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1986-03-05 第104回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月五日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山下 徳夫君    理事 小里 貞利君 理事 鹿野 道彦君    理事 久間 章生君 理事 津島 雄二君    理事 清水  勇君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    柿澤 弘治君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    堀内 光雄君       増岡 博之君   三ッ林弥太郎君       小林 恒人君    左近 正男君       富塚 三夫君    横山 利秋君       浅井 美幸君    梅田  勝君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省国際運         輸・観光局長  仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省貨物流通         局長      武石  章君         運輸省海上技術         安全局船員部長 広瀬 好宏君         運輸省航空局長 山田 隆英君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   小杉 修二君         国土庁計画・調         整局計画課長  糠谷 真平君         運輸省航空局飛         行場部長    阿部 雅昭君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     澄田 信義君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     松本 善明君     ――――――――――――― 二月二十五日  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四八号) 同月二十七日  長野県内国鉄線の三分割反対に関する請願(串  原義直紹介)(第九五六号)  同(清水勇紹介)(第九五七号)  同(中村茂紹介)(第九五八号)  同(林百郎君紹介)(第九五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定都市鉄道整備促進特別措置法案内閣提出  第三九号)  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ――――◇―――――
  2. 山下徳夫

    山下委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左近正男君。
  3. 左近正男

    左近委員 きょう私は大臣所信表明に関し、航空問題、地域交通の問題、この二つの観点から御質問をしたいと思います。  まず、私は大阪地元ですので、今行き詰まっておる関西空港漁業補償の問題について大臣所信をお伺いしたいと思います。  漁業補償は本来であれば昨年の七月ぐらいがリミットだ、こういうことを言われておったのですが、もうぎりぎりのところへきておるわけです。沿岸から五キロという今までにない漁業補償の形態だと思うのです。今まで沿岸漁業補償は多くの経験、体験があるわけですが、あの地域許可漁業区、また入会漁業区域になっておる、こういうことでいろいろと難しい問題があるだろうと思うのです。  そこで、大臣はこの二十四日、大阪府の岸知事に対して、大阪漁連空港会社との行き詰まっておる漁業補償現状についてあっせんを依頼なさったわけですが、大臣としてあっせんを依頼されたということは、大阪府知事に全面的に金額の面においても委任をしたという判断をしていいのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 お答え申し上げます。  交渉妥結基本は、両当事者の基本的一致を見る、これが基本でありまして、そういう意味では、私も漁業者関西空港株式会社交渉の結果を見たい、こういうことでありますが、御案内のように、二百五億と三百七十二億と余りにも懸隔があるわけであります。そういう意味でこのことは看過できない問題である。特に申し上げましたのは、国会論議を通じまして、予算委員会だけではなく、運輸委員会審議を通じましても、本問題の処理に重大な関心を各党、国会が寄せられておる、この点を率直に申し上げさせていただきまして、特にあれだけ民間も参加をいたしまして二十四時間就航飛行場をつくるという意味で、国家政策としても国民的にも大変大事な仕事でありますものですから、何とかこれの妥結を図るための御努力を知事として各段にお願いを申し上げたいということで、その価格交渉については、このように申し上げてあります。巷間伝えられるようなことではなく、という意味は、国会において指摘をされましたことは、適正な妥結ということが基本ではないだろうか、こういうことであります。いわゆるごね得のような印象を与えますことは、本空港を進める意味において決して得策ではないという考えを私自身も持っておるし、国会論議の中にもその辺が流れとしてありますことを知事さんに十二分に踏まえていただいて、適正な御解決を賜りたい、こういうことでお願いを申し上げたということであります。
  5. 左近正男

    左近委員 今、大臣がいみじくも言われたように、二百五億と三百七十二億六千万円ですか、百六十七億円余の非常に大きな差があるわけですね。適正な妥結というのは、これは双方が歩み寄らなければ妥結ができないわけでありまして、どっち側の線に歩み寄るかは別にして、知事あっせんを申請されたということは、ある程度知事金額の面においても独自な許容限度というか判断を一任されなければ前に行かないと思いますが、大臣、この点もう一度答弁してください。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 私、知事さんに申し上げましたのは、こういう並行状態になっておりまして、このまま放置をいたしますと、新空港建設計画計画どおり前に進まないという事態が生じてまいりました。いみじくも言われましたとおり、昨年の六、七月ごろ決定をしてなければなりませんものが、年度末でもかようなことでは憂慮にたえないということで、何とかその相並行している問題を知事としてごあっせんいただけぬか、こういうことでありまして、この点、会社は今二〇五はぎりぎり最高限を出ささせていただきました、こう言っているわけです。しかし、漁業者は三七二、こういうことでありますと計算方式で出しておるわけでありますね。そういう点で、会社はもうこれが最高限でこれ以上はということでありますから、これは三回にわたって改定をされた経過もありますれば、それを知事は十分踏まえてやってくれるであろう、私自身はそういうニュアンスで申し上げさせていただいたわけであります。いずれにしても、これは会社あっせんに応じてこれをやる、こういうことでありましょうし、漁業者もなるほどそういうことであればということであろう、こう思いまして、知事さんが両者を呼んでお話を聞いて、よろしく頼むと両者が申し上げたような報道がありますけれども、そのことはまた知事からはその後御報告はいただいておりませんものですから、知事が、今度は両者を呼んでではなくして、個々にお話をお聞きいただきまして、最終的にどのような御判断をされるのか、それを見守ってまいりたい、こう思っておるわけであります。
  7. 左近正男

    左近委員 端的に言いまして、知事がなさるあっせんについては国としては干渉しないということでよろしいか。
  8. 三塚博

    三塚国務大臣 干渉はいたしませんが、深い関心を持ちまして、特にこの種案件というのは、大型プロジェクト公共事業を施行する上において、たかりの構造とかねがね批判されるような決め方はいかぬのではないかという国民の声もあります。その辺のところを主管大臣としても十分に踏まえていかなければならぬという意味で重大な関心を持っておる、こういうことであります。
  9. 左近正男

    左近委員 この大阪漁連会社側あっせんはどんな形になるかわかりませんが、このベース兵庫との交渉ベースにもなるという判断になりますか、どうでしょうか。
  10. 三塚博

    三塚国務大臣 同じであろうと思います。
  11. 左近正男

    左近委員 和歌山もテーブルに着くという判断でよろしいですか。
  12. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 お答えいたします。  和歌山の場合、大阪兵庫とはちょっと事情が違いまして、これは対象漁業者許可漁業者でございますが、和歌山県の場合、許可漁業者でないものですから、対応が異なると思います。
  13. 左近正男

    左近委員 対応が異なるのはわかっているけれども、何らかの漁業補償対象になるのでしょう。
  14. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 漁業補償対象ではないというふうに考えております。
  15. 左近正男

    左近委員 会社話し合いをすると言っていますよ。
  16. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 会社といたしましては、和歌山県と話し合いをする意思は持っているかと思いますが、その場合は、当然漁業者からのお話は伺う、それからそれについて問題があれば何か対応策考えるということはあろうかと思いますが、いわゆる正式の漁業補償対象ではないというふうに考えております。
  17. 左近正男

    左近委員 いずれにしましても、早期にこの漁業補償を解決していただく、そのためには大阪府知事のイニシアチブというかそういうものも国としては十分に尊重していただくということを要請しておきたいと思います。  次に、痛ましい日航機墜落事故、あれから半年がたったわけであります。事故調査委員会結論がかなりの期間がかかるということでございますが、きょうは警察庁から来ていただいておりますので、警察当局刑事責任の追及のために今日どのような対応をしておられるのか、現状について聞かしていただきたい。
  18. 小杉修二

    小杉説明員 お答えいたします。  現在、群馬県警察では目下五十名の専従体制捜査をいたしているわけでございます。警察としての捜査内容といたしましては、目下のところでは、墜落現場の検証の繰り返し、これは現場中心でございますから、何回でも行うということでありましょうし、また生存者目撃者等事情聴取、それから事故機と同じ型の機を使用したところの再現的な実況見聞事故機整備関係者からの事情聴取運航関係者あるいは運航状況、それから背景となっているところの気象関係捜査、こういったような捜査目下進めているところであります。もちろん事故調査委員会に対しても鑑定嘱託をいたしております。
  19. 左近正男

    左近委員 今の警察当局お話であれば、この刑事責任の問題は、事故調査委員会結論を見なければ判断ができないということになるわけですか。
  20. 小杉修二

    小杉説明員 お答えをいたします。  もちろん権威のあります航空機事故調査委員会によるところの科学的、専門的な意見判断というものは十分尊重し、また捜査に取り込んでいくというのが常道でありまして、あらゆるそういう科学的な解明事実等を役立ててまいって、終局的には、これらも含めたすべての捜査結果を総合いたしまして、捜査機関たる警察として主体的な判断のもとに刑事責任の問うべき事実の有無を認定する、こういう性質のものでございます。捜査はすべてそういうことでありまして、捜査機関だからといって森羅万象すべてのことをわかっているわけではございません。しかも事件は千態万様でございます。そういうことで、専門的、科学的な立場意見十分捜査に取り込んで、それを総合的に判断するというのが捜査常道でございます。
  21. 左近正男

    左近委員 親切に教えていただいてありがとうございます。端的に言いまして、今のお話では、警察庁独自で事故調査委員会の一定の結論が出る前に判断を示すということは不可能だということですね。
  22. 小杉修二

    小杉説明員 不可能とかどうとかということではございませんで、先ほどもお答え申し上げたとおり、捜査常道としてあらゆるところの科学的な意見あるいは専門的な判断、こういうものを取り込んでいかなければならない。したがいまして、目下捜査中でございますので、具体的な内容については差し控えさせていただきますけれども、相当長期間捜査を要するということは事実でございます。
  23. 左近正男

    左近委員 できるだけ早い機会に適正な判断ができるようにひと保つやっていただきたい。  次に、この日航機事故遺族連絡会というのができているわけですが、この場でボーイング社あるいは日航、国を業務上過失致死、こういうことで告訴をするという方針を申し合わされたらしいですが、この遺族補償問題について、今、国としては日航だけに任じておるのか。僕はやはり国にも重大な責任があるのじゃないかと思うのです。したがって、この遺族補償早期に解決するために、国として今何をやろうとしておるのか、何もやらないのか、その辺どういうようなお考えをお持ちなのか、聞かしていただきたい。
  24. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 お答えいたします。  日航機の御遺族に対する補償問題につきましては、現在、日本航空と御遺族との間で話し合いが持たれておるところでございまして、私ども考え方といたしましては、その中で補償問題が決めらるべきものというふうに考えております。  運輸省立場といたしましては、この日本航空と御遺族との間の補償交渉誠意を持って解決するようにという指導を行っているところでございます。
  25. 左近正男

    左近委員 私の知人の息子さんもこの飛行機に乗って亡くなられたんですが、かなり多くの遺族方々は、日航誠意がない、こういうことを言っておるわけですよ。したがって、国もこれは見ているだけではなしに、やはりもっとアクションを起こしていくべきじゃないかと思うのですが、どうですか、もう見ているだけですか。
  26. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現在、日本航空と御遺族との間で話し合いが持たれておりますので、今のところその推移を見守りたい。とにかく私どもといたしましては、日本航空に対しましては、御遺族とあくまでも誠意を持って交渉に応ずるようにという指導をいたしております。
  27. 左近正男

    左近委員 それなら国としては大体いつごろをめどに誠意を持って話をせいというようなことを言っておるのですか。誠意さえあれば、期間はもういつまでかかってもいいということですか。その辺どうですか。
  28. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 日本航空に対して時期をいつまでということは言っておりません。なるべく早く解決するようにということでございます。
  29. 左近正男

    左近委員 事故調査委員会でどういうようなことになるかわかりませんが、やはり国も一端の責任があると僕は思うのですよ。だから、この遺族補償早期に円満に解決するようにもっと日航を具体的に指導すべきじゃないですか。これは要望しておきます。  次に、国民はあの日航事故以降、飛行機に対してかなり不安を持っておるわけですね。新聞では、日航機事故以降総点検をやった結果、一機に平均八十カ所もクラック、亀裂が発見された。こういうことは事実ですか。
  30. 大島士郎

    大島(士)政府委員 日本航空ジャンボボーイング747SR使用回数の古いものにつきまして、胴体の構造の一斉点検を指示したことは事実でございまして、これは昨年の九月四日に事故後の……(左近委員亀裂が八十カ所もあったのは事実かと聞いている。端的に言ってください」と呼ぶ)現在までに五機についてこの結果がわかっておりますが、一機当たり機首部について平均八十カ所の亀裂が発見されております。これらにつきましては、すべて製造国政府あるいはメーカーに通報いたしまして、現在対応検討中でございます。
  31. 左近正男

    左近委員 僕は専門的なことはわからないですけれども、一機について八十カ所も亀裂のある飛行機を飛ばしておった。これは直接安全には関係ないと言われればそうですけれども現実飛行機が落ちたわけですよね。今のボーイング747のSR短距離用、あるいは長距離用を含めて、ボーイングのこのジャンボ飛行機構造的な欠陥があるということがよく言われているのですが、どうですか、この点は。
  32. 大島士郎

    大島(士)政府委員 ジャンボに限らず飛行機は大変複雑な構造を持っているということと、それから大変長い期間使われますので、どの機種につきましてもいろいろな問題点運用期間中に起こってくることがございます。ただいま御指摘ジャンボ機首部亀裂につきましても、内容的に技術的な判断においては直ちに危険というところではございませんが、確かにそのような機首構造についての亀裂が存在するということは事実でございます。  私どもは、これにつきましては、製造国政府あるいはメーカー技術的ノーハウによります抜本的な技術対応策が出されることを期待しておりまして、現在、製造国政府が指示した点検等を確実にやっていくことによって、ジャンボ自体安全運航には支障はないと判断しておるところでございます。
  33. 左近正男

    左近委員 ジャンボは安全であるという神話が今崩れつつあるわけですね。現実構造的に幾つかの問題がある。これはきっちり解決せぬと、飛ばしながら点検をするというやり方は余りにも不安ではないですか。その点どうですか。
  34. 大島士郎

    大島(士)政府委員 やはり飛行機運用中のふぐあいが生じて、これをいかように判断し、就航に最小の影響ということを勘案して安全対策をとるというのが現在我々がやっているところでございます。今回のジャンボ機首構造の問題につきましては、これらをすべて判断した上で飛ばしているところでございまして、これは世界的にも同一の判断運用しているところでございます。先ほども申し上げましたが、亀裂状況から見まするところ、現在の対応ジャンボ安全運航は確保できると考えております。
  35. 左近正男

    左近委員 僕は、飛行機が多少傷ついておっても、飛行には安全だから、何とかいけるから、飛ばしてもいい、これはもう簡単な理屈ですけれども、それでは余りにも乗客は不安ではないかと思うのですけれども、そこらをもっときちっとすべきじゃないかと僕は思うのですね。構造的にジャンボ欠陥があるのであれば、欠陥があるということを明確にして、やはり国民に不安のないようにすべきじゃないか、僕はこのことを強く要望しておきます。  次に、大阪空港騒音激甚地域を大幅に縮小するというのですが、これは具体的に一種、二種、三種地域、まあ一種関係ないと思いますが、どうするのですか。
  36. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 大阪国際空港につきましては、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、この法律の規定に従いまして、昭和四十九年に一種、二種、三種区域の指定がなされたところでございます。その後、運輸省におきましては、騒音度の低い機種を入れたりあるいは飛行場からの離着陸の運航方式について下の区域騒音が余り出ないような運航方式を定めたり、そういういろいろな発生源対策をとってまいりました。その結果、四十九年当時から比べますとかなり騒音が減っております。  そこで、五十九年に調査をいたしたところでございますが、そういう調査結果等も踏まえまして、このたび第二種と第三種区域につきましては、現在の区域をかなり縮小する案というものを作成いたしまして、現在地元の御意見などを伺いながら調整中でございます。
  37. 左近正男

    左近委員 今言われた低騒音機の導入ですか、それと急上昇なんかをやって騒音軽減飛行、こういうものをやられているらしいですが、地元におる者は飛行機騒音なんてそう軽くなったとは思っておらぬわけですよね。今度第三種地域について、今まで二百八十九ヘクタールあったのを五十六ヘクタールにする。これは五分の一ですよね。第二種地域について、三百八十六ヘクタールを百十八ヘクタール、約三分の一にする。全体で六百七十五ヘクタールを百七十四ヘクタール、四分の一にしてしまうが、騒音地域を四分の一にするぐらい騒音は減っておらない。これは余りにもやり方が急激ではないか。  そしてまた、今逆発進の問題が大阪空港では非常に大きな問題になっておる。五・四%、六千六百四十五回もあると言われているわけですから。今運輸省としては、航空局は、逆発進飛行コースを変更検討するやに聞いておるわけですが、あの内容であれば騒音地域がかなり南の方へ拡散をしてしまうというような問題点も私はあるのじゃないかと思うのです。  そういうような現状考えるとき、第三種地域、二種地域を極端に減らすぐらい、WECPNLですか、航空騒音値が減ったとは私は思えない。これは何か意図があるのですか。
  38. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 実態につきましては、先ほども申し上げましたけれども、五十九年度に調査をやっております。私ども、今回の区域縮小に当たりまして、実際に飛行機も飛ばしまして、その区域内におさまるということを確認いたしております。  それから、逆発進の問題につきましては、確かに昨年かなり逆発進のケースが多かったものですから、地元からこれについて何らかの対策を講じてほしいというお話を伺いました。これについていろいろ検討した結果、飛行コースを変更いたしまして、逆発進の場合でも騒音影響が少なくなるような、そういう方策を現在検討中でございまして、これも地元方々の御意見を十分に伺って調整しながら進めていきたい、かように考えております。
  39. 左近正男

    左近委員 それでは、五十九年調査で第三種の九十五、第二種の九十、このコンターはきっちりと守っておるということでよろしいか。
  40. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 きっちり守っております。
  41. 左近正男

    左近委員 この第三種地域人たち希望調査ですか、これをやられているというのはどういうことですか。
  42. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 ただいまおっしゃられた希望調査でございますが、これは第二種地域の中にある民家の場合ですと、騒音影響が強いものですから、騒音影響が少ない地域に移転したいという御希望のある方に対しましては移転補償を行っております。ところが、今回の地域縮小によりまして第二種地域が減りますと、今まで第二種地域移転補償を受けられたのが移転補償を受けられなくなるわけでございます。そのような方々に対しまして、この第二種区域を縮小するけれども、それに対する御希望というものを伺っております。それで、今まで移転補償を受けられると思っていたのが急に移転補償を受けられないということになると、これはいろいろ御不便をおかけすることになろうかと思いますので、それについて経過措置等で十分御希望方々の御意向に沿えるように措置したいというふうに考えております。
  43. 左近正男

    左近委員 経過措置は二年ですか、これはともかく地元の市町村もそうですが、やはり地域住民十分話し合いをしてトラブルが起こらないようにやっていただくということを強く要望しておきます。  そこで、運輸省航空局中心だと思いますが、関西国際空港開港時の近畿圏国内航空需要予測というものをされておるらしいですが、これはどういうような結果でしたか。
  44. 阿部雅昭

