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1986-03-25 第104回国会 衆議院 科学技術委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十五日(火曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長代理理事 矢追 秀彦君    理事小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君    理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君    理事 関  晴正君       櫻内 義雄君    若林 正俊君       五十嵐広三君    大原  亨君       村山 喜一君    八木  昇君       安井 吉典君    遠藤 和良君       小川  泰君    山原健二郎出席国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      河野 洋平君 出席政府委員        科学技術庁長官        官房長     矢橋 有彦君        科学技術庁計画        局長      長柄喜一郎君        科学技術庁研究        調整局長    内田 勇夫君        科学技術庁振興        局長      藤咲 浩二君        科学技術庁原子        力局長     中村 守孝君        科学技術庁原子        力安全局長   辻  栄一君        科学技術庁原子        力安全局次長  堀田 俊彦君 委員外出席者        警察庁警備局警        備課長     井上 幸彦君        防衛庁装備局通        信課長     坂野  興君        外務省北米局番        議官      渡辺  允君        水産庁漁政部協        同組合課長   上野 博史君        資源エネルギー        庁長官官房国際        原子力企画官  片山登喜男君        参  考  人        (動力炉核燃        料開発事業団理        事長)     林  政義君        参  考  人        (動力炉核燃        料開発事業団理        事)      植松 邦彦君        参  考  人        (動力炉核燃        料開発事業団核        燃料部長)   渡辺 昌介君        参  考  人        (宇宙開発事業        団副理事長)  園山 重道君        科学技術委員会        調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   大原  亨君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     大原  亨君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長林政義君、同理事植松邦彦君、同核燃料部長渡辺昌介君及び宇宙開発事業団副理事長園山重道君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  5. 関晴正

    関委員 河野大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  それは、我が国における原子力行政が至るところにおいて問題を起こしているわけでありますが、どうしてこんなに原子力行政が問題を起こすのだろうか。これは、原子力基本法にうたっているところの一つ精神あるいは規定が薄れておる、あるいはまたこれがきちんと行われておらない、そういうところに原因があるのじゃないだろうか、こう私は思うわけであります。そうしてなかんずく、今私ども青森県における核燃料サイクル基地設置の問題でそれこそ大変な事態が起こっている。  この問題については後刻いろいろ申し上げようと思うのですけれども、私は今までにないいい大臣がここに就任された、こう思っているわけです。いい大臣ということは、若さにおいて、また旧来の陋習を破る新風に燃えての政治を目指しているという点、また実績においてもこれを十分示していると私は見るわけであります。そういう意味で新大臣は、自主民主公開、この大原則というものを誤りなく行政において反映していくということでなければならない、私はこう思いながら、就任に当たっての原子力行政の進め方の基本理念といいましょうか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
  6. 河野洋平

    河野国務大臣 御期待にこたえるべく、全力を挙げたいと考えております。  科学技術庁の所管のいろいろな問題の中でも、原子力の問題は、関先生指摘のとおりもう既に三十年の歴史を刻みましたけれども、まだまだ完全な理解を得るということには至っていないということを私も認識をいたしております。しかし、地域におきまして、例えば茨城県の東海村等におきましては、地元方々との間に極めて良好な理解あるいは信頼というものが確立されている地域もあるわけでございます。しかし、原子力の利用あるいは開発、そういったものに対します理解がまだ十分でない地域も存在することを私どもは承知をいたしております。私どもは、この三十年間の歴史の中に、それぞれの地域との間にいろいろなやりとりがございましたけれども、そうしたことを一つずつ顧みながら、新たにお世話になる地域皆さん方にも十分な信頼を得るべく、これから先も努力をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。  これから先の私の発言は、関先生にはもうそんなことは十分知っておると思われる部分もあろうかと思いますが、原子力がその発電における面において既に日本の総発電量の中に一定の量を占めて、これが必要なことについてはかなり多くの方々理解を得られているというふうに思いますと同時に、それだけに、それにまつわるもろもろの作業が安全を第一に、しっかりとした責任のある体制で進められなければならない、こんなふうに考えておるわけでございます。
  7. 関晴正

    関委員 私は、今の安全第一主義は当然でありますし、結構でありますが、公開原則というものが非常に秘密主義に陥っているのじゃないか。一番大事なのは、安全に事を進めるということについては公開原則というものを守ってこそ確保されるものだ、こう思うのですが、秘密主義に陥ってはならない。そういう意味では、原子力基本法においてもうたっているわけですので、自主民主公開原則はきちんと守る、この点についてひとつきちんとした御決意お答えいただきたいと思うのです。
  8. 河野洋平

    河野国務大臣 原子力行政の憲法とも言うべき原子力基本法を遵守することは当然のことであろうと思っております。
  9. 関晴正

    関委員 重ねて、当然のことであろう、したがって自主民主公開原則は守りますということを、ひとつ長官からその決意を述べていただきたいのです。
  10. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、自主民主公開、こういった原子力基本法にうたわれている精神を私どもは尊重してまいりたい、こう考えております。
  11. 関晴正

    関委員 今一番欠けているものは公開原則。この公開原則が薄められているところにいろいろなトラブルが起きているのだ、こう私は見るわけです。ただいま長官お答えになられた原子力基本法における基本理念、これは大事な魂であるわけです。核にかかわる我が国の三原則とあわせて、これもまた原子力行政において欠くことのできない三つの原則なんだ、これをひとつ十二分に踏まえて当たる、こういうわけですので、ぜひただいまの御答弁に従って行政を運営していただきたいということを希望申し上げておきます。  次に、私は、ことしの一月に起こりましたアメリカにおけるウラン濃縮工場爆発事故について、再三、現場に行ってよろしく調査をしてきちんとした報告ができるように、こう求めてきたのですが、この問題については現地調査あるいは現地における詳細な報告が今日行われるに至っておりますか。もし至っておるならば、これについての御報告をいただきたいと思います。
  12. 辻栄一

    辻政府委員 昨年末以来一連の米国におきます核燃料施設事故につきましては、在米日本大使館あるいは動力炉核燃料開発事業団ワシントン事務所、これらを通じまして米国原子力規制委員会あるいはエネルギー省から所要の情報を入手してきておるところでございます。  これらの点につきまして、これまでに得られました情報もとにいたしまして、我が国における諸般の類似施設についての安全対策について検討を行いまして、この検討結果につきましては二月二十七日原子力安全委員会報告を行いまして御了承をいただいておるところでございまして、この内容につきましては既に記者会見等を通じて発表しておるところでございます。
  13. 関晴正

    関委員 これは一定の量をオーバーする、そういうような六弗化ウランを過充てんした、一トンばかり多く入れ過ぎた。そこで暖めてそれを除けと。これは大きな誤りであったわけですよ。絶対に熱してはならないというものを熱した、その結果ああした爆発事故が起こった、こういうわけですが、しかしそれにしても、アメリカたるものが熱してはならないというものを熱した結果こうなった、余りにもお粗末じゃないか。それに対して人形峠ウラン濃縮工場は、我が国の方ではそんなばかなことはない、こう言ってせせら笑っておったようですが、果たしてせせら笑うほどの力量が我が国にあるだろうか。人形峠で使っている材質のものと、また容量においても、アメリカでやっているものは違っているわけです。そのアメリカでやっているのと同じようなものが青森県のウラン濃縮工場には取り入れられて使用されてくるであろう、こう見ますと、この品物、材質、そうして扱い方ということはよほど気をつけなければならない。ところが青森県においては、何よりも安全なのはウラン濃縮工場だ、あとの方は危ないけれども、こうやってきたのです。我々もウラン濃縮工場は危ないことはないであろう、こう思っておったら今のようなことが起こった。  しかし、アメリカがそんなに原始的な方法で事を進めて事故を起こしたのであろうか。そんなことはないよ、早速とにかく飛んでいってこの事故実態調査をしてきなさい、こう何度も言いました。旅費がないと言うなら河野長官にお願いして旅費を出してもらいなさい、むだ遣いをしている日本政治の中でこの出張はむだ遣いではないはずだからお願いしなさい、私はこうも申し上げました。そこで、この実態調査のためにアメリカへおいでになって調べた結果、二月二十七日に安全委報告されて了承されたということでございましょうか。それとも、行こうともしないで、どういう内容のことで安全委員会において了承されたということなんでしょうか。きちんとお答えいただきます。
  14. 辻栄一

    辻政府委員 今回の事故調査につきましては、先ほども申し上げましたとおり、日本在米大使館あるいは動燃事業団ワシントン事務所、これらの職員を通じまして、現地規制委員会あるいはエネルギー省からの報告に基づいて検討をいたしたわけでございます。  先般来、先生から、国内から専門家調査団を派遣しろというお話は再々聞いておったわけでございますけれども、既に現地の方で相当の資料入手が行われております。ワシントン大使館にも私どもから二名の担当官がアタッシェとして行っているわけでございますが、両氏とも国内におりましたときには原子力関係、なかんずく核燃料関係担当官であったわけでございますし、動燃ワシントン事務所の方も、動燃事業団において核再処理あるいはその他の加工施設を担当していた専門の方でございます。仮に日本から調査団を派遣するといたしましても、そういった方が選ばれるかもしれない程度専門家でございます。こういう方々調査もとにしてやったものでございまして、その情報内容につきましても十分なものが得られているということから、今回わざわざ国内からの調査団を派遣していないわけでございます。決して旅費がなかったからとか、そういうわけで言っているわけではございません。
  15. 関晴正

    関委員 大臣、今のお話をお聞きになったと思うのですが、恐らく大臣の耳には私はいってないのじゃないかと思う。私どもは、原子力にかかわる事故があったならば、もう最大の神経を使って行政に当たらなければならない、こう思っているわけです。  それで、この問題について二度、三度御報告いただきました。いただきましたけれども扱いのミスでございますとかあるいはまた連絡の不備でございましたとか、いろいろなことを言ってまいりました。私はこれは相当な原因があるのじゃないだろうか。例えばそこに充てんした場合に、充てんの標準量を超えた場合にはどう扱っているのだ、後へ戻すにはどういう方法で戻しているのだ、このことについてもお答えがきちんとしないわけです。それならば、一体爆発したというのだが、それはタンクだったのかボンベだったのか、容器はどんな容器なんだ。大体タンクというよりはボンベのようなものだというところまではわかったのですが、それじゃそのボンベ爆発したというならばどのくらいの亀裂であったのだ、爆発内容はどうなのだ、どのくらい破れたのだ、これも御返事ができないわけですよ。ですから全部現地任せだ、現地大使館からの報告待ちだ、こう言っているのだが、こういうときには何よりも速やかに飛んでいって、うるさいかもしれないが、やかましいかもしれないが、これはどうなんだということについての疑問と、後々理解させるための方策というものをとるためにも、私はもっと神経を張ってやるべきじゃないか。今からでも遅くないと思います。  また、安全委員会への報告がどういうものか、私どもには届いておりませんからわかりません。ここには材質疲労度も加わっていないか、そういうようなことについてもお答えになっておられるものかどうかわかりませんが、とにかくアメリカの言うことを受けて日本原子力行政というのは進んできているわけですから、その手本の方が悪くなってはその先も見えているわけです、アメリカが何でもいい実験台なんですから。それだけに、私どもはこの問題については非常に積極的な姿勢に欠けるものがあった、こう思いますので、これからでもひとつ事故があった場合には、国内のみならず国外の問題でも間髪を入れず当たる、こういう姿勢で私は取り組んでいただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 原子力の問題については、先生おっしゃるように、相当神経質に対応する必要があるというふうに思っております。  今回も、先ほど安全局長答弁を申し上げましたように、ワシントンに駐在をいたしております科学技術庁から出向いたしております人間がフルにこの取材に当たったというふうに聞いておりまして、先生指摘のように、この手の問題が発生をし、その地域に私どもの十分に事情を聴取し得るような人材が行っていない場合には、できるだけ本省から速やかに調査に出かける、あるいは近い地域から調査に出かける等の積極的な行動が必要であろうというふうに考えます。先生からのそうした御注意を、よく私受けとめさせていただいていきたいと思っております。
  17. 関晴正

    関委員 あと所信表明についての長官に対する質問はいろいろあるのですけれども、次回の委員会所信表明についてはお話をまた出したい、こう思います。  きょうはさしずめ、私ども青森県の六ケ所村に核燃サイクル基地を置こう置こうということでいろいろ取り組んでいるわけです。しかし我々は、青森県の六ケ所村に核燃サイクル基地を置くことになったというふうには理解していないのですが、これは置くことに決まったのですか。これからの調査によって置くことになるかもしれない、置かないことにもなるかもしれない、私はこう思っているわけです。どんなことがあってもここへ置くことに決めたのだ、こうなっているのですか。調査の結果によって置かないことにもなるのだ、こういうふうに我々は理解しているのですが、この理解でよろしゅうございますか。
  18. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  もちろん現在進めている調査の結果で、その施設をつくることについて非常に安全上問題であるとか、そういうことで立地として不適当ということになれば、それをあえて押して立地するということはないかと思いますが、現在は事前調査等によりまして一応ここには立地し得るという前提のもと地元の御協力をお願いし、県知事から県論を集約されてここへの立地について御協力をする、こういうことのお答えをいただいて、そういうもとで現在直接事業に当たる原燃産業並びに原燃サービスの両社が調査に当たっている、そういう状況にあるわけでございます。
  19. 関晴正

    関委員 私は三点セット場所、言うなれば放射性廃棄物の始末の場所、その仕方、その一つの位置づけを青森県の六ケ所村に今されていることは承知いたします。しかし、これが適地であるというふうに判断するのはどうか。適地であるかどうかを判断するための調査だ、こういうことで理解をしているわけなんですが、それでよろしゅうございますか。
  20. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  原子力のいわゆる三点セットの敷地といたしまして、現在六ケ所村を候補地といいますか、具体的な立地地点として調査しているわけでございますが、これは先ほど申しましたように、事前のいろいろな調査によりましても十分適地として立地可能であるということで青森県にも立地の申し入れをしたわけでございまして、現在進めております調査立地環境調査ということで、さらに詳細な調査をしておるということでございます。したがいまして、先生が今御指摘のようなことがどの程度意味を持つかというのは、今ちょっと判断しかねておるところでございますが、調査の結果、どんな結果が出ようとここに立地するのだ、そういう意味でやっているということではもちろんないわけですけれども、単にこれから可能性を調べて、それでこれから立地するかどうか決めよう、そういうような性格のものではございません。
  21. 関晴正

    関委員 今のお答えはどういう意味ですか。もう決まっちゃったのだ、後始末のことを考えてやっている調査だ、こういうことですか。
  22. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  事業者としては立地可能性については十分その可能性があるということで、安全審査その他に必要な環境データあるいは立地地点における地層調査とか、そういうものを行っているということでございます。
  23. 関晴正

    関委員 大体科学技術庁も、これは今検討している事項であって、適地であれば進められる仕事適地と見られないと進められない仕事、こう位置づけておれば何の心配もないのです。ところが、これはもう決まってしまったものなり、こう見てしまうと、あと排除論理排除姿勢しかここには出てこないのです。吟味の論理がないのです。検討論理も出てこない。局長の御答弁はどっちを言っているのか定かじゃないが、可能性期待してとにかくそこへ一応位置づけしたことは、これは当然のことでしょう。ある程度可能性もなければ、見込みのないものを幾ら磨きをかけたってだめだよというのと同じで、ある程度見込みがある、こうしたのだろうと思うのです。でも、見込み違いもいいところだと思っているのです。科学的な分野で分析すれば、もう全然これはペケ。じゃ科学的部面じゃなくて、環境的あるいは社会的条件から見てどうか、こう見ますというと、これもまたいい条件一つもないわけです。  私はここで長官一つ聞いておきたいことは、地質に至っては全然なっていない。地層またしかり。透水性も高く水位も高く、そして地盤軟弱地盤。何年もかかって調べなければわからぬというようなものじゃありません。この調べは、かつてあそこに巨大なタンクを設置する場合にいろいろと地層についての調査もされました。活断層のあることも出てまいりましたし、そういう点から見ますと、これは極めて適地として判定しかねる場所なんです。ただ、広い土地がある。広いというところだけは適地でしょう。何といったってこれほど広いところはないと思うのです。広いということ、あいているということからいけば、これは適地だと思います。しかし、広地、空地即適地にはならない。広くても、あいておっても、それがこういう三点セットを置いていいような地質条件地層条件、そういうようなものを持っているかなんというと、どこから見ても持っていない。  この点については、近く電事連の方にきちんと御報告をしていただきたいと思うのです。その場合には、データ秘密がないようにすべて報告してもらうように私はお願いしたい、こう思うのですが、そういうことについては間違いなく当たらせるという御方針と見てよろしゅうございますか。これは大臣から。
  24. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今の立地の問題につきましては、先生おっしゃったように広大な土地があるということだけでなく、港湾設備施設計画もございますし、社会的、物理的いろいろな条件を勘案しまして、総合的にこの地点立地が可能であるということで現在調査を進めているわけでございますし、その調査の結果につきましては、これから国の安全のチェックを受けるために安全審査ということが行われるわけでございます。それらのデータに基づいて、安全性についてもし必要であるならばどういう対策をとるかということも含めまして、安全審査段階に具体的な形でいろいろな資料安全委員会に出され、行政庁に出されて審議を受けるわけでございます。  そういうことで、その結果としてそこに十分な安全性を持って施設ができるという形で許可がおりれば、そういうまとまった形での成果の公開という意味での資料を一般に公開するということになろうかと思いますが、いろいろ調査段階、まだいろいろな検討も加えない段階での調査についてまで公開するということは、なかなかできがたい事情にあろうかと思います。
  25. 関晴正

    関委員 長官、今のお話聞いたでしょう。何も急いで調査内容を調整して、合致するように合わせて、物をこねくってつくって、このデータでございますなんという気は使わないこと。生のデータはいつでも出せる用意をして、これはどうなっているのですかと言ったら、はい、このとおりでございます。ここに秘密があってはならない。これは秘密というよりうそですから、うそを隠すために秘密という美名に隠れて行政を進めてはならないと思うのです。ですから私は、どんな資料でも求められるならば、また資料としてあるならば、これは公開原則に従っていつでも出してごらんに供します、こうでなければならぬと思うのですが、この点どうですか、長官
  26. 河野洋平

    河野国務大臣 これだけの施設をつくるのですから、うそをついたり、危険な問題を危険でないというようなことをしては断じていかぬというふうに私は思います。正しいデータに基づいて正しい審査が行われて、そして安全な施設ができるということが一番いいわけでございます。私は、先生おっしゃるように安全審査が入念に行われる必要がある、この審査のための手順というものを大事にしてやってもらいたいというふうに期待をいたしております。
  27. 関晴正

