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1985-12-10 第103回国会 参議院 逓信委員会電気通信の新体制等に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午後四時開会     ————————————— 昭和六十年十二月三日逓信委員長において本小委 員を左のとおり指名した。                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 竹山  裕君                 西村 尚治君                 長谷川 信君                 宮田  輝君                 大森  昭君                 片山 甚市君                 服部 信吾君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君 同日逓信委員長は左の者を小委員長に指名した。                 岡野  裕君     —————————————    小委員異動  十二月五日     辞任          片山 甚市君  十二月十日     補欠選任        片山 甚市君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        岡野  裕君     小委員                 長田 裕二君                 竹山  裕君                 西村 尚治君                 宮田  輝君                 大森  昭君                 片山 甚市君                 山中 郁子君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    参考人        日本電信電話株        式会社常務取締        役        児島  仁君        特別第二種電気        通信事業者協議        会会長      金岡 幸二君        社団法人日本情        報通信振興協会        会長       志場喜徳郎君        東京大学工学部        助教授      浅野正一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○新電電の新体制移行に伴う諸問題に関する件     —————————————
  2. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) ただいまから逓信委員会電気通信の新体制等に関する小委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして一言あいさつを申し上げます。  本小委員会は、去る三日、逓信委員会において設置され、同日、逓信委員長の御指名により私が小委員長に選任された次第であります。  小委員各位の御指導と御協力を得まして、公正かつ円滑な小委員会運営に努め、責任を全ういたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  3. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の小委員会に、参考人として、日本電信電話株式会社常務取締役児島仁君、特別第二種電気通信事業者協議会会長金岡幸二君、社団法人日本情報通信振興協会会長志場喜徳郎君及び東京大学工学部助教授浅野正一郎君の出席を求め、新電電の新体制移行に伴う諸問題について、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) それでは、新電電の新体制移行に伴う諸問題に関する件について調査を行います。  本日は、本件調査のため、お手元に配付の参考人名簿のとおり四名の方々に順次御出席をいただき、御意見を聴取することといたしております。  議事の進め方といたしましては、まず児島参考人から四十分程度意見をお述べをいただき、次いで金岡参考人志場参考人浅野参考人の順序でお一人十五分程度意見をお述べいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  まず、日本電信電話株式会社常務取締役児島仁君から御意見を聴取いたします。  この際、児島参考人小委員会を代表して一言あいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本日は、新電電の新体制移行に伴う諸問題について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  それでは、児島参考人に御意見をお述べいただきます。児島参考人、どうぞ。
  6. 児島仁

    参考人児島仁君) 児島でございます。よろしくお願いいたします。  私どもこの四月に民営化ということになりまして既に年末でございます。私どもこの法律の精神に基づいて事業をやる上でしっかりやらねばいかぬということで全職員一丸となってやってまいったつもりでございます。いろんなことがございますが、それらを、ちょっと雑多になりますけれどもお話を申し上げたいと思います。  まず、数字の方から申し上げた方が話の通りがいいと思いますので、中間決算から御説明をさせていただきます。  九月末で中間決算を締めておりますが、六十年度上半期営業収益は二兆四千九百九十六億円、経常利益は一千七百五億円、中間利益としまして七百六十五億円というものを計上させていただいております。この数字は私どもとしてほぼ満足のできる数字でございます。満足のできるという意味は、年度当初に事業計画として郵政大臣の認可をいただきましたその数字よりも上回った活動ができておるということでございます。さらに、下期におきましても何とかこの線を伸ばしていきまして増収を図り、企業体質を強めたいというふうに考えております。  今申し上げました上半期営業収益をいろんなファクターを持ち込みまして年間トータルで現在時点で推測をしてみますと、営業収益は大体五兆五百億円ぐらいになるのではないかと。経常利益は二千九百二十億円。ちょっと細かい数字でございますが、大体二千九百億円ぐらい。それに税金がかかってまいりますので、税引き後の利益は千三百三十億円ぐらいになるのではないかというふうに考えております。この数字がもし達成できますと、私ども初年度から配当世間並みのものができると思っておりますし、その配当しました結果の財務の姿も、一般の安企業といいますか、東京電力さん等の公益事業と比べて遜色のない数字だと思っております。  まあ年度当初にその二千億の経常利益というふうな計画をしましたときには、もしこの中から配当をするとすれば非常にその財務体質がみっともない格好だったものでございますから、全社上下話し合いまして、何とか収益を伸ばして経常利益三千億程度まで伸ばすことはできまいかと、そうなると配当もし、かつ配当後の財務の姿も非常にいいのだということで、徹底的な討論を全国的にやりました。収入見積もりあるいは支出の見積もり、これも毎月毎月何回にもわたって各地方の責任者を呼んでは討論を繰り返し、努力を続けました。そういうことで、まあ先ほど申しましたような中間期決算、それから年間の見込みという数字を得ることができたということでございます。  それでは、そういった中間決算あるいは年間全体の収益見通しができるような数字になれたために、数字にするために一体どういうことを私ども行ってきたかという御報告をしたいと思います。  一つは、仕事をやってまいりますときに権限責任をもっとはっきりさせた方がいいんじゃないかということで、組織改正を行っております。今までの組織は、職能別といいますか、職能別組織立てをしておったのでございますが、今度はサービス別あるいは地域別事業部というものをつくりまして、その長に、方法論的な権限目的本社が与えますけれども、その目的に向かっての目的達成するための手段、方法については、一切権限を任すというくらいの仕事のさせぶりをしたいということであります。  七月に本社段階組織を仮編成をいたしまして、その後下部でいろいろ検討もしてもらい、本社とも意見交換をしまして、このつい先月の末でございますけれども、今総支社と言っております、昔——昔といいますか、電電公社時代電気通信局と言ったところでございますが、この総支社、それからその他の事業部、これを本式の事業部ということにいたしました。ただ、まあ年を越えましてからもう一度その総支社の下にあります支社に当たりますもの、それから電話局部分、これをもう少し手直しをいたしまして完結をするということになります。したがいまして、今もかなり動きをしておりますが、新しい組織での完全な動きというものは、それに伴う人事異動も終わりました来年度以降ということになっております。