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1985-12-12 第103回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     小野  明君  十二月十一日     辞任         補欠選任      小野  明君     村沢  牧君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成相 善十君     理 事                 浦田  勝君                 北  修二君                 星  長治君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 刈田 貞子君                 塩出 啓典君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        農林水産大臣   佐藤 守良君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   門田  實君        大蔵省主計局次        官        保田  博君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        農林水産大臣官        房審議官     吉國  隆君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        農林水産省農蚕        園芸局長     関谷 俊作君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        厚生省年金局数        理課長      坪野 剛司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会  衆議院送付)     —————————————
  2. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事村沢牧君を指名いたします。     —————————————
  4. 成相善十

    委員長成相善十君) 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 農林年金は、農林漁業団体役職員に優秀な人材確保するためには老後保障充実が必要であること、同時に、農林漁業団体育成強化が農政の推進上重要であるとの判断のもとに、昭和三十四年に厚生年金から分離独立した制度であります。  この年金は、発足以来厚生年金よりも充実した内容、そして国家公務員共済との横並びを目指して制度改善充実に努めてきましたが、八〇年代に入ってからは国庫負担率の停滞、掛金率引き上げ支給開始年齢の引き延ばしなど改悪が続いており、今回、公的年金制度一元比等一環としての改悪されることによって、給付水準の引き下げ、掛金引き上げなどの影響をもろに受けようとしております。  大臣は、農林年金制度創設趣旨性格、位置づけを尊重し、並びに発足以来の経過に照らして農林年金改善と将来の方向づけに対処しなければなりませんけれども、今回の改正案を提出するに当たってどのような配慮をされたのですか。
  6. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 村沢先生お答えいたします。  農林年金は、先生先ほど指摘のとおり、昭和三十四年に厚生年金から分離独立した制度でございます。当時、先生お話ありましたようなことですが、厚生年金給付水準は、同一市町村におきまする市町村共済制度に比較しまして給付水準に大きな差があり、また福利厚生面でも厚生年金より不利な状況にあった、そんなことで優秀な人材確保支障を来しておったというようなことがございました。そこで、農林漁業団体につきましても地方公務員と同等の福利厚生面充実を図ることとし、制度創設したものでございます。  近年におきましては数次の改正を経まして、地方公務員及び国家公務員共済制度と全く遜色のない農林年金制度となっており、今回の改正におきましても公務員共済制度と同様の給付水準確保することとしております。  この結果、農業協同組合職員学歴構成について見ますと、男子では大学卒が漸増してきており、男女とも高学歴化が進展し、すぐれた人材確保され、今日までその政策目的に沿ってその特徴を発揮しておもと考えております。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 制度改革公的年金一元化されれば職域年金としての特殊性が薄くなり、また農林年金魅力も持ち得なくなるというふうに思うんです。農林年金特色を持ち、さらに維持発展させるとともに、厚生年金に対して明確な有利性確保する、また他の共済年金に比べて不利益、不公平を生じない、そうあるべきだというふうに思いますが、その保証はありますか。
  8. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の制度改正は、お話にございましたように、公的年金制度整合性を図るということで、幾つかの制度間の整合してない点を改めるということを確かにやっております。  その中で、基本的な仕組みとしましては、基礎年金の導入に厚生年金相当部分上乗せ年金として農林年金から支給をするということにしておりますけれども農林年金公的年金制度としての性格と同時に、先ほどお話のございましたような農林漁業団体事業の円滑な運営に資する、あるいは人材確保するというための農林漁業団体職員相互扶助一環としての性格も持っているものでございまして、このために他の共済制度と同様に、厚生年金相当部分の上に、いわば三階建てとして職域年金部分給付を行うということにしているわけでございます。  また、改正後の農林年金独自性というようなことにつきましては、引き続いて資金運用の面で自主的な運用を行う、あるいはまた、福祉事業につきまして農林漁業団体職員のニーズに合わせて実施していくというようなことがございます。  なお、農林年金の今回の制度改正の中での独自な改正事項といたしましては、従来当委員会でも御議論のありましたいわゆる新旧格差につきまして、その解消を図るとか、また職務上の障害年金につきまして新たに最低保障制度を設けるというようなことをいたしております。厚生年金に比較して、農林年金魅力なり独自性が失われるというふうには私ども考えておらないところでございます。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 今回の改正によって、共済年金グループ給付を初め諸条件制度上ほぼ同じになる、今までもそうであったが、より明確になってくるわけです。制度上はそうであっても、給付水準年金ごとに異なるし、あるいはまた組合員負担も異なる、このことは変わりありませんね。
  10. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正で、公的年金制度の主として給付面における整合化あるいは統一化を図っていくということでございます。公的年金制度昭和七十年に向けての改革改正の中で、今回の改正の後、七十年に向けまして負担の面での一元化ということが検討され実施されてまいるというふうに予想をいたしているところでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 農林年金特色を生かしてさらに発展をさしていくためには、今後の改正の面で農林年金として七十年に向けてどうあるべきだと思うんですか。
  12. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  先ほどから局長答弁したとおりでございますが、年金制度改革につきましては、既に国民年金厚生年金保険につき全国民共通基礎年金を導入する等の改正を行い、共済年金につきましても昭和六十一年四月の同時実施を大前提として同趣旨改正をお願いしているところでございます。  昭和六十一年度以降においては、政府としては以上の措置を踏まえて引き続き制度間調整を進め、昭和七十年度を目途に公的年金制度の全体の一元化を完了することにしております。  農林年金につきましてもこのような全体の方向を踏まえつつ、農林年金制度沿革等も配慮して、農林漁業団体職員人材確保を図るというねらいが損なわれることがないよう万全を期してまいりたいと考えております。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 大臣に申し上げます。大変失礼ですが、時間がありませんから、私の質問したことに答えていただきたいと思います。私はそんなことを質問しておりませんし、そんなことは承知をしておりますから、質問に答えてください。  これから七十年に向けて農林年金特色を発揮していくんだという話でありますが、どういうふうに農林年金としては特色を発揮していくんですか。例えば財源の問題において、掛金率の問題において。
  14. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほども申し上げましたように、今回の改正によりまして給付の面での一元化に大きく一歩を踏み出したわけでございますが、昭和七十年を目指しまして、負担の面を含めまして公的年金制度全体として長期的な安定が図られるような調整を進めていくということになっております。  その具体的なやり方と申しますのは、まだこれから政府全体として検討を進めていくべき事項でございまして、今後の検討課題であるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、年金制度につきましては、高齢化社会の到来を迎えまして全体としての整合性を図っていかなければいけないということが一面でございますので、農林年金のみがその整合性の外に出るということはできないと思いますけれども、そういう中で、例えば今回職域年金部分を設けたということに見られますように、農林年金発足をいたしました農林漁業団体の優秀な人材確保するというねらいが損なわれないように、私どもとしては七十年に向けての検討の中で努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 局長、そのことはわかりますけれども局長答弁を聞いていると、他の共済年金横並びであってということですが、横並びには違いないけれども、そうは言っても、農林年金は他の共済グループと比べていろいろな面で格差もあるわけなんですよ。その格差はやっぱり是正をしていくという前向きな姿勢がなくてはいけないんですけれども、そのことについては他の共済横並びであるからいたし方ありませんということになるんですか。そういう格差をどういうふうに直していくかということなんですよ。あるいは特色を生かしていく、今まで格差があるものは直していくということが本当の整合性というか、一元化に向けての努力だと思いますが、それはないんですか。
  16. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お尋ねの中にございます格差というものをどういうふうに理解をするかということに関係してまいるかと思いますが、制度的には大臣先ほどお答えを申し上げましたように、累次の改正を経まして公務員共済とも遜色のない制度になってまいってきておる。制度的な格差というふうな点につきましては、今回の改正で、むしろ共済制度全体としての整合性が図られる方向で今回措置がなされているというふうに考えているわけでございます。  もちろん、農林年金組合員方々給与水準というような問題、あるいはまた組合員期間の長さがほかの共済制度と比べて短いというようなこと、その他、制度仕組みと申しますよりは実態面でのいろいろな格差があるということは私ども十分認識をいたしておりますけれども、これは共済制度そのものと申しますよりは、やはり農林漁業団体の経営基盤なり、あるいはまた、そこでのいろいろな労働条件というようなものにかかわってくる問題でもある、非常に幅広い対応を必要とする問題だというふうに考えております。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 厚生年金と比べてどのような違いがあるのか、あるいは他の共済と比べてどのような違いがあるのか、このことについてはこれからの質問の中でだんだん明らかにしていきましょう。また、同僚委員からも、そういう御質問なり指摘があるというふうに思います。  そこで、次に進みますが、大臣にお聞きするんですが、それは国鉄共済年金との関連についてであります。今回の年金改正で大きな問題となった国鉄共済年金については、衆議院段階一定統一見解が示されておりますけれども、私は依然として玉虫色であるというふうに思うんです。  そこで大臣にお伺いしたいことは、六十五年度以降の分について農林年金もその一部を負担しなければならないようなことになるかもしれないけれども農林年金給付水準掛金率財政状態成熟度等から勘案して、他の制度の赤字までしょい込むというような余裕はあるというふうにお考えですか。
  18. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  国鉄共済年金については「財政調整五カ年計画の終わる昭和六十四年度までは、政府として、国鉄経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払い支障のないようにいたします。」ということで、以上については「昭和六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ること」としております。  なお、昭和六十五年度以降分については、「その後速やかに対策を講じ、支払い維持ができるよう措置いたします。」ということでございますが、このことにつきましては、現時点では他制度からの財政調整支援考えていないということでございます。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 現時点では他制度からの繰り入れは考えておらないということでありますから、農林年金は何ら心配することはない、そういうふうに理解していいですか。
  20. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この点につきましては、今、大臣からお答えを申し上げましたとおり、他制度からの支援なり連帯というようなことについては、理論的には考えられるけれども現時点昭和六十五年度以降の問題として政府としては考えていないということで、これが政府としての基本的な統一見解ということになっておるわけでございます。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 考えていないし、またやらないということであれば、これ以上は進展をする必要はないですけれども、もしやったとするならば、農林年金先ほども申しましたような現状の中から、国鉄年金のいわゆる不足分を背負い込むというような余裕があるのかないのか、そのことを聞いているんですよ。
  22. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 仮定の問題にはなかなかお答えを申し上げにくいわけでございます。いずれにいたしましても、六十五年度以降の問題についての長期的な検討ということでの今後の課題でございます。  いずれにいたしましても、この問題、非常に難しい大きな問題だと思っておりますが、何と申しましても共済制度に基づきます年金と申しますのは、一つ職域を単位にしました相互扶助としての性格も持っておるものでございますから、こういった大きな国鉄年金を将来どういうふうに年金として維持をさせていくかというやり方につきましては、広く国民のやはりコンセンサスの得られるようなものでなければいけないと思いますし、また私ども、この農林年金の今後の運営につきましては、やはり農林年金関係者方々理解が得られるような形で今後とも考えていくべきものだというふうに考えておりますことを申し上げまして、お答えストレートにならないかもしれませんけれどもお答えにさせていただきたいと思います。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 仮定の問題についてお答えのしようもないかもしれませんけれども、答えにくいかもしれませんけれども年金の問題について、例えば今、私が質問していますけれども仮定数字を挙げますよ。挙げて、これはどうなるのかということをまた質問していきますけれども、そういう仮定数字では私どもお答えできませんということじゃ答弁にならないのです。あなたは農林年金を所管しているんですから、農林年金財政をよく知っているわけです。  ですから、他の共済からひとつ負担をしてくださいといって話があっても、農林年金では大変だというようなお考えを持っているのか。ああ大丈夫です、そういうお申し込みがあれば負担しますからというようなことが、農林年金を所管している局長として言えないことはないと思うのですよ。
  24. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 仮定の問題と申しますのにも二種類ございまして、例えばある一つ現行制度に対しまして改正後の制度、この二つの制度のもとで一定所得なり組合員期間を持った方方が、ある年齢でおやめになったときにどういう年金支給をされるかというのは、これもまた一つ仮定の問題でございますが、制度の枠組みとしては一つあるわけでございます。それに一つ仮定数字をはめて計算するというようなことは、当然私ども答弁を直接に申し上げなければならぬというふうに思っておりますけれども、今のお尋ねの、国鉄共済について他の共済制度から財政調整をするかどうかということにつきましては、現時点では考えていないというのが政府の公式の立場でございますので、その立場とは別に、にもかかわらず考えるとしたらどういう見解なのかということには、なかなかストレートお答え申し上げにくいという意味でお答えを申し上げたわけでございます。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵大臣が来るから、そのときまた一緒に聞きましょう。  次は、標準給与についてでありますが、農林漁業団体給与体系複雑多岐にわたっているので、標準給与算定は本俸に諸手当を含んだ額とすることが現行法でありますけれども、今後ともこの体系は堅持をしていかれますね。
  26. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 御指摘のとおりでございまして、農林年金は諸手当込みのいわゆる標準給与制維持してまいるということでございます。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 改正案によれば、標準給与とり方について、現行の最終一年間の平均額から、全期間月額平均額に変更されます。そのことによって実質的な年金額は相当下がるというふうに思うけれども、その見通しはどうなのか。  また、農林年金組合員給与実態を勘案して、他の共済とのやっぱり格差がさらに広がるのではないかというふうに想定されますけれども、どうなんですかね。具体的な数字をもとにして示してください。
  28. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正で、御指摘のとおり、退職前一年という給与とり方から全期間平均に改めることにいたしておりますけれども、それによりまして年金額算定基礎になります給与水準がどう変わるかということにつきましては、組合員期間長短でございますとか給与上昇率等々によって、いろいろケース・バイ・ケースで相違がございます。  私ども達観的にいろいろ試算をしてみますと、低下率の高い方で二〇%から三〇%程度年金額算定基礎になる給与の額が低下するものというふうに予想をいたしております。しかし、給付水準低下するといたしましても、今回、制度仕組みが変わりまして、定額給付される基礎年金制度の適用がある、あるいはまた、新たに定額加給年金制度共済年金にも創設をされるというようなことがございますので、年金額にこの算定基礎になります給与水準低下というのがそのままストレート反映をするものではないというふうに考えております。  この措置によりまして、退職近くになって給与が大幅に上昇するような方と、それから平均的に給与が上昇する方との年金額の差が縮小されるということはあろうかと思っておりますが、どちらかといえば、高所得者よりは低給与の方の方が給付水準低下は少ないということになろうかというふうに考えております。  それから後段のお尋ねでございますが、農林漁業団体給与体系なり職員構成から見て、こういった給与とり方が他の共済制度に比べて不利になるんじゃないかという点につきましては、農林漁業団体職員構成が民間のサラリーマンとか公務員等の他の年金制度給与なり職員構成に比べて非常に特異なものだというふうには私ども考えておりませんので、非常に大きくそういった問題が生ずるというようなことはないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 施行日前の組合員期間を有する者については、その施行日前五年間の平均月額補正率を掛けて平均標準給与算定する場合、補正率とり方によって年金額も大きく変わってくることは当然であります。そこで、補正率に対する基本的な考え方及び補正率はどの程度考えているんですか。
  30. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 補正率の問題につきましては、全期間平均をとります場合に、施行日前の組合員期間につきましては、農林年金制度に加入をした期間というのが団体によっていろいろさまざまでございます。そのために、標準給与の存する組合員期間というものが団体によって長短がございますために、一律に全期間平均にするということには問題もございますので、補正率という手段を使って全期間標準給与を算出しようということにいたしておるわけでございます。  この補正率につきましては、施行日前五年間における標準給与平均額に対する施行日前の全期間標準給与平均額の標準的な比率ということで算出をする考えでございますが、組合員期間年数によって区分して定めることにいたしております。  例えば、組合員期間が五年しかない方は、賃金水準補正だけをいたしますれば、まさに最近五年間というのは全期間平均になるわけでございますし、組合員期間が非常に長くなれば、それだけ補正率もまた数字が一との間が大きくなってくるということにもなろうかと思います。  そういうことで、組合員期間年数別に区分をすることにいたしておりますが、その際、比較の対象とする全期間標準給与につきましては、そのときどきの給与そのものではなくて、過去の給与水準現時点における給与水準に再評価をする。そういたしませんと、賃金なり物価の変動というものが反映をされないことになりますので、再評価しました後のものとすることにいたしておりまして、他の年金制度に比べて不利にならないように措置をいたしたいというふうに考えているところでございます。  具体的には、これから計算を組合員期間別にやってまいりますので、また他の年金制度のそういった作業も見ながら決定をしてまいりたいと思っておりますので、現在明確な数字は残念ながらお答えできませんけれども考え方としては以上のような考え方算定をいたしたいと思っているわけでございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 その補正率は、他の年金補正率を掛けるということは横並びだけれども、率の内容については横並びでない、そのように理解していいですか。
  32. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金制度につきましては、農林年金制度に適用される補正率を決めたいというふうに考えております。そのときに、他の共済年金制度に比べて不利にならないように、十分横とも連絡をとりながら農林年金補正率を定めてまいりたいというふうに考えております。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 その補正率農林年金独自の補正率である、また同時にその補正率については、今話がありますように、他の共済年金厚生年金に比べて絶対に不利にならない、そのように対処をする、そのことをもう一回確認してください。
  34. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 他の共済年金制度の作業も十分私ども関心を持って見守りながら、農林年金につきまして適正な補正率算定してまいりたいというふうに考えております。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど局長は不利にならないということを何回も言ったんだけれども、私が再質問したら、今度は適正ということになったんですけれども、どういうことなんですか。
  36. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 不利にならないということで御理解いただいて結構でございます。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、この際要求しておきますが、この補正率を含めて、この改正案には政令だとか、あるいは省令に委ねるものがかなり多くある。法律を審議するに当たって、どういうふうにやっていくんだというその案を出さなきゃ、慎重な、あるいは具体的な審議ができないんですよ。補正率についてはまだ決まっておらないという話だったけれども、その他のものについても、そういう省令等に委ねるものについて決まったものがあったら出してください。きょう間に合わぬとしても、この次また審議がありますから、それまでに出してください。よろしいですね。そうしなければ、国会審議に対して全く無責任なんですよ。審議できないじゃないですか。
  38. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 政令見込み事項等につきましては、国民年金なり厚生年金あるいはまた他の共済年金といろいろ密接な関係を有する事項が多いわけでございまして、現在、関係各省間で調整を行っております段階にございますために、直ちに御要求におこたえしにくい面が非常に多いということにつきましては、今回の制度改正性格ということから、ぜひ御理解を賜りたいと思っておるところでございます。もちろん国会審議の中で、ただいまの補正率お尋ねのように、施行に当たってどういう考え方を持っておるのかということにつきましては、私ども現時点お答えできますことは、できるだけ率直にお答えを申し上げるつもりでございます。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 具体的な成文がないとしても、従来法律を審議するには、この事項は政令に委ねるとか省令に委ねるということで全部あるわけですけれども、その政令はどういうことをするのか、省令はどういうことをするのか、明確な答弁ができなくちゃ審議なんてできないじゃないですか。これは責任がないというか、皆さんの無責任だということなんですよ。これからの審議にも関係することでありますけれども、これについて出せるものは出してください。いいですか。
  40. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたような事情がございますけれども、私ども今、施行の際にどういうことを考えているかということにつきまして、お出しできるものはできるだけお出しをするように努力をいたしてみたいと思います。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 委員長に要請しておきますが、今そのような答弁ですから、次回の委員会までに今私が申しましたような資料でもって委員会に出してください、委員長の方へ。
  42. 成相善十

