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1985-12-12 第103回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十二月十一日     辞任        補欠選任      上野 雄文君     寺田 熊雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増岡 康治君     理 事                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君     委 員                 井上  孝君                 岩上 二郎君                 上田  稔君                大河原太一郎君                 加藤 武徳君                 金丸 三郎君                 上條 勝久君                 出口 廣光君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 中野  明君                 神谷信之助君                 抜山 映子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        自 治 大 臣  古屋  亨君    政府委員        警察庁長官官房        長        鈴木 良一君        警察庁警務局長  大堀太千男君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   門田  實君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   山内 豊徳君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   長尾 立子君        自治大臣官房長  津田  正君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        消防庁長官    関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高地 忠和君    説明員        人事院事務総局        給与局給与第一        課長       小堀紀久生君        大蔵大臣官房参        事官       塩田 薫範君        文部大臣官房福        利課長      岡林  隆君        厚生省年金局企        画課長      鏑木 伸一君        厚生省年金局年        金基金指導室長  和田  勝君        社会保険庁年金        保険部国民年金        課長       植西 常郎君        自治大臣官房審        議官       小林  実君        自治省行政局公        務員部福利課長  松本 英昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会衆  議院送付)     —————————————
  2. 増岡康治

    委員長増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二月十一日、上野雄文君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。
  3. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうは大蔵大臣、本当なら私は三時間質問するんだけれども、三時間ここに座ってもらわなきゃいかぬ。しかし各委員会との、文教や他の委員会関係もございましてどうしても四十分間にサービスしてくれということで大サービスをしたんですから、答弁の方はつれない答弁じゃこれはもう何のためサービスしたかわからぬわけだから、その点あらかじめ大臣に冒頭に要請しておきたいと思うんです。  質問に入る前に一言だけ大臣がせっかく来たんですから聞いておきたいんですが、きょうの日経に出ていますようにいわゆる高率補助の一割削減ですね。この問題については去年はたしかことし六十年度限りという大臣間の協定を結んでやったのが、またぞろ一割引き下げで二千億浮かして、しかも国の財政に協力してくれじゃなくて、この二千億を新たに地方事業を起こしてもらって、そして三%の総事業費をふやすんだという、こういう大蔵で決めて、自民党政調会長の方に申し入れをしたというのが出ておるんですが、これは一体どういうことでしょうか。
  5. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初の御意見に対しましては私も忠実に四十分間務めます。  今の問題は、私の予測するところでは、いずれにせよ補助率問題、補助金問題というのは今検討会の御審議をいただいておるさなかでございますので、何がどのように確定したという性格のものではございません。それから、佐藤さんとの議論でございますので、大人の議論とでも申しましょうか、いわば暫定措置として一年間、こういうことをやったことは事実でございます。したがって、明年からどうするか、こういうことに対してはこれから閣僚協議会等検討いたしますと、それができまして今検討会というもので協議がなされておる、こういう段階でございます。  それから次のものは、恐らくこれも想像でございますけれども、何はともあれ公共事業事業費あるいは事業量をふやしていかなきゃならぬ、しかしおのずから国の財政の出動には限界がある、したがって、地方単独事業でありますとかそういう問題について期待をしたいというようなことからこの話を折々しておるという段階であって、まだ予算編成大綱も決まったわけじゃございませんので、過程におけるディスカッションの段階、こんな感じではないかなというふうに思っております。
  6. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私もそうだと思いますけれども、これは、自治大臣横に座っておって、去年のこの委員会の経緯もございますが、承知なのか、それともどうなのか、これはちょっと後でまたお答え願いたいと思いますが、私はやはり大臣、お互いに約束したことはきちっと守っていかなきゃね。一割削減については六十年度限りという大臣間の約束があるわけでしょう。それを含めて去年の予算審議のときには承認をしたという経過がある。しかも、ことしについてはそういうことを繰り返さないために専門検討会をつくってやっておるという過程がある。それを無視してきょう自民党政調会長の方にこの案を持っていったというこ とが出ておるんですけれども、こういうようなやり方というのは私は信義に反する、同時にやってはならないことだと思うんですね。そこら辺今お聞きしますとまさに部内の議論段階だというなら、大臣ここははっきりこの際そういうことはない、昨年の約束は守っていく、この点だけは明確にしてください。
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) したがって、検討会の推移を現在の段階では見守っておる、こういうことでございまして、予算編成過程においてその検討会、それから閣僚協議会等で詰めていかなきゃならぬ問題だというふうに考えております。ただ、佐藤さんの政党も私の所属する政党もいろんな案を検討するように言われることはございます。それに対しては大変忠実に問題点指摘したりして接触をしておりますので、国会なんかどうでもいいとかというように独走するなんということは、私も国会の子でございますから、全く考えておりません。
  8. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 自治大臣、何かコメントございますか。
  9. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 閣僚会議のもとに有識者の懇談会で今検討を続けられております。なかなか議論があって結論までは大変でございますが、それを受けまして閣僚会議論議をして決定されるということでございますので、去年のいきさつも十分私は知っておりますし、国会先生方の意向もよくこの論議のときに承っております。そういう点を頭に置きながらこの問題に対処してまいりたいと思っております。
  10. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その点はひとつ篤とお願いしておきたいと思います。  それでは共済年金に入りたいと思います。まず、せっかく大蔵大臣お見えですから、これはまた後ほど厚生大臣にもただしたいと思っておるんですが、制度の七十年一元化の問題です。今度の一連の改正の際に政府自民党さんの方で強調なさるのは七十年公的年金一元化が目標だ、そのために今度の改正に入るんだと、こういういろいろな説明をいただいておるわけです。しかし、衆議院段階論議状況を見ますと、一体七十年までにどういう内容で、どういうスケジュールでやっていくかということについては全然明らかにされていないわけです。これは私は非常に無責任きわまりないと思うんです。特に今度の改正で、御存じのとおりに公務員関係共済皆さん既裁定者皆さんも含めて大変な犠牲を伴う。犠牲を伴う内容であるだけに、しかし七十年にはこうなっていきますよという、だからひとつ今度は我慢してくれぬか、納得してくれないか、こういうものがあってしかるべきだと私は思うんです。その代案がないわけですよ。これは後ほどまた厚生大臣に聞きますけれども衆議院段階厚生大臣答弁を見ますとほとんど棒をのんだような原稿丸読み答弁をしておるようですから、竹下さんは少なくとも来年は総裁、総理候補ナンバーワンと、こういう方でございますから、ここは大方の構想は持っておられるだろうと私は思う。そういう意味で七十年一元化に向かってどのようなプロセス、内容、展望、こういうものを持っておものか、まずお聞きしたいと思います。
  11. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは私も決して年金専門家でございませんので、実際問題今度の年金審議に当たりましても、いわば百点の知識を持っていらっしゃる方と、まあ共済年金といえばともに助けることだなあという五点ぐらいの開きがありますのが、私なりに質問を受けながら勉強して今四十点ぐらいまでいっているのではないかという私は自己採点をしております。これは素直に申し上げます。  ただ、振り返ってみますと、まずは国鉄共済救済ということも大きな目的の一つであった国家公務員等共済組合法改正をしてもらった、あれが私は第一段ではなかろうかというふうに思うわけでございます。その際感じましたのは、光電電、元専売、それから国家公務員の方がいわば、私が少し言葉を使い過ぎて時に誤解を生んだ嫌いもございますが、労働者連帯という形でとにかくまずは第一段が成立さしていただいた。そこで第二段というのが私は昨年御審議いただきました国年厚年基礎年金導入の問題ではなかったかと。そこで今度の御審議いただいているもろもろの四法案というもの、これが通過さしていただきますと給付の面でほぼ一元化の体制が整う、これがまあ言えるのじゃなかろうかなあ、こんな感じがしております。  そうすると、その後別途出てきましたこととして、国鉄の前提の人員等が狂う可能性があるということに対応する問題を含めながら今度は負担一元化、こういうようなスケジュールをたどっていくのではなかろうかなあ、漠然とそういうことを考え、それらもろもろの、何分生い立ちが違いますから、一つ一つ本当に法案を全部頭の中で整理しておるかとおっしゃれば整理しておるとは絶対に申せません。それほどいろんな異なった組み立てがあり、あるいは数理計算があり、そういうものをも念頭に置きながらまあ給付一元化負担一元化、そしてまさに七十年に向かって長期的な安定、こういうふうな方向でいくべきではなかろうか、こんなことを自分の頭の中で折々考えておるという程度でございまして、年金担当大臣でもございません私の知識限界はそんなものだなあというふうに思っております。
  12. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 なかなか御謙遜のようですけれどもね。  そうしますと、今第一に国鉄救済、その次に基礎年金導入、それから今度は給付一元化、こういう三段ロケットというか三つの段階を踏んできたと。それで今お聞きしますと、これは後ほど聞きますが、国鉄は六十四年まで一つめどがついた。六十五年以降については長期安定というだけで何にもないのですか。
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはたびたび官房長官と我々協議いたしました政府統一見解、早口で読み上げてみます。   国鉄共済年金については、財政調整五カ年計画の終わる昭和六十四年度までは、政府として、国鉄経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄自助努力と国の負担を含め、諸般検討を加え、支払い支障のないようにいたします。  以上については、昭和六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ることといたします。  なお、昭和六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払い維持ができるよう措置いたします。  この中でも触れられておりますように、国鉄共済年金につきましては六十四年度までの支払い支障が生じないよう解決策を講ずることが当面の緊急課題である、六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払い維持ができるよう措置する、こういうふうに申しておるわけでございます。したがって、その意味におきましては御指摘ございましたとおり今後の検討課題でありまして、現段階において具体的案がこのようにございますという状態には残念ながらございません。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、自民党公的年金調査会が六十五年に共済グループ統合を出しておる。これが昨年の二月の閣議決定から消えており、そして今度は七十年公的年金一元化、こういう形で出てきたわけですね。したがって、六十五年共済統合というものはもう消滅した、こういうふうに理解していいんですね。今後は共済年金統合制度の一本化ではなくて、今あなたがおっしゃったように、給付一元化がこれで一つできるから、今後は負担一元化とか支給開始年齢の改善とか、こういうようなところに重点が移る。したがって、国公地公共済も財布は一つではないわけですから自主運用をやっていく、そして今の共済制度は当然として残る、こういうふうに理解をしていいんですか。
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいは私の答弁で足らないところがありましたら事務当局から補足さすことにいたしますが、確かに自民党のプロの集団の中で六十五年共済統合問題というのが議論され ておることは私も承知しております。  今の政府段階でそれを考えているかとおっしゃいますと、今のところ考えておりませんというお答えをせざるを得ないと思うのでありますが、いずれにせよ今確定した、さればとて現段階で具体的な案があるわけじゃございませんので、やっぱり引き続き給付負担面制度間調整等を進めて、要するに、七十年をめど公的年金一元化を完了さしたい、こういうことでございますので、歯切れが悪いわけでございますが、今のところ具体案があるわけではないということを言わざるを得ないと思っております。
  16. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、これからはいわゆる負担給付制度間調整というか、それぞれの共済については残して、そして制度間で調整をする、こういうふうな理解ですか。
  17. 門田實

    政府委員門田實君) お答え申し上げます。  年金一元化問題というのはなかなかその意味内容もいろいろでございまして、そこは考え方がいろいろあり得るわけでございます。負担調整といいます場合にも、いわば一本の法律でもうからっと一つのものになってしまうという考え方もありますれば、制度はそれぞれに併存しながら、しかしながら、その給付水準負担水準というのが相互にバランスがとれておる、こういう状態一つ一元化ではないか、こういう考え方もあるわけでございまして、そこのところは今後これを具体的に検討していきます過程でやはり大いに御議論をいただかなくちゃいかぬ問題だと思います。  ただ、私ども実際にこうやって共済制度を担当しております立場から言いますと、やはり各制度にはそれぞれの歴史沿革というものがございますから、理論で言いますように、何か白紙に絵をかくような一元化というものがなかなかそう簡単にできるものではないという率直な実感を持っております。
  18. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私もそうだと思うんですね。それをどうして大臣がきちっと歯切れよく言えないのかわからないんです。公務員共済というのは、これは率直に言って公務員制度一環としての重大な部分を持っておるわけですね。それを一緒くたに一元化なんという、私は、できもしないと言っては悪いけれども、そんなことは混乱を招くんじゃないかと思う。何か今の一元化と言えば、ばらばらな共済制度をあたかも全部一本にまとめて一元化するんだという印象にとられるわけですね。そうじゃないんでしょう。今の共済のそれぞれの沿革なり歴史なり公務員制度一環として考えて見れば、これはやはり併存をして、そしてその中で給付負担バランスをどうとっていくか、こういうことはあると思いますよ。また、しなきゃならぬと思いますが、そういうことじゃないのですか。ここら辺はひとつ大蔵大臣はっきりしていただきたいと思うんです。
  19. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる統合という言葉を使わないで一元と言っておることは、そういう歴史沿革等も考慮して将来にわたっていろいろ知恵を絞ってみましても、使う言葉としては統合と言うよりも一元と言う方が適切だという考えに立っておることは事実でございます。確かにこれだけの歴史の相違、まさに生い立ちの違いがいろいろございまして、振り返ってみますと光電電、元専売等の際は、まだかつては非常に生い立ちがともに公務員というものであったという、大変近しい親戚だという印象がありましたが、これも民営化しますと現実問題として生い立ちよりも現在変質してきておるというような状態もございますので、これはよっぽど頭のいい人が検討してかからぬと本当に国民理解と協力は確実に得られぬ、七十年のめどというのは重要なことだなあと、こんな感じ問題意識としては持っております。
  20. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、大蔵大臣の方は統合と言わずに一元化と言ったことは何かと言えば、やっぱり各共済併存の中でのバランス一元化をとっていくんだ、そういう理解と受け取っていいわけですね。
  21. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、そういう言葉を使っておりますことは、具体的内容については今後の検討課題にいたしましても、今御指摘のあったような問題意識が私どもの脳の中にも存在しておるからそういうことを申し上げておるわけでございます。
  22. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはついでですが、自治大臣も同じ考えですか、どうですか。
  23. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今のお話でございますが、七十年に向けて、大蔵大臣答弁にありましたように、統合ではなくて一元化という言葉を使っている。私もそういう意味地方共済等内容給付等調整しなければならぬと思いますが、そのものは残っていかなきゃならぬ、それで同時に、未加入の地方共済組合についても地方共済連合会の方へ話し合いがつけばやはり入っていただきたいという感じを持っております。
  24. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間ございませんから次に進みます。  さっき大蔵大臣の方で国鉄共済統一見解を発表いただきましたが、念を押して悪いんですが、このことは六十四年度までは現行の財調五カ年計画に変更はない、この中でやっていくんだ、当然地共済厚生年金からの財政調整はない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  25. 門田實