    関委員 ぜひ長官が今持っている姿勢で、原子力行政民間業者仕事だから、遠慮したりあるいは言うべきことも言わないでということじゃなくて、あらゆる資料は厳正にきちんと出させて、やらせて、その上で当たっていただくこと、これが原則だと思いますので、その点はひとつ今から忘れないで肝に銘じて対処していただきたい、こう思います。  そこで長官、私は長官に申し上げたいことがあるのです。  科学的な分析やなんかは分析をした上でまた判断すればいいことですが、その前にだれでもが判断できるものが一つあるわけです。それは、この核燃施設を予定している空というのはアメリカの飛行機が演習に使う空であって、他の飛行機は入ってはならないという管制空域なんです。それで、飛行機が落ちてまでも丈夫なものにするのだという予想までして、とにかく建築物を考えようじゃないかと今やっているみたいです。こういうような核燃施設の上は飛行機は飛んではならないという運輸省の通達、一つの理念がここにはあるわけです。ですから、飛んでいる飛行機の下にわざわざ物をつくるなんというのは、もうそこから踏み込みが間違っていませんか。これは何度も申し上げてきました。  この間も外務大臣に、あなた日米合同委員会で、今度おたくさんの飛行機の下に核燃施設ができるのだが、それでも御了承できますかとお話しくださいましたか。いや、しょうしょうと思っていたがまだしていません、どっちみち調整を図らなければならないと思いますというのがお答えでした。私は、調整を図って、そこでわかりましたというようなことになる性質のものではないと思っています。そういう危険な状態に置くことを許してはならない。ですから、飛行機が飛ばない別な方に移っていくか、あるいはここに来るものは御遠慮してもらうか、どっちかに返事をアメリカからもらいなさい、こう言っているわけなんです。このことは、前の長官の竹内君も一番心配していました。  それで、昨年の四月二十六日に、大臣大臣になる前ですが、閣議口頭了解というものをやっちゃったのです。この閣議も、私がやるなやるなと幾ら言ってもやっちゃった。閣議口頭了解というもので、この核燃施設六ケ所村のむつ小川原開発の一環の中にはめ込む、そういうことを決めちゃったわけです。はめ込まれると今まで予定していたものがどうなるのかということは何の見境もなく、どうなろうと構わない、どっちみちできなくなるんだと思っているものだから、それでもいいと思ってやっているわけです。でも、これは行政として極めて乱暴なことです。こういう乱暴なことを平気でやっているのが、むつ小川原開発という開発行政です。このむつ小川原開発行政の中に今度は三点セットをはめ込んできたわけですから、今度は長官の方にも、このむつ小川原開発はいや応なしに責任問題として背負ってもらわなければならなくなっておるわけです。私は、このこと自体行政の大きな誤りだと思っておりますし、その点は今後も是正させなければならないと考えておりますが、とにかくアメリカの訓練機が毎日飛んでおる。大変な音を立てて飛んでおる。その上、今はF16です。おかげで三沢の四川目という部落は移転を余儀なくされてしまいました。日本の国でありながら、アメリカの演習のために日本の国民が他に移っていかなきゃならない、これほどの悲劇は平和な今日どこにありましょうか。それでも青森県の人々は政治的に騒がない、静かにしている穏健な県民であるから、それをいいことにしていると私は見ます。  そこで大臣、この問題についてぜひアメリカの方にも話をしてもらいたい。科学技術庁として、将来ここに物ができ上がるのだが、この上をアメリカさんの飛行機が飛ぶことが自由になっておったのでは困る、こういう意見を交換していただいて、いや冗談じゃない、あの天ケ森の射爆場を移転するなんということは今さらできることじゃない、三宅島に新しくつくられたとしても、こっちは不要になるものではない、ますますこれは必要なんだ、こうなって、利用度がますます高まっていくなんということを考えれば、そういう飛行機が多く飛んでいるそばにわざわざこんな危険物を持っていくなんということは、これはどう見たって正常なセンスの持ち主のやることではないのではないだろうか。つくってしまってからああしまったといって騒ぐような愚は、これはしてはならないと思うのです。  そういう意味において、即刻アメリカに当たって私はこの話をしていただきたい。アメリカは決していいと言うはずはないのじゃないだろうか。おたくさんの選択でございますと言ってせいぜい逃げるかもしれない。アメリカにあるところの核燃施設で、訓練機が飛び交っているような場所があるだろうか、アメリカではどう当たっているだろうか。日本ならばそうあってもいい、アメリカならばそうあってはならない、これがモンロー主義であるのかどうかは知りませんけれども、しかし、自分の国に当てはまらないものは他国に当てはめてもならないことだと思うのです。そういう意味において、私はどうしてもこれは急いで――でき上がってやって、もうどうにもならなくなりましたということではいけないと思いますので、安倍外務大臣にも急げと言っておりますけれども、担当大臣は向こうさんだろうが、必要とする大臣行政を進めていこうというのはあなたのところですから、この際河野大臣も当たってみる。なるほど大変だ、そういうところにわざわざこういう施設を持っていくなんということはやはり考えなければならない、こうなれば何の用もなくなるわけなんで、まずそこに踏み込んで第一の用を解決していなだきたいと私は思うのですけれども、この点についての御決意なりお考えなりいただきたいと思います。――これは長官からいただきたいと思います。あなたができる仕事じゃないですから。
  28. 河野洋平

    河野国務大臣 関先生にまず従来の経過を中村局長からお聞き取りをいただいて、そして私に出番があるのかどうなのかということも判断させていただきたいと思いますから、一遍局長から答弁をさせていただきたいと思います。
  29. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  射爆場の問題につきましては、昨年の四月二十四日、先ほど先生指摘のように、むつ小川原総合開発会議とで申し合わせをしたわけでございますが、その申し合わせの中でこの問題も取り上げておりまして、防衛施設との関連につきましては、その機能の確保に配慮しつつ、核燃料サイクル施設立地安全性確保の観点から、上空飛行の制限などについて必要に応じ所要の調整を行うという方針が基本となっておるわけでございます。  この上空飛行の制限などにつきましては、関係省庁と調整の上、必要があれば関係省庁から米軍に対して話をするということになる問題でございまして、科学技術庁といたしましては、あくまでも核燃料サイクル施設の安全確保を第一に考えるということでございまして、去る二月二十日に原子力安全委員会が決定いたしました再処理施設安全審査指針によりまして安全に万全を期していくわけでございますが、その指針におきましては、「航空機に係る事故については、航空機に係る施設事故防止対策として、航空機の施設上空の飛行制限等を勘案の上、その発生の可能性について評価した上で、必要な場合は、安全上重要な施設のうち特に重要と判断される施設が、適切に保護されていることを確認する」こういうことになっておりまして、これを受けて、この安全の評価に当たって必要と思われるデータにつきまして関係省庁に対しお話し合いを始めたというところでございます。  そして、先ほど射爆場を移転するというお話がございましたが、射爆場を移転しなければ今後の安全性が確保できないという即断はされる性格のものではございませんで、以前に国会で防衛施設庁の方からも御答弁ございますように、飛行機は鷹架沼の南の方までしか飛ばないというようなお話もございますし、そういったことで安全評価上どういう事故発生の可能性があるかということを十分詰めまして、そのために必要なデータについては、これは防衛施設庁を通じまして、必要ならば米軍からも資料をいただくというような形で、厳重に審査をし所要の対策を講じてまいる、こういうぐあいに考えている次第でございます。
  30. 河野洋平

    河野国務大臣 上空飛行の制限の問題につきましては、今局長から御答弁申し上げましたように、関係省庁となお調整をさせていただきたいと思います。関係省庁と調整をした上で、必要があれば、まず第一義的には外務省でしょうか、外務省から米国に対して説明をする、あるいは依頼をするということになるのだろうと思います。第一義的にはそうであろうと思います。しかし、さらに私どもとしてそれを越えても米軍といいますか、米国政府と何かしなければならぬというふうに私自身判断をすれば、私も努力をしたい、こう思います。
  31. 関晴正

    関委員 難しい話はしません。せっかくそういうことになった場合にアメリカ側が、何だ、私どもの訓練空域の下にそんなものをつくって、こう言われたのでは意味がないわけです。ですから、こういう計画があるがアメリカとしては何の御意見、御異議もございませんか、こういうことはやはりやっておかなきゃならない。それで結構でございますというならば結構でございますということで、我々がアメリカへ行って、なぜ結構だと言ったのですかと聞きますからね。私はそれが順序だと思うのです。  それで、アメリカというものは押し返すこともできないものだと思って、飛行機が落ちてきたらどういうふうにしたらいいかということを考えているわけですよ。飛行落下物、それが再処理施設安全審査指針として二月二十日原子力安全委員会が打ち出した中に用意してあるわけです。わざわざ飛行機が落ちてくることまで予想して対策を立てるなんて。落ちてきて防ぐ方法なんてないのですよね。でもこう書けば、あるかのごとく思わせるわけです。いずれにしてもこの問題については、アメリカ側の意見というものもやはり注視しておいて当たらないといけないと思いますので、ぜひひとつ当たっていただきたい、これは希望しておきます。  実は再処理施設安全審査指針の中にいろいろと申し上げたいことがありますが、これは時間がありませんので、この次にゆっくりやらせていただきます。  その次は、実は一昨日、青森県の泊漁業協同組合というのがありまして、この漁業協同組合がわずか二分で、電事連が要請しているところの海域調査を総会において決めたというようなことがあったわけであります。これは私の方の青森から出ている東奥日報というのに実は出ておるのですが、長官、ごらんになりましたか。まだ見てないでしょう。ちょっと長官にもこれを差し上げます。  それで、「わずか二分で決定」、この中身を見ると、漁業協同組合の運営というものがその体をなしていないのです。総会が開かれれば議長を決めなければならないし、総会を開くためには、委任した人はだれだれであるかとか、書面議決をした人はだれだれであるかということを受け付けて事を進めていかなければならない。それなのに、書面議決書というのはどこに行ったのかわからない。そんなぶざまなことで、マルコス政権以上のことをやっているわけです。ひどいでしょう。青森県の知事がまたこれを喜んでいるというのですから、マルコス以上ですよね。本当に困ったことが行われております。こんな漁業協同組合の運営というものはあるものじゃない。したがって、この総会の意思というものは無効である。また、こういう総会の議を受けて電事連は事を進めますなんといって軽々に入っていった日には、またトラブルの起きることは必至なんです。  それで、ではこの総会はないのかというと、ことしの一月十日に総会をきちんと開いています。全理事がみんな賛成して開くことにした総会。ところが、ここで組合長が始まらないうちに流会と言っていなくなっちゃった。残った諸君が定数を確保して会議をやろうじゃないかと言ってやった。それは議事録もきちんとあります。これはきょうも持ってきておりますが、そういう意味において一月十日には民主的に事が運ばれた。そうして、受諾を認めようじゃないか、そのかわり補償金もきちんと払ってもらおう、補償金が大体千四十二億円、そういうような補償要求をして調査を認めましょう、こういうことになっているわけです。それにもかかわらず、今みたいな一方的なことをする。  その上、ここに監事招集というのが出てまいりました。総会を開けと言っても開かない。そうして理事が勝手なことをする。同意もしないのに同意したなんと言って回って歩く。そういうことじゃいかぬというので、組合長を解任するという総会を開け、理事会はこれを必要としないといって拒否する。そこで、監事には監事独自に総会を招集する権限がありますので、その条項に基づいて監事が招集をした。それが三月十九日でした。ここでは組合長を理事として解任する、こういうことを満場一致決めているわけです。解任された理事が今度は、まだ生きている、わしが組合長だと言って、おととい二十三日に開いたのがこの会議です。その姿が今お手元に差し上げた新聞の記事の内容です。間違いのない内容であります。  そういうことで、こんなばかなことをして平気でいるわけですから、この点についても大臣は十分事態を把握されて、そうして事が円満に進むように骨を折っていただきたいと思います。  あわせまして、三月十日に暴力事件が起きたわけです。この暴力事件で、相手の監事に六週間もけがをさせたというのがこの組合長であります。白昼公然と傷害事件です。にもかかわらず、これを逮捕するということでもない。警察はこれを、何の取り調べもしないと言えばうそですが、取り調べはしているでしょう。だけれども、相手を六週間もけがさせて、三十六回もたたいたというのですから。私の知っている者で、三回たたいたおかげで五千円罰金食ったというのがいる。じゃ一発幾らだと言ったら、一発千七百円ぐらいにつくね。これは今から二十五年ぐらい前の話でありますから、相場が変わっていますからもっと高くなっているでしょう。  いずれにしても、人に暴力行為を働いている、そういう組合長です。それをのうのうとして町を歩かせておく。逮捕なんてちっともしようとしない。まさに警察不在の六ケ所の状態でもあるわけで、無法地帯であり、無警察であり、無秩序である。マルコス以上の状態にもなっているということを重ねて喚起申し上げて、これについて、警察はなぜ逮捕して身柄を拘束して厳重に捜査しなかったのかということの警察当局からのお答えと、こういうようないいかげんな組合の運営をして、これでもう事が済んだようにしてしまってほおかぶりをして逃げようとするような県の行政とくるになっておる漁協の姿、これは正しい軌道に乗せてあげなければなりませんし、それがためには、地方にその能力がないのですから、中央においてやはり能力を持たせるようにこちらでひとつ権限を発動して、やれるだけのことを私はやっておかなければならない、こう思いますので、この二点のお答えをいただければと思います。
  32. 井上幸彦

    ○井上説明員 ただいま御指摘の事案というものは、三月十日の午前中、九時過ぎのようでありますが、板垣組合長と高梨監事の間で双方口論となりまして、殴り合いというような状況で双方がけがをした事案で、いわゆる相被疑事件と呼ぶべき性格のものであろうと思います。そこで、事案の状況を現在慎重に捜査しておる状況であります。  それから、ただいま御指摘ございました、あたかも野辺地署の管内においては無法がまかり通っておるというようなお話でありますが、青森県警は全力を挙げて秩序の維持に当たっておるということを申し上げておきたいと思います。
  33. 上野博史

    ○上野説明員 先生御質問の漁協の運営の問題につきましては、私どもも、円満な漁協の運営ということの観点から問題があるのではないかというふうに考えておりまして、この漁協の問題につきましては、県知事に機関委任事務をいたしておることでございますので、青森県当局、青森県知事の御判断を尊重するということになるわけでございますが、事態の進展についてはその都度お話を聞く、また、私ども申し上げるべきことがあれば申し上げるということで対応してまいりたい、かように考えております。
  34. 関晴正

    関委員 今の警察の答弁、相打ちみたいな話をしている。片一方は十日間のけがだという診断書を出していますが、極端に言ったら、何のけがもしていない。そうして、急所を踏まれたからおれがかかった、こう言っているのです。おれは正当防衛だ、こういう文書を町の中いっぱいに出した。それなら踏まれた急所を見てこいと私は言った。こんなつまらない宣伝で相打ちなんてこちらが言うのですから。片一方は六週間のけがなんですよ。骨を折っているのですよ。何が相打ちですか。そんないいかげんなことをしているのだから、これは警察として逮捕してじゃんじゃん調べて、書類送検するものはすればいいのです。そういう文書が町の中全部走っているんだから。  いずれにしてもいいかげんな話で、そういう暴力行為を正当防衛だと言っている。その正当防衛だと言っている方に警察が味方をしているのじゃないですか。逮捕して調べてみたらいいでしょう。踏みもしない、自分でたたいて転がって、転がった人の足が上がったから、上がった足がそこへ当たったかもしれませんよ。それは私は知らない。踏んだからやったなんていうのはとんでもない話だ。ですから、そういうことで相打ちだなんということにしてはいかぬ。この人は前にも相打ちでえらい目に遭っていますよ。警察が相打ちの前科二犯みたいなものだ、こういう点からいけば。相打ちで、自分の方の味方に起訴もしない、処分もしない、処罰もしない。その例が一つあります、この人にかかっては。  今あなたがはしなくも相打ちだ、この相打ちというものは、本当に相打ちである場合はいいですよ。全然話にならない。六週間もけがをさせて、そうして三十六発たたいた。よくたたくのを数えていたなと僕が言いましたら、とめようと思って入ったら、またこの間のように警察にとめられちゃ困るので黙っておったと言うのですよ。そういう状態なんです。ですから警察はもっときちんと、悪人を守るのじゃなくて善人を守る方に行きなさい。きょう渡したその東奥日報の記事にも、組合長が機動隊に守られてうちへ帰っていったのですからね、やるべきことをやらないために。  いずれにしても、そういうような秩序の乱れが起こっているということに認識を深められて、核燃サイクル基地対策というものについても正しく科学的に当たっていただきたいことを申し上げて、時間がありませんから、次回にまた進めたいと思います。  終わります。
  35. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 安井吉典君。
  36. 安井吉典

    ○安井委員 先日、河野科学技術庁長官から施政方針とでもいうべきお話がありました。さらにまた科学技術白書によっても、日本の科学技術水準はアメリカと西欧の中間くらいで、基礎研究や新技術の開発、促進が必要であり、そのためにはプロジェクトの設定や推進形態の整備等が必要だというふうな書き方になっているようであります。私は、それはそれなりに正しいと思うのですが、特に河野長官に御注文申し上げたい二点があります。  その第一点は、科学技術の振興というものをあくまで平和目的に徹すべきであるということであります。戦争が科学技術を進めてきた、こういうふうな言い方もありますけれども、しかし私たちは、特にビックサイエンスというような現状においては、戦争との結びつきということを非常に心配するわけであります。そのことを私はぜひ第一に御注文したい。  それから第二には、倫理性ということであります。科学技術というのは人間のいろいろな願いを満たすためのものであるものが、逆に人間性を損なうような、そういう動きになるというような点が出てきはしないかという心配をしています。例えばバイオテクノロジーなんかで遺伝子の組みかえの問題なんかでも、そういう可能性がないとは言えないし、科学技術というものはどんどん発展しなければいけないが、いわゆる神をも恐れぬしわざということになっては困るわけであります。  ですから、私はこの際、あくまで平和目的に徹することと倫理性ということが非常に大切だということ、この二点を大臣のこれからの科学行政に御注文したいと思うのですが、どうでしょうか。
  37. 河野洋平

    河野国務大臣 先日所信を申し述べた中にも申し述べたわけでございますが、今後の科学技術行政を進めるに当たりまして我々が十分に考えていかなければならないことの一つに、科学技術会議の答申の中に出ております人間及び社会のための科学技術という原点に立ってやれ、こういう指摘は極めて重要な指摘だというふうに私は考えております。  さらに、安井先生指摘のとおり、バイオテクノロジーという、比較的歴史は浅うございますけれども、極めて遠いスピードで進歩をいたしておりますこの分野におきまして、とりわけ人間のわざといいますか、のりを越えて神の領域に手を突っ込むのではないかというような議論のある部分については、いわゆる人間の倫理と申しますか、そういうことを考えていかなければならぬというふうに思います。一方で科学者の方々から、余り倫理倫理と早目に言われてしまうとどうも進むスピードが鈍っていかぬ、おのずから倫理の限界というものはできてくるから、余り早目にきちっと枠を決めない方がいいのではないかというような議論もございますが、何丁目何番地までしか進まぬというのではなくて、少なくとも人間が行っていい限界というものは皆で考えながら進んでいかなければならぬというふうに私も思っております。
  38. 安井吉典

