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1986-04-17 第104回国会 衆議院 科学技術委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月十七日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 大久保直彦君    理事小官山重四郎君 理事 塚原 俊平君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 小澤 克介君 理事 関  晴正君    理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君       有馬 元治君    櫻内 義雄君       若林 正俊君    村山 喜一君       八木  昇君    安井 吉典君       遠藤 和良君    山原健二郎君   出席国務大臣         国 務 大 臣        (科学技術庁長) 河野 洋平君   出席政府委員         防衛庁装備局長 山田 勝久君         科学技術庁長官         官房長     矢橋 有彦君         科学技術庁計画         局長      長柄喜一郎君         科学技術庁研究         調整局長    内田 勇夫君         科学技術庁振興         局長      藤咲 浩二君         科学術庁原子         力局長     中村 守孝君         外務大臣官房審         議官      松田 慶文君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   小池 清彦君         防衛庁防衛局調         査第一課長   堀川 和洋君         科学技術庁長官         官房審議官   吉村 晴光君         科学技術庁長官         官房審議官   須田 忠義君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         文部省学術国際         局学術課長   佐藤 次郎君         文部省学術国際         局研究協力室長 西澤 良之君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   大澤 弘之君         参  考  人         (軍事問題評論         家)      山川 暁夫君         科学技術委員会         調査室長    工藤 成一君     ――――――――――――― 四月十七日  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  研究交流促進法案内閣提出第七四号)      ――――◇―――――
  2. 大久保直彦

    大久保委員長 これより会議を開きます。  内閣提出研究交流促進法案を議題といたします。  本案審査のため、参考人から御意見聴取いたします。  御出席願います参考人は、宇宙開発事業団理事長大澤弘之君及び軍事問題評論家山川暁夫君であります。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに大澤参考人、次に山川参考人順序で御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、その後委員質疑お答えを願いたいと存じます。  それでは、大澤参考人お願いをいたします。
  3. 大澤弘之

    大澤参考人 研究交流促進法案審議に当たりまして、私、行政改革推進審議会参与ということで、科学技術振興に関しまして参画をいたし、研究交流促進我が国で大変必要であるということにつきまして、皆さん参与皆さん方審議会皆様方と一年弱にわたりまして論議を重ねてまいりましたもので、本日お呼び出しを受けましたので、当時の審議を振り返りまして、御参考になる御意見を申し上げたいと存じます。  申すまでもなく、科学技術振興我が国にとりまして今後大変重要な役割を持っております。なかんずく、二十一世紀に向けて科学技術振興が次の日本にとりまして大変大事なことでございますが、従来我が国科学技術は、御承知のようにどちらかと申しますと先進欧米諸国を手本といいますか、そこででき上がったものを導入をいたしまして、それに改善、改良を加えて、その中から日本独自のものももちろんつくり、それらを基にいたしまして、我が国科学技術振興あるいは国力の発展ということに資してまいってきておるわけでございますが、世上よく申されますように、非常に大きな分野と申しますか、かなりの分野我が国科学技術欧米先進国の水準に到達をいたしてきております。これは考えようによりましては、従来型のやり方ではもう底をついたといいますか、頭がつかえたと申しますか、そういう状況で、先ほど申し上げましたように今後の我が国発展科学技術振興によるところが大であるとするならば、底をついた、あるいは頭を打たれているところを何とかしなければならないということが一番基本にありました皆様方意見といいますか、気持ちであったように受け取られました。  そこで、これをどういうふうに科学技術行政全般にわたって展開をしていくべきかということで、各方面の学識の方々からまず意見を求めるということを審議会ではいたしました。著名な日本大学先生方あるいは学者方々で、科学技術行政なりあるいは学問進展なりに指導的な役割を果たされた方々、あるいは産業界研究所で研究に従事をされた方等々からの御意見をいただきまして、その方々はまた、欧米科学技術の現状なり研究開発の進め方なりに関しましてそれぞれいろんな経験なり知識といいますか、そういうものもお持ち合わせの方々でございまして、欧米諸国がどういうふうに進めておるかというようなことも述べられながら、我が国の今後のあり方について御議論をいただいたわけでございます。  その後、審議会の小委員会、私ども科学技術の小委員会ということで進めたわけでございますが、小委員会は、国立研究機関を持っております各省の行政当局からの御意見、それから本日の特に問題に触れる研究交流に当たりまして、国家公務員法あるいは国有財産法といったこととの問題が種々出ましたので、これを所掌しておりますところの官庁の担当の御意見、それから国立試験研究機関の現在従事しておられます研究者方々といった各方面の御意見も賜りまして、最終的に小委員会意見をまとめて答申審議会の方にいたしたいという経緯でございます。  研究交流につきましては、この意味は、先ほど申しました日本研究基礎研究の方へ転換をしていかなければならないということが一番大きなもとでございますが、現在の研究は大変に学際的と申しますか、いろんな分野相互協力をし合いながら進めていかなければ壁を抜けていくことができないということで、そういう意味合いで、いろんな意味研究交流、人の交流あるいは機関相互の乗り入れといった共同研究体制なりあるいは情報の流通、公開といったようなことの必要性が力説をされたわけでございます。そのときに、従来の制度としてございますものが実際そういう交流を進めてまいりますときの隘路になっておるという指摘が大変ございまして、やはり我が国のこれからのためにはここをよく見直すことが必要であり、必要な従来の枠と申しますか、規制を突破するようなことをしなくてはこれからの対応は難しかろうということで、それでこの研究交流法制定すべきであるという提言に相なったものというふうに思っております。  政府におかれましては、それを受けられまして、今回研究交流促進法案を出し、御審議をここでいただいておるわけでございますが、私どもこの行政改革推進審議会の衝に当たり、科学技術の今後の振興に重大な関心を持っております者といたしましては、一日も早く本案成立をいたしまして、研究者のより自由な活動と、国立試験研究機関なり大学なりが研究開発に関してより活性化して、私ども日本研究開発欧米に、より負けないと申しますか、より進んだ形で今後展開されるよう御処置をしていただくということが必要かと思っておりまして、本席をかりてまたお願いを申し上げたいと思う次第でございます。(拍手
  4. 大久保直彦

    大久保委員長 次に、山川参考人お願いをいたします。
  5. 山川暁夫

    山川参考人 山川と申します。  内外の軍事問題あるいは国際問題についての評論活動をしている一介の野人でしかございませんけれども、そういう仕事柄国会審議あるいは国会で取り上げられている案件などについては、一般国民よりも多少なりとも関心を寄せてウォッチをしておるという立場にございますが、その私にしてからが、うかつといえばうかつだというふうに御批判いただくかもしれませんが。研究交流促進法というようなものが国会に上程され、きはう午後衆議院科学技術委員会で議決されるという段階に来ておるということは知りませんでした。まして、一般国民の多くの方々がそれを知っておるというふうには私は考えられないというふうに思います。大学研究にかかわる学者方々研究者方々も、こういう法案が今、国会にかかっておるということについてどれだけ御存じになっておるのか、そのことも大変疑問だというふうに思います。  つまり、私がまず申し上げたいのは、きょう私がここで参考人として発言をして、そのことがいいか悪いか、正しいか正しくないかというようなことを含めまして、もっと広く議会そのもので御審議いただく期間がなければ、参考人聴取されるという議会運営というのが単なる茶番ではないのかというふうに考えるのですね。こういう国会での論議が行われているということを、少なくとも日本の各関係学者研究者方々に広く伝えられた後、十分な御審議を得た後の国会での採決をしていただきたいというふうに考えるわけです。どうしてお急ぎになるのか、参考人聴取国会に呼ぶという手続そのものが、なぜかくも慌ただしく行われておるのか、そのことが甚だしく私は疑問でございます。さき参考人の方がおっしゃいましたように、研究というのは非常に学際的になっておるわけでありますから、いろいろな研究部門機関交流というようなことが必要なことは言うまでもないことであります。あるいは海外との研究交流というものも、とりわけて第三世界の国々などは日本技術を欲しがっているということが常識でございますから、そういう必要があることは言うまでもないことだと思うのですけれども法案を拝見をした限りで申し上げると、いささかそういう一般論だけでは処理できない中身が入っておるのではないかというふうに私は判断をいたしたいと思うのです。  やや政治的な結論、即断、あるいは勘ぐりに過ぎるかもしれませんけれども、今アメリカ日本に強く求めておりますSDI計画についての日本協力、これが、間もなく先進国サミットが開かれる、あるいはレーガン大統領が、これはリビテの状況でどういうふうになるかわかりませんけれども、来られるとなれば、恐らくサミットの表舞台裏舞台における非常に大きな課題一つになる。さき中曽根首相の訪米に基づく日米首脳会談課題の中にも、SDI計画という問題についての日本協力問題がある。そういうタイムテーブルと密接にかかわりながら、国会審議というものが十分な責任を持たないまま完了形に持っていこうというふうにお動きになっておるのではないか。大変僣越な言い方ですけれども、そういうふうに考えるわけであります。  世界日報という新聞がございますけれども、今日本に来ておられますアメリカウィリアム・シュナイダー国務次官、この方は、国際安全保障協議会の第七回東京会議というのが開かれておりまして、それを機会にお見えになっているわけでございますけれども、まさにきのうの世界日報の一面トップに単独会見記事が出ておりますが、我が国SDI参加をシュナイダー氏がこの会議で呼びかけたのは、政府最終決断を求める発言であると考えてよろしいというふうに報道されております。恐らくそういうこととの見合いで国会運営が進みつつあるのではないのかというところに非常に大きな疑念を私は感ぜざるを得ません。  さっきも言いましたように、科学研究発展のため、その発展促進をしていくということは大変大事なことであり、この発展を国内の諸機関交流し、協力しながら進めるというのは言うまでもなく必要なことでございます。海外との相互協力も必要なことでございます。その趣旨で多分、昨年の七月二十二日の行政改革推進審議会行革審の当面の行政改革の方途についての答申の中に、研究交流促進法(仮称)の制定というふうな命題が上がってきたのであろうというふうに思いますけれども、ややこだわって申しますと、この行革審答申研究交流促進法というものをつくれよというコメントが出ておりますのは、第四項の「産学官等研究交流促進」という項目でございます。ところが、次の第五項の「研究開発の基盤・条件の整備等」の中における「国際協力推進」というものが法案の中にそのまま入り込んできているわけですね。つまり、行革審答申研究交流促進法制定というとこうでのアドバイス、コメントの中には、法案にあるような国以外という概念の中に海外は入れておりません。外国は入れてない。つまり、国の機関以外の民間の機関とかあるいは大学機関とか、そういうものとの交流ということが研究交流促進法中身として勧奨されているわけでありまして、この中には、国以外という概念海外、国の外の研究あるいは政府との協力という考え方は入っていないわけであります。つまり、行革審の中に出されている研究交流促進法とは、全くと言うと語弊がありますが、違う中身として法案が登場してきておる。  その中には防衛庁関係者の、自衛隊関係者の問題も入り込んできておる。産学官といいますけれども、そうではなくて、軍産学複合体の形成問題ではないのかというふうに考えますし、それから、アメリカ外国人研究者参加させることによって出てくる日本側の受けるさまざまの損害、そういったことについては免責をする、あるいはそれによってつくられた研究成果というものは、特許権というふうに書いてありますけれども、それは海外に対して無償で提供するというような中身が入ってきておるわけであります。しかも、これは法案の内容として申し上げれば、研究交流促進法でから取られました、つくり上げられました研究成果というものは、全世界に対して公開されるべきであるという原則は入っておりません。     〔委員長退席塚原委員長代理着席〕  それで逆に、「その他の国際約束」に基づいてこの研究は進められるということになりますが、一体、国際約束というのはどういう範囲で、どういう中身としてこの委員会で認知されたのでございましょうか。どういう約束国際約束というふうにお考えになっておるのでしょうか。確認されたのでしょうか。昔でいえばMSA法ですね、MDA法日米相互防衛援助協定に基づくところの軍事的な協力の問題がございます。これはアメリカMSA法の第八条に基づいてつくられているものであります。日本軍事あるいは技術関係まで含めてすべてのことをアメリカ協力させるということがアメリカの立法の原点として確認された上でつくられた協定でございます。それに基づく運営というものがこの研究交流促進法の十条に基づく「その他の国際約束」ということで適用されるとするならば、一体これはどういう結果が出てまいるのか、甚だ疑問であると思います。  あえて私はソ連というふうに問題を立てておきます。研究成果外国総体としての協力という中にソ連は入るのでございますか、入らないのでございますか。恐らく入れないというふうに思います。入れるかどうか、それは政策的に正しいかどうかということは別にして、原理的にこれは入ってこないであろうというふうに思います。だからこそ研究成果一般公開、国際的な公開原則というものが入っていない。一方で、アメリカとの取り決めに基づく、つまり秘密的な制約の問題が、この法案の中には明示はされておりませんけれども、「その他の国際約束」に基づいて行うんだという形で入っておる。さらに申し上げますけれども、七月二十二日の行政改革推進審議会答申というものは、現在衆議院段階審議が進行中でありますが、御案内の国家安全保障会議法、つまり情報のコントロールを含む国家的機構整備をするという、そういう考え方とセットされて出されてきているものであります。  そういうことを考えると、内容的なことについては後でまた御質問を得ながら機会を得て発言することもあろうかと思いますけれども、間違いなくアメリカSDI計画への参加を政治的に極めて鋭く問われてきておる。そのことが国会運営審議そのものをまことに不毛なものにし、国民からいえば不可解な動きをつくり上げられておるというふうに考えるわけであります。願わくは、なおこの審議については予定のスケジュールがあるからということではなくて、もっと広い専門家の、直接かかわる学者研究者意見ども聴取をされて、慎重に御判断結論を得ていただきたいというふうに考えます。(拍手
  6. 塚原俊平

    塚原委員長代理 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 塚原俊平

    塚原委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沼赳夫君。
  8. 平沼赳夫

    平沼委員 参考人のお二人、大変お忙しいところをお足をお運びいただきまして、本当にありがとうございました。心から御礼を申し上げる次第であります。  私は、自由民主党の立場から、参考人に若干質問をさしていただきたいと思うわけであります。  言うまでもなく、我が国一つの国是と言われておりますところに科学技術立国という言葉があります。科学技術推進発展というものが、二十一世紀を控えて日本の基本的な一つの大きな中心的な課題であるということは論をまたないところでございます。この科学技術立国を目指して、その基礎となる研究というものを活発にしていく、このことが大きなポイントになってくるわけでございまして、かかる観点から今回の研究交流促進法というのも、国以外のいろいろな機関研究交流を活発にして、そこで大きな成果を上げて、そして科学技術立国への基を築く、こういうことで私どもは大変重要な法案である、一日も早い成立を期さなければならない、こういう認識に立っているわけでございます。  そこで本日は、この法案の作成の一つの重要な契機となりました行革審答申審議に当たられました大澤参考人にまずお伺いをさしていただきたいと思うわけであります。  初めに、行革審論議参加されたお一人として、研究交流促進を図るために用意された本法案についてどのように評価をされているか、御意見をお伺いをいたしたいと思います。そして、この法律により研究交流活発化がどういう形で期待されるか、そういうことについてお答えをいただきたいと思います。     〔塚原委員長代理退席委員長着席
  9. 大澤弘之

    大澤参考人 先ほど冒頭に申し上げましたことになりますが、研究交流は、我が国の現在これから進めていかなければならない研究がいろんな分野方々分野と申しますのは一つには学問分野一つには今お話がございました産学官といったそういう分野、こういういろんな分野を超えてといいますか、一緒になって研究を進めていかなければならないということがもう現実に非常にたくさん出ておりますし、また、幾つかそういうことをした結果大変立派な成果が生まれておるという実例もございまして、それを進めていかなければならない。しかし、そのときに一番問題でございますのは、やはり国の研究機関にとりましては国の法律上の制約ということがございます。これは研究公務員あるいは教育公務員等が具体的に研究交流を進めていく上での国家公務員法上の制約、それから研究成果をお互いに使い合おうといたしますときの、国の財産としての特許権なりなんなりの取り扱いに関しましての国有財産法の枠と申しますか、規定等々が円滑な交流を進めるに当たっての壁になっておりますことを、本法案では行革審がありたいということで答申をいたしました線に沿って盛り込んでいただいておりますので、私は、本法案評価というお話が今ございましたが、大変に難しい問題を国の各所管官庁協議をし合いましておまとめいただいたものとして、高く評価をいたしておる次第でございます。  したがいまして、本法案成立をいたしまして、具体的に国の研究公務員なりあるいは大学研究者が、産学あるいは学官あるいは国と国同士での研究一緒になってやっていくということのためには大変に役に立つものというふうに思って、我が国基礎研究がこれによりまして今後進展をしていくものと考えております。
  10. 平沼赳夫

    平沼委員 今お話伺いまして、私も全く同感でございます。特に、学問世界というのは割合セクショナリズムがございまして、非常に優秀な研究がそれぞれの分野で埋没をしてしまって、横の連携がなくて、本当にその有機的な結合を欠くために大きな進展が期待できない、これが一つ研究隘路になっていたと思うわけでございまして、この法案によりましてそういう隘路が取り除かれて、今おっしゃるように研究交流活性化をする、そこでいろいろ相乗作用が出てきて大きな成果が期待できる、まさに私はそのとおりだと思っているわけであります。  次に、本法案は、人文科学のみに係るものを除いた科学技術に関する試験研究対象とする、こういうことになっているわけでございまして、行革審答申でもその点は触れてない、そういうふうに私ども理解をいたしております。そこで、行革審論議において、人文科学のみに係る科学技術振興についてはどのような御認識のもとに特に触れられていないのか、その辺、大澤参考人からお伺いをさせていただきたいと思います。
  11. 大澤弘之

    大澤参考人 行革審科学技術振興ということで取り扱いまして、実は行革審の中では、人文科学のみといったようなことにつきましての議論、あるいは人文科学自然科学と申しますか、それ以外のものとのかかわりといいますか、そういうことに関しましては、私、この委員会には全部ではないのでございますけれども、大体出席をいたしましたが、私が出ております範囲におきましてはその議論は一切なかったと申しますか、意識をしていなかった、正直に申し上げますとそういう形になっておるかと思います。
  12. 平沼赳夫

    平沼委員 今参考人から率直なお話として、まさに人文科学のみを取り扱わないということに関しては全く議論対象になっていなかったということを初めて承ったわけであります。私どもも、将来の問題としてやはり人文科学という問題も、これからいろいろ多様化する世の中にあって研究交流ということを考えたときに、それを除外をしてしまうということはどうなのかなという疑念も持っておりますけれども、この辺どうお考えでございましょうか。
  13. 大澤弘之

