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1986-02-19 第104回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月十九日(水曜日)     午前九時五十一分開議 出席委員   委員長 北川 石松君    理事 奥田 敬和君 理事 田中 秀征君    理事 西山敬次郎君 理事 河上 民雄君    理事 土井たか子君 理事 玉城 栄一君    理事 渡辺  朗君       愛野興一郎君    鍵田忠三郎君       鯨岡 兵輔君    竹内 黎一君       中山 正暉君    仲村 正治君       町村 信孝君    山下 元利君       小林  進君    高沢 寅男君       藤田 高敏君    渡部 一郎君       岡崎万寿秀君    田中美智子出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎出席政府委員         外務政務次官  浦野 烋興君         外務大臣官房長 北村  汎君         外務大臣官房審         議官      斉藤 邦彦君         外務大臣官房会         計課長     須藤 隆也君         外務省アジア局         長       後藤 利雄君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省中南米局         長       山口 達男君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省中近東ア         フリカ局長   三宅 和助君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      中平  立君         外務省情報調査         局長      渡辺 幸治君 委員外出席者         防衛庁防衛局調         査第二課長   太田 洋次君         水産庁海洋漁業         部国際課長   窪田  武君         外務委員会調査         室長      高橋 文雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 北川石松

    北川委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  まず、昭和六十一年度外務省関係予算について、その概要説明の聴取を受けます。外務政務次官浦野烋興君
  3. 浦野烋興

    浦野政府委員 私、このたび外務政務次官を拝命いたしました浦野であります。一言あいさつを申し上げたいと存じます。  外交問題に精通しておられる外務委員会の諸先生方を前に、このようなことを申し上げることは大変僭越であろうと思いますけれども、現在の国際情勢は依然厳しいもめがございます。その中にありまして、日本のかじ取りの任務に当たる外交使命は極めて重大でございます。また、相互依存関係がますます深まっている今日の国際社会におきましては、世界の平和と繁栄なくして我が国の平和と繁栄も確保できないことは申すまでもありません。  本年五月には東京サミットを控えておりますが、その成功に向けて議長国たる我が国が果たす役割は極めて重要でございます。私といたしましては、微力ではありますが、安倍大臣を補佐いたしまして、我が国世界の平和と繁栄のために貢献し、もって日本の平和と繁栄を確保していくため、最善を尽くしてまいりたいと念じております。  先生方の御指導と御鞭撻によりまして、任務を全うできますよう御協力をお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手)  それでは、昭和六十一年度外務省予算重点事項を御説明いたします。  昭和六十一年度一般会計予算案において、外務省予算としては、四千百九十三億一千百六十九万三千円が計上されております。これを前年度予算と比較いたしますと、四・五%の伸び率となっております。  次に、内容について御説明いたします。  我が国を取り巻く国際情勢は依然として厳しいものがあり、外交役割はいよいよ重大であります。特に、自由世界のGNPの一割を占めるに至った我が国は、世界に開かれた日本として、国力にふさわしい責任を果たすことにより、世界の平和と繁栄に貢献し、世界の信頼を獲得していく必要があります。  かかる見地から、昭和六十一年度においては、定員機構拡充強化在外勤務環境改善等外交実施体制強化政府開発援助及びその他の国際協力拡充情報機能強化海外啓発文化交流強化在外邦人対策等拡充等を最重点事項といたしました。  外務省定員につきましては、本省及び在外公館新規増八十八名、他省庁からの振りかえ増四十四名、計百三十二名の増員となりますが、他方定員削減が四十二名ありますので、純増数は九十名となります。この純増九十名から内閣に振りかえる五名を差し引いたところの八十五名を加えると、六十一年度末外務省予算定員は合計三千九百七十一名となります。  機構につきましては、在外公館として、スペインバルセロナに総領事館を設けることとしております。  在外勤務環境改善等外交実施体制強化に要する経費は、七十六億八千四百万円であり、前年度予算と比較いたしますと、五億五千八百万円の増加であります。  次に、経済協力関係予算について御説明いたします。  経済協力は、平和国家であり自由世界第二位の経済力を有する我が国の重要な国際的責務であります。中でも、政府開発援助ODA)の果たす役割はますます重要となっております。かかる観点から、昨年九月ODA第三次中期目標を設定し、その着実な拡充に努めることを内外に宣明いたしました。昭和六十一年度は、この第三次中期目標の初年度に当たりますので、ODA一般会計予算については、厳しい財政事情にもかかわらず、政府全体で対前年度比七・〇%増とする特段の配慮を払いました。  外務省ODA予算について見ますと、前年度比百九十九億円、七・二%増の二千九百五十億円となっております。この予算のほとんどは贈与予算であり、ODAの質の改善に寄与するとともに、外交の円滑な推進にも重要な役割を果たすものと考えます。  このうち、無償資金協力は前年度予算より九十億円増の一千二百四十億円、また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団事業費は、国際緊急援助隊新設等を含め、前年度予算に比べて八・〇%増の九百五十七億一千八百万円を計上しております。  六十一年度ODA予算内容的特徴としては、援助のいわゆるソフト面の重視、効果的、効率的実施に配意したことを挙げることができます。  また、国連等国際機関を通じて援助等種々国際協力を行っておりますが、これら機関活動に対し引き続き積極的に協力すべく、前年度予算に比して、一・三%増の八百七十七億二千九百万円を計上いたしました。  次に、情報機能強化関係経費は、五十七億四千八百万円であり、前年度予算と比較いたしますと、八千九百万円の増加となっております。  海外啓発文化交流強化につきましては、海外啓発活動の促進のための経費として三十億八千九百万円を計上しております。  文化交流拡充のための経費は三十四億六千九百万円であり、国際交流基金に対する補助金として三十二億四百万円を計上しており、前年度予算と比較しますと三億五千七百万円の増加となっております。また、外務省が実施する文化事業費として二億六千五百万円を計上しております。  また、我が国と諸外国との間の相互理解を一層促進するため人的交流拡充することとし、十三億二千九百万円を計上しております。  最後に、在外邦人対策等拡充について御説明いたします。日本人学校新設を初めとする海外子女教育充実強化でありますが、現在海外に在住する学齢子女は、およそ三万八千人に達しており、これらの子女教育が極めて切実な問題となっております。  このための具体的施策として、スペインバルセロナ、オーストラリアのメルボルンの二都市に全日制日本人学校新設するとともに、既設日本人学校施設等充実に対する援助現地採用教員の手当に対する援助等のため十五億四千四百万円を計上しております。  以上が外務省昭和六十一年度予算重点事項概要であります。
  4. 北川石松

    北川委員長 以上で説明は終わりました。  この際、安倍外務大臣より発言申し出があります。これを許します。外務大臣安倍晋太郎君。
  5. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 このたび、外務大臣に留任することになりましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして一言あいさつを申し上げます。  昨年は、東西関係におきましては、米ソ首脳会談の実現だと、歓迎すべき動きが見られたわけでありますが、他方世界の諸地域ではたお紛争や混乱が続いております。また、世界経済は引き続き多くの課題を抱えております。このような厳しい国際情勢のもとで我が国の平和と繁栄を確保していくため、我が外交に課された使命はますます重大であると存じます。  私は、外務大臣就任以来三年余になるわけでございますが、世界の平和と繁栄に積極的に貢献するいわゆる創造的外交を展開をしてまいりました。今後は、これまでの成果を踏まえ、外務委員会委員各位皆様の御協力もいただきまして、我が国の直面する外交課題に引き続き全力で取り組んでまいる決意であります。  御承知のとおり、本年五月には、東京サミットという重要な外交日程が控えており、我が国主催国でもありますので、特にサミット成功のため全力を傾けたいと思っております。  この委員会に御出席皆様方は、多年にわたり外交問題に真摯に取り組んでこられ、この分野に精通された方々であります。今後とも、皆様のよき御指導と御鞭撻を賜り、引き続き外務大臣の重責を無事果たせますよう御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  6. 北川石松

    北川委員長 次に、国際情勢に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中秀征君。
  7. 田中秀征

    田中(秀)委員 私がいただきました時間はわずかに十分でございますので、フィリピン問題に絞りまして二、三外務大臣にお尋ねいたします。  現在、フィリピンが置かれている状況につきましては、日本として友好国として大変憂慮にたえないものでございますけれども、また私どもにとっても、東南アジア諸国にとっても、あるいは自由主義陣営にとっても、重大な関心を持たざるを得たい問題でございますが、外務大臣は、現在フィリピンが置かれている状況につきまして、現在の時点でどのように認識しておられるか、そしてそういう認識に基づいてどのような感想、所感をお持ちであるか、まずお尋ねしたいと思います。
  8. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピンは、御承知のように我が国にとりましては非常に大事な友好国でございます。ただ、現在のフィリピン情勢を見てみますと、経済の面におきましても相当悪化をいたしておりますし、また反政府ゲリラ活動だと相当厳しいものがあります。全体として政情は不安定と言わざるを得ないわけでありますが、特に今般の大統領選挙をめぐっていろいろと事態混乱をいたしておりまして、そういう点で自分としましては心配をいたしておる次第であります。  フィリピンの現在の事態はそういうふうな混乱もありますし、非常に流動的でございます。したがって、今後どういうふうにたっていくかということについてははっきりした見通しも立て得たい状況でございますが、私としましては、今次選挙を受けて成立する新政府国内改革あるいは国民和解、そうした問題に取り組んでいかたる施策をしていくか、また野党側政府批判、反政府活動がいかなる発展を見せるか、進展を見せるかということに注目をいたしておるわけであります。やはりフィリピンが何とか政治の安定を招来して、同時にまた、混乱して悪化しておる経済をいかに回復していくかということに、友邦国として我々も非常に関心を持っておりますし、また、それなりの日本は貢献をしなければならないと思っております。
  9. 田中秀征

    田中(秀)委員 私も全く同じような認識をしているわけですけれども選挙が終わってから日を経るにつれて、だんだん混迷の度を深めているというふうにごらんにたっておりますでしょうか。
  10. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 選挙が終わりまして得票の集計の状況等を見ておりますと、選挙をやっておる我我としましても、なかなか納得のいかないといいますか、すっきりしないという感じを率直に持たざるを得ないわけでありますが、一応国会でマルコス大統領の当選を決定して発表いたしたわけでございます。しかし対立候補アキノ陣営は、自分たちマルコス大統領を上回る票を実際的に集めたんだということで、今、後に引かないという状況であります。そうして、ますます対立的な空気が出ておるということで、この状況が果たして収拾されるかどうか。我々としては、何とか平和的に収拾されるということを期待をいたしておりますが、どういう形になるかは、今ここで私自身判断がつかないといいますか、見通しを立て得ないような状況であります。
  11. 田中秀征

    田中(秀)委員 一番心配なことは、現在は実質的に二人の大統領がいるという感じもしないわけではないわけですが、そういう二つ陣営の抗争が激しくなっていっていわゆる新人民軍、NPA、そういうものに代表されるような勢力が漁夫の利を占めるという事態を私は大変心配をしているわけですが、そういう可能性について、あるいはそういう心配外務大臣もお持ちかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  12. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今の状況から見ますと、どういうふうな形になっていくのかちょっと見当もつかないわけですが、今おっしゃるように混乱が続けば、その間隙をねらって勢力を徐々に拡大している新人民軍がその勢力をさらに伸ばしていく、そしてそれがフィリピン混乱にさらに油に火を注ぐという状況にもなりかねないわけでございます。そういうことになればフィリピンの将来、ますます憂慮にたえないような情勢になり得るわけで、私どもとしましては、こうしたいわゆる新人民軍というような力によって、革命によって政権を奪取しようという勢力フィリピンでさらに力を得てくるということは、フィリピンの将来のために我々としては好まざるところであります。そういう形でない形で、民主的な自由な形で何とかフィリピンの政局が収拾されることを念願しております。
  13. 田中秀征

    田中(秀)委員 総理も外務大臣予算委員会などの答弁を通じまして、どなたが政権をとられても、フィリピンに対する経済援助を初め関係が変わらないというふうにおっしゃっておりますけれども、そのとおりだと思うのですが、しかしこれは大枠はおのずからあると思うので、自由陣営の一員としてとどまらないような方向に行くのであれば私ども日本としても考えたければいけない、そんな感じがするわけですが、いかがでしょうか。
  14. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本にとりましては、フィリピンが自由な民主的な国として、今後とも日本との関係、ASEANとの関係をさらに強化、発展させるということが望ましいわけでありますし、そのために日本協力は進めてまいらなければならない。その大前提としては、今お話しのようにフィリピン政治が安定する、それもフィリピンの自由な民主的な雰囲気の中での政治が発展するということでなければならない、こういうふうに思っております。
  15. 田中秀征

    田中(秀)委員 長期的に見て、私ども日本にとって非常に重大な今回の問題であるかと思いますので、ぜひ慎重に、しかも適切に対処してくださいますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
  16. 北川石松

    北川委員長 次に、河上民雄君。
  17. 河上民雄

    河上委員 外務大臣に御質問をいたしたいのでございますが、アメリカ国防報告が出されておりますけれども、ことしの国防報告と昨年の国防報告との一番大きな違い、特に日本に関してどういう点が重大であるかというようなことについて外務省として、政府としてどのように受けとめておられるか、まず最初に伺いたいと思います。
  18. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 国防報告につきましては、私も概要承知しておりますが、昨年の国防報告と基本的にそう変わってはおらない、こういうふうに思います。ただ、日本アジアにおける地位といいますか、そういうものを去年よりは重視しているといいますか、重要に考えておる、いわゆるアジアのかためであるというふうな考え方が基本的に出ておるように思っております。これはアメリカが今日の国際情勢アジア情勢判断している中で、日本戦略的地位というものをアメリカ自身としてそれだけ重要視している、去年よりは重要視してきたということは、全体的には姿勢として出ているのではないかと思いますが、基本的には大きな変化はないように思います。
  19. 河上民雄

