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1986-03-25 第104回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十五日(火曜日)     午前十時五十一分開議 出席委員   委員長 山下 徳夫君    理事 小里 貞利君 理事 鹿野 道彦君    理事 久間 章生君 理事 津島 雄二君    理事 吉原 米治君 理事 西中  清君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    柿澤 弘治君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       堀内 光雄君    増岡 博之君      三ッ林弥太郎君    山村新治郎君       若林 正俊君    小林 恒人君       左近 正男君    関山 信之君       富塚 三夫君    石田幸四郎君       中村正雄君     梅田  勝君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         運輸省地域交通         局長      服部 経治君  委員外出席者         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   内田 隆滋君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   松本 善明君     梅田  勝君     ――――――――――――― 三月二十五日  海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一  部を改正する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第七九号)(予) 同月七日  国鉄分割民営化反対民主的再建に保関する  請願田中美智子紹介)(第一一五二号)  国鉄分割反対等に関する請願津川武一君紹  介)(第一一五三号)  国鉄分割民営化反対等に関する請願梅田  勝君紹介)(第一一五四号)  同(浦井洋紹介)(第一一五五号)  同(小沢和秋紹介)(第一一五六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一一五七号)  同(経塚幸夫紹介)(第一一五八号)  同(工藤晃紹介)(第一一五九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一六〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第一一六一号)  同(瀬崎博義紹介)(第一一六二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一一六三三号)  同(辻第一君紹介)(第一一六四号)  同(中川利三郎紹介)(第一一六五号)  同(中島武敏紹介)(第一一六六号)  同(中林佳子紹介)(第一一六七号)  同(野間友一紹介)(第一一六八号)  同(林百郎君紹介)(第一一六九号)  同(東中光雄紹介)(第一一七〇号)  同(不破哲三紹介)(第一一七一号)  同(藤木洋子紹介)(第一一七二号)  同(藤田スミ紹介)(第一一七三号)  同(正森成二君紹介)(第一一七四号)  同(松本善明紹介)(第一一七五号)  同(三浦久紹介)(第一一七六号)  同(簑輪幸代紹介)(第一一七七号)  同(山原健二郎紹介)(第一一七八号) 同月十三日  国鉄分割反対等に関する請願田中美智子君紹  介)(第一二七三号) 同月十八日  公共交通充実等に関する請願梅田勝紹介  )(第一四八〇号)  国鉄分割民営化反対維持発展に関する請  願(上野建一紹介)(第一四八一号)  国鉄分割民営化ローカル線廃止反対等に  関する請願経塚幸夫紹介)(第一四八二号  )  同(東中光雄紹介)(第一四八三号)  同(藤田スミ紹介)(第一四八四号)  同(正森成二君紹介)(第一四八五号)  国鉄分割民営化反対再建に関する請願(田  中克彦紹介)(第一四八六号)  同(中島武敏紹介)(第一四八七号)  国鉄全国ネットワーク存続等に関する請願  (田中克彦紹介)(第一四八八号)  国鉄分割反対等に関する請願横江金夫紹介  )(第一四八九号)  同(網岡雄紹介)(第一五六一号)  国鉄分割民営化反対等に関する請願上野  建一紹介)(第一五六〇号) 同月二十日  国鉄分割民営化反対等に関する請願(林百  郎君紹介)(第一六四八号)  公共交通充実等に関する請願津川武一君紹  介)(第一六四九号)  同(辻第一君紹介)(第一六五〇号)  同(林百郎君紹介)(第一六五一号)  同(藤木洋子紹介)(第一六五二号)  同(三浦久紹介)(第一六五三号)  同(伊藤忠治紹介)(第一七五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十四日  国鉄改革促進に関する陳情書外十四件  (第九六号)  国鉄分割民営化反対等に関する陳情書外六  件  (第九七号)  国鉄在来線電化促進に関する陳情書  (  第九八号)  港湾整備事業推進に関する陳情書外二件  (第九九号)  九州新幹線早期着工に関する陳情書外一件  (第一〇〇号)  国鉄第二常磐線早期実現に関する陳情書  (第一〇一号)  奥羽本線の完全複線化促進に関する陳情書  (第一〇二号)  青函連絡船存続運航に関する陳情書  (第一〇三号)  鹿児島県における現行貨物輸送体制存続に関  する陳情書(  第一〇四号)  国鉄地方交通線維持存続に関する陳情書外十  一件(第  一〇五号)  地方バス路線維持整備に関する陳情書  (第一〇六号)  航空機の安全確保に関する陳情書外二件  (第一〇七号)  関西国際空港の早期着工に関する陳情書外一件  (第一〇八号)  名古屋空港整備促進等に関する陳情書  (第一〇九号)  コミューター航空推進に関する陳情書  (第一一〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定都市鉄道整備促進特別措置法案内閣提出  第三九号)      ――――◇―――――
  2. 山下徳夫

    山下委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定都市鉄道整備促進特別措置法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、日本鉄道建設公団総裁内田隆滋君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下徳夫

    山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 山下徳夫

    山下委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤弘治君。
  5. 柿澤弘治

    柿澤委員 特定都市鉄道整備促進特別措置法案に関連いたしまして、大都市鉄道交通網整備についての運輸省並びに関係当局考え方を伺いたいと思います。  後ほど大臣がおいでになるということですので、そのときにも改めてお伺いいたしますが、大都市における鉄道網整備考え方は、欧米の諸国と比べて日本考え方には若干の問題があると私は従来から思っています。例えばニューヨークやロンドンの地下鉄ネットワークというのを考えてみますと、これは面的な整備ということで行われている。そういう意味でいえば、放射状路線環状線とが有機的に組み合わされて、大都市圏における非常にバランスのとれた交通網整備というのが行われているわけですが、戦後の日本地下鉄網整備考えますと、これは郊外都心をつなぐ放射状交通網整備に重点が置かれ過ぎていて、環状線その他面的なネットワークという考え方が非常に足らない。そのために地下鉄本当意味で都民の足になっていない、大都市住民の足になっていないという欠陥があるように思います。  そういう意味で、この際、この大都市圏における鉄道網整備考え方を、きちっと哲学を確立していただいて、もっと面的な本当意味ネットワークと言えるような整備をしていただきたいと思いますが、その辺について運輸省考え方をお伺いしたいと思います。
  6. 服部経治

    服部政府委員 大変厳しい御指摘でございますが、私ども考え方を御説明させていただきたいと思います。  もう先生も御承知のように、大都市圏鉄道網は、その都市発展の形と不即不離の関係形成整備が進められてきておるものというふうに私承知しておりますが、これまでの例えば東京圏についての鉄道網整備状況を見ますと、かつての東京都の発展状況からして、どうしても一点集中型の都市形成が図られてきたことの対応で、放射状線鉄道路線中心鉄道網整備されてきた経緯があろうかと思います。  現に、そういった整備東京圏における人口スプロール化促進している面があることは否定できないところでございますが、現実旅客流動の発生は、どうしてもそういった既成の事実の上に、それに即して増大していく意味合いが強うございました。現在におきましても、郊外の居住拙と都心業務地域を結ぶ方向に大量の旅客流動が発生しているという現状がございます。  したがって、私どもといたしましては、そういった放射状路線につきましても、今後に向けてなお一層の整備促進を図ってまいりたいと思っておりますけれども、一方、ただいま先生指摘のように、確かに東京都の今後の発展方向というものを考えますと、どうしても多核化と申しますか、業務地分散化の傾向が強まってまいることは必至であると思っておりますし、そういう意味でも、そういった放射状線形成されている既存の鉄道網を横に連係するような格好での環状線的な鉄道整備でございますとか、あるいは都心部におけるより密な鉄道網整備でありますとか、そういう方向での鉄道網形成促進する必要性というものがさらに大きくなってきていると私ども認識しておるところでございます。  今後に向けましては、運政審答申ども踏まえながら、そういう方向での鉄道整備を一層図ってまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  7. 柿澤弘治

    柿澤委員 今、局長からお話のあったように、東京圏なら東京圏における人口の増加の動向、そうしたものに対して追随的にといいますか、需要追随的に鉄道網整備を図ってきたという現実はわからないわけではないのですが、それが需要の追随であると同時に、またさらにそれが都市スプロール化といいますか外延的な発展、そして内部における空洞化というものを促進する要因になってきた。そういう意味では、ある意味の鶏と卵のような悪循環が繰り返されてきたような気がするわけです。  そういう点でも、今新しい都市時代、そして都市の再開発というのが大きな課題になってきており、これが民活とも絡んで、これからの内需振興の柱になろう、こういう時代になってきているわけですから、ぜひこの際、思い切って面的な鉄道網整備に今まで以上に力点を置いていただきたい。その意味では、先行的な投資といいますか、先行的な整備という考え方を入れていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  8. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘はまことにごもっともなものでございまして、私どもただいまの先生の御指摘方向を踏まえまして、今後の鉄道整備に当たってまいりたいというふうに考えます。
  9. 柿澤弘治

    柿澤委員 そういう意味でいいますと、従来型の地下鉄というものだけで面的な整備が図れるのだろうかという疑問が出てくるわけです。建設費がかさんでくる、しかも需要としては放射線のような大きなものが見込めないということになりますと、そこで一工夫あっていいんじゃないだろうか。そういう点では、新都市交通システムについての技術的な開発も必要だろうと思いますし、また、それの現実的な導入について一層前向きに取り組んでいただかなければいけない。その点では、ミニ地下鉄とかリニアモーターカーであるとか、それからコンピューターコントロールの新交通システムというようなものについて、これも地下鉄並みのある意味では助成措置といいますか、そうした対象にのせていくということで認知をしていく必要があるのじゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  10. 服部経治

    服部政府委員 例えば環状方向鉄道路線整備といったことを考えます場合に、確かに環状方向ルート整備必要性は今後に向けてますます高まっていくことは必至でございますが、放射線状の方向での旅客流動に比べますと、ややそれを下回るような実態が容易に想定できるわけでございます。今までの空隙、空間を埋めるような形での今後の鉄道網整備につきましては、そこに想定される旅客流動量想定を根っこにいたしまして、そういった需要に適切に見合った新しい形の鉄道というものを整備することが最も有効であり、現案的な対応ではないかと私ども考えておるところでございます。また、そのことが新しい鉄道整備する場合の建設費を大幅に低減化する働きも持つわけでございまして、今後はそういう方向での対応にぜひとも心がけてまいりたいと考えております。そのための具体的な手段というのは、地下鉄ミニ化であり、リニアモーター化であり、新交通システム導入ということでございますので、これらの問題につきまして、今後とも具体的な検討を深めてまいりたい考えでございます。
  11. 柿澤弘治

    柿澤委員 昨年、運政審都市交通部会ですか、新しい路線についての考え方等議論されたわけですが、そうした技術的な問題、都市鉄道網多様化の問題というのは、その中で取り上げられ、議論されているのでしょうか。
  12. 服部経治

    服部政府委員 五十七年九月から昨年七月までかかりました運政審検討の場でも、御指摘の問題は取り上げられ、議論されてまいりました経緯がございます。そういう議論を踏まえまして、例えば舎人新線でありますとか、そういうものにつきましては、新交通システム導入すべきであるという御指摘にもなっておるわけでございます。  また、地下鉄ミニ化でありますとか、それに加えてリニアモーター駆動方式を採用するといった問題につきましては、運政審の場での検討経緯も踏まえまして、関係民間団体等ともよく御相談しながら、現在具体的な研究開発を急いでいる段階でございます。
  13. 柿澤弘治

    柿澤委員 今ちょうど尾久舎人新線の話が出ましたので、その点について若干伺いたいと思います。  都電を撤廃、撤去された後の交通過疎地というものが各地にできているわけですが、特に私ども地元下町地帯東京東部では、地下鉄整備がおくれているという点もあって、新交通システムに対するいろいろな需要が多いわけですね。その一つが今の荒川区尾久から足立舎人に至る尾久舎人新線要望になって出てきているわけです。これは昨年の運政審でも取り上げられたということですが、新交通システム導入ということで御意見をいただいているわけですけれども具体化するめどは今後どう見ていらっしゃいますか。
  14. 服部経治

    服部政府委員 舎人新線につきましては、昨年の運政審答申の中で具体的に日暮里−舎人間に新交通システム整備すべきであるということになっておりまして、私ども、この答申内容は真剣に受けとめて、今後具体的な対応を図ってまいりたい考えでございますが、それにつきましても、まず地元足立区等と具体的にいろいろと御相談を積み重ねていく必要があると考えておるところでございます。
  15. 柿澤弘治

    柿澤委員 具体的に御相談というとどういうことでしょうか。我々としては、こういう形で地元が何か協力態勢をとれば、それについて運輸省として考えるということであれば、説得して実現に向けて努力をしていきたいと思いますが……。
  16. 服部経治

    服部政府委員 こういった新交通システムを具体的に整備するといった場合にまず必要なことは、いかなる事業主体によってこれに対応するかということでございまして、まずその点を詰める必要がございます。あわせて資金調達の問題も議論していく必要がございます。この二つの点が議論中心になるわけでございますが、私ども既に地元足立区との間にその勉強のための協議会をつくっておりまして、そういった場を通じまして、今後に向けてなお一層議論を深めてまいりたいと思っております。
  17. 柿澤弘治

    柿澤委員 これからの新交通システム一般論になると思うのでお伺いしたいのですけれども、その場合の建設費の地方自治体と国との負担割合とか経営主体負担あり方、これは地下鉄並み考えてよろしいわけですか。
  18. 服部経治

    服部政府委員 新交通システムを採用する場合の事業の進め方でございますが、例えば新交通システムが道路上に整備されるといったようなケースにおきましては、これにつきましては、建設省サイドからのかなり手厚い助成がなされるわけでございまして、その助成率は、実質ベースで申しまして、現在の地下鉄建設補助とほぼイコール、そういう格好助成がなされることになっております。
  19. 柿澤弘治

    柿澤委員 建設費を節約することは結構だと思うのですけれども、同時に、従来の地下鉄並みといいますか、都市鉄道整備助成あり方と同等のものがないと、採算性が悪いわけですからできないと思いますので、その辺については十分に配慮していただいて、今後、机上のプランということで終わらないで、一日も早く実現するように御検討いただきたい、これをお願いいたしておきます。  もう少し環状線の問題に触れたいわけですけれども地下鉄の八号線、これは五十七年一月に既に免許申請が出てもう四年たっているわけですが、その後まだ免許がおりていないということで、地元ではこのまま塩漬けになってしまうのじゃないか。いわば純粋な環状線ではありませんけれども江東区へ入って北上する北上線については、やや環状的な性格があって需要想定がなかなか立ちにくいという点はわかるのですけれども、これは長年の課題なのですね。七号線については工事が始まるわけでございますので、順番からいっても七の次は八だということで待っているわけですが、そこのところを、突然十一とかなんとかいうのじゃなくて、今度八に来るのでしょうね。
  20. 服部経治

    服部政府委員 ただいまお尋ね地下鉄八号線でございますが、その早期実現につきましては、地元関係者がこれを強く期待していることは私どももよく承知しております。また、この八号線につきましては、四十七年の都市交通審議会答申にもございましたし、さらに昨年の運政審の第七号答申でもその早期建設が確認されているところでございます。  私どもその方向で努力すべきはもとよりでございますが、ただ一点申し上げておきたいと思いますのは、今回の運政審号答申の中におきまして、現在の八号線のルートと新しく提言されました地下鉄十一号線は、住吉四つ木の間で線を共用するというような格好での内容になっておりますことから、十一号線の整備の問題と八号線の整備の問題は、これを合わせるような格好検討しなければならないという要素も出てまいりましたので、いましばらく時間をおかし願いたいというふうに考えております。
  21. 柿澤弘治

    柿澤委員 そこで心配なんですね。十一号線で代置をしよう、八号線はもうすっ飛ばしちゃおう、こういう考え方があるんじゃないかという懸念地元にはあるわけですけれども、これはあくまで共用であり、八号線の免許申請は依然として生きている、こういうふうに考えていいわけですか。
  22. 服部経治

    服部政府委員 そのとおりでございます。
  23. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうなりますと、今の八号線、十一号線の共用ということが問題になるわけですが、従来の地下鉄において共用路線というのはあるんでしょうか。
  24. 服部経治

    服部政府委員 これまではそういった例はございませんが。今後に向けては、例えば営団七号線と都営六号線が清正公前から目黒駅までの間の線路を共用するといったような形も想定されますし、投資効率化を図る上から、そういう事態がふえてくるのではないかというふうに考えております。
  25. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、そこのところは八、十一、それぞれ生きている、しかも共用は技術的にも可能である、そしてこの問題、そこまで明確にされたのであれば、そういう方向でぜひ両線とも推進をしていただきたいと思うわけです。  その場合、疑問が一つ残りますのは、十一号線の、七号答申ですけれども、従来深川扇橋から砂町方面へ、それから千葉へ延びることが一応想定されていた、それぞれ期待されていたわけです。地元もそういう要望を持っていた。これを北上へ変換した理由というのは何か、この辺について伺いたいということ。  あわせて伺いますけれども扇橋という地名が今まで地図上にあったのが、今度は住吉ということに変更されているということで、扇橋地区住民の皆さんにとっては、扇橋をバイパスして住吉へつながるんじゃないか、こういう誤解といいますか、懸念を非常に呼んでいるわけですけれども、その辺についての路線計画上の変更というのがあったのでしょうか、ないのでしょうか、
  26. 服部経治

    服部政府委員 まず、第一点のお尋ねでございますが、十一号線につきましては、その千葉方面への延伸につきまして、地元江東区などから要望があったことは御指摘のとおりでありまして、これにつきまして、昨年の答申まで運政審の場において詳細な検討審議がなされたわけでございますが、最終的に千葉方面への延伸ではなくて、松戸方面への延伸という格好答申内容がまとまりました経緯について申し上げてみたいと思います。  その理由は、まず一つには、この十一号線を千葉方面延伸するといいましても、既に千葉方面から都心方向に向けましては、総武線、東西線それから京成線、さらには現在建設中の京葉線などがございますために、十一号線を千葉方面延伸いたしましても、その延伸に値するような十分な需要が期待できないのではないかということが考えられたのが一つであります。  それから二つ目には、この十一号線を住吉で八号線の北上ルートと接続させまして、十一号線と八号線を住吉から四つ木までの間約七キロメートルを共用する形で運用することによりまして、いささか需要面で問題があるように考えられております八号線の北上ルート活性化といいますか、具体化に資することができるのではないかという議論がなされたということ。  それから、三つ目理由でございますが、これは常磐新線整備に絡む事情でございまして、昭和七十五年までに常磐新線が計画どおり整備されたといたしましても、この常磐新線整備するだけでは、現在の常磐線混雑率はそれほど際立って大きくは低減いたしませんで、さらに松戸周辺から都心に向けての利用客を十一号線を利用して都心に流すことによりまして、現常磐線混雑緩和を大きく図り得るというふうな判断があったものでございまして、そういうような事情から十一号線の千葉方面への延伸は見送られまして、これを松戸方面延伸すべきであるという形になったわけでございます。  お尋ねの第二点目、深川扇橋経由地点から消えたではないかという問題でございますが、これは単純に表記技術上の問題でございまして、こうした運政審答申路線経由地につきましては、ほかの鉄道と接続する地点など、特に主要な経由地点を示すのが慣例になっております。以前、昭和四十七年の都交番答申の際には、深川扇橋が十一号線の最終到着地点でありましたために、深川扇橋の名前が表記されておったわけでございますが、今度はそれが十一号線の延伸に伴いまして、単純な経由地となりましたために、表記上は住吉という地点表記することになりまして、深川扇橋という地名が落ちたものでございまして、実際のルートにつきましては、何ら変更は行われておりませんので、当然、深川扇橋を経由する形で十一号線は整備されていくことになります。
  27. 柿澤弘治