    阿部説明員 関西空港ができるに当たりまして、今後、現在の大阪空港をどうするかという問題につきましては、私ども、その廃港も含めまして、地元住民方々の御意見も承り、関西空港開港までに結論を出すという方針で進めておりまして、具体的に現在調査を始めております。  五十九年度調査で、まず第一に輸送需要予測調査を行いました。これにつきましては、その結果を簡単に申し上げますと、五十九年度実績の約一・九六倍ぐらいに相当する輸送需要が関西地域にあろうということで約二千六百万人。その際、大阪関西空港とも約千三百万人ぐらいずつの需要ではなかろうかという予測になっております。ただし、この予測におきましては、大阪関西空港とも無制限に使用できる、あるいは相手側の空港にも制約がない、あるいは航空会社の機材保有状況等の制約もないといったようなことをいろいろ前提といたしました結果、アクセスにおいても両空港ともそれほど差がない、アクセスもほぼ予定どおり整備されるというようなことを前提といたしました数字が出されております。  なお、この予測調査をもとにいたしまして、現実的な制約条件、これは環境問題も含めましていろいろございますが、そのようなものを含めた場合の顕在化需要がどの程度であろうかというようなことを、今年度ケーススタディーで取り組んでおるところでございます。
  45. 左近正男

    左近委員 今のお話を聞くと、六十八年段階で二千六百万人、現大阪空港で千三百万人、新空港で千三百万人、大体フィフティー・フィフティーになる、こういうようなことの予測ですが、今お話しになったように、何で関西国際空港をつくるのか、これは現在の伊丹空港が大都市の中にある、環境問題が大変だということで代替空港を求めているわけですね。そういう観点が全くこの予測調査の中では抜けておるんじゃないか。そして今運輸省航空局が取り組んでおる姿勢というのは、関西国際空港開港時も現大阪空港を併用していこう、そのための例えば騒音地域の縮小なりあるいはまた今の航空需要の予測、そういうような観点があるんじゃないかと僕は思うのですが、その点はどうですか。
  46. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 現大阪国際空港の存廃に関しましては、新関西空港ができるまでに結論を出すということで、現在鋭意調査を進めておるところでございまして、私どもといたしましては、現大阪空港を当然存置するという前提で調査等を行っているわけでございません。  それから、先ほど調査のあり方について御意見がございましたけれども、まず第一年度にやりました調査は、一切制約のない状況下において、現在の伊丹空港関西空港の需要がどうなるかという調査をいたしましたわけで、今年度以降いろいろな制約条件下でそれがどうなるか、当然伊丹におきます騒音の問題も、いろいろな制約条件を置いて、そういう調査をこれからいたしていきたい、かように考えております。
  47. 左近正男

    左近委員 大臣、非常にお詳しいわけで、この関西国際空港開港時には、現在の伊丹の大阪空港についてはどうお考えですか。
  48. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま航空局長が答弁したことが基本でありますが、どう考えるのか、こういうことであります。かねがね運輸委員会のメンバーとして、また政治家の一人として考えておりましたことは、内陸部の空港であり、公害上、騒音上大変重要な問題提起があり、それのために対策が講じられてきておるという点が一点、それから大変稠密な住居の中に伊丹空港がありますという、こういう点からいいまして大変問題の多い空港であるという認識は持っておるわけであります。  そういうような意味で、航空行政の基本は安全性という絶対の問題を追求するわけでございますし、事故があってはならぬわけであります。そういう点で本空港のあり方は、すべての面を勘案をしながら結論を急がなければならないわけでありまして、私自身主管大臣として、ただいま本件について調査検討を進めている中でありますから、自分自身考えを……(「率直に言え」と呼ぶ者あり)率直に言えと言われても、本日は遠慮させていただく、こんなことで御勘弁いただきたい、こう思います。
  49. 左近正男

    左近委員 どうですか、大体いつごろ結論を出すつもりですか。
  50. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 これは調査内容が非常に多岐にわたりまして、膨大な調査を必要といたしますので、数年かかるかと思います。
  51. 左近正男

    左近委員 結局僕は思うのですよ。今率直に言って、地元の十一市もかなり今までのような態度ではない。だから今運輸省としては、両空港を大体併用していこうという腹を、大臣、あなたの腹の中はどんな腹か知りませんが、持っておられるんじゃないですか、どうですか。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 極めて重要な課題でありまして、これは先ほども申し上げましたとおり、全体を展望して進めなければならぬ重大事であります。そういう点で、ただいまのところは伊丹空港に絶対事故が起きないようにやらなければなりませんし、少なくとも存廃は開港時までにこれを決するということになっておるわけでありますから、ただいまの段階で併用していくとか、いや完全にセパレートでいくとかということを言わぬ方が、これは今の段階ではやむを得ないことだというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  53. 左近正男

    左近委員 大臣は何事もはっきり物を言われるけれども、この問題はえらい煮え切りませんね。僕はこれはずるいと思うのですよ。だから、やはり運輸省運輸省としての明らかな見解を、どっちになるにしても、もうぼちぼち明確にする時期ではないか。調査も、あなたのところのやっている調査は素人はわかりませんよ。非常に難しい専門的な調査なんですよね。だから、そこらをもっと政治的にきっちりと判断する時期じゃないかと僕は思うのです。この辺大臣、非常にあれば悪いですけれども、あなたの性格はそんな性格ですか。
  54. 三塚博

    三塚国務大臣 左近委員の非常に御熱心な心配をされたただいまの御質疑承っておりまして、重要なそれも御指摘でありますので、それも今後進める上において貴重な御意見として踏まえながら対応してまいる、こういうことであります。
  55. 左近正男

    左近委員 時間がありませんから、次に移ります。  昨年十二月、航空企業の運営体制について運政審の中間答申が出たわけですが、これは最終答申はいつごろになるのですか。
  56. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 昨年の十二月の中間答申でいろいろな問題点の御指摘もいただきましたし、今後検討すべき事項というのが幾つか挙げられております。そこで、この問題について今運政審で御審議をいただいておりますが、私どもとしては、問題が非常に重要なものですから、別にタイムリミットは設けておりません。ただ、十分審議を尽くしていただきたいというふうに申し上げております。今までの審議状況から見ますと、これは予想でございますが、私どもの予想といたしましては、五月か六月ごろに最終答申がいただけるのではないか、かように考えております。
  57. 左近正男

    左近委員 この中間答申で日本航空の完全民営化というのがうたわれておるわけですが、日航はあの事故以降社内体制を刷新されましたが、まだ十分固まっておるような状況ではないんじゃないか。日航自身も完全民営化を望んでおるということでありますが、政府としては、日航の完全民営化については、大体この中間答申の経過から見て、本答申もこの方向が出るんじゃないかと思うのですが、運政審の答申が出れば、日航の完全民営化をやっていくという考えですか。
  58. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 既に昨年の十二月の中間答申におきまして、基本的な方向といたしまして日本航空は民営化すべきであるという答申をいただいております。私どもといたしましては、この基本原則につきましては、そういう方向で措置するということを考えております。今後最終答申をいただきまして、それを受けまして、日航の民営化につきましての適切な措置をとっていきたい、かように考えております。
  59. 左近正男

    左近委員 その問題はいずれまた論議をすることにいたします。  次に、地域交通の問題について少し質問をしたいのですが、大臣は今国鉄問題で頭がいっぱいだろうと思うのですが、私は都市交通というか公営交通の出身でございますので、少し公営交通の問題も触れておきたいと思うのです。  公営交通といっても、全国で四十都市あるわけでして、一日に一千万人のお客さんを運んでおるわけです。私は都市部における非常に大切な交通機関だ、このように思っております。この交通機関の問題についても、国鉄同様非常にこれは経営的にも行き詰まっておるのです。モータリゼーション等々で大変に都市環境がふくそうしておりますので、非常にしんどい経営をしておる、これらの問題について大臣としてどういうような認識をお持ちですか。
  60. 三塚博

    三塚国務大臣 大都市交通を含め都市交通、これを担当いたしております重要な企業体が公営交通であるわけです。都市住民の足を確保するという意味において、これに頼る以外にないというところもあるわけでありまして、そういう意味合いから公共性の極めて強い、住民サービスという点の事業体であります。  ところが、御案内のように今日の都市問題の中で、また地方財政という中で、料金という基本的な問題の中でなかなか収支を相償わせるということが難しい、こういうことでありますので、本問題は、都市交通の基幹的な交通手段として運輸省としては重要な柱として取り組むべきであるということで、所信の中にも申し上げさせていただいたところでありますし、最大の問題は財政的な問題をどうカバーしていくかということだと思います。そういう意味で、地域交通局長にも督励を申し上げておるところでありますが、私自身も、自治省を含め本問題に深くかかわる省があるわけでありますから、十分これは連携をとりながら、地域交通、特に公営交通のあり方というものに対しまして振興策を講じていかなげればならない重要な問題であると考えております。国鉄も極めて重要でありますが、これと相リンクする形の中で両々相まったものがこの公営交通であろうというふうに思っておりますし、決して国鉄だけこれが先行して走って地域交通はということではございませんで、総合交通体系の中における位置づけにおいては、両者まさに両輪であろうという認識を持っております。
  61. 左近正男

    左近委員 大臣の決意を聞かしていただいてうれしく思っております。私もこの百二国会で同僚議員とともに都市における公共交通の環境整備に関する特別措置法案というのを出させていただいているわけでして、今の力関係ではなかなか日の目を見ないわけですが、あの法案の中に書かれている事項を大臣もまた当局の方々も十分参酌をしていただいて、日常の行政の中で具体的に生かしていただきたい、私はこのことを強く要望をしておきたい、このように思います。大臣、一言。
  62. 三塚博

    三塚国務大臣 大変な御激励をいただいておりまして、趣旨を踏まえて全力を尽くします。
  63. 左近正男

    左近委員 それでは、具体的な問題で二、三聞かせていただきますが、私はかねてから大阪圏における鉄道網の整備計画の見直しを要請してきたところであります。東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画というのは昨年の七月の十一日に答申が出ました。私は東京圏が済めば大阪圏をやってもらいたい。大阪圏は四十六年の十二月の十三号答申以降そのままになっておりまして、かなり年月もたっておる。こういうことで運政審で大阪圏問題について取り組んでもらいたいということを強くここで三回ぐらい私申し上げておるのですが、どうですか。
  64. 服部経治

    ○服部政府委員 先生おっしゃるとおり十三号答申から既に十五年が経過いたしております。私どももこの十三号答申に盛られた計画につきまして見直しの時期が来ているというふうに判断をいたしております。現在そのための準備を急いでおるところでございます。
  65. 左近正男

    左近委員 それでは、今局長の話では、間もなく正式に作業を開始していただけるということでよろしいですか。
  66. 服部経治

    ○服部政府委員 あとしばらく時間をちょうだいできれば、そういうところまでこぎつけられるというふうに思っております。
  67. 左近正男

    左近委員 それではよろしくお願いいたします。  そこで、私も本委員会で何回も取り上げているんですが、国鉄がこういう現状でありますので非常に言いづらいんですが、大阪の片福連絡線、大阪の外環状線については、五十六年の四月に工事認可がされ、そのままの状態になっているわけです。特に私は、片福連絡線というのは、都市内の根幹的な交通機関として十分採算的にもペイするというような路線である、このように思っております。  そこで、この問題のこれからの展望というのはどう考えておられるのか、この点について、運輸省と国鉄当局の考え方を聞かしていただきたい。
  68. 岡田宏

    ○岡田説明員 今、先生からお話ございました片福連絡線、大阪外環状線、これらの工事は、いずれも大大阪圏におきます夜間人口の外縁化あるいは都市機能の都心への集中といった事態に対応いたしまして、国鉄の既設のネットワークを補完増強して、これを有効に活用するという目的を持っておりまして、五十六年四月に運輸大臣の認可をいただいたものであります。  しかしながら、これらの工事は片福で当時の価格で千七百億余り、外環で八百五十億近くという大変巨額の工事費を要する工事であるということでございまして、大臣の認可をいただきました当初から、財政再建期間中は用地買収あるいは都市計画関連工事等のみについて施行して、本格的な着工は六十年度以降というふうに考えていたところでございます。  現在まではそういったことで、例えば片福の場合の共同溝の工事との競合とか(左近委員「そんなことはええねん、これからどないするねん」と呼ぶ。)ということで対応してまいったわけでございますが、その後、国鉄の財政事情が非常に厳しいということで、ここ当面は、引き続きそうした都市計画関連工事等において、将来の手戻りを避けるという最少限の対応を行う程度にとどめざるを得ないというふうに考えているわけでございます。  また、地方公共団体からも、これらの整備方策、方式等についていろいろお話があることも事実でございますが、これらの問題、今後の取り扱いにつきましては、今、国会に御提案申し上げております国鉄改革の諸法案、そういったものが成立した暁におきまして、新事業体におきましていろいろな対応の仕方を考えていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  69. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 片福と外環だけではございませんで、新しい事業体に引き継ぐ資産の振り分けその他につきましては、工事中のものをどう取り扱うか、ただいま国鉄と運輸省検討中でございます。そういうような中で考えてまいりたいと思います。
  70. 左近正男

    左近委員 いや、ともかく片福の問題はかなりメリットのある線だ。それで地元大阪市の市長もかなり熱心に建設促進を要請しておるわけですね。だから国鉄ができなければいろいろな別途の方法もあるやないかというようなことまでのニュアンスを市長は言っておるわけですよね。そこらあんたら全然話聞かんと、新会社ができてからどうのこうの、そんな雲をつかむような話をしなさんなよ。前、五十六年にもう工事してよろしいという認可も与えておいて、ほったらかしですよ。だからもう少し何か新しい発想もあるでしょう。もっと前へ物が行くように運輸省としても考えてもらったらどうですか。
  71. 服部経治

    ○服部政府委員 片福連絡線につきましては、現状その重要性が認識されながら、なかなか着工の運びに至らないという大変残念な状況がございます。  先ほど私、左近先生の御質問にお答えいたしました例の大阪の十三号答申の見直しの話がございますが、私ども、この十三号答申の見直し作業の中で一番大きく浮かび上がってくるのは、例えばこの片福連絡線の整備促進をいかなる方法によって、どういうふうに具体的に前に進めるような方策が考えられるかというようなことを御審議願いたいというふうに、今考えておるところでございます。
  72. 左近正男

    左近委員 十三号答申には、この片福も線引きとしては入っておったわけですね。それを今局長言うように、もう少し今度は肉をつけて、今度の大阪圏の答申の中には具体的な構想まで含めて定義をするような作業をやってもらうという理解でよろしいですか。
  73. 服部経治

    ○服部政府委員 私ども、そのように願っております。
  74. 左近正男

    左近委員 次に、大阪市が、花の博覧会も関連があるのかとも思いますが、鶴見緑地線の特許申請をしておるのですが、この取り扱いは現在どうなっておるか。またいつごろ結論を出されるのか。
  75. 服部経治

    ○服部政府委員 鶴見緑地線の特許申請は、先生御承知のように一月三十一日に大阪府におきます審査が終わりまして、私ども運輸省の方に進達が行われました段階から本件が私どもの手に移ることになるわけでございますが、私ども、本件につきまして、背景の事情その他いろいろと検討さしていただきまして、最終的には運輸審議会の議を経まして処理をいたしたいと考えておりますので、ちょっと時期的にいつというふうには具体的に申し上げかねます。
  76. 左近正男

    左近委員 できるだけ早く結論を出すようにお願いをしておきたいと思います。  自動車の排ガス問題ですが、今大都市の公害の中で二酸化窒素、窒素酸化物、NOxを中心にして、特にディーゼル直接噴射式の車、これは例えば車両の総重量十トンの場合は乗用車の十一・五台分、二十トンの場合は乗用車の二十三・一台分の排気ガスを出す、これぐらい都市公害の大きな原因になっているわけです。  そこで、この所信表明の中で、メタノール車を運輸省としても積極的に検討したいということが書かれておるわけですが、このメタノール車と今までの軽油によるディーゼル車のコストの問題、あるいはまた二酸化窒素を中心とする排ガスの問題、この対比はどういうようなデータが出ておりますか。
  77. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 メタノール自動車は、先生今おっしゃられましたように、窒素酸化物の排出量が低減される、また黒煙がほとんど排出されないというようなことから、あるいはもう一つは燃料の多角化ということもございますけれども、そういったことで、運輸省としてはこれを推進しようということで鋭意努力しているところでございます。  今おっしゃられました具体的な数値につきまして、最近トラック事業者の団体が行いました試作トラック二台による試験がございます。これによりますと、排出ガス性能において黒煙はゼロという数字になっております。  それから、窒素酸化物については、これは実は同型のディーゼル車に比べまして三割と七割、これは非常に開きがあるのでございますけれども、エンジンを改造してやっておりますので、どういうエンジンをどういうふうに改造したかという改造の内容などによりまして、今のところは数値に大分開きがございます。ただ、多い場合には七割程度の窒素酸化物減ということで、非常に大きな効果があるものと考えております。  それから、車両コストにつきましては、現在の自動車は、今申し上げましたように、エンジンを改造してやっておるものでございますから、今のところは割高ということになっておりますけれども、一般的に普及が進めば、従来の一般車並みの価格になるものと予想されますし、燃料につきましても、今のところは課税後の軽油と今のメタノールが大体同じくらいの値段だろうということですけれども、これも今後の普及の問題かと思います。
  78. 左近正男

    左近委員 私はこの問題に非常に関心を持っておるわけでして、ひとつまた別の機会にこのメタノール車の問題についてはやりたいと思います。いずれにしても、こういう新しいエネルギーで公害のないような形で運輸省としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  次に、地下高速鉄道の建設助成金について、今年度予算では補助方式を変更しておられるわけですが、今までの工事開始から運輸開始というような形になっているわけです。もうきょうは時間がありませんから、このことについては言いません。問題は、五十九、六十年度のこの留保分について後年度補てんをするということになっておったのですが、これは両年度で三百億円を超えるわけですね。この取り扱いについて、運輸省としては今後どういう形で補てんをしていこうとするのか、ちょっと聞かせていただきたい。
  79. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生御指摘の地下鉄助成金の後年度繰り延べ分の扱いでございますが、私ども、大変厳しい国の財成状況の中ではございますけれども、できるだけ早くこれを回復いたしまして、交付できるような努力を続けてまいりたいと思っております。工事年度から十年間で分割交付でございますが、少なくとも十年目の最終年度には何とかこれをお戻しいたしたいと考えております。
  80. 左近正男

    左近委員 よろしくお願いします。  時間が来ましたので、言ってなかったのですが、一つだけ私は大臣に要望をしておきたいのですが、港湾労働の問題です。  港湾労働法が適用されておる六大港において大量のやみ雇用者が出ているわけです。特に神戸のある会社は二年間で二千七百人というやみ雇用が行われているわけです。今港湾労働の形態を見ますと、コンテナ化されてかなり業務の形態が近代化されておる。その一方でこういうやみ雇用が大量に行われている。運輸省の方では、これは労働省の問題だというように逃げておられるわけですが、やはり各運輸関係の企業を指導されるのは運輸省なんですね。だから私は、時間が来ましたので、きょうは申し上げませんが、やみ雇用が大量に出ておる現状について、大臣としてもしかるべき手を打ってもらいたいと思います。この点ひとつ一言だけ答弁をしてください。
  81. 三塚博

