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1985-11-26 第103回国会 参議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十六日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     市川 正一君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      矢原 秀男君     伏見 康治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 前田 勲男君                 松岡満寿男君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 沖  外夫君                 佐藤栄佐久君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 降矢 敬義君                 松尾 官平君                 梶原 敬義君                 田代富士男君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   村田敬次郎君    政府委員        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        通商産業大臣官        長        児玉 幸治君        通商産業大臣官        房総務審議官   鎌田 吉郎君        工業技術院長   等々力 達君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        逢坂 国一君        資源エネルギー        庁公益事業部長  山本 幸助君        中小企業庁計画        部長       広海 正光君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        法務大臣官房審        議官       稲葉 威雄君        大蔵省証券局資        本市場課長    金野 俊美君        大蔵省証券局流        通市場課長    西方 俊平君        建設省住宅局民        間住宅課長    三井 康壽君        建設省住宅局住        宅企画官     杉谷 洸大君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債  発行限度に関する特例法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十一日、橋本敦君が、また、翌二十二日、矢原秀男君が委員辞任され、その補欠として市川正一君及び伏見康治君が選任されました。     —————————————
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事市川正一君を指名いたします。     —————————————
  5. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 福間知之

    福間知之君 今回の法改正における一つの大きな特徴というのは、法律の名前及び該当条文を変更しまして、ガス会社適用除外にすることとしていることであります。その結果、ガス会社についてはこの法律適用を外しまして、社債発行限度暫定措置法いわゆる商法特例法の第一条に定める二倍の限度に戻すことになるわけであります。  ところが、ガス会社については、もともとこの法律でも社債発行限度額はいわゆる自己資本の二倍と定められておるわけでありまして、いわゆる商法特例法限度と同じであったわけです。この点、過去十年間におきましても、ガス会社設備投資額及び社債発行額につきまして、具体的にどういうふうな設備を増設、建設したのかということも含めて、当局の御説明を求めます。
  7. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) お答え申し上げます。  ガス会社は現在全部で二百四十八社ございますが、このガス会社全体の過去の十カ年の設備投資総額を見てみますと、約二兆九千億円でございます。また、同じ期間中に社債発行したガス会社は七社でございまして、その発行総額は約二千四百億円でございます。  設備投資内訳を申し上げますと、製造設備は七千二百億円、供給設備が一兆九千五百億円、そしてその他のいわゆる業務設備が二千三百億円でございます。  さらに、設備投資具体的内容を若干見てみますと、大手業者について見ますと、LNG導入に伴う工場建設整備というのが大きゅうございまして、例えば東京ガスの場合の袖ケ浦の工場とか、大阪ガスの場合の泉北工場等がございます。それからさらには輸送幹線整備中心になっておりまして、また地方のガス業者につきましては、基本的には導管網整備に係る投資中心となっているわけでございます。
  8. 福間知之

    福間知之君 ただいまの御説明で大体実情はわかったんですけれども、ということは、結果として将来に対する判断をかなりこれで、ガス会社の場合、例えば電力に比べてみてそれほど大きな投資を必要としないと、そういうふうなお考えかのように受け取るわけですけれども、今後とも発行倍率二倍ということであるわけですから、さらに今から十年間の設備投資予想所要額というふうなものあるいは社債発行必要額というようなものについてのお見通しはどう持っておられますか。
  9. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) お答え申し上げます。  今後のガス事業会社設備投資の動向でございますが、まず第一に、LNG関連につきましては、大手一般ガス事業会社は主要な設備投資を終えておりまして、ただ当分の間はそれに関連する設備投資が続くものというふうに考えております。  それから第二に、中小ガス事業会社におきましては今後LNG導入が進みます。それに伴いまして新設の設備投資の増大が見込まれるわけでございます。さらに、将来の需要増に対応した投資とか、あるいは保安対策関連投資増加も見込まれるということでございます。こうした情勢を総合的に勘案いたしますと、ほぼ現在のような状態で投資水準が進むものというふうに私ども考えております。  現在私どもがとっております供給計画によって見ますと、六十一年度から六十五年度までの五年間設備投資総額は一兆二千二百億円となっておりまして、またその期間中に社債発行計画しているのは六社でございまして、その総額は約一千億円ということでございます。  さらにその後の五年間につきましては、現在まだ確たる設備投資計画をとっておりませんけれども、ほぼ今後五年間と同じような状況で進むと見ておりますので、先ほど申し上げました六十一年から六十五年までの数字の約二倍ぐらいが今後の十年間の状況かというふうに考えております。
  10. 福間知之

    福間知之君 それは内部留保金なりあるいはまた今度の二倍の発行限度額内の社債発行で賄えると、こういう判断をしてよろしゅうございますか。
  11. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) そのとおりでございます。  現在、最高の会社で一・四倍でございますけれども、まあほぼその程度で推移するものと見ております。
  12. 福間知之

    福間知之君 次に、電力会社について質問を申し上げます。  電力会社につきましては、今後当分の間の社債発行限度額、いわゆる自己資本、正確には「資本及び準備金総額又は最終の貸借対照表により一般電気事業会社に現存する純資産額のいずれか少ない額の六倍」としておるわけですが、根拠となる設備投資所要額あるいは社債発行所要額の今後十年間の見込みについて御説明を願いたいと思います。
  13. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電力会社につきまして、今後十年間、昭和六十一年から七十年ということで見てみますと、設備投資額は、電源設備に十八兆五千億円、それから流通設備等いわゆる非電源設備で二十七兆三千億円ということで、合計四十五兆八千億円ぐらいということで見込んでおります。そのうち社債につきましては、十一兆四千億円調達するということでございます。  なお、発行額といたしましては二十兆五千億円ぐらい発行するだろう。それによりまして実際の調達額、すなわち返済分を差し引いた調達額が十一兆四千億円というふうに見込んでおります。
  14. 福間知之

    福間知之君 今後十年間のGNP伸び率政府平均四%と見まして、電力需要の対GNP弾性値を〇・七五と仮定した場合、今後十年間の電力需要伸び率平均二・八%水準に見ておるようであります。この設備投資計画につきましては後ほどまた改めて聞きますが、昭和七十一年以降は社債発行倍率が六倍を超えるのか超えないのか、あるいは横ばい、あるいはむしろ低下に向かうのか、どのように予想されていますか。
  15. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 昭和七十一年度以降という問題になりますと、私どもの現在の知見で明確に見通すのはなかなか困難な問題でございます。しかし、一つ石油代替電源、すなわち原子力あるいは石炭等々の導入やあるいはいわゆる供給信頼性向上のための投資、すなわち停電がないように、あるいは停電が起こった場合に早期に回復するようにということで、いわゆる送電線配電線網整備をいたしておりますが、そういった関係設備投資、これが現在非常に多うございます。しかし、これにつきましても伸びは次第に鈍化してくるだろうということでございまして、そういう意味では、所要資金の中で減価償却中心とした内部留保割合が次第にふえてくるだろうと見ております。  そういう意味で、七十年度以降、まあ社債による調達依存度は減少する方向に向かうのではないかというふうに予想いたしております。
  16. 福間知之

    福間知之君 七十年以降は設備なり社債なりの必要性が低下するというふうなお話に承りましたが、とすれば、今回の法改正で、この法律の十年間の時限立法であったものを削除されています。これは、今のお話からすると、実は当分の間といっても、それは十年以内、もっと早目にこれは改正をできるんじゃないかと、こういう合意が、含みがあるのかどうか。七十一年以降の見通しということがなかなか難しいということであれば、むしろ十年間ということに時限立法として明確にする方がいいんじゃないか。こういう考えも一面あるんですが、いかがですか。
  17. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 今回のこの法律改正案で、当分の間といたしました理由二つございまして、その第一は、実は現在の特例法内容につきましては、商法二百九十七条の原則に対する特例ということでできたわけでございますけれども、実はこの特例法ができました後、昭和五十二年に社債発行限度暫定措置法という法律ができました。これはすべての会社につきまして、商法二百九十七条の規定の例外として、現在商法では、社債発行限度資本金プラス準備金限度までとなっていますが、これを二倍までよろしいということで、すべての会社について認めたわけでございます。  この社債発行限度暫定措置法は、当分の間ということで措置がなされています。その理由は、商法二百九十七条自体についてこれを見直す必要があるのではないか。こうした社債発行限度の規制が必要かどうかということについて大変議論がございまして、そうしたもとになる商法二百九十七条の改正を検討して、その帰趨を見るまでの間ということで、当分の間とされているわけでございます。  今回、この電気事業会社社債特例法改正するに当たりましては、ただいま申し上げました社債発行限度暫定措置法と同じ趣旨によりまして、これを当分の間、すなわち商法二百九十七条の規定そのもの見直しが今後予想されますので、その帰趨がわかるまでの間ということで、当分の間としたわけでございます。  それからもう一つは、先ほどと同じように、やはり今後予想される電力事業の非常に大きな設備投資というものも一巡するだろう、それに従いまして資金需要も一巡するだろうということで、それを含めまして当分の間といたしたわけでございますが、そういう意味では、この二つ理由によりまして、当分の間といたしたわけでございます。
  18. 福間知之

    福間知之君 その実際の期待というか希望というか、実際は十年はこのままで行く必要はないと、こういうふうな気持ちがおありなのかどうか。ちょっとそこらが疑問があるんですが。
  19. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 私ども、実はこの商法二百九十七条の見直しがどのくらいのテンポで行われるか、所管でございませんのではっきりわかりませんけれども法務省等の官庁と御相談している感じでは、かなり早い機会に見直しが行われるのではないかというふうに思っております。  ただ、その見直しよりも、先ほど申しました設備投資の一巡による資金需要の一巡というものが早めに参りますれば、当然これはこの法律自体も見直すということになると思います。
  20. 福間知之

    福間知之君 法務当局のこれは長年の懸案でありましたが、ちょっとおくれておりますので、ほかの法律案改正が先に進んでいるという事情も聞いておりますから、早めにひとつ諸外国並み改正をする、あるいは現状に合った改正に持っていってもらうということを期待したいものだと思っておるところです。  次に、資金計画につきまして、今後十年間の増資手取り額が、総工事資金の一%というふうに見ていられますけれども、これでは自己資本比率が低くなり過ぎないだろうか。現在、自己資本比率はほぼ一五%程度と承知していますが、十年後にはそれが一〇%ぐらいになるんじゃないかと予想されます。そこで、この増資の場合とこの社債発行の場合との資金調達コストの違いを含めてどうはじいておられますか。
  21. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず増資の場合でございますが、増資の場合には資金コストといたしましては約二〇%ぐらいというふうに考えております。これは配当の分と、それにかかる法人税その他の税金を足しますと約二〇%ぐらいというふうに見ております。一方、社債あるいは借り入れの場合には約七%ぐらいというふうに考えられております。  実は電力業界全体を見ますと、非常に資本規模が大きゅうございまして、現在五十九年度末で、九社で二兆四千億円。一番大きい東京電力では六千五百億円ということで、非常に資本金が大きゅうございまして、それにさらに配当負担が加わりますと、非常に膨大な配当のための資金が必要となるわけでございます。そういうことで、余りハイペースの増資は難しいということでございます。  他方、他人資本につきましては、社債借り入れでございますけれども社債の場合にはある程度大きなロットで借りられる、さらにある程度長期的な安定した資金である、俗に純自己資本と申しておりますが、そういう意味外部資本としては社債というものにやはりかなりの割合で依存することが必要というふうに考えているわけでございます。
  22. 福間知之

    福間知之君 増資の場合に、約一九%から二〇%、配当やら法人税、地方税入れてそうだというふうにお話がありましたけれども社債の場合は七%ぐらいですか、一〇%ぐらいいかないんですか。それはそれでちょっとつけ加えてもらえばいいんですけれども。  それから現在最も倍率の高い会社の場合、自己資本比率が十年後にそれはどうなるのか、一〇%以上ためているのかどうか。私先ほど言ったように、一五%が一〇%に下がるんじゃないか、あるいはまたそれ以下になるんじゃないかという可能性はどうなんですか。
  23. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず第一の社債コストでございますが、これにつきましてはそのときどきの金利情勢によって変動はいたします。一番最近の例で、ことしの例を申し上げますと、六年物、十二年物、十五年物とございますけれども、六年物で七・一%、十五年物で七・二%となっております。これプラスさらに社債発行費用が若干かかるということでございます。  それから自己資本の点でございますが、先生指摘のように、基本的には自己資本がもう少し高い方が望ましいということにつきましては私ども同感でございます。しかしながら、ここ当分の間、やはり膨大な資金需要がある。それを賄うのに増資ということによって賄うのは非常に難しいという状況でございますので、ある程度自己資本が下がっていくのはやむを得ないと思っております。現在約一五%弱でございますが、これが七十年になりますと一〇%強、平均して一〇%強となります。ただ、個別会社ごとに見ましても若干のばらつきがございますが、ほぼ似ておりまして、いずれにしましても一〇%を切る会社はないということで、私どもも一〇%を維持するということは努めたいというふうに考えております。
  24. 福間知之

    福間知之君 今の御説明、にわかにそうかということで、どすんと納得が必ずしもできませんけれども、だれもつぶれるような会社だとは思っておりませんし、そういう気遣いは必要ないのかもしれませんが、しかし一般民間企業だということからすれば、やっぱり株主などの立場も考慮したり、あるいはこれから国際的な情勢影響等考えなければいけませんし、自己資本比率がそんなに低くなるということはやはり好ましいとは思いません。どだいスケールが大きいですから、今十年間のいろんな見通しをお聞きしているわけですけれども、そういう予想の推移と兼ね合わせてこれは考えなきゃならぬのだろうと思いますし、全くチェックができないわけじゃない。途中で社債発行そのものも増減が可能でございますので、そういう点で特段の心配はないかと思うんですけれども十分留意をしていかなきゃならぬ問題じゃないかと思っている次第であります。  それから次に、十年間の設備資金につきまして具体的に伺いたいのですが、まず電源設備と非電源設備内訳について見通しを述べていただきたい。
  25. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 今後の電力会社設備投資につきましては、一つ電源部門ということでございまして、これは電源多様化を推進するための発電所建設というのが中心になるわけでございます。これにつきましては、今後十年間で約十八・五兆円というふうに見積もっております。  それからもう一つは、いわゆる非電源部門ということでございまして、送配電線施設高度化のための投資あるいはさらには配電線地中化等々、新しい社会的な要請にこたえるための投資でございますが、これにつきましては約二十七・三兆円ということでございまして、両方合わせまして四十五・八兆円というのが十年間の計画でございます。
  26. 福間知之

    福間知之君 だから、それは先ほどもお聞きして、トータル金額はほぼ理解できるんですけれども、今回の六倍限度額への改正が、例えば主として電源設備というよりも送配電等の非電源供給信頼度を高めていくというふうなところに求められているようですから、そういう計画があるのかということです。
  27. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、従来から電源部門と非電源部門と分けますと、大体四対六ぐらいで非電源の方が多うございます。しかし今後、先生指摘のように、送配電線高度化とかあるいは地中化、さらには信頼性向上というようなことでこうした非電源部門投資の量も非常に多うございます。そういうことで、先ほど申しましたような割合で今後推移するものと見ております。
  28. 福間知之

    福間知之君 それでは、十八兆五千億円の電源設備をした場合に、六十五年度、今から五年先ですが、六十五年度並びに七十年度電力需給バランスはどういうふうになっていますでしょうか。あるいは電力需要最大電力年度設備等についてそれぞれ御説明を願いたいと思うのであります。  また、それらの年平均増加率についてもお示しを願いたい。
  29. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) お答え申し上げます。  電力需給見通しにつきましては、電気事業審議会需給部会で報告が出ております。これによって御説明申し上げますと、まず電力需要でございますが、これは経済成長を四%程度と今後見込みますと、七十年度で七千八十億キロワットアワー、大体年平均二・八%の平均増加するというふうに見込んでおります。  それから、第二の最大需要電力につきましては、これは今後とも冷房等が進みますので普通の電力需要に比べましてかなり伸びが高こうございますが、七十年度で一億五千二百万キロワットということで、これは年平均三・三%で増加するというふうに見込んでおります。  こうした需要伸びに応じまして設備が増強されるわけでございますが、最大電力に対応してつくるということでございまして、七十年度末では二億五百万キロワット、これは年平均二・九%で増加するというふうに見込んでいるわけでございます。
  30. 福間知之

    福間知之君 今の説明でおおよそ理解ができるわけですけれども電力需要が二・八%、最大電力需要が三・三%、年度設備が二・九%水準増加すると、こういう理解でよろしゅうございますね。  そこで次に、しからば石油火力発電所というものについてお聞きをしたいんですけれども、今回の改正によって、十年後の電力需要というのは、今お話があったんですが、石油需給関係についてどう見ていられるかということ、十年後に石油需給関係がタイトになると言われているわけですが、そうだとすれば、電力会社はこれから十年間石油火力発電所建設は極めて消極的にならざるを得ないんではないかというふうに考えられます。実際その点がわからないんですが、こういう点は当局はどういうふうに見ていられますか。
  31. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 石油需給につきましては、御高承のとおり、現在緩和ぎみに進んでおりますけれどもIEA見通し、あるいはその他の国際機関見通しでも、やはり先生指摘のように、十年後にはタイトになる可能性が高いというふうに指摘されております。  そうした状況を踏まえまして、実は昭和五十五年五月のIEA閣僚理事会でございますが、石油火力につきましては建設中及び計画中のものを除きまして、いかなる新規石油火力発電所計画も認められるべきではないというふうに合意されております。したがいまして、今後の電源開発計画におきましても、こうした合意事項を踏まえまして離島における内燃力等、必要不可欠なものを除きまして、現在建設中及び既に計画が具体化し、立地のための手続が進んでいるというもの以外、新規石油火力開発計画はございません。
  32. 福間知之

    福間知之君 まあIEAのそういう合意ということもあるならばなおさらのことでございますが、しからばこの火力発電所、あるいはそのためには石炭火力といいますか、LNG発電といいますか、そういう方向に必然的に行かざるを得ない、そういうふうに考えるわけです。  としますと、この石炭火力につきましては、今国内でも、北海道など一部の会社以外は海外石炭の輸入を主としておるわけでありますが、この海外炭について、十年後、七十年代になっても安定供給というめどが立っているのかどうか。また発電コストの面で、その場合他の電源設備と比べてどういう関係になるのか、そこらはどういうふうに見ておりますか。
  33. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 石炭火力の燃料になる石炭でございますが、これにつきましては、基本的には電力会社の問題でございまして、今後石炭火力発電の建設計画が進展いたしますに応じまして、順次民間会社として検討を進めるという状況かと思います。  ただ、全体的にこの石炭資源を見てみますと、まず第一に賦存量が大変多うございます。世界的に見て非常に賦存量が多い。第二番目に、政情の安定している太平洋地域に広く賦存しているということから、供給の安定性にすぐれたところがございます。さらにその上に、三番目としまして、適切な資源開発が今後進められるということを前提にいたしますれば、七十年度以降の供給量についても特に問題はないものというふうに私ども判断をいたしているわけでございます。  さらにコストの面でございますが、これは私どもの方で毎年試算いたしておりますが、一番新しい試算の数字で申し上げますと、初年度の発電原価ということで比べますと、一番安いのが原子力で、キロワットアワー当たり十三円、石炭火力が十四円ということでございまして、これに対してLNG、あるいは石油火力は十七円というふうに想定されております。したがいまして、化石燃料の中におきましてはやはり石炭が一番安いというふうに私ども考えております。
  34. 福間知之

    福間知之君 石炭の場合、過去において排ガス等の公害問題等があって、それを防除する技術も開発されてきていますし、今申し上げた、また御説明があったようなところから、石炭見直しということがある程度世界的にクローズアップしてきているんじゃないかというふうな感じがしています。  そこで一方のLNGですけれども、今のお話で単価が大体石油と同じように十七円ぐらいにつく、こういうことでございますが、やはり石炭と並んで一つの素材であることは間違いありません。そこで、世界的にLNGは今供給過剰の状況にあると聞いておりますが、日本に対する引き取りの要求も海外から多い。サハリンあるいはブルネイからは、今長期契約で引き取っているそうですが、このLNGを用いる発電というのは、先ほどコスト面で考えてみると、果たして他の電源とどういう競合関係になるのか。競合できるとすれば、いわゆるクリーンエネルギーとしてLNG発電を増強していくということも一つ考えではないのかというふうにも思うんですけれども
  35. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のように、LNGにつきましては、クリーンなエネルギーという特徴がございまして、そういう特性を生かしまして、例えば東京湾とかあるいは大阪湾等の環境規制の厳しいそういう場所における需要にこたえるということで、LNGの位置づけがございます。  またさらには、最近の技術開発の結果、いわゆるコンポパインドサイクルと申しまして、ガスタービンと廃熱のボイラーを併用して使いますと非常に熱効率も高くなるし、かつ負荷追随性と申しまして、発電能力を大きくしたり小さくしたりするというフレキシブルに富んだ特性を持つという点もございます。そういう点に着目いたしまして、コストとしては石油と並ぶ十七円ということで、若干高うございますが、そういう特徴を生かして今後ともしNG火力発電は進めていくということでございます。  具体的にはいわゆる電源のベストミックスということで考えますと、ベースとしては原子力あるいは石炭とありますけれども、いわゆるミドルの供給力としてこのLNGが位置づけられておりまして、現在の電気事業審議会での想定によりましても、五十九年度末現在二千七百十五万キロワット、全体の約一八%を占めておりますが、これが七十年度末には四千三百五十万キロワットということで、二一%を占めるということで今後とも増強をしていくというような考え方でございます。
  36. 福間知之

    福間知之君 LNGについても、一つ電源設備としては重要視しているというふうに理解しておきたいと思います。  ちょっと先ほどの話に関連するんですけれども、非電源設備投資を十七年間で二十七兆三千億円、こういうふうにおっしゃいました。その内訳は必ずしも明確にはまだなっていないんですが、聞くところによると、この巨大な投資の中身については、細部にわたって数値で簡単には示しにくいというあれがあるのかもしれませんが、大まかに言って、我々の聞くところでは流通設備に四五%、改良工事その他に五五%ぐらい充てられると、こういうふうに聞いているのですけれども、これだけじゃいかにもずさんでございまして、例えばこの非電源設備に関連しまして、昨今都市の電線の地中化ということが新聞等でも言われまして、先般私も読んだのですけれども、元シュミット西ドイツ首相も日本においでになって町を見てみたら、日本は何ぼでも内需拡大の仕事があるじゃないか、電柱なんか、あんなもの近代都市で地上に林立しているのは外国じゃちょっとないぞ、あれは地中に埋めたらもっと仕事がふえるんじゃないかなんというようなことを言われていましたね。  私もまさにそうだと思うし、当局も、電力会社も、東京の場合一応やっていますね。十年間で一千キロですか、全国地中化しようと、またそれを三年間余り前倒ししてやろうと、こういうような意気込みだとは聞いているのですけれども、そういうところに今の四千億程度の予定をもっと拡大をする、もっとピッチを上げるというふうなお考えはありますか。
  37. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず、非電源設備投資内容でございますが、先生おっしゃったように、大体流通設備に四五%、改良工事に五五%程度ということでございますが、若干内訳を申し上げますと、まず第一は、送電線網の整備拡充というのがございます。これが約六兆円程度でございます。それから供給信頼性向上のための送変電配電設備高度化、これは停電を減らしあるいは停電をした場合にその復旧を早めるということで、いわゆる信頼性向上のための投資がございます。三番目に、先生指摘配電線地中化。それからさらに四番目には、配電組の遠隔制御化、これは今後の情報通信の発達によりまして配電網について遠隔制御ができるようにする、そのための投資がございます。さらには既存設備の改良保修等の投資等々がこうした非電源設備内容でございます。  二十七兆三千億円を十年間で予想いたしておりますけれども、流通設備に十二兆六千億円、改良その他に十四兆七千億円と想定いたしております。  先生指摘地中化でございますが、これにつきましては、大変美観からいいましてもあるいは交通の面からいいましても、非常に望ましいということでございますけれども、問題はやはり非常にお金がかかるということで、普通の地上の電線に比べまして、場所によりますけれども、十倍から三十倍ぐらいの値段がかかるということでございます。したがいまして、これにつきましては計画的に進めていこうということで、従来のペースに比べて数倍のペースで加速して今後進めていこうということで、先ほど先生指摘の十年間で一千キロメートルという計画をつくっております。  これにつきましては、十年間という計画でございますけれども、できるだけ前倒しをしていこうというふうに考えておりますが、相当大規模な工事になるということでございまして、そういう意味では当該地元との調整その他もありますので、前倒しにつきましても急に倍、三倍というふうにはできませんけれども、ただいま申し上げました千キロメートル、これは約四千億円ぐらいかかりますが、これをできるだけ前倒しをしながら進めていこうというのが現在の状況でございます。
  38. 福間知之

