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1985-12-11 第103回国会 参議院 内閣委員会,社会労働委員会,商工委員会,運輸委員会,建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十一日(水曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。    内閣委員会     委員長         亀長 友義君     理 事                 大島 友治君                 曽根田郁夫君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 川原新次郎君                 源田  実君                 沢田 一精君                 堀江 正夫君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 小野  明君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    社会労働委員会     委員長         岩崎 純三君     理 事                 大浜 方栄君                 佐々木 満君                 高杉 廸忠君                 中野 鉄造君     委 員                 遠藤 政夫君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 和田 静夫君                 中西 珠子君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君                 下村  泰君    商工委員会     委員長         下条進一郎君     理 事                 前田 勲男君                 松岡満寿男君                 福間 知之君     委 員                 沖  外夫君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 降矢 敬義君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    運輸委員会     委員長         鶴岡  洋君     理 事                 梶原  清君                 吉村 真事君                 瀬谷 英行君                 矢原 秀男君     委 員                 江島  淳君                 藏内 修治君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 山田耕三郎君    建設委員会     委員長         小山 一平君     理 事                 工藤万砂美君                 増田  盛君                 青木 薪次君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 志村 哲良君                 大川 清幸君                 白木義一郎君                 馬場  富君                 橋本  敦君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君        通商産業大臣   村田敬次郎君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        労 働 大 臣  山口 敏夫君        建 設 大 臣  木部 佳昭君        国 務 大 臣          (総務庁長官)  後藤田正晴君         政府委員        総務庁長官官房        審議官      米倉  輝君        総務庁行政管理        局長       古橋源六郎君        総務庁行政監察        局長       竹村  晟君        国土庁土地局長  末吉 興一君        大蔵政務次官   中村正三郎君        大蔵大臣官房審        議官       尾崎  護君        大蔵省主計局次        長        小粥 正巳君        大蔵省理財局次        長        足立 和基君        大蔵省銀行局長  吉田 正輝君        厚生大臣官房審        議官       内藤  洌君        厚生省生活衛生        局長       北川 定謙君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        通商産業省通商        政策局長     黒田  真君        通商産業省通商        政策局次長    鈴木 直道君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        通商産業省産業        政策局長     福川 伸次君        通商産業省機械        情報産業局長   杉山  弘君        通商産業省生活        産業局長     浜岡 平一君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        中小企業庁次長  見学 信敬君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        運輸省運輸政策        局長       栗林 貞一君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省貨物流通        局長       武石  章君        運輸省航空局長  西村 康雄君        運輸省航空局技        術部長      大島 士郎君        労働省労働基準        長        小粥 義朗君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     佐藤 和男君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  萩原  浩君        建設省住宅局長  渡辺  尚君        自治大臣官房審        議官       石山  努君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君        常任委員会専門        員        此村 友一君        常任委員会専門        員        野村 静二君        常任委員会専門        員        多田  稔君        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        法務省民事局参        事官       濱崎 恭生君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————    〔内閣委員長亀長友義委員長席に着く〕
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまより内閣委員会社会労働委員会商工委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  連合理事会の協議によりまして、私、内閣委員長連合審査会会議を主宰いたします。  許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案議題といたします。  本案趣旨説明はお手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。  これより本案質疑を行います。本日は質問者も多数にわたっておりますので、時間励行にて議事運営をいたしたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 青木薪次

