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1985-12-03 第103回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月三日(火曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十九日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     柳澤 錬造君  十二月二日     辞任         補欠選任      矢田部 理君     安恒 良一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 大島 友治君                 曽根田郁夫君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 川原新次郎君                 源田  実君                 沢田 一精君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 小野  明君                 安恒 良一君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君     国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        労 働 大 臣  山口 敏夫君        建 設 大 臣  木部 佳昭君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       金子 一平君     政府委員        内閣審議官    海野 恒男君        内閣審議官    平井  清君        内閣法制局長官  茂串  俊君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        警察庁交通局長  八島 幸彦君        総務庁長官官房        長        藤江 弘一君        総務庁長官官房        審議官      米倉  輝君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政管理        局長       古橋源六郎君        総務庁行政監察        局長       竹村  晟君        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁調整        局審議官     宮本 邦男君        経済企画庁物価        局長       斎藤 成雄君        経済企画庁総合        計画局審議官   勝村 坦郎君        厚生省生活衛生        局長       北川 定謙君        厚生省薬務局長  小林 功典君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        資源エネルギー        庁次長      小川 邦夫君        運輸大臣官房国        有鉄道部長    中島 眞二君        運輸省運輸政策        局長       栗林 貞一君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       神戸  勉君        運輸省貨物流通        局長       武石  章君        運輸省航空局長  西村 康雄君        運輸省航空局技        術部長      大島 士郎君        労働省労働基準        局長       小粥 義朗君        建設省住宅局長  渡辺  尚君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        厚生大臣官房審        議官       木戸  脩君        厚生省社会局保        護課長      萩原  昇君        農林水産省食品        流通局消費経済        課長       三戸 隆男君    参考人        日本銀行副総裁  三重野 康君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十九日、柄谷道一君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。  また、昨十二月二日、矢田部理君が委員辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤田総務庁長官
  4. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいま議題となりました許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府は、民間における事業活動等に対する公的規制緩和することを当面の重要課題一つとして位置づけ、民間活力の発揮、推進に資するため、経済的目的から行われている規制についてはこれを必要最小限のものにとどめ、社会的目的から行われている規制については、その公共性配慮しながら、できるだけ合理的なものとするとの基本的視点に立脚しつつ、その推進に取り組んでいるところであります。  その一環として、去る九月二十四日の閣議決定「当面の行政改革具体化方策について」において、臨時行政改革推進審議会答申で指摘された各分野にわたる規制緩和事項について個別にその措置方針を決定しております。今回は、これらのうち所要の法律案を今国会提出することとされた事項を取りまとめ、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、規制制定の当初に比し、規制対象をめぐる社会経済環境が著しく変化しているものにつきましては、規制を継続する必要性が認められないものはこれを廃止し、現行の規制必要性が乏しくなったものはその規制の手段を緩和する等合理化を図ることとしております。  第二に、規制制定の当初に比し、民間能力が向上しているものにつきましては、国が直接実施している定型的事務であって民間で代行可能なものはこれを代行させることとし、規制対象者能力が向上しているものは規制の態様・範囲緩和する等合理化を図ることとしております。  第三に、規制制定の当初に比し、技術革新が著しく進展しているものにつきましては、規制範囲緩和し、または規制方式を変更する等合理化を図ることとしております。  この法律案は、以上のとおり、時代変化等に伴って不要ないし過剰あるいは不合理となっている規制を是正することにより、民間活動に対する制約を除去し、あわせて国際的に遜色のない開放性を有する市場の実現に資する観点から、公的規制整理合理化を行うため、八省二十六法律四十二事項にわたる改正を取りまとめたものであります。  なお、これらの改正は、一部を除き公布の日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 安恒良一

    安恒良一君 まず最初に、法案を代表して提案されました後藤田提案者に御質問をしたいのであります。既に本会議におきまして同僚委員野田さんから、この種の八省にまたがる法案一括して出してくるという点の不合理についでいろいろ問いただされました。総理並びに長官にも問いただされたんですが、そのことが明確になりませんでした。  そこで、私は重ねてこの点についてお聞きしたいのであります。今回の一括法案にされた趣旨は、今長官が述べられたとおりであります。すなわち「時代変化等に伴って不要ないし過剰あるいは不合理となっている規制を是正すること」、そして「民間活動に対する制約を除去し、あわせて国際的に遜色のない」云々と書いてあります。でありますから、この法案は、まず一つは、総理の一番お好みであります民活民活ということが一つだろうと思います。二つ目には、対外経済政策すなわちアクションプログラム、この二つ観点から八つの省にまたがる法案一括でお出しになったと思いますが、大変なことが配慮に欠けているんではないだろうかと、こう思うのであります。すなわちこの法案に係る、後から各条項について質問をいたしますが、国民生命と安全に関する問題がかなりあるわけです。そのことと民活規制緩和アクションプログラム、この三つの関係をどのように御説明いただけるだろうか。  それはなぜかというと、もう少し砕きますと、民活ということになりますとどうしても競争主義、採算、こういう原則民活の場合にまず入ってくるわけです。そのことと国民生命、安全ということについて、後から例えば輸送関係なら輸送関係について質問しますし、また同僚委員からいろいろ厚生行政なり通産行政なりの安全性の問題がいろいろ問いただされると思いますが、私はどうも民活とかアクションプログラムということばかりが念頭に置かれて、一番政治で考えなきゃならぬ国民安全性ということについての配慮がこの法案中身には非常に欠けているのではないだろうか。もちろん出ております法案そのものは、法案条項というのは長くありません。主としてこれを受けて後の省令であるとか、告示であるとか、通達であるとか、そういうことで解決される部分がたくさんあるわけですから、それら全体を見まして私はその点を非常に心配しますので、まず後藤田長官に今申し上げた観点についてどのようなお考えをお持ちなのかということを聞かしていただきたいと思います。
  7. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この一括法案に盛り込まれております事項は、すべてが許可であるとか、認可であるとか、あるいは検定、検査であるとかといったようないわゆる規制の問題でございます。それを規制緩和という統一的な政策でとらえまして、それらを不合理であるとか、あるいは必要性が薄くなっているとか、あるいは行き過ぎておるといったようなものを社会経済情勢変化に即応しながらこれらの改廃をしていこうと、こういう観点で、いわば趣旨目的が同じであるというところで一括して御審議を仰ぎたいと、こういう方針政府としてはとったわけでございます。もちろんそういった際にも、同じように行革審答申の中でも一括法になじまないというものもあるわけでございます。例えばガソリンの輸入自由化の問題、これらはこういった一括になじまない。つまり将来にわたっての重要な政策変更を伴うといったようなものについては個別立法改廃をお願いしようと、こういうことにしておるわけでございます。  今回のこの一括法は、ただいま申したような観点一括できる限度のもの、これはどういう扱いになっているかといいますと、既に昭和五十二年あるいはそれを受けての昭和五十六年だったと思いますが、法制局長官の方からも政府の見解をお答えしておる一定の基準がございます。その基準に従って政府としては取りまとめてお願いをしよう。これは過去十一回ばかり例がございますので、今回初めてのものでないことは、これはもう御案内のとおりでございます。  そこで問題は、規制緩和という際に、主としては経済的な立場からの規制社会的立場からの規制と、大きく分ければこの二つがあると思います。経済的規制の方は、ここまで日本経済が発展したという段階になれば、むしろ足かせとなっておる規制は思い切って解除していくという方向でやるべきもの。社会的規制は、国民生命身体、安全、こういうようなことにかかわる規制でございますから、これらについては公共性というものをまず頭に置きながら、しかし、さればといって民間安全性に関するいろんな技術の発達であるとかございますから、それらを考えながら不合理になっておるではないかといったようなものはこの際合理化をすべきであろう。こういう観点で、原理原則は異なる立場でやらさしていただいておるわけでございますが、ただ問題は、いわばグレーゾーンが非常に多いわけでございます。  そこで、そのグレーゾーンをどういうやり方でやっていくかということについては、政府としては何といったって国民生命身体あるいは健康という問題を重視しなければならない、これについていささかも国民不安感を与えるといったようなことがあってはなりませんから、これはそれなりに十分配慮して取り組んでいこう、こういうことで御審議をお願いしておるわけでございます。  そして、今回の法律案は、一部の方から御批判がありますように、これは随分つまらぬところまで法律に書いてあるなという御意見もある。これは当面法律事項になっておりますから、これは法律改正しなきゃならぬということで当面の法律改正事項と同時に、この法律に基づいてのこれからの政省令の問題もありますし、それからまた行革審の御答申は二百五十八項目にわたっておりますから、これらのほかに他の法律による政省令事項通達等にわたるものもございますから、これらはこれだけ時代変化している以上はただいま言ったような観点に立って規制緩和をして、そして社会経済活性化を図り、同時に日本市場閉鎖性というものが厳しく問われておるさなかでございまするので、日本市場開放という観点からの緩和をやっていきたい、こういう物の考え方で御審議をお願いしておるのでございますので、この点についてはぜひひとつ御理解をいただきたい、かように思うわけでございます。
  8. 安恒良一

    安恒良一君 一括審議をするのになじむものを中心にということを言われたんですが、これはきょう私はここで論争しようと思いません。後でいずれ同僚委員が論争するし、本会議でも論争したと思いますが、幾ら一括といいましても、地代家賃統制令の一部改正などというのは、本来これは建設委員会の中で十分審議してしかるべきものだと思うんですね。それを後藤田長官一括になじむものだけを集めたと言われますが、これについては大変な無理があると思います。今、これはきょうはここであなたとこのことを論争しようとは思いません。  そこで、私があなたに確認しておきたいのは、今規制緩和の場合に、経済的な側面、いわゆる経済的な規制緩和の問題と、それからあなたも同じ言葉を使われたのでありますが、いわゆる社会的規制と両方考えなきゃならぬということですね。社会的規制というのは何かというと、国民生命身体の安全、それから衛生水準の確保等々を目的とした社会的規制が同時に行われなきゃならぬのでありますが、これは後から逐一中身について、それが余り行われてないということについて私は議論していきたいと思っています。  そこで、後藤田さんどうですか、この法案、それからこの法案に伴って各省が出しますところの政令、省令告示、こういうものをつくるときには、規制緩和の場合には何といっても、経済的側面もあるが、一つはあなたもおっしゃいましたように社会的規制ということについても十分配慮してやるんだ。このことはよろしゅうございますね。
  9. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 結構でございます。そのとおりでございます。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、そのことを長官から代表して御確認を願いましたから、今度は後から各大臣に対してその点はどうなっているかということを問いただしていこうと思います。  それから内閣法制局長官衆議院の方にお急ぎのようでございますから、先にちょっと質問しますが、これも実は野田議員から本会議質問があった条項です。どうも総理の御答弁もはっきりしなかったんでありますが、憲法の第四章における国会に関する一連の条項、それから国会法の第五章委員会及び委員、特に四十一条等々の関係からいって、この種の八省にまたがる法案一つ委員会にまとめてやること自体に法的疑義があるじゃないか、こういうことだったと思うんですね。ところが、どうも総理の御答弁は、それから長官も御答弁されたんですが、なかなか中身がはっきりいたしません。私はこれらの関係条文をつぶさに読んでみますと、それぞれ国会における常任委員会というのがございまして、この常任委員会においてはその常任委員会に関することを専門的に十分掘り下げる、こういう意味常任委員会があるわけなんです。でありますから、私きょうこちらにこうしてまいりましたのは、例えば本来運輸委員会で十分やらなきゃならぬ問題がたくさんあると思っておるわけです。そういうような問題等がありますので、私はどうもこの種のやり方について、せっかく国会法における常任委員会並び特別委員会ということのきちっとした制度があるわけですから、そういう関係から見ると、どうもやや法律的に無理がありはしないか、こう思いますから、長官憲法解釈、それから国会法解釈に基づいて、法律的に正しいんだ、もしくは正しくないんだ、正しくないとおっしゃらぬと思いますが、中身について少し専門的なお立場からお聞かせを願いたい。政治的なことは結構です、ほかの大臣が答えますから。
  11. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 従来から同じような御質問がございましてたびたび御答弁を申し上げている点でございますが、若干一般論になって恐縮でございますが、基本的な考え方から始めさしていただきます。  二つ以上の法律改正一つ法律案としてまとめていわゆる一括法として国会提案するということは、これは従来しばしば行われているところでございまして、枚挙にいとまがないほどたくさんの例があるわけでございます。したがいまして、一般論としては、このような一括法として一本化するという方式一つ技術的な立案方式として認められているということができると思うのでございます。  ただ、もちろん一本化といいましても、無制限にあるいは無制約に行われてよいということではもとよりないわけでございまして、この点につきましては、従来から一本化に関する基準とかあるいは方針というものを決めまして処理しているわけでございまして、委員も十分御承知のことと思うのでございますけれども法案に盛られた政策が統一的なものであって、その結果として法案趣旨目的一つであると認められるような場合、あるいは内容的に法案条項が相互に関連して一つの体系を形づくっていると認められるような場合、こういった場合にはまさに一本化にふさわしいということで法案審査段階でそのような処理を了承しているところでございます。  そこで、なお以上の基準とは別に、いわば実際上の配慮としまして、その基準を適用する場合に、原則として、できる限り一つ委員会所管範囲でまとめるという態度をとっているのでございますが、この点につきましては、法律案具体的内容によってはこれを一本化した方が、とろうとする政策趣旨とか目的がかえって明確になるというようなものもあるわけでございまして、そのような趣旨目的を明確にするという上においても、また趣旨目的に基づいてとられる措置を総合的に把握するという上におきましても、ばらばらで立案するよりも適切であると考えられる事例があるわけでございまして、そのようなものにつきましては、同一の委員会所管に属さないものでありましても、複数の法律改正案一括して御提案申し上げるということは、従来からしばしば行われているところでございます。  この法律案につきまして、なぜ一括化したかという理由なり事情につきましては、先ほど後藤田総務庁長官の方から提案趣旨説明提案理由説明という形で御説明申し上げたところでございますが、この法案につきましてもいろいろと検討いたしました結果、ただいま申し上げたような、いわば共通の趣旨目的を持ったものを一括して取りまとめた方がいいんではないかというような判断から、このような形で御提案申し上げたわけでございまして、この提案、どのような形で提案するかということは、これはいわば一つ立法技術と申しますか、立案技術と申しますか、そういった部面の事柄でございます。したがいまして、このことをもって国会常任委員会審議権制約するとか、あるいは常任委員会制度を形骸化するというようなことは毛頭考えていないわけでございます。  なお、法案国会審議の問題につきましては、最終的には国会でお決めになるということは当然でございまして、私ども行政府立場にある者から御意見を申し上げることは差し控えたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 安恒良一

    安恒良一君 私は、さっきからもいろいう言っているように、政治的なことは担当大臣以下にお任せくださいと言っておるんですが、どうもあなたの発言は法制局長官としての法律解釈よりもやや政治的な点があるように聞こえます。例えば今二つ基準があるんだということをおっしゃいました。その場合、そうしますと、今回の場合は二つ基準のうちのどちらか、前段に当たったのでしょうか、後段なのか。あなたが今長々と基準をしゃべられましたね。今回のこの八つの省のやつを一本にまとめた法案は、あなたがおっしゃったものの前段基準に該当するのでしょうか、後段基準に該当するのか、そこのところを明らかにしていただきたい。
  13. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) ただいま御説明した二つのバックグラウンドと申しますか、あるいは理由と申しますか、そういった点を御説明いたしましたうち、今回の法案一括化につきましては、それはいわば前者の理由に基づくものでございます。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 私に与えられた時間がありませんから、もうこれ以上あなたと論争する気はないんですが、かなり無理がある。例えば、さっき私はちょっと後藤田さんにも申し上げましたが、いかに民活一括といっても、家賃統制令の撤廃問題とほかの問題があなたが言っている基準に当たるのかどうかということをお互いに少しまじめに考えてみると、ややここでもかなり無理をされているような感じがしてなりません。  いろいろと検討したということですが、この提出内閣でありますから、そのとき、あれですか、内閣の方からあなたたちの方にもこういう形で一括で出すことについてどうかという意見が求められたんですか。あなたは、今いろいろ検討した結果これでよかろうということ、いろいろという言葉を使われましたが、そこのところはどうですか。内閣の方からあなたたちに、この種の法律一括してこういう委員会提案をするんだが、法的に問題があるのかないのか、そういうことについてあなたたちも参画して議論をされたんですか、どうですか。いろいろ検討したと言われた意味、ちょっと答えてください。
  15. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 法案提案に当たりましては、政府提案法案につきましては内閣法制局審査をするということは、これは私どもの職務でございまして、今御指摘のようないわゆる一括化して提出すべきかどうかということにつきましても、十分に関係各省の方から御説明をいただきまして、そうして我々としても一括化してしかるべしというような判断を下したのでございます。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ最後になりますが、ちょっとあなたに聞きますが、例えば今あなたが説明をされた方向の中で、建設省からいろいろ出ている中の地代家賃統制令の一部改正ということについて、あなたの説明でなじむと思われますか、その点だけ一つ。なぜこういうことでなじむというふうに思われるか、その点だけを聞かしてください。
  17. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 地代家賃統制令につきましては、戦後の著しい住宅難を背景としまして制定されたものでありまして、今日では住宅事情も大幅に改善され、また統制の必要性が失われまして、そうして失われただけではなくて統制対象が一部の住宅に限定されておるというような事情もありまして、統制対象圧宅とそれ以外の住宅との間で均衡を失しているということ等の実態を背景といたしまして、その失効の措置を講じようとするものでありまして、これはいわば時代変化等に伴って不要ないし過剰、あるいは不合理となっている規制を是正するという、他の改正事項と通ずる同一の趣旨目的を有するというふうに考えている次第でございます。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 全然この点は違いますが、これは後からまた同僚委員が専門的な立場でやりますから、もうあなたとこれ以上このことで論争するのは時間がもったいないからやめておきます。  私は意見だけ言っておきますが、後藤田長官、後からこれは中身的に議論をすることになりますが、余りこういうのは無理しない方がいいと思うんですよね、それがために建設委員会というのがあるんですから。建設委員会に専門的な立場で、もしもやる必要があれば、私たち中身にもいろいろ疑念を持っていますが、お出しになってやるべきであって、この際行政改革の鬼と言われている長官ですから、何でもかんでも一括やった方が便利だということではちょっと困ると思います。これは私の意見ですから、そういうことだけ申し上げて、法制局長官どうぞ結構です。  そこで、きょうは私は主として運輸省に係る問題について、運輸大臣、それから後から、関係する労働大臣等々、それから長官等にも質問をしたいと思いますが、まず運輸大臣に冒頭にお聞きをしたいんです。  今回のこの法案提出されるに当たって、御承知のように、今回の法案は、七月二十二日の行革審答申を受けて九月二十四日閣議決定をされた「当面の行政改革具体化方策について」に基づいて提出されています。でありますから、まずこの行革審答申は運輸事業の規制緩和について総論的に考え方を指摘しておりますが、運輸大臣は基本的にこれをどう受けとめられ、どう対処されようとしているのですか。まず総論的なところで運輸大臣に基本的な考えをちょっと聞かしていただきたい。
  19. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 運輸事業につきましては、現在参人の規制あるいは運賃の規制等のいろいろの規制が行われておりますが、これらは運輸事業の特性から、利用者が必要な輸送サービスを安全かつ良好な状態で安定的、効率的に受けることができるようにという運輸行政の目的を達成するものと考えております。したがいまして、運輸事業につきましては、業種により強弱の差はございますけれども、今後とも何らかの形で参入規制や運賃規制を維持していく必要があると考えております。  しかし、一方におきまして、運輸事業が経済社会の情勢の変化に伴う利用者ニーズに的確に対応するようにするとともに、国民負担の軽減等を図るため、そのあり方を検討する必要があると考えております。規制は運輸行政上重要な施策であり、時代変化に対応した見直しを行わなかった場合、規制自体が有効に機能しなくなり、所期の目的を果たすことができなくなるおそれがあります。こうした意味におきまして、時代に対応した規制の見直しは必要である、これが基本方針であると思っております。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 大臣の御答弁の中で、答申の中にも書いてある重要なことをお忘れではありませんか、今のことについて。答申の中にも重要なことがまだ書いてあると思いますが、今あなたが読まれた中でまだ抜けているところがあると思うんですが、どうですか。
  21. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 安恒先生の重ねての御質問のお答えになるかどうか存じませんけれども、七月二十二日の臨時行政改革推進審議会答申におきまして、運輸事業にかかわる規制緩和の総論部分において「重点を量的規制から質的規制に移行させる」、こう述べでございますが、これは「安全確保が強く要請されるなど運輸事業の持つ特性及び中小零細企業や労働集約性の高い事業が少なくないなど各事業の実態に留意しつつ、」「できる限り市場原理を導入」していくという規制のあり方についての考え方一般論として述べたものであります。この部分の趣旨は、参入に当たっての量的規制、つまり需給調整を廃止してしまうということではなく、安全性の確保や利用者サービスの向上といった運輸事業の質を高めることを行政の主眼とすべきである、この趣旨と理解をいたしております。  トラック事業につきましては、経済動向等により需給関係に変動が生じやすい分野であることから、従来から量的規制について厳格に措置することは困難であるのである程度弾力的に扱ってきたといういきさつもあり、現実の需給要件のみで原案を却下した例はほとんどないということでございまして、したがって今回の答申を受けて特段の措置をとることを現在念頭に置いているものではございません。行政運用の理念として尊重してまいりたいと思っております。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、まだ聞いてないことを答えちゃいけませんよ、そこは全然聞いてないんです。私は今総論の部分をお聞きしているのでありまして、トラック事業やその他を聞いているのでない。個々に後から入っていきますが、今申し上げましたように、大臣も後から読まれたように答申の中にも明確に書いてありますね。「安全確保が強く要請されるなど運輸事業の持つ特性及び中小零細企業や労働集約性の高い事業が少なくないなど各事業の実態に留意しつつ」ということが答申に書いてありますね。そのことをあなたがおっしゃいませんでしたがら、肝心なことが抜けていはしませんかということを言ったんです。  そこで、私は大臣、このことだけは確認しておきたいと思うんですが、運輸事業の規制のあり方を考えるときに、この答申にも指摘をされているように、またあなたも後段で私の注意に基づいて読まれたように、まず国民のための交通運輸体系の確立のため、国民生命と健康、自然と住民の環境を健全に保持すると同時に、その中で輸送秩序の確立に結びついたことについて規制をしていく、そういうことに重点を置いていかなきゃならぬと、こう思うんですが、それはよろしゅうございますか。
  23. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) そのとおりだと思います。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 では運輸事業における規制緩和の重大な原則については大臣から御確認を願いましたから、あと各論的に今大臣がいろいろ言われましたトラックの問題とか運賃のあり方とか、そういうことについていろいろこれから聞いていくことにいたします。  まず最初に、航空事業について少しお聞きをしたいのであります。  航空事業にはいろいろな問題がありますが、特に今回の規制緩和の中で、航空法第六十五条の改定が非常に重大な問題だと思っています。この六十五条の改定をお出しになったのは――後藤田長官から原則を一から三について述べられました。そしてそれを、一つ民間活動に対する規制緩和することと、あと一つアクションプログラムといいますか対外経済政策、この二つ観点からやったと後藤田長官は言われているんですが、この六十五条の改定問題はどちらにそれが該当するんでしょうか。いわゆる民活なのかそれともアクションプログラムに重点を置かれたのか、この点についてまずお答えを願いたい。
  25. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今お話しのような観点から申しますと、アクションプログラム関係の問題として航空法の改正をこの一括法に取り入れていただきました。
  26. 安恒良一

