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1985-11-21 第103回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十一日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      井上  計君     栗林 卓司君  十一月十四日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     井上  計君  十一月二十日     辞任         補欠選任      市川 正一君     橋本  敦君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      伏見 康治君     矢原 秀男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 前田 勲男君                 松岡満寿男君                 福間 知之君     委 員                 岩本 政光君                 沖  外夫君                 佐藤栄佐久君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 降矢 敬義君                 梶原 敬義君                 対馬 孝且君                 田代富士男君                 橋本  敦君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   村田敬次郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       金子 一平君    政府委員        公正取引委員会        事務局審査部長  樋口 嘉重君        経済企画庁物価        局長       斎藤 成雄君        経済企画庁総合        計画局審議官   勝村 坦郎君        経済企画庁調査        局長       丸茂 明則君        通商産業政務次        官        田沢 智治君        通商産業大臣官        房長       児玉 幸治君        通商産業大臣官        房総務審議官   鎌田 吉郎君        通商産業省通商        政策局次長    鈴木 直道君        通産業省産業        政策局長     福川 伸次君        通商産業省立地        公害局長     黒田 明雄君        通商産業省機械        情報産業局長   杉山  弘君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        資源エネルギー        庁長官官房審議  逢坂 国一君        官        資源エネルギー        庁石油部長    畠山  襄君        資源エネルギー        庁石炭部長    高橋 達直君        資源エネルギー        庁公益事業部長  山本 幸助君        中小企業庁長官  木下 博生君        中小企業庁小規        模企業部長    照山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        通商産業大臣官        房審議官     高瀬 和夫君        運輸大臣官房国        有鉄道部国有鉄        道再建実施対策        室長       戸矢 博道君        日本国有鉄道事        業局事業課長   松井 隆平君    参考人        日本銀行総務局        長        深井 道雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (灯油価格電気料金等円高差益消費者還元  問題に関する件)  (国鉄分割民営化産業輸送等に関する件  )  (円高輸出関連中小企業に対する影響に関す  る件)  (内需拡大に関する件)  (中小企業情報化に関する件)  (貿易摩擦ドル高是正に関する件)  (原子力発電所事故に関する件)  (ねじ業界振興対策に関する件)  (中小企業海外進出に関する件)  (航空機の開発と安全性に関する件)  (国鉄中小企業事業分野進出に関する件)  (生協に対する灯油出荷停止に関する件)  (製品輸入拡大に関する件) ○一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債  発行限度に関する特例法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十一月二十日、市川正一君が委員辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。     —————————————
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総務局長深井道雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 まず最初に、円高差益に伴う消費者への還元課題につきまして質問いたしてまいりたいと思います。  十一月八日の新聞報道によりますと、金子経済企画庁長官は、「灯油値下げ指導」ということで、「「円高還元」と経企庁長官」と、こういう見出しで内容が出ていますが、月高差益による消費者への還元として、とりあえず灯油値下げ指導をいたしてまいりたいという趣旨の内容が載っております。これ今まで私も、円高差益にまつわる五十三年のときも質問いたしておりますし、その前狂乱物価時代にも当委員会で質問いたしたことがありますが、かつてない、大臣としては初めての積極姿勢を示したというのはこれ金子長官でありまして、この点はひとつ姿勢としては高く評価をいたしたいと私は思います。私も十一年この石油問題をやってきております。そういう意味で歓迎をいたします。  そこで、具体的にどういうふうにこれから灯油値下げ指導をしていくのかという考え方をひとつお聞かせ願いたいと考えます。まず、金子長官基本姿勢を確認したい。
  7. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 今後の灯油等石油製品価格動向につきましては、為替レート動きなりあるいは製品需給動向、あるいはまた石油関係企業経営動向によって大きく変わってきますので一概には申せませんけれども、円高が定着し、差益が十分蓄積できました段階では、価格に反映できるように関係方面十分連絡をとりながら行政指導というか、要請をしてまいりたい、差益は極力消費者還元していただく方向努力してまいりたいと、基本的にはそういうふうに考えておる次第でございます。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 今長官から、差益は極力消費者還元をしたいという基本方針が述べられましたから、これは非常に了といたします。  そこで、具体的にそれではどういうふうに灯油値下げ指導をしていくのかという点がこれ問題になるのでありまして、この点ひとつ、どういうふうに具体的に値下げ指導をしていくかという具体的な指導のあり方をちょっと明示をしてもらいたいと思います。
  9. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これは何と申しましても通産省傘下業界のことでございますので、通産省とも十分連絡を密にしながら必要な措置をとっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  先般来、札幌でいろいろ消費者との間に交渉が持たれたようでございますけれども、これは幸いと妥結に至ったというふうに聞いている次第でございまして、東北におきましても今そういうような問題も出ておるやに聞いておるのでございますが、必要な手を迅速に打っていくことがこういう問題解決のために一番大事なことであろうかと考えておる次第でございます。