    柿澤委員 この法案審議に関連して都市交通の問題を質問させていただいているのですが、もう一つつけ加えておきたいと思いますのは、十二号線の問題、これも環状線ですね。ですから、さっき冒頭に申しました都市鉄道網整備哲学にかかわる問題だと思うのですが、これが促進方、従来から各地域要望が強かった。これが去年、東京都庁新宿移転の問題に絡んで、近辺の交通網整備という形で浮上をしてまいりまして、実現方向に向かいつつあるわけです。ただ、一部には、これは新宿周辺の交通網整備ということで、その部分だけが先食い的に取り上げられるんじゃないか、こういう懸念を持つ方々もいるわけですね。  そういう点で、先ほど申しましたように、ミニ地下鉄導入するなり何らかのコスト低減を図りながら、本当の、純粋の東京における環状線地下鉄の第一号として、これを全線開通に向かって早期にやってもらいたいと希望しているわけですが、その点についての運輸省考え方はいかがでしょう。
  28. 服部経治

    服部政府委員 ただいまお尋ねの十二号線でございますが、先生御承知のように、これには環状部と、新宿から光が丘の方に出てまいります放射線部分とがございます。  この放射線部分につきましては、既にその一部の光が丘−練馬間約五キロの区間につきまして、現在工事が進められておりまして、その意味では、環状都に先立って放射線部の整備が進められている現状があることは否定できないわけでございますが、そのことと環状部を今後どうするかということは、一応別の問題でございまして、この環状部の建設につきましては、私ども東京都が四月からこの十二号線環状部の建設中心に都営地下鉄あり方のさまざまの問題につきまして勉強する調査会をおつくりになりまして、その場で十二号線の今後の整備のための具体的な方策等を真剣に御討議される予定となっていることを承知しておりまして。その御討議の結果等も踏まえまして、私ども環状線整備の問題に対応してまいりたいと考えております。今申しましたこの調査会には、私どものOBの者がその調査会長をお引き受けするような運びで今事が進められているようでございまして、いずれにいたしましても、この問題への対応につきましては、私ども十分東京都の立場なり御意向を理解いたしまして、協力してまいりたい考えでございます。
  29. 柿澤弘治

    柿澤委員 毎回くどく申し上げて恐縮ですけれども、どうも放射状路線整備が先行しがちで、環状部分については後回し後回し、こういうことになって、これはこれからの都市構造上も大きな問題になると思いますので、十二号線を準環状線として早期に整備するという方向でひとつ御検討いただきたいと思います。  また、別の問題になりますけれども国鉄並びに鉄道建設公団の総裁にもお伺いしたいのですが、国鉄線の都心部における役割というものをどう考えていらっしゃるか。山手線の場合には純粋に環状線で、地域ネットワークとして非常に有効に働いていると思いますが、近年建設が進んでおります、例えば京葉線都心乗り入れ線については、都市交通のシステムの一部として考えていらっしゃるのか、それともあくまで郊外の、例えば千葉県に住む県民を都心に送り込むだけの、東京都内はあくまで通過路線として考えていらっしゃるのか、その辺についての考え方を伺いたいと思うわけです。その辺いかがでしょうか。
  30. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  今度建設建設公団でやっていただいております京葉線につきましては、今先生の御指摘がございましたように、千葉方面から東京都心を結ぶことも重要な使命でございますが、同時に沿線の東京都内の都市交通機関としても重要な役割を果たすべきものと考えておりまして、これからそのような輸送計画等を考えてまいりたいと存じております。
  31. 柿澤弘治

    柿澤委員 大変巨額の工事費を使って新線を建設するわけですから、これが都内の住民にとって単なる通過交通ということで素通りしてしまう、地元に対しては何らの利益がないという形では、やはりいろいろな意味で工事に対する協力その他もしにくくなるだろうと思うのです。そういう点からも、今須田常務理事からお話がありましたように、近郊からの交通についての有効な手段であると同時に、そこを通過する地域についての地域交通手段としても有効に機能するように、ぜひ路線それから駅の新設等を考えていただきたいと思うわけです。実は、こういうことを申し上げますのも、総武線の都心乗り入れのときに、錦糸町から両国駅を素通りして地下に入りまして、ある意味でいうと、それが地域にとっては余りメリットがなかったということで、地域からもどうも国鉄さんは地域のことを考えてくださらないんじゃないかという声が出ている。この二の舞を京葉線でやるようなことがあったら、これはもう地元としても協力できない、こういう声があるわけですけれども、その辺をぜひ踏まえて、今後検討していただきた。いと思うわけです。具体的な問題になりますけれども都心の駅としては、現在西越中島、その次が新砂という駅が想定されています。この新砂については、新砂でないところを新砂と称しているので、地名上非常に奇異な感じがするので、これはぜひ新木場という名前に変えていただきたい、これは地元からも要望が出ているところです。同時に、その二つの駅の間が四・六キロもある。これは都内の国鉄の駅のスパンとしても異常な長さじゃないんでしょうか。
  32. 須田寛

    ○須田説明員 確かに先生指摘のように、今度の京葉線の駅の間隔をとりましても、大体二キロないし三キロ間隔に駅がございます。それから都心の総武線におきましても、大体一キロ余りで駅がございますので、その意味では四・六キロというのは大変長い間隔でございます。駅の設置を協議いたしました五十八年七月時点におきまして、この付近の都市計画あるいは土地利用計画等から考えまして、駅の設置まではという感じもちょっとあったものでございますから、このような間隔があいたものでございますが、都心の駅としては確かにかなり長い、このように申し上げざるを得ないと思っております。
  33. 柿澤弘治

    柿澤委員 きょうは内田総裁においでいただいておりますので、鉄建公団としてのお考えも伺いたいと思うのですが、地元としては、できるだけアセスメントその他について工事が円滑に進むように、全体としての鉄道交通網ネットワークが円滑に推進されるようにということで協力をしてきていると思います。そういう点で、協力をしながら、しかし今申しましたような異常な長さの駅間隔では、これはやはり地元無視と言わざるを得ないということで、ぜひその点については新駅をつくってほしいという要望が出ておりまして、これは再三にわたって鉄建公団の総裁にもお願いをしているところですが、その後、この問題については公団としてどういうお考え、お立場で取り組んでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  34. 内田隆滋

    内田参考人 駅の位置を決めた事情その他につきましては、今国鉄の須田常務理事からお話ししたとおりでございまして、先生も現地を御承知だと思いますけれども、非常に住宅も少ないし、商店街もない、利用客が少ないということで、駅をつくってもどうかということで素通りしたわけでございます。しかし、五十八年七月にあのルートが決まりまして駅の位置が決まりましてから、地元の皆さんの駅設置の要望が非常に熾烈にございます。それに対しまして東京都あるいは江東区等といろいろ協議をしてまいりました。地元でもあの地区に駅をもし設置していただけるならば、都市整備事業計画等をしっかりつくって、これに対応していきたいという御意向のようでございます。我々といたしましても、そういうものを前提とした場合の乗降人員あるいは収支の状況等についてただいま勉強中でございます。この問題はそういうことでございますので、地元の御協力が得られるならば、関係方面と協議をいたしまして、前向きに検討してまいりたいと考えております。
  35. 柿澤弘治

    柿澤委員 総裁から前向きに検討したいというお話がありましたので、これは大変結構だと思いますし、ありがたいことだと思います。国鉄の方にも協議がされることになると思うのですけれども国鉄としてもそう考えてよろしいわけですか。
  36. 須田寛

    ○須田説明員 ただいま建設公団の総裁から御答弁がございましたような地元事情は、私どもの方もよく承知いたしております。確かに沿線の開発状況が相当進んでまいりまして、駅の設置を十分前向きに検討し得べき状況にあるものと考えておりますので、私どもといたしましては、駅の設置に伴いますいろいろの営業上の効果あるいは地元の駅に対するいろいろな御協力等をこれからお願いしなければいけませんが、その辺を十分検討いたしまして、運輸省の御指導もいただきながら、建設公団ともよく協議をしてまいりたい、このように考えております。
  37. 柿澤弘治

    柿澤委員 運輸省の御指導もいただきながらということがありましたが、運輸省はどうですか。——ああ、もういないんだな。では後で運輸大臣に聞きます。  それでは、法案に関連してもう一つだけ質問をさせていただきます。  例の営団地下鉄に対する国鉄の出資分がございますが、国鉄分割民営化に伴って、国鉄の出資分については、これは鈴木東京都知事は、東京都としてこれから営団地下鉄網の計画的な整備を図るという意味で、今まで以上の責任を分担をしたいという御趣旨と、都営地下鉄と営団地下鉄との一元的な運用という点から引き受けてもよろしいという意思を表明していらっしゃるわけですね。これは私、地域交通網整備というのは、第一義的には、その地域の地方自治体、公共団体等が責任を持つべきもので、そういう点でもできるだけ地元のことは地元でという、まあ、運輸省の近来の運輸政策にも合致するものであると思うのですね。国鉄分割という考え方にも合致するものだと思いますので、当然そういう方向で営団地下鉄に対する国鉄の出資分は処理されるもの、こう考えますが、そう考えてよろしいのでしょうか。
  38. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生から営団地下鉄に対する国鉄の出資分の扱いにつきましての御意見の表明があったわけであります。  私ども、ただいまの先生の御指摘になったような考え方もあることはもとより否定しないわけでございますが、私どもといたしましては、結論的には、営団に対する国鉄の出資分につきましては、これを国が肩がわりし、国が承継するという方向で物を考えておりまして、そういう形での営団法の改正を今国会に提出させていただいておるところでございます。  私どもがそう考えました経緯について少し御説明をさせていただきたいわけでございますが、先生御承知のように、特殊法人であります営団につきましては、その発足の当初から地下鉄整備というものが首都の整備に不可欠な要事でありますことから、その出資金は政府と地方公共団体その他が保有するという形になっていたものでございます。その後、国鉄が国から独立いたしまして、現在のような公共企業体という形で再編、発足するに当たりまして、それまで帝国鉄道特別会計から営団に出資されておりましたものを国鉄が引き継ぐという形になって以降、国鉄の営団に対する出資が毎年十億円ずつという格好で続けられてきたわけでありますが、私どもは、この国鉄の追加出資も、また国にかわって行われてきたものであるという意味合いが強いものだというふうに理解しておるところでございます。  そうしたもろもろの経緯等も踏まえまして、この問題につきましては、一方の出資者でございます東京都の了解も得た上で、現在のような結論に達し、そのような形での法案整備を行ったところでございます。
  39. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうすると、首都圏ということが非常に大きな要因になっているわけですね。首都圏の鉄道網整備については、これは地方自治体だけでなく国が責任を負うんだ。まあ、大阪の地下鉄も福岡の地下鉄についても国の補助金があるわけですから、これも国なりに責任を負っていると思うのですけれども、それ以上の責任を負うんだ、こういう考え方でございますか。
  40. 服部経治

    服部政府委員 かつての経緯もそうでございましたし、現在、私どももそのように考えておるところでございます。
  41. 柿澤弘治

    柿澤委員 どうも首都圏だからということでそんなに優遇されておるようにも思えないのです。もちろん、都営地下鉄の問題があることは事実なんですけれども、同時に、先ほどから申し上げている都市交通ネットワークに対する考え方、これが国と東京都で考え方の違いがあるんじゃないかと私思うのです。東京都の場合には、やはり東京都内のある意味では面的な鉄道網整備という点に重点が置かれてくる。もちろん、採算性も重要ですけれども東京都民の利便性というものが根幹にあるわけですね。ところが従来の、ある意味でいうと運輸省主導といいますか、大蔵省も後ろについておるので言いにくい点もあるんだけれども、今までの採算重視の地下鉄整備というのは、東京都民のために行われていたんじゃない。むしろこれは千葉都民のためであり、埼玉都民のためであり、神奈川都民のためである。つまり千葉や埼玉や神奈川に住んでいて都心に勤務地を持っている人たちの交通をどうやって便利にするかということであって、東京都民のための地下鉄網整備ではない、こういう欲求不満が東京都ないし東京都民の中にあることは事実なわけです。  そういう点でもう少し、地下鉄網整備の、ある意味では基準といいますか、優先度合のつけ方を、先ほど申しましたように面的な整備、そして都市としての東京交通網整備という本来の都市交通整備哲学に立ち返ってもらえるなら、これは国が持っていただこうと、国鉄が持っていただこうと、東京都が持っていただこうと構わないのですけれども、どうもその辺が改まらないとするならば、私はこの際・東京都に責任を譲った方がいいのじゃないか、こう考えているわけでございます。その辺、冒頭に申しました、大臣がおいでになったらお伺いしようと思っていたのですけれども、やはり大都市交通網の整備についての基本的な考え方の食い違いがこの問題にも出てくると私は思うのです。ですから、我々として、運輸省が本来の大都市交通網の面的な整備という方に重点を移していただけるなら、この問題、そう重視もしませんけれども、どうもそうでないとすると、東京都にもう少しイニシアチブを持ってもらった方がいいのではないか、こう私は考えるのですが、いかがでしょう。
  42. 服部経治

    服部政府委員 地下鉄網整備に対する考え方につきまして幾つかの点にわたって先生の御意見があったわけでございますが、私ども、ただいまの御意見につきましては、それなりに理解もするわけでございますが、私どもといたしましては、こういった東京都を中心として整備されていくべぎ地下鉄の役割というのは、東京都だけに着目して、東京都内の交通網整備という観点からのみこれにアプローチすべきではむしろないのであって、首都圏といった広範囲な大都市圏の中における鉄道網の役割ということもまた一面重視して、地下鉄網の今後の整備を進めていくことが必要なのではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、そういった鉄道というのは、現にそれが走っておる場所だけのといいますか、東京都民のためだけに機能するものでもなくて、やはり先生がお使いになりましたお言葉でありますが、千葉都民なり埼玉都民なりのための通勤通学の足としても有効に機能すべき性格を持っておると思います。  ただ、私ども反省しなければならない。とすれば、冒頭先生から御指摘がございましたような、余りにも放射状鉄道網整備のみに意を用い過ぎてきた嫌いがあるのではないかという点であろうかと思います。この点につきましては、今後に向けて環状方向路線整備あるいは都心部における地下鉄網整備ということに今までより以上に意を用いてまいりたい考えでございまして、その限りでは、今後先生の御指摘方向に沿った考え方でもって私どもこの問題に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  43. 柿澤弘治

    柿澤委員 そういう方向でお考えいただけるなら私どもはある程度納得いたしますが、そうでないと、もう一回この問題を別途蒸し返したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それから、この特定都市鉄道整備促進特別措置法案でございますが、この法案の趣旨である大都市圏における通勤通学時の著しい鉄道混雑を緩和するために、鉄道の複々線化や大規模改良工事を緊急に行う必要がある。これについて、資金を事前に積み立てていくという新しい制度をつくろうとすることは、私ども大都市における鉄道網整備の観点から大賛成でございます。そういう意味で、ぜひこの新しい法案を成立させていただいて、それに基づいて大都市鉄道網整備推進されるように心から期待を申し上げたい、こう思っております。  それにつきまして、もしこの制度が成立した場合には、どういう工事が当面対象工事として出てくるのかをお聞かせいただきたい。その中に環状線は入っているのかどうか。
  44. 服部経治

    服部政府委員 大変深い御理解をお示しいただきまして、本当に感謝いたしております。  本制度をお認めいただきました暁には、例えば関東の私鉄各社につきましては、この制度を十分活用いたしまして、今までは容易に取り組み得なかった複々線化あるいは線形改良を含む路盤の大改良工事を鋭意促進してまいりたいという強い意向を表明しておるところでございます。  私どもが現在承知しております、そういう計画の概要をざっと申し上げてみますと、まず東武鉄道の伊勢崎線竹ノ塚−北越谷間十三キロメートルの複々線化、同じく東武東上線和光市−志木間五キロメートルの複々線化、西武池袋線保谷−練馬間八キロメートルの複々線化、小田急小田原線東北沢−新百合ケ丘間十七キロメートルの複々線化、京王帝都京王本線調布−笹塚間十二キロメートルの複々線化、さらに東急東横線及び目蒲線の十六キロメートルにわたる複々線化及び大改良工事といったようなものが今後に向けて大きく進められていく、その展望が開けるというふうに考えております。  しかし、これが環状線であるかと言われますと、今申しました六つないし七つの線はいずれも放射状線でございます。
  45. 柿澤弘治

    柿澤委員 大賛成と申し上げたのですが、これでは「ブルータスおまえもか」、またしても放射状線ということになるのだろうと思うのですけれども、それが都市スプロール化促進するものでないことを私は祈ります。  そういう点から考えますと、放射状線を強化しながら、できることならそれに対する例えば枝線とか、何らかの形で横に延びる線を一緒に計画し、考えていくというような方式というのはとれないのでしょうか。そういう枝線を同時に整備する場合には、さらに有利な施策を講ずるとかいう形で、ともすれば放射状線整備に傾きがちな都市鉄道整備を何とか環状に延ばしていくという工夫がもう一つ足りない、こういう感じがするのですけれども、この新しい法案考え方を、そういう形で環状線整備にさらに適用し、それによって今まで採算に乗らなかった部分がある程度乗ってくるというような工夫はできないのでしょうか。
  46. 服部経治

    服部政府委員 私どもこの制度を考え検討を続けてまいりました段階で、こういった物の考え方を新線建設にも及ぼすことはできないだろうかという点は無論いろいろと議論を積み重ねてきたところでございますが、今回の準備金の制度というのは、既設線の現在の利用者に、その利用者の方が将来負担することになるべき費用の一部を前倒しの形で御負担いただくということを基本に組み立てた考え方でございますので、現在の利用者というものがとらえられない新線につきましては、残念ながらこのままの仕組みを適用することは無理であろうという結論に達したものでございます。しかし、もとより大都市圏における新線整備は、既設線の輸送力の大改良工事に匹敵する、あるいはそれ以上の重要性を持つ問題でございますので、この問題につきましては、別途、開発利益の還元等を中心とする整備促進のための手だてを今後に向けて精力的に積極的に勉強してまいりたいと考えておるところでございます。
  47. 柿澤弘治

