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1985-12-19 第103回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十九日(木曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十二月十九日     辞任         補欠選任      大島 友治君     藤田  栄君      矢田部 理君     大木 正吾君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 曽根田郁夫君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 板垣  正君                 大島 友治君                 岡田  広君                 川原新次郎君                 源田  実君                 沢田 一精君                 桧垣徳太郎君                 藤田  栄君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 小野  明君                 大木 正吾君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 井上  計君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        大蔵政務次官   江島  淳君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   門田  實君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   長尾 立子君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (中期防衛力整備計画に関する件) ○国家機密法スパイ防止法制定反対に関する  請願(第五号外二八件) ○傷病恩給等改善に関する請願(第一九号) ○国家機密法スパイ防止法)の制定反対に関す  る請願(第五九号外一六五件) ○防衛費一パーセント枠を堅持し軍事大国化反対  に関する請願(第九三号外五二件) ○人事院勧告完全実施に関する請願(第九五号  ) ○国家機密法制定反対に関する請願(第三五六  号外一六件) ○同和対策充実強化に関する請願(第四〇二号  ) ○国家機密法案反対に関する請願(第四〇四号外  一件) ○国家公務員等共済年金法に関する請願(第四三  二号外四件) ○国家機密法制定反対に関する請願(第四四一号  外三一件) ○国家秘密に係るスパイ行為等防止に関する法  律案反対に関する請願(第四五六号) ○国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願(第五三〇号外一八件  ) ○台湾出身日本軍人軍属補償に関する請願(第  六〇六号外四件) ○同和対策事業推進等に関する請願(第六九七  号外一件) ○人事院勧告完全実施に関する請願(第九二四号  外九件) ○国民の自由と権利を奪う国家秘密に係るスパイ  行為等防止に関する法律案反対に関する請願  (第九三二号外一件) ○台湾人日本軍人軍属補償に関する請願(第  一〇六七号) ○国家公務員への障害者特別採用制度創設等に関  する請願(第一〇八九号) ○共済年金改悪反対に関する請願(第一〇九〇号  ) ○継続審査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 野田哲

    野田哲君 まず、職域年金部分改善につきまして、私どもといたしましては、職域年金部分の乗率千分の一・五については千分の二に引き上げることを衆議院、参議院の本案の審議の過程において強く求めてきたわけであります。この点につきましては今後ぜひ前向きに検討してもらいたいと考えているところでありますが、まず大蔵省の見解を伺っておきます。
  4. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 共済年金制度は、公的年金としての性格を持っておりますと同時に、御指摘どおり公務員制度等一環としての性格を有しておるというものでございます。このために公務等能率的運営に資するという観点から、公務員方々の身分上の制約等特殊な性格にかんがみて、公務員等退職後の生活の安定と福祉の向上に資する目的でそもそもが設計をなされておるものであります。  そこで、職域年金相当部分年金水準とそれから費用負担、このあり方につきましては、民間におきます企業年金の態様、水準費用負担割合、これらを参考としつつも、基本的には費用負担します現職者負担限度年金受給者費用負担者の世代間の生活水準の均衡の必要等から判断して、厚生年金相当部分の二割程度基礎年金を含めた公的年金全体の八%程度限度である、そういうことで御審議をいただいておるわけでございますが、本委員会における審議も、これらについて先ほどの御意見のような御質疑がたくさんございました。したがって、職域年金相当部分水準につきましては、現在これは原案として御審議いただいておるわけでございますから千分の一・五の水準が妥当と考えておりますが、この水準に関しましては、今国会における審議経過にかんがみて、今後の研究課題として検討を行い、そして結論を出す、こういう考え方で基本的にまとめたものでございます。  なお、今国会における審議経過にかんがみまして、職域相当部分水準等あり方については、公務員制度そのものを所掌しておられます人事院意見等を踏まえて一両年中に検討を行い、そして結論を出す、こういうことを一応私ども考え方として統一して、きょう臨んでおるわけでございます。  一両年という言葉でございますが、これは一、二年と言いましても、何か少し漠然としておるような気がいたしますし、かつて沖縄返還のときにア・フュー・イヤーズというのを両三年以内という訳をいたしたことがございますので、一両年、こう言った方が一、二年よりはなお正確ではないかということで、このような統一した考え方でお答えをすることにいたしたわけであります。
  5. 野田哲

    野田哲君 竹下大蔵大臣、一両年という表現ですが、日本語独特の玉虫色といいますか、非常に含蓄のある言葉です。法律に書いた日本語でも、当分の間というのが戦後三十数年続いている地方事務官制度どもあるわけでありまして、法律に書いていても当分の間が三十数年に延びているわけでありますので、もうちょっとそこのところは期限を明らかにするような方法はありませんか。
  6. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは法律を通していただきますならば一応六十一年四月一日に出そろう。その出そろったぐあいをよく見ておりますと、六十二年に差しかかりますと、おおむねの傾向といいますか、趨勢といいますか、そういうものがわかってくる。そうすれば六十二年度中ということを一応言えるのじゃなかろうか。ただ、今まだ六十年度がかかっているわけでございますから、したがって六十二年度中、こう言いますと、厳密に言えばきょうから考えると一両年よりもちょっとはみ出るという感じもございます。私のみでなく政府部内の気持ちとしては六十二年度中、こういうふうに理解していただいた方がいいのではなかろうかというふうに考えております。
  7. 野田哲

    野田哲君 この問題についてきょうは人事院の方の出席は求めていないので、大蔵省の方としてはどういうふうに考えておられるか伺いたいのです。人事院調査をしてもらって報告なり意見を求める、こういうふうに伺っているわけですが、これは手続的にはどういう手続がとられるわけですか。何か法文上の根拠に基づいて求められるのか、それとも総務庁、昔の総理府ですが、退職手当問題等についていつか行政的に頼んでやってもらったというようなやり方とか、何か手続で決まったものがあるのですか。
  8. 門田實

    政府委員門田實君) 手続お話でございますが、手続として特に何か決まっておるというものはないわけでございます。ただ、この職域年金相当部分といいますのは、公的年金の中でまさに「公務員制度等一環として」という色彩が強いものでございますから、共済年金を所掌いたします私どもも今後とも十分勉強してまいりますが、公務員法上、人事院意見を申し出るという権限があるわけでございますから、人事院の方におかれましてもこれを十分検討されると、こういうお考えのようでございますから、人事院の御意見も聞き、我々の勉強もあわせ、そうしてさらに今後考えていきたいと、こういうことでございます。
  9. 野田哲

    野田哲君 今言われた国家公務員法の中にこれらの問題について人事院意見を述べる規定がたしかあったと思うんですね。それによって行われると、こういうことでいいんですか。
  10. 門田實

    政府委員門田實君) 国家公務員法の第百八条に「人事院は、前条」、つまり百七条でございます、「の年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見国会及び内閣に申し出ることができる。」と明確に書いてあるわけでございまして、御指摘のとおりでございます。
  11. 野田哲

    野田哲君 私も、党を代表して年金問題についての今回の改革案についての折衝の衝に当たってきたわけですが、今の時点でも一番頭に強くのしかかっているのは既裁定者スライド停止という問題であります。竹下大蔵大臣のところにもいろいろ声は行っていると思うんですが、大蔵大臣のところはいろいろ手続を経なければ、我々と違って、該当者の方はなかなか行けない。ところが、私どものところへはもう出入り自由でありますから、毎日先輩が押しかけてきまして、非力な野党の一理事のところへまで非常に真剣な顔つきで押しかけてこられているわけであります。  この既裁定者のうちで、一般方式適用者通年方式裁定がえをして、従前額は保障した上で毎年の年金額引き上げによってその金額に達するまでスライドを停止する、こういうことになっているわけでありますが、これについてはスライド停止は行わないような検討を行うべきではないかと思うんですが、これは大臣、いかがでしょうか。
  12. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、私どもの方へも先輩、あるいは同僚といいますか、大概それぐらいの年齢にこちらもなっておるわけでございますから、そういうお話はございます。ただ、議員会館の方はどっちかといえば歩行者天国でございますし、役所というのは割に窮屈でございますので、お会いする機会の度合いは確かに今おっしゃったように野田さんの方が恐らくはるかに多いだろうというふうには思いますが、現役と退職者との給付水準バランス給付負担バランスを図るということになりますと、既得権期待権との問題からして、給付負担バランスを図るためにこれは必要なものではないかということでございます。  したがって、この問題については、私どもといたしましては、今日皆さん方の御理解を得ていくということが最も必要なことではなかろうか、極力趣旨を御説明申し上げ、御理解を得ていくというための努力を払わなきゃならぬ課題だというふうに考えております。
  13. 野田哲

    野田哲君 これは後で連合審査のところでも総理にもただしたいと思っているわけでありますけれども、今度の共済年金制度改革案、これはことしの初めの総理施政方針演説では行政改革の柱として考えている、こういうふうに述べておられるわけであります。ところが、その行政改革の柱として考えている共済年金改革については、共済年金だけを行革審や臨調は言っておられないんですね。恩給年金についても共済年金バランスを考えて見直しを行え、こういうふうになっているわけです。  ところが、恩給年金については従前からの方式はずっと継続される、そして共済年金についてはスライド停止が行われる。そして今の既裁定者恩給期間共済期間と両方にまたがっている人がほとんどなんですね。そういう点からすると、これは恩給との間に非常なアンバランスが起きてくるわけでありますが、その点についてはどういうふうに考えておられるわけですか。
  14. 門田實

    政府委員門田實君) ただいま恩給共済との関連について御指摘があったわけでございますが、私ども考え方は、恩給共済とは区別して取り扱うと、こういう考え方に立っておるわけでございます。  その理由なんでございますが、共済組合法を三十四年に施行いたしまして以来、その施行以後は恩給期間と一体として従来から扱っているということが一つございます。  それからまた、かつて通年方式といいますものを共済年金に導入いたしましたが、これは恩給期間を有していて、その計算によりました場合よりも通年方式でやった方が有利な人には共済通年方式というものを適用するんだということで、恩給とは切り離した考え方というのがそこにも一つあったわけでございます。  また、制度の移行の際に、恩給制度から現行共済制度へ移行しました場合に退職手当増額措置等が行われまして、そこのところも調整がなされておるというようなことがございます。  したがいまして、恩給とのバランスが崩れるんではないかというお話なんでございますが、そこのところはあくまで、三十四年に共済制度が発足しましてからは共済としての扱いでやっていく、それを引き続いて今回の措置にも適用いたすと、こういうことをいたしておるわけでございます。
  15. 野田哲

    野田哲君 今のお答えですが、それは制度としては、恩給恩給法共済制度共済法ということで異なっているわけであります。ただ、私が今考え方を聞いているのは、この共済年金制度改革について、ことしの施政方針演説の中でも、総理行政改革の柱としてと、こういうふうに位置づけられている。行革審から指摘をされているのは、共済年金も統合、そして共済年金恩給年金についてもバランスをとって見直しなさいと、こうなっているわけです。ところが、この恩給の方は手つかずでそのまま存続する、共済年金だけは行政改革の柱として今回の改革を行う。これでは行革審指摘をつまみ食いで今回の改革が行われようとしている、こう指摘されてもしようがないんじゃないですか。これは大蔵省所管でないからあなた方は答えにくいかもわかりませんが、後で総理にもただそうと思っているんですが、そういうことにはなりませんか、片手落ちではないですか。だから、これは総合的に全体が見直されるということであるならば、それなりに対応の仕方があるんですけれども共済年金制度については、恩給期間共済年金期間とまたがっている人が今の既裁定者ほとんどなんですから、したがって恩給がそのまま存続されるのであれば、既裁定年金者の問題についてもバランスを欠かないように扱われてもいいんじゃないか、スライドの問題については。こういうふうに考えるんです。
  16. 門田實

