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1985-12-03 第103回国会 参議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月三日(火曜日)    午前十時七分開会     —————————————   委員氏名     委員長         大森  昭君     理 事         岡野  裕君     理 事         長田 裕二君     理 事         竹山  裕君     理 事         片山 甚市君                 志村 愛子君                 添田増太郎君                 中西 一郎君                 西村 尚治君                 長谷川 信君                 宮田  輝君                 山内 一郎君                 八百板 正君                 服部 信吾君                 三木 忠雄君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 田  英夫君                 青島 幸男君     —————————————    委員異動  十一月十五日     選任          守住 有信君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大森  昭君     理 事                 岡野  裕君                 長田 裕二君                 竹山  裕君                 片山 甚市君     委 員                 志村 愛子君                 添田増太郎君                 西村 尚治君                 長谷川 信君                 宮田  輝君                 山内 一郎君                 八百板 正君                 服部 信吾君                 山中 郁子君                 田  英夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  左藤  恵君    政府委員        郵政大臣官房経        理部長      成川 富彦君        郵政省郵務局長  高橋 幸男君        郵政省貯金局長  塩谷  稔君        郵政省簡易保険        局長       二木  實君        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省電気通信        局長       澤田 茂生君        郵政省放送行政        局長       森島 展一君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        法務省人権擁護        局調査課長    永井 敬一君        文部省社会教育        局青少年教育課        長        伊藤 俊夫君        建設省道路局路        政課長      原  隆之君    参考人        社団法人日本民        間放送連盟専務        理事       泉  長人君        日本電信電話株        式会社常務取締        役        岩下  健君        日本電信電話株        式会社取締役・        技術企画本部長  村上  治君        日本電信電話株        式会社INSモ        デルシステム推        進本部長     高橋  徹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○小委員会設置に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (派遣委員報告)  (小包郵便物拡充施策に関する件)  (郵便事業財政の見通しと財政悪化抑止策に  関する件)  (郵政省小口預貯金金利自由化への対応策に  関する件)  (非課税貯蓄制度に関する件)  (テレビ放送番組編成の適正化問題に関する件  )  (無線設備機器型式検定制度に関する件)  (情報通信産業育成振興策に関する件)  (郵便局における国債販売の再開に関する件)  (簡保の加入限度額引上げ問題に関する件)  (日米通信摩擦問題に関する件)  (CATVの道路占用問題に関する件)  (INSモデルシステム改善策に関する件)  (OTHレーダーによる電波障害に関する件)  (日本電信電話株式会社営業活動姿勢に関す  る件)  (東京・大阪における民放FM局申請状況と  その免許の在り方に関する件)     —————————————
  2. 大森昭

    委員長大森昭君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る八月十五日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。  また、去る九月十日、川原新次郎君が委員を辞任されました。  また、去る十月十二日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。  また、本委員会は、委員一名欠員となっておりましたが、このたび新たに当選されました守住有信君が、十一月十五日、本委員会委員選任されました。     —————————————
  3. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、小委員会設置に関する件を議題といたします。  新電電の新体制移行に伴う諸問題について調査検討するため、小委員十一名から成る電気通信の新体制等に関する小委員会設置することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長選任は、先制により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認めます。
  8. 大森昭

    委員長大森昭君) それでは小委員岡野裕君、長田裕二君、竹山裕君、西村尚治君、長谷川信君、宮田輝君、大森昭片山甚市君服部信吾君、山中郁子君、中村鋭一君を指名いたします。  また、小委員長岡野裕君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及びその補欠選任、並びに小委員会から参考人出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のため、本日の委員会社団法人日本民間放送連盟専務理事宗長人君、日本電信電話株式会社常務取締役岩下健君、同じく取締役技術企画本部長村上治君、同じくINSモデルシステム推進本部長高橋徹君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。  最初に東北班の御報告をお願いいたします。岡野裕君。
  13. 岡野裕

    岡野裕君 御指名によりまして東北派遣班報告をいたします。  去る十月二日から四日まで、東北管内における逓信関係業務実情調査してまいりました。派遣委員大森委員長志村服部の両委員と私であります。まず、仙台市において関係機関所管業務説明を聴取した後、仙台中央郵便局NHK盛岡放送局十和田湖郵便局NTT青森電話局及び青森防災行政無線施設等を視察いたしましたが、以下概要を御報告いたします。  まず、東北管内の特徴的なこととして、管内人口全国の八・三%にすぎないにもかかわらず、面積は国土の一七・五%という広大な地域を占め、しかも山間・過疎地域が多いことから、収入額に比較して郵便局及び職員数等が全国比で非常に高く、事業経営の視点から見て厳しい環境の中にあることが挙げられます。当局では、こうした状況のもとで各種サービス改善事業運営効率化に精力的に取り組んでおります。  では、郵便事業について申し上げます。  管内引受郵便物数は、昭和五十九年度で九億一千四百万通と全国の五・五%を占めておりますが、伸び率が低く、その全国比は年々わずかながらも減少する傾向にあり、このため郵便事業収入が五十九年度において、五百六十八億九千四百万円と前年度より三千四百万円の減収となり、初めて前年度実績を下回る結果となりました。  このため当局は、六十年度には従前にも増して増収施策に力を入れ、切手売りさばき所における小包取り次ぎ拡大絵入りはがき販売ふるさと小包勧奨等施策に取り組むとともに、これらの施策徹底を期するため、十月から十二月を販売促進運動期間に設定し、総力を挙げて需要喚起に努めております。  小包につきましては、民間宅配業に押され、年々引受数減少し、五十九年度は四百十六万個と、五十五年度の五二・六%まで落ち込みましたが、この厳しい競争の中で需要拡大に努め、郵便小包ラベルが本実施されたことをセールスポイントとして、東北地方の産物を中心に、ふるさと小包の差し出し勧奨等サービス改善を積極的に実施しており、このところ小包利用増加の兆しが見えてきております。すなわち、六十年度の七月末までの引受状況を見ると、一般小包は前年度同期比で一〇%以上も増加し、全国増加率を大幅に上回っております。しかし、今後とも一層利用回復施策推進し、小包引き受け拡大に努めていくことが望まれます。  次に、郵便貯金事業についてであります。  管内の五十九年度郵便貯金現在高は、五兆四千百五十四億円で全国比五・八%にとどまっており、住民一人当たり郵便貯金現在高を見ても五十六万円と全国の七十七万円に比べ低くなっております。  また、近年の郵便貯金増加状況は、全国とほぼ同様に、五十五年度金利天井感により増加した一時期を除き、伸びが停滞しており、六十年度は、七月末現在で七百七十二億円と、定額貯金集中満期影響が大きかった前年度同期に比べ一三五%とはなっているものの、対前々年度同期比では一〇〇%と横ばいであります。伸び悩み原因は、家計可処分所得伸び悩み家計に占める負債の増加傾向中期国債ファンド等高利回り商品発売金融資産多様化が進んでいることのほか、五十五年度から五十八年度まで四年間続いた冷害による米作不振による影響から完全に抜け切れない状況にあることが考えられます。  郵便貯金推進対策としては、外務員募集力向上PR施策強化等のほか、オンラインを活用した各種サービス普及を通じ、利用者をふやしながら郵便貯金奨励を図っていくことにしておりますが、郵便貯金をめぐる環境は厳しく、大幅な増加は見込めないところであり、一層の努力が望まれます。  簡易保険事業についてでありますが、管内簡易保険保有契約高は、毎年前年を上回っており、五十九年度末の保険金額が六兆四千億円で、全国比としては八・〇%から八・二%の間で推移しており、大きな変化は見られません。新契約募集実績も毎年前年を上回っており、五十九年度保険料額を見ると、保険料引き下げ等により前年度を一〇%以上も上回る四十三億八千九百万円の実績を上げております。また、年金契約募集状況は、五十六年度発売当初から見ると増加してきているものの、全国比では下降しており、満足すべき状況になく、個人年金潜在需要を顕在化させることが今後の課題であると考えられます。  このため当局は、販売推進施策として、利用者とのつながりの強化募集増強運動実施外務員育成等推進していますが、特に営業推進体制強化として、外務員募集力向上セールスマネジメント能力向上に努めております。  郵政監察につきましては、全国における五十九年度郵政犯罪発覚件数が二千九百七十五件で、前年度比一二・四%の減少となっているのに対し、当管内における発覚件数は二百四十九件で、前年度に比べ十三件の増加となっております。  この犯罪発覚件数のうち、為替貯金が百十件と半数近くを占めていますが、これは不法領得通帳等による詐取が九十一件あることによります。また、郵便関係では郵便切手類偽変造、保険年金関係では傷害入院保険金詐取事件が目立っております。  防犯対策として、防犯上注視を要する局を指定改善を促進しているほか、特定郵便局長防犯対策打合会特定郵便局防犯連絡協議会等を組織し、防犯対策徹底に努めております。  部内犯罪について、前年度の十六件から九件に減ったものの、本来あってはならないものであり、絶無を期しての努力が望まれます。  次に、電気通信の概況について申し上げます。  郵政省が進めているテレトピア構想については、当管内でも、福島市及び米沢広域圏モデル都市指定を受けたところであり、福島では近代的農業確立産業基盤整備観光資源活用等、また米沢では農業振興製造業情報流通地域医療充実等地域の抱える課題解決のだ めのシステム構築を進めております。  NTTは本年四月より電電公社民営化によって発足しましたが、その管内状況につきましては、加入電話数が六十年度九月末現在で三百十五万八千加入普及率は百人当たり三二・四%、全国平均に比較してかなり低い状況にあります。また、収支状況は年々悪化し、五十九年度中距離通話料の値下げによる収入伸び悩み等により、五百三十六億円の赤字となっており、NTTでは、これらに対処するため、電気通信サービスの一層の向上はもとより、各種増収施策実施並びに経費の効率的使用等について経営努力をしているところであります。また民営化に伴うメリットとしては、職員の士気が向上したほか、対外的には利用者からサービスが大変よくなったと好評を得ていることが挙げられるようであります。  電気通信事業新規参入状況については、第一種電気通信事業へ日本テレコムが東北新幹線沿線地域業務区域としてサービスの開始を予定しており、一般第二種電気通信事業については五社が届出をし、既にサービスを開始しておりますが、おおむね受発注データ伝送交換中心とした業務で小規模なシステムであります。  次に、電波放送概要について申し上げます。  当管内無線局数は、五十九年度末で三十五万六千局を超え、全国比一〇・七%の盛況を示しており、また用途別では製造販売土木建設漁業関係無線の比率が高いのが特色となっております。  辺地難視聴は、中継局、共聴施設等設置によりその解消推進してきましたが、地域が広大であり、山岳や盆地が多く、電波伝搬条件が悪いこともあって、五十八年度末でNHK関係の難視聴世帯数は五万一千件で、解消に期待をかけていた衛星放送は、故障により実験放送の一チャンネルのみの放送になったこと、受信機が高価なこと等により難視聴世帯受信数がわずか二十七件と極めて低調であり、今後の普及促進のためには受信用アンテナ低廉化放送内容充実化等改善対策が望まれるところであります。また、民放の難視聴世帯数は五十九年度末十万八千件もあり、この解消が今後の大きな課題であります。なお、都市難視聴については、原因者責任主義の考え方により解消対策が行われてきており、おおむね救済されております。  管内テレビ受信契約数は五十九年度末二百三十八万二千件、また受信料収納率は九八%と全国平均に比較して良好な状況を維持していますが、新規契約数収納率とも減少傾向にあり、六十年度は、不在世帯に対する夜間、休日の訪問活動文書対策等推進するなど、精力的に契約収納活動を展開することとしております。  次に、管内防災対策について申し上げます。  東北地方は、概して地震、津波による災害が多く、最近でも五十三年に宮城県沖地震、五十八年に日本海中部地震が発生し、大きな被害を受けております。このため、非常災害時における通信放送体制の確保及び通信システムの有効、的確な運用が重要な課題となっております。  NTTでは、電気通信システム信頼性向上対策として、既に主要伝送路の二ルート化テレビ伝送路ループ化等を完了させており、また通信途絶防止被災通信設備早期復旧についても種々の対策を講じております。  またNHKでは、放送災害情報伝達手段として極めて有効であることから、運用を開始した緊急警報放送システムのほか、非常災害時に即応する緊急報道体制確立各種災害に対する迅速、的確な放送実施について鋭意整備を図っております。  地方自治体につきましては、東北六県の県防災行政無線網が五十八年二月の福島県を最後にすべて完了しております。この中で、青森県では、日本海中部地震の際、一部地域において、停電のため防災行政無線が一時的に使用できなかった教訓から、移動業務サービスエリア拡大、機能的に運用できる移動多重方式整備夜間、休日の運用体制強化等改善施策を検討しております。  以上が調査概要でありますが、最後に、青森県から、テレトピア構想昭和六十年度モデル都市指定に関し、地域活性化情報格差の縮小等積極的な情報化政策推進していく上から、県内にもモデル都市がぜひ必要であり、そのため基本計画書を提出している青森市について、指定が得られるよう要望がありました。これにつきましては、郵政省において十分検討の上、善処されることを期待いたしまして、報告を終わりといたします。
  14. 大森昭

    委員長大森昭君) 次に、中国班の御報告をお願いいたします。片山甚市君
  15. 片山甚市

    片山甚市君 私は、竹山理事及び中西委員とともに、去る十月二日から三日間、中国地方における逓信関係業務実情調査を行いました。  まず、広島市において、関係機関から、それぞれ所管業務説明を聴取した後、広島中央郵便局NTT山口電報電話局KDD山口衛星通信所、同浜田国際中継所大社郵便局及びNHK松江放送局等を視察しましたので、その調査結果を御報告いたします。  初めに、郵便事業について申し上げます。  当管内は、中国五県を管轄区域とし、面積人口全国比は、それぞれ八・四%、六・四%を占めておりますが、昭和五十九年度引き受け郵便物数は九億八千万通と全国の五・九%、業務収入は六百四十億円と全国の五・五%にとどまっており、また一人当たり年間利用郵便物数を見ても百二十六通と全国の百三十六通に比べかなり下回っているなど経営環境は厳しいものがあります。  最近における郵便物数業務収入の動向を見ると、郵便物数は、五十六年一月の料金改定影響して五十六年度は前年度より五・二%減少したものの、その後は回復傾向を示しておりましたが、五十九年度は前年度に比べ〇・一%ながら減少しており、伸び悩みが見られます。しかし、民間宅配業者の進出を受けて、毎年八%ないし一九%の大幅な減少を続けていた小包郵便物は、輸送システム改善によるスピードアップを中心とした各種サービス改善施策実施により五十九年度は五年ぶりに四%の増加に転じております。  業務収入は、五十六年一月の郵便料金改定以降、その伸び率は対前年度一%ないし二%増の傾向にとどまっております。これは、郵便物数伸び悩みのほか、小包民間宅配業者との競合、一通当たり単価の高い郵便物減少傾向等影響しているものと見られます。  このため当局は、郵便需要喚起施策として、研修会による営業意識及びセールス技術向上ふるさと小包の獲得、電子郵便需要拡大大口事業所との連携強化等に努めていますが、今後なお一層の推進が望まれるところであります。  次に、郵便貯金事業について申し上げます。  五十九年度末における管内郵便貯金現在高は、六兆九千億円で、全国の七・三%を占め、また同年度末の一人当たり郵便貯金現在高は八十九万円と全国の七十八万円をかなり上回っており、さらに郵便貯金世帯利用率は、八〇・四%で全国トップとなっております。  最近の郵便貯金現在高の伸び率を見ると、五十六年度以降鈍化しており、郵便貯金伸び悩み傾向は依然として続いておりますが、この要因としては、家計可処分所得伸び悩み個人金融資産選択多様化する中で、民間金融機関において高利回り商品が開発されたこと等が挙げられます。本年度奨励状況は八月末現在、前年度に比べ一四・二%の増加と若干持ち直していますが、なお楽観を許さない状況にあります。当局では、郵便貯金推進を図るため、オンラインを通じ給与預入、自動払い込み、キャッシュサービス等拡大に努めることにしております。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  五十九年度末における管内簡易保険保有契約件数保有契約高は、四百五万件、五兆九千億円で、それぞれ全国の七・四%、七・六%を占めており、また千人当たり加入件数は、五百二十 六件で全国平均の四百五十四件をかなり上回っています。  最近の販売状況を見ると、新契約及び保有契約とも着実な伸びを示しており、特に六十奨励年度の新契約保険金額九千五百億円は前年度に比べ一七・五%の増加と好調でありますが、これは、五十九年九月から実施されました保険料引き下げによるところが大きいと見られます。しかし、年齢別加入状況を見ると、青壮年層伸び悩み傾向が顕著であり、一層の市場開拓努力が必要であります。  郵便年金販売状況も、新郵便年金発売以来順調であり、年金思想の広がりを示しております。  なお、最近の郵政事業経営形態改革論あるいは三事業分離論について、中国郵政局長より、次のような私見が述べられました。すなわち、郵便事業については、百年以上にわたり国営事業として運営されてきたからこそ利用者は安心して利用できるのであり、郵政職員も公務員としての自覚のもとに真剣に働くことができる。また、事業の性格からして民営になじむものではなく、世界的にも国営が主流となっている。郵便貯金簡易保険の資金は、主要な財投原資であり、民営論財投の仕組みを崩壊させるものである。また郵便貯金事業は外国における非営利の貯蓄銀行と同様の役割を果たしている。郵政事業は、三事業を一体として運営されているため、局舎、要員の配置等コスト面での効率的な運営により全国的なサービスの提供が可能であり、現行体制が最適なものと思われるとのことでありました。  次に、郵政監察業務についてでありますが、当管内における五十九年度郵政犯罪発覚件数は、二百四件と前年度に比べ六十七件減少しており、これに対する検挙件数は百六十一件と、前年度に比べ四件の増加となっております。そのうち、部内犯罪は近年減少してきているものの、三事業合わせて十人となっており、当局努力にもかかわらず部内犯罪が後を絶たないことはまことに残念であります。  次に、電気通信の概況について申し上げます。  地域社会における電気通信の総合的な施策としてテレトピア構想が提唱されていますが、本年三月、当管内では、山口地区、松江市、岡山市及び福山市の四地区がモデル都市指定され、新たな都市づくりが計画されております。  また、本年四月、電気通信事業の自由化により、新規参入が可能となり、八月末現在、当管内においては八社から第二種電気通信事業の届け出がなされており、その業務概要は問屋と小売、製造業者と小売業者間の受発注データの伝送、交換となっております。  一方、電電公社は本年四月、日本電信電話株式会社に改組されましたが、加入電話の普及状況は、六十年六月末現在二百八十一万加入、百人当たり普及率は三六・四加入であり、公社時代の収支状況は、大都市圏に比べ経営環境の厳しい管内事情を反映して赤字基調になっております。民営化後は業務開発室の設置、新規事業の開発等積極的な増収施策推進により収支の改善が図られつつありますが、新会社に課せられた公共的使命にも十分配意して実施するよう望まれるところであります。  民営化に伴う端末機器の売り切り状況は、六月末現在、全国的に見て、電話機については販売の一八%、ホームテレホンについては同二八%等と当初計画を大幅に下回っている状況にあります。  なお、民営化移行による具体的メリットについて、中国総支社長から、民営化後六カ月しかたっていないことから明確になっていないとしながらも、職員販売意欲が高まり、増収施策に積極的な姿勢が見られる一方、利用者への対応がスピーディーになった点が挙げられました。  KDD関係については、当管内の浜田市にある対流圏散乱波通信及び海底ケーブルの中継基地を経由して、日本と韓国とのテレビ伝送を除く国際通信が行われており、その通信量は米国に次ぐものとなっております。  なお、我が国における国際電気通信事業の自由化について、KDD取締役より、国際電気通信事業は相手国間との協議が必要であり、また条約上の制約もあるので、新規参入は容易ではない、しかし、競争時代に入れば、KDDとしては公正な競争を行いたいとの意見が述べられました。  最後に、電波放送の概況について申し上げます。  当管内無線局数は、五十七年十二月のパーソナル無線の新制度の発足以来急増しており、五十九年度末二十四万局で、全国の七・三%を占めています。その特色を見ると、瀬戸内を中心とした小型内航路及び山陰側における漁船が多いことから船舶局が多く、また、中国山脈を抱えていることから、テレビジョン放送の難視聴地域解消するための中継局が多数存在しているほか、衛星通信ではKDDの山口地球局がインテルサット衛星を対象に運用されております。  テレビ難視聴対策については、中継局、共聴施設の設置により解消が図られてきておりますが、なお五十八年度末現在、残存するNHK視聴世帯数は約六万二千世帯、中国地方世帯数の約二・七%と推定されており、このうち約半数は個人負担による地元共聴施設により視聴されております。  NHKは、五十九年五月の衛星放送の開始により難視聴地域は完全に解消されたものとして、五十九年度以降地上での置局を行っておりません。しかし、管内における衛星放送受信世帯は千九百世帯、しかもこのうち難視聴地域における受信は七十世帯にすぎず、NHK及び行政当局の積極的な衛星放送普及対策推進が必要となっております。そのためには、放送衛星ゆり二号の予備機による二チャンネルの放送の実現及び現在三十万円もする受信機低廉化が望まれるところであります。  一方、民放の難視聴世帯数は約十一万五千世帯と推定されておりますが、これらは山間僻地に点在する小集落が多く、その解消には技術的、経済的に困難を伴うことから民放難視聴の抜本的解消対策が今後の課題となっております。  有線テレビジョン放送は、これまで難視聴を解消するための共聴施設として普及してきましたが、近年、当管内においても多チャンネル、双方向機能を有する大規模な有線テレビジョン放送施設の事業化の動きが見られ、三原市、松江市等の都市部において施設許可が行われております。  有線音楽放送については、施設の道路不法占用等が全国的に問題となっておりますが、管内においても、広島市の特に悪質な業者に対して、電気通信監理局は業務停止処分を行っております。しかし、道路不法占用について改善の兆しが見られるため、告発は見合わせておりますが、今後とも有線音楽放送の正常化には厳正に対処していく必要があります。  また、放送による災害情報の伝達をより確実にするため検討されていた緊急警報放送システムは、NHKにより九月一日から導入されましたが、民法については今後の検討課題となっております。  以上、御報告いたします。
  16. 大森昭

    委員長大森昭君) これをもって派遣委員報告は終了いたしました。  次に、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 きょうは逓信事業一般の質疑を行いたいと思いますので、大臣初め皆さんに御協力を賜りたいと思っております。  私は、我が国が目指す情報化社会のあり方やあるいは国民生活に大きな影響を与える政策について、郵政三事業電気通信及び電波事業の現状から問題点を解明したいと思いますので、関係機関はこれまでの審議経過を十分認識した上で御答弁をしていただきたい。新規巻き直しの話は余りありませんので、まず審議経過を踏まえて御答弁いただきたいと思います。  まず郵政三事業についての問題でありますが、郵政三事業を概観すると、本年度はまずまずの状況で推移しているようでありますが、しかし将来 展望がないのでは大問題でありますから、その点に焦点を当てて質問してみたいと思います。  私の質問は、今現在非常にうまくやっていきつつある、しかしこれからどうなるのかということについて御質問したいと存じます。  先日発表されましたところの郵政事業の五十九年度決算結果を見ると、郵便事業については予算での単年度百五十五億円の赤字が逆に百十四億円の黒字となり、郵便貯金会計では単年度千二百四十五億円の赤字見込みが四十七億円に減少し、さらに簡保年金会計でも予算に比べ黒字幅が増大するという、三事業とも好調な決算結果でありますが、このような結果を得た理由はどういうものであるのか伺います。  私としては、当該事業に携わる職員努力を忘れてはならないし、さらに三事業一体の有機的な運営によって活性化を図り、維持されてきたものと思いますが、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  18. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 郵政事業を取り巻く環境は、最近極めて厳しいものがあります。三事業ともまさに競争の時代というふうに考えていただいていいんじゃないか、このように思います。このため、今後とも国民にとってかけがえのない郵政事業サービスを提供していくには、公共の福祉の増進ということを使命として三事業がそれぞれ営業活動を活発化していく必要がある、このように考えます。したがいまして、このことは機会あるごとに職員にその点についても十分徹底を図り、省を挙げて営業活動に取り組んでおるところでございます。  今先生御指摘のように、五十九年度におきましては郵便事業郵便貯金事業、保険年金事業とも予定を上回る好決算ということになったわけでございますが、これは各事業ともその置かれました厳しい状況を認識して職員一人一人が努力してきたことも要因の一つに数えられるのじゃないか、このように考えておるところでございます。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 職場の雰囲気も随分士気が盛り上がってきたように思いますし、関係労働組合との関係も友好な状況になって、郵政当局も労使が一致して国民の郵政事業を守っていこう、発展させていこうという姿勢があるからだと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  20. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今も申しましたとおり、こうした厳しい状況の中でも職員がよくそうした事態を認識して理解し、そしてそれぞれに努力をしてきたということが確かにこのような好決算をもたらす結果となったという一つの要因になっているところは間違いない、このように思います。  郵政事業は、郵便、貯金、保険の三つの事業郵便局という全国的なネットワークという形で一体的かつ効率的に運営してきておるわけでありますが、競争時代といいますか、そういうものに生き残っていくためには三事業の機能を活用化した三事業一体という形での事業経営を今まで以上に進めていかなければならない、このように考えておるところでございます。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 それでは郵便事業についてお伺いしますが、民間宅配便などの影響が心配される中で、郵便利用の動向、特に小包郵便状況は今後どのような見通しか。先ほど、東北報告もありましたし、中国の視察に行きましても、非常に熱心に「ふるさと郵便」などを含めて新しい装いをもって努力をしておるようでありますが、御答弁を賜りたいと思います。
  22. 高橋幸男