    安恒良一君 そうするとアクションプログラム対外経済政策に置かれる。  そこで、大臣にお聞きしたいんです。その場合にも、規制緩和を行うときに国民生命安全性というのは優先をするんだということを大臣もお答えになりましたし、また後藤田長官もお答えになりました。六十五条は対外経済摩擦解消の対外経済政策だということでありますが、その場合にも国民生命の安全ということは最重点に考えられるということでよろしゅうございますか、大臣
  27. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) およそ航空事業につきまして安全性をまず重点的に考えなきゃならぬことは当然のことでありますし、特に航空につきましては、総合交通体系の中でもより安全度が強く要求される、非常に事故の重大性等からかんがみましてこれは当然のことであります。ただ問題は、昭和二十七年でございましたか、航空法が制定されましたのは。当時と既に三十数年たっております今日では全く航空の実態が違っている。特に機種も全く違っておりまして、当時使用されておった機種はもうほとんどございません。そういった非常に日進月歩の航空の現状においてこのような改正をしなきゃならぬということは、安全性が格段に高くなっていて、あるいは航空事業の合理化等とあわせ考えるというと、この改革によって安全性が全く損なわれるものではない、むしろ経営の合理化も含め安全性という基盤はこれによって決して阻害されるものではない、そういう前提に立って今回の改正が行われる、このように御理解いただいて結構ではないかと思います。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、損なわれるとか損なわれないという議論はこれから中身の議論であって、そんなことを聞いているんじゃないですよ。いわゆるアクションプログラムをやられる場合でも、基本的な考えとしては安全性ということを特に航空についてはお考えですかということであって、損なわれるか損なわれないかというのは、これから大臣と私が内容論争をして損なわれるとか損なわれないという議論になるわけです。私はどちらが重点ですかと言ったら、規制緩和が重点ですか、それとも民活が重点ですか、対外経済政策が重点ですかとお聞きしたら、航空局長は、今回の六十五条の改正対外経済政策が中心で行うんですと、こう言ったから、そこで経済ということになると、非常に競争原理とか、いろんな問題が起こってきますから、対外経済政策を中心におやりになることにあっても国民生命の安全ということは最重点にお考えになりますねと聞いたんですから、考えるなら考える、考えないなら考えないということで、中身の議論はこれからです。
  29. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 航空局長がお答えしましたのは、安全性はもちろん、それはもう当然のことですよという前提に立って、そしてその上で経済摩擦の関係からアクションプログラムに盛り込んだと、こういう趣旨にどうぞ御理解いただきたいんです。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 それでは対外経済政策アクションプログラムの場合においても国民生命と安全ということはやはり量重点に考えて政策をこれからも遂行していくということですが、そこで今度は中身に議論を入れていきたいと思います。  まず一つは、人命にかかわる航空機の運航規則の緩和ということになっていくわけですが、本当に安全性の検証がされているのかどうかということですね。それはなぜかというと、今日、最近の一連の飛行機事故の中から民間航空の安全性の向上に国民が強い望みを持っているのであります。しかし、アクションプログラムということになりますと、どうしても対外経済政策ということが目的にされがちであり、中心になりがちであります。でありますから、私は、今回の六十五条改正が航空機関士を機種によっておろすという方向にこれが向かいつつあるというふうに思いますので、どうもこの点が心配でなりません。安全を確保するための規制、その不要、過剰、こういうものは私はあってはいけないと思うんですね。安全を確保するためにはそれに対する規制なんかあるはずない。  特に飛行機事故のように一たん事故が起きますと、例えば幸いこの前の日航事故で四名の生存者がありましたが、飛行機事故の場合は搭乗している者全員がほぼ死亡するという事例が非常に多いわけですね。そういう点から考えますと、安全に不要の原則があったり、過剰の原則があるということはないというふうに私は考えるわけですが、こういうような点から、今度の法案の出された趣旨、特に安全ということについて本当にあなたたちは検証し、自信を持っているのか。しかも今日あれだけの問題が起きている。いろいろな問題がこの半年間でも起きているわけですが、どういうお考えをお持ちなのかどうか、そこのところについて少しお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  31. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今安恒先生からお話しのように、航空行政の基本はまず安全の確保ということでございますが、今回の航空法六十五条の改正は、私ども安全性の問題について基本を揺るがすような考え方はございません。むしろ安全の基本に戻って、規定自身を合理化するという観点からこのような改正をお願いしているわけでございます。  航空法の六十五条の立て方は、既に十分御承知のように、一号と二号がございまして、二号は、「構造上、操縦者だけでは発動機及び機体の完全な取扱ができない航空機」には機関士を乗せる、こういうことになっております。そして、さらに一号では、「四基以上の発動機を有し、且つ、三万五千キログラム以上の最大離陸重量を有ずる航空機」となっております。  一般的に航空機関士がどういう場合に必要なんだというふうに考えますと、これはその飛行機の設計上、操縦の難易度ということで実際に具体的な機体の構造、操縦室の構造上、二人の操縦士で操縦ができる飛行機は二人、二人ではできないものは三人、そして三人目が通常間接操縦をしない職務を持っていまして、これが機関士としてやっているわけですが、そういったコックピット内の業務の分担というのは飛行機の設計に基づいて行われてくるわけでございます。  そして、先ほども大臣が申し上げましたが、昭和二十七年当時の考え方では、二号の構造上の考え方が基本ではございますが、当時の飛行機の状況でございますと、四基以上の発動機がある比較的大型の飛行機というのはいろいろな業務が多い、二人だけでは処理できない、三人目が要るということを画一的に判断したわけでございます。当時の飛行機ですと、これは一つのエンジンにスロットルレバー、プロペラピッチレバー、燃料ミクスチャーレバーといったような三本のレバーがある。そして四つのエンジンごとにこれを操作しなきゃなりませんし、それらのエンジンの状況を航空機関士が常に見ながら飛行状態に合わせて調整していくというような非常に特別な操作が要るわけですが、現在同じような構造のそのクラスですと、エンジンの制御を一本のスラストレバーでやれる、四つのエンジンの回転数は自動的に調整されるというようなことでございます。昭和二十七年当時の四十八トン、一号の規定のときあったDC6Bというのは航空機関士を乗せておりましたが、現在運航されている五十トンのボーイング737とか百三十六トンのボーイング767というのは二人操縦でやっております。これはエンジンが四つないということでございます。しかしまた八十トンのボーイング727や二百五十トンのDC10は三つの発動機ではございますが、四つはございませんけれども、これは操縦室の設計上航空機関士というものを乗せ保ているわけでございます、  したがって、飛行機の機関士のあり方というのは、エンジンが四つあるから、重量が重いからということではない、実際にどういうふうにコックピットの中で飛行機を操縦できるかという観点から機関士の乗り組みというのを考えるべきなんで、二号の原則に戻ってやるということが一番合理的なわけでございます。実際、三発のエンジンの飛行機でも航空機関士を乗せているというのは、これは一つ一つの航空機の機種ごとの技術審査によりまして、機体的にこの飛行機は三人乗せる必要があるということ、そしてそのもともとの航空機の設計上の妥当性というのを確認してやってくるということでございます。  こういった点から申しますと、現在は非常に技術革新が進みまして、電子技術の進歩やコンピューターによる制御システムの導入等ございます。二人の操縦士で十分なコントロールができるような設計が次々と出始めているわけでございます。そういう意味で、形式的な四発だ、三十五トン以上だというようなことだけで二人乗りがいいか、三人乗りがいいかということを判断することに著しく合理性がないということでございます。そういう意味で、機関士乗り組みについての根幹に戻っての考え方に徹して今後審査していこうということでございますので、そういう観点から今回の改正技術的に極めて合理的な改正だということでございますし、安全性については十分第二項二号の規定で確保されているというふうに考えている次第でございます。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっと注意しておきますが、質問よりも長々と答弁しないでください、時間がありませんから。長い答弁というのは必ずしも頭がいいとは限らない。それだけ注意しておきますからね。  私は、この条文をいろいろ見まして、その安全の見地から言うと、最近の事故、それから異常運航の多発、それから日航事故における乗務員が果たした役割――三名が協力しまして大変な苦労をしながら、その後の記録を読んでも、三十分間継続飛行をしながら四名の人命が救われた。こういうこと等から考えますと、この規制の強化こそ必要であって、この際緩和をするということは、どうしても今あなたの説明を聞いただけではわからないわけですね。例えばこの前飛行機が航路をそれたという問題を私は運輸委員会で議論しました。あのときは三人乗っておったんですよ。三人乗っておっても気がつかないというんですね。そこで、おまえさんの飛行機はずれておるぞということを自衛隊の方から発信しても、それも受け取らないということが起こったでしょう。私は運輸大臣に、大変いかぬじゃないか、処分をどうしてくれるかという話までしたんですからね。あれは三人乗っておったんでしょう。今あなたが言われた最新式の飛行機に三人乗っておっても、いかに今日コンピューター化されて機械が精密になっておっても、機械のやることと、それからそれを使う人間の判断ということ、これが一致しないと安全というのは確保できないんですよ。そのときに二人の場合は四つの目なんですね。三人の場合は六つの目。この前なんか三人、六つの目があってもミスが出てきているんです。しかも初歩的ミスが出てきている。  こういうことを考えると、どうも今回の措置というのはアクションプログラム重点のように思える。例えば英国製のBAe146ですか、そういうものを買うてくれと、こう言われてきている。そういうような問題の中から、どうも対外経済政策の方に重点が置かれて、本当に今国民が一番考えている飛行機の安全性ということについて配慮されているのかどうかという点が、幾らあなたの技術的な説明を聞いても、私は理解ができないんです。  大臣、飛行機の安全性というところは、これはもう単純に素人が考えてもわかることですからね。二人の四つの目で見るよりも三人の六つの目の方がまだ過ちを見落とすことが少ない。これは後から事例をずっと挙げてあれしていきますけれども大臣、そこのところどうですか。今の説明は、単に技術上の今の飛行機の構造の問題だけで、こういうふうに飛行機が優秀になっているんだから必ずしも必要でないんだと。そのことと安全。人間が機械を使っていくわけですから、そうすると今日のような飛行機で何百人という人を乗せて運航する、その場合の安全性ということについて、ここのところどうお考えになりますか。これは政治判断の問題ですから大臣ちょっと聞かしてください。
  33. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 私は技術のことはわかりませんけれども、それでもしばしば今日までコックピットに私も入ってまいりまして機長を初めいろんな説明を聞くんですけれども、計器その他ここまで合理化され省力化されたかなと、全く技術に無知の私ですらしばしば感心することがあるくらい、私はそういう面においては今日発達していると思うんです。例えば船にいたしましても、何万トンという船がやがてここ数年のうちに機関士が要らない時代がやってくるというようなことをあわせ考えまして、こういった技術の改良、発展から見ると必ずしも機関士を義務づけなくていい。しかもメーカー自体がそう言っているんですからこれは信頼していいのではなかろうか。  ただ、御指摘がございました例のうっかりミスの問題でございますけれども、あれは守るべきことを守らなかったわけでございますから、守るべきことを守らない連中ばかり乗っているとするならば、これはもう十人乗せたって同じだと思うのでございまして、私は守るべきものをきちんと守ってくれるならば、ただこのように発動エンジンの数であるとか重さであるとか、そういうもので規制する段階ではないと私自身もそう思うわけでございます。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 どうも話があれになっているんですが、民間の航空会社の安全に関する能力がここのところ向上しているというふうにお考えになるのかどうか。例えば日航だけでもこの三年間で五百四十四名の死亡事故が出ているわけですね、日航だけでも。それから航空機に関しては、技術革新をいろいろ今強調されましたね、こういうふうに技術が変わってきているんだ、立派な飛行機ができているんだと。だからこの技術革新というのが平常時の操作を容易にすることは、私もそのことは否定しません、平常時の操作をですね。ところが航空機関士の任務の重要性にこの平常時の操作の容易さということで変化が出ているんだろうかどうかということであります。ですから今、航空機関士の役割、任務は何と何というふうにお考えになりますか。ちょっとそれを聞かしてください。
  35. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 航空機関士の役割についてお尋ねでございますが、航空機を運航するためには操縦室におります操縦士、二人乗りの操縦士の飛行機でありましたら操縦士二人、あるいは機関士が乗っている飛行機でありますと操縦士と機関士、これらが一体となりましてそれぞれの業務を分担しながら安全運航をしておるわけでございます。  航空機関士について申しますと、機長を補佐しながら出発前の機体内外部の点検、整備状況の確認でありますとか、燃料及びオイルの搭載量の確認、あるいは飛行中になりますと発動機、客室の与圧装置、空気調和装置、その他の各種の機器が正しく作動しているかの確認、モニター、こういうことをやりますし、また点検リスト・チェックリストの呼びかけによる確認、あるいは機長の指示に従いまして緊急時においてはその操作、その他必要な活動、こういうことを航空機関士がやっておるわけでございます。以上でございます。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 航空機関士の役割は今あなたが言われたようなことですね。そのほかにふぐあいの早期発見とか機械等の傷みの進みぐあい、それから調整不備等を把握して、これは運航中でありますが、例えばパイロットヘの決断を求めるとか等々の安全性向上の役割が非常に多いんではないか。すなわちあなたもおっしゃったように、操縦士が操縦、航法、通信に専念できるように補佐すると同時に、機体、エンジン、客室与圧、燃料、油圧系統、重心位置の調整等、あらゆる機械系統の取り扱いの監視を、主要な任務のほかにそういうことをやってますね。それから例えば今日よくニアミスといいますか、空中衝突の危険が高まってますが、機外の見張り、これは安全運航を非常に大きく左右すると思います。特に空港周辺に航空機がふくそうする。私もしばしば経験するんですが、羽田の上空でかなり待たされる場合があるんです。そういうときにパイロットというのは航空機の操縦、航法、通信に追われでなかなか機外の見張りまで目は向かない。もちろんパイロット、副操縦士もやらなきゃならぬことでしょうが、それぞれ任務があるからやれない。こんなときの大きな役割を果たしているんじゃないでしょうか。それからまた悪天候のときパイロットは通常操作のほかに空中での待機や着陸、促進入のやり直し等、作業量が非常に増大しますね、悪天候のときは。そこで精神的緊張が最高になります。このようなときに航空機関士は通信の補佐、気象情報の入手、あらゆる機械系統の監視、それから残存燃料の把握等々、パイロットが操縦に専念できるような手助けの役割をしている。  こういうふうに私は思いますが、あなたは今航空機関士の任務ということを主として法的な角度からおっしゃったんではないかと思いますが、今言ったようなことを航空機関士がやっているということについてはお認めになりますか。またやる必要があると思うんですが、どうですか。
  37. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいま御指摘の航空機の事例では、いずれも現在航空機関士を乗せて飛んでいる飛行機の例であるわけでございますが、これらの航空機はいずれも航空機関士を乗せることが安全運航上必要だと、こういうふうに認定されておる航空機でございまして、しかしこれから出てくる航空機と申しますのは、いわゆる計器の監視それから故障の場合の警報その他をコンピューターによりまして即座にパイロットに教える、こういうような現在の航空機とまた一段違った、進んだレベルの航空機でございます。そういう場合には航空機関士を乗せることを要しない、パイロット二人だけで十分安全性が確保できる、安全な飛行ができる、こういうことでございます。  ただいま御指摘のいろいろな例をもって申しますと、現在でも操縦士二人で安全運航をしている航空機が多々ございます。それらにつきましては、構造の簡素化を図って操縦士二人で機外の見張りあるいは悪天候時の管制との通信等々を行っておるわけでございますので、特に航空機関士が乗った飛行機が乗ってない操縦士だけの飛行機よりも安全性が高い、あるいは操縦士二人の飛行機は安全性が劣る、こういうようなことにはならないのではないかと思っております。  なお、航空機関士が乗っている飛行機でありますれば、航空機関士は自己の業務、それから一般的な注意義務等々によりましてパイロットを補佐していくのは当然のことでございます。これが安全上不可欠の問題だということにはちょっと当たらないと我々思っておる次第でございます。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 安全上不可欠には当たらないでは困るわけですよね。それは困る。それはなぜかというと、今おっしゃったように、これからの飛行機とか二人乗りの飛行機の場合はそういうものはすべて計器がやるんだから、その計器の判断に基づいて操縦士、副操縦士ができるからいいじゃないかということでありますけれども、私が今申し上げたように、平常運航のときじゃない、悪天候の場合であるとか、もしくは空中で飛行機が非常に錯綜している場合の着陸の問題であるとか、こういうようなときに、こっちから言わせると、二人乗っているよりも三人乗っていて三人の目で看視した方がより安全であることはもう間違いないと思うんですよ。ただ、それは経済性の問題で、人件費が高くつくか安くつくかという議論は、これはまた別の問題ですから、安全性の問題で、今あなたは技術屋なんですから、経済性の問題を今あなたと論争する気はないんです。  例えば操縦士と副操縦士、パイロット同士の監視では同じミスを見逃す場合もあり得るんですね。パイロットと異なった立場の乗務員である航空機関士が監視することによって当然起こってはいけない人為的ミスを防止する。大臣から言わせると、三人乗っておったって、当然三人が監視しなきゃならぬのに、してないからしようがないじゃないかと言われるけれどもね。今回の場合は事故に結びつかなかったからいいけれども、しようがないからじゃ済まないんですよ、事故に結びついたときには。しようがないじゃないかじゃ、これはしようがないんです。ですからどうしても、私は何回も申し上げているように二人よりも三人。というのは、何回も言うように、いや、今は計器がよくなっている、オートメ化されていると、こう言われるんですね。しかも航空会社が言っているから信用していると、こう大臣は言っているんですがね。航空会社が言うことは信用ならないんですよ。この前の日航が落ちたのは、しりもち事故をやったとき、航空会社はあれは完全に直したと言った。また、あなたたちも、飛行機がよく直ったということで検査して運航してよろしいと、こうやられたわけですね。ところが今度落ちてみたら、どうも航空会社自身が、いや、あのときの修理はやっぱり不十分だったということで認めているじゃないですか。だから、航空会社の言うことだけ信用しておったら飛行機の安全というのは保てません。航空会社が言うことについて監督行政を持つ運輸省が十分監督していかないとね。この前のようなあんなにたくさんの人の人命が失われることがある。大臣も危うく死にかけたわけでしょう、あの飛行機に乗っておったんですからね。そういうことは、航空会社が完全に直したと、こう言ったんですから、あなたたち技術担当官も、しりもち事故の後をちゃんと検証してこれでよろしいということで飛ばしておったんでしょう。飛ばしておったら、完全に直ってなかったところに原因があったということをボーイング社自体が認めて、賠償の半分か幾らかうちも出しましょうということになりつつあるじゃないですか。  そういう意味からいうと、どうも私は、平常運航時とそれからアクシデントが起きたとき、こういうことをいろいろ考えると、今あなたたちの、新しい飛行機というものは機械化されている、オートメ化されている、だから三人よりも二人でいいんだということについて、今申し上げた平常運航のときとアクシデントの状態のときのことを考えると、どうも今の説明では理解ができないのです。  そこで、このアクシデントのときの問題ということで、機能喪失、いわゆる操縦室内でパイロットが機能喪失して重大事故に結びつく場合が非常に多いのであります。そしてこの機能喪失というのはパイロットの年齢に関係なく発生しています。航空機関士や三人目の乗務員によってこういうことがよく気がついて報告される。実は米国のユナイテッド航空や日本航空でも三人目の乗務員、機関士等が機能喪失を起こした乗務員を操縦席から離れさせることが最も重要だと、こんな教育等もしているというふうに聞いておるんですが、この機能喪失の場合のこと等を十分にお考えになって今回の法改正ということをされようとしているんですか、どうですか。この機能喪失の問題についてひとつ考え方を聞かしてみてください。
  39. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 航空機は、輸送手段としては、商品化以前に大変厳しい試験、テストを経て安全性について証明がされるというのでは、輸送機関の中でも最も厳しい方であろうかと思います。  現在の航空機でございますが、これは航空機が国際的商品であるということ、それから航空機自体の運航が国際的であるというようなことから、航空機の設計基準と申しますのはおおむね国際的に統一されているところでございます。これは米国の基準が基本になりまして、ヨーロッパでの航空機の基準も大体同一のレベル、ほぼ同じでございますが、この設計基準の中に飛行中に操縦士が機能喪失、インキャパシテーションと呼んでおりますが、機能喪失を起こした場合に残りの乗務員で安全飛行が継続できる、あるいは着陸できる、こういうことまで想定して基準が定められておりまして、これについての十分な審査を経て商品化されているのが現在の航空機でございますので、また航空会社におきましても、乗務員の機能喪失の場合の操作手順というのが定められておりまして、ただいま先生御指摘の事態は極めて異例でありますが、実際に起こっている例もございまして、そういう場合でも二人操縦の飛行機であれば残りの操縦士、あるいは三人乗務の飛行機であれば残る二人の乗務員が安全飛行を継続している、こういう例がございます。これらについても設計段階から考慮に入れて商品化されているということでございます。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃお聞きしますが、過去七年間で今申されたインキャパシティーによってパイロットがどのくらい死んでおりますか。国際民間航空機構の統計にあると思いますが、どのくらい死んでいると思いますか。
  41. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいま手元に具体的な資料がございませんので、正確な数字はお答えできないことを御了承いただきたいと思います。
  42. 安恒良一

    安恒良一君 いや、きょうはインキャパシテーションについてもいろいろお聞きしますという質問通告をしてますよ、きのうちゃんと。機能喪失問題についてもいろんな質問しますよ、資料そろえててくださいといって質問通告してありますよ。
  43. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 私ども日本の国内におきましては、機能喪失に近い状況が一件あったことは覚えておりますが、外国の航空機につきましての資料は現在持ち合わせてございません。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 資料を持ち合わせないということは大変遺憾ですが、これで時間とってもしようがないですから、私の方で申し上げますけれども、国際民間航空機構、ICAOの調査によりますと、大臣、過去七年間に十七人のパイロットが操縦室で死亡しています。そして、この十七人の死亡のうち、これは五件が事故になりまして、それで百四十八名の人命が奪われているんですよ。  そして今、技術的には、二人であって操縦士が操縦席で倒れてもその人をまず席からのけなきゃならぬのけても副操縦士でやれると、こう言っていますが、私は今申し上げたように、操縦士が操縦席で急激に倒れるわけですから、そのとき三人乗っておれば一人は操縦、一人がハンドルを回す。ところが、二人しか乗ってないときに一人が倒れちゃって、その人を操縦席からのけなきゃいかぬわ、操縦もしなきゃならぬわというのでは、これは私は大変だと思うんですよ、いかに飛行機の機能が精密になっておったからといって。こういうこと等を考え、しかも十七名のパイロットの三分の二は年齢が五十歳以下なんですから、操縦士というのはストレスがたまる、緊張するということで、心臓発作その他こういうアクシデントにかかりやすいわけなんですね。  でありますから、今簡単に技術担当が、機能喪失の場合も近代的な飛行機は二人でアクシデントが起こらないようにできているんだと言うが、私はこういう物の見方に非常に問題があると思うんですね。現実に、国際的な調査の中でも、過去七年間でこういうふうに十七人もパイロットが操縦室で死亡している、そのうちの五件が事故につながって人命が百四十八名も失われているという、こういう統計があるわけなんです。そういうことを聞いても、いや、国内のことは一件ぐらい知っているけれどもほかは知りませんと言う。きょう私がこういういろいろなことを聞きますと、知りませんと言う。知りません人がどうして安全を保証できるんですか。  私は、大臣、このインキャパシテーションという問題は、残念ながら非常に飛行機操縦士に起こりがちなんですね。こういう点についてただ単に、もう非常に機械化されているから、だからもう大丈夫なんだと、こういうことだけでは済まされないのじゃないでしょうか。過去七年間の統計をとってみてもこういうことがある。その点、大臣どうお考えになりますか。
  45. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 大変難しい問題なんですが、私は先生の論旨に逆らうつもりはございませんよ。問題は、どこまで安全性を追求し、技術的にどうやるかという問題は、例えば一つの例をとりますと、戦後今日まで四十年の間に、日本のタクシーの運転手が運転中にひっくり返るというのか、そういう例があると思うんですよ、新聞で私は見たことあります。だからといって、タクシーの運転手は常に二人乗せなきゃならぬかというと、これまたどんなものかと思います。ただタクシーと飛行機は危険の度合いが違いますからね、それも私は十分わかります。  ただ問題は、先生は、操縦士が一人どうかなったとき、のけなきゃならぬとおっしゃる。あれは、たしか、のけなくていいのじゃないでしょうか。私はコックピットヘ入ってみた。操縦席が二つあって、同じような性能を、右左の両方がたしか持っていると思いますが、どけなきゃならぬかどうか、それはわかりませんが、いずれにいたしましても、今おっしゃるように、一人が事故を起こした場合でも一人でできる、緊急着陸までの間はできるという可能性は十分持たしてある。  基本的には、私の考え方は、決して先生に逆らうつもりじゃございませんが、設計上メーカーが二人でいいというものをどうしても三人乗せなきゃならぬという、そこのところがちょっと私もよくわからないのでございますけれどもね。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、あなたはもう少し人間性をお持ちだと思って尊敬しておったんですが、私はちょっとおかしな気持ちになりますね。  なぜかと言うと、二人乗っておって、のける、のけぬじゃなくて、一人が急病で倒れたときは一人の人はかなり動揺するんですよ。それから死んでいるか病気なのかというのにも気を使わなきゃならぬでしょう。隣の操縦士がばたっと倒れたときに、飛行機だけ操縦しておったらいいんですか。そんなことじゃないでしょう。倒れたら何で倒れたかということを心配するでしょう、二人乗りの場合。三人乗りの場合はなおそのことがきちっとできるでしょう。  それからタクシーの例なんか引いて地上を走っているのと空中を飛んでいるのを一緒にする。あなたは運輸大臣がよう勤まりますね、本当に。飛行機は空中を飛んでいるんですよ。何百人も乗っているんですよ。  私は、タクシーの場合でも、例えば私が所属しているバスの場合でも、こういうのがあったときに、車掌が乗っておったときは大事故につながってないんですよ。車掌が気がついて行ってみたら運転手がハンドル握ったまま倒れておる。慌てて車掌がハンドルを回したということもある。私どもがワンマンカーを導入するときに大分議論をしたんです。それで助かった事例も私は知っています。たまたま車掌が乗っておったから、車掌がすぐ飛んで行って急ブレーキをかけるなりいろいろなことをした。それをしないままだったら、運転手さんは亡くなったままハンドル握っていて進行しますからね、バスは。ですから、本来からいうと、地上であってもほんとは二人乗りが必要なんですよ。ところが、飛行機の場合はさらに空中を飛んでいるということで、危険性がもう全然違うわけです。  メーカーは売りたいものですから経済性をどうしても重視します。ところが、監督行政というのは――だからこそ私は前段から、今回の規制緩和経済性とそれから社会的規制との両面が大切じゃないですかということを聞いて、皆さん方は、そうだ、社会的規制は大切だと答えた。社会的規制というものは行政じゃないとできないんですよ。あなたは盛んにさっきから、飛行機つくっているメーカーが二人でいいと言っているのに、どうして安恒さん、三人乗せにゃいかぬと言うのかわからぬと言う。わからぬでは私は運輸大臣が勤まらぬと思うんですね。メーカーは売りたがるんですから、売りたがると経済性、効率性ということで、三人よりも二人の方が人件費が安くつくという観点から、今のコンピューターからいうと、これは大丈夫ですよと、こう言うんですよ。しかし大丈夫ですよと言うが、万が一のことがあったときの飛行機が大変なことになることは、もうここ数年で実証されているじゃないですか。そういうときに、私は、経済性を追求することよりも安全性というところに重点が置かれて飛行機問題というものをやってもらわないといけないんじゃないかというふうに思うんですが、どうもあなたの説明で、タクシーの話とか、一人の人が倒れても操縦はできるとか、そういうことでは納得できません。
  47. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) ちょっと舌足らずの点もございましたが、もちろんタクシーと空を飛ぶ飛行機は違いますよということは私も申し上げたつもりでございますが、ただ、理論的に突き詰めていけばそういう議論も出てくるということで、実際、タクシーだってそれは死亡事故につながることもあります。あると思いますが、そういうところは区別して申し上げたつもりでございます。  なお、メーカーが設計上云々とも申し上げましたけれども、ただメーカーが言うからそれでいいということではなくて、これを購入する航空会社も、また運輸省も、その設計に基づいて十分検討した上で、これならいい、テクノクラートみんな集まっていろいろ検討した結果いいということでございますから、そこまで検討した結果いいということであればいいんではないかというふうに御理解いただきたいと思います。
  48. 安恒良一

    安恒良一君 どうも大臣もやや自信がなさそうに、いい、いいと言っているからいいじゃないかとおっしゃいますけれども、私はこの点はなおざりにできないんであります。例えば航空会社自身も、従来日航の航空会社はこういう見解です。三人目の乗務員の必要性は、悪天候や混雑している空域を飛行するとき効果を上げた。安全の面では良策である。将来の大切な要素となる。現在のこの技術革新の程度では全く変化してない。これは私たちの見解ですが、しかも日本航空は八月の十二日に重大な事故を引き起こしていますよ。  そういうこと等を考えると、今私どもは現に――私がなぜこれを問題にしているかというと、日本の空を飛んでいる乗務員の皆さん全体の意見として私どもの方に、全体の意見として、安恒さん、まだ今の技術革新の程度では三人が必要なんだと。でないと、おれたちも一生懸命乗客の安全のために頑張りたいと思っているんだが、どうも経済性、効率性ということだけに重点を置かれてやられていることがある。私のところにもこういうたくさんの陳情が来ているわけですよ。ですから、これはまじめな意味で、私はここのところは再検討してもらわないと。ただ単に、機械が日進月歩である、そして立派な飛行機ができているし、また対外経済摩擦のために外国の飛行機も買わなきゃならぬ。  私は外国の飛行機を買うことと安全性、三人を乗せるということの問題についてはイコールであってはいけないと思うんです。私は何も外国の飛行機を買うなとは言いませんよ。しかし安全性のチェックということと三人を乗せるということが、構造上そうなっているんだから、もうそれでいいじゃないかということだけで済まされない問題ではないだろうかというふうにこの点は思うんですが、この点について大臣、いま一遍お考えを願いたい。  例えば経済性の問題についても、私は資料を入手したんですが、外国の資料で、米国のパイロットの労働組合の資料やヨーロッパのパイロットの労働組合の資料に、安全性には妥協がないということで、その中に経済性の問題についてこうある。まず一つは事故が防止できる。一遍事故を起こすと大変なことで少々の人件費ではもう追っつかないんです。それで経済性の面からも検討する必要がある。  それから定時出発率ですね。飛行機というのは、定時に出るか出ないかによって非常に経済性が違います。これは一分間に使うガソリンの消費量から何からかんからいろんなことから考えられる、それから乗客との関係から考えても。そうすると、二人編成の場合の作業量と三人編成の場合の作業量、それから運航効率、こういうことをいろいろ考えると、三人編成の方がコストがより安くなる。こういう定時出発率の問題ですね。  それからいま一つは、人員の配置と訓練に要するコストです。三人を乗せて、三人が一致協力して操縦に当たっている。そういう観点からくると、ずっとパイロット養成のスケジュールができ上がっていくんですね。パイロットの養成には非常な。経費がかかります。ですから、単純に二人と三人でパイロットの単価計算をしては私はいけないと思いますし、それから、いまさっき私が申し上げたように、悪天候のときの進入、着陸の問題、それから整備の問題も、常時機関士が乗っておりますと、機械のいわゆる摩耗度とか故障度、こういうものの早期発見ができ、そして地上整備員との連携もきちっとできる、こういうような問題。  それからいま一つは、なぜ乗務員が非常に心臓発作その他の病気にかかるかというのは、ストレスが非常にたまっているからであります。ですから二人編成の航空機の一人一人の作業量が多いため乗務員のストレスが非常に大きくなる。でありますから、どうしても平均的な乗務年数が短くなる。こういうことを考えると、乗務員の養成に要する費用と時間がたくさんかかりますから、乗務員の短命化は社会経済的な損失になると思う、そういう問題。  それから操縦室から離席といいまして、三人編成だと二人の編成よりも操縦室から離席することが非常に安全、容易になります。そして乗客との間の信頼性を増す。  こういう点もございまして、私はこの三人乗務によってもたらされる経済上の利益を正確に航空会社が把握する必要があるんじゃないか。そのことも考えた上でどうするかということをされないと、ただ単に、今、大臣は、既にもう機械器具が非常に発達し、飛行機の設計自体が十分二人乗りで安全が確保できるんだ、それと同時に経済性の問題も言われますが、私は今経済性の問題で何点か問題点を挙げました。すなわち事故の予防の場合、定時性の場合、それから人員配置と訓練に要するコスト、悪天候における進入、着陸の問題、それから整備の問題、それから乗務員のストレスの軽減の問題、それから操縦室からのいわゆる離席の問題等々について、こういう問題点を挙げたんですが、それでも二人乗りの方がいいと、こういうふうに思われますか。
  49. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 私ども、初めにお答えいたしましたように、飛行機の特性に応じて、二人が必要か三人が必要かというものを審査した上で決定いたしたいと思います。必ずすべての飛行機に三人乗務が安全だということにはにわかにならないかと思いますので、航空機の操縦操作の難易度に応じて、二人ですべての状況に対応できるということであれば、そのようなことが証明され、製造国によって安全証明された場合には二人乗りで十分安全が確保できる、こういうふうに考えておるところでございます。  なお、三人必要というような場合には、当然それは三人を今後とも乗務をさせていくということでございます。
  50. 安恒良一

    安恒良一君 今のは答えになってないじゃないの。定時性の問題はどうなっているかとか、人員配置と訓練に要するコストの問題がどうなっているかとか、いろいろ私は項目を挙げて言っているんですよ。そんな一般論で、二人乗せられるものは二人、三人乗せなきゃならぬものは三人乗せます――当たり前じゃないか。三人乗せなきゃならぬものに三人乗せなけりゃどうなる。そんな当たり前の答弁したらいかぬ。僕は項目を挙げて、定時性はどうなっているの、こういう問題があるんだ、それでもあなたたちはやはりいいと思っているんですかと聞いているんです。
  51. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 航空局長、今の安恒さんの追加質問を含めて答弁してください。
  52. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今先生からいろいろと御指摘のあった点につきまして、実際に飛行機を採用するときに、航空会社はもちろん安全性の確保が第一でございます。最低限安全性の要求を満たさなければならないのは当たり前のことですが、それ以上に、今御指摘のようないろんな意味での経済的利益、会社経営上、三人乗務をした場合の利益というもの、プラスの点をいろいろとこれも考慮するというのが当然でございます。そういう意味での総合的な考慮の上で、かつ実際に乗務する乗員のなれの問題ということを考えて、そして最終的にはどういう機種がいいかということを決定し、何人乗務させる、どういう飛行機を使ったらいいかということを考えていくわけでございまして、私ども、そういう問題は航空会社の自主的な決定ということで、そういう経営を先生の御指摘の多角的な観点からやってきていると思いますし、また今後ともそういう観点でやっていくことになると思います。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 そんなことを聞いているんじゃないんだよ。いいですか。例えば定時出発率というものについてあなたたちは、三人編成の航空機と二人編成の航空機において、定時性についてはどうすぐれているというふうに思われるんですか、思われないんですか。私は、私の入手した資料等によると、三人編成の方が非常に定時性が高い、こういうことが米国の航空局の一九七九年の報告の分析を見ますとあるものですから聞いているのであって、そんなことは航空会社がやればいいことなんだ、おれたちは知らないんだ、経済性のことは航空会社がやればいいんだ、おれたち安全性のことだけ考える。もちろん安全性のことを考えてもらわなくちゃならぬけれども、今回の場合はあれでしょう、いわゆる民活の中にはそういうことも含めて、いろんなことを含めてこれを出されているんでしょう。そのときに、例えば私が定時出発率という問題について問題点を提起したら、これは安恒さん、アメリカではそうですが、日本ではこうなっていますとか、そういう答えが返ってきてしかるべきじゃないですか。どうですか、大臣。あんなことを言って、そんなことは航空会社がやればいいと、こう言ってますよ、あの人は。そんなことでよう法案を出しましたね。どうですか、そこのところ。
  54. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 定時出発率につきましては、私ども二人操縦あるいは三人乗務、これによる差はないと考えております。  定時出発率と申しますのは、飛行機の整備が日常どのように行われているかによって特に大きく左右されるものでございまして、その点私ども日本航空について言いますと、日本航空の定時出発率は世界でも優秀な値を示しておりますし、日本航空の三発機あるいは四発機、これについての差は特にございません。あるいはほかの国内航空会社の全日空、東亜国内等々見ましても、二人乗務であるから定時出発率が悪いというようなデータは示されておりません。したがって、定時出発率について申しますと、これは整備品質、日ごろの航空会社の整備、手入れの状況、これによって変わってくるものだというふうに考えております。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 だんだん声を大きくしなきゃならぬようになってきますね、私はできるだけ平静にやっているんですが。  なぜかというと、いいですか、私が言ったら、いや、そんなことは航空会社がやればいいことだと言いながら、米国の航空局による一九七九年の報告書の分析によると、三人編成の航空機は二人編成の航空機よりも定時性において五〇%すぐれているというふうに言われている。そして、そのことは会社にとっては低コスト並びに旅客の利便という点でも経済的に利益をもたらしていると言われているということを私は言っているわけですね。そうすると、あなたはそれはうそだと言うんですか、そんなことはないと。日本の場合はそんなことはないということですか。  あなたたちが調査してなけりゃ調査してないとか、調査しているんならしているとか。日本にはこういう資料がありますということで、都合のいいときにはアメリカの資料をよく使うくせに、都合の悪いときになるとそんなことは知らないんだと。私はそういう意味でこれは何点か挙げているわけですよ。細切れに答弁して時間稼がれちゃかなわぬ。やってないんならやってない、やっていろんならやっている、これはこうだということで。  私から言わせると、日本の航空会社の定時性は高いと言われるが、日本の航空会社も結構おくれることがある。私なんかもう年がら年じゅう飛行機に乗っているんだから。あなたが言うようにぴしっぴしっと定時的に出てませんよ。幾らでもおくれてますよ、いろんなことで。何うそ言っているんですか。  だから、私が聞いていることは、米国ではそういう分析をしているんですが、日本ではそういう調査や分析をしたことがあるんですか、あなたたちは。あるんですか。三人乗りの場合と二人乗りの場合の定時性について、米国の報告資料が出ているんだから、日本にもそういうことがあるんですか、ないんですか。それを知りもしないて、知る人もなくて、航空会社がこう言っているから、ああ言っているからと、そんなことが答弁になりますか。何言ってるんだ、ふざけるな。きちっと答弁してくれ、人の言うことについて。調査したことがあるんですか、あなたたちは。
  56. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 定時出発率につきましては、日本国内の航空会社に毎月ごとの各機種別に報告を求めておりまして、例えば全日空で言いますと、いずれも九九%以上でございます。三人乗務の飛行機と二人乗務の飛行機の間に特段の差は認められません。国内の状況については私どもそのように理解しております。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 そのように理解しているというのは、本当に三人乗りと二人乗りについてあなたたちは定時性について分析、調査したんですか。してなかったら、後であんたの首飛ぶぞ。あんた、したですか。航空局長、いいですか、報告を求めて本当にあなたたちは三人乗りと二人乗りの定時性について分析を米国航空局がやったように日本の航空局でやったんですか。やっているんですか、やってないんですか、はっきり言ってください。やってないのにいいかげんな答弁されたらかなわぬ。やっているんならすぐ資料を出してください。何月何日、何年分こういう調査したと、すぐ出してください。二、三日したらつくれるからね、こんなものは。すぐ今出してください、やっているなら。
  58. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 米国航空局の調査について私ども内容は承知しておりませんが、航空機の運航において定時出発率という用語がございますが、それに従って私どもは国内の航空会社についての報告を毎月求めているものでございます。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 いや、報告を求めていると聞いているんじゃないんだよ。人の言うことをよく聞いて答弁しなさいよ。いいですか。三人乗りの編成の飛行機と二人乗りの飛行機の場合の定時出発率について国内的にあなたたちは調査して、データを持っているんですかと聞いているんです。あんたは報告が届いているというところまでしか言わないんだよ。あなたたちは調査して、あなたがおっしゃったように二人乗りも三人乗りも定時性については全然変化がありませんということを断言できるんですか。断言できるなら、その資料を私に出しなさいと、こう言っているんだ。なければないと言わなきゃだめなんだよ、君。やってないんでしょうが、あんた。報告を受け取っておるだけでしょうが。分析した資料を持っていますか。持っていますなら今くださいよ、休憩とってもらっていただきます。ありますか、ないんですか、はっきりしてください。
  60. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 私どもが報告を受け、私ども行政に資しておりますのは、定時出発率と申しまして、十五分以上出発時間が機材の故障によっておくれた、こういうような経緯のものでございます。現在手持ちにございませんので、提出いたします。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 委員長、議論になりません。私が聞いたことと全然違う。私は三人乗りと二人乗りの場合のいわゆる定時刻においての出発率はどうなっているかと盛んに聞いているんです。あの答弁は全然なってないじゃないか。何言ってるんだ。
  62. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今申しましたように、全日空と日本航空につきまして今手元に機種別二人乗り編成の飛行機、三人乗り編成の飛行機のそれぞれの毎月の定時出発率のデータがございます。これを見ましても、今申し上げましたように差異がないということを申し上げております。ですから、必要に応じまして今直ちに先生にお目にかけることは用意がございます。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 それではその資料いいですか。三人乗り編成の飛行機と二人乗りの飛行機のいわゆる定時性について、あなたたちはその資料で集計して全然変更はないということを言い切るわけですね。それは私がぱっと見ればわかる資料になっていますな。それを見せてください。そんならそのように早く言えばいいじゃないか。何でこんなところでぐずぐず時間とるんだ。  大臣、今言ったように私の質問に答えていただかないと困るんです。というのは、今ちょっと資料をいただきましたけれども、これで二人乗り、三人乗りについて今言ったように集計されたというんですが、これじゃわかりません。私は素人ですから、これじゃわかりません。どういうふうに二人乗りと三人乗りになって、その結果二人乗りも三人乗りもいわゆる定時出発率については統計的に見て違いないというふうにこれではわかりません。これじゃわかりません。こんな資料でもあんたたちは専門家だからわかるかもしらぬ。私が言っていることについて集計した結果をきちっと見せてくれなきゃ、これじゃわかりませんよ。どうしてわかるんですか。
  64. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ただいまのは生のデータでございますので、後ほど二人乗り、三人乗りの機種を区別いたしまして資料を作成して御提出したいと思います。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 航空局長、ないじゃないか。生のデータじゃないか。生のデータでどうして集計した結果がわかるんだ。何をうそ言うんだ。生のデータじゃ困る。集計した結果を僕に示してくれとさっきから言っているんじゃないか。あんたたちのようなそんな生のデータを私に出されてどうしてわかるんですか。
  66. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 先ほど機種別にございますと申し上げたわけでございます。機種別をさらに二人乗り、三人乗りに集計し直しましてお出しいたします。
  67. 安恒良一