    ○安井委員 後の部分はいいのですけれども、平和主義とでもいうべきものについて私は初めに強調したつもりなんですが、それについてもう少し御意見を伺いたいと思います。
  39. 河野洋平

    河野国務大臣 平和主義、私も全くそういう考え方には、先生の御提言について十分理解ができます。科学技術というものが少なくとも平和に反するようなことであってはならぬというのは、当然のことだろうと思っております。ただ、科学技術というものはその範囲あるいはその可能性というものが非常に広範囲でございますから、我々の心の中で、頭の中で考える平和主義というものがどれだけ具体的に表現できるか、あるいは行動にあらわせるかということになりますと、いろいろな議論があるのだろうと思います。しかし気持ちの上では、人間が進めていく科学技術が少なくとも平和な社会を支えていくものでなければならぬというのは当然のことだろうと思います。
  40. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃ重ねて伺いますが、今SDIの問題が科学技術の分野で非常に大きな課題になってきています。それについて大臣のお考えはどうでしょう。
  41. 河野洋平

    河野国務大臣 予算委員会の席でもたびたびSDIについての御議論がございました。一貫して私を含めて政府側は、SDIについては目下調査研究中であるということを御答弁申し上げてきたわけでございますが、きょう現在もまだSDIについては十分に調査をするべき段階だ、その調査が済まない段階でSDIというものがどんなものであるかということを軽々に論じてはならないというふうに思っております。
  42. 安井吉典

    ○安井委員 最近、アメリカの方へ何度目かの調査団も行くそうであります。どうもそういうことの中でだんだんのめり込んでしまうということを私は心配するわけでありますが、もっと進んだ段階でまた大臣のお考えも承りたいと思います。  幌延問題について、以下伺いたいと思うのです。実はこれは私の選挙区なんですが、去年私はほかの常任委員会委員長だったものだから質問の機会がなかったのですけれども、今度はこの委員会に入れていただきましたので、ひとつきょう第一弾として取り上げさせていただきたいと思います。  「貯蔵工学センター計画の概要」というのが動燃事業団の方から出されているのを拝見しました。六十三年ごろから研究開発棟をつくり、貯蔵開始は六十七年ごろというふうな予定に書かれているわけであります。一体あと何年ぐらいこの幌延を政府は使うつもりなのか。これは政府の方か動燃の方か、何年ぐらい使うというお気持ちで計画をお立てになっているのか、そのことを先に伺います。
  43. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  幌延の貯蔵工学センターではいろいろな研究もいたしますが、まずは高レベル廃棄物等の廃棄物を幌延に貯蔵させていただくということでございます。この高レベル廃棄物につきましては、いずれ処分地を決めまして地層深く埋設するわけでございますが、そのためにはまず十分な温度といいますか、その廃棄物から出る熱が少なくなるときまで人間の管理の手の届くところに置いておく必要がございます。そういう意味で、その期間が現在一般的には三十年ないし五十年くちい、こう言われておるわけでございます。幌延にこの高レベル廃棄物等の貯蔵をお願いできることになれば、その貯蔵期間は少なくとも使用させていただくということでございまして、最後に運び込みました高レベル廃棄物をおさめてから三十年ないし五十年この施設を使わせていただく、こういうことになろうかと思います。
  44. 安井吉典

    ○安井委員 後で順々に伺ってまいりますけれども、もう一つ、高レベルの処分の問題につきまして「複数地点における広域調査及びそれらを踏まえた候補地点における精密調査」云々という書き方がございますが、複数の地点というふうなことで選定作業はどの程度進んでいるのですか。
  45. 中村守孝

    中村(守)政府委員 具体的な処分地の候補地点の選定につきましては、いろいろな文献調査から始まりまして具体的なボーリング調査等ということでございますが、現在まだ文献調査という段階でございまして、動燃事業団の中で調べておるというところでございます。
  46. 安井吉典

    ○安井委員 重ねて伺いますけれども、貯蔵地と処分地と、立地条件の違いはどういうところが違うのですか。
  47. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  処分地につきましては、地中深く埋設いたしました廃棄物の中の放射能を持った核種が再び人間の生活圏の中に戻ってこないようにする。そのためには、放射能の逓減期間が非常に長いわけでもございますし、単なる人工的な、人間の手でつくりました障壁だけでなくて天然に存在する障壁、いわゆるバリアと称しておりますが、そういったものを利用して、そういう人間の生活圏に戻ってこないような対策を講ずるわけでございます。そういう意味での天然界に存在しますバリア、それが十分なものであることが必要でございますので、そのためには、その周辺の地層とか岩質とかそういったもの、あるいは地層の割れとかいろいろな問題がございますが、そういったことから非常に厳密な意味での立地条件というものが要求されるわけでございます。  一方、貯蔵につきましては、大体が地上ないしは半地下式程度施設で、これは人間の管理のもとに置かれるわけでございまして、いわば人工的なバリアで十分保障できる期間、三十年とか五十年とかそういう期間でございますので、いわば人工的バリアに頼って外部環境には影響を及ぼさないようにする、こういうことでございます。したがいまして、立地条件につきましては、そういう意味で先ほどの処分地から比べれば非常に緩やかなものでございまして、地上ないしは半地下式の堅牢な建造物をつくるわけでございますので、その堅牢な建造物が維持されるような立地条件を備えておればよろしいのではないかと考えております。
  48. 安井吉典

    ○安井委員 ただ私、共通の問題として言えるのは、人間の生活から離れたところがいいというその基本的な考え方からいえば、都市の真ん中などというのは適地だとは思いません。あるいはまた水田だとか酪農の農業地帯の真ん中につくるなんというのも、どうもおかしいように思うのですね。そういうのは適地じゃないと思うのですが、その辺の判断はどうなんですか。
  49. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  今申しましたように、処分地につきましては、地中深く埋設して、その天然のバリアを使いまして、再び人間の生活圏に戻ってこないような場所を選んで埋設するわけでございます。それから陸上に貯蔵しておる間でございますが、今申されました酪農とか水田とか、そういったものに影響があるのではないかということにつきましては、お願いしております貯蔵工学センターは、いわば廃棄物としてガラスで固めた固化体になっておりますし、それからTRU廃棄物につきましてもアスファルトで固めた固化体になっておりまして、いわゆる発電所とか再処理工場のようなところで排気ガスとかあるいは排水という形で、非常に微量でございますが放射能を含んだ気体や液体が外へ出ていくということとは異なりまして、環境にそういうものが出ていくということはまずないし、それに容器とか、堅牢なしかもコンクリートの建物で、人間が近寄れないようにする。そこの保全管理に人間が十分当たるわけでございますし、周辺のモニタリング等も、その上でさらに念を入れて周辺のモニタリング等もするわけでございまして、環境に与える影響というものは、この貯蔵に関しては、原子力施設と言っても、皆さん御心配のような酪農の中に、牛乳が汚染されるのじゃないかということの御心配の点はないかと思います。  牛乳が汚染されますのは、いわゆる沃素というようなものがかつてイギリスの発電所で放出されまして、それが周辺の牧草に沈着され、それを食べた牛の牛乳の中に入っていったということでございます。本件については、そのようなガスという形で周辺に拡散するというような事態はないわけでございます。
  50. 安井吉典

    ○安井委員 そこまで御答弁を願うつもりでなかったのですが、お話がありましたが、今幌延の地域はいわゆる貯蔵工学センターということで、ハイレベル、ローレベル、いずれも貯蔵という段階のようです。じゃ、今私が貯蔵と処分との立地条件の違いのことをちょっと伺ったのですけれども、幌延が将来ともハイレベルについてもローレベルについても処分地となるという可能性はない、政府としてはその辺ははっきり断定されるわけですね。
  51. 中村守孝

    中村(守)政府委員 今お願いいたしております貯蔵工学センターは、あくまでも貯蔵ということでお願いしておるわけでございまして、処分地が決まれば、高レベルにしろTRU廃棄物にしろその処分地の方に持っていって処分をする、こういうふうな計画であるわけでございます。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 私が伺っているのは、ここはもう処分地ということにはならないのかどうかということを聞いているわけです。イエスかノーかたけ言っていただけばいいのです。
  53. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答え申し上げます。  処分地をどこにするかということは私ども今全くの白紙でございますので、そういう意味でどこにするとかここはしないとか、そういうことは今申し上げ得る段階にない、全く白紙という立場からいってそういうことだということでございます。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃ処分地になる可能性も、ポシビリティーですよ、それはなるかならぬかは別として、その可能性は相変わらず持ったままになっているということですね。
  55. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  処分地につきましては全く私ども今白紙という立場でございますので、そういう意味可能性があるとかないとか申し上げられないということでございまして、前にもあるところで質問されて、東京もそういう意味では候補地かというような言い方をされた方がございますけれども、全く白紙という意味では、そういう意味で申し上げているわけでございます。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 白紙にはいかなる字も絵もかけるわけです。ですから今の御答弁からすれば、だれが考えてもなるほど処分地になる可能性があるんだな、そう思わざるを得ないわけですね。  それはそれにして次に私伺いたいのは^これを見ますと海洋処分も相変わらずあきらめたことになっていないのですね。太平洋の島々に住む人たちも反対だし、豪州やニュージーランドからも反対があって、中曽根首相もそんなことはやらないというような言明があったように思うのですが、断念したというわけじゃないのですか。
  57. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  海洋投棄を断念したということではございませんので、今南太平洋諸国の方々から御反対もございますし、国際的にもいろいろ今御審議をいただいて、コンセンサスが得られるようなことをしておるわけでございます。そういう意味で、今の段階ではそういった情勢を考えて海洋投棄は中止しているということでございます。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 現在中止であって、断念ではないということですね。
  59. 中村守孝

    中村(守)政府委員 一口で言うと、断念したわけではございません。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃまたさらに大きな問題が起こるのではないかと思います。  この「計画の概要」の中でちょっと教えていただきたいのは、六ページからの「低レベルアスファルト固化体等貯蔵施設」という項の書き方なんですが、低レベル廃棄物という言い方と、それから低レベルアスファルト固化体という言い方と、「等」というのがあったりするのですが、この区別をはっきり教えてください。
  61. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  「低レベルアスファルト固化体等貯蔵施設」というところで、再処理工場等の核燃料サイクル諸施設、これは必ずしも再処理工場だけではございませんで、その他の核燃料サイクル施設を含めまして、そこから発生しました低レベルの廃棄物のことを総称して低レベル廃棄物と申しておりますが、その低レベルと申し上げますのは、ここで言う表現はべータ、ガンマ的に見て低であるということを表現しているものでございます。この前もどこかの委員会お答えしておると思いますが、べータ、ガンマのほかにアルファも、分類としては別の意味での分類の仕方がございます。したがいまして、ここで低レベルと申し上げておるのはベータ、ガンマ的に見て低であるということでございます。そのうちでも再処理工場で特に出てまいりますアスファルトで固めたようなものを、ここで低レベルアスファルト固化体と申し上げております。そして「等」というのは、今申し上げたようにアスファルト固化していない低レベルのものもございます。そういうものを総称して低レベルアスファルト固化体というふうに表現をさせていただいております。
  62. 安井吉典

    ○安井委員 七ページにありますが、その建設面積のところで、アスファルト固化体貯蔵施設と低レベル固化体貯蔵施設と二つありますね。それが今あなたのおっしゃった区分なんですか。じゃ、TRUはこの上の方のアスファルト固化体貯蔵施設に入るということですか。私はまたTRUとその他とを分けた言い方かなと思ったのですが、そうじゃないのですね。
  63. 植松邦彦

    植松参考人 今御説明しましたように、低レベルというのはベータ、ガンマ的に見て低か高かという分類の仕方でございまして、ここで言います低レベルアスファルト固化体というのは、ベータ、ガンマ的に低であると同時に、それをアスファルトで固めてあるものを総称しております。したがいまして、現在のところ再処理工場から動燃のものは出てまいるようになっております。この再処理工場から出てまいりました、低でしかもアスファルトで固めてあるものをこのアスファルト固化体貯蔵施設に収納するということでございます。
  64. 安井吉典

    ○安井委員 下の方は……。
  65. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げますが、低レベル固化体の貯蔵施設というのは、先ほど申し上げましたように低というのはベータ、ガンマ的に見て低ということでございまして、この中には主としてベータ、ガンマ的に低であるものをおさめるということにしております。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、下のものはアスファルト固化じゃないわけですね。上のものはアスファルト固化体と書いてあるが、低レベル固化体というのはアスファルト固化体以外のものという意味ですか。
  67. 植松邦彦

    植松参考人 先生指摘のとおりでございまして、下の方の低レベル固化体というのはアスファルト固化しておるものではございません。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 どのような固化体なんですか。
  69. 植松邦彦

    植松参考人 この低レベル固化体というものの中には、固化の方法によっていろいろな種類のものが固化体の形状として、性状としてございます。例えばセメント固化をやっておるものもございますし、そのほかに単に圧縮固化をしたものもこういう分類に入りますし、またその他研究開発中の固化技術というものもございますので、そういうものも対応されるものになるかと思います。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 アルファ線のいわゆるTRU廃棄物の方とベータ、ガンマのものとの区別はないのですか。
  71. 植松邦彦

    植松参考人 この前も委員会でTRU廃棄物について御説明を長々と申し上げたかと思いますが、ウラン以上の超ウラン元素によって汚染されたような廃棄物というものがTRU廃棄物でございまして、現在超ウラン元素で汚染を受けたような廃棄物について、これ以下はTRU廃棄物として扱わないというふうに日本の国の中ではなっておりませんので、TRUによって汚染された廃棄物はすべてTRUに今のところ分類されておるというふうに承知しております。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 いや、この中にごっちゃになっておるのかと聞いているのです。
  73. 植松邦彦

    植松参考人 アスファルト固化体の中には必ずTRUが入っております。それから低レベル固化体の方は、主としてベータ、ガンマ系のものから構成された廃棄物になっております。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 もう少し聞きたいのですが、ほかの問題もありますから先に行きますが、その前に、この中で計画されている建設物の建坪といいますか、総体はどれくらいですか。
  75. 植松邦彦

    植松参考人 この貯蔵工学センターに計画をしております建物の敷地面積としては、およそ三万六千平方メートルを予定いたしております。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 建坪はそんなにあるのですか。
  77. 植松邦彦

    植松参考人 ここに予定をしております研究施設の建物の建坪面積、総面積は約三万六千平方メートルを予定しております。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃもう少し伺いますが、ここにあるアスファルト固化体と低レベル固化体の二千五百平米とか千五百平方メートルというのは、これは一棟当たりですね。全体の計画が何も書いてないじゃないですか。どれだけの計画にするのか。
  79. 植松邦彦

    植松参考人 この「貯蔵工学センター計画の概要」に挙げてあります建屋の建設面積は、それぞれ指定してございますように、一棟当たり幾ら幾らということが明示してございます。したがいまして、ここに一棟当たりのものを将来計画も含めて計画として考えておりますのは、全体で三万六千平米であるということでございます。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 じゃ、どうしてここに一棟当たりしか書いてないで、全体で二十万本の予定だとここに書いてあるのです。二十万本の予定と書きながら、これは一棟当たりしか書いてないのですよ。じゃ、この中のそれぞれの計算はないのですか。それを計算をしたものも入れて三万六千ということですか。
  81. 植松邦彦

    植松参考人 その七ページにも例示がしてございますように、例えばアスファルト固化体貯蔵施設は一棟当たり一万五千本を収納するものとして二千五百平米を予定しておるわけでございまして、この施設で二〇〇〇年までの時点での最大の貯蔵容量は約二十万本というふうに考えておりますので、それだけの棟数が必要になるかと思います。(安井委員「面積を教えてください」と呼ぶ)面積は、先ほど申し上げました総面積として三万六千平米になります。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 いや、私は低レベルだけのものを聞いているのです。
  83. 植松邦彦

    植松参考人 現在詳細な数字は持っておりませんが、ここでお答えできると思いますのは、約二十万本をアスファルト固化体及び低レベルについて貯蔵いたそうといたしますと、それぞれ約七棟が必要かというふうになります。したがいまして、その計算からいきますと約三万平方メートルぐらいのものになるかと思います。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 三万平方メートルでしょう。今おっしゃったように、幌延に高レベルから何から研究棟までみんな入れて三万六千平方メートルだというわけですね。そのうち三万平方メートルというのは、実は低レベルと称するTRU廃棄物のための施設だということですね。あなたの今までの説明からいうとそうでしょう。全体で三万六千あって、そのうち三万平方メートルは実は低レベル、その中にTRUを含めたものだ。幌延の本質というものがそこで何かようやくわかってきたような気がするのですが、どうですか。
  85. 植松邦彦

    植松参考人 多少数字に私の間違いがございましたので訂正させていただきますが、現在一次計画で考えております建物の面積の総合計が三万六千でございまして、それ以上、二十万本の貯蔵ということになりますと、さらに面積が追加されるということになるかと思います。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 そんなばかな話が。じゃ、これはうそですね、あとのほかの数字は。私の計算では、この低レベル以外のものを合計すると二万平方メートルちょっとぐらいにしかならないのですよ。全体の数字が全然合わないじゃないですか。
  87. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  先ほど三万六千平方メートルということをお答えいたしましたが、これは昨年の四月十六日に私が科学技術委員会お答えした数字でございます。この中には、第一期に建てるものは「貯蔵工学センター計画の概要」に書いてございます高レベルのガラス固化体貯蔵プラントあるいは低レベルアスファルト固化体等貯蔵施設の第一期のそれぞれ一棟分ずつ、それから研究開発棟、深地層試験場、環境工学試験施設、放射線管理施設、そのほかに展示館もございますし、その他のもろもろのユーティリティーセンターもございます。そういうものも入れて三万六千平方メートルということをお答えいたしました。したがいまして、この後、低レベルの放射性の固化体廃棄物貯蔵庫あるいはアスファルト固化体の貯蔵庫を順次増設していけば、三万六千プラスということになります。  以上でございます。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、低レベルだけで二十万本体制では三万平米だ、こう言うのですから、とにかくあそこで建つ建物のうちのもう半分以上、六〇%か七〇%ぐらいは実は低レベルの貯蔵場ですか。そういうことですね。その辺がようやくわかりました。  そこで貯蔵期間の問題なのですが、高レベルについては物によっては三十年あるいは五十年というふうなことで、三十年から五十年といったって、一口に簡単にこう書いてありますけれども、これは大変な差です。この間も説明に来られた人に申し上げたのですけれども、三十年後といったらまだここで生きている人がいるかもしれませんが、五十年後といったら、見渡すところ生きている人は少ないようです、ゼロとは言いませんけれども。ごく簡単に三十年ないし五十年、こう言っているわけですよ。その区分はどうなのかということ。  それから、学者のをいろいろ読んでみますと、物によっては百年から二百年も貯蔵が必要だというふうな言い方をされている人もいる。あるいはまた、廃棄物の専門部会の委員長をなさっておられる宮原先生などは、後々の処分がうまくいくためには、長期間冷却した場合処分が楽だ、その場合は二百年から三百年程度の貯蔵が考えられるというふうな指摘もされています。そしてまた植松さんは、この前の速記録を読んでみますと、処分施設ができるまではそこに置いておくよりしようがありません、こういう言い方もされているわけですね。ですから、先ほど一番最初に伺ったように、処分施設について何もまだ作業ができでないのですよ。そんなようなことで処分施設がおくれれば、いつまでもいつまでもあそこに置かれる可能性があるということが明らかなんですが、その点どうですか。
  89. 植松邦彦

