運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-04-24 第104回国会 衆議院 科学技術委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二十四日(木曜日)     午前十時三十四分開議 出席委員   委員長 大久保直彦君   理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 小澤 克介君 理事 関  晴正君    理事 矢追 秀彦君       有馬 元治君    櫻内 義雄君       若林 正俊君    五十嵐広三君       村山 喜一君    八木  昇君       安井 吉典君    遠藤 和良君       小川  泰君    山原健二郎君   出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      河野 洋平君   出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     矢橋 有彦君         科学技術庁原子         力局長     中村 守孝君         科学技術庁原子         力安全局長   辻  栄一君         科学技術庁原子         力安全局次長  堀田 俊彦君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房審議官   松井  隆君         科学技術庁原子         力局政策課政策         企画官     結城 章夫君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課長    堀内 純夫君         科学技術庁原子         力安全局防災環         境対策室長   千々谷眞人君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課原子炉施         設検査室長   吉村佐一朗君         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    穂波  穣君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     関野 弘幹君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     林  政義君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      植松 邦彦君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団環         境資源部長)  渡辺 昌介君         参  考  人         (青森県知事) 北村 正哉君         参  考  人         (電気事業連合 野澤 清志君         会副会長)         参  考  人         (日本原燃サー         ビス株式会社代         表取締役副社         長)      野村 顯雄君         参  考  人         (日本原燃産業         株式会社代表取         締役社長)   大垣 忠雄君         参  考  人         (日本弁護士連         合会公害対策環         境保全委員会第         四部会長)   石橋 忠雄君         参  考  人         (原子力資料情         報室世話人)  高木仁三郎君         参  考  人        (中央大学教授) 中島篤之助君         科学技術委員会         調査室長    工藤 成一君     ————————————— 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   大原  亨君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     大原  亨君     ————————————— 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  五九号)  原子力基本法及び核原料物質核燃料物質及び  原子炉規制に関する法律の一部を改正する法  律案関晴正君外五名提出衆法第一二号)      ————◇—————
  2. 大久保直彦

    大久保委員長 これより会議を開きます。  内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案及び関晴正君外五名提出原子力基本法及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 九時半に招集があったので、私どももここにずっと座っていたのですが、委員長から何ら連絡がありませんでした。そのことだけちょっと申し上げておきます。  エネルギー庁をお呼びをしておりますので、また、前回おいでをいただいて質問をしなかった経過もございますので、エネルギー問題からまずお尋ねをしていきたいと思います。  問題が大きいですから一点にだけ絞りますが、最近のエネルギー状況は、省エネや成長の鈍化というようなことで電力需要が伸び悩みぎみということが一つありますし、円高石油供給不足が緩和しつつあるという状況もあります。とりわけ私は原子力発電所の問題についてお聞きしたいのですが、天然ウラン需給条件がかなり緩和をしている見通しがあります。原料の確保も割合に容易になってきているし、価格も下がる一方というふうな状況があります。その反面、再処理価格プルトニウム燃料加工費が非常に上がってきている、価格騰貴の問題があります。とりわけ今後の大きな課題になっている高速増殖炉実用化が非常におくれている。建設費が高くなって、アメリカなどはやめたのですね。「もんじゅ」でも、四千億円の計画が五千九百億円に上がるし、コストは一キロワット当たり二百万円、軽水炉の実に六倍というふうな数字が出ていると聞いております。  ですから、エネルギーの全体計画の中で特に原発の計画について、今申し上げましたようないろいろな事情の中から変更というか、それが必要ではないのかということ。それから再処理の問題でありますが、プルトニウム需要がそれほど急がれないということですね。つまり、高速増殖炉のおくれがあるものですから、そう急がれないわけです。そのことについて計画をもう少し見直すという必要がないのか、再処理についてはそう急ぐような状況にはないのではないか、そういうことを伺います。
  4. 関野弘幹

    関野説明員 今後の原子力開発をどういうふうに進めていくかという点でございますが、これにつきましては、私ども昭和五十八年十一月に電気事業審議会需給部会中間報告というものをいただいております。これによりますと、昭和七十年度には原子力の設備を四千八百万キロワットまで拡大するということになっております。現在の原子力は二千四百五十二万キロワットでございますので、七十年度までかなりの拡大を計画しているわけでございます。  原子力につきましては、発電コストで見ますと、通産省が昨年十月に発表いたしました六十年度運開したベース発電原価の試算で計算してみましても、他の電源に比べて経済的に優位であるというふうに私ども考えております。また原子力につきましては、供給安定性にもすぐれているということかも、私どもは今後の石油代替電源中核として今後とも積極的に開発していくべきものというふうに考えているわけでございます。  原子力発電コストにつきましては、放射性廃棄物最終処分費等を踏まえると今後上昇することになるのではないかという点の御指摘がございましたが、原子力につきましては、原子力発電原価に占めますウエートが最も大きいのは資本費でございまして、七五%程度はこの資本費によるわけでございます。したがいまして、原子力発電が今後とも経済性を優位に持っていくということのためには建設費低減を図るということが最も重要な課題であるというふうに私ども考えております。具体的な方策といたしましては、標準化を拡大する、あるいは標準化を徹底していく、設計を合理化していく、建設工期を短縮化していく等によりまして相当程度建設費低減が期待できるわけでございますが、このようなことを踏まえまして、今後とも石油代替電源中核として原子力発電開発を進めていきたいというふうに私ども考えておる次第でございます。
  5. 安井吉典

    安井委員 ちょっと質問の趣旨と外れているのですが、御担当でなかったのかな。私が聞きたかったのは、プルトニウムをつくるための再処理なんですが、しかし高速増殖炉の方の仕事がおくれているわけですから、それほど原料プルトニウムを急がないのじゃないか。それはプルサーマルという行き方もありますけれども、その点を特に伺いたかったのですが、その辺は担当違いかな。それじゃ、むしろ科学技術庁かもしれませんね。
  6. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  高速増殖炉開発につきましては、先生指摘のように世界的にも若干おくれをいたしております。我が国高速増殖炉開発計画も、当初のスケジュールからいいましておくれを見せておるわけでございます。  この実用化時期については、いろいろな考え方がございまして、原子力委員会の現行の長期計画では二〇一〇年ごろから本格的に実用化されるだろうということでございますが、現在の情勢からいうと、これが若干さらに先におくれるのじゃないかという見解があるということは事実でございます。しかしながらプルトニウム利用というのは、究極的には高速増殖炉利用し、装荷した燃料以上に新しい燃料を生み出すということで、天然ウランの有効な燃料としてほとんど使うということが究極の目的ではございますが、我が国のようにエネルギー資源の少ない国におきましては、高速増殖炉実用化ということを待つまでもなく、利用できるエネルギー資源というものを活用していくということが重要な問題でございます。  それはもちろん経済性を無視してやるというわけではないわけでございまして、プルトニウム利用して、いわゆる再処理をして再利用するというものと、再処理しないで使用済み燃料をそのまま捨ててしまうというときのコスト比較等、いろいろ国際的にもなされております。一番国際的な数字といたしましては、OECDの原子力関係の機関でございますNEAで試算した例等もございまして、それでございますと、燃料コストが現段階の数値ではじきますと、一割程度処理しない方がいいという数字も出ておりますが、一割という数字は、原子力発電コストに占める燃料コストが三〇%ということを考えますと、たかだか四%程度の差でございまして、長期的なエネルギー資源、これは石炭、石油天然ウラン、一時的な現在の価格のみならず長期的な展望を持ちますと、こういった有効に利用できるエネルギー資源としてのプルトニウム利用は、我が国のようなエネルギー資源の少ない国においてはやっていくべきであるし、それから、そのプルトニウム利用というものが一朝一夕にできるものではないということでございまして、そのためにはやはり着実な技術開発コマーシャルベースの規模における実際の利用というものの積み重ねの上にこういった技術が確立され、またコスト低減が図られるということになっていくわけでございまして、今の段階コスト高だからこれを見限るということではなくて、我々は長期的な展望に立って、資源小国としての我が国としてはプルトニウム利用を積極的に活用していくべきではないか。そういう意味で、軽水炉におけるプルトニウム利用ということにつきましても積極的に考えてまいりたい、そのように今計画をいたしておるところでございます。
  7. 安井吉典

    安井委員 エネルギー計画全体の問題、あるいはプルトニウム貯蔵がどんなような状況で、これから再処理がどう進むか等の問題については、きょうは本来の中心課題ではありませんので、また次の機会にいたしたいと思います。通産省、結構です。ひとつ時間を十分とって、コストの問題やその他議論しなければならない課題が随分あるように思うわけであります。  そこで、今度のこの法案に関連して資料をお出しいただきたいと思うのですが、これはそう難しい資料ではありません。この法律は、青森六ケ所村にできる施設のための法律と言ってもいいくらいでありますが、その内容資料としてお出しをいただきたいわけであります。六ケ所村における今度計画されている全体的な計画内容を、十分わかりやすく書いていただきたいと思います。関委員は一番御承知なんですけれども、我々の方にはそういう資料科学技術庁から一度ももらっておりません。それから、それには特になぜ六ケ所村が適地なのかということも明確にお記しをいただきたいと思います。それから、この法律の主人公になるべき日本原燃サービス株式会社日本原燃産業株式会社、これの具体的な説明資料も、これが一番大事な問題であるにもかかわらず、何ら私どもの手元には来ていないのであります。この両会社設立趣意書だとか目論見書だとか定款、出資金出資状況有価証券報告書役員名簿役員がどういう出身の人で占められているのか、その他両会社全貌がわかるような資料をぜひお出しをいただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。
  8. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  六ケ所村において計画されております原燃産業並びに原燃サービス計画につきましては、私ども承知している範囲内での資料として取りまとめて先生の方にお届けさせていただきたいと思います。(安井委員先生の方じゃない、委員会に」と呼ぶ)原燃産業並びに原燃サービス会社に関します資料につきましては、それぞれ民間会社でございまして、私ども今は特に法律に基づいてそういった資料提出を求めているわけでもございませんので、会社の方に先生の御意向をお伝えすることにいたします。
  9. 安井吉典

    安井委員 それと、会社知事との協定書もあわせてお願いをしておきます。これは私が要求するのじゃない、委員会としてお願いをしたいということを、私は委員長に言っているのですから。
  10. 大久保直彦

    大久保委員長 よろしいですか。今安井委員の御発言の範囲内の資料は、よろしいですね。
  11. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  私どもとして承知している範囲計画内容等については御提出させていただきますが、民間会社のそういう内部資料といいますか、民間会社として持っておるものとか、今の知事会社との間の協定とか、そういったものにつきましては、私どもがその資料を出すとか出さないとか申し上げる立場にございませんので、そういった御要請があったということを関係者の方に連絡するということはさせていただきたいと思いますが、ちょっとそこまで私ども提出するということはお約束する立場にございません。
  12. 安井吉典

    安井委員 この法律を読んでみますと、今度新しくできる会社の、もうピンからキリまで全貌を明らかにしなければ許可できないでしょう。この会社廃棄事業をやってもいいということを言えないでしょう。ですから、こうやって法律をお出しになっている以上は、かなりそういう内容について政府としてお知りになっていなければいかぬはずですよね。それを会社に要求できないようじゃ、これはもう監督なんというのはできないのじゃないですか。
  13. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今先生指摘の点でございますが、まさに今御審議をいただいております法案が成立した後におきまして、許可とかそういった諸種の手続がなされるわけでございまして、その段階におきまして当然そういった資料等も十分吟味して許可いたすわけでございますので、その予備的な行為というものは、法律改正されていない段階で私どもとしてはする立場にございません。
  14. 大久保直彦

    大久保委員長 科学技術庁から民間会社に御連絡をいただきまして、そして資料提出の取り運びを推進していただくことは可能でしょうか。
  15. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今委員長御指示のことは、私どもとしてやらしていただきたいと思います。
  16. 大久保直彦

    大久保委員長 じゃ、よろしくお願いします。
  17. 安井吉典

    安井委員 既に会社はスタートしているはずですし、ですから、何ならこの委員会社長に出てきていただいて詳しく話を聞く、この法律を通過する以前にそういう措置さえ必要じゃないかと私は思うのですよ。これらはひとつ後で理事会で御相談していただくことにいたしまして、とりあえず資料をお出しいただきたいと思います。  私は今度の法律改正を見まして、これとアメリカ廃棄物処理政策立法とを比較して、住民参加といいますか、自治体の協力を得るとかいうふうな考え方が全くないという点に大きな問題点があるのではないかと感じました。いわゆるパブリックアクセプタンス、その考え方が全くないのですね。世界じゅうで今廃棄物処理が行き悩んでいます。そんなにすうすういっている国は一つもないわけですね。だから、トイレなきマンションということになっているわけです。だからそれは、立地の問題が一番大きな問題点になっているのはもう百も御承知だろうと思うのですよ。それにもかかわらず、そういう観点が全く失われているということではないかと思います。  今アメリカ立法例を一々申し上げる時間はありませんけれども、インディアンの部族や州知事拒否権まで法律で認めている。最終的には連邦議会決定に任されるわけだが、そういう手順をずっと踏むのですね。民主主義というのはそれなんですよ。手順なんですね。手続とか手順というものが大事なんだろう、私はそう思うのですけれども、そういう慎重な態度が法律に何もなくて、こっちで決めたんだからそのとおり従え、そういう考え方見え見えだという点が問題だと思うわけであります。この点どうでしょう。
  18. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力施設立地、どこに場所を選定してそこに実際に建設していくかということにつきましては、これは地元方々の御理解と御協力を得ながら進めていくということでございます。ただ本件、青森県下北に現在再処理施設濃縮施設、それから低レベル廃棄物最終貯蔵施設、こういったものの計画を進めるにつきましては、その施設者であり、また施設者の実行の実体を担います電気事業者から青森県知事にいろいろ御協力お願いし、青森県知事の方でいろいろ地元の各方面の御意見を聞き、青森県知事として集約され、この計画地元としても御協力をいただくという形でこの計画が今進められておるわけでございます。  ただ、今御審議お願いしておりますこの規制法は、これは安全を確保するということの法律でございまして、いわば立地そのものをこの法律で決めるという手続的な法律でも、これは法体系全体からいってそういうことでもございません。私どもとしては、原子力施設立地につきましては法律にどうこう書いてあるから、書いてないからということでなく、地元方々の御理解を得ながら進めてまいるという方針でございます。そういう手続法が必要であるかどうかということについては、いろいろなケースについて我々も今後とも検討してはまいるつもりでございますし、特に高レベル廃棄物最終処分地決定をどうするかというようなことにつきましては、今後我々も検討をしてまいりたいとは思っておりますが、現在のこの法案は、そういう意味で安全を確保するということを第一義的に考え改正お願いしておる次第でございます。
  19. 安井吉典

    安井委員 原子力施設についての公聴会仕組みだとか、そういうのがあると思いますけれども、これはアメリカ日本も同じで、現に原子力発電所はいっぱいできているわけですから。しかし、そういうアメリカでも日本でも同じ事態の中で、どこの国も廃棄物処理だけはみんな行き悩んでいるのですよ。ですから特別立法があって、それへの具体的な処理最低三つ予定地を選択せよとか、千人以上の町から十五キロ以上離れなければいけないとか、立地のためのちゃんとしたあれがあるわけですよ。  じゃ、今度の法律は単なる手続法であって、立地の問題については今後別な立法措置までお考えになっている、そういうことですか。
  20. 辻栄一

    辻政府委員 今回の法律は、立地をされるということを前提にいたしまして、それが出てきた段階安全規制について諸般の規制をかぶせていくということで、いわゆる安全規制を行う法律でございますので、立地手続等については一切の基準を定めておるわけでございません。現段階において先生指摘のような立地に関する特別な法律を設けるという考えは、私ども今のところ持っているわけではございません。  ただ、先生のお話の中にございましたような立地に際しての安全基準ということにつきましては、この規制法の中におきまして、実際に廃棄事業を行います際に安全審査をやるわけでございまして、この安全審査の際に、施設とその施設からあるいは万が一の場合出てくるかもしれない放射能による影響、そういうものについての安全性の問題については許可の際に十分安全審査を行って検討をして、十分な安全な見きわめがついた上で許可をする、こういう仕組みにいたしているところでございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 どうも今の答弁を総合してみても、政府立地問題について実に安易な考え方しか持っていないんだよね。ですから、今までの原子力発電所はどんどんやっていて、トイレなきマンションで、そのトイレをつくる一つの何かルールみたいなものだけはつくったけれども、しかし立地そのものについての具体的なあり方については全く何ら考え方がなし。それでいて、どんどん六カ所村につくっているじゃないですか。幌延の調査を始めているじゃないですか。立地の問題について別に考えますなんて、そんないいかげんなことを今言っていただいて、それで納得できるような状況ではもう全然ないと思います。最終的には、廃棄物最後処理ができなければ今の原子力利用してのいろいろな仕組みというのは完結しないわけですからね。全体の仕組みは何か動いているようだけれども最後ふん詰まりで人間死ぬこともあるのですよ。システム全体が死滅する場合もあり得るのですから。そういう真剣な考え方というのがあなた方にないんだな。どうしても私にはそう思えて仕方がないわけであります。  ですから、そのことを思い知るときがいずれ来るのじゃないかとも思うのですが、とりあえずきょうは、アメリカの一九八二年放射性廃棄物政策法、その翻訳をこの委員会にお出しをいただきたいと思います。そういう立法あり方があるということを全くみんなに教えないでおいてどんどん進めているということがありますからね。これはもう至極簡単なあれで、ちゃんと外国立法例までみんな調べてこの法律をおつくりになっているのだろうと思いますから、少なくともアメリカ政策法だけでもとりあえずお出しいただきたい。
  22. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  アメリカ政策法というのは、何年までに最終処分地の候補を何カ所に絞って幾つか決めなければいけないかということの必要性があって、どうしても法律にしなければいけないということでできたものでございます。私どもは、現在進めております六ケ所村でのいろいろな計画につきましては、地元の御理解を得ながら進めている話でございまして、その政策法的なものが将来高レベル廃棄物最終処分について必要になるかどうか、これは今後私ども検討していかなければいけないと思っておりますけれども政策法につきましては、私ども翻訳したものも持ち合わせておりません。
  23. 安井吉典

    安井委員 アメリカは、低レベル廃棄物政策法もありますよ。外国立法例も全然調べないで、あなた方この法律をつくっているの。あるいはこの行政全体をやっているのですか。今の話はちょっとおかしいよ。全然考えていないのですか。外国のやつを調べてないの。
  24. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  立地のそういう政策法でございまして、現在御審議お願いしております安全確保のための規制ということとは違うと思っておりますし、私ども、そういう政策法をこの規制法のためにということでなくて外国の一般的なものとしては勉強さしていただいておりますが、その政策法なるものの原文は持っておりますけれども日本語に翻訳したものは私ども持ち合わせておりません。
  25. 安井吉典

    安井委員 資料出してくれと言っている。私は、アメリカ法律のとおりおやりなさいと言っているのじゃないですよ。それぐらいの資料を国会に出して、これからの廃棄物処理について真剣に国会も一緒に相談してくださいという、そういう態度がなぜできないの。だから、何もあなたは余計なことを言う必要はないんだ。資料出してほしい。それじゃ、今あなたがお持ちのそれを、この委員会が終わるまでに翻訳して出してください。
  26. 中村守孝

    中村(守)政府委員 政策法と申しますのは、量的にも結構多いものでございまして、翻訳してお出しするというわけにいきませんので、原文をコピーしたものを、これも委員会提出資料という決めではなかなかたくさんになりますので、数を限定してお出しするとか、そういうことは可能かと思います。
  27. 安井吉典

    安井委員 ほかの雑誌や何かで、いろいろな文章ではこれはみんな引用されているのですよ。何も知らないのは科学技術庁だけだ。そんな秘密主義で、何もかも知らせないでという態度が今の原子力行政を曲げていると私は思うのですよ。手っ取り早く言えば、日本原子力産業会議にちゃんと翻訳したのがありますから、それをもらってきて我々に配ってください。ありますよ。そこでないわけはないんだよ。  委員長、これはごく簡単な要求だと思うのですが、どうですか。ちゃんとほかの方に翻訳したのがありますよ。
  28. 中村守孝

    中村(守)政府委員 私ども持ち合わせておりませんので、今御指摘の点、原子力産業会議にあるとおっしゃることでございますので、原子力産業会議に問い合わせまして、ありますれば——しかし、これも大変恐縮でございますが、予算その他のこともございますので、膨大なものを御提出するわけにもいきませんので、原産会議にもしそういう資料がございますれば、あれしまして、委員会の方に一部お届けさせていただきます。
  29. 安井吉典

    安井委員 大したことはありませんよ。ハイライトだけでもいいですから。原子力産業会議がつくっているハイライトのこれだけでいい。これぐらいしかないのですから。みんな全体にわからせないようにして、質問した人にだけは知らせて、そこでこちょこちょと決めてしまおう、そういう態度なんです、あなた方のこの間うちからの。これは委員会からの資料要求ということで、委員長、お取り計らいいただきたいわけです。
  30. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今の資料につきましては、私どもも膨大なものか簡単なものかよくわかりませんので、提出部数等につきましては後日御相談させていただきたいと思いますが、そういったことも原産会議の方とも連絡した上で、そういうものがあれば私どもの方で可能な部数を取りそろえてお出しすることにしたいと思います。
  31. 安井吉典

    安井委員 とにかく今の言い方で私はどうも、何のために国会に審議お願いしますとあなた方言っているの。何も示さないで、早く通せ早く通せと、一体それは何です。ちゃんと国会が審議できるような状況をつくること、それで我々も協力できるわけですよ。これは協力なんかできませんよ。はっきり言いますよ。  廃棄物事業者にどうも廃棄物処理の責任を転嫁しているのではないかという指摘が随分多いのでありますが、廃棄物発生者が処理処分の責任を負うという例のPPPの原則、これはどこへ行ったかと私どもは言いたいわけであります。この場合に発生者の責任というものはどこまであるのですか、この法律の運用についてどこまであるのですか、それをお答えください。
  32. 辻栄一

    辻政府委員 今回の法改正によりまして、発生者は、廃棄物をみずから適切に処理処分するか、または安全確保上十分な事前処理を行った上で、本改正に基づきまして内閣総理大臣の許可を受けました廃棄事業者に引き渡す責任を有するということになるわけでございます。廃棄事業者は、その放射性廃棄物処理処分について原子炉規制法上の安全確保責任を負うことになります。また、廃棄事業にかかわります原子力損害賠償法上の原子力損害賠償責任につきましても、引き渡された後は当該廃棄事業者が負うこととなるわけでございます。  さらに、発生者は、原子力委員会決定に示されておりますように、廃棄事業者に引き渡す場合には処理処分に要する費用の負担をすることはもちろんでございますし、廃棄物廃棄事業者に引き渡した後においても、発生者責任の一環として、その処理処分が長期にわたり確実に実施されるよう、廃棄事業者に適切な支援を与えていく責任を有しているというふうに考えております。
  33. 安井吉典

    安井委員 それは法文の規定ではなしに、あなた方の運用方針ですか。どうですか。
  34. 辻栄一

    辻政府委員 私の申し上げました前段の部分が法律上の責任の問題でございまして、後段の原子力委員会決定に示されているように以降は政策の問題でございます。
  35. 安井吉典

    安井委員 これは政策の問題をもう少し明らかにしていただかなければならぬわけでありますが、発生者の責任によって生じたと思われるような事故がもし将来起きても、それでも発生者は責任を負わないのですね。
  36. 辻栄一

    辻政府委員 この件につきましては、現在の規制法の三十五条によりまして、これは原子炉設置者に対する義務規定でございますけれども、この規定によりまして、総理府令で定める技術上の基準に従ってきちんと廃棄物処理する責任を有しておりますし、そしてそれを引き渡す場合には、総理大臣の許可を受けた廃棄事業者に引き渡すことと規定しているところでございまして、もし事故が起きた場合に発生者、つまり原子力事業者が基準に従ったきちっとした廃棄物をつくっていなかったことが原因であったということになれば、この三十五条の規則の違反になるというふうに考えております。  なお、損害賠償の件につきましては、これは周辺の住民に対する損害賠償にかかわる救済を迅速にやるということで、周辺住民に対しては廃棄事業者が全部責任を持って損害賠償の責めに当たるわけでございますけれども、これにつきましてもこの法律によりまして所要の額の保険を強制的につける、そしてその保険料は廃棄を委託する者がその廃棄料の中において当然負担するわけでございますから、こういった経費面の負担も発生者が負うということになっておるわけでございます。今度の原賠法の改正は、地元住民との関係において、地元住民が廃棄事業者だけを相手にすれば損害賠償を受けられるという、地元住民のための便宜を図った趣旨の改正でございます。なおこの場合に、原賠法では地元住民に対しては損害賠償の責任を廃棄事業者が負いますけれども、その後の求償をすることもできるわけでございまして、もし故意に原子力事業者がそういった悪い廃棄物を渡したということであれば、当然これは廃棄事業者から発生者に対して求償が行われるという形になるわけでございます。
  37. 安井吉典