    政府委員門田實君) ちょっと私の方から御説明いたしますが、六十四年度まで現在設けております五カ年間の財政調整計画につきましては絶えず状況変化に応じて見直しを行うということになっておりますから、今後いろんなことはあり得ると思います。ただ、そのことが他の共済との関連でどうかということになりますと、これは衆議院におきまして官房長官が発言されたとおりであろうかと、こういうふうに存ずるわけでございます。
  26. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ちょっと今聞こえなかったが、大臣もせっかくおるんだから、大臣言ってくださいよ。
  27. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いろんな変化が六十四年までにはあろうと思いますが、今申しておりますまず一つの問題、私ども議論して整理しましたのは、「国鉄自助努力」とは何ぞや、こういう議論一つしました。国鉄自助努力は今の時点では明確ではないが、資産処分等を含めて検討さしていただくことになろうと思う、こういうことを申しました。  それから、「諸般検討」とは何を意味するか、現時点では明確に申し上げられないが、例えば、積立金処理等諸般検討を行うということが申し上げられるんではないか。  それから次に、「諸般検討を加え、」の中に、これは佐藤さんの御質問とある程度軌を一にすることになりますが、他制度からの財政調整を含むかという問題につきましては、国鉄自助努力幾らかということも現時点では正確に数量的なことは言えない。国の負担につきましても理屈のあるものしか出せません、まあ簡単に言いますと。だから、現時点でこれも国の負担幾らかというようなこともお答えはできません。理論的には他制度からの連帯はあり得る。しかし、強いて言えば現時点では考えておりませんということを工夫して、官房長官や私どもで相談してつくりました答弁でございます。
  28. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは議事録を読みました。理論的にはあり得る、現時点ではない。何か禅問答みたいなことですけれどもね。大臣、これはそういう道を探せばあるかもしれぬ、今あなたの言った答弁を解釈しておるわけですけれどもね。しかし、する考えはない、できるだけ財調五カ年計画の中で全力を挙げて国の負担財産処分もしくは積立金処理、こういう三点を中心にやっていくんだ、それの方が素直に聞こえるんですけれども、そういうふうに受け取っていいんですか。
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 理論的には他制度からの連帯はあり得るというのは、いわば共済制度哲学を壊しちゃならぬなという気がしまして、むしろ私が主張したような気もいたします。と申しますのは、国鉄等統合の際に私も労働側経営側を問わず、審議会には私出ませんけれども、懇 談会にたびたび出まして、いろんなああでもないこうでもないという議論をしながら、最後にはやっぱり労働者連帯だなと、こういう感じで、本当に素直な表現をすれば涙が出るような気持ちで私聞いてたんですよ。そうすると、地方公務員との、親戚かどうかそんなことは別といたしまして、やっぱりある種の連帯というものは共済制度という哲学の中にはあり得るなあと、こんな気持ちがないわけじゃございません。それをちょっと主張し過ぎたものでございますから、感激の余り。  それが今度は国民連帯なんて僕が言いましたら、それは大変に広げるんじゃないか。しかし、国民連帯の中には一般歳出からの国民の税金を出すわけですからそれも入っているんじゃないですかとかいうような議論をしながら、いろいろ積み重ねてみると理論的には連帯はあり得る、しかし、現時点でそれをまず連帯ありきと念頭に置いて考えておるわけじゃございませんというのが一番正確なのかなと。私の答弁、いつでも言語明瞭ですが、意味不明のことが多いんで反省をしております。
  30. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし大臣、あなたなかなか話がうまいからごまかされやすいんだが、衆議院であなたがいわゆる国際連帯だ、国際までいかなきゃ国内連帯だとやったわけですね。これは大変だということであなたに随分迫ったと思うんで、その結果さっきの統一見解が出てきた。その統一見解が了承されたというか、それでおさまったということは、逆に言えば、国の姿勢として国の責任でこの問題についてはやるんだと。国鉄問題というのは国鉄労働者の問題じゃないと思うんです。言いかえれば、今度の分割・民営化にしてもこれは国の政策でやるわけでしょう。労働者の意見を聞いたわけじゃない。その結果共済まで崩壊するという現象になってきている。  ですから、やっぱり責任は国が明確にする、そうして六十四年までは他に迷惑をかけないように自助努力なり、さらに諸般検討と言えば積立金を含めての処理、こういうことでやります、そういうことは、財政調整というのは理論的にあっても私は今毛頭持っておりませんと。これが衆議院の連合審査における確認として了解されたと僕は思うんです。それが何か国会が終わり、参議院に来て終わればまたぞろ、いやそうじゃないんだ、財政調整をやってもらわにゃ困るんだとかいう議論になるとこれまた混乱を起こすと思うんで、ここは、あなたの上手な答弁でもありましょうが、衆議院統一見解に基づくこれの中には毛頭ないと、これだけははっきり言った方がいいんじゃないんですか。
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 衆議院におきましてもおおむね今のような答弁をしてまいりました。  私自身、今いわば制度間調整労働者連帯のさらに枠を広げということを念頭に置いているわけではございません。ただ、その印象統合のときに強かっただけに、私の頭の中に、ああそうだ、本当にみんなでこれは出し合って救済しようという国民的世論が起こるような気が一時したことがございますが、そんなことは現時点考えておりません。
  32. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。  そこで、自治大臣は今の大蔵大臣答弁をお聞きになったと思うんですが、地共済は、御存じのとおり九十一ございますね。そのうち公立学校と警察を除いても八十九、その中には国鉄同様に地共済の中で、もしくはほかの共済の中で転覆寸前のものがございますね。それらに今積立金で三〇%を出して各共済が助け合っておるわけですね。こういう情勢の中で、私は国鉄共済年金に仮にお隣の大蔵大臣が少し感激した上で財政調整と言っても、いやとてもじゃないがというのが地共済の現状じゃないかと私は思うんですが、自治大臣いかがですか。
  33. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 大蔵大臣から言われました理論的にあり得るが、現時点では念頭にないと言われているのが統一見解でございます。したがいまして、地方公務員共済組合の立場といたしましては、大蔵大臣答弁を文字どおりに受けとめて、現時点では国際共済に参加を求めることは念頭にありません。
  34. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国際までは広げぬでいいですよ、国内と言っておるんだから。  わかりました。ひとつそこら辺は両大臣、そういうことのないように、今のお答えをきっちり守りながら御努力いただきますことを特に私からもお願いしておきたい。と思います。  時間があとわずかになりましたので、職域加算の問題で大蔵大臣に御意見を聞いておきたいと思うんです。  衆議院では、今国会審議の経過にかんがみ、職域相当部分の水準等のあり方について、人事院の意見を踏まえ、一両年中に検討を行い結論を出す、こう答えておりますね。これは大蔵大臣が答えておるわけですが、この具体的な内容についてお聞きしたいのは、千分の一・五を上げる方向で検討すると私は理解しておるんですけれども、また大蔵委員会でもそのような附帯決議もついておるようでございますが、一両年という結論の出し方、これはまた人事院の調査検討を待ってという文章のつづり、これはどういうふうに理解したらいいんですかね。
  35. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、人事院から口頭でお話がありました。したがって、人事院は公務員制度そのものを所掌しておるわけだからもう少しきちんとした文章にしたり、そういう検討を行ってやるべきじゃないか、こんな意見も多数ございました。それに対して、人事院総裁のお答えも非常に前向きであったように承りました。やっぱり公務員制度そのものの問題になりますから、人事院さんというのが一番親方——親方という表現は適切でございません、その実態を一番承知しておられる立場にある。そうすると、それらの意見というものを十分まずこちらが聞く姿勢であらなきゃならぬ、そして人事院もそれに対して意見をお述べになるという姿勢が明らかになったということでございます。一方、企業年金の動向というのももとよりネグって対処するわけにもまいりませんので、企業年金の動向あるいは人事院の意見等を踏まえつつ、一両年に検討を行って結論を得たいと考えております、こうお答え申し上げたわけであります。  一両年というのは、これは両三年以内というのが沖縄返還のときに使われまして、英語ではア・フュー・イヤーズと書いてありました。ちょうど私そのとき日米首脳会談に行っておりました、佐藤内閣でございますけれども。そのときにア・フュー・イヤーズというのはどう訳したらいいだろうと言ったら、英語の名人が両三年以内と、数年でもいいんじゃないかと思いましたが。今度いろいろ考えてみて、ある種の許容量を考えてみると、一両年という表現が適当だというふうに思ったわけでございます。だから、まさに一と、両は二つでございますから一、二年以内、こんなような感じで対応すべきじゃないか、両三年以内というのは少し長過ぎますし、そんな感じで、かなり議論をいたしまして一両年という言葉を使わせていただいたわけでございます。
  36. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 一両年ということは、あなたの方の話訳によると二年ですか。そうすると、早急にこの作業にかかっていかなきゃなりませんね。六十一年度中にこの問題に対して人事院の意見を聞いてやる、こういう一つめどもあり得る、こういうことですか。
  37. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、可能性の範囲内に六十一年度末というのもありますが、一両年と言えば六十二年にかかることもあり得るのかな、こんな感じでございます。
  38. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 人事院は、今の大蔵大臣お答えに対してどういうあれを持っていますか。
  39. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) お答え申し上げます。  今、大蔵大臣から御趣旨を伺いましたけれども、人事院といたしましては、共済年金制度公務員制度一環といたしまして機能しているということから、今回の改正案における職域年金相当部分につきましてはとりわけその中心的役割を担 うことになりますので、その水準等について公務員制度をお預かりしている人事院の意見等を踏まえて御検討いただくというふうに理解しております。もとより、この職域年金相当部分のあり方につきましては、公務員の退職後の適当な生活の維持を図ることによりまして公務の公正かつ能率的な運営に資する、そういう公務員年金の性格にかんがみますと今後とも十分な配慮が必要と思っておりますので、人事院といたしましてもこれからよりきめ細かく退職公務員の生活実態やあるいは民間企業年金の動向等を把握する等によりまして調査研究を鋭意進めてまいりたいと思っております。
  40. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まだいろいろやりたいのですけれども、もう時間が来ましたから大蔵大臣結構です。
  41. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ありがとうございました。
  42. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題で大蔵大臣が今答弁なさったのですが、自治大臣はどういう御意見ですか。
  43. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 職域年金相当部分の水準につきましては、公務の特殊性を考慮いたしまして、他面におきましては厚生年金との水準の関係、その費用を負担する現職者の負担、現役とOBとの給付負担バランスというものを十分勘案して設定しなければならないものでありますので、共済年金制度改革検討委員会において学識経験者の見解も踏まえまして千分の一・五とするとしたものでございます。
  44. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 余りよくわかりませんね。  それではちょっと方向を変えましょう。公務員部長、現行の地共済厚生年金とは同一のものではないですね。この職域年金というのは公務員制度一環だ、言いかえれば、改正案ではこれがそのあかしみたいな形になっていますね。現状の中でも私はそういう意味公務員制度一環として職域年金部分が含まれておると思うんですが、その割合はどの程度ですか。
  45. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 現在の共済年金の中に公務員制度一環としての部分が含まれているだろう、それは含まれていると思います。ただしかし、それがどの程度のものかということになりますと、その部分が実ははっきりしておりません。私たちから言わせますと、若干ひがみかもわかりませんけれども、やはりいわれなき官民格差論というのがあるんじゃないかというふうな気がいたしております。したがいまして、今回いろいろな官民格差の議論がありますけれども、そういうものに答えるためにもこの部分が職域年金部分ですよということを明らかにするということで千分の一・五を取り出してはっきりさせたわけでございます。先生がおっしゃいますように、現在の共済年金制度の中でどの部分が職域年金部分だと言われますと、その部分は法令的にはもちろんのことでございますけれども、実態的にもこの部分がそうですという御説明は難しいというふうに思います。
  46. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、こういう角度もあるんじゃないですか。確かにそこら辺は線を引いていないですからわからぬでもない。しかし、こういう角度から見ると大体おぼろげに輪郭が出てくるのじゃないかと私は思うんですが、現行の共済年金は禁錮刑や懲戒処分で一部支給停止という仕組みがありますね、これは年金の二割以内、五年間。五年間はたしか七九年のときにつけた、それまでは無制限でしたね。こういうところに二割以内という数字が出てきておるわけですね。これはどういう根拠で二割以内ということになったんですか。
  47. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生の方があるいはよく御存じかもわかりませんけれども地方公務員共済がスタートいたしましたときにもう既に国家公務員共済がスタートしていた。そして国家公務員共済で実は今の二割という線があったわけでございますけれども、国家公務員共済がなぜ二割という線をとったんだろうかということを調べてみますと、国家公務員共済がスタートするときに、厚生年金の水準と当時比べまして、おおむね二割ぐらい公務員共済の方が高いじゃないかということで二割という線が出てきたという話を聞いております。  ただ、現在厚生年金公務員共済の水準を比較いたしますと、おおむね勤続期間が三十年というところを境にいたしまして公務員共済の方が額が多くなる、そして四十年勤続で一体幾ら高くなっているかと言いますと大体一五、六%ということでございますので、今の先生がおっしゃいます二割だ、それをもって職域年金部分だというふうに言えるかというと、その関係でも少し難しいという気が実はいたしておるわけでございます。
  48. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうでしょう。そういう点も確かにわからぬでもございませんが、共済年金の職域部分を全体の二割と仮に想定した場合、退職時の本俸が三十二万三千円、今の改正法で全期間平均月収で二十五万九千円、四十年加入。こういうモデルを想定しますと、一つは本人のいわゆる報酬比例金プラス本人の基礎年金の二〇%の場合、職域年金部分の乗率は千分の二・四六五になる。それからそれに妻の基礎年金を加えた場合に千分の三・四三になる。そういうことから見ると一・五というのは非常に低い。この一・五の根拠は何かあるんですか。
  49. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) この一・五につきまして、こういう公の席で、こういう方程式を解きますと一・五になりますよときっぱり説明できると一番いいわけでございますけれども、実はそういうはっきりした根拠というものはございません。ただ、私たちがこれを考えるときにいろいろ悩みましたのは、一つは、今回の改正案を仮にお認めいただきましても、現職の公務員の方の負担が相当ふえていかなければならないということがございます。これは先生の方も恐らくもう資料でお調べになっておられると思いますけれども、相当高くなっていく。したがいまして、この一・五でもそれだけ高くなるということだったら、それをさらに高くする要因をこの際つけ加えるというのはどうだろうかという思案も実はしたわけでございます。  もう一つは、これは厚生年金改正法案のときにもいろいろ議論されましたけれども、厚生省が説明しておりましたけれども改正後の厚生年金水準というのは現役のサラリーマンの給料に対して六九%ぐらいの年金水準になるんだという話をしておりました。今回私たちが御提案申し上げておる内容で申し上げますと、大体厚生年金が六九%だけれども公務員は何%になるんだろうかということになりますと、現役の平均給与月額にいたしまして大体七四%ぐらいになります。そうしますと厚生年金よりも五%ぐらい高い水準になる。それをさらに高くする、一・五を上げるということになりますと厚生年金との水準も少し離れ過ぎるんじゃないかという感じもいたします。  私たち公務員でございますので一・五より二・○の方がいいに決まっていますし、二・〇より二・五の方がいいに決まっていますけれども、それを負担する現役の方とか、民間サラリーマンの年金水準とを比較しますと、まあ公務員としてこのあたりならば国民の方が納得してくださるんじゃないだろうかということで千分の一・五というものを御提案申し上げて御審議いただいておるというのが現在の私たちの考え方でございます。
  50. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今あなたの言ったのは、一つはやっぱり負担増が、言いかえれば現役の皆さんに対する負担が大きくなる、それから厚生年金対比、こういうことだったと思うんですが、そこで一・五から二・〇、または三・〇にした場合に今あなたは負担は高くなるというふうにおっしゃったが、財源率及び掛金にどのような影響を与えるのか、これちょっと出してもらいたい。
  51. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 御説明申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、一・五を二・〇にいたしましたような際に、財源率が最終的にどの程度上がるかという計算を厳密にいたしたものはございません。ただ、年金水準というものをモデル的に見ましておよその見当といい ますか、目安をつけてみますと、大体〇・五上がります際に約一%ぐらい財源率が上がるという、全くの粗試算でございますけれども、大体一%程度上がるんではないかというようなおおよその目安でございます。ごく簡単な粗略な計算でございますが、そういうことは言えるのではないかと思います。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 さっき部長の答弁の中で厚生年金との見合いを言っておるんですけれども、例えば、厚生年金の今度の切り下げ幅を夫婦の厚生省モデルで見ますと、現行を一〇〇として改正案は八七・八四になっていますね。したがって一二・一六%が切り下げとなっている。今度の改正に当たってもそこら辺を気になさるのはまた当然だろうと思うんですが、そうだとすれば、私はやはり共済も同一の切り下げにとどむるべきじゃないか、そう思うんです。これは常識的だと思うんですよ。そういう観点から見ますと、職域年金の乗率の千分の二・〇にすればちょうど一二・二四切り下げになるわけですから、厚生年金の一二・一六とほぼ同じなんです。その結果、今あなたがおっしゃった官民格差というものもなくなって、しかも、金額で見ればそれでも共済の方が切り下げが大きいわけです。二・〇だとちょうどいいんじゃないですか、いかがですか。
  53. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生がおっしゃっている話も実はよくわかります。わかりますけれども、実は先生が、公務員部長の能力を試してやろうというんで一つお隠しになっていると思うんです。それは、現在の年金額が、厚生年金の場合と共済年金の場合と比べますと共済年金の方が高こうございますので、その高いところから今度の適正化というものの額をそれぞれはじいてみますと、先生がおっしゃるように、下げ幅の率というものは共済年金の方が大きい。しかし、もともと共済年金の方が高いところから落ちてくるわけですから先生がおっしゃるような率になるわけでございます。  また別の角度から言うと、別の立場の人から言わせますと、現在官民格差があるからそれだけのことになるんじゃないかと言う人もありますので、いろんな立場の方がいろんなことをこの問題については言っております。ただ、言っておりますけれども、先ほど大蔵大臣答弁しておられましたように、この問題についてはいろいろな角度からのいろいろな議論がある、そこで人事院の方の調査を待って政府としても考えてみようじゃないかということになったんだというふうに私は今までの議論の経過を理解しておるわけでございます。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 余り答弁にならぬですね。これは、せっかく大蔵大臣がさっき、一・五の引き上げを含めて、人事院の調査を待って、また企業年金の見合い等も含めて一両年に検討なさる、こういう回答をいただいておるわけですから、何か私の説は天の読みたいな形じゃなくて、一番世界でいいという説じゃなくて、今聞いてみると多少あやふやな点もあるようですから、積極的に協力してもらって、どう見ても私は今言うように、一つの目安としては二・〇がいいんじゃないかと思いますし、官民格差もそれで解消するんじゃないかと思います。また負担の問題だけ見ると〇・五引き上げた場合に一ということでございますから、そこら辺なら大体許容していただける範囲ではないかと思うので、これはぜひ大蔵大臣の回答等に基づいて一両年の中で結論を出すという方向で努力をしてもらいたい、こう思うんですが、大臣、いかがですか。
  55. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私も、一般公務員としては上がった方がいいわけでございます。大蔵大臣から先ほどア・フュー・イヤーズということと、人事院の検討ということを言われておりますので、私どももそれに倣いまして、積極的に関係方面と連絡して努力をしてまいります。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 人事院、今、両大臣お答えをあなたお聞きになったと思うんですが、この中には人事院の調査を待ってというのがあるから、おたくがサボタージュやればこれはどうにもならぬわけで、いかがですか、きちっと答えていただけますか。
  57. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 人事院といたしましては、先ほどお話しいたしましたように、退職公務員の生活実態、それから民間企業年金の動向等をきめ細かく検討しなければいけないと思っておりますので、御趣旨を踏まえて調査研究を進めてまいりたいと思っております。
  58. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは公務員法百八条ですかね、おたくの場合にそういう意味で義務じゃないですけれども、そういう調査をやるという仕組みになっておるわけですからね。今まではなかったということでこれからもないということじゃなくて、ぜひ両大臣の期待にこたえて一両年中に結論が出るようによろしくお願いしておきたいと思います。  それから次に移りますが、既裁定者のスライド停止の問題で、本当は大蔵大臣がおるときに聞きたかったんですが、時間がなくて残念なんです。これは自治省の方の見解も聞いておきたいと思うんです。  改正案では既裁定者の場合に、一般方式と言うんですか、基本方式と言うんですか、これを全部通年方式に切りかえるわけですね。したがって、切りかえるけれども、既に裁定で出ている従前額については保障する、そのかわり通年方式のスライドが従前額に達するまではストップ、こういう仕組みになっている。これは地共済で見た場合にどの程度スライド停止の該当者がいらっしゃるのか。それから、そのほかの共済もわかればそれも聞きたいと思うんです。それが一つ。  それから、こういう方々というのはほとんど間違った戦争、戦時中、そして戦後、言うならば国の戦争の犠牲者となった方々です。そして、戦後は高度成長をつくり上げた方々です。いろいろ苦しみもあったけれども、しかし、年金に掛けておけば老後は安心していけるという一心で期待かけて恐らく老後設計も立てたと思うんです。それがここへ来て、いやあれは間違いでしたと。あるOBの方のお話を聞きますと、東京都庁が倒れても年金は不動だ、こう言ったというんです。だから心配せぬでもいい、お任せください、こう言ったというんです。だから反対派の人も皆入ったらしいんですけれども、都庁は厳然としてあるのにこれの方が傾いているわけですよ。これではちょっと私は仕打ちがひど過ぎるんじゃないか、そう思うんで、現行の制度を適用している方々についてはスライドに手をつけない、こういうことができないものかどうか、これは真剣に検討してあげなきゃいけない、こう私は思うんですけれども、いかがですか。
  59. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 基本ルールと通年ルールという二つの裁定方式がありまして、現在その有利な方を選択できるようになっておりますが、地方公務員共済組合連合会、連合会で申し上げますと、基本ルールを選択しておる方、いわゆる通年ルールへ今回裁定がえが予定される方ですが、五七・二%でございます。公立学校共済組合の場合には、通年ルールへの裁定がえが予定される方が七六%、警察共済組合の場合には同じく五四・八%という数字でございまして、合計で申し上げますと六四・四%の方が通年ルールへの裁定がえが予定されるということでございます。  この通年ルールへ裁定がえされる方につきましては、今、先生がお話しになりましたようにスライドがしばらく停止されるということでございますけれども、現在、勤続期間おおむね三十二年、本俸で三十二、三万の最終給料でおやめになるという方が多うございますけれども、その方で計算いたしますと、基本ルールと通年ルールの差が大体六、七%ということでございますので、物価上昇率が三%といたしますと、スライド停止期間は二年というのがおおむねのところかというふうに思います。給料が高くなるに従いましてスライド停止期間が長くなるということでございますけれども、おおむねそういう状況でございます。この問題につきましては、私たちも今先生がお話しになりますように非常につらい立場でございます し、頭を下げて関係者にお願いしなきゃらならないというふうに思います。  と申しますのは、今度の改正案を施行さしていただきましても、やはり先ほどから御説明申し上げておりますように、現役の方の保険料が相当上がっていくということで、来年の、六十一年の四月以降に裁定される方については非常に厳しい改正案になっておりますので、既に年金が裁定されておる方につきましても御協力いただきたいということでございます。ただ、御協力いただきたいということでございますけれども、現在の基本ルールによって年金額が裁定されておる方につきましては来年の四月に通年ルールによって裁定がえさしていただく、今回提案申し上げております新しい方式よりも有利な通年ルールで裁定がえさしてくださいと。と申しますのは、通年ルールというのはよく御存じのように最終一年間の月給に基づいて年金額を裁定する、その通年ルールによって裁定がえさしてくださいと。そして、その通年ルールによって裁定がえしたものに物価上昇率でスライドしていきまして、来年の三月三十一日現在で保障された額に追いつくまでスライドを停止さしてくださいということでございます。  私たちといたしましては、既得権を保障する、その保障する仕方といたしましても現在の制度を前提といたしまして最大限考えたという気持ちでございますので、これにつきましてはいろいろ御議論もあるかと思いますけれども、この改正法が施行された後の裁定される方とのバランスというものを考えまして、関係者の方にぜひともお願い申し上げたいという気持ちでございます。
  60. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 お願い申し上げたいという気持ちがなかなか通じないんです。なぜ通じないかといいますと、こういう人たちの中には恩給期間も含まれておる、つまり極端な例を挙げれば、十六年恩給であと四年年金ですか、こういう方だってある。ところが今度は恩給は当たらないというわけですから、せめてこういう人たちについて、恩給期間を一年か二年の違いで一方は恩給は当たらない、そうしてこっちは恩給も含めて通年方式でやられる。これはわかってもらいたい、お願いしたいと言ってみてもわからぬのが当たり前じゃないかと私は思うんです。こういう共済年金者のみに制度切りかえで強制するということは均衡を欠くと思うし、わからないのが当たり前だと思うんですが、この辺については一体どういう理解をあなたたち持っておるんですか。
  61. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 恩給期間をお持ちの方につきましても、先生がお話しになりましたように、今回裁定がえをさしていただきまして取り扱わせていただきたいと思いますけれども、ただ、現在、最終一年間の給料に基づきまして年金額を裁定するという方式をとっておりますので、恩給期間をお持ちの方につきましてもやはりそれなりの配慮は現在されておるわけでございます。そして、恩給期間をお持ちの方で、今、先生がお話しになるように、十五、六年の方もいらっしゃるし、あるいは二、三年の方もいらっしゃる、いろいろな方がいらっしゃいますけれども、その方々につきましてそれぞれの期間に対応したスライドというものを考えていくということになりますと、それなりのまた不合理といいますか扱いにくい面も出てまいりますので、私たちといたしましては、今回の共済年金法案に基づきまして同じように現在評価されておるわけでございますので、同じように評価をやらしてくださいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、今あなたの最後の方の言葉では、恩給の場合もこの通年方式に倣ってやるというわけですか。私はそう聞いていないんですよ。恩給はそのまま残すと言っているんです。違うんですか。
  63. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私が申し上げましたのは、恩給期間を持っておる現在共済組合法が適用されておる方という意味でございまして、全期間恩給の方につきましては、これは別途総務庁の方で今回の改正というものを頭に置きながら検討されているという話を聞いております。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、私がさっき言ったように、総務庁の方で検討すると言ってみても、現在は現存するわけでしょう、恩給は当たらないわけでしょう。そうすると、やはり恩給期間を持っておる方は断ちがたいものがあると私は思うんです。  そこで、ちょっと後で聞きたいと思っておるけれども、その中で、恩給には何か配慮をしてあるというような言い方をあなたはしましたが、どういう配慮があるのか、教えてほしいと思うんです。  先ほどあなたもちょっと試算しました三十二万で七%ですね、このくらいの違いだとこうおっしゃったんですが、私も計算してみますと、三十年加入、三十二万五千円で四・八%下がりますね。それから、三十五年加入で三十五万で五・二%と。こういう数字を追ってみますと、平均的な数字というのは大体五%程度になるような感じがするんですけれども、これは違うかどうかお答えいただきたいと思います。  ですから、私は、例の皆さんの大先輩であるいわゆる高級官僚の高いのを保障せよと言っておるんじゃないんです。この人たちはやはり適正にきちっとしなきゃ、今所得制限を受けていますけれども、しかも今度は公社、公団の総裁になると二重取りになるわけだから、そういうところまで私は言っておるんじゃない。しかし標準的な公務員、ここは私はやはり先輩の皆さんには手をつけるべきではないんじゃないか。そういうことでこれは一つの提案ですが、五%以内の場合にはスライド停止から対象外にする、こういうお考えにはなりませんか。
  65. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先に数字の話でございますけれども、私が先ほど答弁申し上げたのは、六、七%ということで非常に大ざっぱな話を申し上げましたが、もう少し詳しい御説明をさしていただきますと、勤続期間が三十二年の方、おおむね現在三十二年でおやめになっておりますが、三十二年の方で最終の給料が三十万の方、その場合には通年ルールと基本ルールの差は〇・二%でございます。三十二万五千円、三・七%の差になります。三十五万円の方は六・六%ということで、まあ大体今申し上げた三つの間に大半の方は入るんじゃないかというふうに思います。  そこで、先生がお話しになりますように、その差が五%未満の方はとにかくスライドを停止するのをやめたらどうだというお話でございます。一つ考え方だと思いますけれども、私たちといたしましては、この改正案が施行されることが予定されております来年の四月一日以降に裁定される方と、現在既に裁定されておる方のバランスというものをやはり考えさしていただきたい。そしてそのバランスというものにつきましては、今、先生が御提案になりましたように、一つの線を引いてバランスをとるという考え方は私たちとしてはやはりとりがたいという気持ちでございます。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたはなかなか一遍言い出したら聞かぬ男だから、そういう癖を持っておるけれども、こういう問題は絶対というものはないと私は思うんですよ。こういうものは、いや聞くも聞かぬもない、押し切っていくんだというものでもないと思うんです。もともとは何かといえば、何でこういう事態になったのか、あなたたちは高齢化社会を控えて云々とおっしゃるけれども、そうじゃなくて四十九年ですか、四十八年ですか、スライド制をとりましたね。その直後にインフレに襲われて、積金が予定からこっそり減るというようなこともあったでしょうし、主として政策の失敗から来る原因も多いんじゃないですか。単に高齢化社会を控えてという美しい言葉じゃなくて、中身としてはそういうところにあるんじゃないかと私は思うんです。その責任を感ずるのは、やはり俺の案が一番いいんだという考えじゃなくて、そういう実情に見合った判断は、この国会審議を通じて私はやるべきだと思うんです。  そういう意味一つの提案をしておるわけです。今の五%以内という提案は、今あなたが出し た数字から見ましても決して無理な数字じゃない。退職時、あなたが言うのは三十二万から三十三、四万でしょう、五%以内というのは。三十五万になるともう五%を超えるんですか。ですから、平均的なサラリーマンというか、平均的な公務員というか、こういう層まで老後設計に狂いが生ずるようなことは僕たちは物すごく深刻だと思うんですよ、ボーナスもないわけですから。まさに何というんですか、つめを削り込むような形で辛抱なさってやっておる層の方だと思うんですよ。ですから、そこまで冷酷にする必要はないんじゃないか。そこら辺は現職の皆さん方だって許容なさると僕は思いますよ。理に現職の皆さん方がそうしてくれと言っているわけです。そういう意味で、この問題についてもう少し温かみのある検討をすべきじゃないか、こういうふうに思うんです。  どうですか、大臣、さっきから聞いて黙りこくっていますが、あなたは政治家としてこの問題についてそういう御判断をなさいませんか。検討の余地はないものですか。
  67. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私のところには随分たくさんこういう問題についてまじめな意味での陳情、はがきが来ております。私もそれを福利課の方と一々連絡いたしまして検討しておるんでございますが、何といいましょうか、今、先生の提案のような低い方のスライド停止というような問題については、政策的なことで採用された人もありますので、これは私も慎重に検討するように、今の先生の御提案の問題につきましては勉強をさしていただきたいと思います。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 さっきも言いましたように、こういう方々というのが本当は日本人の中では最も犠牲を、仕打ちを受けた方々ですよ、戦前、戦中、戦後。言いかえればそういう方々が老後の生活設計をこの年金に掛けておる。そして、そのときに政府がこの年金は大丈夫だと強調なさった中の例えが、東京都庁はつぶれてもこの年金皆さんに御迷惑かけませんということなんです。それが現実には大変御迷惑をかけることになっている。一方では恩給受給の皆さんは何ら被害がない、しかも、恩給のいわゆる期限を持っておる方々がたまたま期限内に、三十八年に共済法ができて、そして途中で、あと一年すれば恩給を受給できる資格を取るというところでぱっとやられたりした方々がこれまた全部ごっそりやられる。しかもちゃんと公務員部長が言っておりますように、共済年金の場合でも通年と基本は選択で、どちらがいいかは皆さんが選んでください、それで結構です、こうなっておるわけでしょう。それを一方を選んだばかりに今度また痛い目に遭う。こういう二重、三重苦というものがこれにつきまとっていると私は思うんです。  私が言うのは、高級官僚の次官とかなんとかでやめた方で、どこかの総裁になっておってということを言っているわけじゃないんです。今ありますように、退職時一年間の給料が平均三十二万とか三十三万とか、これはもう本当言えば、公務員の中では、言いかえれば標準というのは標準のとり方で課長になっていないんじゃないかと私は思うんですよ。そういう層の人たちまで一律に、一斉に切って何もそこにないんだと、正宗の名刀の切れ味がよかったぞというようなものしかないという発想だから、そんなことはないでしょうというのです。私が今提起しておりますように、どうしても少なくとも五%以内ぐらいはこの際停止の対象から外す、そうしたら、これは大体どのくらい金がかかりますか、大したことはないでしょう、何か数字持っていますか。
  69. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) もちろん、そういう計算はいたしておりませんけれども、私が先ほども答弁でお願い申し上げましたように、この改正法が施行された後の裁定予定者と現在既に裁定をされておる方のバランスといいますか、そういうものを考えまして、私が先生にお願い申し上げましたように、やはり今の案でこの際は御了解いただけないかという気持ちでございます。  ただ、先生のおっしゃる気持ちもよくわかりますし、そういうようなことについては私たちも考えていかなきゃならないと思いますけれども、そういう温かい気持ちは持たなきゃならないと思いますけれども、今回の改正案というものを、改正前後というものを考えますと……
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなた私の言うことに答えなさいよ。どのくらいの額になるんですかと、こう聞いているんです。
  71. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 額そのものは実は計算いたしておりません。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その先は政治家である大臣検討しましょうと、こうおっしゃったわけだから、何かあなたまたむだな抵抗みたいなことを言うけれども、それはやめなさいよ。これは大臣に協力して、ぜひこの期間中に検討してもらって、そしてこの法案が上がるまでにはこの問題について結論が出るように、こういう日程を含めて大臣に要請しておきたいと思いますが、よろしいですね、大臣
  73. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 率直に申しまして、私は真剣に検討いたします。予算との関係もございますので、今のお言葉でございますが、本法案審議中に間に合わなくても、将来において誠意を持って検討してまいりたいと思います。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 せっかく検討していただくんだから、間に合わせるべきものは間に合わせましょうよ。その努力もしてくださいよ。あなたまだあるんですよ。大臣検討する時間がないと言うなら何もこの国会で上げる必要はないんだから、通常国会だってずっとあるわけだから、期間的にはそう大臣御心配なさらずに御努力をお願いしたいと思うんです。これは私から要請しておきたいと思います。  そこで、次の問題に移りますが、船員期間の問題です。これ私もよくわからないんでお聞きするんですが、国民年金の一部改正が四月ですか、参議院でやられましたですね。その際に修正がなされて、坑内員、船員であった期間は被保険期間を計算する場合に施行日から五年間は十分の十二倍にする、こういうふうになっておるんですね。これはこの中に入っていますか。
  75. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 参議院で修正されましたのは、私たちがこの法案国会に提案いたしました後でございますので入っておりません。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 入っていない。これは入っていなければ当然入れなきゃならぬと思うんですが、そういうことでよろしいんですか。
  77. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) その問題につきましては国会議論とか、あるいはまた御出席されております国会議員先生方のそれぞれの協議といいますか、そういうものを私たちとしては見守っていきたいというふうに考えております。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは都道府県でも魚の取締船がございますね。さらに農水産関係では例えば水産学校とかありますね、幾つもあるんですよ、地方公務員の中にも船員の皆さんは。せっかく国民年金一部改正で参議院で修正したことでございますから、今言ったようにこの法案を提出した後に修正になったというんですから、これはやっぱり参議院の責任で修正しなければならぬと思うんで、ひとつそういうことでお願いしたいと思いますが、大臣よろしいですね。
  79. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) この問題につきましては本委員会における審議の推移を踏まえつつ、国家公務員の取り扱いと関連いたしますので、大蔵省と十分協議して対処してまいります。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはもう一つ委員長にもお願いしておきたいと思いますが、いいですね。
  81. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 理事会でこの議論もします。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、時間がないんですが、せっかく消防庁がさっきから歯を食いしばって頑張っておりますから、消防庁長官にやらしてもらいましょう。  まず長官、消防職員については五十四年から特例が設けられました、それは五十五歳ですか。これを設けた特殊的な条件というものは私はいまだに変わっていないと思うんです。警察の場合には これと関連して一万八千人ほど増員して三部制に切りかえたけれども、消防の場合にはいまだに二部制、拘束二十四時間、こういう勤務が圧倒的なんです。ですから、どうして今回特例が廃止になってきたのか、ここら辺が私はわからない。大臣衆議院で六十歳定年制、掛金が高い、六十歳までできる勤務条件を整備していくから大丈夫だ、そういう趣旨の答弁をしておるようです。それならなぜ定年制ができた後に直ちに条件整備に入らなかったのかそこも疑問の一つです。どういう理由から特例措置を廃止したのか、含めて長官の見解も聞きたいと思います。
  83. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 五十四年の改正の際は、お話いただきましたように消防職員、警察職員とも支給開始年齢の特例措置を講じたわけでございます。これは消防職員、警察職員共通の職務の特殊性と申しますか、相当ハードな肉体的な労働も伴う、そういった面を主として考慮して制度として残したものというふうに考えております。  しかしその後、ことしの三月三十一日から消防職員につきましても定年制が導入されまして、一般職員と同様六十歳というふうに定められたわけでございます。また、最近の中高年齢層の体力の増進というのは大変目覚ましいものがございまして、かつての五十歳代の体力を今の六十歳代の人が持っておるというようなことも言われておるような状況でございます。そういった体力の増進等の状況、そういうものを背景といたしまして現実の消防職員の退職年齢がだんだん高まってきております。こういった傾向は今後も続くものと考えられておりますので、こういう状況を考慮いたしまして、今回警察職員の特例を廃止するのと同時に消防職員につきましても特例措置を段階的に廃止していこうということにしたわけでございます。  こういう形で退職の定年制の年齢を引き上げ、また、それに伴いましてそれに見合うような形で支給開始年齢を引き上げるわけでございますけれども、私どもの基本的な気持ちといたしましては、消防職員につきましても、いろいろな条件整備を図ることによりまして一般職員と同様に六十歳まではできるだけ勤めていただきまして、一般職員と同じような勤務を続けることができるような状況を消防職員にもつくっていきたいという基本的な考え方に基づくものでございます。  もちろん、そのための条件整備ということになりますと大変難しい問題はあると思います。また、それは単に消防庁だけがこれこれこういうやり方でやりますよということをやりましても、実際問題として現実にはできるものではないと思います。現場におきます市町村の最高責任者としての市町村長、直接消防職員の管理者としての消防長、また消防職員自身もいろいろ健康管理、体力増進等の点につきましては努力をしていかなければいけない面もあると思います。要するに、関係者がお互いに力を合わせながら協力をして六十歳定年までちゃんと勤め上げられるような体制づくりをしていく必要があるものと、一緒に我々も努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 体力増進といっても何か五十四年から急に体力が増進したわけではなかろうし、今いっている方は大体五十四年のときにおった方々がほとんどですね。そうすると、あなたは今長々しいお話をなさったけれども、中身としては五十四年に特例を設けたときの条件と何ら変わっていない。ただ、警察が五十五になったからうちも五十五にしてくれということでして、警察が六十にすればそれならうちも六十にする、そんなあほなことじゃないと思うんですけれども、この実態から見るとそれこそ選択制の方がいいんじゃないか、こういうような感じを持っておるんですけれども、町村長、消防長の意見を徴してというようなお話もございましたけれども、これは現実に現場の消防職員十二万人の意見を徴してやったわけじゃないんでしょう。いかがですか。
  85. 関根則之

