摘の第一点につきましては、確かに大幅な日米貿易インバランスの存在は、交渉を取り巻く環境ではございました。しかしながら、この交渉それ自体に限って申し上げれば、アメリカ側認識といたしましても、今次の皮革革靴に関する交渉によって日米間の貿易不均衡を是正しようというねらいはなかったと申し上げられると思います。  それでは一体、アメリカのねらいは何であったのかということになるわけでございますが、結局これはなぜこだわったのかということでございますけれども、これは大きく分けて二つあるだろうと思うのでございます。第一は、もちろん皮革革靴に関するアメリカ製品の対日市場参入を改善して輸出をふやしたい、これはその品目自身の問題でございます。もう一つアメリカが非常に強調いたしましたのは、本件はやはりガット上問題があるということがガットの小委員会でも結論が出されているではないか、アメリカとしては、従前からこういういわばルール違反の状態は直してほしいということを繰り返して言っておった。それから、貿易の実際の利益との対比におきましては、いわば法律的な側面と言ってもいいのだろうと思いますが、この法律的な側面と実需、この二つをないまぜにして、アメリカとしては非常に強い交渉態度で、したがってこだわったということが言えるだろうと思います。  三百一条の問題につきましては、先生指摘のとおり、確かに恣意的な要素というのはございます。この点につきましては、例えばガットの場におきまして我が国のみならず、ブラジルでございますとか欧州共同体でございますとか、やはり恣意的な運用の危険があるという指摘を行っております。今後ガットの場も含みますし、また二国間の交渉におきましても、そうそうむちゃくちゃな、恣意的な、主観的な判断だけでこういう対抗措置に訴えることは国際貿易の縮小に通じかねないということを、繰り返し注意を喚起して働きかけてまいりたいと考えております。
  48. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 我が国の国際経済の中における地位を考えますと、大変な風当たりの強い状況の中に置かれているわけでありまして、ちょうど温泉の時々噴き出してくる間欠泉だという表現の状況説明もございます。大変な勢いが、これからまた増してくるだろうと思うわけであります。一つは、繊維であるとかあるいはカラーテレビであるとか、そういう限定された交渉から全産業分野に広がってくるような多角的な、外務省通産省だけが当たればよかった時代から、農林省も、それこそ建設省も、各省庁がこれに取り組まなければならないような状況の中に置かれております。  一つは、これまでの原料輸入という貿易の形態から、製品輸入という政策が確立されなければならない時期じゃないか。かつて二度のオイルショックを日本は体験したわけでありますが、このオイルショックで石油代金の支払いのために何とか輸出しなければならないという時期がありましたけれども、現在のところはかなり原油価格も低落しているわけでありますし、今これが確立されなければ、東京サミットに向けても大変な批判の的になってくるのじゃないかと懸念するわけであります。去年の夏も、アメリカ側からの要求は、つまり製品輸入という輸入政策のビジョンを示せということにあったのだろうと思うのですけれども外務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  49. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まず、皮革、革製品につきまして大変交渉が難航して、今回の決着になった。これは必ずしも全面的に満足すべきものじゃなかったわけでございますが、しかし、大変長い間の問題でございますし、そういう意味では一応の決着をつけなければならなかったということで、やむを得ない措置であろうと私は思います。アメリカに言わせると、この問題は大変長い問題で、特に日本が自由貿易を非常に主張している中で、車とか皮革製品についてこれだけ大きな制限をしているのはおかしい、自由貿易原則に反するのじゃないかというのが彼らの強い主張で、長く繰り返されたわけです。  日本としましては、それぞれの国にそれぞれの特殊な事情があって、農産物だってそうだし、また皮革、革製品については日本日本の事情がある、アメリカアメリカでやはり貿易制限等を行っておる品目等もあるわけで、お互いの国の特殊な状況というのは理解してもらわなければ困るということで、日本としても、これまでアメリカに対して種々日本の立場を主張してきたわけでございますけれども、一面またEC等も声を上げる、こういう中で貿易摩擦が激化していく、日本の黒字がどんどんふえる、こういう状況もあって、ついにアメリカガットに提訴して、ガットの場で争うということになったわけでございますし、日本としても、そういう中でやはりこれはお互いに交渉して解決をする必要があるという立場から非常に困難な交渉、そして貿易の縮小ではなくて拡大という方向解決したいということで今回の決着を見たわけです。  