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国務大臣(
中曽根康弘君) 太田議員に
お答え申し上げます。
まず、本日未明、勤労千葉の違法ストに呼応して、極左暴力集団によるものと見られる
国鉄の列車運行用の信号ケーブル等切断という同時多発ゲリラが発生いたしましたことはまことに遺憾でございます。現在、
国鉄による復旧作業を進めておるところでございますが、
事件の悪質性にかんがみまして、警察による徹底した捜査を今実行しつつあります。今までのところ三十数名の逮捕者を出しておりますが、徹底的な糾明を行う
考え方でおります。そうして、再びこのようなことの再発を許さない体制をとりたいと思っております。住民の皆さんに大変御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる次第であります。
次に、
ゴルバチョフ書記長の日
ソ関係改善に向けての賛意表明の演説でございますが、私たちもこれに対して賛意を表し、歓迎の意を表する次第であります。
ソ連も重要な隣国でありまして、ソ連の方も
関係改善を強く希望しているように見受けられます。
政府といたしましても、領土問題を解決して平和条約を締結し、真の善隣友好関係を樹立することが従来から一貫した基本
方針であり、これを堅持していく
考え方でございます。当面は、外相間定期協議を文字どおり定期化するということが大切でありまして、そして平和条約締結交渉を早期に再開するように努力してまいりたいと思っております。
先方が
日本に対して善意と友好の気分を強く表明してまいりましたし、米ソ首脳会談というこの大きな現実も展開してきましたこれらの
状況にもかんがみまして、当方といたしましても堅持すべきものは堅持し、また話し合うべきものは話し合う。そして領土問題という重大な、あくまでも我々が貫徹する問題を抱えながらも、包括的に文化や経済その他の問題について対話を広げていくということは有益なことではないかと考えておる次第であり、
政府としてもそれに対して意欲を持っているということを表明しておく次第でございます。
次に、
行革と
国民の
信頼性の問題でございますが、民主的な社会におきましては、
国民の
行政に対する信頼と理解がなければ
行政の円滑な運営はできないものでございます。
行革は今や天の声であり、
国民の強い念願であると考えておる次第でございまして、
国民の皆さんの強い御支援を引き続いてお願い申し上げたいと思っておるところでございます。
臨調答申の
趣旨を踏まえまして、データ・プライバシーの保護の問題、
行政情報の公開、あるいは
行政手続等各般の仕組みの
あり方につきましては、現在、専門的な調査研究を進めておる次第であります。
アクションプログラムにつきましては、関税面においてはもとより、基準・認証、非関税面においても、
我が国の
市場が国際水準を上回るような方向にいくように今努力をして、
国会の御
審議もお願いしているところでもございます。この
アクションプログラムの実施スケジュールを確実に実行しつつ、そして外国に対する
市場のアクセスというものを前進させまして、
日本に対する国際信用を高めてまいりたいと考えております。
また、その
一環ともいたしまして、
日本がいつまでも四百億ドルとか五百億ドルという膨大な
貿易のプラスを維持してこのまま国際社会でやっていけるとは思えません。それにはそれだけの
理由がございまして、
我が国の品質の優秀性、価格の低廉性、アフターケアの持続性、そういういろいろな長所もあるわけでございます。がしかしながら、いつまでも現実問題としてこのような膨大な黒字を維持していくということは、とても将来も考えられるところではございません。
日本はやはり
貿易国家でございますから、輸出入に関するある程度の資金、インベントリー資金も要りますし、対外経済協力に関する資金も要りますし、対外経済投資の資金も要ります。したがって、ある程度の適正量の黒字を持つ必要はありますが、それ以上大きな黒字が累積して毎年続けられているということは、必ずや国際社会から非難を受けることは必定であります。そういうことも考えまして、国際経済と調和して
我が国の社会経済体質をどのように長期的に安定させ調和させていくか、そういう
検討の研究会、私のための研究会を発足いたしまして、今鋭意
検討していただき、その
意見の結論を待ちまして我々は適切な
処理をしていきたいと考えておるところでございます。
中小
企業対策でございますが、
円高が二百円前後まで参りまして、一部の中小
企業等については一体どこまで進むのかという外国の思惑から契約が停滞している、あるいは先延ばしされているという状態が出てきております。できるだけこの今の
円高の状態というものを適正水準で安定させる、持続させる、安心感を与えるということが契約を促進する上にも必要でございまして、
政府はそのような
方針に沿って努力してまいるつもりであります。
一方においては、中小
企業対策ももはや行う必要があると認めまして、今朝、関係閣僚で協議いたしまして、中小
企業に対する緊急融資
政策を
決定したところでございます。これは二日から始めまして、千億円の特別融資の金を用意いたしまして、六・八%、とりあえず三月三十一日までこれを実行する。そのほか、信用保険の問題、中小
企業に対する
金融公庫の問題、マル経資金の融通の問題、あるいは
政府関係三機関の融資の猶予や、あるいはそのほかの適切な
措置等の問題についても実施してまいるつもりでおります。
次に、今後の
内需振興の問題でございますが、先般の
政策によりまして、大体概数三兆一千億円に及ぶ
内需振興の
政策を今実行しておるところでございます。今後も、この
円高の
状況等も見まして、ただいまのような
政策を実行しつつあるところでありますが、
規制緩和、民活等を中心にしまして、公共的
事業分野への
民間活力の導入等も着実に
推進してまいりたいと思います。特に、
民間活力活用プロジェクトに関する
環境整備、
住宅建設、設備投資等に関する
施策については、諸般の
政策を
検討して
推進してまいりたいと思っております。
二十一世紀に向かっての都市、
住宅宅地
政策の問題でございますが、高齢化、高度情報化、
国際化等の大きな潮流
変化が予想されます。それに相応するような安心、安全、安定、そういう線に沿った
国民生活及び産業発展の基盤を
確保するという
住宅、
都市政策が必要になってまいりまして、その線に向けて努力してまいります。これには、
地方自治体と協力いたしまして、その創意を尊重し、これを助長していくということが重要であると思いまして、そのように
政策を
推進してまいりたいと思います。
民間活力及び官民の役割分担についてでございますが、
我が国の経済社会の体質を常に活性化さしていくその基本原動力というものは、あくまで民活、
民間の力であり、それが民主主義の基礎であると考えております。官民の
あり方につきましても、
時代の
変化等に伴いまして常に
見直しを行っていく必要があると思います。
規制の
見直しに当たりましても、
公共性にも一面配慮しつつ、やはり
民間活力が自由に行い得るような領域につきまして一層これを広げ、充実さしてまいりたいと考えておるところでございます。
残余の
答弁は
関係大臣からいたします。(
拍手)
〔
国務大臣後藤田正晴君
登壇、
拍手〕