    委員長成相善十君) 後刻、理事会で協議いたします。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 現行法には新法年金と旧法年金との格差があり、依然として解消されておりませんが、この改正法案が成立すればこの格差は解消する、こういう答弁を今言っておるわけですけれども、この改正条文に照らしてどうなっているんですか。
  44. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今まで新法、旧法の格差の問題は当委員会でも何回か取り上げられた問題でございますが、今回の改正におきましては、年金額算定に当たりまして旧法期間と新法期間を同様に取り扱うということにしておりまして、このような格差は是正されることになっております。  御案内のとおり、農林年金におきます新旧制度の切りかえというのが昭和三十九年でございまして、国民年金創設が三十六年ということでございますが、この三十六年より後であり、今回、基礎年金制度の導入に当たりまして、三十六年以後の期間農林年金受給者につきましてひとしく基礎年金受給の対象期間として取り扱われるというようなこともございましたので、新旧の格差を是正することにいたしております。  具体的な法文についてのお尋ねでございますが、この部厚い「法律案関係資料」がございます。これの百十七ページ、附則の第三十条というのがございますが、それ以下におきまして施行日以後の既裁定年金の改定につきましては、新法年金、旧法年金の区別なく、従来の通算年金方式に裁定がえを行う等の措置を講じておるところでございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 その改正条文には、改正された後においてはそういう区別をするということは書いてないから、旧法も新法も同じだということですね。
  46. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お尋ねのとおりでございます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 その点は、まあうまくやったというふうに思うんですけれども。  そこで、そういうふうに書いてないから、改正後には改正後のやつが新法で、現行法が全部旧法だ。だから、現行の旧法と新法の中にはもう差別はないんだということに、法文上もそういうことからなるということですけれども、そうなれば施行後においては新法、旧法適用者は全く格差がなくなりますね。
  48. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 格差はなくなるわけでございます。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、一、二、具体的な数字を想定して質問をしたいというふうに思うんですが、一つは、退職年金について、退職前一年間の標準給与月額が三十万円、組合員期間が四十年であった者が五十九歳で退職した場合の年金額は幾らになりますか。
  50. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 退職前一年の平均給与三十万、組合員期間四十年という方が施行日の直前に五十九歳で退職をされたということで計算をいたしますと、共済方式で二百五十二万円、通年方式で二百四十五万八千六百円というふうになりまして、現行制度での支給額は、共済方式、通年方式のいずれか高い額というふうになりますので、共済方式の二百五十二万円というのが年金の額になるわけでございます。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 この人が、この人というか、同じ条件の人が施行日直後に退職した場合の年金額は幾らですか。
  52. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 同じ方が施行日の直後に五十九歳で退職をした場合ということで改正後の法律で退職年金額を計算いたしますと、二百二十四万六千四百円というふうになるわけでございますが、御案内のとおり期待権の保障ということを今度の改正法では考えておりますので、施行日の前日に退職したならば受けることができたであろう年金額というものを従前の年金額として保障するということにいたしております。このために、施行日の前日に退職したとして計算した共済方式の二百五十二万円が支給されると申しますか、保障をされるということになるわけでございます。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 そうしますと、施行日前の既裁定年金者について祖共済方式による二百五十二万円が既得権として保障されるけれども、通年方式で算定した今もお話があった二百四十五万八千六百円ですか、これに裁定がえされ、既得権に達するまでスライドが停止をされると、そういうことですね。
  54. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) そのとおりでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、毎年仮に五%ずつスライドした場合には、この人は何年間停止されるんですか。
  56. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 施行日直前に退職された方につきましては、共済方式が二百五十二万円で通年方式が二百四十五万八千六百円でございまして、差が六万一千四百円ということでございますので、五%スライドが一回ございますと、もう一回目のスライドでこの差は埋め尽くされてその上オーバーをいたしますので、物価上昇五%ということを仮定いたしますと、スライドの停止というのは、完全に停止するということは一回もない、停止期間ゼロ年ということになりますが、施行日直後に退職をされました方につきましては、先ほど申し上げました二百二十四万六千四百円と二百五十二万円との差が二十七万三千六百円ござますので、これで計算をいたしますと、五%の物価上昇を見込みました場合にはスライド停止期間は二年、スライドで二回分ということになると計算されるわけでございます。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 今お聞きをしておりましても、施行日前の人たちはスライド停止になってもほとんど実害はない、しかし施行日後になって退職した場合においては、それだけ二年もスライドが停止される。全くこれは矛盾じゃないですか。どういうふうに説明されるんですか。
  58. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 退職しました時期が施行日の前か後かによりましてスライドの停止期間に差が出ますことは御指摘のとおりでございますが、年金制度の適用関係につきましては、従来からこれは他の年金制度もすべて共通でございますけれども給付事由の発生した日において施行されている法律を適用するという大原則がございます。  これを、今おっしゃいましたように具体的にいろいろ数字に当てはめますと、ある意味ではスライドの停止期間に差が出るのはおかしいではないかという御議論もあり得るわけでございますけれども、さればといって、これを特定の方についてのみ遡及適用を行ったりするということにつきましては、これは年金制度の従来からの改正のときの一つの基本原則と申しますか、給付事由の発生日において施行される法律をずっと適用していくということの例外の扱いになりますし、また実態的にも年金受給者間の給付の均衡なり、あるいは若年の組合員と中高齢の組合員との間の負担の均衡というようなことにも関係をしてまいりますので、遡及適用というようなことはなかなか困難なことであるというふうに考えるところでございます。  なお、現行制度組合員期間が二十年以上ある方につきまして、いわば期待権の保障というようなことで施行日の前日における現行制度年金額を保障するというのは、期待権の保障という趣旨から特例的にこれは講じたものだということにつきましても御理解を願いたいと思うわけでございます。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 この法律がいつ通るかわかりませんけれども施行日はいつを予定しているんですか、通ったとすれば。
  60. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私どもといたしましては、明年の四月一日からこの制度改正を施行さしていただきたいということでお願いを申し上げておるところでございます。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、私が今指摘をしたように、明年の四月一日から施行しようと、ですから明年の三月三十一日までに今資格を持った人が退職すればそのスライドの停止分はほとんど実害がない、四月二月に退職すればこういうふうに二年も停止をされるということになりますな。
  62. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) そこは御指摘のとおりでございますけれども制度の切りかえ、そしてその際に既得権なり期待権につきましては少なくともそれが積極的に失われるというような、あるいはめり込むというようなことがないような特例措置を講ずるということでございまして、その点は制度改正をやりますときに、やはりやむを得ず生ずる事態だというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 どう考えてもおかしいですな。二日か三日退職の日が違って、二日早く退職した人にはスライドの停止はほとんどない、二日後に退職した人には二年スライドが停止となりますよというのは、これはどう考えたっておかしいじゃないですか。実際問題そういうふうにやるんだったら、該当する人はたくさんあるというふうに思いますから、よくその趣旨を皆さんに徹底しなくちゃいけない。
  64. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この点は、先ほど申し上げましたように制度の切りかえ、改正に伴いますやむを得ない措置だというふうに考えておりますが、今、先生からお尋ねがございましたことでもございますので、関係者にはその辺のところをできるだけ私どもも説明を申し上げて御理解をいただくよう努力いたしたいと思います。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 そこで私は一つの例を申し上げたんですが、このようなことはいろいろ研究していたらたくさんあるんですよ。このことは、私きょう時間がないから、同僚委員がまた後日指摘をいたします。あなたたち年金は立派になりますなんと言ったって、矛盾がたくさんある。ですから、それについてはこれからよく指摘しますから、十分そちらもその辺は考えておいてください。  それから、いろいろの経過措置を設けたんですが、経過措置がなくなる者、すなわち施行日前の年齢が三十九歳の者の年金額現行と比較してどの程度下げられますか。
  66. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 組合員期間四十年、退職前一年平均給与三十万ということで仮定をいたしまして、施行日五十九歳の方の現行制度による年金額施行日三十九歳の方の改正後の年金額を比較せよというお尋ねだというふうに理解をいたしてお答え申し上げますが、施行日五十九歳の方の現行制度年金額先ほど申しましたように二百五十二万円でございます。施行日三十九歳の方の改正後の年金額は百七十三万二千二百円ということでございます。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 随分違うじゃないですか。今の時点で計算したら二百五十二万円もらえる、しかし改正後になって、若干ベースアップはあるでしょうが、そうすると百七十三万二千二百円になっちゃう。大改正じゃないですか。こんなことでいいですかね。どう思いますか。
  68. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の公的年金制度改正のねらいなり基本的な考え方というのは幾つかございますが、その中の一つは、やはりこれから各制度高齢化社会の到来と同時に成熟率も高まってまいる、そして組合員期間も三十年とか三十五から四十年、あるいは四十年以上というような方々がかなり一般化してくるという状態が予想されます中で、今の給付仕組みなり水準というのをそのままに維持をいたしますと、一方では現役の掛金を払っておられる組合員の標準的な所得に比べて年金の金額が非常に高くなってまいる。そしてまた、それに伴いまして現役の掛金負担というものがやはり負担の限度を超える、そういったことから負担給付の均衡を図るということが今度の制度改正の基本的な考え方一つになっておるわけでございます。  そういった高齢化社会の到来の展望の中で、負担給付の均衡を図るという考え方から全体の設計ができておりますので、ただいま申し上げましたような数字に相なるわけでございます。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 それが負担給付の均衡なんですか。三十九歳以下の人がそうなんですよ。それ以下の人はもっと下がる。しかし、その間、長い期間掛けなきゃならない。掛金というものは上がってくるでしょう。現行退職したら二百五十二万もらえる人が、三十九歳でまだ六十五まで掛けなきゃならないでしょう。そうしたら、年金は百七十三万二千円になっちゃうんだ。掛金も上がりますよ。掛ける期間も長いんだよ。これが改正と言えるんですか。大改悪じゃないですか。負担給付の均衡が保てるんですか。
  70. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたようなことでございますが、負担ということについて申し上げますと、今回の制度改正を行わないでそのまま推移をいたしますと、高齢化のピークを迎えます昭和百年ごろには今の掛金率現行の約四倍になる。それを今度の改正によりまして、どうにか三倍程度のところの枠内におさめるということにいたしているわけでございます。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 少しも納得のいく答弁ができない。この問題については、後日また追及してまいりましょう。同僚委員からも追及します。  大臣、ちょっと聞いておっておかしくないですかね。大臣にちょっと感じを聞きましょう。
  72. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  今、局長が言ったとおりでございますが、基本的に三つの点に配慮していると思うんです、今度の制度改正は。  一番大きな問題というのは、やはり制度間の整合性を図るということ。それからもう一つは、やはり制度の円滑な運用を図るために適正な給付水準確保するということ。それから負担給付の公平を確保すること。それともう一つ大切なことは、やっぱり制度財政の長期的安定だと思うんです。  この辺を含めて、今、目先はそういうことでございますが、長期的に見た場合にやむを得ない処置じゃないかと、このように思っているわけです。  例えば、農林年金の現在は、成熟度では六人に一人、八十五年には二・五人に一人と。組合員はふえない。そういう形の中に負担給付考えてどうしたらいいかというようなことでやむを得ない処置だと、このように考えておるわけでございます。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 大変失礼ですが、大臣のような御年齢や僕らになればそれほど影響はないけれども、若い諸君がこれじゃかわいそうじゃないですか。一生懸命これから掛金を長い年月掛けて、掛金も上がる。しかし今よりもこんなに下がっていたら、これは全くもって理屈に合わぬと思うんですよ。ですから、こんなのは審議をとめたいところなんだけれども、せっかくきょうは厚生大臣も来ておりますから、後日に譲りましょう。  そこで、厚生大臣がお見えになっておりますけれども大臣御承知のとおり、農林年金制度は、厚生年金よりも充実した年金をつくろうとする農林漁業団体職員の切実な要望と農林漁業団体育成強化を図らなければならないという政府の政策課題によって、昭和三十四年に厚生年金から分離独立した制度であります。  この農林年金も、今お聞きのとおり、今回の改正案によって給付水準は極端に下げられる、掛金は上がってくるでしょう。そしてその結果は、農林年金特殊性も発揮ができなくなってくる。大臣農林年金創設趣旨性格、これをどのようにとらえて、この年金制度一元化の中で農林年金の将来はどうあるべきかというふうにお考えになるでしょうか。
  74. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 農林年金創設趣旨は、御指摘のとおりのように私も承っております。  ただ、これから公的年金一元化の中で農林年金独自性をどう位置づけるかにつきましては、今後政府内部におきましても十分議論を尽くさなければならないと思うわけでありますが、その際でも、制度の安定と負担給付の公平等々の観点から、いずれにしましても関係者理解国民の合意がなければならないというふうに存じておりますけれども先ほど申し上げました安定と負担給付の公平、整合性のとれた発展を図ることを中心、基本に考えてまいりたいと思います。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、今回の改正によって給付水準を引き下げる、こういう大きな犠牲を払って年金給付一元化を図るんですけれども、それじゃ七十年度を目指して掛金率年金財政をどういうふうにするんですか。また、法体系や保険集団単位はそのままにしてこのまま進んでいくんですか。その見解をお聞きしたい。
  76. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 一元化と申します際に、言葉どおり統合して同じ制度の中に入れるという考え方もありますし、また、制度間の調整を行うことによって整合性のとれたものにするというこの双方の考え方があるわけでございまして、このいずれになるかということは、来年の四月以降、本法案が可決されました場合には基礎年金一元化がスタートするわけでございますので、その時点から検討を始めてまいりたいと思います。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 これからどういうことで進めていこうというスケジュールも明らかになっていない。財政をどうしようということも明らかになっておらない。しかし、給付水準だけ下げて、まず一元化に手をつけた。これは全く政府として無責任じゃないですか。また、こういう法律を国会に出して審議をしろといったって、これこそ政府の責任を欠くものだと思うんですが、どうなんですか。審議できないじゃないですか。これだけ給付率は下げるけれども、将来財政はどうなるのか、どういうふうに一元化するのか。このスケジュールが決まってなきゃ審議できないじゃないですか。
  78. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 私どもは、やはり各界関係者方々の御意見を尊重しなければならないと思いますので、これからそういう御意見を集めながら政府内部で調整をいたそうということでございます。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 それは違うんですよ。これだけの大改革をするのなら、将来どういうふうになりますという方向を示してくれなきゃ、これは全く無責任なんです。これから各界の意見を聞いてどういうふうにしましょうなんていうことじゃ、無責任だというふうに思いますね。いつ、どの機関でこういうことをやるんですか。いつまでにやるんですか。
  80. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今、前段でお尋ねの、どのような給付負担の見通しを持っているかという点につきましては、実は私ども直接所管しております厚生年金につきましては、今回の改正が実現したことによって、将来保険料負担であればピーク時に現行のまま存続すればどのくらいのものが三〇%以内におさまるということ、あるいは給付の設計の方につきましても、加入期間の延びを前提として大体現役勤労者の収入の六九%ぐらいに抑えるということは示しておりますし、私ども、この大きな給付負担方向は、私の理解では共済各法につきましても示し得るもの、細かい財政見通しを計算なさる上で若干の作業は要るという面もあろうかと思いますが、厚生年金国民年金の場合は、その点ははっきり国民の皆さんに示してきたつもりでございます。  したがいまして、先生お尋ねの点、制度がどうなるかということでの点は、今、大臣が申しましたように、これからの検討課題であるということになってしまうんでございますが、今回の改正が意味する、我々が申し上げておりますところの保険料負担年金給付の適性化というのはどういう方向をたどるかということは、私ども、特に厚生年金のような場合は国民の皆さんに提示をしているつもりでございます。  そこで、第二弾にお尋ねの、それはそれとしても、具体的にどういう手順で将来のスケジュールと申しましょうか、構想が明らかにされるかという点につきましては、今、大臣申しましたように、今回の基礎年金の導入と各被用者年金改正は、いわば基礎年金の土台の部分では年金一元化が実現されることになると私ども理解しておりますので、その上に立って、例えば我々が二階建て部分と申しております部分をどういうふうに将来調整していくか、あるいは調整の方法にしましても、今、大臣申しましたように、もう初めから制度を統合してしまうというようなイメージでいくのか、あるいは制度を残したまま調整を図るのかということは、新年度以降やはり政府部内で議論の手順も含めて相談をしなければ、今の段階で私ども立場でこういうスケジュールを考えているということが言いにくい状況でございますことを御理解いただきたいと思います。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 厚生大臣は主として厚生年金国民年金を所管する大臣である、農林年金のことまでそんなにいろいろ言う筋合いじゃないかもしれぬが、しかし、基本は、厚生大臣のところで出すスケジュールに大体倣ってくるわけなんですよ。  それでは、厚生大臣はわからないと言うから農水大臣に聞きましょう。あなたはこういう法律を出したんですが、これから七十年代に向けて掛金率はどうなるか、年金財政はどうなるのか、独自でやっていくのか、こういう今の法律でそのままもってやっていくのか、他の年金と一緒になるのか、それはどういうお考えなんですか。法律を出すからにはそれだけの責任がありますよ。
  82. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正によりまして掛金なり給付が将来どうなってまいるか、今回の改正の意味するところということにつきましては、ただいま厚生省が国民年金とか厚生年金についてお答えをなさいましたのと同じような意味で私ども御説明を申し上げたいと思っているわけでございます。  一元化を図っていくというのを具体的にどうやっていくのかということでございますが、これも先ほど厚生大臣からもお話がちょっとございましたが、私どもこの一元化と申しますのは、単純に各制度を統合一本化するということよりも広い概念であるというふうに考えております。先ほど述べましたように、現行制度間の給付負担の均衡及びその公平性が確保されるように、七十年に向けて来年の四月以降、政府部内で関係者の意見も十分お聞きをしながら検討を進めていくというふうに考えておるところでございます。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 全くこれも厚生省と考え方は同じじゃないですか。財政調整であれ統合であれ、一体財源をどうしていくんだということ、制度をどうしていくんだということに方向もなくて、給付だけ先に法律を出した。そんなもので法律が国会を通るというふうに思いますか。答弁があったらしてください。
  84. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正は、給付負担、両面から年金制度の長期的な安定を図ろうという趣旨改正でございますので、その点を何とぞ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 理解できませんよ、そんなことじゃ。これもまた次回に譲っておきましょう。  そこで、これは厚生大臣農林水産大臣、両方にお伺いしたいんですが、今回の改正案は、支給率を下げたり、既裁定年金のスライドを停止したり、あるいは支給開始年齢を延伸するという制度の大改正であります。このことは、掛金を納めた者の既得権、期待権を侵害するものでありますが、あるいはまた、制度の信頼性を裏切るものだけれども、この責任はだれがとるんですか。
  86. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  今、御指摘の既裁定年金のうち、共済方式から通年方式に裁定がえされた受給者や、施行日の前日における現行制度による年金額を特別に保障された者につきましては、各共済年金共通の措置として一定期間スライドを停止するということは御指摘のとおりでございます。しかし、このような者についてスライドを実施することは、年金受給者と現役組合員との給付負担の均衡、年金受給者相互間における給付のバランスを図る必要があることを考慮すると困難であると考えております。  今回の改正案は、以上の点を含み、本制度給付負担の均衡を図り制度の長期的安定を目指すものであり、本制度に対する組合員等の信頼にこたえるためにも、ぜひともその成立をお願いいたすものでございます。
  87. 村沢牧

    村沢牧君 だから、最初から大臣にも言っておりますけれども質問には的確にひとつ答えていただきたいと思いますな。つまり、あなたは、今おっしゃったことを類推すれば、掛金を納めた人たちの既得権だとか期待権を侵害するんではないと、そういうふうにお考えなんですか。
  88. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど私は三つの点を申し上げましたけれども、今度の公的年金改正一元化につきまして整合性を図るとか、給付負担の問題とか……
  89. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、時間がありませんから、そんなことはもう何回も聞いているんですよ。
  90. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そういったようなことでございまして、私は組合員理解を求めたいと、このように考えているわけでございます。
  91. 村沢牧

    村沢牧君 どんな答弁をしようとしても、今までこの制度を信頼してきた人たちを裏切るんですよ。期待感を損なうものなんですよ。このことは否定しようがないじゃないですか。  そこで、関係者理解を得るように一生懸命努力してきておるという話でありますが、局長に伺うけれども農林年金組合員の大多数が参加をしておる農林年金共闘会議というのがありますね。この会議は、農林年金制度改善について政府国会に対して要請運動を連日繰り返している。当委員会にもその請願が出ています。しかし、制度改善の要求事項について余りこたえておらない。これにはどうこたえていくんですか。何項目があると思いますが、簡潔に答弁してください。
  92. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金中央共闘会議の要求項目、十三項目にわたります非常に広範な御要求がございますことは私どもも承知をいたしております。  基礎年金の問題につきましては、今回、全国民共通基礎年金農林年金組合員等にも適用するということで、これは私ども公的年金制度間における均衡等の面で必要な措置であるというふうに考えております。  年金給付水準につきましても、御要求といいますか、意見をいただいておりますけれども、やはり給付負担の均衡という点を考慮する必要があると考えておりまして、今回の改正はこの観点に基づくものでございます。  それから、退職年金支給要件は、従来どおり退職を前提とする退職年金の低所得在職支給につきまして、今回厚生年金と同様に措置をいたしております。その支給基準につきましても、現行厚生年金制度より引き上げることにいたしております。  障害年金につきましても、低所得者には一定額を新たに給付するということで一歩前進をいたしておるところでございますが、職域年金でございます共済年金性格からしまして、完全に厚生年金と同じにすることは難しいというふうに考えておるところでございます。  支給開始年齢引き上げの問題につきまして、定年と支給開始年齢の間に空白が生ずるじゃないかという問題がございますが、これにつきましては、私ども団体の定年年齢引き上げにつきまして一層指導の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。  それから、併給調整の問題につきましては、これも受給者と現役との給付負担の均衡を図りながら給付の重点化を図り、重複給付を排除していくという観点から行いますので、これは御理解をいただきたいと思っているわけでございます。  年金支給停止につきましては、低所得者まで対象とすることは今回の改正でも考えておらないところでございます。  費用負担につきましては、公的年金制度共通に基礎年金の費用の三分の一ということにいたしておりますが、当面、国庫負担水準低下するようなことはないというふうに私ども考えております。  掛金負担割合につきましては、これは被用者年金制度共通の原則として労使折半ということになっておりますので、この変更は困難であるというふうに考えております。  年金額改定につきましては、自動スライド制を、今回物価上昇率とリンクしましたスライド制を採用いたしております。  既得権、期待権につきましては、スライド停止の問題はございますけれども制度切りかえに際しましては、従前額が減少することがないように措置をしておるところでございます。  それから、減額退職年金につきましては、これは老齢者の所得保障の面で問題があるということで廃止することにしておりますが、一定の経過措置を設けまして、当面は存続をさせるということにいたしております。  それから、関連会社を対象団体にすることにつきましては、制度面からなかなか難しい問題がございますし、財政的にも一時的な効果しか望めないものだというふうに私ども考えておるところでございます。  それから、臨時職員の加入につきましては、今後とも一層指導に努めたいと思っておりますが、罰則強化につきましては問題がいろいろ多いと考えております。  それから、沖縄農林年金期間の取り扱いにつきまして、他の都道府県の組合員等との均衡を考慮すると、これは完全通算は難しいというふうに考えておるところでございます。
  93. 村沢牧

    村沢牧君 今聞いておると、組合員理解と協力を得るようにするとか、信頼感を失わないようにするとか言っておるけれども、こういう切実に年金を掛けてもらおうとする人たちの要望にこたえておらないじゃないですか。これでもって国会の承認だけ多数決で決まっていけばいいんだと、大臣そのようにお考えになりますか。
  94. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私ども、この中央共闘会議を含めまして、関係者方々からのいろいろな御意見につきましては真剣に検討をいたしまして、制度改正反映させられるところは反映をさせるように努力をしておるところでございまして、これを無視したとかということではございませんことを、ひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  95. 村沢牧

    村沢牧君 それはお話は聞いたでしょう。しかし、実質内容においてこたえていないじゃないですか。ですから、今後ともこういう要求があったならばこたえてくれるような努力をしなければいけませんし、実際、組合員なり関係者の意見を聞いたなんて言うけれども、全然こたえていない、まさに信頼を裏切る、期待感を損なうものだ。強く指摘しておきましょう。  次は、基礎年金について、これは農水省に伺いたいのだけれども基礎年金の導入に伴ってその費用負担については、各保険機関が被保険者の数及び被扶養配偶者比率に応じた定額負担の拠出金を支出することになっていますが、給付水準の相対的に低い保険集団、つまり農林年金の拠出金負担は、他の保険集団と比べて組合員給与に比較して割高になる、このように私は思いますが、どうですか。
  96. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回、各種の公的年金制度一元化整合性を図るという方向に沿いまして、いわば基礎的な部分を基礎年金ということで取り出しまして、国の助成もこれに集中をして、かつ統一的に行うということになっているわけでございますが、この基礎年金への拠出金は、基礎年金の総給付額を全国民の二十歳から五十九歳までの国民年金加入者の人数で割りました額が一人当たりの拠出額ということになりまして、これは全国民ひとしく適用される制度でございますので、これをそれぞれの職域あるいは個々の方々給与と比べて割高になるというふうな見方は、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  拠出金が定額でございますだけに割高であるということであると仮にいたしますと、基礎年金給付額も定額でございますので、給付についても給与に換算すれば割高の給付が受けられるということになるわけでございまして、制度仕組みとしては、基礎的なその上に各種の共済制度によりまして上乗せの給与比例年金が乗るわけでございますが、そのもとに共通いたします基礎年金につきましては、全国民共通負担と共通の給付ということで制度を仕組んでございますので、その点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
  97. 村沢牧

    村沢牧君 制度仕組みはよく承知をしております。しかし、その仕組みの中で一定額を人数割りで出すのですから、給与の低い人、低い集団は出す金も給与に比べて割高になる。いろいろ言っているけれども単刀直入に答えてください。
  98. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 負担一定額でございますし、給付につきましても定額という仕組みでございますので、そのような基礎的な部分につきましての全国民共通負担給付になっているということを、御理解していただきたいと思うわけでございます。
  99. 村沢牧

    村沢牧君 それは理解しているのですよ。全部で負担することは理解しているけれども、私の質問に答えてないじゃないですか。全国民が出すことは知っていますよ。しかし、給料の低い人たちが出す率が給与に比べて多くなる、大きい人よりも。
  100. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) その点は確かに御指摘のとおりであると思います。
  101. 村沢牧

    村沢牧君 最初からそういうことを言えばいいんだよ、そんなぐだぐだぐだぐだ言わずに。  そこで、基礎年金に拠出する額が給与に比例して割高になるということは、このことはやっぱり二階、三階の部分にも影響してくる。結果的に組合員掛金にもはね返ってくるというふうに思いますが、どうですか。
  102. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたような制度仕組みでございますので、そしてまた、国の助成というものを今回共通にいたしましたこともございまして、農林年金給与水準が低いからといって、何らかの措置を特別に講ずるということは困難であるというふうに考えておりますし、拠出金が定額であるから直ちに上乗せ年金部分の財政を圧迫するというものではないというふうに考えております。
  103. 村沢牧

    村沢牧君 局長、私が質問しないうちに、特別の措置を講じるなんて、私は言ってないですよ。だから、そういうことが掛金等に響いてくるというふうにはお考えになりませんか。
  104. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 国民年金制度仕組みと、その上乗せ年金としての農林年金という制度仕組みからいたしまして、国民年金の新しい仕組みというものが農林年金の上乗せ部分になり、あるいはまた、掛金負担に直接響いてくるということにはならないというふうに思っております。
  105. 村沢牧

    村沢牧君 きょうは大臣が時間が忙しいようで、私も質問しにくいんですけれども、この問題についても納得できませんから、また後ほど質問いたしてまいりましょう。  そこで、大蔵大臣がお見えになりましたので大蔵大臣質問いたしますが、御承知のように、農林年金昭和三十四年に厚生年金から分離独立して発足した制度でありますが、年金創設趣旨あるいは性格をどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。また、今後年金一元化の構想の中で、職域年金としての農林年金はどうあるべきであるとお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  106. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これはやっぱり私は、農林漁業団体が農林漁業の発展と農林漁業者の地位向上という政策的にも重要な役割を担っておるという点に着目して、いわゆるすぐれた人材確保にも資するようとの考え方発足をしたということをまず私も問題として、問題意識をそういうふうに確定をさしておるわけでございます。そうしてこの制度そのものはいわゆる社会保障施策の一環でありますとともに、職域年金として設けられて農林漁業の発展に今日までも寄与してきておるという問題意識を持っております。
  107. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵大臣がそのような認識を持ち、今後とも発展をさしていこうとする気持ちは理解をいたします。そうだとするならば、農林年金特殊性を踏まえて、大蔵大臣として国庫補助についても十分配慮すべきだというふうに思います。  具体的に申し上げますならば、一つは、事務費補助は今後とも継続をさせるとともに、農林水産省は六十一年度概算要求においてもこれを増額せよというような要求をしているようでありますが、これは尊重すべきであります。  二つ目、四分の一カット分については六十一年度から利子をつけて速やかに返済すべきものであります。  三つ目、その他農林漁業団体福祉事業あるいは相互扶助事業を促進するための従来からある補助金は今後とも継続して、団体の体質強化に役立たせるように大蔵省としても御努力願いたい。  以上、三点についてお伺いいたします。
  108. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず第一の問題は、農林共済年金の事務費に対する国庫補助については、今回の改正案におきましても従来と同じように、国は毎年度予算の範囲内において補助することができる、このように規定されてございます。したがって、改正後も引き続き従来と同様の考え方で対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、次の問題が四分の一の問題でございます。この問題につきましては、これは基本理念は決して変わっておるわけではございません。財政改革をさらに一層強力に推進してできるだけ速やかに繰り入れに着手する所存である、この基本理念は変わっておりません。したがって、今おっしゃいました今後積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担の減額分の可能な限り速やかな繰り入れに着手するという基本理念は今日変わっておりません。
  109. 村沢牧

    村沢牧君 もう一点答弁が落ちておりますが、大臣、御承知のように、農林漁業団体福祉事業だとか体質強化を高めるため、農林漁業団体が行う事業に対して、これは年金と直接関係ないわけですけれども一定の補助金も出しているんですから、これは今後とも体質強化のために継続をしていくべきだと思います。よろしくお願いします。
  110. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわゆる村沢さん御懸念の向きは、奨励的補助とかそういうことに対していろいろここのところ数年厳しい対応をしてきておる。したがって、共済年金とは直接関係ないがそのようなもろもろの補助金に対しての対応について配慮をすべきである、こういう御意見であろうと思っておりますが、そういう御意見のあることも十分承知し予算編成の過程において対応さしていただく、具体的なことにつきましては私詳細な中身は知りませんので、お答えの限界がその辺がなと思っております。
  111. 村沢牧