    福間知之君 今の段階はその御説明程度でしかやむを得ないかと思うのですが、大臣、いささか俗っぽい話ですけれども、今まで年度末になると、予算を使ってしまわなきゃいかぬというので、公共事業として道路の改修工事などやっていますね。あのときにいつも思うんですけれども、だれしも我々車を使う場合に、年末や年度末に渋滞が激しい。寒い時期だから夜の工事も難しいというのでお互いがちょっと悩みますわね、あの時期に。あのときにいつも思うんですけれども、共同溝というものを日本がもっと計画的に拡充をしていくという方針があっていいんじゃないだろうか。  考えても、それは今ここで電力線の埋設ということにとどまらず、建設関係の大きな仕事でもございましょうし、関係役所の横の連携が必要だし、また電力線を埋設するという場合は、日本の都市はヨーロッパと違って区画整理があってないようなもので、いつどんな変更が地上に起こるやらわからぬ、だから危なくてあちこち埋められない、こういう事情も胚胎するわけですね。いろいろなそういう要素をある程度見きわめて解決をしていく上で、今のこの地中化の問題も本格化できるとは思うんですね。だけれども、そういうことを今この時期にやらないと、二十一世紀に向かっての経済大国日本というものの実際は、姿は都市の美観の上からもあるいはまた居住環境という面からいってもなかなか達成できないと思うんですけれども、これは御答弁は要りませんが、やはりお互い我々が考えて後へ引き継いでいく重要な仕事だと、こういうふうに思いますので、御配慮をひとつ十分願いたいと思うわけであります。  次に、円高差益の問題、きょうの新聞でも、既に政府電力会社あるいは石油業界等における今後出るであろう円高差益なるものを中小企業の方に振り向けるというふうなアイデアが、固まったものじゃないにしろ、記事になっていました。昨今そういうふうに円高に伴って差益問題が関心を集めているんですが、政府は今後の為替レートについて、昨日は二百円の大台を一時的に切ったと、百九十九円八十銭になったと、こういう報道もあったのですけれども、どういうふうに見ておられますか。また、逆に再び円が安くなっていくというふうな見通しでも持っておられますか。まず見通しについて伺っておきたいと思うんです。
  39. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 福間委員のただいまの御質問は非常に重要なポイントだと思います。御指摘がありましたように、九月二十二日のG5の会議以後ドル高是正ということが合意を見まして、日米を初めとする各国の協調介入や、我が国金融当局の金利政策、さらに最近では米ソ首脳会談後の東西緊張緩和期待などもありまして、急速にドル高是正が進展をしているのは御承知のとおりでございます。瞬間的には二百円を割って百九十九円台まで出たということで、これは二カ月間に四十円余りの円高でありますから、非常な新しい傾向と言っていいと思います。こういった意味でこの円高基調につきましては、通産省としては我が国経済にとっても大きな流れとしては望ましい、こういう認識をしておるわけでございます。  しかし他方、この円高傾向がどのくらい続くのか、そしてまたそれに対応してどういう変化があらわれるのかということをいろいろ考えてみますと、確かに輸出に非常に依存をしている中小企業等にとって相当大きなショックも既に一部あらわれておる点もあり、こうしたことについては年末を控えてひとつ慎重に対応しなければならないということで、御指摘がございましたように政府・与党の間でいろいろな打ち合わせをしなければならぬという動向が出ておるわけでございます。  既にせんだっての政府・与党連絡会議のときでございましたか、その話が出ておりまして、通産省としても既に中小企業対策等について相当の検討をいたしておるところを私がその会場で御説明を申し上げたところでございます。二百円を割ってさらに進むようになるのか、あるいは現在の二百何円というところで定着をしていくのかということが基本的な基調でございますので、よく眺め、そして年末を控えていろいろな対策を講じていかなければならないと思っておるところでございます。  なお、先ほど福間委員から、公共事業の執行に関して非常に重要な御発言がございましたから、この際お答えをさしていただきたいと思いますが、電線の地中化、そしてまた共同溝設置等についてのお話は、私はごもっともな、非常に必要な御提言だと思います。事実、どうして日本の大都市等が電線の地中化がなかなかできないかということについては、いろいろ原因もございましょうが、何といっても土地の広さが非常に狭い、そして大都市の人口が過密である、土地が割高である、いろいろなことがあると思いますが、これは都市美観からいたしましても、あるいは二十一世紀を控えての電線の地中化その他の作業は非常に重要なことであるということで、識者の間で指摘をされ、これについての長期計画等も考えられておるところでございまして、これはまさに福間委員の御指摘のような先見性のある御意見に従って今後対応をしていくべきものと考えております。
  40. 福間知之

    福間知之君 その後段の大臣の御所見は、これはまあ大臣一人の問題じゃありませんが、ぜひひとつそういう考え方に基づいて、長期のプランもしたがって必要ですし、思いっきではいけませんから、関係省庁の格段の御努力をお願いをしたいと思うんです。  そこで話を戻しますが、円高差益につきまして、電力業界全体では、一円の円高が一年続いた場合には約百二十億円の差益が生ずる、こういうふうにも報道されておるんですね。現在のレートは先ほども申しましたようにほぼ二百円ということで、これはG5までのレートはほぼ二百四十円強ということで考えてみますと、約四十円強の円高にここの三カ月近くなっているわけでありまして、これが一年続いた場合に電力全体としては円高差益がほぼ四千八百億から五千億になる、こういうふうに考えていいのかと思うんですけれども当局はどういうふうにお考えになりますか。
  41. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 円高につきましては、為替レートが毎日毎日どういうふうに変わるか、あるいは燃料につきましてどういう燃料をどういうふうに使うか、特に国内の石油製品についてのはね返りはどうなるか等々がありますので、正確な計算は非常に難しゅうございますけれども先生おっしゃった四十円で四千八百億円という計算になろうかと思います。
  42. 福間知之

    福間知之君 今のお話にもありましたが、これは為替のレートの相場ということでもございますので、一面仮定の話というふうにも言えば言えますが、巷間におきましては来年にかけてこの円レートはさらに高まっていくんじゃないのか、また海外諸国からの期待もそういうところにあるんじゃないかなというふうな説もあるわけでございまして、今後一年以上円高がさらに続くという場合には、一般の卸売物価指数、これが低下傾向を示しているわけでして、そういうことにもかんがみまして、差益をユーザーである国民、消費者に料金の引き下げということによって還元すべきではないかというふうに考えます。政府はこの料金引き下げによる円高差益の取り扱いについてどういうふうにお考えになっていますか。
  43. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 円高差益の問題、非常に重要であろうかと思います。九月二十二日、5G会議がありましてから円高が始まったわけでありますが、まだ二カ月余りということで非常に日が浅い、そしてこの時点では為替レートの動向など事態の推移を慎重に見守るべき段階である、この問題についてはそう考えております。  御指摘のように円高が今後一年間以上、相当期間にわたって定着したような場合には、今後六十年度決算が明らかになり、それに基づいて六十一年度の収支見通しが立てられるようになる時期、これが一つ判断の節目ではないかと考えております。いずれにいたしましても、今後事態の推移を見守りながら慎重に対処してまいる所存でございます。
  44. 福間知之

    福間知之君 そういう御答弁しか今の段階は無理かもしれませんが、ガス会社につきましても料金の引き下げによって消費者に還元すべきでないかという考えを持っているわけです。  ガス会社の場合、私も素人で詳しくは知りませんが、電力に比べますと、大手会社というのは直取引を原燃料についてやっていますけれども、数の多い地方の中小ガスの場合はそうでもないという事情があるわけでして、一概にガス業界全体で差益還元云々ということは少し申し上げることも無理があるわけなんですけれども、一面、LNG化が進んでおりまして、製造コストというのは円高差益によって割合は非常に電力より大きいんじゃないか、規模は小さくてもあるいは該当会社は限定されてもその割合というのは大きい、こういうことも考えられます。じゃその部分だけ還元するかとなると、いや、地方は還元できない、こういう不公平も出るじゃないか、いろんな議論がこの場合出てきてなかなか難しいようなんですけれども電力とガスについてはかなり違った見解を持っておられますか。
  45. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生のおっしゃるとおり、ガス会社の方が若干燃料の占める比率が大きいということで高こうございまして、具体的な数字を申し上げますと、一円上がった場合、一年間続きますと大手三社で十四億円ということになります。現在ガス会社は二百四十八社ございますけれども、いわゆる大手は三社でございまして、非常に中小企業が多うございます。そういう観点から、前回の昭和五十三年度に差益の還元をいたしたことがございますが、そのときも大手三社に限るということで還元したという事実がございます。
  46. 福間知之

    福間知之君 差益問題はそれで終わります。  次に、電力需要減対策について、需要の減ることに関する対策についてお伺いしたいと思います。  いわゆるコジェネレーション、燃料電池などの分散型電源の本格的な導入という問題、産業構造の変化による電力多消費型産業の減少によりまして、電力が余剰時代を迎えるのではないかというふうな見方も一つあるわけでございますが、その点について二、三の御質問をしたいと思います。  まず第一に、コジェネレーションの現状と将来の見通しについて、及び燃料電池開発の現状についてお聞きをします。  五十八年十一月の電事審需給部会見通しによりますと、七十年度まで業務用ビルを中心にしまして、年率五・四%の伸びを予測しているようですが、分散型電源の普及はその計算の中に入っているのでしょうか、入っていないのでしょうか。
  47. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 分散型電源につきましてはいろいろございまして、先生おっしゃいましたいわゆるコジェネレーションということで現在行われておりますのは、ガスタービン、ガスエンジンを燃やして熱と電気を一緒に供給するものでございます。そのほかに御指摘のあった燃料電池、これは現在開発段階でございますけれども、将来は開発されるだろう。さらには太陽発電とかあるいは風力発電等々ございます。  そのうち、現在一番実用の端緒についておりますのはコジェネレーションでございます。これにつきましてはガスタービン、ガスエンジンを燃やしまして、その廃熱を利用して発電を行うと同時に、その廃熱を利用して冷暖房とかあるいはお湯を供給するということを行っているわけでございますが、このコジェネレーションにつきましては、電気の需要と熱の需要が非常にうまくマッチしたという場合にはエネルギーの効率あるいはコストの低減ということで非常に利点がございます。ホテルあるいは事務所、病院等を中心に、現在数十カ所において実用化されているというふうに考えられます。  先ほど申しましたように、経済性の観点、コストの観点から見まして電力需要と熱需要がバランスするということが重要でございまして、そういう意味でこのコジェネレーションが全体の電力供給の中で非常に大きな地位を占めるようになるということは現在は想定できませんし、また先ほど申しました燃料電池あるいは太陽発電等々につきましては、現在研究開発の段階であるというふうに考えております。  先生指摘の業務用についての五・四%の伸びということでございますが、この中には現在行われていますコジェネレーションについての電力も当然含まれているというふうに考えて我々計算いたしております。
  48. 福間知之

    福間知之君 電力業界が今日まで営々として築いてきた電力エネルギーにおける実績とか努力、こういうものはそれとしてまことに結構なんですが、省エネルギーとかあるいはまた構造物が大変変革を遂げてまいりまして、超高層の、単に業務用だけじゃなくて、一般の住宅というふうなものもふえつつありますし、そういう中で私はそういう熱効率が高い、集中的な独自の、何といいますか、エネルギー設備、冬も夏も通用するようなエネルギー設備、こういうようなものがこれから発展をしていくんでないかなと思っておるんです。欧米が既にそのように感じられるわけですけれども当局としてはこれから、先ほど言った五・四%程度伸び考えていくのがいいのか、これはちょっと積極的じゃないなと、こういうふうに私思うんですが、そこらについてはどのようにお考えでしょうか。  ちなみに、報道によりますと、東京ガスは、これは紺屋の白ばかまじゃなくて、その逆でして、港区の東京ガスビルですね、これは地上二十七階、地下二階の必要電力量四千キロワットのうち、半分の二千キロワットを賄うところの本格的な自家発電、都市ガス需要が頭打ちで新規事業を開拓したい東京ガスあるいはガス業界にとってこのガスタービンを使った自家発電の普及は格好のねらいどころだ、こういうふうな観点で、現在東京ガスさんは一般的に二十件程度の商談を進めている、こういうふうな報道もあるん。ですけれども、現在の電気事業法によりますと、こういうふうなコジェネレーションの普及発達という事態は予想し得なかったときにつくられた法律ですので、電力の特定供給の適用というものは、その対象が人的、資本関係を有する者に限る、極めて限定された硬直した運用になっているというふうに聞いておるんですけれども、いささかこれは現状にそぐわないんじゃないだろうか。  大阪城の横っちょにツインタワーが今建ちましたね。あの隣に今度ホテルニューオータニだとかあるいはKDOの大阪のビルも建ちつつあるわけです。ああいう地域はまさにその気になれば、かなり独自のエネルギー設備を持って持てぬことはないのですが、今の電気事業法でいくと、それが認められないというふうな少し不都合が生じるのではないかと。したがって、結果は法律改正考える必要があるんじゃないかと、こういうことをお聞きしたいわけですがね、いかがですか。
  49. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) コジェネレーションにつきましては、先生おっしゃったように、これは一般電力事業といろいろな意味関係するわけでございます。  まず第一には、いわゆるコジェネを導入いたしまして、それによりまして電力を供給する場合に、一切普通の電力会社の電気から独立してしまうということは非常に難しゅうございまして、と申しますのは、例えば定期検査をするとか、あるいは故障が起こるということもございますし、あるいは設備の効率的な利用というふうな観点もございますので、そういう意味で、一般には一般電力系統とつなぐわけでございます。まあ並列するということが多うございます。  その際にいろいろ問題が起こりまして、そのつなぎ方によりましては、例えば逆流してきたり、あるいは電力会社でもって停電で直す作業をしているときに、思わぬところから電気が流れてきて感電して死んじゃうとか、あるいはそのほかのさまざまな保安の問題、さらには電力の質が非常に小型で、周波数その他であるいは電圧がしょっちゅう変わるとか、そういう質の悪い電力の場合には、つなぐことによってほかの電力に影響するということがございます。そういいました並列に伴う技術的な問題というのがございます。それからもう一つは、予備電力ということでございまして、先ほど言いましたように、定検をするとか故障をするというような場合には電気をそこからもらわにゃいかぬという場合に、これを普通の電力並みの料金でやりますとやはりペイしないと。ふだんは使わないわけでございますから、いざというときに使う場合に、そういう特殊な料金制度が必要ではないかというような問題もございます。そうした問題を含めまして、現在このコジェネレーションにつきまして、一般電力につなぎながらうまく共存共栄するという方法はどういうふうになるかということで、制度的な面で現在調整を図っております。  それから、先ほど先生指摘のいわゆるコジェネレーションをやって、そこで相当多数の人にそこから供給すると、いわばミニ電力会社ができるというような形につきましては、現在の電気事業法では当然想定いたしておりません。と申しますのは、電力会社は地域独占をいたしておりますが、その代償として供給義務があるということで、山奥の一軒家でも、それから離島でも、全部供給すると。そのときの電気料金は全く同じ、その地域の中では同じということになっていまして、非常に人口の密集した都会地域だけに限って電力会社を経営すれば、それは非常に高収益でペイするかもしれませんけれども電力会社としましては、人口が希薄なところもあるいは山の中も離島も、全部平等に供給して、料金は同じにするという状況にございますので、そういう意味で、一定の部分についてミニ電力会社をつくるということは現在の電気事業法では認めておりません。
  50. 福間知之

    福間知之君 部長の御説明はそれなりにわかるんです。特に後段のお話で、まあ一般の住宅ということになると、私もちょっと今例示的に申し上げたわけですけれども、それまでに、業務用の場合にはテナントがたくさんありますよね、そういうものに対する熱やら電力やら水やら、ユーティリティーサービスというのが大分これから拡大していく傾向にあるんです。確かに電力会社送電線配電線と、それから自家発電とを併用する場合に、大阪のあのビルだってかなりコストが高くなっているようですよね、並列に設備をせにゃいかぬというふうなことのようですから。そういう側面はあるんですね。  それからもう一つ、今いろいろ危惧を申されたような技術的な面について、これももちろん解明しなきゃなりませんし、私も容易じゃないなと思うんですが、一つの時代の流れとしてそういう動きというものは無視できない。したがって、電気事業法はそういう点では一遍、どういうふうに見直すかはまだ少し慎重を要しまうけれども法律そのものが古いんですから、やっぱり見直してみるという必要はあるんじゃないだろうか。昨今、今まで普及してきました洗濯機の乾燥機なんかでも、大分ガスの乾燥機の方が効率がいいというのでシフトしてきておる。市場はそういうふうに若干の変化を招来しております。いろんなそういう事情の推移というものもやっぱり判断をしていかなきゃならぬのじゃないかと思いますので、今後の課題として検討をお願いしたいと思います。  次に、社債市場に関して、今回の法改正がどういう影響を持つだろうかということにつきましてお聞きしたいと思います。  現在、五十一年に制定されました現行法で、電気、ガス会社社債発行は行われているわけでございますが、今後十年間で発行倍率は何倍になる見通しか、また十年後の社債残高は先ほど二十兆円、こういうふうに言われましたが、そういう判断でよろしいか、どうですか。  さらに、社債でも格付の高いところの電力債でございますので、個人や機関を問わないで人気があるとも思えるわけですけれども、これはAAの格付になっておりますからそういうふうに思うんですが、個人の消化率というのは六割程度と、こういうふうに聞いていますが、そうでございますか。  三つ目に、この四十六兆円の資金需要のうち、仮に先ほどの十一兆五千億円、約四分の一を社債調達する、こういう計画と承知していますが、現在は国自体が大量の国債、事業債を発行しておるわけでございますので、そういう公社債市場の環境にどういう影響を及ぼすか、心配はないのか、また一般事業債に対する影響がしたがってかなりきつくなるということになれば大変だと思うんですけれども、その点はどうなのか。社債以外の資金需要についても、今回の措置によって圧迫要因にはならないだろうか。これは通産当局の方の見解をお伺いいたします。
  51. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず、今後十年間を見た場合の社債発行額見通してございますが、二十兆一千億円というふうに見積もっておりまして、倍率につきましては、昭和六十五年度で四・一倍、七十年度には五・五倍というふうに想定いたしております。  電力債の個人消化率は現在六四%でございまして、残りが金融機関で消化されているわけでございます。従来より、電力債というのは個人消化率が高こうございまして、ほぼ六五%前後で推移いたしております。これは、信頼度が高いということのほかに、地元に密着した機関ということで、地元の人たちから選好されるというふうに伺っております。  こうした社債が出た場合に、ほかの国債あるいは一般事業債をより圧迫するのではないかという点でございますが、私ども先ほど言いましたように、電力債は個人消化が六四%でございますけれども、これに対して例えば一般事業債は八〇%が金融機関で受けている、個人消化率は非常に低うございます。また、国債の場合でも、金融機関が八三%ということでございまして、そういう意味では、電力債の場合には債券として非常に特異な性格を持っておりまして、特に先ほど申しましたように、地元の有力会社ということで、地元に密着した形での消化が行われているというふうに見ております。  さらに、最近の金融の自由化あるいは国際化の進展に伴いまして金融市場もだんだん整備、拡大されていくということが見込まれておりまして、そういった意味から、今度の電力会社のこの規模の社債発行によって公社債市場全体について悪影響を及ぼすということはないものと考えております。
  52. 福間知之

    福間知之君 電力債は個人消化率が高いということで、それは好ましい傾向だとは思うんですけれども、大蔵省、ちょっとお聞きしたいんですけれども、今のお話で、国債、一般社債等は八〇%強機関で消化されている、こういうことですが、本来国債も、我々国会でも随分議論しましたように、機関の投資家の引き受けじゃなくて個人消化率を高めなきゃいかぬと、こういうふうなことであるはずですけれども電力債の方にこれだけ多額の社債発行されるということになると、今言ったようなことが少しそがれてしまうということになりますが、そういう公社債市場への個人の一層の参加ということを進めるためには、この今回の措置の上に立ってどういう政策で進めようとされるのか、その点が一点。  それからもう一つは、最近の債券市場の暴落という事態に直面しまして個人投資家がかなり損害をこうむったと、こういうふうに言われています。直接原因に、日銀の金利高目誘導政策ということがあったとも言われますが、金融機関の無定見な営業方針が原因の一部でもある、こういうふうにも考えられます。我が国の債券市場に対しまして個人投資家が一人でも多く参加できるようにするため、そういう事態の中で政府として大蔵省としてどういうふうに対処されますか。
  53. 金野俊美

    説明員(金野俊美君) お答えいたします。  質問が二点にわたってございますので、前半の部分を私から答弁をさしていただきたいと思います。  先生指摘のように、電力債につきましては、ただいま通産省の方から御答弁もございましたように、大変個人の消化率が高いわけでございますが、国債を初めといたしましてその他の政保債あるいは地方債、電力債以外の一般事業債につきましても、個人の消化の割合を高めていくということが望ましいというふうに考えております。と申しますのは、公社債市場、あるいは発行市場というふうに申し上げてもよろしいかと思いますが、国民に対しまして良質な貯蓄手段を提供していくという機能もあるわけでございまして、そういう観点から見まして、先生お話しのような個人の消化割合を高めていくということは重要なことだというふうに認識をいたしております。  御質問の趣旨は、その点を踏まえて考えた場合に、今後どのような施策を展開していくかと、こういうことだろうかと思いますが、私ども考えますに、投資家にとりまして債券貯蓄というのが魅力があるというのは、やはり一番重要なことは、発行条件が流通実勢を反映して決められていくということがやはり一番重要なことではないかというふうに思うわけでございます。この点につきましては、かなり発行条件と流通実勢に乖離が見られた時期も過去にはあったわけでございますが、国債を初めといたしましてこの点についてはかなりといいますか、非常に改善が図られてきたというふうに一般的に言われているように思っております。この点が非常に重要なポイントの一つではないかというふうに思っております。  同時にまた、投資家が債券を取得した場合に、これを投資家が考えるタイミングで売却ができると、いわゆる流通性を高めていくということがまた非常に重要なことになっているというふうに思うわけでございまして、流通市場の整備ということにつきまして引き続き留意をしてまいりたいというふうに考えているようなわけでございます。  要するに、債券貯蓄ということが非常に重要な国民の貯蓄手段でございますので、魅力ある債券貯蓄ということになるように、流通市場の整備中心に諸般の施策を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  54. 西方俊平

    説明員(西方俊平君) 債券の流通市場の問題について申し上げたいと思いますが、債券の流通市場における売買は、通常、大部分証券会社等の店頭において相対で行われるものでございます。ところで、もちろん市場に出てくるものもございまして、個人投資家の方は主として新発の募集債への応募という形で債券市場に参加いただいているわけでございますけれども、これらの個人投資家の方々が広く保有していると考えられる国債とか転換社債、こういったものにつきましては、個人投資家の保護を図るため、まず受託する証券会社に対しまして一定の範囲内の売買は取引所を通じて行わなければならない、こういった市場集中義務の原則がございます。これで公正、客観的な価格による売買を確保しているところでございます。  次に、この市場集中義務のないものとか、そういった範囲外のものにつきましては、証券会社等の店頭で相対で売買が行われるわけでございますけれども投資家保護の観点から、日本証券業協会が主要銘柄の気配値段を発表することとしておりまして、こういったものの仕切り値幅につきましても、上場債につきましては取引所の価格を基準とする、それから非上場債につきましては、日本証券業協会が発表する気配値段等を基準として一定の限度を設けているわけでございます。  債券の流通市場におきましては、こういった投資家保護の観点からいろんな施策を講じているわけでございますが、円滑な流通市場育成に努めるため、私どもは今後とも証券会社に対しまして適正な営業姿勢を堅持させる、それからそういったことで市場秩序の維持に努めるとともに、公正な価格形成を確保する等によって投資家の信頼にこたえるよう指導していきたいと思っております。
  55. 福間知之