    大澤参考人 私は、今先生の御質問を受けて個人的なことで申し上げることになろうかと思いますが、科学技術発展の中で人文科学役割は極めて重要でございます。そういう意味で、人文科学といわゆる自然科学と申しますか、そのかかわり合いを否定するものではなかろうかと思っております。ただ、研究交流ということで考えておりましたのは、自然科学同士のいわゆる共同研究なりあるいは委託、受託の研究なりということが専らでございますので、私は、現在の法案によりましても、我が国研究交流促進にはほとんどの分野がそういう形であろうかと思いますので、その促進に十分寄与するのではないかというふうに考えております。
  14. 平沼赳夫

    平沼委員 わかりました。個人的なといっただし書きがついておりましたけれども、お考え理解をさせていただきました。  本法案は、国の研究活動全般対象とするということになっておりますが、行革審論議の中で、防衛庁が行っている防衛技術研究についてはどのように取り扱われたか、その辺お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 大澤弘之

    大澤参考人 これも人文科学と同様でございますが、正直に申し上げまして、私が出席をしておりました限りにおきましては、防衛庁の研究なり軍事研究といいますか、そういうのをどうだという議論はこれまた一切ございませんで、いわゆる一般的に国の研究振興していく、国と申しますのは今の産官学全体を含めてですが、国の研究振興していくためには研究交流としてどうあるべきかという、極めて一般論として展開をいたしておりまして、防衛というようなことを意識したといいますか、特別に際立たせた議論というものは全くございませんでした。
  16. 平沼赳夫

    平沼委員 次に、お越しをいただきました山川参考人にお伺いをしたいと思うわけでありますけれども、今後、我が国は創造的な科学技術振興を積極的に推進する必要があります。近年の研究開発は高度化し、また、多くの分野協力を必要とするものも増加しております。したがって、研究組織の枠を超えた研究協力推進し、資金、人材等に限られた研究資源の効率的な活用を図ることが極めて重要であると認識をしているわけでありますが、このため、産業界、学界、そして政府との間の協力、いわゆる産学官協力推進することが肝要であると思います。こういうことについて、先ほども参考人はいろいろ御意見を述べていられたと思いますけれども産学官のこういう一つの背景の中の研究交流に関してはどういうお考えをお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  17. 山川暁夫

    山川参考人 既に先ほどの発言で申しましたように、科学技術発展というものが必要であり、それを進めるに当たっては、今平沼先生大澤さんへの御質問の中で触れられましたように、学界におけるセクショナリズムというものを大胆に打破していくことが非常に大事なことであろうという、そのことについては私は全く異議がございません。であればあるほどにというふうに申し上げたいと思いますが、その学界のセクショナリズムというものは、御存じでございましょうけれども実に根深いものでありまして、これは大学そのものの存在にまでかかわるぐらいのことでございまして、正直言って一本の法律で処理できるほどの簡単なものでもない。むしろ、そのことをそれでは議会のレベルにおいて提起をするのだということであれば、今の日本の学界状況の宿痾とも言えるようなそのセクショナリズムを超えていくということの問題提起を、学界そのもの、研究界そのものに大胆に鋭く提起をされた上での論議があり、その結論としてこういう法案がつくられていくことが望ましいのではないかというふうに考えます。  それともう一つは、これもいみじくも今の質疑応答の中で出てまいりましたけれども、先ほども申しましたように、行革審答申の中では明らかに科学技術推進ということをだれも否定できない、だれも反対できない、その枠の問題として論議されているのに、大澤さんはそこのところは自分ではわかりませんというふうにおっしゃったわけですけれども、出てきた法案には明らかに自衛隊、防衛庁の問題が入ってきておる。それから、国の中の問題ではなくて国以外ということで、国内のものではなくて海外のかかわりの問題が入ってきておる。これは私は、行革審答申と看板は同じであるけれども中身がどこかでかえられたのではないのか、ややげすの勘ぐりかもしれませんが、そういうふうに考えます。とりわけて、法案の五条、六条、七条、八条、十条ですね、これは恐らく行革審答申には入っていない条項であるというふうに考えます。そこのところは、論議の中でもっとお詰めになる必要があろうと思います。  繰り返しますが、科学技術推進ということは大事なことであります。昨年科学万博というのも開かれたわけでありまして、それも科学技術推進が大事であるということから出てきておるわけですが、あの科学万博の開催の趣旨の中にはっきり書かれてありますけれども、そういう状況であるのに、人々は科学技術によるさまざま起こってくる出来事を通じて、科学技術に対しての一種の不信感、ニヒリズムというものを持っておる、だから科学万博を開かねばならぬ。もう一つ付、第三世界に対する日本の国威、それを科学技術大国という形で示すということが今国策にかなうことであるということが書いてあります。これは私は、純粋に科学技術必要性という論理の枠を超えておるというふうに考えるわけです。つまり、科学技術は否定されますかと言われれば、みんな賛成でありますというふうに答える以外はありません。そのキャッチフレーズのもとで、そうではないものがいろいろ入り込んでくる、そこのところは厳に議会のレベルにおいても選別をしていただくということが必要であろうというふうに考えます。
  18. 平沼赳夫

    平沼委員 いろいろお伺いしたいことはたくさんあるわけでございますけれども、時間が限られております。本日は、参考人のお二人、大変お忙しいところ貴重な御意見を御開陳いただきまして、ありがとうございました。私の質問は、これをもちまして終了させていただきます。
  19. 大久保直彦

    大久保委員長 安井吉典君。
  20. 安井吉典

    ○安井委員 大澤参考人山川参考人、きょうはありがとうございます。  まず大澤参考人伺いたいのでありますが、実は今、平沼委員とのやりとりの中で大事なところを私電話をかけておりましてちょっとお聞き漏らしをして申しわけないのですが、今日まで行革のいろんな審議の中でお加わりをいただいて、終始その中で御努力をなさったということで本当に御苦労さまでございましたが、その中に、行革審審議の中では国際交流ということ、それから防衛庁職員、自衛隊員との問題が全くなかったということの御発言だったように思うのですが、この点もう一度、申しわけありませんがお答えいただきたいと思います。
  21. 大澤弘之

    大澤参考人 今御質問がございました国際交流と、それから防衛庁のことについてお答えをいたします。  国際交流の問題につきましては、答申の中にも、前文から始まりまして、我が国の現在の位置づけから研究が国際的に発展をしていくものであり、また、いかなければならないということで、これは先ほど申し上げました専門の各学識の方々からもひとしく強調をされておもところでございます。つとに研究のみではないのでございますが、我が国の行動に関しましては、もっと国際的に開かれていかなければならないということは言われておりますが、研究分野におきましても今後ともそういう努力をしていかなければならないということで、これは答申全体を通しまして国際交流を活発にしていくということで取り扱っているものと思っております。  研究交流につきましては、この答申の中にあります交流促進法のところには、先ほど山川さんがおっしゃいましたように、特に「国際」という言葉の指摘は出ておりませんが、前段におきまして、国際的に開かれた研究組織といったようなことを実現していかなければならないということもうたわれておりまして、国際的に日本研究を展開していくための交流の素地というのを本法案でとっておることは、私はこの答申の趣旨に沿っておるものというふうに考えております。  防衛庁の問題につきましては、特別に防衛庁職員なり防衛庁の研究なりということに関して、正直に申し上げまして議論がなかったというふうに申し上げたわけでございますが、国の研究なりの一環として防衛庁がありますことは当然のことでございまして、私が申し上げたのは、特にその問題に関して議論がなかったということで申し上げたわけでございます。
  22. 安井吉典

    ○安井委員 科学技術庁の初めのころの案の中には、防衛庁関係がなかったのですね。それが後に加わってきて、現布の政府案になったという経過があるようでございます。臨調あるいは行革審の中での審議がなかったということだけは、それでわかりました。  そこで、国際交流ということになりますと、今SDIの問題で国の内外大変な論議が巻き起こされているわけでありますが、もしSDIに日本政府が加わるというふうなことで話し合いができた場合に、宇宙開発事業団もそれに加わることができるのかどうか。第一条に平和目的という規定がありますね。あの種子島からSDIを打ち上げてくれ、あるいはまたそれに関連する協力をしてくれというふうなことになりましたら、理事長としてどうなさいますか。これは仮定の問題ですがね。
  23. 大澤弘之

    大澤参考人 私ども現在宇宙開発を進めておりますところで、現在までのところ外国からも、あるいはメーカーからも、あるいはまた国の方からも、このSDIに関しまして現在私どもがやっております仕事との関連で接触なり何かを受けたことは一度もございません。そんなことで、私もいわゆる第三者といいますか、一般のあれとして新聞等の記事を読みながら、SDIというものがどういうものかという程度の知識でございますが、我々が現在開発をいたしておりますロケットなり衛星につきまして、直接このSDIとの研究の結びつきというものはないように思いますので、今後とも私どもには直接のあれがないのではないかというふうに考えております。
  24. 安井吉典

    ○安井委員 第一条の平和目的がありますね。そこからまず制約を受けるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  25. 大澤弘之

    大澤参考人 私は、宇宙開発事業団法の「目的」にあります平和の問題に関しましては十分承知をいたしておりますし、これは国側での解釈に従って私ども実施をしていくものというふうに考えております。
  26. 安井吉典

    ○安井委員 もう一点、今度の法律がもし通れば、事業団も国以外の機関ということの中に入るわけですね。したがって、いろいろな交流関係が生まれてくるということになると思うのですが、もし防衛庁職員、自衛隊員というようなものを交流で受け入れてくれと言われましたら、理事長どうなさいますか。
  27. 大澤弘之

    大澤参考人 私どものところでは、現在までのところ、もちろんそういうことが一切ございませんでしたし、今現在、私ども防衛庁と一緒になってやらなければならないという研究開発のテーマと申しますか、そういうものはございませんので、ちょっと仮定の御質問に想像がつかないわけでございますが、国の宇宙開発ということで国が定めた基本計画に従って実施をするというのが私どもに与えられた責務でございますので、その線に沿って今後も対処してまいりたいというふうに考えております。
  28. 安井吉典

    ○安井委員 どうも仮定の質問ばかり申し上げて悪いのですが、しかし、今後そういうことが現実化する場合も考えられるわけです。それがまた今度の法律で跡づけられる、そういうことになるわけで、理事長が行革の一環として初めお考えになっていた本当のまともな考え方と違ったものがどうもこの法律で生まれてきはしないかという心配が私あるものですから、あえて無理なお答えを願ったわけです。そういうような事態が起きないことを、私は心から希望しております。  後でまたお伺いするかもしれませんが、山川参考人にこれから伺います。  先ほどいろいろお話がございましたが、SDIの問題を随分御研究されておられるようでございますから、そのことを少し伺いたいと思うのですけれども、その前に、この間のここの委員会での論議の中で、軍事目的の技術というようなきな臭いものはなじまないが、汎用技術というようなものは、それも軍事に使おうと思えば使えるのではないか、私どもはそう言うのですけれども政府側はそれを、いや汎用技術だからというようなことでお逃げになっているというふうなことがございます。それからもう一つは、迎撃専門ということで、守り専門だからというようなことをSDIについても言われるわけでありますけれども、私どもは、守りといってもこれはいつでも攻撃用に転ずることができるのではないかというふうなことで、大分議論を今日までしているわけでございます。それからもう一つ、自衛隊の加入の問題も、先ほど本来の科学技術振興という論議の中ではなかったものが後で出てきたということで、その点私ども極めて不可解に思うわけでございますが、その汎用技術ということ、迎撃という意味、あるいは自衛隊の加入問題、これはさっきもお触れになりましたけれども、これらの問題についてのお考えをまず伺います。
  29. 山川暁夫

    山川参考人 こういう場所で非常に常識的なことを申し上げるのはあるいは失礼かもしれませんけれども日本の経済といいますのは、七〇年代までは大ざっぱに言いまして自動車と家庭電器がリード役になって成長してきたというふうに言っていいと思うのですね。しかし八〇年代に入るところから、自動車は韓国が追い上げてくるとか、あるいは家庭電器などについては台湾、シンガポール、香港などが追い上げてくるという、その世界の趨勢との絡みで日本の産業構造における中心軸をどこに置くかということで、根拠を挙げろと言われればややこしくなりますから省きますが、結論的に言うと、第一に航空宇宙産業、二番目に原子力産業、三番目にエレクトロニクス、コンピューター、半導体、通信機、つまり情報関係産業、それからもう一つバイオテクノロジー、遺伝子工学、それを中心とした産業構造に変えるということで、そこで八〇年代に入っての日本産業界、経済界総体に嵐が吹くような転換が今進んでいるわけでございますが、その主軸になります四つの産業部門というのは、冷静に考えますと今日における軍事産業の主力であるというふうに考えてよかろうと思うのですね。  軍事産業というふうになりますと、一般国民の多くは、戦車をつくる、大砲をつくる、弾をつくる、軍艦をつくる企業だというふうに考えがちでありますけれども、それはそのとおりでありますが、今日は大砲と戦車の戦争の時代ではございません。コンピューターとミサイルの戦争の時代であります。そのミサイルとコンピューターの戦争の時代の軍事産業の主力となれば、航空宇宙産業、つまりミサイル、ロケットなどをつくる産業であり、あるいは原子力産業であり、さらには情報関係産業である、私はこういうふうにかねてから思っております。  例えば、日本が独自に核武装すると仮定をしました場合に、どの産業部門が持てる力を発揮すればいいのかといえば、今申し上げた産業部門であります。航空宇宙産業、原子力関係情報関係、これ以外は要りません。つまり日本経済というのは、今日、今日型の軍事産業を中心とした産業構造に変わりつつある。そのことが直ちに戦争経済であるというふうには見えてこない。ここに今日の状況の特徴があるわけでありまして、おととしの暮れでございますか、八五年度予算の政府間折衝で、防衛庁予算の中にパトリオットという自衛隊装備の新鋭ミサイルの導入ということが、復活折衝で最終的に首相裁断で決定をいたしました。その翌日、日産は日産ディーゼル川口工場の全面閉鎖というのを発表いたしました。  これは御案内だと思いますけれども、日産が、アメリカ軍事産業、ミサイル産業である、これはスペースシャトルのプログラムに入っている企業でありますが、マーチン・マリエッタとの提携を進めておりまして、つまりパトリオットのノーハウ、技術を最初に導入したのは日産でございます。つまり国民一般からいえば、あれは自動車をつくっている会社だというふうにお考えになっていると思いますけれども、そうではなくてミサイルをつくる会社に自動車企業がなり始めておる。ここのところが、先生質問になりました汎用技術の問題と軍事技術の問題というものの今の絡みを具体的な姿であらわしているのであって、汎用技術だから軍事技術にならないというのではありませんで、汎用技術こそが実は軍事技術の本体をなすというふうに今は考えることの方がより正確であると、いうように私は思うのです。  先ほど申し上げましたアメリカのシュナイダー国務次官が東京で記者会見をやって、そこで述べたことをもう一回申しますが、SDIの参加を呼びかけた。それは、この世界日報の記事によると「シュナイダー次官が、「日本防衛に有益」との新たな観点から、我が国SDI参加を呼びかけたのは政府最終決断を求めた発言として注目されよう。」とコメントしているわけですが、そのシュナイダー氏は、一問一答の中でこういうふうに言っておりますね。「日本はSDI研究にどのような面で貢献できるか。」SDIの研究というのが、評価はともかくとして、民間の研究であるなんというふうにはだれも世界じゅう考えている人はいない。これは明らかに軍事的な問題として進められていることは御承知のことでありますが、そのSDI研究にどのような面で日本は貢献できるのかという質問に対して、こういうふうに答えられている。「日本にはよく知られた技術がある。それは電子工学、工レクトロニクス、信号処理素材、電子通信。これらの分野は、SDIに重要だ。SDI技術は民間技術軍事に転用するものである。日本の民間企業がSDIに寄与することができる。」こういうふうに述べられているわけであります。  そのことでおわかりいただけると思いますけれども、汎用技術というものは、実は広義な意味において今日の軍事産業の、山で言えばすそ野をなす。そこが区分けを判然とすることのできない形で現在の経済及び軍事技術というものは存在をしておるということを申し上げておきたいと思いますが、この時間でSDIの問題はこのまま続けてよろしゅうございますか、委員長
  30. 大久保直彦