しかしアメリカは、三百一条の制裁措置を一部留保するということになって、今回これが発動されるということは我々としても非常に残念であるわけでございますが、全体的に見れば、全面的な報復措置ということは避けることができたわけですし、あるいはガットの場でパネルを通じての論議ということも避けることができたということでは、まあまあの決着ではなかったかと私は思っております。  そういう中で、今お話しの、いろいろと貿易摩擦を解消するための各国の要求が出ておりますし、アメリカもECも製品輸入は非常に強く求めておりますし、日本としても製品輸入については、アクションプログラム等の実行等によりましてその道を大きく開いております。また、通産省を中心とした各企業に対する呼びかけ等によりまして、製品輸入拡大努力も続けられておるわけでございますし、これは今後我々としても努力していかなければならぬ課題だろうと思います。  そういう中で大事なことは、一つは内需の拡大、製品輸入をするにしてもやはりそのパイを大きくしなければ、なかなか輸入拡大につながっていかないわけですから、これはやはり日本の責任を果たす上においても日本がこれから取り組んでいかなければならぬ大きな課題であろう、こういうふうに思っております。
  50. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣おっしゃるとおりでありまして、内需の拡大という大変大きな課題がややもすると放置されたまま、今年度予算の中にはついに大型減税というのは見送られたわけであります。来年以降ということでありまして、これでサミット出席のEC並びに米側は納得するものでしょうか。貿易不均衡の是正のために、日本が巨大な貿易収支の黒字を抱え込んだ、これを国民生活向上のために使うこと、もう一つ、使うに当たっては国民生活向上に使うということと貿易収支改善に役立てるということとまるっきり別個な次元の話じゃなくて、同時に解決が進むという話であったはずであります。閣議の中におきまして有力な外務大臣といたしまして、内需拡大に積極的に取り組む姿勢をひとつ表明していただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  51. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 やはりこれからの日本は、これまでのように輸出依存型経済といいますか、輸出に大きく依存して経済の成長を図っていくということは、今後なかなか困難になってくる。貿易摩擦拡大して、そして黒字がどんどんふえるということにつながって、今これほどの批判も受けておるわけでございますし、これが為替問題に対するG5の介入というようなことになって今日のこの急激な円高、それがまた日本経済を揺さぶるということになっていろいろと反動も出てきているわけで、やはり今後の課題は輸出——もちろん、日本貿易国家でございますから輸出も行わなきゃなりませんし、輸入も原料のない国として行わなきゃ生きていけない国ですけれども、もっともっと内需というものに依存した経済の方向を進めていくことが、これは今やまさに重大な時期に来ておる、こういうふうに思っております。  そのためには、いろいろの努力をしていかなきゃならぬ。財政が出動できれば、ストレートにこの内需振興につながっていくわけですが、今の財政の状況からなかなか思い切った、財政を駆使して内需の振興を図るというわけにもいかないので、政府として、例えば民間活力を大いに推進をしていくとかあるいはまた税制面での配慮であるとかいろいろの形で、今度の予算が成立すれば予算の早期執行であるとか、いろいろの面で努力を今続けております。  しかし、今の状況を見ると、私は、四%の経済実質成長、それも内需中心の実質成長というのはなかなか難しい時期になってきておる。ですから、やはり近いうちにこうした問題点を総合して検討して、これからの日本の進むべき経済政策のあり方について論議をする必要があるんじゃないか、そしてそれを打ち出す必要があるんじゃないか。この点については政府直言明もしておりますし、四月の段階になれば経済対策閣僚会議等も開いて、総合的にこれまでのあり方等を見直して検討して、そして新しいこの一つ方向を打ち出そうという、これから方向を模索していくわけでございます。  我々としても、サミットを何とか成功させなければなりませんし、サミットを前にいたしまして、黒字がどんどんふえる、同時に、依然として日本の内需についての見通しもつかない、経済の成長についても全く見通しを実現することは困難だということになれば、これはサミット一つにしてもなかなか容易に乗り切っていけないわけですから、そういうことを控えてあらゆる角度から検討していく必要がある、私はそういうふうに思って、いろいろと私の考え方についても今整理をいたしておるわけであります。