    政府委員(関根則之君) この特例年齢を存置するのかどうするのかという問題につきましては、消防関係者にとりまして非常に重大な問題であるわけでございます。したがって、消防関係の方々にも十分議論をしていただこうということで、全国の消防長の集まりであります全国消防長会に意見の取りまとめをお願いをいたしました。その中におきまして時間をかけて議論がなされて、その結果といたしましてこの際特例を廃止していただきたい、こういう意見も受けているわけでございます。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは重大な私は労働条件の変更だと思うんですね。本来なら組合があれば団体交渉をして処理しなきゃならぬ性格のものですよ。それを消防長だけ集めてそこで聞いたからといったって、議事録を見ますとこの消防長会も八月までは反対だったんですね。ところが、九月にころっと賛成に回ってきた。こういう経緯を見ると何か別の意図があるとしか思えない。また、そういうやり方でもって、朝令暮改じゃないけれども、今度は五十四年をひっくり返してするということも納得がいかぬし、そういう点から見れば選択制が一番いいんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  87. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 急に意見が変わったというお話がございましたけれども、これは消防長会の中の議論過程でいろいろな、甲論乙駁がなされてきたというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。最終的な意見の集約といたしましては特例を廃止をするという方向でまとまっているものというふうに考えております。  お話しの、御提案のありました選択制を残すということになりますと、これは制度の問題でございますから主として制度全般のサイドからの答弁が適当であろうと思いますけれども、やはり掛金率が当然変わってくる、特例を残しますとそれに見合った掛金を設定しなければならないという問題がございます。そういった制度の複雑化というものも当然出てまいりますし、やはり一つの職域につきましての制度というものは一つ制度としてすっきりしたものにした方がよりよろしいんではないかという一般原則もあると思います。そういったような経緯からこの際消防職員につきましては特例を一斉に廃止をする、そういう措置をとらしていただいたわけでございます。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 別の角度からいきましょう。  今の消防職員の充足率を見ますと、五十三年が七七・八、五十六年が七七・九、五十九年が七六・八、こういうふうに私は承知しておるんですが、いかがですか。  この中で、組合消防と単独消防のそれぞれの充足率はどうなっているのか、おわかりならお願いしたいと思います。
  89. 関根則之

