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1985-12-19 第103回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十九日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員の異動  十二月十九日     辞任       補欠選任      峯山 昭範君     田代富士男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増岡 康治君     理 事                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君     委 員                 井上  孝君                 岩上 二郎君                 上田  稔君                大河原太一郎君                 加藤 武徳君                 金丸 三郎君                 上條 勝久君                 出口 廣光君                 上野 雄文君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 中野  明君                 神谷信之助君                 抜山 映子君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君        自 治 大 臣  古屋  亨君    政府委員        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        自治大臣官房長  津田  正君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        消防庁長官    関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        総務庁恩給局恩        給問題審議室長  鳥山 郁男君        大蔵省主計局主        計官       中島 義雄君        厚生省年金局年        金課長      谷口 正作君        自治省行政局公        務員部福利課長  松本 英昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付) ○国庫補助負担率引下げ措置に関する請願(第  四〇号) ○国庫補助負担率引下げによる地方への負担転  嫁反対に関する請願(第七三号) ○地方財政対策の強化に関する請願(第三九七号  ) ○職務執行命令訴訟制度に関する請願(第三九八  号) ○住民税課税最低限引上げに関する請願(第四  八二号外一二件) ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対に関する請願(第八二九号) ○地方税法人均等割税額の軽減に関する請願(  第八四六号外一件) ○地方公務員等共済組合法の一部改正案反対に関  する請願(第一〇九一号)     —————————————
  2. 増岡康治

    委員長増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まず、消防庁からいきましょう。  消防職員の五十五歳特例廃止に伴う措置について、先般十二日の際にも議論したんですが、その。中で、労働環境整備を急ぐことということについて、長官から前向きに検討したいということで、ただそのやりとりの中で、私の聞き違いかもしれませんが、まだ十五年間あるからその中で十分対処していきたいというようなお話があったと思うんですけれども、しかしこれは今三十二、三歳のだんご状態の人が十五年後にはもう五十近くなる。そこで処理されたんじゃ、これはもう本人も例えば一般職職場についても事実上私は役に立たないと思う。そうじゃなくて、この処理早目にやっていかなきゃならぬ。そうすれば少なくとも一歳を三年で引き上げていくわけですね、この一歳三年の間にこれらの処理を終わってだんご状態を解消するような手だてを出していかないと、仮に一般職場に行っても役に立たないだろうし、同時に新規採用も始めていかなきゃならぬ。定数枠は決まっている。その中で新規採用をしていこうとすればどうしても上を早く処理していかなきゃならない、こういう性格のものだと私は思うんですね。ここら辺の問題についてどういうお考えを持っておるのか。いわゆる環境整備と言いますが、一口に言えば年齢構成環境整備というか、なだらかというか、ピラミッドとはいきませんけれども、そこら辺の問題があると思うんで、これについて消防庁見解を承っておきたい、こう思います。
  4. 関根則之

    政府委員関根則之君) 年齢特例制度廃止に当たりましては、その一方にあります定年消防職員についても実質上六十歳まで安心して勤めることができるようにしていきたい、こういう考え方が実は基本であるわけでございます。したがって、その環境整備のためには、もちろん暫定期間として全体で十五年ありますけれども、十五年後にそれがきれいに整えばよろしいという考え方をしているわけでは決してございません。できるだけ早くいろいろな条件の整備を図りまして、六十歳定年制実施及びそれに関連いたしまして支給開始年齢を六十歳に上げる、こういうことがうまくスムーズに移行できるようなそういう努力早目早目にやっていく必要があるものというふうに考えておる次第でございます。
  5. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 具体的には三年以内と、こういうことでそのルールから、それから交流の方法、こういったものについて計画を樹立する、そして実施に移す、こういうふうに理解していいんですか。
  6. 関根則之

    政府委員関根則之君) 年齢構成の問題というものが特に組合消防において重要な問題となってくるという認識を持っているわけでございます。今御指摘のありました人事交流推進につきましては、消防庁といたしましては、それぞれの消防本部において、地域の実情に応じまして、市町村当局協力を得つつ積極的に対処すべき課題であるというふうに考えております。  現に、一部事務組合を含めまして消防本部の中には、消防職員年齢構成等を考慮いたしまして、市町村長部局配置転換実施しているところもございます。また、全国消防長会においても、この問題につきましては、高齢化を迎える消防職員人事管理あり方の重要な課題といたしまして既に検討を開始しているところでございます。  消防庁といたしましては、全国消防長会協力をいたしまして、消防職員市町村長部局への配置転換等を含めまして適切な人事交流あり方について検討を進めまして、両三年中にはその考え方を示しますとともに、消防職員年齢構成ができるだけ適正なものとなりますよう必要な指導助言を行いたいと考えております。
  7. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 両三年の間に目標を定めて出すということで了解しますが、問題はおたくのそういった会議、それから方策を決めていく過程を見ますと、主として消防長会議というのがその場になっていますね。これはあなたも御存じのとおりに、消防長というのは警察署長上がりか、または役場の古手の課長か大体そういうところが消防長ですよ。ですから、プロパー消防職員から上がった消防長というのはほとんど少ない、こういう実態に置かれている。ですから、プロパーのことについては、今度の問題はいわゆる体力錬成とかいろいろございますように、経験を経ていかないとなかなかつかみにくい要素もあるわけですから、いわゆる協議、それから決定、そして推進という体制を議論し、決めていくところは、私はそういうプロパー皆さんが参加する中で決めていかないと意味がなくなってくるのじゃないかという気がするんです。  そういう意味で、民主的な場というものをどういうふうに考えておるのか。例えば安全委員会とか衛生委員会というのは大体プロパー人たちが出ますね。これを見ますと、消防庁努力もあって、五十三年、四年ごろにはほとんどゼロの状態であったのが五二・一%までなっておることについては努力の結果だと思うんですけれども、全体にはまだできていない、こういう状況にある。したがって、そういう民主的な場というものをどう考えておるかということとあわせて、こういう安全委員会を早急に全消防、特に組合消防を含めて確立していく、こういった手だてが私は必要じゃないか、こう思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  8. 関根則之