    大久保委員長 はい。
  31. 山川暁夫

    山川参考人 もう一つの問題は、SDIがどういうことであるのかという関連の御質問でございますが、まず御承知おき願いたいのは、レーガン大統領が八三年、今からほぼ三年前の三月二十三日に初めて戦略防衛構想というものを持ち出しましたときに、ヨーロッパの反響というのはどういうことだったかといいますと、今までアメリカはいわゆる核抑止力論を中心とした戦略構想を持っておった。つまり、核の力で平和を守るという考え方であった。それを捨てるのではないのか、つまり核の傘でヨーロッパを守ってやるという考え方を捨てたのではないのか、アメリカ一国だけをソ連のICBMその他の攻撃から守るという考え方に転じたのではないかという疑問がヨーロッパでは噴出をしたわけですね。  同じ考え方は、きょうは防衛庁関係の方はおられませんが、正直言って防衛庁の中の本音でございます。これは御承知おき願いたいと思います。つまり、SDI計画というものはアメリカ一国を守るための計画なんではないか、世界じゅうを核の傘で守ってやりますよという今までの考え方を切りかえたのではないかという疑問が、ヨーロッパでも日本の防衛庁の本筋のところでも出ておった。これは証拠を挙げろと言われれば、私は挙げることができます。防衛庁内部の文献に出ておりますから、証拠を挙げろと言われれば挙げることができますけれども、そういうものなんだということをまず押さえておいていただきたいと思いますね。  その上でSDIの問題について、全面的なことは申し上げられませんけれども、多少申し上げますと、御承知のようにソ連から打ち出してくる長距離ミサイルというものを、宇宙空間に置いた衛星あるいはその他の施設をもって、そこから発する鏡などを使いながらレーザー光線あるいはビーム粒子で破壊してしまおうということでございますね。アメリカだってソ連だって同じでありますが、ロケットが打ち上がったときにはほぼ真っすぐに上空に向かって打ち上がっていく、これがブーストの段階、噴射の段階と申します。ややしばらく上に上がって斜めに傾いてまいりますね、これがポストブースト、噴射後の段階と言う。それから一定の与えられた高さまで行って、後はミッドウエーコース、水平で、これは大体二十分くらい飛ぶわけでございますが、そこから最終のターミナルフェースに入る、つまり目標に向かって飛び込んでいく。大まかに言うとこの四段階で飛んでいく。細かく言われると七段階に分かれますが、大きく言うと四段階に分かれる。  そのそれぞれにそれぞれの手法で対応していこうという構想でありますけれども、一番ねらい日なのはブーストの段階である。つまり噴射直後の段階、これがそうでございまして、テレビで私たちが素人で見るように、ミサイルだといっても非常にゆっくりゆっくりと上がってまいります。そして後ろ側に猛烈な噴射光を出しているわけでありますから、宇宙空間に張りめぐらされたレーダーその他で非常にキャッチしやすい。しかも今では、ミサイルというのはミッドウエーコースのところに入ってまいりまして、ターミナルフエースに入る直前のところになりますと、例のMaRVということになります。つまり、一発のミサイルから十発以上の核弾頭が出ていくということになりますから、そこではらまかれた後で一発一発の弾頭に対して対処しているというのでは、それは大変手間暇のかかることである。わかりやすく言えば、乗り合いバスに乗っているところで、まだ分解されない前にやっつけてしまった方がいいということになりますから、つまりさっき言った四つの段階の中の初めの段階のところ、とりわけてブーストの段階、噴射の段階でほとんどを撃ち落としてしまおう。これがアメリカ考え方でいえば、六〇%から八〇%まではブーストの段階で破壊をしてしまおうということになるわけですね。  ところが、そのブーストの段階というのは、真上に向かって飛び上がっていく段階というのは、時間でいいますと六十秒から九十秒ぐらいしかありません。その間に、飛び上がったミサイルが演習用なのか、本当にアメリカに飛んでくるミサイルなのか、ミサイルの頭に本物の核弾頭がついておるのか、おとり、にせものがついておるのか、一体どこに飛んでこようとしておるのか、すべてを判断をして攻撃をするということになります。それは、これだけ科学技術が進歩していてもほとんど不可能であろうと思うのですね。それを判断をして、よし、ならば本当に来るぞ、だからSDIの機能を発揮してよろしいと大統領が命令を下す、それが六十秒ないし九十秒の間にその大統領命令まで含めて取りつけることができるのかどうか、これはほとんどできないと思います。要するに、これはコンピューターで解析する以外にない。だから、状況が起きた、ばたばたとインプットしたコンピューターで判断してはっといく。  つまり私の理解で言えば、SDIというのは核戦争ないし核戦争を誘導するきっかけの発生のための自動装置であります。ほとんどオートメーション装置だ。それを宇宙空間に張りめぐらして平和を守るという言い分がいかにそら恐ろしい得物の言いようであるか、あるいはそれに向かって協力をするということがいかに人類の幸せに対して反人類的なものであるかということは明確であろうというふうに思います。しかも、SDIというものが一方に構成されれば、一方はそれに対応する技術を持たないということはありません。対応するものを持つ。  それから、SDIの問題でレーザー光線、ビーム粒子というものを申しましたけれども、レーザー光線を使うと攻撃のスピードはどのくらいの速さになるのか。音速の何十倍か、違います。光線でありますから、光のスピードで攻撃力が飛んでいくわけです。これは、ほとんど人間がこの世に存在をしてから考えることのできなかった軍事技術上の大転換を意味すると思うのですね。光のスピードで攻撃力が飛んでいく。その攻撃力は、福手ミサイルを破壊できる能力があるならば、クレムリンの真ん中に飛び込ましてもいいわけであります。あるいはソ連軍事基地そのものに、何もICBMに限る必要はないわけでありまして、SDIというものは防御的だということは全く根拠がない。それを防ぐ能力というものをソ連側が持ちましょう、対抗側が持ちましょう、それじゃそれを突破する能力をまたつくらなければいかぬということになりますよ。  恐らく盾と矛の関係、つまり矛盾の関係でありますけれども、兵器というものは常にそういうふうにして競り上がり、際限のない無限のところに進んできたわけでございますね。それを先ほど言ったようなレベル、宇宙空間まで含めたレベルのところまでその法則を適用していくということでありますから、SDI計画というのはレーガン大統領がいかに平和のためだ、防衛のためだというふうに言おうとも、それは僕は許さるべきものではないというふうに考えます。  時間がございましたらもっと詳細なことを申し上げることもできると思いますけれども、要点そういうことをお話をして御判断いただきたいと思います。  もう一点若干つけ加えて申しますと、広義SDI概念というものは決して宇宙衛星あるいは人工衛星、それから地上から発射したレーザー光線を宇宙空間に張りめぐらした鏡で反射させてというような構想だけではありませんで、アンチサテライト、ASATと申しますけれども、つまりソ連側の宇宙衛星をアメリカ側が事前に攻撃する、そういうプログラムも広義SDIの中には入っております。その場合の攻撃力はどこからやるかといいますと、これは超音速の戦闘機でやるわけでありまして、アメリカが今考えておりますのはF15でやるわけであります。ソ連の衛星というのは地球を回っておりますけれども、南北の軸に非常に近い形で回っておりまして、北極圏の方では上空二千キロぐらいのところを飛びます。ところが、南極は二百キロぐらいの高さを飛ぶわけですね。だから、南極を飛んでいるところでアメリカの持っておりますF15でそれを撃ち壊してしまう。私の知っておる限りでは、F15をそのために発進させる地政学的な意味における最大の適地はどこだという問題がアメリカ研究されておりますが、その結論はマルビナス、つまりフォークランドであります。先年紛争の起きましたフォークランドというのは日本にとっては非常に遠い感じでありますけれどもSDI計画の中では軍事的に非常に重要な意味を持つ。二番目がニュージーランドであります。  それからもう一つ言いますが、ではそのF15というのは世界じゅうどこに配備されているのか、日本はそれとのかかわりはないのかというふうなことも、SDIの問題を考える場合には重要なことの一つであるということを申しつけ加えておきます。
  32. 安井吉典

    ○安井委員 SDIについていろいろ解説をしていただいて、ありがとうございました。 いろいろな角度から問題があると思いますけれども、私はコストの面からいっても、もうそれで世界じゅうに核兵器がなくなって戦争が終わるというのなら幾ら金を使ってもあるいはいいのかもしれませんけれども、恐らく今考えられているものだけでも恐ろしいコストを必要とするのではなかろうか。アメリカはとても賄い切れないから、ほかの国も、おい片棒担げというふうなことで言っているのではないか、そうも思われるわけであります。いずれにしても、こちら側でSDIをやったら、向こうの方もSDIつぶしをやることは間違いないのではないかと思います。ICBMをソ連からアメリカに撃った。SDIでそれをぶっつぶす。もしもそのぶっつぶす作用を壊してしまえば、ICBMは間違いなくアメリカにぱちんと行くわけですね。  ですから、SDIを壊す新しいSDIのシステムというか、そういうことになるし、そのSDIの極めて複雑なシステムを一部だけ壊せば、もう全体が機能できなくなるわけです。例えば鏡の衛星を壊してしまえば、もう機能できなくなるでしょう。ですから、両方のそういう新しい核拡大のための競争が始まると、これは金も幾らでもむちゃくちゃにかかってしまって、どちらもぶっつぶれてしまうのではないかというふうな気もするわけであります。そういうコストの面等についての御検討はありますか。
  33. 山川暁夫

    山川参考人 アメリカの中では、そのコストの問題と、大体そういった科学技術というものの実現性があるのかというようなことが非常に大きな疑問になって出ておるということは御承知だろうと思います。  コストについてはいろいろな言いようがありますけれども一般に言われておりますのは、一兆ドルを要するという言い方がされているわけですね。一ドル二百円というふうに考えてみても、二百兆円という金をこの計画に注ぐ。つまり、私がさっき言いました核戦争のオートメーション装置、極論いたしますと人類の自動絶滅装置みたいなものでありますけれども、そのために一兆ドルの金を使うということがどういうふうなメンタリティーから出てくるかということは、大変疑問があると思うのですね。アフリカその他の餓死の問題、地球上で毎年ほとんど九州の広さと同じものが砂漠になっていくような状況に対してこそ対応のための金を使わなければならぬということがあるのに、今言ったようなものに一兆ドルの金を使うということで、安井先生がおっしゃったように、そのために日本が金を分担せいというようなことになろうとしているのだろうと私も思いますけれども、私はその金の問題よりも、アメリカがなぜSDIを固執するかといいますと、もう一回アメリカを中心とした世界産業構造改革をやろう、もう一回アメリカを中心とした世界秩序というものをつくろうというのが最大のねらいであろうというふうに思うのですね。  要するに、アメリカ世界を握ってこれました大きな土台というものは、一つはそれこそ核の戦力であります。二番目はドルの力であります。三番目は、アメリカが持っている先端技術を中心とした技術能力でございますね。ところが核の問題については、いかに核をたくさん保有したところで、それは使い勝手のあるものではないというのは、今や常識的なことだろうと思いますね。それからドルの問題については、昨年ついにアメリカは一九一四年以来七十一年ぶりに資産勘定においても純赤字国になったわけであります。七十年前というのはまだイギリスの時代、パックスブリタニカの時代でありますから、アメリカ世界のリード役になって初めて赤字国家に転落をした。だから、ドル暴落の懸念さえ出てきておる。それを防ぐためのG5の会議があってドル暴落こそ防がれておりますけれども、しかしドルは九月の末から実に三五%も値を下げる、三五%円高になるというような世界経済上の大きな転換が起こっているわけですね。このままいけば一九九〇年にはアメリカの債務額は一兆ドルになる、世界最高の債務国家になるという観測さえ出てきておるのが今日の状況であります。  そうしますと、アメリカがもう一度世界のリーダー役としての確固たるポジションを立てるとすれば、それは先端技術を中心とした産業構造上の世界産業構造改革の中心としてみずからを位置し、そこでアメリカが負け始めているような部分における世界の、これは汎用技術を含めた一般技術ですが、それをアメリカが吸収する、その吸収する手っ取り早い手がSDI計画だ。それへのドイツ、日本その他への協力要請であるというふうに言っていいと思うのです。私はさっき、八〇年代に入って日本の産業構造の中心が航空宇宙産業、原子力産業、情報関係産業、それから遺伝子工学、バイオテクロノジーだとお話をしましたが、この分野こそアメリカが強いわけであります。そのアメリカの最大のよりどころに今ひたひたと攻め寄っておるのが実は日本経済であります。  アメリカにとっては、ソ連の経済は怖いことは一つもありません。これは大事なことであります。ソ連の経済とアメリカの経済は折り合いがついているわけでありまして、これは俗にウオツカ、コーラの関係と申しますけれどもアメリカは穀物が余ってしようがない、ソ連は足りなくてしようがない、そこで折り合いがついているわけであります。日本ソ連の問題についてのいろいろな見方がありますけれどもアメリカソ連関係は後ろ側、下側では相当になあなあの関係があるのだということを、リアルな日でちゃんととらえておく必要があると思います。  アメリカにとって経済的に最大の宿敵は何だというと、日本であります。その日本を敵にしてしまえば、アメリカの時代も終わってしまいます。かつてイギリスが世界制覇の力が落ち始めたときに、最後のところでイギリスは頑張りました。それは、頭をもたげつつあったアメリカというものを完全に動員することによって、第二次パックスブリタニカの時代をつくったわけであります。今アメリカの第一次パックスアメリカーナの時代が揺れかかっているときに、それを再建する最大のかぎは、同盟国である日本の援助、日本の力をアメリカがどれだけ動員できるかということであります。だからIBM、ATTを先頭として日本に乗り込んでくる、そして電電まで解体をしていくというようなことさえ起こるわけであります。そこのところの日本アメリカとの間の構造上のぶつかり合いがあるからこそ、今や日米関係は防衛摩擦ではない、開戦前夜に近い状況であるという言葉が出ると私は理解をいたしております。  その日本の持てる力というものを全面的に吸収する最大の祝詞、お墨つき、それは何だといえば、自由主義陣営を守るためにSDI計画日本協力せいということになってくるということでございます。だから、金の問題だけではありませんで、アメリカのまさに国益に基づいてもう一回日本というものと再試合をし直す、その最大のてことしてSDIに対する日本協力が迫られておるというふうに理解するべきではなかろうかというのが私の意見でございます。
  34. 安井吉典

    ○安井委員 もう一点SDIについて伺いたいのは、日本とのかかわり合いにおいて、SDIそのものを日本から打ち上げるとか、あるいはまたその関連施設を日本に置くとか、そういうような心配があるのかどうかということです。さっきフォークランド島のお話も出ましたけれども、非常に複雑な巨大な一つのシステムでSDIというものを成り立たせるとすれば、そのための一つ機関が置かれれば、そこをつぶせばそのシステム全体がとまってしまうというふうなこともあるわけで、日本の中にその巨大なものが何か置かれるのか、あるいはまた関連施設が置かれるなんということになると、これは大変なことになるわけです。そういうこともあるものですから、私はさっき大澤理事長に、もし種子島にSDIを持ってこられたらどうするのだという妙な質問をしたわけでございますが、山川参考人としてのお見通しをちょっと伺います。
  35. 山川暁夫

    山川参考人 おっしゃるとおりだというふうに私は考えます。先ほど来しばしば読み上げさせていただいておりますけれども、なぜこういう新聞がこの時期に出て、そしてこの委員会が慌ただしく議決をされようとしているかというところとつながりがあるから私は申し上げているのであって、別にたまたまではない。シュナイダーが来て、SDIの問題に結論を出せと言っているわけですよ。だからこういう記事が出てくる。  そのシュナイダーが言っている中で、例えば「問題は、日本ではSDIを核兵器だという意見もあるが。」という質問に対して、「それは正しくない。今討議されている考え方は、核を宇宙空間に打ち上げ、極めて波長の短いレーザーをつくり出すことだ。これは核兵器と言えるものではない。」レーザーは核兵器ではございません。しかし、レーザーがなくして、あるいは通信システムがなくて核戦力というものは行使できないことは当たり前のことであります。  核兵器というのは、これはやや私の持論でありますが、哲学的論争になるわけで、核弾頭というものがございますね、トマホークの核弾頭は大きさがこのぐらい、それをここに持ってきてこれは核兵器ですかといえば、核兵器と言えないですよ。これは単なる核燃料物質が入っておるものであると言う以外にはない。それは推進機に乗っけて、ミサイルに乗っけて打ち出さなければ核兵器とは言えないわけですね。それから、御存じでしょうけれども、ウランというものはミサイルの中で、弾頭の中で四つか三つに分けて配置してあるわけですね。それをある圧力ではっと集めたときに臨界量になって爆発するわけでありまして、そうしますと、そのパート、パートというのは核兵器かといえば、核兵器とは言えないわけですね。つまり、核兵器というのはシステムとしてあるわけであります。個別の存在として核兵器があるわけではない。核戦力というものはシステムとしてあるんだということを、しっかりと把握しておく必要があると思うのですね。  そうしますと、例えば南西諸島の喜界島に置こうとしている中期防衛力整備計画に基づくOTHレーダー、三千キロ先の相手側の動向をキャッチするというもの、これは核兵器ではありません。全く核兵器ではありません。では核戦力と関係ないかといえば、明らかに核戦力と関係があるというふうに押さえなければ、今の時代の戦争あるいは軍事の問題を正しく解明したことにはならぬというふうに思うのですね。  その上で、シュナイダー氏はなおこう言っている。「SDIが日本に配備される可能性はあるか。」という質問に対して、「もちろん日本本土に配備することもありうる。」ここまで明晰に言い切っているわけであります。これは、率直に言って私はわかりません。SDIを日本に配備をするということは、具体的にどこにどういうものを配備するのであるかということは、この言葉だけではわかりません。それから、私の持っている知識では十分に解明できません。しかし、シュナイダー国務次官自身が「もちろん日本本土に配備する」と言っていることは、この際、この審議に当たっても十分御配慮願いたいというふうに考えます。
  36. 安井吉典

    ○安井委員 シュナイダーが日本にも配備する可能性を言明したというのは、大変な問題だと思います。  ちょっと私特別な時間もございますので、後は八木委員に譲ります。
  37. 大久保直彦

    大久保委員長 八木昇君。
  38. 八木昇

    ○八木委員 持ち時間があと二十分ぐらいだものですから、二、三点山川先生にお伺いしたいと思うのですが、SDIに協力参加するという場合には、政府が直接参加をする場合も、それから民間に限るということにする場合も、あるいは両者ともとする場合も、当然アメリカとの間に協定が結ばれなければならないことになると思います。イギリスの場合は全面的参加ということのようですが、西ドイツの場合は民間参加、しかしそのことについても政府取り決めというのがなされる。そういうものは、協定の抽象的なある程度の内容はあるいは発表されるかもしれませんが、具体的な協定ということについては秘密協定でしょう。そういうことじゃないかと思うのです。これはドイツでも非常に問題になっておると伝えられておるのですが、そこら辺についてどういうふうに見ておられるかという点を伺います。
  39. 山川暁夫

    山川参考人 先年、ペリー、これは日本に来航した有名なペリーのひ孫に当たる人ですけれども、国防次官補でございますか、日本にやってまいりまして、日本の武器技術アメリカへの協力問題を要請をし、その後数度にわたって日本側からも代表団が行く、それで話し合いが煮詰まってきておることは御案内のことだと思います。そこで向こう側、アメリカ側が日本側協力を求めたいというアイテムとして、既にいろいろなことが出てきております。その中には、例えばミリ波の問題とかレーザー関係技術の問題は言うまでもありませんが、国鉄が持っておりますリニアモーターカーの技術、それもSDI計画には関連があるんだという趣旨で、技術協力を求めてきておるというようなこともあるわけであります。  私の理解では、さっき申しました、今で言えばMDAとなりますが、昔はMSA協定と申し上げた一九五四年にできました日米相互防衛援助協定、あれをこの際、大変生意気な言い方でありますが、もう一回御披見いただきたい、お読みいただきたいと思います。つまり、総論的に日本が持てる財政上のあるいは人力、資源、そういったものまで含めてアメリカに全面協力するということが第八条で書かれてございます。この協定はまだ廃棄されているわけでも何でもございません。だから、これは政府側の立場お話しになるとすれば、本音のところはいとも簡単な話だと思うのです。協定はもう既にできておるわけであります。あとは、細目がどのように必要であるかというわけであります。そこで各論的に、武器技術に対する細目の合意書なり協定というものがもちろんできると思いますけれども、それは合法的なものとして、MSA協定に基づく当然の措置として認められることになりましょうし、かつまた内容については、八木先生おっしゃったように国民の前には明らかにされない。明らかにいたしましたら、それ自身がソ連に対する通報罪みたいなものになります。一方でスパイ防止法というものをつくろうとされておるわけでありますから、政府自身がそういうことを細かに明らかにするはずがございません。恐らく国民の目には明断にされないままに事柄はつくられていくであろうと思うのです。  この委員会審議案件とはちょっと違いますけれども、おととしの暮れに合意されました日米共同作戦計画書というのがございます。残念ながら国会でその内容の一片たりとも明らかにされていない。それはアメリカとの関係がありますから、明らかにすることはできませんという中曽根首相の答弁ですべて終わっているわけでありますけれども、私がひそかに考えておりますのは、国会議員の皆さんならば十分おわかりの三矢作戦計画というのが一九六三年に秘密に策定されました。佐藤内閣総理大臣の時代に、それは単なる」部の作業であって、そういうものは認めぬというふうにおっしゃいましたけれども、作業をやったことは事実だ。そのときに、アメリカ側のチームを率いてまいりましたギルパトリックという国防次官が作業が終わった後東京におりまして、一九六三年三月三十一日に日米共同作戦に関するメモランダムというのを交わしているはずであります。三矢作戦計画が朝鮮半島を舞台にする作戦計画であるということは御案内と思います。そのかかわりにおいていえば、日米共同作戦に関する覚書というものが朝鮮半島を舞台にした秘密作戦計画になっていることは十分わかることでありますが、それが今や覚書ではない、政府の責任における日米共同作戦計画書にまでなっていて、国会で明らかにされない。明らかにすることが許されないからこそスパイ防止法、つまり国家秘密法が登場してくる。そこが今の日本の総体状況でありますから、八木先生おっしゃったように、協定はつくられてございましょうけれども、これはよほど野党の先生方の御努力なども得なければならぬと思いますが、国民の前には明らかにされぬという危険性が濃厚であろうかというふうに考えます。
  40. 八木昇