    植松参考人 いろいろ御指摘がございましたが、三十年ないし五十年というのは、熱的に見ましてできるだけ処分に対して影響がないようになるまでの間ということを想定しておるわけでございまして、一つの例でいきますと、原子炉から取り出した後五十年冷却しますと、発熱量は約三十分の一ぐらいになるわけでございます。こういったことが三十年ないし五十年という一つの目標になって決まってくる数値かと思います。さらに長い期間必要だと言う方もいらっしゃいますが、それはガラス固化体をつくるときにどの程度の高レベル廃液を入れ込むかということとも非常に関係をしておりますので、一概に三十年、五十年、百年ということを言い切るわけにはいかないかと思います。動燃及び日本でやっております固化体の開発においては、三十年ないし五十年の貯蔵を行うと熱的に非常に楽な方向になるということが言えるかと思います。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっとついでに伺っておきますが、東海村の動燃の再処理工場ですが、かなりいかれているようで、あとどれぐらい稼働ができるのですか。二十年ぐらいで寿命だろうと言う人もいるのですが、そうしたらその後どうするのかということも一つの疑問になってきます。どうですか。
  91. 植松邦彦

    植松参考人 東海再処理工場の寿命が今後二十年であるかどうかについては、まだはっきり動燃内で決めておるわけではございませんが、いろいろな機械装置の寿命ということからいきますと、二十年というのは一つのめどになるかと思います。しかしながら、機械装置の取りかえその他によって寿命を延ばすことはできますし、建物自体は寿命がうんとあるものですから、今後どうしていくかについては検討を進めることになるかと思います。
  92. 安井吉典

    ○安井委員 あの再処理工場が運転をしなくなれば、幌延で今考えられている貯蔵の問題もなくなるわけですね。
  93. 植松邦彦

    植松参考人 この貯蔵工学センターの計画でお願いをしてありますのは、高レベル廃液につきましては動燃の再処理工場から発生する廃液を固化したものを貯蔵するということでお願いしてございますので、今先生指摘のように、もし再処理工場の運転が終わりになったといたしますればその時点で高レベル廃液の発生はなくなりますから、当然それ以後の問題というのは起こらないかと思います。
  94. 安井吉典

    ○安井委員 そのときは、先ほどお尋ねもありましたけれども、下北しか再処理工場はなくなるわけですから、下北でやれば下北で貯蔵するということになるのか。あるいはまた返還のものがあったりするものですから、それは幌延の方があいているから幌延に持ってくるんだということになったりする、そういう可能性はないと思うのですが。返還のものが幌延へ来るということはあり得ないだろうし、また初めのことはもう確認されたわけですね。あそこに工場がなくなればなくなるということだけはわかったのですが、返還の廃棄物はどうですか。
  95. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  ただいまフランス、イギリスに再処理をお願いしていますものから出てくる高レベルの廃棄物につきましては、下北半島につくります再処理工場の構内に貯蔵する、そういうぐあいに電気事業者の計画として承知しております。
  96. 安井吉典

    ○安井委員 ローレベル廃棄物の関係でありますが、これは幌延に持ってくるわけですね。その大部分はTRUだというふうな御説明も前にありましたけれども、それはいつまで幌延に貯蔵するわけですか。
  97. 植松邦彦

    植松参考人 御指摘のようなTRU廃棄物につきましては、処分の方策というのがまだ決まっておりません。国の方で処分方策について現在御検討いただいているように伺っております。国の処分の方策が決まりましたら、それに応じた対応策を動燃としてはとらさせていただきたいというふうに考えております。
  98. 中村守孝

    中村(守)政府委員 TRU廃棄物の処分の方策につきましては、御案内のように高レベル廃棄物と称しますものの中にはTRU廃棄物というのが実際多量に入っておりまして、そのほかにガンマ線の非常に高いものが入っているわけでございまして、いずれ長期的になればTRU廃棄物になるわけでございます。そういう意味で、高レベル廃棄物の処分の技術が確立し、その方策が固まっていくということを今後大いにやらなければいけないわけですが、その過程におきますいろいろな成果というものが当然このTRU廃棄物の処分方策にも生かされてくるわけでございます。いずれにいたしましても、高レベルの廃棄物の処分方策、処分地が決まり、なにするまでには、このTRU廃棄物についての処分地等もあわせて決めて処分地に移すということになりますので、幌延にTRU廃棄物だけが取り残されるというようなことを我々として現段階で想定しているわけではございません。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、技術の開発ができても、処分場が決まらなければ持っていきようがないわけでしょう。処分場が決まるまでは幌延に置く、そういうことですね。
  100. 中村守孝

    中村(守)政府委員 幌延にTRU廃棄物を置かしていただけるとすれば、今先生指摘のございましたように処分地が決まるまでは置かしていただくということでございまして、そういう意味で処分地を早い時期に確定をするということの努力をする必要があろうかと思います。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 TRUについても処分地としてのポシビリティーの問題を私も聞こうと思ったのだが、さっきお話があったから、それは白紙なんですね。ですから、相変わらず処分地になるという可能性だけは残っている、不安は残っているということになるのではないかと思います。  あと、たくさん問題があるのですけれども、時間がなくなってまいりましたので、これからの調査の進め方について、これはぜひとも大臣なり新理事長に伺わなければならぬと思うのであります。  従来からもう何度も何度も確認されていたのは、たとえ調査といえども地元は賛成しているわけでありますけれども、知事、周辺町村等の理解協力がなければやりませんということの、何度も何度もの言明があったわけです。それにもかかわらず、まるで泥棒猫みたいに夜中に調査をするというようなことがあって、不安と不信を大きくかき立てているのが現状ではないかと思います。これから後、調査の問題についてここでひとつ白紙に戻して、もう一度考え直すという態度が私は一番とるべき正しい態度ではないかと思いますが、その点についてのお考えをひとつ両方のトップから伺いたいと思います。
  102. 河野洋平

    河野国務大臣 いろいろ御討議が従来から行われてまいりましたが、貯蔵工学センターを実際に立地する場合におきましては、これは他の原子力施設の場合と同様、地元理解協力を得て進める、こういうことはもう繰り返し御答弁を申し上げてまいりました。しかしながら、立地に先立つ調査につきましては、地元から提起されている疑問や不安に対しまして具体的に答えを出して御理解を求めるという作業でございますから、この点につきましては直接御関係のある地元関係者の御理解がいただければ調査はさせていただきたい、そしてその調査を見ていただいて立地に対する御判断をいただきたい、こう申し上げているところでございます。
  103. 林政義

    ○林参考人 貯蔵工学センター計画は、核燃料サイクルを確立する上で我が国原子力政策上不可欠な、重要な計画であると認識をいたしております。貯蔵工学センターを実際に立地する場合には、他の原子力施設と同様に地元理解と御協力を得て進めることが基本でございまして、この点私としても同様に考えておりまして、今後とも地元方々理解を深める努力が大事だというふうに考えております。  こういう考え方に立ちまして、立地に先立つ調査の実施につきましてもいろいろな手だてを尽くしまして、その上昨年の十一月、地元情勢等を踏まえて熟慮をいたしました結果、地元理解を深めてもらうためにも調査の実施が必要であり、直接の地元関係者の理解が得られた範囲で、当面地元の疑問や不安にこたえるための調査から進めていくという決断に至ったと聞いておりまして、私としてもこのような考え方は十分理解できるところでございまして、継承をしていく所存でございます。  なお、地元の幌延町は、御案内のように工学センターの誘致決議をいたしておりまして、調査を早くしてくれという御要望もございます。したがいまして、幌延町への立地の適否が判断できないままにいつまでも推移するということであっては、結果的に地元方々に大変大きな御迷惑をかける可能性もございます。したがいまして、なるべく早く調査を実施いたしまして立地の適否を明らかにいたしたい、こういうふうに思っております。
  104. 安井吉典

    ○安井委員 その調査といえども、先ほどから申し上げた地元理解と納得がなければやれないわけですよ。これからどういう調査をおやりになるかわかりませんが、もう時間がないのでこれから後は五十嵐委員にお任せしますけれども、その調査を始める場合も、知事なり地元町村あるいは周辺町村の理解協力を求めてからでなければおやりにならぬ、そういうことでよろしいですね。
  105. 河野洋平

    河野国務大臣 そこは先生、ちょっと私の考えと違うところがございます。先ほども申し上げましたように、立地に当たりましては地元及び地元周辺の市町村、あるいはそうした方々の意向を踏まえた形の知事さんとの御協議というのが必要になると考えますが、調査につきましては直接の関係者、地元及び地元関係者の御理解が得られれば、その地域内におきます調査につきましては行わせていただきたい、こう考えております。
  106. 安井吉典

    ○安井委員 それは後の論理なんだ。初めは速記録を読んでもらうとわかりますが、はっきりそういう論理じゃないのですよ。たとえ調査といえどもということにはっきりなっているのです。  それじゃ、もうベルが鳴ったようですから、私はこれで終わります。
  107. 矢追秀彦

    矢追委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十三分開議
  108. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五十嵐広三君。
  109. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 先に、資源エネルギー庁から片山国際原子力企画官がお見えになっておられるようでありますので、セラフィールドの問題でちょっとお伺いして、終わりましたらお帰りいただいて結構でございます。  前に欧州議会から操業停止を求める緊急決議というようなものもありましたイギリスのセラフィールドの使用済み核燃料再処理工場の連続事故について、イギリスの下院の環境問題委員会が、セラフィールドは世界最大の放射能汚染源だというように決めつけた報告書を先日提出したようであります。その報告書の中で、建設中の新鋭工場計画を中止した場合の経済的影響を検討し、継続するに足る正当な理由がなければ中止すべきだというような厳しい勧告の内容も含まれているようであります。この建設中の新工場というのは日本の使用済み核燃料の再処理委託契約をしているところでもありますので、恐らく我が国の電力側等にもそういう意味からは連絡等が来ているのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  110. 片山登喜男

    ○片山説明員 お答えいたします。  三月十二日にイギリス下院の環境特別委員会が、放射性廃棄物の処理処分、再処理政策等につきまして、管理対策の強化等の勧告を行いました報告を公表したことは御指摘のとおりでございます。この報告書の再処理に係る部分につきまして、イギリスの核燃料会社から、我が国としまして再処理の委託をしております電力会社に対しまして核燃料会社としての見解を連絡してきてございます。会社の連絡によりますと、会社としましては引き続き再処理を継続するとともに、現在建設中でございます再処理工場につきましても建設を継続する意向を有しておりまして、この報告によりまして現在の意向を変更することはないということを連絡してきております。
  111. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかしながら、ヨーロッパで大変な問題になっているわけでありますし、我々もいろいろな情報でお聞きすると、想像以上に問題のある施設だというような内容のようであります。このセラフィールドの再処理工場と我が国の電力十社になりますか、それとの契約量及び今まで使用済み燃料を積み出したトン数をお知らせください。
  112. 片山登喜男

    ○片山説明員 お答えいたします。  イギリス核燃料会社との契約量は約二千三百トン、そのうち既に搬出しました量は約一千トンでございます。
  113. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 この契約によると、新工場の建設に膨大な費用がかかる。その費用の前払い的な意味を含めて相当な支払いを既に日本側はしているというようなことでありますが、いかがですか。
  114. 片山登喜男

    ○片山説明員 御質問の支払いの点につきましては、日本の電力会社と核燃料会社との間の私契約にわたる問題でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  115. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは、私は以前の質問でおたくの大塚さんから答弁を受けているんだ。そんなことじゃだめだよ。ちゃんと答弁しているんだよ。あなたはなぜできないのですか。大体でいいのですよ。
  116. 片山登喜男

    ○片山説明員 一部既に支払いをしているということは承知しておりますが、金額については現在この場でお答えできません。
  117. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 あなた、これははしたな金じゃないわけだよ。恐らく今イギリスとフランスと両方、海外に再処理委託しているものをトータルすると、再処理委託料だけで一兆円を超えるでしょう。しかも、そのほかに輸送賃がある、保管料がある。大変なものですよ。それの一部といったって数千億でしょう。あなた、簡単なことを言ったらうまくないですよ。最終的には国民の負担になるのですからね。もうちょっと言えないですか。
  118. 片山登喜男

    ○片山説明員 先ほど御答弁いたしましたように、私契約にわたるものでございますので、お答えを差し控えさせていただきます。
  119. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 納得いかないです。しかし、そのことはかり言っていたってしようがないから少し話を進めます。  その契約書によると、イギリス側は一切の放射性廃棄物の返還について選択権を有するというような内容のものがある。また、ガラス固化が不可能になったような場合に、再処理されなかった使用済み核燃料を日本に送還する権利を向こう側が有する。さらに、再処理が開始されなかった場合や永久停止になった場合にも日本は引き取らなければならぬ、こういう内容になっているというのですね。日本の電力十社、これは九電力と日本原子力発電、これがイギリスの核燃料公社、BNFLとこういう内容を含む再処理委託契約をしているわけでしょう。詳しいことは要らないから、そうだとかそうでないとかということを言ってください。
  120. 片山登喜男

    ○片山説明員 日本の電力会社とイギリス核燃料会社との間の契約の詳細につきましては御容赦いただきたいと思いますが、契約の中には、限られた条件もとでそのような返還という事態も予想されるような規定があると承知しております。
  121. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 その限られた条件下をもう少し聞きたいけれども、聞いたって、また私契約だからどうとかと言うのでしょう。しかし、こういう重大な問題だから、僕はもう少し知らせてもらわなければいかぬと思いますよ。だから、これはこの次何かの機会に改めて聞くから、ちょっと協議しておいてください。  それで、こうやって未処理でさあ返還だ、今あなたが言ったように特定の条件もとであり得るというような場合に、前払いしているのですから、これの精算はどうなるのですか。保管料だとか金利だとか、さまざまなことがあるわけでしょう。運賃だって物すごくかかるのです。どんなになるのですか。これは本当にざっとしたことでいいのです、詳しいことは要りませんから。
  122. 片山登喜男

    ○片山説明員 今御指摘のような事態といいますのは極めて限られた場合のことであろうかというふうに考えますが、既に支払ったお金につきましては返還されるのが原則であるというふうに承知しております。
  123. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 僕はきょうの質問をするに当たって、きのうよくお話ししてあるのですがね。しかし、それでなかなかお答えをいただけないところを見ると、なかなか言えない事情もあるのかもしれない。しかし、やはりちょっとうまくないような気がするので、きょうはこの程度にしますけれども、非常に大きな問題ですから、今セラフィールドが現実にああいう問題になっているわけだから、そういう点からいうとこんな答弁では納得がいかないことになる。わかるでしょう。強くそのことを求めて、この次にはこんなような答弁では納得がいきませんから、申し上げておきますから、よく御調査おきいただきたいと思います。  今のことについて、長官我が国原子力産業行政全体にとっても非常に関心の深いところであるわけであります。これは予告も何もしてなかったけれども、今のような経過なものですから、ぜひ十分な御検討をいただかなくてはいかぬと思いますが、何か一言これに関して伺いたい。
  124. 河野洋平

    河野国務大臣 私たちも十分関心を持っていきたいと思っております。
  125. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 さて、幌延の問題に入りますが、先ほどの先輩議員の質問ないしそれに対する答弁を聞きながら、なおひとつ掘り下げてお聞きしなければならぬなというふうに思っておりました点がありますので、それらから御質問申し上げたいというふうに思います。  まず、幌延町に計画をしている貯蔵工学センターは将来とも放射性廃棄物の処分は行わない、こういうことなんですか。
  126. 中村守孝

    中村(守)政府委員 幌延に今お願いしておりますのは貯蔵工学センターということでございまして、そこにおいてそれを処分するという計画は持ち合わせておりません。
  127. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 処分する計画は持ち合わせておらぬ。しかし、さっき、するともしないとも言えぬ、白紙の状況だ、こう言ったでしょう。ここはきっとあなたはあなたの考えがあって、つまりこういう言い方とこういう言い方があったというようなのがあると思うのですね。聞いていますとちょっと混同してわからない面が多いので、ここを少しきちんと説明してください。
  128. 中村守孝

    中村(守)政府委員 現在私どもが幌延にお願いをいたしております貯蔵工学センターの計画では、東海村の再処理工場から出ました高レベル、TRUと動燃事業団の廃棄物を幌延に持ってきまして、そこに三十年ないし五十年貯蔵していただくという計画を今具体的に進めているわけでございまして、その計画の中では、それをその場に処分をするという計画は持ち合わせていないという意味でございまして、その処分地をどこにするかということは、この計画とは全く別の観点から広く日本全国を調査して決める、その処分地をどこにするかというようなことについては現在のところ全く白紙でございます、こういう意味でございます。
  129. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、それはこういうぐあいに言うとわかりやすいですかね。幌延の貯蔵工学センター、四百ヘクタールですかを計画しているわけですね。ここの四百ヘクタールの中で今計画をしているのは、貯蔵工学センターで示されているような高レベルの一時貯蔵と、それからTRUあるいは低レベルの貯蔵、それから今の深地層試験場であるということなわけだから、あるいはそれに付随する若干の研究施設ということであるから、したがって今の計画には処分というものはない。しかし、処分をどこにするかということば今別に検討しているところであって、仮にこれが四百ヘクタールというこの敷地内でもいいではないかというようなことになれば、それはそういうこともないわけではないということですか。
  130. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  言い方によって、いかにもそこに処分地をするというような印象にとられますと御理解をいただく上で誤解を招くことになるわけでございますので、そういう意味で積極的に幌延がどうのこうのということを、私、先ほど来申し上げることを差し控えておるわけでございまして、あくまでもこの処分地をどこにするかということは現在私ども白紙でございますので、どこにするともどこもしないとも、そういうことも申し上げられない、こういうことでございます。
  131. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それでも、やはり問題を整理する上でもう一週言いますよ。その四百ヘクタールの貯蔵工学センター計画用地も含めて白紙である、処分地にするということは白紙であるということでいいですか。
  132. 中村守孝

    中村(守)政府委員 私ども全く白紙だという意味で、今先生がおっしゃったことも含めまして白紙でございます。
  133. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 動燃植松さん、あなた、この間朝日新聞の「論壇」に出していましたね。おたくの方としての非常にしっかりした理論を展開しておられました。そして、その中でこう言っているのですね。「貯蔵工学センターにおいて処分を実施する計画はない。」あるいはおしまいの方に「動燃事業団は将来ともセンターを処分場に転換する計画はない。」こう言っているのですね。今の中村局長の考えと違うのじゃないですか。
  134. 植松邦彦