    三塚国務大臣 しかと承りました。よく調査の上、対応策考えてみたいと思います。
  82. 左近正男

    左近委員 終わります。
  83. 山下徳夫

    山下委員長 富塚三夫君。
  84. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、主として国鉄問題につきまして、既に政府案が準備されておりますが、分割・民営化というのはどういうイメージになるのかということについて非常に国民がわかりにくいと実は思っています。特に中曽根総理大臣の絶大な信任を受けて三塚運輸大臣が誕生したわけですが、きょうは主として運輸大臣、国鉄総裁に本音の話を聞かせてもらいたいと思います。  その前に、実は夕べのある新聞の夕刊に、東金線の大網駅で運転士が食事をする間に列車を五十分もとめてしまったということが出ているのです。「ああ、国鉄」どんな意味でこう書かれているのかよくわかりませんけれども、これによると、管理者側がオーケーを与えてぜひ食事をしてきなさい、こう言って、食事に行った、こういうふうに言われているのですが、どうしてこんなことが起きるのか非常に不思議でならないのですが、総裁、どういうことなんでしょうか。
  85. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 本件が報道されまして、私も大変びっくりしているところでございまして、実態は今よく十分調査をしているところでございますが、大体の印象といたしましては、やはりこういうことは、社会常識的に言いまして、あってはならない事柄であると思います。運転士と許可を求められた助役、両方の態度が問題だと思います。非常に込んだラッシュのときの非常に公共的なウエートの高い輸送というものについての自覚が足らないのではなかったかという点を私痛感いたしたところでございまして、よく実情を調べまして、本問題のもう少し奥に含まれている何かをつかんで、今後こういうことがないように適切に対応していきたいと思っております。
  86. 富塚三夫

    ○富塚委員 正常なダイヤで運転されておって食事をする時間がない、食事をしていいと助役さんが言った、そして五十分もおくらせたというのは、どう考えても、人が足りないのか、あるいはダイヤに無理があるのか、乗務行路に無理があるのか、こういうことについてもっと正確に国鉄の経営者側の態度を内外に明らかにしないと、今改革を進めるという中で、とりわけ労使問題もいろいろ議論されていますが、そこのところはひとつ総裁、明確に問題点を整理して内外に明らかにしていただきたいと思います。  二つ目の問題でまず聞いておきたいのは、けさの新聞にも一斉に載っておりますが、国鉄労働者の広域配転の問題です。きのうは各労組に説明をされたということも出ています。広域配転というものの性格についてお尋ねをいたしたいのです。  結局、一時移して、そこから再配転を考えるということで考えておられるのかどうか。いわゆる北海道、九州で全部で三千四百人の人で、将来またこの次には一万人ずつぐらい予定をしておると言われているのですが、どうしてこういう広域配転の問題が出てきているのか、その性格づけについてちょっとお聞かせをいただきたい。
  87. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 余剰人員の問題でございますが、大変重要な問題であり、合理化が進むに従いまして、そうした問題の緊迫性が強まってきておるわけでございます。これを全国で見ますと、余剰人員の発生の人数と当該地域で受け入れる求人の調整とが非常にバランスがとれてないところ、特にこれは北海道と九州でございますが、そういう地域におきましては、いずれ新しい事業体というようなものができてくる場合に一気にその問題が吹き出すということに相なるわけであります。したがいまして、現在の国鉄の状況の中で全国的にこれを十分に考慮いたしまして広域的な異動を考えておきませんと、ある時期に一度にこれに対応するということは大変多くの問題が出てくるということでございまして、ここに、今まで余り例はございませんけれども、広域異動という仕組みを考えたわけでございます。  ただ、これはいわゆる今まで言われております広域配転というようなものとは性質がちょっと違うということでございまして、全体の余剰人員の問題の一環ということであるわけではございますが、やはりあくまでもこれは我々の、管理者側の人事管理に属する問題であり、本件の処理については希望者の希望によるということを貫いておるわけでございまして、決して無理をして強制をするつもりは全くございません。またそうした申し出があった者についての送り出しあるいはそれを迎える側におきましても、本人の将来の生活がかかっている問題でございますので、住宅、教育あるいは親の扶養、いろんな問題につきまして管理者側が温かくこれを処理し、迎えてあげるということが大切であるというふうに思っているところでございます。実施に当たりましては、個々の職員の実情、気持ち、希望というものを十分にしんしゃくして対応してまいりたいと思っております。
  88. 富塚三夫

    ○富塚委員 どうして四国は抜けておるのでしょうか、今回。
  89. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 四国の場合は、発生する余剰人員とそれを受け入れる求人側との間で、現在の段階ではわりかしとんとん、バランスがとれているというふうに見たわけでございまして、したがって、今回は四国を外しております。
  90. 富塚三夫

    ○富塚委員 そういたしますと、国鉄のいわゆる改革の中に位置づけての広域配転というものをやってみたいということで出発してみようということだと思うのですが、各労働組合に説明された中で、これは通常の人事権であり、管理運営の事項である、だから組合側に説明はするけれども、労使協議をする必要はない、組合が問題があったら言ってきなさい、当局が判断をする。なぜ管理運営の事項で大量の広域配転ということが起きるのですか。そこのところをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  91. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 先ほどちょっと申し上げましたように、今までのいわば合理化に伴う配転というものとちょっと違いまして、いわば全体的な余剰人員の対策の一つの問題点というふうにとらえたいと思います。したがって、本件につきましては、いわゆる団体交渉というものを経ましてやる事項ではない。全くこれは本人の希望に応じてやるということでございますので、そういう団体交渉の事項ではないというふうに私ども考えております。  ただ、それに伴ういろんな問題があろうかと思います。住宅問題一つとりましてもなかなか大変でございます。したがって、組合にはよくお話をし、それからまた組合としてこういう事項をいわば労働条件というようなとらえ方で交渉をしたいということであれば、これは私ども個別の問題について応じるつもりでございます。
  92. 富塚三夫

    ○富塚委員 ある組合と共同宣言を締結された。労働協約の問題が労働組合法に規定をされている、また労使協議の問題は、労働条件の問題は、公労法にもまさに明記されているということの中で、どうも管理運営の事項でやる性格の希望退職的なものだと言うけれども、一たんそこに持っていって、またそこでどういうふうにするかということを考えざるを得ない。つまり北海道も九州も、公的部門も非常に配転先が少ない、関連企業も少ない、こうおっしゃっている中で、これだけのいわば民族の大移動をするのに、これが管理運営の事項でやるなんというそこのところがどうも納得いかないのですが、共同宣言を取り上げたという性格についてどう総裁は受けとめておられるのか。この問題は、あくまでも労働条件でないとおっしゃるならおっしゃって、きっと明確にする場をまたつくらなければいけないと思うのですが、そこのところの見解をお聞かせいただきたいと思います。
  93. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 労使共同宣言は、この中身はごらんのとおり、日ごろやっておることあるいはまたやらなければならぬこと、非常に重要であり、かつ常識的な中身であると思います。これは私どもが今後余剰人員対策を実行し、あるいはこれからの重大な改革を実行するという場合におきまして、いろいろな意味国民の御理解、御支援をいただかなければならぬ、そういう場合には労使という従来の壁を取り払って、労使一体となって、特に余剰人員雇用問題につきまして共通の意思表示をすることによって国民の信頼を得たいという発想から提案をしたものでございます。直ちに理解をしていただいた組合と、そうでない組合との差はございますが、私どもは、これはやはり現時点においてなさねばならぬことであり、一般の方には御理解いただけるものというふうに思うわけでございます。  今回の広域異動の問題と、この共同宣言というものとは、必ずしもぴたりとリンクするものではないと思いますが、全体の余剰人員の解決の一つの先ぶれといいますか、やむを得ないことであるというふうに思うわけでございまして、各組合も御理解いただけるものというふうに思っておるところでございます。
  94. 富塚三夫

    ○富塚委員 雇用問題は非常に重大であるという受けとめ方で労使の間で協力をする、これも一つの方法でしょう。だけれども、私は、労働条件であり、労使協議の対象事項であることは法律上も明確になっていると思うのですが、これはあくまでも管理運営事項としておやりになる所存ですかどうか、聞かせていただきたい。
  95. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 先ほど申し上げましたように、本件につきましては、あくまで当局側の管理運営事項であるというふうに思います。
  96. 澄田信義

    ○澄田説明員 常務理事の澄田でございますが、補足いたします。  ただいまの広域異動につきましては、従来からも、例えば職員が出身地へ帰りたいという本人の希望がございました場合には、就業規則に定めるとおりのやり方で、その運用としてやっておるところでございます。今回のケースにつきましても、それと同じ考え方で、私どもは、このこと自体は広域異動という考え方で、あくまでも管理運営事項という考え方で、就業規則の運用という考え方で実施をしていく考え方でございます。  しかしながら、各組合から、いろいろなケースの場合に、これは労働条件にかかわりがあるという提起がございまして、そういった要望がございますれば、私どもはそれについて判断をいたしまして、ああこれは労働条件にかかわりがあるという判断をいたしますれば、当然団体交渉をいたしまして決着をつける気持ちでおります。そういった判断はする気持ちでございます。ただし、あくまでも就業規則の運用の問題でございますから、あくまでも判断は私どもがいたしたいというぐあいに考えております。
  97. 富塚三夫

    ○富塚委員 総裁から管理運営の事項であるというふうに明確に答弁いただきましたから、この問題はまた別の場所できちっと整理したいと思うのですが、今常務が言われた、北海道に住んでおって、家族もおって、内地に、こちらに転勤をする。しかも、それは国鉄改革の方針に沿って減員をする。余剰人員とみなされて転勤をするというものが労働条件であることは明確であるわけですよ。労働条件は労使協議をするのが法律で規定をされているわけです。そこのところを取ってつけたみたいな言い方で、労働条件ではない、管理運営で幾らでもできるなんて本当にあなたたち考えておるとしたら、それは大きな間違いです。時間がないからこれ以上言いませんけれども、総裁の発言を受けて、あとはまた別に問題提起をする場を考えたいと思います。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、まだ法案が具体的に説明をされておりませんけれども、承継法人、つまり運輸大臣が指定をする法人として設立委員会をつくる、そこに国鉄を通じて職員に対してそれぞれ承継職員の労働条件及び採用基準の提出を求めて募集をする、枠組みを決める、名簿を出させるということですが、ここのところはまだ十分やりとりをしていませんからわかりません。大臣、承継法人というのは、労働組合法に言う使用者と見ていいのですか。どういうふうに考えておられるか、聞かせておいていただきたいと思うのです。
  98. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 この承継法人は、法令上の言葉といたしましては、新しくできます旅客会社、貨物会社その他国鉄の資産、職員等を引き継ぐ法人という意味で使っておりまして、その労働関係法規上の取り扱いは、この法令上考えられることではない、その解釈につきましては、労働関係の方の法規その他から考えられるべきことだと思っております。
  99. 富塚三夫

    ○富塚委員 これはまた別にお聞きする場があると思いますけれども、私が見るに、働いている人たち立場で労働条件をきちっと考えた上でやるという基本的な姿勢がなく、何かお互いに希望を募って成績を見る、選別をするぞみたいな形ですが、本来雇用問題、労働問題というのは、炭鉱労働者の離職のときもそうですし構造不況産業のときもそうですが、やはり労使関係というものを非常に重視してやられてきていると思うのですね。国鉄改革のところではそういう視点が欠如している。何か押せ押せで、やってしまえ、つぶしてしまえ、引っ張ってしまえみたいな感じでは、これはうまくいかないと思うのです。そこのところはかって幾つかのエネルギーの変革の経験もあるのですから、やはり十分に考えてもらう。運輸大臣、その点の所感はどうでしょうか。
  100. 三塚博

    三塚国務大臣 本来労使協調の中で進められるのが基本であるわけでございまして、特に今回の改革は、法律が成立いたした後にスタートを切るという道行きになっておるわけであります。ただ、今回の政府の基本方針の決定を受けて対応するということになりますと、六十二年四月というのが政府目標でありますけれども、ここまでにスタートができ得ますようにぜひ国会の御審議お願いをし理解を得たい、こういう立場で取り組みます状況の中で、何といっても働いておる皆さんの雇用安定、生活安定というのが基本になるものでありますから、そういう点で前倒しででき得るものは、この際措置していくことが必要である。このことは労働権及び生活権の確保という意味で許されることであり、また議会制民主主義をとっておる今日の中で進めなければならぬ方向であろうと考えまして、広域配転の問題について総裁から相談を受けましたときにも、いろいろ説明を受けた中で、希望を募りその中で配置をしてまいるということでありますと、政府が考えております基本方針にのっとった、また余剰人員対策要綱にのっとった中でやむを得ないことであり、特に北海道、九州というキャパシティーが多く飲み込めない非常に深刻な状況にあるところでありますればそんなことかな、こんなふうに思ったわけであります。  管理運営事項という人事権に属する部門は部門としてそれの執行は行われる。しかし、根底には労使の信頼関係というのが基本でありましょうし、さらにその信頼関係は、今日置かれております立場、状態というものを認識した上でこれにお取り組みをいただくということでありますと、これが両々相まちまして形としていい方向に進むでありましょう。結果的にそのことが国鉄、新生鉄道にとりましても、その中核となって働くそれぞれのパートの勤労者にとりましても望ましい姿だ、こんなふうに思っておるところであります。
  101. 富塚三夫

    ○富塚委員 共同宣言を出した組合の側でも、管理運営事項なんて言ったら恐らく納得しないと思うのですが、それはそういう納得の上でやられるという判断に立っているわけですか。  それから、もう一つついでに、今言った設立準備会、承継法人の関係ですが、この部分は労働省はオーケーを言っておられるのでしょうか。法案はまだ説明されてないですけれども、そこのところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  102. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 法案を提出いたします際は閣議にかけております。したがいまして、労働省とも十分調整済みでございます。
  103. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 各組合とお話をいたしております。各組合の御理解が得られるものというふうに思います。
  104. 富塚三夫

    ○富塚委員 いずれにいたしましても、絶対に労働条件であり、国鉄改革に伴う労働者の大異動、配置転換ということになるわけですから、これは管理運営事項ではないと私は思いますが、その点の問題は別の場所でいずれ取り上げさせていただくということにいたします。  そこで、運輸大臣にお聞きいたしたいのですが、冒頭言いましたように、分割・民営後の国鉄のイメージは一体どうなっていくのかということについて、国民の間では政府の考えや国鉄の考えがなかなかわかりにくい。この点について、ぜひひとつ本音の話を聞かせていただきたいと思うのです。  まず、旅客会社の名称はこの前新聞に出ておりましたが、この旅客会社の本社は、東日本とか東海は大宮などに誘致したい、あるいは大臣の出身の仙台もあるわけですけれども、六つの旅客会社の拠点は全部決まったのでしょうか。
  105. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 法案の中身にかかわるものでございますので、法案審議のときにまた詳しく御説明を申し上げるべきかと思いますが、現在のところ考えておりますのは、法律の中には本社の点については明記をいたしておりませんで、それぞれの会社の定款において定められるというのが通常だろうということでございます。
  106. 富塚三夫

    ○富塚委員 これはどういう形で決められるのかちょっとお聞きしたいのですけれども、旅客会社を六つつくっていく、その拠点も、あるいは人事も旅客会社に一切任せるとおっしゃるのか。運輸省や国鉄がそれぞれ設立準備会などをつくられておるわけですけれども、そこで大体全部決められていくのか。これはどういう方法でやられるのでしょうか。
  107. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 これも法案の御審議の中身の問題になると思いますので、いずれその時点におきまして、また適切な御答弁を申し上げるべきかと思いますけれども基本的には設立委員会というものが設けられまして、これに基づいて新しい会社の骨格、考え方、例えば今の本社の位置というようなものも定款の中に記載をされるという形になると思いますので、その設立委員会中心といたしまして、いろいろな御判断が行われるというふうに考えております。
  108. 富塚三夫

    ○富塚委員 優秀な管理者がどんどんと国鉄をやめていくような感じで、首切られる人もあるようですが、やめていく人もあるような感じが私するんですけれども、今の国鉄首脳陣がそれぞれに派遣をするとか配置をするということを考えているんですか。そこのところ棚橋さんの官僚的な答弁じゃなくて、私、大臣の本音の答弁を聞きたいというふうに思っているのですから、どんなふうに大臣はお考えでしょうか。
  109. 三塚博

    三塚国務大臣 今法律が通った前提で棚橋総括審議官が申されました。その基本はそのとおりだろうと思うのです。設立委員が選ばれる、これによって定款の原案がつくられる。当然、定款でありますから本社の位置、こういうことを検討されて設立委員会の中で決めていかれる、こういうことだと思うのです。  そこで、人事でありますけれども、私は総裁といろいろな問題でお話をする際に申し上げておるのでありますが、やはり地域鉄道として六つの会社がスタートいたすわけです。そういう意味で、この地域鉄道の中核体の人事は、やはり鉄道マンがこれを担当することが基本であろう。ノーハウも、多年その地域において担当をいたしてきておるという実績の中で、また地域信頼関係の中でそうあるべきであるな、こんなふうに実は思っておるわけであります。ただ、新しい株式会社としてスタートする、当初は特殊法人、全額国が持つ、こういうことになるわけでありますが、地域鉄道であります以上、地域に一体化した中で交通運営をする、営業運営をするということになりますものですから、その中には地元経済界の代表、それから北海道は一人の知事でありますけれども知事会または知事の推薦する方、市町村、地域、こういう方の御参加もいただく形の中で、これが地域ぐるみの地域鉄道としてスタートする。しかし、実務はやはりノーハウを持った国鉄マン、鉄道マンがその中核として重役陣の中でその基本戦略を立てていく、またその地域の運行その他ということは、当然さようなことになることは富塚委員も推測できる点であろう、こんなふうに思っております。
  110. 富塚三夫

    ○富塚委員 旅客会社がお互いに自立をしますと、やっぱり自分の会社だけもうかりさえすればいい、これはだれでもそう考えますわな。人事は地域的にいろいろ考え大臣もそんなことを考えた。それはいい。そうすると、よその会社のことまで面倒見るなんていうような仕組みにいかないんじゃないか、私はそういうふうに思うのですよね。そういうふうにすると、ダイヤのしき方などは、隣の旅客会社に行く乗り継ぎなんかうまくやってくれるのか、つながるのか。あるいは運賃の問題なんかどうなっていくのか。大体それは自分の会社だけもうかればいいとだれだって考えるのは普通ですから、よそのことまで考えている暇はない。ということになると、いわばコントロールするというのは、やっぱり東京に本社的な機能の一部みたいなのを残してやるのか。全部ばらばらにしてしまって、ダイヤとか運賃とか――その点大臣はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  111. 山下徳夫

  112. 富塚三夫

    ○富塚委員 あなた大臣じゃないじゃないか。あなたの官僚的な答弁を聞くために言っているんじゃない。大臣に本音の話を聞くために言っているんだ。
  113. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今回の分割は、それぞれの会社をそれぞれの会社として健全な会社としてつくる、こういうことを考えておりますので、今回の分割によりまして中心的な会社ができるとか、どこかコントロールするところを一つつくるとか、そういうような形を想定しているものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  114. 富塚三夫

    ○富塚委員 できれば大臣の所感をぜひお聞かせいただきたいと思うのです。三塚さんが自信を持っていろいろやっておられるから、それはそれなりに社会的にも評価されているし、これからどういうふうにされるかということなので、棚橋さんの官僚的な、書いたような答弁はもういいですから、もう何回も聞いていますから、きょうは大臣にぜひお願いをしたいということなんです。  そうすると、自立した会社は、旅客輸送では結局運賃、いわゆるコスト主義によらざるを得ない。九州や四国あるいは北海道などは乗客が少ないから結局コストが高くなっていく、首都圏や関西圏などは非常にもうかるような状況になっているということになると、さきに監理委員会が提起をいたしました民営・分割後の各旅客会社の値上げの予定の五年間ということで、四国の一年間六%ずつ五年間で三〇%や北海道の五・七%掛ける五年間で二八・五%とか、こう出ているのですが、やはり運賃そのものの設定にかなりの落差が出てくるんじゃないかというふうに思うわけです。もうかっているところはそんなに運賃を上げなくてもいい、過疎地のところは高くせざるを得ないということになると、そういうコントロールをするということなどは一体できるのかどうか。やはり利用者負担に、地域負担に全部いってしまうんじゃないかということが考えられるのですが、大臣どうでしょうか。
  115. 三塚博