    村沢牧君 答弁いただきましたが、事務費補助についても増額要求もしておるようでありますから、十分尊重していただきますように、この際、特につけ加えておきたいというふうに思います。  そこで、国鉄年金とのかかわり合いについて一点伺いたいんですが、衆議院段階一定方向づけがされて統一見解は私も承知をいたしております。その後の国会答弁の中で大蔵大臣は、理論的には他制度からの連帯はあり得るが現時点では考えておりませんということを言われております。  そこでお伺いすることは、理論的には他制度から連帯もあり得るという他制度は何を指すんですか。強いて言うならば、農林年金も含まれることもあり得るということになるでしょうか。  それから、他の制度を含めるとするならば、その根拠についてお示しを願いたい。
  112. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) この国鉄の問題につきまして、御承知のことを繰り返すようでございますが、国鉄自助努力ということをうたっております。これが今度定量的に幾らになるかということは、確かに現時点では申し上げられません。そして今度は次は国の負担についてどうか、これも理屈のつくものは出さなきゃなりませんが、現時点でこれも定量的なことを申し上げる段階にない。  そこで、この「諸般の検討を加え、」の中の他制度からの財政調整を含むかどうかというときにお答えしましたのが、理論的には他制度からの連帯はあり得ますが、強いて言えば現時点では考えておりません、こういうことをお答えしているわけでございます。これは私は法的根拠という問題ではなく、実は去る国会におきまして国鉄、光電電、元専売、国家公務員、この共済法を統合していただきましたときに、その審議会、労働者側の懇談会、夜を徹してたびたび出していただきました。いろんなそれぞれ言い分がありましたが、最後に労働者連帯とはこうだなというようなことで、第一弾とも言われる国鉄共済の問題が解決したときに、本当にこれこそ労働者連帯だと若い私は情熱、感涙にむせんだような気がしたわけです。  したがって、私は、そういう意識というのは日本人の背景にあるということからすると、理論的にはやっぱり労働者連帯とか、いやそれをもっと広げた国民連帯とかいうのはあり得るんじゃないかという気持ちがないわけじゃございませんが、しかし現実どうかと、こういえば、それは今その制度の生い立ちからしましても、これを現在、現時点考えておりませんというのが正確なお答えではなかろうか。  いささか感傷的な論理体系の中に労働者連帯、こういうようなことを感じて少しそれを感激の余り言いふらしましたら、竹下大蔵大臣、何ぼでも広げることを考えているんじゃないか、まず広げることありきという考えではなく、ただ大変感激したということで、理論的にはあり得るということでございます。
  113. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、現時点では考えておりませんということでございますから、何回もそういう答弁をお聞きしていますから考えておらないと。しかし、そのことは逆に返せば、やがて考える時期も来るかもしれない、他の制度となると労働者グループの中で共済制度も含まれるかもしれない、そんなお考えもお持ちなんですか。
  114. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いや、現時点考えておりません。ほうはいとして仮にそういう世論が起きてきたらそれは別でございましょうけれども、それは単なる私の幻想にすぎないかもしらぬ、そういうふうに思います。
  115. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、大蔵大臣は幻想であったというふうに言われて安心をいたしましたので、余りそういう幻想を持たないように今後ともよろしくひとつお願いしたいというふうに思います。  次は、国家公務員共済を担当する大臣としての竹下大臣にお伺いいたします。  職域年金ですが、この乗率を〇・五から一・五へだんだん上げていく、しかし私は、この職域年金水準が乗率〇・五でいいのか、あるいは最終一・五で満足すべきものか、これは余り説得力ある説明じゃないと思いますね。社会情勢の変化等によってもいろいろ変わってくる。  そこで言い得ることは、共済年金特色を生かすためには、特に先ほど来論議をしておりますけれども支給額の低い農林年金は到達点一・五の水準では低過ぎると思うのです。したがって、これを千分の二・〇に引き上げてやる、このことについて御意見を伺いたいと思います。
  116. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) おっしゃいますとおり、共済年金制度は、一方、公務員制度等の一環としての性格を、一方、公的年金としての性格を持っておることは事実でございます。このため、公務等の能率的運営に資するという観点から、公務員等の身分上の制約等特殊な性格にかんがみ、公務員等退職後の生活の安定と福祉の向上に資する目的で設計されておる。  したがって、今、職域年金部分水準に対する御意見を交えた御質疑でございますが、この年金水準及び費用負担のあり方につきましては、やっぱり民間における企業年金の態様、水準、それから費用負担の割合等その実態が千差万別、しかもその普及状態も五〇%程度で、これらとの比較において一応の結論を得ることは非常に難しい。  もう一つは、費用を負担する現職者の負担の限度と、年金受給者と費用負担者の世代間の生活水準の均衡の必要性等から、結果として厚生年金相当部分の今二割程度基礎年金を含めた公的年金全体の八%程度が限度である、こういうふうにお答えしておるわけであります。  すとんと届くような答弁にならぬじゃないか、そういうことから今回今のような御意見がございますから、したがって職域相当部分の水準のあり方についてはやっぱり公務員制度の所管は人事院、したがって人事院の意見もいろいろ承りまして、前回も承りました。口頭で受け取っていますが、いろんな形で承りました上で、一両年中に検討を行い結論を出そう。  一両年と言いますのは、沖縄返還のときにア・ヒュー・イヤーズというのがありまして両三年以内と訳しました。その記憶があったものですから、一、二年と言うより一両年の方が言葉として適当ではなかろうかと思ってそういう造語をいたしたわけでございますから、今おっしゃったような趣旨があることにかんがみ、人事院の意見も聴取し、そしてア・ヒュー・イヤーズではなく一両年中に結論を出す、こういうことに考え方を統一いたしております。
  117. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、この問題は公務員共済横並びになりますから、公務員共済の方は一、二年で待ってもいいかもしれぬけれども農林年金の方は実情からいってそれは待てませんから、農林年金もあることをお忘れなく、もっと早くやってもらいたいというふうに思います。  もう一点、職域年金で二十五年未満二分の一というのがありますけれども、これはぜひ改めて加入年数に応じた支給にすることが正しいと思いますが、どうですか。
  118. 門田實

    政府委員(門田實君) 御指摘の点はいろいろと御議論があったところでございまして、長期間公務に従事した人、そういう人こそ処遇されるべきであるということで二十五年以上という要件を職域年金につけておりまして、それに満たない場合はその額の二分の一、こういうことに今の案はいたしておるわけでございますが、その点につきましていろいろ議論がございました。その辺を踏まえまして私どももう一遍そこのところはよく考えてみたいと、こういうふうに思っております。
  119. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、この問題についてはもう一回考えてみたいということがありましたから、よく私も聞いておきますから、大臣の方で対処していただきますようにお願いいたします。  それから、これまた公務員年金横並びのものですからお伺いいたしますけれども年金額の改定ですが、従来は御承知のとおり賃金と物価の二つの指標があったわけでありますけれども改正法では物価スライド一本になったわけなんです。これは国民年金附則修正との関連もありますので、物価スライド一本では矛盾をしている。したがって、賃金も指標の中に含めるように取り扱うべきであるというふうに思いますが、お考えをお聞きしたい。
  120. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 国年、厚年のときに、本院において修正なさったような記憶がございます。が、今の表現の中に、今、村沢さんおっしゃった趣旨も私どもは念頭にあるわけでございます。したがって、その辺は修正が妥当だというのは、原案が最高だと思って御審議いただいている私でございますので、そういう御意見も中に入っておるというふうに理解をいたしておるというふうにお答えをするのが、現時点の限界ではないかというふうに考えます。
  121. 村沢牧

    村沢牧君 それから、いま一、二点の問題について、これは皆さんが法律を出したのですから修正をするというのはがえんじなかろうというふうに思いますけれども、だんだんその方向に踏み出してきたような気もするのですが、大臣にもう一点お伺いしたいのは基礎年金の財源ですね。  国庫負担が三分の一というのでなくて、年金制度のこれからのあり方を見るときにこれは国庫負担にすべきである。一度にできないとしても段階的に上げていくよと、そういう方向大蔵大臣として、政府として持つべきだというふうに思いますが、どのように考えていらっしゃいましょうか。
  122. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 我が国の公的年金制度は、いずれも国民が拠出と給付の両面にかかわり合いを持っておるいわゆる社会保険方式、これが国民の参加と連帯を基盤とするものとして今日社会に定着をしておるというふうな認識の上に立っておりますので、このような原案をお出ししたわけでございます。  ただ、いわば全額国庫負担のための財源問題というのがよく議論されます。昭和五十四年ぐらいからずっと議論してまいりまして、中曽根総理の答弁の中で、それは福祉目的税とか、あるいは社会保障税とか、そんな議論がありましたときに、改革者としての勇気ある発言と評価をいたしますものの、今日の時点では、現状は社会保険方式が定着しておるとしか言いようがないと、こういう趣旨答弁がありました。私もその議論があることは十分承知しておりますが、現在、社会保険方式というのがやっぱり定着しておるんだなと、こういう認識に立ちましたので、非常な興味を持ちながら今日の法律としてはこのような御提案を申し上げたということに相なるわけであります。
  123. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私に与えられた時間は十二分ということですから、簡潔にお答え願いたい。  せっかく大蔵大臣がいらっしゃったわけで、財政的なことについて二、三御質問を申し上げたいと思いますが、一つは、どの制度もこれは財政当局に深いかかわり合いがあるわけでありまして、今も大臣から同僚委員質問に対して非常に人情味あふれるお話、本心であるのかどうか知りませんけれども、これは働く者の痛み分けなんというようなお話もありましたけれども、新しい制度がここから始まるというのだったら、いろんなことを審議し、いろんな意見を聞いてそこからスタートすればいいんですが、過去にそれぞれの設立の趣旨、そしてまた経過のあるそういうものが、今一つの一本化の方向に進もうということですね。  でありますから、これは今日まで参りました経過の中でそれぞれ特色もあり、なかなかこれを一本化するということになりますと、どちらにすり寄るのか、すり寄るというか、合わせるのかということで非常に問題になりますね。それで、午前中から同僚委員からも厳しい指摘があったわけなんですが、財政的に言うと安易な、安易というか、受給者が非常に期待をする大きな望む方向はなるべく避けて、財政負担にならないような方向にどうも全体がそういう体系方向に流れているように私どもは感ずるわけであります。  今度、農林共済を見ましても、全体的には給付水準はそう上がらない、上がらないというか、下がるにもかかわらず掛金負担が増大するという、こういう傾向がどうも強い。それから、それぞれの時点時点でいろんな問題が出てくる。こういうことを考えますと、今日までの長い歴史の中で参りましたものを一本化するというのは、やはり非常に無理があり、そしてまた社会保障制度審議会等でよく意見を聞いてやりなさいとか、一本化の方向というのは選択の一つかもしれないが非常に難しいぞというようないろんなことが言われておりますけれども、やはりこれはどうしてもこの改革をするということになりますと、新しくできるのと違うわけですから、財政的にも、これは痛み分けじゃないけれども、やっぱりある程度出すところは出して、そういうものを収拾するという物の考え方がその根底にありませんと、財政のことはもう今日こういう厳しい中だから一銭も出せませんよ、こういう方向にやるんですよということで、出すものは出さないで、ぎゅうぎゅうそちらの方向に引っ張っていくようなことですと、これはどうしてもいろんなところに問題が出てくる。  財政当局としてもそれは全然考えてないわけじゃないと思いますけれども、痛み分けというのはどれだけのことをどうするかという、そういう定量的な話になると難しいことかもしれませんが、その根本にある理念としては、やっぱりこれだけの大改革ですから、出すところには出すんだというこの考えの上に立って進めていかなければ非常に無理があるというふうに私は思うんですが、まず、大臣のこの基本的な考え方を伺っておきたいと思うんです。
  124. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今の御意見でございますが、ごもっともな御意見でございます。  率直に申しまして、国鉄、そして国家公務員、元専売、光電電、これが一緒になった。これを仮に第一段階としますならば、国年、厚年の改正、それでこのたびの四共済改正を通していただけますと、ほぼ給付一元化というところまではいく。さらには今度は負担一元化、そして七十年に一元化と、こう中しておりますのは、統合ということを仮に前提に置きますと、それこそみんな生い立ちが違うものですから、そこには既得権あるいは期待権、いろんな問題が出てまいりますので大変難しい問題でございますものの、厚生大臣を中心として、今後七十年に向けて、この法律を通していただいた後から、早速この勉強をしなきゃならぬ課題だという問題意識にまず立っております。  ただ、やっぱり将来を展望いたしましたときの我が国の年齢構成、人口構造等を見ましたときに、これが本当に定着して安定的にあるという姿を考えてみますと、その辺、既得権は法律的にはある程度保護し得ても、期待権、こういうことになりますと、それが結果として期待権をむしばまれた、こういう状態になる場合もあり得るではなかろうか。したがって、そういう進め方の中にはいろんな問題が出てまいりますので、厳しい財政事情、その財政も、ひっきょうは国民の皆さん方から負担していただきました税財源をもって充てるということでございますだけに、その中の財政の厳しさと、そして理屈がついて、妥当とみんなが認めるような、いわゆる一般歳出とどう調和させていくかということが、御指摘のとおり問題点でありますので、そうした御意見があることも十分踏まえながら今後とも対応していくべき課題だというふうに考えております。
  125. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 金の話になるとなかなか発言が慎重で、わかったようなわからないような話になってしまうんですけれども国鉄共済のためには公企体もある程度労働者間でという、痛み分けというようなお話もありましたが、政府としても、これだけの大改革をするということですから、財政的にもこれはある程度の期待権、既得権、こういうことで今日まで参りましたものがここに来て大きく変わるということですから、当然改革を進めるためには財政的にもその裏づけがなけりゃならぬということでお話し申し上げたわけです。十分理解していただいたと思いますし、お話の中にはそういう趣旨の話があったんだろうと思いますが、何かこうするすると抜けていったみたいな感じもするんです。  それで、先ほどお話しございましたが、五十六年度、九十五国会ですか、行革関連特例法で五十七年から四分の一カット、これはこの法律限りだということでありましたが、百二国会で補助金の一括法、結局四年間にわたってなされたわけでありますが、財政の厳しいこともわかります。しかし、各共済運用というものも、国が厳しいと同じように厳しい中にあって、将来展望がなかなか持てない中でのことでありますから、これはもう六十年補助金一括法を行うわけですから、一年だけ延ばしたということで、六十一年にはこれはもう補助金を減額するということについてはしないということで、そして今日までの四年分については利子をつけてちゃんと返す。これは先国会も、三年間という法律でありますからそのようにいたしますということですが、結局一年延びたんですけれども、さらにまたこういう手段を用いるなんということはないだろうと思うんでありますが、大蔵大臣、どうでしょうか。
  126. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは今御指摘がございましたとおり、行革国会、そして行革国会統一見解を見、そして私がまた再度大蔵大臣になりまし狂後のいろいろな統一見解を見ましても、御指摘があるのは私は当然のことだと思っております。  しかしながら、補助金等一括法に対しましてこれをどうするか、こういうことになりますと、これは政府として国の財政改革をさらに一層強力に推進するなど誠意を持って対処し、今後、積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手する所存でございますという哲学は変わっておりません。  ただ、いつかとおっしゃいますと、本日お答えすることは私の能力の限界を超すことではなかろうかというふうに答えざるを得ないというわけであります。
  127. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう時間がないからあれですが、能力の限界を超えるなんて、閣僚の一員として、しかも三人も有力な閣僚がいらっしゃるわけでありますし、また財政担当の立場にあるわけであります。三大臣がいらっしゃるわけでありますから、こういうことについてお決めになりましたことはひとつきちっとしていただくということで、強い閣議での御主張をしていただきたい。三度も同じ轍を踏むという、同じことを繰り返すことのないようにひとつ申し上げて、私の質問を終わります。
  128. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大蔵大臣お尋ねします。  まず、お尋ねしたいことは、今回の改正内容を見てみますというと、退職共済年金が老齢基礎年金支給開始年齢と同様に六十五歳から支給されることになっておりますが、ところで、当分の間、実際の支給開始年齢から六十四歳までの間については、いわゆるつなぎ年金ということで特別支給されることになっております。しかし、この特別支給については、原則として国庫補助がなく共済組合独自の給付とされておりますね。  この点に関して私が特にお尋ねしたいことは、現行制度における組合員の権利を保障するものとして設けられた特別支給であることなどからして、従来の給付費補助同様、少なくとも定額部分に対して基礎年金相当の国庫補助をすべきであると思うからであります。そういうことに対して大臣いかがお考えでしょうか。そして、どうして国庫負担をしないということになったのであるか、あわせてこのこともお聞かせ願いたいと思います。
  129. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 現行年金国庫負担制度につきましては、制度ごとに異なった国庫負担率となっておって、制度間に格差の観点から是正が求められておりますほかに、報酬比例部分を含む年金給付に対する定率の国庫負担方式でありますため、定率でございますから年金額の高い者ほど多くの国庫負担を受ける、こういう批判が従来ともございました。  そこで、今回の改正では、基礎年金創設というものによりまして、いわば公的年金制度体制が再編成されるということに即応いたしましたので、国庫負担老後保障の基本的部分であります基礎年金に集中して、その三分の一とすることによって制度間の公平を図るというふうな基本的考え方に立ちましたので、したがって、独自給付分につきましての国庫負担は付されないということになったわけでございます。
  130. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 福祉制度に対する基本的な考え方と申しますか、このことについて大臣の御見解を承りたいんですが、私は、一たん実現した福祉制度というものは、社会情勢が、あるいは国の政治情勢がどのように変わったといたしましても、基本的には一たん実現したその制度というものは前進はあっても後退はあるべきではない、百歩譲って、足踏みはあっても後退ということはあってはならない、こう常日ごろから思っているわけでございますが、なぜ改正になったかということについても私なりにわかっておるつもりであります。  そうすると、これはやむを得ない措置として今足踏みをするというならわかりますけれども、願わくはまたもとの姿に、いわゆる前進の姿に早く戻るべきが本当の福祉制度の精神ではないだろうか、こう思っておるわけですが、大蔵大臣の率直な御見解をお聞きしたい。
  131. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 喜屋武先生おっしゃいますのは、やっぱりそれはいろいろな矛盾ができて改革はすることはあっても、いわば一番進んだ制度に合わせた改革というのが好ましいんであって、足踏みならまだしも、下の方へ右へ倣えするというようなことはこれは日進月歩の世の中でとるべき施策でない、こういう考え方が根底におありであろうと思います。  基本的に考え方を私は否定するものではございませんが、ただ、年金問題について考えますと、確かに二十一世紀あるいはそれ以後を展望してみましたときの我が国の人口構造、年齢構成、こういうことを考えますと、今から給付負担というものが長期的に安定した姿というものを描いていかなきゃならぬ。そういう意味において、荒っぽい言い方をすれば、年金制度のいわば設計のし直しが行われたというふうに御理解をいただけないであろうか。しかし、少なくともその中にあって、いわば既得権というようなものを完全にネダるわけにはいかない。そこに現在の財政状態をも含めてどの辺で調和していくかということが、結局、政策選択の問題として御議論をいただいておるところであろう。  ただ、今、喜屋武さんのおっしゃいました政治に対する、あるいは福祉政策に対する基本的な考え方を否定するものでは私もございません。そういう状態が、長期に見て給付負担の安定ということから考えた場合の現在のやむを得ざる措置だというふうに御理解をいただければ幸いであります。
  132. 村沢牧

    村沢牧君 厚生大臣に伺いますが、被扶養配偶者の基礎年金についてであります。  組合員が被扶養配偶者との婚姻関係にあった期間基礎年金給付要件の期間としてのみ算定され、給付算定基礎となる保険料納付済み期間としては算定されないいわゆる空期間となります。また、配偶者が旧国民年金に任意加入し独自に納付してきた保険料は、基礎年金の保険料としてカウントされる。これは矛盾じゃないでしょうか。
  133. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今の御質問の御趣旨は、同じように共済組合員の被扶養配偶者として婚姻関係にありながら、国民年金に任意加入して保険料を納めていないと単なる基礎年金算定上のいわゆる空期間扱いで、加入していれば給付の対象となることをどう理解すべきか、考えるべきかという御質問だと思うんでございますが、これは、まず基本的には、基礎年金につきまして、定額の拠出で定額の計算という前提でございますが、    〔委員長退席、理事北修二君着席〕保険料の拠出に応じて給付を行うという社会保険方式をとったということが、一つの一番基本的な前提でございます。  それで、やはり改正前の期間で被扶養関係にあるとは言いながら、当時の国民年金の保険料を納めていなかった方と納めていた方を全く同じに扱うということはできないために、御指摘のように基礎年金の計算が両方の場合で変わってくるわけでございます。ただ、現時点での年齢要件に応じますけれども、六十五歳からは私どもで振りかえ加算と言っておる額を、そういった任意加入しておられなかった配偶者の方にも上乗せ計算することによって、余り低い基礎年金にはならないようなそういう措置はとったところでございますが、基本的には、冒頭に申しましたような考え方基礎にそういった扱いをしているところでございます。
  134. 村沢牧

    村沢牧君 こういう考え方はできませんか。空期間にせずに一定のものは出す、そして実際に任意加入しておった人はその期間に上乗せをした方が正しいんではないかというふうに思いますが、どうなんですか。
  135. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) そういったお考えに基づく御指摘は今国会でも承っておるんでございますが、実はもちろん上乗せというものをどの程度考えになるかによって変わってまいりますが、私どもやはり過去約二十五年近い間、例えば全期間任意加入をなさっていた方であれば、先生がおっしゃるような意味での上乗せも相当の額、場合によっては我々が考えています基礎年金の五万円の数字そのものを意味するようなこともあろうかと思います。仮にそこまでいかないとしても、かなりの額を考えるとなりますと、実は私ども考えました基礎年金年金水準にかなりの上積みをするということになります。  そうなれば、現在五十九年の価格で六千数百円でスタートすることで何とか賄えると考えております保険料負担の面についても、これを引き上げるという方向で見直さなきゃいけないという問題点もあるわけでございますので、給付負担の適正化を将来に向かって図ろうとする今回の改正趣旨からは、これはとり得なかったというのが率直なところでございます。
  136. 村沢牧

    村沢牧君 ここで議論をしておっても詰まってこないというふうに思いますので、今後の課題として私も研究し、また要求してまいりたいというように思います。  次は、無職の妻の基礎年金は夫の保険料で保障されますけれども、単身者や共働きの夫婦は同じような保険料を支払っても自分だけの基礎年金しか受けられない、したがって単身者や共働きの人にとっては不利だ、こういう意見が、要求が出されておりますが、どういうふうに思われますか。
  137. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) この点も、実は先ほど先生から御指摘のございました、保険集団として給与水準の低いようなグループの問題も含めまして基礎年金の必要な費用の拠出をどのような仕組みでお願いするか、設計するかということが確かに私どもとしても大きな懸案でございました。  ただ、結論的には、現在改正していただきました、あるいは共済法につきましては現在御提案さしていただいておりますように、収入のあるところに社会保険料をお願いするという従来までの社会保険の大原則の上に立ちまして、お一人の方でも、あるいは共稼ぎであればそれだけの報酬に応じて保険料をいただく、その中から先生先ほども御指摘ございましたように、無業の配偶者の分も含めてその保険集団が基礎年金の費用に拠出するということになるわけでございますから、確かに個々の加入者から見ますと、何か単身の方は人の奥さんの分も持っているんじゃないか、あるいは共稼ぎの場合は人の奥さんの分を二人分持っているんじゃないかという、これは計算上は私ども全く否定はできないと思っております。  一定の料率で保険料をいただきまして、その中から一人頭定額でいただくということではそのとおりでございますが、ただ、じゃこれを全く方向を変えて、例えば今までの任意加入制度のようにサラリーマンの配偶者の方にもみずから負担をしていただく、負担されない方はやはり空期間といいますか、むしろ計算の対象外にするということも方法としてはあるんでございましょうが、大きな社会保険方式をとりました場合に、収入のある方から費用をいただいて、それを一定のルールで全加入者公平に分けさしていただくという考えはやはりとらざるを得ないんじゃないか。  ちょっと例えとして適当じゃないかもしれませんが、病気を対象とします健康保険の場合は、独身者の場合も夫婦者の場合も同じ料率で負担があって、奥さんがあれば奥さんが病気になることもあるというような意味での御理解もいただきたいと思っております。
  138. 村沢牧

    村沢牧君 そこで大臣、この基礎年金が各共済年金にずっと関連をしてくるようになります。そこで、今いろいろ答弁を聞いておりましても、国民年金厚生年金法が改正になったのも最近ですから、これはすぐはできないとしても、いろいろな矛盾があることは事実なんですよ。ですから、こういう矛盾については今後ともできる限り改正していく、そういう気持ちを持つべきである、余りかたくなになるべきではないと思いますが、大臣の気持ちをひとつ聞かしてください。
  139. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 基礎年金につきましては、水準、費用負担等のあり方等についていろいろ御議論のあるところでございますし、また、前国会におきまして、その結果、国会修正というものも追加されたわけでございますので、今後その趣旨を踏まえて十分に検討してまいりたいというふうに思います。
  140. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、もう一点だけお聞きをしたいんですが、国民年金に任意加入していない配偶者が六十万円、満額の基礎年金を受けられるのは、改正後というか施行後における年齢は何歳ですか。
  141. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 任意加入していなかったという前提で五万円の年金が六十五歳から受けられる方は、施行時点において二十歳の方、つまり四十年の加入ができる方でございます。
  142. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、二十歳の人がずっと四十年も掛けて初めて六十万円もらえる、月五万円もらえる。ですから大臣、夫婦で十万円だとかなんとか言ったって、気の遠くなるような話ですよ。ですから、こういうことでもって日本の保険制度は立派なものです、基礎年金は大丈夫ですなどというように、そんな宣伝は当たらないというふうに思うんですよ。このことは私は事実を確認し、指摘だけにして。おきましょう。  そこで、農水省に尋ねるけれども、新制度掛金率については組合員事業主が折半して負担するということになっていますが、この規定は労働者に掛金の二分の一以上負担させてはならないというそのことは強制規定であるけれども、労働者の負担を軽減させるためには、例えば四対六にしても、三対七にしてもそのことは法律違反ではない、こういうふうに解すべきだが、どうですか。
  143. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 結論から申しますと、現実に現在農林漁業団体の中で折半以上の負担をしている団体もございます。そのことを私ども制度上はもちろんでございますが、指導上も特にいけないというふうなことは申しておりません。
  144. 村沢牧

    村沢牧君 法律違反ではないですね。
  145. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) ございません。
  146. 村沢牧

    村沢牧君 年金財政の現状及び将来展望から、現行法でも掛金は上昇することが想定されておりますけれども制度改革によって将来に向かって大幅な引き上げがされることがあるとするならば、団体職員の給与条件労働条件を見るときに負担に耐えかねる、こういう心配も出てくるわけです。したがって、先ほど指摘しておりますように、国庫負担の増額とあわせて負担割合を変更して組合員負担増とならないようにすべきだ、つまり法律を修正するというその気持ちはありませんか。
  147. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回、公的年金制度につきまして基礎年金というものを共通的な要素として導入をいたしまして、これについて拠出金の三分の一を国が助成をするということで、従来の制度が分立しており、また、その制度ごとに国庫補助の仕方が違っていたということを整合性のあるものに直したということでございますので、農林年金のみの独自の国庫負担を行うということは困難ではないかというふうに考えているところでございます。  もちろん、こういった負担の能力ということにつきましては、農林漁業団体の経営基盤の強化なり、あるいはまた、それぞれの団体におきます直接的には労使関係でございますけれども、やはり人材確保という観点からのいろいろな、また社会の大きな流れに沿った労働条件改善といったようなものを通じて、全般的に対処していくべき問題であろうかというふうに思っております。
  148. 村沢牧

    村沢牧君 法律を提案した皆さんに修正を求めても無理だというふうに思いますから、それはこちらで考えてみましょう。  そこで、重ねてお伺いしますけれども団体の労使の交渉によって負担割合の合意ができればそれでいいことであって、農水省や年金当局は介入すべきではないと理解するがよろしいですか。こういうことはしませんね。
  149. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほども申し上げましたように、私ども制度として折半以上の負担を求めるということは、赤字決算の団体もございますし、困難だというふうに思っておりますけれども、個々の団体におきまして事業主の方が折半以上の負担を何らかの形でするということにつきましては、先ほど申し上げましたように、必ずしも違法ではございませんし、私どもそれを否定するような指導も現在いたしておりませんし、将来もそういう指導をするという考えは現在のところ持っておりません。
  150. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、最後に厚生省にお聞きをいたしますが、今質問答弁があったように、費用の折半の問題でありますが、これは農林年金独自のことを私は質問したところでありますけれども、あくまで団体組合員との関係である。厚生省が、例えば厚生年金は折半であるから、農林年金が仮に折半でないようなことをとっておるのはおかしいというような異論は挟まないというように思いますが、異論を言うべきでないと思いますけれども、厚生省の見解をお聞きしたい。
  151. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 農林漁業団体共済組合法は、法律の所管としても厚生省として所管しているということでございませんので、そのことについて答弁することは特に差し控えさしていただきたいと思います。
  152. 村沢牧

    村沢牧君 農水省がやることではありますけれども、厚生省がそれについて異論は言わない、そのことを聞いているんです。
  153. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 農林漁業団体共済組合法の運用と申しますか、法律の問題としてなさることについて、厚生省として異論を差し挟む立場にはございません。
  154. 北修二

