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1985-11-28 第103回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十八日(木曜日)    午後零時三十二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      関  嘉彦君     小西 博行君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      小西 博行君     関  嘉彦君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      世耕 正隆君     志村 哲良君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         林  寛子君     理 事                 杉山 令肇君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 吉川 春子君     委 員                 井上  裕君                 山東 昭子君                 志村 哲良君                 仲川 幸男君                 林 健太郎君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 久保  亘君                 中村  哲君                 本岡 昭次君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 関  嘉彦君    国務大臣        文 部 大 臣  松永  光君    政府委員        文部政務次官   鳩山 邦夫君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省教育助成        局長       阿部 充夫君        文部省社会教育        局長       齋藤 尚夫君        文部省体育局長  古村 澄一君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        大蔵省理財局国        有財産第二課長  川  信雄君        労働大臣官房参        事官       坂根 俊孝君    参考人        国立競技場理事        長        望月哲太郎君        国立競技場理事  五十嵐 淳君        日本学校健康会        理事長      松浦泰次郎君        日本学校健康会        理事       三木  彰君        日本高等学校野        球連盟会長    牧野 直隆君        日本プロフェッ        ショナル野球組        織コミッショナー        事務局長     本阿弥 清君        東京学校給食        会副会長     三石 辰雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本体育学校健康センター法案(第百二回国  会内閣提出、第百三回国会衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 林寛子

    委員長林寛子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本体育学校健康センター法案審議のため、本日の委員会国立競技場理事長望月哲太郎君、同競技場理事五十嵐淳君、日本学校健康会理事長松浦泰次郎君、同健康会理事三木彫君、日本高等学校野球連盟会長牧野直隆君、日本プロフェッショナル野球組織コミッショナー事務局長本阿弥清君及び東京学校給食会会長三石辰雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 林寛子

    委員長林寛子君) 日本体育学校健康センター法案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 久保亘

    久保亘君 ただいま議題となりました法案について文部省お尋ねいたしますが、今回のこの法人統合によって、健康会並びに国立競技場がそれぞれ統合に伴うメリットに何があるのか、どういうふうに文部省では受けとめておられますか。
  6. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 今回両法人統合いたしますのは、臨時行政調査会の答申に基づきまして行政改革一環として統合を行うものでございます。その際のメリットといたしましては、常勤の役員の二人で、それから非常勤の役員の一人でということを計画いたしておりますので、予算ベースにいたしますと平年度三千三百万円ぐらいの節約に相なるというふうに思っております。
  7. 久保亘

    久保亘君 私がお尋ねいたしておりますのは、財政人件費節減になるということだけなのか、それぞれの法人事業統合することによって進んでいくのか、その点をお聞きしているわけです。
  8. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 法人統合の契機は先ほど申し上げましたように、行政改革という目的から統合いたすわけでございますが、統合いたします両法人提案理由の中でも大臣から申し上げましたように、対象は一般国民あるいは子供という別はあれ、それぞれ国民の健康、体力増進ということに共通項を持っているということからこの法人の二つの統合を御提案いたしておるわけでございまして、統合いたしました以上は、これにつきましてこの両法人統合して何らか前よりもそういったいい国民健康増進あるいは体力をつけるという点から、いいものを生み出すよう鋭意検討していくべきものだというふうに思っております。
  9. 久保亘

    久保亘君 この国立競技場法人として出発いたします。その動機は、第三回アジア大会の開催だったと思っております。この第三回アジア大会から次は東京オリンピック目標にして国立競技場拡充整備をされて、その目的のために努力をしてきたものだと思っておりますが、その後この国立競技場東京オリンピックの後は本来の国民体育振興健康づくり、そういうことに任務を持ってきたと思うのですが、それは今後ますます重要になる課題だと思っております。そういたしますと、この国立競技場設置されます段階でその目的といいますか目標一つ体育研究研修センターをつくって市民体育指導者の養成とか、そういうものに積極的に役割を果たすということになっていたと思うのでありますが、今回両法人統合されますならば、体育研究研修センター設置について新しいこれを目標にして積極的に前進をするという立場文部省はおとりになるべきだと考えるのですが、この点についてはどのように理解をされておりますでしょうか。
  10. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 御承知のとおり、体育研究研修センター設置につきましては長い間体育界から希望されているものでございます。既に土地等につきましては、旧東京教育大学の幡ケ谷の体育学部の跡地ということで、昭和五十五年以来国有財産審議会等での御審議を願いまして、その土地体育研究研修センターに提供するということについての一応の方針はいただいております。したがいまして、これをこの際統合いたします法人が、その仕事といたしましてこの研修センターというものを将来この新しい法人のブランチとして位置づけてまいりたいというふうに考えております。
  11. 久保亘

    久保亘君 よくわかりました。しかし、この体育研究研修センター設置というのはもう懇談会が持たれましてからも随分長い年月がたっております。それから調査を始めましてからも一千数百万の予算を数年次にわたって計上をして調査も進められていると思うのでありますが、やっぱりこれは積極的に今回の統合機会体育研究研修センター設置文部省が力を入れるということでなければ、ただ理事の数を減らして人件費を三千三百万節減をしたというだけでは、国立競技場役割としてはそれも一つの行革として私はそれが可能ならばそれは結構なことだと思うのですが、国立競技場の本来的な任務というものを考えた場合には、役員を減らしたということだけがメリットだというのでは私どもなかなか理解ができないわけでございまして、今局長が言われたようなことに向かって具体的な計画ですね、例えばそれじゃ来年度とういう段階に進めるのか、こういうことについては文部省としてはどうお考えになっておりましょうか。
  12. 松永光

    国務大臣松永光君) 先生指摘体育研究研修センター、これは我が国の国民の健康の保持増進体力向上あるいはさらには競技技術向上、こういった面で非常に大事な組織だというふうに考えておるわけでありまして、鋭意準備を進めてきたわけでありますけれども先生指摘のようになかなか実現を見ないということは残念なことだと思っております。これは、主たる理由はやはり現下の厳しい財政状況というのがあるわけでありまして、そのことも踏まえながら、今先生指摘のように新しく学校健康センターができた機会に、新たな決意を持って実現に向けて一層の努力をしてまいりたいというふうに考えているわけであります。
  13. 久保亘

    久保亘君 ぜひ今文部大臣並びに局長が言われましたように、今度の法人統合機会に、法人統合したら国立競技場任務に向かって事業前進をした、仕事前進をしたというあかしが来年度の予算でも出てくるようにやっていただきたいと思います。今、この研究研修センター設置について、これまで以上に積極的な努力をするという文部省の御意思を一応私も理解をいたしておきます。  次に、この国立競技場が今度新たに統合法人になりました場合に、今までの競技場ごとにございました運営委員会的なものはどういうふうに変わっていくのでしょうか。
  14. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 競技場運営について、民間方々の御意見を聞くという組織といたしましては、全体の運営審議会と、それから今先生が御指摘の各競技場ごとに置かれております運営委員会というものがあるわけでございまして、運営審議会におきましては、今度新しい法人ができますれば、当然民間方々の御意見を聞くために運営審議会を設けて、そこで運営についての御意見を聞くという機会になろうかと思いますが、現在その他の施設についております運営委員会は、ラグビー場運営委員会を除きまして、そのほかのスポーツ博物館運営委員会、それからアイススケート場運営委員会子供水泳場運営委員会戸田艇庫運営委員会というものは形式的には置かれておりますが、実際には働いていないというのが現状でございます。
  15. 久保亘

    久保亘君 今言われました、実際に機能していると言われるラグビー場運営委員会ですか、運営審議会が、これについてちょっとお尋ねしたいんですが、このラグビー場国立競技場管轄下に入りますまでにいろいろな歴史がございますので、ラグビー場運営が他の競技場と少し趣を異にしているということについて理解ができないわけではございません。しかし、ラグビー場利用については、国立競技場が直接余り関与できないような運営の仕方になっているのではないでしょうか。
  16. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 御指摘のとおり、秩父宮ラグビー場日本ラグビー協会昭和二十三年に国有地であります旧女子学習院跡に建設したものであります。そして、昭和三十七年に同協会から国に売却されて、そのうち国立競技場に出資されたという経緯を経ておりますことは御承知のとおりと思いますが、現在ラグビー場施設利用につきましては、国立競技場ラグビー協会との間におきまして協議の上、利用日程の調整を行うということをやっております。そのときに、ラグビー場運営委員会にお諮りして決定をしているということでございまして、若干その他の施設利用につきますやり方とは異なった点があるということは御指摘のとおりだと思います。
  17. 久保亘

    久保亘君 今国立競技場ラグビー場年間利用状況というのは、私専門的なことはよくわかりませんけれども、五十八年度で年間四十三日、それから五十九年度で年間四十七日の使用となっておりますが、これはそのとおりでしょうか。
  18. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 大体日数で申されれば先生のおっしゃるとおりかと思います。  私どもには月別の試合数ということで、五十七年度では百六試合、五十八年度では八十六試合、五十九年度では百二試合というふうな公式試合を行っているというふうに聞いております。
  19. 久保亘

    久保亘君 ラグビーはシーズンのスポーツですから、ラグビー場としてラグビー競技に使われる日数というのはよくわかるんですが、そうすると、あとの三百日以上というのは、このラグビー場はどういう利用をされているんでしょうか。
  20. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) ラグビー場につきましては、毎年芝を張りかえて芝を養生するという期間もいわゆる梅雨ときを中心にしまして必要だというふうに聞いております。したがいまして、そういったふうにして芝の養生をする期間が必要であるということ、そして大体ラグビーは冬を中心にして行われているんだということになりますと、その間そのほかいろんな事柄についてラグビー場利用されているのかといいますと、私どももどういった利用が十分されているかということについては定かに承知いたしておりません。
  21. 久保亘

    久保亘君 常識的に考えますと、国立競技場運営するスポーツ施設年間に四十日余りしか使われないで、あとは芝の養生とかそういうもので補修の期間になっているというのはちょっと不思議な感じもするんでありますけれども、もちろんラグビー場ですからラグビー公式試合等が優先的にこの競技場を使っていくというのは理解できます。しかし、ラグビー協会に所属しないグループとかあるいはあの競技場でやれるいろんな団体のスポーツとか、そういうものの利用の申し出があれば、これは可能な場合には検討してもよいのではないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  22. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) おっしゃいますとおり、今私が申し上げましたようなことで、ラグビー場についてはラグビー以外の競技に貸されてないという現状だと思いますが、今国民にいろんなスポーツ施設体育施設をなるべく提供していくということから申しますれば、そういった点については十分検討に値するかというふうに思います。
  23. 久保亘

    久保亘君 それでは、今度統合機会運営委員会あり方などを見直して、もう少し国立競技場もその責任ある運営の関与ができるような方向 で、民主的な利用が相互に理解し合ってできるような工夫をぜひやっていただきたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  24. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 御指摘方向国立競技場に対して指導いたしたいというふうに考えております。
  25. 久保亘

    久保亘君 きょうは、この法案国民体育スポーツ振興にかかわる国立競技場統合の問題でございましたので、重要な国民スポーツ振興を図ります体育行政に関する問題として、参考人に御出席をいただきましたので、少しお尋ねをしてみたいと思います。  きょうは高野連牧野会長プロ野球コミッショナーの本阿弥事務局長には大変御多忙な中を御出席をいただきましてありがとうございました。  かねて、私も野球ファンの一人として、皆さんの御努力野球国民的なスポーツとして発展をしておりますことに心から敬意を表したいと思います。とりわけ高校野球国民にさわやかな感動を与えておりまして、青少年教育の上でも極めて重要な役割を果たしているものだと思っております。それだけに、高校野球高校教育そのものとしての精神を忘れずに発展をしなければならないと思っているのであります。  しかし、今日高校野球が空前のファンを含めて発展を遂げております一方で、毎年のように出場停止辞退につながるような不祥事を私どもはニュースを通じて聞かされるわけであります。また、強い野球部をつくるということが余り表に出過ぎるために、一部の学校では全国から選手をスカウトして野球部を強化をするという傾向も強まっております。  こういう高校野球高校教育一環としての立場から見た場合に、私どもとしてはこの際高野連のお考えを伺っておきたいという気持ちがいたすのでありますが、今の高校野球あり方に対して反省点がおありになるのか、また改善すべき問題点があるとすれば、どのようなことをお考えになっているのか、牧野会長にお伺いいたしたいと思います。
  26. 牧野直隆

    参考人牧野直隆君) ただいま久保委員さんから御質問のありましたことについて、私の考えを申し述べたいと思います。  確かに、高校野球全国皆さん方の非常に大きな支持を得て発展をしてまいっております。しかし、物事はやはりそれが行き過ぎますといろんな弊害を伴うことは事実でございます。と同時に、私はちょうど戦前昭和三年から慶応の野球部におりまして、そのころは六大学最盛期でございました。したがって、昭和五、六年というのはまだプロ野球もありませんし、日本野球界は六大学に集中をされていたというときで、非常に盛んであったわけですが、その反面にいろんな弊害が出てきておりまして、その結果昭和七年に文部省野球統制令というものが発令されました。それがずっと戦後になってようやく解除され、そのかわりに野球人みずからの手による野球憲章というものをつくって、我々が野球をやる以上はこの規則だけは守っていこうというのが野球憲章でありまして、大学野球もまた高校野球もその精神にのっとって指導もされてきております。  ただいま御指摘のありました過熱ぎみな状態は、私も十分承知をいたしております。しかし、今申し上げましたような戦前の失敗を二度と繰り返さないということを、私の前の会長である佐伯会長もそれを非常に強く心にとめておられまして、私もまたその精神を受け継いで、高校野球教育一環であるという方針については少しも変わることがなく、また高校野球を通じて立派な青少年を育成をしていく。そして、社会に出て世の中のために役立つ人間を育てていきたいというのが、我々の一番大きな目的でございます。したがって、高等学校それぞれが野球部運営に当たりまして、人間形成という基本の精神を忘れたような行き方、すなわち勝利第一主義と申しますか、そういうような行き方に偏っておるところについては、かねて注意をいたしております。  また、これは二、三年前の例でございますけれども、よく言われます県外から選手を集めて非常に強いチームをつくっていくというような事例もありまして、その学校は私立てございますけれども理事者以下学校長反省を求めて、その体質が変わるまでちょうど二年間甲子園大会地方大会ですが、それに出場停止をさせまして、そして体質の改善ができたというところで復帰をさせました。現在は地元の中学生を主として、一生懸命精神的な面から入っていくというような姿勢に変わっております。いろいろ例はございます。  それから、もう一つお尋ねのありました非行問題、不祥事件でございますね。これは、野球社会的な関心が高いだけに非常にわずかな事柄についても新聞記事になるわけでございます。したがって、皆さん方の頭の中には野球部不祥事件が多いというようなことが残っておられると思いますが、現実には一昨年は六十四件、昨年は四十六件不祥事件がございます。その中には暴力の問題もあるしあるいは自動車、二輪車の無免許運転であるとかあるいは飲酒だとかいろいろあるわけですが、その軽重によって処分が行われておりますけれども、その中には、今の件数の中には二十件ほどは高校野球連盟会長注意というのが入っております。ですから、一昨年は六十四件ですから二十件引きますと四十四件ですか、そういうものが学生野球協会審査室審議を受けております。それで、高校野球連盟会長注意で終わっておりますのは非常に軽微な非行といいますか、一番私頭に残っておりますのは、薬師丸ひろ子さんですか、私はよく知りませんけれども、そのプロマイド野球部部員が非常にファンだった。それが自分でお小遣いを持ってポスターを買いに行った。それからプロマイドも買った。帰りがけにもう二枚ほど非常に欲しいのがあってそれを万引きしたわけです。非常にささいな問題ではありますけれども、警察の補導を受けたということで学校からは届け出が出てくるわけです。そういうものはもう学校長の判断でいいのではないかということでありますけれども全国学校長考えが統一していればいいんですが、中にはかなり重いものも連盟の方に報告をしないで済ましている場合があるわけですね。そういう場合には、そのことが春行われた非行であっても、その夏の一番大事な大会の前に投書によって新聞に出るというようなことで、その学校長がそこの大事な時点で辞退をする、そういうような非常に陰湿な投書が三年ぐらい前には非常に多くあったわけです。これを我々は防ぐためにどうしたらいいか、それには起きた問題は地方の都道府県の連盟に届けて、そして高校野球連盟の方にも報告をしてくれと、そして早くその処分を終わってしまえば、その夏の一番野球部諸君が汗水流して鍛え上げたその腕を発揮する夏の地方大会、それに出場停止というようなことはしなくて済むじゃないかというようなことから、割合ささいな問題も上げてきているわけです。それで件数がそのくらいでございますが、現在全国加盟枚数は四千五百二十五枝あります。それから部員は十四万七千人おります。したがって、一年間不祥事件として取り上げているのは、審査室へ行って審査を受けるのは四十件程度、そしてそれに携わっている野球部員は百名程度、ですから十五万人近い登録の野球部員の中での人数でございますから、私は今日の高校野球部員諸君平素の厳しい練習あるいは試合等を通じて本当に心身を錬磨している、その者が大部分であるということを確信を持っております。  そういう面で、非行問題等につきましても、よく大阪でスポーツ記者諸君との会合があるのですが、君たちはいろんな、例えば就職が決定した、そうするとクラスの連中で祝杯を上げた、その中に野球部員がおるということによって記事になるわけですが、それでは柔道部連中がやったら、君、出すのかと言ったら、いや、それはと、こう言うわけですね。ですから、やはり同じクラブ員ですから、もちろんそれだけ野球部員は自覚を持たなければいけませんけれども、やはりマスコ ミの方々にも親切に育ててほしいというようなことは平素から考えているわけでございます。
  27. 久保亘

    久保亘君 牧野会長にはまたひとつプロ野球との関係で後ほどもう少しお尋ねしたいと思っておりますが、それではコミッショナー事務局長の本阿弥さんにお尋ねしたいと思います。  私、プロ野球協約をいただきましたが、このプロ野球協約の第一章に目的として、「わが国の野球不朽国技にし、」国技館国技ですね、日本の国のスポーツということでしょう、「野球不朽国技にし、野球の権威およびその技術にたいする国民の信頼を確保する」ということが協約目的にうたわれております。これはプロ野球関係者の大変高い理想を示されたもので、私は立派なことだと思います。しかし、このプロ野球を構成をいたします各球団は株式会社で企業であります。そのために、選手の獲得に当たってはしばしばこれまでもドラフト騒ぎとかいろいろ言われて問題を引き起こしたのでありますが、この問題について、やはりこの協約にうたわれる目的に従おうとするならば、やはりそれぞれの企業である球団も節度あるやり方が求められているのではないだろうかと思っております。私はきょうここで、例えば今回ドラフト騒ぎ一つの例となりました桑田君の問題をいろいろ問題にしようと思っているのではありません。彼は進学かプロ球団がということで指名をされた後いろいろと自分考えた上に、プロ球団に入りたいという意思を持つに至ったものだと思っております。この少年が全国ファンの期待にこたえて自分の選んだ道で活躍してくれることを私は期待をいたしております。しかし、この少年を渦中にして、ドラフト制度のもとで、企業である球団の側が、今回いろいろとやってこられたことについて、野球の上の信頼を国民が高めるという意味ではちょっとわかりにくいことがあるのであります。  例えばこの桑田君という少年が本心から大学に入りたい、そして自分プロ球団には行きたくない、こういう意思表示をしていたとするならば、それを企業である球団が一方的に指名してそして一人の高校生である少年の人生を変えさせる、そのためにいろいろな手段がとられる、こういうことは果たして教育一環である高校野球で頑張ってきた少年たちに対して妥当なやり方であろうか、こういう思いがいたします。  それからもう一つは、この少年がもし事前に球団から相談を受けて、それで大学進学ということを一つの特定球団に指名させるための手段として使わせられていたとするならば、これは私は非常に背徳的な、非教育的な企業選手争奪のやり方だという気がしてなりません。そういう大人の社会の権謀術数の中に純真なるべき少年を巻き込んでドラフト制度を使うというようなことは、これはもう高校野球の、先ほど会長がお話しになりました本旨からいっても私は問題があろうと思うのであります。  もう一つわかりにくいのは、この少年が自分意思プロ球団への道を選んだのであるならば、なぜその学校野球部長や監督が辞意を表明するというようなことになっていくのか、この辺も私どもにはどうしても理解ができないことでありまして、したがって新聞の社説等にもきょうも書かれておりましたけれども、何か不明朗なものが残って国民としては理解できないと、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、これらの点についてはコミッショナーとしてはどういう対応をなさっているのでしょうか。そして今コミッショナーはどうなっているのか、それも含めてひとつお聞かせいただきたい。
  28. 本阿弥清

    参考人(本阿弥清君) ただいまいろいろと問題の指摘がございましたけれどもプロ野球といいますのは、高枝野球大学野球、それから社会野球、こういう広いベースの上に存在している点は、私どもその事実を非常によく認識していろんな行動をとっているわけでございます。今回、特定のというのじゃございませんけれどもプロ野球側としましては、ただいま申しましたようなアマチュア関係連盟方々がそれぞれ憲章をつくっておられるので、その憲章を尊重しながらいろいろなことを運んでいるわけでございます。  先日ドラフト会議がありまして、新人選手を指名したわけですけれども、指名ということは選手契約締結の交渉権を取得するということであって、すなわち指名即プロ入りということではございません。交渉権取得ということで、選手側の方が進学するなり、もしくは就職するなりというその選択は、あくまでも選手の方が持っているわけでございます。  今回も、先ほど久保委員の言われました桑田選手が最後に進学をやめて就職するというようなお話でしたけれども、それに関連しまして元の高校の先生辞任されるというお話がございましたけれども、これは高校の学校先生としましては、あくまでも長い将来を見て進学させて教養をつけさせるという指導をなさった結果、それが進学でなく就職という事態になったんで、そういう点でやっぱりおやめになるような意思表示をなさったんではないかと思っております。
  29. 久保亘

    久保亘君 コミッショナーは今いらっしゃるんですか。
  30. 本阿弥清

    参考人(本阿弥清君) 昨年の三月三十一日で下田武三前コミッショナーがやめられました後、野球協約にも書いてございますが、後任が決まりませんので、セ・リーグ、パ・リーグの会長コミッショナー代行として現在その後の任務に代行としてついております。現在専任のコミッショナーを選考するように依頼しておりますが、まだ人選が確定しませんのでまだ決まってはおりません。実行委員会、オーナー会議でもその話がちょっと出たんですが、来年の三月いっぱいでちょうど一年になりますので、その辺をめどに専任のコミッショナーをなるべく選ぼうというのが現状でございます。
  31. 久保亘

    久保亘君 この協約によればコミッショナーは非常に強い権限をお持ちですね。そのコミッショナーにこれだけの権限を付与されているというのは、やっぱり企業である球団の間にいろいろと起こってくる問題をここで裁かにゃいかぬ、こういうことだと思うんです。ところがコミッショナーが退任されて後任が決まらないときには確かに代行機関を置くとなっておりますが、代行機関を定めるはずの実行委員会会長がおなりになっているんじゃないですか。結局連盟会長という方は一つ球団の責任者でもありますね。これ違いますか。
  32. 本阿弥清

    参考人(本阿弥清君) 現在コミッショナー代行お二人ですけれども、実行委員会の議長は球団の代表ではございません。専任でございます。
  33. 久保亘

    久保亘君 しかし、長期にわたってコミッショナーを欠員にしておかなければならないというところにコミッショナーの権限が十分にもう果たされないという状況があるんじゃないかと思うんですね。  そして、ドラフト会議というのはこの協約によりますとコミッショナーが招集し、そしてコミッショナーがドラフト会議の構成メンバーですね。だからそういう重要な立場にある人が長期にわたって欠員になって、代行機関がドラフト会議を主宰をしているというところにもやっぱり一つ私は問題が起きてくる組織上の原因があるんじゃないかという気がいたしておるんですが、代行でもコミッショナーの機能、機能については何ら問題はないということなんでしょうか。
  34. 本阿弥清

    参考人(本阿弥清君) 現在コミッショナー代行お二人おられますけれども、現実の問題としまして、コミッショナーが裁定するというような大きな事態は起きておりません。これからはわかりませんけれども、昨年の、前回のコミッショナーやめられた後問題がなくて、二人の代行がいろんな諸問題をいろいろ、諸問題というほど大きい問題じゃないんですが、問題点はそれぞれお二人でお話をされて解決されておりまして、すぐ要るような事態ではないので、ずるずるというのはちょっと言葉が悪いんですが、現在に至っているというのが状況でございます。
  35. 久保亘