    政府委員高橋幸男君) 御承知のとおり、小包郵便物はここ数年減少傾向にあったわけでございますが、近時私ども各般にわたるサービス改善、また関係職員の積極的な営業活動の実施等によりまして需要の拡大を図りました結果、五十九年度におきまして五年ぶりに六%の増ということになったことは既に御承知のとおりでございます。また本年度、六十年四月から十月までの引き受け状況は前年の同期に比べますと八・八%の増ということでございまして、着実に増加しているところでございます。今年度におきましては、最終的に一億五千万個の取り扱いを予定しているところでございます。しかし、宅配業等を見ますと相当な伸びを示しているところでございまして、市場としては、私どもの努力いかんによって、まだこの増加傾向を推し進めていくことができるんじゃなかろうかというふうに考えているところでございます。  今後とも、私ども国民のニーズに即応したサービス改善、あるいは関係職員の積極的な営業活動というものを通じまして、小包郵便物に対する需要の拡大を図っていきたい、このように考えております。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 郵便事業についてですが、本年度の予算を見ると、単年度赤字が三百五十五億円計上されておるということは、依然として厳しい財政事情であるというわけであります。事業をめぐる厳しい環境は、単に料金値上げに転嫁して収支改善を図るということであってはならない。今後の財政見通しについて、どのような御努力をされますか。
  24. 高橋幸男

    政府委員高橋幸男君) 郵便事業財政につきまして、御指摘のとおりでございます。おかげさまで、五十九年度末におきましては累積欠損金八十七億までに縮めることができたわけでございますが、六十年度予算では三百五十五億の赤字を予定しているところでございます。さらに、六十一年度の予算の概算要求におきましては、五百三十四億の欠損を計上せざるを得ないというふうな状態になっているところでございます。しかし、御指摘のとおり、私どもこの赤字の解消ということを料金値上げというふうな形で解決することは極力避けるべきだというふうに考えているところでございます。先ほども郵便小包について申し上げたように、やはり私ども郵便全体について利用者のニーズに応じたサービス改善、またこういうことによりまして需要の拡大を図って収入増を図る、さらに事業運営効率化、合理化というものを考えまして経費の節減を図っていくということの中で、事業財政の悪化の抑制ということに今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 労使協力をして収支の改善事業活性化を図ろうとする職域の団体、労働組合等も大変な提案をしていますから、それを受けてやはり肯定的に話し合いをして、相手を認めて、しっかり頑張ってもらいたいということを希望します。  そこで、郵便貯金事業についてでありますが、郵貯会計は昨年度の決算結果において、本年度に累積赤字解消の見通しが出てきたことは非常に好ましいことだと思います。しかし、十月十一日に資金運用部への預託利率が従来の七・一%から六・八%に引き下げられたことは、今後の事業運営に大きな影響を与えると思いますので、今後の財政見通しと、預託利率引き下げに応ぜざるを得なかった理由について、どういうものであるか、説明してください。
  26. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) お尋ねの件でございますけれども、郵便貯金資金にかかわる資金運用部預託利率の改定、これは従来、貯金金利の改定の際に行われておりまして、昭和五十九年の二月以来七・一%であったわけでございます。ところが、本年七月、大蔵省から郵政省に対しまして、長期プライムレートの引き下げによりまして財投機関に与える影響が極めて深刻になったということで、当面の緊急措置として、資金運用部預託利率の改定引き下げ方、協議があったわけでございます。  当省といたしましては、今回の資金運用部預託利率改定問題の協議を必要とした背景には、公的金融システムといいますか、郵便貯金を含めて厚生年金、国民年金などの財投資金として運用されるそういう公的金融システムが金利自由化にどのように対応していくかという大きな問題が控えているということで、大蔵省と鋭意協議を重ねた次第でございます。この結果、郵便貯金資金の運用のあり方及び郵便貯金資金にかかわる資金運用部の預託利率のあり方につきまして、今後とも両省間で誠意をもって真剣に協議を重ねて対処するということで意見の一致を見ましたので、郵政省と いたしましては現下の財政金融事情などを勘案いたしまして、あわせて今回の預託利率引き下げによる事業経営上受ける影響等も考慮いたしまして、資金運用部預託利率の〇・三%引き下げに同意したものであります。  それから、もう一つお尋ねのこれに伴う影響でございますが、今後の郵便貯金増加状況等にもよりますが、昭和六十年度は約百億円、六十一年度では約五百億円程度の減収となると見込んでおります。ただ、私ども六十一年度の予算概計要求の収支見通しては、六十一年度約四千四百億ほどの黒字が出る見込みでございますので、この程度の減収では一応財政的には大丈夫だという見通しを持っております。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 重ねて聞きますが、預託利率よりも下回る国債などに運用することもあるというように聞いたのですが、それでも問題はありませんか。
  28. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 従来、私ども預託利率というのは比較的市場の金利、例えば国債の利回りなどに表現されます市場金利に比べて政策的に低く抑えられていた、そういうことで預託利率だけに運用される郵便貯金資金の運用の仕方をこれから有利に運用するという意味で、国債などを購入すると、国債を含めた公共債運用などをしたいということで六十一年度の予算要求にはしております。現在の事情では国債などに回すわけにはいかぬということになっております。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 今お話がありましたが、せっかく事業努力によって収支改善を図っても、大蔵省による人為的な操作で預託利率が引き下げられ、再び財政悪化という事態が起これば経営責任を問われかねない問題と思います。大蔵、郵政、両省による預託利率引き下げの折衝の場において、先ほどお話がありました市場金利による郵貯資金運用制度の創設や、資金運用部預託利率を市場連動型へとすることなどについて協議を重ね、早急に具体的成案を得るよう最大限の努力をすると合意をされたというお話が今ありました。合意事項の内容について、市場金利による郵貯資金運用制度のあらましと運用の範囲について説明を賜りたいと思います。
  30. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) これは市場金利による資金運用制度の創設ということを、今私も申し上げましたように六十一年度予算要求で出しているわけでございますが、これは郵便貯金の受け入れから運用まで一貫して市場金利が反映される仕組みをつくると、金利自由化の時代でもございますので、郵便貯金のいわば預金面、預ける面において預金者にお支払いする利子も市場金利を反映したことになっていくだろう、規制金利の枠を離れていくことになるだろう。そうしますと、これを運用する面でもやはり自由化に相応して有利に国債などの運用にも向けられるようにしたいということでございます。あわせて郵便貯金資金の確保によって、財投に対しても安定的に資金を供給していく、こういうことでございます。  中身でございますが、郵便貯金は公的な資金でもありますので、これまでやってきました財投あるいは金融市場に与える影響も考慮しまして段階的に手がけたいということで、昭和六十一年度運用対象を国債、地方債、公社公団等の公共債といたしまして、運用規模は三兆五千億円を計画しております。
  31. 片山甚市

    片山甚市君 預金金利の自由化も大口預金についてはかなり進んでおるように思います。企業等の大口預金者は金利自由化のメリットを受けておると言われていますが、しかし、何千万、何億という単位の預金は一般市民には全く縁のない話であります。郵便貯金を含めた小口預貯金の金利の自由化が早急に実現されねばならないのではないかと思いますが、金利の自由化はどのようなプロセスで進行すると見ておりますか。
  32. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先生おっしゃるとおりでございまして、私ども今この小口預貯金の金利の自由化ということが当面の喫緊の課題ではないかと考えております。  ちょっと背景を申し上げますと、御承知のとおり、我が国におきましては、金融の国際化それから国債の大量発行等を背景にいたしまして金融自由化が進展をしておりまして、もうこれが時代の趨勢であるということであります。大口預金につきまして申し上げますと、本年三月に市場金利連動型預金、MMCが導入されまして、さらに十月には十億円以上の定期預金ですかについて完全な金利自由化が実現するなど順次金利自由化が進展をしておりまして、小口預貯金金利の自由化ということはもはや、すべき、あるいはすべきでないという議論ではなくて、好むと好まざるとにかかわらず避けて通れない課題ではないかと考えております。  アメリカの例を見ますと、金利自由化というのは、当初一九八〇年以降六年間で段階的に撤廃することとされたのですが、これが実際には予定より大幅に短縮されまして、一九八三年、三年後にほぼ完全に撤廃されて、一度着手されると急展開するという実例がございます。  我が国では、一応今のところ大口について六十二年春までに規制の緩和及び撤廃を行うこととしております。小口についてでございますが、去る九月二十四日に閣議決定されました行革大綱におきまして、大口に引き続き逐次自由化を推進することとされておりますけれども、自由化のテンポがさらに速まることを予見しておくべきだというふうに考えております。  したがいまして、私ども郵政省といたしましては、国民から負託された使命を達成するために目前に迫った金利自由化に積極的かつ的確に対応していこうということで、金利自由化は国民経済あるいは利用者、国民などに影響を与えることも大きいので現実的な対応をしていくことが必要であろうというふうに考えます。したがいまして、この小口預貯金金利の自由化を円滑に実現していくための過渡的な措置として小口の市場金利連動型の預貯金の創設が必要であるということで、現在商品内容について鋭意検討を進めているところでございます。郵便貯金がこうした金利自由化に対応した商品を提供していくためには、先ほど申し上げましたように運用面でも六十一年度中に運用の道をつけて運用体制確立することがぜひとも必要であるということで、市場金利による資金運用制度の創設を要求している次第でございます。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 これまで郵政省郵便貯金運用制度改善を要求し、大蔵省は政府資金一元運用を主張して譲らないということでありますが、遅くとも六十二年春までに大口預金の金利自由化を完了し、引き続き小口預金の自由化を図るという大蔵省の金利自由化方針から見ても、今局長から説明のあったところでありますが、六十一年度予算では金利自由化時代に対応する郵貯資金運用制度の方向が確立されなければならないのではないか、したがって郵便貯金に市場金利を反映させる第一歩は郵貯資金三兆五千億円の国債等への直接運用の要求をぜひとも実現させなければならないのではないかと思いますが、それについてはどうでしょうか。
  34. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先生おっしゃるとおりでございまして、預貯金金利の自由化、市場金利に連動した預貯金をつくる、そういうサービスをつくるということは運用の面で市場金利連動型になっていなければいかぬわけでございまして、そういった観点から、公共債などに三兆五千億、初年度運用したいということで要求しております。  同じ資金運用部に預託しております厚生年金、国民年金等も、年金加入者に対する負担の軽減を目指して、やはり有利運用、資金運用部から分離して運用したいというような要求も出しているやに聞いておりますので、時代の趨勢といいますか、それぞれ預託する主体が自分たちの資金の性格に根差して市場に運用をする、それがいろいろめぐりめぐって、財投のあり方の再編成といいますか、財投の現在いろいろ当面しております問題の解決にもつながるでしょうし、金利自由化の時代における公的金融のあり方ということにもつながると思いますので、最大限努力したいというふうに考えております。
  35. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、民間金融機関では税金を払っていない郵貯は民間より有利であり不平等だから平等な条件でないと自由化はできないという意見がありますが、郵政省はどういうようにそれについてこたえていきますか。
  36. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 郵便貯金に官業ゆえの特典があるとよく言われるわけでありますけれども、これは郵便貯金と民間との制度あるいは理念といったものが異なることによる差異でありまして、単純に一つ一つを抜き書きして比較することは適当ではないのではないかと考える次第でございます。むしろ郵便貯金は、法律あるいは予算上の制約があるということ、それからあまねく公平な店舗配置をしていくということ、それから今申し上げておりますように資金運用が認められていないということ、いろいろそういった民間に比べて不利な条件のもとで経営努力を行っているのが実態でございます。郵便貯金と銀行との競争条件につきましては総合的にとらえていくことが必要ではないか、個々の問題をとらえて単純に比較することは適当ではないと考えるわけでございます。  さきの行革審の答申の中でも、小口預金金利の自由化について郵便貯金とのトータルバランス等を前提として検討を進めるとあるわけでございますが、これも、郵便貯金運用面なども含めて民間の預金と総合的なバランスをとっていく必要がある、そういう指摘であるというふうに理解をしているところでございます。
  37. 片山甚市

    片山甚市君 今までの議論の中でまとめて大臣にお言葉をいただきたいのですが、資金運用部預託利率引き下げの経緯や今後の金利自由化への対応などから見ても、郵便貯金運用制度をめぐる問題は今後の郵便貯金制度の命運を左右すると言っても過言でない重大な問題だと思います。大臣として、先ほどから申し上げた運用の問題、財投にかかわる利率の問題等について今後どういうようにやっていかれるのか、決意のほどを聞きたいんです。
  38. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今局長からお答えいたしましたように、急速に進展しております大口預金金利の自由化に引き続いて当然この小口の預貯金の金利の自由化も目前に迫っておるわけであります。そうした今日におきまして、郵便貯金が金利自由化に積極的に、かつ的確に対応することが喫緊の重要課題だと、このように考えております。  こうしたために、資金の調達、これは貯金の受け入れでありますけれども、これから運用まで一貫して市場金利が反映される仕組みをつくることが不可欠であると、このように考えておりますので、昭和六十一年度の予算におきましても概算要求の段階で、市場金利による資金運用制度の創設ということで今局長から御説明しました内容のものを要求しておるところでございます。これによりまして、国民に対してのよりよいサービスを提供するとともに、財投に対して安定的に資金を提供していくということができるものと我々は考えておるわけであります。郵便貯金事業の健全な経営を図っていくためにもこの制度の実現に全力を挙げて取り組まなければならないと、このように考えておるところでございます。
  39. 片山甚市

    片山甚市君 財投は御承知のように第二の予算と言われるほど大きいウエートを持つだけに、郵貯のあり方によれば国家予算を組むときに大変大きな支障が起こる。そういう意味で郵便貯金事業については国家的事業として続けて、大臣の方では大局的な立場から頑張ってもらいたいと思います。  郵便貯金やマル優などの少額貯蓄利子非課税制度の見直しの問題については、昨年の暮れ、預入限度額管理を強化し、非課税制度を存続するということで決着し、来年一月から管理強化実施に向けて郵政省は準備を進めているはずでありますが、最近所得税減税の財源探しとか日米貿易摩擦に関連する内需拡大策を口実に少額貯蓄に対する課税問題が再燃しているとのことでありますが、最近の動きについて郵政省はどういうふうに把握されているか、そういう点についてどう対処されるつもりですか。
  40. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 非課税貯蓄制度につきましては昭和六十年度の税制改正によりましてこれを引き続き堅持した上で制度の不正利用を防止する、限度額管理の徹底を図るということで決着がついたところでございます。こうした経緯にもかかわりませず、最近非課税貯蓄制度を廃止し、課税を導入しようとする議論が再燃しつつあるわけでございますが、郵政省といたしましては、このような議論は、非課税貯蓄制度の存続を前提に新しい本人確認手続を行うことを定めました所得税法の施行を目前に控えて利用者国民をいろいろ惑わす、いわば法の安定性を害するというものでありまして、大変遺憾なことと考えております。今後ともこのような動きに対しましては、その動向を見きわめつつ、非課税貯蓄制度を堅持するため適切に対処していく所存でございます。
  41. 片山甚市

    片山甚市君 ただいまの局長の言葉に対して大臣の決意を聞きたいのですが、国債の大量発行という状況下でのインフレ防止や高齢化社会へ向かっての老後資金確保のための自助努力などという観点から見ても、貯蓄の重要性は高まりこそすれ低下することはない。これは郵政大臣がPRされる新聞紙などにおいての発言もそのとおりです。勤倹貯蓄を大切にする国民性を否定するような外圧や政治は許すことはできません。  大臣として少額貯蓄非課税制度を守る毅然たる所見を述べてもらいたいと思います。
  42. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 郵政省といたしまして、国民各界各層の広範な御論議をいただいて、昨年の暮れの存続決定ということが認められました非課税貯蓄制度につきましては今後とも正しく利用していただけるように利用者側であります国民の皆さんに十分周知をして、今ちょうど準備を始めたところであるわけでありますが、この非課税貯蓄制度の存続につきましては先生御指摘のように何としてでもこれは私は死守していかなきゃならぬ、堅持していかなきゃならないものだ、このように考えております。  そうしたことを前提にして新しい本人確認制度を定めた所得税法の施行を目前に控えまして、これをまた廃止したり、課税を導入しようという議論が出てくること自体私は、今局長からも申しましたとおり、法の安定性を阻害するもので、国民をいたずらに惑わしておる、ひいては国民の皆さんに対して国に対します信頼を裏切るということになりますのでこれはまことに遺憾なことであります。どうしてもこの非課税制度は堅持してまいらなければならない、このように考えておるところでございます。
  43. 片山甚市

    片山甚市君 郵貯の非課税制度については守っていただくし、政府としても、郵政大臣としても守っていくようにする。国民が少額の貯蓄をしたために税金を納める、少額の貯蓄に対して税金がかかるようなことになりましたならば財投の根本的な基礎がなくなってくると思いますから、今大臣がおっしゃったように、郵政省と大蔵省と議論するときに国家全体の立場で議論をしてもらって負けないように努力を願いたいと思います。  簡易保険郵便年金についてですが、現状と当面の課題について今、六十一年度概算要求などもしておるようでありますが、簡略でよろしいから状況報告をしてください。
  44. 二木實

    政府委員(二木實君) 簡易保険郵便年金の現状につきまして、この九月末の保有契約状況で御説明申し上げますと、簡易保険が件数で五千四百八十七万件、保険金額が八十一兆二千九百五億円でございますし、郵便年金は件数で三十七万件、金額で八百七十億円、この保険と年金の資金量でございますが、二十七兆二千六百二十二億円になっております。また、昨年の九月から本年八月までの一年間での新契約状況を見ますと、契約件数でその一年前の件数を一〇%以上上回っておる。言ってみますれば、順調に推移しているところでございます。しかし、我が国の長寿社会の到来あるいは金融の自由化、国際化など大変な変革期でございまして、これに的確に対応するためには課題があるわけでございます。  その一つは、限度額の引き上げでございまして、簡易保険加入限度額は五十二年に引き上げられて以来据え置かれておりまして、万一の場合 の遺族の当座の生活の安定に必要な額を満たしておりません。これを引き上げるということが当面の緊急の課題でございます。  また、二十七兆に及びます資金の運用利回りを向上させまして、加入者の自主的な保険料の負担を軽減するための資金運用制度を改善するというこの二点が大きな課題でございまして、来年度の予算要求に掲げているところでございます。  これらの課題と取り組みながら、長寿社会の到来に際しましてますます高度化、多様化いたします国民のニーズにこたえる新しい商品やサービスの開発に努めまして、国民の自助努力を積極的に支援、促進してまいりたいと思っておる次第でございます。
  45. 片山甚市

    片山甚市君 どちらにしても、郵便事業にしても、先ほど申しましたように貯金の問題にしても、簡易保険郵便年金にしましても、非常に国民と密着した公的な制度でありますし、信用を博しておるという立場から、一層全体的な力を尽くして活性化を図って、国民に奉仕をしてもらいたいということで一応終わります。大変厳しいところでありますが、全国に隅々までネットワークを持っておる郵政省はそのネットワークが生きるように一層の御努力を願いたいと思います。  次の電波監理行政について質問をしますと、御承知のように、テレビ朝日の番組問題ですが、去る八月二十日テレビ朝日放送放送した「アフタヌーンショー」でいわゆるやらせによる女子中学生のリンチシーンが演出され、社会的に大きな批判を巻き起こし、関係者が逮捕されるまでに至ったが、放送事業者は放送法令により表現の自由、番組編集の自由が保障されているとはいえ、国民に直接大きな影響を及ぼす言論報道機関として社会的責任は重大であります。マスコミ万能の風潮に、甘えたまことに遺憾な事件であったと思います。  そこで、民放連、テレビ朝日の関係者からまず簡略に事実経過と今後の問題についての率直な御見解をお聞きしてみたいと思います。御苦労でございますが、御答弁を賜りたいと思います。
  46. 泉長人

    参考人(泉長人君) 民放連の専務理事の泉でございます。  私も民放連として、当事者でございませんので詳しいことは存じませんが、経過を申し上げますと、八月の三日の夜、福生の多摩川河川敷にある公園で、地元の女子中学生を含む不良グループを集めて、バーベキューパーティーを開きまして、少女二人に女子中学生五人へのリンチをさせるなどして番組をつくったわけであります。それを八月の二十日に「アフタヌーンショー」で女子中学生リンチシーンを「激写! 中学女番長!! セックスリンチ全告白」というタイトルで放送したわけでございます。これが問題化いたしましたのは十月になってからでございまして、ラジオ、テレビ、新聞などでこのやらせ問題が報道されまして、十月の十二日には社として反省の意を表明する特番を出すことを決めまして、同じく十月の十四日、当日の「アフタヌーンショー」の内容を急達差しかえまして、テレビ取材のあり方という形で放送をいたしました。番組の冒頭で田代社長がやらせリンチ事件の放送につきまして陳謝をしたわけでございます。  以上が一応番組をつくってからこの番組に対する責任の社長の陳謝のあったときまでの実態でございます。
  47. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、民放連としてのこの問題についての率直な見解はいかがでしょう。
  48. 泉長人

    参考人(泉長人君) この事件につきましては一会社員の現場で起こった犯罪的なまれな行為とは受け取ってはございますが、しかしいやしくも放送の制作者が放送のための行為で法を犯して、また制作に協力した市民にも法を犯させる結果を招いて、関係者に被害を及ぼしたことは前例のないことでありまして、テレビ朝日としての責任はもとより、民間放送といたしましては、これを民放全体の信用にかかわる問題として受けとめまして、去る十月二十四日の理事会におきまして特別の決議を行いまして、この事件を頂門の一針といたしまして、かねて昨年の三月以来、連盟として放送基準を現場に徹底させようという運動をしておったわけでございますが、これがやはり完全に効果を発揮していなかったという反省を含めましてこの運動をさらに積極的に進めまして、取材の節度、人権・プライバシーの尊重、番組審査体制の活性化の三点につきまして決議を行いまして、会員社のトップが先頭に立って社内の体制を改革し、社員教育の徹底をしてくださいという要請を行った次第であります。
  49. 片山甚市