    政府委員関根則之君) 消防長は、確かに発足後日の浅い消防組合消防等においては特に多いものですから、たたき上げのといいますか、長いこと消防職員として勤務した人が消防長になるというのは比較的少ない、これは御指摘のとおりであります。しかし、当然職員を指揮し、職員の力によりまして消火活動を初め各種の消防活動を展開していかなければいけないそういう一つ部隊組織であります。消防長といたしましては、当然部下職員職務環境でありますとか、あるいは職員の物の考え方、希望、そういったようなものを的確にくみ上げて、現実に的確に対応していくことによって初めて消防としての機能も十分に発揮できるのでないかと思います。そういう意味におきまして、消防長ないしは消防長をサポートする幹部の皆さんには十分部下職員の意向をくみ上げるように、そういう機会をどんどんつくっていくように、そういう指導をしてまいりましたし、今後ともそういう指導を続けていきたいと思います。  御指摘のございました安全管理規程等整備状況でございますけれども、これにつきましては御指摘のありましたように現在ここへ来て急激に整備率は上がってきておると思いますが、しかし、五二%程度にとどまっております。できるだけ早くこれをすべての消防本部につきまして整備を進めていきたいというふうに考えておるところでございますし、そのために現場におきまして安全責任者を設置いたしますとか、あるいは安全担当者をきちんと設けておく、また職場におきまして安全関係者会議というようなものをつくりまして、関係者意見をよく反映さして安全管理規程に結実さしていく、そういったようなことも努力をするよう指導していきたいというふうに考えております。
  9. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひそういうことをお願いしておきたいと思います。  そこで、今言った環境整備の問題というのは消防庁だけではなかなかできるものではなくて、先般私は、市町村長に対する自治省の全面的な指導協力がないとということでお尋ねして、公務員部長から同感という意味での努力のあれがあったのですが、ここは自治大臣、あなたも総括責任者として、今、消防庁長官の御答弁なさった内容について市町村指導を含めて全面的に自治省としても本格的に取り組む、この点をひとつ明確にしてほしい。
  10. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今、先生の御指摘の点につきましては、私ども消防庁の対応を踏まえまして、自治省内各部局相携えまして適切な人事交流が行えるよう必要な助言指導を行ってまいりまして、今後、御指摘のような点につきましては私ども早速十分留意をしてまいりたいと思っております。
  11. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、この問題で一つだけ残るのは、特例廃止になると当然これは今の消防職員共済掛金の割高の部分、これについては手直しをしなきゃならぬ。一般共済組合員と同じように平準化しなきゃならぬ。ただ、財源調整は六十四年になっておりますけれども、私は、特例廃止になったけれども掛金だけは六十四年以降も続いたのではこれはどうにもならぬ、やはり六十一年四月一日施行と同時にきちっと処理すべきだと思いますが、これはいかがですか。
  12. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 特例廃止が認められましたら、財源率の問題が早晩出てくるだろうと思います。具体的には共済組合連合会の中でそういう議論が出てまいると思いますが、連合会の中で話がまとまり、運営審議会の議を経て決定されるというような雲行きになりましたら、私たちの方も自治大臣の承認ということになりますので、現在のところそういう話がまとまれば私たちの方はその方向で対応できるんだろうというふうに考えております。
  13. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうことで、要約すれば六十一年四月一日改正法施行と同時にきちっと整理をしたいということで受けとめていいんですか。
  14. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 共済組合連合会の中でそういう話がまとまりましたら、私たちの方もそういう方向処理できるだろうと思っています。
  15. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。しかし、この法案過程の中には連合会は出ていないわけですから、そういう責任を持って指導も含めて完全に処理ができるようにぜひお願いしておきたいと思います。よろしいですね。  そこで、引き続いてちょっと確認を行っておきたいと思うんですが、支給開始年齢の問題について自治省見解を聞いておきたいと思うんですけれども附則では六十歳、本則は六十五歳となっているんですね。しかし、この共済皆さん御存じのとおりに、また公務員部長も先般の答弁の中で言っているように、退職年金ですよね、まさに退職後の所得保障。そういう性格からいきますと、定年制は今六十歳です。何ゆえに本則を六十五歳にしたのか。同時に、定年制延長がない限り六十歳支給というこの原則を変えないと確約できるのか、この点いかがですか。
  16. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今回の規定の仕方というのは厚生年金に合わせて規定をしたわけでございますけれども厚生年金の方の審議過程議論を聞いておりますと、基礎年金というものを今回導入することにした、その基礎年金が六十五歳支給だということでそれに合わせたという議論衆参両院社会労働委員会で行われておりましたけれども、そういうことで厚生年金をお決めになりましたので、公的年金一元化ということでできるだけ規定の仕方も合わせていこうということで同じように規定をしたわけでございますけれども、この支給開始年齢六十歳から六十五歳に上げるのか上げないのかという議論はいろいろなところで実は私たちもお聞きしております。考え方といたしましては、やはり年金というのは雇用情勢との関係を考慮してその支給開始年齢というものを決めるべきものだというふうに基本的に考えておりますので、正直に申しまして今のところまだ、これから十年間かけて六十歳にするということでございますので、その先に六十五歳にすると か何とかということは全く考えておりませんけれども考え方はやはり雇用とのドッキングというものを基本的に考えていくべきだというふうに思います。
  17. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、国民年金との関連で六十五歳というのがあったとしましても、私は、今あなたの主張から言うなら、この共済については本則附則も六十歳、こういうふうにきちんとした方が今あなたの趣旨から言うとすっきりすると思う。これが結果的に六十五歳の本則を置いておるところを見ると、どうもやっぱりあなたが今言ったこととは違って、定年は六十、支給開始は六十五、将来そういうふうなねらいを持っておるんじゃないかというふうに一いや、本則は六十で附則は六十五ならわかりますけれども逆になっていますからね、そう思うのが自然ですよ。今あなたの趣旨からいってそういうふうに考えますと、これは大臣どうですか、定年延長がない限り金輪際六十歳支給は変わらない、こういうふうに理解していいですか。
  18. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 支給開始年齢につきましては、定年制との関連を含めまして、今後の雇用情勢動向に十分配慮して検討していかなければならない、大体公務員部長が申し上げましたが、私も、雇用情勢等考え検討すべき大きな課題であると考えております。
  19. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうなりますとおかしいのは、六十歳から六十四歳というのは特別支給、こうなっているわけですね。そうしてこれには基礎年金のいわゆる公的負担が入っていないんです。私が今言うように、将来を展望してそこに何か含みがあるんじゃないか、例えば、公的年全体系は財源の問題で行き詰まってやむを得ず六十五歳に引きずり込んでいこう、こういうようなたくらみというか、ねらいがあるんじゃないかという気がするから言っているわけだ。だから私は、その疑いをただすためには、今、大臣公務員部長が言うように、雇用どこれは切り離せないものだという前提に立つならば、この際基礎年金見直しの際にはこの特別支給の間にも公的負担検討する、こうここできちっと宣明することが大事じゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  20. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 大臣から後ほど御答弁いただきますけれども公的負担というもののあり方につきましてはかねがね議論がいろいろございまして、各公的年金制度間で公平を保つように、調整を保つようにという御指摘がたびたびございました。今回、すべての公的年金制度基礎年金を導入するということになりましたので、その基礎年金拠出金の三分の一公的負担をするということになりますと、すべての公的年金公平性が保てるということでこういう制度にさせていただいたわけでございます。公務員の分野にのみ六十歳から六十四歳までの特別支給について公的負担をするというのは、厚生年金とのバランスにおきましても、その他、他の年金制度とのバランスにおきましてもやはり問題がある、非常に困難だというふうに考えざるを得ないわけでございます。
  21. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、十二日の私とのやりとりの中で、大臣も、七十年一元化ということは、竹下さんも統合という字を使っていないことでおわかりいただきますように、現在の共済制度をそのまま残して内容についてのバランスをとっていくというか、そういう意味のことだということを言っていますし、私は、そのことは、逆に言えば、それぞれ年金の中には歴史があり沿革があり経過がある、こういうことが前提となって横たわっておると思うんですよ。ですから、確かに共済年金から見ますと、退職年金というようにまさにこれは雇用と切り離しのできない性格のものなんですよ。ですから、そこが前提であるという押さえをすれば、私はやはり六十歳から六十四歳の間に問題が出てくる、特別支給あり方に。これは私は今やれと言っているんじゃない、今度の見直しの際には、そういう特別な理由を含めて、公的年金を六十から六十四歳の特別支給の中にきちんと入れる、大臣、こういう努力を行わなきゃいかぬと思うんですよね。そうしないと、あなたがさっき言ったように、定年制といわゆる本則六十五歳との間に空間ができる、いわゆる公的負担空間ができると思うわけです。そこは大臣、胸を張って、努力をきちっとしていただきたい、こういうふうに思うんです。
  22. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 御意見でございますが、私どもは今後の雇用情勢動向等を十分に配慮して検討してまいります。先生の御意見は重要な一つ課題として検討してまいります。
  23. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは重大なことですから、ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  それから、懲戒処分による支給停止の問題については、先般私が確認をしたように、掛金部分は除外して使用者負担に限定する、これは政令でやるわけですね。停止内容も先盤言った五年、禁錮以上、こういうことでよろしゅうございますか。
  24. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 政令を制定する段階で大体そういうことを考えておりますが、国家公務員共済と他の共済との関係も、ございますので、そういうところをよく見ながらできるだけ本院で行われました議論の線に沿って努めてまいりたいと思います。
  25. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その場合に、私はこの間も確認しましたが、その者の支給停止が遺族に波及することはない、こういうことでいいですか。
  26. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) そのとおりでございます。
  27. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。  それから、既裁定者スライド停止の問題です。これは、私は随分十二日も申し上げました。大臣も私の意見に同調いただいて、検討していただく、こういうことになったわけです。せっかく私の意見と同じに同調いただいたのにかかわらず、この国会を逃すと無意味になるから国会法案が上がるまでに検討してもらいたいということについて、大臣もよろしゅうございますとなっておったのが、どこから仲裁が入ったのか知りませんが、午後に、これはもう少し慎重に検討さしてくれ、こういうことになったわけですけれども、しかし五%以下の停止除外は真剣に検討していただいたんじゃないかと私は思うんですが、そろそろ法案処理関係もございますから、ここら辺でその結果どうなったのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  28. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 佐藤先生からそういう御指摘がございまして、私たちも非常に貴重な御意見だということで承りました。ただ、この問題につきましては、そのときにも御説明さしていただきましたけれども、既に裁定されておる年金基本ルール裁定されておる年金というのは勤務年数の長い方あるいは給与の高い方、その方の年金が三月三十一日現在の額が保障される。そのときに現在の恩給制度、旧恩給制度のもとにおけるいろいろな特例というものもその年金額の中に含まれるということでそれが保証されておるわけでございます。  そこで、その方を基本ルールから今度通年ルール裁定がえさせていただくわけでございますけれども通年ルールといいましても一般的には今度の新しい方式よりも有利な方式というふうに言えるかと思いますが、その通年ルール裁定がえさしていただいた額は、年金をスライドしていきまして従前額に到達するまで、平均的に申し上げますと、先回も御説明申し上げましたけれども、おおむね二、三年の間ひとつ我慢をいただけないかというお願いを申し上げましたけれども、やはり先生が今お話しになりました五%未満という方は、平均的に申し上げますと二、三年ということになろうかと思いますけれども、どうしても他の共済との関係あるいはまた本案を立案いたしました背景から申し上げましてもひとつ御勘弁いただけないかという気持ちでございます。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 約一週間考えたのが、研究したのがそのお考えですか。  そこで、私もいろいろ研究してみますと、一般方式通年に切りかえますと厚年とほぼ同じになるんですね。こうなりますね。現行は、共済は退 職前一年間の給与平均と、そういうことから見て厚生年金よりは有利になるんだという説もありますね。しかし、通年の場合は加給年金がない、それから算定基礎本法のみで諸手当が含まれない。こういう点をいろいろ相殺しますと、標準的には厚生年金と変わらないと言いながらも、人によっては切りかえるために厚年より低い者が出てくる。こうなりますと、今度は改正法では共済年金厚年方式になるんですけれども、しかし、ここには職域年金というのが加算される。そうしますと、職域年金部分だけは既裁定者との間にはアンバラが生まれてくることがある。したがって、本法施行支給されますと、どうしても私は職域年金部分に対応した加算というものが伴わないと既支給者については本法との絡みから見ても不公平が出てくる、こういう感じがする。これはいかがですか。
  30. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) まあ、一つ通年ルールというものと厚生年金方式との関係議論だと思いますけれども、それぞれ先生が最初にお話しになりましたように、年金制度には伝統があり、今までの経過がありまして、なかなかどちらが有利だということを一概に申し上げるのは非常に難しいと思います。ただ、私たちがモデル的に計算いたしますと、現在地方公務員は大体三十二年ぐらいの勤続で退職していきますけれども、三十二年ぐらいのところで計算いたしますと、通年ルールで計算した方が厚生年金ルールで計算したよりも、先生がおっしゃいました加給年金があるという点、あるいはまた標準報酬手当が加味されているという点を考えましても、やはり三十二年ぐらいになりますと通年ルールの方が有利だという計算が出てまいります。したがいまして、一般的には通年ルールの方が厚生年金ルールよりも有利じゃないかというふうに言えるかと思うんです。  もう一つ先生お話しになりました現在の共済年金には職域年金部分がないじゃないかという御議論でございますけれども、確かにはっきりしたものはございません。ございませんけれども先生がいろいろお述べになりましたその中にも出てまいりましたけれども一つはやはり共済年金というものの現在の算定方式、特に基本ルールという算定方式、そして算定基礎というものを過去一年間の平均給料にとるというその算定基礎の問題、そういうことから考えますと、厚生年金よりも額の面においても水準の面においてもやはり有利だということが一般的に言えると思いますし、その有利性の中に職域年金的な部分、これははっきりこの部分だということは申し上げられませんけれども職域年金的な部分が含まれているというふうに考えざるを得ないんじゃないかというふうに思います。  したがいまして、先生お話しになりますように、現在の共済年金には職域年金部分がないんだから、それを上積みすることを考えたらどうだというふうに言われますと、ちょっとそこは私たちも賛同しがたいといいますか、私たちだけじゃなくして、そういう考え方というのはどうも大方受け入れられるのは非常に難しいんじゃないかというふうに私たち現在受け取っておるわけでございます。
  31. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ここは、衆議院の附帯決議やそれから論議を見ましても、なかなか定かにきちっとすっきり出ていないんですよね。ですから私は言ったんですが、あなたも、だからといって、それなら厚年より下の部分は絶対にありませんということ言えぬでしょう。言えないはずですよね。そういうこともあるわけだから、そこを私が中をとって五%以下と言ったというその含みはやはり正確に受けとめてくれないと、大臣、ここは大事なことなんですからね。せっかく私はOBの皆さんから随分やんやんいただいて考えてみると確かにそういう点がある。ここはいろいろありましょうが、せっかく大臣、誠心誠意検討しますとこう言ったんだから、これは誠心誠意検討してもらって、そこら辺が出てきますから、例えば、最低保障五%が無理なら最低保障というものをつくるとか、何かそのことによって本法施行後の職域年金もございますが、少なくとも厚年より下回ることのないように、ここら辺はあなたの大きな政治力を含めて実現すると。これは公務員部長ではなかなか答弁できぬ、政治力を含まなきゃできぬだろうから、大臣としていかがですか。そのための大臣なんですから。
  32. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私も一生懸命でこの共済年金のことを勉強しておりますが、どうもまだ経験が少ないし、また知識が乏しくて、先生のお話にぱちっとお答えすることができぬのはまことに残念でございますが、先生のおっしゃったような研究題目として私ひとつ勉強をさしていただきたい。この点はそのように感じております。
  33. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 勉強していただきたいんですが、今言ったように勉強しておる間にスライド停止期間が過ぎちゃう、こういうことにもなりかねないからね、これじゃ困るんですよ。ですから、長考一番じゃなくて決断ですよ、これは決断の時期に入った。そういう意味でお願いしておるわけです。公務員部長職域年金部分の加算というのはいかがかという意見もありましたけれども、しかし、こういった実態等もあることを考えると何らかの措置をとるべきだと思うんです。そういう意味大臣、言いただきたいんですがね、何らかの措置をとりたいと思うと、一言でいいですよ。
  34. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 申しましたように、ひとつ勉強いたしまして……。
  35. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは附帯決議にも入れましょうが、時間の問題ともかかわりますから、できるだけ早く結論が出せるようにぜひ研究して、その前にやめてしまっては困りますよ。やめる前までにきちっとしてくださいよ。そこら辺も含めてお願いしておきます。  時間がございませんから次にいきますが、職域年金部分見直しの問題で一つだけ確認しておきたいと思うんですが、十二日の当委員会で竹下大蔵大臣は、職域年金部分の乗率千分の一・五を二・○に引き上げるについては、一両年、一、二年以内に人事院の意見を踏まえて結論を出すと、こう答えたわけです。これは大臣の言葉を率直に聞きますと、六十一年末までに人事院の見解をもらって、そして結論を出して六十二年度予算には間に合うようにしたいと、こういうふうに受け取れるんですが、そういうことでいいですか。大蔵省。
  36. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 先生お尋ねの件は、いわゆる共済の法改正にかかわることだと存じます。私、担当が違うものでございますので、大変申しわけございませんが、その点につきましての御答弁は留保さしていただきたいと思います。申しわけございません。
  37. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたは何ですか。
  38. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 厚生の担当の主計官でございます。
  39. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはしかし、私はちゃんと答え得る者をよこしなさいとこう言っておったんだけれども、いないんですか。内閣に張りついていたんじゃ困るじゃないですか。あなたは私の答弁はみんなできないんですか。  それならもう一つ聞きます。人事院は国公法百八条ですか、これに基づいて年金調査をやるというお話なんです。ただ、人事院に聞きますと、せっかく汗をかいて調査をやるわけです。ところが、その結果が実らないと調査のしがいかないという。ですから、実る保証をくれとは言いませんけれども、少なくともむだのないような受け皿がありますかと、こういう意味のお話があった。その点はいかがですか。これも答えられないですか。
  40. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 私どもの対応の不手際かと存じますけれども、大変申しわけございませんけれども、ただいまの点につきまして責任のある御答弁ができません。先生の御質問の趣旨は十分伝えたいと思います。
  41. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは連合審査でやりましょう。  それなら、あなたが答えられるやつでいきましょう。公的負担の四分の一カットの返還の問題で、大蔵大臣から予算編成期までに処理するという回答をこのうちいただいたんですが、共済関係のいわゆる累積額、これは一体どのくらいあって、 本法関係でどのくらいになるか、いかがですか。
  42. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 行革関連特例法に基づきます五十七年度から六十年度までのいわゆる国庫負担四分の一カットの累計額についてのお尋ねでございますが、これは各年金を通じまして総額一兆四百九十億でございます。そのうち厚生年金が最大でございまして九千四百七十億、地方公務員共済につきましては二百七十二億、その他となっております。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは元利返還をするということになるわけですが、結論はいつ、ころになりますか。そして、どのように返還するのか、それをおわかりになればお答えいただきたい。
  44. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 行革関連特例法によります年金国庫負担の減額分の返済をどうするかということでございますが、その具体的内容につきましては今後の国の財政状況を勘案する必要がございますために、大変残念でございますけれども現時点でははっきりした形ではお示しできないわけでございます。しかし、政府といたしましては、昨年来繰り返し御説明申し上げておりますように、国の財政改革をさらに一層強力に推進する等誠意を持って対処することといたしておりまして、今後において積立金運用収入の減額分も含む年金国庫負担の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手いたしたいというふうに考えております。具体的にいつからかということにつきましては、大変残念ながら、基礎となります財政状況の展望につきましてまだ将来の展望が開けておりませんので、現時点では申し上げる段階にないということを御了承いただきたいと思います。
  45. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、時間がございませんから簡潔にお願いしたいと思うんですが、共済短期の問題です。  今回の改正で共済短期の掛金の上限が現行では本俸の四十六万ですね。これが今度は諸手当を含めての四十六万になる、共済短期の限度額ですね。手当率を二五%として計算しますと、短期の掛金の上限は本俸の三十六万八千円に今度は下がるわけです。であれば、課長補佐以上の掛金は本俸の三十六万から三十七万で頭打ちとなる。公務員部長のように指定職の皆さんは大助かり、ほくほくということになる。そのかわり今度は若い職員とか役付でない職員は負担が増大する、こういうことになる。これはまた非常に不合理な問題ですね。一方、健保法を見ますと掛金の上限は七十一万と、こうなっている。なぜ短期がこういうふうになったのか。当然これは七十一万を受けて上限を置くべきじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
  46. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 大変技術的な問題でございますので、私の方から説明をさしていただきたいと思います。  先生今御指摘のように、今回、年金とそれから短期を含めました掛金算定基礎を、国家公務員共済組合におきまして標準報酬を基礎とするということに変えられたわけでございます。そういうことになってまいりますと、共済組合の場合は掛金は給料の中から長期も短期も一括してこれを徴収するということになっております。したがいまして、長短その上限がそろわなければならない。そういたしますと、四十七万という長期給付の場合の最高限度額、これは厚生年金の方で定まっておるわけでございますが、厚生年金のその限度額をそのまま採用いたしますと、先生今御指摘のように、三十七万何がしが本俸ベースに一・二五仮で割り戻しますとそういう数字になってまいるということでございます。健康保険の方では、昨年の改正でございましたか、この四十七万を最高限度七十一万まで、医療給付に関してだけ、健康保険だけ上げたわけでございますが、共済の場合は総合的な相互救助の制度だということになっておりまして、長期と短期とを生き別れさせるような仕組みになっておらないものでございますから、国の標準報酬採用と連動してただいまのようなことになってこざるを得なくなったということでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思うのでございます。
  47. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから私は標準報酬制というのがいけないと言っておるわけです。だから地公方式に切りかえればいいんだけれども、これもなかなか抵抗しておるようですけれども、これは不合理きわまりますよ。指定職の皆さんはほくほくであろうけれども、下部職員はたまったものじゃない。これはぜひそこら辺も含めて、実際運用は国共審等でも議論なさるんだろうと思いますが、御検討いただきたい。よろしいですか。
  48. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 共済年金を担当しております者が来ておりませんので本当に申しわけないと存じますけれども、今の御指摘につきましては誠意を持って伝えるようにいたします。
  49. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこでもう一つ共済の短期の場合は負担割合が折半ですよね。しかし、健保組合は事業主が五七%、労働者が四三%というのが平均です。さらに、政管健保の場合は一六・四%の国庫負担がありますから労働者の負担は四一・八%です。こう見ますと、年金の方は、今言うように官民格差を正してとか官官格差を正してということでこうなって、短期は折半ということになりますと、これは官民逆格差になる。これは七十年一元化という方向を出しておるわけですから、そうだとすれば、この短期の負担割合の問題については当然解消するのがこれは筋だと思うんです。この際その是正をしておくチャンスではなかろうか、こう思うんですが、いかがですか。
  50. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 短期の問題についてのお話でございます。健康保険組合の数字を見てみますと、五七%と四三%ぐらいという数字のようでございますけれども共済の場合には労使折半ということで現在までまいっております。この労使折半の現在の制度を決めましたときに、健康保険組合の使用者負担が若干多いということに関連いたしまして、労使折半の原則を貫くべきであるというふうに社会保障制度審議会の答申は勧告しておるという状況が背景にございます。  それともう一つは、共済のときに労使折半を修正いたしまして、事業主負担を若干重くするということになりますと、どうしてもその部分は税負担ということになってまいりますので、ちょっと民間の場合と違った背景があるというふうに思います。したがいまして、現在のところ、そういうような御指摘は御指摘として承りましたけれども、それを検討するというのは非常に難しい背景だというふうに思います。
  51. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私の答弁にオーケーと言うときには短くて、断るときには長いですね、時間がないんです。  今のは大蔵省に聞きたかったんです。しかし、これもひとつ検討するように言っておいてください。  最後に、もう時間がありませんから一つだけ聞きますが、この改正で共済と恩給との間に大変な差異が生まれてくる。これは当然恩給制度検討しなきゃならぬと思うんですが、具体的なスケジュール、それを教えていただきたいのが一つ。当然もう一つは、恩給の場合の九〇%を占める軍人恩給ですね、これもこれにかかわってくると私思うんですが、その二つについて今後の見直しのスケジュールを含めてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 鳥山郁男