今年度はそういったふうな仮の組織で、しかも民営化移行当初ということでありましたにもかかわりませずまあまあやってこれましたので、来年度以降こういった組織も固まり、みんなの意識もさらにもう一つ高まれば、かなりいい成果を上げれるのではないかというふうに考えております。  で、その事業部は、先ほどサービス別地域別に分けるというふうに申しましたが、例えて申しますと通信機器事業部、これは大体電話端末でございますけれども、そういったものを売っていく事業部であります。今まではこの端末機を買う部門は買う部門独立をしておる、それから売る部門は売る部門独立をしておる、つける部門はつける部門独立をしておる、料金を取る部門料金を取る部門独立をしておるというふうなことで、それぞれ職能別にずっと一つ電話機を売って、その後それをお使いいただくという行為に関していろんな形でたくさんのセクションが関与しておったのでございますけれども端末機を売るということについてはすべての仕事をこの事業部に統合してすべての責任を持つと、ちょっと私の言い方正確じゃございませんけれども、ほぼそういう格好でくくって仕事をさせるようにしております。そういうふうなことで、企業通信システム事業部でございますとか、高度通信サービス事業本部でございますとか、あるいは前からございますがデータ通信事業本部、こういったものをサービス別につくってございます。さらに、電話を中心とします電話の販売とその維持、サービスをやりますことを主体といたします地域事業本部というものも地域的につくっておるわけでございます。この組織建てにつきましては、ことしの春、このような機会でお話もさせていただいておりますので、組織の問題はこの程度説明にしたいと思います。  ただ一つつけ加えておきたいのは研究所でございます。この研究所組織改正をいたしました。過去は武蔵野、横須賀というふうに四つ電気通信研究所ということになっておりましたが、所掌範囲が広いことと、研究を今後もっと深くやっていくというためにはどうも今の組織ではまずいということで、これは逆に機能別に再編成をいたしました。研究開発本部というものをつくりまして、例えば情報通信処理研究所複合通信研究所あるいは基礎研究所電子機構技術研究所というふうな九つ研究所を置きました。物理的には従来の四つ研究所の中におるのではございますが、管理体制研究体制としては九つ研究所に分けて、これは九月からやっております。今後とも電気通信研究なしては済まされないという要素が非常に強いものでございますから、このような編成後の研究所で大いに頑張らせたいと思っております。今のところ、幾つかの研究分野世界一ということになっております。ぜひ追い越されないように、さらにほかの部門でも世界の一位というものをとっていくようにやっていきたいと思います。そんなことでことしから、来年ももちろんでございますが、研究人員もふやしておりますし、それから研究費相当多額に積んでおります。来年度以降成果がまた出てくるのではないかというふうに考えております。  こういった組織建てをやりまして、あとはじゃどう働いていくかという経営努力のことでございますが、いわゆる合理化という言葉がございますが、そういった合理化相当にやってまいりました。例えば電信関係では、電話で受けつけます一一五、これも相当大きく集約をいたしましたし、電話運用あたりでは電信番号案内方式導入ということも、あるいは新しい手動台導入ということ等も始めております。それから、営業の方ではコンピューターを相当大量に入れまして、サービスシステムを変えていくということ等をやっております。それから、保守では電力の集約あるいは交換機保守も、各地で泊まっておるものを集約して泊める、あるいは昼間は人はおるけれども夜は泊まらないというふうなこと等をやってまいりました。  今私ども大体一年間に九千人ぐらい退職をしておりますけれども、将来の技術力を低下させないためには、相当の数の職員を採りたいと思っております。大体四、五千は採っていかないと十年後に大変なことになるというふうに考えておりまして、九千人ぐらいの退職に対して四、五千というものは最低採用していく。しかし、このような、先ほど申しました合理化ということで人の仕事機械に置きかわるというふうになった部分につきましては、人を埋めていかないというふうなことで、こういったことにつきましては労働組合十分話し合いをしつつ進めておるわけであります。  私どもNTTとして今仕事をやっておりまして、合理化努力というものも大事なんでございますけれども、やはり生き生きとした事業とするための新規事業もつくり出していかなければいかぬと思っております。まあ、今ちょっと駆け出しで元気の入り過ぎじゃないかというふうな言われ方もしておりますが、ここ一年、気合いの入ったところで少しいろんな仕事もやってみたい、あとだんだんとこれを進めていく中で落ちついた事業の運営というふうになってくるんじゃないかと思いまして、会社幾つかつくらせていただきまして、これに対して私ども職員の出向もさせております。出向先に行きました諸君も非常に元気で、全く新しい分野で新しい環境で仕事をするものでありますから結構おもしろいようでございまして、例えば、きょうもある会社に出向させている若い社員が私のところへ参りましたが、これもまたおもしろいのでございまして、私の会社と言う。私の会社は今こうやっておりましてNTTさんの方からこういう注文をもらいましたというふうを言い方をしていますので、その会社の人となって本当にやってくれているんだなというふうな感じもしておるわけでございます。  話がぱらぱらあちこちまいりまして恐縮でございますが、一般営業活動ではどういうことをやっておるか。私どもやはり収入の八五%から九〇%に近いものはやはり電話からの収入でございますので、現在のいわゆる電話加入者という方々を今後とも大事にしていかなければいかぬと思っております。大事にサービスをさせていた。だいて、かつ快く電話利用していく回数をふやしていただくというふうに持っていきたいと思っております。  これはもう先生方も御存じと思いますが、利用促進という格好では、カエルコールとかコケコッコールなんていうふうなこともやらせていただいたり、公衆電話がかけやすくするためにテレフォンカードども売り出しております。今テレフォンカード相当爆発的に出ておりますけれども電話機の方が相当高価で、かつ生産がちょっと間に合わないというところもございますが、急速にこれの設置も追いついてまいりました。効用は今後増していくと思っております。  それから、私ども収益を上げることだけでなくて、お客様に便利に電話を使っていただくということでいろんな新サービスも考え始めておりまして、電話というのは普通二人でしゃべるのでございますけれども、三者で話のできるもの、それから会議電話みたいに、もっとたくさんの人で共通に話ができるもの等の工夫もしてサービスメニューの中に入れております。あと、フリー・ダイヤル・サービスと申しまして、地域指定をしまして着信課金機能を持たす。かけたお客様にはお金はかからないけれども、かかったお客様肩がわりをして、いろんな調査会社でございますとか、あるいはデパートとか、そういったところでかなり利用が見込まれるわけでございます。そうしますと、これはまたいろんな仕事が出てまいりまして、例えばあるデパートがある調査をしたい、需要調査をしたいというときにずっと全国にキャンペーンをして電話でそのお答えをいただくわけですけれども、それが一時的に集中をいたします。その集中した仕事デパートの店員さんが何日か全部とられてしまうというんでは大変なんで、それを代行する仕事というのがまた出てきたり、新しいサービスをつくることによってもう一つまた別の仕事が出てくるということであります。したがいまして、私ども職員は人がやっていた仕事機械に置きかえるのでございますけれども、そこで浮いてきた人たちはまた新しい仕事につけたいというふうに考えておりますが、そういった新しい仕事もこういったサービスを新しくつくることによって付加的においおい出てきております。今後さらにふえていくのではないかと思っております。  それから、単品ではいろいろな電話機もつくり出して売ってございますけれども、最近の傾向としましては非常に高級品指向がございまして、安くて簡便な電話機よりも、かなり値が張って利用の仕方が多様であるというものが売れているようでございます。私どももすべての機種をカバーできませんので、一部のものに絞っておりまして、あとはほかの会社の製品の供給に待つという格好にしておりますが、私ども研究所でも一部こういった新商品の研究もしておりますので、そういった力を利用しながら、品種の数は少のうございますけれども、今後も出していきたいというふうに思っております。  あとサービスに関しましては自動車電話料金を下げさしていただいたとかいうふうなこと等もございますし、それから、これはもう国会でも論議いただきました端末機売り切りも、最初のうちは意外と出なかったのでございますが、最近お客様の方も売り切りということの便利さに気がつかれまして、いつでも取りかえられるということで最近はかなりふえてきておるようでございます。  あと、こういった仕事を永続的に続けていくために先ほど研究というものは欠かせない事項だということを申し上げましたが、同時に設備投資も欠かせない事項だと考えております。当初の額はここずっと一兆六千億から七千億の水準でやってきておりますが、今後大体この水準を続けていくことになろうかというふうに考えております。  