    三塚国務大臣 今のコントロールの問題でありますが、基本的に六会社がスタートを切るわけでございますから、共存的競争状況の中でこれが運営をされる、実はそう期待をいたしておるわけでありますし、そのことができるであろう。といいますのは、百十四年の歴史を持つ鉄道であります。そういう意味で、ダイヤ上の問題も、我が社がもうかればそちらはいいんだよ、こういうことにはならぬだろう。と申します理由は、前段申し上げましたように、そういう長年の伝統を持ってノーハウを持った鉄道マンがこれを担当するわけでございますから、その辺の意思の疎通は十分でありましょうし、特に北海道、四国、九州、やや島内完結型の旅客の流動動向を見ますと、それはそれとして御理解をいただけると思いますし、それから本州の三つの会社の境界点におけるダイヤ上の問題というのも確実にクリアができていける問題だなと思います。  問題は、今言われました運賃の問題だと思います。これはまさに、これからの六つの会社が命運をかけて、任命をいただいた重役の皆さん方が、労使一体となってこれに取り組むことでしかこの会社の将来がないわけでございますから、そういう意味で、監理委員会は監理委員会としてアップ率を予想をいたし、収支の計算をいたしたようでございますが、私が今事務方にお願いをいたしておりますのは、それはそれとして、もっとこれからの経営のあり方、運輸省として国鉄と一体となって進める意味においてバラエティーが出てくるのではないだろうか。ケースⅠ、監理委員会のアップ率の問題、これを全国統一的にやり得るのか、やはり地域運賃としての位置づけをせざるを得ないのかとか、諸要素を組み入れた中で運賃体系というものが考えられていかなければならないのではないだろうか。  同時に、新幹線を基点として三つの会社が行われていく中で、収益率の高い新幹線の動向あるいは今後の営業のいかん、こういうものなども加味する中で、政府として確信の持てるケースを出さしていただきながら、法案の御審議をいただくときにこういう問題にも的確にお答えをさせていただく、実は今そのための検討、準備をいたしておる、こういうことであります。
  116. 富塚三夫

    ○富塚委員 関連企業に二万一千人でしょうか、受け入れてもらいたいといろいろ努力をされているけれども、将来は、旅客会社になったら関連企業も皆吸収してしまうのじゃないですか。そんなふうな感じになりませんか。結局、その会社だけもうけるということなら、弘済会、キヨスクあるいは交通公社、日本旅行、そういうところも全部その会社が吸収していくことを考えないと利益を上げていくことができないという仕組みになるのじゃないかと私は思うのです。関連企業からすると、雇用も受け入れろ、あげくの果てに全部吸収されてしまうのじゃないかという懸念があるのですが、そういうことはないですか。どうですか、大臣
  117. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今の大きな民間の企業を見ますと、やはり出資その他の関連企業というのはたくさんあろうと思います。本社、本体自身がやることと、それから関連してやらせた方がいいということのうまい仕分けを実際に民間ではやっていると思います。したがって、今後新しい旅客会社ができた場合も、今先生おっしゃったように、何でもかんでもみんな取り込んだ方がいいという判断ではなしに、みずからやるべきものと、それからあくまで関連企業でやらせておいた方がいいという判断、両方うまく調整をすることになるというふうに思います。したがって、予想でございますが、現在の関連企業は、関連企業としてのあり方はいろいろと検討してもらわなければいけませんけれども、大体現状と同じじゃないかというふうに予想をしております。
  118. 富塚三夫

    ○富塚委員 私鉄の規制緩和問題で、鉄道事業法案の改正が十四日閣議で決めて出される。今度は運輸省の許可制でなくて届け出制にするという点でかなり自由にしていこうという提議をされる。国鉄も新しい会社になると、結局ホテルとかデパートとか住宅とか何でもやるようになると私は思うのですね。もうからなければそうせざるを得ないということになっていくと、これは大企業、つまりそれぞれのホテルを経営している企業なりデパート、そういうさまざまな企業間の対立、競合というのが一面で出てくるのじゃないか。あるいはとりわけ駅周辺の中小企業が全く圧迫されてしまうのじゃないかということが起こり得る可能性というのは、つまりコントロールするところがない、規制するところがない、まして今度私鉄の規制緩和でさらに私鉄との競合が出てくるとなったら取り返しのつかないようなことになって、つまり鉄道輸送の使命、公共性が損なわれていくのじゃないかということを私は考えてみると、輸送秩序が壊れてしまうのじゃないかということが一つありますし、新たな輸送関連企業のそういった競争というものも運輸省なり所管省がある程度きちっとしないと、これは大変になっていくのじゃないか。あるいはまたそこに政治介入の構造が出てくるのじゃないか。いろいろ心配されるのですが、もっと公共性という視点から、本当に大丈夫なのかどうかということについて一体どうなんでしょうか。私は、自分の会社だけもうけさえすればいいということは、今度はいろいろな手だてを規制緩和を含めてやっていくと思うのですね。そうすると、そこのところにどういうふうに社会的に歯どめをかけるかということが大事だと思うのですが、その辺はどんなものなんでしょうか。
  119. 三塚博

    三塚国務大臣 公共性という意味では、新しく生まれる鉄道も、その性格は持っておると思います。しかしながら今日、百十四年の歴史を閉じて、新しい会社にスタートをするという最大のポイントは、株式会社としてこういう能力が他会社並みに認められた、いわゆる民鉄と同様の状態の中で行い得る形の中でスタートを切らしてあげる、こういうことにあると思います。そういう意味で、私鉄との関連は都市交通においてそれぞれリンクしてまいるだろうと思いますし、その点の心配は正直言ってそれほど実は持っておりません。  問題は中小企業、特に零細企業と言われます業種、端的に申し上げますと、東京駅で問題になりました本屋さんでありますとかクリーニング業でありますとか、こういう方々との調整というのが今度の事業範囲、不当に中小企業を圧迫する、こういう意味において調整事項にさせていただいたわけでありまして、本来鉄道に附帯する事業、また民鉄がやっておりますようなホテルその他の事業、デベロッパーの事業もそうでありますが、これを新しい法人に与えて思う存分これをおやりいただくという原理原則で進めさせていただく。  ただ、今御指摘のような問題についての調整は、ホテルの場合でありますと、ホテル商調協というようなものが絶えず知事のもとに、あるいは市長のもとに出ておりますものですから、その中でこの辺がきちっと調整をされ、進めていけるのではないだろうかと思いますし、その他の関連事業につきましても、鉄道という意味の今日の深刻な再生を期しての大変革に立つわけでございますから、地域の皆さんもまた企業体の皆さんも、そういう意味で理解をいただけるのではないだろうか。ただ、何でもということでやれるわけでありますけれども、それが切り捨て御免で進むのではなくしで、今度はいわゆる民間会社なものでありますから、事業を起こすことについては、その地域の皆さんと融和をする、また説明をして理解をいただく、こういうことでともに繁栄するという共栄という観点で、この辺のところが十二分な討議とその打ち合わせが、また大きく信頼関係をつくらさしていただきながら進めていくべきものであろう、こんなふうに思っております。
  120. 富塚三夫

    ○富塚委員 運輸省が特定都市鉄道整備促進特別措置法というのを今度提起されているわけですね。総合交通政策論として新幹線網とか幹線網、地域交通網をどう見直していくかという一つの課題もあるでしょうが、同時に都市周辺の交通整備を行いたい、整備準備金で一兆一千九百億ですか、いわば利用者負担によってそういうことを考えたい、これは一つの新しい発想だとは思うのですね。こういうのは、新しい旅客会社にも必要性があれば当然そういうことを考えるということになるのですか。
  121. 服部経治

    ○服部政府委員 御指摘のとおりの法体制にするつもりでございます。
  122. 富塚三夫

    ○富塚委員 それから、関連企業の関係でですが、今国鉄の場合には、旅行業法二十七条で、国の行う事業は、国鉄の適用除外として旅程管理者の問題を初め幾つかの問題について除外されているのですが、こういうものも新しい会社になれば、こういう除外適用は全部ないというふうに考えていいのですか。今国の行う事業ということで問題が大分内包しておるのですけれども、どうなんでしょうか。
  123. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今回の改革法を提出いたしますに関連いたしまして、関連の法律の手直し法、これを現在準備中でございます。  その基本的な考え方は、従来国鉄が国とみなされていた点その他を含めまして、日本国有鉄道というものをすべて通常の民営会社並みに整理をするということが基本的な考え方でございます。旅行業法その他につきましても、同様な考え方で整理の準備をいたしております。
  124. 富塚三夫

    ○富塚委員 今、運輸大臣も申されたのですけれども、いろいろ社会的な調和、調整、規律、さまざまな観点で考えていかざるを得ないという視点があるわけですけれども、国鉄が六つの民間会社になったら、もうけるために経営者はどんどんと労使一緒になっていろいろやるだろうと私は思います。そうすると、私は素人ですからよくわかりませんけれども運輸省が、国が考えていくべきいわゆる新しい総合交通政策的な視点の調和の問題とか、今交通局長が言われたような問題とか、いろいろな問題が出てくるのに、余りにも全部野放しにしてしまって、コントロールするということをどこの場で責任を持つのかということについてもっと大事に考えないと、公共的視点とかそういうものが全くいいかげんになってしまうのではないかというふうに懸念するのですけれども、その中心的な政治の場であるいは行政の場でどういうふうにコントロールしていくことが可能かという点ではどうなのでしょうか。私は、当初は何か本社の小型版みたいなのを置いて、全国的に調整するみたいなことが考えられておったように思うのですけれども、そういうことは全然ないのでしょうか。
  125. 三塚博

    三塚国務大臣 これは富塚委員ももう御案内の上で御質問いただいていると思います。もともとこの改革でできます六つの旅客会社は、まさに先ほど申し上げました、自由濶達に持てるノーハウを地域との一体感の中で取り進めるということでおやりをいただくべきであり、かねがね政治の、また地域のいろいろと悪い意味のエゴ、こういうことの中で国鉄の思うような経営ができなかった、そういう反省も含めまして、これをお取り進めをいただくということでまずスタートをする、こういうことだと思うのです。  この六会社の役員になられる方々は、その辺をしっかりと踏まえた方でありましょうし、特に先ほど来申し上げております、地域鉄道として住民の皆さんと一体となってこれを取り進めるという意味におきまして、地域鉄道としての信頼関係に立つコントロールというのでしょうかバランスというのでしょうか、そういうものがそこに作用していくのではないだろうか、このように思いますし、あえて今度の法令の中で言っております、政府の関与のあり方として、代表取締役、監査役は認可事項ということに相なっております。そういうことの中で、富塚委員御心配のような、今いろいろ申し上げましたようなこと以外の、こんなことは困るのじゃないだろうかということにつきましては、所管大臣が代表取締役また監査役を通じまして、こういう地域の深刻な問題がございます、こういうことで話し合いをする中で、この問題が前に進むのではないだろうか、ただいまのところそんなふうに考えておるところでございます。
  126. 富塚三夫

    ○富塚委員 先ほど言いましたように、地域間の乗り継ぎの問題、運賃の問題、それから事故の問題、いろいろな点で、自分のところだけよければよそにみんな責任をかぶせるみたいになっていくのではないかということになると、今の新しい運輸行政の中に提起されている、さまざまな規制を緩和していくという一つの流れが本当にどうにも取り返しのつかないようなことになり、それが住民負担になる、いわゆる地域にいろいろな問題をまた投げかけていくことになるのではないかと私は思いますので、そういう点はこれからもいろいろ議論になると思いますが、私はぜひひとつ考えていただきたいと思います。  それから、資産の問題でちょっと聞くのですけれども、いろいろ議論をされてきておりますが、運輸省内に三特別機関を設置するということで既に準備をされているやに承っているのです。資産の公正な評価――やはり三井さんとか三菱さんとか住友さんとか大手の不動産会社きり買えないくらい高い値段でやりとりされる、そういうかかわり合いと、公正な入札とか公正な対応というものをどうするかというのは非常に難しい問題もあると思いますけれども、やはりこの点は本当に国民にわかりやすくやっていただくことが必要なんじゃないかと思うのですが、大臣、この機関の設置の問題と考え方についてお答えをいただきたいと思います。
  127. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては御指摘のとおりであります。国民の皆さんがなるほどということで理解いただくのが大前提でありますものですから、公正、ガラス張りというのがこの基本でなければなりません。そういう意味で、公開入札に準じと法律に書いてございますが、これは私もこのことがちょっと気にかかったものですから、法令上これはどうしてこういうことになるのと聞きましたら、公開入札というのは、政府機関だそうです。政府機関以外は、準ずるという、法律になりますとそういう表現になります、中身は全く公開入札と同義語であります、こういうことでありますから、それならばそれでよろしい、こういうふうにさせていただいたわけでございまして、そういう意味で、公正に行われますればきちんとした価格形成ができるでありましょうし、それともう一つ、原則としてと、このように予算委員会でも申し上げさせていただきましたのは、地方都市、東京においてもそうであると思うのですが、その都市が企画をいたします再開発事業を地方自治団体が進める場合におきましては、適正な価格で随契が行われていくべきだろう。駅というのは、その地域におけるまさにセンターでありますので、原則としてと、こういうことであり、いやしくも指摘されましたような会社が、マスコミが今言っておりますように、分捕り合戦のように決まっておるなどということは全くないと私は思っておるわけでありまして、そのことなども頭の中に入れながら、公正、ガラス張りでこの問題が行われるように、その三委員会――評価委員会、これは財産を持っていくものの評価委員会ですが、事実上その第三者委員会運輸省及び国鉄にできる委員会でありますので、この委員の人選も、さような観点から、なるほどと御納得いただける方々委員になりましてお取り進めをいただく、こんなふうに考えております。
  128. 富塚三夫

    ○富塚委員 最後に、労働基本権問題でお尋ねするのですが、労働関係調整法に基づく私鉄並みのストライキ権、労働争議権ということで政府も判断されているというふうに理解していいのですか。
  129. 三塚博

    三塚国務大臣 おっしゃるとおりであります。
  130. 富塚三夫

    ○富塚委員 そのとき公労法との関係はどういうふうに考えられているのですか。そこのところをちょっとお聞かせいただきたい。
  131. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生の御指摘は、多分電電の際につけました特別調整ということを念頭に置かれておると存じますけれども、御承知のように、監理委員会の御意見では、その点については政府において検討しろ、こういうことになっております。先ほど申し上げましたように、ただいま整理法を準備中でございますから、その中におきまして公労法について手直しをするかどうかという検討を現在行っております。間もなく結論を得る予定でございます。
  132. 富塚三夫

    ○富塚委員 総裁、七五年の秋のスト権ストの二百二億の損害賠償請求が当局から出ているわけですが、この問題について、既に裁判、まだ一審の判決は出ていませんけれども、一体この問題をどういうふうに――取り下げるというふうに考えておられるのかどうか、そこのところをちょっと明らかにしていただきたい。私は、当然取り下げられるべき性格のものになっていかなければ、改革はできないと思うのですが、当事者としてこの点どうでしょうか。
  133. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 裁判の進捗状況から見まして、非常におくれておりますことは、私ども訴えを出した者としましては大変残念でございます。いろいろな形で審議の促進をお願いし、できるだけ早く結審をしていただきたいと思っておるところでございます。
  134. 富塚三夫

    ○富塚委員 そうすると、結局経営者側の都合のいいことだけはどんどんとやっていく、都合の悪いことだけはこちらにおっかぶせてしまう、そういう感じでは改革はうまくいくものではない。来年の四月一日にやろうというのですから、国会でどういうふうになるのですか。それはもうちょっと大乗的な見地に立って労使問題も考えるとかしませんと、広域配転計画が管理運営事項だなんて傲然と言って、共同宣言をやった組合はだまされているみたいな感じになるんじゃないですか。そんなばかなことはない。やはりそこのところもっと、改革をするなら改革をするらしく、大臣も言っているように、労使で話し合いをしましょう、あるいは地域話し合いをしましょう、そういうことで政府側の姿勢や当局の姿勢をもっと思い切って転換をしないと、結局ぶつかり合ったままに行って、泥仕合いをして、まさにどうなるかということは、国民の側から見たら、国民がえらい迷惑をする。これはこのところ各新聞も全部そういうふうに論説でも取り上げているように、やはり国鉄経営者の姿勢というものをもっと変えてもらいたいということを申し上げまして、答弁は要りません。  以上で私の質問を終わることにいたします。
  135. 山下徳夫

    山下委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  136. 山下徳夫

    山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  137. 横山利秋

    ○横山委員 私は先年決算委員長をいたしておりました。それで運輸委員になりました機会にもう一度会計検査院による運輸省の決算の状況を調べてみたわけであります。  五十七、五十八、五十九年度、大臣、これだけあるのです。運輸省というのはいかにだらしのないところかというのがつくづく痛感される。大臣はさっそうとして運輸大臣に御登場になり、国鉄を初め諸問題に前向きに取り組んでいらっしゃるけれども、乞看脚下ということ、足元を見てください。これだけの問題が、だらしのないことが会計検査院の検査によって続々と出ておるわけであります。  例えば一例を挙げてみましょうか。札幌の地下高速鉄道の建設事業国庫補助金の千七百七十七万九千六百五十七円は補助の対象ではない。東京国際空港土地使用料の徴収に当たり、土地使用料の算定が適切でなかったため徴収額が約十二億六千万円低額となった。そのほか枚挙にいとまがない問題が白日のもとに出ておるわけであります。  翻って、今度は「運輸省における五十七年度-五十九年度会計内部監査実施状況等調」を手に入れて見ました。驚いたことに問題は何もない。注意した、指摘事項の概要、なし、なし。なるほど文章の中には「債権管理、歳入徴収及び支出官」云々を指導したとは書いてある。注意したとは書いてある。しかし、膨大なこの会計監査の実施状況報告に何が悪かったか、何も書いてない。驚いたことだと私は思うのであります。この運輸省の会計の内部監査は、何が問題であったか、今後どういうことを反省しなければならないか、何にも書いてない。私は行きました、法律どおりやれと言いました、というだけで、別に問題になるようなことは何も書いてないのです。運輸省の内部会計監査は一体何をやっているのかね。御報告を願いたい。
  138. 三塚博

    三塚国務大臣 今大変重要な御指摘をちょうだいいたしました。私も重大な関心を持ち、大変なことだなと思っております。まず、その後の対応の仕方を官房長から答弁いただき、後ほどまた私の考えを申し述べさせていただきます。
  139. 永光洋一

    ○永光政府委員 お答えいたします。  予算の執行にあたりましては、厳正でかつ効率的な執行に努めるように常に心がけておるわけでございますけれども、先生おっしゃいますように、毎年度会計検査院から何件かの指摘を受けておりますことは非常に残念に存じておるところでございます。  今、会計検査以外に運輸省の中でいわゆる内部監査をいたしておりますが、その実態につきましてどうか、こういうお話でありますが、内部におきましては、会計検査院の補完的な検査業務といいますか、会計検査院とも連絡をとりながら、年度ごとに監査の重点的な方針を決めます。例えば昭和六十年度の監査の重点事項といたしましては、内部の牽制システムあるいは決算の検査報告に記載されております、申されましたいろいろな指摘事項の類似事項について見直しが行われているかどうかとか、毎年そういう一つの基本方針を決めてやっております。
  140. 横山利秋