  10. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 円高によって差益ができた場合、それを基本的に消費者が受け取るというのは、私としてはそういう方向だろうかと思っておりますが、ただ、そこで考えなきゃならぬ点が幾つかあると思うんです。  一つは、現在石油産業といいますのは、大変な過当競争のために大幅な赤字を出しておりまして、ことしの上期に千数百億の赤字を出しております。かつ自己資本比率が既に一〇%を割るという状態でございまして、製造業一般自己資本比率が二〇%から三〇%あることに比べますと大変脆弱な基盤になっております。したがいまして、これ以上赤字が続きますと債務超過になり、一部の会社では上場ができなくなるおそれもありますが、そういたしますと、むしろ四万人という働いている職員は非常に不安定な状況になりますし、また逆に言いますと、まず日本エネルギーの六〇%を供給をしている石油産業、これがしっかりした状態で、従業員が安心して働けるような状態にするということも大事かと思います。  他方、価格につきましては、石油につきましてはこれは自由価格でございますので、どういう方法でコストというものが市場価格に反映をしていくのかという点が、政府規制によりますものと若干といいますか、基本的に異なっておりますので、その辺円高のメリットというものがどういうタイミングで、どういう形で消費者に渡っていくのか。この辺は今後の推移を見ながら考える必要があるというふうに考えております。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 まあ長官の、今後の推移を見ながらということもあれですが、問題は何といっても、これは我々が一方的に判断しているんじゃなくて、例えば電力業界の場合でも、御案内のとおり、原価変動調整積立金が二期にわたって連続留保しておるわけでございまして、積み立てをなさっているわけですから、これは紛れもない電力業界発表で、これは我々が発表しているんじゃなくて、業界自身原価変動調整積立金というのは二期実は連続積み立てておりますと、これはまさにそれだけの利益が上がっているからできることであって、それだけの利益がなきゃできないことであってね。したがって問題は、そこで抽象論を言ってもあれですから、これは私、私なりに今までずっと手がけてきましたから、実際こう試算をしてみました、正直に申し上げて。とりあえず電力石油関係、これは九電力小林電事連会長考え方基礎にして出した数字です。  どういうことになりますかというと、今の電力料金設定時は一ドル二百四十二円になります。これは間違いございません、九電力発表ですから。一円円高になった場合には大体業界全体としては百二十億出ると、こう言っていますね。したがって、百二十億の差益が出るということになりますと、為替レート平均一ドル二百十円で安定していくと。これはもう大蔵、閣僚会議、率直に言いますけれども、日本政府の意思としても二百十円台がやっぱり一応望ましいと、円高としては、安定成長傾向としては望ましいということも言っているわけであります。  そうすると、二百十円のレートで換算をしますと、一円高業界全体が百二十億ですから、下期分だけで——下期ですよ。もっとも今までの分は見るわけにいきませんから、下期だけで見ましてもこれは千九百二十億出るんです、はっきり申し上げまして。千九百二十億を電灯需要家庭消費需要が三〇%ですから、これを電力需給と掛けて出してみますと、千九百二十億掛ける三〇%、これは電灯世帯家庭世帯三千五百万世帯、六カ月を通算しますと二百七十五円消費者に返すことができる。これは半年ですよ。だから一年の場合でいけばこれに二を掛けてもらえばわかりますから、結局大体五百五十円程度のあれができる。五十三年のときは二百七十円で、コーヒー一杯程度返したってしようがないじゃないかと、これは現に私がここで質問しまして、当時の河本通産大臣でありましたが、これははっきり覚えています。  そういうものはあったけれども、やっぱり五百円を超えるということになると、これは今の家計消費の中では極めて大きいわけでありまして、半年で二百七十五円ですから、一年でいきますと結果的に五百五十円になるわけですから、そういうこともひとつ基礎的に考えて、まあ私の試算ですから、これは今までの電気事業連合会の試算基礎にして出してもこれだけ出ると、こう出ておりますので、これはひとつ参考意見として、どういうふうにお考えになっているか、これが一つ。  それから、石油関係で言いますと、これも同じでありますが、製品仕切り価格、これも日本石油連盟が出した数字基礎に私の方でやってみました。製品仕切り価格、ガソリン、灯油等における差益分、一リッター当たり原油価格値下がり分だけで二円であります。これは石油連盟発表ですよ、二円というのは。したがって、円高が十五円と仮定した場合には結果的に三円、原油価格値下がり分が二円と円高十五円と見込んだ場合には三円、こういうのが可能である。こういう計算でいきますと、二百四十二円から二百十円とした場合の在庫期間などを調整いたしまして考えますと、八円を灯油消費者還元ができる、リッター当たり八円は可能である、こういう試算を私なりに出したのでありますが、これは抽象論を言ってもしようがありませんのでこの点は率直に……。  もちろん、これは下期以降のことを言っているのであって、今までのことを私は言っているんじゃありませんから。そういう値下げする状態が出てくるということを私は試算をいたしましたので、この点もひとつ長官、こういう数字は一方的な見解ではないのであって、電事連石油連盟発表基礎にしたとしてもこれだけの引き下げは可能である、こういう見解に到達をいたしましたので、この点についてどういうふうにこれから御検討をしていただけるかということをひとつお伺いしたいと思います。
  12. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 御指摘の数字、私詳細に存じませんが、大体そういう感じかなという気がいたしますが、まだちょっと詳細に検討いたしておりません。  したがって、問題は、まず電力につきまして、今後円高がどのくらい定着するかという点を見きわめ、その段階で将来の、例えば一年か二年のコスト動きというものを見ながら、一体その差益というものを国民経済的にどう使うのが最も望ましいのであろうかということを判断すべきではないかと思っておりまして、そういう時期としましては、いつがいいかわかりませんが、本年度決算がわかりますのが、来年三月に決算を締めますと大体六月ごろにはわかってくると思いますので、そのころになりますと将来の動向というものもかなりの程度見きわめがつくのではないかなと思っております。五十三年のときには、御承知のように二年間にわたって約百円の円高になりまして、その段階判断をしたわけでございますが、今回どの時点判断をするかという点が一つあろうかと思っております。  それから灯油につきまして、実はこれは先ほど申し上げましたように自由価格になっておりますので、政府といたしまして何円上げろ、何円下げろと言うのはちょっと難しゅうございますが、いずれにしましても非常に重要な物資でございますので、その辺、今後の価格交渉動きというものを十分ウォッチしてまいりたいというふうに考えております。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 一応今後の価格動向を見きわめながら、こういった数字も今、大体長官もそういう感じかなということもちょっと言われましたから、ほぼまた私はこういう数字が出るというふうに考えております。  ただ、この機会に申し上げておきたいことは、確かに設備投資も必要だけれども、これはまた大臣にお伺いしなきゃならぬが、設備投資設備投資と言うけれども、消費者への還元も考えての設備投資でないと、ただ内部留保が出たからあとは設備投資に回せばいいんだということも一つの理屈ですが、それだけではやっぱり、円高というのはこれは何も人的努力の結果でなったわけでも何でもないわけですから、言うなれば人力でもって得たものではないんだから。そうだとすれば、当然これは設備投資も一面検討の要はあるけれども、金子大臣が今おっしゃったとおり、そういう面での消費者還元をする、こういう努力をやっぱりしてもらいたい。この点について、大臣からまとめてひとつお伺いしたいと思います。
