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1985-12-12 第103回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十二月十一日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     小野  明君      和田 静夫君     穐山  篤君  十二月十二日     辞任         補欠選任      板垣  正君     志村 哲良君      矢田部 理君     久保田真苗君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 大島 友治君                 曽根田郁夫君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 岡田  広君                 川原新次郎君                 源田  実君                 沢田 一精君                 志村 哲良君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 小野  明君                 久保田真苗君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   的場 順三君        内閣審議官    海野 恒男君        内閣審議官    平井  清君        内閣法制局第二        部長       大森 政輔君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        給与局長     鹿兒島重治君        人事院事務総局        職員局長     叶野 七郎君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        総務庁長官官房        長        藤江 弘一君        総務庁長官官房        審議官      米倉  輝君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政監察        局長       竹村  晟君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        経済企画庁調整        局審議官     宮本 邦男君        大蔵政務次官   江島  淳君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   門田  實君        大蔵省主計局次        長        小粥 正巳君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        大蔵省主税局長  水野  勝君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    中島 眞二君        建設省住宅局長  渡辺  尚君        自治省行政局選        挙部長      小笠原臣也君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付) ○一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律及び国際科学  技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十一日、村沢牧君及び和田静夫君が委員辞任され、その補欠として小野明君及び穐山篤君が選任されました。  また、本日、板垣正君が委員辞任され、その補欠として志村哲良君が選任されました。     —————————————
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 野田哲

    野田哲君 今回の許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案は、二十六法律の各省庁所管にかかる事柄が一本の法律になっています。このような法律案の是非については、過去何回も衆参両院議論されています。一番新しいところでは、さきの百二通常国会での補助金削減一括法審議する補助金等特別委員会でも大きな議論になりました。そして各党協議の上、ここにもいらっしゃる桧垣特別委員長見解が示されたわけであります。この桧垣特別委員長見解というのは、昭和六十年五月十一日に補助金等特別委員会で示されたわけでありまして、「参議院としての審議権を確保する上で、このような多くの行政分野にわたる補助金一括法とすることの問題点」「に留意し、今後政府の善処を要望するものである。」、こういうふうに委員長見解が述べられているわけであります。これに対して中曽根総理は、「委員長見解のご趣旨にそい誠心誠意努 力いたします。」、こういうふうに答えておられるおけであります。ところが、今回またこのような法案を提出されているわけでありますが、この五月の補助金等特別委員会での総理答弁趣旨に沿っているとは思われないわけであります。これはもうその場限りの、法案さえその場で通ればいい、こういうその場しのぎ答弁としか思えないわけであります。誠心誠意努力されたとはどうしても思えないのでありますが、総理はこれについてどうお考えになっておられますか。
  5. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 特別委員会におきまして桧垣委員長のお話に対して野田さんが今お述べになったような答弁をしたことは事実でございます。以後、法案作成等につきましては、その言葉に従うべくいろいろ努力もしてきたつもりでございます。  今回の法律案をつくるにつきましても、いろいろ慎重に考えました結果、政府重要政策課題一つである公的規制緩和を図るという統一的な政策において性格は一致しておるものでございますので、現下の一番重要な政策一つである対外経済摩擦解消あるいは行革の徹底という趣旨からいたしまして慎重に検討した結果、こういうようなことでいくより仕方がないし、またそれは趣旨あるいは性格において一致しているという意味において認められると判断いたしましてこのようにした次第でございます。
  6. 野田哲

    野田哲君 総理経済摩擦とか行革という目的で一致しているから一括にしたんだということであれば、今日出されてくる法案というのは大半は行革という問題と経済摩擦という問題にかかわっているわけでありますから、そういうくくり方をすればこれはさらに大きく束ねてしまう、こういうことになるんじゃないですか。  かつて政府は、多くの法律を一本の法律改正しようとする場合の見解を示されております。何回もこれは示されているわけです。昭和五十二年五月二十四日、衆議院内閣委員会政府見解として角田法制局長官三つ原則について示されているわけです。まず第一は、法案に盛られた政策が統一的なものであること、その結果として法案趣旨目的一つであると認められる場合。二つ目内容的に法案の条項が相互に関連していて一つの体系を形づくっていると認められる場合。第三、原則として一つ委員会所管に属する範囲内のものであること。こういう三つ原則を示されているわけであります。この三つ原則には今回の措置は私は合致しているとは思えないわけでありますが、この三つ原則のどこにこれは合致しておりますか。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 三つ原則についてはお示しのとおりでございますが、大体において、規制緩和等々の意味におきまして性格的にも一致しております。  具体的な内容につきましては政府委員から御答弁申し上げます。
  8. 竹村晟

    政府委員竹村晟君) ただいまお示し三つ基準でございますが、この第一番目の法案に盛られた政策が統一的なものであること、その結果として趣旨目的一つであると認められる場合、これに該当するというふうに考えております。
  9. 野田哲

    野田哲君 それは行政改革あるいは経済摩擦解消、そういう大きなくくり方をすれば趣旨目的一つであるかもわからない。しかし政策が統一的であるかどうか。例えば今回の法案の中に含まれている地代家賃統制令廃止、これは過去四回提案されても国会の中では審議未了になっている大きな賛否の意見が分かれている法案であります。これはかなり重要な政策変更を有するものであります。あるいはまた航空法六十五条、大型の飛行機で機関士を乗せなくてもいい道を開く、これもやはり航空関係については重要な政策変更だ。こういう法案と、今回の法案一つにあるごく簡易な、例えばヘルメットの自己認証制度とか、あるいはふろ屋旅館営業手続を事務的に変更する、こういうものとはこれはどう考えても同列には考えられない。政策の統一的な問題とはこれはどうしても私は考えられない。  総理は、ふろ屋営業手続旅館営業手続と、地代家賃統制令廃止航空法六十五条の改正政策の統一的なものであるあるいは趣旨目的が同じものである、こういうふうにお考えになるわけでありますか。これは、先ほど私が指摘した、補助金特別委員会での誠心誠意努力いたしますという総理見解にどうしても合致しているとは思われないし、政府が今まで示してきた多くの法案一つにまとめる場合の原則にも合致しているとは思えないわけでありますが、いかがですか。
  10. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回一くくりの法律案で御審議お願いするということにいたしました基本的な理由につきましては、ただいま総理からお答えいたしたとおりでございます。  つまりは、政策が統一的なものであり、趣旨目的が同じであるということで一括をさしていただいたわけでございますが、個別の改正内容を見ますれば、今野田さん御指摘のように、地代家賃統制令であるとか航空法改正であるとかというものと、公衆浴場法とかいろいろなものに濃淡の差があることは事実でございます。地代家賃の問題にしても、昭和二十五年という時期で前後区分けをしておる、ところがその後住宅環境が非常な変化をしまして、現在の地代家賃統制ということがもはや時勢に合わない。そして価格統制廃止する、つまりこれがあることによってかえって不合理になっているということでございます。そういう意味でこれを廃止するということなんです。  それから航空法も同じように、これは昭和二十七年でございましたか、当時の外形基準でやっている。この外形基準というものは今日余り意味がない。安全という面から見てもいささかも心配ない。今日のエレクトロニクスとか、こういったものの発達によってコックピット内のあれが大変変わってきておる。そこで問題は、構造自身によって判断していく、こういうようなことで、私はこれも不必要になっておる規制であろうと思うんですね。  そういう時代の変化に伴って不合理になっておるもの、あるいは不必要になっておるもの、あるいは過剰になっているもの、こういう趣旨目的は全く今お挙げになったほかのものとも同じではないか。別段これによって新しい重要な政策展開をこれからしようとするものじゃないわけですよ。  だから、今回二百五十八事項の中で当面法律改正を要するものの中にも、今のような基準から見ると一括できないものがあるわけですよ。だからそれは一括していない。例えばガソリンの輸入をやろう、これは大きな政策変更になるわけですね。しかし私が先ほどお答えしたような、もはや意味がない、不合理である、こういうような趣旨でやるので、新しい重要な政策展開をやるものじゃないわけですから、そういう意味合いにおいては、統一的な政策のもとでの規制緩和、そして趣旨目的が同じではないか。こういうことになれば、法制局長官見解を表明しておるあの三つ基準のうちの第一の基準に入るか入らぬかということについて官邸とも十分相談もし、法制局とも十分打ち合わせた上でやっておるんであって、野田さんがおっしゃるように、それぞれの委員会というものを形骸化するとか、そんな大それたことを考えてやっているわけじゃ決してありませんので、この点はぜひ御理解を賜りたい、かように思うわけでございます。
  11. 野田哲

    野田哲君 これは総務庁長官趣旨目的は、行政簡素化あるいは民活という目的になっているかもわかりませんけれども、事は軽重の度合いだと思うんですよ。ふろ屋手続旅館手続と、たくさんの利害関係者がいる地代家賃統制令とは、行政手続からすれば許可認可簡素化ということになるかもわかりませんが、法案中身政策中身軽重ということになれば、これは一束にして審議するのにはなじまないことじゃないか、こういう点を指摘しているんです。けさの朝刊でも、ある有力な新聞が、中曽根流政治手 法ということで囲みの記事で書いていましたけれども、私はそういう点は十分考えるべきことではないかと思うんです。  関連してさらに伺いたいと思うんですが、けさの日経新聞に「公共事業 高率補助、一割引き下げ」、こういうトップの記事が出ております。こういう形でまた一律に高率補助については切り下げをする措置考えておられるわけですか。総理、いかがでしょうか。
  12. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 予算編成に関連いたします事務的な問題でもございますので、とりあえず大蔵省側から御答弁を申し上げます。  ただいまお尋ねのいわゆる補助金高率補助率引き下げ措置でございますが、これは六十年度におきまして法律お願いをしたわけでございますけれども、これは六十年度における暫定措置ということでお願いを申し上げました。六十一年度以降の補助率取り扱いにつきましては、これはその当時の申し合わせもございますが、国と地方における役割分担あるいは費用負担見直し等をもう一度検討していただきましてさらに取り扱いを決めると、こういうことになっているわけでございます。現在、その趣旨に従いまして補助金問題の関係閣僚会議で御検討いただき、またさらにその会議に御報告をお願いするために学識経験者からなる補助金問題の検討会を現在鋭意お願いしているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、その会議あるいは検討会の御結論もいただきながら、六十一年度における予算補助率取り扱い検討させていただきたいと考えております。  先生御指摘新聞記事は私ども直接には存じませんけれども、事務的には関係省庁といろいろ御相談はさせていただいておりますが、現在まだ方針政府部内で決めるという段階ではございませんので御了解いただきたいと思います。
  13. 野田哲

    野田哲君 これは総理にお伺いするわけですが、この前の通常国会補助金等特別委員会では、高率補助金についての一律切り下げ一括法での処理を行わない、これは確認されているはずでありますが、そういう立場を尊重されて対処されるということで受けとめてよろしゅうございますか。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま大蔵省の小粥主計局次長が御答弁申し上げたとおりでございますが、趣旨と申しますのは、非常に高い補助率というものについて一律にやるというようなことはできるだけ避けたい、そういう趣旨の気持ちであのような御答弁を申し上げているのでございまして、その趣旨に沿って今関係閣僚あるいは学識経験者におきまして、どういうふうに処理するかということを検討している最中でございまして、その検討の結果を見まして対処いたしたいと思っておるところでございます。
  15. 野田哲

    野田哲君 今総理は、一律ということは大蔵省検討しているけれども、一律にというやり方はやらないというようなニュアンスで答えられたわけですが、もう一つ補助金特別委員会での委員長見解に含まれている意味というのは、率は一律でなくても一括法ではやらないという趣旨も含まれている、そして中曽根総理は、趣旨を受けて誠心誠意努力をいたします、こういうふうに答えているわけでありますから、一括法という手法はもうとらない、こういうふうに確認してもよろしゅうございますか。
  16. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 委員長
  17. 野田哲

    野田哲君 これは総理に答えてもらわなければいかぬね。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府委員から詳細に御答弁申し上げます。
  19. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) ただいまの六十年度における補助率引き下げにつきましては、法律が多岐にわたっておりましたが、補助金整理合理化という目的に照らしまして一括法という形でお願いをしたわけでございます。一括法という形式につきましていろいろ御議論が当時あったことは政府でも承知いたしておりますが、仮に、先ほど御答弁申し上げましたように、今後さらに補助金整理合理化あるいは補助率引き下げにつきまして法律案という形で御提案申し上げます場合に、どのような方式でお願いするか、この点につきましても、現在政府部内あるいは関係検討会で御検討いただく問題の一つであろうと考えております。その意味で、まだ政府部内方針を決めるということではございませんけれども内容的に先ほど申し上げました目的における同一性等一括法という形でお願いする場合も含めまして検討させていただいております。
  20. 野田哲

    野田哲君 これは政治的な問題でありますから、総理としての見解を聞いておきたいと思います。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま政府委員から申し上げましたように、私が先ほど申し上げましたように、補助率の問題、それと法案提出形式の問題と二つに分かれますが、両方とも先ほど申し上げましたような状態検討しておるということでございます。
  22. 野田哲

    野田哲君 その検討については、この前の通常国会補助金等特別委員会での委員長見解、これに対する総理見解大蔵大臣見解等々は、当然前提として尊重される立場をとるということでよろしゅうございますか。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 委員長見解は尊重して慎重に対処してまいりたいと思います。
  24. 野田哲