    ○横山委員 大臣考えてください。これだけ膨大な会計検査院の具体的な問題点指摘がある。運輸省の内部監査にはこれが何にも書いてないのですよ。同じ年度ですよ。こっち側に膨大なことが書いてある。こっちは指摘事項が、具体的なことが何にも書いてない。どういうことなんですか。会計検査院がやるとこう出る。内部監査がやるとちっとも問題の指摘がない。これは国鉄も一緒ですよ。どういうことなんですか、これは。何が原因ですか。内部監査は適当にやっておるのですか。この会計検査院の指摘事項を内部監査ではわからなかったのかね。
  141. 永光洋一

    ○永光政府委員 結果的には、会計検査院の検査報告によりますところのものを事前にチェックできなかった点があることにつきましては非常に遺憾に思うわけでありますが、会計検査院でやる対象官署と、それから内でやっております対象官署とは事前に区分けをしまして、会計検査院と相談しながらやっております。ただ、先生がおっしゃいますように、会計検査院で指摘されました事項が事前に我々の監査において明らかになってないという点については反省をしながら、会計検査院におきまして指摘された事項等については、改めて内部でそれぞれ反省し、今後再び同じようなことがないようにということで十分に示達をしておるところでございます。
  142. 横山利秋

    ○横山委員 答弁になりませんね、大臣。少なくともここに内部監査の結果がずっと出ているのですが、監査報告書はなし、指摘事項の概要なし、指摘事項に対する是正策、是正状況なし等が五十七年度からずっと出ている。注意の件数なし、特になし、特になし、みんなそう書いてある。これだけのものが出てくるのに内部監査では何もないんです。こういう監査報告書もどうも出していないようだな。官房長、監査報告書は大臣に出しているのですか。
  143. 永光洋一

    ○永光政府委員 内部監査をいたしました監査報告書は、大臣までは行っておりません。内部で要するに検討いたしております。もちろん内部におきましていろいろな不適切なことがあれば、個別的には大臣に御相談し、あるいは指示を仰ぐこともあるかと思いますが、一般的には監査報告書は官房の中で見ております。
  144. 横山利秋

    ○横山委員 それはあきません。そんなばかなことはないわ。大臣、どう思いますか。これからちゃんと監査報告書をとってください。
  145. 三塚博

    三塚国務大臣 会計検査院は国会法律がつくられ院が構成されておるわけでありまして、この指摘は行政執行機関として重大に受けとめなければ議会制民主主義はスタートできませんことは御案内のとおりであります。よって、ただいま横山委員指摘の問題について、それぞれの部署でどう処理されておりますのか、しかともう一度報告を徴します。さようなことの今後ありませんようにまいります。
  146. 横山利秋

    ○横山委員 これを見ますと、運輸省大臣官房会計課監査室長以下配置人員四十二名だわな。同じようなところを見てみますと、郵政省は百二十三名、建設省は六十九名、それから文部省は七十名、厚生省は五十一名、通産省は七十九名。運輸省四十二名だろう。四十二名で、そのほかそれぞれ航空局だとか海上保安庁だとか等でやっておるけれども、極めて小手先の仕事をしておる。内部監査制度が徹底していない、機構も極めて不十分であるということを痛感をせざるを得ないのであります。  それで、先ほど官房長は内部監査については会計検査院と連絡をしておるというのですが、この監査状況は本当に毎年会計検査院へ連絡しておるのですか。おらぬだろう。
  147. 永光洋一

    ○永光政府委員 監査の項目とかあるいはスケジュールとかいうものにつきましては、重複がないような形で会計検査院と十分連絡をとっておるようでありますが、その報告書そのものを会計検査院に出すというようなことはやってないということでございます。
  148. 横山利秋

    ○横山委員 それも問題があると大臣は思いませんか。何にも問題はございませんというのを会計検査院に出したら会計検査院は笑いますわな。毎年指摘をしておることについてあなた方はどうしているのということで報告は出しますわ。あなたのところのことはどうなっておるのという会計検査院と運輸省の内部監査とがもう少し脈絡一貫、協力をする体制というものをつくらなければ私はだめだと思うのだ。内部監査の体制がないこと、それから監査報告書が大臣に出ないこと、それから会計検査院との連絡が緊密でないこと等が私の指摘するところです。それで、ここに特記事項なしとかなんか言っていますが、実際問題としては官房長どうですか、ここの中にも注意したということがあるのですね。この三年間、五十七年度から五十九年度まで運輸省において内部監査で注意した問題は何か、それはどこか、それを全部出してください。
  149. 永光洋一

    ○永光政府委員 今ちょっと手元にありませんが、先生おっしゃいますように、まとめまして御説明をさせていただきます。
  150. 横山利秋

    ○横山委員 まとめて当委員会に資料として提出してください、私がそれに基づきましてまた問題提起をいたしますから。  大臣、あなたは非常にやり手で前向きのお方ではありますけれども、乞看脚下、何か運輸省で問題が爆発したときにはあなたは宙返りしますよ。だから、これからひとつ前向きもさることながら、足元の監査について厳重に注意をされることを期待いたしますが、どうですか。
  151. 三塚博

    三塚国務大臣 大変厳重な御指摘をいただきました。肝に銘じて進んでまいります。
  152. 横山利秋

    ○横山委員 次は、船の問題であります。利子補給の問題をまず取り上げます。  利子補給は、法律によって、政府が造船会社に船をつくれ、つくるんだったら利子は補給してやる。それは開銀ですか金融機関から、おまえのところからもらう利子を政府が一部負担してやるということなんですね。事の経緯は省略いたしますけれども、問題のポイントは、そういう約束をしておきながら、政府はここ一両年、まあ済まぬけれども国家財政が足らぬで利子はひとつ繰り延べしてくれやということで、繰り延べ、繰り延べというわけであります。いかなる根拠があって繰り延べをするんですか。法律で決まっており、政府が約束をしたから造船会社は船をつくった。船はできておる。金融機関に支払いせんならぬ。政府が利子の補給をしてくれぬ。負担はまさに造船会社及びその労働者にかかっておる。繰り延べといったって、政府が言えば造船会社も金融機関もしょうがないと思う。思うけれども、これは強権を発動したやり方ではないか。これはペテンですよ。いかなる法律的根拠があって繰り延べが行われるのですか。法律の利子補給法の何条にそれが許されておるのですか。
  153. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 御指摘の外航船舶建造融資利子補給金の繰り延べの措置の法的根拠でございますが、そもそもこの利子補給金の支給というのは、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の第二条というものがございまして、これによりまして政府と金融機関の間で契約が結ばれて、その契約に基づきまして利子補給対象海運企業に対して行われているということでございます。(横山委員法律の何条に基づいてやっておるのか」と呼ぶ)これは法律と申しますよりも契約が根拠でございます。つまり政府と金融機関との間の契約を根拠としてこの利子補給が行われておる。したがいまして、繰り延べを行うに当たりましては、こういう契約関係にある金融機関との間の話し合い、了解というものがどうしても必要でございます。それをやる前に、政府といたしましては海運企業の実質上の了解というものを得まして、その上で政府と金融機関との間で支給繰り延べの特約を結ぶという新たなまた契約をいたしまして、そうして繰り延べをやる、そういうことでございます。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 私の言うことをあなたもわかっておってそういう白々しい答弁をするんだね。政治的にあなた方はどういう責任を負うかということにも言及せんならぬ。政府が利子補給してやるから船をつくれ、法律もできた、造船会社がそれならやりましょうかと船をつくった。約束を履行せずに利子補給をしてくれない。だれが一体それ責任を負うの。政府は、今お話しのように、まあ銭がないのでひとつ契約したけれども、繰り延べしてくれということで、対等平等じゃないわ。政府と金融機関、対等平等じゃないわ。金融機関と造船会社も対等平等じゃないわ。言われればしょうがない、腹の虫が、全く五臓六腕が煮えくり返るけれどもしょうがないわ。おのれ、畜生、今に見ておれ、こういうことだろう。そういうことの政治的責任を政府はいささかも感じないのかね、大臣
  155. 三塚博

    三塚国務大臣 本件の経過は、今横山委員から、また担当局長のやりとりで御案内のとおりであります。まさに本件は約束を実行する、これが基本であります。そういう中で六十一年度予算編成、六十年度予算編成というのを見てまいりますと、シーリングという厳しい財政再建の強烈な枠組みの中で、運輸省としてもいささか抵抗しつつも、予算編成権という枠内で本問題に従わざるを得なかった経過があることは率直に認めます。また、今政府と金融機関の契約も先生御指摘のとおり対等関係にはございません。形は対等でありますが、事実上頼まれればしようがない、それで船会社も頼まれればしようがない、こういうことであります。そういう点で、今日の海運、造船界の不況を見るにつけましても、このことはやはり戻して、きちっと整理をしなければならぬ問題だと思っております。六十一年度は編成上もう取り決めたものでありますので、これをもとに戻せと言われましてもなかなか大変であろうと思いますので、これに成りかわる方式は何かといいましても、六十二年編成でただいまの御論議の趣旨を踏まえて、このことが正常な本来の姿に戻りますように努力をして、御指摘にこたえる以外にないのかな、こんなふうに思っております。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 六十一年度と同額の七十億、これが六十六年までに、十年間ですか、六十六年までに六十一年と同額のもので繰り延べ繰り延べやっていくと百二億ぐらいですね、百二億ぐらい。ペテンにかかったということになるのですね。私は繰り延べが法的根拠がないと言うのだけれども、万が一譲って仕方がないとしても、最終年度には満額利子補給を約束どおりやるというふうに理解してよろしいか。
  157. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 現在は、法律上六十六年度までに完済するということにいたしておりますので、私どもとしては、それに向けて全力を注いでいきたいと考えております。
  158. 横山利秋

    ○横山委員 うそを言いなさい。あんなことを白々と。ここにこういうことが書いてある。「このような事態に対し運輸省では「六十二年度予算の概算要求までにひとつの方向付けができるよう積極的に検討を進めていく必要がある」(仲田国際運輸局長)」、こっちの方では何か書いてあるよ、つまり別な手段を考えようかと書いてあるよ。けしからぬと思っている。別な手段というのは税金をまけることか。ほかにどうするの。そんな、約束を履行せずにおいて百二億は完済はやれぬから何か別の手段を考えよう。ひきょうだよ、ペテンだよ。堂々と百二億を含めた満額を六十六年までに利子補給をきちっとやるという答弁をもらいたい。
  159. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 私ども、気持ちとしては先生のおっしゃることと全く同じでございまして、あとは力の問題でございますが、それに向けて全力を挙げて努力したいと考えております。
  160. 横山利秋

    ○横山委員 条件闘争も腹の中で考えておるでしょう、これがだめならこうやったらどうか。しかも、こうやったらどうかということを自分で言わずに業者に言わせようとしている。けしからぬ。自分で言いたいけれども、自分で言うと頭を殴られるから、造船業者の方から、運輸省さん、これがだめならやってちょうだいと言わせようとしておるのです。ひきょうだよ。大臣、どうですか。オーソドックスに六十六年までに利子補給はこの契約どおり完全に実行するというふうにひとつあなたの断言がもらいたい。
  161. 三塚博

    三塚国務大臣 財政が苦しいから、編成が難しいからということでお貸しをいたしておるというふうに私自身も受けとめておりますし、やはり決めたことは決めたとおりにやらなければなりませんので、御指摘のとおり、しかとやります。
  162. 横山利秋

    ○横山委員 結構。大変立派な御答弁で、記録に残して、私は速記録に特筆大書させておきたい。これはひとつ大いに業界にも、本日ただいま三塚運輸大臣が、大言壮語じゃない、当たり前のことを言ったということを全国的に知らせますから、よろしくお願いしたいと思います。  大臣、私は運輸が出身だけれども、運輸をやって、しばらく勉強して、海空陸をやってみたら、どこもここもこれは大変だな。あなたの所信表明中、海運の不況についてはちょっと言葉が足らぬわ。どういうつもりでいらっしゃるのか。あなたは国鉄の問題で運輸大臣になったと言う人があるけれども、まさかそうではあるまいと思うのです。海運も戦後最大の不況であることは言うまでもないわけであります。どこもかしこも造船会社、船会社が首を切っておる。そして日立、三井ですか、きのう、きょう、労働組合がベースアップはことしは遠慮しよう、大変気の毒だと私は思う。三原則を破っておれのところはベースアップを遠慮しようという決議までするというのでありますから、春闘もちょっとこれは困ったことだと私は思うのですが、海の方はしけで、陸の方は大火事で、飛行機の方は事故の続出、そういうように海空陸の交通産業は全部今重大なピンチに差しかかっておるわけであります。特に私は、陸は後で言いますけれども、海で感じますのは、解撤をする、船をたたき壊す、造船台もたたき壊すということであるが、しかし一体将来どうなるのか。海運日本としてのロマンとかあるいは構想とかビジョンというものが一体どうなるのか。海運国日本の船腹量の適正規模はどのくらいで、今壊しかけているものとの接点は一体何だ、それがちょっともわからぬのです。大臣のまず所見を伺いたい。
  163. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 実は昨年、海運造船合理化審議会の中間答申と、最終答申をことしまたいただきまして、この趣旨に従ってこれからの海運政策を進めていこうということになっております。  これの趣旨は、これは先生よく御承知かと思いますが、第一番目には、我が国の商船隊の国際競争力を確保する、これはいつでも変わらない最も我が国海運にとって大切な目標であろうかと思います。  第二番目は、大きく申しますと海運企業の活性化でございます。今まではややもすれば行政的な諸規制によりまして縛り過ぎた面がございますので、これからの世界の競争の中で日本の海運企業が立派にやっていくためには、この規制を緩和しなければいかぬということで、緩和を訴えております。  三番目は、現在の不況というものに対処するために、これは大臣所信表明にも書いてございますが、厳しい不況に対処するために、船舶の解撤を促進するために必要な措置をとる。  大体この三つについての政策の方向を示しているわけでございまして、これのベースになるものとして、今まで常に日本船の確保ということで船をふやすということが中心課題でございましたが、これからの世界を見ますと、重厚長大から軽薄短小になるということも含めまして、そういう時代の趨勢を見ますと、五十八年当時に日本商船隊としておよそ五千七百万トンの規模を持っておりましたが、これが六十年から数えて五年後の六十五年にはどうしても五千万トンに縮小せざるを得ない。日本船のベースで申しますと、三千四百万トンのベースを二千九百万トンに縮小せざるを得ない、そういうような一つの見通しというものもいただいております。したがいまして、こういう厳しい中で、先ほど申し上げましたような三つのことに特に重点を置きながらこれからの施策を推進すべきである、そういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  164. 横山利秋

    ○横山委員 非常に渋い考え方で、余り船をつくってはいかぬぞ、荷物も少なくなるで、内航も外航も厳しくたたき壊したりなんかしていかなきゃいかぬぞ、それによる雇用問題は雇用問題として考えようじゃないかというような非常に後ろ向きな暗い感じなのでありますね、大臣。六十五年なり七十年代、二十一世紀にかけて海運国日本としてはどうあるべきかというビジョンがなさ過ぎるではないか。そのうちに景気がようなったらまた考えようかというような顔をしてござる。ビジョンがない。少なくとも六十五年時あるいは七十年時、二十一世紀にかけて、「尺蠖の屈するは伸びんがためなり」、今はひとつ屈してもらいたい、しかし将来はこういうふうに日本としてのビジョンを持ちたいからというものがなくてはならぬと思うのですが、あなたはどうお考えですか。
  165. 三塚博

    三塚国務大臣 今暗くて前向きなことはないではないかという御指摘でありますが、海運界が置かれております世界的な状況の中で、明るい見通しを立てようといたしましても、現実になかなか立たない、そういう中で倒産が出ていく。厳しい環境の中でしからばということで、今担当局長が言われました三つの手だてを講じつつ先の展望を立てたい、こういうことであるわけですが、私自身所信表明に若干基本だけ触れさせていただきましたけれども海運国日本であります。それに貿易国家日本であります。世界最大の商船隊を持つ我が国であります。まさにこのことによって今日の立場がつくられたと言っても過言ではないわけでありまして、こういう諸状況の中でどんどんアウトになっていくようなことばかりであってはならぬと思うし、この際、国会として与野党忌憚のない協議の中でどうするのかという問題も煮詰めていかなければなりませんでしょうし、私自身、我が国の置かれておる経済、国際的な諸状況の中で、海運国日本としての位置づけをどう考えるか。これはまさに経済安全保障の観点からいいましても、この点について思いをいたし、施策を講じていかなければならない。三つの項目について、財政の非常な厳しい枠組みの中で遅々として進まないのではないかという御指摘もちょうだいをいたしておるわけでございますが、厳しい財政の中ではありますけれども、そういう基本的なスタンスを守りつつ、一歩でも前に出るということの中で取り組むのが政党として大事だ、また政党内閣として大事なことだ。こんなことで、これはまさに全日本という立場で、全国会という立場でぜひ御提言、御叱正をいただきながら、その集約の中で蛮勇を振るってやっていかなければならぬ問題だ、このように受けとめております。
  166. 横山利秋

    ○横山委員 大臣から逆に御激励を受けましたので、ひとつそのためにも運輸省の造船業の長期需要予測を資料として出してもらいたい。後でいいです。  当面する問題にジャパンラインのおかしな――ジャパンラインの従業員は全部首切って、新会社へ全部行ってもらって、新会社の従業員として今度ジャパンラインの配船に臨時に来てもらうという労働法そこのけのやり方をし、労使交渉になったらもう待っておれぬというわけで、ジャパンラインの経営者が見切り発車をした。そこで希望退職をどんどんやっておるというやり方は、少し穏当でないと思うのですが、運輸省はどう考えますか。この問題に限って答弁してください。
  167. 広瀬好宏

    ○広瀬(好)政府委員 ジャパンラインは近年経営が非常に悪化しておりまして、昨年十二月に海陸合わせまして九百五十名の希望退職を募集するなどの再建計画を組合に提示したところでございます。これに対しまして組合は、一方的な人員削減であるとして合意に達しておりませんで、両者間の調整がつかないまま会社は三月一日より希望退職の募集を開始したものでございます。こうした問題につきましては、第一義的には労使間の問題でございますので、運輸省といたしましては、現在のところ労使の交渉経過を見守るということとしているところでございます。
  168. 横山利秋

    ○横山委員 見守っておるだけでなくて、ジャパンラインは天下の話題なんだから、そんな無理をせずに労使で話し合えというようなサゼスチョンぐらいしたっていいんじゃないの。運輸省の方はまだこれはちょろっと見ておるだけか。そんなのではあなたに給料やるのもったいないわ。何と情けないお役人だ。
  169. 広瀬好宏

    ○広瀬(好)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、これは労使間の問題でございまして、労使紛争の解決にはそれぞれ手段、方法とかいろいろ決まっておるわけでございます。したがいまして、そういう手段を通じまして御協議いただくのが、労使間で円満にお話しいただくのが一番よいことだと私ども思っておる次第でございます。
  170. 横山利秋

