○田英夫君 ちょうど大臣が残念ながらおられないんですけれ
ども、大臣にぜひ聞いていただきたいことなんですね。私が年来主張してきた電波法四条あるいは十三条というかかわりの問題にここで触れてくることになるわけなんです。
どういうことかといいますと、非常にこういう場で率直に申し上げますが、朝日、読売といえば
日本における最も大きなマスメディア、ジャーナリズムの、しかも活字媒体のジャーナリズムでありますが、こういうところが今回の
衛星放送の申請をしたと。で、一本化ということの中で朝日、読売という最も大きな活字媒体の新聞社が中心になって一つの
日本衛星放送という株式会社をつくって、それが
放送することになると、こういうことなんで、何でもないようにお思いになるかもしれませんけれ
ども、その
日本衛星放送に免許を与える権限はまさに郵政大臣がお持ちになっている。電波監理
審議会に諸問するといっても、率直に言ってこれは形式であります。そうなってくると、私が従来から懸念をしておりました
放送という、
国民に対して真実を知らせるという、そういう
仕事をする
放送局というものに対して郵政大臣という権力がこれをコントロールすることができると。そう言うと言い過ぎのようにお聞きになるかもしれませんけれ
ども、現に
テレビ朝日でああいうやらせの問題が起きました。まことに遺憾なことであります。で、前回の
委員会でも申し上げたとおり、それを郵政大臣が電波法四条に基づいて、あるいは十三条の再免許ということを控えて
テレビ朝日の社長を呼んでおしかりになった。私は言論の自由という立場からあってはならないことだと前回も申し上げたわけであります。ところが今回は、さらにこの問題は枠が広がってくると。つまり、
放送に比べて権力からの介入が建前上なかった活字媒体の側にまで権力が及ぶことになると。しかも、今言いました
テレビ朝日で最近そういうおしかりを受けたからかどうか知りませんけれ
ども、ある
国会議員に対して出演の依頼があった。ところがしばらくたってから、実は申しわけないが出演を中止していただきたいと。なぜならば再免許がおりるまでは
国会議員を出演させて政治にかかわるような
放送をしない方がよろしいという社の幹部の判断があったんだと、こういうことが現にあるんであります。
テレビ朝日の再免許については、報道によるどちらほらと再免許を与えないこともあり得るというような、そんなことまで言われただけに、電波法十三条に基づき再免
許ということを控えて、
テレビ朝日はそういう態度をとらざるを得なかったという現実が一方である。もう一つは、この
日本衛星放送というものに
日本の最も大きな活字媒体の朝日、読売というものが加わったために、どうしても免許を受けたいという立場からするならば、郵政大臣に対して、郵政省に対して本来毅然たる態度をとるべき新聞社までがいわば頭を下げなければならないという事態が起こらないとも限らない、いや起こりつつあると私は感ずるんですよ。これは言論の自由という民主主義の本来の姿からして重大なことが起こるかもしれない、起こり得る。そういうことを私は懸念をしていたわけですよ。現にそれがそうなりつつあるということです。だから電波法四条、十三条は考えていただきたい、こういうことを、ちょうど郵政大臣が戻られましたけれ
ども、改めてこのことで
日本衛星放送の免許ということをめぐって感じます。
ここに記者の方もおられるかもしれませんけれ
ども、
国会の場ですから私は自分の発言に責任を持って申し上げますけれ
ども、私も新聞記者の経験がありますからよくわかりますけれ
ども、各新聞社とも——
通信社と申し上げた方がいいかもしれませんが、最近では特に郵政省の記者クラブに送る記者については非常に気を使うんですよ。私も社会部長もやったことがあります。経験から申し上げるんですね。今回この
日本衛星放送というようなことにかかわりが生じてくると、実は新聞社、
通信社もかなり申請を出したと聞いております。そういう中で郵政省の記者クラブに派遣する記者は郵政省の動きを報道をするという
目的でキャッチすると同時に、郵政省が電波で
放送で免許をするという方向についていろいろと気を使って取材をしなければならない。それだけにその記者は厳選をされるという事実があるんですよ。その根源を探っていくと電波法四条、十三条になる。これは決して私はこじつけの言葉ではないと自負をいたします。こういう問題があるからこそ、民主主義の原理に立って電波法四条、十二条というものを再考していただきたいということ宣言い続けてきたわけであります。決して架空のことで言っているわけではありません。
きょうは時間がなくなってしまいましたから一方的に申し上げて、答弁をいただくことは必要ありませんけれ
ども、これはぜひ郵政大臣、郵政省の皆さんあるいは
NHKの幹部の皆さんもこういう問題については十二分にお考えをいただきたい、このことを要望して私の質問を終わります。