    理事(北修二君) 本案に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  155. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  156. 村沢牧

    村沢牧君 最近年度における単協と県連合会の定年制の実態を示してください。
  157. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お答え申し上げます  農林漁業団体職員の定年年齢につきましては、全国中央会で五十七年八月に調査したものについて見ますと、男子総平均で五十七・八歳というふうになっております。また、大宗を占めます総合農協の男子について、現在の年金支給開始年齢である五十六歳を基準として見ますと、五十六歳以上の定年年齢を定めている組合が五十六年度六三・三%であったものが、五十八年度七一・七%ということで、定年年齢は漸次延長がなされてきております。
  158. 村沢牧

    村沢牧君 改正法案は、退職年金支給開始年齢を原則として六十五歳にしています。そして、現行の六十歳支給の経過措置昭和七十五年に全部の者が六十歳支給になるようになっているけれども、今回の改正によって七十年までに六十歳支給になるように経過措置期間を短縮しようとしています。このように支給開始年齢引き上げたり、また経過措置を短縮するということは、農林漁業団体の定年制の現状から見ても極めて問題であると言わざるを得ないが、どうですか。
  159. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 支給開始年齢につきましては、従来から経過措置ということで漸次引き上げを図ってまいる仕組みになっておりましたのでございますが、今回、新しい制度改正に伴いまして、その引き上げのテンポを若干速めるということにいたしたわけでございます。  この点につきましては、ただいま先生お尋ねございましたように、一体農林漁業団体の定年年齢引き上げというのがそれに追いついていくのかどうか、そこにすき間ができるのは問題ではないかという御議論があるわけでございますが、この点につきましては私ども関係団体及び労働省とも連携をとりながら、六十歳定年制について適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  160. 村沢牧

    村沢牧君 私が聞いているのは、このように経過措置を短縮するというようなことについては極めて問題である。これは五十四年の改正によって、それまで五十五歳支給をしておったものをこのように引き上げたものでありますが、その際、急変緩和のために二十年間の経過措置を設けて段階的に引き上げてきた。この法律改正の際にも私は、農林漁業団体の定年の実態から支給開始年齢引き上げはすべきでない、こういうことを強調し、この改正に反対したものであるけれども、今回さらに経過措置を短縮しようとしている。そしてさらに、六十五歳未満の者に年金の請求権を発生させようとしているんです。私はこれも問題だと思うんですが、そういうふうに思いませんか。定年制との関係。
  161. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 御案内のとおり、今、我が国の社会が急速に高齢化に向かっておるということが一つ背景にございますし、それからまた、今回の基礎年金制度支給開始年齢が六十五歳、それ以前につなぎ年金を出すということにいたしておるわけでございますが、このつなぎ年金支給開始年齢高齢化社会への急速な移行ということを踏まえまして、支給開始年齢引き上げにつきまして経過措置の短縮を今回図ったものでございます。  七十年までにというふうにいたしましたのは、一つは、けさ来御議論のございますように、現在始まっております公的年金制度改革なり一元化というものを昭和七十年をめどにして行うということとも関連をいたしまして、七十年までに六十歳に引き上げるということにいたしたわけでございます。
  162. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろ答弁なさっているけれども、私はどうも納得がいかない。  そこで、支給開始年齢六十五歳なんと言わずに、これを撤回して本則六十歳にすべきだ、このことを強く申し上げたいんですが、その気持ちはおありになりませんか。
  163. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) これは今回の改正で予定をいたしておりますように、基礎年金制度が導入をされまして、それの上乗せ年金として給与比例の方式によります農林年金支給するという仕組みになっております。既に国会で御審議をいただいた上、成立をいたしております基礎年金支給開始年齢が六十五歳でございますので、やはりこれに合わせるのが適切であるというふうに考えたところでございます。
  164. 村沢牧

    村沢牧君 これまた、修正の問題については私どもの方で対応してまいりたいというふうに思います。  そこで、農林漁業団体職員の定年制の延長については、当委員会でも何回も指摘をしてきたところでありますけれども、その改善は若干は進んでいるけれども大変におくれているというふうに思います。農水省はどういう指導をしてきて、さらに今後指導しようとしておりますか。
  165. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林漁業団体と一口に申しましても、確かにさまざまな団体がございます。そしてまた、その中には経営基盤の強いもの、弱いものいろいろございます。したがいまして、私ども率直に申しまして、六十歳定年を広範に実現をしてまいるということについては、そう簡単なことだというふうには思っておりません。したがいまして、先ほどお答えを申し上げましたように、関係団体なり労働省とも連携をとりながら、従来から通達その他の形で定年延長の指導ということはやってまいってきておりますけれども、これからさらにその努力を強化する必要があろうというふうに考えております。  農林漁業団体の中で大宗を占めます農業協同組合につきまして、全国農協中央会の意見によりますと、昭和六十四、五年ごろには六〇%以上の農協が六十歳定年になると見られるけれども、全中としても今後積極的に六十歳定年を推進して、昭和六十年代の後半におきまして残りの四割近くの農協の定年を何とか六十歳まで持っていき、退職年齢年金給付の開始との間に空白が生じないように団体としても努力をしていきたいという意向も示しておりますので、こういった関係団体とも連携をしながら私ども指導に努めてまいりたいというふうに。考えておるところでございます。
  166. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひそのように、経過措置期間も短縮をしていく、しかもまだ六十五歳支給に延長していく、こういうときでありますから、積極的な取り組みを強く要請をしておきます。  そこで次の問題でありますが、農林年金受給者一人当たりの年金額と他の制度年金額の実態を示してください。
  167. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金年金額を五十八年度の受給者全体の平均額で見ますと百三十三万八千円でございまして、厚生年金百三十六万円、それから国家公務員共済百九十一万二千円、地方公務員共済二百四万九千円、私学共済百六十二万六千円という他の年金制度に比較しまして低い水準にございます。しかし、五十八年度の新規発生受給者について比較をいたしますと、農林漁業団体給与改善なり、あるいはまた、組合員期間の伸長ということを反映いたしまして他の年金との格差改善をされ、国家公務員や私学職員などよりは劣りますけれども厚生年金よりは高い水準になってまいってきております。
  168. 村沢牧

    村沢牧君 今、局長が示した数字でいけば他の共済、つまり厚生年金よりも農林年金の方が一人当たり年金額は低い。こういう年金の中で、改正法案は共済方式の計算式を廃止して通算年金方式一本になる。従来は共済方式と通算方式と比べていずれか高い方を年金額とした額を算定しておったわけでありますが、それでも厚生年金との格差が生じてきている。加えて今回の改正案は通算年金方式の水準であり、しかもそれを漸次逓減をして、最終的には現行千分の十から千分の七・五にしようとしている。このように通算年金水準を下げ、さらに先ほど申しましたように標準給与は全組合員期間にする、これでは農林年金厚生年金よりもますます悪くなるのじゃないですか。
  169. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金におきましては、従来いわゆる共済方式と通年方式と両方計算をいたしまして、いずれか高い方ということでやってまいってきたわけでございますが、実態を見ますと、大部分の方は通年方式で給付を受けておられるというのが実態でございます。  それから、厚生年金よりもかえって悪くなるのではないかという御指摘でございますが、農林年金におきましては、今回の改正によりまして基礎年金上乗せ年金となるわけでございますけれども、この上乗せ部分につきましては、厚生年金相当部分に加えまして共済グループの独自のものとしての職域に着目をいたしました職域年金相当部分を給付することにいたしておりますので、制度として給付水準厚生年金を下回るという形にはなっておらないというふうに考えているところでございます。
  170. 村沢牧

    村沢牧君 職域加算年金を三階としてつけたから制度として厚生年金よりも下回ることはない、そのことは理解できます。しかし、話がありましたように、現在通年方式で計算しているのが組合員の大部分である。八〇%を占めている。それなるがゆえに、これからこの年金を計算する場合において、厚生年金と比べてみて実際の中身というのは伸び率が悪くなる。なるほど職域部分を加算することによって有利な制度制度的にはそういうふうに見せかけているけれども、現在でも厚生年金に比べて年金額に差が生じている。今後さらにいろいろ格差が生じてくるであろう、こういうことを想定すれば、職域年金は加算したとしても厚生年金よりも有利な年金になる、中身においては有利になる、そういうことは言い切れないんじゃないでしょうか。  したがって、そういうことになれば職域年金特殊性はなくなる。もしそういうことはありませんと言うのなら、具体的な数値をもって、仮定の数値でもいいから示してください。
  171. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、仕組みとしては職域年金部分が上乗せされておりますので、制度として厚生年金を下回る水準にはならないというふうに考えておるわけでございますが、実際の年金額ということになりますと、年金額算定一つの要素でございます賃金水準でありますとか、あるいはまた、組合員期間というものが影響をしてまいることは事実でございます。この辺は、年金制度そのものの問題と申しますよりは、賃金水準の問題でありましたり、あるいはまた、制度が今後、発足後何と申しますか、退職をされる方の組合員期間が延びていくというようなこととの関係で水準が決まってまいるわけでございます。  制度としては、厚生年金よりも劣った制度になっているというふうには私ども理解をしないわけでございます。
  172. 村沢牧

    村沢牧君 制度の問題ではないけれども、実際支給額においては厚生年金より必ずしも有利だとは言いがたい。しかし、制度を変えなければ有利になってくるわけなんですがね、今の制度ならば。制度を変えるから余計悪くなってくるんですよ。ですから局長、この農林年金厚生年金よりも絶対将来とも支給の額においても不利ではない、そのことをはっきり言い切れますか。
  173. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 組合員期間でございますとか、給与水準でありますとか、そういったいろいろな現実的な要素が同じでございますれば、厚生年金よりも農林年金の方が職域年金部分だけは少なくとも上回った給付になるというふうに考えております。
  174. 村沢牧

    村沢牧君 それも、次の機会にまた具体的数値をもって質問してまいりましょう。  次は年金財政との関係ですけれども制度の安定と財源の健全化を図るためにこうした改正を行うんだということもさっきからおっしゃっているんですけれども、この改正を行うことによって年金財政はよくなりますか。
  175. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今後の農林年金財政の将来ということを見通しますと、非常に厳しいものがございます。成熟率が高まってまいるわけでございまして、組合員の数には今後大きな増加は見込めないということを前提に考えますと、非常に厳しいものがございます。制度改正をいたしませんと、現在の千分の百九という掛金昭和百年には約四倍になるということが推計をされるわけでございますが、これを今度の改正によりまして三倍程度にとどめるようにしたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  176. 村沢牧

    村沢牧君 制度改正するけれども、急激に悪くならないようにその歯どめになるということは言えるとしても、この制度改正したから財政状態がうんとよくなって掛金はそんなに払わなくてもいいという形にはならない、そのように思いますが、どうですか。
  177. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 率直に申し上げまして、財政の見通しは非常に厳しゅうございます。その悪化の程度を、ある一定の範囲内にとどめるようにするということであろうと思っております。
  178. 村沢牧

    村沢牧君 この法律が成立すると、それを待って財政再計算をするでありましょうけれども、今想定をされる掛金率はどの程度になると思われますか。
  179. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金は五年目ごとの財政再計算をやることになっておりまして、ちょうどことしが御指摘のように再計算の年に当たっております。五十九年度末を基準にしまして昭年六十年度、今年度に計算を行いまして、それに基づいて新しい掛金率昭和六十一年度から適用するということになると考えております。  財政再計算を行うに当たりましては、農林年金理事長の諮問機関でございます年金財政研究会に計算に当たっての基本的な事項基礎データのとり方なり計算の方法等について検討していただいているところでございまして、その答申は年明けまして一、二月ごろになるというふうに聞いております。  現時点において利用できる基礎データをもとにしました大ざっぱな見通しては、これはまだ研究会の最後の結論が出ておりませんので概数でございますけれども、不足財源率が大体三〇パーミル、千分の三十程度になるというふうに聞いております。具体的には、今後先ほど申し上げました研究会の作業が終了いたしますと、明確になるものと考えております。六十一年四月からの具体的な掛金率に、どのような要素を勘案してこの数字にどの程度反映をさせるのかということは、今後研究会の答申後に研究をする必要があるというふうに考えておるところでございます。
  180. 村沢牧

    村沢牧君 この改正案が成立したとしても、掛金率は今話があったように上がる。しかし、極端な上昇はそれはさすべきでない。後代負担の問題、修正の問題、いろいろあるでしょう。私はこの法律に賛成するものではありません。いろいろ問題点がありますから賛意を表することはできませんけれども、法律ができた途端にまた掛金率がうんと上がった。ますますこれは信頼性がなくなってしまいます。その負担を極端に増額させるべきではない、このことを強く指摘しておきたいんですが、お考えはいかがですか。
  181. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 財政再計算の基礎数値が出そろったところで検討し判断をすべき問題であるというふうに思っておりますが、現在の他の共済年金におきます掛金率というようなものも当然頭に置きながら検討をしてまいらなければいけないというふうに考えております。
  182. 村沢牧

    村沢牧君 検討することは当然ですけれども掛金率が従来と比べてうんと上がったというようなことのないように、これからの計算なり、あるいはまた対策を講じてもらうということを強く指摘しておきましょう。  時間が迫ってまいりましたから、最後に国庫補助について伺うんですが、先ほど大蔵大臣質問をいたしましたけれども、農林水産省に聞きたいことは、今回の改正案においては国庫補助金は基礎年金に要する費用に一元化することになりますけれども現行法によって想定される国庫補助金と、新法になった場合に想定される国庫補助金の数字を示してください。また、将来どういうふうになるか、その傾向も示してください。
  183. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 現在、概算要求をいたしております予算要求におきましては、基礎年金への拠出金の三分の一を国から補助をするという新制度を前提といたしました計算をいたしておるところでございますが、昭和三十六年三月以前の国民年金発足前につきましては、従来どおりの補助率で継続をするということで計算をいたしております。  当面は、農林年金の予算の中の事業費補助、年金に対します補助額は当面かえって若干ふえるという形に相なります。しかし、さらに、それはなかなか単純な比較はできないわけでございますが、かなり長い期間の経過措置がございますし、今申し上げました三十六年三月以前の助成等の要素もございまして、少なくとも当面は補助額が前年を下回るというようなことはない、若干ふえるということでございます。しかし、長期的には、給付水準の適正化を図ることによりまして、一方においては組合員等の掛金負担の急増が先ほど申し上げましたように抑制をされるということと同時に、国庫負担につきましても現行制度を続けていった場合における増加を、今回の改正によりまして抑制をすることができるという見込みになるわけでございまして、長期的に見ますと、現行制度を続けた場合よりも国庫補助額は減るというふうに見通しております。
  184. 村沢牧

    村沢牧君 その減る見通しですね、これについても後日、資料でもって提出を願いたいというふうに思います。要請します。よろしいですね。
  185. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 結構でございます。
  186. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、そういう中で農林漁業団体振興会の果たすべき役割もますます大きくなってくるというふうに思います。先ほど大蔵大臣の前で、私もはっきりはいろいろ関係もありますので申し上げなかったんですけれども、この振興会の支えになっている農協等相互扶助事業補助金、これは今後とも継続していく、しかも金額は減らさない、こういう農水省の強い姿勢がないと、この振興会も存続できなくなりますから大変なことになりますが、その点はどのように考えていますか。
  187. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 相互扶助事業に対します補助金につきましては、私ども昨年と同様六億一千万という予算要求をいたしております。これは、公的年金制度一環としての農林年金制度が行います給付費等に対する補助とは性格を異にするものであるということで、農政費の一環として農協等相互扶助事業の一層の充実を図るという観点から、今後とも必要額の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。  今日までいろいろ財政当局に対しまして説明をいたしまして、なかなか御案内のような財政事情でございまして厳しい反応でございますけれども、私どもとしましてはぜひともこれは続けてまいりたいということで今後とも取り組んでいくつもりでございます。
  188. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、今お話しのように、農協等相互扶助事業補助金というのは六億一千万の金額ですが、これはいろいろ農林年金掛金その他財源問題について重要な問題だと思います。また、農林年金独特の問題でもあるというふうに思いますので、私は農林年金とすぐ関連をさして、結びつけて大蔵大臣の前では言わなかったんですけれども、しかしこれは存続さしていく、絶対に減らさない。今年度はもちろんのこと、将来においてもそういう決意を大臣として持っておらなければ困るというふうに思いますが、どうですか。
  189. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生の御指摘のとおり、また局長答弁したとおりでございまして、最善の努力をいたしたいと思っております。
  190. 村沢牧

