運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-12-17 第103回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十七日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  十二月十六日     辞任         補欠選任      寺田 熊雄君     上野 雄文君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増岡 康治君     理 事                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君     委 員                 上田  稔君                大河原太一郎君                 加藤 武徳君                 金丸 三郎君                 上條 勝久君                 出口 廣光君                 上野 雄文君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 中野  明君                 神谷信之助君                 抜山 映子君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君        自 治 大 臣  古屋  亨君    政府委員        内閣審議官    平井  清君        内閣総理大臣官        房審議官     田中 宏樹君        総務庁恩給局長  佐々木晴夫君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        大蔵省主計局主        計官       中島 義雄君        厚生省年金局企        画課長      鏑木 伸一君        厚生省年金局年        金基金指導室長  和田  勝君        自治大臣官房企        画官       土野  守君        自治省行政局公        務員部福利課長  松本 英昭君        日本国有鉄道共        済事務局長    小玉 俊一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 増岡康治

    委員長増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二月十六月、寺田熊雄君が委員を辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。     —————————————
  3. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に大蔵省主計局。  実は、帯広市の職員組合からどうしてもこれだけはちゃんとしてくれ、というのは、大体十五万都市のここの帯広市の例で、行革特例に基づく例の四分の一カット、これが消防と組合と両方合わせると約一億円あるというんですよ。これは全国のトータルでもって一兆円あるんですから当然のことですが、何とか返してもらうように頑張ってくれと、こう言われているんですよ。  大蔵大臣衆議院での答弁を見ますと、これは十二月末の予算編成過程結論を出したいと答弁しているんです。その答弁を聞いていると、これは望みなきにしもあらずというような気がするんです。絶対だめだと言っていないんですから。その段階で何とか考慮したい、大蔵大臣結論を出したいと言っていますね。  一般会計予算規模が五十三兆八千億円台というふうなおおよそのことが出てきましたのでもう予算編成の時期は迎えた、十一月段階とは違うと思うんで、その後この問題に対する大蔵省としての対応、それから結論がどういうふうに出たのかということをお話しいただきたい。
  5. 中島義雄

    説明員中島義雄君) まず、お尋ねは行革関連特例法によります年金関係国庫負担のいわゆる四分の一カット分の扱いをどのようにするかということだと存じますけれども、その具体的内容につきましては、今後の国の財政状況を勘案する必要がございますために、現時点でははっきりした形でお示してきないわけでございます。しかし、政府といたしましては、昨年来繰り返し御説明申し上げていますように、国の財政改革をさらに一層強力に推進するなど誠意をもって対処することといたしておりまして、今後において積立金運用収入減額分も含む年金国庫負担減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手いたしたいと考えておるところでございます。  そこで、大蔵大臣答弁との関係でございますけれども大臣はいわゆる六十一年度は年金法改正、まあ今お願いしております共済法改正問題もございますので、そういった問題も踏まえ新たに検討をすべきであるという趣旨答弁されたんだろうと存じますけれども、将来における返済計画の点につきましては、遺憾ながらその基礎となります国の財政事情が一向にはかばかしく好転しておらないという状況でございますので、具体的な返済計画の明示はいましばらくお待ちいただきたい、このように考えておるところでございます。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは、大蔵大臣答弁をあなたに文句言ってもやむを得ないかもしれませんけれども質問の方は、四分の一カットは速やかに返済すべきであるが、どうか、こういう質問なんですよ。それに対して大蔵大臣の方は、十二月末の予算編成過程結論を出したいと。今のお話はまだ過程の話で、結論の話でないんですよ。しかし、事実は五十三兆八千億ということしの予算が一応固まってきているんだから、この中でどう結論を出したのか。これはもう来年度は払えないんだというのも一つ結論ですね。そして後年度は払える、何とかしたいという、だから、どちらにしても、ぎりぎりのここでは、この段階における結論を御答弁してもらわないと困るわけです。
  7. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 先生指摘のように、予算編成作業はいよいよぎりぎりの段階に差しかかってきているわけでございますけれども、ただいまの年金関係のいわゆる国庫負担減額分返済 につきまして、これをどうするかについては今最終的な詰めを行っておる段階でございまして、現時点では残念ながらまだちょっと結論の出ていない段階でございます。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 この種のものが、二十三日か四日に予算内示をするという段階で、結論が出ていないということでよく一般会計がこれくらいの規模だなんということが出せますね。これはもう必ず詰めは済んでなきゃならぬと思うんですよ。帯広だけでも一億円、全国で一兆二千億ですかと言われているこの膨大なカット分の処理をどうするかということは、一兆円を超えるんですから、少なくとも十二月段階なら初め、早くからこういうことの詰め大蔵省内部で行われていないはずがないんですよ。まだ決定まで何日があるから決まらないというような性質のものではないんじゃないでしょうか。ちょっとそれではいただけないんです。
  9. 中島義雄

    説明員中島義雄君) 共済関係取り扱いにつきましては、何分にもまだ法案の御審議をお願いしております段階でありますために、私どもとしても一応その後の状況に応じて具体的な方針を明らかにする方が適当ではないかという気持ちで申し上げたわけでございます。  しかし、あえて今まで減額しておりました分の来年度の取り扱いについて現時点で申し上げますと、国の財政事情が大変厳しい状況でございますので、六十一年度からお返しをするということは大変困難な情勢であるというふうに申し上げたいと思っております。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうふうに言っていただければわかるんですよ。どうも答弁が難し過ぎて聞いてもわからないんですが、結局は六十一年度には返せないと、こういう結論が出たということでしょう、今の御答弁をわかりやすい言葉に直すと。どうなんですか。
  11. 中島義雄

    説明員中島義雄君) まだ最終的にこれが結論だと申し上げられる段階じゃございませんけれども、ただいま申し上げましたように、大変困難な情勢であるということははっきり申し上げられるかと存じます。  それでは、いつから返すのかということにつきましては、また今後の財政状況の中で検討させていただきたいと考えております。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 いつから返すのか質問をしようと思ったら、先に答弁されてしまいました。わかりました。これは大変不都合なことだと思いますし、大体十一月の二十日過ぎの段階で、予算編成過程結論を出したいというような思わせぶりで、それで下部では多少期待を持っちゃうんですよ。期待を持つから、我々のところにこういう表をよこして、うちだけでもこんなにあるんだ、何ぼか取ってくれというふうな話になるんで、やはりこういうわかり切っていることは、思わせぶりの答弁をして時間だけ稼ぐようなことはしないで、今あなたの言われたようなことは十一月段階でもおおよそ内部で見当がつく話だと思うんです。それなりの御答弁をしていただくように、きょうは大蔵大臣こちらに見えられないというのでまことに残念なんですが、大蔵大臣いればこれからもっとこの問題は展開したいと思っておったんです。事務方では精いっぱいの答弁をしていただいた感じでございますので結構です。よく大臣に伝えておいてください。  自治大臣、実はきょうは大蔵大臣が来られないというので、それじゃ大蔵年金関係のわかる人をたれか出してくれ、大蔵にも関連する問題があるから、それだけでも質問をしておきたいと申し上げたところが、大蔵省でここへ出てきて答弁のできる人というのは二人か三人しかいないんだそうですね。きのう聞いて私はびっくりしました。少なくとも衆議院大蔵、参議院の内閣に、主務官庁で何人かしか満足に答弁できる人がいないからちょっと出ていっても答えられないという。事ほどさようにこの年金関係法律というのは大変難しい。難し過ぎてわからないというようなことがたくさんあるんです。  実は、具体的な問題で一つお聞きしたいんですが、私は長いこと職員共済組合の理事をやっておりましたので、年金のことはよく覚えているというふうに地方へ帰ると思われるんです。ところが、具体的な問題で聞かれるともう難しくて、我我ではどうにも手の負えないような問題が山ほどあるんですよ。これは、一つにはもう少し年金をわかりやすくしてもらう必要があると思うんですが、専門家大蔵省でも何人がしかいないというようなことでは我々がわからないのは無理ないし、それだけにわからないところはわからないで別に差し支えないと思いますので、素直な答弁をまず冒頭にお願いしておきたいと思います。  それで、事後重症制度、今度の改正法で、これはいろんな年金改悪の中では一歩踏み込んだ大変評判のいい改正一つだと言われておるんです。それだけに地方において該当する人たち期待が非常に大きい。だから、いろいろな問題を抱え込んで来られるんですが、この施行日は一体いつにする予定なんでしょうか、通ったといたしまして。というのは、厚生年金の場合は大体三月以内に政令で決めるというふうな法令になっていましたから。そうは言っても実際には五十九年十月が法案決定がおくれたために六十年七月一日からになりました。これは三月というふうなことで切ってありましたけれども、今度、私が見たところでは余りそこのところがはっきりしていないんで、多分厚生年金に右へ倣えするんだと思いますが、念のため聞いておきます。施行日というのは一体いつからということになるんですか。
  13. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 六十一年四月でございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、それは六十一年四月一日からというふうに理解してよろしゅうございますね。  そうしますと、四月一日からやるとなると、いろいろな問題を含んでいるだけに早くに指導しませんと実際に受けられる者が受けられなくなってくるんじゃないかという心配があるんです。この点の指導方針とか、具体的に指導はどのようにやっておられるのか、四月一日から施行するんだったら、もう法案がいろいろとあれする段階で、内々にいろんなことの指導はしていないと間に合わないですよ。事務屋さんはこういう表現を私にしていました、事務屋泣かせの改正だ、四月一日から施行されて、とてもじゃないが、そして六十日というふうないろんな期間を切った問題もありますでしょう。やれるのかというふうな心配をしているんですが、どうなんですか。それは大丈夫ちゃんとやっていますか。
  15. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 実は、法案がまだ審議中でございますので、そんなに派手なといいますか、はかばかしいPRというものはできませんけれども共済関係者には十分改正内容を説明いたしまして、共済関係者から関係方面それなりに説明していただくようにお願いしておりますけれども、本法案を成立させていただきましたら私たちの方でも十分関係地方団体関係共済組合を通じまして、今おっしゃいますように、関係権利者権利行使がおくれることのないように十分気を使って指導してまいりたいというふうに考えております。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうふうにしっかり指導していただきたいんです。  そうしますと、これは法案では請求請求の翌月からとなっていますね、請求日の属する、次の月からと言えばいいんですが、法律用語というのは大変難しく、何か請求日の属する何とかの次の月から、要するに翌月からということですね。これは属する月ということにはなぜできないんですか。一日でも早くこういうのは出してやるのが、せっかく救済措置なんですから、法の趣旨から言うとそうあるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  17. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 法律のつくり方は厚生年金と同じようにつくらせていただいたわけでございますけれども先生が御心配になられますことができるだけ防げますように、先ほど御答弁申 し上げましたように、関係者に対して十分この趣旨を御説明申し上げまして、権利行使が十分できるように意を用いてまいりたいというふうに思います。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 PRを十分にとおっしゃっていますけれども、それは共済組合連合会を通じて各共済に十分指導するようにと流しますね、そうしますと各共済はどうすると思いますか。これは退職者に対する年金月報だとか、毎月出しているいろんな月報があります。そういうものに載せて解説がいくんです。いいですか。それが十分に下部に行き渡ったという一つの一番大きなあれなんです。これは年金を受けている者のところへは行きますよ。しかし、退職年金を受けていない、組合員になっていない者、脱退して国民年金なり何なりに属した者、こういうところへは行かないんですよ。そうすれば、こういう事実を知ることが非常におくれる者も出てくるんです。それらの該当者に対するPRはどうするんですか。全部調べ上げて、あなたは今度はこういう権利がついたからというふうなことを市町村の窓口でもやらせるんですか。それでもわからない者は出てきますよ、窓口でわからないと言っているんですから。どうするんですか。
  19. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生が御心配になられる点は非常にごもっともな御指摘だと思います。  私たちも、この法案を成立させていただきましたならば、共済関係者とか地方団体共済担当者等を集めまして、今、先生が御心配になられたような点も含めましてよく相談しまして、関係者へのPRが十分行き届くように私たちもひとつ工夫してまいりたいというふうに思います。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 知らない人がたくさんできることはもう明らかなんです、実務をやってきた者にしてみれば。この法案が例え通ったとしても、三カ月なら三カ月以内くらいに実施するということにして、その間にそれを末端に知らせるということは容易なことじゃない。そうすると、やはり請求の月その月からというくらいの親切が、せっかくこういう救済措置をとるんですからやるのが私は当然だと思う。これはわからない人がたくさん出てきますよ、おたくが今そう言っていても。  それから、そういう場合の掛け金はどうなるんですか。掛け金というのは、例えばこういう場合があるんです。共済年金を脱退して国民年金に入っているというような人たち、こういうのも出てくる。だから掛け金を払い戻すか何かということも、国民年金任意加入じゃないですから、そういうふうなものも全部入ってくるんです。これは厚生省じゃないとわかりませんか、おたくの方では。  それでは法案の中身で言いますと、初診日のとり方ですが、これはおたくの方の通知をいただいたのを見ますと、「病気又は負傷に係る傷病について初めて医師又は歯科医師診療を受けた日」というふうに理解してよろしゅうございますか。発病でなくて、初診日というんだから初めて診てもらった日ということになりますね。
  21. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生も御存じだと思いますけれども法案の八十四条でございますが、「病気にかかり、又は負傷した者で、その病気又は負傷に係る傷病について初めて医師又は歯科医師診療を受けた日」ということで定義されておりますので、そういうふうにそのまま御理解いただいていいんじゃないかと思います。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、請求する場合の初診目証明するものというと、医師または歯科医師の何らかのあれがないとだめだということになりますか。
  23. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) そのように理解していただいて結構だと思います。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、それがないと受け付けないということになりますね、末端では、そういう資料がないと。
  25. 土野守

    説明員土野守君) 障害年金におきます傷病認定の際には、医師診断書に基づきまして審査会において障害等級認定するという取り扱いになっておりますので、医師診断書等がなければ事実上認定することは難しいんじゃないかと思います。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは前の、現行法の場合の話であって、いいですか、今度は事後重症制度というのは、医師診断したときから何年もたってから重症になったというのを救済する措置でしょう。身体障害状況医師診断して決めたんだから、それによるんだと言ったってそれとは別なことではないですか、初診日というのは。同じお医者さんとも限らないでしょう。
  27. 土野守

    説明員土野守君) 御指摘のように、長い期間を経過した後の事後重症でございますので、同じ医師であるとは限らないと思いますが、やはり当初の診断書等審査の際の前提になるんではないかというふうに思われます。仮に、当初の医師等からその後の傷病進行状況診断書がとれない場合には、ちょっと具体的な手続を正確に承知しておりませんけれども、恐らくその後の医師証明をもとにして審査会等において判断するということになろうと思います。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 その後のお医者さんがどうやって初診日を決めるんですか。十年もたってから、お医者さんが初診日の立証をどうやってやるんですか、そんな方法ありますか。
  29. 土野守

    説明員土野守君) 障害認定の場合に、先ほど申し上げましたように、本来は初診日におきます障害を確認した上でその後の事後重症という状況を確認していくんだろうと思われますが、事実上、時間が経過した場合に、初診日医者とその後の医者とが異なるというような場合には、恐らく本人申請等によりましてできるだけ過去の病歴とか、そういうようなものを確認をして、その上でやはり審査会において判断されるということになるんじゃないかと思います。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうさせますと言うんですか。なると思いますでは提案者としての答弁にならないんじゃないですか。だれが、そう思いますでやれますか。おたくの方の指導は、今言われたように、非公式的ながらやっているというものでは、初診日のときの医者なり、歯科医師診断が、証明が必要だということになっているんですね。下部でもそういうふうに受けとめているんです。それで困ったという問題が出てきているんです。  具体的に言いましょうか。その方が私も聞きやすいんですよ。実は、私のところへも困ったという問題が一つ来ているんです。それは昭和十四年の十月二十三日生まれのA君、名前もありますけれども、これは三十六年の四月一日から国民年金に入っている。それから四十一年の四月五日に国民年金を脱退している。それから四十五年の四月二日に今度は地方共済に入ったんです。それから、本人の申し立てによると五十二年の十一月二十日が初診日だと言うんです、本人がですよ。そして、結局長期療養をやっておりまして、五十三年の五月一日に退職です。そういうことになります。このときのこの人の病名は虚血性脳症というふうに診断されたんです。そして、肢体に麻痺がぐるということなんですが、まあその程度だったんです。  それがその後国民年金に入った、この人は五十八年の五月一日になると地方共済の方は時効になりますよね。国民年金には入っているんです。そのままずっと入っていまして、六十年の二月に身体障害者福祉法によるところの身障三級、それから六十年の十月に身障二級を受けたんです、麻痺性肢体不自由歩行困難という理由で。それで、おたくの方の予定でいくと、今御答弁がありましたように六十一年の四月から実施ということになりますね。ところが、この人はその後病院をかわったんです。何軒も何軒もかわりまして、ですから、今度この四月一日から実施をされればこれによって証明をしたいと言うんですが、今のところ町村の窓口ではこれはだめだろうと、カルテを持ってこいと、こう言うんですよ。ところがカルテはないんですね。カルテ保存期間は五年ですから、病院をかわっているので古い患者のカルテはないんですよ。前の病院へ行ってもそれはわからぬと言って出してくれない。 一昔は、我々が共済組合をやったころ長期療養者台帳というものが奪ったんですよ。だからそれを探してみると言ったんだ。そうしたら、探したが今はそういうものはなくなっちゃったと言うんです。療養者台帳。これは人権にかかわる問題がおるからということでつくるのをやめた、そういうことで、五年かかったという証明も出ないんですよ。どっちもこっちもこれふさがって、そしてそれらも保存義務がないからわからないということで戻ってきているんです。そうしますと、これは五十八年の五月一日で病気給付時効になっていますから共済組合の方では払わないんですよ。国民年金の方でも今度受け付けるといっても受け付けないんです。これはどうやったらいいんですか。実際に知っている人なので私もほとほと困っているんです。
  31. 土野守