    野田哲君 行政改革の問題について重ねて総理にお伺いをいたしたいと思います。  去る七月二十二日の「行政改革推進方策に関する答申」、この中に「内閣総合調整機能在り方」、こういう項があるわけであります。表題としては「内閣総合調整機能在り方」となっておりますが、端的に言えば、内閣総理大臣権限強化あり方、こういう内容ではないかと思うわけであります。そこで、まず、このような答申が出された経緯、意図について伺いたいと思うんです。  私は、本会議での代表質問総理に対しても質問をしたわけでありますけれども臨時行政改革推進審議会設置法の第二条の「所掌事務」によりますと、「審議会は、臨時行政調査会行つた行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べるほか、内閣総理大臣諮問に応じて答申する。」、こういうふうになっているわけでありますから、臨時行政改革推進審議会審議をし、答申をすべきことというのは、範囲は限定されていると思うんです。一つは、臨時行政調査会答申を受けて政府が講じている行政制度及び行政運営改善施策に係る重要事項、もう一つは、総理諮問した事項、こういうふうになっているわけであります。そういたしますと、この「行政改革推進方策に関する答申」の中にある「内閣総合調整機能在り方」という事柄は、これは総理大臣から諮問をされたわけですか。諮問をされたとすれば、どういう内容諮問をされたわけでありますか。その点をまず承りたいと思います。
  25. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 昨年の五月七日、私が行革審へ参りまして直接お願いをしたわけでございますので、私からお答えをいたしたいと思います。  行革審に参りまして、内閣総合調整機能強化のための方策仕組み及び内外緊急事態に的確に対処し得る仕組みということについて一層具体的な検討お願いしたいということを私から要請したわけでございます。それに従って、行革審からの御答申を本年の七月にちょうだいすることができた、こういうことでございます。  御案内のように、行革審は、臨調答申を受けて講ぜられる施策、その中身は、既に講ぜられた施策、それから現在講ぜられつつある施策、それから将来講ぜられるべき施策として臨調答申具体化方策は含んでおるわけでございます。そういたしますと、この総合調整機能等の問題は、既に第二臨調審議せられたんです。答申は受けたんです。ところが、必ずしも具体的な点にまで踏み込 んで答申をするといういとまのなかった問題でございます。したがって、私どもとしては、臨調答申を受けての審議会に対して、もう少し突っ込んだ御意見をちょうだいいたしたい、こういうことでお願いをしたわけでございますから、私は別段、行革審に新しい施策ということで当方が要請したわけではございません。もう少し具体的な御意見をちょうだいしたい、こういうことでお願いしたわけでございます。
  26. 野田哲

    野田哲君 これは総理に直接答えてもらいたいと思うんですが、内閣調整機能という問題について、内閣調整機能がうまく機能するかどうか、これは内閣機構制度によることがうまくいく決め手になるのか。私は今の日本の政府を見ていると、内閣調整機能というのは、総理の個人的な資質と言ったら失礼かもわかりませんが、資質と言わざるを得ないと思うんですが、総理の個人的な力、それから総理自民党内外における派閥の力の強弱、それを基盤にした党内に対する発言力、それから閣僚人事あり方、つまり閣僚人事政権与党である自民党派閥均衡大事によって進められている、主としてこういう自民党内の派閥力学、それとその派閥に対する総理総裁としての発言力、あるいはまたそのバックにいる人の発言力、最近の例で言えば田中元首相の健康状態、こういう主として人的要素内閣調整機能がうまくいくかどうかの主たる要因になっているんじゃないかと思うんです。そういう問題点が解決されない限りは、幾ら機構いじりをやっても、内閣調整能力がすぐうまく機能するとはどうしても考えられないと思うんです。むしろ要因自民党内の事情にある、こういうふうに思うんですが、総理自身はこの内閣調整機能についてどうあるべきかと考えておられるわけですか。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 野田さんの御質問は、統治機構としての行政権のあり方と、それからそれを支える政治力の問題、二つの点を御指摘になった。関連しているだろうと思います。しかし事、行政に関する分野におきましては、内閣、これを構成する総理大臣及び国務大臣及びこれに対する行政上の各スタッフの力というものが一番重要なバイタルな問題であります。つまり、どういう政策展開するか、国民がどういうニードを持っているか、今国際情勢のもとに日本はどういうかじ取りをすべきか、そういうような問題は行政の全責任をしょっておる内閣の責任のもとに行われておるのであります。党はその源泉であるべき諸施策の基本的な部面、方向というものを指示いたしますが、具体的な問題というものはすべて各省、あるいは内閣においてこれが実行されつつある。そういうものでありまして、そういう意味におきまして、内閣及びこれを構成する総理大臣国務大臣、あるいはこの間における連絡調整というものは国政上の決定的に重要性を有する問題である、そう思っております。  しかし、その中におきましても機構上の問題と運用上の問題とが出てまいります。私はこれを機構上の統合と生きている統合と言っておりますが、私の今までの経験からしますれば、この生きている統合というものが意外に重要である。これは総理大臣になった人がいかに各省大臣をうまく使うか、各省大臣がいかに総理大臣にうまく献策するか、あるいは各省事務次官以下がいかに先見性を持って大臣を助けるか、そういうような生きた力の能力の問題等もございます。  それから官邸というものを考える場合には、余り組織が多くて複雑な場合は、必ずしもうまく迅速に的確に運ぶとは限らない。有能な者が少数で、そして権限を握って首相を助け、そのスタッフが各省庁に対してかなりのまた影響力を持って連絡を行う、そういうことが望ましいと私は考えておりまして、この機構改革につきましてもそういう趣旨に沿った機構改革の案が臨行審から答申されている、そう考えております。
  28. 野田哲

    野田哲君 これで最後にして、同僚の穐山委員に譲りたいと思いますが、機構改革の歴史を振り返ってみますと、かつて戦争中、当時体制が非常に強まっていった中で内閣直属機関がどんどんふえていっているわけであります。その代表的なものとして内閣書記官長というポストがつくられた。これは今の官房長官の前身であります。それから内閣調査局長官。後藤田長官は長く役人暮らしをされているからその経過を御承知ではないかと思うんですが、内閣調査局長官、それから情報局総裁というのが戦争中つくられました。今の内閣調整機能強化ということで検討されている中ではちょうどこれと同じような性格を持ったポストをつくるような、機構をつくるような検討がされてきているわけであります。内閣調整機能ということに名をかりた総理権限強化。よく中曽根総理については新聞等で言われている、中曽根総理はアメリカの大統領的権限を持った総理を目指しているんじゃないか、こういう評論がされることが間々あるわけであります。そういう形にならないような検討をぜひお願いしたいという要望を述べて、穐山委員に譲りたいと思います。     —————————————
  29. 亀長友義

    委員長亀長友義君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、矢田部理君が委員辞任され、その補欠として久保田真苗君が選任されました。     —————————————
  30. 穐山篤

    穐山篤君 総理が本部長になっております国鉄余剰人員対策の問題についてまずお伺いします。  昭和六十二年四月を目標にして余剰人員対策をずっと進められてきたようでありますが、仄聞するところによりますと、前倒しのような感じの措置考えているようであります。そこでお伺いしますのは、この余剰人員対策本部というのはどういう範囲の仕事をされているのか。それから具体的に余剰人員にいたしましても、その受け入れ、さらには退職金の扱いなり、あるいは年金などにつきましては持参金の方法も考えなければなるまいという話もあるわけであります。さらには新聞にはいろいろ書かれておりますが、どういう分野で何名ぐらい受けたらどうかという話もあります。中央の行政にいたしましても、あるいは地方自治体でも、あるいは公社・公団、事業団でも対応する労働組合があるわけです。それぞれ受け入れるということになれば、現に所属しております従業員あるいは組合員にしてみますと、労働条件に重大な影響を持つわけです。したがって、受け入れなどの問題について政労のあり方、政労協議、そういうことなどについてまとめてひとつ見解を表明してもらいたいと思います。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄余剰人員問題の解決は、国鉄改革を円滑に推進する上に当たって最重要の課題であると考えております。したがいまして、国鉄余剰人員雇用対策本部を内閣設置いたしまして総合的に内閣を挙げて取り組んでおるところでございます。できるだけ国鉄職員の不安をなくすような最大限の努力を我々は傾けて雇用の場の確保に努めてまいりたいと思っております。  六十一年度からの具体的な受け入れ内容を早急に策定すべく今努力中でございますが、具体的な進行状況等については総務庁長官からお答えを申し上げます。
  32. 棚橋泰

    政府委員(棚橋泰君) 先生お尋ねの具体的中身につきましてお答えを申し上げます。  ただいま総理からお答えのございましたように、政府として全力を挙げてこの雇用対策に取り組んでおりますが、この対策が各省にまたがりますことから、各省間を調整するという必要がございます。そういう意味政府が全体を挙げて取り組むということで、雇用対策本部というものが総理が本部長設置をされておるわけでございまして、その構成メンバーは全関係大臣及び全事務次官でございます。それから専門の事務局がございまして各省間の調整を行っております。具体的には、今総理からお話のございました六十一年度において講すべき対策、さらには六十二年度以降の対策の方針の決定等について現在調整をしておるところでございます。  それからお尋ねのそのような余剰人員を地方公共団体とか、そういう関係の方に受け入れます際 の先生のおっしゃるいわゆる持参金というような内容でございますけれども、これは共済年金につきましては、御承知のように、政府に参ります場合には法律で既にこれは通算ということになっておりますので、いわゆる積立金を持っていくという形になっております。それから地方共済との関係につきましては、現在御審議をいただいております法案が成立いたしますとほぼ同様な措置を講ずるということになっております。その具体的なあり方についてはさらに政令等において決まるということになっております。  あと、希望退職の中身でございますけれども、これにつきましては、希望退職のどのような範囲を対象にするか、さらにその方たちに対する上積みの特別の給付金をどういうふうなものにするかということにつきましては、現在政府の雇用対策本部を中心に鋭意詰めているところでございまして、近日中に大枠につきまして結論が出るというふうに考えております。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 時間がなくて詰められないのは残念ですが、新聞などにはかなり細かく出ていますね。あすの閣議で決定するとさえも報道されているわけです。そのような状況からいいますと、今の答弁というのは一週間も十日も前の答弁と全く同じであります。私、時間ありませんからこれ以上申し上げませんけれども、もっと誠意をもって具体的な中身を明らかにすることが妥当ではないかということを申し上げておきたいと思うんです。  それから二つ目に、国鉄改革についての基本姿勢の問題で総理に伺います。  この前の予算委員会で矢田部委員から、監理委員会が発行したものについて厳しい質問がありました。その後、この裏表紙に言いわけの紙を張りましてそれぞれ配りました。これはこれとしてもいいんですが、総理はこれをごらんになったことがありますか。  専売、電電の改革の際におきまして、当事者であります専売、電電公社当局は、当時事態を非常に冷静に見ておりまして、その法律改正にそれぞれ全力を挙げたわけです。ところが国鉄改革について言いますと、ややはしゃぎ過ぎで、運輸省も国鉄当局も、なかんずく国鉄当局は冷静さを欠いております。まだ国会に立法化の提案もされていないときに、今お示ししたようなポスターを国鉄当局がつくりまして電車の中に中づりにしているわけです。民営・分割にすれば元気が出ますと言うから現在は元気がないのかな、こういうふうにさえ思えるわけであります。  特に国鉄、それから監督の責任があります運輸大臣が国鉄改革についてもっとまじめに対処してもらいたいと思うのです。今国鉄当局がやるべき事柄は、国鉄再建に当たって十分環境整備をすることです。まず組合との正常な関係をつくる、あるいは増収対策について新しい知恵を出したり創意工夫をしたりする、あるいは国民の意見を積極的に聞いて回るということが一番大切ではないかと思うのです。ところが、今申し上げましたように全くはたから見ておりますと、こういうものを考えた人の顔を見たくなるほどのやり方でありますね。  それからまだ政府国会法案も提出しておりません。どういうふうに民営・分割になるかもわかりません。にもかかわらず国や政府機関にあなたは転勤いたしますか、あるいは地方自治体に転勤しますか、さらには旅客鉄道会社に残りますか、貨物会社に残りますかというふうな、これも全く非常識な調査をもう始めようとしているわけです。  そこで総理に注文しますが、こういう気違いじみたやり方を国鉄がとっておれば、国鉄はますます世間から信頼を失うことになるのです。もう一遍冷静に戻って、いかにして国鉄の改革を国民が納得するような形で進めていくことができるか、その環境を整備することが一番重要だと思うのです。もう時間ありませんから、その点について総理が厳しく運輸省なり国鉄当局を監督するように私は注文したいと思いますが、総理の決意を伺いたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今のポスターを拝見し、またこのアンケート調査等に関する限り、私は国鉄の熱意を買いたいと思っております。我々の方は、むしろ国鉄改革に関する方向を決めまして、閣議決定も行い、今法律をつくっている最中で、しかも出てくる余剰人員の対策については内閣を挙げて心配もし、努力もし、手当てをするように努力しておる最中であります。国鉄側がこれに対応するように一生懸命真剣に考えて、従業員の皆さんの行く末寺についても皆さんの御意見も承って十分な時間的余裕を持っていろいろな準備、手当てをしたい、そういう考えからこのアンケート調査も行われておる。やみくもにおまえはどうするかというぐらい不親切な話はない、私はそう思うのです。数が少ない場合にはこんなアンケート調査の必要はないかもしれませんが、かなり膨大な数にも上るわけですから一人一人の立場考えてやらなければならない。そういうような考えで、そういう熱意のあらわれとして私はこういうものがあったのだろうと思います。  それからポスターにいたしましても、国鉄はお客様を大事にしなければなりません。お客様も国鉄がどうなるか心配しておるだろうと思うのです。そういう意味において、今国会におきましていよいよ法案が提出される前に内閣としては既に方針も決定し、法案を策定している、そして再建監理委員会答申も出ておる、こういう現状を踏まえまして、国鉄が国民の皆様方に、自分たちも一生懸命やりますと、そういう意思表示をしているということは私は了解できるところであります。それ以上の余分なことはやらぬ方がいいと思いますけれども、従業員やお客様に対するやり方としては私は納得できる点であると我々政府としては考えております。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 それはもう立法府への侵害ですよ。  時間がないから、また次のときにでも聞きます。
  36. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 今総理からおおよそお答えいただきましたので、あえてつけ加えることもそうたくさんございませんが、基本的には国鉄は、既に先生御案内のとおり、再建監理委員会意見を尊重してその示された方向で進むということは明らかにいたしております。したがいまして、このような基本認識を国民にお示しする、そして国民の理解と協力を求めるという意味におきまして、私は、あのポスターはむしろ……
  37. 穐山篤