    ○八木委員 あと三つばかり聞きたいと思うのですけれども、あと七、八分しか残り時間がありませんから、質問事項を三つ一括申し上げて私の質問を終わりたいと思います。それで、時間の範囲内で一括お答えいただければ幸いだと思います。  一つは、何か日本の民間の企業は、SDI研究開発参加をしないといろいろと乗りおくれるみたいなことを考えている。先ほど言われましたようなエレクトロニクス関係あるいは一部素材の関係とか、いろいろございましょう。しかし、参加によってメリットはないのではないかと私は思うのですけれども、その研究された内容、それからまた一つ成果等もあった場合、それはアメリカ軍事機密ということになるわけであり、しかも一方それによって何らかの機器がつくられるとするならば、それはアメリカ政府そのものが製造するわけではないので、民間の企業が製造するということになるわけで、アメリカの方にはそれがわかるわけだし、民間にもそれはわかっていくというふうに思うのですが、そこいら辺が一点。  それから、先ほどお話がございました点と重複をするのですけれども、SDIと言いますが、それは主力の設備というのがアメリカ本土のみとは限らない。むしろアメリカ本土には置かないでほかへ置くということが十分考えられる。それから、SDIと言ってもいろいろなことがあるわけで、相手側の軍事衛星を攻撃するというものもあるわけです。ですから、結局SDI配備の場所というのは一カ所にもちろん限らない。主力のところだって複数が考えられるし、アメリカ以外ということが、むしろそれの方の可能性が多いとすら考えられると思うのですけれども、その点について。  それから、現在既に軍事用の衛星というものが米ソ双方から、あるいは軍事通信用とかいろいろあると思いますが、相当数上がっておると思うのですけれども、その実情等おわかりでありますれば御説明いただければと思います。
  41. 山川暁夫

    山川参考人 SDIに参加してメリットがあるのかということでございますけれども、これはメリットがないというふうには言い切れないと思うのです。それは研究交流というようなことになり、参加をしていけばそこからまた吸い上げて、参加する日本の企業が学ぶところは非常に多いだろうというふうに思いますけれども、先ほど私が申しましたように、日本の例えばコンピューター部門とかテレビのレベルあたりは当たり前、自動車のレベルはもっとそうでございますが、アメリカはどんどん追い越されているわけでありまして、その追い越す流れがアメリカの先端技術を超えるところまで来ることについての恐怖がアメリカ側にはあると私は思うのですね。ですから、それを抑え込んでしまう。それから同時に、日本の持っている技術というものをアメリカが吸い上げていくいわばパイプみたいなものとしてSDI計画はあるのだというふうに先ほど申しました。メリットはあるかもしれないけれども、デメリットの方が恐らく日本の企業の側からいっても日本国という立場からいっても大きいのではないかというふうに考えます。これは貸借対照表をつくって論議すべき問題ではありませんけれども、仮にそういうふうに問題を立てればデメリットの方が大きいだろう。ですから、フランスはユーレカ計画ということで、言うならばアメリカに対抗的に、括弧つきでありますが、独自のSDI計画の開発に進むという結論をもって動いていることは御承知のとおりであります。それも一つ考え参考の中に入れておく必要があろうというふうに思います。  それから、SDIの配備の問題については先ほど申し上げたことにほとんど尽きます。恐らくどこに配備といいましても、見どころであるところの宇宙衛星、人工衛星を通じたところの相手ミサイルに対する攻撃ということになれば、これはどこの上なんて言えませんで、要するに宇宙空間でありますから地球の上でありまして、それは日本の土とも言えるし、日本の真上でないかもしれないしということになってしまうわけですね。問題はシステムとしてそれがあるということでありますから、衛星監視とかフォローアップのさまざまの、とりわけて私は通信関係が大きいと思いますけれども、これは軍事的に考えてみても、日本アメリカにとっては実に有効な大事な戦略的意義を持つところにあるということだろうと考えます。したがって、シュナイダーが先ほど言いましたようなSDIに関連するものを日本に置くというふうに言い切れる根拠があるのであろう、具体的には私はわかりませんけれども。今までのアメリカ軍事配置から考えてみまして、日本における役割の非常に重要な部分が通信関係、いわゆるC3Iですね。CキューブドI。コマンド、コントロール、コミュニケーション、それからインテリジェンス、そこの機能の役割を恐らくSDIに関連をしても持たされるということになるだろうと考えます。  それから三番目の御質問。これは申しわけございません、大まかなうろ覚えの数字はございますけれども、正確な数字というふうには申し上げかねますのでお答えを避けた方がいいのかもしれませんけれども軍事衛星というのはアメリカ及びソ連とも非常にたくさん上げております。軍事衛星の率で言えば、むしろソ連側の方が比率としては多い。ソ連の方が打ち上げている衛星の中における軍事衛星の比率が多いというふうに率直に申し上げておきたいと思いますけれども、大体四割ぐらいが直接に軍事関係の衛星であるというふうに私は記憶しております。あとは気象衛星とかいろいろなものがございますけれども、四割ぐらいは純粋に軍事衛星である。それからスペースシャトルの飛行計画、これはチャレンジャーの墜落で大幅に手直しが今加えられつつあるように見えますけれども、チャレンジャーの飛行計画の中で言いますと、これは比率が急激にふえておりまして、今後の計画で言うと八割ぐらいが軍事用のスペースシャトルの飛行計画になっていたというふうに思います。
  42. 八木昇

    ○八木委員 時間が参りましたので。今最後の点を伺いましたのは、いざというときには衛星のつぶし合いということも当然考えられるものですから、伺ったわけでございます。  これで終わります。
  43. 大久保直彦

    大久保委員長 遠藤和良君。
  44. 遠藤和良

    ○遠藤委員 本日は、宇宙開発事業団理事長大澤弘之先生並びに軍事問題評論家の山川暁夫先生に御出席を願いまして、まことにありがとうございます。  最初に私は山川先生にお伺いしたいのですが、本法案に対する基本的な認識でございます。今までのお話を伺っておりますと、本法案は産官学の交流促進法案ではなくて産官学軍の研究交流促進法案である、あるいはまたSDI参加への受け皿づくりであるというふうに認識されているようでございますが、そのような認識と承知してよろしいでしょうか。
  45. 山川暁夫

    山川参考人 そのように判断していただいて結構でございます。
  46. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ただいまの山川暁夫先生認識に対しまして、大澤先生は基本的にこの法案がSDIとどういう関連があるのかということを認識されておりますか。
  47. 大澤弘之

    大澤参考人 先ほど来の答弁でも申し上げましたが、防衛庁ということを特定の対象にして行革審では議論をいたしたことがございません。国の研究機関一つというふうに考えておったものと思います。またSDIに関しましても、エレクトロニクスからバイオまでのいろいろな専門の方々の御意見等もあったわけでございますが、その中でSDIに関します議論一つもございませんでしたので、行革審審議の中では、今先生からございましたSDI、軍ということについて特定の議論は一切いたしておりません。
  48. 遠藤和良

    ○遠藤委員 行革審答申を受けて本法案ができたと承知しておるわけでございますが、行革審の討議の際に防衛庁が入っていなかった、それで本法案が出てきた、このことについて参考人はどのように考えますか。
  49. 大澤弘之

    大澤参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、防衛庁は、国の研究機関の中の一つが防衛庁にあることは確かでございますので、国の研究機関という意味で含めて取り扱っておるものと思っております。
  50. 遠藤和良

    ○遠藤委員 SDIの研究に関連して宇宙開発事業団のあり方をお伺いしますが、先ほどの質問に対しまして、SDI研究に対して宇宙開発事業団は直接は参加はできないとおっしゃいました。私は、宇宙開発事業団法によりまして直接的にも間接的にも参加はあり得ない、このように判断いたしますが、こういう判断でよろしいですか。
  51. 大澤弘之

    大澤参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、私どもの現在しております仕事に関しましてSDIの関連はございません。
  52. 遠藤和良

    ○遠藤委員 政府参加するかどうか決めてないわけですから、直ちにお答えはできないと思いますが、仮定の問題になりますけれども、今後政府参加を決定した場合、宇宙開発事業団は、その事業団の性格からいって私は直接的にも間接的にも参加はできない、事業団そのものが参加できないとともに事業団の研究員も参加できない、このように認識いたしますが、これについての見解はどうですか。
  53. 大澤弘之

    大澤参考人 これについても、先ほど申し上げましたように、私どもは国の方針に従いまして事業の運営をいたしておるわけでございますが、SDIという特殊の問題は仮定の問題でございますけれども、今現在私どもは防衛庁と一緒になったことはいたしておりません。
  54. 遠藤和良

    ○遠藤委員 防衛庁と宇宙開発事業団が直接共同研究を行うという事例はないわけでございますけれども、例えば防衛庁とある民間企業が共同研究を行っておる、それに第三者として宇宙開発事業団が加わることができると考えますか。
  55. 大澤弘之

    大澤参考人 私ども今現在そういうことは一切いたしておりませんし、今後もないものと考えております。
  56. 遠藤和良

    ○遠藤委員 いかなる共同研究の場合においても、防衛庁が入っている共同研究に対しては宇宙開発事業団は参加できない、このように認識してよろしいですね。
  57. 大澤弘之

    大澤参考人 これに関しましては、長い将来のことでございまして、事業団法の平和の目的というところで先生がおっしゃっておられると思いますが、この解釈に関しましては国の方針がございますので、その方針に従って私ども今後のことは対処をしてまいる、こういうふうに思っております。
  58. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それでは宇宙開発事業団と外国との共同研究について伺いたいのですけれども、現在具体的に外国との共同研究があるかないか、特にNASAとの共同研究はどのぐらいございますか。
  59. 大澤弘之

    大澤参考人 外国との間では、宇宙開発に関しまして先進諸国と情報の交換ということは各国ともいたしておりますが、具体的に共同研究の契約をして行っておるものにつきましては、現在NASAとの間で行っておるものがございます。  一つは、FMPTと言っておりますが、シャトルを利用いたしまして、そこで宇宙空間を利用した、つまり無重力下での諸実験を行うということでございまして、FMPTというのは第一次材料実験計画でございます。これは、シャトルの事故以前の予定といたしましては八三年の二月という予定で、シャトルに搭載すべき装置は日本で製作をいたしまして、シャトルに日本人の宇宙飛行士が乗りましてその実験を遂行する、こういうことでございますが、これに関しまして契約をいたしております。  もう一つは、宇宙基地につきましての前段階の予備の設計といいますか、設計に関しまして一諸にやろうということで、これは研究開発という段階まで入っておるかどうかわかりませんが、設計を進めるといいますか、そういう段階のものとして契約を進めておるものでございます。
  60. 遠藤和良

    ○遠藤委員 この法案が施行された後、宇宙開発事業団が直ちに共同研究をしたいプロジェクトのようなものはお考えになっておりますか。
  61. 大澤弘之

    大澤参考人 この法案関係で特別に現在すぐプロジェクトを組んでおるといった種類のものはございません。  なお、先ほどの御質問の補足をちょっとさせていただきますが、研究という分野に必ずしも入らないものですから二つしかないと申し上げたのでございますが、例えば衛星の追跡というようなことに関しまして、ヨーロッパあるいはアメリカとの間で契約を結んでやっておるといった種類の、私ども研究というよりも業務と思っておりますが、そういう種類のものはございます。
  62. 遠藤和良

    ○遠藤委員 NASAとの共同研究におきまして、今二点ばかり出てまいりましたけれども、平和の目的に限るという担保を具体的にはどのようにおとりになっているのですか。
  63. 大澤弘之

    大澤参考人 担保というのは、御承知のように大変難しいことでございますが、契約交渉等をいたしますときには、平和の利用に限って行うということを相互に確認いたして進めておるという状況でございます。
  64. 遠藤和良

    ○遠藤委員 研究の当初に確認をするということでございますが、最近はどこまでが軍事であって、どこまでが民生であるのかという間がよくわからない部分がしばしばあるわけですね。ですから、その辺のでき上がったもの、また考えたものに対する担保というのは明確にしておく必要があるのではないかと私は考えるわけでございますが、その辺について何か御意見がございますか。
  65. 大澤弘之

    大澤参考人 おっしゃいましたように、技術が波及をしていくことにつきまして、これをどの段階で押さえていくのかということは実は実態的にも大変難しゅうございます。私どももそのことの担保ということをあれするには、今の問題がなかなかとらまえにくいということのために大変苦慮しておるところでございますが、先進国司士の間におきましては、契約の中でお互いに約束したことについてこれを履行するという国際的な信義と申しますか、そういうことでやっておるわけでございまして、先方がこれを要求する場合についても、我が国の中に関しましても同様のことではないかなと思っておる次第でございます。
  66. 遠藤和良

    ○遠藤委員 今まで日本は先端技術というものを外国からいわば輸入をしてまいりまして、その段階では平和利用の確保というのは国内の問題でございまして、処置がかなり易しかったわけですが、これからは日本は先端技術をどんどんと外国に輸出する輸出国になってくるわけでございます。こうなってくると、日本で民生用に開発した汎用技術というものが、外国に参りまして軍事の目的に転用されるという危険がつきまとってくるわけですね。この辺の問題についてはどのように認識をされるのか。また、この研究交流促進法ができることによってその危険性がますます加速されるのではないか、この辺を私は危惧するわけでございますが、大澤先生はどのように御認識されますか。
  67. 大澤弘之

    大澤参考人 私どもが開発しました特に宇宙用の部品につきまして、海外に出ていく等のことが前段の御質問かと存じますが、これにつきましても、私どもは平和の目的に使用するということにつきまして先方との間で具体的にどういうことなのかという確認までは確実に行うこととして、その輸出なりなんなりを現在行っておる段階でございます。  後段の促進法との関係でございますが、促進法自体の、つまり国際間の研究交流促進ということにつきましては、軍事なりSDIの分野というよりは、もっと基礎研究分野で多分に広い間の交流をこれから展開していかなければならないわけでございまして、そのことのためにこの法律があるわけでございます。私どもの現在の仕事に関しまして、この法律ができたがためにそういうおそれが余計に出るという認識は現在のところ持っておりません。
  68. 遠藤和良

    ○遠藤委員 山川先生にお伺いしたいのです。  今の汎用技術の問題でございますが、日本は先端技術の先進国になりまして、外国にどんどんと技術を輸出する。こうなってまいりますと常に心配されるのは、日本で民生用に開発した技術がそのまま軍事に転用される危険が十分にあるわけですね。この辺はどういうふうな制限を加えていくか、あるいは平和利用に限る担保をどういうように求めていくのか、この辺については先生はどういう御見解をお持ちですか。
  69. 山川暁夫

    山川参考人 率直に言って、一番最初に申しましたように、参考人として呼ばれるに当たってこの法案を初めて拝読したというようなことで、無責任かもしれませんが、私は今御質問いただいたようなことについて、じゃ対案的にこういうふうに考えるべきではないかというふうにまとめた意見を持っているわけではありません。  一般的に言えば、先ほども申しましたように、汎用技術というものが軍事技術として利用される時代になってきているわけでありますから、恐らくどのような制限を法律的に措置しようとも、抜け穴といいますか、実際上は軍事的に利用されるというケースが出てくることは間違いがないと思います。これまでも日本海外に武器輸出はしないというようなことを建前としてきております。そしてそれにかかわるところの何らかの、政府の宣言なり武器輸出禁止三原則というような形で出されてはおりますけれども先生御案内のように、日本からさまざまな武器が概に東南アジアその他に出ておるわけでありまして、ベトナム戦争のときにはメード・イン・ジャパンのナパーム爆弾が使われたという有名な話があります。じゃ日本の中でナパーム爆弾をつくった企業があったのかといえぱ、これはないわけであります。じゃどういうからくりでメード・イン・ジャパンのナパーム弾ができたのかといえぱ、簡単に言えば空弾は空弾で別の企業でつくっているわけですね。その名前は申しません。それで、それをタイに持っていったわけでありますけれども、片一方では、そのナパーム弾の火薬というのはゼリー状の火薬でありまして、これは普通のドラム缶に入れましてアメリカのLSTで日本の労働者が運んだわけでありまして、現地で火薬をその空弾の中に詰め込んで、要するにメード・イン・ジャパンというナパーム爆弾になったわけでありまして、これを武器輸出という概念に入れるのか入れないのかというのは実に難しいことになるわけであります。  そこで、私がどういうふうに有効な対案を持っておるかということは別にして、逆に申し上げたいと思うのですが、なぜ第十条の奇妙な条項が入るのか。ないよりあった方がいいだろうとは思いますけれども、しかしここに書いてあるように配慮事項であります。なぜ法律に配慮事項というようなものが必要なのか。配慮する必要があるならば、それこそもっと小まめに具体的なケースで、政令依存なんというふうに委任という形にしない。これはもう国会の自殺行為でありますから、政令に依存して任せるということは。だから、配慮事項でこれだけのことをお書きになるならば、もうちょっと配慮を深くして、いろいろなケースのことを御検討いただいた上でのチェック条項といいますか、それを小まめにお取り組みになる必要があるのじゃないか。「平和及び安全の維持について特別の配慮」、これはもう率直に国民の常識だと思いますけれども、平和と安全という言葉が入っていれば平和と安全になるのだということは絶対ありませんで、まさに今日現在レーガン大統領がリビアに攻撃をかけておるのは平和と安全のためにやっていると言っているわけでありますから、そういう言葉だけではいかない。  むしろあえて私が対策を一つ申し上げれば、公開原則を入れていただきたい、絶対に。公開という原則を入れておかなければ、チェックの機能があり得ないわけですね。なぜ公開原則がこの配慮事項の中にも入らないのか、そこのところが最大問題であろうというふうに私は思います。  つけ加えますけれども、遠藤先生最初に御質問になりましたように、私は後ろにおられます大澤さんの御努力についてとやかくは申しません。つまり、行革審で書かれている研究交流促進法中身であるならば、私は反対というふうには別に固執はいたしません。それはいろいろなセクト的な学界状況を打破するためにも必要なことだという考え方がありますが、これは行革審答申とは別のものになっているということを繰り返し申し上げた上で、最初の御質問でございましたけれども、補足させておいていただきたいと思います。
  70. 遠藤和良