    政府委員門田實君) ただいま御指摘ございました恩給の方のことでございますが、これにつきましては、恩給局の方でこういった公的年金全体の見直しが行われました以上、恩給公的年金ではないという立場はとっておりますものの、恩給についても見直しが必要であるということで、その作業にかかっておると、こういうことを答弁いたしておりました。私ども恩給の方の見直しにその点は今後の進捗を見守ってまいりたいと、かように思っております。  それから恩給共済と両方ある方についてのお話の中で、一点だけあえて申し上げておいた方がいいと思うんでございます。いわゆる恩給老齢加算といいますものがございますが、これにつきましては、今回の措置におきましても、これは筋の通った七十歳以上の者につきましてそういう加算があるということは、真にそういった年金が必要な時点で必要なことであると、こういう見地に立ちまして、従前額についても老齢加算分につきましてはスライドを行うことといたしております。若干技術的でございますが、七十歳以上の老齢者の方につきましては、年金額全体では四分の一程度スライドは行われるものと、こういうふうに期待いたしておる次第でございます。
  17. 野田哲

    野田哲君 恩給との関係は所管外でのことでもありますから答えにくいと思いますので、あとはまた連合審査のときにただしてまいりたいと思います。  次は、懲戒処分による支給停止の問題について質問をし、確認をしておきたいと思うんです。懲戒処分等による支給停止、これは職域年金部分の乗率千分の一・五のうち、本人掛金部分を除く半分を対象とするよう政令措置すると、こういうことに確認をしてよろしゅうございますか。
  18. 門田實

    政府委員門田實君) この懲戒処分による支給停止の話でございますが、この職域年金部分が、公務特殊性に基づく制度であるということから、私どもといたしましては、共済法目的と相入れない法令違反行為等がありました場合には、一定の給付制限を行う必要があると、こういうふうに考えております。  今お尋ねのございました懲戒処分等による給付制限の場合でございますが、御指摘のように、具体的には細目は政令で定めると、こういうことになっております。私どもといたしましては、御指摘の点を踏まえましてそのような趣旨政令案検討してまいりたいと、こう考えております。
  19. 野田哲

    野田哲君 もう一つこの件ですが、支給停止本人が死亡した場合、遺族には支給停止措置は及ばない。職域年金部分全額遺族年金算定基礎となる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  20. 門田實

    政府委員門田實君) 懲戒処分等による給付制限がありました場合、その方が例えば亡くなられたとか、そういうことであろうかと思いますが、この懲戒処分等を受けた場合の給付制限本人年金について行うものでございまして、その遺族につきましては給付制限は行わないと、こういうことにいたしております。
  21. 野田哲

    野田哲君 公的負担カット返済について伺いたいと思います。  この行革関連一括法案以来、共済年金についても公的負担分が四分の一カットされているわけでありますが、これは大体今金額では累積額どのぐらいになっておりますか。
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 行革関連特例法に基づく五十七年度から六十年度までの国庫負担四分の一カット累積額につきましては、厚生年金九千四百七十億円、船員保険六十七億円、国公共済三百七十八億円、地公共済二百七十二億円、私学共済七十六億円、農林共済二百二十七億円、合計一兆四百九十億円となっております。
  23. 野田哲

    野田哲君 これは大臣、利子をつけて返すことになっていると思うんですが、いつ、どういう形で返還をなさるわけですか。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ここのところが毎度御議論の中心になるところでございますが、行革関連特例法によります年金国庫負担減額分返済具体的内容につきましては、今後の国の財政状況を勘案する必要がありますため、現時点で明らかにできないところでありますが、政府としては国の財政改革をさらに一層強力に推進するなど誠意を持って対処し、今後積立金運用収入減額分を含む年金国庫負担減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手する所存であります、このように今日までお答えしてきておるところであります。
  25. 野田哲

    野田哲君 よその財産を借りておいて返すめどは明確にしないというのは大蔵省だからできることですね。これはほかのところではとてもこういう借金の仕方は通用しないと思うんです。これはできるだけ早く計画を明示されることを希望しておきたいと思うんです。  次は、若干事務的にわたることですけれども共済組合短期給付の問題について伺っておきたいと思うんです。今度の改正によって共済組合短期掛金上限現行の本俸四十六万円から諸手当を含めた給料の四十七万円ということになる。手当率を二五%とすると、短期掛金上限は三十六万八千円に下がることになるわけであります。そうすると、大体課長補佐以上の人々の短期掛金は三十六、七万円のところで頭打ちになって、負担が軽くなるわけであります。だから、審議官保田次長やその後ろの方に控えておられる方々は大体頭打ちで軽くなることに該当するわけですね。結局それだけ若い職員、低所得の職員公務員のところにしわ寄せが行くのではないかと思うので、これは大変不合理な問題が起きるのではないかと思うんですね。健康保険法の方を見ると、掛金上限は七十一万円になっているわけです。健保法改正もあったのでありますから、この短期掛金上限をもうちょっと考えるべきではないか、こういうふうに考えるんですが、これは検討気持ちがありますかどうか。
  26. 保田博

    政府委員保田博君) 御指摘のように、今回の法律改正によりまして、国共済等短期給付掛金算定基礎、これは標準報酬制を採用することにいたしました。その結果としまして、掛金率が多少皆さん、全員について低い方に調整をされることになります。したがいまして、御指摘のように、現在その上限に張りついている、我々という御指摘もございましたが、我々も含めまして、多少その恩恵にあずかるという結果になるわけでございます。  これはなぜそうなったかと申しますと、現在の国共済制度というものは、長期給付短期給付をあわせて行う総合的な保険制度であるということから、事務簡便化といったような観点も含めまして、長期についても短期についても同一の標準報酬保険料算定基礎とするといったことによりまして、このような結果になったわけでございます。その結果として、保険料率頭打ちになる人たち割合というのは、現在の行政職(一)並びに我々を含めました指定職を合わせまして、比率にしまして一・四%になっておるわけであります。御承知のように、健康保険法におきまして標準報酬上限弾力条項を適用する場合の基準が一応三%ということになっておりますので、現在の一・四%ということとこの健康保険法の三%とを比べますと、まだ多少余裕があるのかなということで、このような制度をとったわけでございます。  ただ、今後この運営の様子を見まして、一・四%がだんだん三%に近くなるといったようなことになりますれば、事務簡便化というメリットと、いわゆる高給者保険料率が相対的に低くなるといったデメリットとの勘案によりまして将来検討可能性は残されている、そういうふうに考えております。
  27. 野田哲

    野田哲君 もう一つ共済短期の問題なんですが、共済短期保険料負担、これはフィフティー・フィフティーになっていますね。ところが、健康保険組合の場合には平均で事業主が五七%、それから労働者側が四三%、さらに政管健保の場合には一六・四%の国庫負担が入っているわけでありますから、労働者負担は四一・八%、こういうふうになるわけです。これはもう明らかに官民逆格差が生じているわけであります。将来的な税負担保険料負担等の増大をも考えると、この負担割合については是正を考えるべきではないかと思うんですが、この点いかがですか。
  28. 保田博

    政府委員保田博君) 我が国の社会保険制度は、使用者と被用者がその費用を折半するという原則で成り立っておるわけでございます。御承知のように、社会保障の分野におきまして国庫負担をどの程度入れるかという点につきましては、昭和三十年代のたしか後半だったと思いますが、社会保制度審議会の御提言がございます。その提言は、要約をいたしますと、社会保障の分野では、まず国庫負担の導入を考えるべきものは最貧階層、いわば生活保護階層に対する公的な援助が第一である、それから第二番目は、当時は衛生状態も必ずしもよくなかったといったようなことだと思います。社会防衛の見地からする公衆衛生の分野、これは全面的に国のお金あるいは地方公共団体のお金をもって施策を行うのが当然である。そういうものを除きまして、いわば最貧階層あるいはさらにその上の階層以外の、いわば自立できる国民は、将来の老齢でありますとか疾病に対して備える社会保険という分野には原則として国庫負担は入れるべきではない。ただ、それぞれの保険制度が成り立っていかないといったような場合に限定的に国庫負担を入れるべきである。そういうふうな原則が提言されておるわけであります。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、いわゆる自立できる階層の社会保険に対しては国庫負担をむしろ入れないのが原則である、そういうふうに理解しておるわけであります。ただ、それではとても成り立っていきませんので、例えば疾病の分野でいいますと、国民健康保険については巨額の財政負担をさせていただいておるわけでございます。中小企業の政管健保につきましては、御指摘のようなことで、現在一六・四%の国庫負担を導入いたしておりますけれども、その残余につきましては使用者と被用者が五対五で持っておる、こういうことでございます。大企業による健保組合につきましては、その社会保険については国庫負担を原則として入れないということで、これについては国庫負担を入れないで原則は五〇、五〇で労使が持つわけでございますが、いわばこれは一つの企業の中の厚生福祉といったような観点から、企業側が特に持ち出しをしておる結果として、御指摘のような事業主が五七、労働者が四三、そういう費用負担になっておるわけでございます。  ひるがえって国共済等短期給付保険制度を考えてみますと、いわば使用者が国であり、かつまた被保険者は国家公務員という比較的しっかりした階層でございますので、これにつきましては国辱負担を導入していないわけでございます。したがいまして、その国庫負担を入れないで、結果としてフィフティー・フィフティーということで保険料負担し合っておるわけでございます。  これは将来再検討の余地がないかということでございますけれども、先ほど来申し上げましたような原則からいって、この比率を変えることは非常に難しい。しかもこれの国庫負担割合をふやすということになりますと、そのしりは結果として国庫に、言いかえますれば国民の租税負担にはね返るということにもなりますので、この比率を将来見直すということはなかなか難しいことではないかと、こういうふうに考えております。
  29. 野田哲

    野田哲君 これはぜひ検討してもらいたいと思うんです。  そこで、次の問題に移りたいと思うんですが、大蔵大臣、今度の共済年金制度改革案にはどうしても私ども納得できない。言うならば、今回の共済年金制度改革のワーストワン・ワーストツーというのがあるわけです。一つは、先ほど言いました既裁定者年金スライド停止、それからもう一つ共済年金算定基礎のとり方、これがワーストツーですね。これさえなければこんなに審議が長引くことはないんであります。ここのところが一番の問題だと思います。  国家公務員共済年金算定基礎のとり方、これが一番問題なんですね。これは将来の一元化に向けて標準報酬にする、こういうふうになっているわけでありますけれども、もともと民間企業の労働者公務員の場合の賃金体系が違う、その違いの点から見て、その基本の調整が現段階では考えられていないわけであります。  例えば公務員の給与制度一つ考えてみても、通勤手当の問題、これが加味されることになっているわけであります。通勤手当というのは要するに実費弁償でしょう。そして、東京とかあるいは関西とか、こういう大都市圏については、住環境等の問題もあって通勤圏が非常に広いわけであります。それに対する実費弁償的な制度として通勤手当制度があるわけでありますが、これが算定基礎に入っている。だから、例えば一つの例をとると、同じ役所で同期に公務員になってテーブルを並べてずっと仕事をしてきた者が、通勤場所の長い短いによってそれが全部掛金にもかかわり、年金にかかわっていく、これは大変な矛盾じゃないかと思うんです。だから、そういうものまで加味した算定基礎のとり方というのは、これは検討すべきではないか。そういう点で私たちは、公務員の給与体系あるいは勤務の関係、こういうものを考えてみた場合に、本俸に対して補正率というものを乗じて、そういう方式算定基礎にした方がより適切なんじゃないか、特に給与制度の面から見て。こういうふうに考えるわけでありますが、この点について私どもは修正すべきではないかという見解を今でも持っているわけであります。そこのところ実際、政令あるいは事務処理、こういう段階になって、何かそこにそういう矛盾の解決策として検討すべきものがあるのではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  30. 門田實