今年度、こういったお金を使いまして、例えば三千四百キロに及びます日本縦断光ファイバーケーブルというものを完成さしていただきました。これは私ども申し上げておりますINSというもののためには欠かせない通信手段でございまして、幹線ルートを完成さしていただきました。それから、その他ディジタル交換機というものをできるだけ速いテンポで今までの交換機から変えていきたいというふうに思っております。光ファイバーディジタル交換機ということを十分に駆使することによって安くて大量の通信が可能になるわけでございます。そういったことをねらいましてこの投資も今後ますますいわゆるINS絡み投資というふうな率が高くなっていこうかと思いますが、一兆六千億から七千億、場合によっては一兆八千億という年も出るかもわかりませんが、そういったふうなことでやっていきたいと思っております。  こういった研究にもお金も入れたいし、設備投資も将来の新しいサービスを皆さんがお使いになりたいというときにそこなく出していくために何としてもやっぱり資金調達ということが大事でございます。この資金もできるだけ安い資金を入れていく。使う金が絶対額として非常に大きいものでございますから資金調達の際の金利のわずかの差が大変な差になって出てまいります。ことしの上半期電電債券、これは国内でございますが、それと外貨建て社債トータルで千五百億円出させていただいております。この千五百億円というのは外債の分は邦貨に換算してございますけれども、出させていただいております。内訳は、国内で大体一千百億円、外貨建てで四百億円ぐらいでございます。この外貨ユーロドルで一億ドル、当時は邦貨換算で二百五十億ぐらいになったのでございますけれどもスイスフランで一億五千万スイスフラン邦貨換算で百五十億ということでございます。やはり外貨の方は上手に社債を建ててまいりますと非常に金利が安うございます、国内債よりも一%ぐらい安いというものも取れるわけでございますから、外貨での資金調達というものは今後も続けていきたいと思っております。ただ、不必要なときに資金を借りても金利がかさむばかりでありますから、たまたま資金需要があって、かつ外国債券市場状態が非常に有利であるということとが合わないといかぬわけでありますので、常時外国社債市場とそれから国内資金需要というものを照らし合わしてにらんでおります。今度そんな格好でこの十二月にも一億ドルばかりのユーロドルというものを出したいと思っております。ユーロドルは例の為替の関係がありますので、私どもは手がたくいこうということですべて日本円にヘッジをしておりますので、通貨の変動というものに対しては影響を受けない仕組みですべてを行っております。ただ、スイスフランにつきましては、非常に強いものでございますし、かつずっと長年安定状態でありますので、スイスフランフラン建てでやっておりますけれどもドルにつきましては今申しましたように円ヘッジをした格好で、リスクのない格好での調達ということをやっております。  私ども法律でも国内電気通信をやるんだということになってございますが、世界からいろんなお話がございます。協力をしてくれ、あるいはこういったプロジェクトのコンサルタントをしてくれないかというふうなことがございます。私ども国内での最大の電気通信機器のユーザーでもございますし、NTT日本のメーカーのつくった機器をこのように上手に使っていいサービスをしているんだということを世界に見せることは日本の国のためにとって非常に有効だと思っておりますので、そういう立場で国際交流国際協力というものをぜひやっていきたいと思っております。  今までもたくさんの国と技術協力関係を結んでおりますけれども幾つか取り上げてことしの活動を申し上げますと、中国——中国とも技術協力を結んでおりますが、私ども中古——中古と言っても機能的には新品同様なんでございますが、クロスバー交換機中国にお分けしまして使っていただいております。それの一号局先ほど大同という局で、これは北京から真西へちょうど三百キロぐらいのところでございますが、完成をいたしまして、無事現在動いております。中国側も非常に喜んでくれまして、郵電部あるいは山西省等中心になりましてそれの完工祝いということもこの前やっておるような状態でございます。  さらには、これは鉄道中国鉄道大変力を持っておるのでございますが、この鉄道部の方からの話で、大同から北京を経由しまして秦皇島間の大変長い光ケーブルを引きたいということも技術協力コンサルティングをやってくれないかということで、これも正式契約をいたしまして、現在職員を派遣してもう間もなく工事にかかる段階になっておると思います。  それから、新たに技術協力を結びましたところでは、ニュージーランド、クウェート、フィリピンというふうなものがございます。それから、あと米国のAT&Tとかナイネックスでありますとか、パシフィック・テレシス、これはATTが分割されまして地域電話会社になりました各社も相当力のあるところがございまして、そういったところが私どもと技術の交換でありますとか、技術に関する意見交換でございますとか、いろんな技術協力というものをやってほしいということがございますので、そういったこともことし始めました。結局、六十年度上半期末におきますこういった交流国あるいは機関というものは、十三カ国十七機関というふうになっております。もちろんこういった過程を通しまして訓練を頼まれるというのが非常に多うございまして、今年度上半期におきましては、これ、程度の高い方々でありますが、これを二十三カ国に対して六十一名の専門家を派遣いたしました。それから、四十八カ国から百二十五名の研修貝を受け入れて、現在まで訓練をやっております。この傾向はさらに今後強まってくるというふうに考えておりますが、私どもとしては、できる限りこういった訓練に対しても協力することによって日本の技術レベルを知っていただく、ひいては日本交換機あるいはその他の電気通信機器というものが世界に売れていく、売れていって利用されるということは国の貿易にとってもいいことではないかというふうに考えております。そういった形での協力はぜひ惜しみなくなっていきたいというふうに考えております。  こういった国際関係の中で一つ毎回問題になりますのは国際調達でございますが、まあいろんな問題がありましたが、私ども誠心誠意やっているつもりでございます。年に何回かはこの摩擦問題で郵政省の御指導を受けながらアメリカに行って話し合いもしておりますし、できるだけ公正に買うということを言ってもおり、かつやっているつもりでございます。ただ、やはり日本の技術水準が非常に高くて、製品の質がよくて安いものでございますから、正直言ってなかなか現実買う金額というものは伸びないんでございます。最近では向こうさんもその辺の事情わかってくれまして、誠意を示してわざと買わないというんじゃなくて、誠意を示して買う気だけれどもなかなか買える物がないんだねというふうなことで、わかってくれたようであります。ただ、だんだんなれてまいりまして、アメリカさんの方も大変勉強をされまして、こういう形でこういうふうにすれば日本で使ってくれるのではないかというふうにいろんな工夫をしてアプローチがございます。私ども公平に見て、技術的によく、かつ安いというものであれば、私ども通信網に調和する限り買っていきたいと思っております。過去二年間、大体三百億ぐらいの調達をしてまいりましたが、六十年度の上期だけで申しますと百億円でございます。今年度年度末までまいりますと、ほぼやはり三百億円近くにはいくんではないかというふうに思っております。しかし、単品で物を買うというのはなかなか難しゅうございまして、なかなかアメリカ側の満足いくような数字にはならないと思いますので、今後とも息の長い話し合いになろうかというふうに思っております。  話があちこち行って恐縮でございますが、あと一、二点申し上げます。  その一つでございますが、私ども第一種業者、内容的には第二種の仕事も含めてやらしていただいておりますが、いよいよ第二電電、第三電電と申しますんでしょうか、新規参入業者の方々が出ていらっしゃいまして具体的な活動を始めておられます。  今、私どもとの間で論議になっておりますのは、相互接続に関する問題でございます。相互接続をしますときに、当然のことでございますけれども、接続をするための新しい機械の設置が必要でございます。そういった機械の設置についてその経費をどう分担するか、あるいはもっと先の問題でございますけれども、つなぎ合ったときにいわゆるアクセスチャージというものをどうするんだというふうなことを現在話し合い中でございます。何らかのいい結論が出るのではないかというふうに思っております。  大体、以上で現在までの模様を説明させていただいたと思っておりますが、今後どうやっていくかということでございます。  一つは、先ほど来申しておりますように、いわゆる経営の効率化でございます。この経営の効率化を相当本気で、数字が出るような格好でやってまいりませんと、やはり新規参入業者の方が入ってまいりました後は、なかなかしんどい情勢になるんではないかと私は思っております。  世の中では、NTTと新規参入業者が競争したら絶対に新規参入業者が負けるというふうなことをおっしゃる方がいらっしゃいますけれども、それは私は全くそういうことはないと思っております。