    福間知之君 大蔵省のお二人から、かなり技術的な側面も含めてお話があったんですけれども、それはそれで理解できるんですが、私がお聞きしたのは、こういう大量の社債電力会社から発行されていくと、個人の引き受け、機関の引き受けは別にしまして心配はないんだろうな、こういう懸念からお聞きしたんでございまして、内心私は、今日本は海外に対しての資金がどんどん流出しているぐらいでして、これは一般事業体もあるいはまた個人も貯蓄が非常に多いということが言われているわけですから、考えようによればマクロでは心配はないんですけれども、それでは事は済まないわけでございまして、今後適切に対処をされていく必要があるだろう、そういうふうに思うわけでありまして、その点を要望しておきたいと思います。  時間がございません、もう迫りましたのであと二間だけあわせてお聞きをしたいと思うんです。  一つは、電力会社の通信事業への参入が昨今話題を呼んでおりまして、本年二月、通産当局によりまして考え方が発表されました。その一つは、子会社方式をとるべきだということ、二つ目は、第二電電への協力は出資協力程度にとどめるべきだということ、三つ目には、地域情報化への協力ということに視点を置くべきだということ、これらの基本的方向が示されたんでありますが、その上で東京電力は来年一月にも新会社を設立して第一種電気通信事業に参入する、こういうふうにも伝えられておりますし、その場合、採算の見通しはどうなんですか。あるいは、都内の無電柱地域での、電柱のない地域でのCATV事業についてどういうふうなお考えを持っておられますか。こういった高度情報通信業への参入が東電以外、他の電力会社においても検討されておるのでしょうか。監督官庁としての通産の立場で見解をお聞きをしたいと思うんです。  それから最後に、これは性質が違う質問でございますけれども電力料金の体系改正についてその必要性はどうなのかという観点で、先ほど申したように逐年電力過剰供給時代という段階に今入りつつあると思うんですけれども、現在の硬直した電気料金体系では対処しきれないんじゃないだろうか。通産省は季節あるいは時間帯で差をつける、いわゆる新体系の検討を行っているということですが、いつごろをめどに見解をまとめられるのか。この新体系は消費者の負担増になるものであっては断じてならないと思うんですが、その点については大丈夫かということをお聞きしたいと思います。
  56. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず初めの電気通信分野への進出問題でございますけれども、大体先生のおっしゃったような内容でございます。電気事業者はその保有する設備や通信技術という高いポテンシャリティーを持っておりますので、電気通信分野の中での協力ということで地元の社会的な要請は高まってきておるわけでございます。そうした中で、先般東京電力が電気通信事業会社を設立するという発表をいたしたわけでございますが、一方電力会社は基本的には電気の供給を行うという責任を持つ公益事業者でございますので、そういった電気事業への悪影響を及ぼすことがないようにということが重要な配慮事項であるというふうに考えているわけでございます。  具体的な先生の御質問で、第一は採算はどうかということでございますが、これにつきましてはまだこれから会社をつくる準備を始める段階でございまして、どういう規模の会社がどういう具体的な事業を持ってやるかということを検討中でございますので、私ども今の段階で直ちに採算についてコメントすることができないわけでございますが、こういう事業でございますので、当初から採算がすぐよくなるということはないと思いますけれども、事業としては発展性のあるものというふうに考えております。  それから、電柱のないところをどうするか、これは非常に大きな問題でございまして、特にそういう地域というのは非常に都市の中でも重要地域でございます。そういう地域につきましては、やはり地下の設備を使わざるを得ないというふうに考えております。  それから、第二の季節別、時間帯別の料金の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように電力事業の大きな悩みとしましては、ピークとボトムが非常に開いてきた。これは今後とも開いていくという状況でございますので、それを直す一つの方法として、需要面からこうした料金体系をとってこれに対処しようということでございますが、先生指摘のように、これをやればすぐうまくいくかどうかという点につきましては、例えば夜と昼を考えまして、夜を安くするということは逆に昼を高くするわけでございますが、実際に料金を適用した場合に、人々が必ずしも夜に余り使わない、あるいは夜に使うようなそういう電気装置が少ないということでございますればかえって高くなってしまう、あるいは中小企業等によっては夜に労働を強制されるというようなことになるだろう。でございますので、そういう意味ではなかなか難しい問題を含んでおります。  先生指摘の、いつごろこれをめどにするのかという点につきましては、ただいま申し上げましたような点につきまして具体的にいろいろ調査をやっておりまして、そういう調査の結果判断をしたいと思っておりますので、現在の段階ではいつまでということはまだめどが立っておりません。  それから、先ほど申し落としましたけれども、電気通信事業につきまして、東京電力以外についてはどうかという点でございますが、これにつきましては当然先ほど申しました地元地域社会の要請というものがございますので、私ども東京電力に相応じましてはかの電力会社もこうした動きをするものというふうに見ておりますが、ただ、時期的には各会社によって準備その他がございますので、まちまちであろうかというふうに考えております。
  57. 福間知之

    福間知之君 終わります。
  58. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最初に通産大臣にお尋ねしますけれども、民間活力による内需拡大の観点から、政府電力業界に対し三年間で約一兆円の設備投資の追加を要請しているようでありますが、電力業界とこの話はどこまで具体的に詰まっているのか、それを最初にお尋ねいたします。
  59. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 先般十月十五日に経済対策閣僚会議で内需拡大に関する対策が決定をされたわけでございますが、その中で今梶原委員指摘のように、電気事業については今後六十三年度までの間、総額で一兆円程度をめどに追加的投資を実施することが決まったわけでございます。実は、この決定と前後いたしまして、電事連の小林会長、それからガスの関係は東京ガスの渡辺社長を通産大臣室に来ていただきまして、この追加的投資についての要請を行ったわけでございます。この要請に対して電事連の小林会長、東京ガスの渡辺社長は、通産省の、政府のそういった方針を了承をして、できる限り全面的に協力をいたしますと、こういう御返事をいただきました。  したがってその線に沿って進められるわけでございますが、この追加的な投資は、国民生活の向上、情報化社会の進展等を反映いたしまして、電力供給の質的向上を求める社会的要求に応じて行うものでございます。具体的には、送電線の多回線化などによる送配電の高度化、それから配電網の自動監視システムの整備配電線地中化等を中心に実施される予定と承知をしております。
  60. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは大体わかりましたが、話は話で、あとはいやなかなか事情がということになる可能性だってありますから、それはそういうことならそういうことで、前提が前提ですから、通産省がちゃんと約束したことはしたように監視を厳しくしていただきたいと思います。  次に、具体的な問題について法務省にお尋ねしますが、先ほど福間委員からも質問がありましたが、当分の間と、こういう期間につきまして、通産省の答弁では、社債発行限度暫定措置法が当分の間と、こうなっているからと、こういうことでありますが、私は、じゃ商法第二百九十七条を全部もう取っ払うのかどうなのか、なかなかそういうことはできないと思うんですね、一般債権者の保護の立場に立ってこれはやっぱりちゃんと守っていかなければならないと思うんですが、どうもちょっと通産省の言っていることと法務省の考え方と少しニュアンスが違うんではないかと思うんですが、法務省のこの見直すというのはどういうようにどう見直すのか、期間についても。それから、当分の間というような言い方が、これは法律になじむのかどうなのか、その点についてお尋ねします。
  61. 稲葉威雄

    説明員(稲葉威雄君) 先生指摘のとおり、商法の二百九十七条という規定は、社債権者の保護のための規定だというふうに考えられております。したがいましてこの改正ということになりますと、社債権者保護のあり方というものがいかなるものであるかということを根本的に見直さなければならないわけでございますが、この制限をめぐりましてはいろいろ経済界を中心に改廃を望む声もあるわけでございます。そういうものを受けまして、先ごろの昭和五十二年に社債発行限度暫定措置法というものができましたわけでございますが、これは、そういう現在の状況では、今までの商法二百九十七条の基本的な社債権者保護のあり方というものを直ちに変えることはしないで、緊急措置として発行限度を二倍に引き上げるということにしたわけでございます。  そして、これについては御指摘のように、当分の間という限定が付されているわけでございますが、この当分の間の趣旨でございますが、私ども現在、会社法の全面的な見直し作業をやっておりまして、この第一弾が昭和五十六年に行われました総会屋等を排除するというような趣旨も含みました商法改正でございまして、現在中小会社のあり方というものを中心といたします見直しの作業をやっておりまして、そういう作業が一段落つきました段階では、この社債法の問題も根本的にあらゆる角度から見直さなければいけない、その過程においてはこの二百九十七条も当然のことながら全面的に見直されることになるであろう、かように考えているわけでございます。
  62. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど福間委員への答弁で、当分の間というのは一体五年ぐらいを考えているのか、十年をめどなのか、もっと青天井でいくのか、どうもそこのところがわからないんですけれども、やはり社債発行限度暫定措置法が当分の間だから当分としたというのは、それはそうかもしれないが、実際にこれは物を想定して、電力会社社債ということを想定してやっているんだから、これはこの際もう少しはっきりした方がいいんじゃないでしょうかね。いかがですか。
  63. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 私ども、当分の間というのはやはり二つ意味考えておりまして、一つは、今法務省の方から御説明ありましたように、商法改正によって二百九十七条自体内容改正された場合というのがございます。ところが、もう一つの方は、やはり現在想定されます膨大な設備投資というものが一巡し、それに応じまして資金需要が一巡するというのがもう一つ期間でございますけれども、私どもそれがどちらが先に来るかということは今ここでははっきりわかりませんけれども、他方、先生指摘のように、それじゃ後者の方の実質的な意味の当分の間というのはどのくらいかということでございますけれども、私ども現在の電源多様化ということと、それから非電源部門につきましては信頼性向上高度化という投資でございますが、これはやはり十年単位で一巡していくものであろうというふうに見ているわけでございます。
  64. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に移りますが、資源エネルギー庁の方で事前に説明を受けたんですが、経済成長率を向こう四年間四%、それに伴う電力量の伸びが三%、こういうことで設備投資を想定をして資金計画も立てておられますが、この資金調達の試算の説明によりますと、一つは自己資金で半分、半分は外部資金でやる、ちょうどとんとんになって半々になっているわけですね。そういう数字がずっと十年間出ておりますが、これは現実性があるのかどうなのか、ただこの問題取り上げてそういうような数字を出したのか、その辺の内容についてお尋ねをいたします。
  65. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のように、外部資金につきましては社債借り入れを五〇、五〇というふうに見込んでおります。これは電力会社の今後の資金調達見通し等々を踏まえましてそう想定したわけでございますが、まず借り入れでございますが、財政資金については、貸出原資の伸び悩みということで、資金量あるいはコストの面から今後そう楽観は許さないというふうに思っております。また、民間資金については、長期資金の供給という面で不安定性があるということのほかに、電力の場合にはいわゆる大口規制というものとの抵触問題がございます。他方、社債は大きなロットで調達できるという面、それから長期安定かつ準自己資本としてはやはりコスト的にも安いというようなことで、この両者を組み合わせて使うのがいいだろうということでございます。  実際問題としては、そのときどきの金融情勢等により調達可能かどうか、あるいは調達コストがどうか等々によりまして決まってくるわけでございますので、あらかじめ想定というのは、それが当たるかどうかというのは、非常にそういう意味での問題はあるかと思いますけれども、私ども現在の電力会社資金計画というものを踏まえますと、やはり社債それから借入金の両方の長所といいますか、あるいは短所両方含めまして、大体五〇、五〇というのが妥当であろうというふうに想定をいたしたわけでございます。
  66. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ということは、これは電力会社の皆さんの計画と通産省の計画をすり合わしてああいう数字がぴしゃっと出たということではないんですね。
  67. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 一応九電力全体を総合した数字でございますが、各電力からいろいろ話は聞いておりまして、基本的には五〇、五〇が望ましい、あるいは実際には五〇、五〇になるような運用をしたいということでございまして、そうした電力会社の希望あるいはその実現可能性等を勘案しまして九電力全体としてこういう数字であろうというふうに想定したわけでございます。
  68. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 理解いたします。  次に移りますが、電力料金の地域差、これについてお尋ねします。  現在九電力と沖縄にも電力会社ありますが、それぞれ地域差があるわけですね。私はもう電力がそれぞれ融通し合って、電線でつながっておるんですから、ちょっとあっちに住んだために電力の値が高かったり安かったり、そういうようなことというのはどうも現実的ではないんではないか、こう思うんですけれども、その電力差の実態と、電力差というのはもうなくする、こういう私は考え方を持っておるんですが、いかがでございましょうか。
  69. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 確かに電力料金について地域的に格差があるということについては、一面では非常に問題があろうかというふうに考えておりますけれども、他方、電力料金につきましては、いわゆる原価主義をとって、原価に基づいて決定するということで、いわゆる政策料金はとらないということでやってきております。例えば供給面で見ますと、古い時代につくった大きな水力発電所があるということになれば当然それは安いコストになりますし、需要面でいいますれば、人口が非常にまばらな地域で供給するということになりますれば、当然高くなるということになるわけでございます。ただ、こうした地域差につきましては、私どもも望ましいものとは考えておりませんで、その改善については従来から指導をいたしておるところでございまして、電力会社も大変努力いたしております。  昭和二十六年当時、電灯で一・二二であった地域格差が、現在は一・一四と縮まっております。それから電力の場合には二・二五であったものが一・二三へということで、これも縮まっております。今後ともこうした格差の縮小ということにぜひ努めていただきたいというふうに考えておるわけでございますが、その要因としましては、一つは広域運営をするということで、電発とか、あるいは原電を使ったり、あるいは共同開発をするというようなことも考えられますし、さらには電力の融通というようなことで、互いにコストの低減を図るような形で協力をするというようなことも今後考えられるというふうに考えております。
  70. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大体格差が縮まってきたということについては理解いたします。しかし、ここにこういうノー下がありますよね、あるいはチョコーレートでも、米の値段でも、大体北海道でも九州でも東京でも、ノートの値段は一緒ですよね、チョコレートもね。森永のチョコレートでも二百円は二百円ですよ、北海道でも九州でも。だから、一物一価の法則というのはよく言われますが、電力なんかは、これは原価主義に基づいているといっても、例えば九州なら九州に大きな水力発電を、今ダムをつくって建設すると言ったら、それは非常に高いコストになるでしょう。しかし、それが三十年、四十年、五十年たって償却が終わるごろとなれば、これは非常にコスト的には貢献をするでしょうね。  だから、日本全体でやはりこれはならして、地域の均衡ある発展のためにも考えるべきで、原価主義といえば何かこれは天の声、神の声みたいな、そういう昨今ですが、行革や何かを言い出して。私はちょっとずれているんではないかと思うんですが、もっと長い目で大きな観点から見た場合。だからぜひもう少しまじめにこれは考えていただきたい。大臣どうですか。
  71. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 電力料金の格差問題、非常に重要なポイントであると思います。ただ私は、全体の考え方としては、九電力に分けて電力を運営していく、そしてまた地域間にいろいろな個別の事情がある、先ほど山本部長からお答えいたしましたようなそういう事情があることから、若干の電力料金の差というものは、これは是認せざるを得ないのではないか。それに対していろいろ是正の努力をしていくことによって各社の自主的な努力を待つというのが正しい態度ではないかと思っております。
  72. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、近ごろの答弁は魅力ないんですよね、枠から出ないもんですからね。自主的な努力といいますけれども、国鉄の料金であれば、これはバスやあるいは車と競争するし、あるいは飛行機との競争がある、それから船との競争がある。電力料金というのは一定の国の方針がありまして、要するに固定費といいますか、資本費というんですか、電力料金なら、資本費の上に今度は変動費を足して、それにプラス一定の利潤を保証して、そして地方公聴会か何かにかけて価格というのは皆さんが決めていくわけですよね。そういう決め方なんですよ。これはまさに各社、各社の企業競争とか、あるいは企業の努力とかそういうものだけじゃなくて、もっと大きなところで物が決まっているんですよね。だからぜひ、そういう点では、大変国がこの問題については関与している問題ですから、それぞれに任せるだけじゃなくて、国がやはりこの問題については基本的にはイニシアチブを持つ、こういう観点に立って、もう答弁要りませんから、大臣ひとつよろしくお願いします。次に移りますが、規制緩和の当面の対象になっておりますし、今福間委員からも質問がありました季節別、時間帯別の料金について、通産省も内部で検討しているようでありますが、これは私は去年の決算委員会で質問したら、柴田エネルギー庁長官の答弁では、それは何か検討も余りしていないような、もう余りやらないような話でしたが、これ規制緩和の項目の中に一項目入って、私は驚いたんですけれども、そうくるくる物の言い方が変わられちゃちょっと困ると思うんです。  この問題をちょっと考えてみますと、この季節別あるいは時間帯別、要するにピークとボトムの間を調整するという考え方は、だれが一体一番得をするのかといいますと、まずは電力会社が一番得をするんですね、有利になる。あなた方が言うように、これは個々の企業でというんなら、私もそう言わざるを得ない。個々の企業が、電力会社が一番得をする。それから次にどこが得をするかというと、やはり連続操業あたりで、装置産業あたりで電力を非常にたくさん使うところの夜間の料金というのが、そういう意味ではここを安くしてやれば原価も安い商品ができるでしょうし、そういうところが非常にプラスになる。  それで、結局そのところがどこにマイナスがいくのかというと、一つはやはりそのことによって国民の一般の電灯料なんかも場合によってはちょっと高くなるんではないかということもありますが、同時に、電力会社のそういう事情によって国民の生活様式がやっぱりがらっと変わると思うんですよ。それは日本人はなかなか節約型ですから、洗濯やなんか、あるいはいろいろお湯沸かしても何しても、夜ごそごそ仕事をするように恐らくなりますでしょうね。だから、がらっと家庭生活まで変わってくるような問題、電力会社のそういう状況によって全体の国民の生活様式が変わるような、こういうような問題なんですね。この問題については、私はやっぱり慎重に検討して、もっと国民全体の理解ができなきゃこういうものはやらない、そういう態度で臨んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  73. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のとおりだと思います。この制度を導入したことによってマイナスの面もあるし、あるいはこの制度を導入してもワークしないかもしれないということもございますので、その点を含めて今慎重に検討をいたしておるわけでございますが、特に例えば夜間にうまく動くような電気装置でございますね、現在は夜間にお湯を沸かすというのはやっておりますけれども、そのほかに例えば夜間で冷暖房の蓄熱ができるということになりますれば非常にワークするというようなこともございます。  そのほか、今フランスでやっているのは、こういう制度をとりましても選択に任せる、消費者がどっちとってもいい。昼も夜も同じ値段をとってもいいし、好きな人は昼と夜値段が違う方をとってもいいということで、消費者のそれぞれの選択に任せるというようなことも制度としてはございます。そういうことも含めまして今慎重に検討をいたしておるわけでございます。
  74. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうせこれは規制緩和の問題なんかのときにまた引き続いて出ると思いますが、今部長から言われましたように、本当に慎重に検討していただきたいと思います。  それに関係するんですけれども、ボトムとピークのこれをならすということで、私も先般参議院から派遣されましてずっとヨーロッパを見てまいりましたが、東ヨーロッパで揚水発電もちょっと見たんですがね。九州でも佐賀県に大きな揚水発電を六十万キロワットですか建設中でありますし、むしろ昼と夜とかあるいは季節的に夏なんかに出るときには水ためていてそこで揚水発電をやるとか、こういう検討は、私はもっと先を見て、確かに今それは揚水発電の設備をやるとすれば、プールをつくって、それから揚げる設備をつくって発電するというのは大変高いかもわかりませんけれども、しかしそれは長い目で見ますと、気がつくと非常に安いものになるかもわからぬし、これはやり方によれば計算もできると思うんですが、この点について通産省のお考えをちょっとお伺いをしたいと思います。
  75. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 揚水発電につきましては、揚水用の電源としてどういうものを使うか、あるいはどの時間帯に使うかというようなことによりまして発電原価が大きく変わってくるという面がございます。そういう面では一概に、経済性についてはそれぞれのシチュエーションによって違うということございましたけれども、やはり瞬時の負荷追随性、その能力をゼロから大きな能力にふやすその時間が非常に早い、一瞬時負荷追随性と呼んでおりますけれども、そういう点で非常にすぐれております。こういう点から、私ども現在電気事業審議会需給部会での計画でも、現在の昭和五十九年度末の千四百三十六万キロワットに対しまして昭和七十年度には千九百五十万キロワットということで、かなりふやしていくという計画をつくっております。
  76. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ大臣、その辺の検討をしてみてください。  次に移りますが、これは石炭問題ですが、六十年の十一月十六日の新聞発表によりますと、今、朝日の切り抜きを持ってきておりますが、電事連の会長が、六十五年度をめどに現在国内炭を買っている量をさらに三分の一減らすと、こういう意向を記者会見で発表して、これは審議会の方に意見を述べたということですが、非常に強力な物の言い方をしております。  一方では、先ほども答弁がありましたが、福島に二百万キロワットの非常に大きな火力発電を建設中だと、こういうことで、先ほど言いました外国炭を持ってきてつくるということですが、確かに原価だけからいいますと、それはやっぱり安いのを買ってつくった方がいいでしょうが、しかし日本の石炭があと三分の一も減らせば、九州や北海道の産炭地というのは壊滅的な打撃を受けるわけで、ひょっとしますと皆やめたと、こうなるかもしれない。そのときに、日本に石炭が全然ないときに、今すぐとは言いませんよ、十年あるいは二十年、三十年先に日本の石炭がもう全くなくなったときに、果たして外国炭が今のような価格体系、あるいはそれに物価上昇分か何か入れただけで買えるかどうなのか。これは、相手はやっぱり足元を見できますから高いものを買わされるかもしれない。  国の総合安全保障の立場から見ても、何回もここで議論しておりますように、ちょっと円高でもうかっておるのにかかわらず、何かしら国内炭の弱いところは踏みつぶせと、こういうような物の考え方が出てくる。一方では、社債の四倍を六倍にすることによりまして安い金利を国民から吸い上げて、そして事業をずっとやっていく、こういうことですから、神を恐れないような、天を恐れないような発言というのは、やっぱり少し業界にも慎んでもらうように通産省の方で厳しく指導していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  77. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 今、国内の一般炭生産は大体千二百万トンぐらいでございますが、電力業界はそのうち一千万トンほど引き取っておりまして、最近の円高、特に円高で内外炭格差も開いておりますので、それが輸入炭に比べてコストアップ要因になっているということは事実だろうと思います。  現在石炭政策につきましては、第七次政策を実行中でございますが、これが来年度末で期限が切れますので、それ以降の第八次策につきまして、現在石炭鉱業審議会に諮問いたしまして検討中でございます。その過程で、需要業界である電力、鉄鋼等につきまして、現在、将来の石炭政策についての意向を聴取している段階でございますので、各業界がいろんなことを言っているというのは事実でございます。来年の夏ごろにかけまして第八次策を決定をいたしたいと考えておりますので、その結論に従いまして、また関係業界に対する協力ということも要請していきたいというふうに考えております。
  78. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 よろしくお願いします。  最後になりますが、円高差益の問題に関係しまして重ねて意見を申し上げ、質問をしたいと思います。  私は地元のある人と一時間話したんですが、県南の、かつて商工会議所の会頭をしたり、自分のところも中小企業でそういう電力を使っている会社ですが、電力は、石油状況が悪くなって上がればまたすぐ値が上がると、こういうとき私たちは一生懸命仕事をしているんだが、何か一言言ってくれと、我々が言うと、もうすぐ電力切られる、なかなか強いところに向かってやっぱり言えないと、相当この人も強い人なんですけれどもね、そういう話があるんです。やっぱり生計費に占める一般家庭の電灯料というのは非常に高いわけですよね。今電化がどんどん進んでおりまして非常に厳しい。  同時に中小企業というのは、さっきの話じゃないがほんともうみんな物を言いたいんですよ。しかし、なかなかやっぱり強いところには言えないというのが実態でありまして、自民党首脳の方もそういう中小企業対策については利益を吸い上げると、そういうような方針も出ておるようでありますから、やっぱりそういう声をよく聞いて、どこまでできるかできぬかわからぬけれども、結局国民の声あるいは中小企業のそういう厳しい状況というのはこの際本当によく聞いて、通産行政、電力行政の今までのあり方にも問題があると思うんだけれども、よく対応していただきたいと思うんです。御意見があればお聞きをして終わりたいと思います。
  79. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 今、梶原委員が御指摘になったよく知っていらっしゃる中小企業の経営者の方から、非常な経営の苦悩、そしてまたそれに対応して電力料金のお話があったというのは実感としてよくわかると思います。  ただ円高差益の還元問題は、先ほど福間委員にもお答えしたところでございますが、まだ円高が始まりましてからちょうど二カ月間、したがってこれは相当長期にわたって円高が続くという前提、それからその他のいろいろな経済上の情勢が今と変わらないという前提であれば、来年の六月ごろにはこの問題についてどういうふうな考え方をするかということを総合的に判断したいと思っております。  政治というものは、国民生活に直結をしなければいい政治とは言えないわけでございますから、今、梶原委員のお述べになった実感、実態、そういうものは私どもも行政機関の長といたしましてよく国民の声に耳を傾けて、サイレントマジョリティーの声を聞きたいと思っております。
  80. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  81. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  82. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 まず、今回の社債特例法改正趣旨につきまして伺うとともに、改正案内容に入る前に二、三お伺いしておきたい点がございます。  まず第一点は、御承知のとおりに、商法において社債発行限度規定を設けておりますけれども、その趣旨は何であるのか。  第二点には、またそうした趣旨に照らして暫定法が設けられていることにつきましてどのように考えているのか。  第三点は、あわせて現在、社債発行限度につきまして商法限度と異なる規定があるものにはどのような例があるのか。最初にお答えをいただきたいと思います。
  84. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず第一点の、今回の社債特例法改正趣旨につきまして御答弁申し上げます。  現在、政府は民間活力の活用による内需拡大策といたしまして、一般電気事業会社に対して追加的投資を要請しているところであります。また、中長期的にも電力需要増加に対応しつつ電源多様化するための発電施設の建設等を進めていくことが必要でございます。これらに要する設備資金は確実に増加していく見込みでございます。これらの設備資金調達するための社債発行額に今後も増加し、現行の発行限度、すなわち商法発行限度枠の四倍を超え、昭和七十年度末には九社平均商法発行限度の五・五倍に達する見込みでございます。したがいまして、電気の安定供給の確保を図るため、これらの設備投資にかかわる資金需要に対処して、社債によって所要の資金調達を円滑に行い得るよう現行の社債特例法の期限を延長し、当分の間の措置として一般電気事業会社社債発行限度を拡大するということでございます。
  85. 稲葉威雄