    安井委員 余りたくさんあるケースではないにしても、廃棄物を発生した原子力発電所側で、例えばローレベル廃棄物のドラム缶とTRUの廃棄物のドラム缶を間違えて送ってしまったとか表示を間違えたとか、そういうようなことは、何か貯蔵期間が三百年ですから、三百年間のうちに一度もないとは言えないと私は思います。ですから、そういう場合でもそれが大きな事故になった場合には、私はそういうことをやった発電所側が刑事責任まで負わなければいかぬという場合もあり得ると思うのです。あなたは一応廃棄事業者からこっちへ求償権が起きると言いましたけれども、刑事責任を転嫁できますか。あくまでその辺は発生者というものの責任を明確にしておかないと、安易な、後は野となれ山となれ、こういうふうな仕組みになるおそれがある。どうですか。
  38. 辻栄一

    辻政府委員 ただいまの先生の御設定の件で、間違えて不法なものを廃棄事業者に渡したという例になりますと、これは明らかに原子炉規制法三十五条の規定の違反になるということになろうと思います。
  39. 安井吉典

    安井委員 その辺が、例えばTRU廃棄物などは中に何が入ってどれくらいのあれがあるか、わからないのですよね。しかもこれは、ことしやって来年事故が起きるなんというようなことになる問題ではないわけですよ。それこそ百年か三百年か後にこういうものが起きる可能性があるわけですからね。ですから、先のことはどうでもいいんだというような、これは後でまた触れますけれども、安易な考え方であなた方いられるのじゃないかと思いますし、やはり発生者が最後まで責任を負うという原則を貫く、そういう精神を忘れては私はいかぬと思うのです。この点を強くひとつ言っておきたいと思います。
  40. 辻栄一

    辻政府委員 私ども決して安易に考えておるわけではございませんで、そのようにTRU廃棄物を一般の低レベル廃棄物だというふうに間違えまして廃棄事業者に移した場合は、先ほど申し上げましたように原子炉規制法の三十五条で原子炉設置者の責務でございますので、それはこの規定の違反になるわけでございます。  そして、この原子炉規制法はそれだけではございませんで、その前から保安のために講ずべき措置ということで、廃棄物の製作のやり方であるとか、そういうものにつきまして保安規定を設けてきちっとやるように規定しておるわけでございますし、それに関しまして検査等を行ってやるわけでございます。さらに、これを廃棄事業者に移す場合には廃棄事業者の方でもこれを確認するという規定があるわけでございますから、その点は一般の産業廃棄物よりははるかに厳しい規制を行って、御指摘のような事故が万々一にも起こらないような体制を整えておるわけでございます。
  41. 安井吉典

    安井委員 動燃の「常陽」や「もんじゅ」からもいろいろな廃棄物が出るし、あるいは再処理工場からも出るし、ウラン濃縮工場からも出る。それから日本原電、電発からも出る。それから原子力研究所からも出る。大学その他の研究所からも出る。そういう廃棄物のいろいろな種類がありますね。これと今度のこの間うちからの説明六ケ所村の施設とのかかわりはどうなんですか。
  42. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  六ケ所村で現在準備を進めております低レベル廃棄物の最終貯蔵につきましては、これはいわば原子力発電所を有します電気事業者の共同事業的なものでございまして、原子力発電所から出るものを取り扱う、こういうぐあいに理解いたしております。
  43. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、動燃の関係だとか原電だとか電発、原子力研究所やその他の研究施設、これの分は。
  44. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  それらのものにつきまして現在集中的にどこかにまとめて処分しようという計画は、まだ具体化いたしておりません。
  45. 安井吉典

    安井委員 何だ。わからないですね。それはどこへ持っていくのですか、それじゃ。どうするのですか。
  46. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  現在のところ、それぞれの事業所内において十分安全に保管されておるわけでございまして、そういったものをまとめていくというようなことにつきまして、それぞれの事業者、例えば燃料加工事業者であれば燃料加工事業者としてそういうことをどうするかということもこれから御検討になるでしょうし、原研にしろ動燃にしろ今のそれぞれの事業の中でその計画考えておるということでございまして、そういう意味で具体的に今国がまとめて例えばどこかにやるとか、そういうことまでは考えておりません。
  47. 安井吉典

    安井委員 何だかおかしいですね、この計画は。
  48. 辻栄一

    辻政府委員 補足いたしますと、現行の規制法では、私先ほど原子炉設置者については三十五条の規定を援用いたしましたけれども、再処理事業者については四十八条、それから加工事業者あるいは使用者に対しましても三十五条と同等の規定がございまして、廃棄物については、事業所内で保管する場合には総理府令の定めるところにより厳重な管理を行うという規制がかぶって安全規制をやっているところでございます。これの最終処分をどうするかの問題は、ただいま原子力局長が申し上げましたように、今後の政策課題であるというふうに思っております。
  49. 安井吉典

    安井委員 私どもは、幌延に低レベル廃棄物やTRU廃棄物貯蔵施設、処分もそこで考えていくんだというふうな話を聞いているわけでありますが、そんなものはないのですね。
  50. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  動燃事業団では、東海村の再処理工場から出ます高レベル廃棄物、あるいはTRU等も含めました低レベル廃棄物、こういったものが今後の展望考えますと手狭な東海村の事業所内にはなかなか置いておけない、新たなそういう保管場所を探す必要があるということで、現在具体的には北海道の幌延を一つの候補地としていろいろ調査もさせていただいておるという状況にございます。幌延におきましては、いわゆる最終処分ということではございませんで、この法案で申しますと事業を二つに区分してございます後の方の、要するに最終処分に至るまでの間の管理という形で計画をしておるというこどでございます。
  51. 安井吉典

    安井委員 何で最初から答えないのです、それを。最初から私は全体についてのお答えを頼んでいるのに、六ケ所村のことだけで、あとは適当にやりますというようなお答えでしょう。こっちから幌延はどうかと聞いたらそういう答えが出てきたのです。  日本原子力発電だとか電源開発の方はどうなんですか。あるいは原研もそういうのが随分出ますよね。
  52. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力発電会社から出るものにつきましても、これは九電力と一体の会社でございますので、その発電所から出るものも六ケ所村に集められることになるのではないかと思っております。原子力研究所のものにつきましては、当面事業所内の保管ということで、具体的にどこか別な場所にということの計画はいたしておりません。  先ほどの先生の御質問に対して、私が何かはぐらかしたようなお答えをしたというような御質問がございましたが、御質問六ケ所村に考えているようないわゆる最終処分貯蔵場、そういったものということでお答えをいたしましたので、お答えが十分でなかった点についてはおわびいたします。
  53. 安井吉典

    安井委員 ですから、原燃は電事連関係のものだけなんですね。その点、もう一度伺います。
  54. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  現在のところ、私どもはそのように承知いたしております。
  55. 安井吉典

    安井委員 だから、電事連関係が終わったらそれでいいのですか。国内には、ほかにも放射能を帯びたいろいろなものが出るわけですよね。原子力委員会なり原子力安全委員会は、それの全体的な統括をしなければいかぬわけでしょう。科学技術庁もそれでなければいかぬわけでしょう。それをはぐらかすような、そんな言い方じゃだめですよ。それじゃひとつ、今考えられる限りの放射性廃棄物の発生源、それをどこにどう処理するのか、まだ検討中なら検討中でいいですよ、これは幌延にやるとかこれは六ケ所にやるとか、そういうリストを出してください。そうすれば一日でわかります。あなたのようにときどき小さくちょびっと出して、後で突っ込まれたらまた言うというような、そんなのじゃだめです。全体像を出してくたさい。ひとつお願いしますよ。
  56. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  お答えを出し渋っているつもりはさらさらございません。電気事業者原子力発電所から出るものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、今具体的に計画の進行しているものとして下北の最終処分貯蔵場というのがございます。それから、海外に再処理委託しております使用済み燃料から発生いたしました廃棄物、これは委託先のBNFLあるいはCOGEMAのオプションではございますけれども、将来日本に返ってくる可能性があるわけでございますので、これらのものにつきましては、下北の方に再処理工場ができますが、そちらの方に持ってくる、そこで保管をするというぐあいに聞いております。その他の具体的なものといたしましては、現在動燃事業団が、東海村の再処理工場等から出ます高レベル廃棄物あるいはTRU等も含めました低レベル廃棄物を他の地区に貯蔵保管するということで、具体的には幌延を一つの候補地として調査を進めさせている。それ以上のものは具体的にどこにやるということはございません。  あと、また後で御指摘を受けるといけませんので念のため申し上げますと、今申し上げておりますのはいわゆる核原料物質ないしは核燃料物質により汚染されたものということでございまして、病院とかいろいろなところで使われているラジオアイソトープ、こういったものにつきましては、日本アイソトープ協会という協会がございまして、そこが一手に引き受けて各地に今貯蔵保管してございます。それから、原子力研究所がそういった全国的なものも受け入れておりますが、将来さらにその新しい貯蔵場所を確保するということで、現在岩手県の方に調査を進め、計画を進めております。
  57. 安井吉典

    安井委員 原電だとか電発なんかはどうするとか、肝心の問いに答えてないわけですよ。ですから、いろいろお答えになりましたのをひとつリストにしてください。私も頭が悪くて何回も小刻みに言われたってよくわからないから、今の発生源別の処理の方法、内容、それをリストにしてください。そのリストが出なければ審議は終わりませんからね。これははっきり言っておきます。  それから、動燃が廃棄事業者となるということも予想されているような話でありますが、そのために必要な法制上の措置は何ですか。
  58. 中村守孝

    中村(守)政府委員 動燃事業団が廃棄物につきまして東海村の再処理工場から出るようなものを今幌延を候補地として調査をさせていただいております、こう申し上げたわけでございますが、そういう立地が実現してそこにそういうものができるということになりますれば、新しい改正されますこの法案が成立した暁には、廃棄事業者として動燃が幌延でそういうものを保管管理する、こういうことになるわけでございます。その場合、動燃事業団法のどの条項でやるのかということにつきましては、これは動燃事業団の再処理事業に伴って生じます廃棄物のいわば処理処分でございますので、「附帯する業務」ということで、現行の動燃事業団法の中で事業を行うということになります。
  59. 安井吉典

    安井委員 先ほど来費用負担のお話があったわけでありますが、この廃棄物貯蔵あるいは処分というところまで行きますと、低レベル廃棄物でも三百年もかかるというわけです。そういう長期にわたっての管理をきちっと義務づけておくことができるのかどうか、あるいはその負担をどうするのかという問題が私はあるのではないかと思います。高レベルになったら、千年だとか数千年というのですからね。三百年といったって、歴史をひっくり返せば、江戸時代に埋めたものを管理から解くか解かないかなんというのを今相談するような状況ですよ。果たしてそんなふうにあなた方いくと思っているのですか。  残念ながら、私も含めて三百年後にここにいる人はだれもいないのですよ。ですから、今の原燃というのも三百年後もちゃんとあるのですか。ちゃんとそれで管理できるような状況になるのですかね。動燃だって百年後にあるかどうか、これもわかりませんよ、社会党の案では何か早くなくなるらしいですが。いずれにしても、そういうふうな長期管理の可能性を一体どう考えているのか。それを我々の孫じゃない、何代後の子供にどういうふうに義務づける方向を考えているのか。あるいはまたもう一つは、その費用負担は三百年後にもかかるわけです。その費用負担は、これをつくったのは、発生者からいうと今の電源開発をやっている人たちが負担しなければいかぬわけですが、そういう長期の負担をどうやって負担させるというつもりなのか、その辺ひとつ御説明ください。
  60. 辻栄一

    辻政府委員 低レベル廃棄物廃棄事業者につきましては、御指摘のように、この法律がずっと続く限り、この法律の規定によりまして当該廃棄物がいわゆる無拘束限界値、もうこれ以上放射性物質として特段扱いをする必要のないまでに管理を行うというのがこの埋設の事業でございます。その間の管理の方法につきましては、やはり放射能がだんだん減衰していくわけでございますから、その減衰の程度に応じまして順次管理は軽減されてしかるべしということで、その辺のところを今回の法律並びにそれに伴います政令及び総理府令において細かく決めていくという考え方でございます。  具体的に申し上げますれば、原子力安全委員会がこの方法についての報告書を昨年十月出しているわけでございまして、当初まだレベルが十分に低くなっていない段階におきましては、コンクリートピットの中に、廃棄物を入れるコンクリートの建物でございますが、これについての維持義務をかける。それから、一定から以下になりますれば漸次管理を軽減してまいる。最終的には、廃棄物は立入禁止あるいはそれをまた掘り出してしまうということを禁止するだけにとどめる。さらにレベルが低くなりまして無拘束限界値以下になれば、もはや放射性廃棄物としての規制をする必要はなくなるわけでございますので、その段階において規制を解く、こういう考え方でございます。
  61. 安井吉典

    安井委員 それをずっと三百年——三百年といっても、今から五十年後に入れたものはまたそれから三百年延びるわけですね。ですから、そういうものを可能にするようなというか、もっと言いかえましょう、そういう三百年後にまで管理を義務づけるという法律日本法律の中でほかに何がありましたか。どうですか。
  62. 辻栄一

    辻政府委員 これは必ずしも廃棄に関することだけではございませんで、原子炉設置者あるいはその他の者につきましても現行の規定がずっと続くわけでございまして、特にこういった義務規定が何年先で終わるというような規定を設けている法律はほとんどないのではないかというふうに考えておりまして、現状ではこの法律のままずっと規制を続けていくというふうな基本的な考え方でございます。
  63. 安井吉典

    安井委員 いいですか、原子炉があるということを言いますけれども、三百年後に今の軽水炉発電があるのですかね。あるいは「もんじゅ」だってそのころ動いているのですかね。新しいエネルギーがどんどん出てきますからね。しかし、ここで埋められた廃棄物だけは厳然たる事実として残っていくわけですよ。それを後代に我々は義務づけるということになるわけです。ほかにこんな法律ないでしょう。どうですか。
  64. 辻栄一

    辻政府委員 先ほど先生指摘ございましたように、個々の廃棄物については漸次放射性廃棄物低減していくわけでございますが、原子力発電その他の原子力活動が引き続き行われる限り、やはり廃棄物は出てくるわけでございまして、こういうものが今後に通じても新たな管理の客体として続いてあらわれてくるわけでございまして、その辺のところは原子力発電の推移とともに廃棄事業についてもかなりの永続性のあるものであろうかと思います。  原子力発電その他が、いわゆる原子力活動がなくなってしまった後はどうなのかということでございますが、これは非常に長期的な先の話で、今の段階で予測するわけにはいかないわけでございますが、廃棄物についてはそのまま残るわけでございますから、私ども現行についてはこの現行法がそのまま生き続けるという考え方でございます。  なお、電気事業者につきましては、先ほども私、先生の御答弁で申し上げましたが、この廃棄事業者が健全に事業を進めていくということが非常に重要なことでございますので、原子力委員会決定に示されておりますように、発生者責任の一環といたしまして、その処理処分が長期にわたり確実に実施されるよう、廃棄事業者に電力事業者が適切な支援を与えていく責任を有しているということを日本原子力政策として位置づけているわけでございますし、この件に関連いたしまして、電気事業連合会長も責任を持ってこの支援を行うと言っているわけでございまして、そういうことによってこの規制体系を進めていくという考えでございます。
  65. 安井吉典

    安井委員 これは低レベルだからまだいいですけれども高レベルになると千年からそれ以上になるわけですからね。あなた、原子力発電所がまだ三百年後もあるというふうなことで答弁なすったけれども、私はそういう答弁は初めて聞いた。日本科学技術庁というのは新しいものをもっと追い求めていくという意欲がないんだな。私はそう思いますね。  ですから、管理の問題はもうそれ以上追いませんが、費用はどうですか。今の段階で、今つくった人に三百年分をまとめて出しておいてもらうの。どうなんですか。
  66. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  処分のために要する費用、これは発生者責任の一環として発生者の方が支払う。今回のもあるし、例えば具体的に下北の場合でいえば電気事業者が支払うということでございます。その支払い方につきましては、一括して最初に先の費用まで見込んで払うのか、あるいは分割して払うのか、いろいろな払い込み方があろうかと思います。  費用として非常にたくさんかかるのは最初に持ち込むときでございまして、例えば埋設事業の場合でいえば、一度埋設してしまえば、後はいわゆる周辺のモニタリングとか、そういったことが主体になるわけでございまして、ほとんどの費用は当初かかるわけでございますが、それを一括払いにした方がいいのか、あるいは分割して先々まで廃棄事業者として発生者の方からお金を取っていくのが経営上いいのか、そこら辺は当事者間の検討にまつというのが私ども考えでございます。
  67. 安井吉典

    安井委員 だから、それがPPPの原則に反する一つの重大な問題なんですよ。だって、今はこれをつくった人が最後まで見るのじゃないでしょう。結局、後代に負担をずっとかけていくことになるのですよ。そういう意味合いでもこれは問題だ。大体、原子力発電所というのを考えた人が一番最初の責任があるのでしょうけれども、しかし、それを今追ってもしようがないですから。  ただ、長期の費用分担の問題がまだ決まってないのですね、あなた方の考え方の中で。それがどうもおかしいと思うな。それでいて法律を早く通せ通せという、その考え方自体がおかしいですが、これはいつごろお決めになるのですか。
  68. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  具体的にどういう費用の払い方をしていくかということは、電気事業者、もちろんこの廃棄事業者ということで、関係者の間で慎重に検討いたしまして、どういう支払い方法がこの新しくできる事業を健全に運営していく上でいいかという観点に立って検討した上で決めるということでございまして、当然のことながら事業を開始するまでには決まるわけでございますが、後世代との負担の問題、世代間の負担の不公平ということを先ほど先生ちょっと御指摘になりました。この点につきましては、一括払いにするか、分割払いにした場合に、先生のおっしゃるような後世代における人が分割払いでそのとき払わなければいけないのじゃないかということになるのかどうか知りませんが、その支払う源は原子力発電の恩恵に浴しているところから電気料金という形でいただいて、その中から支払うわけでございますので、電気料金制度の中にそれを後世代との負担の公平というものでどういうぐあいな料金の中に組み入れていったらいいか、あるいはまたいわゆる積立金制度ということであらかじめ積み立てておいて、その中から払うという方法も考えられるわけです。ここら辺につきましては税法上の問題もございますので、大蔵省、通産省という役所間でのいろいろな相談もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、事業開始までにはそこら辺の点が明確にされるものと考えております。
  69. 安井吉典

    安井委員 今お答えでこれからだと言われるけれども法律をお出しになるときはそういうあらゆるものを検討して、その上で法律をつくって国会にお願いしますというのが当たり前なんですよ。何も決まってないんだよ。先行きのことも決まってないで法案を出すという、そのやり方自体が私はおかしいと思うのですよ。だから、中身の問題についてお答えは一つも納得できません。できませんが、私が納得できない最大の点は、大事な問題が何も決まってないで法律だけ早く通せ、こういうあり方そのものが最大の問題点だ、そう思うわけです。  そこで、八木委員の御要求によりまして政令事項が出てまいりました。なかなか難しいと言われたのを出してくれたのですから、その点は評価しないわけではありませんが、特に五十一条の二第一号の、要綱で言いますと「廃棄事業許可等」の「1 政令で定める核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の」云々というところ、それから第二号の方も含めて、高レベル廃棄物やTRU廃棄物については今度の改正では入れないというふうな御説明を聞いたのですが、そのとおりですね。
  70. 辻栄一

    辻政府委員 ガラス固化されました高レベル放射性廃棄物、あるいはアスファルト固化されましたTRU廃棄物につきましては、これは廃棄物の管理の事業という方で規制してまいるという考え方でございまして、五十一条の二第一号の方にあります埋設の事業につきましては、御提出した資料にも記載いたしましたように、放射能濃度が低い放射性廃棄物をコンクリート固化あるいはアスファルト固化等安定処理した廃棄物を地下に設けたコンクリートピット等に埋設し、最終的に処分することだけを埋設事業の対象とするという考え方でございます。
  71. 安井吉典

    安井委員 私はこの間の研究交流法のときも申し上げたのですけれども、ここのところが今度の改正の最大の問題点なんですよ。その主体になるところを政令で委任してしまうというやり方、私はこの間の法案審議のときに指摘したと同じようなことを言わなければいかぬわけですよ。一番の問題点なんですよ、ここが。それがすべて政令委任されていて、政令委任して政令として出す予定事項ということで初めてそのことが明らかにされたのですよ。そのことを聞かなければそのままでいっちゃうのですよ。  そこで伺いますけれども、今の高レベル廃棄物やあるいはTRU廃棄物については、いまだ処分については処理方法が決まってないのですね。これから検討するということであるようだから、そういうこともあって今度の政令に入れないということだと聞いておりますが、今後とも未来永劫にこれは入れないのですね。どうですか。
  72. 辻栄一

    辻政府委員 先日来るる御説明しているところでございますが、高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、現在その処分の具体的方策について検討が進められている段階でございまして、また、その推移を見ながら安全規制あり方についても検討するわけでございます。その方針が定まるまでは、高レベル廃棄物最終処分は認めない方針でございます。したがいまして、高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、事業所内外いずれにおきましても、再処理事業者の廃棄に関する規則、法律でいえば四十八条等でございますが、こういった規則によりましてこれを認めないことといたしておりますし、また、ただいま御指摘の今回の改正で設けられます廃棄物埋設の事業の対象を定める政令におきまして高レベル廃棄物を定める考えはございません。また、TRU廃棄物についても全く同様な考え方により処理することにいたしてまいりたいと思っております。
  73. 安井吉典

    安井委員 そうしますと、どうなんですか。私が聞いているのは、未来永劫に入れないというのならこれはわかりますよ。この政令予定事項というのは、今この国会を通過させるだけに必要でお出しになったので、将来はこの法文に基づいて政令改正で何でもやってしまおう、そういうおつもりがあるということではないですか。どうですか。
  74. 辻栄一

    辻政府委員 先ほども申し上げておりますように、高レベルやTRUの廃棄物最終処分は現行法上及び改正後においても認める考えはございません。これらの最終処分原子力委員会及び原子力安全委員会の立案する政策に基づきまして実施していくという考え方でございまして、両委員会によりましてこういう政策が立案された場合には、私ども法律の見直しを行うことを考えております。それまでの間、認める考えはございません。
  75. 安井吉典

    安井委員 それなら、あなたの御説明の政令というのは、高レベルやTRUについては今後新しい立法措置でいくというふうに受けとめていいですね。
  76. 辻栄一

    辻政府委員 ただいま申し上げましたように、その時点においてどういう方策になるかということがはっきりしてまいるわけでございますから、その時点で法律の見直しを行います、それまでの間は政令を改正してこれに取り入れるということをいたさないということでございます。
  77. 安井吉典

    安井委員 この条文のとおりいけば、低レベルの方はまだ割合に高レベルに比べれば問題は軽いわけですね。それが今度の政令の中で処分まで決めてしまうということでありますけれども高レベルということになると、これは国じゅうがひっくり返るような大きな問題になるのですよ。世界じゅうどこでもそうですよ。先ほど私はアメリカ立法のことも言いましたけれども、そういうようなものがこのままでいってしまうと、政令でさえ定めればいいのですから、国がひっくり返るような——国家の大プロジェクトだと何度も言っているじゃないですか。それにもかかわらず、この法律の書き方でいけば、政令でさえ定めれば、この法律さえ通っていれば、あと安全委員会や何かの答申でも受ければ、政令だけ改正して国会には無関係で何でもできる、こういう仕組みなんですね。  私はきのうもそのことを言っておいたのですが、それでは、その段階法律措置でやる、こういうことですか、もう一度確かめます。
  78. 辻栄一

    辻政府委員 先ほどから申し上げておりますように、高レベルの本格処分というものはまだ国際的にも行われていないわけでございますし、昨年の十月に原子力委員会決定されました報告書におきましても、高レベルの処分につきましては今後国の責任でやるということにいたしまして、これの政策については今後の検討課題であるとしておるわけでございます。これから引き続き原子力委員会においてどういう方向に持っていくかということが議論されるわけでございまして、これは廃棄物政策における最重要事項でございますので、この政策に基づいて私どもやるわけでございます。その辺がはっきりしてきた場合に、先ほど申し上げましたように法律の見直しを行いたいと思います。それまでの間は入れないということでございます。
  79. 安井吉典

    安井委員 もう一つ、今TRUのあれがありませんでしたね。TRUについても同じですか。
  80. 辻栄一

    辻政府委員 TRUについても同じ考え方でございます。
  81. 安井吉典

    安井委員 政府がそこまでお考えなら、私はこの法律の原案のままではだめだと思います。この政令の中には高レベル廃棄物とTRU廃棄物は含まないものとするという一項目を、法律の中にはっきり入れてくださいよ。そうすれば、我々は国会として見直しに参加することができます。あなた方の方になると、見直しをしました、政府だけで見直して、いやこのままで政令だけでいけますよ、法制上、技術上はいけるんだから、そういうことでやられたんじゃ、国会は全くつんぼ桟敷でたまったものじゃありません。だから私は、もしも本気で——この間まではそうでなかったんだから。きのう私がいろいろ説明したのでそういう答弁をおつくりになったのかしらぬが、そうだとすれば、この法律の中にはっきり入れてください。前項の政令の規定にかかわらず高レベルとTRU廃棄物については別に法律で定めるとかなんとかという形がとられなければ我々は納得できませんね。どうですか。
  82. 辻栄一