例えば、東京−大阪間で、NTTの回線と新規参入業者の回線がありまして、その間に料金格差がある。つまりNTTより安い料金でかけることができる。四数字だけダイヤルを余計に回せばかけることができる。しかも、新規参入業者の回線を使うとしても、使い始めたらNTTのを使ってはいけないということじゃないわけでありまして、どっちでもいつでも使えるわけでありますから、状況のいい限りその安い方を使うというのは、これは当然のことでございます。そういったことで、私どもに入っておりましたトラフィックというものは相当度に流れていくだろうと思っています。そういった意味合いから新規参入業者の方も、流れ込ませるためにはNTTより料金を下げなければいかぬ、下げるためにはいろんな経営努力のほかにその出費も少なくしたいということで御努力をなさっておりますが、そのアクセスチャージ、先ほど申しましたその辺は、そういったものとの関連において今話をしておるわけでございます。  それで、私ども経営の効率化、合理化といいましても、ただひたすらむやみに働いて汗かけばできるというものじゃございませんで、先ほども申しましたとおり、やはり積極的な事業経営というものも展開していきたい。新しい仕事を発掘して、そこに人をつけ、やっていきたいと思っております。むだな、働く職場がない人がいることはいけないことでございますけれども、十分に働いてもらっている職員が新しい仕事でまたやるということは、それは非常に結構なことなんでありますから、三十万人現在おりますけれども、この職員に有効に働いてもらうということは、国の雇用政策からいっても、私ども社会的責任だろうと思っております。そういった意味で積極的にいろんな仕事の分野も広げていきたいと思っておりますが、これに当たりましては、もちろん世間との調和、世間の御意見を聞きながら進めていきたいというふうに考えております。  それから、先ほど研究も力を入れるんだということでございますが、幸い日本全体、これNTTだけじゃなくてメーカーも含めて、世界で先端を行っているというふうに言っていいんじゃないかと思います。これをこのまま維持し、さらに進めるということの中で、私どもNTTとしても当然何がしかの役割があるわけでございますが、こういった先端技術の研究開発、これはもう徹底的にやっていきたい。これは最終的にはコストダウンにもつながるものでございますから、これも徹底的にやっていきたいと思っております。  もう一つは、ゆるぎない経営基盤の確立でございます。最近私どもの内部でも相当意識の変革というものが進みまして、かつては収入と支出を全く別個に考えるという癖もございました。支出は支出、収入収入。最近は、これだけの収入を得るためにこれだけの支出を立てたい、あるいはこれだけの支出を立てるんだからこれだけの収入は絶対に得なければならぬというふうな感覚で事業をやってくれております。そういったことは非常に私どもとしてうれしいことであります。そういった感覚で仕事をやっていただければ、経営基盤というものも次第に固まってくるだろうと思います。そういった経営の効率化、先端技術の開発、経営基盤の確立というふうなことが成功いたしますれば、お客様のニーズにも十分対応できて、一層役に立つサービスの提供ということもできることになるんだというふうに考えております。私ども今後そういった努力を重ねながら新しく入ってこられる業者の方々といい意味の競争をぜひやっていきたいというふうに考えています。  話があちこち行きましてお聞き苦しい点がございましたと思いますが、以上で私の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  7. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) どうもありがとうございました。  以上で児島参考人からの意見の聴取は終わりました。  児島参考人には大変お忙しい中を本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の本小委員会における調査参考にいたしたいと存じます。  小委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  次に、特別第二種電気通信事業者協議会会長金岡幸二君から御意見を聴取いたします。  この際、金岡参考人小委員会を代表して一言あいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本日は、新電電の新体制移行に伴う諸問題について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  それでは、金岡参考人に御意見をお述べいただきます。金岡参考人、どうぞ。
  8. 金岡幸二

    参考人金岡幸二君) 特別第二種電気通信事業者協会の会長でございます金岡でございます。  本年四月の電気通信事業法の施行により、我が国におけるいわゆる通信の自由化が実現いたしました。長年情報産業に携わってまいりました者にとって十数年来の懸案の事項であり、強く要望を続けてまいりましたことが現実のものになったということで大変喜ばしく思っている次第でございます。また、今後情報通信の技術がますます発展していく中で、コンピューターによる情報処理と通信とを一体化した事業の展開に大きく道が開かれたということ、さらに新しい通信のさまざまなサービスを広く本格的に提供できる機会が与えられたということで、経営者の一人といたしまして今回の自由化について格別の意義を感じているものでございます。これもひとえに先生方の深い御理解と御指導のたまものであり、ここに厚く御礼を申し上げる次第でございます。  さて、御高承のとおり、本事業法におきましては電気通信事業を第一種電気通信事業と第二種電気通信事業とに分類いたしております。本事業法が実施されてより約八カ月経過したわけでございますが、本日私は、第二種電気通信事業者の代表として第二種電気通信事業の現状と問題点並びに今後の課題等につきましてお話を申し上げたいと存じます。  また、今般の通信制度の改革に当たりまして要望いたしておりました事柄の中で、積み残しになっております問題点が幾つかございます。殊に公正競争条件の整備の問題、国際通信の問題など今後国政のレベルでさらに御検討をお願いいたしたい事項がございますので、これにつきましても述べさせていただきたいと存じます。  まず第一に、一般第二種電気通信事業の現状について申し上げます。  第二種電気通信事業には、郵政大臣に届け出を行うことにより事業ができる一般第二種並びに郵政大臣の登録を受けなければならない特別第二種がございます。本日現在、一般第二種として百七十六社が、特別第二種として九社がおのおの届け出及び登録を行っております。四月一日の時点で中小企業VANから自動的に一般第二種となりましたものが八十五社ございますから、約百社に近い企業が自由化後、第二種電気通信事業の市場に参入したことになるわけでございます。非常な勢いで増加したわけでございます。新規に参入いたしました企業は、情報サービス、コンピューターメーカーなどの情報関連分野企業、さらに陸運、倉庫等の物流関連分野あるいは流通、金融、商社などさまざまの業種にわたっているのでございます。  本事業法の定めるところによりますと、特別第二種は不特定かつ多数のユーザーに対し電気通信役務を提供する者で、その規模は千二百ピット・パー・セコンド換算で五百回線以上の者であり、これ以外の者を一般第二種としている次第でございます。  ところで、一般第二種が行っております業務は、その参入企業の業種と同様、多岐にわたっております。流通システム、金融システムなどのあらゆる産業分野に広がっております。この一般第二種の電気通信事業者が行っている業務は、技術的に見ますと従来のオンライン情報処理とそれほどの大差がございません。異機種のコンピューター同士、あるいは異なった企業間のコンピューターを接続すること自体はそれほど新しいことではなく、従来技術で可能であったのでございます。しかし、今般の制度改正により、ユーザーにとってのメリットが非常に大きなものとなったことは確実でございます。  すなわち、前公衆電気通信法におきましては、業者が他人の通信を媒介してはならないことになっており、昭和五十七年秋よりわずかに特例として小規模な企業に対してのみ限定的に通信を可能にしたのでございます。今回の新電気通信事業法の施行によって、初めて他人の通信を第三者が事業として行えるようになり、多くの企業が共同して一つ通信事業会社を創設し共同の通信により便益を得るようになったのであり、全く画期的なことであります。  一例を申し上げますと、私ども会社で関連しているものの一つとして日用雑貨品の業界VANというものがございます。これは、お互いに市場では激しく競争しております同じ業界の幾つかの有力な企業が、一つのグループを形成して、一つの情報システムを共同で運営しようというものであります。これが実現することによって、メーカーと卸業や小売業との間における経営のさまざまな活動の効率や能率が飛躍的に向上するものでございます。このような例は、以前の考え方では極めて実現が困難であったと思うのでございます。