    片山甚市君 私は、番組編成について介入しようという意思でなくて、やはり倫理の問題について問われるようなことはやめてもらいたい、こういう立場でありますから、誤解のないようにしてください。詳細に番組の内容を聞きたいという意思はない。多くの人々から批判を受け有、民放連全体、テレビ朝日だけでなくて全体の番組についての批判が行われているのでありますから、その点で十分に反省をしてもらっておると思っていますから、反省した結果どういうことになるかということについてお聞きしたいのです。  この番組が放映された直後から、関係者、視聴者による指摘、批判が相次いたにもかかわらず、十月に入って他のマスコミで報道されるまでテレビ朝日当局は知らぬ存ぜぬで押し通してきました。  放送局の免許権、監督権を持つ郵政省として、事件発覚以来、テレビ朝日にどのような御指導、対応をしてきたのか、そういう点お答えを願いたいと思います。
  50. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 去る十月の八日、九日の両日、この事件が報道により明るみになりました段階でテレビ朝日から任意の形で事情の聴取を行いました。これは十月の九日と十四日でございます。  その後、事件の真実関係が明らかになりました十月十五日、テレビ朝日の社長から郵政大臣に対しまして陳謝の意が表され、また翌十六日にはテレビ朝日から今後とるべき措置について文書が提出されました。  これらを受けまして、電波監理審議会に対しまして十一月一日の放送局の一斉再免許についてテレビ朝日を含めて諮問いたしまして、その審議会の答申を受けて再免許を行うとともに、同十一月一日付で郵政大臣からテレビ朝日の社長に対しまして、今回の事態は言論報道機関である放送事業者の社会的責任にかんがみ極めて遺憾であり、今後このようなことがないように厳重に注意いたしました。  なお、同十一月一日付で全民放の社長、それから全民放社の番組審議会委員長等にあてまして放送番組の充実向上等について要望を行いました。
  51. 片山甚市

    片山甚市君 そのときに森島局長は、放送法、電波法に基づく行政処分も検討すると発言されておりますが、局長として、また郵政省の講じた措置としてはどんなことをやられましたか。
  52. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 今回の事件で郵政省といたしましてテレビ朝日に厳重注意を与えて再免許を付与するということにいたしましたのは、テレビ朝日が今後放送法令及び放送番組編集基準を厳しく遵守してこの種の不祥事が再発しないよう万全の措置をとるという確固たる決意を示されたことを酌んだわけでございまして、今後テレビ朝日の真摯な取り組みを見守っていきたいと考えております。
  53. 片山甚市

    片山甚市君 この問題は、テレビ朝日に限らず、民放局すべてにかかわる問題として民放連として、先ほどお話がありましたが、対策としては今後どういうふうにやられますか。
  54. 泉長人

    参考人(泉長人君) 先ほどは十月の二十四日に決議を行って全社に協力を求めましたが、その際、私どもの機関であります放送基準審議会というところに各社の番組審議会の活性化を含め各社の番組向上ないしは放送基準の下部への徹底ということについてできるだけ具体的な方策を事例を示して各社に示したらどうかということで一カ月間の期間で作業をいたしました。  十一月の理事会でまとめましたのは、細かい内容は省略いたしますが、大体、放送基準の社内の 番組制作責任者への徹底と考査体制の整備、それから視聴者センターとか社外モニターなどの整備、活用、そういうような体制とか視聴者対応などを有機的に結びつけて各社番組審議会の運営を充実しなさいという三本柱の具体的な事例を提示し、そのほかに全国の各社の中で非常に有意義な運営をしている事例なども参考につけまして、こういうことで各社それぞれ各社の実態に応じた手段で番組の向上、それから番組審議会の活性化を図ってくださいというようなことをやったわけでございます。
  55. 片山甚市

    片山甚市君 そこで文部省、法務省にお聞きするんですが、この事件は放送サイドの問題ばかりでなく、青少年の教育に与える影響や人権問題として見逃せないものがあります。教育行政及び人権問題の立場から今の御所見を賜りたい。審議の都合で内容を詳しく言いませんでしたけれども、内容はよくわかると思いますから。わからなければこっちから言いますが、非常に遺憾な状態であると思いますから、まず御答弁いただきたい。
  56. 伊藤俊夫

    説明員(伊藤俊夫君) テレビの感受性の強い青少年の成長発達に大きな影響を与えますことは先生御指摘のとおりでございます。そのテレビの中に好ましくない番組があるという指摘がありますことは大変憂慮すべきことである、こういうふうに考えております。  ただし、表現の自由の問題もございますので、この点につきましてはテレビの制作者の方々が自主的な努力でいろんな形で善処方、お進めになられておる、こういうふうに理解しております。ただその際、文部省におきましても教育的なことにつきましていろいろ配慮し、思索しているところでもありますし、あるいは国民の方々の世論という常識もございますので、その自主的な努力のときに、ぜひその種のものが反映されるように御努力いただきたい、こういうふうに考えております。
  57. 永井敬一

    説明員(永井敬一君) 御指摘の件につきましては、たとえその制作意図がどのようなものであっても、加工された場面をつくり出すため、事情を知らない中学生五名に対し暴行を加え、また心身ともに未成熟な未成年者を使ってこれらの暴行を加えさしたということは未成年者の人権を侵害するものであり、基本的人権を尊び、社会の信頼にこたえるべき放送機関として極めて遺憾なことであると考えますことから、今後基本的人権の万全に配慮し、二度とかかる事象を起こすことのないよう、昨月十一日、東京法務局長から説示し、要望をしております。朝日テレビにおきましては、既に社内にワイド企画審議会等を設け、チェック機能を充実する等種々の方策を講じて再発防止に努められておるところではありますが、人権擁護機関としては、さらに今後とも取材報道の自由と基本的人権尊重の問題についてマスコミが自主的な諮問委員会をつくるなどして真剣に検討され、対応されることを期待しておるのでございます。
  58. 片山甚市

    片山甚市君 今申されたように、文部省としては教育的立場から、テレビの果たす役割は非常に大きい中で、暴力とかセックスとか人殺しとか、そういうことを推奨するような番組をつくらないことは、やはり教育の今日のいじめの問題からいっても大きな役割だと、お話を聞いて思います。法務省の方から言われるように、番組以前に制作をする人たちが人権をどのようにたっとぶつもりで放送しておるのかということが問われておるということですから、やはりマスコミ帝国と言われるように大きな影響力がある、犯人でないのに犯人のように映される、犯人であっても免れるやつは免れる、そういうふうなことがあるときでありますから非常に気をつけてもらいたいと思います。  そこで、この事件が起きた要因の一つとして、法律的に義務づけられている番組審議会が形骸化しているのではないかと心配します。テレビ朝日自身、事件後の対応策に番組審議会の機能強化を挙げておられますが、テレビ朝日の番組審議会のメンバーの構成、運営状況について、いかがになっていますか。
  59. 泉長人

    参考人(泉長人君) テレビ朝日の番組審議会委員はただいま十二名いらっしゃいます。  委員長は有光日本芸術院院長さん。そのほか川本信正スポーツ評論家。それから委員に池田敬子さん、日体の教授です。岩間英太郎さん、この人も日体の学長でございます。遠藤健一さん、東京出版販売の専務さん。岡部冬彦さん、漫画家でございます。小尾信弥さん、放送大学の教授です。片方主治さん、システム研究センターの理事長。中里直さん、作曲家でございます。樋口善典さん、土間印刷の取締役社長。宮川毅さん、日本オゾンピック委員会の常任委員。森武夫さん、日本教育会の事務局長。この十二名でございます。  運営状況は年十回、八月と十二月休んでおりますが、主な議題といたしましては課題番組に関する意見交換とか、春秋の番組改編についてのときの意見交換、それから関連しているネット局の十二社の番組審議会の代表者との会議をやって意見交換をするとか、そういうことをやっていたようでございますが、事件以後は委員からさらに強い御意見がありまして、フィードバック機能を強化してほしいということで、そのようなことに努めるようにしていますほかに、この番組審議会をサポートしております事務局にテレビ朝日の考査部がともに協力できるような形で審査部という形に改めましてサポートを強めているというふうに伺っております。
  60. 片山甚市

    片山甚市君 せっかく御努力をしていただいているようでありますから、実が上がるようにやってもらいたい。実績が上がらなければ有名無実、紙にかいた絵のようなものでありますから、私たちが望むところでありません。放送関係の方々は知的にも高い人たちだし、世の中のことについてはおわかりのはずですが、こんな事態が起こるということは怠慢というよりも傲慢な態度があったんじゃないかというように考えますから、謙虚にお仕事をしてもらいたい。非常に大きな影響力が日本列島に広がってあるんですから、そういうことを重ねて要望します。  そこで、郵政省が検討しているという番組審議会の活性化方策というのはどのようなことであり、どの部分を指すのか説明してください。
  61. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送法は放送事業者に番組編集の自由を保障しております一方、放送番組の自主的なチェック機関として放送番組審議会の設置を義務づけているものでございます。  郵政省としては、このような法制下におきまして、放送番組の適正化を図る上で放送番組審議会の果たすべき役割は極めて大きいものがあると考えておりますが、今回のテレビ朝日事件に関し、放送番組審議会としての機能が形骸化しているんではないかという指摘が各方面からなされていることも事実でございますので、その開催方法それから議題設定のあり方等番組審議会の活性化の方策について現在検討しているところでございます。
  62. 片山甚市

    片山甚市君 現在の番組審議会は放送局がピックアップする番組についてテレビ放映後に意見を交換するという制度になっておりますが、番組審議会における議論は直接番組制作に反映するというシステムになっていると理解してよろしいか。反映しないことになってますか。
  63. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 放送番組の編集につきまして、ただいま申しましたが、放送法は放送事業者の自律を保障しておりまして、したがって自主的なチェック機関として放送番組審議会の果たすべき役割が極めて大きいものでございますが、今回のテレビ朝日の事件に関連しまして、番組審議会が必ずしも本来の機能を十分発揮していないんではないかというふうに批判が出ております。そこで郵政省は、放送番組の向上につきまして番組審議会が十分にその役割を果たすことができるように、番組審議会に対する案件の付与の仕方といったことも含めまして、その活性化の方策について検討しているところでございます。
  64. 片山甚市

    片山甚市君 私の意見ですが、例えばNHKでは番組審議会のほかに視聴者会議等じかに視聴者から意見を聞く機会が制度的に設けられております。郵政省民放連については、この点について、このようなことを民放連でも努力するように 御指導ができないのかどうか。郵政省民放連とそれぞれ答えてください。
  65. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 郵政省といたしましても、民放各社が視聴者の意見をフィードバックして番組制作に生かすような方法を十分とっていただきたい、こういうふうに指導していきたいと思っております。
  66. 泉長人

    参考人(泉長人君) 視聴者に対する窓口といいますか、そういうものは大体昭和五十二年ごろ東京を初め基幹局がほとんど、名前はそれぞれ違うかもしれませんが、視聴者センターというようなものをつくりまして、それぞれ視聴者からの苦情とか質問その他を受け付けております。  例を申し上げますと、東京では日本テレビが大体七人ぐらいの視聴者サービスセンターというようなこと、TBSが十二名の視聴者センターを持っております。大体そのような大同小異の形でございますが、ただ視聴者センターで受け付けます視聴者の意見というのはほとんどが質問だとか、それから感想が多くて、苦情というのが大体一〇%以下、大体五%前後が苦情でございまして、必ずしも視聴者全体の意見を代表しているとも思えません。しかし、視聴者に対する受け付けの窓口としてはそれなりの役割を果たしているわけでございます。やはりNHK民放連でやっております番組向上委員会などが地方で視聴者の懇談会などを開いて行いました議事録その他がまた非常に参考になっております。そういうものもそうでございますが、ただいまの視聴者センターでまとめました視聴者からの意見は大概全役員とか番組担当責任者などに配りまして、それぞれ対応しているようでございます。
  67. 片山甚市

    片山甚市君 大臣にお伺いしますが、さきの放送局一斉再免許に際して、テレビ朝日のみでなく、全民放局社長、放送番組審議会委員長等に対し放送番組の充実向上を求める要望を行っておりますが、同趣旨の要望はことし二月にも行っており、年に二度も民放番組に口を挟むということは異例なことだと思います。大臣は放送番組の適正化についてどのような御見解が、先ほどから局長が言っていますが、大臣としての御所見を述べてください。
  68. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今お話しのように、ことしの二月にも国会での御議論がございまして、青少年に対するテレビの影響というようなものも含めまして、放送番組の適正化ということで民放の各社に対しまして注意を喚起したわけでございますが、今回のテレビ朝日の事案は、そうしたことにもかかわりませず、重大な社会問題ということにもなりました経緯もありまして、放送局の一斉再免許という機会をとらえまして、さらに全社に対して、番組適正化及び番組審議会が十分機能するように、そういった意味におきましての要望をいたした次第でございます。
  69. 片山甚市

    片山甚市君 私は、今回のような事件が放送番組に対して不当な介入の口実になることを非常に恐れるものです。やはり、放送の内容については、審議会とかいろんな形で批判があるべきで、公権力が入ることについては反対でありますが、そういう機会をつくることにならないように、一層民放連を含め、NHKも含めて警戒をしてもらいたい。言論の自由をみずから破っていくようなことにならないようにお願いをしたいんです。  しかし、放送事業者は、放送法の精神にのっとり、放送の倫理を確立し、番組の充実、向上に自主的努力を払うとともに——今のように人殺しとか暴力とか姦通とか、そういうことを奨励するがごとき番組を非常に好きでつくっておる。それはなぜかというと、スポンサーにばかり目を向けて、コマーシャル代金を得たいから視聴率の競争に走っておるというのではないだろうか、視聴率の向上のためには手段を選ばないようになっておるんじゃないかと思いますから、視聴率よりも国民の批判について真摯に耳を傾け、それらを番組の質的向上に反映させていくことが大切だと思います。今民放連も努力をしておられるようでありますが、肯定的というよりも、むしろ人から言われなくてもみずからこれは姿勢を正していくもので、言われたことを素直に聞いてやってもらいたい。  そこで、郵政大臣と民放連について私はそう思うんですが、そのようなことで、これから番組の編成について、また放送の倫理について確立されていくのかどうかお伺いしたいと思います。
  70. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 放送が国民の日常生活に深く浸透してその影響が極めて大きいということになってまいっておる今日におきまして、放送行政をお預かりするという立場から、この放送事業の根幹を支えるものは何にも増して放送番組であるということを深く認識しておるところでございます。このために、機会あるごとに放送事業者に対して番組の質的向上について御要望を申し上げているわけでありますが、放送事業者は、放送法に規定された番組編集の自由と表裏の関係にある社会的責任を十分自覚して放送番組の質的向上に不断の努力を傾けてもらいたい、このように考えております。具体的には、放送事業者がみずから定められた放送番組基準を誠実に遵守するとともに、この番組審議会の機能が十分活用されるように、そうしたことによって国民の期待にこたえていただきたい、このように念願をしておるところでございます。
  71. 泉長人

    参考人(泉長人君) 民間放送連盟というところは、番組につきましては、いい番組をつくる、またその倫理を守らせる、そういういい環境をつくるというのが私どもの仕事だと思っております。したがって、この精神活動の所産であります番組というものは上からの命令とか、そういうものでは必ずしもよくならない。やはり一番必要なのは、直接第一線に立っている、番組をつくっている人間の教育と自己研さんにあると思います。そういうものにつきまして民放連ではいろいろなやり方というものを考えているわけでございますが、新聞などでは、新聞記者の書いてきた記事を編集長がチェックする機能がありますが、生の放送では、現場の第一線に立っている人間がその社の代表でございます。したがって、その一番端末にいる現場の人間の倫理観、それから番組に対する思想、そういうものが一番大切なわけでございます。今後は、単に上からの守れ守れということだけじゃなくて、本人が直接そういうことを守ろうとする努力と教育、自己研さんに方法は何かないかと。ただ、例を申し上げますと、ことし十一月の十三、十四日と世界テレビ映像祭というのをやりまして、世界各国で映像で賞をとった番組を、その番組をつくったプロデューサーと同時に日本に招きまして、日本のプロデューサーとの交流をいたしました。日本よりも恵まれない技術的ないし金銭的な制作環境にある外国の人たちがどんなすばらしい番組をつくっているか、そういうプロデューサーと日本のプロデューサーが話し合うことによって大きな刺激を受け、自己研さんにもなると思います。そういうようないろいろな具体的な場を積み重ねながら、やはりこれは教育ということでございますと息長くやらなければならない問題でございますので、先生のおっしゃったように、いろいろな規制だとか、上からの押しつけではなかなか番組をよくするということは難しいわけでございますので、両面作戦でいきたいと思っております。
  72. 片山甚市

    片山甚市君 コマーシャル主義に陥ることなく、文化の高い香りのする放送番組をつくってほしいというのが当委員の願いです。いろいろ説明をしていただいても、今はんらんしておる暴力肯定的セックス中心主義、金のためならどんなことをしてもいいようなこと、そんな番組が道徳を腐敗させておるというように——民間放送関係のテレビを見て、心温まるようなものがたくさんできるようにお願いをしたい。私は、NHKだけはいいというんじゃなくて、あれだけたくさん放送しておるんですから、民間放送がもっと文化の香り高いものをつくってもらいたいということを言って、この質問を終わります。  ありがとうございました。  次に、一括法案についてお伺いします。  一括法案の中に電波法第三十七条電波法第七 十三条がかかわっておりますので、まず最初に、いわゆる規制緩和一括法案とは何かといえば、逓信委員会でやるべき法案を、どこかでちょこちょこと人を集めて、審議もされないで、郵政大臣の権限じゃないぞ、全部集まれということになって、八省の関係法案を一緒くたに内閣委員会でやるということについては納得できないんでありますが、郵政大臣はどうお考えですか。
  73. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 電波法第三十七条は、警急自動受信機等六つの機種につきまして、原則として郵政大臣の行う型式検定に合格したものの設置を義務づけておるわけでありますが、郵政大臣の行います検定に相当する型式検定に合格したレーダー及び航空機に施設する無線設備につきましては義務づけを適用から除外しておるわけであります。今回の改正は、六つの機種すべてについて、このような場合には郵政大臣の行う型式検定を受けなくてもよいということにいたしましたが、これは二重の検定を避けたというものでありまして、規制の緩和を図ろうとするものでございます。こうした改正の内容でありまして、臨時行政改革推進審議会の答申、それから、去る九月二十四日閣議決定いたしました行革大綱、これに基づきまして各分野の規制緩和事項を取りまとめて所要の措置をする、こういう今回の法律案でございますので、そうした中へ入れて趣旨を同じくする他の規制緩和の改正と一括して統一的に国会の御審議をお願いしよう、こういうふうなことで規制一括法案という形でお願いした次第でございます。
  74. 片山甚市

    片山甚市君 八省にまたがり、関連法案二十六法案、関連事項四十二事項がありますが、これを、大臣がおっしゃるように行革の立場から一括法案にするのはやむを得ないということでありますが、私は、法改正の分は郵政省所管すなわち逓信委員会で専門的な立場から慎重に審議されるべきだと思っています。総理がどこかで口約束したことを、複数の省が所管する法律に抵触するたびに何でもかんでも一括法案処理ということに。なっておることについては、各委員会での審議、常任委員会制度が軽視されるということになり、甚だ納得できません。この際、関係委員会にそれぞれ関連法案を付託し審議をすべきだと求めたいのですが、もう既に衆議院からこちらの方へやってきて今始まっておるところでありますから繰り返しません。そこでやむを得ず逓信委員会で郵政大臣にじきじきお伺いしたい。そうでなければ連合審査でもやって大臣に出てもらわなきゃならなくなる。  私は、具体的内容はすべて省令にまとめられておるということについて、その省令に求められている問題について触れてお聞きしたいんです。省令になるであろう部分を含めて質問をしたいと思いますから、お答えを願いたいと思います。  私は、貿易摩擦を口実にした、アメリカの対日圧力に屈した基準・認証制度の緩和策だと思っています。  そこで、義務型式検定に関する電波法三十七条改正の意図は何であり、特に背景を含めて説明してもらいたい。今、法案の取り扱いについては大臣が二重検定をやめたんだと言われたけれども、聞き方によれば、今までの型式検定なんというのはやらなくてもいいんだけれどもやっておったというふうに聞こえるから、そうじゃなくて、すぱっと答えてください。
  75. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 今回の電波法三十七条の改正につきましては、ただいま郵政大臣の方から御答弁申し上げたところでございまして、今まで二機種については郵政大臣の義務型検定を受けなくても外国で同等以上のものを受けておればいいですよということにしておりましたのを、今回は残り四機種につきましてもそういうふうな取り扱いをしようということでございまして、これは二重の検定を避けるという意味と同時に、最近の電気通信技術、電波技術の向上ということによりましてかなり安定したものがあるということでございます。と同時に、その基準自体というものが、外国の条約等に基づいて行われている各主管庁に課せられているものであるということでございまして、郵政大臣が我が国において行うという型式検定以上のものであるならばかなり信頼の置けるものであろうというふうな判断がございました。また一つには、いろいろな機種というものが選定できる、日本の国内においても外国の機種も選定できるというような機会というようなものがふえることによりまして、自由貿易の促進という観点からもそういった措置が望ましいであろうということと、利用者にとりましてもそれだけ選択の余地が広がるわけでございますので、そういった意味でも適切な措置であろうということで今回そういうことに踏み切ったということでございます。
  76. 片山甚市

    片山甚市君 従来型式検定を義務づけてきた根拠は何ですか。
  77. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 今申し上げました警急自動受信機とかあるいは救命艇用の携帯無線電話等の船舶に設置する機器につきましては、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、この附属規則の関係規定で主管庁が型式承認を行うことを定めておりまして、また航空機に施設する無線設備の機器につきましても国際民間航空条約のこの附属規則の関係規定におきまして主管庁の承認する型式のものを設置するということを定めているわけでございまして、これらの機器というのは船舶、航空機の航行の安全を図る上で極めて重要なものでございまして、海上や上空における厳しい環境条件のもとにおいて常に正常に作動するということが必要でございまして、こういった環境条件における性能を検査するということで型式検定というものが行われているということでございます。
  78. 片山甚市

    片山甚市君 諸外国では外国の型式検定を受けているものについてどのようにしているかを調べてみましたら、今おっしゃった国際条約上は、主管庁の権限に属するもので、基本的には当該国以外は国の型式検定を認めることはしていないということでありますが、そのとおりですか。
  79. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 型式検定を我が国で受けているものについて外国で受け入れるというようなものもございますが、全般的に見ましてどこかの国で行われているものについてすべてをその国で認めるというところまではまだ至っておりません。
  80. 片山甚市

    片山甚市君 アメリカは認めておるんですか、航空機と船舶のやつを除いて。
  81. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) アメリカではまだそういう措置はとられておりません。
  82. 片山甚市

    片山甚市君 澤田局長、早口で言ったから聞き損ねたからもう一遍聞きますが、我が国の型式検定がそのまま認められている国はどこですか。
  83. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 我が国などの外国の型式検定の受け入れでございますが、ノルウェー等の一部の国で行われているわけでございます。先ほども申しましたように、すべての国に範囲を広げた事例というものはございません。ただ、韓国、台湾、カナダ、インド、それからリベリア、パナマ、イタリアそれからオーストラリア、ブラジル、こういった各国におきましては、我が国の型式検定合格証の写しあるいは合格したことの証明があれば型式検定の試験を省略をいたしております。
  84. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどお話があったレーダー、航空機の無線機器について型式検定を免除してきておりますが、その対象に限定してきた事情と背景はどういうものですか。
  85. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) レーダーにつきましては、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、これによって主管庁の型式検定を受けたものを船舶に施設しなければならないということでございまして、この条約の発効に備えまして昭和五十四年に電波法三十七条の型式検定の対象と定められたわけでございますが、当時、運輸大臣もレーダーの型式承認を行っていたということ、それから船舶用レーダーは取りかえの機会が多いということ、さらに外国のレーダーが施設されております外国の船舶を購入するものの便 益を図る必要があるということから特例を認めたものでございます。航空機の無線設備の機器につきましては、我が国の航空運送事業者等が使用する航空機というのは外国で製造されるものが多いわけでございまして、外国で製造されました航空機には無線機器も外国のメーカーのものが施設されているという場合が多いわけでございまして、現在使用されております航空機の機器のうちの約九七%は外国製であると、こういうような事情から外国の航空機を購入しようとするものの便益を図るということにしたものでございます。  今回、他の機種につきましても同様の措置をとることにいたしましたのは、先ほども申しましたように、半導体の技術の発達あるいは無線機器の性能が向上し、安定化が図られたというようなこと、それから我が国の経済が国際化して自由貿易というものについてのやはりそういったものを進めていくという必要があろうというような観点から利用者の利便というものを図ると同時に、いろんな我が国における検定事務の簡素合理化というものを図るということでございます。
  86. 片山甚市