    安恒良一君 私がさっきから聞いているのは、そういうのを三百代言と言うんだが、三人乗りと二人乗りでアメリカではこういう統計ができて、そして五〇%すぐれていると言っているが、おたくの方ではそういうことをきちっとした統計に基づいて判断されているのかどうか。機種別なんて言っていないですよ、二人乗り、三人乗り。あなたたちは集計した結果、確信を持って、この定時出発率が確保されているのかどうかということを僕は聞いているんだよ。それなのに大臣、今度はあんなことを言っている。今になったら、いや、あれは機種別であって手元にありません。これで時間が物すごく過ぎちゃっている。私はそういうことでは困ると思うんですよね。
  68. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 先生のおっしゃっている資料は早急に出すように私から指示いたしますが、今航空局長が機種別と言ったのは想像するにL想像すると言うとおかしゅうございますが、同じ機種でもって二人乗った場合と三人乗った場合という意味のことを言っているんだろうと思います。そこらあたり今ちょっとよくわかりません。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、それは違うって。
  70. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 違いますか。私素人だからそれは違うかもしれません。まあ、なにですね、この定時出発率というのは、まず操縦士の数よりも整備が第一と思いますし、それからこれは乗客の責任があるのかないか、そこらあたりも素人でわかりませんが、総合的な判断の上できちんとした資料をつくらせたいと思います。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 この問題は、大臣、第一あなたの観点は違うんですか呈言わぬ方がいいと思いますよ。これは専門屋にお任せになった方がいいと思うんです。  いずれにしても、これは今私が言ったように、三人乗り編成の航空機と二人乗り編成の航空機において日本の現状において定時性がどうなっているかということがきちっとわかる資料を作成して、そして報告をしてもらうしかない。私はアメリカではこうだというふうに聞いていますから、その限りにおいて日本の場合においても定時性の問題があるだろうと思うんですね。アメリカでは五〇%というのですから率が高いんです。まさかアメリカの航空局がうそを言うわけはないですからね、こんなものは。ですから、そういう意味からいって、何か法律で出したものだから合理性を保たなきゃいかぬと言って無理にでっち上げてはいけません、これは科学的な話ですから。科学的に集計すればわかることですからね。今なけりゃ、ないということで、集計してお答えしますと言えばいいんであって、ないのに、いかにもあるような顔して、定時性は全然変わりませんと。まずこの答弁から始まって延々長蛇こんなことで時間を稼がれたら困りますね。私はああいうやり方をする人はこれから信用しません、ああいう人間はこれから信用しませんからね。いずれにしましても、大臣、この問題だけでもう時間をとるわけにいきません。  そこで私は、今申し上げたような点で、まだ経済性の面から見てもそう簡単に結論を出すべきではないという意味を含めて問題の提起をいたしましたから、この法案の取り扱いについては、もう一遍慎重にひとつ大臣にお考えを願いたい。特に今国民は飛行機に対する安全性ということを非常に追求している。残念なことですが一連の事故が最近起こっている。そのさなかに国会でこの六十五条が改正されるということは、私は国民にとっても大変な問題だと非常に重大な関心を持たざるを得ません。私が申し上げた七点について、きょうは今お答えをいただけなかったんです。時間がありませんので、この定時性のところだけについてのやりとりでかなりの時間がかかってしまいました。私は七点にわたっていろんな問題点を申し上げてますから、いずれまたこれは時間もとってこの点についてはさらに議論を深めていきたい、こういうふうに思っています。そのことを申し上げて、もう一遍ぜひここのところは十分な検討をしてもらいたい、こう思いますが、どうですか。
  72. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) るる御意見承りまして、御意見として承っておきたいと思います。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 いやいや、御意見として承るだけじゃ困るんだよ。承ったら検討してみてくれと言っているんですから、検討した結果どうこうというのがあるだろうが、事務局の方が不十分なんだから、だから私が提起した問題点についてもう一遍あなたとしては十分に検討してみてくれぬかと、こう、言っているわけですから、検討するぐらいはいいんじゃないですか。ただ承っとって検討も何も促さないんですか。
  74. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 御意見十分承りまして検討してみたいと思います。
  75. 安恒良一

    安恒良一君 それでは続いて、十二時までということですから時間が中途になりますが、今度はバス、トラック等の問題点について少し質問してみたいと思います。  まず基本的な考え方について私は前段質問したのでありますが、大臣も肯定されましたように、運輸事業の規制のあり方を考えるときには、まず国民のための交通運運輸体系の確立、それから国民生命と健康、    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕自然と住民の環境を健全に保持するためのものとすることと同時に、それが輸送秩序の確立に結びついた規制をすることに重点を置くべきだということを私は総論的に申し上げて、言葉の使い方は若干の違いがありますが、考え方大臣と私の間で一致したわけですね、このことについては。  そこで、私は運輸事業の規制のあり方は次のようなふうにその改善がされていかなきゃならぬと思うのであります。まず第一は現行の免許制度は維持強化していく。それから輸送の安全等を確保するための諸規定も強化していかなきゃならぬ。緩和じゃなくて全面的に強化していかなきゃならぬと、こう思います。それからいま一つ、免許制度の有効期間、それから更新制を導入する。それから免許基準の適正化と厳格化を図る。それから需給の策定、適正運賃等については公的諮問機関を設置して民主的な運営を図る。こういうことこそ運輸行政における今やらなきゃならないいわば当面の改革ではないだろうかと思いますが、基本的な考えが一致している上に立って、今申し上げたようなことについて、総論的に、特に今回の場合運輸事業の参入に当たっての規制の重点を量的規制から質的規制に移行させるというくだりがありまして、その質的な中身について前段で議論したわけですから、ここらの点について行政として、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  76. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 答弁が若干重複するかもわかりませんが、私は大臣になりましてとにかく政府が持っております全体的に約一万件という許可認可、その中で二千数百件が運輸省であるというようなことから、許認可官庁から政策官庁に脱皮しなきゃならぬということで、いろいろ班をつくりまして作業を進めさせてまいりました。私もいろいろとその中に入って検討もいたしました。その結果、数は多いけれども、それぞれの原点に立ってそれらができた趣旨を振り返ってみますというと、広い意味において社会秩序の維持、交通秩序の維持ということからそれぞれ出発しておるわけでございます。したがいまして、それらをそう簡単に件数を減らすという作業をいたしましてもなかなか難しい問題があるわけでございまして、そういう一つの点からいたしまして、残すべきものは残さなきゃならぬし、またモータリゼーション、そういった時代に大きな流れが、変化がありますので、その点についての必要な規制の見直しということはこれまた必要ではないかと思っております。特にトラック運送事業等についてはその点が多分に含まれておるわけでございまして、そういう問題を中心に四十六年に大きく見直しをやっておりますけれども、それから既に十五年経過いたしておりますから、見直すべきは見直すということでございます。  見直しの中身につきましては政府委員から答弁させたいと思います。
  77. 安恒良一

    安恒良一君 見直しの中身を聞いているわけじゃないんです。今、私は原則のところを聞いているんです。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕  それでは、新しい参入なりそれから運賃の規制など、根幹に属する部分については現行制度を堅持する、こういうことでいいのでしょうか。今、総論をやっているわけだから、これはトラックにもバスにもいろいろかかるわけです。根本のところをやって、あと中身については後から聞いていきますが、そういうふうに今回の規制緩和について、いわゆる参入なり運賃などの規制、これは大臣と私の議論の中でも輸送秩序の確立その他で、根幹部分ですね、根幹部分ですから、それは現行制度を堅持する、こういうことでいいのでしょうかと、そこを聞いている。一言でいいです。
  78. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 根幹部分につきましては、運賃制度その他現行を維持する、こう御理解いただいていいと思います。
  79. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  それじゃ参入なり運賃など規制の根幹部分は現行制度を堅持するということを御確認いただきました。  そこで、お聞きをしたいんですが、当面措置する事項が何点かごの中に挙げてあります。その中でも根幹部分に触れるものは実施しないのだ、当面の措置の中で、後から具体的なことは挙げていきますが、今もおっしゃったように、参入、運賃などの規制の根幹部分は現行制度を堅持する、こういうことを御確認いただきました。  そこでまた、当面する事項の中でも根幹部分に触れるものは実施しない、こういうことが確認できるでしょうか。
  80. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 当然のことでございまして、結構だと存じます。
  81. 安恒良一

    安恒良一君 それでは少し中身について入っていきたいと思いますが、まずトラック関係に入っていきます。  現在の規制なり免許制についてでありますが、今も私が申し上げましたように、需給策定を中心とした量的規制及び運賃、料金の価格規制を両輪とした経済的規制を行うとともに、国民生命身体の安全や衛生水準の確保を目的とした社会的規制も同時に行うものである、こういうことはさっきの議論の中で議論したところでありますが、規制なり免許制度についても、これは総論的に議論したんですが、この考え方について今申し上げたところのことは大臣としてはどういう御見解ですか、これでいいでしょうか。
  82. 武石章

    政府委員(武石章君) 社会的規制に関連する問題でございますが、御指摘のとおり、七月二十二日の行革審答申では、総論部分におきまして「量的規制から質的規制に移行させる」ということを述べているわけでございますが、安全確保が強く要請されるという運輸事業の特殊性、その他中小企業性とか労働集約性とかというようなことに留意しながらやらないといけないと基本的には考えているところでございます。  したがいまして、参入に当たっての量的規制、つまり需給調整を廃止してしまうというようなことを考えているところではございませんで、安全性の確保とかあるいは利用者サービスの向上といった運輸事業の質を高めるということを行政の主眼とすべきであるというふうに考えておるところでございます。  質的規制内容としましては、狭義に言いますと、資格要件というものを意味するわけでございますが、広く考えますれば、先生が御指摘いただきましたような安全規制とか、環境問題というような問題に関連いたします社会的規制というものが入るというふうに考えておるわけでございます。  私どもといたしましては、安全対策が最優先の行政課題と認識しておりまして、従来から道路運送法及び自動車運送事業等、運輸規制の規定の充実等によりまして対処してきたところでございます。そういう見地から考えておりますので、特に量的規制としての規制を全く廃止するという考えてこれに取り組んでいるものではもちろんございません。  それから運賃の認可制につきましても同様に考えておりまして、最近におけるいろいろな経済情勢の変化、それからトラックの運賃等におきましては、いろいろな特殊な状況がございます。例えば品物によって輸送の効率が違うとか、いろいろな地域によって違うとか、運行の形態によって違うとか、いろいろなことがございます。そういうふうなことを十分に確保……
  83. 安恒良一

    安恒良一君 わからない、発言を明瞭に。
  84. 武石章

    政府委員(武石章君) 失礼いたしました。  そういう各種のいろいろな問題がございますので、そういうものを十分加味して、現実の実態に合うように考えていきたいというのが基本的な考え方でございます。
  85. 安恒良一

    安恒良一君 もう少し大きい声でわかりやすく言ってください。  今私は細かい中身のことを言っているわけじゃないんで総論的なことをやっているんですが、参入規範を、量的規制から質的規制に移行させることについて今議論してまして、その中で質的規制意味がいわゆる社会的規制を指すということの議論まではお互いに一致をしているわけです。そうしますと、この社会的規制中身についてはさっきも議論をしたところでありますから、その分野について見直しなり、検討すべき事項が出されてしかるべきだと思うんですが、今回の場合はいわゆる社会的規制を指すと言いながらその分野についての見直し、検討すべき事項というのが何一つ出されてないんですが、そこはどうなっていますか。
  86. 武石章

    政府委員(武石章君) 特に社会的規制として安全の規制の問題、あるいは環境の問題がございます。特に安全の規制の問題につきましては、事業者に対する各種の規制を従来から強化してきておりますし、私どもとしましても、事業者に対する監査を徹底させる、あるいは監査方針を五十八年に改めたばかりでございますが、そういう中でこういう問題についての重点を志向していくというようなことを通じまして運用上あるいは監督の実際の行政上、社会的な規制という面での安全の確保という面に努力してきておるわけでございます。  特にトラックにつきましては、法律上の規制のほかに運転手の例えば休憩施設を各地に設けるとか、そういうようなことも逐次行ってきておりますし、安全運行管理センターというところにおける運転者の適性検査、あるいは運行管理者の指導研修というようなものの強化を通じまして、規制といいますか、指導を強化するという形でやっておるところでございます。  環境問題につきましては、これは一般的な環境行政の面からのアプローチがございますので、私どもとしてそういうものをよりよく遵守するように事業者の指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  87. 安恒良一

    安恒良一君 これも答えになってません。時間がありませんから午後やりましょう。  私が聞いていることは、あなたたちが日ごろどういうことをしているということだけでなくて、見直しなり検討すべき事項があるんじゃないか。見直し、検討すべき事項をなぜ出さなかったのかと聞いておるんであって、今あなたたちがああしている、こうしているということを聞いているわけじゃありませんが、ちょうど十二時になりましたので、委員長、ここで打ち切っていただいて、午後、さらにこれをやらさせていただきます。答弁は結構です。全然答えになっていません。
  88. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時四分開会
  89. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 安恒良一

    安恒良一君 午前に引き続きましてトラック関係の問題について、私は社会的規制を指すとするならば、その分野について見直し、検討すべき事項があるんじゃないかというのですが、余り明確な御答弁を得られませんでした。そこで少し中身についてお聞きしてみたいと思います。  警察庁の方から既に資料はいただいていますから、資料の説明は結構です。いただいている資料は、「最近のトラックの重大事故について」ということで資料をいただいていますし、それから貨物自動車が第一当事者となった交通取り締まり件数も資料はいただいています。ですから、この資料の中身説明は結構ですが、これらの重大事故の原因なりその背景についてどういう御認識をお持ちでしょうか。
  91. 八島幸彦

    政府委員(八島幸彦君) お答えいたします。  トラックの重大事故についての背景のお尋ねでございますが、トラックの事故の原因を調べてみますと、圧倒的に多いのがわき見運転などの不注意によるもの、それからスピードを出し過ぎて事故を起こすようないわゆる不適切な運転によるものが多いわけであります。  ただ、トラックの一つの特徴を申しますと、乗用車等に比べますと、積み荷の遇積載とか、そういうトラック特有の事故、しかも特に営業用のトラックにつきましては、自家用のトラックのその種の事故に比べますと、台数当たりにつきましては三倍ぐらいの事故率を示しているというようなこともございまして、業務に関連いたしまして運行管理なりその種の問題から発生する事故も自家用等に比べますとかなりの率になるんじゃないか、そういうふうに考えております。
  92. 安恒良一

    安恒良一君 結局ここにいただいている資料を見ましても、なるほど前方不注意とか居眠りとか、いろいろございますが、その原因の一つには、過積載の問題やそれから過労等々の問題も私はおたくからいただいた資料を見ながらもあるように思います。ですから、私が今交通局長にお聞きしたのは、その原因なり背景ということでどう認識をされているかという点でありますから、トラックの場合で事故を起こしたときに、例えば前方不注意にしても居眠りにしても、過労とかがあればそれが起こるわけなんですから、そういう点がいただいたこのトラックの重大事故の背景なり原因なりにかなりあるのではないか。この調書だけでは細かく書いてありませんからわかりませんが、私も交通労働者の一人として、営業用のトラックの過労、過積み、そういうものがどうしても居眠りを誘ったり、前方不注意を誘ったり等々で非常な大事故になっておるというふうに思いますが、大体そういうふうにこれを読み取っていいでしょうかね。
  93. 八島幸彦

    政府委員(八島幸彦君) 先ほど申し上げましたように、自家用のトラック等に比べますと営業用が率が高い、あるいは過労運転等につきましては自家用の乗用車等に比べましても事故率が高いと、そういうようなふうに御理解いただきたいと、かように考えております。
  94. 安恒良一

    安恒良一君 今言われたように、警察庁の方から最近の重大事故について資料を出していただいたんですが、運輸省はこのような事態にどう対処しようとされているんですか。
  95. 武石章

    政府委員(武石章君) トラックなどによります自動車事故の防止につきましては、関係各省庁が協力して種々の交通安全施策を実施してきたところでございます。運輸省におきましても、輸送の安全の確保を図るという観点からこれを重視いたしまして、トラック運送事業の運行管理、車両管理の適正化、計画的な監査の実施などを通じまして事故防止対策の推進を図ってきたところでございます。この結果、トラックを第一当事者とする事故発生件数を昭和四十五年と五十八年との対比で見ますと、四十五年の約三万八千件に対しまして五十八年は約一万九千件と約半分に減少しております。また、それを車両千台当たりの発生件数で見ますと、四十五年の約六十五件に対しまして五十八年には約三十件、四十五年の四六%という水準になっており、大幅な減少を認めることができるところでございます。しかしながら事業用トラックを第一当事者とする死亡事故発生件数を昨年の一年間について見ますと六百五十八件を数えております。対前年比七・四%という増加を示しており、五十六年までは減少を続けてきました事故件数が五十七年以降増加に転じているのはまことに遺憾な状況にあると考えております。  原因、背景等につきましてお尋ねでございますが、私どもの方では自動車事故報告規則に基づきまして運輸省に報告されましたトラックの重大事故、それは昭和五十九年中には二千七百八十七件でございます。これは重大事故の定義は幾つかございますが、例えば死亡事故が発生したとか、構造上重要な問題があって事故が発生したとか、転覆とか転落とか火災を起こしたとか、特に重大な事故について報告することになっております。これが五十九年申に二千七百八十七件ございます。そのうち乗務員に起因する事故件数が千六百三十一件でございます。  これを原因別に見ますと、わき見運転が最も多くて四百十一件、二五%強でございます。右左折の不適切が百五十八件、約一〇%でございます。歩行者に対する不注意が八%の百三十三件、車間距離が、不適切であるというのが六・三%の百三件でございます。そのほか追い越し不適切、安全速度の不履行、これはスピード違反でございますが、この二つを合わせますと百八十九件、約一一%ということでございます。このほかに……
  96. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっと、聞いたことを言ってください。数字は警察庁からもらっている。  警察庁の方に聞いたのは、原因なりその背景についてどう認識しているのかと聞いた。あなたには運輸省はこのような事態にどう対処しているのかと聞いているのであって、あなたのところの統計資科をぺらぺら読み上げられたら時間が惜しくてかなわぬです。あるならこっちへお出しください。私はあなたにはそういう聞き方してないんですよ。運輸省はこのような事態にどう対処しようとしているのかということを聞いているのであって、そういう統計数字をあなたに長々と読み上げていただく必要はありません。
  97. 武石章

    政府委員(武石章君) 運輸省が把握しております発生原因は先ほど申し上げたとおりでございますが、運輸省といたしましては、輸送の安全の確保を図るために今後とも運行管理者等の研修、事業者に対する監査、事故原因の解析等によりまして事故防止に関する施策をさらに推進いたしたいと考えておりますし、それとともに自動車事故対策センターの活用を図るということなどをして運転者の適性診断、運行管理者の指導あるいは講習などを実施しまして、トラック事故の未然防止のための措置を強化してまいる所存でございます。
  98. 安恒良一

    安恒良一君 どうかこれからも聞かれたことだけ答えてください、まだたくさん質問事項がありますから。  どうも運輸省は今の事態について、現行の道交法、それから労働基準法だけに頼っておられるんじゃないか。だから、例えば貨物自動車が第一当事者となった交通事故の発生件数一つを見ても、事業用でことしの十月現在で五百二十五もある。それから自家用両方を含めると千九百八十二件もことしは十月までに発生しているわけですから、そういう状況の中でいわゆる安全確保が要請される運輸事業の特殊性を留意しつつという指摘が行革審の指摘にもあるわけです。ですから、その意味から私は、この安全確保についての規制の見直しなり検討にあなたたちはどう対応するつもりかということをお聞きしたい。ただ指導、指導ではだめなんですよ。
  99. 武石章

    政府委員(武石章君) 行革審答申に基づきまして個別の事項についての指摘が行われております。安全確保について、あるいは中小企業性とか、そのほかの問題について留意をしながらやらなければならないというのは、直接にはこの個々の具体的な実施措置についてそういう点への留意を十分にしながらやれという趣旨で私どもは取り組んでおるわけでございます。過積載とか過労運転というのは交通事故の発生原因となりやすいということは、私どもでも十分認識しておりますので、運輸省といたしましても、トラック運送の安全確保を図る観点から、運輸規則に過積載、過労運転等を防止するための規定を整備、充実を図るとともに、運送事業者に対する計画的な監査、特別保安監査、運行管理者に対する先ほど申しましたような研修などを通じましてこれらの規制措置についての指導徹底に努めてきたところでございます。  これらの監査の結果でございますが、運輸省といたしましては、法違反が判明した場合には、事案の軽重に応じまして厳正な処分を行っているところでございます。その処分状況も最近とみにふえておるものでございます。例えば昭和五十九年度に実施した監査対象事業者というのは三千二百二十九事業者でございますが、その中の千三百件、千三百四事業者に過積載の違反が認められたとか、あるいは百八十六事業者に過労防止などの違反が認められたという状況がございます。過積載につきましては、昭和五十五年以降増加の傾向を示しておりますが、また過労防止等違反につきましてもほぼ横ばいの状況かと思われますが、五十五年の百七十七事業者に比して高くなっているということが現実に示されております。これは私どもといたしまして過積載防止違反とか過労防止等の違反などを重点的に取り締まったということによるものでございまして、このように多くの違反が摘発されるような状況というのは極めて遺憾な状況ではあると思うわけでございます。  ただ、その原因とか背景、これが非常に難しゅうございます。私どもとしましても、その分析を十分しながら安全の確保を図る観点で過積載や過労運転の防止についてさらに努力をしてまいりたいと考えております。
  100. 安恒良一

    安恒良一君 まあ大臣なら――大臣なら生言ったら失礼ですが、大臣の場合はある程度お読み上げになるのはわかりますけれども、担当局長ですから、そんな書いてあるやつをべらべらべ読まないで、要領よく答えてくださいよ。あなた局長でしょう、この方面の専門の。だから、長々と読み上げないで要領よく答えてください。  そこで私は聞きたいんですが、結局、八三年四月二十一日、運輸委員会において貨物自動車に係る道路運送秩序の確立に関する決議を満場一致しましたね。それから二年半たっています。ところが、トラックの過積みはふえ続けています。それから過労運転によるものを含めて交通事故も後を絶たないし、実態は残念ながらいただいているこの資料から見るとふえ続けているわけであります。そういう中でこの輸送の安全確保と中小零細企業性、労働集約性が高いこの産業の場合において、この決議に盛り込まれている事項についてはむしろ強化される、現行の規制措置を見直して新しい法的措置を講ずべきである。例えば過積み、過労、そういうもの、さらに二七通達問題等々強化されるべきだと、こういうふうに思うんです。  今回のでは、今やっていることのみをあなたはこういうことをやっている、ああいうことをやっていると、こういうことを言われるわけですね。例えば、今あなたの方からいただいた道路運送法の違反、処分の状況等を見ましても、まず監査対象が、いわゆるトラック運送業者というのは約三万六千ぐらいあるわけなのに、五十五年からの統計をいただいていますが、年間せいぜい二千件から三千件ぐらいしかやっていない。そしてその中で、今度は違反件数が、例えば五十九年度のいただいた資料で見ると四千五百五十九件ということで、毎年違反されている人は多くふえている。わずかこれぐらいの監査をやってもこういう状況が出てきているわけです。ところが、じゃそれだけのことが出てきたのに、例えば免許の取り消しはどのくらいあるかといったら、たった九件、事業の停止が一件ということで、主としてやっていることは車両の使用停止、これが六百二十六件、こんなことで、ほとんどが警告で千九百五十一件。こういうようなことで、今、我々が満場一致決議したことが本当に守られるのかどうか。私は、この際こういう点についてはきちっとした法的措置を新しく講ずべきだと思うんです。  そこで、運輸大臣と労働大臣にちょっとこのことについてお聞きをしたいんでありますが、私は、このことを過日も、四月の十一日の運輸委員会の中でいわゆる二七通達の問題ですね、過労防止のための二七通達の問題、それからILO条約の批准の問題、二七通達の法制化の問題等について運輸省と労働省の担当局長の御意見を聞いたら、当時はあなたじゃなくて、前の栗林さんはかなり意欲的なお答えをされた。白井さんのお答えが十分でなかったものですから、大臣に私は、ぜひ、山口労働大臣というのは非常にユニークでこういう問題を一生懸命おやりになる大臣なんだから、両方で協議をして、ひとつ両方でこの二七通達が完全に守れるように、さらに立法化の方向について両省間で連絡機構を持って少し議論を進めてもらいたい、こんなことを大臣に申し上げましたら、大臣は、よくわかりましたということで、御趣旨を踏まえて早速よく話し合ってみたいと思いますと、こういうお答えがあったわけですが、これは両大臣に聞きますが、こういうことを運輸委員会答弁をされた後、両大臣においてはどういう話をして、どのようなことに事態が進んでいるんでしょうか。それぞれ大臣お答えを願いたいと思います。
  101. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 二七通達自体は、これは労働省の所管のことでございますけれども、常々労働大臣とはよく連絡をとりながらこの問題については話し合っておりますし、私どもの話し合いの結果に基づきまして事務当局にも十分指示をいたしまして、この実務者の連絡会議を設置いたしております。去る十一月の十一日に第一回目の会議を開きまして、今後とも適宜この会議を開きながら両省の間で詰めてまいりたいと思っております。
  102. 山口敏夫

    国務大臣(山口敏夫君) 安恒先生が再三御指摘のように、生命と安全の問題という立場からも、特に自動車運転に関する労働時間は全産業の平均に比べまして大変長くなっておるわけでもございます。これはいろいろな拘束時間その他ございますけれども、今運輸大臣が御答弁申し上げましたように、運輸省と労働省の間におきまして連絡機構を、本年の十月二十二日、両省間で一層の連絡協調態勢を確立して、自動車運転者の労働条件改善等にかかわる運輸省・労働省の連絡会議を設置いたしまして、交通運輸業界の実態を踏まえつつ、働く皆様方の労働条件の改善等について協議をしてまいりたい。またこの会議の中で、二七通達の法制化とILO条約の批准の問題等についても取り扱ってまいりたい、かように考えて進めておるところでございます。
  103. 安恒良一

    安恒良一君 こういうところへ出てくると両大臣もなかなか立派なことを言われるんですが、私がお願いしたのは四月の十一日ですよ。それで初めて会合を開いたのが十一月の十一日ですよね。その間何もやってない。しかもその十一月の十一日に、僕は大変怒っているんですが、なおこの連絡会議は年二回程度開催することを確認した、と。こういうところで聞かれると両方の大臣も非常に言われるけれども、私が言ってから十一月まで何もやらなくて、今度十一月会合をやった。十一月は何をやったかといったら、第一回の会合は十一時から十三時半まで運輸省で開催と。それぞれ現状報告をし合って、今後それぞれの観点から安全確保についての話し合いの場を進めていくことにした、なおこの連絡会議は年二回程度開催をするということで、出席メンバーもあるんです。大臣は僕が聞いたときには意欲的にやるやると言っておって、あなたたちの部下がやっていることは全然何もやってないじゃないですか。四月に頼んだことが十一月まで全然行われない。それで十一月に開催したと思ったら、この会議は年に二回やるというんですからね。そんなところこそまず、後藤田長官行政改革をやらなきゃいけないんじゃないですか。約束したことをびしびし官僚はやっていかなきゃ。私に四月十一日約束して、十一月十一日まで何もやらぬで、開いたところが報告し合って、後、これから年に二回程度ぼつぼつやりましょうと、こういうことなんですよ。これは大臣どうなんですか。運輸大臣、あなたの言うことを一つも部下は聞いていない。山口さん、あなたの言うことを一つも聞いていない、部下は。
  104. 武石章

    政府委員(武石章君) この連絡会議の設置の要領ではそういうことをいたしておりますけれども、こういう公式的な会議ではなくて、常に課長レベル以下で連絡をとり合って随時やっていこうということでございまして、年二回正式な会議を開こう、そういう趣旨でございます。
  105. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、ああいう言いわけをするわけですね。ああいう言いわけを。  大臣は私に両省の連絡会議をつくってそこで精力的に一生懸命やりましょうと、こう言っておられるわけだね。労働大臣も非常に重要なことだと、こう言っておられる。ところが、今私から、これは当時の議事録ではありませんが、私は議事録に近いものを入手して調べてみたら、まず双方がハイ・タクの現状の監査結果と安全確保の観点からの施設及び輸送秩序確立対策について報告した、また労働省側から二七通達の違反状況について説明し、今後もそれぞれの観点から安全確保について話し合いの場を進めていくことにした、こういう程度で第一回を終わっている。それで年二回程度。  私から年二回ということを言うと、いや今度は各課長クラスが随時やるんだと、こういう言い方ですが、これは幾ら責めてもしようがありません。少し両大臣、私とのお約束を精力的にやってもらいたいと思いますが、どうですか、両大臣
  106. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 事務的な作業でございますから私も細かな点は報告を受けておりませんけれども、少し少ないみたいな感じもしますね。少し少ないような感じもしますので、極力やるようにひとつ指示をいたしておきます。
  107. 安恒良一

    安恒良一君 労働大臣はいかがですか。
  108. 山口敏夫

    国務大臣(山口敏夫君) 先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、先生御承知のとおり、他の産業に比べまして労働時間も長い、いろいろ過当競争、サービス合戦、道路事情等いろいろ拘束時間、荷主の都合等いろいろ長時間労働を余儀なくされているという側面がございますけれども、大事な輸送の問題、運転者の生命と安全の問題、労働条件の改善の問題等々含んでおるわけでございますので、二七通達が十分行き届きますように一層事務当局にも協議して改善方を進めるように指示を申し上げたいと思います。
  109. 安恒良一

    安恒良一君 もう時間がありませんから、これは労働省から自動車運転手を使用する場合の監督の結果もここに資料はいただいております。ですからこの資料の中身はいいんですが、いずれにしましても、私は、この国会の中で問題にされ、大臣が約束をされたら、ひとつ精力的に事務当局の間で事態の改善に向けていろいろやっていただきたい。  そこで、これは注文しておきますが、運輸大臣、労働大臣のところで、今回の行革審からの輸送の安全確保ということ、それから中小零細企業であって労働集約性が高い、こういう産業の特色を十分に考えながらやれと、こういうことでありますから、その中では、この安全問題については二七通達の全体、それから過積み、それからくる過労、こういう問題については、現在の道交法、それからいま一つは労働基準法の中の問題、こういうところをむしろ見直すべきじゃないか、安全性の確保のために。でなければ資料いただいても、依然としてこういう状態が少しも直っておりませんから、そういうものの見直しについて、見直しというのは強化する意味の見直しですよ、緩めるという意味じゃなくて、強化するという見直しについて御検討をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  110. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 労働基準法の見直しにつきましては、先生御承知のとおり、労働基準法は全産業一律の最低基準を決めるという性格を持っております関係上、特定の業種だけについての特別の規定というのはなかなか決めにくい性格を持っているわけでございますが、ただ、二七通達そのものが実施してから今六年目でございますけれども、まだ違背件数が相当半数近くあるという状態でございまして、私ども当面は行政指導の面で一層の徹底を図っていきたいと思っておりますが、基準法の見直しそれ自体につきましては、労働基準法研究会で全体についての見直しをいただいておりますので、その中でこの自動車運転者の労働時間法制のあり方も論議をいただいておりますし、その結果をいただいて私どもの今後の検討の対応を考えたいと思っておりますが、さしあたっては行政指導でさらに徹底を期してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  111. 安恒良一

    安恒良一君 行政指導でと言われていますが、私は注文をつけておきます。行政指導だけではこの問題は解決をしないだろう、私はこう思いますから、ぜひとも、御返事は要りませんが、ひとつ安全性の問題についての基準法の見直し等についてもぜひ大臣、十分検討していただきたい。  それから交通局長、道交法の中における安全の条項というのは、私ここに持っておりますが、この道交法についてもこれだけの重大事故が発生しているし、それから依然として大変な御努力にもかかわらず死亡事故が一向に減らないという現状ですね。そういう意味からいうと、私は安全性の角度からくる道交法の見直しというものも検討されるべき時期に来ていると思いますが、その点交通局長どうですか。いわゆる安全性を確保するために強化するという意味の見直しですね。どうですか。
  112. 八島幸彦