  14. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 対馬委員にお答え申し上げます。  電力の場合の円高差益、それからまた石油産業の場合のそれ、これは事情が違いますことは御承知のとおりでございます。  電力料金につきましては、野々内長官からもお答えを申し上げましたが、まだ実は円高が始まりましてからちょうど二カ月足らずという時点でありまして、率直に申し上げて、まだこれがどの程度続いてくれるのか、そういったことについて判断を下すのに時期が余りにも早過ぎるというのが私の基本的な考え方でございますが、判断の時期としては、来年の決算その他が出そろって、いろいろな計画を立てる六十一年の六月ごろまでずうっと今のような為替レート状況が続いたとすれば、それについてどういう判断をしていくかということを考えていく問題であろうかと思います。  対馬委員は、設備投資その他の繰り上げ、その他消費者への還元ということを当然考えるべきだという御意見、これはよくわかります。ただ、実は電力ガス会社も、全面的に内需振興という政府方針に対応をしてくれておりまして、現在の段階では、私はなお今後のレート動向等を見定めた上でと、このように考えております。  それから、お触れになりました灯油価格でございますが、これは資源エネルギー庁長官からもお答え申し上げましたように、公共料金とは違います。これは市場メカニズムによって決定されることが基本であって、政府価格に対する介入は行っていないという建前の差があるわけでございます。この問題につきましては、非常に現在、石油製品についてすべての製品が市況が低迷して価格の低落が顕著である、そのために石油産業の本年度上期の赤字は全体で千七百億円にも上るということでございまして、経営状態が極めて悪い、したがってまず構造改善等によって体質強化を図ってもらわなきゃならないという考え方を前提としてとっております。  しかし、消費者立場一般国民立場は、対馬委員の申されるとおり、すべての基本でございますから、そういった御主張になられました点は拝聴いたしましたわけでございまして、今後、製品価格の問題は、市場メカニズムが決定するということが基本でございますけれども、そういったことに対していろいろと注視してまいりたいと、このように考えております。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣、時間もあれですから、ほかの問題もありますから。  いずれにしても、具体的に数字を私も出して申し上げたわけですから、そういう点で、金子経済企画庁長官が表明されたように、極力やっぱり消費者還元をするというこの姿勢を両大臣で、その方向でひとつ努力をしてもらいたい。これはよろしゅうございますね。
  16. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 今申し上げましたように、国民全般立場消費者立場を考えるのはもちろん政策の最も基本の問題でございますから、ただそういった通産政策をとる者として、業態、いろいろなものを勘案しながら判断をしていく、こういうことでございます。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 まあいずれにしてもそういうことで、極力ひとつ消費者還元ということを基本に据えながらやっていただくことを特に申し上げておきます。  一つだけ、エネルギー庁長官北海道の問題なんだけれども、この問題はどういうことかといいますと、率直に申し上げてLPガスの問題なんですよ。つまり、十キロボンベLPガスが、北海道輸入価格、これは当時三十二ドルが実際今二十八ドルに下がっていますね、原油そのものが。ところが、LP状態は相変わらず、北海道道民からいつも出る問題だけれども、格差がますます広がっていっているんですよ、十キロボンベで、LPガスが。  格差は何ぼあるかといったら、当時、忘れもしない、これ今でも会議録ありますけれども、五十一年、時の福田総理経済企画庁長官はこう言ったんだよ。将来必ずこれは格差解消しますと、北海道本州との格差がね。北海道価格というのはまだあるんだ、これ。何ぼありますかというと、これことしの十月現在です、一番新しいやつ。これで見ますと、北海道は二千八百四十円、本州は二千五百三十二円なんですよ。これ格差見ますと、逆に三百強格差開いていっているんですよ。当時は百五十円だったんだ。最後には解消するというのが当時の福田総理経済企画庁長官時代に、五十一年ですよ、私がここで言っているのは。  ところが、これだって問題があって、私は円高のことを言っているんじゃないんだ。原油バレル当たり三十二ドルの体制がいまだに続いているんですよ。これやっぱり矛盾じゃないですか。少なくても二十八ドル体制になった限り、その分だけ当然下がらなきゃならないわけですよ。下がって当然、これやってもらわなきゃならない、還元してもらわなきゃならない。こういう問題はひとつ、時間もありませんから、ほかの問題、国鉄問題ありますから入りますけれども、これだけ実態私申し上げましたから、もう一度ひとつ点検をして、極力北海道価格差解消をぜひやってもらいたい、これどうですか。
  18. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 北海道価格が存在し、いろいろな品物についても北海道価格というものがあるという話は聞いておりますが、もちろん自由市場価格で決まるわけでございますので、価格差そのものを不当というわけにいかぬと思いますが、やはり経済的に説明のつく範囲ということが必要かと思っておりますので、その辺今後ともよく注意してまいりたいと思っております。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは極力ひとつ、時々の大臣は解消するという言葉は必ず出るんだけれども、百五十円が三百八円に広まっていっているということを申し上げておきますから、これはひとつ縮めるように、五十一年だからもう約十年近くなるんだから、本当は解消しなきゃならぬのがまだ解消してないんだ。ますます広まるばかりだということですから、これは極力ひとつ指導検討していただきたい、それから対応してもらいたいということを申し上げておきます。  そこで、大臣は行かれるそうですから、大臣どうぞ、経済企画庁長官は行かれて結構ですから。  国鉄問題について基本問題をちょっと。  一つは何といっても今日国鉄民営分割という重要な課題が今出されております。私は、これは北海道立場で率直に、今道民は非常に不安と動揺をいたしておりまして、大臣になぜこれを聞くかと申しますと、北海道産炭地路線を抱えているわけです、大臣御存じのとおり。幌内炭鉱歌志内炭鉱を抱えている。しかも、紙パ産業、それから石油、御案内のとおり、それに農産物というような、いずれにしても多大な問題が出てきておるわけです。  それで、私は基本的な態度をちょっとお伺いしたいんですが、これは北海道国鉄改革に対する意見書を見ますと、まず収入三一%の実績を示す貨物輸送分野関係では、考え方としては一応これから検討するという抽象的な、十一月をめどに監理委員会としては貨物の問題について出すということになっているわけです。  ところが、それどうなっているか後で聞きますけれども、私通産大臣に聞きたいのは、今この民営・分割という問題は重要な課題である、北海道は。しかも、貨物というのは北海道の輸送分野では三一%を占めております、はっきり申し上げて。そして、今当面なぜこれが重要かと申しますと、大臣も御承知のとおり、幌内炭鉱が今大変な危機に来ている。これは政府にも、通産省にもいろいろ御指導を願って協力をいただいておるんですが、もし幌内線がなくなり、歌志内線がなくなるということになれば、これは事実上北海道は産業壊滅しますよ。御案内のとおり北海道国鉄の歴史というのは、明治以来この方開拓の歴史であります、率直に言って。これは農産物あるいは産業の分野、そしてもちろん住民の足。それは北海道の歴史は開拓の歴史だったというふうに考えた場合に、民営・分割北海道の産業分野を含める貨物線は一体守れるのか。この基本的態度をまず私お伺いしたいと思うんですよ。
  20. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 国鉄問題非常に重要でございます。また、対馬委員の御指摘、北海道についてのお話は非常に私はよくわかるような気がします。  というのは、北海道は明治以後急速に発展をした地域で、明治初年においてはたしか人口は十数万人しかいなかった、現在までに数十倍にふえたわけでございますから、日本国じゅうどの県をとらえてみても北海道のように急成長したところはない。そして、その急成長した原動力はいわゆる北海道開拓使、あるいは一級町村制、二級町村制というような全国にもまれな特別な制度をしきまして、国が特別の助成をしてきておる。そして公共投資を非常に重点的に投資をしておる、そういうことだと思いますし、そして、その間に国鉄の果たしてきた役割というものは、例えば西部劇における鉄道、あるいは満州における満州鉄道と同じような、いわば輸送面を強力に引き受けることによって北海道経済の発展、そしてまた北海道の文化の発展のために大変な貢献をしてきた、そのごとは私は全く対馬委員と同感なんです。それで、実は私は以前からも国鉄の地方線の廃止問題にはいろいろな形で参画をしておったんでございますが、現在は閣僚としてこの問題にはやはり触れておるわけです。  御承知のように国鉄改革について去る七月二十六日に国鉄再建監理委員会が出した「国鉄改革に関する意見」というものを最大限に尊重することを決定をしました。