異なる業種、階層の企業間の接続は、代金決済でありますとか、受発注、在庫間問い合わせのように相互に利害が一致いたします中のみで行われたのでございます。しかし、相互に利害が対立する競争会社一つにまとまるということは、やはり通信の自由化というものをユーザー自身が真剣に受けとめ、どうしたらこれを有効に活用できるか、最大のメリットを得るにはどう利用するかについて必死に知恵を絞られたことの成果ではないかと思うのでございます。  このように、企業あるいは産業界における経済活動の効率化に大いに役立っているという点で、今般の通信の自由化は高く評価されるべきだと考える次第でございます。  次に、特別第二種電気通信事業者の現状について申し上げます。  第二種電気通信事業の果たす機能を大きく分けますと、一つ電話、電信や回線の交換などの基本通信でございます。二つ目は、パケット交換、プロトコル変換あるいはメディア変換、速度変換などの通信処理を行うことでございます。三つ目は、データ処理やデータベースのような情報処理と密着した通信でございます。これら三つの機能あるいはサービス通信が分類できると考えるのでございます。  さきに述べました一般第二種は、このうち三つ目の情報処理を重点にしたものと考えてよいと思うのでございます。  一方、特別第二種は、主として基本通信通信処理の分野を受け持つことになります。特別第二種電気通信事業者は、さきに申し上げましたように、現在九社あるわけでございますが、それらの中には既に事業を開始した事業者、準備中の事業者、あるいはとりあえず登録だけという事業者もあるという現状でございます。今後さらに新規の参入が予想され激しい競争が展開されると見られるのでございます。特別第二種事業者のサービス品目を見ますと、ディジタルパケット交換サービス、高速ディジタル網利用による総合的通信サービス、有線、無線、宇宙通信等の統合利用による通信サービス等であり、現在ではパケット交換中心にしているところが多いのでございます。  パケット交換といいますのは、コンピューターとコンピューターまたは端末機間などを結ぶデータ通信を効率的に行うために考え出された通信方式でございます。一本の通信回線で同時に複数の利用者が情報のやりとりのできる多元接続、多重通信が可能で、従来の単純な単一接続方式に比べ通信の効率を数倍に高めることができる方式でございます。本来VANという言葉は、このようにパケット交換等によって他人の通信の媒介を効率よく経済的に行うネットワークそのものを指すのでございます。  さて、パケット交換によるネットワークサービスはユーザーにとってどのようなメリットがあるかということでございますが、まず料金が安いということでございます。弊社の場合で申し上げますと、一パケット百二十八バイト、約百二十文字前後が全国一律四十銭で提供できるのでございます。NTTのように遠近格差はございません。さらにサービスの質が高いということでございます。NTTがこれまでやってこなかったきめ細かなサービスの提供を進め、これまでネットワークを独占していたNTTと一味違った通信サービスを展開しようというものでございます。  第三番目に、第二種電気通信事業者の課題について申し上げたいと思います。  電気通信サービスの市場でユーザーは何によって事業者あるいはそれらが運営するネットワークを選択するかということを申し上げますと、次の六つがポイントでなかろうかと思うのでございます。すなわち、第一は高速大量通信ができるか、第二は即時性が保たれ、待ちがないか、三番目といたしまして信頼性、安全性が高いか、四番目といたしまして広域性、立体性があるかどうか、五番目といたしまして柔軟性のある通信網であるか、そして最後に安い価格、経済性がすぐれているということでございます。すなわち、任意の地点間で、より速く、より安く、より安全に通信ができ決してシステムがダウンすることがないネットワークがいいネットワークであり、競争力のあるネットワークであると考えることができます。  そこで、いかにしていいネットワークをつくるかということが第二種通信事業者、特に特別第二種通信事業者の課題になるわけでございます。  弊社について申し上げますと、昭和五十七年から現在のパケットネットワークの構築を開始いたしました。約三カ年を経てようやくユーザーの皆様に安心してお使いいただける自信がついたわけでございますが、やはり全国の隅々に拠点、アクセスポイントを張りめぐらした大規模なネットワークを構築するため解決していかなければならない課題は数多くございます。また今後とも努力を怠りなく続けていかなければならないと思っているものがございます。  こうした課題の幾つかをピックアップしてみたいと存じます。  信頼性、安全性の確保につきましては重要な問題でございます。事故、災害等によるネットワークの故障、あるいは犯罪等による破壊はユーザーに多大な損害を与えるおそれがございます。こうした事態を未然に防止するため回線設備や機器設備の二重化などセキュリティー確保のための方策に多大な投資が必要になってまいります。同時に経営のリスクも極めて大きなものとなります。こうした投資やリスクに対する負担に耐え得る強い体質の企業であることが我々事業者に求められますし、また社会的にも求められるのでございます、この点につきましても財政面、税制面、金融面での措置の御検討を当局にお願いをする次第でございます。  また、柔軟なネットワーク機能というものが課題になっているわけでございますが、これは他のネットワークとの相互接続が自由に、かつスムーズに行えることが求められるわけでございますが、それにはネットワークを構成する各種の通信機器に互換性が必要となるわけでございますが、互換性を確保するための技術基準、通信推奨方式の策定などについての御検討を、関係諸官庁、諸団体によりさらにお進めいただきますようお願いを申し上げる次第でございます。  また、通信あるいはネットアークに関するハードウエア、ソフトウエアの技術者確保の問題も事業者にとって重要な課題となっているのでございます。  次に、国際電気通信事業の問題について申し上げたいと思います。  今般の制度改革により国際間の第二種電気通信事業が法制上可能になったわけでございます。本事業法には、特別第二種電気通信事業者は、また本邦外との他人の通信の媒介を行う者としての規定がございます。  ところで、国際間における電気通信事業者につきましては、国内とは異なり国際間の取り決めによらなければならないことが多く、ITUの常設機関CCITTによって採択されたD1勧告により国際専用回線の使用を厳密に制限されているのでございます。このため、実際には第二種電気通信事業者として国際電気通信事業が極めて狭い範囲にとどまらざるを得ないのが現状でございます。  社会、経済の国際化が進展する我が国におきましては、国際通信の需要がますます増大し、通信サービスの高度化、国際ネットワークの充実が要請されるところであります。関係官庁において既に検討が進められているところではございますが、国際通信の問題は、また国際的な協調関係のもとで対応することが必要でございます。国際間における第二種電気通信事業の展開が早期に実現いたしますよう、国政レベルでの御尽力をぜひお願いする次第でございます。  最後に、公正競争問題について触れさせていただきたいと思います。  これまで述べてまいりましたとおり、本年四月に行われました通信の自由化は一応の成果を見つつあるということは評価できることでございます。しかしながら、まだ多数の問題が残っているのも事実でございます。特に、自由化以後に懸念されておりました新規参入者とNTTとの問題は、むしろ深刻化しているのではないかと思うのでございます。  そもそも今般の改革のねらいは、通信分野における技術革新、ニューメディアの出現によるニーズの変化など、社会情勢の大きな変化に対応するため、旧電電公社一社による独占体制を排し、競争原理を導入して民間活力を活用し、通信事業分野の発展を図ることにあったのであります。もとより、国民の財産によって通信分野が独占的に形成されたNTTは、資本力、技術力などにおいて当初から他の事業者に対し圧倒的優位に立っており、NTT動きによっては公正競争が十分に確保されないのではないかと懸念されていたのでございます。現在の状況を見ますと、残念なことではございますが、当初の懸念がそのとおりの形であらわれているのではないかと思うのでございます。特に、第二種電気通信事業の立場から申しますと、NTTの巨大な力が市場における公正競争実現の阻害要因になっていると言わざるを得ないのでございます。  NTTは、公共システム事業、金融システム事業など、ユーザー別あるいは地域別組織化された情報処理事業のためのデータ通信事業本部という赤字であった部門を置いております。民間会社的発想でこの部門を考えますと、十数年にわたり累積した赤字は数千億円に達するのではないかと想定され、他部門より補てんされていたと想像されるのであります。この旧公社時代にいわゆるデータ通信本部と呼ばれていた組織を引き継ぐものと考えられておりますこの部門でございますが、この部門はまさに情報処理事業者並びに第二種電気通信事業者の行っている事業と全く類似の事業であり、かつこの分野では民間情報処理事業者が公社に先立ってサービスを展開していたものであり、公社が後で参入した分野でございます。