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国務大臣(
中曽根康弘君) まず第一に、安心、安全、安定の
国民生活の
確保の問題でございますが、これにつきましては、
政府は苦しい財政の中でもあらゆる努力をしまして、公平でしかも長期的、持続的安定を目指した
福祉制度の維持、
改革を目指して進んでおるところでございます。現在の情勢で見ましても、防衛費や
社会福祉費の比率を見ますれば、六十年度当初予算等を見ますると、
社会保障費は九兆五千七百億、文教科学費が四兆八千四百億、防衛費は三兆一千三百億、こういう
状況でありまして、大体
社会保障関係の約三分の一ぐらいが防衛費でありまして、この比率を見ますと、我が国の
社会保障費に対する防衛費の比率というものは非常に防衛費が低いのであります。そして一%の枠を守ろう、そういうことで懸命の努力をしておる。先進工業
国家においてこういう国はほかにはないのであります。
そういうような
状況もぜひ御認識いただきまして、
日本の今の
政策自体が防衛に偏しているという
考えは私はとらない、ほかの経費との調和を常に
考えつつ行っておる。先般五カ年の防衛計画をつくるに際しましても、一%問題については、これは三木内閣の
決定をできるだけ将来も守るように努力していくということも厳命しておるところであります。そういうような世界の工業
国家の中で
アメリカに次いで
GNPにおいて第二位、ソ連も追い越したというくらいの膨大な
経済大国である
日本の防衛費というものを、予算あるいは
GNPの比率において列国に比べてみれば著しくこれを低い
水準にとどめておる。このことも御認識願いたいと思うのであります。しかし
社会福祉については、憲法の精神にかんがみまして今後とも持続的、積極的に努力していく、特に老人とか身体障害者とか難病の方々とか、そういう方々に対する手当ては十分を期して今後とも努力してまいりたいと思っておるところでございます。
それから秘密保護法の問題につきましては、本院におきましても言明いたしておりますように、私は秘密保護は必要である、
日本ぐらいスパイ天国はないのだ、これをそのまま放置することは独立
国家の平和、安全を維持するためにもそれはとるところではない、したがって秘密保護は必要であると申し上げておるのです。しかし、我々が自民党として提案しました案については、
国会の中の御論議あるいは
社会の御批判等も十分よく耳を傾けて拝聴いたしまして、そして我々はその上で適切な判断をして処理いたしたいと思う、
検討もいたしますということを本院におきまして言明いたしておるのであります。私は、そういうような点からは今日の各党及び世論の情勢等を見まして現行の提案した案は抜本的にこれを再
検討し直して、そして
国会に御審議していただこうと、そういうふうに
考え、党も大体そういう方向に動いてきておる。しかしスパイを我々は許してはならない、
国家の秘密は適切に守らなければならない、このことははっきり申し上げなければならないのであります。
沖縄の問題につきましては、沖縄の民生の問題等については我々も常に配慮しておかなければならぬと思っております。
振興法がございますけれども、あの
振興法の力によってかなり回復して
水準は上がってきておりますが、本土と比べればまだ落差がございます。そういう点におきましては、我々は今後ともあらゆる部面におきましてよく
検討していかなけりゃならぬと思います。
また、基地の問題等につきまして若干の不祥事件が米軍との間に起きたこともよく知っております。そのたびごとに米軍に対しては我々も注意喚起をいたしておりますが、日米安全保障条約を有効に機能していくためにも、沖縄の皆様方にはまことに恐縮でございますが、ぜひとも御理解をいただきまして御協力を今後ともいただきたいと思いますが、沖縄の現地の御要望に対しましては、我々としても適切に対処して、米国側に話すべきは話し、直すべきは直してもらうように努力してまいるつもりであります。