    青木薪次君 私は、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案中、地代家賃統制令の一部改正に関する事項について質問をいたしたいと思うのであります。  まず、議題となっているいわゆる規制緩和一括法案の中に地代家賃統制令廃止法案が織り込まれているわけでありますが、この地代家賃統制令廃止というものは、他の一般的な規制緩和とは内容性格を全く異にしているものであります。この点について総務庁長官、どうお考えになりますか。
  4. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) お答えを申し上げます。  いわゆる公的規制緩和民間活力の発揮、推進に資するということで、政府としては重要な政策課題として取り組んでおるわけでございます。地代家賃統制令につきましても、行革審から当面法律改正を必要とすると、こういうことで指摘を受けておるわけでございますが、政府のいわゆる公的規制緩和政策の中で統一的に把握ができると、こういう私ども考え方でございます。  と申しますのは、この地代家賃統制令、御案内のように昭和十四年、それから終戦後のポツダム政令、そして昭和二十五年以前と以後で区分けをしまして、以前に建ててあった建物について適用がなる。ところが、その後三十数年たちまして住宅事情がすっかり変わってきた。そうなりますと、本来の統制目的から見ますと不必要になっておるものもございますし、それからまた二十五年七月以前、以後で区分けをしておるということでバランスを失しておる、こういうことも見受けられるわけでございます。こういうようなことで、ほかの規制緩和趣旨目的というものが共通しておるという観点一括をしておるわけでございますが、この地代家賃統制令もそういう趣旨目的から見れば同一趣旨であろう、こういうことで今国会に一本の法律として御提案をさしていただいた、こういうことでございます。  つまり、私ども一括をいたしておりますのは、趣旨目的が同じである。共通の目的のもとにまとめ得るものはまとめよう。しかもそれが将来にわたって重大な政策変更を伴うということであれば——これは従来からの内閣法制局で実は基準が決まっておりまして、その基準に適合してないと一緒にできません。そういうようなことで、この地代家賃統制令趣旨目的が同じであろう、また新しい政策展開でもない、こういうことで実は一本にまとめさしていただいたわけでございます。もちろん、今回御提案を申し上げておるこの法律だけでなしに、趣旨目的が仮に同じであっても新しい政策展開を伴うとかといったものは、個別の法律案でこの国会にもお願いしてあるものがございます。こういうことでございますので、いろいろ御議論のある点は重々承知いたしておりますけれども政府としてはそういう観点でお願いを申し上げた次第である、かように御理解していただきたいと思います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 今総務庁長官から説明があったわけでありますが、趣旨目的が大体同一であるという解釈は、これは総務庁行革審あたり意見を聞いて、この際そのまま乗せて持っていけということで、内容性格が全く違っているものについてこれを一緒に荷物に乗せていけというような機会主義便宜主義にとられて仕方がないんです。  そこで、建設大臣にお聞きしたいと思うんでありますが、これをやめて単独立法で出し直すという気持ちがあるかないか、また今総務庁長官答弁に対して一応見解を承りたいと思います。
  6. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 今後藤田長官から御答弁されたことでございまして、私どもといたしましても、公的規制に係るこの事項でございますので、時代変化や実情というものをよく考えてみまして、時代に即さない点もあるだろうというようなこともございまして、そういう意味で今総務庁長官から御答弁されましたような趣旨と同じ考え方でございます。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 最近提出法案を見ていますと、法案一つ束ねて一括して提出する傾向というのが目立ってきている。これは国会軽視なんですよ。したがって、このことについてあなた方は、これでよかった、荷が軽くなったと思うかもしれぬが、国民からはこれは国会軽視でけしからぬと。特にこのごろ中曽根内閣になってきてからこの傾向が目立つということでありまして、このことが安易に行われますと問題の所在が全くぼやけてしまう。問題点の十分な審議ができない。こういう危険があるわけでありまして、地代家賃統制令の一部改正案規制緩和一括法案とは離して提案し直すべきであるということを我が党としては真剣に深刻に考えているんですよ。この点についてどういうふうに考えておりますか。
  8. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この一括法について御趣旨のような強い御意見内閣委員会でもしばしば出まして、私から同じような趣旨お答えしているわけでございます。  実はこういうやり方というのは中曽根内閣ができてからではございません。これは過去十一回ずっとやってきている手法です。しかし、その都度委員の方から御異論が出て、内閣として一括法にまとめるのはどういう基準であるといったようなことで、法制局長官からも、最初は五十六年だと記憶しますが、こういう基準内閣としてはやっておるんだというお答えもしておるんであって、これは中曽根内閣だけでありませんから、それはひとつぜひ御理解していただきたいと思います。趣旨目的が同じで、しかも新しい政策展開ということには該当しないといったようなものであればまとめてよろしいと、こういうことでございますので、その点ぜひ御理解を賜りたいと、こう思います。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 総務庁はそういう答弁をするかもしらぬ、内閣においてそういう係だと思うんですよ。ところが、単独立法として出してこれを審議するというのが、これが建設大臣考え方でなきゃならぬと思うんでありますけれども、この点建設省としても重要な問題ですから答弁をしていただきたいと思います。
  10. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 今青木先生の御指摘の点につきましては、実は建設委員会でも青木先生から質問があったことも私よく承知いたしております。先ほど来申し上げておりますように、また総務庁長官からも御答弁がありましたように、行革審の答申に伴いまして、そして一括で処理をお願いするというようなことの方針のもとに、私どももそうした時代の要請といいますか、またそうした時代の推移に応じ、またもしこの法案の通過をいただいた暁には、私もたびたび御答弁申し上げておりますように、特に弱い立場の方々に対しての全力を挙げての配慮といいますか、そういう方々に対するあれにつきましては、我々建設省挙げて万全の措置をとり、不安や心配のないように努力をさしていただきたい、こう考えておる次第でございます。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 先ほどから言われておりまして、時間も一時間しかありませんから先へ進むといたしましても、これは昭和三十年代に三回も出てきたいわくつきのものですよ。そのたびに廃案になっているんですよ。それを今回行革審の意向を受けてと言うけれども行革審は、そういうためにでき上がったものでありますから、問題を審議する国会の側の意思を、また国民意思というものは国会に託されているわけですから、そういう意味国会意見を聞かなきゃならぬ。廃止する理由についてもう一度総務庁長官、言ってください。
  12. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは先ほどお答えしましたように、一つ昭和二十五年を境目で適用対象が異になっておる。その面から見てその前後の不均衡を生じておる。もう一つは、その当時と今日の住宅を取り巻く客観情勢がすっかり変わっておる。なお、御質問昭和三十五年から八年ぐらいまでの間、三回ぐらいだったかと思いますが、国会提案されて廃案になったわけでございますが、その当時から見ましてももう既に二十数年たちまして全く環境が変わってきております。したがって、今日の状況になればなるほど、まだまだ低所得の方とかお年寄りであるとかといった方がこういった住宅に住んでおられることは事実でございますけれども、その方々に対する処置処置として、これは政府として当然いろんな間違いのない善後措置を講じなければなりませんけれども、これは非常に数が少なくなっておってもはやこの統制令必要性もなくなっておる。こういう事情がございますので、今回あえて廃止に踏み切らさしていただこう、こういうことで政府としては御審議をお願いしておる、こういう事情でございます。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 確かに統制対象もごく一部に限られているし、遵守率も低いというところは数字的には私も調べてはありますけれども、しかし地代家賃も比較的安定していると言える今日といえども、そのことをもって統制令有名無実になったということじゃないんですよ。ここを間違えないようにしてもらいたいと思うんでありまして、むしろ統制額が守られていないというこの方が問題であると私は思うんです。したがって、この点について目をつぶるとしても、統制令存在が全体の地代家賃高騰に歯どめをかけているという役割というものは大きいと思うんです。我が国の住宅政策賃貸住宅に比重を移しているんですね。移している理由として、今の所得が非常に伸びない、非常に苦しいというようなことや、土地問題等もあるわけでありますけれども、しかし地代家賃統制令の存続の意味は大いにあると考えているわけでありますけれども大臣どういうようにお考えですか。
  14. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほどからいろいろ政府の方から御説明しておるわけでございますけれども理由一つに不均衡の問題があると思います。つまり民間借家だけとってみますと、九十万戸という対象借家、これは先生先ほどお示しのようにそのうち守られているものが一割から三割ということでございますので、そういう意味での実数はもっと低くなるわけでございますけれども、七%である。そうしますと、それを前提といたしましても九三%の方々とのバランスの問題があるということでございます。  それから地代家賃存在意義があるのではないかということでございますけれども、こういった価額統制というものは必要最小限に行うべきものであるというふうに考えておりますし、先ほどいろいろ出ておりますような事情からその存在意義は今や失われている、したがってこれを一日も早く廃止すべきである。  しかしながら、先ほどうちの大臣からも申し上げましたように、いろいろ高齢者方々もおられる、あるいは所得の低い方々もおられるということで、住宅相談等の体制については万全を尽くしたいということで一年間の猶予期間を置いたということでございます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 次に地代家賃統制実態について聞きたいんでありますけれども、まず地代統制額家賃統制額の一平米当たり平均額はどの程度になっているんですか、それをお伺いしたい。
  16. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 東京都区部京都市、大阪市の三都市につきまして昭和五十九年度に実態調査をしております。これによりますと、三都市平均でございますが、公定地代というものは一平方メートル当たり六十五円三十銭ということでございます。これに対して、対象物件で実際に支払われている地代平均は九十九円十銭ということでございます。それからさらに、その場合の統制対象外地代でございますが、百二十七円四十銭ということでございます。したがいまして、公定地代というのは大体統制外地代の五割、それから対象地代で実際に支払われているものの約八割ということでございます。  それから家賃でございますけれども、まず公定家賃は一平方メートル当たり調査によりますと二百七十五円三十銭ということでございます。それから統制対象で実際に支払っているという家賃平均が四百五十五円二十銭ということでございます。したがいまして、家賃公定家賃を上回っているものだけの平均を一応推定家賃というふうに仮定して市場家賃考えますと、公定家賃というのは推定市場家賃の約五割、それから統制対象の実際支払い家賃というのは先ほど申しました推定小家賃の約八割、そういう状況でございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 今の局長答弁をざっと概算いたしますと、五十九年調査でもって東京京都大阪関係で一平米当たり統制地代に対しては、統制外地代について百二十七・四円といたしますと一・三倍。それから統制家賃、今の説明にありました一平米当たり四百五十五円二十銭の統制外家賃に引き直すと二・九倍ということになるわけですね。そういたしますと、老人世帯母子世帯等相当影響が出てくるであろうと思量されるんだけれども、この点いかがですか。
  18. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) たびたび御答弁申し上げておりますが、まず結論から申し上げますと、影響は比較的少ないというふうに考えております。  その理由でございますけれども、まず第一に、対象昭和二十五年七月十日以前ということでございます。したがいまして、一番新しいものでございましても、もう既に三十五年たっている、つまり非常に老朽化しているということがございます。確かに個々一軒一軒を当たればいろいろ修繕等状況で違ってくると思いますけれども、全般的には非常に危険であるとか、あるいは大修繕を要するというようなものが一般民間借家に比べまして三倍の割合があるということが一つございます。それから住んでおられる方が一般民間借家に比べて長いという事実がございます。したがいまして、そういう状況のもとで家主とだな子の関係というのがある程度安定しているんではないかということが考えられます。それから地代家賃統制令が撤廃されましても、借地・借家法、この上での地位には何ら変わりない。例えば正当事由がなければそこを立ち退いてもらうことはできないというようなことがございます。それから地代家賃の値上げにしましても、激変緩和をするというような判例もございます。そういったようなことで急激な変化はないというふうに考えております。ただ長期的に見れば、維持修繕というものが的確に行われることを期待せざるを得ないわけでございますし、あるいは建てかえというものも長期的には進んでいくものというふうに考えられます。  しかし、先生指摘のように、高齢者方々あるいは所得の低い方々、これが一般借家に比べまして多い、やや多いというのも事実でございます。したがいまして、それに対しましては、もし御質問がございますれば詳しく申し上げますが、公営住宅活用でありますとか、公団住宅活用でありますとか、あるいは生活保護の部局との緊密な連携のもとに、適切な対応でありますとか、いろんな形で万全の策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 渡辺住宅局長影響がないということを説明しているわけでありますが、統制額統制外地代家賃との間にかなりの格差があるということは、これは私が申し上げたとおりです。統制令廃止されれば、統制対象地代家賃は当然大幅に引き上げられるというようになると思うんであります。これは常識ですが、その点はどうなんですか。
  20. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 二点申し上げたいと思います。  一点は、先ほど申し上げましたように、統制対象であっても実際に支払われている家賃というものと統制額との対比でございますけれども、八割になっているということが一つ。それからもう一つは、四十六年に、これは告示改正でございますけれども統制額の上限を地代は約二・七倍、家賃は約二・八倍に引き上げたわけでございますが、そのときの実態をいろいろ調査してみますと、民営借家家賃の推移といいますか、それはほとんど影響を受けていないということが過去に実例としてあるわけでございまして、そういうことから比較的影響は少ないんではないかというふうに考えるわけでございます。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 非常に楽観的な見通しを持っておりますが、私は、今日は市場経済ですから、そういう意味で物価というものについては、特に住宅関係等については自然と上がっていく傾向というものが非常に強いというように考えているわけであります。したがって、一度に大幅に地代家賃が引き上げられたのでは、居住世帯の生活は破壊されてしまうんですから、その意味統制令廃止後の地代家賃というものについてもこの動向を厳しく監視する必要が私はあると思うんです。したがって、先ほど大臣もちょっと触れたと思うんでありますけれども、歯どめや緩和措置を講ずる必要があると思うんでありますけれども、この点大臣はいかがお考えでございますか。
  22. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 私は、決して楽観的な考え方を持っておりません。事が衣食住、住が一番大事な問題でございますし、先ほど私申し上げましたように、弱い立場の方々、そういう方々に対して不安や心配を与えないということが行政上一番取り組むべき大事な問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、この法案が御承認いただいた後の一年間というものにつきましては、また永続的にもそうでありますが、政府の広報活動、また情報の的確な提供をするとか、便宜上の値上げに対してはいろんな団体の皆さん方と協力し合いながら適切な指導を、できる限りの指導を要請するとか、また地方自治団体に対しまして、公共団体に対しての住宅相談であるとかというようなものを、きめの細かい行き届いた対策を真剣に立てて、行政上できる限りの、ある意味では枠を超えても親切を旨として全力を挙げて取り組んでいく、そして弱い方々の立場に対して心配や不安を与えないように全力を挙げるということが私どもに課せられた使命である、そういうふうに認識いたしておる次第でございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 私は、統制対象の居住世帯には母子世帯とか、あるいはまた生活保護世帯とか、あるいはまた老人世帯が相当いるというように解釈をいたしているわけです。そういたしますと、この実態がわからないとさらに掘り下げた議論はできないわけでありますけれども、この実態はどうなっていますか。
  24. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 母子世帯につきましてはデータを把握しておりません。  生活保護でございますが、これは建設省調査したものでございますが、対象住宅につきましては総世帯の中の三・七%ということになっております。ただ、この数字の意味でございますけれども、第二種の公営住宅を除きます一般民間借家、この生活保護世帯の率が三・五%でございますので、そう大きな差がないというふうに考えております。  しかしながら、御指摘の年齢の方でございますけれども一般の民営借家におきましては、例えば六十歳以上の世帯、これが九・四%というのに対しまして、統制対象借家につきましては二九・四%ということで、確かに高いということが言えると思います。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 この中には所得水準の高い世帯ももちろんいるんですね。そういうものですよ。それは何%であるかということは、これはもうごく一部だと思うんでありますけれども、概して言えば、所得の低い世帯が中心であることは間違いないんですから、したがって、統制令廃止というものはこれらの世帯の生活を脅かす重大な問題であるという認識が必要だ、その点がどうも薄いんじゃないかということを心配しているんですよ。したがって、それでも政府統制令廃止するということであるならば、そうした困窮世帯に対して家賃や居住費の補助等の措置を講ずべきだ。これを私は真剣に考えていますけれども、この点についてその用意がおありですか。大臣、いかがですか。
  26. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 私の考え方先ほど申し上げたとおりでございまして、衣食住のうち住が一番大事な問題でございますしいたしますから、もう少し実態を掘り下げて把握するというようなことなんかも非常に大事な問題でございます。ただ統計の上とかなんとかということよりも、そうした点等について最大の先ほど申し上げましたような努力をして、心配や不安を最小限に食いとめる努力を、もうできる限りの努力をしなきゃならぬと、そういうふうに考えておる次第であります。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 事務当局。
  28. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほど影響について楽観的であるというお言葉がございましたが、私ども楽観的に考えているわけでございませんで、客観的に見ているというふうに思います。ただ、影響は比較的少ないと認識しておるわけでございますけれども先ほどうちの大臣からも申し上げましたように、事、住宅に関する、生活の基本に関する問題でございます。そこで例えば便乗値上げでありますとか、それからそれによって困る方が出てくるというようなことは絶対に避けなければならない。そういうことで一年間の猶予期間をフルに活用したいと思います。  少し長くなりますが、詳しく申し上げたいと思いますが、まず、先ほど大臣申し上げましたけれども、正確かつ的確な情報の提供というのが第一に必要になると思います。この廃止趣旨でありますとか仕組みといいますか、そういったようなことについて正確な情報をまず関係者に提供いたしたい、これは広報等を使ってやりたいというふうに考えております。  第二番目でございますけれども、便乗値上げというのが全く心配ないということではないというふうに考えられます。したがいまして、これに対しまして、例えば借家の経営者団体あるいは仲介業団体、こういった団体に対しましてそういうことがあくまでもないように十分な指導をしてまいりたいということでございます。  それから第三番目に、先ほど大臣申し上げましたけれども、個々具体の方々が、生活の問題でありますとか住宅の問題でありますとか、いろいろ困るあるいは相談をしたいということが出てくることがあると思います。したがいまして、住宅相談体制というものの整備を地方公共団体と協力して十分やっていきたい。実は六十一年度の予算要求でやっておるわけでございますけれども、その際にどういう対応でどういうふうにしたら最も的確に住宅相談体制に乗れるか、対応できるかということでマニュアルをつくろうということを考えております。したがいまして、これは予算が取れるということが前提でございますけれども、早期につくりましてフルにそれを活用するようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  以上がまず一般的な対応でございます。  こういうような対応をいたしましても、個々具体の例になりますと、実際にその家から出ていきたい、あるいは出ていかなければならない、そういったような客観的な状況が出てくる場合があると思います。そこで、まず公営住宅活用ということでございますけれども公営住宅には御存じのように入居制限、入居資格がございます。したがいまして、そういう資格がある方、これは収入でございますけれども、そういった方々に対しては特定目的公営住宅制度という制度がございます。これは老人でありますとか母子世帯でありますとか、そういうのがあるわけでございますが、その中にこういった状況によって必要になったという場合を通達によって措置したいというふうに考えております。したがいまして、その場合には優先入居ということになるわけでございます。  それから公営住宅でございますけれども、非常に老朽化しているということを先ほども申し上げましたが、それによって家主との話がついてそれを撤去するんだという場合がございます。こういう場合には特定入居制度というものがございまして、いわゆる優先入居じゃなくてそのままずばり入れるという制度でございます。その制度を活用いたしまして、収入基準からいって資格を有する方には対応いたしたいというふうに考えます。これはいずれも通達で措置したいと考えております。  それから収入基準を上回る人という方が当然あるわけでございます。そういう方々に対しましては、公社あるいは公団住宅活用ということを用意したいと思います。特に公団につきましては公営と同じように優先入居制度というものがございます。したがいまして、そういうものを活用いたしまして対応いたしたいと思います。  それから、そのままそこにおられるそういう方の中で、私先ほど申し上げましたけれども、中長期的には適正なといいますか、いわゆる市場家賃というものに家賃というものが近づいていくんだろうと思いますので、そういう場合に支払えないというような方が出てくる場合があるかもしれませんが、そういう場合にはまさに生活扶助、生活保護の中の住宅扶助が的確に対応できるように、これは生活保護担当部局と連携を密にいたしたいと思っております。  御参考までに申し上げますと、今大体東京とか大阪、そういうところで住宅扶助が三万とか四万とか、世帯が非常に大きくなると五万円でありますが、そのような制度になっているというふうに聞いておりますので、そういった対応を的確にすることが必要であるというふうに考えております。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 廃止法を提出するからには、所有者が将来その住宅や土地をどういうように活用し処分しようとしているかについて意識調査をすべきだと思うんです。今渡辺局長が細かく話をされましたが、恐らくやっていると思うんでありますけれども、そういう調査をしたのか、あるいはまた大体今日の状態はどういう状態にあるのか、それを説明してもらいたいと思います。
  30. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 統制令が撤廃された後そこを建てかえるとか、そういうことはまさに私契約の分野の問題であると思います。したがって、我々がとやかく言うべき問題ではないと思いますが、先生が今御指摘になりました経営者の側面、経営者という名前が適当かどうかわかりませんが、貸し主の方の調査を五十九年度にやっております。それで年齢とか収入とかいろいろ調べておりますが、今御質問は経営者の意識だと思います。今のまま借家経営を続けたいという方が統制対象では八五・八%でございます。昭和二十五年以前建築の対象ですから当然でございます。昭和二十五年以前に建築されたもので対象となっていないというものを見てみますと、これが一〇〇%という数字になっております。それから建てかえたいという方が統制対象の場合で一二・四%おられます。また設備等の改善を行いたいという方が一・八%おられます。したがいまして、先ほど私が前提条件として申しましたように、私的契約の分野の問題ではありますが、こういった調査から見ますと、そのまま続けるという方が圧倒的に多いということは言えるんだろうと思います。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 私は、言いたくはないけれども、臨調答申や行革答申で再三にわたって早期廃止指摘されているから廃止するというようなメンツ論にとらわれている傾向政府にあるんだろうというふうに考えているわけでありまして、今の状態から考えて、答弁から推定いたしますと、バランス論や不要論ということでなくて、廃止する積極的な意義というものがまだ乏しい。廃止したらこうなるというメリットを国会説明すべきである、こう思うんでありますが、いかがですか。
  32. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 審議会等につきましては、過去九回そういう御答申等をいただいていることは事実でございます。我々は、審議会の答申もございますし、さらにその実態も踏まえて今回廃止するということにしたわけでございます。  メリットということでございますが、要するに廃止理由のところで、先ほど大臣も申し上げたと思いますが、非常にアンバランスになっているという問題、したがいまして、法律に要請されている公平という観点からもこの点を考える必要があるのではないかというふうに考えております。それからもう一つは、統制というものは、私の記憶によりますと、かつて一万数百件も統制物件がございました、価格統制でございますけれども。それが現在では統制令を入れて三つしか残っていないというような実態から見ましても、必要最小限にすべきであるということだと思います。そういうことから考えまして、今回の法律をお願いしているわけでございます。  それから、これは言葉を選ぶのが難しいのでございますが、強いて一体、じゃどういう形で——メリットという言葉はどうも適切ではないんだと思うんですがほかに言葉がないので便わしていただきますが、現在の日本の住宅政策において非常に必要と考えられているものは質の向上でございます。外国からはウサギ小屋と言われているような状況実態でございます。量では確かに一応の充足は見ましたけれども、質の点から見ますとまだまだ悪い。例えば五十八年の住宅統計調査によりましても、我々が設定いたしました最低居住水準未満世帯、これが三百九十五万戸もある、一一・四%もある。こういったものを引き上げていかなければならないと思います。その場合に、昭和二十五年七月十日以前に建っている住宅ですから短期ということではございませんけれども、我々も例えば木造賃貸住宅の総合的な建てかえをスムーズに進めるための事業を持っておりますので、そういったものを活用しながら、長期的にはそういったところが整備されて居住水準が上がるということを期待したいというふうに考えるわけでございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 建設省の意向としては、まず第一にアンバランスをなくしたい、公平の点を確保したい、それから質を向上したいんだということでありました。この質の向上という点を私は特に考えているんじゃないかと思いますが、今日の貿易摩擦に伴って、ウサギ小屋論というものを何とか解消したいというようなこともあるんじゃないかということを考えておりましたけれども、今の答弁で一層はっきりしてきたと思うんであります。例えば政府は、統制令廃止されれば賃貸住宅の建てかえが促進できるということで即、質の向上につながるというように解釈していると思うんでありますが、住宅投資拡大に貢献するといったようなことを述べているということについては、これは一般的な意味においてわからぬわけじゃないけれども統制令廃止賃貸住宅の建てかえ促進との関連についてもう少し説明をしないと説明不足になる。こう思うんでありますけれども、いかがですか。
  34. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほどの経営者の意識調査にもございましたように、今直ちに借家をやめるというような方は非常に少ないわけでございます。  そこで、私が先ほど居住水準の向上の点を申し上げましたのは、長期的にはどのぐらいかと言われてもなかなか答えにくいわけですが、影響が少ないということからも、そういったものはかなり長期の問題であると考えております。したがいまして、確かに四、五人用あるいは良質な賃貸住宅が現在の日本の社会において非常に不足しているという点は御指摘のとおりでございます。これは統制令の撤廃とは別個に従来から賃貸住宅の供給促進ということを鋭意やってきておるわけでございます。  細かい点になりますと、時間がかかりますので、多少省略したいと思いますが、例えば公営住宅であります。公営住宅も、当時は公営住宅制度がございませんでしたけれども、現在では既に百九十三万戸というようなストックを持っております。また公団も既に六十五万戸の賃貸住宅のストックを持っております。それから、いわゆる施策民賃といっておりますけれども、地主の方々に、公団とかあるいは金融公庫、こういったものが協力をいたしまして、融資でありますとか事業でありますとか、そういう形で協力いたしまして良質な賃貸住宅をつくっていくというようなもの、そういういろんな形で賃貸住宅の施策推進ということに努めているところでございます。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 もともと統制令は、地代家賃の不当な利益追求による高騰を抑制しようということが目的であったはずであります。仮にこれが廃止されたとしても、賃貸住宅の建てかえや建設促進とは直接的な関連はないんじゃないかと思う。したがって、政府が内需拡大のために住宅投資の拡大を企図するのであるとするならば、住宅投資減税等の助成措置を積極的に講ずるべきである。これもまた、前に建設大臣に聞いたところによると、非常に努力したいと言ったけれども中曽根内閣はだめだといって大蔵省に押し切られた。こういうことをけさの新聞かきのうの新聞で私は見たんですよ。非常に残念だというように思うわけでありますが、こういう住宅投資の減税等の助成措置を積極的に講ずるといったような前向きの努力、こういうものがない中で、この統制令廃止というものは、私はいたずらに弱者いじめになるというように考えているわけでありまして、したがって急ぐべきでない。住宅投資減税等の問題をめぐってどういうようにお考えになっていますかお伺いいたしたいと思います。
  36. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 住宅関係の減税につきましては、あるいは御案内かと思いますが、細かいのは別にしまして、三つの大きな減税を要求しておりまして、その中でも最も力を入れておるのが、今先生お示しのいわゆる一%投資減税というものでございます。これにつきましては、現在党税調の方でいろいろ御議論いただいておるところでございまして、まだ結論が出ている段階ではないと私は考えております。したがいまして我々は、今後残された時間短いわけでございますけれども、その実現に鋭意努力いたしたいと思っておるわけでございます。  それから例えば金融公庫関係の予算につきましても、これはまだ要求中のものでございますけれども、貸付額の割り増してありますとか、割り増しといいますか、その上限を上げるとか、あるいは今まで例えば五・五%の貸し出しにつきましては、百十平方メートルまでの住宅しかだめであったということをやっておったわけですが、この面積を上げるというようないろいろ細かいものも含めますと、非常にたくさんの予算要求をやっておるわけでございます。そういったものの実現に鋭意努力することによって、先ほど申しました質の向上という重大な課題の解決に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 統制令廃止されますと家賃地代が上がっちゃうんですよ。したがって、居住者の立ち退き要求というものが強要されるということがあり得るわけであります。土地の所有者としては、土地価額が上がるので居住者を追い出していけばそれ相当にもうかる。これは自然の摂理ですよ。したがって、そういうことにならぬためのチェック機能とか監視とか、そういったものについてはお考えになっているのですか。
  38. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほど申し上げましたように、関係者に対する指導を強化するということで対応したい、つまり便乗値上げというものを防止するという意味でそういう対応をしたいというふうに考えております。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 局長答弁もあるところはうんと詳しく言うけれども、そういうことになるとちょっとぼかしちゃう。与党の皆さん笑っていますよ。局長、そういうことじゃ余りうまくないと思うんです。  私は、弱い立場の人が泣き寝入りするようなことであってはいけない、そういうように思うんですよ。対策として、先ほど公営住宅へ優先入居を考えるとか、いろんなことで泣き寝入りをしないように考えるというようなことをいろいろ言われたのでありますけれども、もう一度、弱者救済といいますか、統制令廃止に伴って泣き寝入りするであろうこと、あるいはまた今までの土地の所有者がこれから追い立ててくるだろうというようなことについて、時間がありませんけれども、もう少し説明していただきたいと思います。
  40. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 項目的には先ほど申し上げましたことに尽きるわけでございますけれども、まず公営住宅あるいは公団、こういったものにつきましては、現行制度の大枠の中でやれるわけでございますので、これを通達によって具体的に示していきたい。例えば先ほど申しました特定目的公営住宅につきましては、これは必要があればその枠を拡大するようにもいたしたい。それから多少時間がかかると思うんですが、そういう状況をじっくり見まして、そして必要な場所あるいは場合には建設戸数の促進を図るというようなこともやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  要は一年間の猶予期間がございます。そこで統制令が撤廃される、仮にその法律が通りますと来年の十二月三十一日になるわけでございますけれども、その前に当然そういった問題も起こってくるかもしれませんが、大部分はその後の問題がなというふうに考えておるわけでございまして、この一年間そういう準備を十分いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 受け皿として公営住宅の建設を促進するという必要は私は大いにあると思います。特に住宅政策関係では私は相当期待したいと思います。  第五期の住宅建設五カ年計画というものを私ども審議いたしておりますけれども公営住宅の建設計画をどういうように設定しているかということと、それから低所得者層を対象にした第二種の公営住宅、いわゆる貧乏人という言葉は私は使いませんけれども、低所得者のための公営住宅ですね、これを第二種公営住宅と言っているのでありますが、その建設計画についてはどうなっているか、それをお伺いいたしたいと思います。
  42. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 第五期五カ年計画が昭和六十一年度から始まります。六十年までで第四期が終わるわけでございますが、したがいまして、今年度末にこの五カ年計画を決定していただくことになると思いますので、現在我々がいろいろ検試しておりますのはまだ案の段階でございますが、その段階であるということを前提といたしまして申し上げます。  第四期五カ年計画の公営住宅の建設の見込みが二十三万七千戸でございます。これに対しまして、これは実績見込みでございますが、第五期の五カ年計画では二十七万五千戸というふうにふやしておるところでございます。五期五計の場合、第四期に比べまして持ち家系の比率を落としておりまして、例えば第四期の五カ年計画で逆に借家はふやすということでございますが、二八・六%でございましたが、それを三六・七%に上げております。そういう意味で鋭意努力してまいりたいと思います。  それから御指摘のございました二種公営と一種公営の区別につきましては、まだその段階まで、それを区分する段階までいっておりませんので御理解いただきたいと思います。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 よくウサギ小屋と言われておりまして、今は非常にふえてきていることは事実なんですけれども、五十平米以上と以下に分けていいんですか、ウサギ小屋の解釈は。
  44. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) ウサギ小屋という日本語は、これは翻訳したものだろうと思いますが、向こうの方で言われているのでどういう意識で言ったのかというのはよくわかりません。私が受けとめているのは、要するに向こうに比べてみすばらしいということ。ただ、一つ基準として申し上げられるのは、ウサギ小屋という言葉と無関係でございますので御理解いただきたいと思いますが、我々が現在持っております最低居住水準というものがございます。これは四人家族で五十平米ということでございます。先ほど一一・四%あるいは三百九十五万世帯もまだ残っておると申し上げましたのは、この最低居住水準未満の世帯でございます。第四期五計ではこれを六十年までに全部解消しようという目標を立てたわけでございますけれども、残念ながらそれを達成することができませんで、一一・四%の世帯が残っている上いうことでございまして、これは第五期の五カ年計画ではできるだけ早期に解消するという目標を、まだ現在案の段階でございますけれども、掲げているところでございます。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 最後になりそうでありますが、第二種公営住宅についてもこれは入居の希望が殺到していると思うんです。しかも入居の申し込み状況等についてはまだ聞いてないんでありますけれども、これもひとつ聞かしてもらいたい。  それから公営住宅には入居基準があるけれども、その基準に合致している統制住宅入居者には公営住宅の優先入居を認めるべきであるというように私は思っているわけであります。家賃水準は若干高いけれども公営住宅に入居させるという考え方というものが国民の気持ちというものを非常に豊かにしていく、こういうように考えているわけであります。いずれにいたしましても、統制令の撤廃なんという問題を行革審の問題どこれを絡めてやるということはよろしくない。したがって、今後の課題として政府の態度をよく見守りたい、こう思っておりますが、私の今質問いたしましたことについて、局長、簡単に答弁をお聞きいたしたいと思います。
  46. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) まず応募倍率でございますけれども、全国で申し上げますと、新築につきましては一種が三・九、二種が五・五、合計をいたしますと四・五でございます。それからこれは空き家が出てくるわけでございますが、空き家募集につきましては一種が二・三、二種が三・六、これを平均いたしますと二・六、これを全部を平均いたしますと三・二ということになっております。ただ、当然のことながら三大都市圏等についてはこの倍率は高いわけでございます。それに対しまして優先入届の場合には、約二・七倍ぐらいというふうにかなり倍率が下がるということでございます。したがいまして、資格のある方につきましてはそういう形で対応し、かつ枠が必要になれば特定目的公営住宅というものをできる限り枠を広げるというような対応をしてまいりたいと考えております。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 総務庁長官、一言。私はこれは思わしくないと言ってきたんだから、そのことだけ聞いて私の質問を終わります。
  48. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御意見としては拝聴させていただきました。ただ、こういった一括法案で御審議を願うことにした趣旨については先ほどお答えをいたしておるとおりでございますので、これはぜひひとつ御理解を賜りたいと、かように思うわけでございます。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。    〔委員長退席、内閣委員会理事大島友治君    着席〕
  50. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先般、私は委員会の視察で北海道へ参りましたけれども、その際、墜落いたしました日航ジャンボと同じ747機に乗せてもらってそこの操縦席を見せてもらいました。そこで感心しましたのは、機械が非常に精密にできておって、INSなどというものがあって、どこを通ってどこへ行く、その次はどこへ行く、そういうことが時々刻々・数字でもってあらわれるようになってます。それから両わきにレーダーがありまして、そのレーダーには下の陸地がばっちり映るようになってます。操縦士、副操縦士、機関士、三人が乗っておりまして絶えず連携をとりながら飛行しているわけです。その緊張というものは、我々が見ても十分に肌で感ずることができるような状態だったというふうに思っています。今回規制緩和でもって飛行機によっては機関士を省略するといったことが伝えられているんでありますけれども、いかに飛行機が発達したとしても、その安全は念には念を入れ過ぎるくらい入れないと、まかり間違えばこの間の日航ジャンボ機のように一挙に五百何十名の人の命を奪うことになるんです。そういう点から考えると、現在の安全対策というものは決してこれで十分だとは言えないんじゃないかという気がするんですが、    〔委員長代理大島友治君退席、委員長着席〕 この操縦士の問題あるいは機関士の問題等について基本的にはどのようにお考えになっておるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  51. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今回御提案させていただいております航空法の航空機関士に関する改正趣旨は、現在コックピットの中というのは非常に今お話しのように大変近代化もしておりますし、また各操縦士、機関士が一体となって作業をするという場でございます。今日のように航空機が発達しておりますと、機関士が要るか要らないかというような問題は、結局コックピットの中がどういうふうに整備されて操縦ができるかということに一にかかっているわけでございます。そういうことから申しますと、これは現在の航空法六十五条の二号の規定が構造上操縦士二人でできる飛行機、それが難しい飛行機は機関士が要ると書いていることに帰一するわけでございます。これが物の考え方の基本でございます。  そういうことで今回の改正は、むしろ形式的に四発だ、三十五トン以上だというようなことで物を考えるべきではない。常に基本に返って要るものは要るということで考えていく。したがいまして、現在双発の飛行機でも機関士を乗せているような大型機というのもございますし、それは発動機の数とか飛行機の大きさというよりは、現在のコックピットでどういうふうに作業していくか、こういう意味での総合的な安全性の確保という見地からやっていくべき段階に来ております。その意味では、飛行機は日進月歩、操縦士がいかに操縦しやすいようにするかということに各メーカーも苦心しております。そういう意味では既に昭和二十七年当時、四発の三十五トン以上の飛行機というのは、確かに機関士の助けがないとで着ないような厄介な飛行機はかりでございました。しかし今日では非常にすっきりしたコックピットの中のディスプレーになっております。すべての問題が非常に簡単に操縦士自身もわかる、そしてまたコンピューターで各エンジンその他が調整される、いろんな意味で飛行機は安全に向かって日夜改良されているわけでございます。  そういったものを背景にして今後その中で我々は安全の問題を考えていきたい。今回の改正は安全についていささかも揺るぎを持つような趣旨ではなくて、基本に返って安全性の問題を検討していく姿勢が必要だということで改正提案させていただいていると、こういうことでございます。
  52. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総論は安全だ安全だと言いながら、各論の方においては、どうやって人を減らすかというようなことを考えているということが指摘できるんじゃないかと思うんですよ。もし飛行機の搭乗員を減らさなければならないならば——それは戦闘機なら一人で用は足りる。しかしたくさんのお客を乗せているわけですから、その場合にはやはりそれ相応の人も必要になってくる。  スチュワーデスだってたくさんのお客がいるから乗せているわけでしょう。人数だけで限るならば、スチュワーデスはそんなにぜひいなければならないというものじゃないかもしれませんよ。例えばおしぼりなんか持ってきてもらわなくたって、一時間や二時間飛行機に乗るのにだれも困りはしないんです。おしぼりが必要だったのは、蒸気機関車がトンネルをくぐったようなときに顔がすすけるからあれはおしぼりが必要かということもあるけれども、今の飛行機じゃ顔がすすけるということはないし、そういうことを考える必要はないんです。そうするとジュースをもらったり、おしぼりをもらわなくたって用は足りるんですよ、率直に言うと。それから救命胴衣のつけ方なんてこと一々やりますが、あれだって、あんなものは飛行機が海の上へふんわり落ちたときに役に立つわけなんです。ふんわり落ちてあれが役に立ったという例は今まで全然ないでしょう。落っこちるときはどかんと真っ逆さまに落っこちるから助からないわけです。だから、ああいうもの、救命胴衣のつけ方をいろいろやってもらったりおしぼりを配ってもらったりということは安全とは余り関係ないんですよ。しかし乗客が脱出をしなきゃならぬような場合を考えてああいう人たちの配置ということを考えるならばそれは意味がある。  しかし機関士の場合は、私もコックピットなんというのをふだんは見ることがありませんけれども、入ってみますとなかなか大変なものですね。INSなんかの数字は一々変わっていきます。窓から下を見ると、雲でもって全然見えないけれども、レーダーにはばっちりと下の陸が映るようになっている。北海道へ行く場合には、下北半島、津軽半島から北海道までちゃんと映るわけですよ。  そういうことを考えてみますと、この必要最小限度の人間、機関士は一人しかいないんですから、一人の人間をカットするということは果たして安全対策からいってどういうものか、そこまでやる必要があるかどうか。私は必要はないと思うんですね。そういう点、安全だ安全だと言いながら、間に合うんだから減らすんだ、戦闘機に乗ったつもりで乗ってくれと言われたんじゃ、お客の方は大変に心配なんですよね。  その点どうですか。運輸大臣にはきのうも私さんざん聞いたんで、長官、飛行機の問題を聞かれたことないだろうから、どういうふうに思うかちょっと答えてください。
  53. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 私の方が長官よりはまだ少しはましたと思いますから、この問題について私から重ねて答弁いたしたいと思います。  こういったものは運航についてまず客のニーズにこたえるということが大事だと思います。それは利便性であったり、サービスであったり、あるいは運賃であったり、いろいろございますが、これらの前提となるのがいわゆる安全性であり、言うなれば一つの基盤でありますから、基盤がしっかりしないでその上にどんな建物をつくってもだめだと同じ理屈であろうと思います。  そこで、どの程度の基盤が必要かということは、これはどこで線を引くかという問題になってくるかと思うのでございます。したがって、その線の引き方が昭和二十七年当時のこの法律をつくったときとはかなり違っている。つまりあの当時の飛行機は、もう既に今日、毎日使われている定期便にはほとんどもう姿を消してしまってない、それぐらい日進月歩であるということでございます。  私は、先般の先生のいらっしゃる参議院の運輸委員会であったかちょっと忘れましたけれども、極端過ぎたかもしれませんが、タクシーの例を出しまして、予備がいなければ危いというのでは、タクシーも運転手を二人乗せなければ危いと。そうしたら、何をおまえ、タクシーと比較するかとおしかりを受けました。しかしタクシーだってハンドルを握ったまま運転手の頭がどうかなることもある。その場合に、がけから落ちたりぶつかったり、あるいは即死した例もあるのでございます。タクシーが極端な例ならばYS11、これは六十四人乗りでございますか、これには二人。そうすると大体二人はどの程度までか、どの点で線を引くかということになってくる。  その場合に、メーカーがコンピューターを取り入れ、これはこうなってかくかくしかじかであるから二人ならば十分でございますよと言った場合に、いや、それでも三人乗せなきゃならぬかという、そこらあたりの判断かと思うのでございますが、私どもは技術陣営等から十分それらの問題について聞き、ただメーカーが言ったからということではなくて、さらに我が方といたしましても、十分技術的立場からも検討した結果二人でよかろうと、こういう結論に達したというふうに御理解をいただければ幸いだと思います。
  54. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今度総務庁長官に聞きます。つまり、なまはんかに専門的な知識があると間に合っちゃうんですよね。戦闘機なんか一人じゃないか、タクシーだって一人じゃないか、飛行機がなんで一人でいけないんだと、こういう理屈になるんですよ。そういう理屈じゃ安全性というものは確保できないんです。  第一、ジャンボ機が五百人も人を乗っけて空を飛ぶということ自体が大変なものです。我々の頭じゃなかなか判断ができない。なるべく大勢乗っけようとするから、大勢乗っけようとすれば目方を軽くするしかない。目方を軽くするからブリキのような飛行機が大勢のお客を乗っけて空を飛ぶという格好になっちゃうわけです。常にジャンボ機なんというものは危険と紙一重だと、私はそう思うんですよ。ジャンボ機でなくたって、今定期航空でもって東京大阪間あるいは九州、北海道、沖縄の間を飛んでいるいろいろな型の飛行機がありますが、こういう飛行機というのは、不断の注意を払ってないと、まかり間違うと落っこっちゃうわけです。故障した場合に、トラックやタクシーは、とまることはあっても落っこちるということはめったないですよ、空飛んでないわけですから。だから、その点を考えると、それはタクシーの場合とは違うんですよ、根本的に。空を飛んでいるんで、引力に逆らっているわけなんですから、これは非常な危険なわけなんですよ。  それだけに操縦に携わる人間、機関士のような機械をいじる人間、我々素人には細々としたことはわかりにくいけれども、そういう人間は必要最小限度、今三名というのは決して多過ぎないと、こういうふうに私は思っているんです。スチュワーデスだとかパーサーだとか、ああいう人たちの数に比べると決して多過ぎないと思う。あの人たちは全く操縦に関係のないサービスですからね。そういう点を考えてみると、専門家でなくとも総務庁長官という立場でもってときどき飛行機を御利用になるだろうと思うので、その見解をお伺いしたいと思うんです。
  55. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今日は航空大量輸送時代でございますから、どんなに技術が発達しても、安全の問題については幾ら気を配っても気の配り過ぎということはないと、私はこう考えるわけでございます。  ただ、瀬谷さんがお乗りになったジャンボ機は今度の改正で三人乗りを二人にするとは私は理解しておりません。そうではなくて、構造上二人でいいという設計の新しい飛行機が出てきたときには、それにあえて三人乗る必要はないではないか。二人乗りの設計ででき上がった安全と認められる飛行機については二人でいいではないか。こういうのが今度の改正であろうと思うんですね。  というのは、今の規定が昭和二十七年にできた。その当時は三十五トン以上・四発という外形標準で三人ですか、これのなにが要ると書いてあったんだけれども、そういう飛行機はもうなくなっちゃって、むしろそうではなくて、外形基準は余り意味がないので、新しい技術の発達で二人乗りでいいという飛行機が生産されつつあるという時代になれば、そういう外形基準でなくて構造上二人乗りというものは二人でいいではないか、三人乗りというものは三人乗せるんだと、こういうのが今度の改正ではないのかということであれば、今回のように外形基準による規定は廃止した方がいいのではないか、それでちっとも安全は差し支えないんじゃないかと、かように私は考えているわけでございます。
  56. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、私は問題を変えて意見を聞いてみたいんですがね。  この間、747が落っこちました。そしてその原因は今いろいろと調べております。幾ら調べてみたって、もう落っこったものはどうしようもないわけですよ。死んだ人はもう生き返ってこないわけですよ。そうすると、どこに原因があるか。何といったって、あの飛行機の製造元に原因が一番あるわけです。したがって、こういうときには、修理ミスに原因があったか設計ミスだったかはともかくとして、この落っこった飛行機をつくった会社の飛行機は買わない、747は買わない、当分買わない、貿易摩擦もへったくれもないです、人命の方が大事なんだから。幾らボーイング社が、こういうふうにします、ああいうふうにしますと言ったって、これはやはり当分は買いませんというふうにする方が私は筋だろうと思うんですよ。注文をつけて、もっとしっかり修理しろということを言ったって、これはもう後の祭りなんですよ。だから、二人乗りの飛行機を日本に持ってこようといったくらみがあるならば、それは買いませんと。規定を変えるよりも、そんなもの買わないと。なるべく我々は安全に飛んでもらいたいというように思うんですね。その方が政策としては先決じゃないかと思うんですが、どうですか。
  57. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 先般の日航機のあの大惨事が、747の設計上の大きなミスによってああいう事故が起きたということで、いわゆる設計の欠陥であったということであるならば、私は当然これは買うべきではないと思います。現在、事故調査委員会を中心として真相の究明が行われておる段階でございまして、まだ原因が定かでございません。いろいろこういうことかなということは、私どもおおよそのことはわかっておりますけれども、最終的に事故調査委員会の結論を待って、事実、今御指摘のように、747に重大な設計上のミスがあった、欠陥があったということがあれば御指摘のとおりだと思います。
  58. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ボーイング社の飛行機についてはおきゅうをすえるという意味で——設計ミスか修理ミスかはわからないで、設計ミスの可能性だってあるわけです。あの飛行機はほかの理由でおっこったんじゃないんですよ。大韓航空のように進入禁止区域へ入っていっておっことされたというんなら話は別です。そうじゃないんです。少なくとも操縦者は一生懸命におっことさないように努力したには違いないんですよ。それが結果的にはおっこっちゃったわけです。だからボーイング社に責任があると思う。責任がある会社の飛行機は当分買わないということをやった方が、事故後の当事国の態度としては正しいと、私はこういうふうに思うんです。だから、今後の問題として、二人乗りの売り込みを考えている会社、それから747を受り込もうとしている会社、こういうところには御遠慮願うという方が安全対策上は筋だろうというふうに思います。ぜひそのことは強調しておきたいと思います。  それから特に安全の問題なんですけれども、飛行機だけではなくて、トラックあるいはバス等でも、いろいろことしは事故がありました。スキーバスが転落した、二階建てバスが中央道路でひっくり返ったとかいう事故がありました。多くの犠牲者が出ています。そのほかに大型トラックによる事故というのは枚挙にいとまがないくらいたくさん発生しております。その原因をいろいろと調べてみると、過労運転の問題あるいは過積み運転の問題、こういう問題が大きな比重を占めているわけですね。したがって、そういう問題を解決しないと、陸上を走るトラックでもバスでも安全を確保することはできないというふうに思われるんですけれども、今までの運輸省の方針だと、安全確保についてどうも手ぬるいという点があるんじゃないか。例えば法律でもって明確に規定して、罰則もそれ相応に強化されていくという必要があるにもかかわらず、それがどうも省令によってお茶を濁されているといったようなことがある。したがって、違反をしても大して大きな罪にならないという点があったのではないか。それらの点を考えるならば、規制緩和ということよりも、むしろそういう過労運転を行わせないような、あるいは過積載の運行を行わせないような、そういう方式をきちんと法律でもって明文化するということの方が必要じゃないかと思うんですが、その点どう思いますか。
  59. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 私が運輸大臣になりまして一年を経過いたしまして、その間も自動車による幾つかの事故が起きました。その都度、皆様方のおしかりに対して、国会におきまして、二度と起きないように私どもいたしますということ自体にむなしさを感じたことがないでもございません。そういうことで、常に私は部下を督励して、今日まで事故の絶滅に微力を注いできたつもりでございますし、またそれぞれの事故につきましては適切なる処分もいたしてきたところでございます。  また、御指摘の点につきましては、今後またさらに一段と目を光らせていかなきゃならぬと思いますが、これらの取り締まり等につきましては、関係省庁、例えば過積載等につきましては警察の協力も必要かと思いますし、今後とも密接なる連絡をとりながら、御指摘の点は厳に対処してまいりたいと思っております。
  60. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総務庁が過労運転防止、過積載防止に関する関係省庁の連絡会議といったようなものを持たれているけれども、これで十分であるというふうには思われないのであります。むしろ、こういう連絡会議というものをもっと有効にするためには、利用者やあるいは関係団体の参加する審議会といったようなもので機能を充実させるという必要があるんじゃないかと思うのでありますが、その点は、総務庁長官、どのようにお考えになりますか。
  61. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 私どもの方の交対本部の関係のお話かと思いますけれども、ちょっとただいまその関係の資料を持ち合わせておりませんので、また後刻御返答させていただきます。
  62. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 じゃ長官に端的に伺いますが、法律できちんと決めておく必要があるというふうに指摘されているけれども、現実には通達だとか省令だとかでもって済ませている。ILOの問題も、百五十三号条約といったようなものがあるわけです。こういうものも労働省の通達で済ましている。それからいろいろ縦割り系統があって、建設省あるいは労働省、運輸省、まちまちになっている。だから、そういうものは、まちまちの状態ではなくて、一元的にきちんとやる必要があるんじゃないかということなんです、端的に言うと。資料があるとか、ないとを言っていますけれども、これは政治家として、長官として答えるべきことだと思うんで、あえて質問する次第です。
  63. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 過積載あるいは過労運転、こういったのが、バスとかトラック、タクシー、こういったものの事故につながるわけでございます。ところが、それぞれの官庁が縦割りになっておりますから、それらは調整をしなきゃならぬということで、私の方で調整のお役を引き受けておるわけでございます。  瀬谷さんのお話ですが、私は、実際は今そういった規定は十分整備をやっているんだろうと思うんですよ。問題は、それを的確に守らせるという努力、これが一番肝心なのではなかろうか。こういう意味合いにおいて、常日ごろから関係省庁とも連絡をとりながら、安全運転、事故の防止ということに精いっぱいの努力をしておる、これが実態でございます。
  64. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そこで問題になってきますのは、守らせるといったって、じゃ何が原因で過労運転なり過積載運行が行われてくるかということになると、それは過当競争によるコストダウンなんです。つまり、なるべく安く上げるために過当競争が行われる。例えば行革審答申の規制緩和方策についての考え方の中に、運賃について「一層の多様化、弾力化を図る」といったようなことが書いてあるわけでしょう。つまり「多様化、弾力化を図る」ということは、競争しなさい、競争して安く上げるようにしなさいということになるわけですよ。平たく言えばそういうことになる。そのためにはいろんな過当競争が行われる。省令違反も何もないということになってしまうわけです。問題はそこにあるわけなんです。  そこで、きのうも問題になりましたが、運輸委員会で取り上げられた問題として、国鉄再建監理委員会の答申の中で貨物鉄道会社の問題があります。貨物鉄道会社というのは、結局、監理委員会の答申の中でも意見がなかなかまとまらなかったんですね。御存じのとおり、監理委員会の答申というのは、七月に答申が出ている。七月の答申の中に貨物の問題については答えが出なかったんですよ。十一月までに運輸省と国鉄で相談しようということになりました。十一月までに答えを出さなければならないということで出てきた答えがこれまた漠然としているんですよ。どういうふうに漠然としているかというと、貨物鉄道会社は、今までのレールの上を走るということだけで会社をつくってそれで黒字を上げる、目標だけ与えられているんですね。それ以外のことは何やってもいいということになってないんですよ。そうするとトラックも国鉄にとっては競争相手だった、小ラックとの競争によってだんだんだんだん追い詰められてシェアが低下してきた。そして今日のように国鉄の赤字の大きな部分を占めるようになっちゃったわけですよ。その国鉄の赤字の一番大きなもとになっていると言ってもいいくらいの貨物輸送を、今までと同じようにレールの上だけでもって黒字を上げなさいと言うのは非常に無理なんですよ。  貨物輸送というのは、結局、集めるところが通運会社、真ん中が鉄道、また向こうへ行って配るところが通運会社。こういうことになっていて、一貫した運賃がどちらが安いかでもって荷主の方は選ぶわけです。安い方を選ぶということになると、トラックの方に行ってしまう。それを今度は真ん中のレールの上だけで稼げと言うんですよ。真ん中だけでやっていけるものじゃないんです。両端があってようやくこれは仕事になるわけです。真ん中だけで食っていけるのはウナギのかば焼きくらいのものだ。これは両端がなきゃ貨物輸送の場合はそうはいかないんです。特に往復でもって稼げと言ったって、貨物なんというのは片道に決まっているんですよ。往復でもって稼げと言ったって、その往復の貨物列車に合うように荷物が集まらなきゃ、これはできっこないでしょう。こういう問題がきのう貨物鉄道会社の問題として取り上げられました。だから、この貨物鉄道会社が稼ぐためには結局トラックと競争しなきゃいけない。トラックと競争するということになると、またお互いに過当競争をやってコストダウンを図らなきゃならぬということになるわけですよ。これで鉄道会社自体がやっていけるかどうかも甚だ問題があります。  多くの新聞の社説が貨物鉄道会社については疑問を示しております。監理委員会がやっていけるんだというふうに言っているだけなんです。だから、この問題を考えてみると、貨物鉄道会社ということ一つを取り上げてみても、監理委員会の答申というのは随分無理があるというふうに考えなきゃならぬと思うんですが、運輸大臣にはきのういろいろお聞きしましたが、総務庁長官、この鉄道貨物会社の問題について多くの新聞の社説でもたくさんの指摘があります、疑問が示されておりますが、どういうふうにお考えになりますか。
  65. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 確かにこの貨物鉄道会社の将来の採算性、いろいろ厄介な問題があるということは、私もそれなりの理解はしておるつもりでございますが、御質問のように監理委員会の七月の答申の中には詰め切っておらなかった。そこでその後、国鉄当局と監理委員会でこの問題の詰めを行って、そして先般の新聞に出ているような案が出たと、これが今日の段階でございます。したがって、これを運輸省を中心に政府としては今後法案の取りまとめの段階において十分詰めた上で、その上での改正についての国会への御提案と、こういうことになろうかと考えるわけでございます。
  66. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 きのう運輸委員会での私の質問で、地域に密着した地域サービスを行いますという国鉄の車内広告があったんで、そのことをきのうちょっと取り上げたんです。車内広告の問題、地域に密着してサービスしますというから、それじゃ貨物鉄道会社の場合に、貨物駅のない訳なんというのはよもやできないだろうなと思って念を押して聞こうと思ったら、いや、まだ決まってないというふうに逃げられました。いろいろ聞いたところによると、どことどことどこは貨物駅がないというんですよ。ない駅ができるというんです。貨物駅がないと、お客は無人駅でも勝手にドアをあけりゃ乗れますが、貨物は無人駅じゃ一人で乗っからないんです。どうしても駅があって、人があって、設備がなければ貨物を運べないんですよ。貨物駅がない県なんというのができたら、幾ら地域に密着したサービスといったって、足がないんですから幽霊会社になっちゃう。幽霊会社でもって、足がないけれどもサービスはいたします、あしからずと言ったって、これはだめなんですね。こういうイカサマな答申を監理委員会というのは出しているんです。これは内閣の一員として十分に考えてもらいたいと私は思うんです。貨物会社一つ取り上げたって随分インチキですよ。どこの社説だって、大丈夫だ、やっていけますというところは一つもないです。監理委員会だけです、勝手なことを言っているのは。  しかも貨物鉄道会社は全国一社だというんですよ。旅客会社は六つあるんです。六つの旅客会社を貨物列車が渡り歩かなければいけない。今までは国鉄では収入は旅客と貨物に分かれていました。これは夫婦みたいなものですよ。旅客が夫だったら貨物は妻みたいなものだ。妻の方が収入が上がらない、収入が上がらないからどうしたらいいか。離婚して別居しろというんですよ。別居したら、さっき地代家賃統制令の話が出ておりましたけれども、別居した細君の方の貨物の方は地代家賃を払わなければいけないのです、今度は六つの会社に。だんなが六人できちゃうんですよね。普通はだんなから銭をもらうんだけれども、この場合はそうじゃないんです。だんなの方に地代家賃を払わなければいけない。それじゃ今までだって赤字だったのが、これで一挙に黒字になるなんということはどう考えたってできないでしょう。木に竹を接ぐという話があるけれども、これはコンクリートに竹をつなぐようなものですね。できっこないんです。これをできるものとして提案している。ここに問題があると思うんです。今のような監理委員会、世間をごまかして車内広告まで国鉄に出さしている。何が地域に密着したサービスですか。密着もへったくれもないんです、中身が何もないんだから。こういうごまかしを私は許せないと思うんですね。こういうことは貨物会社の例を一つ取り上げてみても私は指摘できると思う。  それが今度トラックと価格の点で競争するということになったらどういうことになりますか。これは幾ら規制しようと思ったってなかなか難しいことになるんじゃないですか。ますます過労運転とか、あるいは過積載運転ということが一緒になって出てくるんじゃないか。こういう心配があるんですが、どうですか、総務庁長官の見解を伺いたいと思うんです。
  67. 武石章