    河上委員 私どもも、まだ詳細に本文をもって検討いたしておるわけではございませんけれども、特に日本に関しまして、いわゆる軍事技術協力について特にアメリカから強い期待が表明されているように受け取られるのでありますが、その点はいかがでございますか。
  20. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 委員御存じのとおり、昨年の末に武器技術供与に関します細目取り決め日米間で署名されたわけでございます。それを受けましてと思いますけれども、ことしの国防報告には、日本アメリカとの間の武器技術に関する記述がございます。
  21. 河上民雄

    河上委員 もし、ことしの国防報告特徴を挙げるとすれば、やはりその辺に非常に注目すべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがですか。
  22. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 国防報告につきましては、これは毎年の国防報告でございますから当然のことでございますけれども、昨年とことしと異なった点、これについて記述している面がございます。明らかに、先ほど申し述べましたように武器技術について日米間で一つ進展があったわけでございますので、それについて記述しているということかと存じます。
  23. 河上民雄

    河上委員 それはやはり、SDIに対する参加のいわゆる西側諸国に対する一つの強い要請のあらわれである、それとの関連においてそういう記述がたされた、こういうふうに考えておられますか。
  24. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、全く無関係というふうに感じております。
  25. 河上民雄

    河上委員 概要でしか承知いたしておらないのでありますけれどもアメリカ国防報告の中に「既に」という言い方で、「防空、通信システム分野で、そうした任務に当たる二つグループが作られ、日本からの軍事技術移転に関する手順を協議している。」こういうふうに述べてございまして、日米軍事技術協力に関して既に官民合同会議が発足したというふうに読み取れる記述があるのでございますけれども、これは事実でございますか。
  26. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 この点につきましては、昨年の我が国のいわゆる防衛白書についても触れておる会合でございます。この会合は、日米防衛当局間の非公式な会合でございまして、日米装備技術定期協議ということでございまして、日米間の装備技術に関します防衛当局者問非公式会合でございます。
  27. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、国防白書記述は、今局長指摘されたその活動グループを指しているというふうに判断しているのですか。
  28. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 それ以外には日米間でこの種の会合ございませんので、この会合が私が申し上げた会合であるというふうに了解いたします。
  29. 河上民雄

    河上委員 二月十日の朝日新聞に出ているのでありますけれども国防白書のこの部分につきまして、防衛庁ではこういうものは存在したい、事実と違うということで大変大慌てになったという報道がございまして、この国防白書は明らかに官民協議体発足という記述がオーバーランだ、こういうようなことを述べているんでありますけれども、この点につきましては、外務省並び防衛庁ではどのように考えておられるのですか。事実を明らかにしていただきたいと思います。
  30. 太田洋次

    太田説明員 私、防衛庁調査課長でありまして、これの直接の担当でございませんが、防衛庁から私だけしか出ておりませんので、私の知る限りでお答えいたします。  先ほど北米局長からお答えがありましたように、装備技術定期協議のもとにおきまして、日米の、国防省それから防衛庁専門家会議が開かれておって、そこで話し合いが続けられておるということであります。その中に、先ほど言いましたような官民合同のというようなことが書いてありますけれども、そういうことはないというふうに承知しております。
  31. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、この官民合同会議というふうに示唆するような記述は事実に合わせたいといたしました場合には、これについてアメリカ側訂正を申し込んでおるのかどうか。
  32. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 ただいま防衛庁の方から御答弁ございましたように、この会合二つございまして、片方は一回ありました。片方はまだあってたいわけでございますけれども、そのことについて触れていると思います。  官民合同云々の点につきましては、この辺は防衛庁とも相談いたしまして、さらにこの記述と実態、もちろん官民合同というのは存在しないわけでございますが、ということで今後検討いたしたいと思いますけれども、現在のところ特に訂正とかそういうことは申し入れておりません。
  33. 河上民雄

    河上委員 外務大臣アメリカ国防報告というのは世界的に、も大変権威のあるものなわけです。これは日本にとっても重要な問題でございますけれども、事実存在しない会議を想定した記述があることに関しまして、日本側から何のアピールもしないというのは大変おかしなことではないかと思うのでありますが、大臣、いかがでございますか。
  34. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカ国防白書日本についての記述がありますし、アメリカ立場から見た日本役割といいますか、その中では日本が東アジアのかため石であるということも記述しております。また、武器技術交流についての先ほどからの御指摘の点もあるように聞いておるわけでございますが、日本日本立場として、今の武器技術交流についてはこれは日米間で合意ができておりますし、その武器技術を進める中で非公式に日米間で話し合っているということもこれは事実でございます。そういう意味で、アメリカのそうした判断と実際に行われておるいわゆる会合というものとの間には私はそう大きな差はないんじゃないか、こういうふうに思っております。
  35. 河上民雄

    河上委員 それでは、いずれにせよ、アメリカ国防報告に載っております日米軍事技術協力に関して既に官民合同会議が発足しているということは事実誤認である、こういうように認めてよろしいわけですね。
  36. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 官民合同会議というものは存在いたしません。他方アメリカ国防報告記述が、官民合同会議が存在するというふうに明確に言っているわけでもございません。日本アメリカ技術協力においては官民の、インダストリー・エキスパーツという英語を使っておりますけれども、それの協力も必要であるという趣旨のことを言っておるわけでございまして、必ずしも官民合同会議が存在するということを明確には言っていないということがございますので、さらにこの辺を担当防衛庁などと検討いたしたいということを先ほど申し述べた次第でございます。
  37. 河上民雄

    河上委員 これは大変重大なことでございますので、明らかにしておいていただきたいと思います。余り時間もありませんので、二つのことをこれに関して伺いたいと思うのであります。  SDIに対する協力の問題は、今時に日本がこれに踏み切るのか踏み切らないのかという点が、世界的にもまた国内的にも大きな関心事になっておるわけですけれども、これについて藤尾政調会長発言もございまして、政府あるいは自民党の中では既にいろいろ討議が進んでいるのではないかと思います。私どもは、あくまでこれに反対でございますけれども、これについて政府としていつごろ大体方針を固めたい、そのように考えておられるかどうかを大臣から伺いたいと思います。
  38. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 自民党の方でSDIについて検討、研究が進められておる、これは与党として重要な問題でございますから、やはり当然のことであろうと思いますが、しかし、今政府と党との間で、この問題について相談をしているとか検討しているとかそういうことではございません。藤尾政調会長は政調会長の立場自分の意見を言われたものであろうと思いますが、これは政府としてもその意見は聞きおくということにとどめておるわけで、SDIの問題については、あくまでも政府立場で決めていかたければなら次い責任があるのじゃないか、基本的にそういうふうに考えております。  いつ、これを決めるかということでございますが、私は率直に言いまして、アメリカ日本SDI研究に対する参加を期待をしておる、こういうふうに思っております。ヨーロッパの国々も大半参加の方向で、それぞれ対応は違いますが方向を決めておりますし、日本の場合は理解ということにとどめておりますが、日本もその研究への参加を明らかにしてもらいたいという気持ちは十分持っておるんじゃないか、こういうように思います。しかし、これは日本にとりまして非常に大事な政策決定でありまして、慎重に考えていかなければならぬ。もっともっとやはり調査をし、あるいは検討する問題点が残されておるわけでございます。  第一次、二次という調査団を派遣をいたしまして、いろいろと資料等も集めて、アメリカ側の意見も聞いて今検討しておりますが、そうした検討の結果はまだ出ておりませんし、いつということになりますとその時期を明示する段階にはありませんけれども、いつまでもというわけにはいかないと思います。しかし、同時にまたこの点については慎重に取り組むという姿勢で、これから調査団をまたさらに派遣するということもあり得ると思いますし、日米間でさらに話を詰めて最終的に日本立場ははっきりしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  39. 河上民雄

    河上委員 最後に大臣に伺いたいのですけれども軍事技術移転という問題は、残念ながらアメリカとの関係では既に進んでいるわけでありますけれども日本政府にはまた別に、非常に基本的な国是ともいうべき武器輸出禁止の三条件というのがあるわけでございます。今、SDIに参加するかどうかということについては、非常に重大なことなので慎重に検討したいというお話でありますが、武器輸出禁止三条件の精神との関係において、この問題について大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  40. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 武器輸出三原則の基本的な立場というものは、日本として守っていかなければならない。ただ、アメリカにつきまして言えば、武器技術については例外ということで政府としての方針を決定したわけでありますが、まだ武器技術の交流については、アメリカとの間で一件も日本から武器技術を輸出しているという状況自体はないわけでございます。いろいろと話は今来ておることは聞いておりますが、まだ決定した武器技術はないわけでございます。いずれにしましても、そうした全体的な日本の政策と、そして日米間の武器技術交流の方針というものも踏まえたがら対処していかなければならぬ、こういうふうに思っています。
  41. 河上民雄

    河上委員 既に予算委員会でも取り上げられておりますけれども、靖国問題について外務大臣がどのように考えておられるか、ちょっと伺いたいと思うのでございます。総理の考えというのは、予算委員会の質疑応答の中である程度うかがい知ることができるのでありますけれども、そして靖国神社問題というのは、国内問題として真剣に考えなければならない重大な問題でありまして、私自身、この問題については一つの強い考え方を持っているわけでありますけれども、それ自体としては、内閣委員会等また論ずべき場所もあろうと思います。ここでは国際問題としての靖国問題という観点から、特に担当をしている外務大臣としてのお考えを伺いたい、このように思います。  靖国問題につきましては、昨年の八月十五日、戦争が終わりましてから四十年目に当たるあの日に中曽根総理が靖国神社を公式参拝をしたということが、中国初めアジア諸国から大変強い反発を引き起こしたわけであります。この問題につきましては、その後安倍外務大臣自身も中国へわざわざ訪問されまして、中国側の指導者とも親しく話をされた。その結果であろうと思いますけれども、秋の例大祭に総理の公式参拝は行われなかったと思います。その後、この件に関しましては胡耀邦総書記も、秋の例大祭を中止したことについて評価をされておる。また、胡耀邦総書記が二十一世紀委員会において四つの意見を表明したのに対して、中曽根総理がこれを評価したということにつきましても、これを中国側も了としておる。  こういうようなことで、一応この問題は鎮静化したように見られるのでありまするけれども、しかし、中国側が靖国公式参拝につきましてすべて一件落着というふうに考えていないことは、最近の梁井外務審議官の北京における事務協議の際に、中国側が靖国公式参拝はしない方がいいという立場を表明し、日本側の出方をじいっと見詰めておる、見守っておる、こういうことでもわかると思うのであります。したがって私は、中国初めアジア諸国の人たちの指導者並びに一般の民衆の気持ちが、鎮静化したというふうに安易に考えるべきではないと思っているのであります。  中曽根総理は、四月には公式参拝を行わないということを既に予算委員会では言っておられますが、八月十五日についてはまだ先のこととして結論を出していない。中国の国民感情もあれば日本の国民感情もあるというような言い方でおられるわけでありますけれども外務大臣として、いわゆる一つ外交的な問題としてこの問題どのように考えておられるか、端的にことしの八月十五日についてどうすべきだと思っておられますか、伺いたいと思います。
  42. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 靖国神社公式参拝に対する政府の見解につきましては、これはしばしばこの席で申し上げておりますし、当時の官房長官の談話において明らかであります。日本政府立場を明らかにいたしておるわけでありまして、我々は、日本の戦没者の祭られておる中心的な施設というふうに考え、戦没者に追悼をささげると同時に平和を祈るという基本的な立場で参拝を行ったわけでございますが、これに対しまして、今お話しのように中国を初めとしまして、いろいろと批判も出ておることは事実でございます。  私も、この問題につきましては中国側とも話をいたしまして、そうして日本立場を表明したわけです。軍国主義といった批判があるけれども、しかし、軍国主義とはおよそ関係のない立場我我としても公式参拝に踏み切ったわけであります。日本がそういう道を選ぶはずはないし、同時にまた、日中の平和条約あるいは日中共同宣言等は、日本が日中間の長期的な安定を踏まえてきちっと守っていくんだということも述べたわけでございますが、中国側としては、やはりこの点については非常に重要視していまして、中国人民の感情を傷つけないように日本政府としてもひとつ配慮していただきたいという趣旨の、中国側からの説明が行われたわけでございます。  我々は、靖国神社の公式参拝はあくまでも国内問題である、こういうふうに考えておりますが、同時にまた外務大臣としての立場からいきますと、こうした対外的な配慮、これはやはり日本がかつて戦争した、そうして多くの被害をアジアの地区に与えたという歴史の原点というものを踏まえて、日本として行動しなければならぬわけでございますから、こうした中国を初めとする諸国の懸念というものは、十分説明をしてこれを解いでいく努力をしなければならぬと思いますし、そういうものもやはり踏まえながら日本政府の行動もしなければならぬのじゃないか、こういうふうに率直に思っております。  幸いにして、これまで日中間ではこの問題をめぐりましていろいろ話もし、ある程度理解も進んでおります。そうしてまた、それなりに日本政府としての努力もしておることは中国側も認めておるわけでございますが、しかし、これで決して落着したわけではないと私も思っております。  これからどうするか、公式参拝という道は開いたわけでありますが、実際にこれからどうするかということは、これからも政府部内で検討もしなければなりませんし、また総理大臣としての判断もしなければならぬと思いますし、また日中関係あるいはアジアとの関係等も踏まえてやはりこれを決めていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、八月十五日をどうするかということについては、今先走って私から申し上げる段階ではないわけでございますが、そのような今私が申し上げました状況というものを踏まえて賢明な道を選んでいかなければならぬ、こういうふうに思います。
  43. 河上民雄