    村沢牧君 最後に一点だけお伺いします。  財政の面を見ても、あるいは農林年金の健全化という立場から見ても、組合員の減少を防止しなければならない。農林年金組合員がだんだん減ってきていますけれども、それは一過性のものではなくて構造的な問題もあるというふうに思うんです。  そこで、組合員の範囲の拡大について、これまた、かねてから要請しているところでありますけれども一つには、臨時職員の加入促進のため一カ月を超えて雇用される場合はその雇用形態を問わず組合員とすること、これは現行法でもできるようでありますけれども、さらに徹底をしなければならない。  二つとしては、農林漁業団体が設立する会社にあっては、一定の基準により農林年金の対象団体とすること。  以上、二点について答弁を願います。
  191. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) まず、対象団体の範囲の拡大につきましては、実は農林年金厚生年金から分離独立をいたしましたときに、制度の枠組みとしまして、特別法に基づいて自主的に設立をされた非営利法人であること、直接または間接の構成員が農林漁業者であること、その業務が農林漁業者の社会的、経済的地位の向上に直接連結をしているものであるというような性格づけをいたしまして、このような性格団体は、今日までの改正ども経ましてほぼおおむね全体を既にカバーしているというふうに考えているところでございます。  もちろん、組合員が増加をいたしますことは、何と申しますか、保険集団の規模が大きくなるということで、いいことでございますけれども組合員数というのは未来永劫に増加をしていくということは難しいわけでございますし、一時的に組合員数が増加をいたすことによる財政的なプラスということもありますけれども、将来的には年金受給者も増加することになりまして、今度は給付の方に必ずはね返ってくるという問題もあるわけでございます。  それから、臨時職員の加入の問題につきましては、いろいろ担当職員の研修とか広報活動などを通じまして、組合員になれる方々については入っていただくということで指導をしておりまして、最近においてその指導の効果もありまして加入が進んできておりますけれども、今後ともこの点は私ども一層指導に努力をしたいというふうに考えております。
  192. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について若干の質問をいたします。  過日、農林水産大臣から提案理由の説明がございました。その中に「高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度一元化等の改革一環として、他の公的年金制度改正と同様、農林漁業団体職員共済組合制度についても所要の改正を行おうとするものであります。」ということでありますが、高齢化社会の到来、社会経済情勢の変化というのは、これは非常に最近言われるところであり、何百年かかけましたヨーロッパの高齢化を日本では数十年でということで言われておるんです。  今回の法改正は、こういう社会情勢に対応するために、公的年金制度の長期安定と整合性ある発展を図るということなんですが、今日までもこれは言われてきたことでありますけれども、今後の見通しというのは非常に難しいことだろうと思いますが、厚生省におきましては、人口問題研究所等でいろいろ試算をしているようでありますけれども、厚生省の担当の方いらっしゃると思いますが、今後の推移について、これは日大の人口問題のところもありますが、まあ十五年、西暦二〇〇〇年ぐらいまでのやつは大体いろいろ試算しているようで、その数値は厚生省のよりちょっと高目みたいな感じなんですけれども、その先の推定というとなかなかほかのものには余り、国連等では地球全体の推定はあるみたいですけれども、これから六十年先には二二%ですか、二割を超す、そういうところにいくんだという推計、これは今までのヨーロッパ等の非常に先進国の進んだところでも、二割を超すというのはちょっとないみたいだ。  また、それらの国々におきましても、大体ピークを迎えたというようなことも言われ、二割、二二%を超すようなそういう状況というのは、六十五歳以上の人口年齢層というものの全体の人口に占める比率がそんなになるということは、現在の諸外国の様子と、それからまた各国でそれぞれいろいろ人口統計なんかしていらっしゃるし推計もしていらっしゃると思うんですが、そういう中で、二割を超すような現状というものが果たして妥当な推計なのかどうかということは非常に疑問に思うんですが、そこらあたりちょっと厚生省に御説明をいただきたいと思うんです。
  193. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 六十五歳以上の人口に占める割合はどのくらいかという御質問でございますけれども、まず第一に、我が国におきましては、六十五歳以上の人口は、五十九年十月現在で全人口に対して九・九%を占めていることは、先生おっしゃったとおりでございます。これが昭和七十五年、いわゆる二〇〇〇年になりますと一五・六%、現在の西欧諸国並みの水準となることが予測されております。  また、高齢化の最初のピーク、ピークが二つございますけれども、最初のピークを迎えるのは昭和九十五年でございまして、これは二〇二〇年でございますが、二一・八%と、現在の二倍以上が予測されております。  次に、国際的にはどうかという御質問でございますので、現状をちょっと御説明いたしますと、日本は九・九というのは先ほど申し上げたとおりでございまして、アメリカは一九八三年、ですから二年前でございますけれども一一・七%、それからイギリスが一九八一年、これは年次がちょっとそれぞれ違いますことをお許し願いたいと思いますけれども、一五・三%、それから西ドイツが一九八二年で一五・一%、フランスが一九八三年で一三・二%ということでございまして、大体日本よりもかなり高齢化が進んでいるという現状でございます。  それでは、将来についてはどうかということでございます。これは国連の推計でございますけれども昭和百年、西暦で言いますと二〇二五年でございますけれども、六十五歳人口の比率は日本が二一・三%、それからアメリカが一七・二%、イギリスが一八・三%、西ドイツが二二・一%、フランスが一九・四%ということになりまして、日本は世界有数の高齢国ということが予測されているわけでございます。  以上でございます。
  194. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そういう統計上のことは、いろいろ書物も出ているし私も見てはおりますが、その確度といいますか、これが年金設計における非常に重要なファクターになるということで申し上げるわけですが、それは厚生省がいろんな試算をしてやっているわけでしょうから、けちをつけるわけじゃないんですが、高目にしておけば保険の設計はしやすいのは当然でありますし、そのかわり負担はふえて大変なことになるわけなんですけれども、スウェーデンなんかを見ましても、非常に進んでいるという国を見ましても二十何%というような状況にはないので、日本が急激に高齢化社会を迎えたとはいいますものの、今後の推移についても今までのようなスピードでやはり進んでいくのか。  国連の統計なんかもお話しございました。国連は国連で独自のいろんな国際的な機関でやっているんだろうと思いますけれども、日本とか西ドイツとか二〇%を超すようなところ、これはそれなりの社会情勢という状況があるんだろうと思いますし、ほかのアメリカなんか、二〇二五年でも一七・二%で、二〇%いきませんですわね。そういう国々と違って日本とか西ドイツとか、こういう国が二〇%を超すということは、そういう社会情勢、また人口構造、そういうなるべくしてなる要因というのが何かあるんですか、推計する上において、こういうことがあるからこういう国においてはこうなるんだというような。  どうも数字だけありまして、我々はそういう試算をする能力もないものですからそれを信ずる以外にないんですけれども、どこの国を見ましても二割を超す、二二%というようなこういうところというのは余りないだけに、そんなになるものかどうか、ちょっと疑問を抱くものですから御質問しているんですけれどもね。
  195. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 人口の推計はどういうふうに推計するのかということの御質問だと思うんですけれども、人口を推計するに当たっては大きく二つあると思うんです。一つは、出生率が将来どういうふうに変わるかというのが第一の要因だと思うんです。それからもう一つは、寿命がどのくらい延びるかということが二つ目の要因だと思うんです。  主にこの二つが人口推計の一番大きな要因だというふうに私たちは考えているわけでございますけれども、五十六年に行いました人口問題研究所の推計によりますと、この出生率というのをどういうふうに見込んでいるかと言いますと、わかりやすい言葉で言いますと、一生の間に女性が平均的にどれだけの子供を産むであろうか、専門用語で言いますとこれを合計特殊出生率、こう言っておりますけれども、これが現在大体一・八一なんです。一人の女性が一・八一人しか産んでないわけですけれども、人口が維持できるといいますか、人口が置きかえる水準というのがございまして、二・〇九人、一人の女性が子供を産めば人口が置きかえる水準になるわけです。五十六年の人口推計におきましては、現在の水準昭和百年に先ほども申し上げた二・〇九人まで回復するんではないかということを、まず一つの想定としては置いているわけでございます。  次に、平均寿命をどのくらい織り込んでいるかということでございますけれども、五十九年に、これは簡易生命表でございますけれども、男子では七十四・五四歳が平均寿命、それから女子では八十・一八歳というのが平均寿命でございます。これを将来、いわゆる昭和百年におきましては男子七十五・〇七歳、女子八十・四一歳でございますので、そんなに寿命が延びるという前提ではないんですけれども、そのくらいの寿命が達せられるんではないかということを想定して将来人口を推計しているということでございまして、必ずしも、先生おっしゃったように意識的に高齢化が進むという要因というのは、私たちの方から見てもそんなに高齢化が進むというような要因は入っていないんじゃないか、ごく自然な状態での推計ではないかというふうに思っております。
  196. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ごく自然であるかどうかというのは我々が判断するんですけれども、あなたから何も言わなくたっていいんですがね。  例えば、戦後のベビーブームのようなああいうことがあった。一つ年齢構成でいいますと突出したところがございますわね。もちろん、今あなたのおっしゃったような出生率とか生命表とか寿命とかということとの兼ね合わせであることはそれはわかりますけれども、日本全体を見まして、地域的には二割を超すようなところは出てくるかと思うんですけれども、日本全体の人口構造の中で二二%とか二二%を超すような状況というのは、今までどこの国にも現在はないだろうと思うんです。それぞれの国、これは国連で全体的なものについてはいろいろやっているかもしれませんけれども、我が国は、先進国で何年後にはやはり二割を超すような状況になるというようなことを推計しているところというのは、さっき国連のものは言いましたけれども、自分のところ、国の機関でそういうことを研究したところはあるんですか。
  197. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 国でということではなくて、先ほど申し上げたように、国連でしかわからないんだそうでございます。
  198. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 国連でしかわからない。これはいろんな社会保険のようなものや、そのほかこういう人口構造が基盤になっていろいろ試算しなきゃならないものがあって、各国ではそれぞれ研究しているんじゃないですか。日本では厚生省の人口問題研究所が一応権威あるものとしてなさっている。そのほか大学でも何カ所かあるんでしょうが、日大なんかにもあるようですけれどもね。疑義の日で見るというのじゃないんだけれども、非常にベビーブームのような突出したところがあって、この世代が六十年後には老齢の人口に入って、そしてその子供さんたちが三十年後のある部分になるとか、そういうことで我々にもわかるような状況ならある程度理解もできるんですけれどもね。  これは非常に難しいことだから、出生率とかなんかどういうふうに見るかということはそれは推計値ということであって、実態はそういうふうになるかどうかというのは、いろいろな社会の変化がありますとそれの数値もまた変わってくるんだろうと思いますけれども、しかし、諸外国でもやっぱりそれぞれの研究やなんかはしているんだろうと思いますね、日本でやっているのと同じように。それがまたいろんなものの基盤になるということで、国連でやっているものをただうのみに、もらってやる、それで推計しているなんという国はどこにもないんだろうと思うんですよね。あなたの手元にそういうものがなかったり、また調査を準備してないということでお知りにならないならそれで結構です。  一応、厚生省の人口問題研究所の日本の将来人口の推計ということからいうと、二〇四五年までですか、最終のところは。西暦で言うと二〇四五年、昭和百二十年までですか。これは最終はどういう状況になるように推計していらっしゃいますか、一番最後のところで。
  199. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 昭和百五十五年までの推計でございます。
  200. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 百五十五年でピークを過ぎるようなことになるんですか。数値的にはどうなりますか。
  201. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 六十五歳人口のウエートはどこがピークかという御質問でございますけれども、最初に申し上げましたように、最初のピークは二〇二〇年、昭和九十五年に参りまして、二一・八%ということは先ほど申し上げたとおりでございまして、第二回目のピークが百十八年、二〇四三年でございまして、これが二二・二%というふうになるかと思います。そして 推計はちょうど百年間推計してあるわけですけれども昭和百五十五年におきましては一九・〇四%ということで、ピークから三ポイントぐらい下がるように推計されております。
  202. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ちょっと僕ら専門家でないからわからないんだけれども、日大の人口問題のやつは西暦二〇〇〇年までしか推計してないみたいですね。それを五十年も六十年も百年も先まで推計するということは、人口問題については可能なんですか。こういう専門家というか、担当の方としてはどうなんですか。
  203. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) どういうふうに御説明していいかわかりませんけれども、推計をするに当たっては過去の傾向とか、いわゆるトレンドと言っていますけれども、トレンドを延ばす場合もあります。経済要素といいますのは、推計に当たっては非常に難しい、いわゆる変化が激しくて、これを十年延ばしたり二十年延ばすということをすることは非常に難しいということは私たちも承知しているわけですけれども、ただ人口といいますのは、比較的推計が楽といいますか、楽という言い方はちょっとおかしいかもしれないけれども、誤差が少ないといえばほかの推計に比べると誤差が少ない。  例えば、なぜかといいますと、二十年先に二十歳の人はどのくらいかということになりましたときに、ことしのゼロ歳の人数よりは絶対多くならないとか、それからことしのゼロ歳の人数からある一定の死亡者を引いた数ぐらいだということで大まかな推計は非常にしやすいということで、他の経済的な要素を織り込んだ推計よりは人口問題の推計の方が非常にしやすいというふうには考えております。
  204. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、そういうことで非常に高齢化が進む、そういう中で今日までも何度かの改正がなされてきたのでありますが、今度の改正は今までの改正とは違いまして、これは根本的な、ただ高齢化が進んだというだけでなくて、それをもとにしまして、今までのそれぞれの各年金制度共済制度、そういうものではなくて、今度は一元化方向に進もうということで大改正ですね、これは。そういうことでは今までのような単純な一部改正ということではなくて、非常に重要な意味を持つと思うのです。  そこで、その改正に当たりまして、先ほど大蔵大臣も言っておりましたが、また大蔵大臣にも質問したのですけれども共済改正するわ、それから財政的には非常に厳しいという大前提の上に立って今度の改正をするということになりますと、どうしても今までいろいろな契約どおりに成り立った、期待感の上に成り立った共済にその期待を裏切るような問題が出てくる、こういうことで、私は何点か指摘しなければならない問題が出てくると思うんです。  今度の改正に当たりまして、大臣の提案理由の説明の中にもありますけれども、これは農林漁業団体職員共済組合法として独自に改革をしたというんじゃなくて、ほかとの並びといいますか、公的年金制度一元化等の改革一環としてということですから、これは非常に農林共済としてはこうあるべきだと思いながらも、一環の中でやむを得ないという点も多々あったろうと思うんです。  そういうことを考えるにつきまして、まず大臣に最初にお伺いしておきたいことは、今度の改正によって実際今まで掛けておりました人、それからこれから組合員になる方、こういう方々に対しまして十分な期待にこたえるものであったのかどうか。非常に厳しい一面もあったりいろんなことがあったろうと思うんですけれども、総括して大臣はこのたびの改正についてはどういう御所見を持っていらっしゃるのか、まずその点、その評価といいますか、この改正につきましての大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うんです。
  205. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 藤原先生お答えいたします。  先生も御指摘のとおり、農林漁業団体につきましても実は地方公務員と同等の福利厚生面充実を図ることとしてこの制度発足したものでございます。そんなことで、近年におきましては数次の改正を経まして地方公務員及び国家公務員共済制度と全く遜色のない農林年金制度となったわけです。  こんなことで、この発足の経緯及び沿革等から農林年金の果たす役割は今後ともますます重要なものとなると考えておりまして、公的年金一元化の中で制度間の給付負担の均衡を図っていく必要がありますが、農林年金制度の育成については一層の努力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
  206. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今、農業を取り巻く諸情勢については、今日までも大臣就任以来私ども機会あるたびに申し述べ、大臣もまた一生懸命努力していらっしゃった。しかし、年々厳しい状況の中に追いやられているといいますか、厳しい環境の中にある。国内的にも、また貿易摩擦という観点から外国からも、そういう中で悪戦苦闘しているんですね、農業に携わる方々というのは。その指導的な役割を担っておる団体職員の方々共済制度です。自分の働いている仕事にも非常に希望が持ち得ないような状況の中にある、老後もまた今度の改正によって十分なものがないということになると、一体何を生きがいにしていくのか、こういうことを考えにゃならぬ。  これは何も私が云々するだけじゃなくて、共闘会議の方々が何項目か挙げて、ぜひこういう点については御検討いただきたい、こういうことで強い要請行動があり、また先ほど同僚委員からもお話ございましたが、当局にも何度か折衝なさったろうと思うんでありますけれども、こういう農業を取り巻く諸情勢の中で現在お仕事をする立場としても非常に厳しい、そしてまたこのたびのこの改正ということで、農水省としてはそれは最大の努力をしたと言うかもしれませんが、その辺の問題についてはどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしておきたいと思うんです。
  207. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 先生おっしゃいましたとおり、今、農林漁業団体を取り巻くいろいろな環境、条件はなかなか厳しいものが確かにございます。  そういった中で、先ほど大臣も申し上げたところでございますけれども農林年金制度厚生年金から分離独立をいたしました経緯というものを踏まえて、例えば今回上乗せ年金になるわけでございますが、その上乗せ年金仕組みにつきまして、地方公務員と同様、職域年金部分を設けるということで、その発足趣旨に沿うようにいたしたわけでございます。これからの高齢化社会の到来ということを考えますと、どうしてもやはり給付負担の均衡を図る、世代間の負担の公平にも配慮しなければいけないということがあるわけでございます。  今回の改正によりまして、高齢化社会、このごろは長寿社会というような言葉も使われておりますが、そういうものに対応しながら、やはり現役の組合員方々負担も過大なものにならないようにできるだけ抑制をしていくということを念頭に置いて、また関係者方々も、既に年金を受けておられる方、近く退職をして年金を受けることになる方、また若くしてこれから相当長い間組合員として掛金を払っていかれる方々、必ずしも御意見一様でないところもございますけれども、いろいろ御意見を承りながら、この農林年金制度を長期にわたって安定させるにはどうしたらいいかということを考え検討し、このような案で御提案を申し上げているところでございます。
  208. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 個々の問題は、これは先ほど申し上げたように重要な意味を持ちます用意味を持つというか、もう大改革というか、革命的な改革ですから、これは十分な時間をかけて審議しなきゃならぬだろうし、その問題についてはまだ個々の同僚委員からもいろいろ質問することになっておりますが、私は総括的な面についてお尋ねをしているんです。  今の農業を取り巻く諸情勢の厳しさと、それからまたこのたびの改正というものが、そういう中で一生懸命お仕事をしている方々が老後に対して非常にさらにまた不安を抱かなきゃならぬ。現在も不安を抱き、また老後も不安がつきまとうという、そういう中でのこのたびの改正ということであります。  公的年金制度に関する問題については、社会保障制度審議会からそれぞれ意見が出されたり、また答申が出たりしておりますね。これは六十年の四月十日ですか、社会保障制度審議会から総理大臣に対して「公的年金制度に関する意見」ということで、  改正案は、公的年金制度一元化に向けて給付面統一化を進めるものであり、その限りにおいて一つの選択であろうが、負担の面で問題が残るので、引き続き制度間調整検討を進めるよう一層の努力を払われたい。  また、共済年金制度創設以来の最大の改革を行うに当たっては、いわゆる官民格差の要因となっている恩給制度についても、今回の改正との均衡を考慮し、スライドの在り方その他を含め速やかに不公平を是正する等の措置が望まれる。 云々と、こうあるわけです。これは選択の一つであるということは言っておりますけれども負担の面で問題が残る。審議会においてもその点は認め、引き続き制度間調整検討を進めるよう一層の努力をすべきだということを言っておりますね。  それから、この社会保障制度審議会の答申、六十年四月十日、これは佐藤農林水産大臣にあてられたものでありますけれども、「農林漁業団体職員共済組合法等の一部改正について」の答申、その中にも「改正案は老後の生活設計に組み込まれている既裁定年金のスライドを停止する等年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容をもつものである。関係者理解を得ることがとりわけ必要となる。」、こういうことで、時間をかけてよく関係者とまた話し合いをすべきであるということや、またその理解を得るようにしなきゃならぬということが、その都度その都度強調されておりますね。  お話しはしましたと言うが、どういうお話をしたのか知りませんけれども、これは大変な改革だということは、これは審議会でも言っておるわけです。四月ということですから、八カ月ですか、法案をつくって半年そこそこというところですけれども、これだけの大改革をするに当たりましては、相当時間をかけて関係者とのお話し合いかなければならぬことだと私は思うんですけれども、その点については農水省としては十分に話し合いをして今回のこの法律案を出したというふうに見ているのか。今後またこの審議等いろいろなものを通しまして今後にそういう問題が残るというふうにお考えなのか、今までの審議の経過、それからこの法律案をつくるに至ります経緯として、この答申を受けてどういう話し合いを進めて今日に至ったのかという、その辺の経緯をちょっとお聞きしておきます。
  209. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この年金制度改革の問題につきましては、かなり前からいろいろ議論のあったところでございまして、私ども今回の改正案を提出いたしますまでの間、農林漁業団体職員共済組合には組合会という組織がございますが、ここでの御議論なり、あるいはまた、この農林年金に加入をいたしております各種の系統別の団体、そしてまた全国団体の県レベルの御意見といったようなものもいろいろ承りながら、そしてまた農林水産大臣の私的諮問機関でございますが、農林年金に関する懇談会というものを設けまして、関係者と学識者の御参加を得まして、そこでもいろいろ御議論、御検討をいただいてまいったところでございます。  今後におきましても、この法案の成立を見ました暁には、この内容について、やはり年金を受給しておられる方、また現在組合員である方々によく御説明をし、その内容がなぜそういうふうになっているかということにつきまして、できるだけ理解を求める努力は今後も引き続いてやってまいらなければいけないというふうに考えているところでございます。
  210. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 さらに、この答申の中には、「年金給付支給要件、支給制限等の点において、厚生年金共済年金との間で合理的と思えない違いが見受けられることは問題である。」、こういう指摘もなされておりますね。それぞれ厚生年金厚生年金としての今までの歴史的な経緯もあり、共済年金共済年金としての三十四年以来独立しましてそれぞれの努力をして今日まで来ておるわけですから、このように答申に指摘をされている問題についてはどのように御検討をして今日に至ってこの法案になったのか、その点はどうですか、農水省のお考えは。
  211. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私ども今回の制度改正に当たりまして、やはり公的年金の各制度間のできるだけの整合化を図るということを一つの大きなねらいにして検討をしてまいってきたわけでございますが、何分にも、例えば今お話のございました年金給付支給要件というような点につきましては、厚生年金のように被用者一般を対象としております制度と、共済年金ということで特定の職域を対象にしております制度とでは、おのずからある程度性格の差というものがあるわけでございまして、職域を離脱して支給が開始されるというのが共済年金のこれまで大原則でございますし、この点は厚生年金とやはり異なった扱いにならざるを得ないわけでございますけれども共済年金におきましても、低所得の在職者につきましては障害年金等につきまして在職中の支給を今回制度化するというようなこともやりまして、できるだけの整合化は図ってきておるところでございます。
  212. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは農林年金だけじゃなくて、ほかにも皆共通のことなんだと思いますけれども、    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 一応これは農林年金に対しての答申ということですから、農林年金農林年金立場でやっぱりこれは検討していなければならないことだろうと思います。本来ならばこれは全体の問題としての論議なんでしょうけれども、そういうことで申し上げているわけです。  二つ目には、「職域年金部分を設けることについては理解できるが、民間との権衡等についての資料も不十分であり、また、国家公務員地方公務員農林漁業団体職員、その他の者を通じて画一に扱うことにも問題があるので、その給付水準と財源負担やスライドの在り方について更に慎重な検討が必要である。」という二番目ですね。それぞれ今日までよって来るところのものがそれぞれ違うのでありますから、民間と一緒にするというには、そういうものに整合性を持たせるための資料というものは十分ではないんだというようなことも言われ、その給付水準とか財源負担、スライドのあり方、こういうことについても慎重でなきゃならぬというようなこともこの答申の中に明記されているんですけれども、ここらあたりは農水省はどういうふうに受けとめていらっしゃるんですか。
  213. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この問題は、当委員会でもよく言われます農林年金制度発足の経緯なりねらいということがあるわけでございまして、確かに国家公務員地方公務員農林漁業団体職員あるいは私学の職員、それぞれ違った職域にあることは事実でございますが、制度発足の経緯なり沿革というのは、同じ農山漁村におきまして市町村職員に遜色のない福利厚生なり年金制度を持ちたいということからこの制度が始まったわけでございまして、また農林漁業団体、いろいろ種類が多うございますが、多かれ少なかれ農山漁民の経済的、社会的な地位の向上、あるいはまたいろいろな農業保険でございますとか、あるいは土地改良事業の実施でございますとか、公共的な性格を持った仕事をやっている団体でございます。  そういった観点から、私ども職域年金部分につきましては地方公務員共済と同様の職域年金部分を設けたい、また、これがこの制度関係者のやはり御要望でもございまして、検討の結果、そのように措置をいたしたわけでございます。
  214. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 職域部分についてはこれは理解できるとしても、そのほかの給付水準とか財源負担、こういうものについては慎重でなきゃならぬという答申がなされておるわけで、これは農林年金だけでできることと、ほかとの一元化の中で独自性というか、非常に制約された一面もあるんだろうと思いますけれども、特に農林年金につきましては、三十四年から地域におきましてそれなりの安定的な、そしてまた社会的な地位というようなことで独立してやってきたという経緯もこれあり、そしてまた、ほかの年金と違って平均的には在職年数が非常に短いといいますか、それは個々の人にもよるんですが、そういうこととか、それから給与につきましても非常に低いということ等、ほかとの差もあり、こういうことからいたしまして、こういうふうに指摘されていることについては十分に検討したのかどうか、そういうことを今お尋ねをしたわけです。  この答申の最後に、「今回のような大幅な制度の切替えを内容とする改正に当たっての経過措置等については、所期の目的が達成されるよう十分な配慮を加えることが重要であることを指摘しておく。」という一文があるんです。これは今まで経過措置といいますと、相当ある程度期間を設けてやっておりましたけれども、今回は経過措置というのは非常に十分でない、私どもから見ましても。財政的にも非常に厳しいという大前提が最初にあって、そこからスタートしているものですから、何をするにしましても非常に窮屈な一窮屈といいますか、こういう答申で指摘されたようなことについて十分になされてないと私どもは見ざるを得ない。個々の問題については後日申し上げたいと思いますけれども、こういうように思うんです。  この法案につきましては、こういう観点から見ますと、私どももこれは賛成できる代物ではない。これはもう何点かについてはぜひ、これは衆議院でも随分議論になったようでありますけれども、当委員会におきましても、この問題、指摘しなければならない点が多々あると、このように思うんであります。  大臣、この最後のところの答申、いやしくも社会保障制度審議会、ここから出されております答申の中に、「経過措置等については、所期の目的が達成されるよう十分な配慮を加えることが重要であることを指摘しておく。」というふうに明記をされておる。これは私どもか言うとかだれが言うじゃなくて、社会保障制度審議会で農林年金に対しての答申として出されておるわけでありますから、これをどのように大臣は受けとめていらっしゃるのか、まずお聞きをしておきたい。
  215. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の制度改正につきましては、制度が大きく変わりますので、それに伴いましてさまざまな経過措置を相当長期間にわたってとるようにいたしております。  詳細は一々御説明を申し上げませんけれども、私どもといたしましては、この社会保障制度審議会の御指摘も十分頭に置きながら、経過措置についてはいろいろな措置をとっていると考えているところでございます。
  216. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 経過措置は、今まで従来の一部の手直し程度、手直しといってもそのときそのときの改正がありますけれども、それらのものと今回のこの大改正と見まして、もう少し経過措置というのは時間をかけて、そしてまた、時間だけじゃなくて財政的な裏づけがなけりゃならぬということ。これは指摘すればたくさんありますけれども先ほど午前中の同僚委員質問の中にも何点があったはずです。こういうことがここに指摘されているのだろうと思うんですけれども財政的な問題については、まず財政調整というようなことのための一元化ではなくして、もちろん国民年金というような時代に即応した形ということがやっぱり表になきゃならぬだろうと思いますね、そうした中での。  今、問題になっておりますように、国鉄をどうするかなんというのがすぐ出てくるわけですけれども先ほど大蔵大臣からもいろいろ答弁がございましたが、それぞれの年金体系の中で財政の事情もこれあり、そういうものを推し進めるということでほかの制度に対して財政的な負担を強いるような一元化ということではなくて、本当に将来長い長期的な目で見て、それが整合性のある形で進められるということのための考えを前提に置いた経過措置とか財政的な問題とか、お金の話になると今国は大変ですということでとても応じられません、それでは経過措置というのは今まで組合員として掛けていらっしゃいました方々、これからの方々は新しい制度に乗るんでしょうけれども、当然そこにはある程度期間を置いて財政的な裏づけもそれに伴ってしなきゃならぬ。そういう点、非常に審議会としましても危惧する点があってこういうように明記されたんだろうと思うんですよ。  大臣は、そういう点については、これは法案として出てきたんですから、法案にならない時点だったら我々もいろいろな言い方もありますけれども、しかし、法案審議の中におきましては、どうもこれは十分にそういうこの答申の精神を踏まえたものかどうかというものに対して疑義を持つ。それに対しては大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、またどういう御努力をなさったのか、そこら辺を大臣にお聞きをしたい。
  217. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生お答えします。  今度の年金改正につきましては、先生先ほどの厚生省との質疑の中に五十九年が九・九%、六十五歳以上、これが百年には二一・三%になるという急激な高齢化社会を迎える。そんなことで、三つの点に配慮をいたして実は提案いたしたというわけでございます。  そんなことで、今、先生の御指摘のようなことで、いろいろお話ございましたが、十分経過措置を踏まえて、審議会の答申をよく踏まえて提案していると、こういうふうに実は考えているわけでございます。
  218. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 後日、十分に踏まえてないというやつはまたいろいろ指摘をしたいと思っています。  さて、この年金につきましては、宝の山があったり金のなる木があってどんどん支給すればいいというものじゃない。やっぱり負担掛金とそれから給付というのは、裏腹といいますか、共済財政というものは非常に重要であることは、私どももそれは当然だろうと思います。  今日までのこの農林年金財政というのは、現在までは、数字やなんかは出ておりますけれども、概括的にはどういうふうになっておって、改正した後、財政は将来どういう見通しになるのか。これは短期的に、長期的にはまたどうなるのか。数字的にはある程度出たのをもらっておりますけれども、特に今度の改正につきましては長期的な安定ということは一つの見通しになっているわけですけれども、将来像といいますかね、将来こういう姿になるんだというような財政の面からどのように見通されていらっしゃるのか。
  219. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) いろんなアプローチの仕方があろうかと思いますけれども、仮に現在の千分の百九という掛金を据え置いて、給与の改定率なり年金改定率五%というようなことで将来に向かって現在の制度を延長して考えてまいりますと、既に五十九年に年間の給付掛金収入を若干上回る状態になっておりますが、年間の総支出が総収入を昭和六十九年になると上回りまして、さらに昭和七十九年になりますと保有資産がゼロになるというふうなことが見通されるわけでございます。  現在の給付水準なり給付仕組みをそのまま維持をしていくということを前提にいたしまして、一定仮定に基づいて五年に一度ずつ掛金をある程度引き上げていくということで考えてまいりますと、高齢化のピークを迎えます二十一世紀の昭和百年という時点におきまして、千分の百九という掛金率が約四倍程度になるものと推計をされるところでございます。  今回の改正案によりまして給付水準の適正化を図ることにいたしておりますが、これによりまして相当程度、約四分の一程度この掛金の上昇が軽減をされるというふうに考えているところでございます。
  220. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 共済制度としまして、この改正、この法案がどういう形になるかわかりませんが、これが施行になるとしますと、財政の面から見て、今お話がありましたけれども、そういう見通しだということですが、年金につきましては五年ごとに財政再計算、これをするわけですね。五十四年になされて、そのときにいろいろ計算をした結果、将来これは大変なことだということで五年ごとの再計算の時点でそれぞれ問題が提起になり、それが一つの踏み台となって今日まで来ているわけですけれども、今度は五十九年ですか、厚生年金国民年金の五十九年の財政再計算結果、これではそれぞれ将来についての現状と成熟率等についてはいろいろ言われておりますけれども農林年金では五十八年ですか、財政検証、これは旧法で今後どういうふうに推移するかという見通しが立てられていると思うんです。  この農林年金財政の今後の姿等について成熟度、今、局長からもお話があったような形で推移するだろうというお話でありまして、そういうことから言いますと、これはこのままの姿でいきましても後いろいろ問題が出てくることは、我々も急激な老齢化という中でのことでありますから、それなりの理解はできるんですけれども、ただ先ほど来答申のお話も申し上げましたように、年金制度一元化ということになるとどういうことになるのかという、今度はもう全然、今まで個々の年金制度とか共済制度の問題でのことでしたが、今度は一元化ということになると、自分のところだけではなくてほかのいろんな要素が入ってきて、農水省だけでの試算とか農水省だけでの問題ではなくなるわけで、制度が、今後スケジュールとしてはどういう形にこれは持っていこうと現在の段階ではお考えになっていらっしゃるかということ。  また、財政的には、これは一元化というのはどういうふうにその制度とともに歩んでいくのか、ここらあたりはまだ余りはっきりしない点が衆議院の議論の中にもあるんですけれども制度一元化を進めるプロセスと、それからそれに伴う、制度とともに財政的な問題について、これについてはどういうふうに見ていらっしゃるのか。
  221. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正によりまして、各種の公的な年金制度の中で制度整合化を図りまして、給付面につきましては一元化にかなり大きな一歩を踏み出したと、こういうことになろうかと思っておりますが、昭和七十年に向けまして、この法律が成立をさせていただきますれば、来年の四月からの施行を予定しておるわけでございますが、来年の四月以降、負担面についての制度間調整も含めて将来の一元化についてどのような考え方、どのような構図でこれを進めていくかということについての検討、研究が始められるものと私ども考えております。  一元化ということにつきましては、単純に各制度を統合一本化するということよりも広い概念であるというふうに私ども考えておりまして、前にも述べたところでございますけれども現行制度間の給付負担の均衡及びその公平性が確保されるということを内容として意味しているというふうに理解をいたしておるところでございます。
  222. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今お話ありましたように、単純一元化なんというそんなことじゃなくて、当然いろんな問題が出てくるわけですから、七十年を目指して制度間の調整についてこれから検討するということですが、これはもちろんまだ煮詰まっていないというか、これから一つ一元化のステップを踏んだというか、そういうことだろうと思うんですけれども、しかし制度をつくる立場と、またそれを見守る、どういう方向にいくのかという立場からしますと、細目については七十年までの一つのスケジュールというか、そういうものは、ある程度のものは今日まで国民年金厚生年金、また共済同士、こういう形でだんだん進められつつあるわけですけれども、七十年までのものはある程度、巷間言われている一つ方向性というものはあるんだろうし、また皆さん方もそういうものは念頭に置いていらっしゃると思うんです。  当然、そこには財源問題がどういうふうに絡んでくるのかということも、これは変えられる立場からしますと大きな関心事であり、個々の問題についてはそれぞれ今後検討して詰めていく個々の課題であるのかもしれませんけれども、そんな個個、一つ一つのことを申し上げているのじゃ決してないんですが、全体像として、これだけの改革をするわけですから、制度はこうある、財政的にはこうだという、やっぱり一つのきちっとしたものがありませんと、つくる方は財政の厳しい中でございますからなかなかお金は出せません、制度についてはこうしますということでびしびしびしびしやられていくんじゃ、見通しもないようなことでもって、ただ手をこまぬいているということでは非常にやるせない。また、担当する皆さん方もそういうことでは決してない。一つの目標なり見通しなりというものをお持ちになっていらっしゃるんだと思う。  これは全体的なことですから、農林年金だけで云々はできないことなのかもしれませんと思いますけれども、一応、担当大臣として、また局長として、この全体像、将来像についてはどういうふうにお考えというか、見通されて進められようとなさるのか。制度財政的な問題、これはある程度の輪郭というものはお話し合いがなされているんでしょう。
  223. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) お尋ねの点につきまして、二つの側面があろうかと思っております。  一つは、今度の農林年金制度改正によりまして給付なり負担がどうなっていくか。先ほど掛金負担現行制度維持しました場合と今回の改正をいたしました場合というふうなことで申し上げましたが、そしてまた、今回の改正によりまして現在のいろいろな諸条件仮定して推算をいたしますと、高齢化のピークの時期をどうにか乗り切って、年金財政として将来的に安定をしていくだろうというふうに見ておるわけでございます。  そういう問題と、それからもう一つ先ほど来御議論がございます七十年に向けての年金一元化、これをどういうふうに考えていくかという問題がもう一つあろうかと思います。こちらの方につきましては、先般の厚生年金国民年金改正、そしてまた今回の共済年金制度改正によりまして、おおむね給付面整合化といいますか、一元化はなされたものと考えられるわけでございますが、負担面についての制度間の調整というようなことが、来年度以降政府において、関係者方々の御意見も承りながら検討を開始するということになると思っております。  いずれにいたしましても、給付負担とは切り離して考えることは年金制度にとってはできないわけでございますので、給付のみの整合性を図って、負担制度によって非常に大きく異なるというわけにはなかなかまいらないであろうというふうに考えておりますけれども、今回の改正以後、各般の御意見を承りながら明年四月以降検討をすることにいたしておるわけでございます。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕
  224. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今お話にございましたように、給付とそれから掛金の問題、これは老後の保障といいますか、大事な年金でありますから、時代の社会経済の変化と言いますけれども、そういつも変わられたんじゃ自分の見通しというのは立たぬ。五年ごとの再計算でいろいろそのときそのときの微調整をしていくのはやむを得ないことだと思いますけれども、今度はそういう微調整というか、そうではなくて、大改革ですから、だから答申の中にもありましたように、やっぱりきちっと担当者の方、関係の方々と話し合えというのは、今まではこういうことで来たけれども、これからはこういう見通しでこういう形になるんだぞということをきちっと明確にしませんと、大変なとまどいを持ち、不安に陥り、それでなくても農業自体が最近非常に厳しい状況の中にありますから、そういうことも十分に踏まえてということだろうと思うんですよね。  今回出されたこの法案、これはどちらかというと、先ほど来ずっといろいろお話を聞いていますと、横並びというか、共通部分が非常に多いので、農林年金のことだけ言われてもちょっとこっちには関係ありませんというような、そういう顔もしてないけれども、それはそれぞれの共済でみんな同じようなことをやっておりますからという、やっぱり農林年金に現在加入している方々、それからこれから入るでありましょう方々、こういう方々というのは、これはもうどういうふうになるのかということについては非常な危惧を抱いておるわけですから、やはりほかとの一元化への一環としてということだけではなくして、そこにはひとつの今日まで参りました歴史的な経過も踏まえた主張といいますか、そういうものがこの中になければならないとこれは思うんです。  再計算というと、とかくに財政再計算なんというのは、将来財政がどういうふうになるかということで掛金を上げるという話にすぐ結びつくような話しか出てこない。今回はそういうことじゃなくて、制度財政的な問題も抜本的な大変な改革をしようというこういうことであるだけに、将来に対する展望とか、将来に対する見通しとか、こういうものが重要ではないかということで、農林年金も今日まで参りました経過にかんがみて、現状はどうであったのか、これからは一体どういう方向に進むのか、どういうことになるのか、それで本当に農業に携わる方々、指導的な立場方々が、農林年金に携わる方々が安心していけるのかどうか、そこまでの十分な配慮がなされたかどうかということを先ほどから私はいろいろお聞きをしておるんです。  答弁は、それはうちだけでできることじゃございませんで、隣のことがございましてというようなことで、どうもすっきりしない一面もあるんですけれども、とにかく大臣、非常に重要なこのたびの改正でありますから、十分に当委員会での議論、個々の諸問題についてはこれからまたいろいろ提起をしたいと思いますけれども、参酌をしまして十分にひとつ現実に沿った形で、また審議会の答申にもありますような問題点、十分に話し合いをしなさいという、理解を得なさいというようなお話もございますけれども、そういう点に沿った形で進めていただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思うんです。  いらっしゃって早々で申しわけございませんが、厚生大臣、主務大臣というのは厚生大臣だということですからあれでありますが、まず基礎年金というこういう物の考え方は私ども公明党がトータルプラン以来主張しておるところでありますから、そういう考え方、それからまた、そのあり方については私どもそれなりに理解ができますし、国民の相当数の方々の世論もそういう方向にあるのだろうと私は思います。  しかし、基礎年金の上にそれぞれの今までの職域部分とか、今までの共済でありましたものを上積みをしていこうということですが、一番基礎年金、これは国民年金厚生年金、それから共済、それぞれこれはいろいろあるわけですけれども基礎部分というのは、やはり基礎であるだけに国民年金の時代に即応した、納得のいく、そしてまた、それを証明するだけの基盤といいますか、それなりの重みのあるものでなければならぬ。共有部分ということですからね。  ところが、これは衆議院段階でも五万円ということでありましたが、それは基礎年金というのはやはりそうではなくて、もっとこの基礎部分に重点を置くということから、我が党は五万五千円ですか、強く主張をしました。しかしながら、何か言うと財政ありきで、もうそこから一歩も進まないという、先ほどから農水大臣もぐだぐだ言っておったんですけれども、それから大蔵大臣も午前中来まして言っておったんですが、先に財政ありきでありますと、もうこういう審議をしたってむなしい話でして、この基礎年金構想という考え方はそれなりに理解できるとしましても、私どもはそれなりの基礎年金としての位置づけからしますと、現在のこの五万円ということについては非常に納得し得ない。この問題については衆議院でも随分議論のあったところであります。  私どもこのたびの審議をするに当たりましても、まず基礎部分になりますので、厚生大臣、これは財政ありきということじゃなくて、基礎年金が五万円でなければならない、そういう根拠というか、お考えとか、そこを一歩も譲ることのできないというのは一体どこにあるのか、まず厚生大臣にお聞きしておきたいと思うんです。
  225. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 基礎年金につきましては、老後生活の基礎的な部分を保障しようというわけでございます。したがって、お年寄りの生活の実態というものを考えますとともに、やはり給付上いうものは負担を伴うものでありますから、負担とのバランスを考えますと、一応妥当な水準であるというふうに考えておるところでございます。したがって、そのような観点から五万円ということでお願いを申し上げておるわけでございます。
  226. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 負担給付の関係というのは、私どももこれは無制限に給付せよという、こういうことを決して言っているんじゃございません。当然、負担給付というのは裏腹であることは十分承知しております。しかし、基礎年金というのはそのベースになる一番大事な部分ですから、最低保障といいますか、国民年金の中で最低ここまでは老後は見ましょう、そういうことですから、負担給付の関係で五万円以外もう考える余地はございませんという今の厚生大臣の話ですけれども、そういうところから出発したこのたびの年金法の改正ということになりますと、これは我々はちょっと納得がいきませんですね。やはり給付負担ということだけじゃなくて、やはりいろんな年金財政の中で今日まで改正もいろいろなされてきまして、今日これだけの大改正をするわけです。それにはそれなりの保険設計をなさった上でいろいろな検討をなさったんだろうと思いますけれども、この五万円というのは絶対揺るがすことのできない数字なんですか。負担給付というそういうことからだけしか今、厚生大臣はおっしゃいませんでしたけれども
  227. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今、大臣が御答弁申し上げましたとおり、今回改正を、国民年金厚生年金については成立をお認めいただき、共済法について御審議をお願いしている段階でございますが、今回の六十一年四月からの実施につきましては、五十九年度価格で月額五万円という水準でスター十さしていただきたいという趣旨で申し上げているわけでございます。  確かに、この問題は、保険料負担とのバランスだけでは決まらないとおっしゃる点は私ども理解するつもりでございますが、基本的に公的年金、特にこういうベーシックな年金をいかなる観点から決めるかにつきましては、諸外国でもいろんな議論がなされておるようでございまして、私どもやはり今までの国民年金と同じ三分の一という国庫負担を前提にして、かつピーク時の負担が同じ五十九年度価格で月額一万三千円ぐらいになるという前提では、今、大臣が申しましたように、両方のバランスを考えて妥当な水準ではないかと考えているのは事実でございます。  ただ、もちろんこの基礎年金水準自身は、私どもの原案におきましても今後の国民生活の水準の変化に応じて見直しを図るべきものでございまして、五十九年度価格でというのはそういう意味もあるわけでございます。  そういった意味で、一方では国庫負担を段階的にせよふやせばもっと高い給付が出せるじゃないかという御議論もあろうかと思いますが、これは単に財政ありきという議論ではなくて、国庫負担といえども国民負担に、はね返るものである以上、現下の財政状況では、直ちにこれを当面のスケジュールとして申し上げることにはやはり踏み切れないものがあるという意味で申し上げているわけでございます。  繰り返すようでございますけれども基礎年金水準を含む国民年金、あるいはもっと広く言えば、公的年金水準については、当然我々が申しております財政再計算期ごとの見直しという手順をもって今後も見直すべきものであることは、我我全く否定しているわけではないつもりでございます。
  228. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この基礎部分が見直される要件というのはどういうことですか。物価とか社会情勢、いろいろあるんだろうと思いますけれども、どういうときにこれは変わる条件となるんですか。
  229. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 基礎年金を含みますところの国民年金年金水準につきましては、国民生活の動向といった意味での経済情勢を踏まえて見直すということが、まず私どもの原案にもございましたわけでございます。  そのほか、先生お尋ねの点を少しはみ出すかもしれませんが、前回国民年金法の審議を受けました段階での御審議の経緯の中から、基礎年金水準とか、特にそれと並んで費用負担のあり方については、今後の社会経済情勢の推移とか、いろんなその他の事情を考慮して検討が加えられるべきであるという御趣旨の修正の規定が設けられていることも、あわせて申し上げておきたいと思います。
  230. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、ほかの年金制度との一元化ということの中で、我が農林水産委員会ではこの農林年金問題が論議されているんですが、一元化一環としてということで、ほかとのこと、こういうことだと農林年金サイドで云々しましてもなかなか明確でない一面もあったり、やはり主務大臣、厚生大臣が所管するということでありますからこの際お聞きをしておきたいのでありますが、国鉄共済財政問題、これは政府統一見解も出ていろんな議論がございましたが、これももちろん含めてのことになりますけれども、今後の共済年金のあり方、それから公的年金制度の再編成のプロセス、それから財政的にはこれはどういう形に七十年、そしてまた将来の見通しとしては進んでいくのかという、こういうことについてお伺いしておきたいと思います。
  231. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 今回の改革をお願いできますと、基礎年金部分につきましての公的年金一元化が図られるわけでございます。  その基礎年金の上の、いわば二階部分につきまして、今後どのような方向で展望するかということにつきましては、さまざまな構想が考えられます。一つには、統合一本化するのか、あるいはまた制度はそのまま残しておいて財政調整を行うのか、いずれも一元化の範疇に入ると思いますけれども、その具体的な問題になりますと、それぞれの制度への影響が非常に大きい問題でありますので、今回の年金改革を御可決いただきました暁には、昭和六十一年四月からスタートするわけでございますので、その時点から検討を尽くさなければならないと思います。  いずれにしましても、公的年金制度全体について長期的な安定、あるいは給付負担の公平、または整合性のとれた発展を図るという三つの基本に立たなければならないと考えておるわけでございます。
  232. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 公務員は公務員共済として、また農林年金農林年金としてのそれぞれ今までの経過があるわけですけれども、社会保障制度審議会等におきましても、これだけの大改革をするんだから当事者から十分に意見を聴取して進めなきゃいかぬというふうな答申がございますね。特に、公務員は今日まで公務員としての服務規定といいますか、それなりの立場があって、それに対するいろんなあれがあるわけですけれども、また農業団体の職員の方々は農業団体として、三十四年ですか、独立をして今日までそれなりに努力をしてきています。  さっきも申し上げたんですが、農業を取り巻く諸情勢というのは非常に厳しい中にあって、現在は団体の職員として指導的な立場にある。現在自体も非常に厳しい農業情勢の中にあって、やめた後のいただく農林年金も先行き非常に厳しい状況にある。何もないところから物がスタートしたのならそういう制度のもとにスタートするんでしょうけれども、今まで期待権とかいろいろなことを言われていますが、今日既に組合員である方々につきましては自分の将来設計というのをある程度描いていらっしゃる。それが、今回このような大きな改革ということで大改正になる。そして、財政的には非常に厳しい中にあります。  個々の問題について一つ一つ申し上げる時間もありませんからあれですけれども、どちらかというと、やっぱり現在の共済制度の方がかえってよかったんではないかというような問題点もあるんですね。しかし、これが改正になって、厳しい農業に携わる方々がさらにまた老後も非常な不安の中に過ごさなければならぬ。こういうことで、農業サイドだけでこれは特別に見られるということは、非常にそういう環境にない難しい一面はあるんですけれども、二階建て、三階建てのことにつきましては、そういう点では非常に厳しいあれだと思いますが、少なくともこの改正に当たりましては、そういう環境にある農林年金については十分に関係者と話し合い、またその現状というものをよく把握し、そして現状に即した形でやっぱりそういう要望にこたえる、そういう寛容さというか一面がなければならないということを私は先ほどから強調しておったんですが、厚生大臣、どうですか。
  233. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) やはり制度にかなりな影響を与えるものと思われますから、御指摘のように、関係者理解国民の合意というものがぜひとも必要であろうと思いますから、関係者との話し合いは十分になされることが望ましいことであることはもちろんでございます。
  234. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そういうことですが、しかし法案が提出されておるわけで、この法案は審議の過程にありますから、今後もそういう場を持つということや、今後この法律ができましても、その後のことについてはまた細目についていろいろ検討しなきゃならない、協議をしなきゃならない問題点ありますね。そういうことについては十分にひとつ耳を傾けていくということ、こういうことはよろしいですか。
  235. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 今後のことにつきましては、御指摘のように、政府部内で関係者の意向を十分にお聞きした上で対処してまいりたいと思います。
  236. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今後のことについてはというと、何か余り聞かないでやったみたいな感じも受けるんだけれども、今日もそうであって、しかしあれは四月の十日に審議会から出ているんですよね。半年足らずの間でこれだけの大きな改正ですから、いろんな問題点が指摘されているのは当然だろうと思いますし、今後のことについてはひとつ十分にそういう場を持って協議をいただきたいと思うんです。  それから、既裁定年金も含めて共済年金、これが厚生年金並みになるということですから、その受給要件とか受給水準、こういうものの中には厚生年金よりも不利になる立場方々も出てくるんですね。これは何点かきょう午前中の質疑の中にもありましたし、一々繰り返しては申し上げませんけれども年金はもう統計的にこういう方が何人いらっしゃいますという、そういう感覚で物をとらえることのできない個々の一人一人のケースについて、数が少ないとかパーセントがどうとかじゃなくて、そういう問題については資料があって、そういうものの裏づけがあるということであるとやはり見ていかなきゃならないものだろうと私思うんですよね。  そういう点では、今回の改正によりまして、現在それぞれ共済に入っていらっしゃる方々が、厚生年金並みといいますか、それよりも水準は落ちるような、落ちるといいますか、給付の面で不利になる立場方々、これは給付水準とか給付要件とか、こういうものによって考えなきゃならない問題点があるわけで、こういう個々の問題については十分に話し合いに応ずる、そういう姿勢が大事だと思いますけれども、厚生省としてはどういうようにお考えですか。
  237. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) これは所管の省において行われる問題でございますけれども、基本的には、やはり先生のおっしゃるような人情的には話し合いというものが大切であろうかと思いますが、規則というものもあるわけでございますので、その点につきましても御理解をいただきたいという気持ちもいたしております。
  238. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 基本的な物の考え方ですけれども、今までは年金というのはどちらかというと世帯単位というような物の考え方でしたね。ところが、最近は共稼ぎというのが非常に多い、こういう世の中にだんだん変わってまいりました。今まではどちらかというと、個人的に一家の働き手、それによって年金受給者、そしてまた、その家族の老後、今度は基礎年金部分、国民年金ということで、そういう物の考え方が大きく変わる制度ができることになるわけですけれども、今まではどちらかというと世帯単位の年金、こういう考え方ですね。  厚生省が今度の年金改革に当たりまして、こういう今までの年金に対する物の考え方、今度これが改正によりまして根本的には家族単位に見ていこうという方向に進む。そこには、先ほど申し上げたように共稼ぎの方々とか、また、これは今まではどちらかというと個人的に見ていた、しかしその網になかなかかからない方々がいらっしゃっる。家族単位ということになりますと、今度は共稼ぎの方々は、個人で考えられたときよりも少ない、家族ということになりますとですね。それから単身者。こういうことで、制度改革に当たりましては、やはり非常にマクロ的に見ましても、個個のケースケースでいろいろなことがあるんですけれども、個人から家族へ、こういう物の考え方の中で、やはりいろいろ違いが出てくるというか、手当てをしなければならない、見定めなければならない問題点が私はあると思うんですけれどもね。  こういう改正の中で、個々の問題についてはまだ後日いろいろ指摘をし、それをどういうふうにするかということについては申し上げたいと思うんですけれども、大きな観点から見まして、そういう年金に対する個人的なものから家族的なものへの変化、そういう中での変化に伴う諸問題については、厚生省としてもいろいろ検討していらっしゃると思うんですけれども、そういう問題については十分に措置するような形で検討されたと思うんですが、しかしまだ問題点は何点か指摘されているわけですけれども、そういう点については今後の取り組みやなんかどういうふうにお考えですか。
  239. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま御指摘の点は、ある意味では今回の改正に限らず、年金とは何ぞやということに対する基本的な御指摘と思いまして、非常に注意深く聞かしていただいたのでございますが、先生がおっしゃいますように、世帯年金的なものから家族メンバー型の年金になったということは、諸外国からの評価にも出ております。ただ、我が国の場合には、昭和三十六年にできました国民年金制度が完全な個人メンバー年金になっておったわけでございます。その意味では、基礎年金という形、いろいろ御指摘もあり、今後のまたいろいろな研究課題を伴っておりますが、国民年金型のものを基礎に置いたという意味では、そこはやはり個人単位の年金になっていると思います。  ただ、これはたしかこの委員会でも御指摘があったと思いますが、婦人の年金権の確立と、ただそれを言いますだけでは、実は届け出の問題とか費用負担の問題とか、いろいろな意味では逆に個人型になるがゆえに個人一人一人を行政としてもつかまえなければならない、あるいは御本人からも御認識を持って手続をとってもらわなければいけない。そういう意味で、実はまず第一に、年金業務の実施上、非常に転換ということが大きな問題といいますか、新しい点ではないかと思っております。  現在、社会保険庁を中心に四月一日実施を目途に非常に準備を急がせておりますが、やはり市町村の役場の窓口につかまえられるような一人一人の方に、いかに新しい年金仕組みを御認識いただくかということが大きな問題だろうと思います。  なお、年金水準の設計そのものをどういうふうに今後考えるかは、実は去る国会で参議院で御修正いただきました基礎年金水準とか費用負担のあり方について、世帯類型に応じた検討も急ぐべきではないかという御指摘もあったわけでございますが、そういったことから、今回の改正を何とか円滑にレールに乗せるためには、私ども余り矢継ぎ早に次の展開に持ち込むことには事務当局としてはややちゅうちょを感じる面もございますが、しかし、基本的な年金がどういうものとして国民に受けとめられるかということを考えます上には、こういった面での率直な、何と申しますか、国民に対する問題提起も今後やはりしていかなきゃいけない問題だろうと思っております。
  240. 下田京子