    久保亘君 確かに協約に違反するとか、そうい う問題はないのかもしれませんが、今回のドラフトをめぐる問題にいたしましても、高等学校野球部長や監督が辞任する。しかも大学も巻き込んで大変な問題になったわけです。そしてこういうようなことが可能なのであれば、ドラフト制度そのものが根底から崩れるのではないかという意見も出ておりますね。そういうときにやっぱりコミッショナーというのは、これを裁決する、判決するというような問題ではなくても、これだけ社会的な問題になりました場合には、コミッショナーはやっぱりこの問題について一つの見解を示す責任があると私は思っております。高野連会長さんは、今回のこの問題はやはり企業であるプロ球団教育である高校野球との関係において、余り望ましい状況ではなかったとお考えになっておりますでしょうか。この問題についての御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 牧野直隆

    参考人牧野直隆君) 今回の桑田君の問題につきましては、随分世間を騒がすような結果になって、我々連盟の加盟校の一つのことでございますので、非常に遺憾に思っております。  PLの学校野球部長が、数日前に電話がありましたんですが、私はちょうど四国地区の大会の方に行っておりまして不在でございました。それは非常にお騒がせをしたということのおわびと実情の報告に行きたいということであったわけですが、したがってまだ学校から直接実情は聞いておりませんけれども日本高野連の事務局等に入った話を聞きますと、言われました密約ということはないというふうに私は判断をしております。  それから野球部長、監督の辞任の問題、これは学校自身がお決めになることではありますが、進学とかあるいはプロに行く、社会人に行く、そういう進路の指導については、野球部の部長、監督はやはり相談に乗ってやると、十七、八歳の者が本当に正しい考え方でその道に進むのかどうかということについての相談に乗るということは当然あってしかるべきだと思います。ただ、今度の問題について、今までになかったことなんで、私も実はびっくりしているんですけれども、ちょうど二年ほど前にオールジャパンを編成してアメリカに遠征をしました。そのときには桑田君が一年でしたけれども、一人参加をしてきました。また監督は中村監督でもありました。そしてそういう機会を通じてですが、桑田君の性質は非常に素直な子供ですし、また中村監督も非常にまじめな、誠実な指導者だというように私は受けとめております。ですから、今度の問題については、学校に対して落ち度があったとかというようなことは私は考えられないと思います。同時にまた、これは私の考え方なんですが、桑田君は割合に我慢する方の性格ですね、そういうことの性質であって、同僚の清原君が巨人に行くというような形が進められておったんで、やはり自分はやっぱり大学に行くのがいいんじゃないかと、あこがれの巨人はもうだめなんだなというような気持ちでいたんではないかというような解釈、そこへ逆に清原君が行かなくて自分に指名があったということで非常に動揺をしたというのではないかと思います。結論的には、本人が自分の決心でその道を選んだということでいいのではないかというふうに思います。
  37. 久保亘

    久保亘君 私も、高校生がプロ野球にあこがれて、そして体力技術にすぐれた者がその道を選ぶということは、これはまた一つの立派な生き方だと思っております。それはそれでいいと思うんです。しかし、会長言われましたように、いずれにせよ大きな社会的関心を浴びる問題になって、そして少なくともこの少年たちにとってはいろいろと傷つくこともあっただろうと思うんです。私は、あのドラフト会議の模様をテレビで見ておりまして、あの後インタビューに応じた監督が、確信がありますかということに対して、確信がなければ指名しない、こう言っておられました。これはこれから何とかして入団させるんだという強い意志を示されたんだと私は思っておりますけれども、しかし一方、今度は少年の方からは、巨人が指名すれば初めから行くつもりだった、こういうまた話も出てくるわけですね。それで、いずれにせよあのドラフト会議が一人だけでなく、少年たちの心を非常に傷つけることになって、そして国民の間には――前にもありますからね、同じようなことが、それでまたかという感じを持たせる。これはやっぱり企業側が、普通の商品の取引をやるのとは違うんですから、人間一つの人生を選ばせるんです、そういう意味では節度のある、そしてスポーツですからフェアなやり方ということについては必要以上に心がけねばならぬ問題であろう、私はそう思っておるんですが、本阿弥さん、本人がプロ野球には行きたくない、こういう意思を示している場合には指名をしない、指名から外す、あるいはプロ野球学校を出たら就職したいという意思を明らかにしている者を指名の対象とする、こういうようなドラフト制度の運用というのは考えられないものなんですか。
  38. 本阿弥清

    参考人(本阿弥清君) ただいまの御質問ですが、私自身はそれに対する決定権がもちろんございませんし、実行委員会の方で決定するわけですけれども、ドラフト制度についてのいろんな改革という点につきましては、現在のところ現行制度でやろうと。その理由を申しますと、プロ野球発展の基盤として現行のドラフト制度は欠かせないというのが実行委員会皆さん方の統一された見解なわけです。したがいまして、小さい手直しはございましょうけれども、そう大きく変わらないのではないかと思っております。  ドラフト制度ができました原因というのは、まず、各球団の戦力の均等化ということがまず第一点に挙げられます。それから第二点は、契約金の高騰の抑止という点が挙げられております。  ドラフト制度ができましたのは昭和四十年でございます。これより以前には特定の球団にたくさんいい選手が固まって入ってしまう、それで一つのチームが非常に強くなるという傾向がございました。さらに加えまして契約金は非常に高くなって社会問題になりまして大変非難を浴びたことがございます。四十年からそういうような世論にこたえまして現在のドラフト制度をつくったわけでありますけれども、四十年以降九年間を続けて巨人軍が優勝しております。ただし、その戦力の均等化ということは四十年にドラフトができましてからようやく実を結びまして、四十九年ですか、巨人軍が九連覇した後は六球団がそれぞれ優勝しておるわけです。ですからドラフト制度の戦力の均等化ということは、実際にドラフトの成果が上がってきたんではないかと。ある人は一つ球団が強くてもいいじゃないかというお考えの方もいるようですけれどもプロ野球というのは十二球団ございまして、東京、大阪、名古屋、神奈川、広島と本拠地はそれぞれ異なっております。それで特定の地域だけじゃなくて、それぞれの球団が強くなって、それぞれの土地で人気を博す、そういうことで現在プロ野球発展しているんではないかと思っております。
  39. 久保亘

    久保亘君 あなたが事務局長のお立場でドラフト制度の中身の改革にかかわるような御意見をお述べになることは非常に難しいだろうと思います。それはよくわかります。  ただ今回の問題は、それじゃこれは何も問題はなかったんだということで、何も問題はなかったんだということで済ましてしまうと、後にこのドラフト制度の継続に当たっても私は問題を生じてくる可能性を持っておると思うんです。したがって、今回のこのドラフトをめぐる一つの騒動ですね。この問題については、ドラフト会議を招集し、そしてこれを主宰されたコミッショナーとして何らかのこの問題に対する見解を表明されることはプロ野球を支持している国民に対しておとりになる責任ではないかなという感じがいたしますが、どのようにお考えでしょうか。
  40. 本阿弥清

    参考人(本阿弥清君) ただいまの御質問ですけれども、プロ球界としましては、アマチュア野球方々のつくられました憲章を十分尊重しながらいろんなことを決めていきたいと、アマチュアの方々に御迷惑をかけないように今までもやっておりますし、これからもやりたいと思っております。そういう考えでございます。
  41. 牧野直隆

    参考人牧野直隆君) ドラフト制度を受ける側としての考えを申し上げたいと思います。  ちょうどしかれてから二十年ほどたっておりますが、それ以前のことを考えますと、プロ球団のスカウトの諸君が高校生の勧誘に非常に混乱をしたいろんな事態を起こしたわけでございますね。そうして学校側あるいは選手諸君にも非常に迷惑をかけている、あるいはお金を積むというようないろんな問題があったわけです。それは、ドラフト制度がしかれてからはもう二十年、そしてここ十何年というものは我々高等学校関係についてはまず表に立った問題としては問題はないわけでございます。ですからドラフト制度は確かにできる前よりは役に立っているということは言えると思いますが、今御指摘のありましたように、いろいろ反省すべき点はそれぞれ持っておると思うんです。ですから日本でやはりプロ野球、相当の人気があって国民方々も楽しんでおられるわけです。また我々も高校野球として高校野球ファンの期待にこたえるような姿勢で進まなきゃならないと思いますが、そういう面で常に反省をして、いろいろ御指摘の面で改良すべきところがあったら改めていっていただきたい、そういうふうに思います。
  42. 久保亘

    久保亘君 最後に文部大臣にこの問題についての文教行政の責任者の立場からのお考えをお聞きしたいと思うんですが、高校野球会長も言われましたように教育一環であります。この教育一環である高校野球が在学中にいろいろと就職をめぐって企業である球団との間に問題を起こす。今度のことは別に協約違反とか、そういうようなことではないでしょうけれども教育という立場から見た場合に子供たちが受ける影響ですね、こういうもの。それから、やはり今これだけ国民野球に対して強い関心を持つようになっている中で、社会的あるいは青少年に与える影響というものは非常に大きいと思いますから、これらの問題をめぐってのつまり選手の選択、協約上はドラフトという言葉を使ってありませんで新人選手の選択となっているんですね。この選手選択と高校野球、こういう問題について文部大臣のお立場では、今参考人方々から御意見を伺いましたようなことも含めてどのようにお考えでしょうか。御意見を伺っておきたいと思います。
  43. 松永光

    国務大臣松永光君) 高校野球プロ野球の行っておるドラフトの関係でございますが、高校野球というのは、先ほど久保委員もお話がありました、また牧野会長からも話がありましたが、言うまでもなく高等学校教育一環として生徒の心身を錬磨するということから高等学校野球はあるんだと思っております。そして、その関係者により一層の励まし、励みを与える意味で県大会があり、最終的には甲子園の全国選手大会。この全国選手大会はもちろんそうでありますが、県レベルの大会でも選手諸君の若さあふるる、そしてさっそうたるプレー、これがもう多くの人に深い感動を与えて、そのことが恐らく日本スポーツ関係大会でこれぐらい国民の関心を高めている行事はないと思います。そのことが我が国のスポーツの普及向上あるいは青少年スポーツ熱をより一層高める、こういった意味で大きな教育的な効果を発揮していただいておるというふうに私は認識いたしております。  ただ、問題がないわけではありませんで、まさしく先生の御指摘もありましたし、牧野会長さんからも話がありましたが、勝たんがために全国的なレベルで選手集めをするなどというのはいかがなものかという指摘がいろんな方面であることも私耳にしておりました。特に県代表として出るわけでありますから、大部分の選手はその県の出身者であることが望ましいというのが常識でしょう。そういった反省点もあると思うんでありますが、先ほど牧野会長さんの話によりますというと、そういう点についても高野連では十分考えていらっしゃるようでありまして、そういう反省すべき点は反省をしていただいて、直していただいて、より一層高校野球というものが健全なものとして発展することを私たちは期待をしているわけであります。  問題はその高等学校野球プロ野球との関係でございますが、ドラフト制度ができたことによって、それができる前によくあった教育上好ましくない事柄、それを改定するためにドラフトが効果があったというふうに私も考えておるわけであります、これはまあ個人としてはね。これからも、先ほどの本阿弥さんの話によりますというと、やはりドラフト制度続くでしょう。できるならば、このドラフトによる高校野球選手を指名する場合に、その前後の関係からいっても、教育上好ましくないような事態が起こらぬように良識を持って対応していただくことが望ましいことではないかなあというふうに思うわけでございます。
  44. 久保亘

    久保亘君 時間が参りましたが、最後に私の希望を申し上げておきます。  今、教育改革ということが我が国の非常に大きな課題となっております。これは大学であれ高枝であれ、進学のための受験競争の中でいろいろと問題が起き、そこから落ちこぼれというような言葉が生まれてくるほど教育界に憂慮すべき問題があるんであります。スポーツの世界でも、私はこのスポーツを通じて立派な体力、立派な技術を身につけるということも非常に大事なこと、それが一番大事なことかもしれない。しかし、特にチームプレーのスポーツですね、こういうスポーツというのは、その中でどうやって子供たちが、レギュラーになれない者もレギュラーになった者も、友情を深めながら、そこで野球部部員として高校生活を送ったことが将来彼らの人生にとって非常に大きな自信となり、誇りとなるようなそういうものでなければならぬと思っております。スポーツスポーツエリートをつくって、そこでまたいわゆるそういう中での挫折感を持った子供たち、そういう子供たちが非常に少ない例ではあっても不祥事を起こすというようなことになっていくならば、やっぱり高校野球教育的意義というものが一つ問題とされなければならぬところではなかろうかと、こう思っております。  そういう問題を考えてまいりますときに、特に高校野球選手のあこがれの目標としてのプロ野球、このプロ野球高校野球、高校に介入する場合には、これは教育の場であるということに対して節度ある対応の仕方ということは、これは強く求められるものだと私は考えております。特にこれらの点について高野連の方でも、またプロ野球連盟の方でも、コミッショナー等を通じて格別ないろいろと御検討、御配慮をいただくべきことではなかろうか。今回のことをひとつ一つの教訓として、そういうことをお考えいただければ大変ありがたいと思っております。きょうはわざわざ御出席をいただきましてありがとうございました。
  45. 林寛子

    委員長林寛子君) 牧野参考人及び本阿弥参考人に一言御礼申し上げたいと思います。  本日は大変御多忙のところを本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。御退席いただいて結構です。
  46. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 先ほどは久保委員の方から今回の健康会競技場統合した場合の一体メリットは何かという点についての質問がありました。私はその前に、現在の日本学校健康会は旧学校給食会学校安全会の統合によって誕生したものであります。これは確かに児童生徒、学生などを対象とする事業であるからとは言いながらも、しかしその事業内容は全く歴史的にも違っておりますし、それから内容的にも違っているわけです。木と竹をつないだような私は統合である、全く財政論だけではなかったかと、こういうふうに考えているのでありますが、この健康会が三年余りの間に果たした統合の意義といいますか、メリットといいますか、それをどのように健康会としては考えていらっしゃるか、文部省としては考えていらっしゃるか。
  47. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 五十七年の七月に統合いたしまして、私ども新しい同一の法人としまして、できるだけ早く統合の実質を上げたいということで努力してまいったわけでございます。給食 と学校安全が本来関連の深い事業でございまして、同じ体育局の所管ということでございますので、私どもそれぞれの引き継ぎました仕事を推進しながら、しかもなお統合メリットを上げたいということで、文部省指導をいただきながら努力してまいりました。その一つといたしまして、児童生徒の健康増進調査というような委員会を発足いたしまして、児童生徒の骨折問題、それから父兄と先生方の健康等に関する意識というような調査を行い、また給食物資の問題につきましてもその委員会で検討いたしまして、最近ようやく大体の結論を得まして、これから印刷をしたいというようなことがございます。その中におきましては、例えば学校体育活動、その他給食を含む家庭における食事等によりまして骨折にどのように影響しておるかというようなことで専門の先生方が、大体百遍以上になろうかと思いますが、従来いろんなところで研究されました骨折に関する調査を総合いたしまして分析して結論を出していただいております。その中におきましては、単に栄養だけでなくて、子供たちが幼少のころにしっかり運動して、骨ないし筋肉を鍛える、あるいは機敏性を養うということが骨折防止に非常に大きい影響があるというようなことが指摘されまして、私どもは、そういうことを踏まえまして、今後それに対応する団体としましての施策を考えていきたい。それと同時に、それを各学校現場にも普及いたしまして、現場におきましても最近子供たちの骨折が多いということが言われておりますが、そういうものの防止に役立てていただきたいというように考えております。そのようなことが一つ新しくでさましたメリットと言えようかと思います。  それから、大変残念でございますが、まだ今のところ事務所が一体になっておりませんので、三、四百メートル離れておりますが、そういうことで不便はございますけれども、やはり一体となったメリットを生かしたい。そういう意味では、人事交流等も考えていきたいというようなことで先般一人ずつの交流が実現いたしましたが、当初は、先生指摘のように、何か肌合いが合わないような、やはり三十年間の伝統の違いというものがございましたので、気分的にも何となく違和感がございましたが、最近ではお互いにかなり気楽に行き来しまして、気分的にも一体感が深まってきていると思います。そういう意味におきましては、やはり非常に狭い職場で一生を過ごすということよりも、いろんな仕事を覚えながらやっていくということで、今後そのような働きがいのある場所になっていくというようなメリットも今後深まっていくんではないかというふうに思っておる次第でございます。  以上でございます。
  48. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) ただいま健康会理事長が申し上げました点に尽きるわけでございますが、文部省といたしましても、児童生徒の健康保持増進の施策がいろんな角度から検討されて、そういった健康保持増進事業特別調査研究委員会の結論に基づいたいろいろな仕事をやっていきたい、そういうふうなことで統合メリットを上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  49. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 学校保健会と一体どのような関連を持つのかというようなことも含めて、私は、メリットと言い切れるかどうかはわかりませんが、しかし統合された職員の間に大変気分的にも交流しようというような雰囲気が見え始めたとおっしゃるわけでありますから、その点を正直にそのまま受け取りながら次に伺いたいのは、この統合されました健康会組織体制をちょっと御説明をいただきたいと思います。
  50. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 申すまでもございませんが、日本学校給食会日本学校安全会という団体があったわけでございます。それが統合いたしまして、理論的に考えましても、給食と安全の関係の従来の仕事はそのまま引き続いて継承してやっていくということでございますので、それを学校安全部、学校給食部というように整理をいたしました。それと、従来ございましたそれぞれの課の、庶務課とかいうような全般にわたる仕事をしておりますところを総務部というようにいたしました。ただ、問題としましては、経理関係はそれぞれの職場に非常に密接に関連しておるものでございますから、それを、それぞれにありました会計、経理の担当課を経理第一課、経理第二課というようにいたしました。それから庶務課、現在は総務課と言っておりますが、それを置きまして、全般にわたるいろんな日常の両部門の仕事の縁の下の力持ちといいますか、お世話をするというようなことでございます。それとあわせまして、やはり統合の実を上げていくということから、両方から出ました企画室というものを設けまして、そこで先ほど申し上げました児童生徒の健康増進に関する委員会のお世話をするというようなこと、予算的にも両部門を一体的にその企画室の方で考えていくというようなことにいたしました。それから、従来ございましたそれぞれの審議機関でございますけれども運営審議会とか評議員会というようなものでございましたが、それをまとめまして運営審議会といたしまして、人数を従来よりも若干ふやして三十五人ということで、両面にわたる御意見、御審議を賜るというような組織を設けました。それから、統合に伴いまして理事長とか役員関係が若干減少したというようなことがございますが、そのようなことで現在は組織をいたしておる次第でございます。人数の方で申し上げますと、現在二百九十一名でございます。  以上のような状況でございます。
  51. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 今、組織体制を御説明いただいたわけでありますけれども、そうしますと、経理につきましては、事務所が全然別で旧態依然たる状況の中で事務をやっているというように承ってよろしゅうございますか。
  52. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 例えば給食物資でございますと、非常に事務的に処理するものが多いんでございますけれども、お米とか、小麦とかいうことになりますけれども、全体が約四百億円余りの額になるわけでございます。それから、安全部門の災害共済給付、医療費とか見舞い金というようなものが約百三十億円ぐらいございまして、そういうことでございますので、日常の事務でございますから、それぞれの、離れたところに経理第一課、経理第二課を設けたというようなことがございまして、同じところでそれを処理することが非常に難しかったということでございます。ただ、同一法人でございますので、計画的に今後の予算を進めていくという点におきましては、先ほど申し上げましたような企画室というようなところで総合して考えていくという体制をとっておる次第でございます。
  53. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 一つ法人が二つの場所で経理をやるなんということは大変問題だろうと思うんですよね、事務があるというのは。これは、やっぱり一つになる、法人統合するというのは、そういうことだというふうに思うんですけれども、今二つの事務所になっているところにさらに今度は国立競技場が入ってくるわけですね、もしこの法律が成立をすれば。そうすると、事務所体制というのはどういうふうにしようという青写真のようなものがあると思いますけれども、いかがですか。
  54. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 現在、統合いたしますときに、事務所が形式的に言えば三つに相なると思います。したがって、その三つの事務所においてそれぞれ効率的に回るようにということで事務所におきます課の配置等は検討していかなきゃならぬのですが、このままでずっといくということには統合法人としての使命を果たすにはなかなか難しい問題があろうというふうに思っておりまして、将来やはり新しい庁舎というものを早急に建設すべき問題だろうというふうに考えております。
  55. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 まあ、体育研究研修センターも随分長いことかかっているわけでありますね。新しい庁舎を建設すると今言いましても、まだ考えている段階の話でありまして、これから随分長いことかかるんではないかと、こういうふうに思って おりますので、その青写真もやっぱり一つは私は見通しておいての統合でなければ意味がないんではないか、こんなふうなことを考えております。その場合に、事務所のことだけではなくって組織機構図、組織体制図、現在はこうこうあるけれども今度はこのようにしたいと、そういう青写真はありますでしょうか。
  56. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 新しい法人の機構図といたしましては、役員の下に実質的に仕事をいたします部というものをつくっているわけでございますが、総務部、経理部、それからいわゆる競技場を管轄します、競技場につきましても霞岳と代々木と西が丘と三つありますが、そういった競技場を管轄いたします部、それから学校安全の仕事をいたします部、そして学校給食仕事をいたします部ということで、五部の形態をとりたいというふうに思っております。
  57. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 競技場といいましても、三つの競技場があるわけでございますね。この名称を私見て、何と難しい、長ったらしい、魅力のない名前なんだろうかと、こう思うんですけれども日本体育学校健康センター法と、こういうのですけれども。やっぱり国立競技場という名称というのは物すごく国民に親しまれてきていますね。マラソンで、もう国立競技場のゴールが目に入ってきました、あと何周をしてなんという、こういう印象というのはすごく強いと思うんですけれども統合になりましたときに、この名称は消えるのですか、残っているのですか。
  58. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 法人の名前といたしましては、現在御提案申しております日本体育学校健康センターという名称に相なりますが、競技場のそれぞれの総称といたしましてはやはり国立競技場という名前が、今おっしゃいますように、国民に長い間で定着いたしております。したがって、国立競技場という名前をその後も使ってまいりたいというふうに考えております。
  59. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それで、名称の話なんですけれども、今まで、例えば学校へ行きますと、生徒がけがをした、あっ安全会の手続だ、これで終わったんですね。それがようやく三年前から健康会になって、三年間にようやく、あっ健康会だと、こうなったわけです。今度は何と言うんですか。
  60. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは、呼称のそういった略称をどういうふうにやっていくかというのは、おのずからそういった関係者の中から自然と生まれてくるというのが愛称といいますかそういったものだと思いますが、通常私たちが考えればセンターというふうに略称するんではなかろうかと、こういうふうに思います。
  61. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 まあ、本質的な質問でありませんからあれですけれども、センターというのは、地方へ行きますとこのごろは田舎でも米の集荷場なんて言いませんでライスセンターなんて言って、センターへ行こうとか老人何とかセンターへ行こうとかというふうになっておりますので、なかなかこのセンターというのがこういう内容を持ったものなんだよというように一人一人のところにまでは行き届かないのではないか、こういうふうに考えられて、名称というのは慎重にやっぱり研究をしていただきたかった、これはもう苦情を申し上げたいと思います。  さて、その中で学校給食部に関係して質問をいたしますけれども、この学校給食部に人件費が物資勘定で負担されている、つまり国費補助対象外の職員が十名いるわけですけれども、物資勘定で人間を雇う人件費を負担するというのは一体どういうふうに具体的にやっていらっしゃるのかということでございます。
  62. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 本来学校健康会の事務、従前で申しますと日本学校給食会日本学校安全会ということになるわけでございますが、そこの事務費は最近でございますと、基本的には国の補助で措置していただくというようなことになっておったわけでございます。しかるところ、小麦粉の関係におきまして流通経費を国から補助をいただいて日本学校給食会がそれを扱うというようなことになってまいりまして、その時点におきまして新しくふえました事業量をどうするかというようなことがあったのでございますが、なかなか容易でなかったんじゃないかと推察いたしますけれど、国庫補助を出しておいて、またさらに人件費を補助するということは二重に補助になるような感じもありますので、その点はひとつそういう国庫補助金の中におきまして小麦粉の扱いの中の人件費として物資経理の中で措置するということが決まったわけでございます。一般の人件費とか普通の事務費につきましては、私どもの会計の中では業務経理という中で措置されておりまして、それが大体、国庫補助をいただいて措置しているものでございますが、給食の物資の関係とそれから災害共済給付の関係につきましては、これは経理を別にするということが法定されております。  そのようなことで小麦粉の関係につきましては物資経理の方で当初措置するということが始まった経過がございます。以後、米飯給食の推進ということが出てまいりまして、同じように事務費の増加に伴う人件費をどう措置するかというようなことがあったのでございますが、その点につきましても非常に多額の割引をしていただいて供給するというようなことがございますので、そういう関連から同じような考えで物資経理の中でその辺は措置するということになり、また輸入牛肉を学校給食利用するという段階におきましても、輸入牛肉の場合には、まあ、先生御存じと思いますけれど、海外からはかなり安く入ってまいります。そういうことで国内の牛肉の価格との混乱を避けるということで、一般に使用されます輸入牛肉につきましても、食糧庁、畜産振興事業団でございますか、そういう関係におきまして例えば、まあ何種類がございますけれど、私どもが従来扱ってきましたものは現時点におきましてはキロ当たり百五十五円を上乗せをしまして販売価格にするというようなことがございます。そのようなことで、それを年間扱います数量でやりますと約二、三億円になったかと思いますが、それが冷凍庫の補助とかあるいは牛肉の利用の改善の講習会の経費というようなことになっておりますが、その中におきまして人件費としまして牛肉を扱う人の事務費も見ていただくと、これがやはり物資経理の中の問題でございます。そのようなことで三分野につきまして現在十人の方の人件費を賄っておるという状況でございます。
  63. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 これ非常に不思議な私は人間の採用方法だというふうに思うわけですけれども、そうしますと、給食部の方には牛肉さんと小麦さんと米さんのまあ職員がいらっしゃるわけですね。その十名について小麦粉の人は一体何年から、お米の人は何年から、牛肉の人は何年から何名、こういう詳しいことわかりますでしょうか。
  64. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 小麦粉の関係につきましては、四十六年に先ほど申し上げましたような流通関係を扱うということになりまして、その時点で七人の人が措置されております。人件費の額で申しますと。千二百五十五万円余でございますが、それが今日におきましては六十年度で申しますと、米飯給食の推進とともに小麦粉は扱う量が減少してまいっております。そのようなことで、現在では五人の人が小麦粉取り扱いの事務に物資経理の中で措置されておりまして、人件費は三千四百万円というような状況でございます。それから、米穀の関係につきましては、五十一年から学校給食に米飯を取り入れるというようなことになりまして、当初二人でございましたが現在では四人ということで二千四百万円の人件費がそれから支出されるということになっております。それから牛肉につきましては五十二年からでございますが、これは当初から現在に至るまで一人でございまして、給与費としまして八百二十五万円、人件費がいろんな諸経費を含めまして措置されている、合計いたしまして現時点では十人、六千六百四十二万円というような内容になっている次第でございます。
  65. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それで、私わからないのですけれども、牛肉、例えば私ども買いに行きますと、百グ ラム幾らだろう、こういう見方をするわけですよね。百グラム、この牛肉は神戸牛で二千円だとか、こんなのとても食べられない、すき焼きするには四百円だとか、きょうは特別サービスで三百八十円だとか、こういうふうに見ているのに、今キロ当たり百五十五円も上乗せするんですか。大変なことですね。二、三億円もあるのに、たった一人ここのところでは人件費を出しているというのは。あとの二、三億円なんて簡単に言いますけれども、二億と三億じゃ随分違うのですよ。その辺のところは数字の上では明確にどういうふうになっていますか。
  66. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 先ほどちょっと申し上げた輸入牛肉につきましては、キロ百五十五円というような上乗せを政府の方針で規定されておりまして、それをやりますと、私どもが扱っております牛肉の量が約二千トンでございます。そうしますと、ちょうどそれが三億円ぐらいになるわけでございまして、それにつきましてはそれを他の方に一般的には使わない、やはり輸入牛肉を活用していただくような方向に、結局そういう給食現場にそれを返していくというのが基本でございます。そのようなことからそういう取り扱い開始とともに輸入牛肉調整基金という特別会計のようなものを設けております。先ほどの約三億円をそれに使いまして、事業としましては、ちょっと申し上げますと、冷凍保管施設設備等助成事業というのが一つでございます。これは各学校等におきまして、冷凍の牛肉でございますので、それを特に僻地等ではある程度まとめて買って保管しておく、それが鮮度が落ちないように冷凍して保存しなきゃならぬということがございますので、そういうものの助成事業としまして冷凍庫を県給食会が買ったものを各学校現場に無償で提供するというような事業でございます。  それからもう一つは価格安定事業と申しますが、各県におきましていろんな扱い上、牛肉等にも物価の変動がございます。そのようなことで、キロ当たり、例えば六十年度でございますと五十円の補助というようなことで助成金にも使っておりますし、それからあとは普及宣伝事業としまして給食に牛肉をどのように利用するかというような、栄養士さん、調理士さんの、どう言いますか、研究なさるようなところには、その牛肉をわずかでございますが提供するというような事業がございます。それから、どのように今後対応していくかというような調査事業、それから管理事務費というようなことでございまして、その額を申し上げますと、冷凍保管施設等におきまして五千七百万円、それから価格安定化事業等で一億八千七百万円、それから普及宣伝事業が六百六十万円、調査事業が二百六十一万円、管理事務費が一千万円というような状況でございます。差し引き二千六百万円という残が生じますが、これは価格安定調整積立金としまして積み立てておりまして、輸入牛肉等一般の市価との関係で売買差損が生じた場合にはそれで補てんするというような仕組みになっておる次第でございます。
  67. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 長々御説明いただいて本当に恐縮なんですけれども、もう少し簡単にお願いをしたいと思います。  今、キロ当たり百五十五円上乗せしてあるお金、こうこうこういうふうなことをやっていますという御説明ありましたけれども、そのあれだって総務庁の行政監察結果を見ますと、例えば輸入牛肉を全く購入しない調理場に貸与しているものとか、あるいは県給食会の取引業者に貸しているようなものが見られるなんていって厳しい指摘もらっているわけですよね。だから、この学校給食会は利権の巣窟だなんて言われるのですよ、きちんとしないから。それとあわせましてこの十名分なんですけれども、衆議院でも我が党の佐藤徳雄さんが、これは法的にどういうふうな根拠に基づいて採用されているのかとありました。そのとき小麦粉の流通経費の中から出しましょうといってオーケーをしたときの、合意を得たときの出席者はだれだれだったですか。
  68. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) ちょっと当時の、あるいは質問聞き間違いかと思いますが、当時の関係者がだれか、ちょっと具体的には今覚えてないのでございますが。
  69. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省に伺いますけれども、その他の特殊法人でこういうふうに人件費は国庫補助金で出されるわけですよね。だから国立競技場なんか国庫補助金の単価が安いから大変な状況になっているわけでありまして、定員さえ満たすことができないような状況もあるわけでしょう。そういうことを考えてみますと、こういうある程度何か物に上乗せをしては人件費を稼ぐなんていうことになったら、どんどん特殊法人事業やって収入を上げたら、それで人を採用してもいいじゃないですか、こんな理論も成り立つのではないでしょうか。こういうことについてどのように文部省としてはお考えになっていらっしゃいますか。
  70. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 確かに物資経理の中で人件費を手当てするというようなことはほかの法人では見当たらないことでございます。ただ、昭和四十六年からやってきました仕事でございまして、そういったいろんな経緯の中で事柄としての考え方を申し上げれば、小麦粉の流通に携わる職員の流通経費というのは職員の給与費も、あるいは物件費も一切入りますから、その中で人件費を小麦粉の流通経費の中で見たんだというふうな形での説明はつくと思いますが、一般的な勘定の中で処理されているという形ではないということは認識いたしております。
  71. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部大臣にお伺いしますけれども、私はこの十名のこのような雇用関係というのは大変不透明な雇用関係だというふうに思うのですが、いかがですか。確かにこの法律を見てみますと、第二十三条に「学校給食用物資の売渡価格」、一、二とありまして、二項の中には「買入輸送、保管、加工、売渡し等に要する経費」とありますから、今局長がおっしゃったその「等」の中に無理やり押し込んでしまえばそれはそれで納得のいくものかもしれません。でもこれはあるべき雇用の体系ではない。したがって今後はこの十名の数は減らしていく方向にあるべきだというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
  72. 松永光