    政府委員(武石章君) お答え申し上げます。  トラック運送事業は先生指摘のとおり大変競争の激しい業界でございまして、中小零細事業が非常に多いということ、それから労働集約的な産業であるというようなこと、さらに道路というような一般交通の場を利用する事業であるということで、我々といたしましては、特に安全問題については十分に留意しなければならないと考えでおるところでございます。規制全体の見直しの中でも絶えず輸送の安全に留意してまいりたいと考えておるところでございます。本来、輸送の安全の確保ということは運輸行政の基本でございますので、その点につきまして不安があってはならないということで、私どもとしてもできるだけの努力をしておるところでございます。  道路運送法の三十条には輸送の安全について規定がございまして、それに基づいて省令が定められているわけでございますが、その中で特に過積載の問題につきましては、これを防止するための規定を明確に設けるとともに、実際にその運転に従事する運転者に対しても規制するという形になっておるわけでございます。過積載の防止につきましては、関係省庁で協力をいたしまして、中央レベルだけではなくて都道府県単位に警察、都道府県、私どもの陸運支局と、その三者の構成いたします過積載防止対策連絡会議を設置いたしまして、そういうところとの連携の強化を十分に図っておるわけでございます。  運輸省といたしましては、そういう意味での実態把握に努めますと同時に、定期的な事業監査におきまして、あるいは警察、労働基準局からの通報等に基づきまして違反についての摘発を行っております。昭和五十五年以降の数字を見てみましても、四百件弱であった過積載違反の処分件数が、五十七年には八百件程度、五十八年九百件程度、五十九年には千三百件というようにそれなりの十分な努力を重ねてまいったところでございます。現在の法律の体系では道路運送法の四十三条におきまして処分をする場合には、法律に対する違反だけではなくて法律に基づく命令の違反、そういうものにつきましても同じように処分することができるように既に規定されております。そういう規定を十分に活用しながら競争条件というものを適正化してまいるということで私どもとしては取り組んでまいっておるわけでございます。貨物会社との関連で競争が非常に激しくなるという中におきまして、こういう競争というものはあくまで適正な基盤の上に立った競争でなければならないという意味で、その基盤となる輸送の安全については、引き続き強力な指導もいだすとともに、監査その他につきましてもさらに充実をいたしまして対処してまいりたいということで取り組んでおるところでございます。
  68. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 余り実のない答弁なんですな、私の質問に対しては。要するに、じゃどうすりゃいいかというのですよ。過当競争を防止するためにどうしたらいいか。運賃をここに書いてあるように、弾力的にとかなんとか、安くして競争しろということを奨励したのじゃ、ますます問題は出てきます。もし鉄道貨物会社が黒字を上げようと思えば通運業者の分野にも割り込む、トラック業者の分野にも割り込む、こういうふうにしなきゃこの鉄道貨物会社は収益を上げられませんよ。そういうことをやっちゃいけない、一切通運業者あるいは海運業者、トラック業者の仕事の方には手をつけるな、今までどおりレールの上だけで稼ぎ有さいということだったら、今度は鉄道貨物会社が成り行かなくなるんですよ。幾ら旅客会社と別れてみても、全国一社にしても第一、運賃自体をどうやって決めるか。日本国じゅう六つの旅客会社の間を、しかも旅客列車のダイヤの間を縫ってダイヤを設定しなきゃいけないでしょう。これは利用者にしてみれば、その貨物が貨車で運ばれようとトラックで運ばれようと、注文した貨物が安く届けばいいのですからね。途中何で運ぼうと、飛行機で運ぼうと自動車で運ぼうと船で運ぼうと、それはどうでもいいんです。それを考えると価格の点で、今のように何か戦国時代を招来してもいいかのようなことを言っておったんでは、これはえらいことになるんじゃないかということを心配しなきゃいけません。  私はこの旅客鉄道会社の問題一つ取り上げましたけれども、これ一つ取り上げてみても、国鉄監理委員会の答申というのは極めて重大な欠陥を持っているということが指摘できるんです。だから、この欠陥を持っている分割・民営の方式に対して多くの批判があるんですよ。  そこで、この間十一月二十九日に中核派がああいうことをやりました。あの問題について委員会でもいろんな質問がありまして、大臣からも答弁がございました。運輸大臣からも国鉄総裁からも、あのこと自体型言語道断であるというだけなんですね。けしからぬというだけなんです。特にその中に国鉄職員が二人逮捕者の中にあった、これはけしからぬということを言われましたけれども、そういう言い方をすると、国鉄職員以外の者はどうぞどうぞというふうに受け取られちゃうんですよ。そういうものじゃないでしょう。だれがやろうと、ああいうふうに火をつけたりケーブルを切ったりというのはいいことじゃないです。しかし問題は、けしからぬと言っているだけじゃ済まないです。山陽新幹線の方にも何かあったというんでしょう、列車妨害の。しかも、それはかなり手が込んでますよ。そうすると騒ぎをやって捕まるようなどじなやつじゃなくて、もっと利口なやつは目立たないようにああいう工作をするんですよ。これは極めて危険なことだと思わなきゃならぬ。そういう危険を防止するために、じゃ線路いっぱいにお召し列車のように警備を配置するかというと、そうはいかないでしょう。だから、どうやったらいいかということを考えなきゃいけません。これは総務庁長官の仕事なんですよ。  結局は分割・民営というのが適当じゃない、危険だ、多くの問題をはらんでおるということがあるからいろいろ物議を醸している。これは野党だけじゃないですよ。この分割・民営に反対しておるのは。左翼だけだと思ったら大間違いですよ。愛国党という右翼のポスターに、分割・民営絶対反対だ、あれは国鉄の財産のたたき売りだと書いてあるでしょう。反対は我々だけじゃないんですよ。自民党の中だって、まともに物事を考える人はみんな反対しているんです。どういうわけだか知らないけれども、監理委員会に頭を押さえられているという点があるんで、その監理委員会自体が出している答申に重大な欠陥があるということだけは、貨物の問題を取り上げても指摘できるんですよ。したがって、この問題の扱いというのは内閣の問題なんです。この問題の取り扱いを誤ると、これはえらいことになりますよ。その点十分に考えてこの問題の取り扱いをしてもらいたいというふうに思うんでありますが、その点についての長官の見解をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  69. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この間のような反社会的行為は認めるわけにまいりません。これは国鉄職員であろうと一般国民であろうと同じことでございます。ただ、それはそれとしまして、さらばといってこのなすべき改革を、こういった動きがあるからといって政府が改革をやらぬというわけにはまいらないのです。ただ、その改革案それ自身は御指摘のようないろんな問題点があることもわかります。そういう点は政府として最終の案をまとめるまでに十分なる配慮をして、そして民営・分割という線に沿って合理的な改革案を出したいと、かように考えております。
  70. 福間知之

    ○福間知之君 私は、商工委員会関係の立場から、御質問を幾つかしたいと思います。  まず最初に、法律案に直接関連する幾つかの点を端的にお聞きをしたいと思うんです。商工委員会関係法律案で今回の規制緩和一括の政策に関して、消費生活用製品安全法の一部改正、さらにガス事業法の一部改正、この二法が出されているわけであります。  まず、消費生活用製品安全法に基づくいわゆる特定製品というのにはどういうものが該当し、指定されておりますか。
  71. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 現在、消費生活用製品安全法におきましては、消費生活用製品の中で、構造、材質、使用状況等から見まして、一般消費者の生命、身体に対しまして特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品を特定製品として政令で定めているわけでございますけれども、現在特定製品としては「家庭用の圧力なべ及び圧力がま 乗車用ヘルメット 野球刑ヘルメット 炭酸飲料びん詰 炭酸飲料を充てんするためのガラスびん 乳幼児用ベッド ローラースケート 登山用ロープ」、以上八品目を特定製品として政令で定めております。
  72. 福間知之

    ○福間知之君 今の御説明の中には金属バットは入っていませんね。
  73. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 従来、特定製品に金属バットは指定されておりましたけれども、五十八年の一月に指定の解除をいたしております。
  74. 福間知之

    ○福間知之君 金属バットが折れる事故が続いたという記憶を皆さんも含めて持っているわけでございますけれども、あのときの事故の実態あるいは事故の発生の原因というものをどういうふうに把握されておりますか。
  75. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 金属製バットにつきましては、御指摘のように本年七月、特定の銘柄の金属製バットにつきまして折損事故が起こったわけでございますけれども、折損事故は金属製バットの中で球が当たるときに、バットの握りの部分と球が当たる部分との中間部分で折損が生じてまいったわけでございます。このため、私どもといたしましては、早速金属製バット基礎調査検討委員会を設置いたしまして、事故原因について検討いたしました結果、現在、折損事故の原因は次の三つの要因が複合したものと考えられる旨の結論を得ております。  その一つは、バットの握り部分と球が当たる部分との中間部分でございますテーパー部と呼ばれる部分の強度が弱かったということ。それから第二には、腐食が生じておったこと。第三には、バットの伸び率が、材料としての伸び率が低下していた。以上三点の結論を得た次第でございます。
  76. 福間知之

    ○福間知之君 今の事故原因は、御説明の三つだとして、その後どういう対応をされましたか。
  77. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) ただいまのような事故原因に関します検討結果を踏まえまして、本年十月に、当該事故を生じた製品を製造しておりましたメーカーを含め、金属製バット全メーカーに対しまして、一つには先ほど申し上げましたテーパー部を中心とする強度設計の見直し、さらには製造工程の再チェック、また伸び率の基準を、私どもとして安全のために基準を設けておりますけれども、その基準の厳守の三点を指導するように手配をいたしましたわけでございます。  当面そのような指導をいたしましたが、なお製品安全協会におきましては、このような事故原因の解明とそれへの当面の対応と並行いたしまして、金属製バットの安全基準の見直しのための基礎的な調査検討を行っているわけでございまして、今後その結果を踏まえまして、安全基準そのものの見直しを含めまして対応策の検討を今急いでいるところでございます。
  78. 福間知之

    ○福間知之君 この金属バットが貿易摩擦関連で、アメリカ側からも一時とやかく言われたと思うんですが、先ほどの事故あるいはまたそれに対する対応等、アメリカとの関係で問題がないかどうかということと、それから特定製品全般について最近の事故の発生状況というのをどうつかんでおられますか。
  79. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) 金属製バットにつきまして特定製品から外すことにいたしましたのは、今海外からの要請によるものではないかということでございますが、確かに昭和五十六年秋ごろから、日米間の基準・認証制度をめぐる問題の象徴的品目として、金属バットが取り上げられましたことは事実でございます。しかし特定製品の解除を行いましたのは、あくまで金属製バットの安全性について私ども調べましたところ、昭和五十二年度以降、事故件数が見られなかったというようなことから、過去の実情にかんがみまして特定製品からの指定の解除を行った次第でございます。  なお、一般的に事故の状況についてもお尋ねがあったかと存じます。特定製品八品目にわたります事故件数は年間平均二、三十件ございますけれども、この中には誤って使用したような場合も含まれておりまして、製品の欠陥によると認められます事故件数は、ただいま申し上げた平均二、三十件の中で三分の一程度であると考えております。
  80. 福間知之

    ○福間知之君 その事故の発生件数はともかくとして、問題は今回政府認証制度から自己認証に切りかえるわけですが、その場合に今まで以上に事故率が高くなっては困るわけでありまするし、また消費者である、ユーザーである国民の側に不安心感を募らせるようなことがあってはならない。そういうふうに思うんで、果たして安全性の確保について万全の対応ができるのかどうか、さらにまた今回の自己認証制導入に際して、消費者側の意見を十分に私は聞くべきだと思うが、そういう措置はとられたのかどうか、その二点をお答え願いたい。
  81. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 自己認証制度への移行ということで踏み切ったわけでございますが、今福間委員指摘のように、消費生活用製品に対する自己認証制度の導入ということについては、消費者保護上遺漏ないということが大事でありまして、次のような配慮をしたわけでございます。  それは第一に、事業者に対して一定事項の届け出義務、基準適合義務等を課するとともに、改善命令、回収命令、罰則等によってこうした義務の履行を担保することとしたこと。  第二に、製品が満たすべき安全基準については、今後とも安全性の確保に遺漏なきよう国がこれを定めることとしたこと。  第三に、自己認証品目の具体的な選定に関しましては、当該品目にかかる技術水準等を十分勘案いたしました上で審議会に諮り、これを決定することとしておるわけでございます。  こうした審議会に語る、あるいはいろいろの事務担当者が消費者の立場をよく聞いてこういったことを決める。こういったことは当然のことでございまして、当省としてはそういうことに十分の配慮をしたつもりでございますが、今後とも国民そして消費者の安全が十分に確保されるように努力してまいる所存でございます。
  82. 福間知之

    ○福間知之君 今の御趣旨は結構ですが、先回の内閣委員会でしたか、六日の日に私もこの点を取り上げまして、乳幼児ベッドを中心に議論させていただいたのだけれども先ほどの金属バットその他今後新しい製品がどんどん開発もされますので、十分その点の配慮をひとつ要請しておきたい、そういうように思います。  ところで、特定製品のうちで自己認証制度を適用するのはどの品目になりますか。
  83. 松尾邦彦

    政府委員松尾邦彦君) お尋ねの、現行の特定製品のうちでどの品物を、自己認証制適用を受ける第二種特定製品として指定するかにつきましては、今後法律の規定に基づきまして製品安全及び家庭用品品質表示審議会に諮りました上で決定していくことになっております。  その決定に際しましての具体的な判断基準といたしましては次のような三つの基準考えております。一つは当該製品につきまして安全性確保を図るために必要な製造技術の水準あるいはその技術の普及の度合い、第二には当該製品につきまして安全性を確認するために必要な検査技術の水準またその普及の度合い、さらには当該製品にかかります事故の発生状況の推移あるいはその現状、このような三つの観点を主眼といたしましてこれらを総合的に勘案して、自己認証制を導入し得る品物はどれかということを審議会で御審議いただくことにいたしておるわけでございます。
  84. 福間知之

    ○福間知之君 ガス用品の制度に自己認証制を導入するという考えのようですけれども、それは必要でございますかね。
  85. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) お答え申し上げます。  現行のガス事業法におきますがス用品の取り締まり制度は昭和四十五年から発足しておりますが、現在検定または登録型式という政府認証でやっております。この政府認証の制度で現在やっておりますが、今後新素材の開発など技術進歩が非常に急速でございますので、こういうものが出てきますと、製造事業者の品質管理能力でありますとか、検査能力でありますとか、そういうことを検討いたしまして、さらに検定の不合格率が下がっていくというようなものが出てくることも今後予想されるという状況でございますので、この新しい導入の制度をしまして、安全確保はもちろん前提でございまして、安全確保の水準が下がらないものに限ってそういう制度を導入していく、こういう考えでございます。
  86. 福間知之

    ○福間知之君 安全確保の水準が下がらないという、それは考え方としてはそうですけれども、現実にはこの冬を控えてガスヒーター等も新しい製品が出ていまして、若干問題を起こしかねないという懸念もあるやに聞いておりますが、新製品がどんどん出てまいりますので非常にこの点が難しいとは思うのです。私はそういう自己認証制度を否定する立場じゃなくて肯定的に考えていく上でも、日本人というのはそういう製品に対する安全性というものに国の方の施策を頼りにしているという、そういう伝統的な心情を持っているわけですね。そういう点で行政の介入の度合いはどうあるべきかということを一面考えながらも、特に危険性を伴う製品の場合は中間的なタッチを必要とするのじゃないか。これは貿易の上においてもこれから重要な問題になってくると思うのですね。  第二種のガス用品に移行する品目というのは何を考えておられますか。また今後追加するという御意思がおありですか。
  87. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) この第二極ガス用品に対する移行の手続につきましては、法的な手続がございまして、ガス事業法で決められた公聴会などを経由いたします。今後どれを移行するかにつきましては慎重に検討することにしておりまして、現在のところまだどれをということで申し上げられる段階にはございません。なお、その場合に何を配慮するかということでございますれば、先ほどちょっと触れましたように、ガス用品のうち新素材の開発などで技術進歩の進展あるいは製造者の能力、品質管理能力、検査能力あるいはガスのこれまで検定の不合格率の推移など総合的に判断されることになると思います。
  88. 福間知之

    ○福間知之君 これで余り時間をとりたくないのですが、要するに先ほどの特定製品の自己認証制度導入品目の指定にしても、これからの検討、あるいはまた、ただいまの第二種ガス用品の移行品目も今後の検討ということのようですし、法案が決まりましたら慎重に審議会その他経過を経て決められると思うのですけれども、そういう時点でまた改めて商工委員会等でも議論をしたいと、こういうふうに思います。  次に、最近アメリカとの貿易摩擦がかしましいわけでございますけれども、先般日米の皮革交渉が物別れに終わりました。また、それに続いて今度は半導体の通商問題がデッドロックに乗り上げた感があります。この点に関しまして幾つかお聞きしたい。  半導体は文字どおり産業の米と言われている時代でございまして、多くの製品の基礎素材、資材として活用されていることは御案内のとおりであります。この半導体産業はいわゆる先端産業の中でも特にリーディング産業としての位置づけがなされているわけでございまして、特にアメリカにおきましては電子戦争時代を迎えているという昨今の情勢の中で、半導体技術というのは軍事技術の中核的な技術になっておるわけでありまして、とすれば、アメリカとしては国家安全保障上のかかわりにおいて、この半導体産業というものをとらえている、こういうふうに私は思うのであります。今後ともそういう半導体産業、したがって技術の革新が進み、一層の発展をしていくだろうと思いますが、同時に、それは日米間のみならず、広く国際的な観点で競争が激化していく、企業間における競争、国と国との間における全体としての競争、そういうものがふえていくと思うわけでありますが、そのことがまた逆に半導体技術その他の進歩につながっていくと思うのでございますが、現在の半導体というものが置かれている国際的な一つの位置づけというものについてどういうふうにお考えですか。
  89. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 福間委員はこの問題は御専門家でいらっしゃるわけでございますが、まさにエレクトロニクスあるいは半導体といったような分野はアメリカが最も得意とする分野であり、そしてまた日本も非常な勢いで発展をした分野でございます。実は、ことしの六月に、いわゆる米国通商法三百一条に基づく対日市場アクセス改善、ダンピング輸出の防止などを求めて、米国半導体工業会、いわゆるSIAからUSTRに提訴が行われた。その以後ずっと交渉が続けられておったわけでございます。ところが、御承知のように、今月の六日米国のボルドリッジ商務長官みずからが、日本製半導体二五六KDRAM等の輸出に関して反ダンピング調査の自主的開始を決定したわけでございます。これは日米半導体協議の場におきまして、委員も御指摘のように、価格問題も含めての包括的な解決を図るということで、我が国が行ってきた努力が非常に難しくなるということで実は遺憾の意を米側に表明したところでございます。私の名代で行っておりました若杉審議官等のスタッフが帰ってまいりましたので、一昨日、実は通産省で大会議を開きましてこの問題についてのいろいろな検討をしたところでございますが、提訴が行われたのはUSTRである、そして実際の自主的調査を開始したのは米国の商務長官であるということで、実はやや対応に苦慮しておりますが、これは福間委員指摘のように、日米で一番注日を集めておる分野でもあり、二十一世紀はエレクトロニクスの時代だと言われるくらい重要な問題でございますので、そういった状況を踏まえて慎重に対応してまいる、こういう基本的な姿勢であります。
  90. 福間知之

    ○福間知之君 今の村田大臣答弁の中にも触れておられましたけれども、USTRと商務省のいささか権限争い的な様相を感じるわけですけれども、そういう事実認識を持っておられますか。
  91. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 実はUSTRのヤイター通商代表とはたびたびお会いしておりまして、この問題についてもたびたび協議しておる。それからボルドリッジ商務長官とも面接七月に相当時間をかけて全般的ないろいろな話をしたわけでございますが、私の認識では、ボルドリッジ商務長官という方は非常に実務的な能吏のタイプの方であり、そしてヤイター通商代表は大変なスポーツマンでございまして、明るい性格で、事に対応する速度の大変に速い方でございます。そういった意味で、どうしてこの両者の間ですれ違いの決定が起こったのか、実は対応に苦慮しておりますが、原則としては、どこまでも日米友好関係というものを主体として、冷静に、事務的にこれを進めていくという考え方で貫いていくつもりでございます。
  92. 福間知之

    ○福間知之君 もともと日本の半導体に対する向こう側のダンピングだという認識については、我が方としてはどういうふうに考えていますか。
  93. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) お答えいたします。  半導体問題につきましては、既に六四KDRAMにつきまして、先生御存じのとおり、ダンピングの提訴が米国の企業からございまして、これについては先般商務省のダンピングマージンについての仮決定が出たところでございます。  半導体産業は、これまで非常に需要が順調に伸びてまいりました過程で、一昨年の後半以来需要が不振になってきておりまして、有望なだけに各企業の参入も多く競争が激しかった分野が、特に需要の急激な停滞という事態によりましてますます競争が激しくなってきているということは事実でございます。  ダンピングの事実の有無の問題につきましては、この判定は残念ながら米国商務省当局にあるわけでございますが、私どもとしてはそういうものがないものというふうに考えてはおりますが、この点につきましての最終認定は向こう側にあるということでございますし、私どもも、仮にもしダンピングが行われているというようなことでございますと、それに対しては擁護をする立場にはございませんが、現在までのところ、そういうことが行われていないものというふうに期待を込めて考えているわけでございます。
  94. 福間知之

