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内藤功君 その中の、後で見ていただきたいんですが、二百三十二ページの一番最後のところにこういう
部分があるんですね。「この種の疾患については、業務の遂行
過程における災害に該当するような事実が介在しない限り、業務起因性は一般に成立しないという行政解釈に立っている。ところが、例えば
基礎疾患を有する
労働者がこれらの疾患に罹患した場合に、その
労働者の従事していた業務と当該疾病との相当因果関係を判断するに当たって、その業務の災害性の有無を重視する
考え方は合理的ではないかとの批判が近時強く出されている。また、判例の中にも行政解釈に批判的なものも出されている。」、こういうことをここでまず認めていますね。これが
一つ。
それから二百三十四ページを見ますと、「たしかに、このような場合の業務上とは業務と疾病との間に相当因果関係が存在することであるということからすると、業務上の」、その次ですね、「災害的事実の存在が相当因果関係成立のために理論上不可欠な要件であるとは必ずしもいえないであろうが、」と。
これはことしの十月二十二日に出た本です。つい最近、十月二十二日に出た本を手に入れたのですが、これを見ると、
労働省は災害的事実の存在を要していたというふうに今まで通達では読めるのだが、この本の見解によると、災害的事実の存在は必ずしも理論上は不可欠な要件とは言えないということはお認めになったわけです。私はこういうふうにこの本を読んで理解したわけなんです。私は、ここのところが
一つもとになって展開をしていくと、裁判所の判例などとのえらい食い違い、それから
現実に起きているいろんな事態、例えば
国家公務員の例をとると、気象庁で島の測候所にいる人で、台風が近づいてきたときにその対応に追われて亡くなった人は業務上、公務上災害で認定されているのに、そういうことがなくて長年残業、夜業が多くて、その疲労の蓄積で亡くなった人は——台風というアクシデントがないか、あるかで公務上、公務外の認定が違っているというようなことがあるんですね。そういう扱いは今度の
労働省の見解によって変えられていく方向に行くべきじゃないか。私は正式の論戦はまた
大臣、局長にも来ていただいてやりたいと思うんですが、この本を読んでそう思ったのですよね。そうしないと判例と通達はえらく乖離してくる。しかも
昭和三十六年にできたものですから、二十四年たっておるんですから、改めておかしくないんですよ。これが改められれば
人事院の方もさっきの通達を改めることがやりやすくなると思うんです。
私は
人事院が先に改めたっていいじゃないかと言うのですが、
労働省がまずそこをやらないといかぬと思うんですね。これはひとつ課長、全体的な
仕事の実務のあなたは中心なんだから、積極的に今の裁判の判例、それから
現状というものを勉強していただいていると思うけれ
ども、それに合うような通達をこの機会に出して、多くの方が公務認定あるいは業務上認定として遺族の救済を全くあらしめるように、そういう
意味からもひとつあなたにやってもらいたいと思うんです。多くなってきているんだから、こういう事故が。そういう督励の
意味も含めてあなたに期待を込めてそういう
質問をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。決意を含めてどうですか。