    片山甚市君 今回の法改正が電波法第三十七条で定める無線設備の機器について、我が国と同等以上の基準、条件で実施していると認められる外国の型式検定に合格したものは我が国の行う型式検定は要しないということでありますが、国際的には基本的に当該国以外の国の型式検定を認めることはしていないのではないか。必要であれば主務官庁の権限において当事国と相互に協定すれば済むことではないか。どさくさ紛れに今すぐ一律的に不要措置をとることはないと思うんですが、先ほど説明がありましたが、もう一度言ってください。
  87. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 義務型検としての臓器につきましては、条約等によりましてそれぞれの主管庁が型式承認を行うということを定められたそういったものを踏まえた措置でございまして、今回の電波法の改正自体も無限定に型式検定の適用除外措置を定めようということではございませんで、外国の主管庁が行っている検定が郵政大臣の行う型式検定と同等またはそれ以上の基準で行っているとかあるいはそういう条件で行っているというふうに郵政大臣が認めたものにつきまして二重の検定を行わないようにということでございまして、さらに無線局の開設に当たりましては個別の無線局につきまして落成検査というものを行うわけでございますが、十分無線局の性能等については保証ができるというふうに考えているものでございます。
  88. 片山甚市

    片山甚市君 少しわからないけれども、前に進みます。今おっしゃったことわからないけれども、どうも早口におっしゃっただけで、内容的にわかりにくいですが。  定期検査についてですが、私は型式検定制度の重要性を再確認したいのですが、一つは無線局の定期検査の目的達成の意義はどういうことですか。
  89. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 定期検査と言いますのは、無線通信の円滑かつ効率的な利用を確保するために無線設備それから無線従事者等その無線局が電波法令に基づきまして満たしていなければならない条件というものが維持されているかどうかということを定期的に点検しよう、そしてその無線局の適法性というものと、それから電波法の秩序というものを不断に確保しようというものでございます。
  90. 片山甚市

    片山甚市君 法第七十三条二項の「その時期を延期し、又は省略することができる。」とはどういう意味か。延長または省略する判断の基準とはどういうものを持っていますか。
  91. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 無線局を設置しております船舶とか航空機というものが、七十三条第一項によって定められております定期検査、その時期にちょうど外国を航行中であるというようなためにその定期検査というものを受けられないというようなことがございます。そういう場合には時期を延期して検査を行うということでございます。また、その定期検査を行う時期の直近に、その無線局につきましては変更検査というようなものが行われる。定期検査の内容に相当するような変更検査というようなものを既に行っておるというような場合には、電波監理上特段支障がないというふうに判断されるものにつきましては定期検査を省略するということでございます。
  92. 片山甚市

    片山甚市君 それでは定期検査を要しない無線局については何によって監督をされますか。
  93. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 定期検査を要しない無線局は、その無線設備の信頼性が高い、またその運用方法も極めて簡単である、そして他の無線局に妨害、混信というものを与えるおそれがほとんどない、こういう無線局について定期検査の廃止ということを考えているわけでございますが、こういった無線局につきましても監視機能の活用というようなことによりまして、発射される電波の監査あるいは利用状況というようなものを調査いたしまして、また混信状況調査というようなこと等をいたしまして、実態の把握をいたしまして適切に監理を行っていこうということでございますが、なお必要な場合には定期検査ではございませんが、臨時検査というものが実施できるということになっておりますので、そういったものも活用いたしまして対処をしてまいりたいと思っております。
  94. 片山甚市

    片山甚市君 検査はするということですね。  法第七十三条の二の二項にある「指定検査機関指定は、郵政省令で定める区分ごとに」と言ってありますが、その意味と内容について説明してください。
  95. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 指定検査機関指定でございますが、これに当たりましては公益法人であるということ、それから職員、検査用の設備等が定期検査の業務の適正かつ確実な実施に適合したものである、こういった指定基準というものがございます。それに適合しているということを条件に指定をするわけでございますが、定期検査指定機関に行わせる無線局というものにつきましては、国が行おうとする重要な無線局以外のものにつきましてどの程度のものをどういうふうにさせるかというようなことについては、今後私ども検討してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  96. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、指定検査機関の事務所の全国的配置、要員等の規模はどうなっておるか。  その次に、指定検査機関の財政的基盤と運営の安定化はどのような見通しをつけられておりますか。
  97. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 指定機関の責任、責務というようなことにつきましては、先ほども申し上げましたように、電波法巨体でいろいろ規定をされております。郵政大臣といたしましても、その業務の執行等につきまして適切に指導していくことにいたしているわけでございますが、指定機関の規模等につきましては、これは、やはり全国に散らばっております無線局というものが定期検査が受けやすいというようなことも必要でございましょうし、そういったようなことを勘案いたしまして、そういった指定機関に行わせる定期検査というものが有効に効率的に行われるような指定機関というものを私ども指定をしてまいりたいというふうに考えているわけでございますが、指定機関の財政基盤という観点からの御質問でございますが、この指定検査機関に行わせる無線局の検査といいますのは、従来国が実施してきたものの一部をそのまま行わせようというわけでございますので、その手数料というものによって、従来国が検査を実施した場合と同様、原則として実費相当額というものを免許人から徴収する。これをもって一つの支出に対する対応をしようということを私どもは考えているわけでございまして、指定検査機関自体も、民間の創意工夫というようなものも発揮をいたしまして、効率的な検査を行うということになろうと思いますので、指定検査機関に定期検査を行わせたということになりましても、その財政的運用上特別な問題はないのではないかというふうに考えております。
  98. 片山甚市

    片山甚市君 指定検査機関の行う検査の方法はどんなものであるか、検査の判定まで行うのかど うか、不合格や非違事項があった場合の措置はどういうようにされますか。
  99. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 指定検査機関郵政省が行う場合と同様な方法で検査を行いまして合否の判定も行うというものでございまして、指定検査機関の行った検査の結果、必要な書類の不備等のような軽微な非違事項というようなものがございますれば、その点につきましては指定検査機関に必要な措置を行わせるということが適当ではないかと考えておりますが、不合格であるというような重要な非違事項というようなものが発見された場合におきましては、指定検査機関からの報告を受けまして郵政省みずからが免許人に対しまして必要に応じまして、例えば法七十六条第一項の規定に基づく無線局の運用の停止あるいは運用許容時間あるいは周波数もしくは空中線電力の制限とか、あるいは細部の臨時検査を行うというような適切な措置をもって対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  100. 片山甚市

    片山甚市君 時間が来ましたから、あと二問だけして残余の問題は内閣委員会で三十分ほどいただいていますから、そこで引き続き御質問さしていただきたいと思います。  指定検査機関への移行はどのような段取りをとっておられますかが一つ。  二つ目、指定検査機関の検査員の資格要件はどのようなものでありますか。二つ。
  101. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 指定検査機関への検査の移行ということでございますが、私ども今どういうものを具体的に指定検査機関の検査対象にするか、あるいは検査機関における業務方法、取り扱いというふうなことについて目下検討いたしているところでございます。法律の施行を待ちまして指定検査機関に適合するような機関からの申請がございますれば、それを待ちまして指定を行おうということを考えておるわけでございます。  それから、検査員といたしましては、第一級無線技術士、それから第一級無線通信士または第二級無線技術士の資格を有する者で、それぞれ一定の業務経験を有する者、これと同等以上の知識、技能それから経験を有していると郵政大臣が認めた者を選任しようというふうに考えているところでございます。
  102. 片山甚市

    片山甚市君 終わりますが、結局この法律の改正に賛成か反対の前に省令にかかわる問題でありますから、できるだけ改正されるまでの間に省の考え方をただして納得したいと思いますから、そのつもりで後引き続きお願いいたします。  本日の質問はこれで終わります。ありがとうございます。
  103. 大森昭

    委員長大森昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時九分開会
  104. 大森昭

    委員長大森昭君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 竹山裕

    竹山裕君 自由民主党の理事をしております竹山裕であります。私は、通信政策並びに郵便貯金簡易保険関係について若干の質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。  左藤大臣は先般、大変私どもに勉強の資料をお与えいただきまして、私も早速一読をさせていただきました。「距離と時間を超えて 通信は時代を割る」という、まさにこの手の本は、とかく私ども素人には専門語が多うございましてわかりにくいんですが、大臣の御本は大変わかりやすく、かつ内容豊富ということで中曽根総理も御推薦の辞がございますが、特に五章で私感動いたしました。「世界の電気通信政策はおおむね、「基本サービス充足指向型」と「高度情報社会構築指向型」の二類型に大別され、」、我が国はもちろん後者であるわけでありますが、「特に後者においては、事業者間の競争により電気通信の発展を目ざす国々と政府等による事業独占の中で電気通信の現展を目ざす国々とがある。今日ではまだ電気通信事業の分野に競争原理を導入している国は少ないが、全体の流れとしては、機器等の分野を含め、規制緩和・自由化の方向へと進みつつあるといえよう。」、まさにこのとおりだと私も思うわけであります。  そこで、こうした情報通信をめぐる国際競争の一段と激化する中で、中曽根総理がむべなるかなおっしゃっております電気通信制度の生みの親でいらっしゃいます左藤郵政大臣、じかに大臣のお口から、こうした情勢下の中にあっての基礎的先端的な技術の研究開発を我が国としてどういう対応を持って進められていくか、この辺についての御見解をお聞かせいただきたい。
  106. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 御承知のとおり、情報通信分野の研究開発は来るべき高度情報社会を実現する上でどうしても大切な必要不可欠なものである、このように考えております。とりわけ我が国におきましては、従来からその立ちおくれが指摘されております基礎的な分野の研究推進なくしては将来の我が国が技術立国ということで電気通信事業産業を維持、発展させていく、また経済的な繁栄を実現するためにどうしてもそういうことなくしては不可能である、また基礎的な分野の研究の欧米依存体質をここで改めて、国際社会に応分の貢献をしていく上でも重要である、このように考えております。  基礎的先端的技術の研究開発は、産学官が密接な連携を保ちながら研究活動の活発化を推進していくことによりまして国全体としての研究開発能力の強化を図っていくことが重要である、このように考えております。  こうした観点から、本年十月に設立されました基盤技術研究促進センター、これの民間におきます研究開発に対する出融資事業、共同研究事業等そういったものを十分活用いたしまして研究開発を推進していくことにいたしたい、このように考えておるところでございます。
  107. 竹山裕

    竹山裕君 民活のお話も出ました。活力ある社会の建設を進めていくためにも、より効率的な高度情報社会をつくっていかなければならないというお話でございます。このための情報通信産業育成振興という面についての非常な課題が多うございます。その点で郵政省としての施策をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 二十一世紀に向けまして到来が予測されておりますいわゆる高度情報社会の中心的な担い手が情報通信産業であり、またその中でもその中心的役割を果たすのが電気通信事業であると言われております。そうした見地から展望いたしました場合に、二十一世紀の段階における情報通信産業のGNPに占める比率は約二割にも達すると言われておるわけでございますが、こうした高度情報社会における電気通信事業育成振興を図るためには、行政としてもその運営のよろしきを得なければならないというふうに考えております。  そこで、御指摘のいかなる施策郵政省として今後講じていくべきかということでございますが、先般の国会でお認めいただきました電気通信事業法の成立によりまして本年の四月一日からいわゆる電気通信事業のあらゆる分野に競争原理が導入されておりますので、まず何をおいてもそうした公正かつ適正な競争原理の発揮ということが大前提だろうと思います。したがいまして、郵政省といたしましては、税制、財政あるいは予算といったようなあらゆる行政上の諸措置をこうした有効かつ適切な競争原理の発揮のために投入してまいりたいと思っております。あわせて、今後のネットワーク社会を展望いたした場合に不可欠になってまいります通信方式の標準化の問題、あるいは安全性・信頼性対策の問題、あるいは技術開発推進体制の確立、さらには地方の情報格差の是正といったようなことを含めまして、郵政省といたしましては、今後情報通信産業育成振興 に最大の意を用いてまいりたいと考える次第でございます。
  109. 竹山裕

    竹山裕君 私は静岡から出ております。私の、首都圏静岡市もテレトピアの第一次のモデル地域指定を受けております。地元といたしましては大変願望がかなって意欲に満ちての取り組みをしておるわけでありますが、どうかこの辺を郵政省当局としてのリードのよろしきを得たい。なかなか現場ではああでもないこうでもないと船が山に登らなきゃいいなと思うぐらいに意欲はあるんでございますが、リードの点に誤りのないようなことを特にお願いしておきたいと思うわけでございます。  今、安全性、信頼性のお話にも触れられたわけでございますが、特に昨年の世田谷のケーブル火災、また今回の中核派の暴挙による鉄道の通信ケーブル、信号ケーブル、本当に私どもの日常生活の中でいかに安全性、信頼性をこいねがっているかという点に対しての対応についていろいろな方策があるやに伺っております。この辺についての策、対応をお聞かせいただきたいと思います。
  110. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 先生、今お話ございましたように、電気通信のネットワーク化というものが進み、高度情報社会というものを迎えまして、電気通信の果たす役割というのが大きくなればなるほど電気通信システムの機能が停止した場合、これに損傷を与えられた場合、国民生活に及ぼす影響というものは大変大きいものがございまして、電気通信ネットワークの安全・信頼性確保ということが非常に重要な課題であるというふうに考えております。  私ども現在とってまいったもの、それからこれから対応を考えておりますものにつきまして若干申し上げてみますと、有線電気通信法それから電気通信事業法、こういった法律に基づきます安全・信頼性に関する諸規定、諸規則、こういったもの、あるいは技術基準、こういったものを整備いたしております。それから、昨年の洞道火災というようなことを踏まえまして不燃化ケーブルの開発、こういった安全・信頼性向上のための技術開発、それからコンピューターを結ぶ通信回線の二ルート化、こういうものの推進のための制度的対応というようなことにも政策面で踏まえまして対応を考えていこうということでございます。それから、電気通信システムの設計、運用、保守、こういったことにつきまして、データの取り扱い基準、人的側面も含めました安全・信頼性対策、こういった総合的なガイドラインの検討というようなことも実施をいたしているところでございます。  以上、総合的に施策を講じてまいりますとともに、常に安全・信頼性に対する注意喚起というものをいたしまして、来るべき高度情報社会において国民生活に支障が生じないよう一層の努力を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
  111. 竹山裕

    竹山裕君 先ほど大臣の御答弁の中でありました基盤技術研究促進センターは十月の発足で、郵政省、通産省の共管ということで発足をされたわけでありますが、六十一年度における電気通信分野での計画にはどんなものがあるか、要求についてお伺いしたいと思います。
  112. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 基盤技術研究促進センターにつきましては、前国会でお認めいただきました基盤技術研究円滑化法に基づきまして、おかげさまで無事十月一日通産、郵政両省の共管で発足させていただきましたことを厚く御礼申し上げたいと存じます。  その際、法案成立の過程で当委員会におかれましては連合審査等も行っていただきまして、さまざまの御議論をいただいたところでございます。したがいまして、十月一日以降このセンターが発足いたしました暁におきまして、私どもといたしましても当委員会における御審議の過程を十分踏まえまして、その御意向を体して六十一年度の諸要求を行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず出資関係につきましては、基礎または応用段階における試験研究に対するリスクマネーの供給ということでございますので、具体的なプロジェクトといたしまして、国際電気通信基礎技術研究所を設けて産学官一体となって基礎的な電気通信の試験研究を行いたいというような構想、あるいはまたテレトピア関係事業推進に充てるための出資の要求、さらにはビル内のいわゆるLANと称するようなものの応用研究といったようなものに対するベンチャービジネスへの出資といったようなさまざまなプロジェクトを現在要求中でございます。  また融資のプロジェクトといたしましては、応用段階からの研究に対するマネーの供給になりますので、どちらかといいますと出資よりは多少リターンの期待できるようなもののプロジェクトに私ども対象を考えております。例えて申し上げますと、次世代のテレビ電話あるいはテレビ会議等に対する帯域の圧縮技術、それをさらにもっと進めて、より高度の、より伝送速度の速いようなテレビ会議等ができるようなシステム等に対しまして所要の予算要求、財投の要求を行っているところでございます。
  113. 竹山裕

    竹山裕君 促進センターの目玉とも言える国際電気通信基礎技術研究所の設置でございますが、この研究所の設置の意義、必要性についてお伺いをしておきたいと思います。
  114. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 来るべき高度情報化社会におきまして、電気通信技術が先導的役割を果たすということは冒頭にも申し上げたとおりでございますが、こうした電気通信技術の発達なくしては今後の国民生活の向上あるいは社会経済の発展ということも見込めないことは当然でございますし、各有識者の一致して指摘するところでございます。  また他方、国土が非常に狭隘で資源の乏しい我が国におきましては、いわゆる技術立国ということがこれからの生きる道であるということもひとしく言われているところでございますので、これからの社会を先導する電気通信技術の中でも、先ほど大臣が申し上げましたとおり、これからの国際化社会の中で日本として果たすべき役割、つまり基礎技術研究を国際的な視野の中で行うべきであるという観点から、国際電気通信基礎技術研究所というものの設置が急務であると私どもも考えております。幸い民間におかれましてそのような意義につきましてつとにお目覚めになりまして、現在経団連、関経連が中心になりましてこの設置準備が進められておりますので、郵政省といたしましてはその意義を高く評価いたしまして極力これを支援することにいたしたいと思っております。  なお、このような基礎的研究につきましては、単にその果実が日本国内に均てんするだけではなくて、広く世界に及ぼすべきであるという見地から外国との共同研究、あるいはさらには外国の方々をお招きしての人材交流の場といったようなものも含めてこれからの国際化に対応していきたいというふうに念願している次第でございます。
  115. 竹山裕

    竹山裕君 この基礎技術研究所の資金規模、それから基盤技術研究促進センターと民間との出資比率、その他地域的な手配等についてはもう既に御計画が進んでいると思いますが、その辺についてもお聞かせいただきたいと思います。
  116. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 国際電気通信基礎技術研究所の最初の芽生えは、関西経済連合会の中に設けられました電気通信基礎技術研究所設立準備会における検討でございました。関西の財界あるいは学者の方々を中心電気通信の基礎技術に関しての研究所の設置構想が早々と構想されたわけでございます。  具体的には、同準備研究会におかれまして本年八月計画をおまとめになりました。その中では昭和六十年以降七十五年までの間に総資本規模九百五十億円という構想でございまして、基盤技術研究促進センターからその七割相当額の六百六十五億円を出資し、また民間側から三割に当たる二百八十五億円を出資する予定になっております。  このような関経連における構想をベースにいたしまして、私どもは現在六十一年度の財政投融資の要求として現在鋭意関係方面と折衝中でござい ます。結果的に本年末の予算の編成段階でこの計画が具体的に実現することを私どもとしても念願し、また努力をしてまいるつもりでございます。  なお、この場所でございますけれども、関西の京阪奈丘陵にございます学術文化研究都市がその予定地として候補に上っているところでございます。  いずれにいたしましても、基盤技術研究促進センターからの出資は民間における活力を支援するのが目的でございますので、現在経団連、関経連が中心になって進めておられます構想が固まりまして、国の予算が決定した段階で本格的な設置に向かって努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
  117. 竹山裕

    竹山裕君 そうしますと、具体的な設立時期、年度的な計画もお固まりでしょうが、その辺についてもお聞かせいただければと思います。
  118. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 最終的には本年末の予算の決定を見ないと確たることは申し上げられませんけれども、一応予見をいたしまして、現在経団連稲山会長が会長となられまして、国際電気通信基礎技術研究所の設立準備会が既に相当突っ込んだ設立計画あるいは建設計画を検討していらっしゃるところでございます。  その計画によりますと、設立時期につきましては国の予算が固まるのを待って、来年の一月ごろには現在民間で準備会として進めております事務を研究所の設立発起人会に引き継ぐことを予定しておられるようでございまして、さらに今年度末、つまり六十一年三月末までには会社設立にこぎつけたいという構想だと伺っております。その建設計画の細部につきましてはこれからの詰めになるわけでございますが、会社の設立とあわせまして六十一年三月には研究所の設立も行って、当面四十人程度の暫定的な研究員でまず発足させまして、建設計画が軌道に乗って本格的に研究が始まるのは六十三年度ころであろうというふうに予測をされているところでございます。
  119. 竹山裕

    竹山裕君 よろしく綿密の計画の上に進めていっていただきたいと思います。  テーマを変えますが、貿易摩擦解消と堅調な経済運営を図っていくための民間活力の活用における内需拡大策が当面の最大の課題となっているわけでありますが、民間活力活性化の策としての電気通信分野においてもそれが大いに期待されるところであります。  そこで特に税制面、財政投融資面においての郵政省として施策についてお考えをお聞かせいただきたい。
  120. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 第一種電気通信事業及び第二種電気通信事業はもちろんでございますが、電気通信機器市場に対する今後の民間の活力というものは日本の内需振興に大きく寄与するものであろうというふうに予測しております。そうした見地から、六十一年度の税制改正要望あるいは財政投融資の要望につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように内需振興を最大の喫緊の課題ととらえまして、幅広い要求を行っております。  まず、投資減税的な効果を期待できるものといたしまして、新規参入に対する減税措置、あるいは今後インフラストラクチャーとして大きな投資が見込まれる双方向CATVに対する税制上の優遇措置、あるいは端末機器を初めとした電気通信機器市場の活性化のための物品税の措置等を大きな柱として要求しております。また、地方における情報通信機能の強化あるいは情報発信機能の強化、ないしは中央との情報格差の是正といったようなことから、テレトピアにおけるさまざまな税制上の優遇措置等も織り込んでいくつもりにしております。  さらにまた、端末機器市場の活性化という見地からは、昨年に引き続きまして機器の耐用年数の短縮あるいは圧縮といったようなものを中心に据えまして、現在鋭意、税務当局と折衝を行っているところでございます。  また、財政投融資につきましては、何と申しましても、これからのニューメディア社会を前提といたしまして社会基盤としての電気通信事業の基礎的な分野への国の資金の供給という見地から、一種事業、二種事業あるいはテレトピア等を含めまして、あるいは衛星通信等も含めまして社会基盤の充実という見地から八百億円程度の財投要求を行っております。  そのほか、先ほど来お話が出ております電気通信基礎技術研究所に対する産業投資特別会計からの融資の所要の要求を行っているところでございます。
  121. 竹山裕

    竹山裕君 政府は現在、民活特別法案を検討しているわけでありますが、電気通信分野においても民間活力策を具体化するための立法措置が必要だと考えておりますが、郵政省としてのお考えをお聞かせいただきたい。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  122. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先生御指摘のとおり、今後の民間活力を電気通信分野において最高度に発揮していただくためには、どうしても税制上の措置等を行うために法律関連事項が出てまいります。郵政省では現在民活関連の法案といたしまして、民間の活力による電気通信の基盤整備に関する臨時措置法といったような、仮称でございますけれども、現在法案を内部で検討中でございます。中身といたしましては、地域間の情報格差の是正あるいはこれからの高度情報社会を構築する上において必要となる設備を推進する事業といったようなものに対しまして郵政大臣が認定を行って、その認定された事業に対しまして税制上の優遇措置等を行っていきたいという枠組みでございます。  それで、これらの事業はその必要性は各方面から指摘されながらも、初期投資が非常に膨大であるということ、あるいは実際に結果が出てくるまでの間の懐妊期間が非常に長いということ、あるいはリスクが大きいというようなことから、なかなか民間の投資がインセンチブとしてあらわれてまいりませんので、そのような障害を法律をつくることによって除去してまいりたいというふうに考えております。なお、政府部内で十分調整いたしまして、当委員会においても御審議を賜りたいと思いますので、その節はよろしくお願い申し上げたいと思います。
  123. 竹山裕