    ○福間知之君 ヤイター代表等と二国間の協議ということで努力してきたということはよくわかりますし、それが今度三百一条の発動ということで大変厳しい環境というものが予想されるわけでして、もともとそういう場合には、向こうの国内法でも署名した関係国と事前に協議する、そういう取り決めがあると思うんですが、協議がなされたのかどうか、あるいはまた政府はこのような決定に際してどういう働きかけをされたか、その二点をお伺いしたいと思います。
  95. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) お答えいたします。  今回の二五六KDRAMにつきましてのダンピングのセルフイニシエーションに関しまして、先生おっしゃいますように、米国国内法上、加盟国に対して事前の協議をするということが規定されておりますが、私どもといたしましては、米国政府からこういった正式の協議を受けていないと考えておりまして、この問題につきましての私ども考え方を発表しました際にもその点について触れております。  ただ、米側といたしましては、三百一条の協議の場等でそういう問題についても触れておった、それが事前協議である、こういうような説明もしているようでございますが、私どもといたしましては、それについては納得してない、こういう状況でございます。
  96. 福間知之

    ○福間知之君 納得してないという気持ちはわかりましたけれども、もう一つの私の質問の、そのような動きに対してどういうふうに我が方は働きかけを行ったかということについてお聞きしたい。
  97. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) ただいまお答えいたしましたような私どもの認識を、外交ルートを通じて先方に伝えるべく現在手続中でございます。
  98. 福間知之

    ○福間知之君 杉山さん、二五六KダイナミックRAMのほかに対象品目には一メガビットも入っているんですか、あるいはその他半製品も入っているんですか。
  99. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 今回の決定には二五六K以上のダイナミックRAMということになっておりますので、一メガも形式的には入っているというふうに考えておりますし、完成品だけではなくて半製品等も含まれております。
  100. 福間知之

    ○福間知之君 私は先般の予算委員会でこの問題も若干触れてみたんですけれども、結局、前は十六ビットですね、それから六四、二五六、それから一メガ、さらに新しい一つの世代としては四メガが今我が方でも開発が進んでいるわけです。こういうものの経緯をずっと見てみますと、当初はアメリカが優位であったんです、品質においてもコストにおいても。だけど、それがだんだん優位性を失ってきているわけですね。そういうところにアメリカ側の焦りが私はあると思うんです。したがって、アメリカ側が今個別品目に対する協議ということを盛んに持ちかけてきているということは一体どうしたことなのかというふうに、いささか困惑を感じないわけにもまいりませんが、政府当局として、これはお聞きしてもやぼなことでございますが、包括的、全体として貿易の収支バランスというものを考えようということであるのがオーソドックスだと思うんですけれども、余り個別にこういうことをやっていますと、日米間がぎくしゃくしまして決して長い目でプラスじゃない。もちろん我が方におきましても、貿易黒字の圧縮ということについては諸般の角度から検討しなきゃならぬし、また努力もして輸入をふやすということに一定の効果を上げているわけでございますが、しかしこういう先端技術商品の分野で技術開発が並行して進んでいるという今の世の中で、簡単にアメリカ側の言い分を認めるわけにはいかない。そういうふうになると我が国の方は大変なことになってしまう、こういうふうに申し上げておきたいと思うんです。  それからもう一点は、先ほどの話でございますが、ダンピングでないというふうに私も信じたいが、かなり過当競争で過剰設備を競って抱え込んだ、そういう業界の体質というものも、これは見逃すことはできません。だから、いたずらにアメリカ側が日本側を非難するということだけではなくて、まさにそういう過剰な過当な競争体質というものから派生する国民的な不利益、こういうものは当然国内でも公正取引委員会等が存在するわけですから、適切な対応をやることが必要だ。それは方法についてはいろいろございましょう。そう強硬な方法をとらなくてもいいと思うんですけれども、そういうことがなければアメリカ側に言われっ放しで少しもこちらの方の筋の通らない、姿勢が定まらない、こういうことに陥る危険があります。そういう点をひとつ十分留意してこれからやっていただきたいと思うわけであります。  結局、そういう個別協議など、品目の協議などというものがかなり出てきていますが、全体としてこれから日米間の貿易問題に対する我が方の戦略というもの、我々の視野をどういうふうに持っていくのかということ、議論としては、内需の拡大をすべきだ、国内の消費をもっとふやすべきだというふうなこともいろいろ言っていますが、全体としての通商戦略ということについて伺っておきたいと思うんです。
  101. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 大変根本的な重要な問題だと思います。  そのお答えに入る前にちょっと半導体の問題に触れておきますが、この決定は、九月二十三日に発表されたレーガン大統領の新貿易政策によって創設された不公正貿易慣行に関する特別対策委員会、これはストライクフォースといってボルドリッジ商務長官が座長でありますが、この委員会による初のアクションでございますが、決定の根拠としては、二五六KDRAMについて米国産業のこうむる被害が九億ドルに達するという予想。それから半導体産業における一九八五年の失業が過去最高である。それから一九八四年の平均価格の十八ドルないし二十ドルから二ドル以下に価格が下落してしまった。また一九八五年には日本製の二五六KDRAMが米国市場の七六%を占有した。その他インテル社、AMD社、モトローラ社などが現実の損害または将来の損害の予想のためにこの市場を放棄することを強いられておるというようなことが理由になっておるんでございますが、今申し上げましたように、この半導体の問題、それから福間委員先ほど指摘になりました皮革・革靴製品の問題等が今日米貿易摩擦の一つの焦点になっておりますが、これは自由主義貿易体制でありますからいろいろなものについて貿易摩擦は及ぶわけでございますけれども、日米の基本的な関係において日本は主張することはしっかり主張する、それと同時に日米の友好関係はしっかり維持していく、したがって事務的に冷静に対応するという態度を常に失わない、こういう基本的な戦略でありまして、若杉審議官以下の一行も非常に厳しい交渉を二週間にもわたって強いられたわけでございますが、終始笑顔をもって本当に忍耐を尽くしたということを確認しておりまして、非常によくやってきた、こう思っております。  したがって、今後の日米貿易摩擦につきましては、今申し上げましたような態度で、しかも全般が根本的な問題にさかのぼってうまくいくように、これは総理とレーガン大統領との相談も内需の拡大、あるいはマクロ経済問題等を基本にしてやっておるわけでございますから、今福間委員の御指摘になった大人の態度でお互いの折衝をしておる、これが総理と大統領との間の基本的な考え方であり、態勢だと思います。我々事務当局は、もちろんこの関係をしっかり体して進んでおる、こういう態勢だと思います。
  102. 福間知之

    ○福間知之君 大臣も御都合があるようですから、もう一問、今の総括的な御見解は私も全く賛成でございまするし、またレーガンさんの新通商政策も、議会側のかなり強い圧力というものに対して自由貿易を貫いていこう、こういう姿勢から出されたものと理解して、その限りで私は基本的には反対する立場にありません。どうぞそういうことで、だが個別的には日米間では個別の問題を含めてこれからの交渉というのはかなり厳しいものが予想されるということで、決意を新たに相互の利益のためにどうあるべきかということをひとつ十分探っていただいて交渉に当たってもらうことを要望しておきたいと思います。  時間がありませんので、あとちょっと皮革の問題に入りたいと思います。  我が国の皮革業界は従業員が九人以下の事業所が大半を占めていると言われていまして、ほとんど中小、したがって零細という企業で成り立っています。技術面での手当てもおくれていまするし、業界の振興策が具体的に明らかにならなければならないわけでございますけれども、中長期のビジョンを持っておられますか。また零細性の弱点をどういうふうにカバーしていくのか、技術面あるいはデザイン面で高度化対策をどのようにと保っていかれるのか、お聞きしたいと思います。
  103. 浜岡平一

    政府委員(浜岡平一君) 御指摘のように皮革産業あるいは革靴産業は大変零細性が高いわけでございます。またいわゆる人工皮革との競争に非常に強くさらされているというような問題もございます。加えて技術面あるいはマーケティング面でも多くの課題を抱えておるということは御指摘のとおりでございます。私どももかねてから基本的には国際競争にたえ得る体質をつくることが肝要というぐあいに考えております。特にこの分野、皮革分野は公害問題というような非常に大きな課題も抱えておりますので、これを含めまして技術開発の面での努力というものが何よりも肝要であろうかというぐあいに考えております。  それから革靴につきましては、いろいろと生活様式あるいは生活感覚も変わってまいりますので、まさに日本人の気持ち、日本人の足にぴったりするような靴をつくっていく技術を開発していく、またそのためのマーケティングを進めていくというようなことが必要かと考えております。大変苦しい状況下ではございますけれども、年々そういう分野への補助金等の確保につきましても意を払ってきておるつもりでございますし、今後ともそういう方向をしっかり見据えながら引き続き努力を重ねていく必要があろうかと痛感いたしております。
  104. 福間知之

    ○福間知之君 我が国がこの皮革に関しましてIQすなわち輸入数量制限をとってきましたが、これを廃止しまして今後関税割り当て制度、俗にTQと略していますが、TQに移行するとすれば、米国だけじゃなくって、ECなどともこれから交渉をしなければならない、EC以外におきましても交渉をしなければならないと思うんですが、そういう相手国はどこなのか、その際に日米の皮革交渉とは違った意味で新しいまた我が国としての困難が加重されるのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  105. 黒田真

    政府委員(黒田真君) ただいま御指摘がございましたように、私どもとしては輸入割り当て制度、IQというものを廃止しょうということを計画しておるわけでございますが、同時にそのまま放置するわけにはいきませんので、別途関税上の措置を講じたい、こういう考え方でございます。  実は、皮革あるいは革靴についての我が国の関税というものは、日本がガットに加入した段階で実は関税の譲許ということで一定の比率を約束しているという経緯がございます。したがいましてこれを修正することが必要になるわけでございます。ガットのルールによりますと、その譲許の修正に当たっては原交渉国、もとの交渉をした国、実はこの場合は米国と西独なのでありますが、及び現時点での主要な供給国、これもたまたま米国とECになりますが、これらとの話し合いを行うことが必要である、こういう規定になっておりますので、その他御指摘のように関係国が多数ございまして、これらの諸国ともいろいろ話をする必要はもちろんあるわけでございますが、基本的には今若干法律的な説明をさせていただきましたが、アメリカ及びECとの間で話をするということが主体であるということで、いわゆる二十八条交渉というものを今ジュネーブにおきまして鋭意アメリカ及びECを相手に行っている、かような状況でございます。
  106. 福間知之

    ○福間知之君 アメリカ通商法三百一条によりますと、大統領が皮革交渉決裂した場合に報復措置をとることが可能となっているようです。報道によれば、報復措置の中に家電製品や時計、おもちゃなど四十一品目について日本だけを対象に関税引き上げや輸入数量制限を実施するということを検討しているようですが、果たしてそういう状況にあるのか、あるいはアメリカ政府は報道機関に対しまして意識的にリークすることによって我が国にブラフをかけよう、そういう態度に出ているんじゃないかとも思われるわけです。アメリカが我が国のIQ制度に反対するのみならず、我が国がTQ制度へと移行することについても反対を示しているのではないかと思うのであります。端的に言って、アメリカ側は我が国が皮革について全面的に市場開放せよと迫っているように考えられますが、そういうことでしょうか。IQ制度はガットでも認められた制度であって、これを主張する我が国の姿勢は正しいのであります。したがって交渉の態度として弱腰であってはならない、そういうふうに考えるのですが、どうですか。  新聞等によりますと、政府は今のIQ割り当て枠を今後五年間にわたって徐々に広げていく方向であると伝えられておりますけれども、どういうことでございましょうか。今のIQ枠が目いっぱい利用されてきたことはない、そういうふうに聞いているんですが、その上に枠を広げるというのは果たしていかがなものか、なぜ今まで目いっぱい枠は利用されてこなかったのか、その理由はどこにあるのか。  さらにまた、関税の割り当て制度を採用する際に、第二次関税率を設定しなきゃなりません。それは今のところ六〇%あるいは六千円、その二つの表示の方法があるということですが、アメリカ側に示した政府の態度はどういうことですか。アメリカ側もまたそれにどうこたえようとしたんですか。さらに第二次関税率を引き上げるに当たって要求されるところの代償措置、これについてもアメリカ側は不満があるようですが、この六〇%あるいは六千円という数字の根拠というものはどこにあるんですか。  以上、お答えをいただきたいと思います。
  107. 浜岡平一

    政府委員(浜岡平一君) 私どもの基本的な考え方は、タリフクォータ制度は、先ほど通商政策局長が御説明申し上げましたガット二十八条交渉の手続を適正に踏めばガット上容認される制度になるというぐあいに考えております。しかし米国側はこのガット二十八条のルールとはちょっと別の次元で考えておるわけでございまして、みずからの通商法三百一条に照らしまして貿易相手国のさまざまの制度あるいは政策等が不公正あるいは不合理、差別的である場合に対抗措置をとるという考え方を持っておるわけでございまして、二つの側面が存在しているということかと考えております。  ガットの二十八条の問題につきましては、現在まさに交渉がたけなわという状況でございます。ガットの規定上できるだけ交渉内容を外へオープンにしないようにというような規定もございますので、詳細を御説明することは差し控えさせていただきたいと思いますが、しかし日本の先ほど説明申し上げましたような産業実態に照らしまして、これに大きな打撃を与えることのないような適正な税率を導入いたしたいと考えております。  ただ、従来IQ制度のもとでもある程度の輸入があったわけでございますので、輸入の道を全く閉ざすわけにはまいりませんので、一次税率枠を設けまして、その中である程度の市場アクセスというものは容認する必要があろうかと考えております。  IQ制度のもとで御指摘のように枠の未消化部分というのがあるわけでございますけれども、これは海外製品が日本の市場に十分マッチしているかどうか、相手国のマーケティングが十分であるかどうかといったような問題があるわけでございますけれども、仮に大きくルールを変えまして、例えば全く自由にするというようなことにいたしますと、日本側でもまた海外でも全く新しい企業が行動を起こしますので、従来消化されてないからといいまして問題は起きないという保証は全くないわけでございますので、一次枠の大きさにつきましては適切な配慮が必要だと思っております。  同時に、ある程度の市場アクセスの改善ということも国際的には求められてこようかと思うわけでございまして、その辺の適切なバランスというものを今後とも追求してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。したがいまして、米国サイドにおきましては、こういう考え方というものはある程度は理解してくれているんではないか。この問題の背景にございますさまざまの特殊事情というものについての認識が全く欠けているというわけではないと思います。しかし米国側の基本姿勢といたしましてそれを黙認するというわけにはいかない。したがいまして、これに対しまして何らかの代償を要求する、あるいはそうでない場合には報復措置を講ずるというのが考え方でございます。  代償問題につきましては、ガット二十八条交渉の過程でいわば詰めがさらに行われていくという面があろうかと思っております。なお、米国サイドは、三百一条を適用するという際に、もし話がまとまらなくて報復措置を講ずる場合にはこういう範囲の工業製品を対象にするという、いわば候補リストを既に発表いたしております。約四十品目でございまして、皮革及び皮革製品、それから雑貨製品、それから機械類というようなものがその中に含まれております。去る十一月十八日に、もし報復をする場合この中からどういうものを選ぶべきであるかというような公聴会も行われておりまして、米国側としては、報復措置を講ずる場合にどういう品目を対象にするかというような準備も一応は進めているというのが現在の段階かというぐあいに思っております。
  108. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 予定時間を超過していますので、最後にしてください。
  109. 福間知之

    ○福間知之君 答弁が割合長いものですから。  報復、代償措置につきましては微妙な段階ですからお聞きすることは避けたいと思います。  皮革関連業者への施策ということで最後に、数量制限を廃止して関税上の措置によって対処する事態が発生すると国内の皮革業者に相当な打撃を与えることになるんじゃないかと予想されます。通産当局としてこのような状況から生ずる業界の、被害という言葉が当たるかどうか別ですけれども、そういう状況にどういうような対応をこれからしていくというお考えですか。私は審議会なども設置されていろいろ議論されると思うんですけれども、その中には、経営者あるいは労働組合代表、消費者等も、設置される場合は、ぜひ入れていただいて大いに議論してもらうことが大事だと思いますが、その点もつけ加えてお答え願いたいと思います。
  110. 浜岡平一

    政府委員(浜岡平一君) 現在タリフクォータ制度に移行いたしました場合に具体的な中身がどうなるかということにつきましては、国際的な交渉の真っ最中でございますが、私どもといたしましては、日本産業の基盤を揺るがさないということを基本に粘り強く交渉してまいりたいというぐあいに思っておりますが、交渉の状況をよく見きわめながら、同時に国内面で何らかの手を打つ必要があるかどうか慎重に見きわめまして、打つべき手は打たなければならないのではないかというぐあいにも考えておるわけでございます。もう少し様子を見さしていただきたいと思っております。  なお、今後のこの問題、この産業の方向づけ等につきましては多面的な検討が必要であろうかと思います。関係業界内あるいは関係者の中にもいろいろな御意見がございますし、またさまざまの組織もございますので、まず関係業界内あるいは関係組織内での盛り上がり、あるいはコンセンサスの誕生というようなものがまず第一に大事であろうかと思いますが、そういう動きをよく見きわめながら対応してまいりたいというぐあいに思っております。
  111. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会    〔内閣委員長亀長友義委員長席に着く〕
  112. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会社会労働委員会商工委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  113. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸業の規制緩和と航空法六十五条改正関係に絞りまして質問をしたいと思います。  御案内のように、本法案行革審、臨時行政改革推進審議会の答申(昭和六十年七月二十二日)、またそれを受けての閣議決定(昭和六十年九月二十四日)を実施に移すための立法措置であるわけでございます。本法案の中で運輸省関係としては、一つは海事代理士法、二番が道路運送法、三番が海上運送法、四がタクシー業務適正化臨時措置法、五が倉庫業法、六が内航海運組合法、七が船舶安全法、八が航空法、以上八つの法律の一部改正が含まれております。  そこで、この法案のもとになっております九月二十四日の閣議決定文書の別紙、個別の規制緩和を見ておりますと、各改正点を分野別に記載しております。航空法六十五条の改正はどこにも見当たらないわけでございます、運輸の規制緩和については。どこに織り込まれているのかといえば、輸入関連の部分に入っているわけでございます。私はこの入り口の理論的な問題の中に大きな問題点が既にあることを示唆したいと思うわけでございます。これは後藤田長官も本当の最初の出発点のところでございますからよくおわかりかと思います。  航空法六十五条の改正は、一連の私が今読み上げた八点のうち七点まで運輸業の規制緩和というふうなためのものではなく、我が国の市場開放のためにする法律改正であると私は理解するわけでございます。この点について、西村局長に、どうしてこういういきさつになったのか、まずその点を伺いたいと思います。
  114. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) ただいまお話しのように、九月二十四日の閣議決定の中での具体的な案、改正部分として航空法の改正は取り上げられておりません。しかし今お話しのように、アクションプログラムの実施という見地から具体的にはこの問題を取り上げてきたわけでございますが、しかしそれでも航空法自身の改正は技術革新の進展に応じて規制の方式を変更するという趣旨でございまして、その点では、全体の今回の事業活動等に関する公的規制緩和というこの法律案の主題と一致しているわけでございます。  その点ではまさに規制緩和そのものでございますが、しかし一方、これが国際的にも我が国の規制が妥当しないような実情になっている、そのことが国際的な摩擦の原因にもなりかねないということでございますので、国際的な規制に、規定の仕方に合わせる。そうして我が国の市場を各国と共通のものにして、言ってみれば、市場を開放するということに資そうということでございます。  そういう効果を持っていることではございますが、法律提出そのものとしては、今申し上げたように、規制の方式を変更する意味でこの規制についての合理化を図る法律の一環として御提案さしていただいたわけでございます。
  115. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今局長答弁をいただいたわけでございます。  運輸大臣先ほどからいろいろの質問がございました、航空関係に対して。さっきNHKが、ジャンボ機の事故の問題というものを十二時からのニュースで少し報道しておりましたけれども、非常に問題になるのは、これが今日本のジャンボ機にしましても外国のメーカーであること。日本は購入する立場にある。本当は日本が主体者でなくちゃいけないけれども、つくっているメーカーの方に非常に強圧的なものがあります。私もかつてボーイング社の製作現場を向こうの現地に参りまして視察してまいりました。社長や会長とも会いました。そして日本の航空機の購入機数とかそういう問題もいろいろとディスカッションしてまいりました。  そういうことを基本にしながら考えておりましても、この痛ましい航空事故の後、運輸大臣や総理大臣がとるべき姿勢、こういうものがメーカーに対してなくてはならない。それはなぜかといいますと、きのうも運輸大臣にいろいろとお話をいたしましたけれども、既に五つの勧告を彼らは世界の使用する会社に対して行った。日本の航空事故、そして運輸省の事故調の基礎資料を参考にしながら、一つ七千二百メートルの洋上飛行中、二番は機内が減圧された、三番目は垂直尾翼の大半がなくなった、四番目は四つの油圧系統の機能をなくした事実、これを彼らは明確にメーカーの責任として認めたわけでございます。  そういう中で、米国の国家運輸安全委員会が米国連邦航空局に対して、一つは通常与圧されていない尾翼部に圧力がかかっても破壊に至らないようにジャンボの改修をしてほしい、二番目には四系統ある油圧システムがすべてだめになることがないように設計の変更をしてほしい、三番目には後部の圧力の隔壁は一部壊れても全体の破壊につながらない設計になっているといわれていたけれどもジャンボとボーイング767については隔壁の設計を再考してほしい、四番目にはこれまでの隔壁の修理のされ方を再考してほしい、五番目には隔壁の定期チェックの際、目で見るだけではなく、もっと科学的な手法を使うように整備方式を改めてほしい、こういう五項目、反省の立場でアメリカの国としては関係部局に対してこういう指示が出ている。  こういう観点から見ておりますと、今回のこの航空法の六十五条の改正は、私が今申し上げたように、七つの運輸の規制緩和の法的な立場で改正されたものでない、輸入関連の部分から入ってきた改正ですから、外部のそういう外圧があったわけなんです。今規制緩和の流れというのは世界じゅうでもう航空法の歴史で当然でございます。しかし日本はこの前そういう大きな教訓を得ているわけです。そういうところへパイロットは二人でもオーケーというような形のものが出てくる。現在の航空法では、世界の百五十五カ国の加盟する国際民間航空機関での標準運航よりも確かに日本が厳しい。そういうことで米国やヨーロッパの航空機のメーカーたちは、売り込みにとって日本には基準の壁がある、三人乗るんであれば運航のコストが非常に高いから競争にはなれないので売り込めないということで、輸入促進の立場から規制を緩めてほしい、こういうことですから明らかに外圧があったわけでございます。そういうことで、日本では四エンジンの三十五トン以上の航空機についても、操縦者は航空機の完全な取り扱いができる人数と定める弾力的な幅というものの今回の提案があるわけでございます。  運輸大臣、事故を起こしたときに、日本では運輸大臣も、もちろん総理大臣もそうですけれども、みんな関係部局が一生懸命になって事故対策、その原因究明に当たった。そのときに、日本の国でこういう事故のある飛行機——該当するのは747が日航で今四十機、全日空で十七機、767が日航で三機、全日空で二十一機です。ボーイングのこの該当機種は日航も全日空も一応見合わせる、購入を凍結する、事故の分析が明確になるまでは。そして今度はこの法改正に彼らが非常に圧力をかけてきている。二人運航のそういう機種の改善、そういうようなことをやろうとしておりますけれども、とにかく事故の原因が明確になるまでは買わないんだとぴしっとした上で、この航空法の六十五条の改正というものが輸入関連の部分から入ってきた場合には、私はその場合は子としたいと思うんですが、事故が起きて日本が原因究明、対策をどうするのかと必死になっているときに、どんなに外国との関連があろうとも、一番大切な生命の安全に関する航空機の問題のこの部門というものは、これは外していくべきである。これは運輸省では最初外してたはずなんですが、それが後藤田長官の方の政府関係筋から、僕のは推測ですが、外圧が非常に厳しいために入った。大きな金額ですから、飛行機を買えば外国だって和らいでくれるだろうということで政府筋の強力なあれがあったんだなと思うんです。  まず運輸大臣、この関係ですね、そういう意味では航空法六十五条というものは理論的には運輸の規制緩和の部門には入ってない、だから運輸大臣も不本意ではないかなと思うんです。外国からの圧力で、政府全体が運輸大臣に、これは輸入の関係でどんどんやらなくちゃ大変だから航空法も一項目入れなさいと、こういうふうなあれがあって、運輸大臣も泣く泣くこれを入れたんではないかなと思うんです。そういう意味では、筋論がちょっと間違っている。そういうふうに懸念をするんでございますが、運輸大臣の見解はいかがでございますか。
  116. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 御巣鷹山における日本航空の痛ましい事故は、私も身にしみてこれは感じておりますし、まことに痛ましい事故でございまして、遺憾のきわみでございます。したがって、今総力を挙げて事故の究明に当たっておりますが、その事故の究明、まだ原因がわかっておりませんが、747の構造自体が悪かったのかということについては、もちろんこれは最終的な結果を待たなければわかりませんが、今のところ、推定するに、そうではないんではないかという意見もかなり私は伺っておりますし、その問題はおきまして、いずれにいたしましても、飛行機の構造、その構造が一体どうであるかということからこれは判断していかなければならぬ。まだ構造がどうかわかりませんが、こういう事故が起きたからあそこでつくる飛行機は全部だめだよというそんな結論が出せるものかな。これは私もいろいろ検討しなければなりませんし、おっしゃる気持ちは私もよくわかります。  ただ、規制緩和と絡ませているというふうにお考えでございますが、実は、例えばBAeにいたしましても世界じゅうで既に相当使われている。したがって、我が国においても検討しなきゃならぬ時期には来ておりましたし、事務当局において検討は既に始めておったということでございますが、たまたまこの問題について、今後我が国の航空会社から需要があった場合に、これに対して政府としては対応を迫られるわけでございますから、今申し上げたように、研究は研究としていろいろこれに当たってきたということでございます。飛行機を買うのは政府じゃございません、航空会社でございますから、航空会社は、メーカーがこう言い、構造的にいろいろ検討した結果、これでいいという結論に立って、これを購入しようという一応の意思決定をして政府に対してそれを申請してくるということでございますから、対応する政府といたしましても、ただ747がこうであったからだめだよということが果たして成り立つかどうかという問題が第一に私はあるかと思います。  で、午前中も申し上げましたように、一つは、昭和二十七年というあの時代法律を今日遵守してさらにその基準に当てはめていくということが、今の時代で航空会社から新しい機種を買う場合に当てはまるかということを考えなければならぬ。そういう点から私どもこれを推進してきた。特に今そのBAeよりも767についてお話がありました。オーストラリアのアンセット一社だけが、どういう理由か聞いておりませんが、三人乗せているということでございますが、767は我が国においても二十数機既に使っております。外国においてはもうかなりの機数が使われていると思いますが、別にふぐあいがあったわけでもなく、新しいそういう二人乗りのに767についてもたくさん使われておるわけでございますから、そういういろんな点から考慮いたしますというと、ただこれが規制緩和だからやるんではございませんで、たまたま時期を同じくしたこの際検討し、さらに検討した結果、よければ規制緩和とあわせてこの際法律改正に踏み切ろう。こういう趣旨でございますから、ただ何か外国から圧力をかけられているというお考え方はどうかお持ちにならないように。  きのうもフランスの航空運輸大臣が私のところに夜六時過ぎまでおりました。フランスも、やれエアバスだ、他にこういう飛行機もあります、ヘリコプターはこういうものが開発されました、どうですかというお話も実は率直に申し上げてありましたし、世界じゅうが次々に新機種の飛行機を開発しては、私どものところにもいろいろ責任ある大臣等がおいでになって御説明が行われておる。そんな時代でございますから、そういう時代において、政府が決めなきゃならぬという立場から今回はそういうふうに決めていくんだというふうにどうか御理解をいただきたいと思います。
  117. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この点、後藤田長官、アクションプログラムの段階で、私が今申し上げているように、輸入関連から、くどいようですけれども、入ってきた関係、これは長官の方から、政府の方から運輸省に対して相当の圧力があったのではないかと推定するんですけれども、その点いかがでございますか。
  118. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そういうことは一切ございません。そうでなくて、航空法のあの規定がいかにも外形基準で実情に合わないということで、確かにアクションプログラムの中から出てきたものであることは事実でございますけれども、そういう御意見であるので、同じような規制緩和ということで行革大綱の中に一緒に合わして今日御審議を願う、こういうことにしたわけでございます。
  119. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸大臣、買わないというか、いろんな事故が起きた場合に、その機種に対しての凍結であるとか、そういうことは考えられるわけですよ。飛行機というのは一〇〇%安全であって初めて当たり前なわけですからね。ですから、墜落事故の後、八月十六日、委員会で私は大臣質疑を交わしましたけれども、あのときにも、運輸大臣も運輸省の専門の方々も、あの飛行機が落ちるはずがない、非常に想像を絶するものであるというぐらい一〇〇%以上の信頼性の御発言、御答弁をいただいたわけです。しかし、落ちてはならないもの、絶対に落ちないものとメーカー側すべてが言っているものが現実に落ちた。そうして後、我々は質疑をしたわけでございますけれども、そういうことで私もこの問題を非常に重視しておりますので、今質問したわけでございます。  質問の二番でございますが、航空法の六十五条の改正と安全性の問題について少し質問したいと思います。  これは西村局長で結構でございますが、航空法六十五条の改正に関する運輸省航空局の資料を見ますと、改正理由として概要次のように書いてございます。技術革新によって航空機関士の乗り組みを必要としない機材が出現しており、発動機や航空機の大きさにより一律に規制するのは合理的でないと判断されること等から改正を行うこととした、こういうふうにあるわけでございます。そこで、乗組員の数というのは極めて重要な事項であると思いますけれども、運輸省においてはこの航空法六十五条の改正と安全性の問題をどのように検討されたのか、これを局長に伺いたいこと。それから二番目には、この資料で言っている航空機関士の乗り組みを必要としない機材、具体的にどこのメーカー、どの機種なのか、もしわかっておれば教えていただきたい。
  120. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今回の航空法六十五条の改正におきまして、私ども基本に置きましたのは、これは安全性の変更をしないということでございます。御承知のように、航空法六十五条が機関士の乗り組みを必要とするかどうかということを基本的に判断しますのは、六十五条第二号の航空機の構造上の判断でございます。これをたまたま外形的に六十五条の一号が四発の三十五トン以上ということで、一律に決めてしまったということでございます。これはどう機体が改善されようとも、常にそうでなければならないという判断を下しているわけで、このこと自身は今後の技術革新との関連で極めて合理性を欠いている。既に六十五条の二号の基準だけで三人乗務をしている航空機が多数あることは御承知のとおりでございます。  したがいまして、今後六十五条一号が仮に整理されましても、三人乗りが必要なときは三人乗せる、二人乗りでいいときは二人乗りにするという考え方はいささかも変わらないという意味で、今回の改正は安全性とはいささかもかかわりがないということで、このような判断をさしていただいたわけでございます。  それから現在、六十五条の改正に関連しまして、四発の三十五トン以上で、世界で二人乗りをやっております航空機としましては、イギリスのBAe146型機、それから今アメリカではボーイングの747−400というのが二人乗りをどうかということで現在検討、設計しているというふうに聞いております。これが具体的にどういうふうになるか、世界がどういうふうな採用の仕方をするか、これはこれからの問題でございます。
  121. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今局長から伺いましたが、既にボーイングも日本のこういう臨時国会での改正を見越して既に二人乗りの機種製作をやっている。  それで、運輸大臣、こういうときに、運輸省にもすばらしい技術の専門家がいらっしゃいますから、もちろん日航、全日空、東亜航空たって採用するか今後わかりませんけれども、運輸省のそういう優秀な技術の方々が定期的にある程度日本の民間航空が今後採用しようというときに、専門の立場から定期的に視察してみるとか、指導監督の省としてそういうことは今後考えられるのかどうか、その点、運輸大臣、いかがでございましょうか。
  122. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 実は今回の事故にかんがみまして、技術の陣容は大丈夫かということをいろいろ私も検討し、またいろいろ聞いてみましたら、運輸省の技術陣というのは世界に冠たるもので、日本の運輸省の技術はすばらしいという折り紙をつけられるということで、私もほっといたしております。ただ、数の上でいいかどうかさらに検討しなければなりませんが、いずれにいたしましても、優秀であるからこそおっしゃるように諸外国の先進国等を見る必要は大いにあるかと思います。これはおっしゃるとおりだと思います。あとは予算の問題で、後藤田総務庁長官を初め関係大臣等にもお願いして、予算だけはひとつつけていただきたい。これの必要性は十分私ども感じております。
  123. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 関連して、長官ちょっと。
  124. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは航空安全のための優秀な技術者は必要でございますから、運輸大臣が必要であるということであれば、幾らでも認めます。ただし、中において緊要度の低いものもあろうかと思いますから、それは差し引き勘定さしていただきます。
  125. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よろしくお願いしたいと思います。  最後にもう一問、改正後の規定の効力でございます。今回の改正によって航空機関士を搭乗させなければならない航空機は、構造上操縦者だけでは発動機及び機体の完全な取り扱いができない航空機だけとなるわけでございます。この規定は極めて抽象的な感じがいたします、我々がちょっと読んだだけでは。この構造上操縦者だけで取り扱いができないということを具体的な何をもって判断するのかということをお答え願います。
  126. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) お尋ねの第二号に関する具体的な判断基準でございますが、簡単に申し上げますと、通常の飛行状態あるいは非常の飛行状態におきます場合のパイロットあるいはコーパイロット、三人乗務の場合にはFE、航空・機関士、こういった者の協力のもとに飛行機の飛行経路の維持、これは管制の指示等に基づきましての飛行経路の維持、あるいは衝突の回避、あるいはいろいろな航法、これは計器航法、有視界航法等でございますが、こういった問題、あるいは管制との通信の実施、それらの業務量を勘案いたします。あるいは、これらの飛行中における各種操縦操作装置の難易、これらを考慮いたしまして、航空機の設計の段階で飛行試験その他を含めまして審査いたすわけでございます。これらにつきましては、耐空証明を行うに当たっての審査基準として定めておるところでございます。
  127. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 以上で終わります。
  128. 馬場富