    河上委員 この問題につきましては、実は私自身、昨年の八月二十六日から九月四日まで、社会党の訪中団で中国を訪問いたしましたときに、ちょうど中曽根総理の靖国神社公式参拝から約十日後のことでございまして、中国側からの意見も強くそこで表明されたわけでございます。そのときに多くの方からお話がございまして、あの公式参拝は、日本軍国主義によって被害を受けた中国を初めとするアジア諸民族の感情を著しく傷つけたものであるという、そういう御意見も中心的にあったわけでございますが、胡耀邦総書記が言われたことが大変私の印象に残っておるのであります。  ことしは戦争が終わって四十年になるけれども、日中に関して言えば九・一八、日本では当時満州事変と呼んでおりましたが、それから五十四年である、中国民衆は日本軍国主義を倒すために十四年間もかかった、日中国交回復からはまだ十三年しかたっていないではありませんか、こういうふうに言われました。そして引き続き、ことしは反ファッショ、戦争勝利四十周年を我々は盛大に祝っているけれども、ひとつ紀元二〇一二年には日中友好四十周年をもっと盛大に祝おうではないか、こういう提案もされたのでございます。  この靖国神社問題というのは、こうしたある意味では一世紀にわたる日本アジア諸民族との関係というものを正しく、そして新しくつくっていく上で、どうしても越えなければならない一つの大きな問題であるという認識でやっていただかなければならないと私は思うのでございまして、特にあの事件が起きましてから当時の藤波官房長官が発言された中に、こんな批判が起こるとは夢にも思っていなかったというような御発言がございました。これは我々が下手をすると、アジア諸民族の望む方向とは全く逆の方向に無感覚のうちにどんどん踏み込んでいっているということを象徴的に示す言葉ではなかったか、私はこういうふうに思うのです。  今日、経済摩擦というのがアメリカ及びECとの間に非常にあるわけでありますけれども、こちらの方は数字である程度表示されるわけですが、アジアの人たちとの間の精神的な摩擦というのは数字で表示されないだけに、もっと慎重にというか真剣に考えなければならない。その場をしのげばいい、その時期をしのげばいいということではなく、もっと基本的に考えていただきたい。  外務大臣、特にこの問題をアジアとの関係というものから考えますならば、安倍外務大臣が果たす役割は非常に大きいと私は思いますので、ぜひその点、中曽根内閣の一閣僚ではありましょうけれども、ひとつそういう立場で誤りのない進言を総理大臣にもしていただきたい、このように思います。そのことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 北川石松

    北川委員長 次に、土井たか子君。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、ことしは五月の東京でのサミットは言うまでもなく、大分外交日程が込んでおります。外務大臣自身も大変誌忙しいだろうと思うのです、ヨーロッパにもやがて行かれますし。  そういう中で、仄聞するところによりますと、どうもこのところ週末は、選挙の応援とかあるいは地盤固めのためにお忙しいということが耳に入ってまいります。大臣自身は、解散に対してはうそはついてはいけないが本当のことを言う必要はないというふうなこともおっしゃったりいたしておりますが、解散を決められるのは総理の専権でございますから何ともこれは言いがたいところでございますけれども、同時選挙について外務大臣自身がどうお考えになっていらっしゃるかということをお伺いしたい気になるのです。なぜかといったら、外務大臣が余り一生懸命に走り図られますと、我々もおちおちここで条約審議をゆっくりしているわけにいかなくなってくるのです。どうも解散が間近じゃないか、おしりに火がつくようなありさまでありますと外務委員会も開くに至らずという格好になりかねませんので、ひとつそこのところをしっかりと外務大臣からまずお聞かせをいただきたいと思います。
  46. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ことしはサミットもありますし、いろいろと外交日程も込んでおりますし、また参議院選挙等もありまして政治日程も込んでおるわけであります。そういう中で、日曜日は完全な休日ですから、私も休日はお暇をいただきまして主として参議院選挙の候補者の応援をいたしておるわけであります。これは政治家としては当然のことだと思っております。  今、同時選挙のお話等もありましたけれども、私も政治家になりまして十回選挙をやってまいりまして、いろいろと選挙のときのことを回想するわけでありますが、解散によってやられる選挙がほとんどでありますけれども、なかなか解散というのは予断を許さないわけでありますし、これは総理大臣が決めるわけでございますが、いろいろと今日までの解散の歴史を振り返ってみますと、そう初めから決めて解散が行われるわけじゃありません。そのときの事態の急激な変化あるいはまた、状況の変化によって解散が行われておるわけですから、同時選挙が絶対にないとも言えませんし、またあるとも言えないわけでございます。しかし、参議院選挙は決まってきちっと行われるわけですが、名分のない選挙というのはないわけですから、そういうことが今後起こってくるかどうかというのは、これからの時局の推移を見なければちょっと判断できないのじゃないか。  平日は、ずっと東京にもちろんおりまして外交日程を一生懸命こなしておりますし、外務委員会にも一生懸命精を出して勤めさせていただきますので、どうかひとつ安心をして御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 理由がなければ解散になりません。これはだれが考えても当然のことでありますが、あるのかないのか予想屋さんみたいなことをただいまおっしゃっていますが、政治家として、また外務大臣として、同時選挙というのはあるべき姿だ、同時選挙というのをやってもあるべき姿である限りは許せるというふうなお考えがおありになるかどうかということを、もう一日お聞かせいただきたいと思います。
  48. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは私がやるわけじゃありませんし、事態がそういうことになれば、それは全然ないとも断言できる私の立場ではないわけでありますが、先ほど申し上げましたように、これは今までの選挙の歴史から見ましても、名分のたい選挙というのはそう簡単には行われるものではない、また行われてはならないのじゃないか。我々は四年間の任期を持っておるわけでありますから、そういうことを踏まえて決断がされるだろう、こういうふうに思っております。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 名分のない解散・総選挙というのは許せない、これは当然のことであります。  憲法の条文からすると、解散権というのはいずれにあるかというのがよく問題になるわけでありますが、参議院は任期が満了して選挙ということになるわけであります。衆議院の場合の解散ということに名分があるとしても、憲法上同時選挙すべきでないという意見もあるわけなのです。憲法上、同時選挙というのは憲法違反であるがゆえに許せないという意見もあるわけなんです。今、名分があるならば解散・総選挙ということも考えられるというお立場外務大臣自身はおとりでいらっしゃいますが、今私が申し上げている問題に対してはどのような御見解をお持ちですか。
  50. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 さまざまな意見がありますが、同時選挙が行われた事実もあるわけでございますし、私は、決してこの同時選挙というのが憲法違反であるというふうには考えておりませんし、内閣はそこまで縛られるものではない。解散権というのは、内閣にある憲法上許された総理大臣の権限である。ですから、同時選挙を行うことが憲法違反だというふうには受けとめておりません。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 憲法論争をやり始めますとそれだけで一時間二時間たってしまうから、私は、ここであえて大臣に憲法論争を挑もうとは思いませんけれども、解散権の所在も大臣とちょっと違うのです。憲法論からいいますと、今おっしゃった大臣の御見解というのは正確じゃないのです。  それから、これが違憲か合憲かという論議になってまいりますと、以前にも同時選挙をやったからとおっしゃいますが、あのときの同時選挙はまるで前例になり得ないのです。内閣に対しての不信任が可決された総選挙なんです。よろしゅうございますか。内閣総理大臣が積極的に解散すべきであるということをお考えになって解散権を発動された、あるいは解散を決定されたという状況じゃないのです。だから、あれを前例に指使いになるならば、これは違いますからね。そのことをちょっと申し上げておいて、さて、フィリピン問題についてお尋ねを進めます。  さっき外務大臣の御答弁を私承っておりますと、ただいまのフィリピンの混迷する状況に対しての対応についての御労苦が大変わかるわけでありますが、最近、アメリカからハビブ特使が調停工作のためにフィリピンに赴かれておりますけれどもアメリカから日本に対して、ハビブ特使の調停工作を成功させるために協力をしてもらいたいという申し入れがございましたか、どうですか。
  52. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカからハビブ特使をフィリピンに派遣するということは事前に連絡があったわけでありますが、私の判断するところでは、ハビブ特使の役割については調停といったようなものじゃないのじゃないか、ハビブ特使は両陣営の首脳者に会って、そしてハビブ特使としての認識を持ってこれを大統領に報告をするという任務で行かれたのではないか、こういうふうに思っております。ですから、ハビブ特使が調停をするという立場といいますか役割まで果たすとは、私は今のところは思っておりません。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、大統領の特使としてフィリピンに赴かれておるハビブ特使の行動に対して、日本側にも理解を持ち協力をしてもらいたいということは、アメリカ側から求めてきておりますか、どうですか。この点はどうなんですか。
  54. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカ側としてはフィリピン事態を非常に憂慮して、大統領心配して特使を派遣して情勢の把握に努めたい、こういうことで特使を派遣された。ですから日本に対して、この特使の行動について協力してほしいとかいう話は直接なかったわけであります。しかし日本としましても、ハビブ特使が行かれて両陣営から話を聞かれることについては、非常に重大に注目をいたしております。現地の日本大使も、ハビブ特使と会うように今いたしておるわけであります。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 現地の角谷清大使にそういうことを大臣が御指示されたというのは新聞にも報道されておりましたけれども、そのハビブ特使がアメリカに帰られる途中日本に立ち寄って、向こうの事情に対していろいろ言われることを聴取する御予定はおありになるのですか、どうなんですか。
  56. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それは目下のところありません。近いうちに角谷大使がハビブ特使と会っていろいろと話をすると思いますが、その報告等も入ってくると思いますけれども日本に立ち寄って我々に話をするという計画は今のところ聞いておりません。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 これはハビブ特使を通じて、事情に対していろいろ聴取された結果がどうであったかということを聞くという今は問題なんですね。例えばアキノさんに直接接見していろいろと話し合いを進めるとかいうことは、日本外務省としてはお考えにならないのですか。
  58. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本フィリピンとは友好国でありますし、フィリピンの政情が安定するために、日本といたしましてもそれなりの努力はしていかなければならぬと思っております。ですから現在は、フィリピンの角谷大使に対しまして、両陣営の首脳者とも積極的に会っていろいろと話を聞いて、そして情報を日本に伝えろというふうに指示をいたしておるわけでございます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 両陣営の首脳と会ってということをおっしゃいましたけれども野党側の伸張状況関心を持っているということも先ほど外務大臣としてはお答えになりました。今まで、野党側に対して日本として会ったことはないのでしょう。今回両陣営とおっしゃるのは、野党側に対して初めてお会いになるところに大変意味があると私は思うのだけれども、そのことに対しては特に関心を持ってお進めになると理解しておいていいですね。
  60. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは関心を持っております。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、ただいまのフィリピン情勢はまことに混沌としています。マルコス大統領就任に当たって、今回は外国からただの一通も祝電が届いていないということも新聞に出ておりまして、これは異常としか言いようがないわけであります。特にアキノさんからいたしますと、選挙が正常に行われたならば、正常な票数の上では恐らくはアキノ陣営が勝利していたであろうということは、これは客観的に見た場合でも考えられるという実情を抱えたままの今日でございますから、これから先は、先ほど注目したいということもおっしゃいましたけれども、まことに混沌たる状況だと思うのです。ここで日本経済援助に対して一体どういうふうに考えるのかというのは、全世界が非常に注目する問題だと私は思うのです。  前外務委員会の席で外務大臣は、「援助のあり方については、日本も十分に納得した形でしなければならないわけで、これがフィリピン経済に確実に裨益して、フィリピンの国民生活に直接間接にプラスにたってはね返ってくるというものでなければならないと思っております。」と、きちっとお答えになっていらっしゃるのです。ただいまのフィリピンのあのありさまの中で、経済援助をするというのが一体どういうことに相たるか。当外務委員会でも経済援助に対する決議というのがございまして、ただいまの状況の中で経済援助をマルコス政権に対して日本が約束だからといってやることは違反であるということになってまいります。当委員会の決議に対しても違反する。  そこでお尋ねします。第十三次のフィリピンに対する円借款に対しては既に交換公文は交わされておりますが、その中でまことに気になるのは商品借款の部分が、これがまず私がお尋ねしたい部分でありますけれども、商品借款は第十二次の消化率がまことに悪い。四〇%に満たないのです。そうして、今回第十三次というのを引き続き問題にされているわけですが、こんなに消化率の悪いところにもってきて、ただいま向こうの混沌たる状況の中で、経済に対する見通しも真っ暗でありますけれども、商品借款がどういうふうに扱われるか。恐らくは、こういう中でよもや第十三次も新規にお認めにたるはずはなかろうと私は思うのだけれども外務大臣、いかがでございますか。
  62. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本援助はその政権に対して援助するわけではありませんで、これはその国の国民の民生の安定とか福祉の向上のために日本としての援助を行うわけでございますから、フィリピンにおいてどういう政権が生まれても、我々としてはフィリピンに対する援助は続けていく基本方針には変わりはないわけでございます。  ただ、援助のあり方については、先ほど御指摘がありましたように、我々としても大事な国民の税金を使った援助でありますし、本当にその援助が国民の生活に結びつく、あるいは経済の安定、発展に結びつくものでなければならぬわけでありますから、特に今のフィリピン経済は悪いわけでございますから、そういうことも十分踏まえながらやっていかなければならぬわけでございます。  商品借款の消化が悪い、これは事実でございます。これはこの委員会で、商品借款のあり方について慎重にやれ、実際商品借款が生きてフィリピン経済に使われるような形でないといけないという非常な御意見がありまして、私もそれを踏まえて、実は商品借款等あるいはフィリピン援助等については慎重の上にも慎重に、これが本当に効率的になるような形で持っていかなければいかぬということを指示したこともあるわけでございます。  ですから、そういう点も商品借款が消化がおくれておるという一つの原因であるかもしれないと思ってもおるわけでございますが、これはあくまでもフィリピン経済に裨益するものでなければならぬと思いますし、慎重にやっていきたい。十二次の商品借款がある程度消化をされないで、新しい商品借款を使うというわけにはいかない。ですから約束はしても、やはり相当な商品借款が消化されたということを見きわめた上で、新しい商品借款は実施するということでなければならぬと思っております。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまは初めてそういうことをおっしゃるわけでありますけれども外務大臣、そうすると、第十二次の三百五十二億という商品借款の消化率は三七%そこそこだというのが今まで当委員会で聞こえてきた中身でありますから、これが消化率がずっと向上して十二次に対してもまあこれならばというところでないと、十三次の商品借款はせっかく用意はしたけれども出さないという格好だというふうに今のお答えはなるわけです。今、首を縦に振っていらっしゃいますからそのとおりだと思うのですが、そうすると、十二次の商品借款に対しての消化率がどの程度になるまで――一〇〇%だと私は思うのですが、今考え方として問題になっておりますか。
  64. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今は四七%までいっているようでありますが、先ほどお話ししましたように、この商品借款が相当部分消化された後に、新しい商品借款というものが実行に移されなければならない。一〇〇%とは言わないまでも、それに近い消化率が必要じゃないか。私、ここで初めて申し上げるわけでございますが、九〇%あたりのところまではいかなければ新しい商品借款の実施というものは踏み切るべきではない、こういうふうに私は率直に思っております。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。そうすると、第十三次の経済援助ということで、今回予算の上で計上されているフィリピンに対する円借款分第十三次の総額の中から、商品借款分の中身というものは、今回は具体的に実施するわけにはいかないという中身に、ただいまのところはなっていっているというふうに具体的に考えてよろしゅうございますね。
  66. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 交換公文で既に約束はしておりますが、今の十二次の商品借款分が少なくとも九〇%程度消化されるという段階でたいと、新しい商品借款を実行に移すということは必要はないのじゃないか、そういうふうに思っております。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 商品借款については、いわばこれは、今おっしゃっているのは常識的な取り扱いだと私は思うのです。だれが考えたって当たり前のことなんですが、しかしそこにもってまいりまして、フィリピンのただいまの政情不安の中で、いよいよ経済に対しての先の見通しが全く立たない。しかも、これは与党野党の確執というのは、これから一層混乱をきわめるという状況になるかもしれない、予断を許さない状況の中であります。  ただいま、経済援助に対しての交換公文というのは取り交わされておりますけれども、基金はこれに対して延期をしたのが十二日以降の姿、形でありますが、今日もそのままでございますね。いかがでございますか。
  68. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今日もそのままです。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 そのままがここしばらく続いていくというふうに考えなければならぬと思いますが、そのように理解しておいてよろしゅうございますね。
  70. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは準備が整うまではできないわけでございますから、その辺のところはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 今、非常に含蓄に富んだ御答弁でございます。準備が整うというところが非常に意味深長でありますから、私はそれをそのまま受けとめさせていただきたいと思います。それは、相手の政情の問題もございましょう。こちらとしては、いろいろ経済援助する側でありますから、したがってどのように考えるかというのは、日本政府がそれは考えるという問題に相だろうかと思いますので、そのことを、今慎重な中にも非常に含蓄に富んだ御答弁であるというふうに、私は受けとめさせていただきたいと思います。  さて、フィリピン経済援助については従来とまるで違ってきたということを、きょうは御答弁の中で私は受けとめさせていただいたわけでありますけれども外交姿勢についてひとつ外務大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  シェワルナゼ・ソビエト外相とお会いになって外務大臣はじきじきにお話しになった。これがいろいろ報道されるときには、華々しい報道になったわけでありますが、外務大臣はソビエトの外相と、本当に対等の立場でいろいろと忌憚のない話がおできになったというふうにお考えになっていらっしゃいますか、どうですか。
  72. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 全く対等の立場で、お互いに十分意見の交換ができたと思っております。会談時間も十一時間ぐらいやりましたし、私としても、日本として言うべきことはすべて言い尽くしたように思っております。またシェワルナゼ外相も、今回の日本訪問そして私との会談について、率直な意見の交換ができたということを評価もいたしておることは事実であります。私はそういう意味では、これまでの私自身が行いました日ソの外相会談とは違った、相当心を開いた会談ができたのではないか、こういうふうに思っております。
  73. 土井たか子