    説明員(稲葉威雄君) 商法の二百九十七条におきましては、社債発行枠といたしまして、資本及び準備金総額あるいは純資産額という枠を設定しているわけでございますが、これは会社が過大な社債発行をすることによって社債権者に不測の損害が生じないようにするという趣旨だというふうに考えられております。  そのような制度の趣旨にかんがみまして、先生の御指摘は、今回の特例法あるいは暫定措置法と、商法をそのまま守っているのではない規制になっているけれども、これはどういうわけであるか、これについてどう考えているかという御指摘であろうと思いますが、この限度枠につきましては、経済界からは非常に枠が少な過ぎるとか、あるいは実際のこの制限が発行時の制限にすぎなくて、将来とも全般的に規制するというもの、将来の財産状況の悪化というものに備えるというようなことになっていない点がおかしいではないかとか、あるいは世界的な立法例が余りないではないかというようないろいろの指摘があるわけでございます。こういう問題を踏まえまして、私どもといたしましては、暫定措置法を昭和五十二年につくりまして、一定の範囲の社債、担保つきでございますとか、あるいは転換社債でございますとか、そういう範囲の社債については二倍までにするということを認めたわけでございます。  今回のこういう電気、ガスのような特例につきましては、類似の特例が幾つかあるわけでございますけれども、行政規制が多くこれはかかっているわけでございまして、行政庁の監督を受けているということに照らしまして、その行政庁がある程度の監督をしながらその発行が過大にならないように見守ってまいるということが担保される限度においては、そしてまた公益上の必要性が認められる限りにおいては、ある程度やむを得ない措置ではないかというふうに考えております。  ちなみに、この電気、ガスのほかに発行限度について特例を設けております立法といたしましては、銀行関係で長期信用銀行法とかあるいは外国為替銀行法というような金融債の関係の立法がございますし、あるいは電源開発促進法あるいは日本航空株式会社法、あるいは先ごろ成立しました日本電信電話株式会社法あるいは国際電信電話株式会社法、こういうような法律が幾つかございます。
  86. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、先進国を見渡した場合に、この社債発行限度に関する規定を設けている国は、ただいまもお答えがありましたとおりに、世界的には立法例が少ないというとおりに、我が国のほかにはイタリアぐらいであるのじゃないかと思うわけでございます。そこで、我が国として、この社債発行限度に関する見直しを進めていくべきではないかと思いますけれども、商法改正見直し作業の見通しというものをちょっとお聞かせいただきたい。
  87. 稲葉威雄

    説明員(稲葉威雄君) この発行限度を含みます社債の制度の見直しをやらなければならないというのは御指摘のとおりだと私ども考えております。  ただ、この問題は現在進行中の会社法の全面改正の一環として行いたいというふうに考えておりまして、現在は中小企業の問題、中小企業に適した会社法をどのようなものとして構築していくかということを中心にして検討を行っているわけでございまして、その検討が終わりました暁には次の課題としてこの問題を取り上げるようなことになるのではないか、取り上げなければならないのではないかというふうに考えております。
  88. 田代富士男

    田代富士男君 今回の改正案では、御承知のとおりに社債発行枠を四倍から六倍に拡大するとしておりますけれども電力需給及び設備投資の中期的な見通しの上からその根拠をお伺いをしたいと思います。
  89. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電気事業審議会需給部会で報告されている数字をもとに御答弁させていただきます。  まず電力需要でございますが、安定的な経済成長約四%の経済成長ということを前提にいたしまして、六十年度電力需要は五千三百四十九億キロワットアワーでございますが、これが七十年度では七千八十億キロワットアワーということで、年平均二・八%ぐらいということで着実に増加するものと見込んでおります。また最大需要電力でございますが、これにつきましては今後とも冷房需要伸びる、堅調な伸びが期待されるということでございまして、やはり最大需要電力電力需要を若干上回りまして、六十年度一億九百八十一万キロワットアワーでございますが、これが七十年度では一億五千二百万キロワットということで、年平均三・三%と若干高めに増加するというふうに見込んでおります。またこれに伴いまして、年度設備につきましては最大電力に対応して六十年度現在で一億五千四百二十五万キロワットというものが七十年度には二億五百万キロワットということで、年平均二・九%程度増加するというふうに見込んでおります。  以上のような着実に増加する電力需要に対応し、電源多様化を推進するための発電施設の建設、それから供給信頼度向上等のための設備投資というものは着実に増加するということで、九電力合計で、六十一年度から七十年度までの十年間で四十五兆八千億円の設備資金が必要というふうに見込んでおります。
  90. 田代富士男

    田代富士男君 今回の改正法律の失効規定が削除されまして、御承知のとおりに十年の限時法から、第一条にも明記してありますとおり、当分の間としたのが明記されております。午前中にもこのことに対する質疑がありましたけれども、再度その理由をお聞かせいただきたいと思うのでございます。この場合商法改正作業や社債発行限度暫定措置法との絡みが問題になると思いますけれども、この点とうであるのか、また一般電気事業会社が講じようとする今後の設備投資がどのようになるのか、政府見通しは立っておるのか、この点あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  91. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) お答え申し上げます。  まず、当分の間とした理由でございますが、これは二つございまして、第一は、この社債特例法のもとになります商法二百九十七条につきまして、その規定そのものが見直されるという状況にございます。そのため社債発行限度暫定措置法、これは会社一般適用される暫定措置法でございますが、これにつきましても当分の間ということで、現在の二百九十七条の資本金プラス準備金限度までというのをその二倍ということで規定いたしておりますが、これと同様の趣旨で今回の社債特例法改正案につきましても当分の間とさせていただくわけでございます。  それからもう一つ理由は、現在電源多様化ということで、電源に対する投資が相当大きく伸びるということが予想されておりますが、それに加えまして供給信頼度向上ということで、非電源投資もここ当分非常に伸びるという見通してございます。こうした旺盛な投資が一巡するということが考えられますので、そうした現在の旺盛な投資の一巡、それに伴います資金需要の一巡ということを見込みまして、当分の間とさしていただいたわけでございます。  さて、その次の先生の御質問でございます今後設備投資がその間にどう推移していくだろうかということでございますが、これにつきましては、電源多様化のための投資あるいは送配電等信頼性向上のための投資というのは現在非常に旺盛でございますが、やはり一定の期間が来れば一巡するだろう、その来る期間が何年ということは、現在の段階ではっきりとは見通しできませんけれども、やはりそうした投資の一巡によって資金需要も一巡するものというふうに見込んでおります。
  92. 田代富士男

    田代富士男君 今後の電力需要増加に対しましては、ただいまお答えいただきましたとおりに、送電線網の整備であるとか、あるいは電力供給における信頼度の向上等から多額の投資資金を要するわけでありますけれども、今回の改正のように、社債限度枠を拡大してまで行う社債発行によるやり方、また御承知のとおりに株式による増資のやり方、または他の借り入れによるやり方と、いろいろあると思いますけれども、この社債発行に傾斜を強めるようになった理由は何であるのか。これは当然必要なことでありますけれども、そのようになった理由は何であるのか。それと関連しまして、今後の投資拡大は電気事業会社資本費の負担の増大につながると思われますけれども、この考え方につきましてあわせてお答えをいただきたいと思います。
  93. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 今後電力会社が必要とします設備投資のための資金、これにつきましてはいろんな資金ソースが考えられるわけでございまして、一番望ましいのはやはり内部留保であろうかと存じます。しかし、内部留保だけでは到底賄い切れないということで、それ以外の例えば自己資本とましては増資、それから外部資本としましては社債による借り入れ一般の借入金があろうかと思います。  このうち、まず増資につきましては、一つ調達コストが非常に高こうございまして、現在の状況で計算いたしますと、配当分及びそれにかかります法人税その他の税というのを合わせますと約二〇%ということでかなり高い。さらに現在、電力会社はかなり資本金が大きゅうございまして、九電力を合わせまして二兆三千億円ということでかなり大きゅうございます。そういうことで、今後の資金調達として増資に大幅に頼ることは非常に難しかろうというふうに考えております。  外部資金につきましては、社債と借入金がございます。これはコスト的にはほぼ七%程度考えますけれども、まず借入金につきましては、そういう膨大なお金が絶えず常に借入できるかどうか、あるいは金利面で非常にフラクチュエートするというような問題もございますし、さらには電力の場合にはいわゆる大口融資規制というものに抵触することもございます。一方、社債はそうした借入金に比べまして大口ロットで調達できるという長期安定的な資金であるということでございます。  この借入金と社債というものをそのときどきの金融情勢に合わせまして調達をするわけでございますけれども、私ども今後の見通しといたしましては、これがほぼ半々程度調達割合になるんではないかというふうに見ております。
  94. 田代富士男

    田代富士男君 今回の措置によります一般電気事業会社社債発行額の増大というのは、ただいまもお答えになりましたけれども、これは長期的安定的な資金であるという意味も今私聞いたところでございますが、そうなりますと、当然自己資本比率の低下を招くというふうに思われるわけでございますけれども、企業の健全な経営という観点から、その点どのようにお考えであるのか、また一般電気事業会社に認められる、何といいますか、特殊性というようなものがあるとするならばそれは何であるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  95. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 今後相当大幅な設備投資を続けていく、そのために必要な資金調達するということでございまして、その結果自己資本の比率が下がるのではないかという御指摘でございますが、実はそのとおりでございまして、現在自己資本の比率は九電力大体平均しまして一五%弱ということでございますが、これにつきましては今後十年たちますと一〇%強ということで、かなり低下するのではないかというふうに見込んでおります。  しかしながら、私どもやはり今後電力につきましては、電源部門もあるいは非電源部門につきましてもかなりの設備投資が必要である、そのための資金調達といたしましては、増資ということに頼るのはやはり限度がございますので、ある程度こうした自己資本比率の低下を来してもやむを得ないというふうに考えておりますが、ただ、経営の健全性という観点から一〇%は維持したいというふうに考えているところでございます。  それから先生の御質問になりました電力事業の特殊性という点でございますが、現在電力事業は非常に他の企業に比べまして固定資産の割合が高こうございます。普通の企業は大体四五%ぐらいと思いますけれども電力の場合には九割を超えるという非常に高い固定資産の比率を持っております。こうした高い固定資産をもって設備投資を続けていかざるを得ない、そのための資金としてただいま申し上げましたような外部資金、なかんずく社債調達するわけでございますけれども、そうした調達した資金を有効に投資いたしまして電力事業の健全な運営を続けていく、それによって膨大な固定資産を有効に働かして、そして電力事業の経営の健全化を図るという形になろうかと存じております。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 次に、今後社債発行額が今もお話のとおりにどんどんと増大していくものと思われますけれども、市場における消化について特に問題はないのかお伺いしたいと思いますし、また他に与える影響についてどう考えているのか、これもお聞きしたい。  それと同時に、お聞きしたいことは、社債発行枠を拡大していくことに伴いまして、社債権者の保護についてどのように考えていらっしゃるのか、これらをあわせてお答えいただきたいと思います。
  97. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電力債につきましては、一般の公社債と比べましてその発行について特徴がございまして、六四%が個人消化であるということでございます。残りは金融機関でございますけれども、国債が大体八三%、一般事業債で八〇%が金融機関による引き受けというのに比べまして非常に特徴がございます。それは一つには、電力債というのは非常に信頼があって人気があるということと、もう一つは、地元の有力企業ということで、地元の人々が非常に選好するというようなことがあろうかと存じます。  そういうことで、私ども現在想定いたしております社債発行、今後十年間の電力債の発行によって公社債市場そのものが非常に混乱するあるいはそれによって他の公社債に対して影響するということはない、それほど大きな問題ではないというふうに考えておりますし、特に今後金融の自由化が進み、あるいは国際化が進みますと、金融資本市場はますます整理拡大されるということを考えますと、この点については消化ということで問題は生じないものというふうに考えているところでございます。  また、社債権者の保護でございますが、これにつきましては電力事業社債一般社債に比べまして非常に十分な保護が図られているというふうに私ども考えております。  第一は公益事業として電気事業法に基づきまして国によるいろんな規制とか監督が行われておりまして、その経営の適正化が担保されているということでございます。  第二は、この電力社債につきましては、電気事業法の四十条という規定に基づきまして一般担保が適用されておりまして、その会社の財産について先取特権が認められているわけでございます。  第三には、社債特例法の第三条でございますが、これによりまして実際に発行する場合に、その社債一般電気事業会社の財産状況とか償還能力等に照らして過大なものではないということを通産大臣が確認することになっておりまして、こうした種々の方途によりまして電力事業社債権者に対する保護は十分確保されているというふうに私ども考えているわけでございます。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 莫大な設備投資必要性は認めるわけでございますけれども、同時にこの資金の効率的な運用という側面、これ言葉をかえて申し上げるならば、資金負担の軽減という、こういうことから言えるのではないかと思いますけれども、どのような対策を考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  99. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のように、こうした膨大な設備投資をするわけでございますので、その設備について効率的な活用というのが非常に重要かと存じているわけでございます。  まず、供給サイドにつきましては、電源開発に当たりまして国際的な燃料情勢見通しを踏まえながら、各電源の経済性あるいは燃料供給の安定性、あるいは負荷追随性等の特性を踏まえた電源構成のベストミックスを達成しようということで現在目指しているわけでございます。  具体的に申し上げますと、いわゆるベースになる電源としましては原子力発電あるいは石炭火力発電を、そしてミドルの電源といたしましては石炭火力LNG火力を、そしてピークに対応する電源といたしましては石油火力ということを位置づけまして、バランスのとれた電源構成を目指しているわけでございます。  また、需要サイドについて見ますと、いわゆる負荷率といいまして、ピークとそれからボトムとの間の格差が非常に問題がございまして、これは最近冷房がだんだん普及している、あるいは産業構造が変化しているというようなことで、年々悪化をする傾向にございます。したがいまして、これに対しては例えば需給調整契約の拡充とか、あるいは深夜電力を利用した電気温水器の普及、あるいは蓄熱式のヒートポンプ等の導入等々、負荷平準化対策というものを今後とも積極的に進めていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 通産省といたしまして、一般電気事業会社の認可に際しましては、その設備水準をどのように考えていくのか。それと同時に需給のバランスと設備の調和についてどのように考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  101. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず電力会社の認可された出力との関係でございますが、それはマキシマムの供給可能な能力でございますけれども、その能力というのは、実際の設備から具体的に供給できる能力というものを想定する必要があります。と申しますのは、例えば水力発電所において、出水状況によって出力が減少することもありますし、また保安上の観点から必要な点検とか保修等によって設備を停止する必要がある場合もございます。あるいは発電所内で必然的に使わなければならない電力そのものもございます。そうしたものを除いたものが実際にいわゆる電力としての供給できる出力ということになるわけでございます。  これにつきましては、しかし、例えば偶発的な事故が起こるかもしれない、あるいは特に夏暑いとか、あるいは冬寒い状況になるかもしれない。さらには景気変動によって需要がふえることもあるということでございますので、従来の経験からいたしまして、大体八%から一〇%程度のいわゆる予備率というものを見込む必要がございます。現在の電源状況はほぼ供給予備率が一〇%でございまして、設備規模は適正であろうかというふうに考えております。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 現在は、我が国におきましては九つの電力会社の体制のもとに成っておるわけでございますが、電力が供給されておりますけれども設備資金需要の拡大を回避するためにも、広域的な電源開発を図るべきではないかと、私はこのように思うのでございますが、この九電力体制との絡みでどのように考えていらっしゃるのか、この点お聞きいたしたいと思いますし、また通産大臣は、この現在の九電力体制についてどのように評価をされているのか、また改めるべきところがあるとするならばどのような点であるのか、お考えになっていることをお聞かせいただきたいと思います。
  103. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。  我が国の電気事業は、私企業である各電力会社がそれぞれの主体性のもとで経営の効率性それから地域に密着した企業特性を発揮、そしてまた田代委員指摘のように、広域運営によって総合効率を上げて電力安定供給に努力をしておるところでございます。低廉かつ安定的な電力供給の課題、また国際エネルギー情勢など、電気事業を取り巻く情勢は依然として厳しいものがございますが、その解決に当たっては、各電力会社が私企業としての特性、効率をますます発揮いたしまして、できるだけの自己努力を行うという形が最も適切であると考えております。  現在の体制は、それぞれの九つの電力会社が地域の需給状況に応じた効率的経営のもとに電気の供給を行おうとするものでございまして、各地域にそれぞれ特性があり、いろいろな地域事情もございますので、現在の九電力体制、まあ沖縄は新たに別個の体制でございますが、この九電力体制は妥当であると思料をいたしております。
  104. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のように、広域運営は非常に重要だと考えております。現在の広域電源規模は、昭和五十年度には七百万キロワットでございましたが、五十九年度では千二百万キロワット、さらに十年後には二千万キロワットということで増加する計画になっておりまして、今後も引き続き広域開発を推進していきたいというふうに考えております。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 提案理由説明を読ましていただきましたが、その中に、「喫緊の政策課題である民間活力による内需振興策として、一般電気事業会社に対し、今後昭和六十三年度までの間に、総額一兆円程度の追加的投資を要請」と、このように書かれてありましたけれども、その具体的な内容はどういうものであるのか、もうちょっと詳しくお聞かせいただきたいと思いますし、特に、これまでに策定してきた投資計画もあるわけでございますが、それを変更して、三年間で新たに一兆円を積み増すということは、単純な考え方か知りませんけれども、過剰供給とならないかという、こういう点も考えている次第でございます。  また、それと同時に、電力供給信頼度向上というものは、この高度情報化社会の到来に伴いまして極めて重要であることは私も理解をしておりますけれども、やはり通産省としてもこの点の取り組みというものを考えておかなくちゃならない問題ではないかと思いますから、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  106. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 先般、十月十五日に経済対策閣僚会議が開かれまして、ここで「内需拡大に関する対策」の中で、電気事業につきましては、六十三年度までの間に総額一兆円程度を目途に追加的な投資を実施するということが決定されましたのは、今御指摘のとおりでございます。  この追加的な投資の中身は、今後国民生活の向上あるいは情報化社会の進展というようなことを反映をいたしまして、電力供給の質的な向上ということが社会的に非常に今求められております。そういう社会的な要求に対応をした設備投資というものを今回考えているわけでございまして、具体的には、送電線の多回線化というようなことによります送配電の合理化、それから配電網の自動看視システムの整備あるいは配電線地中化等を中心に実施される予定でございます。これらの追加的な設備投資と申しますのは、先ほど申し上げましたように、今後の国民生活あるいは社会の情報化ということを考えまして、当然実施しなければならない電力の質的な向上、こういうことを目標として行うものでございまして、特に景気対策のために不要なものを過剰に行うというものではないというふうに考えております。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまお答えのとおりに、送配電の合理化の一環といたしまして、電線の地中化の促進というものは、都市の美観の上からも要請されるものでありますけれども、これに対する見通しと対応をお聞かせいただきたいと思います。特に費用負担について、これはいろいろな問題を私も聞いておりますけれども、どのように考えていらっしゃるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  108. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電線の地中化でございますが、御指摘のように、快適な空間の確保あるいは都市災害の防止等の観点から非常に重要でございます。  ただ一方、これは普通の架空線と比べますと大変建設費用が高こうございまして、場所によって異なりますけれども、五倍から三十倍ぐらいになろうかということでございます。さらには、事故が起こったときに早期の復旧がやや難しいというような難点もございます。電力会社としましては、これまでもある程度地中化を行ってきておりますけれども、最近のこうした先生指摘のような事情を配慮いたしまして、今後、従来のペースよりも一層加速するということで、従来のベースよりも数倍の加速をいたしまして地中化を進めようということで、現在、十年間で一千キロメートル程度地中化を行うということで進められております。昨今の内需拡大ということもございますので、この十年間一千キロメートルという計画もできるだけこれを前倒しにしてやっていくべきだというふうに考えているわけでございます。  配電線地中化につきましては、地域ごとの協議会で関係者の調整を行った上で、五年間の基本構想を策定して、そうした構想に従いまして計画的に進めていくということになっております。その際、地中化の費用負担につきましては、この基本構想に基づいて電気事業者が行う地中化は、電気事業の健全な発展の観点からも支障がないので、電気事業者が費用を負担していくということになっております。さらに、建設省と協力して、今キャブシステムに従って地中化を進める方法も行われております。この場合には、単独で地中化するのに必要な費用の限度ということで、電力会社が負担をしているということでございます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 報道によりますと、この電気通信事業における自由化の促進に伴いまして、東京電力などが一般電気事業会社の通信分野への参入があるようでありますけれども、この点についての通産省の見解をお伺いしたいと思います。なぜなれば、特に電気事業会社としての使命あるいは本分がおろそかになることはないだろうかという、そういう一面の心配もあるわけでございますからお尋ねをいたしますが、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  110. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電力会社につきましては、その保有する設備とかあるいは通信技術というものについて非常に高いポテンシャルを持っているわけでございます。したがいまして、電気通信事業分野での協力ということにつきましてはその地域社会からの要請も非常に高まっておるという現状でございます。  こういう状況の中で、先般、東京電力が今後電気通信事業に出るための会社をつくるということが発表されたわけでございますが、先生指摘のように、電力会社は基本的に安定的かつ低廉な電気の供給をするという本来的な事業がございますので、こうした事業に支障が生じてはならないということで、現在、一つ電力事業会社そのものがやるんではなくて、やはり子会社等を通じて間接的な取り組みをするべきであるということ、さらにはその内容につきましても、電力事業の本来事業に影響を及ぼすようなものであってはならないということで、今後の電気通信事業への電力事業会社の取り組みについては指導してまいりたいというふうに考えております。  先般公表されました東京電力のほかにも、今後準備を整え次第他の電力会社も地域的な要請にこたえてこうした分野に出るものというふうに考えております。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 今回、一般ガス事業者はその対象から除外されることになっておるわけでございますが、当然十分な見通しの上に立ってのことであると思いますけれども、今回この点がなくなるわけでございますから、一応御説明をいただきたいと思います。
  112. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 一般ガス事業会社の今後の資金需要考えますと、大手一般ガス事業会社につきましては、まだ当分の間LNG関連設備投資が続くと、さらに将来の需要増に対応した投資やあるいは保安対策関連の投資等の増加が見込まれるわけでございますが、中長期的に見ましてこれを想定いたしましても、そう大幅な資金需要ではないということで、現在社債特例法商法の二百九十七条の限度の二倍に認められておりますが、この社債特例法を外れましても社債特例の暫定措置法というのがございまして、これも同じく二倍でございますので、そちらの一般会社と同じベースでの二倍ということで十分に賄えるというふうに考えております。  また、中小のガス事業者につきましては、これからLNG導入するという会社も多うございますが、その場合でも現在の暫定法による二倍ということで十分対応が可能であるというふうに考えているところでございます。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 次に、円高差益の還元の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、G5以降、御承知のとおりに円高は着実に定着しつつあると思っておりますけれども、既に二カ月を経過した現時点で、円高差益をどのように消費者に還元するつもりであるのか、まずこれは大事なことでございますから、通産大臣からお答えいただきたいと思います。  それと同時に、特にけさの新聞報道によりますと、自民党の政策担当首脳の話といたしまして報道されている中身は、輸出中小企業対策費の財源に充当するために、円高差益を吸い上げる方向で検討しているとされてあるわけでございます。通産大臣は中小企業政策を担当する大臣としてもこの点についてどうお考えであるのか。  また、十二時のテレビでも報道されておりました。村田通産大臣が閣議後、この急速に進む円高対策に対しまして、一時的にも二百円を突破したということは、これは考えなくちゃならないということで、緊急対策を考えなくちゃならない、緊急融資制度等考えているやの報道がされましたけれども、これは今日的な中でも一番大事な問題でありますし、通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
  114. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。  まず、円高の問題でございますが、基本的に、G5の会議がございましたのが先生御承知のように九月二十二日でございます。それから二カ月余りが経過したわけでございますが、まだこの円高傾向は始まってから日が浅い、したがって電力会社の収支面に影響が及ぶまでにはタイムラグがある、こういう認識を持っておるわけでございます。  ちなみに、恐らくきょうから二、三日の間に電力九社の前期の決算が発表されるわけでございますが、この六十年度の中間利益は電力会社についてほぼ五十八年度、五十九年度中間利益並みの水準、税引き後の利益は五十九年度よりもある程度減と、こういう実績と承知をしておりまして、したがってこの段階で円高差益の問題に触れて具体策を考えるにはまだまだ早過ぎる。これはやはり少なくとも現在のような円高基調が一年以上続く、そしてまた経済情勢その他が仮に現在のような状況であるというような前提でないと、今の段階では通産大臣として具体的なことを申し上げるのには時期が早過ぎる。それではいつかということになりますが、昭和六十一年の六月ごろ、各会社の決算が発表されて具体的な新しい方針を立てるというような段階でそういった判断をするのが適当であろう、こういう考え方をいたしておるわけでございます。  けさの新聞の一部に、自民党首脳が、中小企業対策の財源として電力、ガスなどの円高差益を吸い上げる方法を検討するという報道を私も見ておりますが、これについて、実は通産省としてはまだ何も連絡を受けておりません。したがいまして、この問題については、我々の基本的な考え方は、今申し上げましたタイムラグがあるから、この問題についての結論を出すのは来年の六月以降であろうと思っておるわけでございますが、しかし田代委員が御指摘になりましたように、円高によって輸出の非常に重点的な企業あるいはそれに関連する中小企業、相当な影響は受けるという見通しが既にあるわけでございます。したがって、そういった企業に対しては、ぜひひとつ年末を控えて緊急融資あるいは低利融資というような具体的な措置考えなければならないということで、既にその一部は政府関係三機関等にも通達を出しております。  その他いろいろの対応を考えておるところでございますが、緊急融資その他の中小企業に対するいろいろな国として打つべき施策についての総合的な考え方を実は私、関係部局に命じて今検討しておるところでございまして、今後適時適切に対応をしてまいりたいと思っております。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 特に年末の対策に対して全力を入れているということでございますが、これは私の立場からも強く要請をしておきたいと思うのでございます。  次に、今回の法改正は去る十月十五日の内需拡大に関する対策にもその一環として盛られているところでございます。そこで、関連して今回の内需拡大に関する対策について伺いたいと思います。  まず、この内需拡大策は波及効果を含めまして総額四兆円余りとされておりまして、同じ四兆円規模であったならば、御承知のとおりに去る五十三年九月の総合経済対策に比べまして、当時のGNPが今の三分の二ぐらいであったかということを考えますれば、その割には迫力は乏しいのではないかという見方がなされるわけでございますが、この輸入増大効果というものは、数字で示されているのでは約二十億ドル程度であるということでございまして、余りにも金額が大きいですから、目に見える黒字減らしには極めて不十分ではないかと思うわけでございます。このことについては、自民党の藤尾政調会長が、スケールが小さい、このように言われておりますし、安倍外務大臣も、これではアメリカなどからそう大きな評価は得られないだろう、このような発言をされているわけでございまして、この藤尾政調会長もスケールが小さいと言われるスケールにつきまして、経企庁のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  116. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 十月十五日に決定をいただきました今回の内需拡大策でございますが、まず御質問の、規模が大きくはない、こういう点でございます。これについてのお答えを申し上げたいと思います。  仰せのように、五十三年九月二日の対策におきましては、総額四兆一千億円ということが言われております。しかし、その内訳を見てみますと、公共事業等の対策ということで考えますと二兆五千億円、これに加えまして電力及び都市ガス事業の繰り上げ発注、いわば先倒しということを加えて四兆一千億ということでございました。今回の内需拡大策につきましては、一部公共事業の前倒しなどもございますけれども電力業、ガス業について申しますと、これは追加規模、こういうことでございますし、三年間の追加規模一兆一千億円程度、これから先一年ぐらいのものとしては四千億円、数えて三兆一千億円の事業規模、これがGNPに対する効果まで含めまして四兆一千億円強、こういう計算をしているわけでございます。今申し上げましたようなことを考えますと、これは五十三年の対策と匹敵するものではないか、こういうふうに考えているところでございます。  それから、黒字解消に対しては不十分ではないか、それほど大きなことにならない、こういう点でございますが、黒字を縮小し、経済摩擦を解消する、こういう目的で、政府としてはこの内需拡大策のほかに、市場アクセス改善のためのアクションプログラム、それからG5の決定以後急速に進んでおりますけれども、ドル高・円安の是正、さらにこれに加えて内需拡大策、これらが日本の対策として打ち出せるところでございます。さらにこれに加えまして、特に市場開放策、これは外国の商品というものが日本の国内市場で売れやすくなるような条件を整える、こういう意味を持っておりますけれども、こうして売れやすくするために関税及び非関税障壁が撤廃をされる、あるいは関税を引き下げる、こういったような機会を外国のビジネスマンが利用していただきまして、日本に対する売り込みの努力というのをしていただかなければいけない。  いろいろなことを申し上げましたけれども、市場開放策、それから内需の拡大策、為替レートの是正、これに加えて外国のビジネスマンの対日売り込み努力、こういったような四つぐらいの事柄がすべて同時に満足されまして相乗効果を上げたときに、初めて黒字は目に見えて解消するだろう、こういう考え方になっているわけでございます。内需拡大策だけ取り出して計算をする、そのほかの条件は変わらないという条件で計算をいたしますと、二十億ドル前後の数字が推計値として出てくる、こういうことでございます。  そういうことで、全体の波及効果を含めても規模は小さい、特に黒字に対する改善効果というのは不十分、こういったような点については、私どもはそのように考えていないということでございます。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 今お答えをいただきましたけれども、現実に今回の内需拡大につきまして、日米に最も関係のある人たちが心配した発言をしているわけなんです。これはやはり日本のことを思ってのことだと思いますが、そういう立場から大河原前駐米大使の発言等、これはやっぱり私は尊重しなくちゃならぬと思いますが、前駐米大使は「内需拡大策の中身は新味が薄く、即効性に欠けるのは否めない。」、これは十月十六日の日経ですが、このように発言していらっしゃいますけれども、この十月十五日の決定からきょうまで大体四十日ぐらい経過をしておりますかね。これに対してアメリカの反応というものはどのようなものか、経企庁の受けとめ方をお聞きしたい。今もお答えをいただいたお考えはありますけれども、こういうことを踏まえてもう一度いかがでございますか。
  118. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 大河原前駐米大使の御発言は私どもも新聞で承知をしております。しかしながら、すべての方々がこういうふうな評価であるとは思いません。米国の中にも特に専門家の方々の中にはこれを評価してくださる方も多いと承知をしております。  具体的に申しますと、去る十四日、十五日、これは発表後ちょうど一月たった時点でございますが、OECDの経済政策委員会というのが開かれました。これにはOECD加盟の二十数カ国、我が国も当然出てまいりまして、世界経済の今後の課題、あるいは加盟各国がとっておりますいろいろな政策努力についての評価、さらには来年度の経済見通し、こういったようなことが議論されたわけであります。去る十四日、十五日のOECD経済政策委員会では、我が国の政策努力、これはまず市場開放から始まったわけでありますけれども、特に今回の内需拡大の努力というのが大変高く評価されまして、日本の新聞にも出ておりましたけれども、「高く称賛した」と、こういうことになっております。  夏に我が国に関する経済審査がございましたけれども、そのときには日本に対して内需拡大の努力が必要である。ぜひその方向で日本政府は努力をせい。強い期待あるいは要求というものが出てきたわけでありますけれども、そうした努力にこたえて、日本はよくやったと、こういう評価が表明されました。こういうことがございますので、決して一方的にこの内需拡大策に対する低い評価ばかりではない。こういうふうに思っております。  また、今回のと申しますか、十月の十五日の内需拡大策でありますけれども、これはその時点におきましては、我が国の財政制度の上からいいまして新しい予算措置あるいは税制改正措置、こういったようなことを決められるような時期ではありませんので、十二月末にかけましての六十一年度の予算編成の過程でさらに予算措置あるいは税制改正措置を伴う内需拡大策について検討して結論を出す。いわば内需拡大策の、お芝居に例えますと第一幕と第二幕ということでございまして、第一幕が発表された。第一幕だけを見て、これでおもしろくないお芝居だということであってはいけない、私どもも第二幕ができるだけ評価のできるお芝居になるように、こういうことで今検討し、議論をしているところでございます。そういうことで御評価を賜りたいと思う次第です。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 今お芝居に例えて申されましたが、日本の我々もそうですが、世界の各国の皆さんがお芝居を見て喜んでいただけるようなお芝居づくりをひとつ要請しておきます。これはまあこの程度でとどめておきますけれども。  そこで、G5以降ドル高修正が進行しているのは御承知のとおりでございまして、九月下旬は二百三十円台でありました。きょうは何ぼでございましたかね、昼のニュースでは二百一円三十銭ぐらいだったと私承知しておりますけれども、そうしますと、一五%、約三十円から四十円近く円の対ドルレートは上昇しているわけでございますが、例えば三井銀行のリポートによりますと、一ドルが二百円で来年度推移した場合、これは見込みであると承知しておりますけれども、そうした場合でも来年度の成長率は大体一・八%の低成長となるのではないかというようなことが言われておるわけでございます。そうしますと、その結果名目GNPを五兆円あるいは六兆円減少させるとされているわけでございますが、そうしますと円高によりその効果が希釈される、今回の内需拡大策の寄与度もそのように評価しているのか、経企庁の考え方をお聞きしたいと思います。  それと同時に、この機会に円高により痛みを感じつつある企業も相当出てくるのではないかと思うわけでございます。いまさっき通産大臣からもいろいろお話がありましたけれども政府といたしましてこの円高の対策をどのようにお考えであるのかお聞かせいただきたい。
  120. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) G5以降ドル高・円安の是正が進み、我が国の為替レート、円レートがG5以前の九月の二十日、たしか二百四十二円ぐらいでございましたけれども、それから昨日は二百円、本日も午前の場の終わり値が二百一円三十銭、こういうことで、四十円余り円高になったという点はただいま御指摘のとおりでございます。  円高というものが経済に対しましていわゆるデフレ効果を持つというのは御指摘のとおりでございます。しかし、物事には常に影の部分があれば必ず光の部分がある。光と影というものがございます。この円高の影の部分がデフレ効果ということになりますが、光の部分というのは物価が安定をする、そのことを通じて国民の実質的な購買力がふえるという効果がございます。購買力がふえたものは実質的な内需の拡大につながる、こういうことでありますから、円高の効果というものを光の面にも御注目をいただく必要がある、こう考えます。三井銀行のレポートについて言及をなさいましたけれども、どうも影の部分のみ注目をしておるのではないか、そういったような感じがいたします。  それはともかくといたしまして、プラスの部分、マイナスの部分を差し引きして、どちらの方が大きいのかといえば若干デフレ効果の方が大きい、こういうことでありますし、それとともにプラスの効果が及ぶ分野と、それから影の悪影響を受ける分野というのは違っている、こういうことになります。その結果、この円高によりまして被害を受ける部分があるわけでございます。そうした点につきましては、特に中小企業等こうした影響を受ける分野につきましては機動的な政策運営、こういうことで対処をしていく。具体的に言いますと、先ほど通産大臣からも御答弁のありましたような措置を含めまして適時適切に対応していく、こういうことが必要ではないか、経済企画庁としてもそういったような対策をまとめる上で調整の立場にありますけれども、今後努力をしていきたい、こう考えている次第でございます。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 報道によりますと、自民党首脳が十一月の十九日、六十一年度予算編成に向けまして公共事業の拡大を求めていく方針を強調されたようであります。特に金丸幹事長が、六十一年度の公共事業量について六十年度の予算を少しでも上回るようでなければ政治にならぬ、こういう言明をされているわけでございますし、また、宮澤総務会長は、円高に伴うデフレ対策の必要性を強調されておるわけでございますが、それに対して大蔵省は、御承知のとおりに党側のこうした姿勢に難色を示していらっしゃる、こういう現実の動きがあるわけでございますけれども、経企庁としてはどのようにお考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  122. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 円高のデフレ効果に対しましてどのように対応するのかという点でございますけれども先ほども申し上げましたように、内需拡大策、これ十月に打ち出しましたのは民間活力の活用を基本とする民活中心、民活主体の対応策でございましたので、十二月の終わりに決まります六十一年度予算編成の過程で、今度は予算あるいは税制改正を伴うような対策、こういうことで対応していきたい、こういうふうに基本的に考えております。その際、公共事業あるいはその他住宅減税、設備投資減税等でありますけれども、私ども経済企画庁としては、金子大臣が常常申されておりますようにこれを拡充をする、こういう方向で努力をしたい、こういうことでございます。  他方、大蔵省が主張されておりますように、現在財政状態が非常に悪い、財政の対応力が欠けておる、対応力の回復を図ることが必要だ、こういう事情もございます。そこで、こうした財政事情のもとで公共事業等の事業量の拡大を図るような、そういう点につきまして相談をした上で知恵を出していきたい、こういうふうに考えております。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 次に、住宅建設の促進について質問をしたいと思います。  今回の今いろいろ御答弁いただいております対策も、つまるところ民間部門の活動にうまく着火し、軌道に乗せることができるかどうかというのが一番の問題点ではないか、私はこのように思っているわけでございますが、そこで内需拡大に関しまして具体的な問題でちょっとお尋ねしたいと思います。建設省お見えになっていますね。  まず住宅建設の促進というものは、今回の内需拡大策における最大のポイントではないかと思うわけでございます。その主な内容は、一つは住宅金融公庫の融資限度額の引き上げの問題、二つ目には貸付枠の二万戸追加という問題ではないかと思うわけでございますが、しかし、肝心かなめの住宅減税というものが欠けております。なぜ肝心かなめなものが欠けたのか、その理由を明確にしていただきたいと思います。  また、低迷する住宅建設を盛り上げることがこのくらいの措置でできるのであるかということを、非常に冷え切っておりますから心配しているところでございます。それと同時に、現時点で住宅減税につきまして検討されているならば、内容はどのように検討していらっしゃるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  124. 三井康壽