    柿澤委員 大臣がおいでにならないということですから質問を留保したいところですが、一応予定どおり進めさせていただいて終わりたいと思います。  今のお話で二つ疑問がわきます。  一つは、事前に積み立てておいて、それを工事費に充て、その後その分は利用者に還元するということで、運賃算定上それを計算に入れるというお話でございますが、その場合には、その工事をやった会社単位で考えるのでしょうか、それともその路線単位で考えるのでしょうかということです。というのは、会社単位で考えて還元するということでは、実際に混雑が緩和されて利便を受けた方々に還元するということにはならないわけですね。  それから、運賃値上げをする場合、例えば同じ東武線でも、複々線化をしようとしている路線だけについて運賃の上積みを認める、今度の場合は伊勢崎線ですが、東上線の方の運賃の値上げは——これはたまたま東上線の方もあるので困るのですけれども二つの線がある場合、両方の運賃の値上げを認めるのでしょうか。
  48. 服部経治

    服部政府委員 先生御承知のように、従来からと申しますか、我が国における鉄道の歴史が始まって以来、鉄道の運賃というものは企業単位で設定されてまいっております。その一番の典型が国鉄で、国鉄の運賃のあり方をお考えいただければそのあたりが明瞭になるかと思いますが、そういう格好でずっとやってまいっております。  もちろん、先生のような物の考え方を私ども全く合理性がないとか難しいとかと言って否定するものではございませんけれども現実鉄道経営に即して運賃というもののあり方考えます場合には、この会社単位での運賃の設定ということが最も現実的かつ有効、有用な方法であるというふうに考えておるものでございまして、ちょっと答弁の時間が短くて済みませんが、詳しくまた御説明申し上げたいと思いますが、私どもこの方法が合理性、妥当性を持っているというふうに考えておるものでございます。
  49. 柿澤弘治

    柿澤委員 これで最後に終わります。  鉄建公団の民鉄線の工事については、これは今後も制度として残そうということですか。それだけお伺いしておきます。
  50. 服部経治

    服部政府委員 鉄建公団のP線工事のことでございますが、これは本制度との併用をする方針でございます。
  51. 柿澤弘治

    柿澤委員 それでは、これによって今後都市鉄道整備が進捗することを心から期待をしまして、質疑を終わります。
  52. 山下徳夫

    山下委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  53. 山下徳夫

    山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉原米治君。
  54. 吉原米治

    ○吉原委員 特定都市鉄道整備促進特別措置法案に対して具体的に問題点を数点提起をしてお答えを願いたいと存じます。  大臣のこの提案理由の説明を聞いておりまして、一見問題なさそうな法案のように実は感じたわけでございますが、中身を逐条的に審議をしていきますと問題がたくさんございます。  そこで、まず最初に総括的にお尋ねをしたいのでございますが、現在の大都市鉄道は、「通勤・通学時において、著しい混雑状況を呈しておる」という情勢の分析でございます。それに対処して運賃の先取りといいますか、そういうことをやりながら積立金を準備をする、そういう法案の骨格のようでございますが、ここで言っております「混雑状況」というのは、一体どういう対象路線の現状をとらまえて「混雑状況」だと言っておられるのか。都市部の通勤通学のピーク時というのは、言ってみればすべてにわたって私は「混雑状況」ということが言えるのではないかと思いますが、わざわざこの提案理由の説明の中で触れられておる「混雑状況」というのは、どういう状態を指して言っておるのか、またその対象路線はどういう線区を指して言っておられるのか、まずそこからお尋ねをしたいと思います。
  55. 服部経治

    服部政府委員 先生も実態についてはよく御承知と思いますが、東京圏あるいは大阪圏におきます主要な鉄道路線は、特に朝夕の通勤通学時のラッシュ時間帯におきまして大変な混雑の状況を呈しております。私どもはこの混雑度というものを判定いたします場合には、現実の輸送人員を乗車定員で除しました値で示される、いわゆる混雑率という概念を従来から用いてきているところでありまして、かつて大手私鉄十四社の平均的なラッシュ時間帯における混雑率は、昭和三十五、六年当時から昭和四十一年ごろにかけまして二三〇%から二四〇%という非常に高い数値を示しておったわけでございますが、その後、現在までに至る間における各民鉄事業者のこの問題への大変前向きな取り組みによりまして、今日ではその混雑率の数値は大幅に低減いたしておりまして、全体では平均的に一八五%というようなところまで改善を見ております。  なお、これは全体の平均の値でございまして、主要線区につきましては、幾つかの路線で現在でも二〇〇%を超える混雑の状況があるわけでございます。  数字だけで申し上げたのではわかりにくいということもございますので、これをもう少し具体的に申し上げてみますと、混雑率が二〇〇%を超えるというのは、いわゆるすし詰めに近い状態を言うわけでありまして、手っ取り早く申しますと、身動きがとれない、手足も自由には動かせないといったような状況でございます。  それから先ほど、現在、平均値で一八五%程度というふうに申し上げたわけでありますが、これはかなりな圧迫感はありますけれども、週刊誌程度のものであれば、何とか読むことができる状態というふうに御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、近代的な鉄道のあるべき姿からはほど遠い状態が現在も続いているということで、私どもは近い将来に向けまして、各線につきましてラッシュ時の混雑率を一五〇%程度、この一五〇%程度と申しますのは、立ってはおりましても、新聞を楽に広げて読みながら通勤通学ができるような状態というところまで持っていきたいものだと強く念願しているところでございます。
  56. 吉原米治

    ○吉原委員 「混雑状況」の一定の定義のようなものについては、局長が今御見解を示されましたが、一五〇%程度にというのは、別に東京圏域に限らない、大阪圏域の中にも私はそういう該当の線区はたくさんあると思うのです。  今回、この法案で具体的に複々線化を進めようという線区は、お聞きしております範囲内では東京圏域に限っておる。大阪圏域では、そういう該当路線はあるにもかかわらず、一線もそういう線区が載ってない。混雑の状況が大阪圏域の方が少ないという御認識ですか。そうでなくて、その他の理由があるのでございますか。
  57. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生指摘になりました点でございますが、私どもは、大阪圏におきましても、東京都とほぼ同じような朝夕の鉄道のラッシュ、混雑の状況が続いているというふうに認識しております。  ただ、これまで具体的な話といたしまして東京圏についてだけ云々されているというのは、先生も御承知のように、たまたま昭和五十七年の九月から昨年の七月までにかけまして、東京圏におきます将来に向けての都市鉄道の長期整備構想というものが検討された経緯がございまして、そういう検討の中で、昨年七月の運政審答申の中に、今後新たに複々線化を推進すべき区間として大路線、七十一キロ程度のものが具体的に答申されたことによるもので、大阪圏について私どもが具体的な計画を承知してないというのは、そういう運政審議論があったあるいはなかったというような差によるものでございまして、実態上格別差があるというふうに認識しておるところではございません。
  58. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、今回はこの東京首都圏域の大路線を対象に考えておるのだが、これから先、大阪圏域あるいは名古屋、北九州、そういう比較的都市部において同一条件が出てきた場合には、当然この法案は適用していくのだ、こう認識をしておいてよろしゅうございますね。
  59. 服部経治

    服部政府委員 この法律の適用対象地域といたしましては、当面私どもといたしましては、鉄道の混雑の状況が極めて著しい東京圏及び大阪圏を対象としてまいりたい考えでございますが、先生今御指摘の中京圏なりあるいは北九州圏、札幌圏といったような地域につきましては、今後の鉄道にかかわります。そういった混雑の状況の動向などをよく踏まえまして、適切な対応を図るべきであると考えておりまして、そういう東京圏、大阪圏に匹敵するような状況があるという段階では、当然に今申しました各圏につきましても本法の対象としてまいりたい考えでございます。
  60. 吉原米治

    ○吉原委員 既存の複線が今申し上げておりますような形で混雑をしてくるから、これを緩和するために複々線工事をやるんだ、こういうことでございますが、この法案は、それ以上に経費のかかると思われる新線の建設工事、軌道のない、レールのない地域にたくさんの要望があって新設をしなければならぬその建設工事に、この法案は一体対象となるのかならないのか、新線の建設工事、この点はどうですか。
  61. 服部経治

    服部政府委員 大都市圏におきます新線の建設と申しますか、新線の整備が非常に重要なものでありますことは、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、今後に向けて大都市圏域内における鉄道の空白地帯と申しますか過疎地帯、鉄道の便益を享受しにくい地域に新しく鉄道整備するという方向で積極的な取り組みを行ってまいりたいというふうに私ども考えておるところでございますが、本法との関係でこの問題を申し上げてみますと、新線建設工事の場合には、この制度の組み立ての基本となっております考え方、すなわち現在の利用者に前倒しの形で将来の費用の負担をお願いするという手法がとりがたいということがございますために、私どもとしては、残念ながら新線建設については、これを本制度の対象として取り上げることができなかったわけでございますけれども、先ほど来御指摘のように、新線建設につきましても、複々線化と全く同様に巨額の投資を必要とするものでありまして、その事業化ということは決して容易でない現実があるわけでございますから、そういった必要な新線建設促進を図りますために、例えば良質の資金の調達を可能にするための仕組みとか開発利益の還元であるとかいろいろな仕組みを今後に向けて工夫してまいりたいと私ども考えておるところでございます。
  62. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、新線建設にはこの法案はなじまぬ。今ちょっと私が聞き漏らしたかと思いますが、どういう制度があるのでありますか、新線建設については。この法案は適用できない、なじまない、けれどもかくかくしかじかの対案を考えておるのだ、その対案はどんな対案があるのですか。
  63. 服部経治

    服部政府委員 新線建設も複々線化と同様に長期間にわたって収支が相償わない状態が続くというような性格のものでございまして、その意味事業化が非常に困難であるという事情は変わりません。ただ、本制度にのせますためには、ちょっと既設線の場合と根底の事情が違うものですから、この制度の対象とはしなかったわけでございますが、新線の建設につきましては、例えば、まずその資本費負担が将来の経営を圧迫することにならないようにという意味で、建設段階からできるだけ良質の、良質のと申しますのは、低利で非常に長期あるいは場合によっては無利子の良質の資金をできるだけ大量に確保して、この建設費に投入するというようなことがまず第一に肝要であろうかと思います。  それから、そのような工夫をいたしましても、新線の建設はその路線が成熟するまでに非常に長期間を要するわけでございますので、その間の運営の健全性を確保してまいります意味から、例えば新線の建設によって沿線地域に造成されることになるいわゆる開発利益といったようなものをいろいろな手法でとらえまして、これを鉄道事業者に還元していくといったような具体的な仕組みにつきまして、現在精力的に勉強を行っているところでございます。  例えば、先生も御承知の常磐新線建設という問題がございますが、私どもこの常磐新線建設本当現実の問題にしていくためには、今申しましたような開発利益の還元などを中心とする新線建設助成策を講じていかなければならないという考え方のもとに、現在関係の自治体等の方々と繰り返し協議を続けてまいってきておるところでございます。
  64. 吉原米治

    ○吉原委員 既存の複線で通勤通学時に非常に混雑をして窮屈な思いがする、それはそれなりに理解がいくのですが、鉄道の持つ特殊性というもの、大量に定刻にしかも快適にという点を熱望しておる地域にとっては、新線建設の方が言ってみれば関係の利用者の皆さんにとっては非常に熱望されるべき箇所だ、そのように思いますから、今局長まんざら新線建設の方についてはほおかぶりということでもなさそうだから、ひとつその熱意を持って新線建設についても格段の努力をしていただきたい、このことをお願いを申し上げておきます。  国鉄の民営・分割、今からこの法案審議する段階に来ておるわけでございます。私どもはこの問題は賛成をするわけにはまいらないわけでございますが、もし仮に今の国鉄民営化された場合、民営鉄道になるわけでございますが、その場合でも、この法案は俗に言う旧国鉄に対して適用されるかどうか。
  65. 服部経治

    服部政府委員 この法律は現在の国鉄には適用されないわけでありますが、現在の国鉄が将来分割され民営化された場合には、私ども当然のことながら本法の適用対象として新国鉄各社をとらえてまいりたいと考えておるところでございます。
  66. 吉原米治

    ○吉原委員 軌道はどうですか、路面電車。
  67. 服部経治

    服部政府委員 軌道はこの法律の適用対象とはしないこととしておりますが、これは専ら実態論に基づくものでございまして、御承知のように、軌道というのは道路上に敷設されることを原則とする、そういう性格のものでございますが、道路の幅員といったような制約もございまして、現実問題として軌道が道路上で複々線化されるといったような実態が考えづらいというような点を踏まえまして、本法の適用対象外といたしておるところでございます。
  68. 吉原米治

    ○吉原委員 今度、工事費の四分の一相当額を実は前倒しにして利用者に運賃の一部として負担をしてもらうという、そういう仕組みになっておるわけでございますが、現在の運賃の設定といいますか、査定という表現もできると思いますが、その仕組みですね、基本的な考え方。どういう形で運賃設定をしておるのか、これをひとつ概略説明していただきたい。
  69. 服部経治

    服部政府委員 大手私鉄を例にとりまして、民営鉄道の運賃水準の決定の仕組みといいますか、これに対処する場合の私どもの物の考え方を御説明さしていただきたいと思います。  大手私鉄運賃の査定に当たりましては、能率的な経営を前提といたしまして、適正な原価及び適正な利潤が確保され得るような、そういう水準に運賃を設定するよう心がけまして、そのために、査定に当たりましては極めて厳正な態度でこれを行っているところでございます。少し長くなりますが、概略申し上げたいと思います。  まず、査定の方法でございますが、これは目標年度、俗には平年度と申しておりますが、その目標年度におきます鉄道部門の支出額をまず確定いたします。想定される所要の経費をまず確定いたします。次に現行の運賃ベースによる鉄道事業部門の収入額を計算いたします。これに経営努力というものを加味した上で、目標年度において収入と支出がバランスするためには、なお幾らの収入増を図ったらいいかという額が出てまいります。こういう手順で必要な運賃の増収額を確定いたしまして、運賃の改定率を決定するわけでございます。  なお、原価査定のざっとした考え方を申し上げてみますが、例えば原価の四、五割程度を占めます人件費の査定に当たりましては、合理化計画等を勘案しました適正な要員規模というのをまず算定いたしまして、これに所要のベースアップ率であるとか政府の経済見通し等を考慮いたしまして、一人当たりの人件費を定め、これに乗ずるといったような格好で査定をいたします。  それから、物件費等の諸経費につきましては、最近の実績価格を基礎にいたしまして、その後に見込まれます物価の上昇率等を考慮して査定するわけでございます。  それからまた、減価償却費につきましては、償却資産である既存の設備につきましては、これを簿価によって確定いたしまして、さらにそれにプラスされる設備増に見合う減価償却費につきましては、その設備増の額を、輸送力増強工事等を会社が持っております計画の実行確実性あるいは必要性といったものを勘案して、確かな工事額を基礎に算定をするわけでございます。  それから、企業が負担することになります金利あるいは適正利潤といったものにつきましては、いわゆるレートベース方式という物の考え方導入しておりまして、このレートベース方式によりまして適正な事業報酬額を算定するといったような手法で、今申しました金利及び事業報酬の額を決定しておるわけでございます。  おおむね以上のような考え方でございます。
  70. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、今のような形で運賃設定なり査定が行われるということになりますと、結局自己資金でなくて借入金で鉄道建設した、もちろん元金もそうだし金利も含める、しかも適正な利潤も一定程度見てやる、それを全部言ってみれば運賃にかけて利用者に持ってもらう。これは、私鉄大手の運賃の改定というのは、大体三年ぐらいのローテーションでなされてきておるわけでございますが、こういった増強工事等に投資をした額等々が一体どのぐらいで回収されておるのか。物によっては税法上定められておる減価償却の期間はそれぞれ違うでしょうけれども、平均すると、一体投資した額が大体何年ぐらいで回収されておるのかな、それおわかりならお答え願いたい。
  71. 服部経治

    服部政府委員 大体鉄道の償却資産、先生おっしゃるとおり物によりましていろいろと償却年数違いますが、平均いたしますと、三十五年程度でおおむね償却が終わるというふうにお考えいただいてよろしいと思っております。物の考え方といたしましては、そういった工事によりまして造成されました設備につきましては、その耐用年数の期間中に減価償却費を運賃の原価に算入するという方法によって回収が図られるわけでございますから、減価償却期間内に投下資本が回収されるというのが本来の仕組みでございます。
  72. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、局長、現行の運賃制度でも、言ってみれば鉄道事業者が鉄道投資した額が回収できる制度にもなっておるわけですね。だったら、今度わざわざ特定都市鉄道整備準備金などを積み立てて、言ってみれば利用しないうちから先取りをするというような法律をつくらなくても、現行の制度でも結構投資した額が運賃に換算をされて、利用者から事業者は一定の期間をかけて回収ができるのですから、なぜこういう法案を出さなければならぬのか。そこが言ってみれば今回の提案理由のポイントだろうと思いますから、そこをかみ砕いてひとつ説明してください。
  73. 服部経治

    服部政府委員 先生のただいまの御指摘は大変ごもっともでございます。  まず、私どもが今御提案申し上げておりますこの制度は、今言った投下資本の回収を容易にするといった点以外にも幾つかの大変大きな効果を伴うものでございますけれども、今先生の御指摘の点に絞って申し上げてみたいと思いますが、御承知のように、現行の運賃制度のもとにおきましては、複々線化といったような大規模な輸送力増強工事を行う場合には、工事資金の借り入れに伴います金利負担が後年度に向けて次第に増大してまいりまして、設備工事が完了して、その施設が供用される時点で金利負担がまずピークを迎えております。加えまして、その供用開始の時点から将来に向けて多額の減価償却費が発生することになるわけでございまして、今言ったような運賃理論の建前から参りますと、この設備投資を行ったことによりまして発生いたします資本費の負担については、これをすべて運賃で見るということになりますから、そこで大変大幅な運賃改定を行わざるを得ないわけでございます。  ところで、先生も御承知のように、現実にございました過去の運賃改定のありようを見てまいりますと、いろいろな観点、特に物価対策等の観点からそういった大幅な運賃改定を実施することは、現実には極めて困難であるという事情があるわけでございまして、企業サイドからこれを見ますと、運賃を通じて巨額の投下資金を回収するといいますか、その投下した資金にかかわる資本費コストを運賃を通じて回収できるという見通しは、必ずしも確実なものではないわけでございます。そういった投下資本の回収の見通しの不確実性ということが、現在、大規模工事への各事業者の積極的な取り組みをともすれば阻害しがちになっているというボトルネックになっているわけでございまして、そういった点にかんがみまして、私ども複々線化等の大規模な輸送力増強工事の実施に伴う鉄道事業者の資本費負担、及びこれを運賃を通じて賄う利用者負担の平準化を図るための特別の措置というものをお願いしているわけでございます。  なお、若干数字を申し上げますと、過去の運賃改定が、今申しましたあるべき運賃制度からどれくらい乖離したものであったかという点でありますが、例えば過去二十年間におきます大手私鉄十四社の累積の欠損額は三千二百億円、この十年間について計算いたしましても一千百億円に達しているわけでございまして、私ども運賃改定の際の査定の際には、鉄道事業部門の独立採算ということを念頭に置き、それを目指して作業を行うわけでございますが、結果的には、現実の問題として、各私鉄企業はその関連事業かも鉄道事業の収支じりについて多額の補てんを受けて今日に至っているという現実があるわけでございます。
  74. 吉原米治