    政府委員門田實君) ただいまお話がありました点は非常に議論のあったところでございまして、諸手当の中で臨時的なものは除いていく、こういう考え方はあるわけでございますが、そういうもの以外はむしろ全体としてこれをつかまえていく、その方が実態を反映し、また事務の簡便からもその方がいいであろう、あるいは厚生年金もそういうことをやっておる、こういうことでそういう踏み切りをいたしておるわけでございます。  その際に、個々の手当の中で、今お話しございました通勤手当あるいは住宅手当、こういったものが個々にはその性格上問題ではないかという御議論も何回もちょうだいいたしておるわけでございます。この議論はさらにいきますと、例えば調整手当ですらいいのかどうか、こういう御議論もさらにあるわけでございますが、私どもといたしましては、臨時的なものは当然これは除いていく、しかしその余のものにつきましては、全体としてこれを把握していって、標準報酬というとらまえ方で厚生年金同様にやっていく方が適切であろう、こう考えたわけでございます。  ただ、今後の問題といたしまして、お話しのように手当の中に個々に議論のあるものも確かにあるわけでございますから、これは厚生年金等も含めまして、今後標準報酬というものをさらにどういうふうに考えていくかという勉強は今後とも続けてまいりたい、かように考えております。
  31. 野田哲

    野田哲君 そこで、厚生年金等との関連ということも考えてというような意味のことを言われたわけですけれども、まず共済年金制度として、今度このまま政府の原案が成立をしたことになると、たちまち昭和六十一年四月からの発足ということになると、今の私が指摘したような問題が処理されていくことになるわけでありますけれども、具体的に制度見直しというものはやってもらわなければならぬと思うんです、この点については。見直しをやってもらわなければならないが、政令なりあるいは事務処理で検討の余地はないのか、明らかにそういう矛盾、問題点をはらんでいるわけでありますから。その点はどうですか。
  32. 門田實

    政府委員門田實君) 手当といいましてもいろいろあるわけでございます。個々の手当の中で臨時的なものにつきましては、これはさらに検討していきたいと思いますが、さしあたって今すぐ政令上御指摘の点が直ちに措置できるということではございませんので、これは検討課題にさしていただきたい、かように考えます。
  33. 野田哲

    野田哲君 検討課題にぜひしてもらいたい。臨時的な手当の範囲といってもいろいろ解釈があるわけでありますから、ずっと先の問題ではなくて、直ちにこの法の運用の中で検討課題にぜひしてもらいたい、このことを強く求めておきたいと思います。これは附帯決議にもあるわけでありますから、ぜひお願いをいたしたいと思います。  次は、支給開始年齢の問題について伺っておきたいと思います。  附則が六十歳、本則六十五歳、こういうふうになっているわけでありますが、公務員共済年金退職年金であることを踏まえて、定年制の延長がない限りは六十歳支給開始を変更すべきではない、こういうふうに思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  34. 門田實

    政府委員門田實君) 御指摘のように法律上本則は六十五歳、しかし実際上六十歳、こういうことになっております。またさらに経過的に、今昭和七十年六十歳というものを目指して経過期間中でございますから、実際には五十六歳、五十七歳、そういった段階で支給が行われる、こういうことでございます。  お話にございましたように、この年金の支給開始年齢といいますのは、年金だけで取り出して何か考えていくということは不適切であろうと思うわけでございまして、雇用の状況等いろんな条件とあわせ考える必要があるわけでございます。公務員の場合にも、お話のように現在定年制六十歳、こういうことでございますから、今後ともそういったもろもろの条件、こういうものを考えながら支給開始年齢の問題は考えるべきである、そういうふうに考えております。
  35. 野田哲

    野田哲君 これは行革審あるいは臨時行政調査会の提言、答申等を見ても、あるいはまた経済審議会等の経済社会の「発展と展望」の提言を見ても、雇用と年金の継続ということはいろいろな提言がこぞって指摘されていると思うんです。だから、本則六十五歳で附則が六十歳と、こうなっているわけです。これは本則ということになると定年の延長がない限りは空白期間が起きるわけでありますから、六十歳支給開始、これはきちっと守ってもらいたい、こういうふうに重ねて要望しておきたいと思いますが、いかがですか。
  36. 門田實

    政府委員門田實君) 本則六十五歳といたしましたのは、厚生年金の方でそういうことをいたしておりますので法形式をそろえるという意味合いで、そういう整合性を保っていくという意味合いでそういうふうにいたしたわけでございまして、私どもも現在六十歳というものを基準に考えて経過的な措置を積み上げていく、こういうことをやっておるわけでございまして、お話のとおりでございます。
  37. 野田哲

    野田哲君 もうあと数分になりましたので別の問題で伺っておきたいと思うんです。  本委員会審議でも掛金の問題が余り議論をされていない、いわゆる組合員の負担の問題。その掛金の問題でありますが、現在共済組合掛金国家公務員の場合には本俸の七・一二%に国鉄共済分の〇・五三%を加えた七・六五%、同様に電電が七・一三%、たばこ産業が八・六八%、国鉄の場合が一〇・二%、こういうふうになっているわけです。  今回の改正法案によると、諸手当を含めた標準報酬制をとっており、掛金算定の根拠となる基礎俸給が変わるわけでありますが、この法律がスタートするであろう来年四月からの掛金率は一体どのようになっていくのか、今後の推移はどうなるのか、この点示してもらいたいと思います。
  38. 門田實

    政府委員門田實君) ただいま掛金率お話がございましたが、今回の改正案は非常に大幅な制度改正でございます。また御指摘ございましたように、給付保険料算定基礎として標準報酬制を導入するというようなこともいたしております。  いずれにいたしましても、これらに伴って掛金率見直しを行うことが必要になってまいります。昭和六十一年度以降、具体的に掛金率をどういうふうにするか、これは今回の法改正をお認めいただきました後、これを踏まえまして財政計算を行う必要がある、こういうことでございまして、今後算定していくということでございます。  ただ、大まかな展望というものは私ども持っておるわけでございまして、今後標準報酬制に移行いたしました場合、現在の掛金率といいますのは対標準報酬に置き直しますと千分の百十四、これが保険料率でございます、このうちの半分が掛金になるわけでございます。保険料率千分の百十四、こういう姿になっております。これが現行のまま参りますと、例えば昭和九十年度あたりになりますと千分の三百八十七といったような、四倍近い数字になるわけでございますが、今回の改正ではこれが例えば昭和百年度あたりで千分の二百九十六になる。仮に六十五歳支給ということがありますと、この数字は千分の二百五十程度になる、こういうことでございます。  当面、来年度からどういうふうになるか、こういう点につきましては、財政計算を行う必要があるわけでございますが、よく御議論に出ますように本俸に対する諸手当等が二五%程度だと、こういったような仮定を置きますれば、現在の本俸に対する、ただいまお話ございました千分の七十一・二という数値はおおよそ千分の五十七、こういう数値になるわけでございまして、いずれにいたしましても、こういった掛金率の改定を行うということを考えておるわけでございます。
  39. 野田哲

    野田哲君 これは大変な負担になるわけでありまして、基本的にはこれは連合会でやるわけですね。しかし、それにしても今のような試算ではなかなか附帯決議にあるような、組合員の理解や協力を得られるような数字ではないと思います。  この掛金率というのは、現在の掛金率は平均余命などの数値に基づいて、保険数理に基づいて掛金率を算定しているわけですが、今度の改正案によりますと、既裁定年金をストップするとか、あるいは併給禁止をするとか、非常に支給制限を強化する、あるいは無業の配偶者の保険料を徴収しないとか、基礎年金の拠出金を出すとか、いろいろ新しい要素が加味されて掛金率が算定されることになると思うんですが、掛金率を新しく今示されたような見込みの掛金率を算出する基本的な考え方というものはどういう考え方に立っているわけですか。
  40. 門田實

    政府委員門田實君) この掛金率の算定につきましては、国家公務員共済組合法第九十九条というのがございまして、「長期給付に要する費用については、その費用の予想額と」「掛金及び負担金の額並びにその予定運用収入の額の合計額とが、将来にわたって財政の均衡を保つことができるようにすること。」と、こういう規定がございます。要するに、給付の方に係る費用とそれに対してもろもろの収入的な方のものとをバランスするように将来にわたって数理計算をして出していく、こういうことでございますが、ただいま先生からお話ございましたようなそういったもろもろの点は、いずれもこの計算に織り込んで出していく必要があるわけでございまして、御指摘のような点は今後の計算に反映してまいると、こういうふうに考えております。
  41. 原田立

    ○原田立君 大蔵大臣、ことしの二月二十八日に国家公務員共済組合審議会に共済組合改正案要綱について諮問なさったが、この答申が使用者側、公益側委員意見と、労働側委員意見と二つに分かれて答申がなされているんだけれども、大体答申というのは十分話し合ってまとまったものが来なければ政府としても対応に困るんじゃないかと思うんです。こういうような両論併記の答申というのは好ましくないんじゃないかと思うんですが、またどういうふうに取り入れられたか、その点お伺いしたい。
  42. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 原田さんの御意見ですが、この種の答申というのは、これはいろいろ議論された結果一本化されたものがちょうだいできるというのがもちろん私も最も望ましい姿であると思っております。御指摘のとおり公益側・使用者側からは「年金改革の基本的方向からすれば、やむを得ない選択である」。それから労働者側委員からは、今回の基礎年金制度の導入は容認しがたいとの理由から反対の立場の意見表明が行われた。このことは、最初申し上げた精神から言えば、三者一本の答申を得ることが好ましいわけでございますから極めて残念であったと言わなければならないと思っております。  これはいささか政治家の議論でございますけれども、私はこの種の答申をちょうだいするときに、反対の立場であってもなお答申してやろうというのは、手続だけは踏んで政府に選択権をゆだねてやろうというある種の善意というものもまたあるんじゃないかということをいつもこの種の答申をいただくたびに感ずるわけであります。かれこれそれらを総合いたしまして、意見の相違はありましたが、答申の中で労働側委員から出されました意見につきましても、例示で申し上げますと、公務員特殊性から職域部分を厚生年金に上積みした、これが一つ、それから懲戒処分等による給付制限の対象を職域年金部分のみに限定した、それから三つ目は、支給開始年齢について経過措置を設けた、そういうとり得るものにつきましては取り上げて御審議をいただいておるというのが素直な私の感じと現状認識でございます。
  43. 原田立