    穐山篤君 電電や専売なんかやったことないじゃないか。ちゃんと国会審議が終わってからや保っているじゃないか。
  38. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 必要最小限度の程度しかそれにこたえていないと思うんです。  なお、ですから民営・分割等は当然国会において御審議いただいて、御決定いただくことでございますから、その意味も踏まえて「国会のご承認をいただいた後」ということをあのポスターにも明記してあると思いますから、決して行き過ぎではないと私は存じております。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 そんなことは余分なことですよ。
  40. 原田立

    ○原田立君 総理法案に関連して当面している諸問題について若干お伺いいたします。  日本経済にとって当面の課題は、景気、貿易摩擦、財政再建の三つであろうと思うのでありますが、景気については、七−九月期の実質成長率が年率換算で二・六%と低迷したほか、今後も円高に伴う経済へのデフレ効果が大いに懸念される状況にあると思います。それから経済摩擦については、今年度の貿易収支が五百億ドルを超え、来年度も五百億ドルの膨大な黒字が予想されるなど、再び貿易摩擦が激化する可能性が強いと思うのであります。また財政再建については、景気の後退から税収の伸びが思うように進まず、補正予算での赤字国債の増発が必至とされ、六十五年度赤字国債発行ゼロの財政再建路線は破綻寸前のところまで来ているのではないかと、こう思うのであります。それぞれ厳しい状況下にありますが、この三つの問題に対してどのような御認識、御見解をお持ちですか。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず、経済摩擦の問題につきましては、アクションプログラムを遂行し、また今国会におきましても関税の引き下げについて御審議も願っておるところでございまして、またG5の会議も行いまして円高の方向に為替関係変化してきておる。こういうわけで一つ一つ着々と経済摩擦解消に努めておるところでございます。  それから、それに伴いまして中小企業その他に相当な痛みが出てこやしないかということも心配しております。現在の情勢を見ますと、二百二、三円で推移しておりますが、大事なことは、安定するということが大事なのでありまして、一体どの辺に動くかわからぬという状態では成約もストップする、現在はそういう状態である。今まで貿易関係の様子を見ますと、十二月から一月ぐらいまでは契約は既にとってある、二月以降の成約が今停滞している、こういう状況でございますから、できるだけ早く安定させ、安心感を与えまして、そうして早く再スタートにつくように我々としては積極的に誘導もしたいと思いますし、かつまた年末のいろいろな経済の問題について心配が起こらないように資金その他の手当てもしていきたいと思っております。  財政再建の問題につきましては、六十五年度赤字公債脱却、公債依存体質から脱却するという、そういう既定方針に基づいて予算編成も進めておりますが、その予算編成の中におきましても、民需、内需、民活、そういう点については十分注意して行いたい、そして既定方針を貫いてまいりたい、そう考えておるところでございます。
  42. 原田立

    ○原田立君 総理は、十一月二十八日、日本記者クラブでの発言で、来年度の予算編成について、内需振興をある程度考え、経済の停滞に配慮した予算にしなければならないとか、あるいはまた経済が停滞するのを防止するためにも景気刺激が必要との考えをお述べになっております。また一方、「総理と語る」の録画撮りの中でも、景気について円高の影響で景気が少し停滞する危険性があるとか、あるいはまた行革路線を守りながらエンジンを吹かすところは吹かすという重点主義で当たっていきたいとか、こういうふうないろいろなことを仰せになっております。要するに内需振興、景気浮揚に重点を置いた対策を考えておるように思うのでありますが、具体的に何をどうしようというのか、明確にお示しいただきたいと思います。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この問題については、予算編成の過程で解決し、施策展開してまいりたいと思っておるところでございますが、例えば公共事業等につきましても事業量は昨年よりは減らないようにいたす、あるいは地方等につきましてはできるだけ起債や単独事業を拡充するように地方とも御相談を申し上げる等々の政策等を実施いたしまして、景気について不況感、停滞感を起こさないように政府としても努力をしてまいりたい、こう思っておるところです。さらに景気について大事なことは住宅政策がございますが、これらにつきましても、予算編成の過程においてできるだけ住宅建設は促進されるような方向で努力をしていきたい、そう考えておるところでございます。
  44. 原田立

    ○原田立君 建設国債の増発について、総理はどのように考えておられますか。また、新聞報道によると、総理は免税債を発行するのに非常に強い意思をお持ちであるということを聞いておりますが、財政当局の反対でどうやらこれもあやふやになっているようですが、いかがですか。  あるいはまた、来年度の経済見通しについて、政府は四%台の確保を予定しておりますが、日本興業銀行の調査では、所得税減税、住宅投資減税あるいは公共投資追加など合計三兆円の内需振興策を実施しても実質成長率は二・八%ぐらいにしかならない、経常収支の黒字も五百億ドルと余り減らないと見ておりますが、来年の東京サミットに向けて積極的な内需拡大策をとらないと、アメリカやEC諸国からの批判をもろに受けるのではないかと心配する点もあるんですが、いかが御処置しますか。  また、内需振興の点からも所得税減税はぜひ実現すべきだと思いますし、また住宅減税の実施と建設国債増発による公共事業増を図るなど内需拡大振興を図るべきだと考えますが、いかがですか。
  45. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この問題についてにした数字にわたる問題は、今、企画庁が来年度について懸命な最後のエスティメーション、見積もりへの努力をしておるところでございまして、それらの情勢を見つつ判断して言うべき問題であり、予算編成と同時にそれらは決着していきたいと思っております。  税の問題等につきましては、政府税調におきまして今熱心な討議がなされ、また並行して、党の税調におきましても党内の世論のいろいろな吸収、調整に努めておるところでございまして、それらの推移を見守ってまいりたいと思っております。
  46. 原田立

    ○原田立君 所得税減税等はもうやらないというふうにお考えですか。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府税調を中心にして、また党税調の結果等もよく見詰めまして判断してまいりたいと思っております。
  48. 原田立

    ○原田立君 非常にあいまいでなかなか納得しがたいんですが、時間がありませんので次に進みます。  今も同僚委員から質問がありましたが、行革の中で大事なのは国鉄改革だろうと思うんであります。国鉄再建監理委員会の七月答申等によれば、大変な落差、人員の落差があるわけでありますが、余剰人員四万一千人のうち、公的機関で三万人の受け入れを計画しているということを聞いております。また十三日、あす閣議決定されるとのごとであります。対策本部長である総理のリーダーシップが強く要請されると思うのでありますが、この行き詰まっている局面をどう打破し、目標を達成するのかお伺いしたい。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄の余剰人員対策につきましては、内閣を挙げて一生懸命努力して取り組んでおるところであり、民間にお願いする前に公的部門がまず率先引き受くべきという態度を示すべきものであると考えております。  十月十一日の閣議決定「国鉄改革のための基本方針」においても、国は昭和六十一年度からその採用数の一定割合を雇用の場として提供することとして、また地方公共団体に対しても国に準ずる措置を積極的に採用するよう要請しているところです。これに基づきまして、現在国、地方公共団体、特殊法人等の公的部門における具体的な受け入れ内容を懸命に今策定しているところでございまして、まだ数字を申し上げる段階にはないのでございます。
  50. 原田立

    ○原田立君 六十一年度予算編成に当たって、今年度の一律一〇%カットは継続し、その上にさらに一般の補助率についても大幅に引き下げる計画というふうなことが言われておりますが、これは本当なんですか。税収の伸びが期待できない、そのために歳出削減を補助金に頼る。どう見てもやりやすいところからやる弱い者いじめの感が強い。今やるべきことは、まず補助金整理合理化が先ではないか。補助金整理合理化は第二臨調がスタートしたときから強く叫ばれてきた問題でありますし、まず整理合理化を実施した上で次の問題として補助率検討に入るべきだと思うんでありますが、その点いかがですか。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨には賛成であります。  まず補助金整理合理化、それから補助率の問題、それが行政の手順、順位であると、そういうふうに私も思います。そういう意味におきまして、補助金整理合理化あるいはメニュー化等々については今後も努力してまいりたいと思っております。  また、補助率の問題につきましては、政府も言明しておるところでもございますし、また現在閣僚協あるいは学識経験者意見も徴して検討を加えておるところでございます。
  52. 原田立

    ○原田立君 高率補助金の一律カットや引き下げの前に、自治体から要望の強い補助金にメスを入れるべきではないでしょうか。例えば地方自治経営学会が発表した地方が求める国側での改革の中で、補助金に対して申請事務等に要する経費が何万円もかかっているということが報告されております。児童扶養手当支給事務費補助金が国からは四万七千円でありますが、実際には二十三万八千円もかかっている。あるいはまた外国人登録事務交付金は国からは四万四千円でありますが、実際には二十二万円もかかっている。こういうふうな例が例示されているんでありますけれども、このような補助金整理合理化を優先してやるべきではないかと、こう思いますが、いかがですか。
  53. 小粥正巳

    政府委員(小粥正巳君) 補助金につきます具体的な問題でございますので、事務当局からお答えをさしていただきます。  ただいまお示しの調査結果、これは私どもも十分読ましていただいております。今お尋ねのいわゆる零細補助金の問題でございますが、私どもも今の御指摘のように、補助事業者当たりの交付金額の少額のものにつきましては、補助金整理合理化の中の大事な問題として取り組んでおります。ただ一件当たりの交付金額が少ないから補助効果が乏しいと一概に言い切れないものもございます。例えば国家補償的な意味合いを持つ補助金などの例もございます。  ただ、私どもは、今申し上げましたように、一般的には交付事務等を含めましたコストに比べまして必ずしも十分効果が期待できない少額の補助金廃止統合等整理合理化には努力をしているつもりでございまして、例えば六十年度におきましても、現に政府部内で市町村あるいは都道府県レベルで一定の金額以下の零細補助金につきましては、具体的に申し上げれば、四十四件中二十件を廃止統合等整理合理化に努めた所存でございます。六十一年度予算編成、今後の問題につきましても、御指摘の点を踏まえまして整理合理化をさらに進めていきたいと考えております。
  54. 原田立

    ○原田立君 総理、ちょっと法案から外れますけれども総理は本年八月終戦記念日に靖国神社公式参拝を強行なさったんでありますが、公式参拝はどう考えても明らかに憲法違反であると私は思うのであります。靖国神社問題懇談会の報告や津地鎮祭訴訟の判決を根拠に公式参拝は合憲としておりますが、靖国懇の報告を隠れみのにし、最高裁判決も自分の都合のよいところのみをつまみ食いしたものにすぎない。秋の例大祭にはいろいろな外交日程等で欠席をしたそうであるが、むしろ当然のことだろうと思うんであります。明年についてもこういう公式参拝はやるべきではないと思いますが、いかがですか。
  55. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 公式参拝をやります前に官房長官談話を発表いたしましたが、あれはまだ生きていると前から申し上げているとおりでございます。しかしこれは制度化したものとしてやるべきものではなく、そのときの総理大臣の判断によって行うと、こういう考えで今後も処してまいりたいと思っております。
  56. 原田立