    ○吉原委員 運賃の平準化というような表現を使っておられたようでございますが、仮に十年かかって回収する場合と三十年かかって回収する場合とは。運賃に依存して回収策を考える限り、十年で回収しようと思えば大幅な運賃値上げが起きてくる。それを三十年に延ばせば、うんと上げ幅は少なくて済むわけでございますから、一時期にばさっと大幅に運賃値上げをさせずに、十上げるところは玉とか四とかに抑えて、期間を長くするという、そういうものを一体考えることができなかったのだろうかどうだろうか。今度の法案では、十年間工事をやって、工事を終わって供用を開始したら、こういう積立金制度をとらなければ、初年度に大幅な運賃値上げをしなければいかぬというグラフも、「二十一世紀への礎」ということで運輸省がこんなバンフを出しておりますが、その中にグラフが書いてある。供用を開始する初年度の急激に上がるカーブを上げ幅を少なくして、そしてなだらかに後の十年で償却をしていくというふうなことが考えられなかったのかどうか。意味がわかりますか、私の言っていることで。
  75. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘は、例えば三十五年で減価償却すべき資産について、減価償却の期間をその倍の七十年なら七十年ということで設定すれば、運賃にはね返ってくる資本費、投下資金のコストが薄められて、それだけ運賃の改定率を押し下げる効果があるのではないかという御指摘だと理解いたしましてお答えいたします。  そういうことができるのであれば、確かにその分だけ運賃の改定率を押し下げる効果はございますけれども、三十五年で減価をする施設につきまして、例えばその倍の七十年でこれを減価するものとして償却していくというようなことは、企業の健全な経理を大きく阻害するゆえんのものでございますので、私どもとしては、それはとり得ない考え方であるというふうに理解しておるわけでございます。
  76. 吉原米治

    ○吉原委員 そうすると、具体的にお尋ねをいたしますが、説明の段階では三%ないしは六%、こうなっておるわけでございまして、具体的に金額で説明を聞きましても、初乗りで五円とか六円とかいう運賃になります、こういう説明も聞いておるわけですが、現実に券売機、販売機等の今の設備からいきますと、運賃はすべて十円刻みになっておるわけでございまして、五円か六円しか要らないのに十円を初乗りで取るということは取り過ぎになってしまう。まず五円とか六円とかいう十円未満の端数を初乗りにかけるということは、現実的には難しいのじゃないか、不可能じゃないか。したがって、初乗りで十円上げた場合には取り過ぎになるので、それをどこの時点で調整をするのか、これをちょっと詳しく、素人にわかりやすいように説明をしてください。
  77. 服部経治

    服部政府委員 私どもは、この制度につきまして、関係の向きの多くの方々に御理解をいただくためにということでパンフレットをつくりましてお読みいただいておるわけでございますが、そのパンフレットの中に、この準備金制度を実施をすることによる運賃の上げ幅は三%とか四%程度のわずかなものであるという説明が入っております。それは確かでございまして、ただ、これはその上げ率といいますか、この制度による利用者の負担の程度が九十円あるいは百円の初乗り運賃に対して三円なり四円なりのウエートしか持たない、そういうことを概念的に御理解いただこうと思ってそういう物の言い方をしておるわけでございますが、実際の運賃額を決めます作業ではそういったことはあり得ないわけでございます。御指摘のとおりでございます。  そこで、まず御説明申し上げたいわけでございますが、私ども積立金を積み立てるために必要な運賃水準の設定ということは、それ自体独立して行う考えは持っておりませんで、最も現実的で実際的な扱いというのは、この法律にもございます整備事業計画の認定後最初に迎えることになる通常の運賃改定の機会に積立金を実施するために必要な運賃の上乗せということを行う考えでございます。例えば、この場合に、仮に現行の初乗り運賃が現在百円である、その計算をたやすくするために、通常こういった制度がなくて必要とされる運賃の改定率が一〇%である、その会社がこの制度にのっとって複々線化工事をやるとした場合の積立金の積立率が三%であったとする、そういう前提を置いて申し上げるわけでありますが、その場合、改定後の初乗り運賃は百円から一〇%上げて百十円、それに積立金の三円分が加算されまして、観念的には百十三円の初乗り運賃の額になるわけでございますが、御指摘のとおり、現行運賃制度では十円単位でしか運賃の設定が行われておりませんので^初乗り運賃は、その百十三円という観念的な数値をまず置きまして、それを下回る百十円になるかあるいは百二十円になるかのいずれかしかないわけでございます。  まず、百十三円であるべきものを百十円のレベルに設定したといたしますと、初乗り区間におけるその三円分に見合う収入の不足額が生ずるわけでございまして、この収入不足につきましては、例えば遠距離逓減の見直し等によりまして、より長距離の区間におきます十円単位の運賃のアップを行うことによってこれを補てんするということになります。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕  それから、逆にいろいろな配慮から、いろいろな他の事情から、百十三円で設定されてしかるべき初乗り運賃の額を見ながら初乗り運賃を百二十円という額に設定せざるを得ない事情があったとしますと、そこに初乗り区間について一人について七円分の超過収入が生ずるわけでございますが、これは超過収入のままで置いてはいけませんので、例えばさっきと逆な話でございますが、遠距離逓減の逆の見直しによりまして、より長距離の区間での十円単位の運賃水準の引き下げを行いまして、その超過収入分を相殺する形で長距離の運賃を設定するというような現実の作業になるわけでございます。
  78. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、結局初乗りで取り過ぎれば、何区間目か知らぬけれども、中間どころで取り過ぎた分は逆に言うと返すという理屈になる。ところが、これは利用者が一定しておればいいのだけれども、利用者の数は、初乗りは恐らくつかめたといたしましても、何区間か先の分というのは一体どこで数字をはじくのですか。どこをとらまえてやるのですか。それは今の最初の運賃の設定のところで説明があったような方式でやるのですか。
  79. 服部経治

    服部政府委員 各私鉄とも各距離帯別の利用人員は正確に把握しておりまして、何キロ帯の利用人員は何人、何キロ帯の利用人員は何人ということをきちんとした数字として持っております。
  80. 吉原米治

    ○吉原委員 ところで、この法案は私は率直に申し上げて賛成をしたい法案なんですが、どうしても腑に落ちないのは、例えば東急でいいますと東横線、東武でも伊勢崎線、東上線という対象路線を利用する人、毎朝通勤時に大変な混雑の中で窮屈な思いをして利用しておる人、今から十年かかってひとつ複々線にして座って行けるように、快適に通勤ができるようにしてあげるから、今回の運賃値上げで、十年後の供用を開始した場合に受けるであろう利益といいますかメリット、それを事前に御負担を願いたいというなら、私はそうだろうと思っておったのです。ところがそうでなくて、全然利用しない人までも同じように、この区間の複々線をやらんがための、十円なら十円の運賃値上げが必要なときであっても百十三円払わなければならぬというその矛盾が私にはどうしても納得いかない。メリットを受ける利用者が運賃負担をするというのならわかりますよ。運賃のあり方というのは、やはりその線区を利用して御利益を受ける皆さんが対価として払うべきものなんでしょう。にもかかわらず、そういう御利益を受けぬ者までが何で負担しなければならぬか、ここをひとつ説明してください。
  81. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘といいますか御疑問は、この制度によって本来は将来に発生すべきコストを前もって前倒しの形で負担するというこの制度の考え方について、前倒しの負担をする人が将来その工事の完成による大幅な輸送改善のメリットを享受し得ない可能性があるではないか、その辺をどう考えているか、こういうお尋ねだと理解いたしまして御説明させていただきます。  確かにそういうケースは起こり得るわけでございます。しかし、私どもは、積み立て期間中の利用者、前倒しの運賃負担をする利用者と工事完成後のメリットを享受する利用者についての対応関係先生が言われるほどの厳密さで考えるというのではなくて、積み立て期間中において運賃の上乗せ分を負担するグループと、工事の完成後に複複線化等による輸送サービスの改善効果を享受するあるいはまた運賃の還元というような措置を受けるグループとの間には、これをマクロ的に見れば、大数観察的に見れば確かな同一性と対応性があるというふうに基本的に考えておるわけでございまして、いわゆる受益者負担考え方の枠内であるというふうに理解するわけでございます。  その受益者負担考えというのは、将来において相当程度利用する可能性が高いという範囲内で、今申し上げましたようなマクロ的なとらえ方をすることが許される、しかも、それはこの制度が多くの鉄道利用者にとってほっておけばなかなか実現できない輸送改善ということを実現し、その結果を多くの人が享受し得るようになるんだというその事柄との対比において社会的に十分容認され得るものだというふうに考えておるものでございます。
  82. 吉原米治

    ○吉原委員 局長のような理解をされる利用者ばかりならいいんですよ。将来複々線が予定されておる線区を利用している沿線の皆さんが、自分の孫子の代にも永久的にこの線区を使うという人はおりましょうけれども、その反対に、都市部の人はとかく簡単に転宅をする、小田急沿線から東急沿線に転宅をするという場合もあるでしょう。また四年間大学へ通っために地方から出てきた連中がたまたま工事区間になって先取り運賃をされた、この線区は十年先に複々線で大変利用しやすい線区になるようだが、おれはそのときには東京におるかおらぬかもわからぬという人たちにとってみれば、何で十年先の皆さんが御利益を受けるために自分がそれだけの負担をしなければならぬかという問題が依然として残るわけですね。今局長のような解釈をする利用者ばかりならこの問題はないと思う。そういう人たちにどうやって説得ができるのか。私は説得できぬと思いますよ。そのときに今の局長のような説明で納得するでしょうか。
  83. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘の中にあるような事態というのは我々としても十分予想いたしております。  ただ、こういった本当に緊急性の高い、その実現を多くの人が待ち望んでいるような輸送改善というものを円滑に促進していくための手だてとして、こういう制度を今つくろうという格好で御提案を申し上げておるわけでございまして、そういう多くの人の利益につながる制度の中でのそういった前倒しの負担をするグループと、後ろ側の利益を享受するグループの対応性の問題というのは、私が最前申し上げましたような大数観察的な、マクロ的なとらえ方というのは十分社会的に容認されるというふうに私ども考えておるものでございます。
  84. 吉原米治

    ○吉原委員 どうも局長との論議はかみ合わなくて平行線でございますが、そこで平行した論議を続けておってもきりがございませんから先に進みますが、例えば東急の場合で申し上げますと、東横線十六キロ、千八百億という工事費が今想定をされておるわけでございますが、千八百億でスタートしてみたけれども、案外立ち退きに費用がかかった、とてもこの千八百億どころじゃ済まなくなった、したがって二千億という工事費に変更をしたいという場合、千八百億ということが想定をされて運賃の上乗せ先取り部分は決められるわけでございますが、これは一回決めたらそれでもう終わりになっちゃうのか、工事費が増額すればしたとき、あるいは減ったとき、その都度運賃の上下が起きてくるのか、変更があり得るのか。減してもらうならいいですよね、ふえるときが問題だ。いかがですか。
  85. 服部経治

    服部政府委員 私どもは、この制度の実際の、現実の運用に当たりまして、こういうふうに考えております。  まず、この制度の適用を受けたいと思う鉄道事業者は、整備事業計画というものを策定いたしまして、要するに、私は今後十年以内に○○線の○○区間の何キロにわたる複々線化をやりたいと思います、ついてはこの制度の適用対象にしてもらいたいという申請を受けて運輸大臣がこれを認定して初めてこの制度の入口に立つといいますか、この制度のルールに乗ることができるわけでございます。  私ども考え方といたしましては、先生も先ほど来るる御指摘になっておられますように、この措置はそういった非常に緊急性の高い大規模工事を促進するためにとろうとしているいわば特別の措置でございまして、事業促進意味からいいますと、将来の物騰なり予見し得ざる事情による工事費の増高というものが本制度の中で吸収され取り上げられるような格好というのが望ましいという意味はよく理解いたします。しかし、それをやっておりましたのでは、運賃にはね返して事前の前倒しの負担をお願いすべき額というのが確定されがたいことになります。まず確定額でもって運賃の前倒し負担額というものをきっちり確定することが何よりも重要であるというふうに考えますので、所要の工事費の額につきましては、当初整備事業計画の中で認定を受けたその額を今後十年間にわたって動かさないということを考えております。  ただし、こういうことはあり得るわけでございます。というのは、その整備事業計画の中でA地点からB地点十キロ間の複々線化を予定し、考えて、事業の認定を受けた。ところがその後、さらにプラス二キロメートルの区間について事業化ができるという見通しが立ったので、二キロメートルを追加してもらいたいという話が来る。その氷のについては、これは額を変更するのではなくて工事そのものを新しく事業計画の中で認定する。これは工事促進を図る意味で非常に歓迎すべきことでありますので、それについてはこの事業計画の中で新たに対象事業として認定していくという考え方でございます。その際、二キロメートルの追加によりまして工事費の額はこの場合には上がります。上がりますが、この制度の仕組みをさかのぼって御説明しなければなりませんが、積立額、積立率というものは、その事業者の運賃収入の規模と予定する工事額の対比におきまして、工事の規模が運賃収入の二倍までは三%、三倍までは四%の積み立てを認めるということでございますから、工事の追加によりまして工事費の額がふえることになりましても、そのふえ方が今のランク内で吸収されてしまう場合には積立率が変動いたしませんので、それによる運賃改定は一切必要がない。仮に工事費が収入の二倍までのランクであった、それがあと二キロの複々線化工事の追加によって三倍までという上のランクに上がってしまったというときには、三%の積立金率が四%に上がるということがございますので、そのようなケースでは所要の運賃の調整ということが必要になってまいるわけでございます。
  86. 吉原米治

    ○吉原委員 この工事は恐らく複々線の工事をやらなければならぬぐらい利用客が多いわけでございまして、既に既存の複線で走っておる沿線でございますからたくさんの人家があると思う。案外立ち退きに手間取って思わぬ金が要るということは容易に考えられることなんでございまして、この工事費の額については余計見積もって、余計取ってもらっても困るし、そうかといってぎりぎりで見て、途中の変更はそれはもう自力でやってくださいということですから、それは今わかりましたけれども、その都度運賃の上げ幅を上下されたんじゃたまったものではないと私は当初理解したものだからそういう質問をしたんですが、今の説明で大体わかりました。  ところで、十年たって供用開始をした。ところが東武のように伊勢崎線と東上線、これは距離が違います。片や十三キロ、片や五キロ、金額も千三百億と二百億、同時に工事を始めた場合には、東上線の方が五キロですから、同じペースで行った場合には早く工事が終わる。早く工事が終わって供用を開始した。供用開始後は普通の運賃に戻さなければならぬわけだな。東上線を利用する人は通常の運賃に戻してもらえるのですか。それとももう一つの伊勢崎線の方がまだ工事が進んでおるから、供用を開始した後でも余分に値上げしたものを引き続き取るのか。取るとすれば矛盾があるじゃないか、こう言いたいのですが、どうですか。
  87. 服部経治

    服部政府委員 この制度における物の考え方でございますが、例えば今の先生の御指摘の事例に即して申しますと、東武鉄道が仮に伊勢崎線十キロの複々線化工事と東上線二キロの複々線化工事とを整備事業計画の中に盛り込んで持ってまいりまして運輸大臣の認定を受けたといたします。確かに東上線二キロの複々線化工事は恐らく二、三年のうちに終了すると思います。東武伊勢崎線の方の十キロの複々線化工事は十年間かかるという事態はもちろん起こり得ますが、この制度の物の考え方というのは、東上線の二キロの複々線化と伊勢崎線の十キロの複々線化をあわせまして所要の工事費を確定し、所要の積立金の額を確定し、その確定された積立金額に見合う運賃の上乗せということをやるわけでございまして、東上線の工事が終わりましても、東武伊勢崎線の工事がまだ行われております間は、その辺の積立金率なり運賃の上乗せの率なりというものは一切変動させないという物の考え方に立っております。
  88. 吉原米治

    ○吉原委員 物の考え方は、それはわかりますけれども、矛盾があるじゃございませんか。片や余分な運賃を払って複々線化をやってもらって、供用開始で御利益を受ける、今まで積み立てたのは返してもらうといっても現実に返しようがないわけですから、言ってみれば通常の運賃に値下げしてもらう。実際はもう一つ長い路線を、伊勢崎線十三キロ、こっちの方が工事が進んでおるがゆえに東上線の方は工事が終わっておるにもかかわらず余分な運賃を負担しなければならないという考え方が、これまたもう一つ私の最初に言った、御利益を受けない者までも負担をするという矛盾があるじゃないか。そもそも運賃というのは、その鉄道から便宜を供与されたために、言ってみれば受益者負担として相応の運賃を払うという運賃のあり方の基本理念からいっておかしい。これと同じように、それじゃ百歩譲って局長のおっしゃるような形で負担をしてきました、問題の箇所は、路線は複々線化になりました、恩恵にあずかっておりながら依然として料金は余分なものを負担していかなければならぬという問題点だけは残るわけですね。  そこで、もう一つ疑問になるのは、供用を開始したら基本的にはもとの運賃に戻すわけでしょう。ところが供用開始日ずばりこの運賃をもとの運賃に戻してもらうということは実質的には不可能でしょう。これは何ぼかずれがありますね。例えば三年ローテーションで運賃改定をやるというなら、俗に言ったら、去年改定したばかりということになると、二年ぐらい余分なものを負担していかなければならぬ、この矛盾は一体どこでどう解消するのですか。
  89. 服部経治

    服部政府委員 計画期間が終了した場合あるいは計画期間が終了する前に予定した工事が全部完了したという場合には、当然その時点でこの制度が働くことをやめるわけでございまして、その時点からまず運賃水準はもとに戻しますし、かつそれ以上にその時点から積立金の取り崩しということが始まりますので、取り崩し分に見合った分だけさらに運賃を引き下げるための手当てをしなければいけないわけであります。  ところで、ただいま先生指摘のように、その運賃を引き下げるための手当てをする日時というものが工事の完了なり計画期間の終了の時点とぴったり一致することはないではないか、まさにそのとおりでございます。私どもはそういったもとの運賃水準に戻し、かつ取り崩し額に見合った運賃の引き下げを行うための運賃改定というものは、通常のケースでは計画期間終了ないしは工事の終了後初めて迎える運賃改定の機会にあわせてこれを行うということにしたいとは思いますけれども、ただいま先生指摘のようなケースでありまして、その通常の運賃改定の時期が二年後だといったような場合は、これは公平の原則からいって問題がございますので、そういった期間のずれは一年以内にとどまるようにしたい、言いかえますと通常の運賃改定が二年後ないしは二年半後に想定されるという場合には、この引き下げのためだけの運賃調整、それによる運賃改定というものを実施する考えでございます。長く余計な負担を皆様方に課するということはもとより考えておりません。  それから、もう一点補足して御説明させていただきたいわけでございますが、いずれにいたしましても、何カ月間かのずれが生ずるわけでございまして、そのずれの期間中、事業者は本来収受してはならない超過の収入が生ずるわけでございますが、この超過収入分につきましては、その全額をもちろん今までの積立額にプラスいたしまして利用者に還元するための運賃調整を行う考えでございます。
  90. 吉原米治