    説明員(鳥山郁男君) 恩給制度におきましては、性格的にも、また実態的にも非常に特殊な性格を持っております。したがいまして、その基本的な仕組みというものを変えていくということは非常に困難ではなかろうかと思っております。しかしながら、先生指摘のとおり、年金として機能する面におきましては公的年金と共通する面もございますので、現在そのバランスについて鋭意検討をいたしておるところでございますが、具体的に私ども検討課題考えておりますのは、まず第一点がスライド指標の問題でございまして、他の公的年金が物価で統一された場合に、従来どおり恩給が給与スライドをとっていくことが適当であろうかどうかということが第一点でございます。  それから第二点は、恩給制度におきまして、従 来から高額の所得がある人につきましては一部支給停止をやっております。この制度あり方が適当であろうか。当面この二点につきまして鋭意検討を続けておるわけでございますが、まだ結論に至っておりません。今後とも各方面の御意見を伺いながら真剣に検討を続けてまいりたいと考えております。  なお、軍人恩給を除外する考えはないかという御質問でございますが、そういうつもりはございません。
  53. 中野明

    ○中野明君 二点ほどお尋ねいたします。  一つは、先日も大蔵大臣から当委員会で答弁があったんですが、今回の四法案の成立によりまして給付の面でほぼ一元化が整うというような意味のお答えがあったわけですが、御承知のように、厚生年金の場合は、企業ごとの給与あり方にばらつきがある、あるいは企業間を転職した場合などには収入の高低がある、こういう理由で給与所得全体を対象とせざるを得ない、こういうことで平均標準報酬月額というものを採用しておる。また、国家公務員共済組合は、諸手当も比較的統一的に運用されていることもあって、これまた平均標準報酬月額、こういうことになっていますね、算定基礎が。これに対して地方自治体の諸手当というのは三千団体ばらばらでばらつきが多いということが理由になっておりまして、平均給料月額を算定基礎に採用している。  ですから、給付の一元化ということになるとこの辺が将来の課題として問題になってくるんではないか、このように思うんですが、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  54. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国家公務員が平均標準方式という方式をおとりになる、そしてそのときに対象になる手当を私たちの方も平均給与月額を算出するときの補正率に反映させまして、そして全体としての水準としては国家公務員地方公務員の給付水準というものを等しくしていこうということにいたしております。  したがいまして、将来の年金一元化のときにそのこと自身が妨げになるかという御心配かと存じますけれども、私たちの現在考えております方式でいきますとそういう妨げにはならないということで、厚生省、大蔵省とも私たち方式に対しまして賛同しておられます。
  55. 中野明

    ○中野明君 いずれ将来、どちらかに同じようにするべきじゃないかというような意見も出てくるんじゃないかと思いますが、その点は一応指摘をしておきます。  それからもう一点ですが、経過措置の期間に該当する世代の年金の水準ですね。これは衆議院でもかなり議論されて附帯決議にも出ているんですけれども、どうも私どもも納得できない、気の毒だなという感じがするんです。御承知のように、地方公務員共済組合員年金水準について自治省の方で参考に算定をしておられますが、このモデル計算でいきますと、勤続四十年の退職者で夫婦六十五歳以上の場合、現行の水準を一〇〇とした場合に、制度完成時、昭和百年になりますか、完成時には八五・四%に引き下げられる、こういうことに試算が出ているわけですが、これは大きな給付の引き下げでございます。これは大変な問題で、議論が出ているわけですが、その当否はともかくとして、ここで私改めてお聞きしたいのは、この引き下げの経過期間について、一般経過措置というのは激変緩和のためにとられるというふうに我々理解しておる。例えて言えば、従来大きな権利を持っていた者が徐々にこれを目標とする水準に引き下げていく、その間に急激な変化の起こることを避けて対象者の受ける苦痛を少しでも和らげよう、これが激変緩和だろうと思うんです。  そういうことで経過措置を見てみますとちょっと問題があるということで、衆議院の場合は四十歳とはっきり年齢まで限定して附帯決議が出ているんですが、これでいきますと、四十歳だけではないですね。その前後の人にかかってくるわけですね。今回の改正による給付の引き下げというのは、一〇〇から八五・四%までなだらかに下げられていくんじゃないんですね。施行年齢四十歳前後を中心にして完成時の八五・四%よりずっと低い年金で我慢をしなければならぬ世代がかなりあるということ。現在四十歳ぐらいの世代の人は、四十年勤続、夫婦六十五歳以上で七七・九%と、自治省の試算には出ております。大体において現在、四十歳代、三十歳代、二十歳代の後半の世代の人々は、現在二十歳以下の世代や五十歳代、六十歳代以上の世代の人に比べて甚だ少ない年金しかもらえないような、そういう仕組みになっているように読めるわけですね、これは問題になっているところでございます。  ですから、こうした経過措置を設けることは、経過措置の先ほど申し上げた意味から見ても、特定の世代だけに給付を少なくするということは非常に矛盾があるんではないか。政府の方はたびたび世代間の給付と負担の公平ということをおっしゃっているわけですが、これらの人たちはこれから世代間の相互扶助とかこういうことをいって、高い年金に対する財源を負担し、あるいは若い世代の人のための積立金をつくってやる、こういうことで高い負担に耐えていくことを強いられているわけです。じっと考えると、まことに気の毒な状態で、年金改革論議というものがともすれば中高年齢者の年金がどうなるかという点にいろいろ議論が集中しがちなんですけれども、世代間の水準のアンバランスというものをもっと配慮してあげなければいかぬのと違うか。ですから、この経過措置を見ますと、ちょっと理解ができないんですね。  この八五・四というのは、国の方で基本的な考え方で最終的にはこれがいいだろう、皆は不満足で我々も反対なんですが、基本的な考え方として八五・四が妥当だろうと国の方は決めたはずです。ところが、そうならば経過措置として八五・四より下にあるというのは気の毒じゃないか。国が考えた八五・四より下の状態のところは、現在の年齢が四十五の人が七九・六ですか、四十が七七・九、三十五歳の人が七九・六、三十歳が八一・四、二十五歳が八三・一と、完成時より全部低いんですね。どうしてこんな経過措置のつくり方をなさったんだろうかということなんですが、その辺はどう御説明いただけますか。
  56. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今回の年金制度先生御存じのように基礎年金を土台に置きまして、その上に報酬比例年金である共済年金というものを置いて制度を設計したということでございますが、その基礎年金というのが、四十年間掛金を掛けまして四十年目に五万円になる、そういう設計になっております。したがいまして、途中経過といいますか、今先生お話しになりました四十歳前後の方はまだ五万円に達していないその途中経過の方でございます。一方、二階、三階部分に当たる報酬比例年金の方でございますけれども、これは二十年間かけて漸次千分の十から千分の七・五にしていくということでございますので、ちょうど二十年目にボトムのところに来るということでございますので、今、先生お話しになりましたような現象が起こるわけでございます。基礎年金制度共済年金制度との交錯しているところでそういう現象が起こっているわけでございます。非常に難しい問題でございますし、取り組みをどういうふうにするのかということで私たちも実は非常に頭を清めている問題でございますけれども、衆議院の審議過程でもそういう議論が出てまいりまして、附帯決議でそういう問題については検討するようにということでございます。  そこで、関係各省、いろいろな制度を所管している省がございますので集まりまして、本案の成立後、検討課題として協議してまいるべき問題かというふうに現在考えているわけでございます。
  57. 中野明

