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1985-11-22 第103回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十二日(金曜日)    午前十時二分開会     —————————————   委員氏名     委員長         成相 善十君     理 事         浦田  勝君     理 事         北  修二君     理 事         星  長治君     理 事         村沢  牧君     理 事         藤原 房雄君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 亀井 久興君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 谷川 寛三君                 初村滝一郎君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 刈田 貞子君                 塩出 啓典君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成相 善十君     理 事                 浦田  勝君                 北  修二君                 星  長治君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 刈田 貞子君                 塩出 啓典君                 下田 京子君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤 守良君    政府委員        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        農林水産省構造        改善局長     佐竹 五六君        農林水産省農蚕        園芸局長     関谷 俊作君        農林水産省畜産        局長       大坪 敏男君        農林水産省食品        流通局長     鴻巣 健治君        食糧庁長官    石川  弘君        林野庁長官    田中 恒寿君        水産庁長官    佐野 宏哉君        建設省河川局長  井上 章平君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        環境庁長官官房        参事官      杉戸 大作君        環境庁自然保護        局計画課長    加治  隆君        外務省経済協力        局調査計画課長  平井 慎介君        外務省経済協力        局技術協力課長  大島 賢三君        厚生省生活衛生        局食品化学課長  内山 寿紀君        厚生省薬務局安        全課長      渡辺  徹君        運輸大臣官房国        有鉄道部国有鉄        道再建企画調整        官        川上 五郎君        日本国有鉄道貨        物局営業課長   松崎  傑君        日本国有鉄道運        転局列車課長   石井 康祐君     —————————————   本日の会議に付した案件国政調査に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)  (森林林業林産業活力増進に関する決議  の件)     —————————————
  2. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 成相善十

    委員長成相善十君) 次に、農林水産政策に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 農林水産省は去る十一月八日、森林林業活性化対策を打ち出したけれども、その資金枠内容とも極めて不十分であり、今までの国会論議や国民の要望にこたえたものとは言いがたい。時間の関係上、私はこの内容に立ち入って論議することは後日に譲りますけれども、今回示した対策林業川上から川下に至る活性化ができて、六十二年四月あるいはそれ以前に関税引き下げを行っても大丈夫だと、こういう自信をお持ちですか。
  6. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の「森林林業木材産業活力回復五カ年計画」につきましては、木材関税引き下げに端を発しまして、こういう計画を策定いたしたものでございますけれども、これらの施策は当然従来からの林政上の諸施策も行うわけでございまして、それらが両々相まちまして活性化に相当の効果を上げ得るものと考えるところでございます。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 私が聞いたのは、この対策事業でもって六十二年四月あるいはそれ以前に関税引き下げを行っても大丈夫だと、こういう自信を持っているのか。
  8. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 相当な体質改善業界自主努力と相まちまして行われるように、我々も施策推進、展開してまいる所存でございます ので、大丈夫と申しますか、今後の日本国際環境下におきましては、関税引き下げをやはりこれを受け入れる方向で進むものと考えておりますので、十分それに耐え得る体質改善が行い得るものと考えております。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 極めて自信のない答弁ですけれども、大臣関税引き下げに当たって特に対策を講ずる、特に講ずるということは、財源問題を含めて講ずるということは今までの国会論議の中でも明らかであり総理の公約でもあります。  そこで、この活性化対策は当初、佐藤農林水産大臣金丸幹事長が五千億ぐらい出したらどうか、その後だんだん下がってまいりまして、三千億にしたらどうだ、こういう報道がされておりました。そしてその後林野庁は、国費八百五十億、融資千百六十億の案を出した。ところが結果から見ると、国費五百億、融資千億という、極端に下がってしまったわけですね。しかも、閣議決定対外経済対策は、あるいはその後の国会答弁は、森林林業活性化対策を講じつつ、その進捗状況を見て関税引き下げに取り組むと、こういうことになっていますけれども、活性化対策が思うように進捗しない場合には関税引き下げには応じない、このように私は理解しますが、よろしいですか、大臣
  10. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。  今度の合板対策は、合板工場が百六十四工場ございます。そんなことで、大体従業員平均百四十人、土地が四万五千平米、それから借金負債額平均が約六億七千五百万ということを対象に、今後数カ年間でどのぐらい経営維持が困難になるかということを算定し、恐らく中の下ぐらいといいますと、例えば従業員百人、それから土地が二万五千平米、借金約七億前後、こういうものを対象にした場合どうかということでいろいろ対策を練って、しかも千五百億——国費五百億、それから融資枠千億のうち国費百五十億、融資枠六百億、それに実は中小企業事業団の設備買い入れ計画も併用するというようなことで対策を考えたわけでございます。  そんなことで、それとともにやはり合板業界自体合理化、ただ一つ問題なのは、合板業界の原木は全部外材を輸入しているということ、そんなことで、この分のコストは下げにくいわけです。その他の合理化を考えた場合に、当然我々予測した範囲内で合板業界体質強化を図れば十分対抗し得る。  また、関税引き下げにつきましては、実は実施は六十二年四月ということでございまして、それから私いつも言っておりますが、ある場合は関税率引き下げは考えていいということを言っているわけで、まだ引き下げ幅をどのぐらいにするか考えておりません。そんなことでございますゆえ、それに十分配慮しながらこの対策を考えたいと、こう思っております。  そんなことで、私は合板業界はそういう体質強化を図れば十分外国に太刀打ちできると、このように自信を持っているわけでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 大臣答弁は、今までの当委員会答弁とは大分違ってきた。林業活性化対策川上から川下まで全部行うんだ、そして活性化をして、その推移を見つつ関税引き下げを行うということになっていたわけです。今あなた合板のことばかり言っていますけれども、合板もその一部でありましょうけれども、これでもって林業活性化ができますか。もしできないとすれば、六十二年四月と言っているけれども、これをそのまま応ずるわけにはいかないと私は思いますが、どうなんですか。
  12. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今、私は川下対策で申し上げました。川上対策は、やはりそれは同じようなことで国費三百五十億、融資枠四百億ということで五カ年計画をつくったということでございまして、十分かどうか非常に難しい問題でございますが、ある程度効果は上げ得ると、このように考えております。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 重ねてお伺いしますが、関税引き下げは六十二年四月、これは決定したものですか。
  14. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  そのように、六十二年四月実施を守りたいと考えております。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 だから、六十二年四月という時期だけ決定をして、それに、その見返りというか言いわけ程度でわずかの活性化対策を講じた。これは、今まで大臣が当委員会で言っていることと大分遣うんじゃないですか。どう思いますか。最初に六十二年四月があり、それに若干の予算を加えたというにすぎないじゃないですか。
  16. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  実は、この金額につきましてはいろんな解釈があるかと思いますが、例えば今度民有林を中心に行う、そんなことで、例えば年間十八万ヘクタールの間伐ができない、というようなことが大変大きな理由になっているわけで、今度の計画では五カ年間で九十万ヘクタール間伐をやると、そんなこともございます。  そんなことで、現在の国の財政の厳しい状況から考えれば、この千五百億というのは大変な金じゃないかと、このように考えておるわけでございます。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 最終的に千五百億、しかも融資が千億ですよ。そして、五百億の中には、この千億の融資に対する利子補給がかなり含まれている。金を借りる人がなければ利子補給も要らないわけなんですよ。できないわけですよ。ですから、この程度でもっては林業活性化はできないと私は強く指摘をしておきますが、それでも先に日を決めてもうどんどん進んでしまう、こういう態度は国会答弁と随分違いますから、これについてはきょうは余り時間がありませんから、後ほどまた指摘をしてまいりましょう。  そこで、わずかな千五百億でも、五カ年計画といっても、実際これを配分するについてはこの二カ年間、すなわち六十年度、六十一年度に思い切った予算を使わなければ、六十二年の四月に関税引き下げに応ずるような状態にならないと思いますが、その予算措置はどういうふうにできていますか。
  18. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 五カ年計画内容決定をこのほど見ましたところでありますので、現在こういう計画考え方に沿って全体計画をどう作成していくか、そういう計画作成作業に入っているところでございます。その中で、この五カ年計画考え方を例えば合板工場等はそれぞれどう受け取って自分の経営をどう持っていくか。それは年次的にどう持っていくかということもあろうと思います。そういう全体計画の年次的な流れを見まして六十年、六十一年に、六十年の場合は補正にどう見ていくか、六十一年は今後追加要求として全体計画作成を見まして要求をしてまいりたいと考えております。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 金額が少ないにもかかわらず、まだ六十年度の補正もどういうふうにするか決まらない。六十一年度予算は概算要求したけれども、どこへどういうふうに加えるかも決まってない。こんなことはことしの初めから始まったことじゃないか。ですから、いみじくも大臣が、林野庁何しているんだという、こういう何というか憤激したという新聞記事も載っていますが、一体何をやっているんですか、林野庁は。こんなのはきょう始まったことじゃないんですよ。このこともまたいずれ追及いたしましょう。  そこで大臣に伺うけれども、林業活性化を図るためには、民有林だけじゃなくて森林面積の三分の一を占める国有林に対しても対策を講じなければならない。大臣は、去る五月三十日、当委員会で私の質問に対して国有林も当然総合対策の中に入っておりますと、こういう答弁を繰り返していますけれども、どのような措置を講じたんですか。
  20. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えします。  国有林野事業はもう先生御存じのように大変厳しい情勢なので、五カ年計画策定の際、国有林をも対象とするよう検討指示したわけですが、国有林について新たに対策をとることは、国有林経営改善進展状況を踏まえた制度面での検討が必要ともなるので、緊急対策としての五カ年計画の中では取り上げることはならなかったのでありますが、本件につきましては今後とも国有林経営問題の一環として引き続き検討してまいりたいと、こう考えております。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、とれまた大臣の先日の答弁と違ってくるじゃないですか。国有林は、じゃ緊急対策としてやらなくてもいいんですか。ゆっくりやればいいですか。  そこで、さらにお聞きしましょう。  大臣は、六月二十日の当委員会でこれまた私の質問に対して、国有林については制度法律を変えて活性化対策をやると答弁していますが、具体的にどのようなことをするんですか。
  22. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 現在の国有林制度のもとではかなり難しいものですから、そのようなことで検討指示しておりますが、なかなか現在難しい。そんなことで、やはり国有林経営につきましても大変厳しい状況であります。また、国有林経営につきましても自主改善努力をお願いしておりますが、やはり所要財政措置が必要というようなことをもちまして、例えば水源税構想とか、そういうものを踏まえて財源確保努力したい、このように考えているわけでございます。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 水源税という話が出たが、水源税はそれじゃ国有林に全部使うつもりですか、長官
  24. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 現在考えております水源税考え方におきましては、重要な水源地帯での治山あるいは森林の除・間伐等を考えておりますので、その立地条件が重要な水源地帯であれば、国有林でありましょうと民有林でありましょうと、その条件からそれを行うつもりでありますので、等しく両方に使う考えております。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 できるものかできぬのかわからないような水源税国有林財源に求めるなんて、そんな無責任な答弁はだめですよ。  そこで、林野庁は先ほど、当初に示した林野庁案の五カ年計画には、国有林野の整備については引き続き検討すると、こういうふうに付記として示されておったが、今度出された計画には何らそんなことは書いてない。大臣国有林もこの活性化対策には含まれておりますと、こういう答弁をしているけれども、一体大臣指示を受けてどういうことをしたんですか、どういうことをしようとするんですか。
  26. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国有林問題の重要性は、もう林野庁関係職員全員の深く認識しているところでありまして、そういういろいろな検討はいろいろな機会に深めているところであります。  今回も文言としては付記してございませんけれども、将来にわたっての大きな問題、最大の問題という認識で、いろいろ制度面を含めました検討等につきましては、大臣からの再々の指示、御示唆もありまして検討をいたしているところであります。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 国有林危機に陥っており、国有林対策は重大な問題だと承知しているけれども、この活性化対策国有林のことについて何ら触れておらないじゃないですか。先回、林野庁原案には、国有林については引き続き検討するという文句が入っておった。今度は入ってないじゃないですか。なぜ落としたんですか。
  28. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 落として検討しないというような意識で触れないということではございません。それはもう当然のこととして、最大の問題として我々は抱えておる。年間と申しますか、常時、林野庁最大案件として国有林問題を挙げておりますので、あえて今回の緊急措置の中には入れてございませんけれども、そういう認識は変わることなく持ち続け作業も進めておるところであります。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、国有林に対しては緊急措置として取り組む必要はない、そういうお考えなんですか。
  30. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国有林は、現在第二次と申しますか、さきの改善計画改善いたしました二回目の改善計画に鋭意取り組んでおるところでございまして、この改善計画実施のいろいろな過程、実績等は、林政審議会等に常時いろいろな御相談をし広がら、あるいはその年度の経営実績等はこれを公表いたしましていろいろ御批判を仰ぐと、そういうような形で経営改善を進めておる。  途中段階におきましていろいろ御意見がこれはおありのことと思いますけれども、必要な検討を常に改善計画に対しましてもそれは加えていくという進め方をしておりまして、やはり根本的ないろいろな問題を持っておりますので、緊急、カンフル的な措置としての対策を今回は具体的な金額としてとることまではするべきでないというような判断も、今回の千五百億の中にはあったわけでございます。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 そんななまぬるいことで国有林改善ができるかどうか、後ほどまた指摘をしてまいりましょう。  大臣に重ねてお伺いしますけれども、大臣国会答弁で、国有林については制度法律を変えて活性化対策をやるとはっきり言っていましたけれども、そのことについて、もう一回大臣答弁してください。どういうふうに変えるんですか、構想を言ってください。
  32. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、私は現在でも国有林野の問題は緊急の問題だと思っております。  そんなことで、基本的には国有林経営が悪化している状況というのは、林業を取り巻く環境、あるいは国有林の持つ本来の構造的要因、こういうものが重なって悪くなっておると思いますが、やはり私は、国有林野自主的努力を求めますとともに、所要財政措置を講じなければなかなか難しい。そんなことで、制度その他変えて、そのような形に持っていきたいという希望を現在持っております。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 その大臣の意思を受けて、長官制度法律を変えて国有林対策を講ずると、その作業、準備をしていますか。
  34. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 庁内におきましては、いろいろな検討を深めておるところでございます。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 その検討はいつごろをめどとして出そうとするんですか。
  36. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 現在、特別に期限を切ったという検討はいたしておりません。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、検討しているかどうかわからないじゃないですか。そんな暇があるんですか林野庁には、ゆっくりやっているような。  そこで、国有林は御承知のとおり現在重大な危機を迎えている。この危機を克服し、将来の国有林再建させるという趣旨で第二次改善計画を昨年から発足をさしておるけれども、この計画をもって国有林活性化赤字財政脱却再建ができると私は思わない。  そこで伺うけれども、五十九年度の計画実績は一体どうなっているのか、あるいは六十年度の予算木材販売あるいは林野土地の売却、分収育林などを含めて、この収入予定計画どおりに達成できるという見通しを持っていらっしゃるんですか。
  38. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) まず、五十九年度の実績についてお答えいたします。  五十九年度の国有林野事業は、厳しい経営環境のもとにありまして、林産物販売促進林野土地の売り払い、分収育林制度導入等による自己収入確保、経費の節減、投資の効率化等に努めたところであります。  このうちの自己収入について見ますと、林産物収入につきましては、いろいろ販売促進努力をいたしましたが、木材価格の下落、低迷によりまして当初予定に対しまして一四%減にとどまらざるを得なかったわけであります。また、土地売り払い収入につきましても、いろいろ諸条件が重なりましてこれも二四%の減となり、林産物収入の落ち込みをカバーするまでには至らなかったわけであります。そのようなことから大変歳出面でも作業能率の向上、組織、要員の簡素化等努力をいたしたわけでございますが、長野県西部地震による影響あるいは退職者急増等がありまして、決算結果におきましては前年度よりも損失が増加をいたしまして、損失は百六十九億円増の八百六十八億円を計上するに至ったわけであります。また、長期借入金の残高も一兆一千四百六十一億円となったわけでございます。これが五十九年でございます。  六十年の財務運営につきましては、同じく木材価格が非常に低迷いたしておりますので厳しい状況にありますが、予約販売推進するとか、あるいはきめ細かい採材、生産販売等実施いたしておりまして、林産物有利販売を進めております。  なお、分収育林林野土地売り払いの推進も図っておるところでありまして、現在収入確保努力をいたしておるところであります。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 五十九年度改善計画を立てて計画に基づいて事業を実行したけれども、今答弁があったような大変な赤字になった。六十年度の予算も今執行中だけれども、これまた大きな赤字を招来することは明らかであると思う。  日本社会党は、昨年、改善措置法改正の際、従来の計画の若干の手直し程度では真の改善はできない、このことを指摘をし、抜本的な対策要求して法律等計画の修正を求めたけれども、残念ながら政府と与党の同意を得られず現行の改善計画が実行されておる。しかし、現況と将来の見通しは、我々の指摘したとおりますます困難な状態になっている。六十一年度の予算編成はどうにかこうにかつじつまを合わせるとしても、六十二年度になれば行き詰まってしまう。また計画変更をしなければならないというふうに私は懸念をするものでありますけれども、こういう心配はありませんか。
  40. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 大変林業関係の景況と申しますか、環境が厳しい情勢が続いておりますので、国有林野事業運営は非常に困難をきわめておりますが、現在の改善計画に沿って鋭意着実な努力を重ねているところであります。そういう積み重ねの前途にどういうふうにまた将来は展開さしていくべきか、そういうことは常に検討を深めておかなければならない問題だと思っておりますが、現在はまだいろいろ改善すべき点も多うございますので、それらの努力の積み重ねを進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 努力をしていることはわかるけれども、私は残念ですけれども六十二年度の予算編成になってくればまた大変行き詰まってしまう。この計画を変えなければならない時期が来るんではないかということを大変心配しているんです。そうなるかならぬかということはきょうは答弁を求めませんけれども、そのことを強く指摘をしておきましょう。  そこで、このような抜本的な改善計画もない。大臣の言う法律制度の改正もまだ何ら手がついてない。こういう状態のときに臨調、行革だけを大義名分として今回九つの営林署の統廃合を打ち出した。営林署の数を減らした程度でもって国有林財政経営の健全化に役立つものではない。逆に、職員の数を減らされ事業が手抜きをされ、結果的には国有林野の荒廃となって将来取り返しのつかないことになることは明らかであるけれども、長官はどう考えますか。
  42. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国有林野事業経営改善の道筋と申しますか大きな流れの中で、やはり組織機構を簡素化していく、いろいろ今日の交通事情あるいは通信手段、事務処理方法等々の変化と申しますか進歩を考えますと、これらにつきましてはまだまだ簡素化すべき余地があるとも考えられますので、合理化の大きな柱としてやはり組織の減量、いわゆる簡素化をしなければならない、こういう間接的な部門の経費の節減というものも大変大きな重要な事案であると考えております。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 経費を節減するだけの目的で、あるいはそのことを中心として営林署の統廃合なんというものをやるべきではない。営林署を今日九つ統廃合して、当面幾ら経費が浮くんですか。答えてください。
  44. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 目に見えた形で幾ら幾らということは直ちに出るものではないと思いますが、やはり簡素な管理機構になるということからの効果が徐々にあらわれてくるものというふうに考えております。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 国有林の果たすべき役割は、国民のためにいい山をつくることなんですよ。ただ規模を縮小するだけが国有林の仕事じゃない。  そこで重ねて伺うけれども、国有林野の機構改革は営林署を幾つつぶせばいいというような単なる数合わせで済むことじゃない。国有林の使命を果たすために今後の営林署、事業所の体系はどうあるべきか、要員や事業経営をどうすべきか、この方針をしっかり固めて、その方針に基づいて慎重に検討しなければならない。国有林を守り、そのための組織体制をどのようにつくっていくのか、その基本構想を示してください。
  46. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 御指摘ありましたように、担当区がこれからどういうふうに機能していくべきか、あるいは事業所はどうあるべきか等等、さらに営林署の組織、配置もどうあるべきか等につきましては、改善計画の中でこれを明らかにしていかなければならないし、既にいろいろの考え方につきましては現在の改善計画の中にも相当部分が明らかになっておるところであります。そういう考え方に沿いまして計画を立てまして実行しているわけでありますが、やはり手前の方の計画が明確で、先の方が多少まだ不分明だということは、事の性格上やむを得ないと思うわけでございますけれども、そういうことの中での営林署の五十三年当時立てました全体の一割を削減するという計画につきましては、これも計画的に年次的に今回第三回目の実行に入っておるというところでございます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 将来、組織機構はどうあるべきかという基本構想がなくて、ただ数だけ減らしていく。今いみじくも言ったように、当面の計画は明確だけれども先の方は明らかでない。当面の計画というのは営林署を減らすということだ。そうだとすれば、今度挙けた九つの営林署も何らの基本構想もなくてやりやすいところから手をつけていくんだ、小さいところからつぶしていくんだ、それだけの考え方しかないじゃないですか。  これは基本的な問題ですから大臣にお聞きしましょう。将来構想が、国有林の営林署や事業所はどうあるべきかという計画がなくて、当面ともかく営林署を減らしていくんだ、そんなことで国有林は成り立っていくでしょうかね。
  48. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) その点につきましては、いろいろ計画と実行の間には、計画をいたしましてそれを実行、照査する、いろいろやった結果の反省を行っていく、そしてまた計画を練り直す、そういうことの繰り返しで進めていくのが普通ではないかと思うのでございますが、したがいまして、長期にわたる計画を固定して硬直的に進めるということなく、やはり計画の反省に立ちながら、見直しながら進めていくのがよろしいかと思います。そういう考え方から、手前の計画は明確であるけれども、その先については多少弾力的な余地を残して、今から明確な将来にわたっての姿をお示しすることについては、少し問題があるんではないかと思うものでございます。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 その答弁は納得できません。当面、営林署をつぶしてみて、そしてそれを反省してみて、また次のことを考えていくということですね。つぶした営林署は、また復活することはできないじゃないですか。将来計画もあって、その一環として営林署を縮小するなら縮小させていく、事業所を廃止させるなら廃止させていく、その基本構想がなくて国有林再建ができますか。基本構想は立てないつもりなんですか、立てるんですか。
  50. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 物の考え方と申しますか、性格的には既にあるわけでございますけれども、量的に何年に幾つとか、どこで幾らとか、そういうような具体性を持ったところの計画まではない。営林署、事業所、担当区等につきましても、先ほど申し上げました交通事情の変化とか通信手段、あるいは事務処理等も大変な勢いで変わっておりますので、そういうものを考えましたときに、現在の組織よりはいろいろ簡素化が図られ得るものと考えますし、国有林野事業をやはりこれからも健全にしていくためには、そういう組織機構の減量化はどうしてもたどらなければならない道でございますので、そういう方向についてははっきり考え方は決まっておるわけでございます。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 組織機構の合理化の一環として営林署をなくす、そのことも当初から林野庁が打ち出したものじゃないんです。むしろ臨調から指摘があって、それに乗っかってやらなければならないということになった、その方がウエートが大きいと思う。  そこで長官に重ねてお伺いいたしますが、臨調は、ことし九つ、あと十残っておるわけですが、この十九も含めて営林署の統廃合をしよう。本年度九つやるとすれば、残っている十は六十二年度までには当然終えるのか、あるいはそれ以上やる可能性もあるのかどうか、その点をはっきりさせてください。
  52. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 十九を含めた相当数というふうになっているわけでございますが、私どもは現在具体的に数字の出ましたいわゆる十九につきまして、これを実行しなければならないと考えておるわけでございますが、いわゆる相当数が幾らになるかにつきましてはまだ検討を進めてはおりません。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 その点が歯切れが極めて悪いわけですね。相当数について検討するということが、本年度分を含めて十九でもうそれ以上はやらないというのか、それ以外にまだやる可能性はあるのか、そのまず答弁ですよ。
  54. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) それにつきましては、やはりその既定計画実施した時点におきます国有林の財務内容でありますとか、あるいは要員の状況、組織体制のその当時における現状等いろいろ考慮すべき点が多いかと思うわけでございます。その時点に向けての検討は進めなければならないと思っておりますけれども、現時点で、はっきりまだそれらについて申し上げる状況には私どもとしてはないわけでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 どうしても納得できない。大臣、ことし九つやる、六十二年までに十やる、それ以外にもまだやらなきゃならないかというような答弁をしているんですけれども、ことし九つやるんだって、後ほど指摘するが大変なことですよ。今ここでもってまだ十残っている、それ以外にもやりますというようなことで十分に納得しますか。その点、大臣はっきり答弁してください、決まった十九なら十九でとめると。
  56. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実は、今いろいろ林野庁長官がお答えしたとおりですが、基本的に一つ問題になるのは、例えば昭和七十二年に国産材時代が来るということ、現在の赤字が約一兆ということ、そのときに木材での赤字がなくなるということ。実は私見ておりまして、間伐実施状況が約八割、そういう間伐をやって初めて国産材時代が来るわけです。それをしないとできない。そういうことで、私は率直に言いますと、このままいきましたら恐らく大変な赤字になると思いますよ。  だから、そんなことを含めて、国有林野をどうするかという全体構想をもう一遍練り直す必要があると思っております。そういう形の中に営林署の統廃合を考えるということでございますが、私は基本的には一応臨調の方針どおり十九はやむを得ない、それ以外はさせない、全体計画をどう考えるかと、そういうことを含めて検討したい、こう思っております。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、極めて明確な答弁をしたんだから、大臣がそういう明確な答弁しているんだから、林野庁長官だってそれに沿ってあんた、やらなきゃだめですよ。  そこで、国有林は非常に地域の産業、経済に密接なつながりを持っており、営林署があり国有林事業を行っていることによって山村地域の活性化を促し過疎化に歯どめをかけている。特に五十三年に一営林署が廃止をされ、今回も廃止の対象になっている長野県の木曽谷は、昔から国有林とともに生きてきた地域であり、営林署の数が減り国有林関係事業が少なくなることによって地場産業が衰微をする、雇用が減少する、過疎化の進行は著しいものがあります。営林署の統廃合と地域産業、過疎対策をどのように考えてこの統廃合計画を打ち出したんですか。
  58. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 最初にいろいろお話ございましたように、国有林が大変な経営上の問題を抱えておる。それを改善する大きな柱として今回の組織機構の統廃合の中の営林署廃止を打ち出しておるわけでございますが、やはりそのよって来るところを地元の方々に十分御理解、御認識をいただくように努力をしなければならないものと思っております。いろいろこれまで縁の大変深かった地元の経済関係もございますので、統廃合によりましての影響を極力緩和できるような方法につきまして現在お話し合いを進めておるところでございますが、そういう点での御理解をいただきまして極力円満に進めていきたいと考えております。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 地元の過疎化の進行を防いだり地場産業を育成していくということについて、何ら具体的な自信のある答弁がないじゃないですか。  そこで、営林署の統廃合については地元関係者の理解を得るよう最善の努力を払う、こう言っているわけですけれども、五十三年、五十六年の営林署統廃合のときの国会審議の際の政府の公約あるいは当委員会の附帯決議を尊重するならば、地元の理解と協力、地元関係者のサービス低下にならないようにすることは当然のことである。  ところで、現在林野庁が提示をした九営林署の対象地域は、今もって統廃合について理解と協力を全然示しておらない。示すことができない。いずれも計画の撤回を求めておりますが、どのように考えていますか。
  60. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 営林署の統廃合につきましては、積極的な賛成を現在得るということはなかなか難しいことでございます。現在、関係者の大方の御理解を得るように最善の努力を払っておるところでございまして、その努力の上に立って統廃合を実施してまいりたいと考えておるところであります。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 長野県議会は県内営林署存置に関する意見書、上松町議会は上松運輸営林署廃止計画撤回意見書、木曽福島町議会は同営林署統廃合反対意見書、開田村議会は同営林署存置意見書、いずれも今日までそれぞれ可決をしております。木曽の町村会は挙げて反対をしておる。議会の決議、意見書というのは重大なものとして受けとめなければならない。このような議会の意見書を見るまでもなく、木曽地域住民は挙げて今回の統廃合に反対をし、地元では連日反対抗議行動を行っており、大臣も御承知のとおり、大臣を初め林野庁へも何回も押しかけている。県会を初め町村議会、住民がこぞって反対しているものをどういうふうに説得し理解させますか。
  62. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 上松の具体的な事案になるわけでございますけれども、上松運輸営林署は営林署といたしましては大変特異な内容の営林署でございまして、現在の私どもで提示をいたしました計画によりまして、営林署そのものはなくなりましても、それらの機能はほとんど代替し得る状態で営林局並びに営林署によって運営できるものと考えておるわけでありますが、それらのことにつきましてこれからも十分地元の方々に御理解をいただく努力をさらに重ねてまいりたいと思っております。そういうことで、最後までやはり私どもとしてはお話しをいたしまして御理解をちょうだいしてまいりたいというふうに考えております。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 以上、幾つかの点について私は質問したけれども、大臣並びに長官答弁は少しも説得力がない、胸に落ちるものがない。したがって、今回提示をした営林署の統廃合は、私が指摘をした営林署も含めて当面撤回をして、基本構想を立ててその上に立って再検討すべきである。長官答弁を求めます。
  64. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今後の国有林経営改善のためにも、組織機構を簡素合理化していくということは避けて通れない道筋でございますので、今回の九営林署に関します措置につきましても、どこまでも地元の皆様の理解、協力を得るよう最大限の努力を払いまして、それらの上に立ちまして極力円滑に実施してまいりたいというふうに考えております。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 最後に、もう一点だけこの問題について伺うけれども、地元の理解と協力が得られない限り見切り発車はしない、強行はしない、そのことはお約束できますか。
  66. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 最大限の努力を理解、協力をいただくために払いまして、それらの上に立ちまして実行をしてまいりたいと考えております。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 この問題については後ほど同僚委員からまた指摘をいたしますので、私は次の問題に入ります。  次は、農業用水の流水占用料についてでありますが、農林水産大臣は本年度の所信表明で農業施策のトップに土地利用型農業の体質強化を挙げ、厳しい財政状況の中ではあるが土地基盤整備の充実には力を注ぐと言っておるわけです。こうした中で、農業用水路の改修、維持管理は基盤整備事業の重要な柱であり、農業用水は単に農業施策のみならず治水機能あるいは水質の悪化防止、水量の確保など公益的役割も果たしているというふうに思いますが、大臣は農業用水の特質、果たしている役割についてどのような見解をお持ちですか。
  68. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。  農業用水は、農地と並んで農業にとりまして重要な生産資源でございます。また、かんがい機能ばかりでなく、広大な農地を通じまして水源涵養機能、治水機能等の国土保全の観点からの公益的機能も有していると考えておるところでございます。  農業用水の有するこれらの多面的な機能は、農業者のこれまでの多大な努力によって開発、保全されてきたものであると認識しております。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 農業用水は、農民みずからが資本と労力を投入して開発してきたものであり、また農業用水に対する流水占用料については、河川法制定当時の国会審議、さらには農林省・建設省の覚書などによって一定のルールがしかれていると聞いておりますが、農水省の見解を求めたい。
  70. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 明治二十九年に旧河川法が制定された際に、やはりこの問題が議会において議論されております。当時、農業用水を流水占用料の対象としない旨の明確な答弁がございます。また、昭和三十九年の新河川法制定に際しましても国会において同様の問題が議論されたところでございまして、その際にも、農業用水についての占用料は従来から無料であったところから、将来においても徴収しない旨の答弁がございます。  なお、新河川法の施行に際しましては、建設省との間におきまして、農業用水に対する流水占用料の徴収については旧法と同様の解釈運用による、つまり徴収しないということが確認されておるわけでございまして、これまでは旧法から一貫して農業用水からは流水占用料は徴収しないというルールが両省間において存在したわけでございます。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 そのような国会答弁があり、また確認がされ、覚書があるとするならば、農水省としては建設省の打ち出した流水占用料徴収構想に対して何らかの抗議をすべきである。どういう措置をとっていますか。
  72. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) この問題につきましては現在政府部内で調整が行われているわけでございますが、農林水産省といたしましては、旧河川法及び新河川法制定の際の国会における審議の経過、それからまた建設省との覚書等から見まして、今回の農業用水から流水占用料を徴収するという案についての進め方について、やや遺憾に考えているところでございます。  さらに、本構想が基本的に農業用水の機能、歴史的背景等に対する理解に欠けるところがあるということでございまして、私どもとしてはどうも納得できないということを建設省に対して申し入れているところでございます。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、お聞きのとおりですが、農業用水流水占用料徴収構想に対しては農水大臣として絶対反対だ、こういう態度をとるべきだというふうに思いますが、お考えをお聞きしたい。
  74. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  建設省の構想については、現在農林水産省を初めとする利水省庁を含め政府部内で協議、調整中でございます。  それで、農林水産省としては、先ほど局長答弁したとおりでございますが、大臣としては本構想を認めないと反対を強く表明しておる次第でございます。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 大臣はつまり反対ですね。
  76. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのとおりでございます。また、反対の意思を強く表明しております。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 それだけ大臣が強い意思を持っておるとするならば、建設大臣に対してじかにあなたがこういうことは困るよと言うべきであるし、またこのようなことが仮に予算として出るとするならば、閣議でもっても発言を求めて反対をすべきであると思うが、どうですか。
  78. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど言ったようなことで、現在利水省庁を含め関係部内で協議、調整中でございます。また、実は自民党の建設部会長も実はこの問題につきましては私と同意見ということもございますゆえ、その経過、成り行きを見ながら私の意思表明をしたい、このように思っております。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 河川局長に来てもらっておりますが、今答弁あったような農業用水の果たしている役割、それから政治的、歴史的な経過、農水大臣の決意にもかかわらず、建設省は農業用水から流水占用料を徴収しようとする方針を打ち出していますが、その根拠について説明してください。
  80. 井上章平