    政府委員(関根則之君) ただいま手元に正確な数字がありませんから正確なお答えができないわけでございますけれども、職員の充足率につきましては大体先生から御指摘いただきましたような数字で推移いたしているものと考えております。  また、組合消防と単独消防とに分けての職員の充足率の調査はいたしておりませんので、数字がちょっと申し上げられないわけでございます。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 消防を見る場合に、単独消防というのは非常に歴史も古いし、充足率も私はいいと思うんです。これはあなたが調べてないと言うから私の推測です。しかし、組合消防というのは、あれは何年前つくったんですか、十四、五年前、十二、三年前ですか、そういうことで町村の寄せ集めでつくったわけですからね。ここの充足率なんというのは非常にひどいものなんです。  一例を挙げますと、ここに組合消防を一つ持ってきておるんですけれども、ある六万の市の市町村、この周辺を全部集めたものを見ると、基準台数等に対する基準数でいけば百九十九名おらなきゃならない、これはおたくが出した基準でいきますと。ところが、現有台数、機械器具がそれまでそろっていない。例えば、消防ポンプ自動車などを見ると、基準台数では十合置くところを七台しか置いていない。こういう現有台数で見るとその基準の職員数というのは百五十九名なんです、おたくの基準でいきますと。ところが、現員は何 名がというと百五名ですね。五十四名が不足しておる、これが実態です。それで奇妙なことに、現有台数に対する人員の基準数が百五十九ですから、本来定員は百五十九でなきゃならぬのに現員に合わせて百五名になっている。こういうのがこの実態なんです。  そこで中を見ますと、いわゆる警防要員、十六条から十九条二十一条の要員ですね。外で第一線でやる人たちが九十名おるわけです。今あなたがおっしゃったそういう予防要員とか、教育訓練とか、そういうところでお年寄りの方は環境整備をしたいと言うけれども、これを見ますと基準数は十七に対してわずかに四名ですよ。それから教育訓練の方を見ますと七名のところ二名です。ここら辺がほとんど空つぼ状態なんです。これが今の実態です。そういう中で、組合消防に特に焦点を置きますが、あなたがおっしゃるようなことができるのかどうなのか、私はこれは非常に難しいと思う。  特に組合消防を見ますと、私は組合消防は至るところへ行って、大体消防というのは通りの横に建っていますから、消防のあれが見えればすっとどこでも入っていくんですけれども、調べてみるとほとんど年齢が同じ層ですね、三十二、三歳、その下もおらなければ上もおらない。この層がずっといったらどうなるんだ。あなたの答弁を聞いておるとそれこそ私は背筋が寒くなるような感じがする。実態を余りにも御存じない。まあ存じておってもそれを知らぬふりしてお話しなさるのかしらぬけれども、これは私は正直言ってむちゃな内容だと思うんですが、いかがですか。
  91. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 確かに、御指摘をいただきましたように、組合消防を積極的に推進いたしまして、全体消防の常備化というものを進めていきますときに、小さな市町村では単独消防を持つということが無理なものですから、お互いの一定の地域におきまして共同して常備化を図るようにと、こういう指導によってできたものでございます。全然今まで常備のないところに常備がぽっとできるわけでございますから、職員の採用につきまして一どきに採用が行われるとどうしても同年齢者がだんごのような形になって年齢構成をいびつにしておるという組合があることは事実でございます。しかし、そういう組合だからといってこの際その定年制を変えていく、あるいは支給開始年齢を下げていくというようなことは、やり方としては私はむしろ道なんではなかろうかというふうに考えているわけです。大変難しい問題あろうと思いますけれども、いろいろそれぞれの年齢に応じた、はしご担当の隊の組み方でありますとか、あるいは場合によりますと年月はもちろんかかりますけれども、一般の市長部局との人事交流を計画的に進めていくというようなことによりまして、そういうだんご状態というようなものもだんだんと解消していかなければいけない、完全に解消するということは難しいと思いますけれども、その中で何とか六十歳まで勤めていけるような職員の配置体制というものをとることは関係者の努力いかんによっては不可能ではないというふうに考えております。大変難しいことだとは思いますけれども、決して不可能なことではないんではないか、そのための努力をしていきたいと思います。
  92. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから私は、消防次長と消防課長に二週間前ですか、この問題は委員会審議をやって質問をする、今あなたが言うように難しいことだけれども努力しますと、そんな抽象的なことを言っておっては困りますよと。具体的にどうしますか。例えばさっき私が言ったように、定年制がしかれて直ちにそういうことを考えるなら、今日配慮するならやはりそれに伴った措置をなぜしなかったのか、それもやっていない。そのやっていない皆さんが今度はこの法案が通ったら難しいけれどもやりますと言ったってだれが信用する者がおりますか、だからそんなことじゃなくて、具体的にどうします、何年から何年の間にこれこれやります、これこれやります、この具体案を出してくれ、こう言ってあるんですよ。一つもいかぬじゃないですか。もう二週間前に僕は言ってあるんです。それを出さなければ審議はできませんよと、こう言ってあるにもかかわらず出さぬじゃないか。それじゃ議論にならないんですよ。  私は消防の九州地区の訓練のときにも参りました。猿みたいに渡るあの訓練を見ても、綱一本を五十過ぎてのこのこ渡れば下に落ちますよ。それから消防のホースで水がひゅんひゅん出るのを見ていたら、僕ら持ったら振り回されますね、自分でやるというと。とてもじゃないけど、そんなもんじゃない、警防の関係職員というのは。しかし、現実は今言うように、一つの組合消防を見ると警防に百五名のうち九十名行っている、これが実態ですよ。そして充足率はさっき言ったような実態です。この中で、あなたは盛んにどこそこの消防長会議へ行って、行革の時代だから定員増ありませんなんて言っているじゃないですか。定員増はない、だからいつまでたったって三十二、三歳ぐらいの人がどんどん上っていって、上も下も採用ゼロだよ。これを十年ぐらい続けておるわけでしょう。こういうことで、あなたが今ここでいや、難しいけれども努力しますと言って何ができるんですか。それが信用できると思いますか、具体案を出しなさい。
  93. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 職員が六十歳まで安んじて消防職員としての勤務を続けていくための条件整備というのはなかなか難しい問題であります。単に消防庁で具体的にある一定の案をつくって、こういうものができればそれでぱっとできるようなものではないだろうと私は思います。いろんな意味で、当然その職場におきます消防職員の全体的な管理は消防庁がやっておりますけれども、それを含めた市長部局の職員まで含めた全体の人事管理というのは市町村長が持っておるわけでございますから、そういった全体の市町村長の取り組み方によっても人事交流がスムーズにいくとかいかないとかいう問題が出てくると思います。  また、機械器具等の問題につきましても、年々機械器具の性能の改良がなされておりまして、比較的省力化といいますか、機械化が進むことによりまして人間の肉体的な力に頼らなくても処理ができるような研究も現に進みつつございます。そういった方面の研究もこれからやってもらわなきゃいかぬだろうと思っておりますし、もちろんその機械器具を選ぶ消防の方における対応というものも考えていかなきゃいかぬ、そういう関係者のいろいろな努力が結集されて初めて本当の意味の六十歳定年がスムーズに実現をしていく、そういうものではなかろうかというふうに考える次第でございます。したがって、我々はそのための関係者の努力が必要であるということを言っているわけでございまして、今直ちに私の方からこれこれこういう案があり、こういう形によって直ちにそれができます、そういうような性格のものではそもそもないんではなかろうかという感じがするわけでございます。
  94. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私はこの問題をやっていくためには何というんですか、大蔵大臣国鉄問題の整理なんかで言っていますように、やはり民主的な手続機関を踏んで十分協議をしていかなきゃならぬと思います、こう言っていますね。私はやはり消防長だけ集めて、町村長だけ集めてこの問題の絵をかこうと言ったってかけないと思う。現場でやっておる警防職員の意見をどういうふうに集約して、そしてそれに知恵をかりて人的構成をどうしていくか、こういったものが伴っていかなきゃこの問題はできないと思うのですよ。  そこでちょっと横道にそれますけれども、それをやるにはやっぱり消防庁が頭を切りかえなきゃいかぬ、そういう姿勢に。ところが、あなたと、自治省公務員課長、それから消防課長、この三人で九月十日の日に福岡で開かれた九州消防長の研修会に行っていますね。そこで長官は「消防の当面する諸問題」、まさに当面する消防問題。それから一課長は「公務員をめぐる労働諸情勢」、消防課長は「消防行政と人事管理」、こういう題のもとにそれぞれ講演なさっておる。私は議事録も 持っておりますし、テープも持っておりますが、その中を見ると、とてもそういう姿勢はうかがえない。  もう時間がありませんから一つ二つだけ申し上げますと、公務員部の一課長はこういうことを言っているんです。消防は上命不服の組織だ。したがって、ILOから四八年、消防職員の団結権の希望があったが拒否した。五八年、消防職員は通例団結権を付与すべきだという通知があったけれども、この通例の例外が日本である。一貫してこれを禁止した、こういうことを強調なさっておる。そうして、消防協は五十二年二千五百であったが、今年段階で九十五組織、五千四百人、まさに自然消滅の状況に入った。法律違反があればどんどんやりなさい、消防協の交渉にはもちろん、他団体の申し入れも拒否しなさい、こういうごあいさつをなさった。  長官、あなたもなかなかやるじゃないですか。あなたもいろいろ言っておりますが、後段、一番最後にということで、職員の資質の向上の中で、熊本の高遊原と高知に消防協ができた。これは労働組合とは即断しないがと断っていますね、労働組合とは即断しないが法律違反である、労働組合でないが法律違反である、こうも断言なさっておる。したがって、団結権行使等は許さないように、こうおっしゃったものですから、真に受けた高遊原の消防の管理者である何ですか益城の町長がびっくり仰天しちゃって、そうして川口さんですか、九月十九日、二十日に協議会を脱退してもらいたい、こういう訓示をして、そうして御丁寧に脱退の署名簿をこんなにつくって、脱退届けを出してくれ、こういうことを盛んにやっておるわけです。  こういうことをやって、そうしてあなたがおっしゃるように、困難な問題だけれどもできるということに私はならぬと思うのです、頭を切りかえてもらわなければ。むしろそういう職員の皆さんの意見を聴して、民主的な機関を通じて聴していって、そしてそれを生かしていくのがあなたの立場だと思うんですけれども、まるでこれは逆ですね。いかがですか。
  95. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 御承知のとおり、地方公務員法の五十二条第五項で消防職員は警察職員と同様に、いわゆる職員団体の結成及び加入が禁止をされているわけでございます。そういう意味で、禁止されている条項に反することのないように私は常々申し上げているわけでございます。九州の消防長会のときの話もそういう意味を申し上げたわけでございまして、消防職員の中に単なる親睦を図るための団体等ができても、そういうものを直ちに違法であるとかいけないとか即断をするようなものではない。しかし、仮にもし実態が職員団体で、勤務条件の維持改善を目的とし、当局と交渉することを行う団体であれば、それは禁止されている団体なりそういうものをつくると違法になりますよと、そういう趣旨を申し上げたつもりでございます。  職員の意見を聞くという問題につきましては、それは日常職員の職場を見ておりますし、職員のいろいろな意見を吸い上げるべき立場にあります消防長、消防署長、その上の消防庁というものがあるわけでございますから、そういった管理監督者の意見を通じまして十分これからも消防職員の実態を反映し、そういった職員の意見を吸い上げていくように努力をしていきたいと考えております。
  96. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたが出したかどこが出したか知らぬけれども、日本政府は今度のILOの総会にこういうものを出している。そこでは、消防職員協議会に対して、政府としてはこれまで不当に干渉したり、また今後も連法な活動を行わない限り干渉するつもりはない、この一点に関しては地方公共団体においても同様であり、消防職員協議会の会員であることを理由にして不利益な取り扱いを行ったことはない、こう言っておる。しかし、私が耳にするのは今言ったような内容になっておる。  もう一つ聞きますが、それなら、あなたのところで消防職員協議会があるからという理由で、救急車の国庫補助とか消防車の国庫補助、こういった審査の際にそれを理由に許可しないとか却下したとか、そういう事例、そういうことはないですか。
  97. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 御指摘のような事例はないものと考えております。
  98. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうはそこら辺で、ないならないでいいですよ。それも私は資料を持っておるわけです。私は、この参議院の地行で林さんが長官のときからこの問題も議論をしてきて、そして歴代の長官は今ILOに出したように、不当干渉する考えはないし、またそれを理由にした妨害とか干渉もないということを再三確認してきております。しかし、現実にあなたが福岡へ行って言っている一課長とあなたの言葉をつなぎ合わせてみると重大な問題がある。これは、きょうは時間がございませんから、また次の機会にやります。  そこで、そういうようなことであるだけにもう一つ私聞きたいのは、どうしてもこれを廃止にするとするならば私は選択制がいいと思いますけれども、廃止にするとするならこれは重大な労働条件の変更ですから、そうして同時に、あなたが廃止をする前提としては労働環境を整備するとこうおっしゃる、難しいけれどもやらなきゃならぬとこう言う。それをやるためには消防職員の皆さんとじかに議論し合う場をきちんと持っていかれないとまたそごが起こると思うんです。その点について持っていくような施策、方法を講ずる、こういう約束をしてくれますか。
  99. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 消防職員の実態をよく把握し、また消防職員の意向、考え方、希望、そういうものを的確につかむということは、単に勤務条件だけの問題ではなくて消防の能力を発揮する上からも極めて重要な問題であるというふうに私どもは受けとめております。そういう意味で当然職員を管理する消防長、消防署長、そういう者がいるわけでございますから、消防長会等を通じまして管理者によく消防職員の意向をくみ、消防職員の意思を体していろいろと職場の問題等について配慮するように、そういう指導を強めていきたいと思います。
  100. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そのために、今言うようにここは労働組合がないわけだから、労働組合があれば問題はないんですよ。ないわけだから、例えば安全委員会とかもしくは苦情処理機関とかそういうものをつくって、それらを含めて、吸収して、人的構成のゆがみを正していく一つのルールをつくりたい、こういう方法をやるかやらないかということを聞いておるわけです。
  101. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 安全委員会その他私どもで設定をすべきであるといって指導をしている問題につきましてまだ必ずしも十分な整備がなされていないという面もございます。そういった点につきましては従来の指導どおり進めていきたいと思います。
  102. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 従来の指導どおりというのはどういうことですか。
  103. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 職員の実態をよくつかみ、職員の意向が十分管理者側に反映できるように、そういう努力もしていかなければいけないということでございます。
  104. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  105. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 佐藤先生に。  午前中御質問がございました最低年金のスライド停止の問題についてでございますが、私は、この問題について勉強して検討すると申し上げました。私の率直な気持ちでございますが、この問題は相当各共済に共通する問題もありますので、今早急に結論を出すことは私もなかなか困難なことだと思いますので、どうぞその点を御理解願いた いと思います。
  107. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 かなりこの問題は各共済とも関連する問題ですから、大臣が心配なさるのはわからぬでもないと思うんです。ただしかし、この問題については個々の現場のレベルじゃなくて、上のレベルの方も話を進めておる問題ですから、問題は、大臣のそういう気持ちをその際に伝えてもらって、そうしてなるべくならこの法案が上がるまでには、どこまでできるかわかりませんけれども、私も何とかしたいという気持ちを持っております。大臣もそういう気持ちは同じだと思うんですけれども、事が各共済にかかわる問題ですから慎重にならざるを得ないことはわかるんですけれども、その点は大臣も含んで事に当たっていただきたいということを私からお願いしておきたいと思います。
  108. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私も慎重に、誠心誠意努力してまいります。  ただ、申し上げましたのは、今国会審議のうちにということは私ちょっと自信がありませんので、誠心誠意努力いたしますので御了承いただきたい。
  109. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういう熱意を持っていただければ、案外不可能が可能になるかわからぬ、そういう雰囲気もあるという情勢ですから、ぜひお願いしておきたいと思います。  それでは、大臣、さっきの消防の問題で、これは消防庁だけにかかわる問題じゃなくて、言いかえれば、いわゆる職員の構成をなだらかにする問題です。今三十二、三歳でだんごのような状態になっているわけですから、ここはやっぱり自治省で、これは携わるとすれば大体公務員部ですか、どういうことをしなきゃならぬかといえば、結果的に、だんごのような年齢層で固まっておる層を、散らすんじゃないけれども、上下こう置いて、ピラミッドまではいかなくても、少なくとも来年ごろから新陳代謝ができるようにしないと、このままでは何ぼ精神的にやるやると、さっきの消防庁長官じゃないけれども、言ってみたってできっこない。そうすると、どうしても市町村行政の指導助言を預かる自治省の方がこのかぎを握っているような感じがするんです。そこら辺の協力をどういうふうにやるのか、もし御意見があれば伺っておきたいと思うんです。
  110. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 午前中の質疑を聞かせていただきまして、私もこれは消防庁だけではなかなか難しい問題だということを感じておりました。  具体的にどういうふうに今後進めていくかにつきましては消防庁の方の考え方もございましょうが、私たちも消防庁とよく相談しながら、協力して、できるだけのことはやってまいりたいというふうに思います。
  111. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ぜひひとつその点はお願いしておきたいと思います。  それから、懲戒処分の支給一部停止の問題についてお伺いしておきたいと思うんですが、今度のこの措置については、衆議院段階議論で職域加算の中で掛金部分については除外をする、いわゆる使用者負担というんですか、その部分の中における措置をする、こういうふうにお聞きしておるんですが、いかがですか。
  112. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今おっしゃいましたように、衆議院段階ではこの問題についていろいろな先生方から御質問がございました。私たちの方も、当初はやはり職域年金部分というのは一体として考えるべきだということで答弁してまいりましたけれども衆議院議論を聞き、また附帯決議をいただきましたので、私たちの方では職域年金部分の中の本人掛金に相当する部分については政令の段階で考慮するのかなという現在気持ちでございます。
  113. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうことで確認できれば、あれは五年間ですね。例えば三年してぽっくり死んじゃった、あと二年残っておる、その場合に遺族年金にまで波及するのか、遮断するのか、そこはどうなんですか。
  114. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) それは遺族の方には及びません。
  115. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。これはひとつぜひ、遺族にまでそれを持っていったんでは、遺族は何も悪いことをしていないのに、これは人ごとだから。それでなくたって少ないわけだから、ぜひそこら辺はきちっとしてもらいたい。  これは政令ですね、政令事項ですね。
  116. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) はい、そうです。
  117. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 よろしくお願いしておきたいと思います。  それから、年金のスライドの問題で、退職後の所得保障ということから、これも衆議院段階でいろいろ議論があって、今の物価スライドだけじゃなくて賃金スライド部分も含まれた、修正をする、こういうことになって、その取り扱いは参議院で行うというのが衆議院側の経緯のようにあるんですが、いかがですか。
  118. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 法案修正の問題にかかわってまいります。私たちの方では、衆議院段階でいろいろ議論がございまして、衆議院の方から参議院の方に具体的にどういう話が移ってきているか、国会議員さんレベルの話ではよく存じませんけれども、いずれにいたしましても衆議院でそういう議論が出てまいりまして、ああいう附帯決議というものも出ておりますので、参議院の段階においてどういうふうに具体的に関係議員の間で話が行われるのか、私たちの方はその推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  119. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは委員長にお願いしておきましょうか、この取り扱いについては。よろしいですか。
  120. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 理事会でまたこの話は議論の対象にしたいと思います。
  121. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 自治大臣、これもきょうのマスコミが一斉に取り上げておりますが、まだ国鉄関係法案審議に入っていないのに、(「法案もないんだ」と呼ぶ者あり)法案もないんだけれども、あすの閣議でもって国鉄職員の公的機関に、三万人受け入れを決める、六十一年から六十五年度にかけて。これは監理委員会の机上のプランかと思ったところがそういう報道がされております。その中で地方は一万一千名が受け入れ可能だ、こういうことで閣議決定するような記事が出ておるんですが、いかがですか。
  122. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) そういう問題は私も聞いておりますし、このための閣僚の会議等もありました。恐らく近く閣議でそういう問題が出ると思いますが、人数の問題につきましては、私は考え方として強制割り当て的なことを地方にやるのはおもしろくないということを主張しておるのであります。もちろん国鉄皆さんのそういう問題につきましてはできるだけ協力すべきことは当然でございますけれども、数字の点はまだ私どもはっきり細部まで決定的な段階ではないような私はそういう気持ちでおります。  ただ、恐らく今おっしゃいました数字に余り遠くないところでそういうことが、目標が決定されるかと思いますが、地方団体としましては高等学校、中学校、小学校の卒業の男子が大体そういうような条件に当たると思いますが、地方も行政改革というものをやっておりますので、無条件に採ることは難しいんじゃないだろうか。だから、私は自治省としては地方に強制的な割り当てをするというような考えは持っておりません。  私どもといたしましては、そういう方が来られた場合に、地方公務員共済年金に通算する措置をする場合にも、国鉄の在任期間の費用とか、そういうものはやはり向こうで持ってもらいたいということを、地方共済負担にならないようにということを強く主張しておるところでございますし、大体その点は事務的には、大蔵大臣答弁から見ましても話が詰まっておるというように考えております。
  123. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ところが、私もきのう石原次官とちょっと会う機会がございまして聞いたら、こういうばかげた内容の案が来たのでそれはできませんと断ったと。ところが、帰ってけさ新聞を見たら一万一千と数字がきちんと書いてあって、あした閣議で決める、こう言っているわけだ。これ は話が大分違うなという感じを受けたんです。私は国鉄関係法案のときの審議のあれになろうと思うんですけれども、こう矢継ぎ早に次々と来る。そして、今国鉄が実際分割・民営化もやるかどうかも決まっていないのに、どんどん受け入れ態勢をつくれというかっこうでやられてくる。その受け入れ態勢をつくるというので、今、大臣答弁を聞きましたら、共済年金積立金の移換についてはこれは大変なことだから、自治体に新たな負担にならないようにする、こういうことまで言っておられるわけです。  私は、一つは、地方行政改革大綱はもう撤回した方がいいんじゃないですか、こういうことになれば。もうあの趣旨は意味がなくなってきたんじゃないんですか。そういうことを一つ感じます。  それから、共済の問題で言うなら、さっき言ったことがどういうふうにして守られるか、そこを聞きたいんです。
  124. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 大臣から御答弁申し上げましたように、国鉄職員を地方公共団体が受け入れた場合に、国鉄職員期間というのは共済年金期間の基礎期間として算入されますので、必要な資金の移換を受けなきゃならない。そこでどういうふうにして受け入れるかということになるんですが、考え方といたしまして、職員が地方公務員に来たときに受け入れるのか、それともその職員が地方公務員をおやめになって、いざ年金を支払うときに受け入れるのかという方法についていろいろな問題があるわけでございますけれども地方公務員共済サイドの問題として現在どういう方法で受け入れるのが一番いいかということを検討しなければならないなというふうに考えております。この問題につきましては、現在のところ結論はまだ出しておりませんけれども、いずれにいたしましても、地方公務員共済として最も有利な方法といいますか、一番いい方法を選びたいというふうに考えております。
  125. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今、佐藤先生お話しの、地方行政改革は有名無実だからもうやらぬ方がいいんじゃないかというお話でございましたが、全国的に見ますと、そういう対象になるようなアンバランス状況もまだまだございますので、私どもは、地方行革大綱に基づく人員の問題とか、そういうことはぜひ実行してまいらなきゃならぬと思いますし、こういう財政状況でございますので、どうしても行革は必要であると考えております。  ただ、国鉄の問題につきましては、こういう新たな問題でございますので、私たちとしてはできるだけのことはいたします、強制的なことはできないということを申し上げた次第でございます。
  126. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう一つの説では、鉄道公安官三千名は警察庁に受け入れる、こういうことも出されていますね。これはむしろ当然でしょう、分割・民営になって公安官が残るわけにいかぬでしょうから。結果的にはやっぱり警察ということになるでしょう。大臣は国家公安委員長でもあるので、そこら辺の議論もやっておるんじゃないかと思うんですが、その場合にもそうでございますが、共済関係処理というのはどういうふうに考えられているんですか。
  127. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 一般の地方公務員として受け入れる場合と考え方は同じでございます。相手が警察共済だというだけの違いでございます。
  128. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、積立金は移換するということですね。そうなると、私が聞いておる中身で見ますと、国鉄共済を持ってこい、持ってこいと言ってみても、ここは金が今ないわけですよ。私が聞いておるのは四千四百億ぐらいと。そのうち、鉄道債券に千三百億、それから住宅の建設の融資が一千億と実質二千億しかないというような中身になっておると私は思うんです。持ってこい、持ってくると言うけれども、持ってこられるのか、どういうことですか。
  129. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) それは先ほど御答弁申し上げたことと関連があるわけでございますけれども、どういう時点で移していただくのが一番いいかという問題になってくるだろうと思います。
  130. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ところが、部長、あなたは衆議院で、積立金の移換については負担が大きくて、これは運輸省と協議したところ了解をもらっておる、こういうことを言っておるが、どんな了解ですか。
  131. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 地方公務員共済組合に負担をかけないという内容でございます。
  132. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは精神訓話みたいなもので、今あなたがおっしゃったように、引き取り分の積立金の移換はきちっと行いますと、ちゃんと約定か何かあるんですか。
  133. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私が申し上げましたように、約束内容は、地方公務員共済負担をかけないという内容でございますから、負担をかけないという前提でどういうような方法でいつ移換するのがいいかというのは、これから事務的に詰めなければならないというふうに考えているわけでございます。
  134. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、あなたは国家公安委員長でもあるわけですから、これは人ごとでないわけです。先ほどから公務員部長答弁を聞いてみると、全然中身は詰めていない、一つの原則みたいな話しかできていない、こういうふうにお伺いするんですけれども、こういう問題は、一方の受け入れなきゃならないところの共済、これは地共済だけじゃないと思いますけれども、今大変な財源難で、しかもこういう改正案のような内容になっておるわけですから、逆に言えば一方はその余地はないんです。そこら辺はきちっと貫いてもらわないと今度こっちの方がえらいことになる。そういう性格を持っているわけです。  ですから、今の情勢から見ると、あすの閣議にあなたも出られるわけでしょう。そして、そこで一人で反対してこの案をつぶすわけにはなかなかいかぬでしょう。そうすれば、やっぱり一つのレールが敷かれてくる、こういうようなことになるわけですし、そういうことになるに当たってはそこら辺はきちんとする、これは明確に言明しておいてもらわないといかぬと思うんですが、大臣いかがですか。
  135. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) もちろん、私としましては、地方共済に迷惑をかけないような方法でやってもらうということはかねがね主張しておるのでございますが、もちろんそういうことの必要は閣議においても申し上げるつもりであります。職員を移管したときに共済に迷惑をかけないということは大体事務的には話がついておりますが、ただ、移管の時期とかやり方ということはまだ決まっておりません。ですから、例えば、あの国鉄法案が六十二年度から実施するなら六十一年度に出てまいると思うんです。それで、六十一年度の問題につきましては行政的に措置せにゃならぬと思いますが、六十二年以降はきちっと法律で決めてもらうのが私は当然だと考えております。
  136. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこら辺は大事なことですから、また将来、地共済国鉄共済のようになりかねぬとも限らぬから、そこら辺はぜひきちっとしておいてもらいたいと思います。  そこで、今、厚生大臣が来ました。一時間の約束だったのが三十分に値切られて、一時間に大サービスしたのに値切られたということは大変私は遺憾でありますが、厚生大臣、あなたの方が答弁の中でサービスしてくださいよ。  それで、午前中に大蔵大臣にも聞いたんですが、担当大臣じゃないからよくわからないということでしたが、竹下さんは竹下さんなりの一つの絵をここで説明いただいたんです。あなたは担当大臣ですから、当然ここら辺は理解の上だと思うんです。  今回の改正というのは大変な大改革なんです。犠牲も相当出ますね。特に公務員共済などは大変な犠牲が出るわけで、これだけの犠牲を出してやるという以上は、七十年の年金一元化に向かってどういうものになっていくというプロセスと、その将来はこうなりますという絵をかかなきゃならぬのを全然かかぬまま、ただ、一元化に向かって、高齢化社会が訪れます何のこうの言いなが ら、やみくもにとにかく犠牲を伴う大改革をやるということでは納得しないんじゃないか、だから、そこで協力してほしいと言うのなら、当然そこら辺のスケジュールを含めたものがなきゃならぬと私は思うのでありますけれども、この点がかかれていない。  これは、くどいようですけれども、例えば、昨年ですか、退職者医療制度というものを厚生省が万々間違いございませんということで打ち出した。ところが、わずか一年先には見通しを誤りましたという結果になってしまって、二千八十億ほど地方に迷惑をかけるような結果になっておるわけでしょう。これでもう住民の皆さん方が保険料アップして大騒動しておる、こういうような前歴もあるわけです。ですから、私が聞かしてほしいのは公的年金七十年一元化の具体的な内容厚生大臣考えておられるプロセス、展望、こういった点についていかがですか。
  137. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 将来のことでございますけれども、ただいま御審議いただいております年金改革に当たりまして、年金制度全体の長期的な安定の基盤づくりを進めることといたしておるわけでございまして、そのために基礎年金導入することによって給付負担の適正化を図ることとしておりまして、この点が将来にわたる給付負担の見通しについてその方向性を示しておるものと考えておるわけでございます。  なお、その際もっと具体的な構想を明らかにすべきであるとの御意見でございますけれども、今回の年金改革によりまして基礎年金部分についてある程度の一元化が図られたと考えておるわけであります。そうして、その上に上乗せいたしますいわば二階建て部分につきまして、具体的にどのような方法によって調整を図るかにつきましては、それぞれの制度に及ぼす影響が非常に大きな問題でもあります。したがって、今後議論を尽くして、関係者の理解国民の合意を得るためにそのような趣旨でその構想を進めていかなければならないわけでございますので、現時点では今まで申し上げました以上の具体的な構想を示すことができないことは御理解をいただきたいと思います。
  138. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは原稿を読むだけであって、大臣、やはりお互いに話をするときには目と目を合わせながら話をしましょうよ。それであなたも大臣としての本音をひとつここで出してもらって、事務当局の書いた原稿はもう読まぬで議論しましょうよ。そうしなきゃ意味がないですよ。事務当局の原稿を読むぐらいなら部屋に呼んできて聞いた方がよほどましな部分がある。そういうことじゃなくて、あなた担当大臣としてこの大事業にかかわっておるわけですよ。  私が聞きたいのは、確かに国鉄共済は六十四年度まではと衆議院の中で一つ出てきた。ところが、これから先は何にもないのです。そうしてぽこっと上で七十年一元化と、こう出しておる。これではあんまり無体な話ですよ。特に、さっきも議論があったのですけれども既裁定者皆さんにしてみれば、戦前、戦中、戦後、ずっと国の政治の誤まりのために犠牲になって戦争の被害を受けてきた。戦後はその再建をしてきた。そうしてようやく老後に入って自分の老後の生活設計を考える一番基礎は年金ですよ。その年金を一方的に、断りもなしと言いたいけれども、通年方式に切りかえて、そうしてその間追いつくまではスライド停止、これじゃたまったものじゃないと思う。その犠牲を無理にお願いしながらもなぜ七十年一元化しなきゃならぬのかという説得力のある絵が欲しいと私は言っておるわけですよ。どういう絵を描いておるのか、その具体的なプロセスは何なのか、そこが衆議院段階議論を何ぼ読んでも出てこない。  だから、私がきょうあなたを待ち構えているのはそれなんです。それをあなたは——私は竹下さんにさっき聞いたら、竹下さんは私は担当大臣でないからよくわからぬけれどもと言うから、そうだと、それなら担当大臣は午後出てくるからと私は待ち構えておったわけです。それをあなたは原稿の棒読みやったんではどうにもならぬですよ。お互いに目を合わせながら議論しましょうよ。そういう意味であなたの描いているものを率直に、ざっくばらんに、言ってくださいよ。何もあなたの言質とっていやとか、こういうことを言いやせぬから堂々と腹を打ち割って、国民に向かって話をしてくださいよ。
  139. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 基本的には、先ほども申し上げましたけれども、各制度の安定を図っていかなければならぬということがまず第一に挙げられると思います。  それから、負担給付の公平性を確保していかなければならぬ。また制度間の整合性を保っていこう。こういう基本方針でやります場合に、それでは一元化ということは具体的にどういうことかと言いますと、一方では統合一本化するというお話もございましょうし、また制度それぞれ独立しておいてそうして制度間の調整を図って負担給付の公平化を図ってはどうか、いろいろな考え方があるわけでございまして、それをまさに先生がおっしゃるように組み立てていくことはこれからの議論でありまして、その大前提として基礎年金導入法案をお願いいたしておるわけでございますから、来年の四月以降早急にその具体的な構想を詰めていかなければならぬ、そういう事態に至っていると思います。
  140. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 先ほど竹下大蔵大臣は、統合という字を使っておりません、一元化ですと。この一元化という意味は各共済年金には歴史があり、沿革あり、内容も違い、特にとりわけ公務員の場合には公務員制度一環としての共済年金、こういうような違いがあるので、したがって統合という字を使っていないんですと。私は担当大臣ではないからわからないけれどもという断りはありましたよ。あったけれども、今の共済制度そのものが制度統合ということじゃなくて、給付できるだけバランスをとっていく、負担バランスをとっていく。そういう意味で私が受け取ったのは、今の制度はそのままとして残して、中身の負担給付バランスをとっていくんだ、それが一元化だと、竹下さんの一元化一環だと、こういうふうに私は受け取ったんですけれども厚生大臣もそういうふうな理解でいいですか。
  141. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) そういうお考え一元化一つの方法でございまして、したがって、そのことを来年四月以降詰めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  142. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、そういう方法もまた一つの方法なら、厚生省、厚生大臣としては何か別の一元化の中身を持っていますか、詰めていくのには対案も必要でしょうし、いかがでしょうか。
  143. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほど申し上げた統合一本化も一つ考え方でございますけれども、私としては各省の意見をまとめる役でございまして、私の方から立案してこういうものをやりたいからやれというわけにはまいりませんので、関係者の御意見もよく承ってまいりたいと思います。
  144. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうですか、担当大臣というのはそんなものでいいんですか。そうじゃなくてねらいがあるんじゃないですか。本当のねらい。あなた本音を言ったらどうですか。私は本音が出ていないからいろいろとややこしい議論になると思うんです。  今度の年金改正案を見ましても、端的に言えるのは国庫負担が大幅に減ってきますね。それはもう歴然とした数字が出ていますね。それで一つは何かというと国鉄共済はもう破産状態になっている。これをどう救うか。そのために国公に三公社を入れて統合する。そこで救済措置をやる。こういう方法をとる。二番目には。国民年金がまた危なくなる。危なくなったんじゃこれは大変だから、したがって、危なくなる前に、厚生年金の積み金四十九兆ですか、そこに目をつけてこれと統合していく。こういう一段、二段、三段ロケットという方式が本音であって、七十年の一元化というのはそれでは余りぎすぎすし過ぎて説明がつかないので掲げておるだけで、本音はそこにある、 こう私は思うんですけれども、違いますか。
  145. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) これまでいろいろな対策が行われてまいりましたし、これからも行われようとしておりますのは、一元化に向けましての地ならしの作業だというふうに思います。したがって、最終的な一元化の姿がどういうものであるかということはこれから関係者が集まって協議をしなければならない問題であろうというふうに思います。
  146. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それに対して厚生省としては一つの絵は持っていないんですか、主管担当大臣としては。
  147. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 私、年金担当大臣でありますけれども、事務局は厚生省ではございませんで内閣審議室でございますので、その方でいろいろ勉強はいたしておりますけれども、まだお示しいたすような案を持っておるわけではございません。
  148. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、あなたは年金担当大臣だからそこら辺の話がうまく聞けるんじゃないかと私は期待しておったんですけれども、なるほど、そういう意味ではあなた今開き直ったような内容でしょう。わかりました。それではあなたはそういうふうなものを持っていない、調整だけだと、こういうふうな前提で話しましょう。  その上で聞くんですが、さっき私が言った年金の一連の改正というのは国鉄国民年金、この救済にねらいがある、これは違いますか。
  149. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 国鉄の救済につきましては、現在、従前の三公社あるいは国家公務員共済組合財政調整をやっていただいておるわけでございまして、昭和六十四年度までは大蔵大臣の言明によりまして支給に差し支えないようにいたすということでございまして、現在のところ、そのような国鉄の救済をどうするかということは年金全体の問題としてはまだ考えるに至っておりません。
  150. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうふうなお答えなら、次の問題ちょっとお聞きしておきたいと思います。  これは自治省にもなりますか、この一連の各法の改正の中で一番打撃を受けるのは公務員共済ですね、ダウンにしても、率にしてもですね。そこで私はお聞きしたいと思うんですが、例えば、職域年金の場合には、竹下大蔵大臣も言っておったように、一面には公務員の特殊性もありましょう。しかし、同時にもう一つは、人事院からの調査を待ってというくだりの中に出てまいりましたように、企業年金を見てと、こういうのがある。企業年金を調べてみると、労使の負担は大体七対三ですね。それからちょっと大企業になりますと八対二ですね。それがどうして折半ということになっておるんですか、逆な意味で、逆官民格差というのが起こりゃしませんか。いかがでしょう。
  151. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今回の案を立案いたしますときに、私たちもいろいろなところから企業年金に関する資料を取り寄せて勉強はいたしました。先生がおっしゃるような数字も見たことがございますが、ただ一つ申し上げておきたいのは、企業年金というふうに一口で申しましても、大企業から中小企業まで非常にバラエティーに富んでおりまして、公務員共済年金を構成する場合に企業年金という形で参考になるものはなかなか得がたかったということが一つあろうかと思います。  もう一つは、今、先生がおっしゃいましたように、七対三とか八対二といった場合に、退職手当というものがその中に一体どういうふうに組み込まれているんだろうかというところの資料も実は得ることができなかったわけでございます。  したがいまして、今回私たちが公務員共済年金というものの新しい設計をいたします場合に、企業年金というものを自信を持って参考にするにはまだ資料が不十分だなという感じを受けて今回の案を作成したわけでございます。したがいまして、この問題についてはもうしばらく私たちの方では民間の情勢を見守りながら勉強していく必要があるというふうに考えております。
  152. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはちょっと外れますけれども、健保の場合も同じですね。向こうのいわゆる民間の健保、それから共済の短期ですか、これもやはり共済関係は折半負担。一方は七対三もしくは八対二ですね。こういうことを見ると、あなたは企業の中には大小によっていろいろ違いがあると言うけれども、違いがあるけれども、しかし中身を見ると七か八かの違いですね、中身はそう折半というのはない、率直に言って。そうすれば、民間の大勢は、いわゆる労使の負担は折半というのが大勢じゃなくて、七対三とか八対二とか、あっても一つの型はもうでき上がっているんじゃないかと思うんですね、短期も含めて。そういう状態になれば、公務員としての場合も、健保の場合には退職金は何の縁もゆかりもないわけだから、そういうことを含めて当然これは再検討というか、見直しをするというか、これは法律事項でもありますから、この際検討する時期に来たんじゃないかというような感じがしますけれども、いかがですか。
  153. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 健康保険の問題につきましては、今、先生がおっしゃいますように、健保の場合には折半負担になっていない、公務員共済の場合には折半負担になっておるということでございます。  公務員共済の短期についての負担割合を決める基本になっております社会保障制度審議会の答申におきまして労使折半の原則がうたわれているということと、もう一つは、公務員共済の場合に、私たち少しつらいのは、使用者側の負担を多くするということは、即それが住民の税金による負担だというはね返りがございますので、負担割合をもし変更するということになりましたら、そこは住民の意向といいますか、反応といいますか、そこらを少し慎重に見守らなきゃならないというふうに考えております。しかし、健保の方が労使折半負担でない、公務員共済の場合には労使折半負担だ、こういうような現状は私たち自身も認識を持っておるわけでございます。
  154. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 認識を持っただけじゃこれは宝の持ちぐされで、認識を持ったら直ちに行動にかからなきゃ話にならぬわけですけれども、そういうことを含めて検討していただくという理解でよろしいですか。
  155. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 絶えず勉強しなきゃならないというふうに考えておりますが、その勉強の一つの課題だというふうにお考えいただいて結構でございます。
  156. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 厚生大臣は今の話を聞きまして——もう一遍言いましょう。公務員に今度は職域年金ができましたね。その中で、あれは国庫が一銭も行っていないわけで、原資は労使折半です。その問題について竹下大蔵大臣とさっきいろいろ議論し合ったんですが、結果的に竹下さんの意見としては、一両年のうちに人事委員会の調査を待って検討しましょう、こういうことに衆議院段階答弁をいただいたんですけれども、その際に、竹下さんも口に出しましたように、企業年金を見てと、こう言っていましたが、その企業年金は今お話しのように、若干の違いはあってもほとんど七対三か八対二ですよ。折半というのはない。それが一つ。  もう一つは、今度は民間で言うと健保がありますね。共済で言いますと短期と言うんです。その分が一緒になって今は共済組合になっているんですね。この医療とか、短期のものはこれも民間の場合には七対三か八対二です。公務員の場合には折半なんです。これはある意味で逆官民格差ですよ。ですから、ここら辺は厚生大臣としてどういう御認識を持っておるのか、それをちょっと聞かせてください。
  157. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 所管が違いますので、私なりの個人的な感想を述べたいと思いますが、民間の企業年金の場合には退職金相当分がかなり、含まれておるわけでございますので、そういう意味から企業負担が多くて個人負担が少ないという結果につながっておるんだろうというふうに思っております。したがって、公務員の方をどういうふうに考えるかということは、これはいろいろ審議会なり何なり御意見があるようでございますの で、御所管の方でお考えいただければ結構ではないかというふうに思います。
  158. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まあ、あなたは調整をする役だと、こうおっしゃるから、調整するあなたの方の認識が違っておったんじゃ困るから問題提起をしたわけです。これはひとつ十分勉強なさってください。私は逆格差になっておるような感じがします。年金の方は基本がなくなって、今度は通年方式、厚生年金と同じになっておるわけだ、そういうことを考えてみると感じがします。それを検討してもらいたいと思います。  そこで、大臣と小林審議官にちょっと聞いておきたいのは、地方公営企業の問題です。  この負担金が言いかえれば企業負担、こういう仕組みになっておるわけで、これは衆議院でもいろいろ議論をなさったようでありますけれども地方公営企業の職員も同じ地方公務員であり共済組合員である、中における扱いにこういう差があっていいのかどうなのか疑問だと前々から私は思うんです。特に地方公営企業の場合には、あなたも御存じのとおりに、独立採算制が非常に強く指導を求められる、経営の健全化、料金の高騰を抑えなさいとなかなか規制が厳しい。そういう中で基礎年金に対する措置が企業の中で払えというのはこれはとても大変なことで、やはり一般会計から道を開くことが重要じゃないか、これは大方の認識としてはそうだと私は思うんです。きょうは財政局長があれば財政局長にと思ったんですが、おりませんので、小林さんの意見、大臣の意見等をお聞きして、ぜひそこら辺の検討をしていただけないものか、こういうふうに思っておるわけですが、いかがですか。
  159. 小林実