  52. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これで質問を終わります。
  53. 北川石松

    北川委員長 次に、渡辺朗君。
  54. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 昨年の、たしか八月ごろだったと思いますけれども、レーガン大統領が、不公正貿易を調査する、これを指示いたしまして、そのときに革製品の問題、靴の問題が浮上したわけであります。そしてまた、私たち国民の側としては、暮れのあのぎりぎりの交渉、何かはらはらしながら見ておりまして、心臓の痛い思いでございました。それだけに、このような形で妥結ができたというのは、いろいろ問題はあるでしょうけれども、私、まず交渉当事者の御労苦に対しては、本当にこれを多としたいと思います。  さて、この問題につきまして幾つかお尋ねをしたいのですが、最初に通産の方にお尋ねをしたいと思います。  これはやはり一番被害を受けるといいますか影響があるのは、零細な業者の方々だと思いますけれども、現状どうなっておりまして、そしてこの零細な業者にとってこの結果というものがどういうふうな影響が出てくるのか、そこら辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  55. 北畠多門

    北畠説明員 文化用品課長でございますが、お答えをいたしたいと思います。  まず第一に、現在の現状と申しますか、皮革及び革靴につきましては中小零細企業が非常に多いということでございまして、例えば内需の革靴の売れ行きが非常に悪いというようなことなんかもございまして、あるいは競合品が多いということで代替品があるというようなことがございまして、非常に不況の状況であるわけでございます。  こんなような状況でございまして、一方におきましてアメリカ等から市場開放の要求が非常に強いわけでございましたので、私どもとしてこの問題に対して、外国からの要望、海外の要望と国内の要望をどんなふうに妥協点を探るかということが、非常に苦労をした点でございます。  今回、現行の輸入割り当て制度から関税割り当て制度への移行ということで、現在いろいろ検討を進めておるような状況でございますけれども関税につきまして、今申し上げましたような国内の状況を踏まえて、一次税率については現行のまま、それから二次税率については、例えば革靴の場合ですと一足四千八百円あるいは六〇%のいずれか高い方、こういうことで設定をするということにしておるようなわけでございます。  現在、この制度につきましては、関税としてもかなり高目の関税も設定しておるわけでございますし、それから、これから決めていくことになろうかとは思うわけでございますが、一次税率の枠につきましても、現在の枠につきまして例えば二倍とか三倍とか非常に大きくするということではございませんで、現在の国内の状況を見ながらアクセスの改善を図るということで対応していくということにしておりますので、私どもの方の考えといたしましては、関税制度への移行ということで非常に大きな影響が出て、これは困ったというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
  56. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 昨年度どのぐらいの対米輸出実績がございましたですか、ちょっとそれを教えてください。
  57. 北畠多門

    北畠説明員 対米輸出の実績についてでございますが、細かい分類ちょっと今持ち合わせておりませんけれども皮革については、豚革すなわちピッグスキンでございますが、あるいは爬虫類等の革を全部足しまして三十六億円、それから革靴につきましては、スポーツ用の革靴等が含まれておりますが二億円、合計三十八億円の輸出アメリカに対して出ております。