    説明員(三井康壽君) まず、今回の住宅金融公庫の特別割り増し貸し付けにつきまして概要を御説明さしていただきたいと思いますが、今回の内需拡大策の一つといたしまして、「当面早急に実施する対策」、その一つといたしまして特別割り増し貸し付けというのが提案されているわけでございます。これにつきましては、おかげさまで今臨時国会におきまして住宅金融公庫法の改正案を提案させていただきまして、十五日に参議院本会議で可決成立をさせていただきまして、昨日から募集開始をさせていただいております。大変早い御審議を賜りましたことを、この場をかりまして改めてお礼申し上げます。  この内容につきましては、先生も御承知だと思いますが、百五十万円から三百万円まで、住宅の種別、それから規模に応じまして財投並みの金利で貸し付けをしようということでございます。財投並み金利、現在は財投金利は六・八五%でございますから、百五十万円から三百万円まで割り増し貸し付けをいたしますと、民間の住宅ローン、これは七・三八%になっております、その差につきまして消費者といいますか、お借りになる方が有利になるということから、内需が拡大する、住宅の建設も促進するということで、私どもの見込みは二万戸というふうな想定をしているわけでございます。先ほどの二万戸というのはそういう趣旨でございます。そして、これは今申し上げましたように、「当面早急に実施する対策」というふうな位置づけでございまして、なお住宅建設につきましては、今後の予算編成あるいは税制改正の段におきましてさらに引き続き検討していくというふうな位置づけになっているわけでございます。  それから、住宅減税につきましての御質問は、住宅企画官の方から御答弁させていただきます。
  125. 杉谷洸大

    説明員(杉谷洸大君) 私の方からは二点お答えいたします。  第一点は、さきの経済対策閣僚会議で決定されました「内需拡大に関する対策」において住宅減税が見送られている、その理由いかんということでございますが、それにつきましては先ほど経済企画庁及び私どもの民間住宅課長から御答弁いたしましたように、当面早急に実施する内需拡大策につきましては、「内需拡大に関する対策」に盛り込まれておりますが、住宅減税につきましては、今後の税制改正作業の過程の中で所要の手続を経ながら検討を進める、こういうことで内容が盛られておりません。  それから第二点の、現在建設省において検討している住宅減税の内容いかんということでございますが、これにつきまして建設省では、現在居住水準向上とそれから内需の拡大、その二つの要請にこたえるものといたしまして、昭和六十一年度の税制改正におきまして大幅な住宅減税の要望を行っているところでございます。  その主要なものにつきまして申し上げますと、第一でございますが、これは住宅投資の大幅な促進を図るために、新築住宅につきまして、持ち家、貸し家を問わず、毎年取得費もしくは建築費の一%を五年間続けまして税額控除をするという住宅投資促進税制の新たな創設を要求いたしております。  二番目に、民間住宅ローンの負担を軽減する、こういう面から、その負担の軽減によりまして持ち家取得の促進を図るということで、現在住宅取得控除制度というものがございますが、これにつきまして控除額の引き上げとか、控除期間の延長などの大幅な拡充の要望をいたしております。  次に、三番目に、親子間の住宅資金の贈与に関します制度といたしまして、現在住宅資金贈与制度というものがございますが、これにつきましてもなおその一層の活用が図られるように、中古住宅の取得を新たに適用対象に加えるなどの拡充の要望をいたしているところでございます。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 今いろいろお答えをいただきましたが、家を持つ可能性のある二十代、三十代の若年層が、最近の傾向といたしまして持ち家にこだわらないライフスタイルをとっておるわけです。これは御承知のとおりだと思います。  そこで、昨年度の住宅投資に占める更新、つまり中古の増改築の率が五割を超えている、ちょっと調べましたらこういう数字が出ているわけでございまして、そこで、今も住宅減税の内容について一部お答えをいただきましたけれども、その対策を持ち家だけに限定したのではその効果は薄いのではないかと、私はこのように実感を持っております。十分な景気刺激にならないのではないかと思いますけれども、もう一度この点をお聞かせいただきたい。  それと同時に、この住宅建設を促進するためには、根本的には農地の宅地化の促進、これは建設省じゃなくて農水省関係になるかと思いますし、借地借家規制の見通し、これは法務省の関係になるかと思いますけれども、こういういろいろな問題が絡んでおるわけでございまして、そういう立場から宅地供給対策を推進すべきであると思いますけれども建設省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  127. 杉谷洸大

    説明員(杉谷洸大君) 中古住宅に対する取り組み方でございますが、近年、中古住宅の流通がふえております。それから既存住宅の増改築もこれもまた増加する傾向にございまして、私ども住宅政策を預かる立場といたしましては、広い意味での既存住宅の重要性というものは年々高まりつつある、このように認識している次第でございます。こういうような観点に立ちまして、住宅税制におきましても、五十五年度に住宅取得控除制度の改善の段階におきまして既存住宅を適用対象といたしましたり、それからまた来年度の税制改正でございますが、親子間の住宅資金贈与制度につきまして、その適用対象に既存住宅を追加するような要望をしているとか、そのような税制につきましても拡充の方向で努力いたしているところでございます。  また既存住宅の増改築でございますが、これにつきましては、住宅金融公庫の住宅改良融資の措置というものを従来講じてきているところでございます。また税制につきましても、今後その拡充につきまして鋭意検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 私の持ち時間がもう余りございませんから、最後にまとめてちょっと質問したいと思います。  最初に所得税減税の問題についてお伺いしたいんですが、今回の内需拡大策は所得税減税が織り込まれておりません。それで、金子長官自身、減税を織り込むつもりがあったのに、大蔵省のガードがかたかった、このように発言されておるわけでございまして、経企庁といたしまして所得税減税の必要性、その規模等についてどのようにお考えであるのか、これは経企庁にお尋ねをしたいと思います。また、六十一年度予算編成を進める現在その見通しはどうであるのか、これもあわせてお答えをいただきたいと思います。  それと、週休二日制の問題について。内需拡大策の中に五年間で一人当たり年間休暇を今より十日間ふやすというものがございますけれども、この週休二日制の実行について、これは各方面の理解と努力がなければできないじゃないか、具体策をお尋ねしたいと思いますし、これは広範な論議と合意をつくる必要があるのではないか、週休二日制に対する問題。  それからCD、御承知のとおり現金自動支払い機について、これは意外なことに景気対策の一環として、本来であるならばまだまだ先のことであったけれども、今回、来年八月から実施というものを今すぐにでもというような要請が出ております。関係者も驚いておりますけれども、CDの毎土曜日稼働がどうして内需拡大策になるのか、この点もあわせてお聞かせいただきたいと思います。  きょうの法案と絡んで内需拡大の問題を含めて質問しましたけれども、最後に今回の改正法の運用、エネルギー対策の実施に当たって通産大臣の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  129. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 幾つかの点を御質問になりましたけれども、まず所得税減税についての経済企画庁の考え方という点でございますが、経済企画庁といたしましても、所得税につきましては、特に中間層の人々の負担について十分配慮されなければならない、こういうふうに考えております。  この所得税減税につきまして、来年度の予算編成の過程でどうなるのか、どういう考えで対処するのかという点でございますけれども、現在税制調査会におきまして、抜本的な税制改正を目指した税制全般にかかわる検討作業が行われるところでございます。個々の項目、アイテムにつきましての減税といったようなことじゃなくて、抜本的な大規模なそういう所得税制の見直しということになれば、やはりそうした審議の推移を待って結論を出すべきではないか、こういうふうに考えております。  それから週休二日制の点でございますけれども、週休二日制というのは、内需拡大策の一環として打ち出されておりますけれども、内需拡大策に加えまして、先進欧米主要国並みの休日と、こういうことで、いわゆる働き過ぎの是正と、こういったような点もねらっておりますし、さらには、ゆとりと活力のある経済社会の実現という面から見まして、勤労者のいろいろなゆとりのある生活、こういうことを考えた上での総合的なねらいをねらった上での週休二日制の拡大、休日の増加ということでございます。確かに休日をふやすといったようなことにつきましては、労使の間の努力、特に生産性向上との関係、こういったようなことがございますので、そうした点につきまして労使の、あるいは労使を含めて社会全体の広い御理解が必要であると、こういうことで、政府といたしましても各方面からの協力を得つつ、御理解を得つつ、この目標の実現を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。  それからCDの点でございますけれども、CDだけを取り上げましてそれで何ほどの内需の拡大になるのかと言われれば、仰せのとおりだと思います。このCDの項目を含めて個人消費の喚起ということが今回の内需拡大策の一本の柱として掲げられましたのは、特に九月二十二日のG5の共同発表におきまして日本政府としては次のような形で内需の拡大をすると、いろいろな項目を挙げておりますけれども、その中で消費者金融市場の拡大措置を通じて消費増大に焦点を合わせた内需刺激努力を行うと、こういうことを共同声明の中で約束をしております。そういったようなことで、消費者金融マーケットの拡大、それから円滑な利用と、そういう点から見てCDの時間延長というのが役に立つのではないかということで掲げておるわけであります。  内需拡大策というのは、いろいろな項目を合わせて一本と、こういうことでありまして、非常に強力な効果のあるものと、それからまあいわば潤滑油的なそういう効果ということで、それ自体ではそれほど大きな効果はないけれども、やはり全体として見れば内需拡大のために必要なものと、こういうものがあるということで、本件につきましては、後者のような潤滑油的なものとして掲げてある、こういうことでございます。  私からは以上お答えを申し上げます。
  130. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 政府が民間活力の活用による内需振興策として一般電気事業会社に対して追加投資を要請している、これは先ほどお話し申し上げておるとおりでございますが、要は今回の対策によって電気の安定供給を国民全般に図っていくというのが大目的でございまして、そういった趣旨に沿ってこの法改正をお願いしているところでございます。
  131. 市川正一

