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1985-12-03 第103回国会 参議院 逓信委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十年十二月三日(火曜日) 午前十時七分開会
—————————————
委員氏名
委員長
大森
昭君 理 事
岡野
裕君 理 事
長田
裕二
君 理 事
竹山
裕君 理 事
片山
甚市君
志村
愛子
君
添田増太郎
君
中西
一郎
君
西村
尚治
君
長谷川
信君
宮田
輝君
山内
一郎
君
八百板
正君
服部
信吾
君 三木 忠雄君
山中
郁子
君
中村
鋭一
君 田
英夫
君
青島
幸男
君
—————————————
委員
の
異動
十一月十五日
選任
守住
有信
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
大森
昭君 理 事
岡野
裕君
長田
裕二
君
竹山
裕君
片山
甚市君
委 員
志村
愛子
君
添田増太郎
君
西村
尚治
君
長谷川
信君
宮田
輝君
山内
一郎
君
八百板
正君
服部
信吾
君
山中
郁子
君 田
英夫
君
青島
幸男
君 国務大臣 郵 政 大 臣
左藤
恵君
政府委員
郵政大臣官房経
理部長
成川 富彦君
郵政省郵務局長
高橋
幸男
君
郵政省貯金局長
塩谷 稔君
郵政省簡易保険
局長
二木 實君
郵政省通信政策
局長
奥山
雄材
君
郵政省電気通信
局長
澤田 茂生君
郵政省放送行政
局長
森島 展一君
事務局側
常任委員会専門
員 酒井 繁次君
説明員
法務省人権擁護
局調査課長
永井 敬一君
文部省社会教育
局青少年教育課
長 伊藤 俊夫君
建設省道路局路
政課長
原 隆之君
参考人
社団法人日本民
間放送連盟専務
理事
泉
長人
君
日本電信電話株
式会社常務取締
役
岩下
健君
日本電信電話株
式会社取締役
・
技術企画本部長
村上
治君
日本電信電話株
式会社INSモ
デルシステム推
進本部長
高橋
徹君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
国政調査
に関する件 ○小
委員会
の
設置
に関する件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
郵政事業
及び
電気通信事業
の
運営
並びに
電波
に 関する
調査
(
派遣委員
の
報告
) (
小包郵便物
の
拡充施策
に関する件) (
郵便事業財政
の見通しと
財政悪化
の
抑止策
に 関する件) (
郵政省
の
小口預貯金金利自由化
への
対応策
に 関する件) (
非課税貯蓄制度
に関する件) (
テレビ放送番組編成
の適正化問題に関する件 ) (
無線設備機器
の
型式検定制度
に関する件) (
情報通信産業
の
育成
・
振興策
に関する件) (
郵便局
における
国債販売
の再開に関する件) (簡保の
加入
限度額引上げ問題に関する件) (日米
通信
摩擦問題に関する件) (CATVの道路占用問題に関する件) (
INSモデルシステム
の
改善策
に関する件) (
OTHレーダー
による
電波障害
に関する件) (
日本電信電話株式会社
の
営業活動姿勢
に関す る件) (東京・大阪における
民放FM局
の
申請状況
と その免許の在り方に関する件)
—————————————
大森昭
1
○
委員長
(
大森昭
君) ただいまから
逓信委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る八月十五日、
佐藤昭夫
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
安武洋子
君が
選任
されました。 また、去る九月十日、
川原新次郎
君が
委員
を辞任されました。 また、去る十月十二日、
安武洋子
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
山中郁子
君が
選任
されました。 また、本
委員会
は、
委員
一名欠員となっておりましたが、このたび新たに当選されました
守住有信
君が、十一月十五日、本
委員会
の
委員
に
選任
されました。
—————————————
大森昭
2
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、
国政調査
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
は、
今期国会
におきましても、
郵政事業
及び
電気通信事業
の
運営
並びに
電波
に関する
調査
を行いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大森昭
3
○
委員長
(
大森昭
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
大森昭
4
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、小
委員会
の
設置
に関する件を
議題
といたします。 新
電電
の新
体制移行
に伴う諸問題について
調査
検討するため、小
委員
十一名から成る
電気通信
の新
体制等
に関する小
委員会
を
設置
することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大森昭
5
○
委員長
(
大森昭
君) 御
異議
ないと認めます。 つきましては、小
委員
及び小
委員長
の
選任
は、先制により、
委員長
の
指名
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大森昭
6
○
委員長
(
大森昭
君) 御
異議
ないと認めます。
大森昭
7
○
委員長
(
大森昭
君) それでは小
委員
に
岡野裕
君、
長田裕二
君、
竹山裕
君、
西村尚治
君、
長谷川信
君、
宮田輝
君、
大森昭
、
片山甚市君
、
服部信吾
君、
山中郁子
君、
中村鋭一
君を
指名
いたします。 また、小
委員長
に
岡野裕
君を
指名
いたします。 なお、小
委員
及び小
委員長
の辞任の許可及びその
補欠選任
、並びに小
委員会
から
参考人
の
出席要求
がありました場合の取り扱いにつきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大森昭
8
○
委員長
(
大森昭
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
大森昭
9
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
郵政事業
及び
電気通信事業
の
運営
並びに
電波
に関する
調査
のため、本日の
委員会
に
社団法人日本民間放送連盟専務理事宗長人
君、
日本電信電話株式会社常務取締役岩下健
君、同じく
取締役
。
技術企画本部長村上治
君、同じく
INSモデルシステム推進本部長高橋徹
君を
参考人
として
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大森昭
10
○
委員長
(
大森昭
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
大森昭
11
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、
郵政事業
及び
電気通信事業
の
運営
並びに
電波
に関する
調査
を
議題
といたします。 まず、
派遣委員
の
報告
を聴取いたします。 最初に
東北班
の御
報告
をお願いいたします。
岡野裕
君。
岡野裕
12
○
岡野裕
君 御
指名
によりまして
東北派遣班
の
報告
をいたします。 去る十月二日から四日まで、
東北管内
における
逓信関係業務
の
実情
を
調査
してまいりました。
派遣委員
は
大森委員長
、
志村
、
服部
の両
委員
と私であります。まず、
仙台
市において
関係
各
機関
の
所管業務
の
説明
を聴取した後、
仙台中央郵便局
、
NHK盛岡放送局
、
十和田湖郵便局
、
NTT青森電話局
及び
青森
県
防災行政無線施設等
を視察いたしましたが、以下
概要
を御
報告
いたします。 まず、
東北管内
の特徴的なこととして、
管内
の
人口
は
全国
の八・三%にすぎないにもかかわらず、
面積
は国土の一七・五%という広大な
地域
を占め、しかも山間・
過疎地域
が多いことから、
収入額
に比較して
郵便局
及び
職員
数等が
全国比
で非常に高く、
事業経営
の視点から見て厳しい
環境
の中にあることが挙げられます。
当局
では、こうした
状況
のもとで
各種
の
サービス改善
と
事業運営
の
効率化
に精力的に取り組んでおります。 では、
郵便事業
について申し上げます。
管内
の
引受郵便物数
は、
昭和
五十九
年度
で九億一千四百万通と
全国
の五・五%を占めておりますが、
伸び率
が低く、その
全国比
は年々わずかながらも
減少
する
傾向
にあり、このため
郵便事業収入
が五十九
年度
において、五百六十八億九千四百万円と前
年度
より三千四百万円の減収となり、初めて前
年度
実績
を下回る結果となりました。 このため
当局
は、六十
年度
には従前にも増して
増収施策
に力を入れ、切手売りさばき所における
小包取り次ぎ
の
拡大
、
絵入りはがき
の
販売
、
ふるさと小包
の
勧奨等
の
施策
に取り組むとともに、これらの
施策
の
徹底
を期するため、十月から十二月を
販売促進運動期間
に設定し、総力を挙げて
需要喚起
に努めております。
小包
につきましては、
民間宅配業
に押され、年々
引受数
が
減少
し、五十九
年度
は四百十六万個と、五十五
年度
の五二・六%まで落ち込みましたが、この厳しい競争の中で
需要拡大
に努め、
郵便小包ラベル
が本
実施
されたことをセールスポイントとして、
東北地方
の産物を
中心
に、
ふるさと小包
の差し出し
勧奨等サービス改善
を積極的に
実施
しており、このところ
小包利用
の
増加
の兆しが見えてきております。すなわち、六十
年度
の七月末までの
引受状況
を見ると、
一般小包
は前
年度
同期比で一〇%以上も
増加
し、
全国
の
増加率
を大幅に上回っております。しかし、今後とも一層
利用回復施策
を
推進
し、
小包引き受け拡大
に努めていくことが望まれます。 次に、
郵便貯金事業
についてであります。
管内
の五十九
年度
末
郵便貯金
現在高は、五兆四千百五十四億円で
全国比
五・八%にとどまっており、住民一人
当たり
の
郵便貯金
現在高を見ても五十六万円と
全国
の七十七万円に比べ低くなっております。 また、近年の
郵便貯金
の
増加状況
は、
全国
とほぼ同様に、五十五
年度
の
金利天井感
により
増加
した一時期を除き、
伸び
が停滞しており、六十
年度
は、七月末現在で七百七十二億円と、
定額貯金
の
集中満期
の
影響
が大きかった前
年度
同期に比べ一三五%とはなっているものの、対前々
年度
同期比では一〇〇%と横ばいであります。
伸び悩み
の
原因
は、
家計可処分所得
の
伸び悩み
、
家計
に占める負債の
増加傾向
、
中期国債ファンド等
の
高利回り商品
の
発売
で
金融資産
の
多様化
が進んでいることのほか、五十五
年度
から五十八
年度
まで四年間続いた冷害による米作不振による
影響
から完全に抜け切れない
状況
にあることが考えられます。
郵便貯金
の
推進対策
としては、
外務員
の
募集力向上
、
PR施策
の
強化等
のほか、
オンライン
を活用した
各種サービス
の
普及
を通じ、
利用者
をふやしながら
郵便貯金
の
奨励
を図っていくことにしておりますが、
郵便貯金
をめぐる
環境
は厳しく、大幅な
増加
は見込めないところであり、一層の
努力
が望まれます。
簡易保険事業
についてでありますが、
管内
の
簡易保険保有契約高
は、毎年前年を上回っており、五十九
年度
末の
保険金額
が六兆四千億円で、
全国比
としては八・〇%から八・二%の間で推移しており、大きな変化は見られません。新
契約募集実績
も毎年前年を上回っており、五十九
年度
の
保険料額
を見ると、
保険料
の
引き下げ等
により前
年度
を一〇%以上も上回る四十三億八千九百万円の
実績
を上げております。また、
年金
新
契約
の
募集状況
は、五十六
年度
の
発売
当初から見ると
増加
してきているものの、
全国比
では下降しており、満足すべき
状況
になく、
個人年金
の
潜在需要
を顕在化させることが今後の
課題
であると考えられます。 このため
当局
は、
販売推進施策
として、
利用者
とのつながりの
強化
、
募集増強運動
の
実施
、
外務員
の
育成等
を
推進
していますが、特に
営業推進体制
の
強化
として、
外務員
の
募集力向上
、
セールスマネジメント能力
の
向上
に努めております。
郵政監察
につきましては、
全国
における五十九
年度
の
郵政犯罪
の
発覚件数
が二千九百七十五件で、前
年度
比一二・四%の
減少
となっているのに対し、当
管内
における
発覚件数
は二百四十九件で、前
年度
に比べ十三件の
増加
となっております。 この
犯罪発覚件数
のうち、
為替貯金
が百十件と半数近くを占めていますが、これは
不法領得通帳等
による
詐取
が九十一件あることによります。また、
郵便関係
では
郵便切手類
偽変造、
保険年金関係
では
傷害入院保険金詐取事件
が目立っております。
防犯対策
として、
防犯
上注視を要する局を
指定
し
改善
を促進しているほか、
特定郵便局長防犯対策打合会
、
特定郵便局防犯連絡協議会等
を組織し、
防犯対策
の
徹底
に努めております。
部内犯罪
について、前
年度
の十六件から九件に減ったものの、本来あってはならないものであり、絶無を期しての
努力
が望まれます。 次に、
電気通信
の概況について申し上げます。
郵政省
が進めている
テレトピア構想
については、当
管内
でも、
福島
市及び
米沢広域圏
が
モデル都市
の
指定
を受けたところであり、
福島
では
近代的農業
の
確立
、
産業基盤
の
整備
、
観光資源
の
活用等
、また
米沢
では
農業
の
振興
、
製造業
の
情報流通
、
地域医療
の
充実等地域
の抱える
課題解決
のだ めの
システム構築
を進めております。
NTT
は本年四月より
電電公社
の
民営化
によって発足しましたが、その
管内状況
につきましては、
加入電話数
が六十
年度
九月末現在で三百十五万八千
加入
、
普及率
は百人
当たり
三二・四%、
全国平均
に比較してかなり低い
状況
にあります。また、
収支状況
は年々悪化し、五十九
年度
は
中距離通話料
の値下げによる
収入
の
伸び悩み
等により、五百三十六億円の赤字となっており、
NTT
では、これらに対処するため、
電気通信サービス
の一層の
向上
はもとより、
各種
の
増収施策
の
実施
並びに経費の
効率的使用等
について
経営努力
をしているところであります。また
民営化
に伴うメリットとしては、
職員
の士気が
向上
したほか、対外的には
利用者
から
サービス
が大変よくなったと好評を得ていることが挙げられるようであります。
電気通信事業
の
新規参入状況
については、第一種
電気通信事業
へ日本テレコムが
東北新幹線沿線地域
を
業務区域
として
サービス
の開始を予定しており、
一般
第二種
電気通信事業
については五社が届出をし、既に
サービス
を開始しておりますが、おおむね
受発注データ
の
伝送交換
を
中心
とした
業務
で小規模な
システム
であります。 次に、
電波
、
放送
の
概要
について申し上げます。 当
管内
の
無線局数
は、五十九
年度
末で三十五万六千局を超え、
全国比
一〇・七%の盛況を示しており、また
用途別
では
製造販売
、
土木建設
、
漁業関係無線
の比率が高いのが特色となっております。
辺地難視聴
は、
中継局
、共
聴施設等
の
設置
によりその
解消
を
推進
してきましたが、
地域
が広大であり、山岳や盆地が多く、
電波
の
伝搬条件
が悪いこともあって、五十八
年度
末で
NHK関係
の難
視聴世帯数
は五万一千件で、
解消
に期待をかけていた
衛星放送
は、故障により
実験放送
の一チャンネルのみの
放送
になったこと、
受信機
が高価なこと等により難
視聴世帯
の
受信数
がわずか二十七件と極めて低調であり、今後の
普及促進
のためには
受信用アンテナ
の
低廉化
、
放送内容
の
充実化等改善対策
が望まれるところであります。また、
民放
の難
視聴世帯数
は五十九
年度
末十万八千件もあり、この
解消
が今後の大きな
課題
であります。なお、
都市難視聴
については、
原因者責任主義
の考え方により
解消対策
が行われてきており、おおむね救済されております。
管内
の
テレビ受信契約数
は五十九
年度
末二百三十八万二千件、また
受信料収納率
は九八%と
全国平均
に比較して良好な
状況
を維持していますが、
新規契約数
、
収納率
とも
減少傾向
にあり、六十
年度
は、
不在世帯
に対する
夜間
、休日の
訪問活動
、
文書対策等
を
推進
するなど、精力的に
契約
、
収納活動
を展開することとしております。 次に、
管内
の
防災対策
について申し上げます。
東北地方
は、概して
地震
、津波による
災害
が多く、最近でも五十三年に宮城県
沖地震
、五十八年に
日本海中部地震
が発生し、大きな被害を受けております。このため、
非常災害
時における
通信
・
放送体制
の確保及び
通信システム
の有効、的確な
運用
が重要な
課題
となっております。
NTT
では、
電気通信システム
の
信頼性向上対策
として、既に
主要伝送路
の二
ルート化
、
テレビ伝送路
の
ループ化等
を完了させており、また
通信
の
途絶防止
、
被災通信設備
の
早期復旧
についても種々の
対策
を講じております。 また
NHK
では、
放送
が
災害
時
情報
の
伝達手段
として極めて有効であることから、
運用
を開始した
緊急警報放送システム
のほか、
非常災害
時に即応する
緊急報道体制
の
確立
、
各種災害
に対する迅速、的確な
放送
の
実施
について鋭意
整備
を図っております。 地方自治体につきましては、
東北
六県の
県防災行政無線網
が五十八年二月の
福島
県を
最後
にすべて完了しております。この中で、
青森
県では、
日本海中部地震
の際、一部
地域
において、停電のため
防災行政無線
が一時的に使用できなかった教訓から、
移動業務
の
サービスエリア拡大
、機能的に
運用
できる
移動多重方式
の
整備
、
夜間
、休日の
運用体制
の
強化等
の
改善施策
を検討しております。 以上が
調査
の
概要
でありますが、
最後
に、
青森
県から、
テレトピア構想
の
昭和
六十
年度
モデル都市指定
に関し、
地域
の
活性化
、
情報格差
の縮小等積極的な
情報化政策
を
推進
していく上から、県内にも
モデル都市
がぜひ必要であり、そのため
基本計画書
を提出している
青森
市について、
指定
が得られるよう要望がありました。これにつきましては、
郵政省
において
十分検討
の上、善処されることを期待いたしまして、
報告
を終わりといたします。
大森昭
13
○
委員長
(
大森昭
君) 次に、
中国班
の御
報告
をお願いいたします。
片山甚市君
。
片山甚市
14
○
片山甚市君
私は、
竹山理事
及び
中西委員
とともに、去る十月二日から三日間、
中国地方
における
逓信関係業務
の
実情調査
を行いました。 まず、
広島
市において、
関係
各
機関
から、それぞれ
所管業務
の
説明
を聴取した後、
広島中央郵便局
、
NTT山口電報電話局
、
KDD山口衛星通信所
、同
浜田国際中継所
、
大社郵便局
及び
NHK松江放送局等
を視察しましたので、その
調査
結果を御
報告
いたします。 初めに、
郵便事業
について申し上げます。 当
管内
は、
中国
五県を
管轄区域
とし、
面積
、
人口
の
全国比
は、それぞれ八・四%、六・四%を占めておりますが、
昭和
五十九
年度
の
引き受け郵便物数
は九億八千万通と
全国
の五・九%、
業務収入
は六百四十億円と
全国
の五・五%にとどまっており、また一人
当たり年間利用郵便物数
を見ても百二十六通と
全国
の百三十六通に比べかなり下回っているなど
経営環境
は厳しいものがあります。 最近における
郵便物数
と
業務収入
の動向を見ると、
郵便物数
は、五十六年一月の
料金改定
が
影響
して五十六
年度
は前
年度
より五・二%
減少
したものの、その後は
回復傾向
を示しておりましたが、五十九
年度
は前
年度
に比べ〇・一%ながら
減少
しており、
伸び悩み
が見られます。しかし、
民間宅配業者
の進出を受けて、毎年八%ないし一九%の大幅な
減少
を続けていた
小包郵便物
は、
輸送システム改善
によるスピードアップを
中心
とした
各種サービス改善施策
の
実施
により五十九
年度
は五年ぶりに四%の
増加
に転じております。
業務収入
は、五十六年一月の
郵便料金改定
以降、その
伸び率
は対前
年度
一%ないし二%増の
傾向
にとどまっております。これは、
郵便物数
の
伸び悩み
のほか、
小包
の
民間宅配業者
との競合、一通
当たり単価
の高い
郵便物
の
減少傾向等
が
影響
しているものと見られます。 このため
当局
は、
郵便
の
需要喚起施策
として、
研修会
による
営業意識
及び
セールス技術
の
向上
、
ふるさと小包
の獲得、
電子郵便
の
需要拡大
、
大口事業所
との
連携強化等
に努めていますが、今後なお一層の
推進
が望まれるところであります。 次に、
郵便貯金事業
について申し上げます。 五十九
年度
末における
管内
の
郵便貯金
現在高は、六兆九千億円で、
全国
の七・三%を占め、また同
年度
末の一人
当たり郵便貯金
現在高は八十九万円と
全国
の七十八万円をかなり上回っており、さらに
郵便貯金
の
世帯利用率
は、八〇・四%で
全国トップ
となっております。 最近の
郵便貯金
現在高の
伸び率
を見ると、五十六
年度
以降鈍化しており、
郵便貯金
の
伸び悩み
傾向
は依然として続いておりますが、この要因としては、
家計可処分所得
の
伸び悩み
、
個人金融資産選択
が
多様化
する中で、
民間金融機関
において
高利回り商品
が開発されたこと等が挙げられます。本
年度
の
奨励状況
は八月末現在、前
年度
に比べ一四・二%の
増加
と若干持ち直していますが、なお楽観を許さない
状況
にあります。
当局
では、
郵便貯金
の
推進
を図るため、
オンライン
を通じ
給与預入
、自動払い込み、
キャッシュサービス等
の
拡大
に努めることにしております。 次に、
簡易保険
・
郵便年金事業
について申し上げます。 五十九
年度
末における
管内
の
簡易保険
の
保有契約件数
、
保有契約高
は、四百五万件、五兆九千億円で、それぞれ
全国
の七・四%、七・六%を占めており、また千人
当たり
の
加入件数
は、五百二十 六件で
全国平均
の四百五十四件をかなり上回っています。 最近の
販売状況
を見ると、新
契約
及び
保有契約
とも着実な
伸び
を示しており、特に六十
奨励年度
の新
契約
の
保険金額
九千五百億円は前
年度
に比べ一七・五%の
増加
と好調でありますが、これは、五十九年九月から
実施
されました
保険料
の
引き下げ
によるところが大きいと見られます。しかし、
年齢別加入状況
を見ると、
青壮年層
の
伸び悩み
傾向
が顕著であり、一層の
市場開拓努力
が必要であります。
郵便年金
の
販売状況
も、新
郵便年金発売
以来順調であり、
年金思想
の広がりを示しております。 なお、最近の
郵政事業
の
経営形態改革論
あるいは三
事業分離論
について、
中国郵政局長
より、次のような私見が述べられました。すなわち、
郵便事業
については、百年以上にわたり
国営事業
として
運営
されてきたからこそ
利用者
は安心して利用できるのであり、
郵政職員
も公務員としての自覚のもとに真剣に働くことができる。また、
事業
の性格からして
民営
になじむものではなく、世界的にも
国営
が主流となっている。
郵便貯金
、
簡易保険
の資金は、主要な
財投原資
であり、
民営論
は
財投
の仕組みを崩壊させるものである。また
郵便貯金事業
は外国における非営利の
貯蓄銀行
と同様の役割を果たしている。
郵政事業
は、三
事業
を一体として
運営
されているため、
局舎
、要員の
配置等コスト面
での効率的な
運営
により
全国
的な
サービス
の提供が可能であり、
現行体制
が最適なものと思われるとのことでありました。 次に、
郵政監察業務
についてでありますが、当
管内
における五十九
年度
の
郵政犯罪
の
発覚件数
は、二百四件と前
年度
に比べ六十七件
減少
しており、これに対する
検挙件数
は百六十一件と、前
年度
に比べ四件の
増加
となっております。そのうち、
部内犯罪
は近年
減少
してきているものの、三
事業
合わせて十人となっており、
当局
の
努力
にもかかわらず
部内犯罪
が後を絶たないことはまことに残念であります。 次に、
電気通信
の概況について申し上げます。
地域
社会における
電気通信
の総合的な
施策
として
テレトピア構想
が提唱されていますが、本年三月、当
管内
では、山口地区、松江市、岡山市及び福山市の四地区が
モデル都市
に
指定
され、新たな都市づくりが計画されております。 また、本年四月、
電気通信事業
の自由化により、新規参入が可能となり、八月末現在、当
管内
においては八社から第二種
電気通信事業
の届け出がなされており、その
業務
の
概要
は問屋と小売、
製造業
者と小売業者間の
受発注データ
の伝送、交換となっております。 一方、
電電公社
は本年四月、
日本電信電話株式会社
に改組されましたが、
加入
電話の
普及
状況
は、六十年六月末現在二百八十一万
加入
、百人
当たり
の
普及率
は三六・四
加入
であり、公社時代の
収支状況
は、大都市圏に比べ
経営環境
の厳しい
管内
事情を反映して赤字基調になっております。
民営化
後は
業務
開発室の
設置
、新規
事業
の開発等積極的な
増収施策
の
推進
により収支の
改善
が図られつつありますが、新会社に課せられた公共的使命にも十分配意して
実施
するよう望まれるところであります。
民営化
に伴う端末機器の売り切り
状況
は、六月末現在、
全国
的に見て、電話機については
販売
の一八%、ホームテレホンについては同二八%等と当初計画を大幅に下回っている
状況
にあります。 なお、
民営化
移行による具体的メリットについて、
中国
総支社長から、
民営化
後六カ月しかたっていないことから明確になっていないとしながらも、
職員
の
販売
意欲が高まり、
増収施策
に積極的な姿勢が見られる一方、
利用者
への対応がスピーディーになった点が挙げられました。 KDD
関係
については、当
管内
の浜田市にある対流圏散乱波
通信
及び海底ケーブルの中継基地を経由して、日本と韓国とのテレビ伝送を除く国際
通信
が行われており、その
通信
量は米国に次ぐものとなっております。 なお、我が国における国際
電気通信事業
の自由化について、KDD
取締役
より、国際
電気通信事業
は相手国間との協議が必要であり、また条約上の制約もあるので、新規参入は容易ではない、しかし、競争時代に入れば、KDDとしては公正な競争を行いたいとの意見が述べられました。
最後
に、
電波
、
放送
の概況について申し上げます。 当
管内
の
無線局数
は、五十七年十二月のパーソナル無線の新制度の発足以来急増しており、五十九
年度
末二十四万局で、
全国
の七・三%を占めています。その特色を見ると、瀬戸内を
中心
とした小型内航路及び山陰側における漁船が多いことから船舶局が多く、また、
中国
山脈を抱えていることから、テレビジョン
放送
の難視聴
地域
を
解消
するための
中継局
が多数存在しているほか、衛星
通信
ではKDDの山口地球局がインテルサット衛星を対象に
運用
されております。 テレビ難視聴
対策
については、
中継局
、共聴施設の
設置
により
解消
が図られてきておりますが、なお五十八
年度
末現在、残存する
NHK
難
視聴世帯数
は約六万二千世帯、
中国地方
世帯数の約二・七%と推定されており、このうち約半数は個人負担による地元共聴施設により視聴されております。
NHK
は、五十九年五月の
衛星放送
の開始により難視聴
地域
は完全に
解消
されたものとして、五十九
年度
以降地上での置局を行っておりません。しかし、
管内
における
衛星放送