    国務大臣松永光君) この方々も正式に任命されているわけでありますから、正規の職員であることは間違いありません。問題はその財源措置でありまして、実は私の記憶は正確でありませんが、戦前あたりは土木事務所あたりの人件費の処理はこういうのがよくあったそうですよ。要するに一つ仕事をする場合には職員の分まで含めて一つ仕事をするという例もあったそうでありますが、戦後、特に最近は今局長の話にもありましたように、人件費人件費、その他の経費はその他の経費、こういうふうにやるのが通例であるわけでありまして、これは例外的なことだなと、しかし先ほど説明をいたしましたように、いろいろの経緯があってのことであるわけでありますから、こういうことは例外的なことであって、過去の経緯からいってやむを得ない措置としてやってきている、しかしそこで働いている人の立場は、これはきちんとして正規の職員として認めていかなきゃならぬというふうに私は思います。
  73. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省に聞いた方がいいんでしょうか、理事長に伺った方がいいんでしょうか。今私が問題にしているのは、このようなことはなくしていくべきだと、胸張ってやっぱり自分は特殊法人の職員なんだと、しかも三つ今度は合同無理やりにしようというわけですから、そういう条件をつくってあげるということの方が必要なんではないんだろうか。法的にやっぱり根拠がないような、そんな採用の方法というのはやっぱり問題があるというふうに思いますね。労働基準法なんかで採用するような場合には、雇用形態なんというのはきちんと明示しなきゃならないでしょう、就業規則だとか。そのような場合には一体どのようにして説明しながら採用するんですか。だから情実採用ではないかなどというようなことがいろんなところから私はうわさをされるのだと思います。それについて理事長いかがお考えですか。
  74. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 先ほど大臣からもお話 ございましたように、十名という、物資経理で給与費等が措置されてはおりますが、職員としましては国庫補助の職員と全く同等でございまして、一般の労働条件は同じように適用されております。理屈のつけよういろいろあろうかと思いますけれども、そういう意味では本人にとりましては全く不公平とか差別ということはございません。
  75. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 理事長、私が言っている意味がわからないんですよね。本人にとって金銭的な面では差別はないでしょうね。しかし特殊法人のそのお金の出る場所、国庫補助の対象外の職員であるという点では大きな身分上の私は差があるというふうに考えているわけで、そういうものをやっぱりなくしていくという方向にこれから努力をすべきであるということを注文をつけておきたいと思います。  さて去年の九月ですけれども、総務庁の行政監察の報告というのが出されております。その中で「日本学校健康会組織の簡素合理化」という点について本部組織を見直す必要がある、こういうことを言っておりますけれども、その理由として「学校給食関係業務については、管理部門を含め四課二室において四十一人が従事しているが、その組織体制をみると、承認物資等の廃止に伴って学校給食用の食品検査体制の在り方を検討する必要があるほか、物資の調達・管理体制については、次のように見直しの余地がみられる。」、①、②挙がっておりますけれども、「見直しの余地がみられる。」ということを理事長はどのように受けとめていらっしゃるか、文部省はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  76. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 先生指摘のような文書をいただいておるわけでございますが、実は承認物資の関係につきまして沿革的には前のいわゆる臨調におきまして承認物資を段階的に縮小し廃止するというような報告がなされております。そのようなことと関連しまして五十九年にも行政管理庁の方から物資についての指摘もいただいておりまして、その後総務庁でもそういう方向を引き継いでやってまいっておるわけでございますが、私ども実は承認物資につきましては一つはこういう考えを持っております。  学校給食の意義というようなものに関連してくるわけでございますが、食材料や家庭生活等が非常に現在変化しておりまして、食事に対する正しい理解と将来への望ましい食習慣を養うという観点からしますと、学校給食は極めて大切である、それから、食事を通じまして子供たちが同じかまの飯を食うとよく言われる心の交流をするという教育的意義も非常に大切であるというようなことを前提としますと、これが全国的に特に義務教育におきましては、やはりできるだけいい品質のものができるだけ低廉に供給されるということが教科書等に比較しましても望ましいというふうに考えられるわけでございます。その物資につきましては、また各都道府県におきまして、都市部、郡部、山間部等を通じましてそれがやはりできるだけ実現されなければならないというようなことを考えますと、全国的に安定的に物資を供給するというようなことで大量購入のメリットがあるというようなもの、特に山間僻地等にも支障のないように支給しなきゃならないというようなものにつきましては、健康会としてはいわゆる承認物資というものを今後とも最低限維持していかなきゃならないというような考えを持っております。そのようなことで総務庁にも対応いたしておる次第でございますが、これがやはり健康会の供給しますのは都道府県の学校給食会を通じまして供給いたしておるわけでございまして、別に強制的な押し売りというものは一切ございませんし、現場の需要に応ずるという体制は今後とも維持していかなきゃならぬというように考えております。  そのようなことで、総務庁の勧告にあります「承認物資等の廃止に伴って」というような点については、私どもどういいますか同意いたしかねるような気持ちを持っておる次第でございます。そのようなことでどの辺でそれがどういいますか最終的に維持されるかという点はまだわからないわけでございますけれども、そういう物資を扱う事務があります以上、やはり支障のないような事務体制は整備していかなきゃならぬというように思っております。いわゆる一般の定員削減につきましては、これは健康会といえども一般並みに措置、規制を受けておるわけでございまして、それ以上の措置はなかなか簡単にはできない、しかし今本当に物資が減った段階で事務量が低減したものについては、総務庁の指摘のように私ども今後十分検討していかなきゃならないというように考えております。  それから、もう一つの問題としましては食品の検査業務ということでございますが、健康会扱い物資は全部検査をいたしまして、添加物その他の点につきましても問題のないものを、一〇〇%問題のないというふうに信じておりますが、そういうものを供給いたしておりますし、あるいは都道府県からいろんな検査の依頼をいただくというようなこともかなりございますし、公的な民間団体からの検査依頼等もございますが、そういうものについては検査体制ということをある程度今後整備するという方向考えなきゃならぬ。  以上のような二つの方向から今後十分に事務組織等検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省にもお伺いしたいんですけれども、総理府の勧告というのは一体どのくらいの力を持つものかということも含めまして、この勧告の中にも、その十名については、これは違法だなんというようなことも言っていないし、認められないなんということも言っていないんですね。私はこのことは大変不満でありますけれども、しかし指定物資の一部及び承認物資を廃止することによってその調達業務は不要となると明確に出している。それを学校給食部としてはとても受け入れられませんということを、合意できないとおっしゃるんですから明確にされたんだというふうに思うんです。文部省はどうですか。
  78. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 承認物資を扱いました経緯というのは、御承知のとおり学校に物資を安定的に供給するということが主体で始まったわけでございます。したがって、それが昨今の世の中でいけば、そこまでのことは必要ないではないかというのが承認物資を廃止縮小していったらどうだという論拠になっておるわけでございまして、それにつきましては私たちもある程度必要のないものは廃止していこうということで健康会を御指導申し上げておりますが、そのことで五十八年度あるいは五十九年度、六十年度、六十一年度というそれぞれの年度におきまして廃止する物資というものを決めたものもございますし、これから決めていく過程にあるものもございます。しかしながら、将来承認物資全体をどうするのだということにつきましては、今後の検討課題だろうというふうに思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように承認物資をおこしました経緯から申し上げますと、学校に大量の物資を安定的に供給するということから始まったわけでございまして、そういった意味から必要のあるものもあろうかというふうに思うわけでございます。その辺は今後の検討の問題だろうというふうに思います。  そこでそういったことになりますと、ある程度物資課なり穀類課の職員というものについて、今の現体制でいいのかというのが総務庁からの御指摘でございまして、これにつきましてはある程度事業量が減ってきますから、それぞれの職員の削減ということを考えていく。しかしながら、片方、学校給食の中で一番求められておりますのはやっぱり物資の安全衛生の問題だというふうに思います。したがって、安全衛生の点検体制というものを健康会の中にしっかり位置づけていきたいというふうな物資扱いのところは軽くし、検査体制の方は重くしていくというふうなことで、今後の健康会の事務組織の見直しということに取りかかりたいというふうに思っておるわけでございます。
  79. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この勧告も定員を減らしなさいなんということを一言も言っていないんですし、私 ももう大変なお仕事をしていらっしゃるということをよくわかっていますから、そういうふうには思いませんけれども、しかし、給食部が本当に安全体制なんかについての身を入れたことをやっているかということについても私は大変な疑問があります。その点について質問をし直せばまた時間も相当必要なんできょうは一応この問題についてはこれでとどめておきまして次に移ります。  文部大臣、先ほど十人減らしますとおっしゃらなかったのですけれども、ひとつこういう形態でないで、正規の採用になるように努力をしていただきたいと思います。これは私の意見で終わります。  次に、この統合に関してのいろいろな問題点についてどのような解決の方向文部省としてはあるいは理事会としてはとられるかという点について伺います。  まず一つは、健康会競技場統合するわけですが、給与体系も違いますね。仕事の内容も違うわけですから、いろいろな面で今まで労働組合もしっかりしていたわけですから、ちゃんと労使話し合っていろんな条件をとっていると思います。そうするとその違いについて統合に賛成賛成というんなら私のところはどんな悪い条件でも結構ですからしていただきたいというのが働く者の立場だと思うんですけれども統合に賛成でない人たちなんですから、無理やりに統合しようとするからにはこれは労働条件を切り下げるなどということは絶対にするべきではないと思いますが、いかがお考えですか。
  80. 松永光

    国務大臣松永光君) 先生指摘のように、そこに働いている人の勤務条件、労働条件、そういったものについては最大限の配慮をすることが当然のことであると考えます。したがいまして、両法人の現行労働条件は新しくできるセンターにおいて十分尊重されるものと考えております。なお、給与については両法人の俸給表に多少の差があるのでありますけれども、新俸給表の作成に当たっては十分な調整を行うなど、職員にとって従来より不利にならないよう配慮したいと考えております。
  81. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 労働条件のほかにまだいろいろな問題点がたくさん残っているわけでありますね。そういう問題について理事長は組合とちゃんと話し合いをつけるということが私は大きな任務ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  82. 望月哲太郎

    参考人望月哲太郎君) 先生指摘のとおりでございます。  我々としても鋭意先生のおっしゃったような線で努力をしてまいりたいと思います。
  83. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 私も同様に考えております。
  84. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 今そう思っていますと言いましても、統合されますと新法人になるわけですね。そうすると、新法人は組合も多分統合するんでしょうから、それともやっぱり誠意を持って交渉をしていくということが前提でなければならないと思います。そういう引き継ぎといいますか、申し送りといいますか、ちゃんとやっていただけますか。
  85. 望月哲太郎

    参考人望月哲太郎君) きちっとするつもりでございます。
  86. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 同様に考えております。
  87. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省にお伺いしますけれども、この給料表の問題なんかというのは、文部省でやりますとか、法人でやりますとかということの以前に、もう一つ大蔵省が絡んでくるわけですね。その辺のところは十分な対策をしていただけますでしょうか、いかがですか。
  88. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 先ほど大臣から基本的な考え方を申し上げましたので、私といたしましてはその方針に沿って十分関係各省との折衝に当たりたいというふうに考えております。
  89. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私、先日バレーボールのワールドカップを見に行きましてね、物すごいですね、人気がね。入っていきますとわからないんですよね、何しろお上りさんですから、もうどこから出ていいかわからなくて、そしてちょっとお手洗いなんかに行って席に着こうなんとしますと段差があったりして非常に入りづらい。これは車いすの人、とても簡単にはこんなところ見に来るわけにいかない、やっぱりテレビで見るしかないのかななんか思いながら。やっぱりあそこの内部的な条件もきちんと整える、そんなことも提起をされているというふうに思うんですけれども、初めて行ったような人でもこう行ったら出ていけるとか、こう行ったらこうだとかというような方向指示みたいなものもわかりやすく親切にしてもらいたいとかという、そういうことを思ったわけですよね。そういう競技場運営なんかについて運営審議会というものがあるんですね。先ほど久保委員の方からも質問をされましたけれども、何か学識経験者とかそういう当たり前の――当たり前というのは悪いですね、みんなよく知っているような方々がそういう中に入っている。そうでない利用するような立場の人たちというのは入っていないから意見がなかなか出てこないと思う。そういう新しい展望を切り開くような運営審議会でなければならないと思うわけでありますが、その点はいかがですか。その点についてもやっぱり総務庁の勧告の中に運審が十分に機能してないんじゃないか。それは学校給食なんかについても触れておりますけれども、それはいかがでしょうか。
  90. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) センターの運営が、利用者の側にとってなるべくいい形で運営されるようにということで運営審議会というものが設けられていることは事実でございます。したがって、そういった運営審議会での十分な御活躍ということが期待されるわけでございますが、それと同時に、今おっしゃった入り口の表示であるとか、あるいは出口への案内板であるとかといったことは、やはりできますセンターあるいは競技場自身としても平素から考えるべきことだろうというふうに考えるわけでございます。  したがいまして、運営審議会委員につきましては、そういった利用者の代表という方も十分入れるような形で考えてまいりたいというふうに考えております。
  91. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それで、最後にこの収支差額補助方式というのについて、文部省としてはどういうふうに考えていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。  国庫補助がどんどん減ってくるわけですね。減ってくるけれども事業はどんどん拡大をしている。人間もそれに伴って必要になってくるけれども、とてもじゃないけれども人員をふやすなんてことはできない。そうしますと、民間委託が始まる、臨時で採用する、こういう状況があるわけです。そんなものを補うために、なるべく収入を拡大しなさいと。この収入を拡大しなさいと言って、一生懸命に働いて収入をうんともらったら、少しは何かこの働いた人たちに還元するような条件とか施設整備などがうんとよくなるとか、そんなようなことになっていかなければやりがいないじゃないですかね。それどのようにお考えになっていますか。
  92. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 基本的に特殊法人の収支というものをどう考えるかということにも相なるわけでございますが、見方によりますと、特殊法人は特殊法人で自己存立といいますか、収支相償わせてやっていくのは特殊法人の筋ではないかというふうな御意見もあるわけでございますが、そういう形では今現在の文部省の特殊法人は回ってまいりません。したがって、運営費にかかわる経費については国庫が補助をしていくという形で、収入を上げて、なお足りないところについて国庫補助をするというシステムになっておりますので、今御指摘のように、収入が上がれば補助金の方が減っていくではないかというそういった外形的な形態になっているわけでございますが、現在の大変財政事情の厳しい中でございますので、私たちはやはりそういった点での収入を上げるということも必要なことだろうというふうに思うわけでございます。
  93. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 収入を上げたら上げたなりの内容の充実というものがなければならないというふう に思います。  そういう中で、この国立競技場がつくられた当初の目的があるわけですね。その目的から逸脱するようなこの金を稼げ金を稼げというようなやり方というのは私は間違っているんじゃないかというふうに思います。図書館なんかにしたって、じゃ閲覧料を取ってその収支バランスをとりましょうなんて、そんなことじゃないと思うんですよね。国立競技場のつくられた目的に沿えば、それはその目的にふさわしい事業をやる、それなりの収入で結構だと、こういうことを私はやっぱりきちんと把握をしておいていただかないと、まるで働きマシンみたいにやられたんではかなわないというふうに思います。その意味で、使用料の問題だとか貸し出しの条件だとか、たくさん質問したかったわけでありますけれども、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。
  94. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 三年前に学校安全会と学校給食会統合し、さらに今回日本日本学校健康会国立競技場の二つの特殊法人統合する。それで新しく日本体育学校健康センター設置するという法律を今私たちは審議をしております。  私の感じとして、ただ臨時行政調査会の答申を金科玉条のものとしてひたすら数合わせ、そして文部省は他省庁に並んでの数減らし、そういうことだけが目的となっているような今回の統合には賛成できないんであります。法案のこの提案理由には統合の利点がもっともらしくこう述べられていますが、統合しなくてもやる気が文部省なり大蔵省にあれば十分できる現況にあると私は見ています。要するに、やる気がないからできないというだけの結論であります。私は、こうした立場に立って、この国立競技場日本学校健康会現状の改善をこの法案審議という中で求めてみたいと思います。  まず、国立競技場が管理委託として委託されている西が丘競技場国有地の問題について伺います。  国立競技場に伺いますが、西が丘競技場の管理委託土地を現在も競技場として――私も写真をちょっと参考に見せてもらっておりますが、使用しているんですが、出資をされた土地と管理委託を受けている土地との現状、何か問題があるのかないのか、また、この利用状況はどうか、簡単に現況を説明いただきたいと思います。
  95. 五十嵐淳

    参考人五十嵐淳君) 先生お尋ねの第一点でございますけれども、現在、受託管理地と出資地との間に何か不都合なことがあるかということが第一点のことであろうというふうに理解いたしております。  この点につきましては、現在、使用上、外部の方に対する利用等につきまして何らの支障も行われていないというふうに御答弁申し上げたいと思うわけでございます。  それから、現状どういうふうになっておるのかという点でございますが、管理受託地につきましては、運動場や庭球場等を含めまして二万六千九百九十七平米というような管理受託地がございます。それから、出資地は四万二千平米ということになっておりまして、ここにはサッカー場とかあるいは体育館及び管理棟その他庭球場等が設置されておるわけでございます。  それらの利用状況という第三点でございますけれども利用状況につきましては、運動場及び庭球場、管理受託地の運動場及び庭球場につきましては大変に利用がされておるということでございます。それから、もちろん出資地の四万二千平米、この中にはサッカー場や先ほど申しました体育館、庭球場等があるわけでございます。これらのところにつきましても、大変よく利用されておるというふうに御答弁申し上げたいと思います。
  96. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 管理受託土地として何ら問題がないのに、なぜ大蔵省に対して理事長名でもってそれを出資という形で取得させてくれという要望を出されるんですか、問題がないのに。
  97. 五十嵐淳