    説明員土野守君) 具体ケースにつきましてはもう少し調べさしていただいて、その上で御返事したいと思いますが、一般的に申し上げますと、今おっしゃったような問題が出てくると思います。そういう場合に、厚生省等取り扱い、あるいは四共済法同様でございますので同じような取り扱いをしなければならないかと思います。関係各省で相談いたしまして取り扱いを決めたいと思いますが、今私ども厚生省から聞いている中では、今御指摘のような場合には新しいドクターが本人から問診をいたしまして初診日等を聞き取って、言うなれば医者の心証によってその辺の判断をしているケースがあるようだというふうに聞いておりますが、正式な形で聞いたものでございませんので、その点を確認した上で御返事申し上げたいと思います。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、この法案提案者自治大臣ですね。私は、今法案の中の初診日というのが出てきますので、それがこういうふうな展開になった場合どうするかと聞いているんです。厚生省が出てこなきゃ返事ができないんですか、自治省が提案している法案の中身について。それはどういうことなんですか。  厚生大臣おいでになってすぐでちょっとおわかりにくいかと思うんですが、今、厚生省とも相談しなければわからないという自治省答弁なんですね。そうですね。この件については厚生省とも相談しなきゃならぬということでしょう。
  33. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 御答弁申し上げましたのは、御提起いただきました問題が厚生年金法にも関係する問題でございますし、四共済にも共通する問題でございますので、それぞれの省庁で相集まりまして同じ取り扱いにいたしたいので、関係省庁の間でとにかく相談して統一的な取り扱いを申し上げたいということでございまして、厚生省の方に仮に先生がお聞きいただきましても、厚生省の方もやはり関係省庁の間でと、こういうふうに答弁するんじゃないかと思います。先生の御満足いただけることにならないかもわかりませんけれども法案としまして共通事項でございますのでそういうような御答弁になろうかと思いますので、御了解いただきたいと思います。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 厚生省の方はもう実施しているんですよね、厚生年金共済との通算は。だから、厚生省の方はもう具体的なこういう問題は実際に出ていると思うんです。だから、私は当然この種の相談は、一緒に出てきた法案でないんですからやられてなきゃならないはずで、今私が問題を指摘する前にもこの種の問題は出てきていなきゃならぬと思う。  それで、厚生省厚生省法案を僕は読んでないけれども、今のお話を聞くと、この事後重症制度というふうな救済措置厚生年金の方でも同様に新たに行われているんですか。
  35. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 厚生年金保険法についてのお尋ねでございますれば、現時点事後重症の扱いについては取り扱いが行われているのが現状でございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは厚生省にお聞きしますけれどもカルテのない初診日証明はどうやって出していただけますか。
  37. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 実は、これが障害年金に限らず証明するのが一番難しいところでございまして、やはりカルテ証明できるに近い実態を何とかつかまえたいということで、しかし、資料がよくそろっておられる方とそうでない方の違いがどうしても出てしまうわけでございます。単純に申しますと、病気の種類とかけがの状態によっても違ってくるのでございますが、やはりそのことが争点となって行政不服審査などで争われるというケースがございますものですから、一概にどういう方法があればカルテがなくてもよいと断定できないので、端的に申しましてケース・バイ・ケースと言わざるを得ないのでございます。  認められた例として一番例が多い方になりますのは、余り昔のことだとこれはなかなか難しいのでございますが、短い間でございますと、初診日診断なさったお医者さんではないけれども、その病気なりけがの状態を見て、まあ本人が言っている初診日が正当じゃないか、しかもその段階で例えば診てもらった医療機関がなくなっている、消滅している、しかし確かに何年ごろそこに医療機関があったというふうなことでございますと割合行政当局としても立証がとりやすいんでございますが、そうでない場合は、後になってごらんになったお医者さんが、本人が申し立てている初診日をどうしても責任を持って自分が断定できないという場合は御本人の言い分が通らない場合もございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは通らないし、大体受け付けてくれないんですよ。いいですか。今具体的な例を私申し上げたんですが、昭和五十二年の十一月、地方共済なんですが、この場合は地方共済で、初診日で、そして五十三年の五月一日に退職して国民年金になったんです。その前にも国民年金期間があるんですが、これが六十年の二月それから十月にそれぞれ三級二級というふうに身体障害者福祉法認定を麻癖性肢体不自由歩行困難ということで受けたんです。ところがお医者さんがかわっているんです。その病院だってあるんですよ。しかし、カルテ保存義務がないから、カルテのない証明は書けないとそのお医者さんは言うんです。いいですか。これもっともでしょう。そうすると、今度は別のお医者さんが認定するといったりで、八年近くたっていて初診日の裁定は別のお医者さんもできないと言うんですよ。本人は覚えているんです。五十二年の十一月二十日が初診月だと本人は言っているんですよ。  ところが、本人がそう言っているために、今度は逆に言うと国民年金の方の対象にもならないんです。なりませんね。それから共済年金の方は、もう時効が完成しているから関係ないということで全然相手にしてくれない。お医者さんもあれだと。だから、きょうここではっきり言ってもらいたいのは、カルテ初診日証明ができない場合には、審査会等でもって確定するから本人の申し立てによって書類は受け付けなさいと、これをまずはっきりしてもらいたいんですよ。いかがですか。これは共済の問題なんですよ、自治省。それでなかったらこの人は今ここで何ぼそんなことを言ったって受け付けてくれないんですよ、だめですと。
  39. 土野守

    説明員土野守君) ただいま先生指摘のように、そういうケースの場合に書類を共済組合が受け付けることについては、そのようなふうに共済組合の方へ連絡したいと思いますが、ただ、厚生省の方からも御答弁がございましたようにいろいろなケースがございまして、受け付けたことが直ちに認定につながるということではないわけでございまして、そういうケースを受け付けた上でできる限り調査をして、そういう権利がある場合にはそういう権利を発生させるということは共済組合に対して指導してまいりたいと思います。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 後の方を言わないで前の方、前段だけの答弁なら了解できるんですよ。結局、共済組合としては受け付けさせるということですね。それから後は、なるかならないかは、その後の事実認定審査会なり何なりによるから自治省としてどうこうという筋のものではない、こういうことですね。  厚生省、こういうケースたくさんあるでしょう。ケース・バイ・ケースと言うけれどもケース・バイ・ケースでないんですよ。カルテは五年と決まっているでしょう。病人はなかなかよくならないとあちこち病院をかえるんです。病院をかえると前のお医者さんはいい気持ちしないんですよ。通常なかなか五年後まで持っていてくれないし、共済組合では、長期療養台帳なんというものは人権問題があるからといってなくしてしまっていてない。長期療養給付も組合員であればありますよ。退職して組合員でなくなって国民年金にかわってしまった者まで共済だって証拠は持っていないんです。そうすると、ここで初診日とせっかく書いてもなかなかそう簡単にはいかないから、それでこの初診日についてはもう少し具体的に、これこれの場合も該当させるというふうなことが何らかの形で明らかになっていないと、実際の取り扱い上はこういう人たちは宙に浮いてしまうんです。  例えば、この人の場合でも、ずっと国民年金は払っているんですよ。国民年金を払わなければ——それはお父さんがずっと払ってくれているんです。今でも、掛金は。だから、何かなければ生活保護にもならないから払わなきゃいけないんです。したがって、こういう人は、六十五歳なり六十歳というふうな時期が来なければ、そのうちに年が来ちゃうんです。老齢年金を受けるためにやはり国民年金を払っていかなきゃならない。そうすると、せっかくの事後重症制度というふうな法の改正があっても救われない。救われないのはケース・バイ・ケースだということじゃなくて、この種のケースは、たまたま私は今具体的な例を一つ申し上げましたけれども、何も一つじゃないと思うんですよ。こういうケースたくさんあるはずなんです。  自治省の方は今まだ法が施行していないからと言っていますけれども厚生省にはこの種の問題は幾つも出ているはずなんです。そうすれば、少なくとも今度のこの法案が出てくる前には当然事務ベースで詰めて、こういう場合どうするということの相談がないということの方がおかしいじゃないですか。厚生省、どうなんですか。こういうような問題があるよというようなことは相互調整の中で、文教だとか農水だとかとはやっていないんですか。
  41. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 率直に申しますと、その障害認定についての御相談というのはやっておりません。先ほど申しましたようなケース・バイ・ケースというのは非常に言葉が大ざっぱにお聞きになったかもしれませんけれども、もちろん私どもはぎりぎり、これはなるほど証明できるというものを詰めるためには当時の状況を調査しますとか、いろんな手だてを講じております。それをただ一般的に、こういう場合はというように、何と申しますか、一つのスタイルを示して割り切るにはやはりどうしてもこれはケース・バイ・ケースという点が入ってきますものですから、内科的な疾患の場合、外科的な疾患の場合いろいろございまして、確かに当時かかっていたお医者さんが現在健在なんだけれどもなかなか証明書を書いてくれないとか、そういう社会的な事情もありますものですから、カルテ保存義務の問題はともかくとして、できるだけそれを周りから立証できるもの、例えば、厚生年金の場合ですと、当時の同僚の方から確かにあのころけがをして医療機関に行っていたというようなことの証明をとるとか。いろんな手だてを講じておりますものですから、恐らくもし今後御相談させていただくとしましても、先生がおっしゃるように厚生年金の方がやや取り扱い例が多いかと思いますから、そういう実例を御提示して御相談に応じるということではないかと思っております。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで自治省、今の御答弁のとおりなんですけれども、先ほど申し上げた指導して下部に出す場合に、通り一遍のあれだと、初診日のあれというのは医師歯科医師診断書なりが証明だというふうなことでなくて、証明のとれない場合にも、今いろいろあったようなこういうことがあるから、例えば、町村長の証明だとか、何らかの公的機関の証明なり何なり、あるいは友人の場合であればしかるべき保証人のような友人を何名以上立てるとか、こういう方法も考えなさいと、こういうふうに指導要領の中で言ってあげないと、どうも今まで聞いている話で、下部共済組合にいきますと、事務屋泣かせの法案だということになるんですよ、我々頭抱えちゃうと。上からは通り一遍の指導しかこない、具体的な例はこういうふうにたくさんあると。こういう点親切な指導をやっていただけますか、どうですか。
  43. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先輩格の厚生省の方でいろいろな経験もしておられるようでございますので、私たちはそういうところからもいろいろ知識を吸収いたしまして、第一線の実務をしておられる方が役に立つような情報をできるだけ提供するように努めてまいりたいというふうに思います。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 ひとつお願いします。  次に、官民格差、軍人恩給、その他の問題を絡めて御質問を申し上げたいと思います。  官民格差論というのが今盛んに言われていますね。しかし実際に、厚生大臣、言われるほど例えば厚生年金地方共済年金なんかの場合で格差がありますか。我々そういう点ではむしろ官官格差があるというふうな表現を使うんですが、私たち自身現場で調べてみますとこれは帯広の例ですが、平均三九・七カ年の組合期間で、決定済み額が一人平均百八十八万二千百円なんですよ。そうすると大体厚生年金でも三八・七いけば今でもこれくらいになるでしょう。公務員の実態も実際に調べればこんなものなんですよ。田舎の方だけが安いんですか、地方公務員だけが。そんなことないと思うんですよ。どうですか。ありますか官民格差。厚生大臣に聞いているんです。厚生大臣の感触として官民格差をどう考えますか。
  45. 増岡博之

    ○国務大臣増岡博之君) この官民格差というものは、一律に全部何十万何百万の人が顕著に高いとかどうとかいう問題でもなかろうかというふうに思います。やめられたときの事情によって、その状態によって異なると思うわけでありますが、しかし社会通念として官民格差があるということは言われておるわけでありまして、その実態は今申し上げたようなものでなかろうかというふうに思っております。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 民の方には私は期待権というか、こういうものがあると思っているんです。例えば、社会保障制度審議会から厚生大臣あるいは大蔵大臣自治大臣に出てきた六十年四月十日の答申におきましても、「職域年金部分を設けることについては理解できるが、民間との権衡等についての資料も不十分であり、また、国家公務員、地方公務員その他の者を通じて画一に扱うことにも問題がある」と。これはいろいろ衆議院段階でも論議されましたが、国家公務員や地方公務員はいろんな制限を受ける。権利の制限も受けるし、あるいは職務専念義務、その他のいろんなものがあるからということでそれが千分の一・五という形で救われているんだというような、そんな程度のものではないと私は思うんです。例えば厚生年金基金の方ですね、これの代行をしているあれを見ますと、二〇〇%から三〇〇%、それで一体金額でどれくらい出でいるのがあるかと思いましたら、代行部分で加算部分で三百万ももらっている人がいるんです。この年金基金の代行部分の頭打ちはないんでしょう、厚生省
  47. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 厚生年金基金制度はお話しのようにむしろ一定水準以上を義務づけてはおりますが、特に頭打ちという点については、実際それだけの費用負担ができれば設計が可能であるという制度でございます。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは、逆に民と官の格差が逆になる場合もあり得るじゃないですか。今の厚生省からいって。国家公務員や地方公務員の場合は一定限度以上にはならないでしょう。計算例を見てもそうですし、現在でも四十六万円という計算例が一番高い例ですが、そういうものを見ましても一定限度以上にならぬし、厚生年金の方は、そ の会社の成績がうんとよくて、どんどんもうけて、余裕があれば年金だって幾らでも出せるような今、法律じゃないんですか。どうなんですか。
  49. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 企業の業績によって幾らでもということがどの程度言えるかは別としまして、今申しましたように、本来厚生年金本体で行っていただくような代行部分のほかに、加算なりかさ上げ分があるのは御指摘のとおりでございます。  ただ、この場合少し留意しなければいけませんのは、企業の厚生年金の場合は退職金を年金化するとかあるいは一時金の選択ができるということがございますので、完全にそのプラスアルファの給付だけで比べられるかどうかわかりませんが、先生のおっしゃる意味では業績の上がっているところで厚生年金に上積みをすればかなりの企業年金受給者がいるのではないかという点は、その限りでは御指摘のとおりだと思っております。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、厚生省退職金、退職金ということばかりで、我々も退職金の振りかえだとばかり思っていたんですよ。必ずしもそうでないじゃないですか。おたくの方の調査によっても必ずしもそうでないですよ。どうなんですか。退職金とは限らないじゃないですか。
  51. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま私が申し上げましたのはそういう部分もあるためにと申し上げただけでございまして、確かに設計としては全く年金部分だけでかなり代行部分に比べて割り増しをした例はございます。その場合、もちろん先生の御指摘はそのとおりでございますが、例えば支給開始年齢を少し早目に出すとかいろんな要素もございますけれども先生がお挙げになったような例は民間の厚生年金を適用している企業年金の例としてはそのとおりの例があると思っております。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのとおりの例があるということは、いいですか、会社の業績がよくて、どんどんもうかって、百分の一ですか、限度を出る分についての積立金の税さえ払えば、それもわずかな税で際限なく今の制度でたくさん出せるでしょう。そういう例は今少ないと言うけれども期待としては、うちの会社もうんともうかって成績を上げれば退職年金だってたくさんもらえるようになるんだという厚生年金受給者はあるわけでしょう。どうなんですか。
  53. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) おっしゃるように、特別法人税の課税されるような給付レベルを持っている基金もございます。これは数だけ申し上げますとやはり数%ということでしか今ございませんが、先生のおっしゃる意味は私こういうふうに理解するんでございます。二千何百万というすべての厚生年金加入者が観念的にはそういう期待はできると思うんでございますけれども、やはり期待できる企業というのは限られてくるんじゃないかという感じもいたすのでございますが。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこなんですがね。いいですか、期待できる企業というのは社会通念上そんなにないだろうと、しかし、すべての厚生年金加入者は、自分たちが一生懸命やって自分の会社の業績をうんと上げれば年金たくさんもらえるようになるんだという期待を持った職場で働いているんでしょう。このことは間違いないですね。そして制度としてもそういうことが可能になっていますでしょう。国家公務員や地方公務員は違うということです。それを厚生大臣、何で官と民の格差だなんていうことを言わなきゃならないんですか。それから退職金があるから仕方がないというような、問題をずらした問題で、いかにも官と民に格差があるんだというふうな言い方をするのはおかしいじゃないですか。
  55. 増岡博之