受信世帯は千九百世帯、しかもこのうち難視聴
地域
における受信は七十世帯にすぎず、
NHK
及び行政
当局
の積極的な
衛星放送
普及
対策
の
推進
が必要となっております。そのためには、
放送
衛星ゆり二号の予備機による二チャンネルの
放送
の実現及び現在三十万円もする
受信機
の
低廉化
が望まれるところであります。 一方、
民放
の難
視聴世帯数
は約十一万五千世帯と推定されておりますが、これらは山間僻地に点在する小集落が多く、その
解消
には技術的、経済的に困難を伴うことから
民放
難視聴の抜本的
解消対策
が今後の
課題
となっております。 有線テレビジョン
放送
は、これまで難視聴を
解消
するための共聴施設として
普及
してきましたが、近年、当
管内
においても多チャンネル、双方向機能を有する大規模な有線テレビジョン
放送
施設の
事業
化の動きが見られ、三原市、松江市等の都市部において施設許可が行われております。 有線音楽
放送
については、施設の道路不法占用等が
全国
的に問題となっておりますが、
管内
においても、
広島
市の特に悪質な業者に対して、
電気通信
監理局は
業務
停止処分を行っております。しかし、道路不法占用について
改善
の兆しが見られるため、告発は見合わせておりますが、今後とも有線音楽
放送
の正常化には厳正に対処していく必要があります。 また、
放送
による
災害
情報
の伝達をより確実にするため検討されていた
緊急警報放送システム
は、
NHK
により九月一日から導入されましたが、民法については今後の検討
課題
となっております。 以上、御
報告
いたします。
大森昭
15
○
委員長
(
大森昭
君) これをもって
派遣委員
の
報告
は終了いたしました。 次に、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
片山甚市
16
○
片山甚市君
きょうは逓信
事業
の
一般
の質疑を行いたいと思いますので、大臣初め皆さんに御協力を賜りたいと思っております。 私は、我が国が目指す
情報
化社会のあり方やあるいは国民生活に大きな
影響
を与える政策について、郵政三
事業
、
電気通信
及び
電波
事業
の現状から問題点を解明したいと思いますので、
関係
機関
はこれまでの審議経過を十分認識した上で御答弁をしていただきたい。新規巻き直しの話は余りありませんので、まず審議経過を踏まえて御答弁いただきたいと思います。 まず郵政三
事業
についての問題でありますが、郵政三
事業
を概観すると、本
年度
はまずまずの
状況
で推移しているようでありますが、しかし将来 展望がないのでは大問題でありますから、その点に焦点を当てて質問してみたいと思います。 私の質問は、今現在非常にうまくやっていきつつある、しかしこれからどうなるのかということについて御質問したいと存じます。 先日発表されましたところの
郵政事業
の五十九
年度
決算結果を見ると、
郵便事業
については予算での単
年度
百五十五億円の赤字が逆に百十四億円の黒字となり、
郵便貯金
会計では単
年度
千二百四十五億円の赤字見込みが四十七億円に
減少
し、さらに簡保
年金
会計でも予算に比べ黒字幅が増大するという、三
事業
とも好調な決算結果でありますが、このような結果を得た理由はどういうものであるのか伺います。 私としては、当該
事業
に携わる
職員
の
努力
を忘れてはならないし、さらに三
事業
一体の有機的な
運営
によって
活性化
を図り、維持されてきたものと思いますが、大臣のお考えを聞きたいと思います。
左藤恵
17
○国務大臣(
左藤
恵君)
郵政事業
を取り巻く
環境
は、最近極めて厳しいものがあります。三
事業
ともまさに競争の時代というふうに考えていただいていいんじゃないか、このように思います。このため、今後とも国民にとってかけがえのない
郵政事業
サービス
を提供していくには、公共の福祉の増進ということを使命として三
事業
がそれぞれ営業活動を活発化していく必要がある、このように考えます。したがいまして、このことは機会あるごとに
職員
にその点についても十分
徹底
を図り、省を挙げて営業活動に取り組んでおるところでございます。 今先生御指摘のように、五十九
年度
におきましては
郵便事業
、
郵便貯金事業
、保険
年金
事業
とも予定を上回る好決算ということになったわけでございますが、これは各
事業
ともその置かれました厳しい
状況
を認識して
職員
一人一人が
努力
してきたことも要因の一つに数えられるのじゃないか、このように考えておるところでございます。
片山甚市
18
○
片山甚市君
職場の雰囲気も随分士気が盛り上がってきたように思いますし、
関係
労働組合との
関係
も友好な
状況
になって、郵政
当局
も労使が一致して国民の
郵政事業
を守っていこう、発展させていこうという姿勢があるからだと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
左藤恵
19
○国務大臣(
左藤
恵君) 今も申しましたとおり、こうした厳しい
状況
の中でも
職員
がよくそうした事態を認識して理解し、そしてそれぞれに
努力
をしてきたということが確かにこのような好決算をもたらす結果となったという一つの要因になっているところは間違いない、このように思います。
郵政事業
は、
郵便
、貯金、保険の三つの
事業
を
郵便局
という
全国
的なネットワークという形で一体的かつ効率的に
運営
してきておるわけでありますが、競争時代といいますか、そういうものに生き残っていくためには三
事業
の機能を活用化した三
事業
一体という形での
事業経営
を今まで以上に進めていかなければならない、このように考えておるところでございます。
片山甚市
20
○
片山甚市君
それでは
郵便事業
についてお伺いしますが、民間宅配便などの
影響
が心配される中で、
郵便
利用の動向、特に
小包
郵便
の
状況
は今後どのような見通しか。先ほど、
東北
の
報告
もありましたし、
中国
の視察に行きましても、非常に熱心に「ふるさと
郵便
」などを含めて新しい装いをもって
努力
をしておるようでありますが、御答弁を賜りたいと思います。
高橋幸男
21
○
政府委員
(
高橋
幸男
君) 御承知のとおり、
小包郵便物
はここ数年
減少傾向
にあったわけでございますが、近時私ども各般にわたる
サービス改善
、また
関係
職員
の積極的な営業活動の
実施
等によりまして需要の
拡大
を図りました結果、五十九
年度
におきまして五年ぶりに六%の増ということになったことは既に御承知のとおりでございます。また本
年度
、六十年四月から十月までの引き受け
状況
は前年の同期に比べますと八・八%の増ということでございまして、着実に
増加
しているところでございます。今
年度
におきましては、最終的に一億五千万個の取り扱いを予定しているところでございます。しかし、宅配業等を見ますと相当な
伸び
を示しているところでございまして、市場としては、私どもの
努力
いかんによって、まだこの
増加傾向
を推し進めていくことができるんじゃなかろうかというふうに考えているところでございます。 今後とも、私ども国民のニーズに即応した
サービス改善
、あるいは
関係
職員
の積極的な営業活動というものを通じまして、
小包郵便物
に対する需要の
拡大
を図っていきたい、このように考えております。
片山甚市
22
○
片山甚市君
郵便事業
についてですが、本
年度
の予算を見ると、単
年度
赤字が三百五十五億円計上されておるということは、依然として厳しい財政事情であるというわけであります。
事業
をめぐる厳しい
環境
は、単に料金値上げに転嫁して収支
改善
を図るということであってはならない。今後の財政見通しについて、どのような御
努力
をされますか。
高橋幸男
23
○
政府委員
(
高橋
幸男
君)
郵便事業財政
につきまして、御指摘のとおりでございます。おかげさまで、五十九
年度
末におきましては累積欠損金八十七億までに縮めることができたわけでございますが、六十
年度
予算では三百五十五億の赤字を予定しているところでございます。さらに、六十一
年度
の予算の概算要求におきましては、五百三十四億の欠損を計上せざるを得ないというふうな状態になっているところでございます。しかし、御指摘のとおり、私どもこの赤字の
解消
ということを料金値上げというふうな形で解決することは極力避けるべきだというふうに考えているところでございます。先ほども
郵便
小包
について申し上げたように、やはり私ども
郵便
全体について
利用者
のニーズに応じた
サービス
の
改善
、またこういうことによりまして需要の
拡大
を図って
収入
増を図る、さらに
事業運営
の
効率化
、合理化というものを考えまして経費の節減を図っていくということの中で、
事業
財政の悪化の抑制ということに今後とも
努力
してまいりたいというふうに考えております。
片山甚市
24
○
片山甚市君
労使協力をして収支の
改善
、
事業
の
活性化
を図ろうとする職域の団体、労働組合等も大変な提案をしていますから、それを受けてやはり肯定的に話し合いをして、相手を認めて、しっかり頑張ってもらいたいということを希望します。 そこで、
郵便貯金事業
についてでありますが、郵貯会計は昨
年度
の決算結果において、本
年度
に累積赤字
解消
の見通しが出てきたことは非常に好ましいことだと思います。しかし、十月十一日に資金
運用
部への預託利率が従来の七・一%から六・八%に
引き下げ
られたことは、今後の
事業運営
に大きな
影響
を与えると思いますので、今後の財政見通しと、預託利率
引き下げ
に応ぜざるを得なかった理由について、どういうものであるか、
説明
してください。
塩谷稔
25
○
政府委員
(塩谷稔君) お尋ねの件でございますけれども、
郵便貯金
資金にかかわる資金
運用
部預託利率の改定、これは従来、貯金金利の改定の際に行われておりまして、
昭和
五十九年の二月以来七・一%であったわけでございます。ところが、本年七月、大蔵省から
郵政省
に対しまして、長期プライムレートの
引き下げ
によりまして
財投
機関
に与える
影響
が極めて深刻になったということで、当面の緊急措置として、資金
運用
部預託利率の改定
引き下げ
方、協議があったわけでございます。 当省といたしましては、今回の資金
運用
部預託利率改定問題の協議を必要とした背景には、公的金融
システム
といいますか、
郵便貯金
を含めて厚生
年金
、国民
年金
などの
財投
資金として
運用
されるそういう公的金融
システム
が金利自由化にどのように対応していくかという大きな問題が控えているということで、大蔵省と鋭意協議を重ねた次第でございます。この結果、
郵便貯金
資金の
運用
のあり方及び
郵便貯金
資金にかかわる資金
運用
部の預託利率のあり方につきまして、今後とも両省間で誠意をもって真剣に協議を重ねて対処するということで意見の一致を見ましたので、
郵政省
と いたしましては現下の財政金融事情などを勘案いたしまして、あわせて今回の預託利率
引き下げ
による
事業経営
上受ける
影響
等も考慮いたしまして、資金
運用
部預託利率の〇・三%
引き下げ
に同意したものであります。 それから、もう一つお尋ねのこれに伴う
影響
でございますが、今後の
郵便貯金
の
増加状況
等にもよりますが、
昭和
六十
年度
は約百億円、六十一
年度
では約五百億円程度の減収となると見込んでおります。ただ、私ども六十一
年度
の予算概計要求の収支見通しては、六十一
年度
約四千四百億ほどの黒字が出る見込みでございますので、この程度の減収では一応財政的には大丈夫だという見通しを持っております。
片山甚市
26
○
片山甚市君
重ねて聞きますが、預託利率よりも下回る国債などに
運用
することもあるというように聞いたのですが、それでも問題はありませんか。
塩谷稔
27
○
政府委員
(塩谷稔君) 従来、私ども預託利率というのは比較的市場の金利、例えば国債の利回りなどに表現されます市場金利に比べて政策的に低く抑えられていた、そういうことで預託利率だけに
運用
される
郵便貯金
資金の
運用
の仕方をこれから有利に
運用
するという意味で、国債などを購入すると、国債を含めた公共債
運用
などをしたいということで六十一
年度
の予算要求にはしております。現在の事情では国債などに回すわけにはいかぬということになっております。
片山甚市
28
○
片山甚市君
今お話がありましたが、せっかく
事業
努力
によって収支
改善
を図っても、大蔵省による人為的な操作で預託利率が
引き下げ
られ、再び
財政悪化
という事態が起これば経営責任を問われかねない問題と思います。大蔵、郵政、両省による預託利率
引き下げ
の折衝の場において、先ほどお話がありました市場金利による郵貯資金
運用
制度の創設や、資金
運用
部預託利率を市場連動型へとすることなどについて協議を重ね、早急に具体的成案を得るよう最大限の
努力
をすると合意をされたというお話が今ありました。合意事項の内容について、市場金利による郵貯資金
運用
制度のあらましと
運用
の範囲について
説明
を賜りたいと思います。
塩谷稔
29
○
政府委員
(塩谷稔君) これは市場金利による資金
運用
制度の創設ということを、今私も申し上げましたように六十一
年度
予算要求で出しているわけでございますが、これは
郵便貯金
の受け入れから
運用
まで一貫して市場金利が反映される仕組みをつくると、金利自由化の時代でもございますので、
郵便貯金
のいわば預金面、預ける面において預金者にお支払いする利子も市場金利を反映したことになっていくだろう、規制金利の枠を離れていくことになるだろう。そうしますと、これを
運用
する面でもやはり自由化に相応して有利に国債などの
運用
にも向けられるようにしたいということでございます。あわせて
郵便貯金
資金の確保によって、
財投
に対しても安定的に資金を供給していく、こういうことでございます。 中身でございますが、
郵便貯金
は公的な資金でもありますので、これまでやってきました
財投
あるいは金融市場に与える
影響
も考慮しまして段階的に手がけたいということで、
昭和
六十一
年度
は
運用
対象を国債、地方債、公社公団等の公共債といたしまして、
運用
規模は三兆五千億円を計画しております。
片山甚市
30
○
片山甚市君
預金金利の自由化も大口預金についてはかなり進んでおるように思います。企業等の大口預金者は金利自由化のメリットを受けておると言われていますが、しかし、何千万、何億という単位の預金は
一般
市民には全く縁のない話であります。
郵便貯金
を含めた小口預貯金の金利の自由化が早急に実現されねばならないのではないかと思いますが、金利の自由化はどのようなプロセスで進行すると見ておりますか。
塩谷稔
31
○
政府委員
(塩谷稔君) 先生おっしゃるとおりでございまして、私ども今この小口預貯金の金利の自由化ということが当面の喫緊の
課題
ではないかと考えております。 ちょっと背景を申し上げますと、御承知のとおり、我が国におきましては、金融の国際化それから国債の大量発行等を背景にいたしまして金融自由化が進展をしておりまして、もうこれが時代の趨勢であるということであります。大口預金につきまして申し上げますと、本年三月に市場金利連動型預金、MMCが導入されまして、さらに十月には十億円以上の定期預金ですかについて完全な金利自由化が実現するなど順次金利自由化が進展をしておりまして、小口預貯金金利の自由化ということはもはや、すべき、あるいはすべきでないという議論ではなくて、好むと好まざるとにかかわらず避けて通れない
課題
ではないかと考えております。 アメリカの例を見ますと、金利自由化というのは、当初一九八〇年以降六年間で段階的に撤廃することとされたのですが、これが実際には予定より大幅に短縮されまして、一九八三年、三年後にほぼ完全に撤廃されて、一度着手されると急展開するという実例がございます。 我が国では、一応今のところ大口について六十二年春までに規制の緩和及び撤廃を行うこととしております。小口についてでございますが、去る九月二十四日に閣議決定されました行革大綱におきまして、大口に引き続き逐次自由化を
推進
することとされておりますけれども、自由化のテンポがさらに速まることを予見しておくべきだというふうに考えております。 したがいまして、私ども
郵政省
といたしましては、国民から負託された使命を達成するために目前に迫った金利自由化に積極的かつ的確に対応していこうということで、金利自由化は国民経済あるいは
利用者
、国民などに
影響
を与えることも大きいので現実的な対応をしていくことが必要であろうというふうに考えます。したがいまして、この小口預貯金金利の自由化を円滑に実現していくための過渡的な措置として小口の市場金利連動型の預貯金の創設が必要であるということで、現在商品内容について鋭意検討を進めているところでございます。
郵便貯金
がこうした金利自由化に対応した商品を提供していくためには、先ほど申し上げましたように
運用
面でも六十一
年度
中に
運用
の道をつけて
運用体制
を
確立
することがぜひとも必要であるということで、市場金利による資金
運用
制度の創設を要求している次第でございます。
片山甚市
32
○
片山甚市君
これまで
郵政省
は
郵便貯金
の
運用
制度
改善
を要求し、大蔵省は政府資金一元
運用
を主張して譲らないということでありますが、遅くとも六十二年春までに大口預金の金利自由化を完了し、引き続き小口預金の自由化を図るという大蔵省の金利自由化方針から見ても、今
局長
から
説明
のあったところでありますが、六十一
年度
予算では金利自由化時代に対応する郵貯資金
運用
制度の方向が
確立
されなければならないのではないか、したがって
郵便貯金
に市場金利を反映させる第一歩は郵貯資金三兆五千億円の国債等への直接
運用
の要求をぜひとも実現させなければならないのではないかと思いますが、それについてはどうでしょうか。
塩谷稔
33
○
政府委員
(塩谷稔君) 先生おっしゃるとおりでございまして、預貯金金利の自由化、市場金利に連動した預貯金をつくる、そういう
サービス
をつくるということは
運用
の面で市場金利連動型になっていなければいかぬわけでございまして、そういった観点から、公共債などに三兆五千億、初
年度
運用
したいということで要求しております。 同じ資金
運用
部に預託しております厚生
年金
、国民
年金
等も、
年金
加入
者に対する負担の軽減を目指して、やはり有利
運用
、資金
運用
部から分離して
運用
したいというような要求も出しているやに聞いておりますので、時代の趨勢といいますか、それぞれ預託する主体が自分たちの資金の性格に根差して市場に
運用
をする、それがいろいろめぐりめぐって、
財投
のあり方の再編成といいますか、
財投
の現在いろいろ当面しております問題の解決にもつながるでしょうし、金利自由化の時代における公的金融のあり方ということにもつながると思いますので、最大限
努力
したいというふうに考えております。
片山甚市
34
○
片山甚市君
そこで、
民間金融機関
では税金を払っていない郵貯は民間より有利であり不平等だから平等な条件でないと自由化はできないという意見がありますが、
郵政省
はどういうようにそれについてこたえていきますか。
塩谷稔
35
○
政府委員
(塩谷稔君)
郵便貯金
に官業ゆえの特典があるとよく言われるわけでありますけれども、これは
郵便貯金
と民間との制度あるいは理念といったものが異なることによる差異でありまして、単純に一つ一つを抜き書きして比較することは適当ではないのではないかと考える次第でございます。むしろ
郵便貯金
は、法律あるいは予算上の制約があるということ、それからあまねく公平な店舗配置をしていくということ、それから今申し上げておりますように資金
運用
が認められていないということ、いろいろそういった民間に比べて不利な条件のもとで
経営努力
を行っているのが実態でございます。
郵便貯金
と銀行との競争条件につきましては総合的にとらえていくことが必要ではないか、個々の問題をとらえて単純に比較することは適当ではないと考えるわけでございます。 さきの行革審の答申の中でも、小口預金金利の自由化について
郵便貯金
とのトータルバランス等を前提として検討を進めるとあるわけでございますが、これも、
郵便貯金
の
運用
面なども含めて民間の預金と総合的なバランスをとっていく必要がある、そういう指摘であるというふうに理解をしているところでございます。
片山甚市
36
○
片山甚市君
今までの議論の中でまとめて大臣にお言葉をいただきたいのですが、資金
運用
部預託利率
引き下げ
の経緯や今後の金利自由化への対応などから見ても、
郵便貯金
の
運用
制度をめぐる問題は今後の
郵便貯金
制度の命運を左右すると言っても過言でない重大な問題だと思います。大臣として、先ほどから申し上げた
運用
の問題、
財投
にかかわる利率の問題等について今後どういうようにやっていかれるのか、決意のほどを聞きたいんです。
左藤恵
37
○国務大臣(
左藤
恵君) 今
局長
からお答えいたしましたように、急速に進展しております大口預金金利の自由化に引き続いて当然この小口の預貯金の金利の自由化も目前に迫っておるわけであります。そうした今日におきまして、
郵便貯金
が金利自由化に積極的に、かつ的確に対応することが喫緊の重要
課題
だと、このように考えております。 こうしたために、資金の調達、これは貯金の受け入れでありますけれども、これから
運用
まで一貫して市場金利が反映される仕組みをつくることが不可欠であると、このように考えておりますので、
昭和
六十一
年度
の予算におきましても概算要求の段階で、市場金利による資金
運用
制度の創設ということで今
局長
から御
説明
しました内容のものを要求しておるところでございます。これによりまして、国民に対してのよりよい
サービス
を提供するとともに、
財投
に対して安定的に資金を提供していくということができるものと我々は考えておるわけであります。
郵便貯金事業
の健全な経営を図っていくためにもこの制度の実現に全力を挙げて取り組まなければならないと、このように考えておるところでございます。
片山甚市
38
○
片山甚市君
財投
は御承知のように第二の予算と言われるほど大きいウエートを持つだけに、郵貯のあり方によれば国家予算を組むときに大変大きな支障が起こる。そういう意味で
郵便貯金事業
については国家的
事業
として続けて、大臣の方では大局的な立場から頑張ってもらいたいと思います。
郵便貯金
やマル優などの少額貯蓄利子非課税制度の見直しの問題については、昨年の暮れ、預入限度額管理を
強化
し、非課税制度を存続するということで決着し、来年一月から管理
強化
の
実施
に向けて
郵政省
は準備を進めているはずでありますが、最近所得税減税の財源探しとか日米貿易摩擦に関連する内需
拡大
策を口実に少額貯蓄に対する課税問題が再燃しているとのことでありますが、最近の動きについて
郵政省
はどういうふうに把握されているか、そういう点についてどう対処されるつもりですか。
塩谷稔
39
○
政府委員
(塩谷稔君)
非課税貯蓄制度
につきましては
昭和
六十
年度
の税制改正によりましてこれを引き続き堅持した上で制度の不正利用を防止する、限度額管理の
徹底
を図るということで決着がついたところでございます。こうした経緯にもかかわりませず、最近
非課税貯蓄制度
を廃止し、課税を導入しようとする議論が再燃しつつあるわけでございますが、
郵政省
といたしましては、このような議論は、
非課税貯蓄制度
の存続を前提に新しい本人確認手続を行うことを定めました所得税法の施行を目前に控えて
利用者
国民をいろいろ惑わす、いわば法の安定性を害するというものでありまして、大変遺憾なことと考えております。今後ともこのような動きに対しましては、その動向を見きわめつつ、
非課税貯蓄制度
を堅持するため適切に対処していく所存でございます。
片山甚市
40
○
片山甚市君
ただいまの
局長
の言葉に対して大臣の決意を聞きたいのですが、国債の大量発行という
状況
下でのインフレ防止や高齢化社会へ向かっての老後資金確保のための自助
努力
などという観点から見ても、貯蓄の重要性は高まりこそすれ低下することはない。これは郵政大臣がPRされる新聞紙などにおいての発言もそのとおりです。勤倹貯蓄を大切にする国民性を否定するような外圧や政治は許すことはできません。 大臣として少額貯蓄非課税制度を守る毅然たる所見を述べてもらいたいと思います。
左藤恵
41
○国務大臣(
左藤
恵君)
郵政省
といたしまして、国民各界各層の広範な御論議をいただいて、昨年の暮れの存続決定ということが認められました
非課税貯蓄制度
につきましては今後とも正しく利用していただけるように
利用者
側であります国民の皆さんに十分周知をして、今ちょうど準備を始めたところであるわけでありますが、この
非課税貯蓄制度
の存続につきましては先生御指摘のように何としてでもこれは私は死守していかなきゃならぬ、堅持していかなきゃならないものだ、このように考えております。 そうしたことを前提にして新しい本人確認制度を定めた所得税法の施行を目前に控えまして、これをまた廃止したり、課税を導入しようという議論が出てくること自体私は、今
局長
からも申しましたとおり、法の安定性を阻害するもので、国民をいたずらに惑わしておる、ひいては国民の皆さんに対して国に対します信頼を裏切るということになりますのでこれはまことに遺憾なことであります。どうしてもこの非課税制度は堅持してまいらなければならない、このように考えておるところでございます。
片山甚市
42
○
片山甚市君
郵貯の非課税制度については守っていただくし、政府としても、郵政大臣としても守っていくようにする。国民が少額の貯蓄をしたために税金を納める、少額の貯蓄に対して税金がかかるようなことになりましたならば
財投
の根本的な基礎がなくなってくると思いますから、今大臣がおっしゃったように、
郵政省
と大蔵省と議論するときに国家全体の立場で議論をしてもらって負けないように
努力
を願いたいと思います。
簡易保険
、
郵便年金
についてですが、現状と当面の
課題
について今、六十一
年度
概算要求などもしておるようでありますが、簡略でよろしいから
状況
の
報告
をしてください。
二木實
43
○
政府委員
(二木實君)
簡易保険
、
郵便年金
の現状につきまして、この九月末の
保有契約
状況
で御
説明
申し上げますと、
簡易保険
が件数で五千四百八十七万件、
保険金額
が八十一兆二千九百五億円でございますし、
郵便年金
は件数で三十七万件、金額で八百七十億円、この保険と
年金
の資金量でございますが、二十七兆二千六百二十二億円になっております。また、昨年の九月から本年八月までの一年間での新
契約
の
状況
を見ますと、
契約
件数でその一年前の件数を一〇%以上上回っておる。言ってみますれば、順調に推移しているところでございます。しかし、我が国の長寿社会の到来あるいは金融の自由化、国際化など大変な変革期でございまして、これに的確に対応するためには
課題
があるわけでございます。 その一つは、限度額の引き上げでございまして、
簡易保険
の
加入
限度額は五十二年に引き上げられて以来据え置かれておりまして、万一の場合 の遺族の当座の生活の安定に必要な額を満たしておりません。これを引き上げるということが当面の緊急の
課題
でございます。 また、二十七兆に及びます資金の
運用
利回りを
向上
させまして、
加入
者の自主的な
保険料
の負担を軽減するための資金
運用
制度を
改善
するというこの二点が大きな
課題
でございまして、来
年度
の予算要求に掲げているところでございます。 これらの
課題
と取り組みながら、長寿社会の到来に際しましてますます高度化、
多様化
いたします国民のニーズにこたえる新しい商品や
サービス
の開発に努めまして、国民の自助
努力
を積極的に支援、促進してまいりたいと思っておる次第でございます。
片山甚市
44
○
片山甚市君
どちらにしても、
郵便事業
にしても、先ほど申しましたように貯金の問題にしても、
簡易保険
、
郵便年金
にしましても、非常に国民と密着した公的な制度でありますし、信用を博しておるという立場から、一層全体的な力を尽くして
活性化
を図って、国民に奉仕をしてもらいたいということで一応終わります。大変厳しいところでありますが、
全国
に隅々までネットワークを持っておる
郵政省
はそのネットワークが生きるように一層の御
努力
を願いたいと思います。 次の
電波
監理行政について質問をしますと、御承知のように、テレビ朝日の番組問題ですが、去る八月二十日テレビ朝日
放送
が
放送
した「アフタヌーンショー」でいわゆるやらせによる女子中学生のリンチシーンが演出され、社会的に大きな批判を巻き起こし、
関係
者が逮捕されるまでに至ったが、
放送
事業
者は
放送
法令により表現の自由、番組編集の自由が保障されているとはいえ、国民に直接大きな
影響
を及ぼす言論報道
機関