    政府委員(八島幸彦君) 道交法では先生御承知のように、この種の事故は単に運転者自身の責任を追及するだけでは十分ではない。こういうことから使用者についても責任を追及する規定がございます。過労運転とか過積載その他の特定の違反につきまして、使用者側がそういうことを下命したとか、あるいはそういう運転をすることを承知で運行させたというような場合に、使用者あるいは運行管理者等についても責任を追及する、そういう規定が整備されております。  一方、個々の運転者につきましては、事故の責任を追及することにつきましては、特別の責任を追及するということは難しいと思います。したがいまして、現在の道交法の規定の趣旨を徹底するといいますか、具体的には下命容認等の違反の検挙、そういうものを強化する、そういう方向で対処いたしたいと、かように考えております。
  113. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、これもあなたに注文つけておきますが、道交法は百三十八条からなる法律で成り立ってますが、安全確保というのは第三十条だけなんですよ、主として。安全確保というのは三十条だけに書いてある。だから、私が言っていることは、安全確保の意味から道交法の見直しを一週検討してみてくれ、こういうことを言っておきますから、これは注文しておきます。でないと、百三十八条もある中でだった三十条だけに安全確保が書いてありますから、もう一遍安全確保について道交法を見直すべきときに来ている、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それでは次にいきますが、次は運賃問題であります。トラックの運賃問題ですが、運賃の「多様化、弾力化を図る。」というふうに書いてありますが、現在のトラック運送業は荷主への従属性が極めて高い。ですから許可運賃を全部収納ができない。その結果過積みになって、それが交通事故に結びついている、こういう実態があるわけですね。交通事故の原因の中に過積みがあることははっきりしているわけです。  ところが、今回は弾力化ということで現行の運賃幅を拡大しようとするものでありますが、既に今運賃幅は一〇%あるわけですから、これより以上運賃幅を拡大しますと、逆に過当競争の激化となり、輸送秩序の混乱に拍車をかけることが明確になるというふうに私は思いますが、この問題にどう対処するつもりですか。
  114. 武石章

    政府委員(武石章君) トラック運賃の多様化、弾力化という問題でございますが、トラック運送事業の特徴でございます品物の多様性とか、あるいは専用車両を使った場合のコストが違うとか、そのほか輸送方式の個別的な性格によりましていろいろと原価が変わってまいります。可能な限り真の原価を基準とした運賃の設定を図るためにこういった措置が必要であるということでございます。  また、トラック運賃は季節やローカルな状況によりまして変動の大きい需給関係合理的に反映させるというような必要があるものでございます。そういう実態というものを十分踏まえた対応が必要であろうというふうに考えておるところでございます。トラック運送事業の安定成長に寄与するというためにもこの点が必要であるということでございます。  運輸省では、このような見地から、従来から別建て運賃の設定ということをやってきております。四十五年以前には電極とか、郵便とか清掃、タンク、海上コンテナというようなものでございましたけれども、四十五年以降に航空貨物、馬匹、国鉄代行、鋼材、ダンプ、宅配便というような六種類の新しい別建て運賃を設定してきておるところでございます。福運賃の導入ということも行ってきたわけでございます。この区域の運賃につきましては、さらに長期契約による割引とか、一遍に大量の貨物を運ぶ場合の大量貨物の割引とか、そういうような制度もあわせて導入するということで対処してきてまいったところでございます。  このことが直ちに過積みを引き起こす、それによって事故多発につながるというようには考えておりません。むしろ過積み対策というのは、過積み対策として重点的に、私どもの監査の実施の中での重点事項として取り上げていくことによって今後ともその減少のために努力してまいりたい、そう考えておるところでございます。
  115. 安恒良一

    安恒良一君 あなたのお考え、全く逆さまですね。今運賃のダンピングが行われるものですから、その結果過積み運行となり交通事故に結びついているという実態はあるわけなんです。今許されている民間運賃は完全に受け取ってないわけですよ、収受してないわけです。その上にあなたたちは、今一〇%の幅があるやつをさらに拡大しようとする動きがあるので、そのことはかえって問題になるんじゃないかと、こういうことを僕は言っているわけです。  そこで、大臣、今既に一〇%の幅がある、あってもそのとおり守られない、百鬼夜行ですよ、それで結局値引き値引きで、値引きするから荷物を余計積まなきゃいかぬ、余計荷物を積むものだから過労がある、事故が起こる、こういう現象を今繰り返していることは間違いないわけですから、どうかそこのところ、運賃幅の拡大という問題については慎重な考慮をしてもらいたい、既に一〇%あるわけですから。それをどうするのか知りませんが、一時一五%ぐらいに拡大しようなどという動きが運輸省にあるやに聞いていますから私は言っています。  それからいま一つ、運賃制度の根幹に触れる問題については変える気はないと大臣おっしゃったんですが、去る八月十五日、運輸省が認可した区域トラック運賃の中で新しく個建て契約運賃制度を導入しましたね。これは行革審答申では「中期的に措置すべき事項」としたのを、ここだけは今度は先取りして実施しているんですね。行革審はこういうものは中期的に検討しなさいと書いてある。今年度やりなさいとは書いてないんだ。ところが、これだけは先取りをされる。ですから、どうもなし崩し的に規制緩和を推し進めようとする姿勢が見えてなりません。私は運輸省の対応としてはまことに遺憾だと思います、この点は。でありますから、少なくとも区域トラック運賃は車扱い運賃が原則となっているにもかかわらず今回個建て制を導入することは、これは運賃制度の根幹に触れる問題ですから、また規制の根幹に触れる措置でもありますから、大変矛盾するものだと思いますが、この点大臣にお聞きしますが、どうですか。
  116. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 先般も答弁してまいったんでございますが、運賃なんというものは余りきちっと決めておくとかえってどうも運用上やりにくい面があって、自動車のハンドルと同じように一定の遊びというものが私は必要ではないかと思います。ただ問題は、それが一〇%あったわけでございますけれども、最近は御承知のとおり積み荷の多様化、すべてが非常に複雑化してまいりましたので、それに対応するために福運賃、こういう制度を導入することは時宜に適したのではなかろうか、かように私は今思っておる次第でございます。  個建て運賃につきましては局長から御答弁申し上げます。
  117. 武石章

    政府委員(武石章君) 若干補足させていただきますが、福運賃の幅を一〇%から拡大するという考えは私ども実は持っておりません。  それから、ことしの八月の区域運賃改定におきまして個建て運賃制度を導入したということでございますが、これは現行の区域トラック運賃に定められております車扱いによる個建て契約運賃制度というのは、本年の六月末から七月中旬にかけての改定申請に盛り込まれていたものを八月十五日に認可したものでございます。九月から実施されてきたところでございますが、今回認可された個建て契約運賃制度といいますのは、メーカーなど大口荷主が、荷姿などが定型的な製品を長期にわたって毎回一定量以上計画的に出荷しようとする場合について、あらかじめその貨物一個当たりの運賃を定めて、これにより契約する制度でございます。これはその意味で貸し切り運送契約の一形態と考えておりまして、その一個当たりの運賃といいますのは区域トラックの貸し切り運賃から導き出されるものでございます。いわば計算の便宜を考えまして導入した制度でございまして、一般区域の貸し切り運賃制度を形骸化するというものではないというふうに考えております。  なお、従来から商慣習として個建て計算というのが一般的に行われておる、そういう実態を背景に考えますと、個建て運賃制度に対する経済的な要請も無視しがたいというところで、申請もありましたことでございますので、貸し切り運賃制度範囲内でこれを明確な要件のもとに認めたものでざいます。
  118. 安恒良一

    安恒良一君 この点も時間がありませんから、私はバスのこともやらなきゃなりませんので、トラックの乙とはこの程度にして、また改めて時間をとってこれから先をやりたいと思います。  そこで、大臣にちょっと私は最後に一言だけ要望しておきますが、当面の課題と中期的な課題というふうにこれは分けられているわけですから、中期的な課題というふうに指摘されているのは私はぜひ慎重に検討を進めてもらいたいと思います。でないと、今の言われたことについても、時間がありませんから私は論争をここで避けまして、改めてこの次また時間をとうて今局長が言ったことについて、それがいわゆる運賃の根幹に関することになるかということを後で議論します。  ただ、最後に大臣にトラック関係の中で要望しておきますが、当面の課題とそれから中期的課題というのは、私もいただいておる一覧表の中に書いてありますね、おたくの場合、閣議決定によってこれは中期的ですよ、これは当面の課題ですよと書いてありますから、どうかそこのところは慎重にひとつ大臣やってほしいということを最後に私は言っておきまして、あとの残りの時間がございませんので、バス関係規制緩和についてお答えをしてもらいたいと思います。  まず最初に、これも運輸省と警察庁にお伺いしなければなりませんが、いわゆる貸し切りバス問題で、非常に輸送秩序を乱しているということで、私はこれは四月二日の運輸委員会の中で、具体的に調査した資料をもちましていわゆる白バスの問題、特に官公庁が使ったり、いろいろ白バスを学校が使ったりしているというような中で、私は詳細なデータを皆さんに提出しました。その結果、服部さんは、調査、追跡にもうしばらく時間がかかるというふうに考えておりますが、そういう段階でもって先生の方に調査の結果を報告させていただきたいというふうに考えておりますとおっしゃいましたし、交通局の方も、「ただいま運輸省の局長が御答弁になりましたような措置を私どもとらせていただきたい、かように考えております」ということで、私は運輸大臣に綿密な調査をお願いしたところ、調査を約束されて、それを受けて服部さんと当時交通局の山崎さんがお答えになっていますが、これも四月二日からその後音もさたもないんですが、どうなっているんでしょうか。
  119. 服部経治

    政府委員(服部経治君) お答え申し上げます。  昨年十月私鉄総連が行いました白バスの実態調査の件でございますが、その後、ことしの四月にただいま先生おっしゃいましたように運輸委員会におきまして調査をお命じになられまして、私どもお約束をいたしました。私ども早速その調査を手がけまして、御質問がありましてから約二カ月ちょっとの間に実は調査を終え、処分を終えたわけでございますが、まことに申しわけないことながら先生への御報告を怠りました点は重ね重ねおわび申し上げたいと思っております。  この席で御説明をとりあえずさせていただきますが、あのとき御指摘にございました私鉄総連の調査の内容を精査いたしまして、その調査の中で車両番号が明らかになっているものが七十一件ございました。これにつきまして車両保有者の確認作業を急ぎまして、所有者が確認できましたものにつきましては、その車両の調査日当日におきます運行状況等につきましてさらに詳細調査を行いまして、いわゆる白バス行為があったかどうかという点につきましての事実確認を行ってきたところで。ざいます。その結果、車両番号から保有者が確認できましたのが四十六件ございました。
  120. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっと待ってください。でき上がっているなら後から報告してください。もうここでそれを一々読み上げられたら持ち時間がなくなりますから。
  121. 服部経治

    政府委員(服部経治君) わかりました。済みません。
  122. 安恒良一

    安恒良一君 警察の方はどうですか、資料があったらでいいですから。
  123. 八島幸彦

    政府委員(八島幸彦君) 先生からお話しのございました資料につきましては、早速これを関係都道府県警察に伝達いたしましてその実態把握を指示いたしました。違反の明白なものにつきましては捜査を進めるように指示をいたしております。現在まで報告のありましたところでは、警視庁において無免許旅客運送経営者等二名を逮捕しまして、取り調べの上検察庁に送致いたしておりますほか、なお現在捜査続行中のものも数件ございまして、先生に対する御報告がおくれておりまして申しわけございませんが、こういう一連の捜査中のものの目鼻もつけた上で御報告申し上げたい、かように考えていた次第でございます。
  124. 安恒良一

    安恒良一君 私は捜査の進展を妨げる気はありませんし、捜査上の秘密は秘密で守りますから、済んだやつはどんどん報告していただかないといかぬと思います。こういうところで言うと、皆さんはもうでき上がっているところを報告される。国会で少なくとも大臣なり責任者とやりとりしたことは、これは公式の議事録にきちっと載っておりますから、その辺はきちっとやっていただくことをお願いしておきまして、この問題はどうぞ後から地域交通局長の方は具体的なデータで説明に来てください。それから警察の方は、捜査が完了して処分が済んだとか、捜査上支障がないところまで来たら、逐一御報告をいただきたいということをお願いしておきます。  それじゃ大体トラックでもかなり聞いたことなんですが、バスの規制緩和について特に大きい問題になるところを二点お聞きをしたいんです。  貸し切りバスですが、今も申し上げたように貸し切りバスは、私がデータを関東一円で調べただけでも、大概な過当競争のその上に白バスが走って大混乱があるという中に、今回、需要の実態に合わせて貸し切りバス事業の免許の事業区域を拡大する、こういうことが言われてますが、私は貸し切りバス事業における過当競争をより激化することになる、輸送秩序が現在でも混乱している実態は放置ができないと思います。そういう状況の中で、この実態は現行の事業区域設定に原因があるのではなく、市場へ新規参入を容易に認めたところにあるというように私は考えるわけです。  答申では事業区域の拡大を迫ってますが、これこそ一層競争の激化を招くものではないだろうか。しかもこの場合、大都市周辺の事業者は比較的輸送需要が多いことから、車両等の施設の更新も短期回転が可能であります。ところが、この小さい都市の事業者は需要が少ない、不利な条件に置かれておりますからなかなか新しい車を買うことも難しい。こういうことになりますと、貸し切りバスの中小事業者の経営破綻と輸送秩序の混乱に拍車をかけることにこれはなると思いますが、この点については運輸省はどのように対処されようとしているんですか。
  125. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいま先生御指摘の趣旨はよくわかります。御心配の点もよくわかるわけでございますが、一方、実情を申し上げますと、貸し切りバスの事業区域は、先生御承知のように、一部の地域を除きましては、市あるいは郡の単位で設定されておりまして、そのことが貸し切りバス事業経営の実態からやや遊離してきている面も否めないところでございますので、私ども今後の作業に当たりましては、ただいまの先生の御指摘も踏まえながら、十分慎重な配慮を加えて対応してまいりたいと考えております。
  126. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、ぜひとも、今私が申し上げたように、またこの前は私が違反の実態を具体的事例で示したように、あれはたった特定の日、二日ぐらいの調査であれだけのことになっているわけですから、これは大々的に調査すると大変に貸し切りバスは過当競争になっていること、これは大臣自身もこの方は専門ですから十分御承知だと思います。  そういう意味から、どうか私は、貸し切りバスの事業免許区域の拡大ということについては、今申し上げたところを十分、特に大都市周辺の大企業はある程度これは何とかやっていけると思いますが、中小都市の中小の貸し切りバスですね、これの経営者にいろいろ打撃を与えることになりかねないと思いますから、ぜひともこの点については慎重な御対処をお願いしたいと思いますが、大臣どうですか。
  127. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) よって来る結果は拡大というような面も出ておりますけれども、あくまで見直し、合理化という立場で今進めてまいっておるわけでございまして、御指摘の点十分今後とも考慮しながらさらに進めてまいりたいと思います。
  128. 安恒良一

    安恒良一君 次は、これも貸し切りバスの運賃幅の拡大でありますが、もう既に現行一〇%の幅があるわけです。結局、利用者の保護と事業の適正な運営を確保する立場から、認可制にある貸し切りバスの運賃は、既に今私が申し上げましたように運賃幅を活用する、こういう口実で認可運賃の境界線を超えたダンピングがあるわけです。これもトラックと同じように、お客を取りたい一方においてダンピングがある。ところが、そのことについて、私はしばしば運輸委員会や予算委員会でもその改善方についてお願いをしております。ところが、具体的な改善策が講じられないまま福運賃を拡大するということは、これは運賃認可制度の根幹を私は脅かすことになりはしないかということで容認ができないのであります。ですから、例えば新たに行き先別運賃の設定など、最低の条件を確保できる措置が私は必要だと思いますが、この点については運輸省はどのように行おうとしておるのかお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  129. 服部経治

    政府委員(服部経治君) 貸し切りバスの運賃は、ただいま先生御指摘のように、現在既に福運賃となっておりますが、それでもなおシーズンあるいはシーズンオフにおきます需給の大きな変化、変動といったことを考えましても、あるいは事業者の積極的な需要の掘り起こし事業活動というものを考えてみましても、そういった面で必ずしも十分そういった実態に沿ったものになっていない面は否定できないところでございまして、そういう観点から、先回の行革審答申の中で、その幅運賃の幅の見直しということが言われておるわけでございますが、私どもこの点につきましても関係者の意見を十分徴しながら適切な対応を図ってまいるようにいたしたいというふうに考えております。
  130. 安恒良一

    安恒良一君 ですから、私は関係者の意見を徴するという中で、例えば新たに行先別運賃設定というのも一つの検討すべき重要な課題ではないだろうか、そういうものをきちっとしないと、単純に今で一〇%あるわけですから、これを広げるとさらにまたダンピング競争になるわけですね。ですから、行革審が指摘しておることについて規制緩和という場合には、そういう今の現状を十分把握した中で制度として改正すべきもの、もしくは新設すべきもの等があれば、それも含めてやってもらわないと、ただ局長がおっしゃったような状況の中で、――局長はおっしゃいませんが、運輸省の中には守れない業界が悪いんだなんという意見もあるわけですよ。少し業界がしっかりすればいいじゃないかというようなこと等もどうも私の耳に雑音として聞こえてくるのでありますが、それでは私はいけないと思うんですね。運賃制度というものは、利用者保護それから事業の適正な運営を確保する、こういう立場から現在は認可制にあるわけですから、しかも大臣は、この根幹は変えないとおっしゃっているんですから、そうすると、その根幹を変えないなら変えないで、規制緩和をする場合のやり方については、私が今言ったようなことを含めて検討されてしかるべきだと思っているんですが、どうですか。
  131. 服部経治

    政府委員(服部経治君) ただいま先生具体的に御指摘のございました行き先別運賃につきましては、そういう方向で今後前向きに対応いたしたいというふうに考えております。  なお、先生が貸し切りバス運賃に関しまして言われましたことは十分念頭に置いて今後対応してまいりたいというふうに考えます。
  132. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ貸し切りバス問題はこれで終わりまして、もう持ち時間があと九分しかありませんから、貨物問題に戻ってちょっと一、二点聞いておきたいのです。  武石貨物流通局長は九月の初め、業界紙の取材に応じて、規制緩和時代の流れだ、社会が必要としなければ規制は要らないはずだ、こういう発言をされておりますが、どういう認識をお持ちになっているんでしょうか。というのは、    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕 トラック運送の輸送秩序の確立を積極的に推進しなければならない原局の局長の発言としては大変軽率だと思いますが、ここにあなたが発言された新聞の切り抜きも持ってきておりますが、どうでしょうか。
  133. 武石章

    政府委員(武石章君) その新聞の記事でございますが、実際に新聞の記者と話し合いました時間は一時間以上にわたる座談の結果でございます。それを記者がまとめたものでございまして、全体の記事につきましては、大筋は外してないと思われるのでございますが、言葉の使い方等は、私は明確には記憶しておりませんが、記事のごとく断定的な言葉を使った覚えはございません。  ただ、時代の流れ云々でございますが、この問題について記者がそういう受け取り方をしたというところにつきましては、説明をした内容を少し御披露しないとまずいと思いますので御披露させていただきますと、一つは外国の動きでございます。一九七九年の九月に競争政策と適用除外または規制分野に関するOECD理事会勧告というのがございます。これに規制緩和の問題、競争政策の導入ということを強く勧告しているものがございます。それから一九八〇年には米国のモーター・キャリア・アクトというものが出されております。それから国内でも五十七年の八月には公正取引委員会から政府規制に関する報告とか、あるいは五十七年の十一月に行政管理庁から勧告をいただいたとか、国内の動きもそういう方向での提言が各方面で出ておった、こういうような動向を私は話したところでございます。  その意味で近年での物流の動向の変化、例えて言いますと貨物の軽薄短小化とか、あるいは多品種少量物品の多頻度迅速輸送の要請とか、ますますそういう状況が強くなっておりますので、そういう物流動向の変化に伴いまして物流の対応が複雑化していること、特にサービスの多様化あるいは総合化、きめの細かさを求める荷主ニーズの高まりというものが現実にあるわけでございます。したがいまして、そういう状況下にあっては物流事業者はもっと創意工夫を働かせてこういうニーズに対応していくこと、そういうことを求められている時代であるんだということをるる説明したところでございます。  取材記者が時代の流れ云々という形でまとめたものと思われますけれども、また事業者の中にも煩雑過ぎる規制緩和を求める声があることもこういう説明をした際に説明をしております。これらを総合してそのような表現になったのではないかと思うところでございます。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕  私自身といたしましては、規制のあり方について規制の根幹、中心は残しながら、時代変化に伴って出てくるこれらのさまざまな要請にこたえていく必要がある、そういう運輸省の基本的な考え方説明したつもりでございます。
  134. 安恒良一

    安恒良一君 もはや規制緩和時代の流れだとか、規制というのは法律の本来の意図からすれば事業者保護でなく利用者保護だ、社会がその必要性を認めなければと、こうなっているのですが、私はもちろん利用者保護ということ、これは非常に重要でありますし、それから安全性ということも重要であります。しかしながら事業者に甘えを許してというのではなくて、事業者というのはそれを経営している人とそこで働いている労働者があるわけですね。その意味からいうと、私はきょうの長い時間をかけてトラック業界の実態についていろいろ安全性の問題なり過労なり過積みなりいろんな問題をるるやりとりをあなたとの間に、大臣との間にやってきたんです。そうしますと、そういう認識からくると、ただ単に私は事業者の利益保護という意味で議論をしているわけではないわけでありますから、そうしますと私は規制というものについて緩和する一面もあるけれども強化しなきゃならぬ面もあるわけなんです。そのことがきょうの議論を通じて御理解いただいたと思うんです。ですから、どうもあなたは担当局長として、この新聞を見ますと、あなたは、いや、それは長い間しゃべったのを向こうが要約したからおれは責任持たぬと。日経の流通新聞でありますが、もしもこれがあなたの真意でないなら、ないように訂正すべきところはやっぱり訂正をさせていってもらわないと。これはかなり業界紙としてたくさんの人が読むわけです。  私なんかもときどきインタビューを受けまして自分の真意が伝わらないことがよくあります、特に雑誌なんか。そのとき、私は、原稿ができ上がったら見せてくれと、一時間しゃべって五行か十行にまとめられると、読み方によるとまるっきり違った方になる場合があって被害を受けたことも私何回もありますから、そういうときには原稿ができ上がったら悪いけど見せてくれと、私はこう言うんです。私のしゃべったことをぐっと縮める場合です。でないと誤解を生むことがありますから。  どうか、もう時間がありませんが、私はこの新聞を見る限りにおいて、どうも担当局長としての発言としては軽率のそしりを免れないと思いますから、どうか真意がそうでないならないように実はこういうことなんだということを明確にしてもらいたいなと思いますね、どうですか。
  135. 武石章

    政府委員(武石章君) 私は先ほども申し上げましたように、こういう時代の流れに沿って事業者がいかにしてよい商品、これは運送でございますからよいサービスでございますが、そういうサービスを提供するためにもっと創意工夫をやらなきゃいけない時代になったんだということを強調したいものでございまして、規制について特に必要がないというような論調で言った覚えはございません。最近、これは余談ではございますが、この流通新聞ではございませんが、もっと小さい業界紙がたくさんございまして、その記者会見などをやっておりますが、その席上では、私自身が大分保守的ではないかと言われるぐらいのこともございます。両方にそういう新しい時代の流れと同時に規制そのものの必要性というものについても十分認識した上で対応しておるつもりでございます。
  136. 安恒良一

    安恒良一君 じゃ、もう時間がありませんからこれで終わりますが、どうか誤解であるならばその誤解を解いてもらうようなことをお願いをして、まだいろいろ質問したいことありますが、私の時間が参りましたのでこれで終わりたいと思います。
  137. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 私は、質問時間が非常に限定されておりますので、総論的事項につきまして後藤田長官、経企庁長官を中心に若干の事項をお尋ねいたしたいと思います。  中曽根総理が行革は天の声であるとしばしば申されておりますが、今次行革は前の鈴木総理内閣の最重要課題として取り上げられ、この行革路線を現中曽根内閣が継承して今積極的に推進しておられるわけでございまして、私はこの歴代政府の積極的な姿勢を高く評価するものでございます。  まず、本法案に関し質問する前に、後藤田長官にお尋ねいたしたいのでございますが、この行革の基本的な考え方、臨調答申あるいは行革審答申におきまして、行政の目標は活力ある福祉社会の建設である、あるいはその実現が行政改革の目標であるというふうに言われておりますが、長官はこの活力ある福祉社会というのはどういう社会であるとお考えか、長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  138. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今日までの日本はいわゆる追いつき型、この近代化、これに全力を傾けて達成をしたわけでございます。そこで、ここまで来ると今後の日本の行く方向というのは必ずしも外国のお手本があるわけではございません。同時にまた国民の意識が多様化しておる、高齢化社会が到来しておる、同時にまた激動しておる国際社会の中において日本の国際的責任が問われる、こういった内外の環境変化があるわけでございますから、これに行政がどのように的確に対応していくかということが極めて重要な課題であると、こういうふうに私は考えるわけでございます。また我が国の経済そのものも安定成長、高度成長から安定成長に移行して従来の民間に対する指導あるいは規制あるいは保護、これに重点を置いた行政から民間のエネルギーを最大限に活用するというか、エネルギーを引き出す、こういう方向づけに向けての調整あるいは補完、これに行政が重点を置くべき時代になっておるのではないか。  こういうことを考えておるわけでございますが、そこでこういったことを踏まえながら、第二臨調あるいは行革審も今後の行政の目指すべき目標ということで国際社会への積極的な貢献ということと同時に活力ある福祉社会の建設、これを御提案なさってきておるわけでございます。  そこで、臨調答申で活力ある福祉社会とは一体何かと、こう言いますと、個人の生活部門では自立自助ということが一つ、社会集団部門の中におきましては相互連帯ということ、そして同時に民間の活力を基本にするんだ、そして同時に適度な経済成長のもとで国民各人が適性に応じた就業の場を確保する、そして同時に雇用、健康あるいは老後の安定、こういうような基盤的な保障が確保された社会、これが一般論としては活力ある福祉社会という概念ではないかなと、こういうように考えておるわけでございます。  それを目指す行政改革ということになりますと、一口に言えば、過去の蓄積の中で余りにも肥大化しておる行政、これを放置しておきますと国民の負担がこれはとめどもなく重くなってくる。これでは結局は社会の活力を失う。ならばその結果は、欧米先進各国の中に見られるような、何と言いますか、いわゆる先進国病というものになるおそれがある。私は、日本行政改革というのは先進国病にまさにかからんとしておるその入り口のところでようやくこれが国民的課題として取り上げられるようになったということは、この仕事は非常に厳しいけれどもタイミングかと言えばよかったのではないか、かように考えるわけでございます。  そういうような観点で大変厄介な仕事でありますけれども、この内閣としては国民的な課題であるし、同時にまた一般の方の御理解も得られるのではないか、また得なければなりませんし、得るような努力をしながら、厳しい坂道にあるけれども、ぜひとも皆さん方の御理解を得てやらさせていただきたい、かように考えているわけでございます。
  139. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 ただいまのお答えで大体了解できるのでございますが、一般の国民の中には、どうも行革というのは福祉の切り捨てである、そういう考え方がまだかなり根強くあるような感じがいたしますが、ですから政府としましては、今政府が現に進めておられる行革がそういう活力ある福祉社会の建設にこういう形で結びついているんだと、そういう点の積極的なPRといいますか、そういう点が必要ではないかと思うんですが、いかがでございますか。
  140. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん、しょせん行政改革というのは別の言葉で申し上げますと、時代変化に対応しながら国民の皆さん方からちょうだいしておる税金を最も有効に活用することのできる行政の仕組みあるいは仕事のやり方に変えていくことであろうと私は思うんですね。したがってそういう観点に立って、ただいま申された福祉の切り捨て云々という批判があることは十分承知しておりますが、ここらは我々が考えているのは必ずしもそういうことでないので、福祉の問題について言っても、これは高齢化社会を控えてこのまま行ったらどうなりますか、世代間の利害の対立その他を考えれば、とてもじゃないが今にして長期安定した制度に切りかえなければならないんだと、こういう点を何としても、行政改革国民の理解が基本でございますから、そういう点についての政府のPRといいますか、これは御指摘のようにあるいは不足になっておるのかもしれませんが、行革審としては、御案内のように今でも各地でそれぞれの方にお集まりをいただいて国民的な盛り上がりの中でできる限り理解してもらってやっていこう、こう努力をしてくれております。  ただ政府としては、御指摘の点は十分反省して、今後とも一層の国民に対する理解を求める努力、これをやらなければならぬ、かように考えているわけでございます。
  141. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 本法案に関連した質疑に入りたいと思いますが、先ほどの提案理由説明で、本法案趣旨目的につきましては・「民間活動に対する制約を除去し、併せて国際的に遜色のない開放性を有する市場の実現に資する」ということが明らかにされたのでございます。内容を点検いたしますと、四十二項目、二十六法律にわたるということでございますが、どうも玉石混交と申しますか、まあ玉は余り多くないんじゃないかと思うんですが、法律事項に限定するという制約もございますけれども、果たしてこれだけの法律内容で先ほどの法案趣旨説明とするところに本当に役に立つのかどうか、どれだけの効果があるのか、その辺につきまして率直に長官の御説明を伺いたいと思います。
  142. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 曽根田さんの御指摘のような御意見衆議院でもございました。なるほどこの法律案を見ますと、数は多いけれども余り中身はないじゃないかと、一口に言えばそういうことです。私は、その御批判はこれは当たってないとは申しません。ただ今回のやつは、当面の立法措置を要するものだけを、しかも一括できるものだけをやっておるわけでございまして、例えばガソリンの輸入の問題とか、これは大変重要なこれから先の政策変更になるので、これはまた別の立法でお願いしておりますし、同時に二百五十八事項のうち法律で当面要するものとして一括しておるだけであって、今後に残された課題もあるし、何分ともに多いのは政省令、現在のほかの法律に基づく政省令での規制がございますから、これは目標年次を決めまして、そして大部分は本年度いっぱいでございますが、これでどんどんやっていこう、こう考えております。それから同時に、今度の規制緩和も、例えば金利の自由化であるとか、あるいは先ほど来御質問になっておりました交通遺児の問題であるとか、たくさんの重要な事項が入っております。したがって、ぜひひとつこれは全体としての御評価を賜りたい。  私は、そういう意味からすれば、今回の規制緩和は全体をとらえますと相当な重要性を持つ改革である。同時にまた、これだけでそれじゃいいのか、こうなりますと、今は許可認可一万件ばかりあると言われておる。ただ、件数の数え方、各省によって違いますから一律じゃありません。二百五十八事項といっても、それと合うのかと言えば合わない面があります。しかし、いずれにせよ一万件と言われておる。それから見れば、これだけ急激に世の中変わっているんですから、これらの見直し、物によっちゃ強化しなきゃならぬ面もあるかもしれませんが、しかし一般的傾向としては緩和すべき方向にあると私は思いますね。これらは今後とも絶えざる見直しをしなきゃならない。それからまた各省はどんどん新設をするんです。この新設の審査基準というものも、私は何らかの基準を設けないとどうにもならなくなりますよという気もいたします。  しかし、それにしても、今一万件と言っているんだけれども、本当に幾らあるんだという総数把握、これすらなかなかできないんですよ。これではだめだということで今総数把握の作業に入っているんです。これは来春、三、四月になれば私はまとまるんじゃないかと思います。こういった一連の作業を通じて――何といったって今までの日本やり方は追いつけ型の法規制の建前であった。今日ここまで来れば、一般論としては、緩和の方向に向けて民間活力等を中心にして社会経済活性化を図っていくべきであろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  143. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 これからも積極的に規制緩和政省令、通牒等にわたって推進していくということでございますので、大いにやっていただきたいと思いますが、とにかく今回の中身を点検しましても、こういう規制が今でも残っておるのかなというようなのが大分散見されますので、どうか積極的にお願いいたしたいと思います。  なお、本案につきまして、対外経済摩擦の解消にも寄与するというのが一つのねらいになっているわけでございまして、アクションプログラムの一環としての自己認証制の導入関係事項も含まれておるわけです。例えば消費生活用製品安全法、これについて炭酸飲料瓶詰が対象になるというふうに聞いておりますが、これはそうなんでしょうか。
  144. 三戸隆男