    辻政府委員 この件につきまして私ども考え方を申し上げますと、原子炉規制法におきましては、放射性廃棄物廃棄を含め原子力利用に伴う種々の行為を規制の対象としておるわけでございますけれども、その際には当該行為が安全かつ確実に行われる場合に限りこれを認めることといたしておりまして、安全かつ確実に行われることにつきまして疑念があるような場合にこれを認めないこととするのは、明文の禁止規定を置くまでもなく当然のことと考えております。高レベル廃棄物の最終的な処分につきましても、この法律に基づく規制、具体的には四十八条等の措置義務あるいは五十八条の二の確認等にかかわらしめられている以上、その処分方策について検討が進められている現段階におきましてこれが認められないのはもちろんのことでございまして、さらに法律上明文の禁止規定を置く必要はないものと考えております。
  83. 安井吉典

    安井委員 しかし、さっき私の質問にあなたは、この法律の政令事項の中に高レベルあるいはTRUを入れる場合には法律を見直すという言い方をしましたね。ですから、我々はその法律を見直すということをはっきりここで、あなたの答弁だけじゃ見直しの中身なんというのは、どう見直すのかなんと言ったって、今答えができないでしょう。そんなことを今あなたにお聞きしてもしようがないから、私は条文の中にはっきりそのことを書いてもらうと……(「埋設事業には高レベル、TRUは含まない」と呼ぶ者あり)そうですね。そういうことでなければならぬと思います。これは、政府の方で修正しなければ国会の方で修正するか何かよりないわけでありますけれども、私はそのことを明確にしてもらわない限り、この法案を通すわけにはいかぬと思います。  まだたくさん問題が残っているうちに時間がわずかになってしまいましたが、きょうは事務当局とだけで、大臣と少しもやりとりしてないので、何か退屈そうにされているようでありますから、今まで論議をいろいろやってまいりましたけれども、私は後世に負担を残すということ、今その電力でテレビを見、冷蔵庫があり、おいしい料理をつくって食べている、その負担を我々の後世代にまで残していくという物の考え方自体が非常におかしいわけで、したがって長期的な管理、長期的な費用負担、これは今度の場合は低レベルだけですけれども高レベルになったらもっともっと重大な問題になりますが、とりあえず今の段階で、そのことについてもっときちっとした考え方を持っておかなければならぬのではないかということが一つと、それからもう一つは、やはり政令事項に何もかもゆだねてしまって、国会が当然やらなければいけないことまでみんな政令で政府が勝手にやっちゃう、そういうあり方に対する一つの大きな疑問を私はこの条文の審議を通して提起したわけでありますが、この二点についての大臣のお考えを伺います。
  84. 河野洋平

    ○河野国務大臣 御指摘のとおり、大変長期間にわたってこの廃棄物の管理あるいは最終処分という問題は、非常に考え方として難しいものであろうと思います。ただ、どこで数百年の間保管するか、管理するか、あるいは最終処分をどこで引き受けるかということになりますと、現在発生者のもとで置いておいても、当然同じように時目的には数百年間を管理あるいは保持、保管あるいは処分しなければならないわけでございまして、御指摘のとおり、相当長期間にわたってこれがしっかりと管理監督できる体制というものを考えますれば、一元的な処理処分の仕方というのも一つのアイデアだということは先生も御理解いただけるのではないかというふうに思うわけでございます。  さらにまた政令の問題は、確かに御指摘のとおりいろいろな考え方もあろうかと思いますけれども、この法律の中で書いてございます政令の中には、八木先生指摘で、皆様方のもとに御説明をさせていただいておるわけでございますが、この政令の中には原子力委員会あるいは原子力安全委員会の指導と申しますか、考え方を踏まえて政令をつくるということになっておるわけでございまして、この原子力委員会あるいは原子力安全委員会の人事というものは国会同意人事、国会承認人事ということでございまして、国会の先生方が御承認をいただいた方々によって構成をされている、そうした方々によって御判断をいただいている。それを踏まえて政令をつくるということでございますから、政令にゆだねるということが、全く野放しになる、国会の手の届かないところで何をやるかわからぬということではないという見方もあることを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  85. 安井吉典

    安井委員 せっかくの御答弁ですけれども、私は納得できません。そのことだけを一つ明確にし、特に原子力委員会の機能なり能力を私は疑っているわけではありません。それは間違いないと思いますけれども、しかし、任せていいことと悪いこととあると思います。国家がひっくり返るような大きな問題については、やはり国会が乗り出していかなければいかぬ、そういうことであろうと思います。この政令に定められていること全部が全部を国会に、法律にしろと私は言っているわけではありません。こういう重大な問題だけは明確にすべきだ、こういう主張であります。  なお、これはたくさん準備があるのですが、時間だそうでございますから、この次に引き続いて質疑の機会をお与えいただくようお願いして、終わります。
  86. 大久保直彦

    大久保委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  87. 大久保直彦

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人として、動力炉核燃料開発事業団理事長林政義君、同理事植松邦彦君及び同環境資源部長渡辺昌介君に御出席を願っております。  質疑を続行いたします。五十嵐広三君。
  88. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今度の改正案をいろいろ御説明等を伺ってきたわけでありますが、どうも大変まず痛感するのは、発生者の責任が非常にあいまいになっていくのではないか、こういう懸念なわけであります。これは各委員も共通の懸念を持っておられるようで、本委員会でもそういう論議がさまざま行われているようでありますが、この点についてまずお伺いをしたいというふうに思うのです。  いわゆる有害廃棄物による環境汚染やあるいは健康被害が大変深刻な社会問題になっているわけでありますが、これを抑制して安全を確保していくためには、発生者責任の原則をしっかり確立して、そうして発生者に安全確保や損害賠償の責任を強化して、結局発生者がその有害廃棄物の発生そのものを抑えていく、これが最も全体的に効果的な有害廃棄物を防ぐ考え方ではないか、こういうぐあいに言われているわけでありますが、こういう基本的な考え方というものについては恐らく御異存がないのではないかというふうに思うわけであります。  通常の産業廃棄物の場合は、御案内のように廃棄物処理及び清掃に関する法律第三条「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」こう明記されているわけでありますが、これはやはりすべての廃棄物についての一般的な基本原則というふうに私は思うわけなんですが、原理的には放射性廃棄物の場合も同様のことではないかというふうに思うが、この点についてはいかがですか。
  89. 辻栄一

    辻政府委員 発生者責任の問題につきましては、原子力の分野についても基本的に同様な考え方を持っているわけでございまして、この点につきましては、原子力委員会もこのことを昨年十月の報告書ではっきりと言っておるわけでございます。放射性廃棄物廃棄事業者へ引き渡した後においても、発生者責任の一環として、その処理処分が長期にわたって確実に実施されるよう、電気事業者廃棄事業者に適切な支援を与えていく責任を有しておるというふうにしているところでございまして、私どももこの方針に沿いまして原子力に関する諸般の行政を進めてまいりたい、かように考えております。
  90. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 その廃棄物処理及び清掃に関する法律廃棄物処理法と通常言われているわけでありますが、これの第十条の一項でも「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」こういうぐあいに明確に発生者自体の処理責任の原則というようなものを宣言をしているわけであります。  放射性廃棄物は、これはまた一般の廃棄物よりもっともっと実は安全性について重視をしていかなければならない、こういうものでありますから、したがって、この種の原則というものは基本的にとても重視をしていかなければならないものでないか、こういうぐあいに殊さらに思うわけなんでありますが、この点は御異存ありませんか。
  91. 辻栄一

    辻政府委員 昨年十月の原子力委員会報告書をもう一度リファーされていていただきたいのですが、この報告書におきまして、放射性廃棄物処理処分が適切かつ確実に行われることに関しては、原則的には発生者の責任であるとしつつ、放射性廃棄物安全規制あり方につきましては、専門の廃棄業者が集中的に放射性廃棄物処理処分する場合には、その処理処分を行う者を廃棄事業者として安全確保に関する法律上の責任を負わせることが、安全確保の責任を集中し、確実な処分を行うなどの観点からはより適切である、こういう提言がされておるわけでございまして、今回の法律改正におきまして、放射性廃棄物の発生者たる原子炉設置者すなわち電気事業者は、みずからの発電所内において行います廃棄につきましてはこの法律の第三十五条第一項の基準に従って保安のために必要な措置を講ずるべきことという規定がございます。また、内閣総理大臣の許可を受けました廃棄事業者へ放射性廃棄物を引き渡します場合には、この三十五条第二項に基づきまして、コンクリート固化等安全確保上十分な事前処理を行った後に引き渡すという義務を有することとしておるわけでございまして、このような本改正の厳正な運用と先ほど申し上げました原子力委員会決定に基づきます適切な指導によりまして、放射性廃棄物処理処分に当たり発生者責任の原則をいささかもあいまいにすることのないようにいたしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  92. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 この前のお話にもあったが、三月四日の原子力委員会で特にこの点について決定が行われた。この中で原子力委員会は「放射性廃棄物処理処分が適切かつ確実に行われることに関しては、原則的には、放射性廃棄物の発生者の責任であると考える。」こういうぐあいに言って、「発生者は、放射性廃棄物処理処分に必要な費用を負担することはもちろんのこと、その処理処分が確実に実施されるよう、廃棄事業者に対し適切な支援を与えていくことが重要である。」こういうぐあいに言っているわけですね。特に三月四日に原子力委員会がこのような決定を行った趣旨は、改めて言うまでもないと思うのですね。もちろんこれを軽んじておられるわけではないと思うのですが、私はやはり当然今度の法改正において、そういう発生者の責任原則というようなものを法文に明記すべきじゃないか、これはだれが考えたってそう思うと思うのですよ。そうじゃないですか。
  93. 辻栄一

    辻政府委員 原子炉規制法は、加工事業原子炉の設置、運転、再処理事業等の原子力活動の分野ごとにそれぞれ所要の実体的な規制を行っているわけでございます。今回の改正後におきましては、廃棄事業者が行います廃棄物処理処分についての安全確保責任は当該廃棄事業者が負うということになっておりまして、これにより万全の安全確保を図ることといたしておるわけでございまして、この場合、廃棄事業者へ廃棄物を引き渡した後まで発生者に原子炉規制法上の責任を残すということは、安全確保責任をあいまいにすることにつながるおそれもありまして、適当でないというふうに考えておるわけでございます。昨年十月の原子力委員会及び原子力安全委員会の報告におきましても、法律上の安全確保責任は廃棄事業者に一元的に負わせることが適当であるという旨述べられているところでございます。  我が国原子力利用の推進に当たりましては、原子力基本法の基本方針のもとに、原子力委員会及び原子力安全委員会決定しました基本的な政策に従いましてこれを進めることとしておるわけでございまして、発生者責任の原則もこの原子力政策の基本として位置づけられているものでございまして、我々は三月四日の原子力委員会決定をそのように受けとめております。我が国原子力利用を進めていく上で、廃棄物に関しては従うべき原則となるものであるというふうに考えているわけでございます。
  94. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大事な法案を決めるのですから、なるべく生きた問答といいますか、お互いにちゃんと響き合うような話し合いになるような御答弁をお願い申し上げておきたいというふうに思います。  発生者責任をしっかりしていくということについては異論がないわけですね。そこで、そういうことであれば、これは一番大事なポリシーみたいなものですから、これを法文の中にきちっと位置づけるというのは、そういう思想というものを法案全体について明確にさせる上で大変重要だというふうに私は思うのですよ。入ってないのはおかしいと思うのです。御承知のようにアメリカ放射性廃棄物八二年政策法なんかだって、それはきちっと書かれているわけですね。御存じでしょう。局長どうですか、御存じてしたか。
  95. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  廃棄物最終処分につきましては、アメリカ政策法で国がやるということでDOEが全部引き取る格好になっておりますので、今先生がおっしゃる意味でいわゆる最後最後まで発生者の責任という形ですべてやり遂げるというようになっているとは、私ども必ずしも理解しておりません。
  96. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いやいや、とりあえず答えたからそういうことなのかもしれぬけれども、八二年政策法に発生者責任であるとか、あるいは行政の責任であるとか、こういうことについて書かれているでしょう。そのことを言っているのですよ。明記されているでしょう。御返事は簡単でいいですよ。
  97. 中村守孝

    中村(守)政府委員 いわゆる発生者原則というのは、基本的には費用負担の問題とかいうようなところから発生してきたと思いますが、そういう意味での発生者の責任とかいうことの表現はあるように承知しております。
  98. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 きょうは資料を持ってきてないのかもしれぬけれども、しかし、例えばきょう論議しているテーマというのはまさにそのことなんだから、そのことの多少の資料ぐらいはいつだって手にしていなければ、この委員会に来るのはおかしいですよ。  そこで、僕はやはり法律でそういう点を明記すべきだろうというふうに思うのです。同時に、原子力委員会は「発生者は、放射性廃棄物処理処分に必要な費用を負担することはもちろんのこと、その処理処分が確実に実施されるよう、廃棄事業者に対し適切な支援を与えていくことが重要である。」こう言っている。しかし今度の法律案では、ここで言っている費用負担であるとか、これはもとよりのことと言ってますね、費用負担であるとか、あるいは廃棄事業者に対する発生者側からの適切な支援であるとか、こういうことについて明確にされてないんじゃないですか。
  99. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力委員会がこの法案審議をいたしまして、それについての決定をいたしましたときに原子力委員会としてコメントしてある内容についてのことでございますが、これは発生者責任という非常に広い概念でございます。これは社会的、道義的責任も含めた広い概念での発生者責任という観点に立ってのことでございまして、法律的に課せられた責務だけでなくて、発生者としてのそういう社会的、道義的責任もあるのだから、その廃棄物処理処分が廃棄事業者に移した後も適切かつ確実に行えるように支援をしていくべきである、そういうことが重要ですよということを指摘したものと私ども理解しておるわけでございます。
  100. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いいですか。今度の法律で発生者責任であるということも明記してない。それから、ここで適切な援助をせいというようなことも書いておる。これらについて法文の中に出てこないで、どうやってそういう発生者の責任というものを担保することができるのですか。
  101. 辻栄一

    辻政府委員 ただいまの費用負担の問題その他の問題につきましてはこの法律では書いていないわけでございますが、それは、この法律原子力に関する諸活動についての安全規制規制する法律であるわけでございまして、そういうことから、ただいま申し上げました料金の問題その他については、この法律規制するにはふさわしくない法律であろうかと思っております。こういった問題につきましては、法律で書くということよりは、やはり行政の基本としてこれを位置づけて今後の行政指導に反映させていくということが適当ではないかというふうに考えておりまして、法律規制する必要はないというふうに考えております。  なお、発生者責任の基本原則の問題につきましては、大気汚染の防止であるとか水質汚濁の防止、廃棄物処理処分等の環境保全対策全般に認められるものでございまして、この中にはもちろん原子力に関する環境保全対策も含まれておるわけでございます。この精神につきましては、環境保全の基本法であります公害対策基本法第三条にも規定されているところでございまして、この公害対策基本法第三条は原子力活動に対しても及ぶということでございますので、私ども安全規制をやる原子炉規制法に具体的にこれを書くという性質のものではないというふうに考えております。
  102. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 たまたま今公害対策基本法の問題が出たわけですね。公害対策基本法第八条があるわけでありますが、ここのところでいわゆる放射性物質との関連について述べている。これの趣旨について時々論議が出るわけでありますが、これについて金沢良雄教授が、「注釈公害法大系」の第一巻に出ておるわけですが、こう言っておるわけですね。この第八条というものが設けられた趣旨は、「放射性物質による環境の悪化による公害問題が、根本的に、他の公害と区別されるべきものであるという理由からではなく、ただ、放射性物質による環境の悪化については、原子力基本法をはじめとする上述の関係法律により、厳重に規制されているという事情によるものである。」というようなことをここで説いているところなわけなんです。むしろ、一般の公害廃棄物処理に比べてより厳しい規制というものをこれは要求しているのだというふうにも我々は思うわけなんですが、どうですか。
  103. 辻栄一

    辻政府委員 まさにそのとおりであろうかと思います。  原子力による公害の防止につきましては、一般産業廃棄物より以上の厳しい規制を行っていく必要があるということには、私ども異議を立てないわけでございまして、それでありますからこそ、原子炉規制法におきまして、各事業者の事業活動につきまして、公害を発生しないよう、放射性物質を閉じ込めておくよう、その結果放射性廃棄物がみだりに増大しないよう、個々具体的な規制をこれまで行ってきているわけでございます。これは各事業者に対して、事業許可から、それから検査であるとか、あるいは保安規定を定めてそういったものの管理を義務づけるとか、いろいろな角度の規制により規制を行ってきているわけでございまして、この点は、ほかの一般産業とは大きに異なる状況であろうかと思います。  放射性廃棄物の性状、数量等につきましては明確にこれを把握することができますし、その処理処分が困難となるような廃棄物の発生自体も抑制することができるわけでございます。また、原子炉規制法では、先ほども申し上げましたように、核燃料物質をできるだけ封じ込めることにより放射線による障害を防止することとしておりまして、このことからも、むやみに放射性廃棄物が発生することはそもそもないというのが産業界の実態でございまして、一般の産業廃棄物放射性廃棄物とでは発生状況そのものが異なっておるということから、一般産業廃棄物と同等に論ずることは適当でないと私ども考えておるわけでございます。  ちなみに、先ほどの公害対策基本法第八条につきまして、環境庁の企画調整局の編に成ります逐条解説によりますと、この八条につきましては、原子力事業に関する公害防止の措置のすべてを他の法律にゆだねるという規定ではない。「「放射性物質による」「大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染」の防止のための「措置」についてのみ委ねているのである」。この措置については、先ほど申し上げましたとおり、原子炉規制法措置してあるわけでございます。したがいまして、原子力事業所の騒音や悪臭、放射性物質を含まない下水や排気などに関するものはすべてこの法律の定めるところになることはもちろんでございますし、また、本法に規定する責務など、例えば第三条、先ほどの発生者責任の問題を規定したところでございますけれども、それは防止の措置ではないので、原子力事業についても適用されもということになっておりまして、この公害対策基本法第三条は原子力の分野にも適用される基本的な理念であるというふうに考えておるところでございます。
  104. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 こういう我々の懸念というものが単に我々だけではなくて広く国民共通の非常な不安であるということは、これについての各新聞社の社説等は、いずれも非常にその気持ちを率直に表明をしている社説が多いということでもわかると思うのです。  ちょっと手元にある三つ四つを紹介いたしますと、これは今年三月九日の朝日新聞の社説でありますが、問題は永続性である、廃棄事業者はいわば電力業者から見れば分身であるというようなことを言った後、「電力会社が存続する限り何百年でも永続するものと主張するかもしれない。しかし、国民の側には不安が残る。ごみ発生者である電力会社の責任を国がどう保証するかが信頼のカギになる。」こういうようなことを言っております。  読売新聞は三月十二日、「重要なことは、安全確保についての責任の所在である。改正によって、これまで放射性廃棄物の発生者である電力会社にあった責任が、廃棄事業会社に移る。発生者の責任が免除されていいものだろうか。」こういうことを言って、かつ、原則的には発生者の責任というようなただし書きのようなものを改正案に加えるべきだというような意味のことも述べられているわけです。  三月八日の毎日新聞は、「しかし、発生者の責任をあいまいにしてよいか、放射性廃棄物の安全管理まで下請け化してよいか、という疑問は残る。一般に、核のゴミは最低二百年から三百年、ものによっては数千年の安全管理が必要になる。このような長期にわたる社会的責任を、廃棄業者が担えるものだろうか。 発生者責任の原則にはもとるが、放射性廃棄物のような特殊なゴミの場合、国が廃棄事業を肩代わりして費用を発生者に負担させる方式はとれないものかどうか。」こういう問題提起をして、「廃棄事業あり方を根本から検討してもらいたい。それは大量の核のゴミを残す我々の、子孫に対する責任でもあろう。」全くそうだというふうに僕も思うのです。  日本経済新聞は三月七日、「原子力委員会が四日の決定で注文をつけたように、発生者責任の原則がないがしろにされてはならない。」こういうぐあいに述べて、「その点、現行の廃棄物処理法にさえ存在する発生者責任の規定が今回の法案に欠けているのは不十分である。」日経なんというのは割合に原子力産業、原子力行政には理解のある、皆さんには理解のある新聞だと僕は思うのですが、しかし、こうやって各新聞の世論がこぞって今回の法改正に対する疑問というものを強く述べているわけであります。  この際、そういう意味からいうと、やはりこういう世論に謙虚に耳を傾けていただいて、そうして原子力委員会のさっきの決定というようなものもしっかり受け入れて、せめて改正案に発生者の責任の原則を明確にして、あるいは費用負担、適切な支援についても法制度上これを明確にしておくことが最低限必要なことではないかと僕は思うが、大臣、いかがですか。
  105. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先生が引用しておられる原子力委員会決定ですね、三月四日でございましたか、その原子力委員会決定は、まず前段で最近の事情を述べて、こういう状況であるから原子炉規制法の一部改正を行うことは適当だということを述べているわけでございます。それで、原子力委員会にはいわゆる原子炉規制に関する法律等の一部を改正する法律案考え方説明をさせていただきまして、こうした考え方に対して原子力委員会は、適当だろうと考えるとまず述べられて、しかし、そういう法律は適当ではあるけれども、発生者の責任というものがそれによってないがしろに、あいまいにならないようにしなければならない、発生者の責任というものはきちんとあるということをはっきりさせておかなければいけないよ、こういうことをその後段で述べておられるわけでございます。  こうした原子力委員会決定等もございまして、今先生が御披露になりました新聞の世論といいますか、論説、社説といいますか、これがいろいろこれについて意見を述べてくれております。今先生は朝日、毎日、読売、日経まで御紹介になりましたけれども、サンケイ新聞の論説はまた違った角度から述べておられますし、毎日新聞の社説も今御披露になりましたけれども、これは他の朝日、読売などとは少し切り口の違った、つまりこれは発生者がやらぬでもいいが国がやったらどうだ、こういう一つの提案と申しますか、ちょっと異った切り口で意見を述べておられるわけでございます。そうしたことを、私どもは確かにおっしゃるように謙虚に聞くべきところは聞かなければいかぬ、こう考えておりまして、つまり後世までこうした問題を残すわけでございますから、そうしたことがきちんと行えるように万全の行政的な指導を行っていかなければならぬと思っておりましたが、その社説が出た一週間ほど後でございましたか、いわゆる電事連の会長から自分たちも発生者の責任というものをないがしろにするつもりはないという決意の表明などもございまして、私もこうした決意の表明は極めて結構なことだと思っている次第でございます。  少し話が長くなって恐縮でございますが、法案に明示してないじゃないか、法律にはっきり書いた方がいいではないか、こういう御意見は一つの御意見としてお伺いをいたしますが、法律のつくり方など原子力委員会にも説明をして、原子力委員会からは一応理解をいただいておるということもございますので、この法律はこの法律としてお認めをいただいて、政策上、行政上こうした発生者の責任というものをあいまいにしないできちんとしていくというやり方をとりたい。なお、私の説明が少し前後して恐縮でございますが、私どもはこの法律の中にも発生者の責任というものをきちんと書いてあるというふうに考えておることもぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  106. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 何せ私どもは、私なんかは非常に残念に思うところでありますが、ともかくも何万年も我々の子孫に核廃棄物を残さなければならぬという現実に立っているわけですね。そういうことを考えると、やはり我々としては将来の我々の子孫に最大限、今日生きる者としての任務を明確にしていかなければいかぬと思うのです。これはちょっとそこまで法律に入れることはどうかなと思うようなこともきちんと入れて、それぞれの責任の区分というようなものを明確にしていくべきではないか。事柄の性質上そういう責任がある。どうも私はそういう面からいうと、今の御答弁はいま一つですね。そういう御配慮が十分あるようには承れるのだが、御決断をひとつ期待したい、こういうふうに思うところであります。今の御提示いただいているものは、そういう点で非常に大事なところで欠けている。何としてもそういう点、今御指摘したような点について改めてほしいということを強く御要請申し上げておきたいと思います。  それで、ちょっと中身について二、三お聞きしておきたいと思うのです。  今度の法案要綱の中で、これは従前ある言葉らしいのだけれども、我々としてはどうも珍しい言葉だな、通常我々が話しなれていた言葉とは違うものが出てきたなという感じのものが、保管廃棄という言葉なんですね。この保管廃棄というものの概念といいますか、それをまずちょっとお伺いしたいと思います。
  107. 辻栄一

    辻政府委員 保管廃棄と申しますのは、この法律の現行の法律に関連する総理府令においても用いられている言葉でございますが、廃棄の一過程といたしまして、核燃料物質または核燃料物質によって汚染されたものを、最終的な処分がなされるまでの間、放射線障害防止のための措置を講じつつ管理するということを指しているものでございます。具体的に申し上げますと、原子力発電所で現在低レベル廃棄物がドラム缶におさめられまして、それが廃棄施設の中に保管されておるわけでございますが、これは将来本格処分をするまでの間のものでございまして、こういったようなものを保管廃棄という言葉で呼んでいるわけでございます。
  108. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 私どもが通常今まで皆さんとこの委員会でもやりとりしているときの言い方としては、一時貯蔵ですね。一時貯蔵というのはやはりきちんとした術語というか何というか、それなりのものとして定着しているわけですね、普通の貯蔵ではありませんし。それで、どうも一時貯蔵というようなものと同じなのかな、どこか違うのかなというふうにも思うのですが、これはどうなんですか。
  109. 辻栄一