    参考人五十嵐淳君) 御答弁申し上げます。  私、大変恐縮でございますけれども、外部の方々利用していただく分につきまして問題はないというふうに私御答弁申し上げたつもりでございます。  それで、大蔵省に対しまして管理受託地を出資していただきたいといいますのは、この管理受託地につきましてはいろいろと条件がついております。例えば建物等については、恒久物等については建設してはならないとか、そういうような点がございまして、こちら側の利用方法といたしましては、この出資地と同様に一体化していろいろの建造物等も建てたり、そういうことも将来としては考えたいというような観点から、我が方の出資地としていただきたいというふうに願って大蔵省にお願いを申し上げておるという次第でございます。
  98. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あなたの考えは間違っていますよね。利用する側も不便を感じているんでしょう、あなたがおっしゃるように。恒久的なきちっとした更衣室とかシャワーがあるとか体育施設として十分利用できるようなものつくれないんでしょう、そこには。それは何も国立競技場側の不便じゃなくて利用する市民なり皆さん方の不便ということになるんでしょう。利用する側の人が不便がどうかという判断に立たなきゃ、競技場が不便がどうかの問題じゃないでしょう。だからあなたの判断は間違っていますよ。この問題は別の問題ですから、ちょっと今のような不用意な発言は慎んでもらいたいと思う。  それで大蔵省に聞きますが、国有地の受託管理の承認ですが、これは昭和四十六年五月二十五日の国有財産審議会で行われたようですが、これなぜ国立競技場の追加出資の陳情が認められずにここが受託管理という形式になったのですか。
  99. 川信雄

    説明員(川信雄君) 御指摘土地につきましては、三十三年十二月に米軍から返還された土地でございますけれども昭和三十七年八月に営団地下鉄七号線の用地として都市計画決定が行われております。しかしながら、地下鉄七号線用地としての事業決定の見通しが立っていないという状況でございましたので、先生指摘のとおり昭和四十六年五月の国有財産関東地方審議会の答申を得まして、昭和四十七年九月に国立競技場に対しまして、隣接する西が丘競技場の運動広場等の一部として管理委託を行っているところでございます。
  100. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、管理委託をさせた主たる理由はそこに地下鉄が走り車庫にする将来計画があるということのようでありますが、それでは現在もなお車庫を建設するという予定があるんですか。
  101. 川信雄

    説明員(川信雄君) この土地につきましては、昭和五十九年八月に営団地下鉄の方から地下鉄用地としての要望取り下げ書が出されております。
  102. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、大蔵省としてその土地の管理委託をした理由はその時点でなくなったというふうに判断していいんですね。
  103. 川信雄

    説明員(川信雄君) この件につきましては、その後ことしの八月に国立競技場の方から要望書が提出されております。この土地の管理委託の契約というのは昭和六十二年八月末までというふうになっております。私どもとしましては、この土地の処理方針につきまして国立競技場の要望とかあるいは地元の要望等を踏まえまして今後検討してまいりたい、このように考えております。
  104. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 すると、大蔵省としては、六十二年八月まで現在契約があるのでそれまでは国立競技場に管理委託をしてもらうが、その後は管理委託という状況じゃなくて新しい形の対応をするんだという判断を持っている、こういうふうに考えてよろしいか。
  105. 川信雄

    説明員(川信雄君) そのときまでにいろいろな要望等の調整がつきますれば、その時点で処理計画をできるだけ早く策定したいということは考えておりますけれども、その六十二年八月になりましてもまだ調整がつかないという場合には、今後の処理方針について検討するため引き続き国立競技場に管理委託することになろうかと、このように考えております。
  106. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その場合の管理委託というのは長 期にわたるんじゃなくて短期的なものと考えてよろしいか。
  107. 川信雄

    説明員(川信雄君) 管理委託といいますのは物事の性格からしまして暫定的使用ということを前提にしておりますので、余り長期にわたることは最初からは想定していないということでございます。
  108. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 前回は十二年も管理委託をしてきたわけでありますが、そこで文部大臣に伺います。  このような状態にありまして、ここにおられる望月理事長は竹下大蔵大臣あてにこの管理委託を受けている二万六千九百九十七平米の土地の取得について要望書を出しておられるわけです。その方法としては国立競技場法第四条第二項の規定による出資でお願いしたい、こういう要望を出しておられるわけで、これについて文部大臣は知らぬというわけにいかぬ、こう思うんですね。これは独立したものだから知らぬと言われてもやむを得ぬかもしれませんが、そういう文部省の意向とは全然別のことを今の力関係ではやれるはずがないと思うし、文部大臣もこの出資ということについて、やはりそれでいいだろうということでこういう要望書が出たんだと私は見ます。それで文部大臣、今の状況の中でやはり私は追加出資という国立競技場の要望をかなえてやるために全力を挙げて文部省としても働きかけるべきだ、こう考えますが、いかがですか。
  109. 松永光

    国務大臣松永光君) スポーツ施設を整備して、そしてスポーツの普及、発展を図っていくという立場からすれば、できれば出資していただいた方がやりやすいわけでありますから、私ども立場は、しかし、持ち主の大蔵省の方は国の財政事情が極めて厳しい折でございますから、なかなかそうはいかぬぞということなんでございましょう。私の方はできれば出資をしていただいて、そしてすばらしいものをつくりたいという願望は持っておるわけでありまして、そういう考え方でその持ち主さんというか、大蔵省の方と折衝を続けてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  110. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 再度文部大臣にお願いしておきたいんですが、日本体育学校健康センター法案を今審議しておりまして、その法律案の第一条の目的のところには、「その設置する体育施設の適切かつ効率的な運営、」ということが第一に挙げられております。今論議している西が丘競技場の西側にあるこの土地は、十三年間国立競技場が管理委託地ということでスポーツ用地に活用をしてきて、広く地域住民の皆さん利用され活用され非常に利用率も高いというふうに聞いているんですね。そういう状況から考えまして、国民体育の普及、振興を図っていくために、文字どおりこの第一条の目的に書いてあるように、「適切かつ効率的な運営」をしていくということになれば、一つ競技場の中でこちらが委託地でこちらが自分のところのものだというような、これでは適切かつ効率的な運営はできないと思う。私は反対ですけれども、せっかく一つのものにまとめようとするんなら、せめて手土産というような、言葉は悪いかしらぬけれども一つになったんだからこのぐらいのことはきちっと文部省としてもやりましたよというぐらいのことをやらぬと、目的にはいいことが書いてあるけれども、実態として何ら力にならぬということになるんじゃないか、こう思いますので、この契約の切れる六十二年の八月までにひとつ全力を挙げて、文部大臣として、これ見なさい、統合したらこれだけのことができましたよということを示すぐらいのことをやってもらわなければ困ると思う。どうですか。
  111. 松永光

    国務大臣松永光君) 先ほども申したとおり、スポーツ振興を図る、それから設備の整備もして、そして多くの国民にそれを提供できるという状態をつくり上げるのが私どもの責務でありますけれども、何せ土地問題等の場合には一般国民の間でもそうですけれども、地主さんの方が強いですからね、特に大蔵省強うございますから、まあ先生の激励をいただきまして、一生懸命大蔵省とひとつ折衝してまいりたいというふうに考えるわけであります。
  112. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ぜひともひとつ頑張ってください。  次に、日本学校健康会事業一つであります学校給食の問題について伺います。  まず初めに、日本学校健康会理事長全国学校給食会連合会の会長も兼ねておられます。日本学校健康会とこの全国学校給食会連合会というのはいかなる関係にあるのか、ひとつ簡単に御説明いただきたい。
  113. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 日本学校健康会学校給食に関する特殊法人一つでございますが、その事業には大きく分けて先ほど来お話し申し上げましたように二つございますけれども学校安全に関しましては各都道府県に支部組織が設けられております。それから一方、学校給食に関しましては各都道府県に財団法人として独立して認可されております。まあ、名称は若干違うものもございますけれども、各都道府県の学校給食会というものがございます。それぞれ独立しておるわけでございます。そのようなことで、この全国学校給食会連合会と申しますのは各都道府県学校給食会日本学校健康会を会員として組織するということになっておりまして、目的は、会員団体相互の連絡提携を密にして会員団体の充実強化と学校給食の改善充実に寄与することを目的とするということでいろんな事業をやっておるわけでございます。  その中で、会長、副会長理事会の推薦により総会において選任するということで、私もそのようなことで選任されまして、全総連の会長という仕事もあわせてやらしていただいておるという状況でございます。
  114. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは全国学校給食会連合会の会長という立場であなたにお伺いします。  今この東京都で財団法人学校給食会東京都の教育委員会の委託を受けて定時制高校三十校に対し学校給食民間業者に委託して学校給食が行われているというふうに私は理解をしておるんですが、このことについてあなたは御存じですか。
  115. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 聞いております。
  116. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 後ほどまたそのことについてお伺いをします。  それで、私は財団法人東京学校給食会から参考人に来ていただいておりますが、おられますか。初めは教育長においでいただこうと思ったんですが、急なことでありまして、調整ができませんでした。それで学校給食会の方からおいでをいただきました。  それで、まず参考人にどのような形でこの民間業者委託をされているのかという実態についてお伺いしたいんですが、私の方からこういうことかということを言いますから、間違いないならそういうことですと言っていただいた方が早いと思います、時間がありませんのでね。  それで、こんなものにまとめてみたんです、見えますか。(図表掲示)  この真ん中に学校給食会がありまして、こっちに都教委があって、それでこの都教委が財団法人東京学校給食会学校給食についての委託契約を行って、この委託契約を受けた学校給食会がまた民間の業者に再び委託をする、まあ、建設業で言うたら孫請みたいな形のものがここにできて、それでこの横に社団法人日本給食サービス協会というのがあって、そしてここにどういう業者に学校へ労働者を派遣したらいいかということの相談をして、ここの傘下にある業者をここにそうして指定する、こういう形。これがどんなところかということはまた別の機会に私ただしたいと思います。そしてここの供給業者、民間の業者が学校に労働者を、調理をする人を派遣をして、そしてそれぞれの学校で給食業務をやらしている。そしてここに都立学校というものがあって、都立学校というのはこの学校給食についてはこの図と関係なくもなくて、ここで実線でやっているけれども、この関係を持つことすら本当はおかしいんでありますが、こうもしなければ私の概念では都立学校学校とここの給食と今結びつきませんから ここ結びつけたんですが、大体いわばこういうことで行われているという僕の理解はそれでいいのかどうか、この基本的な理解の上で間違いがあるのかどうか、それをまず一言お伺いをしたいと思います。
  117. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 突然でございまして、先生の御質問に対して適切に御説明ができるかどうか、もし相当でなかった場合においてはお許しをいただきたいと思います。  今の御質問でございますが、東京都の教育委員会学校給食の業務の中の調理という業務について私ども東京都の学校給食会に委託をし、私どもはそれを受託者の立場で受けております。そして、その委託を受けた学校給食業務の中の調理という業務につきまして、都内のそういった十分な経験のある業者の団体であります日本給食サービス協会にお願いをして業者の御推薦をいただいて、そしてその中から一定の基準で私どもは選定をいたしまして、そして本年度でいいますと三十校ございますが、それをグループ化してそれぞれのグループについて業者からの見積もりをいただいて、そして適切な価格を指した者につきましてこちらが選定をする、そして都教委の承認をいただく、こういうことでございます。  このことは何も調理業務についてそうやっているだけではございませんで、私ども東京都の学校給食会は、パンの委託加工にしましても、あるいはめんの方の委託加工につきましても、あるいは他の道府県では物資の配送につきましては大体大きな倉庫を建てて自分のところでやっているわけでございますが、私どもは物資の配送につきましても、やはりこういった東京都の事情を考えて、最も適正でかつ迅速に円滑に行うことのできる業者に委託をしてやっている。そういうことで、給食にかかわる業務はいろいろありますが、そういったこと等々の実績も踏まえながら、かつ都立高校の給食の調理業務が円滑にいくような業者を選んで、それに調理の業務を委託しておる。したがって、それを受けた業者は私どもとの契約、その中身における業務方法に基づく非常に細かい約束事項がございますが、それに従って調理業務を学校で行う。その調理業務だけでございますかそこにかかわる献立は実施者である学校がおつくりになる。献立にかかわる物資はやはり学校で調達をする。そして、私ども学校からお借りいたしました施設設備、器材器具を使っていただいて、そして学校で今の委託をした業者に調理をしていただく、こういうシステムに相なっております。以上でございます。
  118. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 幾つかちょっと参考人に聞きますが、委託契約を学校給食会がこの中に入ってやっておるんですが、委託料等金銭の授受というものが東京教育委員会なりあるいはまた業者との関係の中であるのですか、ないのですか。
  119. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 御質問でございますが、調理の業務を委託するわけでございますから、その委託する業務についての委託料はその業者に給食会がお支払いをいたしております。
  120. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その支払う金額は東京都から学校給食会が引き受けるんですか。
  121. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) そのとおりでございます。
  122. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その間に手数料というふうなものは介在するんですか、しないんですか。
  123. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) ございません。手数料はございません。
  124. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 調理業務の責任は最終的にはどこにあるんですか。
  125. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 学校給食につきましては、先生も既に御案内かと存じますが、都立学校における学校給食の総括の管理責任は東京教育委員会にございます。それを実施する、実施機関である学校においても実施者としての責任がございます。本件のような調理業務を委託した場合における、調理業務から来る例えば事故等のかかる責任につきましては、これはもう先生も御案内だと思いますが、その委託を受けている業者の責に帰する事故であるならば、直接的にはその業者と、それから給食会がこれを委託しているわけですから、給食会と業者が直接の責任がある、そして学校にもそういう点責任がありますけれども、総括的な責任は管理者でございます東京都の教育委員会にあると考えております。
  126. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 責任の所在はそれぞれの契約のところに明記されてあるんですか。
  127. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) それは契約の際にそれぞれ東京教育委員会あるいは東京学校給食会、さらには業者の間で役割の分担といいますか、事務の分担をいたしまして、今の責任問題につきましてはそれにかかわっていくような対応が起きてくるかと思います。私が最初申し上げましたのは、これは基本的な構造を申し上げたわけでございます。
  128. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 参考までに後ほどそれぞれずっと契約をしていく関係の都教委から最終の学校で働く派遣労働者の関係のところまで、調理師が行くところまでの関係の契約とか、いろんなすべての書類を私に見せていただくことはできませんか。
  129. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) これは実は、この契約につきましては大変申しにくいことでございますけれども東京教育委員会と私どもとそれから業者の三者にかかわる実は契約でございまして、私は本日は給食会の立場で参っておりますので、本日、先生ただいまお話があったことにつきましては、先生からそういう御要望があったと関係者にお伝えしたいと思います。
  130. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それで、学校の調理室で調理をする人たちは、これは一つ学校に何人ずつぐらい行くようになっているんですか。
  131. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 現在三十校を十六社で分担していただいております。大体一業者一校のところもございますし、二校のところもございます。そして少ない生徒数のところでは三十名くらい、多いところでは三百名を若干超えます。したがいまして、私どもはこの調理が適切かつ円滑に、衛生かつ安全的に決められた給食時間に、しかも今までより質を落とさないでやっていくんだという契約内容になっておりますから、それに必要な、各業者によって違いますが、派遣人員はそれぞれ違うようでございます。
  132. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そこで大体、労働省来ておられますね、今ので状況わかったと思いますが、そこで一、二お伺いをいたします。  まず私は、今聞いた範囲における民間委託の実態は職業安定法上、疑義を感じます。  そのまず第一の疑義は、これ労働省に解明を、見解をいただきたいんですが、今の方法が仮に請負事業であるというふうに考えたとしましても、職業安定法施行規則の第四条に、この請負契約というものに関しての厳格な四つの規制があります。もしそれに逸脱すると、これは労側者供給の事業を勝手にやったということで、これは法律違反に問われるということになっております。今のは明らかにこれは労働者を民間委託、学校に派遣しているという形態でありますね。そこでつくったものを持っていくんじゃなくて、学校で調理員が派遣されてそこで食事をつくっているという形態なんです。  この場合に、職業安定法の中に、まず四号がこういうのがあります。「自ら提供する機械、設備、器材若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」ということを書いてあるんですが、学校の調理室の施設設備はすべてこれは都のものでありまして、そしてそこに提供する材料も全部あれです。ただそこには調理師という人が行って、そしてそこで調理をする、こういう関係なんでありますね。そしてその場合に、それではその人たちが本当に「専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業」というふうな範疇の中に厳格に規定できるのかというと、僕はそういうことにはならないと思うんです。  それと同時に、だれが一体責任を持つかという、「作業に従事する労働者に対し、使用者として法 律に規定されたすべての義務を負う」という三号の問題についても、今非常にあいまいなことを言っているんです。学校で働いている調理員という人たちの雇用主はそれぞれの十六の民間の外食産業の人たちであります。雇用責任を持っているんですね。それで労働条件から何からすべてその人たちの掌握のもとでやっているんですよ。にもかかわらず、学校がその調理員について責任を持つと言いました、今参考人は。そんなこと責任が持てるんですか。栄養士が自分のつくった献立の問題について、全然違う民間の、そういう違う管理下にある人について指図し指揮したら、これはまた違反になるでしょう。今そういうことがここで行われているんですよね。だからあなたも今の話ですからはっきりとそうだと言い切れぬ面があると思いますが、私は職安法施行規則四条に対して違反の疑義がある、こう見ているんですが、どういう見解をお持ちですか。
  133. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) 先生がおっしゃいましたように、学校給食の調理を地方公共団体なりが民間に委託する場合、調理人を送り込んで業務を処理するという方式でやっておられる場合がある。請負の形式でやっておられるということですが、受託者である民間の従業員が他の事業所に行って業務をやるということの関係で、今先生おっしゃいましたように職業安定法四十四条で禁止しております労働者供給事業との関係が問題になってくると思います。  そこで、労働省としましては、従来からも請負契約で雇用する労働者を他社あるいは他人の施設内で作業につかせる、こういう場合には契約で受注の範囲をまず明確にしてもらう、あるいは作業の完成について責任をその請負事業主が全部負ってもらう、あるいは個々の労働者に対しても請負事業主が使用者としての責任を負ってもらう、こういう指導をしているところでございまして、もし本件につきましても職業安定法四十四条との関係で問題があれば必要な指導なりをしてまいりたいというように考えております。  先生おっしゃいました施行規則四条との関係でございますが、施行規則四条の四号には先生おっしゃいましたような労働者供給事業に該当しないための要件が、物理的要件、施設なりの要件と、それから技術的要件、「企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする」という二つの要件が書いてございます。これはいずれかを満たせばいいということでございまして、学校の調理業務につきましては学校の栄養士さんが作成した献立に示されたとおりに限られた時間内に大量の給食を作成する、こういうことでございますので、一般的には業者としての企画性といいますか、専門性といいますか、そういうものが満たし得るのではないかというふうに考えておりますが、具体的には個々の事例に即してもし問題があれば指導していく、こういうことで考えております。
  134. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 再度、労働省に聞きますが、具体的に学校長の責任というものは、そこに働いている労働者に対しては何にもないというふうに考えますが、どうですか。
  135. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) 学校長は、今おっしゃいましたのは、その調理をやっている労働者について責任があるかということでございますが、直接は責任がないと思います。
  136. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 責任のない者がその指揮をし、命令をし、監督をして作業の中身にいろいろ口出しをするということは、これは法律に違反するんじゃないですか。
  137. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) 栄養士の方がその献立をつくって示すというのは注文、請負でいけば注文に相当すると思いますので、その範囲でいろいろ監督するといいますか、いろいろお願いするといいますか、そういうことはあろうかと思いますが、それを越えて直接指揮する。先生がおっしゃいましたように、学校の従業員のごとくに指揮するというようなことになりますと、問題があると思います。
  138. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、整理して言えば、学校長自分の、同じ都の職員として、あるいは学校の教職員として同じ任命権者にあって、同じような労働条件、法律のもとに指揮監督を受ける立場でない人が学校の調理室に来て、それは別のところに指揮命令のある人が、こういう関係ですよね。そういうときに、純粋に言えば、そこの人に対してもし指揮命令し、監督することができるというようなことになれば、これは大問題ですよね。そういうようなことがあって、人材派遣法というふうなものが派遣元と派遣先の責任を明確にしなければ混乱が起こるといって、ああいう法律が僕はできたと、こう思うんですね。だけれども、今はその法律はまだ施行されてないですね、来年の七月から、目下準備中ですよね。だから、今こういう形態というのは、文字どおり、一番問題のあることを法律によって整理しなければならないような事態を僕はやっていると、こう見るんですよね。労働省の見解はいかがですか。
  139. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) ちょっと繰り返しになりますけれども学校側の調理師さんがつくられた献立に基づいてつくってもらう。その範囲内で学校側が、何といいますか、注文を出すということは構わないと思いますが、その限度を超えて直接に学校側がその従業員の方に直接指揮するということになると問題があるというふうに考えております。
  140. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 再度聞きますが、調理室の管理とか安全衛生、これはだれが責任を持つんですか、そういう場合は。
  141. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) 調理室そのものは、普通は学校が責任を持たれるということになろうかと思いますが。
  142. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、もう何かわからぬようになることがある。  それで、もうこればっかりにかかっておられませんが、ひとつ労働省にこの問題の事実関係というものを一度解明するために、実態調査を僕はやっていただきたい、こう思うんですが、いかがですか。
  143. 坂根俊孝

    説明員(坂根俊孝君) 今、御指摘いろいろあった点を踏まえまして、実態についてもできるだけ調べて、適切な対応をとりたいというふうに考えております。
  144. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 文部大臣にお伺いをしますが、学校給食民間委託あるいは民間業者にそこの部分を任してしまえばいいんじゃないかという形の中で起こっている一つの現象を私は今取り上げました。  私は、この東京都の教育委員会がやっている定時制高校の給食の調理業務の民間委託のこのやり方ですね。東京学校給食会が中に入るということも非常に紛らわしいし、そこの給食会が民間業者と契約して、そして調理職員を派遣するという、このやり方ですね。そこに、やはり問題が幾つも介在し、内在する要件というものを持っているし、現に契約というものが本当に現在のこの労働法規に照らして間違いのないものかどうかという点についても、私は疑義を持つものであります。  しかも、その学校給食というのが、定時制とはいえ、やはり教育一環としてなされているものの中に、学校の校長の指揮監督下にない者が学校の中にあって、それで、そこで子供の生命に関係するような食べ物の問題がそこで行われているという形、僕はこれはもう教育上、非常に好ましくない現象だと考えるんです。したがってこの問題について、文部省も安易にこうした問題について認めていくということじゃなくて、この問題の是非をひとつただしていただき、解明をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  145. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校給食の実施についての責任はだれが負うか、いわゆる生徒に対しての責任でございますが、これは設置者であります都道府県なら都道府県の教育委員会が負うということで私たちは考えておりますが、したがって、学校給食が行われますときに都道府県の教育委員会が責任が持てる体制でやっていくということに相なります。そのときに私たちは、調理業務を民間に委託する場合であっても、献立の作成とか、あるいは物資の調達とか、そういったことについ て、設置者であります都道府県の教育委員会が責任が持てる体制を持って、今の学校給食業務の運営の合理化を設置者としてお考えになるならば、そういった方向でお考えくださいというふうな通達を一月にお出ししたわけでございます。もちろん、そのときの通達の内容は、民間委託だけではございませんで、パートタイマーの導入でありますとか、あるいは共同調理場への奨励でありますとか、そういったものを内容にいたしておりますが、要は学校給食についての質の低下を来さないということを前提にいたし、そして学校給食の実施者であります教育委員会の責任体制がとれるという前提においてであるわけでございます。したがって、東京都の教育委員会が今回おとりになりましたことにつきましては、そういった前提のもとで見ますときには私の方は支障を感じていないというのが現状でございます。
  146. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 文部省におられる方はのんきですね。気楽だと言いたいですよ。責任をとるためにと言って、教育委員会民間業者の責任をとるといったって、その中に学校給食会があり、もちろん学校給食会理事長東京都の教育長は同一人ですからね、それはまことに結構なことですよ。それは右から左にできるでしょう。「おい、君、はい」と言って自分でやっておったらいいんだから。こうやると「ふん」と。こんな契約、そのものが私、そこに果たして契約ということの中におけるチェックが働くのか。これは何も働きませんよ。「おい、君のところに十万渡すぞ。はい」で自分で言うとったらいいんだから。  大臣、こういうばかげたことが上にあって、それで民間業者とこうやっておるんですよ。それで、その民間業者が直接つくるんじゃなくて、それはまた学校へ人を派遣して、そこで学校でつくらしている。そのつくっている調理の現場でだれが責任を持つかというのは、これは持ちようがないですよ、都の教育委員会が持てといっても。あなたは責任を持てるでしょうなんと言うけれども。そうしたら、その学校長に対して責任を――今までだったら学校長に対して責任を持たせることはできたでしょう。しかし、今度は学校長が責任を持とうとしても、自分の指揮命令する部下じゃないわけですよ。あるいはそういう関係にない形が入ってきておるんですよ。もしそれを関係づけたら、今の労働法規上違反になるということが、そこに現にある。そういうことが現に強引に行われているんですよ。  だから、責任が持ちようがない体制があるにもかかわらず、あなたは責任があると言うんですから、これは一遍、もっと論議を僕はしたいと思うし、それから質の低下を来さないなんて、そこで大きな顔をしてあなたはおっしゃったけれども、実際、質の低下でこれほど質の低下を来すことはあなた、ないでしょう、だれが考えてみても。学校がその施設を提供するけれども、そこで一体どういう人がやるかというようなことについては、全部民間の業者がするのであって、教育委員会学校も責任はとれない。栄養士さんさえも、それに対して何か話はできても、具体的に物が言えない。  今、学校の中で給食検討委員会とかいう、運営委員会というようなものがあって、そして学校については、そこの調理する人もみんな一緒になってどうするかということが一つの体制としてあるんですよ。ところが、そこだけがぶすっと切り離されてしまって、質の低下を来さないなんて、そんな寝言みたいなことを言ってもろうたって、学校ではどうにもならぬですよ。本当にどうしようもないな、文部省の……。だから、もう学校給食課なんて文部省の中からなくしてしまえと、一番それが行革で手っ取り早い一番いい方法じゃないかと僕も三年ほど前に言うたことがあるんですけれども、本当にそういう感じがいたします。それはもう厳重なひとつ反省を求めたいと思うんですが、文部大臣も今おっしゃった局長と同じような考えをお持ちですか。今の現状を聞いて、教育委員会が本当に子供の命にかかわる学校給食をですよ、健康を、心と体をつくり上げていくそういうもとになる学校給食という教育上の任務位置づけをやって、今のような形態が前の状態よりもより責任がとれる体制と思いますか。あるいはまた、質の低下は来さないじゃなくて、より質の高いものを子供に与えることができると文部省考えになりますか。大臣がもし局長と同じようなことを言えば、これは文部大臣失格だと私は思う。
  147. 松永光