    ○国務大臣増岡博之君) これまでの計算方式でいきますと、厚生年金に比べて相当多額な年金が出ることも事実でございます。そういうことから官民格差と言われておると思うわけでございますが、今度の改正はただ官民格差ということだけじゃなしに、その制度自体の安定化ということも基本としておりますので、そういう観点からいろいろな是正もなされた面も多かろうというふうに思います。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこがもう根本的に違うんですよ。そんなに官民格差もないんです。いいですか、これはおたくの方の資料なんですが、昭和六十年四月から六月までに厚生年金基金の裁定したのは件数で二万八千件、総額が約百五十九億です。一人当たり月額十八万九千二百八十五円出ているんです。いいですか、六十年四月から六月まで。そうしましたら官の方だってそれはそんなものですよ。  試みに私のところの数字を挙げますと、これは昭和六十年の三月の定年法施行により退職したある官庁の実例ですが、三十四人いるんです。平均が三十五・八カ年ですね。平均が百八十六万八百円、これは間違いなく、このときにやめた人たちが三十四人、この役所でですよ。これは公務員です。それから、六十一年三月三十一日に定年退職する人、これは八名いるんですが、この組合員期間が三十二・一カ年で、予定年金額の平均が百六十五万百円なんです。いいですか。これ役所の全員のものです。  厚生年金に比べてトータルでまだ高いか安いかと言っているけれども、トータルでも代行部分とあれすると厚生年金国民年金ももう変わらなくなっているんですよ。過去に国家公務員や地方公務員の年金の方が高いからなんて、大臣がまだそういう十年も前の状態を念頭に置いて御答弁されたら、それは国家公務員や地方公務員はたまりませんよ。もう何にもないんですから。具体的にはおたくの数字で見てどこに官民格差があるんですか。
  57. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 先生厚生年金本体と企業年金である厚生年金、特に代行以上の部分を合わせての御指摘だと思うんでございますが、先ほどお挙げになりました厚生年金で実際出ている額は、実は私どもの資料では男子の場合でも年額三十四万ぐらいの現行支給状況なんでございます。  それから、それはそれといたしまして、基本的に官民格差という問題ですが、これはちょっと私が政府委員として答弁していいかどうかと思いますが、別に官民格差是正だけが今回の改正の唯一の理念というのではなくて、大臣答弁いたしましたように、公的年金全体として安定するためにはどうあればいいかということなんでございます。  それともう一つは、確かに官民格差と世に言われております場合に、すべての公務員が平均的に氏より高いという議論よりも、従来の共済年金の算定方式ですと、退職時の給料が高い方はどうしてもやはりいい年金が出る、これは企業でいえば相当の役職まで上り詰めた人でもそこまではいかないという問題が実は現象的には目立つ問題であったかと思うわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、厚生年金と同じような方式で計算した方がむしろ年金額は有利に出る共済組合員の方がたくさんおられたわけでございますので、そのあたりは、今回改正がとにかくすべての公務員年金を一律に下げたというよりも、そういう計算方式を厚生年金方式にできるだけ近づける改正をお願いしているということで御理解いただきたいと思っておるところでございます。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 全然理解できないんですよ。今あなたの言われるような必ずしもそうでないと、そんなこと世間だれも知らないですよ。やはり官の方が高いと思っているんです。たまたま少しは高いものもあると。  大体自治省がこういうものを出すからいけないんですよ。「地方公務員共済年金制度改革案の解説」。この中の計算方法で、どこかに最終月額四十六万円というのがありましたね。平均すると三十五万だと、通算に直すと。こういう実例が出ているんです。これありますよね。ちょっと僕も今探してみるけれども、どこかにあるんですよ。そんな最終月額四十六万円ももらう地方公務員は一体どれだけいますか。
  59. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) お手元の資料の作成は必ずしも私どもが作成したわけじゃございませんけ れども、いろんな例をとりまして、そしていろんな例にひっかかるような事例を研究していただくために掲げていたというように記憶をいたしておりますが、その中で最終四十六万というのはございません。ただ、事例の中に、ただいまのような趣旨がありますので……
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 何ページだったですか。
  61. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) ちょっと今何ページというのは見当たらないのでございますが、事例の中には、そういうケースの例を算出するために若干現実には希有な例、そういうものもあえて取り上げたものがあったように記憶をいたしております。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実際にそんなに地方公務員や国家公務員の年金は高くないのに、いかにも今でもまだ厚生年金とはこんなにあるから今度の法律でやらなければならぬということは全く間違いだということは、厚生大臣、認めますね。それだけじゃないと。むしろ年金の財源調整とか、いろいろなことの他のファクターもあって出しているんで、官民格差、これをやらないと埋まらないからこの法案地方共済もやっているし、厚生年金の方もこういう方法にしたんだということではないですね。そのことはどうですか。
  63. 増岡博之