    政府委員(井上章平君) 流水占用料制度の改正を、私ども建設省といたしましては概算要求に盛り込んだわけでございます。  その内容につきましてはもう御承知いただいておるものと思いますが、流水占用料制度そのものは現行河川法の中に存在する制度でございますが、ただ、現在農業用水も含めまして種々の減免措置が講じられているところでございます。一方、近年の河川水の大量取水に伴いまして河川水の枯渇とか水質の悪化等が生じておりまして、河川環境対策推進が強く求められている状況にあることも事実でございますので、私どもといたしましてはこの減免措置を見直しまして、河川水の利用者に対して適正な負担をお願いすることによりまして河川環境対策推進してまいりたいということで概算要求に出したわけでございます。  しかしながら、これはまだ建設省の考え方を出したにとどまっておりまして、政府案となりますまでには関係各省と十分協議、調整をお願いしなければならないところであります。ただいま関係各省と鋭意協議いたしているところでございます。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 河川局長、考え違いをしているんじゃないでしょうか。河川改良、環境整備の重要性、しかももっと促進をしなければならないことは私も同感であり、よく承知をしております。しかし、水は建設省がつくり出したものではなく、建設省のものではない。山があり、森林があり、そして水を蓄え、その下流に農業用水があって水田がある。水田は自然の貯水ダムなんということを言われまして、水量の調節にも災害防止にも役立っている。この農業用水から使用料を取るなんということは、全くもって本末転倒だ。河川改修に財源が必要なことは承知をしておるけれども、それは公共事業としてやるべきことだ。そのことが内需拡大にもなる。財源確保に熱中する余り、相手を見失っちゃだめなんですよ。どういうふうに思いますか。
  82. 井上章平

    政府委員(井上章平君) 御指摘のように、農業用水につきましてはさまざまな治水上等の機能があることを私どもも否定しておるわけではございませんし、またその用水特有の歴史的な長い経緯があることも十分存じ上げているところでございます。したがいまして、こういったことを十分考慮して対処すべきことであると考えておりますので、今後そのような背景に十分留意して農林水産省と御協議申し上げたいと考えております。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 全国の農業委員会あるいは農協を初めとする農業団体、これは挙げて流水占用料に対して絶対反対の決議をしている。また多くの自治体も反対をしている。私は長野県ですが、きょう長野県では流水占用料反対の農民・農協総決起大会を開催している。日本社会党も当然反対の態度を表明している。このような反対決議、意見書、要望等が建設省に対しては連日寄せられているというふうに思いますが、どうですか。それをどのように受けとめていますか。
  84. 井上章平

    政府委員(井上章平君) この問題に対しては数多くの御意見が寄せられておりますが、ただいま先生おっしゃいましたように、主として農業関係団体から数多くの反対意見が私どものところへ参っております。これらのことにつきましては、十分配意すべきことであろうと考えております。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、農業用水から流水占用料を取ったらいい、取りましょうという賛成意見が大分来ていますか。ありますか。
  86. 井上章平

    政府委員(井上章平君) ただいまのところはございません。
  87. 村沢牧

    村沢牧君 局長、農業の置かれている現状、また歴史的経過を見ても、農業用水から占用料を徴収するというふうなことは全く間違いだ。関係団体、国民の反対運動、また国会における意見を見ても、このようなことをすべきでない。よって、関係各省で協議と言っているけれども、農業用水に対する流水占用料徴収の構想は建設省が出したんですから、建設省みずからが撤回すべきである。そのことを強く要求して、建設省の責任ある答弁を求めたい。
  88. 井上章平

    政府委員(井上章平君) ただいまも申し上げましたように、この問題につきましては関係省庁と打ち合わせいたしました上でしかるべく政府原案ができるようになるという手順でございますので、その段階で先生の御指摘のありましたことは十分念頭に置きまして、関係各省と調整してまいりたいと考えております。
  89. 村沢牧

    村沢牧君 関係省庁と打ち合わせといっても、もとはあなたが出したんですよね。あなたが出したんだから、出したけれども、いろいろ御意見がありますのでこれは考え直しますと、そう言えばそれで済むことなんだよ。  だから、重ねて言うけれども、あえて私は忠告する。農業は国民の食糧を供給する産業である。その農業も現状は極めて厳しい。農業用水の特質、果たしている役割、それに国会審議、覚書、この歴史的な経緯、農業団体や地方団体が挙げて反対をしている、国民世論、これも賛成をしているのは一人もない。したがって流水占用料が認められるはずがない。(「自民党だって反対だから」と呼ぶ者あり)今お話がありましたように、自民党も反対だと言っている。新聞の報道によれば、建設省が一番頼りにしている自民党建設部会長も、農業用水は我が党も流水占用料から除外をすると言っているんですよ。私も予算委員の一人であります。こんな予算が出たら、徹底的に反対をしてつぶすことはもちろんでありますが、これからも国会の内外で強力に反対をしてまいります。こういう情勢の中で建設省がこれ以上こだわっているとするならば、建設省不信につながる。その他の流水占用料なんかもやりたいと思っても、それもだめになっちゃうんですよ。そのことも反対ですがね、私は。  したがって、この問題は建設省、特にその中心になる河川局長、メンツにこだわることなく、明快な答弁をこの委員会で求めて、この農業用水に対する論議は本日をもって終わりだ、これ以上はもう進展しない、そのことをぜひこの委員会の中で明らかにしてください。私は時間がありますから、まだずっと百分ばかり時間が余っていますからまた論議しますが、どうですか。
  90. 井上章平

    政府委員(井上章平君) この問題につきましては、建設省として概算要求を出したわけでございますので、やはり内容変更につきましては手順を要するものであろうと考えます。したがいまして、先生の御意見につきましては十分承知いたしましたが、現在各省と協議中でございますので、協議の中で反映するべきものであるというふうに御了承いただきたいと思います。
  91. 村沢牧

    村沢牧君 各省と協議中のことは知っていますけれども、原案を出したのはあなたなんですよ。原案を出したあなたが撤回しますと言えば、それで済むことなんです。ですから私は、ここですぐ撤回しますということをあなたが言えないとしても、私の今まで指摘したことは間違っておらないと思います。ですから、私の指摘を尊重して、同僚委員も撤回しろと今言っているんですよ、その意思を尊重して、当委員会で発言されたこと、聞いたことを尊重して対処をする、約束してください。
  92. 井上章平

    政府委員(井上章平君) ただいまの先生の御意見は十分承知いたしたところでございます。
  93. 村沢牧

    村沢牧君 当然質問したんだから聞いておったことは事実だ。聞いていただけではだめですよ。尊重してください。よろしいですか。  農水大臣にもう一回聞きましょう。あなたは絶対反対ですね、あなたは中曽根内閣の閣僚だから。反対ですね。
  94. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのとおりでございます。  河川局長もいろいろ答弁しておりますが、これは役所の仕組みとしまして、八月に概算要求を出しているから河川局長がきょうここで答弁は難しいと思いますが、河川局長答弁を聞いても、よく先生方のを理解している感じがするものですから、私は安心しておる次第でございます。
  95. 村沢牧

    村沢牧君 それでもう一回、関係省庁と協議をするというのは、関係省庁の中にはまず農水省が入る。農水省は絶対反対しますね。いいですね。
  96. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのとおりでございます。それから通産省も反対と聞いております。
  97. 村沢牧

    村沢牧君 河川局長はお忙しいようですから、もう一回だけ答弁をお願いしてお引き取り願いたいと思います。  私たちの今主張したことをよく理解をしていただいて、趣旨に沿うよう努力していただくという決意をぜひおっしゃってください。
  98. 井上章平

    政府委員(井上章平君) ただいま先生の御指摘の件につきましては十分理解いたしておりますので、今後対処いたしたいと思います。
  99. 菅野久光

    菅野久光君 私は、まず最初に水産関係のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  北洋のカニ、ツブ、エビ、そしてサケ・マス業界が待ち望んでおりました救済対策は、長い間かかってようやく取りまとめられました。  私は、地元北海道の関係漁民の窮状を見かねまして、当委員会などで数度にわたりましてこの問題を取り上げてその救済措置の早急な実施要求してまいりました。その救済が今日まで大幅におくれざるを得なかったのは、ひとえに財政当局の姿勢が極めて厳しかった、そういうことによるものだというふうに思っていますし、私も今まで大蔵省などにも行って直接交渉したことなどもありますからよくわかります。交渉に当たりました関係者の御努力に対しまして、心から本当に御苦労さまでしたということを申し上げたいと思います。大臣水産庁長官、本当に大変な御努力をしてくれた、そのことについての評価はやぶさかではないわけでありますが、しかし、決定を見た内容についてはどうしても納得しがたい、そういうものがあります。  そこで、次の諸点をお尋ねいたしたいというふうに思います。  まず、伝えられている救済金でありますが、交付金が二十三億九千百万円、不要漁船対策が八億九千四百万円、融資が三十五億円、内訳は、国際規制関連経営安定資金が二十億円、水産加工経営改善強化資金が十五億円、そのようになっております。しかし一方、北海道水産会と北海道漁業協同組合長会議は、救済対象の大部分を占める北海道船について、五十二年の二百海里ショックのときの交付金の算出方法等を参考にして、交付金を五十億円、不要漁船対策八億八千万円、融資六十二億円の救済措置を要望しておったわけであります。  ところが、今回まとまった額は、この北海道船以外に青森県船と富山県船を含んでいるにもかかわらず、交付金、融資ともに北海道の要望額の六割程度にしかすぎない。今回取りまとめられたこの救済金の額がこのように小さなものになった理由とその算出根拠を明らかにしていただきたい、このように思います。
  100. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  ただいまの先生お話しがございました五十九億幾らというお話でございますが、私どもの方で北洋漁業の救済対策関係する北海道側の陳情あるいは要望のたぐいでお受け取りいたしましたもので、一つは六十年九月の末ごろ、北海道水産会と北海道漁業協同組合長会議連名で御要望をいただいた陳情書がございます。それで、この陳情書の中では、「減船、廃業をする漁業者は、それに代る何らかの生業を継続しなければならない実情を考慮し、廃業する漁業の実態に応じ、今後の生活が保障されるような適切な交付金が算定されるよう要望いたします。」というふうにお書きになっておられまして、これには具体的な交付金の金額についての御要求は記載をされておりません。  それで、先生が今引用なさいました数字に恐らく見合うのではないかと思われる御要望で私どもが手元にちょうだいをいたしておりますのは、一つは、自民党の北海道支部連合会がおつくりになった要望書がございまして、これには政府救済金要望額五十億、不要漁船処理対策要望額九億、合計五十九億というのをいただいております。  それで、いずれにいたしましても五十九億という数字が存在したことは事実でございます。これと今回私どもが決めました救済対策との金額のギャップの一番大きな要素は、要するに減船をする漁業者が得べかりし利益を何年分面倒を見るかということが一番大きな違いでございまして、北海道の関係者の皆様方は最初五年、それから時日の経過に伴って、五年と言っても無理だったらせめて四年とか、もう少し小さな声で三年取れればなあとか、そういうお話がだんだんございました。  それから、今回私どもの方で決定をいたしましたのは、過去三年間にさかのぼりました実績から計算をして一年分ということで計算をしてございますので、その他の要素によるギャップも若干ないわけではないと存じますが、主たるギャップはそれだというふうに御理解をいただきたいと思います。
  101. 菅野久光

    菅野久光君 水産会あるいは漁業協同組合長会議の方から具体的な金額が出てないということはわかりますが、それはあくまでも要望書の文面であって、実際には今言われたように約五十九億という要望があったということは、長官も御確認していただけるのではないかというふうに私は思うんですね。  それで、これはあくまでも五十二年のショックのときですね、それを一応基準にして考えた、あるいは要望した、そういう金額だというふうに思いましたが、今回は得べかりし利益については一年しか見なかったということなわけですね。そこのところは、やっぱり漁業者にとっては大変な状況になっているわけであります。少なくとも、国際関係の中でこうなったということについて、五十二年のときは確かにショックであったかもしれないが、今回のときもやっぱり大きなショックではなかったかというふうに思うわけです。その中で、国の財政事情とはいえ、そのときそのときにおいて大きな差があるような解決策ということは本来とるべきものではなく、やはり行政というのは公平でなければならないという立場からいって、私は問題があるということを指摘せざるを得ません。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  次に、今回は、交付金が二十三億九千百万円のうち三億九千百万円を北海道、青森県、富山県が負担することを期待されているわけです。こういうことは、これまでになかったことなわけです。先ほども言いましたように、今回のことは外交的な問題から派生じた、そういうことでありますから、国が全面的に責任を負うべきものだというふうに私は思うんです。したがって、外交がうまくいかなかった結果交付せざるを得なくなった減船交付金を、一部とはいえ地方自治体に負担させるのは筋違いではないかというふうに思うわけですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  102. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  まず、今回の措置につきましての地方公共団体の負担の問題でございますが、これは交付金の方と、それから不要漁船処理対策の方と両方ございまして、交付金の方につきましては、地方公共団体の負担という事態が予想されておりますのは専ら北海道でありまして、ほかの県は知事許可漁業ではございませんので、その問題が起こるのは不要漁船の方についてだけ起こるものということになります。  それで、それはともかくといたしまして、今回の事態を全額政府で面倒見るべきものなりや否やという点についてでございますが、私どもといたしましては、知事許可漁業につきましては都道府県知事が許可の運用、指導を行っているという実態にかんがみれば、都道府県に御負担をいただくということが、程度にもよりますが、適切な範囲においては御負担いただくことが相当なものというふうに考えたわけでございます。  それは一つには、今回のような事態は、何と申しますか、二百海里体制化においては当然起こり得べき事態、要するに沿岸国側の許可証がなければ操業できないというのがまず大前提でございます。沿岸国はまた沿岸国のいろいろな御都合で、みずからの主権的権利に基づいて許可証を発行しなかったりするわけであります。でございますから、そういう意味で当事者が非常に衝撃を受けられ、お気の毒な事態に立ち至られているという、そういうことは重々理解をいたしますが、一面、事態を冷徹に眺めれば、二百海里時代で時々はこういうことは起こるものであるという前提でいろんな物事を対処せざるを得ないというのが、二百海里時代の冷厳な現実であろうかと思いますので、そういう中では、知事が許可をしておられる漁業についてはしかるべき御負担をいただくということで整理をさしていただきたいと思ったわけであります。
  103. 菅野久光

    菅野久光君 いまだかつてないことが、このようなことで地方自治体に負担をさせるというようなことは、今、長官いろんなことを言われましたけれども、私はやっぱりそういうことでは納得できない。国は財政が大変だけれども地方は豊かだという財政当局の基本的な考え方、そういうものがいろいろな理屈をつけながら地方に負担をさしているのではないかということで、きょうは余り時間がありませんから、このことだけで余り論議をすることができないわけでありますけれども、それはやっぱり私は筋違いだということを申し上げておきたいと思います。  減船によって失業を余儀なくされた乗組員がおられるわけですけれども、これについては早急に漁臨法を適用して救済すべきだというふうに思っておりますが、この点については現況どのような状況になっておるのか、お伺いいたします。
  104. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) 私ども早速運輸省、労働省に早急に、これは漁臨法の施行令の改正を必要とする箇所がございますので、その点を至急措置していただくようにお願いをしておりますが、ごく近日中に処理できる見込みでございます。
  105. 菅野久光