    ○原田立君 結局は靖国懇の言い分を隠れみのにして各歴代総理大臣が行わなかったようなことをあなたはやったわけだ。憲法違反行為ですよ。  今月初め、日本国際貿易促進協会の訪中団が北京訪問の際、櫻内団長に、靖国神社公式参拝問題に言及したときには、胡耀邦総書記の四つの意見に立って両国民の感情を損わないように対処したいと伝えるよう頼んだということが新聞に報道されておりますが、この胡耀邦総書記の四つのことは、これはむしろ当然のことであって、日中両国関係を最も尊重した意見であろうと思うのでありますが、これを遵守なさるお気持ちはおありですか。仮に明年も公式参拝するようなことがあれば、今後の日中友好に重大な溝が深まると心配をするのであります。公式参拝はすべきではない、こう思いますが、重ねてお伺いします。
  57. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず、胡耀邦総書記が日中両国の二十一世紀委員会委員に対してお話をしまして、またその意見が人民日報に載りました胡耀邦総書記のいわゆる四点意見というものについては、私は同感であり、賛成する、そういうことを申し上げたのでございます。これは、中国から五百人青年を招待いたしまして、青年の船が東京へ来ましたときに、皆さん方にも私はそれを申し上げたところであり、櫻内議員が国貿促の会長として中国へ参ると言いますから、お話の出た節にはそのことにも言及をいただきたい、そういうことを申し上げた、そういうことでございます。  靖国神社参拝の問題については、先ほど申し上げましたように、これは制度化しているものではない、総理が判断して個々的に行うものである、そういう考えに立って今後も考えてまいりたいと思っております。
  58. 原田立

    ○原田立君 章曙中国大使は、先々月の三十日、着任のあいさつに訪れて、二階堂副総裁は、靖国神社への閣僚の公式参拝に関連して、中国などが強く反発している東條英機元首相らA級戦犯の同神社への合祀について、私自身も反省していると遺憾の意を表明した。これに対して、約三十分間ぐらい会談があったそうでありますが、章曙大使は、日中友好の基盤は固まってきているが時々不幸な事件が起きる、中でも公式参拝問題は中国にとって極めて遺憾だと、公式参拝への不快感を表明しているということが報道されております。いかがですか。
  59. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのことは新聞でも拝読しております。
  60. 原田立

    ○原田立君 拝読しているから、あなたはどうおとりになっていますかと聞いているんです。
  61. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中国側のお考えとして了解をいたしております。
  62. 原田立

    ○原田立君 作家の山崎豊子さんが胡耀邦総書記に会ったときの会見で、義和団事件での八カ国侵略は八十五年経過してやっと印象が薄れてきた、日中戦争から四十年しかたっておらず、あと四十年ぐらいしなければ国民は淡々とした感情にはなれないと、同問題解決には時間がかかることを強調したということが言われておりますが、今後の日中友好のますますの促進の上からも総理は逆行した考え方をお持ちではないか、こう思うんですが、いかがですか。
  63. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国民の大多数は靖国神社に対する参拝を非常に要望していた、そういうふうに考えております。また靖国懇の議論の跡等もよく調べてみまして、いわゆる社会通念というものも考え、また最高裁の判決等もよく精査いたしまして、ああいうやり方ならば合憲である、そういう考えに立って行ったものでございます。別に軍国主義をあおろうとか、戦犯の皆様を目当てに追悼したとか、そういうものではない。戦没した皆様方に対して心から追悼し、平和を祈願し、再び戦争してはならないという決意を新たにいたしたものなのであります。
  64. 内藤功

    ○内藤功君 総理に御質問いたします。  二十六の法律、四十二の事項にわたるものを一括してこの法案として出してきたのであります。国会審議権を侵害するものだと繰り返し主張してまいりました。例えば航空機関士を乗務させるべき航空機の基準緩和。航空機関士の役割はあの日航機事件のボイスレコーダーを徹すればよくわかります。国民の生命に直結する、まさに国政の根本にかかわる問題だと思うんです。こうした法案だけでも運輸委員会で数日間の徹底審議にかけるに値する法案だと思う。それを一括の中に入れて二十六本のうちの一つとして処理せよと。これは常任委員会としての運輸委員会審議権を無視することにほかならないと思うんです。  また、地代家賃統制令下に、全国で百二十四万の人たちがこの適用下にあります。これは一定の家賃の歯どめになっているんですね。それが外された場合には、これは不当な急激な値上げ要求が続出するでありましょう。払えないという人は結局、裁判所の判決で立ち退かされざるを得ない。しかし行く先の保障ははっきりしない。一大社会問題だと思うんです。先ほどもお話ありましたが、例えばタクシーの運転手さんの登録事項から 本籍地を削るかどうか、こういうような法案一括して織り込んでこういう重大なものを出してくる。私は調べましたが、前代未聞です、こういうやり方は。これでは常任委員会としての運輸とか建設とか、そういう各委員会の持っている機能を非常に侵害し、軽視するものだと思うんです。  それぞれの常任委員会には長年の蓄積があります。経験と専門の識見のある委員がおります。もちろん内閣委員会を初めとして各常任委員会そうなんです。常任委員会制度というのは議会制民主主義の運営の基礎なのであると私は思うんです。官房長官と総務庁長官に聞きましたが、いずれもお答えは、そういうような侵害の意思なんという大それたものはない——私の聞いているのは意思の問題じゃないんです。客観的、結果的にそういうふうな国会審議権の侵害ということになっているじゃないかという質問なんです。法案をただただ早く通したいという一念に立てはその方が便利でありましょう。しかし、国民の負託を受けて十分に責任のある審議をするという国会立場総理としてお立ちになった場合、国会議員の立場に立った場合に、これで一体よいのかという問題であります。この点について総理御自身の御所見をまず伺いたいと思います。
  65. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回の法律案につきましては、先ほど来申し上げましたように、一括化するための趣旨目的の共通性というところにかんがみまして、この程度のことはお許しいただける、そういう判断に立ったものでございます。従来も大体十回ぐらいこういう一括法を提出していると思いますが、大体その例にもならっておるものでございます。
  66. 内藤功

    ○内藤功君 事の重大性ということを考えてみた場合に、今の総理の御答弁は私は納得できないわけであります。  昭和四十九年の三月二十五日でありますが、当時の衆議院の石炭特別委員会では、石炭関係法案を一本にまとめて提案したことがございます。これに対して、自由民主党を含む、社会、共産、公明、民社、この五派の共同提案で附帯決議がついたわけなんです。これには、「審査の万全を期する上で妥当を欠く」、今後「十分留意せられたい。」という警告をこの附帯決議で発しておるところであります。当時の通産大臣は、総理である中曽根康弘氏が通産大臣であられた。通産大臣の中曽根康弘氏は、議事録によれば、「今後十分慎重に対処してまいりたい」と明確に答えておられます。この四十九年のときは、石炭関係に限られて、しかも法案は三本を一括してまとめたんですね。それでも時の国会は、審議権を十分に確保するという立場から、これを問題視いたしまして、許さないという立場に立ったのでございます。これは与党の自由民主党も加わってであります。で、政府も通産大臣の御答弁、御見解でそれをお受け入れになったのであります。  さて、これと比べて本法案は、実に二十六本の法律、四十二の事項省庁では八省庁にわたると思いますね。参議院の常任委員会で見ますと七つの常任委員会にまたがっておるわけでございます。しかも内容は、先ほど申しましたから詳しくは繰り返しませんが、いわばジャンボ機から圧力がまから乳幼児用のベッドから、そうして地代家賃、天から地に及ぶ多岐にして国民の安全、生命、生活に関する重大なものが包含されております。私は、この四十九年三月二十五日の国会での決議と答弁からすれば、本法案の出し方は到底許されないと思うんです。前にあったかどうかということは問題でないわけで、前にあっても間違っているものは間違っている。  私は総理に伺いたいんですが、この衆議院の決議を本当に尊重されるのか。またこのときの通産大臣としての御答弁を尊重されるのか。これは当然尊重するということでありましょう。尊重するというのであれば、このたびの法案の出し方はこれに明らかに反するのではないか、矛盾するのではないか。私は先日の本会議で、総理にこの点の御答弁を本会講壇上でお願いしたんでありますが、そのときお答えいただけなかったものですから、ここで明確に直接的なお答えを賜りたい、こう思います。
  67. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昭和四十九年の石炭対策特別委員会における附帯決議に対して、今後十分慎重に対処していくということを申し上げたことは承知しております。その趣旨に沿って実行してまいるつもりでおります。  今回の法律案は、公的規制緩和あるいは解除という同一の趣旨目的を持っておる、こういう性格におきまして一括化しても差し支えない、そういう判定のもとに提出さしていただいたということでございます。
  68. 内藤功

