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政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。
ただいま御指摘のとおり、昭和五十五年十一月十七日付の宮澤官房
長官がお読み上げになりましたいわゆる
政府統一見解でございますが、これは津の地鎮祭
判決が昭和五十二年の七月でございますから、したがいましてその後に出された
政府統一見解でございます。したがいまして、今御指摘のように、この
政府統一見解を出すときにおきましても、我々といたしましては津の地鎮祭
判決の内容も十分に承知しておりましたし、またいわゆる目的効果論という、
憲法二十条三項の宗教的活動に該当するかどうかということについての一般的な判定基準と申しますか、それがるるこの
最高裁判決の中で述べられておるわけでございますが、それにつきましても検討はいたしたわけでございます。
ただ、これも
委員御承知のとおり、この目的効果論というものは、非常に、何と申しますか、
国民意識に深くかかわると申しますか、そういった点がございまして、ただ机上で、頭の中で
考えてもなかなか結論の出ない、出にくい筋合いの問題でございます。したがいまして、靖国神社公式参拝の問題につきましても、この目的効果論を当てはめてすぐに法論理から結論が出るという筋合いのものではございません。
そういった
意味で、我々といたしましては、いろいろと検討はいたしましたが、どうもなかなかそういった
国民意識というようなものがつかめないという点もございまして、これはもう少し長い時間をかけて検討をしなくちゃいかぬのだなという
感じを率直に言って持っておったわけでございます。
それからもう一点は、当時私どもの頭に主としてございましたのは、これは従来閣僚がいわゆる私的参拝をやっておられましたが、この方式というのは靖国神社が定める正式な参拝、正式参拝の方式でやっておられました。この正式参拝を中心にして、我々はこの目的効果論の検討とかいうこともやっておりました。そして、それを中心にしていわば
政府統一見解を出したわけでございます。
それからもう一つ申し上げておきたいことは、
政府統一見解の一番の結論と申しますか、これは靖国神社公式参拝に関する
政府の基本的な態度といたしまして当面差し控えるという、いわばそういった
政府全体の
意思決定を表明しておるわけでございます。そこが一番のポイントであろうかと思いますが、もちろんその前提として、ただいまるる申し上げましたような法律解釈についての検討あるいはまたそれについてのそこにおける
意見の表明、これもしておることはもう当然でございます。