    説明員(三戸隆男君) 炭酸飲料瓶詰、消費生活用製品安全法で特定製品として指定されておりますのが八品目ございまして、そのうちの炭酸飲料瓶詰につきましては農林水産省の所管でございます。  この物資につきましては、昭和四十九年に特定製品に指定されまして十年余り経過するわけでございますけれども、その後事故件数も着実に減少しておりまして、そういった背景には、危険を防止するための被膜を利用したガラス瓶、こういったものも増加しておりまして品質の向上が図られておる、そういったことで安全性の確保が容易になっているというふうなことが一つございます。また企業の自己検査といいますか、社内検査体制、これが整備されてきておりまして、そういったことから企業みずから安全性の確保が可能なのではないかというふうに私どもは思っておりまして、今後自己認証に移行するかどうかは関係審議会に諮って決定するわけでございますけれども、私どもとしてはそういった方向で検討を進めたいというふうに思っています。
  145. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 仮にこれを自己認証にしたとして実際に輸入の面でどういう影響があるのか、こういうふうにすることによって輸入がそう急速にふえるとも考えられないのですが、その辺はどうなのですか。
  146. 三戸隆男

    説明員(三戸隆男君) 炭酸飲料瓶詰の場合には輸送コストが割高でございまして、輸入をいたしましても採算に合わないということが多いわけでございます。そういったことで国内で生産されているものがほとんどでございます。海外の主要銘柄につきましても、いわゆる国内でのライセンス生産ですか、そういった形で生産をされているわけでございます。そういったことから、現行の消費生活用製品安全法の対象となっております炭酸飲料瓶詰、これは四百ミリリットル以上の容量で二一五気圧以上のガス圧で充てんしたもの、これが対象になっているわけでございますが、それの輸入実績はこれまで五十九年度に一件だけでございます。  したがって、今回自己認証に移行した場合に、そのことによりまして輸入が急激にふえるとか、そういったことは私どもとしても想定しがたい点があるわけでございます。ただ、自己認証にした場合には、従来輸入業者等が一々政府あるいは指定検査機関のチェックを受けなければならないということであったわけでございますが、手続面で輸入業者等は事業を始める前にあらかじめ主務大臣に届け出をすればそれでいいという手続の簡素化が図られているわけでございます。そういった意味政府の介入をできるだけ縮小するという趣旨、それから国際的に遜色のない開放性を有する市場を実現するというアクションプログラム趣旨にも沿うものではないか、こういうふうに考えております。
  147. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 自己認証、輸入プロセス関連のが全体で八十八事項があると聞いておりますが、この中に本当に実効があるものが入っておるのかどうか、そしてまたこれは全体としての輸入の拡大効果はどうなのかについてお伺いしたいと思います。
  148. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 今回のアクションプログラムの中で基準・認証制度の改善及び輸入プロセス等の改善の分野につきまして御指摘のように八十八項目の措置をとることに決定いたしたわけでございますけれども一つ一つ制度の改善というものが直ちに輸入促進という形で輸入が増加するということにはつながらないわけでございまして、言ってみれば、輸入が増加しやすい条件を形づくったということでございまして、いわば輸入の拡大の一つの必要条件を整備したということでありまして、実際に輸入増加が実現するためには内需の拡大だとか、あるいは向こう側の輸出努力なり、あるいは為替レートなりというものが大きく影響いたしますので、今回の八十八の項目の一つ一つだけで直ちに輸入がふえるというようなものではないということを御理解いただきたいと思います。
  149. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 そこで、実際に黒字減らしというためには、市場アクセスの改善とともに内需の拡大にまたなければならぬということになるわけで、そういうこともありまして、先般十月、経済企画庁を中心に内需拡大の対策が関係閣僚会議でまとめられたものと思われますが、その内需拡大対策の概要と効果、特に輸入拡大の効果についてお聞かせ願いたいと思います。
  150. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 今曽根田さんからお話のございました内需拡大策の概要でございますが、これは御承知のとおり、財政政策が、現在日本の財政が非常に厳しい状況にあるものですから、直接使えない苦しい立場に追い込まれておりますので、普通ならば、大幅の減税をやるんだとか公共投資をふやすんだということが一番手短な内需拡大策でございますけれども、それよりも、ひとつ民間活力を大いに活用しよう。それからもう一つは、財政投融資の金が、金利が高いためになかなか使おうと思っても使えない、それを今回ある程度金利を下げることによりまして大々的にこれを活用しようというようなことで、今度の案を取りまとめておる点が内需拡大策の特色であろうと思います。  当面早急に実施したいという対策と、第二弾に実施したいという対策の二つに分けておるわけでございますが、当面早急に実施したいという対策の一つは、御承知のとおり、住宅金融公庫の融資、規制緩和等による民間住宅への投資、それから都市開発の促進でございます。今ちょうど政府、党の税制調査会が進行いたしておりますが、ここで今、住宅対策としての税制改正をどの程度盛れるか議論していただいている最中でございまして、当然この住宅対策には住宅減税が入ってくるわけでございます。それから第二は、電気事業とかガス事業の設備投資というのを、追加でございますが、両者あわせて三年間に一兆一千億入れることになりまして、電気事業でございますと、例えば電柱を地下に埋めるような投資を今度進めてもらうことにいたしておるわけでございます。第三は、消費者金融なり販売信用の利用をもう少し円滑にすることによって個人消費の喚起を図ろうということ。それから第四は、地方債の活用によります地方単独事業の追加でございますが、ある程度財政余力のあるところでは地方債を発行いたしまして、特に今おくれております下水道の整備や公園の整備をやってもらおうということで、今これに大いに力こぶを入れているような次第でございます。  以上申し上げました四つの問題が当面早急に手を打とうという手段でございまして、今後これから推進する対策として取り上げておりますのは、公共事業分野への民間活力の導入、例えば東京湾の海底トンネルをつくるとか。あるいは規制緩和。これは今、後藤田総務長官からいろいろ御説明のございましたような規制緩和、週休二日制の拡大、国公有地の有効活用、こういった点を今取り上げておるような状況でございます。  全体としての経済効果は、こういった対策の効果を数字的に測定することは大変困難なのでございますけれども、一定の条件のもとで試算をしてもらいました結果によりますと、事業規模で約三兆一千二百億円、波及効果を含めて名目GNPに引き直しますと、今後一年間で約四兆一千百億円ということになります。また、ごく大づかみな計算でございますけれども、輸入は二十億ドル程度増加するんではなかろうかと、こういうような計算をいたしておる次第でございまして、私どもといたしましては、ただいま決めました内需の拡大方針を着実に実施しようということで、目下懸命に取り組んでおる最中でございます。
  151. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 今数字を挙げての御説明がございましたが、一部の新聞等では、今の数字も、果たしてそのような効果を生ずるかどうかというような民間の調査もあるようでございまして、なかなかそう大きな期待が持てないんではないか。また現在の財政事情から見ましても、財政面からの景気刺激にも限度がありますから、先行きの景気見通しが余り明るくないとすれば非常に情勢が厳しいと考えられるわけですが、ちょうど予算編成を前にした時期でございますので、この辺の所見を長官にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 日本経済の状況を見ますと、設備投資が割と着実に増加しておりますし、消費も緩慢ではございますが増加しておる、あるいは住宅建設も緩やかな増加を示しておるということで、大幅に今落ち込んでおるというわけではございませんけれども、急激な円高の影響で恐らく半年、一年先にはある程度のデフレ現象が起こるんではなかろうかというような大方の予測がございますし、それからいま一つは、アメリカの景気の今後の姿が一体どうなるか、これにつきましては非常に弱気の議論があることは御承知のとおりでございますが、先般発表になりました七-九月期のGNPの伸びは相当伸びておるのです、アメリカは。だから、そう私どもは急激なスローダウンをすることはないと考えておりまするけれども、これからの先行きをしっかり見きわめながら日本経済の運営というものを図っていかなきゃいかぬと考えておる次第でございます。先般、一部の新聞には、もう七、八月で日本経済は底についた、大分これから落ち込むだろうと書いておりますけれども、企画庁がそう認めたようなことを書いておりますけれども、それはそうじゃないんです。もう三十何カ月非常に好況を持続いたしまして、現在もなお緩やかな拡大はしておりまするけれども、アメリカの今後の動き、あるいは民間のデフレヘの不安というようなものが相当大きく経済の動きに影響を与えますから、そういったことに対して我々として十分な対策をとらなきゃいかぬ。  例えば、先ほど申しました住宅対策も、ことしは新しい予算編成の目玉の一つとして取り上げたいと思っておりますし、あるいはまた一番大事なことは公共投資がなかなか伸びておりません、最近。五、六年前に比べますともう五、六千億、実額において減っておるというような状況でございます。ことしは財政投融資を活用して、ある程度、実際には三・三%ですけれども、上乗せいたしたんです。ことしもできるだけひとつそういった方策を使うなり、あるいは民間に貯蓄がたまっておるんですから、それは増税ですくい上げられないとすれば、少なくともお借りをして公共投資につき込むような手もあるじゃなかろうか。いろんなやり方があると思うんです。あるいは民間にある程度有利な条件を与えて、そういうものをかき集めて使ってもらうような手をございましょうし、そこら辺の詰めをこれからの予算編成に当たってやってもらう、こういうことで今進行しておる段階でございます。
  153. 曽根田郁夫

    曽根田郁夫君 終わります。     ―――――――――――――
  154. 亀長友義

    委員長亀長友義君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  ただいま議題となっております許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案審査のため、本日の委員会日本銀行副総裁三重野康君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  156. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 引き続き質疑を行います。
  157. 原田立

    ○原田立君 法案内容に入る前に、経済問題についてお伺いしたいと思います。  最近の経済指標を見た場合、厳しい数字が多いのではないか。具体的には輸出の伸びはこのところ鈍化しており、先行きの輸出の動向を示す輸出信用状の動きが八月以降三カ月連続して前の年の水準を下回っておる。あるいはまた輸出に限らず設備投資も峠に差しかかっており、伸び悩みを見込まなきゃならぬ。また個人消費あるいは住宅投資などの内需指標も盛り上がりを欠いている。経企庁で作成しているDI(景気動向指数)も二カ月連続して五〇%ラインを下回っている、八月、九月。このような状況から判断して我が国の経済は景気の転換点に差しかかっているのではないかと考えるわけであります。今後の景気は下降局面になっていくのではないかと思うのでありますけれども長官の御所見はいかがですか。
  158. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 大変判断の難しい段階に差しかかっておることは御指摘のとおりだと思います。設備投資は、輸出関連は落ちておりまするけれども、まだ割と手がたいものがございますし、消費も最近の状況から見ますといろんな面である程度まだ伸びております。ただ、輸出が御指摘のとおり大分落ちてきておることは、これはもう事実でございます。これは先ほど先行指標のお話が出ておりましたけれども、二カ月連続で五〇を下回り、相当先行きに関しての企業の見方が厳しくなってきておる。ただ私どもは、さっきも御答弁申し上げましたように、今もう底をついたと考えていないのでございます。これからの様子をもうしばらく見きわめながら必要な手を打っていかなきゃいかぬ。特にアメリカの景気がこれから一体どういうふうな動きを示すのか、そこら辺を見て経済の連営を決めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  159. 原田立

    ○原田立君 輸出信用状は前年度に比べてことしの七月は〇・二%プラスだったけれども、八月は〇・三%減、九月は一・三%減、十月は五・三%減、こういうふうな数値が出ております。設備投資の方についても、七月にマイナス〇・五、八月にマイナス四・七、九月に三・二%プラスになっていますが、こういうふうに今後の経済運営の数値が非常に厳しいんじゃないか。再度重ねて聞くようでありますが、その点のお答えをいただきたい。下降局面を迎える公算が非常に大きいと、こう私は思う。  日銀の副総裁御苦労さんです。総裁をお呼びしたんだけれども、何か御用があってあなただけだということですけれども、よろしくお願いします。  加えて心配な点は、最近の急激な円高の影響でありますが、今後も円高が続けば、輸出の減退を通じて経済にデフレ効果を及ぼすことは間違いないんじゃないかと心配するわけであります。最近の円相場の動向について日銀副総裁の御意見を聞きたいのでありますが、まず第一に、現在円レートが一ドル二百円程度で推移しておりますが、現在の水準が望ましいと考えているのか、それとももう一段の円高水準の方がよいと考えておられるのか、その点の御所見はいかがですか。
  160. 三重野康

    参考人(三重野康君) 私どもといたしましては、特定の相場水準を念頭に置いていろいろやっているわけではございません。先生も御高承のとおりでございますが、先般のG5の合意のステートメントにも書いてございますけれども、為替相場がそれぞれの国の経済のファンダメンタルズを十分反映いたしまして、それが対外不均衡を調整するに為替相場がうまく働くような状態をつくり出す、そういうことを目指していろいろやっているわけでございます。御案内のとおり、当時二百四十円ぐらいの相場が今は二百円台、きょうは二百四円をちょっと切ったところで動いておりますけれども、そこまで参りましたが、私どもは今後は相場勧がより安定いたしまして、そのことがまた相場をより安定する、そういったことを期待いたしたいと存じております。
  161. 原田立

    ○原田立君 一部には百八十円程度まで上昇してもおかしくないんじゃないかという、こういう見方もありますし、また五十三年の十月には一時百七十六円を記録したことがありますが、当時と比較して我が国は国際競争力が一段と高まっている現在、さらにはアメリカが要望している水準などを勘案すると、百八十円程度になる可能性もあるのではないかと、こういうふうな意見もありますが、このような見方についてどのように御判断なさいますか。
  162. 三重野康

    参考人(三重野康君) 通貨当局者として為替相場の具体的な見通しを直接的にコメントいたしますのは差し控えさしていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、最近の為替市場はG5が行われたときに比べてかなりマーケットの相場観あるいは雰囲気というものが変わってまいりまして、そういうふうに相場観が変わってまいりますと、それが長期資金の流れにも微妙な変化を与えつつあると思います。それがまたはね返って相場観のより安定の方向に動いているというふうにも思いますので、私ども、先ほども繰り返しましたが、そういった相場観の安定がより相場の安定をもたらすようになってほしいと、その点に最大の努力を続けておるわけでございます。
  163. 原田立

    ○原田立君 九月に行われた先進五カ国蔵相・中央銀行総裁会議、いわゆるG5ですね、この当時が二百四十円だった。二カ月たって四十円程度上昇してきている。こういう状況を見て、日銀として一ドル二百円時代の定着と、こう見ているのかどうか、また今後のドル動向の見通しについての御所見はいかがですか。
  164. 三重野康

    参考人(三重野康君) 先ほども申し上げましたとおり、現在相場観が当時に比べてかなり変化いたしてきておりまして、それが、今まで円安でありましたのは長期資本の流出がとかく円安に引っ張っていたわけでありますけれども、長期資本の流出にも微妙な変化の兆しを与えておりますので、私どもといたしましては、水準そのものはどこというふうには申し上げませんが、相場観が安定して、そしてそれが相場を自律的に安定させる、こういうことを願っているわけであります。まだマーケットはいろんな情報に過敏に反応して、安定しているというふうには申せませんが、そういう兆しは見えておりますので、その兆しを大きく伸ばして安定させたい、こういうふうに考えております。
  165. 原田立

    ○原田立君 今後とも現状の二百円程度の円高が続くとすると、さきにも指摘したとおり、円高によるデフレの影響が出てくると実は思うのでありまして、民間調査機関では、六十一年度実質成長率を二%ないし三%台とかなり低目に予測しておりますが、これは経企庁長官にお伺いするんですけれども、景気の下降局面に加えて円高デフレの影響が心配されるわけでありますが、経企庁でも来年度の経済見通しの作業に入っていると思うんですが、どの程度の成長率を目指す予定でいるのか、御所見をお伺いしたいんです。富士銀行は二・九%、新日本証券調査センターは三・五%、日本興業銀行は二・八%、こんなふうに見ているようでありますが、何か経企庁は四%台前半と言われでいるというふうに新聞報道されていますが、いかがですか。
  166. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 今原田さんから御指摘ございましたように、民間の各種調査機関は明年度の経済見通しについて三%台前後に推移するのではなかろうかという見通しを立てておるわけでございますけれども、円高デフレの効果は一年ぐらい先になりますとはっきり出てまいります。そういったことは十分に念頭に置きながら当面の必要な財政金融措置を極力活用することによって、私どもとしては、率直に申し上げますならば中期経済見通しに示された四%台ぐらいまで何とか持っていくようにできないかということで、今正直言って、いろんな政策を総動員して景気振興に役立たせるような努力をしておる最中だ、こういうふうに御了承いただければありがたいと存じます。
  167. 原田立

    ○原田立君 それから経常収支の黒字を富士バンクは五百四十億ドル、新日本証券調査センターは五百十五億ドル、日本興業銀行は五百六億ドル、こういうふうな非常に多額なものになっていますね。日米二国間経済問題でもこれは非常に問題になっていくんじゃないかと心配するんですけれども、いかがですか。
  168. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 貿易黒字なり経常収支の黒字につきましては、特に貿易収支につきましては、仮に円高になりましてもすぐそれで黒字が減るわけじゃございませんで、御承知のとおりのJカーブの効果がございまして、半年なり一年先までは黒字がそのまま続くというのが現実の姿でございます。しかも黒字減らしにつきましては、輸出業者の方が相当思い切った努力をしてくれないと、これはなかなか買う方の日本の消費者を動かしませんから、その点につきましては、アメリカなりECなりそれぞれの責任者にも呼びかけておるわけでございます。関税を引き下げた、世界一安い関税にした、あるいは非関税障壁は取り払ってアメリカ市場並みの市場に今度日本をすることにしたけれども、だからといってすぐ黒字が減ると思われたら大間違いだよということは、繰り返し繰り返し言っておるような次第でございます。ただ、G5の九月の決定の結果、急激にではございましたけれども、ある程度日本経済のパフォーマンスに沿った高さに円が上がりましたことは、今後の、これはことしとか来年すぐというわけにいきませんけれども、各国間との黒字調整には大きな効果を果たす、そのきっかけをつかんだというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  169. 原田立

    ○原田立君 来年度の経済運営においても内需主導型のいわゆる実質四ないし五%程度の成長を確保する必要があるんじゃないかと思うわけです。内需主導型ですよ、外需じゃなくて。貿易摩擦の解消や財政再建にも役立つとの考えからでありますが、そのためには相当思い切ったことをやらなきゃいけないと思うんですよ。私どもが強く要求している大幅な所得税減税や住宅減税などは当然のこと、建設国債や建設地方債の増発などによる公共投資の拡充がぜひとも必要ではないか。これは長官と副総裁、御両所にお伺いしたい。
  170. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 日本の財政事情が今大変厳しい状況に置かれておることは先ほども申し上げたとおりでございまして、特にことしの税収が予想外に伸びないんです。これは大きな見込み違いでございまして、中曽根総理は明年度所得税の抜本的な改正をやると言明しておられるわけでございますが、住宅ローンに悩む中堅階層あるいは教育費に追い回される中堅階層の負担を軽減するための累進税率の緩和等は、まあできれば一部税制改正の前倒しでもできぬかということでいろいろ議論しておったわけでございますけれども、財政事情がますます厳しいような状況になっております。ひとつ思い切って、そのかわりに住宅減税だけは相当、これならばと言ってもらえるところまで持っていきたいなということで今努力をしておる最中でございます。  同時にまた、公共事業の事業費の増額につきましては、先ほども申し上げましたとおり、財政投融資の上積みをやるとか、あるいは市場の貯蓄が出稼ぎに出なくてもいいように、民間でこれを有利に活用できるような民活の方途を考えてもらうとか、あるいは、場合によっては国で借金しても構わないわけです、利子さえ払えれば。何かそういう手をこの際使えないかということで、目下内部で議論しておる段階であることを申し上げておきたいと思います。  今このままでほっておきましたんでは、それはなかなか四%のGNPの成長を期待することは、これは難しくなることは私も十分考えておりますから、五%と言わぬでも実質四%台には乗せたいなということで、せっかく努力しておることを申し上げておきたいと存じます。
  171. 三重野康

    参考人(三重野康君) 私どもといたしましても、今先生がおっしゃいましたように、我が国が当面している最大の課題は、一つは対外不均衡の是正でございますが、そういう観点からも内外需がバランスのとれた成長をすることがぜひ必要でありますし、そういう意味で内需が現実的に拡大することは望ましいと、そういうふうに考えております。  ただ、内需の拡大につきまして中央銀行の立場から申しますと、バランスのとれた内需の拡大をぜひお願いしたい。バランスのとれた内需の拡大ということはどういうことかと申しますと、インフレにしない、円安にしない、それから国民的合意をもって進められております行政改革や財政改革の邪魔にならない、そういったところでの内需振興はぜひやっていただきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。  先生がおっしゃいました所得減税、住宅減税その他につきましては、専門ではございませんので格別に意見はございませんが、いずれも内需の振興には何がしかの効果があると思いますが、それと同時に行政改革あるいは財政改革にも影響を及ぼすということもございますので、当たり前のことではございますけれども政策の効果とコストというものを彼此勘案して慎重に対応すべきではないかというのが私ども立場でございます。
  172. 原田立

    ○原田立君 対外経済摩擦を解消するためには市場開放策だけでは不十分であり、どうしても内需の拡大を図ることは不可欠であろうと思うのであります。政府は、十月の十五日、経済対策閣僚会議で「内需拡大に関する対策」を取りまとめ発表しておりますが、その内容は、何というか、極めて思いつき的な色彩が濃いんじゃないかという、ちょっと手厳しい物の言い方をしますが、そういう感じがする。内需拡大策は住宅投資、公共投資、個人消費の促進に重点を置くことはもう当然かと思いますけれども、今回の対策の中に所得税減税を盛り込む必要があったんじゃないか。特に外した理由、根拠は一体何なのか、あるいは今回の措置による輸入増加効果の推計で貿易収支不均衡をどう考えているのか。先ほど長官は、ことしはどういうわけか税収が非常に伸びなかったと言って、所得税減税をやらない伏線をもうぱっと先に言っちゃって、答弁をシャットアウトしたような言い方をなさっておられるけれども、所得減税は内需拡大の大切な柱だと思うんです。どうしてお入れにならなかったのか、その根拠、理由、経過をお知らせ願いたい。
  173. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 昨年やりました所得税減税の実際の効果を見ますと、もう一兆円や一兆そこそこの減税では、これはもう今日のように価値の多様化が実現しておる社会ではなかなか消費拡大の効果は少ない、ある程度思い切った対策を講じなければいかぬというのが政府立場でございまして、そういう意味においての税制改正の抜本的な見直しを総理から政府の税制調査会に答申を求めておられまして、今その議論をしておる最中です。  私どもとしては、その全体像の中の相当部分、あるいは一部でも、できればことし先食いできるような格好にすると、ある程度国民の皆さんも御満足いただけるんじゃなかろうかと考えておったのでございますが、なかなか抜本的改正となると最終案をまとめるのに時間を食いまして、恐らく来年の初めまでかかるようなことになろうかと思います。そういう意味で、所得税の減税の大幅な改正が間に合わないという状況になったことを申し上げておきたいと思うのでございます。私自身は、先ほど来申し上げましたように累進税率が非常に厳しいですから、日本の中堅階層の負担軽減をやることが今税制改正で一番求められている点じゃないかということは十分認識いたしておるつもりでございます。  ただそのかわり、ひとつ住宅減税の方は、これはもう手近にやれることでございますし、ちょうど本年度いっぱいで今の住宅減税の対策が切れる段階になっておりますので、現行を上回った対策をぜひ実現したいな、こういうことで事務的に目下詰めてもらっておる最中でございます。  公共投資等につきましては、あるいは民活の問題につきましては、先ほど来御答弁申し上げたとおりでございます。
  174. 原田立

    ○原田立君 もう個人所得減税をやらないということを決めちゃっておるものだから、何とかして弁解しようとばかりなさっておられるけれども、これは各マスコミも、いろんな知識人の人たちも、所得税減税をやるべきである、それが入ってないのはおかしいという、そういう論点が非常に強い。これはもう答弁求めませんけれども、税の減収があるんだ、あるんだと、そればかり言って、所得税減税はもうなしというふうな物の考え方はおやめいただいて、ひとつ積極的に取り組んでいただきたい、これを申し上げておきます。
  175. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 原田さんのおっしゃる気持ち、私も十分わかりますし、私自身もぜひできれば明年度の予算、税制改正を決めるまでに何とかしてある程度実現したい、そういう気持ちで最後まで努力しておることは申し上げておきたいと思います。ただ、現在中曽根総理答申を求めておる案は、先ほど来申しましたような格好になっておることを冒頭に申し上げたわけでございまして、私ども経済をお預かりする立場にある者といたしましては、最後まで所得税減税も何とかならぬかとか、これを何とかならぬかとか、いろいろやっておることだけはお認めいただきたいと思います。
  176. 原田立

    ○原田立君 副総裁、いろいろありがとうございました。結構でございます。  後藤田総務庁長官、あなたに質問をちょっと飛ばしちゃって、最初に経企庁長官にやってしまいましたけれども、先ほどの午前中の安恒さんの質問の冒頭に、また自民党の先生の質問の冒頭にも、今度のような八省にまたがる四十二事項、二十六法律という、そういう整理法案を出したのはおかしいじゃないか、法案国会審議の建前の上からいっても。あなたは、いや、こういうこともあり得るんだというようなことを言っているし、また茂串法制局長官もこういうことはしばしばあったなんというような話を午前中して、けしからぬなと思って聞いておったのだけれども、もう一遍御所見をお伺いしたい。
  177. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今度のいろんな事項一括して御審議をお願いすることになりましたのは、しばしばお答えしておるんですが、社会経済活性化とでもいいますか、そういう統一的な政策のもとに、対民間に関するいろんな許可だ、認可だ、こういったものの中で時代変化に適応してないものを緩和するという趣旨目的が同じでございますから、午前中にも法制局からもお話がありましたように、法制局でお答えしておる基準がございます。その基準に照らしながら一括をしておる、それから先例もあるんだと。こういうことでございますから、もちろんその中には、今度の答申の中にも一括になじまないものもありますから、それはのけまして、そして一括し得るものの限度においては一覧性のもとに御理解を願うのがいいのではないか、こういうことでお願いをしておるわけです。  もちろん、これについては原田さん初めいろいろの方に御意見があることは、これは私も重々承知しておりますが、ただ政府としては、よくそういう御質疑の中に、国会審議といいますか、委員会審議を無視する、形骸化すると、こういったような御批判ございますけれども、これは政府は絶対にさようなことは考えておりません。今日の乙の仕組みの中で委員会審議を形骸化するなんというような安易なといいますか、無責任なことで私は政府政策が遂行できるとはさらさら考えておりませんから、その点はぜひひとつ御理解をしていただきたい。要は、ともかく一定の政策方針に従って趣旨目的が同じもので、しかもそれが将来にわたっての重要な政策変更を来さないという限度のものを一まとめにしておるんだと、かように御理解をぜひお願いをしたい、かように思うわけでございます。
  178. 原田立

    ○原田立君 もうそれは何回もお聞きしているんです。あなたもそれ以上言えないんでしょう。だけれども、この提案理由説明の中でも、「政府は、民間における事業活動等に対する公的。規制緩和することを当面の重要課題一つとして位置付け、民間活力の発揮、推進に資するため」と、ぼっとこう載しておいてあるんだけれども、今回出された法案自身では、内容が要するに少し雑駁過ぎるんじゃないか。今回の規制緩和措置によって一体どの程度の効果が期待できるんですか、また今後の進め方はいかがですか。
  179. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回の一括法の中のこの立法措置中身が、雑駁でないかと、こんな御批判も受けております。その点については、先ほど申しましたように、これ以外に単独立法でお願いするものもあれば、政省令でお願いするものもありますし、それから同時に今回指摘を受けている二百五十八事項の中には金利の自由化あるいは運輸関係のものであるとかいろいろ重要なものがございますから、規制緩和としてとらえておる中身については全体をひとつごらんになっていただいて御批判を仰ぐことができればありがたいと、かように思うわけでございます。  なお、これから先どうするかということでございますが、私は、規制緩和というのは時代変化への対応でございますから、まず各省それぞれの立場において見直しというものがぜひ必要であろう、こう思います。それと同時に、新設についての何らかの基準というものがなければなるまい。その前提として現在あるものがどの程度のものがあるのか正確な資料を、これは私どもの役所で集めなければならぬだろう。そうしてその上に立ってまず各省でやってもらいますが、それで不十分であるということであれば政府全体として取り組まさせていただきたい。こういうような段階を大体政府としては考えておるんだという点をお答えいたしておきたい、かように思います。
  180. 原田立

    ○原田立君 何か運輸大臣はなかなか忙しいらしいようですので、かいつまんで聞きます。  さっきも安恒委員がずっと言っておりましたね、例の航空機関士の問題です。今度の法案によって四発三十五トン以上の大型飛行機は操縦士と副操縦士のみで運転できるということなんです、そういうふうにしようというわけです。現在日本で飛んでいる飛行機の中に適用するものがあるんですか、それともこれから入ってくるものにあるんですかどうなんですか。
  181. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 現在日本国内の航空会社が今使用いたしております機種ではございません。
  182. 原田立

    ○原田立君 これから入ってくるのがあるんですか。
  183. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 今入る予定と申しますか、対象となっているものの中にはございます。
  184. 原田立

    ○原田立君  一日の新聞に「日航機またポカ金浦空港」、「三十日午後零時二十分ごろ、ソウル発福岡行きの日航972便DC8機が、ソウル・金浦空港を出発する際、機体のドアを搭乗橋に引っかけ、ドアと搭乗橋の双方を壊した。」と。この飛行機は何人乗りだったんですか。僕は三人乗りじゃないかなと思うんです。  私は、運輸大臣、幾ら機械が優秀であっても、幾ら機械が作動しても、人間の物を見る日、これははっきりしないといけないと思うんです。この前のモスクワ行きのあれだって、三人も乗っていて三人ともミスしたというんでしょう。だから、三人でミスしたんだから二人でもいいじゃないかと言えば変な理屈になっちゃうけれども、だけれども、僕が言いたいのは、機械ばっかり当てにしていたんじゃいかぬということを言いたいんです。現に金浦空港でついこの間もやっています。ここのところ飛行機による事故が非常に多い、心配しているんです。今後もこれは三人乗りの飛行機を二人乗りにしちゃって、そして機械がきちっとしているようになっているから大丈夫ですよと、あなたは胸を張ってこう言い切れますか。その答弁をちゃんとしてから出て行ってください。
  185. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 今お話ございましたように、私どもはどんなに機械が正確になり高度に発達しましても、それを利用するのは人間でございますから、御指摘のとお句先般のモスクワ行きのうっかりミスみたいなことがあるわけでございます。したがいまして、私どもはまず乗務員、いわゆるコックピットにいる機長以下の訓練あるいは心の持ち方、そういうものが大事であるということはもちろん御指摘のとおりでございます。
  186. 原田立

    ○原田立君 そんな精神論を聞いているんじゃないんです。今現に三人乗りしているのを今度は二人にしようというんでしょう。だから、そういうふうなことをすると幾ら機械が発達していても、ついこの間も起きている。ポカを起こしているから心配ですねと言うんです。だから、そういう心配のないようにするには現状維持がいいんじゃないかと思うんです。
  187. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) そもそもこの法律は、私も毎度答弁いたしておりますように、昭和二十七年につくられた法律であり、当時の飛行機の性能を基準にして決められたものでございます。それから三十三年たった今日、当時の機種で飛んでいるのは一つもございません。それぐらい飛行機は日進月歩で発達し、しかも省力化と申しますか、コックピットにおいても操縦も機械もコンピューターを導入したりいろいろやりまして、操縦も昔に比べて容易になっている、そういうところから私は一つのエンジンの数とか、あるいはトン数とか、そういう形の上で規制する時代はもう過ぎ去ったということを今回の法律改正で申し上げておるわけでございます。
  188. 原田立

    ○原田立君 では結構です。あとはほかに航空局長もいるようだからお聞きしましょう。  法案内容を見ると、運輸省関係が八法律、十三事項と非常に多いわけでありますけれども、運輸省では許認可官庁からの脱皮を目指して所管の権限全般の見直しを進めているとお聞きしておりますが、運輸省では許認可権限全般の見直しをどのように進めているのか。また今後においては、この法案や行革大綱で取り上げた事項以外にも規制緩和には積極的に取り組んでいく方針であると理解するわけですけれども、基本姿勢はいかがですか。本当はこれは大臣に聞きたかったんだけれども、もういないからしようがない、だれか……。
  189. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) ただいま先生おっしゃられましたように、運輸省ではいろいろの規制所管事業に対して行っております。昨年は運輸省でも大組織改正をやりまして政策官庁への脱皮ということで我々努力しているわけでございますが、その一環といたしまして、昨年九月に省内に検討委員会というものを設けました。既に三月には第一次の検討結果をまとめて数百件に上る事項について実施を既に行っております。  それと並行いたしまして、臨時行政改革推進審議会答申でも運輸関係規制のあり方について多くの指摘を受けておりまして、この指摘につきましては、九月二十四日のいわゆる行革大綱で具体的なスケジュールもお決めいただいておりますので、運輸省といたしましては、このスケジュールに沿いまして着実かつ計画的に実施に移していこうということを考えております。  それからさらに今後の問題といたしましても、経済社会情勢の変化に対応して規制の見直しを進めていくという考え方を持っておりますので、その点も先ほど申しました検討委員会を中心にこれから進めていく予定でございます。
  190. 原田立