    ○内藤功君 繰り返しになりますが、あのときは三つ法律を一本にしたんですね。今度は二十六本、四十二事項です。私は明らかに違うと思うんですね。あのとき、三つ法律であっても議会は重視して、これについて警告決議をして、総理がこれを受け入れる答弁をした。今度は二十六の法律ですよ。内容がたくさん重大なものがあります、四十二事項ですよ。あのときの総理のお言葉からすれば、こういうような出し方は許されない、こうなると私は思うんです。大体御見解は繰り返しになりましょうから、私はこの点を再度指摘しておきたいと思います。  最後の質問ですが、大きな意味での国の機構の問題の一つである国会の定数是正の問題。  総理は先日、各党党首に定数是正問題で書簡をお出しになった。我が党は不破哲三幹部会委員長から十二月七日付をもって返書を出しました。この内容は既に総理にお届けしてあるからここで繰り返しませんが、その中でも強調しておりますことは、自治省が十一月十七日に九月二日現在の選挙人名簿登録者数を発表いたしました。これによりますと、いわゆる六・六増減案、これが実施されたとしても有権者数の格差は一対三を超えるということが試算上明らかであります。十二月二十四日には発表されるという予定のいわゆる速報値によっても、この一対三を超えるということは一層はっきりした結果になると思うのであります。後藤田国務大臣は、確定値によればなお変わってくるとお話しになったと伝えられておる。  こういうことになるのはなぜかといいますと、新しい国勢調査が実施されその発表が近いのに、なお五年前の国勢調査の結果に固執して、さらに三対一という不当な格差を前提に事を進める、こういう態度に固執するからだと私は思うんです。この六・六増減案によっては、最高裁の言われる、衆議院議員の選出の基盤が日本国憲法に反するという異例な状態、判決で言っておりますこの異例な状態解消できないことは明らかであります。  私はここで総理にお伺いしたいのは、総理が各党党首に出された、定数是正により違憲状態解消を真剣に考えておられるというのでありまするなら、現時点で既に違憲性の明白な六・六増減案、これについては自民党内部にも強力な反対意見があるように聞いておりますが、これに固執すること、こだわることをやめられて、深くこれを撤回され、その上で抜本的な定数是正のための各党間の協議、我が党は円卓会談というものを書簡の中で申しておりますが、この協議を開始する、これが順序であると私は思うんです。総理のこの点についての御所見を最後にお伺いして、私の質問を終わらしていただきます。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最高裁の判決によりまして、違憲、異例の状態が現在も続いておるということでございますから、立法府としては立法府全体の責任において速やかにこの最高裁の指摘している状態解消する責任があり、それは最大の急務である、一刻もゆるがせにすべからざる問題である、そう考えまして衷情を披瀝したのが私の書簡で、別に他意はないのでございます。  したがいまして、現時点におきまして、昭和五十五年の国勢調査というものが今現在のよりどころでございますから、それに基づきまして六・六案というものが提出されて御審議を願っておるところであり、速やかにこれが成立をされるということを希望しておる次第なのでございます。  昭和六十年度の国勢調査の速報値が判明した場 合には、その判明の状態によりまして是正をするということにおいては大体与野党も同じような意見であると承知いたしております。ただこの場合、法律的と政治的と問題があると思いまして、法律的には概算速報値というようなものでやっても可能であるやに承っておりますが、どれくらいの数を動かすかというやり方によっては、増と減のマージンの場合に非常に微妙な点が生まれてくるようでございます。そうすると、せっかく直した場合に、確定値が出た場合にひっくり返るという危険性も今回の場合にはあるやに承っておりまして、その点は慎重にしなければ、これはまた法律をつくっても大変な失敗をする、そういうことになるということを恐れておるわけであります。
  70. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 せっかく総理がおいでになっていただいたんですから、時間もないし、大筋なところを幾つかお聞きをしてまいりたいんです。  中曽根総理行政改革に一生懸命お取り組みになられた方なんですが、今回のこの法改正というものが総理にとって満足なのかどうなのか、総理の満足度というものは何点ぐらいですか。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 高望みをしたら限りがありませんが、この臨時国会までの間にこれだけの法案をまとめるということも大作業でございまして、まあまあという考えております。
  72. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 この法案というのは、政府の提案の理由の第一にありますように、「政府は、民間における事業活動等に対する公的規制緩和することを当面の重要課題の一つとして位置づけ」ています。ところが総理、これは今までも言ってきたんですが、今許認可事項政府は幾つ持っているんですかと言ったら、一万二百九件ですと。その中でこれは数十でしょう。一%にも満たない程度のものを今こういう形で規制を外す。これでまあまあだと思っていますという答弁では困るんです。今日のこの社会の情勢の進歩というか変化に、政府としてこの程度のことをやっていて対応できるんでしょうかどうか。その辺の総理の御見解はいかがですか。
  73. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 社会は進歩して生々流転しておりますから、それに対応するように常に為政者は心を配っておかなければならぬと思います。そういう点から、既存の法体系の中においてはまだまだ検討すべき余地はかなりあるように思っております。しかし、その中で特に不合理性の著しいものにつきまして、二十六法律、四十二項目について指摘をして法律としてまとめたのでございまして、これで満足しているわけではなく、行政改革、許認可整理というものは我々の常時不断の大課題であると思って努力を続けていかなければならないと思っております。
  74. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 常時不断の大課題であると言われるわけですから、そういう点に立ってこれからもさらにどういうふうなプログラムを持って進めていこうとしているかどうか。これは私が言わなくても総理もおわかりだと思うんですが、今、日本の商品というのはみんないいわけでしょう。時計一つとったって、昔は毎年オーバーホールしなきゃいけなかったし、何年に一度は修理に出さなきゃいけないけれども、今そんなことをやる時計というのはないわけだ。それほど性能がよくなって、それほど品質のいいものが安くできるようになったから、今総理が御苦労なさっているように、外国に売れ過ぎて貿易摩擦なんということになっているわけですよ。だから、私の考えから言うならば、政府が余計な干渉をしないで、介入をしないで民間企業にやらしたらよろしいでしょう。ただ、大事なことは、経済動向がどうなっていく、国際情勢がどうなっていく、そういうことを将来的にも見通してアドバイス的な示唆というものを政府はお出しになることが、言うならば、朝天気がよくても夕方に雨が降りますよ、出かけるときは傘を持っていかれたらよろしいですよと、そういうことをやることこそが私は政府の仕事だと思うんです。その辺についての総理のお考えはいかがですか。
  75. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原則的にそう思います。ただ、食品衛生とか、あるいは健康に関するそのほかの問題、あるいは電気やそういうようないろんな問題で人体に生命の危険を及ぼすような問題については、ある程度政府も慎重にやらなきゃいかぬと思っております。そういう点については、政府も責任を持って限界点を決め、国民の皆さんに御安心を願うような措置が必要であると思っております。しかし、今までの法律行政の体系から見ますと、それほど重大でないものについてもばんばん判こを押すような、そういうやり方で物が進んできましたし、また業界の方でもそれが当たり前であるというような感じを持っておったんですけれども、これだけ日本の科学技術の水準が上昇いたしまして、世界でも日本の商品がこれだけ売れるという状態のもとでありましたら、民間の技術力あるいは企業良心というものを信用していい時代になってきている。もう一つは、消費者自体が自分の責任において物を処理する、自分の選択眼というものを養っていくべきときにきている。何でもお上に任じて、お上がやってくれれば——でなきゃお上の責任であるというようなことにしておくべき時代ではなくなったんです。そういう意味において、情報時代にも入ってきておりますから、それに即応するように行政の体系も進め、簡素合理化を常時やっていくべきものである、そう考えております。
  76. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理が今言われたお上意識をなくなすということが私は大事なことだと思う。それで、いろいろ私の耳に入ってくるところでは、もっともっといろいろ規制を外すということを考えても、なかなかお役人が自分の持っている権力というか、何か取られるわけですから、そういうことで反対されてできなかったんです。ですから、総理がお考えになってどうなんですか。  私は、行政改革というのは、まず仕事をなくなすことだと思うんです。仕事をなくなすことによって人が要らなくなる、人が要らなくなるから、それによって経費が浮いてくるし節約できる。そういう点に立ったときに、今回のこの二十六本という数は多いわけですけれども、この中にはいろいろありますが、この程度のことで、行政改革という面から言ったならば、どの程度の経費が節約になるというふうにお考えになりますですか。
  77. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回のは余りにも規制緩和という名に値しないではないか、こういう御趣旨だろうと思うんですね。なるほどこの法律だけをごらんになればそういう批判もあり得ると思います。しかし今回の規制緩和の効果は、民間活力の発揮、推進のための環境整備である、それから国際的に遜色のない開放性を有する市場の実現に資する、こういうことであったわけでございますので、これは既に何度もお答えをしておりますが、この法律だけで評価をひとつなさらないように。それ以外に金利自由化の問題であるとか、あるいは航空分野の見直しであるとか大変重要な緩和事項が入っているわけですから、それらをまず総合的に判断をしていただきたい。  しかし、いずれにせよ、そういうことでやっているんですが、これで定量的に何ぼ人員が減るんだ、金が何ぼ減るんだと言われましても、それはちょっと私は困難なことであろうと、こう思います。しかし、いずれにせよ、それで十分かと言えば、先ほど総理がお話しになるように、時代は変わるわけですから、その時代の変化に即応しながら、まずは各省庁が見直しを絶えずやっていく。その見直しが各省庁で不十分であれば、これは政府全体としてそれに取り組んでいく、それがために私の方の役所には監察機能もある。同時に、どんどんまた新しい規制を役人はつくりますよ。そのときに一体、新設のものに対する基準はどう考えたらいいんだろうか、こういったような残された課題がありますので、政府としては今後ともに引き続いて規制緩和については努力いたしたいと、かように考えております。
  78. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、最後に。  行政改革という立場から国会みずからが取り組むことが多々あるんじゃないかと思うんです、この国会審議あり方なんかでも。そういう中から私がきょうお聞きをし、お答えをいただきたいの は、政府側がこの国会で立てる答弁者なんです、局長以下議運で許可をいただく。前回の百二国会のときにはそれが全部で三百四十四名、この臨時国会で三百四名なんです。余りにも多過ぎませんか。スイスへ参りまして聞いたら、スイスの国会答弁できるのは大臣と官房長官だけだそうです。局長は一切答弁に立てないんだということを聞きました。それもなかなか無理なことですが、せめてそういうふうな政府委員というのを百人くらいにして、それ以外の人はお役所で働いてもらった方がよっぽど効率がいいと思うんですが、その辺について総理の御見解はいかがですか。
  79. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の国会は、ほかの国会に負けないように鋭い質問が多いものですから、とても大臣、政務次官だけでは手に負えない、そういう状況でございますので、助っ人を頼むということになっておりますが、しかし行政事務も大事でございますから、御趣旨を体しましてできるだけ行政を充実さしていくように努力してまいりたいと思います。
  80. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  81. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議があるようですので、これより採決をいたします。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  82. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。  本案の修正について野田君から発言を求められております。この際、これを許します。野田哲君。
  83. 野田哲

    野田哲君 私は、ただいま議題となっております許可認可等民間活力に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対し、日本社会党を代表して修正の動議を提出し、修正案の趣旨及び概要を御説明いたします。  修正案の内容はお手元に配付されております案文のとおりであります。  これよりその趣旨及び概要について御説明申し上げます。  修正案の内容は、第一に、航空法第六十五条第二項を改める規定を削除することであります。政府原案は、技術革新の進展を理由に、航空機関士を乗り組ませなければならない航空機の範囲について規制緩和を図ることとしておりますが、技術革新の進展のみでは航空機の安全性の確保、ひいては国民の生命安全を守ることはできないのであります。去る八月の日航機墜落事故、最近明らかになった航空路逸脱事件は記憶に新しいことであり、航空の安全に対する信頼性の確保については、今日、より一層求められているところであります。したがいまして、技術革新の観点からアクションプログラムを実施するものとして航空法改正することには賛成できないのであります。  第二は、地代家賃統制令廃止する規定を削除することであります。地代家賃統制令規制対象は、一九八三年現在、借家九十万件、借地三十四万件、合わせて百二十四万件の多数に及んでおります。同統制令を廃止することは、その対象土地家屋の借地借家人に与える社会的、経済的影響は多大であり、同時に、周辺の地代家賃にも影響を与えかねないのであります。しかも、同統制令の廃止が過去四回単独法案として提案され、いずれも廃案とされた経緯にかんがみれば、今回の措置には賛成できないのであります。  以上が本修正案の提出の理由とその概要であります。  委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されるよう要望して、本修正案の趣旨説明を終わります。
  84. 亀長友義

    委員長亀長友義君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  85. 穐山篤

    穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対し、修正案に賛成、原案に反対の立場から討論を行います。  まず第一に、今日国民は、食品、薬品、交通運輸、生活環境、労働環境、金融など多くの分野において国民の生命、健康や暮らしを軽視した企業活動によって犠牲を強いられ、あるいは不安に陥っております。また企業が意識的に大口の脱税を行っている点についても国民は非常に不快感を示しております。そして行政がその監督責任を十分果たしていないことに強い不満を抱いております。このような現状を放置したまま、貿易摩擦の解消、民活に便乗して公的規制緩和廃止して企業の自己認証制度を取り入れることには同意はできません。  第二には、現在、交通体系は、その根幹をなす国鉄のあり方をめぐって大きな岐路に立っており、国民的な論議が行われている最中であります。この肝心の国鉄の将来展望の確立と、それぞれの交通手段との整合性を持った総合的交通政策の樹立が行われないままに、トラック、バス、タクシー、航空、海上輸送など広範な分野において参入関係、運送約款、運賃関係などの規制緩和を行い競争原理を一層強化することは、交通体系の混乱、安全輸送への危惧、雇用不安をもたらし、ひいては国民生活に重大な悪影響を及ぼすことは明白であります。特に航空法第六十五条改正は、その安全性についての不安が多く航空関係者からも強く指摘されており、安易な改正には賛成できません。第六十五条は削除すべきものと要求します。  第三は、金融の自由化を背景として金利、店舗、業務範囲等の規制緩和が進められようとしております。これとても必然的に企業間競争の激化をもたらし、信用不安や雇用不安を生み出すおそれが既に強く指摘されているところであります。一等地に銀行が林立している異常な状況にありますが、金融界はコストの低減を図り、利用者、消費者へのサービス、要望にこたえるための努力が必要であり、政府もこれらについての指導こそが今日必要であると指摘をしておきます。  第四は、本法案地代家賃統制令廃止を含めたのは全く不当であります。過去再三廃案となってきた経過を反省するならば、これと深い関係にある借地法、借家法が現在見直しの過程にあり、明年度法律改正の準備に入っている段階である、したがって、これらも含めて総合的な土地政策、住宅政策として取り扱うべき政治問題であります。したがって、我が党はあくまでも地代家賃統制令の扱いは本法案から分離し、本来の建設委員会審議案件とすべきであると思います。  最後に、法案提出の政府の姿勢について警告をしておきたいと思います。  本法案は、性格の異なる二十六本もの法律の改廃を一括して一つ法案とする点で、国会法に規定する常任委員会制度を無視したものであります。最近、財源確保法、補助金削減の一括法行革関連法に見るごとく、国会審議権を大きく制限する立法手続をとる傾向が顕著であります。特に中曽根内閣は際立っております。我が党は、わかりやすい国会運営、国会審議権の確保のために強く抗議するとともに、以後このような不当な立法手続は絶対に行わない旨警告しておきたいと思います。  以上の理由から、我が党は修正案に賛成、原案に反対の態度を明らかにし、討論を終わるものであります。
  86. 大島友治