として社会的責任は重大であります。マスコミ万能の風潮に、甘えたまことに遺憾な事件であったと思います。 そこで、
民放
連、テレビ朝日の
関係
者からまず簡略に事実経過と今後の問題についての率直な御見解をお聞きしてみたいと思います。御苦労でございますが、御答弁を賜りたいと思います。
泉長人
45
○
参考人
(泉
長人
君)
民放
連の専務
理事
の泉でございます。 私も
民放
連として、当事者でございませんので詳しいことは存じませんが、経過を申し上げますと、八月の三日の夜、福生の多摩川河川敷にある公園で、地元の女子中学生を含む不良グループを集めて、バーベキューパーティーを開きまして、少女二人に女子中学生五人へのリンチをさせるなどして番組をつくったわけであります。それを八月の二十日に「アフタヌーンショー」で女子中学生リンチシーンを「激写! 中学女番長!! セックスリンチ全告白」というタイトルで
放送
したわけでございます。これが問題化いたしましたのは十月になってからでございまして、ラジオ、テレビ、新聞などでこのやらせ問題が報道されまして、十月の十二日には社として反省の意を表明する特番を出すことを決めまして、同じく十月の十四日、当日の「アフタヌーンショー」の内容を急達差しかえまして、テレビ取材のあり方という形で
放送
をいたしました。番組の冒頭で田代社長がやらせリンチ事件の
放送
につきまして陳謝をしたわけでございます。 以上が一応番組をつくってからこの番組に対する責任の社長の陳謝のあったときまでの実態でございます。
片山甚市
46
○
片山甚市君
そこで、
民放
連としてのこの問題についての率直な見解はいかがでしょう。
泉長人
47
○
参考人
(泉
長人
君) この事件につきましては一会社員の現場で起こった犯罪的なまれな行為とは受け取ってはございますが、しかしいやしくも
放送
の制作者が
放送
のための行為で法を犯して、また制作に協力した市民にも法を犯させる結果を招いて、
関係
者に被害を及ぼしたことは前例のないことでありまして、テレビ朝日としての責任はもとより、民間
放送
といたしましては、これを
民放
全体の信用にかかわる問題として受けとめまして、去る十月二十四日の
理事
会におきまして特別の決議を行いまして、この事件を頂門の一針といたしまして、かねて昨年の三月以来、連盟として
放送
基準を現場に
徹底
させようという運動をしておったわけでございますが、これがやはり完全に効果を発揮していなかったという反省を含めましてこの運動をさらに積極的に進めまして、取材の節度、人権・プライバシーの尊重、番組審査体制の
活性化
の三点につきまして決議を行いまして、会員社のトップが先頭に立って社内の体制を改革し、社員教育の
徹底
をしてくださいという要請を行った次第であります。
片山甚市
48
○
片山甚市君
私は、番組編成について介入しようという意思でなくて、やはり倫理の問題について問われるようなことはやめてもらいたい、こういう立場でありますから、誤解のないようにしてください。詳細に番組の内容を聞きたいという意思はない。多くの人々から批判を受け有、
民放
連全体、テレビ朝日だけでなくて全体の番組についての批判が行われているのでありますから、その点で十分に反省をしてもらっておると思っていますから、反省した結果どういうことになるかということについてお聞きしたいのです。 この番組が放映された直後から、
関係
者、視聴者による指摘、批判が相次いたにもかかわらず、十月に入って他のマスコミで報道されるまでテレビ朝日
当局
は知らぬ存ぜぬで押し通してきました。
放送
局の免許権、監督権を持つ
郵政省
として、事件発覚以来、テレビ朝日にどのような御指導、対応をしてきたのか、そういう点お答えを願いたいと思います。
森島展一
49
○
政府委員
(森島展一君) 去る十月の八日、九日の両日、この事件が報道により明るみになりました段階でテレビ朝日から任意の形で事情の聴取を行いました。これは十月の九日と十四日でございます。 その後、事件の真実
関係
が明らかになりました十月十五日、テレビ朝日の社長から郵政大臣に対しまして陳謝の意が表され、また翌十六日にはテレビ朝日から今後とるべき措置について文書が提出されました。 これらを受けまして、
電波
監理審議会に対しまして十一月一日の
放送
局の一斉再免許についてテレビ朝日を含めて諮問いたしまして、その審議会の答申を受けて再免許を行うとともに、同十一月一日付で郵政大臣からテレビ朝日の社長に対しまして、今回の事態は言論報道
機関
である
放送
事業
者の社会的責任にかんがみ極めて遺憾であり、今後このようなことがないように厳重に注意いたしました。 なお、同十一月一日付で全
民放
の社長、それから全
民放
社の番組審議会
委員長
等にあてまして
放送
番組の充実
向上
等について要望を行いました。
片山甚市
50
○
片山甚市君
そのときに森島
局長
は、
放送
法、
電波
法に基づく行政処分も検討すると発言されておりますが、
局長
として、また
郵政省
の講じた措置としてはどんなことをやられましたか。
森島展一
51
○
政府委員
(森島展一君) 今回の事件で
郵政省
といたしましてテレビ朝日に厳重注意を与えて再免許を付与するということにいたしましたのは、テレビ朝日が今後
放送
法令及び
放送
番組編集基準を厳しく遵守してこの種の不祥事が再発しないよう万全の措置をとるという確固たる決意を示されたことを酌んだわけでございまして、今後テレビ朝日の真摯な取り組みを見守っていきたいと考えております。
片山甚市
52
○
片山甚市君
この問題は、テレビ朝日に限らず、
民放
局すべてにかかわる問題として
民放
連として、先ほどお話がありましたが、
対策
としては今後どういうふうにやられますか。
泉長人
53
○
参考人
(泉
長人
君) 先ほどは十月の二十四日に決議を行って全社に協力を求めましたが、その際、私どもの
機関
であります
放送
基準審議会というところに各社の番組審議会の
活性化
を含め各社の番組
向上
ないしは
放送
基準の下部への
徹底
ということについてできるだけ具体的な方策を事例を示して各社に示したらどうかということで一カ月間の期間で作業をいたしました。 十一月の
理事
会でまとめましたのは、細かい内容は省略いたしますが、大体、
放送
基準の社内の 番組制作責任者への
徹底
と考査体制の
整備
、それから視聴者センターとか社外モニターなどの
整備
、活用、そういうような体制とか視聴者対応などを有機的に結びつけて各社番組審議会の
運営
を充実しなさいという三本柱の具体的な事例を提示し、そのほかに
全国
の各社の中で非常に有意義な
運営
をしている事例なども参考につけまして、こういうことで各社それぞれ各社の実態に応じた手段で番組の
向上
、それから番組審議会の
活性化
を図ってくださいというようなことをやったわけでございます。
片山甚市
54
○
片山甚市君
そこで文部省、法務省にお聞きするんですが、この事件は
放送
サイドの問題ばかりでなく、青少年の教育に与える
影響
や人権問題として見逃せないものがあります。教育行政及び人権問題の立場から今の御所見を賜りたい。審議の都合で内容を詳しく言いませんでしたけれども、内容はよくわかると思いますから。わからなければこっちから言いますが、非常に遺憾な状態であると思いますから、まず御答弁いただきたい。
伊藤俊夫
55
○
説明員
(伊藤俊夫君) テレビの感受性の強い青少年の成長発達に大きな
影響
を与えますことは先生御指摘のとおりでございます。そのテレビの中に好ましくない番組があるという指摘がありますことは大変憂慮すべきことである、こういうふうに考えております。 ただし、表現の自由の問題もございますので、この点につきましてはテレビの制作者の方々が自主的な
努力
でいろんな形で善処方、お進めになられておる、こういうふうに理解しております。ただその際、文部省におきましても教育的なことにつきましていろいろ配慮し、思索しているところでもありますし、あるいは国民の方々の世論という常識もございますので、その自主的な
努力
のときに、ぜひその種のものが反映されるように御
努力
いただきたい、こういうふうに考えております。
永井敬一
56
○
説明員
(永井敬一君) 御指摘の件につきましては、たとえその制作意図がどのようなものであっても、加工された場面をつくり出すため、事情を知らない中学生五名に対し暴行を加え、また心身ともに未成熟な未成年者を使ってこれらの暴行を加えさしたということは未成年者の人権を侵害するものであり、基本的人権を尊び、社会の信頼にこたえるべき
放送
機関
として極めて遺憾なことであると考えますことから、今後基本的人権の万全に配慮し、二度とかかる事象を起こすことのないよう、昨月十一日、東京法務
局長
から説示し、要望をしております。朝日テレビにおきましては、既に社内にワイド企画審議会等を設け、チェック機能を充実する等種々の方策を講じて再発防止に努められておるところではありますが、人権擁護
機関
としては、さらに今後とも取材報道の自由と基本的人権尊重の問題についてマスコミが自主的な諮問
委員会
をつくるなどして真剣に検討され、対応されることを期待しておるのでございます。
片山甚市
57
○
片山甚市君
今申されたように、文部省としては教育的立場から、テレビの果たす役割は非常に大きい中で、暴力とかセックスとか人殺しとか、そういうことを推奨するような番組をつくらないことは、やはり教育の今日のいじめの問題からいっても大きな役割だと、お話を聞いて思います。法務省の方から言われるように、番組以前に制作をする人たちが人権をどのようにたっとぶつもりで
放送
しておるのかということが問われておるということですから、やはりマスコミ帝国と言われるように大きな
影響
力がある、犯人でないのに犯人のように映される、犯人であっても免れるやつは免れる、そういうふうなことがあるときでありますから非常に気をつけてもらいたいと思います。 そこで、この事件が起きた要因の一つとして、法律的に義務づけられている番組審議会が形骸化しているのではないかと心配します。テレビ朝日自身、事件後の
対応策
に番組審議会の機能
強化
を挙げておられますが、テレビ朝日の番組審議会のメンバーの構成、
運営
状況
について、いかがになっていますか。
泉長人
58
○
参考人
(泉
長人
君) テレビ朝日の番組審議会
委員
はただいま十二名いらっしゃいます。
委員長
は有光日本芸術院院長さん。そのほか川本信正スポーツ評論家。それから
委員
に池田敬子さん、日体の教授です。岩間英太郎さん、この人も日体の学長でございます。遠藤健一さん、東京出版
販売
の専務さん。岡部冬彦さん、漫画家でございます。小尾信弥さん、
放送
大学の教授です。片方主治さん、
システム
研究センターの
理事
長。中里直さん、作曲家でございます。樋口善典さん、土間印刷の
取締役
社長。宮川毅さん、日本オゾンピック
委員会
の常任
委員
。森武夫さん、日本教育会の事務
局長
。この十二名でございます。
運営
状況
は年十回、八月と十二月休んでおりますが、主な
議題
といたしましては
課題
番組に関する意見交換とか、春秋の番組改編についてのときの意見交換、それから関連しているネット局の十二社の番組審議会の代表者との会議をやって意見交換をするとか、そういうことをやっていたようでございますが、事件以後は
委員
からさらに強い御意見がありまして、フィードバック機能を
強化
してほしいということで、そのようなことに努めるようにしていますほかに、この番組審議会をサポートしております事務局にテレビ朝日の考査部がともに協力できるような形で審査部という形に改めましてサポートを強めているというふうに伺っております。
片山甚市
59
○
片山甚市君
せっかく御
努力
をしていただいているようでありますから、実が上がるようにやってもらいたい。
実績
が上がらなければ有名無実、紙にかいた絵のようなものでありますから、私たちが望むところでありません。
放送
関係
の方々は知的にも高い人たちだし、世の中のことについてはおわかりのはずですが、こんな事態が起こるということは怠慢というよりも傲慢な態度があったんじゃないかというように考えますから、謙虚にお仕事をしてもらいたい。非常に大きな
影響
力が日本列島に広がってあるんですから、そういうことを重ねて要望します。 そこで、
郵政省
が検討しているという番組審議会の
活性化
方策というのはどのようなことであり、どの部分を指すのか
説明
してください。
森島展一
60
○
政府委員
(森島展一君)
放送
法は
放送
事業
者に番組編集の自由を保障しております一方、
放送
番組の自主的なチェック
機関
として
放送
番組審議会の
設置
を義務づけているものでございます。
郵政省
としては、このような法制下におきまして、
放送
番組の適正化を図る上で
放送
番組審議会の果たすべき役割は極めて大きいものがあると考えておりますが、今回のテレビ朝日事件に関し、
放送
番組審議会としての機能が形骸化しているんではないかという指摘が各方面からなされていることも事実でございますので、その開催方法それから
議題
設定のあり方等番組審議会の
活性化
の方策について現在検討しているところでございます。
片山甚市
61
○
片山甚市君
現在の番組審議会は
放送
局がピックアップする番組についてテレビ放映後に意見を交換するという制度になっておりますが、番組審議会における議論は直接番組制作に反映するという
システム
になっていると理解してよろしいか。反映しないことになってますか。
森島展一
62
○
政府委員
(森島展一君)
放送
番組の編集につきまして、ただいま申しましたが、
放送
法は
放送
事業
者の自律を保障しておりまして、したがって自主的なチェック
機関
として
放送
番組審議会の果たすべき役割が極めて大きいものでございますが、今回のテレビ朝日の事件に関連しまして、番組審議会が必ずしも本来の機能を十分発揮していないんではないかというふうに批判が出ております。そこで
郵政省
は、
放送
番組の
向上
につきまして番組審議会が十分にその役割を果たすことができるように、番組審議会に対する案件の付与の仕方といったことも含めまして、その
活性化
の方策について検討しているところでございます。
片山甚市
63
○
片山甚市君
私の意見ですが、例えば
NHK
では番組審議会のほかに視聴者会議等じかに視聴者から意見を聞く機会が制度的に設けられております。
郵政省
と
民放
連については、この点について、このようなことを
民放
連でも
努力
するように 御指導ができないのかどうか。
郵政省
と
民放
連とそれぞれ答えてください。
森島展一
64
○
政府委員
(森島展一君)
郵政省
といたしましても、
民放
各社が視聴者の意見をフィードバックして番組制作に生かすような方法を十分とっていただきたい、こういうふうに指導していきたいと思っております。
泉長人
65
○
参考人
(泉
長人
君) 視聴者に対する窓口といいますか、そういうものは大体
昭和
五十二年ごろ東京を初め基幹局がほとんど、名前はそれぞれ違うかもしれませんが、視聴者センターというようなものをつくりまして、それぞれ視聴者からの苦情とか質問その他を受け付けております。 例を申し上げますと、東京では日本テレビが大体七人ぐらいの視聴者
サービス
センターというようなこと、TBSが十二名の視聴者センターを持っております。大体そのような大同小異の形でございますが、ただ視聴者センターで受け付けます視聴者の意見というのはほとんどが質問だとか、それから感想が多くて、苦情というのが大体一〇%以下、大体五%前後が苦情でございまして、必ずしも視聴者全体の意見を代表しているとも思えません。しかし、視聴者に対する受け付けの窓口としてはそれなりの役割を果たしているわけでございます。やはり
NHK
と
民放
連でやっております番組
向上
委員会
などが地方で視聴者の懇談会などを開いて行いました議事録その他がまた非常に参考になっております。そういうものもそうでございますが、ただいまの視聴者センターでまとめました視聴者からの意見は大概全役員とか番組担当責任者などに配りまして、それぞれ対応しているようでございます。
片山甚市
66
○
片山甚市君
大臣にお伺いしますが、さきの
放送
局一斉再免許に際して、テレビ朝日のみでなく、全
民放
局社長、
放送
番組審議会
委員長
等に対し
放送
番組の充実
向上
を求める要望を行っておりますが、同趣旨の要望はことし二月にも行っており、年に二度も
民放
番組に口を挟むということは異例なことだと思います。大臣は
放送
番組の適正化についてどのような御見解が、先ほどから
局長
が言っていますが、大臣としての御所見を述べてください。
左藤恵
67
○国務大臣(
左藤
恵君) 今お話しのように、ことしの二月にも国会での御議論がございまして、青少年に対するテレビの
影響
というようなものも含めまして、
放送
番組の適正化ということで
民放
の各社に対しまして注意を喚起したわけでございますが、今回のテレビ朝日の事案は、そうしたことにもかかわりませず、重大な社会問題ということにもなりました経緯もありまして、
放送
局の一斉再免許という機会をとらえまして、さらに全社に対して、番組適正化及び番組審議会が十分機能するように、そういった意味におきましての要望をいたした次第でございます。
片山甚市
68
○
片山甚市君
私は、今回のような事件が
放送
番組に対して不当な介入の口実になることを非常に恐れるものです。やはり、
放送
の内容については、審議会とかいろんな形で批判があるべきで、公権力が入ることについては反対でありますが、そういう機会をつくることにならないように、一層
民放
連を含め、
NHK
も含めて警戒をしてもらいたい。言論の自由をみずから破っていくようなことにならないようにお願いをしたいんです。 しかし、
放送
事業
者は、
放送
法の精神にのっとり、
放送
の倫理を
確立
し、番組の充実、
向上
に自主的
努力
を払うとともに——今のように人殺しとか暴力とか姦通とか、そういうことを
奨励
するがごとき番組を非常に好きでつくっておる。それはなぜかというと、スポンサーにばかり目を向けて、コマーシャル代金を得たいから視聴率の競争に走っておるというのではないだろうか、視聴率の
向上
のためには手段を選ばないようになっておるんじゃないかと思いますから、視聴率よりも国民の批判について真摯に耳を傾け、それらを番組の質的
向上
に反映させていくことが大切だと思います。今
民放
連も
努力
をしておられるようでありますが、肯定的というよりも、むしろ人から言われなくてもみずからこれは姿勢を正していくもので、言われたことを素直に聞いてやってもらいたい。 そこで、郵政大臣と
民放
連について私はそう思うんですが、そのようなことで、これから番組の編成について、また
放送
の倫理について
確立
されていくのかどうかお伺いしたいと思います。
左藤恵
69
○国務大臣(
左藤
恵君)
放送
が国民の日常生活に深く浸透してその
影響
が極めて大きいということになってまいっておる今日におきまして、
放送
行政をお預かりするという立場から、この
放送
事業
の根幹を支えるものは何にも増して
放送
番組であるということを深く認識しておるところでございます。このために、機会あるごとに
放送
事業
者に対して番組の質的
向上
について御要望を申し上げているわけでありますが、
放送
事業
者は、
放送
法に規定された番組編集の自由と表裏の
関係
にある社会的責任を十分自覚して
放送
番組の質的
向上
に不断の
努力
を傾けてもらいたい、このように考えております。具体的には、
放送
事業
者がみずから定められた
放送
番組基準を誠実に遵守するとともに、この番組審議会の機能が十分活用されるように、そうしたことによって国民の期待にこたえていただきたい、このように念願をしておるところでございます。
泉長人
70
○
参考人
(泉
長人
君) 民間
放送
連盟というところは、番組につきましては、いい番組をつくる、またその倫理を守らせる、そういういい
環境
をつくるというのが私どもの仕事だと思っております。したがって、この精神活動の所産であります番組というものは上からの命令とか、そういうものでは必ずしもよくならない。やはり一番必要なのは、直接第一線に立っている、番組をつくっている人間の教育と自己研さんにあると思います。そういうものにつきまして
民放
連ではいろいろなやり方というものを考えているわけでございますが、新聞などでは、新聞記者の書いてきた記事を編集長がチェックする機能がありますが、生の
放送
では、現場の第一線に立っている人間がその社の代表でございます。したがって、その一番端末にいる現場の人間の倫理観、それから番組に対する思想、そういうものが一番大切なわけでございます。今後は、単に上からの守れ守れということだけじゃなくて、本人が直接そういうことを守ろうとする
努力
と教育、自己研さんに方法は何かないかと。ただ、例を申し上げますと、ことし十一月の十三、十四日と世界テレビ映像祭というのをやりまして、世界各国で映像で賞をとった番組を、その番組をつくったプロデューサーと同時に日本に招きまして、日本のプロデューサーとの交流をいたしました。日本よりも恵まれない技術的ないし金銭的な制作
環境
にある外国の人たちがどんなすばらしい番組をつくっているか、そういうプロデューサーと日本のプロデューサーが話し合うことによって大きな刺激を受け、自己研さんにもなると思います。そういうようないろいろな具体的な場を積み重ねながら、やはりこれは教育ということでございますと息長くやらなければならない問題でございますので、先生のおっしゃったように、いろいろな規制だとか、上からの押しつけではなかなか番組をよくするということは難しいわけでございますので、両面作戦でいきたいと思っております。
片山甚市
71
○
片山甚市君
コマーシャル主義に陥ることなく、文化の高い香りのする
放送
番組をつくってほしいというのが当
委員
の願いです。いろいろ
説明
をしていただいても、今はんらんしておる暴力肯定的セックス
中心
主義、金のためならどんなことをしてもいいようなこと、そんな番組が道徳を腐敗させておるというように——民間
放送
の
関係
のテレビを見て、心温まるようなものがたくさんできるようにお願いをしたい。私は、
NHK
だけはいいというんじゃなくて、あれだけたくさん
放送
しておるんですから、民間
放送
がもっと文化の香り高いものをつくってもらいたいということを言って、この質問を終わります。 ありがとうございました。 次に、一括法案についてお伺いします。 一括法案の中に
電波
法第三十七条
電波
法第七 十三条がかかわっておりますので、まず最初に、いわゆる規制緩和一括法案とは何かといえば、
逓信委員会
でやるべき法案を、どこかでちょこちょこと人を集めて、審議もされないで、郵政大臣の権限じゃないぞ、全部集まれということになって、八省の
関係
法案を一緒くたに内閣
委員会
でやるということについては納得できないんでありますが、郵政大臣はどうお考えですか。
左藤恵
72
○国務大臣(
左藤
恵君)
電波
法第三十七条は、警急自動
受信機
等六つの機種につきまして、原則として郵政大臣の行う型式検定に合格したものの
設置
を義務づけておるわけでありますが、郵政大臣の行います検定に相当する型式検定に合格したレーダー及び航空機に施設する無線設備につきましては義務づけを適用から除外しておるわけであります。今回の改正は、六つの機種すべてについて、このような場合には郵政大臣の行う型式検定を受けなくてもよいということにいたしましたが、これは二重の検定を避けたというものでありまして、規制の緩和を図ろうとするものでございます。こうした改正の内容でありまして、臨時行政改革
推進
審議会の答申、それから、去る九月二十四日閣議決定いたしました行革大綱、これに基づきまして各分野の規制緩和事項を取りまとめて所要の措置をする、こういう今回の法律案でございますので、そうした中へ入れて趣旨を同じくする他の規制緩和の改正と一括して統一的に国会の御審議をお願いしよう、こういうふうなことで規制一括法案という形でお願いした次第でございます。
片山甚市
73
○
片山甚市君
八省にまたがり、関連法案二十六法案、関連事項四十二事項がありますが、これを、大臣がおっしゃるように行革の立場から一括法案にするのはやむを得ないということでありますが、私は、法改正の分は
郵政省
所管すなわち
逓信委員会
で専門的な立場から慎重に審議されるべきだと思っています。総理がどこかで口約束したことを、複数の省が所管する法律に抵触するたびに何でもかんでも一括法案処理ということに。なっておることについては、各
委員会
での審議、常任
委員会
制度が軽視されるということになり、甚だ納得できません。この際、
関係
委員会
にそれぞれ関連法案を付託し審議をすべきだと求めたいのですが、もう既に衆議院からこちらの方へやってきて今始まっておるところでありますから繰り返しません。そこでやむを得ず
逓信委員会
で郵政大臣にじきじきお伺いしたい。そうでなければ連合審査でもやって大臣に出てもらわなきゃならなくなる。 私は、具体的内容はすべて省令にまとめられておるということについて、その省令に求められている問題について触れてお聞きしたいんです。省令になるであろう部分を含めて質問をしたいと思いますから、お答えを願いたいと思います。 私は、貿易摩擦を口実にした、アメリカの対日圧力に屈した基準・認証制度の緩和策だと思っています。 そこで、義務型式検定に関する
電波
法三十七条改正の意図は何であり、特に背景を含めて
説明
してもらいたい。今、法案の取り扱いについては大臣が二重検定をやめたんだと言われたけれども、聞き方によれば、今までの型式検定なんというのはやらなくてもいいんだけれどもやっておったというふうに聞こえるから、そうじゃなくて、すぱっと答えてください。
澤田茂生
74
○
政府委員
(澤田茂生君) 今回の
電波
法三十七条の改正につきましては、ただいま郵政大臣の方から御答弁申し上げたところでございまして、今まで二機種については郵政大臣の義務型検定を受けなくても外国で同等以上のものを受けておればいいですよということにしておりましたのを、今回は残り四機種につきましてもそういうふうな取り扱いをしようということでございまして、これは二重の検定を避けるという意味と同時に、最近の
電気通信
技術、
電波
技術の
向上
ということによりましてかなり安定したものがあるということでございます。と同時に、その基準自体というものが、外国の条約等に基づいて行われている各主管庁に課せられているものであるということでございまして、郵政大臣が我が国において行うという型式検定以上のものであるならばかなり信頼の置けるものであろうというふうな判断がございました。また一つには、いろいろな機種というものが選定できる、日本の国内においても外国の機種も選定できるというような機会というようなものがふえることによりまして、自由貿易の促進という観点からもそういった措置が望ましいであろうということと、
利用者
にとりましてもそれだけ選択の余地が広がるわけでございますので、そういった意味でも適切な措置であろうということで今回そういうことに踏み切ったということでございます。
片山甚市
75
○
片山甚市君
従来型式検定を義務づけてきた根拠は何ですか。
澤田茂生
76
○
政府委員
(澤田茂生君) 今申し上げました警急自動
受信機
とかあるいは救命艇用の携帯無線電話等の船舶に
設置
する機器につきましては、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、この附属規則の
関係
規定で主管庁が型式承認を行うことを定めておりまして、また航空機に施設する無線設備の機器につきましても国際民間航空条約のこの附属規則の
関係
規定におきまして主管庁の承認する型式のものを
設置
するということを定めているわけでございまして、これらの機器というのは船舶、航空機の航行の安全を図る上で極めて重要なものでございまして、海上や上空における厳しい
環境
条件のもとにおいて常に正常に作動するということが必要でございまして、こういった
環境
条件における性能を検査するということで型式検定というものが行われているということでございます。
片山甚市
77
○
片山甚市君
諸外国では外国の型式検定を受けているものについてどのようにしているかを調べてみましたら、今おっしゃった国際条約上は、主管庁の権限に属するもので、基本的には当該国以外は国の型式検定を認めることはしていないということでありますが、そのとおりですか。
澤田茂生
78
○
政府委員
(澤田茂生君) 型式検定を我が国で受けているものについて外国で受け入れるというようなものもございますが、全般的に見ましてどこかの国で行われているものについてすべてをその国で認めるというところまではまだ至っておりません。
片山甚市
79
○
片山甚市君
アメリカは認めておるんですか、航空機と船舶のやつを除いて。
澤田茂生
80
○
政府委員
(澤田茂生君) アメリカではまだそういう措置はとられておりません。
片山甚市
81
○
片山甚市君
澤田
局長