  58. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 この交渉の中で、アメリカ側日本側の皮革輸入制限による損害ということで、一年間に二億六千万ドルという業界の主張を出しておりますけれども、算定の基準というのはどこにあったのですか。これはどのようにお考えですか。
  59. 池田廸彦

    池田説明員 御指摘の数字は、交渉の過程でアメリカ側が出してまいった幾つかの数字の一つでございます。算定基準につきましては、アメリカの中でもいろいろ議論はあったと私ども承知いたしておりまして、それも、算定基準それ自体をあげつらう、交渉の対象にするということはいたしておりません。交渉の帯といたしまして、常に主観的な要素を交えた数字が出てくるというわけでございまして、そういう態様の一つの数字ということで御理解願いたいと思います。
  60. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 それなら安心しました。というのは、新聞などだけを見ておりますとそういう数字がどんどん挙げられて、そんなことになっているのかということでびっくりするような記事として報道される。交渉の過程で、例えばここにもちょっとそのころのコピーなどを私は持ってきましたけれども、「日米皮革協議が決裂 米、対日報復発動か」というようなことがいろいろ出されたり、今のような数字が出されますと、駆け引きの中で恐らくいろいろな言葉が使われたり報道がされたりするということはわかりますけれども、しかし本当に肝の冷えるような、心臓の痛くなるような思いでございました。  さて、さっきの説明を聞くと、余りすぐには影響が出てこないみたいですけれども、それじゃ、実際に零細企業の皆さん方に対する経営の安定策、その措置というのは何もしないで大丈夫ですね。
  61. 北畠多門

    北畠説明員 私どもといたしましては、皮革及び革靴産業を取り巻きます現在の非常に厳しい状況については、十分認識をしているつもりでございます。したがいまして、私ども、例えば通産省生活産業局関係の予算でございますが、まず第一に重要な点といたしまして、皮革革靴産業国際競争力をつけていくということなども、非常に大きな重要な点であるかと思うわけでございますが、あるいは技術力の向上を図っていくということも必要であると思っております。そういうことのために、海外の見本市に参加をするというような費用あるいは技術研修をする費用等、私どもの課の予算だけでも三億円ぐらいの予算規模をお認め願うようにお願いしておるわけでございますが、こういうような予算によりまして企業体力といいますか、それを少しでも対応ができるように私どもとしては図ってまいっておるつもりでございます。  それに、今回、この問題との関係におきまして、小規模企業の経営の安定を図り、あわせて必要な債務の保証を図るというようなことを考えまして、今回の昭和六十年度の補正予算の方で三十億円の予算を組みまして基金を創設をする、こういうようなことを実施をすべく、現在その準備をしておるような段階でございます。資金規模としては、全体として三十六億円の基金になる予定でございます。この運用益を活用いたしますと大体二億円程度になるかと思いますが、この資金を活用いたしまして、特に皮革及び革靴産業を中心といたしまして技術振興を図るということで対応をしてまいりたい、こういうふうに考えておるようなわけでございます。  特に靴の関係におきましては、靴に足を合わせるんだというような議論もあるほど、なかなか履きにくいというような御批判もあるわけでございますので、この点について、足型の研究をよく進めていくとか、あるいはできるだけ低廉な価格でその型に合った靴を供給するということで靴のイージーオーダーのシステムを開発するとか、いろいろ技術開発の面で苦労をしていかなければならぬ点が多いだろう、こういうような考え方でございまして、私どもといたしましては、このほかに必要な中小企業関係の施策等も組み合わせ、あるいは関係都道府県ともよく連絡をとりながら対応をしてまいっておるつもりでございますし、これからもそういうふうにしていきたい、こういうふうに考えております。
  62. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣にお尋ねをしたいと思います。  この交渉の過程で、そしてまた決着がついた後でございますけれども、ヤイター米通商代表部の代表が、貿易拡大に向けて世界の市場を開放させていくためには、米国通商法三百一条発動が極めで有効であるということを言い、これから何か頻繁にこのような形の交渉をしてくるのではないかというようなことをうかがわせるような発言がありました。外務大臣、どのようにこれを評価されますか。評価というか、お考えでございますか。つまり、私がお尋ねしたいのは、この三百一条発動というようなものをちらつかせながら、そして拡大を迫っていくという、そういう交渉のパターンというものが、この問題は今回は何とか妥協のところで落ちつきましたけれども、今後の方向として交渉のパターンになっていくんじゃないかということを懸念するので、お尋ねをするわけです。