    ○中野明君 今、答弁にもありましたように、この四十歳代を中心にして前後になぜこうなるか、引き下げ後の新しい年金よりもずっと少ない年金しか受けられないことになる理由というものを私どもいろいろ考えてみますと、今お話があったように、共済組合の組合員本人についての経過措置が二十年ですね、本人について。二十年で引き下 げが完了するのに対して、その妻の年金については基礎年金の導入で四十年かけて徐々にふやしていく、ここに問題があるわけですね。二十年で共済年金は現行の夫婦二人の世帯型年金から夫だけの個人型年金に切りかえてしまう。こうなりますと、妻に関する部分を排除してしまうというのに、そのかわりに妻の年金を確立するという基礎年金はその経過措置の半ばにあり、ちょうど半分しか保障していない、そこに問題があるんじゃないかというふうに思われるわけです。妻の年金に関する部分は改正後も共済組合員である夫の掛金から出ていくことになっておりますから、公務員夫婦が受ける年金財源のすべては夫の掛金等によることは現行法でも改正後でも変わりません。同じように掛金を納めてきた組合員とその妻が長い年金制度の流れの中で現在四十代から二十代後半の世代だけ特に少ない年金しか受けられないというのは制度の大変な欠陥ではないだろうか。  だから、この制度完成時の給付水準だけは経過規定の適用を受ける世代にも保障してあげるのが一これが国の決めた、我々不満足ですよ、不満足だけれども、この八五・幾らというものを保障してあげるのが当然じゃないだろうか、こういうふうに思うわけです。ですから、この今回の改正に当たって基礎年金との関係はもっとよく吟味すべきであったと思うわけですけれども、そのための手直しとしては共済経過的加算の部分を二十年から四十年に延ばすことが、これが一番この法の問題を解消する正しい考え方ではないだろうか。ここに問題があるわけですから、これを二十年から四十年に延ばしてあげることが正しいんじゃないか、このように思うんですが、その辺はどうお考えになりますか。
  58. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 大変技術的に細かい問題でもございますので、私の方からお答え申し上げさせていただきたいと思います。  ただいま先生指摘のことは、事実としてそのとおりでございますが、ただ一つちょっと御説明させていただきたいと思いますのは、国民年金法が施行されました昭和三十六年四月一日以降、サラリーマンの配偶者はいわゆる国民年金において任意加入とされていた。その任意加入の可能な期間を満席に任意加入しておられました方には実はここにお示ししておりますようなことにはならないわけでございます。私どもがつくりましたこの表は、あくまで共済年金の額だけで作成いたしておりますのでそういうことになっておりますが、その期間任意加入をしておられました方はこういうことにはならないで、加入可能期間に応じて満額の年金が出ますのでそういうことは起こらないわけでございます。  問題は、施行日までにそういう任意加入がなかった方、そうして新たにこの新しい改正法規定基礎年金制度の適用を受ける方についてここで表を示しております。それは今、先生指摘のように四十年の近いところでボトムになっております。これを特別な加算をいたしますと、今度は逆に、今まで任意加入をして国民年金の保険料を納めてこられました方とのバランスの問題が生じてくる、こういう問題がございまして大変難しいことになってくるんではないか、こういうことに考えでございます。ただいま共済経過的加算という制度がございますが、これまた二十年で加算期間、この経過的期間が切れるわけでございますけれども先生のおっしゃいました経過的加算を四十年に延ばすといたしましても、今のような国民年金に任意加入して保険料を納めてこられました奥さん方とのバランス、これとの関係がまた生じまして、大変いろいろ困難なことだとは思います。ただ、先ほども部長の方から答弁がありましたように、衆議院の方でも附帯決議をつけていただいております。これは厚生年金、各年金すべて共通の制度でございますので、恐らく政府、関係各省庁内で今後研究をしてまいらなければならないという意識は持っておりますけれども、実際としては大変難しい問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  59. 中野明

    ○中野明君 今、任意加入の話がありましたけれども、任意加入というのはこれは例外なんですよ。例外を引き出してきて説明をされるというのは私は納得できませんね。もしそういう説明をあえてなさるのならば強制加入にしておけばよかったんですよ。任意加入している人はこれはもう自発的に任意加入しておった人であって、普通の一般人たちは加入していないのが当たり前なんです。任意加入した人はこれは例外なんですから、そこら辺を考えていただいて、衆議院の附帯決議を見ますと、「現在四十歳の者について」とはっきり四十歳だけみたいなことをおっしゃっているんですけれども、そうじゃないんですよね。四十歳を中心にしてその前後、特に若い人たちに影響が及んでおりますので、その辺を含めて各四委員会ですか四省庁ですか、将来の検討をして、ぜひこれは何とかしてあげないと余りにも気の毒じゃないかなと、経過措置をした以上は国が最終的に妥当だと決めた線までは何とかいけるようにしてあげるべきじゃないかと、こう思うんです。  一応、大臣もお聞きいただいておりますが、に国が決めたその真ん中の方がぐうっとへこんでいるんですよね。まことに我々としてはいただけませんし納得できない。将来ぜひこれは手直しを検討課題に入れてもらいたい、こう思うんですが、大臣にお答えいただいて終わりにします。
  60. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 先生のお話聞きまして、また衆議院の附帯決議もいただいております。関係省庁と十分協議いたしまして検討をしてまいりたいと思っております。
  61. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず、財源率掛金の問題ですね、この点お尋ねをしたいと思います。  地方公務員共済組合連合会の「将来収支の見通し」によりますと、公的負担分を除く財源率では、現在の一二九・五が昭和六十五年に一九五、昭和七十年に二二〇、七十五年には二四五、そして昭和九十五年には三四五と、二・四七倍ですか、そういうアップになります。したがって、掛金率も対給料比で見ますと、千分の六十九から昭和九十五年には千分の百七十二・五と二・四七倍、一七・二五%ということになっています。ですから、改正後の財源率なり掛金率はこういうふうに大体上がるという見通していいわけですか。
  62. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生にお渡しいたしました資料は、今回の改正案を御審議いただくときに一つの計算をいたしまして、現在の制度のまま置いておけばこういうふうになります、仮にこういう前提で計算いたしますとこういうことになりますということでごらんいただいたわけでございます。そこで先生にごらんいただきましたとおりに、掛金率を上げていくか上げていかないかということになりますと、それはまたそれぞれの共済組合、特にもう連合会ができておりますので連合会の中で御議論いただくことだと思いますが、一つの標準的な姿をごらんいただいておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  63. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、そういうようにおっしゃるんですが、共済組合の運営審議会なりで協議するわけでしょう。その場合、例えば公的負担がうんとふえてくる、ふやす、そうしたら財源率をこんな数字じゃなしにもっと下げることができますよね。あるいは労使の負担割合を変えるという場合も、今度は組合員の掛金の方でそういうアップにならないようになるんでしょう。ということになると、共済組合の運営審議会でそういう議論をやって、そういうことを前提にして財源率を決める、あるいは掛金率を決めるということも可能なわけですか。
  64. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) なかなか大胆な御質問でございますが、私たちといたしましては、そういう定款変更の承認申請が出てきました場合に、その時点における公的負担あり方とかそういうものを前提考えていただかなきゃならないんじゃないかというふうに思いますので、先生が今おっしゃいましたように、仮に、連合会の方でそういうことが予定されていないのに公的負担がこれだけふえるんだという前提でお決めになるということになりますと、共済組合全体の財政が非常に困る事態が予想されますので、そういうことがな いようにしていただかなきゃならないんじゃないかというふうに思います。
  65. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、この法案公的負担基礎年金の三分の一と、こうなってしまう。これは動かぬのだと。そうすると、前回も言ったように、四千億が二千二百億ぐらいまで公的負担がずっと減ってきますね。片一方、労使折半も法律で決まっているのだからこれももう変らぬのだ、そういう前提が動かぬのだったら大体こういうことにならざるを得ぬわけでしょう。その辺はどうなんですか。
  66. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 大体といいますかおおむねといいますか、そういうことで申し上げますと先生がおっしゃるとおりだと思います。
  67. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、大体こうならざるを得ぬということになるわけですね。だから、何かいかにも共済組合の運営審議会で実質的に検討してやればいいかのようになるんだけれども基本的な大前提はぴしっと決まってしまって、あとは実際の組合員の実態、組合員数なり年金の支出の状況なり、そういったものと今後の年金受給者の増減の状況とかいうものぐらいが若干の財源率の幅に変化を持たすぐらいのもので、大体こういう方向になってくるということになるわけでしょう。
  68. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先ほど申し上げましたように、大体といいますか、おおむねそういうことだと御理解いただいていいんじゃないかと思います。
  69. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、共済組合の運営審議会の権限がいかにも大きいみたいに言うけれども、実際問題としてはそんなにでかい力を持っておることにはなっておらぬで、結局この試算、見通しに基づくようなそういう大幅な財源率のアップになるし、掛金負担は先ほど申し上げたようにこれは長期だけですから、これには短期の負担もありますから、だから大変なものになってくると言わざるを得ぬというように思うんです。  そこで次の問題は、先ほども同僚議員の質問で出ていましたが、財源率の再計算ですね。これは昨年十二月に、暮れにやっていますね。これは五年間に一回ということなんだけれども、今度法律が施行されればその時点でやり直すかどうか、これは何か先ほどの答弁ですと、それこそ運営審議会がいかにもそうすればするかのようなことなんだけれども、実際はどうなんですか。どういうことを望んでおられるわけですか。
  70. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) もう先生よく御存じのように、今回の制度改正をいたしますと、長期給付の中の将来要する費用の見通しというものが変わってまいります。そしてまた一方、収入も負担の方が若干今度変わりますので、いずれにいたしましても収支見通しというものを長期的に、理論的にはやり直すべき時期はそんなに遠くないような気がいたします。ただ、今回の制度改正をいたしまして財源率の再計算をやるというふうに仮定いたしますと、そのための基礎資料の収集がどうしても必要になりますけれども、今回の制度改正というのは非常に大幅でございます。したがって、例えて言いますと、収集すべき資料の中でも基礎年金の拠出金を地方公務員共済としてはどれぐらい出さなきゃならないんだろうかということがどうしても必要になるわけでございます。  その前提といたしまして、各公的年金制度でどれだけの基礎年金給付をやるのかということを、現在の審議の段階では非常に大まかな数字を御説明させていただいておるわけでございますけれども財源率の再計算をやるということになりますとそれは精密に計算しなきゃなりません。そういう推計方法も厚生省と打ち合わせでしっかり立てていかなきゃならないということでございまして、そういう基礎資料の収集にも相当時間がかかるだろうというふうに思いますので、現在の段階で次の財源率の再計算はいつやるんだ、こういうふうにおっしゃいましても、それはいつでございますというふうにはっきり答えられないという背景があることは御理解いただきたいと思います。ただ、財源率の再計算をやらなきゃならないそういう収入、支出の面において変化があったことは事実でございますので、その点私たちもよく意識しているわけでございます。
  71. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、先ほどの収支見通しでなにしますと、六十五年に厚生年金の保険料水準に合わせるということで、毎年大体一一・一%ぐらいですか乗せている、アップするような計算になっていますね。しかし、現在から言うと大幅に、例えば財源率の再計算が従来どおりで五年ごとでいくと、五年後ということになるとばっと上がらなきゃならなくなるわけでしょう。だから、今の資料収集やらでいえば一年なり一年半なりかかってやって、それから小刻みに毎年上げていくということになるのか、あるいは六十五年に厚生年金の保険料水準に合わせるというのがもう既に決まっている政府の方針ということでこういう試算をなさっているのか、この辺のところはどういうことになりますか。
  72. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 六十五年厚生年金合わせという資料をごらんいただきましたけれども、そういう方針が別段決まっているわけではございません。そういう姿というのが一つの姿として標準的にお示しできるんじゃないかということでごらんいただいたのでございます。そして財源率の引き上げの方法をどういうふうにするのか、毎年小刻みに上げていくのか、それとも五年ごとに上げていくのかということも別段決めているわけではございませんが、私たちの方では今回の改正案が成立さしていただきましたならば、先ほど御答弁申し上げましたように、いずれにいたしましても基礎資料の収集から始めましてそういうような検討には入らなきゃならないというふうに思います。
  73. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、この厚生年金の保険料水準に六十五年で合わせるのか、七十年で合わせるのかでも大分違ってきますね、このアップの状況が。仮に六十五年で合わせるということになると、去年の再計算ではっと上がったばかりでしょう。その上に今度は地方職員掛金が千分の五十二から千分の六十九、市町村の場合ですと五十一から六十九、これは同じですね、五十一からですから大分上がる。それから公立学校は五十二から七十二・五、それから警察の方が五十二から七十三、一部七十八というのがありますね。そういうように大幅な値上げが続いていくことになりますね。この辺の見通しがなかったらこの法案をうんと言っていいのか悪いのか、個々の組合員の受ける被害というか、打撃が大きくなりますから、この辺のところは一体どういうように考えられるのか、もう少し見通しなり基本的な考え方というものを明らかにしてもらわないと困ると思うんですが、いかがですか。
  74. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) まあ、財源率の再計算をこれからやるときに考えておかなきゃならないのは、一つは五十九年の十二月に財源率の再計算をやりました。そのときに、平準保険料というものに修正率八〇%を掛けまして、そして二〇%分は後年度の負担ということで実は先送りしております。そのことはそのときにも御説明申し上げたと思いますが、そういう要素が一つあるということと、もう一つは、五十九年十二月の財源率再計算の場合には五十八年度末で押さえまして財源率を再計算いたしましたが、その後公務員給与が変わり年金のアップもいたしまして、積立金不足がそれだけ生じておるという要素が第二番目にございます。それから第三番目に、今回の制度改生というのは、先ほども御説明させていただきましたけれども、二十年かけて徐々に給付水準を千分の十から千分の七・五にしていくという、徐々に給付水準をならしていくというそういう制度でございますので、財源率の再計算をした場合に果たしてどういうふうになるだろうかというと、プラスマイナスの要素がそれぞれございまして、非常に難しいというのが本当のところじゃないかというふうに思います。  ただ、長期的に見ましたら、今の制度をそのまま置いておくよりも財源率は若干引き下げることができるんじゃないかというので、昭和百年の水準でおおむね二〇%ぐらい引き下げられるだろう というふうに申し上げておりますけれども、ここ数年先ほどうだろうかというふうに言われますと非常に難しい、先ほど申し上げました要素が絡み合っておりますので、現在の段階ではああだこうだということをこういう公の場で申し上げるのはちょっと難しいというのが正直なところでございます。
  75. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題、最後にちょっと大臣見解を聞いておきたいんですが、これは先ほども申し上げましたように、財源率が大幅に引き上げられてくるし、組合員の掛金が上がりますから、したがって大きな打撃を受ける大変な問題になるわけですね。これを解決する方法というのは、前のときにもちょっと大臣議論しましたけれども公的負担の増額とそれから負担割合の労使折半を検討するという、そういうことを考えなければこの負担というのはなかなか大変なことになるというように思うんですが、この辺について大臣見解を聞いておきたいと思うんです。
  76. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今の先生お話しの問題は、実は共済の相当大きい問題として私ども検討さしていただいておりますが、結論がまだ出ないというのはなかなか難しいいろいろ折衝その他でございます。ただ、問題が問題でございますので、難しといってほうっておくわけにいきませんから、長期的な課題として私ども十分検討してまいりたいと思います。
  77. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、公立学校や警察の方の収支見通し、これは出ていますか。
  78. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 公立学校、警察につきましても、私どもこの連合会の収支見通しが出ましてから作業を開始いたしたんでございますが、何分大変膨大な作業でございます。そういうことで、これまた私どもの方でやらなければいけない作業でございまして、本日までに御提示できるようなものをまとめられなかったわけでございまして、そのことはお許しいただきたいと思うんでございます。大体大まかな傾向というものをつかんでみますと、今の連合会と大体同じような傾向になるようでございます。
  79. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれにしても大体同じような傾向になると思うんですが、しかし、この財源率掛金の見通しをおおよそこうだとおっしゃって、しかし、具体的に組合員に対してどういう影響を与えるのかという点の確たるものが出ていないというわけです。したがって、そういう点から言ってもこの法案についての判断が困難な、ましてよくないわけですから、こういう状況ではそういう資料の提出と相まって、組合員の個々の利害関係に直接響く問題ですから、この法案審議というものはそれまで継続するなり再提出してもらうなりということが必要だというように私は思うんですよ。  その次の問題は、算定基礎の問題ですが、これは従来の退職前一年間の平均給料月額から今度は全期間の平均給料月額、それに政令で定める補正率を掛けるということでありますが、この補正率は今どういうことになりますか。
  80. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 算定基礎となります平均給料月額を算出いたします際に、いわゆる本俸に掛けます補正率でございますが、これは公務員に支払われます諸手当の中で、標準報酬で採用いたしております三カ月を超えて支給されるような手当を除くその他の手当、これの総額を勘案いたしまして、それと本俸との割合をもって定めてまいることといたしておりますが、現在のところおおむね一・二五程度を考えております。
  81. 神谷信之助