    ○原田立君 公益側委員の方からの意見で、給付面あるいは「保険料については、その設定基準等について、全公的年金制度を通観する立場から総合的に検討する場を速やかに設けるべきである。」、こういうふうにありますが、場を設けるべきであるというこの場はもう決まったんですか。それとも、今後どんなふうになさるんですか。
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この法律を通していただきますと給付面の一元化がほぼできた。そうすると今度は負担面ということがございますから、各種制度間いろいろな問題がございます。公の行政サイドから言いますと、閣僚協議会とか、そんな形が考えられますが、もっと広く意見を聞く場というものが必要だというたびたびの御指摘、私どももそのように感じ取っております。それは何かつくらなきゃいかぬなという問題意識は十分に持っておりますが、まだ今できておるわけでもございませんし、どのような形の場をつくるかということは本院等における議論等を集約しながらこれから決めていく、こういう手順になろうかと思います。
  45. 原田立

    ○原田立君 その「場を速やかに設けるべきである。」というその次の行に、「国鉄共済年金に対しては、当面、国家公務員等の共済組合の拠出によって」云々とあって、「六十四年度までが限度である。」と。それ以後については速やかにしっかりやりなさいというふうな答申が出ている。  で、その六十五年度以後についてはどうなるのかというようなことが問題になるわけでありますけれども、これは後、時間があれば国鉄問題にちょっと触れたいと思いますが、今答弁ができればしてください。
  46. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国鉄共済に関する問題であろうと思っております。たびたび申し上げておりますが、官房長官の方で整理していただきました統一見解、いろいろ議論いたしました経営形態の動向とか自助努力とか「以上については、昭和六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ることといたします」。これも今原田さん御指摘なさった六十四年度まで、こういうことでございます。「六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう措置いたします。」というところまでが私どもがお答えをいたしておる統一答弁ということで官房長官のところまでまとめていただいたものでございます。
  47. 原田立

    ○原田立君 労働側委員の方からの答申で三番目に、「基礎年金制度を導入することにより、婦人の年金権を確保し、さらには無年金者の解消を図ることが期待されているが、共済組合制度の中においては、その効用は期待できない。」、こういう指摘がありますけれども、どうお感じですか。
  48. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題は確かにございますが、いわばこの御意見の裏と申しますか背景には、言ってみれば、「その効用は期待できない。」、すなわち金額が少ないという趣旨の背景でございました。私どもといたしましては、このたびは婦人の年金権の確保という点について成案を得て御審議をいただいておるということでございますので、これの背景の金額の多寡という問題につきましては議論のあるところでございますが、それなりに意見を反映さしておるではなかろうかというふうに思っております。
  49. 原田立

    ○原田立君 国家公務員共済年金の場合、現行制度のような給付水準を期待し厚生年金に比べて比較的高い掛金を納めてきたはずでありますが、改正に伴い財源率、掛金率はどの程度となるのかお示し願いたい。
  50. 門田實

    政府委員門田實君) 技術的な点でございますので私からお答えいたしますが、一般の国家公務員について申し上げますと、先ほどもちょっとお話しいたしましたように、現行給付水準をそのままにいたしました場合には、保険料率は対標準報酬ベースで現在の千分の百十四、これが昭和九十年前後には千分の三百八十七と約四倍近くになりまして、負担の限界を超えるというふうに判断いたしております。今回の改正案の場合には給付負担バランスを図って給付水準を適正化する、こういうことをいたしておりまして、ピーク時の昭和百年ごろ保険料率は千分の二百九十六と現在の約三倍程度に抑えられるということでございます。しかし仮に将来、支給開始年齢が六十五歳になった場合を想定いたしますと、ピーク時の保険料率は千分の二百四十六と現在の二・五倍程度にとどまる、こういうことでございまして、何とか負担の限界内に抑えられるのかな、こういう考え方をしておるわけでございます。
  51. 原田立

    ○原田立君 審議官、その千分の二百四十六ですか、あなたの方からもらった数字では、昭和百年には千分の二百九十六という数値の資料をもらっている。またこれは共済とは別で、厚生省の山内大臣官房審議官は、厚生年金は千分の三百八十八ぐらいまでなるだなんというようなことを言っております。前に共済年金制度基本問題研究会から昭和五十七年七月十四日に意見として出されているのがありますが、負担の限界領域というものは大体千分の二百から千分の二百五十というふうなことの意見が出されておりますけれども、そうすると、高い方の千分の二百五十の方の分に相当するものでいくという、そういうことですか。
  52. 門田實

    政府委員門田實君) 改正後の数字で二つ申し上げました。ちょっと混乱があったのでもう一度申し上げますが、六十歳支給でまいりますと千分の二百九十六になります。仮に六十五歳支給になりますと千分の二百四十六でおさまる、こういう数字でございます。  そして今負担限度の話がございましたが、保険料負担の限界をどういうふうに考えるか、こういう問題だろうと思います。これは年金掛金のみだけではなくて、医療保険の掛金あるいは租税負担、毎月の月給からこういうものを引かれておりますので、そういったものを総合的に考慮する必要があるであろう、保険料負担だけを取り出して限界を言うということはちょっと難しいのではないか。こういうふうに考えております。  ただ、先ほど具体的に基本問題研究会のケースを引いて御説明がございました、その千分の二百ないし千分の二百五十が負担の限界ではない年その研究会で確かにそういう議論をいたしておるわけでございます。これはその当時におきまして、西ドイツ等諸外国で年金保険の負担を日本流のベースに置き直しますと千分の二百五十ぐらいに相当する、こういった水準であったわけでございまして、この辺が一つ限度ではなかろうか、こういうことを共済研の中では言っておるわけでございます。私どもも先ほど申し上げましたように、負担限度といいますのは一義的には言えないと思いますが、しかし例えば千分の二百五十という負担はもう相当高い負担である、限界に近づきつつあるような、そういう負担ではなかろうかというふうな考え方をいたしております。
  53. 原田立

    ○原田立君 今度共済年金にも基礎年金を導入するということになったわけでありますけれども、国民年金保険料の免除者が現在一七・四%もあり、非常に高い数値を示しているわけでありますが、法定免除者八十七万人、申請免除者が二百三十一万人、合計三百十八万人。強制加入者千八百三十万人のうちの数でありますから、五・七人に一人ということになるわけで、国家公務員の人はこういう免除者なんか出ることはなかろうと思いますけれども年金制度全般から見ると、この基礎年金の法定免除者あるいは申請免除者がふえるということは年金制度全体にわたって非常に大きな弊害が出てくるんじゃないか、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
  54. 門田實

    政府委員門田實君) お話のとおりだと思います。この点につきましては、国家公務員共済組合審議会の答申におきましても実はそういう心配をいたしておりまして、基礎年金制度の実施に当たっては、非被用者グループ、つまり自営業者等でございますが、そういったグループの管理を厳格に行う等、将来的に見て被用者グループ、サラリーマングループに負担が転嫁されることのないよう特に留意すべきである、こういう御意見も出されておるわけでございます。他の制度のことでございますから申し上げにくい点もございますが、基礎年金制度を真に実効あるものにしていくためには、今お話のございました国民年金保険料の未納者、こういった人をなくしていく、あるいは免除者等につきましてもその認定等につきまして厳格に運用していくことが必要だ、こういうふうに考えます。費用負担の面につきましても、いわゆるサラリーマンとサラリーマンでない者との間において公平であることが基本だと、こういうふうにも思いますし、先生御指摘のように、そういった視点をもっと重視していかないと基礎年金制度の今後の順調な発展というものは望めないんではないかということで、その点は非常に大切な点である、こういうふうに考えております。
  55. 原田立

    ○原田立君 法定免除者に対して申請免除者が約七三%と非常に多いわけでありますし、また現在六千八百円の人が一万三千円も払わなきゃならない、倍以上払わなきゃならない、そういうようなことが理由だろうと思うのです、申請免除者のふえるのは。これと同じように、共済年金国家公務員にしても掛金がぐんとオーバーになっていくことは生活の圧迫、いろいろな面で悪影響が出てくるんじゃないか。こう思うのですけれども、その点はいかがですか。
  56. 門田實

    政府委員門田實君) おっしゃられるように、今回のこういった改正の仕事をやっておりましても、今後の高齢化社会の到来ということを考えますと、どうも今の若い世代が今後非常に大変な負担を受けることになるのではないかということを私どもも非常に心配いたすわけでございます。したがいまして、年金制度、非常に長い年月の中で何十年か加入して保険料を納め老後になって年金を受け取る、こういう制度でございますが、受給者のことももちろん考えなくちゃなりませんが、若い世代のそういった負担、そういうことも十分に考えて、そこに給付負担バランスを図って今後の世代が負担できる限度内のものにしていかなくちゃならぬ、こういうことに特に留意いたしたつもりでございます。
  57. 原田立

    ○原田立君 今の厚生省に関連している問題はどんどん答えてくださいよ。門田さんは大蔵省で、場違いだなんてそんなことを答弁で言われたんじゃ困るんです。  政府が大々的に国民に呼びかけ宣伝している全国民共通の五万円基礎年金は、多くの人に保障されないことになるわけであります。一方では、国民年金財政に多大な悪影響を及ぼすことは明らかであります。この点いかなる対策で臨むつもりでいるのか。無年金者に対してはどうするのか。制度的に欠陥があると思うが、御説明願いたい。
  58. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 先ほどの免除の問題でございますが、国民年金の被保険者の場合には他の被用者グループの方々とは違いまして、職業を持っておられない無職の方、いわば病気で療養中の方といった方々も被保険者の対象となっております。したがいまして、こういった免除の制度があるわけでございますが、免除を受けられました場合には、その方の給付国庫負担の三分の一だけの給付ということになるわけでございまして、そういう意味ではほかの方の保険料を回していただくという仕組みではないわけでございますが、こういった免除の方が多くなりまして、その方々年金水準が低くなっていくということはもちろん皆年金の基本的な精神から見まして望ましいことではないと私どももちろん考えております。したがいまして、免除の制度の適正な運用ということについては今後も努力をさせていただきたいと思います。  先生が今御指摘のもう一方の無年金の問題でございますが、今回成立いたしまして六十一年四月から施行になります新国民年金制度におきましては、制度的に無年金者を生むことのないような幾つかの対策をとっております。一つは、外国におられます場合、人生の一時期を外国でお過ごしになられました場合に無年金になる可能性があったわけでございますが、外国在住の場合も国民年金に加入することができる道を開きましたことと、従来六十歳から六十五歳までの期間は保険料を納めることはできない、被保険者となることができなかったわけでございますけれども、お若いときに保険料の滞納があったという場合には、六十から六十五の間にその期間に任意加入していただきまして、その期間を埋めることができるというような対策を講じたわけでございまして、制度的にはこういった無年金対策をとったわけでございます。  もう一つは、滞納期間が非常に多くなるということによりまして無年金になる方々への対策の問題でございますが、これは社会保険庁といたしましては、現在滞納されておられます方は五%程度ございますけれども、この方々への滞納しないようにというような呼びかけということを熱心にやらさしていただきたいと思っております。  それからもう一つは、先生の御指摘の御趣旨はこういうことではないかと思うのでございます。保険料が非常に高くなっていくということで納めにくくなるという状況があるという御指摘だと思うのでございますが、現在国民年金は三カ月に一度という納付の仕組みを持っております。これを毎月納付に改めるということも今回の改正で実施いたしたわけでございまして、毎月納付に改めるとか、それから口座振替というような、今これは大体二割ぐらいの方がやっていただいておるわけでございますが、こういった仕組みをふやすというようなことをいたしまして、納めやすい環境づくりということにぜひ努めたいと思っておりまして、こういう形で無年金につながることのないような、滞納ということができる限り少なくなるような措置はやらしていただきたいと思っております。
  59. 原田立