    ○横山委員 大臣は頭のいい人だから、私の言わんとすることわかっておるでしょう。ひとつどうだと、もうちょっと仲よくやって、一方的に言わずに、ジャパンラインは今本当に重大なときだ、雇用の問題だからひとつうまくやってくれ、そんな見切り発車で、勝手にしやがれ、おれは勝手にやるということでうまくいくはずがないじゃないかと言ってくださいよ。
  171. 三塚博

    三塚国務大臣 労使の問題は労使の問題でありますが、特に重要な今回の問題でありますので、よく私は社長の方に、また組合の皆さんにお会いする機会もあろうと思いますので、特に会社側に、よく折り合って、労使協調で問題を進めろ、こう申し上げます。
  172. 横山利秋

    ○横山委員 次は、国鉄でございます。  さっき富塚さんの質問を聞いておって、運輸大臣、私はこういうことを考えた。国鉄がとにかく民営的手法を取り入れて、あれもやりこれもやるということは、私も前から言っておったことでいいことである。しかし、理論的に言うと、私は日ごろこういうことを考えているのですよ。資本主義というものは無理とむだとむらが多い。無理というのは独占企業としての横着なことですよ。むらというのは大小格差がつく、地域的にまた格差がつく。むだというのはやらぬでもいい過当競争をやっておる。そういう無理とむらとむだとが資本主義にある。逆説的に言いますと、社会主義にはスマートとサービスとスピードがないと私は言っているんです。今回国鉄がやるについて、できるだけ多角経営をやらせたいと思うことには変わりはない。だから、そこのところはうまくやってもらわなければいかぬと思います。これはそういう私の意見ですが、まあいろいろある中で、きょうは貨物会社を取り上げてみます。  貨物会社は、収入千五百八十四億、経費千五百六十八億、損益十六億、こういう出発ですね。本当にそろばんがとれるだろうかと思います。聞いてみますと、何回も何回も試算をして、三百の駅にするために、あそこぶった切ってここをぶった切る。とんでもない話で、私の選挙区の新守山までやめようかという話があるそうです。そんなことをしたら承知せぬぞと私は言っておるのだが、総裁よく問いといてくださいよ。こんなことまでやってそろばんがこれでとれるのか、それでもとれぬで、こういうわけです。どうなんですか。確たる採算があるのかね、総裁。――総裁に聞いたってしようがない。これは運輸省が。
  173. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御承知のように、先生が今御指摘になりましたような金額は、昨年運輸省が貨物を分離したらどうだろうということを検討いたしますために、国鉄との間で再三にわたって検討いたしました結果の試算でございます。ただ、これはあくまでも試算でございまして、もう少し細部につきましては、国鉄において引き続き、現実にそれだけのお荷物がいただけるのかとか、そういう点について地元とか通運業者ともう少し折衝して、きちんとした結果を出して再度積算をすることにいたしております。それは現在積算中でございます。間もなく結果が出ると思いますけれども基本的に、私ども今回の試算はかなり厳しいサイドで見た試算のつもりでございます。したがいまして、利益はわずかしか出ないという形になっておりますけれども、一応これをベースにして行っていけば、何とか経営努力をきちんとすれば、採算のある健全なる会社としてスタートできるというふうに確信いたしております。
  174. 横山利秋

    ○横山委員 念のために言っておくが、私は貨物会社反対なんですよ。全国ネットワークの立場だけれども、あなたの方が貨物会社つくるからと言うので、ここがおかしくないかと言って聞くのです。  例えば田邊書記長が問題にした、貨物操車場をやめてしまうのだから膨大な土地があく、そこを売っちゃうというわけですね。売るについては、大臣先ほども三つの評価委員会なり何なりで公平にやると言いましたね。ところが、例えば大宮操車場の周辺地域の買い占めが行われていること知っていますか。周辺地域ですよ、操車場じゃないですよ。問題はもう既にそこにあるのだ。操車場や笹島の駅とかそういうところじゃない。そこはあなたの言うとおりにやってもいい。けれども周辺地域が値上がりしているんだ。買い占めを行っているのだ、ゼネコンが。これはまさに日本列島改造論の二の舞です。国鉄の売却予定地域の周辺地域を買い占めしておる。大宮周辺では五割ぐらい値上がりしているのではないかと言われている。だからここさえきちんとやればいいという問題じゃないんですよ。  しかも、その土地の資料は田邊書記長が要求してもあなたは出しませんね。ゼネコンがみんな持っておる。どういうわけだね、あれは。どういうわけでゼネコンがあれを持っているの。その理屈を一遍聞かせてもらいたい。売却予定地域をこの運輸委員会に出してくれますか。
  175. 三塚博

    三塚国務大臣 法案が運輸委員会でいよいよスタートを切るというときには、それまで予算委員会でも答弁申し上げておりますとおり、箇所づけは全部お出しいたします、こういうことで申し上げておきますので、運輸委員会に、第一委員会、担当委員会でありますから、当然に出させていただきまして、御検討賜ります。
  176. 横山利秋

    ○横山委員 周辺地域の問題どう考えますか。
  177. 三塚博

    三塚国務大臣 この件は今初めてお聞きをいたしました。大宮のやつを買い占めている、こういうことは正直言って初めてお聞きしたのです。そういたしますと、横山先生、ひとつざっくばらんに申し上げますと、地価に対する影響がありますから、配慮をしてできるだけ適正な価格という、これまた予算委員会において各党の御議論であったわけですね。私は買い占めを是認するという意味ではありません。今そっちが高くなる。そうしますと、適正な価格が公開入札によって得られるという。ですから、そういう意味のことを考えますと、果たしてそういう買い占めというのがどういうことなんだろうか、今お聞きをいたして率直に感じたわけです。しかし、そういう買い占めによって、この処分がそちらに変な形で流れるというようなことだけは断じてあってはなりませんことでありますから、その点だけはきちっと念には念を入れて歯どめをかけてまいります。
  178. 横山利秋

    ○横山委員 私どもお互いに政治家です。金もうけ商売じゃないから、金もうけ商売する者は、そこが大ゼネコンに売られようと、そこに何ぼか大きなプロジェクトができれば周辺が上がるのは当たり前だ、だから今安いうちに買っておいた方がええというのが金持ちがみんな考えることなんで、それがもう始まっておると私は警告しておるのです。ならどうするかと言ったって、どうしようもないだろうとあなたは言うでしょう。何か手はないか、ないでしょう。  だから、私の言いたいのは、国鉄が政府の案によって六分割するときに、みんな売却可能の土地は清算事業団へ持たせちゃうんでしょう、そうですね。清算事業団は多少の造成はできるけれども、それを造成して売るわけでしょう。もうちょっと国鉄も、ここだけはおれのところで商売やるで、第三セクターつくるで、ここだけはおれのところにくれというやり方はできぬの。どうだね。
  179. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 おっしゃるように、私ども新しい会社はできるだけ健全な経営をさせたいというふうに思っております。そういう意味では、先生おっしゃるように、いろいろな事業に発展していくためには、それなりの資産というのを持たせるのが必要であるという御意見は十分理屈のあることだと思っております。ただ、その反面、御承知のように残りました膨大な長期債務というものについては何らかの形で最終的に処理をしなければいけない。その場合に、結局国鉄は国でございますから、最終的な御負担というものは国民に負っていただかなければならない。その御負担をできるだけ小さくしなければいけない。この二つの間の相矛盾した考え方の中で処理をしていかなければならないという大変難しい問題があるわけでございます。したがいまして、基本的には旅客鉄道、貨物鉄道とも鉄道事業に必要なことを原則といたしまして資産を持たせていきたい。ただ、関連事業その他に展開いたします際に、現在事業に使っております資産というものも、国鉄は御承知のようにある意味では非常にゆとりのある形で使っておりますので、事業用に持っていきました資産を活用して、十分関連事業その他に展開できる余地はあろうと思っております。そういう原則で物を考えておるわけでございます。
  180. 横山利秋

    ○横山委員 要するに私の心配は、売れるものはみんな国鉄から土地を取り上げちゃえ、そして全部売ってしまって長期債務にかえろというのが先行しておるようだ。そういうやり方も均衡論からいってわからぬではない。けれども、国鉄も商売やるならやらせるようにさせてあげねばあかぬ。ここだけはおれのところにくれ、残しておいてくれというところがあっていいではないかという意見ですよ。わかりましたね。  次は、貨物会社と六つの旅客会社関係の問題であります。今時間がありませんから簡単に申しますと、平常業務、ダイヤの調整、それから清算の調整、資材の購入、共済組合、これは貨物会社が六つの会社と一緒に七人集まって相談せんならぬ。だれが床の間へ座るの。貨物会社は一番後ろだ。入口のそばでよろしくお願いします、こういう姿勢がありあり見えますね。それから緊急業務。大地震が起こったとき、豪雪、大事故、そういうときに、はよ来いはよ来いといって七人が集まって、だれが床の間へ座るの。みんな対等平等だから勝手なことを言う。だれが指揮とるの。そのお座敷料はだれが出すの。
  181. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 午前中でもお答え申し上げましたように、今回の分割はやはり対等な会社をつくる、それぞれ一つの立派な会社として成り立っていくということが原則でございますので、先生のおっしゃるように、だれか一人が床の間に座るというような形はやはりとるべきではないというふうに考えております。基本的には、私鉄相互間の調整でもそうでございますけれども、それなりのルールというものをきちんと定めておくということで可能であろうと思っております。
  182. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの意見はわかった。  どうだね皆さん、そう思わぬかね。六人の会社の代表と貨物会社、七人が並ぶわな。その中で貨物会社が一番株が下がっておる。貨物会社が入り口のそばへ座ってこうやっておる。ダイヤを貨物の都合のいいようにつくってもらえませんか、何言っておると東海会社は言う。そうすると東日本会社は、おれのところから出るのだからおれのところに都合のいいようにやる、けんけんがくがくだ。それは話はつかぬではない。つくものはつく、つかぬものはつかぬ。だれかが床の間へ座らなきゃあかぬだろう。運輸省がやれるわけじゃないだろう。これがこの問題の最大の欠陥だ。平常業務しかり緊急業務しかり。平常業務なら、一カ月かかるものを、二カ月前にやればいいわ、何とかくたびれてもまあいいわ。緊急業務になったときに、たったたったとやるときに七人が対等平等で何が議論ができる。そんなことは素人だってばかだってわかる。子供だってわかる。それを対等平等でございます、ルールをつくります、場合によっては法律的に何とかします、そんなことをできるものかと言うのだ、おれは。大臣、本当の話はどうなんだね。そう思わぬかね。あなたが、よしおれがそれなら床の間に座ってやると言うつもりかね。東日本がやるのか。
  183. 三塚博

    三塚国務大臣 いろいろな想定のもとの御質問ですが、緊急時においてそれが波及するということは予想されます。その場合に、東日本と東海と貨物会社と四社、七人座る場合というのは、全国的な災害というふうに思うのですが、その場合は、同じ鉄道から出てスタートを切っておるわけですから、それぞれの立場を理解しながら折り合うということがこの社会の原則だと思うのです。ただ、横山先生御指摘の問題は、貨物会社が何となくまま子扱いにされていくのではないだろうかという御心配に承りました。私は、貨物というのは、国鉄がスタートしたときの基本的な問題、最初は貨物鉄道という、これからきたわけですね、もちろんお客を乗せることもありますけれども。そういう点で貨物会社が少なくともまま子になりましたり、そういう立場には立たせてはならぬし、そのことはしっかりと私どもがこれからサポートを申し上げればよろしいと思うのです。特に鉄道貨物でなければ担当できない荷があるわけでありまして、これから貨物会社は自分の創意工夫、また貨物鉄道としていろいろなことを考え、やられるわけでありますから、そういう点で進むと思っておりますし、どうしてもというときは、やはり運輸大臣がこれは集めて、こんなことをいつまで小田原評定をやっているのだ、きちっとやれよ、地域鉄道であり国民の鉄道だろう、こういうことで、座敷料の話も出ましたが、座敷料もやって、だれが床の間に座るか別としまして、車座になってやれよ、こういうことだと思います。
  184. 横山利秋

    ○横山委員 さすがの大臣もこの点では言葉が鈍るね。本当に私はそう思うね。これが分割・民営化の最大のアキレス腱だと私は思う。平常業務もそれから緊急業務も、だれが床の間へ座るの。本当にだれが調整をとるの。みんな勝手なこと言うわ。全国の会社の社長が全部集まればいいようなものだけれども、まず事務から始めなければならぬので、そうするとこれが最大のアキレス腱ですよ。恐らく最初この機構を考えられた人は、清算事業団構想の中に、その全国調整機能というものが頭の中にあったと私は思うのですよ。ところが全国調整機能を持てば、これは社会党の案に近づいてくるわけだ。だから逃げたらしいと私は思う。思うけれども、本当にこの緊急業務ばかりじゃないんですよ。平常業務が、第一、ダイヤの調整から清算業務から資材の購入からいろいろなことで調整を必要とする。私鉄は地域に独立していますからいいんです。これはつないでいますから、そうはいかないんですよ。だから調整機能、特にその中で貨物会社が一番入り口に座らざるを得ない。貨物会社は将来結局は廃止になるんじゃないかという不安さえある。貨物会社に就職希望が少ないということもそういうことを物語っていると私は思います。  それで、ほかにもいろいろあるけれども、一つだけ伺っておくが、小荷物輸送が全廃になるわけですね。鉄道荷物会社が路線免許を受けなければ輸送ができない。運輸省は路線免許を出すのですか。
  185. 武石章

    ○武石政府委員 今、先生お話しございましたように、鉄道荷物会社は従来国鉄荷物輸送の作業下請を主とした事業をやってきたわけでございますが、今般の国鉄改革の中で荷物営業は廃止される。いわゆる荷物専用列車というものが原則として運行されなくなるということになるわけでございます。現在、全国に鉄道荷物会社二十一社ございますが、そのうちの十五社が一緒になって新会社をつくり、その会社が新規にトラックの路線免許を得て、従来国鉄の下請として行ってまいりました、ひかり宅配便とかそのほかのいろいろなサービスを継続していきたいという意向があることは私どもも十分聞いております。本件につきましては、国鉄を通じていろいろと相談を受けておるところでございます。  ただ、免許の問題は非常に難しいと思うのでございまして、現在、宅配便のマーケットというものは非常に熾烈な競争のもとにございます。(横山委員「鉄道荷物会社はみんなつぶれてしまう」と呼ぶ)鉄道荷物会社は、路線免許を受けなくても、一般の区域のトラックの免許を取得しつつございます。それから各種のいろいろなサービスをやっております。そういう中で現実的に今までのサービスをどうやったらできるだけ維持、保持できるかということを念頭に置きまして、私どもと十分に相談をしていきたいと思っております。そういう点で現実的な解決を求めて関係会社と我々との間で十分相談をしてまいりたい、こういうふうに考えています。
  186. 横山利秋

    ○横山委員 大臣、私は執念深いですから、あの答弁では納得できません。これから継続しますから覚えておいてください。鉄道荷物会社は路線免許がなければみんなつぶれてしまう。数千人の人が路頭に迷う、家族も含めて。覚えておいてちょうだい。執念深いから。  時間がございませんので、ちょっと地元の問題で聞きたいんだが、中部国際空港。第四次全国総合開発計画は六十一年秋に向けて作業中、国土審議会計画部会を初め国土庁は中部国際空港をこの中に組み込む用意があるかどうか。  運輸省の六十一年予算中一般空港調査費が二億円計上されているが、中部圏の空港調査の時期、方法を聞きたい。  中部空港調査会が法人認可になり、本格的活動をしつつあるが、国の技術援助が必要である。運輸省初め関係各省は職員派遣、技術派遣をして援助をするか。  第五次空港整備五カ年計画は本年夏ごろ閣議決定の予定だが、投資額、調査費など中部国際空港の位置づけはどうするか。  以上、まとめて御答弁を願います。
  187. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 お答えいたします。  一番最初の国土総合開発計画につきましては、国土庁が所管しておりますので、今の御質問のそれ以外の問題についてお答え申し上げたいと思います。  まず、六十一年度の運輸省の予算のうち一般空港調査費が二億円計上されております。それと中部圏の新空港調査との関係でございますが、現在、来年度の予算といたしまして、一般空港調査費といたしまして内地分につきましては二億円ばかり計上いたしております。これを中部圏についてどう使うかということでございますけれども、六十一年度のこの予算について、直接中部国際空港にかかわる調査費ということは考えておりません。ただ国におきましては、我が国におきます国際空港のあり方全般について今後検討していく必要があるというふうに考えておりまして、このため運輸省としては、この空港整備事業調査費の中で、国際空港にかかわる基礎的な調査といたしまして、我が国における現在の国際航空旅客及び貨物の輸送構造及びその変化の傾向についての調査を来年度行いたい、かように考えております。  その次に、中部空港調査会に対して運輸省として支援をしていくかという御質問でございますが、これにつきましては、私どもとしてはできる限りいろいろな御相談に応じ技術的な御援助を申し上げたいと考えております。ただ、職員派遣につきましては、今のところ調査会側といたしましては、調査会独自でいろいろ活動していかれるというふうに聞いておりますし、また実際に職員を派遣するということになりますと、身分上の取り扱い。その他いろいろ問題がございますので、現在のところ考えておりません。  次に、第五次空港整備五カ年計画における中部国際空港の位置づけということでございますが、第五次空港整備五カ年計画につきましては、先般閣議了解におきまして事業規模の総枠が取り決められたところでございます。今後、夏ごろまでにかけまして具体的な計画について詰めてまいるわけでございますけれども、個々のケースにつきましては、これから検討するということで、中部国際空港をその中でどう位置づけるかということについては、現在のところまだ申し上げる段階にないということで御了解願いたいと思います。
  188. 糠谷真平

    ○糠谷説明員 お答えいたします。  第四次全国総合開発計画におきましては、世界に開かれた国土の形成ということが重要なテーマだと考えております。我が国は世界の航空ネットワークの中で西太平洋の拠点という役割も果たしておりますので、二十一世紀に向けて国際空港の配置というのは重要な課題だと考えております。中部国際空港につきましては、そういった点も踏まえまして、今後の航空需要の動向を見きわめながら、関係方面とも調整を図りつつ位置づけを検討していきたいと考えております。
  189. 横山利秋

    ○横山委員 二点。岡多線、瀬戸線は、県が速やかに第三セクターの認可を望んでいますが、どうも第三次特定地方交通線の問題と絡んでおくれておるようであります。それはそれ、これはこれとして、岡多線、瀬戸線の第三セクターの認可を急いでもらいたいという地元の要望だが、これはどうか。  それからもう一つは、別な問題ですが、鉄建公団を含んで工事局が札幌、盛岡、東京三つ、岐阜、大阪、下関で約八千名、電気工事事務所が二つ、鉄建公団二千四百人というような鉄道建設の技術、世界に誇る日本の鉄道技術を今後どういうふうに温存し、発展させるべきかという点について意見を聞きたい。
  190. 三塚博