    ○国務大臣増岡博之君) それぞれの年金の制度間の公平を図ろうという気持ちもございますけれども、それと同時に、各制度が長期的に安定をしていなければならないということが大きな基本で今回の改正をお願いいたしておるわけでございます。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 それと、厚生年金の場合には今のような代行だとか、いろいろな三つの方法がありますね。それによってその会社がうんともうかれば、今は少ないかしらぬけれども、うちの会社もたくさん年金が出せるようになるんだという制度、そのままになっているでしょう。これもさっき認めましたね。同じ格差があるないという論議もあるけれども、その前に本来、国家公務員や地方公務員と厚生年金の、会社等で働いている人たち年金を比べること自体に問題がありませんか。本来比べるべき性質のものでないんです。厚生省はそういう点で非常に上手な世論操作をして、いかにもそれをけしからぬことのように、例えば今の代行の企業年金の場合でも、退職金からだと、退職金が出ないのはたくさんありますと言わないでしょう、聞いても。そういうふうな調子の答弁で、いかにもあるように言っていることの間違いが一つ。  それからもう一つ厚生年金の方でもうんともらえるような期待、可能性があると。それから、もっと突っ込めば、本来比較をしたり、千分の一・五を長期部分として加算すればそれは見ているんだというふうなそんな仕掛けのものでないはずなんですよ。自治大臣どうですか。それじゃ地方公務員はかわいそうですよ。
  65. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 地方公務員共済におきましては、お話しのように基礎年金の制度を入れ給付の適正化を図るということで、将来、人口老齢化ということで七十年を目指しましていわゆる一元化を政府は目標にしておるのでございまして、地方公務員の共済というのは公営企業とかいろいろのもので相当マイナスのものもありますから、地方共済がほかに比べて余裕があるというような感じは率直に言いまして一つも持っていないということでございます。  今度の改正で、年金の職域部分について地方公務員の立場で考えたことも、職域年金の第三段階といいますか、上積みということもしておるのでありますが、率直に言いまして、この共済制度は先ほど先生がお話しになりましたように、私も昔総理府でやらせていただきましたが、今覚えているかというと、具体的にいろいろ組合の皆さんから要求のあったことは若干は覚えておりますが、制度の問題については、短期給付の問題でいろいろ大蔵省に陳情したけれどもなかなか思うようにならなかったというようなことは頭の中に残っております。  ただ私どもは、先ほど先生のお話のように、三人ぐらいしか知らぬ、わからぬでは困るから、私もこの問題については一生懸命に勉強しましたが、まだまだ先ほどの御質問を聞いておりますと私も知恵が足らぬ、もっと勉強しなければならぬということをつくづく感じておるところでございます。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 この官民格差の問題は非常に世論操作が先行して、一般国民はいかにも官民格差が悪だというふうな、けしからぬという声が充満しているんです。しかし、今私が質問申し上げましたように、民の方は自分たちの汗水流した努力と運もあるでしょうけれども、その企業がどんどん伸びれば給料だってうんともらえるし、年金だってうんともらえるような状態の職場で働いているわけです。いいですか。それから国家公務員や地方公務員は、例えば、公営企業がどんなにもうけてどんなに知恵を絞って収入を上げたって、これは国家公務員や地方公務員の給与ベースからは上げられないんですよ。私は現実にそういう職場を持っているわけです。みんなやはりそれぞれの自治体の、住む住民のためにおれたちは一生懸命やっているんだということだけを生きがいにしているこの連中に、今のような官民格差論であれしているとこれはかわいそうですよ。違うんだから。だから自治大臣は、国家公務員や地方公務員の恩給が厚生年金の恩給よりもっと高いのは当然だ、職域が違うし状態も違うじゃないかということを胸を張ってちょっと今答弁してもらえませんか。
  67. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 今、先生から、地方自治体の長としておられました多年の御経験からいたされまして、私どもには涙の出るような非常にありがたい御意見をいただいたことは本当に心から感謝をしております。  やはり地方公務員制度、公務員としてのいろいろな制約に縛られながら生涯一生懸命で努力をしておる地方公務員あるいは国家公務員につきまして、官民格差というようないわゆる先生のおっしゃったようなそういうものは、お話しのように、地方公務員がよ過ぎるから官民格差と言われるということはこれは大きな間違いであるというふうに考えておりまして、今の先生のありがたい御意見も十分体しまして、今後も公務員制度の充実には努力をしていきたいと思っております。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 さしあたって、そういう点で野党四党からも修正要求が出ていますね。千分の一・五なんというのは十分配慮してもらわなければならない。これではとてもじゃないけれどもかわいそうですよ。全体の旧恩給から三十一年へ移ってきた経過も我々知っています。そういう中で、あれが何にも生かされないままに官民格差論に押し流されてしまうというばかなことは、特に地方共済においては私たちは断じて許すべきでないということをまず申し添えておきます。  それから、厚生大臣のいる間に、今度は軍人恩給の問題です。総務庁から「恩給のしくみ」というのをいただいたんですが、見ていくと、間違っているところがあると思うんですが、例えば「支那事変及び大東亜戦争等従軍加算一覧表」というのがありますね。これはちょっと指摘しておきましたけれども、この中に北海道は入っていないんです。これはどういうわけなんですか。十九年の十月ですか、私の古い記憶によると入ったような気がするんですがね。
  69. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 軍人恩給の場合には、いわゆる普通の実在職年のほかに加算年というものを一応加えております。その加算年を算定するために当時の勅裁によるところの内閣告示によりまして、それぞれの戦地におけるところの従軍の日数につきまして加算年の割り増し率をそれぞれ算定をいたしまして、これを内閣告示をいたしたわけであります。その場合において、日本本土にある者についてはこれは本土でありますから、戦地とは認められませんから加算年はつきません。そこで、いわば外地にあります、例えばここにありますところのシナとか南方とか、こうしたものにつきましてそれぞれの加算の年数を当時内閣告示したものをここに一応まとめておるわけであります。  ただ、日本本土でありましても、ここにありますように沖縄本島あるいは千島列島、いわば現に非常に激戦が行われたところ、これにつきまして戦地加算を同様のバランスでもって算定する必要がありますので、そうした特別の地域についてのみ後にこれを指定したという結果になっておりまして、北海道は内地そのものでありますので、これについては加算年の規定がなかったわけでございます。
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 その話はまた後にします。  実は、この恩給の関係では軍人恩給欠格者の問題があるんですが、そうすると、北海道なんか内国戦務加算というのがありますね。これはこれには出ていましたか。
  71. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 内国戦務加算につきましてはこの表に出ておりません。
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは不親切じゃないですか。そうすると、大体これを見て、おれたちだめだなとなりませんか。これ以上のものを、一般の軍人恩給をもらっている人としては勉強する方法は普通ないんです。そうすると、十九年三月からとなっていますよね。それから、それによって今度はまた指定部隊加算というようなものもあったんです。それを、内国戦務加算をこれのどこかにちょっとぐらい出していなかったらそれは不親切ですよ。
  73. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) さらに検討させていただきますけれども、実は、加算の体系というのは非常に膨大なものでございまして、これはいわば一覧的に戦地加算につきましてまとめたものでございます。ほかに、今の内国戦務加算、これはそれぞれ部隊につきましてこれを指定した、あるいは職務加算、こうしたものがいろいろとございますものですから、非常に膨大になりましてかえって見にくいだろうと、こういうことでもって、これは「わかりやすい恩給のしくみ」でいわばまとめたわけでございます。  御照会がありましたら、いつでもそれにつきましてはお答えを申し上げるつもりでおります。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 私も、それは全部、こんなに厚い膨大なものを出せと言っているんじゃないんです。地域としてこれを見ると、普通に、ああ北海道で勤務したのはだめだなと思ってしまうんです。北海道に勤務したって、それは戦車隊だとか高射砲隊だとか、三年加算するのがあれば二年のもあるし、部隊名によって、部隊の中でさえも勤務の態様によって違うんですから、そこまで詳しく書けとは言いませんよ。しかし、該当するのかしないのかくらいのことは載せるべきじゃないですか。どうですか。
  75. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) おっしゃる意味はよくわかります。  先生が今、ページ数として、この「わかりやすい恩給のしくみ」の十一ページの「従軍加算一覧表」をごらんいただいているわけでございますけれども、その隣の十ページのところに「加算年一覧表」というのがございます。ここで「戦地戦務加算」それから「航空基地戦務加算」以下ずらずらありますけれども、その三番目の「戦地外戦務加算」「戦地外の地域にあって戦務に服したとき。」「一月につき一月半以内」、これがそれに一応当たるわけなのであります。  ただし、おっしゃるように、これは部隊ごとにその職務によって非常に膨大なものでありますから、ここに簡単に一応書いてあるわけでありますけれども、いわば都道府県の窓口にはそうしたものについても十分注意するようには一応お願いをいたしておるわけでありますが、なお御趣旨を踏まえまして、そうしたものに注意するようなことを書き加えるということをさらに検討してみたいと思います。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは、おたくの方は、ここに書いてある、多分そう言うだろうと思ったのですよ。こんなものではわかりませんよ。何で北海道が入っていると読み切れるのですか。あなたたちは読めるかもしらぬけれども、一般の者には読めませんよ。  そして、実はそういう点で、最近になってから北海道から何人か、要するに十九年のこれによって加算になって、そのことによって今度は共済年金やその他に加算年数がふえるというふうな状態で救済された者が何人かいるんです。それをやるためには本当に大変な調査が必要なんですよ、えらい経費かけて、意地でもやれと。特に、従来ですと共済の通算の年で切りましたから、これがあることによって救われることを知らない人がほとんどなんですよ。むしろこちらが、おまえのやつもう一回計算してみると言って計算してやると、ようやく、ああ二年分損していたとか、こういうのがたくさん出てきているんですよ。  それで、どういうわけかと思ったら、やはりこういうところでもう少し親切に、ちょっとした親切なんですがやってくれれば、こういう人は今でも北海道にはたくさんいるんですよ。おたくらはそういう点でやっているつもりかもしらぬけれども、余りみんな知りませんから、さらにしっかりこういう点はやっていただかなきゃならぬと思います。  それから、それに関連して聞いておきたいと思うんですが、実は軍人恩給の三年以上のもので一時金をもらっているのがいますね、一万五千円ですか。それからそれ以下の欠格者、こう二つありますね。これらが今、欠格者何とか連盟というようなことで盛んに政治的にこれを何とかしろと、またそれぞれ有力な方たちが、おれたちが政治的に何とかしてやるというようなことで運動資金もたくさん集めてやっています。御存じですね。こういうことは、そんな運動をしたり、政治的に何とかしてやるというふうな、何人かの人たちが何何族と称してやるようなことでなくて、もう少し国自体がこういう抜本的な改正の場合に当然行うべきじゃないですか。  特に、今度退職一時金の問題がありますね。退職一時金と同じようなものですよ、一万五千円は。これは一万五千円に利息をつけて返すことによって軍人期間地方公務員や国家公務員その他の通算の日数の中に入れてやる方法というのはないんですか。今度の退職一時金の法律改正でできますか、どうなんでしょうか。
  77. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 旧軍人の場合に、昭和二十八年の恩給法の改正をもちまして軍人恩給が復活したわけでありますけれども、その際、これは戦前、昭和八年からの恩給法の規定によりまして、兵は在職年十二年以上ということでもって恩給年金の受給資格が定められたわけであります。ただし、その在職年の中には、先ほど御指摘のありました加算年も一応加わるということでもって制度が定められたわけであります。  まず、先生の御質問の、恩給法を改めてこの在職年十二年という制限を例えば低くするというふうなことができるかという御質問であるならば、恩給年金につきましては昭和八年あるいは戦時中を通じてのいわば資格期間の約束事、これを今改めることはまずできないと私どもは一応思っておるわけであります。  今御指摘の一時金につきましては、昭和五十三年に実は一時恩給が、昭和二十八年に軍人恩給が復活のときに、戦前同様にこれは実在職七年以上ということでもって定められたわけでありまして、それとのバランスでもって、五十年には実在三年以上につきまして一万五千円の兵の一時恩給を支払い、それから五十三年には、いわば切れ切れでも実在三年以上の方につきまして一時金一万五千円をお支払いしたわけでありますけれども、どうも恩給法で措置できることはそれだけではなかろうか、こういうふうに思っておるわけであります。  例えば、軍歴通算、他の年金に軍歴を通算するとか、そういうような話につきましてはこれは恩給局の所管事項ではございませんで、ないし恩給法の問題ではございませんで、各年金担当省の問題であろうかと、このように存ずる次第でございます。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、この退職給与一時金の返還の問題は、法律を見ると、過去に退職一時金等の支給を受けた者、こうなっているんですね。こ れ相当さかのぼるんです。これは自治省にお聞きしますけれども年金条例職員期間はみんな入りますね。
  79. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 入ってまいります。退職給与金という形で受けておりますが、入ってまいります。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 ところで、戦前の雇用人時代が入るんですよ。そうすると、例えば軍人恩給は六十年度の予算でも一兆五千七百八十億ですね。こういうふうに膨大な軍人恩給がまだ出ていっております。しかもこれは全部格差があるんです。既裁定では、将官になると五百万円以上の裁定額だし、兵になると百万円、格差の中で膨大なものが出ていっている。こういうところは官官格差というものはないんですか、やむを得ないということで今度は手がつかないでしょう。
  81. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) これは年金制度、いろいろな定め方があるわけでありますけれども、恩給法におきましてはそれぞれの階級ごとに仮定俸給を設けまして、その退職時の仮定俸給の額、原則はその三分の一でありますけれども、それに年数を掛けるという、そういう年金の算定方法をいたしておるわけであります。したがいまして、おっしゃるように、旧将官と旧兵とは大変な差があることもまた事実でありますけれども、これも終戦時と今とを比較しました場合に、終戦時がたしか十六・七倍の格差がありましたものを、その後種々の調整を加えて、例えば兵につきましてはその階級を兵長以下全部まとめるとか、あるいはその後上落下厚の諸般の措置をとりました結果、たしか現在では将官と兵の格差の倍率は六倍程度まで圧縮をいたしてきておるというふうな経緯がございます。そうしたような措置は、これは今言われていましたようなことはどうも年金制度にありましてはある程度必然の問題ではなかろうか、このように思っておるわけでございます。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 十六倍が六倍になった、そんなこと言ったら厚生年金と旧恩給の国家公務員、地方公務員は、これは六倍とか十倍とかいうものじゃないですよね、ゼロとの違いですから。だから、十六倍が六倍になったということは、今日の昭和六十年には通じない話ですよ。  そういうことになりますと、自治大臣地方公務員も昭和三十七年に旧恩給から移行した、移行した場合に当時はいろんな点で旧恩給の制度はそのまま残していくんだと経過措置の中でずっと救済されてきたんですよ。それがなくなった。しかし、三十七年までの旧恩給を受けていた、受ける権利期間というのは、今の恩給局長の物の考え方と同じでいいわけじゃないですか、どうですか。
  83. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 恐縮でございますが、技術的な問題を含んでおりますので私の方から説明さしていただきたいと思います。  ただいま御指摘の御意見は、恩給期間を持つ職員は今回の改正におきましてもその恩給のルールというものを踏襲していけばいいではないか、いわゆる裁定がえに絡む問題かと思います。この件につきましては何回も大臣の方から御答弁を申し上げておりますとおり、今回の改正に当たりましては、恩給期間を含めまして現役の職員と、受給権を有しておられます方々、その受給権も共済年金としての受給権を有しておられます方々につきまして、そのバランスあるいは将来の掛金負担等そのほかもろもろの要素を考慮いたしまして、恩給期間についてもどうしても通年ルールで裁定がえをさせていただきたい。そうしまして、今後の現職の方々の年金水準とのバランス等を確保してまいらなければならないと考えているのが私どもの考え方でございますので、どうか御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは一歩譲りましょう。旧恩給の考え方が軍人恩給にまだ生きておるとすれば、既に給付を受けている退職者、これの通年換算をして給付額に達するまではスライドをしないということになっていますね。現在退職金を受けている者は現在で固定して足踏みをするということになっておりますね。これはスライドしないんですね。しかし、既に年金を受けている退職者の中には旧恩給分を持っている人がたくさんいるんです、いいですか。片一方はスライドしていくんですよ。不公平じゃないですか。どう思いますか。  大臣、こういうことなんです。軍人恩給がスライドなんです、一兆五千億も、これは別の問題ですが、それはそれとして。これだけのものをあれしてからスライドしていく。しかも兵と大将との格差はうんとあるんです。六倍になったなんて言っているけれどもとんでもない。六倍なんて年金はどこにもないですよ。これはべらぼうな格差がまだあるんですよ。しかも、今度の法の改正の中では何ら手をつけられないでスライドしていくんですよ。一方、文官であった旧恩給、それから国家公務員共済地方共済に移行した者、これは移行の当時は経過措置で、旧恩給の精神なりその得べかりし既得権というふうなものはできるだけ認めるということで、どこか探せば書いたものが出てくると思うんです。当時そういうことでみんな承知したんです。  にもかかわらず、そういう退職者も旧恩給分をたくさんもらっている者も共済に移行したということのためにスライドの対象にならなかった。さらに重ねて言えば、三十七年のときに移行するかしないか考えて移行しなかった人もいるんです。あのときは十七年だったですか旧恩給は。共済に入ると三十年になる、このはざまの人たちは移行しなかった人がいるんです。この人たちはスライドになるんです。不公平じゃないですか、法的に見ても平等であるべきはずの扱いが。少なくとも旧恩給に属する部分だけは、通算の規定がえをした当時の経緯にかんがみてもそれはやはりほかの恩給と同じようにスライド対象にすべきであって、足踏みすべきものではないと思う。極端に言えば詐欺みたいなものだと思いますよ。いかがですか。
  85. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 重ねての御指摘でございます。  確かに先生おっしゃいましたように、三十七年の法改正のときにおきましては、いわゆる旧法期間の特例、経過的な特例ということで、その算定方式あるいは資格期間、ただいま先生十七年とおっしゃいましたが、この資格期間等について経過的な特例措置を設けた措置を講じております。今回は先ほど申し上げましたような理由から、旧法の期間を含めまして更新組合員等、すなわち新法の施行時をまたいで組合員である者について一律に通年ルールに裁定がえをさせていただくということにしたわけでございます。その際に、先生が今御指摘のように、恩給期間だけを有している、恩給期間だけについてこれは従前の制度同様適用すればいいではないかというような御意見がありますことは私どもも十分に承知をいたしております。  しかしながら、その新規の制度におきますいわゆる新法の算定基礎というものを考えてみますと、その算定基礎は恩給期間から新法期間に振りかわりました際の本俸を用いているのではなく、その旧法期間も含めまして最終の退職時の給料、すなわち後の高い退職時の給料でもって恩給期間をも算定をいたしております。したがって、そういう高い算定基礎でもって恩給期間もやはり算定していく、その考え方は今回の通年ルールの算定がえにおきましても変わっておりません。やはり給料比例部分はその最終の高い算定基礎でもって恩給部分も算定をいたすということにいたしております。それが第一点でございます。  それから第二点は、恩給期間だけを特別に恩給の例に倣いましてスライドさせますと、同じ共済組合として引き継ぎました方々の中に恩給期間の差によりまして将来の年金に差が生じてまいります。単に差が生じてまいるだけならいいんでございますが、実は恩給期間中のいわゆる掛金に相当します納付金というのは二%でございまして、そして新法期間に参りましてからは四・四%に上がったわけでございますが、そういたしますと、ま あ掛金に相当する納付期間が長かった人ほど将来有利になってくる。同じように共済組合から支払われます年金の中でそういう差が生じることもいかがかなと、こういう配慮もございます。  そういうこともございまして、まあ今回は恩給期間だけのスライドというものはどうしてもとれないのではないか、そういうふうに私どもは判断をいたした次第でございます。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 地方共済なら地方共済の中だけで権衡を欠くという判断のもとに法案ができてきたというような御答弁を伺ったんですが、今回の年金法改正地方共済だけの問題じゃないんです。我が国の従来の共済年金のそういうことのもう全一部に対する大きな改革なんです。そうすれば、ほかとも見合わしていかなきゃならないんです。私は、それは地方共済が必ずしもその分のスライドを払わなきゃならぬと思いませんよ。これは当然、もう本当に当然といっていいくらい国の責任でその分は措置すりゃいいじゃないですか、措置すべきものですよ、恩給法の精神から言いますと。国家公務員もそうであれば、地方公務員も同じように。軍人恩給だけ現にやっているじゃないか。それだったら、例えば一定の限度額を設けて、五百万もこれまたスライドすれば六百万になっていくような、要するに仮定計算の金額が出ている方は、少なくともそれは地方共済なり国公のようなところまでは上の方だけでも軍人恩給の頭打ちをしたらどうですか、下の方なんかセット要りませんよ。そういうこと考えたっていいんじゃないですか、もしもあなたの言うようなことであれば。非常に不合理過ぎませんか、恩給局長どうですか。
  87. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) 共済と通算した後のお話でありますと、これはそれぞれの共済においそお答えをすべき問題でありますけれども、軍人恩給、それからいわば文官恩給を含めまして、恩給の場合、これは例えば国家公務員でありますと三十四年七月、それから地方公務員でありますと三十七年十一月までの期間につきまして裁定を既にもう終えておる部分であります。まあ、金額的に申しましても、先ほどいわば将とそれから真との格差云々というお話がありましたけれども、今の年金の金額から言いましても、これは実はその後の、俸給制度の改正という要素を含んでおりませんものですから、手当等は一切含まれておりませんものですから、ある程度金額的には低い水準に抑えられておるということにつきましてもちょっと御勘案を願いたいと思います。  いずれにしましても相当高齢な方々であります。かつまた、もう既裁定の方々で新規参入が全くないというのが恩給の現在の特徴でありまして、そうしたような点から、今後におきましても、既裁定の方々につきまして年金額の上限を定めるといったようなことはどうも極めて不合理じゃなかろうか、このように思うわけでございます。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうも釈然としないんですがね。現在の通念から官民格差というふうなことを言うんなら、そういう点はあれしなきゃならぬ。  それから、さっきの実例、地方制度研究会で出している中にありました、四十六万円というのは。いいですか、七十一ページ、この昭和六十一年四月一日以降の組合員のところ、平均給料月額三十五万円で計算している。平均給料月額三十五万円ということは、現行でやはり四十六万月くらいでなかったらならないんですよ。四十六万円という金額はないけれども、平均月額三十五万円ということは四十六万円くらいということですね。最終、大体それくらいの計算になるんだは、計算してみたら。なりますでしょう、平均月額三十五万円。これを例の一番上に持ってきているんだ。そうして、こんなにたくさん当たることになっているんですよ、この計算例でいくとね。四十六万円なんて退職時の給料もらえる地方公務員は一体どれだけいるの。こんなものを一番先に例にして持ってくるから。これ私のところでやったことはないと言うでしょう、地方制度研究会がやったと逃げるかもしらぬけれども地方制度研究会のこの書類はおたくの方が監修してやっているんでしょう。おたくは逃げられないですよ。補助金も一切出してないし、人も応援してないし、関係ないと言えますか。言えないでしょう。
  89. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 御指摘の資料につきましては、私どもも確かに目は通さしていただいております。先ほども申し上げましたように、いろんな計算例、いろんな例を出して私どもも勉強をさせていただくし、また関係者の方々にも御参考にしていただくというような趣旨から書いてございます。したがいまして、割合極端な例を取り上げているということはございません。  ただいま先生がおっしゃいました平均給料月額三十五万円というのは私どもの再評価後の額でございますが、再評価後でございますので、当然三十八年の在職者、大学卒業の方でございます。大学卒業で三十八年で六十歳で御退職になった方の再評価後の給料月額としては三十五万円、若干高いかもしれませんが、そう希有な例ではない。最終本俸は、これは割り戻しますと大体四十三万円ぐらいになろうか、かような感じでおります。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは、時間がないから、四十六万円と四十三万円の計算を今ここでやってみてもしようがないと思います。こんな例を一番先に持ってきて、こういうのを出されるとやはり高いと思うんですよ。それより、さっき私が言ったように、三十四人の平均が百八十万、月に割ると十五万何がしにしかならないのがほとんどの実態ですよというやつをなぜ一番先に計算例で持ってこないのか。こういうふうにするとなるほど官民格差なんてないなと。あなたたちの方がみずから官民格差というふうな表現をこんなところでやっているんですよ。一等級の最高号俸くらいでなくてはないところを、しかも一番先に持ってきて、こういう配慮もやってくれなきゃ困るということと、それから帰休一時金の問題が少しあるんですが、これやっているともうとてもどうにもなりませんので、ただ問題点だけ言っておきます。  過去に退職一時金の支給等を受けた者という中には年金条例職員期間も入る、すべての雇員も入ると。そうすると外地にいた満鉄の職員とか軍属のような人たちもその恩恵を受けられるんです。それから国家公務員が任官したとき一時もらった、退職一時金も受けられる。ところが、その期間計算をするのにもこれも日にちがないんですよ。実際には、こんなものは五月末までに手続しなきゃなんてできませんよ。できないということだけ言っておきます。とてもじゃないけれどもできる仕掛けじゃないです。大体三十四年の四月ころに任官して手当をもらった地方公務員や国家公務員にしても、支給を受けた日もわからないんですよ。八月に受けた者もあるし、十月に受けた者もあるんです。そうすると、全部金利の計算も違ってくるでしょう。とてもじゃないけれども、退官している連中に個別に通知して指導するといったって、これだけの期間にどうしてこんなことができますか。少なくても三月末くらいには完全な、ところが政令もまだできていないでしょう。法案が通ったらつくるといったってできていたら出してもらいたいんですよ。大体今できていなくてはならないんで、これの政令、省令を要求しておきます。  それから、この問題につきましてはさらにまた事実の問題になるんですが、研究しておいてください。満鉄に行っていまして、帰ってきて国鉄にまた勤めたんです。これが今度は要するに判任官になってそこで一時金をもらって、それから今度は判任官になってからレッドパージにかかったんです。これは実際に十勝であったことなんですが、機関車に乗るのを放棄したいわゆる新得事件という事件があったんです。池田の機関庫からも出ましたけれども、みんな山の中へ隠れちゃった。二カ月隠れて汽車をとめれば革命が起こるからということで、当時みんなその気になって、若い連中が隠れて、出てきたら捕まったんです。これは全部レッドパージです。どこにも記録がないんです。国鉄にもないんですよ。恩給局を調べてもないんです。何ぼもらったか。通算規定にはな っているけれども本人ももらったかもらわないかわからないというんですよ。どこを調べても、一体幾ら払って、いつ払ったのかもわからないような人がたくさん現実にいるんです。これらを救済することも政令の中で考えてもらいたい。それからもう一つ、さっきの欠格者あるいは三年間で一時金もらった。帰休一時金のこういう制度をつくるなら、国民年金という制度は、時間が離れていたといったって、共済年金だって別な共済のものもちゃんとこれは受けるんですからね。その期間も十年も期間切れているんですよ。時効になってもう十年も切れて、三十年ころに役場へ入った者でも今度この対象になるんですよ。国鉄をレッドパージになってやめて、その後役場へ入った、これも対象になるんです。そうすれば一万五千円でチョンという、十九年六カ月というのは、私の村の隣の村にいるんです、森さんというのが、通算で当たらないんですよ。国民年金にも通算しないんです、戦時加算で。こういう人たちが救えるようなことをこの機会にどうして考えられないのか。  以上言いまして、それはまたこの次やります。
  91. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 関連して、通告していなくて大変恐縮なんですが、一つついでにお聞きしておきたいと思うんです。  既支給の問題は、今、丸谷委員からも施行に当たって万遺漏のないようにというお話がございましたが、これは五十三年の当委員会以来の強い要求で附帯決議をつづってきたことが今回実現するということで、非常に結構なことだと私は思うんで、それだけにせっかくのこの改正チャンスですから、この施行後に漏れるようなことのないようにぜひ御配慮してお願いしておきたい、とういうふうに思います。  恩給局の方がおいでですから、私もちょっとわからないので、これはどういう意味だろうかというのが一つあるんです。それは、私の兄貴が二人戦地で戦死をしまして、もう両親も亡くなったし、もちろん結婚していませんから兄には子供もないわけです。いわゆる軍人恩給の対象は、遺族年金の対象というのはもうなくなっておるわけです。ところが、最近私の方に通知が来まして、何というんですか、あれは灯明料というんですか、何かそれを一人につき三十万上げるから申請をしなさい、こういう連絡があったんです。恩給の中にも灯明料があるのかなあと思ってつくづく私も不可解であるんですけれども、国債か何かで三十万だと、こういうことなんですが、これは一体どういう代物でこうなったのか、もしおわかりになれば、通告なしで大変恐縮なんですが、お聞かせいただければ幸いだと、こういうように思っております。
  92. 佐々木晴夫

    政府委員佐々木晴夫君) これは直接恩給の関係じゃございませんけれども厚生省所管で戦傷病者戦没者遺族等援護法というものがございます。この関係でもって、戦死なさった方あるいは戦病死なさった方、そうした方の遺族に対しまして、例えば、お葬式を出すとか祭祀をするとか、そうしたような関係で若干の給付金が出るということが一応規定をされておるわけであります。恐らくそのことを言っていらっしゃるのではなかろうかと思いますけれども、私ただいま手元にその資料がございませんものですから、これは厚生省援護局の方にお問い合わせいただければ詳しく御説明ができるかと思います。
  93. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  94. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 中野明