    ○馬場富君 今回の法案では、公的規制整理合理化を行うために当面法改正を要する四十二項目が取りまとめられておりますが、これをもって公的規制整理合理化は一段落と政府考えているかどうか、長官、お願いいたします。
  129. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 公的規制緩和は経済社会の活性化、対外経済摩擦の解消、こういった観点から取り上げておる課題でございます。  考えてみれば、我が国は長い間、追いつけ追い越せの時代は、何といっても、国がいろんな面にこういった行政上の手段を講ずることによって今日まで来たと思います。それが今日のような我が国の経済社会が発達してくると、かえってそれが邪魔になっておる。こういう面もございますので、それらをこの際取り除いて民間のエネルギーを引き出そう。こういうのがねらいでございます。  そこで、お尋ねの今回で終わりかということになりますと、そうじゃございません。一応今回のは、とりあえずの指摘されました二百五十八事項、そのうちの法律改正を要するものだけ、しかもそれは一括法になじむものだけ、こういうことでございますから、それ以外にもやらなけりゃならぬ課題がたくさんございますし、また今後も時代変化に応じて、そのときどきの規制というものの見直しをまず各省庁でやっていただく。そして各省庁みずからの手で活性化のために規制緩和をやっていただかなければなりません。また、政府全体としては、必要とあれば、私どもの方で政府全体の監察調査等をやって、そして各省と共同しながらさらに必要な規制緩和には取り組んでいかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  130. 馬場富

    ○馬場富君 現在私のところにも規制緩和を求める要望がたくさん寄せられております。したがって、行政施策やあるいは許認可等の行政事務の簡素化、合理化の推進状況は、現在まだ多く残されておると思いますし、長官も今そうおっしゃっています。だから、こういう残されておる問題に対して、今後それらの見直し、検討はどのようなスケジュールで実施される方針か、お伺いいたしたいと思います。
  131. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 行革審答申の関係は全部で二百五十八事項になるわけですが、今回の法律以外に法律改正の必要なものはそれぞれ時期を明示した、ですから次期通常国会に出す、そういったものもございます。そのほか多少時期がおくれるものもございます。それ以外の政省令、通達等の事項でございますが、これにつきましては、それぞれ六十年度中でありますとか、あるいは六十一年度中と、そういう時期を具体的に決めまして、その方針に沿って逐次やることにしております。
  132. 馬場富

    ○馬場富君 民間活力活用するためには規制緩和措置のみではなくて、公共事業の分野への民間活力の導入とか、あるいは国公有地の有効活用とかの重要課題が山積していると思います。こういう問題に対しての検討の進みぐあいというのは非常にはかばかしくいってないというように私自身もとっておりますけれども、長官、この点はどうですか。
  133. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 民間活力の問題についてはただいま御指摘のような数多くの課題があるわけでございます。政府としては、今日まで鋭意取り組んできたつもりでございますが、御指摘のように、まだまだ行革審は五合目ぐらいまでだなんて言っていますけれども、そんなことはありません、これからがまさにやらなければならない多くの課題を抱えておる。政府としては、こういったことは行政改革の大きな柱である、民活もその一つの柱でございますから、そういう観点で国政上の重要な課題であるというとらえ方のもとに誠心誠意今後とも取り組んでまいりたい、かように考えております。
  134. 馬場富

    ○馬場富君 かつて民活促進法案については建設、運輸、通産各省でそれぞれ検討されていたようであるが、いずれも提出するまでには至っていないという状況でございますが、現在はどのようになっておりますか、建設、運輸、通産省おのおのの立場から御答弁願いたいと思います。
  135. 佐藤和男

    政府委員佐藤和男君) まず建設省の方から御説明したいと思いますが、現在、建設省におきましては、今ほど先生からお話ありました公共事業分野への民間活力活用のための参入のための特例的な法律、その他都市整備についてのいわば特例的な法律というものを束ねていわゆる民活法案ということで各省に対して御相談申し上げている最中でございまして、調整がつき次第国会提出し御審議を煩わしたいと思っております。
  136. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 運輸省におきましても、いわゆる民間活力活用に関する検討を進めてきておりまして、テーマといたしましては、まず港湾関係で港湾地域の再開発、それから人工島の整備事業、あるいはまた海洋リゾートの整備事業、もう一つの大きな柱といたしまして都市鉄道の整備の事業、それからそのほかに飛行場の整備、これは内容的には当面はヘリポートのようなものでございますが、それと、それから観光基盤を総合的、複合的に整備するといったようなことをテーマにいたしまして今検討を進めておりまして、これについて所要の金融上あるいは税制上の措置を講ずることを内容とする構想をまとめて法案の格好でうまく構成できないかということを検討しておりまして、関係機関とも調整を行いまして、これが終わりましたら国会の方に提出して御審議をお願いしたいということで鋭意努力している最中でございます。
  137. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私ども通商産業省におきましては、現在が二十一世紀に向けて技術革新の時代、さらにまた真の国際化が求められている時代でございまして、産業社会の発展基盤を確保するために、なおかつ内需の拡大にも貢献するという意味合いを持ちまして、いわゆる研究開発機能、頭脳集積機能、あるいはまた国際交流のための拠点づくりといったような新しいタイプの産業インフラの整備を推進することが必要であるということを現在取り上げておるところでございます。これを民間の活力を活用しながらこういった新しいタイプのインフラ、社会基盤施設ということを進めるための制度の枠組みをつくることを内容とすることで現在鋭意検討をいたしておるところでございます。この構想を進めるに当たりましては、税制、財政投融資等、呼び水的な支援措置を固めることが重要でございますので、現在財政当局を初め関係省庁との調整を急いでいるところでございます。法案につきましては、この調整結果を踏まえまして成案を得次第国会提出させていただきたいと考えているところでございます。
  138. 馬場富

    ○馬場富君 今三省からお聞きしましたが、各省みずからの行政事務の簡素化がまだ十分に進んでないというような状況の中で、今回のように地代家賃統制令の撤廃等のような国民生活に関係のある法案等を含めての一括法案による改正は、私はこの点、立法府の審議権を拘束するものだということで非常に遺憾に思うわけです。そういう点でこのような一括法案にしたのはなぜか、総務庁長官からお答え願いたいと思います。
  139. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) このことにつきましては、内閣委員会でもしばしば御質問が出たわけでございますが、今回のはいわゆる規制緩和という統一的な政策のもとに、不合理になっておるもの、あるいは不必要になっておるもの、行き過ぎておるものといったようなものを、統一的な立場に立って、趣旨目的が同じであるというものについて取りまとめたものでございます。御質疑地代家賃についても、今日の住宅事情昭和二十五年とはまるきり変わってきておる、あるいはまた廃案になりました昭和三十五年から三十八年当時の状況と比べてみましてもまるきり状況が変わってきておる。したがって、こういった不合理になっておるものは廃止しようという同じ統一的観点のもとにおける扱いとして一括法でお願いしたわけでございます。  もちろんこういった地代家賃といったように、何といいますか、お年寄りが住んでおるとか、あるいは所得の低い人が住んでおるといったような対象でございますから、それはそれなりに善後処置というものについて政府は万全の対策をもって臨まなければならぬと、かように考えておるわけでございます。
  140. 馬場富

    ○馬場富君 では次に、法案の中の特に地代家賃統制令の問題について質問いたします。  この法案につきましては、戦争中、戦後の著しい住宅難の中で制定されたものでありますから、今日では住宅総数の約三%というごく限られた住宅しかその対象となっておらない、しかも統制住宅は老朽化が進んでいるということ等が廃止理由になっておりますけれども、しかし住宅事情がいかに改善され、また老朽化がいかに進んでいようとも、そこで生活する人たちにとっては、統制令の撤廃は家賃地代の上昇を意味するもので深刻な問題であると、こういうふうに思います。  そこでまず、統制住宅に入居している世帯の実態についてお伺いしたいと思いますが、多分それらの世帯は低所得者やあるいは母子家庭や老人世帯といった社会的、経済的にも恵まれない人たちが相当数おられると思いますが、この点はいかがでしょうか。
  141. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 対象家屋に居住する世帯の現況ということでございますので、逐一申し上げたいと思います。  まず年齢でございます。世帯の主な働き手の年齢でございますけれども一般民間借家の場合には、年齢六十歳以上の世帯が九・四%あるのに対しまして、統制令対象借家におきましては二九・四%を占めております。御指摘のように統制令対象借家の居住者は高齢化の傾向が見られます。  次に収入でございますが、まず年収百万円未満の世帯ということで見てみますと、一般民営借家にありましては一四・四%ということに対しまして、統制対象借家におきましては二二・七%と低所得者が多い傾向があります。しかし一方、年収一千万以上という世帯も存するわけでございまして、所得水準が一般借家に比べて特に低いという状況ではないのかなという感じを持っております。  次に世帯人員について申し上げますが、一人世帯が一般民営借家の場合あるいは統制借家の場合いずれも三一%、それから四人以上世帯について見ますと、一般の民営借家が三〇・八%、統制対象借家二八・二%、ほとんど差異がないということでございます。  それから次に入居時期でございますが、昭和三十五年以前に入居された世帯というのが、一般民営借家の場合には四・八%というのに対しまして、統制対象借家におきましては三一・七%ということで、居住期間の長い世帯が多いということが見受けられます。  それから生活保護世帯の実態でございますけれども、被保護世帯は統制対象借家世帯の場合には三・七%、それから二種の公営住宅を除きます一般借家世帯の被保護世帯の割合は三・五%とほぼ同様の状況にあります。  それから現在、今申し上げましたのは借家の話でございますが、借地上の持ち家の居住者についても、年齢、世帯、収入等において借家とほぼ同様の状況になっております。
  142. 馬場富

    ○馬場富君 この統制令廃止されれば、当然家賃地代が引き上げられると思います。例えば昭和五十九年の調査では、東京京都大阪の三大都市における統制家賃平均は一平米当たり約四百五十五円で、統制対象外住宅平均家賃は千三百三十五円と、こういう二・九倍の格差があります。したがって三倍程度家賃の引き上げが行われると見なければならない、こういうふうに私たちは推測するわけでございますが、政府はこの点どのような見通しを持ってみえるかお尋ねいたします。
  143. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今先生から統制対象借家家賃とそれから統制対象外の比較のお話ございましたが、一つここで申し上げたいのは、統制対象借家というのは非常に老朽化している、古いということが一つございまして、統制借家公定家賃と、それから実際に支払われている家賃というものがございます。この実際に支払われている家賃というのは公定以下のものもございますけれども、公定を守っていない、以上のものもあるわけでございまして、そのトータルを実際支払い家賃として見ますと、大体五割程度ということになっていることを一つ申し上げたいと思います。  それで、急激に上昇するんではないかという点については、しばしば申し上げておりますけれども先ほど申しましたように居住期間が非常に長いということ、それから家自体が非常に老朽化しておるということ、したがって直ちに周辺のものと比べて上げにくいんではないかというようなこと、それから統制令が撤廃されましても借地・借家法上の位置は変わらないというようなこと等から、その影響は比較的少ないというふうに認識しておるものでございます。
  144. 馬場富

    ○馬場富君 今の答弁によりますと、急激に大幅な引き上げがないだろうという観測のようでございますが、今おっしゃるようなことは実際確固たる保証はないわけでございますので、そういう点では現場の状況から見ますと上がると見た方がいいと思います。特に入居者世帯の実態は、さきの質疑でも明らかにしましたように生活困窮者が非常に多いということです。そして統制住宅家賃動向には十分監視の目を光らせて、場合によっては家賃水準のガイドラインのようなものもつくって歯どめをかけていく必要がある。私たちはそのように思うわけですけれども、これらの点につきまして建設省としてはどのようにお考えですか、お尋ねいたします。
  145. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) ガイドラインを設定すべきではないかという御指摘でございます。私申し上げるまでもなく、統制令撤廃の趣旨は、要するに不均衡状態であるとか、いろいろ申し上げましたが、そういうようなことを総合的に判断して不必要になった規制を撤廃するというものでございます。  それで、実際に私は影響が少ないんではないかという認識を申し上げましたけれども、長期的には、あるいは中期的には、その当該借地、借家の具体的な状況、あるいはそれまでの家主とたな子の関係等が考慮されながら、当事者の間で協議されて改定されていくものだろうというふうに思います。したがいまして、個々の事情によりましてその取り扱いに非常に差があるというふうに考えられます。一律の基準で誘導することは妥当ではないんではないかというふうに考えております。  しかしながら事、生活の基盤であります住宅ということでございます。そこで、これも前から申し上げていることでございますけれども、便乗値上げのないように十分措置したい。これは関係団体に対する指導でございます。それと同時に、具体的にいろんな相談があった場合の御相談に応せられるように住宅相談体制の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  146. 馬場富

    ○馬場富君 私どもが実際この問題に触れておりますと、相談の中からも起こってくる問題は、この家賃の問題あるいは立ち退き問題等については、統制令関係住宅世帯に限って特に多いという点を私たちは現場ではっきりと見て感じております。だから、そういう点でこれが廃止されれば、その住宅や土地の評価が上がるわけでありますから、家主や地主がこれを有効に活用するために入居者の立ち退き等も強要するというような問題も起こりかねない、こういうように私は考えるわけです。だから、社会的に弱い立場の人を保護するために政府としても何らかの宅地政策が必要である、こういうふうに思うわけでございます。先ほど長官も善後策のことをおっしゃっていましたけれども、これを廃止するからには、その人たちが困らないというような善後策をもってこれを廃止しなければ、私は重大な問題が起こるんじゃないかと考えますが、ここは建設大臣から御答弁を賜りたいと思います。
  147. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 私、馬場先生建設委員会においても御答弁申し上げたことございますが、こうした統制令を撤廃することによりまして弱い立場の方々、そういう方々に対して心配や不安を与えないということが行政上一番大事な私どもの基本的な姿勢でなければならぬ、そういうふうに思っておるわけでございます。したがいまして、今馬場先生からガイドラインの設定の御意見もございましたが、私は一つの大変見識のあるお考えであるというふうに受けとめさしていただいておるわけでございます。  私、申し上げておりますように、情報の提供を的確にあれするとか、それからまた貸し家の団体の皆さん方に政府ができる限りの要請をして、時代が大きく変わっておるといいましても、何といっても借りる方と貸す方の立場というものは信頼関係の上に立っていかなければならぬ、これが一番大事だと思いますし、地方公共団体や、また住宅公団へのそうした入居の措置などにつきましても、我々は親身になって努力をし、心配や不安のないように考えなきゃいけません。また生活保護関係の皆さん方なんかに対しましても、そういう部局とも具体的に相談しながら、先ほど申し上げますように心配や不安を与えないように、我々のなすべきこととして全力を挙げてそういう方向で努力さしていただきたいと思います。  なお、今申し上げましたように、馬場先生からの御提案になりましたガイドラインの問題、そういう問題についても、私どもも行政上できるだけの範囲で研究さしていただきたい、かように考えておる次第であります。
  148. 馬場富

    ○馬場富君 そこでもう一つの次善の策として、統制住宅入居者については、衆議院の附帯決議にも盛られておりますが、公共住宅、特に公営住宅への優先入居というようなことも検討すべきではないか。この点の政府の御見解はどうでしょうか。
  149. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 端的に申し上げますと、地代家賃統制令の撤廃に関連いたしまして、どうしてもそこを出るのだ、それがやむを得ない、それで公営住宅活用ということになりますと、これは収入基準の問題がございますけれども、その収入基準に合う方につきましては特定目的公営住宅という制度がございます。これは優先入居をするためのものでございます。例えば倍率をちょっと申し上げますと、七大都市で見てみますと、平均でございますけれども一般の場合は七・七倍ぐらいのものが、優先入居になりますと二・七倍ぐらいというふうにかなり緩和されるということがございます。そういう制度を活用してまいりたい。必要な場合には枠も拡大したいと思います。それからそのための住宅の建設もやりたいというふうに思っております。それからもう一点だけ申し上げますと、不良住宅ということで対象住宅が撤去されるという場合も起こり得るかと思います。そういう場合には特定入居制度というのがございます。それによりまして対応してまいりたいと思います。
  150. 馬場富

    ○馬場富君 最後にもう一つ心配なのは、地代家賃統制令廃止された場合に、家屋やあるいは土地ばかりでなく、その周辺の地代家賃に与える影響も私は大きいと思いますが、統制令対象外のそういう地代家賃の上昇に対する抑止ということも実は考えていかなければならぬ問題じゃないかと思いますが、この点はどのようにお考えでございますか、お尋ねいたします。
  151. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) まず、統制令の撤廃自体の影響が比較的少ないという認識を我々は持っておるわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、廃止趣旨が、いろんなことを総合的に判断した結果、不必要となった規制を撤廃するということでございます。そういうことで、それが直ちに統制対象外の周辺の家賃相場に影響を与えるということはないというふうに考えております。昭和四十六年に告示改正で約二・七倍に上限を上げたことがございます。そのときの周辺の状況を見てみますと、ほとんど影響を受けていないということもございました。つけ加えさしていただきたいと思います。
  152. 馬場富

    ○馬場富君 ちょっと折り返しですが、必ずしもないとは言い切れないものでございますので、その点は今後監視を強化する必要があるのではないかと思いますが、この点お答え願いたいと思います。
  153. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 今先生から周辺の地価の高騰その他の問題についての御意見もございましたが、私どもはお願いして統制令廃止する以上は、先ほど申し上げておりますように、そうした基本的に周囲に悪い環境を与えたり、またそういうことを誘発しないようなために最善の努力を尽くさしていただきたい、かように考えております。
  154. 中西珠子

    ○中西珠子君 私は、社会労働委員会の公明党・国民会議のメンバーとして質問いたします。    〔委員長退席、内閣委員会理事大島友治君    着席〕  ただいま議題となっております法案の中で、労働省関係といたしましては、作業環境測定法の改正による規制緩和ということでございます。まず第一にお伺いしたいのは、作業環境測定法の第三条の違反状況、最近ので結構でございますが、お伺いいたします。
  155. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) お尋ねの作業環境測定法第三条の規定の違反状況でございますが、作業環境測定法の個々の条文ごとの違反件数はとっておりませんので、個別の数字はちょっとお答えできないんですが、労働安全衛生法に基づきまして、有害物質を扱っている事業場を持っている事業主はその作業環境を測定しなければならないという規定がございますが、その規定の違反状況は、過去一年、五十九年の数字で申し上げますと、四千六百八件という数字になっております。
  156. 中西珠子

    ○中西珠子君 作業環境測定法には、作業環境測定をやらなければいけない、そして雇用している作業環境測定士にやらせるか、もしくは、そういう人がいない場合は作業環境測定機関にやらせるということになっておりますね。しかも「なければならない」ということになっておりまして、罰則もあるわけです。それをなぜ集計なすっていらっしゃらないわけですか。
  157. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 全国にございます労働基準監督署が事業場のいろんな違反事案を調べているわけでございますが、労働基準法を初めとしまして、労働安全衛生法、最低賃金法、それからその他それに基づくいろんな省令がたくさんあるものですから、全部の個々の条文についてまでの集計は非常に膨大な作業が必要となりますので、特に主要なものということで従来とっております中にはその作業環境測定法の三条というものはないものですから、そういう状況にあることを御理解いただきたいと思います。
  158. 中西珠子

    ○中西珠子君 作業環境測定士はただいま何人ぐらいいますか。
  159. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 現在登録されております作業環境測定士は、全部で一万二千七百名ぐらいでございます。
  160. 中西珠子

    ○中西珠子君 作業環境測定機関の数は幾らぐらいですか。
  161. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 測定機関の数は……
  162. 中西珠子

    ○中西珠子君 私が答えましょうか、五百四十九ですね。
  163. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 五百強でございます。
  164. 中西珠子