NTT以外の第二種電気通信事業者はNTTから通信回線を借り、回線科をNTTに支払って第二種のサービスを行っているわけでございます。ところが、NTTNTT自身の回線を使用してこのサービスを行っているわけでございます。第二種事業者にとって通信回線コストはコスト全体を占める割合が非常に大きいものでございます。しかるに、実質上通信回線を独占しているNTTが内部相互補助のもとに第二種サービスを行うとすれば、この市場における公正競争条件の確保という点で極めて重大な問題であると考えるのでございます。  また、NTTはDDXlPというパケット交換サービス高度通信サービス事業本部の担当で行っております。これも同様に、NTTNTT自身の回線でパケット交換という付加価値サービスを提供しているのでございます。  このようにNTTの第二種サービスは他の事業者との公正な競争条件のもとで行うことを担保されにくいのではないかと考えるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、NTTの第二種電気通信事業と同一事業を行う部門NTTから分離し、別会社として運営されるべきであり、かつNTTの実質的な支配力——資本、大事などを排除した形での経営が望ましいと考えているものでございます。  次に、回線利用の問題でございます。今般の自由化におきましては電話利用のための回線再販、すなわち公衆回線と特定回線の接続が見送りになっております。ユーザー負担の軽減の見地からも、ぜひとも早期に実現が望まれるところであります。また、第二種電気通信事業者のみこのような事業制限を受けることは不公正な競争条件であると言うことができます。  NTT投資活動にも問題なしとは言えないのでございます。NTTは本年四月以降、投資活動が自由になったのでございますが、現在まで十数の新会社を一〇〇%子会社あるいは合弁で設置しております。いささか無秩序ではないかという感もいたすのでございますが、これらは第二種事業の市場で、あるいは他の市場におきましても他の事業者を圧迫する可能性を含んでいるのでございます。IBM社との合弁により電気通信事業の新会社を設立すると発表されておりますが、事業が開始されておりません現時点におきましては必ずしも内容がはっきりせず、細かいことを申し上げられませんが、これも独占あるいは不公正競争の問題を生じさせる土壌にあるということは言えるのではないかと思うのでございます。NTTの経営陣に対し、我が国の電気通信事業発展のため独占を排除するという社会的責任を自覚され、自己規制のもとに公正競争条件の実現にみずから参画いただくことを望むとともに、国政レベルでの今後の施策の御配慮をお願いするものでございます。  さて、本事業法では電気通信事業を第一種と第二種に区別しております。第一種はみずから通信回線設備を保有するもの、第二種はそれを保有せず、第一種から賃借してサービスするものとなっているのでございます。ところが、第一種も第二種も、いずれもユーザーに対し電気通信という同じ種類のサービスを提供することが許容されているのでございます。ユーザーから見れば、その通信サービスの提供者が設備を自前で保有しているか設備を賃借しているかは、ほとんど無関係なものでございます。したがって、両者に競争の生ずることは当然であります。しかしながら、先ほど来申しましたように、NTTは長年にわたり国民の蓄積した有形無形の通信資源を独占したわけであり、今後新規参入通信事業者、特に第二種電気通信事業者と無用な摩擦が生ずることがないよう御指導を賜りたいと存じます。  また、米国のFCCの役割が通信政策というよりは通信及び通信関連事業における独占政策、公正取引条件の整備のための政策等を遂行しているように見えるのであります。我が国においてもこのような視点で通信政策を見直されんことを期待しておるのでございます。本事業法の三年後の見直しに際しまして、これらの点に関しましても御検討をいただきますようお願い申し上げます。  以上、私は、本事業法通過後、我々の周辺で起こりましたことにつきまして申し上げ、また、今後お願いいたしたいことを申し述べた次第でございます。  大変御清聴ありがとうございました。
  9. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) どうもありがとうございました。  以上で金岡参考人からの意見聴取は終わりました。  金岡参考人には、大変お忙しい中を本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  ただいまお述べをいただきました御意見等につきましては、今後の本小委員会における調査参考にいたしたいと存じます。  小委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  次に、社団法人日本情報通信振興協会会長志場喜徳郎君から御意見を聴取いたします。  この際、志場参考人小委員会を代表して一言あいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本日は、新電電の新体制移行に伴う諸問題について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  それでは、志場参考人に御意見をお述べいただきます。志場参考人、どうぞ。
  10. 志場喜徳郎

    参考人志場喜徳郎君) 志場でございます。  法施行後における電気通信事業の現状とその課題のようなことにつきまして、率直に考えております、あるいは見られると考えておりますところを申し述べて、御参考に供したいと思うわけでございます。  御承知のこととは思いますけれども、現在、第一種の電気通信事業として新規に五社の免許、特別第二種として九社の登録、一般第二種として百七十六社の届け出というのが現状と承知しております。もっとも、一般第二種の百七十六社、多いようでございますが、その約半分程度は、従来から中小企業VANということで届け出といいますか、ありましたもので、この際、法施行後の新規には八十社前後と思いますけれども、そんな状態でございます。なお、新規の第一種はまだ事業を開始していない、早くて来年の秋ごろからと、こういうのが現状だと承知しております。  このような現状を見まして、どういう特色が見られるかということでございます。二つ、三つに分けることができるかと思うんでございますが、まず一つとしましては、企業事業会社ですね、産業界の企業内ないしは特定の系列企業間の情報化、これが比較的先行的に進んでいるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。これを中心にしまして、主として産業分野における情報通信化、これが中心に進んでいるという現状であります。したがいまして、その反面、いわゆる社会あるいは生活分野における情報化、あるいは情報通信化というものがまだこれからの問題である。あるいは産業の企業間あるいは系列企業間が主でございますので、いわゆる地域間格差といいますか、それがはっきりと見られるということが一つの特徴ではないかと思うのであります。  その結果と申しましょうか、反面、不特定な企業間の情報通信ネットワークというものへの動きは極めて鈍い。これは特別第二種が九社にすぎないとかいうことを見てもおわかりだと思うんでございます。  それで、こういう特徴を持っていると思うのでありまして、つまり産業界のネットワークと申しますか、あるいはそれを中心にしたデータベースの発展というものは、予想されたごとく先行的にまずまずの進展を見せつつあるのではないかと思うわけでありますけれども、もう一つの、電気通信事業法の改正が主たる目的としておると考えられますところの電気通信事業の自由化によるサービス選択の多様化ということにつきましてはまだこれからである、全くその緒についていないのが現状ではないか、こういうふうに見られるのであります。  こういうふうになっている理由というものがどういうところにあるのか、こういうことでございますけれども、二、三考えられるのではあるまいか。  一つは、技術者が何と申しましても不足なわけでございます。本年から御承知のとおり電気通信の主任技術者の試験、あるいは工事担任者の試験というものが二十万人近いような受験者を対象にしまして行われておりますが、そういうふうに多くの受験者がおるということはそれだけの社会的ニーズがあるということでございますけれども、合格者も少ないわけでありますし、つまり、実際問題として電気通信事業にかかわる技術者というものが非常に不足している。あるいはソフトウエアのコンピューターの部門におきましても、情報処理技術者というものがいろいろ試験がございますけれども不足している。専門学校を出た者につきましても、第一種とか情報処理の資格を持っている者は非常に少ないというような現状でありまして、つまり、技術者不足によりましてソフトウエア危機というものが言われておりますけれども、そういうのがございまして、事業者があるシステムをつくろう、企画しようとしましても、技術力の不足、技術者の不足によってなかなかそれが滑り出さないということがございます。