    説明員(小林実君) 共済制度につきまして地方団体の負担がございますけれども、これは雇用者としての負担部分とそれから公経済の主体としての負担部分があるということで考えられますが、この公経済の主体としての負担部分につきましては現行の共済制度発足時に全体としては地方団体の負担とされましたけれども、その際、公営企業につきましては国の企業関係職員と同様公営企業会計において負担することとされた経緯がございます。今回の制度改正によります基礎年金導入によりましても、地方団体の実質的な負担関係は変わりはないわけでございますが、新しい制度発足後の公営企業職員分の取り扱いにつきましては、従来の経緯もございますし、それから財政全体にかかわる問題でもございますので、検討してまいりたいというふうに考えております。
  160. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣、時間がございませんから申し上げるんですが、私は国の四現実とは違うと思う、率直に言って、今までのそういう経緯から見ましても。そういう意味では、結局、地方公営企業の場合には料金にはね返ったりしないとも限らない。そういう性格を帯びるわけですから、これは大臣、ぜひそういうことを含んで検討して、あなた自身も地方公営企業はよく御存じのことなんですから、国の四現実との関係を言っておったんじゃなくて、独自にこの問題の処理を決着づける、こういう決意を持っていただかなきゃならぬのじゃないかというふうに思うんですが、そういう意味大臣の御見解をお受けしておきたいと思います。
  161. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) お説の点は、私も国の四現実とは直接のあれは違いますけれども、今の先生の御意見、そして現実にやっていること等を見まして、公的負担のあり方についてひとつ検討してまいります。
  162. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 終わります。
  163. 中野明

    ○中野明君 厚生大臣も時間に制約を受けておりますので、まず厚生大臣関係を先にやらしてもらいます。  御承知のとおり、我が党におきましては、基礎年金導入することについてはかねがねの主張でございました。その意味におきましては、今回の措置については一応の、それなりの評価はやぶさかでありませんけれども、しかし、国民年金法のときにも議論がありましたように、基礎年金導入につきましても基本理念に十分沿っておらないということで、私どもも不満は残しておるわけであります。  そこで、午前中もただいまも同僚議員からお話が出ておりますが、今回のこの共済年金改正に当たりまして、公務員共済には大変我慢をしてもらいたいという中身になっております。今お話にありましたとおり、閣議決定で「七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」、このようにおっしゃっているわけですから、これほど加入者に我慢を強いてまでやる以上は、七十年にはこういう形にしますよ、こういう形になりますよという具体的なものをお示しにならないと理解と協力は得られないんじゃないかということで重ねてお尋ねするわけです。年金担当大臣として、先ほども調整役だとおっしゃっておるんですが、この国鉄共済に見られるように、どうしても将来そういうところが次々に出てくるんじゃないかという心配をいたします。ですから、年金担当大臣としては、一元化の最終的な姿として財布を一つにせねばならないんじゃないか、このようなお考えを持っておられるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  164. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 財布を一つにするということは、恐らく年金制度全体を統合するというふうにお考えではないかと思いますが、私どもは、それも一つ考え方であるけれども、しかし制度の分立を前提として制度間調整にとどめるといった構想も考えられるわけでございますので、そのいずれか一方に偏った考え方を今持っておるわけではございませんで、少なくとも、一元化過程では公的年金制度全体について長期的な安定を図ることと、給付負担の各制度間の公平性を図る、整合性をとるという、抽象的なことでありますけれども、そのような基本で対処してまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  165. 中野明

    ○中野明君 国鉄問題一つとってみましても、制度間の調整が大変難渋するということは目に見えておるわけであります。ですから、私はきょうあすとか、七十年まで絶対というような意味で申し上げているんじゃなしに、将来的な構想としては、最終的にはそこを目標にしないといわゆる年金というものは国民理解と協力を得られるような姿にはならぬのじゃないか、こういうふうに申し上げているんですが、その辺もう一度お答えいただきたいと思います。
  166. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 制度が別でも、事実上先生のおっしゃる財布を一本化する、これはまあ全部の財布でなくても、そういう調整機能を有する財布を一緒にするという、その部分を一緒にするという考え方もあろうかと思いますけれども、いずれにしましてもまだそこまで具体的に詰めておりませんので、今具体的な構想をお示しするわけにはいきませんのが残念でございます。この法律案が通りまして、基礎年金によってある程度の一元化がスタートした時点から早急にその構想を固めてまいりたいというふうに考えております。
  167. 中野明

    ○中野明君 大体、今できていないとおっしゃるんですから、これ以上平行線でございます。そうしますと、今お話がありましたように、この法案が通ってからいろいろ考えるということなんですが、皆さんが心配をしておりますのは、我々も一緒なんですが、こういう制度を変えたときに、要するに、財政再建が優先をして、そして国庫補助を、国の負担を減らすということに重点が置かれている。そして加入者には我慢をしろ、給付は悪くなりますよ、国の負担は減らしますよ、そして掛金は上がりますよと、こういうことで先の見通しも示されないということになるとこれはもう入っている者は不安でたまらぬ、こういうことなんです。  ですから、国の負担をふやせというのは今の財政状況から言うべくして無理だと思いますが、国の負担は現在のままでいきます、だから我慢をしてくださいというのならある程度今の大臣答弁理解する人が多いと思うんです、国の負担を減らしているものですから。そうすると、はっきり将来の形を示してもらわないと途中で何をやられ るかわからぬ、こういう不安が後に残っている。そういう意味で申し上げているわけでして、そうしますと今の大臣のお話じゃないですけれども、構想を示すめどを大体どの辺に置いておられますか、この法案が通過した後から。そう何年も何年もやっておったんではたまらぬわけでして、大体こういう構想で、スケジュールを組んでやっていきたいと思いますと、そういう腹案はお持ちですか。
  168. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 大臣が御答弁いたします前に、計数にわたることもございますので私から御説明さしていただきたいのであります。  まず、これは私ども直接所管しております厚生年金国民年金を頭に置いて御答弁しますので、あるいは共済の御審議の場においてはそぐわないかと思いますが、今回の改正というのはあくまで、大臣が今申しましたように、給付負担バランスをとるということですが、給付は非常に控え目になって負担だけがふえる構想だと私どもよく御指摘を受けるのでございますが、私ども端的に申しまして現行のままでいけば、厚生年金で言えば現役の給料の三八%、四割近い保険料負担になるものを二八・九%、三〇%以下のところでとどめたということが今回改正の主眼と考えております。  したがいまして、国庫負担につきましても、確かに現行のままで進みました場合に比べますと国庫負担のふえ方はもちろん小さくなるのでございますが、これは全体の給付の適正化に応じてでございまして、やはり国庫負担そのものはかなり将来まで数字をもって国民年金厚生年金を通じた国庫負担額を示すということはできているわけでございます。そのような意味で、大臣も先ほど申しましたように、基礎年金導入ということ、あるいはその上に各制度給付のかなりの適正化が実現されることによって、大きな意味での一元化への基盤づくりは動き出すんだというふうに考えているわけでございます。  ただ、いろいろ御議論ございましたように、また政府部内で議論をいたしましても、各制度の独立をいかに生かすかということ、あるいは各制度にも例えば、厚生年金がない職域部門があったりいたしまして、そういったことについてはやはり今回の改正が実施されます四月以降、政府部内でも率直な意見をぶつけながら今回の検討をしなければいけないと思っております。  それで、私ども実は内閣の仕事も併任であずかるということで、私も内閣審議室の仕事も併任で受けておるのでございますが、どうやって今後政府部内で検討するか、はっきり申しまして時間的スケジュールはもとよりのこと、どんな形で政府部内で検討するかもやはりできるだけ早い機会に事務的な相談もしなければならないという、そういう意味では検討に着手することについてはかなり差し迫った気持ちでいるわけでございます。ただ残念ながら、大臣も申しましたように、何年ぐらい先にこういう構想を練って、何年目からそれについての準備に入るというようなことを全く今のところは持ち切れないのが率直なところでございますので、何とかその点は御理解いただきたいと思うわけでございます。
  169. 中野明

    ○中野明君 これだけの改革法案を出しておられるわけですから、もう当然一緒に将来のスケジュールが示されるのが当たり前なんです。それを、これからまだやってみないとどうもわからぬというようなことでは、まことに不親切というんですか、怠慢というんですか、そういうふうにしか言いようがありません。まだ決まっていないというんですから、これはもうなるたけ速やかに着手されて、そして七十年には大体こういう考えです、それから後はこうですというようなことを示さないと、やはり不安と不満は後へ残っていって、せっかくの制度が台なしになる、私はそういうふうに心配をします。強く要望しておきます。  それからもう一つは、先ほどもちょっと出ていましたが、この基本年金も、果たして現在の状況で基本年金だろうかということで、ちょうど厚生大臣がいらっしゃいますのでお尋ねをするわけなんですが、この基礎年金は二十五年以上国民年金に加入していなければ支給はされないということになっていますが、この保険料の未納者あるいは滞納者、この対策が不鮮明であるように私は思うんですが、無年金になる人たちができてくる心配があるんです。そういう点について一体現在どれぐらい未納者あるいは滞納者、法律的にもう納めぬでよろしいというんですか、そういう人たちは幾らぐらいおられるんですか。
  170. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) お答え申し上げます。  国民年金の保険料の免除者、滞納者の状況でございますが、まず保険料の免除の状況でございますけれども昭和五十九年度で法定免除を受けている者は八十七万人、それから申請免除を受けている者が二百三十二万人でございます。合計いたしまして三百十九万人でございますが、これはいわゆる国民年金の強制適用グループの方に対しまして一七・四%という数字になっております。  次に、保険料の滞納者でございますけれども、実は、滞納者という形で滞納者数を統計的にとっておりませんで、保険料を納入すべき月に対して幾ら、その何%は納入されたかという率で私ども統計をとっておりますので、その検認率で申し上げさせていただきますが、昭和五十九年度で九四・一%になっておりまして、五・九%は滞納ということでございます。  ただいま先生の御質問は、こういった滞納をされる方、また免除を受けている方への影響は将来年金受給の上でどういうふうになってくると考えているかということだと思いますが、免除を受けておられる方につきましては、これらの方々がこの期間につきまして保険料を免除された期間が三分の一の給付になるということになるわけでございまして、いわば基礎年金としての満額を受けられないということになるわけでございますが、現在保険料の免除を受けられた方につきましては、十年間に追納をするという仕組みがございまして、現実にも相当の方が収入がもとへ戻られた段階で追納しておられます。そういうことでございますので、今申し上げました数字が即その額の減額に結びつくとは申し上げられないかと思うのでございますが、一七・四%の方がそういう意味では額の減少に結びつく可能性を持っておるということでございます。  問題は滞納者の方でございまして、滞納されますと、本来必要となっております資格期間に満たない場合には年金をお受けになれないという事態になるわけでございます。これは、国民年金ということが現在の私どもの理念でございまして、できるだけ多くの方が年金に結びつくというような対策をとらなくてはいけないと思っておるわけでございます。この滞納者の方々につきましては、できる限りその保険料を納入していただけるよう、もし納入していただけないような実態があるならば免除申請の手続をとっていただくよう、細かく指導してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  171. 中野明

    ○中野明君 重ねてお尋ねをするわけですが、この保険料が現在の状態の推移で上がっていきますと滞納者がふえるんじゃないかと私どもは心配しているわけなんですが、この点についての見通しですね。免除者と滞納者がますますふえてくる傾向にあるのか、それとも減るのか、その辺はどう見ておられますか。
  172. 長尾立子

    政府委員(長尾立子君) 確かに、保険料の上昇が保険料の徴収成績に影響を与えるのではないかということはごもっともだと思います。長期的に見ますと、保険料が非常に上がりました過程で免除率が上昇するという傾向は見られております。  今後、この免除率自体が上昇していくのかどうかという予想でございますが、ただいま五十九年の数字を申し上げたわけでございますが、絶対数の増加自体は実は鈍化をいたしております。しかし、被保険者数自体が減少傾向にございますので、率としては上昇してくるという傾向にあるわけでございますが、六十年現在までの状況を経過的に見ておりますと、六十年度の数字はそれほど上昇しないのではないかというふうな感じを持っ ております。保険料の免除のことにつきましては国会でもいろいろ御審議をいただいたわけでございますが、私どもは保険料の免除をお受けになる場合に、年金額にさっき申し上げましたような影響が出るということについて被保険者の方に十分御説明をしていない嫌いがあるのではないかという面で十分指導を強化してまいりたいということを申し上げておるわけでございますが、そういう指導をやらしていただいております。こういう意味では保険料の免除が今後急激に上昇していくということは余りないのではないかという気はいたしております。  問題はもう一つの方の滞納でございます。滞納の面につきましては、実は、被保険者の把握といいますか、保険料を納入していただく人たちの把握が大変難しくなっているところがあるのではないかということでございますが、この点につきましては、例えば、国民健康保険の被保険者台帳等から対象者を的確に洗い出しまして、できる限り滞納という事態がないような、こういうことをやらしていただきたいと思っております。基本的には、保険料を今三カ月に一度まとめて払っていただくわけでございますが、これがなかなか納入しにくくなるというような事情もございます。今回の法律改正によりまして、これが毎月納付というふうに変更になりますが、こういった毎月納付を実施いたしますこととか、それから納入の方法につきましても、例えば、口座振替というような方法をとりまして、納入されやすくなるといいますか、そういうような措置をとらしていただきたいというふうに思っております。
  173. 中野明

    ○中野明君 いずれにいたしましても、一万円を超えるような掛金になってまいりますと、これは大変な滞納者といいますか、そういう人が将来出てくるんではないかと心配しているわけですが、大臣、そういうことについて、将来これは大きな問題になってくるんじゃないかと思いますので、せっかく基礎年金導入されても滞納者が出たり、あるいは免除してもらったけれども、後でもう一遍掛けられるという人はなかなかそう数多くないんで、今の答弁ではかなり出ておるように言われますけれども、そういう面のせっかくの基礎年金の趣旨が外れてしまうような形になってもこれ困りますので、その辺はぜひ今後の課題として対策検討していただきたい、こう思うんですが、お答えいただきたいと思います。
  174. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、せっかく制度がございましてもその対象から外れていくという方々があることは大変残念でございますから、そういうことをなくするためにはどういうやり方をすればいいかということを含めまして、よく研究、検討をさせていただきたいと思います。
  175. 中野明

    ○中野明君 それで、文部と警察関係にお尋ねをするわけです。  地方公務員共済組合連合会が発足しておるわけですが、公立学校の共済と警察共済は当面別建ての制度として参加はしておられないようです。今回の改正一元化の方向を目指しての大改正であるわけなんですが、今回の改正地共済で連合会に一緒に入られたら一番よかったんじゃないかと私ども考えるわけなんですが、これができなかった理由をお聞かせいただけますか。
  176. 岡林隆

    説明員(岡林隆君) お答えいたします。  地方公務員連合会から当分の間公立学校共済組合が除かれておるわけでございますが、その理由といたしましては、一つは、公立学校共済組合は約百十三万人もの組合員を擁しまして、安定した規模で、一般行政職とは異なる職域によりまして既に全国一本の長期給付事業を行っているという事情にあること。それから二点目が、連合会設立のねらいの一つが一部の小規模共済組合年金財政の救済にあるわけでございますが、当面その救済は一般地方行政職員の共済グループで十分可能と考えられるということが二点目でございます。それから三点目が、連合会への加入には相当巨額の拠出金を要するものでありますため、組合の他の事業への影響等検討すべき課題もあり、このため大世帯であります公立学校共済組合の合意形成は段階的に進めていく、そういう必要があるということでございます。  文部省といたしましては、連合会設立が公的年金制度一元化を展望したものである、そういうことから公立学校共済組合も連合会に加入する必要がある、そういう認識はもちろん持っておるわけでございますが、加入につきましては現在のところ見通しが立っていないというのが正直なところでございます。ただ、今後連合会の運営状況などを勘案しながら、さらには将来の年金財政の見通し、それから年金制度全体の改革の動向等をも踏まえながら、その加入につきまして合意が得られるように関係者間で協議をし、検討を進めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  177. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) お答えをいたします。  警察共済組合地方公務員共済組合連合会への加入につきましては、当庁といたしましては早期に加入することが望ましいと考えておりますので、今後とも関係機関との協議を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  178. 中野明

    ○中野明君 文部省の方はやはり基本的には連合会に加入すべきだというお考えのようですが、大分時間がかかるんですか。見通しといいますか、目標はどういうところに置いておられますか。
  179. 岡林隆

    説明員(岡林隆君) ただいま申し上げましたとおり、現在のところまだその先の見通しがはっきり立っていないというのが現在の状況でございます。
  180. 中野明

    ○中野明君 自治大臣、これはなかなか難しい問題はあるんですけれども政府は基本的に年金一元化という方向にもう大方針を決めていっているわけですから、自分のところさえよければいいという考え方になったらもういつまでたってもできませんので、その辺は、自治大臣の管轄下には警察の関係も入っておりますので、ぜひそれは地方公務員共済地方公務員共済で一本になる方向に努力をしてもらいたい。そうしないと説得力がなくなってくると思います。国民から見ても、どうしてこれここだけ別になっているんだ、こういうことになりまして、結局将来は、国鉄ではないですけれども、弱いところがやはり出てくるんじゃないか。そうなってくるとまた調整でごたごたするということですので、担当のところもありますし、文部省の関係もありますが、ぜひその辺は御努力を願いたいと思うんですが、どうでしょうか。
  181. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 自治省としては、両共済もできるだけ早い時期に今の共済と一本になるということが望ましいと考えておりまして、文部省や警察庁にも申し入れております。それで、文部省は今課長が話されましたように、関係方面と引き続き検討中であるがまだ見通しが立っていないという回答もございました。警察共済組合の警察庁からは、前向きに検討するが、新たに加入する共済組合が同一歩調がとれるよう配慮すべきであるという趣旨の回答がございました。今回の改正につきましては特別の措置はとらなかったんでありますが、しかし、自治省としてはできるだけ速やかに今のお話のように両共済組合も連合会に加入することが望ましいと考えておりまして、その線で努力をいたすつもりでございます。
  182. 中野明

    ○中野明君 次に、人事院にお尋ねをしたいんです。  人事院は、けさほども議論がありましたように、公務員年金制度に対しては調査研究、そして意見を述べる役目を持っておられるわけなんですが、今回のこの職域年金、このことについて人事院としては何か物をおっしゃったんですか、どうでしょうか。
  183. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) お答え申し上げます。  今回の年金制度改正の基本的な考え方は、高齢化社会の到来と社会経済情勢の変化に対応いたしまして、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため公的年金制度一元化を展望しつつ改正を進めるというものでございまし て、公務員にとっては厳しい改正になっているということは認めざるを得ないわけでございますが、公的年金一元化の流れの中で、同一世代内のあるいは世代間の公平性の確保、こういうものを配慮しながら共済年金制度を安定的に維持していくというためには基本的にはやむを得ない面があるんではないかと考えております。  しかしながら、公務員の退職年金制度と申しますのは一般被用者年金制度とは異なりまして、単に社会保障年金としてのみならず、公務の公正かつ能率的な運営に資するという公務員制度の側面を有しておりますから、人事管理上重要な役割を果たしていることから、今回の改正に際しましては、国家公務員法百八条に基づく正式な意見の申し出というわけではございませんが、職域年金のあり方を中心といたしまして、公務員制度一環として機能し得るよう十分な配慮を必要とする旨の申し入れを所管庁に対して行っております。
  184. 中野明

    ○中野明君 それはいつ、どういう形でなさったんですか。
  185. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) ことしの一月十四日に、私どもの給与局長から大蔵省の主計局長に対しまして口頭でその趣旨を申し入れております。
  186. 中野明

    ○中野明君 今回の改正案は、たしか私五十九年の十月ごろに改正案の大綱はまとまっておったように思うのですが、そういう案が出てから口頭で言うというような、そういうのんきなことでいいんだろうかと思います。そして、この口頭で申し入れられたものを見せていただきましたが、「年金制度改正に際しては特に職域年金の在り方を中心として公務員制度一環として機能し得るよう十分な配慮を必要とするものと考えます。」こういう言い方なんですが、この意味はどういう意味なんですか。もう法案ができているわけですから、改正案の中身に人事院としては満足をしていらっしゃるのかどうか。
  187. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 先ほどの給与局長からの口頭申し入れと申しますのは一月の段階でございますけれども、それ以前の検討段階におきましては、人事院といたしましても事務的なベースで所管省庁等に対しまして御意見を申し上げたという経緯はございます。  この案の内容についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、こういう改正案が出てまいりました経緯等がございまして、公務員にとりましては非常に厳しい内容であるということは認めざるを得ないわけでございますけれども、この職域年金が別途設置されているという点から公務員制度としての側面は維持していけるのではないかと思っております。
  188. 中野明

    ○中野明君 それで、先ほど議論が出ておりましたが、この職域年金部分の水準、これは公務員の特殊性から見て妥当なものと考えておられるかどうかなんですね。それは人事院が調査研究もしておられるわけですから、けさほど出ておりましたように、千分の一・五というのが前は千分の二・○ですか、そういうような説明があった、今回は一・五になったということなんですが、このことについて人事院はどういう見解を持っていますか。
  189. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 今申し上げましたとおり、公務員年金は一般被用者年金と異なりまして、公務員の退職後の適当な生活の維持を図ることによりまして公務の公正かつ能率的な運営に資するという側面を持っておりますので、職域年金相当部分と申しますのはその中心的な役割を果たしていると考えております。そういう点からいたしますと、職域年金相当部分の水準は厚いものとすることが望ましいわけでございますけれども、将来の保険料負担限界等保険数理との兼ね合いもあるということも理解できるところでございますので、今後退職公務員の生活実態、民間の企業年金の動向等を踏まえながら人事院としては研究してまいりたいと思っております。
  190. 中野明

    ○中野明君 以前には、昭和二十八年でしたか、人事院が国会と内閣に意見を述べられたという実績もあるわけです。今回は非常に控え目になさって、この改革というのはすべて大蔵主導、財政当局主導で行われているのではないかというふうに我々にはもう見えてくるわけなんです。ですから、人事院としては責任があるわけですし、人事院の役目もあるわけで、調査研究というのは人事院の大きな仕事なんですから、ぜひ研究をされ調査もされて適切な答えを出していただきたい。それが今後の年金の運用に当たって反映できるようにしていただきたいと思うんですが、その辺はよろしいでしょうか。
  191. 小堀紀久生

    説明員小堀紀久生君) 御趣旨を踏まえまして、人事院といたしましては今後十分に検討してまいりたいと思っております。
  192. 中野明

    ○中野明君 これは衆議院段階でも随分議論になって、参議院でも恐らく議論になってくると思いますが、ぜひこれは大臣もよく御了承いただいておって相談に乗っていただきたい、こう思うのでございます。  それから、次の問題に移りたいと思いますが、基礎年金制度が、すべての婦人に自分名義の基礎年金に加入して支給するという婦人の年金権の確立を図ったと言われておるわけですが、地共済においても年金受給権者の配偶者は離婚によって基礎年金部分しか受けられなくなって低額となってしまうおそれがあるのじゃないかという心配があるのですが、この辺はどうお考えになっていますか。
  193. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 御説明申し上げます。  今回の基礎年金導入でございますが、これは国民共通の基礎年金導入するということでございますので、地方公務員でありましょうと民間企業でありましょうとその基礎年金の適用の関係は全く同じでございます。したがいまして、先生が御指摘のように、地方公務員の職員の被扶養配偶者であった方が離婚をなさいますと、その被扶養配偶者であった期間は御本人の御婦人の基礎年金の資格期間に入りますし、それからまた同時に基礎年金の算定のための期間にも算入されるわけでございます。そして離婚なさいまして、その方が自営業となられますれば独自に第一号被保険者として国民年金に加入される、あるいはその方がお勤めになり他の厚生年金等の適用を受けられますればそちらの方の保険を通じてまた国民年金に加入される、こういうことになってこようかと思います。
  194. 中野明

    ○中野明君 今の場合は仕事がある人なんですが、仕事のない人たちはもう何にもなくなってしまうわけですので、地共済年金についても給料比例年金の一部の権利を離婚した妻に配分する、そういう考えはないのかどうか。
  195. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 御指摘のように、一人一年金制度という形で構成いたしますのは基礎年金部分でございますから、共済年金の部分が離婚に伴ってその方に権利として帰属するということはございません。
  196. 中野明

    ○中野明君 わかりました。次の問題に移ります。  これは先ほども出ておりましたが、共済法案共通なんですが、今年金を受けておられる既裁定者に対してスライドを停止して調整するということがうたわれておるわけなんです。スライドを停止される人の、佐藤先生もさっきおっしゃっていましたが、上の方は私なるほどと思えるんですが、真ん中以下の人ですね、低い人、スライドされる人の分布といいますか、その辺はつかんでおられるんですか。大体どの層がどれぐらいになっているのか、それをおつかみになっておるんでしょうか。
  197. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 先ほど、部長の方から全体の基本ルール適用者という人数を御説明申し上げたわけでございますが、通年ルールすなわち厚生年金と同様の算定をいたします方が有利になる方というのはその者の有しておられます組合員期間、それから同時にその者の最終の年金の算定基礎になっております額との相関の関係で定まってまいります。例えば、三十年の組合員期間を有しておられます方はちょうど分岐点が二十九万ぐらい、最終給料が二十九万ぐらい、三十二年の方が約三十万ぐらいというような数字になってまいり ます。先生御指摘のように、それぞれの人数が現実にどの程度あるかということは現在つまびらかにしておりませんのでまことに申しわけございませんが、さよう御理解いただきたいと思います。
  198. 中野明