    ○中野明君 最初に、大臣には前回確認しておりませんでしたので大臣にお尋ねをするわけですが、五十九年の二月の閣議決定で公的年金制度の改革ということ、先日も大蔵大臣もこの委員会で答弁をなさっておりましたが、「七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」、このように閣議決定があるわけですが、この七十年の公的年金制度全体の一元化という姿、自治大臣としてはどのような認識を持っておられるのか、最初にお尋ねします。
  96. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 御承知のように、今回の改正は五十九年の二月の閣議決定を受けまして、年金一元化の目標に向かいまして基礎年金の導入あるいは給付水準の適正化というようなもの等かなり調整を実施するものでありまして、共済年金制度間も含めまして、所期の一元化の目的が相当達せられるものと考えております。  その後、一元化に向けての具体的な内容、手順についてでございますが、六十一年までの措置を踏まえて検討されていくということになりますので、現時点において一元化の姿は明らかではありませんが、いずれにしても公的年金制度全体としての長期的安定と整合性ある発展を図る見地から、各制度の所要の調整を進めまして、昭和七十年を目途にいたしまして一元化を完了することと考えております。  なお私は、一元化というのは、統合とは書いてありませんので、先般も大蔵大臣が言っておりましたが、そういう場合には地方公務員共済制度の特質を考えまして、一元化に当たりましても十分にそれを生かしていかなければならないと考えております。
  97. 中野明

    ○中野明君 もう二度確認をしておきますけれども、「公的年金制度全体の一元」、このように閣議決定があるわけなんですが、「全体の一元化」というのはどういう、当然大臣地方公務員共済を抱えておられますので、そういう御答弁が今の時点では妥当だと私も思いますけれども、この「制度全体の一元化」という意味がちょっと私、いずれ総理にもお尋ねしようと思っておりますけれども、全体の一元化ということになりますと、私は統合という言葉はどうかと思いますが、財布を一つにするということが全体の一元化の究極の姿じゃないか、このように私なりに理解をしているんですが、この点は大臣の認識はどうなんでしょうか。
  98. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 私は、六十一年までの間におきまして、いろいろの措置を踏まえて個々の具体的な問題については検討していくということになると思いますが、最後の七十年におきまして、財布の点は御質問のようにどういうふうになるかという御意見でございますが、どういうふうになりましてもやはり地方共済としての特色とか特質、これは残していかなければならぬと思いますので、私といたしましては一元化ということは、大蔵大臣も統合ではないと言っておられますので、どういうふうに生かしていくか、そしてその中におきまして生きるとしても、もちろんそうじゃない場合もそうでございますが、やっぱり地方共済の特質というものをその中へ十分生かしていかなければならぬというふうに考えております。
  99. 中野明

    ○中野明君 わかりました。それ以上申し上げましても先のことでございますので、一応大臣の御答弁としてお聞きをいたしておきます。  そこで、この公的年金制度の一元化というものが急がれる一番大きな理由は、やはり国鉄共済が財政的に破綻を来してきた、これを何とか救済せねばならぬということが一つの一元化への導火線になっていると私は思うわけですが、他に類似の人数を抱えている共済もあるわけです、あるいは年金もあるわけなんですが、国鉄がこんなに早く財政的に破綻を来した理由はどこにあるというふうに認識をしておられるのか、その辺、国鉄はいかがですか。
  100. 小玉俊一

    説明員(小玉俊一君) 国鉄の共済財政がこのように悪化しました原因としましては幾つもございますが、とりわけて申し上げますれば、やはり戦中、戦後に大量の人を採用したということが一つありまして、そのことが最近において大量退職時代を招くことになった、これが一つございます。  それからもう一つ大きな理由としまして、最近いろいろな意味で国鉄経営の合理化を進めておりますが、そのことによりまして職員の数が非常に減ってきたということがございます。両々相まちまして、年金の受給者が非常に激増する反面、年金を支える掛金を払う者が減ってきた。そういうような意味で、いわゆる成熟率というものが非常に悪くなってきた、こういうところにあろうかと思います。
  101. 中野明

    ○中野明君 今お答えにありましたように、戦中戦後の大量採用というのはひとり国鉄だけじゃなしに、NHKなんかもその例の一つに私どもも考えているわけですが、あるいは電電公社もそうでしょうし、そういうところが今のところ何とかやっていっているのに、国鉄だけがこんなに急に早くなった。どこもやはり人を減らしていって、特に電電なんかは情報化時代で人間はますます減ってきている、こういう状況下にあるのに、国鉄だけがどうしてこんなに早くなったんだろうという疑問を私いまだにぬぐい切れないわけですが、まあ現実にそうなっているんですからいたし方ないとして、国共審の答申の中で、国鉄共済を救済するためには六十四年度まで何とか財政調整事業実施の方途が決まっているわけですけれども、六十五年度以降これが非常に問題になってくるわけですが、衆議院からこの参議院にかけていろいろの審議過程政府答弁をしておるわけですが、国鉄当局として、六十四年以降の財政調整事業についてどういうふうな認識を持っておられるか、その辺お聞かせください。
  102. 小玉俊一

    説明員(小玉俊一君) ただいま先生のお話にもありましたように、六十四年度までは、この夏に監理委員会の意見が出るまでは、公務員等から財政援助をいただきまして収支が相償う、とんとんでいけるということになっていたわけでありますけれども、監理委員会の意見をそのまま実施いたしますと、六十四年度までのみならず、もっと早く財政の危機が到来するだろう。それで六十四年度までならして申し上げますれば、大体一年につき七、八百億の赤字が出てくるわけでございますが、六十四年度までの前半においてはそれよりも低い額でございますが、後半になりますとそれよりも高い額になっていくということで、六十四年度においては一千億を超える金額になりますし、六十五年度を超えますと財政調整がなくなる等、さらにまた国鉄の経営改革が進みまして年金の受給者が一番ピークに達する、一方、人も減ってくるという意味で、ただいま申し上げた一千億をはるかに超える、あるいは二倍とか三倍とか、そういうオーダーの金額になろうかと思います。この辺につきましては退職する人数の確定と、それからどのような年齢の者が、どのような給与の者が抜けるかということによりまして変わってまいりますので、正確な金額は今の時点では申し上げにくいわけでありますが、今申し上げたようなオーダーで財政の破綻が来るんではないかというふうに思っております。
  103. 中野明

    ○中野明君 政府も、六十五年以降は国鉄の自助努力、そしてまた国の方でもこれについて考えるというような統一見解が出ているわけですが、国鉄共済の自助努力というのはどういうことができますか。
  104. 小玉俊一

    説明員(小玉俊一君) 自助努力というふうに申し上げますと、理論的といいますか、一般的に考え得る問題としましては、掛金を上げること、あるいは給付の増大を防ぐこと、それからわずかではございますが、積み立てがございますので、その積み立てを取り崩していくこと等々が考えられると思います。しかしながら、掛金につきましてもかなり高くなってきておりますし、給付につきましても国鉄共済については既にスライドの停止ということをやっておりますので、この辺につきましてはかなり難しい問題があるのではないかというふうに私ども考えております。  そのようなことも考えまして、今回の国家公務員共済法改正案の中では、国鉄につきましてはいわゆる職域部分、三階部分でございますが、こういうものの支給の停止とか、あるいはみなし従前額でございますとか、こういったものも国鉄には停止するというようなことで自助努力の一環にしたい、このように思っております。
  105. 中野明

    ○中野明君 自助努力というものも、今答弁がありましたように限界があると思います。ですから、もう今のお話でもわかりますように、掛金もこれ以上アップするというのむいかがかと思われますし、給付を減らすといってもこれは大問題でしょうし、何か政府が国鉄の自助努力ということをしきりに強調されているんですが、私どもが考えて、今以上に自助努力ができる余地があるのだろうか、このように心配をするわけでございます。  そこで、自治大臣にもお尋ねをしておくわけですが、国鉄共済に対しましては、政府答弁でもときどき出てくるんですが、六十四年度までは何とか財政調整で、そこまでが限度である。したがって、それ以後についてはすべての被用者年金制度による調整あるいは緊急対策、これが年金制度一元化の流れの中で抜本的に検討されなければならないということを述べておるんですが、政府はその具体策を検討する場を早急に設けよと、社会保障制度審議会ですか、そこでも述べておりますし、あるいは大蔵大臣答弁の中にも、「国家公務員等のグループのみによる援助はこの五年が限度であると考えられる。従って、それ以後は全被用者年金制度による財政調整等が不可欠であり、私としても、今後関係方面に働きかけて、その実現に努めて参りたいと考えております。」こういうような答弁大蔵大臣もしておるわけなんですが、自治大臣はこういうことについて何か御相談といいますか、要請がありましたか。
  106. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 自助努力につきましては、衆議院の連合審査におきまして国鉄の自助努力は幾らかということは現時点では言えないし、国の負担についても理屈のあるものしか出せませんので、現時点ではお答えできませんが、理論的には他制度からの連帯はあり得るが、強いていえば現時点では考えておりません。六十五年以降は全くの白紙で、この法案も成立させていただいたら至急そういう措置も検討いたしますということを大体大蔵大臣が統一見解として申し上げておりますことは先生御承知のとおりでございます。  だから、六十五年以降は全く白紙でということを言っておるのでございますが、国鉄の自助努力というものは今、小玉事務局長が話しましたように、ある程度答弁を聞いておりましても限度があるというような感じが私もいたします。だから、こういうような点は現在は白紙だということが統一答弁でございますが、そうかといってほかの制度からの調整を考えるといいましても、御承知のように地方共済だけについていいましても相当いろいろのものがございまして、特に公営企業の状況なんか大変厳しいものがあるわけでございますので、あっさり私どももはい引き受けさしていただきますということは絶対に申し上げられない立場でございます。  したがいまして、大蔵大臣にこういう問題については国でどういうふうにするかということをこの六十一年度の検討のときに十分考えていただきまして、私の方は御承知のように、国鉄の余剰人員の問題はまだ御質問ございませんけれども、閣議決定がありましたように、地方も自主的な協力をするということを申し上げておるのでございまして、地方共済の現状からいたしまして六十五年以降はでは応援しますということは全く白紙である、これが正直な、私もそう思いますが、私の気持ちとしてはそんな余裕は地方共済にはないだろうというふうに考えております。
  107. 中野明

    ○中野明君 私もそう思います。今回のこの改正でいわゆる地方公務員共済改正されることによって給付なりあるいは掛金なりが有利になってくるのならば話はわかりますけれども、けさほど来ずっと議論があります、先日来も議論がありますとおり、どちらかというと非常に不利な面が多いわけです。そういう状況の中で、まだなお将来において国鉄共済の救済を肩がわりさせられるということになるとこれは問題であろうと私も考えて おりますが、そうかといって国鉄共済をつぶしてしまうということは公的年金に対する国民の信頼を失うということで、今回の一元化の趣旨にも反するわけでして、その辺はこれから非常に大きな政治的な課題になってこようかと、このように考えております。  今、大臣からもお話が出ましたように、国鉄の余剰人員対策ですね。これは一部の報道では余剰人員とは何事か、こういうことも社説で載っておりました。もっともな話だと思うんです。今働いている人は国鉄に骨を埋めようと思って一生懸命働いた人でしょう。それが今になって余剰人員というような言い方をされることはまことに気の毒なことだ、また不適切だという社説もありますけれども、一応全体的に今はもう余剰人員ということで言いならされてきておりますので、私も趣旨は今新聞の記事を引用したとおり余剰人員ということは適切な言葉じゃないなと思いつつも、これが言いふらされているので用いさせていただきますけれども。この国鉄の人減らしといいますか、これが先日の閣議でも、今、大臣答弁のように、公的機関が三万人引き受ける、こういうようなことが決められて、それぞれの国家公務員あるいは地方公務員その他の公的機関に割り振ってこられるようになるんだろうと思うんですが、この裏づけといいますか、割り当てというような形になるんでしょうか、その辺は大臣どうなんでしょう。
  108. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 御承知のように、公的部門で三万ということを言っておりますが、その内訳につきましては外部に発表しておりません。したがって、私の考え方を申し述べさせていただきますが、要するに自治省といたしましては、この閣議決定趣旨を受けまして、地方団体に対しまして六十一年度から、正式には六十二年からでありますが、六十一年度もできれば若干でもと思っておりますから、積極的に国鉄職員等の採用に取り組むという協力体制はとってまいりたいと思っております。  ただいま先生が御指摘のように現実的な、ちょっと長くなって恐縮でございますが、地方団体で、都道府県それから市町村等において五十九年度の採用等の実績を見てみますと大体十万人でございます。そのうちの七割は職種が決まっておりまして、先生だとか教員の方とか看護婦さんとか決まっておりますので、そうするとあと三万ちょっとでございますが、そこで女子を除き、しかも何といいますか高等学校、中学校、小学校を卒業している男子について見ますと、まあ率直に言いまして十万人のうちでそういうふうになるのは一万五、六千ぐらいかと思っておりますが、その一割というと一千六百名ぐらいになりますが、六十一年度は初年度でありますからそこまではまいりませんが、六十二年以降国の措置に準じて努力する場合には強制割り当ては絶対にいたしません。  それから、町村の方は、自分の方で自発的に採ってやろうという以外は、大体五十九年のあれを見ますと新規に採っているのは三人ぐらいでございまして、ですからそこへ入れるということは大変難しいことでございます、行革も進めておりますので。大体私は県あるいはその外郭団体あるいは市等におきまして自主的な協力をお願いしたいということで、この閣議決定に基づきまして自治省としては通牒を出す予定でございますが、私ども考えまして、地方団体が国鉄の職員を大量に受け入れるということは容易なことではございませんが、国鉄の改革が成功しなければ地方の交通体系に与える打撃も大きいということで、自主的な協力を地方団体には行うように持って行きたいというふうに考えております。  なお、先般来その際の共済の問題とかいろいろ御質問ございましたが、閣議で、地方公共団体の国鉄等職員の採用に伴う国鉄等の在職期間に係る退職手当及び共済年金については、地方公共団体あるいは地方公務員等共済組合に負担をもたらすことのないように対処するものと、そういうのを一語皆様の御意見によりまして入れていただきまして、したがいまして、私どもはこれから通牒を出すにいたしましても強制割り当てということは大変難しいことでありますので、自主的な協力を求めていこう、できるだけ御期待に沿うようにしたいと言っておりますが、三万人という公的部門の内訳というのは正式には決めていないわけでございます。国に準ずると言っておりますが、採用は自主的にはいたさなければならないし、またいたす決意でございます。  そういう意味で、この間、閣議の前に私も、国鉄は採用の、どういう条件の人をどういうふうに地方へお願いするか早く資料を出してもらいたい、地方にもそういうことを知らしてもらいたいということを言っておいたところでありまして、本年の地方自治体でももう試験が済んでおるのもありますし、また国鉄の方が試験を受けて落ちられている方もあります。そういう方はもうことしは難しいと思いますが、全般の市あるいは県がそうであるとも限りませんので、今言いましたように、自主的協力ということを中心にいたしましてお引き受けをいたすつもりでございます。
  109. 中野明

    ○中野明君 それで大臣、当初は、私ども承知しておったところでは、国と地方それぞれ一万人が限度であろう、両方で合わせて二万人、これが限度であろうというようなことは聞いておったんですが、今回急に三万人ということになったわけですが、それは何か特別の理由があるんでしょうか。
  110. 平井清

    政府委員(平井清君) 特別の理由があったかというお尋ねでございますが、国鉄の余剰人員がかなり大量に、外部に出ます者だけでも六万人ちょっとという大量でございますし、また今回は過去の炭鉱離職等と違いまして、すぐれて国の重要問題ということでもございますので、国を初めといたしました公的部門での受け入れをまず図ってまいるべきであるというような観点から、種々の情勢を総合いたしまして国としてひとまず三万人を目標として掲げてまいろう、その上で一般産業界等にもお願いをしてまいろうということで掲げさせていただいた目標でございます。
  111. 中野明

    ○中野明君 それで、もう一つ気になりますのは、余剰人員という言葉を使わせてもらいますけれども、そういう人がたくさんおられるところはいわゆる不採算路線の多い地方に多いわけですね。北海道とか九州などでは二人に一人、一万五千人前後の人が国鉄を退職していかなければならない数と、こういうことになっております。私が住んでおります四国でもこれは大変なことでして、六千人ぐらいというような話も聞いております。ところが、先日、監理委員会の亀井委員長が四国へ来られたときに、四国の各地方公共団体は、もう四国では一切受け入れする余地がありませんと言っておりますし、きのうの新聞でも報じられているとおり、徳島県の三木知事は、この受け入れをする余裕はないというふうにはっきり言っております。  こういう状況になってきたときに、話は話として国なり地方でそれだけの受け入れをすると全体ではそういう話になるでしょうけれども、部分的に見たら、北海道とか九州とか四国というところは果たしてそれが可能なのかどうか。国鉄の職員の方が本州の方へ転勤でもしていかなければ、転勤というのですか住居を変わらなければならぬというような場面も出てくるのではないか。非常にこれは問題が多いと思うんですが、この辺はどうお考えになっているんですか。
  112. 平井清

    政府委員(平井清君) 監理委員会の構想につきましては、四国では余剰人員の発生は千名というふうに見込まれておりまして、先生がおっしゃいましたほどの深刻な事態ではないと思いますが、御指摘のとおり、九州及び北海道におきましては大量の余剰人員が発生するというふうに見込まれておりまして、これは今後いろいろと精査を要するところでございますが、おおむねそんなことになろうかというふうに考えます。したがいまして、就職口のあるところに求職者を持ってくるということはやはり必要になろうかと思いまして、その際には移動に比較的耐えやすい若年者を中心にいたしまして移動を図っていく。事前に転勤を するというようなことも有力な手段かと思われます。  それから、御指摘地方自治体の対応、これへの指導等につきましては、自治省にお答えをいただいた方がよかろうかと思います。
  113. 中野明