    辻政府委員 御指摘のような一時貯蔵、また具体的に定義がどうだこうだとやかましいことは言っても仕方がないと思いますけれども、一般的な用例で使われています一時貯蔵とここで申します保管廃棄とはほぼ同等の意味というふうに私は考えております。
  110. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それにしては、廃棄という言葉が何でつくのかなと思うのですよ。保管廃棄、これは世の中の人が普通に聞きましたら、保管することが廃棄といいますか、保管しつつ廃棄といいますか、何となくそういう感じですね。それならば貯蔵だとか保管だとかということで済むのではないですか。どうなんですか。
  111. 辻栄一

    辻政府委員 この法律におきまして廃棄というものの概念は、これからこのものを廃棄しようと思いましていろいろ廃棄に適するような処理をいたすわけでございますが、そこから廃棄という言葉を使っておるわけでございます。途中の、先生がおっしゃいました一時保管ですか一時貯蔵ですか、そういう時期も先ほど申し上げましたように原子力発電所の中であるわけでございますが、これも廃棄の一環であるという意味合いを込めまして保管廃棄という言葉を使わせていただいておるわけでございます。
  112. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうしたら、今の話からいうと、例えば再処理工場で高レベル放射性廃液が出てくる、その廃液をガラス固化するわけですね。そのガラス固化するシステムも保管廃棄ですか。
  113. 辻栄一

    辻政府委員 ガラス固化する作業工程そのものは、保管廃棄というよりは処理という概念でとらえておりまして、でき上がったガラス固化体を再処理工場の中で保管しておく、管理しておくという状態を保管廃棄というふうに私ども考えております。
  114. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それはちょっとわからないですね。だって、お話がさっきのお話とまたちょっと違ってきたのではないですか。廃液が出る、いいですか、この廃液を廃棄処分しやすいようにそこでガラス固化するわけでしょう。だったら、これはどうなんですか、保管廃棄一つではないですか。
  115. 辻栄一

    辻政府委員 これはいわゆるどろどろの廃液がタンクの中に入っているわけですが、それをガラス固化体の中に閉じ込めるという一つのプロセスでございますので、私どもはこれを処理というふうに考えておるわけでございまして、でき上がったものを貯蔵しておくことを保管廃棄というふうにとらえておるわけでございます。
  116. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今の答弁でいいですか。
  117. 辻栄一

    辻政府委員 やや言葉が足りないのかもしれませんが、この廃棄物を固形化するプロセス、これも廃棄の一環でございますので、補足させていただきます。
  118. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 局長もそうだけれども、後ろの人もそうだぞ。やはりもっとちゃんと物の理解を統一できるように。日本の核の安全規制というものはあなた方がやるのだからね。今のようなことだって、今法律改正で具体的に大きな問題なんだけれども、聞いてみると何だか全然わからぬ。あのガラス固化するところがそういうことであるかないかということで、廃棄事業者がそれを行うか行わないかということになるわけでしょう。それは違うの。
  119. 辻栄一

    辻政府委員 再処理工場におきまして廃棄物を固化体にするまでの作業につきましては、これは廃棄事業の一環としてとらえる場合には廃棄事業の一環でとらえるわけでございますが、これを単独の事業として処理する事業が将来出てきました場合は、今回の法律改正によりまして処理というものが出てまいりますので、その規定により事業化することができるということでございます。
  120. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ちょっと委員長、お聞きになっていてもおわかりにならないと思います。全く理解できないですよ、何を言っているのだか。
  121. 辻栄一

    辻政府委員 私は今、言葉遣いを間違ったようでございます。  再処理事業の一環としてやる場合には、再処理事業内における処理でございますから、その廃棄の一環の処理でございます。これを単独の事業としている場合には、廃棄物の管理事業の中における処理ということでとらえておるわけでございます。
  122. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これを単独の事業としてやるという場合は、どういうことなんですか。それはどういうことなんですか、もうちょっと言ってください。
  123. 辻栄一

    辻政府委員 これはまだ具体的にプロジェクト化されているわけではございませんけれども、この廃液を固化するための作業を再処理事業とは別に独立して、仮に別の事業所においてその処理のみを事業としてやろうというような場合には、それを廃棄事業としてとらえていこうということでございます。
  124. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは僕はやはりおかしいと思うよ。やる仕事は一つだわね。それは、再処理工場から高レベルの廃液が出る、その廃液をガラス固化する、こういうことだね。この仕事というものは、あなた、何も変わるわけじゃないわけですよ。それを、そこのところから先は、つまり廃液が出て固化プラントのところに行く、そこから先はうちの会社でやります、こうしたときにはこれは単独の廃棄事業である、それから、ガラス固化が終わるところまでは再処理工場としてやるということになればそれは再処理の中に入る、そんな解釈が法律でありますか。おかしいですよ、それは。もうちょっと御検討をして後で御返事いただけますか。
  125. 辻栄一

    辻政府委員 私どもは一向におかしいと思っていないわけでございまして、昨年十月の原子力委員会の報告書におきまして、放射性廃棄物処理処分を本来の原子力事業から独立した業務とすることができる場合にはこれを廃棄事業として位置づけることがより適当であるという考え方を示しているわけでございまして、今回の改正案におきましては、原子炉等の本体設備の附属設備たる原子炉施設等において行う廃棄に限りまして、廃棄事業規制の対象となる廃棄から除外することとしたわけでございます。したがって、御指摘の独立した業務がどうかにつきましては、改正法上はこの処理が附属施設で行われる廃棄であるかどうかというメルクマールにより判断することになるわけでございます。
  126. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 よし、わかった。それじゃ、附属施設としてガラス固化になったものを一時貯蔵を行うという場合には、これは保管廃棄じゃないですね。そういうことになるでしょう、あなたの解釈なら。附属すればいいのでしょう。
  127. 辻栄一

    辻政府委員 おっしゃるようなケースの場合で再処理施設の附属施設で保管廃棄する場合には、私ども保管廃棄としてとらえることを考えております。
  128. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうすると、六ケ所村に再処理工場をつくろうというわけですね、第二再処理工場。この六ケ所村の第二再処理工場から廃液が出る。固化プラントができる。今度の場合にはその敷地内に一時貯蔵施設、従前我々が言っている三十年ないし五十年の保管、これも同一サイト内につくると言っているのですから、ここまでは再処理工場の仕事と考えるのですね。いいですね。一
  129. 辻栄一

    辻政府委員 再処理工場から出る廃棄物をガラス固化いたしまして自分の附属施設でやる限りにおきましては、御指摘のとおりでよろしいかと思います。
  130. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 自分の施設……。だから、いいですか、自分のサイト内に、東海村の場合はそうじゃないのですが、今度の六ケ所村の場合には再処理工場とガラス固化プラント、それから三十年ないし五十年の一時貯蔵施設、これを隣接して一体的に設けよう、こういうことになっているわけだ。これの三十年ないし五十年の貯蔵施設というのは保管廃棄ではない。したがってこれは廃棄事業者がやる仕事ではない、こう考えていいのですね。
  131. 辻栄一

    辻政府委員 再処理工場が自分でつくりました廃棄物を固化いたしまして、これを自分の施設内に保管していくことは保管廃棄であるというふうに考えております。
  132. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いいですか。三十年ないし五十年ですよ。私が言っているように三十年ないし五十年貯蔵施設に置くわけだ。これは廃棄事業者がやるのじゃなくて、再処理事業者がその三十年ないし五十年貯蔵もみずからやるのだ、こういうことだね。もう一遍確認しておきますから。
  133. 辻栄一

    辻政府委員 そのような場合もあります。
  134. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 だから今、場合もあると言うけれども、例えば東海村の場合でも、ほんのちっちゃな、それこそ一時的な保管庫のようなものを持ちますね。これはもう全くそれに附属しているものですね。ガラス固化に附属しているものだ。そのことを言うのじゃないですよ。さっきから言っているように、三十年ないし五十年と言っているのですから、何遍も何遍も。三十年ないし五十年の一時貯蔵施設。だから、あそこはガラス固化体にして何千本でしたか、もっと多いのですか、その貯蔵施設を同一サイト内につくるわけですよ。これのことを言っているのです。さっきから何遍も言っているから、そういうこともありますではなくて。
  135. 辻栄一

    辻政府委員 再処理工場が自分のところで再処理したガラス固化体を自分の保管施設で保管しておくという場合には、二十年、三十年の保管につきましても再処理事業の附属施設における保管廃棄という考え方でいこうと思うのでございます。  先生の御質問は、恐らく返還廃棄物のことをおっしゃっているのではないでしょうか。(「そこまでいかないよ」と呼ぶ者あり)そこまでいかないのであれば、再処理事業者が自分でこれをやるということであれば、それは再処理事業者の附属的な事業として保管廃棄としてとらえて規制をするわけでございます。
  136. 中村守孝

    中村(守)政府委員 ちょっと議論の過程においてお互いに誤解があるようでございますので、補足させていただきます。  東海村の再処理工場の例で申し上げますと、現在そこで出ました廃液はタンクの中にためてございます。これも相当な量のタンクでございます。これは現行法で廃棄施設として取り扱われているものでございます。これも事業所内の廃棄でございます。これも最終的な処分じゃございませんので、そういう意味で保管廃棄でございます。この後、動燃の再処理工場の中にガラス固化体のプラントをつくります。これも廃棄施設として廃棄物をさらに廃棄しやすい、保管しやすい形のガラス固化にかえる施設でございますが、これも廃棄施設でございます。その後に、これも動燃の場合、場所がございませんので、これこそ本当の一時的になりますが、二年になるか三年になるか、その程度のガラス固化体の貯蔵庫をつくります。これも廃棄施設でございます。今度この事業所の、東海事業所とは別のところに新たに廃棄施設をつくってそこに保管をするという場合は今度の廃棄事業として適用を受けるわけでございまして、その後、動燃事業団が別な廃棄事業者として、再処理事業者としてではなくて廃棄事業者として新たな地点において許可を受ける、こういう形になるわけでございます。
  137. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 余りこればかりかかっておられませんから、ちょっと話を進めていきたいと思います。  六ケ所村で、今もちょっと話題に出たけれども、海外から返還廃棄物が来る。それもあそこで、今のお話でいくと保管廃棄していくということになるわけですね。これはどうなんですか。お聞きしますと、返還廃棄物の仕様を八二年までに向こう側から示してくるということになっていたのがどうもまだ来ないというようなお話も聞くのですが、これはなぜそういうことになっているのですか。
  138. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、契約上から申しますと一九八二年の一月一日までに廃棄物の仕様を提示するよう努力するという決めがございます。返還は一九九〇年ごろから返還する、したがってできるだけ前広に提示をするよ、それで承認を求めるよ、こういうことでございまして、努力すると決められているわけでございますが、現在までのところ、まだそういう具体的な提示がございません。その事情については私どももつまびらかにしてございませんし、余り早く返ってきてもらうことは、必ずしも私ども積極的にする必要もございませんので、あえてその理由等を問い合わせてはおりません。
  139. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 早く返ってこない方がいいというのもわからぬものでもないですが、しかし御存じのように、あれは保管料がかかるのですよ。局長、わかっていますか。保管料がかかるのですよ、あれは。それから御承知のように、向こうのそういう施設については前渡金がこっちから出ていまして、この金利は膨大なものなんですよ。だから、そんなこともあわせて御留意いただいておいた方がいいと思いますよ。  どんな事情だかつまびらかでないというんだからしようがないようなものだけれども、八二年からもう四年ですから、ちょっとつまびらかにしておいた方がいいのではないですかね。またこの次にでも聞かせていただきますので、調べておいていただきたいというふうに思います。  そこで、戻ってくるのは高レベルのガラス固化体もそうだけれども、やはり量の多いのはTRUでしょうね、厄介なのは。これはどんな格好で来るのですか。
  140. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  先ほどのガラス固化体の仕様が提示されてないということと同様でございまして、TRUもどういう形態で返ってくるかということについてはまだ具体的な明示はございませんが、アスファルト固化体あるいはセメント固化体、こういう形で返ってくるものと理解いたしております。
  141. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そこでちょっとどうなのかなと思うのは、返還廃棄物のそういう格好が見えてこない。見えてこないでそれの保管を安全にどういうぐあいな施設をすることになるのか、これはちょっと納得がいかないですよ。それはやはり、例えばガラス固化体であれば固化体の状況や、あるいはキャニスターの状況や、そんなことが明らかにならない限り保管上問題でしょう。殊にTRUのごときは、これはちっとも見当がつかない。その辺が明らかでないのに、あそこにどんなような設計でどんなものをつくろうとするのですか。その辺が私はどうもちょっと不思議なことだなと思うということを御指摘をしておきたいと思います。  これもまた御検討中のことであろうと思いますが、今こういうぐあいに廃棄物に関して廃棄事業者を設けてこういうシステムでいこうということになったのだから、やはりこれも今十分なお返事をいただこうとは思わないが、強く留意を求める意味で一応お聞きしておきますが、費用の問題ですね。保管廃棄をするというのには当然費用がかかる。あるいは、殊に高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体なんかの場合、三十年ないし五十年たって、相当な体制でこれを貯蔵しなければいかぬということになるわけですから、かなりなものになる。それが終わったら、今度は数万年と言われる深地層処分をしなければならぬ。これらを通じての廃棄費用というものは膨大なものです。どういうぐあいにこの費用を徴してそのシステムをつくっていくか。あるいは一般の電気消費者からいうと、それが一体電気料にどういうぐあいにかかわってくるんだということになるわけでしょう。だからこういうようなことについて、例えばアメリカやヨーロッパの数カ国も基金制度などというシステムがある。さまざまなことがあろうと思うし、皆さんの方も既に廃棄の問題がここまで来ている以上は相当な議論が内部ではあろうと思うのだが、やや大づかみの粗筋だけでも、結論は出ていないなら、つまりこんなことを検討しているということがあればちょっとお知らせいただきたいと思います。
  142. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  費用負担につきましては、まさしく発生者責任のことでございます。発生者負担という原則でその費用を負担していただくわけでございますが、その費用につきましては、具体的に今低レベル廃棄物の最終貯蔵を行うという、今度の改正法で新しい事業所ができた場合に、その料金をどうするかということにつきましては、一括してもらうのがいいのか、あるいは、先が長いわけでございますので要るごとに応じてもらっていくのか、そこら辺のやり方はいろいろ当事者間の問題としてあろうかと思います。  いずれにいたしましても電気事業者が負担をするわけでございまして、その負担のもとは電気料金という形になるわけでございます。そうしますと、例えば一括で今払えば、いわば今の原子力発電の恩恵に浴している人が直接負担するということでいいのかもしれませんが、分割して、実際に要るお金は先々になりますので、出るお金は先になっていく、そういう意味では一遍に出るわけではございませんので、そういう世代間の公平を保つような負担のあり方検討しなければいけないのじゃないかということで、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会においてもそういった点について早急に検討をすべきであるというふうに言葉では言っておるわけですが、具体的にそれを基金制度にするのか、あるいは電気事業者の中の電気料金の形での積立金制度という形にするのか、それは電気料金との兼ね合いもいろいろございますので、私どもで今直ちにこうだということをなかなか決めがたい、通産省等を中心にいたしましてこの体制を検討をしていくということで、お互いに今通産省とも連絡をとり合いながら進めていくところでございます。
  143. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今度の対象にしているのは核燃料物質及び核燃料物質で汚染された物、大体こんなことですか。この核燃料物質で汚染された物というのはわかりやすいのですが、核燃料物質そのものというのはどういうものですか、廃棄の対象となっておるのは。
  144. 辻栄一

    辻政府委員 具体的に最も典型的なものといたしましては、これはまだ具体的な計画があるわけではございませんが、使用済み燃料を再処理しないでそのまま廃棄しようというようなプロジェクトが仮にあったとすれば、そういったものはこれに当たると考えます。
  145. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは改めて少し議論をしたいところでありますが、一体再処理をしてやっていくのがいいのか、あるいは使用済み燃料のままアメリカのように貯蔵していく、あるいは廃棄をしていくのが適当かということは、大きな議論になるところであろうと思います。しかし、使用済み燃料のまま廃棄ないし長期貯蔵等についての方針が今ないというのはわかっています。そういう検討といいますか、議論もあるということですか。
  146. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  使用済み燃料のまますぐに処分してしまおうという考え方は、アメリカとかスウェーデンとかいう国にあるわけでございますが、我が国は、先生今おっしゃいましたように、現在は再処理を原則とするという立場に立ってやっておるわけです。ただ、長期的に考えた場合、何でもかんでも強引に再処理をやっていくかどうかということでは必ずしもないのだろうと思いますが、そこら辺については、まだ原子力委員会等の公的な機関で議論を始めるというところまでは至っておりません。いろいろと関係者の間ではそういうことが話題になってきているということだけは事実でございます。
  147. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうらしいですね。そこで、私は自分が間違っているのか、理解が不十分なのかもしれぬけれども一つの例として使用済み燃料を入れる場合を想定しているということであれば、事業許可の要件として平和利用の担保が条文上必要なんじゃないですか。
  148. 辻栄一

    辻政府委員 非常に仮定の場合でございまして、具体的にそういうプロジェクトがないわけでございますが、仮に使用済み燃料を保管しておくという場合でも、ここでは廃棄するために保管するということをやる場合には廃棄事業でとらえるわけでございますから、使用済み燃料廃棄するということが軍事利用に当たるケースがあるかどうかということを考えますと、これはないと思います。したがいまして、平和利用条項を特段これに入れる必要はないというふうに考えております。
  149. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それはおかしいのじゃないですか。今の御答弁でいいですか。それは入れないで出しているのだから、仰せのとおりですということにはならぬだろうけれども、僕はおかしいと思いますよ。使用済み燃料というのは、御案内のように、必要があればプルトニウムを抽出して原爆の材料にだってなるわけですから、やはりこの種のものと弘つのは廃棄を目的にしたって、その物自身はそこにあるわけですから、業者は平和利用についてのしっかりした定めというものがなされていなければうまくないのではないですか。それが要らないというのですか。
  150. 辻栄一

    辻政府委員 御設定の場合は、あくまでも使用済み燃料を捨てるという前提で保管しているわけでございますから、そういう使用済み燃料を捨てるという概念の中には軍事利用は全く含まれない。もしそういうものを軍事利用に使うためにということであれば、再処理をしなければならない。軍事利用に使用ということであれば、プルトニウムを抽出して再処理をしなければならないわけでございますから、再処理事業許可をとらなければこの再処理は行えないわけでございます。再処理の方には平和利用がかかっているわけでございまして、その点からも廃棄事業に平和利用を規定する必要は私はないと考えておるわけでございます。一なお、中にありますプルトニウムあるいはウラン等につきましては、御承知のように保障措置はかかるわけでございますので、そういうものの移転等につきましてはこの法律によりまして、別途の規定でございますけれども、それで厳重な管理が行われることには相なります。
  151. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それはあなた、保障措置がとられるからと言うけれども、国際的なそういう中でも、やはり平和利用なんというものはきちんとしておいた方がいいのじゃないですか。捨てるのだからといったって、バケツでそこら辺にまくのじゃないですよ。これも余り時間がないから、よく検討してもらわなければいかぬし、今のような返事では納得がいかないです。  そこで、あと残った時間で、せっかく植松さんが来ておられるので、きょうも少しお聞きさせていただきたいと思います。きょうは理事長さんは結構でございます。  それで、植松さんが北海道議会に五十九年十月、例のエネルギー問題調査特別委員会に行っていろいろ御説明なされた。あのときにこうおっしゃっているのですね。これはそのときの会議要録でありますが、道議会議員の神戸委員がこういう質問をしています。「貯蔵工学センターの計画において貯蔵されるガラス固化体は、動燃の研究施設で発生したものだけであるのか、あるいはまた、電気事業者の要請があれば英仏から返還されるもの、あるいはまた、国内の再処理工場からの固化体なども貯蔵の対象として考えているのか、お尋ねをしたいと思います。」これに対して植松理事さんは「御質問の趣旨にお答えいたしますが、いま現在、動燃が考えておりまして、けさほど御説明いたしました内容は、動燃から発生します廃棄物、固化体を対象にいたしております、しかしながら、御質問がございましたように、電気事業者その他から要請があれば、これは直接要請があるんではなくて、国の方に対して要請があると思いますが、国の方から動燃に対して御指示があれば、その点について国と協議の上、受け入れについても検討すべきかというふうに考えております。」つまり動燃の東海村から出るものだけでなくて、返還物等も含めて要請があれば検討すべきでないか。これはちょっと大変なんですよ。どうなんですか。
  152. 植松邦彦

    ○植松参考人 ただいま五十嵐先生がお読み上げになりました議事録はそのとおりの発言でございまして、動燃で計画しております幌延貯蔵工学センターに持っていきます廃棄物は、動燃が発生させるものに限っておるわけでございますけれども、動燃も国の指示を受けてやっておる仕事でございますので、国からそういうふうにやりなさいという御指示があれば、当然これは検討すべきものであるというふうに考えましたので、そのようにお答えをしたわけでございます。
  153. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今はそうなっているが、将来国から要請があるというような場合にはそういうこともあり得るということですね。念のためにそこのところだけでいいです。確認だけ。
  154. 植松邦彦

    ○植松参考人 今御答弁申し上げましたように、動燃が勝手に決めるわけではございませんで、国からこうやりなさいという御指示がありましたら、その点で考えさせていただくということになると思います。
  155. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大変僕は重大な御発言であるというふうに思います。しかし、これは改めてまた議論いたしましょう。  それでもう一つ、これはやはり植松さんにお聞きしたいのですが、国もそういう方針で、それで実際の仕事は動燃がやっておられるわけでありましょうが、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の深地層処分について、その処分の開発研究といいますか、そんなことを今までやってきておられるし、これからのスケジュールもあるわけです。これは以前五段階になっておりましたのが四段階に改まったわけでありますが、そのうちの最初の段階、これはたしか有効な地層の調査という段階であったと思うのですが、これが五十九年まで行われて、有効な地層の選定が五十九年で終了した。そして今第二段階に入っているわけですね。第二段階は処分候補地の選定という段階に入ってきているわけですが、第一段階で有効な地層の調査の結果あるいは調査状況、これをちょっとお話ししていただきたいと思います。
  156. 植松邦彦

    ○植松参考人 お答え申し上げます。  五十九年度末までかけまして、御指摘のような処分に関する有効な地層の調査ということを行いました。その結果については動燃で一応取りまとめをいたしまして、その上で原子力委員会の専門部会に御報告をいたしております。
  157. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 何カ所くらい調べたのですか。
  158. 植松邦彦

    ○植松参考人 お答え申し上げます。  有効な地層の調査ということで、具体的に内容は非常にいろいろ可能性のあるところを調べてみるということでございますので、これはどちらかといいますと、文献上日本国じゅうありとあらゆるところをすべて調べさせていただいたというのが内容でございます。
  159. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 すべてと言ったって、しかしもちろん一定のところ、有効な地層の調査に必要な地区を選定しながらお調べになったというふうに思うのですが、もうちょっときちんと報告してくださいよ。
  160. 植松邦彦

    ○植松参考人 これは必ずしも五十嵐先生指摘のようなやり方をやったわけではありませんで、日本の国として考えられる代表的な岩種というのを選びました。その中身を申し上げますと、例えば花崗岩類、それから輝緑岩、古第三紀以前の泥質岩、石灰岩、新第三紀の泥質岩、凝灰岩、結晶片岩、こういうようなものがございます。こういった七種類の岩石が比較的日本では多い代表的な岩種であると考えられますので、文献の上においてこのような岩種が分布しておるところ、こういったところを地図の上ですべて調べたというところでございます。どこの場所をということではございません。
  161. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 委員長に要求したいと思うのですが、やはり調査出してください。去年の九月にアメリカのワシントン州パスコでアメリカ原子力学会、ANSとアメリカエネルギー省、DOEの共催で高レベル放射性廃棄物処分技術の現状と展望というのをテーマとする国際会議が開かれた。我が国も、日本原子力産業会議がこれに参加するため調査団を編成して派遣された。植松さんも行かれたわけであります。この会議で、植松さんから日本の高レベル廃棄物処分計画の現状が報告をされている。その中で今のお話の点は、地層のその研究は一九八四年に終了した、そのとおりでしょうね。およそ三十地区で地層研究を行った、こうなっているのですよ。私は、そのときの調査団の報告書を持っています。  我々は今非常に重大なこういう問題を論議していくわけでありますから、この前も大臣にも皆さんにもお願いしたのですが、必要な資料というものは十分に出してもらいながら、我々もそのことをよく踏まえて、共通の認識の上で議論を展開できるようにしていくことが好ましいと思う。しかし、どうもこういうことではうまくないですね。大分前ですけれども、この四段階、当時は五段階ですか、このシステムについての議論をしたときにも、第一段階調査が終わればぜひひとつ教えてほしい、そういう点についてはまだ検討したいというようなことでもあったと思うのですが、そういうことは率直に我々に報告してもらわなければうまくないと思います。委員長、これは報告書を出してもらわなければいかぬと思いますね。
  162. 植松邦彦