    神谷信之助君 一・二五はまだ確定しておるわけではないということでしょう。  それからもう一つは、施行日前から引き続き組合員であった者の平均給料月額について、施行日前五年間の給料の平均額に政令で定める補正率を掛けた額にするというこの場合の補正率はどういうふうに定めますか。
  82. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) ただいまの御質問は、既に現在在職しております者の施行日以降の年金を計算いたします際に、過去の期間をどういうふうに平均給料月額として反映さしていくのかということでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、過去五年間の平均給料月額に政令で定める補正率を掛けるということになっております。この政令で定める補正率は、公務員の方々が役所にお入りになりましてから施行日までの各年数がそれぞれ違ってまいります。したがいまして、各年数に応じてそれぞれに払われるであろう手当というものも変わってまいります。  そこで、そのやり方は、今回の人事院勧告に基づきます給料の改正後の給料表を使いまして、その給料表をモデル的に、例えば、二十年の方ならば二十年で何等級何号俸にまず入り、それから通常の昇給をしていって通常のような手当が支払われれば、現在の平均給料あるいはそれに手当を加えたものがどの程度になるか、その標準的な給料の総額及び手当を加えた総額というものを出してまいります。そして、今度ただいま申し上げましたような標準的な方々の過去五年の給料の額、これは当然昭和六十年度ベースに再評価をいたしますけれども、昭和六十年度ベースに再評価をいたしました標準的な給料の額、それで先ほど求めました過去の標準的な方の給料の総額を割りますと、ただいま申し上げましたいわゆるそれぞれの期間に応じた補正率というものが出てまいるわけでございます。その標準的な補正率、それを今度は現実の人の五カ年の再評価をいたしました給料の平均額に掛けてまいりまして、過去の期間の平均給料月額というものを求めていく。もちろん本俸をまず求めまして、それに諸手当の率一・二五を掛けまして過去の平均給料月額を算出する、こういう考え方でございます。
  83. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、例えば自治省のモデルで勤続三十五年で給料月額三十万九千円ですか、それが全期間の平均給料月額の今のでやると二十五万二千円というように、これですと一八・四%ダウンになるんですが、あるいは勤続四十年で給料月額が三十二万三千円の人が二十五万九千円で一九・八%ダウンというやつが出ていますが、これは今言った具体的モデルで過去にずっとさかのぼって計算をして割り出したと、いわゆる政令で言っている数値を掛けたものか、そうではないのか、この辺はどうなんですか。
  84. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) これはもともとモデルの人だけを算出すればいいわけでございますので、個々の当てはめが要りませんから、ただいまの政令で定める補正率でなくして、それぞれモデル的な方を、その当時、これは五十九年度価格でございますので、五十九年度レベルの給料表で歩いていただきまして、それで算出したものでございます。
  85. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、これに個々人の過去の経歴というんですか、給与歴というんですか、これで出した数値を掛けていく、こういうことになるんですね。
  86. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) これは若干違いまして、先生の今の標準的なモデルでやりますものは、そのモデルそのものの、生で一般的な例として取り上げておるわけでございます。個々具体的な問題は過去五カ年の給料を使いますので、過去五カ年の給料月額を出しまして、それを再評価をして、今度は標準的モデルで求めました政令で定める補正率というものを掛けて過去の期間を出すということでございますから、若干そこは違ってまいります。
  87. 神谷信之助

    神谷信之助君 個々の数値が出てくると、それは全部一律になってくるんですか、それともいろいろなケースに分かれて数値をつくってくるんですか。どういう形なんですか。
  88. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 各勤務年数に応じまして各期間の補正率が決まってまいることになります。
  89. 神谷信之助

    神谷信之助君 男女の差はないんですか。
  90. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 男女の差を設けることは考えておりません。
  91. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれにしても、この数値がはっきりしていませんので、これについても我々として検討する、あとはできませんので、これにとどめておきます。  その次に、減額退職年金の問題です。これは早 期退職者のために設けられた制度ですが、これが本則では廃止になっています。六十歳定年制になりましても、早くやめる人が相当出てくるわけなんですね。確かに年金は早くもらえばそれだけ減りますからね。もらう本人にとってはもらわずにおられればそれにこしたことはないけれども、そういう条件でその年金に頼らざるを得ないという人も現実には相当出てきているわけです。これがなくなるというのは、そういう早期にやめざるを得ない人、あるいは年金の収入に生活の一定部分を期待しなければならない、そういう人というのは今までもあったし、これからもあると言うんだけれども、それはこれからなくなると言うんですか。この辺の考え方はいかがですか。
  92. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 減額退職年金の話は、前回のこの委員会でも御質問が出まして御説明さしていただきましたが、先生のおっしゃるようないろいろなケースがあるんだと思います。あるんだと思いますが、やはり現在百分の四という減額率で運用さしていただいておりますけれども、保険数理に基づいて計算いたしますと、減額率というのは百分の八を超えざるを得ないという話が実はもう相当根強く出ております。したがいまして、この百分の八以上の減額率で減額退職年金をこれからも存続きしておいていいんだろうかというふうに考えますと、やはり厚生年金と同じように減額退職年金というものを廃止して、そしていよいよ本当に年金が必要なときにはきちんとした年金がいただけるようにした方がいいんじゃないかというふうに思います。  ただ、この制度をすぐになくしてしまうというのは、現在その制度があることを前提にして生活設計をお立てになっておられる方もいらっしゃるでしょうから、この前も御説明さしていただきましたように、ある程度の期間というものを経過期間として設けさしていただきまして、その間に関係者の方々に徐々にこの制度がなくなることを御認識いただいて生活設計を立てていただくというふうにした方が年金制度あり方としてはいいんじゃないかというふうに現在も考えております。先生がおっしゃるような話は話としてそれおりに理解できますけれども制度の将来のあり方としては、私が先ほど御説明申し上げましたように持っていく方がこれからの高齢化社会というものを考えた場合にはいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  93. 神谷信之助