、早口で言ったから聞き損ねたからもう一遍聞きますが、我が国の型式検定がそのまま認められている国はどこですか。
澤田茂生
82
○
政府委員
(澤田茂生君) 我が国などの外国の型式検定の受け入れでございますが、ノルウェー等の一部の国で行われているわけでございます。先ほども申しましたように、すべての国に範囲を広げた事例というものはございません。ただ、韓国、台湾、カナダ、インド、それからリベリア、パナマ、イタリアそれからオーストラリア、ブラジル、こういった各国におきましては、我が国の型式検定合格証の写しあるいは合格したことの証明があれば型式検定の試験を省略をいたしております。
片山甚市
83
○
片山甚市君
先ほどお話があったレーダー、航空機の無線機器について型式検定を免除してきておりますが、その対象に限定してきた事情と背景はどういうものですか。
澤田茂生
84
○
政府委員
(澤田茂生君) レーダーにつきましては、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、これによって主管庁の型式検定を受けたものを船舶に施設しなければならないということでございまして、この条約の発効に備えまして
昭和
五十四年に
電波
法三十七条の型式検定の対象と定められたわけでございますが、当時、運輸大臣もレーダーの型式承認を行っていたということ、それから船舶用レーダーは取りかえの機会が多いということ、さらに外国のレーダーが施設されております外国の船舶を購入するものの便 益を図る必要があるということから特例を認めたものでございます。航空機の無線設備の機器につきましては、我が国の航空運送
事業
者等が使用する航空機というのは外国で製造されるものが多いわけでございまして、外国で製造されました航空機には無線機器も外国のメーカーのものが施設されているという場合が多いわけでございまして、現在使用されております航空機の機器のうちの約九七%は外国製であると、こういうような事情から外国の航空機を購入しようとするものの便益を図るということにしたものでございます。 今回、他の機種につきましても同様の措置をとることにいたしましたのは、先ほども申しましたように、半導体の技術の発達あるいは無線機器の性能が
向上
し、安定化が図られたというようなこと、それから我が国の経済が国際化して自由貿易というものについてのやはりそういったものを進めていくという必要があろうというような観点から
利用者
の利便というものを図ると同時に、いろんな我が国における検定事務の簡素合理化というものを図るということでございます。
片山甚市
85
○
片山甚市君
今回の法改正が
電波
法第三十七条で定める無線設備の機器について、我が国と同等以上の基準、条件で
実施
していると認められる外国の型式検定に合格したものは我が国の行う型式検定は要しないということでありますが、国際的には基本的に当該国以外の国の型式検定を認めることはしていないのではないか。必要であれば主務官庁の権限において当事国と相互に協定すれば済むことではないか。どさくさ紛れに今すぐ一律的に不要措置をとることはないと思うんですが、先ほど
説明
がありましたが、もう一度言ってください。
澤田茂生
86
○
政府委員
(澤田茂生君) 義務型検としての臓器につきましては、条約等によりましてそれぞれの主管庁が型式承認を行うということを定められたそういったものを踏まえた措置でございまして、今回の
電波
法の改正自体も無限定に型式検定の適用除外措置を定めようということではございませんで、外国の主管庁が行っている検定が郵政大臣の行う型式検定と同等またはそれ以上の基準で行っているとかあるいはそういう条件で行っているというふうに郵政大臣が認めたものにつきまして二重の検定を行わないようにということでございまして、さらに無線局の開設に
当たり
ましては個別の無線局につきまして落成検査というものを行うわけでございますが、十分無線局の性能等については保証ができるというふうに考えているものでございます。
片山甚市
87
○
片山甚市君
少しわからないけれども、前に進みます。今おっしゃったことわからないけれども、どうも早口におっしゃっただけで、内容的にわかりにくいですが。 定期検査についてですが、私は
型式検定制度
の重要性を再確認したいのですが、一つは無線局の定期検査の目的達成の意義はどういうことですか。
澤田茂生
88
○
政府委員
(澤田茂生君) 定期検査と言いますのは、無線
通信
の円滑かつ効率的な利用を確保するために無線設備それから無線従事者等その無線局が
電波
法令に基づきまして満たしていなければならない条件というものが維持されているかどうかということを定期的に点検しよう、そしてその無線局の適法性というものと、それから
電波
法の秩序というものを不断に確保しようというものでございます。
片山甚市
89
○
片山甚市君
法第七十三条二項の「その時期を延期し、又は省略することができる。」とはどういう意味か。延長または省略する判断の基準とはどういうものを持っていますか。
澤田茂生
90
○
政府委員
(澤田茂生君) 無線局を
設置
しております船舶とか航空機というものが、七十三条第一項によって定められております定期検査、その時期にちょうど外国を航行中であるというようなためにその定期検査というものを受けられないというようなことがございます。そういう場合には時期を延期して検査を行うということでございます。また、その定期検査を行う時期の直近に、その無線局につきましては変更検査というようなものが行われる。定期検査の内容に相当するような変更検査というようなものを既に行っておるというような場合には、
電波
監理上特段支障がないというふうに判断されるものにつきましては定期検査を省略するということでございます。
片山甚市
91
○
片山甚市君
それでは定期検査を要しない無線局については何によって監督をされますか。
澤田茂生
92
○
政府委員
(澤田茂生君) 定期検査を要しない無線局は、その無線設備の信頼性が高い、またその
運用
方法も極めて簡単である、そして他の無線局に妨害、混信というものを与えるおそれがほとんどない、こういう無線局について定期検査の廃止ということを考えているわけでございますが、こういった無線局につきましても監視機能の活用というようなことによりまして、発射される
電波
の監査あるいは利用
状況
というようなものを
調査
いたしまして、また混信
状況
の
調査
というようなこと等をいたしまして、実態の把握をいたしまして適切に監理を行っていこうということでございますが、なお必要な場合には定期検査ではございませんが、臨時検査というものが
実施
できるということになっておりますので、そういったものも活用いたしまして対処をしてまいりたいと思っております。
片山甚市
93
○
片山甚市君
検査はするということですね。 法第七十三条の二の二項にある「
指定
検査
機関
の
指定
は、
郵政省
令で定める区分ごとに」と言ってありますが、その意味と内容について
説明
してください。
澤田茂生
94
○
政府委員
(澤田茂生君)
指定
検査
機関
の
指定
でございますが、これに
当たり
ましては公益法人であるということ、それから
職員
、検査用の設備等が定期検査の
業務
の適正かつ確実な
実施
に適合したものである、こういった
指定
基準というものがございます。それに適合しているということを条件に
指定
をするわけでございますが、定期検査
指定
機関
に行わせる無線局というものにつきましては、国が行おうとする重要な無線局以外のものにつきましてどの程度のものをどういうふうにさせるかというようなことについては、今後私ども検討してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
片山甚市
95
○
片山甚市君
そこで、
指定
検査
機関
の事務所の
全国
的配置、要員等の規模はどうなっておるか。 その次に、
指定
検査
機関
の財政的基盤と
運営
の安定化はどのような見通しをつけられておりますか。
澤田茂生
96
○
政府委員
(澤田茂生君)
指定
機関
の責任、責務というようなことにつきましては、先ほども申し上げましたように、
電波
法巨体でいろいろ規定をされております。郵政大臣といたしましても、その
業務
の執行等につきまして適切に指導していくことにいたしているわけでございますが、
指定
機関
の規模等につきましては、これは、やはり
全国
に散らばっております無線局というものが定期検査が受けやすいというようなことも必要でございましょうし、そういったようなことを勘案いたしまして、そういった
指定
機関
に行わせる定期検査というものが有効に効率的に行われるような
指定
機関
というものを私ども
指定
をしてまいりたいというふうに考えているわけでございますが、
指定
機関
の財政基盤という観点からの御質問でございますが、この
指定
検査
機関
に行わせる無線局の検査といいますのは、従来国が
実施
してきたものの一部をそのまま行わせようというわけでございますので、その手数料というものによって、従来国が検査を
実施
した場合と同様、原則として実費相当額というものを免許人から徴収する。これをもって一つの支出に対する対応をしようということを私どもは考えているわけでございまして、
指定
検査
機関
自体も、民間の創意工夫というようなものも発揮をいたしまして、効率的な検査を行うということになろうと思いますので、
指定
検査
機関
に定期検査を行わせたということになりましても、その財政的
運用
上特別な問題はないのではないかというふうに考えております。
片山甚市
97
○
片山甚市君
指定
検査
機関
の行う検査の方法はどんなものであるか、検査の判定まで行うのかど うか、不合格や非違事項があった場合の措置はどういうようにされますか。
澤田茂生
98
○
政府委員
(澤田茂生君)
指定
検査
機関
は
郵政省
が行う場合と同様な方法で検査を行いまして合否の判定も行うというものでございまして、
指定
検査
機関
の行った検査の結果、必要な書類の不備等のような軽微な非違事項というようなものがございますれば、その点につきましては
指定
検査
機関
に必要な措置を行わせるということが適当ではないかと考えておりますが、不合格であるというような重要な非違事項というようなものが発見された場合におきましては、
指定
検査
機関
からの
報告
を受けまして
郵政省
みずからが免許人に対しまして必要に応じまして、例えば法七十六条第一項の規定に基づく無線局の
運用
の停止あるいは
運用
許容時間あるいは周波数もしくは空中線電力の制限とか、あるいは細部の臨時検査を行うというような適切な措置をもって対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
片山甚市
99
○
片山甚市君
時間が来ましたから、あと二問だけして残余の問題は内閣
委員会
で三十分ほどいただいていますから、そこで引き続き御質問さしていただきたいと思います。
指定
検査
機関
への移行はどのような段取りをとっておられますかが一つ。 二つ目、
指定
検査
機関
の検査員の資格要件はどのようなものでありますか。二つ。
澤田茂生
100
○
政府委員
(澤田茂生君)
指定
検査
機関
への検査の移行ということでございますが、私ども今どういうものを具体的に
指定
検査
機関
の検査対象にするか、あるいは検査
機関
における
業務
方法、取り扱いというふうなことについて目下検討いたしているところでございます。法律の施行を待ちまして
指定
検査
機関
に適合するような
機関
からの申請がございますれば、それを待ちまして
指定
を行おうということを考えておるわけでございます。 それから、検査員といたしましては、第一級無線技術士、それから第一級無線
通信
士または第二級無線技術士の資格を有する者で、それぞれ一定の
業務
経験を有する者、これと同等以上の知識、技能それから経験を有していると郵政大臣が認めた者を
選任
しようというふうに考えているところでございます。
片山甚市
101
○
片山甚市君
終わりますが、結局この法律の改正に賛成か反対の前に省令にかかわる問題でありますから、できるだけ改正されるまでの間に省の考え方をただして納得したいと思いますから、そのつもりで後引き続きお願いいたします。 本日の質問はこれで終わります。ありがとうございます。
大森昭
102
○
委員長
(
大森昭
君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時九分開会
大森昭
103
○
委員長
(
大森昭
君) ただいまから
逓信委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
郵政事業
及び
電気通信事業
の
運営
並びに
電波
に関する
調査
を
議題
とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
竹山裕
104
○
竹山裕
君 自由民主党の
理事
をしております
竹山裕
であります。私は、
通信
政策並びに
郵便貯金
、
簡易保険
関係
について若干の質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
左藤
大臣は先般、大変私どもに勉強の資料をお与えいただきまして、私も早速一読をさせていただきました。「距離と時間を超えて
通信
は時代を割る」という、まさにこの手の本は、とかく私ども素人には専門語が多うございましてわかりにくいんですが、大臣の御本は大変わかりやすく、かつ内容豊富ということで中曽根総理も御推薦の辞がございますが、特に五章で私感動いたしました。「世界の
電気通信
政策はおおむね、「基本
サービス
充足指向型」と「高度
情報
社会構築指向型」の二類型に大別され、」、我が国はもちろん後者であるわけでありますが、「特に後者においては、
事業
者間の競争により
電気通信
の発展を目ざす国々と政府等による
事業
独占の中で
電気通信
の現展を目ざす国々とがある。今日ではまだ
電気通信事業
の分野に競争原理を導入している国は少ないが、全体の流れとしては、機器等の分野を含め、規制緩和・自由化の方向へと進みつつあるといえよう。」、まさにこのとおりだと私も思うわけであります。 そこで、こうした
情報
通信
をめぐる国際競争の一段と激化する中で、中曽根総理がむべなるかなおっしゃっております
電気通信
制度の生みの親でいらっしゃいます
左藤
郵政大臣、じかに大臣のお口から、こうした情勢下の中にあっての基礎的先端的な技術の研究開発を我が国としてどういう対応を持って進められていくか、この辺についての御見解をお聞かせいただきたい。
左藤恵
105
○国務大臣(
左藤
恵君) 御承知のとおり、
情報
通信
分野の研究開発は来るべき高度
情報
社会を実現する上でどうしても大切な必要不可欠なものである、このように考えております。とりわけ我が国におきましては、従来からその立ちおくれが指摘されております基礎的な分野の研究
推進
なくしては将来の我が国が技術立国ということで
電気通信事業
産業を維持、発展させていく、また経済的な繁栄を実現するためにどうしてもそういうことなくしては不可能である、また基礎的な分野の研究の欧米依存体質をここで改めて、国際社会に応分の貢献をしていく上でも重要である、このように考えております。 基礎的先端的技術の研究開発は、産学官が密接な連携を保ちながら研究活動の活発化を
推進
していくことによりまして国全体としての研究開発能力の
強化
を図っていくことが重要である、このように考えております。 こうした観点から、本年十月に設立されました基盤技術研究促進センター、これの民間におきます研究開発に対する出融資
事業
、共同研究
事業
等そういったものを十分活用いたしまして研究開発を
推進
していくことにいたしたい、このように考えておるところでございます。
竹山裕
106
○
竹山裕
君 民活のお話も出ました。活力ある社会の建設を進めていくためにも、より効率的な高度
情報
社会をつくっていかなければならないというお話でございます。このための
情報通信産業
の
育成
、
振興
という面についての非常な
課題
が多うございます。その点で
郵政省
としての
施策
をお聞かせいただきたいと思います。
奥山雄材
107
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 二十一世紀に向けまして到来が予測されておりますいわゆる高度
情報
社会の
中心
的な担い手が
情報通信産業
であり、またその中でもその
中心
的役割を果たすのが
電気通信事業
であると言われております。そうした見地から展望いたしました場合に、二十一世紀の段階における
情報通信産業
のGNPに占める比率は約二割にも達すると言われておるわけでございますが、こうした高度
情報
社会における
電気通信事業
の
育成
や
振興
を図るためには、行政としてもその
運営
のよろしきを得なければならないというふうに考えております。 そこで、御指摘のいかなる
施策
を
郵政省
として今後講じていくべきかということでございますが、先般の国会でお認めいただきました
電気通信事業
法の成立によりまして本年の四月一日からいわゆる
電気通信事業
のあらゆる分野に競争原理が導入されておりますので、まず何をおいてもそうした公正かつ適正な競争原理の発揮ということが大前提だろうと思います。したがいまして、
郵政省
といたしましては、税制、財政あるいは予算といったようなあらゆる行政上の諸措置をこうした有効かつ適切な競争原理の発揮のために投入してまいりたいと思っております。あわせて、今後のネットワーク社会を展望いたした場合に不可欠になってまいります
通信
方式の標準化の問題、あるいは安全性・信頼性
対策
の問題、あるいは技術開発
推進
体制の
確立
、さらには地方の
情報格差
の是正といったようなことを含めまして、
郵政省
といたしましては、今後
情報通信産業
の
育成
、
振興
に最大の意を用いてまいりたいと考える次第でございます。
竹山裕
108
○
竹山裕
君 私は静岡から出ております。私の、首都圏静岡市もテレトピアの第一次のモデル
地域
指定
を受けております。地元といたしましては大変願望がかなって意欲に満ちての取り組みをしておるわけでありますが、どうかこの辺を
郵政省
当局
としてのリードのよろしきを得たい。なかなか現場ではああでもないこうでもないと船が山に登らなきゃいいなと思うぐらいに意欲はあるんでございますが、リードの点に誤りのないようなことを特にお願いしておきたいと思うわけでございます。 今、安全性、信頼性のお話にも触れられたわけでございますが、特に昨年の世田谷のケーブル火災、また今回の中核派の暴挙による鉄道の
通信
ケーブル、信号ケーブル、本当に私どもの日常生活の中でいかに安全性、信頼性をこいねがっているかという点に対しての対応についていろいろな方策があるやに伺っております。この辺についての策、対応をお聞かせいただきたいと思います。
澤田茂生
109
○
政府委員
(澤田茂生君) 先生、今お話ございましたように、
電気通信
のネットワーク化というものが進み、高度
情報
社会というものを迎えまして、
電気通信
の果たす役割というのが大きくなればなるほど
電気通信システム
の機能が停止した場合、これに損傷を与えられた場合、国民生活に及ぼす
影響
というものは大変大きいものがございまして、
電気通信
ネットワークの安全・信頼性確保ということが非常に重要な
課題
であるというふうに考えております。 私ども現在とってまいったもの、それからこれから対応を考えておりますものにつきまして若干申し上げてみますと、有線
電気通信
法それから
電気通信事業
法、こういった法律に基づきます安全・信頼性に関する諸規定、諸規則、こういったもの、あるいは技術基準、こういったものを
整備
いたしております。それから、昨年の洞道火災というようなことを踏まえまして不燃化ケーブルの開発、こういった安全・信頼性
向上
のための技術開発、それからコンピューターを結ぶ
通信
回線の二
ルート化
、こういうものの
推進
のための制度的対応というようなことにも政策面で踏まえまして対応を考えていこうということでございます。それから、
電気通信システム
の設計、
運用
、保守、こういったことにつきまして、データの取り扱い基準、人的側面も含めました安全・信頼性
対策
、こういった総合的なガイドラインの検討というようなことも
実施
をいたしているところでございます。 以上、総合的に
施策
を講じてまいりますとともに、常に安全・信頼性に対する注意喚起というものをいたしまして、来るべき高度
情報
社会において国民生活に支障が生じないよう一層の
努力
を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
竹山裕
110
○
竹山裕
君 先ほど大臣の御答弁の中でありました基盤技術研究促進センターは十月の発足で、
郵政省
、通産省の共管ということで発足をされたわけでありますが、六十一
年度
における
電気通信
分野での計画にはどんなものがあるか、要求についてお伺いしたいと思います。
奥山雄材
111
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 基盤技術研究促進センターにつきましては、前国会でお認めいただきました基盤技術研究円滑化法に基づきまして、おかげさまで無事十月一日通産、郵政両省の共管で発足させていただきましたことを厚く御礼申し上げたいと存じます。 その際、法案成立の過程で当
委員会
におかれましては連合審査等も行っていただきまして、さまざまの御議論をいただいたところでございます。したがいまして、十月一日以降このセンターが発足いたしました暁におきまして、私どもといたしましても当
委員会
における御審議の過程を十分踏まえまして、その御意向を体して六十一
年度
の諸要求を行っているところでございます。 具体的に申し上げますと、まず出資
関係
につきましては、基礎または応用段階における試験研究に対するリスクマネーの供給ということでございますので、具体的なプロジェクトといたしまして、国際
電気通信
基礎技術研究所を設けて産学官一体となって基礎的な
電気通信
の試験研究を行いたいというような構想、あるいはまたテレトピア
関係
の
事業
の
推進
に充てるための出資の要求、さらにはビル内のいわゆるLANと称するようなものの応用研究といったようなものに対するベンチャービジネスへの出資といったようなさまざまなプロジェクトを現在要求中でございます。 また融資のプロジェクトといたしましては、応用段階からの研究に対するマネーの供給になりますので、どちらかといいますと出資よりは多少リターンの期待できるようなもののプロジェクトに私ども対象を考えております。例えて申し上げますと、次世代のテレビ電話あるいはテレビ会議等に対する帯域の圧縮技術、それをさらにもっと進めて、より高度の、より伝送速度の速いようなテレビ会議等ができるような
システム
等に対しまして所要の予算要求、
財投
の要求を行っているところでございます。
竹山裕
112
○
竹山裕
君 促進センターの目玉とも言える国際
電気通信
基礎技術研究所の
設置
でございますが、この研究所の
設置
の意義、必要性についてお伺いをしておきたいと思います。
奥山雄材
113
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 来るべき高度
情報
化社会におきまして、
電気通信
技術が先導的役割を果たすということは冒頭にも申し上げたとおりでございますが、こうした
電気通信
技術の発達なくしては今後の国民生活の
向上
あるいは社会経済の発展ということも見込めないことは当然でございますし、各有識者の一致して指摘するところでございます。 また他方、国土が非常に狭隘で資源の乏しい我が国におきましては、いわゆる技術立国ということがこれからの生きる道であるということもひとしく言われているところでございますので、これからの社会を先導する
電気通信
技術の中でも、先ほど大臣が申し上げましたとおり、これからの国際化社会の中で日本として果たすべき役割、つまり基礎技術研究を国際的な視野の中で行うべきであるという観点から、国際
電気通信
基礎技術研究所というものの
設置
が急務であると私どもも考えております。幸い民間におかれましてそのような意義につきましてつとにお目覚めになりまして、現在経団連、関経連が
中心
になりましてこの
設置
準備が進められておりますので、
郵政省
といたしましてはその意義を高く評価いたしまして極力これを支援することにいたしたいと思っております。 なお、このような基礎的研究につきましては、単にその果実が日本国内に均てんするだけではなくて、広く世界に及ぼすべきであるという見地から外国との共同研究、あるいはさらには外国の方々をお招きしての人材交流の場といったようなものも含めてこれからの国際化に対応していきたいというふうに念願している次第でございます。
竹山裕
114
○
竹山裕
君 この基礎技術研究所の資金規模、それから基盤技術研究促進センターと民間との出資比率、その他
地域
的な手配等についてはもう既に御計画が進んでいると思いますが、その辺についてもお聞かせいただきたいと思います。
奥山雄材
115
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 国際
電気通信
基礎技術研究所の最初の芽生えは、関西経済連合会の中に設けられました
電気通信
基礎技術研究所設立準備会における検討でございました。関西の財界あるいは学者の方々を
中心
に
電気通信
の基礎技術に関しての研究所の
設置
構想が早々と構想されたわけでございます。 具体的には、同準備研究会におかれまして本年八月計画をおまとめになりました。その中では
昭和
六十年以降七十五年までの間に総資本規模九百五十億円という構想でございまして、基盤技術研究促進センターからその七割相当額の六百六十五億円を出資し、また民間側から三割に当たる二百八十五億円を出資する予定になっております。 このような関経連における構想をベースにいたしまして、私どもは現在六十一
年度
の財政投融資の要求として現在鋭意
関係
方面と折衝中でござい ます。結果的に本年末の予算の編成段階でこの計画が具体的に実現することを私どもとしても念願し、また
努力
をしてまいるつもりでございます。 なお、この場所でございますけれども、関西の京阪奈丘陵にございます学術文化研究都市がその予定地として候補に上っているところでございます。 いずれにいたしましても、基盤技術研究促進センターからの出資は民間における活力を支援するのが目的でございますので、現在経団連、関経連が
中心
になって進めておられます構想が固まりまして、国の予算が決定した段階で本格的な
設置
に向かって
努力
をしてまいりたいと考える次第でございます。
竹山裕
116
○
竹山裕
君 そうしますと、具体的な設立時期、
年度
的な計画もお固まりでしょうが、その辺についてもお聞かせいただければと思います。
奥山雄材
117
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 最終的には本年末の予算の決定を見ないと確たることは申し上げられませんけれども、一応予見をいたしまして、現在経団連稲山会長が会長となられまして、国際
電気通信
基礎技術研究所の設立準備会が既に相当突っ込んだ設立計画あるいは建設計画を検討していらっしゃるところでございます。 その計画によりますと、設立時期につきましては国の予算が固まるのを待って、来年の一月ごろには現在民間で準備会として進めております事務を研究所の設立発起人会に引き継ぐことを予定しておられるようでございまして、さらに今
年度
末、つまり六十一年三月末までには会社設立にこぎつけたいという構想だと伺っております。その建設計画の細部につきましてはこれからの詰めになるわけでございますが、会社の設立とあわせまして六十一年三月には研究所の設立も行って、当面四十人程度の暫定的な研究員でまず発足させまして、建設計画が軌道に乗って本格的に研究が始まるのは六十三
年度
ころであろうというふうに予測をされているところでございます。
竹山裕
118
○
竹山裕
君 よろしく綿密の計画の上に進めていっていただきたいと思います。 テーマを変えますが、貿易摩擦
解消
と堅調な経済
運営
を図っていくための民間活力の活用における内需
拡大
策が当面の最大の
課題
となっているわけでありますが、民間活力
活性化
の策としての
電気通信
分野においてもそれが大いに期待されるところであります。 そこで特に税制面、財政投融資面においての
郵政省
として
施策
についてお考えをお聞かせいただきたい。
奥山雄材
119
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 第一種
電気通信事業
及び第二種
電気通信事業
はもちろんでございますが、
電気通信
機器市場に対する今後の民間の活力というものは日本の内需
振興