    ○土井委員  そうすると、これは何で私はそういうことを聞いたかということを申し上げねばならぬと思います。  外務省の中の専門家の中には、ソ連の伝統的な考え方を見たときには、力のある者と力のない者とが話し合うということ自体、無意味だというふうなことをおっしゃる方があるからであります。しかもその認識としては、まだまだ日本には力が次いという前提でこういう認識を持っていらっしゃるようでありますから、したがって外務大臣にあえてお伺いをしたのです。  外務大臣にさらにお伺いを進めますが、防衛費についての上限を決めて論議をするのはおかしいとお考えになりますか。相互の力のバランスというものを見定めて防衛問題を問題にした結果が、GNPの一%ということになるのならともかく、そもそもGNPの一%という上限を決めて議論するのはおかしいことだというふうにお考えになりますか、いかがでありますか。
  74. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、今中曽根内閣の閣僚の一人でありますし、そういう責任において発言もしたければならぬわけですが、今中曽根内閣の防衛費に対する姿勢というのは、今回中期防を策定する際にもはっきりいたしておりますように、三木内閣当時の一%という政策決定をできるだけ守っていこうという基本方針、これを中曽根内閣も引き継いでおるわけでございますし、我々もその閣僚の一人として、そういう基本方針に従って行動いたしておるわけです。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、これは外務大臣自身が、防衛費についてGNP一%を守るということは日本が軍事大国にならないあかしである、特にアジア諸国に対して軍事大国にならないというあかしなのだということを、繰り返し当委員会で御答弁され続けてきたわけでありますが、国会でのGNP一%議論というのは無用の議論であるというふうに大臣はお思いになっていらっしゃいますか、どうですか。
  76. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、決して無用な議論ではないと思います。やはりこうした議論を大いに闘わせることが、日本がいかに最小隈の防衛力というものによって防衛を進めておるかということにもつながっていくわけでございますし、今世界の中で一%という枠内で防衛を行っている国はどこもたいわけでござい童すし、そういう中での周本の議論というものはそれなりに平和国家としての一つの意味を象徴するものじゃないか、こういうふうに思います。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 人件費が半分を占める軍隊というのは実はおかしい、人件費の比率は三割くらいにすべきだというふうに外務大臣はお考えになりますか、どうですか。
  78. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは私の領域外の問題ですが、日本のそうした人件糧食費が防衛費における非常に大きなウエートを占めておる、これは外国と比べても占めておるということは私も聞いておるわけでございますが、しかし日本日本のやり方があるわけですし、あるいはこれまでのいきさつがあるわけでございますから、これが変えられるかどうかということになるとそう簡単にもいかないのじゃないだろうか、こういうふうに思います。日本日本のやり方でいく以外にないのではないか。しかし、いろいろとそういう問題について議論が行われることは、私はそれは当然のことであろうと思いますし、政府の中でも私自身も参加をして議論した経験もあります。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 我が国の安全保障は、極東の軍事バランスというものを大前提に置いて考えなければならぬ、我が国外交もバランスを大前提に置いて考えたければならぬ、そのようにお思いでいらっしゃいますか、どうですか。
  80. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 やはり平和ということを考えるときに、そうしたバランスというものはこれは大事なことじゃないか。均衡といいますか、そうした関係が、現実的には今日の平和を維持しておるという基本的な考え方は、私は変えておりません。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、安全保障の大前提には憲法が必要というふうに思われるかどうかというのは大変問題だと思うのですが、憲法についての認識が必要というふうにお考えになるかどうか、いかがでございますか。
  82. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん日本の憲法の中かでしか、同本の防衛のあり方というものはあり得ないわけでございます。すべての七本の行動というのは憲法に基づかなければならぬ、これは当然のことだと思います。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 ほかにも、まだまだこういうたぐいのことを私は闘いでいきたいと思いますけれども、今お伺いした限りでも、今のようだ質問に対しまして、例えば国会でGNP一%論議というのは無用と思わない、むしろ一考という上限を決めるということは世界に比類のないことであるけれども、非常に意味のあることだというふうな意味で外務大臣は御答弁になりました。むしろそれと逆のことを外務大臣として、私個人の意見ですというふうにおっしゃって、GNP一%枠にこだわるのは愚の骨頂だ、国会での論議というものは意味がたい、また力のバランスの前提で防衛問題というのは考えていかなければならぬ、外交もそうだというふうなことを私個人の意見でということを外務大臣がお断りになっておっしゃったとして、それは通ることだというふうにお考えになりますか。
  84. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、そこまでは考えておりません。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 そこまでは考えておりませんというお答えはどういうことなんですか。そういうことは思ってもみたい、ただ思っていても、個人の意見としてそれは通ることか通らないことかというと通らないことである、いずれのお考えで今の御答弁をなすったのですか。
  86. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本の防衛費の限界というのは、憲法というのがありますし、専守防衛、そういう中での最小限の防衛力を持っていくという日本の防衛の基本原則というのが、これはもう憲法の枠内においてあるわけでございますから、私は、そういう中でやはり防衛問題というものを論議されなければならぬし、そして日本の防衛のあり方というものも決めていかれなければならぬ、これは当然のことでありますから。今お話を聞いておりますと、何か力の均衡を保つためには、日本のそうした枠組みを外してどんどん軍事力は強化していかなければならぬ、そういうふうに聞こえましたから、そういうものじゃない、こういうふうに思います。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 それは外務大臣の御論評なんです。そのような御論評じゃなしに、むしろ逆の御見解をお持ちになっていらっしゃるのを、私個人の見解だがと断って言われることが許せるか。そういうことでなしに、どんどん一%を踏み破って軍備を増強するということに対して私は主張したい、しかし個人の意見だがとおっしゃることは、外務大臣でいらっしゃる今のお立場である安倍外務大臣において通用することでございましょうかということを聞いているんですよ。個人的意見というのは、何を言ってもいいということで通用しますか。
  88. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、もちろん外務大臣としては当然ですが、私個人、政治家の一人としましても、今の防衛力をこれからどんどん無制限に伸ばしていくというふうなことは、これは日本のこれからの将来というものを考えても、そしてこれまで日本が築き上げた平和国家のあり方というものから考えても、そういうことはあってはならないことだ、こういうふうに思っています。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 私の質問に対しての直のお答えじゃないのですけれども、例えばそれでは言いましょう。  ここに北米局長がお見えです。北米局長が、事前協議というのがあったってもう核が持ち込まれてしまっているんだ、やってもむだたんですよ、しかし国会では、事前協議がある限り持ち込まれるはずはないというふうに答弁しておりますがねということを、私個人の意見ですがと断って言えますか、どうです。こういうことは個人的見解として許されるのですかね、もしこういうことを局長自身言ったとして。
  90. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 まことに申しわけございませんが、ちょっと御質問の趣旨が十分酌み取れない点がございます。私も、いろいろ個人の意見を持っておりますけれども、公のところで発言すべきことと個人の意見というのは、大体一致しております。
  91. 土井たか子

    ○土井委員 公の場所と個人の意見というのは大体一致している、それは、公職におありになるという立場からするとそうであろうと思うのですね。  ちょっと大臣にお尋ねしますが、大使というのはよっぽど暇なんですかね。これは大使というのは暇だとお考えですか、外務大臣
  92. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 暇なときもあるし、忙しいときもあるのじゃないかと思います。
  93. 土井たか子

    ○土井委員 暇なときもあるとおっしゃいますが、ここまで私いろいろ聞いてまいりますと、もうおよそ察しをおつけになっていらっしゃるのじゃないかと思うのです。サウジアラビアの岡崎久彦大使、「個人的意見」ということを断ってるる……(「文芸春秋に載っているな」と呼ぶ者あり)そうですよ。雑誌に意見を書かれている中身は、一つ一つ考えてまいりますとこれはゆゆしい中身ですよ。個人的意見だからといってそれはおっしゃる分には、評論家としておっしゃる分にはいいでしょう。だけれども、今大使なんです。日本を代表する、その国に赴かれている大使なんですよ。その方の発言としてこういうことが雑誌で公表されるということは、中身を読んでいけばいくほど黙っておるわけにいかぬと思うのです。  これは外務大臣としての御所信を、こういう問題に対してどうお考えになるかを承りたいと思いますが、その御意見次第によったら、これは今予算委員会が進んでおりますし、一般質問、総括質問ございます中で、これはやはり取り上げられる中身になっていくということも私はここで申し上げさせていただいて、大臣、どうお考えになりますか、承りたいと思います。
  94. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 外国に出ておる大使も、個人の立場でいろいろと雑誌に投稿したり、あるいはまた本を出したりいたしておるわけでありますが、そういう中で、そこまで我々は制限しておりませんけれども、しかし、そうした投稿とかあるいはまた本を出す場合に赤いては、あくまでもやはり外務公務員という立場を踏まえて、そして日本外交の基本というものを十分踏まえて、これからはみ出すようなことを書いたり言ったりしてはならない、それは日本外交官の当然の責務である、守らなければならない義務であるというふうに、私はしょっちゅう言っております。その点は、相当各公館等に徹底をいたしておると思いますが、ただ、投稿とかあるいは本を出す、そこまではこれは制限するということもできませんから、そうした外務省の基本方針というものを踏まえてやってもらえば、私としてもそれで結構ではないだろうか、こういうふうに思っています。  今の論文については、まだ私も十分読んでいないものですから論評は差し控えたいと思いますが、もちろん岡崎大使のことですから、彼は非常に勉強家でありますし、御承知のとおり初代の情報調査局長も務めましたし、そうした防衛とか戦略、そういう面については一種の専門家でもありますし、個人としての見解を述べたのではないかと思いますが、しかし、日本の大きな外交の枠組みあるいは防衛の枠組み、そういうものから離れた形で述べておる、こういうふうに私も承知しておりませんし、その辺はやはり外務省でちゃんとコントロールしているのではないか、こういうふうに思っています。
  95. 土井たか子