    ○中野明君 標準的な方、標準以下の方、この方たちまで停止をするというのは余りにも酷じゃないかという考え方を我々持つんですが、その辺何とかどこかに線を引いて、そして何%以下の方はこれはもう現状のままでいくべきだ、そういう措置はできないものですか。
  199. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先ほど佐藤先生にも御説明申し上げたわけですが、この従前額保障するという考え方は、この改正法が施行されましたならば、それ以後に裁定される方とのバランスからいって、既に年金が裁定されておる方についても我慢していただかなきゃならないわけでございますけれども、やはり今回の改正案をつくるときの一つ考え方として既得権というものは尊重していこうということでとらしていただいた措置でございます。その既得権を尊重するというときにはいろいろな考え方があろうと思います。先生のおっしゃるような考え方もあろうと思いますけれども、やはり年金額の高い方も低い方も同じように既得権を尊重していかなければならないというふうに私は思います。  そこで、今、先生がお話しになりますように、年金額の低い人だけという考え方は私も理解できますけれども、やはり改正法施行前と施行後のバランスというものを考えさしていただくということにして、やはりどちらも公平に取り扱わしていただきたいということでございますので、先生のおっしゃる気持ちも私としてはよくわかりますけれども、どうかこの点については御了解いただきたいと思います。
  200. 中野明

    ○中野明君 これは佐藤先生も触れておられましたが、高い人はいいんですけれども、弱い人は何か我々もお話を聞いておってこれはひどいなという感じを受けますので、その辺もいずれ大臣の方にも、いろいろ各委員会共済の共通の問題ですし、先ほどのお話もありましたのでこれ以上申し上げませんが、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  それから、次の問題としましては、地方公務員共済組合法の一条の二で、これも衆議院でもえらい議論になりまして、いわゆる物価の諸事情に著しい変動があったとき速やかに年金給付の額を改定するとしておるんですが、これはやはり賃金の著しい変動というものも加えて対処すべきじゃないかというのが衆議院段階でも強い意見でございましたので、ぜひこの点も含めて大臣にお願いをしたいと思います。いかがでしょう。
  201. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) この点は厚生年金の参議院の修正もありますが、物価と賃金の動向を反映させるために再評価が行われているのでありまして、今後も地方公務員共済におきましても厚生年金同様の措置をとることを予定しておりますし、これによって賃金の動向も反映されるものと考えておりますので、この規定に関する修正等につきましては本委員会審議の推移等を十分踏まえて対応していくこととしております。
  202. 中野明

    ○中野明君 それから、職域年金部分の支給要件の中で、組合員の期間が二十五年以上と二十五年未満とでは著しい差が出てくるようになっておりますが、この点については何らかの是正策を講じる必要があるんじゃないだろうか、こう言われているんですが、この辺はどうでしょう。
  203. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 職域年金部分の支給につきましては、退職共済年金の受給要件である二十五年間という期間を公務員としてお勤めいただいたときには丸々千分の一・五を支給しようじゃないかということで御提案申し上げております。この二十五年という期間につきましては衆議院においてもいろいろ議論がございました。私たちもその議論もそれなりに理解できるところがございます。法案修正にもかかわることでございますので、本院においていろいろ御議論いただき、また四共済に共通する問題でございますので調整していただくということになろうかと思いますが、私たちもその推移というものを見守っていきたいというふうに考えております。
  204. 中野明

    ○中野明君 大臣、この点も含めてよろしくお願いしたいと思います。  それから、併給調整の問題なんですが、現在、夫の遺族年金と妻の退職年金など二つの年金が支給されている制度をやめまして、今後は原則として一人一年金という改正になっておるわけなんですが、夫に先立たれた人で非常に気の毒な人もおるわけですので、こういう点もただもう一遍にすぱっとやってしまわないで、年金額の制限を設けたらどうなんだろうか。ここから上の人は我慢してください、ここから下の人は両方もらって何とか生活が成り立つようにしてあげたい、こういう配慮は考えられなかったものかどうかという点についてお答えいただきたいんです。
  205. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) この併給調整の問題につきましては、厚生年金法の改正の際にも衆議院、参議院のそれぞれの社会労働委員会で大変議論されました。私もその議論を傍聴いたしましたが、現在私たちが御提案申し上げている同じ内容で結局議決されたわけでございますけれども、この併給調整ということを、先生がおっしゃる考え方一つ考え方だと思います。ただ、非常に技術的に難しいという問題がございますことと、私たちの場合にはできるだけ低い年金をかさ上げしていこうじゃないかということで、例えて申しますと、六十歳からの特別支給という制度がございますが、その中の定額部分については二百四十月のみなしをするとか、あるいは障害共済年金とか遺族共済年金につきましては三百月みなしをするとか、あるいは障害共済年金厚生年金相当部分につきましては一定額を保障するとかということを行いまして、低額というものができるだけ避けられるように措置を講じまして今回の併給調整をやらしていただいたらどうだろうかということを考えたわけでございます。厚生年金審議のときにも盛んに議論された問題でございますし、私たちもその議論を踏まえた上での御答弁でございますので御了解いただければと思います。
  206. 中野明

    ○中野明君 それから、法律ができ上がるといつも過渡期ということで不満が出てくるんですが、この改正案が成立して来年の四月一日施行ということになったとして、来年の三月三十一日までに夫が死亡した人は併給がもらえる。ところが、四月一日以降に亡くなったらもうだめなんだ、併給は禁止だ。そんなことは全然ないとは言えません。そんな極端なものも出てくるんではないかと、こう考えるんですが、ここらについての経過措置ということはお考えになっていないんでしょうか。
  207. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 制度をつくりますというか、制度改正する場合にいつも突き当たる問題でございます。そこの経過措置がないかということでございますけれども、四共済の担当者が集まりましていろいろ議論いたしましたけれども、やはり通常の制度と同じように、今回の制度の施行前後によりまして先生が御指摘になるような事態が避けられないかというふうに思いますが、非常に私たちも心痛めますけれども、いつも制度改正するときの問題でございますので、ひとつこの際も御了解いただきたいということでございます。
  208. 中野明

    ○中野明君 それは、制度改正のときにはわからぬことはないんですが、一日違いでひどい違いが出るというのは余りにも酷じゃないか、そういうふうに我々もつい思うものですから申し上げているわけです。  それから、組合員期間が六カ月以上一年未満で障害者となって、障害年金が支給されていない過去の障害者に何とか厚生年金の場合に準じて障害年金を支給することができないか、こういう問題です。  もう一つは、やはりこれ同じく六カ月以上一年未満で遺族年金を受けていない人、この人たちを何とか救う方法はないか、厚生年金並みにしてやるわけにいかぬか、こういうことなんですが、その辺はどうでしょう。
  209. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 非常に実感的によくわかるお話でございますけれども、この問題も衆議院段階において議論されました。制度改正するときにそういう問題が起こってまいりますが、一つは実務的に非常に大変だろうという気がいたします。地方団体三千三百ございますけれども、特に今先生おっしゃいました遺族年金の場合には、その扱いについて実務的に非常に難しい問題があるだろうというふうに共済組合関係者は言っておりますので、その問題につきましては問題の提起としてはわかりますけれどもなかなか取り扱いが難しい、衆議院段階議論されましたときに、四共済関係者が集まって相談はいたしましたけれども、やはり取り上げるのは難しいんじゃないかというふうに私たちも現在考えております。
  210. 中野明

    ○中野明君 事務的に非常に難しいということは、私も衆議院段階議論は承知しているんですけれども、事務側からすると、やろうとすると難しいかもしれませんが、関係者、要するに障害した場合は本人の申告、遺族年金の場合は遺族の申告ということにすれば事務的にも可能じゃないかと私は思うんですが、どうお考えになりますか。
  211. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 申告制度でどうだと、こういう御提案でございますけれども、非常に重要な、基本的な権利にかかわる事項につきまして申告制度ということできちっと割り切ってそれでいいかということになりますと、そのことにつきましても共済専門家の間ではいろいろ議論がございますので、私たちは今回の問題としてはなかなか難しいんじゃないかというふうに考えざるを得ないわけでございます。
  212. 中野明

    ○中野明君 これは、うそを申告するというような人は私は全然おらぬと思います。もう亡くなっている場合は遺族ですし、けがをしたのも障害であったら本人ですから、障害してないのに障害だと育って申告するそんなとんでもない人はおらぬと思いますので、その辺は事務的にも煩雑さが避けられるし、可能じゃないか、私このように今なお思うんですけれども大臣、どうなんでしょうね。こういう点についても官民格差というのがこれは逆になっているわけですから、厚生年金並みにしても当たり前じゃないかという感じがするんです。ぜひこれは修正をしてもらいたいという考えを私は持っておりますが、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  213. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 繰り返しの御答弁になるかと思いますけれども衆議院で問題が提起されましたときに関係四省の担当者が集まりまして相談いたしました。実務的に難しいというか、取り扱いがなかなか公平が期しがたいんじゃないかという話もございましたけれども、こういう制度改正するときに過去の掘り起こしをするということを考えるということになりますと、制度改正するときにそういうことまで考えますとなかなか難しいという感じがいたしますので、制度改正するときにはその前後について割り切った考え方で進ましていただかなきゃならないんじゃないかというふうに思います。  先生の問題提起は提起といたしまして、衆議院段階でもいろいろ御説明さしていただきましたし、それなりの提起としてはわかりますけれども共済関係者の間の取り扱いとしては遠慮さしていただかなきゃならないんじゃないかということでございます。
  214. 中野明

    ○中野明君 いや、官民格差をなくすんですから、だからこれもなくしたらどうなのかというところから我々も議論を出発しているわけなんです。都合のいいことはとるし、都合の悪いことはとらないという、そういうことはいかがかなという感じを私今なお受けるんです。部長はそう言っているんですが、厚生年金でやっているんですから、こういう改正のときにはもう切られるところは切られて、そして厚生年金並みにしてくれと言うたら、それはあかんのやと、これはちょっと気の毒なような気がするんですが、大臣はどう考えますか。
  215. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 事務的に言いますと、衆議院段階におきまして事務当局としては大変難しいという結論を出しておりますから、将来の政治的問題として、先生の御意見もありますので、私はひとつ勉強をさしていただきますということをはっきり申し上げておきます。
  216. 中野明

    ○中野明君 勉強課題に入れておいてください。  それから、ちょっとこれも気の毒じゃないかと思うんですが、読んでみますと、「施行の日の前日から引き続き組合員である者のうち同日」のこの施行目です。「において退職年金の受給資格を満たしている者が、施行日以後に退職共済年金を受ける権利を有することとなった場合において、その者の受けるべき年金額が、施行日の前日において退職したならば受けることができた退職年金の額より少ないときは、当該退職年金の額をもって退職共済年金の額とする」、こうなっているわけです。この従前保障の年金については物価による自動改定を一定期間行わないことになっております。この点については緩和措置が必要じゃないかという点が一つです。  それから、施行日以後の掛金納付期間についても、掛金を納付していることに一定の配慮が必要じゃないか。もう固定されてしまって、それから後に掛金を掛けたって、それは極端な言い方をしますと掛け捨てになるのと違うかということなんです。だから、掛け捨てなら気の毒だから何とか一定の配慮が必要じゃないか、こういう意見なんですが、その辺どうでしょう。
  217. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生がおっしゃいましたのは、いわゆるみなし従前額保障というもので、施行日以後退職する方についての扱いでございますが、非常に冷たいと言われるかもわかりませんけれども、施行日以後に裁定される方につきましては、本当は、その施行日以後に施行されている法律に基づいて年金を裁定させていただくというのが普通のやり方だというふうに思います。ただ、それでは少し配慮に欠けるんじゃないかというような声もあろうかというので、施行日の前日に裁定されたならば得られたであろう年金額を保障しようじゃないか、こういうことで配慮したわけでございます。  それに物価スライドをとにかくやれというのも一つの御主張かと思いますけれども、施行日以後に裁定される方については新法で裁定させていただくのを、既得権といいますか期待権といいますか、それを尊重するということで、三月三十一日現在で受けることができる年金額を保障させていただいたんでございますから、私たちといたしましてはそこはひとつ勘弁いただけないだろうかというのが正直なところの考え方でございます。  もう一つは、掛金の掛け捨ての話でございますけれども、これは正直なところ、私たち自身もそんなこと言えば掛け捨てになるわけでございますけれども、そこはこういう大改正をやる前後の話でございますので、掛け捨てというか、それは大きな目で見て、先輩後輩の間のお互いの助け合いのシステムの中の掛金だということで御了解いただけないかというふうに思います。
  218. 中野明

    ○中野明君 掛け捨てという言葉が適切でなかったらそれは言いかえますけれども、何か私の受けた感じでは、掛け捨てのような姿になっているんじゃないだろうか、こう思うものですから、その分は何とか一定の配慮をしてあげるのが当たり前じゃないか、そういう感じで申し上げているんです。ある意味では、先の方の物価スライドというものは何ぼか僕も今の御答弁理解ができますけれども、掛け捨てと言うのがいいかどうか自分でも適切な言葉がどうかわかりませんが、僕は掛け捨てのような気がするんです。それをさせるというのは酷じゃないか、そういうことで少し何か配慮の余地はないんだろうか、一定の配慮の余地はないんだろうかと思うんですが、これいけませんかね。
  219. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 改正法の施行前後にまたがる人間というのはたくさんおります。私たちも、現在の法律で裁定された年金額が恐らく改正法施行以後に裁定されるよりも高いということになろうかと思いますけれども、そうしますと私たちも改正法施行以後、いわゆる掛けた掛金という のは年金額の上に反映されない、そういう形になるわけでございますけれども、そういう人たちがいらっしゃるという前提で、この隊とにかく制度改正をさせていただけないだろうか、こういう御提案でございます。  先生の御指摘は私を含めまして多くの方が恐らくよくわかるというふうに言うに違いありませんけれども、こういう制度改正を行うときにおきましてはそういう人たちが出てきて、そういう人たちにはやはり御了解いただかなけりゃならない問題じゃないだろうかという気がいたします。
  220. 中野明

    ○中野明君 これは我が党としても修正の一つに入れて強く要望したい、こう思っておりますので、大臣、先ほどのあれと一緒にぜひ検討事項の中に入れておいてください。  それで、もう一点は、いろいろの要望が私どもの方へも来るわけです。昭和六十年の公務員のベアは前年度からの積み残し分を有しておって、かつ現年金受給者へのベア適用は現職公務員の実施よりも一年おくれの適用を考慮されるとともに、恩給受給者との均衡上からも現在の全年金受給者に対して六十一年四月分から六十年公務員ベアを適用してもらいたい、こういう要請といいますか陳情が来ているんですが、これに対してどういう考えを持っておりますか。
  221. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) ただいま先生御指摘の点は、今回既裁定年金の裁定がえをいたします際に、いわゆる基本ルールの方は昭和六十年度のベアを基本ルールとして受けて、そしてその上で従前額を保障してほしい、こういうお話じゃないかと思います。  御承知のように、従前額保障という考え方は施行目の前日におきます年金額を特別に保障していきましょう、こういう考え方をとっておりまして、そういうことになってまいりますと、施行日の前日、六十年度の三月三十一日、末日でございますが、その日の年金額には既裁定者の基本ルールの方は今年度のベアは反映しない現在の制度でございます。したがいまして、その額そのものを保障するという考え方のもとにおきましては残念ながら先生の御指摘のようなことはできないのでございますが、そのかわりに、通年ルールに裁定がえをいたしました額の給料比例部分の算定基礎となります給料には、ただいまの六十年度におきます国家公務員のベアを反映させてスライドをさせていく、そういう考え方をとっておりますので、結論としてはそれだけ早くスライド停止から抜け出せる、こういうことになってまいろうかと思います。
  222. 中野明

    ○中野明君 大蔵大臣への質問をつくっておりましたんですけれども、来られませんので、以上で終わりたいと思います。  ただ、大臣、先ほど来佐藤先生もおっしゃっておりますように、四共済共通の問題もありますし、理事会でも検討すると委員長もお約束なさっております。こういう大改革のときでございますので、もう私どもの要望を十二分に酌み取ってもらって、可能な限りの修正をして、そして共済組合員の皆さん方にもある程度の理解が得られるような参議院の審議にしたいと思っておりますので、ぜひその点よろしくお願いしたいと思います。
  223. 神谷信之助

    神谷信之助君 同僚議員の今までの質問と重複しないようにして、単刀直入にお伺いをしていきたいと思います。  まず、国庫負担問題にかかわる点ですが、公的負担が従来の給付費の一五・八五%から基礎年金に対する拠出金の三分の一に変わることになるわけですが、これで公的負担というのがふえるのか減るのか。減るわけですけれども、どれだけ減るのか、現行の考え方でやっていくと何%ぐらいになるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  224. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 現行制度のまま公的負担を続けるということにいたしますと、六十一年度が七百億円でございます。それから七十年度が千五百億円、ほぼ二倍でございます。それから八十年度が二千七百億円、九十年度が四千億円ということでございます。  今回の改正案がもし御承認いただけますと、それに基づく公的負担は六十一年度が八百億円、七十年度が千三百億円、八十年度が千七百億円、九十年度が二千二百億円ということでございまして、九十年度で申し上げますと千八百億円減になるということでございます。数字だけおおよそ説明させていただくとそういうことでございます。
  225. 神谷信之助

    神谷信之助君 率はどうですか。一五・八五%というのがあったけれども、どうですか。
  226. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 率を申し上げますと、六十一年度は百億ほどふえますから率としては一一四%になりますが、七十年度は八六%でございます。八十年度が六三%でございます。九十年度が五五%でございます。
  227. 神谷信之助

    神谷信之助君 今までの給付費の一五・八五%という考え方からすれば大体一一%、増減はあるけれどもまあ一一%ぐらいだというように衆議院では答弁された。大体その数字は間違いないですか。
  228. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 大体そういう数字と御理解いただいてよろしいと思います。
  229. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは、当委員会でも、初めは一五%でしたが、一五・八五に引き上げられた。さらに、その後も引き続いて、毎年のようにこの公的負担をふやせ、厚生年金に近づけるようにせいという附帯決議を当委員会としてやってきたんですけれども、これは言いかえたら公的負担制度における国の責任といいますか、負担といいますか、これをもっとふやしてもらいたいという意思を当委員会でも例年のように明らかにしてきたんですけれども、これは逆に減らされておるわけですね。この点についてどういうようにお考えか、まず聞きたいと思います。
  230. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) これは、先生よく御存じかもわかりませんけれども公的年金制度それぞれの間で公的負担について差があった、差があることについてそれぞれの委員会でそれぞれ議論が実はございました。先生がおっしゃるように、当委員会におきましても公的負担調整といいますか、そういう附帯決議がたびたびなされております。そこで、今回の改正案というものを立案するに当たりまして、その公的負担というものを公的年金制度間で公平にしていこうじゃないかということを考えまして、基礎年金制度というものを導入する、そこで基礎年金に対する拠出金の三分の一に統一して公的負担をしていこうじゃないかということを考えたわけでございます。  考えました結果、先生が今御指摘になりますように、公的負担の額は現行制度のままに置いておきますよりも確かに額は減ってまいります。減ってまいりますけれども、この公的負担が減ったというふうに非難されながらも、六十一年度と九十年度で一体どういうふうに公的負担がふえているのかといいますと、二・七倍余りふえておるわけでございます。そして昭和六十年度と九十年度の間に掛金負担がどれくらいになるだろうかというと、掛金負担は二・三倍ぐらいということでございまして、減った、減ったというふうに非難される公的負担の方が掛金負担の増率よりも大きな増率でふえておるというふうに見ることも、先生、できるんじゃないかというふうに思います。私たちはいろいろな先生方からいろいろなおしかりを受けて御説明させていただいておるわけでございますけれども、見方によれば少しは先生方の非難のされ方も和らぐんではないかというふうに実は考えておるわけでございます。
  231. 神谷信之助

    神谷信之助君 給付がふえて、それでまたそれの負担としての掛金も若干ふえていくとかいうその関係で見るならいいけれども給付の方も大幅に後退をするし、そして今おっしゃったように、財源率を見ても、六十一年度と九十五年度で見れば二・三倍になるわけでしょう。これは我々どうも納得できないんです。  そこで、公的年金制度というもののあり方はどういうように考えておられるかということなんです。いわば労働力を失ったときに、つまり障害を受けたとか、病気になったとか、長期に労働力がなくなった、あるいは高齢になって使えないとい う状態になったときに、だれでも最低の生活が保障できるということを国と社会連帯といいますか、これで果たしていこうということが一つあるでしょう。それからもう一つは、今まで生活を維持してきたのが収入も減るという状態になったときに、今までの生活の状態をできるだけ維持できるようにするというねらいがある。そういう点では社会福祉制度とは違って、社会保障制度というものはだれでもそういう状態を保障していこうということで進められてきているように思うんだけれども、そう考えれば、この公的年金制度維持し、発展をさせていく上で国の責任というものは非常に大きいと私は思うんだけれども、この辺はどういうように理解をされていますか。
  232. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 公的年金制度をどういうふうにとらえるかという非常に難しい問題でございますが、先生が今お話しになりましたように、現在の我が国の公的年金制度というものは、つの理想から考えますとまだまだ遠いところだと思います。したがいまして、そういう方向に向かって努力をしなければならないということでございますけれども、やはり年金制度年金制度としての限界というものがあるんじゃないかというふうに考えざるを得ないわけでございまして、年金制度というものは在職期間中とか、あるいは退職時の条件をもとにして年金額が裁定されるという宿命のようなものを持っているのかなという気がするわけでございます。そういう年金制度とあわせまして他の社会保障制度、医療の制度とか、その他の制度をあわせまして老後の生活が心配なく送れるようにしていくのが国とか公共団体の仕事だと思います。  こういうところで議論するときには、いつも年金制度だけを頭に置いて非常に厳しく問題の御指摘をいただくわけでございますけれども政府といたしましては年金制度とあわせましていろいろな制度を整備しながら、老後の生活が安心して過ごせるように努めていかなければならないだろうというふうに思います。私たちもそういうような考え方をとらなきゃならないというふうに思います。
  233. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで大臣、今部長もおっしゃったけれども公的年金制度というものは我が国の現状ではまだまだ不十分な点がある。それから同時に、老後の問題で言えば、住宅の問題やらあるいは税金の問題とかいろんなものでカバーをするという総合的な対策考えなければならない。しかし、全体として、今度基礎年金制度導入されているんですけれども、五万円では不十分だというように我々思います。しかもだれでも五万円もらえるのじゃなしに、四十年掛けないともらえないんですからね。だから、宣伝だけは極めて派手になっていますけれども実を伴っていないわけで、だれでも月五万円、夫婦であれば十万円、単身者の場合は七万円とかいうように、現在の状況だったら最低それぐらいはだれでも保障ができるという制度、その場合は、その部分の財源はやはり国と企業が負担をする。それから今、部長も言ったけれども、今度は何年働き、どれだけ賃金があったかという生活条件の部分がありますね、今度のあれでは上へ乗せる部分ですけれども。この部分については、先ほども同僚議員から出ていたように企業が七で労働者が三という負担で見ていくとかというような考え方をしていかなきゃいかぬと思うんです。私はよく言っていますけれども、政治の根本というものは国民生活の安定にあるので、だからそこに、社会福祉なり社会保障なり教育なり医療なり、こういった国民生活の基本の部分について最大の力点を置く、そういう政治こそ我々目指さなきゃならぬ。そういう政治を目指さなきゃいかぬ部分で今度国の責任といいますか、国の負担を大幅に減らしていくという、ここのところにやはり根本問題があるというように思います。この辺について、政治家でもあり、地共済担当でもある大臣の見解をお聞きしたいと思うんです。
  234. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 今、先生のお話しのように、長寿社会における老後の所得保障の問題、それから死亡とか障害に対するものとして年金というものを保障していく、老後はやはり年金が一番中心でございます。そういう意味で、長寿社会がますます早く進んでまいりますので、給付負担というものを調整して、とにかくお年寄りの方も一定の給付を受けられるということが私は社会保障の一番中心じゃないだろうかと思います。また社会福祉としてはどうしてもそういうことを目標にして進まなきゃならぬものであると考えております。
  235. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣はそうおっしゃるわけでしょう。ところが、実際に内閣が最近やってきていることやまたはやろうとしておることというのは、今、大臣のおっしゃる見解とは逆な方向に進んでいるでしょう。これは臨調の基本答申の中にもあるように、こういったいろんな制度を見直して、そして国がどこまで責任を持つかもう一遍根本的に考え直せというようなことになって、そして生活保護の問題にしてもこれにしても去年の暮れ大騒ぎになったような問題も起こってきているし、今度も起こってきているわけですね。だから全体として、何か国が出す方はもう舌を出すのも嫌やという形でどんどん削っていこうということになってきている。大臣が今おっしゃるように、政治の基本はそこのところになければならない。片一方では、何ぼ財政が赤字やと言っても軍事費だけは確保し、一%の枠を突破するとかせぬとかいって大騒ぎになるぐらいにそっちの方はどんどんけんたいでふえていく。だから政治の根本はどこにあるのかという点で、大臣がおっしゃっていたお考えと実際に今の中曽根内閣のやっていることとは違っている、ここのところはどういうふうにお考えですか。
  236. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 大変難しい御質問でございますが、率直に言いまして、地方自治の本旨というのは社会福祉というふうに私は考えております。いろいろの意見のあることは承知しておりますが、こういうような長寿社会になりますと、やっぱり私どもは老後の方の健康あるいは年金ということが一番頼れる問題であるし、また、それなくして長寿社会というのはあり得ないと思っております。長寿社会対策関係閣僚会議というものをつくったのも恐らくそういう点にあるのではないかと思っておりますが、個々の具体的施策において、そういうことに反するようなことが結果的に見てあることは、あるものについてはそういうようなものがあると考えております。  やはり目標としては、今のような潤いのある暮らしができるようにするということが一番根本であり、地方自治の本旨もそういうところにあるわけでありまして、実は、生活保護の問題につきましても国の問題について最後的決定はまだでございますが、この国会におけるこの前の補助金の問題に対する先生方のいろいろの御意見の趣旨は大蔵大臣もそれを考えてやると言っておりますし、私どもは、もう率直に自分でそういう決意をしておりますので、私が一人で頑張ってもなかなか進まぬ点もあるかと思いますが、理想はそういう点でもって頑張ってまいりたいと思います。
  237. 神谷信之助