    ○吉原委員 今度は大臣にひとつ質問をしたい。  この法案に関連をいたしまして改正が出されております租税特別措置法の一部改正、積立金を積み立てる場合には非課税措置とする、つまり言ってみれば損金に見るといいますか、課税をしないという、この期間が六十一年四月一日から二年間、二年間は免税措置にする、こういう規定がございます。ところが、この法案では十年間で工事をやりなさいよ、その間の積立金は免税にします、こう本法の方では触れていらっしゃいますが、租税特別措置の方、これも本来なら大蔵省に来てもらうのが一番いいのでしょうけれども、大蔵省のかわりにひとつ現職大臣ですから、二年間しか非課税措置がしていない、なぜこれを十年としないのか、いかがですか。
  91. 服部経治

    服部政府委員 大臣にというお話でございますけれども、大変法律技術的な問題でございますので、私から御答弁をさせていただきたいと思います。  ただいまの先生の御指摘といいますか御疑問はまことにごもっともであると思います。やや技術的にわたりますが、御説明させていただきますけれども、御承知のとおり租税特別措置法は所得の計算上、積立金の損金算入を認めるという形で法人税法の例外措置を定めたものでございまして、このため二年間という期限が租税特別措置法上の措置として付されているところでございます。  一方、この積立金は工事の計画の期間が最長では十年という長期にわたるものでございますから、先生指摘のとおり、最初の二年間しか非課税措置がないということであっては、この制度が本来目的といたしました効果というものが大きく減殺されまして、その目的が達成されなくなってしまうわけでございます。この点につきましては、今回御提案申し上げておりますこの促進特別措置法の中で第十条という規定を設けておりまして、税制上の特別措置との整合性がこの規定によりまして確認されているところでございます。私ども、そういった物の考え方に立ちまして、今後この制度と税制との間に政策上の不整合なりそごが生ずることのないよう、この制度によります積立金につきましては、二年経過しました後も引き続いて免税措置が確保されるようになるというふうに考えておるものでございます。
  92. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、立派なことをおっしゃるけれども法律のどこにそんなことが書いてある。二年後必ず免税措置を講じますという文言はどこにもないですよ。あなたいつまで局長やっておられるのか知らぬけれども、これは議事録に残るわけですからはっきり答えておいてもらわなければいけぬし、裏打ちにひとつ現職大臣も答えておいていただかなければならぬ。
  93. 服部経治

    服部政府委員 ただいま私、この法案の第十条というふうに申し上げました。確かにここには二年を延期するというふうには書いてはございません。「認定事業者が第六条第一項の規定により積み立てる特定都市鉄道整備積立金の額に相当する金額を特定都市鉄道整備準備金として積み立てた場合には、租税特別措置法で定めるところにより、特別の措置を講ずるものとする。」という格好で税法との間の渡りといいますか、渡りをつけておるわけでございまして、私どもこういう規定を俗称ブリッジ規定だというふうに称しておるわけでございますが、こういう担保もございますし、かつ加えまして、先ほど申し上げましたように、非課税措置というものが二年だけで切られたのでは、この制度が画竜点睛を欠くことになりますので、私どもは、もちろん二年という期限が継続されるように、今後に向かって最大限の努力は続けますし、当然税当局もそういう基本的な理解を示していただくことになるというふうに考えておるものでございます。
  94. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ここは大事なところなんです。特別措置法は大体二年刻みで中小企業振興策等々行われております。それで、御見からもいろいろ御要求が出て、そういうものがまた再度二年延長される、こういうことで続いてきておることは御案内のとおりであります。  本準備金も、そういうことで措置法は二年でございますけれども、今局長言いましたとおり、二年が切れましたら引き続きまた二年再延長の申請をする。そのことはここに「特別の措置を講ずるものとする。」という十条の、そういうこともさることながら、それはお認めをいただく。といいますのは、この法律制定に当たりまして、政府一体でありますから、財政当局、税務当局との協議の中で基本的にそのことを理解をいただいておる、こういうことに私は運輸省としては考えておりますし、またそれを申請したことを拒否するなどということはあり得ない。またそんなことはさせてはならない。これだけの大法をお出しさせていただきまして御審議をいただく、こういうことでありますから、基本的に今局長言ったとおり、努力し、そうしてもらえるものと期待する、こう言いましたが、それはもうそのとおりでいいのでありますが、そのとおりになる、またきちっとそれは運輸大臣の責任においてこれは取り進めさせていただきます、こういうことで御理解をいただきますれば結構だと思います。ですから十年間は二年、二年、二年で五回保障されてまいります、こうであります。
  95. 吉原米治

    ○吉原委員 今、現職の大臣、大蔵大臣でない運輸大臣が約束をされたんですから間違いないと思っておりますが、私の持ち時間がちょうどぴたりになりました。したがいまして、今までは総括的な立場で御質問を申し上げたんで、これから逐条的に御質問を申し上げたいと思いますので、それはまた二日目の質問の時間がありますので、その機会に譲りたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  96. 津島雄二

    ○津島委員長代理 左近正男君。
  97. 左近正男

    ○左近委員 この特別措置法案は地方鉄道法のみを対象にする。なぜ軌道法は対象にならないのですか。
  98. 服部経治

    服部政府委員 先生御承知のとおり、軌道は都市におきます旅客輸送の重要な一端を担っておるものではございますけれども、この軌道というのは原則的には道路上に敷設されるものであります。したがいまして、道路空間の制約ということもございまして、現実問題として道路上における軌道の複々線化といったようなことが起こるというふうには考えにくい実態がございますので、私どもその実態に着目いたしまして、軌道を本法の対象の外に置くこととしたものでございます。
  99. 左近正男

    ○左近委員 それでは、地方鉄道法と軌道法の違いは端的にどういうことですか。
  100. 服部経治

    服部政府委員 軌道といい地方鉄道といいましても、同じようにレールの上で列車、電車が走っていくというということでは変わりはないわけでございますけれども、地方鉄道というものは、道路以外の専用敷に自分の線路を敷設するということを原則としておりまして、かつ大量の旅客を高遠で輸送するということをその使命といたしております。これに対しまして軌道は、路面電車がそのいい例でございますが、原則として道路上に敷設されまして、本来的には道路交通を補助するということをもともとの目的としたものでございまして、そういった意味でこの両者は本来異質の輸送機関であるというふうに理解しております。  このような本来的な軌道と地方鉄道の性格の違いを反映いたしまして、例えば軌道法体系の中では、道路管理と鉄道事業の間の調整規定が設けられているという点がまず一つございます。  それから二つ目には、軌道にかかわる施設あるいは軌道の運転ということに関します技術上の基準の内容はかなりの差がございます。例えば線路につきましては曲線半径が大きく違います。求められる勾配も大きく違います。車両の最高速度も大きく違います。車両の編成長にも差がございます。そういったような性格に応じた技術上の基準の差がございます。  三つ目といたしましては、この軌道と道路交通の調整を図る必要がありますことから、軌道に関します多くの権限が運輸大臣とそれから建設大臣の両大臣の共管権限になっておるということがございまして、今申し上げましたように、地方鉄道法体系と軌道法体系の間にはなお多くの差異、相違があるわけでございます。
  101. 左近正男

    ○左近委員 それでは、適用法別の民鉄関係、公営関係の実態は今どうなっていますか。
  102. 服部経治

    服部政府委員 現在、地方鉄道法の適用を受けております事業者数でございますが、民営鉄道が百三十二事業者、公営が八事業者、計百四十の事業者数になっております。  それから、軌道でございますが、軌道法の適用を受ける事業者数は民営で十八、公営で六、計二十四の事業者数になっております。
  103. 左近正男

    ○左近委員 それでは、今お話があった軌道法は民営で十八、公営で六事業者数。今地方鉄道法と軌道法の違いはどうかということで局長の方から具体的な見解の表明がございましたが、この軌道法の二十四事業者については、軌道法第二条の「之ヲ道路二敷設スヘシ」、この条項にきっちり当てはまっておるという理解でよろしいですな。
  104. 服部経治

    服部政府委員 遺憾ながらそうではございませんで、ただいま申し上げました二十四事業者のうち、軌道法の適用は受けておりますけれども、その線路が道路上に敷設されていないといった形のものが、大阪市の地下鉄を初めといたしまして五事業者ございます。
  105. 左近正男

    ○左近委員 大阪市の地下鉄は百キロからの路線網を持っているわけですね。道路の上を走っているわけではないですよ。これは全く専用軌道でございまして、民鉄と比較しても劣らない鉄道機能を持っておる。こういうところが法的に軌道法の適用になっておる。これについておかしいとは思われませんか。
  106. 服部経治

    服部政府委員 適切を欠いておると思っております。
  107. 左近正男

    ○左近委員 大臣、いかがですか。
  108. 三塚博

    ○三塚国務大臣 大阪市地下鉄に対する法適用については、御堂筋線等四線について軌道法に基づく特許がなされ、その後の申請路線についても軌道事業として特許されてきている。これは当初申請線の過半が高架化を予定するなど、道路面上に敷設する計画であったことから、軌道法による手続がなされた経緯があるものであると承知しております。  今局長が言ったとおり、局長がちょっと適当を欠くと言うなら、そうでしょうね。
  109. 左近正男

    ○左近委員 そこで、地方鉄道法というのは大正八年にできた。軌道法は大正十年。今度地方鉄道法は国鉄問題と絡んで鉄道事業法が国会に提案をされていまして、今後論議をしていくわけですが、この鉄軌道の鉄道法規については一本化を図るべきではないか。特に軌道法なんて大正十年のもので、片仮名で書いてあって、今はない前時代的ないろいろな職名もあるわけですよね。だから、基本的に鉄軌道部門については法の一本化を図るべきだというのが私の考え方でございまして、この点については運輸省としてはどうお考えでしょうか。     〔津島委員長代理退席、鹿野委員長代理     着席〕
  110. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘一つの御見識であるというふうに私は思います。先生が今のような御提案、御主張を披瀝されました根底の考え方の中には、例えばほかの地下鉄なりほかの鉄道事業なりと何ら実態的に変わることのない大阪市営地下鉄が、今日まで軌道法の適用を受けているといういささかおかしな現象もある、そういうことを踏まえての御指摘であるというふうに理解いたしますけれども、お答えを申し上げます前に二言だけ申し上げますが、この大阪市営地下鉄が現在まで軌道法の適用対象事業になっているというのは、専らその発足当初の経緯によるものでございまして、御堂筋線ほか四線について、昭和二年でございましたか、軌道法上の特許がなされたわけでございますが、そのときには大阪市としては、この御堂筋線を含む四線につきましては、道路面上にこれを敷設する、高架化等を主体にして道路面上に敷設するという計画であったわけでありますが、その後これが地下化されたということがございまして、軌道法上の特許の対象になってしまったということでございます。今日までそういうふうに軌道の実態と大きく離れておるにもかかわりませず、適用法体系を変更しないでまいってきておりますのは、そういう過去の経緯一つあるということと、それから先ほど私が前の御質問にお答えしたときに申し上げましたように、法規制の内容にかなりの差があるということがございまして、一挙に軌道法から地方鉄道法への変更を図るということをいたしますと、そこに法益の安定性を欠くようないろいろな問題が派生してくることが懸念されますので、今後に向けましてスムーズに問題なく移行できるかどうかについてなお勉強してまいりたいと思っております。  それから、一本化すべきであるという御質問でございますが、私どもといたしましては、これは先ほどお答え申し上げましたように、現在なお地方鉄道法と軌道法との間に規制の内容に大きな差がある分野が幾つか残っておりますので、一本化することは極めて困難であるというふうに現時点では考えております。
  111. 左近正男

    ○左近委員 鉄軌道の法整備の一木化問題は今後の検討課題にしていただいていいと思いますが、この大阪市の高速鉄道の軌道法適用については、建設省、運輸省のいろいろな立場もおありだろうと思いますが、今日実態が法的に適当ではない、このように私も思いますので、この点については、ひとつさらに運輸省の方で検討されて、適切な行政指導をされるように強く要望しておきたい、このように思います。  次に、これからの大都市の交通を考える場合、中京圏もあるわけですが、当面似通った交通圏として、首都の交通圏、京阪神の交通圏、いずれも東京駅、大阪駅から半径五十キロメートルの交通圏でございますが、首都圏についてはいろいろ交通のシェア、自家用車あるいはバス、タクシー、国鉄、民鉄、地下鉄、こういうシェアが現在あるわけですが、今後こういう大都市圏、首都圏、大阪圏、京阪神圏における交通に望ましいシェアというのはどういうような方向へ持っていかれようとするのか。  例えば、五十六年七月六日に「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」についてということで運政審がかなり時間をかけて答申をされておりますが、その中では、大都市圏の問題、これは「国鉄、私鉄、地下鉄建設、改良を進め、軌道系の中量輸送機関、バス等がこれを補完する大量公共交通中心の交通体系を整備する。」こういうような基本方向答申されているわけです。首都圏、京阪神圏の現在の実態の各交通機関のシェアではこういうことにならないと思いますので、運輸省としては今後具体的にどういうようなシェアを求めでいろいろな交通政策をやっていかれようとするのか、見解を聞かしていただきたいと思うのです。
  112. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生指摘のとおり、将来の大都市圏の交通体系のあり方といたしましては、鉄道あるいはバスといったような大量公共交通機関を中心に効率的な交通体系というものが形成されていくことが最も望ましいと考えておるところでございまして、そのためには、例えば自家用自動車を現在利用されている方々をできるだけそういった大量公共交通機関利用の方向に誘導していく必要が基本的にあると思っております。  そのためにも、まず必要なことは、大量公共交通機関の整備活性化を積極的に図っていく必要があるというふうに認識しておりますが、さて具体的に何%になればそうなったと言えるのかというあたりにつきましては、ただいまお答え申し上げるほどの具体的な考えを持っておりませんので、今後その点につきましても十分勉強させていただきたいと思っております。
  113. 左近正男

    ○左近委員 首都圏では自家用車が二四・一%、京阪神交通圏では自家用車が二九・三%です。局長は大変勉強家ですし、東京の場合、大阪の場合、大体将来これをどの辺まで下げていこうという政策的目標を持っておられるのか、行き当たりばったりなのか、そこら辺の展望をやはりしっかり運輸省としては持ってもらわなければならぬのじゃないかと思うのですが、これは再度いかがですか。
  114. 服部経治

    服部政府委員 大都市の交通体系のあり方につきましての定性的な方向づけというものは、私どもしっかり持っておるつもりでございまして、今後の具体的な施策の展開も、その方向でさらに努力してまいりたい考えでございますけれども、これを定量的にどの程度であることが望ましいかということにつきましては、例えば一〇%程度が適当であるというようなことを申し上げるところまで現在私勉強ができておりません。大変申しわけない次第でございます。
  115. 左近正男

    ○左近委員 いずれにしても、自家用車のシェアを減らして大量輸送機関に交通機関を転換をしていかなければいかぬということについては、今後積極的に運輸省としてもやられるのでしょう、その点いかがですか。
  116. 服部経治

    服部政府委員 おっしゃるとおりでございます。今回御提案申し上げておりますこの法案も、そういう物の考え方に立脚したものでございます。
  117. 左近正男

    ○左近委員 それでは、そういう方向で積極的にやっていただきたいのです。  次に、この特別措置法制定のため従来から設けられておった租税特別措置法による特定鉄道工事償却準備金制度、これが今租税特別措置法の一部を改正する法律案として国会に出ておるわけですが、そういう償却準備金制度を廃止をするということが提案をされているわけです。これはなぜ廃止をするのですか。
  118. 服部経治

    服部政府委員 先生御承知のように、ただいま御指摘の償却準備金制度でございますが、これは都市交通対策の一環としまして鉄道施設の緊急整備促進するという今回の準備金制度とかなり似通った趣旨のもとに昭和四十二年六月に実施されたものでございまして、その後、今日まで大都市圏における民鉄の輸送力の増強に一定の成果を上げてきたことはそのとおりでございます。  ただ、この準備金制度につきましては、昭和五十一年度以降の租税特別措置法の整理縮減に伴いまして、漸次積立率の引き下げあるいは取り崩し期間の短縮といったような格好で制度内容が縮減されてまいりまして、それに伴いまして、次第にこれを利用する実効性も薄れてまいりまして、最近におきましては、これを利用する鉄道事業者の数も大きく減少傾向にあったところでございます。  ところで、この償却準備金制度でございますが、これは減価償却負担の平準化を図るということをまず第一義の目的とするものでございまして、あわせて工事期間中の税負担の軽減を図るという趣旨のものでございますが、この償却準備金制度におきます積み立てというのは、現実に工事への支出がなされた後に、その支出額の十分の一を準備金として計上するという会計処理上の措置にしかすぎないというものでございまして、例えば工事の本格的な促進にどうしても必要とされる工事資金の調達を容易にするとか、その工事資金にかかわる金利の負担を大きく軽減するといったような効果は、この制度にはなかったものでございます。  また、この償却準備金制度は、いわゆる任意性の積立金でございますことから、本制度によります積立額なり取り崩し額なりというものと、今御提案を申し上げておる制度とは違いまして、これを運賃と連動させることができないといったような性格のものでございまして、その効果発現にはやはりかなり限界があったわけでございます。それで私ども現在のような大都市圏における大規模改良工事を大きく促進する必要があるという認識のもとに、今のこの償却準備金制度を基礎にいたしまして、これを発展的に解消しまして、今当面最も必要であると考えられます複々線化等の大規模改良工事を大幅に促進するために、より有効なより実効性の高い特定都市鉄道整備準備金制度というものを創設することとしたものでございまして、簡単に言えば、これへの発展的な解消を図ったということに尽きるわけでございます。
  119. 左近正男

    ○左近委員 発展的なものが今回の法だということですが、一番大きな違いは、この工事償却準備金制度というのは、新線の建設についても適用されておった、今回はその面が適用にならない、これは発展じゃなしに後退じゃないですか。局長は運賃と連動してないと言うけれども、我々にとっては運賃と連動しなくて大規模な改良工事なり複複線化なりあるいは新線建設ができればそれにこしたことはないわけですよ。だからその辺のとらえ方が私の考えとは道なんですよ。これは今までかなり大きな資金を積み立てている事業者もあるわけですね。これらが今回のこの本法によって全く適用がされないという問題があるわけでして、この辺はどうお考えなんですか。
  120. 服部経治