    ○土井委員 読んでないとおっしゃいますから、これはひとつお読みにたる必要がぜひともありますよ。コントロールがきいているかきいていないか、そういう問題じゃございませんで、個人の意見というのは確かに個人的意見としてだれでもあります。しかし、外務省の基本姿勢というものがはっきりあった上で、日本外交というのは大使を通して外国において行使されるという中の、大使のこれは行動の一環ですから、幾ら個人的意見といったって、公の雑誌に大使という肩書で公表されている意見ですよ、戦略の中身をるる。一%にこだわる必要ない、どういうことかということはこういうことだというのは、むしろ軍備を増強していくことに対しての意味を中心に置きながら披瀝をされています。これは、私は黙っているわけにはいかない中身だと思いますよ。外務大臣はまだお読みになっていらっしゃらないということですから、ぜひとも即刻お読みいただく必要があるということをここで申し上げます。  外務省でこんなこと問題にならないのですかね。むしろ私は、今まで外務省の方々が黙っていらっしゃるのが不思議で不思議でならないのですよ、こういう中身を見れば。外務大臣もまだお読みになっていらっしゃらないというのもただいま聞きました。  さて最後に、再度私はだめ押しをしておいて終わります。  あらゆる国に対する経済援助というのは、日本の国がそれぞれの国に対して援助する節、基本姿勢にはその国の国民の民生安定ということを願いだから、政府がそれに対して勘案をなさるというお立場です、日本としては経済援助をする側ですから。先ほどもフィリピン経済援助に対しては、フィリピンの政情が安定するまで、ひとつ政府としてはじっくり見据えようという基本姿勢をお曲げにならないでおやりになる、こういうように理解しておいてよろしゅうございますね。これははっきり……。
  96. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本のこれからの援助というのは非常に大事だと思っておる。これは日本の国際的責任だと思いますし、この援助はさらに、七カ年計画等もありますし、強化していかなければならぬと思いますが、これがやはり本当に援助する国の国民のニーズにこたえた、国民生活、経済の安定、そういうものに直結するものでなければならぬと思います。特にアジアにつきましては、我々は援助の最重点を置いておる国でございますし、そういう点では絶えず見直しながら、そのときどきの情勢の変化等も踏まえて、やはり本当にその援助が効果的なものになるようにやっていかなければならぬ、こういうふうに思っております。  そういう中で、フィリピンは最も大きい援助国の一つでありますし、これは日本が戦争中与えた非常に重大な被害を思うときに、また日本フィリピンの友好関係、ASEANの一国であるという立場等も踏まえたときに、この援助はこれからも継続して、そしてさらにこれを伸ばしていかなければならぬ、私はこういうふうに基本的に思っています。
  97. 土井たか子

    ○土井委員 もう時間が来ましたから私は終わりますが、基本的にということをおっしゃったところはまた大事な話であります。ただ、具体的にそれをどのように行使するかは、最近のあの選挙結果以後のフィリピン情勢について言うたらば、向こうのマルコス政権に対して約束を果たすことが果たして民生安定につながるかどうかというのも、政情のこれからの動きにかかわる問題にもたってまいりますから、その点を見据えた上で考えようという御姿勢であるというふうに理解をさせておいていただいてよろしいですね、具体的には。
  98. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピン援助は、これからも強化をしていかなければならぬ。これはフィリピン経済、あんな悪くて、国民生活が、こういう政情不安が続けば続くほど破綻を来すのじゃないかと心配をしております。それだけに日本援助というのは、フィリピン国民の安定のためには非常に重要な意味を持つ。ですから、これはやらなければならぬと思っておるわけでございますし、そして基本的には今の第十三次の借款の調印も、交換公文もしたわけですから、この約束はやはりきちんと守っていかなければならぬと思いますが、具体的なこれからのやり方については、これは十分相談もし、日本日本としての立場も踏まえてやっていく筋合いのものだ、こういうふうに思います。
  99. 土井たか子

    ○土井委員  終わります。
  100. 北川石松

    北川委員長 次に、玉城栄一君。
  101. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、六十一年度の外務省予算について若干お伺いしておきたいわけてあります。この委員会の冒頭でも、政務次官から外務省予算についての概要は承ったわけでありますが、ちょっと腑に落ちない点がありますので、お伺いいたしたいと思います。  六十一年度の外務省予算というのは、六十年度に比べて全体としては伸び率四・五%増加している、こういうことでありますが、六十一年度外務省予算重点事項の項目で見ますと、北村官房長がいらっしゃいますのでお伺いしたいわけでありますが、例えば五項目目の海外啓発文化交流強化という項目がありますが、海外啓発活動の促進、これも予算上は減額になっているわけですね。さらに人的交流拡充、これも予算上は減額になっております。さらに六項目の在外邦人対策等拡充海外子女教育充実、ここも減額になっておるわけですね。さらに、今度またふえているところでは、二項目目の四番にあります秘密保全体制の整備強化、ここは増額になっておるわけですね。それから六項目の方に緊急時の邦人保護体制の充実、これは増額になっているわけです。  この増減の理由を簡単にちょっと御説明いただきたいのです。
  102. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 御説明を申し上げます。  まず、減額になっておる点についてでございますが、委員承知のように、昭和六十年度の予算は、これは支出官レート一ドル二百三十七円ということで計算をされております。今度の来年度、昭和六十一年度の予算は、これが一ドル二百九円という支出官レートで計算されることになりました。そこで、ただいま委員がおっしゃいました例えば海外啓発文化交流強化という問題では、これはほとんどが外貨の予算が多うございます。そこで、実際にはふえておるのでございますが、円で計算をいたしますと減額になっておる。例えば五項目の一の海外啓発活動の促進というところでは、実質は一億一千七百万円ふえておるわけでございますが、これは外貨の今申し上げました支出官レートの計算上、名目的に減になっておる。  次の人的交流拡充、これが五千五百万の減にたっておりますが、これは委員承知のように、この六十年度にはつくば博がございまして、つくば博のために特別の予算が一億二千七百万円計上されておりました。そこで、そのつくば博というものが今度なくなりますからそれを引きますと、実質七千百万円増加しておる。これもふえております。それから海外子女教育充実というところでも減が立っておりますが、これも外貨の問題でございまして、実質は五千七百万円の増加ということになっております。  それから増加の点でございますが、秘密保全体制の整備強化、これはクーリエを充実したりあるいはいろいろ秘密保全の体制をとるために、最近非常にその重要性が高まってきておりますので、これがふえております。そのほか緊急時の邦人保護体制の充実、これも最近のいろんな緊急事が起こります、そのときに在留邦人の実態をまず調査して、いろいろ連絡網を密にしておくということで、これもふえておるわけでございます。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう理由もあるんでしょうけれども、むしろ海外啓発あるいは文化交流強化ということをおっしゃる以上は、文化国家あるいは平和国家としてこういうところに予算が当然増額されてしかるべきである。そういうレート上の問題もあるでしょうけれども予算の手当てとしてこれは強化にはなっていない。しかし、全体の予算としては、外務省予算は数字的には伸びている。  ですから私の感じでは、先ほども防衛問題ありましたけれども、今回の政府全体の予算の中で防衛費というのは非常に突出をしているわけですね。そういうもののしわ寄せがこういうところにも来ているのではないか、むしろこれからこういう部面こそレートたけの計算でなくして予算の手当てをしていくことこそが、まさに強化充実にたると私は思うのですね。レート上の計算もあるでしょうけれども、むしろこういうところにずっと予算というものを手当てしていただきたい、このように思うわけであります。  そこで、ちょっとお伺いしておきたいのですが、いわゆる日本人学校ですね。今回二校新設される。これは全体で合わせて何校になるのですか。そして、平均一校当たり単価といいますか予算額、大体どれくらいの――十五億余組まれているわけです。これも減額になっているのですね。二校は新設したけれども予算としては減額になっている。その辺をちょっと御説明いただきたいのですが。
  104. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 今度バルセロナとメルボルンに日本人学校を二校新設をいたしますが、それを加えまして、これで八十校になります。  それから、この予算が一億三千百万円減になっておるということでございますが、これはさっき申し上げましたように、この予算は現地で日本人学校の校舎を借りる借料を政府が補助をするという予算と、それから現地で採用いたします職員の給与を払う、こういう予算なんでございます。これはすべて外貨でございますので、先ほど申し上げましたように、支出官レートが二百三十七円から二百九円に変わりましたことによって、実質は五千七百万円増加しております。しかし、名目で申しますと今のような減になっておる、こういう事情でございます。
  105. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、ちょっと御所見をお伺いしたいわけですが、私がさっき申し上げましたように、この文化交流等の予算、先ほど官房長の御説明がありました、それはよくわかるわけですが、むしろこういうところに予算というものは十分手当てされてしかるべきではないか。こういうあり方というものは、やはり時代の流れに逆行した感じ予算として受け取られるわけですね。その辺いかがでしょうか。
  106. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今、財政再建期間で、大変厳しい予算の査定等があるわけですが、しかし、外務省予算に対しては我々も最大限の努力をいたしました。特に文化交流については、いろいろの角度からこれを進める努力は重ねており、その成果も上げておりますし、予算も、厳しい状況にはありますけれどもそれなりの予算を確保することができたのではないか、私はこういうふうに思っております。全体としては非常に乏しいものではありますが、これは最大限生かして使いたい、こういうふうに思います。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 官房長にお伺いしたいのですが、今度外務省では沖縄の方に外務省の方を派遣されるという話を聞いているのですが、御説明いただきたいのです。
  108. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 この問題、前にも玉城委員の方から御質問がございましては、外務大臣からもお答えを申し上げた経緯がございますが、私ども外務省といたしましては、沖縄との連絡を密にするということ、そしてまた沖縄における安保条約の効果的な運用を図り、円滑な現地住民との間の関係を保っていくということは外務省にとりまして大変大事なことでございますので、私どもは従来から、沖縄に五百人以上を擁する防衛施設庁の役所とか、あるいは私ども自身も事あるごとに沖縄に出張いたしまして現地の事情を視察したり、いろいろ現地の方々とお話をするということに努めてまいったわけでございますし、今後ともこの点は強化をしていかなければならないと考えております。  ただ、沖縄に外務省の職員を常駐させるということにつきましてはまだちょっと難しい点もございますので、しかし、さっき申し上げましたように常時連絡を密にして、現地との間の接触を密にしていきたい、こういうふうに努力を重ねていきたいと考えております。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは私が現地の方で聞いた話ですけれども外務省課長補佐級の人を現地の防衛施設局の方に置くという話を聞いているのですが、その点いかがでしょうか。
  110. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように、現時点におきまして外務省が沖縄に職員を常駐させるということは、現在のところは考えておりません。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 官房長が御自分でおっしゃいましたので繰り返しませんけれども、いわゆる日米安保体制というのは政府にとって重要な政策、それを所管される外務省、そういうように、日米安保条約に基づいて沖縄に基地が置かれている、そしてトラブルが発生している、地域住民に迷惑もかけているということを外務省もおっしゃっているわけですが、その所管する外務省の方が、現地の防衛施設局あるいは県にそんな任せっ放していいのかということを何回も私、申し上げてきているわけですね。そこまで具体的な話が煮詰まっているということを私は聞いておりますので、ぜひ前向きに対処していただきたいと思います。  それから、私もちょっとフィリピンの問題についてお伺いしたいわけでありますが、私もあの選挙については、テレビ等で見ていまして本当にすっきりしないわけですね。先ほど大臣も、憂慮にたえない、今のところ見通しは立たない等、いろいろだ御所見も述べておられるわけでありますが、問題は、やはり中道勢力アキノ陣営、こういう穏健な勢力があるいは今後左の方に行くというようなことも予想されるという危惧もあるわけですし、あるいはまたそれに対する軍の弾圧とか、あるいはまた軍自体のクーデターとか、そういういろんな混迷の度を深める要素というものが予想される。また、けさのニュースでやっておりましたけれども、ペソがずっと暴落してきている、いわゆる経済的な混迷も予想される。改めて大臣、今後のフィリピンの動向につきましてはどういう御認識を持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  112. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはここでも申し上げましたけれども、私自身としてどういう状況に決るかということは、なかなか今はっきり見通しをつけてお話しできる自信もないわけでございますが、いずれにしても何とか早くこの混乱の状態が解決をして、そして平和的に政治が安定する方向に進むことを我々としては期待をしておるわけであります。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、ちょっと基本的な点を確認しておきたいのですが、日米安保条約で言うところの極東の範囲にこのフィリピンというのは入るのか入らないのか、どうなんでしょうか。
  114. 小和田恒