    竹山裕君 次に、郵便貯金関係についてお伺いをいたします。  非課税貯蓄制度は貯蓄増進という意図のもとに一昔前と申しますか、以前に創設されたわけでありますが、既に非常に高い貯蓄率を日本は誇っているわけでございます。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 その使命が終わったというような考え方も一方にはありますが、郵政省としてのお考えをお聞かせいただぎたい。
  124. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 今さら申し上げるまでもないことでございますけれども、何と申しましても貯蓄は経済発展の基礎でありまして、今後安定した経済成長を続けていく上で不可欠のものではないかと考える次第でございます。  我が国では欧米諸国に例を見ない早さで人口の高齢化が進んでおりまして、今年度の経済白書におきましても人口の高齢化に伴って貯蓄率が低下していくということが指摘されているわけでございます。今後、豊かな長寿社会を建設していくためには、自助努力を促進する貯蓄奨励を遂行いたしまして高い貯蓄率を維持していくことが重要ではないかと考えるわけでございます。  また、我が国の社会資本の整備でございますが、欧米諸国に比べておくれておりまして、住宅あるいは道路など生活環境整備を図らなければならないと考える次第でございます。  さらにはニューメディア等の新しい産業育成も急務になっている現状でありまして、これらの投資の源泉となる貯蓄の重要性はむしろますます増大しているんではないかと思います。  さらに今後、我が国におきましては、今申し上げましたように、高い貯蓄率を維持する一方、社会資本の整備でありますとか、住宅投資の促進等、投資を拡大することによりまして貯蓄と投資のバランスを図って、国内はもとよりのこと、世界経済の安定的成長に寄与していくことが重要であろうと思います。  このため、ちょっと私ども付言させていただきますけれども、貯蓄奨励の重要な柱というべき非課税貯蓄は今後ますますその重要性が増してくるものでありまして、郵政省といたしましてはシルバープラン貯金の創設や預入限度額の引き上げなど、非課税貯蓄制度の拡充こそ必要であろうと考えておる次第でございます。
  125. 竹山裕

    竹山裕君 最近の動きを見ておりますと民間の金融機関、特に地銀協の動きですが、一律分離課税について前向きな話し合いをしているというような報道もありますし、全銀協は若干慎重のようといいますか、反対というんでしょうか、若干のずれはあるようでございますが、こうしたことが事実だといたしますと、制度堅持の環境は大変厳しい状態になっていると思うんでございますが、この辺について郵政省のお考えをお聞かせいただきたい。
  126. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先生今御指摘の民間金融機関幹部の意見につきましては、つまびらかに承知はしておりませんけれども、引用されました低率分離課税それから一律分離課税、これらは長年にわたって国民に定着してきておりました非課税貯蓄制度を廃止するものであるということでは同じでございまして、金融機関みずからが非課税貯蓄制度廃止やむなしという意見を述べるのは利用者国民の立場を考慮していないのではないか、いかがなものかと思うわけでございます。  また、伺うところ、限度額管理が煩わしいので、低率分離課税より二〇%の一律分離課税の方がよいという、こういった論理も見受けられるのでありますけれども、これなどは余りにも金融機関内部の事情のみに偏った考えでありまして、国民の資産形成のために貯蓄を奨励する立場にある貯蓄機関として、この種の問題は慎重に検討しなければならない問題と考えるわけでございます。御指摘のように、非課税貯蓄制度をめぐる環境は大変厳しくなってきておりますけれども、我が国経済、国民生活に果たす貯蓄の役割は大変重要でございますので、非課税貯蓄制度はやはり堅持すべきでありまして、全力を挙げて取り組む所存でありますので、御理解を賜りたいと思います。
  127. 竹山裕

    竹山裕君 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、この非課税貯蓄制度は国民大衆にとって非常に重要な問題でありますし、来年一月からは限度管理強化ということの施策実施する方針であり、そうした中で大臣談話として十月二十九日の談話を拝見しているわけで、重ねての大臣からの直接のお話を伺いたいと思ってあえて申し上げるわけで、一律分離課税の問題については国民は大変大きな不安ど混乱を抱いているというのが現状だと思います。そういう意味では、制度の堅持のために私どもは断固とした考えを持っていなきゃいけない。そこで、改めてまたいま一度大臣の所信をお伺いしたい。
  128. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 郵政省といたしまして、国民各階各層にわたる広範な御論議を得て、昨年その存続を決定していただいたわけであります。その非課税貯蓄制度は今後とも正しく利用していただけるように利用者国民への周知徹底をいたしまして、その諸準備を現在進めておるところでございますが、その非課税貯蓄制度の存続を前提に新しい本人確認手続というものを行って、これを進めていこう、そういうことで定めた所得税法の施行を目前にいたしまして、来年一月から実施するわけであります。その非課税貯蓄制度を廃止して課税を導入しようという論議が出ること自体、私はこの法の安定性を阻害するものでありまして、いたずらに国民を惑わせ、またひいては国民の皆さんの国に対する信頼を裏切ると、こういう結果になるわけでありまして、まことに遺憾なことだと思います。そういうことで、私といたしまして郵便貯金の非課税制度は、これを断固堅持していかなければならないと、このように決意をしておるところでございます。
  129. 竹山裕

    竹山裕君 よろしくお願いいたします。  先ほどの施策の中でシルバープラン貯金の創設のお話が出ておりまして、豊かな長寿社会を建設する意味では大変いい案だと思います。この辺についての概要をお聞かせいただきたい。
  130. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先ほど申し上げましたように、我が国は他の国に類を見ない速さで人口の高齢化が進んでおりまして、二十一世紀の初頭には高齢人口の割合が世界一になると言われているわけでございます。こうした本格的な高齢化社会の到来を控えまして、老後の経済生活の安定と充実が重要な国民的課題となっているわけでございます。現下の財政上、国の福祉政策にはおのずから限界がありまして、国民一人一人が豊かで充実した生活を送る長寿社会の安定を実現するためには、みずからの貯蓄によって老後生活の安定と向上を図る必要性が高まってきていると申せると思います。郵政省といたしましては、この豊かな長寿社会の建設のため、国民の健全な資産形成に貢献することを通じて積極的に対応していこうと考えまして、老後の生活資金を蓄えるための専用貯金としてシルバー貯金を創設することとしているものであります。  内容を具体的に申し上げますと、対象者を三十歳以上の個人としていること。それから、百万円の年間預入制限額を設けたこと。それから、五十五歳以上の方はこの年間預入の制限額がない、一遍にどんとお積みになっても結構だということでございます。それから、五十五歳以上になって払い戻しされるときは、これは利子非課税とすることでございます。それから、全体としての預入の総額制限額は一千万、一千万円の総額制限額を設けている。  以上でございます。
  131. 竹山裕

    竹山裕君 郵政省が来年度の重要施策として考えておられる国債の販売という点がありますが、この国債の販売について、「再開」という表現を使っておりますが、この意味と、それから郵政省が国債を販売するメリットについてもあわせてお伺いいたしたい。
  132. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 再開という言葉の意味でございますが、これは実は歴史がございまして、郵便局における国債の販売は、明治三十七年から、対象とする国債が発行されなくなったために昭和二十六年に取り扱いを廃止したわけですが、昭和二十六年に廃止するまで約半世紀にわたって実施してきたものであります。そういった歴史、経験もありまして、これを今回、時代にマッチした新たな内容で再現しようとするものであります。  お尋ねのこの施策の内容といいますか、考え方でございますけれども、毎度申し上げますように、公的年金制度あるいは医療保険制度の見直しが行われまして、社会保障制度がいわば先細りする状況の中にあるわけでございまして、こういう状況の中では、自助努力といいますか、みずからの努力で国民一人一人が生活設計をしていく必要があるわけでございます。  それと、最近よく言われることでありますけれども、資産選択の多様化、貯金だけではなくて、いろいろな資産を選ぶということ、それから金利選好の高まり、金利のいい商品を買うという現象がございまして、国民の国債保有意向も年々上昇してきているわけでございます。最近の調査、これはこの十月に共同通信社が実施した国債意識調査によりますと、こういうデータがございます。個人の国債購入意向は三二・五%であると、それから国民の六〇・五%、約六割が、身近にあって気軽に利用できる郵便局などで国債を買えるようにしてほしいという要望の数字が挙がっております。こういうわけで私ども、自助努力を支援するとか、あるいは資産選択の機会を提供するということで、身近で親しまれている郵便局の窓口で国債販売を行いたいということでございます。  それから、いろいろその効能を申し上げて失礼でございますが、現在国債は残高百二十兆円を超す額に上がっておりまして、今後借換債も含めますと毎年二十兆円を超す国債の発行が予測されるわけでございまして、こうした大量発行のもとでは、その安定的消化のために個人消化の一層の促進が必要になってくるんではないかと思うわけでございます。個人消化の促進ということになりま すと、個人が窓口を利用する機会の圧倒的に多い郵便局がまさに適しているんではないかということでございます。  以上でございます。
  133. 竹山裕

    竹山裕君 郵便局での国債販売再開というのは、なるほど国民の六〇・五%が待望している。まさに私ごとで恐縮ですが、私の家内なども、それは便利になるわねというようなことを言っておりましたので、ぜひ実現に向けてお図りいただきたいと思いますが、この点について大臣の所信をお伺いいたしたい。
  134. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 国債販売の再開につきましては、国民の資産選択多様化のニーズにこたえるということもできるわけでありまずし、借換債を含めまして、今お話がありましたように、毎年二十兆円を超える大量の国債を円滑かつ安定的に消化していかなきゃならないと、それに対しても寄与するという意味もございます。一つの時代に要請されている施策だと、このように考えますが、郵政省といたしまして、六十一年度予算の重要施策としてこの問題を何とか実現したいということで取り組んでおります。その実現に向けて最大限の努力をしていく決意でおることを申し上げます。
  135. 竹山裕

    竹山裕君 いよいよ小口の預金金利の自由化が具体的な日程に上ってきているわけでありますが、この辺についての郵政省の対応、小口預金者に対しても公平に金融自由化のメリットが還元できるような点を考慮しての対応をお考えいただいていると思いますが、お聞かせいただきたいと思います。
  136. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先生おっしゃるとおりに、今この金融の自由化、なかんずく預貯金金利の自由化というのが大変進んできておりまして、これはやはり金融の国際化、インターナショナライズ、それから国債が大量発行されている、規制金利でない商品が大量に出回っている、こういうふうな状況でございまして、小口預貯金金利の自由化ももう避けられない課題であるということでございます。  私ども金利自由化に積極的かつ的確に対応していこうということでございますが、やはり金利自由化は、今までの規制金利に慣らされた金融環境からしますと、いろいろな影響が考慮されるわけでございますので、そういった影響を着実に見きわめて現実的な対応をしていく必要があるだろうということになろうかと思います。円滑に進むよう実施スケジュールを決めまして、具体的諸問題について大蔵省とも十分意見交換を行いながら対応していくこととしております。  それから、小口預貯金金利の自由化を、今申し上げましたように円滑に実施していくためには、金利自由化への過渡的の措置といたしまして、小口の市場金利連動型貯金の創設が必要と考えておりまして、こういったものの具体的な商品内容について鋭意検討しているところでございます。  それから、郵便貯金が小口預貯金金利の自由化に今後十分に対応していくためには、市場の実勢とはかけ離れた規制金利でない、実勢を反映した金利を提供できる、そういう商品を提供することが必要であろうと思います。そのためには、やはりその金利提供のもとになる資金を融資の面で稼がなければいかぬわけでございますので、市場金利による資金運用制度の創設ということが必要不可欠だろうということで、その実現に向けて努力してまいりと考えております。
  137. 竹山裕

    竹山裕君 簡易保険関係についてお伺いいたしますが、加入限度額の引き上げ要求ということで、現在の平均加入金額等で十分であるという意見も一方ではあるわけでございますが、九年据え置かれてきた限度額について、現在の我々の生活水準その他もろもろのことを考えて、ぜひこの際、限度額引き上げについての必要があるのではないかと考えておりますので、この点について、特に大臣の御決意を伺わせていただきたい。
  138. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 簡易保険加入限度額は、御指摘のように昭和五十二年度以降据え置かれているわけでありまして、現行の一千万円では万一の場合の生活保障としては私は全く不十分だと、このように考えております。国民の経済生活の安定を図ることを目的とする簡易保険の使命を果たすことが、これでは十分できない、このように考えておりますので、加入限度の引き上げにつきましては、当委員会でも附帯決議をちょうだいいたしております。さらに加入者の方々からも強い要望が寄せられておるわけでありますので、早期に実現しなければならない、このように考えております。  この問題について全力を傾倒してまいりたいと考えております。
  139. 竹山裕

    竹山裕君 加入者にとって魅力のある簡易保険郵便年金についての簡保年金余裕金の直接運用と積立金の運用範囲の拡大はぜひ必要だと考えるわけでありますが、この点についての郵政省のお考えをお伺いいたしたい。
  140. 二木實

    政府委員(二木實君) 簡易保険郵便年金の資金につきましては、これを有利に運用いたしまして、加入者の保険料引き下げ、福祉の増進等に充てる必要があるわけでございます。現在、国の会計制度の余裕金という形で、年内に発生します収入と支出の差額につきましては大蔵省の資金運用部へ預け入れるという制度になっておりますが、本来、簡易保険郵便年金保険料収入というのは、そもそもそれを積み立てまして、加入者のための万が一の資金に充てるということで、当然、収支差額が出るような状態になっておるわけでございます。これを他の会計の余裕金と同様に資金運用部に預託するというのは間違っているのではないかと思いまして、私ども現在これを積立金同様の運用にするよう考えているところでございます。  また、今後の金利の自由化あるいは国際化というような中におきまして魅力ある新しい商品、新しいサービスを提供するためにも資金の運用範囲の拡大が必要でございますし、また年金契約あるいは保険契約は長期にわたる契約でございますので、将来の物価変動にも備える必要があるわけでございます。そういった観点から、株式等資産形成に役に立つ運用範囲の拡大を図りたいと思っておりまして、その面におきましても運用範囲の改善につきましても努力をしている最中でございます。
  141. 竹山裕

    竹山裕君 このところ官業の民業補完論というのが大変にぎやかでございますが、私はもちろん官業の使命としては全国津々浦々、あまねく公平に均一的なサービスをということが大命題であることはもちろんでありますが、しかし官業と民業と互いに切磋琢磨して国民へのサービスをベストにしていくという点がむしろ先決ではないか、こんなふうに考えておりますので、その点についての郵政省のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  142. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) この問題は貯金、保険、共通しているわけでございますけれども、私の方からお答えさしていただきます。  官業と民業のあり方につきましては、先生御指摘のとおり、サービスを受ける国民の立場に立って、いかなる金融サービスあるいは生命保険サービスをどういう形で効率的に提供していくかが問題でありまして、官業と民業が切磋琢磨し、サービスの充実を図ることが国民の利益になるものと考えるわけでございます。個人金融の分野あるいは生命保険の分野、これは極めて公共性が高いことから、そのサービスはあまねく公平に提供される必要があるわけでございまして、営利を目的とした民間金融機関では、例えば山間辺地など、採算の乗らない地域ではサービスの提供はできにくいだろう。それから近年、個人の金融や生命保険サービスに対する国民のニーズはますます高度化、多様化しておりまして、そうしたニーズにこたえるためには営利を目的とした民間金融機関だけではおのずから限界がありまして、非営利で、専ら個人を対象とする金融機関の存在が不可欠であろうと思います。郵便貯金及び簡易保険郵便年金、これは個人金融、生命保険分野における中心的な存在といたしまして、営利を目的とせず、 あまねく公平にサービスを提供すべき性格のものでありまして、民間金融機関が手をつけない非採算部門のみに限定するものではなくて、今後とも個人金融、生命保険分野における最適のサービス供給主体として、いろいろこれまでに例もありますけれども、先導的な役割あるいはサービスがこれ以上落ちない、下支え的な役割を果たしていくことが求められると思います。  こういったわけで、貯金あるいは保険が民間に対して先導的役割を果たすことによって有効競争が促進されて、ひいては民業の活力を生かしつつ個人金融あるいは生命保険サービスの充実を図っていくことが可能になるのではないかと考える次第でございます。
  143. 服部信吾

    服部信吾君 まず初めに、貿易摩擦解消、これは今我が国においても最緊急課題、こう言われているわけでありますけれども、我が国政府としても一九八一年から今日まで、第一次から第七次までの対外経済対策、特にアクションプログラム等出して何とか市場を開放したい、こういうようなことで現在まで取り組んでこられているわけでありますけれども、アメリカ側としては非常に日本のやり方が小出しであるとかいろいろ最近では行政面までの細かいところまで指摘をして市場開放を迫っておる、こういうような状況であります。特に今までにおいてはアメリカ側が大変優位であった、いわゆるこの電気通信分野において最近では大変日本の黒字が多いと、こういうことで電気通信分野において大変この市場開放を迫っておるというのが現状であると思います。  そこでまず最初にお伺いしたいんですけれども、この二、三年見てみますと、昭和五十八年、電気通信分野における我が国の輸出額としては一千八百六十一億円、輸入額が二百八十五億円、黒字としては一千五百七十六億円、倍率としては六・五倍、こんなような状況だったんですけれども、五十九年が輸出額が三千二百二十四億円、輸入額が二百七十四億円、黒字額としては二千九百五十億円、倍率としては十一・八倍。ところがことし六十年、一月から九月までの統計見てみますと、輸出額が二千三百六十二億円、輸入額が二百三十五億円、黒字額が二千百二十七億円、倍率が十・一倍。昨年と比べると少し緩和されていると、縮小しておると、このように思うわけでありますけれども、その辺の理由については郵政省としてはどのように分析をされておりますか。
  144. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 先生御指摘のとおり、近年日米間の電気通信機器の貿易インバランスの拡大が急速に目立ってきたわけでございますが、その理由には幾つかあろうかと思います。  まず第一に、何と申しましても、しばらく前まで続きましたドル高・円安の傾向が日本の輸出競争力を相対的に強めだということが第一点だろうと思います。それからもう一点は、昨年の一月一日にATAが分割されまして、それまでほとんどアメリカの電気通信市場を独占しておりましたATTが地方の持ち株会社に分離いたしました結果、ATTの製造メーカー、具体的にはウエスタン・エレクトリック社ですが、から独占的に機器を購入していた各地方会社がそれぞれそういう制約なしに安くていい機器を海外から調達するようになったということが第二点だろうと思います。そのほか、米国における電気通信市場の開放によりまして新しい電気通信サービスが次第に拡大されてきまして、それに対応して日本の機器の輸出が洪水的に行われたといったようなことが原因であったかと思われます。  しかしながら、最近の円高・ドル安傾向で直ちにはいわゆるJカーブの効果でインバランスは是正されませんが、いずれはその効果が出てまいるかと思いますし、また、日本における市場開放措置が世界に冠たる開放度として評価されるまでになっておりますので逐次このインバランスというものは是正されるんではないかというふうに予測をしております。
  145. 服部信吾

    服部信吾君 その理由としてドル高あるいは円安基調、あるいはATTの分割と、こういうようなことがいろいろ挙げられているようでありますけれども、その半面、最近の民間企業の調査によりますと、十月二十四日、「主要な輸出型業種十六業界に対する円高の影響」、こういうことで調査報告書をまとめております。その中で、一ドル二百円になると電話機業界では輸出は採算割れとなる、このような分析が出ているわけですね。  郵政省としてはこの円高による電気通信業界への影響、これをどのように見ておりますか、お伺いしておきます。
  146. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 詳細かつ的確に分析するには至っておりませんが、日本の電気通信機器は性能は極めて優秀で、また価格の面においても十分国際競争力に耐え得るものであることから、現在の円高・ドル安傾向が確かに輸出競争力につきまして相対的に在来より低下することは事実であろうとは思いますけれども、なお業界といたしましては十分世界の市場に伍していけるというふうに判断しているようでございますし、私どもも大体そのように見ております。むしろそれよりも米国議会における電気通信を標的にしたような保護主義法案が成立するようなことがあると致命的なダメージを受けるんではないかということを危惧しているところでございます。
  147. 服部信吾

    服部信吾君 今図らずも保護主義法案というようなこともあったわけでありますけれども、ことし、これは我が国に対して、意識しているのか、報復法案、こういうようなことも考えられるようでありますけれども、米議会の上院財政委員会、ダンフォース法案、あるいは下院エネルギー商業委員会、こういうところで法案が一応可決をされておる、こういうことでありますので、今言われたとおりこのような法案が通りますと大変我が国に対する影響は大きいと思いますけれども、郵政大臣、これをどのように受けとめておりますか。
  148. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今御指摘のような貿易インバランスを背景とした今春以来の電気通信に関します幾つかの保護主義法案が提出されて、その中で上院ではダンフォース議員提出の電気通信通商法案が財政委員会で可決される、あるいは下院ではワース議員らによるやっぱり同じような法案がエネルギー商業委員会で可決されておるということで、今後の動きについて我々は非常に懸念をいたしております。  そこで、いろいろ理解を求める努力も大切でございますし、一方また日米の次官級の協議、MOSS協議でございますが、これにつきましては今春の端末機器の基準・認証等をめぐる話し合いでは一応電気通信分野の市場開放措置につきましてアメリカ側からも高い評価を得たわけでありますし、現在は無線の分野につきまして年内解決を目指して専門家レベルで話し合いも行っておるわけでありますから、そうした具体的な積み上げを、一方で米国議会ではいろいろ手が打たれておるわけでありますけれども、我々はそうしたことで一つずつの積み上げによりまして、協議によって議会筋にも理解を得たい、このように考えておるところでございます。
  149. 服部信吾

    服部信吾君 九月二十六日の日の安倍外務大臣とシュルツ国務長官による分野別協議に関する日米共同報告によれば、電気通信分野において討議されるべき未処理案件として六項目が挙がっているわけですね。その一つとしては、無線機器の認証に係る外国試験データの受け入れのための手続及び中立的認証機関の存在など、周波数の効率的使用及び他の利用者への混信の回避に必要なクライテリアに基づく無線局免許に係る機器認証手続の簡素化。あるいは二番目としては、新規参入者に機会を拡大することとなるような自動車電話の技術基準の設定及び周波数の分配。三番目としては、将来のディジタルサービスにおいて第一種電気通信事業者によって提供される宅内機器と伝送サービスとの料金上の関係。四番目としては、貿易に影響を与える可能性のある調達に関する商慣行についての検討。五番目としては、放送衛星を含む通信衛星調達に関する日本政府の政策の明確化。六番目としては、電気通信分野における市場アクセスの状況を把握する機構の設立。こういうふうに討議されるべき未処理案件として六項目が 報告されているわけでありますけれども、これらに対しては郵政省としてはどのように対応されていくんですか。
  150. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 先生今御指摘ございました未処理案件として本年度じゅうに対処すべき検討資料という項目でございますが、主として私ども今、日米の間で検討いたしていますのは、今先生最初におっしゃられました無線機器の関係でございまして、この点につきましては従来からも非常に専門技術的な話でございますので、専門家会合、両者の専門家によるいろいろ勉強会をやろうということでいろいろ目下検討を重ねているところでございます。  電気通信の分野につきましては一〇〇%と言っていいほどの開放体制がとれたということで両者とも評価をいたしておるわけでございます。そういった中で、有線と同じように無線もできるんじゃないかというようなことがよく言われるわけでありますけれども、これは必ずしもそうでない分野がございます。無線の分野につきましては、これは有線と違って、それぞれの無線局相互間の通信自体が一つのネットワークを構成する、そして基準を外れたような電波の使用ということが大変大きな重要通信等に対する混信その他いろんな影響を与えるというようなこともございまして、これに対する基準のあり方、規制のあり方というのはアメリカでも違うわけであります。この制度自体アメリカと日本の間に根本的な違いがございます。そういった中でできるだけお互いのそれぞれの国における商業活動というものが自由に開放的にできやすいようにお互い検討しようじゃないかということで、その点について主として検討している段階でございます。  なお、二番目にございますような自動車電話の技術基準の設定等につきましては、これは電気通信技術審議会の方に諮問をいたしておりまして、先刻中間報告というものがまとめられたような段階でございます。来年度、来年の三月までには基本的な答申をいただくわけでございます。そういったものを踏まえて対処をしようということでございます。  その他につきまして、主として先ほど申し上げました1の無線関係についていろいろ詰めており、できれば年内じゅうには一つの方向づけをしたいということで努力を重ねているところでございます。
  151. 服部信吾