    神谷信之助君 この点はさっきも同僚委員からありましたけれども厚生年金なんかと右へ倣えだということで基礎年金の三分の一というなにをしながら、片一方でそれは国庫補助ではなしに公的負担という問題ですね。これは今までも、現行の状態の場合でも大分議論も何回かしたんですけれども、先ほど言った公営企業の問題やら不交付団体の問題いろいろ問題が出てきますね。だから、片一方、右へ倣えするときはそっちに右へ倣えして、こっちの方はほったらかしという感じを強くするんですけれども、どうしてもそれはもうまかりならぬ問題なのか、あるいは公営企業や不交付団体に対する措置はどういうふうに考えておられるか、この辺はどうですか。
  238. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 公営企業に対する措置というか、取り扱いにつきましては衆議院段階におきましてもいろいろ議論がございました。私たちの方では、今までは国の四現業との均衡を考慮して考えていかなきゃならないということで御答 弁申し上げてまいりましたけれども、本院におきましてもいろいろ強い意見がございます。私たちは、どういうふうにしてこれからこの問題に取り組んでいくか、改めていろいろな方の御意見を踏まえて検討さしていただきたいというふうに思います。
  239. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほども、公務員部長は、逆の見方をしたら、財源率といいますか、負担の方の倍率もそれほど大きくならないとおっしゃったんだけれども、これはみずからの心の痛みを少しでも和らげようという話だろうと思うんだけれども、実際に、今度のなにを年金全体で見てみますと、今度の案が実際に完熟してきますと給付水準が大きく低下をするということは、これは自治省が出されたモデルでもはっきりしてきているんですけれども、別の角度からいろいろ試算をしてみました。  例えば、高卒で二十歳で採用されて四十年勤務をする。今度は俸給表が変わりますけれども、現行の俸給表の行政職(一)表で初任給の八等級四号俸から出発をして、仮に給与改定をゼロで定期昇給のみというように控え目に賃金上昇を抑えて、言うならば掛金がばあっとふえるのを抑えて見ているんですけれども、そうやって低目に見て、そしてそちらの言われている財源率による掛金を計算する、それでこの職員が四十年間掛け続けていく、それに使用者負担分がありますから、これらを含めた積立金に今度は実質金利三%という計算です。現在は運用金利七%あるいは物価上昇率三%とか今いろいろありますけれども、これもできるだけ低目に抑えて実質金利三%を見込んでみますと、この人の六十歳における積立総額は四千四百五十五万円に、なるのです。  もし、この人が独身であるか、あるいは扶養配偶者がない場合、仮に八十歳まで生きたとして、受け取る年金の総額は五十九年価格で三千六百二十万円、六十歳以後にも加算される積立金利の増を加えて差し引き計算をいたしますと三千二百九万円は残金としてもらわずじまいという状況になる。もし、無職の妻があって、八十歳まで生きて年金を受けたとしても、その総計というのは四千七百三十万円で、千七百万円まだ積み立てが残っておるというわけです。  これがそれの集計したグラフですが、(資料を示す)こっちが独身の場合、こっちが妻がある場合、それで一番初めの低いこれが自分が積み立てたグラフ、それからこれが使用者負担も含めて積み立てた金利が加わったもの、これがもう年金もらうものです。これで見ますと、妻がある場合、九十ぐらいでやっと積み立てた額をオーバーする年金がもらえる、こうなりますね。独身ですと百まで生きてもまだ残っておる、こういう計算になりますね。これは単純計算しているんですけれども。  だから、こういうように今度のものでいくと、自分が掛けたもの、それからもちろんそれぞれの自治体が同額を出していますから、これは年金としてもらえるものとして積み立てるのですから、だから、当然もらうべき権利のものとして考えるんだからそれにも遠く及ばない、言うなら掛け損になるというのが非常に今度は特徴的に出てきているのですよね。これを私は非常に心配をしているんですよ。  先ほどもちょっと話がありましたけれども、現職の人の場合でも、例えば、五十六歳で来年三月三十一日に現行法で再計算をして、そしてあとプールして、六十になってやめて年金をもらうわけでしょう。そうするとその間の、先ほど話があったけれども、言うたら自分の年金がふえるわけはないわけだ、もう五十六であと四年ほどしかおらないんだから。ふえるわけはないでしょう、物価でアップするわけはないんだから。  こうなってきますと、私は共済年金制度に対する信頼度というものがなくなっていくと思う。だから、逆に片一方では、企業年金で月三十万円を保障するようなところも出てきています。これがばあっと広がってきておるわけでしょう、あるいは個人年金に頼らざるを得ぬということになってくる。そうすると、これは公的年金制度そのものの崩壊への道を進み出すことになりはしないか、このような考え方で行けば。さらに、もっと国の財政が苦しくなっていくとどうやって減らすかと、どんどんこうなってくるわけですからこんなことになりかねない。だから、国の財政がどうであろうと、政治の基本はここにあるんだから、そこは信頼を裏切らないような公的年金制度にしなければ、今回のやり方というのは公的年金制度そのものの崩壊の危険さえ将来は生まれてくるというように私は思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  240. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 非常に多くの問題点指摘がございました。  お答えさせていただきたいと思いますが、公的負担が減るじゃないかということから問題が始まったわけでございますけれども、私が御説明さしていただきましたけれども、公的負担は現在の制度に比べますと確かに減ってまいりますけれども年金給付費というものがこれから非常に大きなペースでふえてまいりますので、それに対する公的負担はやはりベースとしては今度の新しい制度によっても非常にふえていく。そしてそのふえていく公的負担が、例えて言いますと、国が示しました長期の税収見通しに対しましてどうだろうかということを比べましても、税収の中に占める公的負担の割合というものはこの新しい制度に基づいても徐々にふえていかざるを得ないということでございます。この公的負担の今度の改正案についていろいろな観点から評価してみる必要があるんじゃないかというふうに思いますので、そういう観点からも先生ひとつ眺めていただきたい。私たちをしかることだけを念頭に置いて評価なさるというんじゃなくて、そういう観点からも見ていただけないだろうかというふうに思います。  それからもう一つ、お話の中にございましたけれども年金額が減額される減額されるということが非常に大きく宣伝されるわけでございますけれども、現行制度のままにしておいたよりも確かに年金額は減ってまいります。それは間違いございませんけれども、現在、三十二年お勤めになりまして、平均的に申し上げますと、地方公務員の平均給与月額に対して大体七一%ぐらいの年金ということになります。減額するじゃないか減額するじゃないかということでおしかりを受けている今度の新しい年金制度で、四十年間勤めて裁定いたしますと、平均給与月額に対して七四%ぐらいになってまいります。したがいまして、まあ八年間長く勤務するけれども、七一%から七四%にしか年金がふえないんだぞというふうに見ていただくと、ああやっぱりふえるのかと、こういうふうにもごらんいただけるんじゃないかというふうに思います。  それから、先生がいろいろ計算されまして、結局収支相償わないじゃないかというお話がございました。突然の御指摘でございますけれども、私たちの方で年金制度考える場合に、年金制度というものは世代間の扶養のシステムである。したがって、今新しく年金制度をスタートさせるというよりも、現在既にある年金制度というものの上に改正案を乗っけて考えていくわけでございますから、そこは先生が計算されましたものと少し前提条件が違うんじゃないかということが一つ。  もう一つは、公的年金制度というのはやはりインフレに対してもある一定の年金額というものは保障していかなきゃならないという意味において、個人年金とかあるいは企業年金とは若干違うんじゃないかというふうに思います。いつどういうときにどういうインフレが起こるかということを考えますと、やはり公的年金の方が国民としては安心できるんじゃないかというふうに思います。そういうふうなことも考えていただきまして、先生の御質問お答えさしていただきたいと思います。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 そんな、インフレを予想して年金制度をつくってもらったら困るんで、インフレで一番ひどい目に遭うのは労働者諸君なんで、そんなものを想定してもらったら困ります。それか ら、私は何も公務員部長をしかっているんじゃなしに、お決めになったのは内閣であるし、その一員である大臣でありますからね。問題はやっぱりそこのところで、ただ、あなたは専門家だからそういう質問にもすぐお答えになれるんで答えてもらったんだけれども、基本は先ほど大臣にもお話ししたところで、そこのところを考えてもらわなきゃならぬと思います。  それから、これは我々が目指す社会主義社会になればそういった問題についてはうんと変わってしまいます。国民の労働によって得た成果は全国民の生活保障に充てる方向に大きく転換したい、すべきだというふうに私ども思っていますから、もう掛金とかどうとかという問題はなくなってくるんですけれども、しかし、そういう社会にならなくても、今の資本主義社会においても基本線を貫いていくならば、国民年金厚生年金の方をできるだけ水準を引き上げていく努力はしても、悪い方に引き下げていくというようなことは我々は絶対に許すわけにはいかぬというふうに思います。  それから、もう少し今度は具体的な問題に移りますけれども、現に年金を受けている人、その中で基本ルール採用者が、衆議院の中での答弁では三十六万三千人中の二十万七千人ほどが一般ルールだという答弁があります。これは五七%、半分を超えていますね。これが通算方式に変わって基本的には下がるわけですね。こういうことになると思うんですけれども、この計算のやり方はいわゆる既裁定者の場合、現行の現職と同じように退職前一年間の平均給料が、それとも全期間に変えるのか、現行で計算をするのか、この辺はいかがですか。既裁定者です。
  242. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 裁定がえのときですか。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 ええ、裁定がえです。
  244. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 通年ルールに裁定がえするということでございますので、一年間の給与で裁定がえをいたします。
  245. 神谷信之助

    神谷信之助君 それからもう一つ、先ほどからの同僚議員への答弁を聞いていますと、通年ルールにやって、そしてそれは一応保障して、そこまで到達するまでやって保障しているんだからといって恩着せがましゅう言っているんだけれども、しかし、片一方では毎年物価は上がりますから毎年目減りになるわけです。今もらっているのはすぐ減らぬというように見えるけれども、実際はどんどん減っていくわけでしょう。だから、これはやっぱりその面では既得権の侵害だと、この辺はどういうようにお考えですか。
  246. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私の言葉遣いが悪くて恩着せがましいというふうに聞こえたのかもわかりませんけれども、私の方は既得権というか、期待権というものを最大限に尊重するということで従前額保障をさしていただきますと、こういう考え方でございます。  そこで、先生が御指摘になりましたように、確かに通年ルールに裁定がえした額、その額を物価スライドしながら従前額保障をした額に到達するまでスライド停止をするわけでございますけれども公務員の世界のことだけを考えると、確かに私はそういうようなことを考えなきゃならないし、そういう御指摘も当たっていると思うんですが、通年ルールに裁定がえするということは、厚生年金と同じというか、厚生年金に近いルールで裁定した額にさしていただきまして、それから物価スライドをさしていただきますということでございますので、この面におきましては厚生年金並みになるというか、民間の労働者並みになるといいますか、そういうような観点から考えますとまあまあ我慢していただけるんじゃないかというふうに思うわけでございます。先ほどから御答弁申し上げておりますように、通常の場合にはスライドの停止期間は二年ぐらいじゃないかというふうに思いますので、二年間だけ我慢してくださいということを申し上げたいわけでございます。
  247. 神谷信之助

    神谷信之助君 私が言っているのは、民間並みにしたんですから我慢してくれじゃ、民間の方が悪いんだったら共済並みに上げなさいと言っているんですよ。だから、この間の改悪したやつは元へ戻して、悪くしたのは元に戻して、そして共済並みにしなさいということを言っているんで、民間並みに下げているんだから我慢せいということは通らないということを申し上げておきます。  そこで次に、これも同僚議員から問題を出しました消防職員の問題で消防庁長官に伺います。  五十四年のときに特別措置をして司令補以下については五十五歳というようにしたわけですね。それから六年たっているでしょう。ところが、実際には労働条件なり何なりという状況は当時と変わっていない。変わってない状況のところで今度それを外しちゃう、こういうことですね。この辺は私はどうにも納得ができません。消防庁の方からもらった年齢別の退職者表によりますと、例えば、昭和五十八年度の総退職者数二千五百六十九人ですね。そのうち五十五歳未満の若年退職者は八百六十八人、三三・八%です。だから三人に一人は五十五歳以下でやめているわけです。これが五十八年の実態。それから五十七年ですと、若年、五十五歳未満でやめた人は九百七十四人ですからこれはもっと率がふえます。それから五十六年は千百九人ですからもっとさらに率はふえているわけですね。五十五歳以上でやめた人が千六百五人で、五十五歳以下でやめた人が千百九人です。  現在、実際の勤務の状態というのは一体どうなっておるのかという点を現場の消防職員の皆さんに聞いてみると、こう言っているんです。階級が上がらなければ、年をとっていけば職場がなくなっていくというわけです。体力がきかぬようになったときに、例えば、先ほども出た事務職員とか、消防は大体現在では四十から四十五ぐらいが体力的限界で、事務職で頑張ろうと思っても、現場八に対して事務職が二という比率が職場の現状である、こういうことですね。だから、長官の言うように、一般の市町村の方に身分転換をするということがスムーズに行けばいいけれども、現実の問題としてはそうなっていない。それから若い人でずっとやめているんだけれども、若いのが一体幾つぐらいでやめているかというと二十から三十五の間で五百二十三人やめているんですよ。いわゆる五十五歳未満が八百六十八なんだけれども、そのうち二十歳から三十五歳でやめている人が五百二十三人。半分以上は大体その時期にやめる。割合に早いんですよ。  というのは、これは消防職員の未来の問題もあると思います。実際、消防車が現地に入るときには司令補以下四名ですか、司令補の指揮者一名それから士長、運転手、消防士、隊員という形で四人職員が行きますね。それが大体一般的になっています。それから消防職員の総数十二万五千八百七十六人、五十九年四月一日現在のうち消防司令補以下は十一万六千二十四名、九二・二%が言うたら実際に消防車に乗って動く人だから体力を必要としている。こういう状況を見ますと、やっぱり人員の確保、それから交替勤務制の改善の問題、週休二日制まで含めてそういうことも考えなきゃならぬ等々、職場の条件というものを相当よくしないといかぬ問題がある。しかも、この間国会で、私は現場の消防職員の声を十分よく聞くようにと申し上げたんだけれども、あのときも指摘したように、ころっと変わっているんですね。初めの反対というときに賛成という人は一人しかいなかったんだ。ところが、その次はころっと変わっておる。これは、先ほども同僚議員から指摘したように、あのときにも私が申し上げたとおりですよ。だから、本当に現場の人たちの意見を聞くという状態になっていない。この点では、例えば、苦情処理委員会を設けて十分よく聞くとか、個別に言うといったって一人ではなかなか皆言いにくいわけですよ、全体として出てきたものだから。そういう状態をやっぱり考えなければだめだ。  だから、今度は五十五歳の特例を廃止するというのには廃止するだけの条件が、六年前とちっとも変わっていないのに廃止する理由はないという ように私は思うんです。まずその辺について、消防庁長官として新たな決意で努力をせぬことには、これは早急ではないかというように思いますが、どうですか。
  248. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 確かに、この前、五十四年に制度改正をやって以来でございますから、六年しかたっていないではないかという見方もできますけれども、世の中の変化の激しい時代でございますから、既に六年たっているではないかという議論も成り立ち得るものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、近年の中高年者の体力の増進と申しますか、それは大変目覚ましいものがありまして、消防本部等でとっております統計等にもそういう数字があらわれているところでございます。また、消防用の機械器具等につきましても、もちろんいまだなお大変な労働を必要とするものが多いわけではありますけれども、例えば、動力ホースカーの採用の問題でありますとか、あるいは心肺蘇生器などが、最近は機械をそのまま持ってまいりまして、前は本人の上に乗りまして自分の体重で押しながらやらないと心肺蘇生ができなかった、今はそれを機械に入れてやるということもできるというようなことになってきております。もちろんまだまだ完全に普及したわけではございませんが、そういったものの開発等もだんだん進んできておるわけでございます。そういったようなものを背景にいたしまして、私どもといたしましては、基本的な取り組みのスタンスと申しますか、立場といたしましては、消防職員は仕事が大変だから五十五歳でやめてもらう、そういう物の考え方ではなしに、確かに大変ではありますけれども、いろいろみんなで努力をすることによって一般職員並みに六十歳までは何としても勤めてもらおうではないか、そういう方向に努力をしていくのが改正のスタンスとしてしかるべきではなかろうか、こういう考え方に立ちまして、そうはいいましても一挙にこの際五十五歳をやめてしまいますと、いろいろ消防本部によっては無理が起こるというようなことから、十五年間の暫定期間を置きまして順次六十歳に引き上げていく、こういうやり方をいたしておるわけでございます。  確かに、毎度、何回も御答弁申し上げておりますように、消防本部によりましては比較的スムーズに移行して格別の問題のないような消防本部があると思います。比較的大都市と申しますか、大きな消防ではそういう条件が割に整っておると思いますが、田舎の小さな山村部の、あるいは農村部の小さな消防におきましてはやはり相当な改善努力をいたしませんとスムーズに移行ができないということもあるわけでございますので、そういうことも予想されますので、そういう点につきまして関係者の努力をお願いをし、また我々といたしましても指導をしていきたい。そういうことを通じて暫定期間中には何とか移行ができるんではないかというふうに考えられますので、この際廃止をさせていただきたいということでございます。
  249. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは、大臣、暫定期間中に何とか改正、環境改善ができるだろうと今、消防庁長官は言うんだけれども、ところが、実際には行政改革、人減らしといって、消防職員というのは欠員があってもふやさないんだ。そういうところがある。大火があると消防をふやさなきゃいかぬとか何とかという話が出ますけれども、「のど元過ぎれば」というやつで、平素は何かもう邪魔者がおるような感じで、そこは余り見ないというのが市町村の実態でしょう。今、行革大綱だとか人減らしやれ、こういうことでますますここは暫定期間中に人をふやすことができなくなる。この辺は大臣一体どういうようにお考えか。そういう必要なところをふやそうとしないという問題ですよ。先ほど同僚議員も言いましたからもう具体的に言いませんけれども、そういった問題について大臣の見解だけ聞いておきたいと思う。
  250. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 消防職員の配置あるいは錬成、いろいろ問題ございますが、今の行政改革ということによって人員は減らすふうな傾向にあるわけでありますが、やはり災害時、そういうことを考えますと、その予防的役割というのは私は非常に大きいと思います。特に、現在の地方においては、また防災関係の仕事がいろいろ治山治水の関係で出ておりますし、それから都会におきましては、いろいろな新しい形の大害その他消防の活躍する部門が大変多いのでありますから、私は一概に、消防を行革であるということを理由に減らすということは、やっぱり強固な町づくりという点からふさわしくないと思っております。
  251. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間ですが、最後に一問だけちょっと明確にしておきたい。  例の最低保障年金ですね、七十七万四千円、これがどうなるのかという問題。障害年金その他の問題もいろいろありますが、時間もありませんからそれはまあ抜きにして、七十七万四千円は今度の改正でどうなるのか。改正案によっても、少なくともこれを下回るような人は出てこないということが言えるのかどうか。それから、最低保障年金はスライドしたりして上げてきておりますが、改定の今後のそういう措置、今まで附則でやってきていますけれども、その辺との関係は一体どうなるのか。この点を最後に聞いておきたいと思います。
  252. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 先生の御指摘に、まず最初に既裁定年金の最低保障の件をお答えさしていただきたいと思いますが、既裁定年金の最低保障は今後も残します。ただし、恩給ルールというものはなくなるわけでございますので、厚生年金の関連のルール、先生ただいま御指摘の七十七万四千円という数字が最低保障になってまいります。したがいまして、その七十七万四千円は当然これスライドをしてまいるわけでございます。一方、新蔵の方の最低保障の考え方でございますが、これは御承知のように、厚生年金には最低保障というものはございません。したがいまして、今回の改革に当たりまして算定方式を厚生年金に準ずる形にすべて改めておるわけでございまして、その上に職域年金相当部分を上積みするわけでございますので、そういう観点から最低保障という考え方は原則としてとっておらないのでございます。ただし公務による遺族年金、公務による障害年金は従来どおり、公務ということでございますので最低保障という制度を残すという考え方でございます。  先生が御心配になっていただいております、それでは果たして今後最低保障を従前の最低保障、厚年関連の最低保障ということになろうと思いますが、それを下回るような例が出ないかどうか、こうおっしゃいますと、先ほど部長から御答弁いたしましたように、例えば定額部分の二百四十月みなしたとか、あるいは障害、遺族年金の三百月みなしとかいうような制度がございますし、また基礎年金制度そのものが一種の最低保障機能を果たしておるわけでございますので、原則としてそういう例は余りないでしょうということは私は言えると思います。ただ、絶対出ないかとおっしゃいますと、極端に平均標準報酬あるいは平均給料月額が低い場合には全く皆無だとは言い切れないと思うのでございます。
  253. 神谷信之助

    神谷信之助君 意見はありますが、もう時間ですから次回にします。
  254. 抜山映子

    ○抜山映子君 このたびの国・厚年金改正及び共済年金改正につきましては、受益と負担バランスを図る、そして長期的に安定した年金制度をつくる、こういう説明が一般になされておるわけでございまして、この改正自体やむを得ないというように認識はいたしておりますけれども結論から言いますと、実際の年金のレベルダウンである、こういうことがはっきりと言えると思うのでございます。それで、国民にわかりやすい形でどれぐらいレベルダウンするのか、各年金について総括して簡単におっしゃっていただけないでしょうか。
  255. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) お答えいたします。  私どもの所管しております国民年金厚生年金について申し上げます。  国民年金でございますけれども改正前におきましては二十五年加入されていた方で月額四万九千百四十円、五十九年度の価格でございます。改正後におきましてもほぼ同水準の月額五万円、これも五十九年度価格でございますけれども、これを標準的な年金考えております。  次に、厚生年金でございますけれども改正前におきましては平均標準報酬月額二十五万四千円、三十二年加入、これが通常の加入期間でございますが、この場合の月額が十七万三千百円でございました。これが改正後におきましては、平均標準報酬月額二十五万四千円で、将来には四十年加入が通常になりますので、四十年加入の場合で妻の基礎年金を合わせまして月額十七万六千二百円となります。
  256. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 地方公務員共済について御答弁申し上げます。  前提を少し申し上げますが、一つは、夫婦世帯で夫婦とも同一年齢とし、加給年金、妻の基礎年金が含まれているというふうにさせていただきたいのが一点。二点は、勤続年数が四十年で退職した場合といたします。三点は、給料月額は退職前一年間の平均額を三十二万三千円、全期間の平均給料月額を二十五万九千円というふうにする。四番目は、施行日の年齢が制度完成時の年齢に当たる二十歳というふうにいたしまして御説明させていただきますと、現在の基本ルールで裁定いたしますと二十二万六千円、制度改正後の完成時では、夫婦とも六十歳以上六十五歳未満の場合には十六万二千円、したがって、二十二万六千円に対するパーセントは七一・七%、夫婦とも六十五歳以上の場合には十九万三千円、八五・四%というふうに計算されます。
  257. 抜山映子