    ○小和田政府委員 従来からお答えしておりますように、極東の範囲というのは、御承知のように厳密な地理的な概念ではございませんで、日米安保条約の目的を達成する上で考えられております一般的な関心地域という意味で申し上げているわけでございますので、どこが入るか入らないかということについて、余り具体的なことについてお答えするのは必ずしも適当でないわけでございますけれども、一般的にはフィリピン以北というようなことで言っていることは御承知のとおりでございます。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 いわゆる安保条約で言う極東の範囲の中には、フィリピンも含まれているということですね。
  116. 小和田恒

    ○小和田政府委員 フィリピン以北という意味で御理解いただきたいと思います。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、極東の範囲の中にフィリピンは入っているか入ってないかとはっきり答えていただきたいのです。
  118. 小和田恒

    ○小和田政府委員 先ほど申し上げましたような限定つきの意味で、入っているというふうにお考えいただきたいと思います。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、ちょっと私お伺いしておきたいのは、沖縄に配備されています例の米軍の特殊作戦部隊、いわゆるグリーンベレー、これがフィリピンの方に派遣されておりますね。これは米軍当局がそういうコメントをしているのですが、外務省、いかがでしょうか。
  120. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 沖縄にグリーンベレーが駐在しておるということは承知しておりますけれども、グリーンベレーの活動の詳細については承知しておりません。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、一応そういうふうに在沖米軍当局はコメントしているのですが、外務省は御存じですか、御存じであればその規模とか目的について御説明いただきたい、こういうことを申し上げておるのです。
  122. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 そのような報道があることは承知しております。しかし、現実にどういうことであるかということについては、米軍と話したわけではございませんので承知しておりません。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 では、同じく在沖海兵隊もフィリピンの方に派遣されていることについてはいかがでしょうか。
  124. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 同じように、そのような報道があることは承知しております。しかし、その実態については承知しておりません。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 今月の二十二日、在比米空軍が嘉手納基地に大挙移駐してくるということについてはいかがでしょうか。
  126. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 フィリピンのクラーク基地から、F4十八機などが嘉手納基地に飛来したということは承知しております。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうでなくて、二十二日に大挙移駐してくるということについてはいかがでしょうか。
  128. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 これは、二月から三月にかけましてクラーク基地の補修のため、これは滑走路の補修でございますけれども、そのために同基地所属の戦術戦闘飛行隊F4二十四機その他が、二月下旬から四月の初めまで一時的に嘉手納に飛来するというふうに承知しておりまして、同様なことは昨年もございましたというふうに了解しております。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから局長さん、さっき申し上げました、今非常に政情不安、いろいろな憂慮される事態も予想されるという中で、在沖グリーンベレーが向こうに派遣されているとか海兵隊が同じくフィリピンに派遣されているとかそういうことについては、報道では知っているとおっしゃいますが、外務省としてはちゃんと確認をしなくちゃいけないのじゃないですか。ただ報道で聞いたというそれだけでなくて、やはりちゃんと確認して、どういう目的なのかということは外務省としては知っておかれるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 これは委員に御説明するまでもなく、安保条約上、米軍が我が国の基地を使用いたしまして、その米軍が、もちろん事前協議の歯どめはございますけれども、一定の範囲内でございますが、移動するということは米軍の自由でございます。したがいまして、本来的に外務省といたしましてあるいは日本政府といたしまして、米軍の個々の活動についてそれを一々承知するという立場にはないわけでございます。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは先月のニューヨーク・タイムズの報道なんですが、米政府当局の言明として、「米太平洋軍司令部は、米軍がフィリピンの基地から撤収を迫られるような事態に備えて、海、空両軍部隊をフィリピンからグアム、沖縄およびその他の太平洋地域の各米軍基地に移動させるための詳細な計画を昨年中に作成した。」と報道しているわけですが、その点については外務省は御存じなのか。
  132. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 そのような報道があることは承知しております。しかしながら、累次米国政府は、フィリピン基地から移転する計画はないということを述べておるわけでございまして、昨年の十二月にもケリー国防次官補代理だとがアメリカの下院軍事委員会建設小委員会等において明確に述べておる点でございます。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは外務省としては、アメリカ政府当局にそういうことをちゃんと確認をされていらっしゃるわけですね。
  134. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 アメリカとは常時そのような話をしておりまして、米国政府が現段階におきまして、全くフィリピン基地の移転ということを考えてないというふうに我々は了承しております。
  135. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、さっき申し上げました「移動させるための詳細な計画を昨年中に作成した。」移動するかしないかは別にしても、そういう計画を作成してあるということについてはどうなんですか。
  136. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 米軍がその行動計画の一々についてどういう計画をしているかということについては、先ほどの米軍の行動とあわせまして、本来日本政府がとやかく言う立場ではございません。先ほどから申し述べておりますように、アメリカフィリピンの基地の移転を考えているかどうかということについては、米政府の累次の明確な言明があるわけでございます。これは例えば引用させていただきますと、先ほどのケリー国防次官補代理が十二月五日に言っておりますのは、「代替地がないことにかんがみ、我々は、現在、フィリピンより在比米軍施設を移転することを考えていないということをここで明確にかつ記載に残す形で述べておきたい」ということを述べておるわけでございまして、米国との折衝におきましても同様の感じを我々は得ているわけでございます。
  137. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは、グアムあるいは沖縄その他の太平洋諸地域に移動する詳細な計画を作成してあるという、我が国に、もし万一の場合はフィリピンの米軍基地を移動させるという計画が昨年中にでき上がっているということについて、そういう程度の御認識でなくてその計画についてやはりちゃんと知っておく。移動させるさせないは、これはまた別の話ですよね。そのことについて、やはり知っていらっしゃるわけですね。
  138. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 そのような計画が存在するということは存じておりません。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、ですからその点については、ちゃんとやはり確認をしておく必要があるのじゃないですか、これは米政府当局がそういうことを言明したという形で報道されているわけですから。どうなんでしょうかね。
  140. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 ただいま御指摘になっていらっしゃいますことは、米軍の短期的な個々の移動ということかと存じます。そういう面につきましてはいろいろな接触の中で話し合うことはございますけれども日本政府として、どういう対応を米軍が考えているか、どこに存在するかということについては、一般的に承知する立場にないということでございます。ただ、長期的にアメリカの基地をどういうふうにするかという政策につきましては、先ほどから申し述べているとおりでございます。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、その短期的な移動ということではなくて、米軍がフィリピンの基地から撤収を迫られるような事態に備えてということですよ。その場合に、我が国にもその機能を持ち込むことも含めた計画はあるということですから。
  142. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、米軍がどのような状態、フィリピンの政情がどのような状態にたったときに、どのようなふうに行動するかということにつきましては、まさにこれは米軍の機密に属することでございまして、日本政府としてこれについてとやかく言う立場にないということでございます。ただ、先ほどから累次申し述べておりますように、フィリピンの米軍基地をどうするか、それが日本の基地にどう影響を与えるかということ、長期的な問題といたしましてはいろいろ話をしているということでございます。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 局長さん、その長期的な問題について日米間でいろいろ話し合いをしているのですか、在比米軍基地の問題について。
  144. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 日常的な接触の中で話がときどき出てくるということでございます。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 ときどき、どういう話が出てきているのですか。
  146. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 先ほどから申し述べておりますとおり、ケリー国防次官補代理が十二月五日に発言した趣旨、そういうことでございます。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 フィリピンの米軍基地というのはクラークとかスーピックとか、どれくらいの規模で何カ所ぐらいあるものかちょっとわかりませんので、この際に御説明しておいていただきたいのです。
  148. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 この基地でございますけれども、スーピックベイそれからクラーク基地ということで統括されております。そして、人員としては約一万五千三百名程度、それから飛行機は、第十三空軍を中心といたしまして約二個飛行隊、五十機等が存在するというふうに了解しております。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 フィリピンの米軍基地というのは極めて広大な地域、面積で、いわゆる国家の中に居座った国家、このようにフィリピンの方々は言っているようですけれども、面積にしてどれぐらいの規模の基地なのか。いかがでしょうかね。
  150. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 申しわけございませんが、面積につきましてはただいま手持ちの資料がございません。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 きょうはお答えが全然ピント外ればかりで。米軍基地があるのは九カ所ですね。それでトータルしますと、シンガポールの大きさよりも大きい広大な面積を有している。例えばクラークの場合は、飛行場は嘉手納基地の二十五倍あるという話なんですが、そういうことで理解して招いてよろしいのでしょうか。
  152. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 非常に広大な基地でございまして、面積が三千八百ヘクタールという一つの資料がございますけれども、この点につきましては、後刻正確に調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、この問題で、こういう今のフィリピンの政情不安、今後さらに憂慮される事態も予想される。在沖米軍、ただいま申し上げましたように、グリーンベレーが行ったり海兵隊が行ったり、あるいは句とうからまたこっちへ来るという米軍の軍事的なコミットメントが非常に強化されてくる。それが当然、またあんな広大なフィリピンの基地の肩がわりを我が国がさせられるのではないかという危惧が出てきているわけですね。ですから大臣、いかがでしょうかね。
  154. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピンの政情は確かに不安でありますし、我々も心配をしております。恐らく米国としても、大変心配をしておりますと思います。したがって、今ハビブ特使等も派遣しておるのじゃないかと思うわけでございます。しかし、アメリカ自体が今このフィリピンに存在するところのクラーク、スービック両基地を移動するというふうなことは考えてないんじゃないか、これはアメリカ政府の公式な言明あるいはまた国防予算等を見ましてもはっきりしておるわけでございますし、私はアメリカ立場からいけば、この両基地を確保していくというのが当然のこれからの姿勢ではないだろうかと思っております。  ただ、米軍そのものがそうした状況の中で、米軍自体としていろいろな問題をケースに応じて内部で検討していることは、それはあり得るかと私は思うわけであります。しかし、アメリカの政策としてはこの変更というものは現在は到底考えられない、そういう方向はアメリカは正式に打ち出しておる、こういうふうに理解しております。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 さっきも御説明ありましたが、広大なフィリピンの米軍基地というもの、この機能は地政学的に言いましても、我が国に持ってきて機能をかえられる性格のものではないと思うのですね。ところがしかし、どういう事態になるかわからないということで、当然米側としてもそういうふうな検討もしていると思うのです。  そこで、もし万一、そういうことがあっては絶対困るわけですけれども、いわゆるフィリピンの米軍基地の機能を日本に移すということになった場合には、例えば事前協議の対象になるのか、あるいはそれでなければどういう機関でそういう問題が討議されるのか、お伺いします。
  156. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 事前協議につきましては、事前協議の一定の基準があるわけでございます。一般論として申し上げ机ば、事前協議を必要とする事態になれば当然アメリカが事前協議を行ってくるということでございますけれども、現在のところフィリピン情勢に関連しまして、そのような形でフィリピンにある米軍が日本に移駐してくるということは全く考えておりませんので、先生の御質問に対しては全く仮定のケースということになるかと存じます。
  157. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、だからその仮定で、そういうときにはどういう機関で話がされていくのですが。
  158. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 先ほどから申し述べておりますように、アメリカは、フィリピンの基地を同本の方に一部でも移転するということは考えていないということを申し述べているわけでございます。したがいまして、全くの仮定の状況でございます。もちろん全くの一般論として申し述べれば、事前協議という手続は、アメリカ政府から外交ルートを通じて日本の方に言ってくるということでございます。
  159. 玉城栄一

    ○玉城委員 ということは、そういう在比米軍基地の機能を我が国に移すという場合については事前協議の対象にされる、こう、いうことですね。
  160. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 配置における重要な変更ということに該当すればそうでございますけれども、累次申し上げておりますとおり、それは全くの一般論でございまして、フィリピン情勢に関連しましてそのようなことが起きるということは全く想定していないところでございます。
  161. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう事態が来ると大変困る。困るどころか、こんたことがあってはならぬわけです。ですから、特に沖縄の場合は、嘉手納基地を抱えて過重負担の上に、またそういう基地の機能の肩がわりをさせられると大変なことになるという心配があるから、私はしつこく申し上げているわけですが、どうか大臣、そういうことのないようにぜひよろしくお願いしたいと思います。
  162. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 局長が先ほどからしばしば申し上げましたように、今、アメリカの特にフィリピンの基地に対する政策が基本的に変わるというふうなことは到底想像ができないわけでありますし、また、やはり日本における基地とフィリピンにおける基地とは戦略的な立場も違っておるのではないだろうか、こういうふうに思っておりますし、私はそういうことがあり得るとは思っておりません。ですから、今ここでそういうことを想定をしていろいろと議論をするということは、かえって心配の種をまくようなことになるわけでありますし、想像してないわけでありますし、あり得ないというふうに思っておりますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  163. 玉城栄一

    ○玉城委員 まあそういうことはあり得ないということで、安心はできませんけれども、どうなるかわかりませんので……。  以上で終わります。
  164. 北川石松

    北川委員長 次に、渡辺朗君。
  165. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 水産庁、農水省おられますか。――初めに、一、二お尋ねをいたしたいと思います。今、大変難航しているというふうに伝えられております日ソ漁業交渉でございます。  お伺いいたしますけれども、現在ソ連の厳しい姿勢が打ち出されていて交渉中断というふうに聞いておりますが、再開のめどは立っておりますか。
  166. 窪田武