そして、この意見に沿って国鉄改革を推進するに当たり重要な施策等について協議、調整を行うために、内閣に国鉄改革に関する閣僚会議を設置しているわけでございまして、通産省としては、地域交通、地域貨物輸送の確保ということが関連地域の振興を図る上で重要であると考えております。  特に北海道の産業の実態は、先生は一番お詳しいわけでございますが、必ずしもハイテク産業とか新しい時代に対応するような産業の進出が非常に早いということではなくて、従来の産業の体質改善を行わなきゃならないという意味で、地域輸送の問題は非常に重要であろうと思います。こういった点は、この会議に私も閣僚として参画をいたしまして、関係省庁と協力してよく相談をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 今大変大臣から心強い、同じ認識、同意見であるということですから、これは全く理解をされているというふうに、私それなりに理解します。  ただ問題は、それじゃどうするかということになるわけですよ。私は率直に言って、北海道貨物問題もさることながら、なぜ北海道国鉄赤字になったのかという認識について、これ誤ってもらっては困ると思うんですよ、私は率直に申し上げますけれども。  一つは、今も私は申し上げましたけれども、北海道は広大な地域ですよね。これは路線といっても百キロ延長線というのは五つあるんですよ。百キロ以上の路線というのが五つ以上ありますよ。タマネギとかバレイショだとか米だとか、これは全部農産物輸送がありまして、そのほかに紙パルプ、木材等があります。石油の輸送、これは陸地の輸送ですけれども、それに石炭とあるわけですわ。こういう状況を考えていった場合に、非常に人口の割合に、確かに乗客の数というのはもちろん問題ですけれども、結論的に言うと、長大路線というのはかなり北海道にあるわけです。この長大路線の関係で、他の県と違う意味でやっぱり一定の赤字現象というのが出ている、これは一つ挙げられると思うんです。  二つ目の面では積雪寒冷地ですよ。これは北海道はもう既に雪が三十センチ、幌加内というところで雪が三十六センチ降ってしまっているんだけれども、問題は冬になった場合のディーゼル車、一番寒いときになると全部これ休止しちゃうんですよ。そのときの除雪費だとかあるいは酷寒期の場合の運転をできるような暖房その他も、どうやって暖めるかとか、そういう問題が出てくる。それから施設の体制をどうするかとか、こういう問題が全部出るわけだ。これはほかの県にはないんですよ、率直に申し上げて。その分だけがやっぱりコストであるわけだ。結果的に除雪だ、機関車が動かないから、ディーゼルカーが動かないから、これを一定の温度で暖めてそして準備をするとか、これらの対応が大変なやっぱり積雪寒冷地における手だてというのは大変なことになっている。  それから先ほど言ったように、明治以来、大臣も言ったとおり全くすべてを国鉄が産業路線として担ってきた。これはある意味では、北海道道民にそれなりに経済が潤ったわけですよ、そうでしょう。もし国鉄がなかったら、北海道道民の、これは我々携わる石炭産業にしても、あるいは紙パ産業にしても、あるいは鉄鋼産業にしてもこれは何一つできないわけですよ。たまたまそれだけ北海道五百七十万道民が今日に発展し得たというのは、やっぱり国鉄が担った輸送の役割におけるそういうものが生活に非常に反映されてきた。一面、北海道五百七十万道民の生活の一助を国鉄貨物輸送で担ってきた、こう言ってもこれは過言ではないと思うんですよ、実際、実態論だから。そういった条件が、私はやっぱり北海道という地域を見た場合に、非常に赤字になるという要因がそこに特徴的に一つはある。特に貨物の問題では、特徴的にそういう現象が出てきている。こういう問題についてどういうふうに認識をされているか、これ一つ。  私は三点挙げたけれども、こういう実態論が北海道の最大赤字を生んだ一つの理由であるということについての考え方はどうですか。
  22. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 実態論は、私は対馬委員のおっしゃるとおりだと思うんです。地域が広大である、寒冷地帯である、また積雪地域である、そういった非常に輸送について困難な条件がありますし、また現在北海道の持っておる産業から農産物やあるいは石炭産業、紙パルプその他非常に輸送に依存している面が高い。したがって北海道の場合、国鉄の再建整備ということが相当もろな形でぶつかってくるという事情はよく承知をしております。  例えば、そのために幌内線などについては特定地域交通線として承認をされて、現在ことしの七月から幌内線対策協議会で輸送の確保に関して協議が行われておるというふうに聞いておりまして、我々としてはこの協議会の推移を見守ってまいりたいと思っておりますが、通産省としての対応で、地域経済の振興のために北海道について特に何を考えていかなければならないか。例えば工業再配置促進法上の誘導地域に指定をして、当該地域への工業の再配置を促進していくというような対策、あるいは函館テクノポリス構想の推進などいろいろやっておるわけでございますが、いずれにしても私は北海道については一工夫も二工夫も産業政策上あるということはよく承知をしておるつもりでございます。  したがって、今までも地元とはたびたび私自身が北海道に参って相談をしたりしておるのでございますが、逆に言うと、北海道が非常なフロンティアであって、すばらしい開発ポテンシャリティーを持っておる、こういった点をひとつ民間側と、そしてまた官の側とが十分に協力をし、そしてどこまでも民間企業の活力というものを主体に置きながら、政府としてもいろいろな問題について相談をしていかなければならない、このように思っております。  ただ、輸送問題は運輸大臣が所管でございますので、私の方では産業政策上いろいろ申し上げるべきことはしっかり申し上げたい、このように考えております。
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで大臣、大事なことは、私が指摘をした北海道の今の特徴三つですね、これは全くそのとおりだと。一つは端的に申しまして長大路線である、二つ目は寒冷地、積雪地帯である、第三は先ほど言った、そういう条件に伴う地域社会を守るという側面がある、そういう意味での国鉄の役割というのは大事だと、この三つ言ったね。これはそのとおりだと、先ほども認識は同じだと、こう言われたんですが、認識が同じであれば私は民営・分割ではできないというんですよ。先ほど幌内線も対象に出たから、引き合いに私も申し上げますが、詳しい資料全部持っています。  問題はどういうことかというと、第三セクターで今同意したわけではないでしょう。対策協に市長が参画をしているというだけのことであって、幌内の問題は一口に言うと、幌内炭鉱は御存じのように百二十九万トンの出炭を見ているんです。そのうちの三十六万トンというのは、道南苫小牧の、御案内のとおり期待している北電のこれは一号機、二号機の方に、これは二号機は海外炭ですけれども、いずれにしましても、ユーザーの要望によって活用しているわけですよ。これがなくなるということになりますとどういうことになるかといったら、十二秒に一台ずつトラックが走るんですよ。  北海道は今日本一の交通事故、この汚名を返上しなければならぬというときに、今どういうふうに走っているかというと、大体三十分ぐらいで走っていぶす。今度は十二秒に一台ずつトラックを走らせるなんていったら、道路の拡張はしなければならぬ、設備はつくらなければならぬ、それでも交通事故の減少が果たして保証されるかどうかわからぬ。こうなったら、大臣率直に言うけれども幌内炭鉱は閉山ですよ。もし幌内線廃止されたら閉山になりますよ。歌志内も同様の結果になりますよ。そこで私は言っているわけですよ。  だから、仮に百歩譲って第三セクターでやるとしたって、これ聞いてみると設備費だけで三億二千三百万ぐらいかかるというんでしょう、引き込み線をつくるだけで。これあなた、出す金だって、幌内炭鉱大臣にえらいお世話になって、長官にもお世話になって今やっているけれども、大変なことですよ。四苦八苦でしょう。そこへ三億強の、これは市、自治体、会社にも出してくれと、こう言うわけだ、市長は。こっちはそう言うんだから。それで、第三セクターでこれ整うかと、やってみたってこれは当然もう行き先はわかっているんだ。これはもうあなたセクターではできませんよ。第三セクターでできないものが民営・分割でできるのか。問題はここなんだ、大事な点はここですよ。  あなたは、私の考え方に認識も同じだし実態論も賛成だと、こう言っているのだから、それであればやっぱり民営・分割に反対してもらわなければならぬ、これははっきり言って。いや、そうなるでしょう。認識は一致しているし考え方も一致している、こう言う限りは、これは民営・分割に反対してもらわぬことにはどうにもならないんだ、率直に言って。