    ○原田立君 運輸省関係は輸送に携わる事業主、これは非常に中小零細の万々が多いわけでありますが、規制が緩むと過当競争が行われはしないかと心配するんですが、こういうような特殊性を十分考慮した親制緩和というものが必要な要素ではないかと、こう思うんですけれども、いかがですか。
  191. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) 確かに運輸事業は中小あるいはさらに零細といったような事業が非常に多うございます。経営基盤が脆弱な企業が多いわ付でございまして、実は現在も相当激しい競争を行っておるというのが実態でございますので、規制のあり方について検討を進める場合には過当競争による輸送秩序の混乱などを来さないように十分配慮していく必要があると考えております。競争は一定の輸送秩序あるいは一定の土俵の中で公正な競争をやっていくというようなことを考えながら検討を進めていきたいというふうに考えております。
  192. 原田立

    ○原田立君 運輸省には許認可の件数は現在何項目ぐらいあるのか、掌握している範囲で結構です。
  193. 栗林貞一

    政府委員(栗林貞一君) これはなかなか勘定の仕方が難しいんでございますけれども、ある一つの条文と一つ制度がある。一つの例えば認可とか許可がございますと、それを順番に勘定していきますと、大体二千二百ぐらいというふうに言われております。
  194. 原田立

    ○原田立君 総務庁長官政府全体の許認可数、先ほども質問がありましたけれども、来年三月までにはまとめるというようなことだそうですけれども、一万とか一万二千とか非常に数が多いということを聞いておりますけれども、現在の段階ではまだ各省庁別に掌握していないんですか、どうですか。
  195. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今調査中でございます。まだ全部がわかっておるという段階ではございませんが、おおむね来年の春には取りまとめたい、こういうように考えております。
  196. 原田立

    ○原田立君 来年の春に姓大体公表できると、そんな進行状況だということですね。  冒頭にも申し上げたように、二十六の法律から成り立っておる、各法律案ごとの審議または各所管省別の審議が当たり前じゃないかと、こう思うんですよ。例えば立法するときには各委員会別にやるわけですよ。それを今度は廃止しようというときには、それなりの理由があって廃止するわけですから、やっぱり各省別にやるのが当たり前なんです。それを、いかにまとめ役の総務庁といえども、何でも一括してはっとやるというのはいかにも軽率のそしりを免れないと思う。もっと手厳しい言葉で言いますと、議会制民主主義の破壊につながる行為だと、こう僕は思うんですけれども、いかがですか。
  197. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは先ほどお答えしたとおりなんで、そんな大それたことは私ども政府で全然考えておりません。ただ、なぜ一括をさしていただいたか。一括法の中に入り得る限度のものしか入れてない、それ以外の規制緩和は別個法でお願いすると、こういうことに仕分けをいたしておりますので、ここらはぜひひとつ御理解を賜りたいと、こう思います。
  198. 原田立

    ○原田立君 長官としてはそれ以上言えないでしょう。しようがない、納得はしないんですけれども。  運輸省関係の許認可国民生活に特に深くかかわり合っているものが多いわけであります。例えば大都市近郊の住宅団地等への深夜輸送の対策として、バスの終発時刻の延長、深夜バスの導入、乗り合いタクシーの導入・促進などは今年度中にも対応が迫られている喫緊の問題であろうと思うんでありますが、これらについては一体どういうふうになっているか。
  199. 服部経治

    政府委員(服部経治君) お答え申し上げます。  深夜におきます郊外の鉄道駅とその近辺にございます大規模団地との間におきます輸送力を確保していくという観点から、私どもとしましては、これまでもそうした需要の実態調査を行いますとともに、その調査結果に基づきまして、まずバスの終発時刻を延長するということを第一に考えて対応いたしてきております。そういった終バスの時刻の延長で対応し切れないケースにつきましては、その次にいわゆる深夜バスというものの設定・導入を考えるわけでございます。さらに、そういったバス輸送で対応するほどの需要はないわけでありますが、しかしある程度まとまった一定方向の輸送需要があるといったような場合につきましては、乗り合いタクシーというものを導入することにいたしまして、そういう方向でこれまでも関係事業者等を積極的に指導してまいってきておるところでございまして、そういう方向で今後とも深夜輸送対策の充実に努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  200. 原田立

    ○原田立君 それはいいんですよ。いつごろ行うんですか。その肝心なところをあなたはちっとも答えないじゃないか。
  201. 服部経治

    政府委員(服部経治君) 具体的に申し上げますが、例えばこの首都圏におきましては、まずバスの終発時刻の延長でございますが、既に六十年度に入りまして、百五十二の系統につきまして平均三十分の時間延長を実施したところでございます。  それから次に深夜バスでございますが、これにつきましては、六十年度に入りまして新たに十二系統で深夜バスの導入を図りまして、現在八十九系統での深夜バスの運行が見られております。  なお、乗り合いタクシーにつきましては、現在東京圏で三十八系統の乗り合いタクシーが走っております。
  202. 原田立

    ○原田立君 多いのか少ないのかちょっとにわかに判断できないけれども、だんだん住宅地が郊外に延びていく時代ですから、こういう問題、特に充実した内容のものにしてもらいたい、強く要望しておきます。  航空機関係は、先ほどちょっと駆け足みたいなことで聞いたんですけれども、四発三十五トンの大きさの飛行機を二人乗りにする、しかも、さっき何年と言ったかね、三十五年前の状態で決めた法律だから、だから今度は変えるんだというようなことを大臣は言っておったけれども、四発で三十五トン以上の大型飛行機というと何人乗りになるんですか。
  203. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 四発で三十五トン以上というのは、非常にいろんな航空機がありますが、ちょうどそれに比較的近い大きさの飛行機、イギリスの大使館の方から、今の規定では日本に買ってもらいにくいと言っておりますBAe146-200型、これが四十トンでございます。四発で四十トンでございますが、百人乗りの航空機でございます。
  204. 原田立

    ○原田立君 現在使っている日本国内ではどうですか。
  205. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今使っております、これに該当するということになりますと、例えばボーイング747、これは四発でございます。ただ重量は三百五十トンほどございます。乗客は二百九十名から四百、この間の国内線用ですと五百名を超します。そういう非常に大きなものまでございます。
  206. 原田立

    ○原田立君 そうすると今747で二百九十人から三百人と言いましたね。
  207. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 五百人ぐらいです。
  208. 原田立

    ○原田立君 五百人。これが今日本では一番大きいんですか。
  209. 西村康雄

    政府委員(西村康雄君) 今、四発以上の航空機で一番大きいのが747でございます。  なお申し上げますと、これら現在ある日本の航空機について、機関士を入れて三人乗っておりますが、これを二人にしようという改正ではございません。そういうことではなくて、今何人にするかというのは、この航空法の六十五条の第二号に、その航空機の構造上三人必要なときは三人、二人なら二人ということで判断基準がございますので、今回の改正では現状を変えようということは全く考えておりません。
  210. 原田立

    ○原田立君 ちょっと聞きますけれども、日航九七二便、DC8ですね、これは何トンで何人乗りですか。
  211. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ソウルで問題を起こしました日本航空はDC8型機でございまして、大体百五十二トンで乗客数百六十五名ということでございます。
  212. 原田立

    ○原田立君 これは三人搭乗しているわけですね。三人も乗っかっていて何でこんなポカを起こすんですかね。
  213. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) ソウルの件はまだ飛行に移る前でございまして、乗客が搭乗中でございました。これは私どもの調べでは、地上整備員がまず誤った指示、いわゆる誤解をしやすいような指示をキャプテンの方に与えた。操縦室に入っておりました機長は、ドアが全部締まったことを確認せずに、その地上整備員の指示にこたえて飛行機を動かすブッシュバックと言いますが、車で押す合図を行ったものでございます。これは地上整備員、それから機長の両者に多少ミスがあったと、こういうふうに考えております。
  214. 原田立

    ○原田立君 だから、ちょっと言葉が悪いけれども、こういうポカを起こすような新聞記事を見るたびに嫌になっちゃうんですよ、また日航が、また日航がポカを起こした、一体何をやってんだろうという不信感を強く持たれるのも、これはしようがないですよ。  今あなたは地上整備員と言われたけれども、それは余り言わぬ方がいいですよ。地上整備の方は大韓航空の会社員で、日本人じゃなくて現地の人だろうと思うな。これは国際問題みたいな言葉の言いようになるから、それはおやめになった方がいい。  それはそれとして、今回の法案は、いかなる場合のときに航空機関士が乗り組まなければならないことになるのか、そこいら辺のところをもう少し具体的に説明してもらいたい。
  215. 大島士郎

    政府委員大島士郎君) 先ほどの国際問題になるといけませんが、これは日本航空の職員の確認整備士でございます、ソウルでポカをしたのは。御了承いただきたいと思います。  ただいまの航空法改正趣旨でございますが、現在航空機関士の乗り組みの要件として、先ほど来先生御指摘の四発三十五トン以上の航空機という規定と、もう一つ並べて構造上二人の操縦士では取り扱いができない航空機、この二つの要件を決めております。最近の技術革新の状況を見ておりますと、この制定当時、昭和二十七年でございますが、この制定当時は三十五トン四発という航空機が大変大きな航空機、複雑な構造を持った航空機でございました。しかしながら近来の電子技術あるいはコンピューター技術等の状況を踏まえてこれをフルに導入した航空機で、四発機で二人の操縦士で安全に飛行ができる、こういう製造国の証明を取った飛行機が出てまいりました。そういうような状況を踏まえまして、私どもはこの四発三十五トンという外形的な要素によることなく、航空機の機種別に航空機関士を必要とするかしないか、こういう判断を行って安全運航を確保しようと、こういうことの判断、こういうもとに法改正提出申し上げたのでございます。したがいまして、安全確保の点につきましては、これまでと全く変わらないものだと私ども認識しておる次第でございます。
  216. 原田立

    ○原田立君 アクションプログラム関係事項が五項目含まれておりますけれども、経企庁長官アクションプログラムを決めるに至った経緯及び全体像について御説明願いたい。
  217. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 御承知のとおり、アクションプログラムは今度、関税、輸入制限、基準・認証、輸入プロセス、あるいは政府調達とか金融・資本市場、サービス等の六分野にわたって取り上げたわけでございますが、特に今回の法律につきましては、基準・認証、輸入プロセスに関連する、つまり市場開放ですが、外国並みに、一流国並みにやろうという問題を取り上げまして、一括してこれに盛ることにいたしまして御審議をいただいておる次第でございます。
  218. 原田立

    ○原田立君 経企庁長官にもう一問だけ聞いておきますが、我が国が取り扱う最大限の内容が網羅されていると理解してよいのかどうか、最大のものが入っているのかどうか。あるいは、外国から批判の強かったのは、日本は外部から言われたらちょこちょこっと出して小出しにしてお茶を濁してきた、そういう批判もされているんですが、今回の対応策で、外国の批判はなくて十分受けとめられる内容のものであると自信を持って経企庁長官は言われますか。
  219. 金子一平

    国務大臣(金子一平君) 原田さんの御指摘のとおり、従来日本に対する批判は、今のように小出しで、あるいは小手先でごまかして先送りしておるじゃないかという批判が非常に強かったことは事実でございます。しかし、これはきょうのこの議題ではございませんけれども、例えば関税定率法の改正にいたしましても、世界で一番、工業製品全般についての千八百五十三品目については税率を低くいたしておりますし、それから今の市場開放の輸入アクセスの関係におきましても、アメリカ市場において日本商品が取り扱われると同じだけの扱いを外国品について日本市場でやりましょうというところまで最大限に市場開放しておる。そういう関係の手続法でございますので、これはもう原田先生大威張りで、日本は最大限のところまでやっておるぞと、こうおっしゃっていただいて結構だと思います。
  220. 原田立

    ○原田立君 では長官、結構です。  厚生大臣と厚生省にお聞きするんだが、このアクションプログラムによると、モルト、ホップ等輸入食品については個別輸入の際の輸入届け出が不要になると聞いておりますが、過日社会問題に発展した輸入ワインのジエチレングリコール混入事件に見られるように、現在の規制が行われているにもかかわらずこのような大問題が発生している。外国から言われたからといって簡単に規制を緩めることに問題はないかのどうか。逆に何らかのチェックの強化が図られてよいのではないかと思うくらいなんですけれども、見解はいかがですか。
  221. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 今回のアクションプログラムの決定に際しましても、私どもは食品の安全確保ということは最大限の重要眼目として考えておるところでございまして、今回の措置によってそういう安全性が損なわれることはないと考えております。
  222. 原田立

    ○原田立君 輸入ワインにジエチレングリコールなんかは混入しちゃいけないんでしょう。たまたまヨーロッパの方で何か発見したらしいようだけれども、東京でどこか検査機関へ持っていったらば入っておった、それがそもそもの発端で、これではあっと真相がはっきりしたんでしょう。だから、こういう規制があるにもかかわらずこういうことがあるということは、私は不信感で言うんじゃないけれども、やっちゃいけないことをやっている。これは問題になって自粛して、最近またきょうか、きのうあたりか、甲州ワインが出るようになったというようなことになっていますけれども規制があってもなおかつこういうことがあるというのは、それこそおかしいじゃないか。いかがですか。
  223. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 今先生御指摘の輸入ワインのケースの場合には、これは本来食品に入れてはならないものを入れてあったわけでございます。しかしこういうルール違反をやられますと、これは港で厳しいチェックをしておりましても、そういうものがどうしても入ってきてしまう。しかし現在は非常に情報化時代でございますから、いろいろな場面でそういう情報が入れば、直ちに港の検査はそういう問題に対してきちんと対応し、必要な検査をしチェックするということをやるわけでございまして、そういう観点からすれば、現在においても、あるいは今回のアクションプログラムが実行に移された以降におきましても、そういう問題があれば直るにチェックできるだけの体制は持っておるわけでございます。
  224. 原田立

    ○原田立君 ちょっと論点が違うんですけれども、まあいいでしょう。  同様の問題として化粧品についても言えるのではないかと思うのです。化粧品の場合、個別の製品ごとの輸入、製造許可が不要になる、そういうことですね。現在も化粧品による皮膚障害が発生しており、人種の違いもあって、皮膚への影響について国産品とは異なると聞くわけでありますが、安全性の確認は十分行う必要があると思うわけです。この点についての配慮をどのように今後行うんですか。
  225. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 化粧品に関しましては、化粧品の種類によりましてその配合し得る成分規格等に関する基準を作成して、その認められた種類に限っては製造、輸入の許可を得た場合には、その範囲内で個別の製品ごとの許可が不要となるわけで、届け出で足ることになるわけでございます。  もちろん御指摘のように、その基準の作成に当たりましては、中央薬事審議会等の専門家の意見を聴取して、十分安全性が確保できると考えられるものについてのみこの制度が円滑に実現されるよう関係業者に対する監視、指導にも努めますので、今回の措置によって化粧品の安全性確保については問題はないものと考えております。御指摘のような意味合いから、基準の作成に当たっては十分に手を尽くしておかなければならないというふうに思います。
  226. 原田立

    ○原田立君 この規制がある、あるいは検査がある、それは外国から見ると大変面倒くさいものになるだろうと思う。だけども安全性というような問題からいくと、日本人としては、輸入されてくるものが全部が全部いいのじゃなくて、時たま悪いものがぽこっと出るとみんな疑いの目で見てしまうようになる。だから、輸入規制緩和、こういうのが安全性を度外視したものであってはならない、こう私は強く思うんですけれども、厚生大臣いかがですか。
  227. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、化粧品にいたしましても、その他の食品等につきましても、手続の簡素化が安全性を損なうものであっては絶対ならないと思いますから、今後もその安全性の確保をまず基本として考えてまいりたいというふうに思います。
  228. 原田立

    ○原田立君 ここでちょっと話題は別になりますけれども、国立病院・療養所の再編成・合理化についてお伺いしたいのであります。  厚生省は第二次臨時行政調査会の答申により再編成・合理化を進めているようでございますが、今日までの経過を、簡単で結構ですが、御報告願いたい。
  229. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 国立病院・療養所の再編成につきましては、五十八年三月に臨時行政調査会の答申が出まして、五十九年一月にも同趣旨行政改革大綱というものが決定されたわけであります。そこで、本年三月に「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」というものを策定いたしまして、閣議に増岡厚生大臣から報告し了解が得られたものでございます。現在、この指針に基づきまして、再編成の全体計画の策定作業というものを進めているわけでございます。  再編成の全体計画は今年度中に行うということになって、今最後の詰めを行っているところでございますが、要するに、国立病院が国立医療機関として他の医療機関に対する指導的役割を果たす、こういうものにふさわしいものにすると、こういうことから今計画の策定を急いでいるわけでございまして、六十一年度を初年度としておおむね十年の間にこの再編成計画を実施するということにしております。  ただし、昭和六十一年度に着手するものでございますが、これにつきましては、既に厚生省の予算案がもう出ます八月の末には、全体計画の一部としまして、またこれに先立ちまして発表をさせていただいたところでございます。
  230. 原田立

    ○原田立君 三月二十八日に再編成・合理化の基本方針を発表し、全国八地区については既に行われているということなんだが、私は実は福岡市に住んでいるんです。八カ所の表の部分をもらって拝見しているんです。ほかの地域のことは私よくわかりませんけれども、福岡中央というのは福岡市にあるんですよね。それから久留米の病院というのは久留米市にあるんですね。これはちょっと我々から見ると大変速いんですよ。電車で三十分以上かかるんですよ。  こういうようなところを統合する案ができているというのを聞いて、いや、実はびっくりしているんです。ほかの地域も二カ所ないし三カ所のところを一つにまとめるというようなことが書いてありますけれども、これは地理的な関係はよく知りません。知らないからそっちの方は余り議論しませんけれども、無理なひっつけ合いをやるというのはいかがなものかと思うんです。いかがですか。
  231. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 再編成の基本指針にもうたわれておりますように、国立病院というのは他の医療機関がやれないような高度専門医療、あるいは他の医療機関がやる医療を補完するような高度の医療と、こういうことになっているわけでございますので、私どもは小さな地域の一般的な医療に役立つというだけでは不十分でございまして、具体的には、福岡県は広うございますから福岡県全般とは申しませんが、その福岡県を二つなり三つに分けた広域を対象とした指導的役割というふうなものを今後の国立病院の役割に期待したいわけでございます。  先生今御指摘のように、遠いではないかというお話でございますが、現在再編成計画全体を進めでございますが、交通機関等の事情からいって、この程度の距離であれば国立全体の強化のためには我慢といいますか、御了解をいただきたいという面もあるわけでございます。  具体的には、この二つの施設の統合によりまして統合後の施設は、循環器を中心とした高度の総合施設ということで九州ブロック、少なくとも福岡県下の循環器を中心とした高度総合機能ということで、県民の皆さん、住民の民さんには役に立つものというふうに考えているわけでございます。
  232. 原田立

    ○原田立君 第三者的機関や地元の自治体の意見は聴取しましたか。
  233. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 第一次着手分の計画策定に当たりましては、都道府県の、具体的には福岡県の衛生主管部長から、久留米病院あるいは福岡中央病院が地域で具体的にどんな役割を果たしているか、それから県としては今後福岡中央病院あるいは久留米病院に対してどのような期待を地域医療計画等の中で持っているか、あるいは仮に統廃合した場合の地域医療の確保への影響はどうか、こういう点についての意見は十分事前に伺っているわけでございます。  ただし、第三者機関という点につきましては、私ども、それに相当するようなものがございませんので、それには諮っておりません。
  234. 原田立

    ○原田立君 筑後方面の市長さんとか市議会とか町議会とか、そういう関係の地方団体の長からは意見を聴取しましたか。
  235. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 再編成に当たりましての事前の御相談と申しますか、それと、再編成の計画を実施した場合に地域に御迷惑をかけませんという意味の後医療の確保の計画の二つがあるかと思うわけでございますが、前者につきましてはなかなか、県までは御相談できますが、具体的に地元の市町村まで参りましてどうでしょうかというふうに聞くというのは、微妙な問題があってなかなか難しゅうございます。  ただ、私どもといたしましては、現在再編成計画策定中ということで、いろんな市町村あるいは市町村の議会の方がお見えになった場合には、具体的にどういう位置づけに現在あるか、それから再編成の全体の趣旨というのはどういうものであるか、あるいはもう少し具体的にどんなような見通しになるのかというようなことについては、できるだけ具体的にお話し合いをしているところでございます。
  236. 原田立

    ○原田立君 県段階では聞くけれども市町になると問題があるからあんまりそういうのは聞いていないと。たまたま上京したらば、そういうのにはちょっと聞いていると、こういうような答弁ですね、今のお話では。  じゃ福岡中央と久留米が対象になったその根拠は何ですか。
  237. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 再編成の基本指針によりまして、両施設を統合することによって機能強化が図れるものという項目があるわけでございますが、福岡中央病院は、現在九州のいわゆる高度総合診療施設、基幹病院ということで機能はかなり高いわけでございますが、何せ施設の敷地が非常に狭隘でございまして、施設の移転整備というのが緊急の課題になっている。それから全体としてやや最近活力に欠ける。特に循環器機能等については、他の全国的な高度総合診療施設に比してもやや活力に欠けるという点があるという問題点があったわけでございます。  一方、久留米病院でございますが、久留米病院は、先生御指摘のように、久留米地域の一般的医療に役立っている点はあるわけでございますが、今後国立医療機関としてどういう機能を付与できるかという、そういう点から考えますと、久留米市内には、久留米医大の附属病院でございますとか、聖マリヤ病院でございますとか、あるいは私どもの社会保険の久留米病院でございますとか、非常にたくさんの医療機関があるわけでございまして、仮に統合後の施設を久留米に置くというようなことになりますと、他の医療機関との関係からそのようなものを期待することは非常に困難でございます。  そのようなこともございましたので、両病院を統合することによって、九州ブロックの中心的な国立病院としての機能強化を図ることが期待できるというふうに考えまして、この統合案に踏み切ったわけでございます。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
  238. 原田立

    ○原田立君 私は要望書をもらっているんで読みます。   日頃の御活躍に敬意を表します。   さて、厚生省は昭和六十年八月、地元自治体、住民になんの相談もなく一方的に国立福岡中央病院との統合による国立久留米病院の廃止計画を発表しました。   国立久留米病院は、明治三十年陸軍病院の分院として創立され、戦後は国立病院として地域医療に欠かすことの出来ない役割を果たしてきました。   今日では消化器疾患及び循環器疾患、腎不全やがん等をはじめとした民岡医療機関では対応出来ない難病はもとより採算だけではおしはかれない適正医療のセンターとしての中心的な役割を果たしています。   さらに、久留米市のみならず医療過疎の町村を含む筑後地域全域に診療圏をもつ九州管内で有数の利用率の高い病院となっています。 今半分読んだんですけれども、あとまだ後半半分あるんです。  役所で何だかんだ理屈つけて、何の地元の意見も聞かないでずばっと切るという、そういう姿勢はよくないんじゃないんですか。これは重大問題だから厚生大臣にしかと御所見をお伺いしておきたい。
  239. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 国立病院が全国的に病床数のシェアにおきましてもかなり落ち込んでおるわけでありまして、したがって今日、国立病院の果たすべき役割というものがどの辺にあるかということは、先ほど審議官から御説明を申し上げたところでございます。ただし、シェアが落ち込んだといいましても、地域医療そのものに手をかしていないわけではございませんので、その問題については今後お話し合いを続けたいというふうに考えております。
  240. 原田立

    ○原田立君 久留米国立病院は今何床あるんですか。
  241. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 二百八十ベッドでございます。
  242. 原田立

    ○原田立君 それで、この「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」、厚生省の発表によりますと、「通常、病床数三百床を下廻る程度の規模の施設を検討の対象とする。ただし、三百床という目安は、担うべき政策医療の内容等によって弾力的に考える。」、こういうふうに注釈がついているんですけれども、たった二十足らない、それで整理の対象に入れるんですか。
  243. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 私どもは、今先生お読み上げになられましたように、一応三百床というのを一つの目安にいたしまして検討の対象にしております。つまり一つの目安にはなっております。しかし私どもは具体的に久留米病院をどうするかというふうに考えました場合に、福岡県で、少なくとも筑後・大牟田地域の広域で、単独で機能を図ることができるかどうかという点を中心に考えたわけでございまして、単に病床規模が三百床を下回るということで統廃合の対象として選定したものではないわけでございます。  ちなみに、今全体の再編成計画の策定を急いでおりますが、一応その三百というのは目安でございますが、ベッド数が三百以上あっても、その機能から見て、単に小さい地域の役割しか果たせない、つまり指導的役割を果たすに至らないというものにつきましては、他の国立病院・療養所等の兼ね合いはもちろんございますが、そういうものが再編成の対象になるということはあるわけでございます。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
  244. 原田立

    ○原田立君 何かどうもよくわからないんですけれどもね。  それで、先ほどの要望書の続きなんです。   今日、高齢化社会の進行や疾病の多様化による医療需要が増大するなかで地域医療の充実は切に望まれています。   このような中で、総合診療機能をもつ筑後地域唯一の国立医療機関である国立久留米病院を廃止することは、地域医療の後退であり国民医療の向上に努めるべき責務を国自ら放棄するものと断ぜざるを得ません。   現在、久留米市はもとより筑後地域の各自治体を含めて国立久留米病院の存続と充実を求める声は日毎に高まっております。   この実情を御理解いただき、国立久留米病院を国立として存続し一層の機能の充実と強化がはかられますよう御尽力くださいますことを切にお願い申しあげます。しういう要望書なんです。  厚生大臣、こういう要望書が出ているんですけれども、十分存置する方向で御検討をいただきたい。私はここの場で御陳情申し上げるんですが、いかがですか。
  245. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 地域でお考えになっております国立病院の役割というものと、私どもが考えております、より高度な、広域的な指導力を持ったものというふうに考えておるレベルとかなり落差があるようでございます。地域では、その地域医療として役立っておればそれを残してくださいとおっしゃるんですけれども、私どもは、それだけでは国立病院としての役割が果たせない、もう少しより高度な、先進的な、先導的なものでなければならぬという、そういう面での思い違いというものがあろうかと思いますが、これは十分御理解いただくように私どもも努力をいたさなければならないというふうに考えます。
  246. 原田立

    ○原田立君 大臣答弁は甚だ不満足です。それだけ申し上げて私は質問を終わります。
  247. 内藤功

    ○内藤功君 まず、本年七月に決定された、いわゆるアクションプログラムに関連して、とりわけ国民の食生活に重大な影響を及ぼします食品衛生法での措置についで伺いたいと思います。  まず初めに、基準・認証制度に関する改善措置、それから輸入プロセスに関する改善措置、こういうアクションプログラムで示された食品衛生法関係措置は、現在どのように具体化され、あるいは実施されつつあるのかというその現況をまず概括的に伺いたい。
  248. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先生御指摘の本年七月三十日に決定された市場アクセス改善のためのアクションプログラムに示されました食品衛生関係措置のうち基準・認証制度に関する改善措置としては、透明性の確保のための審議会等への外国関係者の参加等を認めるなど、また輸入プロセスに関する改善措置といたしましては、手続の簡素化ということを考えました違反食品であるかどうかの判断及び処分の方法につきましてその指導を検疫所長にゆだねる。第二に、器具及び容器包装の分析証明書の有効期間の延長。第三に、食品添加物の製品検査の標準的事務処理期間の設定等、あくまで輸入食品が安全性の確保に影響がない範囲で行ったところでございます。  そのほかの措置につきましても、輸入食品の安全性の確保を最優先に考えまして、現在その実施方法等について検討を進めておるところでございまして、遅くとも昭和六十二年の四月までには全体的な措置が講ぜられるようにいたしたいと考えておるところでございます。
  249. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、具体的な問題についてお聞きしたいんですが、このアクションプログラムの中で「食品に使用されるかんすい及びタール色素製剤について、製品検査を廃止し、製造業者自らの責任において規格に合致していることをチェックすることとする。」、かように記載されております。これらのかん水及びタール色素製剤の製品検査については、たしか食品衛生法の十四条という条項に基づいて厚生大臣などの検査が義務づけられているというふうに理解しておりますが、そもそもこの第十四条、特にその第一項の立法趣旨は一体何だったんですか。
  250. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 食品の安全性を確保するということは、基本的にはその食品を製造あるいは販売する、扱う営業者が基本的に責任を持つという考え方をとっておるところでございますが、中には食品等の性質によりましては、どうしても公的な検査を義務づけた方が安全が確保できると考えられる場合があるところから、食品衛生法において製品検査の規定が設けられているところでございます。
  251. 内藤功

    ○内藤功君 今日、この検査を廃止して業者の自己認証に移すということですが、今日の時点であえてそれを行うその理由はどういうふうに御説明なさいますか。
  252. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) ただいま先生御指摘をいただきましたかん水寺、現在厚生大臣が指定する検査を行っているものにつきましては、昭和三十年ごろでございますが、まだまだそのこうは製造技術の問題から品質の粗悪な物が流通していたということからそういう規定の対象にしたところでございますが、最近だんだんとこういう製造技術が非常に進んでまいりまして、現時点においてはもう製造業者の自主的な検査にゆだねても安全性が十分確保できるというところからこのように踏み切ったところでございまして、全く検査をしないというのではございませんでして、食品衛生法に基づく規格を定めてございますので、その規格に基づきまして、製造業者が自己認証をするという手順に切りかえていこうというところでございます。
  253. 内藤功

    ○内藤功君 先ほども他の委員から御指摘があったようでありますが、私はこの点非常に危惧を感ずるわけです。何といいましても記憶に新しいのは例のワイン事件でございましょう。有毒なジエチレングリコールが混入されていたということがわかって大きな社会問題になりましたね。このとき、このジエチレングリコールというものが混入していた国産ワインに安全宣言を出したのは厚生省御自身なんです。そうして、それはあくまで製造業者のいわゆる自己申告に基づくものだったわけだと私は思いますね。こういう点、私どもは今の御答弁はそうかというわけにはまいらないのです。  かん水につきましても、厚生省御承知と思いますが、昨年の九月に東京大学農学部で研究報告が発表されておりますが、御存じでしょうかね。かん水はたんぱく質のアルカリ処理の条件によっては腎臓に毒作用を及ぼすLAL(リジノアラニン)、これが生成される、こういう報告が発表されております。こういう点は御存じでしょうか。
  254. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) ただいま先生御指摘いただきました点につきましては承知しているところでございますが、現在、かん水につきましては、延べ検査件数が約十万件近く検査を今までしてきておるわけでございますが、その中で不合格率が〇・〇一%というような数字になっておりまして、この間、先ほど来申し上げました昭和三十年当時から比べますと非常に製造技術が進んできておる。したがって、そういういろんな不純物が残留しておるというケースはまずないと考えていい事態に至っているのではないかというふうに考えておるところでございます。
  255. 内藤功

    ○内藤功君 一般的な風潮としては技術の発達した面と、それから一つの商品を売るために商品の外見を色彩的にも非常にきれいに目立つようにして売るという商法というものが両方混在している。そういうふうな傾向があることを見逃せないと思うんですね。  話は戻りますが、このかん水の問題では安全性を非常に不安視しまして、これはめんですね、おそばの即席めんをつくるのにかん水を使わないで、卵をつなぎに使っているところも出ております。私は、こうしたものについて検査義務を今日の時点で廃止して、製造業者の自己認証にゆだねるということは、先ほどのマンズワイン事件のような事例を考えましても、消費者の立場からは非常に不安を与えるものですな、食生活でありますからね。私はこういう業者任せ、ゆだねるということは非常に大きな問題だと思うんです。国は、食品行政において業者任せではなくて、検査等の責任をみずから担当してやるということが厚生省における食品行政の基本じゃないかと思うんですが、いかがでございましょう。
  256. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 食品の安全確保の具体的な手段につきましては、いろいろな御意見があろうかと思うわけでございますが、私どもは、先ほど来申し上げましたように、基本的には食品の製造業者あるいはその他の取扱業者が安全をきちんと確保する、そういう前提の上にいろいろ技術的に難しい点があれば、それは国家認証というような形で担保していくということが現代の社会においては適切な対応ではないのか。  先ほど先生は輸入ワインの問題について御指摘をなされたわけでございますが、確かに業者の中には非常に不心得な行いをする者がないわけではございません。今度のワインの問題もそういうことではあったわけでございますが、しかし、さりとてあらゆる食品についてすべて国が検定しなければならないというような状態は、現代の社会情勢の中でその必要はないのではないかというふうに考えておりまして、基本的には製造業者の責任、それを補完的に国なりいろんな公的な体制で安全を担保していくという基本的な姿勢でやっていけるのではないかと考えておるところでございます。
  257. 内藤功