と同時に、技術的な問題といたしましては、システムの相互間あるいは機器間の接続を可能にすべきいわゆるインターオペラビリティー、これが先ほどの需要者から見まして、いろんな各種サービスを自由に選択するというために、あるいは異なるデータベースに一つ端末機等からアクセスするということのためには、どうしてもインターオペラビリティーというものが確保されなければならないんでございますけれども、それがハード、ソフト両面における標準化ということにつながってくるわけでございまして、これがまだこれからであるということでございます。標準化につきましては、最近電気通信技術委員会というものもようやく発足いたしまして、民間のレベルでそういったプロトコルというようなその他の通信技術相互間の標準化ということを課題にしておるわけでございますけれども、ようやく始まったばかりでありまして、その辺がなかなか事業として起こってきていない大きな原因の一つじゃないかと思われます。  それから次の理由として考えられますのは、第一種事業における新規参入、先ほど五社あると申しましたけれども、まだ事業は開始しておりません。あと一年後にようやく予定されておる。でございますので、この第一種事業におきまする料金とかサービスとかいうことにおける競争状態というものがまだ始まっておりませんわけでございます。実はこの第二種、つまり高度の付加価値のVANと申しますものは、第一種の回線のサービス料金、その上に成り立つものでございます。これが競争条件になって初めていろんな各種の利用可能性だとかサービスだとかいうものがそこに準備されてきまして、その上にまたいろいろ付加価値を持ちましたVANの事業というものが花咲くわけでございますけれども、これがまだNTTの一社のいわば従来のような線上で動いているにすぎませんもので、したがいまして、例えば接続料の問題にいたしましても、あるいは回線料金の問題にいたしましても、まだまだこれからのことでございますので、どうも第二種の高度VANというものが育つ地盤というものがこれからであるということがございます。  それからもう一つ、それと関連いたしまして、NTTの子会社を含みますけれども、第二種事業への進出、特にアメリカの巨大企業とタイアップしていろいろ第二種事業に乗り出すのではないかということが新聞紙上等に報道されておりますが、そうなりますと、それが具体的にどういう市場でどういうシェアを持つのであろうか。この方が資金力、技術力巨大でございますので、そういうことがいろいろ新規参入の場合に市場性の見通しというものが極めて困難である。それに先取りされてしまいますと、せっかくいろいろコストをかけ、資金を投じましても市場がどれだけ確保できるだろうかということが、なかなかその見通しがつかない。もともと高度の技術の建設のためにはかなり投資額というものが、懐妊期間というものも必要でございますけれども、そういう先行のものが名のりを上げてくるとなりますと、いよいよもってこの見通しというものは不透明になってきまして非常にリスキーの感じがいたします。というようなことがございまして、あれやこれやの理由で、先ほど申しましたようないろんな多様なサービスを自由にエンドユーザーとして選択していくという事業がまだまだ緒についたとは言えないのが現状ではないかと思うのでございます。  そういう現状の認識の上に立ちまして、今後どういう課題があるかということは、今の理由として述べましたところからおのずから浮かび上がってくるわけでございますが、まず私として考えますのは、今申しましたように、第一種事業ができるだけ早く現実に動き出して、料金あるいはサービス面における競争状態というものが非常に早く行われるようになってもらいたいということでございます。また、その前提としまして各種の料金というようなものが競争的あるいは合理的な基礎の上に早く設定して、いろいろ事業見通しができやすいような状態になってもらいたいということが一つございます。  それから第二番目は、今申しましたようなNTTその他の巨大企業による既存力をもってする先行的あるいは市場先取りというような動きというものにつきまして、今回の法改正の趣旨に照らして、なるべくこれを合理的に、抑制といいますか、指導的なことも行政当局にお願いしたいし、またNTTを初めそれらの企業の自制というものも求めたいということがあるわけでございます。これは、ひいては既存の有力企業あるいはその企業の系列の企業群によりますところの経済勢力の不当なといいますか、乱用的なといいますか、行使に基づく独占的あるいはカルテル的な動きを予防するということにつながっていくわけでございますけれども、これの前提がございませんと、なかなか法改正の意図したところが地についてこない、展望が難しいのではないかというふうに考えております。  それから三番目といたしましては、先ほど申しましたように情報通信にかかわる技術者の育成あるいはこの標準化の促進あるいは既存の技術の民間への開放とその普及を図る、こういう技術面の配慮あるいは行政でございます。  いずれも、この三点ともなかなか基本的な問題で大きな問題でありまして、かずに時間をもってしなければならないと思うわけでありまして、私ども報通信振興協会といたしましては、それぞれについて必要と認められる意見を申し述べましたり、陳情でお願いしたりするわけでございますが、今後そういう配慮をお願いすることによりまして、何しろ始まったばかりでございますので、その芽はようやく出かかっておるわけでありまして、これをある時日をかしながらも、いい意味のグラウンドあるいは方向づけというものをお願いいたしまして、その上に法改正の趣旨が十分に実現されますように、これは数年後のことかもしれませんけれども期待したいと念願しておるところでございます。  以上、甚だ簡単でございますけれども、現状とその課題というようなことにつきましていささか所見を申し述べて御参考に供したわけでございます。どうも御清聴ありがとうございました。
  11. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) どうもありがとうございました。  以上で、志場参考人からの意見の聴取は終わりました。  志場参考人には、大変お忙しい中を本小委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。ただいまお述べをいただきました御意見等につきましては、今後の本小委員会における調査参考にいたしたいと存じます。小委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  次に、東京大学工学部助教授浅野正一郎君から御意見を聴取いたします。  この際、浅野参考人小委員会を代表して二言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本日は、新電電の新体制移行に伴う諸問題について十五分程度忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  それでは、浅野参考人に御意見をお述べいただきます。浅野参考人、どうぞ。
  12. 浅野正一郎

    参考人浅野正一郎君) 浅野でございます。本日、私は、大学で情報通信関連の研究、教育を行っている立場から、今日の情報通信を眺めまして幾つかの考え方を述べさせていただきたいと思います。  まず、我々技術サイドから申しまして、技術的側面から見た今日の電気通信の発展の概要をまず整理さしていただきたいと思います。  まず第一点は、ディジタル技術の利点が今日は強く強調されてきているということであります。これはLSI、大規模集積回路でありますが、あるいは光ファイバー線路、そのような新しい技術が用いられるようになったわけでございますが、それらはともにディジタル通信あるいはディジタル処理、そういうふうなものに活用いたしますと最もその効果が発揮できる、そういうふうなものになっているわけでございます。同時に、ディジタル技術と申しますのは、情報処理との融合が極めて容易となっているものでございます。で、これはマイクロプロセッサーに代表されるような安価なディジタル処理の素子と通信とが容易に融合できるような側面を生み出すことになっておりまして、キャプテンあるいは近日中に開発されて試行されておりますようなメッセージを蓄積し交換するような新しい形のサービスであったり、そういうふうなものが手元から容易に活用できるような、そういうふうな場面を生み出している、これはディジタル技術の持っている利点と考えられるわけであります。  で、今日の技術の発展動向の第二点は、ディジタル技術によりましてサービスの統合化あるいは総合化が容易に行われるような環境が生み出されているということでございます。  今日は、電話通信でありましたり、ファクシミリ通信でありましたり、あるいは一部の放送でありましたり、その中にディジタル通信技術が積極的に導入されているわけでございます。  で、従来までの通信形態がこのようにともにディジタル化されまして、情報通信と連携を深めてきているわけでございますが、これらのさまざまなディジタル技術が総合化され、統合化されていくというふうな技術が今日非常に急速に開発されているわけでございます。統合サービスディジタル通信網、英語にいたしますとISDNの略称で称されているものでございますが、これは今日積極的に国際的な標準の場で検討が進められているものでございます。