私は基本姿勢としてそういう考え方に立つとするならば、私が言いたいのは、時間がないから幌内炭鉱の例を一つ引き合いに出しているのだけれども、とてもでないが幌内炭鉱はこのままで推移をしますと、第三セクターと言われる方程式でやったにしても、今それが成立できない。それは会社はとてもびた一文出せない、自治体にも限界がある、こういうことなんですよ。  そうすると、おのずからこれ、三十六万トンという輸送体制が一体どうなるのか。こうなると、結果論だけれども、非常に幌内炭鉱歌志内炭鉱も同様なんだが、これは例ですよ。だからこれだけでないんだ。紙パルプだ、やれこれから今度は石油だ、農産物のジャガイモだ、タマネギだと、こうくるわけだから、これはそうなってくるわけですから、北海道貨物輸送は。だから、政府が言う貨物が一社体制という、監理委員会が出していますけれども、これでは実際百歩譲ってもセクターでは今できないんだ。成立条件が整わない。ましてや民営・分割できるわけないではないか。どこが引き受けるんですか、はっきり申し上げて。  ただ、私が言っているのは、大臣も非常にいいお答えを出していただいているので、考え方を持っていらっしゃるから、それは結構なんだけれども、そうであれば、これから政府として法律をつくるわけですから、そうでしょう、話聞くと百二十本ぐらいの法律、政令が二百になるとか三百になるとかという話があるけれども、それは別にして、これからそういう民営・分割体制に臨むに際して、大臣としては実態論を踏まえて、私はやっぱりこういう実態なんだから民営・分割というのは慎重にやらねばならぬじゃないかという点の考え方を持ってもらいたい。これ、いかかでしょう。
  24. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 私は対馬委員意見を最大限尊重しておりますと申し上げます意味は、地域が広大である、積雪地域である、そしてまた農産物や石炭や紙パルプの輸送等、非常に輸送に依存する面が多い、こういうことは対馬委員の御意見と一緒だというのでございまして、国鉄再建について、国鉄改革に関する意見は、これは最大限尊重するという政府の意思には私も全く閣僚の一人として従うわけでございますから、国鉄の再建問題について対馬委員意見が同じだという意味ではございませんので、この点はひとつ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  それから、北海道の今後の開拓のためにいかなる知恵を出すべきか、これは通産大臣としてできる限りのことはいたしたいと思っております。ただ、運輸大臣の所管の問題についてまで私が云々をすることはできませんので、その点だけはひとつ御了承いただきたいと思います。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 運輸大臣の所管だというのではなくて、通産大臣として、北海道のような産業路線という位置づけが今認識は一致したという、また私も同じ考えですと言うから、それであれば今言ったように、所管は所管だけれども、産業政策を守るという立場で産業路線を守らなければいかぬというこの考え方に立って、やっぱり僕は考え方を訴えてもらいたい、申し上げてもらいたいと、これを言っているんであってね。なぜかというと、これは絶対のものではないんですよ。  これは私も最近読ましてもらったけれども、「日本人永久繁栄論」という、これはあなた、紛れもない、皆さん一番よく知っている元運輸大臣ですよ、日本の政界の自民党の実力者ですよ。小坂徳三郎という大先生がこれ、「日本人永久繁栄論」というのを書いているんだ。これ読ましてもらったら、国鉄のことを書いているんですよ、元運輸大臣だから。これは長い時間じゃないから端的に申し上げますよ。  「単純な民間企業感覚では国鉄は失敗する」と。これはあなた、元運輸大臣がはっきり言っているんだ。民営・分割は拙速にやったってこれ失敗すると、はっきり。どういう言い方をしているかというと、これちょっと読んでいきますとね、特にここに出てくるんだけれども、物の考え方はやっぱり公共性を無視したやり方であっては、例えばはっきりここに出てきますよ。「四国、九州の人や北海道に住む人たちに」は非常に気の毒である、申しわけない。「申し訳が立つまい。やはり国鉄というものの公共性を評価すべきだし、再建計画を考えるにしても、しかるべき総合交通体系にのっとって、国民のために不可欠な地方線などの影響をも洞察し、事に当たらなければならないと考えた。」、極めて明快なんだ、この元運輸大臣の小坂徳三郎。これはいい本だなと思って私論ましてもらったわけです。参考意見で読ましてもらった。  こういう説があるんだから、やっぱりこれはごもっともだと思うんですよ。特に北海道、九州、四国の人には気の毒だと、しかも、こういう悪条件の中で。そういうことを考えれば、民営・分割が何かすべての——今大臣も最大限尊重してまいりたいと言う、中曽根内閣の一人であるからそう言わざるを得ないんだろうけれども、しかし実態論としてはこういう提言もあるんですよ。公共性をやっぱり今直ちに無視することはできない。  今、この小坂試案によれば、二つの考え方がここに出ておりますけれども、一つは何と言っても日本鉄道保有公団、もう一つは鉄道事業を運営する会社、特殊法人の日本鉄道運営会社、こういう二つのアイデアで、鉄道公団と鉄道を運営する特殊法人会社、極めてこれ明快な一つの僕は卓越した議論だと思うね、やっぱりこの考え方は。これは一つ参考意見として、私示し合わせて言ったわけじゃないけれども。そういう点から考えまして、やっぱり大臣、今中曽根内閣の一人として尊重しなければならないと言うけれども、実態論がわかった限り、少なくともあなた、北海道の実態わかったと言うんであれば、北海道の実態から考えて、とても民営・分割という問題では北海道のこの開発路線は守れないと、貨物というものは守っていけないと、こういうことぐらいはやっぱり大臣言わなきゃ。一体それどうですか。
  26. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 私、対馬委員の御意見は、非常に御主張の点は一生懸命承っておるわけでございます。そして、北海道の置かれておる実態の基本的認識においては大分共通の点があるわけでございますが、ただその国鉄民営化国鉄改革というものは、日本が全国にわたってすることでございますので、これはやはりその方向は是認をし、そしていろいろと推進をしていかなければならないと考えておりまして、ただ、今までいろいろこの委員会の席上で対馬委員の御指摘になった石炭政策の問題あるいは北海道開発の問題、北海道を愛するという一念から出ておられる議論はよくわかりますので、そういった御意見もよく拝聴しながら産業政策は進めていくと、こういうことでございます。
  27. 対馬孝且

    対馬孝且君 まあ産業政策を進めていくという考え方は結構ですから、ひとつぜひあらゆる機会に、これは当然まだこれから法案をつくるわけですから、法案の段階では当然これ閣議決定されるわけですから、そういう段階を踏まえて、私は実態論としてぜひ、これではとても、民営というだけではやっぱり北海道の開拓路線、産業路線は守られないんだという認識をした限り、大臣これはひとつ閣議で反映をしてもらって、認識に立ってもらう、努力してもらうということをやってもらわないと、結果はそれはあなた方中曽根内閣が決めることですけれども、それまで中曽根内閣があるかどうかわからぬけれども、まあそれは別にして、いずれにしてもこれ私が言っているんじゃないですよ。  これは率直に申し上げるけれども、北海道道庁も、それから三笠の自治体の市町村も、これは農業団体あるいは商工団体全部そろって対策協議会連絡会というのをやっています。こういう方々の意見を私言っているんであって、何も自分の個人的感覚でこれは物をしゃべっているだけじゃないんですよ。そういうことをしかと踏まえた場合に、対馬個人の、議員の一人の発言ではなくて、これは三笠全体の自治体の産業政策全体の、北海道五百七十万人の、私にあえて言わしてもらえばそういう産業に携わる者の総意だと、それをしかと踏まえて、ひとつこれからの国鉄民営分割に臨んでもらいたい、こういう考え方を言っているわけですからね、大臣、決して追い詰めるとかそういうことじゃなくて、これを今踏まえた考え方を、もう一度ひとつ大臣の所見を聞かしてもらいたいと思う。