    ○中野明君 それで、徳島の三木知事はこういうことを言っております。国は地方の行政改革の推進を強力に指導しておきながら、一方で行革に反するようなことを言ってくるというのはいかがなものか、こういう批判をしているわけです。これは、先日も佐藤委員の方からも話がありましたように、地方の、特に過疎地におきましては行革をやろうということで、もう一生懸命に人減らしに努力をして、採用も控えながら努力している。そこへ何ぼか持ってくれ。大臣のお答えでは強制割り当てはしないということなんですが、こういうことですから、地方公共団体がだめだと言えば、自治省の方としてはそれ以上指導したり、あるいは推進をしたりということはしないつもりですか。
  114. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) それぞれの地方団体の長の中にはいろいろな御意見をお持ちの方がいらっしゃると思います。新聞で報ぜられておるのもそういう御意見のうちの一つだと思いますけれども、私たちといたしましては、閣議決定されました方針に基づきましてまず地方団体のお考えとか、あるいは国鉄の再建に関する認識とか、そういうものをよくお聞きして、地方団体の立場に立ってよく考えていかなければならないというふうに思います。  ただ、国鉄の余剰人員問題というのは国鉄再建の一つの大きなかぎを握っておりますので、私たち地方団体それなりのことをよく御説明を申し上げて、そして地方団体が自主的に協力していただけるように十分お話し合いをしていかなければならないというふうに思います。そういうことで地方団体のよき理解を求めていきたいというふうに考えておりますけれども、それぞれの地方団体は私たちの呼びかけに応じまして定員の適正化というものを進めております、先生がお話しになられますように。定員の適正化というものを進めてもらっていますけれども、その中にありましても、やはり都道府県とか都市におきましてはそれなりの新陳代謝も行われておりますので、その新陳代謝の枠の中で国鉄の余剰人員をできるだけ受け入れていただけないかというお話をしてまいりたい。そうすることによりまして地方同体における行政改革といいますか、定員適正化の進め方と整合性を保った余剰人員の受け入れというものをお願いしていかなければならないというふうに思います。  いずれにいたしましても、国鉄の余剰人員の問題につきましては、閣議決定されたばかりでございますし、地方団体の方も十分な情報もまだ持っていないところもあろうかと思いますし、認識もまだ足りないところがあるかと思います。そういうところに対しましてはきめの細かいアプローチをしていきながら、できるだけ地方団体の方がスムーズに受け入れていただけるように、よくよく私たちも努めてまいらなければならないというふうに思っております。
  115. 中野明

    ○中野明君 大臣もさっきお答えになりましたが、採用予定者の一〇%というふうに見て、この地方自治体では千人ぐらいというふうな推定の数字も出ておりますが、ほとんどの自治体では来年度分の採用予定者はもう内定済み、こうなっているように思うんですが、そうしますと、先ほどのお答えのように千人というのはどういう扱いをされるのか。一遍内定しているのに、そこへ割り込む余地はなかなかないんではないだろうか、そういう気がするんですが、この辺はどうでしょう。
  116. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生がお話しになりました千人というのは一つの目安といいますか、私たちのこれから地方団体に対してお願いをしていくときの漠然とした一つの目安として持っておるわけでございますけれども、まさに先生が御指摘になりましたように、六十一年度の地方団体の採用はもう大半の地方団体においておおむね内定者が決まっておるという状況だと思います。  ただ、そういうふうに地方団体の方で公募をし、採用を内定するということに並行いたしまして、地方団体は年度途中におきましても選考採用ということで職種によっては年度途中に採用するものもございますし、まだ選考採用の職種につきましては年度当初に採用するものも実は若干あるんじゃないかという期待を持っておるわけでございます。そういうような状況をよく私たちの方で把握をしていきながら、そして国鉄当局と協力しながら、国鉄当局も地方団体の方にできるだけ足を運んでいただきまして、地方団体の職種ごとのこれからの採用予定というものを把握していただきまして、そして先ほど大臣が申し上げましたように、国鉄の方の地方団体へのお願いのリストというものも示していただきまして、そこで無理のない、とにかく六十一年度の受け入れというものを進めていくことになるのかというふうに考えております。  先生がお話しになりました六十一年度の採用予定者の内定状況というものは私たちの方はあくまで尊重していかなければならない。それをどうこうというようなことは毛頭考えておりませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  117. 中野明

    ○中野明君 それで、国鉄職員の受け入れをする計画の中で、分野別の採用計画というものを六十一年秋までに策定する、こういうふうにされているわけですが、これはもっと早められないんですかね。余り遅くなるとまた同じことの繰り返しになるんですが、その辺はどうでしょう。
  118. 平井清

    政府委員(平井清君) お答えいたします。  先生指摘のように、計画は早いうちに定めた方がいいというのは全くそのとおりでございます。私どももできるだけ早い時期に策定をいたしたいと思っておりますが、また全体の計画を定めるということになりますと実は不確定要素が多々ございます。余剰人員は国鉄改革の本体の諸事項、特に新会社及び旧国鉄、いろいろな新しい組織体の要員計画というものもはっきり決まりませんと確実な数にはならないわけでございまして、これから国会に関係諸法令も出される準備は進んでおりますけれども、まだ進行形の状況でございます。この余剰人員の計画だけ先に精緻なものを決めるというわけにはまいりませんので、それをにらみながらできるだけ早い時期に決めてまいりたいというふうに考えております。
  119. 中野明

    ○中野明君 いずれにしましても、それぞれの地方も、先ほどの御答弁にもありましたように、受け入れるといってもそう簡単にいくような問題でもありませんし、大変なことだろうと私たちも気をもんでいるわけですが、それは一応この程度にしておきます。  先日も御質疑がありましたが、国鉄の余剰人員を地方が受け入れたとしたとき、年金ということが問題になってくるわけです。これ財布が別ですから。そうしますと、先ほどの御答弁にもありましたように、国鉄の共済が大変な状況で、積立金を引き継ぐというようなことはとても不可能じゃないかという気がするんですが、その辺は何か地方に迷惑をかけないように事務当局同士では話ができているというような答弁があったんですが、そこのところもう少し詳しく教えてください。
  120. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国鉄の職員を地方団体が受け入れた場合に、地方公務員共済等に負担をかけないということでございますが、その資金をいつどのようにして移換するかという話になろうかと思います。  一つの考え方は、国鉄の職員を受け入れたときに資金を移換するという考え方もあろうかと思いますけれども、私たちの方で、いろいろ内部でそんなに本格的にまだ議論はしておりませんけれども、若干意見の交換をいたしましたところでは、職員を引き受けたときにすぐ資金の移換を受け入れるのは、地方公務員共済の立場として必ずしもプラスにならないという考え方も実はございます。あるいはまた、それと反する意見もあるかもわかりませんけれども、私たち地方公務員共済の立場から、どのように資金を受け入れたら一番 いいのかという考えをよくまとめまして、そして関係方面との相談に当たっていきたいということでございまして、現在、いつどのようにして移換するかということについて特段の方針とか結論を持っているわけじゃございません。これから関係方面と相談しながら決めていきたいと考えておるわけでございます。
  121. 中野明

    ○中野明君 今お答えにありましたように、再就職時点での移換ということが一つありますね。それから年金を支給する時点になっての移換と、大きく分ければ二つに考えられるわけですが、先ほどの答弁で、現在でも年間に七百億から八百億円は不足している、こういうんでしょう。先になるほど大変だ。そうなると移換するお金があるんですかということなんですが、その辺は、迷惑をかけないようにというふうに話し合いをしたと、こうおっしゃっているんですが。これは相手はどこと話し合いをしたんですか。
  122. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国鉄共済を所管しております大蔵省、運輸省、国鉄当局というところでございます。  いずれにいたしましても、そういうところと意見を交換いたしまして、どういう方法で移換するのがいいだろうかということをよく考えてやっていかなきゃならないというふうに考えておりますが、資金があるのかないのかという先生心配でございますけれども、それは地方公務員共済の立場から心配することではなくして、地方公務員共済としては資金を移換していただくんだと、地方公務員共済の負担にならないようにしていただくんだということをしっかり考えて、それなりの主張をしっかりしていけばそれでいいことだというふうに考えております。金の方の面倒は向こうの方で見ることだというふうに考えております。
  123. 中野明

    ○中野明君 それでは、大蔵省とも話し合ったというんですから、大蔵省が迷惑をかけないということは大蔵省で段取りをする、こういうふうに受け取ってよろしいんですか。
  124. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) それは大蔵省がやるのか国鉄がやるのか、向こうの内部のことまで我々は一々物を申し上げる立場でないということでございまして、結果として地方公務員共済が負担にならないようにしていただくということでございます。
  125. 中野明

    ○中野明君 そうなると問題になってくるんですが、それはあなたの立場でそうおっしゃるのはわかりますよ。しかし、向こうは日がたつにつれてますますもう金がないことは目に見えて、みんなで救済しないといけないという話まで出てきておるんでしょう。そのときに、私の方はもう迷惑さえかからなければいいんですという紋切り方の答弁なんですが、果たしてそれでいつまでも済むことだろうか。ですから、この際はっきり余剰人員を受け入れるときにきちっとけじめをつけておかれないと、うちは迷惑がからなければいいんだ、金はそっちで都合してもらえばよろしいというようなのんきなことを言っていたら、結局、金がないから何とかしてくれとまた言ってきたときには困るんじゃないか、そういう気がしますので、先ほど私、質問の中でも申し上げているように、将来、国鉄をつぶさないためにはもう全部の人で応援しなければいかぬというような事態にまで来るんじゃないかという人もおるぐらいですから、そういうことになってきますと、やはり受け入れたときの年金の移換の問題についてはきちっとしておかれないと後へ禍根を残すんじゃないか。もうあなたのところはしてくれると思っていまして待っておったんですけれども、やっぱりだめですかというようなことになったんでは責任があるんじゃないか、そういう気がするんですが、そこら辺はかっきりと確約をとれるような、話し合いの詰めになるような自信はおありなんですか。
  126. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、そういう趣旨の閣議決定がされておりますので、私たちはその閣議決定趣旨というものに沿って仕事をしてまいるということになろうかと思います。  先生のたびたびの御心配といいますか、御指摘というものはよく私たちは記憶いたしまして仕事をしてまい力だいというふうに思います。
  127. 中野明

    ○中野明君 気になるんですね。閣議決定の中に書かれていることで、「六十一年度以降においては、以上の措置を踏まえ、」、「以上」というのは、今回、基礎年金を導入することを含めてですね。「給付と負担の両面において制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務の一元比等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」、こういうような閣議決定になっているわけです。ですから、そういうことを考えてくると、これはよほどここのところははっきりしておかないと、全体でもおんぶされる可能性が残っている。その上に、受け入れた余剰人員の人のものまでかぶってくるということになると二重にかぶることになるんです。私の心配しているのはそれなんですね。ですから、まず余剰人員を受け入れるときにはその基金はきちっとしておくという一つの防波堤はつくっておかないと、将来の一元化構想というものを考えますとどうしてもそこのところに私はひっかかるんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  128. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 今、先生がお話しになりました「給付と負担の両面において制度間調整を進める。」というこの閣議決定の、これとの関係において御心配なさるというのはちょっと当たってないんじゃないかという気がいたします。  ただ、先ほど来の先生の御心配というのは私たちもよく記憶にとどめまして、その対応というものを考えてまいります。かねがねの先生の御指摘でございますから、十分その趣旨を体して仕事してまいりたいというふうに思います。
  129. 中野明

    ○中野明君 私の言わんとしていることをそのまま受け取ってもらえていないんじゃないかと思うんです。国鉄共済を全体で救済していかなきゃならぬ時点が来るんじゃないかという心配をまずしているわけです。それはそれでかぶっていきますね。同時に、国鉄の余剰人員を受け入れて、そしてその基金をきちっとしておかないとそれもかぶらにゃいかぬ、国鉄全体の赤字もかぶらにゃいかぬ。将来二重にかぶることになるんじゃないか、そのことが心配なんですが、その辺どうでしょうか。
  130. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先の先までお読みになりましていろいろ御心配されるわけでございますけれども、国鉄共済は先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、六十五年度以降につきましては白紙でございます。六十五年度以降どういうふうな議論が展開して、どういうふうになるのか、今のところ私たちの方も予想はつきませんけれども、その議論のプロセスはプロセスとしていろいろ考えられます。そのことと今、先生が御指摘になりました余剰人員の受け入れに伴う資金の移換の話は直接には結びついてこない。資金の移換は資金の移換としてそれはしていただかなきゃならない。ただ、六十五年度以降の国鉄共済の救済についての議論のプロセスは議論のプロセスとしていろいろあるだろう。ありますけれども、それとこれとは話は別だというふうに思います。
  131. 中野明

    ○中野明君 そのとおりなんです。ですから、移換のときにきちっとしておいてもらわないと困りますよと。ただ、先ほどの答弁を聞いていると、お金のことはこっちは心配せぬでよろしいんだ。向こうさんが心配することであって、我が方は心配要りませんと非常に紋切り型に、立場上そう言わざるを得ぬからおっしゃっているんだろうと思うんですが、現状を見たときによほど腰を据えて話をして詰めておかないと、ただ人間だけ持ってきてあとよろしゅう頼みますというようなことになってしまったらえらいことになりはせぬかという心配をしているわけでして、その辺ひとつお含みをいただきたいと思います。  それから、きょうはいただいている時間が近づいてきましたので、ほかの問題は次に回したいと思います。  私どもがどうしても修正をしてもらいたいということの中の一つに、改正案の七十九条の一項及 び八十条の一項では、退職共済年金の額は、厚生年金相当額と職域年金相当部分の額との合算額に加給年金額を加算した金額、こうなっております。ちょっとこれだけ読んだだけでは我々もなかなかわかりにくいんです。これまで政府は、共済年金には職域年金部分が含まれていると説明をされてきましたし、新制度でも職域年金部分は三階部分であると説明をされているわけです。この職域年金部分については企業年金等の実態を考慮してやっていかなきゃなりませんが、その水準について人事院の報告を受けて見直しが行えるようにすべきではないかというのが我々の意見でございます。その点、これは修正にもかかわってくることですが、こういう考え方について大臣のお考えをお聞きしたいんです。
  132. 古屋亨

    ○国務大臣(古屋亨君) 職域部分の水準のあり方につきましては、国家公務員の場合に大蔵大臣から次のように答弁しております。企業年金の動向あるいは人事院の意見も踏まえつつ、一両年中に検討を行い、結論を得たいと考えているという答弁があったところでございますので、国家公務員について結論が出されればこれに準じて地方公務員も措置してまいりたいということでございます。
  133. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それではもう一点だけ。組合員期間が二十年未満で私疾病によって死亡した場合の従前の遺族年金につきましては、改正法施行日以後、従前の厚生年金の場合に準じて、組合員期間を二十年として通算年金方式により計算した額の半額に加給年金を加えた額を下回ることのないよう改定をするべきではないか、こういう要求を私どもはしているわけなんですが、この点はどうでしょうか。
  134. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 共済遺族年金につきましては、通常の場合は一般的には厚生年金の水準を下回ることがないというふうに考えておりますけれども、ただ、最低保障額の場合、加給年金関係共済の方が厚生年金の水準を若干下回るような場合も考えられます。衆議院段階においてもそういう議論がございましたし、かねがね公明党の方からもそういうお話がございます。私たちの方では既裁定の遺族年金につきまして最低保障の改善を図るということにつきまして何か考えられないかということで、いずれにしても政令段階で対応が可能でございますので、政令を制定する場合に何らかの措置を講ずることを前向きに検討してみたいというふうに考えております。
  135. 中野明

    ○中野明君 では、時間が参りましたので残りは次の機会に質問さしていただくとして、本日はこれで終わります。
  136. 神谷信之助

    神谷信之助君 職域年金部分の問題でまず質問をしたいと思います。  論議に入る順序として、職域年金の制度を今度設けた理由、根拠といいますか性格といいますか、まずこういった点について。
  137. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) よく御存じの先生にどういうふうに説明したらいいのか、ちょっと思案するわけですけれども、ごく通常の御説明をさしていただきますと、公務員の共済年金というのは公的年金としての性格を持っておりますとともに、公務員制度の一環としての性格を持っておるというふうによく言われます。もう少し砕いて申し上げますと、公務員というのは公益にのみ勤務に服するという一つの制約がございますし、そういう制約を前提にいたしましていろいろな身分上の難しい規制もございます。労働三権が制約されているとか、あるいは守秘義務があるとか、営利企業に従事することが禁止されているとか、そういうようなことがございます。その二つのことを考え合わせまして、やはり公務員には民間の厚生年金とは違った年金部分があってもいいのじゃないか、こういうふうなことを考えまして職域年金部分というものを今回設定さしていただいたということでございます。
  138. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういうことだろうと思います。つづめて言えば、公務労働の特殊性をプラスしたというように言えるかと思うのですけれども、それで一つ問題なのは、年金全体の八%ぐらいにすぎない、そういう点がいかがなものかという問題ですね。この辺はどういうようにお考えですか。
  139. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) おっしゃいますように、千分の一・五の職域年金部分というのは平均的に申し上げますと基礎年金も含む年金全体の大体八・七から八・八ぐらいのパーセントになるだろう、このように考えております。そこで、そういう水準がどうだろうかという先生のお話は、恐らくもう少し高くできないのかということをお含みの上でお尋ねになっておられるのだと思いますが、千分の一・五を設定いたしましたのは、一つは、これも御説明さしていただいたと思いますけれども、今回の改正案を仮にお認めいただきましても、将来の公務員の負担が千分の一・五にいたしましても相当高くなってくる。それをさらに引き上げるような要素というものを、先生方からお話がありまして私たちが考えました場合にも、どうだろうかという、そこに一つの思案がございます。  それからもう一つは、これも平均的な話で大変恐縮でございますけれども改正されました厚生年金の水準が平均的な賃金に対しまして六九%というふうに厚生省の方で説明されておりますけれども、今回の共済年金改正案をお認めいただいた場合には、夫婦とも六十五歳以上になった場合にどれくらいの水準になるだろうかといいますと、平均給与月額に対しまして大体七四%ぐらいになるだろう、こういう計算をいたしておりますが、千分の一・五を仮に千分の二にいたしました場合にその七四%がもう少し高くなるだろう、こういうことでございますので、厚生年金の水準とも考え合わせましても、ここは定量的にこうだという尺度もないわけでございますけれども、そういうことを考え合わせますと、まあまあこのあたりが国民の皆さん方の方からも御同意がいただける水準がなということで千分の一・五の水準を設定さしていただいたわけでございます。  この問題につきましてはいろいろ今まで議論もございました。そこで、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、結局、人事院の方でいろいろ御調査なさって御意見もお出しになるだろうと、その御意見を踏まえまして政府の方でも改めて考えさしていただこうというようなことになっておるわけでございまして、この水準というもののあり方についてはこれからいろんな御意見をちょうだいしていくことになるだろうと思います。
  140. 神谷信之助