    ○下田京子君 私は、最初にお聞きしたいのは、今回出されております年金改革のねらいは一体どこにあるのかということなんです。  政府の説明によりますと、公的年金制度一元化であるとか、あるいは給付負担のバランスであるとか、あるいは年金制度の長期安定化、三本を柱にしていろいろ御説明されております。しかし、衆議院そしていままでも午前中明らかになってきているのは、給付水準の引き下げ、それから掛金の大幅アップ、一方でもって公的年金制度として一体国の責任はどうかという点での国庫負担は大幅削減というのが明確であります。その結果、一体どういう結果が起きるかといえば、戦後、より豊かな老後の保障をということで幾つかの改善がなされて現在の制度というものがつくられてきたと思うんです。ですから、まさに中曽根内閣の戦後政治の総決算路線の年金版に当たるもの、今までの成果を一挙に奪い去るものということを私は指摘しておきたいのです。  ですから、国民の合意を得られるような内容にとおっしゃっておりますけれども、この改革案を撤回することが最も国民的合意を得られるということを私は申し上げなければなりません。  なぜそうなのかという点で以下具体的に質問申し上げますけれども、農水省に御確認いただきたい点、これは高齢化社会の中でといろいろ数字を挙げて言われている中で、国の責任に当たる国庫負担は一体どうなるのかということなんです。  農水省の収支試算によりますと、三十一年後、昭和九十一年度、現行制度維持していった場合の国庫負担というのは五千二百三十八億円ですね。今出されている改正案制度として今後創設していくと、国庫負担は二千八百二十三億円で済む。ですから、削減額は二千四百十五億円、率にいたしますと四六・一%カット、こういうことになりますね。
  241. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 一定の前提を置きました試算でございますが、そのような数字に相なります。
  242. 下田京子

    ○下田京子君 一定条件ということがあっても、これは農林漁業団体職員共済組合が収支試算として既に織り込んで出されたものですから、これだけ国庫負担農林年金相当分でカットされるというのが明確になったということなんです。  これが一体支出に占める国庫負担との割合で見ていったときにどうなのかということなんです。昭和九十一年度で現行制度を継続した場合、支出総額は二兆六千四百四十二億円になりますね。国庫負担額が五千二百三十八億円です、今認めていただいたように。そうしますと、支出に占める国庫負担の割合というのは一九・八%になります。ところが、改正された場合の支出総額はどうかというと、これはかなり下がります。一兆八千八百九十八億円です。しかし、同時に国庫負担額の方は、さっき御確認いただいたように二千八百二十三億円と大変下がるわけです。支出に占める国庫負担割合で見まして一四・九%となるわけです。  そういう点で、今回の国庫負担制度制度として改悪された、まさに今改正の柱であるということが明確になったんではないかと思うんです。どうですか、これ。
  243. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の改正によりまして、当面は国庫負担の額は余り変わりませんけれども、長期的に見ますと、一定の前提を置いて試算をいたしますと、今お話しになったような数字になるわけでございます。  これは、長期的には給付水準の適正化を図ることによりまして、一方において組合員方々掛金負担の急増を抑制いたしますと同時に、国庫負担につきましても、現行制度を続けていった場合における増加を今回の改正によって抑えるという結果になるからだというふうに考えております。
  244. 下田京子

    ○下田京子君 その国庫負担額が現行に比べ一九・八%から一四・九%に総支出で下がるというのは、一体何を物語っているかということなんですね。私は、ここにいわゆる戦後政治の総決算年金版だと言えるところがあるということを指摘したいんです。  といいますのは、農林年金制度の歴史を振り返りますと、国庫負担改正してきた歴史でもあるんですよ。昭和三十四年一月に発足時の給付費に占める国庫負担は一五%でありました。それが四十一年十月改正によって給付費の一六%を国庫負担にいたしました。さらに四十七年の四月になりまして、これが一八%ということで国庫負担引き上げられたんです。それだけじゃないんです。四十二年から財政調整費補助金が加算されまして、現在ではそれが一・八二%になっております。ですから、財政調整費と含めると国庫負担に当たる分は一九・八%なんです。まさに現在のこの一九・八%、総支出に占める国庫負担、それを発足当時に逆戻りさせたということなんです。そうですね。
  245. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の制度改正に伴いまして、これは農林年金のみならず、公的年金制度全体について基礎年金が導入をされまして、国庫補助はこの基礎年金への拠出金の三分の一補助ということで統一をされましたわけでございます。すべての共済年金制度それからまた、厚生年金制度全体を通じてそのような助成方式に統一をされた結果、御指摘のような形になるわけでございます。
  246. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、制度全体がまさに発足当時にまで逆戻りしたということなんです。一体、何ゆえにこういうことをしたのかということなんです。まさに今回の改正案の中身が国庫負担削減にある。そして、年金によって戦後政治総決算をやるというところにこそねらいがあって、今まで積み上げてきた、より豊かな老後の保障というものを一挙に突き崩す重大な問題だということが明確になったと思うんです。  私は、国庫負担削減の中で、実際に給付の方が一体どうなったかということでも見たいんです。農林年金発足時の精神はといえば、改めて申し上げるまでもないと思うんですが、特にこの制度発足のときの提案理由を御紹介したいと思うんです。これは昭和三十三年三月十三日に当委員会で提案理由を説明されていますけれども、それによりますと、「厚生年金保険制度より相当充実した給付内容を有する年金制度を中心とする共済組合制度を設け、これらの団体関係者の永年の要望にこたえるとともに、農山漁民への奉仕に十分を期することといたしたいのであります。」、こう述べているわけです。  これを称して優秀な人材確保云々と、こうおっしゃっておると思うんですけれども、つまり農林年金発足時の精神をわかりやすく言えば、給与水準引き上げます、しかし同時に年金ですから、その年金給付水準引き上げて、その結果として農山漁民に奉仕するような仕組みにしますということなんです。そういうことで年金給付額の算定基礎となる標準給与とり方も、退職前五年平均という格好でとったと思うんです。間違いないですね。
  247. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 御指摘のとおりでございます。
  248. 下田京子

    ○下田京子君 ところが、この平均標準給与とり方平均賃金とり方ですね、これも今回改悪しているわけですね。三十九年十月これは改正されまして、そしてさらに退職前三年間の平均をもって標準給与とすると、こうなったと思います。その後さらに改正されまして、四十九年九月、現行制度である退職前一年をいわゆる標準給与としていると思うんです。なぜ四十九年九月から退職前一年間に改められたのか。私はこの四十九年当時こういう形に変えだというのは、当時の狂乱物価、それによっての給与の改定、つまりその改定された給与年金水準反映させようという思想だったと思うんですが、いかがですか。
  249. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 確かに当時狂乱物価、また賃金も非常に上がったという経済状況でございまして、公務員共済の方も直近一年ということになったわけでございまして、制度発足の経過から、やはり地方公務員に劣らない年金にしたいということがあるわけでございまして、農林年金についても同様な改正をやったわけでございます。
  250. 下田京子

    ○下田京子君 今お話しのとおりでしょう。そうしますと、給与水準年金水準反映させようということで現行制度が生まれてきた。それをも覆すというのが、今回のいわゆる退職前一年の給与をもって年金基礎算定にするというのを、加入期間期間に変えていったというところにも、この給付水準の引き下げの大きな問題があるとお認めになっているわけです。  そこで厚生省にお聞きしたいんです。  さっき農林年金の国庫負担の削減の話、横並び論だという話が出ました。そうなんです。全部その横並び論で国庫負担を削っていこうというのが、今度の最大の問題なんですね。確認いただきたいんですが、昭和九十年で厚生年金国民年金、これの中での国庫負担は幾らになるかというと三十六兆八千億円、そして改正後になりますと国庫負担は二十六兆三千億円、こういうことになりますね。
  251. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 私ども今回改正に当たりまして厚生年金国民年金を通じて国庫負担の見通し、実は昭和九十年、昭和五十九年度価格でいえば、現行法のままでいけば八兆一千億が、改正法によれば五兆八千億になるということをお示ししておりますが、今お読みになりました数字は、私ども逆算いたしますと、大体これから毎年五%ぐらいの率を掛けて、ある意味での名目額をお出しになった結果ではないかと思いますが、もしそういう仮定でおとりになったのであれば、今おっしゃったような数字になることは、私どもの申し上げました数字とはややラフな点では違いますが、傾向としては御指摘のとおりかと思います。
  252. 下田京子

