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井上計君
質問を幾つか通告いたしておりましたが、最初にお断りいたしますけれ
ども、ちょっと私の
個人的な都合で
質問時間を短くいたしまして、直ちに退出をいたしますので、大臣、また
委員の皆さん方にはお許しをいただきとうございます。相続税の問題あるいは法人税の問題等幾つか
お尋ねするつもりでありましたが、したがって二つだけに絞って
お尋ねをいたします。
最初は、既にもう同僚
委員から多く出ておりますけれ
ども、
円高に対する緊急対策の問題であります。
今、
近藤委員からはいろいろと御
質問が、また実情等についての
お話がありました。私
どもと共産党さんとは余り
意見が一致しないのでありますが、この問題については全く
意見が一致であります。ただ問題は、昨日、私
ども党として大臣に申し入れをいたしました。十分御承知をいただいておりますが、現状については余り問題がないという
状況があります。しかし、問題はこれからどうなるかという問題でありますから、これについては先ほど銀行
局長の御答弁もありました。私も、現状についてはということであるならこれは銀行
局長の答弁でもよろしいかと思いますが、要はこれから、現在成約の終わったもの、これからの新契約にはもう重大な影響があることは事実でありますから、特に御配慮をいただきたい。
また、同僚
委員から
お話がありましたが、今度の
円高は
政府主導というよりも、もっと率直に言うと
政府がつくり出したものであるわけでありますから、したがって、これによって生ずる被害を受ける業者等に対しては当然
政府が責任を持つべきである、こういう
考え方が非常に各方面で強くなっております。したがって
財源のいかんという前に、
財源問題を論ずる前に、この問題をどうするかということを特にひとつ
要望しておきます。時間がありませんからこの問題についての御答弁は結構であります。
さてそこで、次に、
減税、そのためには
財源措置として
増税をせざるを得ない、こういうふうな論議が続けられております。これも当然そういうふうな論議はわかるわけでありますけれ
ども、そこで私は提言をいたしたいと思うんです。
増税をしなくて
財源をという提言であります。それは
マル優の問題であるわけであります。
マル優制度が存続をする、そのためには来年の一月から限度管理を厳重にするということでありますけれ
ども、果たしてそれで不公平
税制が是正できるかどうかということになりますと、私は疑問を持っておるわけであります。現在、不公平税
制の最たるものとして
マル優制度ということが言われておりますが、限度管理を厳重にしたとしても、ことしのうち既に二年あるいは三年あるいは五年の定期預金をしておる人は、その期限が来なければ実は限度管理に厳密には入らぬわけでありますから、依然として残っていくということになります。それからさらに、
低率分離課税をやった場合には
マル優制度が事実上廃止になってまいりますから、当然そこに多くの反対や批判が起きることはこれは当たり前であるわけであります。
私が申し上げたいのは、もう既に皆さん方御承知でありますけれ
ども、現在
非課税貯蓄が郵便貯金とそれから銀行その他の金融機関の預金を合わせますと二百四十兆円あります。二百六十八兆円という
非課税貯蓄残高のうち、証券等がありますから、二百四十兆円あります。だから大ざっぱに言いますと、二百四十兆円が厳密に正式な正しい
マル優じゃないということはこれはもう皆さん方おわかりだと思う。当然大蔵省もお
考えになっておると思いますが、実は私の大ざっぱな試算でありますけれ
ども、二百四十兆円に対する利息、これはいろいろあります、郵便貯金の普通、あるいは定額、あるいは定積み、あるいは銀行預金の普通、通知預金、定期も三月、半年、一年、三年といろいろありますけれ
ども、大ざっぱに言って平均の利率を四・五%とすると、二百四十兆円の現在の
非課税の郵便貯金並びに銀行預金等々の合計は、利息は十兆八千億円支払いをされておる、こういう計算になります。十兆八千億円の利息に対して、現在分離課税三五%でありますから、仮にこの十兆八千億円の全部に一応三五%の分離課税で金融機関で徴収するとすると、三兆七千八百億円というものが出てくる計算になります。
そこで、現在の
マル優、正しい
マル優というものが一世帯当たり幾らあるかという計算でありますが、いろんな資料等からの概算でありますが、大体私は四千万世帯で計算をして、一世帯当たり二百万程度であろう、こういう計算を実はいたしました。とすると八十兆円にしかならぬわけでありますから、先ほど申し上げた二百四十兆円のうち本当に正しい
マル優該当預金というのは八十兆円程度しかない。したがって、百六十兆円というのは何らかの形での
マル優のはみ出し、あるいは匿名、仮名等々によるところのいわば不正預金と
考えてもいいのではなかろうか、こう
考えます。
そこで、一応三五%の分離課税で取りましたものをいわば正しい
マル優の該当者に対しては還付するというやり方。還付するといたしますと、八十兆円を四・五%で計算すると三兆六千億円の金利、その三五%でありますから一兆二千六百億円、
マル優該当者からも金利を三五%分離課税で取っておるという計算になりますから、それを差っ引くと、二兆五千億円というここに
財源が出てくる、こういう計算になるわけであります。大ざっぱな計算でありますから、これが正確だということは言いませんが、少なくともかなりの者がいわば
マル優に名をかりて隠れて
非課税の貯蓄をしておるという事実から見て、私はこういうふうな、当たらずといえ
ども遠からずという数字が出てくるのではないか、こう
考えるわけであります。
したがって、私がここで最後に申し上げたいのは、まず一〇%の仮に
低率分離課税がなされたとしても、やはりそこに不公正が残ります。隠れておる人は、片方では分離課税三五%、片方では一〇%でありますから、そこにやはり差があるわけでありますから、不公正が残ります。
それから、限度管理をさらに厳重に進めていけば、それなりのまた弊害が起きます。これはグリーンカード制が実施されるというふうなことで、いわばそのようなアングラマネーといいますか、そのようなものが随分と各方面に逃避をして、ゼロクーポンが非常に売れたりあるいは金が大変高くなったりというふうな当時の弊害がまた再び起きるおそれもある等を
考えると、私は、そのような弊害をなくして、こういう方法でいくことの方がむしろベターではないか。もちろん事務的にはいろいろな問題があろうかと思いますが、現在でも生命保険の控除であるとか医療控除等々によっての還付があるわけでありますし、したがって年末調整による還付あるいは確定申告による還付、さらにそのようなものができない人は証明書を持って、銀行、金融機関の三五%の徴収の証明書、そして本人が
マル優確認の法的な書類、
文書を持って税務署へ行けば還付されるということになれば、余り大きな問題は起きないのではなかろうか、このようなことを
考えて、時間がありません、これだけ提案をしますけれ
ども、ひとつ大臣あるいは
政府委員からお答えをいただけたらいかがかと、こう思います。既にこういうふうな問題を検討されておったかどうか、あるいは検討された結果とすれば、なぜこのようなことが表面に出ていないのか、それらのことについてもお伺いをいたしたいと思います。