    ○遠藤委員 確かに今お話がありましたように、本法案は十一条ですか、法律に対して政令で定めるという事項が十五項目あるのですね。私もこれはちょっとおかしいのじゃないか、国会審議権に対する侵害ではないのか、ざる法ではないのかということを主張してまいったところでございますけれども、確かにこういった法案審議に対して、もっと公開といいますか、国民の目に明らかにしていくということは国会としても考えていかなければならない問題でなかろうか、こういうふうに私は今お話を聞いておりまして感じました。また、法案成立過程において、こういった公開原則が貫けるような形で審議をしてまいりたいものだな、こういう印象を率直に、私の感想でございますけれども、最後に感想を述べさしていただきまして、終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  71. 大久保直彦

  72. 山原健二郎

    ○山原委員 一昨日、宇宙開発事業団の方に私の質問の時間に参考人として来ていただく要請をしまして、副理事長がおいでくださいました。ところが長い時間お待たせをして、ついに時間切れで質問できなくて大変恐縮しております。  そこで、きょうは大澤参考人にお伺いしたいのですが、大澤さんは行革審科学技術分科会の委員として、いわばこの法案のもとをつくる討議に参加されたわけですけれども、先ほどお聞きしますと、例えば防衛庁の問題であるとかあるいは軍事的な側面に対する問題は、記憶のある限りなかったとおっしゃいましたね。そうしますと、この法案の中には防衛庁の問題が入っておりますし、また、今もお話がありました第十条という重要な規定が入ってきたわけですが、行革審論議された立場から考えますと、まさに不本意な法案になっているのではないかと思いますが、その点はどうお考えでしょうか。
  73. 大澤弘之

    大澤参考人 再三お答えを申し上げておりますが、特定の分野なり特定の省庁ということを議論対象にといいますか、そういう議論はなかったということでございまして、国の研究交流促進しようということで、国全体の考え方ですべて議論をされてきております。その中には、国の研究機関としての防衛庁のものもあるでございましょうし、国際的なこともあるわけでございますので、そういう意味で申し上げておりまして、私が申し上げたことが、行革審考え方と違って法案ができているということを申し上げているつもりはございません。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 宇宙開発事業団は、第一条で明確に「平和の目的に限り、」と、こういうことなんですよ。これは随分論議の上でこういうふうになっているわけですが、その点から考えますと、例えば第十条を見ますと、「国際的な平和及び安全の維持について特別の配慮を払う」というふうになっておりまして、この条項というのは、時の政府が国際的な平和及び安全の維持ということについてどういうふうに考えるか、どういう立場をとるかによって随分と変わってくると思うのですね。例えばSDIが平和及び安全の維持に有益だと考えるならば、それに対する特別な配慮、すなわちSDIの研究開発にも特別な配慮、それは参加し、推進するという意味に通ずるわけでございますが、そういうふうになってくると思いますけれども、この条項はどうお考えですか。
  75. 大澤弘之

    大澤参考人 私は、第十条に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、行革審の中では、国の産官学の研究交流促進するために、現在ありますところの公務員法なり国有財産法の壁に関します措置を言っておるわけでございまして、この特別措置を法律に盛り込むことによりまして必要な条項が政府部内でまとまって出てきたのが法案である、こういう認識をいたしております。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 認識はいかにあろうとも、SDIという問題について、今まさに中曽根内閣はこれに対する理解を示し、さらに今回の訪米によって一歩前進をしているということで、第三次調査団が帰ってきて、サミット段階ではこれに対して推進あるいは参加という事態を迎えようとしていることが、平和目的に限るという問題と考えたときに、明らかに矛盾があるのではないかというふうに思いますが、そのようにはお感じになりませんでしょうか。
  77. 大澤弘之

    大澤参考人 先生のおっしゃっているところがちょっとびんとつかめないのでございますが、先ほど来遠藤先生の御質問にもお答えをいたしましたように、私ども事業団法の平和の目的に従って、現在の業務は平和利用の確保といったようなことに関しまして、国際間のものについても措置をいたしておるものでございます。
  78. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がわずかですから。  先ほど安井議員が、SDIに加わることができるか、あるいは防衛庁から研究協力を受けてくれと言われたらどうするかという点を、第一条の平和目的規定の関連でお尋ねになりましたね。それに対して、今は考えていない。今も、現在はとおっしゃるわけです。そういう答弁であったわけですけれども、どうもできないというお答えはなかったと思うのですね。宇宙開発事業団が例えばそういう場面にぶつかったときに、第一条の「平和の目的に限りこの条項によってそういうことはできない、こういうことがおっしゃれないでしょうか。
  79. 大澤弘之

    大澤参考人 先生御承知のように、第一条の「平和の目的に限り、」というところの解釈は種々あるようでございまして、私どもは現状の政府の解釈に基づいて処置をしておる、こういうことでございます。
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 平和目的に限りというのは種々解釈があるというのはどういうことでしょうか。平和目的に限りというのは、この平和というのは非軍事国会ではこれが明確になっているのですが、そのことは御承知でしょうか。
  81. 大澤弘之

    大澤参考人 承知をいたしておりまして、その非軍事ということで私ども現在の業務を処置をいたしております。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、SDIには参加できないというふうに解釈してよろしいですね。
  83. 大澤弘之

    大澤参考人 私は、日本のSDIが今後どういうふうになるのかということに関しましては一切わかっておりません。SDIという一つの言葉で言われておることに対しまして、今ここで御答弁はできないというふうに考えております。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 肝心のところへ来ますとやはりもやもやとなってくる点が心配なんですよ。戦前、戦争と軍に協力した研究者が、戦後において、その苦い反省の上に立って、平和目的ということあるいは自主性、公開性、対等性というものを明確にしてきたわけですね。日本学術会議もそういう方向をとってきたわけですが、そこがこの段階に来て、しかも宇宙事業団というものが第一条によって明確に平和目的に限り、そしてその理事長があなた、大澤さんでございますね。そういう点から考えますと、こういう点ははっきりとお答えになっておいた方がいいのではないか、それは当然のあなたの任務ではないかと私は思います。  この点は大事な点なので、厳密を期しておく必要があると思います。例えば汎用技術であろうとも防衛庁やあるいは米国防総省との研究交流はできないと私は思いますが、第一条に照らして、その点は理事長さんとしてどうお考えでしょうか。
  85. 大澤弘之

    大澤参考人 私どもは、おっしゃいましたように事業団法に基づいて業務をいたしております。事業団法に「平和の目的に限り、」ということが明記されております。私ども業務の遂行は平和の目的に限って遂行すべきものと考え、現在もそのとおりやっておるつもりでございます。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、今のようなことはできないということを確認してよろしいですか。
  87. 大澤弘之

    大澤参考人 私どもは「平和の目的に限り、」ということで現在の業務を遂行しておりますし、お話がございましたような今後の問題につきましても、「平和の目的に限り、」ということで処置をしてまいる所存でございます。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 この第一条の「平和」とは、今私が申し上げましたけれども、非核、非軍事を旨とするということは国会審議の中で明確になっているところです。専ら軍事を任務とする防衛庁やあるいは国防総省との研究交流ができないということは明確なところでございまして、その点で平和目的に限りとおっしゃることは、例えば防衛庁との共同所究あるいは米国防総省との共同研究、そういうものはできないというふうに、大変しつこいようですけれども、もう一回伺いたいのですが、できないと理解してよろしいですね。
  89. 大澤弘之

    大澤参考人 個々の具体的なことに関しましてはいろいろなケースが考えられるものでございますので、私、この先生の御質問に対して、平和の目的といいますのは、現在政府が指導いたしておりますことに沿って私どもはやっておるわけでございますので、今後についてもそういうふうに処置をしてまいりたいというふうに申し上げておるわけでございます。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 第十条によりまして、政府が今おっしゃるようにSDIも平和と安全に処するものだというふうな解釈をすれば、あなたのお答えですとずばり入っていくのですよ。非軍事ところか、あなたのお答えですと、全く宇宙事業団法に書かれています第一条の「平和の目的に限り、」はここで崩壊するわけですね。  なぜこんなことを言うかといいますと、御承知のように、今、米国防総省から出ております日本に対するいわゆる関心事、日本の高度な汎用技術に注目を寄せ、できればそれを軍事に転用したいと考えている特に関心の強い十六分野の汎用技術、「米国防総省が関心を寄せている汎用技術十六項目の研究を行っている国の研究機関、特殊法人」、これを持ってきましたけれども、これは特殊法人に宇宙開発事業団が入るわけですが、その十六項目のうち、耐熱材料、光電素子装置、光ファイバー通信、ミリ波通信、ロケット推進技術の五つ、まさにそれは現在宇宙開発事業団の研究項目ですね。米国防総省がSDI開発に当たって、これらの項目について、あなたの方も研究を進められておるのだから一緒共同研究をしたい、あるいはその技術を提供してほしいとおっしゃったときには、これはそういう可能性はもう十分に出てきたわけでございます。  ロケット、衛星など宇宙技術の根幹はアメリカの方がはるかに進んでおると言ってもいいでしょう。その分野技術協力の要請は現実的でないかもしれません。しかし、その他の関連汎用技術部門では日本が非常にすぐれているものもあることは事実で、アメリカはスペースシャトルなどの多くの部分的技術日本側に負っていることに対して懸念を持っているほどなんですね。  だから、そういう点で見ますと、技術協力の要請が出てくることは大いにあり得るわけでございまして、その意味宇宙開発事業団として、また理事長として、そういうことについては明確な態度をとっていただきたい。したがって、SDIには参加しないと確認できるかどうか、もう一回お伺いします。また、防衛庁とも米国防総省とも研究協力はできないというふうに考えるのが当然だと思いますが、この点についても御見解を伺っておきたいのです。
  91. 大澤弘之

    大澤参考人 私どもは宇宙事業団法に基づいて業務をいたしておりますし、その宇宙事業団法の規定の解釈等に関しましては、政府の指示に従ってやっておりますのが特殊法人でございます。特殊法人の理事長といたしまして、そういう線に従って仕事をしてまいるということでございます。
  92. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、ではSDIには参加しないとは言えないわけですね。防衛庁との共同研究研究協力はできないということは言えない、ただひたすら宇宙開発事業団の目的に従ってやるだけだということ。まさにそこまで問題が来ておるときに、それだけの答弁では今の情勢は切り抜けることのできない情勢であるということを認識をしていただきたいと思いますが、この点についてもう一度伺いたいと思います。本当に今重要な段階を迎えまして、よほどしっかりしていないとまた過去の誤りを繰り返す可能性があります。その点を私は憂慮しながら御質問を申し上げておるわけでございまして、最後にそれについての御見解を伺いたいと思うのです。
  93. 大澤弘之

    大澤参考人 私も平和の目的に限って宇宙開発を進めていかなければならないものと思っております。現在までも、先ほど来御説明申し上げましたように、諸外国等との業務を進めます際には、必ず平和の目的に限ってお互いこれを行っていくという確認はいたして進めておるものでございます。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  95. 大久保直彦

    大久保委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十五分開議
  96. 大久保直彦

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出研究交流促進法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  97. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 研究交流促進法案につきましては、今日までいろいろな角度から論議を重ねてまいったところでございますが、私は、できるだけ重複を避けながら問題を明らかにしてまいりたいと考えるわけでございます。  そこでまず、この法案を提出された趣旨等につきましては承っておりますが、いわゆる研究公務員と申しますか、公務員というものが民間の人たちと共同して研究をする。その場合に公務員が考えなければならないのは、憲法に明らかになっておりますように、公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない、この基本的な理念を明確に踏まえた形の中で問題の処理に当たるべきであると思うのでございますが、その考え方、憲法条項がどのような意味において担保されているのかということについて、法案をおつくりになる中においてどこに生かされているのかを初めに明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  98. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 今回の法案は、国の研究機関研究員の方々が国以外の方々研究交流を進める場合の隘路になっている点、現在の公務員制度また物品管理制度、財産管理制度等の上で難しい点がございますので、こういう点を取り除くという特例法案でございまして、この法案に従っていろいろ研究交流を進めるに当たりましては、日本国憲法の趣旨に従ってやることは当然のことでございます。そういう意味で、研究交流を進めるに当たりましては、この研究員が国全体の奉仕者として仕事に従事することは言うまでもない当然のことというふうに理解しております。
  99. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 憲法第十五条の規定にありますように、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」この基本的な認識は、本人の自覚というような問題ではなしにそのようなことが行われることを担保しなければならないと私は思うのでございます。第五条によりまして休職にされた場合でも、国家公務員の地位及び研究機関の設置目的の範囲内でのみ研究に従事するという基本的な構えが必要だと思うのでございますが、その点は提案者としてはどのようにお考えになっておりますか。
  100. 吉村晴光

    ○吉村説明員 ただいま局長から御答弁をいたしましたように、公務員としての立場国家公務員法に書いてございまして、当然その国家公務員法に基づきまして共同研究に当たるとか民間へ出向するといったことになるわけでございますが、その際に、具体的な公務員法上の適用に当たりましては、その人の従事します立場によって若干適用の関係が違ってくるということになろうかと思います。  ただいまお尋ねの、それぞれの研究機関の所掌の範囲内において民間に出向する場合でもやるべきであるという点につきましては、第五条の中におきまして「当該共同研究等への従事が当該共同研究等の効率的実施に特に資するものとして政令で定める要件に該当するとき」というふうに言っておりまして、当然ながらこの「効率的実施に特に資する」ということの中には、従来からの研究公務員としての職務と非常に関連があるものにつきまして先方で従事し、また戻ってまいりましたときには、なお一層研究者の資質と申しましょうか、幅と申しましょうか、そういったものが広がって戻ってきてもとの研究に従事をするということになるわけでございますので、そういった趣旨におきまして、ただいま御指摘のようにその研究所の所掌範囲にあるような業務に従事をするというふうに考えておりまして、その点につきましては政令で明確にいたしたいというふうに思っております。
  101. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この法案が提案をされるまでの間の手続についてお尋ねをいたしたいと思います。  ここに私も資料をいただいておりますが、この中身を見てまいりますると、防衛庁職員、第二条第二項第二号の職員を入れるか入れないかという問題でそれぞれ検討をされてきたわけでありましょうが、それに至るまでの議事録の資料をずっと見てまいりますと、昨年の十二月十六日から科学技術庁で開かれた会議録からずっと今日までの資料をここに持っておりますが、私の調べたところによりますると、防衛庁職員をこの研究交流促進法案に入れると決めた段階は、ことしの二月二十五日というふうに見るのでございます。二月二十一日まではその入れることについては入っていなかった、こういうふうにここにある資料からは推測ができますが、そういうことについては事実でありましょうか。
  102. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 この法案をつくるというふうに決まりました昨年の夏ごろからでございますけれども、その当初から国の研究機関におきまして研究に従事されています研究員の方、この方々を幅広く対象にするという考え方で検討してまいりました。法案の検討に際しましては、この法案に限らず通常そうでございますけれども、いろいろなアイデアと申しますか、案がございました。防衛庁の研究者の方は、御存じのとおりこれは特別職でございます。それから、その他の省庁の研究者の方は一般職でございまして、この方々を同一の法律で取り扱うのが妥当かどうかということを検討したことは事実でございます。このことは、防衛庁の研究者の方が研究交流が必要ないという意味ではございませんで、ただいま申し上げましたように、一つ法律で扱うことがどうかということを検討したのでございますが、その結果、同一の法律で取り扱っても特に支障ないという立法技術の問題で現在提案中のような内容になったわけでございまして、防衛庁の研究者の方は同じ扱いにするということは当初から首尾一貫しておりました。
  103. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 首尾一貫しているという局長の御説明でございますが、それであるならば、そういうようなものについての各省庁直轄研究所長連絡協議会というのがありますね、この中におきまして研究交流促進についての要望書というのが二月二十一日に出てきておりますが、これには全然そういうような問題意識は出ておりませんね。おらないということは、そういうことを論議をしていないということじゃないですか。
  104. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 国の各省庁の附属研究所でつくっております直轄研究所の連合会、直研連と我我申しておりますが、そちらからの要望だと思いますけれども、その直研連には防衛庁の研究所は参加してないのだそうでございます。そういうことで、直研連からは特に防衛庁をどうするこうするというふうな表現はなかったものというふうに考えております。
  105. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 だから、そういうような問題認識がなかったから、防衛庁の特別職の場合は別個の存在として考え、そしてまた、このときに当たりましては産学官、そして国際的な研究交流促進を図るという立場から論議がされているのであって、その他については、防衛庁の特別職の公務員を同じような研究機関のメンバーとして同じ法律の中でくくるようなことについては知らない、知らないからこそそれを論議対象にも据えていないということじゃないですか。  ところが、皆さん方の二月二十五日付で出されたこれを見てみますと、この中に、防衛庁職員給与法に定める問題が一緒の形で入ってきた。これについて、そういう同じような中で取り扱いの法案をつくるのだということについては意見聴取をされたことがございましょうか。
  106. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 この法案をつくります段階関係省庁と十分協議をして、今提案中の案に落ちついたものでございます。
  107. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 各関係省庁には、事務方の連絡はされておるのでしょうが、こういうような研究所で研究員としてやっている者についての意見は求められなかったのですか。
  108. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 先ほど申し上げましたように、直轄研究所の連合会の方からいろいろな要望を伺っております。
  109. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この後に要望が出てきておりますか。二月二十一日以降は出てきておりましょうか。
  110. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 その後の要望書の提出はございません。
  111. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ということは、新たな事態に対応しての声は聞いていないということですね。直接的には聞いていない。  そこで、私が次にお尋ねしたいのは、第十条関係ですね、「配慮事項」の関係はいつ挿入をすることにしたのですか。といいますのは、三月十日の「研究交流促進法案について」という科学技術庁の文書、これによりますると、今後のスケジュールは以下のとおりです。事務次官会議が三月十三日、閣議が三月十四日、こういうことになっておりますが、その十条関係の「配慮事項」がいつこの法案の中に入るようになったのですか。
  112. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 この法案を検討いたしました手順でございますが、研究交流促進を図るための今の隘路は何かというようなことをいろいろ検討してまいりまして、そのための特例措置の条項について中心に検討を重ねたわけでございます。それがほぼでき上がりました段階で、その総論的なと申しますか、第十条、第二条、第一条等の検討に入ったわけでございますけれども、この法案によりまして国際的な交流促進が今後ますます期待されるということに伴いまして、十条の、国として条約等に配慮すべき事項ということを入れることに決めたわけでございます。
  113. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 だから、いつ入れたのですかと聞いているのです。
  114. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 先ほど申しましたように、いろいろな案がありました。どの条項もそうでございますけれども、最終案に落ちつきましたのは事務次官会議の前日でございます。
  115. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これに関連をいたしまして、朝日ジャーナルだったと思いますが、河野長官のことに主に触れながら解説の記事が出ておったのを見たことがあります。ここにありますが、その内容は、河野科学技術庁長官の制服組反対というのは首相裁断に押し切られたと書いてあるのです。これはどうなんですか。しかも、研究交流促進法案はマル秘のSDI促進法だ、こういうような分析がされております。このことについて最終段階で、今話を聞きますと十二日ですか、事務次官会議が三月十三日でその前の日に決めたとおっしゃったから、これはそのころのあなたの発言がもとになったのだろうと思うのでありますが、長官は最後まで制服組を入れることに反対をした、背広組に限るべきだと加藤防衛庁長官と折衝したが、双方の主張は平行線をたどり、結局中曽根首相の裁断の形で制服を排除する特別な理由はないと科学技術庁が押し切られたと書いてあります。これは事実でしょうか。
  116. 河野洋平