    服部政府委員 私は、全体としては、この償却準備金制度は今回の準備金制度に発展的に解消された形になっているというふうになお思うものでございますけれども、子細に見れば、ただいま先生指摘のように、今回の制度は既設線の複々線化工事を対象とするものでございますし、以前の償却準備金制度は、複々線化等のほかに新線建設にも適用されるという意味で、カバレッジの違いは確かにございます。ございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、今回御提案申し上げております制度がより実効性があるということでひとつ御理解を賜りたいと思いますし、また償却準備金制度が対象としておりました新線建設の問題につきましては、私ども、複々線化等等と並んで同様に、あるいはそれ以上に重要な新線建設促進の問題に積極的に取り組んでまいりまして、今後に向けていろいろと工夫を積み重ねる努力をしてまいりたいというふうに考えておるものでございます。
  121. 左近正男

    ○左近委員 特定の事業団体を挙げるのは嫌ですが、例えば今までの制度で東京の営団なんかは物すごく恩恵を受けておったわけですね。今回のこの制度になれば全くそういう税法上の恩恵が受けられない。これは企業、事業者を平等に扱うという面では少し私はおかしいのじゃないかというように思いますが、その点はどうですか。
  122. 服部経治

    服部政府委員 私ども基本的には最前から申し述べておりますような理解をしておるわけでございますが、なお、先生指摘のように、現在までこの制度を利用している事業者が、途端にこの制度を利用することができなくなるということはもとよりまずいことでございますので、私ども経過的な措置を講ずることといたしまして、本年度中に、言いかえますと昭和六十年度中に、運輸大臣の告示に掲示されました工事につきましては、引き続きその工事についてこの償却準備金制度の適用があるという経過措置を講じておるところでございます。(左近委員「一年だけですか」と呼ぶ)今後最長六年間でございます。
  123. 左近正男

    ○左近委員 一定の経過措置を設けていただくということですから、この法案、ある面ではいい側面もあるわけですが、出てき方が非常に唐突なんですよ。  例えば、去年の七月十一日「東京圏における高速鉄道中心とする交通網整備に関する基本計画」、この中でこういう文章があるわけです。「鉄道整備促進するため、鉄道事業の内部留保を充実させ、これと相まって特定鉄道工事償却準備金制度の活用を一層促進させる」。去年の七月にこの制度、特定鉄道工事償却準備金制度をどんどん活用せいという答申が出ておって、それで半年もたたぬ間に、この制度をやめてしまって、新しい制度だ、これが発展的だと。これでは何のための運政審答申ですか。どうもやられていることが一貫性がないわけですよ。それはいかがですか。
  124. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの先生の御指摘といいますか御疑問はまことにごもっともでございます。その点につきまして若干の説明をさせていただきたいと思います。  ただいま先生指摘になりましたように、昨年七月の運政審答申の中にこういうくだりがございます。「鉄道事業の内部留保を充実させ、これと相まって特定鉄道工事償却準備金制度の活用を一層促進させる」べきであるというくだりでございます。私ども、この運政審答申の趣旨につきましては、鉄道投資の積極的な促進を図るという観点から、良質な工事資金を鉄道事業者が調達できるような運賃制度を工夫すべきである、そしてまた、これと相まって所要の税制措置を講ずるべきである、こういう趣旨であるというふうにこのくだりを理解しております。それで、より具体的には、この答申の時点、昨年の七月という答申の時点では、そういうふうな物の考え方方向性は御審議の過程で議論されたわけでございますが、今回御審議を願っているこの特定都市鉄道整備準備金制度のような具体的な対応案というものは、その時点では必ずしも想定し得なかったという事情があるわけでございまして、その結果、そういう方向性に沿うものとしての「特定鉄道工事償却準備金制度の活用」といったような表現をその答申の中ではとらざるを得なかったということでございますので、そのあたりにつきまして何とぞ御理解を賜りたいわけでございます。
  125. 左近正男

    ○左近委員 それでは、この昨年七月の東京圏運政審答申の中で、「建設資金の確保及び鉄道建設に対する助成措置」、この項目の中で、「長期・低利の資金の確保」あるいは「開発利益の還元」、こういう問題について一遍検討をせよというような答申がされておるわけです。このことについての今日の検討状況なり今後の取り組みについて、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  126. 服部経治

    服部政府委員 昨年の七月の運政審答申の中では、先生ただいま御指摘のように、建設資金の確保及び鉄道建設に対する助成措置のための方策として、幾つかの具体的な項目、あるいはまた建設された鉄道のその後における円滑な運営の確保を図るための方策として幾つかの具体的な指摘が提言されておるわけでございますが、私どもはそうした答申考え方を踏まえながら、今回の準備金制度というものを考え、かつ、それの具体化のための作業を進めてきたところでございます。  ところで、これ以外の点についての検討状況ということでございますが、例えば同じ運政審答申の中に言われております「開発利益の還元」という問題につきましては、私ども先生御承知の常磐新線というのがございますが、その建設具体化策とも締めまして、現在鋭意その具体化のための検討を進めているところでございます。かなり精力的にこの問題に取り組んでいると申し上げてよろしいと思います。  それから、そのほかの幾つかの運政審答申指摘事項につきましても、さらに今後に向けまして、鉄道整備促進及びその円滑な運営の確保を図るという考え方のもとに、引き続いて検討を進めまして、なるべく早い機会に具体的な成案を得るように、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
  127. 左近正男

    ○左近委員 それでは、運輸省としてのこれからの問題について、今の御答弁を聞いておって私なりに少し整理をさせていただきたいのですが、大規模の改良工事なり複々線化、そういうものについては、今回出てまいりました特定都市鉄道整備促進特別措置法、こういうところで一つ網を張る。もう一つ、新線の建設問題については、民間活力というか受益者負担というか、そういうもので近い時期に法整備をして網を張っていくというような二つの法を、今回の法と新線建設の法というものを考えておられるというような理解を私はしたのですが、その辺はどうですか。
  128. 服部経治

    服部政府委員 基本的に申し上げまして、ただいま先生指摘のとおりでございます。
  129. 左近正男

    ○左近委員 そこで、この特別措置法案の問題ですが、先ほど吉原委員の方からもいろいろと料金問題について御指摘がございましたが、問題は、受益者負担の線引きをどこにするかということが一番大きな問題だと思うのですよ。局長は、これは会社ごとだ、工事をやっているところの人が乗ろうとやっていないところの人が乗ろうと会社ごと一体だ、これが受益者負担のマクロの解釈としては乗客が十分受け入れられる解釈だ、こういう答弁でございますが、私は受益者負担の線引きを、例えば今の料金制度の中で、新しく路線を敷いたところで特別運賃制度をやっているところもあるわけですよ。だから、この辺について私は受益者負担の原則をもっと、ミクロとは言いませんけれども、乗客に、乗っている方に御理解をいただけるような線引き方式をやるべきじゃないか。例えば御指摘のあった通学定期なんかの問題は特に私はそうだと思うのです。ほかの定期はどうか知りませんが、通学定期は、大学がそこにある、大体四年間か二年間そこに行っておってもう恐らくその線は乗らぬ確率が高いのですよ。そういう通学定期なんかの問題については、十年後、受益者還元があるなんて、こんなことでは世の中通らぬと私は思いますので、この辺について、この法は法として具体的に行政指導をされるべきじゃないか、このように私は思います。通学定期は割引率が高いから辛抱せいということに私はならぬと思いますので、この辺について今後どういうふうに対応されるのか、少し工夫が要るのじゃないかと私は思うのです。
  130. 服部経治

    服部政府委員 ただいま二点にわたる御指摘がございました。  まず第一点でございますが、この問題につきましては、私ども基本的には会社単位で、一事業者一運賃制度ということを基礎に物事を考えるつもりではございますけれども、なお、現実の工事に要する額が膨大に上りまして、それを全線の利用者で均等に負担するということが具体的に利用者の間に著しい不均衡を生じることになるというふうに懸念されるような場合には、先生指摘の、現在私ども使っております特別加算運賃制度というものを弾力的に適用してまいりたいと思っております。  それから、次の通学定期の問題でございますが、確かにおっしゃるようなことがございますので、私ども、その点につきましては、もう少し議論を積み重ねて適切な対応を図るように考えさせていただきたいと思います。
  131. 左近正男

    ○左近委員 特にこの通学定期の問題はひとつ積極的な検討を、法は法として具体的に行政指導も私は可能だろうと思いますので、特に強く要望しておきたいと思います。  それと私は関西ですが、今回やられるものが東京圏が多いのですよ。今までも近鉄も南海も阪急もターミナルにかなりの資金を使って大規模改良をやっているわけですよ。そういう感覚で物を言わしていただけば、今回何で東京圏だけこんなことを、将来関西圏もいろいろあるのやと言われればそれまでですけれども、やられるのかなという感じがしてならないわけです。  そこで、今、大手の民鉄の経営状況、これは料金の申請の場合も問題になることでありますが、民鉄というのは鉄道会社という名前を使っていますが、もう総合的な企業じゃないかな、私はこういうように思うのですね。データが出ておりますように、運輸収入の面では、鉄軌道業というのが大手の十四社で五〇・八%、自動車業が一四・五%、その他兼業が三四・七%あるわけですよ。だから、鉄軌道だけで独立採算をしていかなければあかんのやというような発想は少し古いのじゃないか。もう私鉄というのは、名前は鉄道株式会社ということになっておるけれども、兼業部門の方が七〇%もいっているところがあるんですよ。鉄軌道業は全体の収入の三〇%しかないというようなところも大手の十四社の中にはあるわけですよ。そうすれば、会社の名前は鉄道事業の株式会社かもしらぬけれども、やっている内容はもう総合的な機能を持った会社運営をやっているというような理解をすべきじゃないか。  そういうことで、関西の方なんかはいろいろターミナルに膨大な資金を投入して、これは自前でやっておられるわけですよ。だから、受益者負担ということも大事ですが、そういう大工事をやることによってターミナルがきれいになったら、また私鉄の経営者もかなり副次的にいろいろなもうけというかそういうものもあるわけでして、そこらの関係についてどういうような発想を持っておられるか。私はもう私鉄というのは多様な機能を持った企業だというような理解しているわけですよ。単一機能ではない。現にこの資料を見ても、運輸収益というかそういうものがもう三〇%台のところもある。私はそういうことを考えれば、もう少し見方を変えていく必要があるんじゃないかというような感じがしますので、この辺の出てきた法案の発想自体が少ししっくりいかない面があるわけですよ。どうですか。いかがですか。
  132. 服部経治

    服部政府委員 あるいは多少お言葉を返すような答弁に相なるかと思いますけれども、事実関係は確かに先生のおっしゃるとおりでございます。あるいは東急という名前の企業は、東横線を初めとする都市の基幹的な交通手段である鉄道事業を経営する傍ら、非常に広範囲の面にわたりまして、いわゆる関連事業、兼業事業というものを手広くやっている実態はございます。しかし、それは事実としてそうであるということでございまして、私ども運輸省としての立場は、またそれなりにあるわけでございまして、私どもの立場からすれば、その東急なら東急という看板のもとでやっております各事業の中の鉄道事業というものを取り上げて、これを将来に向けて育成発展さしていくべき責務を負っているというふうに基本的に理解しております。  その鉄道事業というのは、理屈っぽくなるかもわかりませんが、御承知のように、長期にわたって安定して快適で良質な輸送サービスというものを多くの市民のために提供していく、そういう責務を負っている大変公共性の高い事業であることは、先生もお認めいただけると思うのでございますが、私どもそういう鉄道事業の高い公共性ということにかんがみまして、その鉄道事業が兼業部門、関連事業部門の収支に一切左右されることなく、将来に向けてその健全性を確保していく必要がある。そういう鉄道事業自体の独立採算性が確保されない場合には、鉄道事業の将来の発展もなければ、多くの市民がそれを利用する場合のサービス水準の向上ということもないわけでございまして、私どもは、やはり鉄道事業につきましては、鉄道事業部門それ自体の独立採算制を堅持すべきであるというふうに考えておりまして、これまでの運賃改定に際しましても、鉄道事業部門と他の関連事業、兼業事業部門の収支は、これを峻別して扱ってまいってきております。  ただ、これは私に言わせれば大変残念なことでございますが、例えば運賃査定のときには、そういうふうに鉄道事業部門それ自体の独立採算ということを考えて作業はするわけでございますが、結果的には、例えば過去二十年間におきまして大手十四私鉄で約三千二百億円の累積欠損を生じております。それからこれを過去十年に限定してみましても一千百億円という累積の赤字がございます。それが会社としては東急という看板のもとに他事業部門からの補てんが可能でございますので、鉄道事業部門の収支じりは他の関連事業の収益でもってこれを補てんしているという実態があるわけでございますが、私は本来そうであってはならないものだというふうに考えております。
  133. 左近正男

    ○左近委員 きょうはそれ以上やりませんが、私、今回の法案を見まして、例えば私鉄関係が、第六次輸送力増強計画で、これは五十七年から六十一年までで一兆円近いお金を投資の予定、九千四百四十九億円、単年度だけで千八百九十億円というような大きな金を投資をされておるわけですね。その中で輸送力増強というのは四一・一%、安全対策の工事が四五・七%ということで、むしろソフトの面の費用の方が近年は多くかかっておる。大体ハードの面については、僕は関西の感覚で言えば、近鉄にしても南海にしても阪急にしても物すごい何千億という金をかけてあのターミナルを大改造したわけですね。そのことによって百貨店的なものもできるしお客さんも皆さんそこへ寄るわけですね。それで鉄道事業というのは総合的に潤うと言うたらおかしいけれども経営が成り立っているわけですね。私はそういう発想を、今局長の御答弁をお返しするわけじゃないのですけれども、もう少し大切にしていく方が私鉄の経営者としてもいいんじゃないか。余り鉄道鉄道だよと言わぬと、もう私鉄というのは、総合商社とは言いませんが、多様な機能を持った非常に優秀な企業団だというような位置づけをやりながらこれからの鉄道考えていく。お客さんを運ぶ問題だけは独立やというような発想は古いんじゃないですか。旧の運輸省考え方で、運輸省も政策官庁になられたということで、やはり発想を変えていこうということですから、その辺どうですかね。私はこの投資状況を見ても、もう高度成長期的な投資は一応民鉄も大体終わったのではないかというような意識があるのですよ。そこらは僕は間違っておるのかどうか知りませんが、その辺はどうですか。
  134. 服部経治

    服部政府委員 重ねての先生の御指摘でございますが、そして私はただいまの先生のようなお考えを真っ向から否定するというようなつもりもございませんけれども、先ほど申しましたような鉄道事業の独立採算を堅持するという物の考え方は、古くてしかしなおかつ新しくも通用する考え方であるというふうに私は思っておるものでございます。
  135. 左近正男

    ○左近委員 まあ、またいずれ論議をする機会があるでしょう。  そこで、私は素人でちょっとわからぬのですけれども、特定都市鉄道整備準備金を積み立てていった年度は、これはこの十条によって税金控除の対象になる。これは十年間税金控除になりますね。それで取り崩し期間、これも十年ありますね。それで、取り崩し期間は料金の値下げもしなければあかん。そしてまた取り崩し金というのが会社の経理に入るわけでしょう。これは税金はどうなるのですか、かかるのですかかからないのですか。
  136. 服部経治

    服部政府委員 準備金の取り崩し額についてのお尋ねでございますが、取り崩し額は会計経理上益金処理がされますので、これはその企業が黒字の企業であれば、その分だけ税金の対象になる部分がふえるという格好に相なります。
  137. 左近正男

    ○左近委員 それは大変なことじゃないですか。これは民鉄の各事業者も、積み立てている期間はいいですよ。取り崩し期間にそれが益金になって税金対象になる、これはかなりの金額ですよね。こういう制度については企業としても二の足を踏むのじゃないですか。それはどうでしょうか、僕はそう思うのですけれども。これは料金の値下げをして、それで年々年々取り崩して、十年なら十年取り崩していく、それが全部税金がかかるということですな。
  138. 服部経治

    服部政府委員 その点につきましては、先生のようなお考えもあり得るか……(左近委員「いや、僕の考えと違いますよ。聞いているんです。何もそんな私鉄におべんちゃらせんでもいいです」と呼ぶ)はい、わかりました。  要するに、その取り崩しにつきましては、これが課税の対象になるわけでございますが、これはむしろ当然のことでございまして、事前に積み立てた積立金につきましては、会計経理上損金処理が認められておりまして、その分非課税になっておるわけでございますので、それとの見合いで十分バランスのとれた扱いだというふうに申し上げて差し支えないと思っております。
  139. 左近正男

    ○左近委員 二十八日ですか、また少し質問の時間がありますので、そこで法的な問題をやらしていただくとして、先ほど、新線の建設の何らかの法的なものをひとつ用意をする、これは常磐新線の問題を提起されたわけですが、私は大阪で片福の問題なり大阪外環状の問題を常に言っているわけですが、こういう点については、その関連はどうですか。
  140. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの御質問は大阪圏における片福連絡線というものが具体的に日程に上った場合に、本制度の適用を受けることになるかというお尋ねであると理解して……(左近委員「そういうのを頭に入れて検討しておるのかということ」と呼ぶ)どうも大変失礼いたしました。  片福連絡線の問題につきましては、その重要性は私ども十分認識しておるところでございまして、今後、大阪圏におきます都市鉄道の長期にわたる整備構想を検討する中で十分前向きの検討はなされていくものというふうに理解をいたしております。
  141. 左近正男

    ○左近委員 新空港の鉄道アクセスの問題について、今現在どうなっておりますか。
  142. 服部経治

    服部政府委員 関西新空港は関西全域のための空港でございまして、その機能を今後に向けて十分に発揮させていきますためには、この関西新空港の開港に間に合うような形で利便性の高い良質のアクセス鉄道整備する必要があるというふうに考えております。  具体的には、大阪都市部からのアクセスルートといたしまして、一つには、南海の難波駅から南海本線、それから空港連絡鉄道を経由して空港に至ります南海本線ルート、それから二つ目としましては、国鉄の新大阪駅から梅田貨物線、大阪環状線、阪和線及び空港連絡鉄道を経由しまして空港に至るいわゆる阪和線ルート、この二つ整備いたしまして直通列車の運行を図りまして、利便性の高いアクセスルート整備することといたしております。
  143. 左近正男

    ○左近委員 例えば、大阪市内のアクセスとして、新大阪駅と今御指摘になった南海を結ぶ市内交通線というものについては、今後大阪市としても積極的にやっていきたいという意向なんですが、そこらについては空港のアクセスとして考えられないのかどうか、その点いかがですか。
  144. 服部経治