    ○植松参考人 ただいま五十嵐先生指摘になりましたパスコにおきますアメリカ原子力学会とアメリカエネルギー省のセミナーでございますが、実は残念ながら私はその会議には参加いたしておりませんで、ほかの者が参加をいたしました。したがいまして、セミナーそのものについて十分理解をしておるわけではございませんが、ただ論文だけは私が書きまして、ほかの者が代読をしたことになっておると思います。その資料につきましては、もう一度よく検討させていただきたいというふうに考えております。
  163. 大久保直彦

    大久保委員長 ということは、日本高レベル処理計画の現状についてという報告を提出いただけるということですか、その論文を。
  164. 植松邦彦

    ○植松参考人 もちみんセミナーで発表しました論文でございますので、全く公開の資料でございますので、必要でございますればこの論文を差し上げることにはやぶさかでないというふうに考えております。
  165. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 全然違うのです。その報告書にも書いてあるのだから、したがって地層処分の四段階における一段階目の有効な地層の調査調査経過、結果について報告をしてほしい、当然ではないかということなんでございます。
  166. 植松邦彦

    ○植松参考人 動燃が作成いたしました報告書はまことに大部でございます。その上、この資料原子力委員会の専門部会に御報告するために作成をしたものでございまして、その資料提出につきましては、提出いたしました先である原子力委員会の専門部会とも相談をさせていただいた上で、国の機関とも相談させていただいた上で考えさせていただきます。
  167. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これはもう廃棄物の問題を議論する上ではまことに基本的な、必要な報告であって、どうもこういうことでは私ども議論の上で非常に困るわけであります。ちょっとこれは議論の上では困りますな。
  168. 植松邦彦

    ○植松参考人 私どもでつくりました資料につきましては、動燃で全く自由にできるわけでもございませんので、指導官庁である各関係の官庁ともよく御相談をした上で、御提出できるものなら御提出するようにさせていただきます。
  169. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それでは、質問をここで留保させていただきたい、このように思います。
  170. 大久保直彦

    大久保委員長 資料を請求いただきましても、持ち時間はあと三分でございますが、三分の留保でよろしいでしょうか。
  171. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは見せていただいて、私もかなり重要な内容だと思いますので、できれば委員長の方でお取り計らいの上で、若干のお時間をお願いできればありがたいと思います。
  172. 大久保直彦

    大久保委員長 原則的に三分間留保いたします。あと、延長その他は党内で御検討願いたいと思います。
  173. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ありがとうございました。
  174. 大久保直彦

  175. 山原健二郎

    ○山原委員 資料提出で随分科学技術庁、また関係参考人の方は渋っておられますね。     〔委員長退席、矢追委員長代理着席〕 けさもアメリカの核廃棄物政策法出しなさいということに対して、日本語訳があるとかないとかいうことを言われまして、私も昨年十一月に幌延の問題を取り上げましたときに、この資料質問したのですよね。そうしたら中村局長はどう答えたかというと、持ち合わせてないから出せないということだったのです。ところが帰ってちょっと調べてみますと、一昨年八月一日、これは対馬議員に対してお答えになっていますね。対馬議員がアメリカ放射性廃棄物政策法をずっと細かく尋ねているのですね。九つの段階に分けて細かいものが出ていると具体的にお聞きになりますと、中村さんはこう答えているのです。「今御指摘のとおりであります。」知っておられるわけでしょう。そういうのをなぜ積極的に出してこの法案審議協力しないのか、私は非常に不誠実な態度だと思ったのですが、この点釈明できますか。
  176. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  そういった資料、当時私が申し上げたときには、私も見ておりませんのでそう申し上げたことだと思いますが、けさほど来のお話で、何分にも資料は英文のままでございまして膨大なものでございますので、私ども特にそれを翻訳してどうこうということをしておりませんし、翻訳をしてそれでまた印刷してここに大部のものをお出しするということにつきましては、いろいろ経費の問題その他も、非常につまらぬことを言って申しわけございませんが、国もそういった庁費関係が非常に厳しいものでございますので、難しい事情にもございますし、必要な箇所等がございますればその部分を抜き刷りするなりなんなりあれでございますが、そういう意味でお答え申し上げました。原産会議の方にある要約等につきましての先ほどの先生からの御指示でございますので、そういったものにつきましては取り寄せられる範囲内でお届けすると申し上げた次第でございます。
  177. 山原健二郎

    ○山原委員 これにこだわっていると時間がたちますが、本当に法案審議をやるときにはあらゆるものを準備してどこもやっているわけです。そして私に対しては十一月に、持ち合わせがないから提出もできない、こうおっしゃって、その以前に八月の段階で詳しくこの中身を質問すると、そのとおりでございますというようなことで、きょうもやはり知っておられるわけですね。そして、その中身の重要な部分についてはもちろん御存じなわけですからね。だからそんなことについてはやはり十分準備をしないと、法案審議というのは、これは国会にとっては一遍決めてしまえばもうもとへ戻らないものですからね。そのことを最初に申し上げたいと思うのです。  それからもう一つ、八木先生には大変申しわけありませんが、先生の一昨日の質問の中でメモを要求されまして、メモが出ておるわけですね。これを見ましても、何一つ肝心のことには答えていない中身なんですよね。だから結局、本改正案が対象とする埋設可能な放射性廃棄物の実体的定義はこれではわからないわけですね。上限値もあるいは無拘束限界値も不明でしょう。そして現在安全委員会検討中だ、こうおっしゃるわけですが、この法律の最も肝心な部分、これがいわゆる実体的な定義だと思うのですよね。それを政令に委任していく。政令に委任していくだけではなくて、どういう数字が盛り込まれるのかさえ白紙である。こういう最も重要な事項が全くやみの中でこの法案審議されようとしている。法の枠組みだけをつくれといって、そしてその後でどういうふうに決まるかわからぬ。一番肝心の部分、国会としてそれに責任が持てるのか、国会として国民に責任が持てるのかということを考えますと、こういう状態でこの法案審議していいのかどうか、全くやりきれない思いでずっと質疑を聞いているのが現状でございます。これについて明確な態度をしていただかないと困るのです。いかがでしょうか。
  178. 辻栄一

    辻政府委員 現段階で御指摘のような具体的な数字を定める段階にまで至っていないということは、先日来るる御説明いたしましたとおりでございます。今回の改正法案におきまして政令、府令等に委任されます事項は、手続を規定するもののほか技術基準を定めるものなどでございます。技術基準に関しましては、科学的な見地に立った極めて専門的な検討を十分に行った上で客観的に定められるべきものであるところから、政令、府令によってこれを定めることとしたものでございます。政府としては、これらの技術基準の制定に当たりましては原子力安全委員会、放射線審議会等に御意見を伺いつつ、慎重に検討を進め、安全性の確保に万全を期していく所存でございます。  御指摘のように、この政令は非常に重要なものでございますので、特に今回の法律では、これを制定いたしますときには原子力安全委員会原子力委員会に諮問をするということも法定しているわけでございますし、前回の八木先生の御指摘によりましてその定め方については資料提出させていただいたわけでございますので、私どもが勝手にいろいろな数値を決めるという性質のものでは全くございませんので、ひとつこの点よろしく御了承をお願いいたしたいと存じます。
  179. 山原健二郎

    ○山原委員 これは非常に重大な問題でして、私はいろいろな法案審議の経験も振り返ってみたのです。最近の例を申し上げますと、大臣は御承知だと思いますが、奨学金制度の有利子化の問題が文教委員会法案としてかかりましたね。そのときに、利子をどれくらいにするがというのが出てこなかったのです。それで審議はストップしてしまった。利子が三%か四%かによって家庭の父母の負担が多くなったり少なくなったりするということで、この利子の部分の数字が出なければ法案審議ができないということで大問題になった。これはもう当たり前のことでして、それであのときどういう手段をとったかといいますと、政府の責任において利子は三%にしますということをはっきり言明をして法案審議が行われたのです。これは奨学金制度の有利子化の問題でございますから、率直に言えばお金の問題なんですよ。  ところが、この法律は違う。金の問題じゃない、今の問題でしょう。国民の安全の問題をどうするかという、国民の安全にかかわる問題でございまして、そのときに数値が出てこないということはこの法律の一番肝心の部分が出てこないことであって、どんな言い逃れをしようと、安全委員会検討中であるとか、あるいはIAEAがこういうふうに言っておるとかということをおっしゃっても、この数字が出てこなければ、国民の安全を守る立場審議しているこの国会としては、この委員会としては審議することができないのは当たり前なんですよ。このことがわかりませんか。
  180. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先生が御指摘になりましたケースは私も記憶が余り定かではありませんが、おっしゃられればそういうことがあったなということを今思い出しているわけでございます。おっしゃるように、利子の問題はすぐれて政策上の問題でございまして、金目といえば金目でございますが、金目であると同時に政策的に幾らに決めるかという問題でございますが、今回御提案を申し上げ、御審議をいただいておりますものは、これはまたすぐれて科学的な問題でございまして、この科学的な数値をどういうふうにするかということは、ぜひ皆様方にその手順手続等について御審議をいただいて、専門家の集まりでございます原子力委員会あるいは安全委員会の専門部会を初めとする専門家の人たちによって、今まさに先生がおっしゃった命の問題を初めとして、一番大事な数値については科学者の英知を集めて判断をしてもらうということで、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。     〔矢追委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 山原健二郎

    ○山原委員 率直に言って、国会としてこういうことを白紙委任をすることになりますから、これは国会としては私はできないと思いますよ。
  182. 河野洋平

    ○河野国務大臣 山原委員に大変恐縮でございますが、先ほども御答弁を申し上げましたけれども、重ねて大変恐縮でございますが、原子力委員とか原子力安全委員というのは国会で御承認をいただいた人たちでございまして、必ずしも白紙委任というのには当たらないのではないかというふうに思います。と同時に、ここで国会におきましてその手順、枠組みというものを御審議いただくわけでございまして、その手順、枠組みの中で全く行政当局の恣意で決められるということではないわけでございまして、国会で御承認をいただいた権威者の人たちの判断というものを踏まえて数値を決めていくということでございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  183. 山原健二郎

    ○山原委員 もちろん、原子力安全委員会は長官がおっしゃるとおりです。けれども、では原子力安全委員会が今まで無傷であったかというと、そうではない。あの浜岡三号炉の問題にしましても、いわゆる地震の震源域の上に三号炉をつくるということに対して、通産省がこれを認めると原子力安全委員会はそのまま認めているでしょう。そういうことを考えますと、私どもは、信用するわけにはいかぬとまでは申しませんけれども、しかし、その結論が出るまでこの法案審議を待っていいのではないか。それは国会としては当然要求すべきことであって、議員として、また大臣としてお務めになっている長官には私はおわかりになると思うのです。それが一番肝心のものが欠落して枠組みだけつくるといったって、これは全く責任が持てないことになるわけでございますから、この点はわかっていただきたいと私は思います。
  184. 辻栄一

    辻政府委員 浜岡三号炉の問題につきましては、原子力安全委員会通産省のやったものをそのまま認めたわけではございませんで、原子力安全委員会独自に安全審査を十分に行いまして、立派に安全審査指針に適合しているという判断のもとに許可に合意する答申をしたわけでございまして、安全委員会は立派に機能しているというふうに言ってよろしいかと思います。  御指摘の問題につきましては、現在具体的に濃度上限値あるいは無拘束限界値の数字を決めるまでに至っていないということは、先般来るる御説明しているところでございます。そのために、ここにおきましては、この政令においてどういうことを書きますということを書類に記載して提出いたしたわけでございまして、この書類の中にも、明らかに国際原子力機関、IAEA等の検討も踏まえて安全委員会が厳正に検討した上で数値を決めていくという考え方も記述してあるわけでございますし、参考資料といたしまして、このIAEAで考えられている濃度あるいは原子力安全委員会で今後決めていこうという考え方についても、その報告書のコピーを写しまして資料として御提出申し上げているところでございます。具体的な数字は今決められませんけれども、こういった考え方で、こういった国際的な数値を踏まえた範囲内で、安全問題について十分な検討を踏まえた上で決めていくわけでございますので、この点につきましては原子力委員会及び原子力安全委員会にひとつお任せいただきたい、かように思っているわけでございます。
  185. 山原健二郎

    ○山原委員 私は例を出して、これは見解が違うから、安全委員会は浜岡原発三号炉については十分な審議をした、結論を出したと言われる。そうなってくると、例えば今度この上限値数値につきまして、安全委員会は独自の立場検討されるとおっしゃるでしょう。ところが、私たちが考えておることと全く違った結論が出る可能性だってあるわけでしょう。でも、それは慎重審議をして独自の立場でやりました、こう言う。浜岡原発の場合だって、見解の違いはあるけれども、東海大地震の震源域の上につくるというのですよ。これは当然安全委員会として歯どめをかけるとか何らかのことがなければならないにもかかわらず——この浜岡のことは言いませんよ、浜岡のことを言うと話がそれていきますから。けれども、それと論理が一緒じゃないですか。安全委員会でやりますから、その結論は独自の立場で科学的に検討してやりましたと言ったって、私たちには何もわからない。どういう結論が出るかわからないわけでしょう。  それから、いただきました資料の中には、これは「浅地層処分の対象とすることができる低レベル放射性固体廃棄物の濃度上限値及び放射性物質として拘束することを考慮しない無拘束限界値が安全規制上重要な基準値である。」こう書いて「このうち濃度上限値は、処分される廃棄体の放射能レベルが無拘束限界値以下に低減することが有意に期待できることを基本として導かれる。」これだけでしょう。IAEAだって余り安全だとは言えないのですよ。IAEAは海洋投棄の問題で失敗しているでしょう。あの海洋投棄のとき、IAEAが大変甘い数値を出して、特にプルトニウムについての基準値の案が非常に甘くて、我が国の学者からも批判がありまして、そしてこれを改めた例があるわけですね。  そうしますと、あなたがおっしゃるように原子力安全委員会検討があるから大丈夫です、あるいはIAEAの考え方、これも単に考え方にすぎないわけですね。ましていわんや低レベルについては何も書いていない。そんなあいまいなものをここで信頼をして、恐らく国民が安全なものが出るであろうなどということでこの法律審議をしていいのかということです。私は、これは幾ら考えましても、法律の肝心の部分が明確にならなければ、法案審議というのはむしろ不可能に近いものだというのが国会側としては当然の意見だということを重ねて強調したいのですが、これについての御返事をいただきたい。
  186. 辻栄一

    辻政府委員 先ほどIAEAのお話がございまして、IAEAが既に誤りを犯しているというお話がございましたが、IAEAが失敗を犯したということは私聞いておりません。IAEAは世界のこの分野における第一流の学者を糾合して、諸般の安全規制を定めているところでございます。海洋投棄が今日推進しないのは、科学的に非常に不安全だからということではございませんで、むしろ政治的な理由によりこれが実行できないというのが実態でございます。  ここに書いてございますのは、そのIAEAにおきまして世界の科学者が集まりまして定めた放射能濃度の規制免除ができるところの線量、あるいはそれに関連して規制免除できる放射能濃度のIAEAの報告書のまとめでございますし、原子力安全委員会日本におけるその道の専門の、しかも最高の学者を集めまして慎重なディスカッションをして決めるわけでございます。この提出いたしました資料は、十月における規制基準の定め方の基本方針を示したものでございまして、その後これを踏まえて、具体的数字につきましては先ほどのIAEAの数字、それからこの規制基準の定め方につきまして検討し、その数字の確定につきまして作業を進めているところでございますので、ぜひ安全委員会あるいは原子力委員会にこれらの数字決定はお任せいただきたい、かように思うわけでございます。
  187. 山原健二郎

    ○山原委員 原子力安全委員会、IAEAもすぐれた学者を集結して検討される、それはわかりますよ。それからまた海洋投棄については、IAEAの基準の甘さではなくて政治的な情勢があったというお話ですけれども、しかしこの問題だって政治的情勢はあるわけですよ。住民の方たちが反対しているとか、いろいろな情勢があるわけですね。それからまた、海洋投棄の問題については世界のすぐれた科学者を集めて結論を出したとおっしゃるけれども日本のすぐれた科学者だってあのときにはその数値の甘さを指摘したわけですからね。三宅泰雄博士なども指摘しているわけでしょう。だからそんな一方的なことを言われて、原子力安全委員会には日本のすぐれた科学者たちが集まっていることは、事実は認めるとしても、じゃそれにすべてを私たちが依存していいのかということになってくると、またこれはとても納得できるお答えではない。  それはあなた方も信頼している原子力安全委員会というものがあるから大丈夫だとおっしゃるかもしれないけれども考えてみれば、考え方の違いもあるし、また、その数値について厳しさを要求する者もおるのは当然のことであって、そこらが不明のままこの法案審議を続けるということ、私どもこの委員会をストップする権限はありませんけれども、これはこの委員会理事の皆さんにもお集まりをいただいて、衆知を絞ってこの問題をどうするかということを一遍話し合わないと、この審議はなかなか進めにくいし、進まないと私は思います。したがって、安全委員会検討されているならば、これはいつ結論が出るのですか。結論が出てからだってちっとも構わないじゃないですか。いかがですか。
  188. 辻栄一

    辻政府委員 原子力委員会及び原子力安全委員会は、原子力利用に関する行政の民主的な運営を図るために両委員会設置法によって設置されまして、先ほど大臣も申し上げました両議院の同意を得て任命される委員により構成されるものでございまして、また専門委員、審査委員として多数多分野の学識経験者を擁しておるわけでございます。このように原子力委員会及び安全委員会は、民主的な手続のもとで原子力利用に関し権威ある専門家から幅広い御意見を聞かしていただく場として最もふさわしいものであり、原子力行政のスキームがこの両委員会設置法において定められているというふうに私ども理解しているわけでございまして、この委員会決定する安全基準に従って行政を進めていくというのが今日最も正しい行政の進め方ではないか、かように思っているわけでございます。何とぞよろしく御了承をお願いしたいと思います。
  189. 山原健二郎

    ○山原委員 最もすぐれた科学者の結集した委員会であるということと、それが民主的な運営ということをおっしゃる。それは結構です。でも、それだけ民主性というものと科学性というものを強調されるならば、我々も科学性を要求したいですね。枠組みだけつくって、もっと科学的な、しかもこの法律の一番肝心の精神にかかわる部分、しんの部分、それがわからないという非科学性でこの科学技術委員会審議を進めていいのかということを逆に反論できますよ。その点はいかがですか。
  190. 辻栄一

    辻政府委員 この考え方の中に相当科学的な考え方も含まれているわけでございまして、私ども提出した資料によりまして、少なくともこの限界値というものがどういう考え方で設定されるかというようなことは明らかにしたつもりでございます。具体的な数字につきましては、まだできる段階ではございません。今検討中でございますので、ことしの夏ごろまでにはできるというふうに私ども思っておりますけれども、そういう段階でございます。今日の段階ではこの基本的な考え方を御提出できるだけでございますけれども、この中には相当根拠となるべき科学的な理由も含まれているわけでございまして、よろしく御了承いただきたいと思います。
  191. 山原健二郎

    ○山原委員 考え方が出ているとおっしゃいますけれども、これは無拘束限界値についての考え方が示されているだけなんですよ。だから、そういうふうにおっしゃいましても、もう時間がなくなってきましたから私はこの問題については日を改めて御質問申し上げたいと思うのですが、これは委員会をお開きになって質問戦を展開しましても、またここで突っかかってくるのですよ。それはもう当然皆さんがお考えになっているわけでして、このままで審議を続けて、そして最終的にはこのままの枠組みだけの法案を採決すると言われましても、これは与野党含めて随分疑問を持ったままの審議経過になるということを考えますと、私はこれでおきますけれども委員長におかれましても、今まで随分繰り返しなされている質疑の中身でございますので、また御検討もいただきたいということを御要請申し上げまして、きょうの質問はこれで終わります。
  192. 大久保直彦

    大久保委員長 この際、両案審査のため、参考人各位から御意見を聴取いたします。  御出席願います参考人は、青森県知事北村正哉君、電気事業連合会副会長野澤清志君、日本原燃、サービス株式会社代表取締役副社長野村顯雄君、日本原燃産業株式会社代表取締役社長大垣忠雄君、日本弁護士連合会公害対策環境保全委員会第四部会長石橋忠雄君、原子力資料情報室世話人高木仁三郎君及び中央大学教授中島篤之助君であります。  参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、御意見は質疑応答の形で承りますので、さよう御承知願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沼赳夫君。
  193. 平沼赳夫

    ○平沼委員 参考人の皆様方には、大変お忙しいところ当委員会に御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。まず、心から御礼を申し上げる次第でございます。私どもは持ち時間が少ないわけでございまして、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。  まず、わざわざ青森からお越しの北村知事さんにお尋ねをさせていただきたいわけでありますが、今度の原子炉規制法改正に当たりまして、その背景、そして条文等はもうよく御存じのことだと思います。そこで、今次の改正に関しまして受け入れの知事としてどういうお考えを持っているか、その辺をまずお尋ねをさせていただきたいと思います。
  194. 北村正哉

    ○北村参考人 青森知事でございます。委員会の皆様方、御苦労さまに存じます。  ただいま、原子炉規制法改正案についてどう考えるかというお尋ねでございました。今国会に提出されております法改正の主な内容は、第一点が廃棄物埋設及び廃棄物管理の事業について許可制度を設け、その規制に関して所要の規定の整備を図るということだろうと思います。第二点は指定検査機関等に溶接の検査等を行わせることができることとし、これらの改正に伴う規定の整備がなされる、こういうふうに承知いたしております。  今回の改正案と青森県内で立地計画されている原子力施設との関連でこれを見てみますと、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設につきましては、現行法上は実際に最終貯蔵を行う日本原燃産業株式会社でなくて、発生者である各原子力事業者に責任があることになっておるわけであります。これに対しまして原子力委員会あるいは原子力安全委員会は、専門の廃棄事業者が集中的に廃棄物処理処分する場合には、処理処分の安全確保に関する法律上の責任は廃棄事業者がこれを担うことにすることが、安全確保の責任を集中し、効率的な処理処分を行うなどの観点からはより適切である旨の決定を行っていると承っております。今回の改正案は、この決定の趣旨に沿ったものと理解しているわけであります。  このようなことから、県といたしましては、安全確保の観点から低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の設置者である日本原燃産業株式会社に対する規制が明確化する等、総合的にこれを見まして制度がより整備された法改正である、こういうふうに理解をいたしております。  また、返還廃棄物日本原燃サービス株式会社の再処理上場の敷地内でこれを受け入れ、貯蔵することが計画されているのでありますが、これにつきまして原子力委員会は、返還廃棄物貯蔵の安全確保に関する法律上の責任は、貯蔵の実施主体が再処理事業者として担うことも可能とは考えられるが、当該貯蔵を再処理事業から独立した業務とすることができる場合には、事業主体が廃棄事業者としてこれを担うことがより適切である旨の決定を行っているのでありまして、今回の改正案はこの決定を踏まえたものであり、より実態に即したものと受けとめております。  さらにまた溶接検査等の代行制度の導入につきましては、高速増殖炉「もんじゅ」、民間処理工場等の建設に伴いまして原子炉規制法に基づく検査業務等の大幅な増加が予想されますことから、やむを得ないものと受けとめているのでありますが、検査あるいは確認の中で代行させたものにつきまして、できる限り国の厳格な監督が行き届きますよう対処されることを切望いたします。  最後に、原子燃料サイクル三施設立地に当たっては、国におきまして厳しい審査、検査を行いまして安全確保に万全を期されるよう、特にこの際要望申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  195. 平沼赳夫

    ○平沼委員 今度の改正案について、引き受けの地元知事さんとしてのお考え、そしてまた国に対する御要望等を承ったわけでございますけれども、私どもとしましても、核燃料サイクル、これは資源エネルギーの乏しい日本にとってどうしても通らなければならない道だ、どうしても法改正が必要だ、そういう認識に立っているわけでございまして、引き受け手の青森県としまして、これを引き受けるに当たりまして、今は安全面での国に対する御要望というのがございましたけれども、そのほかに国に対する御要望というものにはどういうものがあるわけでございましょう。
  196. 北村正哉

    ○北村参考人 ただいまは、安全性について国の方でも厳しく審査、監督をしていただきたいことを申し上げたわけであります。  それに足してさらに申し上げれば、この事業に対する協力受諾をしている背景には、この事業を通して地域振興メリット、何とか地域住民のためにプラスになるような施策、措置等について十分に御配慮をいただきたい、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  197. 平沼赳夫