    三塚国務大臣 岡多線、瀬戸線は担当審議官から答弁させていただくことにしまして、この技術陣をどうするのかという点について私から申し上げさせていただきます。  基本的な認識でございますが、日本の鉄道が今日ここまで来ました、青函、整備新幹線、リニアモーター、数々のノーハウ、これはまさに世界に冠たる技術でありますことは御案内のとおりであります。よって、分割・民営化という大改革の中でこの技術陣が散逸してまいりますことは、国家的な利益からいいましてもしてはならぬことだと思います。特に最大の鉄道先進国である日本に対して中後進国の、またアメリカでさえも非常な要望がございます。その点を考えますればなおさらのことでありまして、今党の方でいろいろと御研究をいただいておるわけでございますが、この間細田自民党特別委員長の手元で四項目の申し合わせをして、この技術集団の会社のあり方を鋭意研究をするということで作業に入られておるわけであります。ぜひこのことの結論が早く出ることを私自身期待いたしておりますし、出ますれば、このことを率直に受けさせていただきながら、真剣に、まさに国益的な観点から検討し、取り進めてまいる、このようにしてまいりたいと思っております。
  191. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 岡多、瀬戸線についてお答え申し上げます。  岡多、瀬戸線は第三次線の候補になっておりますので、第三次線の承認申請が出まして、これを承認いたしませんと、転換する際に転換交付金が出ない、したがって、第三セクターの財政その他の点に支障がある、こういう点で絡んでいるわけでございます。したがいまして、第三次線につきまして、国鉄からさような意味で承認申請が出ました段階では早急に処理をいたしたい、かように思っております。
  192. 横山利秋

    ○横山委員 終わります。
  193. 山下徳夫

    山下委員長 梅田勝君。
  194. 梅田勝

    梅田委員 先般行われました運輸大臣所信表明に対しまして、日本共産党・革新共同を代表いたしまして質問をさせていただきたいと思います。  陸海空の運輸行政全般にわたりましての所信表明があったわけでございますが、何しろ時間が限られておりますので、きょうは国鉄の分割・民営という問題で政府は今国会に法案を出されておりますが、これが国会審議をされることなく、事実上解体の作業が進行しておる、いろいろな問題がそこから派生してきておる。国民立場から見ましても、安全、サービスといった問題につきましても既に大きな影響が出てきておる。そういう点できょうはそういった問題を中心に御質問させていただきまして、法案そのものにつきましては、いずれ本委員会におきまして十分時間をとって民主的に議論をしてまいりたい。  まず第一に、国鉄改革といった問題で聞きたいわけでございますが、大臣は「まず、第一に国鉄改革の推進であります。」このように述べられまして、「将来にわたって国鉄事業を適切かつ健全に経営していくことができますよう効率的な経営形態の確立を図ってまいりたいと存じます。」かように述べておられるわけであります。しかし、「将来にわたって国鉄事業」と述べておられますが、今、政府が提案してきている国鉄の関係法案を見てみますと、これを分割し、民営にしていく、日本国有鉄道、これを廃止するということであるわけでありますから、「将来にわたって国鉄事業を適切かつ健全に」というのは、私に言わせれば、これは羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいに等しいのじゃないか。詭弁に等しいようなことを言わないでほしい。国鉄をつぶすならつぶす、国鉄は解体だ、そして料理して適当に財界がもうけるようにするんだ、そういうようにすぱっと言ってもらえば、多くの国民はこれは大変だということになるわけでありますが、かような言い方では国民に誤解を与えるんじゃないか。  それから同じように、「国鉄事業の再生に取り組んでいく所存であります。」「再生」こういう言葉をお使いになっておるわけでありますが、予算委員会等でも議論になりましたように、盛んに非事業用用地を売却して、そして政府の言い分で言いますと、なるべく国民の負担を軽くするようにということで、土地を売るというようなことが言われているわけであります。しかし、ここで前の国鉄総裁の仁杉さんが週刊ポストに書かれておるものを拝見したわけでございますが、土地を売るといいましても非常に問題があるわけでございまして、その周辺の地価を高騰させるという問題もございましょうし、ずっと国民共有の財産として、そして有益な公益事業に使ってもらいたい、こういうことで今日まで築き上げてきたものを勝手気ままに処分するということはけしからぬ、こういう国民感情もあるわけであります。それで仁杉前総裁はこのようにおっしゃっている。「土地を活かすために使うならいいよ。でも赤字を埋めるためにいい土地を売ったんじゃどうしようもないじゃないか。」あるいは「僕は鉄道の専門家として、線路にくっついた土地は売るべきではないと思う。東京駅なんか将来なにが入ってくるかわからんですよ。」このようにおっしゃっているわけであります。  あなた方中曽根内閣が国鉄総裁としては問題があるということでちょんにされたわけでございますから、そっちにはそっちの言い分があるかもしれぬけれども、私は、国鉄を将来ともに日本国有鉄道として発展させていく、そのために有効な土地をそういう事業のために使っていくという方向でやってこそ真の国鉄の再建ではなかろうかと思うわけでございますが、まず、この基本的な国鉄再建の姿勢について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  195. 三塚博

    三塚国務大臣 久しぶりにかねがねの御持論をお聞かせいただきましたが、国鉄再建は、所信表明で申し上げましたとおり再生、新生を期する、こういうことの中で取り組んでおるということは御理解をいただかなければならぬと思うのですね。つぶすならつぶすでそう言え、こう言うけれども、つぶすつもりが一つもないからこれだけの苦労をしているわけですよ。だから、そういう点でまさに羊頭を掲げて狗肉を売ると言われたが、私から言うと、そういう議論は、ある人は牽強付会の議論と言うのではないかと恐らく思うのですよ。ですから、私どもは、真剣に新生、再生を図るためにはどうすべきだ、こういう観点で五つの法律を出させていただきました。やがて二つの法律を提案をする、こういうことで国会において真剣な御議論をいただき、そこから御提言をいただく、最終的にこれを国会の意思でお決めをいただく、こういうことになるわけでありまして、その点は率直に端的にそのとおり受け取って御審議をいただきたい、このように実は思っておるわけであります。  仁杉前総裁の週刊誌のお話など言われておったようでありますが、私はまだ不勉強にして読んでおりません。仁杉前総裁も国鉄マンとして立派な総裁であったと私自身も思うし、そういう意味で鉄道を愛する心も大変な方であると思って敬意を表しておるわけであります。御退陣になられ、杉浦新総裁のもとで今日やられておるわけでございまして、鉄道を愛し、この鉄道を新生し、生まれ変わらさせて国民の期待にこたえるという意味では、前総裁も同じであると思うし、そういう点で土地の処分についての考え方も、非事業用地、事業用地という点についても、私が知る範囲ではきちんとした御見解をお持ちであったというふうに思っておるわけであります。
  196. 梅田勝

    梅田委員 大臣の「国鉄を再建する方法はこれしかない」という著書も読ませていただいたわけでございますが、過去の高度経済成長政策の失敗によりまして、借金の返済の当てがつかなくなった、外れたことは明らかである、かようにお認めになっておるようでありますが、ならば政府の責任のとり方としては、今回の問題提起というのは余りにも無責任ではないかと思うのですね。政府は見通しを誤って過大な借金をした、そのために困っておるというのであれば、まずそれに対する手当てを先決すべきじゃないか。そういう点では現在の国鉄の資本というものが余りにも小さい。私鉄と比べて余りにも小さいということが盛んに議論されている。これは後ほど本格的な議論のときにさらに深めたいと思いますが、借金で利払いが追われているんだったら、まず資本的な手当てをするということで国鉄の再生を考えるべきではなかったか、その点をちょっともう一つ念を押してみたいと思います。
  197. 三塚博

    三塚国務大臣 利払いは設備投資の結果生じてきたことは御案内のとおりであります。本来、公共事業というような観点で必要な基幹鉄道は国の責任で建設をしておりますれば、こんな利払いも長期債務もその分においては出なかった、こういうことであります。しかしながら、鉄道は、運営しながら鉄道建設をして支払っていくということであるわけでありまして、それらこれらすべて考えまして、この時点に立ちどのようにしたならば鉄道として再生でき得るだろうかという、こういう基本的な視点をもって御審議をいただいた監理委員会から御答弁をいただいた。私どもはそれを受けて尊重する。しかし同時に、政府は政府としての立場から、この答申をどのように受けとめるべきか、また実態がそのとおりかどうかという点も検討をいたした結果、ほぼその指摘する方向に間違いがない、こういうことでありまして、数字の面においてさらに精査を加えるべき点は、国会始まって以来御指摘の中で私どもは受けとめておりますから、それはそれとして、今後の審議までにまた御提示を申し上げる、こういうことになると思うのでありますが、全体的に全部をチェックいたしました結果、この方式でいくべきである、こういうことで今御提示を申し上げておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  198. 梅田勝

    梅田委員 国鉄は国民の足とよく言われるわけでありますが、全国各地とこへでも基本的には国鉄の幹線を利用して行けば、地方へ行けばローカル線になりますが、幹線からローカル線までずっと安心して旅ができるということで、いわゆる国民の交通権というものの重要な物質的保障としての国鉄ということが従来位置づけられていたわけですよ。そういう国民の足を保障する、国民の交通権を保障するという立場での国鉄の現状考えた場合は、これは大いに国民の期待にこたえていると思うのですね。東海道新幹線ができまして相当スピードも速くなった。それから借金で破産状態だと盛んに言われておりますが、別段列車はとまったわけじゃない、ずっと走っておる。一日千九百万の乗客が利用している。地域完結度で盛んに、北海道は島で独立しておるみたいなことを言いますけれども、これは完結度が九十何%といいましても、国民は毎日旅行しているわけじゃないのだ。たまに旅行している。北海道に行く。わずか五%程度でありましても、一年三百六十五日で計算していけばほとんど全国民が相当の長距離を旅行しておる。これが今回ずたずたになる。安心して旅行できないじゃないかということで大変な不満が起こっておるわけですね。現状うまくいっているのに、それをずたずたにするという点で国民の怒りは非常に大きいわけですね。  これは交通という点で見れば問題がないが、問題は経営なんですね。財政的に詰まったからどうするかという問題が起こってきているわけです。ところが、再建監理委員会が出しましたものは、ツケは国民に回すというものであって、膨大な借金の処理については、今なおどうなるかがはっきりしてない。中央公論であなた言いたいほうだい言っております。「国鉄改革は安倍政権への伏線である」、幾ら福田派か知らぬが、こういう勝手気ままなことを言ってもらっては困るわけでありますが、その中で、結局借金をどうするかということで、「赤字国債で調達する以外方法がないわけですね。しかし、六十五年度まで赤字国債発行ゼロというのがわが内閣、党の財政再建方針でありますから、これもできません。あと、残っておるのは国債整理基金に一時プールさせていただき、財源は行政改革、シーリングの節約で行う。」ずっときて、そして民営になったら株を売るわけですね。「七会社合わせて六千億円程度ですから、株価が十倍になると、六兆円ですね。」こう言っておるわけです。これがあなたの本音ですか。
  199. 三塚博

    三塚国務大臣 これは中央公論の記事を御指摘いただいているわけですが、二時間ぐらいの話なんですよ。それを読みますと、大体十分ぐらいで読めるところにやはり集約をいたしておりますので、十二分に私の意が通じておらぬわけでありまして、そういうことをまず頭に入れておいてください。  そういう点で、この債務処理、今種々御指摘をいただきましたが、経営上の問題で分割・民営という形態に進んだのでしょうという御指摘、それも強い一つの理由であります。二兆円近い赤字の中で鉄道がいつまで運営できるという確信を持つ人はどなたもないわけでありますから、やはり健全経営体にこれを生まれ変わらせなければならないということは、この点だけは理解いただけると思うのです。そういう意味で、十六兆七千億円という長期債務のうちの主たるものを国民負担として政府の責任においてこれを処置する、このように閣議決定をいたしておるわけでありまして、しからば、この点をどのように処置するのかという点は、清算法人ができまして、余剰人員四万一千人、これの適正な配置、御案内のとおり三万人は公的部門であります。これを含めて進める。同時に二千六百ヘクタール余の非事業用地の処理をやる。これの中でこれが決まっていくわけですね。  ですから、私が申し上げたのは、だれが考えても、税金、新税でやるか。しかし「増税なき財政再建」ですから、ただいまのところこれはやらないというわけですね。赤字国債、今財政再建ですから、これは発行できません。後世にツケをつけるものであります。こういうことでこれもだめだ。これも常識になってきているわけですね。そうすればどうするのか。一般歳出――あなた読まないところもあるのですよ。一般歳出の節減でその分を生み出す、足らざれば整理基金の中で考えなければならないのではないだろうか、考えられる知恵はそれぐらいのところではないでしょうか、率直にそう申し上げておるわけで、決して言いたいほうだいを言っておるなどということじゃないのです。まじめにやっておるわけです。
  200. 梅田勝

    梅田委員 それは自民党の発想であって、今回の予算の組みかえにも見られるように、我々は大企業奉仕の予算を削りなさい、軍事費も削りなさい、いろいろちゃんと責任ある財源手当ての方法も示しているわけです。そういうのを真剣に受けとめて、そして国鉄を国鉄としてどう存続させていくか、そういう方向に根本的な考え方を変えてもらわない限りうまくいかないということだけを申し上げておきたいと思います。  さて、その国鉄の諸問題は法案で出てきたわけでありますので、いずれ議論をいたすといたしまして、分割・民営というのは、これが決まらないことにはスタートするわけじゃないんだ。スタートできない。ところが国鉄当局が、駅へ行きますと、「分割民営で元気になります。」こういうふざけたポスターを張っておる。東京周辺や京阪神の周辺へ行きますと、国電の中にもつり広告を出しておる。相当の金をかけてつくったという話も聞いております。それからこのパンフレット、第一回目は大分怒られて、また第二回目を出したようでありますが、これは政府は方針を確かに決めたけれども国会で決まったわけじゃないんだ。それを「地方公共団体や経済界更には広く国民の皆さまのご理解とご協力をいただくことがどうしても必要」、こう言って、「民営分割について基本的なご説明と疑問にお答えするため」にこのパンフレットをつくったのだと、国鉄総裁の名前で出ているわけだ。これはふらち千万だ。国会軽視も甚だしい。大臣、こういうことを国鉄にやらせてはいけませんよ。すぐに回収するように指示されてはどうですか。
  201. 三塚博

    三塚国務大臣 私もそれは衆議院の予算委員会で御指摘をいただきまして読みました。それは法律が通った後にと、こういうことでちゃんと書いてあるのですね。書いてありますし、違法なものでもないな、こういうふうに思います。それと、やはり六十二年四月、国会法律が通りませんければそれはならぬだろう、こういうことであるわけでありますが、もっともそのとおりでありますが、政府は何としてもこれを今国会で成立せしめてほしい、ぜひ御審議を賜わり、可決、決定をいただけないでしょうか、こういうふうにお願いをしておるわけですね。それと、これを受けての昨年十月の基本方針の決定、さらに長期債務、雇用安定対策に関する閣議決定、こういうふうにさせていただきまして取り組んでおるわけですね。国鉄も政府機関でありますから、そういう意味で、政府機関として法律の中で許されるぎりぎりの問題に調整を進めていく、またそういう方向で取り組んでまいるということは決して違法でございませんし、国会を軽視するものでもない。特に雇用の問題は、先ほど富塚委員、また横山委員でしたか、御指摘にお答えを申し上げましたとおり、何せ三年でやろうとしてもなかなか大変でありますので、前倒しでやれるものはひとつこの際スタートをさせていただく、こういうことでお取り組みをいただく、こういうことでいたしておるわけであります。どうぞ御理解をいただきたい、こう思っております。
  202. 梅田勝

    梅田委員 運輸大臣の御答弁とも思えぬね。運輸大臣は国鉄総裁を指揮監督する責任がある。国鉄総裁は、国鉄法によりまして、「日本国有鉄道の業務を執行する。」という目的に限定された任務が与えられておるのであって、国鉄を解体するような計画、こんなパンフレットをつくって、赤字財政の中から貴重な予算を使うということは不届き至極だ。これはぜひ改めてもらいたい。強く要求をしておきます。  さらに、はっきりと分割・民営が決まったわけではないのに、進路アンケートというのを国鉄はことしの一月六日までに回答しろということで全国的にやりましたね。この中身を私どもも拝見いたしましたが、分割・民営を前提にしたものでありまして、これは反対だと思っている者は記入のしようがないんだ。いろいろ読んだら、新事業体へ移行が行われる場合に、最終的にまた希望を聞くとは書いてあるよ。書いてあるが、前提としてそういう方向になるということで、新しい旅客会社へあんた行きますか、希望はどうですか、こういうことをやるとはまさになし崩しに事を進めようというものであって、少なくとも良心のある者なら、これは記入が不可能だ。これは強制できないものですね。どうですか。
  203. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 余剰人員問題の一環としまして、当面六十一年度の国家公務員等公的部門の各所からの温かい御支援をいただきまして、それへの各人の希望あるいは採用計画というものを実行する必要が差し迫ってきたわけであります。  そういう意味におきまして、公的部門について職員の諸君がどういうふうに考えておるかということを具体的に把握したいというふうに思いまして、今回のアンケート調査を実施したわけでございますが、なお、あわせまして地域志向、公的部門志向あるいは鉄道志向というような志向のそれぞれのウエートというものをこの際見ておきたいというふうに思いまして、若干の順位を項目別に書いてくださいというふうにお願いをしたところでございます。ただ、これは将来の参考でございますので、再度明確な時期に明確に希望を聞くということも書いておるところでございます。
  204. 梅田勝

    梅田委員 総裁は僕が聞いたことに答えなければいかぬよ。これは強制をするものではなかったでしょうねということを聞いたのですよ。今みたいな、あなたが長々と答弁したことは私は聞いてないんだから。よう知っているんだから、そんなことは。  後段説明されたことは違法だということを言っているんです。強制にわならないようにということは職員局長の通達ではっきりしていたのですね。どうですか。
  205. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 特別に強制はしておりません。ただ、これは各人の将来のことでありますよということを申し上げておるところでございます。
  206. 梅田勝

    梅田委員 それなら、なぜ全国各地の至るところで、白紙で出した者に対して、あなたはなぜ白紙で出すのか、労働組合に言われたのかということをなぜ聞くのですか。そういうことをやらしたでしょう。
  207. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 職員の将来の問題につきまして、管理者としてそれぞれ把握するということは絶対必要だと思います。どの企業におきましても、個々人の将来展望というものをしっかり把握しませんと、ましてこれからのいろいろな職員の問題がございます。我々はやはり紙に書いて出さない方については口でもって聞く以外にないということでございます。
  208. 梅田勝

    梅田委員 憲法第十九条は、言うまでもないが、思想及び良心の自由を侵してはならない。大臣、憲法第十九条、わかっているかね。それを侵すようなことを国鉄総裁が部下にやらせるとは、どうするのだ、これは。注意しなさい。
  209. 三塚博

    三塚国務大臣 今答弁聞いておりましても、杉浦総裁の言われておることは、憲法違反でもなければ、やはり丁寧に雇用対策という、働いておる者の将来の進路について、紙には書けないということであれば、お聞きをしろというのは、憲法の基本的人権尊重の条項に当てはまっている、こう思います。
  210. 梅田勝

    梅田委員 白紙を撤回しないとこの部屋を出さぬぞということまでやっているのだから、テープレコーダーを持っていって。これが不当労働行為でなくて何だ。国鉄解体へ向けて労働組合を抑えつける、もうむちゃくちゃなことをやっているのだ。これは許せませんよ。厳重に抗議をいたしておきます。  それから、国鉄を守り発展させていこうということで、国鉄を守るために列車に乗ろう、こういうことで、各地域でふるさと線を守る会だとかいろいろな会ができて、国鉄当局に要請をいたしまして、ふるさと号を編成して臨時の団体列車を出す。既にやっているところがあるわけです。あちこちであります。例えば京都でもやったことがあります。駅員の方が出てこられて、ありがとうございます、ありがとうございますと言って従来はやったものだ。ところが最近伊勢市におきまして、ローカル線、ふるさと線を守ろうということで、三重県の連絡会がふるさと号を企画いたしまして、三月三十日に実行しようとあらかじめお願いをして、二月一日付で内諾を得た。ところが、どういうわけか本社が横入りをして、一たん承知をしておきながら、口頭で、分割・民営反対を掲げている団体には車両を貸すことができない、こう言って攻撃をかけてきたという報告が来たわけです。列車は一人でも余計乗ってもらって繁盛させなければいかぬのに、一たんオーケーをしておきながら断るというのは一体どういうことですか。大臣、こんなことをやらしているのですか。
  211. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今のお話、ちょっと私、耳にしておりません。よく調べさせていただきます。
  212. 梅田勝