    服部政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、現在計画されておりますのは、南海本線ルートと阪和線ルート二つでございますが、このような二つの既定のアクセス計画に加えまして、現在、地元の大阪市を中心に御堂筋線あるいは四つ橋線に平行する形で難波筋に新しく地下鉄整備いたしまして、一つには、これによって増大する市内の南北方向旅客流動対応するということとあわせまして、この難波筋新線を、北は国鉄の新大阪駅に接続させまして、南は湊町付近を経由しまして阪和線もしくは南海本線に接続させまして、関西空港のいま一つ鉄道アクセスルートとしてこれを活用することはどうだろうかといったような構想が検討されているというふうに承知いたしております。この構想の当否といいますか、その緊急性につきましては、大阪圏の都市鉄道の長期整備計画を検討、策定するために、いずれ近い時期に開催されることが見込まれております運政審などの場で、この問題につきましても詳細、具体の検討が行われていくことになるであろうというふうに考えております。
  145. 左近正男

    ○左近委員 私は要望しておきたいのですが、その問題も積極的にひとつ検討していただきたいわけですが、この空港のアクセスについては、国鉄がこういう状況ですので、まだ建設主体も決まっていないわけですよ。だから、これではどうにもならぬわけでして、具体的にどこが建設主体になるのか、ここらをひとつ近い時期に明確にしていただくようにお願いをしたいと思います。  そこで、少し都市鉄道問題として、最近運輸省では、リニアモーターの駆動地下鉄システム、こういうものについて日本地下鉄協会とともに協力して検討されておるやに聞いておるわけですが、現在どのような検討がされておるのか、また今後この検討の期間なりあるいは実用化の見通しについて教えていただきたいと思います。
  146. 服部経治

    服部政府委員 リニアモーター駆動方式を採用いたしましたいわゆる小型地下鉄でございますが、これにつきましては、従前の回転モーター駆動方式を地下鉄に採用する場合に比較いたしまして、車両の床下をさらに四十センチメーター程度低くすることが可能でありまして、その分だけトンネルの断面をより縮小することが可能になるわけでございますし、また加えまして、急曲線あるいは急勾配の走行も、従前の方式に比べまして格段に容易になるといったようなことから、地下鉄建設の際に、周囲の条件に対応した路線選定の自由度も大きく増すといったようなことを通じまして、二重の意味で今後の地下鉄建設費を大きく低減させる効果があるというふうに期待しておるところでございます。  私ども現在、日本鉄道技術協会を中心に、リニアモーターそのものの開発とか走行性能の問題だとか制御方式の問題などを研究してまいりまして、主要な技術項目についてはほぼ問題がないというところまで参っております。  しかしながら、実用化を図るというためには、なおある程度の距離を持ちました実験線を整備いたしまして、そういった形での走行実験を繰り返す中で、例えばそういったリニアモーター駆動方式に適合する信号方式を開発するとか、あるいは鉄道システム全体としての信頼性についてなお詰めた技術開発を行うとか、あるいはランニングコストの低減を図るための経済性の問題をより深く詰めていくとかといったような問題が残されているというふうに考えております。
  147. 左近正男

    ○左近委員 時間がございませんから、もう最後ですが、今後の地下鉄というか都市鉄道については、大体この方式を適用していこうというようなお考えですか。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  148. 服部経治

    服部政府委員 リニアーモーター駆動方式を地下鉄に採用することにつきましての技術的な諸問題が完全に解決され、解消されまして、実用化の段階を迎えました暁には、今先生指摘のような方向で物事が進んで行く可能性が極めて高いというふうに考えております。
  149. 左近正男

    ○左近委員 どうもありがとうございました。
  150. 山下徳夫

    山下委員長 西中清君。
  151. 西中清

    ○西中委員 特定都市鉄道整備促進特別措置法案について御質問をいたします。  大都市圏における鉄道は、急激な人口増加、利用者の激増、こういうことで朝夕の通勤通学時間帯の混雑ぶりというのは古くからの課題でございまして、ある面でいえば極度に悪化をいたしておる、こういう認識をいたしておりますが、この現状の打破及び将来の需要増加を展望した鉄道整備を行う上で、今回の法案はそれなりの対応策になるであろうというように期待をいたしております。  法案の個々の問題について質疑に入る前に、若干の問題点をお聞きしておきたいと思います。  最初に、この特定都市鉄道整備積立金制度の創設に至った経緯について伺っておきたいと思うのですが、この制度については、昨年七月十一日の運政審答申東京圏におけ至高速鉄道中心とする交通網整備に関する基本計画」、これに示されておるものを背景にいたしておると思うのでございます。その点は間違いがないのかどうか、改めて確認をいたしておきたいと思います。
  152. 服部経治

    服部政府委員 私ども、問題意識といたしましては、もっと早い時点からこうした問題への対応を図るための有効な手だてはないものかというふうに考えておりましたが、直接には、ただいま先生指摘の、昨年の七月の運政審答申の御指摘を基礎といたしまして、その考え方を踏まえて今回の制度を組み立ててまいったものでございます。
  153. 西中清

    ○西中委員 そこで、答申に示されております問題として、資金の確保の方策、こういう点が取り上げられておるわけでありますけれども、大ざっぱに分けましても七項目ほどに分かれておったと思います。「長期・低利の資金の確保」、第二番目は「開発利益の還元」、三番目が「鉄道整備の原因者の負担」、四番目「日本鉄道建設公団の有する諸機能の活用」、五番「運賃のあり方」「利用者負担」、六番「経営の合理化」、七番「公的助成あり方」などでございます。積立金制度は、この中でどういう考え方中心になっておるのかということとあわせて、これら答申の掲げました問題についてどういうように検討され実施されようとしているのか、簡単に説明をいただきたいと思います。
  154. 服部経治

    服部政府委員 今回御提案申し上げておりますこの制度は、ただいま先生指摘になりました七項目のうち、まず運賃の問題でございます。鉄道事業者が今後に向けて必要な輸送力増強工事等を積極的に推進していくことが可能なような運賃水準の設定を考えるべきであるという指摘がまず一つであります。それからいま一つは、長期、低利といったような良質の資金の獲得等を図るべしといったような、二つのことが直接的にはこの制度を考える動機的な考え方になっておるというふうに御理解いただければ幸いでございます。
  155. 西中清

    ○西中委員 七項目、大体簡単に今現在どういう取り組みをしておるのか、伺っておきたいと思います。
  156. 服部経治

    服部政府委員 今回御提案申し上げておりますこの制度がまずその一つでございます。  次に、「開発利益の還元」でございますが、これはその建設整備によりまして、沿線に大量の開発利益を造成することになります新線の建設整備の場合によく当てはまる制度だと思っておりますが、これにつきましては、先生も御承知の常磐新線建設策の具体化と絡めまして、現在関係の自治体の方々とたび重ねまして協議を続けてきておるその中でここの問題に積極的な取り組みを行ってきているという状況でございます。  それから、その他の問題につきましても、今後に向けまして、さらに一層具体的な成案を得るような方向で努力を積み重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  157. 西中清

    ○西中委員 「開発利益の還元」というのは具体的にどういうことを指しているのですか。
  158. 服部経治

    服部政府委員 これはもう先生よく御承知のことと思いますが、新しく鉄道整備することによりまして、その鉄道の沿線にいろいろな開発利益が造成されることは容易に推測されるわけでございますが、例えばそれは土地の値上がりというような格好開発利益を生むこともございますし、これはデベロッパーの場合に当てはまると思います。それから駅を中心としました付近の企業群も、土地の値上がりということ以外にいろいろな経営上のメリットを享受することになるというケースがございます。私どもが今考えておりますのは、例えばその開発利益が生じている者に新しく負担金の制度をかけるのはどうだろうかというのも一つのことでございますし、あるいは固定資産税なり都市計画税なりをやや上積み課税いたしまして、これを自治体の収入とし、自治体にそれを原資とする鉄道建設基金のようなものを設けて、これにプールいたしまして、その有効な活用を図るといったようなことも考えの中にあるわけでございまして、そういう方向現実の問題としてそれが実行できるような仕組みを今工夫しておるところでございます。
  159. 西中清

    ○西中委員 「長期・低利の資金の確保」の中に、答申では「開銀融資等の財政投融資枠や地方債の起債枠等を確保するとともに、低利の外債の発行等により資金調達手段の多様化を図る必要がある。また、地方公共団体等による鉄道事業者に対する出資、無利子ないし低利融資の拡充も望まれる。」こうありますけれども、これに対しては何かお考えがございますか。
  160. 服部経治

    服部政府委員 前段の「開銀融資等の財政投融資枠や地方債の起債枠等を確保」といったようなことにつきましては、これまでも私ども精いっぱいの努力をしてまいりましたけれども、今後におきまして、なお一層の努力を続ける考えでございます。  それから、「低利の外債の発行等により資金調達手段の多様化を図る」ということにつきましては、既に各企業がその自主的な判断においてそういう方向を模索し始めたところでございます。  それから、最後に書いてございます「地方公共団体等による鉄道事業者に対する出資、無利子ないし低利融資の拡充」というくだりでございますが、これにつきましては、先ほど来申し上げております常磐新線建設促進に関する協議会の場でこうした問題も取り上げまして、自治体の全面的な協力を仰ぎたいという方向考えております。
  161. 西中清

    ○西中委員 答申では経営の合理化についても触れておりますけれども、この積立金制度の実施とあわせて鉄道事業者の経営合理化については、それなりに利用者の理解を仰がなければならぬのは、先ほど来の論議の中でもございましたとおりでございまして、こういう点については、特に何らかの考えがあるかどうか、伺っておきたいと思います。
  162. 服部経治

    服部政府委員 鉄道事業についての経営合理化の問題は、こうした運政審答申にまつまでもなく基本的に重要な問題でございまして、私ども、これまでも絶えずあらゆる機会を通じまして、経営合理化への積極的な取り組みを関係事業者に対しまして慫慂し指導してまいってきておるところでございます。先生も御承知のように、私鉄各事業者は、これまでもこの経営合理化問題には大変積極的な前向きの取り組みをしてまいってきておるところでございまして、それを若干数字で申し上げますと、例えば各種施設の保守業務の機械化とかあるいは外注化といったこと、あるいは変電所の集中制御化に取り組むとか荷物輸送の集約化を行うとかといったような各般の面にわたりまして経営合理化の努力を続けてまいりまして、大手民鉄十四社の合計で申しますが、その業務量は三十五年に比べまして昭和五十九年には約二・八倍の増加が見られておる中で、この大手十四社の私鉄の従業員数は、この間六・四%の削減がなされております。したがいまして、従業員一人当たりの生産性は、五十九年度では三十五年度のちょうど三倍にまで上がってきておるというような数字もございます。  このように、大手私鉄各社は徹底した合理化への取り組みを続けてまいっておりまして、今後の合理化につきましては、これまでのような今申し上げましたような大幅な合理化効果というものが上げられるかどうかという点についてはなかなか容易ではないということもございますけれども、なお私ども、例えば出改札業務の自動化を一層進めるとか運行管理の集中制御化を進めるとか各種計算業務の電算化をより進めるとかといったような方向への取り組みを慫慂することによりまして、サービス水準の向上改善を図りながら、そういった中でできる限り低廉な輸送サービスが提供できるように一層関係事業者を督励、指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  163. 西中清

    ○西中委員 それから、地下鉄の補助制度に関しては、答申では「補助金の還付のあり方も含め所要の見直しを行う。」としておりますけれども、この見直し作業はいかがなっておりますか、伺っておきたいと思います。
  164. 服部経治

    服部政府委員 先生、これは御承知と思いますが、現行の地下鉄の補助制度におきましては、補助金の交付を受けたときから起算いたしまして十六年以内に単年度で補助前利益が計上されたという場合には、その補助前利益額の二分の一を限度といたしまして、これまでに受けた既交付の補助金を国に還付するという仕組みになっておるところでございまして、この補助金の還付制度の見直しについて運政審でも指摘があるわけでございますが、私どもは、国の財政逼迫の状況も一面では勘案する必要がありますけれども、累積欠損がある場合の還付のあり方等につきまして、地下鉄経営の改善に資するよう今後具体的な検討を急ぎたいというふうに考えております。
  165. 西中清

    ○西中委員 都市交通における地下鉄の位置というのは非常に高いと思うので、その点は早急にひとつ具体的な方法をお考えいただきたいと要望をしておきます。  そこで、この答申の中で整備すべき路線が掲げられておるわけでございますけれども、この総建設費は一体どの程度の規模になるのか伺っておきたいし、現在はどういう状況にあるのか。要するに、必要な整備建設費はこれだけだけれども、現在の一年間の投資規模というものはこの程度にとどまっておる、この辺の御説明をいただきたいと思います。
  166. 服部経治

    服部政府委員 昨年七月の運政審答申第七号で、昭和七十五年度までに整備をすることが適当であるとして答申されました路線は二十九路線でございます。その延長はざっと五百三十キロメートルでございまして、これの整備に要する資金は、工事費は五十九年度価格で申しまして約五兆八千億円程度でございます。したがいまして、今後十五年間にわたってこうした二十九路線、約五百三十キロのものを整備していくことといたした場合には、年間約四千億円の新規の投資が必要になる勘定になっております。  一方、国鉄地下鉄、それから首都圏七社の大手私鉄のこれまでの年間の輸送力増強ということに向けられてまいりました資金の量は、合計で約二千四百億円でございます。
  167. 西中清

    ○西中委員 そういたしますと、この法案が仮に成立した場合は、投資額の実質的増加というのはどのようになるとお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
  168. 服部経治

    服部政府委員 この制度によりまして、今後に向けて整備促進されることになると考えております複々線化の事例でございますが、これは現在私どもが把握している限りにおきまして、東京圏におきまして六線、約七十キロ強のものがございます。これに要する建設費は一兆二千億程度でございます。ただ、今後十年間にこの制度に乗って実現が図られるものというのは、そのうちの約七割程度と考えておりまして、一兆二千億の七割でございますから、約八千億程度のものがこの制度によりまして今後十年間にこれまでの投資額に上積みされるような格好で支出されていく、こういうふうに考えております。したがいまして、そういうことを基礎にいたしまして、今後十年間の関東私鉄七社の投資規模を推定いたしますと、ざっと一兆八千五百億円程度の投資が今後十年間に行われるという計算でございまして、現在までの十年間の投資規模がざっと九千億円でございますので、投資規模がほぼ倍増する格好に相なります。
  169. 西中清

    ○西中委員 次に、お尋ねいたしますが、今後の大都市圏鉄道整備のためには、既に運輸省も発表しておられますように、初めに鉄道ありきということではなくて、町づくりと同時に進めなければならない、こういうお考えのようでございますけれども、積立金制度もこの考え方の一環としてとらえていい制度なのか、それともまた別のものと考えでいいのかどうか、伺っておきたいと思います。
  170. 服部経治

    服部政府委員 この制度は、既設線の抜本的な輸送力増強を図るために、そしてそれを促進するために考案いたしました仕組みでございまして、ただいま先生指摘の町づくり、沿線の開発促進といったような機能は、この複々線化の場合、余り端的にはあらわれてこないのではないかと思っております。そういった問題は、むしろ今後行われます郊外に向けての新線建設促進の際に大きくあらわれてくる問題ではないかというふうにとらえておるところでございます。
  171. 西中清

    ○西中委員 現在想定される路線として六線が挙げられておるわけでございますけれども、複々線化ということになると、やはり地域の問題に大きくかかわり合いを持ってくると思うのです。その点の認識はどういうようになっておるのですか、伺っておきたいと思います。
  172. 服部経治

    服部政府委員 複々線化等の既設線の輸送力の抜本的な増強策は、その最も端的な効果といたしましては、その鉄道を利用しておられる多くの利用者に大変大きな輸送改善のメリットを享受していただけることになるという点でございます。  ただいまの先生お尋ねは、それが沿線にどういう影響を与えるかという趣旨と理解いたしますけれども、沿線の方々に対しましては、むしろ複複線化に伴う高架化工事等によって日照権その他の問題を生ずる可能性があるわけでございまして、今後そういった複々線化等の大規模工事の円滑な促進推進を図っていきますためにも、あらかじめそういった沿線の方々との間の調整というものを前広に十分図っておく必要がある問題だというふうに理解をいたしております。
  173. 西中清

    ○西中委員 局長のおっしゃるとおりだろうと私は思っておるのです。それで、結局複々線化というのは町づくりに余り直接的に結びつくものではないという認識では同じでございますが、その点で、開発利益の還元ということとどういうことになるのかなという思いをいたしておるわけでございます。  その問題はさておきまして、この事業推進のためには地方自治体の協力が不可欠だと思うのでございますけれども、自治省としてどういうことをお考えになっておるか、望んでおられるか、ありましたら伺っておきたいと思います。
  174. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 先生おっしゃるように、鉄道整備あるいは沿線の開発といったものは、私ども地域の町づくりと一体的に行われるというのが当然と考えております。具体的には各市町村あるいは都道府県におきまして、都市計画なり開発構想なり開発計画等で町づくりの方針を出しているわけでございますので、そういった中で鉄道整備がなされていくというのが適当ではないかと私ども考えております。
  175. 西中清

    ○西中委員 その辺運輸省としても十分配慮をお願いいたしたいと思います。  そこで、先ほど局長から御説明がありました常磐新線建設についてお伺いをしておきたいと思うのです。この問題について沿線の自治体に問い合わせをいたしましたけれども建設促進については非常に強い御要望、御意向があるようでございます。しかし、さまざま御心配の点もございますが、大きく分けまして、一つ事業主体を早く決定してほしいという御要望がございます。これがはっきりしないので、結局ルートも決定しない、具体的な対応ができないということで、運輸省の出方といいますか、いつごろこの主体が決まってくるのか、どういうところをお考えなのか、これについては今どのようなお考えであるのか、伺っておきたいと思います。
  176. 服部経治

    服部政府委員 常磐新線につきましては、そのもともとの発想が現在の国鉄常磐線の大変な混雑状況の解消を図るための施策という格好で出てきた問題でございまして、そういう意味から申しますと、一つ考え方としては、国鉄がこの常磐新線整備運営に当たるという考え方があり得るわけでございますけれども先生も御承知のように、国鉄は現在大変厳しい状況の中にあるわけでございまして、国鉄をその建設主体という格好想定する場合には、必ずしも常磐新線早期建設に資するかどうか大変疑問なしとしないところでございます。私どもといたしましては、その常磐新線早期実現本当に必要な課題であるという取り組みをする場合には、国鉄建設主体になるという考え方にかえまして、関係の各自治体が出資いたしますいわゆる第三セクター方式によってこの常磐新線建設促進を図ることが最も適当なんではないかということを考えまして、現在、関係自治体の方々とその方向で話を詰めているところであります。  なお、これができ上がりました暁には、国鉄ないしは分割・民営後の新国鉄がこれを運営するということが適当であろうかというふうに考えておるわけでございます。
  177. 西中清

    ○西中委員 早期にこれを完成させるという点ではそういうことかと思うのですが、それがまさしく地方自治体の御心配の点でございまして、財政が今それだけ厳しい状況の中にあるわけでございますので、その辺を苦慮しておられます。したがいまして、資金調達についてはそれなりの特段の配慮を必要とすると私は思うのですけれども運輸省として何らかの方法をお考えであるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  178. 服部経治