    ○窪田説明員 お答えいたします。  次回協議につきましては、前回の中断の際、日ソ双方の間でなるべく早い時期に再開することで合意されておりまして、具体的日程については外交ルートを通じて決定されることになっております。
  167. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それでは、いつごろどんな条件が整えば妥結するというふうにお考えでございましょうか。妥結のめどみたいなものはお持ちでございますか。
  168. 窪田武

    ○窪田説明員 現段階におきましては、今後の日ソ漁業関係の協議の日程について鋭意検討しているところでございます。いずれにいたしましても、次回協議におきましては、ソ連側の再考を求めつつ、早期妥結に向けて最大限の努力を傾注してまいる考えでございます。
  169. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私は、最大限の御努力は本当にしていらっしゃると思うのですよ。だから、その見通しなんです。どうなんですか。現状のこの延長線上で実を結びますか。
  170. 窪田武

    ○窪田説明員 一月二十三日から行われておりました日ソ漁業委員会におきましては、ソ連側は日ソ間の漁業実績の格差を背景に、一貫してソ連水域における我が国漁船に対する操業規制を大幅な強化、これによりまして我が国の北洋漁業の中心的漁業が壊滅するような主張を一貫して行っていたこと、及び新たな枠組みといたしまして、漁獲割り当て量に対する多額な金銭の支払いを要求してきましたということによりまして、交渉は極めて難航したわけでございます。  日本側といたしましては、こういうソ連側の主張は、ソ連水域におきます我が国零細漁民の操業に壊滅的な打撃を与えるということで到底受け入れられないということで、ソ連側の譲歩を引き出すべく最大限の努力を行ったところでございますが、結局再び中断になったわけでございまして、私ども、現在そういうことを踏まえまして、次回協議に向けましていろいろ内容を検討しているところでございまして、これがいつごろどうなるかということについては、現段階では申し上げにくいことでございます。
  171. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 もう一つ、水産庁の方にお尋ねいたしますけれども、それではいろいろな案を今まだ考えておられるのですか。それともこれが最終案ということで出されて、どうにも妥結のめどがつかなかったから中断されたのではないでしょうか。そこら辺はどうなんでしょう。まだ、こちらの方でいろいろな案をお考えですか。
  172. 窪田武

    ○窪田説明員 先ほど申し上げましたように、次回協議におきます基本的な考え方といたしましては、やはりソ連側の再考を求めつつ、私どもといたしてもそれなりの対応について鋭意検討しているところでございます。
  173. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いろいろ御苦労しておられることはよくわかりますので、それはそれとしてお聞きをさせていただきますが、大臣、これはゴルバチョフ時代にたってからのある意味では交渉のパターンとして考えてもいいのじゃないかと思うのですけれども、今日難航している背景というのはどういうふうに分析しておられるのでしょうか。
  174. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日ソ関係は比較的対話が最近進んでまいりまして、租税協定にしても貿易支払協定にしても調印ができましたし、あるいは文化協定にしても大体大詰めの段階に来ておるわけで、双方ともその点はこれまでと違った雰囲気で交渉が進められている、こういうふうに認識しております。  漁業協定につきましては、これは長い間の伝統があって、日ソ関係が非常に冷え込んだときでも、実務的に確実に交渉は続けられて打開されてきておるわけでございますし、今日もあくまでもそうした実務的な立場で交渉が継続されておると私は思っております。ただ、新しい二百海里の海洋法時代を迎えまして、ソ連の二百海里における主権の立場が非常に強くなってきているという面で、ソ連の立場というのはさらに厳しくなってきているということは、はっきり言えると思っております。  私も、実はモスクワの鹿取大使を通じまして、シェワルナゼ外相にも面会を求めて、せっかく日ソ関係改善の道を歩み始めておるわけですから、こういう中で日ソ漁業交渉が決裂することがたいように、ひとつ外務大臣としても高い立場から配慮してほしいということを申し入れたわけでございまして、それはそれなりに恐らくソ連としても努力はしておると思いますが、これはあくまでも実務的な問題であって、なかなかその辺のところは現在まだ煮詰まっていないということだろうと思います。  しかし、日本側も懸命に努力を続けておりますし、ソ連がさらに日本のぎりぎりの案というものに対して一つの理解を示して、双方が歩み寄ることを私は期待しておるわけであります。これは中断ですから、また再開されるわけですから、私はその道は開け得るものであると思っておるわけです。
  175. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 楽観論を持っていらっしゃることは大変結構だと思いますし、ぜひその立場で進めていただきたいと思います。しかし考えますと、何かどうもこれはネゴシエーター同士、交渉の当事者同士のレベルではなくて、もう上部の方で基本的な一つの方向みたいなものがあるということも感じられるわけであります。  そうしますと、今大臣もおっしゃいましたように、せっかく日ソの対話の道が開けそうだという中で、これは実際に外務大臣相当政治力を発揮されないと打開の道が出てこないのではなかろうか、大臣が乗り出していかれることが大事なのではなかろうか。新聞などで伝えられるところによりますと、七月ぐらいには訪ソされて、墓参問題などでお話もされるというようなことが報道されておりますけれども、私は率直に言いまして、それ以前に大臣政治力を発揮していただいて、今あなたの出番だと思いますが、いかがでございましょう。
  176. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この交渉は、やはり相当実務的な交渉でありますし、専門的、技術的な面が非常に大きいわけでございますから、あくまでもそうした立場から交渉を進める以外にないのではないかと私は思っておるわけです。そして、これを何とかして妥結させなければならないというふうにも思っております。  私は私なりに努力を重ねておるわけですが、また農林水産大臣ともいろいろ話し合っております。これは農水省としても大臣としても、非常に真剣に取り組むという決意を持っております。ちょうどソ連はこれから党大会等もあって、交渉は続けていけるかもしれませんが、要人が忙殺されるという状況もありますから、少なくとも党大会が終わった直後には何らかの形で交渉は再開される、その交渉では農水大臣もそれなりの決意をして、両国の交渉の妥結のために努力をしていただかなければならぬ、我々も全面的にこれをバックアップしたい、こういうふうに思っておるわけであります。  政治の面でこれを妥結に持っていくということは、今の交渉の中身を見てみますとなかなか難しい面があるのじゃないか、こういうふうに思っております。やはり農水省が中心になり、農水大臣が采配を振ってこの問題は処理をしていただきたい、我々はこれを全面的にパックアップしたい、こういうふうに思います。
  177. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 農水省の方も外務省の方も、ひとつ頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。  次に、フィリピン問題について私も一、二お伺いをさせていただきたいと思います。時間が余りないものですから、ぽんぽんとお聞きして申しわけありませんが、マルコス大統領が一応国会で選ばれたということになりますが、そうなると大統領就任式なんかもあるわけでございますね。これはいつ開かれて、招待は日本に来ておりますですか。
  178. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まだ招待は来ておりませんが、我々が聞いておる限りでは、二十五日に就任式があるというふうに承知をいたしております。
  179. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 じゃ、どなたが出席されますですか。
  180. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 招待が来てから判断をして決めたい、各国との関係もありますし、そういう点もいろいろと踏まえながら決めたい、こういうふうに思います。
  181. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうすると、まだ待ちの姿勢で、こちらの方から模索しておられるとか検討しておられるとかいう段階ではないわけですか。  思い出しますけれども、一九八一年、マルコス大統領三選のときには、当時の外務大臣園田さんが出席されました。そのときにはブッシュ副大統領出席しております。こういうような事態でございましたが、それに対して今回はどういう姿勢で今臨んでおられますか。
  182. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今渡辺さんのお話のように、待ちの姿勢でございます。
  183. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それではちょっと問題があると私思うのですね。この間、外務大臣の談話が出ておりました。この談話見てみますと、お祝いの言葉、祝意が全然ない談話でございました。これは感じ入ったのですけれども、外国の選挙で首脳が選ばれた、そのときに我が国が祝意を示さずに、逆に注文を表明しておられるというのは大変異例なことだな、つまり別の言葉で言うならば、選挙が自由かつ公正に行われなかったということを外務大臣は言いたいし、そのような気持ちでもって遺憾の意を表明されたと考えてよろしいですか。
  184. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは苦心の作でございますから、御理解をいただきたいと思います。
  185. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 わかりました。苦心の作であることがよくわかりましたが、だけれども、待ちの姿勢で本当にいいのかな。例えば、最近の援助問題一つ取り上げましても、見直すという意見が外務省首脳の方から出てみたり、援助は減らさぬと言ってみたり、監視をすると言ってみたり、いろいろだ意見が出てきておる。待ちの姿勢なら、これは非常にあいまいなものでございまして、私は、そういう基本姿勢をきちっと示すことではないかと思います。  今ここで、その問題をとらえて云々する気持ちはありません。むしろ、サミットが日本で開かれる。アジアの一員としての日本でございます。そのとき、世界各国の首脳がやってまいりまして安倍大臣に、日本フィリピンに対して今日までアメリカよりも多い援助を出すくらいなコミットをしてきている、一体これからどうするつもりだ、アジアにおける民主主義の将来というものをどう考えているのだ、おつき合いの仕方はどうしたらいいんだと言われたときに、待ちの姿勢でございますでは返事にならないし、むしろ醜をさらすことになる。というならば、ここら辺でひとつ基本的た姿勢を打ち出しておかないといけないだろう。これはいつお出しになりますか、どういう形でお出しになりますか。
  186. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 援助については、これはアジア重視という日本の姿勢は変わりませんし、フィリピンもその一環として重視してまいる、これまでもそうでありましたし、今後ともそうであります。私はむしろ、フィリピンの今の国民のああいう困難な状況を見まするときに、さらに援助は拡大をしなければならない、こういうふうに考えております。これは今後ともそういう方針で進めます。  ただ、援助のあり方については、やはりこれは日本としてもその援助が行き届いたものにならなければなりませんし、本当に国民経済に稗益するものでなければなりませんから、そういう点を十分勘案をして、効率的な援助が行われるように。やっていかなければならぬ。援助のあり方については、国会の論議等もありますし、私自身もそういうふうに感ずる面もあるわけですから、これはやはり考えていかなければならぬ点があると思います。しかし、援助を進めていく、さらに援助を拡大していくという基本的な姿勢は変わってないわけでございます。
  187. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これはまた、別の機会にもいろいろとお聞きしたいなと思っております。  かつて福田総理は、東南アジアを歴訪されまして福田ドクトリンを出された。そして、特にその中で東南アジアの三原則、これを発表されたし、ASEAN諸国とは心と心の触れ合う相互信頼の関係を築くということを言っておられる。安倍大臣海外に行かれた際に、アジア重視ということを最近おっしゃった。一体、どういうドクトリンをこれからお持ちになろうとしているのか、あるいはつくろうとしておられるのか、福田元総理のそのようなドクトリンを継承するという立場なのか、そこら辺についてはいかがでございますか。
  188. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私もこれまで三年以上外交をやってまいりまして、それなりに努力をしてまいったわけでございますが、やはり原点としては、日本アジアの一国である、そしてアジアの平和と繁栄日本の平和と繁栄の基礎であるということをつくづく感ずるわけでございます。そういう中で、これまで日本アジア、特に東南アジアとの関係は深まってまいりましたし、これは随分いろいろな面で発展をしてきたいと思いますが、しかしまた問題も出ていることは事実でございますから、やはりそういう問題点をいろいろと再検討して、歴史の教訓に学びながら、このアジアとの関係をもう一回見直すと言いますとちょっと語弊が出るかもしれませんが、見直しだから、本当にアジアの人々と日本が心の触れ合うようだ、そういう体制をこれからつくっていかなければならぬ。  それには、いろいろとこれから新しいやり方というものも考えられるんじゃないかと私は思って、今模索をいたしておるわけであります。外務省の中でも、アジア諸国との経済関係を考える会、こういった形の研究会も設けておりますし、また経済界の皆さんにも、もっとアジアに対して積極的な経済の交流、あるいはまた資金、資本の投資、そういった形でアジア発展のための積極的た努力を、民間は民間経済でやってもらいたいということを私は特に強く訴えておるわけでございます。
  189. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 大変興味のある点でございますので、この次にはぜひ時間をいただいて、ひとつ構想を聞かせていただきたいと思います。それが新しい安倍外交の出発点にもなっていくであろうと私は思いますので……。  ただ、あと数分だけ残っておりますから、後の方に迷惑をかけないようにその数分問を利用させていただきたいと思います。  それは、ゴルバチョフのいわゆる三段階核廃絶の提案が一月十五日に行われました。その後、この中身についてアメリカの対案がどのような形で出るのかなというふうに注目をしております。それについて先般は、アメリカのロウニー大統領軍縮特別顧問でしょうかが訪日された。外相とお話し合いをしておられるようであります。これについてちょっとお聞かせをいただきたいのです。  特に私、時間がありませんからポイントを絞って言いますと、ゴルバチョフ提案の中身については、民社党にもソ連の共産党中央委員会から手紙が参りました。先般その返書を届けたところであります。長いもので、返書の中身も長いわけですが、その中でポイントとして一つ二つの点は言っております。それは、まずアジアにおける中距離核の削減について具体的提案がない、ヨーロッパの問題は言っておるけれども、この点は非常に遺憾だということを言っております。それからまた、ソ連の極東における軍事力の増強が行われているというような点、あるいは領土問題、こういうことについても触れた返書を出したところであります。聞くところによりますと、近々にもアメリカ側の方では対案が出されるということが言われておりますけれども、安倍外相は何を注文され、どのようなものがそれに生かされるのか、この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
  190. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私はまず、民社党が返書を出された、その内容承知しておりますが、敬意を表したいと思います。  それから今度、これはもう間もなくだと思いますが、レーガン大統領のゴルバチョフ提案に対する回答といいますか、対案が出される予定になっておるわけでございますが、これに関連してアメリカは、同盟国の意見を聞きたいということでロウニー特使を日本に派遣をいたしまして、日本政府の見解を聞いて帰られたわけでございます。私も特使と会いまして、日本立場をはっきり申し上げました。  今御指摘ありましたようにゴルバチョフ提案、これは二〇〇〇年までに核を廃絶するという一つの考え方というものは我々も非常に注目しておりますし、それは世界のためにそういうことになることがまことにすばらしいことだ、こういうふうに思っておるわけでございますが、その過程においてどういう現実的な対応策がとられるかということは、これは米ソが中心になって話し合われることだろうと思います。しかし、その中でやはり日本として、アジアの一国の日本として特にゴルバチョフ提案、そしてまたレーガン大統領の回答というものを考えるときに重点を置かなければならぬのは、やはりINF、ソ連のSS20の問題でございます。極東配備、この問題をどうするかということでございまして、私たちはINF問題というものは、あくまでもグローバルな形でこれは推進をされ、決着をされなければならない。ゴルバチョフ提案を見ますと、やはりヨーロッパ重視といいますか、ヨーロッパ主力というのがはっきりしてきておるわけでございます。これに対して我々は遺憾に思っております。  私はこの点は、シェワルナゼ外相にも率直に私の意見を述べたわけでございますが、せっかく同盟国の意見を聞かれるわけでありますから、アメリカ大統領の回答を出される際も、やはりこうしたアメリカ自身もグローバルという立場を支持しておられるわけでありまして、あくまでもアジアを犠牲にしない、グローバルな形でこのINF問題が処理をされるということを踏まえて、そして日本の強いそうした姿勢というものを十分御理解をいただいて、大統領としても対処していただきたいということを申し上げた次第でございます。アメリカとしても、こうした我々の意見は十分聞かれて配慮されて大統領の提案が行われるものである、こういうふうに私は期待をいたしております。
  191. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 恐らくそのような感触も持っていらっしゃるのだろうと思いますが、私も期待をいたしております。  ありがとうございました。
  192. 北川石松