    梅田委員 とにかくこういうことはぐあい悪いね。乗る人の思想信条によって差別するというようなことはあり得ませんな。大臣、どうですか。
  213. 三塚博

    三塚国務大臣 乗っていただく方には感謝して、毎度ありがとうございます、こういうことでやるのがこれからの国鉄再建の基本であります。
  214. 梅田勝

    梅田委員 お客様は神様であるとだれかが言ったことがありますが、まさしくそうでしょう。こういうことが今後起こらないように、どうですか、国鉄総裁。調べていただいて善処していただけますか。
  215. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 お客さんは全く平等でございまして、考え方の違いによって差別はいたしません。
  216. 梅田勝

    梅田委員 それでは、三月三十日に予定されているようでございますから、実現をさせていただきたいと思います。  次に、「運輸に係る安全対策の推進であります。」ということで所信表明の第二にお述べになりまして、「安全の確保は運輸行政の要請であります。」このようにおっしゃっております。私も毎年大臣所信表明のときに質問をさせていただいておりますが、恐らく官僚の書いた原文で、何年も前から同じことを書いてあるわけです。一字一句変わらぬものが出てくるわけです。しかし、これは非常に重要なことでありまして、山下委員長が運輸大臣のときもそのようにおっしゃったわけです。これはいささかもおろそかにしてはならぬ。  ところが、事故は後を絶たないわけでございまして、日航ジャンボ墜落、国鉄の能登線の事故、三重交通あるいは京福バスの事故、最近は熱川温泉の悲しい事故もございまして、大事故がなかなか後を絶たない。先般も交通事故の問題で交特委でお話を承ったわけでありますが、昨年の交通事故の死亡者が九千二百六十一人で、五十九年と比べるとたった一人しか減っていないのですね。一万人に近い人数で、たった一人しか違わないというほど確率が高いのです。考えてみますと、非常に恐ろしい感じでございます。  そういう点で、合理化がどんどん進んでいきます場合に、現在の国鉄は果たして安全か。最近ちょこちょこと小さな事故が続いておりますね。そのために、延着した、飯が食えないという問題まで発生してきておるということでございまして、どうも心配なんです。だから、国鉄の問題で言えば、これが適正人員だということで頭から考えてしゃにむに人を減らしていく、いわゆる余剰人員をつくり出す、その結果、安全対策が非常にお留守になっているのじゃないかというように感ずるわけでございます。  そういう点で、最近国鉄の駅のホーム要員がなくなっていく、無人駅がふえてくることで非常に心配をしておるわけでございますが、現在の国鉄が五千百三十二駅あるのですか、そのうち無人駅は三千百二十一と聞いておりますが、これはそのとおりですか。
  217. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  今、先生のおっしゃられました数字は業務委託駅を含んでおりまして、国鉄職員のいない駅という数字でございますが、純粋にだれも人のいないいわゆる無人駅は二千六百八駅、これは五十九年度末の数字でございます。
  218. 梅田勝

    梅田委員 地域交通局にお尋ねいたしますが、大手私鉄十四社の無人駅はどんな状況になっておりますか。
  219. 服部経治

    ○服部政府委員 五十九年度末における大手十四社の駅の無人化率は一六%でございます。  数字も申し上げますか。(梅田委員「はい」と呼ぶ)千七百十九駅中二百七十二駅でございます。比率で一六%でございます。
  220. 梅田勝

    梅田委員 今度は地方へいきまして、中小私鉄はどうなっておりますか。
  221. 服部経治

    ○服部政府委員 中小私鉄でございますが、千百四十八駅中五百三十二駅が無人化されておりまして、その比率は四六%でございます。
  222. 梅田勝

    梅田委員 大臣、今お聞きになりましたように、国鉄の無人化駅は相当進行しておる。大体私鉄は、お金をきちんと取るということでやりませんともうけが上がらぬというので、収入管理については相当厳重にやっておるのです。ところが国鉄の方は、野方図に無人駅をつくって、例えば私は京都でございますが、山陰線、奈良線で無人駅をたくさんつくりまして、そして京都行政監察局から改善を求める所見まで出ておる。これは収入の点においても問題がございますし、それからどうもお金を払おうと思うのに払う場所がないということで、良心に痛みも起こってくるということもございますし、それから一番大事なことは、列車が入ってくるときに駅員がいない、あるいはホームの要員がいないという問題で非常に危険極まりない事態があるわけでございます。  私は具体的な例を申し上げて考え直していただきたいと思うわけでございますが、今度首都圏において駅員の削減、合理化計画がどんどんやられて、おまえのところ余剰人員を何人か出せということで削減するわけでございますけれども、約千三百人の要員削減を首都圏でやったと聞いております。その結果、ホーム要員が全くなくなるところが四十駅出てくると聞いております。  中央線においては、これは無人駅ではございませんが、飯田橋駅で事故例を職員が長年の間丹念に記録を残されまして、最近発表されたものを拝見いたしますと、昭和四十九年十二月二日から六十年七月二十九日までの調査によりますと、転落事故が百九十八件、ドアに挟まれた事件が二百二十件、その他九十六件を入れて五百十四件が発生しております。どういう時間帯に事故が起こるかという一覧表もいただいておるわけでございますが、七日半に一回の割合で事故が起こっておるわけでございます。その他九十六件がありますが、その中に例えばどんなものがあるかといいますと、自殺しようというお客様に対する説得が駅員の一つの重要な仕事として記録されている。その一つの例を御紹介申し上げますと、「ホーム事務室に男性客が飛び込んできた。子供連れの女性が泣いておりどうも様子がおかしい、自殺でもするのではないか、というのである。急いで駆け付けてみると三十歳位の女性が三歳位の子供の手をつないで立っていた。声をかけたが返事がなくやはり様子がおかしい。事務室までつれていき事情をきいたところ、やはり自殺をしようとしていたのである。理由は、ご主人とのいざこざだという。 三十分ばかり必死になって説得した。ようやく落ち着いた彼女は、大変ご迷惑をおかけいたしました。もうバカなことはしませんと何度も頭を下げ帰っていった。」こういう記録が残っているわけだ。  これがおらなくなるとこういうことができなくなる。そういう点でどうですか。とにかく頭からこれが私鉄並みの適正人員だといってどんどん人を減らすという問題については考え直す必要があるのではないか。
  223. 須田寛

    ○須田説明員 今、先生の御指摘がございました飯田橋でございますけれども、ホーム要員をゼロにするということではございませんで、常時一名は置くことにしております。それからラッシュ時間帯は、現在と全く同じように、これは六名いるのでございますが、置くことにしておりますので、完全にゼロになるわけではないということでございます。同時に、ホームにテレビジョンその他の設備をつけまして、設備的にカバーするということも考えておりますし、車掌からホームの状態が全部監視できるようないろいろなテレビをつけるとか、そういうことも考えてやってまいっております。設備でバックアップいたしまして、安全には支障がないように留意をして進めることにいたしております。
  224. 三塚博

    三塚国務大臣 御夫婦のいざこざで駅に来た方を説得してお帰りを願った、これは大変いいことであります。できれば、家庭円満は社会の秘訣でありまして、夫婦げんかがありませんように、これをやるのも大事なことですね。ですからそういう意味で、梅田委員は自殺防止駅員をひとつこの隊と、こういうことのようにも聞こえないわけではないのですね。ですけれども、家庭生活は家庭の基本ベースでありますし、それともう一つは、京都で言うかどうか知りませんが、東北では「夫婦げんか犬も食わない」と言うのです。これは御夫婦の間というのは御夫婦でないとわからぬのがありまして、ですから、余計なことをしてとうちの田舎の方では怒られるのです。じっと見ているのも、これは御夫婦の基本的人権を尊重という意味で大事なことだと思います。
  225. 梅田勝

    梅田委員 そんなこと私は聞いているのじゃない。もっとまじめにやれ。  飯田橋の問題は長年の努力でそういうことをもうやってきた。ところが今度首都圏でホーム要員配置ゼロになるところが幾つかあるのですね。これは駅名を挙げてください。
  226. 須田寛

    ○須田説明員 ホーム要員を時間帯によってどう見るかというところがいろいろございますけれども、朝のラッシュを除きまして、データイムでございますが、新しくホームの要員を置かない駅として、鶯谷、西日暮里、上中里、与野、三河島、南千住、こういった駅が予定されております。
  227. 梅田勝

    梅田委員 今言われました中に西日暮里というのもあるのだな。これは一日平均乗車人員は九万二千五百九十九人という記録があるのだ。ここは二十八人の駅員を今回は十二名減らすのですか、半分近く減らすのだ。大変じゃないですか。一日九万二千人の乗車人員といったらごっついですよ。乗りかえがあるわけですからね。国鉄はあちこちからおいでになる方がたくさんいらっしゃるのですね。地域の方ばかりではない。不案内な人もおるということで、やはり注意をするということは大事ですよ。ところがこういう状態でどんどん減らしていく。それから列車の発車する場合の合図ですね、出発合図。こういう問題につきましても減らすのですね。どれだけ減らすのですか。
  228. 須田寛

    ○須田説明員 今、先生のおっしゃいましたのは、閉扉合図と申しまして、列車が出ますときに職員がドアが閉まったことを確認する合図をする駅がございますが、これをやっております駅を今回五十八駅、東京三局の管内で減らすことにしております。  ただしかし、これを減らしますことは即危険ということでは決してございませんで、もちろん車掌が安全を確認いたしますし、車掌が安全を確認できるように、車掌の位置にITVのモニターを置くとか、そういったことをいろいろ考えてやるわけでございますので、その辺を考えまして、私どもは安全には問題がない、このように考えて踏み切るものでございます。
  229. 梅田勝

    梅田委員 大臣、聞かれたでしょう。とにかく合理化しなければいかぬ言って、外国の人がよう言われることですが、国鉄は東京あたり見ておったらいっぱいお客さんがおるのに何で赤字や。それは山手線を見ておったら経営係数四四でもうかっておるわけですね。もうかっておるのにサービスをどんどん切り捨てる。そうして乗客の皆さんに対しては危険が発生をしている。これは問題と思いませんか、あなた。  それで運転取扱基準規程、あるいは飯田橋におきましては運転作業内規とか、それぞれのところで出しておられますが、これを見ましても、こんな危険な状態で列車を運行していいものかというふうに思うのですよ。「列車が停車場に到着するとき」「列車が停車場に進入する前に乗降場に出場して、総体的な列車進入体制を監視するもので、進入線路の状態、信号現示の状態、旅客、荷物の状態、列車の状態等を監視する。」これは出るときも一緒だ。本来、列車を運転する場合には、このように取り扱いをしなさい、このように今までやってきたわけ。これを今回何でもかんでもとにかく監理委員会が言っているふうな適正人員にしなくちゃならぬ。経営的には十分採算を上げている地域におきましても、乗客はどれだけあっても、ホームがどんなにあふれておっても、とにかく人を減らすのだ、こういうやり方をやったらどんなことになるのですか。これは安全上、あなた、大臣所信表明がうそでないと――「安全の確保は運輸行政の要請であります。」これがうそでないなら、このような首都圏における合理化というものは直ちにやめる。どうですか。
  230. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま須田常務のお話を聞いておりましても、決して安全を無視して縮減をするということではない、その辺は十二分に配慮をしながら取り組んでおりますという御説明をいただいたわけです。私の所信表明も、運輸交通安全第一主義で、この基本を外れてはならぬわけであります。こういう点で、梅田委員余り心配にならぬように、今御指摘いただいたことなども、なお私から申し上げますが、ただいまの担当常務理事の御説明では、万全を期して御心配ないように取り組んでまいる、こういうことでありますので、このことをしっかりと見詰めてまいりたいと思っております。
  231. 梅田勝

    梅田委員 きょうは時間がないから、さらに詰めてやれぬけれども、とにかく首都圏のようなところでこんなことをやっておったらあきまへん。本当に考えなさいよ。いずれまた時間をいただいて、今度は細かく問題点指摘していきたいと思うのでありますが、安全を第一と言うならこれは考え直すべきだ。何でも合理化すればいい、人を減らせばいいというものじゃないということを繰り返し申し上げておきたい。  それから、検査体制の改悪による危険性というものもきょうはやりたかったわけでございますが、これも時間がございませんのでやめておきますが、このままの状態でいけば事故が続発しそうだという点で大変心配だということだけを申し上げておきたいと思います。  最後に、これはちょっと京都で起こった問題で、地域交通局にかかわる問題であります。陸上技術安全ですかの方にかかわる問題でございますが、京都府自動車整備振興会というのがあるのでございますが、ここで特別会費というのを取る。これを大手の会社とそれから小さな会社と差別して、是正しろという要求が出てまいりまして、そしてそれがはっきりするまでは特別会費の納入を一時控える、抑えるといういわゆる内紛が起こったわけでございます。ところが近畿運輸局の表彰規程というのがございますが、これが改定された結果、地域の会長の推薦がないと表彰は受けられないという、差別する事態が発生をいたしまして現在もめておるわけですよ。何か会長が辞表を提出するというような事態にまで発展をしているようでございますが、京都市交通局、弥栄自動車、相互タクシー、この三社だけが特別会費で特別に優遇されて安いわけです。こんなのは当然是正しなければいけないわけでございますが、その問題が決着がつかないうちに表彰問題が起こりまして、現在何人かの人が表彰を受けられない。事業者が表彰を受けられませんと、今度は従業員の表彰もできないということで、玉突き状態が起こっておりますので、これはぜひ解決していただきたいと思いますが、状況はどうなっておりますか。
  232. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の自動車整備事業につきまして優良事業者という表彰制度があるわけでございますが、この表彰につきましては、自動車の整備のできばえ等を評価しまして行っておるわけでございまして、御指摘のように、振興会がその会費を納めないということを理由に表彰の推薦をしないということは適当でないと考えておりまして、近畿運輸局におきまして京都の振興会に対しまして是正をするよう促しているところでございます。
  233. 梅田勝

    梅田委員 是正を促しておると言っておるけれども、相手はどうでしょうか。
  234. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  近畿運輸局から指摘をしまして、京都の振興会の内部で今取りまとめておるところでございまして、その結果としては、私どもまだ聞いている段階ではございません。
  235. 梅田勝

    梅田委員 もともとこの問題が発生してきたときに、表彰の内規があるのですね。昭和六十年四月一日近畿運輸局長の名前で出されておる。この中で、従来の規定から若干変わりまして、表彰の一つの条件ですね、「自動車整備振興会長の推せんを受けたものであること。」ということを入れられた。これは従来のものにはなかったわけだけれども、これをわざわざ入れたというのはどういうことなんですか。
  236. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  陸運局長の表彰をやっておりますのは、先ほど申し上げましたように、できばえ等を評価しているわけでございますが、整備事業として優良だということで表彰しているわけでございまして、整備業界の中でも当然そういう評価を得られる人でないと該当しないということで、そういう業界の公益法人である整備振興会に推薦させるという制度をとったわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、会費等のことで内紛で推薦しないということは不適切と思い、先ほど申し上げましたように、近畿運輸局で指導しているところでございます。
  237. 梅田勝

    梅田委員 そのできばえの状況によって優良であるかどうかという判断をする。その基準は「陸運局長表彰の審査基準は、次の各号による。」ということで、「認証を受けてから一年を経過している事業者であること。」とか、あるいは「継続検査及び新規検査を受けたもののうち、再検査を受けた自動車の割合が一・五パーセント以下であること。」とかかなり技術的基準もずっと示されているわけです。従来はそれだけでよかった。ところが第六号ということで「推せん」というのが出てきた。ところが先ほど申し上げたように、京都の振興会というのはワンマンの会長がおって不正常な運営になっておるんだな。特別会費の問題も、お聞きの皆さんなかなかわかりにくいから言っておくけれども、とにかく交通局は頭打ち制度によって五万八千円。検査の台数によって違うんだが、頭割りにしますと七十円六十四銭。普通はA会員は一台について四百円払う。交通局だったら七十円だ。弥栄タクシーだったら五十五円四十銭、相互タクシーだったら、これは高いが百七十四円。それでもA会員の四百円より安い。こんなのはおかしいじゃないかということで何遍も議論になって、改める方向に今進んでいるらしいんだけれども、頑固なのがおるんだな、会長に。正常に運営されているところだったら推薦を受けた人ならいいということかもしれぬけれども、こういうところがあるわけです。優良事業であるかどうかということはいろいろな審査基準というものがあって、それに合致した場合にやるということでしょう。なぜこんなものを入れたのですか。先ほどの答弁では納得できない。大臣、とにかくこんなことが運輸省の監督のところで起こっておるから、ひとつきちっと正してもらいたい。御決意を。
  238. 三塚博

    三塚国務大臣 常識的なことが行われないというのはいけませんし、ましてや規程でぴしっと相なっておりますのに、他の理由でそれがアウトになるというようなことがあってはなりません。種々指導をいたします。
  239. 梅田勝

    梅田委員 終わります。      ――――◇―――――
  240. 山下徳夫

    山下委員長 内閣提出特定都市鉄道整備促進特別措置法案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。三塚運輸大臣。     ―――――――――――――  特定都市鉄道整備促進特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  241. 三塚博

    三塚国務大臣 特定都市鉄道整備促進特別措置法案について、その提案の理由について御説明を申し上げます。  現在、大都市の鉄道は、通勤通学時において、著しい混雑状況を呈しており、今後この混雑はさらに悪化することが見込まれております。  このような状況対応して、従来から運転本数の増加や列車編成長の増大が図られてまいりましたが、一部主要線区については、このような方法による対応も既に限界に達しようとしており、今後都市鉄道の混雑緩和を抜本的に解決するためには、鉄道の複々線化工事等の大規模な輸送力増強工事を早急に実施することが必要であります。  しかし、これらの工事は、膨大な資金を要する割に、新たな利用者の獲得には必ずしもつながらず、採算性に問題のある投資であるため、鉄道事業者による速やかな実施が困難な状況にあります。  この法律案は、このような状況対応して、特定都市鉄道整備積立金の制度を設けること等特別の措置を講ずることにより、工事の実施に伴う鉄道事業者及び鉄道利用者の負担の平準化を図りつつ、必要な輸送力増強工事を促進し、鉄道利用者の利便の向上を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、鉄道事業者は、十年以内に完了する複々線化工事等の大規模な輸送力増強工事の計画を作成し、運輸大臣の認定を受けることができることとしております。  第二に、計画の認定を受けた鉄道事業者は、計画の期間内において、旅客運送収入の一定割合を非課税で運輸大臣が指定する法人に積み立てるとともに、取り戻した積立金は工事費の支出に充てなければならないこととしております。  第三に、運輸大臣は、当該積立金が旅客運送収入により確保されるよう、また計画期間の終了後にその資金が運賃を通じて鉄道利用者に還元されるよう、鉄道事業者の運賃について配慮することとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  242. 山下徳夫

    山下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十分散会      ――――◇―――――