NTTINSモデルシステムにおいて実験を進めているのもこのISDN技術の確立をねらっているところが目的となっているわけでございます。で、電話サービスから始まりましてファクシミリ通信、データ通信等々、将来はVANを利用するような、そういうふうなアクセスメディアとしてもこのISDN技術というのは我が国では非常に重要な技術となってくると、こういうふうに考えております。  またISDN技術の完成が日本と欧米諸国との間の一つの技術開発競争のテーマにもなっているというのが今日のところでございます。  このように申しまして、技術の発展の分野というのは、情報を伝え、情報を交換し、その情報を発生する端末装置、その三つが情報通信の構成の三つの要素と考えられるわけですが、そのすべてにおきまして技術の発展が見られているわけでございます。  情報の伝送と申しますと、先ほどの光ファイバー線路だけではなくて、通信衛星技術の発展もその裏にあるわけでございます。で、高機能、大容量かつ信頼性の高いというふうな特徴を持っている通信衛星が実用化されているということだけではなくて、同時に周波数の高いところで通信衛星の利用が行われてきているということです。その効果は送受信に用いますアンテナの小型化をもたらすことになりまして、地球上の設備の設置が非常に簡易になっているというふうな特徴を生んだわけです。  このように、光ファイバー線路であったり通信衛星であったり、そういうふうなものの生産性が向上し、利便性が高まるというふうなことによりまして多様な通信事業体が活用する機会を生み出している、これが今日のことでございます。  交換技術に対しましてもディジタル技術というのが積極的に用いられ、その技術開発が進められております。  ディジタル電話交換機の実用化が行われ、同時にその実用化の裏づけになりますような制御信号の伝送方式にもディジタル技術が用いられております。これは共通線信号方式ということでございますが、そのようなものの導入も積極的に行われておりまして、これによりまして災害時におきましても通信の疎通品質が高くなるような、そういうふうな配慮がなされる通信網ができる、あるいはより現在よりも柔軟な接続を可能とするような通信交換網ができるというふうなところに技術があらわれてくるわけでございます。  情報端末機器におきましても、LSI技術あるいはマイクロプロセッサー技術に上りまして機能が高度化、高機能化するということが行われております。  電話端末機器から、すべて将来はインテリジェント化された端末に移行していくというふうに見なされておりますし、その利用方法も単にボタンを操作するというふうなことではなくて、より自然な形態で端末機器を利用するというふうな形になります。すなわち、音声であるとか手書き文字であるとか、そういうふうなもので直接機器を制御をし操作できるような、そういうふうな研究開発が中心となっております。これはマン・マシン・インターフェースの改良というふうなテーマとなっておりますが、このようにいたしまして端末機器のインテリジェント化あるいはマン・マシン・インターフェースの改良ということによりまして、より使い勝手が高い情報通信応用が開発されていくというのが将来となっております。  二番目の話に移らしていただきます。  電気通信技術のこのような発展動向から見ました現在の電気通信事業法というのを少し私なりに整理してみました。  まず、先ほど申しましたように、電気通信がディジタル化されてまいりますと、電話通信からファクシミリ通信あるいはVANサービスに至るまで、その間に多様な通信サービスというのが実現されてくるわけであります。しかし、それらのサービスは極めて密に、連続的に並んでいるわけであります。  アメリカにおきましては、連邦通信委員会、FCCが行いました第二次コンピューター裁定によりまして、基本通信と高度通信サービス形態を分類しているのはよく知られていることでございますが、しかし、今日アメリカにおきましては、先ほど申しましたような連続的なサービスが実用化されているという中で、いかなる部分を基本通信に位置づけ、いかなる部分から高度通信とするかという両者の明確な区別を示すことが難しい、そういうふうな状況を生んできているわけであります。FCCが今年夏から第二次コンピューター裁定の見直しを始めているというのもそのような状況でございます。  我が国の電気通信事業法は、米国の枠組みと異なりまして、第一種並びに第二種の事業分野の構造をつくり出したわけでございます。これは提供サービスの属性とは独立な分類となっておりまして、今日の技術体系の中ではより適切な分類であると諸外国からも評価されつつあります。すなわち、困難なサービスの分数の議論が避けられ、しかもすべての事業者に対して連続的なサービスを提供する機会を与えているという点で評価を受けているわけであります。  同時に、電気通信事業法におきましては、最低限の技術条件の確保ということがうたわれております。これは、電気通信の場に我が国の新たな事業者の参入並びに外風資本系列の通信事業者の参入を迎えたわけでありますが、このような中で、我が国独自の、しかも秩序ある円滑な運用を維持するという意味での技術条件の確保というのがうたわれているということはぜびとも必要なことであって、それがまた円滑でかつ秩序ある将来の日本通信を生み出すその一つの検証にもなっているんではないか、こういうふうにみなされております。  最後に、幾つかの今後の課題として残されているところを私なりに思い当たるところを三つほど述べさしていただきます。  一つは、ディジタル化の進展、技術の進展に伴います分野調整があらわれてきているのではないかということであります。これは、先ほど申しましたように、サービスがいろいろな形で実現されるようになってきたということです。それが端末機器で実現されるサービス通信網で実現されるサービスあるいは情報処理センターで実現されるサービス等々、実現の仕方というのが非常に多様化されてきているということであります。  しかしながら、サービス利用する者にとりましては、できるだけ価格が低く、しかも装置の設置が容易であるようなサービスというものがやはり望まれているところも確かでございます。したがいまして、このような利用者の経済的な負担を軽減するにはいかなるサービスの置き方にしたらよいのかというふうなことで、関連する事業者の間での分野調整を必要とする、そういうふうな問題が残されてきているのではないかと思います。  通信の標準化の必要性につきまして幾つか述べさしていただきます。  電気通信の標準を検討しておりますCCITTの標準の検討というのは、ここ数年極めて加速されております。それはLSI技術やソフトウエア技術によりましてさまざまな応用が生み出せる環境が生まれているということのあらわれであるわけであります。しかし、そういうふうな多様な国際的な標準を我が国の現状に適合するように位置づけていき、しかもその我が国の異なる通信事業者間の合意のもとで我が国なりの標準をつくっていくこと、これは多様なサービスを我が国に位置づけるためにぜひとも必要な課題となっております。  最後でございますが、ネットワーク化進展のための幾つかの条件があると思います。これは新規に参入した事業者が提供するサービス、あるいは電気通信の従来の枠組みを高度化していくような意味でのサービス、これはともに電気通信的な属性を持っている限りにおきましては、相互接続性を最低限維持していくということがぜひとも必要となっているわけでございます。二種の事業者間、あるいは一種−二種の事業者間、そこにおきます相互接続性の実現、これは通信である以上必ず維持していかなければならないところでございます。加入者番号体系、アドレスでございますが、それの相互調整であるとか、ネットワーク相互接続の利用者からの指定方式であるとか、さまざまな具体的な課題を抱えているわけでございます。で、これらの検討を早急に行うことが必要であるわけでございますが、これらの検討の事例というのはアメリカに過去の経験なり、あるいはその事例に基づく効果、効用あるいは弊害というものの指摘が既になされている面がございます。ですから、我が国は米国の事例を十分参考にいたしまして、日本にとりましてより弊害の少ない方式となるように配慮していくこと、これが必要なんではないかと、そのように考えております。  以上、今後の課題といたしましては、ディジタル化の進展といたしましての分野調整、通信の多様化に伴います標準化の必要性、ネットワーク化の進展のための我が国なりの条件整備、そういうふうなことが残されているというのが私の意見として述べさせていただいたところでございます。  どうもありがとうございました。
  13. 岡野裕

    ○小委員長岡野裕君) どうもありがとうございました。  以上で浅野参考人からの意見の聴取は終わりました。  浅野参考人には、大変お忙しい中を本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の本小委員会における調査参考にいたしたいと存じます。小委員会を代表いたしまして、心から厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会