○小澤(克)委員 きれいごとはどうか知りませんけれ
ども、この雑誌によりますと、これは電力業界の内部から取材をしたとしか思えないわけでして、電力業界の本音がかなりあらわれているように思うのです。
これによりますと、とにかくFBR、高速増殖炉などというのは金食い虫でつき合い切れない、今後も
民間負担金を取られるのほかなわないというようなことから、しかもなかなか実用になりそうにないし、なるにしてもえらい先であるというようなことから、高速増殖炉推進
会議というのを対策
会議というふうに名称を改めた。名称を改めたということは、それはそれなりの
意味があるわけでしょうから、あるいはさらに戦略委員会において今後の戦略をいろいろ検討し、そのことを通産省あるいは
科学技術庁に率直に物申していくんだというような記載があるわけです。恐らくこれは本音だろうというふうに、仮に私が電力の経営者だったとしても同じような発想に立つだろうと思いますから、本音だろうと思います。これらの
状況全体を見ますと、何もここで高速増殖炉あるいは核燃料サイクルという路線を突っ走らなければならない理由はどこにもないのではないか。
引き合いに出して恐縮ですが、原子力船「むつ」の場合は、とにかく船を一隻つくろうというような形でつくってしまったためにいろいろな問題が後で生じたわけですけれ
ども、そこへいきますとこの高速増殖炉などについては、きちんとステップを踏んで
研究をしておられるということは間違いないようでございますので、ある時点で
研究の進め方をスローダウンしても、それまでに得られた知見というものはきちんと残るわけでございまして、決してむだになるわけではない。そういったことを考えますと、いま少し経済的な
状況など、あるいは海外の諸国の経験などを踏まえて、
技術開発の必要性あるいはその優先順位について見直しをするということが、貴重な税金を使うにしろ
民間の拠出金をいただくにしろ、むだなことがあってはまずいわけですから、そういうことが必要ではないかなということを痛感するわけでございます。
幸いといいますか、原子力委員会でもこの長期
利用計画についてちょうどこの四月から検討を始めるということでございますし、あるいは実証炉についてどうするかということについては、通産省、業界、
科学技術庁を含めて検討し直すということでございますので、この機会に従来のいきさつにこだわらない柔軟な見直しがあるべきではないかというふうに思うわけでございます。
私は
基本的には、軽水炉それ自体も決して現在の社会にフィットした
技術じゃないというふうに思っております。そこまで言いますと議論がもうすれ違ってしまいますので、その議論はきょうは言いませんけれ
ども、高速増殖炉に関しては十分見直す時期ではないかなという
感じを強く持ちます。この辺につきまして、
大臣、せっかくきょう来ていただいておりますので、突然で恐縮ですが、御見解を
伺いたいと思います。