    ○平沼委員 知事の国に対する御要望は、当然のことだと思うわけでございます。  実は、私は岡山出身の代議士でございまして、岡山にはウランの人形峠というのがございまして、今まさにウラン濃縮の原型プラントというものが大規模な実験的な段階で稼働いたしておるわけでございます。それが所在をしているのが人形峠のございます上斎原村というところでございますが、この上斎原村は、ウラン濃縮のいわゆるテストプラント、原型プラントを誘致することにより、岡山県下の七十八市町村の中でかつては一番財務内容が悪いところでございましたが、現在は岡山の中で、そういう観点から見ますと一番財務内容のいい村になった。村民も非常に喜んでおりますし、雇用の機会も拡大されたということで、私どもも、そういう意味では、やはり当然青森県としてもそういう御要望が国に対してあるなということは理解できるわけでございまして、この辺、万々遺漏なきようにこれからも国が取り組んでいかなければならない問題だ、このように思っております。  次に、電気事業連合会の方にちょっとお尋ねをさせていただきたいわけでありますが、今までの経緯は、北村知事さんのお話にもございましたように、いわゆる電気事業者の主体者がそういう廃棄物等の処理をしておりましたけれども、今度は新しく二つの会社をつくってそこでやっていく、こういうことでございます。言ってみれば、この法改正によって大きな変化が起こってくるわけでございまして、今知事さんからも、安全管理に関して非常にしっかりやってほしい、こういう御要望もありました。私どももこの点に関しては、それぞれ立派な会社が責任を持って、そして新しい会社を運営していく、こういうことで心配はないというふうに考えているわけでございます。しかし、電気事業者、いわゆる電気事業連合会に属するわけでございますけれども、その辺、安全の確保に関してはゆるがせにできない問題でございますので、念押しをしておきたいと思うわけであります。  そこで、電力と原燃サービス原燃産業とはどういう関係にあるのか、電気事業連合会の方からその辺お答えをいただければと思います。
  198. 野澤清志

    ○野澤参考人 野澤でございます。  今回の廃棄事業の創設を盛り込んだ規制法改正に対しまして、電力の立場を申し上げたいと思います。  私どもも、各電力の放射性廃棄物を集中して管理または埋設する場合には、専門の廃棄事業者に安全確保の責任を集中することが、むしろ責任体制を明確化する上で適切と考える次第でございます。電気事業者としましても、日本原燃サービス株式会社に返還廃棄物の管理を、日本原燃産業株式会社には発電所から出る低レベル廃棄物を取り扱わせる方針ですが、両社とも電力の三分の二以上の出資、すなわち現在、原燃サービス資本金二百億円の約七〇%、原燃産業資本金百億円の約七六%により設立したものでございます。両社が将来にわたって健全に事業を実施し得るよう、経理面、技術面等全面的な支援を行ってまいりたいと思います。人的にも、現在両社合わせまして三百六十名中約二百名の要員を電力から投入しております。  この二社が仮に経営上窮地に陥るような場合が発生したときは、全電力を挙げて万全の体制で支援してまいりますので、日本原燃産業日本原燃サービスの両社の存続性に不安を生じさせるようなことは決してございませんので、御理解を賜りたいと存じます。
  199. 平沼赳夫

    ○平沼委員 今の、一つの支援体制を電力各社が協力をしてやる、こういう力強いお答えをいただきまして、私も大変安心をしているところでございます。  いろいろお尋ねしたいことがあるわけでございますけれども、次に、この原子燃料サイクル立地を受け入れるに当たって、今ちょっと知事とのお話でも出たわけでございますけれども地元の発展振興、そういうものに関して地元がそういうものを期待するということは私は当然だと思うのです。現に、地元である青森県そして六ケ所村は、施設の安全確保と地域振興への寄与というものを大前提にして協力体制を組む、こういうことになっておるのです。受諾したと私ども聞いておりますけれども、この地域振興問題について事業主体としてどのようにお考えか、その辺、原燃産業の大垣社長お見えでございますけれども、ぜひお聞きをいたしたいと思います。
  200. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 原燃産業の大垣でございます。お答え申し上げます。  御指摘のとおり、私ども計画いたしておりますような公益性が高くて、かつ大規模な施設立地は、地元地域の御協力がなくては実現できないものでございます。地域との恒久的な共存ができますようにするためには、地域振興への寄与が極めて重要であることを十分認識をいたしております。したがいまして、私どもは、地元青森県並びに六ケ所村と昨年の四月に締結をいたしました原子燃料サイクル施設立地への協力に関する基本協定書におきましても、原燃サイクル施設の建設、管理運営の各面での諸業務に係る地元参画、地元雇用あるいは関連教育研究機関の設置等、広く地域振興施策の推進に協力する旨を取り決めておる次第でございます。具体的な方策につきましては、今後計画の進捗に合わせまして地元雇用、地元企業の活用など、いわゆる地元参画につきましては、基本協定の趣旨にのっとりまして、県御当局を初め関係方面とも調整を図りながら、最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
  201. 平沼赳夫

    ○平沼委員 その点について具体的に少し詳しくお尋ねしたいと思うのですが、原燃産業株式会社としては、まず六十一年度の地元雇用状況は二社合計でどのくらいか。  さらにまた、事業の実施に伴い必要となる附帯事業についてはどういうお考えを持っておられますか。  三点目としましては、事業の実施に伴う地元への波及効果、これは当然あるわけでございますけれども、その波及効果というのはどういうふうに見られているか。  また四番目として、関連企業の誘致についてはどういった企業を誘致するか、まだ固まってはいないと思いますけれども、そういったところをあらましお聞かせいただければと思います。
  202. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 お答え申し上げます。  第一点の地元雇用の促進の問題でございますが、両社合わせまして六十年度に採用いたしましたのは十名でございますが、六十一年度に青森県内から採用いたしましたのは三十三名でございまして、現在両社それぞれ現地に建設準備事務所を持っておりますが、この現地の要員は八十五名でございまして、ただいまそのうち四十三名、約五〇%の方が地元採用の方でございます。そのような状態でございまして、今後とも、来年、再来年と、ことし程度の採用を考えておりますけれども、そういった基本的な姿勢を続けてまいりたいと考えております。  それから、具体的な地域振興の問題についてでございますが、まだ現在は立地調査段階でございまして、具体的なものはただいまの現地事務所の運用にかかわる問題の程度でございますが、これから準備工事、本格着工等に入りますとかなりの関係者がふえてまいりますので、その際、日用品とか諸物資の地元調達につきましても優先的にやっていくということを考えております。  また、この効果の問題につきましては、私どもの社員あるいは業者等の具体的な地元の問題以外に、観光客とか見学者の増加によります経済効果も大きいのではないか。現在、とりあえずサイクルについての御理解を得るために六ケ所村にPRセンターをつくっておりますが、これなどは昨年の十月以降でございますけれども、冬の期間を挟んだにもかかわらず既に八千名を超える方々がごらんいただいておりまして、予想を上回る御来館を得ております。こういったようなことも効果の一部ではないかと考えております。それから、電源三法交付金の交付もございますので、これによります地域の影響プラスというのも大きいものじゃないかと考えておりまして、また、各種施設運開後の固定資産税の税収の増加といったようなものもございますので、御期待にこたえられるのではないかと考えております。  関連企業の問題につきましては、十分協定の趣旨に従って進めるつもりでございますが、現在まだ具体的な企業の進出という状態にはなっておりません。
  203. 平沼赳夫

    ○平沼委員 持ち時間が参りましたので、まだお聞きしたいことがたくさんあるわけでございますけれども地元の振興というものが地元住民の理解を得る意味での一番のポイントだと思います。したがって、その辺はきめ細かく、そしてまた十分波及効果が出るように、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  大変持ち時間が短かったものですから、これをもちまして私の質問を終わらしていただきます。参考人の皆様方、本当にありがとうございました。
  204. 大久保直彦

  205. 関晴正

    関委員 参考人の皆さん、大変御苦労さまです。社会党を代表して、関晴正です。  まず第一に、北村知事にお尋ねいたしたいと思います。  全国どこでも核のごみなんかは嫌だと言ってどこの県の知事も断り続けられておったものを、ひとり青森県の知事である北村さんがオーケーとお引き受けになられました。その理由はどこにあるのか。青森県になかなか盛岡以北の新幹線が来ないから、新幹線が来てもらうためにも国の要請を受けた方がいいんだというようなお話もよく聞くわけでありますが、また、地域発展のためにこれが役に立つんだということもお話をしているようであります。このごみは、地域をつぶすことになっても地域の産業を発展させるということはなかなか難しい。さればこそ酪農に精を出しておる諸君たちも困ると言っておるし、漁業に精を出しておる諸君たちも困ると言っておるわけです。それをあなたは昨年の四月九日に強引にもその方向をとってしまいまして、今県内では四月九日を忘れるなといった集会を毎年持とうじゃないかということで、ことしもまた持たれたわけであります。そういう点において、本当に基本的にこれを受け入れて町が発展すると思っておられるのだろうかという点でお答えをいただければと思います。
  206. 北村正哉

    ○北村参考人 どこでも嫌と言っているのに青森だけがということでありますが、今お話をいただきました平沼先生の岡山でも、既にウラン濃縮はやっておられる。今この後、コマーシャルのプラントまで受け入れることを企画された。あるいは茨城県東海村では早くから再処理を含めてこれを受諾し、現実に工場を設営しているわけでありまして、ひとり青森のみがということは必ずしも当たらないのではないかということであります。  それはそれといたしまして、私の考え方は、事国策に属する重要な政策であれば、民生安定上支障がない限りこれに協力する、こういう態度を堅持しているわけであります。従来とも、原子力船「むつ」もございます。あるいは大問のATR、あるいは原子力発電所、東電、東北電の発電所、いろいろなものが構想され、計画されしているわけであります。これらに対しましても、国の立場からも重要な事業と目されるわけでありますから、基本的にこれに協力をするのだ。ただし、協力するといっても、それが地域住民にとって著しく民生安定上の問題を引き起こすということであれば、これはやはり考えなければならない。民生安定上と申しましても、中心的な課題はやはり安全性の問題であろうかと思います。その安全性を確認しない限り協力受諾は困るぞ、こういうことで、安全性の確認のために大変に努力したつもりであります。  何分にも素人の集まりである県という集合体、これだけで安全性を確認するといっても、それは言うべくしてなかなか困難なことでもありますから、専門家を十一人でありますが、委嘱をいたしまして、安全性についての判断をお願いしたことは御承知のとおりであります。その専門家の選び方に問題がある、推進派ばかり選んだじゃないか、こういう言われ方をするのでありますが、私どもの選び方は必ずしもそういうことでなくて、公正に判断していただける学者及び実務家、実務者、こういう方々に判断をしていただいた結果が、このサイクル事業は基本的には安全性を保ち得る、基本的には安全である、こういう結論をいただいたわけであります。  これが大きなよりどころになっていることは事実でありますが、それのみをもって安全性を判断したわけではない。当然のこととして政府関係機関の御意見も承りましたし、私ほか関係者をもって、国内、国外の参考にできるような、同じ仕事をやっている工場なり場所をできるだけ調査もいたしました。私の場合は、岡山の上斎原のウラン濃縮工場であるとか東海村であるとか、国外ではフランスのラアーグ、あるいはオランダのアルメロ、ドイツのゴアレーベン、グロナウ、いろいろあるわけでありますが、それらを回ったりして、素人ながらも調査することに努めました。  また、何よりも県内世論を確認するということが大事だという考え方のもとに、二回にわたって県内の各種団体にお集まりを願って考え方をお伺いしました。その際に特に意を用いましたのは、初めに知事の意見ありきということでは本当の意味の意見の酌み取りにはならないだろう。初めに知事の意見ありきということでなく、知事は一切是も非も言わないままに、団体の皆様方、学識経験者の皆様方の御意見を徴したわけであります。二回にわたってやったわけでありますが、三百数十名、大体三百五十名見当、積極的な反対意見は全く見られませんでした。圧倒的多数が受け入れてしかるべし、協力してしかるべし、こういうことでありまして、その現実を踏まえなければならない。何もつくり上げて、でっち上げて賛成世論をまとめたという事情は全くないわけであります。  さらにまた、政府考え方を確認しなければならない。政府の政策上のポジションがどうなっておるのかを科技庁と通産省、主として二つでありますが、さらに中曽根総理にも打診をいたしまして、いずれもが大変重要な国策ないしは国策的事業であるわけだから積極的に協力してくれ、こういうことでありましたし、同時にまた協力を依頼するだけでなくて、政府としても可能な限り万全の支援態勢、事業主体は民間会社ではあるわけでありますが、国の立場で極力これを支援していくんだという趣旨の御意向を確認することができたわけであります。さらにまた、大事なのは地元六ケ所村でありますが、これがどっちを向いておるのか、イエスなのかノーなのか、この辺が大変問題になるわけでありまして、これも十分確認をとったつもりであります。明確に六ケ所村はこれに協力受諾をしたいという意向を、私に文書をもって示しました。あれやこれや、意外に早く事が進んだんじゃないかという批判、御指摘も世間にはあるわけでありますが、時間の問題でなくて、どういう手順を経て、どういう手法を用いて県民世論を、安全性を確認できたかということを私は非常に重視したわけであります。こういうことの結果、協力受諾をいたしたわけであります。  新幹線についてもお述べになられたわけでありますが、新幹線を盛岡から北へ延ばすこととサイクル事業を県内に立地していくこととは何ら関係がないわけでありまして、新幹線は新幹線なりの相当深刻な事情を踏まえているわけでありますし……(関委員「もういいんだ、時間がないんだよ」と呼ぶ)答えさせてください。それからサイクル事業にはサイクル事業の背景が十分あるわけでありますから、これを取引するということはどう考えても現実的な問題ではないわけでありまして、その辺のことをよく話題にされたりするわけでありますが、全く取引の事情はございません。  それから、地域メリットはどんなことを考えて地域メリットと、こう言って……(関委員「そこはいいから、時間がないんだよ、それでいいからお座りください」と呼び、その他発言する者あり)
  207. 大久保直彦

    大久保委員長 北村正哉君、一応ここで……。
  208. 北村正哉

    ○北村参考人 あと全部立たなくてもいいわけですか。
  209. 大久保直彦

    大久保委員長 一応お座りください。
  210. 関晴正

    関委員 時間がないものだから、聞いていることにぴっぴっと答えてくれればいいのです。  新幹線の問題は、これは国策に協力する意味では、知事核燃のサイクル基地を交換条件にするとは言わないけれども、そういう構えがあったことだけは確かであったのですが、きょうは完全に否定されましたから、それはそれで聞いておきます。  そこで、私は今知事にもう一つ聞きたいのは、現地では、泊の漁業協同組合がとにかく大変な勢いで賛成だ、反対だということがあって、その片一方の旗をあなたが持ったおかげで余計にエキサイトしてきている実態があるのではないだろうか。それで私は、特に泊の漁業協同組合の一月十日の総会の決議、これを尊重することが大事だと思うのだが、数時間かけて決められたこの決議がわきに置かれちゃって、そして三月二十三日にわずか二分足らずで終わったという総会の決議の方が重んぜられて事を運ぼうとしているわけです。このことについては大変な誤りではないだろうかということが一つ。  それからそれに関連して、原燃サービスや電事連の方では、とにかく海域の調査の同意は受けたのだからしゃにむに進む、こういう構えがあるようです。これについては、現地を訪問された河野長官が、そういうことがあったにしても丁寧に扱え、そういうお話をされてきたと聞くのですが、このことを踏まえて当たるつもりでおられるのかということと、何が何でも同意ということがあったと見てしゃにむに進むのだ、こういうふうに思っておられるのかということ。  それから高木さんには、せっかくおいでになっておりますから、あの青森県の六ケ所村の状態、あの地域というものは、地質的に見てあるいは科学的に見て適切な場所だということが言えるのかどうかをお知らせしていただければ、こう思います。
  211. 大久保直彦

    大久保委員長 知事と高木先生だけでよろしいのですか、御答弁は。
  212. 関晴正

    関委員 電事連、核燃の方からも……。
  213. 北村正哉

    ○北村参考人 何点かの御質問でありまして、やはり時間が問題になろうかと思いますが、さればとて間違った答え方も困るかと思います。  一月十日の決議を尊重しろということでありますが、御承知のとおり——御承知のとおりと言えばやはりまずいのでしょうか、流会になった総会でありまして、その後の集会における取り決めとか動きは、私どもはこれを認知しないわけであります。流会されたもの、こう今でも考えております。  同時に、三月二十三日の総会につきましては、組合長からの報告によって合法的に——形は確かにやや異常な形ではありました。それはやはり背景が実力行使ということで、大変緊迫した環境の中で運ばれた、こういうことでありますから、形はなるほど問題にすれば問題になる点があろうかとは思うのでありますが、全体として正当な決議がなされた、こういうふうに思っております。  それから、海域調査についてしゃにむに、お言葉をかりればしゃにむに突き進めるのか、こういうことでありますが、海域調査に対する関係漁協全部が今日の段階では受諾をいたしております。調査してよろしい。してみれば、これを受けて事業主体がどう判断していくか、どう対応していくかは、事業主体の問題だと思っております。  河野長官ができるだけ現地に懇切丁寧に対応するように、私どももそうであったかもしれませんが、電事連と原燃二社の関係に向けてそういうお話をしておられたのを私はそばで承りました。この御注意は、私どもにとってもやはり同じ注意を、あるいは戒めをしていかなければならぬなというふうに考えておりますし、従来ともそのつもりで対応してきた、あるいは指導してきた、こういうふうに考えております。
  214. 野澤清志

    ○野澤参考人 野澤でございます。お答え申し上げます。  本年三月二十三日の泊漁協の総会は成立したとして、両事業者は海域調査を実施するつもりで、臨時総会で調査受け入れを決定した旨を板垣組合長より承りましたので、今後所定の手続を経た上で調査に着手したいと考えております。
  215. 高木仁三郎

    ○高木参考人 高木でございます。お答えいたします。  私、以前からも行っておりますけれども、この問題が出てから何回か現地に足を運んで、現地の立地条件も見せていただきましたが、問題は、特に再処理工場及び低レベル廃棄物施設かと思います。  再処理工場に関しましては、現在、セラフイールド再処理工場の汚染等々が世界的にも大変問題になっておりますように、大変環境汚染の可能性の強い施設であります。しかも、現在の予定地点はかなり内陸部に入っていまして、かなり長いパイプラインを引いて海に放射能排水を放出しなければならないという条件もありますし、地盤的にも決して強固な場所ではない。それから、概してあの辺は非常に漁業の盛んなところでありますから、放射能の海洋放出あるいは大気中への放出は、漁業及びあそこで行われております酪農に対して決していい影響を与えないというふうに考えます。  特に、この計画ですと、再処理工場の規模、ウラン処理能力年間八百トンという計画でございますけれども、これは現在の東海再処理工場の、現実にはそこまで行っておりませんが、最高に処理しての話で二百十トンの規模からすると、約四倍の規模に当たるわけです。しかも現在、東海再処理工場はそれよりはるかに低いレベルで稼働が行われているわけですけれども、にもかかわらず、かなりの液体及び気体の放射性廃棄物の排出が見られます。現在の東海再処理工場のウラン処理能力に比例してこの再処理工場が本当に八百トンレベルで稼働したとすると、現在の東海再処理工場の放射性廃棄物の管理基準を上回る放射性廃棄物の排出になるということが当然予想されるわけで、この規模の再処理工場をあそこにつくることについては極めて大きな疑問があるというふうに考えます。  それからもう一つ、三千トンという使用済み燃料をあそこに集中貯蔵することになっているわけですが、これは世界的ないろいろな例を見ても、ちょっと私たちの知るところの例がない巨大集中でございまして、使用済み燃料というのは原発からの死の灰を集中的に蓄えた物質でありますから、これだけの集中貯蔵というのは極めて大きな危険性を一カ所に集中させることになるので、非常に賢明ではない計画だというふうに思います。  それから低レベル廃棄物についても、今ここで問題になっております今度の法改正が行われますと、埋設処分ということが可能になるわけですけれども、つまり埋めて捨ててしまうという施設になるわけで、貯蔵というよりは処分施設ということになっております。これまでは青森県では、この施設最終貯蔵施設説明されていたというふうに私了解しておりますけれども、実態的には処分施設になっていくということで、特にあそこは概して地下水の豊富なところでありますから、地下水汚染、それのまた酪農や漁業への影響ということが非常に大きく心配されるところであります。  以上です。
  216. 関晴正

    関委員 では、終わります。
  217. 大久保直彦

    大久保委員長 小澤克介君。
  218. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 委員の小澤でございます。参考人各位には、まことにお忙しいところをありがとうございます。関委員の残された時間を含めて三十分強お尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、石橋参考人にお尋ねいたします。  先生会長をしておられます日弁連の公害対策環境保全委員会第四部会において、核燃料サイクル施設計画に関して調査をなされたと聞いておりますが、その結果及びそれらを踏まえた御意見をまずお聞かせ願いたいと思います。
  219. 石橋忠雄

    ○石橋参考人 日本弁護士連合会の石橋でございます。  日弁連では、昨年の四月から六ケ所村に立地予定されております核燃料サイクル施設に関する調査研究をしてまいりました。その主な項目は次のとおりです。  一番目は再処理の実態について、二番目は電事連と県知事が環境影響調査をする前に立地要請と受諾決定をしたことについて、三番目は県知事の県論の集約の過程について、四番目は電事連と原燃二社、電力会社との関係について、五番目は一般的なことでありますが、原子力の政策決定のシステムと法体制についてであります。  これらの項目について現在までに実態調査をしたところは、次のとおりであります。動燃事業団の東海事業所、青森県庁、六ケ所村役場、県農協中央会、県商工会連合会、県労会議六ケ所村商工会、漁業協同組合、酪農協同組合、県内住民団体、日本原燃サービス東京本社、六ケ所建設準備事務所、日本原燃産業東京本社、六ケ所建設準備事務所、電気事業連合会、アメリカ・ニューヨーク州ウエストバレー再処理工場、アメリカ・ワシントン州ハンフォードサイト、アメリカエネルギー省と原子力規制委員会、以上でございます。  その内容なり結果ということでございますが、まだ調査は継続中でございますので、意見については差し控えさせていただきますけれども調査によって得られた主な内容について申し上げます。  まず再処理については、先ほど高木さんの方からもお話がありましたが、動燃は年間の再処理目標を当初二百十トンにしておりました。そこで、五十二年から六十年までの再処理の合計数量が二百二十トンでございます。これは年間にならしますと約二十四トンということで、年間目標の一割強ということになっております。御存じのとおり、五十八年にはR10とR11の溶解槽の事故がございまして、再処理の仕事はほとんどやっておりません。この再処理勘定はどうなっているかといいますと、五十七年度は総費用が二百七十一億円、そのうち、再処理によって得られたプルトニウムなんかを売っておりますが、それが四十四億円、純損失が百七十一億円、五十八年度は事故などもございまして、総費用が二百七十二億円、再処理収益が二億五千万円ほど、純損失が二百二十億円というふうになっております。  一方、アメリカでは、民間の初めての再処理工場と言われますニューヨーク州のウエストバレー再処理工場、これはニュークリア・フュエル・サービスという会社が始めたものですが、一九六六年から一九七二年まで操業をして、その後は中止しております。それから、南カロライナ州のアライドケミカル社が建設いたしましたバーンウェル再処理工場は、相当の費用を使って建設途中で中止になっております。そのほか、政府が始めましたテネシー州のクリンチリバー高速増殖炉は、八割方できておったわけですけれども連邦議会が一九八三年に追加予算の計上を否決いたしまして、結局、建設は中止となっております。  二番目に、環境影響調査をする前に立地決定をされたということであります。  電事連なり県当局のお話によりますと、むつ小川原開発計画の際の調査結果を参考にしたということでございます。そこで、むつ小川原開発石油化学プラントのプロジェクトでございますので、核燃料サイクル施設の環境影響調査対象とはおのずと違うのではないか、こういう御意見もございました。そのほか、地質調査所の調査によりますと、この一帯は湖沼が散在しておりまして、降雨あるいは積雪が極めて多く、帯水性に富んでおるという報告がございます。また、むつ小川原開発の環境アセスメントの報告書によっても、約八十メートル近くまで地下が泥砂性の地質になっているということでございます。それから、この立地サイトに活断層があるのではないかという弘前大学教授の御指摘もございます。また、つい最近、隣の国家備蓄基地に不等沈下の問題が起こったわけですが、これらについては県の御回答では、調査したことはないし、今後もその予定はないということでございます。それから、原燃二社、電事連からの御報告では、現在やっている事業アセスメントの結果を公開するかという質問を申し上げたのですが、結果を公開するかどうかは未定であるというお話であります。  三番目に、県論の集約という問題でございます。  これは、先ほど県知事さんがお話しされておりました。このことについては、例えば組合長とか市町村長がそれぞれの組織を代表して意見を表明されておるわけですけれども、組合長が意見を出すに当たって組合内部で何か検討したかということについては、検討していないというようなところもございました。あるいは、この土地は酪農などが盛んでございますが、その酪農協とか農協の中には意見を求められていないということもございました。そのほか、地元住民への説明会も、これは県と電事連の共催という形だと思うのですが、各地で一回ございましたけれども、しかし質問する時間がなかった、あるいは地元住民で安全性に対する疑問を持っている方も多いわけですが、講師の方を呼んできて電事連の方と一緒の場でいろいろとお話を聞きたいということをお願いしているのだが電事連の方では来てくれない、こういうことでございました。これは電事連なり原燃二社の方に私どもも後に確認したのですが、そういう場には出る予定はないということでございました。  ちなみに、県内世論アンケートについては、五十九年九月十三日付の朝日新聞、結論を「急がない方がよい」が四七%、「早い方がよい」が二七%。それから六十年に入りまして、受諾決定の前でございますけれども、一月一日の東奥日報、「反対」が三六・四%、「賛成」が二九・二%、「わからない」という層が三三・七%ございました。  四番目に、電事連と原燃二社、電力会社との関係でございます。  この点は、六十年四月十八日の基本協定書、五者協定というふうに呼ばれておりますが、これは原燃二社と県と六ケ所村役場、それから立会人として電事連が参加されております。そういうことで地元では、例えば風評被害なり損害があった場合に電事連が何かしてくれるんじゃないか、こういう期待といいますか、気持ちを抱いておるわけですが、去る四月初めの電事連に対する調査では、電事連は任意団体である、したがいまして核燃サイクルの費用は電力会社が負担するのだ、こういう御回答になっております。そういたしますと、この基本協定書で言う風評被害とか何かは、電事連と原燃二社とか電力会社とのつながりというのが法的にはまだ一つ不明ではないか、こういう御意見も聞いております。それから、核燃料サイクルについての損益に関する目論見書事業主体なり電事連が持っているか、こういう質問をさしていただいたわけですが、現在のところはないということであります。  最後の、原子力の政策決定のシステムあるいは法体制の問題でございます。これは、日本原子力政策というものがどのようなプロセスを経て決定されて、それが実行に移されているか、こういうことでございます。  まず第一には、我が国では通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会、このあたりで大枠が決まっているのじゃないか、その後で科技庁、原子力委員会、安全委員会で指針とか基本計画、こういうものを策定される、そして実施に移されるわけです。これは例えば本件に関しますと、昭和五十九年七月二日に総エネの報告書が出ております。「自主的核燃料サイクルの確立に向けて」こういうサブタイトルがついておりますが、この後六ケ所核燃サイクルが大きく動き出しております。また、去る三月にも軽水炉技術高度化計画、こういうのも出したりしております。  そこで、申し上げるまでもなくして原子力エネルギー源であると同時に放射能を排出する、こういうマイナスというか、負の側面を持っているわけで、安全の問題というのは避けることはできない、こういうことであります。そこで、安全審査はじゃどうなっているのかということ、これは行政庁である総理大臣あるいは主務大臣がこの安全審査をする。今回のこの改正案についても五十一条の二、廃棄事業許可をするときは、総理大臣は原子力委員会及び安全委員会の意見を聞いてこれを尊重するというふうになっています。これは、安全委員会は安全に関するいろんな所管事項がございますけれども、独立の審査権限を持っていない、こういうことであります。  この点、アメリカでは一九八〇年に低レベル放射性廃棄物政策法というのが御承知のとおり成立をしております。その後、一九八二年に核廃棄物政策法が成立いたしまして、これらについては原子力規制委員会がライセンスを発行しないとすべてが動かない、こういうことになっております。また、連邦議会は核不拡散法によって環境庁なり原子力規制委員会、こういうような安全審査について評価あるいは承認をする、こういうことになっております。これは国家の安全という面もございますけれども連邦議会がこのように最終的な評価、承認権限を持っている。その過程において相当大がかりな公聴会を実施しております。そのほかに、環境保護庁は独自の審査基準を持っております。  これを日本に置きかえますと、私の理解するところでは、環境庁は原子力に関しましてはほとんど審査の基準なり権限を持っていない。それから国民を代表する国会でございますけれども、これも日々変動する原子力政策、これの決定なり推進なりについては余り関与の機会が少ない。専ら内閣総理大臣が決定して、そして安全審査もやっていく、こういうことでありまして、若干それぞれの任務なり機能というのを分けた方がいいのじゃないかという気持ちを持っております。  最後に、今後のことでございますけれども、今後は科技庁、原子力委員会、安全委員会通産省資源エネルギー庁、運輸省、防衛庁、防衛施設庁、これらに対する実態調査を踏まえまして、六十一年度内に報告書を出す予定でございます。  以上です。
  220. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大変詳細に、ありがとうございました。  引き続いて石橋参考人に本法案問題点、なかんずくこれまでの議論からも発生者責任の問題あるいは政令委任の問題などが主な論点となっているわけでございますが、これについて御意見をお聞かせ願いたいと思います。大変恐縮でございますが、高木参考人にもお尋ねする予定でございますので、要点でお願いいたします。
  221. 石橋忠雄