    菅野久光君 できるだけ早く、ひとつ対策が確立されるように要望しておきます。  いよいよ交付金が決まったわけでありますけれども、いずれにしろ北海道はもう冬ですね。漁業者が大変困窮しておるわけでありますから、決まった交付金を一日も早く交付をすべきだというふうに思いますが、そのための予算措置はどうするのか、いつごろまでに交付できるのか、この際・明らかにしていただきたいと思います。
  106. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) これはちょっと言いわけめいて恐縮でございますが、財源問題は専ら大蔵省に御心配いただかなければいけないことでございまして、仕組みとしてこういうことをやるということにつきましては私どもと大蔵省で合意いたしましたが、そこでただいま先生の御心配は大変もっともな御心配でございますので、私どもとしてもできるだけ早く交付できるようなやり方で財源の手当てをしていただくように、大蔵省に合せっかくお願いをしておるところでございます。私どもも先生のお気持ちと全く同様に考えておりまして大蔵省をせっついておりますので、いましばらくお時間をいただきたいと思います。
  107. 菅野久光

    菅野久光君 私あるいは漁民の立場と同じ立場で大蔵省の方に要求をするということでありますが、本当に北海道にとっては大変な時期を迎えているわけですから、ひとつこの点については大臣もよろしくお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  108. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、今、長官の言ったように、最善の努力をしたいと思っております。
  109. 菅野久光

    菅野久光君 また、言うまでもないことでありますけれども、この交付金に対する税制上の優遇措置についてはどのようなことになっておりますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  110. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) 現在、租特法上こういう場合に使える制度がございます。これを本件の場合も使わしてもらうように、大蔵省との間で措置内容について合意に達しましたときから、すぐ今度は税務当局の方とこの租特法上の措置を適用してもらうための話を大急ぎでやっておるところでございます。
  111. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしても、要求金額から見ると大分少ない金額ということになっておりますので、特に税制の優遇措置の問題については特段のひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。  水産関係の最後でありますが、今回もそうでありますが、これまで国際交渉に伴う減船等の救済措置は、言えばその場しのぎ、起きたときにどうするかということでやってきているわけであります。そして、そのことがなかなかすぐ措置ができないで、財政当局との関係もあって、ずるずると長い期間をかけてやってくるというようなことが今日まであるわけでありますが、このようなやり方では、実際に救済措置が講じられるまでにかなりの時間がかかり過ぎる、そのときの財政事情にも左右されることは先ほども申し上げましたが、非常に問題が多いわけであります。  先ほども言いましたが、二百海里時代に入って、私が大蔵省に行ったときに主計局次長も言っておりましたが、五十二年の二百海里時代に入ったときから既にこういうことは予測されたのではないかというようなことを言うんですね。だから、予測されたのであれば、なぜ五十二年のそのときから予測されることについて対応してこなかったのかということになるわけですが、それ以降、若干の問題はありましたけれども、そう大きな問題はなかった。今回は非常に大きな問題であったわけであります。  そういう意味では、長期的な視点に立った救済制度というものを早急にやはり確立すべきではないか。このときにはああだ、あのときにはこうだというようなそのときそのとき、その場その場しのぎではやっぱりまずいというふうに思います。今回の場合には、実際にこういったようなことが起きてから決まるまでの期間は非常に長かったわけでありますけれども、しかし、これからそういう制度を決めるという場合に、冬を迎えてなるべく早くという問題と、しかし余り早くやって漁業者の意に沿わないようなことでは困るということなどもあって、それで最終的にこの前決まったということになるわけですが、今回のことは、いろんなそういうことのかかわりを含めて、前例としないで、抜本的に長期的な視点に立った救済制度というものを確立すべきだというふうに思いますが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。
  112. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  確かに、先生指摘のとおり、従来、減船対策というのは事態が起こる都度、言うなればその都度その都度決めてきておったわけであります。ただ、そうは申しましても、だんだん国際情勢の厳しさが予見をされますと、外国からがつんとやられることも念頭に置いて自主的に減船対策にお取り組みになるという動きも出てまいりました。例えば、昨年の場合の北転船の減船というのも、形式上は業界の自発的な意思に基づく純国内的な措置として済みましたけれども、北転船の業界の皆さんは、ひしひしと迫りくる国際情勢も念頭に置いてお取り組みになったのであろうというふうに私どもは認識しております。  そういう意味でならば、先生御承知のように、漁業再建整備特別措置法とか特定漁業生産構造再編推進事業とか、こういう形である程度減船対策のメニュー化が進んでいることは進んでいるわけです。それで、そういうもので処理をしていただけるような性質の減船措置であれば、それはそれでやれるような仕組みが一応整っているといえば整っている。  ただ、今回のカニ、ツブ、エビのように、そもそも共補償という手法がおよそ使えないというふうな事態になりますと、先ほど私が例示的に申し上げたような仕組みの外側へはみ出ますから、これでやっていただくというわけにはいかないわけでございますけれども、ただ、先生の御指摘になりましたようなその都度の減船対策ということでは、決めるまでに非常に時間がかかり過ぎる、あるいはその都度の財政事情によって影響を受けて漁業者としては不公平感をぬぐいがたいような事態が起こりかねない、そういう御懸念については私どもも感ずるところもございますので、先生の今の御指摘は、問題提起としては十分受け収めさせていただいて、今後の救済措置制度化という問題を、既存の諸制度との関係とか、あるいは財源との関係とか、恐らくいろいろ厄介な問題もあろうかと思いますが、我が国の漁業の今後の姿を展望しながら、どういう施策ならやることができるのかということを、ひとつ研究をしてまいりたいというふうに思っております。
  113. 菅野久光

    菅野久光君 救済制度の確立について本当にいろいろ難しい問題があろうと思いますが、起きたときにやるのじゃなくて、今からやはりこのことについては十分手がけていただきたいというふうに思います。間もなくまた明年の日ソ地先沖合漁業交渉が始まるわけですので、過日北海道水産会からも要望書が来ておりますけれども、こういうことが起きないことを望みながら、ひとつその御努力をお願いいたしたいというふうに思います。  水産関係については以上で終わります。  次は、国鉄の関係についてちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。  いよいよ六十二年四月から分割・民営化するというようなことが国鉄監理委員会から出されておりますが、鉄道の貨物会社がどのような形になるのか、これは地域も重大な関心を持っております。政府は、鉄道貨物会社は十一月下旬には具体的内容を明らかにすると言ってきているわけでありますが、どのような状況になっているのか、ひとつお示しいただきたいと思います。
  114. 川上五郎

    説明員川上五郎君) お答えいたします。  国鉄の貨物部門につきましては、再建監理委員会の意見の趣旨に沿いまして、旅客部門から分離、独立させました全国一社の国鉄の出資によります特殊会社として発足させるということで、この旨、去る十月十一日に国鉄改革に関する基本的方針として閣議決定しております。それを踏まえ まして、運輸省としまして、今月中を目途にその具体的なあり方につきまして取りまとめるべく、現在鋭意検討を進めておるところでございます。
  115. 菅野久光

    菅野久光君 きょうは十二月二十二日ですよね、もう下旬に入っているんですよ。それじゃ、鋭意検討を進めているというその検討の若干の状況だけでもはっきりできないのか、それとも十一月の末までにはきちっとしたものができるのか、その辺はいかがですか。
  116. 川上五郎

    説明員川上五郎君) 事業範囲につきましては、再建整理委員会の意見において述べられておりますように、思い切った効率的な輸送体制を確立する必要がある、あるいはコストを一層低減する必要がある、こういうふうなことを図りますれば経営が成り立っていくことは可能だというふうに考えておりまして、この方向で現在具体的な案を検討しております。  それから、具体的には販売体制というふうなことも問題になっておりますが、これにつきましても、通運でありますとか、あるいはトラック事業者でありますとか、できる限りそういった物流事業者の能力を活用していく方向で考えてまいりたいというふうに考えております。  それから、旅客会社との関係につきましても問題が出てくるわけでございますけれども、これにつきましても、できる限り円滑な事業運営がなされますように、あらかじめ旅客会社と貨物会社との間で適切なルールを設定しておくなどの措置が必要だというふうに考えておりまして、その具体的について今まさに検討しておるということでございます。
  117. 菅野久光

    菅野久光君 今のその貨物会社の具体的ないろんな問題について検討を始めた時期は、いつからですか。
  118. 川上五郎

    説明員川上五郎君) 監理委員会の意見を受けました七月の終わりからでございます。
  119. 菅野久光

    菅野久光君 それで、もう十一月末まであと残すところ八日ですね。十一月末までにはきちっとしたものができる、そういうことで確認してよろしいですか。
  120. 川上五郎

    説明員川上五郎君) 運輸省としての成案を取りまとめたいと思っております。
  121. 菅野久光

    菅野久光君 取りまとめたいと思っているんじゃなくて、十一月末までにということでできますかということを聞いているんです。
  122. 川上五郎

    説明員川上五郎君) 私どもとしては十一月末までに取りまとめるべく現在やっておりまして、その方向で努力しております。
  123. 菅野久光

    菅野久光君 先ほどいろいろ鉄道貨物会社の問題について、こうやれば採算がとれるなんということは、これはおっしゃらなくてもごくごく当たり前のことなわけですね。どこでも民間の場合にはそこが一番問題なわけでありますから、言わずもがなということだというふうに思います。  私は北海道でありますが、特に北海道は鉄道の貨物輸送のウエートが非常に高いというふうに私は思っているんです。そういう意味では、全国と北海道を比較した場合にはどのような状況になっておりますか。
  124. 松崎傑

    説明員(松崎傑君) お答えいたします。  五十九年度の貨物収入は千九百八十五億円でありまして、営業収入全体の約六%であるわけですけれども、このうち北海道の貨物収入というのは百九十八億円でありますから、全国鉄貨物収入の約一〇%というウエートであります。
  125. 菅野久光

    菅野久光君 北海道だけの営業収入のうち、貨物の占める収入の割合はどういうことになっていますか。
  126. 松崎傑

    説明員(松崎傑君) 北海道の営業収入は九百五億円でありますので、全体の約二二%を占めるという形になると思います。
  127. 菅野久光

    菅野久光君 全国六%ということから見れば、北海道の二二%というのは非常にウエートが大きいということは数字的にもはっきりしていると思います。この鉄道貨物会社のあり方いかんは、北海道の経済に重大な影響を与えるわけであります。何か伝え聞くところによりますと、国鉄自体でさらに北海道は十カ所もの貨物駅を廃止するというようなことを伝え聞いているわけでありますが、このことについてはどのようにお考えになっているのか、この機会にお聞かせいただきたいと思います。
  128. 松崎傑

    説明員(松崎傑君) 貨物駅につきましては、来年秋のダイヤ改正を予定しておるのでありますけれども、新しい貨物会社の大事な前提となるべきものでありますので、今、鋭意慎重に、先ほど運輸省の方からもお話がありましたように、全体の枠組み等との調整を図りながら鋭意国鉄自体として実務的な今勉強を続けておるところであります。まだ具体的にはいろんな勉強をいたしておりまして、今後個々の貨物駅につきましては、列車がどうやってできていくのか、あるいは駅ごとのいろんな特性等を総合的に勘案しながら決めていきたいと思っておりますので、まだ若干発表確定までには時間がかかるかなと、こういうふうには思っております。
  129. 菅野久光

    菅野久光君 先ほど言いましたように、北海道にとっては大変貨物の占めるウエートというのが大きい。しかしいろいろな、合理化の問題を含めて貨物駅をさらに減らすということになれば、当然それに伴ってウエートも低くなる。それで果たしてその新しい貨物会社がやっていけるのかどうかという問題もありますし、先ほど言いましたように、北海道の地域経済にとってもこれは大変な問題になっていくわけであります。そういう点ではひとつ慎重に、ただ単に民営化に移行するその前段の何か機械的な作業ということだけで、北海道の地域経済ということに与える影響というものを考えないでこのようなことをやる、廃止をするなんというようなことはこれは絶対やめてもらいたいということを、この機会に申し上げておきたいというふうに思います。  北海道はそれだけ貨物輸送のウエートが非常に高いわけでありますが、会社が今度は別になるわけですね。旅客会社とそれから貨物会社とに分けられる。そうすれば、当然その間でダイヤの設定に利害が生ずるというふうに思われるわけです。その点についてはどう思っておられますか。
  130. 石井康祐

    説明員(石井康祐君) お答えいたします。  先ほど運輸省の方からもお話がありましたけれども、具体的な計画といたしまして当然会社は別でありますが、線路が共用ということで、しかしダイヤは同時に両方を計画するということから、あらかじめそのための調整ルールを検討いたしておりまして、これを早期につくりまして、これに基づきましてダイヤの作成をしてまいりたいというふうに思っております。  また、そういうことから具体的にダイヤ調整をどう行うかという面でありますが、旅客会社と貨物会社が一応ダイヤ調整会議、これは仮称でございますが、こういった会議を持ちまして、その中で両方意見を出し合って、先ほど申し上げました調整ルールに基づいて具体的な輸送を計画していくというふうに現在考えております。
  131. 菅野久光

    菅野久光君 それぞれが独立会社ですから、それぞれのやっぱり利害というやつがあるわけですね。そういう意味では一定のルールとはいいながら、やはり会社の利益ということを考えた場合になかなかうまくいかないんじゃないかということを非常に私は懸念をいたします。このダイヤ調整のいかんによっては、やはり貨物会社はレールを借りるわけですから、当然何というんですかな、借りる側というのはやっぱり弱い立場に立たされるわけですね。そういうことでは、地元産業に重大な問題を引き起こすのではないかということが非常に憂慮されるわけであります。したがって、農産物や農業資材の輸送などの立場から農林水産省としてはどのようにひとつ、こういったようなことがいろいろお聞きのようにまだ具体的には決まっていませんけれども、非常に多くの問題があるということを踏まえてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  132. 鴻巣健治

    政府委員(鴻巣健治君) 農業関係の物資の輸送は、御承知のとおり国鉄の依存度がだんだん下がって、自動車による輸送の依存度というのが高まっていますが、北海道のようなところでは地域あ るいは品目、例えばジャガイモとかタマネギとか、あるいは乳製品、それから砂糖といったようなかなり大量にバルクで輸送されるものにつきましては、なお国鉄の依存度が高いわけであります。したがいまして、国鉄貨物部門の合理化案は、今やりとりがありましたように具体化しておりませんので、貨物の合理化が北海道農業に具体的にどういう影響をもたらすかは、まだ今のところ私たちも予測することは極めて困難だとは思っておりますが、これから貨物部門の合理化の案の検討経過を十分に注目いたしておりまして、農業に及ぼす影響を見きわめながら農産物の円滑な輸送に支障を来さないようにというのが私どもの基本的な方針でございまして、必要とあればいつでも関係当局等に対して所要の配慮を求めていきたいと考えております。
  133. 菅野久光

    菅野久光君 今、局長が言われたように、十分にこれからの貨物会社のあり方、そういったようなものを含めて農林水産省としてもやはり言うべきことはきちっと言うということで対処していただきたいと思いますし、先ほど言いましたように、国鉄当局には貨物駅の廃止ということについては慎重にひとつ対応してもらいたいということを申し上げて、国鉄の問題については終わりたいと思います。運輸省、国鉄、どうもありがとうございました。  次に、営林署の統廃合の問題でありますが、先ほど村沢委員から国有林野の問題についての基本的な事柄についていろいろ質疑のやりとりをしたわけであります。私も実は今度の営林署の統廃合で九署が一応その対象とされるということで、地元北海道の滝上にあります北雄営林署、これは長官も当時の北見営林局におられたということで状況はよくおわかりだというふうに思っておりますが、ここに行ってまいりました。  まず最初に、営林署が果たしている役割といいますか、そういったようなことについて、これは国有林野の問題については農林水産省設置法の第三十四条に出ているわけであります。ここに四項目出ておりますが、これらのことについては設置目的に沿ってきちっとやっておられるというふうにお答えいただけますかどうか、そこを最初にお伺いいたします。
  134. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) それぞれ設置目的に沿いまして業務を遂行しておるものと考えております。
  135. 菅野久光

    菅野久光君 ものと考えているということで、設置目的に沿ってやっておりますと胸を張ってやっぱり答えられないのが、私は林野の今の状況ではないかというふうに思うんです。それは、私は北雄のこの問題で行ったときに、朝の七時半過ぎに出て実際に山を見てまいりました。民有林国有林とを比べてみても、民有林の方はある程度手入れがいっているけれども、国有林の方は手入れが除・間伐の問題を含めていっていない。営林署は「民有林野の造林及び営林を指導すること。」、こうなっているわけですね。そうですね。指導すべき林野が、営林署が果たして本当に指導しているのかどうか。自分のところをちゃんとやらないでほかを指導するなんということができるのかどうか、その辺はいかがですか。
  136. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国有林の規模は日本森林の三割という大変大規模経営でございまして、森林経営目的におきましても、民有林の場合は大変きめの細かい生産目的などを立てましてそれに沿った森林施業が行われるわけでございますが、その点と比べますと、国有林の場合はこれまで木材生産の増大を主眼に置いておりましたので、多少施業内容につきましては精粗があろうかとは思いますけれども、それにしましてもやはり国有林はもって模範となるような方向を指向しなければならないし、そういう方向に沿った技術指導がされる経営内容でなければいかぬと考えております。
  137. 菅野久光

    菅野久光君 基本理念はわかりますけれども、そういう基本理念に従ったような現在の林野の状況ですか、そういうことをお伺いいたしたい。
  138. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 林業関係環境が大変厳しゅうございますので、それに伴いまして特別会計で運営しております国有林の財務内容が非常に苦しい、そういうことからいろいろとひずみと申しますか、そういう点も全くないとは申せない、やはりなかなか十分及ばない点も一部には出ておることは認めざるを得ないと考えております。
  139. 菅野久光

    菅野久光君 全く、一部なんというものじゃないのが今の状況だというふうに思うのですよ。それはいろんな財政事情等があることはわかります。そこに本当は根本的なやっぱり問題があるわけですけれども、そういう意味では、自分のところをきちっとやらないで民有林に指導なんというようなことはとてもできない。私は学校の教員をやっていましたけれども、自分自身がちゃんとやらないで子供にやれということを言ったって、それはやっぱり子供にきちっと伝わっていかないわけでしょう。自分が適当なことをやっていて相手にしっかりせいなんというようなことはこれはやっぱり言えないわけですよ。そういう意味では、私は今の国有林野のあり方というものに大きな疑問を抱かざるを得ないわけであります。  今回、九営林署の統廃合計画を進めているわけでありますが、今回選んだ九つの営林署、選ぶというか決めた基準だとか、あるいは考え方、それはどういうところにあったんでしょう。
  140. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 営林署の統廃合につきましては、近々と申しますか、六十二年までに十九営林署という明確な計画がございまして、全国に営林局、支局が十四ございますので、十四営林局、支局で今後十九を実行していかなければならない、そういうふうに考えますと、まずは営林局、支局押しなべて一つはどうしてもこのために汗を流してもらわなければならない。一時に、大変難しい問題でございまして、このごとによりまして地域への影響を極力少なくするように配慮しながら、しかも自分内部の組織の合理化を達成するという難しい仕事で。ございますので、いずれの営林局、支局につきましてもこれはやはり経験をしてほしい、そういう内容もそれぞれあるわけでございますので、そうなりますと十四になるわけでございますけれども、ことしは力計画をいたしておりますので、その中から九つを選定したのでございますが、管理面積や事業規模が比較的小さい営林署でありますとか、同一市町村に所在する、しかも近距離にある営林署、それから森林を管理しない営林署等につきまして、これを統廃合いたしましても、その後の組織体制におきまして国有林の管理経営に支障が出ないか、能率的な事業運営が図られ得るかということを検討し、さらにその統廃合によります社会的影響についても十分配慮して、総合的な判断のもとに選定をしたところであります。  結果、これまで営林署の統廃合を実施してない営林局等は、これはまず第一順位に当たってくるわけでございますし、それから管轄営林署数が比較的多い、あるいは前回、五十六年に統廃合を実施していない営林局等の中から選定をしたわけでございます。  国土の保全とか地域振興等、大変これは国有林経営活動を通じて達成されているものでありますので、この統廃合によりまして、これらの機能が低下しないように十分配慮をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  141. 菅野久光

    菅野久光君 どうしても必要があったから今まで営林署を設置したわけですよ。それを縮少していっても機能的に余り影響がないというようなことは、これは常識的には考えられないことですね。言えば、とってつけた理屈というふうに言わざるを得ません。今いろいろな考え方を言われましたけれども、その中で社会的な影響のより少ないことということを言われました。  端的に私が行ったところでお聞きしますが、北雄営林署の統廃合ということをやった場合に、滝上町について社会的な影響というものはないと考えられるのか、あるいはその影響についてどのように考えておられるのか、それをお伺いしたいと 思います。
  142. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) いずれの営林署の統廃合におきましても、統廃合によりまして組織機構が簡素化されますので、職員の配置転換等が行われます。したがいまして、そういう意味での人数の減少等が行われ、それに関連する事象もあり得ることではあると思います。そういう減少がございますのと関連しまして、町民、学校ですね、それへの影響はあり得るものと考えております。
  143. 菅野久光