    市川正一君 私もきょう昼休みのテレビ拝見しまして、村田通産大臣が登場しやはって、円高による中小企業の救済はやれることは何でもやると、こうおっしゃったので、非常に私頼もしく拝聴したんですが、今回の円高というのは九月のG5を受けて政府が主導的に起こしたそういういわば円高やと私は思います。  ところが、わずか二カ月間で円がドルに対して約二〇%も急騰したという異常な状況に対して、きょうの報道によりますと、日銀の澄田総裁は、現在の水準で円高が定着したとはまだ言えないと思う、こうおっしゃっておるんですね。竹下大蔵大臣は、一層円高基調が定着していくことを期待する、こう言明されております。そういうことになると、円高がますます進むことが予想されるんですね。大臣も御承知のように、既に産地や輸出関係の中小企業に深刻な影響が広がっております。仕事がなくなったり値引きを迫られる状態も出てきております。全国中小企業団体中央会がまとめた調査によっても、産地組合の圧倒的な部分が深刻な影響を受けることはもう明白であります。  そこで、私は昼のテレビニュースでの通商産業大臣の発言を受けて、何でもやるというその決意を示していただきたいんですが、通達は確かに出ました。しかし、その通達が出しっ放しじゃなしに、実効ある措置をという点で、私二つのことを大臣に要請いたしたいんです。  一つは、円高に便乗した仕事の打ち切りとか単価の引き下げは、これはやらさぬという強力な行政指導をやっていただけないか。もう一つは、伝えられるところでは、通産省も検討されているようでありますが、円高で深刻な中小企業に対して低利融資、設備近代化資金の返済猶予、税制上の特例措置などを盛り込んだ、あの五十三年のときにも制定いたしましたが、例えば円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法でしたが、そういう緊急措置をとること、この二点を私とりあえずきょうのお昼のテレビを拝見して大臣に強く要望いたしたいんですが、いかがでしょうか。
  132. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 急激な円高によります影響は、先生今御指摘のように、私どもの調査でもかなり深刻な状況に広がりつつあるという認識でございます。  この点は、前から実は私ども予想したところでございまして、既に現行施策を前提としまして、先生がさっきおっしゃったような政府系中小企業金融機関あるいは信用保証協会等に通達を出したわけでございますし、それからまた下請企業対策といたしまして、この点今先生お触れになりましたけれども、親事業者が円高による影響を不当値引き、買いただき等の形で下請企業に転嫁しないよう、親事業者だとか親事業者団体等につきまして下請代金法の遵守等につき公正取引委員会と共同で通達を発したところでございます。この点は単なる通達で終わらないように、実効が上がるようにしっかりやっていきたいと思います。  それから六十一年度対策、六十一年度予算といたしまして、国際経済上の環境変化等に対応する関連中小企業者を支援するため政府系中小企業金融機関に国際経済調整対策等特別貸付制度を創設するということで現在要求を出しております。また、現行の中小企業事業転換法が期限切れになる関係上、これを拡充、延長しまして新しい中小企業事業転換法を制定いたしまして、税制、金融等の面での助成措置を拡充する、こういうことも要求しておりまして、その実現に向けまして鋭意努力する所存でございます。  しかし、これは六十一年度の施策でございまして、今の情勢を見ますと、それまで待てないという情勢でもあろうかということで、今後の推移を十分踏まえる必要はございますけれども、五十二年、五十三年当時に御指摘のございました立法措置を含めた総合的な対策をとっている経緯もございますので、その点につきましては今後の状況も踏まえ、必要があればその点につきましても検討を鋭意進めていきたい、こういうふうに考えております。
  133. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま広海部長から具体的な問題について個々に御説明を申し上げました。九月下旬の円高開始以来、今まで数次にわたって、例えば政府系中小企業金融三機関への要請、全国信用保証協会連合会会長あての要請あるいは日本商工会議所会頭及び全国商工会連合会会長あての要請等々、数次にわたる通牒を発しまして、円高対策そしてまた倒産防止のための相談事業の拡充であるとかあるいは下請取引の適正化の要請等種々の施策を打っておるところでございます。  きょう朝、私が記者会見で申しましたのは、こういった現存の制度の上に乗ったいろいろな対策と同時に、もう年末が目の前に来ておるわけでありますから、したがって円高定着によって起こる、予測も含めていろいろな問題について、輸出関連企業の大きな深刻な悩みに対応していかなきゃならない、こういう気持ちできょうも実は、この委員会が終わりましてから、私、スタッフを呼んでいろいろと検討をさせる予定でございますが、諸般の具体的な措置を検討ないし実施中でございます。
  134. 市川正一

    市川正一君 何でもやる大臣としてひとつ頑張ってもらいたいと思います。よろしくお願いします。  続いて、法案に関連して、電気事業の性格について大臣に確認をいたしたいんですが、この電気事業というのは、通産大臣の許可で地域独占を許されて開業し、大臣の認可した料金供給規程で収入を上げ、工事計画も大臣の認可を受けて進めております。さらに今かかっております法律では、低利の社債発行を認めておるほかに、税制上、金融上でもさまざまな優遇を受けております。これは電力事業が国民生活や国民経済に深くかかわる重要なものであるから、まさに言うならば公益事業だからとられている措置だと私思うんですが、いかがでしょうか。
  135. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 電気は国民生活及び経済活動にとりまして不可欠なエネルギーでございまして、これを豊富、低廉かつ安定的に供給するというのが、これが国家的な要請であろうかと思います。電気事業は当然この要請に応じまして事業の効率的な遂行を図るといった公益性があるというふうに判断をいたしております。  こういう観点から、私ども通産省といたしましても、電気事業そのものは自主的な私企業という経営形態にゆだねて最大限の効率性というものを追求しながら、他方電力事業が当然地域独占という形態をとらざるを得ないという特性を持っておりますので、こういう特性から、料金認可というような需要家の利益の保護のための法律というものを電気事業法というような法律で規制をするということで、公益事業に対しましては必要最小限の監督規制を課しているというふうに考えております。したがいまして、こういう国家的な要請を達成するために、私企業の効率性と国による監督と両方をマッチさせながらエネルギーの安定供給ということを図っていきたいと、かように考えております。
  136. 市川正一

    市川正一君 といたしますと、通産大臣は、電気事業の全般にわたって監督し、公益事業の名にふさわしい業務運営が行われているかどうかということをよく見ていく責任がおありだと思うんですが、いかがでしょうか。
  137. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) おっしゃるとおりだと思います。
  138. 市川正一

    市川正一君 電力会社は、大臣も御承知のように、ちょうど今から十年ほど前でありますが、政治献金をしないということをみずから決めて公表いたしました。これは公益事業として政治献金をすることはよくないという考えに立脚したもので、当時世論はこれを好感を持って迎えましたし、また政府もこれを歓迎いたしました。  ところが実際は、各電力会社ともに、個人献金の名のもとに役員を通じて自民党に多額の政治献金をしておるんでありますが、大臣このことは御承知でしょうか。
  139. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 政治献金をどの程度しておるかということについては承知をしておりません。
  140. 市川正一

    市川正一君 ということは、どの程度という額のことは承知していないけれども、そういう政治献金を個人がやっているということは御承知のように理解して、以下話を進めますけれども、もともと個人献金というのは一人一人の政治信条に基づいてなされるもので、当然これは自発的なものでないといかぬと思うんですが、大臣そうお思いになりませんかしら。
  141. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 自発的に個人の資格でなさるものについては特に法律上の問題はないと思います。
  142. 市川正一

    市川正一君 ところで私、各電力会社の役員が個人名義で自民党の政治資金団体である国民政治協会にどれぐらい献金をしているのかを調べてみました。  ちょっと資料を配付することを委員長お許し願いたいのですが……。
  143. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) どうぞ。    〔資料配付〕
  144. 市川正一

    市川正一君 大分手間暇かかったんです。それで遅くなったんですが……。  これは自治省が官報に掲載して発表したのをずっと拾ったんです。ここにそのコピーがあるんですけれども、これを見ても、自治省への報告は個人の献金者の肩書きは出ておらぬのです。例えば関西電力の、関電の社長である小林庄一郎さんですが、小林庄一郎、三十万、宝塚市ということだけしか書いてない。それでずっと調べてみたんです。そうしてそのトータルがこの一覧表なんです。これを見て、会長・社長、ずっとランクがありまして、みんな相場が決まっておりますんです。これは一体自発的に個人が行った献金やというふうに大臣見やはりますか。
  145. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 今、政治資金所管の自治省は見えていないようでございますが、この表は今見せていただいたばかりでございまして、表についての真偽は、私には現在判断いたしかねます。
  146. 市川正一

    市川正一君 真偽ですか。本当かうそかという意味ですか。いやそんなあなた、ここに官報も持ってきたし、そこからずっと名前と住所と、それで出したので、うそ偽りはございませんので、それで以下信用してお話を進めてほしいんですがね。  これごらんになると、各社とも年間、会長・社長クラスは三十万です。副社長クラスは二十四万です。取締役クラスが十万から十二万円。これは偶然の一致とは言えぬのです。九社で、皆横で連絡取り合うて、大体この線でいこうということで、いわば組織的に行われているというふうにみなさざるを得ぬのです。しかも、ランクづけが地位が高いほど額も高い、同じ役員は九社とも横並びで皆一緒や。これは個々人の自発的な意志で行った献金というふうには読み取れぬのです。明らかにこれは個人献金に見せかけて、そして実際には電力会社がこういう形で、ずっと計算しますと年間二千万から二千六百万の額に上るのが出されているんです。  それで私、五年前に、一九八〇年の三月の九十一国会でありますが、電力料金値上げの際に、こういう不明朗な体質を本委員会で取り上げました。ここに会議録私持ってきておりますが、その際に、役員の個人献金のほかに、会社が政治家のパーティー券を購入している事実も示しました。そして、電力会社に交際費の内訳を出させるように要求をいたしました。しかし、いまだにこのことは改められておらぬのです。そして、この役員名による政治献金の金の出どころにも重大なやっぱり疑義を私持ちます。  私は、通産省として、こういう電力九社の交際費が幾らであって、そのうちパーティー券の購入など政治資金が幾らなのか、そういうことをつかんでいるのかどうか、また電気事業営業費用の中の諸費という内訳をつかんでいらっしゃるのかどうか、この点を私、以下の議論を進めていく上でひとつお聞きをしておきたいと思うんです。
  147. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 今先生の御質問の交際費等々については詳細つかんでおりません。
  148. 市川正一

    市川正一君 それはやっぱり、冒頭申しました、また大臣もお認めになったこの電気事業の公益性あるいは公共性、そういうものを認める限りにおいては、私は国民から負託された政治家としてやはりその中身を国民の前に明らかにするように、そして通産省、政府としてはそういう問題をやっぱりきっちりけじめをつけておくということを私この機会に重ねてもう一度要請いたしたいと思うんです。  ぜひ大臣、この問題について、今言った角度から御検討願いたいと思うんですが、いかがですか。
  149. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先ほど長官からお答え申し上げましたけれども、電気自体は非常に重要なものである、電気事業はこれに応じてそうした電気を供給するということで公益性が高いということでございますけれども、その経営自体につきましてはできるだけ自主的な経営活動にゆだねるというのが基本でございまして、必要な範囲でこれに対して電気事業法上の規制を加えるというのが現在の私どもの立場でございます。
  150. 市川正一

    市川正一君 そうすると、今私が申し上げたことは必要な範囲でないと言うんですか。はっきりしてください。
  151. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先ほどの御質問になりました交際費その他について、詳細にそれをつかむということは必要ないというふうに考えております。
  152. 市川正一

    市川正一君 詳細とは言わぬ。その大枠は何ぼやと。  それから、ここに出したのは、大臣は真偽のほどというふうな言葉も使われたから、私もこれを何もそんなにせものを出したわけやないんだから、山本さん、これ本当かうそかはっきり、あなたこれ渡すからちゃんとチェックして照合してください。  それで委員長、これ委員会に私責任を持って出した資料ですから、私は大臣とは言いません、山本さん、これが本当かうそか、あなたのところ手がぎょうさんあるのやから、また実態を知っておるのやから、すぐちゃんとこれ調べてください。
  153. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) この資料につきましては、先ほどいただいたばかりでございますので、したがって勉強させていただきます。
  154. 市川正一

    市川正一君 じゃよく勉強して、その答えを次の機会に知らしてください。何も今すぐここで言えとは言いませんから。よろしいな。
  155. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 勉強させていただきます。
  156. 市川正一

    市川正一君 じゃ勉強した結果を大臣にかわってあなたが知らしてください。よろしいな。じゃ前に進みます。  この法案について言えば、やっぱり今申し上げたことと深いかかわり合いを持ってくるんですが、この電気事業というのは、先ほど大臣も、また資源エネルギー庁長官もおっしゃったように、やっぱり需要者への供給が義務づけられているわけですから、そこから一定のやっぱり余力を電力供給について持っていなければならぬ、また発電所を初め巨大な設備を必要とする産業でありますから、それに相応した設備投資が必要だということもこれは理解できます。しかし、国民の立場からいたしますと、それが本当に必要な設備なのかどうか、それが浪費になっていないかどうか、また安全性などに問題はないのかどうか、あるいはまた大手の電機や建設業界など大企業のための市場供給の場になってはいないのかどうか、そういう多くの重大な問題に関心をやっぱり国民は持っていると思うんです。  今回の改正法案に即して言いますと、私は資源エネルギー庁、すなわち政府・通産側が極めて過大な電力需要を想定し、それをもとに電力業界の側が過大な電源開発計画を立て、過大な投資を見込んできたのではないかという問題を私持つのでありますが、その点政府・通産の側はどういう見解を持っていらっしゃるのか伺いたい。
  157. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電気事業が安定的に電力を供給する、これは電力がないから供給できませんということは許されないわけでございますので、そのために必要な設備がどの程度かという問題でございます。  まず電力事業者が持っております発電の設備量、これは全認可出力ということになりますけれども、これから例えば水力発電所の渇水によって出力が減る場合もある、あるいは保安上の点検とか保修等によってとめざるを得ないという場合もある、さらには発電所内部でもって使われる電力もありますので、そういうものを引きまして出たものが、これが供給できる能力ということでございます。  ところが、これにつきましてはやはり八ないし一〇%の予備力が必要であるというふうに見ております。と申しますのは、そのときによって気候、例えば夏非常に暑いとか冬寒いとか、あるいは景気の変動等々によりましてかなり変わってまいります。そうした場合に備えまして、過去の経験から大体八ないし一〇%程度の予備率が必要であるというふうに見込んでおりますが、現在の九電力のそういう設備能力はちょうど予備力として一〇%でございますので、私どもとしては適正なものというふうに考えております。
  158. 市川正一

    市川正一君 それでは具体的に伺うんですが、少し数字を申し述べますのでお聞き取り願いたいんですが、資源エネルギー庁の施設計画概要というのがございますが、これは電気事業審議会、いわゆる電事審の需給部会年度電源構成及び電力供給目標をにらみながら毎年出されているものですね。  前回の電気料金の値上げが実施されたのは五十五年でございますが、その四月に出されたもの、これが料金値上げに対応する計画なんですけれども、私、五十五年度計画電力需要見通しをずっと年々その後を追って対比してみますと、策定時の五十五年度はほぼ一〇〇%なんですが、五十五年度計画電力需要見通しとその実績、五十六年度をとってみると八七・八%です。それから、五十七年度が八一%です。五十八年度が八三%。五十九年度が八二%。これは御承知だと思います。そして、六十年度では七八・八%、二割以上も過大に五十五年度計画が見込んでいたことになるんです。  なぜこういう大きい差が出たかということになりますと、五十五年度計画では、五十三年度から六十年度年平均伸び率を六・六%と見ていたわけですね。ところが、その後の計画では、との平均伸び率を五十六年度計画では六・一%に、以下順次年度を追って申しますと、五・七%、三・七%、三・九%、そして今年度は三・四%、そういうふうになっているわけです。それで、つまり五十五年度需要見込みは、実績から見ても余りにも高過ぎたんですよ。言うならば、誤った見込みであったと私は言わせてもらいたいんです。しかも重大なことは、その過大で誤った見込みに基づいて投資も過大に進めてきたんですね。  一例を挙げますと、五十五年度計画で見込んでいた年度電源構成によりますと、ここに一覧表ありますけれども、六十年度末で合計一億七千九百七十七万キロワットとされておったのが、六十年度計画によりますと、今から四年先の六十四年度末で見込んでいる一億七千四百十四万キロワットよりも五百六十三万キロワットも大きい数字なんです。「後の雁が先になる」じゃないけれども、四年先の方が少ないんです。そういう結果になっておるんですよ。  私は、ここにも五十五年度計画の実態がはしなくも露呈されていると思うんですが、私が結論として言いたいのは、五十五年度の施設計画というのは、そういう誤った過大なものであったということを、いや、これもメンツとかそんなんやなしに、結果としてそういうことであったということを認めざるを得ぬと思うんですが、いかがですか。
  159. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 施設計画をつくる際には一定の先まで見込しますけれども、これにつきましては、その後の事情によりまして変わってまいります。したがいまして、毎年これを見直してローリングをしているというのが状況でございます。先生おっしゃった点につきましては大体そのとおりでございまして、その五十五年当時に見込んだ需要伸びはその後鈍化いたしまして、その結果、設備につきましては先ほど申しました一〇%の予備率が適正であるというのに対して一八%ぐらいになっておりまして、かなり設備的には余裕ができております。五十五年についてはそういうことでございます。
  160. 市川正一

    市川正一君 私は、客観的に言っているんで、別にけしからぬ、責任とれと、そんなことまで絶対に申していませんから、安心して言ってください。  おっしゃったように、年々計画見直して下方修正、ローリングなさっているわけですが、私が言いたいのは、五十五年度見込みが、実情に照らしてもおっしゃったように過大であったということになりますと、見込みを誤ることもそれはあります、人間やから、お互いに。しかし、大事なことは、政府からそういう五十五年度に高い目標、言いかえれば過大な目標を提起したことがあったればこそ、電力業界設備計画というものが、設備投資というものが大手を振っていわば過大に肥大化していったという相互関係をやっぱり指摘せぬといかぬと思うんですが、その点はどうですか。
  161. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先ほど申し述べましたように、予備率は高くなってしまったわけでございますけれども設備計画は毎年見直しておりまして、その後現実の需要に合わせた訂正をいたしております。昭和六十年度を見ますと、予備率は一〇・五%ということで、ほぼ正常なレベルに復しているということでございます。
  162. 市川正一

    市川正一君 その問題はちょっと後でやらさせてもらいますけれども、今どうなっているかというと、五十年代の前半から投資に次ぐ投資電力業界は進めてきた。そのために後半に入ると供給余力が非常に大きくなって、結局設備稼働の効率的な度合いを示す負荷率というのがございますが、その負荷率が六割程度に落ちているんです。例えば東電を見てみますと、五十九年に鶴見火力が廃止されました。そのほかにも五十七年以来千葉火力、新東京火力、品川火力、これは休止している。これを改めて稼働させることになると、一カ月以上の準備期間をかけなければなりませんから、事実上廃止寸前に近い状態に陥っているんですね。まだ立派に使えるにもかかわらず、ほかの原発やLNG火力発電の運開に伴ってスクラップ化されている。これは過大な投資に基づくまさに浪費、むだ遣いやと、こう私は言わざるを得ぬと思うんですが、どうお考えですか。
  163. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 原子力発電あるいは石炭火力発電等々は非常に設備投資に膨大な費用を要します。そういう意味で非常に資本費が高いわけでございますけれども、一方燃料費は非常に安い、しかも安定性があるということでございます。他方、石油火力は、非常に負荷追随性も高いんですけれどもコストは高いということでございます。  したがいまして、先生おっしゃいました石油火力のある程度老朽なものをスクラップして、それを原子力発電あるいは石炭火力発電に切りかえた場合に、資本コストは高くなるけれども燃料費は安くなる。他方、廃止された方は、燃料費が要らないわけですから、その点についての燃料費の節約は大いに進むわけでございますけれども、そういった全体の計算というのは非常に難しゅうございまして、個々の設備ごとに一体それを廃止した方がプラスになるのか、あるいはそれを老朽ながら運転した方が全体のコストとしてプラスになるのかというのは、経営判断の問題として非常に難しい問題だと思います。  ただ、全体的に見ますと、現在進めております原子力発電あるいは石炭火力発電を中心として燃料コストあるいはいわゆる運転コストの安い電源に切りかえていくということは、全体の日本の電源コストを下げているということは事実だというふうに考えております。
  164. 市川正一

    市川正一君 私もコストを無視しろとは申しません。しかし、それはやっぱりなだらかに進めるべきであって、まだ十分に使える発電施設、これは貴重な社会的財産やと思うんです。それをどんどん見放してスクラップにして、そして原発や大規模な新鋭設備に乗りかえていく、そこに私は投資に次ぐ投資を進めている今の電力業界のいわば投資拡大本位の体質を非常に胸の痛む思いで見る思いがするのです。だから、国民にとっては、私はそういうものが何をもたらすのかということを今、国会で私どもに究明しろということを、今度の法案の改正の機会に求めていると私は思います。  大臣も覚えていらっしゃると思うのですが、この間十五日に衆議院の商工委員会で、我が党の工藤委員が、さきの五十五年四月のこの電気料金値上げの際の申請を政府の圧縮認可に基づいて修正した見積もり、これと有価証券報告書にある実績とを対比いたしまして、資料をそのときお渡ししたと思うのですが、大臣に質問をいたしました。そして、東京電力と関西電力の例を挙げて、事業収益は見積もりの九割以上を確保していながら、主要経費は東電では六割強、関電では五割強でしかない、つまりこういう異常なアンバランスを生んでいる秘密は、経費を過大に見積もって料金を高くつり上げる、その料金を通産省が認可したという関係にあるということを指摘いたしました。そのときに村田大臣は、確かに燃料費は相当の差がある、よく調査したい、こうお答えになったのですが、調査の結果はいかがでしたでしょうか。
  165. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) この速記録は見していただいております。このとおりでございまして、検討いたしました結果を政府委員からお答え申し上げます。
  166. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) この間、工藤先生からお渡しいただいた資料につきまして勉強さしていただいたわけでございますけれども内容的には、公開された資料をもとに工藤先生がいろいろ工夫して、加工はされておりますけれども、そうされたものだということがわかりました。  この内容につきまして御説明申し上げますと、まずこれは五十五年の料金申請時に東京電力及び関西電力が出した資料でございまして、そのときに通産省として当時の料金査定をしたのは五十五年度分だけでございまして、当時は四囲の情勢、特に燃料の価格等が非常に急激に変わるということで、一年分だけを査定しましょうということで、五十五年分を査定いたしたわけでございます。五十六年からここにございます五十九年までの分は、東京電力及び関西電力が参考資料として添付してきたものでございます。  したがいまして、この中で通産省が東京電力及び関西電力に対してこの数値で査定したのは五十五年の分ということでございます。そして、この五十五年につきましては、ここにございますように、燃料費はかなり下がりました。一方、減価償却等は上がっているわけでございますが、燃料費が下がった理由はやはり全体の需要が下がったために燃料費が下がったことと、その後燃料を安い燃料に切りかえたという両方によって燃料費が下がっております。それから、減価償却費がふえておりますのは、減価償却不足があるということで、いわゆる定額法を一部定率法に切りかえたということでございまして、減価償却費がこの段階でかなりふえているという状況でございます。
  167. 市川正一

    市川正一君 いずれにしてもしかるべき根拠のある資料に基づいて計算をしたものであるということは認めていただいたのですが、私はもう一度それを繰り返すのじゃなしに、この機会に今触れられた減価償却費の問題を新たに提起したいのです。  五十五年の料金値上げ認可時の見積もりに比べて、この減価償却費の実績を見ますと、これもお答えしていただくと時間がないので私の方から申し上げますが、東電では約二割、関電では約一割見積もりよりも多いのです。その絶対額が一割五分なのか何なのかは勉強なすった結果、部長おっしゃるかもしらぬけれども、とにかく多いことは事実だということで話を進めますが、これは結局見積もりをはるかに超えた過大な設備投資を進めて固定資産をふやしたこと、さらに今部長も申しましたが、償却方法を定額法から定率法に変えて、そして償却を促進したこと、その結果こういう異常な実績、要するに減価償却が見積もりよりもふえたという事態を招来しているというふうに私は考えるわけであります。  これは結局政府の過大な設備投資見通しが背景にあるというのが客観的な事実だと思うのです。そういうものの結果として、それが何をもたらすか、私は結論として今国民がこういう、いわば悪循環的な、電力会社は大きな膨大な設備投資が進められる。そして減価償却費が当初見積もりよりも積み増しされる、これを内部留保資金としてさらに設備投資を拡大する、そういう雪だるま式にいわば循環しているというのが五十五年以来の私は総括だと思うのです。  問題なのは、この減価償却費が設備投資資金に流れるというだけでなしに、減価償却費の増大は資本費の増大を意味し、そして結局は料金引き上げの要因になる。要するにそのツケは料金引き上げとして消費者、国民の側にかかってくるということになるということを私はおそれるのです。ですから、今申し上げた減価償却費が見積もりよりも上回っているという問題と関連して、私が今指摘いたしました点について御見解を承りたいと思うのであります。
  168. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず、設備投資が膨大になっているということにつきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。  これは先ほど来申し上げましたけれども、原子力をとってみますと、燃料費が二五%で設備費が七五%。それに対して石油火力を見ますと、これはちょうど逆でございまして、燃料費が七五%、設備費が二五%となるわけでございます。  それで、現在石油火力は非常にコストが高いということで、まあ原子力発電あるいは石炭火力発電に切りかえておりますが、そのためにかなり膨大な設備投資になっているということにつきましては、先生のおっしゃるとおりだと思います。  それから定率法に切りかえたと申しますのは、当時電力会社内部留保が非常に減ってきたということで、いわゆる償却不足が表面化いたしまして、当時の電気事業審議会の答申に基づきまして、これを定率法に一部切りかえたという事情にございます。
  169. 市川正一