    服部信吾君 三番、四番、六番までちょっと言ってください。
  152. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 三番等につきましては非常に技術的な話になりますし、今後のディジタルサービス自体のあり方ということにも関連しまして、提供事業者の責任の分界点をどうするとか、そういうような議論でございまして、これはまた個別にいろいろ話を詰めております。  それから四番に関しては、これは商習慣ということにつきましては、まだアメリカの方で具体的な提案というのはございません。どういうものが貿易に影響を与える商慣習であるかというようなことについて向こうがいろいろ勉強しているというような段階でございます。  衛星関係の政府の政策というのは、これは従来から明確化いたしておりまして、その点についてアメリカの方の理解を得るというようなことで適宜話をしているわけでございます。  それから、六番目の市場アクセス状況を把握する機構の設立ということにつきましては、これは電気通信だけではございませんで、MOSS全体にわたる機構をどうするかというようなことについて、まだお互いの中でいろいろ案を考えているというようなことでございます。  そういう状況でございまして、この六つの提案自体がすべてがその時間内にどうこうということになるかならないかどうか、その辺のところも向こうの方とも日程等もございまして、いろいろ調整を図りながらいろいろ話し合いをしているということでございます。
  153. 服部信吾

    服部信吾君 まあ、なかなか難しい問題でもあろうと思いますので、よく御検討願いたいと、このように思います。  そこで、ひとつお伺いしたいんですけれども、大型都市型CATV事業、こういう事業がありますね。それで、これの基本的な考え方をちょっとお伺いしておきます。
  154. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 都市型CATVと私どもが申しておりますものは大体一万加入以上ぐらいのものを見ておりますが、CATVは、従来テレビの難視聴解消と、こういった観点で発達してきたものがほとんどでございますが、これからこのCATVを普及促進していくためには、そういう大型の都市型のものも民間で非常に関心を示されておりまして、相当大きな投資もなされるんじゃないかと。内需の拡大にもつながるということで、私どももこれを普及促進し、国民の非常に便に供したいと、こういうふうに考えております。
  155. 服部信吾

    服部信吾君 この事業の今後の需要ですね、これをどのくらい見込んでおりますか。
  156. 森島展一

    政府委員(森島展一君) この需要の見込みにつきましてはいろいろな試算がございますが、私どもが民間のシンクタンクに委託して行いましたものによりますと、いろいろの仮定を置きますけれども、十年ぐらいで大変な需要があるだろうと。需要増につながりまして、見方によっては一兆円産業にもなるのではないかと、こういうような予測もいたしております。
  157. 服部信吾

    服部信吾君 この都市型CATVのあり方について、米国側からこの事業の行政のあり方に何か批判があったと、こういうふうに聞いておりますけれども、そういうことがあったならば、どういうことが批判の対象になったのか。この点についてお伺いしておきます。
  158. 森島展一

    政府委員(森島展一君) このCATVを施設いたします上には、電柱に線を張るあるいは地下に埋設するというようなことで道路の占用が必要になるわけでございますが、この道路の占用の許可手続におきましていろいろ業者の方との折衝に時間がかかって、またいわゆる都市型CATVというものが一メートルも張られていないというような状況にあります。  都市型CATVで既に郵政省が許可しましたものが十施設ほどございますが、それが道路占用問題がネックになって今まで進んでいなかったわけでございますが、この点米国も関心を示しております。と申しますのは、通信衛星を日本が輸入して、昭和六十三年の春から民間の通信衛星による事業の会社が事業を始めると。そういった場合に、その通信衛星の大口のユーザーとしてCATVが可能性があるわけでございまして、そういったことで、そういうCATVの発展がうまくいっていないということは米国から輸入する衛星の利用にも響いてくるのではないか。こういった点でアメリカが関心を示しております。
  159. 服部信吾

    服部信吾君 まあ、ある面から言えば、アメリカ側から見れば大型CATVに対する批判とも警告とも受け取れると、こういうことじゃないかと、こう思うわけであります。  今いろいろとお話を聞いておりますと、道路占用許可ですか、これがなかなか取れないと、こういうようなことでありますけれども、道路占用許可ですから建設省の方だと思いますけれども、米国のこういうような警告とも批判ともとれるこういう問題について話し合いしたのか。建設省、ちょっとこの点についてどうですか。
  160. 原隆之

    説明員(原隆之君) 御説明申し上げます。  ただいま郵政省さんの方からお話がございましたように、CATVにつきましては、従来難視対策の施設を中心に行われてまいっておったわけでございまして、私どもの方も地方の道路管理者とも連絡をとりながらこれに対処をしてまいったわけでございます。御指摘のように、新たに都市型CATVの普及ということが予想をされましたことから、昭和五十八年七月以降、当面道路管理者が私ども建設省と事前協議をしていただくということで処理をしてまいってきております。これにつきまして相当数事例がたまってきております。占用許可の申請があったものにつきましては、す べてこれまで占用許可をいたしてきておりまして、事前協議の期間等につきましてもそれほど長いものはなかったというふうに理解をいたしております。
  161. 服部信吾

    服部信吾君 先ほど御答弁がありましたけれども、CATV事業の施設許可、こういうことで、社団法人日本有線テレビジョン放送連盟あるいは社団法人日本有線テレビジョン技術協会、CATV番組供給者協議会、こういうところから「建設省の道路占用行政の抜本的改善に関する要望書」、こういうものが出ておりますけれども、この要望書については建設省としてはどのようにお考えですか。
  162. 原隆之

    説明員(原隆之君) 御説明申し上げます。  私ども先ほど御説明申し上げましたように、五十八年七月以降事前協議という仕組みで運用してまいったわけでございますが、このベースといたしましては、CATV施設の型式でございますとか、構造でございますとか、私どもの方で知識、経験が乏しいということがございました。そういったことから、占用許可の審査方針等を明確に地方のすべての道路管理者にお示しをするに至らなかったということで、バイラテラルに御相談をするということでやってまいってきたわけでございますが、二年間の運用の集積ということがございましたので、許可の基準でございますとか申請手続というものを一応お示しできるような段階になったというふうに思っておりまして、この春ごろから通達等の改正の準備を進めてまいってきております。その折、先生お話のございましたようにCATVの関係団体から御要望がございました。私どもといたしましては、それを踏まえまして九月二十六日に道路局長から通達をいたしまして、全国の道路管理者に許可基準等をお示ししたわけでございます。それとともに、今申し上げました事前協議、私どもとバイラテラルに御相談をいただくという仕組みを廃止をいたしました。しかし、その廃止によりまして道路管理者相互、御案内のように道路の管理は国道、都道府県道、市町村道というふうに三つのレベルでネットワークができております。したがいまして、CATVはこれら道路管理者が複数にまたがるということが当然予想をされます。したがいまして、その際に申請がたらい回しになったり、手戻りになったりということではまことに申しわけがないということで、CATV道路占用調整会議ということで現地でよくお話し合いをするようにということで指示をいたしたわけでございます。  以上が大体の経緯でございます。
  163. 服部信吾

    服部信吾君 そこで、今回十施設を郵政省として認可をした。やっと先月の二十九日ですか、大型都市型CATV事業者の道路占用許可についての第一号としてINCという会社が許可されたということで、これが初めてだと思うのですけれども、この許可をした理由というのはいろいろあると思いますけれども、この要望書の中に言っているようなことをある程度クリアしたということで、これからまだあと九つ郵政省としては認可しているけれども建設省はまだしていないというものがあるようですけれども、これはもう続けてどんどんやっていく、そういう考え方でよろしいのですか。
  164. 原隆之

    説明員(原隆之君) 先生お示しになられましたように長野のインフォメーション・ネットワーク・コミュニティというもの、これは郵政省の方がことしの九月の六日に御許可になった施設と承っておりますが、これにつきまして十一月二十九日付で長野市と関東地方建設局が占用許可の手続をいたしました。先生御指摘のように業界団体からの御要望等を踏まえまして私ども手続を通達によって改善をいたしました。  具体的に申しますれば、例えば道路管理者から図面の写しを御提供申し上げる、道路台帳の写しというのがございますが、これを御提供申し上げるというようなことをやりました。長野のINCにつきましては郵政省の御許可の前から道路管理者の方とそういった図面の問題でございますとか、ルートの問題でございますとか、事前にかなりのお話し合いをしておられたようでございます。そういったことから電柱の管理者、電力会社等々とのお話し合いも順調に進んだということがございまして、郵政省の御許可は一番最後の施設でございますが最初に道路占用の手続が完了したと、こういうことであろうかというふうに考えております。
  165. 服部信吾

    服部信吾君 ちょっと郵政省にお伺いしますけれども、例えば十の「自主放送を主体としたCATV施設(都市型)の許可状況」と出ているわけですね。名前言うと一々大変ですけれども、大体五十八年から五十九年でCATVの施設としては許可をしておるわけです。だから事業者側とすれば、これは郵政省で許可したんだからもうすぐにできるのかと思ってたら、なかなかそうはいかない。まあ建設省さんの方のあれとちょっと合わない。こういうことで、やろうという気になってやっと事業主体をつくって、さて郵政省の許可も得たと、しかしなかなかできない、二年ぐらいたっておる。そういうようなことで許可をしておいて、なおかつこういう団体からことしの九月に要望書が出ておる。だから、郵政省で許可していてこれでいいと思ったらできないので今度はまた建設省に要望書を出した。大変見るとちぐはぐじゃないか、せっかくやろうと思っているところが、やったらなかなかスムーズにいっていない。これはやっぱり今までやろうと思っていたところがまた事業意欲を欠くんじゃないかというようなことがあろうかと思うんですね。  その中で、ちょっとお伺いしておきますけれども、例えばこれは東京が三つあるわけですね、この施設として許可したのは。それからまた横浜が二つと川崎と、ほとんど東京圏内ですね。こういうことからすると、そういう面で非常に競合したり、何かいろいろ問題が出るのじゃないかと思うんですけれども、この点についてはどうですか。
  166. 森島展一

    政府委員(森島展一君) この都市型のCATVで先生おっしゃいますように五十八年の十一月から十件の許可施設があるわけでございますが、これが実際に道路を占用してケーブルを張ろうといたしますとなかなかその手続が大変であるというようなことで、事業者としても多少意欲をそがれたような面がありまして、私どもとしては、この道路の問題がネックの一つの大きなものであろうということで建設省といろいろ詰めてまいりまして、先週建設省と一応の整理を終わったところでございますので、これからは事業者の方が道路の占用の申請手続をスムーズに進め、CATVの施設を張るということができるものというふうに期待をいたしているわけでございます。  それから、東京の近辺で許可した大型施設が三つ、あと川崎、横浜等がございますが、これいずれも地区が違っておりますので、この辺はお互いにオーバーラップしたりすることのないような点を見ました上での許可をしております。
  167. 服部信吾

    服部信吾君 この問題も余りやっていられませんけれども、やっぱり最後に郵政大臣、この点についてお伺いしたいんですけれども、当初は何か地下のケーブルですか、地下でやるんだと、途中になってこれじゃ金がかかり過ぎてちょっと大変だと、こういうことで地上に上げるんだと、そういう面から言うと、やっぱりもう少しこういうものの認可をする前にそういうこともよく検討した上で認可をすべきじゃないか。と同時に、やはりせっかく郵政省で認可しておきながらなかなか建設省さんの方の道路関係でうまくこれがいかない。そういうことから思うと、やはりもう少し連携をよくしておけばよかったんじゃないのかと思いますけれども、この点について大臣はどのようにお考えですか。
  168. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) CATVの普及という点からも先生御指摘のとおりだと思います。今そういうことで、一応当面の道路占用行政の規制緩和という形で行政運営上の改善につきまして建設省と話し合いをして一つの方向が出たと思いますが、これから先、まだもう一つ、我々といたしましては道路法の一部改正というふうなところの点まで踏み込んで、何かCATV事業を第一種電気 通信事業と同じような形で扱っていただきたいというふうな形で、建設省とも協議をして、そうした体制をつくるべく努力をしていきたい、このように考えております。
  169. 服部信吾

    服部信吾君 次にINSについてお伺いいたします。  当初、電電公社としては三鷹に二十一世紀の夢、バラ色の夢というようなことでINSを三カ年計画で実験を開始した。大体一年を経過したわけでありますけれども、どうもいろいろと新聞報道等によりますと、その実験が余りうまくいってないんじゃないかというようなあれがあるわけでありますけれども、電電としては、この実験の今までの状況、それから成果について述べていただきたい。
  170. 村上治

    参考人村上治君) お答えいたします。  INSのモデルシステムにつきましては、INSのこれからの全国的な展開に先立ちまして、パイロットプランとして三鷹・武蔵野地区の約二千のモニターの方、あるいは情報を提供してくださる方々二百五十社の方々の御協力を得まして昨年の九月末から二年半の予定で試験サービスを行っているところでございます。  モデルシステムの実験の主なねらいといいますのは大きく分けますと二つになろうかと思います。一つは、これからのINSのネットワークを形成いたします意味でのいろいろな技術が必要でございます。これを十分に利用に供するかどうかというふうな意味での技術確認が一つございます。それからもう一つは、先生御指摘のように、こういった新しいネットワークなり、あるいはそこで提供されます宅内機器なり、あるいは通信処理機能というふうなものを十分に使いこなせるのかどうかということで、実際にモニターの方々などに使っていただく、いわゆる利用の改革の場であろうかと思っております。  そういった意味で、約一年経過いたしたわけでございますけれども、最初のこれからのネットワークの全国的な展開をしていく上での主要な技術につきましては、ほぼ確認し得たのではないかというふうに考えております。  それからもう一方、利用の面でございますけれども、これも企業でのいろいろな使い方の試み、あるいは地域の諸団体での、特に行政サービスでの利用であるとか、あるいは個々のモニターの方々の御利用というようなところでいろいろな成果が出ておると思っております。ただ、実験といいますか、試験サービスというふうなことで、モニターの数が少なくて相互に通信する機会が少ないというふうなことも含めまして、必ずしもいまひとつというところは御指摘のとおりかと思っております。約二年半ということで一年経過いたしたところでございますので、今後の一年半というのは、特に実験の目的の二番目の利用の開拓の面というふうなところに力を注いでやってまいりたいというふうに考えております。
  171. 服部信吾

    服部信吾君 何となく聞いていますと、二つの目的があって、二つの目的の一つはハードの面、技術、それからもう一つの面はソフト、使う側ということのようで、今まではハードをやってきたんだと、これからソフトをやるんだと、だから決して方向転換ではないというふうに聞けるわけですけれどもね。実験なんというのは、やっぱりこれは一緒にやらなくちゃいけない。この二つの目的をやはり一緒にやりながら方向を出していく、これはそういうことだと思うんですね。  そういうことで、特に真藤社長も九月四日の定例記者会見で、実験の目的が機器の性能など技術に傾き過ぎておる、利用者サイドに立っていない、現在使われている新型電話、ファクシミリなど端末機器が利用者の使いやすさに対する配慮に欠けているとして実験の見直しを示唆しているわけでありますけれども、今後どのような実験をしていくのか、この点についてお伺いしておきます。
  172. 村上治

    参考人村上治君) 御指摘のように、私どもは、技術の確認の面と、それから利用のサイドの面、おっしゃるように両方進めなければいかぬわけでございまして、この一年の間でもいろいろな御意見を賜わりまして、この実験サービスの中で直せるものは直す、あるいは御指摘の点を実際の商用化の際に反映していきたいというふうに考えておるわけでございます。  そして、特にここでいろいろと御指摘を賜わっておりますものをこれまた集約いたしますと、一つは、将来INSを多くの方に便利に使っていただくためにはお客様が容易に操作できるマンマシン・インターフェースが重要だと、特に宅内機器の小型化であるとか、あるいは複合化であるとか、あるいは操作性をもっと改善してほしいというふうな御意見が多々寄せられております。  また、この実験の中でいろいろな情報提供といいますか、そういう形での実験が行われているわけですけれども、いろいろと価値ある情報をタイミングよく提供してもらうということが非常に重要なことでございまして、この点も、こういった情報提供をしてくださる方々との話し合いも含めまして十分検討していきたいと思っておるわけでございます。  そして、今後の実験をどう進めるのかという御質問でございますけれども、幅広くモデルシステム、INSを御理解いただくというふうな意味では、先ほど申しました二千のモニターの方々に約半年ぐらいで交代してやっていただいておるわけですけれども、こういったモニターの方々以外の市民の方にも十分実験に参加していただくようにしてもらうような施策を講じたい、あるいは新しいサービスなり新しい機器を追加して実験する、そしてまたもっと大事なことは、できるだけ実験に参加していただく方々の御意向に沿った形での、できるだけ御要望に沿った形で将来の実需要につながるようなそういう実験を進めてまいりたいというふうに考えております。
  173. 服部信吾

    服部信吾君 その中で特に基本的な問題が一つあると思うんですけれども、いわゆる国際標準ですか、要するにINSの規格が予定している国際標準、これが三鷹の場合は八十八キロビット、この国際基準、諸外国でやっているのが百四十四キロビット、こういうことで違っておる、こういうことなんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  174. 村上治

    参考人村上治君) INSのネットワークとユーザーとのインターフェース条件につきましては、先生御指摘のように、CCITTという国際的な標準化の場で検討が進められておるわけでございまして、昨年の秋の第八回総会におきまして、先生御指摘のようにベーシックなアクセスのレートといたしまして百四十四キロビット、すなわち六十四キロビットを二つのチャネルと、それと信号十六キロビット、合わせまして百四十四キロビットというふうなことがほぼ勧告化されたわけでございます。そして、さらにそれらのベイシックなところが決まったわけでございまして、さらに多数回線を使う方々のためのインターフェイスであるとかあるいは信号方式等についてもさらに詰めまして、四年後の——四年後といいますか、今から考えますと三年後でありますけれども、三年後の秋には詳細が固まるという段階でございます。  私どもは日本におきます情報化の進展に効率よく対処すべく、電話のネットワークから非電話を含めまして効率よく対処できるようにということで鋭意検討を進めまして、ややそういった面では国際的な標準化よりも先に少し出たというふうに考えておりまして、三鷹の実験では、確かに御指摘のように六十四キロビット、それから十六キロビット、それから信号が八キロビットということで、合計いたしますと八十八キロビットということになっております。しかし、これはできるだけ早くそういった非電話系も含めましての需要に経済的におこたえできるのではないかということで、こういうふうなインターフェイス条件で進めましたけれども、しかし国際標準がきちんと固まれば、私どももそういった百四十四キロビットのインターフェイス条件もサポートいたしまして、そして先行いたします八十八キロビットの方との 相互通信も確保できるように、そういった配慮をして進めてまいりたいというふうに考えております。
  175. 服部信吾

    服部信吾君 まあ何となく実験だという感じだけれども、名前は実験ですけれども、二百億かけているわけですからね。ですから、要するに実験であると同時にこれはもう実用化と見なくちゃいけないと思いますので、ひとつこれは慎重に、これだけやっぱり国民の皆さんが、三鷹地域をやって、これがうまくいけば全国に広げていくんだ、こういう夢と言っちゃおかしいんですけれども、期待をしているところですから、ひとつ慎重に国民のあれを裏切らないような形でやっていただきたいと思います。  それで、郵政大臣、監督官庁としてこれについてどのようにお考えですか。
  176. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) INSの計画につきまして今御説明があったわけでありますけれども、電気通信のネットワークがディジタル化してまいりますと、大量かつ多種類の情報が高速で伝送処理することが可能となるわけでありまして、その進展が期待されるわけでありますし、また欧米諸国でもこれは積極的に取り組んでおるわけでありますが、そうした中で今NTTはINSという形で計画されてきておりますけれども、全国網、ネットワークの総合的なディジタル化を完成するためには、まだ今後十年ぐらい少なくともかかるんじゃないか、それ以上かかるんじゃないか、こういうことも考えておるわけであります。そうすると、昨年初め始まりましたINSのモデル実験の成果はこれは一つとして我々も考えますが、根本的にディジタル通信サービスの本格的導入というものにそうした結果も踏まえて検討をしていかなきゃならない、そういうことでありますので、郵政省といたしまして、そういったディジタル化を前提とするディジタル通信サービスの実用化に当たりましていろんな御意見、また諸外国の動向、いろんなものを広くユーザーの立場、いろんなものを十分議論しておくことが必要だ、そういった意味におきまして、郵政省として、まあ私の諮問委員会、私的諮問機関としてディジタル通信サービス実用化懇談会というものを開催いたしまして、そしてこれからこの問題についての有識者の方々の御意見を十分伺った上でディジタル化の今後の推進を円滑に進めていくための資料としたい、このように考えておるところでございます。
  177. 服部信吾

    服部信吾君 最後に、時間がありませんので一つだけお伺いして終わりますけれども、NTTはINS、郵政省はISDN、これは全く同じようなものだそうですけれども、六十一年度予算の概算要求に、その基礎資料を得るためにアジア各国の通信事業の分析あるいは技術力等について調査研究をするための経費を盛り込んだと、こうありますけれども、その概要とアジア各国の反応について説明していただきまして質問を終わります。
  178. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 私ども、今大臣から御説明申し上げましたように、ディジタル化の実用化ということにつきましては喫緊の課題であろうということで長期にわたる計画でもございますし、高度情報社会を構築するための大前提でもございます。その導入に当たりまして将来そこを来すことのないようにしなければなりません。それはおっしゃいましたように国際化の時代でもございます。そういったところも十分踏まえなければならないということで外国とのいろいろ勉強を始めるというようなことも含めまして予算要求をいたしているところでございます。まあ幅広に新しい二十一世紀の情報化に向けての基盤整備と、そうしてやはり技術的にもいろんな面で進んでおる日本がリーダーシップをとってこれに対応していくべきであろうということで、万全の対策をすべくいろいろ努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  179. 山中郁子

    山中郁子君 OTHレーダーの問題について電波法絡みで郵政省に初めにお尋ねをいたします。  御記憶だと存じますけれども、これは昨年の五月十七日の当委員会で我が党の佐藤昭夫委員がアメリカもしくはソ連のOTHレーダーによるものと思われる電波によって船舶無線の短波に混信が起きている事実を指摘いたしまして、郵政省として関係諸国への報告を求めるとか、それから混信防止策の申し入れを行うべきではないかという指摘をいたしました、これは、その後新聞などでも問題になったところでありまして、その経過は御承知のところだと思いますが、郵政省としてどのような対応をとられたか。また、こうした混信波による被害状況がどういう状況になっているのか。また、何の目的でもってこうした混信のもとになる電波が発射されているのか、発信源はどのようなところという推定ないしは調査ができているのか。それらのことについてまずお尋ねをいたします。
  180. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 昨年の当委員会でも御指摘があったウッドペッカーノイズと言われる電波というものがOTHレーダーのものであるかどうかというようなことを踏まえまして私どもいろいろ努力はいたしておるわけでございますが、まだ明確な確認を実はできておりません。ただ、私どもの今までの調査の結果では、この種の電波の到来方向というのは北の方向であろうということでございます。いまだ発射源の特定というまでには至っていないわけでございます。現在も引き続き発射をされているということでございまして、今後とも継続して調査をしてまいりたい。発射源の究明に努めまして、その発射源が特定できたときには当該主管庁に対しまして必要な措置をとるように要請をしてまいりたいと思っているわけでございます。  言いわけになるようでございますが、ウッドペッカーノイズと言われるもののなかなかつかみにくいということでございますが、この種の電波はパルスの繰り返し時間が非常に短いというような百ミリ秒のパルス性ということで、一回の発射時間が数秒程度というような短時間というようなもの、あるいは長時間に及ぶようなものもあるようでございます。いろいろ発射周波数というようなものも刻々と変化をしているというような状況でございます。国内ではございませんのでなかなか特定しにくいという面もございます。  ただ、船舶通信に対する混信としまして、船舶からのファクシミリ、新聞、放送の周波数が混信を受けているという被害状況ではございます。まあそういうことでございますので、私どもその対策の一つといたしまして、代替周波数というものを準備いたしまして、そして免許人の方々にそういう周波数に変更してはどうだろうかというようなことの御相談もいたしているというのが現状でございます。
  181. 山中郁子