  28. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 承りました。ただ、これは対馬委員北海道立場を考えながら言われることは非常によくわかるのでございますが、今行政合理化を進め、そして小さな政府をつくるという建前か隻言えば、対馬委員の御意見で直ちに聞くことのできないものも相当あると、こういった立場の差でございまして、対馬委員が繰り返し要望されておられる御要望自体はよくわかりますので、政策の違う点は違うこととしてまたディスカスいたすことといたしまして、北海道を愛するという気持ちでは全く同様でございますから、努力をいたしたいと思います。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣は一応そこまで、そういう意見として要望として、政策次元の違いはあるけれどもということですから、一応そういう認識を踏まえてひとつ対応するよう強く求めておきます。  そこで、国鉄側来ているんでしょう。運輸省来ていますね。  今のこの問題について率直にやりとりを聞いているとわかると思うが、あなた方が今日まで随分民営・分割論に立って今作業を進めているんだけれども、実際貨物はどうなっているの、率直に言って。十一月をめどに、大体監理委員会の答申によればある程度プログラムができているはずだけれども、これはどうなっているんですか。
  30. 戸矢博道

    説明員(戸矢博道君) 国鉄貨物部門につきましては、先生まさに御指摘のとおり、監理委員会意見を踏まえまして、輸送形態の違いでございますとかあるいは経営責任の明確化というような観点から旅客会社から分離させまして、全国一社の国鉄の出資による特殊会社をつくるということで考えておりまして、去る十月十一日の「国鉄改革に関する基本方針」という中でもそういう方針を閣議決定したところでございます。ただいま私どもの方でこの新しい貨物鉄道会社のあり方、その基本的な方向について今月末をめどに一応検討しているところでございます。もう少しお時間を今いただきたいというところでございます。
  31. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間をいただきたいと言ったって、今日まであなた実際に手がけてきて、実態論を踏まえて考えてやっているんだろうけれども、実際に貨物一社体制北海道貨物は守れるんですか、やっていけるんですかこれ、はっきり申し上げて。
  32. 戸矢博道

    説明員(戸矢博道君) 貨物につきましても、効率的な輸送体制の確立とかあるいはコストの低減というようなことを行いまして、今後ともその大量、定型的しかも長距離輸送というような、非常に貨物鉄道の特性が発揮できる分野というところにおきましては、輸送需要に適合したサービスを提供していくということが十分可能であるというふうに考えております。
  33. 対馬孝且

    対馬孝且君 根拠はどうなんだ。根拠がなければ。いわゆるどういう根拠で可能性があると言うんですか。
  34. 戸矢博道

    説明員(戸矢博道君) 要するに、貨物鉄道というのは、三百キロからあるいは七百キロと、そういう中長距離の輸送については非常に交通機関の間で特性があるわけでございまして、そういう分野については十分今後とも競争力を発揮してサービスを提供していくことが可能であるというふうに考えております。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 可能であるという、君そんなことで住民を説得できると思っているか。何の根拠もないじゃないか君。どういうことになっているか言おうか、君。今日の貨物北海道の現状を言うと、国鉄の道内貨物の取扱駅は四十八年度末で四百一駅あったんだよ、君、四百一。具体的に言えよ、物事を。そういうことだから国鉄民営分割が成功しないんだ、そんなものは。そんな間違ったことを提案するんだよ、君らは。四百一駅四十八年にあって、五十六年には二百一でしょう、半分になったんでしょう。しかも五十九年度末にはわずか四十三の駅しか残っていないんだ。その四十三の駅で、はっきり言うけれども石炭と石油を中心にして、それに紙パルプ、パルプ輸送、これ全体を含めて一千万トンですよ、これ、道内の国鉄貨物輸送の依存率というのは。フレートライナー、コンテナ輸送、これは逆に増加の傾向が出てきているんでしょう、一面では。  こういう実態把握の中で、実際にそれじゃ民営・分割という、一社の中でやっていけるのか。これはむしろ業界の方で、こういうことは全く我々はできませんと言っているんだ、業界が。この間も横路知事が各業界団体を全部集めて、率直な民営・分割に対して意見を聞いたんだ。そのときに、これ私がここに今こういう全部、これ道が取りまとめたあれですよ。きのう監理委員会の公聴会やっているでしょう。公聴会で横路知事がこのことも訴えていますよ。これは業界の声なんだ。業界の声というよりも、むしろ北海道道民の声なんだ。こういう状態の中で民営・分割なんかできるわけがない、貨物一社体制なんといったって。それが一体、ただ、今の答弁では、いや何とかやっていきたいと思います、できると思いますという、そんな抽象論じゃだめだよ、君。だから、きょうはもう時間があれだから、具体的になぜこういうことをやっていけるのかという具体的な数字、実態論、全部出して持ってこいよ、どうだ、そんなものじゃ議論にならないよ。具体的にどういうことでそれができるんだ、それじゃ。
  36. 戸矢博道

    説明員(戸矢博道君) 先ほどから申し上げておりますように、その鉄道特性がある分野について重点的にサービスを行っていくというようなことで、私どもとしては独立し得る貨物会社をつくるということでやっているわけでございまして、その基本方向というのをなるべく早くお示ししたいというふうに考えております。
  37. 対馬孝且

    対馬孝且君 いや、これはいつ出るの。できるだけ早くなんて抽象論言ったって困るんで、これ北海道道民が今困っているんだから。これをひとつきちっと次回の、いずれ委員会あるわけですから、この次の委員会で、いつになるかは別にして、次回に開かれる委員会までに具体的な貨物の独立採算でやっていけるという北海道版をきちっと出してもらいたい。いいですか、それで。
  38. 戸矢博道

    説明員(戸矢博道君) 北海道版ということじゃ必ずしもございませんけれども、要するに、どのような貨物会社をつくるかという基本方向については、今月末を目途に今作業をしているところでございますので、今月末を目途ということでございます。
  39. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうすると、今月末、次回の委員会で明確に持ってこいよ、これ。要求しておきます。貨物の具体的な構想、それから具体的計画、そのことによって採算性があるということをきちっとひとつ提出してもらいたい。委員長、そういうことでひとつ。  それじゃ産業政策局長の福川さんにちょっと一つ。  通産省関係で、先ほど時間もあれでしたので、この幌内対策で、当面対策協に望んではいるんですが、問題はこれからの見通しも含めてになるんだけれども、今監理委員会方向というのは、二次路線というのはもう整理しちゃって、その上に民営・分割がスタートする、こういうわけですよ、今の考え方は。そうすると、つまり六十二年四月に民営・分割をスタートする前に、これは言うならば、北海道の産業路線というものをあるいは地方ローカル線、第二次線を全部整理づけてからスタートすると、こう言うんでしょう、私の方で理解しているのは。  そうだとすると、これは現実に幌内炭鉱と歌志内線の問題なんだけれども、これはあしたからどうするかという問題で今対策協でもやってはいるけれども、この点は通産省で、しばしば高橋部長も運輸省とかけ合っていただいて努力はしていただいたことは多とするわけですけれども、この点、産業局長として当面どういうふうに、つまり民営・分割に踏み切る前の対応としてどういう手だてがひとつ考えられるのか。それから民営・分割という段階を迎えて、もちろんこれは国の大方針なんだが、我々は絶対容認することはできませんけれども、それまでの対応というのはどういうふうなことが政府として手を打っていただけるか、手を打ってもらわなきゃならぬというふうに考えますので、この点ちょっと産業政策局長立場からひとつお聞かせを願いたいと思います。
  40. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 御指摘の幌内線につきましては、五十九年の六月に国鉄第二次特定地方交通線として運輸大臣の承認が行われたわけでございまして、現在それに基づきまして、ことしの七月から幌内線の対策協議会において地元で協議が行われておるわけでございまして、私どもとしてもその推移を関心を持って見守っておるところでございます。恐らくこの場合、地元と関係者との間でいろいろ御議論が行われます過程で、例えば第三セクターによる輸送の効率性が保てるかどうか、あるいは代替輸送手段がほかにあり得るかどうか、これは国鉄全体の大きな経営の問題の中で進められておる方策でございますが、ただいまおっしゃいましたように、地元関連産業という立場から、そういった代替輸送手段の検討等々を見ながら恐らくこの地元の協議会が行われておると思っております。また私どもとしても、石炭部でもこの問題については関心を持っておると思っております。  今後地元との話し合い、これを関心を持って見守りながら、また必要に応じて、こういった代替輸送手段の効率性等についての判断あるいは今後の対策について、必要がございますれば私どもとしても所要の話し合いを関係省庁と持つこともあろうかと考えております。