に大きく寄与するものであろうというふうに予測しております。そうした見地から、六十一
年度
の税制改正要望あるいは財政投融資の要望につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように内需
振興
を最大の喫緊の
課題
ととらえまして、幅広い要求を行っております。 まず、投資減税的な効果を期待できるものといたしまして、新規参入に対する減税措置、あるいは今後インフラストラクチャーとして大きな投資が見込まれる双方向CATVに対する税制上の優遇措置、あるいは端末機器を初めとした
電気通信
機器市場の
活性化
のための物品税の措置等を大きな柱として要求しております。また、地方における
情報
通信
機能の
強化
あるいは
情報
発信機能の
強化
、ないしは中央との
情報格差
の是正といったようなことから、テレトピアにおけるさまざまな税制上の優遇措置等も織り込んでいくつもりにしております。 さらにまた、端末機器市場の
活性化
という見地からは、昨年に引き続きまして機器の耐用年数の短縮あるいは圧縮といったようなものを
中心
に据えまして、現在鋭意、税務
当局
と折衝を行っているところでございます。 また、財政投融資につきましては、何と申しましても、これからのニューメディア社会を前提といたしまして社会基盤としての
電気通信
の
事業
の基礎的な分野への国の資金の供給という見地から、一種
事業
、二種
事業
あるいはテレトピア等を含めまして、あるいは衛星
通信
等も含めまして社会基盤の充実という見地から八百億円程度の
財投
要求を行っております。 そのほか、先ほど来お話が出ております
電気通信
基礎技術研究所に対する産業投資特別会計からの融資の所要の要求を行っているところでございます。
竹山裕
120
○
竹山裕
君 政府は現在、民活特別法案を検討しているわけでありますが、
電気通信
分野においても民間活力策を具体化するための立法措置が必要だと考えておりますが、
郵政省
としてのお考えをお聞かせいただきたい。 〔
委員長
退席、
理事
片山甚市君
着席〕
奥山雄材
121
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 先生御指摘のとおり、今後の民間活力を
電気通信
分野において最高度に発揮していただくためには、どうしても税制上の措置等を行うために法律関連事項が出てまいります。
郵政省
では現在民活関連の法案といたしまして、民間の活力による
電気通信
の基盤
整備
に関する臨時措置法といったような、仮称でございますけれども、現在法案を内部で検討中でございます。中身といたしましては、
地域
間の
情報格差
の是正あるいはこれからの高度
情報
社会を構築する上において必要となる設備を
推進
する
事業
といったようなものに対しまして郵政大臣が認定を行って、その認定された
事業
に対しまして税制上の優遇措置等を行っていきたいという枠組みでございます。 それで、これらの
事業
はその必要性は各方面から指摘されながらも、初期投資が非常に膨大であるということ、あるいは実際に結果が出てくるまでの間の懐妊期間が非常に長いということ、あるいはリスクが大きいというようなことから、なかなか民間の投資がインセンチブとしてあらわれてまいりませんので、そのような障害を法律をつくることによって除去してまいりたいというふうに考えております。なお、政府部内で十分調整いたしまして、当
委員会
においても御審議を賜りたいと思いますので、その節はよろしくお願い申し上げたいと思います。
竹山裕
122
○
竹山裕
君 次に、
郵便貯金
関係
についてお伺いをいたします。
非課税貯蓄制度
は貯蓄増進という意図のもとに一昔前と申しますか、以前に創設されたわけでありますが、既に非常に高い貯蓄率を日本は誇っているわけでございます。 〔
理事
片山甚市君
退席、
委員長
着席〕 その使命が終わったというような考え方も一方にはありますが、
郵政省
としてのお考えをお聞かせいただぎたい。
塩谷稔
123
○
政府委員
(塩谷稔君) 今さら申し上げるまでもないことでございますけれども、何と申しましても貯蓄は経済発展の基礎でありまして、今後安定した経済成長を続けていく上で不可欠のものではないかと考える次第でございます。 我が国では欧米諸国に例を見ない早さで
人口
の高齢化が進んでおりまして、今
年度
の経済白書におきましても
人口
の高齢化に伴って貯蓄率が低下していくということが指摘されているわけでございます。今後、豊かな長寿社会を建設していくためには、自助
努力
を促進する貯蓄
奨励
を遂行いたしまして高い貯蓄率を維持していくことが重要ではないかと考えるわけでございます。 また、我が国の社会資本の
整備
でございますが、欧米諸国に比べておくれておりまして、住宅あるいは道路など生活
環境
の
整備
を図らなければならないと考える次第でございます。 さらにはニューメディア等の新しい産業
育成
も急務になっている現状でありまして、これらの投資の源泉となる貯蓄の重要性はむしろますます増大しているんではないかと思います。 さらに今後、我が国におきましては、今申し上げましたように、高い貯蓄率を維持する一方、社会資本の
整備
でありますとか、住宅投資の促進等、投資を
拡大
することによりまして貯蓄と投資のバランスを図って、国内はもとよりのこと、世界経済の安定的成長に寄与していくことが重要であろうと思います。 このため、ちょっと私ども付言させていただきますけれども、貯蓄
奨励
の重要な柱というべき非課税貯蓄は今後ますますその重要性が増してくるものでありまして、
郵政省
といたしましてはシルバープラン貯金の創設や預入限度額の引き上げなど、
非課税貯蓄制度
の拡充こそ必要であろうと考えておる次第でございます。
竹山裕
124
○
竹山裕
君 最近の動きを見ておりますと民間の金融
機関
、特に地銀協の動きですが、一律分離課税について前向きな話し合いをしているというような報道もありますし、全銀協は若干慎重のようといいますか、反対というんでしょうか、若干のずれはあるようでございますが、こうしたことが事実だといたしますと、制度堅持の
環境
は大変厳しい状態になっていると思うんでございますが、この辺について
郵政省
のお考えをお聞かせいただきたい。
塩谷稔
125
○
政府委員
(塩谷稔君) 先生今御指摘の
民間金融機関
幹部の意見につきましては、つまびらかに承知はしておりませんけれども、引用されました低率分離課税それから一律分離課税、これらは長年にわたって国民に定着してきておりました
非課税貯蓄制度
を廃止するものであるということでは同じでございまして、金融
機関
みずからが
非課税貯蓄制度
廃止やむなしという意見を述べるのは
利用者
国民の立場を考慮していないのではないか、いかがなものかと思うわけでございます。 また、伺うところ、限度額管理が煩わしいので、低率分離課税より二〇%の一律分離課税の方がよいという、こういった論理も見受けられるのでありますけれども、これなどは余りにも金融
機関
内部の事情のみに偏った考えでありまして、国民の資産形成のために貯蓄を
奨励
する立場にある貯蓄
機関
として、この種の問題は慎重に検討しなければならない問題と考えるわけでございます。御指摘のように、
非課税貯蓄制度
をめぐる
環境
は大変厳しくなってきておりますけれども、我が国経済、国民生活に果たす貯蓄の役割は大変重要でございますので、
非課税貯蓄制度
はやはり堅持すべきでありまして、全力を挙げて取り組む所存でありますので、御理解を賜りたいと思います。
竹山裕
126
○
竹山裕
君 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、この
非課税貯蓄制度
は国民大衆にとって非常に重要な問題でありますし、来年一月からは限度管理
強化
ということの
施策
を
実施
する方針であり、そうした中で大臣談話として十月二十九日の談話を拝見しているわけで、重ねての大臣からの直接のお話を伺いたいと思ってあえて申し上げるわけで、一律分離課税の問題については国民は大変大きな不安ど混乱を抱いているというのが現状だと思います。そういう意味では、制度の堅持のために私どもは断固とした考えを持っていなきゃいけない。そこで、改めてまたいま一度大臣の所信をお伺いしたい。
左藤恵
127
○国務大臣(
左藤
恵君)
郵政省
といたしまして、国民各階各層にわたる広範な御論議を得て、昨年その存続を決定していただいたわけであります。その
非課税貯蓄制度
は今後とも正しく利用していただけるように
利用者
国民への周知
徹底
をいたしまして、その諸準備を現在進めておるところでございますが、その
非課税貯蓄制度
の存続を前提に新しい本人確認手続というものを行って、これを進めていこう、そういうことで定めた所得税法の施行を目前にいたしまして、来年一月から
実施
するわけであります。その
非課税貯蓄制度
を廃止して課税を導入しようという論議が出ること自体、私はこの法の安定性を阻害するものでありまして、いたずらに国民を惑わせ、またひいては国民の皆さんの国に対する信頼を裏切ると、こういう結果になるわけでありまして、まことに遺憾なことだと思います。そういうことで、私といたしまして
郵便貯金
の非課税制度は、これを断固堅持していかなければならないと、このように決意をしておるところでございます。
竹山裕
128
○
竹山裕
君 よろしくお願いいたします。 先ほどの
施策
の中でシルバープラン貯金の創設のお話が出ておりまして、豊かな長寿社会を建設する意味では大変いい案だと思います。この辺についての
概要
をお聞かせいただきたい。
塩谷稔
129
○
政府委員
(塩谷稔君) 先ほど申し上げましたように、我が国は他の国に類を見ない速さで
人口
の高齢化が進んでおりまして、二十一世紀の初頭には高齢
人口
の割合が世界一になると言われているわけでございます。こうした本格的な高齢化社会の到来を控えまして、老後の経済生活の安定と充実が重要な国民的
課題
となっているわけでございます。現下の財政上、国の福祉政策にはおのずから限界がありまして、国民一人一人が豊かで充実した生活を送る長寿社会の安定を実現するためには、みずからの貯蓄によって老後生活の安定と
向上
を図る必要性が高まってきていると申せると思います。
郵政省
といたしましては、この豊かな長寿社会の建設のため、国民の健全な資産形成に貢献することを通じて積極的に対応していこうと考えまして、老後の生活資金を蓄えるための専用貯金としてシルバー貯金を創設することとしているものであります。 内容を具体的に申し上げますと、対象者を三十歳以上の個人としていること。それから、百万円の年間預入制限額を設けたこと。それから、五十五歳以上の方はこの年間預入の制限額がない、一遍にどんとお積みになっても結構だということでございます。それから、五十五歳以上になって払い戻しされるときは、これは利子非課税とすることでございます。それから、全体としての預入の総額制限額は一千万、一千万円の総額制限額を設けている。 以上でございます。
竹山裕
130
○
竹山裕
君
郵政省
が来
年度
の重要
施策
として考えておられる国債の
販売
という点がありますが、この国債の
販売
について、「再開」という表現を使っておりますが、この意味と、それから
郵政省
が国債を
販売
するメリットについてもあわせてお伺いいたしたい。
塩谷稔
131
○
政府委員
(塩谷稔君) 再開という言葉の意味でございますが、これは実は歴史がございまして、
郵便局
における国債の
販売
は、明治三十七年から、対象とする国債が発行されなくなったために
昭和
二十六年に取り扱いを廃止したわけですが、
昭和
二十六年に廃止するまで約半世紀にわたって
実施
してきたものであります。そういった歴史、経験もありまして、これを今回、時代にマッチした新たな内容で再現しようとするものであります。 お尋ねのこの
施策
の内容といいますか、考え方でございますけれども、毎度申し上げますように、公的
年金
制度あるいは医療保険制度の見直しが行われまして、社会保障制度がいわば先細りする
状況
の中にあるわけでございまして、こういう
状況
の中では、自助
努力
といいますか、みずからの
努力
で国民一人一人が生活設計をしていく必要があるわけでございます。 それと、最近よく言われることでありますけれども、資産選択の
多様化
、貯金だけではなくて、いろいろな資産を選ぶということ、それから金利選好の高まり、金利のいい商品を買うという現象がございまして、国民の国債保有意向も年々上昇してきているわけでございます。最近の
調査
、これはこの十月に共同
通信
社が
実施
した国債意識
調査
によりますと、こういうデータがございます。個人の国債購入意向は三二・五%であると、それから国民の六〇・五%、約六割が、身近にあって気軽に利用できる
郵便局
などで国債を買えるようにしてほしいという要望の数字が挙がっております。こういうわけで私ども、自助
努力
を支援するとか、あるいは資産選択の機会を提供するということで、身近で親しまれている
郵便局
の窓口で
国債販売
を行いたいということでございます。 それから、いろいろその効能を申し上げて失礼でございますが、現在国債は残高百二十兆円を超す額に上がっておりまして、今後借換債も含めますと毎年二十兆円を超す国債の発行が予測されるわけでございまして、こうした大量発行のもとでは、その安定的消化のために個人消化の一層の促進が必要になってくるんではないかと思うわけでございます。個人消化の促進ということになりま すと、個人が窓口を利用する機会の圧倒的に多い
郵便局
がまさに適しているんではないかということでございます。 以上でございます。
竹山裕
132
○
竹山裕
君
郵便局
での
国債販売
再開というのは、なるほど国民の六〇・五%が待望している。まさに私ごとで恐縮ですが、私の家内なども、それは便利になるわねというようなことを言っておりましたので、ぜひ実現に向けてお図りいただきたいと思いますが、この点について大臣の所信をお伺いいたしたい。
左藤恵
133
○国務大臣(
左藤
恵君)
国債販売
の再開につきましては、国民の資産選択
多様化
のニーズにこたえるということもできるわけでありまずし、借換債を含めまして、今お話がありましたように、毎年二十兆円を超える大量の国債を円滑かつ安定的に消化していかなきゃならないと、それに対しても寄与するという意味もございます。一つの時代に要請されている
施策
だと、このように考えますが、
郵政省
といたしまして、六十一
年度
予算の重要
施策
としてこの問題を何とか実現したいということで取り組んでおります。その実現に向けて最大限の
努力
をしていく決意でおることを申し上げます。
竹山裕
134
○
竹山裕
君 いよいよ小口の預金金利の自由化が具体的な日程に上ってきているわけでありますが、この辺についての
郵政省
の対応、小口預金者に対しても公平に金融自由化のメリットが還元できるような点を考慮しての対応をお考えいただいていると思いますが、お聞かせいただきたいと思います。
塩谷稔
135
○
政府委員
(塩谷稔君) 先生おっしゃるとおりに、今この金融の自由化、なかんずく預貯金金利の自由化というのが大変進んできておりまして、これはやはり金融の国際化、インターナショナライズ、それから国債が大量発行されている、規制金利でない商品が大量に出回っている、こういうふうな
状況
でございまして、小口預貯金金利の自由化ももう避けられない
課題
であるということでございます。 私ども金利自由化に積極的かつ的確に対応していこうということでございますが、やはり金利自由化は、今までの規制金利に慣らされた金融
環境
からしますと、いろいろな
影響
が考慮されるわけでございますので、そういった
影響
を着実に見きわめて現実的な対応をしていく必要があるだろうということになろうかと思います。円滑に進むよう
実施
スケジュールを決めまして、具体的諸問題について大蔵省とも十分意見交換を行いながら対応していくこととしております。 それから、小口預貯金金利の自由化を、今申し上げましたように円滑に
実施
していくためには、金利自由化への過渡的の措置といたしまして、小口の市場金利連動型貯金の創設が必要と考えておりまして、こういったものの具体的な商品内容について鋭意検討しているところでございます。 それから、
郵便貯金
が小口預貯金金利の自由化に今後十分に対応していくためには、市場の実勢とはかけ離れた規制金利でない、実勢を反映した金利を提供できる、そういう商品を提供することが必要であろうと思います。そのためには、やはりその金利提供のもとになる資金を融資の面で稼がなければいかぬわけでございますので、市場金利による資金
運用
制度の創設ということが必要不可欠だろうということで、その実現に向けて
努力
してまいりと考えております。
竹山裕
136
○
竹山裕
君
簡易保険
関係
についてお伺いいたしますが、
加入
限度額の引き上げ要求ということで、現在の平均
加入
金額等で十分であるという意見も一方ではあるわけでございますが、九年据え置かれてきた限度額について、現在の我々の生活水準その他もろもろのことを考えて、ぜひこの際、限度額引き上げについての必要があるのではないかと考えておりますので、この点について、特に大臣の御決意を伺わせていただきたい。
左藤恵
137
○国務大臣(
左藤
恵君)
簡易保険
の
加入
限度額は、御指摘のように
昭和
五十二
年度
以降据え置かれているわけでありまして、現行の一千万円では万一の場合の生活保障としては私は全く不十分だと、このように考えております。国民の経済生活の安定を図ることを目的とする
簡易保険
の使命を果たすことが、これでは十分できない、このように考えておりますので、
加入
限度の引き上げにつきましては、当
委員会
でも附帯決議をちょうだいいたしております。さらに
加入
者の方々からも強い要望が寄せられておるわけでありますので、早期に実現しなければならない、このように考えております。 この問題について全力を傾倒してまいりたいと考えております。
竹山裕
138
○
竹山裕
君
加入
者にとって魅力のある
簡易保険
、
郵便年金
についての簡保
年金
余裕金の直接
運用
と積立金の
運用
範囲の
拡大
はぜひ必要だと考えるわけでありますが、この点についての
郵政省
のお考えをお伺いいたしたい。
二木實
139
○
政府委員
(二木實君)
簡易保険
、
郵便年金
の資金につきましては、これを有利に
運用
いたしまして、
加入
者の
保険料
の
引き下げ
、福祉の増進等に充てる必要があるわけでございます。現在、国の会計制度の余裕金という形で、年内に発生します
収入
と支出の差額につきましては大蔵省の資金
運用
部へ預け入れるという制度になっておりますが、本来、
簡易保険
、
郵便年金
の
保険料
収入
というのは、そもそもそれを積み立てまして、
加入
者のための万が一の資金に充てるということで、当然、収支差額が出るような状態になっておるわけでございます。これを他の会計の余裕金と同様に資金
運用
部に預託するというのは間違っているのではないかと思いまして、私ども現在これを積立金同様の
運用
にするよう考えているところでございます。 また、今後の金利の自由化あるいは国際化というような中におきまして魅力ある新しい商品、新しい
サービス
を提供するためにも資金の
運用
範囲の
拡大
が必要でございますし、また
年金
契約
あるいは保険
契約
は長期にわたる
契約
でございますので、将来の物価変動にも備える必要があるわけでございます。そういった観点から、株式等資産形成に役に立つ
運用
範囲の
拡大
を図りたいと思っておりまして、その面におきましても
運用
範囲の
改善
につきましても
努力
をしている最中でございます。
竹山裕
140
○
竹山裕
君 このところ官業の民業補完論というのが大変にぎやかでございますが、私はもちろん官業の使命としては
全国
津々浦々、あまねく公平に均一的な
サービス
をということが大命題であることはもちろんでありますが、しかし官業と民業と互いに切磋琢磨して国民への
サービス
をベストにしていくという点がむしろ先決ではないか、こんなふうに考えておりますので、その点についての
郵政省
のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
塩谷稔
141
○
政府委員
(塩谷稔君) この問題は貯金、保険、共通しているわけでございますけれども、私の方からお答えさしていただきます。 官業と民業のあり方につきましては、先生御指摘のとおり、
サービス
を受ける国民の立場に立って、いかなる金融
サービス
あるいは生命保険
サービス
をどういう形で効率的に提供していくかが問題でありまして、官業と民業が切磋琢磨し、
サービス
の充実を図ることが国民の利益になるものと考えるわけでございます。個人金融の分野あるいは生命保険の分野、これは極めて公共性が高いことから、その
サービス
はあまねく公平に提供される必要があるわけでございまして、営利を目的とした
民間金融機関
では、例えば山間辺地など、採算の乗らない
地域
では
サービス
の提供はできにくいだろう。それから近年、個人の金融や生命保険
サービス
に対する国民のニーズはますます高度化、
多様化
しておりまして、そうしたニーズにこたえるためには営利を目的とした
民間金融機関
だけではおのずから限界がありまして、非営利で、専ら個人を対象とする金融
機関
の存在が不可欠であろうと思います。
郵便貯金
及び
簡易保険
、
郵便年金
、これは個人金融、生命保険分野における
中心
的な存在といたしまして、営利を目的とせず、 あまねく公平に
サービス
を提供すべき性格のものでありまして、
民間金融機関
が手をつけない非採算部門のみに限定するものではなくて、今後とも個人金融、生命保険分野における最適の
サービス
供給主体として、いろいろこれまでに例もありますけれども、先導的な役割あるいは
サービス
がこれ以上落ちない、下支え的な役割を果たしていくことが求められると思います。 こういったわけで、貯金あるいは保険が民間に対して先導的役割を果たすことによって有効競争が促進されて、ひいては民業の活力を生かしつつ個人金融あるいは生命保険
サービス
の充実を図っていくことが可能になるのではないかと考える次第でございます。
服部信吾
142
○
服部信吾
君 まず初めに、貿易摩擦
解消
、これは今我が国においても最緊急
課題
、こう言われているわけでありますけれども、我が国政府としても一九八一年から今日まで、第一次から第七次までの対外経済
対策
、特にアクションプログラム等出して何とか市場を開放したい、こういうようなことで現在まで取り組んでこられているわけでありますけれども、アメリカ側としては非常に日本のやり方が小出しであるとかいろいろ最近では行政面までの細かいところまで指摘をして市場開放を迫っておる、こういうような
状況
であります。特に今までにおいてはアメリカ側が大変優位であった、いわゆるこの
電気通信
分野において最近では大変日本の黒字が多いと、こういうことで
電気通信
分野において大変この市場開放を迫っておるというのが現状であると思います。 そこでまず最初にお伺いしたいんですけれども、この二、三年見てみますと、
昭和
五十八年、
電気通信
分野における我が国の輸出額としては一千八百六十一億円、輸入額が二百八十五億円、黒字としては一千五百七十六億円、倍率としては六・五倍、こんなような
状況
だったんですけれども、五十九年が輸出額が三千二百二十四億円、輸入額が二百七十四億円、黒字額としては二千九百五十億円、倍率としては十一・八倍。ところがことし六十年、一月から九月までの統計見てみますと、輸出額が二千三百六十二億円、輸入額が二百三十五億円、黒字額が二千百二十七億円、倍率が十・一倍。昨年と比べると少し緩和されていると、縮小しておると、このように思うわけでありますけれども、その辺の理由については
郵政省
としてはどのように分析をされておりますか。
奥山雄材
143
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 先生御指摘のとおり、近年日米間の
電気通信
機器の貿易インバランスの
拡大
が急速に目立ってきたわけでございますが、その理由には幾つかあろうかと思います。 まず第一に、何と申しましても、しばらく前まで続きましたドル高・円安の
傾向
が日本の輸出競争力を相対的に強めだということが第一点だろうと思います。それからもう一点は、昨年の一月一日にATAが分割されまして、それまでほとんどアメリカの
電気通信
市場を独占しておりましたATTが地方の持ち株会社に分離いたしました結果、ATTの製造メーカー、具体的にはウエスタン・エレクトリック社ですが、から独占的に機器を購入していた各地方会社がそれぞれそういう制約なしに安くていい機器を海外から調達するようになったということが第二点だろうと思います。そのほか、米国における
電気通信
市場の開放によりまして新しい
電気通信
の
サービス
が次第に
拡大
されてきまして、それに対応して日本の機器の輸出が洪水的に行われたといったようなことが
原因
であったかと思われます。 しかしながら、最近の円高・ドル安
傾向
で直ちにはいわゆるJカーブの効果でインバランスは是正されませんが、いずれはその効果が出てまいるかと思いますし、また、日本における市場開放措置が世界に冠たる開放度として評価されるまでになっておりますので逐次このインバランスというものは是正されるんではないかというふうに予測をしております。
服部信吾
144
○
服部信吾
君 その理由としてドル高あるいは円安基調、あるいはATTの分割と、こういうようなことがいろいろ挙げられているようでありますけれども、その半面、最近の民間企業の
調査
によりますと、十月二十四日、「主要な輸出型業種十六業界に対する円高の
影響
」、こういうことで
調査
報告
書をまとめております。その中で、一ドル二百円になると電話機業界では輸出は採算割れとなる、このような分析が出ているわけですね。
郵政省
としてはこの円高による
電気通信
業界への
影響
、これをどのように見ておりますか、お伺いしておきます。
奥山雄材
145
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 詳細かつ的確に分析するには至っておりませんが、日本の
電気通信
機器は性能は極めて優秀で、また価格の面においても十分国際競争力に耐え得るものであることから、現在の円高・ドル安
傾向
が確かに輸出競争力につきまして相対的に在来より低下することは事実であろうとは思いますけれども、なお業界といたしましては十分世界の市場に伍していけるというふうに判断しているようでございますし、私どもも大体そのように見ております。むしろそれよりも米国議会における
電気通信
を標的にしたような保護主義法案が成立するようなことがあると致命的なダメージを受けるんではないかということを危惧しているところでございます。
服部信吾
146
○
服部信吾
君 今図らずも保護主義法案というようなこともあったわけでありますけれども、ことし、これは我が国に対して、意識しているのか、報復法案、こういうようなことも考えられるようでありますけれども、米議会の上院財政
委員会
、ダンフォース法案、あるいは下院エネルギー商業
委員会
、こういうところで法案が一応可決をされておる、こういうことでありますので、今言われたとおりこのような法案が通りますと大変我が国に対する
影響
は大きいと思いますけれども、郵政大臣、これをどのように受けとめておりますか。
左藤恵
147
○国務大臣(
左藤
恵君) 今御指摘のような貿易インバランスを背景とした今春以来の
電気通信
に関します幾つかの保護主義法案が提出されて、その中で上院ではダンフォース議員提出の
電気通信
通商法案が財政
委員会
で可決される、あるいは下院ではワース議員らによるやっぱり同じような法案がエネルギー商業
委員会
で可決されておるということで、今後の動きについて我々は非常に懸念をいたしております。 そこで、いろいろ理解を求める
努力
も大切でございますし、一方また日米の次官級の協議、MOSS協議でございますが、これにつきましては今春の端末機器の基準・認証等をめぐる話し合いでは一応
電気通信
分野の市場開放措置につきましてアメリカ側からも高い評価を得たわけでありますし、現在は無線の分野につきまして年内解決を目指して専門家レベルで話し合いも行っておるわけでありますから、そうした具体的な積み上げを、一方で米国議会ではいろいろ手が打たれておるわけでありますけれども、我々はそうしたことで一つずつの積み上げによりまして、協議によって議会筋にも理解を得たい、このように考えておるところでございます。
服部信吾
148
○
服部信吾
君 九月二十六日の日の安倍外務大臣とシュルツ国務長官による分野別協議に関する日米共同
報告
によれば、
電気通信
分野において討議されるべき未処理案件として六項目が挙がっているわけですね。その一つとしては、無線機器の認証に係る外国試験データの受け入れのための手続及び中立的認証
機関
の存在など、周波数の効率的使用及び他の