    服部政府委員 この常磐新線整備によりまして、直接大きなメリットを受けますのは、現在の常磐線を利用しておられる方々であろうと思います。同時に、この常磐新線整備によりまして、これは全く現在鉄道のない地域でございますので、その沿線に大変大きな開発利益が造成されていくことは容易に想像されるところでございまして、私ども関係の自治体に資金的な援助、協力をお願いするという場合に、この大きな開発利益をうまく各自治体がとらえまして、それを自治体の収入にし得るような具体的な方策を考えまして、それによってとらえました開発利益を、例えば鉄道建設基金といったようなものにプールいたしまして、この常磐新線建設なり運営費を補てんする資金にしてはどうかといったようなこともあわせて考えておるところでございます。
  179. 西中清

    ○西中委員 第三番に御心配の点は、用地取得の問題でございます。  ターミナル及び車両基地等の用地確保についてはなかなか困難な事情も多いわけでございますけれども、特にターミナルについては、いわゆる土地区画整理事業等によって生み出す以外に方法はないのでございますけれども、こういった点はどういうようにお考えになっておるか、伺っておきたいと思います。
  180. 服部経治

    服部政府委員 常磐新線は、延長が、例えば茨城県の守谷に至ります区間を考えましても、ざっと四十キロメートルという長大な路線でございまして、これの建設に要する資金も五千億近くに上るというようなビッグプロジェクトでございまして、こういうものを実現する過程で一番問題になりますのは、ただいま先生指摘の用地取得の問題でございます。これの実施の段階ではいろいろな具体的な難しい問題に当面することは十分予想されるわけでございますが、関係の各自治体ともこの常磐新線実現は心から熱望されておる状況があるわけでございますので、そういった用地取得の問題につきまして、関係の自治体の格別の御支援なり御協力なり御配慮なりが期待できるものだと私どもは基本的に考えておるところでございます。
  181. 西中清

    ○西中委員 大臣、大分お疲れのようでございますけれども、今常磐新線についていろいろ伺ってきたわけでございますけれども、大変な常磐線の混雑ぶりでございますから、これは広く新線の建設は望まれておるところでございますが、大臣としての御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  182. 三塚博

    ○三塚国務大臣 常磐新線はかねがね国鉄に対して非常な要求のあったところでありますが、ただいま局長が言われましたとおり、改革点に立っております国有鉄道、しからば事業主体はということでただいまの答弁のとおりであるわけでございますが、今後これを取り進めることについては、大都市交通という観点から取り組まなければならぬ点が一点。それと、この線区は収支採算のベースに乗り得る線区であろうと思いますし、そういう点から、公共企業体、一都三県が中心になっておるわけでありますが、沿線市町村も含めました形の中でこれに取り組む。さらに今開発利益の話を拝聴いたしておりましたが、それを開発しているであろうデベロッパーの皆さんの参加等々いわゆる当世流の民活方式のファンドの確保という点がどうなるのであろうか、この辺のところも加えながらこの具体化を早急に進めてまいることが、大都市交通線として、特に常磐線が完全にパンク寸前の状況にあることにかんがみまして、運輸省として、関係各省、自治体との連携をさらに密にしながら全力を尽くしてこれに取り組んでまいるということで進めてまいります。
  183. 西中清

    ○西中委員 そこで、今回のこの積立金制度は、想定されておるのは現在のところ関東、首都圏ということでございますけれども、関西圏や中部圏では想定される路線はあるのかないのか、将来展望はどうなっておるのか、伺っておきたいと思います。
  184. 服部経治

    服部政府委員 例えば大阪圏の私鉄については、阪急電鉄あるいは阪神電鉄等が本制度にのせて整備を図るべき将来の大規模工事計画を現在鋭意お進めになっていると承知しておるところでございますが、関東圏、首都圏におきまして昨年運政審答申があったというような状況が現在関西にないものでございますから、この点については、今後比較的近い時期に運政審等の場で関西圏についても将来に向かっての都市鉄道整備のための長期計画が審議される見通してございますので、そういった勉強の過程の中でおいおい具体的に明らかにされていくことになるのではないかと考えております。
  185. 西中清

    ○西中委員 現在、関西圏は私鉄が非常に発達しておりますから、東京圏とは少し事情が違うことはよくわかるのでありますけれども、これも都市交通の中で混雑という点はあるわけでございますので、この地域も今から十分将来に対応してある種の計画を策定していくという作業を始めておくことは大事だろうと私は思っておりますが、この点についてお考えを伺っておきたいと思います。
  186. 服部経治

    服部政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、そういう方向関係者がそれぞれの立場で勉強を深めていく必要があろうと考えております。
  187. 西中清

    ○西中委員 そこで、この法案と直接かかわりがあるのかないのかわかりませんが、事業主体なり事業内容によりますけれども、京阪奈丘陵に関西文化学術研究都市建設事業が進められておるわけでありますけれども、この事業の関連から、鉄道新線の建設もいろいろと検討をなされているようにお聞きをいたしているわけでございます。この構想はどういうものなのか、伺っておきたいと思います。
  188. 服部経治

    服部政府委員 お尋ねの京阪奈新線の構想でございますが、これは京阪奈学術研究都市構想を踏まえ、かつまた、この方面におきます住宅地の開発の進展の状況を踏まえまして、まず一つには、昭和五十八年三月に大阪地方陸上交通審議会奈良県部会の答申の中で取り上げられたのが始まりと聞いております。その後、六十年六月に近畿地方交通審議会京都府部会の中でも同様にこの京阪奈新線構想が取り上げられたと承知しているところでございます。この二つの部会の答申内容は、ルート上若干の食い違いがございますけれども、ほぼ似通った路線になっております。  端的に申しますと、近鉄奈良線の生駒から東生駒を経由して近鉄京都線の高の原付近を目指す線、あるいは高の原よりも北側にございます京阪奈学術研究都市に向かうような線という格好で構想されているというふうに承知いたしております。
  189. 西中清

    ○西中委員 この鉄道の持つ意味は、学園都市がかなり軌道に乗ってまいりましたので、採算性からいきましても非常におもしろい線ではなかろうかと私たちは認識いたしておるわけでございますけれども、今運輸省としては、この答申を受けて、この線の評価についてはどういうようにお考えになっておるか、伺いたいと思うのです。
  190. 服部経治

    服部政府委員 これが実現の暁には、大阪圏における非常に有効な都市近郊路線として機能する線だというふうに思っておりますが、なお、この線につきます具体的な検討は、今後に予定しております運政審での大阪圏における鉄道の長期整備構想の検討の場で、さらに一層検討が深められていくものであるというふうに考えております。
  191. 西中清

    ○西中委員 今後の作業というと、今お話があったような、むしろ現地でもう少し詰めていかなければならぬということだろうと思うのですけれども、これからの作業としてどういうような条件が満たされなければならぬか、また手順はどういうようになっていくのか、この点について伺っておきたいと思うのです。
  192. 服部経治

    服部政府委員 一番のポイントは、輸送需要想定に尽きると思います。適切な輸送需要想定作業が行われることを踏まえまして、具体的な路線の選定のための検討が進んでいくことになるというふうに考えております。
  193. 西中清

    ○西中委員 この点については特段の御配慮をいただきたいと要望いたしておきます。まだまだ事業主体とかいう段階ではないと思いますので、この話は一応これで終わっておきたいと思います。  そこで、逐条的に御質問いたしますが、まず法案の二条二項に「都市鉄道に係る複線である本線路を四線以上とする工事その他都市鉄道の輸送力の増強に著しい効果を有する政令で定める工事であること。」とありますけれども、この「その他都市鉄道の輸送力の増強に著しい効果を有する政令で定める工事」というのは一体何を指しておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  194. 服部経治

    服部政府委員 ここで明定いたしますのは、まず政令の定め方の基本の考え方でございますが、複々線化に準ずるほどの輸送の改善効果がある大規模な工事というものをここで具体的に書きたいと思っておりますが、典型的には、まず単線を複線にする複線化工事がございます。それから後々線化工事ではございませんけれども鉄道の線形の改良を伴うような大規模な路盤改修工事もここに書きたいと思っております。それからいま一つでございますが、その一つ一つの工事というのは必ずしも大規模とは言えない工事でありましても、それが例えば将来のある時点に予定しておりますダイヤ改正の時期に向けましての列車の運転本数の増加、編成長の増大といったような一つの輸送力増強の目的に結びつく形で同時並行的に進められていく幾つかの工事、例えば幾つかの駅のホーム延伸工事、車両の増備、それから車両の増備に伴います車庫の増新築、あるいは電圧の昇圧工事、こういったもの、言いかえますと、一つの輸送力増強工事でくくられる一体性のあるもろもろの工事も、それが集まって大規模と言えるようになれば、それも取り上げたいというふうに考えております。
  195. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、これを前提として文章を読んでみますと、輸送力の増強に著しい効果を持つか持たないか、この辺のところがポイントではなかろうかと思うのですけれども、例えばサービスという点で、スピードアップするために線路の直線化工事、それから乗り心地をよくするという点で新車両の購入、町の環境整備のために駅舎の改造、こういうものは直接的には輸送力の増強に効果を有しないかとは思いますけれども、間接的にはそういうことも言える部分もあるわけですね。こういうものはこの制度の対象にはならないのかどうか。要するに、単に輸送力増強というだけじゃなくて、質の向上を図っていくというのも一つの大きな交通事業の役目だと思うのですが、そういう点でこういうものは対象とするのかしないのか、伺っておきたいと思います。
  196. 服部経治

    服部政府委員 輸送力の増強と申しますのは、列車の運転本数の増加だけではなくて、列車のスピードアップも当然に輸送力の増強の一つの重要な項目として私ども考えております。そういった意味で、ただいま先生具体的に例を挙げられました線形の改良、これは当然入ります。それから車両の増備、これも当然に入ってまいります。
  197. 西中清

    ○西中委員 単なる新車両の購入ということになると、これは対象にはならぬ。要するに古い車両を新しくし直すというだけでは。そういうことですか。
  198. 服部経治

    服部政府委員 新車両への代替ということそれ自体は輸送力の増強としてはとらえがたいものというふうに考えておるところでございます。さらに申し上げれば、その程度と言っては語弊があるかもしれませんが、その程度の投資ならば、現在も十分円滑に行われているところでございまして、このような特別の手当てをしてまで促進を図るべき工事とは考えにくいというふうに今は思っております。
  199. 西中清

    ○西中委員 それから、対象となる工事の工事費は、百億円というふうに聞いておるわけでございますが、こうなると、非常に限定された範囲の会社しか対象にならぬのではないか、こういうふうに思っております。したがいまして、それ以下でも、百億に近いとか、これはかなり輸送力増強に役立つという場合、やはり弾力的な扱いをするということも大事じゃないかというふうに私は実は思っているわけでございますけれども、そういう点は百億以上でなければならないのかどうか、その点伺っておきたいと思うのです。
  200. 服部経治

    服部政府委員 百億円という私どもの予定しております額をめぐっての話でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、私どもは、一つ一つの工事として取り上げれば大規模とは言えないようなものでありましても、数年先のある時点に予定をした大規模なダイヤ改正に向けて行われてまいります各種の輸送力増強を目指した工事は、それを一まとめにいたしまして一体性のある工事としてとらえて、それのトータルが百億円程度のものであることを要するというようなことで、この制度の運用を図ってまいりたいというふうに考えております。
  201. 西中清

    ○西中委員 次に、国鉄が来年四月一日、法案が通りましたならば新旅客会社になるわけでございます。今回のこの法律案の提出に当たりまして国鉄改革法案との関係は十分討議をされたと思うのですけれども、そういう点は一体どうなっておるのかということをちょっとお伺いをしておきたいと思うのです。  新事業体、いわゆる旅客鉄道会社は、法文上からいけばこの積立金制度を利用できるということでございますが、実際は収入の規模に相当する約一兆円以上の大工事、こういうことになろうかと思いますけれども、そういう大工事があるのかないのか、あったとしても、これは大変な負担になりまして、新会社としては恐らく資金的に耐え切れないものになり、また大きな赤字につながると思います。したがいまして、旅客鉄道会社はやはり対象外だ、こういうふうに私は思っておるのですが、そういうふうに認識してよろしいでしょうか。
  202. 服部経治

    服部政府委員 分割民営化が成りました後の新国鉄につきましては、本制度の対象としてまいる考えでございますけれども、実態論といたしましては、分割された国鉄がこの制度に乗るような、そういった大規模の複々線化工事等を行う場面が本当にあるんだろうかという点につきましては、現梅、まだ詰めた具体的な見通しを申し上げられる段階ではございません。
  203. 西中清

    ○西中委員 要望としては、あちこちの首都圏の国電でも複々々線にしてほしいとかいう要望があることは、私も昔から十分聞いておるわけなんです。ですから、やはりその点については、この法案の成立後、国鉄が新旅客会社になるということになると、これは明らかに私鉄なんですから、この私鉄と私鉄とが、片一方はまあまあそこそこの規模だからこの手当てをするぞ、この制度を適用するよ、しかし国鉄は実態的には適用されないということは少しどうかな、制度上ちょっとバランスを欠いておるのではないかという気がするのです。  関西地区でも、ラッシュ時には猛烈混雑をいたしておるところも国鉄でございます。ですから、そういう点でやりたいと思っても、実態的にはこれは適用されない。これは単に規模だけじゃなくて、運賃上だって、大阪の運賃を山口県の方に積立金を負担させるなんということは考えられないことでございますからなかなか難しい面は実はあると思うのです。したがいまして、私は、今度の国鉄改革法案の中で、この新会社が複々線工事なり高架工事なりをやる場合には、資金的には一体どういう配慮がなされておるのかということを一つは実は心配をいたしておるわけでございますけれども、そういう点はどういうように運輸省としてはお考えか、伺っておきたいと思うのです。
  204. 服部経治

    服部政府委員 分割民営化後の国鉄、いわゆる新国鉄に対します助成等の問題につきましては、今後なお十分関係者の間で議論され、検討が尽くされていくものというふうに考えております。
  205. 西中清

    ○西中委員 ですから、新会社が発足して巨大な投資ということはまず当面考えられないというのが私の判断でございまして、収支の内容からいっても当然だろうと思うのです。赤字になっちゃうと思うのです。ですから、これは本来ですと、いわゆるこの制度と、それから国鉄改革法案の提出される段階において今後どういうふうにするのだということについては、ある種の答案をお書きいただいてから実はこれを出していただくというのが本当じゃなかったかなというように思っておるのですが、今のところそう明快なものがないようでございますけれども、この問題については、こういう積立金制度と別にやはりお考えをいただかなければならぬというように私は思うわけでございますけれども大臣、その点は今後どういうようにお取り組みをいただくか、伺っておきたいと思います。
  206. 三塚博

    ○三塚国務大臣 国鉄分割後の民営会社の大都市交通線をどうするか。大都市交通線ということで輸送需要があり、採算ベースに乗るという問題は、またそれなりの判断が出ると思うのです。本制度に基づく複々線という形の中で、果たして対象になり得るだろうか、こういうことになりますと、今も御指摘ございましたとおり、当分ないだろう、またさせてはならぬだろう、このように実は思います。  と申しますのは、新幹線リース方式をとりながら、リース会社でその負担の均てん、それから収支の均衡に役立たしめようという知恵の限りを出した方式でありますけれども、この方式で進むというのは、まさに本州三分割会社が必ず収支の面で償うのだということが、利益を上げておる新幹線、東海道を中心としたもので再分配をする、こういうことにあるわけでございますから、まず分割会社が収支のベースを健全にせしめるということで、今ございます。その中で全力投球をしていただく。ちなみに整備新幹線もさような意味において民間会社に、分割後の会社にやらせるということはありません。国家プロジェクトとしてこれが登板したときにおいてのみこのことがスタートを切る、そのための御検討を今与党においていただいておるわけでありますし、新幹線に御賛成の各党も一部の政党を除いてあられるわけでありますから、真剣な御論議の中でその方式も構築をいただきますならば、二十一世紀の生き延びる最大の交通戦略、手段としての新幹線というものが国民の足を確保し、信頼にこたえられるであろう、そう思っておるところであります。
  207. 西中清

    ○西中委員 御決意のほどは伺いましたが、ただ新会社には工事や巨大な投資はさせない、これはわかりますね。しかし理論的にはそうであったとしても、それは経営する側の論理であって、すし詰めになっておる乗客の論理からいくと、やはりそういう複々線にしてほしいという要望、これは当然であるし、またサービスそして輸送力の増強からいって、これは当然考えていかなければならぬことでございますから、その点で当面その新旅客会社には投資はさせないのだということを余り強く言っていただくと、お客様は困るわけでございますから、そういう点ではひとつもう一考していただきたいなという気がいたします。  それで、細かい話になるのですけれども、具体例としてお伺いをしておきますが、現在、京都府下では国鉄山陰本線の複線電化工事をしておるわけでございますが、国鉄財政が悪化いたし、そして工事費が極めて圧縮された状況の中で、当初の予定よりも大幅におくれておるわけでございます。これが国鉄民営化され、新会社となった場合には、この工事は当然新会社に引き継がれると思うのでございますけれども、これも投資がまだまだ続くという、こういうことであろうと思います。しかも、この制度からは除かれておるということになると、一体この複線工事はどういうことになっていくのか。輸送力の増強という面では、これは待望されておる工事でございますけれども、こういった現に複線電化工事が進められておる線については、新会社に移転した場合にどういうふうになるか、どのような方策でやろうとしておられるのか、お伺いをしておきたいと思うのでございます。
  208. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これは最終的には新会社の経営判断ということになるわけですね。それと同時に、地域鉄道としての位置づけが明確になるわけでございますから、こういう工事途中の建設線ということについては、府なり市町村、関係県が一体となりまして、これをどう進めるかという形の中で、地域鉄道としての位置づけ、それと経営者との一体感の中で取り進める、こういうことになりましょうし、その場合の、そういうことを進めるということになれば、ファンド等について、補助金という形はありませんけれども、政府関係金融機関等そういうものが大いに活用されていくであろうと思います。  先ほど複々線化という意味で、実は前段の常磐新線の例で強調いたしたわけでありますが、その前に申し上げましたとおり、輸送需要があり、採算ベースがきちっといきますということであれば、投資対象になり得るわけでありますから、当然、その民間旅客会社は本件について考えていくであろう。複々線という意味でなく複線化という意味ですね、考えられることであり得るだろう。これも今言われました複線化の問題との、同一経営理念という、地域鉄道という観点の中で取り上げられていくのではないか、こう思っております。
  209. 西中清

    ○西中委員 特段の御配慮をひとつお願いをいたしておきたいと思います。  まだ御質問したい点が、残余の質問があるのですが、お後がつかえているようでございますので、これにて質問を終わりたいと思います。
  210. 山下徳夫

    山下委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会