    ○内藤功君 あらゆるものについて言っているわけじゃない。特に食品ですね、国民が日常これを使うことの多い食品、特に子供たちの口に入るような食品、これは非常に重大だと思うんです。私は、国の責任は非常に重いということを申し上げたいですね。  私が引くまでもなく憲法二十五条二項、国は、社会福祉、社会保障、公衆衛生について向上、増進に努めなければならない。手抜きは許されないんですよ、向上、増進ですからね。この点どのように、この憲法の重みですね、これを認識されているか、改めてお伺いしたい。
  258. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先生の御指摘は全くおっしゃられるとおりだと思います。決して私どもも手抜きをして安全の確保を怠っておるということではございませんでして、必要なことはやっていくという基本的な考え方を持っておるところでございます。
  259. 内藤功

    ○内藤功君 それでは次に、このアクションプログラムの中で、食品等の規格基準等についてアメリカ、カナダ及びECとの間で専門家会合を開催し、情報交換及び意見交換を行うと、こういう記載があります。この会合にはどういうレベルの方が参加するということになるのか。その点のお考えをお聞きしたい。
  260. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 現在、食品のみならずあらゆる面で国際流通が非常に活発になっておるところでございまして、そのためにそういう状況の中で食品の安全性を確保する、そういうことからそれぞれの関係国の専門家との間で情報交換を頻々とやっていく必要があると私どもは考えておるところでございまして、その専門家、あくまで専門家同士の議論と、こういうふうに考えておるところでございまして、最近の科学的な知見に基づきまして、純粋に学問的観点から食品や添加物等の規格基準につきまして意見の交換あるいは情報の交換を定期的に行おうというふうに考えているところでございまして、主として国の行政官、もちろん専門家としての行政官でございます、あるいは国の附属研究機関の研究者、あるいは大学の研究者の応援をいただく場合もございます。
  261. 内藤功

    ○内藤功君 アクションプログラムではさらに「透明性の確保」ということをおっしゃいましたが、すべての審議会に外国人関係者を参加させるということを決めておるようであります。そこで聞きますが、現存の食品衛生調査会にも外国人関係者を参加させるおつもりなのかということと、もしそうであるとしたならば、どういうようなレベルあるいはどういうジャンルの人を参加させるという構想なのか、これを承りたい。
  262. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 食品衛生調査会への外国関係者の参加形態といたしまして考えておりますのは、食品衛生調査会で規格あるいは基準を設定あるいは改定をしていくに際し、外国関係者から要望があった場合には、食品衛生調査会のもとにそのための特別の会合を設け、外国関係者からの意見聴取を行うというふうに考えておるところでございます。食品衛生調査会におきましては、食品衛生の重要事項について科学的並びに専門的な見地から学識経験者による調査、審議が行われるわけでございまして、厚生省といたしましては、国際的な知見に対しても従来からいろんな配慮を払ってきたところでございます。今回のアクションプログラムの関連する措置につきましても、外国関係者から科学的、専門的見地からの意見を徴するということを目的とするものでございまして、そうした目的に沿うにふさわしい外国人関係者の意見を聞くというふうに考えておるところでございます。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し具体的に、どういう専門のどういう立場の人かという点はお考えありませんか。
  264. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 現在の段階ではまだ具体的に話が進んでいないわけでございますので、その点は外国関係者の間からどういう御意見が出てくるのかによっても対応が変わっていくのではないかと思いますが、基本的には外国の行政の食品衛生分野における専門家と、あるいはどうしても必要な場合にはそれをサポートする専門家というふうに考えておるところでございます。
  265. 内藤功

    ○内藤功君 このほか、このアクションプログラムでは「国際基準への整合化」ということで、食品等の規格基準について、各国からの要望について各国の衛生当局と協議し、必要な改定を行うということも含まれておりますね。そこで、私が危惧するのは、こうしたことが規制緩和への外からの一つのプレッシャー、いわば外圧となって、それによって国民、消費者の立場に立った判断ではなくて、外国の意見、外国の立場というものに偏した判断、規制緩和になってしまうおそれはないかということです。厚生行政の基本にかかわる問題です。  この点について、さっき私がワインの問題を出しましたが、もう一つ私が危惧する前例を申し述べると、例えば発がん性があることが指摘されております酸化防止剤いわゆるBHA、これについて一たんは政府は使用禁止措置を決めておきながら、BHAを大量に使用しているアメリカからクレームが出ますと、一たん決めた使用禁止措置を延期してしまったということがありましたね。これはどうなんですか。この問題の経過を見ますと、一九八二年に学者の研究によってBHAに発がん性があることが明らかになりました。その後、食品衛生調査会の審議を受けて厚生省が一たん使用禁止を決めたわけです。ところが、この決定をした後、欧米諸国、特にアメリカ合衆国から強くクレームがついた。あすから実施という前日、八三年の一月三十一日、突然この実施を延期してしまった。当時これは大きな論議を呼んだ問題です。新聞にも書かれたし、議会でも論戦が行われた。おわかりと思うんです。こういうことを私は一番憂えるんです。外圧というか、外国の立場というものを尊重するために国民、消費者の利益をないがしろにする。こういうことになりますと、我が国独立国としての厚生行政はねじ曲げられるということになると思うので、私はさっきからこういう問題を聞いているわけです。  こういう先例があるわけですから、今回のアクションプログラムのようにアメリカなどの外国の要望は、制度的に公的にこういう聞く場をつくる、人間も審議会に入れる、食品生活の調査会にも入れるということになりますと、食生活というのは衣食住といって国民の一番基本ですし、特に子供たちには一番健康にかかわる問題ですが、これについて外国の立場というものを日本の消費者の利益より優先させる、繰り返してくどいようですが、こういう方向に進んでいくことが必至じゃないかというふうに思わざるを得ないんです。これで一体いいのかということを私はこのアクションプログラムを読みまして痛感しているわけなんです。これは局長及び最高責任者である大臣の御所見もあわしてお伺いしたいと思います。
  266. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先生が御心配いただいておる、外国のいろんな状況を優先させ国民の食品の安全をないがしろにするのではないかという御心配でございますが、私どもはこのアクションプログラム推進する過程でそういうことは決してないということを再三申し上げてきたところでございます。今日のように食品の流通が非常に国際化しておる、そういう中で、日本だけの独自性ということをどこまで主張できるのか。確かに各国における食生活の差というものは当然ございますから、そういう合理的な議論の上に立って日本立場を主張するということはもちろんのことでございます。しかし、一方では学問も日進月歩でございまして、非常に新しいデータが出てくることによって新しい安全性の担保ができるというケースもあるわけでございまして、そういう点から考えまして、いろいろ国際的に議論を重ねるということについては大いにやっていく、その上で真に安全性が担保された問題については日本だけがあくまでそういう物質を排除していくということにこだわる必要はないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  267. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、食品等の安全性の確保をすることはいかなる場合でも基本であろうと思います。ただ、それを国際的にいろいろ議論するということも、ただいま局長からお話を申し上げましたように、新しい科学技術あるいは新しい物の有効性、無害性について議論することは私はむだなことでもないし有益なことだろうと思います。その判断につきましては、御指摘の趣旨を踏まえて的確にいたさなければならないというふうに思います。
  268. 内藤功

    ○内藤功君 議論をするというだけじゃないと私は思うんですね。例えば国民立場に立った行政をやる、今の大臣のお言葉、そのとおりとすれば、外国の要望を受け入れるという姿勢じゃなくて、その前にまず国民の、消費者の声をもっと聞くシステムを思い切って考えたらどうでしょうね。例えばすべての審議会に外国の方を入れるという前に、すべてのこの種の審議会に、これはもちろん食品衛生調査会を含めてすべての審議会等に、純粋に民間の中でいろいろな経験をなさり、また知識を持っておられるいわゆる消費者団体の代表の方を参加させるということをまず私はすべきじゃないか。単に議論をするとか外国の知識を入れるというだけじゃなくて、そういうことをすべきじゃ方いかと思うんですが、いかがでしょう。
  269. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 食品衛生調査会についてお答え申し上げたいと思いますが、食品衛生調査会は、学識経験のある者の中から厚生大臣が任命するということになっておるわけでございます。近年、食生活が非常に多様化する、食品に関する科学技術が非常に進歩しておりまして、食品衛生に関する科学的、専門的な知見がますます専門化、細分化されていっているわけでございます。そういう状況の中で、調査会の高度の中立性を確保するという要請を踏まえまして、これらの要件に合致するかどうかを判断した上で委員に御任命を申し上げているところでございます。  なお、従来からでございますが、食品衛生に関すも知見をお持ちになり、また消費者の立場も十分に理解を示されるような立場委員の任命についても配慮しているところでございまして、例えば国民生活センターの理事の方、あるいはこれは前の役職でございますが、財団法人日本消費者協会の理事の方、あるいは財団法人日本食生活協会の理事の方というようなことで、専門的な知識を有し、かつ消費者のお立場をもお考えになられるという委員についても御参両をいただいておるところでございます。
  270. 内藤功

    ○内藤功君 国民生活センターは、あなた、消費者代表じゃないでしょう。国民生活センターは総理大臣がたしか人事権を会長や役員に対して持っておられて、やめさせることもできるんだね、国鉄総裁みたいに。解任もできるわけですよ。それから会計とか財政も全部政府経済企画庁長官が監督するでしょう。財政も会計も政府が持っておるでしょう。その国民生活センターの理事が消費者代表ですか。これはむしろ政府の側に属していろんな調査や提言をするところじゃないんですか。そういういいかげんなこと言っちゃいけませんよ。それは違うんじゃないですか。私の言っているのは、そうじゃなくて、長年にわたり消費者の中でもって自分もいろんな消費者の苦労を味わい、またお役所にも関係し、また組織運動もやってきたという人をさっき言ったあなたの基準でもって判断して、思い切ってすべての審議会にそういう方を入れなさい、すべての審議会に外国の政府の人を入れるんならばその前に入れなさいと、こう言っているんですよ。無理に今いる国民生活センターの人を消費者代表だとここで言うことはないじゃないですか。
  271. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) まあ、いろんな御議論があろうかと思いますが、消費者の声を非常にたくさん聞かれる立場にあられる方というふうに私どもは理解しておるところでございます。
  272. 内藤功

    ○内藤功君 まあ、今のには反論がありませんでしたから、国民生活センターというのは、事実上これはあなたのお間違いだと思いますよ。よく国民生活センターの設置法というのを見てください。これはそうなっているんですよ。そういうことを局長ですからおっしゃるときは慎重におっしゃる必要があると思います。一言御注意申し上げておきます。  そこで次に具体的に食品添加物の問題で伺いたいんですが、まず最初に、食品添加物については、一九七二年に食品衛生法が改正された際に、「常時その安全性を点検し、極力その使用を制限する方向で措置する」と、こういう附帯決議が衆参の社会労働委員会で行われておりますが、厚生大臣に伺いますが、この附帯決議は今後も尊重していくお考えに変わりはないと思いますが、御所見を伺いたい。
  273. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 先ほどから申し上げておりますように、食品等の安全性の確保を基本といたすわけでございます。それは昭和四十七年の衆参社会労働委員会での附帯決議に基づくわけでございまして、その基本姿勢のもとで今後も御趣旨を踏まえて対処いたしたいと思います。
  274. 内藤功

    ○内藤功君 この点についてもさっきのBHA問題、それから八三年の八月に厚生省がアメリカの要求を入れてアメリカのチーズやキャンディーなどの加工食品を輸入するという、そういうことのために十一品目もの添加物の使用を認められた。私はこの流れを見ると、厚生大臣はそうおっしゃるけれども、食品添加物を制限するどころか逆にふやしているという傾向を指摘せざるを得ないんです。  そこでお聞きしますが、アクションプログラムでは、「食品添加物について」「各国衛生当局と十分協議を行いつつ、新たな指定又は使用基準の改訂につき措置する。」と、こうなっておりますが、この各国衛生当局との協議というのは既に行われているんですか。
  275. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 現在の段階ではまだ行われておりません。
  276. 内藤功

    ○内藤功君 十一月の十五日に日米食品科学パネルというものが行われたと聞いておりますが、これは大体どういう性格の会合で、どんなことが話し合われたんでありますか。
  277. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) これは従来から日本とアメリカとの間で相互の食品衛生行政の責任者が最近のそれぞれの国の状況についての情報交換をするという性質の会議でございます。
  278. 内藤功

    ○内藤功君 どんなふうな内容が話し合われたんですか。
  279. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 今回の十一月十五日の会議におきましては、日本側からは日本側のアクションプログラムの状況について説明をした。あるいは食品衛生調査会の対応方針ということで、特に昭和四十七年の国会の附帯決議等があった事実等について言及をしております。  アメリカ側からは、食品等につきまして一つの基本的な哲学といいますか、最近のそういう問題に対するアメリカの考え方、つまり絶対的な安全性ということはなかなかないのではないかとか、あるいは現実にいろんなこれからの食品衛生行政をやっていく上での合理的な基本的な姿勢という問題についてもっと議論を詰める必要があるのではないか、こういうようなことが議論の話題となったわけでございます。
  280. 内藤功

    ○内藤功君 そこで食品添加物の新たな指定について米側からの要求はなかったんですか。また今後こういう要求があった場合はどういうふうに対処されますか。
  281. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 第一段の問題につきましては、特段の提案はなかったわけでございます。  今後どうなるかにつきましてはまだ全くわかりませんが、もしそういう問題が出てくればしかるべき手順を踏んで食品衛生調査会の場で議論を進めることになろうかと思います。
  282. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、厚生省の北川生活衛生局長、あなたですが、局長が、来日したアメリカFDAのミラー局長に対して、食品添加物の規制緩和し、アメリカの要求にこたえて指定拡大に積極的に対応していく方針を伝えたと十六日付の新聞が書いておりますが、これは事実ですか、ちょっと説明してください。
  283. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 必ずしも事実を適切に表現していただいているとは私ども考えておりません。  これから食品添加物問題についても相互で意見の交換を進める。その際に、先ほども申し上げましたが、昭和四十七年の国会の附帯決議に代表されるような我が国の食品安全に関する一般的な世論の動向、そういう点についても言及をしたところでございます。
  284. 内藤功

    ○内藤功君 食品添加物の規制緩和し、アメリカの要求にこたえて指定拡大に積極的に対応していく、こう書いてありますが。
  285. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先ほど来申し上げているとおりでございまして、そのような言い方はしておりません。
  286. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、この記事はうそであるというふうに否定されますか。
  287. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 必ずしも適切でないと考えております。
  288. 内藤功

    ○内藤功君 これはちょっと言葉が強いかもしれませんが、新聞に自分の言わないこと、全くうそが書かれた、こう否定なさいますか。
  289. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先ほど来申し上げていますとおりに、適切でないというふうに考えております。
  290. 内藤功

    ○内藤功君 くどいようですが、言うことは言ったが、言ったことは適切でない、こういう意味ですか。
  291. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先ほど来申し上げておりますように、今後添加物問題についても必要があれば非常にフリーな立場で議論するという趣旨で発言しておるところでございまして、そのバックといたしまして、日本における食品安全問題に関する世論の動向ということについても強く主張したところでございます。
  292. 内藤功

    ○内藤功君 あなたの方は、七二年の附帯決議と国民の世論に立って堂々とやられたように言うし、この新聞は、食品添加物の規制緩和し、アメリカの要求にこたえて指定拡大に積極的に対応していくと。私が両方見ての判断は、どうもあなたの御答弁にもかかわらず、この新聞の記事というのはそれだけあなたにいろいろ取材をして書いたんですから、これがうそだとはとても思えない。しかし、いいですよ、同じ答えが返ってくるから、押し問答してもしようがない。この判断は読む人が、議事録とこの記事を読む人がするでありましょうし、これからの動きが決めるでしょうから、私はこの点をこれ以上聞きません。私は、今あなたがいみじくも言った七二年の附帯決議の立場に立ては、たとえ要求があっても、そういう要求があっても、これはきっぱりとこの決議の立場日本国民の危惧、世論の立場に立つべきだ、市場開放ということで消費者の不安、反対を無視して規制緩和を行うのは許されないことだということを申し上げておきたいと思います。  それで、この問題の最後に、私は輸入手続の簡素化、迅速化のための措置に関連しまして、輸入食品の問題について聞きたいと思うんです。  今回のアクションプログラムでは、すべての輸入食品について事前届け出制を導入して、検査事務を一部の物に限ることにしておりますが、これによって輸入食品が十分な検査もなく輸入されることになり、輸入食品の安全検査がおろそかにされるんじゃないかと、こういう危惧を私は禁じ得ないのであります。  そこで、いろいろありますが、きょうとりあえず一つだけちょっと具体的な案件についてお聞きしたいと思います。まず最初に、輸入食品の検査というのはどのように行われているか、その手続、手順を聞きたいと思います。
  293. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 輸入食品の手続につきましては基本的には届け出を受ける。それに基づいてその食品の種類あるいは輸入の今までの実績等を勘案いたしまして重点的に必要な場合には検査するということをやっておるわけでざいます。
  294. 内藤功

    ○内藤功君 食品衛生法の十六条ですか、販売用、営業用に使う食品を輸入する際にはその都度厚生大臣に届け出なければならない、これはそのとおりですか。
  295. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) そのとおりでございます。
  296. 内藤功

    ○内藤功君 健康食品というのを大臣、御存じですか。
  297. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) 存じております。
  298. 内藤功

    ○内藤功君 使ったことがございますか。
  299. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) ございません。
  300. 内藤功

    ○内藤功君 健康食品がいろいろ出てますが、肝油ですね、サメの肝油を使ったものが売られているんですよ。厚生省の局長は御存じですか。
  301. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 売られていることは承知しております。
  302. 内藤功

    ○内藤功君 この健康食品はサメ肝油の主成分であるスクアレン、これが細胞の新陳代謝を活発にして健康の維持増進に効果があると、かようなことで効能書きを書いて販売されているものであります。これは深海におる深海サメエキスとか、サメミロンなどの名称で販売されているものであります。昭和五十九年のメーカー出荷額で三十四億円、その市場規模は年々大きくなっていると業界で言われております。一方、このサメ肝油は化粧品の原科、クリームとか乳剤というものにも使われておるんです。  ところで、この化粧品原料や健康食品などに使われているサメ肝油は、現在ほとんどフィリピンなど外国からの輸入である。通関統計によりますと、昭和五十九年で肝油の輸入は一千二百八十七トン、このうちの大部分がサメの肝油であります。ほかにもいろんな魚がありますが大部分がサメ肝油。私はこのサメ肝油の輸入について業界の方に聞いて調査したわけです。まず、ある業者、仮にAといたします。このA業者は年間で約三百トン、化粧品原料ということでこのサメ肝油を輸入しておるのです。そして、そのうちの約一割と言いますから約三十トン程度を健康食品に回している、つまり化粧品として輸入して一割は食品に回しておる。次にもう一つ、Bという業者を当たってみますと、これは三百五十トン年間輸入しておる、やはり一割三十五トン程度健康食品に使っている。こういうふうに回答してきました。  そこで、厚生省にお伺いしたいのは、このサメ肝油の場合に輸入食品として日本に入ってきている量、これは昭和五十九年でどれだけかおわかりですか。
  303. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 厚生省の輸入食品監視統計によりますと、昭和五十九年に四トンでございます。
  304. 内藤功

    ○内藤功君 これは五トンじゃないの、数字では。
  305. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 五トンはミスプリントでございまして、四トンが正しい数字でございます。
  306. 内藤功

    ○内藤功君 こういう統計にもミスプリントがあるわけですね。  そうしますと、大変数字が違うわけです、私の調査と。私の調査は私なりに確信を持っている数字であります。A、B二つの業者に聞いたところでは、肝油の約一割程度、合わして六十五トンですね、三十トンと三十五トンをプラスして六十五トンを健康食品に回していると言う。この二つの業者だけでサメ肝油六十五トンを使っているのですね。一方、厚生省の今のお答えでは、輸入食品監視統計では年間四トン。これは開きが大分出ておりますが、これをちょっと厚生省、調査していただけませんか。御調査をお願いいたしたい。これは随分大きな違いです。業者の名前はここで口外できませんが、これは大きな問題と思いますが、いかがでしょう。
  307. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 私どもの承知しておる数字は四トンでございますので、先ほど先生から御指摘のあった六十五トンがどういうルートで食品に回っておるのか、調査をしてみたいと思います。
  308. 内藤功

    ○内藤功君 私がこれを言うのは、健康食品としてサメ肝油を売っておる、しかし輸入食品としての届け出をしないで化粧品ということで輸入しているということしか考えられない。これは法を抜けるものですね、法を潜るもの。これは実際には食品として使っていても化粧品原料として使うのだというふうに言えば、食品衛生法に定められた届け出もされないで輸入されてしまっている。この点についての御調査をお願いしたいと思います。  私はこうしたことが起きるのは、これは氷山の一角のまた一角でありましょう。輸入食品の検査が簡素合理化あるいは迅速化ということで手抜きになっているからじゃないかと思います。国民の食品生活、食生活にかかることでありますし、十分な体制をとってきちんとした輸入検査が行われるように、そういう方向に行政を運用していくべきじゃないかと思うのです。もし仮にこの簡素化、迅速化の名のもとに逆の方向にいくと、これはひいては国民の健康、それから身体生命というものに大変な影響を与えることになると思いますので、この点を特にきょう指摘をしておきたいと思います。  厚生大臣と厚生省に対する質問は以上で終わりたいと思います。  次に、残りの時間で建設省にお伺いをしたいと思います。建設大臣にお伺いをしたい。これは統制令の問題であります。  まず最初に、今回の規制緩和一括法の中に地代家賃統制令の廃止というものが盛られておる、これは統制令の対象者のみならず、他の民間家賃を初め国民生活に大きな影響を与えることは必至であると私は見るのであります。まず、今の時期にこの統制令を廃止するということに至った理由について端的にひとつお答えいただきたい。
  309. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 現行の地代家賃統制令は終戦後の混乱に対応する物価対策の一環といたしまして、異常な住宅難、例えば当時四百二十万戸の住宅不足があったと言われておりますが、そういう住宅難によります地代家賃の高騰あるいは急騰を防止するために制定されたものでございます。しかるに現在におきましては、例えば住宅総数は三千八百万戸を超えておりますし、一世帯当たり一・一月、量的にも一応充足している。それから例えば一人当たりの畳数の指数で見ましても向上を続けております。要するに年々居住環境水準が改善してきております。また低所得者層に対します施策といたしまして、公営住宅の供給でありますとか、公社・公団住宅の供給あるいは公庫融資等各種の住宅施策も充実してきておりまして、往時とは住宅事情は大幅に改善されてきているというふうに考えておるわけでございます。  それからまた現在では統制対象が、これは御存じのとおり昭和二十五年七月十日以前に建築された九十九平方メートル以下の住宅及びその土地が対象になっているわけでございますけれども、対象が一部の住宅に限られておる。これは住宅総数に対しますと三%という数字でございます。それと同時に、実際に統制に服している割合というのは、これは地域によって差はございますけれども、一割ないし三割というような現状でございまして、統制に服している住宅あるいは住んでおられる方々と、それ以外の住宅との間で均衡を失している状況になってきておるわけでございます。さらに地代家賃の統制によりまして統制対象住宅の維持修繕が十分に行われない、老朽化が非常に進んでいるという弊害も出てきております。  長くなりましたが、こういった状況を総合的に判断いたしますと、元来必要最小限に行うべきものであると価額の統制については考えるわけでございますが、現在ではその必要性がもはや失われておると考えられるわけでございまして、約一年後にこれを廃止するということにしたわけでございます。
  310. 内藤功

    ○内藤功君 しかし百二十四万戸の方が統制令の適用下にあるということも厳然たる事実なんですね。それで、少なくなったというのは、この統制令を残しておくという理由には全然ならないのですよ。なぜかといいますと、統制令の対象住宅の居住者は、いかに一部になっても、三%ですか、全国三%、大都市で三割から一割というふうになりましても、それは保護すべき人なんですね。保護すべき対象なんです、ということが問題なんで、三%とか一割ないし三割という数字は、これは余り説得力を持たない。  そこで、私はその点に集中して今聞きたいのですが、統制令対象住宅の居住者は高齢者の方、したがって低所得の方、それから母子世帯、それから父子世帯、こういうような方が圧倒的に多い。こういう現状を考えなくちゃいけないのじゃないでしょうかね。こういう点で、これは建設省か厚生省が、どちらになりますか、現在生活保護を受けている世帯は全国でどれくらいあって、そのうち持ち家の比率はどんな状況か。それから地代家賃統制令の対象家屋に住んでいる人はどのくらいか。こういう点おわかりになりますか。
  311. 萩原昇

    説明員(萩原昇君) 住居の関係につきましては、五十七年の数字が最新でございますのでそれで申し上げますと、七十四万五千世帯でございます。このうち持ち家でございますのが二十一万世帯。そのほかで申しますと、民営借家、借間というのが四一%、公営住宅等というのが一六・七%でございます。
  312. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 統制令関係について私から申し上げます。  全数調査がございませんで、統制令対象住宅におきます生活保護世帯の状況につきまして建設省が東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県において行いましたサンプル調査しかないわけでございますが、それによりますと、統制対象借家に居住する世帯のうち生活保護世帯の割合は三・七%ということになっております。  それから一方、厚生省が実施されました被保護世帯全国一斉調査の中から民営借家に住んでおられる方及び二種公営住宅を除く公共借家に住んでおられる世帯、これのうちの保護世帯の割合を見ますと三・五%。ほほ同じような数字になっているということでございます。
  313. 内藤功

    ○内藤功君 今の答弁でもその一端があらわれていると思うんですね。これは実態をよく調べていく必要がある。  それから三%であろうと一割ないし三割であろうと、今、統制令の直接間接の保護のもとに一定の家計を維持しているわけですから、この人たちが統制令の枠が外された場合にどうなるかということをリアルに考えて対応を決定しないと、これは私も本会議で言いましたが、大きな社会問題を惹起することになると思うんです。  そこで住宅局長にお伺いをしたいんですが、もし統制令が撤廃されますと、家屋所有者、家主の中には一方的に借家法、借地法に基づいて増額請求権を行使して世間並みの家賃地代を要求してくるという動きが必ず出てきますね。そういう場合にこうむる被害というのは、一つは家計の中で物すごく家賃の割合がふえてきて、ほかの食衣費とか教育費とかいうものが圧迫される。これだけにとどまればいいんですけれども、それにとどまらないですね、明け渡しの問題が出てくる。つまり増額請求で借家人が応じなければ非訟事件でもって裁判になるかもしれない。そうすると、裁判になると鑑定を頼みます。ところが、今の鑑定は、現状は大体北隣の賃料から計算してくる、それから消費者物価の値上がりから計算してくる。それから地価の騰貴から計算してくる、あるいはこの今の三つの総合して計算してくるという割合です。ですから、借家人の方は支払い能力を言うわけです、とても支払えませんと。今までこれだけで、一遍にその二倍、三倍ですから支払えないと言うんですが、それは今の現行の裁判制度の中では、鑑定の中ではほとんど無視されている。裁判所が後で大岡裁き的に気の毒だからというんで減額するということはあるかもしらぬ。そういう状況です。  ですから、この問題が社会問題になるというのは、家賃の値上げで家計を圧迫するということとともに、どこでも見られることは、明け渡しということがごく簡単にやられていく。賃料を裁判所で決める。そうすると、それを払わないから契約解除をする、明け渡し裁判。賃料不払いですから、ほとんど抗弁というものが現在の法廷では成り立たない。一体どうするか。これがどんどん起きてきます。これがもうはっきり出ているのに今度の法案では一括法の中に入れてしまって、しかもこれについて、いわゆる受け皿というか、受け皿というと悪いけれども、どこで保護してあげるのかということがないでしょう。どういうふうにこれを考えるのかという点ですね、伺いたいんです。
  314. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 御指摘のように、統制令の対象住宅の居住者に高齢者の方あるいは低所得の方が一般の民間借家に比べてやや多いという傾向にはございます。  ただ、実態的に家屋が、先ほども申しましたように、昭和二十五年七月十日以前ということで、一番新しい家屋でもそのものは三十五年たっているという家屋の老朽化の問題がございますし、それから一般借家に比べた場合に、比較的長期間継続して入居しておられるという実態がございます。それから統制令が廃止されましても当事者の借地・借家法上の地位は変わらないということ等から、我々といたしましては、統制令の廃止により直ちに立ち退きを余儀なくされるとか、あるいは非常に極端な値上げが起こるというような影響は比較的少ないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、統制令の廃止に当たりましては当事者間のトラブル等が当然考えられるわけでございます。  そこで、まず、国、公共団体によりまして、統制令の概要でありますとか廃止の趣旨、そういった統制令の廃止に伴います正確な情報を広報等により提供いたしたいというふうに考えております。  次に、国、公共団体、協力いたしまして、借家の経営者団体あるいは仲介業者団体等に対しまして、便乗値上げ等の防止策につきまして指導を行いたいというふうに考えております。  それから第三には、居住者から、いろいろ生活に図られたりあるいは法律的な問題等の住宅相談が当然起こってくると思います。そこで、そういった多様な相談に的確に対応するために、地方公共団体の住宅相談体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、そういうふうにしましても、今先生御指摘のように、例えば統制令の廃止に関連しまして他への転居を希望される、またそれがやむを得ないということで、かつ公営住宅の入居資格を持っておられるという方々につきましては、現在特定目的公営住宅制度というのがございまして優先入居を図ることができるわけでございますが、そういう措置を図るとともに、必要に応じまして募集枠の拡大でありますとか、これはちょっと時間がかかると思いますが、建設の促進を図るように公共団体を指導したいと思っております。  それから公営住宅に関連しましては、不良住宅、その住宅が不良住宅となって撤去が行われるという場合には、今度は公営住宅の特定入居制度というのがございます。これによりまして、この制度を活用するようにして対応してまいりたい。  さらに、それでは公営住宅の入居資格を超えている、つまり収入基準を超えている人はどうするんだということになると思いますが、これにつきましては、公団・公社住宅につきましても優先入居制度というのがございます。公営住宅の収入超過者に対しまして優先入居をしている例が現実にございます。そういった例に準じまして優先的に入居するように措置をいたしたいというふうに考えております。  さらに、先ほど生活保護の問題が出ましたけれども、いろいろ問題あるんだけれども、つまり負担が重くなったんだけれども動きたくないという方も当然出てこられると思いますが、その場合には、生活保護担当部局と連携を強化いたしまして的確な住宅扶助措置が講ぜられるように措置してまいりたいというふうに考えております。
  315. 内藤功

    ○内藤功君 最後の質問になりますから、局長大臣からお答えいただきたいんです。  今の局長答弁にもかかわらず、極端な値上げは起こらないだろうという事態は完全に事実で破られているんですね。私の知るところ、こういう統制令の廃止の動きが報道されましてから、極端なものは三倍から五倍の値上げ要求というものがどんどん出てきております。  それから統制令の撤廃は即借家法に影響を与えないと。確かに理屈の上はそうなんだけれども、しかし統制令とこの借家法によって全国百二十四万世帯の人はこれで歯どめをつけられて守られているわけです。不可分一体なんですね。そして統制令の枠が外れれば借家法あるいは借地法による増額請求というのはその枠がなくなっちゃう。今ある借家法の、借地法の増額請求というのは統制令の枠内での増額請求なんだから、枠が外れるんだから、地位に影響がないところか、これはあるんですね。そこで大きな社会問題が発生するだろうと思う。今あなたはいろいろと羅列的にたくさんの対策を言われた。それはそれなりにきちんとやってもらいたいと思うんですが、これだけでは済まない。これを単にここの答弁だけじゃなくて、例えば通達をきちんと出す、あるいはそういった点を法制化するというふうにしないと、ただここで局長答弁をされてもそれだけでは済まぬと思うのですが、そこらあたりの局長のお考え、時間がないのでもうこの一問しかできないんですが、局長のお考えと、それから今まで聞いておられて、木部建設大臣のこれについての御所見を、せっかくそこへ来ておられるんですから、お伺いしたいと思います。これで私の質問を終わります。
  316. 渡辺尚