    国務大臣松永光君) 先ほど局長がお答えいたしましたように、我々の方で都道府県教育委員会に出した通知というのは、学校給食というものが学校の場でなされるものでありますから、教育活動の一環でもあることでありますから、大事なことは質の低下を招かないことと、そのためには献立の作成等は栄養士がやること、そしてまた物資の調達等については設置者が責任を持ってこれをやること等々設置者の責任、したがって設置者が目の届くような状態で責任を負えるような体制でやるということを前提にして合理化は考えていただきたいというふうに通知を出しておるわけであります。その条件を満たす形でそれぞれの設置者が経費のむだを省くというやり方でやっていただくことを我々としては希望しているところなのでございます。
  148. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 給食会の参考人の方にお伺いしますが、学校で物資は直接自分たちで調達すると言いましたが、学校給食会学校で調理に使う材料ですね、それについては何もかかわらないんですか。
  149. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 調理委託をしておる三十校の学校につきましては、献立は学校が、ということは栄養士さんが立てるようにいたしました。それから物資につきましては、これはほかの学校も皆同様でございますけれども学校が一定の給食費の中で調達をいたします。その調達をする物資の中で、これは何も三十校の委託の対象になっている学校だけでなくて、主として日本学校健康会サイドから政府物資として供給されております小麦粉等を材料にしたパンとかあるいはお米とか、それからその他小麦製品等々のいわゆる主食と言われますものにつきましてと、それから一般物資の一部につきましては学校の御注文に応じまして給食会が供給をいたしております。このことは、何度も申し上げますが、この三十校だからということではなくて、どの学校にもそういうことで、基幹物資である主食は給食会が全部供給をし、一般物資の一部についても学校の御要望によって供給しておるという体制の中で、三十校も学校中心になって物資の調達をしておる、こういう状況でございます。
  150. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その学校の要望に従って学校給食会が調達している物資、パンとかいう基本的な問題じゃない分ですね、指定物資でない分はどのくらいありますか、割合で。
  151. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 今私ども給食会が扱っております物資の総売上高が約百五十一億くらいでございます。その中で、一般物資、いわゆるおかずの方に使われる物資は約六億でございまして、主食と称されるパン、牛乳、米等につきましては約百四十五億でございます。したがって、一般物資の六億といいますのは、現在東京都の全給食費の中でおかず代と言われるのは約三百五十億でございますので、このうちの六億と申しますと大体一・七%ぐらいになりましょうか、そんな一般物資を扱っております。
  152. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その中で、三十校の契約を合している学校の中における一般物資の供給の割合はどうですか。
  153. 三石辰雄

    参考人(三石辰雄君) 恐縮ですが、三十校についての一般物資がどれくらいということはちょっと手持ちがしておりませんので、今までの実績から申しますと、東京都における一般物資は、主として調味料関係とそれから缶詰関係健康会から供給される牛肉関係が大体主でございますので、今の全校平均一・七%を少し上回るかなという感じでございます。
  154. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 東京都がおいでになりませんので、責任ある答弁はいただけないと思うんですが、話を聞けば聞くほど、なぜ私は学校給食会が中に入ってこうした請負の形態をとるのかということ がわからないし、そのことによっていよいよ問題を複雑にして法律の疑義も招くようなことになっていると、こう思うんですが、文部省に聞きますが、設置者は学校給食を、民間ということを今、私は反対ですが、やっている中で、学校給食会というものが中に介在しなければこれはできないものですか。
  155. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校給食会が中に介在する場合もありますし、しない場合もあるというのが現状だと思います。
  156. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 介在する場合はどういうメリットがあってやると思われますか。
  157. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは個々の設置者なり給食会がお考えになることでございますが、したがいまして、どういうメリットがあるかということまで私申し上げかねます。ただ、現状としては、学校給食会がその委託契約の中に入っている場合もあるし、直接、委託民間業者との間で契約がなされている場合もあるということでございます。
  158. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 松浦全給連の会長にお伺いしますが、東京都で実施した、こういうふうに学校給食会が中に入って、そして民間業者に下請方式をとっていくというこのやり方です。この方式をあなたが会長として傘下におさめておられる全国学校給食会がこういう方式をとることを望ましいと考え、これを普及させるということについて積極的なお考えをあなたはお持ちですか。
  159. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 全総連としましては、先ほど申し上げましたように、会員団体相互の連絡提携を密にして、会員団体の充実強化と学校給食の改善充実に寄与するという目的のもとに、調査研究とか研究、協議あるいは情報、資料の収集、配付というようなことをやっておりまして、指導、監督的な立場にはないわけでございます。それと、現在までにおきましての全給連の集まりにおきまして、東京都の方でそのようなことを計画されておるというような話が出たことはございますが、全総連としてはまだそのことについて調査研究したことはございませんので、全総連としての意見というのは現在ないわけでございます。
  160. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もう時間がなくなってしまいまして、学校安全会の事業の問題についても質問をしたいと、こう思っておったのですが、これは内部のいろいろ改善の問題等でございますので、別の機会に譲らしていただきたいと、こう思うんですが。  今の学校給食の合理化問題ですね、文部省の見解はどうしても納得できません。そしてまた、今東京都に行われているようなこのような方式でもって学校給食の合理化が民営、下請という形で普及させられていくということに、私は、子供の命と健康にかかわっている学校給食問題について非常に心配をいたします。単にこれは物を食べさせればよいということではなかったはずですね、学校給食というのは。日本の将来を担う子供たちの心身の健全な発達、そして健康の保持増進、またもっと大きくは国民の食文化というふうなもの、あるいは食生活、こうした問題について非常に大きな展望を持ちながら進められていった学校給食である、こう思います。ところが、このような形で学校給食が派遣労働者の手によって供せられるということ、学校長の責任も十分果たせないし、ましてや学校の教職員もその事柄については直接かかわりも持てないというふうな状況で、学校給食というところで学校の教室なりあるいは食堂でこれを食べさせなければならぬというのは、本当に何か悲劇ではないかと、こう考えるんですね。文部省のひとつ良識ある判断というものによって、このようなやり方で責任がとれないし質の低下を招くという問題について、ひとつ再考をしていただきたいし、十分な検討をしていただきたいということを強く私は要望をして質問を終わりたいのでございますが、文部大臣の僕は率直なひとつ御意見をいただきたいんです。隣の局長文部省としての考えをお聞きになるんじゃなくて、私が言ったように、日本の将来を担う子供たちの心身の発達、健康の増進、あるいは国民の食文化あるいは食生活、そういうものを向上改善させていくために発足した学校給食というのが、こういうふうな形でこれから推移していくことがいいのかどうかという問題について、私はやっぱり政治家としての良識というものを発揮していただかなければならぬ状態ではないかということを思うのであります。  再度ひとつ文部大臣の御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  161. 松永光

    国務大臣松永光君) 学校給食にとって大事なことは、栄養があること、安全であること、そして子供たちの健康増進に寄与すること、こういったことが大事なことなんでありますが、それを的確に行うために民間委託じゃいかぬというふうな御意見があるようでありますけれども、私は、一般論として言って、いわゆる官、広い意味の官、役人がやれば立派で民間がやれば役人がやるのよりも劣るんだという、そういう考え方は私は持っていないんです。やはり民間はいわゆる官と同様に責任感を持って仕事をなさる。それが日本のすばらしさだというふうに私は思っております。したがいまして、市町村を含めた広い意味の官がやれば大丈夫、民間に委託すれば危ないという、そういう私は前提には立てないわけでありまして、しかしながらやはり学校給食設置者が責任を持って行うことでありますから、そこで民間に委託する場合でも、大事な部分すなわち献立とかあるいは主要物資の調達とか、それは設置者が直接責任を持ってやりなさい、その他の分野については設置者が責任をとれるような体制だけはきちっとしておきなさい、そういうことを前提にすれば、学校給食の質を低下することなく経費の節減合理化は図られるであろう、こういうことで私どもとしては、経費の節減合理については結構なことでありますから、それは今申したようなことを踏まえてやる必要があるというふうに考えておるわけでありまして、これからもそういう考え方で、これは本岡先生とは考え方が、スタートが違うかもしれませんけれども、そういう考え方でおるわけでございます。
  162. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私は、この日本体育学校健康センター法案でカバーしているもの、従来ともカバーされていたものでありますけれども、それを含めての学校の安全衛生に焦点を置きまして質問をさしていただきたいと思います。  最初に、集団食中毒の問題を聞きたいんですが、最近の状況、それから原因、その対策、こういったことについてなるべく要領よく御説明を願いたいと思います。
  163. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 最近とおっしゃいますので、過去五十八年度から三カ年間、五十八、五十九年、六十年度ということで学校給食の食中毒の現状を申し上げますと、五十八年度は件数で二十二件、人数でいたしまして六千二百九十人、それから五十九年度は件数で十三件、五千三百人、それから六十年度は件数で十四件の五千二百五十人というふうな状況でございます。大体これくらいの数字が毎年の学校給食による食中毒の発生の現状ではないかというふうに思います。  なお、今度は原因でございますが、中毒発生の病因物質というふうなことで申し上げますと、全体で五十三件の食中毒件数のうちで、原因が何だったかということがわからないのは二十三件、それから病因が、病因といいますか、病気のもとがわかりましたのが三十件で、その三十件のうちの半分以上の十六件がカンピロバクターというものによります食中毒でございます。  以上、概要でございます。
  164. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 カンピロバクターというのは比較的新しく出てきた原因物質だと思うんです。それまではというか、日本全体で見ますとやっぱり腸炎ビブリオが一番多いんですね。これがトップなんですが、カンピロバクターは日本全体から見ると、多い方ですけれども、そんなにひどく多くはない。四番目ぐらいの原因になっていますが、学校でカンピロバクターが多いというのはどういうことかなと思っているんですが、その対策というか、感染経路みたいなものについての解析された 御意見を承りたいと思うんです。
  165. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) この辺のところはなかなかわかりにくいことでございまして、カンピロバクターというのは、大体そういった細菌はどこに見られるかといいますと、鶏とか犬であるとか豚であるとか、あるいは牛であるといった、そういった動物に人間のほかには見られるわけでございます。したがいまして、学校におきますペットといいますか、そういった動物から感染したのか、あるいは食肉にカンピロバクターが入っていたのかということで、これについての感染経路はなかなか私どもでもはっきりつかんでいるわけではございません。
  166. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それで、ちょっと件数ですけれども、あなたおっしゃったのは五千人とか六千人とおっしゃったですかね。私の持っている厚生の指標、国民衛生の動向、昭和六十年度、一番新しいのですけれども、これ見ますと、学校が原因施設別で見ると七千二百六十七、昭和五十九年です。それから摂取場所別で見ると九千七百人になっています。数字の食い違いはいいですけれども、統計というものは同じようなデータに基づいてもらわぬと困るということなんですけれども、それでひとつこの数字で申し上げますと、原因施設別で見ますと、一件当たり百八十二人の食中毒です。それから摂取場所別で見ますと、一件当たり百三十七。それはもうそのほかの原因だとか施設別でいくのから見ても圧倒的に多いんです。つまり学校給食による食中毒というのは一件当たりの被害が非常に大きい。それから幼弱者に対する影響というのは一般に強く出ますからね、成人と比べまして。したがって、食中毒についてやっぱり非常に重要視をしてもらいたいと思っているわけです。  この中には修学旅行時の食中毒は入っていないんですね、たしか。ちょっとそれ承りたい。一年間の数字があれば、どれぐらいあったか。よく新聞に出ていますけれどもね。
  167. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) まず最初に、先ほど先生がおっしゃった厚生省の数字と文部省の数字と、こういう違いでございますが、これは厚生省の数字には大学の食堂、専門学校とか、そういったものも入っております。したがって、こっちは学校給食だけという形で言っておりますので若干内輪の数字になっていることを御理解いただきたいと思います。  それから、修学旅行におきます集団食中毒でございますが、これにつきましては数は把握しておりません。最近では六十年の六月に小学校の移動教室で百二人が腹痛、下痢をしたとか、あるいは七月に高等学校の、これは埼玉の私立高校の生徒が林間学校で九十人が発熱をしたというふうな散発した事例は聞いておりますが、総体的な数字をつかんでいるわけではございません。
  168. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 修学旅行というのは学校管理下ですよね。ですから、それをつかんでいないというのは私には大変不思議なんで、やはりこれはこれからの統計の中でちゃんとつかんでそして対処していだきませんと――修学旅行ではお昼を食べるのに朝つくった弁当を持って車に乗るということもあるわけだ。そうすると、四時間かかりますよね。食中毒の菌の分裂というのは十分で一個ぐらいずつ倍々ゲームになっていきますので、大ざっぱにいいますとそうですから、四時間というともう大変な数になるんです。ですから、調理後の時間というのは食中毒と密接な関係がありまして、まず二時間以内でないと危険なんです。したがって、修学旅行というのは最も危険なんですよ。ですから、これからは、今ないというのがわかりましたから、ないという答弁というのは大変いけないんです。ですから、これは持っていてもらわなきゃ困る。  恐らくこれは旅行中に入院をする場合もあるだろうと思うんですね。そうすると、これは今の学校災害の給付の対象になるんだろうか、どうでしょう。
  169. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 修学旅行におきます食中毒の場合は日本学校健康会の災害共済給付の対象になります。
  170. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それから、カンピロバクターについて、どうも私ちょっと講義をするような癖がございますけれども、まあ商売柄そんなようなことになりますけれども、カンピロバクターの感染経過はわからないとおっしゃる。わからなければ対策が立たぬわけですよ。やっぱり推定しなければいけませんね。  まず、カンピロバクター、コリと書いてあるから、私よく知らなかったんです。しかし、カンピロバクター、コリというのは大腸菌の系統ですから百度で死ぬはずなんです。ですから熱が通っていれば感染をしないはずです。そうすると、熱を通さないものを給食したかということになるが、私はそれは考えられないんですよね。肉でしょう、鶏とかそういう肉なんですよ。そうしますと、結局調理したものは大丈夫と僕は見たい。そうでなかったら監督不行き届きです。もう一つは、そうすると生肉をいじくったその手かということです。それから、何か扱った食器がですよ。それしかないわけだ。あるいは水ということは、普通水を通してということは僕はないと思うんです、水道があって消毒した流水がある限りはね。だから、結局は取扱者の手の問題かなと私今思っているんですよ。  それから、何か発症がある期間、四、五日かかっているというので私これ不思議だなと思っているんです。普通、食中毒というのは毒素がどれぐらいあるかなんですよね。菌がふえるということは問題でないんです。菌がふえて感染するのなんて伝染病なんです。菌がふえることが対象にはなってない。だからカンピロバクターがもし四、五日も潜伐期があるんだとすると菌がふえるものなのかな、そうするとこれは伝染病に近いものかなと私は今思ったわけです。例えばブドウ球菌なんて四、五時間で発症しますよ。これはもう毒素の量なんですね。ほかのものは皆そうです。ですから、少なくともカンピロバクターが対象であるとすれば、私は手の消毒それから食器の取り扱い、消毒ですね。要するに生肉から製品になってそれが盛りつけをされる段階でどうなったかだと、私はそう思いますよ。多分間違いないと思っています、大分考えてみたんですけれどもね。だから鶏の体内で発見された、ペットに出るといったって学校でペットを飼っているわけじゃないでしょうから、だからこれはやっぱり学校管理じゃないかなと私は今思っております。  それから、民間委託というのを私が恐れているのは、今の本当の職員であればそれだけの責任というものがダイレクトにあるわけだ。民間委託をしてパートタイマーを使ったりそういうことが起きてくると、どうせパートなんだからという感じと有資格者の問題がどうなってくるんだろうかなと、こう思うわけです。だから、昔ですとPTAのお母さん方が給食の調理を手伝ってくださった、大変ボランタリーでいいと思うけれども、手の消毒その他が必ずしもみんな職業的に心得てやっているわけじゃない。したがって、やっぱり危ないんですよね、好意があるというのと危ないというのはこれは別ですから。ですから私は、パートタイムとか民間委託で一番こわいのは安全衛生です。ですから、これに対して民間委託の場合に文部省としてはどう対応しようとしているかというのをちょっと聞きたい。
  171. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 民間委託する場合にはとにかく設置者が責任が持てる体制、したがいまして安全衛生の面でも設置者がその安全衛生について物が言い得る体制をつくっておくということを前提にして民間会社との委託をしてほしい、するならばしてほしいというふうなことで御指導申し上げておりまして、具体的にはやはりその民間業者の選別に当たりましては責任の持てる会社を選ぶとか、そういった具体的な個々の市町村なり都道府県におきます判断というものが最優先するんではないかというふうに思います。
  172. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 一般の飲食店ですと、食中毒が起きますと保健所が調べて三日間ぐらいの営業停止ですよ。だから学校給食で食中毒が起きたときに営業停止はあるんでしょうか、どうでしょうかね。
  173. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校給食におきまして民間業者が食中毒を起こしたというときには、当然営業停止になります。
  174. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 余り細かいことはそれくらいにしたいと思いますが、一つ今気がついたのですけれども、米飯給食を今進めようとしていますね、一週間二回を三回にするというのだったかな。私が一番気にしているのはあの容器にくっついた御飯ののりですよ。あれは取るのをどうしているだろう、洗うことですけれども。洗浄です。
  175. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは大変具体的なお話でございますので私も詳細知っているわけではございませんが、二つありまして、一つ学校の中で御飯を炊いてそして配る、そうしますとそこは学校の中で食缶その他のり等は学校の中で洗うということになるわけです。もう一つの傾向といたしましては、いわゆる炊飯をパン業者等に委託いたしておりますのが七〇%ぐらいの学校ございますが、そこにつきましては委託パン業者が炊飯しました米を学校へ持ってきて、そして後は空になった食缶を持って帰って全体の大きな食器洗い器でもって洗うというのが現状だろうというふうに思います。
  176. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私が恐れているのは、洗ったと思っても御飯粒がついているということを言っているんです。自分のお家でやってみたらわかります。茶わんはよほど洗ったと思ってもよく見ると御飯ののりがくっついているものなんですよ。あれは一番いいのはヨードでん粉反応で、でん粉があれば直ちにヨードでん粉で青い色が出ますから、一遍抜き打ちにやってみたらいい、食器を。百個ぐらい集めてはっとヨードでん粉反応をやったらすぐ出ますから、青くついたらでん粉がついているんです。ついているとそこには何か菌がついているかもしれない。ひょっとしてエイズなんというのがついていたらこれは困る。日本に上陸していますけれども、小学校だってないとは言えませんからね。そんなことがありますので、私は御飯給食が反対なんじゃなくて、米飯の場合の衛生面がどうなっていくのかなと思ってね。これはもう私の注文でございますから答弁要りません。  それじゃその次に、栄養の教育の問題をちょっと聞きたいんですが、栄養改善法の栄養士設置規定によりますと、栄養士を一日何食の場合には置けとか、それから管理栄養士を置く規定がありますが、普通の学校給食の食数から言うと管理栄養士を置くのに大体該当するんじゃないかと思うんですけれども、管理栄養士まで配置しているというのはどれくらいあるでしょうか。
  177. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 現在学校給食業務に従事しております栄養士の数は大体一万人ということでございますが、そのうち管理栄養士の資格を持っている者は大体約二〇%ぐらいだろうというふうに思っております。
  178. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そこで、先ほども本岡委員からも質問がありましたし、大臣も大変大事だと言っておられた健康、栄養の問題ですね。急性伝染病は今の医学ではうまくやればほとんどまず大丈夫なんですね。慢性疾患とがんを加えて、そういう非常に慢性に推移するものが我々の健康にとって問題になる。そういうことなんですが、そうすると一番大事な今度健康維持に問題になるのは栄養なんですね。やっぱり栄養が一番私は健康の基盤の一つだと思っておりますけれども、その栄養を――五十二年でしたか文部省の改訂指導要領の中で、特別活動の中で学校給食指導というのがあるようです。そのとき一般の教師が教員養成課程の中で栄養学を習っているか、どんな程度のことを習っているかを伺いたい。
  179. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 学校関係での教員になる場合の免許制度の中でどれだけの科目を履修しているかというお話であろうかと思います。  通常教員になります場合には、教職単位というのを、例えば中学校の教員等を、一級の免許状といたしますと十四単位ぐらい取らなければならないという仕組みになっておりますが、そういった中で学校保健という科目を設けまして、これは必修ではございませんけれども、その学校保健という科目を選択履修をさせる、こういう方式になっております。  先生おっしゃる栄養の問題は、この学校保健の中で取り上げていく、各大学先生方が実際に講義しておられる中身を全部調べるということもいたしかねますので詳細に存じませんけれども、まあ、取り上げられているんではなかろうかと思っております。そのほかに保健体育等の専門の教員になる場合には、もちろん専門科目としてそういうものを履修してなっていくということになろうかと思っております。
  180. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私がその面に触れさしていただきたいと思っていたのを今イントロしていただいたので大変よかった。  世論調査を見ましても、もう成人の六〇%以上は健康を第一に置いています。健康というのは私たちのやっぱり今一番関心の深い問題なわけです。したがって、子供のときから健康教育をする必要があるということでありますが、今局長さんが言われた学校保健ですね、これ実は私が大変若いとき、大学を卒業したてのころでありますが、師範学校で師範衛生というのを突然頼まれて教えに行ったんですよ。それで師範衛生を男女全部やっておりまして、あのころ必須でございました。昭和二十四年でしたか、これが外されたという経緯がございます。で、日本学校保健会――私も会長をいたしましたが、日本学校保健会ではもうつとにこの問題を取り上げて、ぜひすべての教師が必須科目として学校保健を取り上げて必須科目とすべきであるということを言い続けてきたわけですが、最近のこのモラルの低下を考えてみますと、や一はり震教育――健康というのは生命の尊厳が基盤にあるわけで、そういう健康教育を教えることによって生命のとうときにいつの間にかちゃんとアプローチしていると、そういうことをよく教えることによって子供たちはお互いの健康を損ねちゃいけない、つまり、生命の危険を及ぼすようなことがあってはいけないと、そういう生命の尊厳に対すること、それから、動物、植物を含めてかもしれませんが、生き物に対する愛情といったものも出てくるのではないか。こういうことを考えますと、単に何というか、学校の保健の分野の先生方が主張しているだけではなくて、今や、やはり非常に重要なモラルの問題とも含めて、今の栄養を含めて学校保健というものを教員養成課程の必須科目にしていただけないものか。私、昨年の七月の社労委員会でお話し申し上げて一応御返事もいただきましたけれども、もう一度承りたいと思います。
  181. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 先生十分御案内のことでございますけれども戦前は教員の養成は師範学校中心にやるという仕組みでございました。これが、戦後のいわゆる開放制ということになりまして、教員の養成を目的にしている大学ばかりでなくて一般の大学でも必要な単位を取れば教員になれるという仕組みにいたしたわけでございます。  私ども立場からすれば、できるだけ教員になる人たちには必要な科目を全部学生時代に学んできてほしいと思うわけでございますけれども、また他方、開放制の原則ということで、一般の大学の卒業生にも教員への道を開くということになりますと、教員の免許制度上課する単位制というのにおのずから限度が出てくるというような問題もございまして、先ほど申し上げましたように、例えば中学校の場合でございますと教職科目というのは十四単位というようなふうに定められております。まあ、この程度ならば一般の大学で履修できるだろうと。しかしながら、その教職科目の単位を教育原理とか心理とか、一番基本的な部分だけをやっていっても、もうそれでほとんどぎりぎりになってしまうというような状況がございました。そういう意味で、この問題大変ジレンマを私どもも感じている問題でございます。  先生おっしゃっているような意味での必要性というのは十分わかるわけでございますけれども、なお臨教審等でも今教員の養成、免許の問題等もどうしようかというような御議論もいただいてお ります。そういった状況も踏まえながら、直ちにどうするというお答えがいたしかねるわけでございますけれども、なお勉強させていただきたいと、かように思っております。
  182. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 まあ、今のような御答弁いただいたわけですが、文部大臣、この問題についてどうお考えでしょうか。ぜひ私は進める方向でひとつ検討してもらいたいと思っておりますけれども
  183. 松永光