    ○下田京子君 おっしゃるように年金改定五%、利回り七%、名目で。それで皆さんの方で試算されたものをもって御確認を今願ったところなんです。  こういう形で農林年金も見ますと、昭和九十年に現行でいきますと、名目でその国庫負担は四千九百億なんですよ。ところが改定によって、さっきは九十一年の話をしましたが、今度は九十年ですね。そうすると改定後は二千七百億円、こうなっていく。同じように国公共済、地公共済、私学共済全部それぞれのところから資料をいただいて、そして数字を合わせてみました。  そうしますと一体どうなるかというと、これは現行制度の継続の際に国庫負担総額は四十兆三千四百億円になるんですよ。ところが、改正によりまして二十八兆二千三百億円ということで、国庫負担総額が実に十二兆一千百億円カットされる。率にしますと三〇%のカットだということになるんです。こういうことをやろうというのが、今回の年金改革改革と言われる中身だということなんです。  厚生大臣、このことをどういうふうに御説明されますか。
  253. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) まず、計数にわたりますので私から御説明させていただきたいのでございますが、共済制度を通じての御試算は、ちょっと私ども率直に申しまして、今手元にメモでいただいただけでございますが、国民年金が名目をとるか五十九年度価格をとるかは別としまして、厚生年金国民年金を通じて国庫負担がふえ方が減るということは、これはたびたび申しておりますとおり、今回の改正厚生年金で申しますれば給付の方が現行のままでいけば現役収入の八三%ぐらいになる。それをあえてと申し上げたいのでございますが、六九%ぐらいの水準に設定することで、それに見合った保険料負担もバランスのとれたものにするということで行った、その給付の適正化の結果という数字として御理解いただきたい、そういう数字でございます。
  254. 下田京子

    ○下田京子君 厚生大臣
  255. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) ただいま御説明申し上げましたように、旧法のままでありますと、いずれ将来高負担に耐えられなくなるということが目に見えておるわけでございますので、したがって給付の適正化をやらせていただいたわけでございます。その結果、被保険者の負担の方も国の負担の方も従前の例に比べますと下がっておるということは給付の適正化の結果でありまして、財政上の理由からこういうことをいたしたわけではございません。
  256. 下田京子

    ○下田京子君 厚生大臣、今までの議論を聞いてない議論ですよ、それは。給付全体が引き下がっても下がった中での国庫負担がどうなのかということで、農林年金を例にとって御説明したじゃないですか。まさにごまかしですよ。今の給付の適正化という厚生省の理屈なんですけれども、端的に申し上げてこういうことなんでしょう。  現行制度年金水準でいくと、厚生省のモデル計算は見させていただきました。そうしますと、三十二年加入で平均賃金が二十五万四千円の男子の場合を例にとっていますね。その際に年金がどうなるかというと十七万三千百円になる。これは現職労働者の平均標準給与の六九%と今おっしゃっていますが、六八%水準になる。それが四十年加入でいきますと、現職労働者の平均賃金の八三%水準に当たる二十一万一千百円になっちゃう、これは余りに高過ぎる、だから四十年加入で今の現職労働者の平均賃金のいわゆる六八%水準に抑えておこうと、こういう考え方なんでしょう。確認してください。
  257. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 厚生年金の今回の給付水準改正考え方は、御指摘のとおりでございます。
  258. 下田京子

    ○下田京子君 これが問題なんですよね。いいですか。四十年加入で現職労働者の平均賃金の六八%水準に抑えるということをもって、これは厚生省がお出しになっているパンフレットを見たんですよ、「基礎年金の知識」、これでいろいろ説明されている。わかりやすいです。しかし、今のことをもって何と言っているかというと、肥満体質を改善してぜい肉を落としていくんだと、こう言っているんですね。しかも、今のお話の中には、その厚生年金のモデル計算にはボーナスを含んでいないんですよ。そうですね。うなずいていますよ。  ですから、ボーナス分を含めたら一体どうなるかといいますと、現職労働者の平均賃金との比較を見ますと、四十年加入でも現行制度でいつでも六四%水準年金なんです。決して高くないんです。そういうごまかしの理論で、現職労働者に比べて年金をもらう人たちは余りに高いなんというのは、全くけしからぬと思うんです。  これは指摘しておいて、農林年金の実態はどうなのかということで質問を進めたいんです。五十八年度農林年金平均賃金はどうですか。農林年金加入者は十九万一千円ですね。そして年金額はといえば、十万九千九百円です。決して高いなんてことは言えないし、これは厚生年金よりさらに低い水準なんですよ。農水大臣、これで高いと言えますか。
  259. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の制度改正は、今後高齢化社会あるいは長寿社会にますます急速になってまいります中で、組合員期間も四十年というような方が一般化してくる、そういったような事態に対応するということで考えておるわけでございます。  現に農林年金につきましても、確かに退職年金全体平均で見ますと、厚生年金の老齢年金より低うございますけれども、五十八年度に新規発生した年金額で見ますと、農林年金が百六十一万七千三百六十七円、厚生年金が百三十五万三千三百六十二円ということで、農林年金の方が高い水準になってまいってきております。
  260. 下田京子

    ○下田京子君 それはおかしいですよ。ちゃんと比較した数字がここにありますから、月額で見てみてくださいよ。厚生年金より低いですよ。何をおっしゃっているの。  今お話しになりましたその加入期間、一般的に四十年間掛ければ高くなるなんという話も言っていますけれども、それが一体妥当なのか、可能なのかということです。資料を見ますと、退職年金受給者は現在七万四千四百三十四人おりますね。そのうち、現に四十年以上加入していた人は何人おりますか。十五人でしょう。四十一年加入の人がたった五人、合わせてでも二十名しかならないんです。全体の何と〇・〇三%ですよ。  しかも、年金受給者全体の加入期間の状況がどうなのかということでこの五十八年のずっと資料を見てみました。そうしますと、厚生年金がモデルとしております三十二年以上の加入期間を持つ受給者、これは八千四百五十一人で、年金受給者全体の一一・四%にしかならないんです、農林年金では。だから、圧倒的に多いのが二十年間加入で、全体の三二・七%なんです。  なぜこのように農年の場合に加入期間が短いんだろうかといいますと、これは中途採用であるとか、中途退職であるとか、あるいは若年定年制であるとか、婦人の結婚退職だとか、もろもろの構造的な問題が背後にあるんですよ。問題は、ここを改善しなかったら、もう一般的加入期間は今後四十年になりますよということを言っても、農林年金はこれは不可能だ。そうじゃないですか。
  261. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 私、先ほど申し上げましたのは、今後制度が成熟度が高まってまいり、そしてまた平均の寿命も延びてまいるという、また定年も引き上げられる傾向にございます。そういった将来を見通して、御指摘のように、確かに現在は組合員期間というのはもっとずっと短うございますが、その時点になってから急に制度を変えるということではなくて、そういう見通しのもとに将来の制度のあり方を考え、そして長期間の経過措置を設けまして、安定的な制度運営ができるように持っていくという考え方であるわけでございます。
  262. 下田京子

    ○下田京子君 考え方として、四十年間加入できるような構造的なそういう状況を整えていきたいということは大事なことです。否定しません。しかし、そのことを抜きにして四十年加入は一般なんだ、可能なんだという理論は、まさに逆立ちだということなんですよ。  現実どうなのかということでこれを見てみたいと思うんですけれども、これはさきに指摘した年金額算定基礎となる平均標準給与算定方法を、退職前一年という現在のあり方を全加入期間に変えることによって年金給付の引き下げが一体どのくらい影響が出るかという話です。いいですね。これは農林年金当局の五十八年裁定者のモデルで申し上げたいと思うんですが、二十年加入者の場合に全期間平均すると退職前一年に比べて三七%ダウンになります。それから、二十五年加入者の場合には四一%ダウン、三十年加入の場合には三六%ダウン、三十五年加入者の場合には三七%ダウン、四十年加入した場合に三一%ダウンで、三割から四割ダウンということになることが出てきているわけです。間違いないですね。
  263. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 一定仮定を置いて計算をすれば、そのようになるかと思います。
  264. 下田京子

    ○下田京子君 そういうことでダウンするわけで、さっき二、三割程度のダウンだなんておっしゃいましたけれども、もう大変なことなんです。  具体的な事例でもって給付水準がどのくらい下がるのかということを申し上げたいんで、ちょっと表を見てください、確認したいので。これは事例一ですね。改正法直前に、だから現行法ですね、退職した年金受給者です。その場合には給与月額これは三十六万三千円で見てみまして、加入期間は四十年間としました。奥さんは三年間国民年金に加入している。非常に一般的なケースをとりました。この方が来年三月に退職されると六十歳退職時の年金はどうかというと、共済方式で計算いたしまして本人分が二十五万四千百円です。奥さんの分の老齢基礎年金の三年間分の五千六百円を加えて二十五万九千七百円になりますね。  ところが、改正法が施行されたと仮定した場合、給付水準が最も下がる年代で同じ条件で見ました。同じ条件ということは、一年平均給与が三十六万三千円ですね。これが今回全期間平均に変えられるわけですよね。そのことによっていわゆる年金のベースになる平均賃金は二十五万四千百円となるわけですね。そうですね。そして、奥さんは五年間厚生年金に入り三十五年間国民年金に加入したというふうにした場合、御本人はどうなのかということですけれども、妻の加給年金や特別加給年金を含めて十六万二百円なんですね。いいですね。ですから、本人で比べてみますと、二十五万四千百円から十六万二百円と三七%もダウンするんです。それに奥さん分を加えた場合でも、二十五万九千七百円から二十万一千百円で二二・六%もダウンするんです。時間の関係で私は資料を詳しくは説明しませんが、お配りしているから御理解いただけると思うんです。  ですから、このように今回の改正によって三、四割の年金給付が引き下げられるということ、単身者の場合、奥さんの加給年金基礎年金がつきませんからさらに大幅な引き下げになる。そうでしょう。
  265. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) ただいまお話がございました数字につきましては、そのような仮定を置いて計算をすれば御指摘のような数字になろうかと思います。  ただ、御指摘現行給付水準、夫婦二人の世帯年金で二十五万九千七百円ということでございますが、これは農林年金の標準的な方、四十五歳で夫婦子供二人というような標準モデルでやりますと給与が二十五万一千円でございますので、これをかなり上回る水準になるということでございまして、このような不均衡の是正を図って、給付負担の均衡を図っていくということがやはり必要ではないかということで、今回の改正案のような内容といたしておるものでございます。
  266. 下田京子

    ○下田京子君 モデルのとり方によって若干の差があったにしても、さっきもお話ししたように、三、四割の引き下げがあるということをお認めになっているでしょう。  厚生省に聞きたいんですけれども、これは農林年金の数理統計部の試算によるものなんです。資料が行っていると思うのでごらんいただきたいと思うのです。  Aさん、Bさんの例で言っていますけれども基礎年金水準が一体どうなのかということなんですよ。今回、全国民共通だということで基礎年金給付することになったのです。つまり国民年金の新制度ですよね。保険料と給付水準が一体どうかということなんですが、前提条件は厚生省の収支試算の際に設定しております条件で、年額毎年五%アップ、利率七%という点で、保険料は五十九年度価格で見てみますと六十一年四月分で六千八百円になりますね、国民年金掛金。以後毎年三百円ずつアップして五%のスライドということですから、六十五歳の男子が年金受給の平均受給期間がどのくらいかという点なんですけれども、これは第十五回の生命表の平均余命表を使いますと、十四・五六年になるのでこれを採用しました。  Aさんの場合なんですけれども、二十歳で来年四月加入いたします。六十歳まで四十年間保険料を支払います。そして、六十五歳で年金を受け取ります。四十年後の保険料はどうなるかと言いますと、毎年五%スライド率を見ますと、月額で四十年後は九万六千九十六円になるんですね。年金額は六十万円が、支給開始時の四十年後、百六年四月になりますと、年額が五百九十四万円になりますね。  この結果、Aさんが拠出する保険料総額は一体どうなのかということなんです。一千九百五十一万三千円というものを、これを年利七%で逆算して加入時時点に引き戻す、現価に直すと三百九十四万二千円になります。いいですね。年金の受給総額はどうかというと、これは一億二千三百三十五万円ということになりますけれども、やはり加入時時点の現価に直しますと三百五十二万二千円と、こうなるわけです。加入時時点に直した方がより正確な比較ができるはずですね。保険料が三百九十四万二千円に対して年金受給額は三百五十二万二千円で、四十二万円年金額の方が少なくなるのですね。そうですね。つまり、これは率にしますと保険料に対して受け取る年金額は八九・三%です。  ですから、もうわかりやすく言えば、拠出する保険料に比べて、受け取る年金額は一〇・七%少ないということになるのです。国庫負担は除いていますから、保険料と納付額を等しくするのには、保険料は一〇・七%引き下げてこそバランスと言えるのじゃないでしょうか。
  267. 坪野剛司

    説明員(坪野剛司君) 数字お話でございますので私からお答えいたしますけれども先生御試算の数字につきまして若干の違いがございますので申し上げますと、計算の過程で保険料の収入が約五%多目に計算されていることをまず最初に申し上げておきたいと思います。  それで、基礎年金の保険料と給付の関係でございますけれども、現在の受給者約七百万人、それから加入者約二千万人、任意加入を入れますと二千六百万人おりますけれども、この人たちの平均年齢は四十三歳でございまして、いわゆる年金の保険集団というのは、現在の受給者と現在の被保険者、高齢者も含めた、五十九歳から二十歳おりますけれども、こういう人たち全員で保険集団が成り立っているわけでございます。  こういう保険集団の給付をみんなで負担し合うということで公的年金というものが成り立っているわけでございまして、特定の二十歳というのは一番若い人、いわゆる利子を一番たくさん生む人というふうにお考えになっていただければ結構だと思います。こういう特定の人だけを取り上げて収支バランスがとれないということは、私的年金、いわゆる民間の企業年金ならばいざ知らず、公的年金ではそういう考え方は導入されておりませんで、皆さん御存じのように、基礎年金につきましては賦課方式、いわゆるその年に必要な給付に対してその年の保険料で賄うということで、利子を生む余地というのは基本的にはないわけでございます。  ただ、先生の計算でございますけれども、私たちの方で早速計算してみました。先生の計算の中には遺族基礎年金なり障害基礎年金に必要な給付約一五%が含まれておりません。それから計算過程におきましては五%の収入の見込みがございます。約二割の計算上の問題がございますので、私たちの計算ではAさんの場合につきましては払った保険料が給付を上回るというような試算にはなっておりません。
  268. 下田京子