    菅野久光君 社会的な影響がないなんということはないのですね。特に私が行っていろいろ役場の町長さん、あるいは議長さん、商工会長さんなどからもいろんな状況を聞きました。この滝上では人口の約六割が何らかの形で林業にかかわっている、そういう人たちなんですね。ここには滝上営林署と北雄営林署とがありますが、そのうちの一つがこういうことで統廃合ということになった場合に、この地域にとってはこれは大変な打撃であります。また、商工会の会長さんが言っておられました。国は、営林署を減らさなければならないんだからということでぽっと指名をして、そこから撤退をするということでいいのかもしれない。しかし、私ども商工業者にとっては動きようがないんです。そこに勤めている人たちを動かすときには、転勤旅費なり何なりを払ってそれはどこへでも行けるでしょう。しかし、私どもはここから動くわけにいかないんです。それこそ先ほどの水産の減船交付金じゃないけれども。収入がやっぱり減るわけでしょう。そういう中でどうやって私たちが生きていけばいいんでしょうか、生きていくすべを教えてもらいたい、あるいは国が救済をしてください、そうでなければ私どもはこれは認めるわけにいかないんだと。本当に商工業者にとってもまた死活問題であります。  だから、私が行ったところでは、ほかの方もいろんな状況があるんだと思いますけれども、この北雄の営林署の統廃合の問題について滝上町として抱えている問題というのは、私はやっぱり大変な問題だ。ただ単に営林署を統廃合するということだけではなくて、そこに住んでいる住民、そして商工業者、この人たちに大変な影響を持っているということを、そのときに私は実感として把握してまいりました。  まさに過疎という問題からいってもこれは大変な問題でありますが、そういうことを踏まえながら、もう私の質問の時間が来ましたので、先ほど長官条件の中に社会的な影響ということを言っておりましたので、極めて社会的に影響の大きいものだということについてどのようにお考えでしょうか。
  144. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 先ほども申し上げましたように、全くそういうふうな影響についてゼロにするということにつきましてはこれはできないことであろうと思いますが、やはり営林署統廃合のよって来るところを十分御理解いただく。確かに今まで大変大きい存在ではございましても、営林署がよって立っておるところの国有林野事業特別会計が大変な財政危機、財務内容になっておりまして、基本的にそこの立て直しがなければ全国の営林署につきましてもさらに苦しい状態にもなる。そのために情勢条件の許されるところからそういうことに着手せざるを得ない。そういうことにつきまして、どこまでも地元の皆さんの御理解をいただく努力を重ねていきたいと思っております。
  145. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私の時間も大変少ないわけでありますので、できるだけわかりやすく簡潔に御答弁をいただきたいというふうに存じます。  そこで、最初に簡単なことからお伺いをいたしたいと思います。  先日、消費者米価の値上げについて大蔵省が何かコメントしておりまして、それに対して今度は、それから翌日だったでしょうか、何日かたったとき佐藤大臣の閣議後の談話というのも新聞で拝見をいたしました。消費者米価問題については、これは生産者もあれですけれども、同時にまた全国民の重大関心事でもございます。毎年の値上げということはこれは大変な問題になっておる、こういうふうに思うわけでありますが、あの新聞記事にありましたように、大臣は絶対に消費者米価は今回は上げないというふうに御決意になっていると受け取りましたけれども、確認で恐縮でありますけれども、そういうふうに受け取ってよろしゅうございましょうか。
  146. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 稲村先生にお答えいたします。  今、御指摘のとおり、十一月一日の閣議後の記者会見におきまして、大蔵省の方針として報道されたことに関連しまして新聞記者から質問がありましたので、財政の観点からのみで考えるべき問題でないという趣旨で個人的見解を述べたところでございます。
  147. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ちょっとよくわからぬのですけれども、値上げは抑える、とめるんですか、それとも値上げすることがあっても財政上と言われるとしようがないなと、そう思っておいでになるんですか、そこをはっきり言ってください。
  148. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今申し上げたとおりでございまして、財政の観点からのみで考えるべき問題ではないという趣旨で強く個人的見解を述べたわけでございます。
  149. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、最近大変残念なことでありますけれども、何かすると大蔵省の談話の方が先に出てきているというようなことで、何か方針がそれで決まってしまうような、財政上のことが大変なことはわかりますけれども、それが理由の方が先に立って、そして政策的なことも各省庁の所管のことも何か大蔵省が決めていくようなこんなあり方というのは、これはけしからぬと思うんですね。ですから、こういう勝手に新聞発表などを大蔵省がされるなどということがないように、やはりこれは閣議の中でもきちんと大臣から主張していただいて確認をしていただくことが必要なんじゃないだろうか、そう思うんですけれど、いかがでございましょうか。
  150. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実はこの新聞記者の報道につきましていろんな意見もございますが、だれがどう言ったかというのはわからないんです。新聞に流れているということで、そのことがございます。いろいろ確認してまいらなければならぬと思っておりますが、今おっしゃった点を十分踏まえながら農林水産行政を進めていることを御理解願いたいと思うわけであります。
  151. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 くどいようで恐縮でありますけれども、この間もそういうことがあったんですよ。大蔵省のだれがしゃべったかわからぬ、どこから出たかわからぬということで、責任の所在がはっきりしないまま新聞記事だけが先に出る、こういうことが再三起こったのでは私は大変重大なことだと思うんですよ。ですから、今後こういうことが絶対に起こらないようにという、そのためのやっぱり歯どめをきちんとしておいていただきたい。そうでないと何のために米価審議会があるのか、何のために農政を担当する農林水産省というのがあるのか、こういうことにもなるわけでありますので、ぜひ大臣のそういう御努力をお願いをしたいというふうに存じます。  次は、ちょっと今度は農林水産省の方にはしばらくやりとりを聞いていただきまして、それから農水省のひとつ対応をぜひお願いをしたい、こう思っておりますことを申し上げますので、よろしくお願いしたいと存じます。  そこで、国鉄の方おいでになっておられますか。——先ほども菅野委員から国鉄の貨物輸送についていろいろと話がございましたが、いずれにしましても、私どもは農水産物の輸送というものについて国鉄の果たしている役割というものは非常に大きい、そういうふうに思いますし、特に私は新潟県でありますから、米の輸送というものは、これは政府米はもう国鉄に頼り切っておる、こう言ってもいいような部分もあります、直送分ですね。というところもあろうと思います。ただ、何か国鉄の貨物の会社、新会社という構想というのはまだ実態がどうもよくわからぬようであります。その辺のところで大変心配になってくるところがあるわけでありますが、こういうことを申し上げますのは、現在の国鉄についてもいろいろと地域では不満があったり、極端な言い方をすれば不信感になっている部分もあります。  農林水産大臣は活力ある農村をつくる、こういう意気をいつも示していただいているわけでありますが、その活力ある農村地域というのは大体過疎地域であったり、あるいは農村地域ということで、何か都市中心の国鉄になっているんじゃないだろうかというようないろいろ不満なども出ているわけであります。  そこで、少しその実態等含めてお伺いをしてみたいと思います。  今、先ほどのあれで、貨物の新会社というのはレールを新会社と共用されて、そして全国一つの会社と、こういうお話なんでありますけれども、農産物の中でも生鮮食品でも起こり得ると思いますが、民間の会社は分割されるわけでありましょう。そうすると、米等でも会社を超えて輸送をされる場合というのも結構あると思うのでありますけれども、さっきのあれでは民間の会社と契約がなんかをされてレールを共用される、こういう形になるのでしょうか。あるいは共用ということですから、何か両方で財産は共有するというような形になるのでしょうか。
  152. 松崎傑

    説明員(松崎傑君) 今私どもが勉強しておりますのは、運輸省の御指導をいただきながら一緒に実際面のいろんな勉強をさせていただいておるんですけれども、貨物会社は全国一本で運営するという形になっておりますので、レール等の基礎施設はどうしてもやはり旅客会社が所有する形になると思いますので、その旅客会社に対して一定のレール使用料的なものを払って運営していくということで、その辺の具体的な旅客会社とのやりとり等について今いろいろ勉強中であるという状況であります。
  153. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 御勉強はよくわかりますけれども、しかし実際はいろいろな影響が出てくることでありますし、今いろいろと監理委員会から提起をされた方向というのも、言ってみれば経済性をかなり考えるという形になると思うわけであります。  そういたしますと、それぞれの旅客会社の部分の採算とのかかわりで言ったときに、例えばダイヤ上、夜なら夜貨物列車が通る、そういうようなことが起こったときに、わざわざ貨物列車の輸送のために人員を配置する、安全確認のために人員を配置するというようなことというのは、それぞれの会社が、うんと利益が上がる路線ならやっていただけるでしょうけれども、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 利益の上がらないような路線のときというのはやってもらえないようなことが起こるんではなかろうか。そんな細かいことまで御勉強になっているんでしょうか。
  154. 松崎傑

    説明員(松崎傑君) 今は一緒で旅客と貨物をやっておりますから、全体としての判断でやっておるわけでありますけれども、私ども来年秋にダイヤ改正をやるということにつきましては、これは国鉄一本のままで今やっておりますので、できるだけ旅客会社あるいは貨物会社のそれぞれやはり効率を目指して努力をしなきゃいかぬという形になりますので、私ども今、運輸省等の御指導をいただきながら新しい貨物会社の会社づくりのためのいろんな諸前提なり枠組み等いろいろ勉強中でありまして、そういったものとも関連をさせながら具体的なダイヤ改正作業をやっております。  やはり高品質でコストが安い、しかも独立会社としてやっていけるようなそういったものにしなきゃいけませんので、いろいろ効率の悪い部分というものについてはやはり見直しをしなきゃいかぬというふうには思っていますけれども、この会社は営業をやって相応の物を運ばなければ意味ありませんので、そういったことを踏まえて今いろいろ勉強中でありますけれども、やはり貨物列車はかなりの部分が夜走らなけりゃいかぬということもありまして、もちろんコスト増の要因にはなりますけれども、やはり旅客もまだ夜行列車もありますし、そういったことを効率的に全体としてやる中で私ども今いろいろ勉強中だというふうに御理解いただきたいと思います。
  155. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 不安なことを挙げていけばそれこそいろいろと出てくるのですけれども、全体の姿が望洋としてまだ何も示されておりませんのでよくわかりません。ただ、私どもは、積極的に貨物輸送も今後量的にも確保していただくという御努力をしていただかなきゃならない、そう思うんであります。そのためには、例えば米の輸送というようなものについていろいろと工夫を凝らしていただきまして、そして便宜を図れるように、そういういろいろな御努力をいただかないと、今いろいろと気にしている不安がみんな現実になっていくんではないだろうか、そう思うんです。  このことは、私どものところでいけば貨物取扱廃止だ、かなり米どころで米の集荷が多くあって、駅前に農笛の倉庫を置いて、そこからみんな出荷をしていたというようなところが廃止をされたという過去の経緯がありました。そういう中で、やっぱり地域にはかなり不満があります。そして、そのためにだんだん国鉄を利用しないという、そういう側面をつくっていくわけであります。そんなことにならないように、むしろ積極的に拡大をしていく御努力をいただきたい、こんなふうに思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  156. 松崎傑

    説明員(松崎傑君) 私どももやっぱり営業といいますか、荷主さんあっての貨物営業というふうに思っていますので、その点は十二分に頭に描きながらいろんな作業に取り組んでおるわけでありますけれども、かなり貨物部門がコストが高いというのもこれは原価計算上明らかでありまして、鋭意、今直行体制の深度化という形でコスト削減に努めておるわけです。特にお米の輸送というのは、かなり私どもにとりましても大きなウエートを占めておりまして、大事な物資の一つだというふうに認識しております。  ただ、五十九年二月のダイヤ改正ですとか、あるいは六十年三月のダイヤ改正におきまして、いわゆるヤードをなくしてきた結果、米の輸送もかなり食糧庁さんの御指導もいただきながらコンテナ化の方向へ少し誘導していただきまして、今コンテナのウエートはかなり高まってきておりますので、今後ともやはりコンテナで、コンテナ輸送というのは比較的直行体制になじんでおるものでありますから、そのコンテナ化へ少し誘導していただくということと、それから必要により現在でも十月あるいは十二月といったような時期には米のコンテナあるいは始発化による臨時列車等も出しております。今後とも私どもお米の輸送は大事な輸送というふうに認識しておりますので、できるだけ需要動向等を把握し、また全体の貨物会社のあり方等も十分にらみ合わせながら慎重に検討を進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  157. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そこで、食糧庁長官もおいでになりますから、米の輸送ということなんですが、私どもは現在の国鉄でもいろいろと疑義があります。いろいろ不満があります。こういう状況が各地にあるわけでありますが、それだけに分割・民営などという形の中で、もちろん営業であるからなおさら採算を中心にということになると思うんですけれども、それだけに、採算のことを理由にして米の取り扱い等が不便になるようなことがないように、現状から後退をするようなことがないようにという立場で、やはりこれからの政府部内の、あるいは国鉄との話——新しい会社になるかどうかわかりませんが、そういう過程の中できちっと主張をしていっていただきたい、こう御要望申し上げておきたいと思うんでありますけれども、それにこたえていただけますでしょうか。
  158. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 今、御指摘の国鉄における合理化問題と全く同じという趣旨ではございませんが、食糧庁自身が米の管理に関する各種の合理化を図らなきゃいかぬと思っております。特に貯蔵とか、あるいは輸送とかという分野あるいは包装といったような分野につきましても、いろいろ私ども自身、合理化措置をとっておるわけでございますが、そういうものと現在あります輸送手段、御承知のように県間、県を越えます輸送の半分は国鉄を使っておりますが、そういうものとのかみ合わせと申しますか、私たち自身、極力コストを下げながら、しかも適正に時期だとか、米の場合いろいろなことがございますから、そういうものを組み合わせながら、こういう輸送をやっていきたいと思っております。  先ほどお話にもありましたように、昨年もそうでございますし、ことしも秋冬季の専用列車、これは国鉄の方でもコストを下げるようにという御努力もありますし、私の方でも、そういうものを一括して使いますことによっていわば輸送の円滑化ができるわけでございますので、そういういろんな知恵を出しまして、新しい国鉄の輸送のシステムと我々の合理化がマッチするように、努めて早い段階からよく話し合いをやっておくべきことだと思っております。
  159. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 食糧庁の合理化ということについてはそれはまたそれなりの別の角度からの意見もありますけれども、要は、それぞれの合理化のことだけが先行して、その地域住民なり生産体制なりというようにことに影響があってはならぬと、そう思いますので、その辺のところはしっかりと踏まえていただきたい、こう思うわけであります。  そこで、貨物のことはその程度にさせていただきまして、私のところは雪国でもありますので、いろいろと雪国に伴う問題点が国鉄の場合にございます。しかも、雪国の中で一番そういう被害を受けるのは農村地域の住民なわけでございます。  そこで、これはもう時間がございませんから、細かいことはまだ幾つも幾つもあるんでありますけれども、その時間がございません。ただ、地域住民にとってはこんなことが随分不便になっているという旅客輸送の関係の実態というものについて、一、二の点でお伺いをしてみたいというふうに思います。  一つは、これは私が利用しております新幹線の燕三条駅。新幹線ができたことは大変便利になったのでありますけれども、新幹線そのものは便利だけれども、それとの接続だとかなんかという関係の中で、地域の周辺の農村、私どもの駅は、三条はいいですけれども、三条の周辺の農村地域、これが非常に不便になってきております。ということで、その辺の不満がいろいろとございます。  例えでいきますと、ついつい細かいことを聞いて恐縮でありますけれども、燕三条駅が十七時四十二分着の「とき四一一」号というのに乗ってまいりますと、東三条に向けて発車する接続の弥彦線の発車時間がやはり十七時四十二分。到着と同時に燕三条を発車するという形になっているんでありまして、これは単線ですからいろいろ技術的な問題があるというふうにも伺いましたが、しかし工夫の余地が全然ないわけじゃないはずだ。こういうことを申し上げると恐縮でありますけれども、その着くちょっと六分前とか何分前にもう弥彦線の東三条駅行きが出てしまっている、あと一時間ぐらい待たなきゃならぬ、こういうようなダイヤ等がございます。それが今度、東三条でさらに乗りかえて今の農村地域へまた行かなきゃならない、こういうことになるわけでありまして、この辺のところにも現在の国鉄でもそういうことでそういう人たちは何かこう不信感があるわけでありまして、これが営業ということになると、なお新幹線を利用してそこへ乗る人が数が少ないものだから、利用者が少ないということでますます無視をされるんではないだろうか、そういう心配をしているんですけれども、これは新しい会社になるときには新幹線とのかかわり、こういうものというのは一体どういうふうになりますでしょうか。
  160. 石井康祐

    説明員(石井康祐君) お答えいたします。  先生が御指摘のように、燕三条駅で十七時四十二分に、これは「とき四一一」号という新幹線が到着いたしまして、同時に弥彦線で東三条行きが発車をする時刻でございます。  実は、先生もうよくおわかりだと思いますが、弥彦線は燕三条駅で新幹線との接続を持っていることのほかに、これは吉田という駅で越後線と接続をいたしております。それから、これは先生からもお話がありましたように、東三条駅で今度は信越線とも接続をしておるということでございます。我々、接続はすべてがうまくとれるという努力を当然しているわけでありますが、なかなかこの線区、これも先生からお話しありましたように、単線区間ということで、上下の列車がある駅で行き違いをしながら効率的に動かさなきゃならぬということで、これらの制約条件の幾つかを満たしながらダイヤを設定しておるところであります。なかなかすべてに満足ということがいきませんで、現実はこういうダイヤになっていることも事実であります。  それで、その制約条件の中でやはり幾つかウエートがありますから、それを重点的に考えた結果こういうことになったというふうに御理解いただきたいんですが、この列車は夕方の通勤列車で、新潟から直通で弥彦線に入ってまいりまして、これはちょうど吉田駅で弥彦駅から来る列車を接続いたしまして、さらに燕三条駅で新幹線の、下りはこのような状況になっておりますが、上りの
  161. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いや、言いわけをそういろいろと言っていただかなくていいんですよ。
  162. 石井康祐

    説明員(石井康祐君) そういうことで、いろいろ事情があります。接続につきましては、これは当然我々、輸送する上では大事な要素でございますし今までも努力してまいりましたけれども、今後とも努力をしてまいりたい思います。
  163. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 時間もありませんから、それは言いわけをされればそれなりの理由があると思う。その理由についてまた私は疑問がいろいろと出てきますから、そういうことをやりとりをしていたら時間がとても足りなくなります。ですから、ただ工夫の余地がないわけじゃないんですということだけ私は申し上げたい。  ということは、今、東三条から戻ってくる汽車、単線ですから当然行き交うことはできないんですから、そこはわかります。しかし、接続をするためにというその上りの列車は、いずれも全部臨時列車なんですよ。季節列車なんですよ。その季節列車でなくて定時、正式のダイヤのそれに接続をするとすれば十分時間はあるんです。ということになりますと、その辺のところの工夫はいろいろとできるはずではないですかと。私は、都市の便利ということを考えることもそれは大事なことですけれども、やはりそういう農村地。域という、その地域の住民の利用ということについて十分に心を砕いて、そういうダイヤも考えていただかなきゃならぬと思います。  こういう点で私は、やはり農林水産省の方からも、そうした新会社に移行することによって、利益本位で変わるようなことが絶対ないようにということをやはり常に心がけ、そんなことがありそうだったらきちっと主張していただきたい、とめていただきたい、こういうふうに思うんでありますけれども、その辺はひとつ大臣、ちょっと見解を聞かしていただけますか。
  164. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 稲村先生にお答えいたします。  実は、私はかつて運輸政務次官をやったことがございます。そんなことで貨物の問題を若干研究したわけですが、当時、実は売り上げが一割、人員が三割というのが貨物の実態です。そんなことで、私実はいろいろ聞いておりまして、特に貨物の大きな問題の一つは公共負担をどうするかという問題、例えばお米の輸送、それからもう一つは輸送効率をどうするかという問題、例えばトラックとの採算基準がたしか今四百三十キロでしたか、四五三十キロで、結局四百三十一キロになると国鉄が有利、四百三十キロまではトラックの方がたしか安いと思いました。  そんなこともありまして、そういう点配慮をして公共輸送をどうするか、それと公共負担をどうするか。一番大きな問題は、厚生関係の割引等を含めてどうするか、こんなことを含めてが大きな 問題だったと、こう思うわけです。  それからもう一つは、率直に言いまして、ずっと見ておりまして、やはり新幹線に中心が置かれております。そんなことで、新幹線が開通すると若干の不便をこうむる。ただし、そのかわりサービスを、例えば特急を普通にしたり急行を普通にして、特急を急行にして、車両をふやす形と違った、したがって時間でかなりサービスはしている。これは僕の選挙区でも同じです。ということで、そんなこともございます。  そういうことで、今おっしゃることはよくわかりますが、そういう点を含めてまた運輸省当局、国鉄によくお願いし、そういうことのないように努力したいと思っておりますので、そのかわり公共負担の問題、大きな問題と考えてやらぬと国鉄はかわいそうだと、こう思っていますので、その点の御理解をお願いする次第であります。
  165. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 大臣の言われたこともわからぬわけじゃありませんが、ただ、公共負担ということの中でいろいろと言われましたけれども、例えば今の貨物の取り扱いを廃止した私どもの地元のある駅では、今度は棒線化と言いまして、列車の、三本ある真ん中に一つ待避の線がある、その待避の線を取り除く、そういうために大枚の銭を使ってやるというようなことをやっているんですよ。そこの駅の一日の売り上げは大したことはありません。にもかかわらず、年商売り上げの半分以上の金額を投資して外すっていうんですよ。  外さないで、そこのところ、ただ行けないように何かのあれをしていただくとか何かしながら、それを使わない方法だってあるでしょう。何も金を投ずることもないでしょうという問題などもありますし、必ずしも公共負担がふえないようにという努力を国鉄さんが、今すべての点で主体的には努力していると思っておられるんでしょうけれども、仮に民間会社になったとしたら、当然常識的に考えて、その民間会社になったところが線路を金をかけてもおっ外すのか、あるいはとめたままにしておくのかというようなことを判断すればいいことなんだろうとも思うんですよ。それを今投資するというようなことをやっておられるわけですから、どうも公共投資をどうするかという問題の中にはいろいろとまた考えさせられるような問題がある、こういうことも踏まえていただきたいと思うんです。  時間がなくなりましたので、国鉄問題に……
  166. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 運輸省に答弁させたらどうですか。
  167. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いやいや、今の点まだ言っていますとかなり時間がまたかかってまいりますので、国鉄問題は以上にしておきます。  まだ実は厚生省さんにも聞かなきゃならないし、林野庁にも聞かなきゃならないことが一つございました。厚生省さんには、この間、五十三年産米の五〇ppm以上のものは十万トン食糧庁の方で留保しておられたわけでありますけれども、それに対しての専門家の会議の結論が出たということで、五〇ppmから六〇ppmの米をしょうちゅう原料に使ってもいい、こういうことを出されたようであります。しかし、これは、私は前の本委員会での質問の中で、特に中古米中のジメチルスルフィッドという物質等の問題についていろいろと御質問したことがございました。そのことについては御検討になった結果、ということは、中古米中にジメチルスルフィッドというものの前駆物質が臭化メチルで消毒することによってできる、そして、それが、今度はアルコールに醸造するとすると、醸造の過程の中でそのジメチルスルフィッドという物質になる、こういうことが醸造試験所であるとか、あるいは兵庫県の工業試験場であるとかというところの論文としてもう既に出されておりますということを指摘をしておりますけれども、その辺のところは御検討になったんでしょうか。
  168. 内山寿紀

    説明員(内山寿紀君) 今の先生の御質問の件でございますけれども、臭化メチル薫蒸処理米を原料として試験製造されましたしょうちゅうについて、放射性同位元素を用いた精密に分析した結果では、臭化メチルに由来するメチル基につきましては、しょうちゅうの製造過程でほとんど除去されておりまして、最終製品に微量に検出されるメチル基部分はほぼメタノールでございまして、この量は通常のしょうちゅうなどに含まれる量に比較しまして極めてわずかであることが判明しております。その他、臭素も最終製品から検出されないこと等から、専門家会議の御結論としましては安全性に問題がないという結論をいただいてございます。
  169. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ごく微量とおっしゃいましたけれども、微量というのがどの程度なのかということもございますけれども、それは、そうすると具体的に実験をいろいろとされてデータをとられた上で検討をされたということですね。
  170. 内山寿紀

    説明員(内山寿紀君) 今の御質問の件につきましては、食糧庁の方から資料をいろいろいただきまして、それを専門家会議の方で検討をしていただいたものでございます。
  171. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それは、実際には具体的に厚生省の方では、そうするとそういう今のこれらの実験というものをされなかったんですか。データは直接はとられなかったんですか。食糧庁でやられたんですか。
  172. 内山寿紀

    説明員(内山寿紀君) 食糧庁の方から検討依頼がございまして、その際に食糧庁の方から公的なデータをつけていただいております。それを専門家の会議の方へ諮ったということでございます。
  173. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それじゃ食糧庁に伺いますが、どういう資料が、提出されたんでしょうか。
  174. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御相談をしました際に、そういうことがわかるような資料を出してほしいというお話がございましたので、私も専門家じゃございませんのでよくわかりませんが、何か大変高度な機械も要るようでございましたので、そういう機械も醸造試験所、それからもう一つ、農業環境技術研究所といったところにそういう機械も置きまして、そういうデータをつくりましたものを厚生省の部会の方へお渡ししたわけでございます。
  175. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 長官内容はおわかりにならないというのは私も無理はないと思うんですけれども、そうすると、私の方に後でその資料はいただけますか。データをいただけますか。
  176. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 資料の取り扱いにつきましては何か技術的にいろいろあるようでございまして、よく内部で相談をしましてお答えをいたします。
  177. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 取り扱いについていろいろとあるようですと言うけれども、人命にかかわる問題ということなんでありますから私も勉強をしたいと思う。ですから、当然これは私は欲しいと思いますので、ぜひ出していただきたい。そのことでまたやりとりしていて時間がなくなりますとあれですから、ぜひ出していただきたいと思います。要望しておきます。  それで、あと飼料化のえさの問題も触れたかったんでありますけれども、また委員会は何回もあるわけでありますから、そういう時期に伺うということにいたしまして、最後に、やはり気になっております営林署の統廃合の問題、もう一度だけ聞いておきたいと思います。  村沢委員からも菅野委員からもいろいろと言われたんでありますけれども、最後のところ、どうも私もわからないんであります。  そこで、地元との了解といいますか、理解が得られるように最大努力をされるという意味のことを言っておられますけれども、その地元の理解というのは、じゃどういう理解をしてもらうための作業を今までしてこられましたか。そしてまた、地元というのは大体どういうところを地元というふうに言っておられるでしょうか、これは自治体だとか団体だとかいろいろとありますけれども。
  178. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 統廃合に伴いまして、国有林野事業の機能の低下でありますとか、地元関係者に対しますサービスの低下というものを極力防ぐように、いろいろな代替措置をその地域の実情に応じまして我々考えているところでございます。営林事務所の設置でありますとか、分室でございますとか、これまでもいろいろな形のものが置かれたわけでございますが、今回もそういう具体的な問題につきまして地元の御意見も聞きながら代替措置の説明をする。  その場合には、やはり一応地元の自治体、それからやはりこれまでいろいろと密接な関係のありました団体等に対しましてもそういう説明はいたしておるところでございます。これは大方の御理解が得られたというふうな私ども気持ちになるまでやはりそういう御説明を続けて、その上に立ってできるだけ円滑な実施を図ってまいりたいということであります。
  179. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 念押しをして恐縮でありますが、そうすると今の長官の御答弁で、大体見切り発車などということはやらない、地元の十分に理解を得るような努力をして自分たちの方で理解されたと思うまでと、こういうふうに言っていますから、見切り発車はしないという観点で物を言っておられるんだと私は受け取りますが、あくまでも地元の納得ということを重視をして、そこに重点を置いて今後の対応をされるということでしょうか。ここをもう一度確認をしたいと思います。
  180. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 地元との対応を重視いたしまして対応する、そのとおりでございます。
  181. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 済みません。見切り発車はしませんね。
  182. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 私ども、誠心誠意尽くしたということがちゃんとやはり理解いただくように、最大限の努力をいたします。
  183. 成相善十