    神谷信之助君 今の百分の四が百分の八、それを上回るようになってまいりますとこれはちょっと大変な額になってきます。そういった問題はあるんです。実際問題としては、例えば、これは京都の教職員組合の調査ですが、ことしの三月三十一日付で退職した百五人の婦人の教職員状況です。それを見ますと、四十九歳以下が三十七人、それから五十歳から五十四の人が二十人、五十五から五十九が四十人、六十歳以上が八人という状況ですね。五十から五十九というところでやめている人が五七・一%。それから退職の理由も調査されておりますが、若い人なら結婚もあるでしょう、結婚が七人、転職が二人とかいうのがありますが、病気というのが九人、これは五十代で七人、体力の減退というのが二十八人、そのうち五十代が二十三人、それから看護というのが十五人、これは五十代が十二人で案外多いんですね、老人看護問題だと思います。こう見ますと病気、体力の減退、看護というのが今言った数字の中で四〇%以上を占めるという状況ですね。それから家庭状況、そういったものの反映だというように思います。  これらの人が皆、減額年金が必要かどうかそこまでわかりませんが、この中にまた、もらう退職金の方はローンの返済に充てるという人も出ているだろうし、そうなると年金をとりあえずの収入として必要を感じている人も出てきているわけですね。だから、そういった事例というのはこれからもあるようにも思うんです。私自身もこの減額退職年金をもらいました、やめたら食えませんからね。やはりそういうものも現実に出てくるんです。ですからこの辺は、昭和七十年、それから消防なんかの七十五年とかいうような経過規定はありますけれども、それを過ぎるとなくなりますから、それまでの間にこの点はもう一度実態調査なんかもやってみて、我々も検討してみたいと思うんだけれども、ひとつ考えてもらいたいというように思います。  それから、もう時間がありませんからもう一つだけ申し上げますが、併給調整の問題です。いずれか一つの選択に絞られることになりますが、施行日の前と後とで区切りが非常にはっきりしてまいります。そういうように思うんですが、これは全部が全部だめだというんでなしに、一定限度まで限度額を決めて、その範囲内であれば併給はやめるというような考え方はできないものかどうか、この点はいかがでしょうか。
  94. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) この併給調整の話は、今度の改正案をつくる場合にもいろいろ議論になりました。厚生年金の場合には併給調整がないじゃないかということから始まりまして、制度間格差の一つ議論として出てきたわけでございます。  そこで、先生お話しになりますような考え方一つ考え方だというふうに私は思いますけれども、今回の併給調整というのは、簡単に申し上げますと、これは社会労働委員会でもよく議論されておりましたけれども、結局一人一年金制度というものを徹底させていって、必要な人に必要な年金支給していくんだ、そうすることによって公平な年金制度をつくり、運用していくんだという話がございました。そこで先生が恐らく御心配されておるんだと思いますけれども、一人一年金にしたら低い人が出てくるじゃないかというような御指摘が背景にあるんだと思いますけれども、そのために今度の制度改正に当たりましても、先ほど話が出ました退職共済年金特別支給につきまして、その期間につきまして二百四十月みなしを行うとか、あるいは障害共済年金とか遺族共済年金につきまして三百月みなしを行うとか、障害共済年金厚生年金相当部分について一定額保障をしていくとか、中高齢寡婦加算について特別な配慮をするとかいうふうに行いまして、できるだけそういう低い年金が生じないようにそれなりの配慮をさしていただいたわけでございまして、そういうことを踏まえまして、この際厚生年金と同じように併給調整というものをさしていただいたらどうだろうかということで御提案申し上げたわけでございます。  先生のお話は、いつも実態調査に基づくお話でございますのでそれなりに私たちもよくわかるんですけれども、一応制度をつくるときに横並びの議論というものもございますし、それなりの配慮をしたという背景もございますので、御承認いただけないかというふうにお願い申し上げたいと思います。
  95. 神谷信之助

    神谷信之助君 一人一年金というのは追求すべき目標ですけれども、これは年金水準との関連で出てくるんで、一人一年金は目標であるけれども年金水準が低いのに一年金でやられたんではたまったものではない。そういう意味で一定限度額で併給調整ができるような方法を私は考えてもらいたい。この点研究課題にはしてもらいたいと思うんですが、大臣、よろしゅうございますか。
  96. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先ほどの答弁で、急いで申し上げた関係で、厚生年金に併給調整がないというふうに申し上げましたが、併給調整があるという言い間違いでございますので、それはちょっと訂正さしていただきたいと思います。  先生のお話はお話としてそれなりにわかるんですけれども先生が御提案なされました話というのは、私たちも他の方からも話を聞かしていただいておりますので、現在のところは四共済それぞれ共通する問題でございますし、また厚生年金との関係もございますので、ひとつその点は、今回のところは御勘弁いただきたいというふうに思います。
  97. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういうふうに言われると、申しわけないがもう一遍言わなきゃならないんです。  これは、前にも公的年金制度のねらいといいますか目的という点で、だれであっても労働力が喪失したりあるいは減退をするといいますか、そういう状態のときに生活を保障するというそういう側面と、それから生活の激変を避けて従来の生活がある程度維持できるというもの、これを保障するという、そういう二つの側面があるわけでしょう。だから、併給ということは二つの年金をもらうそれなりの原因があって出てきているわけですね。それが一つになっていいということになる場合は、一人が一年金でいいということになる場合は、今言った二つの側面が十分充足されるような年金水準が保障されている場合に可能であるわけですね。そうでない場合には併給調整、厳格にやるんじゃなしに、せめて一定限度額までは保障していくということ、これをやらなければならぬというふうに思うんです。これは公的年金制度をいかにつくり上げていくかという問題とも関連をしますから、そういう点で大臣の方でも念頭に置いてもらって、研究課題としてやってもらいたいというように思うんですが、この点を最後に大臣にお伺いします。
  98. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 勉強して努力をいたします。御意見はわかりました。
  99. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  100. 抜山映子

    ○抜山映子君 このたびの改正によりまして基礎年金五万円というナショナルミニマムというものを確立したとはいうものの、加入期間の短い人、今まで国民年金に加入していなかった人、そういう人たちについてはナショナルミニマムすらないということで老後に大変不安を感じていらっしゃる方が多いと思うのです。  一方、このナショナルミニマムの概念もちょっとあいまいでございますが、少なくともこのナショナルミニマムで生活ができるということではないと思うのですね。これはある社団法人福祉社会研究所でヒアリングによって統計をとった結果によりますと、一人暮らしの場合は七万から十万だというのが三五・七%、十万から十五万かかるというのが三〇・五%、二人暮らしの場合は十六万から二十万かかるというのが三〇・二%、十四万から十六万だというのが二三%と、こういう結果が出ているわけです。そうしますと、今考えなくちゃいけないのは国民年金について厚生年金の報酬比例部分に相当するものをつくるのが穏当じゃないか、いわゆる拠出比例の年金ですね。そういうものをつくってあげてこそ国民の方もこれによって老後に対処することができると言えると思うのですが、この点、厚生大臣、いかがでしょう。
  101. 谷口正作

    説明員(谷口正作君) お答え申し上げます。  国民年金に所得比例の年金を設けるべきじゃないかという御質問だと存じますが、先生御案内のように、サラリーマンの方たちにつきましては既に二階部分があるわけでございますが、自営業者の方たち等に所得比例の保険料の仕組みを導入することにつきましては国会でもいろいろ御議論いただいたわけでございます。いろいろ実は問題もございまして、一つには多様な業態にわたる国民年金の被保険者につきまして所得を公平に把握できるだろうかという問題もございますし、対象となる方々に比較的低所得の方々も多いというような現状を考えますといろいろ難しい問題もございまして、なお今後慎重に検討していかなきゃならぬ課題だというように存じておる次第でございます。
  102. 抜山映子

    ○抜山映子君 よく聞き取れませんでしたけれども、要するに、低所得の人が多い、それから所得が各人まちまちである、こういうことの理由からそういうことは難しいというようなお答えだったかと思うのですけれども、これは選択に任せるという方法もとれるわけでございまして、その点はいかがですか。
  103. 谷口正作

    説明員(谷口正作君) 国民年金に所得比例をという点につきましての重ねてのお尋ねでございます。特に、国民年金につきましては、その場合に必ずしも強制とはいたさないで選択でという点でございますけれども、選択でというのは私なりに解釈さしていただきますと、任意の加入の制度ということで解釈さしていただきますが、その場合におきましてはまたさらに幾つか問題点があろうかと私ども思っております。  まず、公的年金制度を仕組む場合に、その制度が将来にわたって世代と世代の助け合いのシステムとして稼動していくためにはやはり当然に加入していただき、そして当然に費用の負担もしていただくという当然加入のたてまえでやりませんとなかなか制度が安定したものにならない、財政的にも運営面でも安定したものとならないというような問題もございますし、それから、特にそういった制度面、運営面の問題がございまして、こういった御提案につきましては私どもなお慎重に検討しなきゃならぬ課題であろうかというように存ずる次第でございます。
  104. 抜山映子

    ○抜山映子君 任意にすると安定したものにならないという御説明でしたけれども、保険会社では今任意年金の大変バラエティーに富んだものを発売しています。ですから、任意であれば絶対これはもうだめだというような結論で国民の要請にこたえないのは怠慢だと思うんですね。厚生大臣、いかがですか。
  105. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 民間の私的年金はその人一代限りのものでございますし、今の公的年金につきましてはずっと長い年月にわたって世代から世代へ継承されていくべきものであると考えますので、やはり同列に扱うことはいかがかというふうに考えます。
  106. 抜山映子

    ○抜山映子君 厚生大臣、今女性の基礎年金が五万円、こういうことになっておるわけですね。しかも、今まで掛けていない人についてはこの五万円も保障されていないんですよ。そうしたときに、それじゃ老後はどうしたらいいんだろうかというときに、どうしても私は何らかの意味で拠出比例の年金がなければ対処できないと思うんです。諸外国では女性の年金というのはむしろ男性よりも五歳ぐらい支給時期が早いんですよ。ところが、日本の女性の場合については男性よりももらう時期が五年遅い、六十五歳なんですね。だから、諸外国と比較して大変に見劣りすることになっているわけです。これをカバーするには何か方策を考えなければいけないと思うんです。厚生大臣、どういう方策を今後お考えになっていらっしゃいますか。
  107. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今お話しございました外国の例は、確かに日本の今度の新しい考え方のように男女とも六十五歳とした国もある反面、おっしゃるように、西ドイツでございましたか、女性だけは五歳早く支給開始になっている例もございます。ただ、これも私、念のため一応現体制制度について調べてみましたんでございますが、実はその場合ただ、男性の場合と同じような要件で六十歳とするんではなくて、十五年以上の拠出が続いていること、あるいは最近の二十年間に十年以上強制加入の拠出があったならば五歳早めるというようなことで、もちろん先生のお考えに即した女性を支給開始年齢の上で少し早くするという思想のもとではありますが、拠出の要件と絡めながらやっているわけでございます。  また一面、男性の場合でも実はすべてが六十五ではなくて長い勤務、三十五年以上勤務した方の場合は六十三歳から認めるとか、あるいは直近の一年半に長い失業期間があれば実は女性と同じ六十歳から認めるということで、欧米におきましても、その時点での給付の必要性と申しますか、所得保障の必要性に応じて考えるという発想に立っているわけでございます。その意味で、男女の支給開始年齢について納得のいく線にするためには今後どう対応するかという御質問の点につきましては、ドイツだけが例じゃございませんが、そのような実態とかみ合わした支給開始年齢の発想も踏まえて考えることは別としまして、基本的にはこれからの高齢化社会を前提とする限り、男女に支給開始年齢の差があることはそのままでは説明がつかないんじゃないかというふうに私ども考えております。
  108. 抜山映子

    ○抜山映子君 ひとつじっくり考えてください。  それから、今後六十歳支給で、あるいは六十五 歳支給ということになると、雇用との関係をどうするんだと、定年の方も延長しない限り支給開始時期を六十五にすることはないかという同僚議員の質問がございました。しかし、それについては明確にぴたりとお答えにならなかったと思うんですね。高齢化して体力が衰えると半分労働して半分年金を受給するということを希望する方もあると思うんです。これも先ほどの社団法人福祉社会研究所の統計によりますと、年齢的に六十歳から七十歳までの人は部分就労を望む人が多いわけです。健康である限り自分は働きたいという人も随分あると思います。  そこで、スウェーデン方式とも言われておりますが、部分就労、部分引退、すなわち部分就労については部分賃金を与える、部分引退については部分年金を与えるということを六十歳以降について日本も考えてはどうかと思うんですけれども、厚生大臣のこれに関する御所見をお願いいたします。
  109. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 六十歳支給支給開始を六十五歳にするという際には、やはり私は日本の雇用情勢というものがそれに適しておる状態でなければできないというふうに考えておるわけでございます。  御指摘のスウェーデンの例につきましては、日本の雇用状況が将来どういうふうになるかということを考えてみなければならないと思いますけれども、現在の情勢から判断いたしますとそのような制度を導入するかどうかということはなかなか見通しが立ちにくい状況であると思いますので、慎重に対処してまいりたいというふうに考えます。
  110. 抜山映子

    ○抜山映子君 今すぐお答えいただかなくとも、少なくとも年金とそれから退職の時期と必ずタイアップさせて対策を立てていただきたいということを特に切望しておきたいと思います。  次に、自治省の方にお伺いいたします。  障害年金について伺いますけれども、厚生障害年金については支給制限は設けられていませんけれども、改正共済の方は障害共済年金について在職支給制限を導入しておりますね。これはなぜでしょうか、理由を明確にしてください。
  111. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 公務員の場合には、在職しておられる限りにおきましては、給与制度がしっかりしておりますので、障害者であるからといって給与が切り下げられることは原則としてございません。ただ、仮に障害者の方で、給与が低い方につきましては、現在の額で申し上げますと、十六万八千円未満の収入の方につきましては、低在者といいまして、在職しておりながら月給が低いというので障害共済年金支給する制度を設けておるわけでございます。
  112. 抜山映子

    ○抜山映子君 そうしますと、今後、年金一元化をされた場合にはどう調整するお考えですか。
  113. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 共済年金厚生年金がすべて同じでなければならない、年金一元化というのは同じでなければならないというわけではございません。それぞれに違いがある場合に、その違いというものを合理的に説明できるかどうか。その違いというものを国民に御説明して納得していただけるかどうかという観点から考えていかなきゃならない問題だというふうに思います。
  114. 抜山映子