  41. 対馬孝且

    対馬孝且君 これはぜひ当面対策として、石炭だけじゃなくて、三笠の場合御存じだと思いますけれども、新興団地というのができまして、百三十世帯あるわけで、これ全部実は幌内線を利用しているわけです。新興団地区域というのがありまして、これは新たにできたわけであります。これはほとんど通勤通学ということで国鉄を利用しているという実態。  それからもう一つは、これは御存じだと思いますけれども、道立自然公園桂沢の観光対策の一環として桂沢周辺の整備と、桂沢国設スキー場というのが完成いたしたわけでございまして、これ年々見ますと、五十六年から桂沢スキー場に来る観光客の数が非常にふえているんです。例を申しますと、五十五年度は二十五万一千三百六十五人が、五十九年は三十二万七千六十四人と非常に利用がふえているんですね。これも聞いてみますと、かなり幌内線を利用してきている、こういう実態があるんですよ。だから、これは日曜というより土、日にかけてかなり急激な増加傾向になってきている、こういう実態があるということをひとつ申し上げておきたいと思うのです。  それから先ほど言った新興団地の問題、それと幌内線の先ほど言った三十六万トンというユーザーに呼応する輸送をやっている、こういう問題三つを総合的にひとつ判断していただいて、これから運輸省で第二次線の問題、対策協などでもやっていますけれども、ひとつ通産省としてもそういう考え方に立ってこれから取り組んでもらいたい、ぜひ対応をしてもらいたい、こういうふうに考えておりますので、この点ひとつ最後にお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  42. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 今御指摘の、将来の輸送需要あるいはまた輸送の効率性等についての判断というのは、恐らく第三セクターを含めまして代替輸送手段を考える中での一つの要素になり得るものと思っております。私どもとしてもいろいろそういった諸般の諸問題が地元の関係者の間でいろいろのお話し合いが行われ、また展望が検討されてまいると思っております。  いわゆる産業の立場から輸送手段の重要性がありますことは私どもとしても十分承知をいたしておるところでございまして、今後の貨物の輸送ということについて支障のない方向で考える、その一環の中で御指摘の点も踏まえて検討して対応を考えてまいりたいと思います。
  43. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、福川産業政策局長からそういうこれからの対応についての考え方が述べられましたが、大臣、最後に、今産業局長に申し上げましたけれども、そういう考え方に対応してひとつ大臣としても積極的な対応をしてもらいたい、こう考えますが、よろしゅうございますか。
  44. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 承りました。今、福川産業政策局長から申し上げたとおりでございまして、通産省としては誠実に実態を検討いたしながら対応してまいりたいと思います。
  45. 対馬孝且

    対馬孝且君 質問を終わります。     —————————————
  46. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 委員異動について御報告いたします。  本日、伏見康治君が委員辞任され、その補欠として矢原秀男君が選任されました。     —————————————
  47. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 経済企画庁長官がまたすぐ退席されますので、これは順番がかわってややこしいのでやりにくいのでありますけれども、前やってまた後に返ったりしますからよろしくお願いします、  最初に、建設省が今概算要求をしております流水占用料につきまして、それから農林省の水源税、これにつきまして、きょうは経済閣僚であります二大臣に対しまして、私はぜひこれは反対の立場で真剣に取り組んでいただきたいと思うのであります。  理由は、中曽根総理大臣が増税なき財政再建をうたいながらそういう方向を一生懸命やろうとしている裏で、国民生活に多大な影響が出ます流水占用料あるいは水源税について、これはもう本当にけしからぬと、こう思っているわけであります。多くの地方自治体の皆さんや各団体の皆さんから、私どもこれはどうしても反対してほしいと、こういう強い要望も受けております。産業におきましては、水を使う産業は存廃を迫られるような非常にまた重要な問題でもありますし、ぜひ両大臣の前向きの御意見を賜っておきたいと思います。
  48. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 今、梶原委員の御指摘になられました流水占用料それから水源税の問題は、非常に実は重大だと考えております。梶原委員も御指摘になられましたとおり、この流水占用料、水源税がもし制定をされるというようなことになれば、紙パルプ、化学工業、鉄鋼業、食料品製造業その他関係業界にとっては大変な税負担を持つことになりますし、また通産省が所管をしております工業用水においては、いわゆる地下水くみ上げをできるだけやめて工業用水に切りかえるという趣旨から申し上げましても、こういった新しい税の創設というものを認めるわけにはいかない、このように思っております。  現在は予算要求段階中でございますので、各省が歩みがそろっていない点がございますが、この両税の創設については基本的に全く反対でございます。
  49. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 流水占用料と水源税につきまして、関係省から予算要求、税制改正の立場で案が出ておることは承知いたしておるのでございますけれども、これは今村田通産大臣からお話しのございましたように、単に財源確保という点からだけではなくて、受益と負担の対応関係をどう考えるか、特に物価、国民生活並びに産業にどういう影響を与えるかという点を十分配慮して決めるべき筋合いの問題であると考えておりますので、具体的に議論されるのはこれからのことだと思いますが、今申しましたような消費者への影響、産業への影響等も十分に配慮して対処してまいりたいと考えております。
  50. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今両大臣の前にあります水、これは私はやっぱり天からの授かり物で、それにやみくもに、国民が飲む水に、十分議論もせぬまま水源税あるいは流水占用料をやみからやみの中で税金をかけるようなやり方については、ぜひ閣議でも経済企画庁長官も強く反対をしていただきたいと思うし、通産大臣は先ほど言われましたような方向はきちっとしておりますから、一緒にぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、国鉄分割民営化の問題で先ほど対馬委員から北海道の例を出しながらいろいろと質問がありましたし、通産省からも答弁がありました。私はこの問題について、きょうはぜひ経済企画長官にもひとつ前向きによく理解をして我々の意をくんでいただきたいと思うのであります。  七月の二十六日に国鉄再建監理委員会の答申が出ましたが、この答申に対しまして地方紙がそれぞれ論説とかあるいは社説をずっと書いておりますが、この中で賛成をしている地方紙というのは長野県の信濃毎日の主張が答申に賛成だということで、あとのローカル紙は全部これはあくまで答申は一つの試案だと、したがって国会の審議あるいは地方自治体の民意も十分聞いて、そして慎重審議をして国会で方針を決めてほしい、こういう地方紙の論説にもなっておるわけであります。  そういうことを前提にしまして、先ほど対馬委員の質問とも少し関係をするんですが、今道路をトラックや貨物車や自動車がどんどん走っております。これは石油資源が十分供給できるからでありますが、果たしてあと五十年あるいは百年そういう状況を見渡して、今のように自由にガソリンあるいは石油が供給できるような状態が資源の観点から一体あるのかどうなのか、そういう点について通産省の方から先に状況を聞いておきたいと思うんです。