    山中郁子君 これ、あなた言いわけを言うようだけれどもとおっしゃるけれども、それは言いわけにもならないんであって。だって、私先ほど申し上げましたけれども、去年の五月十七日のときの御答弁と同じなのね。一年以上たって——じゃ結局何にも調査しなかったんですか、それともこういうのは幾ら調査してもわからないんですか。そして、何だかわけのわからない怪電波が出てきて、いろんな混乱が起こって、混信が起こっていて、それで船だったら例えば船の乗組員の命にもかかわるわけでしょう。だけど、それが一年以上たっても、どこが原因でだれが出しているかというのはさっぱりわからぬと、代替でもって何とかしのぎますと。そんなものがやたら日本の人たちが迷惑を受けるような状況があっても、一年も一年半も、二年もたっていて、それでもなおかつわからないということで、電波を監理する郵政省の役割が果たせるんですか。私ちょっとふざけているにもほどがあると思うけど、ちょっと大臣のお考えも聞きたいです。
  182. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) この問題につきましては、非常に技術的にも難しい問題もありますし、そしていろいろ努力はしておりましてもなかなかキャッチできない、そういうふうなこともございまして、今のような答弁を申し上げたようなことになったんじゃないかと思います。  現在も引き続いて調査をいたしておりますけれども、そうしたことで非常に押さえにくい非常に 難しい問題じゃないか、このように考えておるところでございます。
  183. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ今後、結局調査して見きわめる自信はないとおっしゃるの。
  184. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 短波帯でございまして、パルス性の電波が発射されるというときに生ずるのがいわゆるウッドペッカーノイズということでございます。確かにおっしゃられますように、掌握しにくいということでございまして、ただ私どもあきらめているということではございませんで、今後とも努力をしてまいりたいし、その発射源等についての探査というものは続けてまいらなければいけない、こういうふうに思っております。
  185. 山中郁子

    山中郁子君 昨年の五月十七日の御答弁からもかなり後退をされていますね。御承知だと思いますけれども、当時の鴨さんが、「私ども通信主管庁という立場で監視をさらに強化いたしまして、電波の発射源の究明に努めてまいりたい、またその上で必要な措置をとりたい」という御答弁をされていらっしゃるし、当時の奥田大臣は、「これらの正体を究明させることに全力を尽くして、その後必ず外交ルートを通じて強力にお話し合いを進める、これは海洋国、平和主義をもって海運立国としていく我が国政府としては当然の態度でおろうと思いますし、そういうことに努力をいたします。」と、こう答弁されていらっしゃるのね。よもやこういうことについてあなた方の態度に消極的な変化が生まれたわけじゃないんでしょうね。私は、きょう時間も短いから、OTHレーダーの問題だから、これからさらに本当に本質的に重要な問題になってくるので、ちょっと入り口ですけれども、重ねてこのことについては郵政省のはっきりした責任ある態度を示していただかないと困ると思います。
  186. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 私どもも昨年御答弁を申し上げ、そしてその後も努力をいたしているわけでございます。決して努力を放棄するつもりもございませんし、また発射源が国外であろうというふうには私ども察しておりますけれども、それが明確にわかった場合には、電気通信条約等にのっとりまして必要な措置を講じてまいるようにということで、我々も対処をいたしているところでございます。
  187. 山中郁子

    山中郁子君 昨年の五月の委員会では、調査結果として、主として北太平洋上において短波帯の広い範囲にわたっての混信が発生しているということを把握しているとおっしゃっているのね。これだけじゃないんですよ、実際問題としても。その後一年半以上、それから、この問題はこれに先立ってさらにもう問題になってたわけです、新聞なんかでも。だからもう二年からなると。もっと前からだって問題になっているケースがいろいろある。そういうことについて、少なくともこの時点でも北太平洋上におきまして短波帯の広い範囲にわたって混信が発生していると、把握していると郵政省がおっしゃっているわけですよ。今お話を聞くと、北の方と、今度北の方になっちゃってね、全くあいまいな答弁しかなさらない。これは改めて問題にいたしますけれども、少なくとも郵政省としての責任のある態度を求めるものであります。これが一つですね。  それから、今答えていただかなくてもいいけれども、次のしかるべき機会に、そんなふうにいろいろ調査をしてもなぜわからないのか、そんなことが一体あるのか、そういうことについては明確にしていただきたい。  それで続けてお伺いいたしますけれども、このウッドペッカーノイズと今あなたもおっしゃったけれども、そういうふうに言うらしいですね。これは時々刻々周波数を変えて、発射時間と時刻も不定で、広く混信を引き起こすわけですよね。このような電波の発射は少なくとも日本では認められていませんね。それははっきりしていますね。
  188. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 電波の発射を認めるという場合は、これは既存の他の無線局に障害を与えない、混信を与えないということが大前提でございまして、いわゆるウッドペッカーノイズというようなものが混信を与えるということでございますので、そういったものの電波の発射というのは国内では認められないということでございます。
  189. 山中郁子

    山中郁子君 これは既に衆議院における審議でも、あるいは参議院の決算委員会でも我が党の議員が関連して質問をしてきたところでありますけれども、防衛庁の中期防衛力整備計画、これとOTHレーダーの導入の検討の問題ですね、私はきょうは防衛庁においでいただいているわけではありませんので、電波法との関係郵政省にお尋ねをし、明らかにしておきたいという立場でいるわけなんでありますけれども、このOTHレーダーの防衛庁の導入計画そのこと自体も当然電波法に定める規律と手続に従うべきものであると、これは明確になっていると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  190. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) OTHレーダーの防衛庁の取り組みということについて私ども実は承知をいたしておりませんが、防衛庁で、自衛隊が使用する移動体の設備とかレーダーにつきましてはこれは電波法等の関係法令の規律に従うべきものと、こういうことでございます。
  191. 山中郁子

    山中郁子君 新聞その他の報道で、あるいは先ほど申し上げました国会の若干の質疑の中でも触れられていることはあなた方も御承知だと思います。郵政省として公に防衛庁のOTHレーダー建設について聞いていないと、さっきおっしゃったんですね。しかし、新聞報道その他でもって、それが硫黄島がしかるべきところであるのか、あるいはいやあそこはぐあいが悪くて喜界島にするんだとかということが報じられているということについては御承知だというふうに思いますけれども、私がここで明確にしておきたいのは、このいわゆるウッドペッカーノイズと言われている、常識的にもOTHレーダーのもたらすそうした混信の原因ですね、そうしたものは日本の電波法によって十分に防衛されなければならないものであって、電波法を無視した形で防衛庁が勝手に電波を発射する、つまりOTHレーダーの建設が行われる。OTHレーダーの発射というのは完全にそういうものであるということははっきりしているわけで、軍事的には常識になっているわけですから、そういうことは日本の電波法上もできないんだということが明らかだというふうに思いますが、このことについては再度確認をしていただきたい。  それから、さっきあなたが、私どもは防衛庁からOTHレーダーの建設については伺っていないとおっしゃったんだと思うんですけれども、そこをちょっともう一度確認してください。
  192. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) OTHレーダーにつきましては防衛庁の方から私ども一切話を聞いておりません。  それから、自衛隊が使用する無線局の周波数等でございますが、移動体の設備とかあるいはレーダーにつきましてその周波数の使用につきましては、他の無線局への混信を防止するためのいろいろな定め、こういったものには従わなければならないということでございます。
  193. 山中郁子

    山中郁子君 それは自衛隊法でも、いわゆる百十二条ですか、これの適用除外の項で、レーダーの周波数は郵政大臣の承認を受けなければならない、その周波数の使用に関し、他の無線局の運用を阻害しないよう、混信を防止するため、郵政大臣の定めに従うということが、そういう趣旨でもって明記をされているわけでありますけれども、郵政省の見解としては、したがって直接、今正式に聞いていないということをおっしゃっているけれども、少なくとも防衛庁が新聞その他でもって発言した、ないしは考え方を持っている、アメリカといろいろ話しているというふうに伝えられている日本におけるOTHレーダーの建設ということは、電波法上不可能であるという見解をお持ちだというふうに理解をしてよろしいですね。
  194. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 重ねてあれでございますが、OTHレーダーにつきましては私ども承知をいたしておりませんので、その内容、使い方、 周波数等について不明でございますので、その点についての具体的な御説明というのはいたしかねるわけでありますが、一般的に言いまして、周波数の割り当てについては他の無線局との混信を生ずることのないよう検討の上使用を認めるということにいたしておるところでございます。
  195. 山中郁子

    山中郁子君 ちょっとはっきりしてほしいのは、自衛隊のOTHレーダー、防衛庁からそのことについて聞いてない、不明であるとおっしゃっているのか、それともOTHレーダー自体についてあなたが不明だと、今考えられないことをおっしゃっているのか、どっちですか。
  196. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 自衛隊のOTHレーダーの計画というもの自体私どもは全然承知をいたしておりません。したがいまして、OTHレーダーというものの国内での建設というようなことについて今この時点でどうこうということは私は申し上げられないわけでございますが、ただ一般的に言いましてということで、周波数の割り当てにつきましては、自衛隊のこういうレーダーにつきましても他の無線局との混信を生ずることのないよう検討の上その使用を認めるということにいたしているということを申し上げているところでございます。
  197. 山中郁子

    山中郁子君 要するにOTHレーダーというものが日本の電波法上、防衛庁であろうとなかろうと、それを郵政省が認めるということはあり得ないという内容はあなたは否定はされていないし、まさにそのような御答弁であるというふうに承りました。要するにOTHレーダーは短波帯をいわゆるスイープするものでありますから、あなたは防衛庁がつくるよと聞いてはいないとおっしゃるけれども、OTHレーダーの建設による要するに混信、これはスイープするものですから必ず混信される、そういうものは日本の電波法では当然認めていないし、郵政大臣が許可するものではないんだということをおっしゃっているわけで、じゃ、OTHレーダーというのはさっぱりどういうものだかわからぬということは幾ら何でもあなたもおっしゃれないわけよね、専門家がここでね。だから、そこのところは防衛庁から聞いてないよということだけをおっしゃっているんで、それは防衛庁は新聞その他でいろいう言っていますけれども、あなたが今ここで聞いていないとおっしゃるなら、それはそれで公に聞いてないという意味でおっしゃっているんでしょうけれども、OTHレーダーそのものがどういう役割を果たして、どういう結果をもたらして、そして日本の電波法にどのように違反をして、そして郵政大臣としてはそれは許可できないものなんであるということを、一般論ということでお答えになったと私は理解をいたします。  ですから、それと関連をいたしまして、問題はもっと端的に言えば、結局はこの前あなた方が一年半も二年もかけてもちっともわからぬとおっしゃるけれども、結局日本がもしそういうことでOTHレーダーを建設する、喜界島か硫黄島かどこになるかは別として。そういう事態に踏み込んでいけば、今度は日本がその混信の電波の発射源になるわけですよね。それは当然のことながら、私どもが一貫して主張して、また指摘をして問題にしているのは、アメリカの核戦略の補完として日本の自衛隊が、日本の政府が国のお金を使って踏み込んでいくそういう問題として問題にしているわけですけれども、この電波の混信という問題だけに限ってみても、それは日本が発射源になって今度そうした迷惑を他の地域にもかけていく、こういう関係になってくるわけですから、その点についても断じて容認できるものではないということを改めて申し上げておきます。  その点についてはぜひ大臣に今後の調査のことも含めて確認というか、お考えをはっきりしておいていただきたいと思います。
  198. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) OTHレーダー、そのことについて我々はまだそういうことで十分どういうものか理解をいたしておりませんが、先ほどの調査につきましては、これは私はやっぱりあらゆる努力をいたしまして、今までなかなか発信源そのものをつかまえられなかったわけでありますけれども、今後ともつかまえるように努力をしていかなきゃならない、このように考えております。
  199. 山中郁子

    山中郁子君 OTHレーダーそのものについて知らない、今度は大臣はおっしゃった。幾ら何でも郵政省の専門家の方がそういうことをおっしゃることはできないだろうと思いますけれども、あえてそれでは局長に伺いますけれども、郵政省OTHレーダーそのものについて御存じの方がいらっしゃらないんですか、それだけ聞かせてくださいな。
  200. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 具体的な使用等については、十分な資料というものは私ども持ち合わせておりません。
  201. 山中郁子

    山中郁子君 具体的な資料を言っているのではなくて、先ほどちょっと引用いたしました昨年の五月の委員会の答弁でもあなた方はちゃんと答弁しているんです。だって、あなたもさっき実際にウッドペッカーノイズとおっしゃったでしょう、そしていろいろ答弁なすったでしょう、広い範囲にわたって混信のもとをつくり出すってね。そういうことを電波監理の専門家である郵政省の方が知らないから何とも言えないなんという無責任なことは、幾ら何でもおっしゃらないというふうに思いますので、調査は当然のこと大臣もお約束なさいましたけれども、そういう原因になることが技術的にもまた常識的にもはっきりしている混信のもとを電波法によって認めることはできないんだということは、当然のこととしてお答えいただけるものと存じます。簡単でいいですから答えてください。
  202. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 繰り返しになるかと思いますが、他の無線局への混信を生ずるような無線周波数の割り当てとか運用ということは、これは電波の秩序維持という観点からそういうことは行われないということでございます。
  203. 山中郁子

    山中郁子君 次に、NTTの方に参考人としておいでいただいていると存じますが、いろいろお伺いしたいことはありますが、限られた時間でございますので、営業上の問題につきまして私どもの把握をしていること、ぜひやはりNTTとしてもお考えいただいた方がいいのではないかという問題の二、三についてお尋ねをし、またお約束も賜りたいと思います。  電電公社NTTという形に民営化されてから七カ月ですね。今営業関係では率直に申し上げまして、本当になりふり構わない増収、増販作戦が行われているんですね。それで、一つはトラフィック増です、要するに呼数をたくさんかけさせる、いかにして国民に電話をかけさせるかということでいろいろおやりになっている。もう一つは、今私が問題に、したいことは電話機の売り切り、これの増加ですね、それによる増収、増販、このことについて本当に必死になっておやりになっているわけなんですけれども、私はやはりこのことからかなりいろんな問題が出てきているというふうに思います。  それで、電電公社民営化による問題というのはこれからもかなり長期的にいろんな各方面から問題にされなきゃいけないし、分析もされなきゃいけないし、私どももさらに調査をしなければならないというふうに理解をしておりますけれども、具体例を挙げて、まずきょうはその初歩的な問題として当NTT自身、それからまた郵政省の御見解も伺っておきたいです。  それで、電話サービスを盛んに宣伝されていて、いろんなサービスがあることを宣伝されていらっしゃるけれども、私が今一つ問題にしたいのは、子供を対象にした宣伝にすごく力を入れていらしているんですよ。それは物によりけりで、そういうことを私は一〇〇%だめだと言うつもりはないですけれども、ここにも何かいろんなカードがあるんですけれども、その一枚、私も目につくのは、「靖子のラブリーダイヤル」だとか、それからこれは何ですか、「近藤真彦のテレホンサービス」だとか、これは「薬師丸ひろ子のテレホンサービス」とかね。まあとにかくいっぱいこういうのあるんですわ。それで、こういうのを例えば 小学校の下校時に、帰る子供たちに電話局の人が行って子供たちに配るのね。それで、例えばタレントの誕生日を教えて、そのタレントの誕生日にお祝いの電話、電報を出そうとかね。現実に本当にそういうところあるんですよね、やっているんですよ。で、そういうことはNTTとしては上層部もよく承知の上で、何でもいいと、とにかくトラフィックを上げればよろしいと、増収をすればよろしいと、子供でも何でも対象にして稼げということでおやりになっているのですかということを私はお伺いしたいわけ。「タニシのコロナキ」だとか「ハロージャイアンツ」だとか「源頼朝の声」とか——「源頼朝の声」というのはどういう声が聞こえるのかよくわからないけれども、「福澤諭吉の声」だとか、それからもう切りがないほどそういうことをいっぱい次から次へやっていらっしゃるのね。まずそういうこと、どうですか。
  204. 岩下健

    参考人岩下健君) お答えいたします。  先生御指摘のように、四月民営化を機会にしまして、従来もやってはまいりましたけれども、営業活動について、まあ職員自身の盛り上がりもございまして積極的な営業活動を各方面で展開していることは事実でございます。で、その場合に私どもの基本的な考え方としましては、まず何よりもお客様のサービスあるいは世の中の利便の向上に役立つということ。また二番目に、職員の働きがいといいますか、こういったものにつながるものでなきゃいかぬということ、と同時に、競争場裏での事業経営に資するということ、こういったところを基本に営業活動を展開しておるわけでございます。で、その場合に当然のことでございますけれども、法令を遵守する、あるいは公正競争を確保する。またお客様にいささかなりとも、結果的にせよ御迷惑をおかけすることがないようにするということ、こういったものを社会常識の範囲内において行うということは、これは当然でございます。  こういった考え方で進めておるわけでございますが、今御指摘の具体的な事例としての子供相手にテレホンカードを販売するということ、私自身実は事実関係としては掌握はしておりません。ただ、いわゆる小学校あるいは中学校と共同いたしまして、依頼を受けまして電話教室といったようなものを私ども職員が参りまして開催をするということはよくやっております。そういう中で、各種サービス説明する中で、このカード電話あるいはテレホンカードといったものの説明はしたことはあろうかと考えております。
  205. 山中郁子

    山中郁子君 いや、だから私はいろんなことを今申し上げたけれども、要するに学校帰りの子供たちに、タレントの誕生日に電話し、祝電を送ろうみたいなものを配るみたいな、そういう常識の範囲外のことはおたくはやっているつもりはない、やっているとすればそういうことはもちろんやめさせる、自粛させるということですね。そういうことを言ってください。
  206. 岩下健

    参考人岩下健君) 社会の常識で許される範囲内において行いたいというふうに考えております。
  207. 山中郁子

    山中郁子君 これからのこともありますから重ねて伺うけれども、今私が申し上げたようなことは社会の常識の範囲外ですね、そうでしょう。そこをちょっとはっきりさせてよ。要するに、学校帰りの子供たちにタレントの誕生日に電話をかけましょうみたいな、こういうものを配るというふうなことは社会の常識の外でしょう。
  208. 岩下健

    参考人岩下健君) 下校時の子供を相手にしましてテレホンカードをいわば売りつけるといったようなことは、これはもう常識の範囲外と思っております。
  209. 山中郁子

    山中郁子君 では改めて申し上げますけれども、私はさっきから売りつけるということは言っていないんです。「タレントの誕生日に祝電をうちましょう」というカード、こういうものを、ないしはチラシを小学校から帰る子供たちに校門のところでNTT職員がやらされているんですよ。そういうことはそれじゃいいの、いいと考えているということですか。
  210. 岩下健

    参考人岩下健君) 具体的な態様は私承知をしておりませんけれども、おのずからこういったものの販売のやり方については、いわゆる良識という言葉に尽きるかと思いますけれども、節度を持って行うべきであろうというふうに考えております。
  211. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、そういう誠意のない答弁に終始なさるならば、私はこれから引き続き逓信委員会で一つ一つ具体的な事例——実際にそれを指示した人、その他も含めて問題にせざるを得ないということを申し上げておきます。  それで、関連をいたしますけれども、テレホンカードを私今ここに、例えばこれ、自分のですけれども持っているんですね、五百円。この五百円のものをちょっときれいにつくったりなんかして八百円で売るとか、そういうことが実際に行われていることを私も承知をしておりますけれども、そういうこともNTTは推奨なすってやらせておられますか、端的に答えていただきたい。
  212. 岩下健

    参考人岩下健君) NTTの電話局の窓口で直接販売しております、いわゆる一般のテレホンカード、これはデザインカードと呼んでいるものとは別でございまして、NTT自身がつくった、デザインしたカードでございますが、これは五百円、千円、三千円、五千円と四種類ございまして、これはそのままの値段どおり、つまりプレミアムといったものはつけることなしに販売をしておるわけでございます。こういう標準カードといいますか一般的なカードのほかに、お客様が希望するデザインによって私どもがそれを承って調製をするというカードはございます。モデル・デザイン・カードとフリー・デサイン・カード、二つございますけれども、これにつきましてはデザイン料その他、実費をちょうだいをいたしますので、例えば五百円券の場合ですと、平均しますと六百数十円ぐらいに相当するかと思いますけれども、これは最低限の御注文いただく枚数が百枚、また、フリー・デザイン・カードの場合は一千枚といった単位で御注文いただいて、デザイン料その他の実費をちょうだいした上でこのテレホンカードの値段にそれを上乗せしましてお売りをしておるということでございます。したがいまして、私どもが一枚五百円のカードを八百円とか七百円とか、いわばプレミアムをつけて電話局で販売をするということはしておりません。
  213. 山中郁子

    山中郁子君 それではお調べをいただきたいのですけれども、「阪神五十周年」とか掛布——掛布って阪神の掛布選手のことなんでしょうね。それから「菊池桃子」とか「ハレー彗星」、「タイガース優勝」だとかそういうテレホンカードを、五十度数、五百円のをつくって八百円で売っているの。で、職員の人が売っているの。それはどちらかというと売らされるわけよね。社員の人たちはこのテレホンカードをノルマを課せられて本当にもう苦労しておられますよ。とにかく窓口でもその五百円券を八百円で売っているという事実もございますから、それじゃそういうことは絶対にないんだという今御答弁をいただきましたので、御調査をいただき、しかるべく御報告をいただきたいと思います。  それからもう一つは、「おしゃべり電話」ということで問題になりましたわね、これはたしか青森県の八戸でしたか。それで、まあかなり批判も浴びて、PTAからも抗議がきたりということでNTTとしては考える。つまり複数電話というんですか、そのことについてはどういうふうな検討をされて、それでどういうふうにおやりになるのか。何かちょっと制度をいじって、変えて、新たにまた東京でもやるというふうにも伺っているんですけれども。余り時間とらないで結構ですけれども、教えてください。
  214. 岩下健

    参考人岩下健君) このサービスは不特定多数の方がいわば自由に会話を楽しむという趣旨で、外国にも例がございましたので、この七月でございますが、日本でもさしむき実験的に青森でも始めたわけでございます。始めましたところが、非常に若い方、まあ中学生あるいは高校生の方に人気が集まりまして、かなりの利用がございまし た。その後、青少年のいわゆる非行といいますか、の温床にもなりかねないというような御指摘もございましたので、私ども、教育関係の方々とも御相談をいたしまして、またお客様にも御相談をいたしました結果、十月の半ばからはこのようにやり方を改めました。つまり、若い人向けにつきましてはグループごとに前もって予約をいただく、また予約した時間内でグループ単位で時間を決めまして、特に深夜帯、午後十時から午前七時まではやらないということで通話をしていただく、またマスメディアを用いたPRはしないと、こういった形のものを十月の半ばから方法を改めまして現在実施をしておるわけでございます。  現在のところ御利用になっておりますのは、これは青森地域の中の各種の同好会の方、あるいは肢体不自由の方の団体の方、あるいは老人クラブの方等が御利用になっておるというのが実態でございます。
  215. 山中郁子

    山中郁子君 私この点について細かく今議論している暇がないのですけれども、一つだけちょっとやっぱり問題提起しておきたいのは、この方式は機能的に第三者が聞けるものですよね。で、通信の秘密ということとの関連でどうなのかということを私は本質的な問題としてちょっと提起したいんですね。その点はどうお考えですか。
  216. 岩下健

    参考人岩下健君) このサービスは本来的に複数の方々に自由に御利用いただくというものでございますので、御利用するお客様自身が通信の当事者になっておるわけでございます。つまり、御利用するお客さん御自身が不特定多数の方と会話をするということを前提に、話の広場といいますか、に参加をされるわけでございますので、利用者のおのおのの方が通信の当事者になっておられるということから、通信の秘密の侵害には該当しないというふうに私ども解釈をしておるわけでございます。
  217. 山中郁子

    山中郁子君 私今申し上げるのは、機能的にというのは、つまりその番号をだれかが知れば、そこにかければ聞こえるわけね、第三者が、加入者以外の、メンバー以外の人がね。そういうシステムなわけでしょう。だから、そういうことが機能的にできるシステムだということを私は申し上げているんです。そのことについては全く問題なしとされていらっしゃるのかどうかだけ伺っておきましょう。また引き続き私の方はそのことについてはお伺いいたしますし、郵政省の御見解もちょっと聞いておきたいところですから。
  218. 岩下健