    植松参考人 お答え申し上げます。  現在の段階動燃事業団がセンター構想として考えております範囲内には、センターを処分場として使うという計画はございません。これは何度も御説明をしたとおりでございます。動燃といたしましては、このセンター内を処分場にするかどうかということについては、現在は全く決めておりません。現在のセンター構想の中にはこれは入っていないということは明らかに申し上げられます。
  135. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、ここで計画はない、こう言っているのですね、いずれも。計画はないと言っていることは、つまり実施しないというのではなくて、実施する計画はない。なるほどなと思って僕は見ていたのですがね。今の計画、今持っている計画にはない、こういう意味の限りと受け取るべきなわけですね。
  136. 植松邦彦

    植松参考人 先生指摘のとおりでございまして、今我々が考えておりますセンター計画、いろいろと御説明の資料も差し上げてあると思いますが、その中にはそういう計画は入っておりません。
  137. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 皆さん御存じのように、北海道議会のエネルギー問題特別委員会ですかで検討、論議の上、去年の十月の一日、北海道議会として「貯蔵工学センターの立地環境調査の促進に関する決議」というものを決めているわけですね。この決議の中でこう述べているわけです。「この貯蔵工学センターは、高レベルガラス固化体等を安全に貯蔵管理するとともに、ガラス固化体から発生する熱及び放射線の有効利用と深地層試験等の技術開発を行うことを目的に設置されるものであって、将来とも、この施設を高レベル放射性物質の最終処分施設とはしないことが、明らかにされているものである。」こういうぐあいに言って、以下立地環境調査について促進しようというようなことが述べられているのであります。  ここで言っているのは、この施設を高レベル放射性物質の最終処分施設とはしないことが明らかにされた。「この施設」というのは、もちろん貯蔵工学センターを指すわけですね。これは一個の建物をいうのじゃなくて、貯蔵工学センターという施設総体でしょうね、このうちのどの建物だとか何だとかいうのじゃなくて。僕はそう思いますね。だれが考えても常識的にそうでしょうね、「この施設」。これは道議会では、皆さんが言っているようなふうにはとっておらぬのですね。この貯蔵工学センターというのは、これは最終処分施設とはしないことは明らかだ、こういう上に立ってこの促進に関する決議を決めているのですね。これは非常にあなた方の今までの説明が、いつでもそうなんです、あいまいといいますか、わからない。だから私もさっき聞き直したのですがね。そういうことのためかもしれませんけれども、これはちょっと大変なことじゃないですか。植松さん、どうですか。
  138. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  北海道議会で、幌延を処分地にするのかしないのかということについての御質問でございますが、私も、実はこの北海道議会の特別委員会理事さん方がお集まりのところに一度説明に来てくれという議会からの御要請がございまして、参上いたしまして御説明申し上げました。  そのときも御質問が出まして、今五十嵐先生お答えしたと同じ内容答弁をいたしております。したがいまして、直接この委員会皆さん方は私のお答えした内容を十分御承知であると思っておりますし、この意味は、ここにもございますように、貯蔵工学センターという施設を高レベル放射性物質の最終処分施設とはしないということでございまして、地図上の処分地の地域とそれとは区別しておられて、要するに私が申しました処分地については白紙であるというのは、これはまさに地図上の問題でございまして、貯蔵工学センターという施設にはそういうものを考えていないということでございますから、何かそういう処分地については白紙であるということを知らないでこの決議をしたというぐあいには私ども理解できません。
  139. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 貯蔵工学センターのようなものを考えてみる。この施設には無断で入るな、こういうときに、これはそこの土地にずっと塀でもしてあって、そこに入っちゃいかぬということでしょう。それは一般的に世間で言うようなことで考えてもらわなければいけないですね、地図上だとか何だとか言っているけれども。貯蔵工学センターというもの、この施設は処分場にはしないんだよという場合には、それはやはりその四百ヘクタール全体の貯蔵工学センターについて示していると考えていかなければならないのじゃないですか。これは僕はちょっとおかしいと思いますよ。
  140. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  施設と用地というのは必ずしも一致しないのだろうと思います。いろいろ地元方々が御不安を抱かれたのは、どうも深地層試験場ということで数百メーターの穴を掘る、その穴を掘った後、試験と言いながら処分場にしちゃうんじゃないか、こういう御懸念があったように私ども理解しておりますが、そういう意味で、そういう貯蔵工学センターとしてつくった穴をそのまま処分場に転換してしまうとか、そういうことは全く私ども考えていないということでございまして、そこに言っている「施設とはしない」という意味は、まさにそういう意味であろうと思うわけでございます。
  141. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そこのところはわかるのですよ。つまり、深地層試験場の穴を掘る、地下数百メートルないし千メートルぐらいの深い穴を掘ってそこでいろいろ試験をする、そこにどたどたっと入れる、処分施設にするというようなことはしないという意味なんだ、そういうことでしょう。それも問題ありますが、僕はその問題はその問題で非常に疑問を持っている根拠がありますけれども、今はそれは述べません。  しかし、今の話からいいましても、四百ヘクタールの貯蔵工学センターの全体の施設区域といいますか、そういう中では穴を掘ったところに入れるなんてことでなくて、それは広い用地ですから、貯蔵をするに適当だというような方針が決められれば、そういうことにする可能性はないわけじゃない。先ほどからの答弁はそういうことであろうというふうに思うわけですが、道議会の人たちのお決めいただいた決議、今お話を聞くとあなたが行っていろいろ説明をした、そういう上でこういう決議をなさったとすると、僕はやはりそこに非常な錯誤があるという印象を持ちますね。これはあなたの言うように、貯蔵工学センタi、あそこの用地の中に処分地となる可能性はないわけでないんだということになったら、そこは処分地にならないんだという考えの上で調査促進の決議をしたということの根拠がおかしくなるでしょう。それはそうでしょう。違いますか。
  142. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  私、北海道議会で御説明申し上げたときにも出た言葉でございますが、白紙だということについて、それならばここも可能性があるのかという御質問がありまして、先ほど安井先生のときにもお話し申し上げましたが、東京もそれでは候補地になり得るんだな、そういう意味での白紙だな、こういうお話がございましたので、そのとおりでございますというぐあいに明快にお答えしておるわけでございまして、そういう誤解はないと私ども思っております。
  143. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 東京がどうだとかなんて余分な話ですから、そんなのを持ち出してもらったら困りますよ。これはやはり非常に問題があると思う。その問題を残したのはあなたの説明の態度ですよ。僕はそう思います。私は今まで委員会で何遍もあなたとやり合っていて、いまだにはっきりしないといいますか、そういう疑問が残る。  植松さんが道議会に行って、道議会の特別委員会の会合で質問を受けて答えているのに、やはり処分場になるかならないかということは私も実はすっきりしないのでございます、こう言っているのですよ。これは議事録に書いてある。私、ここに持ってきていますから。あなたもしゃべっているからおわかりのとおりですが、やはり国がその意味でははっきりしてほしいと思うのでございますというようなことを述べているのを、あるいはそうなのかなというふうに思うのですね。やはり非常に問題がありますよ。しかし、今聞くと、四百ヘクタールの貯蔵工学センターというのは、これも全く白紙なんだ、そういうようなことと確認できたので、以後そういうぐあいに我々は受け取ってまいりたいと思いますが、しかし、道議会の決議との関連においては非常に問題が残ったということを私は強くここで指摘をしておきたいというふうに思います。  それから、立地環境調査を今強行してやっちゃっているわけでありますが、調査の結果これが貯蔵工学センター立地に適当でない、こう判断するような場合というのはどんな場合があるのですか。
  144. 植松邦彦

    植松参考人 貯蔵工学センターには、各種の施設を建設する予定にしております。先生先ほどから御指摘のように、貯蔵施設、それから研究施設、深地層の研究施設、こういろいろございます。それぞれが必要とする要件を満たし得るかどうかということで貯蔵工学センター計画が判断されていくというふうに思っております。一部の立地上の問題が残れば、それはそれなりに対応をすべきであろうというふうに考えております。
  145. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 貯蔵工学センターの立地条件等については、そのうちの一貯蔵施設条件等は先般の御答弁でやや明らかになっております。深地層試験場の立地条件というような意味からいうと、どういうことになりますか。
  146. 植松邦彦

    植松参考人 深地層試験場におきましては、いわゆる地層処分を行うときのいろいろな岩体に与える影響、それから測定の方法その他を含めて試験を行うことになります。したがいまして、ある一定の深さだけで試験を行うようになるか、それともいろいろな深さの段階で試験を行うようになるか、これは今決定しておるわけではございません。これらは、先ほど来御説明しておりました。地としての適否を判断する深層ボーリングをやってみてからいろいろと判断すべきことであるというふうに思っております。
  147. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、深地層試験場にするのにここは適当でないところだという判断が出るような場合というのは、ボーリングの結果どういう場合ですか。
  148. 植松邦彦

    植松参考人 ボーリングをやってみませんとどういう結果になるかお答えはできませんが、そのためにぜひともボーリング調査をさせていただきたいというふうにお願い申し上げておるわけでございます。
  149. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いいか悪いかを選別するためにボーリングをやるわけでしょう。ボーリングをしてみたら、こういうことだから悪いとかいいとかということになるわけでしょう。だめですよ、そんないいかげんな答弁したって。
  150. 植松邦彦

    植松参考人 決定的に深地層試験場に不適であるかどうかということについては、やはりデータをもって判断すべきものだと考えております。それ相応の対応ぶりをすれば全く処置ができないというようなものではないと現在は判断いたしております。
  151. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 長官、こういうことではどうにもならぬですよ。理解を求めると言ったって、これは理解のされようがないじゃないですか。長官、そうは思いませんか。
  152. 河野洋平

    河野国務大臣 現在北海道幌延町周辺でいろいろと不安がある、あるいはいろいろな御意見がある、そのさまざまな御意見におこたえする、あるいはその不安を取り除くためにできるだけの努力をするのは当然のことでございます。その努力の中には、高レベルの放射性廃棄物がどういうものであるかとか、あるいはまたそこにお願いをいたしております貯蔵工学センターの姿というものはどういうものであるか、あるいはそこでどういう試験を行わせていただくかということをできるだけ知っていただかなければ、いいか悪いかという正しい御判断がされないだろう。その正しい御判断をいただくために、できるだけ調査をきちっとしたいと考えておるわけでございます。今植松さんから御答弁を申し上げましたように、テストの結果をできるだけ皆さんによく御説明をするということが重要であろう、こう考えます。
  153. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、Aというような条件ならこれは適する、しかしBというような条件ならこれは適さない、適するか適さないかの立地環境調査をしているわけでしょう。そのために今ボーリングが必要だからボーリングする。ボーリングした結果これはAであった、Bであった、だからいいとか悪いとか、こういうことになるんじゃないですか。そのAもBもなくて、ボーリングを入れてその結果によりましてといったって、それはちょっとむちゃくちゃじゃないですか。植松さん、もう一遍。
  154. 植松邦彦

    植松参考人 やはり深地層の実際の状況というのは、深いボーリングをやってみることが科学的に一番正しい方法であると私はかたく信じておりますし、その結果を見て、それに対応できるような工法をとることによって深地層試験場は建設ができると思っております。そのように深地層試験場を建設できるような土木技術というのは、既に存在しておるのではないかというふうに判断いたしております。
  155. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 納得いかないですね。つまり、それならどこに穴を掘ってもいいのかということになるのです。そうじゃなくて、我が国の場合、それはいろいろなこともあるけれども、こういうところが深地層試験場として適しているのじゃないだろうか、適さないのじゃないだろうかということのために今やっておるわけですから、あなた方のやっている調査というのは非常に根拠のないものだということを私はきょう改めて受けとめるような気がいたします。  さて、さっき広さの問題が出たけれども、私はこれも以前何回かごの委員会で議論しているので、いろいろ言いたいことがありますが、それも改めてのことにします。しかし、その中で一つだけちょっとお聞きします。  一時貯蔵施設に要する建坪は何坪ですか。
  156. 渡辺昌介

    渡辺参考人 お答えいたします。  一時貯蔵施設というのが私にはちょっと判断できかねますが、「貯蔵工学センター計画の概要」の中で御説明しているのは、ガラス固化体の貯蔵プラントは六千平方メートルです。これは中に書いてあると思います。それからアスファルト固化体の貯蔵施設、それから……
  157. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それだけでいいです。高レベルでいいです。なるほど管理棟を入れてですね。ガラス固化体プラントが四千平方メートル、それに管理棟が二千平方メートルでこういうことになるわけです。四千平方メートルといったら縦横が八十メートルの五十メートルですね。大したものではないわけですね。  そこで一方、現在世界の各国に再処理工場が幾つかある。その再処理工場は、稼働中のもの、今建設中のもの、あるいは最近建てようという計画のものもあるでしょう。そういうものも皆含めまして、一時貯蔵施設を自分の敷地内に持ってない――再処理工場がある、それから固化プラントがある、そしてそこに隣接して一時貯蔵施設があるのは常識なわけですね。我が国の場合でも、この間総合エネルギー調査会ではそういう方針を出している。世界の再処理工場は幾つかあるが、現存するものあるいは建設中、計画中のもので、一時貯蔵施設を敷地内に設けないで敷地の外に設けているとか、設ける計画を持っているとかいうところがあったらお知らせください。
  158. 中村守孝

    中村(守)政府委員 お答えいたします。  イギリス、フランス、西独、ベルギーというようなところで、規模の大小はございますが再処理工場が運転しておりますが、サイトの外に廃棄物だけの特定の貯蔵庫を設けているという例はございません。
  159. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今我が国の下北の六ケ所村に三点セットで考えている再処理工場は、八百トンの年間処理計画ですか、ここの再処理工場においても敷地内に一時貯蔵施設は含めるのじゃないですか。
  160. 中村守孝

    中村(守)政府委員 現在電気事業者といいますか、原燃サービスから聞いている範囲では、再処理工場の構内の一角にそういう施設を設けるというように聞いております。
  161. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それなのになぜ東海村だけが――世界に例のないことなんですよ。しかも今我が国の下北でやろうというものだって、一緒に一時貯蔵施設をつくる。それはだれが考えてもそうなわけです。再処理工場がある、そこから廃液が出る、その横に固化プラントがあってそれを固化する、そこからその固化体をクレーンですぐ横の一時貯蔵施設に入れる、これはだれが考えたって一番金がかからない。しかも最も安全だ。そんなに膨大な敷地が要るわけではないでしょう。八十メートルの五十メートルで足りるのですよ。七十何万平方メートルもある東海事業所の中でそんなことができないわけないでしょう。私は何回も行って見ていますからよくわかる。何で東海だけ九百キロも離れて海上輸送して、しかも運ぶのに七百億もかかるとかかからぬとかいって持っていかなければならないのですか。その必然性はないのではないですか。  やはり一時貯蔵施設は最も安全で金のかからない再処理工場敷地内に、今固化プラントは来年から建てたいという計画のようだが、それに隣接してつくるのが当たり前でないですか。私は全くその面は理解が困難なんですが、これは理事長、ちょっとどうですか。
  162. 林政義

    ○林参考人 現在の東海事業所の敷地面積でございますが、八十二万平方メートルでございまして、建物等の面積は十四万平方メートルございます。しかしながら、原子力施設でございますので保全区域を設ける必要がございまして、密集していろいろな設備をつくるわけにはいかないわけでございます。また、建物のほかでも道路等がございまして、相当の面積を必要といたしまして、これらを含めますとおよそ二十五万平方メートルと相なります。ただいま先生から御指摘がございましたけれども土地の利用率という観点から申し上げますと約三三%をもう既に占めておりまして、手狭な状況でございまして、また、職員の必要な厚生施設すら現状において不足をしておる状況でございます。したがいまして、貯蔵工学センターに計画しておる建物を事業所内に建設することは不可能でございまして、別途広い土地を取得したい、こういうふうに考えたわけであります。
  163. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それでは、動燃事業団の東海事業所の中でもう建物は建てられないのですね。今理事長の言うことではそうですね、もう建てられないというのですからね。ことしも何だか建てるのでしょう。あなたはそう言うんだからね。そういうものは建てられて、何でこれが建てられないのですか。あなた、これは一番急ぐのでしょう、これは大変なんでしょう、ガラス固化体の一時貯蔵施設というのは。理事長、もう一遍答弁してください。
  164. 植松邦彦

    植松参考人 補足説明をさせていただきますが、東海事業所内における土地の利用状況については、今林理事長から御説明をしたとおりでございまして、動燃といたしましてはガラス固化プラントを再処理工場に隣接して建設をしたいということで、現在計画を進めております。このガラス固化プラントは、先生指摘のような一時的な固化体を貯蔵する設備だけは有しておる計画でございます。しかしながら面積的に十分ではございませんので、別途広い土地を取得して貯蔵施設をつくりたいということでございます。また、貯蔵工学センターは何も高レベル固化体の貯蔵だけを目的としておるものではございませんで、それに関連した研究開発施設も設置したいと思っておりますので、それで広い施設が欲しいということになっております。
  165. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 五十嵐君、手短にお願いします。
  166. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 申しわけありません。もう間もなく終わります。  理事長さんあるいは植松さん、一時貯蔵施設と深地層試験場と低レベルのTRU等の貯蔵は、あるいは関連する研究開発棟というものは、一体的に密接不離でなければならないという理由はないのですよ。きょうは余り時間がないから、もしあれでしたら僕は改めてお聞きしてもいいくらいのもので、それはそれぞれが別々の施設で結構構わないのですよ。一体的に考えるから問題があるので、一時貯蔵施設は世界のどこの施設を見たって再処理工場敷地内にあるのだから、それはそこに置くということで、それが一番理想の格好になる、そうすべきじゃないですか。そこは、強くそのことを申し上げておきます。  最後に、理事長及び長官、先ほど安井委員からの質問に答えて、立地の場合は地元理解協力を要するようにしなければいかぬが、しかし調査の場合は直接関係のあるところの了承を得てやりたい、こういう話で、従来の答弁等のニュアンスから大分それた、今までの方針を非常に逸脱した答弁がなされたというふうに僕は思うのですよ。それは、例えば吉田理事長は知事のところに行って会ったときも、「立地に当たっては知事の理解や周辺市町村の理解が前提である、今後予定している事前調査も知事の理解が前提だ」、私がそれを取り上げて質問したときにも吉田理事長は、「今御指摘ありましたように、私も昨年北海道に行きましたときにそういうことをお答えしておりますが、我々としましても地元の御理解を得ながら、たとえこの調査でありましても進めていきたいというふうに考えております」、こう言っているわけです。あるいは渡辺燃料部長は五十九年の十月二十九日、道議会エネルギー問題調査特別委員会でこう言っているのですね。「貯蔵工学センターの立地環境調査ということでございますので、地元の御理解と御協力が得られたら実施したいと思っております。」こう言っているのですよ。中村原子力局長は五十九年八月一日、参議院のエネルギー対策特別委員会で「あくまでも調査をやることをも含めまして地元の御協力が得られる、御理解が得られるということになって始めるものでございまして、地元が御承知しない話を強引にやるということは、これは実態的にもできないことでございます。」等々、こういうぐあいに調査といえども理解協力を得てからやるということを言ってきているわけです。それが今、それは調査に関しては直接的な関係者についてと、こういうお話では、僕は非常に納得がいかない。これは今までの政治的なそういう言明、約束というものと全く異なった見解を新たに示したというふうに受け取らざるを得ない。長官並びに理事長、この点いかがですか。
  167. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、全く異なった見解を申し上げたとは思っておりません。繰り返し申し上げることになるかもしれませんが、立地に当たっては当該、今の場合では町あるいは周辺の町村、そしてその周辺の市町村の意見を集約したという意味で知事さんの御理解をいただくということを申し上げてきたわけでございまして、調査に当たっては地元、これは当該関係のある地元の御理解が得られれば調査をさせていただく、こういうことは一貫して申し上げてきたというふうに私は理解をいたしております。したがいまして、先ほども申し上げましたが、今先生から御紹介のありました過去何回かの国会でのやりとりも、調査については地元理解協力、こう先生も仰せられましたけれども、私も調査に当たりましては地元理解協力が必要だ、こういうふうに思っております。しかし、その調査に当たっての地元理解協力という意味は、まさに当該可及び言ってみればその地主さん、直接の関係者という意味だというふうに私は理解をし、現在そう考えております。
  168. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 簡単に、もう時間が来ておりますから。
  169. 林政義