    ○抜山映子君 次に、遺族年金についてお伺いいたしますけれども厚生年金の遺族のうち、夫、父母、祖父母の支給要件は、死亡時五十五歳、支給六十歳となっております。これに反し共済遺族年金の方は、死亡時の年齢関係なく六十歳から支給することになっておりますが、これはなぜですか。
  115. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 従来からといいますか、現在もそういう制度をとらさせていただいておるわけでございますが、今回の改正に当たりまして、厚生年金と同じようにするかどうかという議論もあろうかと思います。ただ、厚生年金と同じようにさせていただいた場合に、その年齢の前後、五十五歳少し前の方につきまして若干気を使う面もございますし、今回このままの制度を続けさせていただいた方がいいんじゃないかというふうに考えまして、関係専門家の意見を聞きましたら、やはりそのままにしておいた方がいいだろうというのが年金関係の専門家の意見でございます。  今回の制度を立案するときに検討委員会というものを設けまして、そういう方々にお入りいただいて御検討いただいた結果そういう御意見でございましたので、現在の制度をそのまま継続させていただいておるというわけでございます。
  116. 抜山映子

    ○抜山映子君 終わります。
  117. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後四時三十分開会
  118. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 地方行政委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として田代富士男君が選任されました。     —————————————
  119. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 休憩前に引き続き、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  120. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議があるようですので、これより採決をいたします。  本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。  本案に対する修正について松浦君から発言を求められておりますので、この際これを許します。松浦君。
  122. 松浦功

    ○松浦功君 私は、ただいま議題となっております地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合を代表して、修正の動議を提出したいと思います。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  これより修正案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。  修正の内容は、第一に、年金額の改定の要素に賃金を加えることであります。政府原案では、この法律による年金である給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、速やかに改定の措置が講じられなければならないものとしておりますが、改定の要素として、国民の生活水準等のほか、賃金を加えることといたしております。  第二は、職域年金相当部分支給要件を緩和することであります。職域年金相当部分年金額は、政府原案では、組合員期間二十五年以上の者について厚生年金相当部分の二割相当としておりますが、組合員期間二十五年とあるのを二十年と改めることとし、これに伴う所要の修正を行うこととしております。  第三は、船員の期間計算の特例についてであります。政府原案では、本法施行日前の船員の組合員期間はその三分の四倍の期間として計算することにいたしておりますが、これに加えて、本法施行日以後の期間も五年間に限り五分の六倍の期間として計算することといたしております。  以上が本修正案の趣旨及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
  123. 増岡康治

    委員長増岡康治君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  124. 上野雄文

    ○上野雄文君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、政府原案並びに修正案につきまして、反対の討論を行います。  今回の改正案は、さきの通常国会において改正されました国民年金厚生年金共済年金との整合を図るという大義名分のもとに、その実態は、年金給付の切り下げ、組合員負担の引き上げ、そして国庫負担の削減を図るものであります。  私は、まず改正の原因とも言える基礎年金について大きな問題があると考えます。具体的に指摘をしますと、第一には、未納、滞納の解消策がなく、また、資格期間が長期であるため低所得者ほど無年金者になり、無年金者が増大するという矛盾が起こります。第二に、定額給付ではなく加入期間により受給額が計算されるため給付格差が生じます。これは、国民共通の基礎年金という性格を勘案すれば致命的な欠陥であります。また、第三に、四十年で五万円という年金額は、生計費としては低水準過ぎ、少なくとも八五年度の生活扶助約六万円という生活保護水準よりは高くすることが妥当であります。さらに、単身者に対する加給も措置されていず、厚生年金共済年金では定額部分基礎年金の導入によって四八%の給付の切り下げとなります。第四に、支給開始年齢本則六十五歳とされておりますが、定年は六十歳であり、これは制度としては極めて矛盾するものであります。しかも、新制度では夫は特別支給で六十歳、妻は六十五歳となり、夫婦同年齢であっても五年間は妻の年金支給されず、実態的には夫が妻より年齢が高いため、未支給期間はさらに長期となりますが、これは給付水準の大幅な切り下げであります。第五に、保険料が定額制であり、所得比例となっていないことは所得再配分機能が全くないことを意味しており、また、負担の限界が考慮されていないため極めて高い掛金前提にして設計されております。これは前述したとおり無年金者の拡大をもたらすものであります。第六に、財政負担の大きな部分厚生年金からの財政調整財源流用に頼っており、これは勤労者に負担を転嫁する結果となります。また、国民年金保険料は六十一年四月より、月額六千八百円とされておりますが、拠出金は八千百九十八円とされ、負担の不均衡が出発時から存在することとなります。さらに、第七に、国庫負担は基礎年金給付の三分の一とされていますが、これは比例報酬部分の国庫負担ゼロとあわせると大幅な削減であり、また、特別支給期間における国庫負担もありません。第八に、勤労女性と専業主婦の負担の不均衡、パート労働における課税額の矛盾からくる国民年金負担の不均衡と給付格差、無年金問題、さらに、夫に従属した被扶養配偶者の基礎年金問題等、婦人の年金権の未確立が指摘されます。  次に、報酬比例年金の問題点を指摘いたしますと、第一には、職域年金を含めましても年金額が単身者で三六・六%、夫婦世帯で一四・五%も切り下げられること、第二に、保険料が地公共済の場合、最終的には掛金率が一七二・五、保険料率で言うと三四五・〇にもなるという労働者負担の限界を全く考慮していなく、労使折半負担制など負担構造の改革にも全く手がつけられていない点、第三に、画一的な併給禁止による既得権、期待権、そして低額年金者の生活権の侵害、第四に、所得制限による再就職者の低賃金構造の温存、第五に、懲戒処分による支給一部制限による本人や遺族の生活権の侵害、第六に、特定消防職員特別支給制度廃止雇用、労働条件の実態との乖離、第七に、既裁定者スライド停止による現受給者の権利の侵害等が指摘されます。  このように、今回の改正案は制度の改善とはほど遠い問題点だらけの欠陥法案であり、我が国の公的年金制度を危機に導く第一歩となるものであります。社会党は、独自に、また、野党四党とも共同して抜本的修正を政府に要求してまいりましたが、政府は、基本部分の修正に応ぜず、みずから社会保障制度としての公的年金確立の道に背を向ける姿勢を示しました。我が党の算定基礎の改善、職域年金の引き上げ、既裁定者スライド停止の一部緩和など極めて適正な必要最低限の修正要求にも応じない政府の態度は、多くの国民の信頼の喪失をもたらすものであります。社会党は、党が主張している総合的年金改革策の実現による公的年金の確立をさらに追求する決意であり、政府の年金政策は遠からず破綻するでありましょう。  最後に、本委員会で焦点となりました消防職員労働環境の抜本的改善、地方公営企業に対する公的負担問題、さらにその他の問題につきましては、委員会の審議を尊重し、政府が誠実な対応を行うことを要求いたします。  なお、修正案につきましては、我が党を初めとする野党の強い主張により修正されるものであり、その部分については評価いたしますが、本修正によっては法案の持つ問題点は払拭されないことは明らかであり、したがって、原案及び修正案を含めまして反対するものであります。  討論を終わります。
  125. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、原案及び修正案に賛成の意を表します。  原案は、公的年金制度等改革の一環として、地方公務員共済組合の組合員等についても基礎年金制度を適用すること、退職共済年金等長期給付の適正化を図ること、既裁定年金についても所要の措置を講ずること等を主な内容とするものであります。  我が国の社会経済情勢は、高齢化社会の急速な到来によりまして大きく変化しつつあり、そのため各般の施策が検討され、また、実施されておるところであります。特に、老後生活を支える柱として、年金の重要性はますます高まってきており、長期的展望に立った安定した年金制度の確立が期待されておるところであります。  しかしながら、現行の公的年金制度においては、今日までに果たしてきたその役割は評価されているものの、予測される年金受給者の急増、受給期間の長期化等に伴う給付の増大、その原資を支える後世代の負担の重圧等、年金制度の土台となる状況の変化に対応することが難しくなってきており、また、それぞれの沿革に基づく事情は理解できますが、各制度間において給付、負担等の不均衡があり、国民の間に批判があることも周知のところであります。  原案は、以上のような状況を踏まえ、さきの国民年金及び厚生年金保険等の制度改革に続き、地方公務員共済についても、国家公務員共済の改正と同一基調に立ち、公務員の特殊性に配慮しつつ所要の改正を行おうとしているのであります。  私は、原案の措置は、適正な年金水準のもと長期的に安定した公的年金制度を確立し、また、世代間の負担の公平を図り、公的年金一元化に資するための措置として適切なものであると思います。  申すまでもなく、今回の制度改革は、公務員及び現に年金を受けられている方々に対し極めて異例な画期的なものであり、その影響するところは甚だ大きいものがあると考えています。この点については、原案において所要の経過措置を講じておるところでありまして、私も原案の措置を子としているものでありますが、今回の改正は公務員行政にとって重大なことでありますので、政府においては制度改革の趣旨をさらに十分徹底し、関係者の理解と信頼を得られるよう御努力をいただきたいと思います。  なお、修正案につきましては、両院における論議を踏まえ、関係者の間で御協議いただいたところであり、賛成いたします。  以上の理由により、私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、原案及び修正案に賛成するものであります。
  126. 中野明

    ○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案及び同法修正案に対し、反対の討論を行います。  現在の我が国の人口構造は急速に高齢化しつつあり、今後、公的年金制度はますます重要となってくるのであります。しかし、年金制度はその沿革や目的等の相違などから複雑化しており、そのために、一部に官民格差や官官格差など年金間の格差、給付と負担の不均衡といった事態が生じております。また、産業構造や就業形態の変化に伴 い、国鉄共済などのように、その存立基盤すら危ぶまれるなど、問題は少なくないのであります。  到来する高齢化社会を考えるとき、安心して暮らせる老後生活を確保するには、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図らなければなりません。そのために、公的年金制度一元化等の改革を推進する必要があります。  今回の改正では、こうした背景のもとに、前国会で成立した国民年金法の改正で導入されたいわゆる基礎年金制度が導入されているわけであります。この制度は、我が党が既に昭和五十一年に作成した「福祉トータルプラン」において提唱した「国民基本年金」の構想と大枠において一致しており、その意味におきましては、今回の改正案も一応評価できるのであります。  しかしながら、本改正案は、基礎年金の給付、負担面での多くの課題を残すなど、審議過程で種々の問題点が浮き彫りにされており、国民がひとしく老後において健康で文化的な生活を営むための恒久的な年金制度を確立するという基礎年金制度導入の基本理念が十分に反映されていないのであります。  私どもは、年金制度の将来を真剣に考え、これらの問題点の解決を図るべく自民党にその修正を要求してきたわけであります。しかし、重要な数々の点については何ら修正が行われず、まことに遺憾に思う次第であります。よって、ここにまず、同法案の問題点を明らかにしておきます。  第一には、我が党がさきの国民年金法改正の審議を通じて主張してきたところでもありますが、政府提案の基礎年金そのものが国民のひとしく保障される基礎年金導入の基本理念に十分添うものでなく、重大な欠陥を指摘せざるを得ないのであります。  第二は、公的年金全般の給付と負担とが見直されている中で、共済年金のみを例外とするものではありませんが、国鉄年金の財政問題等を含め、今後の共済年金あり方と、政府が昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるとしているが、具体的再編成のプロセスが明らかにされていないため、共済年金加入者の不満と不安を募らせているということであります。  第三は、現行公務員制度のもとにおいて公務員共済年金制度が、公務員制度の一環として組み込まれているという実情が十分尊重されているとは言いがたいのであり、公務員年金水準等のあり方についても、公務員等の十分な理解を得られる内容とはなっていないのであります。  第四は、既裁定年金を含め、共済年金厚生年金に準ずる方式に改めるに当たり、従前の共済年金の受給要件または給付水準が、厚生年金より不利になっていたものについては、これを国の社会保障水準である厚生年金並みに引き上げる必要がありますが、こうした措置がとられていないことであります。  次に、改正案に対して修正すべき事項について我が党の要求を指摘しておきたいと思います。   一、既裁定年金については、六十一年四月分以後、その額をいわゆる通年方式による年金額に改定することとし、改定後の年金額が、従前の年金額よりも少ないときは、従前金額をもって改定後の年金額とすることとしているが、この場合、従前の年金額については、一定期間物価指数による自動改定を行わないこととしている点について緩和措置を講ずること。   一、施行日の前日から引き続き組合員である者のうち、同日において退職年金の受給資格を満たしている者が、施行日以後に退職共済年金を受ける権利を有することとなった場合において、その者の受けるべき年金額施行日の前日において退職したならば、受けることができたであろう退職年金の額より少ないときは、当該退職年金の額をもって退職年金とすることとしているが、この従前保障の年金については、物価による自動改定を一定期間行わないこととしている点について、緩和措置を講ずるとともに施行日後の掛金納付期間についても掛金を納付していることに一定の配慮をすること。   一、通算年金方式によって計算されている退職年金等(改正後において通算年金方式裁定がえするものを含む。)については、従前の厚生年金水準を下回ることのないよう、加給年金を加算する等の配慮をすること。   一、厚生年金の場合に準じ、老齢基礎年金の受給要件を満たしている六十五歳以上の在職者は長期組合員の資格を喪失させる(公務に基づく年金部分を除く。)とともに、その者に支給される退職共済年金については満額支給とすること。   一、女子にかかる退職共済年金支給開始年齢については、厚生年金の場合に準じ、昭和七十五年までに六十歳となるよう段階的に引き上げるとともに、当面は五十五歳とすること。   一、厚生年金の場合に準じ、障害共済年金受給者が在職者であっても、満額支給とすること。   一、組合員期間が六カ月以上一年未満で障害者となり、障害年金支給されていない過去の障害者等についても、本人の申告に基づき改正法施行日以後、従前の厚生年金の場合に準じ、障害年金支給すること。   一、組合員期間が六カ月以上一年未満で死亡し、遺族年金を受けていない過去の遺族等に対しても、本人の申告に基づき改正法施行日以後、従前の厚生年金の場合に準じ、遺族年金支給すること。   一、厚生年金の場合に準じ、施行日において四十五歳以上(昭和十六年四月一日以前に生まれた者)で、組合員期間が十年以上である者については、職域年金を除く部分について任意継続組合員の制度を設けること。  以上、私どもが政府並びに自民党に修正を要求いたした点であります。  なお、自由民主党・自由国民会議及び民社党・国民連合提出の修正案には私どもの主張が若干受け入れられたのでありますが、共済年金の将来を考えたとき、さきに指摘した多くの憂慮すべき点が残っており、いまだ不十分なものであると言わざるを得ないのであります。  以上が、改正案及び修正案に反対する理由であります。  反対討論を終わります。
  127. 抜山映子