    神谷信之助君 今、公務員部長は千分の一・五でも現役の報酬に対して四十年勤続で七四%ぐらいになると、千分の二にすればさらにふえて七五なり七六になっていくということで、官民格差その他も今までどおりのようなことをおっしゃっていました。いずれ見直しをしたいということもつけ加えておっしゃっているわけです。  そこで、厚生省に聞きますが、今まで衆議院あるいは当院における各委員会での答弁、討論を聞いていますと、厚生年金の現役の報酬との割合は六九%だと、それは本人の基礎年金五万円、妻の基礎年金五万円に報酬比例部分七万六千円を加えたもの、だからいわゆる企業年金、三階建ては含まないものというと十七万六千円の六九%というように出ているんですね。  それからもう一つ、今度はそれじゃいわゆる三階になる企業年金の方は報酬比例の三一%ぐらいに当たる、こういう答弁も別のところでなさっていますから、それを加えると十九万九千五百円となって、それは現役の報酬に比べて七八・二一%になるというように思うんですが、この点いかがですか。
  141. 和田勝

    説明員(和田勝君) ただいまお尋ねの件でございますが、厚生年金基金の独自のプラスアルファの報酬比例部分に対する比率、これはプラスアルファ全体で見まして四二%、そこの部分を差し引いた単純な上乗せ部分だけ取り出しますと、先生が御指摘のように三一%ということでございます。これにつきまして、昭和四十一年から現在まで十九年間加入した場合の数値でございまして、これは今後とも変わらないという前提を置きまし て四十年加入の場合のモデル計算をいたしますと、つなぎ部分を除きました三一%に対応する分、そこでいきますと七八・七%、ほぼ先生の御指摘になった数字と同じでございます。
  142. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、いわゆる職域年金に相当するんですね、企業年金の場合。だからこれを加えるならば、今、部長がおっしゃったように共済の方が高くなるということにはならぬ、現状でもというように思うんですが、この辺はどうですか。
  143. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 企業年金状況というのは、私たちもいろいろな統計を見ましたけれども読み方がなかなか難しいんじゃないかと実は思うわけです。一つは、大企業と中小企業との間にアンバランスがあるということと、もう一つは、企業年金として支給されているその原資の中に退職手当が一体どれだけ形を変えてそこに入っているんだろうかということもなかなか把握しにくいというのが第二番目でございます。それから第三番目といたしまして、企業年金の中で物価にスライドしていくものとスライドしていかないもの、スライドしていくものの中でも完全にスライドしていくものもあるのかもわかりませんけれども、まあ二%ぐらいのスライドしていくものもある、あるいはまた企業年金の支給期間が限られているものもあるというので、企業年金の方の態様が今のところ非常にばらばらでございます。  今回、私たちの方で職域年金部分を設定することについての議論をしました場合にも、企業年金そのものの実情が直ちになかなか参考になりにくい、そういうものがあるということを頭の片隅には置かなきゃならないなということでございまして、先生が今お話しになりますように、それを基準にとにかく職域年金部分を考え直したらどうだ、議論し直したらどうだということでございましたら、私たちの方もまだ調査が不十分かもわかりませんけれども、若干無理があるんじゃないかという感じを今持っております。
  144. 神谷信之助

    神谷信之助君 厚年基金の方は選択になりますね、どちらも選択と。だから、一時金をもらう人というのはまだ十数%でしょう。少ないですね。それから、片方の適格年金の方はもうほとんど大体一時金でもらっているようですね。年金にしている人の方が少ない。だから、おっしゃるように、性格がちょっと違いますけれども退職年金と比べてなにするならば、厚年基金の方のその状況がもう今圧倒的に年金にやってきているわけですから、この点で見る必要があるのじゃないかと。言うならば、年金化しつつあると思うんですね。こういうふうに私は見るべきではないかと思いますがね。いずれにしても同僚議員の質問に対して大臣の方も、一両年中には人事院の意見も聞き、調査もして、そして見直しをするということですが、私はその点では非常にこれは低い状況だという点を指摘して、これの是正をお願いしておきたいと思うんです。  それから次の問題に移りますが、地公法の四十三条の三項ですか、「退職又は死亡の時の条件を考慮して」「適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならない。」、こういう条項がありますね。それで、今回の共済年金改正に当たって地公法上の共済年金に関するこの規定は変わっていないですね。変わっていなければ、この算定基礎ですが、今一年間の平均ですが、全期間の平均に変える必要はないんじゃないか、こういうように思うんだが、この辺どうですか。
  145. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生がおっしゃいますように、地方公務員法の規定は変わっておりません。今回の共済組合法の改正と申しますのは、大臣からも御答弁申し上げましたけれども、公的年金一元化に向けての一つの歩みだということで、基礎年金を導入していくとか、あるいは給付と負担の適正化を図っていくとかということでございます。そういうことをやりながら制度間格差の議論にもある程度こたえていかなき中ならないというので、今、先生が御指摘になりました算定基礎の問題も公的年金一元化の観点から今度改定さしていただこう、こういうふうに考えたわけでございます。  ただいま先生がお話しになりました地方公務員法の「退職又は死亡の時の条件を考慮して」ということでございますけれども、実は現在の共済年金制度の中でもそういう面からいうといろいろな配慮をしているものがございます。例えて言いますと、年金を裁定するときに二百四十月みなしをするとか、あるいは三百月みなしをするとか、あるいはまた最低保障額制度をつくるとかいうことで、退職または死亡のときの条件をぴったり年金制度に反映させるということをいろいろな政策的な配慮から修正するということも現在許されておりますので、大きな公的年金制度の一元化という観点から、先生が今御指摘になりました問題もひとつ評価をしていただきたいというのが正直なところ私たちの気持ちでございます。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは余り評価できませんね。それは、死亡の場合の遺族年金の場合は継ぎ足しがありますね。退職の場合というのは継ぎ足しがあるわけないんですよ。前回の委員会でも言ったけれども、最低保障の制度はなくなって、以後絶対にそれより下がることはないということは言えませんともおっしゃっているんだし、その辺の歯どめはないわけですからね。だから、厳密に言うと三年間の平均であったのを一年平均にして、より退職時の条件というものに近づけて、そして適当な生活の維持、いわゆるそれまでの生活が維持できる条件というものを確保するというのが公務員法での共済規定の原則のように出ているでしょう。それは残っているんだから。その計算の基礎というものを全期間にしたらそれはごぼっと減るに決まっているでしょう。だから何でそういうことをおやりになるのか。地公法の方は残っているのなら、こっちの方なるのはそういうことで整合性に欠ける、矛盾することになってくるということを指摘しておきます。今すぐ変えると言ったって変えやしないでしょうから。  それからもう一つは、先ほど部長がおっしゃったのに、千分の一・五を千分の二にするとかいろいろ考えていく場合の一つの要素として負担の増加の問題をおっしゃったわけですよ。それで、負担の増加という点を考える場合に問題になるのは、負担割合の労使折半の問題です。これを固定しておけばそれはそうなっていくでしょう。あるいは公的補助の部分を今回みたいに大幅に減らすということをやればますます、そして将来にわたってずっと減っていくわけです。この間も部長がおっしゃったように。そういうことを固定化していけば必然的に負担割合はふえていきますよ。問題は、そこのところをどう改善するか、それとのかかわりでやらないと、負担と給付の適正化といっても労使折半は企業の方はどんどんと変わってきているのにそういう状態がそのまま残っている。金科玉条のように労使折半を残さないで、これはあなた、どうしたって負担はふえざるを得ない、財源率はどんどんふえざるを得ない、こうなりますよ。  だから、問題はやっぱりそこのところをどう考えてもらうかということだと思うんですけれども、これは議事録を見ていますと、特に企業年金の部分が出ていましたけれども、企業年金の負担割合について適格年金を有する企業のうち労働者負担のない企業が九四・五%、つまり全額企業負担というのが九四・五%というのが労働省の答弁で出ています。あるいは労務行政研究所の資料では、厚生年金基金の方では五十八年度七二・七%、これは全部企業負担という状況になってきています。だから、給付と負担の適正化というならば、公的負担をもっと引き上げるという問題、労使折半をどうしていくか、我々は七対三にしなさいと言っているんだけれども、この問題を抜きにしてこれをやれば負担はますますふえていくわけですね。地公共済の場合は自治体の財政負担分、それから労働者の負担分、そういう問題になりますからね。この負担割合についての根本的検討というのは現在の民間企業の状況からいっても早速始める必要があるんじゃないかと思いますが、この点自治大臣はどうお考えですか。
  147. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 大臣から御答弁申し上げる前に少し私から事務的に説明さしていただきたいと思います。  一つは労使折半の問題でございます。これは確かに先生がお話しになりますように、労使折半というものがとにかく国際的に見てもすべて固定しているというわけではないと思います。したがいまして、この問題についてはこれから私たちも勉強していかなきゃならないと思いますけれども、ただ、年金制度にはそれぞれの国のそれぞれの歴史といいますか伝統というものがございまして、その伝統の上に立って年金制度が今日一つの姿をつくっておるわけでございますが、我が国におきましては現在のところ労使折半というのがおおむね国民の合意を得た方式ではないかということで、今回も労使折半ということを前提にして考えさしていただいて御説明さしていただいておるということでございます。  それから、公的負担の話は前回も先生から御質問がございまして、いろいろ説明さしていただきましたけれども、必ずしも先生には御納得いただけなかったようでございます。この公的負担の問題につきましては、公的負担の出どころがしょせんは国民の税負担でございますので、その税負担との関係において考えていかなきゃならないということでございます。公的負担につきましては前回御説明申し上げまして、掛金負担の増加率と公的負担の増加率を比べますと、公的負担の増加率の方がまだやっぱり多いという御説明をさしていただいたわけでございますけれども、いずれにいたしましても将来の税負担との関係で考えていかなきゃならない問題でございます。  先生が適格年金とかあるいは基金年金とかお話しになりまして、労働者負担の割合が低いとか、労働者負担がないという話がございました。適格年金とか基金年金につきましての財源の内容についても、人事院の調査とか、あるいは私たち自身も労働省とか関係方面からいろいろ資料を集めて勉強さしていただきたいというふうに思います。
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 これと関連して私が非常に問題だと思うのは、懲戒処分等の支給停止の問題なんですよ。これは同僚議員もやっていますけれども、禁錮以上の刑または停職以上の懲戒処分を受けたときは一部または全額支給ストップというあれがあるわけですね。この部分は職域年金部分をカットするわけでしょう。あるいは減らす。これは半分は本人が掛金をやっていますが、それも全部だめということになるわけですか。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
  149. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 職域年金部分というものの性格から考えましてその職域年金部分全部というふうに実は当初は考えておったわけですけれども、いろいろな先生方からお話がございまして、その部分というのは掛金が半分入っているんだからというお話が実はございました。私たちも政令を作成する段階におきましては、そういういろいろな御指摘を踏まえて政令を作成していく必要があるのかということを現在考えておるわけでございます。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 禁錮以上の刑になれば懲戒免になったりする場合が多いですし、諭旨免職の場合もありますね。同時に、懲戒免職あるいは停職以上の処分ということになりますと、これは労働運動なりあるいはいろんな民衆運動なりとの関連でそういう制裁を受けるという事例もたくさんある。そういうことになるわけなんです。そうすると、例えば泥棒をした、汚職をした、そういうことによって懲戒処分を受ける場合もあるだろうし、しかし片一方で労働運動をやっておる中で懲戒免になったりする場合もある。だから、言うたらハレンチ罪と非ハレンチ罪を同一視するというのは私は問題があると思うんですよ。労働運動なりあるいは政治活動でそういうことをやるということは、これは思想、信条にかかわる問題でしょう。泥棒するのがおれの思想、信条だということにならぬでしょう。全然違う問題でしょう。だから、その思想、信条にかかわる行動について処分をされた、その処分自身我々は不当だというように思うんです。  もっと簡単に言ったら、知事の気に入らぬから首だという場合もあり得るんだからね。だから、そういう者に対してさらに年金で制裁を加える、このことが妥当なのかどうなのか。そういう思想、信条に基づく行動による懲戒処分と、それから汚職をやってやられた懲戒処分ともう十把一からげということにみなされるのかどうか、しかも事は思想、信条にかかわる問題とすれば憲法上の疑義さえ起こる問題にもなる、こういうように思うんですが、この点はいかがなものか。だから、全額企業が出していて、企業の気に食わない、あるいは企業のやる労働規制に対する反対運動をやる、だからおれの方では、企業が出した分は出さないというのは、退職後の年金生活あるいは退職後の生活にまで及ぼすそういう非常に大きな、過剰な制裁措置を加えるということになると私は思うんで、退職に至るまで労務管理を広げていくということは人道上も許されないのではないかという疑念を感じます。この点についてどうお考えがお聞きしておきたいと思います。
  151. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生がお話しになりますように、健全な労働運動というのは大いに奨励していかなきゃなりませんし、健全な労働運動というものは当局としてもきちっと評価をして、それを妨げることがあってはならないと思います。ただ、地方公務員法も制定されましてからもう長い年月がたっておりまして、どういう労働運動が違法性があるのかということもいろいろな判例の積み重ねによりましてはっきりしておりますので、その判例によりましてこれが違法な労働運動だということになりますと、仮に目的がどうでありましても、その違法性というものは違法性としてきちっと評価をしていかなきゃならないという気がいたします。  そういう意味におきまして、すべての労働運動に対しまして年金の職域年金部分で差別をするということではございませんで、労働運動の中でも違法性がある労働運動につきましてそういう評価をしていこうということでございます。別段当局の恣意によってそういうことがなされるというほど私たちもこの問題を安易に考えておりませんで、それぞれ地方公務員の皆さん方が地方公務員の趣旨というものをよくお考えいただきまして、違法な労働運動にならないようにしていただくように私たちもお願いしていきたいというふうに思います。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは公務員部長、健全な労働運動であっても不当な処分をされ懲戒、解雇をされる例は公務労働でも民間労働でもたくさんあるんですよ。裁判でそれは不当だとして現職復帰の判決が出ている例もたくさんあるし、私自身も経験したように無罪になって健全な労働運動であるということが証明されたという例もあるでしょう。その中で懲戒になった人もいますよ。しかしどうにもならない、裁判があってから十九年になるでしょう。だからそれをだれが判断するんですか、健全か不健全かと。それはそのときの使用者側の判断に基づくわけです。だから簡単に言ったら自分の気に入らぬということです。しかしそれは絶対に誤りないのかというとそんなことないんですよ。事実誤りがある。だからそういうものまでも、退職した後の生活保障にまでも労務管理あるいは労務の管理政策というものを貫徹するというのは私は少なくとも憲法上の疑義があるというように思います。  時間になりましたので、この点について大臣も御研究してもらいたいと思うんです。実際被害者はなかなか救われないんですよ。  それでは終わります。
  153. 抜山映子

    ○抜山映子君 諸外国、特に欧州では日本より先に高齢化に達してしまっているということが言われておりますが、ヨーロッパ諸国では年金の支給年齢が六十五歳であるということが主流のように言われておりますが、主要各国についてどういう状況であるか、ちょっと御説明ください。
  154. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 欧米主要国の一般的な年金制度について申し上げますと、西ドイツは六十 五歳でございます。アメリカは六十五歳でございます。イギリスは男子が六十五歳、女子が六十歳でございます。スウェーデンは六十五歳でございます。フランスは六十歳でございます。  以上でございます。
  155. 抜山映子