    国務大臣松永光君) まあ、教員、なかんずく小学校、中学枝などの教員は発育段階、成長段階子供を相手にして教育をしていくわけでありますから、当然のことながら健康の問題、保健の問題、そういった問題について知識を持っている人の方が教員としては望ましいだろうというふうに私は思います。臨時教育審議会の方でも、これからの教育の中で議論をすべき項目の一つとして健康教育というのが取り上げられておるようでありますが、私は結構なことだというふうに思っております。  そこで、小中学校等の教員のすべてに学校保健についての勉強をしてもらい、それを履修した者のみが教員免許資格があるようにするという問題でございますが、先ほど局長がお答えいたしましたように、現在の我が国の小中学校の免許制度のもとで直ちにそれをやっていくということはなかなか難しい問題があるわけでありますが、しかし、冒頭申し上げたとおり、先生の御意見ごもっともでありまして、成長過程、発達過程の子供たちを対象にして教育を行う教員については、健康保健、こういったものについてそれなりの勉強をしていただいておる方が望ましいわけでありますから、そういう意味では先生の御指摘は極めて傾聴に値するものだと考えるわけでありまして、今後の研究課題として承っておきたいと考えるわけでございます。
  184. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大変どうもありがとうございました。よろしくお願いします。  そこで、今度は栄養の問題に戻りますが、栄養基準が、今度日本人栄養所要量、それが最近変わったわけでありますが、学校給食関係した栄養量の基準も十四年ぶりに改定されるというふうに承っておりますが、その目的について伺いたいと思います。
  185. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 現在の学校給食の所要栄養量の基準といいますのは、昭和四十六年に定められたものでございますので、その間の各種の調査を見ますと、国民の食生活は改善されておりますが、一方熱量の過剰摂取等の新たな問題が生じております。    〔委員長退席、理事杉山令肇君着席〕と同時に、昨年厚生省の日本人の栄養所要量改定というものもなされておりまして、こういった周囲の状況を見たときに、現行の学校給食の所要栄養量基準についてやはり検討を加える必要があるのではないかということで、現在保健体育審議会で専門家の方々に御審議を願っているというのが現状でございます。
  186. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 過剰栄養というお話がございましたが、カロリーはたしか下げる方向にいくんでしたか。いかがでしょうか。
  187. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 総体のカロリーそのものは若干下がる方向にいくと思います。
  188. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 まず、カロリーが下がるということは、過剰栄養と言っても三食のうちの一食でございますし、それからカロリーそのものは我々も食ったものが全部計算どおり一粒も余さずカロリーとして吸収しているわけではありませんので、あれ若干アバウトなんですよね。いわゆるアバウトなんです。ですから、私はそんなに二段階を三段階にするというけれども、かえってわずらわしいような感じがしないではないんです、しかし特に反対という意味はございませんが。ただ、カロリー減というのは質の低下につながらないだろうかということが一つ考えられることで、もう一つはそういう改定が父兄の給食費の負担にどうかかわってくるんだろうかということを伺いたいと思います。
  189. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 現在、審議いたしておりますのは、考え方としては小学校におきます基準の区分が、現行は高学年と低学年で二つでございますが、これを高・中・低学年と三つに分ける。そういったことにいたしたいということと、熱量が全体にとり過ぎであるというふうなことから若干カロリー減になるということでございますが、そのことから学校給食費の経費に連動が来るかということは、申し上げますとこれは連動はしないだろうというふうに思っております。
  190. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、先ほどもたしか質問の中に出ておったかと思いますが、本センターが行う学校給食用物資の供給業務の縮小というのがありましたわ。これはどういうことなんでしょうか、ちょっと伺いたいと思います。
  191. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 本センターといいますか、従来、日本学校健康会におきましては、指定物資のほかに承認物資として一般の物資をあっせんをいたすという仕事をやっておりましたが、これは歴史的に見ますと大体昭和四十年代の後半のいわゆるオイルショックの時期、大変物資がなくなったとき、あるいは物価が目覚ましく高騰していった時期に、なるべく大量に買ってそれを学校に物資が安定供給されるようにということから始まったわけでございます。したがって、現在の状況を見たときに、そういった状況がないとすれば、それはもうある程度のものは民間ベースで民間方々にお任せしていいのではないかというふうな御指摘を各方面からいただいておりますので、そういった方向での手直しを今現在されている。しかしながら、承認物資といいましても、その中には日本学校健康会なるがゆえに外国からある程度安い値段で買ってそれを子供に供給できるというメリットもあるわけでございますので、そういったものについてやはり日本学校健康会が果たさなければならない部分は残っているんだろうというふうに思っております。
  192. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 お話を聞けばもっともだと今思ったのですけれども、十四品目が十品目になるのでしたかね。そういうことはそれ以外のものは面倒だから使わないとかいうような感じでやはり質的に低下を来すということがないんだろうか。それがちょっと私には懸念されるんですが、いかがでしょう。
  193. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) そのことから、承認物資をある程度減らしていったことから質的な低下を来すのではないかということは、今の市場の状況を見ればないのではないかというふうに思っております。
  194. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、学校安全の問題をまずこれから伺いたいと思うんですが、学校安全会が設立されてから何年になるんですか。
  195. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校安全会が設立いたしましたのはたしか昭和三十五年でございますから大体二十五年を経過いたしております。
  196. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 まあ、二十五年と言うと大変な年月だと思っておりますが、この学校安全会、今学校健康会ですか、そちらに加入している状況、それから給付の件数、その総額、こういったものをちょっと伺いたいと思います。
  197. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 六十年度の加入状況で申し上げますと二千五百五十五万人でありまして全児童生徒数の九六・八%が加入いたしております。  災害共済給付の状況でいきますと、昭和五十九年度におきます状況を見ますと百三十五万件、金額にいたしまして百三十二億円ということでございまして、その内訳を見ますと死亡が二百五十六件、金額にしまして二十四億円、傷害が一千四百件、金額にいたしまして十七億円、負傷疾病が百三十五万件、金額にいたしまして九十二億円というふうに相なっております。    〔理事杉山令肇君退席、委員長着席〕
  198. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のトータルから加入率がわかるかと思いますが、未加入者数のパーセントと未加入者数をちょっと伺いたいと思います。
  199. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 未加入者数は約八十三万人でありまして、約三%ということに相なります。
  200. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 二十五年たっているわけですが、一〇〇%加入しないという理由と未加入校、したがって未加入者数の内訳、どんな学校が入らぬのかとか、そんなことをひとつ伺いたいと思います。
  201. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 未加入の理由といいますと、大体女子の学校とかあるいは保育所というのはあんまり事故がないということから設置者側で入らなくたっていいんではないかということで入ってないのが現状であろうというふうに思います。したがって小学校でいきますと私立の小学校、それから中学校も私立てす。それから公立につきましては全部一〇〇%でございますが、そういった点が散見されます。
  202. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 なるほどやっぱりあれですかね、私立と女子が未加入者の方で多いということですか、わかりました。  それで、今の給付件数が出ておりましたが、いわゆる給付率というのはどれくらいのパーセントになるんでしょうかね。
  203. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 約五%だというふうに思います。
  204. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それで、当然加入を促進するように指導しておられるんだと思いますが、その加入促進策というのはございますか、やっておられるのはどんなことをやっておられますか。
  205. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 日本学校健康会の災害共済給付を受けられるという体制がつくってあるのでございますから、できるだけ各学校が入ってほしいということで財源的に見ますれば、いわゆる掛金の設置者負担分につきましても財政的な措置をしてあるわけでございますので、そういったことをしてあるということを私立学校方々にもPRしながら、これについての加入について御理解を求めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  206. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると、未加入者八十何万とおっしゃいましたね、それの約五%が給付率をそのまま適用しますとまあ、女子が少ないとかということがあったかもしれませんが、大ざっぱに目の子で言うと五、八、四万人ぐらいの人が給付の対象というものがあるわけですね。これは現実にはどうなっているんでしょうか。
  207. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 現実にどうなっているかというのはなかなか私もここであれですが、これは推測の域を出ませんけれども、結局は健康保険で、家族療養費でもって治して、そしてそれは大体三割が自己負担でございますから、三割の負担はそれぞれの保護者がやっておられる、そして医者にかかっているんではないかというふうに思います。
  208. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 たしか義務教育関係ですと、年間四百円でしたかな、負担が。それで、自己負担が半分だったですかね、いかがでしたか。
  209. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 御指摘のとおり、四百円で自己負担が半分でございます。
  210. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると、やっぱり自己負担三割から見ると随分病気になったりなんかしたときには助かりますね。だからやはりこれは加入を促進していくのが本当でないかと思うんですが、いかがでしょう。
  211. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) そのとおりに思いますので、今後努力をいたしたいというふうに考えます。
  212. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 同じく未加入なんですが、一般大学、それから専修校、各種学校は加入をさせてないわけですかね。その理由はどういうことでしょうか。
  213. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) おっしゃいますように、大学あるいは専修学校におきます事故につきましてはこれは対象といたさないということにいたしておりますのは、学生や生徒の災害の実態が大変さまざまであります。そして、学校等におきまして小・中・高等学校などと比べまして非常に事故の状況等の把握が困難である。大学ですとかあるいは専門学校ですとか、学生の方が主体的に動いておりますから、そういったこともありまして、あるいは管理体制も異なる面が多いということもありまして、現在災害共済給付の対象にはいたしてないというのが現状でございます。
  214. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 しかし現実には、特に理科系なんか実験室で爆発をするとか火災を起こすとかで、非常にまれではありますがやはり事故が起きているわけですが、そういったことは各大学では何らかの処置を講じていると考えていいんでしょうか。
  215. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) まず大学生にかかります保険制度につきましては、昭和五十一年度から財団法人学徒援護会が損害保険会社との間におきまして学生教育研究災害傷害保険契約を締結いたします。そして、教育研究中及び課外活動中におきます学生の災害につきまして、死亡見舞い金、これは最高で千二百万円でございます。それから後遺障害保険金、最高で千八百万円及び医療保険金を支払うという制度が実施されておりまして、この保険に加入しております学生数は、大体全学生の五五%に当たる生徒が入っているというのが現状でございます。  なお、専修学校はどうなっているかと申し上げますと、専修学校及び各種学校の生徒につきましては、昭和五十六年度から財団法人専修学校教育振興会が損害保険会社との契約を締結いたしまして大学生の場合とほぼ同様の災害傷害保険制度も実施いたしておるわけでございます。  以上でございます。
  216. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 各種学校はありますか。
  217. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 各種学校の加入率につきましてはちょっとここに、手元にございませんので御容赦願いたいと思います。
  218. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私が質問いたしましたのは、学校管理下というのに限定をすればやっぱり同じように今の新しい法案のもとで加入させることができるのではないかという気がしたものですから承ったんですが、将来ともにそういうことは考えていないんでしょうか、どうでしょうか。
  219. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 遠い将来の話になりますと、別問題でございますが、現在、五十一年度あるいは五十六年度より大学生あるいは専修学校の生徒に対します。そういった保険契約を進めている最中でございますので、今しばらくこの制度でやらしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  220. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 次に、突然死の問題を伺いたいと思うんですが、突然死発生状況を、解析というか、教えていただきたいと思います。
  221. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは五十九年中に日本学校健康会が死亡見舞い金を支給いたしました。もののうち、突然死にかかるものということでは百五十五件でございます。  発生状況につきましては、各教科の授業中のものが六十二件、特別活動中のものが二十五件、課外活動の指導中のものが三十四件、休憩時間中のものが二十二件、その他通学中などのものが十一件ということでございまして、発生原因につきましては、心臓系疾患によるものが百二十四件、外傷によらない脳出血、脳内出血によりますものが三十一件というふうに把握いたしております。
  222. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると、死亡者の中で突然死の占める割合というのはさっきよくわからなかったんですが、どれくらいになりますか。そしてその突然死のうちの心臓死が百五十のうちの百二十だったかな、七割ぐらいですかね、その割合を聞きたいと思います。
  223. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 死亡者の中に占める突然死の割合は大体四〇%ぐらいだろうというふうに思います。
  224. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 その四〇%のうちで、心臓死というか、心臓死の占める割合はどうですか。
  225. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) ざっと見ますところ、突然死のうちで心臓系疾患で死にますのが八〇%でございますから、全体の死亡の四〇%ですから、四割の八〇%、三二%ということに相なります。
  226. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 災害共済給付における認定ということをちょっと聞きたいんですが、例えば帰宅後の突然死はどうなるのかということなんですが、今のお話の中で、何か帰ってから亡くなったのも入っていたかなと思いましたが、いかがでしょう。
  227. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 災害共済給付の対象にいたしますのは、学校のところで突然死したのはもちろん入りますが、学校の中でその兆候が出たということで、気分が悪くなってうちへ帰っていったということによってそれで死んだというふうな、顕著な兆候が学校の管理下で出たものについては、これは対象にいたします。
  228. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 このごろ新聞で大変関心を集めている問題、いじめでうちで自殺したというのがありますが、ああいうのはどこに入りますか。
  229. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 自殺につきましては死亡見舞い金の対象にいたしておりません。したがいまして、今のような条件につきましては災害共済給付の対象にならないというふうに考えます。
  230. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 きのうの新聞によりますと、十一月二十七日読売ですが、校内暴力に悩んで自殺をした教師の死は公務と認定された。そうすると、今のと判定が違うように僕は思うんで、いじめが原因であると明快にわかっている場合なんかにはやっぱり公務と同様に認定されるのではないかというふうに思ったんですが、いかがですか。
  231. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 突然の具体的な御提案でございまして即座に考えがまとまらないんですが、なかなかその自殺が学校の管理下におきます事故であるとの結びつきということを解明することは非常に困難だということでございます。  そうを言いましても、今おっしゃったように、先生の方は公務災害の死亡認定したではないか、なぜ子供の方はそういった――バランス論ということに相なります。したがいまして、そういうことが果たしてきちっと解明できるかどうかわかりませんが、これはひとつ研究の課題とさしていただきたいというふうに思います。
  232. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 死亡見舞い金のことなんですけれども、他の原因によるものの半額になっていましたね、千二百万が六百万ですか。この差は何でそういうふうになるんでしょうか。理由を聞きたいんですけれども
  233. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 大体突然死といいますのは、先ほど申し上げましたように心臓系疾患であるとか、あるいは脳出血であるとかいうふうなことが主体になるわけでございまして、これは本人の持っております素因というものが非常に大きく左右する。したがって、学校の管理下におきます事故というものを災害共済給付の対象にいたしておりますことから言いますと、素因を持っている者がたまたま学校で死んだということについて、ほかの死亡事故との関係においては若干優劣をつけるべきではないかということが第一点でございます。  なお、突然死でありましても、体育活動等の教育活動中に外部衝撃とかあるいは急激な運動とか、そういったことがあって心臓発作で死んだという場合には、これは当然死亡見舞金の全額を支給するという建前をとっているわけでございます。
  234. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、今度防止対策の方に話を移したいと思うんですけれども、既往症としての心臓疾患があるのを突然死の中で把握しておったというのはどれくらいの割合でありますか。
  235. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) そこまでの資料は持ち合わせておりません。
  236. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、提起をさしていただきますけれども、日経の六十年十月九日のに突然死のことが出ている記事があるんです。それを見ますと、心臓系で突然死、これ昭和五十八年のもので、昭和五十八年が死亡が過去最高であったと書いてありますが、突然死が増加してきたと。それで、そのほかにこの中には日本海中部地震、昭和五十八年五月、あれに十三名の小学生が入っているということがあって最高であったと書いてありますが、突然死のうちの心臓系が七五%、さっき八〇%とおっしゃったから非常に接近していますね。それから、その七五%の心臓系のうちで既往症を把握されているのが二一%と書いてあるんです。  それで私は、アメリカの医師会が発表した中に、例えばジョギングだなんだで突然死んだのがあるわけです。それを全部解剖したりして全部調べた結果、ほぼ半分は予診をきっちりやると何らかの兆候がつかめたんだというんですね。ですから私は、二一%というのは本来もっと予診をきっちりやればつかまえられるものではないか、やっぱり半分ぐらいいけるんじゃないかと思うんですよね。そうすると予防できるわけです。だから、把握したのに二一%がアフターケアが悪かったんじゃないかと、つい私は私の予防医学の立場ではそう言いたくなる。ですから、私は予診を重視してもらいたいと思っているのと、後で心機能検査のお話をさせていただきますけれども、予診というのはなまはんかのお医者さんでは僕はだめだと思うんです。やっぱり心臓循環系の専門家でないと面倒じゃないかと思うんですよね。ですから、そういうためには、これは例えば先天奇形みたいなことを小学校の場合は考えますね。ですから、これ一遍はっきりチェックされれば、三年後も五年後も同じわけですから、そんなに心臓疾患は、結核だって今一年目やったら小学校次四年にやるのかな。ですから、毎年やる必要ないんだ。ですから、最初のときにぎっちりやりさえすればある程度スクリーニングができるんですから、そういう専門医を導入して予診である程度チェックをする、そういうお考えはないかということなんです。
  237. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 心臓疾患についてはおっしゃいますとおり事前に防止をするということがどうしても必要だろうということで、昭和四十八年からは心臓の疾病及び異常の有無の検査につきまして健康診断の検査項目に追加いたしたわけでございますが、それと並行いたしまして、必要に応じて心電図検査を行うよう指導をいたしました。また、日本学校保健会に対しまして心臓検診の実施方法についての調査研究をいたしまして、いわゆる心電図検査をコンピューターで読み取るといいますか、そういったことについて現実問題実施できるかどうかということの研究を委託いたしまして、大体それがやれるんではないかというふうなところまで現在来ているわけでございます。
  238. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 その心機能検査は心電図だけじゃなくて心音図というのもあるんですけれどもね。私も現役の衛生学の教授時代に大変関心を持ちまして、私自身も若干手をつけましたが、大変まじめにやってくれたスクリーニングの大家がいろいろ日本じゅうあっちこっちおられまして、発見率がどうだとか今やっておられるんですが、今言ったような心音図、心電図、それから負荷心電図、こういったようなことで、今の自動診断というふうなことが入りますと、どれぐらいでしょうか一つ五、六百万でしょうか、何も一校に一個置く必要はありませんから、読み取っておいて後検査機にかけていってそれでスクリーニングできますよね。ですから、それはぜひ私はやってもらいたいと思うんですが、現在心電図検査――心音図はやっていませんね。心電図検査を実施している小・中・高のパーセントを伺いたい。
  239. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 心電図検査の実施状況につきましては、昭和五十九年度におきまして小学校においては七四・八%、中学校においては七〇%の学校が実施をいたしておるわけでございます。
  240. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今何年とおっしゃいましたか。
  241. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 昭和五十九年でございます。
  242. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 五十七年文部省答弁というのを僕はもらったんですが、これ小学校で五四・六%と書いてあるから二年間で七〇%行ったんですか、随分進みましたね。ああ、そうですか。高等学校は出ていないんですか。
  243. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 高等学校調査をいたしておりませんので申し上げかねますが、傾向から見れば中学校よりも高い率を占めるだろうと。  それで、今お話にありましたように、ここ二、三年のうちに非常に進みましたのは、やはり日本学校保健会におきましてそういったコンピューター読み取りということで進めていった結果ではないかというふうに思うわけでございます。
  244. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の件は確かにおっしゃるように高等学校で突然死が多いですわね。運動もあるか、そういうこともあるんでしょうが、そのせいか実施は確かに中学よりも昭和五十七年度で見ても二〇%以上も高い。ですから高等学校はもっとやっているんでしょうね。  そこで、今度はプール事故なんかも、まあ、このごろは新聞には余り出ないようですが、昔よくあったと思っていますけれども、そういうプール事故等に即応するための蘇生法の訓練というのはどんなふうになっておりますかお伺いいたしたいと思います。
  245. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) プール事故におきます蘇生法ですが、最近日本蘇生学会等から救命のためには心臓マッサージ法も加えた心肺蘇生法をすべての教職員が習得する必要があるというふうな助言を受けましたこともありまして、同学会の企画によります教職員のための心肺蘇生法の手引、それから同じビデオの編集に文部省といたしまして協力いたしてまいりました。したがいまして、今後におきましてはこれらの資料を活用いたしまして心肺蘇生法の普及を図ってまいって学校での事故防止に当たりたいというふうに考えておるわけでございます。
  246. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 心肺蘇生法を一生懸命やっていただくと心配ないということになろうかと思います。  実はこれもきのう十一月二十七日の朝日新聞なんですが、給食に便秘薬、下剤を入れて一クラス二十六人のうち二十四人が被害を受けたというのがあるんですよね。それは給食運ぶのに女の子が、三人の男の子が嫌がらせをしたので、これをやるために入れたというんですよね。これも読んでみますと、舌やのどにひりひりした痛み、のどが赤くはれたというんですが、そんな下剤というのはあるかなと思って、まさか座薬を入れたんじゃないだろうかと思ったり、よくわかんないのですけれども、本当にこれ下剤なんだろうかと思って読んだんですが、しかし重要なことは、農薬パラコートの混入、睡眠薬をまぜてやるかというようなことを考えたが、入手難であったというんですね。ですから、これからのこういう嫌がらせに対する対抗だとかというふうなのは、今の給食なんかを利用されますと、運ぶ途中ですから大変なことだと思うんです。ですから、今どうしますかと言っても、皆さんお困りでしょうが、だから給食というのは、とにかく一対一じゃなくて、一対クラス全体とか、バケツ一杯全部ですから、これはもう怖いんですよね。ですから、これは聞きようがないかな、こういうことが出たということですね。どうお考えになりますか、あるいは対処の仕方だな、どんなものでしょうね。
  247. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) その新聞記事も私ども見ておりますが、大変嘆かわしいことだというふうに思っております。いわゆる給食といいますのは、いろんな人の手を経てできてくるんでございますから、そういった過程を考えれば、ある時期には何か悪さをたくらもうとすればできる過程があるわけでございまして、これにつきましてはやはり児童、生徒につきましては、そういった給食の持っている意義あるいは人間の健康の大切さというふうなもの、基本的には生活指導全体の問題であろうかと思いますが、そういった指導を繰り返していくのが一番早いんではないかというふうに思うわけでございます。
  248. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、もう一、二分、もう一つだけ聞きたいと思いましたのは、体育研究研修センターなんですけれども皆さんいろんなことをお伺いになったんで、私聞きたいのは、研究というのだから、この研究テーマは具体的に何かお考えであるかどうかということなんです。
  249. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは、体育研究研修センターにおきます研究テーマというものをどういうことをしたらいいかということで、昭和五十八年にその研修センターそのものの懇談会、どういったものをやっていくかという懇談会の中で御研究いただいた中を見ますと、いろんなことがございます。そして、例えば主として競技向上に関するものから言えば、競技選手のトレーニング方法の研究、開発であるとか、あるいは運動技術の開発、指導法の研究であるとか、あるいは国民スポーツでいきますと、年齢、体力、健康度に応じたスポーツの研究、開発であるとか、そういったかなり幅広くこういったものを研究したらどうであろうかという御提案をいただいております。したがいまして私たちといたしましては、これを軌道に乗せていきますには、こういったいただきました御提案をもとにしながらどういった研究部門を設けていったらいいかということを考えていきたいというふうに考えるわけでございます。
  250. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 最後は要望だけですけれども、私はやはり自分の専門の立場上、予防医学の立場で安全衛生に重点を置いてお話をさして、質問をさしていただきましたが、私が今申し上げたのは、気のついたことをお話ししたんでございまして、もっといろいろあるんじゃないかと思うんです。ですから十分、新しい法案がもし通って、また新しい体制でおやりになるとすれば、一番大事な面はやっぱりまず安全、衛生だろうと思うんで、それに最重点を置いてひとつ運営指導等をしていただきたいということを希望いたしまして私の質問を終わらしていただきます。
  251. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本学校給食会日本学校安全会を統合して五十七年に日本学校健康会が発足しましたけれども、九十四国会で参議院文教委員会での趣旨説明で次のように述べられています。「行政機構の合理的再編成を図る観点から、日本学校給食会日本学校安全会とを統合し、それらの業務を総合的に推進することにより心身ともに健康な児童、生徒等の育成に資するため日本学校健康会を設立することとし、この法律案を提出」する。給食会と安全会に分かれていた時代に比べて、健康会統合されたことで児童、生徒の育成にどういう成果を上げたかという点については、先ほどの御答弁で、骨折と栄養との関係調査してその研究が進んだと述べられていますけれども、何回かの国会審議を経て成立した法律の成果としてはささやかに過ぎはしないかとの印象を私は持ったわけです。  そこで災害給付あるいは学校給食物資のあっせんという本来の中心的な業務で、この学校健康会になってからこういう成果が上がったという点はないのかどうか、そこをお聞きします。
  252. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) この統合によりまして学校健康会としましては従来の安全会、給食会の事業を継承、さらにそれを発展させるという使命があったわけでございます。そのようなことで先ほど申し上げましたこと以外としましては、財政の非常に難しくなった状況におきましてどのように発展させるかというようなことで、臨調のいろんなことと対応しながら、給食の本来の使命達成のためにいろんな努力をしてきたというようなことが一つ言えるかと思います。  それから米飯給食の問題にしましても、国の食糧政策というようなことも関連しまして、非常に長期的な日本発展考えた上での政策であるわけでございますが、これをやはり普及していくということで、最近は伸び率としては微々たるものでございますけれども、そういうような米飯給食の普及も少しずつ進めてきたというようなことがございます。それから安全関係の給付としましては、これにつきましては一般的に非常に支持をいただいておると私ども考えておりますが、給付水準の引き上げというような重要な課題がございまして、そういうことにつきましては、昨年、重度障害者に対する見舞金の引き上げを、これは文部省の御指導、お力でございますけれども、やっていただいたというようなことがございます。その他普及活動等につきましても順次できる範囲におきまして努力をしてまいっておるということが言えるかと思う次第でございます。  統合によりまして新しいこと、施策を進めるということも大事ではあるわけでございますが、そういう従来からきました非常に大きな二つの柱をより発展さしていくということにかなり力を注い できたと、これが連携動作ということも影響しましてやってこられたのではないかというような気持ちでいる次第でございます。
  253. 吉川春子