    ○中西珠子君 五百四十九ですね。私の時間が短いから余り長くとられると困ってしまう。  五百四十九の作業環境測定機関があり、作業環境測定士も一万二千七百三人もいる。こういうことであるから、相当作業環境測定というものは定着しつつあるというお考えで今回の規制緩和をなさるということらしいんですけれども、作業環境測定の違反というものも集計なすっていないで、それでもう定着しているということがおっしゃれるかどうかですね。  これの根拠規定になっております労働安全衛生法の違反件数は先ほどお聞きしましたけれども、その中でも有機溶剤の中毒予防規則に関する違反件数が一番多いらしいですね。作業環境測定ということが非常に重要であるにもかかわらず企業には余り徹底していないのではないか。作業環境測定士は多くなった、また作業環境測定機関は多くなった、それでもう大丈夫だろうということで規制緩和なさるらしいけれども、本当にそう安心していられるのか。大企業は作業環境測定士を雇っているだろうし、そこで適当にやっているだろうと思いますけれども、経営基盤の非常に脆弱な中小企業あたりで、作業環境測定なんということは考えてもいないような経営者もいるのではないかと思うわけです。  と申しますのは、私のところに、働く婦人で陳情や相談にいらっしゃる方が随分あるんです。これは未組織の、労働組合なんかに属していない婦人たちなんですね。その婦人たちが我々同士で何とかして助け合いたいからということで懇談会のようなものをつくっていまして、それがしょっちゅう私のところへいらっしゃるわけですけれども、その人たちはほとんど中小企業で働いているんです。労働条件も非常に劣悪だし、また作業環境測定なんてやったのを見たこともないと。それで労働安全衛生規則にも違反している。例えば全体換気装置もないし、局所排気装置もないところで、シンナーみたいなものだとか、いろいろな有機溶剤がありますね、ああいうもの、それから特定化学物質を扱うような作業をやっている。それも常用雇用の人には余りさせないで、主にパートの女性労働者にそれをさせているというところが現にあるんです。名前を言うこともできますけれども、それはちょっと今差し控えますが、現にそういうところがたくさんあるわけです。  それなら、どうして労働基準監督署に申告に行かないんですかと私が言いますと、申告へなどへ行ったらば首になっちゃうから、恐ろしいからそんなものは申告できません、何とかなりませんかと、こう言うわけですね。何とかなりませんかと言われてもこちらも困るんですけれども、そういった中小企業、零細企業に対して労働省はどのような個別的な指導をなすっていますか、また必要な場合はどのような助成をなすっていますか、お伺いします。
  165. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 今回法律改正いたします部分は、先生御承知のように、作業環境測定機関に対する規制緩和でございまして、個々の事業場が有害業務を扱う作業場を持っている場合に、それに対する環境改善の義務であるとか、環境測定の義務であるとか、そうした面の規制は一切緩めるものではございません。  なぜ作業環境測定機関に対する規制緩和をするかということですが、十年前この作業環境測定法ができましたときは、実は作業環境測定機関自体が新しくつくられるといったものでございましたから、その面で規制もいろいろとあったわけでございますが、その当初に比べますと相当測定機関もふえてきて、測定機関自体の成熟がある程度見られるわけでございますが、その意味で、測定機関に対する規制緩和は今回いたしたいと思っているわけでございますが、個々の事業場に対する規制については、これはいささかも緩めるものじゃございません。  現実に中小企業ではその作業環境測定が十分なされていないところもあるというふうに私どもも耳にいたしております。そのためには、一つには法令に基づく指導監督ということが第一に徹底されなき神ならないわけですが、これは全国の労働基準監督署を通じて監督官がやっているわけでございますが、中小企業の場合はそうした作業環境の改善、あるいは測定をやりたくても経費がかかってなかなか負担しにくいと、こういう面もございます。  実は、五十六年度からそうした中小企業の作業環境の管理の改善のための助成制度を設けまして、中小企業に対して一定の助成を行う仕組みをとっております。現在までに約二千七百の事業場についてそうした助成を行っておりますけれども、さらに来年度は作業環境測定に限らず、健康管理のための健康診断等を含めました助成事業も別途あるわけですが、そうしたものを再編いたしまして、そういう中小企業での労働衛生水準の向上につながるような助成制度の充実を図りたいというふうに考えております。  なお、監督署に申告に行くと、ばれて首になるというような心配をされる向きも実はあるわけでございますが、そうした場合、申告を受け付ける監督署としては、申告される方の希望によって絶対名前は外へ出さないという形で事業場の臨検監督等もやるようにいたしておりますので、その点はよくお話しいただければ監督署としては十分対応できると思います。
  166. 中西珠子

    ○中西珠子君 続けてお伺いいたしますが、労働省は昭和五十六年から中小企業の事業者団体に対して中小企業共同作業環境管理事業に対する助成制度というのをお始めになりましたね。ただいまその普及状況はどのようになっておりますか。
  167. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 年間の予算といたしましては六十年度は約一億円の予算を組んでおりますが、対象事業場を、五十六年度から五十九年度までの実績で申し上げますと、先ほどちょっと触れましたが、二千七百の事業場を対象にやっております。
  168. 中西珠子

    ○中西珠子君 私は、まだまだ中小企業に対しては、作業環境測定とか作業環境の管理という面でもっともっと指導していただきたいし、助成の対象も広げていただきたいと思っております。  労働大臣は大変精力的に全国をお回りになりまして、現場の作業をやっているところもごらんになっていると思うんでございますが、中小企業の労働者、殊に零細企業の労働者の安全と健康という竜のを確保するという点からはどのような施策をおとりになるおつもりか、今後ですね。行政改革は非常に重大だと思いますし、行政事務の簡素化、合理化は必要なんですけれども、それと労働者の健康と安全というものとの兼ね合いが非常に大事だと思うのでございますが、労働大臣はどのようなお考えをお持ちでいらっしゃいますか、お伺いいたします。
  169. 山口敏夫

    国務大臣(山口敏夫君) 中西先生、いつも労働者の福祉条件の向上改善に対しまして大変適切な御指示、問題を提示していただいて大変恐縮でございますが、私も中小企業の経済基盤がどうしても弱い、こういう立場上、そうした安全の問題等に決して十分でないという状況を十分承知しておるわけでございますが、そうした点を特に重点的に労働政策の中で反映していかなきゃならない、取り上げていかなきゃならない、かように考えております。  そこで、具体的には労働災害の中小企業の多発している現状にかんがみまして、現在推進中の第六次労働災害防止計画においても重点項目に取り上げるということを一層進めていきたい。そして特に中小企業の労働災害防止のため、健康診断や作業環境測定等の実施についても助成を行うとともに、職場環境の改善のための資金の融資等を、これも積極的な施策を種々織りまぜて展開していきたいというふうに考えております。今後とも中小企業の労働災害防止を行政の重点課題として推進していく、こういう決意を申し上げて御答弁としたいというふうに思います。
  170. 中西珠子

    ○中西珠子君 労働大臣の抜群の行動力で大いに頑張っていただきたいと思います。労働者の健康と安全というものは非常に大事でございますから、その点からも大いに頑張っていただきたいと思います。  それでは、厚生省関係に移らしていただきます。  厚生省関係は医療法の改正で、今回は助産所の収容人員制限を超えて妊婦等を収容した場合、これまで必要であった保健所長に対する届け出というものを廃止するということですが、現在、全国の助産所の数というのはどのくらいあるのですか、またその利用状況はどういうことになっておりますか、お伺いします。
  171. 内藤洌

    政府委員内藤洌君) まず全国の助産所の数でございますけれども昭和五十九年末の数字を申し上げますと二千百十八カ所でございます。  それから助産所の利用状況でございますが、出産について見ますと、年々助産所で生まれる新生児の割合というのが減ってきておりまして、これは病院・診療所で出産なさる方がふえてきておるということによるものだと思われますが、昭和五十年には新生児全体の七・二%が助産所で生まれたわけでございますが、昭和五十九年にはこの数字は二・二%というふうに下がってきておりまして、助産所を利用なさる方は最近かなり減っているというのが実態でございます。
  172. 中西珠子

    ○中西珠子君 それでは今回の規制緩和で届け出廃止ということは何の影響も与えないということですね。
  173. 内藤洌

    政府委員内藤洌君) 実態として助産所を利用する方が減ってきておるということもございますが、同時にこの制度ができましたときに比べまして医療機関の数その他が非常にふえておるものですから、助産所で多くの妊産婦を引き受けなければならないというような場合に、近隣の医療機関に協力を依頼することが極めて容易になってきたということがございますので、保健所長への届け出を廃止いたしましても、そういう点で問題はなかろうというふうに考えております。
  174. 中西珠子

    ○中西珠子君 それでは興行場法の改正について伺いますが、今回の規制緩和によりましてどの程度行政事務の合理化、簡素化が図られるという計算をなすっていますか。
  175. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 今回の改正によりまして興行場営業等の相続の場合に、施設設備に全く変更が生じないにもかかわらず改めて許可を必要とする、これは従来の方式でございますが、こういうことは事業者の負担となっておったところから、この負担を軽減するという趣旨で今回の改正をお願いしているわけでございます。現在これらの営業許可のうち相続に伴って再度許可をしておるというケースは年間約千八百件程度あると考えておるところでございます。
  176. 中西珠子

    ○中西珠子君 それだけが減ってくるということですが、それでは公衆浴場法の改正規制緩和についてどの程度の行政事務の合理化、簡素化が図られるか、これは計算していらっしゃいますか。
  177. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 大変失礼いたしました。ただいまお答え申し上げました数字は興行場、公衆浴場、旅館業三つ合わせてでございます。  それで、興行場につきましては約三十、それから公衆浴場については二百七十、旅館業については千五百、合計して千八百程度と見込んでおるところでございます。大変失礼いたしました。
  178. 中西珠子

    ○中西珠子君 これだけ簡素化を図るつもりでなすっても、件数としては非常に少ないわけでございますね。しかし規制緩和した方がいい、それが行革の精神であり、また臨調や行革審の答申に基づくものだということでなさるんでしょうが、私どもも行政改革そのものには反対しないし、行政事務の簡素化、合理化は必要だと思っておりますけれども、これがどのような観点でなされるかということが非常に重大なのでございまして、あくまで国民全般の健康と安全、衛生を守るという立場からやっていただかなければならないと思うわけでございます。この兼ね合いが非常に難しいということだろうと思いますけれども、あくまで厚生省としては、また厚生大臣としては国民全般の健康、安全、衛生というものを確保するお立場なのですから、これはどこまでも国民のためにお守りいただかねばならないことでありますと思いますが、この点に関します厚生大臣の御決意はどのようなものでございますか、お伺いさせてください。
  179. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 今回の医療法や興行場法等の改正につきましては、衛生上の規制の実質を損なわない範囲内で規制合理化しようという観点に立って行うものでございまして、国民の健康と安全を損なうものではないと思っておりますけれども、御指摘のように、今後とも国民の健康の向上、安全の確保のためには万全を期して諸施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
  180. 中西珠子

    ○中西珠子君 ただいまの御決意というか、御所信の表明をお忘れなく、どうぞ国民の健康と安全、衛生を守るという立場は崩さないで行政改革を進めていただきたいと思います。  以上です。終わります。
  181. 大島友治

    委員長代理(大島友治君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  182. 大島友治

    委員長代理(大島友治君) 速記を起こして。
  183. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、まず航空法六十五条、この問題から質問したいと思うのであります。  あの日航機のジャンボ墜落事故については、私どもとしてはいまだに心痛む重大な問題でございまして、亡くなられた方に心から御冥福をお祈りすると同時に、今日こういう大量交通機関が発達しているもとで二度とこういう事故が起こらないように、政治の面でも安全体制の確立こそが我々の避けて通れない重大な責務だということを深く自覚しておるわけでございます。  そういう立場から質問をするわけでありますが、あの日航機の事故に関連して、ボイスレコーダーの解析等から、最後の最後までパイロットがどれほど奮闘されたかということ、そして同時に、そのパイロットの必死の努力を航空機関士が真剣によく助けている、この姿はひとしく国民が感動を持って受けとめたことと思うのでありますが、この点について、航空機関士のあのときの感動的な活躍について大臣はどういう御所見をお持ちでしょうか。まず、この点お聞かせいただきたいのであります。
  184. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 航空機関士はおっしゃるとおりでありますが、航空機関士のみならず、客室乗務員もコックピットも、全員大変な任務遂行のために涙ぐましい努力をされたということは、私は深く評価をいたしております。
  185. 橋本敦

    ○橋本敦君 この航空機関士の乗務の問題につきまして、ボーイング767は既に航空機関士を乗せないで運航しております。安全体制の問題から、ボーイング767の運航についても航空機関士を乗せるべきだという、こういった現場からの厳しい批判と意見もあり、今回の六十五条改正に伴って、四発・三十五トン以上の大型機について航空機関士を乗せるということの枠を撤廃するという問題について、改めて航空機関士の役割が再認識されると同時に、安全体制の一層強化の面からこの問題は深くとらえられなければならぬ問題であります。それについて日本航空や全日空のパイロットや乗員組合はアンケートの調査結果をまとめておりますが、それによりましても、航空機関士が安全上果たしている役割というのは極めて重大であることが十分にうかがい知れるわけであります。  例えば一つの例をとってみますと、離陸のスピードのバグ、つまみですね、これを十ノットミスセットしていたという問題で、この問題については、航空機関士が適切にこれを早く認めてこれの訂正をしたということがあって、こうしたフライトエンジニアの適切な処置によって、また管制官の声を聞き逃すこともなくチェックオフを無事に完了することができたといったような経験も一つは報告されている。それからさらに離陸直後の非常に安全上大事なあの三分の問題がありますが、そのときに姿勢指示器が故障するという重大なことが起こったときにも、フライトエンジニアの適切なアドバイスと助力があったということがパイロットからも報告されている。さらに気象状況が悪いときの操縦というのは、これまた大変なものであるわけですが、そのときに気象状況が悪くてホールディングをしている、空中待機をしている、さらにそこから目的飛行場とは別の飛行場に行かなくちゃならぬという、こういう状況になった場合にも、フライトエンジニアの働きは大変すばらしく、頼りになったという報告がアンケートでキャプテンからもなされている。もう一つ非常に大事なことは、キャプテンの報告で、何よりも緊急事態において操縦に専念できた、こう言っていることも、これも非常に大事であります。  その点で言うなら、このアンケートで示されている中の一つで、機体の系統的故障の適切な監視、そういうことをフライトエンジニアが十分にやってくれるということの中で、こういったことについてはフライトエンジニアを信頼し、それに任せてパイロットは操縦に専念できる、こういう操縦に専念できる状況と、故障のことが頭から離れない、あるいはいろんなことが頭から離れないで飛んでいる状態とは、まさに天と地の差があるということをパイロットが報告しておりますが、まさにそういうものだと思うのであります。    〔委員長代理大島友治君退席、委員長着席〕  したがって、技術の進歩がどれほど進歩しようとも、まさに空に浮かんで数百人の乗客の命を守るという全責任を背負って、パイロットが操縦に専念しているそのときに、副操縦士とそれから航空機関士を含めたこういう人間的なチームワーク、あるいはそこでのお互いのコミュニケーションとコーディネーションというものがどれほど安全のために大事かということを、単なる技術進歩だけの評価だけじゃなくて、しっかり見ていかなくちゃならない、こういうことをこのアンケートは示しているものとして、当然政府もこういう問題を重視する一資料として検討すべきだと思うのですが、政府の御見解はいかがですか。
  186. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいま先生指摘いただきましたアンケートの件でございますが、私の聞き及びます範囲で申し上げますと、このアンケートは航空機関士の乗り組みが必要な航空機の経験においてとられたアンケートであろうかと思います。ただいまの幾つかの点については、パイロットが思い違いをしていたのを航空機関士が直した、あるいは見張りで助かったというような点もございましたようでございますが、私どもDC9とかボーイング737等々の二人操縦の航空機も安全運航に確かな実績を残しているところでございまして、この二人操縦の飛行機が三人乗務の飛行機と比べて安全性が劣るというふうには思っておりませんし、またパイロットの基本動作が確実に行われていれば、そのパイロットのミスといったものも防げることでありましょうし、また航空機関士も自己の与えられた業務に忠実に、あるいは乗務しておる間の一般的な注意義務等を発揮して、そのような安全運航のため三人乗務が必要だと認められた航空機はやはり三人が一致して安全運航に当たるというのが基本であろうかと思います。
  187. 橋本敦

    ○橋本敦君 今の答弁は私の指摘した問題に全く正しく答えておりません。  今この六十五条の問題に関連して、将来は四発・三十五トン以上の飛行機であっても、具体的な審査の問題に任されてしまって、必ず航空機関士を乗せなきゃならぬという意味での政府としての安全規制が外されてしまうわけですが、それじゃどういう飛行機がそういうことになるかということになれば、例えば今飛んでいるボーイング747を例にとってみますと、将来このボーイング747は、今三人乗務だけれども、航空機関士の役割の部分をコンピューターその他の技術でカバーして二人乗務にしようという設計方向がとられているということは御存じのとおりであります。大臣のお手元に参考資料として図面がお渡ししてあると思いますが、「アビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジー」、こういうアメリカの雑誌のことしの十一月十一日号では、そのボーイング747−400のコックピットの図面まで出して、将来こういう設計で航空機関士を省く方向がサゼスチョンされているわけであります。航空機関士が今まで監視し、サーベーし、モニターしていたパネルがどうなるかといいますと、それがなくなって、この図面の真正面で黒い枠で図示しておりますディスプレーにいろんな情報、インフォメーションが出てくるというシステムになっている。したがって、航空機関士はもう要らないんだ、このディスプレーをパイロット及びコーパイロットが見て運航すれば安全運航可能だという発想のようであります。  それじゃ、あの747の現在飛んでいる飛行機で航空機関士はどれほどの計器類を眺めながらそれを監視し、業務について全神経を集中してやっているかといいますと、現在の747の航空機関士が扱っている計器類のパネルがもう一つのこの図面であります。この図面を大きな形でつくったのがここにございますが、運輸大臣も当然747コックピット、操縦室内を御存じと思いますけれども、こういう図面で図示をいたしますと、大変よくわかります。委員長もごらんいただきたいんですが、これだけの計器が航空機関士が扱う計器であるわけでございますね。そこで、一体この計器類がどれぐらいあるかといいますと、計器だけで私が数えますと九十七あります、計器、メーター。それから扱うスイッチ及びボタン等は百六十五種入っております。それからそれに関連するワーニングランプが二百九十もつくような状況になっておりますから、クリティカルイレブンと言われる離陸後三分、着陸前八分を含めて航空機関士が全神経を集中して安全運航のためにやっている仕事というのは大変なものであります。  そこで、これだけの量が、今私がお示しした「アビエーション・ウイーク」に出ているこの小さなディスプレーに、これだけの多くの計器、メーター類を含むすべての情報が本当に間違いなく効果的にこのディスプレーに出されるのであろうかということになりますと、これはもう不可能でありまして、多くのインフォメーションが当然カットされる。例えばエンジンの調子が悪い、そうなりますと前の方にワーニングランプがいきなりついてくる。そのプロセスでどういう状況で悪くなっていくかということは、航空機関士のこのパネルに基づく監視していく中で途中で発見し、あるいは対応も可能でありますが、そういうことを知るためには、この前に出てきたディスプレーに一定のメッセージが出ますから、そのインフォメーションを読み取って、直ちに今度はそれを操作して、次から次へとオペレーションをやって原因究明なりをやっていかなければならない。  そういたしますと、操縦桿を握り、ハンドルを握り操縦に専念するということとの関係でいえば、これは大変なことになってくるわけでありまして、そのこと一つをとっても、今の巨大な747ボーイングを航空機関士なしで乗せるというような方向で設計が進められているこの問題については、安全上本当に慎重に検討しなければならぬ。しかし六十五条が改正されてしまいますと、文句なしにこれは日本に売り込まれ、受け入れられ、そしてこの設計に基づいて飛ばされるという可能性が大変高いわけでありますから、この問題についての安全対策ということは本当に真剣にやらなければならぬわけであります。  こういうような重大な問題を含んでいるということについて、すべて技術面も含め、将来展望も含めて検討し尽くした上で今度の六十五条の第二項第一号を廃止するということをやろうとしているのかどうか、私はそういった検討までは尽くされていないと思うのですが、率直に言って運輸大臣、部内の検討はどうですか。
  188. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 全く技術の素人の私が変な答弁をしてもしかられますけれども、至らざるところはまた技術担当が答弁いたします。  さっきあなたがおっしゃったからその部分だけお答えいたしますが、ジャンボのコックピットに何回も私は入りました。確かにおっしゃるとおり天井まで計器がいっぱいです。ただ、私が見ていますと、始動というか最初のとき操縦士は一通り見ておられるようですな。後は幾つかのものを見ながら操縦をしておられるようで、もしも、これがしょっちゅうそれだけ見ていなければならぬのなら、三人がかったって、それはとても有視界飛行だって全部見る暇はありませんよ。その計器全部を常時ぐるぐる首を回してごらんになっているとは私は思わない。ですから、それは警報装置その他によって自動的に知らせるとか。これから先私が言うと、これはもう全く素人のまた余計なことになってしまいますが、私の今言ったことが当たるか当たらないか、要はそういうものが何ぼあっても、それを制御するに足る人数がこれだけだということをメーカーが指示している、そこが一番大切なところだと私は思うんです。
  189. 橋本敦

    ○橋本敦君 メーカーが二人でいいという設計をやれば、それで基本的にはそれを信頼するという姿勢だというように聞こえたんですが、そういう意味ですか。
  190. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) まず、メーカーから、操縦に足る人数とかいろんなものを指示してくる、仕様書に書いてございますね、説明してきます。それに基づいて、それを受け入れる航空会社がさらに丹念にいろいろな面から検討するでしょう。その検討結果に基づいて運輸省に対して申請してくる。運輸省の技術員挙げてそれをまた検討する。その結果、これならいけるといったときに初めてそれを採用するという順序になるということです。
  191. 橋本敦

    ○橋本敦君 私の質問の第一は、今私が指摘したようなそういう将来の安全検討をどうするかということも含めて、部内では技術的に十分検討して、それでこの六十五条問題は廃止だという結論を出したのかどうか。その検討はまだまだ十分技術的にも尽くされていないじゃないか。現にこの「アビエーション・ウイーク」で出ているのは十一月の話であって、こういうことについても部内の検討をやるいとまがないはずだから、こういうことまでの検討は十分なされているとは言えぬじゃないかということを率直に言っているんですよ。それはそうでしょう。十一月にこれが出ただけですよ。もう時間がないから、この私が指摘した問題を検討したかどうか。
  192. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) まず、この法改正趣旨は安全性を損なわないというような判断をしておるところでございます。  ただいま御配付いただきましたこの図については、評価はいろいろでございましょうが、私ども見ますところ、技術の進歩というのは現在の柳に比べて、この「アビエーション・ウイーク」に載っている脚は大変ここまで技術が進歩してきているんだというような感じを思い起こします。といいますのは、現在の747は十五年前、二十年前の設計でございます。これは現在のコンピューター技術、電子技術をフルに使った設計でございまして、これは767と非常によく似たデザインでございます。したがいまして、この中で……
  193. 橋本敦

    ○橋本敦君 検討したか、データを全部とって。
  194. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) この検討につきましては、開発途上の飛行機でありますので、今後十分検討をすることになろうかと思います。
  195. 橋本敦

    ○橋本敦君 今後検討するということですから、検討してないんですよ。こういう重大な問題を検討せずに六十五条をいきなり廃止する。私は安全と関係ないというようなことは許されぬと思いますね。しかも運輸大臣がおっしゃった、メーカーが例えばアメリカでつくり、アメリカの政府が型式証明を出し、日本に入ってくる段階で航空局は技術部で十分検討して、耐空証明を出すという段階で十分審査する、こういうようにおっしゃったわけですが、そういう審査について本当に日本の独自のしっかりした安全審査ができるかどうかということについて重大な疑問を持たざるを得なかったのが、この前の日航機事故ではありませんか。ボーイングがやったあの修繕で、ボーイングは事故が起こってからミスをやったなんて言ってまいりましたが、あの修繕が不十分であったということは、しっかり見れば当然わかったと思うんです。これはアメリカの修繕をうのみにして出している、そういうことでありますし、それからまたさらに、あの飛行機が安全だというそういう問題についても、最近御存じのとおりに、アメリカの方からあのボーイングの747を含め、今お話しの767も含めて一層の安全体制確立のためにあの設計上の変更をもサゼスチョンするという、重大な運輸安全委員会の勧告がなされているという状況もありますね。したがって、安全を期すという点を本当に今徹底的にやるということが大事な時期に、十分将来の安全審査の問題について検討するということなしに六十五条を廃止するというのは、私はこれはもう本当に時代逆行だと思うんですよ。  そこで、もう一つお尋ねをしなくちゃならぬのですが、この767の運航についても、日本のパイロットや乗員組合がこの二人乗りは航空機関士を入れなくちゃ安全が十分じゃないと言っているだけじゃなくて、ヨーロッパの各国のパイロットもこれには強い反対をしていること、将来の航空機関士なしの大型ジェット機の運航についても航空機関士を乗せるべきだという意見を強く持っていること、こういった状況については運輸省は知っておりますね。
  196. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 附につきましては、最近のデータでは世界で百二十七機就航しておりますが、そのうちほとんどは二人乗務、パイロットのみでございまして、ただ一社、オーストラリアのアンセット航空だけが、五機ほどでございますが、三人乗務で運航しております。
  197. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、私の質問は、パイロットの皆さんがヨーロッパでも安全の観点から二人乗りに反対だという批判意見を出しているのを知っていますかという質問。よく質問を聞いてくださいよ。
  198. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) そういう情報については承知しておりまして、これらの情報、それぞれの検討を含めた上で二人乗りに決まっておるというふうに理解しております。
  199. 橋本敦

    ○橋本敦君 それぞれの検討を含めて二人乗りに決まったと言いますが、それじゃ運輸省は日本で、全日空及び日本航空の組合とこの問題で直接意見を聴取する手続をやりましたか。
  200. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ある機種を導入するのは航空会社の決定することでございまして、その航空会社の社内において乗員と十分話し合いの上決まったことと理解しております。
  201. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは無責任ですよ。政府が安全に対する責任を十分持つという観点で行政上の処置をどうとるかというそのプロセスで意見を十分聞くということが必要だということを私は言っているんですよ。  そこで、運輸大臣に申し上げますが、世界を含めた多くのパイロットが、航空機関士抜きの大型ジェット機の飛行という問題については、それぞれの貴重な体験と技術的な検討から意見があるということですから、この問題については、六十五条の廃止というこのことだけで終わらせるんじゃ、これは安全の責任を果たせぬ。当該の組合の専門的なパイロット及び航空機関士、それから航空技術評論家、あるいは日本の優秀な各大学にある航空工学の専門家、こういった人たちも含めて、私は、こういう将来の航空機の発達についてメーカーの設計と安全審査だけに任せるんじゃなくて、運輸省として独自の安全を指導する立場からもヒヤリングを公式にしっかりやるべきだというように思いますが、いかがですか。
  202. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 私は、常識といいますか良識といいますか、一つの線というものがあると思いますね。この程度、ここまではメーカーの言うことを信じていいよと。私はおのずからそこに一つの常識的な線があると思う。と申しますのは、例えば新しい飛行機を購入しますね。今度からもうメーカーの言うことは信用ならぬからというのなら、新しい飛行機を最初からばらさなきゃだめですよ。そうして、リベット一つ一つはぐってみてやらなきゃならぬ。極端に議論を進めていくとそういうことになるから、どの程度までメーカーの言うことを信ずべきかということは、初めからメーカーの言うことを信用するのかとか、どうだこうだということではなくて、さらにそれに加えて私どもも、会社自体が購入するんですから会社もやりましょうし、それを受けてまた監督官庁である運輸省も優秀な技術陣をもって十分それを監督し、または点検もするということでございますから、そこはひとつ御理解いただいていいんじゃないでしょうか。
  203. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは全く理解できない。メーカーの方の意見を信用し、次は航空局の優秀な技術陣を信用せよ。これは官僚政治ですよ。安全という問題について、それはまさに今まで安全を完全に確保できないであの日航ジャンボ事故を起こしたということに対する政府の厳しい反省が足らぬということになりはしませんか。もし本当にあの厳しい事故について反省しているなら、こういった問題についても今私が指摘したようなヒアリングをやるとか、まさに官僚行政の独善に陥らないために、あるいはメーカー主導の、メーカーというのはもうけ主義ですから、利益追求主義の中に隠されている安全の問題の欠陥についてこれをそのまま許さないためにも、今私が言ったような国民的立場に立って安全点検をしっかり行うというシステムをつくってもらいたい。それは必要だ、こう言っているんですよ。そういう発想はありませんか、運輸大臣。そういうことですよ。メーカーとアメリカの言いなりになっていいんですか。
  204. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 私どもは、乗務員の方々のいろんな御不満、安全上の問題提起等々についてはいろいろなチャンネルを通じて承知しておるところでございますが、今回の767の乗員の問題については会社と乗務員の方々とが事前に十分話し合って最終の結論を得たということでございまして、767自体につきましては私どもは二人の操縦で十分安全に運航できると考えておるところでございます。
  205. 橋本敦

    ○橋本敦君 ちょっと待ってください。組合と会社が十分話し合って結論を得たというのは、組合は納得して二人乗りで結構だ、安全十分だ、こう言ったという意味じゃないでしょう。組合は納得してませんよ。納得したんですか。
  206. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) いや、納得したかどうかというようなことでお話するのではございませんで、会社と乗務員について十分お互い話を尽くしたということを申し上げているわけでございます。
  207. 橋本敦