    委員長成相善十君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  184. 成相善十

    委員長成相善十君) この際、村沢君から発言を求められておりますので、これを許します。村沢君。
  185. 村沢牧

    村沢牧君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の六派共同提案に係る森林林業林産業活力増進に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     森林林業林産業活力増進に関する決議(案)   近年、森林の有する公益的機能の維持増進に対する国民の要請は急速に高まってきているが、一方では、外材の大量輸入のほか、木材需要の低迷、林業諸経費の大幅な増嵩等により、健全な森林の育成に欠かせない間伐・保育の遅れがめだつなど、林業林産業の生産活動が停滞し、森林の有する多面的機能の高度発揮に支障をきたしている。  他方、国有林野事業は、林産物計画的・持続的供給、公益的機能の発揮、農山村地域振興への寄与等その使命を果たしてきたが、財務事情の悪化等からその経営改善を図ることが急務となっている。  また、昨今、木材輸出国が我が国に対して木材関税の引下げを要求してきており、厳しい対応を迫られている状況にある。  さらに、近年、森林資源が世界的に急速に減少しつつあり、この状態が続くならば、将来において地球的規模で環境への悪影響が増大するものと憂慮され、緑の維持・造成は人類にとって重要な問題となっている。  よって、政府は、国際森林年を契機として、また、来るべき国産材時代を展望して、木材需要の拡大、木材産業の体質強化間伐・保育の促進、林道の整備等森林林業林産業活力増進及び国有林野事業経営改善のため、積極的な施策推進を図るとともに、森林の維持・造成の分野における国際協力の一層の拡充を図るべきである。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  186. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまの村沢君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 成相善十

    委員長成相善十君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣
  188. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を体しまして今後鋭意努力をいたしてまいります。
  189. 成相善十

    委員長成相善十君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  190. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  191. 刈田貞子

    刈田貞子君 質問さしていただきます。  私は、去る七月、政府が発表されたODA、政府開発援助第三次中期目標にかかわって農政の立場の問題を少しお伺いしたいと思うわけでありますが、あわせて外務省の方にも御質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それに先立ちまして、けさ、タンザニア北部で起きた青年海外協力隊の事故についての概要の御説明からお伺いしたいわけですが、私はことしアフリカに参りまして、あちらで活動している協力隊のメンバーとの懇談等を重ねてまいりまして、非常に身近な事故として大変に残念に思っていることでございますので、テレビ、ニュース等では聞きましたけれども、外務省の把握していらっしゃるお立場で、けさ報道がありました事故について御説明をまずお伺いしたいと思います。
  192. 大島賢三

    説明員(大島賢三君) 御説明申し上げます。  現地との通信状況が必ずしも十分でありませんので、まだ詳しいことはわかっておりません。現在把握中でございますが、けさ早朝入りました第一報によりますと、昨日、二十一日夕刻、現地の夕刻五時ごろだそうでございますが、タンザニアの北部におきまして青年協力隊員十人を乗せましたマイクロバスが、対向車線を走ってきました大型のバスと正面衝突をいたしまして、マイクロバスは大破をいたし、乗っておりました十名の協力隊員のうち六名が亡くなられ四名が重傷を負われた、こういう痛ましい事故が発生したという報告に接しております。  今回事故に遭遇された隊員の皆さんは、東アフリカのマラウイ、タンザニア、ザンビアの三カ国に派遣中の方々でございまして、八名がマラウイに派遣中、一名ずつがタンザニア、ザンビアにということでございました。それで、目下のところ、さらに詳しい状況の把握に努めておるわけでございますけれども、とりあえず重傷を負われた方々については現地の病院に入院をし手術を受けつつあるということでございます。  以上が概況でございます。
  193. 刈田貞子

    刈田貞子君 日本の海外援助のいわゆる実践部隊として、私はこの協力隊のメンバーの活動をつぶさに見てまいりまして非常に感銘を受けておる者の一人でございますので、大変に痛ましいことであるというふうにけさ思った次第ですので、今後の事後処置ですね、そういうものについても十分の御配慮をいただきたいということを要望いたします。  問題に入ります。  十一月十三日、イタリーのローマのFAOの総会で我が農林事務次官、角道次官が演説をなさいました。その演説の中身は、世界全体としての生産は食糧については伸びている、アフリカの諸国では例を見ない食糧危機が発生しているので、これについて先進諸国が協力をしていかなければならないということを述べられた上で、日本の先ほど申し上げました政府開発援助の計画を述べられ、予算が八五年から九二年の七年間に倍増をされていくということ、総額で四百億ドルを目標にしているというようなことを述べられて演説をなさったということなんで、私は世界に向かってこういう宣言をなさることを大変結構なことであるというふうに思うわけであります。  そこで大臣にお伺いいたしますが、こうした次官の演説等も踏まえて、これからの開発援助、こういうものに対する大臣の抱負からまず伺わしていただきたいと思います。
  194. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 刈田先生にお答えいたします。  今、先生指摘のとおりでございまして、私が国会開会中でお伺いできなかったものですから角道次官に現地へ行っていただきまして、今、先生のお話のような演説をしましてかなり世界各国の反響を得た、このように聞いているわけでございます。  我が国は、開発途上国の経済開発と民生の安定、向上を支援するため政府開発援助、ODAでございますが、その拡充に努力しているところでございまして、特に食糧、農業開発のための協力を重点分野として推進することとしております。  農林水産業協力は三つございまして、その一つは、食糧不足に悩む開発途上国の食糧増産を図ること、また、その多くが農業国である開発途上国の国づくりに資するものであること、また、食糧、木材資源等の供給の相当部分を海外からの輸入に依存する我が国をめぐる国際的な需給環境の安定に資するものであることから、これを積極的に推進することとしております。  国際協力の実施に当たっては、我が国の農林水産業に関する経験、技術の蓄積を活用し、相手国の自然条件や農民の状況等、現地の実情に即し真に相手国のためになるよう、きめ細かい配慮をして推進してまいりたいと考えております。
  195. 刈田貞子

    刈田貞子君 外務省にお伺いをいたしますけれども、日本のODAの事業は、これまで戦後の賠償という形を変化させながら続いてきているわけであります。この経済協力評価報告書も読ましていただきましたんでございますが、これまで日本で行ってきた開発援助事業というものの中で農業分野が占めている役割と申しましょうか、そういうものに対してどんな評価をお持ちでいらっしゃいますか、お尋ねいたします。
  196. 平井慎介

    説明員(平井慎介君) 先生指摘のとおり、開発途上国の開発におきまして農業分野は開発途上国自身の非常に高いプライオリティーの置かれている分野でございますし、我が国といたしましては、これら諸国の農業開発に対してできる限りの援助をこれまでに進めてきたわけでございます。  外務省は、これまで毎年百件前後の評価を実施しておりまして、農業分野の日本の協力につきましては約五十件の評価を行いました。その結果は、先生ごらんのとおり報告書に公表しているとおりでございます。その結果につきましては幾つかの問題はございますが、おおむね満足すべき成果を上げており、相手国政府も我が国の農業分野における協力に対して高い評価を与えていると、かように判断しております。
  197. 刈田貞子

    刈田貞子君 その評価の問題でございますけれども、私もことしの夏、ケニアのほか数カ国を歩きながらODA事業について、いささかではございますが自分の目でいろいろなことを確認したく歩いてきたわけですけれども、評価の仕方の難しさというものを大変に感じてきた者の一人でございます。  その中で、特に農業という事業に関しての評価の難しさのようなものを特に感じてきたというふうに申し上げた方がよろしいのかと思うんですが、例えば評価の尺度をどこに置くかというようなこと、これもここに書かれておるようでございますが、それからまたタイミング、特に農業なんかは、どこの時点でその事業を評価すればいいかというタイミングの問題なんかが農業の場合は特に大きな意味を持つんじゃなかろうかというふうに思います。それから技術移転の問題、あるいは自助努力がどのくらい進んだかというようなものの評価の仕方の問題ですね。この問題について私は非常に関心を実は持ったわけでございまして、特に農業に関して評価の仕方のテーマを実は持ったんですが、その中で、こういう具体例をきょう申し上げるつもりはございませんでしたけれども、ちょっと申し上げてみないとわからないと思うので概略言いたいことを言ってみますと、タイの養蚕開発の問題ですね。  タイの養蚕の問題は、当初は例のタイシルクのたて糸の問題で、このたて糸を中国から輸入していた、それを自前でやりたいということがプロジェクトの目的だったわけですね。それで、そのたて糸に適当な蚕を開発し、そしてそれに必要な桑ですね、桑畑の改良をしたということの面においてはそれは成功なんですね。ところが、今度はその目的のたて糸が百トンですか、百トンが目的で増産をされなければならないはずのものが、五十八年時点で二十六トンしかできない。これの事情をここにお書きになっているわけです。私はそれを見ますと、つまり非常に事前調査がまずかったのではないかという感じを実は持ったわけなんです。  それで、そのたて糸の百トンが生産できなくて、結局依然として中国からそれを輸入しているという事情が続いている中で、例の二化性品種ですね、蚕の二化性品種を開発した。多化性品種でなく二化性品種を開発した。だけれど、実はこの品種の蚕というのは非常に十分な施設を必要とする、あるいは飼育に手がかかるというようなことでコストが間に合わないんだと。したがって、百トン必要なところが二十六トンしか生産されてないという実態があろうかと思います。  それからもっと大事な文では、大多数の農民が養蚕というものをいわゆる商品作物と位置づけていないと、ここへお書きになっているんです。こんなのは事前に調べれば、こういう生活慣習みたいなものはわかっただろうと思うんですね。それが結局、桑畑もできたし蚕の品種改良もできたんだけれども、目的のいわゆるたて糸は生産されていない。だから、このプロジェクトはやや問題があったという評価になっているわけです。  この辺のことになりますと、私はやはり非常にこのプロジェクトについては、例えばの話ですよ、事前調査が非常に足りなかったのではないか。四十四年から五十五年までですか、十一年間かかってやった事業にして、なおかつ、さらに人を派遣し、この事実関係について継続事業をしていかなければならないということでございますけれども、こういうふうな事前調査というようなものについてはどんなふうなお考えをお持ちでしょうか。
  198. 平井慎介

    説明員(平井慎介君) まず、評価の手法の点から申し上げますが、委員御指摘のとおり、農業開発の評価というのは非常に難しい面がございます。世銀の専門家の話では、農業開発というものが本当に効果を上げたかどうかというものを判断するのに大体三十年程度を要すると、こういう見方もございます。それに加えまして、農業というのは経済、社会、自然条件といったものの変化と申しますか、事前調査では十分に把握し得ない要素を有しているという側面もございます。  したがいまして、外務省は、評価を行います際の基準といいますか、尺度と申しますかにつきましては、農業分野の経済協力の評価につきましては、個別のプロジェクトにつきましてそれが当初計画どおりの援助が適正に実施されたか、あるいは技術移転が予定どおり行われてその技術が相手側に定着したか、またはこういったプロジェクトを相手国側が高く評価しているかどうかといった視点から行うことにしております。  さらに、こういった農業分野の評価というのはいろんな角度からこれを行う必要がございますので、農業に造詣の深い専門家あるいは有識者といった方々に御参加いただいて実施するようにしております。  なお、事前調査重要性につきましては、まさに先生指摘のとおりでございまして、委員のお手元にございます報告書をごらんいただければわかりますが、そこで指摘される問題点の多くはやはり事前調査の不足によるものでございます。  タイの養蚕協力の件について、私、詳細手元にございませんのでお答えできないのでございますが、私どもといたしましては、これまでの教訓といたしまして、事前調査が十分に行われたものについては協力は極めて成功しておりまして高い評価を受けている。これは、私どもが過去数年間評価を実施してまいりました教訓でございます。  私どもといたしましては、今後とも事前調査の一層の拡充と一層の充実ということで、より効果的な経済協力の実施というものに努めてまいりたいと、かように考えております。
  199. 刈田貞子

    刈田貞子君 農水省にお伺いいたしますが、今の話でもわかりますように、この開発援助事業の難しさというのは、やはり相手国の事情を非常に詳細に理解し調べていかなければ、こちらは一生懸命かかわっておるのだが成果が上がっていかないという事情があろうかというふうに思います。  私も、現地で農林水産省の出向といいますか、派遣といいますかのメンバーに会ってきました、あちこちで。皆さん頑張っておりました。頑張っているということを報告してくれと言われました。JICAの事務所なんかと連絡をとりながら大変に苦労をしているわけであります。非常に苦労をしておりました。言葉もいささか厳しい、それから当地の事情もなかなかのみ込めないという中で、向こうの言い分とこちらの言い分とが本当に合わない最先端でよく頑張っていました。  それでお伺いするわけですけれども、農林水産省としては、先ほど大臣の意思表明もございましたが、これからもやはり七年計画の中に大きくかかわっていく農水の分野でありますけれども、これからどういうことに留意しながら事業を外務省とともに進めていかれるというふうなお考えですか。
  200. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) いろんな課題が、これから進めてまいる中であるというふうに私ども考えておりますが、そのうちの幾つかを申し上げますと、一つは、今、先生おっしゃられましたように、今後も七年間かかって倍増していくというふうなことになってまいりますと、経済協力自身のボリュームが非常にふえてまいりますが、そういうときに事業効果を立派な効果を出すために、やはり事前の調査とか、プロジェクトの計画づくりの段階で、その後の協力が本当に効果が出るような十分な事前の準備をしていく必要があるだろうということが一つでございます。  それから第二には、我が国の協力、先生も御存じのように初めは東南アジア中心で、我が国お得意な水田なり稲作の関係といったようにところからスタートいたしました。今、中南米、そしてまた最近はアフリカというようなふうに地域的にも非常に広がってまいってきておりますし、分野も稲作から畜産でありますとか食品加工でございますとか、いろんな分野に広がっております。こういうものに対応できるだけのこちらの体制をつくっていくということで、特に新しい分野、新しい地域というふうなことになりますと、必ずしもこれまでの蓄積が十分でない面もございますので、こういうことをどうやって整備をしてまいるか。  そしてまた、何よりもODAを伸ばすということになりますと、技術協力というものが我が国はまだまだ弱いというふうに言われておるわけでございますが、これはまさにそれを担う人、協力を担当する人を量的にも質的にもどうやって充実さしていくか、この辺がやはり今後の大きな課題ではないかというふうに考えております。
  201. 刈田貞子

    刈田貞子君 それから、今までもそうであったように、これからも、例えば七年という経過を見ただけでも協力のあり方とか中身というのは、相手国の事情にもよるわけですけれども、必然的に変わっていかなければならないものがあるだろうというふうに思うんですね。  その一つの考え方の例として、これは東南アジアの関係に例をとって考えてみますと、東南アジア諸国で最近農業開発計画の目標に大きな変化が見えてきているということが言われております。その一つの最たるものは、米、穀物を中心のいわゆる食糧増産重点型の農業から、つまり農村の住民が所得を上昇させなければならない、所得確保をしていかなければならないという形への志向が出てきている。これは行った先で見せてもらいました。インドネシアの一九八四年から始めた第四次農業五カ年計画、それからタイの一九八二年から一九八六年までの第五次五カ年計画の中にうたわれている基本政策は、いわゆる農民の所得確保ということがあるわけでありますね。タイなんかもマクロの立場から見れば非常に農業は進んできている、稲作も立派だ、それによって経済も喚起されている。だけれど、ローカルに行って農村を歩くと、一人一人の農民所得というのは実に厳しいものがあるという実態も見ました。そういうところへのまさに転換として、この新しい農業開発計画というものをもたらしていくんだろうと思うんですね。  それと相まって、いわゆる経済基本計画というようなものの中に輸出可能なものの増産、開発というようなことをうたっておりまして、先ほどの、農業計画を再度つくり上げたタイ、インドネシア両国の現行の経済計画の中にこれが盛り込まれております。そういたしますと、この輸出可能なものの増産、開発を主軸にした農業計画の展開というようなものが出てきた場合に、これは非常に私どもとしても考えさせられる部分が出てくるのではなかろうかというふうに思います。  端的に申し上げまして、日本の農業における協力援助というものも、今まで稲作中心のいわゆる技術・経済援助という形のものだけではなく、もっと広範なものへ技術援助の要求が出てくるであろうというふうなものに対してどのような対応の仕方があるのかということが一点。  それから、技術開発が進み、そしていわゆる自前の産品がたくさん出てくる、そういうものに対する扱いまでも負わされる部分が出てくるのだろうかどうなのだろうか。いわゆる開発援助というのはそんなことまで考えてはならないのかどうなのかということもあると思います、本質的に。  例えば、昨日も話をいたしましたが、タイのトウモロコシの問題がありますね。これは日本の技術で米のできない地域にトウモロコシを生産するということをもって、これを日本の国内の畜産振興を図るために飼料として輸入するという形でこのトウモロコシはつくっているわけですね。最初そういう形でつくったのか、それとも、トウモロコシが大変上手に生産できるようになったから買わなければならない羽目になったのか、その辺の因果関係は私よくわからないんですけれども、トウモロコシのテーマを考えながら私は一つそういう問題を考えた。  それからまた、米にしても、かんがい事業をあれだけ応援をしました。そして品種改良も技術援助の形で、タイの自前の部分もありますけれども、いい部分が出てきているわけですね。それによって単収増産ということが現実に出てきているわけであります。結局、その米は日本が大変一生懸命買っている。買っていますね、今タイ米を。そして食糧援助に使っているというふうなこと。あるいはまた、円借換でやっているエビの養殖の技術の問題、これも大変エビの生産が上手になった、そうしたら日本は一生懸命タイからエビを買う、こういう形の問題。  言っていいか悪いかわからないんですけれども、いわゆるブーメラン効果みたいな問題について、これからの協力の中でどう考えていったらよろしいのかということをお伺いしたいと思います。
  202. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 二点お尋ねがあったわけであります。  まず最初の問題につきましては、非常に協力なり援助についての対象分野が多様化しているということは私どももよく認識をいたしております。協力というのは基本的にはやっぱり相手国のニーズ、要請に応じてやってまいるということでございまして、もちろん、開発途上国の中には、自分の国に適した開発分野がどこかということが御自分ではなかなかわからないということで、いわゆるプロジェクトファインディングといいますか、そういうもの自身についてのいろんな調査を先進国がやるということも協力の中に入っているわけでございますけれども、そういうことも含めまして、やっぱり相手のニーズにこたえるということを基本にしてやっていく必要があろうかと思っております。  それから、第二点のブーメラン効果というお話でございますが、この点は、まずトウモロコシなどの場合、経緯としてはどうだったのかというお話でございますが、これは、いわゆる技術協力ということで、何と申しますか、相手国の食糧あるいは農産物の増産を支援するという形でやりましたほかに、民間がやはりある程度、何と申しますか、開発輸入的な発想で民間企業が出ていって、そこに一部政府の投融資というような形で支援してやったものと、両方の要素がやっぱり入っておると思います。  ブーメラン効果というような点につきましては、トウモロコシでありますとか、あるいはエビでありますとか、かなり大量に我が国が現に輸入をしておりますもの、こういったものにつきましては、新しい輸出国ができるということはいわば輸出ソースが多元化するというふうなことでございまして、一般的に見てそれ自身が非常にぐあいが悪いということではないと私思っております。  開発途上国が競争力を持った生産ができれば、それを我が国が輸入することによって開発途上国の輸出収入もふやすということになるので、それはそれで結構なことだと思っておりますが、先ほどお話のございましたような例えば養蚕というようなものについて、我が国は御案内のとおり国内で生糸が非常に過剰な状態にある。そういうときに、日本が協力をしたのに生糸を買わないというのはおかしいではないかというふうな御議論もあるわけでございますが、これは往々にして、日本が協力をいたしますと、協力したのに買ってくれないというような声は出るわけでございます。  例えば、タイシルク一つとってみましても、これはタイの一つのやはり特産物と申しますか、そういうものとしてほかにもいろいろ販路はあるはずでございますし、また製品の原料の一部を外国から輸入して加工しているというふうなこともやっぱりあるわけでございます。輸入代替ということもございます。  逆に申せば、日本が輸入できない分野については協力できないということになりますと、これは、じゃもう養蚕部門では一切協力を日本はしないのかということにもなってまいるわけでございまして、私どもそこのところは基本的には、何と申しますか、協力をするということと我が国が輸入をするということとは一応別の問題ということでやはり考えて対応すべきではないかというふうに考えております。  今後、開発途上国のニーズの動向によりましては、先生お話のような問題も個別的には出てまいる可能性があると思いますけれども、そういった点は今後とも十分国内との関係にも配慮しながら、円滑に協力を推進してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  203. 刈田貞子

    刈田貞子君 エビとかトウモロコシは、日本にもニーズがあるからいいわけですよね。だけれども、競合する部分のものがあちらでも非常に生産が高まってきたというような事情が出てくると、これはやっぱり農業の分野においては非常に大変だなということは率直にあると思います。第二の経済摩擦を起こすための海外援助をやっていたなんということにもなりかねないわけでありまして、そういう意味で、私は決して閉鎖的な立場で物を言っているのではないのだけれども、しかし協力のあり方の難しさはその質、量ともに変わっていく中で、これからの七カ年計画ですかの中に、農林水産省もむしろ主体的な立場で計画をこちらの言い分で立てていく必要が私はあろうかというふうに思います。  最後の質問ですが、今ちょっとトウモロコシのお話の中で民間プロジェクトですかの話が出たわけでありますけれども、農業の年次報告の中にも「海外農業協力のために必要な情報資料の収集体制の整備」云々ということがございまして、その中に「民間団体が行うアセアン諸国等の中核農民の我が国農家への受入研修に対する助成を拡充した。」というふうな話が載っています。  それからまた、「海外農協間協力の推進」というようなものに対しても必要な助成を行ってきたというふうにございますが、これは私が海外で現地から言われてきた話で、諸外国ではこうした海外協力事業というものが民間ベースでかなり強力に動いているのだが、我が国にはそういう土壌がなかなかでき上がってこない。したがって、この民間ベースの海外協力というようなものを農業の場合にはもっと強力に育成していかなければならないというふうなことが言われておりまして、それを聞いてきました。  それでお伺いをするわけですが、農林水産省としては、こうした民間レベルの海外協力についてどんな御見解を持っておられるのか、そしてその育成方についてどんなふうに考えておられますか。
  204. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 民間と申しますのにもいろんな形があると思いますけれども、我が国の場合は、農林水産業に限りませず、何と申しますか、ヨーロッパ諸国などでございますと開発途上国との間でかねて宗主国と植民地というふうな状態でございましたけれども、その中で長い関係の歴史があり、そういう中でまたいろいろな蓄積が行われてきた、民間においても。そういうことが一つございますし、そういう意味で、大きな植民地を長年持っていたというような経験がない日本と違った要素が一つございます。  加えて、農林水産業ということになりますと、鉱工業の場合に比べまして、技術というようなものが役所といいますか、官の方にどうしても存在をする。普通の製造業の企業でございますと研究所だとかそういうものを持っておりますけれども、農業ということになりますと、自営の農家の方が多うございますから、国なり県の試験研究機関とか、あるいは技術者というようなことになってまいることもあるわけでございます。  そういうことで、我が国の特に農林水産関係、なかなか諸外国に比べて御指摘のとおり民間の力というのがまだ十分生かせてないということでございますけれども、今お話がございましたように、例えば農協系統で財団法人をつくりましてアジアの農協指導者に対する研修をやるとか、また、国際協力に関します団体がASEAN諸国から農民を受け入れて農家の方々にその方々をいわば預かっていただいて交流と研修をやる、それがまた後々までも同窓会のような形で両国の民間のきずなになっていくというふうないろんな仕事をやっておりますので、こういった民間の力を活用して協力を拡充していくということについては、私どもこれからもっともっと力を入れて伸ばしていかなければならない分野だというふうに思っております。
  205. 刈田貞子