    ○吉川春子君 統合してもしなくてもそういう事業は引き続きおやりになってきたんだろうと思いますが、この二つの法人統合されたことで法人役員とか運営委員は何人減ったんでしょうか、簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
  254. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 安全会の場合は、常勤役員が三人、非常勤役員が三人でありまして、給食会は、常勤役員が四人、非常勤が三人でありました。それで健康会統合によりまして常勤が五名となりまして、非常勤が三名と相なりました。差し引きしますと、常勤役員二名、非常勤役員三名の削減が行われたということに相なっております。
  255. 吉川春子

    ○吉川春子君 二つの法人統合されたことによって理事長が一人になったわけですけれども、いかがなものでしょうか。二つのそれぞれ理事長がいてお二人でやっていたことを一人でおやりになるようになって、仕事の中身はどうなったんでしょうか、忙しさとか、その他端的にお答えいただけますか。
  256. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 私は統合しましてから健康会理事長に就任しまして従前の状況がよくわからないのでございますが、やはり多方面になっただけ若干理事長の負担がふえたんではないかという感じがいたします。しかし仕事の仕方としましては、専決処理とかいろんな方法がございまして、一番根本はやはり全職員が本気で取り組むということがこの団体の成果に影響するのではないかと思う次第でございます。
  257. 吉川春子

    ○吉川春子君 二人でやっていたことを一人でおやりになるようになったから大変になったと思います。今度三人でやっていたことを実質一人でおやりになるような改正ですから、もっと大変になると思います。今のお答えと、それから今度の法案によって合理化されることをあわせますと、かなりの役員の数が減って、やはり仕事の内容というのは大変な事態になるのではないかと私は思うわけなんです。  この法案文部大臣提案理由は、学校健康会のときより後退しておりまして、両法人は密接な関係があるからと言うのみで、統合すれば新しい法人の活動面でどういう前進があるのかということを趣旨説明では一言も触れられておりません。臨調に言われたからやるというだけでは文部省の主体性が余りにもないのではないかと思いますけれども、今回の統合によってこの事実上三つの法人といいますか団体の仕事がさらに前進するというふうにお考えでしょうか。
  258. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) この両法人統合の契機といいますのは、あくまで臨時行政調査会の答申をいただきまして政府はこれを実行するということに相なっているわけでございますが、私たちといたしましては、両方の法人がそれぞれ国民一般の健康なり、あるいは体力増進ということに共通的な仕事をやっておりますので、一つ法人になりましたらやはりいろんなプロジェクトを組んでこういった新しい法人としての新しい仕事をやっていきたいというふうに思うわけでございます。
  259. 吉川春子

    ○吉川春子君 余り展望のないようなお答えというふうに私は受けとめました。  文部省はさらに臨調行革審に言われたからといって、この一月に「学校給食業務の運営の合理化について」という通達を各都道府県あてに出しました。これによって学校給食教育一環であるという文部省の従来の方針は転換を余儀なくされると私は考えざるを得ないわけです。その通達の5で、「学校給食業務の民間委託を禁ずるものではない」としているわけですが、これは地方公共団体の所有する調理施設内に民間給食業者から調理員を派遣して調理作業をさせてもよいというふうに読んでいいわけですね。
  260. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) おっしゃるような例もいいのではないかということでございます。
  261. 吉川春子

    ○吉川春子君 学校給食法の第四条に「義務教育学校設置者は、当該義務教育学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。」という規定があるんですが、これが形骸化することはありませんか。
  262. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 具体的な学校給食運営業務を民間に委託していようと、そこにおきます学校給食設置者が開設をいたしているということに相なるわけでございまして、学校給食法の当該規定が形骸化するというふうなことには相ならないというふうに思うわけであります。
  263. 吉川春子

    ○吉川春子君 学校給食については地方公共団体が責任を持つ、それはいいんですね。
  264. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校給食につきましては、児童、生徒に学校給食を提供するということについて地方公共団体が責任を持つということでございます。
  265. 吉川春子

    ○吉川春子君 その場合、先ほどの問題とも重なるわけですが、調理員はだれの労務指揮を受けるのか、また調理員に対する校長の権限は及ぶのかどうか、それは文部省のお考えとしていかがですか。
  266. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 今おっしゃっておりますのは、学校の調理場に民間会社から調理員を派遣するという場合の関係でございましょうが、調理員に対しまして校長あるいは学校栄養士というのは指揮監督をするというわけにはまいりません。その関係は、具体的な指揮監督はしないということで指導をいたしておるわけでございます。
  267. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと調理員のいろいろなことについて民間のその調理員を派遣している会社だけが責任を持つということになりますね。
  268. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 当然派遣しております会社とそれから学校設置者であります教育委員会との間で請負契約が成立するわけでございますから、その契約の成立した中身の執行については会社が責任を負うということに相なります。
  269. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、職業安定法の四十四条、同施行規則四条からいって、学校給食民間委託は違法な労働者の供給事業ではないか、こういう疑いがあるわけなんですけれども、言ってみれば栄養士は調理師に直接いろいろと指示することはできないし。それから給食室で同じように作業していて栄養士が、お魚が焦げているわよ、ほら注意しなさいとか、こういうことまで極端に言えば法律上言えなくなるというような関係になるわけですけれども、こういうような中で栄養士と調理師が協力し合いながら子供たちのためによりよい学校給食、質の高い学校給食というものが提供できるものでしょうか。
  270. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 今おっしゃいましたような例、栄養士が調理師に対して物が言えるか、言えないか、私はそれが法律違反であるということではなくて、そこまで法律が律しているんだろうかという気がいたします。したがって、法律論で言えば栄養士は調理師の方に対して指揮監督はできませんよ、しかしながら同じ職場にいてそういったお互いに協力していくということは当然あってしかるべきだというふうに思うわけでございます。
  271. 吉川春子

    ○吉川春子君 栄養士が専門的な知識に基づいて学校給食の献立などを作成いたしますね、そういうものとちょっと違った形で調理師が調理をしようとしているようなときに栄養士は物が言えない、これが法律の規定になるわけですね。それはお認めになるんでしょう。
  272. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) それは具体的にはそういうことに相なろうかと思います。したがいまして、それは契約違反という状況が設置者との間では出てくるというふうに思います。
  273. 吉川春子

    ○吉川春子君 だから、そういうような形の中で学校給食は質のいいものがつくれないというふうになっていくと思うんです。これはさっきは高等学校の例が出されましたけれども、具体的に東京都の足立区なんかで既に派遣された調理員による学校給食民間委託の形態というのを検討し始めているわけですから、非常に重要な問題だというふうに思うわけです。調理員を派遣してくる会社が栄養士の資格を持つ人も抱えている場合に自治 体の栄養職員が学校給食の献立をつくる必要がなくなるのではないか、こういう疑問も出てくるわけです。あるいは栄養職員は絶対自治体職員でなければならないというふうに文部省はお考えになるのか、その辺はどうなりますか。
  274. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校給食民間委託する場合に単なる仕出し弁当を学校がとるという形ではないということを基本に考えたわけでございまして、あくまで献立なりそういった指揮監督的な部分は学校給食を開設しております設置者側で責任を持てる体制をとらなきゃならぬ、そのためには民間会社の方に栄養士がおりましょうとも献立の主要なところは、あるいはそういったものについての判断というのは学校におきます栄養士がそこを握っていくということで民間委託をやるならばやったらどうだというふうな指導をいたしたわけでございます。
  275. 吉川春子

    ○吉川春子君 今の御答弁が臨調から何か言われてくるっと変わるという懸念を私は持っているわけです、今までも文部省はそうでしたから。調理の民間委託までは言ってなかったでしょう、それが臨調行革が言い出したらくるっと方針変えたわけですから。今度も栄養士はもう民間でいいじゃないかと臨調が言ったら、これが変わらないという保証がどこかありますか。
  276. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 栄養士の設置につきましては、現在第五次の職員定数改善計画の中で、昭和六十六年度までの計画の中で、増配していこうということで進めておりますので、私たちはそういった形になるとは考えておりません。
  277. 吉川春子

    ○吉川春子君 学校給食法の五条の三というのがその根拠規定になり得るでしょうか。
  278. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 五条の三そのものがそういったものを補完する根拠にはちょっとなりにくいのではないかと、これは学校栄養職員の職務を書いたというふうに考えているわけでございます。
  279. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、文部省がその栄養士の設置計画を進めている間は栄養士が派遣労働者にならないけれども、その計画自身を文部省がおやめになることだってあるわけですよね。そういう場合に、学校の給食は自治体の栄養士があくまでも責任を持つんだという余り確固とした法的な根拠はなくて、単にやっぱり文部省の政策としてということになるわけですね。
  280. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 先ほどから申し上げておりますが、学校給食についての児童生徒に対する責任はだれが持つのかといいますと、これはいかなる場合であっても学校設置者が責任を持つのであると。そうしますと、自校給食の場合はいいですが、民間委託等をした場合にその責任をとっていくためには、やはり学校栄養士という方がいて、そこで献立をし、あるいは調理について万般いろんな点での気を配るというふうな体制をつくっておくということがどうしても必要であろうというふうに思いますので、今おっしゃいますように学校現場から学校栄養士が必要なくなるというふうなことを想定しているわけではございません。
  281. 吉川春子

    ○吉川春子君 久喜市のセンター給食の食中毒事件に関して、これは前の日の調理が原因というふうに判断されたわけですけれども、この場合の学校安全会の対応はどうなりましたか。
  282. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 久喜市の場合の問題でございますが、安全会に対しては医療費の支給申請はなかったので給付は行っておりません。
  283. 吉川春子

    ○吉川春子君 その原因がはっきりしていて、民間の業者の給食が原因だというふうになっているわけですけれども、これは申請しなかった理由はなぜですか。
  284. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 災害共済給付事由が第三者の行為によって生じて、当該第三者から損害賠償を受けたときは、その限度において災害共済給付を行わないことができるということになっておりますので、この場合におきましては、その委託業者が市に対して医療費及び見舞い金を支払っておりますので、市はそういったことで医療費の支給申請をしなかったということでございます。
  285. 吉川春子

    ○吉川春子君 これから学校給食民間委託ということがどんどん進んでまいりますと、こういう件数もふえていくかと思うんですけれども、その場合には児童、生徒の医療費の支給の責任というのは、これは学校管理下で遭った災害というふうには考えられないわけですね。
  286. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校管理下の災害であって、第三者加害ということがはっきりしているときに、健康会が災害共済給付を出しますれば、その後加害者に対しての求償権が残るということに相なるわけでございます。
  287. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、こういうような場合に学校管理下の災害であるということはいいんですか、そういうふうに考えてもいいんですか。
  288. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 学校給食によって食中毒を起こしたということについては、学校管理下の災害でございます。
  289. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、民間の業者の委託給食で食中毒を起こした、あるいはその原因がはっきりしないような場合は、じゃどうなるんですか。
  290. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 少なくとも学校給食が行われた、その給食の食事内容は民間委託だったということがあるかもしれませんが、学校給食のときに集団中毒を起こしたというふうなことになりますれば、当然日本学校健康会としての災害共済給付の対象にいたすわけでございます。
  291. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間委託の学校給食を認めるということは、私はきょうは深くは入りませんけれども、職安法四十四条で守られている働く人たちの権利を踏みにじる、こういう場合が出てくるというふうに思うわけです。また、栄養士、調理士という密接なつながりのある職員の協力関係もスムーズにいかないということは明らかだと思うんです。子供たちの学校給食の質の向上という面から見ても、これは非常にマイナスではないかというふうに思うわけです。臨時行政調査会というのは、そういう学校現場のいろいろな具体的なことまで考えずに、経済的な効率のみで民間委託をした方がいいとか、やれ法人統合せよとかと、こういうふうに言ってくるわけですけれども、これは大臣にお伺いしたいんですけれども文部省教育の行政に責任を持つところだし、具体的に現場の状況をよくつかんでいらっしゃると思うんですけれども、ただ臨調が言ってきたからということだけでいろいろな政策転換をなさるということは余りにも主体性がないんじゃないか。そのことによって児童、生徒に及ぼす影響は余りにも大きいんじゃないかというふうに思うんですけれども、そのあたりに対する文部大臣のお考えはいかがでしょうか。
  292. 松永光

    国務大臣松永光君) 臨時行政調査会は国会の議決に基づいて設置された機関であったわけでありまして、その答申というものは尊重することは当然のことであります。
  293. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、それによっていろいろと現場に混乱が起きたり、あるいは学校給食の一例を私言いましたけれども、質の低下とかいろいろなトラブルが予想される、そういうような問題についても、何か水戸の御隠居の御印籠みたいに、臨調行革だからということで全部やっていくとしたら大変な事態になると思うんですけれども、重ねてお伺いしたいのは、臨調が言ってきたと、しかし文部省としてはどうしても受け入れられないものというのはあると思うんですけれども、その辺の判断はなさるんでしょうね。
  294. 松永光

    国務大臣松永光君) 臨調は水戸の御隠居とは全く違うわけでありまして、国会の議決を経て設立された機関、その機関の意見というものは、我々としては尊重せざるを得ないわけです。もちろん、その臨調の答申に基づく具体的な改革措置をしていく場合には、文部省としては教育目的に照らして問題が起こらぬような最大限の配慮をしながら実行に移していくわけであります。したがいまして、学校給食関係で経費の節減合理化を図る上では、特にこれこれ、これこれの点について留意すべきだということを指示して、そして経費の節減合理化をする場合の注意事項を全国の都道府県教育委員会に通達したのがことしの一月に 出した通達なんであります。あくまでも学校給食の質を低下させないということを基本理念としてそういう通達を出したわけであります。
  295. 吉川春子

    ○吉川春子君 お答えは必ずしも納得できるものではありませんが、時間の関係で次の問題に移りたいと思います。  参考人にお伺いいたします。  学校災害の給付件数が、いただいた最新の資料で百三十五万七千九百五十五件になっているわけです。大変多いと思うんですけれども、この数字は今後もふえていくというふうに予想されるんでしょうか。
  296. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 最近の情勢としましては、微増でございますが、漸増の傾向にございますので、医療機関の整備等のこともございましょうが、なお増加していくんじゃないかというような感じでおります。
  297. 吉川春子

    ○吉川春子君 学校安全会の仕事として「学校安全の普及充実」というふうにもされているわけですけれども、この学校災害の発生件数を減らすために何か事業をなさっておられるわけですか。
  298. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 健康会目的といいますか、事業でございますが、学校安全に関しましては「学校安全の普及充実」とそれから「災害共済給付」という両面がございまして、私ども学校安全の知識を一般に広めるとともに、学校現場で児童、生徒の教育上できるだけの配慮をしていただきたいというようなことからいろんな普及事業を行っておるところでございます。例えば研究学校の設定とか、それから交通安全に関しましては推進地域というものを設定しまして地域ぐるみで取り組んでいただくというようなことを五十六年からやっておりますし、それから研究大会、研究協議会、それから最近、本年度のこれは文部大臣賞ということで文部省仕事中心でございますが、図画、作文の募集とその選定、それからこれは戦後は余り明確な資料ございませんでしたが、日本学校安全会ができましてから災害の統計資料というのがかなり整理しておりますが、そういうものもできましたらそれを刊行しまして一般の認識を深めていただく、それから事例集とか防止の必携、留意点というようなもの、それから機関誌、それから文部省著作の手引書の刊行というようなことをやってまいっておるわけでございます。  少し余計になりますけれども、例えば文部省著作の小学校安全指導の手引というようなものは、五十七年からでございますが、七万七千部出ておりますし、それから学校における水泳事故というのが毎年後を絶たないわけでございますが、その事故防止必携といいますのは、健康会の著作でございますが、四十九年から九万三千部出ております。最近は非常に需要が多くなりまして増刷に増刷を重ねておりますが、現場からも非常に関心を持っていただいてありがたく思っておるところでございます。
  299. 吉川春子

    ○吉川春子君 都道府県別の給付件数は児童、生徒数によりかなりの差があるわけですけれども、一番多い県と一番少ない県の差はどれぐらいになっていますか。
  300. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) これは御指摘のとおり、県ごとに人口の分布の状態もございましょうが、非常に差がございます。五十九年度の状況で申しますと、最も多い県、県といいますか、大阪府が十三万二千二百二十八件ございまして、それから最も少ないのは沖縄県でございますが、年間を通じまして三千五百九十二件というような数字がございます。
  301. 吉川春子

    ○吉川春子君 発生件数と同時に、職員一人当たりの給付件数というのが、これが非常に仕事をしていく上で重要な意味を持っていると思うんですけれども、職員一人当たりの給付件数の最も多い県は幾つで最も少ない県は幾つですか、一人当たり。
  302. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 最も多いところは大阪府でございまして、一人当たりの処理件数が、事務部長を除きまして職員の数で割っておりますが、大阪府の場合一万四千六百九十二件というような状況にございます。それから一番少ないところでございますが、事務部長を除きまして一人当たり処理件数、一番少ないのが沖縄県でございまして千七百九十六件というような数字でございます。
  303. 吉川春子

    ○吉川春子君 これで見ますと、沖縄と大阪の間に十三倍ぐらいの開きがあるんですけれども、そうしますと職員の数は大阪は沖縄の十二倍ぐらい抱えているわけですか。
  304. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 実は大変問題といいますか、私ども頭を痛めているところでございますが、大阪府の場合は配当定員が十名でございます。それから沖縄県の場合は三名ということで、そのような倍数、十倍というような開きはないんでございますが、いろいろ検討しました結果、いろんな要素を考えて今のような状況になっている次第でございます。
  305. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省にお伺いいたします。  この事故発生件数がふえていると、したがって給付件数もふえていくだろうという見通しを私も持っておりますが、この一人当たりの処理件数が、大阪と沖縄と比べてみると給付件数は十二倍ないし十三倍と、職員は三倍程度なんですね。この数字については文部省としては何か対策を講じられますか。
  306. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) そのことにつきましては昨年、総務庁の行政監察の勧告の中でも指摘をされたわけでございます。したがいまして、文部省におきましては健康会に対しまして支部職員の配置人員の見直しあるいは配置転換等の措置というふうなことをやってその合理化を図るようにしてほしいということを御指導申し上げたわけでございます。
  307. 吉川春子

    ○吉川春子君 例えば沖縄の三名は、もうこれは最低のぎりぎりの数字で、これ以上減らすことはできないと思うんですよね。病気でお休みになることもあるでしょうし、いろいろで、三名というのは最低の数字だと思うんです。とすれば、やはり扱い件数の多いところをそれ相当の人数をふやしていかなきゃならないということになるわけですけれども、今配置を変えるというようなお話でしたけれども、これは定員をふやすという意味なんですか。
  308. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 定員の問題につきましては、御承知のとおり、国家公務員と同じように特殊法人におきましても定員削減計画というのが進行しているわけでございまして、この中でふやすということはほとんどできないということでございます。したがって、現在の定員の中での人員のやりくりということに相なろうかと思います。
  309. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうするとどういうふうにするんですか、具体的に言えば。
  310. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 具体的には、配置人員を見直しまして配置転換をするというのがその今おっしゃったものに対するやり方といいますか、言ってみれば、あるところの県では一人の事務量はこれだけある、ある県についてはこんなに少ない、少ないところの人は遊んでいるではないかというふうなことになりますと、それはこうやりくりするよりしようがないんではないかということに相なるわけでございます。
  311. 吉川春子

    ○吉川春子君 少ないところは遊んでいるんじゃないかというのは文部省の発想ですか。  つまり、沖縄と大阪を比べてみたら十二倍の差があるわけですよ。だから、沖縄をゼロにしたって間に合わないでしょう。そういう点についてやはり私は、法人余り意味もなく統合するとかなんとかということよりも、まず災害給付を適切にできるような、そういう事務処理ができる定員の配置ということが必要だというふうに思うわけです。そういうことも全然おやりにならないで、頭数だけ何とかやりくりするということは、絶対解決にはならないと思うんです。  参考人の方にお伺いしますけれども、こんなに事務量の差があって忙しいところはどうやってこれをこなしているんでしょうか。
  312. 松浦泰次郎

    参考人松浦泰次郎君) 忙しいところは本当に大変だと思いますが、全力を挙げてやっていただいておると思います。処理できないものは家に 持って帰って処理するというような話も聞いたことがあるんでございますが、ただ先ほど申し上げましたように「災害共済給付」と「普及充実」ということがございますので、災害共済給付の件数の多いところはなかなか普及充実に手が回りかねる面もあろうかと思いますけれども件数の少ないところはその余力はできればやはり普及充実という方面にも回していただきたいというように私ども考えておる面もございます。  現在、甚だ残念でございますが、やはり安全関係、給付の内容とか、そういうことにつきましても学校内の全職員の方々が十二分に理解していただいておるとも言えないような面もあるんじゃないかというような感じがいたしまして、普及充実ということはなかなか難しい面もございますけれども、私ども健康会としましては、今後とも給付と同時に並んで力を入れていかなきゃならぬ面じゃないかというふうに思っておる次第でございます。
  313. 吉川春子

    ○吉川春子君 大変当事者といたしましては苦しい御答弁だったと思いますけれども、私は、こういうことを放置してあるのは、やはり文部省に非常に責任があるし、こういう事態をこそすぐ解決するためにやはり手を打たなくてはならないというふうに指摘しておきたいと思います。  国立競技場の問題について少し残された時間でお伺いしたいと思うんですが、文部省体育局は五十九年度に体力・運動能力調査報告書というのを出しておりますけれども、そこに非常に興味深いいろいろな結果があるわけですが、日常運動している人としていない人との体力の差というのはどういうふうにあらわれておりますか。
  314. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 昨年度の調査結果から見ますと、少年層から壮年層まですべての年齢層で運動を行っている人の体力が行っていない人の体力を上回っております。例えば運動を行っております五十歳前半の男女におきましては、男性で四十歳前半の体力、女性で四十歳後半の体力に相当いたしますし、男性で十歳、女性では五歳程度体力差が見られるんではないかというふうに思います。
  315. 吉川春子