    ○橋本敦君 全く話になりません。私はこういう姿勢で、今度の問題になっておりますけれども、運輸政策審の答申を受けていよいよ日本航空の完全民営化ということになれば一体どうなるか一層心配ですよ。まさに今航空業界は安全という国民の信頼を失って乗客離れを起こし、過当競争ですよ。大事なことは安全に対する国民の信頼を確保する、回復することでしょう。今日の大量航空輸送時代から見れば、国民は飛行機に乗らざるを得ぬのです。だから政府は、まさに国民をしっかり守るという立場に立って政策を今やるべきそういう時期ですよ。それを今度は、あの日航機事故を起こした背景に経営の利潤追求体質があるということをかねて指摘しましたが、一層完全民営化ということによって利潤追求ということが会社の至上命令になっていき、そして同時に客離れを起こし、安全に対する国民の信頼をなくしている状況の中でさらに合理化を進めて航空機関士も減らしていく、そして作業整備部門も減らしていくというこれまでの傾向を助長していくなら、これはますます安全の問題で大変なことになる。そういう意味で日本航空の完全民営化という方向は軽々にとるべきものでは決してない。それよりも先に、私が今言ったような国民的立場で安全体制を確立する方途を政府はきっちりつくるべきである、こういうように私は思いますが、この運政審の答申とも絡んで、日本航空の完全民営化というのはやめるべきだという私の意見について運輸大臣の御見解を伺いたいと思います。
  208. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 民間活力を導入した新しい経営体制、つまり、それは民営化でございますね。これは私は一つのもう時代の流れだと思うんですよ、幾らあなたがおっしゃっても。そのために十分歯どめもかけなきゃなりません。新規参入であるとか安全性に対する点検であるとか、政府がやるべきことはきちんとやりながら、何でも放縦にやらせるという意味じゃございませんので、そこらあたりはひとつ賢明なるあなたですから御理解いただきたいと思いますね。
  209. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは大臣、賢明なる大臣に私の言うことをもっと理解してほしいと私は思っているわけです。もう時間がだんだん迫ってまいりまして、この問題ばかりを私は追及できないわけでありますけれども、この六十五条の今回の問題については私は、国民の立場で安全の一層の確保という面から絶対に賛成できないということと同時に、これについては重ねて言いますけれども政府はもっと真剣に関係当事者を含めた国民意見を正確に聞くという、そういう面を含めて国民的立場での安全確保のシステムづくりを責任持ってやってもらいたいということを重ねて要求して運輸大臣に対する質問をこれで終わります。ありがとうございました。  次は、地代家賃統制令廃止問題に議論を移していきます。時間がありませんので端的に話を進めますが、現在統制令適用対象戸数は全国で約百二十四万戸と言われておりますが、その数字は大体間違いございませんか。
  210. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 現行地代家賃統制令対象は、昭和二十五年七月十日以前に建築されたものの住宅とその土地でございます。したがって、お示しのように対象借家は九十万件、それから借地で三十四万件、合計で百二十四万件でございます。
  211. 橋本敦

    ○橋本敦君 これらの統制対象住宅の居住者の年齢を見ますと、先ほどから局長が御答弁なさっておりますように、一般民間借家では九〇%、それに対して統制令対象家屋では、六十歳以上居住者が二九・四%を占めるというお話がございました。それをさらに住宅統計調査で深めて見ますと、五十歳以上と六十歳以上、この双方を足してみますと合計で四九%という数字になるわけでございます。これは一般民間、民営借家の合計一九%に比べてはるかに高い。言いかえたならば、今おっしゃったように全国で百二十四万戸ありますが、借家の三十四万ほど、そのうちの約半数がもう五十歳以上の方々のお住まいの住宅になっておるという状況だと思いますが、間違いありませんか。
  212. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 五十歳以上の方、借家でございますと四九・三%、一般の民営借家では二〇%でございます。
  213. 橋本敦

    ○橋本敦君 今私が言ったような数字であります。  それじゃ収入を見てみますと、これも建設省からいただいた資料によるんですが、統制対象住宅居住者の収入で年収が三百万以下、これをとってみますと何%になりますか、三百万以下。
  214. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) ちょっと計算しておりまして時間がかかりますが、三百万未満でございますと、対象では七十数%になるかと思います。それから一般の方では……
  215. 橋本敦

    ○橋本敦君 結構です。  ですから、統制対象住宅にお住まいの世帯を見ますと、七十数%が年収三百万以下という厳しい状況で暮らしていらっしゃる皆さんだということは、このことからも明らかなんです。  そこで、全国で三%ぐらいだからこの数は大したことはないと繰り返し政府答弁されているその問題に関連して、具体的にどういう地域に、どういう状況になっているかということを私は大阪の例で質問してみたいと思うのであります。  答弁をしていただく参考資料として答弁者にこれを渡させていただきたいんです。(資料配付)それをごらんいただいたらわかりますが、資料の(1)は大阪市の各行政区でとりました数字でございますが、赤線を見ていただきますと、例えば阿倍野区は対象住宅が一万二千九百八十戸、阿倍野区全体の世帯に対する割合が三二・二%、東成区は三五・九%、福島区は三二・六%、生野区は三五・二%、こうなっているのを初めといたしまして、左側に丸をつけております北区、都島区、旭区、城東区、住吉区、東住吉区、西成区、この丸をつけた、全部で十一区でございますが、ここに集中しております。この十一区の合計で見ますと、戦前住宅の世帯数の合計が十万一千三百四十、大阪市全体の戦前住宅世帯数は約十四万ですから、何とこの十一区に戦前住宅が焼け残って七二・三%が集中しておるということがわかるわけであります。この数字の読み方は間違いないと思いますが、局長どうでしょうか。
  216. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今いただきました資料で、中身につきましてはここに先生がお示しになった数字がございますが、これについて私はこれは直接は存じておりません。
  217. 橋本敦

    ○橋本敦君 きのうこれを渡して、検討しておいてくださいというように私は言ってあったんですが、聞いておられませんか。これは総理府統計局の数字を拾ったやつですから間違いないはずです。
  218. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 大阪府における統制対象の数字は検討いたしております、別のものでございますが。
  219. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、この資料を渡したでしょう。
  220. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) ちょっとそういうことでございまして……
  221. 橋本敦

    ○橋本敦君 それはしかしぐあい悪いですな、わざわざ私はお渡ししたんですよ。  それでは続けます。  どっちにしても、私が言いたいのは、大阪全市に希薄に三%散らばっているんじゃありません、特定区に集中的にたくさんあるんですと、こういうことなんです。  そこで、その資料(2)を見ていただきますと、この十一行政区は戦前対象住宅が多いと同時に、今度は高齢者の比率がまた多い地区になっているんです。このことが資料(2)からもうかがえますが、このことから見ても、先ほど局長がおっしゃったように対象住宅高齢者が多いということがわかると同時に、大阪の場合は特定地域に集中しているということがわかるという資料としてお話をしたわけです。  そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、この統制令が撤廃された場合に賃料の値上げとか、あるいは土地の明け渡しとか、そういったことで土地再開発機運というものを当然助長していきまして、この住宅に住んでいる人たちが追い出される危険性、可能性だって出てくるわけですけれども、こういう地域に集中しているということになりますと、単に賃料の値上げという問題が多数起こってくるということだけではなくて、その地域の長い間の街づくりや文化や、あるいは歴史的な基盤を持ったその社会的基盤が変更されていくということも一層助長されかねない、こういう大きな問題もはらんでいるんではないかということを指摘したいわけですが、こういう点について建設省は検討されたことがありますか。
  222. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 御指摘のように、特に大阪の場合には集中があります。それから全体で見てみましても、いわゆる大都市圏ということで三大都市圏を見てみますと、六十五万戸ありまして、五割強を占めております。したがいまして、御指摘のように地域によって差があることは十分承知しております。しかしながらそれに対して、我々はここで繰り返し申し述べておりますけれども一般的なPR、それから相談体制等を一般的に強化すると同時に、公営住宅、あるいは公社住宅公団住宅活用を図って対応したいと考えているところでございます。
  223. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、問題所在はお認めになった上で今対応を話されたんですが、公営住宅等とおっしゃるけれども政府自身が公営住宅を一体どういう状況で進めてきたかといえば、公営住宅全体は、これはもう昭和五十五年に比べてうんと減ってきておる。数字でいったら五十九年、六十年、実績見込みでどれだけ減りますか、五十五年に比べて。
  224. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 五十九年を申し上げますと、全国でございますけれども、四万三千四百月余りでございますが、六十年度の計画では四万一千七百月余りでございます。
  225. 橋本敦

    ○橋本敦君 五十五年は幾らでしたか。
  226. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) ちょっと五十五年の数字はございませんで、五十六年を申し上げますが、四万八千九百七十戸余りでございます。
  227. 橋本敦

    ○橋本敦君 減ってきているんですよ。したがって倍率も高くなってくるんです。その倍率について、一般的な倍率がどのくらいであるかということは先ほど答弁ありました。具体的に今私は都市問題として提起しておりますので、東京大阪での公営住宅の募集倍率が一体どのくらいであるかという資料をお示ししたいと思います。  委員長局長にこれを見せて聞きたいと思います。(資料配付)  それによりますと、東京都住宅局で私が聞いたところでは、五十八年度新規住宅の倍率は都全体で何と二十五倍、五十九年度は四十倍、一枚目ですね、こうなっております。そして特定目的に類する関係での倍率は二・五倍程度ですが、一般的には二十五倍から四十倍です。大阪の府営住宅をとってみますと、五十五年度倍率は十倍、五十八年も十倍、五十九年十倍、こういう状況です。その下に福祉住宅がございますが、大阪でも福祉住宅は二・七倍、あるいは母子世帯なんかは四倍という大変な高率であるということがわかりますが、大体こういう状況であることはお認めいただけますか。
  228. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 私どもの持っております数字で、大体同じでございますけれども、例えば東京都でございますと、新築の場合に二十八倍、空き家も入れて合計いたしますと十・三倍、それから大阪の場合でございますと、新築が八・八倍に空き家が十・三倍で、合計で九・九倍というような数字を持っております。
  229. 橋本敦

    ○橋本敦君 大臣、お聞きのように、とてもじゃないけれども、全国で、あるいは大阪だけでも、何万戸とある戦前住宅居住の対象者を場合によっては公営住宅にと言ったって、そう簡単にいくものじゃないことがはっきりしますね。それじゃ家賃の値上げが加速されて、これが大きな問題になってきたときに、統制令が撤廃されれば、当然賃料というものは増額という、そういうモチーフをどんどん社会的に起こしていくわけですから、私の弁護士の経験からいっても、賃料増額請求というのは、これはもう必ずふえてきますよ。今でも現状を聞きますと、そのうちに統制令撤廃になるから、これぐらい上げておいたらいいですよ、撤廃になったらもっと要求しますよというおどしでやられているし、底地買いという社会問題だって一層また激化しようという状況になっている。そうした場合に、明け渡し要求だとか、あるいは賃料の法外な値上げ要求が出されてきた場合に、こういう人たちに対してどういう手当てをするんですか、建設省は。どういう手当てをするか簡単に言ってください。
  230. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 一つは、一般的に申し上げて、通常のいわゆる推定市場家賃というものが約八割になっているということから、そう大きな影響はないという認識を持っているということが一つでございます。それから先ほど先生も御指摘になりましたけれども、空き家の優先入居をするということ。確かに倍率はございます。しかし一般に七大都市平均が七・七でございますが、それを二・二にする、あるいは撤去住宅になった場合には、これは特定入居住宅でやる、特定入届制度でやるということでございます。  それからなお、先生もちろん弁護士でいらっしゃいますので今さら申し上げるまでもないと思いますが、判例で見ますと、当初の賃料が低廉であったときは、これをしんしゃくして定めるべきだと、増額改定の場合にですね、ということもございます。したがいまして、全般として我々は我々の申し上げている対応で何とかいけるというふうに考えているわけでございます。
  231. 橋本敦

    ○橋本敦君 何とかいけるという状態が甘いという状態が必ず来て政府は責任追及をされますよ。社会の便乗値上げを、あるいは底地買いをやっているような業者を含めた状況というのはそんなに甘くないです。現に大阪府で牧野副知事が借地借家組合からの質問に対する回答書を出しておるんです。どう言われても、民間の借地借家問題に関係しては、窓口で相談に応ずるけれども、基本的には当事者間の話し合いでやってもらわなきゃ、現行法上、地方公共団体の政策としてもどうにもしようがないんですと、こう言っていますよ。それなら相談で何をやるのかと言えば、今までなら統制賃料の計算をしてあげたということが中心ですが、これからは民法や借地法、借家法などの法律趣旨説明する。法律趣旨説明してもらったってどうにもならぬですわな、値上げ要求、明け渡し要求が来ている場合。それじゃどうするのかというと、相談の内容によりまして必要に応じて弁護士さんの法律相談にあっせんをします。そんなものしてもらったってどうにもなりませんが。  今言ったように、お年寄りで低所得で、そして仮に賃料値上げ裁判を起こされたら、その裁判を受けていかなくちゃならぬ、そういう資金がどこにありますか。社会問題になりますよ。そういうことを、まさに今おっしゃったように、大した影響がないなどと言って甘く見ていらっしゃる今の政治姿勢は、まさに臨調行革や貿易自由化、こういうことの波の中で弱者切り捨てもやむなしという、そういう冷たい社会政策的観的を欠いてしまった政策になり切っているんではないかということに私は強い怒りを持たざるを得ないんですが、大臣はどうお考えになりますか。これは政策問題ですから大臣答えてください。
  232. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 先ほど来、先生からいろいろ具体的な事例を御提示いただきながら御指摘をいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、もしこの法案が認められるというような事態になりましても、楽観的な見方とか、またそんなに影響は多くないというような判断を私は政治家として持っておりません。いろいろ先生からも御指摘いただきましたように、弱い方々の立場、こういう方々に対して心配や不安を与えないということが私ども行政のとるべき最大の問題である、そういう取り組みをしていかなきゃならない、かように基本的には考えておる次第でございます。したがいまして、私は、もしこの法案が認められた暁は、一年間の猶予期間を持って、審議会等もそういう猶予期間を持って、弱い方々や困っている方々や、そういう方々に対して心配や不安や動揺を与えないような、そういう適切な措置を万全を尽くして期せということで一年間というかなり幅の広い猶予期間を与えているんじゃないか。そういう点をしかと受けとめて、行政上できるだけの範囲の努力はさしていただきたいと、かように考えておる次第でございます。
  233. 橋本敦

    ○橋本敦君 この撤廃の影響が大したことはないというように大臣は思わないということですから、局長答弁とその点の認識は若干政治家としておっしゃった意味で違っておりますが、それならば、今おっしゃったように一年間の猶予期間に対策を講ずるんじゃなくて、まさにこの撤廃という法案は撤回さるべきが私は筋だと思うんですよ。  それで、住宅を特定目的であっせんするとか、あるいは何とか言うけれども、結局それは政府が追い出しに手を貸すということなんです。そこに住みたいと思っている人が住めなくなることに手を貸してやるということですから、それはまさにデベロッパーに利益を与えることにほかならぬということなんです。そういう観点を貫かなくちゃ社会政策的考慮の政策はできぬと思いますよ。安易に手当てをすればいいということでは、これは当然そういうことでは許されません。また借地・借家法があるから権利は保全されるんだということをたびたび政府答弁しておりますが、その借地・借家法なるものも、これは法務省は、まさにこれの改定という方向に踏み出そうとしているじゃありませんか。しかも、その改正のねらい、あるいは問題点を見ますと、今までなら自己使用を含む正当事由がなければ、期間の満了による更新拒絶はできないし、明け渡し要求はできなかったけれども、重大なこととして土地の自己使用に加えて、土地の有効利用を理由として明け渡し要求ができるようにすることをも検討すると、こう言っておる。まさにこのことは、今日まで財界や経済同友会やあるいは不動産業界がこのことを主張し続けてきたことである。まさにそれに符合する方向に行こうとしていることであることはもう明白であります。  私は、統制令の撤廃、それから借地・借家法の改悪、こういう方向は今日の日本の国民住宅問題を解決する方向とはまるで逆の方向で、絶対に許されないと思うんですが、法務省はこの改正問題、私が指摘した点についてどう考えていますか。もう時間が来ましたから土地の有効利用という問題について省きます。
  234. 濱崎恭生

    説明員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、法制審議会の民法部会で借地法、借家法の見直しの検討を始めていただいている状況でございますが、この立場は、社会情勢の変化に伴って、現在及び将来の社会情勢のもとでの借地借家関係はどういうものであるべきかという基本的な観点からあらゆる面にわたって見直す必要があるかどうか、どういう点についてどういう方向で改正する必要があるのかどうかということを検討しようということでございまして、今御指摘正当事由内容をどうするかということも、そういう社会情勢の中で現にそういう意見があるところでございますので、そういう問題についてどういうふうに考えられるかということについて各界の意見を広く聞いてその意見を参考にして、そういう点について改正の必要があるのかどうか、あるとすればどういう方向で改正したらいいのかということをこれから検討しようということでございます。現在はそういう段階でございます。
  235. 橋本敦

    ○橋本敦君 終わりますが、今お話しのように非常に重大な問題を含んでいるということをさらに指摘して質問を終わります。ありがとうございました。
  236. 井上計

    井上計君 今回の許認可等の規制整理及び合理化等に関する法律案提案理由は、申すまでもなく民活増進のために必要であるわけでありますが、しかし今回の二十六法律四十二項だけではまだまだ十分でないと、こういう点も考えられます。したがって今後とも引き続いて緩和、簡素化できるもの等については積極的にひとつ各省庁とも進めていくべきである、このように考えております。まず総務庁長官、今後の課題、進め方としてはどうお考えでありますか、お伺いいたします。
  237. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 規制緩和の問題は、御意見のとおり、今後とも進めていかなきゃならぬ課題である、かように考えて取り組んでまいる所存でございます。  何はさておきまして、今回のこの行革審の答申二百五十八事項ございますが、これをまず消化しなきゃなりません。その後もまずはそれぞれの省庁において時代変化とともにまず見直しをやっていただく。そしてそれでも足らざるところがあれば、私どもの方の役所として、政府全体として取り組まさしていただく。そして同時に、今許可、認可の数が、数え方にもよるんですけれども、先般国会に山さしていただいた資料で見ますと、大体一万件ぐらいあると、こういうことですね。だから総数把握がまず急がれるわけです。なかなか調査は簡単なようで容易でありませんけれども、来年の何月ごろを目途に今総数把握をやりたいと、こう考えております。  それといま一つ肝心なことは、新しくどんどん出てくるわけですから、新設の際の基準とでもいいますか、これをどのように合理的な仕組みでやるか。新設もできる限りはこれを抑制しなきゃなりません。しかし同時に新設の必要なこともあるわけですから、ならばそれとの見合いで必要度のなくなっておるものはまた廃止させるとか、こういったような絶えざる努力で政府としては取り組んでまいろうと、こういう考え方でございます。
  238. 井上計

    井上計君 今長官御答弁のように、まだまだ多くの民間活力を阻害するような許認可等の規制が非常に多く残っておるわけでありますから、今後ともさらに積極的にそういう面についての見直しの作業は進めていただきたいと、こう思います。  同時にまた、今お話がありましたけれども、今後社会環境の変化あるいは技術革新等々によって新しく規制を必要とすみものも当然出てくると思うんですが、それについても慎重な取り上げ方、配慮は当然必要であろうと、こう考えます。  そこで、新しい問題として今後特に重要な問題、既に現在時点で重要な問題になっておりますけれども、プライバシーの保護の問題等についてひとつ伺いたいと、こう思います。  社会の各部門でプライバシー保護の問題が非常に大きな問題になっておるわけでありますけれども、OECDから勧告が出てからもう相当の年月がたっておるわけでありますが、政府の現在の対応はどのようになっておるのか、まずお伺いをいたします。
  239. 古橋源六郎

    政府委員古橋源六郎君) お答えいたします。  今委員指摘のとおり、OECDからの勧告が昭和五十五年九月に出てまいりました。これに対する我が国としての方針を検討いたしますために、当時の行政管理庁の中に加藤一郎東大教授を座長といたしますプライバシー保護研究会をつくったわけでございます。その研究会が報告書を五十七年の七月に出していただきました。その報告書の中ではOECD理事会の勧告に沿いましたプライバシー保護の基本原則に従った新しい法律が必要である、こういう報告書をいただいたわけでございます。  さらにその後、臨調におきまして、五十八年の三月でございますけれども、法的措置を含め制度的方策について積極的に対応するようにという御指摘を受けまして、政府としては三度にわたります閣議決定を行いまして具体的検討を進めますとともに、六十年行革大綱におきましてちょっと先に一歩進めまして、「政府としての方針を取りまとめるよう努めるものとする。」という閣議決定を行ったところでございます。  このような行革大綱に基づきまして、これまで行政情報システム各省庁連絡会議というのがございますので、その中にプライバシー保護専門部会というのをつくりまして、この中で各省間の調整をいろいろ議論しております。それと同時に、本年の七月に総務庁に学識経験者の参集を求めまして個人情報保護研究会というものを開催しておりまして、現在、その法制化というものがなったときのいろいろの問題点、どういう考え方でやるべきかというような問題点について鋭意検討しておる段階でございます。
  240. 井上計

    井上計君 現状からまいりますと、法制化の見通しということについては大体どうお考えなんですか、時期。
  241. 古橋源六郎

    政府委員古橋源六郎君) プライバシー保護という問題は我が国において全く新しい考え方でございます。そして例えばこれは行政情報の場合におきましても、行政におけるデータについてのプライバシー保護ということをやる場合におきましても既存の制度といろんな関連する非常に広い分野がございます。国家公務員の守秘義務でございますとか、あるいは行政部内における相互間のデータ利用というものをどういうふうに効率的にやらなくちゃいけないとか、そのときにデータプライバシーの保護というものはどういうふうに絡んでくるだろうかとか、そういうように検討し、かつまた慎重に検討しなければいけない問題がございます。研究会といたしましては、来年の半ば以降までにいろいろと検討してまいりますけれども、その後実際の法制化をするかどうか、あるいは法制化をいつごろにするかというような段階まで私ども今立ち至っておりませんので、その点について御理解を賜りたいと思います。
  242. 井上計

    井上計君 OECDのうち何カ国が既にこのプライバシー保護法を制定しているのか、おわかりであればひとつお聞きします。
  243. 古橋源六郎

    政府委員古橋源六郎君) OECDの加盟二十四カ国中十二カ国において法律を制定いたしております。具体的な名前を申し上げますと、法律の制定国は、制定年順に申しますと、スウェーデン、アメリカ、ニュージーランド、西ドイツ、カナダ、フランス、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、ルクセンブルク、アイスランド、イギリスでございます。
  244. 井上計

    井上計君 十二カ国が既に制定しておるわけでありますから、我が国としても、既に各方面でいろいろと問題になっておるわけでありますので、法制化するかどうかは、今局長お答えのように、これからの研究の結果の問題でありましょうけれども、いずれにしても研究の結果を早く出すべきである、このように考えますし、また要望しておきます。  そこで、自治省にお伺いいたしますけれども、地方自治体において既にプライバシー保護条例を制定しておる自治体がかなりあるやに聞いておりますけれども、どういう状況でありますか。
  245. 石山努

    政府委員(石山努君) 地方公共団体におきます個人情報保護条例に関する条例の制定団体の状況でございますが、一番最近の調査は六十年、ことしの四月一日現在でございますけれども、二百二十三市区町村、それから一部事務組合が四ございまして、合わせて二百二十七ということになっております。全体に対する割合という面から見ますとまだ六・七%でございますけれども、近年の傾向を見ますと、年々増加する傾向にあるというのが現状でございまます。
  246. 井上計

    井上計君 大蔵省に伺いますけれども、金融機関についてはプライバシー保護というのは非常に重要であると、こう考えますが、大蔵省はどうお考えか、またこの問題については現時点ではどのような指導をしておられますか、お伺いいたします。
  247. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 金融機関でございますけれども、金融機関は預金や貸し出しなどを通じまして取引先の信用状況、資産状況を知り得るわけでございます。その点から先生もこの点を特に保護を急ぐべきではないかという御観点だと思いますけれども、金融機関の性格上と申しますか、業務の性格上、従来からの商慣習上、あるいは取引上の信義則として守秘義務を守るということがかなり徹底しておるというふうに理解しているということはまず基本的な私どもの認識でございますし、その点については、預金者保護あるいは信用秩序の維持の点もございますので、今後ともその点を徹底していくことが第一点だと思います。  それから御指摘の背景におきましては、例えば金融の機械化、情報化というようなことが進んできている、コンピューターなど進んできております。それから個人取引も進んできているということになりますと、個人取引上のプライバシー保護の重要性もますます高まっているという点は私どもも認識しているわけでございます。この場合に、個人取引の分野に特に言えることと思いますけれども、信用情報機関がございまして、これが個人の信用情報を持っておるわけでございまして、この個人信用情報をもとに個人取引を行っている場合がだんだんふえてきている。そこで大蔵省といたしましては、このような信用情報を取り扱う場合に、目的外使用の禁止、それから情報の漏えい防止等、通達あるいは事務連絡等におきましてプライバシー保護に配慮するように、そういう個人信用情報機関、そういう資格の持っているものと提携するようにという指導を行ってきておりますけれども、さらにもっときめ細かいプライバシー保護ができますような観点から指導を行っていきたいということで、現在またもっときめ細かい点も図っていこうということを検討しているところでございます。  それから個人取引だけではございませんで、それ以外に金融の機械化、情報化に対応いたしまして一般的なプライバシー保護の問題がございますけれども、大蔵大臣が昨年金融情報システムセンターというのを認可いたしました。これは全関係金融機関のみならず証券会社、保険会社等も入っておりますけれども、その参加を得まして自主的に安全対策基準を策定する。その安全対策基準の中で情報漏えい防止の対策が盛り込まれておりますので、これは非常にプライバシー保護に資するというふうに考えているわけでございます、この安全対策の中にこの情報漏えい防止等の対策が盛り込まれておりますので。そこで行政当局、私どもといたしましては、各金融機関がみんなで集まっていろいろの専門的な知識を交換しながら研究して得た基準に基づいて対策を講じることを期待しているというところでございます。
  248. 井上計

    井上計君 銀行局長、今お答えいただきましたことで十分理解できるんです。ただ、情報システムセンターについては、大蔵省の指導あるいは監督といっていいかと思いますけれども、かなり行き届いていくであろう、こういうことが考えられます。ところが、個人信用情報機関が随分とふえています。それから同時に、それらのものが情報を売るというふうなケースが非常にふえていますよね。それらのものは、個人のプライバシー保護について大変な問題が既に起きている面もありますが、今後ますます起き得る危険性というか可能性といいますか、あると考えるんですが、大蔵省の立場としては現状のいろんな点からお考えになってプライバシー保護法の制定を必要とするとお考えですか、どうですか。これは大蔵省の立場だけでお考えいただいて結構です。
  249. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 先ほども行管の方からもお答えになりましたが、プライバシー保護についてはなかなかいろいろ複雑な問題がございます。特に金融機関の場合には機械化、情報化の進展で複雑かつ高度な問題があると思いますので、そこで金融情報システムセンターなどで情報を持ち合って、知識を持ち合って研究させているということで専門的な検討が必要だという認識があるわけでございます。したがいまして、立法問題につきましては、大蔵省におきます金融制度調査会の中でも消費者金融のあり方などの勉強会を進めてきておるわけでございますけれども、それを待たずしてこういう金融情報システムセンターとの専門的な検討が進められている、その成果などを行政に逐次組み入れていくというような形で現実的な対応を図ってまいりたいというふうに経過的には考えておるわけでございます。
  250. 井上計

    井上計君 今後の問題としては法制定についてはどうお考えですか。
  251. 吉田正輝

    政府委員(吉田正輝君) 法制化をやるということにつきましては、一つの研究課題として、検討課題としては受けとめておるわけでございますけれども、いつとか、どのような形とか、あるいは本当にやるかどうかというようなことについては、率直に申し上げて、なお明確に申し上げ得るような状況にはないというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  252. 井上計