    ○原田立君 国民年金制度が三十六年四月一日発足して、現在二十五年になっているわけでありますが、現在の受給者は経過措置年金を受けているし、さらに過去二回にわたって五年年金、十年年金などの特例措置をとってきていることからもかなりの成熟化が進んでいると思うんであります。そのため、国民年金財政は逼迫していることはだれが見ても明白でありますが、ここで大蔵大臣、先ほどの国家公務員共済組合審議会の指摘の中にもありますが、基礎年金制度の実施に当たっては非被用者グループの管理を厳格に行う等、将来的に見て被用者グループに負担が転嫁されることのないよう特に留意すべきであると、こういうふうに答申が出ているわけでありますが、両面について大蔵と厚生と両方御答弁願いたい。
  60. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 今回の基礎年金の仕組みにおきましては、三十六年四月一日以降の期間につきまして同一な給付につきまして各公的年金の加入者の方々が頭割りで均等に費用負担していただくという仕組みでございます。そういう観点では各制度のどの制度に加入されておられようとも負担という面では公平化が図られたということではなかろうかと思います、基礎年金部分に関してでございますが。  国民年金の場合につきまして、成熟化状況は他の年金に対して非常に高いのではないかという御指摘がございましたが、受給者と被保険者の比率で申しますと確かに相当に高いわけでございますが、今先生お話ございましたように、個々の受給者の成熟度、個々の受給者の年金の成熟度からいいますと、他の共済グループに比べましてそれほど高いということは言えないという実情であろうと思います。こういった観点から見ますと、成熟化の違いということを国民年金の面で特段にこの基礎年金の上で優遇されたという形になっておるというふうには私ども理解していないわけでございます。具体的に申しますと、三十六年四月以降の期間という形でかつ給付のレベルは同じ基礎年金レベルということで合わしておるわけでございます。  この点について先ほど先生の御質問とも関連するわけでございますが、頭割りの被保険者の部分についてその免除者が出たり滞納者が出たりという形で脱落するという面について、国民年金側がややほかの被用者グループと違うところがあるんじゃないかと、こういう御指摘だと思うのでございますが、他の被用者グループの場合は、これは厚生年金もあるわけでございますけれども、滞納いたしましても、被保険者となっておりますと給付には結びつくという仕組みになっております。例えば厚生年金の場合には事業所が倒産いたしまして保険料が一月分事実上収納できなかったという事態がございますが、その場合もその一月分はその被保険者の給付にはね返るという仕組みを持っております。ところが、国民年金の仕組みは、御本人が滞納されますと、先ほど来御説明いたしておりますように、給付にははね返らないという仕組みを持っておるわけでございまして、基本的にそこの仕組みが違うということは御理解をいただきたいと思います。
  61. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはかなりの面が厚生省所管の分野になるわけでございますが、この答申で指摘されております点、すなわち端的な表現で言いますと、自営業の方、零細な方もいろいろいらっしゃいますが、その辺が大変にルーズなことにはならぬようにということについては、今詳しく厚生省からもお答えがございましたが、我々といたしましても、そういうことのないような運営について十分気配りをしていくべきものであるというふうに考えております。
  62. 原田立

    ○原田立君 国庫負担の変化というか、減少について伺います。  現行共済年金は労使が八四・一五%、国庫負担金が一五・八五%となっているわけでありますが、今回の改正では基礎年金部分についてのみ三分の一負担となっているんですけれども負担率は何%になるんですか。それからまた金額的にはどうなるのか、将来の見通しについてお示し願いたい。
  63. 門田實

    政府委員門田實君) 今回の改正では、御指摘ございましたように、基礎年金部分に国庫負担は集中するということでございまして、各共済等いわゆる報酬比例の二階部分につきましては国庫負担はなくなったわけでございます。基礎年金に対しまして三分の一ということでございまして、お尋ねは恐らく全体として幾らか、こういうことでございましょうが、それは基礎年金部分が大体一〇といたしますと、その上の方が七ないし八、こういう規模でございますから、それで割り戻しますと大体十数%の負担率と、数字的にはそういうことになっております。ただし、実際の例えば国家公務員共済等のケースに当てはめまして基礎年金共済年金と合わせたところで見ていきますと、給付水準を適正化していくということに伴いまして国庫負担はその伸び方が抑制されております。現行法で昭和六十一年度約六百億円という国庫負担額を国共済の場合算定しておりますが、これは改正案でも大体同じということでございまして、例えばこれが十年先の七十年度になりますと、現行千百億円になるところが、五十九年度価格でございますが、現行千百億円になるところが改正案では八百億円になる、あるいは八十年度になりますと千七百億円になるところが一千億円の伸びにとどまる、こういった推移をいたしておるわけでございます。
  64. 原田立

    ○原田立君 もう時間がありませんのでこれで終わりにしますけれども大蔵大臣、四月十九日の国民年金法案等の改正案の連合審査会のとき、そのときあなたに質問したんです。五万円の基礎年金受給資格期間は四十年、それで六十五歳から支給、公務員の場合は六十歳が定年、そうすると五年間のブランクがある。実際の問題で言うと、大学卒業者は二十二、三歳で就職して勤続は三十七、八年で終わる、要するに六十歳定年では二、三年足らなくなる、こういうふうに私は指摘したんです。あなたはそのときにこういう答弁しているんですよ。「今御指摘のように、基礎年金五万円のフル年金給付、原田さん御指摘の。これは御指摘のように四十年が必要であるわけでございます。したがって国民年金に学生時代から勧めて入っていただくということが可能でございますので、そういうことを勧める必要はあると思っております。」、こういうことを言いましたね。学生時代から入って払えと言うんですか。明らかに制度の欠陥を僕は指摘しておきたい。御答弁願いたい。
  65. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あのときお答えいたしましたのは、仮に大学とおっしゃいましたが、仮に高等学校なら十八歳、そのことも制度上は考えられるなというお答えをしました。それから後から気がついて、退職いたしまして基礎年金部分について国民年金で引き続き払っていただくということもこの四十年に達する一つの方法ではないかなということを後で気がつきまして、前の方だけお話ししたのはちょっと適切でなかったなという感じでもってそのときおったことを今でも覚えております。    〔委員長退席、理事堀江正夫君着席〕
  66. 内藤功

    ○内藤功君 大蔵省にまず伺います。  行革関連特例法による厚生年金、それから旧船員、国公、地公、私学、農林の各制度別の昭和五十七年度以降国庫負担の繰り延べ額、これがどのぐらいになるか御説明願いたい。
  67. 保田博

    政府委員保田博君) 厚生年金が九千四百七十億円、船員保険六十七億円、国公共済で三百七十八億円、地方公務員共済で二百七十二億円、私学共済で七十六億円、農林共済二百二十七億円、合計で一兆四百九十億円でございます。
  68. 内藤功

    ○内藤功君 いわゆる繰り戻しの計画、その期間、利息の支払い、それからこの支払い方法、そういうような計画については現在どういうふうにお立てになっておりますか。
  69. 保田博

    政府委員保田博君) 先ほど申し上げました行革関連特例法によりまする年金関係の国庫負担減額分、これの返済計画具体的内容につきましては、先生御承知のように今後の国の財政状況を勘案するということも必要でございます。その財政状況が非常に窮迫をいたしておりますので、返済の時期、具体的内容を現在かくかくしかじかでございますと具体的に申し上げられないのが非常に残念なところでございますが、我々といたしましては、これらの返済を確実にいたしますために、国の財政改革をさらに強力に推進するということで対処させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  70. 内藤功

    ○内藤功君 厚生大臣に伺いますが、昭和六十一年度の予算編成について所管大臣として、年金財政、いわゆるこの繰り戻し、返済計画についてどういう態度で対処されるか、利息や運用益を含めて絶対にこれを確保し年金財政の基礎を確実ならしめる、こういう努力をされる姿勢がおありなのかどうか、この点を伺いたい。
  71. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) このことにつきましては既に、特例適用期間経過後において積立金運用収入減額分を含む年金国庫負担金の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手する所存であるという方針が明らかにされておりますので、この方針に沿って鋭意対処してまいりたいと思っております。
  72. 内藤功

    ○内藤功君 今ちょっと聞こえなかったんですが、できるだけから先を言ってください。
  73. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) できるだけ鋭意対処してまいりたいと思います。
  74. 内藤功

    ○内藤功君 何に対処するんですか。
  75. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 先ほど申し上げました方針に対してです。    〔理事堀江正夫君退席、委員長着席〕
  76. 内藤功

    ○内藤功君 今の点について竹下大蔵大臣のお考えを伺います。
  77. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今保田次長からお答えいたしましたが、これは内藤さん御案内のように長い間の問題でございます。したがってこの問題につきましては、返済の期間、方式返済具体的内容については、今後の国の財政状況を勘案する必要があり現時点で明らかにできないところでありますが、政府としては国の財政改革をさらに一層強力に推進するなど誠意を持って対処し、特例適用期間経過後、いわゆるこの法律適用後、運用収入の減額分を含む年金国庫負担金の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手する所存でありますという方針で今日までお答えをしてきたところであります。  そこで、さらに内藤さんの御意見は、六十一年度どうするか、こういうことに言及されたと思います。六十一年度予算編成は、最終段階を迎えまして現在ぎりぎりの調整を行っておる最中でございます。率直に申し上げて六十一年度の財政事情は税収の伸び悩み等から一段と厳しいものとなっておりますので、したがって、六十一年度分から減額分の繰り入れを行うということをこの睦言明するということは非常に困難ではないか。今後あと一週間ちょっとで予算編成を詰めてみたいと思いますが、その中でいろいろ議論してまいりますが、私に今の率直な感じということでございましたのであえて申し上げたわけでございます。
  78. 内藤功

    ○内藤功君 昭和五十六年の十月の特別委員会で行革特例法が審議された際に、時の大蔵大臣国庫負担の繰り入れ分減額分については必ず差額繰り入れをいたします、利息も含めて適切な措置を講ずる責任をとります、こう言っているんですね。当時は鈴木善幸さんが総理でございましたが、必ず返す、金利はもとよりのこと運用益につきましても適正な運用益を加算して返済する、こういうことを明確に申し上げておるわけであります。こういう国会の正式な委員会で速記をとり明確にいたしておるわけでございます。御心配のないように措置してまいる方針でございますと、鈴木総理が速記録に残すということをわざわざ言いながら明言しているんですね。当然のことながら明確な政府の公約であります。非常に重いんです。財政云々ということは言っておりませんよ。それならば当然この返済計画はどうなるかということを、財政困難なら困難なりに私は国会政府が示すべきだと思うんです。いつから返すのか、利息はどのように返すのか、利率はどうか、また利息の計算方法、複利かどうか、運用益というものは一体どういうふうに返すのか、こういった点を今こういう考えでいるということをここで大臣示せないんですか。
  79. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる行革国会のときの鈴本当時の総理大臣、また渡辺大蔵大臣の答弁、そしていわば行革特例法の問題につきましては、財政再建期間中というのが、当時昭和五十九年に赤字公債から脱却するというのが、第一義目標であったというふうに私は思います。しかし、それを結局諸般の事情から、五十六年、五十七年の世界同時不況というのが一番大きな問題でございましょう、歳入欠陥が二年で九兆幾らございましたから、したがって、その方針そのものを断念せざるを得なくなりましたと。したがって、今日の時点においてさらに延長していただいて、そして私どもといたしましては、この問題につきましては、先ほど来申し述べましたように、今直ちに内藤さんのおっしゃる趣旨に対応した計画を策定する段階にはございませんが、この当時のお約束申し上げておる問題につきましては、その時期のずれはございましたが、履行をいたしますというその基本方針は今日も変わっていないというのが事実でございます。
  80. 内藤功