    ○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につき、修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行うものであります。  御承知のとおり、我が国は、高齢化社会が進行する中で人生八十年時代を迎えました。国民の大多数にとって老後生活を支える所得保障の最大の柱は何といっても公的年金制度でありましょう。  しかし、我が国の公的年金制度は、官民格差、給付と負担の不均衡など、多くの社会的不公正や矛盾を抱えております。また、制度が多岐に分立しているために、中には国鉄共済のごとく財政が破綻に瀕しているものもあります。現在、国民の間に多年にわたり保険料を納めて本当に年金がもらえるのかという不安が増大していることは否めない事実であります。  政治は、国民の不安を解消し、年金財政の長期安定と公正な制度を確立する責務があります。政府がこの責務を果たすべく、今回改正に示されたように、基礎年金制度の導入と所得比例年金の二階建て構想によって年金一元化に踏み切ったことは、遅きに失したとはいえ評価すべきと存じます。  今回改正は、給付の算定方式などをさきに成立した国民年金等と同様なものと改め、官民格差を是正するとともに、公務の特殊性を考慮して職域年金部分を三階建てとして上乗せしております。また、基礎年金制度の確立の中において女性の年金権の独立化を図りました。まさに制度発足以来の抜本改正と言えます。  この改正に対し、不平不満があることは十分承知しておりますが、この改正を断行しなければ公正な年金制度の確立は大幅におくれ、何よりも年 金財政がパンクし、老後の経済不安を惹起するとともに、老後の給付を支える現役で働く人々の保険料負担が耐えがたいまで上昇することは必至であります。不平不満があったとしても、国家百年の大計を考えれば、受益と負担のバランスを図るための今回改正は必要不可欠であり、今実現しなければ本格的な高齢化社会を活力ある社会にすることは絶対的に不可能になります。  我が党は、この見地から今回改正に基本的に賛成するものでありますが、若干の問題点があるため修正するよう強力に要求いたしました。その結果、職域年金部分については、二十五年未満二分の一支給するという事項を二十年未満とするよう法修正がなされました。最善な修正ではありませんが、一歩前進としてこれを受け入れるものであります。また、年金額の改定に当たり、賃金スライドを明確にするよう法修正がなされ、この修正も年金受給者の生活安定に資するものと確信いたしております。さらに、その他の修正部分もそれぞれ評価できます。  私は、以上述べた理由により同法案に賛成いたしましたが、今後、政府が附帯決議に盛り込まれた事項につき誠実に取り組むよう要求しまして、討論を終わります。
  128. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案並びに自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合共同提出の修正案に反対の討論を行います。  今回の地方公務員共済年金制度の改正は、国民年金厚生年金に続く公的年金制度の大改悪の総仕上げとなるものであります。この一連の改悪の結果、昭和九十年度における国庫負担、自治体負担は、国民年金厚生年金では五十九年度価格で二兆三千億円、国公、地公など四共済年金では同じく三千三百億円、合わせて二兆六千三百億円も削減されることに端的に明らかなように、国庫負担の削減が最大のねらいであります。このため、年金の給付水準は大幅に引き下げられる一方、組合員の負担となる掛金は二・四七倍にも引き上げられ、その期待権、既得権を踏みにじるのであります。これは、まさに軍事費拡大、国民生活犠牲の中曽根臨調行革政治の反国民性を証明するものにほかなりません。しかも、このような一連の大改悪案の審議状況は前例のない短時間の審議が行われたにすぎず、到底審議が十分尽くされたものとは言いがたいのであります。したがって、立法府の責任を果たす上からも、本法案審議未了、廃案とすべきことをまず冒頭に強く主張するものであります。  以下、本改正案に対する反対理由を具体的に述べます。  反対理由の第一は、給付水準の大幅な切り下げであります。自治省モデルでも妻が専業主婦の場合一五%、夫婦共働きの場合約四〇%も給付水準が引き下げられ、また、私が当委員会で明らかにした試算では、高卒で二十歳の職員が四十年間掛金を掛け続けた場合、八十歳まで生存したとしても独身者では三千二百九万円、妻帯者では千七百万円ももらわずじまいになるという結果になるのであります。これは国庫負担どころか、自分の掛金と自分のために使用者が負担した負担分さえ保障されない極めて低い給付水準であることを示すものにほかなりません。  反対理由の第二は、保険料の大幅な引き上げによる負担の増大であります。現行の掛金は組合員の給与の六・九%でありますが、地公共済組合連合会の試算によれば、これが昭和九十五年度には給与の一七・二五%と実に二・四七倍にもなるのであります。このため、昨年の財源率再計算によって掛金は現行の六・九%に引き上げたばかりであるにもかかわらず、今後毎年のように掛金の引き上げが行われるおそれがあることは政府も否定できないのであります。  反対理由の第三は、冒頭に述べた国庫負担、自治体負担の大幅な削減であります。そもそも共済年金制度を含む公的年金制度は、国または地方公共団体がその責任に応じて費用を負担することが原則であります。しかるに、今回の改正案ではこの公費負担分は基礎年金の三分の一に限られることにより、現行の一五・八五%から一一%にまで引き下げられるのであります。当委員会においても毎年のごとく公費負担分を厚生年金並みの二〇%に引き上げるよう決議されてきたにもかかわらず、これに逆行し、昭和九十年には地公共済公的負担が政府の計算によっても千八百億円も削減されるような今回の改正は断じて認められるものではありません。  反対理由の第四は、年金全体の約八%にしかすぎないわずかな職域年金の上乗せによって、共済年金全体を地方公務員制度の一環として公務報償的なものに性格づけようとしていることであります。この職域年金部分は報酬比例部分に対しては約二〇%でありますが、厚生省によれば厚生年金に上乗せされる企業年金は報酬比例の約三一%になるとされており、これと比較しても公務員の数々の制約の代償というには、全くその名にも値しないほど低いものと言わざるを得ません。しかも、この職域年金部分は労使折半の負担であるにもかかわらず、懲戒処分あるいは禁固以上の刑を受けた受給権者に対して、労働者負担分まで含めて支給停止されることになっているのは極めて不当な措置であり、労働運動に対する不当処分が今なお発生していることに照らしても断じて容認することはできません。  反対理由の第五は、いわゆる既得権、期待権が多くの箇所で侵害されていることであります。例えば、改正案では既裁定年金までを通年方式によって年金額を算定し直し、この算定額が従来の方式による計算額になるまで物価スライドを停止し、凍結することとしています。また、施行日までに勤続二十年を経て受給資格を持つ現役の職員も、給付水準の引き下げにより今後の掛金は掛け捨て同然になるのであります。このような既得権、期待権の侵害は公的年金制度に対する国民の信頼を損ない、その崩壊の道を歩むものであり、断じて許されるものではありません。  以上、改正案に対する反対理由を述べてまいりましたが、最後に、政府は口を開けば高齢化社会の到来により現役の負担が耐えられなくなる、そのため年金財政の長期安定と、給付と負担の適正化が必要であると言いますが、私は国庫負担の大幅な増額と労使の負担割合を三対七にするならばこれは根本的に解決する問題であると考えます。また、修正案も政府原案を基本的に認めた上でのごく一部の修正であり、反対であります。  なお、後ほど議題となります自民、社会、公明、民社五党共同提出の附帯決議案について、二項以下の各項は不十分であるが改善を要求するものであり、賛成できるのでありますが、第一項は、本改悪案を我慢して納得させるようにせよとも言うべきもので、我が党は賛同することはできません。この点をつけ加えて討論を終わります。
  129. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、松浦君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  130. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 多数と認めます。よって、松浦君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、佐藤君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤君。
  132. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社 会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。   地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、本法施行にあたり、左の諸点について善処すべきである。  一 今回の改正は、共済年金制度の歴史上例をみない抜本的な改正であるので、共済組合員はもとより、国民全体の理解と納得を得られるよう周知徹底を図ること。  二 公的年金一元化内容及びスケジュールが依然として明らかにされていないので、今後できるだけ速やかに、負担の問題その他その内容等につき明らかにすること。この場合理行共済制度の存続及び積立金の自主運用の推進等を引き続き図ること。  三 基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、国民年金法の附則規定に基づき、できるだけ速やかに検討に着手すること。なお、地方公営企業の公的負担あり方について検討すること。  四 今回の改正が行われると、共済年金と恩給との間に大きな相違が生ずるので、恩給制度についても、公的年金制度の改正をふまえつつ、検討を加えること。  五 今回の改正における職域相当部分の根拠、水準が必ずしも明瞭でないので、この点につき、人事院等の意見もふまえ、見直しに関して検討すること。  六 既裁定の遺族年金については、最低保障の改善を図ること。  七 懲戒処分等による給付制限措置については、今回の改正後、本人の掛金相当部分については行わないこととすること。  八 所得制限の具体的な運用に当たっては、退職者と現役公務員との間の生活の均衡が図られるよう十分考慮すること。  九 現在四十歳の者については、将来給付が最も低い水準になる点について次の見直しの時点までに調整するよう努めること。  十 特定消防職員支給開始年齢の段階的引上げに当たっては、職員の体力練成の推進、装備、資機材の軽量化・機械化、消防職員市町村部局への配転等の人事交流推進消防職員が六十歳まで勤務ができるよう、執務環境の整備に努めること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ満場一致御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  133. 増岡康治

    委員長増岡康治君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。古屋自治大臣
  135. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと考えております。
  136. 増岡康治

    委員長増岡康治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  138. 増岡康治

    委員長増岡康治君) これより請願の審査を行います。  請願第三九八号職務執行命令訴訟制度に関する請願外二十件を議題といたします。  まず、理事会において協議いたしました結果について、専門員から簡単に報告いたさせます。高池専門員。
  139. 高池忠和

    ○専門員(高池忠和君) 本委員会に付託されております請願について、理事会における御協議の結果を御報告いたします。  付託されております請願内容は、お手元に配付しております資料のとおりであります。  理事会におきましては、第三九八号職務執行命令訴訟制度に関する請願は採択、その他の請願は保留、以上のように決定すべきものとの結果でありました。  以上でございます。
  140. 増岡康治

    委員長増岡康治君) それでは、理事会において協議いたしましたとおり、第三九八号職務執行命令訴訟制度に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第四八二号住民税課税最低限引上げに関する請願外十九件は保留とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会      —————・—————