    ○大島友治君 私は、自由民主党、自由国民会議を代表して、ただいま議題になっております政府提出の許可認可等民間活動規制緩和に係る整理及び合理化に関する法律案に賛成、野田理事提出の修正案に反対の態度を明らかにしたいと存じます。  経済社会の活性化と経済摩擦の克服は、我が国が当面する最も重要な政策課題であります。政府は、市場アクセス改善のためのアクションプログラムを策定、実施するとともに、内需拡大に関する対策を定めて諸措置を着実に実施しているところであります。  経済社会の活性化と市場の開放、内需拡大を推進していくためには、時代の変化に伴って不要ないし過剰あるいは不合理になっている規制を是正することがぜひとも必要であります。  政府原案は、かかる観点から臨時行政改革推進審議会答申に基づき、他の関連法律案とともに、今国会提出されたものであります。しかも政府は、法律改正による規制緩和、市場開放に加えて、政省令改正等による緩和も同時に推進しているのであります。  預貯金金利の自由化、トラック運送事業の参入規制緩和、航空三社の事業分野の見直し、石油製品の輸入自由化、基準・認証、輸入プロセスの改善等、政府が推進している規制緩和政策の全体をとらえれば、本案による措置も相当な重要性を持つものであり、当面法律改正を要する四十二事項一括して取りまとめた政府原案は速やかに可決されるべきものであることを申し上げて、私の討論を終わります。
  87. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について、修正案に賛成、政府原案に反対の討論を行います。  最初に、本法案提出の背景をなしている貿易摩擦問題に関連して、革靴など革製品の輸入自由化問題について一言申し上げたいのであります。現在、米通商法三百一条に基づく報復措置が言われておりますが、革靴については日本はアメリカにほとんど被害を与えていないことは本委員会での通産省の答弁も認めており、三百一条発動は全く不当なものであります。政府は、かかるアメリカの不当な圧力に屈することなく、革靴業界など日本の利益を守る立場で正々堂々と交渉に当たるようまず強く要望しておきます。  本法案は、市場開放と民間活力の名のもとに、消費生活用製品などへの自己認証制の導入による公的規制緩和、外国の航空機の輸入を前提に、航空機関士なしでも大型機を運航できるようにする航空法の改悪、さらに借地借家人の追い立てを容易にする地代家賃統制令廃止など、日本の勤労者、中小企業、国民大衆に犠牲を強いるものであります。  こうした本法案の危険な内容は、衆参両院審議を通じて一層浮き彫りになっていると思います。例えば航空機の安全を確保する上で、数百個にも上る計器類の常時監視や異常の早期発見など航空機関士の役割の重大さは一層明白になったと思います。だからこそ、国内のみならず国際的にも多くのパイロットの組合が航空機関士抜きの二人乗務に強く反対しているのであります。さきの日航機墜落事故から真剣に教訓を酌み取らず、国内外航空関係者の反対をも無視して、ただただ外国の航空機メーカーと国内航空会社の利益追求に奉仕するごとき態度は断じて容認できません。  消費生活用製品などの安全検査を企業の手にゆだねる自己認証制度の導入も重大であります。本委員会審議において、国の消費生活用品にかかわる安全検査が人も予算も年々減らされ、極めて貧弱な実態にあることや、輸入食品の検査が手抜きとなっていることが政府答弁によっても明らかになっております。今回の法案は、現状でも不十分な国の安全検査行政を一層弱め、消費者の安全を守るべき政府の責任を放棄することにつながるものと言わざるを得ません。  地代家賃統制令廃止についても、これによって家賃の不当な増額要求が続出し、裁判所の鑑定や、これに依拠した値上げ判決で比隣の賃料をもとにした高額な家賃を押しつけられ、それが払えなければ立ち退きを余儀なくされるでありましょう。統制令対象世帯、とりわけ高齢者や母子家庭世帯に直接被害を与えることになるのは必至であります。さらに、これは統制令対象外の地代家賃の引き上げと地価の高騰をもたらし、国民生活に重大な悪影響を及ぼすもので到底認められません。  最後に、特に指摘したいのは、政府が国民生活犠牲、大企業奉仕、対米追随の規制緩和目的に、二十六法律四十二事項もの多岐にわたる内容一括処理することの不当性についてであります。本来、関係常任委員会で個別に慎重審議されるべき二十六本もの法律案を十分な審議も尽くさないまま一挙に押し通そうとするのは、常任委員会の機能の軽視、議会制民主主義のじゅうりんにつながるものであり、断じて許せないのであります。  アメリカの大軍備拡張政策と膨大なる財政赤字、大企業による低賃金、長時間労働、下請中小企業への締めつけなど貿易摩擦の根本原因を取り除き、国民生活の立場に立った施策をとることこそが政府の責任であるということを強く指摘して、討論を終わります。
  88. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま採決する許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について賛成し、日本社会党提出の修正案に反対の討論を行うものであります。  今回の法案は、八省庁、二十六法律、四十二事項にわたっております。この中には当然必要なもの、改めなければならないもの、おかしいと思うもの等が玉石混交して内在いたしております。全体的に見て賛成するものでありますが、あえて一言言っておきたいことがあります。  およそ法律は、立法の段階では、各常任委員会で十分審議を尽くし可決成立したものでありますが、今回、規制緩和整理合理化と称して、一括して提案するということは賛成しかねます。今後は、立法もはたまた廃止内容の変更等は、各常任委員会審議すべきであることを強く主張いたします。  国民の生活、生命、財産を安全に守る立場から非常に危惧するまず第一は、運輸省航空局関係航空法第六十五条第二項の航空機関士を乗り組ませなければならない航空機の範囲の中で、「四基以上の発動機を有し、且つ、三万五千キログラム以上の最大離陸重量を有する航空機」には航空機関士を乗り組ませなくてよいというようにしたことであります。いかに技術が発達しているからといって、安全の面では、四つの目より六つの目で見ることがより安全であると思うからであります。このことはもっと慎重にしてしかるべきであると思うのであります。  第二点目は、自己認証制度の導入であります。通産省関係に二法律、自治省関係で一法律ありますが、特に消費生活用製品の安全法、ガス事業法の改正は、安全性を第一にして行うべきであり、もし大惨事を引き起こしたらどうなるか、背筋の冷える感を持ちます。事故を起こしてからでは遅過ぎます。厳重な注意を喚起いたします。  三点目は、建設省主管の地代家賃統制令廃止することであります。現在、この統制令の対象になっているのは、借家九十万件、借地三十四万件、計百二十四万件、三百四十万人の方々であります。生活保護家庭を見ただけでも、全体の三・七%、四万五、六千世帯、年収百万円以下の方が二十万戸、全体の二二・七%、六十歳以上の人は二十六万戸、約三〇%になっております。これらの方々の統制廃止に当たっての不安感はより増大することでありましょう。強制立ち退きの心配はないのか、家賃地代の引き上げは行われないのか、その歯どめは一体どうするのか等々のことを考えると、いつの場合でも弱い立場の人が大きな犠牲を強いられるのは断じて容認できないのであります。緩和措置を講すべきであります。  今回のような一括法では、多くの矛盾を持つものであり、政府は絶対に改めるべきであるという強い主張をして、討論を終わります。
  89. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっています許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対して、原案に賛成し、修正案に反対の討論をいたします。  まず、本法案に賛成の態度をとりましたのは、今政府が持っている一万件を超える許認可事項を減少させるべきことが急務であると考えたからであります。といって、この二十六本の法案すべてがよろしいと言っているのではありません。したがって、運用に当たっては十分配慮されるよう希 望をいたします。  次に、政府は、社会経済環境の変化に対応して規制緩和し、民間能力の向上することを目標として提案されていますが、それが政府提案は、規制緩和といっても許認可事項の一%にも満たないのであり、この程度で今日の社会経済の変化に対応しているのでありましょうか。その点から極めて不十分と言わざるを得ません。行政改革とは政府の仕事を減らすことであります。それによって人を減らし、経費を節減することであります。  今や日本の民間産業は、品質のよい製品を安く生産するので世界各国に売れるのであり、売れ過ぎて貿易摩擦を起こしているくらいであります。したがって、政府は余計な介入をやめてむしろ経済動向について民間産業が道を誤らないようにアドバイス的な指針を示していくことこそが政府の仕事でありましょう。  さらに申し上げたいことは、政府は古い許認可という権力をいつまでも握って政府の権威を保とうとすべきではない。今日の日本においては例えば自動車事故によって死亡する人が九千人を超え、負傷者は六十万人を数えるのであります。しかも、この事故原因は九九・九%がドライバーミスであり、車の整備ミスは〇・一%もないのであります。またサラ金地獄によって昨年一年間に千百八十二人が自殺をし、一万四百六十七人が家出をし蒸発しているのであります。これら自動車事故やサラ金地獄をどうやって絶滅していくか、政府はそこに心血を注いで対策を進めることこそ当面の緊急課題であり、国民の希望であります。  以上申し上げまして、原案に賛成、修正案に反対の討論を終わります。
  90. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について採決に入ります。  まず、野田君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  91. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 少数と認めます。よって、野田君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  野田君から発言を求められておりますので、これを許します。野田哲君。
  93. 野田哲

    野田哲君 私は、ただいま可決されました許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、検討の上、善処すべきである。  一、地代家賃統制令廃止にあたっては、その対象土地家屋の借地借家人に与える社会的、経済的影響を考慮し、公共住宅への入居あっせん等を含め借地借家人の生活の激変緩和に努めるとともに、周辺の地代、家賃に影響が及ばないよう配慮すること。  一、自己認証制の適用品目の選定にあたっては、国民生活の安全性確保に十分配慮するとともに、その運用にあたっては、安全基準、技術基準等に対する適合状況、事業者の品質管理能力や検査能力を的確に把握して、災害の発生を防止し、国民の生命及び身体の安全に対して危害が及ぶことのないよう万全を期すること。  一、都市開発等の規制緩和にあたっては、都市開発の促進、宅地開発の円滑化等を図る一方で、地方自治体の自主性を尊重するとともに、良好な居住環境を確保するよう十分配慮すること。  一、運輸関係規制緩和にあたっては、今後とも安全の確保に努めるとともに、過当競争による輸送秩序の混乱や労働環境の悪化を来さないよう配慮すること。特に、航空機関士を乗り組ませなければならない航空機の範囲についての規制緩和にあたっては、航空の安全性を確保するよう十分留意すること。  一、民間活力の促進と行政の簡素・効率化を図るため、許認可等を定期的に見直すとともに、規制緩和措置の有効性の確保を図るなど、引き続きその整理合理化検討すること。  一、経済摩擦問題の解消と自由貿易の促進を図るため、輸入検査手続きの一層の改善等の措置を講ずること。  右決議する。  以上であります。
  94. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいま野田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 多数と認めます。よって、野田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、後藤田総務庁長官から発言を求められております。この際、これを許します。後藤田長官。
  96. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえて今後検討してまいりたいと存じます。
  97. 亀長友義

    委員長亀長友義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後五時三十四分開会
  99. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
  100. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のように、我が国は近年、人口構造の高齢化の進行等により年金制度のよって立つ基盤そのものに大きな変化が生じており、このような社会経済情勢の変化に対応しつつ、長期的に安定した年金制度が維持されるよう公的年金制度全般にわたる見直しが迫られております。  このような状況にかんがみ、政府は、昭和七十年を目途に、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その改革を推進することといたしたところであります。  今回提出いたしました改正案は、このような趣旨に基づき、国民年金、厚生年金保険等の制度改正と同様、国家公務員等共済組合の組合員等についても、国民年金の基礎年金の制度を適用することとし、同時に共済年金制度における給付と負担の長期的均衡を確保するため給付水準の適正化を図る等の措置を計画的に講ずることとするものであります。  また、共済年金制度は、公務員制度等の一環としての性格をも有しているので、この面にも配慮を行っているところであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一点は、共済年金制度に基づく給付は、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とし、給付の種類としては、退職共済年金、障害共済年金及び遺族共済年金等といたしております。  第二点は、共済年金の給付の内容でありますが、共済年金の年金額は、厚生年金相当部分の年金額に公務員制度等の一環としての職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とすることといたしております。  厚生年金相当部分の年金額は、その算定の基礎となる基礎俸給につきましては、全期間の平均標準報酬月額とするほか、その他の年金額の算定方式についても厚生年金と同様のものとし、給付の水準、内容について相互に均衡のとれたものとして設計いたしております。  また、職域年金相当部分の年金額については、その水準を厚生年金相当部分の二割相当といたしております。  なお支給開始年齢については、経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。  第三点は、各年金給付の個別の改正であります。退職共済年金については、配偶者等に対する加給年金制度及び低所得者に対する在職老齢年金の制度を設け、障害共済年金については、事後重症の制限期間を撤廃し、遺族共済年金については、給付率を二分の一から四分の三に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。  第四点は、公的年金の併給調整の実施、所得制限の強化等、給付の合理化を図ることといたしております。  第五点は、既裁定年金の取り扱いにつきまして、改正後の年金額の算定方式に類似している、いわゆる通年方式により算定した額に改定することといたしておりますが、従前の年金額は、これを保障することといたしております。  第六点は、費用負担についてであります。共済年金の給付に要する費用については、使用者としての国または公共企業体等と組合員との折半負担とすることとし、いわゆる公経済の主体としての国庫等の負担については、基礎年金拠出金の三分の一とすることといたしております。  第七点は、その他の事項についての改正であります。  まず、年金額の改定方式でありますが、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制を採用することとしております。  次に、国鉄共済年金については、財政調整事業の実施により他の組合から財政援助を受けている状況等にかんがみ、財政調整事業を実施している間、職域年金相当部分についての給付は行わないこととしております。  また、共済組合の組合員等に対して基礎年金制度を適用するため国民年金法等について所要の改正を行うこととしております。  最後に、今回の制度改正についての施行期日でありますが、国民年金、厚生年金保険の制度改正と同様、昭和六十一年四月一日といたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、本法律案は、第百二回国会で成立いたしました国民年金法等の一部を改正する法律の参議院における修正等に伴い、原案の附則の規定について、衆議院におきまして所要の修正がなされておりますので御報告をいたします。
  101. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。     —————————————
  102. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします、  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。後藤田総務庁長官
  103. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、一括してその提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本年八月七日、人事院は、一般職職員給与の改定を内容とする人事院勧告及び休暇制度の改定を内容とする人事院勧告を行いました。これらの勧告の内容検討した結果、一般職職員給与については本年七月一日から人事院勧告どおり実施することが適当であり、また職員の休暇制度についても人事院勧告どおり実施することが適当であると考え、これらをあわせて一般職職員給与に関する法律について所要の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず、給与改定の関係について申し上げます。  第一に、全俸給表の全俸給月額を引き上げることといたしております。  第二に、現行の職務の等級を職務の級に改め、最も下位の級を一級として職務の級の序列を緑成し直すとともに、職務の複雑・専門化等に対応するよう、行政職俸給表(一)について、現行の八等級制を十一級制に改めるほか、関係俸給表についても所要の整備を行うことといたしております。  第三に、航空管制官、特許庁の審査官及び審判官等の専門的な知識、技術等を必要とする業務に従事する職員の処遇の適正化を図るため、これらの職員を対象とした専門行政職俸給表を新設することといたしております。  第四に、初任給調整手当について、医師及び歯科医師に対する支給月額の限度額を二十三万円に引き上げるなどの改善を図ることといたしております。  第五に、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を一万四千円に、配偶者以外の扶養親族に係る支給月額を二人までについてはそれぞれ四千五百円に引き上げるなどの改善を図ることといたしております。  なお、昭和六十一年六月一日から児童手当制度が改められることに伴い、児童手当との調整について所要の改正を行うことといたしております。  第六に、調整手当について、東京、大阪等の大都市等の支給割合を百分の十に引き上げるとともに、筑波研究学園都市移転手当についても、同様に支給割合の限度を百分の十に引き上げることといたしております。  第七に、住居手当について、家賃の月額が一万六千五百円を超えるときに加算することとされている二分の一加算の限度額を月額七千五百円に引き上げることといたしております。  第八に、通勤手当について、交通機関等を利用して通勤する職員に対する全額支給の限度額を月額二万円に、全額支給の限度額を超えるときに加算することとされている二分の一加算の限度額を月額四千円に、それぞれ引き上げるなどの改善を図ることといたしております。  第九に、非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当について、支給の限度額を日額二万四千八百円に引き上げることといたしております。  次に、休暇制度の改定関係について申し上げます。  第一に、職員は、国民の祝日に関する法律に規定する休日及び年末年始には、特に勤務することを命ぜられる者を除き、勤務することを要しないことといたしております。  第二に、休暇の種類は、年次休暇、病気休暇及び特別休暇とすることといたしております。  第三に、年次休暇については、その日数を原則として年二十日とするとともに、人事院規則で定める日数を限度として翌年に繰り越すことができることといたしております。  また、年次休暇については、その時期につき、承認を受けなければならないこととし、各庁の長またはその委任を受けた者は、公務の運営に支障がある場合を除き、これを承認しなければならないことといたしております。  第四に、病気休暇は、職員が負傷または疾病の療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇とし、特別休暇は、選挙権の行使、結婚、出産その他の人事院規則で定める場合における休暇として、これらの休暇は、人事院規則の定めるところにより、各庁の長またはその委任を受けた者の承認を受けなければならないことといたしております。  第五に、休暇制度の整備に伴い、法律の題名を一般職職員給与等に関する法律に改めるとともに、目的の規定を改めるなど所要の整備を行うことといたしております。  最後に、この法律は、給与改定については、公布の日から施行し、昭和六十年七月一日から適用することとし、休暇制度関係については、昭和六十一年一月一日から施行することといたしております。  なお、以上のほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置及びこの法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うことといたしております。  続きまして、特別職職員給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定に伴い、特別職職員給与について所要の改正を行うこととするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、特別職職員の俸給月額を引き上げることといたしております。具体的には、内閣総理大臣等の俸給月額については、内閣総理大臣は百七十二万五千円、国務大臣等は百二十五万八千円、内閣法制局長官等は百二十万二千円とし、その他政務次官以下については、一般職職員の指定職俸給表の改定に準じ、百二万五千円から八十九万円の範囲内で改定することといたしております。  また、大使及び公使の俸給月額については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使は百二十五万八千円、大使五号俸は百二十万二千円とし、大使四号俸以下及び公使四号俸以下については、一般職職員の指定職俸給表の改定に準じ、百一万五千円から六十五万九千円の範囲内で改定することといたしております。  さらに、秘書官の俸給月額についても、一般職職員給与改定に準じてその額を引き上げることといたしております。  第二に、委員手当については、常勤の委員に日額の手当を支給する場合の支給限度額を四万四千二百円に、非常勤の委員に支給する手当の支給限度額を二万四千八百円にそれぞれ引き上げることといたしております。  第三に、内閣総理大臣及び国務大臣に支給する調整手当の支給割合については、当分の間、その例によることとされる一般職職員給与に関する法律の規定中「百分の十」とあるのは、「百分の九」とすることといたしております。  第四に、一般職職員から引き続き内閣総理大臣秘書官になった者の俸給月額について、当分の間、特例措置を講ずることといたしております。  第五に、国際科学技術博覧会政府代表の俸給月額を百一万五千円に引き上げることといたしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行し、昭和六十年七月一日から適用することとしております。  以上がこれら法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  104. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 加藤防衛庁長官
  105. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に準じて、防衛庁職員給与の改定を行うものであります。  すなわち、改正の第一点は、参事官等及び自衛官の俸給を改定するとともに、参事官等俸給表にあっては職務の等級の構成及び呼称を改め、自衛官俸給表にあっては新たに陸将補、海将補及び空将補の(二)欄及び(二)欄等を設けることとしております。  改正の第二点は、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当を改定することとしております。  改正の第三点は、職務の等級の構成及び呼称の改定、自衛官俸給表の陸将補、海将補及び空将補の(一)欄及び(二)欄等の新設等に伴い所要の規定の整備を行うこととしております。  この法律案の規定は、公布の日から施行し、一般職職員給与に関する法律の題名を改める改正規定等一部の改正規定を除き、昭和六十年七月一日から適用することとしております。また一般職職員給与に関する法律の題名を改める改正規定は、昭和六十一年一月一日から施行することとしております、以上のほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置について規定するとともに、職務の等級の構成及び呼称の改定等に伴って、自衛隊法及び国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律について所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、一般職職員給与に関する法律の規定を準用し、またはその例によることとされている事務官等の俸給、調整手当、扶養手当、通勤手当、住居手当、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当等につきましては、一般職職員と同様の改定が防衛庁職員についても行われることとなります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  106. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  三案についての質疑は後日に譲ります。     —————————————
  107. 亀長友義