    ○林参考人 ただいま長官が申し上げたとおりでございます。
  170. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 どうも大変時間を超過して申しわけございませんが、しかし、ただいまの答弁には納得しかねますので、また後日お話を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
  171. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 遠藤和良君。
  172. 遠藤和良

    ○遠藤委員 いわゆる戦略防衛構想、SDIに日本が参加するのかどうかということが今国際的にも、また国内的にも大変重大な政治問題になっているわけでございます。これを政治問題と見た場合には、世界のパワーポリティックスの中に日本が組み込まれるのではないかという心配があるわけでございますが、きょうは純粋な科学技術政策上の問題といたしまして、当委員会で質問をさせていただきたいと思います。  政府はただいまこの参加を調査検討中ということでございますけれども、既に過去二回にわたりまして政府の調査団米国に行っているわけでございます。科学技術庁からも職員が参加されておりますが、長官科学技術庁の職員の皆さんからどういうふうな御報告を受けておりますか。
  173. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 私から第一次、第二次の調査団につきまして、どういった内容について調査したかということについて御報告申し上げます、  SDIにつきましては、先生お話ございましたように、昨年秋と本年一月の二回、調査団を派遣しておりますが、科学技術庁からも担当官が参加いたしております。昨年秋の調査団は、SDIに関する一般的な説明をアメリカ側から聴取することを目的としたものでございまして、アメリカ側からの説明の内容は、SDIの研究領域、SDIの進捗状況、SDI関係予算の議会における進捗状況といったものでございました。  それから、本年一月に派遣いたしました調査団は、昨年秋の調査以来英米間でSDI研究参加のための取り決めが結ばれた、また西ドイツでは研究参加に向けて交渉を開始したといったような状況でございまして、これらの動きを踏まえた上で、その後のSDI技術面での進捗状況、今後の研究スケジュール、各国の研究参加についての考え方等についてアメリカ側からの説明を聴取するとともに、SDIの研究関連施設を訪問して、直接担当者から研究状況について説明を受けたということでございます。
  174. 遠藤和良

    ○遠藤委員 長官は直接御説明を受けていないわけですか。
  175. 河野洋平

    河野国務大臣 一次調査団のときには私はまだ長官に就任をしておりませんので、一次の調査団についての報告は聞いておりません。
  176. 遠藤和良

    ○遠藤委員 SDIに参加する問題は、科学技術上の問題として考えた場合は、こういう二つの論点があるように考えるわけでございます。一つは、このSDIに参加することがいわゆる新しい技術開発への刺激剤になる、こういう意見でございますね。もう一つの意見は、現在における日本の高度な科学技術というものは、産業を非軍事化することによりまして今日の発展がなし遂げられてきた、ここでSDIに参加すればせっかく築き上げてまいりました高度技術が軍需に取り込まれてしまいまして、また、秘密保護の網がかぶせられてしまって技術の民間移転ができにくくなる、こういう意見がある。両極端でございますけれども、科学技術を推進していく最高責任者といたしまして、このSDI参加がどちらの方に重きがあるのか、長官としてはどういうふうにお考えになりますか。
  177. 河野洋平

    河野国務大臣 SDIに参加するかしないかについては、先生御承知のとおりこれから第三次の調査団を派遣をする、その調査の結果、十分にまたその報告を聞いて考えるということになっておるわけでございまして、現在SDIに参加するかしないかについては、お答えはするわけにはいかないところでございます。  しかし、参加するかしかないかは別として、今先生が御指摘になりましたように、SDIとは言わないまでも、ああいった大きなプロジェクト、これはアメリカでは現在SDI、ヨーロッパではユーレカ計画などがございますが、そうした大きなプロジェクト、つまり大きなという意味は、相当大量の財政的な支出がそこに行われる、あるいはまた国際的に相当な協力関係ができて国際的な英知を集めることができる、そういう意味で申し上げているわけですが、そういうことはやはり先生がおっしゃるように一つの刺激になるということは否定できないと思います。  ただ、確かに、もう一点も先生がおっしゃいましたように、日本の技術開発は民生用という意味で、戦後四十年間ひたすらそうした道をたどってきた、この道を外すべきではないのじゃないかという御指摘は、私もそう思います。ただしかし、最近の科学技術、汎用技術につきましては、今非常に重要視されている、みんなでこの問題をやらなければいかぬと言われる例えば基礎的な研究ということになりますと、その基礎的な研究自体の目的が一体何なのかという目的を限定した研究というふうにはなかなかならない部分もあることは、私どもも考えなければならないわけでございます。日本の科学技術、とりわけ科学技術庁の負うております任務は、軍事技術の開発ではございません。明らかに日本の経済の発展、社会の発展のために我々は努力すべきものだというふうに考えておりまして、科学技術庁の設置法をきちっとわきまえて科学技術庁は対処しなければならぬ、こういうふうに思っております。
  178. 遠藤和良

    ○遠藤委員 政府といたしましては、SDIに参加するかどうかというのは、ただいまのところは調査検討中ということが公式見解でございますけれども、一部の報道によりますと、サミットの前後にも参加を表明するのではないかということも推測をされておるわけでございます。そういう状況の中で、これを純粋な科学技術の振興という点から見まして、長官御自身は政府が検討する前にある程度この参加に対しての態度を表明されるお考えはあるのかないのか。端的に申し上げますと、科学技術を振興するという角度からいえばこの構想に参加する方がメリットがある、賛成であるというお考えなのか、あるいは日本の科学技術は平和に限って行う、従来どおりの形式で行った方が科学技術の振興には大変メリットがあるのだ、だから反対である、こういうふうなお考えなのか、長官自身のただいま現在の御心境はいかがでございますか。
  179. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま現在の心境はわからない。SDIというものが今どんなものであるか、日本のこれに対する対応がどういうものであるかをこれから調査に行こうというわけでございますから、きょう現在の心境とおっしゃられれば、今のところは何とも言えないと申しましょうか、わからないと申しましょうか、そういうのが私の率直な感想でございます。
  180. 遠藤和良

    ○遠藤委員 今科学技術庁長官のお立場での御答弁を伺ったわけでございますが、長官は新自由クラブの党首でもいらっしゃるわけでございますが、新自由クラブとして今現在どういうふうにお考えなのでございましょうか。
  181. 河野洋平

    河野国務大臣 新自由クラブという政党の立場という御質問でございますが、科学技術庁長官の立場もございますので、閣僚としての立場を全く抜きにしてお答えするというわけにもいかない。誤解があってはいかぬと思いますので一定の枠の中でしかお答えするわけにまいりませんが、少なくとも総理もおっしゃっておられますように、例えばSDIが非核で防御的なもので、核兵器の究極的な廃絶を目指すものだという前提に立って理解を示されたということを前提にすれば、私どももその総理の理解するという立場を理解することはできると思います。
  182. 遠藤和良

    ○遠藤委員 短く言えば、総理と大体同じような考え方ということでよろしいのでしょうか。
  183. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、その前提となるべきSDI本体そのものが十分にわかっていないという状況でございますので、少なくとも直接大統領から説明を聞いた総理が今申し上げたような前提で研究することを理解する、こう述べられたわけでございまして、その総理の姿勢は我々とすれば理解できるという意味でございます。
  184. 遠藤和良

    ○遠藤委員 SDI参加を決定するのはだれなのかということでございますけれども、何か総理がリーダーシップをとっていらっしゃる印象が強いわけでございますが、総理御自身がおひとりで考えるわけではないと思うのですね。閣議でお決めになるか、いろいろな方々検討されるというわけでございますけれども、これは科学技術の担当大臣として、科学技術政策上はどうなのだという御判断をみずからされるべきではないか、こう思います。その意味では、長官は大変行動的なお方でいらっしゃいますから、長官みずから米国に行って、SDIの担当者に科学技術上はどうなのだということを確かな手ごたえで調査してこられてから自分の御判断をされてはいかがかな、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  185. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどの答弁で少し誤解があるといけませんので、もうちょっと申し上げさせていただきますが、私は現在の時点について申し上げたのであって、これからどういう展開になっていくかということまで今のところは予測できないで申し上げたということで、ぜひ御理解いただきたいと思います。  今の御意見でございますが、外務省を中心といたしまして通産省等々、調査団に参加しております省庁が幾つかございますし、科学技術庁からも参加させていただいております。ということは、この問題について我々は無関係な立場ではないといった自覚をきちんと持っているつもりでございます。したがいまして、調査が終わり、調査を基礎にして考え方がまとまれば、そしてそれらの問題をもし議論する場があるとすれば、当然私は意見を申し上げなければならない立場と心得ております。  今のところ、この場で詳細御報告するほどオーソリティーがあるわけではありませんが、私の感じておるところだけ申し上げますれば、この問題について終始イニシアチブをとっております役所は外務省でございますから、外務省がイニシアチブをとって、つまり、もうこれっきりこの話はないんだよと言えばそういう場はないということだってあると思いますので、何か議論をする場があるとすれば科学技術庁長官として発言をしなければならぬと思っております。  もう一つ先生お尋ねの、おまえが直接勉強に行ったらどうだということでございますが、国会がこういう状況であれば、国会開会中長官が勉強に行くという時間的余裕は恐らくないと思います。しかし、東京におりながら研究できるものもございますから、そういう点はできるだけ怠りなく資料などを集めたいと思っております。
  186. 遠藤和良

    ○遠藤委員 今お話がありましたように、政府の調査団は大体外務省さんが中心で行かれているわけでございますね。ですから、政治上の問題としてどう判断するかということが濃くなると思うわけでございまして、科学技術の問題といたしまして独自の立場から御判断をする必要があるのではないか、そのためには科学技術上の問題として調査をいたしまして、判断材料を求めて、長官自身の御判断をされるべきでないかという観点から申し上げているわけでございます。
  187. 河野洋平

    河野国務大臣 政府がアメリカに派遣をいたします調査団に参加して調査することが、今のところではアメリカ側の対応も一番いいように思います。これを個別にあれこれ調査に参りましたのでは、アメリカ側の対応が十分できるかどうかということにも多少懸念がございます。政府の調査団に私ども科学技術庁から派遣いたしました人間が加わりまして、向こうで十分調査をしてきてほしい、こう考えております。
  188. 遠藤和良

    ○遠藤委員 外務省に伺いますけれども、今調査中だそうで、現在の範囲で結構でございますが、SDI参加のメリット、デメリットを外務省としてはどういうふうに認識しておるのか、材料をお示し願えればと思います。
  189. 渡辺允

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  SDIの研究に対する我が国の参加の問題につきましては、これまでもたびたび御答弁申し上げておりますとおり現在検討中でございますので、我が国として最終的にどういうメリット、デメリットという判断をしているかということは、まだ申し上げる段階にはないように思います。  ただ、西欧の諸国等がそれぞれの形で参加の決定をいたしておりますけれども、その場合にこれら諸国がどういう判断をしておるかということにつきましては、ごく大まかに申し上げますと、一つは軍事戦略的にと申しますか、SDIが抑止の向上を目指すものであって、これが全世界的に攻撃的な核兵器を減らす、そして安定的な均衡を達成することに資するというメリット、それから当委員会に特に関係がおありと思いますけれども、SDIの研究に参加することによって、先端技術の分野でそれぞれの研究能力をさらに向上させる、あるいは雇用を創出するといった科学技術、経済面でのメリットがあると判断していると考えております。
  190. 遠藤和良

    ○遠藤委員 デメリットの方はどうでしょうか。
  191. 渡辺允

    渡辺説明員 SDIに参加することによって特にデメリットが出てくるということを、参加することを決めている国々の方針として大きく打ち出しているということは、ちょっと承知いたしておりません。
  192. 遠藤和良

    ○遠藤委員 外務省がそういう御判断であると、メリットばかりあってデメリットがないということですから、これは参加するということなんですか。
  193. 渡辺允

    渡辺説明員 恐縮でございますが、私が今申し上げましたのは、むしろ参加を決定した国のそれぞれの考え方をおおよそまとめた場合にそうであるということでございまして、我が国の参加の問題につきましては、あくまで我が国としてはなお検討中でございますし、我が国独自の立場で決定していくことになるということでございます。
  194. 遠藤和良

    ○遠藤委員 何か最近特に国民の目から見ますと、行政が大変オープンでないという印象が強いわけでございますが、今の話を聞いておりますと、外国の例はいろいろ言っていただきましたが、日本の国の外務省は一体何を考えているのだろうか、これは何ら明らかにされなかったわけでございますね。参加を決めるまでに、参加しないと決めるかもわかりませんけれども、する、しないを決める前に、国会というところはいわゆる国民を代表する場でございますから、参加した場合はこういうメリットがありますよ、参加した場合はこういうデメリットもありますよ、こういう論議を、外務省としては今こういうふうに認識をしておるんだとかなり出していただかないと、これは議論ができないのではないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  195. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返し同じような答弁で恐縮でございますが、政府が一次、二次の調査団を出してSDIについてアメリカからの説明を聞き帰っているわけでございますが、まだ一次、二次の調査では判断をする材料が十分でないということから第三次の調査団を出しているわけでございまして、調査をするに足るデータを目下集めつつあるところだということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  196. 遠藤和良

    ○遠藤委員 第三次の調査団についてお伺いしたいのですが、今度は三月二十九日からでございますか、政府と民間企業二十一社の合同調査団が十三日間米国に行かれる話をお伺いしておりますが、これは主にどういう調査をやってくるのでしょうか。
  197. 渡辺允

    渡辺説明員 今度参ります調査団は、今先生仰せのとおり、三月の末から十日間ほどの日程で米国に参ります。調査団といたしましては、最初にワシントンに参りまして、国防省のSDIを実際担当している部局からSDI研究全体について改めて現時点での説明を受けまして、その後三つの分野に分かれまして、米国各地にございます研究所、工場等を視察してくる予定にいたしております。  三つの分野は、SDIの全体像をつかむという観点から、一つは標的を追跡し、捕捉し、識別するという系統の問題、それからいわゆる指向性エネルギー兵器の関係、それから運動性エネルギー兵器の関係、こういうふうに三つに分けまして、それぞれ政府及び関係民間の方でチームを編成して、三カ所に分かれて回ることにいたしております。  これまで二回調査団を派遣いたしましたけれども、いずれも政府関係者だけでございました。ただSDIの場合、非常に幅の広い先端技術の非常に多岐にわたる分野をカバーしておりますので、それぞれの分野に非常に知識経験のおありの民間の方に御参加をいただいて、現場を見ていただくというのが今回の調査団の目的でございます。
  198. 遠藤和良

    ○遠藤委員 私は、その調査の目的の中に恐らく入っているんじゃないかと思ったのですが、米国が関心を持っている日本の汎用技術、どういうところが日本に参加してもらいたいのかというのは、正確に聞いてくる必要があるのじゃないかと思うのですが、そういう項目は入ってないのですか。
  199. 渡辺允

    渡辺説明員 米国が特にSDIとの関連につきまして、どういう分野に関心を持っているかということにつきましては、これまでのところ米国政府の方の立場は、日本に限らず同盟国が、むしろ同盟国の方として関心のある分野に参加をしてくれるのであれば、それを歓迎するという立場をとってきておるわけでございます。ただ、今回のように技術を中心に調査をいたしますれば、当然先生指摘のような分野についてもある程度浮き彫りにはなってくるかと思っております。
  200. 遠藤和良

    ○遠藤委員 一部の報道によりますと、来園が関心を持っている日本の汎用技術というのは、大体十六項目でないかというふうな話が出ております。例えばガリウム砒素素子装置であるとかマイクロウエーブ・集積回路であるとか、ミリ波通信であるとか光電子素子装置、光ファイバー通信、その中でもミリ波通信と光電子工学に特に関心が深い。あるいはSDIを直接担当しておりますエイブラハムソンSDI局長の話だと、日本期待するものはコンピューターと光電子工学とレーザーである、こういうふうな米国の意向というものが発表されているわけでございますけれども、大体そういうところになるのでしょうか。
  201. 渡辺允

    渡辺説明員 ただいま先生指摘になりましたもののうち最初の分野と申しますのは、実は一昨年、昨年と米側国防省から調査団が参りまして、一般的な意味でのいわゆる対米武器技術交流との関係で、先方はどのような分野に関心があるのかということを調査したことがあるわけでございますけれども、そのときの先方調査団の結論でございます。したがいまして、これは特にSDIとの関係で調査をしたということではなかったということでございます。  それから、エイブラハムソン局長その他断片的に米側からそれぞれこういう分野、ああいう分野というふうな話も今までばらばらと出てきておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の調査団を機会にその辺も総合的に見てまいりたいと考えております。
  202. 遠藤和良

    ○遠藤委員 参加の形態でありますけれども、今主要各国の例を見ますと三つに分類される。一つは、アメリカと政府間の取り決めを締結し、政府そのものが参加するイギリス型。二つ目が、政府は参加しないが、米国と政府間で科学技術協力協定を締結してその枠内で民間が参加するという西ドイツ型。三つ目は、政府は参加せず、米国と政府間取り決めも締結しないが、民間の参加は自由とするフランス、カナダ型。この三つに分類されておりますけれども、もし日本が参加するとなると、この一、二、三の中でどの形になると思われますか。長官の予測はいかがでございましょう。
  203. 河野洋平

    河野国務大臣 現在はSDIそのものに対する調査を続行している段階でございまして、参加をするかしないか、参加した場合の形態、形式はどのようになるかは、予測は困難でございます。
  204. 遠藤和良