    ○河野国務大臣 法案作成に当たって、先ほど局長から御答弁申し上げましたように各省庁にはそれぞれの御意見があって、各省庁の御意見科学技術庁としては十分にお伺いしてこの法案を取りまとめたものでございまして、取りまとめた法案については、科学技術庁としてはこの法案研究交流促進に資するところが極めて大きい、こう考えて御提案を申し上げた次第でございます。
  117. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今のは答えになっておりません。あなたは法案をつくる過程のことは触れたくない。結果としては法案が大変メリットのあるものだ、こういう認識に立っていらっしゃる、そのことを言われたのじゃないのですか。だから、あなたの主張というのはないのですか、あなたの哲学はないのですか、私はそのことをあなたに聞いているのです。
  118. 河野洋平

    ○河野国務大臣 私がこの問題に対して持っております認識は、日本の国は極めて資源の乏しい国だ、こういう国が二十一世紀に展望を持つためにはもっともっと科学技術振興されねばならぬ、そのためには科学技術振興一つ隘路となっている法制上の問題を解決していくことが少なくとも今この時点で重要だ、こういう認識を持っております。  さらにまた、技術開発あるいは研究に取り組む人間は、その職場がどこであれ、その研究開発に懸命になって取り組んでいるわけです。しかも、それぞれの研究所には研究所の目的があり、役所には役所の設置法があり、その設置法あるいは研究所の目的に向かって努力をしておる研究者にとっての研究上、法制上の隘路というものは取り除くことが今必要だという気持ちでこの法案に取り組んでおる次第でございます。
  119. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 なかなか言い回しに苦労されているようでございますが、あなたの考え方を聞いていると、これは技術法だからそういうようなことでいいのじゃないかというふうに私には受け取れる発言でございます。しかし、防衛庁の職員というのは、防衛庁設置法等によりまして一つの目的を持ち、組織を持って、そのもとで権限が与えられ機能しているわけです。防衛という問題を中心にとらえるところでしょうから、そういう者が研究するものはその問題、兵器の発達とか、そういうものを中心にやるところでしょう。  ところが、憲法の趣旨からいいまして、また、これからこういう極限状態にある地球号の中で日本の国が果たしていかなければならない役割というものを考えますと、これはやはり平和に徹しなければならないと思うのです。ですから、そういうのを防衛庁設置法に基づいて研究するのは、我我は違憲実在法的存在だと思っているのですが、そういう一つの仕事があるでしょう。しかし、国全体の研究という問題を、平和的利用から汎用技術から民生技術から軍事的な技術まで全部一緒くたにしてやるというやり方は、私は日本のこれからの二十一世紀科学技術のあり方としては望ましくないと思っております。それに対して河野長官の率直な御意見というものをお聞かせをいただくことは大変重要なことではなかろうかと思いますので、再度お尋ねします。
  120. 河野洋平

    ○河野国務大臣 日本の憲法のもとで防衛庁が存在をすることについては、今先生先生のお立場、お考えでお述べになりましたけれども、私どもは合憲であり、当然の存在だというふうに考えておりまして、その存在を私どもはとやかく言うべきでないと考えております。  ただ、今先生が後段おっしゃいました日本の国の科学技術というものが一体どういうふうにあるべきかということにつきましては、私には私の考えがございます。戦後四十年間、日本の国があの荒廃の中から立ち上がって、先端技術のメッカとまで言われるような今日の状況をつくり上げたのには、この四十年間、あるいはそれ以前からかもしれませんけれども、とりわけこの四十年間の民生用の技術開発に打ち込まれた科学者方々、あるいは技術開発に取り組んでこられた多くの関係者の方々の御努力があったというふうに思うわけでございます。そして、先生御承知のとおり、日本の国の技術開発費は七兆円を超えると言われておりますけれども、その中は民間の部分が非常に多いというような御議論もございますが、この七兆円を超える技術開発費がいわゆる民生用の目的に向けられてきたということが、この四十年間に先進科学技術国に向かって追いつき追い越せという勢いでここまでやってきた大きな役割をしているということは間違いのないことでございまして、私も日本科学技術がこれから先も民生用の技術開発にとりわけ大きな貢献をしていかなければならないと考えておる次第でございます。  ただ、この法律案そのものについて申し上げますと、防衛庁がこの法律案の中に入っているということでいわゆる民生用の技術開発と専ら防衛の技術開発とがごちゃごちゃになってしまって、今までの民生用の技術開発がこれによって防衛の技術開発の中に取り込まれてしまうといった種類の法律ではないということをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  121. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私たちも初めに科学技術庁からこの法案の説明をいただいたときには、これは、教育職公務員の場合等は既に認められているものを一般の国家公務員の研究職の皆さんにもそういうような措置を認めてやる技術的な法律というように思いまして、まあいいじゃないかというような気持ちでなにしておったら、だんだん読めば読むほどおかしいなと思い始めたのです。というのは、第二条第二項第二号に防衛庁職員の分が入ってきたということが一つ。それからもう一つは、第十条に「配慮事項」という国際関係まで入ってきたということになれば、武器輸出の問題からSDIの問題まで絡んで、あるいは日米間の防衛協定並びにこれに結びつくいろいろな軍事秘密協定というようなものが厳然としてあるわけですから、そういうものに配慮しなければならないといいうふうになれば、これは、待てよ、もう一回読み返してみる必要があるなというふうに考えざるを得ないのですよ。そこで長官のお考えをお聞きをしたわけでございますが、余り歯切れがいいとは思えませんね。それは余談になりますので、次の質問に入ります。  次は、大学というのは今教育職公務員で、教育公務員特例法あるいは学校教育法等々の特例法等によりまして、あるいはまた大学自体が学問の自由、研究の自由、そして教育の機関でもございますから、そういうような憲法上あるいは教育の基本的な理念の上に立ちまして、行政的な指揮命令系の考え方よりも創意工夫を生かしながら合議制の中で行政も行っていくという自主的な運営を保証されている機関ですから当然だと思うのでございますが、話を聞いておりますと、国立大学あるいは高等教育機関というようなものも初めのうちはすべて一緒くたの中でくくることができないかどうかということで検討をされた。大学も含めた形で検討したのだが、大学は外すことになったのだというような話をこの審議の過程で聞くのですが、それは事実ですか。
  122. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 この法律の特例措置を定めておりますのは三条から九条まででございます。そのうち三条、四条、五条というのがいわゆる身分法に関するものでございます。残りの四つの条項は財産法に関するものでございますが、身分法に関する三条につきましては、外国人教員任用法によりまして、三条のように大学におきましては外国人を教授、助教授に任用できることになっております。それから教育公務員特例法によりまして、四条の研修への参加というのが事実上手当てされているということでございます。それから六条以降の各財産管理法につきましては、今回の法律でも大学も含めております。日本のすべての研究設備その他について規定したものでございます。第五条が、大学につきましては実は教特法その他で適用されてないのでございますけれども、この点について文部省とも相談した結果、現在臨教審でいろいろ大学改革等について議論されていますということで、本件につきましては臨教審の答申を踏まえて別途手当てをすることを検討したいということで、身分法につきましては大学先生を除外したわけでございます。
  123. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 臨教審の答申はたしか二十三日ですか、近いうちに出るように聞いております。だから、その答申が出るのだから今のところはさわらないでおこうというような説明に受け取ったのです。ということであるならば、この法案は臨教審の答申との関係が出てくるのでしょうか。あるいは行政改革審議会答申との関係をこの法案の中で盛り込んでいるのだろうと思いますが、文部省はそういうようなことで科学技術庁に説明をしているのですか。ちょっと文部省からきょう来てもらっておりますので説明願いたい。  なお、文部省の方では運営をする規則というものをそれぞれつくらせておるというか、それは大学の自主性ですが、その運営規則みたいなものが指針として出されて、各大学でそれがつくられておるというふうにも承っておりますが、そういうようなことができ上がっているのかどうか、それもあわせて説明願いたい。
  124. 佐藤次郎

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま科学技術庁の方から御答弁がございましたように、国立大学関係につきましては、身分法関係につきましては既に、研究公務員研究集会への参加あるいは研究公務員外国人の任用につきましては、教育公務員特例法等において措置済みでございます。共同研究のための休職に関する退職手当法の特例措置につきましては未措置でございますけれども、これにつきましては、現在臨時教育審議会におきまして産官学の連携等につきまして審議が進められているところでございます。私どもといたしましては、その答申の内容あるいは教育公務員の身分の特殊性にかんがみまして、身分関係は教育公務員特例法等で規定されていること等も考えまして、今回は対象の除外になっているというふうに理解をいたしております。  なお、大学におきましては、研究交流につきましては、社会の要請にこたえまして、大学の本来の使命を踏まえつつ、みずからの主体性のもとにその特色を生かしながら適切にこれに対応していくということは大変有意義なことでございますので、このような観点から、文部省といたしましても学術研究の社会的協力、民間等の共同研究ということを推進をいたしているわけでございます。この大学共同研究を進めるに当たりましては、各大学におきまして学内規定の整備を行い、民間等との共同研究が適切に行われるようにいたしているわけでございます。
  125. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ちょっとお尋ねしておきますが、今まで文部省なり文部省の研究機関なりあるいは国立大学等で、防衛庁のいわゆる防衛技術というのですか、それとの関係共同研究したことがありますか、ありませんか。
  126. 西澤良之

    ○西澤説明員 お答え申し上げます。  大学を中心といたします学術研究は、人文科学、社会科学、自然科学のすべての分野にわたります研究研究者の自由な発想に基づきまして創造的に展開し、あわせてすぐれた人材の育成を図る、これを不可分一体のものとして実施する、こういうような基本的な使命を持っているわけでございますけれども、こういう学術または学術研究成果というものは、広く社会に公開されまして社会の発展に貢献すべきものでございます。このような大学におきます学術研究の目的、使命、性格、こういうものにかんがみまして、軍事研究大学で行われることは到底考えられないというふうに承知しているところでございます。  なお、これまでに国立大学と防衛庁との共同研究が行われた例はない、このように承知しているところでございます。
  127. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 共同研究はないが、いわゆる学者交流というもの、人事ですね、これはありますか、ありませんか。
  128. 西澤良之

    ○西澤説明員 ただいま申し上げましたとおり、組織的な形での研究交流というものはなされてないわけでございますけれども、師弟関係、あるいは同じ学会に所属している、あるいは研究集会等に参加したというような個人的な機会を通じましての接触は、当然これはあろうかと思いますが、その状況につきましてはつまびらかに承知していないところでございます。
  129. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 人事の交流というのは、例えば防衛医科大学先生がどこかの大学の教授に出るとか、あるいは大学から防衛医大の方に行くとか、いろいろありますね、そういうようなことを言っているのですが、それはありますね、ありませんか。
  130. 小池清彦

    ○小池説明員 防衛庁の防衛大学校あるいは防衛医科大学校、そういうところへ一般国立大学にいらっしゃった教官であられた方がおいでになるとか、そういうことはございます。
  131. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 事実関係を確認した上で話を進めてまいりますが、そこでお尋ねいたしたいのは、この研究交流促進法案を出される前に、いろいろとこれを提案をするのに当たっては検討をされただろうと思いますのは、日本学術会議ですか、ここから答申がされておりますね。科学研究基本法をつくるべきであるとか、あるいは研究公務員特例法をつくるべきであるとかいうようなのがたしか出されておったと思うのです。それともう一つ、これはたしか長官も関係があるのだと思いますが、科学技術会議ですか、こちらの方でもやはりこれに対しては問題をどういうふうにとらえているのか。あるいはまた、行革審の中から科学技術のあり方についての提言というようなものもなされているようでございます。  そこで私たちは、この科学技術のあり方という問題をやはり基本に据えながら、科学技術研究基本法みたいなものをつくり、あるいは研究公務員のそういうような研究という事態を重く見て特例法をつくっていくというような形の中で処理をしておかなければならないものを、一遍に民間と交流ができるようなところまで推し進めていくというようなことまでやりながら、そしてそれには恩恵を与えていく。しかも、それは後ほどまた割れますが、それの効果的な判断というものをだれがするのかというような問題との絡みの中で問題が出てくると思うのでございますが、そこら辺の基本的な答申というものをどういうように受けとめておられるのか。もうあれは日本学術会議の方はどうでもいいんだというとらえ方を科学技術庁自体がしているのじゃなかろうかというような懸念を抱くのでありますが、その点はどういうふうに受けとめておいでになるのか、お答えをいただきたい。
  132. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 日本学術会議からの数々の勧告、提言が出ております。これにつきましては十分私ども承知しておりまして、現在関係省庁で検討が続けられているところでございます。  今回この法案を提案いたしましたのは、科学技術振興、特に独創的、先端的な科学技術振興のためにどうしても研究交流促進させなければいかぬということがあちこちから指摘されておりまして、我々とたしましては、研究交流促進するために差し迫っている問題をとにかく除去するということで今回の特例措置を含んだ法案を提出さしていただいたわけでございます。  なお、科学技術会議等におきまして、いろいろ日本全体の科学技術政策について検討しているわけでございます。一昨年暮れには第十一号答申ということで、今後十年間の基本的な政策を答申しているわけてございますけれども、こういう答申作成過程におきまして、いろいろなところから出ておりますいろいろな意見を考慮に入れております。その中には日本学術会議からのいろいろな勧告、答申等も考慮に入れて、科学技術会議日本全体の答申をつくったということを申し添えておきたいと思います。
  133. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 あなたの説明を聞いていると、経過だけはそのとおりだろうと思うのだけれども、ユネスコで採択をされた、そして日本学術会議が検討して勧告をした、もう十年前ですね、それで要望したものがあります。そういう意見がある。これを一体どうするのですか。そういうふうな勧告なり意見というものはそのまま神棚の上に上げておいて、ほこりをかぶったままでいいというお考え方なんですか。どういうふうにしようというのですか。     〔委員長退席、矢追委員長代理着席〕
  134. 河野洋平

    ○河野国務大臣 出されている勧告はそれぞれ十分に検討されたものであり、これは我々もしっかりと受けとめなければならないものだと思います。ただしかし、これは先生も十分御承知でおっしゃっておられると思いますけれども関係する省庁も極めて多い、非常に幅の広いものもございます。したがいまして、幾つかの省庁の合意というものもなければなりません。今回の法案につきましても、大変多数の関係省庁の持っている問題意識、そして先生御承知のとおり、人事院でございますとか大蔵省でございますとか、なかなか厳しい御意見の中を、とにかくこの問題だけは処理をしたいということで、合意のできた差し迫った問題、乗り越えねばならない問題というところに絞ってこの法律をつくったような次第でございます。十分御承知だと思いますけれども、たしか数年前からこの法律案を御提案申し上げたいということで法案作成に懸命に努力をしてきたところでございますが、本日御審議をいただいておりますこの法案も、相当な年数がたった上ででき上がっているということもぜひ御理解をいただきたいと思います。
  135. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この法案が通った後どういうふうになるのだろうということを、いろいろな角度から検討しなくてはならぬと私は思うのです。     〔矢追委員長代理退席、委員長着席〕  法は十条で簡単だと思いますね。それから政令に任されているのが十、たしかあるはずでございます。その政令の中身はまだ我々のところには説明をされていないわけですね。だから、もう白紙委任をするような格好になるというふうに思いますので、その点からやはりこの際明らかにしておいた方がいいと私は思いますのは、さっき教育公務員の場合が出ましたが、最近は文部省から五十八年の五月十一日の通知、「民間等との共同研究の取り扱いについて」という通知が出ていますね。これは大学への民間研究者の出向とか、あるいは民間による特許権の優先実施等を定めた点では、この法案の規定の仕方とはちょっと異なっておりますが、産学共同研究開発というのではもう前を走っているわけですね。前を動いている。前は余り産学共同研究というのは多くなかったのです。ところが、最近はどんどんこれがふえてきておりますね。  ふえてきたということは喜ばしいというように考えるだけではだめなんでして、文部省の予算だけでは必要な研究をするのに三分の二ぐらいしか賄えない。どうしても民間の方からそういうような金をもらってきて一緒にやらなければ研究ができない、こういうところに追い詰められているところから問題があるのではないかと私たちは見ているのですが、そういうように通達みたいな形で先発をしている教育公務員の今日の問題が、研究という実態がどのような形になっているかということについて、文部省としてはそれを分析され、そしてどのような対応の仕方を――大学でやるのは応用的な研究じゃなくて基礎的な研究ですから、そういうような意味において、件数は共同研究がふえてきたが、それが学校教育本来の姿の中で大学等で行う研究等にどういうような影響があらわれているかということについては、検討されていますか、されていませんか。
  136. 西澤良之