    委員長亀長友義君) これより、先ほど趣旨説明を聴取いたしました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 大変時間が限られておりますので、ごく主な点について二、三お尋ねいたしたいと思います。  今回の各種共済組合法の改正でございますが、これは先国会で成立いたしました国民年金、厚生年金等と同様に基礎年金を導入しようとするものでございまして、我が国の公的年金の歴史の上で考えてみますと、昭和三十六年に国民年金制度ができまして、いわば国民皆年全体制が完成したわけでございますが、それ以来の画期的な改正と言われております。私の理解するところでは、むしろ昭和三十六年の改正を上回る文字どおりの大改正ではないかと考えておるものでございます。いずれにいたしましても、行革の最終答申を受けまして、五十八年五月に政府は一連の公的年金制度改革のスケジュールを決定され、昨年二月に国民年金、厚生年金の改正法案の閣議決定に際して再び昭和七十年を目途とするスケジュールを決定されたわけでございます。そしてこの昨年二月の閣議決定によりますと、七十年を目途に給付と負担 の両面において制度間調整を進め、公的年金制度全体の一元化を完了させるとなっておるわけでございますが、今回の改正は国民年金、厚生年金との給付面の制度間調整を進めるものでございますが、この閣議決定によりますと、給付面のほかに負担の面でも制度間の調整を進めるとなっておるわけでございます。  そこで、これは年金担当大臣である厚生大臣にお尋ねいたしますが、今後負担面の制度間調整を進めて、昭和七十年に向けて一元化を図っていくものと考えますが、今後のスケジュールについてどういうふうに考えておられるかお伺いいたしたいと思います。
  109. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 公的年金一元化のスケジュールについてのお尋ねでございますけれども、まず今回の年金改革によりまして基礎年金部分について公的年金の一元化が図られるわけでございます。またいわゆる二階部分、比例報酬部分と申しますか、これにつきましても、給付の面でもある程度の公平化というものが図られるわけでありますが、さらに上乗せと申しますか、その趣旨を徹底させること、あるいはまた負担の面での公平化というものを展望するにつきまして、具体的にはいろいろな方法が考えられるわけでありますけれども、その一つは年金制度を統合するという考え方もありますし、また各制度の独自性をできるだけ保ちながら制度間調整を通じて一元化を図るという考え方もあるわけでございまして、そのいずれとも定かに決まったわけではございませんけれども、いずれにしましても、このことは各制度への影響の非常に大きな問題でありますので、この年金改革を踏まえまして、昭和六十一年度以降検討を尽くさなければならないと考えておりますけれども昭和七十年を目途とする一元化の考えは、基本的には公的年金制度全体について長期的安定、さらには給付、負担の公平を確保しながら、整合性のとれた発展を図るということを基本にしなければならないと考えておる次第であります。  なお、その具体化につきましては、関係者の理解と国民の合意が必要と考えますので、今後、鋭意その方面に努力をしなければならない、来年の四月以降の問題として考えておるわけでございます。
  110. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 大蔵省にお尋ねいたします。今回の共済年金の改正中身についていろいろお伺いしたいんですが、時間もございませんので二つだけお伺いしたいと思います。  共済制度は、これは当然公的年金制度でございますが、しかしまた公的年金制度の一面と同時に、公務員制度の一環としての性格を持っておるわけですから、当然そういう面での制度設計に当たっての配慮が必要と考えられるわけです。その辺をどのように配慮されたか、職域年金部分、いわゆる三階建ての部分がそれに相当すると思うんですが、それではこの職域年金部分の性格あるいは水準、これをどういう考えで決められたのか、それをお伺いしたい。  それからもう一つ、今回の共済年金の改正のねらいの一つが、いわゆる官民格差の是正という従来から問題になっておりましたそういう懸案の解決であったと思うんですが、今回の改正によって、いわゆる官民格差がどの程度解消されるのか、また今回の改正で大体おおむね妥当な解消が図られると考えておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  111. 門田實

    政府委員(門田實君) お答え申し上げます。  最初の点でございますが、御指摘のように共済年金制度は、公的年金制度としての性格と、また同時に公務員制度等の一環としての性格と両方を持っておるわけでございまして、ただいまお話にございましたように、公務の能率的な運営に資するというような観点から、公務員の身分上の制約等のそういった特殊な性格を考慮いたしまして、職域年金部分というものを設計いたしたわけでございます。  この設計に当たりましては、今日、民間企業におきましていわゆる企業年金が相当普及いたしておりますので、その点も参考にすべくいろいろと研究いたしました。しかしこの企業年金につきましては、その水準、態様さまざまでございまして、そこから何か直ちに一義的に結論を導くということは非常に困難でございました。また一方、今後組合員の費用負担がだんだんと増大してまいるわけでございまして、そういった費用負担をする現職者の負担の限度というものを非常に念頭に置かざるを得ない、こういう状況ございます。また年金受給者と費用負担者の世代間の生活の均衡を図る、こういった視点をそれぞれいろいろと考慮いたしますと、負担の水準におのずから限度がある、ということはこの職域年金部分の給付の水準にもおのずから限度がある、こういうことでございまして、結局、厚生年金相当部分の二割程度、基礎年金を含めました年金水準全体といたしましてはその八%程度、こういうものを職域年金部分として設計いたした、こういうような状況でございます。  もう一点お尋ねのございました今回の改正で官民格差として指摘された点はどういうふうになっておるか、こういうお尋ねでございますが、御案内のように我が国の公的年金制度はいろいろな制度に分かれておりますものですから、またその制度がそれぞれ歴史なり沿革を持っておるわけでございますから、給付あるいは負担の面でいろいろな相違があったわけでございます。特に公務員につきましての年金制度、それと民間の制度を比較しましていわゆる官民格差と、こういう御指摘がございました。従来官民格差として指摘されました主な点は次のような点であろうかと思います。  一つは、共済年金ではいわゆる一般方式と通年方式というのがございまして、いずれか有利な年金算定ができるという点。それから年金額の算定基礎につきまして、共済年金では最終一年の俸給をとる、厚生年金では平均的な標準報酬をとる、この辺が相違しておるということ。また支給開始年齢にいたしましても、厚生年金が六十歳であるのに対しまして共済年金は年齢が早い。現在六十歳へ向けて支給年齢を引き上げる過程にございますが、現実にはまだ五十六歳であるという点がございます。  それから厚生年金の受給者は、他の企業に再就職いたしました場合にも、大概の場合に同じ厚生年金の制度の中になりますから支給が制限されるわけでございますが、公務員等が民間企業に再就職した場合には、共済年金が、制限はありますものの支給される、こういった点が指摘されておったと思います。この点につきましては、今回の改正でかなり解消しておると私ども実は考えております。  最初に申し上げました方式の点につきましては、既裁定者につきましても、通年方式に裁定がえをいたすということでございますし、今後の方式はほとんど厚生年金に準拠したような算定になっております。年金額の算定基礎につきましても、標準報酬をとっていくという点、この点も同様のことになっておりますし、支給開始年齢も六十歳にするスピードをスピードアップいたしておるわけでございます。他の企業に再就職した場合におきましても、年金額の支給制限をもっと合理的なものにいたしておこう、こういう改正考えておりまして、総体といたしまして、御指摘の点につきましては、従来言われておった官民格差の問題はほとんど解消したんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  相違点として残りますのは、先ほど申し上げました職域年金部分の問題、それから支給制限を合理的にするとは言いますものの、他企業に移った場合の支給の問題、この辺が残るという問題はございますが、総体としましてほとんど解消された、こういうふうに考えております。
  112. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 これからの年金制度ということを考えますと、公的年金制度がもう多くを期待できない、あるいは財政上の理由があるというような、そういう消極的な意味ではなくて、活力ある社会の建設、あるいは国民の自助努力、そういう点からも公的年金を補完する企業年金あるいは個 人年金、こういったものの育成がこれまで以上に非常に大事になってくるんではないかと考えておるのですが、そういたしますと、この企業年金なりあるいは個人年金に対する例えば税制上の優遇措置、これは大蔵大臣御答弁は要りませんが、特に今税調でいろいろ審議中でございますので強く要望いたしたいと思うんです。税制上の優遇措置をこれからの高齢化社会を迎えて年金制度の将来のあり方という観点からもぜひともお考えいただきたい。  例えば今企業年金の一種である厚生年金基金という制度がございますが、これについて一定のレベルを超える積立金について特別法人税が課せられておりますが、そのレベルというのは国家公務員共済組合の水準でなっておりますが、今回その水準がこの改正法が通ると自動的に引き下げられる。そうなると、今まで税金がかからなかった基金がかかってくるというような問題もこれから起こり得るわけでございまして、私は今まで企業年金なり個人年金に対する税の考えというものが横並びの税の負担の均衡、そういった点にどうも重点があって、少なくともこういう制度を育成するという配慮においてやや足りないところがあるんではないかという感を非常に強くしておるものでございますので、どうかこれからの税制改正に当たって、その点これから公的年金と同じように企業年金、個人年金というのが重要になるわけでございますから、そのことを最後に強く要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  113. 穐山篤