    政府委員(渡辺尚君) 簡潔に申し上げます。先ほどいろいろ申し上げましたが、これらは必要に応じて通達等により措置をする所存でございます。
  317. 木部佳昭

    国務大臣(木部佳昭君) 先ほど来先生から大変御指摘いただいておるわけでございますが、私どもこうした撤廃することによって、先生も今御指摘いただきましたが、弱い立場の方々、それから高齢者であるとか、そういう方々が万々一これによって影響を受けるとか被害を受けるということがないようにすることが行政の責任であるというふうに考えておる次第でございます。したがって、一年間の余裕もございますから、そういう点につきましては万全の対策を立てて指導してまいりたいと、かように考えております。
  318. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 この法案というのは臨時行政改革推進審議会答申に基づいて提案されておるはずだと思うのです。そこで、まずこの総括的なことを若干お聞きしてまいりたいのですが、政府が持っている許認可事項というのは大体どのくらいあるんですかということ、そして今回この改正に出しているのはそのうちの何%ぐらい、どのくらいになるんですかということ、そこからお聞きをしていきたいと思います。
  319. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) ただいまのお尋ねでございます。許認可の総数でございますが、法律政省令等に基づくもの、これを合わせまして約一万事項とされております。これは各省庁が国会提出した件数を集計したものでありまして、ことしの二月に提出されました件数で申し上げますと一万二百九件ということになっております。しかし、これは必ずしも統一的な基準に沿って把握されたものではございません。このためにさきの行革審答申におきまして許認可等の総数を統一的に把握するよう指摘されまして、去る九月の閣議決定におきまして、総務庁が各省庁の協力を得て速やかに総数の統一的把握を行うという旨を決定しております。これに従いまして、現在総務庁におきまして許認可等の洗い出しの作業を進めております。先ほど大臣からも御答弁がありましたが、来春、そのころをめどに作業を終わる見込みであります。  もう一つ、今回の一括法でありますが、これもさきの行革審答申で許認可等を含む公的規制につきまして、この場合は許認可だけでなくて法律で直接禁止する、そういった規制も入っておるわけでありますが、こういった事項を含めまして個別に二百五十八事項答申がありまして、このうち当面法律改正を要する四十二事項整理合理化するというものでございます。両方を比較して何%ということは、実は両者のベースが異なります、そういったことで一万件を母数にしてその割合を出すとか、こういったことはなじまないというふうに考えております。
  320. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 なじむかなじまぬかは私が判断するんであって、今の数字からいえば、極めてごく一部だということは言えるわけでしょう。  そこで、次にお聞きしたいことは、この法律改正によってどの程度の人員減少ということができるんですか。したがって、それに伴って経費の節減ができるはずなんで、それがどのくらいになるのか。あわせて、この一括法を出してくるまでの今までにもかなりの経費がかかっていると思うんです。これからもいろいろかかる面があると思うんですが、言うならば、この一括法案をやることによってどれだけの仕事が少なくなり、政府としての経費節減になるか。片やこれを審議していただくまでの過程にあってもかなりのコストがかかっているわけですから、そのバランスシートがどういうふうなお答えになるんでしょうか、どういうメリットがあるんですかということが二番目の質問です。
  321. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 二つの問題あわせてお答え申し上げますが、まず経費の節減効果でございます。現在政府が進めております公的規制緩和による効果でありますが、一般的には、一つとして民間活力の発揮、推進のための環境整備に資する、これが一点であります。それからもう一つは、あわせまして国際的に遜色のない開放性を有する市場の実現に資する。こういったことでありますが、このことはあわせまして、さらに行政事務の簡素化、これに資する面も持っております。今回の法案におきましても効果はこれと同様であるというふうに考えております。  行政事務の簡素化の面について見ますと、例えば船舶検査でありますとか無線局の検査、こういった検査、登録事務の民間委譲あるいは運輸関係で標準運送約款制度、こういった導入が予定されておりますが、これらによりまして行政事務の簡素化に資する……
  322. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そんなこと聞いているんじゃないんですよ。
  323. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) この効果が期待できるわけでありますが、この種の効果は、例えば委譲の相手方の能力に応じて検査等の事務の委譲をする、あるいは標準約款制度がどの程度実施されるか、こういった面もありましてなかなか定量的に把握することは困難であります。  また、法案作成のコストでございますが、これにつきましても、印刷費等直接的な経費はともかくといたしまして、法案提出まで各省における検討経過まで含めましてコストを計算することはなかなか困難な面がございます。  いずれにしましても、今回の法律改正民間活動に対します公的規制緩和しようとするものでありまして、行政事務の簡素効率化の面もありますが、時代変化に伴いまして不合理となった規制を是正する、これを目的とするものであるということを御理解いただきたいというふうに考えます。
  324. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 後藤田総務庁長官に今度はお答えいただきます。  今みたいな御答弁を聞いているんじゃないんで、それはどれだけのコストがかかったか、それからどれだけの経費節減になるかということは、これは難しいことはもう百も承知。しかし、おやりになる以上は当然それぐらいのことは考えて、これだけのコストをかけてもそれ以上の大きな利益があり、結果的にはバランスシートでは大幅な黒になる、だから政府としてもやるんですというものでなくちゃならぬ。その辺のところが簡単に数字で出てくるようなものでないことはわかるけれども、それもやらずにやっていくとしたならば、ひょっとしたならばコストをかけてコストの方が余計かかって、上がってくるメリットが少なければこれはやる意味がないんです。  それで、今の答弁の中にも出てくるのだけれども、これは長官の方にもお聞きをしたいんですが、けさの提案説明をなさるときにここに三つ挙げているわけです、その理由として。  「規制制定の当初に比し、規制対象をめぐる社会経済環境が著しく変化しているものにつきましては、規制を継続する必要性が認められないものはこれを廃止し」云々。それから二つ目には、「規制制定の当初に比し、民間能力が向上しているものにつきましては、国が直接実施している定型的事務であって民間で代行可能なものはこれを代行させる」。それで三番目には、「規制制定の当初に比し、技術革新が著しく進展しているものにつきましては、規制範囲緩和」するという理由が挙げられているわけなんです。  そこで、それだけのものの理由を挙げてこの法改正にお取り組みになったんだけれども、その出てきた答えは、八省二十六法律四十二事項だけが取り上げられている。余りにも情けないんじゃないでしょうか。たとえわずかでも、行政改革をやろうということについてのその労は多とするけれども、この程度のことならば大騒ぎをしなくたって、常日ごろから許認可事項をそれぞれの省庁が手直しをしたり改正をしたりおやりになることができるんですから、これほど大騒ぎをして一括法だといってやることはないんだと思うんですが、その辺がどうしても私には理解ができないので、なぜもっと大幅にやれなかったんですか。やれなかったのか、やりたくないのか、やらないのか、その辺はどういうことなんですか。非常に政治的な高度の御判断で御答弁をいただきたい。
  325. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 柳澤さんの御質問は私はもっともな御意見だと思うんですね。やる以上はそれなりの効果の上がるものでなければ意味がないではないか。そういう観点から見れば、これは効果が上がると政府は一体言えるのか、こういう御疑問ですね。  なるほど私もこの法律を見る限りにおいてはそういう感じがせられるのも無理はないと、私は率直にそれを認めます。ただ、この点は先ほど来お答えいたしておりますように、当面の立法で変えなきゃならぬという、しかも一括でやらなきゃならぬという面だけを取り上げている法律であって、それ以外にも例えば先刻お答えしましたようにガソリンの輸入を自由化するというので、これは私は相当な経済効果が上がってくるんじゃないかと思いますし、それからまたこれ以外でも。例えば預金金利の自由化を詰めているわけです。これは今逐次財政当局、金融当局で取り組んでいるわけですね。あるいはまた運輸関係で言えば、参入規制緩和あるいは航空三法の事業の見直し、こういうものも詰めているわけですね。これは相当なる変革になりはしないかと、こう思います。あるいはまた基準・認証の問題もいろいろ御指摘がございましたが、これも八十八事項実はあるわけなんですね。こういった一連の今度のこの規制緩和というものに本格的に取り組んでいるわけです。これは日本経済活性化に大きくつながって、局長がお答えしましたように、今直ちに計量的な計算はできませんけれども、私は日本の行政のあり方、経済活性化にとって大きなターニングポイントになるのではないかというぐらいに考えております。  しかし、これはそれじゃこれだけで終わるのかと、こう言えばそれは終わってはなりません。それは時代がどんどん変わりますから、それは規制のあり方についてそのままで置いておいてはこれまた手かせ足かせになりますから、それは各省庁で今後引き続いて見直しをやってもらわなきゃならない。それから同時に、見直しは権限に関係するわけですよ、役人の。それだけにどうしても、これはいい悪いは別として、人情としてどうしてもそのままにほうっておきたいものですから、そこでなかなか各省が見直しをやらないということになれば、これは私の方の役所は政府全体の立場でそういうものに取り組まさしていただく、あるいは監察機能なり調査機能というものがありますから、こういうような建前でどんどんやっていかなければ本当の意味での成果は上がらない。それを計量的に今はできませんけれども、確かに大きな時代のターニングポイントになりはせぬかと、かように思うわけでございます。
  326. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それはやらないよりかやった方がいいんですから。ただ長官、きょうのこの説明をいろいろ聞いておっての私の受けた感じというものは、そう言っちゃいかぬけれども、お役人さんが今までサボタージュしていたんじゃないんですか。こんなこと行革審から言われなけりゃやれないことではなくて、常日ごろから、今長官も言ったように、日進月歩といっては言葉が適当だとは思いませんけれども、何かどんどん世の中変わっているのだから、それに対応してそれぞれの省庁がこれは必要だからそれじゃ設ける、もうこれは古くなったから必要はない、これはもうやめようといってそれぞれの省が独自でそんなこと今までやってなけりゃいけなかったんでしょう。そういう意味で、今度は局長というかそちらの方でもいいんだけれども、この行革審答申の中にたくさん挙げられておりますが、全部あの法律事項はこの中に入っているんですか、その点。
  327. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 行革審答申を受けました事項法律改正を要するもの、これは全部この前の九月の閣議決定で具体的にどういうふうにやるということまでスケジュールを決めて方針を決めております。
  328. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いや、九月のそれは私も見ているんだから、そうじゃなくて、この一括法の中に行革審から言われたことは全部入っているのですかと聞いているのです。
  329. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 先ほど申し上げました閣議決定の中で当面必要なものを今回措置しております。これ以外に具体的に考えられます今後の法律改正、これは大体今のところ六法律程度でございます。そのほか今のところ検討結果で姿が出る、こういったものは未定にしておりますので、場合によりますとその中で法律改正というものも出るかもしれません。
  330. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 その辺でよろしいけれども、そこのところもよく考えてくださいよ。当面ということは総務庁なり政府のあなた方の主観なわけだよ。行革審としてはこれとこれとこれをやりなさいよと言って答申よこしたわけでしょう。本来ならそれをそのままいただいてやらにゃいかぬけれども、こう拾い上げていってみたらそういうわけにもいかないから、当面はと言って、そして今すぐやるもの、今年度中にやるもの、いろいろ幾つか分けてやったわけだけれども、したがって長官が先ほど宣言われたようにこれからも続けなくちゃいけない、そのとおりで、今後さらに見直しを続けようというふうな判断に立ったという。これはこれで一応今回終わるわけだけれども、この次そういうふうなものに続いてという御判断に立ったとき、いつごろ取り上げてお取り組みになるようなことになりましょうか。
  331. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 行革審からの答申をいただいている事項の中で法律改正関係のあるものでありますが、我々としては例えば中期的課題というものもできるだけ前倒しでできるものはそのようにしていただくということで決めておりまして、先ほど六事項と申し上げましたが、その中で決まっておりますのは次期通常国会一つと、それから六十一年目途、これは主要農作物種子法の関係でございますけれども、最近のバイオテクノロジーとか、そういった面で検討する期間も必要でございます。こういったことでそういうことになっております。そのほか消防法の改正でありますとか、あるいは有線テレビジョン放送、こういったものは六十年以降逐次その事項によってやっていく。あるいは道路運送法の関係、これは中期的な課題と、こういうふうに仕分けをしております。
  332. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間もないから、余りそこのところばかり言っても……。  運輸大臣にお聞きしたいのは、昨年政策官庁ということで機構がえをやりまして、それで私なんか名前だけ変わってわかりにくくてしようがないんだけれども政策官庁に脱皮するということでやったわけですけれども、果たしてあれで政策官庁に脱皮になったのかどうかということ。それからきょう昼間も出ておりましたように、大臣も言われておりましたが、運輸省が一番許認可事項を持っているわけで、それで今回の中でも運輸省が一番多いんだけれども、あれだけたくさんあるんで今回の中では多いけれども、これで十分というふうにお考えになっているのかどうか、この程度ではどうにもならない、もっと思い切ってやらにゃいかぬということを大臣はお考えになっていると思うんですけれども、ここも事務的じゃなくて、大臣の政治的な御判断をどうしているかということをお聞かせいただきたい。
  333. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 現時点におきましていわゆる脱皮したかという御質問ならば、完全に脱皮したとは言い切れないと思うんでございます。ただ、昨年の九月に省内に検討委員会を発足させまして、まことにどうも非常に涙ぐましいぐらいの努力をやっているのを私はこの目で見ておりまして、これは今後とも継続していく。しかも行革審で指摘された、数々ございますが、それ以外でもそこで俎上に上せてやっていくということでございます。  先ほども答弁申し上げたんでございますけれども、安全基準の問題であるとか、あるいは運賃の規制の問題であるとか、さらにまた新規参入の問題であるとか、安全に関すること、秩序の維持の問題であるとか、どうしてもやってみてできないものが私が見てもかなりあるんでございまして、今後ともしかしこの趣旨に沿って大いにやらなきゃならぬ、私も鞭撻してやっていく。つまり御質問にございましたように、現時点におきましては脱皮とは言えないけれども、脱皮するまでひとつ今後とも精力的にやっていくという方針で進めたいと思います。
  334. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 せっかくこういうふうな一つの気風が出てきたんですから、そういう意味ではもうぜひこれは総務庁長官が陣頭指揮をとってやっていただきたいと思うんです。  それで、何といったって行政改革、にしきの御旗を立てたんです。私が見ておっても電電なり専売なりの民営化ということではそれなりの成果があったというか、私たちも評価をしたいと思うんです。しかしながら、行政改革の一番のかなめともいうべき行政機構の改革ということになったならばなかなか進んでいない。したがって、そういう点でもって、政府の行政機構の改革という点で、これからどういうふうにそいつを進めていこうとしているか、その辺の長官考え方をお聞きしたいです。
  335. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 機構の面についていいますと、私どもの役所が実は去年の七月にできましたね。これは総合調整機能を強化する必要があるということでできたわけでございます。  なお、中央省庁としては国土三庁ですね、これの問題、これはしかし、それぞれの地域に特殊事情がございますから、行革審答申の中でも、その地域の特性があるので今後の一応の検討課題ということになっておりますから、これはたちまちの問題ではない。しかし、いずれにせよ、これはいつの日には取り組まなきゃならぬ課題であろうと、こう考えております。  それからあとは中間機関ですね、これの整理統合の問題が残っております。しかし、これは総論はいいんですけれどもいよいよとなったら皆さんがみんな反対する。これはなかなか容易でありません。容易でないけれども、これはやっぱりやらさしていただかないといけないのではないのか。  それから県内機関がいかにも多過ぎます、国の。これは地方自治の立場に立ってできる限り国の仕事というものを地方に委譲していく。それに伴って国の機関は漸次整理していくというのが、これは機構面での仕事ではなかろうか、こう思いますね。  それからもう一つ大きい仕事は特殊法人があるんですよ。これは合せっかく行革審で御審議を願っておりますが、これの活性化ということと、もう一つは、これは一律には論ぜられません、性格がそれぞれ同じ特殊法人でも違いますから。しかし民営化すべきものがあるのではないのか、こういう考え方も持っております。  こういったような一連の機構面を考えただけでも、ちょっと気が遠くなるぐらいの仕事がまだ残っておるのが事実でございますが、これらは、政府としてはせっかく第二臨調で熱心な御討議をしていただき、また行革審からも御提言をちょうだいしておりますから、これをそのときどきに閣議決定して取り組まさしていただきたい、かように考えております。
  336. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 極力の御努力をお願いして、さらにもう少し今度は突っ込んでお聞きしたいのは、行政改革というのは何だかんだ言っても仕事を減らさなきゃ意味ない。仕事をそのままにしておいて人を減らせといったって、これはできるものじゃないんだから、まず必要のない仕事を減らして、仕事を減らせば人も減らしていける。人を減らすことによって経費の節減になるということになるわけでしょう。それが基本なんですから、だから、そういう点に立ちまして定員なんか見ましても、ずっとここ二、三年かなり純減、減らしてきているのを私ども見てわかっていますので、五十九年、六十年ともかなり減らしているわけだが、六十一年の定員についてはどういうふうになりそうなんですか。相当減らせるんですか、それともそんなにいかないのか。その辺の点はまだ予算も決まらないと思いますけれども、どの程度の構想でおられるかというところをお聞きしたいんです。
  337. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御承知のように、今第六次の定員の削減計画に取り組んでいる途中でございます。六十一年度が最終年度でございます。それから先はもう一度どうするかという課題は残っておりますが、最終年度の六十一年度は今各省と折衝いたしております。いずれにいたしましても、削減はできるだけやらさしてもらいたい、私ども立場は。そして新規増員はできるだけ抑える。ネット減をできるだけ立てたい。こういうのが基本の考え方でございますが、六十年は御承知のように定年制の施行がございましたから、それに関連しまして、たしか六千四百八十四人だったと思いますが、純減が立っております。それと右へ倣えというわけには、私は六十一年は大変難しいと思います。しかしながら、でき得る限り仕事減らしをし、事務の整理も事務事業の見直しもやってもらって、定員の増加はできるだけ増加を抑えて、削減は予定どおり削減していただいて、ネット減は立てたい。こう考えておりますが、まだ数はこの段階では、今大変なやりとりのさなかでございますので、決まっていないのが実情でございます。
  338. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 次は国鉄の余剰人員対策の問題でお答えをいただきたいんですが、この対策はもうかなり進んでいるんじゃないかと思うんです。再建監理委員会から出されたので言えば、来年の三月末までに二万人、希望退職で減らせと言う。これも今どの程度にいっているのかお聞きしたいんですけれども、これは大変なことだと思うんです。簡単に減らせと言われても。  それから、さらには新しい新会社の方に一緒に連れていく――連れていくという言い方はおかしいけれども余剰人員、くっついていくのが三万二千人。それで現在の国鉄に四万一千人残しておいて、これは三年間は雇用を保障するけれどもその間に逐次どこかへ再就職口を見つけて逐次なくなしていくんだというのが、再建監理委員会から出されておる内容なんですが、それについて雇用対策本部もおつくりになったんですから、そこでどのようなお取り組みをして、この余剰人員の吸収を考えているというか、方針を立てているのか。それから運輸省の方も、それについてどういうふうな御検討をなさっているのか、お聞きしてまいりたいです。
  339. 平井清

    政府委員(平井清君) 政府といたしましては、既に去る十月十一日付の閣議決定、国鉄改革のための基本的方針におきまして、国鉄余剰人員問題につきましては、国鉄側におきます最大限の努力を前提にいたしまして、国を初めとする各分野における雇用の場の確保につきまして、強力な支援体制を講じることというふうにいたしましたところでございます。これを受けまして現在、六十一年度からの具体的な受け入れ内容を早急に決定いたしますように検討中でございます。  このような雇用の場の確保に関する施策のほかに、新経営形態移行前に国鉄が実施する希望退職募集というのが予定されております。先生、先ほど来年の三月末までにとおっしゃいましたが、六十一年度中に募集するものでございますので、再来年の三月でございます。この希望退職募集の実効を上げますために、退職時の給付の臨時の特例につきまして立法措置を講ずることといたしておりまして、現在関係省庁間において検討中でございます。さらにこれから国鉄の清算法人が予定されておりますが、この旧国鉄に所属する特別対策対象者、一応四万一千人と予定されているわけでございます。これにつきましては、早期かつ円滑な職業転換がなされますように万全を期することといたしておりまして、再就職促進のための職業指導、教育訓練、求人開拓等の施策を行うことといたしまして、具体的な内容等につきまして現在各省庁間において検討中でございます。鋭意検討を続けまして早急に結論を出したいというふうに考えております。
  340. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま国鉄余剰人員雇用対策本部の事務局の方からお答えがありましたように、全体的な措置につきましては今のようなことで進んでおりますが、運輸省におきましては、今お答えのありました中で、希望退職を実効あらしめるための退職時の臨時の給付の特例につきまして、具体的にどういう年齢層を対象にどういう内容の特例措置を講じるか、二万人の希望退職を実現するために実効のある内容のものでなければなりませんので、その辺のところを関係省庁と現在詰めているところでございまして、六十一年度予算にそれを計上いたしまして、法律といたしましては、次期通常国会に予算関係法案として提出をして御審議をいただきたい、こういうふうに考えておりまして、今準備を進めているところでございます。  それから余剰人員対策につきましては、まず国鉄が自助努力すべきでございます。そういう観点から、国鉄におきましては、今いわゆる三本柱という施策を進めておりますけれども、これだけでは到底対応できないわけでございますので、国鉄の関連事業、国鉄の出資事業とか、あるいは構内営業の事業者あるいは業務の委託会社等と折衝いたしまして、六十一年度から六十五年の初めぐらいにかけましておおむね二万一千人程度をそこで採用してもらいたいということでの大枠を決めまして、目下具体的にその内容の詰めを行っているところでございます。  また、全体の六十二年度以降の、今先生御指摘の四万一千人の特別対策対象者に対する措置につきましても、再建監理委員会答申におきましては、立法措置を講ずるようにということがございます。それは実施は六十二年度以降になるわけでございますけれども、これにつきましても、分割・民営化法と並行いたしましてその内容について政府としてはどういうふうにしていくかということの検討を行っているところでございます。
  341. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 かなり難しい問題で、さっき早期かつ円滑になんて言われておったんですが、世の中がもうちょっと景気よければ別にそんなに苦労することもないと思うんですね。これだけ景気もよろしくない、なかなか引き取ってもくれない。後藤田長官も予算委員会では、政府の中にかなり割り当てて引き取らせると言われた。これから詰めるんですとさっき言ったんですけれども各省に引き取らせるというのはどのくらい引き取らせようとしているんですか。それから二万人のほとんどがそういうぐあいで吸収させられるのかどうか。その辺はどういうことを考えているのか。
  342. 平井清

    政府委員(平井清君) 監理委員会答申にもございましたように、私どもこれからの毎年の採用、国及び特殊法人の毎年の採用の人数の一定割合を決めまして国鉄職員の受け入れに当たるようにということで、国の機関にはまず受け入れを図ろうということで中身を詰めております。今おっしゃいますように、まだ詰めが終わっておりません現在では、国の機関にどれだけ、地方機関にどれだけということをまだ申し上げられないんでございますけれども、早急に中身を詰めまして実施に移さしていただきたいというふうに考えております。
  343. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そうすると、その辺がはっきりしなければ、六十二年四月一日新会社発足ということも、その辺の整理がつかなければ延びるということもやむを得ぬと考えているんですか。再建監理委員会のは、六十二年四月一日には新会社にもう行くんですよと。その行くとき、その前にもうともかく二万人の人は希望退職でもってどこかへやってしまいなさい。それから新会社になってからもさっき言った四万一千人は現在の国鉄に残しておいて三年間の雇用保障、その間にその人たちもどこか適当なところへ流しなさいと言っているわけですから、今の御答弁聞いていると、もうあと一年でしょう。そんな悠長なこと言っておって、それで新会社はできますが、人員のそういうことについてはいまだに決められないでというふうな、そんなことになっちゃう心配があるんだけれども、あの再建監理委員会答申にはきちんとこたえてそのとおりやれるという、その自信を持ってやっているんですか、どうなんですか、そこのところは。
  344. 平井清

    政府委員(平井清君) 御指摘のように、新会社移行という時期におきましては、この余剰人員対策につきまして完全にめどがついていなければならないということでございます。それに間に合わせるようにやれるということで、今努力中でございます。
  345. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 まだあれだけれども、もう時間の方も余りないから、新会社まで間違いなくやれると言われたんですかる、その言葉を信じて受けとめておきましょう。  次に、経済企画庁の方にお聞きしていきたいことは、規制緩和が今回の一括法で、私から見れば十分ではないんだけれども、それでも規制緩和することによって生産性が向上していく。枠を外すんですから、それで物価も下がっていくし、新しい需要も出てくるだろうし、経済活性化するだろう、内需の拡大の方向に行くんじゃないかといって、これは政府もお考えだし、私たちもそうするわけです。民間機関が試算しているのは、そういう方向でいって、GNPでもって年率〇・五%ぐらい押し上げるだろうと、こういうふうな見方をしているのを読んだんですが、政府とすれば、この規制緩和でもってその辺どの程度経済活性化になってそういう効果を上げるというふうに御判断をなさっているか、その点いかがでしょうか。
  346. 勝村坦郎

    政府委員(勝村坦郎君) 規制緩和経済効果につきましては、ただいま御指摘ありましたとおり、新規参入等によりまして競争条件が促進されるとか、あるいは新規分野での民間の活動が新しく開けてくる、そういうようなことがありまして、全般に経済成長あるいは内需の拡大ということに、長期、短期にわたりまして、プラスの効果があるというふうに判断いたしております。  それではその経済効果というものをどの程度というふうに計量的に考えているかということでございますが、実は結論から先に申しますと、この計測技術あるいはデータの蓄積ということから、結論を出すことは非常に困難でございまして、実は経済企画庁におきましても、総合計画局の中に規制緩和の研究会というものをことしの七月からつくりまして、それで学者の先生方にお集まりいただいて、いろいろ分析手法並びに試算等の作業を進めているところでございますが、現在までの結論では、分析手法の確立というのがまだ十分なされていない。それから一九七〇年代から規制緩和が進められてまいりましたアメリカと違いまして、日本の場合は規制緩和の結果としてのデータの蓄積がまだほとんどないということでございまして、現在までの結論では計量的な経済効果を測定するということはまだちょっと時期的に無理ではないだろうかということになっております。  今御指摘のありました民間機関、これは野村総研の計算だと思いますが、これは〇・五あるいは〇・七%経済成長率が上がるという結論を出しておられます。民間機関ができるのに、なぜ政府ができないのかという御意見もあろうかと思いますが、実は私どもは、野村総研の実際の分析を担当した方に来ていただきまして、どういうことをやってこういう結論を出したのかということをいろいろ細かく尋ねました。そのときの私どもの印象から申しますと、民間でせっかくおやりになったことをあげつらうつもりはさらさらございませんけれども、ちょっとこういうような分析手法で結論を出すのはとても無理ではないかということでございます。  ちょっと細かい話をして恐縮でございますが、一つは産業連関表を用いまして物価の価格の低下あるいは生産性の向上ということを測定しているということでありますが、これはちょっと産業連関表というふうな手法では本来分析でき得るものではないというふうに私ども考えますし、それから投資機会の増大ということにつきましては、市中金利が〇・五%下がると同等であると仮定して投資の拡大を測定した、こういうお話でございまして、ちょっと手法的にも、それからデータの置き方等も非常に恣意的に過ぎるのではないか。類似の方法で政府が責任を持って答えを出すということは、現在の段階ではとても無理ではないかというふうに判断するわけでございます。  そういうことで、せっかくの御質問でございますけれども規制緩和経済効果ということにつきまして、はっきりしたある程度の結論を出せるようになりますまでには今しばらくお時間をおかしいただく必要があるのではないか、こういうふうに判断いたしております。
  347. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 本来ならば、政府がそのぐらいのことをやらなければならぬことですよ。  それから、これは国会審議なんかでもそうだけれども政府がいろいろなものを出すと、まあ私がそんなことを言ったらおかしいけれども、揚げ足取りみたいなことをこの場でもって議論しているところに、この国会審議のあり方の問題があると思う。だから、あなた方もうっかり出すと、また揚げ足を取られてとっちめられるから、極力答弁も逃げたような答弁をしたりなんかする。  だからその辺は、きょうも私冒頭にバランスシートと言ったら答えがない。そんなことはだれがやったって難しいことなんですよ。だれがやったっても難しいけれども、そういうことをやって、そうしてどれだけのメリットがあるから、じゃこれだけのことはやろうと言って、ここでそれを揚げ足取りでもって、ああだこうだと言ってとっちめてきたら、じゃ、おまえさん、つくって出してみると言えばいいんですよ。だから私が言っているのも、野村総研のあれを読んで今言っているんで、そのとおり、だから担当者を呼んでそんなとっちめないで、いい知恵をかりて、それでそういうのを使って、そうして政府の中でも極力努力してそれになにするようなことを出すようにしないことには、あっちからつつかれ、こっちからつつかれるという、そればかり怖がってやっておったら何にもできない。しかし、あなた方がものをやるのには全部税金を使ってやっているのです。その国民の税金を使ってやっているというところから考えたら、むだな税金を使っちゃいかぬ、じゃそのためにはと言って、しょっちゅうそういうバランスシートをやりながら、今のこの政策はよろしいかというのを判断するようでなければ、偉そうにお役所に座っていてもらっては困る。  そこで、時間がないからあれだけれども、もう一つ今度は貿易摩擦の関係からいって、多少は内需拡大するわけでしょう。それで黒字の方も減るような方向に行くんだけれども、今度はそこになると、黒字を減らすといってもこの程度のことで余り効果がないんじゃないかという見方があるんだけれども、そっちの方になるとどういうことになるんですか。いわゆる貿易摩擦の解消の面に向かってどの程度の効果があり、最終的に、経常収支でも貿易収支でも何でもいいですが、その辺にこのくらいの影響度が出ますというふうな点はいかがですか。
  348. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 内需拡大によりまして経常収支の黒字が減る、黒字減らしになるという筋道を考えてみますと、内需が拡大することに伴いまして輸入がふえるという側面がございます。輸入がふえるわけでありますけれども、輸入のふえる金額につきましては必ずしも大きくないという点がございます。したがいまして、政府経済摩擦、貿易摩擦の解消のために従来から次々ととってまいりました経常黒字縮小のための方策というのは、内需拡大策にとどまらずに、さらにこれに加えまして、関税及び非関税障壁を撤廃する、あるいはそれを軽減するための措置であります市場開放策、それから九月の二十二日のG5の合意によって進められておりますドル高・円安の是正、円高の定着、さらには外国のビジネスマンが日本市場で大いに売り込むように努力していただく。市場開放策、アクションプログラムと申しますのは、外国の品物が日本の国内で売りやすいような条件を整える、条件を整えて差しあげましても、向こうが努力しなければちっとも効果がないわけでありますから、外国のビジネスマンのそういう努力もまた大いに要請する。こういったようなことで、内需拡大に加えまして市場開放、ドル高・円安の是正、さらには外国ビジネスマンの努力、こういったものが相乗効果を上げたときに黒字はかなり減るではないか、こういうふうに見ているわけでございます。内需の拡大だけによって黒字減らしを実現しよう、こういう考えではございません。
  349. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間ももう余りありませんし、これは後藤田長官の方に最後にお聞きをしていくんだが、さきの衆議院の本会議で我が党の和田議員が質問した中で、既存の許認可をすべて定期的に見直して、それぞれに存続期間を設定するといういわゆるサンセット方式制度化ということを提唱したときに、中曽根総理の方から、それについて前向きに検討するという御答弁があったはずなんですよ。その辺を受けられて、総務庁の方としてその総理の意向に沿って、それをどういうふうに受けとめて具体化するというふうなお考えをお持ちなのか、その辺をちょっと詳しくお聞かせをいただきたい。
  350. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この規制緩和は、これは絶えざる見直しの課題である、こう基本的に認識をしておるわけですね。  その際に、和田議員は、存続期間をこれから先のやつは決めなさいと、つまりサンセット方式についての御提言があったわけです。総理はそれを受けて、検討してみたい、こういうお答えがございました。私も貴重な御意見として承らしていただきたいと、こうお答えをした記憶がございます。  これから先の新設の許認可等についてどう扱っていくかということは、先般来お答えしておりますように、新設問題についてはこれは検討課題で、私どものところで勉強しておるわけでございますが、その際に存続期間をもう決めてしまうというのが果たして適当であるかどうかなという問題もあるわけです。というのは、一般論として言いますと、廃止期限をあらかじめつけるということは行政の安定性という面から見て困難性を伴うのではないのかと、これは考えなきゃなりません。そこで、私はサンセット方式趣旨に沿うやり方としては、一定期間経過後見直しを行うといったような考え方一つありはしないかな、こう考えるわけです。だから、ここらをどうこれから先我々が勉強していくかということは大きな検討の課題とさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  351. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 アメリカなんかだったらもう昔からやっていることだけれども日本では初めてのことですから、なかなか簡単になじめる問題でもないと思うんです。しかし、こういうふうな規制緩和ということで一括法案まで出して取り組むようになったんですから、今長官が検討課題としてという御答弁がありましたんで、かなりそれは時間もかかるだろうし、いろいろ難しい問題もあるだろうしするけれども、せっかくの機会ですから、この機会にそういう問題についても取り組んでいって、それでほかの法律なんかでも時限立法で設定して、三年間といってやることもあるんだから、そういう点に立てはできないことではないんです。確かに今長官も言われたように、ああ何だ、そうか、五年だけのものか、じゃ、といってそれが行政上においての一つの不安を起こすならば、これはよろしくないということはわかりますから、しかしいい面もあればこそアメリカなんかも、外国でやっていることだと思いますので、だからそういう点でそれは総理答弁の前向きにと言われた点をより具体化していって、これをきっかけにそれをさらに検討していって、近いうちに、これについてこういうやり方をするようになりましたと、そういう政府の見解が聞けるようにしていただきたいと思うんですが、その点お約束いただけますか。
  352. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 慎重に検討さしていただきたい、こう思います。
  353. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間があれだけれども終わります。
  354. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時八分散会      ―――――・―――――