    参考人岩下健君) このサービスは予約制をとっておりますし、特定の番号、これは局番プラス加入者番号でございますけれども、この番号は予約をなすった、つまりエクスクルーシブな、そこに参加をされる方にしかこの番号は通知をしないといいますか、御存じないわけでございますから、全然関係のない方がそこに入ってくるということはないというふうに考えておるわけでございます。
  219. 山中郁子

    山中郁子君 それでは時間がないので。ちょっとかみ合っていないんです。私の言うのは、昔はそういうことがない時代は電話局で、例えば業務上必要によって割り込みみたいなのがありますけれども、今度のシステムだと、結局その番号さえわかれば普通の人も割り込めるわけなんですよね、そのグループが何番かの電話番号でもってできていると、登録されているということを知れば。知る可能性というのは常にあるわけでしょう、だれかがしゃべることだってあるしね。そういう可能性は大いにあると。その場合には実際にこうやってダイヤルすれば聞けちゃうわけよね。そういう意味で通信の秘密というものの保障ということとの関係ではどうなのかということを今私お尋ねしました。でも御答弁がちょっとかみ合わないので、これはまた次の機会にさらに深めていきたいと思います。  それで、あわせて最後郵政省にもちょっと御意見を伺いたいということで今あれしますけれども、例えばさっきのテレホンカードもそうですけれども、ノルマを課して、中には一人百枚とにかく売れということで、やっぱりもう売るところもないと、それでサラ金からお金を借りて自分で結局買うというような社員も出てくるし、実際そうなんですね。そういう人がいるの。  それから、これは局の中で関東総支社の幹部の発言ですけれども、訓練のところで豊田商事に学べといって演説したんですよ。本当に私も正直に言って、かつてこのNTTの前身であります電電公社で働いた経験を持つ者ですけれども、情けないです。豊田高まって何ですか、一体。あれは商売でも何でもない、詐欺でしょう、犯罪でしょう。その豊田商事に学べといって、そして職員を集めて大演説をぶって、そして幹部がそういうことをやって、それで電灯に赤いセロハンをかけて会議室みたいなところに閉じ込めて、これからセールスに行く人たちを集めて、そして部屋の中を真っ赤にして、それで全員で、「売ってくるぞと勇ましく誓って局を出たからは手柄立てずに帰らりょか」と歌わせるんですって、そしてセールスに出すんですって。実際にやっているんですよ、これ本当に。私最初から、子供たちを相手にターゲットにしてということは、一体公共性の大事な業務に携わるNTTとしてはどうなのかということを申し上げた。  今も私あえてこういうことを申し上げるのは、本当にNTTをやっぱり国民の立場に立ったものとして発展させなきゃいけない、民営化問題いろいろ私ども議論はありました。だけれども、とにかく今こうなったらやっぱりそういう事態のはずでしょう。それを決してよしとしないでしょう。そこについての誠意ある首脳のやっぱり考えなり反省なりを伺いたいの、一言でいいですよ。それと、郵政大臣にも今私が幾つか申し上げましたから個別でなくて結構ですけれども、郵政省としての御見解をお伺いいたしまして、終わります。
  220. 岩下健

    参考人岩下健君) 販売にあるいは営業活動についての基本的な考え方は冒頭お答えしたとおりでございます。したがって、そこに働く職員が喜んで日々業務に打ち込めるようなそういったものでなければいかぬというふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のような事例というものは私ども考えましても決して好ましいものだとは考えておりません。
  221. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) NTTにおきまして特殊会社に移行して後、事業本部制をとるということでいろんな積極的な営業活動をしていただいている、これはそれでいいわけでありますけれども、この営業活動につきましては、やはり社会的に許容される良識の範囲というものが私はあるべきだと思う。その範囲内で行われるべきものだと、このように考えます。  今回の電気通信改革の趣旨にかんがみまして、ほかの事業者等の間の公正な競争を確保しなければなりませんし、いろんなそういった問題もありますので、今後ともNTTの経営陣が社会的使命というものを十分自覚して行動していただくように我々は期待いたしたいと、このように考えます。
  222. 田英夫

    ○田英夫君 それでは、電気通信の問題あるいは放送の問題いろいろ伺いたいことがあるんですけれども、まず最初に、奥田前郵政大臣にも申し上げたんですけれども、ひとつ電波行政の基本的な問題、姿勢として左藤郵政大臣に伺っておきたいんですけれども、民主主義の社会では言うまでもなく電波は国民のものだということだと思います。ただ電波の場合は、自由勝手に使いますと混信による混乱を招くということがありますから、だれかが交通整理をしなければならない。電波は国民のものであって、それを使う場合にだれかがコントロールしなければならないということになれば、そのだれかというのは一体だれが一番適切なのかという最も基本的な問題ですけれども、左藤郵政大臣はこの点はどのようにお考えですか。
  223. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 先生御指摘の点につきましては、アメリカでは独立行政委員会ということでFCC——フェデラル・コミュニケーションズ・コミッションですか、これがございまして、我が国においてはもうやはり昭和二十五年の電波法、放送法の制定から昭和二十七年にかけまして の間では、電波行政を所管するのは行政委員会でありますこのアメリカの方式に倣って電波監理委員会設置されていたところでございます。その後、電波監理委員会から郵政省の所掌に電波行政が移りまして、独任制の行政機関に所掌されるよりも責任体制をもう少し明確化するとか、あるいは事務処理の簡素化を図るとか、そういったことから現在は、郵政省電波法四条によりまして無線局の免許の権限が郵政大臣に限られている、こういう形をとっておるんだと思いますが、その場合にも、やはり先ほど御指摘のようなそうした言論、報道の自由とか、独立の立場とか、そういったことを十分反映できるような形で電波監理審議会というものを設置されまして、電波行政に関します重要事項、特に放送局の免許とか、そういった問題については必ずかけなければならない、こういうような方式をとっておりますので、私はその間におきましてやはり諮問を申し上げ、そこでその議決を尊重しなければならないという形は、やはりこの電波監理審議会の先生方が民間の広い知識とか経験とかというものを有せられる方々の御意見であるわけでありますので、こうした点が十分反映されるのではないか。そういう意味で、現行制度を特に変えなければならない理由は私はないのではないか、このように考えます。
  224. 田英夫

    ○田英夫君 ところが現実には、郵政大臣が電波法第四条によって免許の権限を持っておられるというそのこと、そして十三条で再免許ということが規定をされている。このことが、きつい言葉で言えば電波行政の諸悪の根源であるとさえ言えるほどの問題になっていると思います。このことは、これからも恐らく言い続けなければならないと思いますので、きょう短い時間の中で現実に起こっている一つ一つの問題を言うことはやめておきますけれども、ごく最近の例で言えば、きょうの委員会片山委員が取り上げられましたいわゆるテレビ朝日のやらせの問題、このこと自体はまことに遺憾なことであって、その点についてはもはやそれ以上言う必要はない。テレビ朝日だけではなくて、放送局全体あるいはジャーナリズム全体の問題として、言論の自由を守っていくという立場から極めて遺憾なことだと思います。しかし同時に、その事件が発生した後、左藤郵政大臣が田代テレビ朝日社長を呼ばれて警告をされたということを承知しているんでありますが、これは今申し上げたことに関連をして、私はこれまたまことに遺憾なことだと申し上げておきます。電波法第四条があるから、その法の精神によって郵政大臣がそういうことをやられたと。郵政省並びに大臣のお立場からすれば極めて適切なことであり、当然なことだとお思いになるかもしれませんが、私の観点から言えば、第四条そのものが民主主義の観点からして間違っていると思っているわけですから、その立場からするならば、郵政大臣が一テレビ局の社長を呼びつけてしかり飛ばすというような、そういうお上のやり方は電波行政における民主主義の精神に反すると言わざるを得ませんので、この点は私は極めて遺憾であるということを言わざるを得ない。大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  225. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 現行の電波法または放送法とかそういった精神から見まして、例えば先ほどの問題につきまして、私らの方としましては、やはりそうした番組の中に介入するとかそういうことは毛頭考えておりませんけれども、今の放送番組審議会というようなものが、そういうものが設けられておるのにもかかわらず、そういったものが十分機能していないということについては、やはりその放送事業者のもう少し責任においていろいろ検討していただきたいと、そういうことを御要望申し上げることは私は差し支えないんじゃないか、このように考えております。  今の先生のお話のようなことで、一応電波の有限、貴重な国民共有の財産を公平かつ能率的に利用を図るという、そういう見地から見まして、混信による妨害を生ずることのないように、そして一つの秩序づけるための現行電波法四条というものが、そしてそれが今申しましたようなことで、電波監理審議会に諮問をしなければならないというふうに規定されておる、そうした現状から考えまして、私は電波法四条というのは改正する必要はないのじゃないか、このように考えております。
  226. 田英夫

    ○田英夫君 例えばテレビ朝日の問題が生じたときに、郵政省の真意はわかりませんけれども、報道の上では、郵政省は再免許について、つまりテレビ朝日に再免許を与えるかどうか考慮せざるを得ないという状態になるのではないかという記事がありました。つまり、十三条というものがあるためにそういう推測が出てくると。私自身の体験の中でも、かつてもう二十年近く前のことですが、TBSに対して時の自民党幹事長が再免許を与えないこともあり得るという発言をされて問題になったことを体験しております。こういうことが出てくること自体一種のこれが恫喝の道具になると言っては言い過ぎかもしれませんけれども、あってはならないことだと思います。  そこで、かつて昭和二十五年から二十七年まではFCC方式であったが、その後現行のようになって郵政大臣が免許権を持っていると、しかし電波監理審議会があるから、そこで有識者によって諮問にこたえて答申が出てくるので民主主義的だという意味のお答えがあったと思いますが、それでは一体その電波監理審議会というのはどういう役割を果たしているのかということを伺いたいわけです。  それに入りますに当たって、今ちょうどまさにそれに沿って十一月三十日で申請が締め切られた東京と大阪のFMの第二局の免許についてですけれども、現在どのくらい申請が出されているか、おわかりになりますか。
  227. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 東京と大阪の民放のFMの第二局目の申請状況でございますが、東京につきましては十一三十日で締め切ったところ四百九十五件、それから大阪につきましては二百四十七件の申請が出ております。
  228. 田英夫

    ○田英夫君 実はそれをここにいただいて、こんなに膨大なものですね。四百九十五、それを見ますと東京の場合とにかく種々雑多など言っては失礼ですけれども、デパートから電鉄会社からあるいは極めて個人的なものに至るまで四百九十五。大阪が二百四十七ですか、これは一体、一つに絞るわけですね、どうやって絞るんですか。簡単で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  229. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 両地区における申請を締め切ったところでございますが、今後これら相当数に及ぶ申請につきまして電波法第七条、それからこれに基づきます郵政省令でございます放送局の開設の根本的基準に基づいて審査を行うことになります。その場合、放送の公正かつ能率的な普及を図る観点から、従来よりも地域密着性の確保、それからメディアの集中排除、こういったことを基本として審査することになります。
  230. 田英夫

    ○田英夫君 当然電波監理審議会に諮問をされることになるわけですね。
  231. 森島展一

    政府委員(森島展一君) さようでございます。
  232. 田英夫

    ○田英夫君 今、審査の基準のようなことをちょっとおっしゃったんですけれども、それだけのことで四百九十幾つですか、ほぼ五百に近いものを一つに絞るというのは人間わざじゃできない至難のわざだと思うんですけれども、それをおやりになる。これは郵政省で大体絞って一つにする段階で審議会に諮問をされるのか、ある程度絞ったところで諮問をされるのか、この辺はどういうことになるのですか。
  233. 森島展一

    政府委員(森島展一君) この申請、十一月末で締め切ったばかりでございますので、またこれを例えば一本化調整を行うかどうか、そういった点はこれから検討していきたい、こういうふうに思っております。
  234. 田英夫

    ○田英夫君 しかし、東京の民放第二局をつくるわけですから、幾つもつくるわけじゃないでしょう。一つに絞らざるを得ない、大阪の場合も。この問題だけじゃなくて、UHFも七つの県がでさらにつくろうという、東京も民放のFMをつくる うという計画もあるやに聞きます。いずれにしても、放送局の免許という問題で、こんなにたくさんあるものを郵政省が絞る、一つにする。さっき申し上げた精神からして、御自身はそういう意思はないかもしれませんけれども、郵政省とか郵政大臣というのはつまり権力の側なんですよ。権力なんですよ。民主主義の社会でそういうものが、こんなもの、みんなやりたいという人が五百出てきたところを一つにしますよと、あなたですよと絞る権限があっていいかどうかということを考えていただきたいのですよ。それで、さっきの大臣の答弁だと電波監理審議会があるからそこに諮問すればいいんだと。諮問するときは一つになっているわけでしょう。一つにする作業はお上の方がやるんですよ。権力の側がやるんですよ。それでいいですか。
  235. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 一本化にするという例が従来の放送局の申請で多いわけでございますが、電波法の基準からいたしまして優劣を判断するいわゆる競願処理、こういう方法もあるわけでございまして、これについて具体的に東京、大阪のFMについてどうやるかは、先ほど申し上げましたように、これから至急検討したいと思っております。
  236. 田英夫

    ○田英夫君 この問題は重大な関心を持ちながら見ていくということを申し上げておきたいと思います。  そこで、電波監理審議会というものが一体どういう働きをしているのかということを知りたいのですね。これは今の大臣の御答弁でも非常に重要だと思います。電波監理審議会の議事規則第六条によりますと、「会議の議事は、議事録に記録しなければならない。」というふうに規定をされておりますから、当然議事録があると思いますが、その議事録を資料として提出していただけますか。今年になってからので結構です。
  237. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 電波監理審議会の議事録につきましては、従来も外にお出ししておりませんので、そういうことで御了承いただきたいと思います。
  238. 田英夫

    ○田英夫君 その辺でもう実に郵政省の姿勢がはっきり出てくるわけですよ。まさに民主主義じゃないんですよ。私はこの点は今の御答弁で引き下がるわけにいきませんね。電波監理審議会というのは、大臣の御答弁は後で速記録できちんとさせながら別の機会に改めてまた御意見を伺いたいと思いますけれども、議論をしたいと思いますけれども、明らかに電波法四条を改正するつもりはないということを繰り返しておっしゃった。現行法の制度で民主主義的だと思うという意味のことをおっしゃった。だったらその電波監理審議会の議事録を国民の前に公表するのは当たり前じゃありませんか。国民の前にということはこの逓信委員会ですよ。この逓信委員会にもその議論の内容は出せないで何が民主主義ですか。  大臣、改めてお聞きします。この議事録出してください。
  239. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 電波監理審議会自身の御意思もございますので、そういった点をお伺いした上でお答えを申し上げたいと、このように思います。
  240. 田英夫

    ○田英夫君 このことはあくまでも要求をいたしたいと思いますが、電波監理審議会の何を審議したかという項目を見てみますと、多いときには十八項目、これはことしの十月二十四日の審議会では、「日本放送協会所属中波放送局等の再免許について」というのから始まって十八項目ありますね。しかも、聞くところによると多くの場合は諮問して即日答申、こういう例が大部分であるというふうに聞きますけれども、それは事実ですか。
  241. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 電波監理審議会におきましては、「電波及び放送の規律に関する事務の公平かつ能率的な運営を図るため、その事務に関する事項を調査審議」することを目的として設置されておるわけでございまして、郵政省令の制定、改廃、無線局の予備免許、その他の処分等、こういった必要的諮問事項と申しておりますが、このほかに免許方針の策定、変更等の重要な政策の決定に当たりましては審議会の判断を求めておるところでございます。  先生御指摘のように正式の諮問と答申が同日ということもございますけれども、このような場合は、審議が円滑かつ十分に行われますように委員に対しまして事前に資料を提出いたしたり説明をいたしたりしておりますので、御心配のような審議会が十分審議を尽くしていないんではないかというようなことはないと考えております。
  242. 田英夫

    ○田英夫君 要するに私の理解では電波監理審議会というのは、何というんでしょうか、隠れみのと言ってはおかしいですけれども、民主主義の形をとっているということの言いわけの道具にしかすぎないという気がしてなりません。したがって、その審議は極めて形式的であり、形骸化している、だからこそその内容を国民の前にオープンにするわけにいかないから議事録を出さないんだと、こう考えるのはいささか行き過ぎでしょうか。私はそういう気がしてなりません。一人一人の審議会の委員の方の当否を申し上げませんけれども、最近選任された方の中には私の親しい友人もおります。したがって、その内容を聞こうと思えば聞けるでしょう。しかし私は、そういうってを通じて知るんじゃなくて、民主主義ならば国民の前にこの審議会の討議の内容というものは堂々と公開されてしかるべきものだ。それが本当の民主主義だと思います。この点は改めて機会がありましたらさらに議論をしていきたいと思います。  そういう意味で、もう一つ、九月の四日に東京都の港区にあるいわゆるミニFM局、KYFM放送局というのが警察の手によって摘発をされました。若者が二人、電波法違反、こういうことで逮捕されておりますが、通常こういう場合には注意とか指導とかいうことがあって、つまりミニFMと言われている電波よりも到達範囲並びに電波の強さが大きいぞと、こういうことを言ってから、まあ逮捕ということは初めてですけれども、まず注意をすべきじゃないかと思いますが、なぜこの場合はいきなり告発をし、警察が逮捕ということになったんでしょうか。
  243. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 通例の場合、先生お話しのようにミニFMにつきまして法令に違反をしているということを確認した場合、原則としてまず指導を行うということにいたしております。しかし、指導に従わないというような悪質なものにつきましては、電波利用の秩序の維持を図るというために告発を含めた厳正な措置をとったというところでございます。  今回のミニFM、御指摘のございました事案につきましては、調査を私ども進めました結果、郵政大臣の免許を要しないこととされております許容値がございますが、その許容値の約三百倍以上に当たる強力な電波を発射しておるということ、しかもその放送の中で違法な放送を行っているということをみずからが宣伝をしているということもございました。こういった悪質である、違法であることを十分承知して放送を行っていたというものでもございますので、私ども恐らくは警告、注意等を行っても法令の遵守について期待をするということはできないであろう。また、そういうことをやりますと、そこの場所ではやめても、また次のところでやるというような事例もございます。したがいまして、私どもそういう今申し上げましたようなことで、指導を行うということでなしに直接の告発というものを警察にお願いをしたということでございます。
  244. 田英夫

    ○田英夫君 この事例の場合は確かに放送の中でそういうことを言っていたということがあるようですけれども、基本的に考えたときに、冒頭申し上げたように民主主義社会では電波は国民のものである、本来は自由に使えるべきものである、しかも高度情報化社会ということになってきた中で、しかもニューメディア時代という中で、どんどんこういうミニFMというような志向は強まってくるだろうというふうに思います。それをお役所が、お上がとにかく取り締まるとか、規制するとかいうのは逆じゃないかと。ミニFMが百メートル十五マイクロボルトというのは一体どういう 根拠で決められたのか。まあ恐らく混信を防ぐということのために決めたんだとおっしゃるでしょうけれども、それが百メートルが五百メートルになったらどうなんだと。東京あたりの住居が密集しているところでは五百メートルになるとかなりその中ではミニFM的なことをいわば若者が楽しめる、そういう許容範囲ができてくるだろうと思いますね。その辺のところをどういうふうに基本的にお考えなのか。電波は自由だから混信が起こらない限り自由にやっていいんだというふうにお考えなのか、いや、できる限りそういうものは小さく、百メートル以内に抑え込んでしまって混信がないようにするんだ、そんなことをとにかく勝手にやらせることはできる限り抑えるんだという精神なのか、基本的にはどっちですか。
  245. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 私ども、今先生御指摘のように、無線局の免許を要しない電波の利用ということについての範囲というのを決めております。それは、御指摘のように百メートルの距離で十五マイクロボルト以下ということでございます。その範囲であるならば自由にいろいろな無線局として電波を利用することができるということでございまして、それ以上のものにつきましてはどうだと言いますと、電波の利用につきましてはいろいろ今要望がございます、需要がございます。家庭内あるいは校内における電波の利用ということにつきましても技術の革新等を踏まえまして多様化してまいってきております。したがいまして、ミニFM自体について見まして、このぐらいならばよかろうということに決めるということにいたしますれば、その範囲はほかに電波が使えないという規制をしなければならないという約束がございます。したがいまして、私どもとしましては、今ある秩序の中で自由に何の規制も受けずにやっていただくミニFMというのは、今の免許を受けない範囲でやっていただく、それ以上につきましてはいろいろな要望を踏まえて自由に電波というものがもっと国民の利用になるような形で利用してもらうように、私どももいろいろ環境整備なり等というものはむしろ積極的にしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  246. 田英夫

    ○田英夫君 時間がなくなりました。  もう一つ伺っておきたいのは、やはり新しいニューメディア時代になってきた中で一つ問題が起こって最近新聞にも出ておりましたけれども、つまり通信放送との境界線が次第になくなってきているということの中で、つまりCATV、さっきも服部さんですか、お話しになっていましたが、CATV局をつくろうとしても、実際には道路に線を埋没しなければならないということの中で建設省との間でいろいろ問題があって容易にできないということが今起こっていますね。そこで、NTTの回線を利用してCATVをつくろうという要望が出てきたところが、郵政省の方はそれは有線テレビジョン放送法に違反するからだめだとおっしゃっているということが伝えられておりますけれども、これは事実でしょうか。
  247. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 私どもが承知していますところでは、CATV事業を計画しておられる方はほとんど例外がないと言っていいぐらいやはりCATVのケーブルをみずから設置するという計画をお持ちでございます。  その理由といたしましては、みずからケーブルを持ちますと、一つには、減価償却後にはビジネスとして大きなメリットが出てくると、ケーブルが自分のものでございますから。それから二つ目には、第一種事業の展開ということを含めまして多種多様なサービス、この展開ができるということ。それから三番目には、当然のことでございますが、ほかの事業経営者の経営状況というようなことには左右されずに自分の経営を展開できる。こういった点でやはり自分のケーブルを持ちたいという計画がほとんどでございます。  今申し上げましたのはCATVの事業者側から見たものでございますけれども、私どもとしましても今後高度情報社会におきましては多層的、多元的なネットワークの構築といったことが要請されるものと考えておりまして、CATVにつきましてもCATV事業者みずからが地域ネットワークを構築していくということが適当であろうというふうに考えております。  有線テレビジョン放送法におきましても、CATV事業者がみずから施設を設置するということを前提として法律ができておるところでございます。  ただ、以上はCATVの地域ネットワークということに関してのものでございますが、この長距離回線に関しましては、CATV事業者が番組の供給を受けるというような点で、あるいは他のCATV事業者に番組を供給する、こういった面で第一種事業者の回線を利用するということは十分あり得もことでございますし、こういった点ではCATV事業、それから第一種電気通信事業との協調と共存ということは大いに可能であろうというふうに考えております。
  248. 田英夫

    ○田英夫君 もう時間が参りましたけれども、今のお答えでちょっとあいまいですけれども、要するにこういう新しい時代になったら、本当にCATVがもっと発展しなければ、放送衛星をせっかく打ち上げても、それを受け取る側が各戸ごとに三十万円のアンテナをつけなければならないというようなことの中で容易にこれが広がらないと。CATVがもっと普及すれば衛星放送との関係でもいいと。普及させるためには埋没さしていたのじゃ、回線を埋没させることが不可能でなかなか進まないのじゃ発展はしないと、それならばやっぱり既存の回線を利用したらいいじゃないかというまことに簡単な論理でありまして、もし有線テレビジョン放送法が古い考え方でできているのなら法律の方を変えりゃいいのでありまして、新しい時代に即応するようなそうした鋭敏な神経で郵政省もやっていただかないと、非常な速力で発展をする今後に追いついていかないのじゃないかという気がいたします。  きょうはいろいろ申し上げましたけれども、ほとんど結論を出していただけませんでしたが、次の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  249. 大森昭

    委員長大森昭君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時散会      —————・—————