  63. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私も、今回のこの革製品、革靴交渉のあり方については、いろいろと問題はあると思います。その点は我々としても、これからいろいろ検討してみなければならぬ。例えば先ほどお話しのように、アメリカが一方的に二億六千万ドル影響があるということで、数字を挙げて日本側に対応を迫った。これは我々から見ると全く一方的な、全く主観的な彼らの考え方であって、到底納得できる数字じゃないわけですね。  私は交渉が終わった後で、シュルツ国務長官にこの点も率直に言いました。日米間の交渉でそうした数字を一方的に自分の主観だけで挙げて、そして対応を求めるというやり方は、これは必ずしも日米間の貿易交渉をうまくこれから進めるゆえんにならないし、これは悪い前例にならないように、今後からこういうやり方はやめてもらいたいということを率直に言ったわけでございまして、これはアメリカでもいろいろと反省もあったようですが、こういうやり方でこれからも詰めてこられたら日本としてもなかなかこれは対応し切れない。そう率直に思っております。  それから今の三百一条の発動、これは今度の交渉アメリカとしては十分ではない、日本が相当思い切った譲歩をしたにもかかわらずこれは十分でないということで、いわゆる部分的な措置ということで発動を留保していたわけでありまして、今回これを発動するということに相なったわけでございますが、これについても私たちは率直に言いまして不満であります。確かに交渉の成果は、貿易拡大均衡という形では一応の形はとれたと思っております。あれだけの難交渉であっただけに、日本側も相当思い切った譲歩もしましたけれども、しかし、まあまあ長い間の懸案が一応の決着を見たということは評価はできると思います。そういう中で部分的な強制措置を残した、これは保護主義につながっていくわけでございますので、その点は私は残念に思っておりまして、この点も、今後の日米間のいろいろな交渉のあり方等で議論する場合に、日本の立場として言うべきことは率直に言っておかなければならないと思っておるわけでございます。  アメリカも、これまで日本に対する交渉のやり方をいろいろ変えてきておりまして、今のような、とにかく三百一条、ガットをちらつかせれば、日本が屈するだろうという姿勢も見えないわけではないのです。そういうことでは、本当の友人関係の実りのある交渉成果というのは上がらないだろうと思っておりまして、こういう点等は反省材料として、これからの日米間、ECとの交渉に当たって日本としてもちゃんと心得て、言うべきときにはきちんと言っておかなければならぬと思っております。一つの問題が成功したからといって、それがそれぞれの成功につながるものではない、そういうふうに思っております。
  64. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 今のお言葉は大変重要だと思います。特に懸念されているのは、当面する日米交渉の中では、例えば農産物の完全自由化の問題がございます。まさか同じようなパターンではないと思いますが、この辺についてのくぎは事前に刺しておかないといけないのではなかろうかと思います。  また、けさほどの新聞でございましたか、見ましたら、ECがガットで対日批判するという動きを示しているようであります。対日声明を採択し、ガットの場での日本問題協議を示唆したということがありますけれども、これらの問題について、単に不満であるとか、こういうことについてはアメリカも反省しているであろうということではなく、もっとはっきりくぎを刺しておいていただきたいと思います。いかがでございましょう。