    穐山篤君 時間に制約もありますが、最初でありますので基本的なことを伺いたいと思います。  先ほど大蔵大臣から提案の説明がありました。その中で「公的年金制度の一元化を展望しつつ、その改革を推進する」と、再三本会議場でもそういう答弁がありました。そこで伺いますが、この一元化というイメージですね、これははっきりしていないんです。例えば七種類ある公的年金制度を一本にしますということになれば、事のよしあしは別にしても、イメージははっきりするわけです。ところが、一元化を推進するという点については、我々を含めて国民全体が、政府はどういうことを考えているんだろうか、こうなるのは当然だと思うんですね。そこで年金担当大臣であります厚生大臣は、どういうイメージをお持ちになって七十年までに一元化を進めていくのか、まずその点から答弁お願いしたいと思うんです。
  114. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 一元化に当たりましては、まず第一に各制度の安定ということを考えなくてはならないと思います。それから二番目に、制度間におきましての給付と負担の公平ということも考えなくてはなりません。そのほかいろいろの面において整合性のある制度、こういう三つを基本として考えておるわけであります。その具体的な姿につきましては、まだ定めておるわけではございませんけれども一つには、本当に統合して一本化してしまうという考え方と、また各制度を残しておきながらもその間の財政調整を行うという一元化の方法も考えられると思いますが、そのいずれにしましても、その制度関係者に多大な影響を与えるものでございますから、本日御審議いただいております改正案によりまして、一応基礎年金につきましては一元化が進むわけでございますので、御可決いただきますとスタートが来年の四月一日ということになります。したがって、来年の四月一日以降、先ほど申し上げましたような趣旨にのっとってこれから政府内部で相当な議論を進めていかなくてはならないだろう、そういうふうに考えております。
  115. 穐山篤

    穐山篤君 まだよくわかりませんね。今回四つの共済年金について改正が提案され、目下審議しているわけですが、この一元化というようなことはよくわからないけれども、とりあえず何らかのことをしなきゃならぬということで、共通している問題、基礎年金を導入する、それから支給開始年齢が六十五歳である、それから職域年金というものを三階建てとして導入する、そういうところがある意味では一元化のような感じがします。  さてそこで、それ以上に一元化に必要なものは何でしょうか具体的に答弁してもらいたいと思います。この三つ以外に何と何と何が勢ぞろいをすれば一元化の方向になるのか、その点をはっきりしてもらいたいと思います。
  116. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) これかる先の作業は給付と負担の公平化ということでございます。その中でも比例報酬部分の給付と負担の公平化ということが中心課題になろうかというふうに思います。
  117. 穐山篤

    穐山篤君 どうも中途半端ですね。これはだれが聞いておっても、例えば負担と給付の整合性がとれればそれで一元化は済みになるのか、こういうふうに今おっしゃられているようでありますが、それだけでは一元化の方向にはならぬじゃないかな、私はそういうふうに思うわけです。  もう少し具体的に聞いてみましょう。  いわゆる一元化の構想の中には、何年からどういう形をとるかは別にして、七つの保険あるいは共済などの公的年金制度制度の上で一本にする、あるいは世に言う財政調整もその一本の中で行うということを考えているんですか、考えていないんですか、その点はっきりしてください。
  118. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今厚生大臣がお答え申しましたのは、一つには、今回のお願いしたような改正が実現することで、基礎年金の部分については私ども給付と負担両方の意味での一元化がこれで図られると考えてよろしいかと思っております。また、いわゆる二階建て部分につきましても、将来に向かっての給付の計算は、先ほどもお話ございましたように、言われてきた官民格差を越えてほぼ整合性がとられるんじゃないか。そういうことで、今回お願いしております改正がもしお認めいただければ、六十一年度四月の時点で、五十九年二月の閣議決定時点で考えました、そこにおいて展望されました公的年金の一元化がかなり前に進むんだという前提がございます。  それからもう一つは、先生今どういう形が最後の姿かということから御質問でございますが、厚生大臣が今申しましたように、この閣議決定にも実は統合という言葉を使っていないわけでございます。一元化はある種の制度の一体化ではないかという議論も確かにあろうかと思いますが、同時に、今共済法案審議を通じましても、共済制度にはそれぞれの役割という面もある。特に職務年金については、先ほども御説明ございましたように、ある意味では職域年金たる共済年金に不可欠と言ってよろしいかと思いますが、そういう面もある。そうなりますと、具体的にどういう方向が具体的構想として詰めなきゃいけないかということは、実は四月以降の政府部内での検討中身そのものであるわけでございます。したがいまして、何か現時点で私どもがこういう図を描いているということを申し上げ切れないでいる点があるわけでございます。  なお、五十九年二月の閣議決定では、六十一年度以降のスケジュールにつきましては、実は今お願いしております共済法改正までの措置を踏まえるということと、もう一つは、給付、負担の両面から制度間調整を進める、年金業務体制についての一元化という言葉も使っておりますが、制度間調整を六十一年度以降のスケジュールというふうにうたっている点もございまして、まさに調整の進め方、あり方あるいはどういう構想を最終的に描くかということは、これから政府部内においてもいろいろ議論を尽くさなきゃいけない、そういう段取りで今を迎えているというふうに御理解いただきたいと思います。
  119. 穐山篤

    穐山篤君 去年の二月、閣議の決定がありますが、一元化という全く不安定なものを頭に持っていって、それで当面、私が先ほど申し上げました三つの分野において一元化を図っていく、調整をする、そういうふうに言わざるを得ないと思うんです。一時、自民党の中でも、あるいは政府の部内でも、今の状況でいえば、昭和六十五年度ぐらいに何らかのことをしないと一元化の推進は難しい、十年かかっても何にも一元化はできないというふうなことで、さらに一歩前に進めた一元化の計画を昭和六十五年度ごろ準備したらどうだろう か、こういう説も流れましたね。そういうことも十分我々も承知しているわけです。その自民党内の一元化の計画あるいはスケジュールというものは、仄聞するところによりますと、消えたという話も聞くわけであります。今のところ白紙である、こういうふうに承知しているわけですね。  老後の生活の保障の大きな役割を果たしております年金問題ですから、五年先ほどうなるだろう、十年先おれたちの生活はどう保障されるだろうか、どういう制度のもとに我々の生活が保障されるかというのは、国民すべての人が当然注目するわけです。また現に我々がこの共済組合法の改正審議する場合に、将来のイメージが全くないままに、基礎年金の導入、あるいは六十五歳、さらには職域年金という問題だけで始末をしていいものだろうか、これは政治の責任としても果たせないのではないかなというふうに思うわけです。  ですから、もう少し皆さん方の方で、例えば一本にはしないけれども財政調整は検討課題であるとか、あるいは負担について、今一番高い国鉄を、その他に比べて格差があるやつをこのくらいに圧縮すれば負担の分野において十分一元化ができるとか、何かそういうふうな具体的な問題意識を提示しなければ、この一元化、一元化計画と言ってみても、それはもう空文に等しいと思う。終着駅を見ないで途中、列車が突っ走っている感じがしてしようがないんですよ。ですから、年金担当大臣である厚生大臣として、閣議で決定したときの認識というものはこういうものである、そういうイメージを持って決められたと思うんですね。その点をもう一度、くどいようでありますけれども、非常に重大な問題でありますのでお伺いをしておきます。
  120. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 年金一元化を考えます場合には、先生がおっしゃったような事項も念頭に置きながら考えざるを得ないというふうに思います。しかし、まだ統合するのか、各制度別々のままいくのかという、そういうことをこれから相談するわけでございますので、今私から確たることを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、ともかくどの制度も安定して、負担と給付の面で公平である、整合性がとれたものになるということは、原則として守っていかなければならないというふうに考えております。
  121. 穐山篤

    穐山篤君 少しわかりかけてきましたけれども、各制度が安定的に継続ができるようなことを意識としては持っている。しかし現実の問題として、近々のうちに国民年金保険あるいは地共済の中の一部もそうでありますが、国鉄共済年金について言うならば、安定的に将来を保障するということは非常に難しい段階になると思うんですね。もう時間ありませんから数字は言いませんけれども、この十年の間、それぞれの共済組合の成熟度なりあるいは財政の状況なり何なりというものはほぼ推定ができるわけです。そうなりますと、十年後にこの共済組合あるいはこの厚生年金を安定的にしたいと思いましてもできない分野が当然出てくるわけです、早晩出てくるわけです。そういうことを考えながら皆さん方は一元化ということを頭の中に考えたと思うんです。ですから、私はしきりに言うわけでありますけれども、全くイメージがないままに当面的な作業に終わるということは非常に不満である、まず意見を述べておきたいと思います。  それから二つ目は、収支策定の作業をそれぞれの共済組合はやるでありましょう。五年ごとの再計算になろうと思う。それから一番ひっかかりのありますのは、国家公務員等共済組合の中の国鉄共済組合年金について言うならば、昭和六十四年度の終わりが一つの節目になるわけですね。そのことを考えてみますと、今後十年後に何々を一元化するということよりも、早速四年後ないし五年後には何らかのことを考えなければ一元化の方向には向かわない、そういう時期が到来するわけです。そう考えるとするならば、十年先でなくて五年先はどういうふうな段取りをつけるのか、そのくらいのことを考えて今回の提案がなされているはずだと我々は認識をするわけです。厚生大臣、いかがですか。
  122. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 年金一元化を考えます際は、先ほども申し上げましたように、どの制度も安定して、給付と負担の公平を図ることが必要であります。したがって、どこかの年金制度が支払いができなくなるというようなことがありますと、これは公的年金全体に対する信頼も揺らぐおそれがありますので、そういう事態は避けるべく、関係者の合意が得られるような方策ができるだけ早く見出される必要があるということは先生のおっしゃるとおりであろうと思います。  ただ、その作業を進める際につきましても、現在御審議いただいております基礎年金というものを導入して、ある程度の一元化というものを進めておくことを足がかりにやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  123. 穐山篤

    穐山篤君 どうも内容が明確になりません。例えば年金の事務を各公的年金今それぞれやっていますね。そういうものを迅速に正確に効率的にやる、こういう意味で一元化をするというようなことはよくわかるわけです。あるいは機械化して事務処理をよくしたい、そういう意味でそれぞれが持っている共済事務、年金事務というものを一元化しよう、これはイメージとしてはよくわかるんです。また将来はそうなるだろうと期待しているわけです。ところが、制度そのものについての一元化というのは、どうしてもイメージがおいてこない。時間がありませんから、この続きはあしたやりたいと思います。  それから大蔵大臣、国鉄の共済年金の問題につきまして統一見解が二回出ました。最終的に官房長官から衆議院におきます連合審査の際に、昭和六十四年度までと六十五年度以降の分について統一見解が示されたわけです。  そこでお伺いをしますが、この統一見解につけ加えることがありますか。つけ加えたり、あるいは何といいますか、注釈を加えたりするようなことはございますか。その点いかがですか。
  124. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まあ注釈という表現が適切かどうか別といたしまして、私どもがこの統一見解をつくり、そして発表いたしますにつきまして問題点議論いたしましたことを二、三披露さしていただきます。  国鉄のいわゆる「自助努力」とは何ぞや、こういう議論をいたしました。国鉄の自助努力というのは、今の時点では明確ではないが、当然資産処分等を含めて検討さしていただくことになるではないか、こういう考え方であります。  それから国鉄再建計画は既成事実としてどんどん進められておるが、その問題につきまして、政府の統一見解として申し上げたとおり、国鉄共済問題に大きな影響を与えることは事実でありますので、とにかく六十一年度中に五カ年間の支払いに支障がないよう結論を得て、その後具体的な立法作業に入る、こういうことで議論をまとめました。  それから「諸般の検討」と書いてあるが、これはどういうことか、こういうことでありますが、「国鉄の自助努力」も、それを定量的に幾らかということになりますと、現時点ではなかなか言えない。それから「国の負担」についても、これは理屈のつくものについてしかできないということになりますと、現時点でこれを定量的に言うことはできない。  それから他制度からの財政調整を含むのか、こういうような議論については、理論的には他制度からの連帯はあり得るが、強いて言えば現時点では考えておりません。ここのところは苦心したところでございます。  それから「諸般の検討」という中に、例えば積立金の処理等の諸般の検討を行うというようなことでございます。  それからもう一つは、国鉄共済問題については「六十一年度中に」結論を得ると言うが何か検討の場をつくるかどうか、こういうことについては、そういう趣旨を体しながら、政府として国鉄共済問題について責任を持って検討できる場を考 えていきたい、こういう議論をいたしたということでございます。
  125. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時三十二分散会      —————・—————