    ○遠藤委員 これは確かに長官の答えられる答弁は予測されたわけでございますけれども、恐らく一の形態は無理ではないかなという印象を私は持っております。特に今回民間の会社が二十一社参ります調査の様子を見ましても、政府そのものが行くというのは、日本の国是から申し上げましても大変厳しいものがあるのではないかということでございます。  これまたくどいようでございますが、科学技術庁に附属の研究所がございますね。航空宇宙技術研究所だとか金属材料技術研究所、放医研、国立防災科学技術センター、資源調査所。あるいは科学技術庁所管の特殊法人がございますね。日本原子力研究所だとか理化学研究所、宇宙開発事業団等がございますけれども、こういう国の機関が直接参加することは考えられるのでしょうか。
  205. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 ただいままで御答弁申し上げておりますように、SDI参加問題については、現在調査団を派遣する等によりまして情報を集め、我が国の態度を慎重に検討中という段階でございまして、例えば科学技術庁の研究所あるいはその他の特殊法人が参加するかどうかという御質問でございますが、まだそういうことを具体的に検討しておりませんし、まだ今後の問題であろう、そういった検討段階に至っていないというのが現状でございます。
  206. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ということは、参加するかもわからない、参加しないかもわからない、こういうことですか。
  207. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 まだ日本の国として参加するかどうかということが決まってない段階でございまして、その具体的な中身について検討をいたしておらない、こういう意味でございます。
  208. 遠藤和良

    ○遠藤委員 外務省にお伺いいたします。  いわゆるSDI参加問題と秘密保護法との関連でございますけれども、今三つの形態を申し上げましたが、いずれの形態で参加するにいたしましても、米国から黙秘を義務づけられるのではないかと見られるわけでございます。その場合、現行の国家公務員法の守秘義務規定、それからいわゆるMDA協定でございますが、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法並びに日米地位協定の実施に伴う刑事特別法などで対処できるのか、新たに秘密保護法を立法することが米国から言われてくるのか、その辺の認識はどういう認識をお持ちでしょうか。
  209. 渡辺允

    渡辺説明員 私もたびたび同じような御答弁を申し上げることになってまことに恐縮でございますけれども、まさに先生今御指摘のいわゆる機密保護の問題等も含めまして現在検討中の段階でございますので、なお検討の進行をお待ちいただきたいと思います。
  210. 遠藤和良

    ○遠藤委員 新たに秘密保護法をつくらなければならないということになれば、これはかなり問題でございますね。新自由クラブは制定には反対であるというふうに政策決定したと伺っておりますが、もし新たな秘密保護法を制定するということになりましたら、長官の立場は大変難しい立場になるわけでございます。そういう必要はないのではないかというお話アメリカから漏れ伝わってきているわけでございますが、もし新たな秘密保護法をこのためにつくらなければならないということになりましたら、長官はどういう立場をとられますか。
  211. 河野洋平

    河野国務大臣 SDIに関連して秘密保護法が必要であるかどうかという御質問であるとすれば、先般来、御堂竹入委員長とワインバーガー氏との会談の際に、そうした新たなものは要らないという趣旨の話があったということを新聞で承知いたしておりまして、したがいまして、今御質問のように、SDIに関連してこの手のものが議題になってくるというふうに私は考えておりません。  しかし、それとは別にして国家機密法についての御質問であるとすれば、私どもは前国会に提案されましたこの法律につきまして、取り扱いを慎重にしてもらいたいということを連立パートナーである自民党に再三申し入れをいたしまして、最終的に先生御承知のような処理になりました。今国会におきましてもこの手の法律案を準備中と伺っておりますが、これはあくまで議員立法でのお考えと伺っておりまして、現在の私の立場からこれについて申し上げることは差し控えた方がいいのではないかと考えます。
  212. 遠藤和良

    ○遠藤委員 今お話があった中にもありましたが、我が党の竹入委員長が訪米いたしまして、新たな秘密保護法の制定は必要ないというふうなお話があったことは私も承知しております。外務省はそのことを米国の方に確認されておりますか。
  213. 渡辺允

    渡辺説明員 私どもも竹入委員長とワインバーガー国防長官との御会談の模様につきましては、新聞報道その他で承知いたしております。ただ、これはあくまで私どもといたしましては公明党の委員長、議員団の方々と国防相とのお話し合いと思っておりますので、特にその中身を確認するというようなことはいたしておりません。
  214. 遠藤和良

    ○遠藤委員 SDIに参加するかどうかという判断をする場合には、大変重大な要素の一つではないかと私は認識するわけでございまして、正式な外交ルートを通してぜひとも確認されるべきではないか。既に確認はされておるが、今答弁なさらないのではないかという気もするわけでございますが、まだ正式に確認はしていないのですか。
  215. 渡辺允

    渡辺説明員 私ちょっと言葉が足りなかったかと思いますが、機密保持の問題といたしまして今後政府間で話をいたしてまいります場合には、当然米国政府の意向等も確認していくことになると思いますが、私は今、委員長お話の中身のことと考えましたものですから、そのことについて特に私ども確認するとかいう立場ではないということを申し上げたわけでございます。
  216. 遠藤和良

    ○遠藤委員 何か遅い印象を受けるわけでございますが、そういうふうに向こうから一つのサインが流れたわけでございますから、即座に対応して、日本の外務省としてはそういう認識であれば余計な心配をしなくていいわけでございますから、もう少し早い対応をぜひお願いしたいと要望しておきます。  それから、いわゆる政府間取り決めについてでございますけれども、SDI関連技術を我が国から米国に供与する際には、例の五十八年十一月の対米武器技術供与に関する交換公文の枠内で可能であるという意見と、今度西ドイツが行っておりますように、米国との間で科学技術協力協定のような包括的な取り決め、ないしはそれに準ずる何らかの政府間取り決めが必要ではないかという意見があるわけでございますが、外務省はどういうふうに認識をしておりますか。
  217. 渡辺允

    渡辺説明員 ただいま先生指摘の問題につきましては、これまでも国会で御答弁申し上げておりますけれども、非常に一般的な意味アメリカとの間の武器ないし武器関連汎用技術の交流について現在の制度というのは、御承知のように、いわゆる武器技術でございますれば五十八年十一月の交換公文がございますし、いわゆる汎用技術でございますれば、従来から原則としてこれに制限を課していないという状況になっておるわけでございます。その前提に立ちまして、まさに今先生指摘のように諸説あり得るかと思いますし、その点も現在の検討の対象になっている問題でございます。
  218. 遠藤和良

    ○遠藤委員 この間予算委員会の質疑を聞いておりますと、大体新たな取り決めというのは必要ないような印象を受けたわけでございますけれども、これは新たな取り決めは必要であるという認識もあるのですか、外務省は。
  219. 渡辺允

    渡辺説明員 今の段階で私ども、どちらというふうに特に強く認識しているということはございません。例えば他国の例を見ますれば、それぞれの国によって異なる形の取り決めないし合意をしているようでございますし、繰り返しになりますけれども、私どもとしてはあらゆる可能性を十分検討をしたいということで今対処しているところでございます。
  220. 遠藤和良

    ○遠藤委員 いわゆる非核三原則との関係でございますが、総理はSDIは非核の防衛兵器というようなことを国会でもおっしゃっておりますけれども、SDIの専門家チームの話によりますと、SDIの中には、ICBMを撃破するためにエックス線レーザー兵器を使うわけでございますが、そのエネルギー源として小型の核爆発を利用する、こういうことが明らかにされているわけでございまして、全く非核ということにはならないわけでございますね。  そうしますと、我が国の国是が、非核三原則という原理があるわけでございますが、この非核三原則というものは、日本国内において、持たず、つくらず、持ち込ませずという意味理解をしておるのか。アメリカのSDIに日本人が参加した場合に、これは核の研究等に従事してもこの原則には当てはまらないんだというふうに理解をいたすのでしょうか。外務省はどういう見解をいたしますか、非核三原則原則について。
  221. 渡辺允

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問の中には幾つかの角度のお話があったかと思いますので、一つ一つ申し上げさせていただきたいと思います。  まず最初に、先生指摘のとおり、SDI研究の中にいわゆるエックス線レーザーの技術の研究が含まれていることはそのとおりでございます。これは、いわゆる指向性エネルギーとして幾つか研究されているものの中の一つでございます。ただ、SDI研究の現在の段階で申しますと、これはあくまでそういうレーザー技術の研究をしている段階でございまして、まずこれがSDIシステムの中で使われることになるのかどうか、それから使われることになりました場合に、具体的にどういう形のものになるのかというふうなことはまだわからないわけでございますので、まずそれを一つ前提にさせていただきたいと思います。  それからもう一つ、最後に御質問になりました、日本から仮に研究者なり技術者が日本の外へ出て何か核兵器の技術の研究に参加するというような場合どうかというお話でございますが、日本の場合には申すまでもなく非核三原則を堅持しておりますし、それから核不拡散条約にも加入しておりますので、日本自身核兵器技術というものは持っておらないわけでございますから、そういう分野を専門とする研究者が外国に出て外国と協力するということは、まずないことではないかというふうに私どもは考えております。  最後に非核三原則でございますけれども、私どもは、非核三原則と申しますのは、我が国がいわば主体的な意思に基づきまして我が国の領域の中で核兵器の存在を許さないという政策、国是というふうに考えておりますので、これが米国で何が行われているかという問題になりますと、これは若干別の問題ではないかというふうに考えております。
  222. 遠藤和良

    ○遠藤委員 我が国というのは、いわゆる地政学的な、日本国という自然条件の地理的な中だけに限るというふうな認識でございます。私は、領土と国民の両方にかかるのではないかと認識するわけでございます。したがいまして、例えば日本人がアメリカに参りまして核兵器の研究に携わる。民間人の場合はどうなのか、あるいはその方が国家公務員であった場合はどうなのか。ただ領土というふうに限定いたしますと、極端な話、日本の国立研究機関をアメリカにつくって、アメリカで核の研究をやるということは許されるのですか。
  223. 渡辺允

    渡辺説明員 非核三原則は、あくまで我が国として我が国の領域で核を持たず、つくらず、持ち込ませないということで、我が国の領域を核のない状態にするということでございますので、そういう意味では、外国で行われていることというのはやはり別の問題であろうかと思います。今先生最後におっしゃった具体的な事例が、そういうことが実際に起こり得るかどうかというふうなことは、ちょっと私ども判断いたしかねますけれども、非核三原則については基本的にそういうふうに考えております。
  224. 遠藤和良

    ○遠藤委員 実際行われるかどうか、私もわからないわけでございますけれども、仮定のことかもわかりませんが、法解釈上といいますか、そういうふうな解釈上は、日本以外の外国で核の研究を日本の研究所でできる、あるいは日本の国家公務員あるいは民間の方も十分に研究できる、このように外務省は理解しているわけでございますか。
  225. 渡辺允

    渡辺説明員 私ちょっと先生の御質問の趣旨を十分理解しておらないのかもしれませんが、一つには、先ほど申し上げましたように、我が国としては恐らく非核三原則の対象となりますような核兵器についての専門家という方はおられないのだろうと思いますので、そういう技術を我が国は持っておりませんので、それが外に出るということはそもそもどうもあり得ないことのように思うわけでございます。  それからもう一つ、非核三原則は、繰り返しになりますけれども我が国の領域内における核兵器の問題を対象といたしておりますので、先ほど先生の御質問の点は若干それとはまた別の問題として、それとして考えるべき問題かと存じます。
  226. 遠藤和良

    ○遠藤委員 例えば民間の企業の研究者がアメリカで核の研究を行う、これについては非核三原則の範囲外である、あるいは公人についてもしかりである、こういうふうなものなんでしょうかね。
  227. 渡辺允

    渡辺説明員 今の問題は、いわゆる従来から日本が国是としております非核三原則そのものの成り立ちから申しますと、私はそれとはどうも別の問題であって、別の問題として考えなければならないのではないかと思っております。
  228. 遠藤和良

    ○遠藤委員 別のいろいろな拘束はあると思いますが、非核三原則だけからいえば、非核三原則日本のこの領土だけに係るものである、こういう認識ですね。国民はその非核三原則の中にはおさまらないといいますか、自由である、こういうことですか。日本の国外において研究することについては自由であると。
  229. 渡辺允

    渡辺説明員 非核三原則ということから申しますれば、そういうことだと思います。
  230. 遠藤和良

    ○遠藤委員 別の問題になりますが、いわゆる宇宙の平和利用を決めました衆議院本会議の国会決議との関連についてでございます。  昭和四十四年五月に衆議院本会議で、我が国の宇宙の開発利用は平和目的に限るという決議を行っていることは長官も御承知のとおりでございます。この国会決議と今回のSDI参加というのは明らかに矛盾するのではないかと私は認識するわけでございます。たとえ民間の方が参加するにいたしましても、この国会決議に拘束されるはずでございまして、これに違反するのではないかと考えるわけでございます。SDIというものがたとえ今の非核三原則の網にはかからない非核の専守防衛兵器ということになっても、宇宙の兵器体系であることは間違いないわけでございまして、宇宙を平和目的ではなく、戦争目的のために使うということには何の疑問の余地もないような気がするわけでございます。  宇宙開発の直接の担当大臣といたしまして、長官はこの国会決議との関連をどのように認識をされておるのか、伺いたいと思います。
  231. 河野洋平

    河野国務大臣 過日の参議院予算委員会で御質問がございまして、私も御答弁申し上げましたが、総理大臣がその際、国会決議を尊重し、自主的かつ慎重に検討するという答弁をいたしております。三月十日だったと記憶いたしております。きょう現在も、その三月十日の状況と少しも変わっておりません。
  232. 遠藤和良

    ○遠藤委員 そうすると、長官も宇宙の開発利用は平和目的に限るという決議をしたときに議会人の一人として参加していると思うのですけれども、その信念は何ら変わらないということになりますと、長官御自身はこのSDIそのものは参加に反対であるということに帰納的になるのではないかと思うのでございますが、いかがですか。
  233. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますが、SDIについて一体どんなものであるかということを調査いたしておるわけでございますから、SDIの何たるかを十分に確認をし、あるいはヨーロッパの各国がどういう認識でどう対応をしているかなどについても、先生も新聞その他の情報でいろいろとお調べのことと思いますが、私ども情報をとって十分研究したいと思いますので、今の先生の断定はもうしばらく御勘弁をいただきたいと思います。
  234. 遠藤和良

    ○遠藤委員 先ほども若干申し上げましたけれども、やはり科学技術担当大臣といたしまして、総理が決める前と言ったらなんでございますが、みずからの判断を明確にすることが大事ではないか。こういう意味から申し上げまして、宇宙は平和目的に限るんだという国会決議を一番シビアに受けとめるべきが科学技術庁長官ではないかと私は感ずるわけでございます。SDI参加ということになると、今後限りない宇宙軍拡に加担をしていく危険性が十分にあるわけでございまして、総理が一方的に参加を決定するというのではなくて、総理の独走に科学技術庁長官として待ったをかけるというか、くぎを刺すべきではないか、こういうふうに認識をするわけでございます。  重ねてで恐縮でございますが、この国会決議を守るという立場での科学技術庁長官決意をお聞かせ願いたいと思います。
  235. 河野洋平

    河野国務大臣 総理大臣御自身が国会決議を守るとおっしゃっておられるわけでございますから、国会決議を守るという立場で歯どめをかけるということにはならないと思いますが、先生指摘のように、確かに科学技術庁という役所、その長官としての責任という点からいたしますれば、この手の問題についてある時期、ある場面で私なりの意見を申し上げることもあろうと思っております。
  236. 遠藤和良

    ○遠藤委員 SDIの問題はひとまず終わりまして、宇宙開発について若干お聞きしたいわけでございます。  先般スペースシャトル・チャレンジャーが爆発いたしまして大変残念でございましたが、米国の計画が当初考えられていたよりもかなり深刻な状態ではないかということで、この間の下院の科学技術委員会では、少なくとも一年間ぐらいはシャトルの打ち上げをしないというふうな話もあったようでございます。こうなりますと、日本にもシャトルを利用した宇宙開発計画がございますが、それも若干おくれるのではないかという懸念をするわけでございます。その辺はいかがでございますか。
  237. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 本年一月二十九日のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故につきましては、現在大統領の諮問委員会を中心に原因を究明中でございまして、これが百二十日以内に報告書を出すということでございますので、六月の初めまでに報告書が取りまとめられるというふうに考えております。  今後の具体的なスペースシャトルの打ち上げ計画でございますが、ただいま御指摘ございました下院でのグラハム長官代行の証言は、おくれについて半年、一年、一年半というようないろいろなケースを検討しているという現状を説明したということでございまして、一年おくれるということではないというふうに考えております。まだ我々の方は公式の通知を受けておるわけでございませんで、従来の計画については、アメリカとも一緒に従来どおり所要の準備を進めているというのが現状でございます。いずれにいたしましても、報告書が出た段階でそういった問題は具体的に検討されることになるかと思いますので、今後のアメリカの動向を慎重に見守っていきたいと考えております。ただ、スペースシャトルを利用したプロジェクトといたしましては、六十三年二月に予定しております第一次材料実験というものが一番関係してくるわけでございますが、それ以外に我が国で行っているロケットあるいは衛星の開発への今回の事故による直接の影響はないというふうに考えております。
  238. 遠藤和良

    ○遠藤委員 時間が参りましたので、最後に一問だけお尋ねいたしたいと思います。  いわゆる衛星保険のことでございますけれども事故が続きまして衛星保険が壊滅状態になっており、掛金が高騰しておりまして、ついに保険なしの打ち上げが行われている状態もかいま見るわけでございます。それともう一点、日本の通信衛星並びに放送衛星のユーザーの開発費負担が、通信衛星さくら二号では六〇%、さくら三号が七〇%、放送衛星ゆり二号が六〇%、ゆり三号が六五%というふうに負担が大きくなっておりまして、国の負担が激減しておるわけですね。保険金は高いし、開発費も高いということでユーザーが大変不安な状態に置かれているわけでございますけれども、特に保険について、ユーザーの不安を解消するために国による保証を行うとか、国の保証を含む制度というものを創設してはどうかということでございますが、どのように認識をされておりますか。
  239. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 衛星に対する保険金でございますけれども、昨年、一昨年、アメリカあるいは欧州におきまして九つの商業衛星の打ち上げ等の失敗がございまして、保険料率がここのところ急激に上がっておるということでございます。御指摘のようなことでございまして、私どもの「ゆり」の場合でも、二号aの場合は一一・五%でございましたが、二号bにつきましては三一・五%と、非常に急騰しておるわけでございます。三一・五%と申しましても、無事故の場合は払い戻しがございまして、実質二五%ということでございますが、非常に料率が上がっておることは事実でございます。ここのところやや保険市場も落ちついてまいりまして、料率等も少し下がりぎみにはなっておりますが、かなり高い料率でございます。  それで、民間の負担が大きくなるので少し国で考えたらどうかというお話でございますが、実利用とそれから技術開発というもの、通信衛星、放送衛星等につきましては両方の目的で衛星の製作をしておるわけでございまして、実利用の目的のウエートが高くなれば、それだけ利用者側の負担が大きくなるというような制度になっておるわけでございます。それに対して保険を掛けるわけでございますが、このようなユーザーの負担増につきましては、やはり実利用により利益を享受するユーザーが負担をするというのが原則だというふうに私ども考えておりまして、この点御理解をいただきたいというふうに思っております。
  240. 遠藤和良