    刈田貞子君 外務省にお伺いするんですが、先ほどの青年海外協力隊のメンバーとの話し合いをいたしましたときに感じたんでございますけれども、十人に会いますと、その中の割合として四人は必ず農業関係がおるわけでございます。  そのメンバーたちが、結局自分たちがやってきている仕事が一体よかったのか悪かったのか、成果が上がったのか上がらなかったのか、そういうものをつかむのにまことにつかみにくい、その辺が実は青年という立場では残念なんだと。二年間を費やしてこういうものを成果として自分自身がこの土地に生んだというようなものが特につかみにくい、できれば自分たちの記録のようなもの、あるいは報告会などを持っていろいろ聞いてもらいたい、こんなふうな要望もあったわけでございますけれども、こういう点についてどんなことなのか、お伺いしたい。
  206. 平井慎介

    説明員(平井慎介君) 委員からお話ございましたように、青年協力隊の活動は各国政府、各国に高く評価されておりまして、特に農業分野の場合に、政府開発援助もさることながら、いわゆる草の根レベルでの協力というものが非常に有効であるということは、これは衆目の一致するところであると思います。  先ほど委員御指摘の、その成果というものを何らかの形でこれを取りまとめて、それに参加した青年たちをエンカレッジしてあげる、あるいはそれに続く人たちに対して、そういう結果というものを知らしめるということは非常に大事なことだと考えています。  たまたま今年は青年協力隊創立二十周年でございます。この機会に、私ども特別に斯界の有識者の方々にお願いいたしまして、青年協力隊の活動状況についてつぶさに調査をいたしました。結果につきましては現在取りまとめ中でございますが、近々、できますれば年内にも、あるいは年明け早々にも協力隊の活動報告書ということでこれを公表いたしたいと考えております。
  207. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、まず最初に農水大臣林野庁長官にお尋ねをしたいわけですが、実はことしは国際森林年でございまして、そういう意味から我が党もジャパングリーン会議というのをつくりまして、それで国内の森林の衰退をストップする、あるいは都市緑化の推進、さらには砂漠化する世界の森林への防止、そういうような国民運動を今展開してきておるわけでありますが、そういう中で、最近特に我が国における自然保護、原生林の保護というものは非常に盛んになってきているわけですね。  例えば、世界最大の規模と言われる青森、秋田県境にある白神山地の原生林とか、それからさらには宮崎県綾町を中心とするいわゆる照葉樹林、あるいはまた大分県の傾山系の原生林、あるいは黒岳の樹齢三百年から五百年の木が切られるという、こういうようないろいろな問題が起きておるわけでありまして、私たちもそのようなところへ手分けをして現地へ赴き、関係者の意見あるいは学者の意見あるいは行政当局の意見等もいろいろ聞いてまいりまして、林野庁長官にも何回かその結果を踏まえて申し入れもしてきておるわけでありますが、そういう点を踏まえまして、原生林を守れ、あるいは自然林を守れという最近のこのような運動に対して、このような動きに対して農水大臣としてはどのような認識を持っておられるのか、さらにこのような流れに対して林野庁としてはどういう対応を今後されていくのか、これは林野庁長官からお答えをいただきたい。と思いますが、その点はどうでしょうか。
  208. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 塩出先生にお答えします。  ブナほかの原生林の保存については、主として自然保護関係の方々から要望がとうから出されていることは承知しておりますが、これは森林に対する自然環境の保全等の公益的機能に対する要請の高まり等を背景としたものであると考えております。森林に対する国民の皆様の期待の一つのあらわれである、こう認識しております。  このようなことを十分考慮し、今後とも必要に応じまして学術参考林などの禁伐林を存置するほか、立地条件に応じ択伐などの天然林施業を採用するなど、適切な森林施業の推進を行ってまいりたいと考えております。
  209. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 大臣からお答えを申し上げましたところでございますが、さらにそういう天然林施業を推進する森林施業といたしましては、択伐、漸伐等の森林施業を重視することのほか、やはり学術上存置すべきところにつきましては学術参考林とする、あるいは保健保安林という制度、風致保安林という制度もございまして、存置することの方が地域のいろいろな多面的な効用のために好ましいというところにつきましてはそのような存置する方法をとるとか、実態に応じまして適切な方法をとってまいりたい、現にとっておるところでございます。  ただいまの御指摘のありました綾、傾等におきましても、そういう方向で施業計画等について編成の見直しをしたりなどしておるところでございます。
  210. 塩出啓典

    塩出啓典君 私も田舎の生まれでございますが、自然を守れというような運動に余り自分自身も先頭を切ってやっているわけじゃないわけなんですけれども、照葉樹林文化圏というそういうのがあるんだそうですね。これは国立民族学博物館、大阪にございますが、その佐々木高明教授という人が世界的権威のようでございます。  照葉樹林というのは、ブナのように落葉するのではなしに年じゅう緑を保っている、こういう木でございまして、これは中国の雲南とか、日本でも西日本を中心にあった。そういう地帯は、インドから中国、日本へと広がる照葉樹林帯、これは一つの文化を形成しておる。非常に日本の伝統的な衣食住文化と同じ要素が現在も存在しているという、そういう照葉樹林文化というのと、それと東日本においてはブナ帯の文化論という、これは東京学芸大学の市川健夫教授らが提唱いたしまして、このブナはいわゆる葉が落ちるわけで、そういう二つのものが、縄文時代から二つの大きな森の文化圏として発展してきておると、こういうようなことを学者の人は言っておるようであります。  私たちもそういうような話を聞くと、やっぱり今、日本の経済もいろいろもう物質的な面からある意味では精神的な面に大きく転換してきておる。また、日本森林を見ましても、杉、ヒノキへの植林はちょっともう多過ぎるぐらい植林が終わっておるわけで、しかしやればやるほど赤字がふえるという、こういうような状況の中で、やっぱり今までの私は林野行政というものを根本的に変えていかなきゃいけないんじゃないかなと、そういうような気がするわけであります。  確かに、今回の林政審議会の「森林危機の克服に向けて」という、こういう内容を見ますと、そういう方向に転換しようとしているし、今の林野庁長官のお話もそういうように転換はしているとおっしゃるんですけれども、しかし一つはもう既に遅きに失したという、そういう感がいたします。  それともう一つは、そうは言っているけれども、現地ではなかなかうまくいっていない。必ずしも林野庁長官がここで答弁なさっているように方向転換はなされていないという、こういうような気がするんですけれどもね。  そこで私は具体的にお尋ねいたしますが、例えばいわゆる白神山地の原生林におきまして、いわゆる青秋林道というものが今建設されておるわけでありますが、こういうものをやめろという意見がある。こういうものをつくっても、年の半分は雪に覆われているし、青森と秋田の連絡にはほかにも道があるやないかと、そういうような意見があるわけですけれども、こういう青秋林道については再検討する余地はないのか。これが一点ですね。  それともう一つは、自然環境保全地域に指定をしてもらいたい。要は、木を切るのは、これは林野庁が切っちゃうわけですね。林野庁が切れないように、あるいは環境庁の自然環境保全地域とか、あるいは自然公園地域とか、そういうような地域に指定をしてもらいたい。また、私はそういう指定をすべきだと思うんですけれども、この指定はするのかどうか。  この二点です。この第二の問題については環境庁からも御答弁をいただきたいと思いますけれども、その点どうでしょうか。
  211. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 青秋林道につきましては私どもの方にもいろいろ意見が寄せられておりますけれども、本当の直接の地元の方々からは林道の開設を要望する非常に強い声もまたあるわけでございます。  私どもとしては、やはり秋田県、青森県ともに林業関係あるいは山の活用が非常に重要な地域でございますので、青秋林道は必要であるという観点に立ちまして開設をいたしたいと思っておりますけれども、やはりいろいろな御懸念の表明もあるわけでございますから、国有林が多いわけでございますけれども、どういうふうに取り扱ってまいればいろんな要請にこたえ得るかということは、現在県の方を通じましていろいろたしか委託調査も行われておりまして、まだ総合的な結論は出ておらないと私は承知しておりますが、そういう十分時間をかけた調査結果を待ちまして山の取り扱いを決め、そういうことについて関係者にも御説明し、いろいろ御理解をいただくように努力をいたしまして開設に持っていきたいものだというふうに考えております。
  212. 加治隆

    説明員(加治隆君) 自然環境保全地域指定に関する御質問にお答えいたします。  環境庁が実施いたしました自然環境保全基礎調査によりますと、先生指摘のとおりでございますが、白神山地は面積的にもかなり大規模な自然環境のすぐれた地域でございます。また、貴重な動物も生息しておりまして、我が国の有数の自然にめぐまれた地域と考えております。  このため、環境庁といたしましては、白神山地を自然環境保全地域の検討対象の一つとして考えておりまして、環境庁、それから青森県、秋田県等で実施いたしました調査結果の内容検討し、白神山地の保全方策の策定の検討を行っておるところでございます。方策の策定に当たりましては、まず地元の調整が極めて重要でございますので、秋田、青森県との調整が図られるよう進めているところでございます。
  213. 塩出啓典

    塩出啓典君 ここは非常に不便なところであるためにたまたま残っておるわけで、ほかのところはもうほとんど切られちゃっているわけですよ、便利なところはね。そういうことで速やかに、しかも林野庁の意向を余り気にしないで、林野庁はともかくすぐ木を切れないように網をかけられるのには余り賛成でないようですけれども、そのあたり、環境庁はひとつ環境庁の立場に立ってやっていただきたいと思うんですよ。  私たちも決して永久に木を切るなと言うのじゃないんだけれども、切るときにはある程度慎重に検討して、国有財産だって処分する場合には国有財産審議会にかけて売るかどうか決めるわけですから、やっぱり木を切るにしたって、地元は経済的な面から早く切ってくれと言うところもあると思うんですけれども、そういう一部の意見に惑わされないで、全体的な立場からこれは判断をしていくべきじゃないかと思いますし、そういう点からその指定を早くやっていただいて、しかも自然環境保全地域もいろいろなランクがあると思うんですけれども、できるだけ簡単に切れないやつに僕はすべきだと思うんですけれども、大体いつごろをめどにやられるんでしょうか。
  214. 加治隆

    説明員(加治隆君) 先ほど申し上げましたとおり、地元との調整等がございまして鋭意努力しているところでございます。
  215. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは、ひとつ環境長官に帰ったらよくお話をしていただきたい。お願いしますよ。  それから、宮崎県の綾町の照葉樹林ですが、自然公園法のいわゆる二種、三種ですか、これは自由に林野庁が採伐できる、そういう指定になっておるわけで、地元としては特別保護地域、一種保護地域にしてもらいたい、こういう要望が前から出ているんですけれども、地元の新聞の報道によりますと、林野庁長官、物すごく林野庁が反対をしまして、自然公園法の指定も物すごく範囲が狭くなって、しかもランクが非常に下がった状況である、このように言われているんですけれどもね。  それで、ちょっとこの写真を、これはたしか私たちがことしの五月二十三日に申し入れしたときに現地の人が持ってきた写真です。林野庁長官は見られたかもしれませんけれども、ちょっとこれを大臣にね。(塩出啓典君写真を手渡す)こういうようにバリカンみたいにそっているんですね。それで、町の方からは見えないんだけれども、奥へ入るとそういうようにぱっぱっぱっと切られちゃっているわけで、地元においてはそういうようなことが非常に災害にもつながっておるし、照葉樹林というのはもう綾町を中心にしか残っていないようですから、これはぜひ自然公園法の特別保護地域等に指定をして、もう余り切らぬようにしてもらった方がいいんじゃないかと思うんです。その点はどうなんでしょうか。
  216. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 森林施業の具体的なやり方でありますけれども、かつては非常に大面積の皆伐が行われまして、その結果、いろいろ問題が生じたこともございますので、大体四十八年ころから施業方法の見直しを行いまして大幅な改善を行っております。  その一つが保護樹帯、保残帯とも言っておりますけれども、写真にございますこの帯のように残っておりますのが保護樹帯、保残帯であるわけでありまして、このところが風の害を防いだり、あるいは土砂が崩落したときの土砂扞止の役目を果たすとか、さらには母樹、種本の作用をするとか、風を防ぐとか、いろいろそういう効用を期待して残してあるわけであります。  この場合は、この皆伐面は新植が多いかと思いますが、ここの綾につきましては、大変いろいろ自然保護の要請も寄せられておりますので、こういうふうに行います新植につきましても相当見直しをいたしまして、択伐に切りかえるなどの変更を加えたところであります。  そういう内容につきましては、地元の町にもこれから御説明をしてまいりたいと考えておりますけれども、そのような十分自然環境保全に配慮した施業方法の採用によりまして、御理解を得てまいりたいと考えております。
  217. 加治隆

    説明員(加治隆君) 現在の国立公園、いわゆる自然公園の制度につきましては、特別地域または普通地域というふうな形で保護の規制を行っております。しかしながら、指定された当時から現在までいろいろ社会的な変化もございます。したがいまして、現在国立公園等におきましては、自然保護の強化というようなことを基調といたしまして現在の公園計画の見直しを行っております。  そうした中で地域の森林の保護、そういう問題の強い要請またはそういう公園計画の可能性等について十分に調整いたしまして、公園計画を変更することもございます。この問題につきましても、そういった点検または再検討の中で取り上げて適切に処置してまいりたいというふうに考えております。
  218. 塩出啓典

    塩出啓典君 ことしの九月三十日に、大分県の代表の人と林野庁に陳情したわけです。黒岳という大分県の原生林、これは今、長官も言われましたように、択伐というんですか、樹齢三百年から五百年のケヤキなどですね、広葉樹約百五十本を伐採する。これはいわゆる一本一本、平均すれば一ヘクタール当たり一本程度だが、切ってヘリコプターでつり上げる。この計画に対して、地元においても非常に反対運動があるわけです。  これは森林活性化ということでこういうのを切ろうとしているわけですが、三百年、五百年のそういうケヤキをつくるには、また三百年、五百年かかるわけですから、なぜそういうようなものを選んで切らなきゃいけないのか。ヘリコプターでつり上げたのでは、もちろんこういう木は価値のある木ですから高く売れたにしても、費用もかかるわけですから、経済的にもいかがなものかなと思いますし、択伐して切らなければならない理由は何ですか、これは。
  219. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国有林野事業は、言うまでもないことですけれども、林業経営によって維持されております経営体でありますので、いろいろ伐採、造林等のそういう林業活動をするわけであります。  今お話がございました択伐のヘリコプターの使用も、従来ですと、林道を通しまして作業道をさらに延長し機械を入れて伐採をしたわけでありますが、奥地になりますとなかなか林道等開設にも問題がある。きめの細かい択伐をするためには林道、作業道を稠密に入れなければならないわけでありますが、なかなかそれも難しいことである。  そうなりますと、現在のヘリコプター技術をもってしますと、道路をつくることなく切るべき木のみを選ぶことができるわけでありまして、しかも、お話ありましたように草木的な伐採でありますので、他の樹木に与える影響はほとんどない、全くの抜き切りが可能であるということから、森林施業の面から見ますと、これが最も望ましい天然林作業になるわけであります。もちろん、そういうものが地元の産業界の利用するところとなり、言うまでもなく、国有林としましても収入になるということでありまして、そういう林業経営活動から伐採をしておるところであります。
  220. 塩出啓典

    塩出啓典君 木を切るのも、これは林野庁としてはそういうことが収入になるわけですから、これは全部が全部いけないというわけじゃないと思うんですけれどもね。ただ、木を育てるにはやっぱり三百年、五百年かかったわけですから、そういう木が我々の生きている十年、二十年、三十年の間にほとんど全部切られてしまうという、そういうことを果たして我々やっぱり認めていいのかどうかという気がするんですけれどもね。  実は私、最近、「法隆寺を支えた木」という、そういう本を読んだわけでありますが、これは御存じのように、昭和の最後の宮大工と言われた西岡常一という、長年法隆寺の修理に携わった人なんですけれども、その人は木は二度生きる、法隆寺というのは千三百年前に建った建物ですけれども、その建物にはやっぱり樹齢が千年以上のヒノキが使われておる。それで、そういう木は、表面は確かに灰色になっているわけですけれども、しかし二、三ミリ削るとヒノキ特有の香りがする。そういうことで、千年の樹齢のある木はやはり木を切ってからも千年以上長もちする、そういう意味で、木は二度生きると言うんですね。  しかし、今もう日本の国には、木曽のヒノキにしてももう百五十年から二百五十年ぐらいの木しかない。だから、本当に法隆寺のような古い建物をいい材木で修理しようとしても、あと千年待たないと修理ができないんじゃないかという、そういうようなことを書いておりました。  それで、木というのは、鉄なんかよりも、コンクリートよりもはるかに長もちするという、そういう点から考えれば、もちろんこれはヒノキの話ですけれども、そういう意味で、わずか残った三百年、五百年のそういうケヤキなどをこの際あわてて切らなければならない理由は余りないんじゃないか。もうちょっと長い目で、今この国有林野財政が厳しいから切るという、そういう見方はいかがなものかな、そういう意味で、私はもうちょっと抜本的に検討すべきじゃないかと思うんです。そういうお考えはありますか。
  221. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 択伐でそういう高齢の樹木を伐採するわけでありますが、循環をさせまして何十年か置きにまた戻ってくるという形で、その山の林相を壊さないで大径木の生産が全体としては保続できるような施業方法が択伐でございますから、量は大変わずかではございますけれども、むしろ貴重な大径材の生産が保続できる、継続できるのがこの択伐作業の特徴であろうと思います。それを、そういうふうにして、みんななくしてしまうということではなくて、大変細々とした生産にはなりますけれども、それを絶えることなく継続できるのが択伐作業の特徴ではないかと思います。  そういう点で、今回のこの森林施業を見直す方向の中にも択伐作業を取り入れまして、ケヤキのような大径広葉樹材が絶えることなく生産が継続できますように択伐作業の採用などが言われているわけであります。これには非常に伐採技術、搬国技術なども高度なものを必要としますので、やはり国有林経営の生産技術、その他のノーハウを動員いたしましてこれに取り組んでいるわけでありまして、適正に行われる限り、これは天然林施業としては今後とも継続されるべきものであるというふうに考えております。
  222. 塩出啓典

    塩出啓典君 農水大臣、そういう森林を循環的に発展さしていく、そういう意味で、山というのは必ずしもほったらかしておいた方がいいというものではない、間伐とかそういうものはやっていかなくちゃいけないという、そういうことはわかるんですけれども、しかしやはり三百年、五百年のケヤキを切るということは、今、長官は二十年、三十年をサイクルにと言うけれども、これは二十年、三十年のサイクルじゃないわけですから、そういう意味でもうちょっと慎重に検討すべきじゃないか。  三百年、五百年と言えば、これはやっぱり国有林野だからそこまでもってきたわけで、民有林であればすぐ売られるかもしれない。国有林なればこそ長年もってきたわけですから。そういうものが我々の世代に、三百年前から、五百年前からの資産を売ってしまい、しかも最近はやはり分収造林の形で都会の人たちの負担で将来できる木まで負担をしてもらっている。  それは、我々率直に素人から見れば、祖先からの財産を売り払い、さらには借金まで後世に残すという、そういう結果にやっぱりなるんではないか。そういう状況のもとで国民の皆さんに水源税で負担しろと言っても、なかなか僕は、気持ちはわかりますけれども、やっぱりそういう姿勢を、体質を改めていかないといけないんじゃないか。そういう意味で、そういう施業計画というものをもう少し抜本的に僕は検討すべきじゃないか、そのように思うんですけれども、そういう点、検討するお気持ちはございますでしょうか。
  223. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 国有林の施業は、国民の皆様の前に開かれた状態で常に明らかになるわけでございますので、御批判を招くことのないような適正な施業をこの上とも行えますように、それは誠心誠意努めてまいりたいというふうに考えております。御批判につきましては、十分承りまして検討いたしたいと思います。
  224. 塩出啓典

    塩出啓典君 若木を切る場合は、最終的にはだれが決定するのですか。こういう山を切るとか、施業計画というのは、最終的には林野庁長官決定だと。その場合に、例えば僕は少なくとも地元の県とか、少なくとも県ぐらいの意見はやはり十分取り入れて、いろんな人がいるわけだから、全部が全部賛成とは言わない、少なくとも県のレベルの了解ぐらいは得てやはり木を切るべきじゃないか。そのあたりは行政的にはどうなっているんですか。
  225. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 施業計画を編成いたします際に、いろいろ地元の県御当局とか直接関係のある市町村とか、あるいは産業界とか、いろいろな関係がある方の意見を聞く会を設けたり、あるいは書面で御意見をちょうだいしたりというふうな、そういうことを十分いたしまして、反映できますものについては極力それを計画上反映いたしますように、最近ではいろいろ自然環境の保全、あるいは中にはいろんな構造改善上での活用とか多種多様な御希望がありますので、そういうものをどうすれば計画上組み入れることができるか、意見の聴取には私ども力を尽くしております。その上で編成をいたしまして、最終的には農林水産大臣の認可ということになるわけでございます。
  226. 塩出啓典

    塩出啓典君 農水大臣、今、長官からお話がありまして、そういうふうに努力はされているようですが、しかしこれは自主的な努力でありまして、もちろん自然公園法とか、こういうものに指定されている場合は環境庁の許可が要るが、それ以外の場合には必ずしもそういうルールにはなってないわけなんですけれどね。だから、私はそういうようなルールづくりも含めて、このような伐採が行き過ぎにならないようなこういう体制をひとつもう少し検討していただきたい。佐藤農林水産大臣の時代にそういうルールをつくってもらいたい。この点どうでしょうか。
  227. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。  今、林野庁長官がるる説明したことに、実は私は率直に言いますと、国有林というのは財政の問題が多分あると思います。各営林局で伐採計画をつくりますけれども、三百年、四百年の例えば木は非常に高く一本売れますね。してみると、やっぱり国有林財政をきちんとしないと、先生の御趣旨はよくわかるんですが、なかなか難しいような気がしていますが、一方、先生の御意見は十分私尊重しまして、そんな方向で努力をしたいと思っております。
  228. 塩出啓典

    塩出啓典君 今、農水大臣から、期せずして本心が出たわけですね。私は、確かに財政は非常に大きな問題だと思います。午前中も五十九年の予算案と実際の収入、そういうものが材木の値下がりでうまくいかないと、こういうようなお話がありましたが、今、国鉄にしても臨調のそういう立場で非常にメスが入れられているわけですが、私はやっぱりこの林野というものが実際赤字のために必要以上の伐採が進むということはこれは災害にもつながるわけでありまして、この五年間、国土庁の白書を見ましても、ものすごく土砂崩壊の災害はふえているわけですね、白書に新しく土砂崩れという項目を設けるぐらいに。これはもう今日まで既に言われてきた山の切り過ぎというものと関係ないとは言えないと思うんですけれども、そういうようなことになっては取り返しがつかないんじゃないかと思うんですね。  そういう意味で、私は国有林野財政のあり方についても抜本的にやはり検討をして、そうして必要ならばこれは一般会計なり水源税なり、そういう財政措置をすることもこれは必要じゃないかと思うんですね。だけれども、その前にやっぱりやるべきことがあるんじゃないかと思うんです。そういう点も含めて農水大臣には私は抜本的にこの際取り組んでいただきたい、この御決意を承って、ちょうど時間が参りましたので質問を終わります。
  229. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、先生のおっしゃる意味はよく理解できるわけです。  実は私も、施業計画で木を切るのは大臣が認可するというのは今まで知りませんでした。今初めて知ったというのが現状でございます。これから十分大臣の権限を活用しまして、先生の御趣旨のように努力したいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  230. 藤原房雄