    ○西澤説明員 先生御指摘のように、昭和五十八年度から民間等との共同研究制度というものを設けたわけでございますけれども、これは、国立大学研究者国立大学におきまして、民間から共同研究者及び研究のための経費等を受け入れまして、共通の課題につきまして共同して研究を行うことによりまして、より研究の程度の高いものを生み出そうということで開始したものでございまして、例えば材料開発でございますとか機器開発、バイオテクノロジー関係、エネルギー開発関係、ソフトウエア関係、エレクトロニクス関係、そういうところで現在まで既にかなり高い程度の研究成果が得られている、そのことは大学自身の研究にとっても非常に有益な効果、刺激を与えているというふうに私どもとしては承知しているわけでございます。
  137. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 共同研究によって、相手の方も金を持ってきてやるわけでしょう。それでその大学学者研究者一緒になって研究した、そのことは非常にすばらしい、成果が上がった、その反面、大学自体のそういうような研究に要する経費はどういうふうになってきておりますか、一人当たりの研究費が何ぼになっているのですか。
  138. 佐藤次郎

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  大学におきます研究費の見方はいろいろございますが、総務庁の科学技術研究調査結果によりますと、昭和五十九年度の場合は、我が国全体が七兆八千九百億のところ、大学関係では一兆七千二百億でございます。大ざっぱに言いまして、研究者一人当たりの研究費でございますが、大学研究者の数を、大学院の博士課程も含めまして大学研究者という理解をしている、そういう前提で見た場合には人件費、物件費を含めて約九百三十五万円、こういう数字が出ておるところでございます。
  139. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、ついでにお聞きをいたしますが、その他の国立研究所は研究員一人当たり幾らになっておりますか。
  140. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 これも総務庁統計でございますけれども、国営の研究所で働いていらっしゃる研究者の方が一万六百四十一名でございますが、そこで使われました研究費は二千百五十九億円ということで、一人当たり約二千万円、これは給与その他全部含んでおります。
  141. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そんなたくさんですか。というのは、私たちが聞いているのは、いろいろ学会のそういうような研究会に行くのでも金がないので大変困っている、そういうような公開研究会等に今度から職務専念の義務を免ぜられて行く、学会等に出会をするのには約一万名の研究員がおって一億一千万円くらいしか金がないのですよというような話を聞くのですが、二千万円も一人当たりあるのですか。
  142. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 ただいま私が申し上げました一人当たり二千万円と申しますのは、研究費、設備費、建物、すべての金額を一人当たりに割ったものでございまして、旅費等につきましては調整局長から御答弁いたします。
  143. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。  国立研究所の経費はいろいろな経費から成り立っておりまして、基本的な研究費といたしましては人当研究費と特別研究費、そういう二つに分かれておりまして、特別研究費というのはそれぞれの研究テーマに応じまして毎年計上されるものでございまして、人当研究費と申しますのが研究員一人頭幾らというような格好で予算上計上されるものでございます。  それで、現在人当研究費の単価につきましては、これは研究所の研究の内容によって多少違うわけでございますが、実験系Ⅰと言っておりますが、これは工学系の実験、研究を行う研究所でございまして、研究員一人当たり百四十四万円ということでございます。それから実験系Ⅱ、これは主として生物系の農学とか医学とか、そういった研究所でございますが、これの人当研究費、一人当たりの単価が百二十六万円でございます。そのほか非実験系といたしましては九十一万、八十二万、そういうようなことになっております。  それから、ただいまお話ございました旅費でございますが、旅費につきましては、これとは別途計上してございます。
  144. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大体研究費は、大学の場合でもあるいは国立研究所の場合でも、一人年間百万円前後だということですね。この法律をつくりますと、民間との共同研究ができるから民間の方からも金を出してもらって、国の方は財政不如意だからそういうような意味で余り負担をせぬでもいいわというようなことになってしまうんじゃないだろうかと私は懸念をしているのですよ。その点は問題が残っているということを指摘をしておきたいと思います。  そこで、研究成果公開、これは法案の中には出ておりませんわね。研究者というのは、研究をして、そして発表の自由、研究成果公開をいたしましてそれを世に問う、そしてそれに対して批判を受ける、その中からまた新しいものが生まれていく、そういうようなものが研究者の態度でなければならないだろうと思いますし、それにはやはり科学技術はもちろん平和目的のために使われるべきだと思います。そういう意味において研究の自由、発表の自由、そして公開原則成果をみんなの前で明らかにしていく、こういうような自由な競争が働く原理というものを保証するということでなければならないと思うのでございますが、それは法の中には規定されていないのは一体どうしたことなんだろうかというのが一つ。  それから、時間の関係でだんだんに詰めてまいりますが、第十条の国際的な約束を誠実に履行する義務というのがある。これは特別の配慮を払うというようなことが出ておりますが、五十八年の十一月の八日でございますか、対米武器技術の供与に関する交換公文というものに署名をしておりますね。そして、武器輸出三原則の例外として米国にだけは武器技術の供与の道を開いている。そしてまた、現在中曽根総理は、SDIにつきましても非常に前向きの姿勢で臨もうとしている。これは政府間取り決めに発展をするのか、交換公文としてそれを基本にした科学技術交流に関する政府間取り決めをやるんじゃないだろうか、こういうふうに我々危惧しているのです。一その問題は、外務省にお尋ねをしておきたいと思いますが、国際約束によって民間がSDIの研究開発参加するということだけではなくて、それに参加して国際的な研究交流を行うのについて、国家公務員の研究職の人たちも参加をすることになるのではなかろうか、そういうようなものが第十条の国際約束を誠実に履行する義務、特別の考慮を払うというものにつながっていくのではないか。その点は何ら心配はない、この法律案を出された河野長官はそうお考えになっておいでになるのですか。その点を外務省、そしてあなた、後から答弁をしてください。
  145. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先生がまず第一にお尋ねになりましたSDIに関する件でございますが、繰り返し国会の御審議の場で御説明してきておりますように、私ども現在SDIに対して一体どういう関与をするのか、仮に参加するとした場合にどのような対応をもって行うのかというようなことについては、まだ慎重に検討中でございまして、一切白紙の状況にあるわけでございます。したがいまして、SDIとの関連での我が国の秘密保護といった問題に対しては、またどのような問題があるのかといったことさえお答えできない段階にあるわけでございます。  それから、この研究交流促進法との関係でございますけれども、私どもの了解は、この十条の国際約束といったものは、具体的には例えば通商航海条約でございますとか核不拡散条約、二国間原子力協定等々のものを指しているものと考えておりまして、これらの条約、またその他の国際約束を誠実に履行すべき義務を定めたものと解しております。いずれにいたしましても、SDIとの関連では私どもとしてはこの条項はとらえてないわけでございます。
  146. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 先生が最初に申されました研究成果公開、発表の自由の点でございますけれども一般的に国の研究成果公開されることによって国民全体の利用に供されるものというふうに我々は理解しております。特に研究者の方は自分の成果をある特定の場合を除きまして学会等に発表し、そこでいろいろな批判を受け、またサゼスチョンももらい、そして研究を進めていくのが一般研究かと思います。ただ、特許権等の工業所有権に関するような問題等につきましてはある一定期間は公表しないというのが通例になっていまして、そのような場合には公表を差し控え、ある時期が過ぎれば公表するというふうなやり方を従来からとってきております。
  147. 河野洋平

    ○河野国務大臣 村山先生御指摘の第十条でございますが、私はこの法案の第十条が今先生が御心配になっているようなことにはならないという確信を持って御提案申し上げております。
  148. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は河野長官を信頼はしているのですが、しかし、ずっと科学技術庁長官であるという保証はないのです。法律は一遍できますとひとり歩きをするのでございまして、やはりきちっとしておかなければならぬと思いますから、自主、民主、公開、平和というこの原則は堅持してもらいたい。特にこの法律の主管庁というのは、提案は科学技術庁が出しておりますが、どこが責任を持ってくれるのか、どうもはっきりしない点もあるのです。一応科学技術庁だろうと思いますから、私も科学技術委員である限りにおいては、この法律がもし通った場合でも、きょう述べたようなことを今後も確認を迫っていかなければなりませんのでお尋ねしておきますが、自主、民主、公開、平和という基本的な原則というのは少なくとも科学技術庁としてはお守りになるだろうと思いますが、この点、再度長官に確認をしておきたいと思います。
  149. 河野洋平

    ○河野国務大臣 この法案はもう御承知のとおり、各省各研究所が持っております法律上の隘路を解消するためにつくっている法律でございまして、この法律ができ上がりますれば、それぞれの省庁、それぞれの研究所がそれぞれの運用について責任を持ってなされるもの、こう心得ております。  また、先生今御指摘の諸原則は、それぞれ極めて重要な物の考え方だろうと思います。もちろん研究のそれぞれのケースによってはいろいろな対応があろうかと思いますけれども一つの重要な考え方だというふうに私も思考いたします。
  150. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間が余りありませんが、外務省の安全課長、二国間協定とか二国間の相互条約あるいは国際的な条約、そういうようなものは当然のことでありましょうが、対米武器技術供与に関する交換公文、これは署名をしておるわけですね。そして武器輸出三原則の例外として、米国に対しては武器技術の供与の道を開いているわけですから、当然これは日本のこれからの行動、研究というものに対しては練る、制約条件というものがあるんだ、こういうことでよろしいのですか。そこはどういうような研究の自由というものが保障されておりますか。そういうような防衛兵器、軍事兵器、軍事的な資材等については公開をしてはならないというようなことになるのですか。
  151. 岡本行夫

    ○岡本説明員 お尋ねの対米武器技術供与協定は、アメリカに対しまして我が国からの武器技術の供与に関するものでございます。したがいまして、今般の細目取り決めにも秘密保護に関する米側の義務についてのみ定めているものでございます。
  152. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 日米間にはMDA保護法がありまするし、あるいは刑特法があるという関係にありますが、日本の国内においてはそれを制約する条項がありましょうか。
  153. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先生今御指摘の二つの制度でございますが、一つがMDAの秘密保護法でございます。これは、アメリカから我が国がMDA協定に基づきまして武器技術関係の援助を得ましたときにそれを律するものとしてつくられたものでございまして、米政府から供与される秘密の装備品または情報等を保護するものでございます。  それからもう一つの刑事特別法でございますが、これは米軍施設区域を侵す音あるいは米軍の軍用物を損壊する者に刑罰を科し、あるいは米軍の機密の保護について述べたものでございます。したがいまして、米国から私どもが受けます装備品または情報の流れに関しては、先生御指摘のようにただいまのMDA秘密保護法が根拠となりまして、もろもろの手続が課され、秘密が保護されているわけでございます。
  154. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法は、やはり最初は今のようなことですが、今では日本との間の相互主義に立っているわけですから、そういうような問題のとらえ方をしなければならないと思います。そういう意味において、今のところ国内法においては外務省の関知するところではないでしょうが、防衛庁来ておりますか。軍事秘密に属するような研究に対応する、そういうものはどういうような処理がなされておりますか。企業秘密の名においてやられているのですか、あるいは防衛庁の法規の中ではどのような取り扱いになっておりますか。
  155. 堀川和洋

    ○堀川説明員 お尋ねでございますからお答えいたしますが、防衛庁におきます秘密保全体制と申しますのは、今先生おっしゃいました日米相互防衛援助協定等に基づき米国から供与された装備品等の構造、性能などを内容といたします防衛秘密、それからこれ以外の防衛庁の業務に関する秘密である庁秘、この二種類がございます。  これらの秘密に対する保護措置の基本といいますのは、秘密に属する事項または文書等を限定いたしまして、いたずらにこれが知れないようにする、こういうことでございまして、防衛秘密については、先ほど申し上げました日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法、同施行令及び防衛秘密の保護に関する訓令によりまして、それぞれ秘密保護のための所要の措置が具体的に定められております。
  156. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 国家公務員は、公務員法上、百条ですか、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという守秘義務がある。民間の場合は、企業秘密というような形の中で、研究というものが産官学軍という新しい結合体が生まれやすい土壌をこの中でつくることになるんじゃないだろうかという点が心配されるものだから、特殊な立場にあります特別職公務員である自衛隊、防衛庁の職員とそうでない者との間をやはり離した形の方がいいんじゃないかと私たちは思っておりました。ところが、文部省がそういうような共同研究の体制を先に実行に移して、そしてまた追っかけるようにこの法律ができ上がってくる。  そうなりますと、この複合体制というものがこれから新しい研究交流という名においてますます進んでいく。しかも、そういうような先端技術の利益を享受できるだけの組織と研究陣を持ち、資金を持って、そして国家の研究施設を使い得るものは一体どういうところなんだろう。大企業それから中小企業という分類をしてみると、やはり大企業の方がこれを使う率が大きいんじゃないだろうか。アメリカも初めはそういうような大企業の場合は排除しておったわけですが、最近になりましてから一緒に、垣根を取り払って、そして、産軍複合体制がアメリカにはでき上がってきた。その後を日本が追っかけるような感じがしてならない。  だから、どこかで歯どめをかけておかないと、これは大変だ。ただ職務専念の義務を免除されて、そしてどこか民間の研究所に行ったときに、退職金がつながるからいいじゃないかというようなみみっちい法律の問題だけじゃないんだ。その背景にはそういうようなものが流れているんじゃないか。やはりそこを、私たちは二十一世紀を見通しながら、これから日本の国が国際社会の中で進めていかなければならない科学技術のあり方との結びつきの中で問題をとらえていくべきだと私は考えましたので、そういう立場から質問を申し上げたわけでございます。  法案という形で出てまいりますとなかなか引き返しもできないでしょうから、この程度で質問を終わらせてもらいますが、ひとつ科学技術の発達と人間のあり方という問題まで踏み込んだ形の中で今後検討をしていただくことを要望しまして、終わります。
  157. 大久保直彦

    大久保委員長 小澤克介君。
  158. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 研究交流促進法案について御質問いたします。  我が会派の他の委員がまだ質問できてない方がいるわけでございますが、御都合がつかないということで、私、以前に質問機会を与えられているにもかかわらず、いま一度質問機会をいただいたことを委員長に感謝をいたします。  そこで、まず科学技術庁にお尋ねいたしますが、基本にさかのぼりまして、この法案科学技術庁で所管する、あるいは仮に成立すればこの運用についても所管することになろうかと思いますが、その根拠はどういうことでしょうか。科学技術庁設置法との関連において、端的にお答え願いたいと思います。
  159. 吉村晴光

    ○吉村説明員 科学技術庁設置法の中に、科学技術庁の任務といたしまして、「科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」というふうにございまして、そういう立場から、各省に共通する問題でございますので音頭をとらせていただいて、まとめさせていただいておるということでございます。
  160. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、今御指摘になりました科学技術庁設置法の三条に言う「科学技術」という概念と、この法案の第一条の「目的」にあります「科学技術」という概念は同一のものである、こう伺ってよろしいでしょうか。
  161. 吉村晴光

    ○吉村説明員 科学技術という言葉遣いにつきましては同じでございますが、科学技術庁設置法の「科学技術」の中には、人文科学のみに係るものだけでなくて、大学における研究に係るものは除かれております。ただ私どもは、大学における研究につきましても財産関係では対象にしたいということで、そこに入れておるわけでございまして、そういった面で若干の違いはあるというふうに考えております。
  162. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、科学技術庁設置法三条に言う「科学技術」という概念には大学における研究が除かれている、本法ではこれも含むというところが違うということですが、それ以外は同じと見てよろしいでしょうか。それから、科技庁設置法の三条で大学を除いたのは、これは専ら国家機関相互間の職掌の分担ということから除いたという趣旨である、こう理解してよろしいでしょうか。  以上二点、簡潔にお答えください。
  163. 吉村晴光

    ○吉村説明員 科学技術という言葉の持ちます概念そのもので申し上げますと、ただいま申し上げましたように大学における研究に係るものを除くという点が違っておるということでございます。  それから、大学における研究に係るものが除かれておりますのは、御指摘のとおり大学関係につきましてはそれを所管するところがあるし、そこについてまで科学技術庁の総合調整権限を掲げるのはいかがかという御趣旨かと思いますが、役所間の所掌の分担関係にあるというふうに理解をいたしております。
  164. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大変明確で、よくわかったわけでございます。  そこでお尋ねしますが、科学技術庁設置法に言うところの「科学技術」という概念には、軍事技術は含まれますでしょうか。
  165. 吉村晴光

    ○吉村説明員 私、先ほど科学技術という言葉は概念的にはと申し上げましたのは、科学技術という言葉の中には、そういったものは言葉の意味としては入っておる、言葉の意味としては科学技術の中にはあらゆる科学技術というものが入っておるという理解でございます。  ただ、科学技術庁がやりますのは、その「任務」の前段にございますように、「科学技術振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、」という条件がついてございますので、個々の具体的な行動をとりますときには、それを踏まえまして、専ら防衛に係るような技術研究推進する立場にはないということになるわけでございます。
  166. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 ちょっとよくわからなかったのですが、第三条に言う「科学技術に関する行政」というものには軍事技術が含まれるのかどうか、端的にお答えください。
  167. 吉村晴光

    ○吉村説明員 「科学技術に関する行政」というこの言葉の概念の中には含まれておるというふうに理解をいたしております。(小澤(克)委員「含まれておる」と呼ぶ)含まれております。  ただ、その前に目的がございまして、「科学技術振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、」という条件がございますから、その限りにおきまして、専ら防衛に使う技術研究推進する立場にはないという解釈になるわけでございます。
  168. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大変重大だと思いますよ。科学技術庁設置法第三条に言う科学技術行政という概念には軍事技術を含むということになりますね。そうすると、例えば軍事技術であっても国民経済の発展に寄与する、武器をつくって見れば、国民経済の発展に寄与するじゃないですか。どうなんです。
  169. 吉村晴光

    ○吉村説明員 私が申し上げておりますのは、科学技術という言葉の概念のことを申し上げておるわけでございまして、科学技術という言葉の中から専ら防衛に係る技術が除かれておるということは明示的に書いてないということを申し上げておるわけでございます。  ただ、第三条自体は、科学技術庁の任務を全体として規定いたしておるわけでございます。「科学技術振興を図り、国民経済の発展に寄与するためこそういった目的の中で科学技術に関する行政を総合的に推進するということが任務となっておりますので、私どもはそれを両者一体として理解をいたしまして、専ら防衛のための技術研究開発といったことは推進する立場にないという理解をしておるということを申し上げておるわけでございます。
  170. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 立場にあるかないかではなくて、科学技術庁設置法三条に軍事技術が含まれるのかどうかということですよ。大変重大な発言ですよ、あなた。自分で認識しておるのかどうか。「国民経済の発展に寄与するため、」という目的があるから軍事技術は含まれないのだというお答えでしたよね。そんなことないでしょう。軍需産業をどんどん興して外国に売ってごらんなさい。国民経済は発展しますよ。そういうことをやっている国は幾らでもありますよ。詭弁じゃないですか。三条そのものが軍事技術は含まないのだと言えないのですか。科学技術庁は軍事技術の開発もその職掌とし得るのですか、仮にこの「国民経済の発展に寄与する」という解釈いかんによっては。どうなんですか。
  171. 吉村晴光