    北川委員長 次に、田中美智子君。
  193. 田中美智子

    田中(美)委員 今国会において安倍大臣外交演説の中に、「中東、中南米、アフリカなどの開発途上地域の平和と安定及び経済的発展は、世界の平和と繁栄のために欠くべからざる要件」だというふうに述べていらっしゃいますが、これを保障するのは、やはりこれらの諸国の民族自決権の尊重が前提条件になっているというふうに私は受けとめております。一九六〇年の十五回国連総会、今から二十五年前ですが、植民地独立付与宣言が採択されました。これの中にもやはり、民族自決権の尊重が世界の平和と安全の基準であるということをうたっております。この観点から質問したいというふうに思います。  まず、一九八三年に、当時のグレナダの政権を、わずか十一万の人口の小さた国ですが、アメリカが軍事力でその政権を転覆させて、今なお軍隊を駐留させているということ、これは民族自決権の観点から見て安倍大臣はどのようにお考えになりますか。時間がありませんので簡潔にお答えください。
  194. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 民族自決権というものは重んぜられなければならないと思います。そういう意味において、例えばカンボジアに対するベトナム軍の侵入とかあるいはアフガニスタンに対するソ連軍の侵入というのは、大変遺憾に思っております。グレナダにつきましても、確かに米軍が侵入したという事実はあるわけでございますが、私はアメリカは、グレナダで自由な政府が樹立をされるという段階になればこの国の自決権というものを尊重する、そういう国柄である、こういうふうに確信をいたしております。
  195. 田中美智子

    田中(美)委員 アメリカのことを、アメリカは自決権を認める国であるというお答え、私は非常に歯切れの悪い言い方だというふうに思うのですが、ソ連とアフガニスタンの問題は、今お触れになりましたが、もう一度簡単にどうでしょうか。
  196. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ソ連がアフガニスタンに侵入をして、現在も数百万のアフガニスタンの難民がイランだとかあるいはパキスタンに逃れておる、そして今なお内戦が続いておる、そういう中でソ連軍が強大な力でこれを制圧しておる、こういう事態はまことに嘆かわしいことであると思います。一日も早くソ連軍が撤収をして、そしてアフガニスタンに真の民族自決政権が生まれることを期待しています。
  197. 田中美智子

    田中(美)委員 アフガニスタンの問題については非常に明確にお答えになりまして、私もそのとおりだと思います。  それでは、ニカラグアのサンディニスタ現政権に対して、今アメリカが機雷封鎖、経済封鎖、準軍事介入、さらにこの三月の末までには武器調達を含む新たな新法を準備しているというようなことも伝えられておりますけれども、この観点についてはどうでしょうか。
  198. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ニカラグアにおきましても平和がよみがえることを、一日も早くそういう状況にたることを期待しておりますし、そういう中で周辺のコンタドーラ・グループの努力が行われております。日本は、これを基本的に支持をいたしておるわけでございます。今、そのニカラグアの状況そのものに、今おっしゃるような、どういう事態が起こっておるかということは私も明確には承知しておりませんが、こうしたコンタドーラ・グループの努力というものが少しずつ実を結ぶ方向に行くことを私は念願しているわけで、そのために日本はバックアップしたい、こういうふうに思っています。
  199. 田中美智子

    田中(美)委員 ニカラグアについては余り事情を御存じないが、アフガニスタンについてはよく御存じのようで、そういうことは大変おかしいと思うのですね。そういうこと自体がおかしい。今のお話を聞きましても、国によってやはりきちっとした基準を持って、民族自決権が侵されているか侵されていないかという点をきちっと見ていないのではないかという、今の答弁の私の実感です。   それで次の質問に移りますが、昨年の第四十回国連総会でたくさんの決議案が出されておりますが、その中の二十五、これは人権の効果的保障と遵守にとって諸民族の自決権をあまねく実現し、植民地諸国と民族に速やかに独立を付与する重要性についての決議、それから四百十五、これは植民地独立付与宣言の履行を妨げる植民地主義の施政下における軍事活動及び調整という決議、もう一つ、ニカラグアに対する貿易封鎖決議、これに対して日本政府が昨年の秋どのような態度をとったのか、そしてその理由を簡潔にお答え願いたいと思います。――大臣、お願いします。
  200. 中平立

    ○中平政府委員 お答え申し上げます。先生今御指摘の三つの決議及び決定について、簡単にお答えいたします。   まず決議二十五号でございますが、先生御存じのように、植民地支配にある人々の民族自決の普遍的実現、それから植民地の……(田中(美)委員「簡潔にお願いします、時間ありませんから」と呼ぶ)はい。それでは、結論は棄権いたしました。その理由は、その決議の中に我が国としては受け入れられない表現、例えば武力闘争を含む民族自決闘争を認めているという点等もございまして、棄権いたした次第でございます。  それから第四百十五号決定でございますけれども、この決定の中にございます、軍事施設等の存在が非植民地化の過程を妨げているという表現がございますけれども、このように断定するということは必ずしも適切ではないのではないかという観点から、もう一つの理由といたしましては、これは外国経済権益活動という議題において討議されたわけでございますが、経済問題の討議でこのような政治的な問題を討議するのはいかがかというような観点から、この決議については反対した次第でございます。  それから第三の百八十八号でございますが、このニカラグアへの禁輸に関する決議でございますけれども我が国といたしましては、この問題は基本的にはアメリカとニカラグアの二国間の問題であるということでございます。それからもう一つは、この問題はコンタドーラ・グループのイニシアチブによって平和的に解決されることを我が国としては希望しておるということ、この二点でございます。その上に、先ほどの決定と同じでございますけれども、この二国間の政治的な色彩の強い問題が、経済問題を討議する第二委員会で討議されるのはいかがなものかということが第三の理由としてございまして、結論的には棄権した次第でございます。
  201. 田中美智子

    田中(美)委員 大変苦しい御答弁で、ニカラグアの問題がアメリカとニカラグアの二国間の問題だというならば、ソ連とアフガニスタンの問題でも二国間だということで反対の立場もとれる。私は、反対の立場をとらないで賛成の立場をとったことを評価しております。国によってそういう詭弁を弄するようだ弁解をしたから、アメリカが反対すれば反対、アメリカが反対すれば棄権というような、これは日本政府が非常に主体性がないということではないか。  特に、この四百十五号の決議などで反対しているということは、西側諸国の一員だから日本が目立ちたくないからではないかというようなうわささえ立てられているということは、全く日本政府の主体性のなさと一貫性のなさ、相手国によって基準というのを皆変えているということが、国連の舞台で非常に明らかになっているのではないかと思います。今ニカラグアが、あらゆる形でアメリカから不当な介入をされていることを非常に多くの国が批判しているときに、日本はこれに対しては棄権という態度、これは一刻も早くこの態度を変えて、やはり国連憲章に基づいて一貫性のある、公正な立場というものをどの国に対してもとっていくという基準を持って、ニカラグア問題に当たっていただきたいというふうに思います。  これは、植民地独立付与宣言というものが採択されてから二十五周年の間に、八千万の人たちが植民地から脱出して独立あるいは自治を獲得しているわけです。国連も加盟国が、百カ国から百五十九カ国というふうにふえています。安倍大臣も御存じたと思いますが、永世中立の国として有名なスイスが、当初はやはり偏向しているという立場から国連に加盟していなかった。しかし、現在の国連というのは非常に公正になりつつあるので、スイスも加盟しようかというようなことも新聞などに報道されているということは、やはり国連に非常に多くの国が参加し、そこでの多数決で物が決められていくということが地球レベルでの常識になってきているときに、なぜ日本だけがアメリカが反対すれば反対、アメリカが反対すれば棄権という、西側の一員であるから目立ちたくないなどというような、恥ずかしいようなことを外国で言われるということはぜひ改めてほしい。これは世界の孤児になるのではないかと思います。  御存じと思いますが、植民地独立付与宣言の履行状況に関する特別委員会調査で、秋の国連総会で何が民族の自決権を侵し妨げているかということで、二点を挙げております。それは、やはり先進国が植民地的な利権を求めて経済介入をしていることであり、それからもう一つは、それらの諸国で先進国が軍事活動をしていることであるということをはっきりと言っているわけですね。ですから、ニカラグアの問題に対して、これは現在起こっていることですので、やはりアフガニスタンに対してきちっとした態度がとられているように、ニカラグアに対してもきちっと、この国連の特別委員会できちっと出した観点から見てほしい、そういう基準できちっと見てほしいと思うのですね。何でもアメリカにくっついていくというようなやり方というのを改めていただきたい。この点についての安倍大臣の見解をお答え願いたいと思います。
  202. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 一方的な立場に立っての御質問でございますが、日本は確かにおっしゃるように、自由主義陣営の一員であることは事実です。同時にまた日本は、それぞれの国の主権を重んじなければならない、紛争は平和的に解決されなければならない、国連を重んずる、こういう外交を一貫してとり続けておることは御承知のとおりでありまして、そうした立場から日本の主体的な判断で努力、外交活動を続けております。  今ニカラグアの話をされましたけれども、アフガニスタンと違うのは、ニカラグアには米軍が侵入しているわけではありません。いろいろと米国からの経済的な圧力、封鎖、いろいろな問題等が起こっていることは事実でしょうが、米軍自体がニカラグアに侵入しているという事実は現在ないわけでございますし、そういう中でも何も一方的に我々はアメリカの旗を持っているわけではありませんで、我々の基本的なニカラグア政策の考え方は、コンタドーラ・グループの平和解決構想を支持しておる、これからも支持していく、こういうことでございますから、日本としてはあくまでも主体性を持って世界の平和のために努力しておる。この日本の努力は、私は、今日の世界においては相当大きく評価されておる、こういうふうに思っております。
  203. 田中美智子

    田中(美)委員 今、安倍大臣が一方的立場に立った意見だというふうに言われましたが、このスイスの問題は、私が昨年スイスに行きましたときにあるスイスの政治家に聞いた話でありまして、これは一方的であるか一方的でないかというコメントはいたしません。しかし、昨年の国連の総会で、植民地独立付与宣言というものがどのように履行されているか、それを妨げているものは、植民地的な利権を求めて経済的介入をしているということと軍事的な活動をしていることなんだと言っているということは、私の意見ではなくて、私はこれに賛成ですけれども、これは国連の中での調査で言われていること。これを一方的な立場に立った意見であるというふうに言われることは、安倍大臣の非常に偏見であり、わかっているけれどもそう言わざるを得ないという、私はこういう大変不誠実な態度だというふうに思います。  やはり日本が、特別委員会二つの観点を出している、これをしっかりと据えて、日本政府が正しい判断をどの国に対してでもやっていかなければ国際社会で孤児になっていく、国際社会の信頼を失っていくのではないかというふうに私は心配するわけです。そういう点で、ぜひ安倍大臣は一方的に偏った立場に立たずに、国連がやった特別調査などに対しての真摯な立場で、それから学んだ姿勢をとって、国際社会で孤児にならない日本というものを進めていっていただきたいということを私は強く要求いたします。  大臣の御見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  204. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我々はあくまでも平和を追求しまして、世界の平和実現のために、紛争の解決等が平和的に解決されるべきであるという観点に立って努力は重ねてまいりたいと思うわけであります。同時に、日本自由主義陣営の一員であるということは、これはもう御承知のとおりであります。そうした立場も踏まえ、同時に平和国家としての理念を失わないで続けていかなければならぬ、こういうふうに思います。
  205. 田中美智子

    田中(美)委員 終わります。
  206. 北川石松

    北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会