    ○抜山映子君 年金の制度は大体男性中心に今つくられていると言って過言でないと思うわけです。ところが、御存じのように、女子の平均寿命は八十歳を超えております。一方、男性は七十五歳を下回っている。平均寿命に大体五歳の差がある。加えまして二、三年年上のカップルが多いわけですね。そうしますと、その両方を加えますと大体女性が七、八年は未亡人で暮らさなければいけない。そういうときに配偶者による扶養、介護というものは期待できない。ですから、年金への依存度というものは男性よりも女性の方がはるかに高いということが言えるわけでございます。  ところが、今回の年金改正によって女性の年金権が独立したということは人聞きのいい説明で、確かに独立化という一面を達した面もございますけれども、給与で生活する世帯の夫婦について女性の年金給付年齢が結果的には五年遅くなってしまう、男性よりも五年遅い。ですから、女性が仮に六十歳で離婚いたしますと、男性の方は基礎年金と報酬比例部分の年金をもらえる。公務員の場合であればさらに職域年金がプラスになる。ところが、六十歳の妻は六十五歳になるまで年金はもらえないということで大変に不幸な状況になる。こういうのは、私は、先般批准されました婦人差別撤廃条約の精神にもとるものではないかと思うんですね。その点をどうお考えになるのか。そしてまたヨーロッパではこのあたりはどうなっているのか、ちょっとお伺いします。
  156. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 先生指摘でございますけれども、西欧諸国で男女の年齢の区別を設けておりますのは、先ほど申し上げましたけれども、イギリスは男子六十五歳、女子六十歳、それから西ドイツにつきまして女子は十五年以上の拠出の場合で、最近二十年間に十年以上強制適用による拠出をした場合に六十歳という特例がございます。  それから、年齢の差を設けていることにつきましての考え方をお尋ねになったわけでございますけれども、男女差別ではないかという御指摘であったわけでございますが、今回の改正におきましては全国民に共通いたします基礎年金を導入いたしまして、すべての婦人が国民年金に加入し自分の名義の基礎年金を受け取る、こういう仕組みになったわけでございまして、基礎年金につきましては男女を問わず六十五歳ということになっております。他方、厚生年金におきましては、これも男女を問わずでございますが、保険料負担をなさった本人ということで特別支給を行うことにしておりまして、必ずしも男女差別になっているということにはならないかと思います。
  157. 抜山映子

    ○抜山映子君 しかし、実際に結果的に見ますと、サラリーマン世帯については、妻は夫とともに生活していれば、だんな様が六十歳になれば年金をもらえるんですけれども、離婚してしまったらもう年金は自分が六十五歳になるまではもらえない、こういうことになって実際には離婚したくてもできない。また、不幸にして御主人の方に愛人がおったりして離婚の余儀なきに至ったような場合でも、結局自分が六十五歳になるまではもらえないということで不利になっておるわけです。  ところで、西独では年金分割といって離婚の時点で年金を夫と妻に等分に分ける、こういう制度をつくっておるそうですけれども、これだと完全に女性の年金権の独立化ということもかなり堂々と世界に向かって言えると思うのですが、この点日本はかなり見劣りがするということが言えるのじゃありませんか。
  158. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいまの点、西ドイツでの制度の詳細については私ども詳しく勉強していない点がございますのですが、これは年金に限らず資産一般について、離婚の場合でも夫と妻に分割するという法制をとる国とそうでない国とで大分違ってくるかと思います。私ども今回御提案さしていただいております国民年金厚生年金につきましては、お認めいただきました基礎年金制度も、御自分では保険料を払っていらっしゃらなかった婚姻期間も御自分の老後の基礎年金の算定期間にするという意味では、西ドイツ型の分割案ではございませんけれども、その分に関しては妻名義の年金権が確立したというふうに考えておるわけでございます。  先ほどお尋ねの、実態論として男性のサラリーマンの場合が多いのだからその場合は六十から特別支給があって、それに依存する奥さんの場合は六十五まで自分の年金を待たなきゃならない点は御指摘のとおりかと思いますが、そのような被用者の場合でも、現状だけを申せば女性については若干早い支給開始年齢を設けていたようないきさつもございますので、このあたりは確かに外国との制度の比較もこれから念頭に置きながらいろいろと考えなきゃならぬと思いますが、一概に西ドイツ型でというわけにはいかないかと。そのあたりが今回基礎年金を導入さしていただいた一つの考え方の基礎にあるわけでございます。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
  159. 抜山映子

    ○抜山映子君 御存じのように、婦人差別撤廃条約の方には、婦人に対するすべての差別を禁止する適当な立法を行わなくちゃいなけい、こういうことになっておるわけでございまして、これから年金の一元化という問題もまだ残っておりますし、逐次検討される点があると思いますので、ひとつ今の点を考慮に入れて一元化を図っていただきたいと切望するものでございます。  ところで、米国では将来、年金財政の困難を回避するために二十一世紀に入ってから支給年齢を六十五歳から段階的に六十七歳までに引き上げるということが社会保障改正法というので既に可決されている、こういうように承っておりますが、この点はいかがですか。
  160. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) アメリカにおきます今の点の改正案、御指摘のとおりかと思います。私ども調べました結果では、現在は六十五歳が支給開始年齢になっているけれども、これを最終的には西暦二〇二一年から二〇二七年にかけて六十七歳にまで引き上げるという法律が、たしか一九八三年でございますから昭和五十八年の四月に成立しているようでございます。
  161. 抜山映子

    ○抜山映子君 日本は世界一の長寿国ということにもなったわけですけれども、ヨーロッパは主流が六十五歳である、アメリカは現在は六十五歳だけれども、もう既に二十一世紀に入ってからは六十七歳に引き上げるという法律ができ上がっている。こういうようなことを考えますと、日本の方もこれから加速度的に突入する高齢化に向かって支給年隈を六十五歳にするという構想があるんじゃないんですか。
  162. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) この支給開始年齢の問題は、年金水準の問題とあわせてこれからの高齢化社会における年金制度を円滑に運営していくためにはどうしても避けて通れない問題だという認識は私どももございます。ただ、今の御質問趣旨は、厚生省自身が何らかの計画として六十歳ではなくて六十五歳支給という計画を持っているかというお尋ねであれば、そこまでは実はまだ至っていないのが現状でございます。ただ、私ども過般の国民年金厚生年金法の改正の際にも、確かに現行のままに推移すると昭和百年過ぎには労使折半とはいいながら月給の三九%近くも負担しなきゃならない。しかし今回の改正を前提とすれば昭和九十五年ぐらいの時点でも労使折半で月給の二九%ぐらいで済みますという提案をしたわけでございますが、その際一つの仮の試算としまして、もし支給開始年齢をさらに五歳おくらしたならばどうなるかという意味ではかなりこの負担が下がってきまして、昭和九十年から百年の間ぐらいで月給の二三%ぐらいで済みそうだという数字を示したことはございましたが、今申しましたように、厚生省として政府として現在直ちにこういう計画を持っているという段階にはまだ至っておりません。
  163. 抜山映子

    ○抜山映子君 支給年齢を六十五歳に上げるとい うことを避けて通れない問題であるという御発言がございましたので、そういう時点に変える場合に、先ほどの女性との格差の問題を解消するようにひとつ真剣に考えていただきたい、こういうように思います。二十一世紀に入りて年金受給者がふえれば年金財政は成り立たなくなるということはもうはっきり言えると思うんですけれども、現状のままいきますと各年金制度についてどういう事態になるのか、分けてちょっと教えていただけませんか。
  164. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 私どもが直接所管しております厚生年金についての姿は今申しました意味で一つの見通しを持っておりまして、これは今回の厚生年金国民年金法の改正によってほぼこの見通しどおり今後の年金制度が推移すると考えております。それは今申しましたように、現行の厚生年金保険のままでは昭和百年には労使折半で現役の負担が三九%台になるけれども、今回お認めいただいた厚生年金法の改正が実現したことによって昭和九十年代でも労使折半で二九%で済む。それが前提には、もちろんこれはいろいろ御議論もございました基礎年金の導入とか、あるいは厚生年金につきましても長い経過期間をかけて給付水準を適正化するということを織り込んだためにそういう負担で済むという見通しを持ったわけです。この点は、これからの運営の適切を保持していけば、おおむね厚生年金については保持できる負担のレベルであり、給付の姿であるというふうに考えておるところでございます。
  165. 抜山映子

    ○抜山映子君 今回の改正によりまして給付の一元化の方は実現したわけですけれども、負担の一元化についてのなるべく具体的な構想、スケジュールというものを教えていただけませんか。
  166. 増岡博之

    ○国務大臣増岡博之君) 今回の改正で、いわゆる被用者年金の二階部分につきましては将来に向けて給付面での整合性はほぼとれることとなると思いますけれども、まだ制度間には一部給付面でも違いが残されておるわけでございます。また、負担の面では制度ごとの掛金の違いもございますし、今後給付と負担の両面において制度間調整を進めることとなるわけでございます。  その際、どういう調整を図る必要があるかという具体的な問題につきましては、これはやはり各制度の関係者の意見も踏まえながら今後政府部内でも議論を尽くさなければならないと考えておるところでございます。したがいまして、現時点具体的にその全貌を明らかにすることは困難であるというふうに考えております。
  167. 抜山映子

    ○抜山映子君 では、遺族年金の問題について伺いたいんですけれども、男性の場合は生涯的に見て余り変化はないと思うんですが、女性については生涯のいろいろなステージにおける変動によって年金がころころと変わるわけですね。  その一つの例として、サラリーマンの妻が、夫が死亡する、死亡した後に遺族年金をもらって一生懸命子育てをする。子供も成長して結婚もしたからということで、今度は再婚の機会に恵まれて結婚をした。たまたま相手が自営業の男性であった。もちろん結婚いたしますと遺族年金というものはストップされるわけです。ところが、結婚後、どうしたことでしょうか、結婚運に恵まれずに、三日ぐらい連れ添ってすぐその自営業の男性がまた亡くなってしまった。そうしますと、今度はもう年金がなくなってしまうわけですね。今までサラリーマンの妻であったときにもらえる遺族年金がもらえなくなってしまう。そういう意味で、今女の人が、本当は再婚して結婚した状態にありながら籍を入れるのをもゆうちょするというケースが大変に多いわけです。  したがいまして、こういうように、片方サラリーマンの妻であった年限は非常に長い、自営業の妻であった期間は短い。その短い方のために今までの遺族年金は全然もらえないということは、女性の生涯的な観点からの年金制度としてはもっと見直しが必要なんじゃないかとも思うんですけれども、厚生大臣いかがでしょうか。
  168. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) いろいろ具体的な設例でございますので私から答弁させていただきたいのでございますが、大変気の毒な、特に三日で亡くなったというケースであれば気の毒なケースでございますので、非常に答弁にあれでございますが、やはりまず問題は二つございまして、一つは、先生おっしゃったように現在の日本の遺族年金制度は再婚という事態がありますと権利がそこで消滅してしまうということでございます。それからもう一つの問題は、自営業者の世帯の方の場合、たまたま再婚なさって、お子さんがいらっしゃれば実はその段階で遺族基礎年金が出るわけでございますが、先生の御設例でございますと、お子さんもいらっしゃらない。そうなりますと、確かに二度目の御主人の亡くなられたことによる遺族年金は受けられなくなるわけでございます。  ただ、そのあたりに、先ほど来申しておりますように、生涯をかけて基礎年金の資格を積み重ねていただいて、老齢基礎年金、老後保障に関しては今回の制度が一つの答えを出したというふうに考えているわけでございます。逆に申しまして、そういう方の例に何とか対応するためにどういう年金制度を仕組めばいいかという議論になりますと、これはこういう席で申し上げてはどうかと思いますが、幾つもの御主人の年金を持つということになってもこれまたバランスの欠ける例もございますものですから、そういった形では遺族年金、そういった大きな意味での通算のようなことに踏み切れないでいるのが、これは国際的にも必ずしも日本だけではないと思うんでございますが、現在の年金の考え方でございます。
  169. 抜山映子

    ○抜山映子君 いろいろな面から考えまして、女性の年金権というものは男性の年金に附属したものという考え方が大変に強いと思うんです。基礎年金部分五万円ということですが、まあ五万円ではなかなか女性一人で生活することは難しい。しかも、五万円で満額もらえる人が果たしてどれだけいるかですね。現在の制度では、満額もらえる人というのは現在まだうんと若い方でございます。そうしますと基礎年金の方は二万円とか三万円とかこういう人も出てくるわけでございまして、女性にとって年金制度は今大変不利になっているということが言えると思います。そういうわけで、ひとつ根本的に女性の年金権というものも見直していただきたいということを特に強調いたしたいと思います。  それから、これはだめ押しになるんですけれども、職域年金、これは公務の特殊性ということで説明されておりますが、この公務の特殊性というのをもう一度御説明ください。
  170. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 公務員は公益のためにのみ勤務しなければならないという要請があると思います。それが一つございます。もう一つは、そのことに関連して、公務員についてはいろいろな身分規制がございます。労働三権が制約されているとか、あるいはまた営利企業への従事が制限されているとか、守秘義務があるとか、そういうような厳しい規制のもとで勤務に服しておる。その二つの観点から、公務員は民間のサラリーマンとは異なった立場にある。そういう公務員が、公平にして能率的な仕事をしていくためには、年金制度の面においてもそれなりの配慮をしていく必要があるということで職域年金部分を設定させていただきましたということを御説明させていただいているわけでございます。
  171. 抜山映子

    ○抜山映子君 ただいま、公務の特殊性というのは二点ある。一つは公益のためにのみ奉仕する、第二点はいろいろ身分規制がある、こういうように言われました。その趣旨からいたしますと、職域年金部分の禁錮刑による支給停止を公務員でない遺族にまで及ぼすのはどう考えても論理的に合わないと思うんですが、いかがですか。
  172. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 公務員であった年金受給権者が禁錮刑等に処せられまして給付制限を受けている。その方がお亡くなりになりまして遺族共済年金ということになりますけれども、その場合には遺族には給付制限が及ばない、こういうことを御答弁申し上げましたけれども、それとは別に、遺族の方が今度禁錮以上の刑に処せられた場合にはその遺族の方には給付制限が及びます。  それはなぜかといいますと、先ほど御説明申し上げましたことと関連するわけでございますが、職域年金部分を受けるにふさわしい方というのはどういう方だろうか。反対に言いますと、どういう方が職域年金部分を制限されてもやむを得ないと考えられておるかということでございますけれども、その一つに禁錮以上の刑に処せられた場合というのがあるわけでございますから、禁錮以上に処せられた遺族の方は、その限りにおいて給付制限をされるというふうにお考えいただきたいと思います。
  173. 抜山映子

    ○抜山映子君 幾ら考えても今の回答では納得できないですね。身分規制を受けるのは当の公務員本人である、公益のためにのみ奉仕するのもその当該公務員である、遺族は別に公益のためにのみ奉仕することも身分規制を受けることも、これは芸術家の場合もあるでし。うし、野球選手の場合もあるでしょうし、いろいろあると思うんです。そういう方が禁錮刑による支給停止を、同じように公務員ではない遺族が受けるというのは今の御説明ではちょっと納得できないんですが、もっとほかの御説明はございませんか。
  174. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになるわけですけれども、職域年金部分がどういう場合に制限されるかということに関連するわけでございますけれども、職域年金部分というのは、一つは禁錮以上の刑に処せられた場合、そしてもう一つは懲戒処分等をお受けになった場合、こういうことでございますが、禁錮以上の刑に処せられるというのは御本人の場合もございますし遺族の場合もございます。そういう場合には、遺族の方も御本人とのバランスの関係上やはり給付制限を受けるということでございます。
  175. 抜山映子

    ○抜山映子君 これは御本人とのバランスといっても、納得できる御説明のようには私はうかがえないんでございますが、これはよろしいでしょう。  それでは、もう一つため押しになるんでございますけれども衆議院の各委員会の附帯決議で「職域年金相当部分の支給要件については、その緩和を図ること。」、こういうようになったわけですが、この意味は、政府原案では職域年金加入期間二十五年未満二分の一支給となっているものを与野党協議で二十年未満に改める、こういう合意を指すものであると受けとめておるんですけれども、この受けとめ方でよろしいでしょうか。
  176. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 私たちもそのように理解をいたしております。
  177. 抜山映子

    ○抜山映子君 さらに踏み込んで、この二十年未満も削除すべきだと考えますが、そこまで踏み込んではお考えいただけませんか。
  178. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 職域年金部分というのは、先生も御存じかと思いますが、相当年限公務に勤務された方について職域年金部分を支給しよう、そういう基本的な考え方がございます。そういう考え方で退職共済年金の受給期間である二十五年というものと一致をさせていただいたわけでございますが、いろいろな先生方のお話がございまして、また与野党間のお話がございまして、それを二十年というふうに御修正なさるというような話が進んでおるようでございます。したがいまして、それをさらにという話は私たちちょっと今の段階では何ともお答えのしようがございませんが、設定させていただいた趣旨から申し上げますと、やはり二十年というところは最低限必要ではないかというふうに思います。
  179. 抜山映子

    ○抜山映子君 終わります。
  180. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  181. 増岡康治

    委員長増岡康治君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員等済共組合法等の一部を改正する法律案について内閣委員会に対し、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案について文教委員会に対し、並びに農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について農林水産委員会に対し、それぞれ連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について内閣委員会、文教委員会及び農林水産委員会からそれぞれ連合審査会開会の申し入れがありました場合、これを受諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会      —————・—————