利用者
への混信の回避に必要なクライテリアに基づく無線局免許に係る機器認証手続の簡素化。あるいは二番目としては、新規参入者に機会を
拡大
することとなるような自動車電話の技術基準の設定及び周波数の分配。三番目としては、将来のディジタル
サービス
において第一種
電気通信事業
者によって提供される宅内機器と伝送
サービス
との料金上の
関係
。四番目としては、貿易に
影響
を与える可能性のある調達に関する商慣行についての検討。五番目としては、
放送
衛星を含む
通信
衛星調達に関する日本政府の政策の明確化。六番目としては、
電気通信
分野における市場アクセスの
状況
を把握する機構の設立。こういうふうに討議されるべき未処理案件として六項目が
報告
されているわけでありますけれども、これらに対しては
郵政省
としてはどのように対応されていくんですか。
澤田茂生
149
○
政府委員
(澤田茂生君) 先生今御指摘ございました未処理案件として本
年度
じゅうに対処すべき検討資料という項目でございますが、主として私ども今、日米の間で検討いたしていますのは、今先生最初におっしゃられました無線機器の
関係
でございまして、この点につきましては従来からも非常に専門技術的な話でございますので、専門家会合、両者の専門家によるいろいろ勉強会をやろうということでいろいろ目下検討を重ねているところでございます。
電気通信
の分野につきましては一〇〇%と言っていいほどの開放体制がとれたということで両者とも評価をいたしておるわけでございます。そういった中で、有線と同じように無線もできるんじゃないかというようなことがよく言われるわけでありますけれども、これは必ずしもそうでない分野がございます。無線の分野につきましては、これは有線と違って、それぞれの無線局相互間の
通信
自体が一つのネットワークを構成する、そして基準を外れたような
電波
の使用ということが大変大きな重要
通信
等に対する混信その他いろんな
影響
を与えるというようなこともございまして、これに対する基準のあり方、規制のあり方というのはアメリカでも違うわけであります。この制度自体アメリカと日本の間に根本的な違いがございます。そういった中でできるだけお互いのそれぞれの国における商業活動というものが自由に開放的にできやすいようにお互い検討しようじゃないかということで、その点について主として検討している段階でございます。 なお、二番目にございますような自動車電話の技術基準の設定等につきましては、これは
電気通信
技術審議会の方に諮問をいたしておりまして、先刻中間
報告
というものがまとめられたような段階でございます。来
年度
、来年の三月までには基本的な答申をいただくわけでございます。そういったものを踏まえて対処をしようということでございます。 その他につきまして、主として先ほど申し上げました1の無線
関係
についていろいろ詰めており、できれば年内じゅうには一つの方向づけをしたいということで
努力
を重ねているところでございます。
服部信吾
150
○
服部信吾
君 三番、四番、六番までちょっと言ってください。
澤田茂生
151
○
政府委員
(澤田茂生君) 三番等につきましては非常に技術的な話になりますし、今後のディジタル
サービス
自体のあり方ということにも関連しまして、提供
事業
者の責任の分界点をどうするとか、そういうような議論でございまして、これはまた個別にいろいろ話を詰めております。 それから四番に関しては、これは商習慣ということにつきましては、まだアメリカの方で具体的な提案というのはございません。どういうものが貿易に
影響
を与える商慣習であるかというようなことについて向こうがいろいろ勉強しているというような段階でございます。 衛星
関係
の政府の政策というのは、これは従来から明確化いたしておりまして、その点についてアメリカの方の理解を得るというようなことで適宜話をしているわけでございます。 それから、六番目の市場アクセス
状況
を把握する機構の設立ということにつきましては、これは
電気通信
だけではございませんで、MOSS全体にわたる機構をどうするかというようなことについて、まだお互いの中でいろいろ案を考えているというようなことでございます。 そういう
状況
でございまして、この六つの提案自体がすべてがその時間内にどうこうということになるかならないかどうか、その辺のところも向こうの方とも日程等もございまして、いろいろ調整を図りながらいろいろ話し合いをしているということでございます。
服部信吾
152
○
服部信吾
君 まあ、なかなか難しい問題でもあろうと思いますので、よく御検討願いたいと、このように思います。 そこで、ひとつお伺いしたいんですけれども、大型都市型CATV
事業
、こういう
事業
がありますね。それで、これの基本的な考え方をちょっとお伺いしておきます。
森島展一
153
○
政府委員
(森島展一君) 都市型CATVと私どもが申しておりますものは大体一万
加入
以上ぐらいのものを見ておりますが、CATVは、従来テレビの難視聴
解消
と、こういった観点で発達してきたものがほとんどでございますが、これからこのCATVを
普及促進
していくためには、そういう大型の都市型のものも民間で非常に関心を示されておりまして、相当大きな投資もなされるんじゃないかと。内需の
拡大
にもつながるということで、私どももこれを
普及促進
し、国民の非常に便に供したいと、こういうふうに考えております。
服部信吾
154
○
服部信吾
君 この
事業
の今後の需要ですね、これをどのくらい見込んでおりますか。
森島展一
155
○
政府委員
(森島展一君) この需要の見込みにつきましてはいろいろな試算がございますが、私どもが民間のシンクタンクに委託して行いましたものによりますと、いろいろの仮定を置きますけれども、十年ぐらいで大変な需要があるだろうと。需要増につながりまして、見方によっては一兆円産業にもなるのではないかと、こういうような予測もいたしております。
服部信吾
156
○
服部信吾
君 この都市型CATVのあり方について、米国側からこの
事業
の行政のあり方に何か批判があったと、こういうふうに聞いておりますけれども、そういうことがあったならば、どういうことが批判の対象になったのか。この点についてお伺いしておきます。
森島展一
157
○
政府委員
(森島展一君) このCATVを施設いたします上には、電柱に線を張るあるいは地下に埋設するというようなことで道路の占用が必要になるわけでございますが、この道路の占用の許可手続におきましていろいろ業者の方との折衝に時間がかかって、またいわゆる都市型CATVというものが一メートルも張られていないというような
状況
にあります。 都市型CATVで既に
郵政省
が許可しましたものが十施設ほどございますが、それが道路占用問題がネックになって今まで進んでいなかったわけでございますが、この点米国も関心を示しております。と申しますのは、
通信
衛星を日本が輸入して、
昭和
六十三年の春から民間の
通信
衛星による
事業
の会社が
事業
を始めると。そういった場合に、その
通信
衛星の大口のユーザーとしてCATVが可能性があるわけでございまして、そういったことで、そういうCATVの発展がうまくいっていないということは米国から輸入する衛星の利用にも響いてくるのではないか。こういった点でアメリカが関心を示しております。
服部信吾
158
○
服部信吾
君 まあ、ある面から言えば、アメリカ側から見れば大型CATVに対する批判とも警告とも受け取れると、こういうことじゃないかと、こう思うわけであります。 今いろいろとお話を聞いておりますと、道路占用許可ですか、これがなかなか取れないと、こういうようなことでありますけれども、道路占用許可ですから建設省の方だと思いますけれども、米国のこういうような警告とも批判ともとれるこういう問題について話し合いしたのか。建設省、ちょっとこの点についてどうですか。
原隆之
159
○
説明員
(原隆之君) 御
説明
申し上げます。 ただいま
郵政省
さんの方からお話がございましたように、CATVにつきましては、従来難視
対策
の施設を
中心
に行われてまいっておったわけでございまして、私どもの方も地方の道路管理者とも連絡をとりながらこれに対処をしてまいったわけでございます。御指摘のように、新たに都市型CATVの
普及
ということが予想をされましたことから、
昭和
五十八年七月以降、当面道路管理者が私ども建設省と事前協議をしていただくということで処理をしてまいってきております。これにつきまして相当数事例がたまってきております。占用許可の申請があったものにつきましては、す べてこれまで占用許可をいたしてきておりまして、事前協議の期間等につきましてもそれほど長いものはなかったというふうに理解をいたしております。
服部信吾
160
○
服部信吾
君 先ほど御答弁がありましたけれども、CATV
事業
の施設許可、こういうことで、社団法人日本有線テレビジョン
放送
連盟あるいは社団法人日本有線テレビジョン技術協会、CATV番組供給者協議会、こういうところから「建設省の道路占用行政の抜本的
改善
に関する要望書」、こういうものが出ておりますけれども、この要望書については建設省としてはどのようにお考えですか。
原隆之
161
○
説明員
(原隆之君) 御
説明
申し上げます。 私ども先ほど御
説明
申し上げましたように、五十八年七月以降事前協議という仕組みで
運用
してまいったわけでございますが、このベースといたしましては、CATV施設の型式でございますとか、構造でございますとか、私どもの方で知識、経験が乏しいということがございました。そういったことから、占用許可の審査方針等を明確に地方のすべての道路管理者にお示しをするに至らなかったということで、バイラテラルに御相談をするということでやってまいってきたわけでございますが、二年間の
運用
の集積ということがございましたので、許可の基準でございますとか申請手続というものを一応お示しできるような段階になったというふうに思っておりまして、この春ごろから通達等の改正の準備を進めてまいってきております。その折、先生お話のございましたようにCATVの
関係
団体から御要望がございました。私どもといたしましては、それを踏まえまして九月二十六日に道路
局長
から通達をいたしまして、
全国
の道路管理者に許可基準等をお示ししたわけでございます。それとともに、今申し上げました事前協議、私どもとバイラテラルに御相談をいただくという仕組みを廃止をいたしました。しかし、その廃止によりまして道路管理者相互、御案内のように道路の管理は国道、都道府県道、市町村道というふうに三つのレベルでネットワークができております。したがいまして、CATVはこれら道路管理者が複数にまたがるということが当然予想をされます。したがいまして、その際に申請がたらい回しになったり、手戻りになったりということではまことに申しわけがないということで、CATV道路占用調整会議ということで現地でよくお話し合いをするようにということで指示をいたしたわけでございます。 以上が大体の経緯でございます。
服部信吾
162
○
服部信吾
君 そこで、今回十施設を
郵政省
として認可をした。やっと先月の二十九日ですか、大型都市型CATV
事業
者の道路占用許可についての第一号としてINCという会社が許可されたということで、これが初めてだと思うのですけれども、この許可をした理由というのはいろいろあると思いますけれども、この要望書の中に言っているようなことをある程度クリアしたということで、これからまだあと九つ
郵政省
としては認可しているけれども建設省はまだしていないというものがあるようですけれども、これはもう続けてどんどんやっていく、そういう考え方でよろしいのですか。
原隆之
163
○
説明員
(原隆之君) 先生お示しになられましたように長野のインフォメーション・ネットワーク・コミュニティというもの、これは
郵政省
の方がことしの九月の六日に御許可になった施設と承っておりますが、これにつきまして十一月二十九日付で長野市と関東地方建設局が占用許可の手続をいたしました。先生御指摘のように業界団体からの御要望等を踏まえまして私ども手続を通達によって
改善
をいたしました。 具体的に申しますれば、例えば道路管理者から図面の写しを御提供申し上げる、道路台帳の写しというのがございますが、これを御提供申し上げるというようなことをやりました。長野のINCにつきましては
郵政省
の御許可の前から道路管理者の方とそういった図面の問題でございますとか、ルートの問題でございますとか、事前にかなりのお話し合いをしておられたようでございます。そういったことから電柱の管理者、電力会社等々とのお話し合いも順調に進んだということがございまして、
郵政省
の御許可は一番
最後
の施設でございますが最初に道路占用の手続が完了したと、こういうことであろうかというふうに考えております。
服部信吾
164
○
服部信吾
君 ちょっと
郵政省
にお伺いしますけれども、例えば十の「自主
放送
を主体としたCATV施設(都市型)の許可
状況
」と出ているわけですね。名前言うと一々大変ですけれども、大体五十八年から五十九年でCATVの施設としては許可をしておるわけです。だから
事業
者側とすれば、これは
郵政省
で許可したんだからもうすぐにできるのかと思ってたら、なかなかそうはいかない。まあ建設省さんの方のあれとちょっと合わない。こういうことで、やろうという気になってやっと
事業
主体をつくって、さて
郵政省
の許可も得たと、しかしなかなかできない、二年ぐらいたっておる。そういうようなことで許可をしておいて、なおかつこういう団体からことしの九月に要望書が出ておる。だから、
郵政省
で許可していてこれでいいと思ったらできないので今度はまた建設省に要望書を出した。大変見るとちぐはぐじゃないか、せっかくやろうと思っているところが、やったらなかなかスムーズにいっていない。これはやっぱり今までやろうと思っていたところがまた
事業
意欲を欠くんじゃないかというようなことがあろうかと思うんですね。 その中で、ちょっとお伺いしておきますけれども、例えばこれは東京が三つあるわけですね、この施設として許可したのは。それからまた横浜が二つと川崎と、ほとんど東京圏内ですね。こういうことからすると、そういう面で非常に競合したり、何かいろいろ問題が出るのじゃないかと思うんですけれども、この点についてはどうですか。
森島展一
165
○
政府委員
(森島展一君) この都市型のCATVで先生おっしゃいますように五十八年の十一月から十件の許可施設があるわけでございますが、これが実際に道路を占用してケーブルを張ろうといたしますとなかなかその手続が大変であるというようなことで、
事業
者としても多少意欲をそがれたような面がありまして、私どもとしては、この道路の問題がネックの一つの大きなものであろうということで建設省といろいろ詰めてまいりまして、先週建設省と一応の整理を終わったところでございますので、これからは
事業
者の方が道路の占用の申請手続をスムーズに進め、CATVの施設を張るということができるものというふうに期待をいたしているわけでございます。 それから、東京の近辺で許可した大型施設が三つ、あと川崎、横浜等がございますが、これいずれも地区が違っておりますので、この辺はお互いにオーバーラップしたりすることのないような点を見ました上での許可をしております。
服部信吾
166
○
服部信吾
君 この問題も余りやっていられませんけれども、やっぱり
最後
に郵政大臣、この点についてお伺いしたいんですけれども、当初は何か地下のケーブルですか、地下でやるんだと、途中になってこれじゃ金がかかり過ぎてちょっと大変だと、こういうことで地上に上げるんだと、そういう面から言うと、やっぱりもう少しこういうものの認可をする前にそういうこともよく検討した上で認可をすべきじゃないか。と同時に、やはりせっかく
郵政省
で認可しておきながらなかなか建設省さんの方の道路
関係
でうまくこれがいかない。そういうことから思うと、やはりもう少し連携をよくしておけばよかったんじゃないのかと思いますけれども、この点について大臣はどのようにお考えですか。
左藤恵
167
○国務大臣(
左藤
恵君) CATVの
普及
という点からも先生御指摘のとおりだと思います。今そういうことで、一応当面の道路占用行政の規制緩和という形で行政
運営
上の
改善
につきまして建設省と話し合いをして一つの方向が出たと思いますが、これから先、まだもう一つ、我々といたしましては道路法の一部改正というふうなところの点まで踏み込んで、何かCATV
事業
を第一種電気
通信
事業
と同じような形で扱っていただきたいというふうな形で、建設省とも協議をして、そうした体制をつくるべく
努力
をしていきたい、このように考えております。
服部信吾
168
○
服部信吾
君 次にINSについてお伺いいたします。 当初、
電電公社
としては三鷹に二十一世紀の夢、バラ色の夢というようなことでINSを三カ年計画で実験を開始した。大体一年を経過したわけでありますけれども、どうもいろいろと新聞報道等によりますと、その実験が余りうまくいってないんじゃないかというようなあれがあるわけでありますけれども、
電電
としては、この実験の今までの
状況
、それから成果について述べていただきたい。
村上治
169
○
参考人
(
村上
治君) お答えいたします。 INSのモデル
システム
につきましては、INSのこれからの
全国
的な展開に先立ちまして、パイロットプランとして三鷹・武蔵野地区の約二千のモニターの方、あるいは
情報
を提供してくださる方々二百五十社の方々の御協力を得まして昨年の九月末から二年半の予定で試験
サービス
を行っているところでございます。 モデル
システム
の実験の主なねらいといいますのは大きく分けますと二つになろうかと思います。一つは、これからのINSのネットワークを形成いたします意味でのいろいろな技術が必要でございます。これを十分に利用に供するかどうかというふうな意味での技術確認が一つございます。それからもう一つは、先生御指摘のように、こういった新しいネットワークなり、あるいはそこで提供されます宅内機器なり、あるいは
通信
処理機能というふうなものを十分に使いこなせるのかどうかということで、実際にモニターの方々などに使っていただく、いわゆる利用の改革の場であろうかと思っております。 そういった意味で、約一年経過いたしたわけでございますけれども、最初のこれからのネットワークの
全国
的な展開をしていく上での主要な技術につきましては、ほぼ確認し得たのではないかというふうに考えております。 それからもう一方、利用の面でございますけれども、これも企業でのいろいろな使い方の試み、あるいは
地域
の諸団体での、特に行政
サービス
での利用であるとか、あるいは個々のモニターの方々の御利用というようなところでいろいろな成果が出ておると思っております。ただ、実験といいますか、試験
サービス
というふうなことで、モニターの数が少なくて相互に
通信
する機会が少ないというふうなことも含めまして、必ずしもいまひとつというところは御指摘のとおりかと思っております。約二年半ということで一年経過いたしたところでございますので、今後の一年半というのは、特に実験の目的の二番目の利用の開拓の面というふうなところに力を注いでやってまいりたいというふうに考えております。
服部信吾
170
○
服部信吾
君 何となく聞いていますと、二つの目的があって、二つの目的の一つはハードの面、技術、それからもう一つの面はソフト、使う側ということのようで、今まではハードをやってきたんだと、これからソフトをやるんだと、だから決して方向転換ではないというふうに聞けるわけですけれどもね。実験なんというのは、やっぱりこれは一緒にやらなくちゃいけない。この二つの目的をやはり一緒にやりながら方向を出していく、これはそういうことだと思うんですね。 そういうことで、特に真藤社長も九月四日の定例記者会見で、実験の目的が機器の性能など技術に傾き過ぎておる、
利用者
サイドに立っていない、現在使われている新型電話、ファクシミリなど端末機器が
利用者
の使いやすさに対する配慮に欠けているとして実験の見直しを示唆しているわけでありますけれども、今後どのような実験をしていくのか、この点についてお伺いしておきます。
村上治
171
○
参考人
(
村上
治君) 御指摘のように、私どもは、技術の確認の面と、それから利用のサイドの面、おっしゃるように両方進めなければいかぬわけでございまして、この一年の間でもいろいろな御意見を賜わりまして、この実験
サービス
の中で直せるものは直す、あるいは御指摘の点を実際の商用化の際に反映していきたいというふうに考えておるわけでございます。 そして、特にここでいろいろと御指摘を賜わっておりますものをこれまた集約いたしますと、一つは、将来INSを多くの方に便利に使っていただくためにはお客様が容易に操作できるマンマシン・インターフェースが重要だと、特に宅内機器の小型化であるとか、あるいは複合化であるとか、あるいは操作性をもっと
改善
してほしいというふうな御意見が多々寄せられております。 また、この実験の中でいろいろな
情報
提供といいますか、そういう形での実験が行われているわけですけれども、いろいろと価値ある
情報
をタイミングよく提供してもらうということが非常に重要なことでございまして、この点も、こういった
情報
提供をしてくださる方々との話し合いも含めまして
十分検討
していきたいと思っておるわけでございます。 そして、今後の実験をどう進めるのかという御質問でございますけれども、幅広くモデル
システム
、INSを御理解いただくというふうな意味では、先ほど申しました二千のモニターの方々に約半年ぐらいで交代してやっていただいておるわけですけれども、こういったモニターの方々以外の市民の方にも十分実験に参加していただくようにしてもらうような
施策
を講じたい、あるいは新しい
サービス
なり新しい機器を追加して実験する、そしてまたもっと大事なことは、できるだけ実験に参加していただく方々の御意向に沿った形での、できるだけ御要望に沿った形で将来の実需要につながるようなそういう実験を進めてまいりたいというふうに考えております。
服部信吾
172
○
服部信吾
君 その中で特に基本的な問題が一つあると思うんですけれども、いわゆる国際標準ですか、要するにINSの規格が予定している国際標準、これが三鷹の場合は八十八キロビット、この国際基準、諸外国でやっているのが百四十四キロビット、こういうことで違っておる、こういうことなんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
村上治
173
○
参考人
(
村上
治君) INSのネットワークとユーザーとのインターフェース条件につきましては、先生御指摘のように、CCITTという国際的な標準化の場で検討が進められておるわけでございまして、昨年の秋の第八回総会におきまして、先生御指摘のようにベーシックなアクセスのレートといたしまして百四十四キロビット、すなわち六十四キロビットを二つのチャネルと、それと信号十六キロビット、合わせまして百四十四キロビットというふうなことがほぼ勧告化されたわけでございます。そして、さらにそれらのベイシックなところが決まったわけでございまして、さらに多数回線を使う方々のためのインターフェイスであるとかあるいは信号方式等についてもさらに詰めまして、四年後の——四年後といいますか、今から考えますと三年後でありますけれども、三年後の秋には詳細が固まるという段階でございます。 私どもは日本におきます
情報
化の進展に効率よく対処すべく、電話のネットワークから非電話を含めまして効率よく対処できるようにということで鋭意検討を進めまして、ややそういった面では国際的な標準化よりも先に少し出たというふうに考えておりまして、三鷹の実験では、確かに御指摘のように六十四キロビット、それから十六キロビット、それから信号が八キロビットということで、合計いたしますと八十八キロビットということになっております。しかし、これはできるだけ早くそういった非電話系も含めましての需要に経済的におこたえできるのではないかということで、こういうふうなインターフェイス条件で進めましたけれども、しかし国際標準がきちんと固まれば、私どももそういった百四十四キロビットのインターフェイス条件もサポートいたしまして、そして先行いたします八十八キロビットの方との 相互
通信
も確保できるように、そういった配慮をして進めてまいりたいというふうに考えております。
服部信吾
174
○
服部信吾
君 まあ何となく実験だという感じだけれども、名前は実験ですけれども、二百億かけているわけですからね。ですから、要するに実験であると同時にこれはもう実用化と見なくちゃいけないと思いますので、ひとつこれは慎重に、これだけやっぱり国民の皆さんが、三鷹
地域
をやって、これがうまくいけば
全国
に広げていくんだ、こういう夢と言っちゃおかしいんですけれども、期待をしているところですから、ひとつ慎重に国民のあれを裏切らないような形でやっていただきたいと思います。 それで、郵政大臣、監督官庁としてこれについてどのようにお考えですか。
左藤恵
175
○国務大臣(
左藤
恵君) INSの計画につきまして今御
説明
があったわけでありますけれども、
電気通信
のネットワークがディジタル化してまいりますと、大量かつ多種類の
情報
が高速で伝送処理することが可能となるわけでありまして、その進展が期待されるわけでありますし、また欧米諸国でもこれは積極的に取り組んでおるわけでありますが、そうした中で今
NTT
はINSという形で計画されてきておりますけれども、
全国
網、ネットワークの総合的なディジタル化を完成するためには、まだ今後十年ぐらい少なくともかかるんじゃないか、それ以上かかるんじゃないか、こういうことも考えておるわけであります。そうすると、昨年初め始まりましたINSのモデル実験の成果はこれは一つとして我々も考えますが、根本的にディジタル
通信
サービス
の本格的導入というものにそうした結果も踏まえて検討をしていかなきゃならない、そういうことでありますので、
郵政省
といたしまして、そういったディジタル化を前提とするディジタル
通信
サービス
の実用化に
当たり
ましていろんな御意見、また諸外国の動向、いろんなものを広くユーザーの立場、いろんなものを十分議論しておくことが必要だ、そういった意味におきまして、
郵政省
として、まあ私の諮問
委員会
、私的諮問
機関
としてディジタル
通信
サービス
実用化懇談会というものを開催いたしまして、そしてこれからこの問題についての有識者の方々の御意見を十分伺った上でディジタル化の今後の
推進
を円滑に進めていくための資料としたい、このように考えておるところでございます。
服部信吾
176
○
服部信吾
君
最後
に、時間がありませんので一つだけお伺いして終わりますけれども、
NTT
はINS、
郵政省
はISDN、これは全く同じようなものだそうですけれども、六十一
年度
予算の概算要求に、その基礎資料を得るためにアジア各国の
通信
事業
の分析あるいは技術力等について
調査
研究をするための経費を盛り込んだと、こうありますけれども、その
概要
とアジア各国の反応について
説明
していただきまして質問を終わります。
澤田茂生
177
○
政府委員
(澤田茂生君) 私ども、今大臣から御
説明
申し上げましたように、ディジタル化の実用化ということにつきましては喫緊の
課題
であろうということで長期にわたる計画でもございますし、高度
情報
社会を構築するための大前提でもございます。その導入に
当たり
まして将来そこを来すことのないようにしなければなりません。それはおっしゃいましたように国際化の時代でもございます。そういったところも十分踏まえなければならないということで外国とのいろいろ勉強を始めるというようなことも含めまして予算要求をいたしているところでございます。まあ幅広に新しい二十一世紀の
情報
化に向けての基盤
整備
と、そうしてやはり技術的にもいろんな面で進んでおる日本がリーダーシップをとってこれに対応していくべきであろうということで、万全の
対策
をすべくいろいろ
努力
をしてまいりたいと思っておるところでございます。
山中郁子
178
○
山中郁子
君
OTHレーダー
の問題について
電波
法絡みで
郵政省
に初めにお尋ねをいたします。 御記憶だと存じますけれども、これは昨年の五月十七日の当
委員会
で我が党の
佐藤昭夫
委員
がアメリカもしくはソ連の
OTHレーダー
によるものと思われる
電波
によって船舶無線の短波に混信が起きている事実を指摘いたしまして、
郵政省
として
関係
諸国への
報告
を求めるとか、それから混信防止策の申し入れを行うべきではないかという指摘をいたしました、これは、その後新聞などでも問題になったところでありまして、その経過は御承知のところだと思いますが、
郵政省
としてどのような対応をとられたか。また、こうした混信波による被害
状況
がどういう
状況
になっているのか。また、何の目的でもってこうした混信のもとになる
電波
が発射されているのか、発信源はどのようなところという推定ないしは