    市川正一君 時間が過ぎましたので、私最後に大臣の御所見を承って、また同時に私の見解も結論的に申し述べて、この論戦といいますか、質問を終わらさしていただきたいのですが。  電力業界自身も資本費の増大はコストプッシュ要因になるということを申しております。言いかえれば資本費なるもの、支払い利息と、それから減価償却費でありますが、その増大が料金改定を進めていく大きな口実になっているということは、そうい至言明自身、また今までの経緯から見て私は否定できないと思うのです。  さらに私、強調しなければならぬのは、電力業界の体質とも言うべき、これは私異常体質だと思うのですが、極端な設備投資の拡大によって業界みずからは資産をふやし、またその設備投資の工事などの受注者の大手の独占電機あるいは大手建設業界でありますが、その仕事を保証するという相互関係を持つ。それは減価償却の増大や、あるいは借金返済の増大となって、結局これまた料金値上げをつくる口実に使われるというような諸関係が、ずっと少なくともこの五十五年以来の事態を見ましてもやっぱり動いておるわけであります。  私はこういう問題に対して、さしあたっての結論的な言い方をいたしますと、そういう発注を受ける電源開発とか送電関係の受注上位十社の名前とその受注額とは、ぜひ公表なさるべきだということが一つ。  それから第二は、過大な減価償却費を許さないためにも、定率法じゃなしにやっぱり定額法に戻すべきであるということを、これは今後いろいろまた皆さん方とお話をいたしますが、国民的立場からそういう五年間の総括としても、大臣に私は強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  170. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 基本論でございますので、このお答えをいたしておりますと非常に長くなるわけでございますが、私は現在の九電力体制というのは、それぞれ九電力の創意工夫を生かして、そして非常に効率的にエネルギーの安定供給をやっていく、各九電力が責任を持ちながらやっていくという体制でありまして、地域によっていろいろな事情はございますが、それぞれ効率化そしてまた公共的性格を踏まえた上の努力をしてくれておると思っております。  重要なことは全体としてのコストダウン、それから電力安定供給ということでありまして、今後電源のベストミックスと適正なコスト管理に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  171. 井上計

    ○井上計君 よろしかったら五分間休憩しましょうか。
  172. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 五分間休憩いたします。速記をとめてください。    〔速記中止〕
  173. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記を起こして。
  174. 井上計

    ○井上計君 先ほど来同僚委員からあらゆる角度から質問が出ております。ほとんど重複するものばかりでありますが、最初にまず今一番緊急な課題であります円高によって深刻な事態に陥っている業者が発生しつつありますから、それらの問題等について質問をし、また要望いたしたいと、こう思います。きょうお昼、通産大臣がこの問題等についての御発言なさいました。これも承知をいたしております。また新聞報道等によりまして、中小企業庁が緊急円高対策についていろいろとお考えのことも承知をしておりますけれども、問題は、その対策をいかに速やかに行うかどうかという、これが今一番緊急な課題だと、こう思います。そこで、中小企業庁お考えになっておりますような緊急対策、これについて簡単で結構でありますから、ひとつ幾つか重点事項等についてまずお聞かせをいただきたいと、こう思います。  それらの問題等の中でやっぱり関連するのは財源の問題だと思います。大蔵省が財政上の問題等でいろいろと、通産省中小企業庁もなかなかお考えどおり事が進まぬであろうということも承知をしておりますけれども、先般我が党が、九項目にわたっての円高対策、特に中小企業の輸出企業に対する問題等についての通産大臣、それから中小企業庁長官、さらには大蔵大臣に申し入れをいたしましたけれども、その申し入れの中にも特に述べておきましたけれども、今回のいわば円高といいますか、レートは政府が政策によって恣意的につくり出したものである。これが過去の五十二年、五十三年の円高とは実は非常に性質、内容が異なる、これが第一点ですね。  したがって、それによって、この急激な円高によって大きな被害をこうむる、影響をこうむる企業に対しては、やはり政治の責任としてこれはやっぱり救済をする、こういう責任が当然のことながら生じておると、こう思いますから、財源以前の問題として大蔵省は当然これについては対処すべきである、こういう申し入れ、要望、主張をいたしておきましたが、これらについての大臣のお考えはどうであるかということとあわして、ひとつ中小企業庁と大臣からまず冒頭お伺いいたします。
  175. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 最近におきます急激な円高、しかもこの年末の金融繁忙期を控えているということでございまして、中小企業庁といたしましてもこれまでに各種の措置を実施してきたところでございます。  その中身につきましては、長くなりますので、また先生も御承知だと思いますので省略いたしますが、さらに情勢の推移に応じまして、円高関連の必要な中小企業対策を実施するということで、今鋭意検討を進めているところでございます。
  176. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 今、広海計画部長からお答えを申し上げたわけでございますが、私の基本的な認識としては、円高そのものは、貿易摩擦の解消あるいは国際的ないろいろな観点から見て、基本的に望ましいことだと思います。  ただ、輸出関連企業で、特に中小企業が非常な苦しみに陥る可能性があるということで、九月以来調査を積み重ねておりまして、これは何としてもそれに緊急に対応をしなきゃならないという認識でございまして、まず、そのために非常に資金繰りが苦しくなる、あるいは注文が少なくなるというような企業に対応して、政府系中小企業金融三機関等にも直ちに指示をしたところでありますし、具体的にしかも早くやるように、それはまず既存の制度の上に乗る。それと同時に、年末を控えてこれから特別の制度をつくるべきであればそれももちろん検討をする。広範かつ適切迅速に対応すべきであると、こういう基本的な考え方でございまして、中小企業庁長官にもあるいは関係の機関にもいろいろ要請をしてまいっておるところでございます。  今後の対応は、もちろんこの具体的な内容をさらに詰めてまいる、あるいは六十一年度予算においては中小企業の予算については一歩も引かない、こういう気持ちでおります。
  177. 井上計

    ○井上計君 それらの、特に六十一年度の予算等等での御努力をいただかなくちゃなりませんが、しかし年末の緊急対策として特に財源措置を必要とするものが幾つかあると、こう思うんです。もちろんその中には法改正を必要とするものもありますけれども法改正をしなくてもできる措置というものが、また必要な措置が幾つかある、こう思います。  例を申し上げますと、信用保証協会に対するいわば出資等々について、これをやはり増額をしなければ、仮に信用保証枠の拡大がなされてもなかなか保証協会の保証が困難であるという問題があろうと、こう思います。  それから、低利の緊急融資を特に年末融資として枠を拡大をしてもらった場合、問題はそれについての利子補給をどうするかという、また新しい財源も必要であろうと、こう思いますし、それから現在不況業種が五十何業種ですか、不況業種指定がありますけれども、いわば輸出関連の中小企業の業種について速やかに不況業種指定をひとつしていただかなくちゃいかぬと。不況業種指定をしたことによって自動的に信用保証枠の拡大がなされる。  ところが、既存の不況業種はもう既に信用保証枠いっぱい借りている人があるわけですね。だからそれについては、じゃ新しく融資枠の拡大をどうするかということ、別の問題も起きてくると思いますし、また、既に輸出関連企業等については、枠はあるけれども担保が全くないということで、借りたくても借りられないという企業が現実に相当やっぱりあると我々聞いておるわけですから、したがってそれらの対策としては、各地の信用保証協会が大体担保の掛け目、七掛けぐらいが最高のようでありますが、この際、それらの企業については八掛けなりあるいは八掛け半なりというふうな担保枠を見直すという速やかな通達といいますか、行政指導、各地方自治体に対する行政指導もやるべきだ。  このようなことは、法改正あるいは新しい立法措置考えなくてもできる方法でありますから、これはほとんど大蔵省の問題であろうと思いますけれども、特に大臣からそれらのことについて強く大蔵省にお申し入れをいただいて、そういうふうな対策を速やかに進めていただかないと、十二月、これももう十日過ぎたら資金不足のために倒産をする企業が発生しつつあると、こんなふうに感じますが、これは特に強くひとつお願いをしておきます。  それからもう一つは、先ほど市川委員からも提言がありましたけれども、直接輸出ではありませんが、間接輸出といいますか、電気あるいは自動車等々のいわば下請の部品メーカーに対して、私は既に聞いておりますけれども、かなりコストの引き下げの強い指示が親企業から来ておるということが現実にあるようですね。これは大臣からも、あるいは中小企業庁長官から、先日そのような通達をお出しいただいたようでありますけれども、さらにこれをいま一度、強いそういうふうな通達、指示をやっていただきたいと、こう考えます。  以上、幾つか取りまとめて提言、要望いたしましたけれども、それについては中小企業庁どうお考えですか。
  178. 広海正光

    政府委員(広海正光君) これから年末を控えまして、これまでいろいろな対策はとってきましたけれども、それにプラスいたしまして、速やかに追加的な措置を検討していかなければならないというのはお説のとおりでございまして、私どももできるだけ早く追加的な措置を実行に移すという心構えで鋭意これから検討を進めていきたいと思いますが、その際には、ただいま先生が御指摘なさいました各種の諸点を十分頭に置きましてやっていきたいと思います。  それから下請の問題でございますが、これは御承知のように各種の通達を出しているわけでございます。親事業者、それから親事業者団体に対しまして、円高による影響を不当値引きあるいは買いただき等の形で不当に転嫁しないように、これは公正取引委員会と共同して通達を出しております。また、各都道府県に設置されております下請企業振興協会に対しましても、下請取引のあっせんの強化等につきまして要請を行ったところでございますが、今後、特にこうした点に留意いたしまして、下請取引の適正化等につきまして最大限の努力をしていきたいと思っております。
  179. 井上計

    ○井上計君 特に強くそれらの点についての指導をひとつやっていただくように繰り返してお願いしておきます。  そこで、これ私の特に感じる点でありますが、円高対策と我々はもうこのように言い、また政府側もすべてに円高対策ということでいろいろとお考えであります。現状はそれでいいかと思いますが、今度の円高は五十二年の暮れから五十三年の円高とは全く様相を異にしておる。というのは、言えばあの当時は一過性と言っていいかと思いますけれども、そのような円高で、また、円安と言っていいかどうか知りませんけれども、再びもとに戻って二百四十円ぐらいでほぼ定着しておったような形であります。  ところが今度の円高は、実は二百二十円、二百三十円、二百四十円に戻ってはいけない、戻る可能性の薄い円高、言いかえると、円高であるのかどうかということ、私、実は疑問を持っているわけです。むしろこれが正常なレートだとするならば、この際、今考えていただいている、またこれからそれぞれ講じていただくところの対策は、一時的な緊急避難の円高対策ではありますけれども、    〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕 それがそれで終わりになったのでは実は何もならぬ。  そこで、現在の輸出関連の中小企業等についての転換指導、いろいろと言われておりますけれども、現実には中小企業の輸出関連企業が何に転換するかというと、転換する方法ないわけですよ、ほとんどが。内需に転換ということはありますけれども、実際これだけ内需自体が余り振るわない、しかも市場がいっぱいである、そこへ新しく参入するなんて事実上これは不可能なんですね。といって、日本の場合には貿易摩擦問題がありますけれども、やはり今後とも輸出企業というものがある程度体質を強化していかなければ、これは日本全体の将来の問題としては大変な問題になるわけでありますから、そこで、二百円あるいは百九十円になるのか全くわかりませんけれども、現在のあるいは現在程度のレートが通常な円レートだと考えて、それに見合う、それでもやっていける体質を特に中小企業がつくっていく、それに対する指導、施策というものが今後考えられないと、円高円高と言ってばっかりおると、逆に今後の問題として誤りが起きるんではないかという懸念を最近私実は改めてしておるわけです。  それは、直接影響をこうむっておる中小企業とかなりいろいろと個人的にも話をし、ざっくばらんに話を聞きました。そうすると、二百二十円ぐらいの固定相場にぜひしろという意見もあるんですね、してほしいと。あるいはいずれ、一時的なものだから二百二十円、二百三十円に戻るであろうから、その間だけ何とかつなぎ資金を出してもらえば、急場がしのげればいいんだと、こういう考えもある。これは大変やはり誤ったというか、危険な考え方だな、こういう感じがするんです。    〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕  だから、やはり今度の緊急避難であります対策は、実は次のあるいは二百円前後のレートでずっと続いていってもやっていけるような体質を改善するための、そのような指導にそのままつながっていかなければ、逆に私はこの円高対策がかえって過ちを将来に残すおそれがあるんではないかな、こんな気がするわけですね。  だから、臨時措置法として、緊急立法としてお考えいただいておりますけれども、それらも円高対策、仮に緊急臨時措置法等の名称になることが果たしていいのかどうかな、そんなふうに考えておるんですが、いかがでありましょうか、ひとつお考えを。
  180. 広海正光

    政府委員(広海正光君) 御指摘のように、我が国の国際経済環境に照らして考えますと、今の円高傾向というのは望ましい方向考えられるわけでございます。現在いろいろ検討中の中小企業対策も、このような観点からしまして、むしろ円高定着を前提といたしまして体質改善や事業転換を進めようとする中小企業者を支援するということで、いろいろ検討をしているわけでございます。  もちろん経営安定と申しますか、緊急避難的なつなぎ融資的なことも同時に必要だと思いますけれども、やはり基本としましては、体質改善や事業転換を進めようとする中小企業者を支援しようとするものでございます。したがいまして、こうした対策の名前につきましてもこのような趣旨を踏まえまして適切な名称を考えていく必要があろう、このように考えております。
  181. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 今広海部長からお答えしたとおりでございますが、私は井上委員の御意見、御見識だと思います。まさに円高と言い、あるいはそれ以前はドル高と言っておったわけでございますが、これは比較的な問題でございまして、果たしてこれが円高でなくて円の適正な評価であるかどうかということは、これはだれにもわからないわけでございますし、いろんな要因によってまた変わっていくことでもあると思いますが、対策としては、こういった状況が長く続くという前提を考えながら、恒久的な制度として当然中小企業振興のことを考えなきゃいけないわけでありますから、井上委員の御指摘になられた点はよく頭に置きまして今後の政策を進めてまいりたいと思います。
  182. 井上計

    ○井上計君 次に移ります。  先ほど来いろいろと質疑が行われておりますから、これまた重複する問題が多いので、もう時間もありませんから、至極簡単に申し上げます。  今度の電力債の限度拡大の目的は、趣旨説明にもありますけれども、内需拡大のために追加投資を約一兆円考える。さらに、今後十年間にわたって約四十六兆円の予定される設備投資に対応するために必要な法改正、これはもう理解できます。  ところが、そこで私、一兆円の追加投資がそれほど期待できるような内需拡大に役立つのであろうか。さらに、したがってその相乗効果がどれぐらいあるのかということをひとつお伺いしたいのと、今後一兆円でいわば内需拡大の目的をかなり効果あらしめるためにこのままでいいのかどうか。さらに、二度にわたるあるいは三度にわたる内需拡大についての追加投資というものが必要なのかどうか、必要でないのかどうか。まずこの二点をひとつお伺いします。
  183. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず、今回の一兆円の投資についての効果という点でございますが、これについての例えばマクロ経済的な効果その他については現在計算はいたしておりません。ただ、従来電力事業が行っていました景気対策、円需対策としていわゆる前倒し発注というのをやっておりましたけれども、今回の場合には前倒し発注ではないというのが第一点でございまして、今回は明らかな追加投資を行っていただくということでございます。従来は主として電源開発のための投資の前倒し発注でございましたが、今回につきましては、電源開発自体につきましてはこれを追加投資するというのは、現在の電力需要伸び状況からいきまして適当ではないということで、むしろいわゆる高度経済社会に即応したような信頼性向上という意味で、配電線送電線をつくるための追加投資でございます。そういう意味で、ネットでもって追加される約一兆円というものは相当程度の内需拡大の効果をあらわすものというふうに期待いたしているわけでございます。  次に、これをもっとできないかという点でございますが、これにつきましては、やはり不要不急な投資をするというわけではございませんで、現在高度情報社会に適応するために必要な設備を追加する。これは本来必要な設備をあらかじめ、三年、五年後にやるべきかもしれなかった投資をこの際早め投資をするということでございまして、その際に種々検討して詰めた内容でございまして、現在の段階でこれ以上さらに追加投資をするというのは無理がと存ずる次第でございます。
  184. 井上計

    ○井上計君 わかりました。  そこで、私はもう一つ疑問点を申し上げたいと思いますが、南高差益によるところの電力・電気料金の引き下げ等々が論議される、これはやっぱり当然であろう、こう思います。ただしかし、それが本当の誠意であるのかどうかということになると、やや疑問に思っておりますのは、五十三年に円高差益を国民に還元をするということで電気料金が引き下げになりました。一カ月約二百七十円が半年であったと思いますけれども、当時二百七十円を引き下げて何の役に立つんだというかなり逆に消費者からいろいろな批判があったことも私は記憶をしておるわけであります。  前回と今回とは原油価格が相当違いますから、五十三年時点では、五十三年の春では原油価格が一バレル十三ドル七十二セントでありましたから、現在安くなっていますが、二十八ドル三十、四十ぐらいと比べれば大分違いますから、特にまた円の急激な値上がり等によってもう少しふえるか知りませんけれども、しかしそれは一時的に仮に一カ月四百円から五百円になったとしても、これが内需拡大だとか長期的な電気料金の安定だとかということに対する寄与は余りない、こう思うんですね。むしろ私は、広い意味での国民への円高差益還元ということは今後の電力の長期安定化、これは料金の安定化と同時に電力供給の安定化というものにやっぱり直接結びつくようなものに考えていかなくてはいかぬであろう、こんなふうに思う。  それからもう一つ、現在九電力会社があります。ところが、北海道だとかあるいは沖縄、四国等々と比べると、東京電力あるいは関西電力の管内は電力費が安いわけですね。これはいわば四国の企業と東京の企業とではコストが違っているわけですね。だから、それらのやはり平準化といいますか、そのようなものも今後考えていくことが日本経済全体のために必要ではなかろうか。そういう面での重点的な長期安定化のための投資というふうなことも、ただいわばまんべんな投資じゃなくて、それも必要ではなかろうかというふうにも思います。  それから、時間がありません、もう一つ。これはもう全くの思いつき、私案ということになりますけれども、仮に今度の円高差益が、一円で約一年間通じれば百二十億とか百三十億と言われておりますが、仮に百二十億とすると、四十円だとすると約五千億円近くになるということになりますけれども、それを料金で還元すればわずか一世帯当たり幾らで、もう終わりなんですね。先ほどこれ以上の追加投資は今考えていないということでありましたが、例えていうと、特別建設国債——まあ、そんなことは簡単に法律でできぬと言われりゃそれまでですが、いわば円高差益によって生じたものを、自民党首脳は、その利益を吸い上げて、これを中小企業の緊急対策云々というふうな発言もあるようでありますが、これもまたそれきりで、なくなると思うんですね。  むしろ、それは国債の形でこれを一般公共事業等々に使うような、特別に何かそんなものをやると、さらに二重、三重の民需拡大の効果が出るんではなかろうか。同時にまた、電力会社自体も一時的な差益を吐き出さないで、いわば長期的な形で国民に還元する、こんなふうなことを考えられないかなあということを感じておるんですが、雑駁な質問ではありますけれども、それらについてどうお考えでありましょうか。特にお考えがあればひとつお聞かせをいただきたいと、こう思います。
  185. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 五十三年の電力料金改定に触れてお話しになりました。これは私は非常に参考になる比較的近い事例だと思いますね。昭和五十一年に電力料金を二三%アップして、五十三年には今度は御指摘のしうに一軒につき二百七十円値下げということで七%ダウンしました。ところが、それから二年たって昭和五十五年、今度は五〇%アップをした。非常に上げたり下げたりで、これは国民サイドから見ると非常に不安定な感じを免れなかったんじゃないかと思います。  こういったことからいっても、電力料金の改定というのは、円高差益の還元ということについてよほど考えるべきであって、したがって、少なくともこの円高基調が一年定着して、そして客観的情勢が変動がないという前提に立ってでなければ料金引き下げというようなことを軽々に言い出すべきものではないと、このように我々は認識をしておりまして、今井上委員がいろいろ御指摘になられましたアイデアでございますが、これは私は御見識として承っておきまして、今後いろいろ研究をさせていただきたいと思います。  いずれにしても、円高差益が真に国民、そしてまた一般の方々にプラスになるということのためにいろいろな情勢判断してやるのが行政というものであろうと、このように考えております。
  186. 井上計

    ○井上計君 大臣が私と同じようなお考えをお述べいただきました。ぜひそういうような方向に持っていくべきだというふうに私も考えております。  それからもう一つ、現在大衆課税云々とよく言われます。その大衆課税の最たるものと申し上げていいと思うんですけれども、電気税、ガス税があるわけですね。これは、既に電気税、ガス税を創設したときと全く事情が異なっているわけですから、現在の財政状態の中でこれまたいろいろ問題がありますけれども、当然これは撤廃してしかるべきではないかと、こういうふうに私かねがね考えております。  それからもう一つは、事業税について、現在一般の法人事業税は要するに所得課税になっております。ところが、電気、ガスについてのみ問題は収入課税ですから、いわば外形課税になっている。この矛盾をどうお考えであるか。私は当然のことながら電気、ガスの事業税についても一般の法人事業税と同じように所得課税にすべきであると、こういうかねがね持論を持っておるんですが、これについてはどうお考えでしょうか。
  187. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 御指摘のとおりでございまして、電気・ガス税につきましては、私ども長年何とか撤廃をしたいと努力いたしておりまして、税率の引き下げ、あるいは課税限度の引き上げという形で対応いたしておりますが、六十一年度につきましても何とかその撤廃に努力をいたしたいと考えております。  それから、外形標準課税の問題でございますが、これも御指摘のとおり余り例のない、たしかほかに保険か何かがあったかと思いますが、わずかでございますので、これも何とか通常の所得課税というふうに、特に中小企業を対象に折衝をしたいというふうに考えております。
  188. 井上計

    ○井上計君 最後にもう一つ、エネルギーの長期安定供給体制を考えるときに、どうしてもやはり必要なのは原子力発電であろうと、こう考えるわけであります。しかし、原子力発電が、いろいろな問題もありますけれども、依然として当初計画よりもおくれておる、このように聞いております、理解しておりますけれども、現在の原子力発電の比率、状況、さらに近い将来、今後の原子力発電への転換計画等々についてひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  189. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のとおり、原子力発電は、我が国の電力のベースを担う電力といたしまして非常に重要視しているわけでございます。  現在、運転中の原子力発電所設備規模は二千三百六十三万キロワット、三十一基ございます。昭和五十九年度の発電電力量は千三百三十二億キロワットアワーでございまして、全体の電力量の約二三%を占めているわけでございます。今後ベースを占める電源といたしまして、各社ともこれに力を入れております。昭和七十年度には全発電設備の二三%に相当する四千八百万キロワット、電力量につきましては三五%に匹敵する二千八百五十億キロワットアワーというのが現在電気事業審議会需給部会において検討されている数字でございます。
  190. 井上計

    ○井上計君 これが適正な計画であるのかどうかというのは、いろんなまた意見もあります。だから、私はあえてこの七十年度までの計画についてはとやかく言いませんが、今後のやはりエネルギー事情を考えますときに、幸いに今原油は安定をしていると思いますけれども、これまた不確定要素が非常に多いわけでありまして、だから、今度の円高と原油価格とのいわば相関性といいますか、バランスを実は考えないといけない。  先ほど申し上げましたけれども、五十三年時点では十三ドル七十セント程度であったのが、現在二十八ドルでありまして、これはしかし一時三十七、八ドルという時代があったわけですね。これからさらにまた、これが三十ドルあるいは三十五ドルあるいは四十ドルにならないという保証は全くないわけで、むしろ現在より高くなるというふうな見通しがあっても、安くなるという見通しはないわけですね。だから、最近エネルギー長期計画等々についての論議は薄らいでまいりましたけれども、あえてこの時期に、円高という問題を論議する時期に、さらに今後の長期エネルギー計画というものを確立をして、原子力発電比率をもっと長期的にふやしていく、そういう計画をひとつ確立することも必要ではなかろうか、私はこのように考えておりますので、それらについてお答えいただければありがたいと思います。  これで質問を終わります。
  191. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のとおりだと思います。  先ほど申しましたように、今後の我が国の電源につきましては、原子力発電、それからそれと並びまして石炭火力発電、これを二つの柱といたしまして電源開発を進めていくというのが九電力各社の基本方針でございます。
  192. 木本平八郎