    ○内藤功君 重ねて伺いますが、計画を示せる時期はいつごろか、それをお示しいただけませんか。
  81. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その問題になりますと非常に難しい問題がありますのは、昭和五十九年に第一義的な赤字公債の脱却、されば今日は昭和六十五年ということを申しておりますけれども、私なりにとはいえ、いわば行革関連特例法がそのまま六十五年まで延長したわけでは現実ございませんので、したがって、今日の時点で期間を合いつごろ示すかということについてはまだ正確にお答えする準備がございません。
  82. 内藤功

    ○内藤功君 これは返済計画がないに等しいですね。非常に下世話な言い方で失礼ですけれども、金を借りた、あるいは金を返さなきゃならぬという意識のない人の答弁に非常によく似ている感じがするんです。借りたつもりはない、もらったつもりでいる人はよくそういう答弁をするんではないかなと、大変失礼ですが、感じましたね。借りたけれども、この金は返さなくてもいいんだという人がよくそういう言いぐさを言うんじゃないかと、これは失礼な言い方でお聞き流しいただきたいんですが、そう思いますよ。  そこで厚生大臣、あなたは貸した方の立場なんだけれども、今のような御答弁を聞いていて、年金財政、年金保険を扱う責任ある大臣としてこれでいいんですか。本当に絶対にこれは返す、確保するという決意があるのかとさっき聞いたのはそういう意味なんですよ。ことしの厚生省予算概算要求を見ると、厚生年金国庫負担要求額を一部減額する形で対処していると、こう書いてあったんですね。そんな姿勢で厚生年金の財政を確保する。これは掛金国庫負担で賄っている国民の健康と生命に関する財政なんだから、大臣それでいいんですかね。もう一回重ねて伺いたいです。
  83. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 先ほどから大蔵大臣が御答弁になっておりますことはそれなりに私も評価いたしておりますけれども、私どもといたしましては、お返しいただくのは一日も早い方がよろしいわけでございますから、そういう方向で折衝してまいりたいというふうに考えてるるところでございます。
  84. 内藤功

    ○内藤功君 本法案では基礎年金の三分の一を国庫負担とすると、こういうふうになっておりますが、現行制度のもとでもこういうことである。返済の時期をいつ示すかというその時期も今示せない。こういうんでは、本法案にかわって三分の一を国庫負担にするというふうになりましても、それも一体信用できるんだろうか。極端に言うとそういうことになりかねないんじゃないでしょうかね。国の政治は信をもって立つ、信によって立つとか言いますが、財政、保険の基礎というものが疑われてくる。これはゆゆしい次第だと私は思うんです。竹下さんは大蔵大臣であるが、将来もっと上のトップリーダーになられる方ですね。国の政治の信頼、財政の基礎という面からいってどうお考えになるかということが一つ。  もう一つは、国の社会保障、社会保険に対する責任というのは、私は改めて申しますが、極めて重いと思うんです。これを放棄していないか。私はこの本法の一条二項を見ますと、これは後で大蔵省事務方からの御答弁で結構ですが、国は「共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」とありますね。これは必要な配慮どころじゃないじゃないですか。国庫負担カットする、返済計画の時期も示せないということでしょう。これはさかのぼれば憲法の二十五条二項、国は社会保障についてその向上に努めなきゃならぬ。これの内容については既に昭和五十七年七月七日に大法廷がこの内容をはっきり言っておりますよ。これは言ってみましょうか。憲法二十五条二項によって国の責務であるとされている社会的立法の創造拡充によって個々の国民の具体的、現実的な生活権が充実されていくんだ、これは当裁判所の判例とするところだと、昭和五十七年の七月七日に最高裁はこの意味を言っております。明確に言っておりますね。これは堀木訴訟という裁判の判決です。社会立法が国の責務だ、拡充が責務だと。逆ですよ、返済計画がない、返済計画も示せないというんですから。私はこれは非常に重大なことだと思うんです。今の点について再度大蔵大臣並びに法律等の解釈については事務当局の御答弁を求めたいと思います。
  85. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 現在の給付に支障があってはならない、これが大前提にあって、そして暫時お貸しくださいと、率直に言ってそう申しておるわけであります。そしてそれは必ず運用益も含めてきちんとお返しいたします、そのお返しするためには財政改革を行いますと、そういうお約束を申し上げておるわけであります。返さないというような考えは毛頭ございません。ただ、御指摘たびたびいただきますように、およそ世上の借金というものは大体返済計画というものがあって初めて貸借行為が成り立つ。基本方針だけでもって計画は後ほど出しますという姿勢で臨むというのはいかがかという質問に対しては、私もたびたびじくじたるものを感じております。したがって、約束を信じてもらいたいということを申し上げておるというところであります。  そして、いま一つこの拡充という問題がございましたが、長期安定というものがまた実質上の拡充であるという理解の仕方もできるであろうというふうに私は考えております。
  86. 内藤功

    ○内藤功君 最後に。  本日の理事会で自由民主党から附帯決議の案なるものが示されました。  本法案は、給付の面でも、掛金の面でも、開始年齢の面でも、国庫負担の面でも、労使負担割合の面でも、いずれの面をとってみても私は改悪だと思うんです。この法案を立案して鉛筆を持った人自身が、自分の生活が苦しくなることを知りながらこの法案をつくっていると思うんですね。だれも喜ぶ人はいないです、この法案で。それが今審議されておる。私は徹底審議をもっと尽くすべきだと思うんです。だから私は、この法案は共済組合員や国民すべての理解と納得は到底得られない法案だと思うんですよ。ところが、この附帯決議案第一項に「国民全体の理解と納得を得られるよう」広々と書いてありますが、私はこの第一項「理解と納得を得られるよう」、この第一項を削ってもらいたい。  一点だけ提案者に伺いますが、削る用意があるかないか、その点だけ伺いたい。
  87. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 提案予定者である自民党理事から御説明願います。
  88. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 御趣旨はわかりますが、今のところこれを削除する考えはございません。
  89. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、これにて休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ―――――・―――――    午後四時二十分開会
  90. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、大島友治承及び矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として藤田栄君及び大木正吾君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  91. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 休憩前に引き続き、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  92. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議があるようですので、これより採決をいたします。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  93. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。  本案の修正について曽根田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。曽根田君。
  94. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 私は、ただいま議題となっております国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合を代表して修正の動議を提出し、修正案の趣旨及びその概要を御説明いたします。  修正案の内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  これよりその趣旨及び概要について御説明申し上げます。  修正の内容は、第一に、年金額の政策改定の要素に賃金を加えることであります。政府原案では、この法律による年金である給付の額は、国民の生活水準その他諸事情に著しい変動が生じた場合には、速やかに改定の措置が講ぜられなければならないものとしておりますが、改定の要素として国民の生活水準等のほか「賃金」という文言を加えることとしております。  第二は、職域年金相当部分の支給要件を緩和することであります。職域年金相当部分年金額については、政府原案では組合員期間二十五年以上で厚生年金相当部分の二割相当としておりますが、これを二十年以上とすることとし、これに伴い所要の修正を行うこととしております。  第三は、船員組合員の期間計算の特例についてであります。政府原案では、本法律施行日前の船員の組合員期間は三分の四倍として計算することとしておりますが、本法律施行日以後、五年間に限り五分の六倍とする条項を加えることとし、これに伴い、所要の修正を行うこととしております。  なお、この修正により必要となる経費は、完成時において平年度約十五億円と見込まれております。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  95. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまの曽根田君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  96. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えております。  なお、御可決いただいた場合には、その趣旨を体し、適切な運用に努力してまいる所存であります。
  97. 亀長友義