    ○抜山映子君 今の説明を聞きますと、地方公務員共済についてはまず粗っぽく言うと二〇%ぐらいダウンする、こういうように理解していいと思うんですが、ちょっと今担当の方の御説明を聞いても、よく政府から出しておりますパンフレットに同じように説明してあるわけです。ところが、この説明を読んで、ああこれだけ厳しくなるんだなという認識をなるべく与えないように与えないように解説している、こういうように思われる節があるわけです。先ほど国民年金の解説につきましても、あたかも二十五年間保険料掛けて、この間まで四万九千何がしで、今度も変わらないような金額で、四万九千でしたか、その前後で変わらないようなニュアンスで説明なすったわけです。  ところが、実際には二十五年間保険料掛けてきた者で五万円、それが四十年間掛けて五万円になるということですから、実際にはどれぐらいのレベルダウンになるのかということをもっとはっきり国民に認識させるようにしなければいけない、私はこのように思うんです。ですから、今後政府がいろいろとパンフレットなり出して解説するときには、どれだけ厳しくなるのかという面をもっと国民にはっきりさせて、そして老後の備えをもっと国民考えてもらう、こういう方向でいかないと、国民に対して大変誤解を与えて将来大変不安が発生するだろう、こういうふうに私は思うのですが、厚生省の方いかがですか。
  258. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 先生の御指摘でございますけれども、標準的な厚生年金の場合で申しますと、加入期間はやはりだんだん延びてまいるわけでございまして、こういったことも考慮いたしますと、あながち私ども説明が非常に不正確である、不親切であるというふうには考えておりませんけれども、御指摘の点につきましてできるだけ今後正確にということはもちろん考えてまいりたいと考えております。
  259. 抜山映子

    ○抜山映子君 それで、政府として今後国民が老後の生活を考えた場合に、年金だけを厳しくするということだけではなくて、先ほど公務員部長のお話では、もろもろ制度もともに考えて老後の問題を、対策を立てなければいけない、こういうように申されたわけでございますけれども、どのようなもろもろ整合性を保っていくつもりか、そのあたりを明らかにしてください。
  260. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 退職共済年金が老後の生活の柱になるということは確かでございます。それ以外にどういうことで現在の退職者が生活されているかということを見てみますと、やはり一番多いのは再び就職されて何らかの所得を得ておられるというのが多うございますし、所得を現実に得られていなくても働きたいという方が非常に多うございます。したがいまして、六十歳で定年で退職されても働くことができるように、第二の職場で働くことができるように職業開発というものを考えていかなければならないというのが第一番目だろうというふうに思います。  それから六十歳で定年で退職されまして、あと年金だけで生活するのが大変だということでございますけれども、これからは在職中に老後のことも考えて、そして蓄積をしていくということも考えなきゃならない。退職準備プログラムというものが今盛んにあちらこちらで研究されておりますけれども、そういうことを人事管理当局としても考えていって、退職後そういう方が十分対応できるように退職準備プログラムを通じていろんなことを考えていかなければならないだろう。それからやはり再就職され、さらに退職されまして、その後病気にかかる方が非常に多うございますので、やはり老人に対する医療制度というものを整備していく、充実していくというのが極めて重要な問題になってくるだろうというふうに思います。  それ以外にも、老人の方が地域で生き生きと活動していただくために、コミュニティーにおける老人の方々の活動の場所を考えていくというようないろいろなことをこれから研究していかなければならないんじゃないかというふうに思っています。
  261. 抜山映子

    ○抜山映子君 欧州の年金専門家の間では、老後の問題については三本の柱というものを考えている、一つ公的年金である、次に企業年金、そして個人の貯蓄である。この三本の柱ということを強調いたしておりますし、また同じことがアメリカでは三つの保障という形で主張されております。  ところが、この企業年金と個人貯蓄の問題につきまして果たして政府が真剣に取り組んでいるかといいますと、それが大変に不備である。個人の貯蓄の問題につきましては、先ほど人事管理当局という話が出ましたが、これは個人とか個人の企業ではできない面が多いのでございまして、やはり政府として思い切った税制措置をとらなければいけない、こういう点が大変に欠けておると思います。この問題は後から大蔵大臣がお見えになるかもしれませんので、税制優遇措置の問題は後に回しまして、企業年金の問題についてお伺いしたいと思います。  その企業年金の実態についてどのように把握しておられるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  262. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) お答えいたします。  現在大きな企業年金制度といたしましては、私ども厚生省で所管しております厚生年金基金というのがございます。これが基金数千六十三ございまして、加入員数が約六百八十万人でございます。  それから、これは大蔵省の方の関係でございますが、適格年金というのがございます。これが実施企業数で申しますと六万六千八百四十一、加入者数で七百二十四万人、こういうことになっております。
  263. 抜山映子

    ○抜山映子君 もう少し実態に立ち入って御解説いただきたいと思うんです。  というのは、この企業年金と申しましても、退職金給与の費用を積み立てるという形のものが非常に多いということを聞いております。掛金が税制上控除になるから節税効果もあるということでこの方法をとっている企業が多い、こういうように聞いておりますから、こうなりますと名称は年金でありましても実体は退職金である、こういうようなことが言えると思いますので、もう少し立ち入ってこの年金の実態を御説明いただけないで しょうか。
  264. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 先ほどのものに若干補足さしていただきます。  厚生年金基金の場合でございますが、現在資産積立額が約十・五兆円ございます。それから適格退職年金の方は六・二兆円、こういった非常に多額の積立金を持っておりまして、さらにかなりのスピードでこの積立金が伸びると予想されております。先ほど御指摘ございましたように、企業年金の育成、普及を図る上で税制の持つ意味合いが非常に大きいわけでございますが、現在厚生年金基金の積立金につきましては国家公務員の、いわゆる国共レベルを超える部分の積立金につきまして特別法人税ということで一%の課税がされております。こういった課税問題をどのように取り扱っていくかということも育成、普及対策の上で大きなポイントになろうかと考えております。
  265. 抜山映子

    ○抜山映子君 大方の企業年金につきましては終身でないものが多い、五年とか十年とかですね。あるいはスライド制はないとか、それから妻への年金というものはない、こういう傾向があると思いますが、そのあたりについては分析しておられませんか。
  266. 和田勝

    説明員(和田勝君) 企業年金給付でございますが、私ども厚生年金基金を行っておりますけれども、すべて終身給付となってございます。その給付につきまして、スライドなりといったことでございますけれども、基金は基本として完全積立型をとっており、将来にわたってのスライドの財源がないといったこともございまして、基金が独自に完全なスライド制を行っている例はございません。ただし、ごく一部の基金でございますけれども、不完全なスライド制であるとか、あるいは逓増型の給付といったものを行っている基金はございます。
  267. 抜山映子

    ○抜山映子君 基金はございますというようなことでなくて、私はパーセンテージとか、そういうものの分析があれば知りたかったわけなんですが、いかがでしょうか。
  268. 和田勝

    説明員(和田勝君) 具体的な数の比率等のデータは今手元にございません。そういったデータはございませんが、例えば、スライドを実施している基金の例としては、ある百貨店の例でありますとか数例ございます。逓増型を行っているところも——逓増型と申しますのは、物価とか賃金の上昇率いかんによらず、あらかじめ初めに決められた給付のパターンによりまして、例えば、毎年二%ずつ増額していくとかといったような形でございますけれども、そういったような例はあるカメラメーカーであるとか、製薬会社、化学会社等で三例ほどございます。
  269. 抜山映子

    ○抜山映子君 要するに、そういうものの統計的な分析はやったことがない、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  270. 和田勝

    説明員(和田勝君) さようでございます。
  271. 抜山映子

    ○抜山映子君 そのことからも推察されますように、我が国の企業年金制度というものはまだまだ不備である、逓増式をとっているところも数えるほどしかない、こういうことが言えると思うのでございます。そういうことで、公的年金の方は財政赤字になったから厳しくした。しかし、企業年金の方は企業任せである。こういうのが実態だと思うんですね。  それで、大蔵省の方にお聞きしたいと思いますが、個人貯蓄の育成という面について先ほど、欧米では三つの保障ということで公的年金、企業年金、そして個人の貯蓄の奨励と三つの柱を立てておるけれども、日本の場合は公的年金を厳しくしたことだけ先行させて、あとの二つがおろそかになっているんではないかということを申し上げた次第でございます。この個人貯蓄の奨励のためにやはり思い切った税制優遇を考えなければいけないと思うんですが、その点について、今回年金が厳しくなるのとにらんでどういう対策を立てておられるか明らかにしてください。
  272. 塩田薫範

    説明員(塩田薫範君) 御質問年金に係る税制の取り扱いでございますけれども、現在公的年金に対しましては老齢者年金特別控除、現在七十八万円でございます。そのほかに、年金の受け取りにつきましては給与所得控除の適用が認められております。そういう意味で所得税の負担の軽減が図られているということでございます。  また、私的年金に対しましては、拠出段階でその掛金が生命保険料控除ということで最高五万円、それから別枠の五千円ということで個人年金貯蓄がございます。合計で五万五千円ということで所得から控除されております。それから私的年金の受け取り段階におきましては、受け取った年金の額からその掛金の額を控除して課税をするということになっておりますので、そういう意味で課税上の特別の措置が講じられているということでございます。  今後の年金課税のあり方という問題でございますけれども、御承知のように現在税制の抜本的見直しが行われておりますが、その一環として公的年金及び私的年金を通ずる税制のあり方といった観点から検討を行うこととして、税制調査会におきまして学者委員で構成されます専門委員会で掘り下げた検討を進めることとされているところでございます。したがいまして、年金課税の問題につきましては今後の税制調査会の御審議を待って適切に対処してまいりたいと考えております。
  273. 抜山映子

    ○抜山映子君 今ちょっとお伺いしたところでは、まだまだ個人の貯蓄を奨励するという段階にはなっていないということが明確に言えると思うのです。先ほど、私的年金の控除額については五万五千円ですとこういうように言われましたけれども、大抵の方は生命保険に入っておってこの五万円の控除額はとうに使い果たしているわけです。そうしますと、実際には個人年金の控除額というのは五千円しかない。ところが、これは一つのサンプルとして持ってきたんですけれども、老後のために個人年金をつくろうという四十歳の方が、毎月二万円を掛けますと六十歳で年金月額が十二万九千円もらえる、こういうことになるわけですけれども、毎月二万円掛けますと年間二十四万円掛けるわけです。ところが、その二十四万のうち控除してもらえるのが五千円だと、こういうことになりますと個人年金をつくろうという意欲もそがれてしまうわけです。ですから、わずか五千円というのは今回の公的年金改正ということには見合わない余りにも貧弱なものであると言えると思うんですけれども、この額を大幅にふやしましょうということをお約束できませんか。
  274. 塩田薫範

    説明員(塩田薫範君) 個々の税制の取り扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、これから税制調査会の御審議を経たところで適切に判断してまいりたいということでございますけれども、若干追加させていただきますと、個人の貯蓄の優遇という点ではいろいろと現在、生命保険だけじゃなくて、いわゆるマル優というものがあったり特別マル優といったものがございます。そういったものにつきましてもいろいろ御議論があるところでございますし、そういったものについても税制の見直しの中で取り上げられるだろうというふうに考えております。  それから生命保険料控除につきまして五万円ではどうかというお話がございますけれども、これにつきましては生命保険への加入の割合、そういったものがかなり高くなってきている、それから、この生命保険料控除をやっている結果といいますか、あらわれとして所得税の減収規模が相当程度に達しているというようなことで、見直してはどうかという意見もあることを申し添えたいと思います。  いずれにいたしましても、税制上どういうふうにするかということは今後税制調査会等の御議論を待って適切に対処してまいりたいということでございます。
  275. 抜山映子

    ○抜山映子君 それから、もう一つ御考慮いただきたいのが、高齢者の預金に対する扱いを今後考えていただきたいわけです。私が方々でいろんな方の御意見を聞いておりますと、今マル優枠が三百万円であるけれども、若い人については別にこれが厳しくなることについて何も不満がないんですが、高齢者の方が、本当の資産家は不動産を買 う、あるいは株を買う、あるいは金を買う、こういうことができるけれども、普通の市民は、退職したときに退職金をもらうと、それを貯蓄に回してその利息で自助自立を考えるというのが典型的なことであるのに、いまだにこの枠が三百万円ということではむしろ不満である、むしろ五百万ぐらいにしてほしい、少なくとも一定年齢以上の高齢者については特別なことを考えてもらわなければ幾ら自助自立といってもそういうことはできないじゃないかと、こういう不満をよく聞くのでございます。この点について御意見いかがでしょうか。
  276. 塩田薫範

    説明員(塩田薫範君) 今の高齢者につきましての特別な配慮ということでございますけれども、これにつきましても昨年の利子・配当課税のあり方についていろんな議論の中で御意見が出たところでございます。そういった過去の経緯等を踏まえてこれから税調等の審議が行われるだろうと期待しております。その結果を待って適切に対処してまいりたいと思います。
  277. 抜山映子

    ○抜山映子君 今までの御答弁からも明らかなように、個人の貯蓄の育成という面においては非常におくれをとっているということが言えると思うのでございます。今後の早急な措置を考えていただきたい、こういうことを特に申し上げておきたいと思います。  ところで、今回の改正によりまして、特に婦人の方ですが、結婚、離婚、再婚ですね。職歴については就職、退職、再就職、あるいはパートタイマーも含めての就職ですね。こういうようないろんな婦人のほぼ四十年にわたる生涯歴をどういうように把握していくか、非常に複雑になるんじゃないかと思われるんですが、この記録保存をどういうようにするお考えでしょうか、お答えください。
  278. 植西常郎

    説明員植西常郎君) お答えいたします。  三号被保険者につきましては保険料の納付を要しないということになっておりますけれども、この保険料の納付にかわるものといたしまして、三号被保険者に該当したときとか、それから該当しなくなったとき、そういった場合には本人から市町村に届け出をしていただきまして、これによりまして被保険者の把握をやっていくというふうなことにしております。したがいまして、この三号被保険者にとってこの届け出というのは非常に重要な届け出になってくるわけでございますが、この届け出の励行につきましては市町村の広報紙とかそれからテレビ、新聞、雑誌、ポスター、そういったものによりまして積極的な広報をやっていくことにしておりますが、これと並行いたしまして夫の勤務先の専業主を通じても呼びかけを行うというふうなことを考えておりまして、こういった措置によって周知を図っていきまして被保険者の管理の適正化に努めていきたい、かように思っております。  また、非常に難しいんですが、市町村の公簿であらかじめ未適用者を洗い出しまして、可能な限り個別勧奨を行うといったようなことにつきましてもあわせて考えていきたいと思っております。
  279. 抜山映子

    ○抜山映子君 恐らく本人からの届け出というお答えが出ることを想定しておりましたけれども、この本人からの届け出ということになりますと、やはり新年金制度の周知徹底を図るためのPR、特にその届け出が必要な場合に落ち度がないようにPRする必要度というのは極めて高くなってくると思います。この点について疎漏なきを期していただきたいということを申し上げたいと思います。  ところで、先ほど同僚議員も質問されたんですが、婦人には五万円の基礎年金が保障されたということで、全員が保障されたんだというように誤解している御婦人がたくさんおられるわけです。共済年金について言いますと、被保険者の妻が国民年金に加入しなかった場合に施行時四十歳周辺の配偶者の基礎年金が非常に低くなる。これを特例納付制度、今までもよくこれで救済してきたわけですが、今回この四十歳周辺の妻について特例納付制度で救ってくださるお気持ちはございませんか。
  280. 鏑木伸一

    説明員(鏑木伸一君) 今さら申し上げるまでもないんでございますけれども基礎年金は社会保険方式で運営しております。これは保険料の拠出、それと給付と連動いたしておるものでございます。したがいまして、被扶養配偶者の方で国民年金に任意加入されていなかった方につきまして、その拠出が行われなかった部分について何らかの措置をとるということは、こういった社会保険の制度の仕組み上なかなかとりがたいものであると申し上げざるを得ないところでございます。
  281. 抜山映子

    ○抜山映子君 制度の切りかえの上でもやむを得ないというお考えのようですが、ひとつ研究してみてください。  それから、減額年金制度についてお伺いしたいのですが、この制度厚生年金にはないものですね。どのような趣旨でこの減額年金制度は設けられているんでしょうか。
  282. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 恩給制度等の旧年金制度から現行の共済年金制度に移行した場合に支給開始年齢の引き上げ等が行われまして、そのときの激変緩和措置の一つとして減額退職年金制度が採用されたというふうに記憶しております。
  283. 抜山映子

    ○抜山映子君 現在、この制度の受給者はどれぐらいいて、また男女別ではどのようになっているのか、あるいは平均年金額の水準はどれぐらいになっているのか、これについてお答えいただけますか。
  284. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 現在、減額退職年金の受給権者は一万七千百十四人で、五十八年度末の数字でございます。男女の比率につきましては地共連合会のデータでお答えさせていただきたいと思うのでございますが、男が五七・五%、女が四二・五%でございまして減額後の平均年金額は月十一万五千四百十四円と相なっておるところでございます。
  285. 抜山映子

    ○抜山映子君 減額率を四%とした根拠はどういうことなんでしょうか。
  286. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 先生御指摘のように、現在特例的な減額率が四%と、こういうことになっておりますが、この特例的減額率というのが従前から続いております減額率でございまして、そのもとをただしますと、以前まだ平均余命が現在のように長くなかった時代の保険数理に基づく減額率というのがその程度であったというように言われております。
  287. 抜山映子

    ○抜山映子君 そういうことですと、減額年金をもらった方がトータルとしては得になるんだということになりましょうか。
  288. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 御指摘のように得になりますか損になりますかということは、結局その方の受給期間によってくるわけでございます。現在、いわゆる保険数理に基づきます減額率というのは一年で大体八・五%という数字でございますから、四%というのはそれより低い減額率でございますので、平均余命だけもらわれますればそれは得になるということが言えると思いますから、一般的には得になる人が多いんだという物の言い方はできようかと思います。
  289. 抜山映子

    ○抜山映子君 この減額制度段階的に廃止するその根拠はどういうことでしょうか。また廃止によって支障を生ずる者が出ませんか。
  290. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 確かに減額の退職年金制度を今回の改正で廃止いたします。今回の改正で廃止いたしますが、同じ機能を持ちますいわゆる支給の繰り上げ制度というものを経過的に残します。その支給の繰り上げ制度というものを経過的に残しますのは、ただいま先生御指摘の、四%の特例的な減額率で減額退職年金を受けられる方が現在の制度で持っております期待権、それを尊重するという意味から設けております。具体的に申し上げますと、昭和十五年の七月一日生まれの方までということに相なってくるわけでございますが、その方々は四%という今先生御指摘のような、割合有利な減額率で受けられるそもそも期待権があったということを尊重して残すものでございます。  それに引きかえまして、一般的な保険数理に基づきます減額退職年金ということになってまいり ますと、これは年金本来の使命でございます老後、特に家督能力が相対的になくなってくる高齢の年代になりますと、減額率によりまして一般よりも安い年金受給に甘んじなければならないということになってまいりますと、それは年金の持ちます本来の機能とも相反する面も出てくるのではないか、そういう点を勘案いたしまして、今回この減額退職年金制度というものは、支給繰り上げ制度を経過的に残すということを条件に廃止をすることにいたしたわけでございます。  なお、先生御指摘のように、厚生年金もこういう制度はございませんので、それと合わせたという面もございます。
  291. 抜山映子

    ○抜山映子君 減額のパーセンテージについては四%にこだわることはないと思うんですけれども制度自体は個人の選択を認める、特に女性が生涯設計する上で大きなよりどころになっている面があると思うんです。この制度を存続した方が私はいいのではないか、こういう考え方を持っておるんですけれども、存続するように修正するお考えはございませんか。
  292. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今、福利課長から説明申し上げましたように、厚生年金にはない制度でございます。そして、この減額退職年金制度というものを活用されますと、本当に退職年金が必要になる高齢者になってから、今は四%でございますけれども、もう少し高い減額率というものを適用せざるを得ないと思いますから、高齢者になってからの年金額が少なくなるということは、最初に先生がお話しになりましたように、やはり高齢者の生活の支えの一部がそれだけ欠けるということになりますし、厚生年金にもそういう制度がないわけでございます。  したがいまして、これから十年間かけてこの制度を廃止しようというわけでございますので、この十年間に関係者の方々に徐々にこの制度の廃止に向かっていろいろな準備をしていただきたいというふうに思います。そして、やはり高齢者になられて、本当に年金が必要なときにきちんとした年金が受けられるようにした方が年金制度としてはいいんじゃないかというふうに思います。
  293. 抜山映子

    ○抜山映子君 私が想定しますのは、女性の働き手が、私はもう体力も弱まったしこの辺で退職して、夫も働いていることだし、ここで年金をもらってむしろ悠々自適の、年金は少なくても主人もいることだしここで退職したいという女の人が多数いることが実情ですので、そういうことを考えて残す方がいいんじゃないかと思うんですけれども、再度御考慮いただけませんか。
  294. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生が今お話しになりましたように、御主人も働いておられる、そして奥さんも働いておられる、そういうときに奥さんが早くおやめになりまして減額退職年金を受けたいというのは、この限りにおいては話としては理解できるわけでございますけれども、先ほどからいろいろな議論がございますように、今度の年金は現在の年金と異なりまして個人単位の年金給付設計を変更してまいりますので、共働きだということで実は余り安心してもらっては困るわけでございます。やはり高齢者になってからの年金額が完全な形で受けられるようにお考えいただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。  再度申し上げたいんですけれども厚生年金がこういう制度を現在とっておりませんので、それに十年間かけて合わさしていただいた方がやはりいいだろうというふうに思いますので、御了解いただきたいというふうに思います。
  295. 抜山映子

    ○抜山映子君 私が思いますのに、今回の改正によりまして共働きの方と単身者の方が今までに比べて非常に厳しくなる、こういうことが言われておるわけです。共働きの場合は確かに率は大きく下がりますけれども、夫婦がそれぞれに年金を持つ意味におきまして、老後の保障という意味ではそう心配はないと思うんですが、一番心配なのは単身者、特に女性の独身者の場合ですね。大変に厳しいことになる。というのは、結婚しておりませんから子供もいない、そうすると自分一人で老後を考えなければならないわけでございまして、そういう独身の女の人が大変厳しくなる。そうすると、今後、女性の自立とかいうきれいごとを言っておりますけれども、内情は大変厳しくなっていくんではないかと思うんです。この独身の女性についての、年金自体がレベルダウンすることはいた仕方ないとしても、ほかの面での優遇措置をお考えにはなっていないでしょうか。
  296. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 独身の女性の方だけに着目した優遇措置というものは実は考えておりません。先生が今お話しになられましたそういう方のためにもやはり減額退職年金は十年間かけて廃止をさせていただきたい、そしてそういう独身の方が高齢者になってからきちんとした年金がいただけるようにさせていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。また、減額退職年金を十年間かけて経過措置を設けながら廃止をさせていただく、その期間に独身の女性の方にもそれなりのいろいろな準備をしていただきまして対応していただけないかというふうに思うわけでございます。
  297. 抜山映子

    ○抜山映子君 もう一つ問題は、今度の改正によりまして男性が結婚する場合にも妻の年齢についてちょっと考えなければならないという結果が出るわけです。と申しますのは、例えば十歳年下の妻をもらいますと、妻が六十五歳にならなきゃ年金がもらえないわけですから、男の本人の方は七十五歳にならなければ合算した額がもらえないわけですね。そうすると、七十五歳は平均寿命でございますから、妻が基礎年金をもらえるころにはもう自分は命がない、こういうようなことになるわけです。満額もらおうと思うと、五歳年上の妻をもらうと六十歳で定年したときに妻の基礎年金ももらえる。こういうようにたまたま結婚の相手によって年金の額が違う、こういうことになるわけです。これは個人に年金を確立したのだから、その結果だからやむを得ないという言い方をきっとなされると思いますけれども、普通の場合は、離婚するというような場合はパーセンテージとしては非常に少ないわけで、大方は夫婦がともに年とって合算して年金をもらう、こういうのが実態だと思うんです。  そうしますと、これは既に厚生年金の方で可決されてしまっておりますから蒸し返しの議論にはなりますけれども、将来的な展望として私は考えていただいたらいいんじゃないかと思うんです。妻の加給年金が少な過ぎやしないか、これをもう少しふやせば、結婚相手が幾つかによって男の老後の収入が左右されるという面が調整されていくと思うんですが、この点について長期的なお考え改正してくださるお考えはないか、お伺いいたします。
  298. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) さきの国民年金厚生年金改正法案審議の際にも今、先生が御指摘になられましたような問題についていろいろ御議論がございました。そして、今、先生がお話しになりましたようにいろんな議論がございましたけれども、一応制度が可決されまして今施行を待っておるわけでございます。ただ、先生がお話しになりましたような問題はそれなりに理解できますけれども、六カ月ほど前の国会で可決された問題につきまして、長期的展望と言いながらも私たちのような小役人があれこれ申し上げるのは今の段階ではひとつ御勘弁いただきたいというふうに思います。
  299. 抜山映子

    ○抜山映子君 ひとつ問題としてお考えおきいただきたいと思います。  終わります。
  300. 増岡康治

    委員長増岡康治君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会      —————・—————