    ○吉川春子君 女性はどうして五歳ぐらいしか差がないんですか。
  316. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) ここのところはちょっとお答えするだけの能力を持ち合わせておりません。
  317. 吉川春子

    ○吉川春子君 私もジョギングをやっているものですからちょっと参考までに伺ったわけですけれども。  学校開放施設を含む各地の公共スポーツ施設利用状況をつかんでいらっしゃいますか。財団法人日本スポーツクラブ協会ですか、で調査なさいましたけれども、御存じですか。
  318. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 日本スポーツクラブ協会が地域のスポーツクラブを対象にいたしまして公共体育施設、まあ、学校体育施設も含めまして利用状況について実施した調査があるということは承知いたしております。
  319. 吉川春子

    ○吉川春子君 この調査によりますと、スポーツクラブが三十五万ある、会員として参加していらっしゃる方が一千万人以上おられるということで、非常に国民スポーツに対する要求というのは強いと思うんです。テニスとかジョギングとか、そういういろいろなスポーツ国民は参加しているわけですし、特に中年以上の人々にとっては、健康保持の上からスポーツは大切な役割を持っているわけなんです。私、大臣がどういうスポーツお好きかわからないんですけれども、これだけ強い国民の間にスポーツの要求があるし、それから指導者の養成とか施設設備を整えてほしいとかという強い要望があるんですけれども、そういうものに対して文部省としてはどういうふうにおこたえになっていらっしゃるおつもりでしょうか。
  320. 松永光

    国務大臣松永光君) 私はスポーツが大好きでありまして、そして非常に上手だと自分で自負しております。したがいましてスポーツについては熱心なんでありますが、私自身仲間を集めまして、私がやっておるスポーツクラブ関係者は千数百名おります。みずから野球場をつくったりあるいは民間施設を持っている人と長期的な契約をしたりして、私自身はスポーツの持っておる大きな効果が多くの人に及ぶように私個人としても努力しておりますが、文部省としては多くの国民ができるだけ身近にスポーツ施設利用できるようにしなきゃなりませんので、施設の整備に意を用いておるところでありますが、同時にまたスポーツというものは単なる遊びと違いますから、ルールがあり基本が必要なんでありまして、それを指導する指導者が大切であります。その指導者の養成、さらにはまた現にある施設についてその有効利用が図られるような行政も進めていかなきゃなりません。そういう面で国民の多くにスポーツ機会が与えられるように今までも努力をしてまいりましたが、これからもそれは重要な施策であるという認識のもとにより一層そういう施策の推進に意を用いてまいる決意でございます。
  321. 吉川春子

    ○吉川春子君 スポーツが大変お好きでお上手だということです。私は上手ではありませんが、スポーツが好きなので本当にそこは大臣と一致する点が一つだけあるなと思いました。  次にお伺いしたいのは、国立競技場の今度の統合問題がこういう国民のニーズとの関係でどうなのかという問題なんです。国立競技場に対する国庫補助はこの五年間どのように推移しておりますでしょうか。
  322. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 国庫補助金の金額につきましては、例えば五十七年度が総額十七億円でありましたのが六十年度は総額十二億円ということで、傾向としましては毎年国庫補助金の額は減っていっているというのが現状でございます。
  323. 吉川春子

    ○吉川春子君 国立競技場事業収入はこの間とういうような推移を示しておりますか。
  324. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 国立競技場事業収入につきましては、先ほど五十七年と六十年度を出しましたので申し上げますと、五十七年度におきましては事業収入は十三億でございましたが、六十年度は十六億というふうに相なっております。
  325. 吉川春子

    ○吉川春子君 国の補助が減って事業収入がふえている、こういう関係になると思います。事業収入の中で目的外使用ということではどんなことをやっておられますか。
  326. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) いわゆる競技会、いわゆるそういった競技大会にあそこを使います以外に、いろんな一般の国民がプールを使いますとか、テニスコートを使いますとかということもあるわけでございますが、それ以外の目的外使用ということになりますと、例えば「日通航空スポーツの集い」とか、あるいは「国際スポーツフェア」とか、あるいは「八四年親と子の文化スポーツ」とかいろんなことが行われているわけでございます。
  327. 吉川春子

    ○吉川春子君 もうちょっと詳しく言っていただいた方がよかったかと思うんですが、そういう中でこの施設運営収入の使用料の値上がりという点についてお伺いいたしますけれども、陸上競技場とか、ラグビー場とか、庭球場、体育館、こういうものが物すごい勢いでというか、かなり値上げをされてきているわけなんです。使用料の値上げということは、多くの人たちが利用するという意味でこれは非常にマイナスになるということは明らかです。衆議院その他の答弁で文部省は、この使用料の値上げについて一部の人々が使用するんだから相当の対価を払ってもらうのは当然なんだ、こういうことを言っておられるわけなんですね。最初に文部省に発表していただいたように、非常にスポーツ熱も高い。そしてそういう中で、少ない施設や高い使用料など一部の人々が使用できない状態に置かれているという実態もあるわけなんです。こういう中で、私は国立競技場が一部の人々の使用だから相当の対価を払うのは当然なんだ、こういう局長の答弁というのは非常に遺憾であると思うんですね。やはり多くの人々により多く利用されるような国立競技場に持っていくことこそ国民のニーズにこたえる行政というふうに言えるんじゃないんですか。
  328. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) スポーツ施設をなるべ くたくさんの人に利用していただくということは当然のことでございますが、一方考えますと、スポーツ施設運営につきましては大変経費がかかることでございます。いわゆる経費につきましてはやはりそこを利用する方が応分の負担をするということは、今の世の中では当然のことではないかというふうに思うわけでございます。
  329. 吉川春子

    ○吉川春子君 本当にちょっとスポーツ愛好家からはどうかと思われるような答弁なんですけれども国立競技場の業務の中で民間委託がどういう部分で進んでおりますか。
  330. 望月哲太郎

    参考人望月哲太郎君) お答えいたします。  民間委託を主としてやっておりますのは、一部の施設で電気、機械のそういう管理系統の仕事、それから警備とか巡視とか、そういう巡察のような仕事、そういうところに主として民間委託が行われておるところがございます。
  331. 吉川春子

    ○吉川春子君 今後ともその民間委託を進めていく方向なんでしょうか。
  332. 望月哲太郎

    参考人望月哲太郎君) 私どもの方にも職員がおりましてそれぞれの分野で働いておりますので、今後定員削減その他のことがございました場合に、欠員が出たときにどうするかという問題はいろいろ議論すべき余地があろうかと思いますけれども、それ以上のことを現段階では考えておりません。
  333. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省にお伺いします。  国立競技場民間委託というのがかなりの部分で進もうとしているんですけれども、例えばおやめになってその職員の穴があいたようなところはやっぱり民間委託ということを進めていくというお考えですか。
  334. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 事柄によりますが、私は、民間委託になじむものとなじまないものというふうに事柄が分けられると思います。したがって、民間委託になじむものについては、やっぱり今の世の中ですから定員削減計画もまいりましょうし、そういったことに備えるためにも民間委託については十分検討していくことが必要だろうというふうに思います。
  335. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、その民間委託をどんどんやっていって結局民営化、こういうよ、つな方向に将来はいく危険性があるんですね。
  336. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 今申し上げましたように、民間委託になじむ仕事となじまない仕事があるだろうということを申し上げましたので、なじまない仕事というのは基幹的な仕事でございますから、これを民間に委託していくということはございません。
  337. 吉川春子

    ○吉川春子君 なじまない仕事は何ですか。
  338. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) この辺は具体的に国立競技場の方で御検討されることだと思いますが、いわゆる国立競技場体育施設運営していくに必要な基幹的な部門というふうに相なります。
  339. 吉川春子

    ○吉川春子君 持ち時間がもうオーバーしていますので、私はこれ以上追及することができません。国立競技場というようなものを一部の例えば大変お金を持っている団体の使用に供するとか、それから使用料を高くしてやっぱり一般の人がなかなか使用できないような形態になっていくということは、本来の目的からいって非常に好ましくないことだと思います。さっき大臣も御答弁なさいましたように、やはり多くの国民に多くのスポーツのチャンスを与えていくということで努力をされていくということですので、この国立競技場の問題についてもやはり高ねの花にならないような、例えば働いている人が夜遅くも安い料金で夜間照明もつけて利用できるような、そういうような施設にしていくということが今後の課題なのではないかと思います。  スポーツ施設スポーツの愛好家の上にも臨調行革の大なたが振るわれているわけですけれども、私はさきにも申しましたように、臨調の言うままに文部省の政策変更をしてほしくない、むしろ文部省としては教育、文化、スポーツ、そういうものに責任を持つ省といたしましてやはり絶対そういうものが後退しないような形で臨調に対しても物を言う、臨調に対してもやはり抵抗する、場合によっては。そういう姿勢を示してやっていただきたいということを述べて、この法案に対する質疑を終わります。     ―――――――――――――
  340. 林寛子

    委員長林寛子君) この際、委員の異動についてお諮りいたします。  本日、世耕政隆君が委員辞任され、その補欠として志村哲良君が選任されました。     ―――――――――――――
  341. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 本日の議題になっております日本体育学校健康センター法案、名前は先ほど粕谷委員からも意見がございましたけれども、もう少しスマートな名前にした方がいいんじゃないかと思います。この法案そのものには民社党は基本的には賛成しております。しかし、今後の運営について若干希望を交えて質問する材料を用意してまいったんですけれども、ほとんど大部分野にほかの委員の方が質問されました。私同じことを繰り返して質問するのは時間の浪費だと思いますので省略いたします、その方が皆さんもお喜びだろうと思います。  ただ二点ほど質問したいと思っております。  一つは、学校給食についてでありますが、私はやはり学校給食というのは教育的な効果もあるし、今後も続けていくべきであるというふうに考えております。一部の、ごく少数の人ですけれども学校で児童みんなに対して同じようなものを画一的に食べさせる、集団的に食べさせるのは個性の尊重に反するんだとかなんとかいうようなことを言っている人がございますけれども、私は画一的なものあるいは集団的な訓練というのはある場合においては教育上非常に効果があることだと思いますので、何でもかんでも一人一人が個人的にインディビデュアルにやることが私はいいことだとは思いませんので、学校給食は今後も続けていくべきだと思います。ただしその業務はできるだけ合理化していくということが必要だと思うのですけれども学校健康会――今度この法案が通りますとセンターになりますけれども、そのセンターが引き継ぐ業務の中に給食用物資の供給業務があるわけですが、この給食業務のあっせん、助成、文部省としての助成、これは確かにある時代においては必要であった項目が随分あると思いますけれども、時代の変化とともにそれほど必要でなくなってきているものもあるんではないかと田山。いますが、承認物資、文部省からいただいた概要の五十九年度給食用物資の供給実績によりますと十二ほど品目が並べでございますが、この中でどうしても今度のこのセンターがやはりやっていくべきだ、続けていくべきだというふうに思われる品目はどういう品目でございますか。
  342. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 日本学校健康会は、いわゆる一般物資とそれから指定物資と両方のあっせんを行っているわけでございますが、承認物資につきましては御指摘のとおり五十八年度から取扱品目を減らしてまいっております。そこで六十一年度までの減らす計画を持っておりますが、将来どうするんだということに相なろうかと思いますが、これは先ほど若干申し上げましたように、承認物資ができましたいきさつというのは昭和四十年代の後半の大変大きなインフレ、そして物資不足というときに、学校給食用の物資が足りなくなったということが目に見えて出てきたわけでございまして、それを大量的に安定的に供給するということでできたわけでございます。したがって、今の状況を見ればそういうことがないではないか、したがって今の承認物資については見直しを図るということで私たちも見直しを図ってまいりましたが、この中に、例えば外国の政府機関のあっせんによりまして低廉な価格で供給できる、そういったものは外国から輸入いたしまして、そして子供の方に安い価格で渡せるというふうなものとしては、例えばチーズでありますとか黄桃の缶詰でありますとか、そういったようなものがあるわけでございます。その他国内農産物の使用奨励あるいは国内食糧資源の活用に資するというふうなものもあるわけでございますが、いろんな角度から見て学校給食の物資を扱ってそれが民間業 界とのあつれきを来さないということを考えながら、そしてなおかつそのことが学校給食を実施しております全国の僻地に至ります学校のプラスになることであるという角度からの検討をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  343. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 外国からの輸入物資で値段が特に安く仕入れることができるようなものは別ですけれども、これで見ますと、特に今度のこのセンターがあっせんしなければならないような物資は余りないんじゃないかと思うんですけれども、外国から輸入する物資以外でどうしても続けていかなくちゃいけない、保健上続けていかなくちゃならないというのはどういうものに相当しますか。
  344. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 具体的にちょっと私もあれでございますが、例えば承認物資について大変議論を呼びましたのはミカンの缶詰というのが議論を呼んだわけでございます。ミカンの缶詰が学校給食の現場に入っていくということにつきましては、昭和四十年代か五十年代の初めだったと思いますが、当時いわゆるミカンが大豊作でミカン業者からとにかくいろんなことで頼みがあるということから、日本の国内産業の奨励という観点からミカンの缶詰というものを学校給食の物資として日本学校健康会が扱ったわけです。  ところがそれが今度はミカンの缶詰が少なくなりますと、ミカンが不作に陥りますと今度は一般の業者の方から、なぜ日本学校健康会はそういうものを扱うんだというふうなお話がある。こういったいわゆる流通業界におきます揺れが出てきますのはこの承認物資の態様でございますので、こういったいろんな状況を見ながらその承認物資についての扱いを決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  345. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今具体的になかなかお答えするのは難しいかと思いますけれども、私はできるだけこういうのは削減して、そして学校給食業務の広報活動であるとか知識の普及であるとか、そういったふうな面に重点を移されていくことを希望しておきます。  それから二番目の質問は、国立競技場利用の問題。今、吉川委員の方から御質問ございましたけれども、これ、一般の団体の利用ですね、公共団体の利用以外の一般の団体の利用、これはどういう団体にでも利用を認めているのですか。例えば政党でありますとか宗教団体でありますとかあるいは企業が運動会をやりたいというような場合、あるいはある営利会社がお客さんを無料で招待して運動会をやる、そういうふうな場合でもこれは利用を認めておられるのですか。
  346. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 国立競技場の一般利用につきましては承諾基準というのを設けておりまして、その承諾基準によりますと政治活動あるいは宗教団体の宗教活動及びこれに類する活動のための催し、それから公序良俗に反するおそれのある催し、競技場の品位を損なうおそれのある催し、そういった場合には貸さないということでございまして、今おっしゃいました会社が会社の運動会のために貸してくれということになれば、それは競技場の使用に支障がなければ適当な対価を支払っていただいて貸すということになります。
  347. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そうすると、例えばある化粧品会社がお客さんを集めて運動会をやるというふうな場合でも認めるんですか。
  348. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) それは先ほど申し上げましたような承諾基準に違反しない、通常は違反しないと思いますが、そういった場合には認めるということに相なります。
  349. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その承諾基準というのは公表されておりますか。
  350. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは国立競技場の規程として、内規でございますが、ただ一般的に外に出しております規程集等には入れでございます。
  351. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 本来の目的以外のあいている時間なんかのときに、一般の人たちに利用させるということは結構なことですけれども、やはり国の費用で建てたものでございますから、余りにその目的と離れたような団体については使用を断るべきではないかというふうに考えております。  それから個人利用、水泳教室であるとかテニス教室であるとか、個人の利用がかなり多いように思いますけれども、これはその周辺の人たちが大部分は利用しているんじゃないかと思うんです。その周辺の人たちの中でも、知っている人は大いに利用しているけれども余りこれを知らない人もいるんではないかと思うんですが、広報活動をどういうふうにしておられますか。  それから、現在使用料を取っておられます、これが高いか安いかということがちょっと問題であります。民間に比べるとかなり安いように思いますけれども、その周辺の人たちだけに非常に安い価格で特典を与えるということはいかがかと思うんですが、しかし同時に、他方において、あいているものであるならばできるだけ利用させる、安く利用させる方がいいという考え方も立つんですけれども、この使用料の基準はどういう基準に従ってつくっておられますか。その二つの点。
  352. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) いろんな施設がありまして、それの個人利用ということになりますと、大体考えられますのは、テニスコートとそれからプールが個人利用の主体であるというふうに思います。テニスコートの場合は、これは非常に申し込みが多くて、みんな順番待ちというふうなことになっている、あるいは抽せんでやらなくちやならぬというふうなことで、テニスコートをやっておりますが、プールの場合は比較的それは別に定員がないものですから、自由に入れるということに相なりますが、この使用料につきましては、一つは他の公的機関におきます体育施設の使用料というものがどうなっているか、それから民間の使用料はどうなっているかということをよく勘案しながら使用料を決めてまいっているのが現状でございます。
  353. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その基準が余りはっきりしないように思うんですけれども、これは非常に難しい問題だと思うんです。できるだけ安くして利用させた方がいいには決まっているけれども、実際問題として利用できるのはその周辺の人たちだけ、しかも時間のある人たちと。実際にはもっとしたくても時間がなくてやれない勤労者の人たちもいるわけで、そういった人たちの使用に対してどの程度の対価を要求するか、これは非常に難しい問題ですけれども十分検討してやっていただきたいというふうに考えております。  それから広報活動はどういうふうな広報活動をやっておられますか。
  354. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 広報活動というのは普通考えますと新聞広告等というようなことになるわけでございますが、そこまでのことはやっておりません。国立競技場に持っております広報紙の配付ということにとどまっているかと思います。したがって、広報活動については私たちももうちょっと活発にやらなきゃならぬのではないかというふうに考えております。
  355. 林寛子

    委員長林寛子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  356. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認めます、  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  357. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 日本社会党を代表して、日本体育学校健康センター法案審議を締めくくるに当たり、反対の討論を行います。  我が党は、自民党政府が目下強引に進めている方向を誤った行政改革のために提出した本法案に対し、反対であることをここに明確に表明するものであります。  その主たる理由について、以下簡単に申し述べます。  第一は、委員会審議で再三ただしてまいったことでありますが、本法案設置目的の全く異なる国立競技場日本学校健康会という二つの文部省所管の特殊法人を安易に統合し、国民に対して行革の名のもとに見せかけだけの姿勢を見せよう とするものであるからであります。このことは、昭和五十七年に行われた日本学校給食会日本学校安全会の統合で既に証明済みであります。それでもその場合には、学校における児童生徒の健康と福祉という共通項が多少でもありましたが、今回はそのような共通項は全くないのであります。  政府のポーズだけのこのような安易な姿勢が最も明白にあらわれているのが、二法人統合の効果、メリットに関してであります。政府は、役員教の削減、重複事務の回避を最大のメリットに挙げておりますが、これはまことにささやかなものであります。現在の事業を寄せ集めただけで、統合により国民へのサービスを拡充するための具体的なものは全くありません。むしろ、事務所の三カ所への分散等によりまして、責任体制があいまいになり、総合的、効率的運営を損なうおそれが大きいと言わなければなりません。  第二は、本センターの管理運用のあり方に対する疑問であります。  本センターは、児童生徒を初め、すべての国民にとって一番大切な健康に関する業務を行うものでありますから、一般の特殊法人とは当然に異なる仕組みが考えられなければなりません。例えば、役員には体育スポーツ振興と児童生徒の健康について造詣の深い者が任命されるべきであります。ところが、この点は何らの手だても講じられておらず、依然として文部省などの役人の天下り、渡り鳥の場になるものと言わざるを得ません。  また、運営審議会役割委員の構成等についても何らの配慮が行われておりません。本センターが国民立場に立つとともに、関係者意思に基づいて運営されることになるかということについて大きな不安を持たざるを得ません。  第三は、現在の二つの法人運営や活動に多くの問題があるにもかかわらず、それらを放置したまま、両者を形式的に統合してしまおうとすることに対する疑問であります。  例えば、今日ほど国民各層にスポーツと健康な生活に対する要求が高まってきている時代はないのではないでしょうか。このような国民のニーズに国立競技場は十分にこたえているでしょうか。年ごとに施設は老朽化しているにもかかわらず、国の補助はこのところ減る一方であります。東京オリンピックで盛り上がった体育スポーツへの熱意をさらに発展させる上で、同競技場が今日まで十分な役割を果たしてきたかまことに疑問であります。  また、学校給食につきましても、行革路線から合理化という美名のもとに、その民間委託やセンター方式の導入等が推し進められようとしています。しかし、これには学校給食の質の低下と安全性の軽視を招きかねない危険が潜んでいるのであります。  さらに、前々から我々が要求してきた児童生徒、特に重度身体障害者に対する災害共済給付の改善は一向に進んでおりません。政府は、看板のかけかえをする前に、これらの国民が真に望んでいるサービスの改善にこそまずもって努めるべきであります。  以上申し述べました理由から、我が党は本法案国民並びに教育関係係者の期待と信頼を裏切るものであるとの判断に立ち、反対であることを申し述べ、私の反対討論を終わります。
  358. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、日本体育学校健康センター法案に対する反対の討論を行います。  まず、今回の法案子供の心身の発達及び国民の健康にとって重大な問題点を抱えており、我が党が強く慎重審議を主張したにもかかわらずわずか一日の審議で採決されるに至ったことは極めて遺憾であります。本法案は二十六日の夕刻趣旨説明が行われ、そして今日の議了ということで超スピードの審議であります。他の法案があるというわけでもないのに重要法案をなぜこんなに急いで成立させるのか、国民に納得のいく説明はできないと思います。また、衆議院で確保した審議時間よりはるかに少ない時間で我々が審議を終わらせることも世論を納得させないのではないかと思います。参議院の審議あり方等についていろいろ論議のある今日、私たちは国会の一方の院の構成メンバーとしてもこの院の機能が十分に果たせるように努力することは党派を超えた責務であると言ってよいのではないでしょうか。  本法案は、第二臨調行革に基づいて施設管理の民間委託や経営の効率化の名のもとに全く異質の業務内容、形態を持つ組織一つ統合することによって、子供国民生活に密着した教育、健康、安全、スポーツといった分野の国のサービスを切り捨てるものです。国民が期待する行政改革は、例えば増大し多様化する国民スポーツ要求にこたえ、公的スポーツ施設の整備充実や指導者養成、また国立競技場がナショナルスタジアムと呼べるにふさわしい施設、陣容に整備することであります。今日、国立競技場に対する国の補助は年々削減され、施設の使用料の値上げ、コンサートなど施設目的外使用によって事業収入を増大させられているのが実態であります。  日本学校安全会と日本学校給食会が同じく臨調行革によって統合させられてから三年近くになりますが、何ら統合による業績が見られないばかりか、教育一環であるべき学校給食民間委託が促進され、調理員のパート化が増加したという深刻な実情であります。学校安全部の学校災害共済事業も、事故件数が毎年増加しているにもかかわらず職員の定員削減が続けられています。私もきようの質問で指摘したように、学校災害の迅速な処理のための職員の増員を含めた体制の整備充実こそ求められており、行政の対応が必要なのであります。  本法案には、「体育振興と児童、生徒等の健康の保持増進を図る」ことを目的とするとしておりますが、このような切実な国民の要求する課題に何らこたえるものでなく、結局、国民生活、教育に密着する部門のサービスの切り捨てと採算本位に基づく効率化を強調した第二臨調答申を実行するものであります。  こういうような立場から強く反対の意を表明して討論を終わります。
  359. 林寛子

    委員長林寛子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本体育学校健康センター法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  360. 林寛子

    委員長林寛子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
  361. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、ただいま可決されました法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     日本体育学校健康センター法案に対する附帯決議(案)   政府は、体育振興と児童、生徒等の健康の保持増進を図るため、左記事項について適切な措置を講ずべきである。  一、日本体育学校健康センターの業務の総合的かつ効率的運営に努めるとともに、運営審議会委員の選任に当たっては広く関係者意見が反映されるよう配慮すること。  二、学校安全及び学校環境衛生の維持向上と重度障害者に対する災害共済給付の一層の改善充実を図るとともに、養護教諭の適正配置に努めること。  三、学校給食については、その重要性を十分に認識し、学校給食の安全性の確保と質的充実に一層努めるとともに、引き続き学校給食用物資の供給業務の合理化を図ること。  四、日本体育学校健康センターの発足に当たっては、職員の雇用の継続を図るとともに、従前の労使間の慣行を尊重し、労働条件が低下しないよう十分配慮すること。  五、体育スポーツに関する研究・研修、情報提供等を一体的に行うための体育研究研修センター構想の具体化について、所要の措置を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同くださいますようお願いいたします。
  362. 林寛子

    委員長林寛子君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  363. 林寛子

    委員長林寛子君) 全会一致と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、松永文部大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。松永文部大臣
  364. 松永光

    国務大臣松永光君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に即して十分検討してまいりたいと存じます。
  365. 林寛子

    委員長林寛子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  366. 林寛子

    委員長林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会