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政府委員(
筧榮一君)
先生御
指摘のとおり、現在公判係属中の事件でございますので、その
内容に余り立ち至って申し上げることは差し控えたいと思います。
それから、最初に申し上げておきたいと思いますが、保釈、勾留の点は
裁判所の決定でなされておりますので、その当否について私
どもからとやかく申し上げることも差し控えたいと思います。ただ、私
どもで承知しております事実
関係等につきまして簡単に御
説明をいたしたいと思います。
現在七人勾留されておると思いますが、主犯と言われております戸塚に対する
関係で申し上げますと、戸塚につきましては二名に対する傷害致死事件、これが二件、それから二名に対する監禁致死事件、これが一件、合計三件。被害者青少年四名が死に至ったわけでございますが、この事件が勾留の事実でございますが、そのほかにこれも含めまして合計十三件の訴因で起訴され、現在公判中でございます。
それで、戸塚宏につきましては、当初刑事訴訟法六十条二号及び三号の理由で
裁判所の勾留状で勾留されております。その後、現在まで十四回にわたって保釈請求がなされましたが、
裁判所は刑事訴訟法の八十九条一号、これは「死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。」という一号の
要件及び同条四号の「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」という四号の
要件、この二号を理由として、保釈申請は現在まで十四回とも却下されておるわけでございます。
先ほど申し上げましたように、その
裁判所の判断の当否についてコメントする
立場には私
どもはございませんけれ
ども、公判の経過等を眺めてまいりますと、まず今申し上げましたように十三にわたる訴因であり、しかもそのうち三件は傷害致死あるいは監禁致死といういわば重罪であります。四名の青少年が命をなくしておるという結果を伴った案件でございます。
それからもう一点は、この公判におきまして戸塚を含みます被告側の方は、当初この傷害致死、監禁致死についての審理をまず初めに行っておるわけでございますけれ
ども、事件の認否につきまして、これは認めておりませんし、ほとんど
意見を述べておらないわけでございます。したがいまして、この審理に際しましては書証についての同意もございません。したがいまして、すべてと申しますか、ほとんど主要点は証人をもって立証しなければならないということで、現在まで次々と当時の訓練生とかコーチとか、その他の者が証人として喚問されて審理が続けられておるわけでございます。そういう法廷の推移から見まして、重要な証人が終わるまでは保釈を
許可しない、これは
裁判所の御判断ですので私
どもが何とも言えませんけれ
ども、ということがあるのではないかというふうに思われます。
それからもう一点、これはつけ加えて申し上げますならば、現在まで月一回の開廷が続けられております。これにつきましても、
裁判所あるいは
検察側の方ではもっと開廷日数をふやしてほしいという要望をしておるわけですが、弁護人の方、いろんな事情があろうかとは思いますけれ
ども、それ以上は無理だということで月一回の開廷、そこで証人を次々調べるという経過をたどっております。そういうことがありまして現在まで勾留中のままで本件審理が続けられておるということ、これも今申し上げましたような公判の経過あるいは起訴されておる事実の
内容その他から
考えまして、私
どもとしては不当に長い勾留ではない、やむを得ない勾留であるという
裁判所の御判断があるというふうに
理解しておるわけでございます。