    ○下田京子君 委員長、最後に……
  269. 成相善十

    委員長成相善十君) 下田君、時間がありませんのでやめてください。
  270. 下田京子

    ○下田京子君 ここから本格的にまた議論をしたいと思ったのです。今おっしゃるように保険集団ということは私は否定はしていませんよ。つまり世代間の相互扶助という考え方は必要だと思う。私が言っているのは、今の例というのは、これは給付負担のバランスで国庫負担を除いた話なんです。ですから最低でも一対一、国庫負担を除いてということが保たれなければ、逆に言って公的年金制度ということは成り立たない、保険理論上。ということで、それこそ貯金の方がいいということは申し上げておきたいと思います。  あと機会がありましたら他のときにいろいろ御質問申し上げたいと思う。  ただ、最後に、やがて成熟した段階の国民年金の一万三千円というこの保険料は高過ぎる、このことは後日に譲りたいと思います。
  271. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず、基本的な問題について厚生大臣にお伺いをしたいと思います。  今回、共済年金制度改正になるわけであります。改正内容というのは、給付を受ける側、保険料を払う方から言うと改悪ということになるかもわかりませんけれども、しかし、このような改正が必要となった理由をまず端的にお伺いをしたいと思います。
  272. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) これは共済年金のみならず公的年金全体に言えることでありますけれども、本格的な高齢化社会を迎えるわけでございますが、その際には年金受給者の数、あるいはまた年金の額等がこれまでよりかなりな増加傾向にあるわけでございます。したがって、そういう給付面での増加傾向は必ず負担にも影響してまいると思うわけでございますので、したがって負担給付の適正化、これは世代と世代の間の適正化あるいは単一世代の中での適正化を含めるわけでありますけれども、そういうことを考えて今回の措置を行おうとしておるわけでございます。
  273. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 厚生年金制度にしろ、共済年金制度にしろ、制度ができてからかなりになるわけであります。確かに、その間に当初予期せざる情勢の変化というものがあったからこういう改正をしなければならないと思うのですね。しかし、高齢化社会の到来といい、あるいは社会福祉制度充実といい、ある程度のことはかなり長期的に予測できることではないかと思います。それがこのようなかなり大幅の是正をせざるを得なくなったというのはどういう点で予想が外れたのか、お伺いをしたいと思います。
  274. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) やはりこの点は、一言で申し上げますと、平均寿命の延びにあらわれます高齢化社会の進展ということになろうかと思います。  私、個人的なことを申し上げるようで恐縮でございますが、私が厚生省に奉職いたしました三十六年当時国民年金ができたわけでございますが、たしかそのころの男女別の平均寿命が今比べますと九九年から十年も延びておる。そうなりますと、やはり同じある時点での給付水準考えましても、その方が老後に受け取る費用としてはかなり膨大なものになる。もちろん、その当時でも将来日本のヘルスサービスがよくなれば平均寿命が延びるであろうという確信は持っていたのでございますが、率直に申しまして、その時点での人口推計のある値を使いながら五年に一度になります改善をやってくる過程では、やはり今二十五年を振り返ってみますと、思いも寄らない事態の進展、改善ではなかったかと理解しております。
  275. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 平均寿命が思っておったより延びたというような事情でこういう改正が必要になったということでありますけれども、今回この改正をすればこの制度でかなり長期間持続できるのかどうか、この制度でいつでも、やっぱり掛金というのはどんどんふやしていかなくてはならないと聞いておりますけれども、その辺はいかがですか。
  276. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいまの御指摘の点は私どもたびたび申しておるつもりでございますが、厚生年金で言えば、現行制度のままいけばピーク時には現役の労働者が、労使折半ではございますが、月給の三九%近くを負担しなければとても今の水準が保てない、それを今回の改正をお認めいただいたことで、厚生年金につきましてはピーク時でも二八・九%、三割を下回る負担で何とか負担のバランスをとることができる。  労使折半で三割弱という数字はかなり大きな数字でございますが、私どもはこういう見通しのもとに、率直に申しますと、これからの平均寿命の延びをそう大きく見込むことは要らないとすれば、まず今回の改正をお認めいただくことで、公的年金制度を通じた長期的な安定の基盤づくりは一応これはお約束できるものだと信じております。
  277. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 共済年金制度の場合の掛金のこれからふえていく見通し、この改正をやらなかった場合は大体四倍になるだろうと言われています。改正をやった場合でも三倍にはなる、これは間違いありませんか。
  278. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林年金財政の将来見通しを、これも一定の前提を置いてでございますが、計算をいたしますと、今お話しございましたように、現在のままで推移をいたしますと千分の百九というのが四倍ぐらいになる、これを今度の制度改正現行掛金の三倍以内に何とかおさめられるようにできるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  279. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それは昭和百年ぐらいですか。
  280. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 昭和百年でございます。この辺が高齢化のピークでございまして、これを乗り切れば財政としては一つの安定した状態が得られるんではないかというふうに思っております。
  281. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 給付負担の均衡ということを言われますけれども給付負担の均衡というのはどういうことを指すわけですか。
  282. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 正確には、給付については例えば現役勤労者の所得との均衡を考える、それから負担についても実はそれを負担する現役勤労者の報酬のどのくらいであるかという意味で、そういう意味で均衡を考えますのは、それぞれ現役の平均的な負担能力との関係でございますが、同時にまた、そういう両方をにらみながらこのくらいの給付ならばこのくらいの負担で済むと、そこを選んで御提案したという意味で、両方あわせて均衡と言っている点がございます。
  283. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 しかし、この制度でいつでも昭和百年になれば負担の方は現在の三倍になる、しかし給付の方はこの制度でもらうわけだから変わらないわけですね。そうすると、現在の組合員昭和百年の組合員とは給付負担の関係から見ると非常に大きなアンバランス、不公平が出ると思うんですね。その点はどうなんですか。
  284. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 農林共済組合員の姿といいますか、一般的な形で答えさしておいていただきたいと思いますが、まさにその点は今後の高齢化社会を乗り切るために、我々は後に続くといいますか、後代の世代にそういうことをお願いするべく今回の改正をお願いしている。しかし、それはその時点で現役の収入の二八%、二九%ぐらいならば何とかその時点での現役にお願いできるんではないか。ちょっと言葉に問題があろうかと思いますが、やはり年金制度のお約束というのは、かなり後世の日本国民を縛る点があることは事実でございます。
  285. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私どもは世代間の負担の均衡という面から見て、ちょっと問題ではないかと思うんですね。  それから、今の三倍になれば、現在が千分の百九としますと三割以上ということになります。これらの人たちは、もっとも企業負担というか、あるいは国、あるいは農林漁業組合、農林年金の場合にはその組合になるわけですけれども、個人負担と組合負担の合計をして三割近く負担する。これはその人たちは、言えば積んだ分を自分たちが年とってからもらえないということにならないでしょうか。
  286. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ちょっと先生の御議論、初めから繰り返すようで恐縮でございますが、仮にこういう姿、厚生年金の例で申し上げたいんでございますが、ことしの十月から労使折半で収入の一二・四%で負担をしていだだいておるわけでございますが、これが今の改正案でお願いしても、改正されたとおりになったとしても、ピーク時、昭和百年前後には二八・九%になる。  これをある程度、余りにもそこの負担増を避けるべきだということをあえてやるためにはどうすればいいかということになると、実はこれはちょっと考え切れないと思いますが、今お願いしているような給付水準をもっと下げて負担をとるか、あるいはかつてこれは世界的にもその傾向がございましたんですが、今の現役の勤労者からも同じぐらいの保険料を取りまして、それを積み立て運用しておくという考えがございましたが、これは先進諸国の間でも現在完全な積立方式でバランスをとるということはほとんど採用している国がなくなっておりますので、これはとれない。そういうところから、一つのある意味じゃ私ははっきり申し上げて国民の皆さんに選択であった、セレクションであったと申し上げたいと思うんでございますが、そういう道を選んだわけでございます。  それで、今の御質問の直接の点は、将来、じゃ今の三倍近くを持つ人は元が取れないじゃないかということでございますが、これはその時点ではそれを払っていただいて、所定の国庫負担をつぎ込んで、やっとその時点の年金が支払えるわけでございますから、もうその時代での御老人、あるいはそれは私自身のことかもしれませんが、その方から見ればやはり持っていただきたい額なんでございます。  その方が、じゃさらに昭和百年ごろの三十代の現役が将来どうなるかとなりますと、やはりここは公的年金一つの私はメリットであると思うんでございますが、それから先の四十年先にもやはり生活水準に応じた年金額の保障がされるとすれば、その時点で、三割を何とか労使折半で持ってもらう。その実績をもってその方自身の老後も、その次の昭和百五十年になりましょうか、その時点での現役にやはり背負っていただく。一種の私は世代扶養の順送りと申し上げるべきじゃないかと思うんでございますが、そういうことを期待していただくことで何とか二八%程度の御負担をお願いしたいというのが、今回の御提案の趣旨でございます。
  287. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 完全積立方式でもしやるとしますと、大きな経済変動がないと仮定して、大体給与のどれぐらいを積めば完全積立方式でできるわけですか、この制度で。
  288. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 実は私ども財政見通しでも一応長期にわたる積立金運用を七%という一定を置いておりますが、先ほど申しましたように、やはりこういう経済情勢、あるいはもう年金受給者が非常に成熟した段階では、仮定の議論としても積み立てのレベルを幾らにすればということは余り意味が出てこない。といいますのは、それは議論したくないということじゃなくて、仮にそういう案を出しましても、恐らく五年あるいは十年ぐらいしますと、やはり積立金は名目で積み立てていくだけでございますから、なかなかそれではその時点での公的年金給付水準を保持できないという懸念が非常に多大であるということから議論を避けているわけでございます。  それはある仮定、つまり将来大きな生活水準の変動がないという仮定で計算をしてみろということであれば、ある仮定を置けば計算できると思います。これはちょっと私は数字についてはやや事務官的で恐縮でございますが、やはり現在の一二・四%と二八・九%の間で推移する。それがどちらに近くなるか。私はこれだけ受給者がふえてまいりますと、どちらかというと二八%に近い方、つまり二〇%以上で推移しないとつじつまが合わなくなると思いますが、それもことしの現役がせっかく二十何%の掛金を掛けましても、五年たちますと、その名目積立額何十兆、何百兆は、実はその時点ではちょっと目減りをするということがありますものですから、我々はその方式はとり切れないと言っているわけでございます。
  289. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 完全積立方式にすると、一番世代間のやりとりはなくなるわけですから、世代間の不均衡は解消するわけです。ただ、完全積立方式はなかなか実際上はとり得ないとしても、世代間の負担の不公平をもう少しなだらかにすることが必要ではないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  290. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 繰り返しになりますが、現在の一二・四%を、まあ二倍強にはなります、三倍にはなりませんが、それだけの負担はやはり高齢化社会を乗り切る、これは後代にゆだねると言いながら勝手に決めてはいかぬのかもしれませんが、御納得のいただけるぎりぎりではないかというような理解でございます。
  291. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 結局、出生率が高かった時代とか低かった時代とか、そういうことによって、出生率の低かった時代に生まれた若者は出生率の高かった時代に生まれた年寄りの面倒を見るために物すごい掛金負担せぬといかぬ、こういうことはどうかという気がするんですがね。だから、完全積立方式が理想としても、それがとり得ないとしても、もう少しそれに近づけた制度の方がいいのではないかという気がするわけです。これは議論をしておっても切りがないからこの辺でやめます。  それから、年金一元化ということが言われますけれども、この一元化考え方と理由についてお伺いをしたいと思います。
  292. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) この年金制度の全体を一元化しようという考えの基本は、それぞれの年金制度が安定をするように、また、それぞれの年金制度の間に給付負担の面で公平であるように、整合性がとれるようにということを基本にいたしておるわけでございます。  なぜ一元化をするかということにつきましては、やはりこれまで縦割りの年金制度でありましたものは、その時代の経済社会情勢の変化によってもろい面が出る。これは国鉄の例がそうでありますけれども、そういうふうでない方が、横割りの一元化考えた方がいいではないかということから発足したものと考えております。
  293. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私も、年金一元化は必要だと思うんです。先ほどのは垂直の均衡の問題ですけれども、これはやっぱり水平の均衡ということを考えるべきであります。例えば、年金ごとによってやっぱり年齢構成とか組合員と受給者のバランスが変わってくるわけですね、国鉄などは一番極端な例ですけれども。そういうところは、物すごい掛金を掛けて給付も低いので我慢すると。そういうことをなくするために一元化は必要だと思うんですけれども、今回の共済年金改正もこの公的年金制度全体の一元化へのワンステップと見ていいのかどうか、この点はいかがですか。
  294. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 基礎年金を導入することによりまして、一元化への大きなステップを踏み出すものと考えております。
  295. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 閣議に言う「昭和七〇年を目途に一元化を完了させる。」とありますけれども、この「一元化」というのは、どういうことを意味しておるんですか。
  296. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま先生の御引用いただきました五十九年二月の閣議決定、実は公的年金一元化というところは、一つは、その時点での将来に向かってのスケジュールの冒頭に、今大臣が申しましたような点を念頭に置いた「公的年金制度一元化を展望しつつ、次のような改革を推進する」というスケジュールを示しているわけでございます。  その中身は、御存じかと思いますが、一つは、国民年金厚生年金を通じての基礎年金の導入の改正、これは本年四月に御成立を認めていただいたわけでございます。それからその次に、「昭和六〇年においては、共済年金について、上記の基礎年金の導入を図る等の改革趣旨に沿った制度改正を行う。」という二つのスケジュールを示し、かつ、これらの両方の改革は「六十一年度から実施する。」ということを閣議決定で具体的に打ち出したわけでございます。  それで、この閣議決定におきましては、こういった大きなスケジュールを一元化の展望の中で打ち出すということが一つは私はあったと思いますことと、それから今、先生具体的に御指摘のように、その閣議決定においても「昭和六一年度以降においては、以上の措置を踏まえ、」なお「制度間調整を進める。」と。これについては、ちょっと年金業務体制をどうするかといった問題も含めてコメントがございまして、その結果「昭和七〇年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」ということをうたっているわけでございます。それで、今、大臣答弁申しましたように、私どもは、やはり基礎年金の導入、それから今御審議いただいているような各共済年金における私ども考え給付の均衡のための改革は、かなり公的年金にとっては基本的なところでの改革だと思います。先生のお言葉、先ほどワンステップとおっしゃいましたけれども、私は非常に大きなステップだろうと思うわけでございます。  したがいまして、これからどういうことを検討して閣議決定で言う七十年目途の一元化を図るかにつきましては、実は、これは率直な私どもの事務当局の気持ちを申しますと、これだけの大改正で、また四月からの準備もやっているところに、さあ何をやるべきだろうかという感じがするぐらいの実は今回改正の重みだろうと思います。  しかし、そうは言いましても、かねがね国会の議論においても御指摘のように、いろんな面で制度間の相違も残っているじゃないか。そういうようなことも、それぞれの制度を生かすために必要なことであればある程度残すべきだろうけれども、そうでない面であれば、大臣が申しました負担全体、給付全体の公平のためにやはり整合性を図らなきゃいかぬ。しかし、これは実は正直申しまして、私どもに具体的なイメージがあって今各省間で議論をしているのじゃございませんで、四月の全体の実施を待って関係省ともども政府部内で真剣な議論をして、最終的な七十年の姿を展望し、できればこれもできるだけ早い機会に国民の皆様に提示できるような手順をとるべきだ、そういう段取りで今考えているその時期であることを御理解いただきたいと思います。
  297. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 完全な一元化になれば、財政一元化をして財布も一つにするということにならないと本当は一元化と言えないと思うんですね。そこまでを意味するものなのか。そうじゃなくて、現在では基礎年金の部分は大体共通した、それからその上の報酬比例部分についても大体基準は統一した、ただ職域年金とかそういう独特の制度は残してある、さらに財政そのものは財布は別だ、どの段階まで進め得るのか、あるいは七十年を目途に行う一元化というのはどの段階までを言うのか、この点はどうなんですか。
  298. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 一元化と申します場合には、先生指摘のように、統合して本当に一本化する場合と、それから各制度はそのまま残しておきながらお互いの財政調整を行っていくという両方があるわけでございますけれども、その両方について論じる場合には、各制度に多大な影響を与えるわけでございますので、したがって、そのような改正措置関係者の御理解国民の合意を得ながらやっていかなければならないということでございまして、先ほど議官から御説明申し上げましたように、できるだけ早く、基礎年金の導入が決まりました後の段階において策定をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  299. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 年金の問題は、負担のあり方にしても給付にしても、いずれも長期間にわたって行われるものでありますから、制度改正にも私はやっぱり一貫性がなければならないと思うんです。それと同時に、それが余り急激な改正であってはならないし、それから既得権あるいは期待権というものを侵さないことが大切だと思うんですけれども、この点についてどう考えられますか。
  300. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 年金全体にわたる一般論という形のお答えとしてお聞きいただきたいのでございますが、御指摘のとおりだと思います。  ただ、やはり年金は、長い影響力を持つものであると同時に、非常にけたの大きな費用を意味する作業でございますものですから、余り急激なことを避けるということだけを念頭に置きますと、なかなか実は我々の考え改正ができないという点がございます。ただ、一般論としましては、既得権なり期待権をできる限り尊重するということは、やはり年金改正一つの要請だろうということは私どもも認めておるつもりでございます。
  301. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 期待権というのはこれからの問題ですから、また、その制度の中にいる人が途中で制度が変わるわけですから、若干弾力性を持たさざるを得ない場合があろうかと思いますが、既得権ですね、もう既に年金をもらってそれで老後の生活を立てておる人、この人がこの年金はこういう制度でずっともらえると思っていたところが変わった。今回の場合は、既裁定年金のスライド停止の問題だと思うんです。これは社会保障制度審議会の答申の中でも、こういうものを停止することは年金制度に対する信頼を裏切ることになりはしないかという指摘がありますけれども、このスライド停止を行う理由は何ですか。
  302. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) これは共済法案の御審議にかかわることでございますから、私から答弁するのはどうかと思いますが、私も年金担当大臣のもとで内閣審議室の併任も受けておりますので、お許しいただきたいと思います。  やはりこの選択は、私自身が実は共済組合員でございますので、何と申しますか、非常に思い切った選択であったと思います。ただ、非常に事務官的な答弁で恐縮でございますが、既得権とは何ぞやという法律論をやり出しますと、裁定された年金額がそれが将来保障されるということは、実は法律論としたら期待権に属するという議論もございまして、やはり先ほど農水省の方から御答弁があったと思いますが、これから現役に負担をお願いしていくことの均衡において、何とか既裁定の受給者にも、言葉が過ぎるかと思いますが、我慢していただく、耐えていただく選択の結果ではないかというふうに理解しております。
  303. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もっとも恩給は年金とは制度が全く違うわけでありますけれども、しかし、共済年金に変わる前にやめられた人は、公務員の方は恩給をもらっているわけです。恩給の場合は今度はスライドは停止しないわけですね。それで、これが非常に不公平ではないかというような指摘が、共済年金のスライド停止をされる方々から出ておるわけです。この点についてはどう考えられますか。
  304. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) この点も共済法案を御審議いただいている立場での御答弁でお願いしたいんでございますが、そこは広い意味では年金制度一つとはなるかもしれませんが、基本的な財政の設計の違う給付を二つ並べた場合の議論でございますので、そこはやはりそれぞれの制度運営の選択の問題として御理解いただかざるを得ないんじゃないかと思っております。
  305. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 既裁定年金者のスライドを停止することによる保険財政に及ぼす影響はどの程度ですか。
  306. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) これもいろんな前提を置きませんと計算ができないわけでございますけれども、一応五十四年度末を基準としました財政再計算時の基礎数値に基づきまして、現行制度によりますスライドの影響度を大まかに見てみますと、五十四年以降の過去の年金の改定率、これは五十八年度のようにお休みをした時期もございますが、五十九年度まで全部合計をいたしますと、一五・八三%というふうに計算をされます。  今、財政再計算をやっておりますが、この中で五十五年度から五十九年度まで、この前の再計算のとき以後の年金額改正によります不足財源というのはどのくらいかということを、これも数字はまだ確定しておりませんけれども、現在のところ三・九七%ということでございますので、一%のスライドというのは、比例で割りますと財源率に千分の〇・二五程度影響するというふうに推定をされるわけでございます。
  307. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、財源的にはそんな大したものではない、むしろ公平という面からそういうことをやったということですか。
  308. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 一%で千分の〇・二五でございますから、五%で改定するといたしますと千分の一・二五ということでございまして、物価の動向にもよりますけれども、物価が非常に安定をしておりますればそれほど大きな影響はないと思いますが、物価がかなり上がるというような事態がございますと、累積いたしますと、五年間でかなりやはり大きな不足財源の率にはなってまいるというふうに思うわけでございます。
  309. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、職域年金についてお伺いしますが、まず、この性格づけについてお伺いをしたいと思います。
  310. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 今回の制度改正の目的の中には、公的年金制度整合性を図るということと同時に、農林年金には、公的年金制度としての性格と同時に、発足の経過等からいたしましても、農林漁業団体事業の円滑な運営に資するための職域を同じくする者の相互扶助一環としての性格も持っているということで、職域年金部分給付を行うようにいたしたわけでございます。
  311. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは公務員共済のところでは、公務員の職務の特質上こういうものをつけたという説明がされておるわけですね。そうすると、農林年金につける場合とその性格づけは違うわけですね。
  312. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林漁業団体共済年金と私学の共済年金につきましては、これは公務員ではございません。そういう意味では公務の特殊性ということではないというふうに思いますが、農業協同組合でございますとか、農業共済組合でありますとか、あるいは土地改良区でございますとか、農山漁村で市町村とも密接に仕事の上で連絡をとり合いながら仕事をしている、そして多かれ少なかれ公共性のある事業をやっているということがございますし、そもそも発足の沿革がそういった市町村職員との待遇比較の面で劣らないような制度をつくりたい、こういうことから発足をいたしておるという経過もございますので、関係者からも強い要望がございまして、地方公務員共済と同様の職域年金部分を設けたということでございます。
  313. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 こういうものを設けること自体は、私は悪いことだとは思いません。なぜかというと、企業年金のようなものだと解釈すればいいわけです。特に農林年金、私学年金、NTT、たばこ産業、こういうところは民間でありますから、また掛金も企業側あるいは組合側と組合員とが負担しているわけですから、自由につければいいと思うんです。そうしますと、職域年金と同じような縛りをかけるというのはちょっと問題ではないか。例えば禁錮刑を受けた場合に支給を停止するとか、あるいは二十五年勤めないと全額もらえないとか、そういう縛りの面は職域年金に右へ倣えをする必要はないのではないかと思いますが、いかがですか。
  314. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) この点は、やはり一つ職域に属する者としての相互扶助、こういう点に着目をして職域年金部分というのを設けておるわけでございまして、やはりその方がその職域の発展に貢献をしたということの前提の上でそういう設計をいたすわけでございますけれども、禁錮以上の刑に処せられたというようなことになりますと、これは非行があった者ということで、やはり職域相互扶助の対象とするのは難しい、こういう考え方から、そしてまた、職域に対する貢献ということの中には在職期間組合員期間の長さということがやはり一つの判断の基準に入るだろう、こういうことで考えておるわけでございます。  公務員の場合には、国家公務員法によります懲戒処分というふうな問題がございますけれども、私ども農林年金制度におきましては、これは民間でございますし、公務員法による統一的な懲戒処分が行われておるということでもございませんので、禁錮以上の刑の場合に限る、こういうことで公務員とは一応の差をつけておるわけでございます。
  315. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この年金一元化方向の中で、職域年金というものは将来もこのような形を踏襲するのか、おるいは徐々に変わっていくべきものか、この点はどうお考えですか。
  316. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 先ほど来申しておりますように、年金一元化を展望しての検討作業はどういうことを構想するかについて、いわば今申し上げるものは何もないという段階ではございますが、やはり各共済職域年金につきましては、それぞれにまたいろいろな問題点の提起もあろうかと思うんでございますが、私どもは、何かこれは例えば厚生年金などと比べて制度上の差異だから将来場合によっては整理するような方向考えるというような性格では全くなくて、それぞれの趣旨に即した運営で今後発展すべき面もあるんじゃないかという理解で一応受けとめております。  といいますのは、今、先生からの御指摘もございましたように、厚生年金グループの場合であれば、半分代行業務を持った厚生年金基金とか、あるいは税制適格年金というものもございます。中小企業にまだ普及されていないということもございますが、それぞれにやはりそういった職域的な年金というものがあるとすれば、これはやはり単純な制度上の差異だから云々ということではないかと思います。ただ、このことも含めて、たびたび申しておりますように、やはり政府部内での議論をまず尽くすということから始まるのではないかという、その程度に受けとめておる次第でございます。
  317. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、農水大臣、厚生大臣お尋ねするわけでありますが、質問したい問題点はたくさん持ち込んでまいっておりますから、持ち時間も少ないですし、それにまた、どうしてもこの委員会を逃がしてはいけないという問題を、ひとつ農水大臣にどうしてもこの委員会で確かめたいという問題を実は持ち込んでおりますので、そういうことも勘案しまして、この法に基づく質問は大部分割愛したい、こう思っております。  まず最初に、厚生大臣内容お尋ねする前にぜひ確かめておきたいことがございます。それは、きょうの午前の委員会でも大蔵大臣に私はちょっと確認いたしたわけでありますが、といいますのはこういうことでございます。一たん実現した福祉政策あるいは制度というものは、いかなる経済変動あるいは政策上の変化がおったとしても、その実現した制度というものは前進はあっても後退はあってはいけない。よし百歩譲って、足踏みはあっても後退は断じてあってはいけない、こういうことが私の基本的な考え方であります。それに対して大蔵大臣は、日進月歩の社会情勢あるいは生活の変化に対しておくれをとってはいかぬ、それに対応できるようなことでなければいかぬ、だから、基本的には喜屋武の考え方には賛成とはおっしゃいませんでしたが否定するものではない、こうおっしゃったわけなんです。  そこで厚生大臣、この基本的な私の考え方に対して大臣はどう思っていらっしゃるか、まずそのことをあらかじめお聞きしたいと思います。
  318. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、いろいろな制度というものは、その目的、沿革等それぞれ役割を果たしておるわけでございます。大蔵大臣がおっしゃいましたのは、恐らくその中でも新しい要求が出てきたときに、それに対応する余力を残しておかなくてはならないという意味合いではなかろうかというふうに思うわけでございます。  今回の改正につきましても、単に財政的な負担を少なくしようという目的だけではございませんで、将来の過重な負担に耐えかねる面を改善しておこうということの今日的な意味合いでございまして、したがって、今回の改正というものも、後ろ向きと申しますよりも、むしろ将来の安定というものを前向きに考えておるというふうにも思えると考えております。
  319. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今、大臣は、新しい問題が出てきたときにそれに即応するというコメントがありましたが、それでは次のことをお尋ねしたい。  私は思うんです。改正という言葉の持つ意味は、いわゆる改め正すという改正ですね、少なくとも内容的にはプラスであり、アップであり、前進でなければいかぬと、こう思うんです。もし内容的に足踏みであるとか、ダウンとか後退であるならば、私はこれに対しては改悪であって改正とは言わない、言いたくない、こういう考え方を持っております。ところが一歩譲って、政府立場からは、内容的には後退であっても、まさか改悪とはおっしゃるはずはない、おっしゃれないと思うんです。そういう意味で、容赦なく改正改正と言いますけれども内容的にはまさにこれは改悪である、このようにとらえたいと思うのであります。  そこで厚生大臣に聞きたいことは、この共済制度の存在の意義ということ、この角度からお尋ねいたしたいと思います。  今回の改正は、年金制度一元化方向を目指して共済年金にも基礎年金を適用し、その給付厚生年金相当を原則としておる、これは御承知のとおりであります。しかし、このような改正を行えば、共済年金制度の存在する意義がほとんどなくなってしまうという感じもいたします。この原則が、共済年金にも基礎年金を適用するという、その給付厚生年金相当を原則としておるのでありますから、このような改正はまさに改悪であって、共済年金制度の存在する意味がほとんどなくなってしまうのではないか、こう思われてなりません。といいますのは、制度発足以来今日までの歩んできた努力が無になってしまうと言うこともあえて過言ではないではないか、こう思われてなりません。大臣、いかがでしょうか。
  320. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 今回の公的年金制度改革に当たりまして、負担給付の面で公平を図るということから、一元化ということも将来の構想として考えておるわけでありまして、その第一着手として今回の基礎年金の導入を図っておるわけでございます。  したがって、基礎年金の導入ということだけを考えますと、おっしゃるように一元化方向に向かっておるということで特殊性がなくなるということを御主張なさっておるのだろうと思いますけれども、この基礎年金以外に所得比例方式もありますれば、職域年金もあるわけでございますので、基礎年金の導入をもってして直ちにその特殊性がなくなると言うべき筋合いのものでもなかろうというふうに私ども考えております。
  321. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今の御見解に対しても言いたいことがありますけれども、よしておきます。  次は農水大臣お尋ねします。  農水大臣に対しては、公的年金制度に対する財政上の対応力についてという観点からお尋ねいたします。  この年金制度改正の背景とよくどなたもおっしゃる、二十一世紀へ向けての急速な高齢化社会の到来が指摘される。確かに先ほど来話も出ましたが、厚生省の行った将来人口の推計によると、三十年後の昭和九十年における老人人口の割合は二一・一二%に上る、そしてピークの六十年後には約二二%に達する、こういうことが述べられておる。これに伴う年金制度への影響は極めて大きいものと考えられます。しかしながら、年金制度の改悪、例えば給付水準の引き下げ、掛金引き上げといった国民負担によってこの事態を乗り切ろうという発想は、福祉社会の建設を標榜する政府のとるべき道ではないと私は思います。私は、年金制度改正は、財政による対応が不可能であるという納得できる説明と国民的合意に基づいて実施さるべきものでありまして、今回の制度改正は、改悪は、少なくともこのような条件を満たしているとは毛頭思いません。そういうことに対して、農水大臣いかがでしょうか。
  322. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 大変基本的な幅の広いお尋ねでございますけれども農林年金財政の将来見通しにつきましては、今の組合員数なり、現行掛金率というものを前提にいたしますと、昭和六十九年度には支出額が収入額を上回る、昭和七十九年度には積立金がゼロになるというようなことが見込まれているわけでございます。このため将来にわたり財政の健全性を確保しまして、世代間の負担の均衡を図るという見地から、やはり農林年金制度なり財政について、どうしても今後の制度の成熟化、そしてまた、高齢化社会への急速な移行というものに対する対応策をやはり検討していかざるを得ないということがあるわけでございます。  農林年金財政の健全化を図るということは、年金受給者に安定した給付を続けていく上におきましても不可欠でございますので、健全な農林年金財政維持してまいります上で、ぎりぎり必要な負担給付の均衡ということをやはり通じまして、制度の長期的な安定を図ることが必要だということで御提案を申し上げているわけでございまして、この点については、また組合員なり受給者の方々の御理解と御協力もいろいろな機会に、これまでも得るように努力をしてまいりましたし、今後も努力をしてまいりたいと思っております。
  323. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今、健全、安定ということをおっしゃったんですが、それはあくまでも法の趣旨内容に即した安定であり健全でなければいけない、ここに問題があるんです。だから、そのことに対して本当にコンセンサスが得られておるかどうか、このことが問いたいことなんです。そこに問題があるということを述べておきます。  次にもう一つ公的年金制度一元化職域の特性、この立場から大臣お尋ねいたしたいと思います。  今回の法改正の大きな特徴は、何と申しましても、公的年金制度一元化等の改革趣旨に沿って基礎年金制度の適用を図ることとしている点であることは申し上げるまでもありません。これは、行政改革に関する第三次答申の指摘における公的年金の公平化という観点に立って、全国民基礎とする統一的制度により基礎年金を公平に国民に保障することを目標として実施されるものと理解しております。しかしながら、現行制度において各種の公的年金制度が分立して設けられておる背景は、それぞれの制度に特殊な沿革があるとともに、職域の特性が存在しているからにほかならないと思います。  そこで、制度間の調整を行う意味は理解できないこともありませんが、公的年金制度は社会保障的性格を持ってはいるが、農林年金制度などでは同時に職域における保険としての性格が強いということは申し上げるまでもありません。この職域における相互扶助制度であることに基づく制度特色維持することは、一元化措置とは明らかに相反する性格を持っておると思います。  そこで、今回の法改正に当たってこのような問題がどのように整理されたのであるか、まずそのことをお尋ねしたい。
  324. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) まず、農林年金一つ農林漁業団体という職域を単位にして成立をしている、その特質がどうやって維持されたのかということでございますが、この点につきましては、公的年金制度としての性格と同時に、農林漁業団体に働く職員の相互扶助一環としての性格農林年金は持っているということから、職域年金部分給付農林年金におきましても設計をいたしておりますし、また、農林年金の独自の制度改正といたしましては、かねて御議論のございましたいわゆる新旧格差につきましてその解消を図りますとか、職務上の障害年金について新たに最低保障制度を設けるというような事項を盛り込んでおります。  それから、将来の一元化に向けて、先生お尋ねの中で、職域年金部分というのは一元化方向に反するというふうな御指摘があったかと思いますけれども、私ども、この公的年金一元化に向けての検討というのは、来年の四月から各方面の御意見を伺いながら政府全体として取り組んでいくということで、現在具体的な構想があるわけではございませんけれども、そういった中で、私ども農林年金発足の経緯なり沿革ということからいたしますと、この職域部分というのは、農林年金にとって重要なやはり要素をなすものであるという認識を現在持っておるところでございます。
  325. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その特性を生かすという面から、次のことをぜひ念を押して聞きたいと思います。  改正後において、いわゆる農林年金制度の特性が具体的にどのような部分で確保されておるのかということをぜひ伺いたい。
  326. 後藤康夫

    政府委員後藤康夫君) 農林漁業団体という職域に働く人々の相互扶助という観点から、職域年金部分給付厚生年金相当部分に上乗せをいたしまして、いわゆる三階部分と申しますが、給付を行うことにいたしております。  そのほか、年金制度運営といたしまして、例えば農林年金につきましては積立金の自主的な運用というのが比較的認められておりますことですとか、福祉事業農林漁業団体職員のニーズに合わせて実施できるというような点も、農林年金独自性の発揮ということの中には含まれ得るのではないかというふうに考えております。
  327. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その一元化の問題については、ある人は実に何か複雑怪奇とか、いろいろな言葉で表現しておりますが、それだけに、それぞれの立場の人が納得がいくかいかぬかということは非常に大事な問題であると思います。その点、ひとつ十分その合意が得られるように話し合っていただきたい。  それじゃ、時間も迫りましたので、先ほど申し上げました取っておきの問題を農水大臣、農林水産省にお尋ねいたします。  それはどういうことかといいますと、去る十二月四日、ワシントンで行われたパイン等農水産物十三品目の自由化問題をめぐって、日米政府間の予備交渉が行われた。このことに関して、次のことを一問一答する時間がありませんので、一応筋を申し上げますから、答えていただけば結構です。  この会談に出席した方は塩飽農水省経済局国際部長が出ておられますが、記者会見でこう言っておられる。「「米国は、(日本側の)受諾可能な、現実的な解決への道を封じていないとの印象を受けた」と語り、米側が完全自由化ではなく輸入枠拡大を念頭に交渉に臨もうとしていることを示唆した。」と報じられておるが、農水省は十三品目の交渉に当たっては輸入枠の拡大には応じていく方針であるのか、それとも応じない方針であるのかというのが一つの問いです。  次に、今度はパイナップル缶詰について言えば、現在年間九十万ケースを上限とする輸入枠が設定されております。この枠の拡大にも応ずる考えなのか、いかがでしょうか。二問ですね。  御承知のとおり、現在国内のパイナップル缶詰の年間需要量は二百四十万ケースでありますね。そこで、沖縄産で百万ケース、輸入枠で九十万ケース、冷凍パイン五十万ケースで需要を満たしておる態勢になっておるが、この中で冷凍パインは既に自由化されておる。昨年は六十万ケース以上の輸入実績がある。その上、さらに九十万ケースの輸入枠を拡大することになると、沖縄のパイン産業に与える影響は極めて大きいと思わなければならない。極めて重大である。そこで、沖縄のパイン産業の保護育成については特別の配慮があってしかるべきであると思うが、農水大臣の御見解を最後に承りまして、あとそれぞれの分野で答えていただければ結構です。最後の問いは、農水大臣に必ずコメントをお願いします。
  328. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 喜屋武先生お答えします。  今、二問ございました。パイナップルにつきましてはまた担当局長から答弁させたいと思いますが、総論的に申し上げますと、塩飽国際部長が現地でやりました記者会見の話については詳細に聞いておりませんけれども先生御存じのことと思いますが、農産品十三品目については昨年四月に合意しまして、現在二年間休戦となっております。  そんなことで、去る十二月四日にワシントンで非公式会合を行い、現在、合意の実施状況等を中心に協議を行いました。米側は基本的には原則自由化の考えに立っておりますが、この問題の現実的解決を求めて今後とも協議を続けていくこととなりました。  今後の協議に当たりましては、米側は厳しい態度で臨んでくることが十分予想されますが、我が国農業の厳しい実情及び十三品目の重要性にかんがみまして、我が国農業に悪影響を及ぼさないよう最大限の努力を払っていく考えでございます。  パイナップルにつきましては、担当局長から答弁させます。
  329. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 十三品目につきましては、ただいま大臣からお答えがございまして、輸入枠の問題も当然その中で話題になることはこれは十分予想されるところでございますが、ただいま先生お尋ねございましたような事情でございまして、沖縄のパイナップル産業の重要性ということは、これはもう地域経済にとって大変重要な分野でございますので、こういう輸入の問題いかんにかかわらず、従来からもやっておりますが、品質、生産性の向上なり、原料の安定供給とか加工の近代化、こういうようなことでパイナップル産業の体質強化ということはいずれにしましてもやっていかなければならない。  また、交渉の問題についても、この産業の重要性にかんがみまして慎重に対応したい、かように考えております。
  330. 成相善十

    委員長成相善十君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会      —————・—————