    藤原房雄君 臨時国会が始まりまして初めての今国会の委員会でございます。各委員からもお話しございましたが、私からもちょっと二、三点申し上げておきたいと思うのであります。  最初に、今、同僚の塩出委員から林業のお話がございましたので、それに関連する問題をちょっと申し上げたいと思います。  環境庁の方いらしていますか——過日来、群馬県の衛生公害研究所の研究の結果として、またこれは大気汚染学会等でのいろんな発表等をもとにしまして、杉枯れと酸性降下物との関係についていろいろ論じられております。これは、今日の状況がストレートで影響したという、全くこの酸性降下物そのものだけでそういう現象が起きたという単純なことではないことは、研究者の方もおっしゃっておりました。これはやはり一つの警鐘乱打といいますか、こういう重要な意味を含んでいるのではないかということで、日本列島周辺、特に四十年代高度成長時代に、規制法ができる前に大変な濃度であった時代、今日はいろんな規制法ができ、また環境庁、それぞれの省庁の御努力によりまして、当時から見ますとそれなりの規制の効果があらわれたという段階でありますから、今になってみますと、あの非常にひどかった四十年代、その影響がいろんなところにやはり出ていた。生き物、植物、特にこういうものに弱い杉、こういうものに何らかの影響があったのではないかというふうに考えざるを得ない。  そういう問題につきまして、私ども過日現地へ参りまして担当の方からいろんなお話も聞き、また現地も見さしていただきました。私どもの立場で単純に軽々に結論づけるという、そういう専門的な知識もございませんが、それなりに説得力のあるお話であったのであります。そういうことから二、三点についてお伺いをするわけであります。  まず、最近大気の汚染状況というのは、規制法ができ、そしてまた光化学スモッグで非常に問題提起になりまして、環境庁を初めとしましていろいろ取り組まれてから、改善なり、それから自動車の排ガス規制等も厳しくなったということ等で、最近は非常に下降線上にあるんだろうと思うのでありますけれども、こういう大気の状況等についてお伺いしておきたいのは、絶えず測定しておくことが、数値の推移というものを把握することが大事なんだろうと思います。  この大気汚染防止法からいいましても、大気の汚染防止の状況監視、これは二十二条で都道府県知事が監視をすることになっておりますね。また、それを公表するということになっておるんですが、二十九条、三十条の「国の援助」と、それから「研究の推進等」、こういうところを見ますと、三十条なんか「国は、ばい煙、特定物質及び自動車排出ガスの処理に関する技術の研究、大気の汚染の人の健康又は生活環境に及ぼす影響の研究その他大気の汚染の防止に関する研究を推進し」ということでありまして、今問題になっております植物等についてはこれらの中のどの範疇に入るのかという、特定な杉ということが言われているわけでありますけれども、大気汚染、特に四十年代非常にひどかったその影響、今日時期的にいうとやはり高いときもあるわけでありますので、その影響もないとは断定できないものがあるだろうと思うんですが、こういうものがどういう生物に影響を及ぼすかというこういうこと等は、この条文からすると「人の健康」ということや「生活環境」云々とございますが、こういう範疇の中でやはり研究の対象として見定めていらっしゃるのかどうか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
  231. 杉戸大作

    説明員(杉戸大作君) お答えいたします。  今、先生いろいろ御指摘のように、環境庁といたしましては、大気汚染に係ります人の健康、それから生活環境に及ぼす影響、そういうところを重点的にいろいろ調査検討などいたしておるところでございます。その関連といたしまして、全国にたくさんの大気の測定局を設けまして定期的に、あるいは特定の物質につきましてはまた研究の対象としていろいろ観測調査などいたしておるところでございます。  植物等への影響につきましては、直接はまだ監視、測定ということは今まではいたしておりませんが、ただ、事、酸性雨につきまして、先生指摘のようにこれは世界的にも今非常に大きな問題になっておりまして、欧米諸国でかなりの森林とか、あるいは湖沼に影響が生じておるところでございます。日本でも国内でかなり低い酸性度の雨が観測されておりまして、私ども現在までのところはその酸性雨につきましての顕著な被害というのはまだ報告を見ておりませんが、非常にそのような欧米に似たような画の低い雨が観測されておりますので、将来のそのような酸性雨によります被害を未然に予防する、そういう観点から、五十八年度からこの酸性雨の対策のための検討会を設けまして、酸性雨が陸水あるいは土壌に及ぼす影響とか、あるいは酸性雨の発生のメカニズム、そういった点につきまして多角的に現在検討を進めておるところでございます。
  232. 藤原房雄

    藤原房雄君 この大気汚染の状況については、各県ごとで測定しているわけですね。環境庁でも何カ所か測定していらっしゃると聞いておるんですけれども、県の段階でいろいろな研究をしましても、やっぱり自分の測定範囲内、データはあるとしましても、他県のことまで言及するというのはなかなか難しいことで、どうしても県単位のこういう衛生公害研究所のようなところでは研究対象というのは限られる。それだけに、広域的な国のもっと幅広い、また真剣な研究対象としての、こういうことが起きてはならないということの事前の観測、そしてまた対応策、検討会、こういうものをより強化していただきたい。  酸性雨については国会でも随分前からもう論議されておりますし、随分言われているその割には行政としては、現在顕著なそういう実害がないということで、なかなか重い腰が上がっていないというのが現状じゃないかというような感じがしてなりません。国際機関でも、日本にやはり相当な酸性雨の影響があるんじゃないかというようなことも発表になったりしておりますが、細々とというんじゃなくて、物事が大きくなってからじゃなくて、ぜひひとつこれは環境庁としても広域的な、そして山間部では、この大気汚染学会のような、これをテーマにして研究なさっている学者の方々もいらっしゃるわけでありますし、そういう方々の研究成果等もあわせて、これは積極的なお取り組みをいただき、広域的な研究をお取り組みいただき、そして事前にヨーロッパのような大きな被害が出てからということじゃなくて、何らかの兆候があらわれた、そういうことでも行政が即応するような早急な規制というものが必要じゃないかと私は痛感をしておるんですけれども、その辺についてはどうでしょう。
  233. 杉戸大作

    説明員(杉戸大作君) 先生指摘のとおりでございます。  私どもも、将来欧米のようなそのような被害が広範囲に発生することを非常に恐れておりまして、そのために現在取り組んでおりますが、広域的な、県を越えたそういうような検討というのは、先生指摘のとおり非常に必要なことでございます。  今後も私ども、そういう各機関の地方の研究所等のデータなどを極力情報収集いたしまして、それからまた林野庁初め関係機関、そういうところとの連絡もとりながら、前向きにこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
  234. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから広域的に、この三十条のような、今お話がございましたように検討会を開いて酸性雨については真剣に取り組んでいるということですが、やはりその憂いのあるところにつきましては、地方の県単位でもそれぞれ研究をしていらっしゃるわけですけれども、研究費等についても十分ひとつ配慮して、そういう研究、現状把握、それからデータの積み上げ、こういうことにぜひひとつ御努力をいただきたい、このことを申し上げておきたいと思うのであります。  林野庁では、これは人体に影響を及ぼせばすぐ光化学スモッグのように問題になるわけでありますが、複合汚染といいますか、単純に酸性雨、特にウエットとドライ、ドライの方は相当強烈なやつで影響が大きいということなんですけれども、研究者の方はそれぞれの立場でいろいろ研究をなさっていらっしゃる。植物ですから痛いとかかゆいとか言うわけじゃありませんし、大きな被害になってからじゃないと気がつかぬ。そういう点では、今回の群馬での発表というのは一つの大きな警鐘として私どもは受けとめるべきだと思うんですが、林野庁ではどのようにお受けとめになっていらっしゃるでしょうか。
  235. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) これまでも一部の地域で特に杉の梢端部が枯れまして、酸性雨による被害ではないかという観測もあったわけでございますが、なかなか今までの調査資料からだけでずと、酸性雨による被害とは断定できないような状態でございました。その後、やはりいろいろ深刻な事態ということの認識が深まってまいりまして、本年度から林業試験場におきまして調査を開始いたしております。  大きく分けますと二つの内容がございまして、一つには、これまでほかの被害であろうというふうに思ってきた、あるいは被害の原因がわからないでおった被害の実態をもう一度洗い直すという作業をしておりますことと、もう一つは、実際人工的に酸性の液体をつくりまして、それを植物にかけてどういう機序で被害が発生していくのか、そういうふうなことを研究していく、そういう内容を持ちました調査研究を本年度から始めているところでございます。
  236. 藤原房雄

    藤原房雄君 県の農林関係の方々もいらしておりましたが、やはり今、長官がおっしゃるように、酸性雨のためにこういうことになったということは、そういうことではないほかのいろんな原因があるんじゃないかということですが、研究者の方も酸性雨のためにこうなったとは決して断定しておりませんで、複合的ないろんな要素があるだろう、しかしそれも大きな要因の一つではあるんだということでのお話でございまして、事実枯れている杉があるわけでありますし、また、その影響を受けている地域もあるわけでありますし、気象状況から見まして関東の群馬地方というのはそういう可能性のある地域でありますから、そんな過去にこだわることなく、ひとつ現象をとらえて真摯にやっていただきたい。  それから、環境庁の方はぜひひとつ、その地域に任せるんじゃなくて、どうしても環境庁というのは手足がございませんで各県庁に委託ということになるのかもしれませんが、しかしそこで得られたものはひとつ真摯に御検討いただきまして、大きくなってからということじゃなくて、ぜひ施策をしていただきたい。  林野庁には真剣に取り組めと、こう言いたかったんですが、林業試験場でようやくことしから取り組む姿勢ができたということのようでありますから、ひとつお互いに連携をとり合って諸外国のような大きな被害にならないうちに、叫ばれて久しいのでありますけれども、目の前にあらわれてないということでどうも真剣な取り組みがないという、私はそういう感じがしてならなかったんですが、ぜひひとつこういうことが研究者によって発表されたのを契機にしてお取り組みいただきたい、こう思います。  また、林業について先ほど来いろいろお話しございましたが、行政改革というのはこれはもう当然必要なことであり、我が党も時代の流れとして当然取り組まなければならないこととしてまいりましたが、各論的な問題になりますとそれぞれいろいろ問題になるのは当然のことだと思いますが、先ほど来同僚委員からもお話しございましたように、今日までの審議の経緯を見ましても、大臣からやはり地域の問題については十分に勘案しようということであり、また附帯決議についても地域経済というものについて十分検討しようというお話がございました。  今回の九カ所のやつを見ますと大体東に偏っておるという、これはどうして東に偏ったのか。これから山を大事にするには山の営林署がしっかりしなきゃならないんですけれども、しっかりしなきゃならない山の営林署が統廃合になっていく。営林署の人は町にいられない、みんな山に行け、そういうことを言っているんじゃないんですけれども。  そして現在、標茶なんか見ますと、伐採量は確かに少ないのかもしれませんけれども、人工林の面積や、これから除・間伐、いろいろ手当てしなければならないところが多かったりなんかしまして、ただ伐採量として金額にはならないのかもしれませんけれども、これから手を加えなきゃならない大事なところを減らすということになりますと、今後立派な木が育つのかどうか。当面、独立採算として国有林野が生きていくためには金にならなきゃならぬのは当然だろうと思いますけれども、目先のことだけに終始しておりますと、これは何年か後に取り返しのつかないことになるんじゃないか、こんな気がするんですが、こういう統廃合につきましては、そういう今後の作業量、こういうものを十分に念頭に置いて御検討なさったのかどうか。この点、ひとつしっかりお聞きをしておきたいと思うんです。  それから、北海道の標茶町におきましては、ここではいろんなことが言われていますが、相当な面積を持っていて管内で何番なんというのは余りそういうことは理由にならぬで、北海道は山林面積、人工林の面積、全体広いわけですからね。また、ここではパイロットフォレストの育成管理もやっているわけですけれども、三万ヘクタールに及ぶ森林施業、こういう中で先駆的なこういう仕事をしているということから見まして、大変にこれらの方々も関心を持っておる。こういう仕事をしておるところを統廃合の対象にするというのは一体いかがなものか。  それから、五十二年ですから、中川大臣のときに地域産業とかいろんなことを勘案してということで答弁もありましたが、地域の一つの大きな柱として町が総合計画の中に組み入れて計画を立ててやっている、そういうものを否定するような統廃合というのはいかがなものか。人数的にはわずかなのかもしれませんけれども、ぬくぬくとした国会の中で議論しているのと違って、山に行きますと実際林業と酪農しかない、それしか生きる道のないというところで、現場でやはりこういう現実が目の前にぶら下がりますと、これは非常に地域としての今後の生きる道に大変な支障を来す、こういうことを痛感をするわけであります。  特に、東の方に偏って非常に面積の大きい、これから手を加えなければならない大きな面積を抱えているにもかかわらず、こういうことでは今後の仕事に支障を来さないのかどうかというこんな心配もしておるんですが、こういう点どうでしょうか。
  237. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 東の方に偏ったというふうにお話がございましたが、結果的にそのような印象も受けるわけではございますけれども、まず一番最初にこの営林署の選定をいたします際に、現在持っております計画が、これは三百五十一営林署があった当時でございますが、六十二年までに三十五署を統廃合するというのが基礎になっておりますので、    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 現在十四の営林局、営林支局がありますので、これらがその組織簡素化を担う場合に、一つも当たらないという局はまずあり得ない、そういう組織減量の苦労はやはりみんな汗を流してやってもらわなければならないということから、本年はこれまで統廃合を実施したことのない営林署がやはり選ばれてまいったわけであります。  そういうことがありまして東の方というようなことにもなったかと思いますが、結果的に全体計画が終了するまでにはそう余り、国有林、営林署の保存状態には比例いたしますけれども、特にどちらかに漏らせるというようなことは毛頭考えたわけではございません。  それで、なおいろいろ地域経済、社会との関連でありますけれども、統廃合を行いましても、残る統廃合される営林署あるいは代替として存置する施設等によりまして、極力これまで果たしてきた機能について影響を及ぼさないように、これは地元の御意見も聞きながら対処してまいりたいというふうに考えておりまして、現実にそういう作業も行っているわけでございます。  例としてお話のございました標茶につきましても、これはパイロットフォレストの造成のときには大変な苦労をいたしまして、それが実りまして今整然とした造林地ができ、今度は保育、間伐を迎えているわけでございますが、今後はいろいろこの成り行きの観察、それをどういうふうに次の山へ遷移させていくか等の試験研究等は大事な仕事として残ろうかと思います。それにつきましては、そういう業務を管理する施設を設けたいというふうに考えておりまして、この点につきましても地元へ御説明をしたところでございます。いろいろな手だてをつくりまして、影響の緩和を図りながら御理解を得たいというふうに考えているわけであります。
  238. 藤原房雄

    藤原房雄君 国土の均衡ある発展という言葉がございますけれども、三全総、四全総、当然そういうことからいいましてお互いに統廃合が全権を持っているわけじゃありませんけれども、東に偏ってこれがなされるということになりますと、そうでなくても経済基盤の弱いところ、そこに集中的に林野庁が目をつけたというような感じをぬぐい得ない、こういうことでやっぱり全国的に目を光らしてそういうところで均衡あるお仕事といいますか、進め方というものをひとつお考えいただきたいものだと思うんです。  いろいろ言いたいことはありますが、もう時間もございませんから、ぜひひとつ今後のあり方としまして、地元の現状等よく実情把握の上でお進めいただきたい。  次に、漁業問題でありますが、大臣は来日中のカメンツェフ・ソ連漁業相と二度ほどお会いになったようでございます。いろいろお話を聞きたいんですが、時間もございません。  今度は漁業交渉ということではございませんで、大臣が無目的じゃない、ある目的はあってお話しをし合ったんだろうと思います。ことしは御承知のように非常に交渉がおくれていろいろな支障、問題が出ました。そういうこと等のこともございまして、大臣も期するところあっていろいろお話し合いをされたんだと思いますが、非常に厳しい、厳しいというのは漁場転換とか、また違反操業船の問題とか、いろんなことが指摘があったようであります。大臣も心にあったことをお述べになったんだと思いますが、私どもは報道されたものしかわかりませんで、その感触、また来年の大事な、来年というか今月末ですか、また今月の末からモスクワで日ソ地先沖合漁業協定が始まりますが、こういうことの中で大臣はそれなりの成果があった、何らかのことしとは違って話が進むようにお感じになられたのか、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 漁業交渉、アメリカ、カナダ、非常に厳しい状況、そういうものをソ連でもということじゃないだろうと思いますけれども、その辺の感触等についてお話しをいただければと思うんです。
  239. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) カメンツェフ漁業大臣との間では、日ソ間の相互に関心を有する漁業の分野の問題や、サケ・マスの問題、二百海里の問題、いろいろ隔意なく意見交換が行われました。  その中で、先生お尋ねの今後の交渉にある程度の判断材料を提供するようなことがあったかなかったかという点でございますが、日ソ地先沖合漁業協定、これにつきましては協定が一本化され長期化されたことについて、これを日ソ間の漁業の分野での接触がさらに安定的な法的枠組みのもとで行われるようになったという意味で肯定的に評価をいたしておりましたが、ただ、中身の問題につきましては、先ほど先生もちょっとお触れになりましたように大変厳しいものがございました。  一つは、本年の操業実績につきまして、日本漁船の違反操業が大変件数も多く、かつ悪質なものがあるということに言及をいたしまして、日本政府がさらに違反の根絶に積極的な態度をとってほしいということを強調をいたしておりました。  それからいま一つは、ソ連漁船の日本への寄港につきまして、これは大変差別的な待遇を受けておるということにおいて苦情を申し立てておりました。  それから、一九八六年の操業条件をめぐってどうするかという問題についてでございますが、カメンツェフ漁業大臣は、日本水域におけるソ連漁船の漁獲割り当ての消化率が日本側のそれに比べて著しく低いということを指摘をいたしまして、その原因として、日本水域におけるソ連漁船に課せられている操業条件が厳し過ぎるのである。それでソ連側としては、日本と少なくとも同じような消化率を上げられるように、日本水域でソ連漁船に課せられる操業条件の制約を緩和してもらいたいということを述べておりました。それに関連をいたしまして、さらにソ連水域で日本漁船が漁獲している魚というのは大体お値段の高い魚をおとりになっておって、それに比べて日本水域でソ連漁船のとっている魚は安い魚である、本当は値段で日ソ平等になるところまで行きたいところであるというふうなことさえ申しておりました。  したがいまして、こういうことから考えますと、交渉の日取りにつきましては日ソ漁業委員会が十一月の月末までに開かれるということは本年初め既に合意済みでございますから、よもやそれをチャラにするというようなことはないと思いますが、中身につきましては、ただいま申し上げましたようなソ連漁船の操業条件を緩和するということを前面に打ち出して大変強い主張をしてくるであろう。それで、それが入れられないという場合には、対抗措置としてソ連水域における日本漁船の操業条件について相当厳しいことを言ってくるということになるのではないかという、そういう判断がされるわけであります。
  240. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。  今、水産庁長官が申したとおりでございまして、今度はカメンツェフ大臣が私の招きでこちらに参ったわけでございまして、数回にわたり率直な意見交換を行いました。そして、日本漁船の操業の安定的継続を図るよう努力しましたが、今、長官の言ったとおり非常に厳しい態度でございまして、今後二百海里水域の日ソ漁業交渉はますます厳しくなってくるものという感じがいたした次第でございます。
  241. 藤原房雄

    藤原房雄君 日ソ交渉、いろんな交渉が始まりますと、漁業交渉で日本の寄港地ということになるわけでありますが、ことしの春ですか、去年ももちろんですが、寄港を指定された港に対しては十分な財政的な、金だけで物事済むわけじゃないんですけれども、裏づけをしないというところに受け入れ側としまして大変な超過負担を強いられる、その後始末は余り見てくれない、市民にも大いに迷惑をかけるということで、どこも受け入れ場所がないというのが現状で、去年の小名浜につきましても、やはり地元でいろいろなお話聞きますと、相当な出超といいますか足し前になっておる。塩釜に決定しましてからも、あの狭い町並みの中でわいわい騒がれますと、もう商業行為、いろんな住民の方々に大きな迷惑がかかるということで、地元はこぞって反対をしておりました。  しかし、国際的な問題もございまして、過日、二十八隻ですか参りましたんですが、それと同時に、警備等の対策経費とか水揚げ減少による損失費とか、それから海上取り扱い貨物量の減少による損失、公共土木工事の工期延長による損失、こういうこと等を地元としてはいろいろ試算をしまして、少なくとも一億からの損失になるんだということで、水産庁の方にもお願いは来ているだろうと思うんです。こういうことをちゃんと、まあ地元の見積もりがそのまま正しいと、私も一つ一つ計算したわけじゃありませんからわかりませんが、やはり正当なものについてはそれなりのことをいたしませんと、来年どこもますますガードを固めて引き受け手がなくなる。  こういうこと等を考えますと、今日、自治省と農水省との話し合いで物事が進められるんだろうと思いますが、十分納得のいく説得力のある、そういう対処をいたしませんと今後の問題は非常に難しくなる。そういう上からいきましても、ことしのこの塩釜につきましては十分そういう点をひとつ配慮してもらいたいと思います、農水省だけでできることじゃないのかもしれませんが。  それから、一年だけということでありますから、塩釜につきましてはことしで任務完了、こういうことで、きちっと約束は守る、また言ったことはちゃんとする、こういうふうにいたしませんと、もうどこもこれはますます困難性をきわめる。一度ならず二度ならず三度という、こういうことでは相ならぬと、こう思うんですが、この問題についてはどのように水産庁としては受けとめていらっしゃいますか、お聞きをしておきたいと思います。
  242. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  ただいま藤原先生が言及なさいました、塩釜市からのソ連漁船入港に伴う財政需要等に関する調書、これは私も塩釜市長から直接ちょうだいをいたしまして拝見をいたしております。  そこで、私どもといたしましてはこの一年、塩釜の市御当局なり市民の皆さんにいろいろ御苦痛に耐えていただいたわけでございまして、私どもといたしましては、まず水産庁の持っております予算で塩釜の皆さん方の御要望にこたえられるものについては思い切りおつき合いをしたつもりでございます。  そういうことで、漁港でございますとか沿岸漁場整備開発あるいは水産物の流通加工拠点総合整備事業、こういうものにつきましては全部塩釜市の御要望のとおり箇所づけ等は処理をしてきたつもりでございます。それから、塩釜市の御要望の中で水産庁で処理いたしかねる、他の省庁にわたりますような事項につきましては、これはそれぞれ関係省庁に私どもの方からも善処方をお願いをしておるところでございます。  ただ、塩釜市御当局のお話を伺っておりますと、一番の難しいところは、例えば港へ余り船が入らなくなって町にお金が落ちなくなるとか、そういうことによって生ずる損失を埋めるための、まあ一種のおとしまえといたしまして、別に特定の使い道に充てるということではなくて、一億損したから一億よこせという、そういう種類の御要望がございまして、これにつきましては、ちょっと私ども従来からの財政のルールの中ではこういう形の支出を工夫するということは大変難しいものですから、それで、おつくりになりたいものに即して、何がつくりたいから何の金をよこせというふうにおっしゃっていただければ、それぞれの所管省庁に私どもの方からも口添えを促していく、そういう心づもりでおるわけでございます。
  243. 下田京子

    下田京子君 資料をお願いします。    〔資料配付〕  今、大変社会問題になっておりますが、パラコート除草剤の問題でまずお聞きしたいわけです。  パラコート入りドリンク剤による無差別殺人事件は、もう放置できないような状況になっております。去る十一月十八日、十九日の両日にわたっては、三重県の津市の白塚愛児園で、園児が百七十人おられるところで十一箱のパラコート入りのコーヒー牛乳が見つかった。十一箱ですから、もしこれを子供たちが口にしていたらどうだったかと、もう思っただけでも私はそうっといたしました。こうした卑劣で凶悪な犯罪というものはもう断じて許してはならないという、そういう立場からの対応が今望まれるのではないかと思うんです。  今お配りいたしました資料の一枚目というのは、これは警察庁が調べたものをまとめました。これは実際にことしの四月三十日以降十一月十八日までの間に十九件もパラコート入りドリンク剤を飲んだ事件が起きたわけで、既に十二名の方が絶命されている。これには未遂は含まれてないわけで、六割以上の方が亡くなられているということですから大変なものなんです。  警察庁から聞いたところによりますと、もう飲んですぐ吐き出したけれども、二cc程度のものが体内に入った、それだけで死亡した例もあると、こう報告されております。まさにパラコートというのは毒性が強い。治療方法としては胃洗浄とそれから吸着剤投与による血液中からの除去で体外に排出する以外に有効な解毒剤がない。だから極めて致死率が高い。したがって、大変命にとって危険な毒物であるということが言えるわけだと思うんです。そうですね。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕
  244. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) パラコート剤につきましては、お尋ねのように毒性が強い。解毒剤についてもなかなかほかのものに比べますと難しい、こういう状況は確かに。ございます。  お尋ねの中にもございましたが、私どもとしましては胃洗浄、腸洗浄、血液透析、強制利尿、こういうような方法につきまして、中毒治療法については、関係のお医者さん等に被害防止運動の中で周知徹底に努めているところでございますが、これらの点だけではなかなか十分ではないという実態があることも承知しております。
  245. 下田京子