    木本平八郎君 この法案につきましては、朝から各委員から、いろいろあらゆる角度から審議いただいておりますので、もう何にも言うことございませんし、これを私賛成することになっておりますので、この法案はちょっと片づけまして、それで電力問題について二つの角度から質問したいんです。  一つは、電力料金をずっともう凍結できないだろうかという観点が一つ。それで、またそれに関連して、電力会社の経営を自由化すべきじゃないかということなんです。  初めの方の電力料金の凍結ということにつきましては、先ほども井上委員からいろいろお話がありましたように、先ほど大臣もお答えになりましたように、円高だから円高差益を還元するということはいいんですけれども、これは前回の例を見ても、返すのはわずか七%だと。それで、今度円安になったら五〇%ぽんと上げるということなんですね。これはもう会社側からすれば当然そういうことが考えられるので、それでしかも、今、私のこれはまあ感じなんですけれども、先進国の中では日本の電力料金が一番高いんじゃないかという気がしているんですね。しかも、電力というのは、我々の生活だとか産業にとっても非常に大事なエネルギーです。今、少々ベースアップがあっても、累進課税でざっと税金持っていかれて、そしてまあ諸物価、こういう物価の値上がりがあれば可処分所得というのはマイナスになってしまうというようなサラリーマンの生活実態を考えると、今後やっぱり電力に限らず、公共料金というのは本当に抑えていかなきゃいかぬじゃないかという気がするわけですね。  そういう点で、この際、ちょうど円高で電力会社は非常に余裕ができているときですから、今回の円高差益は還元しなくてよろしいと、そのかわり将来に向かって体質を強化して、将来とも現在の電力料金をずっと永久に据え置くということをやってもらった方がいいんじゃないか。そうしますと、物価の上昇率がありますから、だんだんだんだん相対的に電力料金が下がっていくと。それで、私、現在の電力会社の体質というんですか、財務体質からいけば、このままで凍結して、後は合理化をやっていって、まあ少なくとも十年や十五年はやっていけるんじゃないかと思うんですが、山本部長はどういうふうにお感じになっていますか。
  193. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 電力料金をできるだけ長く据え置く、電気料金の値上げをなるべく避けるということにつきましては、その精神としては大変私ども賛意を表する次第でございます。  今まで日本の電力会社のパフォーマンスがどうだったかということでございますけれども、若干数字を挙げて申し上げたいと思います。これ二十六年に九電力になったわけでございますけれども、それから五十八年までの数字でございますが、その間に設備は十四倍、販売電力量は十六倍となっておりますけれども、従業員数は横ばいでございまして、十三万人が十四万人ということになっております。また、国際比較いたしますと、一人当たりの販売電力量というのは日本が三千二百八十四キロワットアワーでございますが、これに対してアメリカも三千三百二十二と大体似ております。それに対してイギリスが千三百、フランスが千九百、ドイツが千七百、イタリーが千百と、これは欧州よりははるかにいい。  それから、料金の上昇面でございますが、これにつきましては総務庁が出している消費者物価指数年報というのがございまして、これ一番新しいのを見ますと、電気料金と他の公共料金との上昇比較でございますけれども、それを見ますと、昭和三十年から五十九年まででございますが、消費者物価はその間に五・〇倍上がりました。それに対して水道料が五・九倍、国鉄運賃が七・一倍、バス代が九・五倍、郵便が八・七倍、国立大学の授業料が三十六・三倍となっておりますが、その間電気代というのは二・一倍ということで、非常にパフォーマンスがいいということになっております。  ただ、こういうことを挙げて、これで満足だということじゃございませんで、今後とも経営努力を続けるということでございまして、それはやはり一つ電源開発についてコストダウンを図っていくということと、それから今後技術開発をさらに進めあと、あるいは広域運営を進めるというようなことであろうということでございます。
  194. 木本平八郎

    木本平八郎君 さすがやはり日本人だと思います。それはまあ電力会社の努力もありますしね。それから、後で非難するつもりですけれども、やはり日本の官僚というのはしっかりしているから、うまく統制をやってこられた結果だと思います。  それはそれとして、やはり電力料金を二・一倍だとおっしゃるけれども、これはもう一・〇倍の方がいいに決まっているので、ぜひそういう方法があるんじゃないかと思うので、以下私のアイデアみたいなものを申し上げたいと思うんですがね。  まず、私、電力料金を据え置くためにはどういうことが考えられるかというと、一番考えられるというのは、まず競争原理を導入するということが一つあると思うんですね。それから、自主経営というか、いわゆる中曽根さんの好きな民活をどういうふうに取り入れていくかということがあると思うんですね。そういうオーソドックスのほかに、非常に、ちょっと突拍子もない意見なんですけれども、私一つ、これは電力に限らないんですけれども、今後公共料金の値上げ申請があれば、社長の辞表を一緒につけてこいということを条件づけたらどうかと思うんですね。これは何もその会社が悪いんじゃなくて、あるいは石油ショックみたいな不可抗力みたいなことがありますけれども、とにかく値上げをせざるを得ないということは、普通の会社でいえばもう経営破綻、なんですね。これは値上げできるからいいけれども、普通だったら、もう物が売れなくなって、値段を上げることができなくなったら、これはつぶれざるを得ないわけですね。  そういうことから逆に考えますと、ここにも社長さんいらっしゃいますけれども、これは電力会社の社長さん一番いいわけですよ。いざとなったら上げればいいわけでしょう。ところが、民間会社はそうはいかないんですね。そういう点から、社長に辞表を出してもらう。それで、社長は、今度は専務あるいは常務が交代でおなりになればいい。ただし、その辞表を出された社長さんには叙勲も辞退していただくということで、私は、勲章なんて大した価値があると思わないんですけれどもね。しかし、あのクラスになると、何か勲章というのは大変らしいんですね。勲章をもらえないとなれば、おれの社長の間はちょっと値上げ申請やめておけということになって、ぐっと我慢していただけるのじゃないか。(笑声)  そうしますと、私はこれは、皆さんお笑いになっているけれども、民間会社の社長さんというのは大変だと思うんですよね。やっぱり名誉がありますからね、簡単にそういう意味の辞職というのはできないと思うんですけれどもね。そういうアイデアというのについては、これは大臣にお聞きした方がいいかもしれないですけれども
  195. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 電力料金の値上げは、国民サイドから見て極めて好ましくないものでございますから、それについてできるだけ会社が値上げをしないように最大限の努力をするというのは当然でございます。  ただ、それと叙勲等と結びつけることにつきましては、御意見として承っておきます。
  196. 木本平八郎

    木本平八郎君 本人は大変でしょうけれどもね。国民側から見れば、社長さんの一人や二人、それは辞職されても当然だろうという感覚があると思うんですね。ぜひその辺はお含みおきをいただきたいと思うんですが。  それから、二番目の競争原理の導入ですけれどもね。今、供給責任があるからと、けさほどからやかましく何回も言っておられるわけですね、そのために地域独占させていると。これは確かにそうだろうと思うんですね。ところが、まず私考えていただきたいのは、やっぱり電気事業法ができた時代ともう時代が変わっているということですね、もう三十年も変わっちゃっている。  その時分はやはり、山の中に電灯をつけなきゃいかぬとか、普及させなきゃいかぬという非常に大きな社会的なニーズがあったし、使命があったと思うんですね。したがって、そういう独占をさせるかわりに供給責任ということできたわけですけれども、現在はもうほとんどそういうふうに行き渡って、むしろこれからは効率化の時代じゃないかと思うんですね。これは郵便局の郵便制度だとか、先ほどのいろいろなケースで、私も何回も申し上げているんですけれども、こういう公共性というものが一応段階が終わって、効率化の段階になっていると、電力もそういうことじゃないかと思うんですね。  けさほど福間理事からありましたけれども、コジェネレーションの問題がありますね。それで、東京ガスが自家用をやると、それを隣近所のビルに、あるいは雑居ビルだったら、自分の会社だけじゃなくて全部に供給するとか、他に販売するということが今は禁止されているわけですね。  ところが、電力事業というものは、これは一つの装置産業ですから、それで、九大電力がほとんどあれだけ膨大な設備をして、それで大分償却が進んでいるんですね。そうしますと新規参入はもうできないんじゃないかと思うんです、どんな大きな企業でも。ただ、大電力同士がテリトリージャンプすると混乱を起こしますから、九電力のテリトリーだけは決めておいて、その中は自由化すればいいんじゃないかと思うんです。そうしますと、放漫経営じゃないけれども、それでどんどんコストが高くなって料金が高くなっていくと、これはどんどん新規参入が入ってきますから、必死になって競争せざるを得ないわけです。わずかな本当の一握りの競争者でも、それを入れることによってうんと経営の合理化が進むんじゃないか。そうしないと、先ほど来の議論で、ある意味じゃ放漫経営と思われてもしようがない、あるいは無理やりにコストを高くしているというふうなことがどうしても出てくると思うんです。そういう点で、私はやはり競争原理を入れていくということが必要だし、具体的には自家発とかそういうコジェネレーションの販売を認めてもいいんじゃないかと思うんですが、山本部長はいかがですか。
  197. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 先生指摘のように、競争原理を大いに導入する必要があるというふうに考えておりまして、現在、日本の場合には一社じゃなくて九社になったわけでございますが、ヨーロッパでは一社、特に国営というのが多うございます。それに比較しまして日本の場合には九社があって、これがある程度横を見ながら競争しているわけでございます。  特に昭和三十三年前までは、料金を決定をする場合に、いろんな原価にさらに必要な利潤を加えて、それで料金認可したわけでございます。最近は、三十三年からは変えまして、いわゆるレートベース方式ということで、真実かつ有効な資産を算定いたしまして、それに八%を掛けていくということで、あとはその八%を掛けてもらった中でどういうふうに各電力会社が自分の利益を上げるか、あるいは利息をうまく払っていくかということでやっております。そういう意味では、いわゆるその前の単なる積み上げに比べてはるかに競争原理が働いているということかと思います。  後段のコジェネレーションの問題でございますが、これは現在の段階ではガスタービンとかあるいはガスエンジンでやっておりますので、そう大がかりのものはないと思いますけれども、私どもは将来燃料電池が出た場合には、相当いわゆる分散型電源というのは大きなウエートを占めてくる可能性がある。しかし、これはやはり現在研究開発の段階でございますので、二十一世紀になるだろうと思っております。  現在のコジェネレーションにつきまして、先生おっしゃったようなミニ電気供給会社みたいなものをつくってやる構想につきましては、これはやはりクリームスキミングといいますか、いいとこ取りになってしまいまして、そうすると大都会の真ん中でちょちょっとやるのは非常に有利だけれども、それに対してクリームスキムされちゃった電力会社は、残りの山奥とか人口の希薄なところも全部供給するということで、やはり社会的な存在としての電力事業考えると、余り好ましくない姿ではないかというふうに我々は考えております。
  198. 木本平八郎

    木本平八郎君 今のクリームスキムですね、その点については、私はやはりそういうことが成立するんなら、例えば東京なら東京でそういうことが成立するんなら、東京電力もやればいいわけですね。それは東京電力はもうそれだけの技術もあれば蓄積もあるんだから、東京ガスがやる程度のことは十分に競争できると思うんです。それが一つある。  それからもう一つは、やっぱり自家発の場合に非常に弱いのは夏場だとか、つまりエマージェンシーのときに余裕持っていられないから買電しなきゃいかぬですね。したがって、私は料金も自由化すべきだと思うんです。例えば我々の家庭のように、五年とか十年とか、ほとんど永久契約するところは、あるレベルから何割引きという相当の割引をやるわけですね。一時に、ピークのときだけ買う、エマージェンシーのときに買うのは割引なしということになります。  そういうふうになってくると今度はなかなかやっぱりコジェネレーダーの方も簡単には参入できないということになって、それで自由競争にさせて、そして今でも多少電力の差があるんですけれども、やっぱり経営努力によって差が出てきていいんじゃないかと思うんです。例えば、今は北海道なんかが非常に悪いんですけれども、東京過密になっていますね。その企業なんかそれじゃほかへ行くとか、そういう選択もできるようにしていいんじゃないかという気がするわけです。  そこで、一つの今料金の認可の問題ですけれども、私非常に感じるのは、電力会社ガス会社も皆横並びで、今一割配当ですね。公益事業だから余りもうけちゃいかぬと。そういうことになってくると、やっぱり社内のモラールの問題が非常に低下するんじゃないかと思うんですね。自分たちが努力してもうければ、これはボーナスも余計もらえるし、ベースアップもいいということがあっていいんじゃないか。それから株主には配当があるということがいいんじゃないかという気がするわけですね。  そういう点で、今のような経営だと、経営者は楽かもしれません、ぐあい悪くなりゃ値上げ申請してやればいいわけですけれども、どうも社内のモラールの問題がありますね。それから、先ほど従業員の数が十三万か十四万とおっしゃって、それは非常に合理化されていると思うんです。しかし、それについては個々にいろいろ反論ありますけれども、それは別にして、やはり九大電力も今後中高年層問題というのはだんだん大きくなってくるんじゃないかと思うんですね。むしろどんどんこれから減らさなきゃいかぬときだろうと思うんですね。そういうことを考えますと、やはり経営の自由化というのは、電力会社自身ももっと自由化してくれということを求めるんじゃないか。  それで、料金の認可の問題も、これは私なんか民間の感覚からいきますと、通産省が査定していただくなら幾らでもごまかせますよ、それは皆さん相当頭がいい方ばかりだけれども、それはもうこっちの方がよっぽど達者ですからね。それは先ほどコストを上げたりなんか幾らでもやれますよ。だからもうそういう人為的に抑えるんじゃなくて、むしろ自由競争に征していった方がいいんじゃないか、皆さんの方も楽じゃないかと思うんですけれどもね。  そういう点で、私はやっぱり料金もフリーにするというふうなことを、それでまあ官僚統制というか、許認可はやめていくということですね。その辺はどういうふうにお考えですか。もう一度、山本さんに。
  199. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) 料金の自由化というのは、やはり地域独占を与えるかどうかということと裏腹になっておりまして、地域独占を与えておいて料金を自由にしますと、幾ら莫大な料金を取っても、もうそれしかないわけでございますので、そういう意味では地域独占をとると料金が自由化しづらい。それで、アメリカは約三千社ありまして、ドイツは一千社と、非常に中小企業がひしめいておりますけれども、やはり地域独占をやっておりますのでみんな料金は認可をしている。  したがいまして、もし完全に取っ払うのをやったら、オーバーラップして幾つかの会社がいると、ちょうど大正時代と昭和時代にやっぱり日本に七百社ぐらいあって、みんなでかわりばんこに電力売りにくる、ああいうことになるわけでございますけれども、世界的に見てどうも電力についてはそういう事業形態は余り好ましくないということになっているようでございます。
  200. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういう供給責任と、それからテリトリーの独占というのが裏腹だと思うんです。まずその辺はいろいろ問題があると思うので一応御検討はしていただきたいということをお願いしたいんです。  それで、許認可の問題ですけれども電力会社におりました私の友達に聞いた記憶なんですけれども、あるいは間違えているかもしれません。電力会社が現在縛られている許認可が五百近いというんですね。それで、先ほどからもちょっとありましたけれども、何かプロジェクトやろうと思うと通産省の許可を得なきゃいかぬとか、それから何か発電所をつくろうと思うと一々設計図全部許可をもらわなければいかぬとか、完成したら通産省の立入検査がないと運転できないとか、私それはもう昭和二十年代だったらそういう心配があったと思うんですよ。ところが、仮に東京電力にしても関西電力にしても、すごい世界的な技術を持っている超一流の企業でしょう。もう今さら通産技官の方が行ってチェックすることもないんじゃないかと思うんですね。そういうわずかなことですけれども、わずかな積み重ねが四百、五百あったらこれはやっぱり大変だと思うんですよ。  その辺を、けさほど来兼業の問題もありますけどね、私兼業も相当自由化していただいていいんじゃないか。そうしないと、NTTだとか国鉄も今度なにしますわね、あれなんかよりも、もっともっと何か電力会社というのは窮屈になっちゃうと思うんですね。後から来た人の方がどんどんフリーになっていくと。そういうことで経営というのは、私、経営者になったことないからわからないんですけどね、そんなに兼業を自由化されても、ラーメン屋やるとかなんとか、それはそうやっている大会社もありますけどね、そんなめちゃくちゃなことをなかなかやれないと思うんですよ、やれと言ったって。やっぱり怖いですからね、失敗するのは。だから、兼業とか許認可を大幅に外していただくということはどうなのかという点をお伺いしたいんですがね。
  201. 山本幸助

    政府委員山本幸助君) まず第一点の許認可の点でございますけれども、いずれにしても余計な許認可あるいは監督ないしは干渉というのは好ましくないということは全くおっしゃるとおりでございまして、この点につきましては、行革に絡みまして臨調の場でも議論されました。電力及びガスについての現在の規制は適当かどうかという問題が提起されまして、大分議論されました。結論的には、いろいろあるけれども現在でいいんではないかという結論になっております。私ども、今先生おっしゃったとおりでございまして、不必要なそういう行政介入しているんじゃないかということにつきましては、十分今後とも検討してまいりたいと思っております。  それから兼業の問題でございますけれども、これは余り大幅なものでなければ問題ないようでございますけれども、非常に大きな兼業をいたしまして、しかもそれがリスクを伴うということになりますと、せっかく電気料金で集まったお金が変なリスク事業に流れて、なくなっちゃうというようなことがありますとやはり問題だということで、そういう意味では、兼業についてはある程度の縛りが出るのはやむを得ないというふうに我々は考えております。
  202. 木本平八郎

    木本平八郎君 これはもう釈迦に説法になるんですけれど、経済というのは統制されればされるほど供給者の方が有利になるわけですね。これは戦時中のやみだとか今の社会主義国家なんかみんなそうですけどね。そういうことになりますと、供給者側が有利になると、今度需要者側、そっちの方が損するわけですよ。したがって、これだけの許認可で縛られていますと、電力会社自身も困るんだけれども、やはりコストが高くなって、結局国民の方が、需要者の方が損するということがありますので、やはり原則としては許認可は外していただくということで、一度全部外したらどうなるんだというところへ戻って、そこからこれだけは必要だというのだけは残すと、最小限残すということでぜひ御検討いただきたいと思うわけです。  それで、やはりこういう電力なんという基礎的な料金ということになりますと、非常に国民に影響が大きいのと、それからもう一つは、やはり私はアメリカやECに比べて日本というのは非常にある意味じゃ恵まれている面もあるし、経営者として優秀な面もあるしするんで、アメリカやECでできないことでも日本ではやれるんじゃないかという気がするわけですね。そういう点からぜひこれを見直していただきたいと考えるわけです。  最後に——まだ時間はあるんですけれども、できるだけ早く終わった方がいいものですから。  それで最後に、石炭の問題があるわけですね、石炭火力の問題が。これは確かに、私はやっぱりエネルギーというのはジェネレーションいろいろ分けなきゃいかぬと思うんですね。原子力だとか石油だとかいろんなものに分けていくということはいいんですけれども、何しろ日本の石炭は非常に高いと、二倍ぐらいするわけですね。  石炭産業政策という点は、これはまたちょっと別にして、電力事業だけを考えますと、民間事業がこういう高いものを強制的に使わされるということには私非常に問題があるんじゃないかと思うんですね。そのためにテリトリーの独占を与えているじゃないか、そのために非常に経営が楽になっているじゃないかという面もあるんですけれども、やはり原則は、石炭の原料は国際価格で買えるということが問題で、国内炭が高ければこれは石炭側に補助すべきであって、電力会社に背負わせるというのは少し乱暴じゃないかという気がするんですね。  これは同じように鉄鋼もそうだと思いますね。粘結炭なんか倍も高いものをあれやっているんですね。したがって、製鉄会社というのはだんだん大変ですから、ああいうものを背負わせるというのはやっぱり国際競争上も問題がある。したがって、こういうものも通産省として、これは通産省としては、電力会社に背負わせたって石炭側に背負わせたって同じだというふうにお考えかもしれませんけれども、やっぱり基本的にはそっちの方に、石炭側に移すのが至当じゃないかと思うんですが、その辺いかがでございますか。
  203. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 日本の燃料炭、大体千二百万トンでございますが、そのうち一千万トンを電力が引き取っておりまして、御指摘のように国内炭と輸入炭の格差というのが大体倍ぐらいになっておりまして、この分電力会社コスト増になっていることは事実がと思います。  現在、第八次石炭政策の検討中でございまして、その中で国内炭をどのように評価をし、どこでそういう負担をしてもらうかという議論をし、結論を出したいと思っておりますが、諸外国でもやはり同様の状態でございまして、英国の場合には、一般会計の中から輸入炭と国内炭の差額を支出するという形をとっております。ドイツの場合には、一般会計が一部とそれから電力が負担をするという形をとっておりまして、各国それぞれの形で負担をいたしております。  まあ一般会計から出せるのが最も私どもの立場からいっても好ましいわけですが、この財政状態で千億を超えるお金を出すというのはなかなか難しい問題がございまして、その辺いろいろ含みながら検討していこうと思っております。
  204. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃ最後に、大臣に御所見を承って私の質問を終わりたいと思うんですが、先ほども申し上げましたように、やっぱり一番大きな問題は時代が違っているということですね。だから、この事業法自身を見直すべきときだろうとは思います。  それと同時に、そのときに、やはり時代が変わっているんだから、電力会社の経営形態もやっぱり変わっていくべきだろうし、そういう観点から見直す必要なときにきているんじゃないかという気がするんですが、その辺、きょうの私の議論を踏まえて総合的に大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
  205. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) 今の日本の九電力体制、そしてまた今後の方向ということでございますが、私は九電力体制は正しいし、また本来これは自由主義経済また民主制度のもとでありますから、企業経営がそういった前提に立ってやっていくというのはこれは国内全般の企業のことだろうと思います。ただ、電力事業やガス事業のように、いわゆる公益事業としての性格上、国民の毎日の生活と密接な関係のあるものについては、国民の利益を守るためにある程度の規制はやむを得ないと思っております。  ただ、その規制もよく検討をして、規制を行う範囲というのをはっきりと考えて前向きに対処するべきであると思いますが、今回のこの社債発行限度の拡大は、やはり内需の拡大その他国の要請等によってぜひ通していただかなきゃならない法律案だと考えておりまして、今後も公益事業という電力事業のことをよく考えながら、不必要な規制はもちろん排さなければいけませんが、国民の利益を守るという観点で対応をしていくべきだと、このように考えております。
  206. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  208. 市川正一

    市川正一君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題になりました電力社債特例法改正案について、反対の討論を行います。  理由の第一は、本法案により、電力業界設備投資資金面から援助することが、電力需給の緩和で電源開発等の緊急性がないにもかかわらず、政府の内需拡大対策に従って極めて浪費的な設備投資を進めることになる点であります。  政府の内需拡大対策なるものは、アメリカなどの輸入拡大要求にこたえるとともに、財界の求める景気対策で大企業に新たな利益確保の場をつくろうとするものにほかなりません。  今回の法案は、この対策の一環とされている電力業界等が実施する設備投資積み増しの見返りとして、電力業界社債発行特例の期限を当分の間延長し、発行枠を大幅に拡大するものであります。これによって促進される電力設備投資なるものは、例えば一基四千億円と言われる原子力発電所建設の場合、日立、東芝、三菱やGE、WHなどの日米の独占電機メーカー、鹿島、大成、清水、大林、竹中などの大手建設会社などへの集中的な発注で、金城湯池とも言われるほどの利益をもたらしていると指摘されているところであります。  その第二は、過大な設備投資を進めることは資本費の増大に直結し、現行の高料金を合理化するとともに、料金値上げの口実を拡大するものである点であります。  電力会社ガス会社は、経費を過大に見積もって決められた現行の高い料金、及び今日の急激、大幅な円高や石油安による差益で巨額の利益を上げております。今こそ直ちに電気・ガス料金を値下げし、国民に還元すべきときであるにもかかわらず、政府・通産省と業界は問題の多い設備投資を拡大し、強まる世論にも背を向けているのであります。  最後に、私は、電力業界が政治献金をやめるなど公益事業の名に恥じぬ運営を行うこと、電力業界の過大な設備投資計画を国民的な立場から洗い直すこと、料金を引き下げ、国民への還元を行うことを求めて、反対討論を終わります。
  209. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  211. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。
  212. 福間知之

    福間知之君 私は、ただいま可決されました一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、現下の経済情勢にかんがみ、内需拡大策として電気事業者が送配電の高度化、配電自動化、配電線地中化等の積極的な設備投資に努力するよう指導するとともに、最近の円高基調が今後相当期間にわたって定着することになった場合には、電気事業等においてかなりの円高差益の発生が予想されることにかんがみ、為替相場、需要の動向、燃料価格等の推移を見極めつつ、円高差益の国民への還元の方途につき料金問題を含め検討を進めるべきである。  右決議する。  以上でございます。
  213. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  214. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 多数と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、村田通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村田通商産業大臣
  215. 村田敬次郎

    ○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま御決議をいただきました附帯決議については、その御趣旨を尊重して適切に対応してまいる所存でございます。
  216. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会      —————・—————