    委員長亀長友義君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  98. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及び修正案に対して、反対の討論を行うものであります。  今回の共済年金制度改正は、一九九五年までに公的年金制度の一元化を完了させるという構想のもとに、厚生年金制度と平仄を合わせようとするものでありますが、政府の言う公的年金の一元化構想は、その内容は言うに及ばず、プロセスさえも明確でなく、今回の共済年金制度改革が、公的年金制度の一元化を目指して今後の社会保障体系を確立する上で、どう位置づけられるのか、明確になっていないのであります。  さきの国民年金厚生年金改正と今回の共済年金制度の一連の改正は、危機に瀕した国民年金と国鉄共済を、厚生年金とその他の共済年金による財政調整で救済しようとする基盤をつくろうとするものであり、その結果は、年金給付水準の大幅な引き下げ、支給開始年齢の六十五歳への引き上げ、国庫負担の削減をもたらすものであり、全く改悪法案であります。私どもは絶対に承服することはできないのであります。  以下、本法律案に反対する主な理由を申し述べたいと思います。  まず第一に、年金額の算定基盤のとり方についてであります。  国家公務員等の共済年金制度には、今回、年金額算定の基礎俸給として平均標準報酬制を導入することとしておりますが、地方公務員共済年金制度には本俸に手当率を乗ずる方式がとられているのであります。このように、年金制度の基本に関する部分を同じ公務員でありながら異なった扱いとすることは、将来に禍根を残すものと言わなければなりません。  標準報酬制の導入は、本来のわかりやすい年金あり方に反するばかりでなく、各省庁間あるいは職種による公務員間に新たな矛盾を生み出し、さらには行政の簡素化に反して業務の複雑さも加えられるのでありまして、国家公務員等の年金額算定基礎のとり方については地方公務員と同一の方式とすべきと思うのであります。  第二は、職域年金部分水準についてであります。  今回、公務特殊性から職域年金部分が設計されているのでありますが、この職域年金部分は、民間企業における税制適格年金あるいは厚生年金基金との関連も明確ではなく、その給付水準にも何ら根拠がないのであります。在職二十年以上の者について、報酬比例年金部分の二割とする多少の改善を図ることとしておりますが、それでもなお、我が党の主張する水準には達していないのであります。今後、政府人事院等の意見を踏まえ、早急に検討することを強く要求するものであります。  第三は、既裁定年金スライドが停止されていることであります。  現在、共済年金の既裁定年金は、人事院勧告による賃金スライド制がとられているのでありますが、今回、厚生年金の算定方式に類似している、いわゆる通年方式により算定した額に裁定がえを行い、それをベースに物価スライドによって、現在、受給している額に達するまではスライドを停止することとしているのであります。  このことは、共済年金恩給との間に大きな格差を生じ、既得権期待権を侵害しているばかりか、公的年金に対する国民の信頼を著しく損なうものとなっているのであります。少なくとも一定の上限を設け、スライドを実施することを強く求めるものであります。  第四は、国鉄共済年金財政安定化についてであります。  政府は、国鉄共済の救済策について六十一年度中に結論を得て立法措置に入るとしているのでありますが、その具体的内容は明らかでありません。いわんや六十五年度以降の対策については全く白紙の状態であります。  しかし、この問題を抜きに共済年金制度の一元化も、あるいは公的年金制度の一元化もそのめども見通しも立たないことは明らかであります。  国民の公的年金制度への不信につながらないよう、国の責任において解決するよう強く求めるものであります。  また、国鉄共済組合員の年金支給につきましては、多面的に制限を行おうとしておりますが、全く不当であります。この際、著しく不利とならないように政府において十分検討することを強く要求するものであります。  以上、私は、本法律案に反対する主な理由について述べてまいりましたが、このほか、併給調整は一律禁止するのではなく、併給限度額を定めて一部について支給措置をとること、懲戒処分による年金カット掛金部分を含まないことを初め、国鉄共済組合員に対するいわゆる従前額保障ルールを適用することなど、多くの問題についても私どもの基本的な要求が満たされていないのであります。  二十一世紀、高齢化社会を目前にして、今回の年金改正が、短時間に言い尽くせないほど多くの問題を抱えながらスタートしなければならないことは、まことに残念であることを申し上げて、反対の討論を終わります。
  99. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合提出の修正案に対し、賛成の討論を行うものであります。  今日、我が国の経済社会は、人口の高齢化、産業構造、就業構造の変化等により大きく変動しているのでありまして、これに伴って年金制度のよって立つ基盤にも大きな変化が生じております。こうした変化に対応し、二十一世紀においても、安定的な年金制度の運用が確保されるよう、制度全般にわたる改革を推進していくことは、極めて重要な課題であります。今回の共済年金改正法案は、このような課題に対処するため、公的年金の一元化に向けて、制度全般の見直しを行うとともに、あわせて従前から指摘されておりました多くの課題に対して改革を加えようとするものでありまして、まことに時宜にかなった適切な改正であると思うのであります。  以下、具体的に賛成の理由を簡単に申し述べたいと存じます。  第一は、各種共済年金制度に国民共通の基礎年金を導入し、共済年金基礎年金の上乗せ給付に組みかえることであります。現行共済年金制度がそのまま維持される場合には、後代の負担増など世代間の不均衡が拡大し、高齢化のピークを迎える二十一世紀には制度そのものの運営が困難になるばかりでなく、国鉄共済年金に見られるように、財政破綻をもたらすことは容易に予測されるのであります。  このような状況を踏まえ、今回の共済年金改正法案は、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展の基盤を確立しようとするものでありまして、高く評価し得るものと確信するのであります。  第二は、今回の改正によって給付水準の適正化が図られ官民格差の解消が図られることであります。  我が国は今日、諸外国に例を見ない速さで高齢化社会への道をたどりつつあるのでありまして、このような状況のもとにおいて、現行制度で推移するならば、将来の年金給付水準は大幅に増加し、年金受給者負担者との間のバランスが大きく崩れる事態は避けられないと思うのであります。  今回の共済年金改正法案は、こうした給付水準を二十年かけて徐々に適正化しようとするものでありまして、現役世代と老齢世代との適切なバランスが確保されるものと確信するのであります。  さらに、今回の改正によって官民の年金制度間の格差が是正されるものでありまして、適切なものと信ずるのであります。  第三は、新たに職域年金部分を設計していることであります。  公務員等共済年金制度は、公的年金制度一環としての性格を持つと同時に、公務能率的運営に資することを目的としているのであります。このような見地から、今回新たに職域年金部分を設計しているのでありまして、公務員の身分上の制約等特殊な立場をも考慮したものと高く評価されるのであります。  以上、今回の共済年金改正案に対し、賛成の理由を数点に絞って申し述べてまいりましたが、このほか、公的年金一元化の方向に沿って、障害者の年金保障についての長期的な前進が図られていること、既裁定年金についても既得権が尊重されていること、自衛官等特殊な職員に対しては、その特殊性に応じて極めて細かい配慮がなされていることなど、いずれも適切なものであることを申し上げ、賛成の討論を終わります。
  100. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党・自由国民会議提出の修正案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。  二十一世紀の本格的高齢社会の到来に備え、すべての国民が老後において安心して生活できる安定した公的年金制度の確立が今求められております。  我が党は、既に昭和五十一年の福祉トータルプランにおいて国民基本年金を中核とした二階建て年金構想を打ち出して公的年金制度改革の必要性を提言しております。  今回の改正案において共済年金基礎年金制度を導入しようとすることは、我が党の主張した年金制度改革と大筋において一致するものであり、評価するにやぶさかではありません。  しかし、基本は同じでもその内容はかけ離れたものとなっており、基礎年金がナショナルミニマムとしての機能を果たし得ないばかりでなく、国民が安心して生活できる年金制度になり得ないことは明白であります。  以下、反対の主なる理由について順次申し述べます。  まず第一に、共済年金基礎年金制度を導入することについてであります。この基本的枠組みについて反対するものではありませんが、導入された基礎年金そのものが憲法の保障するナショナルミニマムとしての老後の最低生活を確保するという基本理念に欠けている以上、ここにおいても基礎年金の持つ重大な欠陥を繰り返し指摘せざるを得ないのであります。  第二は、昭和七十年までの公的年金制度一元化に伴う問題についてであります。政府は、五十九年二月二十四日の閣議において、七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることを決定しておりますが、二年近く経過した今も、一元化に至るプロセスを明確にできないのであります。国鉄共済年金の財政問題を初めとする今後の共済年金あり方及び公的年金制度の再編整理の過程と課題を明らかにすることが政府の責務であると考えるのであります。  第三は、本改正案では、現行共済年金制度公務員制度一環として位置づけられ、その機能を果たしているという点が十分尊重されていないことであります。公務特殊性を考慮し、また安んじて公務に専念せしめ、もって公務能率的運営を図ることが現行共済年金制度目的一つとなっております。  しかるに今回の改正では、いわゆる三階建ての部分として報酬比例年金部分の二〇%相当の職域年金が設けられているにすぎず、またその根拠、水準が必ずしも明瞭でなく、現行制度の持つ役割、機能に沿ったものとはなっていないことであります。  さらに、この今回の改正案は、重要な問題をはらんだまま提出されてきたという点をあわせて指摘したいのであります。すなわち国家公務員法第百八条には、人事院公務員年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見国会及び内閣に申し出ることができる旨規定されております。その人事院公務員年金の根幹を変更するような今回の大改正に当たって終始受け身の立場に立ち、その主導権を大蔵省政府にゆだねてしまっていたという事実は容認できないものであります。  第四は、共済年金厚生年金に準ずる方式に改めるに当たり、従前から厚生年金より不利になっていた点についての是正措置がとられていないことであります。  第五は、公経済主体としての国庫負担についてであります。今回の改正案の目的一つは、国庫負担軽減にあることは審議の中において明らかであります。国庫負担削減によって給付の引き下げ、組合員負担の増大がもたらされることになり、承服できるものではありません。  以上、改正案及び修正案に反対する主な点を申し上げましたが、最後に、迫りくる高齢社会を前にして国民すべてが安心して生活できる安定した公的年金制度の確立を速やかに実現するよう強く要求いたしまして、私の反対討論を終わります。
  101. 井上計

    ○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について、自由民主党・自由国民会議並びに民社党・国民連合共同提案による修正案に賛成、修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行います。  今や我が国は、高齢化社会が急速に進行する中で、ついに人生八十年時代を迎えました。老後はまさに第二の人生であり、この人生をいかに豊かに生きがいに満ちたものにするかが国民各層の重大な関心事になっております。老後生活を幸せに送る必要条件として、健康と平和な家庭に加えて経済的基盤が万全でなければなりませんが、その老後生活を支える所得保障の最大の柱は、何といっても公的年金制度であります。  しかし、我が国の公的年金制度は従来、官民格差、給付負担の不均衡など、多くの社会的不公正や矛盾を抱えていると同時に、制度が多岐に分立しているため、国鉄共済の例に見られるごとく、個別制度ごとに財政的な問題が今後ともますます発生する懸念があり、また現在、国民の間には今後多年にわたり保険料を納めても、本当に自分が必要になったとき果たして年金がもらえるのかどうかという不安が増幅しております。したがって、一日も早くこれらの国民の不安を解消し、年金財政の長期安定と公正な制度を確立することであります。政府がこの責務を果たすため、今回改正に示されたように基礎年金制度の導入と所得比例年金の二階建て構想によって年金の一元化に踏み切ったこと但遅きに失したとはいえ、高く評価をいたします。  しかしながらこの改正に対し、まだまだ多くの不満や不平が残されております。しかし今回、この改正を断行しなければ、公正な年金制度の確立の道は大幅におくれ、何よりも年金財政がパンクし、老後の経済不安を惹起するとともに、近い将来現役で働く人々の保険料負担が耐えがたいまで上昇することは必至であります。したがって、若干の不満や不平が残るとしても、国家百年の大計を考えれば、今回の改正は必要不可欠であり、今実現しなければ本格的な高齢化社会を活力ある社会にすることは絶対的に不可能になります。  我が党は、この見地から、今回の改正に基本的に賛成するものでありますが、若干の問題点があるため、数項目にわたって修正するよう強く要求してまいりました。その結果、最善な修正ではありませんが、一歩前進しており、これについて賛成するものであります。  私は、以上述べた事由により同法案に賛成いたしますが、今後とも政府が附帯決議に盛り込まれた事項につき誠実に取り組むよう要望して、賛成の討論を終わります。
  102. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党・自由国民会議及び民社党・国民連合共同提出の修正案に対して、いずれも反対の討論を行います。  まず指摘したいのは、本法案の審議はいまだ尽くされておらず極めて不十分であることであります。  本法案は、現行共済年金制度を根底からつくり変え、共済組合員のみならず国民生活全体に重大な影響を及ぼすものであります。しかるに本法案の審議は、我が党の徹底審議の要求にもかかわらず、内閣委員会での質疑はわずか約九時間、一回の連合審査を含めても約十三時間しか行われておらず、衆議院の場合と比べてさえ極めて不十分であると思います。このような審議が十分に尽くされていない状態で、しかも過日の理事会で合意を見た本日午後四時からの質疑さえも行わないなど、私はもってのほかだと思います。かくして質疑打ち切りを強行し本法案の成立を図ろうとすることは不当なやり方であり、私は強く抗議するものであります。  本法案は、国民年金厚生年金改悪に続き共済年金においても創設以来の大改悪を行い、臨調行革路線に基づく政府年金一元化構想に沿って我が国の年金制度全体を憲法の二十五条とは逆の方向に再編統合するねらいを持ったものであります。私はこのような年金制度改悪の総仕上げというべきやり方を容認することは断じてできません。  その第一は、六百万共済加入者と二百万退職者生活と権利を、現在はもとより将来までも、著しく破壊することであります。  給付水準は、年金算定基礎、計算方式の変更、支給率の削減など、共働きの方、また単身者の方の場合で現行より実に四割も切り下げられることになります。一方、保険料政府の収支試算でも将来の保険料率現行の二・四倍と予定しています。そうなれば、本俸の三分の一も税金や保険料に先取りされ、実質上の大幅賃金引き下げとなることは必至であります。政府案をもとに一人の被保険者について試算すると、我が党が一貫して指摘しているように、基礎年金でも共済年金でも積み立て分に見合う給付さえ受けられず、九十歳から百歳以上生きなければ元が取れないという驚くべき事態を招くのであります。また既裁定年金者への物価スライド停止によって、受給者の過半数が十年近くにわたって約二割の受給減を余儀なくされることになります。このような冷酷きわまる仕打ちは許せません。さらに支給開始年齢を六十五歳に引き上げていること、本委員会質疑でも取り上げた懲戒処分等による職域加算部分の支給停止措置も問題であります。  第二は、年金制度に対する国と政府の責任を全く放棄していることであります。  まず、国鉄共済年金の危機であります。戦中戦後の政府の国策、国鉄を食い物にする列島改造政策、分割・民営化を目指す徹底的な合理化、人減らしによって引き起こされたものであります。しかるに政府の言う国鉄の自助努力とは、既に職域年金加算制度の適用除外や、他の年金よりも高率の保険料など大変な犠牲を強いられている国鉄の労働者にさらに耐えがたい過酷な負担を押しつけるものであり、到底認めることはできません。また国民には給付負担両面にわたって多大な犠牲を負わせる一方で、国は共済年金本体には一円も出さず、基礎年金の三分の一だけに国庫負担を限ることにより、三十年後の昭和九十年には全年金で二兆六千億円にも上る公的負担の大幅軽減を図っています。さらに行革特例法による国庫負担四分の一カットについて、きょうの質問でも出ましたように、その返済計画はもちろん、いつ計画を立てるかのめどさえ明らかにしていない、これは驚くべき無責任だというべきであります。こうした国庫負担の削減は、大軍拡と大企業奉仕を目的としたものと言わざるを得ません。  第三は、婦人の年金権の問題です。  今度の改正案は、被用者である夫の存在によって妻の加入保険制度が変わるなど、あくまで夫に従属した制度になっており、中曽根総理らの言うような婦人の年金権が確立されたなどと到底言えるものではありません。また婦人の労働条件の実態から見れば、受給開始年齢と保険料負担の引き上げは真の男女平等に大きく逆行するもので、とても容認できるものではありません。  なお、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合共同提出の修正案については、以上に指摘した本法案の重大な改悪の内容と性格を何ら変えるものではない若干の部分的措置を修正であると称して本法案の成立を図ろうとするもので、反対であります。  最後に、何よりも軍備拡大、大企業奉仕の財政運営を根本的に見直すとともに、年金の労使負担割合を三対七に切りかえ、国庫負担基礎とする年金制度全般の抜本改善を改めて強く要求をして、私の討論を終わります。
  103. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、曽根田君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、曽根田君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、曽根田君から発言を求められておりますので、これを許します。曽根田君。
  106. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 私は、ただいま修正議決されました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について検討の上、善処すべきである。  一、今回の改正は、共済年金制度の抜本的な改正であるので、共済組合員はもとより、国民全体の理解と納得を得られるよう周知徹底を図ること。  一、今回の改正が行われても、各公的年金制度間に制度上の相違、特に負担面での相違が残されているので、今後できるだけ速やかに、公的年金一元化の観点から調整を図るよう努めること。  一、公的年金一元化の内容及びスケジュールが依然として明らかにされていないので、今後できるだけ速やかに、その内容等につき明らかにすること。  一、基礎年金水準費用負担あり方等については、国民年金法の附則の規定に基づき、できるだけ速やかに検討に着手すること。  一、今回の改正が行われると、共済年金恩給との間に大きな相違が生ずるので、恩給制度についても、公的年金制度改正をふまえつつ、検討を加えること。  一、今回の改正における職域相当部分の根拠、水準が必ずしも明瞭でないので、この点につき人事院等の意見もふまえ、引き続き検討を行うこと。  一、既裁定遺族年金については、最低保障の改善を図ること。  一、懲戒処分等による給付制限措置については、今回の改正後、本人掛金相当部分については行わないこととすること。  一、共済年金算定基礎のとり方については、 今後種々検討すること。  一、所得制限の具体的な運用に当たっては、退職者と現役公務員との間の生活の均衡が図られるよう十分考慮すること。  一、現在四十才の者については、将来給付が最も低い水準となる点について、次の見直し時点までに調整するよう努めること。  一、民営化されたNTT、日本たばこの職域部分については、今後公的年金一元化を進める過程で検討を加えること。  一、国鉄の職域年金については、年金財政及び国鉄財政の動向等を見きわめ、設置することを将来検討すること。  一、社会経済情勢の変化をふまえ、財政投融資の見直しについて検討すること。  一、NTT、たばこ共済組合は、引き続き現共済制度を存続し、積立金及び掛金負担金の自主運用を行うこと。  右決議する。  以上であります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  107. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいま曽根田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、曽根田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣
  109. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨を踏まえまして十分検討いたしたいと存じます。ありがとうございました。
  110. 亀長友義