    下田京子君 これほど人間の命にとって重大な毒物であるパラコート剤による犯罪というもの、あるいはパラコート剤による自殺、それからまた間違って飲む事故、これがどうやったら防げるのかということは大変な課題だと思うんですね。今まで自殺は防止できないみたいなそういう傾向が一部にございましたけれども、パラコート剤による自殺がどんなに悲惨であるのかということで改めて私からも紹介したいんです。  最近の事例では群馬の中学二年生、学校でのいじめ、しごきを苦にパラコート入り農薬によって服毒自殺をはかった。十月十四日でした。ところが、亡くなったのは二十二日。ですから、九日間苦しみ続けた。そのときの様子を、農業をやっている父親が最愛の息子を失った気持ちとあわせてこう言っているんですね。手足を苦しみでばたつかせて、四人で押さえていなければならなかった。だから、のどを絞めたら楽にしてやれると何度も思ったというんですね。どんなに苦しんだことかと思うんです。この中学生がパラコートというものがどんなものかということは、知る由がなかったと思います。簡単に入手できなかったら、あるいはこの自殺というのは防止できたんではないだろうか。  そのことを裏づけたのが、実は筑波大の内藤教授の実態調査であると思うんです。これは農村医学会等でももう報告されておりますけれども、パラコート中毒死はパラコート出荷量と比例しているということです。その結果、パラコートの販売や管理に問題があるということを逆に明らかにしていると思うんです。そうですね。
  246. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 筑波大学の内藤先生ほかの農村医学会関係の方々の最近の御発表なり、あるいは一種の御提言、こういうことがございます。私どもとしましては、これらについても承知しておりまして、ただこの中に御提案になっているような薄めるという方法についても一つの検討すべき問題であろうと思いますが、なかなか保管管理面で量的に増大するとか、これは農業が専らの観点から見ますと、なかなか流通量がふえまして経費が増高して高い農薬を使うことになる、こういうような問題もございますが、いずれにしても一つの御提案として私ども検討はいたしているわけでございますが、現状ではなかなか問題も多いと、こういうふうに考えております。
  247. 下田京子

    下田京子君 私、内藤先生の薄める話は聞いてなかったのですよね。つまり出荷量、出回り量と事故が比例しているということで、いかに販売や管理に問題があるかという点でこれは考えなきゃならない。これは否定されないし、事実そこが大事だと思うんです。  それを裏づけているように、ことしの十月に入って十月五日植防課長名で、それから十月二十四日農蚕園芸局長名で、同月のうちに二回も通達を出したというのはまさに異例だと思うんですよね。  ところが、七年前、パラコートを毒物に指定した五十三年段階、五十三年十一月、農蚕園芸局長通達でこう言っているんですね。保管の際は、子供の手の届かない冷暗所にかぎをかけて厳重に保管する、こう指摘しているんです。ところが実態は、今私が申し上げたように、大変な社会問題になるほどに、これは無差別殺人も含め、それからそのほかの言ってみれば自殺や、あるいは散布中の事故等も含めて事故が相次いでいる。そういう中で、効果が非常にこれは出てこないということをみずから証明しているのだと思うんです。ですから、何らか新たな対応をとらなきゃならないということもまた言っていると思うんです。  宮崎県の都城農協の志和池支部というところで、農協婦人部が調査されているんです。九百九十六人の婦人部員の調査の中で、通達どおりかぎのかかる保管庫を持っていると答えたのはわずか六%であった。ですから、どれだけ大変なのかということをまたここでも裏づけられる。  そこで私は聞きたいことなんですが、実際に農家がかぎのかかっている保管庫を持っているかどうか、どの程度そういう実態がつかまれているんでしょうか。
  248. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 繰り返しの指導の中で、お尋ねにございましたような保管管理面についても、かぎのかかる場所に保管して盗難、紛失の防止に万全を期す、もしもそういう盗難、紛失の事故が発生した場合には速やかに警察署に届け出る、こういうことを指導しておりまして、お尋ねの実際に農家でかぎのかかる保管庫にパラコート剤を保管しておるかどうか、こういう実態について私どもまだ把握をしておりません。ただ、こういう点についてさらに徹底をすべき状態にあろうかと、かように考えております。
  249. 下田京子

    下田京子君 ともかくもみずからが何度も通達で出している。そうしたら、実態がどうなっているか、これは最低でも調査をしなきゃいけない。どこに欠陥があるかということもつかまなきゃならない。  これは指摘改善を要望しますが、私は大変驚いたのは、その五十三年通達で、「なお、パラコート除草剤以外の類似の薬剤であって、農薬としての登録がなされていないものが農薬として使用されることがないよう、その指導も併せてお願いする。」、こう指摘しているんですね。これはわかりやすく言えば、農薬取締法に登録されてないで、パラコート剤入りの無登録農薬が実際に流通され使われているということを指しているんだと思うんです。そうですね。
  250. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) これは業者の方は、農薬として使うのではない、いわゆる非農耕用というようなことで売っている場合が多いわけでございますが、これは実際にそれが農薬に使われるということになりますと、お尋ねのように農薬取締法違反の無登録農薬、こういうことになるわけでございます。
  251. 下田京子

    下田京子君 それが出回っているということで、五十三年から通達も出してきたと。  そこで明確にしたいことなんですが、この農薬取締法の登録を受けてないパラコート剤がいろんな商品名で出回っているということは私は大変危険が増大していることだと思うんですが、その点で登録されているものとこの無登録のものでは一体どこが違うのか。  具体的に言いますと、成分規格のチェックはどうなっているんでしょう。あるいは実際に出回っている非農耕用だと言われている商品が農薬に使われているわけですけれども、残留性だとか遺伝毒性などの試験は一体なされているのかどうか。それから、農水省がこれまでパラコート中毒事件防止のためにいろいろ対応してきましたね。例えば着色であるとか、着臭であるとか、催吐剤を使用するだとか、そういうものは一体適用になるのかならぬのか。そこのところをもうちょっと明確にしてください。
  252. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) これは、登録を受けないけれども実際にパラコート剤であるというものでございまして、お尋ねの中の成分規格のチェックも行われておりませんし、残留性その他いわゆる毒性的な観点からのチェックもございませんし、着色、着臭等、その後のパラコート剤の登録の部分について行われております改善も行われてないということで、全くそういう意味では野放しの状態にあるわけでございます。
  253. 下田京子

    下田京子君 そういう大変危険なものが、最初この通達を見てなるほどと思ってこれは調査したんですが、ことしの局長通達の十月二十四日のところで、今の「農薬として使用されるおそれがある無登録の薬剤については取扱わないこと。」、だから取り扱っているというふうに思いまして、調べてみた。その結果、資料の二枚目ですが、これが無登録パラコート剤、つまり非農耕用だと言いながら農耕用に製造していたものを扱っていた会社ですが、これは箕川種苗、これはグラスキラーという形で扱っている。それから森村商事、パラグリーンAというので扱っていた。それから旭化学工業、これはニッコーソという格好で扱っていた。写真が下にありますけれども、これは間違いございませんね。
  254. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 先生の方で資料としてお配りになりました三件については、実態調査により確認されましたもので間違いございません。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  なお、そのほかにも今確認を急いでおりますが、若干情報としてまだこれ以外にもあるのではないかというようなこともございまして、さらに調査をしておるところでございます。
  255. 下田京子

    下田京子君 その調査結果がわかった段階でやはり告発という手も打つべきではないかと思うわけですが、どうでしょうか。
  256. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) これはもちろん犯罪ということになりますので告発も必要でございますが、私どもとしては農薬取締法に基づく行政処分権限の対象になる場合がございまして、これは従来、パラコート剤ではございませんけれども、無登録農薬を取り扱ったということで行政処分の対象にもしておりますので、これらの措置を通じましてこの根絶を図るように努力してまいりたいと考えております。
  257. 下田京子

    下田京子君 告発も考えられるがまず行政処分をということなんですが、さらに答弁の中に、その他にもあり得るという話でしたけれども、実際に私どもの調査で成旺物産というのもその疑いがあるというふうに思います。  現実にこれは厚生省に聞いたところなんですが、資料の二のところにあります「毒物劇物取締法によるパラコート登録業者」、これは輸入登録業者の場合には日本農薬を除いて二十八企業ございますね。それから製造登録業者の場合には武田薬品、日本農薬、大塚化学を除いて六社あるわけです。しかし、このそれぞれの企業が農薬取締法に登録されたパラコート製品を輸入したり、あるいは製造したりしているかどうかという点では不明なんです。私ども調べ切れなかったんです。だから、そういう点からもこれらについてはやっぱりすべて調べるべきだと思います。  それから同時に、今明確なのは、武田薬品工業と日本農薬とそれから大塚化学と、この三社が現に農耕用のパラコート剤を製造しているわけですね。総量でもって、これは五十八年実績ですけれども、六千百五十三キロリットルというふうに数字的に出てきております。そのほかに、今言うような無登録によるパラコート剤がどのくらい出回っているんだろうか。推定では三百キロリットルあるいは四百キロリットルぐらいあるんではないかというふうにも思われます。  ですから、片一方で現に農耕用のパラコート剤を保管しなさいとか、あるいは催吐剤を入れるだとか、何やらかにやら言っても、別途こういう格好でしり抜けがある。それで何ともできないということになれば、無差別殺人はもとより、いろんな事故につながるまさに温床になっているということがはっきりするわけで、これはきちっと対応していただきたいと思うんです。よろしいですね。
  258. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 無登録農薬につきましては、厳正にこれからも対処していく所存でございます。
  259. 下田京子

    下田京子君 厚生省にお尋ねしたいんですが、これだけ無差別殺人を起こしておりますパラコート剤、非農耕用ということで農薬取締法に登録してないパラコート剤が実態として相当農耕用に使用されていることがわかったわけです。とすれば、当然厚生省としても毒劇法登録している企業に対し、このいただきましたこれらの企業に対して今、農水省と協議して、当面まず農薬取締法に基づいてきちっと登録するようにという行政指導はやるべきだと思うんです。やりますね。
  260. 渡辺徹

    説明員(渡辺徹君) 先生指摘のように、私ども大臣登録されておりますパラコートの毒物の製造業者あるいは輸入業者、これは実数で私ども現在までに把握しておりますのは三十五社でございます。  毒物劇物取締法の法体系からいいまして、この登録申請時点でその使用目的をこの登録の要件といたしておりません。このために非農耕用であるか、あるいは農耕用であるかというこの毒物登録時点での確認はできないわけでございますが、これは例えばパラコートと申しましてもグラム単位で輸入する、試薬として輸入するというような試薬会社などもこういうところに入るわけでございますけれども、そういう事情で登録の時点ではその使用目的については要件とされていない。  しかしながら、先生指摘のように、現在非常に大きな社会問題となっておるということで、私どもも毒物劇物登録業者として把握している企業に対しまして実態調査、ヒアリングも進めておるところでございますので、農水省とも協議いたしまして、実態として農薬として使用されているというようなことが確認され、農薬登録が必要であるというようなものにつきましては、農薬登録を取るようにという指導を私どもといたしましてもしていきたいというふうに思います。
  261. 下田京子

    下田京子君 当然おやりにならなければならないことなんですが、輸入問題で言えば、さきの三社なんかも実態として台湾あたりから輸入されているというような話も聞いております。そうしますと、向こうで非常に安い人件費の中で一体どんな成分を入れたのかわからないものが、実態は非農耕用という格好だけれども農耕用に使われているということになるわけですから、これは断じてきちっとしなければなりません。  同時に、実態が、理論的に考えまして、今行政指導しても、いや私のところは非農耕用なんだからだとか、あるいは試験だとか云々といった企業が出てくることも想定できると思うんです。そういう場合には、やはりこれはもう農薬取締法の登録を拒否したということになるわけですから、特定毒物というような指定でもしない限り防げないんではないだろうか、こう思うんですが、いかがですか。
  262. 渡辺徹

    説明員(渡辺徹君) 先ほど申し上げましたように、一般的に毒物登録の際にその使用目的について登録要件とされていないという意味では、法的な規制の内容からいいますと、一般の毒物という規定ではこの非農耕用を排除するということはできないというふうに考えております。
  263. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、やっぱり特毒指定も考慮に入れなければならないということを言われていると思うんです。  農水省、農村医学会が特毒指定の問題を勧告しているのを御存じですね。時間がありませんから全部は読みませんけれども、ここに勧告文もあります。読んでいますね。これは宮城県だとか熊本県だとか、あるいは農水省自体の調査によっても、パラコート管理との相関関係で自殺、他殺のみならず、事故も含めてですけれども、農民自身に対する影響が大きいということをまた明確にした事例が相次いでいるんですね。自殺にしたって、そこに農薬がある。だからもう具体的に言えば、夫婦げんかをしてぱっと奥さんが口にした、ところが後で調査をすれば死にたくない、助かりたいというようなのも出ている。同時に、散布中の事故もあるというようなことを考えますと、これは私、個人的に言ったら、こんな恐ろしいものはもう流通させるな、こう言いたいところなんですけれども、その有効成分というか、それも非常に大きいということで否定もできない。  ですから、特毒指定も含めて、早期にやはりどうしたらいいかという格好で、何よりも人間の命を大事にするんだという観点から協議を起こすべきだと思うんです。よろしいですね。
  264. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 特定毒物の指定につきましては、これは厚生省の毒物劇物取締法上の問題でございますが、先生のお尋ねの中にもございましたが、この使用方法が厳しく限定されることになりまして、個大使用がなかなかできなくなるというようなことになりますと、大変農業生産の影響が大きいわけでございます。  私どもとしましては、そういうことに至る前に、現行制度のもとで販売の際の購入者の身元、使用目的の確認とか、さらに保管管理の徹底とか立入検査の実施、さらに無登録農薬の取り締まり、こういうような措置をもちまして、従来ございますようないろいろな事故等を極力防止する、こういう方向で努力してまいりたいと考えております。
  265. 下田京子

    下田京子君 やれることはやるというのはもう当然のことでございます。同時に、必要に応じてその特毒問題も含めたやはり検討というものが大事なので、大臣に最後に一言、所管大臣としてそういう取り扱い、保管も含めてどうあるべきかということで連絡をとり合いながら検討していただきたいと思います。
  266. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。  先ほど局長答弁したとおりでございますが、最近パラコート除草剤が農薬の本来の用途以外に使用される等の事態が相次ぎ問題が生じていることから、今まで安全対策には十分配慮してきたわけですが、今後とも都道府県、メーカー、販売業者及び使用者に対し、関係省庁とも十分な連絡をとりながら保管管理等の徹底を強力に指導いたしますとともに、例えばパラコートの改良剤とか、あるいはよりすぐれた除草剤の研究開発の促進を図るなど、安全対策に強力に取り組んでまいりたいと考えております。
  267. 下田京子

    下田京子君 それはもう当然で、早急にやっていただきたいと思います。  次に、これもいろいろお話しになっておりますけれども、今、水資源涵養問題で水源税構想なども出ております。実はこれでも質問したかったんです。時間がなくて残念なんですが、私ブナの問題でお聞きします。  水資源の涵養という点では、このブナの持つ役割というのは大変重要だということを指摘しているのも知っておりますが、今日ブナがなぜ注目されているかといいますと、何といっても風致上から自然の景観がすぐれているという点で、高い公益性が言われているのではなかろうかと思うんです。これは林野庁も評価されておると思うんですけれども、当然そうですね。
  268. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) ブナは日本の広葉樹資源では最大のものでございますので、森林いずれもいろいろな機能を持っておりますけれども、日本におきましてはそういう大きい存在であるということ。かつては木でないなどと言われましたけれども、今は春の新録から秋の紅葉その他、いろいろな点から見て非常に評価をされているというふうに私も考えております。
  269. 下田京子

    下田京子君 そういう風致上から極めて高い公益性を持っている天然林のブナが、実態はどうかといいますと、皆伐され、杉等に人工林化されていることもあって、ブナの蓄積量というのはどんどん減少してきている。これは数字的にも長官も御存じだと思うのですが、四十九年−五十九年のこの十年間で何と一千三百万立米も減少ですね。ですから、自然保護団体だとか地域住民が、ブナを死滅させるなということでもって危機感を持って訴えられているのは当然だと思うのですよ。しかも、蓄積量が減るだけでなくて、風致上、長年かかってつくられたブナの原生林が破壊されているという実態が各地からもう林野庁にも届いていると思うのですが、そうですね。
  270. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) ブナ林の保存につきまして、いろいろな要請が参っております。
  271. 下田京子

    下田京子君 私も林野庁の皆さん方にもお話はしてきているんですが、ここに宮城県の船形山のブナを守る会が発行した「みずといのちのみなもと ブナの森」という雑誌が創刊されました。これはきっとお手元にないと思うのですが、後でお届けいたします。  大変船形連峰のブナの伐採状況が写真等でも詳しく裏づけられております。この雑誌にもある地域を、私も守る会の皆さんと一緒に行ってまいりました。青森営林局の中新田、古川、仙台です。この三営林署管内のブナ伐採状況いかんということで、二日間にわたって山を調査したんですが、調査の結果驚きましたのは、第一にモヒカン刈りなんて、頭の一部だけ、今はやっているそうですが、そういうような状況での保護樹帯がわずかに残っただけで連続的に今皆伐がやられてきた。こういう状況の中で、景観どころか水資源涵養機能も損われているということをつくづく感じました。  特に、宮城県人口の約五七%、百二十四万人が住む地域の水源地として大変影響のある船形連峰の一帯の漆沢、鳴瀬川水系、吉田川水系、大倉ダム水系を調査しましたが、特に漆沢ダムの水資源がまさに国有林の伐採によって荒廃させられているんではないかということを痛感いたしました。これは中新田のその部分の地図に落としましたが、この色のついているところはもう切られちゃったところなんです。ここが今言う漆沢ダムですね。こういうふうに見ればわかると思いますが、ダムの上流、こういうところがこれだけ切られちゃった。これはもう大変なことであって、見直しは当然だと思うのですよ。どうですか。
  272. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 水源地帯の伐採につきましては、一回に伐採いたします面積の制限を守ることは当然でありますけれども、そういう伐採区域を連続させないように保護樹帯が適正に設けられなければならないわけですが、もし先生指摘いただきましたように、そういう適正な残り方をしておらないとすれば、それはまことに施業上適切を欠いたものだ、今後はそういうことのないように十分指導をいたしたいと思います。
  273. 下田京子

    下田京子君 そういうことで、いろいろと林野庁の方も考えてくれておることはわかるんですが、現に花染山周辺ですと、今までもう切られて既に皆伐になっているんですね。いろんな見直しを検討されてきておるわけですけれども、実際に五十九年四月にまとめたこの地域の施業計画によりますと、標高七百メートル以上皆伐しない、こう言っておるんですが、実態はどうかと言うと、九百メートルのところまで皆伐する計画なんかになってしまった。指摘して一部の手直しはなったというわけなんですけれども、大変な事態なんですね。  さらに、仙台営林署と中新田営林署の境界となっております長倉尾根も見たんですが、ここは県立自然公園船形連峰の第一種地域なんです。ですから、もちろん禁伐区域となっているんですけれども、その近くの第二種地域が、択伐とは言いながらもまさに貴重なブナ原生林の景観が壊されちゃってきているんです。ですから、一方で保護樹帯だとか、あるいは皆伐はできるだけあれして択伐方式でと、こう言っていますけれども、択伐でも今のような実態が出てきている。ここは具体的だから長官言ってないですが、お話は伺っておると思うのです。
  274. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 中新田営林署の施業につきまして、現地営林署あるいは青森営林局からの報告を私も受けておるところでございます。
  275. 下田京子

    下田京子君 なお、報告を受けてこれは当然見直ししていただきたいわけですけれども、宮城北部地域の第四次の施業計画、五十九年から六十八年までの中でも、択伐ならいいというふうには言っていないんですよね。択伐ということでより広い面積を伐採して、そのために林道を開設する、あるいはブナ林の自然が破壊される、そういう実態が次々出ているんです。しかも、風致上保護すべき点でその区域を広げない限り、つまり禁伐区域というものをより多く設けない限り、自然公園やなんかも守れなくなってくるということ、こういうこともきちっと踏まえた上で今後検討していただきたいと思います。
  276. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 自然公園区域の中におきましては一種、二種、三種それぞれに施業の基準が定められているわけでございますけれども、それはもちろん適正に守られなければならない。特にブナの施業につきましては更新を確実にすることが最も大事でありますけれども、それらについて決してまだ十分なだけの我々も経験、蓄積を持ち合わせていないということから、いろいろと現地におきましては試行錯誤が行われておりまして、結果、成功しておるところもございますけれども、場合によりましては問題の気持ちを起こさせる箇所も実はあるわけでございます。  そういうことの反省、分析に立ちまして、ちゃんとした更新が確実にできますように、この後も現地に対します植え込みでありますとか、稚幼樹の刈り出しをするとか、立派なブナ林に再生いたしますような手だてをやはりこれからの施業計画の中に組み込んでまいらなければならないというふうに考えております。
  277. 下田京子

    下田京子君 更新の確実性という点では成功例が確かなものがないとお認めになっていますから、いろいろお聞きしたいところだったんですが、それではその上に立って、じゃどうしたら本当に景観も損なわないで、特に宮城県なんかの場合ですと、栗駒山の国定公園であるとか船形連峰県立自然公園だとか、風致上も重要だというようなところは禁伐区域をきちっと設定していく、そのためにどうしたらいいかということでは知事ともきちっと協議をして、十分地元の意向を酌んで対応していただきたいと思います。よろしいですね。
  278. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 施業計画を樹立いたします際には、従来からも都道府県の知事さん、あるいは関係の市町村長さんともそういう御意見を聞く機会を持ってきたわけでございますが、ここも大変県民の皆さんから関心を寄せられておるところであります。また、その関連業界もこの山の取り扱いがどうなるか、林産業界の資材という面がございますので、非常に深い関心を持っておるということもございますので、私どももしっかりした計画を立てまして、その際には十分ただいまの地元の関係の皆さんへの説明、意見の交換をいたしてまいりたいと思っております。
  279. 下田京子

    下田京子君 最後に大臣、ブナは御存じだと思うのですが、これはもう百年、二百年かかるんですよ。ですから、もうこういうところは国有林だからこそ森林の持つ公益的機能を第一義的にやらなきゃいけないんです。ただ大臣も、国有林財政が大変だと、こうおっしゃっていることを重々御承知だと思うので、一般会計からの今繰り入れもやっておりますけれども、その繰り入れも借金返済に大方とられてしまうというのが現実です。とすれば、やはりもうちょっと国の財政措置も真剣に考える中で、こういうブナ林の保護ということも積極的に対応を御検討していただきたいと思います。
  280. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  先ほど長官答弁したとおりでございますが、地域施業計画の樹立に当たりましては、関係する府県知事、市町村長とか皆さんからよく聞いておるわけですが、今後とも十分その意見を尊重しながら御趣旨に沿うように努力してみたいと、こう思っております。
  281. 下田京子

    下田京子君 最後に、営林署統廃合問題で、これは時間がもうありませんから、二点について具体的な地域を挙げて申し上げます。  地元の意向を十分酌み尽くしてこれからやるんだと、こうおっしゃっておりますけれども、まず九営林署廃止大前提と、ここのところから考え直さなきゃいけないと思うんです。  北海道の標茶なんですけれども、これは森林づくりに大変情熱を持って今やっています。人口一万二千人中七千三十八人の署名を集めて、次のように訴えてきているのを御存じだと思いますよ。標茶の営林署というのは、三万ヘクタールの国有林を管理し、世界的に注目されているパイロットフォレストとともに、二万ヘクタール以上の人工林を造成してきた。これらの人工林はあと数年後から順次主伐期を迎えて、木材生産量が増大して、伐採跡地の再造林などいろいろ施業が大事なときなんだ。ですから、代替措置としての営林事務所だけではどうにもならぬ、むしろもっと積極的な山づくりをしてくれと、こう言っているんです。  それから猪苗代、これも事業規模が小さいと、こう言っておりますけれども、まさに国有林野の果たすべき今日的課題、公益的機能を重視していないあらわれではないかと思うんです。猪苗代が管理する国有林野は、御承知のように会津盆地、安積平野を潤す水かめ猪苗代湖の水源地なんです。磐梯山だとか、あるいは国際スキー場だとか、そういうところがあるので、観光地としても全国に知られております、もう多大な公益的機能を担っているんですよ。こういうところを十分にまず検討して、こたえるべきだ。ですから、よって今の案は撤回すべきということだけ申し上げておきます。  以上で終わります。
  282. 成相善十

    委員長成相善十君) 本調査に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————