    ○吉村説明員 私の方で申し上げておりますのは、科学技術という言葉の概念について申し上げれば、そういったものが除かれておるというわけではございませんということを申し上げておるわけでございまして、任務でございますから、これは第三条全体を一体として理解をする必要がある。そこで科学技術庁としては、「科学技術振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、」という目的があるわけでございますので、そういった立場で、専ら防衛に係る技術推進をやる立場にはないし、できないというふうに理解をしておるわけでございます。
  172. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 言葉のことを聞いているのじゃないのですよ、国語の時間じゃないのですから。科学技術庁という役所は何を任務とするのか、そういう基本のところを聞いているわけです。  今のお話では、「国民経済の発展に寄与する」というところの解釈いかんによっては、科学技術庁は軍事技術の開発にも当たり得る、あるいは行政を総合的に推進することを任務とし得るという解釈になりますよ。いいのですか、それで。大変重大な発言だと思いますよ。あなた、自分で認識しているのかどうか知りませんが。科学技術庁が軍事技術も扱い得るのですか、どうなんですか。扱い得るのか、扱い得ないのか、立場にある、ないじゃなくて、この三条の解釈としてどうなのか。有権解釈をなし得る立場にあるわけですから、言ってください。
  173. 吉村晴光

    ○吉村説明員 大変誤解を与えて申しわけございませんけれども科学技術概念についてお尋ねがあったものですからこういう答え方をさせていただいたわけでございますが、科学技術庁の役割という点から申し上げますと、科学技術庁はこの三条の「国民経済の発展に寄与するため、」という目的のために科学技術に関する行政を総合的に推進するわけでございますから、専ら防衛に使う技術研究を行う立場にはないし、設置法上はそれに含まれてないという理解をいたしております。
  174. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 念のため大臣にお伺いしますが、科学技術庁の所管する事項といたしましては、軍事技術は含まれるのか、含まれないのか、どうなのか。結論だけで結構でございます。
  175. 河野洋平

    ○河野国務大臣 専ら防衛に係る技術の開発は防衛庁の役割と心得ております。
  176. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 続いてお尋ねします。  本法案の第一条に言う「科学技術」、ここには軍事技術は含まれるのでしょうか。
  177. 吉村晴光

    ○吉村説明員 科学技術の中から人文科学のみに係るものを除いておりますので、現在防衛庁がやっておりますような研究は含まれております。
  178. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、この法案に言う科学技術交流促進というのは軍事技術を含むということですか。しかし、科学技術庁設置法の解釈としては軍事技術は扱わない、所管しない、にもかかわらず本法案を所管するというのはどういうことですか。
  179. 吉村晴光

    ○吉村説明員 この法案には所管の大臣がございませんで、既存の法制度の中での特例措置を抜き出したものでございます。したがいまして、この法案の運用は各省、各庁がそれぞれの立場において運用するということになるわけでございまして、科学技術庁の所管ではございません。
  180. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 この法案科学技術庁の所管ではないのですか。それでは、この法案について解釈に疑義が生じた場合に有権的解釈をなし得るのはどこですか。
  181. 吉村晴光

    ○吉村説明員 現在、通常の法律の場合には主務大臣という規定があるわけでございますが、御承知のとおり、この法律には主務大臣という規定はございませんで、それぞれこの法律の条項に基づきます権限を有する省庁が権限に基づいて理解をするということでございます。  解釈上の疑義が生じましたときには、当然関係省庁が相談し、内閣法制局の意見を伺って政府としての解釈を統一をするということになります。
  182. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、この委員会で河野長官の御出席を求めて審理すること自体問題じゃないですか。全大臣並んでもらわないと審理できませんよ。おかしいじゃないですか。委員長、どうでしょう、これは彼に答えてもらう問題じゃないですね。
  183. 吉村晴光

    ○吉村説明員 科学技術庁は科学技術に関する行政を総合的に推進するという立場にございますから、その限りにおいて全体を取りまとめておるわけでございます。ただ、取りまとめます場合に、すべてについて科学技術庁が取りまとめ得る立場にあるかどうかということにつきましては、例えば大学の問題だとか、それから先ほど申し上げました防衛技術の問題といった点については、若干科学技術庁の総合調整といいましょうか、そういったものからはみ出る部分がございますが、やはり政府部内でこういうことをまとめるということになりますれば、全体をまとめるべき総合調整官庁である私どもが音頭をとって取りまとめるのが適当であるということで取りまとめたものでございます。
  184. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうすると、第一条の「目的」で軍事技術を含む科学技術交流に関する法案、これを、軍事技術については科学技術庁は扱わないが、取りまとめをする。みずから扱わないことを取りまとめるというのは、取りまとめるという言葉はよくわかりませんが、どういうことなんですか。
  185. 吉村晴光

    ○吉村説明員 政府全体に共通する問題でございますので、そういった仕事をやるのに最もふさわしいところがやるということでございまして、必ずしもそれ全体について権限を所管しておることが必要不可欠であるというふうには考えておりません。
  186. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大変重大なことが明らかになりまして、本法案には所管大臣はいない、各大臣がそれぞれ該当することを分掌する。この委員会科学技術庁長官、国務大臣であられる河野さんだけに御出席を求めてここで審理するには適しないです。あるいはもしここでやるにしても、そういう制度があるのか、私一年生だから知りませんが、各大臣全部御出席いただかないと審理できないですよ。委員長、何とかこの点お考えいただきたいと思うのですが。
  187. 河野洋平

    ○河野国務大臣 科学技術庁といたしまして、それぞれの省庁の研究に取り組んでいるというその共通項に着目をいたしまして、それぞれの仕事が持つ共通の隘路を取り除こうということで一つ法律に取りまとめたものでございますから、私はその取りまとめ役として御答弁を申し上げるということでございます。
  188. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大臣のお立場はよくわかるのですけれども、しかし例えばこの法案の第一条では、まさに軍事技術を含む科学技術なんです。ところが科学技術庁設置法からすれば、科学技術庁はそのような軍事技術については取り扱う官庁ではない。それにもかかわらず取りまとめをするということになりますと、第一条「目的」に言うところの「科学技術」の中の軍事技術についてはだれにどうお尋ねすればいいのでしょうか。ちょっとその辺をまず明らかにしていただかないと、審理の形式の問題でございますので、委員長お願いいたします。
  189. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 専ら防衛技術に関する研究開発は防衛庁が担当されておりますので、防衛庁の方からお答えすればいいかと思います。(「暫時休憩しなさいよ」と呼び、その他発言する者あり)
  190. 大久保直彦

    大久保委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  191. 大久保直彦

    大久保委員長 速記を始めて。  科学技術庁としての見解をまとめて、ここで答弁をしてください。
  192. 長柄喜一郎

    ○長柄政府委員 許認可等を伴わない法律におきましては、主務大臣のない法律でございます。  それから防衛技術につきましては、防衛庁の政府委員の方から答弁があるものと思います。
  193. 小池清彦

    ○小池説明員 私どもは、先ほど科学技術庁長官から御答弁があったとおりに了解いたしております。
  194. 大久保直彦

    大久保委員長 河野国務大臣、もう一回答弁してくれますか。
  195. 河野洋平

    ○河野国務大臣 小澤議員の御質問でございますが、この法律は制度法でございますから、この制度ができ上がれば、別に許認可をだれが出すという性格のものではございませんから、この法律によって制度をつくるということだということで御了解をいただきたい。そしてでき上がった制度について、防衛庁がこのでき上がった法律を運用するときには、防衛庁長官が所管をしてこの法律の運用に当たる、厚生省は厚生大臣が所管をして運用に当たる、こういう筋のものだとぜひ御理解をいただきたいと思います。
  196. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 この法案では、政令に委任した事項が多数あるわけでございますが、そうしますと、政令は各省庁がそれぞれ別々につくることになりますか。これはだれに聞けばいいのでしょうか。
  197. 吉村晴光

    ○吉村説明員 政令は閣議で決めるわけでございますので、各省で相談をしてつくるということでございます。ただ、事務的な手続といたしましては、たたき台を私どもでつくるということになろうかと思います。
  198. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、例えば第二条のところで対象とする試験研究機関、第三条で対象とする研究公務員について、いずれも「政令で定める」となっておりますが、防衛庁関係研究機関、防衛庁の職員あるいは自衛官等についても、その範囲を定めるのは、事務取り扱いとしては科学技術庁が所管する、こういうことになりますか。
  199. 吉村晴光

    ○吉村説明員 政令は閣議で決められるものでございますので、各省で相談をするわけでございます。そういった意味で、ここにございます試験研究機関範囲とか研究公務員範囲といったものにつきましては、各省相談をして決めるわけでございます。その際に、この法案を取りまとめたということから、私どもが政令のたたき台といったものを各省に示しながら各省と合意を取りつけていくという経過になろうかと思います。
  200. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 そうしますと、この法案をきっかけに、事実上科学技術庁としては防衛に関する事務を一部取り扱う、こういうことになりますね。それでいいのでしょうか。
  201. 吉村晴光

    ○吉村説明員 私どもは、防衛に関する事務を取り扱うといった意識はございませんで、各省に共通的な問題については、どこかの省庁が取りまとめと申しましょうか、そういう役割は担うべきでございますので、事実上防衛に関する事務といったことではなくて、連絡事務といいましょうか、そういったことはやらしていただくということでございます。
  202. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 少しずつ明らかになってきたわけですけれども科学技術庁設置法三条に言う「科学技術」と本法案の第一条に言う「科学技術」というのは、概念的に違うわけですよね。違うわけです。一つは、大学を含む、含まないという違いがある。これは実はこの法案では、第二条の二項の一号のところで教育公務員特例法云々の者を除くという括弧書きがありますので、事実上大学関係はほとんど含まれないということになるわけです。その意味で余り大きな違いはない。ところが、防衛技術を含むか含まないか、大変大きな違いがあるわけです。  こういう法案科学技術庁が取りまとめたというのですけれども、取りまとめて国会に提出する、そして今後この法案について事実上担当官庁として取り扱う、こういうことになりますと、科技庁設置法第三条に言う「科学技術に関する行政を総合的に推進する」ということをはみ出したことになりますね。防衛に関する事柄を科学技術庁が扱うということになります。これは科学技術庁という役所の性格に大変重大な影響を与えると思いますが、よろしいのでしょうか。
  203. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 設置法の関係でございますので、私から申し上げたいと思います。  まず、科学技術庁設置法第三条の最初に出てまいります「科学技術」という言葉に例えば防衛技術が含まれるか否かという点でございますが、防衛技術科学技術の一種であることは間違いございません。そういう意味において、文字の意味としては防衛技術も含んだ意味での科学技術でございます。ただし、科学技術庁設置法第三条は、それに引き続きまして「国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」という文章が続いておりますし、また、第四条の規定以下で具体的に任務が列挙してあります。そこで、それらの規定をトータルとして見ますと、科学技術庁が直接担当する仕事の分野としては防衛技術が入らない、こういう意味でございますが、繰り返しますけれども、「科学技術」という言葉の中にもともと防衛技術も入っているということは、文字の意味としては間違いないことでないかと考えている次第でございます。
  204. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 先ほど申し上げたとおり、国語の時間じゃないですからね。  それでは、今四条以下に列挙してあるというお答えでしたので、この法案について取りまとめ事務等を事実上職掌とするということは、第四条列挙のどれに当たるのでしょうか。
  205. 吉村晴光

    ○吉村説明員 第四条の第一号には「科学技術に関する基本的な政策の企画、立案及び推進」というのがございますし、第二号には「科学技術に関する制度一般の企画及び立案に関すること。」第三号には「関係行政機関科学技術に関する事務の総合調整に関すること。」といったものがございまして、こういったものを総合的に考えますと、取りまとめをさせていただくにふさわしい事務ではなかろうかというふうに思います。
  206. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 四条の一号、二号、三号を今摘示されましたが、そうすると、一号にも二号にも三号にも「科学技術」という言葉が含まれております。この一号、二号、三号には軍事技術を含むのでしょうか。  それから、先ほどから防衛技術というお答えですが、私は軍事技術というふうに聞いておりますので、正確に答えてください。
  207. 吉村晴光

    ○吉村説明員 言葉の概念で申し上げますとまた誤解を与えますので、全体としてひっくるめて申し上げますと、一号、二号、三号の事務の対象として防衛技術研究に係るものは入ってないというふうに理解をいたしております。  防衛技術軍事技術関係につきましては、防衛庁からお聞きをいただきたいと思います。
  208. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 第四条一号、二号、三号によって、この法案成立した場合にその取りまとめ事務を行っていく。ところが、一号、二号、三号には軍事技術は含まない。正確には、今、防衛技術は含まないというふうにお答えをいただきました。最初にお答えいただいたこの法案第一条に言う「科学技術」には軍事技術を含む。そうすると、この法案ができたら、あなた方はできないことをやらされることになるのですよ。おかしいでしょう。おかしいですよ。
  209. 吉村晴光

    ○吉村説明員 この法案対象としております研究交流科学技術庁の所掌事務の関連でございますが、これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、二点、若干ずれているところがあるということでございます。  第一点は大学の問題でございまして、大学の問題につきましては適用がないという御指摘がございましたけれども、それは身分法関係を指しておりまして、財産関係は「国はこというふうに書いておりますから、その中には国立大学は入っておる。そういった意味で、大学の問題についても現在の科学技術庁の所掌事務とずれているところがあるわけでございまして、私どもはこの研究交流促進法対象になります試験研究全体が科学技術庁の所掌事務の中にすっぽり入るという理解ではございませんで、かなりの部分が科学技術庁の総合調整の対象、企画、立案の対象であるので、そういう意味での音頭取りをやらせていただいておるということでございます。
  210. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 大学関係については、人的には外れるけれども、施設の利用等は含まれるからこの法案に含まれる、その意味で科技庁設置法の第三条とはずれがある、これは今お答えのとおりだろうと思います。しかし、これは主として科技庁設置法の第三条から大学を除いたのは、先ほど既にお答えいただいたとおり、文部省というものがあって職掌の分掌ができているから除いたということです。ところが、この四条の一号、二号、三号に言う「科学技術」というのから軍事技術は除かれるというのは、ただ単に引き算的なものではなくて、本質的なものでしょう。本質的に軍事技術を含まない、それがまさにこの科学技術庁の役割であり、設置法もそのことを明示しているわけです。  ところが、この法案成立した場合に、これを所掌されると、どうしても第一条には軍事技術が含まれるわけですから、これを取り扱わざるを得なくなる、そういうことになりますよ。科学技術庁の法律論がどうの、許認可がないからどうのこうのという問題は、それはいいですよ。それは理屈は幾らでもつけられるでしょう。科学技術庁そのものの変質にかかってくる、軍事技術を取り扱うようになる、そこが問題だ、こう指摘しているわけです。これは大臣からぜひお答えいただきたいと思います。
  211. 大久保直彦

    大久保委員長 ちょっと待ってください。委員長から申し上げます。先ほど来の質疑と答弁を伺っておりますと、今小澤委員御指摘のように、非常に誤解を生むような答弁が多いように思われます。今小澤委員がみずからおっしゃっているように、国語の時間ではありませんから、言葉の概念解釈ではなく、実体論で答弁をきちっとお願いをしたい。よろしくお願いいたします。
  212. 吉村晴光

    ○吉村説明員 第四条の一号、二号、三号の事務でございますが、これにつきましては、やはり科学技術庁設置法の任務と同じでございまして、大学における研究につきましてはこの一号、二号、三号の事務の対象になっておりません。その点につきましては防衛技術の場合と同じであるという理解でございます。  それから、私ども研究交流促進法をつくることによって科学技術庁の任務に変質を来すのではないかという御意見でございますが、私どもはそれぞれ所掌をされる文部省及び防衛庁に対して連絡をさしていただくという立場でございまして、両者を全体の調整の傘下におさめて取りまとめるといった立場にはなりませんので、そういった意味では、この法案によって科学技術庁の立場が変質をするということはないと考えております。
  213. 河野洋平

    ○河野国務大臣 いかなる技術を扱うかということは私どもはやらないわけでございまして、国の試験研究に関し国と国以外の者との交流をどういう形にするかということについて我々はこの法律皆さんに御審議をいただいているわけでございまして、どんな技術についてどういう研究をするかということを我々が担当しているわけではございません。
  214. 小澤克介

    ○小澤(克)委員 せっかくの大臣のお答えでございますが、なお納得できないのですね。  本法案の第二条、第三条によりますと、明らかに防衛庁の機関が含まれ、防衛庁の職員あるいは制服の自衛官が含まれるわけです。それをどの範囲でどう含め、どうするか、これはまさにこの法案の運用の問題です。これについて、科学技術庁が本法案を取り扱わざるを得ないということになるわけです。したがって、この法案は何を扱うかは決めてないのだということではないわけですよね、政令に委任されているわけですから。しかも、その政令を取りまとめをするのは科学技術庁である。どうしても実質的に見て軍事技術たる科学技術に踏み込まざるを得なくなるわけですよ。そのことは、科学技術庁設置法によるところの科学技術庁の設置目的とそごをしてこないかということを言っているわけです。  同様の問題は文部省との関係でもあるではないかという御指摘ですが、これはやや本質が違うと思うのですね。文部省における科学技術研究というのはまさに科学技術の大変大きな一翼をなすものですけれども、これはそういうものが既にあるから科学技術庁から除いたというだけのことでしょう。ところが、科学技術庁設置目的というのは、先ほどから何度もそちらでおっしゃっているように「国民経済の発展に寄与するためここの解釈として、まさに平和産業としての科学技術振興を図る、こういう目的になっているわけですから、軍事技術とは本質的に違うわけですね。それを科学技術庁で取り扱うようになる。しかも、その根拠はどれだと聞けば四条の一号、二号、三号である。これはどう考えても実質的に矛盾します。形式論ではそれは幾らでも取り繕うことはできるでしょうけれども、そこのところをどうお考えなのか、明確なお答えをいただかないと、これは第一条「目的」のところからとりあえず入ったわけですけれども、この「目的」というのはこの法案全体の性格を規定するものですから、ここから先進みようがないのですね。少し休憩をとっても結構でございますから、実質的に矛盾しないというところを科学技術庁の見解としてお取りまとめをいただきたい、こう思います。
  215. 大久保直彦

    大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時五十三分休憩      ――――◇―――――     午後五時四十一分開議
  216. 大久保直彦

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、小澤克介君の残余の質疑山原健二郎君の質疑は、次回に譲ることといたします。  次回は、明十八日金曜日午前九時三十分理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会