    委員長亀長友義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  112. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  中期防衛力整備計画について中曽根内閣総理大臣及び加藤防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。内閣総理大臣
  113. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一言ごあいさつを申し上げます。  今日の国際情勢は、依然として厳しい状況にあり、世界の平和と安定を守るためには、絶えざる努力が必要であります。私は、年初早々、米国にレーガン大統領を訪ね、また三月には、ソ連においてゴルバチョフ書記長と会談し、さらにはボン・サミットなどにおける西欧諸国首脳との会談の機会を通じ、世界の平和と安定に向けて、軍備管理・軍縮交渉の促進と、米ソ首脳会談の早期実現を要望してまいりました。  先般、六年半ぶりに米ソ首脳会談が実現され、両首脳が直接対話を行って相互理解を深めるとともに、近い将来における両首脳の相互訪問につき合意する等の成果を見たことは、まことに有意義であり、今後の両国関係の安定化と世界平和軍縮に向けての新たな出発点として評価いたしております。  また、私は、去る十月、国連の創立四十周年記念総会に出席し、国際社会の平和と繁栄に積極的な貢献を行う我が国の基本的立場と決意を訴えてまいりました。  我が国としては、軍備管理・軍縮を含む東西間の対話と交渉の促進を今後とも強く訴えていく所存であります。  しかし、同時に、現下の国際社会の平和と安全は、国家間の力の均衡により保持されているということも冷厳な事実であり、これは一朝にして変わり得るものではありません。  かかる認識のもとに我が国は、厳しい国際情勢の中で、我が国を確実に平和と安全の国とするため、外交、経済協力、資源エネルギー及び食糧の確保等総合的な安全保障政策を推進することを基本とし、そのもとにおいて、日米安全保障体制を堅持するとともに、自衛のため必要な限度において、質の高い防衛力の整備を図るべく努力してきているところであります。  政府は、先般、昭和六十一年度から六十五年度までを対象とする中期防衛力整備計画を策定しました。  この計画は、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならず、非核三原則と文民統制を堅持し、他の施策との調和を図りつつ、節度ある有効な防衛力の整備を図るとの見地に立って策定したものであり、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とするものであります。  この計画については、文民統制の考え方をより強化する見地から、国防会議及び閣議において決定し、さきに所信表明演説で述べたとおり国会に御報告することといたしました。なお、昭和五十一年に閣議決定された「当面の防衛力整備について」の趣旨を今後とも尊重するよう努めてまいる所存であります。  以下、防衛庁長官から中期防衛力整備計画について報告させます。  委員各位におかれましては、我が国の防衛力整備について御理解、御協力くださるようお願い申し上げますとともに、国民の皆様におかれましても、一層の御理解を切に希望する次第であります。
  114. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 加藤防衛庁長官
  115. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 中期防衛力整備計画について御報告申し上げます。  政府は、去る九月十八日、国防会議及び閣議において昭和六十一年度から昭和六十五年度までを対象とする中期防衛力整備計画を決定いたしました。以下、これについて御報告申し上げます。  政府は、総合的な安全保障政策を推進するとともに、防衛力の整備に当たっては、従来から「国防の基本方針」(昭和三十二年五月二十日閣議決定)にのっとり、専守防衛の理念を堅持して他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの立場を内外に明らかにしてきました。今後ともこの立場を堅持するとともに、文民統制を確保し、防衛に関する国会の決議を尊重し、そのときどきの経済財政事情に応じ、防衛関係費と他の諸経費との調和を図りつつ、節度あり、かつ有効な防衛力の整備を図るとの方針のもとに、この中期防衛力整備計画を決定したものであります。  この計画は、「防衛計画の大綱」(昭和五十一年十月二十九日閣議決定)の基本的枠組みのもと、これに定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とするものであり、作成に当たっては、次の点に留意しております。すなわち、国際軍事情勢及び諸外国の技術的水準の動向を考慮し、これに対応し得る効率的な防衛力の整備を図るため、陸上、海上及び航空自衛隊のそれぞれの各種防衛機能について改めて精査し、資源の重点配分に努めること、さらに各自衛隊の有機的協力体制の促進、統合運用効果の発揮につき配慮することというものであります。  また、具体的事業の推進に当たっては、次の点を重視しております。すなわち、  要撃戦闘機、地対空誘導弾等の充実近代化による本土防空能力の向上に努めること  護衛艦、固定翼対潜哨戒機等の充実近代化による我が国周辺の海域における海上交通の安全確保能力の向上に努めること  我が国の地理的特性を踏まえ、師団の近代化・編成の多様化、洋上・水際撃破能力等の強化による着上陸侵攻対処能力の向上に努めること  正面と後方の均衡のとれた質の高い防衛力の整備を図ること。特に、情報・偵察・指揮通信能力、継戦能力、即応態勢及び抗堪性の向上並びに技術研究開発の推進を重視するとともに、教育訓練体制等の充実による練度向上及び隊員の生活環境の改善に配慮すること  防衛力の整備、運用の両面にわたる効率化、合理化の徹底を図ることというものであります。  このような方針のもとに計画した具体的整備内容は、お手元に配付した閣議決定資料にあるとおりであります。この計画の完成時の勢力を見ますと、全体として、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成が図られ、我が国の防衛能力は、現状と比較して大きく向上するものと期待できる状況にあります。  この計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、昭和六十年度価格でおおむね十八兆四千億円程度をめどとすることが決定されております。  また、各年度ごとの予算編成に際しては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力するとともに、そのときどきの経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、これを決定することとされております。  なお、政府としては、計画期間中において、「当面の防衛力整備について」(昭和五十一年十一月五日閣議決定)の趣旨を尊重するよう努めてまいる所存であります。  また、この計画については、中期的な防衛力整備を効率的に実施し得るよう随時必要に応じて見直しを行い、三年後には、その時点における経済財政事情、国際情勢、技術的水準の動向等を踏まえ、新たに作成し直すことについて検討することといたしております。  中期防衛力整備計画については以上のとおりでありますが、このたび、この計画の決定を見たことは、今後の我が国の防衛力整備を進める上で大きな意味を持つものと考えております。  第一は、これまで、防衛に関する中期計画が、防衛庁の内部資料にとどまっておりましたが、今回、政府レベルのものとして新たに策定されたことであります。これは、政府がその責任において、我が国の防衛力整備の内容と防衛関係経費について中期的見通しを明らかにしたことであり、シビリアンコントロールの充実を図るという立場からも、また我が国防衛に関する内外の理解を促進することからも有意義であると考えております。  第二は、今回の計画は、昭和五十一年に策定された「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標としたものであることであります。御承知のとおり、「大綱」は、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めたものであり、この計画によって、その水準達成に向けての中期的な見通しを得たことは、我が国の平和と安全を確保する上で意義深いものがあります。  これからの課題は、このたび決定されたこの計画を、今後いかに実施していくかということであります。今後とも各年度の予算編成においては、さらに創意工夫を凝らし、最小限の経費で質の高い防衛力の建設を目指す努力を傾注してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  116. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 以上で報告の聴取は終了いたしました。     ―――――――――――――
  117. 亀長友義

    委員長亀長友義君) これより請願の審査を行います。  第五号国家機密法スパイ防止法制定反対に関する請願外三百四十八件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一九号傷病恩給等改善に関する請願及び第六〇六号台湾出身日本軍人軍属補償に関する請願外四件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一〇六七号台湾人日本軍人軍属補償に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要しないものとし、並びに第五号国家機密法スパイ防止法制定反対に関する請願外三百四十一件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  120. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  情報公開法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼給者あり〕
  122. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会      ―――――・―――――