  65. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今お挙げになったような問題については、しばしば日米間で話し合っておりますし、日本の立場も明確に申してきております。例えば、農産物について完全自由化を求めると言っても、日本がこれを受け入れるはずがないわけで、アメリカも相当な保護政策をとっているし、ECに至っては補助金まで出して輸出しているという状況ですから、日本だけが完全自由化を求められても到底受け入れられる課題ではない。ただ、農産物につきましても、十三品目とかいろいろな問題で、市場改善や枠拡大等についての努力はしておるわけで、これはアメリカ側にも理解してもらわなければならぬ。日本として、認められる限界というのもはっきりしておるわけでございますし、今後どういう状況になろうとしても、越えることのできない一線というのはあると思っております。  それから、ECとの関係でも、ECの対日外相理事会で、これまで日本のとった市場開放措置等について率直に評価しておると思います。ただ、ECとしても、貿易赤字がふえているものですから、例えば日本輸入の目標をつけるという強い要請も最近のEC側にあります。しかし、そう簡単に、日本輸入目標を設定してこれを守っていくということは、自由貿易、自由経済の姿でそういうことができるはずがない。ですから、この点については、十分議論してこの問題を押し返したわけですが、依然としてECはその主張を続けております。ガットあるいはまたサミット等においても、EC側として日本貿易のあり方等について批判あるいは要請が出るかと思いますが、日本側の立場もありますし、議論は十分尽くさなければならぬ、尽くすことによって日本の立場も理解を求めることができる、こういうふうに私は思っております。
  66. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 特に今のようなことが進んでいきますと、結局はガットの空洞化にもつながっていくような事態も懸念されるわけでございますので、これはしかと頑張っていただきたいと思います。  時間もありませんが、あと二、三お聞かせいただきたいと思います。  端的に外務大臣の見通しを聞かせていただきたいのですけれども、このまま行ったら円高はどこまで行ってしまうのでしょうか。これは、今回の問題でも貿易摩擦ということで、日本業界なんかかなり痛手をこうむるようなことになってくる。これは、ドル高・円安の時代の黒字という問題が責められて、今そのツケをこっちが払いつつある。ところが、当の日本の方は、急速な円高で大変苦しんでいるというような状態が生まれている。この中で円高の行方というのは、当然日銀も介入するとは思いますけれども、どこでストップがかかるか、ここら辺について見通しを教えてください。
  67. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、なかなか見通しがつかないところに問題があるわけでありまして、今相当円高が進んでおりますが、相当な思惑があるのじゃないだろうかと思っておるわけで、今の状況だけでも日本の経済には打撃が相当大きい、こういうふうに思います。認めてはおりませんけれども、日銀が介入もしておるようですし、日本のファンダメンタルズを適切に反映する為替市場でなければならぬと思っております。  そういう観点からいくと、私は政府の一員ではありますが、日銀総裁でも大蔵大臣でもありませんから比較的自由に物を言わせていただくわけですけれども、百七十円台というのがかえって日本経済を混乱させる、あるいはまた内需にブレーキをかけるということにもなりかねない。円高誘導というのは、基本的には正しい選択であったと思いますが、これが行き過ぎてしまうと、かえって国際経済秩序を混乱させてしまう。経済の安定的、持続的な成長、そして貿易の調整という点から見ると、むしろ逆の方向に流れるおそれすら出てくる、こういう点は考えなければならないことだなと、率直に思っておるわけです。
  68. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣、この場合に日銀だけが介入するということにはならぬでしょうから、アメリカとも協調して介入することになると思いますが、それに対する反応はいかがでございましょうか。交渉しておられますか。喜んで一緒になってというようなことでございましょうか。円高はまだまだ促進させるべきだというような姿勢が向こうにあるのでしょうか。ここら辺をちょっと……。
  69. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは外務大臣としての立場、あるいはまた我々関知した情報の段階では、さっぱりわからないわけです。G5のときもわかりませんでした。アメリカのヤイターさんなんか、百五十円なんということを言っておりますし、ボルドリッジさんも、恐らくもっと円が上がることを期待しているような気持ちだろうと思いますが、一面において、アメリカの通貨当局が全く同じような考えを持っているかというと、必ずしもそうではないのじゃないかとも思いますけれども、どういうことになりますか。  アメリカ政府がどういう統一した考えを持って臨むか、アメリカの金融当局がどういう姿勢でこれから臨もうとしているのか、その辺のところはなかなか憶測の段階を超える状況ではないわけです。いずれにしても、協調して円高・ドル安が進んだわけですから、今後も協調の姿勢というのは基本的には崩さないでほしいというのが、私の率直な気持ちであります。
