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服部政府委員 先生御承知のように、ただいま御
指摘の償却準備金制度でございますが、これは
都市交通対策の一環としまして
鉄道施設の緊急
整備を
促進するという今回の準備金制度とかなり似通った趣旨のもとに
昭和四十二年六月に実施されたものでございまして、その後、今日まで
大都市圏における民鉄の輸送力の増強に一定の成果を上げてきたことはそのとおりでございます。
ただ、この準備金制度につきましては、
昭和五十一年度以降の租税特別
措置法の整理縮減に伴いまして、漸次積立率の引き下げあるいは取り崩し期間の短縮といったような
格好で制度
内容が縮減されてまいりまして、それに伴いまして、次第にこれを利用する実効性も薄れてまいりまして、最近におきましては、これを利用する
鉄道事業者の数も大きく減少傾向にあったところでございます。
ところで、この償却準備金制度でございますが、これは減価償却
負担の平準化を図るということをまず第一義の目的とするものでございまして、あわせて工事期間中の税
負担の軽減を図るという趣旨のものでございますが、この償却準備金制度におきます積み立てというのは、
現実に工事への支出がなされた後に、その支出額の十分の一を準備金として計上するという会計処理上の
措置にしかすぎないというものでございまして、例えば工事の本格的な
促進にどうしても必要とされる工事資金の調達を容易にするとか、その工事資金にかかわる金利の
負担を大きく軽減するといったような効果は、この制度にはなかったものでございます。
また、この償却準備金制度は、いわゆる任意性の積立金でございますことから、本制度によります積立額なり取り崩し額なりというものと、今御提案を申し上げておる制度とは違いまして、これを運賃と連動させることができないといったような性格のものでございまして、その効果発現にはやはりかなり限界があったわけでございます。それで私
ども現在のような
大都市圏における大規模改良工事を大きく
促進する必要があるという認識のもとに、今のこの償却準備金制度を基礎にいたしまして、これを
発展的に解消しまして、今当面最も必要であると
考えられます複々線化等の大規模改良工事を大幅に
促進するために、より有効なより実効性の高い特定
都市鉄道整備準備金制度というものを創設することとしたものでございまして、簡単に言えば、これへの
発展的な解消を図ったということに尽きるわけでございます。