調査
ができているのか。それらのことについてまずお尋ねをいたします。
澤田茂生
179
○
政府委員
(澤田茂生君) 昨年の当
委員会
でも御指摘があったウッドペッカーノイズと言われる
電波
というものが
OTHレーダー
のものであるかどうかというようなことを踏まえまして私どもいろいろ
努力
はいたしておるわけでございますが、まだ明確な確認を実はできておりません。ただ、私どもの今までの
調査
の結果では、この種の
電波
の到来方向というのは北の方向であろうということでございます。いまだ発射源の特定というまでには至っていないわけでございます。現在も引き続き発射をされているということでございまして、今後とも継続して
調査
をしてまいりたい。発射源の究明に努めまして、その発射源が特定できたときには当該主管庁に対しまして必要な措置をとるように要請をしてまいりたいと思っているわけでございます。 言いわけになるようでございますが、ウッドペッカーノイズと言われるもののなかなかつかみにくいということでございますが、この種の
電波
はパルスの繰り返し時間が非常に短いというような百ミリ秒のパルス性ということで、一回の発射時間が数秒程度というような短時間というようなもの、あるいは長時間に及ぶようなものもあるようでございます。いろいろ発射周波数というようなものも刻々と変化をしているというような
状況
でございます。国内ではございませんのでなかなか特定しにくいという面もございます。 ただ、船舶
通信
に対する混信としまして、船舶からのファクシミリ、新聞、
放送
の周波数が混信を受けているという被害
状況
ではございます。まあそういうことでございますので、私どもその
対策
の一つといたしまして、代替周波数というものを準備いたしまして、そして免許人の方々にそういう周波数に変更してはどうだろうかというようなことの御相談もいたしているというのが現状でございます。
山中郁子
180
○
山中郁子
君 これ、あなた言いわけを言うようだけれどもとおっしゃるけれども、それは言いわけにもならないんであって。だって、私先ほど申し上げましたけれども、去年の五月十七日のときの御答弁と同じなのね。一年以上たって——じゃ結局何にも
調査
しなかったんですか、それともこういうのは幾ら
調査
してもわからないんですか。そして、何だかわけのわからない怪
電波
が出てきて、いろんな混乱が起こって、混信が起こっていて、それで船だったら例えば船の乗組員の命にもかかわるわけでしょう。だけど、それが一年以上たっても、どこが
原因
でだれが出しているかというのはさっぱりわからぬと、代替でもって何とかしのぎますと。そんなものがやたら日本の人たちが迷惑を受けるような
状況
があっても、一年も一年半も、二年もたっていて、それでもなおかつわからないということで、
電波
を監理する
郵政省
の役割が果たせるんですか。私ちょっとふざけているにもほどがあると思うけど、ちょっと大臣のお考えも聞きたいです。
左藤恵
181
○国務大臣(
左藤
恵君) この問題につきましては、非常に技術的にも難しい問題もありますし、そしていろいろ
努力
はしておりましてもなかなかキャッチできない、そういうふうなこともございまして、今のような答弁を申し上げたようなことになったんじゃないかと思います。 現在も引き続いて
調査
をいたしておりますけれども、そうしたことで非常に押さえにくい非常に 難しい問題じゃないか、このように考えておるところでございます。
山中郁子
182
○
山中郁子
君 じゃ今後、結局
調査
して見きわめる自信はないとおっしゃるの。
澤田茂生
183
○
政府委員
(澤田茂生君) 短波帯でございまして、パルス性の
電波
が発射されるというときに生ずるのがいわゆるウッドペッカーノイズということでございます。確かにおっしゃられますように、掌握しにくいということでございまして、ただ私どもあきらめているということではございませんで、今後とも
努力
をしてまいりたいし、その発射源等についての探査というものは続けてまいらなければいけない、こういうふうに思っております。
山中郁子
184
○
山中郁子
君 昨年の五月十七日の御答弁からもかなり後退をされていますね。御承知だと思いますけれども、当時の鴨さんが、「私ども
通信
主管庁という立場で監視をさらに
強化
いたしまして、
電波
の発射源の究明に努めてまいりたい、またその上で必要な措置をとりたい」という御答弁をされていらっしゃるし、当時の奥田大臣は、「これらの正体を究明させることに全力を尽くして、その後必ず外交ルートを通じて強力にお話し合いを進める、これは海洋国、平和主義をもって海運立国としていく我が国政府としては当然の態度でおろうと思いますし、そういうことに
努力
をいたします。」と、こう答弁されていらっしゃるのね。よもやこういうことについてあなた方の態度に消極的な変化が生まれたわけじゃないんでしょうね。私は、きょう時間も短いから、
OTHレーダー
の問題だから、これからさらに本当に本質的に重要な問題になってくるので、ちょっと入り口ですけれども、重ねてこのことについては
郵政省
のはっきりした責任ある態度を示していただかないと困ると思います。
澤田茂生
185
○
政府委員
(澤田茂生君) 私どもも昨年御答弁を申し上げ、そしてその後も
努力
をいたしているわけでございます。決して
努力
を放棄するつもりもございませんし、また発射源が国外であろうというふうには私ども察しておりますけれども、それが明確にわかった場合には、
電気通信
条約等にのっとりまして必要な措置を講じてまいるようにということで、我々も対処をいたしているところでございます。
山中郁子
186
○
山中郁子
君 昨年の五月の
委員会
では、
調査
結果として、主として北太平洋上において短波帯の広い範囲にわたっての混信が発生しているということを把握しているとおっしゃっているのね。これだけじゃないんですよ、実際問題としても。その後一年半以上、それから、この問題はこれに先立ってさらにもう問題になってたわけです、新聞なんかでも。だからもう二年からなると。もっと前からだって問題になっているケースがいろいろある。そういうことについて、少なくともこの時点でも北太平洋上におきまして短波帯の広い範囲にわたって混信が発生していると、把握していると
郵政省
がおっしゃっているわけですよ。今お話を聞くと、北の方と、今度北の方になっちゃってね、全くあいまいな答弁しかなさらない。これは改めて問題にいたしますけれども、少なくとも
郵政省
としての責任のある態度を求めるものであります。これが一つですね。 それから、今答えていただかなくてもいいけれども、次のしかるべき機会に、そんなふうにいろいろ
調査
をしてもなぜわからないのか、そんなことが一体あるのか、そういうことについては明確にしていただきたい。 それで続けてお伺いいたしますけれども、このウッドペッカーノイズと今あなたもおっしゃったけれども、そういうふうに言うらしいですね。これは時々刻々周波数を変えて、発射時間と時刻も不定で、広く混信を引き起こすわけですよね。このような
電波
の発射は少なくとも日本では認められていませんね。それははっきりしていますね。
澤田茂生
187
○
政府委員
(澤田茂生君)
電波
の発射を認めるという場合は、これは既存の他の無線局に障害を与えない、混信を与えないということが大前提でございまして、いわゆるウッドペッカーノイズというようなものが混信を与えるということでございますので、そういったものの
電波
の発射というのは国内では認められないということでございます。
山中郁子
188
○
山中郁子
君 これは既に衆議院における審議でも、あるいは参議院の決算
委員会
でも我が党の議員が関連して質問をしてきたところでありますけれども、防衛庁の中期防衛力
整備
計画、これと
OTHレーダー
の導入の検討の問題ですね、私はきょうは防衛庁においでいただいているわけではありませんので、
電波
法との
関係
で
郵政省
にお尋ねをし、明らかにしておきたいという立場でいるわけなんでありますけれども、この
OTHレーダー
の防衛庁の導入計画そのこと自体も当然
電波
法に定める規律と手続に従うべきものであると、これは明確になっていると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
澤田茂生
189
○
政府委員
(澤田茂生君)
OTHレーダー
の防衛庁の取り組みということについて私ども実は承知をいたしておりませんが、防衛庁で、自衛隊が使用する移動体の設備とかレーダーにつきましてはこれは
電波
法等の
関係
法令の規律に従うべきものと、こういうことでございます。
山中郁子
190
○
山中郁子
君 新聞その他の報道で、あるいは先ほど申し上げました国会の若干の質疑の中でも触れられていることはあなた方も御承知だと思います。
郵政省
として公に防衛庁の
OTHレーダー
建設について聞いていないと、さっきおっしゃったんですね。しかし、新聞報道その他でもって、それが硫黄島がしかるべきところであるのか、あるいはいやあそこはぐあいが悪くて喜界島にするんだとかということが報じられているということについては御承知だというふうに思いますけれども、私がここで明確にしておきたいのは、このいわゆるウッドペッカーノイズと言われている、常識的にも
OTHレーダー
のもたらすそうした混信の
原因
ですね、そうしたものは日本の
電波
法によって十分に防衛されなければならないものであって、
電波
法を無視した形で防衛庁が勝手に
電波
を発射する、つまり
OTHレーダー
の建設が行われる。
OTHレーダー
の発射というのは完全にそういうものであるということははっきりしているわけで、軍事的には常識になっているわけですから、そういうことは日本の
電波
法上もできないんだということが明らかだというふうに思いますが、このことについては再度確認をしていただきたい。 それから、さっきあなたが、私どもは防衛庁から
OTHレーダー
の建設については伺っていないとおっしゃったんだと思うんですけれども、そこをちょっともう一度確認してください。
澤田茂生
191
○
政府委員
(澤田茂生君)
OTHレーダー
につきましては防衛庁の方から私ども一切話を聞いておりません。 それから、自衛隊が使用する無線局の周波数等でございますが、移動体の設備とかあるいはレーダーにつきましてその周波数の使用につきましては、他の無線局への混信を防止するためのいろいろな定め、こういったものには従わなければならないということでございます。
山中郁子
192
○
山中郁子
君 それは自衛隊法でも、いわゆる百十二条ですか、これの適用除外の項で、レーダーの周波数は郵政大臣の承認を受けなければならない、その周波数の使用に関し、他の無線局の
運用
を阻害しないよう、混信を防止するため、郵政大臣の定めに従うということが、そういう趣旨でもって明記をされているわけでありますけれども、
郵政省
の見解としては、したがって直接、今正式に聞いていないということをおっしゃっているけれども、少なくとも防衛庁が新聞その他でもって発言した、ないしは考え方を持っている、アメリカといろいろ話しているというふうに伝えられている日本における
OTHレーダー
の建設ということは、
電波
法上不可能であるという見解をお持ちだというふうに理解をしてよろしいですね。
澤田茂生
193
○
政府委員
(澤田茂生君) 重ねてあれでございますが、
OTHレーダー
につきましては私ども承知をいたしておりませんので、その内容、使い方、 周波数等について不明でございますので、その点についての具体的な御
説明
というのはいたしかねるわけでありますが、
一般
的に言いまして、周波数の割り当てについては他の無線局との混信を生ずることのないよう検討の上使用を認めるということにいたしておるところでございます。
山中郁子
194
○
山中郁子
君 ちょっとはっきりしてほしいのは、自衛隊の
OTHレーダー
、防衛庁からそのことについて聞いてない、不明であるとおっしゃっているのか、それとも
OTHレーダー
自体についてあなたが不明だと、今考えられないことをおっしゃっているのか、どっちですか。
澤田茂生
195
○
政府委員
(澤田茂生君) 自衛隊の
OTHレーダー
の計画というもの自体私どもは全然承知をいたしておりません。したがいまして、
OTHレーダー
というものの国内での建設というようなことについて今この時点でどうこうということは私は申し上げられないわけでございますが、ただ
一般
的に言いましてということで、周波数の割り当てにつきましては、自衛隊のこういうレーダーにつきましても他の無線局との混信を生ずることのないよう検討の上その使用を認めるということにいたしているということを申し上げているところでございます。
山中郁子
196
○
山中郁子
君 要するに
OTHレーダー
というものが日本の
電波
法上、防衛庁であろうとなかろうと、それを
郵政省
が認めるということはあり得ないという内容はあなたは否定はされていないし、まさにそのような御答弁であるというふうに承りました。要するに
OTHレーダー
は短波帯をいわゆるスイープするものでありますから、あなたは防衛庁がつくるよと聞いてはいないとおっしゃるけれども、
OTHレーダー
の建設による要するに混信、これはスイープするものですから必ず混信される、そういうものは日本の
電波
法では当然認めていないし、郵政大臣が許可するものではないんだということをおっしゃっているわけで、じゃ、
OTHレーダー
というのはさっぱりどういうものだかわからぬということは幾ら何でもあなたもおっしゃれないわけよね、専門家がここでね。だから、そこのところは防衛庁から聞いてないよということだけをおっしゃっているんで、それは防衛庁は新聞その他でいろいう言っていますけれども、あなたが今ここで聞いていないとおっしゃるなら、それはそれで公に聞いてないという意味でおっしゃっているんでしょうけれども、
OTHレーダー
そのものがどういう役割を果たして、どういう結果をもたらして、そして日本の
電波
法にどのように違反をして、そして郵政大臣としてはそれは許可できないものなんであるということを、
一般
論ということでお答えになったと私は理解をいたします。 ですから、それと関連をいたしまして、問題はもっと端的に言えば、結局はこの前あなた方が一年半も二年もかけてもちっともわからぬとおっしゃるけれども、結局日本がもしそういうことで
OTHレーダー
を建設する、喜界島か硫黄島かどこになるかは別として。そういう事態に踏み込んでいけば、今度は日本がその混信の
電波
の発射源になるわけですよね。それは当然のことながら、私どもが一貫して主張して、また指摘をして問題にしているのは、アメリカの核戦略の補完として日本の自衛隊が、日本の政府が国のお金を使って踏み込んでいくそういう問題として問題にしているわけですけれども、この
電波
の混信という問題だけに限ってみても、それは日本が発射源になって今度そうした迷惑を他の
地域
にもかけていく、こういう
関係
になってくるわけですから、その点についても断じて容認できるものではないということを改めて申し上げておきます。 その点についてはぜひ大臣に今後の
調査
のことも含めて確認というか、お考えをはっきりしておいていただきたいと思います。
左藤恵
197
○国務大臣(
左藤
恵君)
OTHレーダー
、そのことについて我々はまだそういうことで十分どういうものか理解をいたしておりませんが、先ほどの
調査
につきましては、これは私はやっぱりあらゆる
努力
をいたしまして、今までなかなか発信源そのものをつかまえられなかったわけでありますけれども、今後ともつかまえるように
努力
をしていかなきゃならない、このように考えております。
山中郁子
198
○
山中郁子
君
OTHレーダー
そのものについて知らない、今度は大臣はおっしゃった。幾ら何でも
郵政省
の専門家の方がそういうことをおっしゃることはできないだろうと思いますけれども、あえてそれでは
局長
に伺いますけれども、
郵政省
は
OTHレーダー
そのものについて御存じの方がいらっしゃらないんですか、それだけ聞かせてくださいな。
澤田茂生
199
○
政府委員
(澤田茂生君) 具体的な使用等については、十分な資料というものは私ども持ち合わせておりません。
山中郁子
200
○
山中郁子
君 具体的な資料を言っているのではなくて、先ほどちょっと引用いたしました昨年の五月の
委員会
の答弁でもあなた方はちゃんと答弁しているんです。だって、あなたもさっき実際にウッドペッカーノイズとおっしゃったでしょう、そしていろいろ答弁なすったでしょう、広い範囲にわたって混信のもとをつくり出すってね。そういうことを
電波
監理の専門家である
郵政省
の方が知らないから何とも言えないなんという無責任なことは、幾ら何でもおっしゃらないというふうに思いますので、
調査
は当然のこと大臣もお約束なさいましたけれども、そういう
原因
になることが技術的にもまた常識的にもはっきりしている混信のもとを
電波
法によって認めることはできないんだということは、当然のこととしてお答えいただけるものと存じます。簡単でいいですから答えてください。
澤田茂生
201
○
政府委員
(澤田茂生君) 繰り返しになるかと思いますが、他の無線局への混信を生ずるような無線周波数の割り当てとか
運用
ということは、これは
電波
の秩序維持という観点からそういうことは行われないということでございます。
山中郁子
202
○
山中郁子
君 次に、
NTT
の方に
参考人
としておいでいただいていると存じますが、いろいろお伺いしたいことはありますが、限られた時間でございますので、営業上の問題につきまして私どもの把握をしていること、ぜひやはり
NTT
としてもお考えいただいた方がいいのではないかという問題の二、三についてお尋ねをし、またお約束も賜りたいと思います。
電電公社
が
NTT
という形に
民営化
されてから七カ月ですね。今営業
関係
では率直に申し上げまして、本当になりふり構わない増収、増販作戦が行われているんですね。それで、一つはトラフィック増です、要するに呼数をたくさんかけさせる、いかにして国民に電話をかけさせるかということでいろいろおやりになっている。もう一つは、今私が問題に、したいことは電話機の売り切り、これの
増加
ですね、それによる増収、増販、このことについて本当に必死になっておやりになっているわけなんですけれども、私はやはりこのことからかなりいろんな問題が出てきているというふうに思います。 それで、
電電公社
の
民営化
による問題というのはこれからもかなり長期的にいろんな各方面から問題にされなきゃいけないし、分析もされなきゃいけないし、私どももさらに
調査
をしなければならないというふうに理解をしておりますけれども、具体例を挙げて、まずきょうはその初歩的な問題として当
NTT
自身、それからまた
郵政省
の御見解も伺っておきたいです。 それで、電話
サービス
を盛んに宣伝されていて、いろんな
サービス
があることを宣伝されていらっしゃるけれども、私が今一つ問題にしたいのは、子供を対象にした宣伝にすごく力を入れていらしているんですよ。それは物によりけりで、そういうことを私は一〇〇%だめだと言うつもりはないですけれども、ここにも何かいろんなカードがあるんですけれども、その一枚、私も目につくのは、「靖子のラブリーダイヤル」だとか、それからこれは何ですか、「近藤真彦のテレホン
サービス
」だとか、これは「薬師丸ひろ子のテレホン
サービス
」とかね。まあとにかくいっぱいこういうのあるんですわ。それで、こういうのを例えば 小学校の下校時に、帰る子供たちに電話局の人が行って子供たちに配るのね。それで、例えばタレントの誕生日を教えて、そのタレントの誕生日にお祝いの電話、電報を出そうとかね。現実に本当にそういうところあるんですよね、やっているんですよ。で、そういうことは
NTT
としては上層部もよく承知の上で、何でもいいと、とにかくトラフィックを上げればよろしいと、増収をすればよろしいと、子供でも何でも対象にして稼げということでおやりになっているのですかということを私はお伺いしたいわけ。「タニシのコロナキ」だとか「ハロージャイアンツ」だとか「源頼朝の声」とか——「源頼朝の声」というのはどういう声が聞こえるのかよくわからないけれども、「福澤諭吉の声」だとか、それからもう切りがないほどそういうことをいっぱい次から次へやっていらっしゃるのね。まずそういうこと、どうですか。
岩下健
203
○
参考人
(
岩下
健君) お答えいたします。 先生御指摘のように、四月
民営化
を機会にしまして、従来もやってはまいりましたけれども、営業活動について、まあ
職員
自身の盛り上がりもございまして積極的な営業活動を各方面で展開していることは事実でございます。で、その場合に私どもの基本的な考え方としましては、まず何よりもお客様の
サービス
あるいは世の中の利便の
向上
に役立つということ。また二番目に、
職員
の働きがいといいますか、こういったものにつながるものでなきゃいかぬということ、と同時に、競争場裏での
事業経営
に資するということ、こういったところを基本に営業活動を展開しておるわけでございます。で、その場合に当然のことでございますけれども、法令を遵守する、あるいは公正競争を確保する。またお客様にいささかなりとも、結果的にせよ御迷惑をおかけすることがないようにするということ、こういったものを社会常識の範囲内において行うということは、これは当然でございます。 こういった考え方で進めておるわけでございますが、今御指摘の具体的な事例としての子供相手にテレホンカードを
販売
するということ、私自身実は事実
関係
としては掌握はしておりません。ただ、いわゆる小学校あるいは中学校と共同いたしまして、依頼を受けまして電話教室といったようなものを私ども
職員
が参りまして開催をするということはよくやっております。そういう中で、
各種
の
サービス
を
説明
する中で、このカード電話あるいはテレホンカードといったものの
説明
はしたことはあろうかと考えております。
山中郁子
204
○
山中郁子
君 いや、だから私はいろんなことを今申し上げたけれども、要するに学校帰りの子供たちに、タレントの誕生日に電話し、祝電を送ろうみたいなものを配るみたいな、そういう常識の範囲外のことはおたくはやっているつもりはない、やっているとすればそういうことはもちろんやめさせる、自粛させるということですね。そういうことを言ってください。
岩下健
205
○
参考人
(
岩下
健君) 社会の常識で許される範囲内において行いたいというふうに考えております。
山中郁子
206
○
山中郁子
君 これからのこともありますから重ねて伺うけれども、今私が申し上げたようなことは社会の常識の範囲外ですね、そうでしょう。そこをちょっとはっきりさせてよ。要するに、学校帰りの子供たちにタレントの誕生日に電話をかけましょうみたいな、こういうものを配るというふうなことは社会の常識の外でしょう。
岩下健
207
○
参考人
(
岩下
健君) 下校時の子供を相手にしましてテレホンカードをいわば売りつけるといったようなことは、これはもう常識の範囲外と思っております。
山中郁子
208
○
山中郁子
君 では改めて申し上げますけれども、私はさっきから売りつけるということは言っていないんです。「タレントの誕生日に祝電をうちましょう」というカード、こういうものを、ないしはチラシを小学校から帰る子供たちに校門のところで
NTT
の
職員
がやらされているんですよ。そういうことはそれじゃいいの、いいと考えているということですか。
岩下健
209
○
参考人
(
岩下
健君) 具体的な態様は私承知をしておりませんけれども、おのずからこういったものの
販売
のやり方については、いわゆる良識という言葉に尽きるかと思いますけれども、節度を持って行うべきであろうというふうに考えております。
山中郁子
210
○
山中郁子
君 それでは、そういう誠意のない答弁に終始なさるならば、私はこれから引き続き
逓信委員会
で一つ一つ具体的な事例——実際にそれを指示した人、その他も含めて問題にせざるを得ないということを申し上げておきます。 それで、関連をいたしますけれども、テレホンカードを私今ここに、例えばこれ、自分のですけれども持っているんですね、五百円。この五百円のものをちょっときれいにつくったりなんかして八百円で売るとか、そういうことが実際に行われていることを私も承知をしておりますけれども、そういうことも
NTT
は推奨なすってやらせておられますか、端的に答えていただきたい。
岩下健
211
○
参考人
(
岩下
健君)
NTT
の電話局の窓口で直接
販売
しております、いわゆる
一般
のテレホンカード、これはデザインカードと呼んでいるものとは別でございまして、
NTT
自身がつくった、デザインしたカードでございますが、これは五百円、千円、三千円、五千円と四種類ございまして、これはそのままの値段どおり、つまりプレミアムといったものはつけることなしに
販売
をしておるわけでございます。こういう標準カードといいますか
一般
的なカードのほかに、お客様が希望するデザインによって私どもがそれを承って調製をするというカードはございます。モデル・デザイン・カードとフリー・デサイン・カード、二つございますけれども、これにつきましてはデザイン料その他、実費をちょうだいをいたしますので、例えば五百円券の場合ですと、平均しますと六百数十円ぐらいに相当するかと思いますけれども、これは最低限の御注文いただく枚数が百枚、また、フリー・デザイン・カードの場合は一千枚といった単位で御注文いただいて、デザイン料その他の実費をちょうだいした上でこのテレホンカードの値段にそれを上乗せしましてお売りをしておるということでございます。したがいまして、私どもが一枚五百円のカードを八百円とか七百円とか、いわばプレミアムをつけて電話局で
販売
をするということはしておりません。
山中郁子
212
○
山中郁子
君 それではお調べをいただきたいのですけれども、「阪神五十周年」とか掛布——掛布って阪神の掛布選手のことなんでしょうね。それから「菊池桃子」とか「ハレー彗星」、「タイガース優勝」だとかそういうテレホンカードを、五十度数、五百円のをつくって八百円で売っているの。で、
職員
の人が売っているの。それはどちらかというと売らされるわけよね。社員の人たちはこのテレホンカードをノルマを課せられて本当にもう苦労しておられますよ。とにかく窓口でもその五百円券を八百円で売っているという事実もございますから、それじゃそういうことは絶対にないんだという今御答弁をいただきましたので、御
調査
をいただき、しかるべく御
報告
をいただきたいと思います。 それからもう一つは、「おしゃべり電話」ということで問題になりましたわね、これはたしか
青森
県の八戸でしたか。それで、まあかなり批判も浴びて、PTAからも抗議がきたりということで
NTT
としては考える。つまり複数電話というんですか、そのことについてはどういうふうな検討をされて、それでどういうふうにおやりになるのか。何かちょっと制度をいじって、変えて、新たにまた東京でもやるというふうにも伺っているんですけれども。余り時間とらないで結構ですけれども、教えてください。
岩下健
213
○
参考人
(
岩下
健君) この
サービス
は不特定多数の方がいわば自由に会話を楽しむという趣旨で、外国にも例がございましたので、この七月でございますが、日本でもさしむき実験的に
青森
でも始めたわけでございます。始めましたところが、非常に若い方、まあ中学生あるいは高校生の方に人気が集まりまして、かなりの利用がございまし た。その後、青少年のいわゆる非行といいますか、の温床にもなりかねないというような御指摘もございましたので、私ども、教育
関係
の方々とも御相談をいたしまして、またお客様にも御相談をいたしました結果、十月の半ばからはこのようにやり方を改めました。つまり、若い人向けにつきましてはグループごとに前もって予約をいただく、また予約した時間内でグループ単位で時間を決めまして、特に深夜帯、午後十時から午前七時まではやらないということで通話をしていただく、またマスメディアを用いたPRはしないと、こういった形のものを十月の半ばから方法を改めまして現在
実施
をしておるわけでございます。 現在のところ御利用になっておりますのは、これは
青森
の
地域
の中の
各種
の同好会の方、あるいは肢体不自由の方の団体の方、あるいは老人クラブの方等が御利用になっておるというのが実態でございます。
山中郁子
214
○
山中郁子
君 私この点について細かく今議論している暇がないのですけれども、一つだけちょっとやっぱり問題提起しておきたいのは、この方式は機能的に第三者が聞けるものですよね。で、
通信
の秘密ということとの関連でどうなのかということを私は本質的な問題としてちょっと提起したいんですね。その点はどうお考えですか。
岩下健
215
○
参考人
(
岩下
健君) この
サービス
は本来的に複数の方々に自由に御利用いただくというものでございますので、御利用するお客様自身が
通信
の当事者になっておるわけでございます。つまり、御利用するお客さん御自身が不特定多数の方と会話をするということを前提に、話の広場といいますか、に参加をされるわけでございますので、