  70. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間も少なくなりましたので、あと一、二だけでございます。  援助問題で、今、日本の黒字と関連していろいろ問題が論じられております。  つい、せんだってでございましたが、フィリピンに私行ってまいりました。そのときにアキノ大統領も、それからラウレル首相も、いろいろな問題があるけれども緊急の課題は失業の解決、雇用の拡大だということを盛んに言っておりましたし、それから新しく農林大臣なんかになった人は、農産物を何とか買ってくれということも言っておりました。日本のフィリピンに対する援助の姿勢というのは、先般来問題になるように、私はこれから見直しをし、かつまた最も民生に効果的なことをやるべきだと思います。  これに関連して、政府の方で十八日、フィリピンのアキノ政権による経済再建を支援する新しい対比経済協力の基本方針を決めだというような報道がございましたけれども、もしこのままであるならば大変私は結構だと思うのですが、特に雇用拡大中小企業の育成、こういったところに重点を置いたということが報道されておりますが、実際にそうでございますか。そういう基本方針が決められたのですか。
  71. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピンの経済について、我々も非常に心配しております。せっかくアキノ新政権が国民の圧倒的な支持を得て生まれたわけで、これは非常に民主的な政権であろうと思っておりますし、この政権によって経済の混乱が一日も早く回復することを祈っております。また、日本もそれなりの協力をしなければならぬ、協力をいたしましょうということは、アキノ政権にも申し入れております。  しかし、フィリピンの今の政府の基本的な経済回復についての考え方というのが決まらない、あるいはまた、日本からの援助を受ける場合の基本的な姿勢というものが決まらないうちは、なかなかこれは軌道に乗っていかないと思っておるわけで、しかし、日本としても援助はやはり積極的に行いたいということで、実は経済協力局長、きょう出発いたしまして、各省の幹部と一緒にフィリピンに参りました。フィリピンで、この協議チームとフィリピン政府との間で、どういう形でこれから援助を進めるかという具体的な話し合いをすることになっております。  まず、フィリピン側の政府考え方を十分聞かせていただこう、基本的にはあくまでもフィリピン経済の安定、国民生活の向上のために日本が何がやれるかということ、その点に基づいた協議ということになると思うわけであります。
  72. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 確かに、おっしゃるように先方がどのような経済再建計画を立てるか、これが本当は先決だと思います。しかし、御存じのようなプロセスの中で誕生した新政権である、そしてまた、まだまだそれが固まっていないという中で、私はむしろこちらの方から、これは決して内政干渉ではないと思いますが、タスクフォースみたいなものをつくり、先方にもつくってもらい、そして計画を作成する段階においても大いに助言をしたらいいんではないか。これに対して、ちょっとしり込みをしておられるような気配があると思いますけれども、私は違うと思いますので、これが民生に役立つんだ、長期的にはプラスだ、そういうような観点から、むしろ積極的にそのような助言をされるような姿勢はお持ちではございませんか。
  73. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まさに、そういう気持ちで局長を中心とした協議チームを派遣いたしたわけで、早速フィリピン政府との間に、具体的にフィリピン政府考え方を聞きながら、また日本政府としての、どういう点でこれから協力をすることがフィリピン経済の安定に役立つかという日本側の考え方も述べて、そして合意したところで援助を開始したい、こういうふうに考えております。
  74. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
  75. 北川石松

    北川委員長 次回は、来る二十四日月曜日午後一時四十五分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会