    ○石橋参考人 今回の問題点となっております、廃棄物処理処分に関する法原則について申し上げます。  これは基本的には、公害対策基本法の第三条一項に、事業者はその事業活動に伴って生ずる廃棄物などの処理等公害を防止するために必要な措置を講ずる責務を有する、こういうような文言がございますが、これは事業活動に伴って生ずる、こういうことで今先生の言われた発生者責任の原則をうたいとげておるのであります。このような基本法に基づいて、我が方では廃棄物処理法、大気汚染法、水質汚濁防止法、これらにおいて発生者責任をさらに具体化しております。ただし原子力については、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、これらの損害といいますか、被害というものの発生した場合の程度、態様という観点から特別に原子力基本法あるいはそれらの関連法規で定める、こういうことであります。  具体的に申しますが、廃棄物処理法の三条一項は、先ほど申し上げましたその事業活動に伴って生じた責任を事業者は負担する、さらに同条の二項として、事業者は廃棄物の減量に努める、そして事業者は廃棄物の適正な処理が困難にならないようにしなければいかぬ、こういうことでございます。また大気汚染法の十三条一項、これはばい煙を排出する制限でございますが、基準に適合しない場合はそのばい煙の発生口において排出を禁止する、こういうことになっております。そのほか、水質汚濁防止法も全く同じ体裁となっております。これらにつきましては、私ども法律関係の者だけではなくして、廃棄物処理法の制定及びその過程からも言えるかと思います。  まず、昭和四十五年十二月に廃棄物処理法が制定されたのですが、そのときの政府委員の浦田さんは、このように社会労働委員会でおっしゃっております。「まず、産業廃棄物、これが一番問題であると思いますが、産業廃棄物処理区分につきましては、」「事業者みずから処理しなければならないという、いわゆる事業者の責任は明確であると思います。」こういうことです。それで、この法律改正がその後五十一年にございました。このときに田中国務大臣が昭和五十一年五月十八日の社会労働委員会で、「いまの問題は、私は、やはり産業廃棄物は、排出し事業者の責任であるという旗印を掲げておかなければいくまいというふうに思うわけであります。」このように述べておられます。それから、この五十一年の改正案の政府の提案理由にも、この改正は、産業廃棄物処理に関する事業者の責任を強化するのだ、こういうふうに明文化されてございます。  このようにして、いわゆる廃棄物につきましては、発生者の責任をむしろ強化する方向で官民とも来ていたわけでございます。これはなぜかといいますと、やはり発生者の責任を強化することによって廃棄物の排出を少しでも少なくしよう、こういう意図があり、また、実際に水俣病など四大公害訴訟の現実などからもこのような法律となったように考えております。  それから、廃棄物処理法の十二条には、事業者はこの運搬とか処分を委託することができるというような文言もございます。委託というのは、委任あるいはこれに類似する概念でありまして、売買とか、そういう物を譲渡してしまうというような概念とは全く異なりまして、その法的主体はやはり委託者であって受託者ではない、またその責任も委託者に当然帰属する、こういうふうに解釈されるわけであります。  そういう観点から、今度の改正案の五章の二で、廃棄事業あるいは廃棄事業者という制度を新設しておられるわけですけれども、これについては発生者責任という大原則をやめ、また同時に従来の政府の見解とも根本的に違う、こういうふうに考えます。  それから次に、簡単に申し上げますが、今回の改正案に限らず、原子力関連法案においては政令に委任している事項が非常に多いように見受けられます。これはもちろん申し上げるまでもないのですが、法律は政令の上位置念でありますので、法律の重要目的事項あるいは法律で何か制限を加えている場合は、それを緩和する方向で政令に委任するということはできないというのが一般的な考えでございます。その点、今回のこの廃棄事業の概念として、五十一条の二の一号と二号で埋設というものとそれから管理、こういう規定がございますけれども、その内容が私どもにはまだ全然わからない。それは何かといいますと、政令で決めるのだ、こういうことになっております。しかし、この問題で一番重要なのは、やはりこの埋設なり管理する廃棄物の安全制についてでありますので、その具体的な内容を政令に委任するということは、これはむしろ白紙委任に近い、このように、私の個人的な見解ですが、考えております。  次に、やはり今回の法案の六十一条の四十一などで確認機関というのを設けております。内閣総理大臣あるいは主務大臣は、廃棄の確認とか運搬物の確認あるいは運搬方法を確認するときに、その全部あるいは一部を指定の機関に任せる、代行できる、こういうようなことだろうと思いますが、これは検査業務の代行のことも言われておりますけれども、むしろ私としては、検査というのは事実行為でありますが、確認というのは一つ法律行為であり、行政処分である。その内閣総理大臣あるいは主務大臣の持っている行政処分の権限を一民間に代行といいますか、移譲といいますか、そういうことが果たしてできるのかどうか、こういう疑問をちょっと持ちました。それで、日弁連の意見としましては、先ほども申し上げましたように調査がまだ継続中でありますけれども、本件の法令の問題につきましては、やはり法体制あるいは基本的な法原則、そういう面から私どもとしては賛成しかねる、こういう結論でございます。  以上でございます。
  222. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大変貴重な御意見をどうもありがとうございました。  引き続いて、高木参考人にお尋ねいたします。  高木参考人は、名簿では単に原子力資料情報室世話人となっておられますが、東京大学を御卒業後、民間原子力関係事業にお勤めになり、その後、東京大学原子核研究所の助手をされ、その間、西ドイツのマックス・プランク核物理研究所で研究員などを務められ、都立大学の助教授を最後に退官された、このように聞いており、かつ、核化学が御専攻であって、廃棄物などについては最も御専門であると聞いておりますので、私の残り時間は二十六分までしかございませんが、恐縮でございますが、今回の法案、とりわけ廃棄事業を独立の事業として認め、埋設あるいは管理を行わせることにしておりますが、これらについて化学者としての立場から御意見を伺いたいと思います。
  223. 高木仁三郎

    ○高木参考人 お答えいたします。  極めて時間が短いので、端的に問題点だけを言わせていただきます。  先ほど石橋参考人の方から、発生者責任の原則にかかわる問題がありましたけれども、その他を含めまして、今回の法律の一部改正案は、安全という観点から私たちが到底容認できないものであるというふうに考えます。現行の原子炉規制法も、廃棄物の管理、処理処分の安全確保について決して十分なものではないというふうに思いますけれども、その不十分さをかえって拡大する方向にしか行かないのではないかというのが、発生者責任の原則の放棄ということも含めて、あると思います。特に今度の法改正の中に出ております廃棄事業者の事業ということでございますが、埋設ということが言われております。埋設と管理という二つの事業が、これはそういうふうには法律案の中には出ておりませんけれども、低レベル及び高レベルという大枠の区分の中に該当するものとして言われているわけであります。  さて、その廃棄事業の埋設でありますけれども、五十一条の二では、「埋設の方法による最終的な処分」というふうになっておりまして、これはいわば埋めっ放しの処分といいますか、埋め捨て処分といいますか、そういうような技術でございます。しかしこのような処分は、技術的にも科学的にも十分にその安全性が保障されているとは決して言えない処分でありまして、先ほども触れましたけれども、地下水汚染などをもたらす可能性が大きいと思います。特にアメリカ等の例を見ましても、かつて非常にずさんな埋設が行われて、埋設体が破損し、環境中に放射能が漏れていたという経験が少なからずあるわけであります。アメリカでは、六カ所の低レベル廃棄物の埋設施設のうち三カ所はそういう形で閉鎖されたという経験もあるわけです。イギリスでも漏えいのトラブルを聞いております。  アメリカでは、先ほど石橋参考人が言われましたように、そういう経験に基づいて一九八〇年の低レベル廃棄物法及び八二年の国家廃棄物政策法というものができて、ある程度長期的な国家的な政策と責任主体の明確化、あるいは住民の拒否権を含めた手続上の問題等々を踏まえて具体的な管理の目標、基準等々を定めていったということがあります。アメリカのやり方も必ずしも十分とは言い切れませんけれども、そういうことを踏まえずにいきなり最終的な処分としての埋設というのが出てきた。しかも、実際どういう安全な埋設が可能なのかという中身が、先ほども出ましたけれども、政令や総理府令にほとんどゆだねられていて、しかもそれがまだ全貌が明らかではないということの中に、大きな問題があるような気がします。  特に私たちが埋設ということに疑問を持つのは、これはそれを限りの処分でありまして、回収可能な処分の仕方ではないからであります。こういう処分は基本的に低レベル廃棄物であろうと問題であるということは、今かなり多くの科学者が世界的にも言っていることだと思います。特に、低レベル廃棄物体といいましても、ドラム缶の中にはいろいろな種類の放射性廃棄物を含む可能性があるわけです。その一つ一つが必ずしも外からチェックできない。例えば、ニッケル63という半減期が百年ぐらいの放射性物質が原子炉等では腐食生成物としてかなり発生しますけれども、これはガンマ線を出しませんので外からはなかなかはかりづらい。しかし、漏れ出て人体等に入れば非常に有害性を持った放射能ですし、トリチウムとか炭素14とかいうような放射性物質についても同様のことが言えると思います。そういうことも含めまして、実際の実施段階になるとかなりずさんな埋設が行われる可能性が強く、そのことをとめ立てする有効な手段がなかなかないというのが現状だと思います。  それから、実際に法案の条項を見ましても、廃棄物の埋設に関しては極めて簡単な規定しかないことがあります。最初に埋設物と埋設施設の確認行為だけであって、施設の設計及び工事の認可であるとか使用前の検査であるとか、それから一般に原子力施設では通例となっておる定期検査とか、そういったことがこの埋設に関しては一切条項の中に規定がない。つまり、まさに埋めっ放しでいいという、埋め捨ての簡素化という精神が法律の条項の中にも非常に見え見えでありまして、これは極めて大きな問題であると思います。  もう一つの管理の事業の方でございますけれども、これは高レベル廃棄物並びに科学技術庁等の説明では超ウラン元素、TRUも一応この中に入るようでございますが、この保管の事業の規定について見てみますと、これは高レベル廃棄物を主として対象としておりますから、さすがに使用前検査や定期検査等がありますけれども、肝心の管理されるべき物体、これは直接的には、一番端的には高レベル廃棄物のガラス固化体、これは国内でつくられるものも海外返還廃棄物も、その両者を含むと思いますが、このガラス固化体の健全性といいますか、キャニスターの健全性ということが高レベル廃棄物の安全確保の非常に重要なポイントだと思いますけれども、この内容物の健全性をチェックする条項は一切ない、施設の安全に関する条項だけしかないというのは、私は非常に意外に思ったぐらいに、驚くべき法律のつくり方だという感じを禁じ得ません。  それからもう一つ、これはあえて言うべきことかどうかということもありますけれども指摘しておきたいのは、平和利用条項ということが具体的に入っておりません。廃棄物だから平和利用は関係ないじゃないかということがありますが、高レベル廃棄物の中にはプルトニウム等核物質を当然含んでくる可能性があるわけですから、具体的に平和利用条項を入れて平和利用を担保とするようなことがないと、将来に禍根を残すことになるという気がいたします。  以上含めまして、今度の法改正内容的にも極めて問題がありますし、具体的に言いますと、青森県で現在進行していることを法的に後追いするという印象を否めません。しかも、先ほどから集中的に廃棄物を管理する体制をこの法律でつくるんだと言っておりますけれども法律の条項のどこを見ても、一業者といいますか、先ほどからお話に出ております原燃二社に廃棄物の業務を限るという条項はどこにもないわけで、幾らでも多くの業者が生まれてくる可能性がある法律になっておりますので、そういう点も非常に大きな問題があると思います。  時間がありませんので、これで終わります。
  224. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 貴重な御意見をどうもありがとうございました。  終わります。
  225. 大久保直彦

    大久保委員長 遠藤和良君。
  226. 遠藤和良

    ○遠藤委員 本日は、皆様大変忙しいところ当委員会に御出席を賜りまして、ありがとうございました。  普通、参考人質疑は皆様の御意見を最机にお伺いした後、私ども質問させていただくのが慣例でございますけれども、本日は時間の関係でそれがありませんでしたので、私の方から最初に皆様に要点を絞りましてお伺いしたいと思います。  特に本法案全体の問題ではなくて、今本法案の中でも廃棄事業者を創設するというこの一点につきまして、いろいろ議論が当委員会でも分かれているところでございます。廃棄事業者を創設することは安全確保責任がより一層明確になるのでこれを是とする意見、それから発生者の責任逃れになるのでこれを非とする意見、この二つの意見が今対立しているわけでございますけれども、皆様方は、廃棄事業者を創設するというこの一点につきまして、これを是とするか非とするか、また、その主な理由をごく簡単にお示し願いたいと思います。全員の方にお願いします。
  227. 北村正哉

    ○北村参考人 先ほども実は申し上げたのでありますが、廃棄事業について責任を明確にする、もしそれこの法律なかりせば、今の原燃二社必ずしも責任が明確でないわけでありまして、その辺をはっきりさせた上で規制していくということで、私は結構だと思います。
  228. 野澤清志

    ○野澤参考人 お答え申し上げます。  各電力の廃棄物を集中して処理処分する場合には、技術的にも経済的にもしっかりした、十分責任のとれる専門の廃棄事業者が一貫して安全管理の責任を担うことがより適切だと考えておる次第でございます。廃棄事業者に適正な費用を支払うことはもちろん、原燃二社の事業の実施期間中健全に事業を実施できるよう、資金面を初め全面的な支援を行ってまいる所存でございます。
  229. 野村顯雄

    ○野村参考人 野村でございます。  今回の法律に当たりまして安全性の確保、技術面その他につきまして確実に、しかも細かく規定をされるというふうに承っておりますので、私ども事業者といたしましてはこれを確実に実行いたしまして実施に移す所存でございますので、今回の法律については賛成をいたします。
  230. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 私は、今度の廃棄事業のうちの低レベル放射性廃棄物の方の扱い、すなわち埋設の事業にかかわる者でございますが、その立場で申し上げます。  もしもこういった統一した廃棄事業者がない場合に比べますと、国の方でいろいろの基準を定めましても各社がそれぞれこの処理に当たるということになるわけでございますが、私の会社で一括して責任を持ってこれに当たるということは国の方の監督も十分行き届くと思いますし、私ども事業の能力としても、現在の体制でありますならば十分御期待に沿い得るものだと思っておりますので、ぜひ必要だと考えております。
  231. 石橋忠雄

    ○石橋参考人 申し上げます。  廃棄物処理処分を含めまして、原子力の安全に関する基準は年々厳しくなっています。また、それに伴いまして、その費用も高額化しているというのが内外の趨勢でございます。そういたしますと、廃棄物を一たん廃棄事業者に譲渡すると、そのときに、はっきりはわかりませんけれども相当程度明確な料金が決まって支払われる。しかし、先ほどからのお話にもありますように廃棄物は何十年、何百年と存在して、また、それも管理したりしなくてはならないわけです。その間、廃棄物処理処分の費用が膨大に上がってくる。そういたしますと、どうしても廃棄事業者はその費用を軽減しなければならぬ。そうでないと民間会社というのは倒産してしまうわけです。したがいまして、そこに安全の問題が出てこようかと思います。そういう観点から、私としましては、廃棄事業あるいは廃棄事業者の新設については現時点では賛成いたしかねます。
  232. 高木仁三郎

    ○高木参考人 お答えいたします。先ほど申し上げなかった点についてだけ申し上げます。  それは、今の発生者責任の問題に尽きると思います。そもそも現在の法体系の中では、原子力発電所を最初に許認可する段階で、廃棄物の発生のそもそもの問題について一切問われない仕組みになっております。一応廃棄物問題は切り離して、別途、例えば安全審査を受けるということになっておりますけれども、これは非常に問題があるというふうに私は思っております。  そもそも原子力が発電の形態として望ましいものであるかどうかということは、発生した放射性廃棄物の性格、性質、さらにその安全な処理処分ができるかどうかということのめどまで検討した上で言えるべきことであって、そこを切り離して、とにかく発電は認めて、その後で発生した廃棄物についてはまだ後段考えるというやり方自身が問題があると思います。したがって、この方向を直すべく現在の法改正がなされるのであるならば妥当だと思うところでありますけれども、逆に一層電力会社の発生責任をあいまい化する方向で今度の法改正がなされるということは、到底容認できないことであるというふうに考えるわけです。  発生者の責任というのは、単に道義的あるいは経済的な責任ということではなくて、そもそも処理処分し得ないような廃棄物は発生しないことであるとか、なるべく処理処分のしやすいような形態に発生物、廃棄物をおさめるように努力をすることというようなことを発生者が行うことを含んでいると思います。ところが今度の法律では、そこのところが全部問われなくなりますから、例えば具体的な問題として、今西欧等々で盛んに議論が起こっているところでありますけれども、核燃料サイクルの選択の中で再処理が行い得ない選択の方が廃棄物の発生にとって好ましいという判断がなされれば、それはやめるべきであるということが言えると思います。そういう方向で世界にも多くの議論があるところでありますが、そういう選択の検討の責任も電力会社廃棄物の発生責任というところからもなされなくてはならないことだと思いますけれども、そういうことが一切なされなくなるということは大きな問題だと思います。  しかも、先ほど石橋参考人の方から話がありましたように、廃棄物事業だけを取り出して、これを事業としていわば商行為としてしまうということは、経済的な制約がそこに大きく出てまいりますから、先ほど言いましたような十分な対策ができるかどうかということに大きな疑問が生じます。こういう意味で、私は今度の発生者責任の原則を外してしまうことには反対であります。
  233. 中島篤之助

    ○中島参考人 中島でございます。時間がないようですから簡単に。  率直に申しまして、もし電力会社がどうしても廃棄事業を独立させなければならないということで今度の法律をおつくりになったとすれば、公益企業である電力会社原子力発電を任じていることが間違いであるということを私は申し上げざるを得ないのです。これは高木さんともちょっと意見が違うのですけれども、もう既に廃棄物は発生してしまっている。国民の安全のためにいかに安全を確保するかということは、国が責任を持たなければならぬ問題であるということは明白だと私は思っているのです。しかし、それは電力会社の恣意を許すということではないと思っておりまして、私は今度の改正案を眺めまして、残念ながらそういうことは期待できないからこの法律には賛成できない、そう申し上げたいと思います。
  234. 遠藤和良

    ○遠藤委員 具体的に幾つかお伺いしますが、日本原燃産業株式会社の大垣社長さんにお尋ねしますが、既に原燃産業株式会社さんは青森六ケ所村でいわゆる廃棄事業を行うことを目的として、立地調査あるいは建設用地の取得あるいは施設の建設準備等を行っていると私は推測するわけでございますが、これはどういう法的根拠のもとに行っているのでしょうか。今この法律をまさに審議をしているわけでございまして、廃棄事業者として認可がないわけでございますが、既に行っておるわけですね。これはどういう法的根拠のもとに行っているのでしょう。
  235. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 現在いろいろと立地を進めておりますのは、電気事業連合会といたしまして今後集中的に廃棄事業所を六ケ所村に設けようということが決められて、その目的のために電力が中心になって設立した会社であります。したがいまして、その目的に沿うために立地の業務を進めるということでございまして、具体的に安全に関します基準その他についての決定は、御指摘のようにまだございません。しかし、立地を進めるということに伴いますいろいろの、土地の取得だとか、あるいは大前提になります地元地域の方々の御理解を得るというような問題につきましては、商法に基づいて設立いたしました株式会社といたしましては、それを進めることは当然のことであろうかと考えております。
  236. 遠藤和良

    ○遠藤委員 もう一点、社長さんにお伺いいたしますけれども廃棄物処理というのは長い間責任を持たなくてはならないわけでございますね。ある意味では未来永劫にわたって責任を持たなければならない。その責任というものをどのように負い切れるものかという点が一つございます。  もう一つは、損害賠償能力のことでございますけれども、もし大きな事故等がございまして、損害賠償能力を超える損害賠償責任が貴社に発生した場合、これはどういうふうに手だてをするのか、これを確認しておきたいわけでございます。と申しますのは、いわゆる廃棄物の発生者である電力会社廃棄事業者に対して適切な支援を行うということを言っているわけでございますが、今度の法律案の条文には全くないわけでございますね。この辺を会社の責任者としてはどのように考えていらっしゃるのか、お聞きしておきたいと思います。
  237. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 事業の今後の長期にわたる存立に関する第一点の御質問に対しまして、これは先ほど来電気事業連合会の方からも申し上げましたように、電気事業日本の九電力と原子力発電会社原子力発電を続ける限りは、運転に伴いまして低レベル廃棄物が発生するわけでございますので、それの廃棄事業のためには当社が必要ということで進んでおるわけでございますから、したがいまして、電力事業者は当社をみずからの会社の存立と同じ時期まで存立し続けるようにこれを支援する必要があるわけで、また、それを明瞭に表明をいたしておるわけでございます。したがいまして、現在の当社の人員構成あるいは資本の問題等につきましても十分これに見合うようなことが行われつつございますし、また、料金の問題がございますが、これにつきましても、事業が成り立つように設定をしていくということについては十分期待ができると考えております。  なお、安全の問題についてでございますが……(遠藤委員「損害賠償」と呼ぶ)損害賠償の問題でございますね。これは原賠法の適用を受けることになりますので、原賠法の規定に従った賠償責任を負うのは当然でございまして、御質問のこれを上回ったときはどうだという問題につきましては、現在の原子力発電に関します電力事業者が原賠法の規定を超えるような損害が出たときはどうだということと同じような問題かと思いますが、この場合は当然電力事業者が当社を支援するということになると思っております。
  238. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ちょっと納得のいかない面もあるわけでございますが、適切な支援を行うというのは電力会社との約束ではあると思いますけれども、支援が行われないで、失礼な話で大変恐縮でございますが、倒産してしまったというような事態があった場合どうするのかということが、国民の側から言えば大変重大な問題であるわけでございますね。ですから、この辺をはっきりお示しを願いたいな、こういうことでお尋ねをしたわけでございます。最終的には国会で議決をして国が責任を持つという道も残されているわけでございますけれども、やはり第一義的には電力会社の皆さんがどういうふうな責任体制でこの廃棄事業者を守っていくのか、どの辺の担保ができておるのか、約束ができておるのかということを少し明確にしていただきたいな、こういうことで質問をしたわけでございます。  時間がございませんので、もう一つ知事さんにお伺いしたいわけでございますけれども一つは、住民の立場に立った知事さんとして、やはり住民の皆さんのための安全性確保というものを県としてきちっとした体制を整えていく必要があるのではないかな。もう一点は、住民の皆さんの合意というものをどういうふうにとっていかれる御計画なのか。その辺の二点について、ちょっとお考えを承りたいと思います。
  239. 北村正哉

