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永井委員 国鉄労働組合との間に十四回
団体交渉をやられている。形式的には交渉を持たれているのですよ。私その議事録を全部見ました。肝心の問題になると、それは管理
運営事項、こう逃げてしまうのですよ。これでは合意にならないのです。労働組合の幹部も私呼んで聞きました。決してすべて反対すると言っているのではない、合意してからやってくれ、こう言っているんだ、それだけの話だ、こう言うわけですよ。なぜそのための
経営者としての
努力ができないのか。
冒頭に言ったように、他の
企業は六十歳まで
雇用が
保障される。
法律でもそうなっている。しかしそれと全く逆に、それ以下の
年齢でやめてもらおうというわけだから、必要以上に合意を求める
努力が
当局側にあって当たり前でしょう。そこのところが問題なんです。形式的な
団体交渉を何ぼやってもだめなんです。何としてでも
労働者に納得してもらおうという姿勢が欠けているところが問題なんですよ。
運輸大臣、そこのところはしっかりしてください。
時間がなくなって残念だけれ
ども、ついでにもう
一つ言います。
今
国会に、
雇用政策に関する条約というILOの百二十二号条約が批准のために提出されています。この中にどういうことが書いてあるか。時間が惜しいけれ
ども、これもちょっと紹介しておきましょう。
各加盟国は、経済の成長及び発展を刺激し、
生活水準を向上し、労働力需要を満たし、かつ、
失業及び不完全就業を克服するため、自由に選択された生産的な完全
雇用を
促進する積極的な
政策を主要目的として宣言し、かつ、追求するものとする。これが第一条なんです。
第三条はどう書いてあるか。ここが大事なところですから、よく聞いてくださいよ。
この条約の適用に当たっては、執られる
措置により影響される者の代表者、特に、
使用者及び
労働者の代表者に対しては、
雇用政策に関して、これらの者の経験及び見解を十分考慮に入れ、立案に当たってこれらの者の全面的な協力を確保し、及び当該
政策に対する支持を得るため、協議するものとする。
これが第三条なんです。立案の
段階から労働組合に対しても全面的な協力を確保するようにしなさいよ、意見を聞いてやりなさいよ、こうなっているわけです。今の
国鉄当局、というよりも
政府であろうと思うのでありますが、この
余剰人員対策、
希望退職政策というものは、立案の
段階であらかじめそういうことがとられておりますか。
片方でこういうILO条約の批准をこの
国会に出しているわけです。この条約の批准を
国会に求めておきながら、この条約の中身に反するようなことが片方で堂々と
政府の
政策としてやられておるところに、
国鉄の問題の一番深刻なところがあるのですよ。だから、どのように言ってみたって
政府自体が――もちろんこのILO百二十二号条約の
国会批准を求める手続は、お二人とも閣僚として閣議で署名されているわけだ。片方でこういうものを出す。
労働大臣ではないけれ
ども、六十歳
定年制の
努力義務を付した
法律案を提案し、それも私
どもは協力してこの
国会でもう既に成立しているわけだ。繰り返して悪いけれ
ども、
国鉄はそれ以下の
年齢で無理やりやめさせようという逆の
政策をとっているわけだ。こんなてんでんばらばらな
政策が
政府にあっていいのですか。私は、
監督官庁としての、
政策立案の
責任者である
運輸大臣、あるいはそういう労働問題を指導していく
立場にある
労働大臣、このお二人にあえてそのことについて聞いているのです。
総裁に対して恐縮ですが、
総裁だって
総裁の意思だけで動けるはずがないと私は思っているわけです、今の仕組みでは。
政府が態度を変えたら
総裁の態度だって変わるのだ。そこのところをお二人に私は聞いているのです。
一方的にしゃべって悪いけれ
ども、もう
一つついでのことを言っておきましょう。
よく比較されることだけれ
ども、二十数年前にいわゆる石炭の
合理化がありました。このときには、
政府の派遣した有沢
調査団の
調査結果の報告が出るまでは、
企業の側が――
民間ですよ、
民間の
企業の側が組合側に提起してきた
合理化は、その実施をストップしたのですよ。そしてその
調査結果に基づいて労働側の代表も入った石炭審議会で検討し、その答申を受けて初めて実行に入っているわけです、
民間の
企業においても。たとえ石炭が国のエネルギー
政策に重要なかかわりを持っておったとしても、
国鉄ももろに由が
責任を持たなくてはいけない公共
企業でありますから、それだけにより慎重に事を進めてもらいたい。
なぜそんなに急ぐのか。狭い
日本そんなに急いでどこへ行くじゃありませんけれ
ども、なぜそんなに急ぐのか。労働側にもっと合意を求めて、お互いに積極的な合意の上でこの問題の処理が図られるように、これがたとえ六十一年度の緊急
措置法であっても――この中身についてはだんだん触れる時間がなくなってまいりましたが、問題点はたくさんあるのです。これは
運輸委員会のメンバーの皆さんにもこれから審議していただくわけでありますから、あえて私は労働問題だけに、あとはぶった切ってそこだけにとどめたいと思いますけれ
ども、
国有鉄道である以上、より慎重な態度がとられてしかるべきではないのか。なぜ六十一年度に二万人という大量の
希望退職を何が何でもやろうとしなくてはいけないのか。ILO条約との
関連は一体どうなっているのか。
政府の姿勢に一貫性がない。近代国家として
労働者を大切にするという視点に欠けている。
この点について、
労働大臣と
運輸大臣から
一言ずつ答えてください。