利用者
のおのおのの方が
通信
の当事者になっておられるということから、
通信
の秘密の侵害には該当しないというふうに私ども解釈をしておるわけでございます。
山中郁子
216
○
山中郁子
君 私今申し上げるのは、機能的にというのは、つまりその番号をだれかが知れば、そこにかければ聞こえるわけね、第三者が、
加入
者以外の、メンバー以外の人がね。そういう
システム
なわけでしょう。だから、そういうことが機能的にできる
システム
だということを私は申し上げているんです。そのことについては全く問題なしとされていらっしゃるのかどうかだけ伺っておきましょう。また引き続き私の方はそのことについてはお伺いいたしますし、
郵政省
の御見解もちょっと聞いておきたいところですから。
岩下健
217
○
参考人
(
岩下
健君) この
サービス
は予約制をとっておりますし、特定の番号、これは局番プラス
加入
者番号でございますけれども、この番号は予約をなすった、つまりエクスクルーシブな、そこに参加をされる方にしかこの番号は通知をしないといいますか、御存じないわけでございますから、全然
関係
のない方がそこに入ってくるということはないというふうに考えておるわけでございます。
山中郁子
218
○
山中郁子
君 それでは時間がないので。ちょっとかみ合っていないんです。私の言うのは、昔はそういうことがない時代は電話局で、例えば
業務
上必要によって割り込みみたいなのがありますけれども、今度の
システム
だと、結局その番号さえわかれば普通の人も割り込めるわけなんですよね、そのグループが何番かの電話番号でもってできていると、登録されているということを知れば。知る可能性というのは常にあるわけでしょう、だれかがしゃべることだってあるしね。そういう可能性は大いにあると。その場合には実際にこうやってダイヤルすれば聞けちゃうわけよね。そういう意味で
通信
の秘密というものの保障ということとの
関係
ではどうなのかということを今私お尋ねしました。でも御答弁がちょっとかみ合わないので、これはまた次の機会にさらに深めていきたいと思います。 それで、あわせて
最後
に
郵政省
にもちょっと御意見を伺いたいということで今あれしますけれども、例えばさっきのテレホンカードもそうですけれども、ノルマを課して、中には一人百枚とにかく売れということで、やっぱりもう売るところもないと、それでサラ金からお金を借りて自分で結局買うというような社員も出てくるし、実際そうなんですね。そういう人がいるの。 それから、これは局の中で関東総支社の幹部の発言ですけれども、訓練のところで豊田商事に学べといって演説したんですよ。本当に私も正直に言って、かつてこの
NTT
の前身であります
電電公社
で働いた経験を持つ者ですけれども、情けないです。豊田高まって何ですか、一体。あれは商売でも何でもない、詐欺でしょう、犯罪でしょう。その豊田商事に学べといって、そして
職員
を集めて大演説をぶって、そして幹部がそういうことをやって、それで電灯に赤いセロハンをかけて会議室みたいなところに閉じ込めて、これからセールスに行く人たちを集めて、そして部屋の中を真っ赤にして、それで全員で、「売ってくるぞと勇ましく誓って局を出たからは手柄立てずに帰らりょか」と歌わせるんですって、そしてセールスに出すんですって。実際にやっているんですよ、これ本当に。私最初から、子供たちを相手にターゲットにしてということは、一体公共性の大事な
業務
に携わる
NTT
としてはどうなのかということを申し上げた。 今も私あえてこういうことを申し上げるのは、本当に
NTT
をやっぱり国民の立場に立ったものとして発展させなきゃいけない、
民営化
問題いろいろ私ども議論はありました。だけれども、とにかく今こうなったらやっぱりそういう事態のはずでしょう。それを決してよしとしないでしょう。そこについての誠意ある首脳のやっぱり考えなり反省なりを伺いたいの、一言でいいですよ。それと、郵政大臣にも今私が幾つか申し上げましたから個別でなくて結構ですけれども、
郵政省
としての御見解をお伺いいたしまして、終わります。
岩下健
219
○
参考人
(
岩下
健君)
販売
にあるいは営業活動についての基本的な考え方は冒頭お答えしたとおりでございます。したがって、そこに働く
職員
が喜んで日々
業務
に打ち込めるようなそういったものでなければいかぬというふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のような事例というものは私ども考えましても決して好ましいものだとは考えておりません。
左藤恵
220
○国務大臣(
左藤
恵君)
NTT
におきまして特殊会社に移行して後、
事業
本部制をとるということでいろんな積極的な営業活動をしていただいている、これはそれでいいわけでありますけれども、この営業活動につきましては、やはり社会的に許容される良識の範囲というものが私はあるべきだと思う。その範囲内で行われるべきものだと、このように考えます。 今回の
電気通信
改革の趣旨にかんがみまして、ほかの
事業
者等の間の公正な競争を確保しなければなりませんし、いろんなそういった問題もありますので、今後とも
NTT
の経営陣が社会的使命というものを十分自覚して行動していただくように我々は期待いたしたいと、このように考えます。
田英夫
221
○田
英夫
君 それでは、
電気通信
の問題あるいは
放送
の問題いろいろ伺いたいことがあるんですけれども、まず最初に、奥田前郵政大臣にも申し上げたんですけれども、ひとつ
電波
行政の基本的な問題、姿勢として
左藤
郵政大臣に伺っておきたいんですけれども、民主主義の社会では言うまでもなく
電波
は国民のものだということだと思います。ただ
電波
の場合は、自由勝手に使いますと混信による混乱を招くということがありますから、だれかが交通整理をしなければならない。
電波
は国民のものであって、それを使う場合にだれかがコントロールしなければならないということになれば、そのだれかというのは一体だれが一番適切なのかという最も基本的な問題ですけれども、
左藤
郵政大臣はこの点はどのようにお考えですか。
左藤恵
222
○国務大臣(
左藤
恵君) 先生御指摘の点につきましては、アメリカでは独立行政
委員会
ということでFCC——フェデラル・コミュニケーションズ・コミッションですか、これがございまして、我が国においてはもうやはり
昭和
二十五年の
電波
法、
放送
法の制定から
昭和
二十七年にかけまして の間では、
電波
行政を所管するのは行政
委員会
でありますこのアメリカの方式に倣って
電波
監理
委員会
が
設置
されていたところでございます。その後、
電波
監理
委員会
から
郵政省
の所掌に
電波
行政が移りまして、独任制の行政
機関
に所掌されるよりも責任体制をもう少し明確化するとか、あるいは事務処理の簡素化を図るとか、そういったことから現在は、
郵政省
が
電波
法四条によりまして無線局の免許の権限が郵政大臣に限られている、こういう形をとっておるんだと思いますが、その場合にも、やはり先ほど御指摘のようなそうした言論、報道の自由とか、独立の立場とか、そういったことを十分反映できるような形で
電波
監理審議会というものを
設置
されまして、
電波
行政に関します重要事項、特に
放送
局の免許とか、そういった問題については必ずかけなければならない、こういうような方式をとっておりますので、私はその間におきましてやはり諮問を申し上げ、そこでその議決を尊重しなければならないという形は、やはりこの
電波
監理審議会の先生方が民間の広い知識とか経験とかというものを有せられる方々の御意見であるわけでありますので、こうした点が十分反映されるのではないか。そういう意味で、現行制度を特に変えなければならない理由は私はないのではないか、このように考えます。
田英夫
223
○田
英夫
君 ところが現実には、郵政大臣が
電波
法第四条によって免許の権限を持っておられるというそのこと、そして十三条で再免許ということが規定をされている。このことが、きつい言葉で言えば
電波
行政の諸悪の根源であるとさえ言えるほどの問題になっていると思います。このことは、これからも恐らく言い続けなければならないと思いますので、きょう短い時間の中で現実に起こっている一つ一つの問題を言うことはやめておきますけれども、ごく最近の例で言えば、きょうの
委員会
で
片山
委員
が取り上げられましたいわゆるテレビ朝日のやらせの問題、このこと自体はまことに遺憾なことであって、その点についてはもはやそれ以上言う必要はない。テレビ朝日だけではなくて、
放送
局全体あるいはジャーナリズム全体の問題として、言論の自由を守っていくという立場から極めて遺憾なことだと思います。しかし同時に、その事件が発生した後、
左藤
郵政大臣が田代テレビ朝日社長を呼ばれて警告をされたということを承知しているんでありますが、これは今申し上げたことに関連をして、私はこれまたまことに遺憾なことだと申し上げておきます。
電波
法第四条があるから、その法の精神によって郵政大臣がそういうことをやられたと。
郵政省
並びに大臣のお立場からすれば極めて適切なことであり、当然なことだとお思いになるかもしれませんが、私の観点から言えば、第四条そのものが民主主義の観点からして間違っていると思っているわけですから、その立場からするならば、郵政大臣が一テレビ局の社長を呼びつけてしかり飛ばすというような、そういうお上のやり方は
電波
行政における民主主義の精神に反すると言わざるを得ませんので、この点は私は極めて遺憾であるということを言わざるを得ない。大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
左藤恵
224
○国務大臣(
左藤
恵君) 現行の
電波
法または
放送
法とかそういった精神から見まして、例えば先ほどの問題につきまして、私らの方としましては、やはりそうした番組の中に介入するとかそういうことは毛頭考えておりませんけれども、今の
放送
番組審議会というようなものが、そういうものが設けられておるのにもかかわらず、そういったものが十分機能していないということについては、やはりその
放送
事業
者のもう少し責任においていろいろ検討していただきたいと、そういうことを御要望申し上げることは私は差し支えないんじゃないか、このように考えております。 今の先生のお話のようなことで、一応
電波
の有限、貴重な国民共有の財産を公平かつ能率的に利用を図るという、そういう見地から見まして、混信による妨害を生ずることのないように、そして一つの秩序づけるための現行
電波
法四条というものが、そしてそれが今申しましたようなことで、
電波
監理審議会に諮問をしなければならないというふうに規定されておる、そうした現状から考えまして、私は
電波
法四条というのは改正する必要はないのじゃないか、このように考えております。
田英夫
225
○田
英夫
君 例えばテレビ朝日の問題が生じたときに、
郵政省
の真意はわかりませんけれども、報道の上では、
郵政省
は再免許について、つまりテレビ朝日に再免許を与えるかどうか考慮せざるを得ないという状態になるのではないかという記事がありました。つまり、十三条というものがあるためにそういう推測が出てくると。私自身の体験の中でも、かつてもう二十年近く前のことですが、TBSに対して時の自民党幹事長が再免許を与えないこともあり得るという発言をされて問題になったことを体験しております。こういうことが出てくること自体一種のこれが恫喝の道具になると言っては言い過ぎかもしれませんけれども、あってはならないことだと思います。 そこで、かつて
昭和
二十五年から二十七年まではFCC方式であったが、その後現行のようになって郵政大臣が免許権を持っていると、しかし
電波
監理審議会があるから、そこで有識者によって諮問にこたえて答申が出てくるので民主主義的だという意味のお答えがあったと思いますが、それでは一体その
電波
監理審議会というのはどういう役割を果たしているのかということを伺いたいわけです。 それに入りますに当たって、今ちょうどまさにそれに沿って十一月三十日で申請が締め切られた東京と大阪のFMの第二局の免許についてですけれども、現在どのくらい申請が出されているか、おわかりになりますか。
森島展一
226
○
政府委員
(森島展一君) 東京と大阪の
民放
のFMの第二局目の
申請状況
でございますが、東京につきましては十一三十日で締め切ったところ四百九十五件、それから大阪につきましては二百四十七件の申請が出ております。
田英夫
227
○田
英夫
君 実はそれをここにいただいて、こんなに膨大なものですね。四百九十五、それを見ますと東京の場合とにかく種々雑多など言っては失礼ですけれども、デパートから電鉄会社からあるいは極めて個人的なものに至るまで四百九十五。大阪が二百四十七ですか、これは一体、一つに絞るわけですね、どうやって絞るんですか。簡単で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
森島展一
228
○
政府委員
(森島展一君) 両地区における申請を締め切ったところでございますが、今後これら相当数に及ぶ申請につきまして
電波
法第七条、それからこれに基づきます
郵政省
令でございます
放送
局の開設の根本的基準に基づいて審査を行うことになります。その場合、
放送
の公正かつ能率的な
普及
を図る観点から、従来よりも
地域
密着性の確保、それからメディアの集中排除、こういったことを基本として審査することになります。
田英夫
229
○田
英夫
君 当然
電波
監理審議会に諮問をされることになるわけですね。
森島展一
230
○
政府委員
(森島展一君) さようでございます。
田英夫
231
○田
英夫
君 今、審査の基準のようなことをちょっとおっしゃったんですけれども、それだけのことで四百九十幾つですか、ほぼ五百に近いものを一つに絞るというのは人間わざじゃできない至難のわざだと思うんですけれども、それをおやりになる。これは
郵政省
で大体絞って一つにする段階で審議会に諮問をされるのか、ある程度絞ったところで諮問をされるのか、この辺はどういうことになるのですか。
森島展一
232
○
政府委員
(森島展一君) この申請、十一月末で締め切ったばかりでございますので、またこれを例えば一本化調整を行うかどうか、そういった点はこれから検討していきたい、こういうふうに思っております。
田英夫
233
○田
英夫
君 しかし、東京の
民放
第二局をつくるわけですから、幾つもつくるわけじゃないでしょう。一つに絞らざるを得ない、大阪の場合も。この問題だけじゃなくて、UHFも七つの県がでさらにつくろうという、東京も
民放
のFMをつくる うという計画もあるやに聞きます。いずれにしても、
放送
局の免許という問題で、こんなにたくさんあるものを
郵政省
が絞る、一つにする。さっき申し上げた精神からして、御自身はそういう意思はないかもしれませんけれども、
郵政省
とか郵政大臣というのはつまり権力の側なんですよ。権力なんですよ。民主主義の社会でそういうものが、こんなもの、みんなやりたいという人が五百出てきたところを一つにしますよと、あなたですよと絞る権限があっていいかどうかということを考えていただきたいのですよ。それで、さっきの大臣の答弁だと
電波
監理審議会があるからそこに諮問すればいいんだと。諮問するときは一つになっているわけでしょう。一つにする作業はお上の方がやるんですよ。権力の側がやるんですよ。それでいいですか。
森島展一
234
○
政府委員
(森島展一君) 一本化にするという例が従来の
放送
局の申請で多いわけでございますが、
電波
法の基準からいたしまして優劣を判断するいわゆる競願処理、こういう方法もあるわけでございまして、これについて具体的に東京、大阪のFMについてどうやるかは、先ほど申し上げましたように、これから至急検討したいと思っております。
田英夫
235
○田
英夫
君 この問題は重大な関心を持ちながら見ていくということを申し上げておきたいと思います。 そこで、
電波
監理審議会というものが一体どういう働きをしているのかということを知りたいのですね。これは今の大臣の御答弁でも非常に重要だと思います。
電波
監理審議会の議事規則第六条によりますと、「会議の議事は、議事録に記録しなければならない。」というふうに規定をされておりますから、当然議事録があると思いますが、その議事録を資料として提出していただけますか。今年になってからので結構です。
森島展一
236
○
政府委員
(森島展一君)
電波
監理審議会の議事録につきましては、従来も外にお出ししておりませんので、そういうことで御了承いただきたいと思います。
田英夫
237
○田
英夫
君 その辺でもう実に
郵政省
の姿勢がはっきり出てくるわけですよ。まさに民主主義じゃないんですよ。私はこの点は今の御答弁で引き下がるわけにいきませんね。
電波
監理審議会というのは、大臣の御答弁は後で速記録できちんとさせながら別の機会に改めてまた御意見を伺いたいと思いますけれども、議論をしたいと思いますけれども、明らかに
電波
法四条を改正するつもりはないということを繰り返しておっしゃった。現行法の制度で民主主義的だと思うという意味のことをおっしゃった。だったらその
電波
監理審議会の議事録を国民の前に公表するのは
当たり
前じゃありませんか。国民の前にということはこの
逓信委員会
ですよ。この
逓信委員会
にもその議論の内容は出せないで何が民主主義ですか。 大臣、改めてお聞きします。この議事録出してください。
左藤恵
238
○国務大臣(
左藤
恵君)
電波
監理審議会自身の御意思もございますので、そういった点をお伺いした上でお答えを申し上げたいと、このように思います。
田英夫
239
○田
英夫
君 このことはあくまでも要求をいたしたいと思いますが、
電波
監理審議会の何を審議したかという項目を見てみますと、多いときには十八項目、これはことしの十月二十四日の審議会では、「日本
放送
協会所属中波
放送
局等の再免許について」というのから始まって十八項目ありますね。しかも、聞くところによると多くの場合は諮問して即日答申、こういう例が大部分であるというふうに聞きますけれども、それは事実ですか。
森島展一
240
○
政府委員
(森島展一君)
電波
監理審議会におきましては、「
電波
及び
放送
の規律に関する事務の公平かつ能率的な
運営
を図るため、その事務に関する事項を
調査
審議」することを目的として
設置
されておるわけでございまして、
郵政省
令の制定、改廃、無線局の予備免許、その他の処分等、こういった必要的諮問事項と申しておりますが、このほかに免許方針の策定、変更等の重要な政策の決定に
当たり
ましては審議会の判断を求めておるところでございます。 先生御指摘のように正式の諮問と答申が同日ということもございますけれども、このような場合は、審議が円滑かつ十分に行われますように
委員
に対しまして事前に資料を提出いたしたり
説明
をいたしたりしておりますので、御心配のような審議会が十分審議を尽くしていないんではないかというようなことはないと考えております。
田英夫
241
○田
英夫
君 要するに私の理解では
電波
監理審議会というのは、何というんでしょうか、隠れみのと言ってはおかしいですけれども、民主主義の形をとっているということの言いわけの道具にしかすぎないという気がしてなりません。したがって、その審議は極めて形式的であり、形骸化している、だからこそその内容を国民の前にオープンにするわけにいかないから議事録を出さないんだと、こう考えるのはいささか行き過ぎでしょうか。私はそういう気がしてなりません。一人一人の審議会の
委員
の方の当否を申し上げませんけれども、最近
選任
された方の中には私の親しい友人もおります。したがって、その内容を聞こうと思えば聞けるでしょう。しかし私は、そういうってを通じて知るんじゃなくて、民主主義ならば国民の前にこの審議会の討議の内容というものは堂々と公開されてしかるべきものだ。それが本当の民主主義だと思います。この点は改めて機会がありましたらさらに議論をしていきたいと思います。 そういう意味で、もう一つ、九月の四日に東京都の港区にあるいわゆるミニFM局、KYFM
放送
局というのが警察の手によって摘発をされました。若者が二人、
電波
法違反、こういうことで逮捕されておりますが、通常こういう場合には注意とか指導とかいうことがあって、つまりミニFMと言われている
電波
よりも到達範囲並びに
電波
の強さが大きいぞと、こういうことを言ってから、まあ逮捕ということは初めてですけれども、まず注意をすべきじゃないかと思いますが、なぜこの場合はいきなり告発をし、警察が逮捕ということになったんでしょうか。
澤田茂生
242
○
政府委員
(澤田茂生君) 通例の場合、先生お話しのようにミニFMにつきまして法令に違反をしているということを確認した場合、原則としてまず指導を行うということにいたしております。しかし、指導に従わないというような悪質なものにつきましては、
電波
利用の秩序の維持を図るというために告発を含めた厳正な措置をとったというところでございます。 今回のミニFM、御指摘のございました事案につきましては、
調査
を私ども進めました結果、郵政大臣の免許を要しないこととされております許容値がございますが、その許容値の約三百倍以上に当たる強力な
電波
を発射しておるということ、しかもその
放送
の中で違法な
放送
を行っているということをみずからが宣伝をしているということもございました。こういった悪質である、違法であることを十分承知して
放送
を行っていたというものでもございますので、私ども恐らくは警告、注意等を行っても法令の遵守について期待をするということはできないであろう。また、そういうことをやりますと、そこの場所ではやめても、また次のところでやるというような事例もございます。したがいまして、私どもそういう今申し上げましたようなことで、指導を行うということでなしに直接の告発というものを警察にお願いをしたということでございます。
田英夫
243
○田
英夫
君 この事例の場合は確かに
放送
の中でそういうことを言っていたということがあるようですけれども、基本的に考えたときに、冒頭申し上げたように民主主義社会では
電波
は国民のものである、本来は自由に使えるべきものである、しかも高度
情報
化社会ということになってきた中で、しかもニューメディア時代という中で、どんどんこういうミニFMというような志向は強まってくるだろうというふうに思います。それをお役所が、お上がとにかく取り締まるとか、規制するとかいうのは逆じゃないかと。ミニFMが百メートル十五マイクロボルトというのは一体どういう 根拠で決められたのか。まあ恐らく混信を防ぐということのために決めたんだとおっしゃるでしょうけれども、それが百メートルが五百メートルになったらどうなんだと。東京あたりの住居が密集しているところでは五百メートルになるとかなりその中ではミニFM的なことをいわば若者が楽しめる、そういう許容範囲ができてくるだろうと思いますね。その辺のところをどういうふうに基本的にお考えなのか。
電波
は自由だから混信が起こらない限り自由にやっていいんだというふうにお考えなのか、いや、できる限りそういうものは小さく、百メートル以内に抑え込んでしまって混信がないようにするんだ、そんなことをとにかく勝手にやらせることはできる限り抑えるんだという精神なのか、基本的にはどっちですか。
澤田茂生
244
○
政府委員
(澤田茂生君) 私ども、今先生御指摘のように、無線局の免許を要しない
電波
の利用ということについての範囲というのを決めております。それは、御指摘のように百メートルの距離で十五マイクロボルト以下ということでございます。その範囲であるならば自由にいろいろな無線局として
電波
を利用することができるということでございまして、それ以上のものにつきましてはどうだと言いますと、
電波
の利用につきましてはいろいろ今要望がございます、需要がございます。家庭内あるいは校内における
電波
の利用ということにつきましても技術の革新等を踏まえまして
多様化
してまいってきております。したがいまして、ミニFM自体について見まして、このぐらいならばよかろうということに決めるということにいたしますれば、その範囲はほかに
電波
が使えないという規制をしなければならないという約束がございます。したがいまして、私どもとしましては、今ある秩序の中で自由に何の規制も受けずにやっていただくミニFMというのは、今の免許を受けない範囲でやっていただく、それ以上につきましてはいろいろな要望を踏まえて自由に
電波
というものがもっと国民の利用になるような形で利用してもらうように、私どももいろいろ
環境
整備
なり等というものはむしろ積極的にしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
田英夫
245
○田
英夫
君 時間がなくなりました。 もう一つ伺っておきたいのは、やはり新しいニューメディア時代になってきた中で一つ問題が起こって最近新聞にも出ておりましたけれども、つまり
通信
と
放送
との境界線が次第になくなってきているということの中で、つまりCATV、さっきも
服部
さんですか、お話しになっていましたが、CATV局をつくろうとしても、実際には道路に線を埋没しなければならないということの中で建設省との間でいろいろ問題があって容易にできないということが今起こっていますね。そこで、
NTT
の回線を利用してCATVをつくろうという要望が出てきたところが、
郵政省
の方はそれは有線テレビジョン
放送
法に違反するからだめだとおっしゃっているということが伝えられておりますけれども、これは事実でしょうか。
森島展一
246
○
政府委員
(森島展一君) 私どもが承知していますところでは、CATV
事業
を計画しておられる方はほとんど例外がないと言っていいぐらいやはりCATVのケーブルをみずから
設置
するという計画をお持ちでございます。 その理由といたしましては、みずからケーブルを持ちますと、一つには、減価償却後にはビジネスとして大きなメリットが出てくると、ケーブルが自分のものでございますから。それから二つ目には、第一種
事業
の展開ということを含めまして多種多様な
サービス
、この展開ができるということ。それから三番目には、当然のことでございますが、ほかの
事業経営
者の経営
状況
というようなことには左右されずに自分の経営を展開できる。こういった点でやはり自分のケーブルを持ちたいという計画がほとんどでございます。 今申し上げましたのはCATVの
事業
者側から見たものでございますけれども、私どもとしましても今後高度
情報
社会におきましては多層的、多元的なネットワークの構築といったことが要請されるものと考えておりまして、CATVにつきましてもCATV
事業
者みずからが
地域
ネットワークを構築していくということが適当であろうというふうに考えております。 有線テレビジョン
放送
法におきましても、CATV
事業
者がみずから施設を
設置
するということを前提として法律ができておるところでございます。 ただ、以上はCATVの
地域
ネットワークということに関してのものでございますが、この長距離回線に関しましては、CATV
事業
者が番組の供給を受けるというような点で、あるいは他のCATV
事業
者に番組を供給する、こういった面で第一種
事業
者の回線を利用するということは十分あり得もことでございますし、こういった点ではCATV
事業
、それから第一種
電気通信事業
との協調と共存ということは大いに可能であろうというふうに考えております。
田英夫
247
○田
英夫
君 もう時間が参りましたけれども、今のお答えでちょっとあいまいですけれども、要するにこういう新しい時代になったら、本当にCATVがもっと発展しなければ、
放送
衛星をせっかく打ち上げても、それを受け取る側が各戸ごとに三十万円のアンテナをつけなければならないというようなことの中で容易にこれが広がらないと。CATVがもっと
普及
すれば
衛星放送
との
関係
でもいいと。
普及
させるためには埋没さしていたのじゃ、回線を埋没させることが不可能でなかなか進まないのじゃ発展はしないと、それならばやっぱり既存の回線を利用したらいいじゃないかというまことに簡単な論理でありまして、もし有線テレビジョン
放送
法が古い考え方でできているのなら法律の方を変えりゃいいのでありまして、新しい時代に即応するようなそうした鋭敏な神経で
郵政省
もやっていただかないと、非常な速力で発展をする今後に追いついていかないのじゃないかという気がいたします。 きょうはいろいろ申し上げましたけれども、ほとんど結論を出していただけませんでしたが、次の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
大森昭
248
○
委員長
(
大森昭
君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時散会 —————・—————