    ○北村参考人 先ほど来申し上げてまいりましたが、この事業協力する、受諾するにつきましては、やはり何よりも安全性だと考えております。その確保を図っていく上にどういう体制を検討しているかというお尋ねでありますが、これにつきましては、この地域は御承知のむつ小川原開発地域の中でありまして、開発事業の一環としてこれを取り上げていく、こういうことであります。その開発事業開発計画があるわけであります。この事業を受諾するに当たってその開発基本計画に一部手直しを加えているわけでありますが、その中でただいまお尋ねのありました今後における安全確保についての考え方を実はうたっているわけであります。「関係市町村と協力し、国の指導と支援を得、住民の安全と健康を保持するため、環境監視計画を策定して、観測設備を整備し、地域住民参加のもとに、環境放射監視あるいは評価のための組織を設置する等によって監視体制の確立を図る」、こういうことであります。  考え方はそういうことで、極めて抽象的に今申し上げたのでありますが、具体的には、この考え方、この計画に基づいて六十年度から現地の監視、燃料サイクル施設環境放射能総合調査ということで、国の指導を得ながら調査事業に既に着手しているところであります。その結果を踏まえながら今後の体制づくりに努力してまいりたい、こう考えておるところであります。  もう一つの、住民の理解、同意、これをどうやって求めていくか、極めて肝心なところであろうかと思います。今もってこの事業について大変な疑義、疑問、疑念、不安、何となしの不安というのが大部分のようでありますが、具体的に論理的にかくかくのことに基づいてという不安よりは、むしろ、いろいろな話が聞こえるものでありますから、それによる何とはなしの不安というものが圧倒的にあるわけであります。これをいかにしてなくしていくか、解消していくかということが行政に課せられた最大の課題ではなかろうかというふうに思っております。自分だけが安全性はいけるだろうと感じてみても、住民にそのとおりに納得していただけなければ問題は大きく残るわけでありまして、これについては国にもお願いするし、県自体も理解を得るための努力、みずから説明会、研修会を開くことももちろんでありますが、マスコミ等も通してこのことに向けてのいろいろな努力を今後惜しまないつもりであります。
  240. 遠藤和良

    ○遠藤委員 最後に一問でございますが、日弁連の石橋さん、先般アメリカに行かれましてアメリカのいわゆるサイクル基地の現状を調査された報告を聞いておりますけれども、今サイクル基地というのが将来どういうふうになるのかというのは日本にとっても大変関心があるわけでございますが、原子力発電所の最大の先端国であるアメリカではどのような感じになっているわけですか。ちょっと簡単に教えてください。
  241. 石橋忠雄

    ○石橋参考人 お答えいたします。  アメリカでは、先ほど申し上げましたように高速増殖炉、これはクリンチリバーの高速増殖炉ですが、これが八割方できていたのに政府決定で建設を断念した。これは大きな転換点となっております。それから核廃棄物もそうですが、再処理その他につきまして、プルトニウムがなくなる、こういう事態も発生して、そこからやはり国家の安全にかかわる問題である、こういうことから御承知のとおりカーター政権が原子力というものについて否定的な政策を打ち出された。しかしその後レーガン政権になりまして、はっきりした年月日は忘れましたが、レーガン大統領の原子力政策に関する声明が出されております。この声明によって、アメリカ原子力については抑制しないんだ、こういうようなことでございますけれども、一方においては小さな政府というのも目指しておりますので、民間でやるのは制限しない、こういうようなことでございます。  そのような流れから、民間原子力発電所の建設あるいは計画というものが、安全に対して非常にお金がかかるようになっておりますので、断念したり建設を中止したりということが相次いております。全体的には軍事面を除きまして民間原子力事業は下火になっている、あるいは、一般の市民のこの原子力というものに対する素朴な感情といいますか、それも懐疑的になっておるという方向にあるのではないかというふうに私は受けとめてまいりました。  以上です。
  242. 遠藤和良

    ○遠藤委員 大変にありがとうございました。
  243. 大久保直彦

    大久保委員長 小川泰君。
  244. 小川泰

    ○小川(泰)委員 参考人の皆様方、きょうは大変お忙しいところ御苦労さまでございます。今までの委員との間のやりとりでほとんど重要なポイントが浮き彫りにされております。そういう中で、再質問のようなことにかかるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  第一点は、先ほど来質問者の間で、今度の法律案とのかかわり合いでポイントの焦点というのは、電気事業連合会と新しく仕事をなさろうという原燃二社とのかかわり合いと、もう一つは各電力会社が既に発電を行い、廃棄物が出ておるというかかわり合い、この三つがどうこれから皆さんの納得の上でうまい方向へ処理されていくかというところに今度の焦点があるように私は思うのです。そのさばき方について、一つの安全というものを前提にしてできるだけセーフティーガードというものを漏れのないように進めていこう、こういう角度から幾つかの法案ができておると思うのです。  そこで、このできていくまでの過程はわかりました。そういう前提で電事連の野澤さんにちょっとお伺いしたいのですが、仮にできていきますね、オーケーと言って走っていきます。そうすると、発生者である電力会社と二つの事業者とが存在していく、さらにこれが管理をしていく。こういうプロセスの中で、今これからつくろうという段階における三者のかかわり合いというものと、現実に走っていった場合の三者のかかわり合いというものはどんなふうに変化していくのかなと、私はさっきから伺っておって、そこら辺が明確になれば、賠償責任とか支払いの体力がどうだとかといったふうな話が明確に出てくるのではないかなという気がいたしますので、その辺のかかわり合いをひとつ、流れで結構ですからお答えいただくとありがたいと思います。
  245. 野澤清志

    ○野澤参考人 お答え申し上げます。  各電力会社を代表しまして電事連がこの原燃サイクルの確立の当事者として進めてきたわけでございますが、これからはそれぞれの独立の事業者として両者が責任を持って経営を進めていくよう支援していきたいと思います。そのほかの金銭的な面あるいは経理的な面、技術的な面は先ほど来申し上げましたように全面的に支援する所存でございます。
  246. 小川泰

    ○小川(泰)委員 これ以上お話を伺っても、これから走っていってみないと、具体的にはいろいろ出てくるので難しい点があるだろうと思います。ずばり言いまして、今冬原子力発電所にいわゆるドラム缶に積まれておりますね、このボリューム、それからそれを受けようとする会社の、例えば六ケ所村の今の面積とかキャパシティー、ボリュームというものがある程度明示されておりますので、そこら辺の関係がどうも私どもはっきり浮かんでくるような浮かんでこないような感じがするので、大体今の——電力の需給状況によっても原子力の稼働状況によっても、廃棄物の量も違ってまいりましょう。さらにはその廃棄物をできるだけコンパクトに処理しようという技術もこれから開発されていくことでしょう。したがって、量も今時点とは大分違ってくる。幾つか不確定要素が実はあるのですが、今やろうとする事業計画は大体どのくらいまで見て計画されておりますか。
  247. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 お答えいたします。  これまでに公にいたしておりますように、当社の六ケ所村におきます施設は、各社の発生する二百リッターのドラム缶の低レベル廃棄物が年間約五万本発生するといたしまして、これを約二十年間、すなわち百万本収客する施設を当面建設するということで具体的に検討をいたしておりますが、あわせましてさらに超長期にわたります今後の廃棄物の増加その他を考えまして、三百万本収容できるような用地をこの際確保しておこうということでスタートいたしまして、現に用地の方もそのようなことを前提にして進めておるわけでございます。
  248. 小川泰

    ○小川(泰)委員 今度はずっと話を変えまして、北村知事さんの方にお伺いを申し上げたいのですが、私もこういうものにかかわってから、随分北村知事さんに原子力というかかわり合いで御苦労願っておるな、例えば原子力船「むつ」の問題のときとか今度の問題とか、一つ一つの案件にそれぞれ特徴があって御苦労も違うかなというふうに思っております。  先ほどもお話があったようですが、私ども国という立場としても、地方自治体の長である知事さんに地方住民との接点ができるだけうまくいくように、それから事ができるだけスムーズに運ぶように大いに支持していかなければならないな、こういうつもりで幾つかの問題にかかわってまいりました。そういう観点から、ずばり言ってもう少し突っ込んで国の方でこういうことをしてくれるとありがたいなとか、実際やってみてこの辺はもっと手を差し伸べてくれたらどうだというふうなことがありましたら、この際お聞かせいただくと大変参考になると思いますので、お願いしたいと思います。
  249. 北村正哉

    ○北村参考人 お答えいたします。  当面お願いしたいのは、やはり住民に不安を抱かせないように安全性のPR等、理解をしてもらうように国の方でも力を入れていただくということが一つございます。同時に、最初から申し上げてきておるのでありますが、経済関係が中心になるかもしれませんけれども地元とのつながりを深めて共存共栄していけるような国としての措置、交付金等が考えられるわけでありますが、単に電源三法に準ずる交付金といったようなことだけにとどまることなく、地元雇用、地元発注、地元参画、こういった面で地域と密接につながりを持たせていく、地域住民が喜ぶようなことにしていただきたい。安全性に不安を抱かせないようにしながら、地域振興をあらゆる角度から考えていただくということであります。  今申し上げましたほかに、関連の作業、事業所を近所に持ってくるとか、研究所、試験場を持ってくる、あるいは学校、文化面の施設を国の力あるいは国の指導によって事業者等と携えながら、現地にその面——その面というのは教育、文化等の面にまで潤いを与えてくれるような施策を考えていただきたい。このサイクル事業が進むことによって地域全体として住民の生活が引き上げられる、こういうことを願ってやまないわけであります。ぜひ国の方でそういう御配慮をしていただきたいということを申し上げたいと思います。
  250. 小川泰

    ○小川(泰)委員 御苦労のほどお察し申し上げます。  知事のお話の中にも幾つかありましたように、もちろん国の方としてやれるものは手だてを尽くすべきでありましょうが、これからあそこで事業を営もうとなさる原燃二社の方も、今の知事のお話にこたえられるような体制を相当考慮していくということが大事だなと思っておりますので、その辺についてもし何か今こんなものもあるよというような構想でも言えるなら、お答えいただくとありがたいなと思っております。
  251. 大垣忠雄

    ○大垣参考人 お答えいたします。  私の会社のことが中心になりますが、まだ決めたことではございませんけれども、安全に対しましては申すまでもなく十二分に配慮し、また、これを確保しなければ事業の存立が危うくなるわけでございますので、これは最大限の努力をするつもりでございます。会社の運営に当たりまして、組織をつくれば成果が上がるというものでもございませんが、現在私の会社は六部制で、本社六部と現地の建設準備事務所という体制で進んでおりますが、準備工事から本格着工というふうに進んでまいりましたならば、安全の観点をさらに強化するという意味で安全管理部というものをつくっていきたいというふうに考えております。そんなことをやったって何にもならぬというおしかりがあるかもわかりませんが、安全に対します私の現在の気構え、構え方がわかっていただける一助になればと思いましてあえて職制のことなど申し上げましたが、そんなつもりでおります。
  252. 小川泰

    ○小川(泰)委員 原燃サービスさんの方は何かございますか。
  253. 野村顯雄

    ○野村参考人 お答えを申し上げます。  安全面については手前どもも大垣社長と同じ方針で、確保には万全を期してまいる所存でございます。また、知事さんの言われました地元の振興に寄与する共同体ということで私ども現地に事業を展開して進めてまいりたいというふうに考えておりますので、細部についてただいまここで申し上げるほど煮詰まってはおりませんが、県御当局と十分お打ち合わせをさせていただいて、私どものできるだけのことをさせていただきたいと考えておるところでございます。
  254. 小川泰

    ○小川(泰)委員 時間が早いですけれども、私の質問をこれで終わります。
  255. 大久保直彦

  256. 山原健二郎

    ○山原委員 参考人の皆さん、本当に御苦労さまです。共産党の山原でございます。私の持ち時間が少ないものですから、せっかくお見えくださったのに質問できない多くの参考人の方が出ると思いますが、御容赦いただきたいと思います。  中島先生にお伺いしたいのですが、この法案審議に当たりまして我々が一番困っておることは、この法案の安全確保にかかわる根幹の部分が政令にゆだねられるということでございます。また、その出てくるものがどういう数値が出てくるか全くわからないということ。同時に、安全委員会検討中だということで、その安全委員会検討の数値も見当がつかないという状態の中でこの審議が行われておりまして、しばしばそれで一定の混乱をしておるというのが現状でございますが、この点に関しまして原子力の専門家はどういうふうにお考えになるのか、この点について最初に御意見を承りたいのです。
  257. 中島篤之助

    ○中島参考人 簡単にお答えいたします。  ただいま御質問のあった事項というのは、私、原子力研究所に三十七年間勤めておる間じゅう疑問に思っていたことで、しかし私は法律の専門家でありませんので、日本法律というのはそういうつくり方をしておるのだと思っておりますけれども原子力科学者の立場からいたしますと、一番肝心なことが法律には書いてないわけであります。今度の改正案を実は隅から隅まで読んでも、例えば非常にいろいろ論争になっておる低レベル廃棄物のいわゆる区分境界値というのはどういうものだということは数値では与えられていない。あるいはそれをどう考えるかという考え方も明示されていないし、その基準も明確でない。これでは科学者にとっては、これは審議に意見を出せと言われても全く一まずこの辺をちゃんとやっていただきたいということを申し上げたい。これは日本法律をつくる国会の長い間の伝統でもありましょうけれども、これは言い方を変えますと、少し言い過ぎかもしれませんが、行政府がいわば好きなようにできる可能性があるわけでありまして、政令はおろか、あるいは最も重要なものが告示というようなものになってしまうわけですね。これで実際国民の安全にかかわってくるのは、実はその告示の数値がどうであるかということが一番問題だと思うのですね。  それで、例は幾らでも挙げられると思いますが、時間がありませんから、例えば原子力発電所の敷地境界における法律上の規制値というのは、たしか政令、総理府令でしたか、もちろん法律事項ではなくて、事故の場合に、例えば甲状腺に二十五レム、それから全身三百レム以上の被曝、それ以上になるような原子力発電所はつくってはならないというのがあるわけです。しかし、これは法律ではないわけですね。これはまたむちゃくちゃに高い数字でありまして、もし原子力発電所の敷地境界で二十五レム被曝するような事故が起こったら、これは大変なこと、科学者から言えばとんでもない数字なんです。それがいまだに全然変わらないでそのまま残っております。せっかく法律改正されるといいながら、そこは一つもおいじりにならない。  実際原子力委員会は、その非常識な数字でおやりになっているわけじゃなくて、五ミリレムというのをお決めになってやっておられる。これは皆さん御承知のとおりであります。年間五ミリレムを超えない。ところが、これは原子力発電所だけに限るということになりますから、再処理工場には適用されないわけです。再処理工場では、例えば東海の再処理工場の場合には、そういうある原子力委員会の決めておられます方式に従って計算をいたしますと、年間で三十二ミリレムになる。そういう数字が出ているわけです、安全審査会では。ただ実際は再処理工場は稼働率一〇%そこそこだから、そんなに出てないからいいだろうというわけにはいかないのでして、やはりそこはきちんとしなければいけないと私は思うわけです。この五ミリレムを適用するかどうかということが、今度の問題になっております青森の再処理工場の、北村知事がいらっしゃいますけれども、委任された専門家の御意見を見ても一言も書いてない。これは科学者としては非常に驚くべきことです。  それからもう一つは、同じことですけれどもアメリカの環境政策法なんかでは、法律ですからどうしても抽象的ではありますけれども、三十二ミリレムというような数字が出てくる根拠になるクリプトンの放出をやはり野放しにはしない、これははっきりと法律でもって保修を義務づけるというようなことをやっておる。せめて日本ではそのぐらいのことが明示されたものを、きょうここで呼ばれて御意見をと言われれば私は喜んでいろいろなことを申し上げたいのですけれども、抽象的な法律案について意見を述べると言われても甚だ困るというのが私の率直な感想であります。やはり原子力というものは、技術の方を先にして、科学的なことを先にして、それが法律に反映するようにどうかしていただきたいというのが私のまず言いたいことであります。  もう一つは、各国のこの原子力法の規制は国によってさまざまでございまして、多かれ少なかれ私が申し上げたような欠陥を持っておりますけれども日本ほど数値を敬遠している国はちょっとほかにはないのではないかというのが私の感想であります。法律ではありませんが、フランスは日本に一番似て行政府の行政権限の強いところでありますけれども、そこが昨年つくった安全規則というのがございます。この廃棄物処理場に関する安全規則を見ましても、これは書いてあることは抽象的なことが書いてありますけれども、具体的な数字が二つあるわけです。一つは、三百年という年をはっきり入れております。つまり、国が廃棄物処理場について三百年間責任を負うということを明示しているわけです。私は、今度の改正案について、やはりどこかでそれをお入れになる必要があると思う。何百年間は、どこが責任をお負いになるか大変議論になると思いますが、国がやはり責任を負うということを明示すべきである。それからもう一つは、TRU化合物の量を明示しております。つまり、これは一番問題なのは、原子力発電所から出る廃棄物の場合であってもやはり超ウラン元素のキュリー数だけはこれ以下で、トン当たりたしか〇・〇一キュリーだったと思いますが、これ以下にしなければいけないというようなことが書いてある。  これは決していい例で申し上げているのじゃなくて、せめてそのくらいのことを決めなければ規制する法律にはならないということを私は申し上げたいということで申し上げました。
  258. 山原健二郎

    ○山原委員 国会がこういう問題について政令にゆだねる場合がありますけれども、しかし、これだけ重要な一つ法案のまさに骨幹をなす部分が政令以下にゆだねられるだけでなくて、法律審議過程においてその数値がわからないというようなのはほとんどないのですよね。ありましても、政府の責任ある答弁をはっきりさせて法律の採決が行われる。この法律のように全くその重要部分が欠落したままで審議が進められるというような例は、率直に言ってほとんどありません。しかも、国民の安全に関する問題でそういうことはないと思います。  もう一つの問題として、非常に長期にわたる放射性廃棄物の安全確保責任を一民間廃棄業者にゆだねることになっているという問題があるわけです。これは諸外国では国有企業形態が多いというふうに私は聞いているわけでございますが、こういう問題を含めまして、本改正案が全体的にいろいろ問題を持っておると思います。その点について、各国の例も挙げていただきまして、中島先生としてはどういうお考えを持っておるか、伺いたいと思います。  もし時間が残ったら、この点非常に綿密な調査をされております石橋先生にもお伺いしたいと思うのですが、お二人の方にこの点についてお答えいただきたいと思います。
  259. 中島篤之助

    ○中島参考人 私も外国の例を綿密に調べたわけではございませんけれども、きょうの御議論をいろいろ拝見しておりまして私が非常に気にしておりますのは、放射性廃棄物は、下北に運び込まれるいわゆるドラム缶に入っている原子力発電所からの廃棄物だけではないということであります。  そのことを一つ端的に申し上げたいと思うのですが、私のおりました原子力研究所におきまして、これは政府の方針で一万二千五百キロワットという大変小さい電気出力を持ちました動力試験炉、JPDRと申しますが、その動力試験炉の解体研究を行っております。これから発生する廃棄物、これは高レベル廃棄物も一部ございますが、大部分は中、低の廃棄物になるわけでありますが、これは金属にしまして約五万トン、それからコンクリートにして約六十万トンというふうに見積もられているわけであります。これは非常に膨大なものでありますから、まさか下北へ運ぶということは私はないだろうと思っておるわけです。しからばそれはどうするかということは、本来、今度のこの規制法改正されるときであればこういう問題は議論をしておかなければいけないことではないかと思うのですね。  今は原子力研究所の試験研究段階としての原子炉の解体でありますけれども、既に電事連その他におきましても、原子炉のいわゆる解体というその方針をほぼお決めになって、つまりそれは、日本では敷地が得られないから解体撤去という方針をとるんだ。私はその方針自体に疑問がありますけれども、もしそれをおとりになるとすれば大量の、原子力研究所の小さい原子炉の例から皆さん御想像いただくことからわかるように、非常に膨大な廃棄物が出てまいります。これは「原子力工業」という雑誌を見ておりますと、非常に安易にと私は思うのですが、この量は多いと思われるかもしれないけれども、埋め立てにする量で考えれば大したことはないんだというようなことを電力会社技術屋が書いておられる。  こういうことが、僕は国民の不信を招く基本になると思うのですね。これは重大です。コンクリートは何でもないだろうということでありませんで、実はトリチウムがあるはずであります。これははかることも困難です。ですから、今度の廃棄物全体についてもそうですけれども、一番はかるのが難しいのは、さっき高木参考人も指摘されましたが、ガンマ線を出すものははかりやすい、しかしベータ線のものであるとか、特にアルファの廃棄物はドラム缶の外からでは絶対はかれないのでありまして、これはどういうはかり方をしてこれ以下だということをおっしゃるのかということに、私は科学者として大変興味を持っております。ところが、どこへ聞いてもそういうことは全くわからないのですから、意見の出しようがないというのが私の現状でございます。
  260. 山原健二郎

    ○山原委員 今の後の問題ですね、石橋先生に伺いたいのですが、何しろ三百年、二百年というスタンスで考える場合に、電力会社だって五十年、六十年は維持できるかもしれませんが、情勢の変化によってはどういう運命をたどるかわからぬわけですよね。そういった場合に、しかも埋設されたものは三百年、こうなってきますと、だれが一体その責任を持つのかということになりますと、これはどういうふうに考えたらいいでしょうか。お考えがあれば、簡単に御説明いただきたいのです。
  261. 石橋忠雄

    ○石橋参考人 簡単に申し上げます。  私どもで研究したのはアメリカの事例でございますけれどもアメリカでは、先ほどの一九八〇年の低レベル放射性廃棄物政策法、これによりまして、一九八六年の一月までに州が責任を持って廃棄物の処分場を決定しろ、こういうことになっているのです。州がアメリカにたくさんございますけれども、同盟州という概念を持って、幾つかの州が固まってその州で発生する低レベル廃棄物を処分するなら、それでもいい。しかし、自分のところの州だけで廃棄物処理しても構わぬ。いずれにしろ、州同士で勝手に同盟州をつくってそこで処分するように決定しなさい、こういうような法律になっております。ところが、州の同盟の協定ができたところもありますし、また、できないところも非常に多うございます。  私がアメリカに行ったのは去年の十一月でございますけれども、その後あっという間にその期限の一九八六年の一月が過ぎちゃった。過ぎちゃったものですから、どうしたらいいかということになっている。現在アメリカでは、低レベル廃棄物は先ほどのハンフォードほか二つの場所に処分しておるわけですけれども、そのそれぞれの三つの州の知事がもう持ってきてもらっては困る、法律の期限の一九八六年の一月が切れちゃったから、もう持ってきてもらっては困るということを連邦議会に陳情したわけです。その期限切れの扱いについて、同盟州の構想が最終的にまだ決まっておりませんので、その扱いをどうするかということを連邦議会などで検討中でございます。  それから、高レベル廃棄物の処分につきましては国でその管理、処分をする、こういうことになっています。その処分場をどこにするかということで、各地でその処分場の選定の作業がなされております。これは、例えばハンフォードでは広大な世界有数の玄武岩層がございます。非常にかたい層でございますけれども、これに掘削機を打ち込んで、地下千メートルのところまで幾つも穴を掘って、そこに実際にキャニスターを入れる。そのキャニスターも、温度の違うキャニスターなんかを幾つか入れて、岩層とか地盤の研究をしております。そのほか、地下水の流れが横に流れるか縦に走るか、こういう研究も国を挙げて何年もやっている。それで、一九九八年までに処分の候補地を決定しなさいということになっていますが、その一九九八年までまだまだございますから、高レベル廃棄物技術の確立に向けて研究中というふうに承っております。  以上です。
  262. 山原健二郎

    ○山原委員 どうもありがとうございました。
  263. 大久保直彦

    大久保委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次回は、来る五月六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会