    ○遠藤委員 質問時間が終わりましたので、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  241. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 山原健二郎君。
  242. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいまの質問とかなり同様の質問になりますが、いわゆる戦略防衛構想、SDIと国会決議の問題。河野長官、久しぶりに質問するわけですが、先ほど遠藤委員に対して、三月十日までの総理の予算委員会における答弁お話がありましたが、三月十二日の参議院の予算委員会、これは秦さんに対する答弁ですが、これは各紙に出ておりますから御承知だと思います。国会決議に違反するかどうかは、SDIへの政府の態度を決めてから内閣法制局などに勉強させます、こういうふうに述べておるのですね。これが大変問題になりまして、これは国会軽視ではないかということで、我が党の場合も松本国対委員長がけしからぬという談話を発表するという事態もあったわけで、もうほんのこの間のことなんです。  そういう意味で、科学技術庁長官、これはもう御承知のように宇宙開発の平和利用に責任を持つ最高の責任者でございますから、この中曽根首相の発言に対して、私はよもや同じお考えではなかろうと思いますけれども、この点について最初に長官の御見解を伺っておきたいのです。
  243. 河野洋平

    河野国務大臣 新聞等で報道されました総理の答弁ぶりにつきましては、当日たしか私も同席をしておったと思いますが、一連の流れの中で聞いておりましたときに、実は私はすうっと流れて耳に入ってきたのでございますが、新聞等で拝見をいたしますと、若干前後がわかりにくい前後になっているように感じます。しかし、私思いますのに、あくまでも総理の真意は国会決議を尊重するということが総理の真意であって、答弁ぶりの中のあの部分だけが少しわかりにくい感じがいたしますけれども、その前後何回か御答弁になっておりますことを私聞いておりまして、総理の真意は、国会決議を尊重していくということが総理の真意であろうというふうに理解をいたした次第でございます。
  244. 山原健二郎

    ○山原委員 私はその場所におりませんでしたから、もし政府がSDⅠへの態度決定をした後で国会決議に違反するかどうかを法制局などに勉強してもらうということになりますと、これはまさにこの部分だけ見れば国会軽視も甚だしいということになるわけです。もちろん長官としてはそれにくみされることはないと思うのですが、前後の関係はここでこれ以上申し上げてもあいまいになりますから、おきます。  この国会決議、すなわち宇宙の平和利用に限るという問題ですが、この決議からするならば、SDIへ参加するということはまさに相反するものであって、この間における整合性なんというものは存在しないくらい明白なものだと私は考えておるのですが、その点はいかがでしょうか。     〔平沼委員長代理退席、関委員長代理着席〕
  245. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来から御答弁申し上げておりますが、SDIへの参加云々について、いまだ政府は何の意思決定もいたしておりません。現在、SDIそのものがいかなるものかということを調査すべく、調査団の派遣を一次、二次といたしまして、今月末に第三次の調査団を出そうといたしているわけでございますから、きょうこの段階でSDIへの参加を前提にした御答弁を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  246. 山原健二郎

    ○山原委員 参加を前提ということになると、先ほどからいろいろやりとりがございましたが、じゃSDIが何であるかということについては、もう明白に軍事的なものである。もともと戦略防衛構想ですから、しかも核爆発がその中に存在するわけでございますから、これは軍事目的に使われるものであるということはもう明白なところだと私は思うのです。参加するしないはまだ未決定だとおっしゃるけれども、SDIが何たるものであるかということについては、少なくとも国会決議の面からいうならば、軍事的な側面を持っているということは否定できないと思うのですが、この点どういう御見解でしょうか。
  247. 河野洋平

    河野国務大臣 SDIにつきましていろいろな角度からの研究がなされておるわけでございまして、まだまだ確たる定義と申しましょうか、全貌が我々の手に入っているわけではございません。したがいまして、いろいろと論評をなさる方は論評をなさると思いますけれども、私どもの立場から今とやかく申し上げることは差し控えておいた方がいい、こう考えているわけでございます。
  248. 山原健二郎

    ○山原委員 SDIの性格について後からちょっと申し上げることにしまして、先ほど出ました昭和四十四年の第六十一回国会における決議の問題ですけれども、ちょっと振り返ってみますと、宇宙開発事業団においでいただいておりますが、宇宙開発事業団法が提出された段階で、当初政府案には平和目的に限るという規定がなかったのですね。それが問題になりまして、結局第一条に「平和の目的に限り、」という規定に各党一致して修正されました。これが四十四年の五月八日、科学技術振興対策特別委員会、当時は特別委員会であったわけですが、そこにおいて自民党も含めました修正提案の趣旨説明が行われておりまして、その趣旨説明では、「わが国における宇宙開発は、憲法の趣旨にのっとり、非核・非軍事を趣旨として平和の目的に限ることを明確にする必要があると認め、」「第一条に「平和の目的に限り、」を加えた」と明確になっている。これはもう長官おられたわけですから、御承知のことと思います。そしてこの趣旨というのは、事業団による宇宙開発にのみかかわるものでなく、我が国全体の宇宙開発利用に貫かれるべき原則であるということから、我が国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議が翌日の昭和四十四年五月九日に衆議院本会議でなされたわけです。  こういう経緯から見ましても、国会決議の「平和の目的に限り、」というのは非核、非軍事を旨とするということは明らかでございます。しかもこの点につきまして、当時の科学技術庁長官木内さんは国会答弁で明確にしております。ちょっと思い出す意味で読み上げてみますと、石川さんという委員がこういうふうに質問をしているのです。「それから平和利用  平和という文字は、世界的には「非侵略」という使い方が一つある。それから「非軍事」という考え方もあるわけです。しかし、日本の場合には、憲法といったてまえもあって、この平和という文字はあくまでも「非軍事」というようなものに理解されるのが常識になっておるわけです。したがって、この決議がもし上程をされるとすれば、そういう意味の非軍事であるというようなことが前提として確認をされなければならぬ、こう思っておるわけでございます。その点について、どうお考えになっておりますか。」という質問に対して、木内科学技術庁長官は、「いまの非軍事という御解釈、大体私はそのとおりだと思っております。」と答弁をいたしておるのでございます。  この経過から見まして、国会決議の重さ、さらにその内容、こうした一連の経過を見ますと、特に科学技術庁長官もこの点について触れられまして、平和とはすなわち非軍事だという答弁をされているわけですね。私は、この当時の木内長官の考え方そのものはずっと受け継がれて今日まで来ておると思うのでございます。この点については河野科学技術庁長官のお考えも変わりはないと思いますが、そのように理解をしてよろしいでしょうか。
  249. 河野洋平

    河野国務大臣 国会決議をそのとおり尊重をしてまいりたいと考えております。
  250. 山原健二郎

    ○山原委員 長官のお考えはわかりました。すなわち、国会決議の「平和の目的に限り、」という問題は非軍事の側面を持っております。そうしますと、SDIが攻撃的なものか防衛的なものか、あるいはそれが核兵器を無力化するものか否かは別として、SDIが軍事体系であることは自明のことであると考えるわけでございます。SDIの研究開発我が国が参加することはこの国会決議の禁止するところであり、決議に反することは明白であります。だから我が国はSDIに参加できないし、してはならないというのが今日における国会決議の精神であるということは明確だと思います。この点だけは長官もはっきり御認識を賜りたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  251. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、先生指摘の国会決議というものの「平和の目的」の解釈としますのは、非軍事ということで従来から御答弁申し上げておるということは十分よく承知しております。そういった問題も踏まえまして、現在慎重に本件については国会決議の問題等も含めまして検討中というのが実態でございまして、現在そういった問題について慎重に検討しておるということでございます。それ以上の問題につきまして、今お答えできる段階ではないということでございます。
  252. 山原健二郎

    ○山原委員 なぜ執拗にこういうことを質問しておるかといいますと、中曽根首相はSDIに理解を示し、その参加に前向きな姿勢を示していると一般的に見られておるわけですが、その理由として、基本的な認識が中曽根首相にあるわけですね。それはSDIは防衛的なものであり、核兵器を無力化するものだという理解の上に立っておられるわけでございまして、しばしばそういう御発言をしているわけですね。いわゆるSDIについて中曽根首相の基本認識は、防衛的かつ核兵器を無力化するものだ、だから理解できる。そして参加の方向に傾いていく情勢の中で、さて科学技術庁はどうするかという、ここのところが問われておりますから、このことをしつこくお聞きをしておるわけですね。  それで、例えば今までSDIについてどういうことが言われておるかという点でございますけれども、これはもう率直に言って明らかに非軍事ではないわけですね。例えば、これは周知のことでございますけれども、SDIの主力兵器とされるエックス線レーザー兵器は、核爆発をエネルギー源とする核兵器であるということですね。これは私が勝手に言っておるのではなくて、米国のランパーソン中将・空軍エネルギー兵器担当補佐官は、レーガン大統領がスターウォーズ演説を行った一九八三年三月二十三日に、きょうは三月二十五日ですからちょうど三年前でありますが、米上院軍事委員会でSDIシステムを第三世代の核兵器であると言い、したがって核兵器が関係するすべての制限に該当するだろうと証言をいたしておるのでございます。この言葉だけではなくて、核兵器体系であることは、これはどこから見ても明らかなところであって、この問題と我が国の非核三原則と重ねてみましたときに、明らかに非核三原則のじゅうりんであって、なおかつ原子力開発利用は平和の目的に限るという我が国の基本的立場にも反するというのがこのSDIの性格であるというふうに私は思います、客観的に見まして。  それからまた、中曽根首相が武器輸出三原則について、対アメリカについてはこの原則に風穴をあけたわけですね。しかも中曽根首相は、昨年の衆議院の予算委員会におきまして早々と、SDIについては対米武器技術供与の枠組みで対処することを表明しておられるのでございます。  こういうふうにして見ますと、このSDIが非軍事などと言えるものでは全くないとするならば、科学技術庁として宇宙開発は平和目的に限るというこの原則を守るためには相当の決意も要りますし、同時にそれだけの態度を今明確に決めておく必要があるのではないかというふうに切実に思うわけでございますが、あえてこのことについて伺っておきたいのです。
  253. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 繰り返しになりますが、SDIにつきましては現在政府部内において慎重に検討中ということでございまして、もとより国会決議につきましては、総理も答弁されておられますように、これを尊重していくということでございます。このようなことも踏まえまして政府部内においてSDIについて慎重に検討が行われているところでございまして、今後とも平和国家としての我が国の基本的な理念を踏まえて、慎重に検討していくことが必要であるというふうに私ども考えておるところでございます。
  254. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっともう一回お答えくださいよ。SDI、これは非軍事ですか、今の情報から見まして。しかも、出されているSDIは戦略防衛構想でしょう。戦略ですよ。これは平和じゃないのです。しかも、飛来してくるミサイルを宇宙において撃墜するという中身ですからね。先ほどもお話がありましたように、これは明らかに宇宙軍拡の際限ない拡大につながっていくことは明白なところでありまして、今日の段階でも非軍事などと言えるものではないじゃないですか。そのことを科学技術庁はどう認識しておられるか、あえてあなたにお聞きしたい。
  255. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 総理も繰り返しお答え申し上げておりますように、レーガン大統領から、SDI研究については非核防御の兵器であって、究極的には核の廃絶を目指すものであるという説明を受けておるということでございまして、私どももそういうふうに理解をしております。ただ、SDIという非常に大きな構想というものが具体的にどういうものであって、どんなことが中身になっておるかということにつきましては実態がよくわからないということでございまして、まず実態を把握するということで調査団を派遣して、実態把握に努めておるということでございます。従来考えられておるものとSDIというものは、かなり従来の兵器といったものとは異なるものでございまして、一体SDIの研究がどういうものであるかということについて検討いたしておるというのが実態でございます。
  256. 山原健二郎

    ○山原委員 首相その人が武器技術供与の項目の枠組みの中にSDIを入れているわけです。中曽根首相その人がもう武器技術供与でしょう。その枠組みの中で対処するということをおっしゃっているように、明らかに軍事なんですね。  これ以上きょうは時間がありませんから申し上げないとしても、もし仮に、今度第三次の調査団を派遣されて、科学技術庁は入っておられるわけですが、帰ってこられて、これは全く非軍事のものでございますということでなくて、これは軍事的側面を持っておりますということになったら、科学技術庁としては、これはお断りしますときっぱりと言える状態でございましょうか。
  257. 内田勇夫

    ○内田(勇)政府委員 武器であるかないかということにつきましては、従来の武器技術供与の中における武器の定義とかいろいろな問題もございまして、そういった面も踏まえまして検討することが必要であろうというふうに考えております。
  258. 山原健二郎

    ○山原委員 アメリカにおきましても、御承知のようにアメリカの物理学会は三万七千人おりますが、無作為抽出で五百四十九人にアンケートしておりますが、SDIは米国民を守る有効な手段かどうかという質問に対して、三分の二が疑問を提起して、有効であるという答えをした人は一六%ですね。SDIを実用化してもさらにソ連がSDIを無効にする能力があるかという質問に対して、あると答えた者八三%、ないと答えた者一一%。これはアメリカの物理学会においても、むしろ物理学会はアメリカではSDI推進の側に立つ学者の方が多いわけで、国防総省から相当の経費が出て軍事研究をなさっているわけですけれども、その中でもその傘下の学者がこういう状態であります。  また、アメリカの重要人物あるいは団体が疑問を投げかけている例を見れば、例えばアメリカの議会の技術評価局、すなわちOTA、これは八四年四月二十四日に報告書を出しておりますが、公然と疑問を提起しております。あるいはまたシュレジンジャー元国防長官、ブラウン元国防長官、マクナマラ元国防長官、これらの人たちも疑問を提起していることは御承知のとおりであります。これはきょうはこれ以上申し上げません。  最後に、こういう状態の中で、私は河野長官に本当にある意味で頑張っていただきたいという気持ちも持っておりますから、率直にいろいろ申し上げている。それからまた、長官が所属されておる新自由クラブの昭和六十一年度の活動方針を見せていただきましても、非核三原則や武器輸出三原則など防衛の基本原則を堅持することを決めておりますし、そういう意味で、所属されておる政党といたしましてもそういう点ではきちっとした態度をとっておられるわけですね。  それからまた、この間国会におきましても長官お答えになっておられますから、その点をちょっと議事録を見せていただいたのですが、私の党の参議院議員の佐藤議員の質問に対して、これは一月二十三日ですが、もう読み上げる必要はないと思いますけれども、「我が国は、申し上げるまでもなく唯一の被爆国としてこの問題に対しては核保有国とはまた別の立場から核廃絶のために全力を挙げるべきものだ、こうかねてから私は考えております。新自由クラブを立党いたしましてからも党是として核廃絶に取り組むという主張を一貫してきたところでございます。御質問にございましたように、一人の政治家として世界の平和、核廃絶、こうした問題には懸命に取り組んでまいりたいことお答えになっているわけであります。私はこのお答えに対して敬意を表明いたしたいと思います。  同時に、この立場から、せっかく科学技術庁長官、しかも国会の決議は平和利用に限るということを明確にしておりますから、この意味ではSDIに対してはどこから考えてもこれに参加をするなどという情勢は出てこないという判断を私自身はいたしております。私は、研究に行かれること、研究されること自体にも問題を感じているのです。それは、国際的な観点から見まして、今日の状態の中で西ドイツやイギリス、フランスは参加を決められたかもしれませんけれども、今読み上げたところに書かれておりますように、唯一の被爆国の政府機関、しかも科学技術庁長官としては、やはりこの点では毅然たる態度をぜひとも貫いていただきたいということを心から申し上げたいと思いますが、その点よろしいでしょうか。
  259. 河野洋平

    河野国務大臣 核廃絶に対する私の願いは、かねてから最も強く私の政治活動の中であるわけでございます。と同時に、現在は科学技術庁という役所を預かる人間として、日本の科学技術の振興という側面もまた考えていかなければなりません。しかし、いずれにいたしましても、私は今申し上げた二つのことは決して矛盾をするものではないというふうにも思っておりまして、山原議員からいろいろと御指摘をいただきました点なども十分に考えまして、日本の将来のために誤りのない判断をするべく努力をいたしたいと思います。
  260. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に一問、今の問題に関連しまして、防衛庁に出ていただいておりますので一言だけお伺いしますが、日本経済新聞の三月二十三日の記事に「自衛隊指揮通信網 三菱系の通信衛星利用」というのが出ておりまして、内容は時間の関係で読みませんけれども、「日本海側にも回線」ということで、防衛庁は、改革案として十年計画、事業費七百億円でこの問題を実施しようとしておると書かれておりますが、これは事実でしょうか。
  261. 坂野興

    ○坂野説明員 お答えします。  現在自衛隊の通信網の骨幹をなすものといたしましては、日本列島を横断するいわゆる防衛マイクロ回線がございまして、自衛隊の主要な通信はこれにより行われておりますが、この骨幹通信回線につきましては、通信の伝送容量あるいは障害が生じた場合の対応、こういった面で改善すべき点もございまして、根本的な見直しによる能力向上のための近代化が必要であると考えております。このため、目下新しい骨幹通信網の整備計画の策定作業を行っているところでございまして、この中では、自衛隊の通信に必要な抗堪性と柔軟性をあわせ持った、効率かつ柔軟な運用を行い得るようにするため、通信のディジタル化を図るとともに、地上マイクロ回線の複ルート化、通信衛星の利用、電子交換システムの導入等を行いたいと考えております。
  262. 山原健二郎

    ○山原委員 それが国会の決議における宇宙における平和利用に限る問題と抵触するかしないか、何か解釈を持っておられますか。
  263. 坂野興

    ○坂野説明員 お答えいたします。  通信衛星につきましては、既に民間においてもいろいろな分野で広く一般的に利用されておりまして、防衛庁としても、このような民間における通信衛星を利用した通信の進歩に対応いたしまして、自衛隊の通信に必要な多様な通信手段を確保し、迅速確実な通信を実施できるようにするため、国会決議の趣旨を踏まえながら通信衛星の利用を進めてまいりたいと考えているところでございます。  国会決議の有権解釈につきましては、もとより国会でなされるものでございますが、政府といたしましては、宇宙の開発利用に関する国会決議の趣旨につきましては、その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星の利用につきましては、防衛庁にもお認めいただけるものではないかというふうに考えているところでございますので、よろしく御理解をいただきたいというふうに考えております。
  264. 山原健二郎

    ○山原委員 今の見解には意見がありますけれども、時間の関係でこれで終わります。
  265. 関晴正

    関委員長代理 次回は、来る二十七日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会