    井上計君 了解をいたしました。  次の問題に移ります。  今回の許認可等の整理合理化法律目的は何といっても行財政改革の重要な対応策だと、このように理解しておるわけでありますが、現在、行財政改革という内閣の大きな命題に相反するような構想が幾つかもう既に出てきておる、私はこういう認識を持っておるわけなんです。  そこでまず総務庁長官に最初に伺いたいんですけれども、与党内でも問題になっておると聞いておりますし、政府部内でもいろいろとまだ意見の一致がもちろんなされておりませんが、建設省が既に概算要求の中に盛り込んでおりますところの流水占用料、それから農水省の水源税なんかについてまず行財政改革に相反する、特に水源税というのは税という名称からいっても増税なき財政再建には実は逆行しておると、私はこういうふうな認識で従来から既に反対の立場で委員会等でいろいろと質問してまいりましたが、まず総務庁長官にどうお考えであるかお伺いをいたします。
  253. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) お尋ねのように、現在建設省と農水省からそれぞれ流水占用料を設けたいとか、あるいは水源税を新設したいといったような要求が予算要求に絡んで出ております。これをめぐって党内でもかんかんがくがくの議論をしておる最中でございます。いずれ予算編成の最終段階で何らかの結論が得られる、こう考えておるんですが、今大変デリケートでございますから、この問題について私からは積極的にどうだというお答えをすることは差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、第二臨調、またそれを受けた行革審も増税なき財政再建という基本理念を掲げておるんですが、これは行政改革を進める上でのてこである、かように理解いたしております。しかし、その中で臨調が言っているのは、全体としての租税負担率つまり対国民所得比の問題ですが、その上昇をもたらすような税制上の新たな措置は基本的にはとらない、こういうことを述べて、さらにまた受益と負担のバランスを失しているものについての負担の適正化、あるいは現在の直間比率など税制上問題のある重要課題についても検討すべきである、こういう指摘もせられておるわけでございますから、こういった答申の趣旨を総合的に勘案しながら、現在の各般の行政上の要請にも留意しながらこの問題の調整を進めて適切な結論が得られるであろう、また得られることを期待しておる、きょうのところはこの程度でひとつ御勘弁を願いたい、こう思います。
  254. 井上計

    井上計君 すべて明快にお答えになる後藤田長官でありますから、この問題についてはもっときょうは明らかなお答えをいただけると期待しておったんですが、この問題についてはさすがに後藤田長官もデリケートな問題だということでお逃げになりました。ただ、今お答えの中に若干私自身がいささかどうであろうかというふうなお答えがありますが、それは後に送りまして、大蔵省はこの問題についてはどうお考えでありますか。
  255. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。  ただいま関係省から出ております、お尋ねの流水占用料あるいは水源税の取り扱いでございますけれども、ただいま総務庁長官からもお答えがございましたように、現在、関係省庁間で鋭意調整中でございます。したがいまして、私どもも予算当局としまして関係省庁から御要求はいただいておりますけれども、現在、調整を関心を持って見守っているところでございますので、現在のところそれ以上のお答えは申しわけございませんが控えさせていただきます。
  256. 井上計

    井上計君 大蔵省、当然そういうふうなお答えであろうとは思っておりました。  そこで、大蔵省と総務庁長官にもう一つ伺います。  総務庁長官先ほどお答えの中で、負担率の上昇をもたらすような新しい財源についてはいけないというふうな、ちょっと表現は違いますが、そういうふうな御趣旨、それから受益と負担とのバランスを失しているものについては調整すべきである、こういうこと、直間比率も——この直間比率は別にいたします。ところが、水源税の構想等については、これはもう長官も十二分に御承知でありましょうけれども、受益者の中で一番の受益者は実は農家なんですね。ところが、農家はこの水源税の対象から外すということが既に言われておりますね。これは明らかに負担の公平を欠くということになりますが、これはどうお考えですか。
  257. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 農家の負担はしない、こういうことを言われておることは私も承知しておりますが、それも現在かんかんがくがくの議論の中の一つであろう、こう考えておるわけでございます。
  258. 井上計

    井上計君 大蔵省にも伺いたい。今、農業についての水源税は対象にしない、また流水占用料は、農業用水については工業用水の二十分の一ですか、というふうな案でありますが、百歩譲って万一こう考えた場合でも大変負担の公平を欠く、こういう大きな問題がある、こう思います。これについて大蔵省はどうお考えか。  もう一つ昭和五十五年の歳出百科に、主計局として「一般的に、財政資金は、国全体の立場から総合的に判断して、最も緊急度が高い使途に充てるべきであり、予め、使途を特定してしまうことは、財政資金の効率的使用を阻害するおそれがあります。」、このようなものが出ております。これが主計局の変わらざる方針であろうと考えますが、どうでしょうか。
  259. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) まず水源税の方でございますが、課税対象といたしまして河川から取水される水を考えているわけでございますが、先生指摘のようにその中から農業用水が除かれております。私どもが林野庁からそのお話を承っているところによりますと、その理由は、農業用水は森林と同じく水源涵養機能を持っているということが一つ。それからもう一つは、古くからの水使用慣行に従っておりまして、使用水量の把握が困難である、そのような理由によりまして農業用水を除きましたというように私どもは承っております。そのほかの問題いろいろございますので、各方面の意見を踏まえながら慎重にこれから検討してまいりたいと考えております。  それからもう一つの問題でございますが、歳出百科につきましてお話がございました。私どもかねがね目的税などの特定財源につきましては、一般に特定される公共サービスの受益と負担との間にかなり密接な対応関係がある、それが確認される場合には特定財源制度というのは一定の合理性を持ち得るものとは思いますが、しかし財政の立場に立ちますと、それが資源の適正な配分をゆがめたり、また財政の硬直化を招く傾向を持つことも確かでありまして、その妥当性につきまして常に吟味していく必要がある問題であるというように考えております。
  260. 井上計

    井上計君 後藤田長官にもう少し突っ込んでお伺いいたします。  今大蔵省からお答えがありました。大蔵省は、農水省の水源税については農業用水はいわば森林涵養の重要なものであるということと、もう一つ今お話の中で重大なことは、使用の把握が困難である、だから農業についての水源税については対象外としたという。これは大蔵省のお考えでなくて農水省のお考えだろうと思うのですけれども、把握が困難だから取らない、把握が的確に行われるから取るというのは、要するに取れるところから取る、取りやすいところから取るということで、これは税の公平という面から考えても大変なことだと、こういう感じがするんですね。これはお答えが難しいでしょうからお答えは結構ですけれども、ただ足りないから取るんだ、取りやすいところから取るんだという考え方が、今回の流水占用料についても水源税についてもあり過ぎると思うのですね、考え方の中に。矛盾だらけだと思うのです。これについては今後閣内でいろいろと検討があると思います。  先般、実は十一月二十七日でありますけれども、決算委員会で建設大臣にもしつこく流水占用料の問題についてはお尋ねをいたしました。建設大臣も、現在閣内においてもまた与党内においても意見の一致を見るためにいろいろと努力中であるということでありましたが、私がさらに突っ込んでお伺いしたときには、閣内で意見が一致しないときには当然これは取り下げるべきであるというふうな、そういう意味の御答弁があったと、こう理解しておるんですが、このことについては長官もそうお考えでしょうか。要するに完全に意見が一致しない場合あえてそれを強行するということはあってはならぬ、こう考えますが、どうお考えでしょうか。
  261. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろんこういう重要な問題は、政府・与党が最終一致しなければできない課題であろう、私はこう思います。  それからまた水源税。今お聞きしておると、農業用水は森林資源の培養に資するというんですか、私ちょっと理解が困難でございます。それから税というのは公正が生命なんですね。だから、把握が難しいからという理屈は私にはわかりかねる。いずれにしましても、私自身は実は一つ考えを持っております。しかしながら、これは今大変デリケートでございますから差し控えたいと思います。
  262. 井上計

    井上計君 かなり明確に私どもの意と同じようなお答えであったろうということで、さらに今後の長官の御活躍を期待しておきます。  そこで、建設省河川局長。先日二十七日に私は流水占用料の問題について伺った。これは河川局長をそんなにいじめたりなんかしません。ただ、そのときに申し上げた河川敷の使用料、占用料ですね、これは長官も御存じかどうか知りませんが、お聞きいただきたいと思うんですが、建設省が流水占用科という新しい財源をつくり出した理由がわからぬわけじゃありません。しかし、それならもっともっと整理して、あるいは他に当然取るべきものあるいは整理するもの、処理するもの、歳出を削減するもの等あるわけであります。先日指摘したように、河川敷の占用料、使用料については全く国庫収入になっていないわけですね、全部地方自治体収入になっておる。しかも河川敷の中には、ゴルフ場を初めとするいわば営利事業が利用している膨大な面積があるわけです。ところが一切それが国庫収入になっていない。そして十分なる把握もされていない。地方自治体において、この河川敷占用料の収入を河川補修工事等々に使う特定な歳入でなくて一般財源に繰り入れて何に使っているかわからぬというふうなケースが非常に多い。こう聞いておるんですが、その問題について少し把握していただきたい、それからもう一つは、二級河川については全く把握されていないから二級河川についても把握していただきたい、こうお願いしておきましたが、現在まで把握されましたかどうか。把握されていなきゃ、まだ調査中で結構でありますし、また把握されておれば現状についての把握の状況をお聞かせいただきたい、こう思います。
  263. 井上章平

    政府委員井上章平君) 河川区域内の土地の使用料は、現行河川法によりますとすべて都道府県の収入ということになっております。それで都道府県の土地の占用料の収入でございますが、昭和五十八年度の実績で申し上げますと約三十二億円でございます。これの一、二級河川別につきましては、都道府県において区別して集計をしておりませんのでつまびらかではございませんが、占用面積比で申し上げますと、一級河川八六%、二級河川一四%という比率でございます。しかもその利用目的等を勘案して私の方で推計いたしましたところによりますと、この三十二億円のうち二級河川は一億ないし二億円であろうかと思います。ただ、集計が一、二級河川別になっておりませんので、これを分類するということは、都道府県で実施しておることでございますのでちょっと不可能でございます。
  264. 井上計

    井上計君 河川局長、今伺いました三十二億円という金額が多いのか少ないのか今言いません。ただ、私が若干手元に集まってきておる資料からずっと計算すると、三十二億円というのは大変金額が少ない。というのは、都道府県が取っておるのが安いんではないかなという気がするわけですね。実際にゴルフ場等から取っておるものが実態から比べて非常に安いというふうなことが感じられます。したがって、私はこの三十二億円という現時点で調査された河川敷使用料の見直し、同時にそれを当然のことながら国庫収入にすべきであるものだ、従来の慣例ではありますけれども。そう考えますと、そういうふうな面をさらに洗い直しをして、なおかつそういうふうな当然取るべき財源を取り、カットすべきものはカットし、歳出削減をやりながらこの問題については時間をかけて検討をいただくことが当然だ、こう考えますから、河川局長建設省にはそのことを要望しておきます。  総務庁長官、今のこの河川敷利用の問題等をお聞きになってどうお感じになりますか。国庫収入に全くなっていない、地方自治体が全部取っておる。そして建設省としては、この間お願いしましたからある程度金額が出てきましたけれども、完全な掌握がなされていない。しかも都道府県はこれを一般財源に繰り入れてほとんど使っておるということについてはどうお考えでしょうか。
  265. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 一級河川は、これは国が管理しているんですから、それに伴う歳入は国であろうと、こう思いますけれども、これは長い間のあれもありますし、それからまた地方が持っているものを何でも国が取り上げればよろしいというふうには私は考えておりません。
  266. 井上計

    井上計君 時間がありませんから、この問題についてはまだ次の別の機会に譲ります。  いずれにしても、流水占用料あるいは水源税等は、現在の民間活力導入というふうな面から考えても、大変な阻害になるわけでありますし、また税の公平あるいは負担の公平等々からいっても非常に大きな問題があると考えますので、さらに検討については慎重にひとつお考えをいただきたい、特に要望しておきます。  最後に、民間活力の導入ということで最近大きな話題になっておりますが、大型プロジェクト、東京湾の横断道路の建設計画があります。これはこの二、三日新聞にかなり大きく報じられておりますけれども、事業主体が道路公団、地方自治体、民間企業の共同出資による第三セクター方式に大体落ちつくであろうという報道であります。そこで問題は、免税債を発行してこの膨大な財源に充てるというふうなことと、あるいは財投資金を活用するというふうなことと両説があったようでありますが、きょうあたりの新聞で見ると、免税債についてはノー、したがって、財投資金の活用というふうなことにどうもなりそうな実は状況でありますけれども、大蔵省はこれについてなぜ免税債がだめなのかというふうなこと。  そこで、時間がありませんから、続いてお伺いしますけれども、その場合、第三セクターが発行する債券を財投が引き受ける場合、特別立法の必要があるのかないのか、しなくてもいいのかということ、これらのことについても重大な問題があると思います。その必要性ということをまずお伺いをいたしたいと、こう思います。
  267. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 御質問のうちいわゆる免税債につきまして、私ども問題点であると考えているところだけ答弁させていただきますが、ただいま御承知のように抜本的税制の見直しを行っております。その中で、利子課税というのは一つの重要なテーマであるわけでありますが、そのさなかにいわゆる免税債は高額所得者にいわば青天井のマル優を認めるというような性格を持つものでありまして、またそればかりか法人にまで新たにマル優を認めると、そういうような性格の働きを持つものでございます。そこで、私どもはこれは税制上大きな問題があるものというように考えております。  そのほかにも免税債という形で財政援助をいたしますと、その対象となっております事業体が、いわば採算が合うようになりました後も財政的な援助の効果がずっと続いてしまうという問題がありまして、打ち切る方法がなくなってしまうということが一つございます。それから長期の債券ということで出しますと、その累積する財政援助の額というのは相当膨大なものになりますし、また性格上非常に横並びから次から次へと波及する危険がある。そういう意味で財政上の負担が相当膨大なものになるおそれがあるものというように考えております。それから発行市場や流通市場に対する撹乱要因となるのではないかという点も危惧されるわけであります。よく免税債につきまして例にとられますのは、アメリカの産業開発債、これは州が出しているものでございますが、これも実は弊害が余りに大きいということで、レーガン大統領の税制改革案ではその見直しが提案されているものでございます。
  268. 足立和基

    政府委員(足立和基君) 財政投融資の活用についての御質問でございますが、現行の資金運用部資金法では、この運用の公共性、安全性の観点から、この運用対象というものを原則として民間出資のないものに限定して、法律上限定列挙されてございますので、現行法のもとでは、今言われるような第三セクターについての財投の債券引き受けというのは不可能でございます。将来どうするのかというお尋ねでございますと、まだ現段階では必ずしもこの具体的な事業主体が明らかでございませんので、その事業主体が明らかになりました時点で、立法措置も含めまして財投の活用について検討さしていただきたいと考えております。
  269. 井上計

    井上計君 時間がなくなりましたから、最後に私の考えだけ申し上げておきます。  今理財局からお答えがありましたが、将来の問題として当然このようなことをやるとすれば立法の必要性があるというふうな理解、これはわかりました。ところが、新聞報道でありますけれども、財投から無利子の——財投かどうか知りませんが、無利子の融資を行うというふうな案があるようであります。その場合の財源をどこに求めるのか、あるいはその場合の利子補給はどこからするのかというふうな問題も当然起きてくると思いますが、いずれにしても、慎重にやらないとこのようなことが前例になって、関西新空港に次いで東京湾道路にそういう無利子の融資が行われるということであるならば、第三セクターの方式によるプロジェクトが各地にでき得る可能性、名のりを上げてくる可能性も多分にある。もちろん民間活力導入ということの面ではいいことかもしれませんけれども、これがまた再び問題を大きく将来に残すようなことになるのではなかろうか。このことも懸念いたしますので、今後とも慎重にお進めをいただきたい、これは要望であります。  終わります。
  270. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は許認可の問題について、政策的というか、物の考え方という点で御質問いたしたいわけです。時間が十分しかないものですから簡単にまとめたいと思います。  先ほど長官が井上議員の質問お答えになりまして、今後ともこの許認可の法をどんどん廃止していきたいというふうなお答えだったわけですが、私が非常に関心がありますのは、今回提出されました廃止四十数件の中に物価とか国民生活に関するものがないことですね。我々国民にとっては生活とか物価とかというのは一番関心があるわけです。これは非常に難しい面がいろいろあると思うんですけれども、こういう面、積極的にというか、優先的に許認可を廃止して、それによって物価を下げていくということをぜひ御考慮いただきたいと思うんですが、その辺のお考えをまずお伺いしたいと思います。
  271. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん、木本さんおっしゃるように、規制緩和というのは民間のエネルギーを引っ張り出すということでございますから、そういう観点で私どもとしては取り組んでいきたい、こういうように考えております。
  272. 木本平八郎

    木本平八郎君 日本は、私の印象では、全体の物価は非常に安いと思うんですけれども、生活必需品とか最低の基礎的な物価というのは非常に高いんじゃないかという気がするわけですね。電気製品なんかは非常に安いんです。平均しますと、電気製品とか自動車とかでならしますので安くなっているんですが、そういう生活の基礎物資が非常に高い。それの原因は許認可にある、その原因のナンバーワンは許認可にあるというふうに受けとめているわけなんですが、その辺はいかがでしょう。
  273. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 許認可と物価との関係でございますけれども、許認可の中には価格規制という点でいろいろ規制のあるものもございます。直接法定されているものあるいは政府自身が決定するものと、いろいろございますけれども、これらはいわゆる公共料金というふうな範疇に入るんじゃないかと思うんです。こういったものにつきましては公共性の立場で需要者側あるいは消費者側、供給者側、こういった両面からその辺の価格についてはいろいろ関与が行われるということで、それが特に物価を高くしているという関係にはならぬじゃないかというふうに考えております。
  274. 木本平八郎

    木本平八郎君 今お話が出ましたその公共料金の問題に入りたいと思うんですけれども、その前に、私が申し上げているのは、いろいろ許認可があるんで、それがどうしても安全サイドを見るからコストを押し上げているという面が非常にあるんじゃないか。経済の原則として、経済というのは統制されればされるほど供給者が有利になる、そうすると需要者というか消費者が損をするわけです。そういうふうなメカニズムがあるんで、その辺に特に注意していただいて、許認可があるために物価を上げているという面をぜひ御考慮いただきたいと思うわけです。これは具体的にやりますと時間がないんで次に進みます。  それで、ただいまの公共料金の問題なんですが、私は商工委員会でも言ったんですけれども、例えば電気とかガスとか、それから私鉄の運賃だとか、電信電話も今度民間になりまして、こういうふうな料金が許認可によっているものは、今後値上げ申請するときに社長の辞表をつけてこいというアイデアはどうだろうということなんですね。いろいろな諸般の事情があって値上げせざるを得ない。普通の民間企業なら、当然値上げできなければ倒産せざるを得ない。しかし公共事業であるために料金の値上げで経営危機を回避できるという非常にありがたい面があるわけですね。それだけに経営者としては必死になってコストダウンに取り組んでもらわなければいかぬという面から、値上げせざるを得ないというのは、事情のいかんにかかわらず、社長としては経営責任の問題がある、経営の失敗だと決めつけられるのじゃないか。例えば石油ショックとかいろいろな問題があると思うんですね。しかし、それはそのときに社長になっておられたので非常に運が悪いというふうにお考えいただくしかないんじゃないか。したがってその企業自身には責任を追及しないということで、社長はおやめになっていただいて、専務さんとか副社長が社長におなりになっていただければいい。こういうふうにやりますと、少なくとも社長の任期中は、やめなきゃいかぬと思うと、不名誉なことでもありますから必死になって経営の合理化をやられるのじゃないかということで、公共料金の値上げを防止する一助になるんじゃないかという気がするんです。長官、こういうアイデアについてはどういうふうにお考えになりますか。
  275. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 公共料金について、許認可にかかわる問題のその許認可をする場合の水準になろうかと思うんですけれども、これにつきましては、申請する側としては、当然消費者の立場も考えて、会社の経営の合理化とかそういう中で考えていただく、そのための真剣な努力は必要だと思いますし、それから許認可をする側としても、先ほど申し上げましたように、公共性の立場でその辺を十分検討すべきだというふうに考えます。
  276. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、そういう公共事業の社長を引き受けられるからには、そういう社会的な責任があるということを自覚してお引き受けいただきたい。逆に言えば、値上げせざるを得ないような社長は遠慮するとかということがあってもいいのじゃないかと思うんですね。私が知っている限り、例えば東京電力にしても電電株式会社もそうでしょうけれども、要するに今は社長になられるような人材はうんとおられるわけです。どなたがなられてもいいような状態に各企業はなっているわけだから、その方が余人をもってかえがたしということはもうないのじゃないか。したがって、そのくらいの意気込みでぜひ経営に取り組んでいただきたいと私は思うわけなんです。  ついでに申し上げますと、前にもこういう問題を取り上げたんですけれども、辞表を出されて辞任された社長には勲章、叙勲も辞退していただくというふうなことで対処すべきじゃないか。私は勲章の価値というのはよくわからないんですけれども、そういう方々は非常に勲章を大事にされるようなんで、勲章をもらえないとなれば、またいろいろもう一段の努力もしていただけるのじゃないかという気がするわけですね。  時間がなくなったものですから最後に一つ。  これは前にも質問したんですけれども、許認可の廃止というのはよほど思い切ってやらないと、できるものからやっていくというのじゃ、なかなか追っつかないのじゃないか。したがって、一たんはサンセットで例えば三年なら三年で全部一応やめるということをまず決めまして、そしてやめると大変なものは、この三年間に立法府でもう一度新しく立法するというぐらいのことで取り組んでいく必要があるのじゃないかという感じがするわけなんですが、長官はどういうふうにお考えになっていますか承りまして私の質問を終わります。
  277. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) こういった許認可というのはとかく長く惰性に流れますから、木本さんおっしゃるようなサンセット方式、これは私は貴重な御意見だと承ります。ただ、そうは言いながら、一方において行政の安定性というものが必要なわけですね。だから、これはどうしても政府の基本的な政策に係るようなもの、あるいは例えば大学の設置であるとか銀行の開設とか、あるいは公衆電気通信とか、こういうものはちょっとおっしゃるような趣旨にはなじまぬのではないか。それからもう一つは、生命、健康あるいは防災、環境、こういった観点から行われているいわゆる社会的規制ですね、これに時限を付するといった場合には、国民生活に非常な不安感を与えるといったようなこともございますから、今おっしゃったのは私は貴重な御意見だとは思いますが、一たん全部廃止して、もちろん木本さんはそんな極端なことをおっしゃっているとは思いませんけれども、そこらは十分頭に置いてやりませんと、かえって社会的な混乱、不安を生ずるおそれがあるのではないか。むしろサンセット方式の御提言であるとするならば一定期間がたったときには定期的に見直しをやる、こういう考え方がベターなのではなかろうかなと、私はさように考えるわけでございます。
  278. 下村泰

    ○下村泰君 長い時間にわたって長官、御苦労様です。まず労をねぎらいます。お年のせいなんということを申し上げたら、ばかにするなと言われるかもわかりませんけれども、午前中から拝見しておりますと大変お疲れの御様子で、私は与えられた時間は十分ですけれども、できるだけ短くやります。  作業環境測定のことについてちょっと労働省に伺いますが、職場の技術革新はもう日進月歩というよりは目まぐるしく進んでいます。それから労働力の高齢化、女子の職場進出、これはもう来年四月一日から均等法が施行されますからなお大変になると思います。第三次産業の拡大等が進んでいる中で作業環境測定を義務づけられた事業場、作業環境基準等について見直す必要が生まれてきているのではないかと思いますけれども、労働省の対応はいかがでしょうか。
  279. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 現在、有害物質の蒸気、ガス、粉じんといったものが事業場の中にある場合、従業員の健康に及ぼす障害を防ぐために作業環境測定あるいは局所排気装置の設置とかといったような規制をしておるわけでございますが、一応その環境を改善するために必要な局排装置とか全体換気装置とかといったものの性能を規定しております前提として、そうした有害物質の濃度といったものを考えているわけでございますけれども、それ自体は今お話のございました女子あるいは高齢者等も含めて、それらの人を含めて安全な水準が保てるようにいろんな局排、全体換気装置の能力を決めているわけでございますけれども、特に女子の場合は、今御指摘になりましたように来年四月から均等法が施行になります。それに関連して従来労働基準法で決めておりました女子の有害業務への就業制限規定の見直しも、今案をつくりまして審議いただいている段階でございますけれども、その中で、ある部分については、有害物質の濃度の高いところについては、これは女子の就業を制限いたしますので、その限りにおいては女子の問題が出てこないんでございますが、一方で相当高齢化が進んでいくとなりますと、従来考えていた以上の急速な高齢化の中で、従来考えていた許容濃度といったものが果たしてそれで妥当かどうかといった点は、いろいろ問題も今後出てこようかと思っておりますので、今直ちにこれを改正しなきゃならないという段階ではございませんけれども、今後注意深くその辺を見守ってまいりたいと思っております。
  280. 下村泰

    ○下村泰君 たくさん用意しましたけれどもこの次でおしまいにします。  作業環境測定については労働省の労働基準監督が作業環境測定任せとなって後退してはならないと私は思います。こういうことは、私自身も民間の方に長くおりましたからよくわかりますけれども、役所が監督している場合と同じ立場にいる人が監督するのとでは、あるいは測定するのとでは受ける側の気持ちも大分違いましょうし、またそこで何か裏の方で取引が行われないとも限りませんね。そういうことによる後退というのは非常に戒めなくちゃいけないことだと思います。それから中小零細企業でも作業環境測定は完全に行われなくてはならないと思いますし、また中小零細企業でそれは中には非常にまじめな方もいらっしゃいましょう、事業主で。ところが中にはまたひどい方もいらっしゃる。私の知り合いで現在マッサージをやってらっしゃる御婦人がいるんですけれども、その方はもとメッキ工場にいらした。このメッキ工場の事業主が大変ずさんだったようなんです。そのために身体障害に侵されまして現在マッサージ師になっております。こういう人が今後発生しないように気をつけていただかなくてはなりません。したがいまして、作業環境測定結果は事業場に掲示して働いていらっしゃる方々にも周知させた方がいいのではないかというような感じを私自身が持つんです。ある一定の限られた場所だけの人たちが知っていて実際に働いている人は何も知らされてない。これは余りいい状態じゃないと思うんです。これはどうでしょうか。
  281. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 現在の作業環境の改善の規制の方式としましては、事業場内の空気の中の有害物質の濃度、それを直接規制する形じゃなくて局排装置あるいは全体換気装置の能力を一定水準以上に保たせることによって、全体としてそうした濃度が保てるという間接的な規制の手法をとっているものですから、濃度それ自体を直接に掲示することを法令では義務づけておりませんけれども、しかし御指摘のように、自分たちの働いている事業所のそうした有害物の濃度がどうなんだろうかということは当然そこで働く労働者の方の重大な関心事でもあろうかと思います。そこで、現在は衛生委員会を事業所内につくるように一定の範囲で義務づけております。これは当然労働者の代表の方も入るわけでございますけれども、そうした作業環境測定の結果とそれに基づく対策の樹立という点については、この衛生委員会の必要的付議事項にいたしておりまして、そこでの関係の労働者の方にも十分周知されるような手だてをとっておりますが、直接に個々に掲示をした方がいいかどうかについては今後検討さしていただきたいと思います。
  282. 下村泰

    ○下村泰君 こういうことはちゃんとしていただきませんと、今私が例を申し上げましたマッサージ師さんのようなことになりかねませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。  これで終わりますけれども、長官、さっき私が申し上げましたように、監督官庁がやるのと民間がやるのとでは多少ずれが出てきます。そういうことに関して総務庁長官の御意見をちょっと伺っておきたい。今後どう対応するか。
  283. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まさに一般の受け取り方はおっしゃるとおりだろうと思います。今の労働省に対する御質疑は建設的な御意見であると、かように私は理解をいたします。
  284. 下村泰

    ○下村泰君 終わります。
  285. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時一分散会