  51. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 今、日本エネルギーの六〇%が石油に依存いたしておりまして、石油の場合は今後、今の統計でいきますと三十五年ぐらい掘れるわけでございますが、しかしやはり限界があるということでエネルギーの多様化を図っていかなきゃならぬというふうに考えております。したがいまして、今後石油への依存度というものを極力下げて、現在六〇%ですが、十年後にはこれを五〇%にするということをとりながら、他方、原子力、石炭、LNG、あるいは水力というような他のエネルギー源というものを開発をしていくということによりまして、全体としてエネルギーの安定供給ということを図りたいというふうに考えております。  我が国における国内資源といたしましては、石油はもうほとんどないに等しいわけでございまして、石炭が一般炭で大体半分、四割程度でございますが、原料炭は非常に少ない。あとは水力、地熱でございますが、ただコストの問題もございますので、経済性並びに安全保障あるいは地元経済というものを考えながらエネルギー政策全体の中での位置づけというものを今後考えていきたいと思っております。
  52. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私が聞いているのは、世界の石油資源は私はやっぱり有限だろうと思うんですね。この有限の石油資源が一体五十年、百年先に、あるいはもっと先に一体どうなるのだろうか、世界の需給の関係からして。その辺のことをまず先に聞きたいわけであります。それだけちょっと先に。
  53. 野々内隆

    政府委員野々内隆君) 現在の世界の石油の確認・可採埋蔵量、これを現在の生産量で割りますと三十五年ということになります。この三十年程度の数字というのは、実はもう過去十何年続いておりまして、石油の値段が上がりますと新しい油田が開発をされ、下がるとそれがスピードが落ちるということで、大体そのくらいのスピードでいっております。したがいまして、この三十年ぐらいの可採年数というものが一体今後どのくらい続くものか、これはちょっと価格と埋蔵量両方でいかざるを得ません。何ともわかりませんが、しかし、いずれにいたしましても有限であることは事実だろうと思います。したがいまして、私どもとしては有限ということを前提にして今後のエネルギー政策を考えたい、かように考えております。
  54. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 国鉄政策というのは、やはり線路の上を走りますから効率が非常にいいわけでありまして、これはやっぱり百年の計なんということをよく政府の方も言いますが、非常に五十年あるいは百年の時期、タームを区切って、あるいは見渡して判断をしなきゃならない問題だろうと思うんです。今言われますように三十五年だと、こういうことで、いっときするとまた新しいのを掘るからもう少し延びるだろうと言いますが、いずれにしても有限だと。私はかつて木材からパルプをつくる企業で仕事をしたことがあるんですが、計算上は国内の雑木の資源というのは非常に限界があるだろう、しかしだんだんだんだん切っても切ってもまだまだあるだろう、こう言っておりましたが、いっときしましたらやっぱり限界がずっと出てきたんですね。ですから私は、これはやがて石油というものはやっぱり行き着くと、貴重な資源だ、貴重な資源でありますから有効に使わなきゃいけないと思うんですね。  そういう点からしますと、国鉄分割民営化してしまう、そして分割民営化するということはどういうことかといいますと、しかも六つに分けるということですから、過疎地は国鉄路線がもうほとんどなくなるわけなんです。それはもう商売成り立たぬと、六つに分けたら六つの会社、それでも独立採算で各企業それぞれ赤字を出してはいけないから結局何とかする、そうしますと採算の悪い路線はなくなってしまう、こういう状況になりますと、これは結局五十年あるいは百年たったときにまた何とか路線を、こういうことに話がなりかねない。  私はそういう意味では、やはり国家の五十年、百年の長期の展望に立って、国鉄を一体どうするかという問題については、当面する採算と将来の問題と、これは両方に立って考えていただかなきゃならないんではないか、こう思うんでありますが、そこのところをひとつ経済企画庁長官、見通しをひっくるめて、先ほど通産大臣は、閣僚は答申を尊重するということで来ているからその枠は出ないような答弁でありましたけれども、ひとつその枠を出るような話を今私もしているわけでありまして、ぜひお願いをいたしたいと思います。
  55. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 大変難しい梶原先生の御質問でございまして、御承知のとおり国鉄にっちもさっちも身動きならぬような状況になりましたので、ことしの七月二十六日の分割・民営の骨子が答申されたと承知いたしております。  この方針につきましては、去る十月の十一日でございましたが、閣議決定をしたばかりでございますけれども、六つに分割することによるいろいろな不都合が出ないように、利用者の不便を来さないようにすることは、これはもう私どもとしての大きな責任と考えておりますので、人の輸送、貨物の輸送両面にわたりまして、極力被害を最小限に食いとめられるだけの努力はしてまいるつもりでございます。
  56. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 にっちもさっちもいかなくなったからというのは、私はそれはそれなりにやっぱり歴史があったと思うから、ちょっとこれは長くなりますから省略さしていただきますが、私はやり方はあると思うんですよ。やはり余り何でもかんでも政治路線が走ったり、国が介入したり、政府が介入したりするんでなくて、私は民間だからうまくやるという言い方にはどうも、私も民間の出身だから抵抗があります。  いつか委員会で言いましたが、神戸の宮崎市長やその前の市長が一緒になって、あれだけの大きなプロジェクトでロックアイランドをつくったりあるいはポートピアランドをつくって、そして削った山は団地になり、土地はできる。自然の関係やいろいろあるかもわかりませんが、うまくやっているじゃないですか。なぜ民間じゃなきゃやれないのか、私はどうしてもそこがわからない。それひとつ教えてください。
  57. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これまた難しい御質問でございますが、やはり何というか、企業の自主努力を尊重するということを基本に置くかどうかによって大分変わってくるんじゃないでしょうか。そういう点については、やはり六つに分割することによってそれぞれの地域に適した努力をしていたわけです。これは経営者側も職員側も双方からでございまするけれども、それをしっかりやるということが一番大事なことではなかろうかと考えております。
  58. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 例えば新日鉄という巨大な企業を考えてください。各工場が幾つかありますよね。しかし、それを全部工場ごとに本社を持っていきましたら、今言われますように自主努力とか自主性ができるかもしれません。しかし、それぞれ管理部門に一切やっぱりいろいろ税務対策、会計対策、全部やらなきゃならぬ、株主対策。本社に集中しているから管理部門の数は少ないことだってあり得るわけです。だからどうも六つに分けたから何かうまくいくというこれは必ずしも、非常に不効率な部門がやっぱり出てくると思うんですよ。  むしろ神戸市長の宮崎さんあたりが経営者になれば、官でも恐らくうまくいくでしょうね。要するに、今のような状況政府が介入しなきゃいくでしょう。だからそこのところは、みそもくそも、言葉ちょっと悪いんですが、一緒にして——私は日本の悪いくせじゃないかと、戦争といったら戦争に行く、もうみんな一緒の方に行く。わけわからぬことになってしまう。だから賢明な、私尊敬しております経済企画庁長官が、そこのところは冷静にひとつ判断をお願いをしたいと思います。  時間がありませんから、もう少し言いたいことを言いますと、私この前参議院の国会から派遣されまして、フランスからずっと西ドイツ、東ドイツ、イギリスやオーストリア、ハンガリーを見てまいりましたが、あちらの国鉄の事情というのはやはり公の性格をちゃんと持たしてやっておるわけです。アメリカでさえもそういう傾向にあるわけですね。なぜ日本だけかと、こういつも私は思うんです。問題がずれているんじゃないかと思うんですけれども。  私は回ってみて、そして大陸から日本を見た場合に、本当に日本は国土が狭いんです。だから、本州北海道の間にトンネルをつくって、やっぱり私は線路を走らすべきだと思うんです。四国と本州の間もつなぎ、私は九州ですが、四国と九州の間も路線でつないで、そうしてこの限りのある小さな国土を、外に出るんじゃなくて、もっと中を、国土全体を調和のある発展ができるように、そこに物の考え方を移すべきだと思うんです。何も朝鮮半島を占領したり、あるいは中国に出ていったり、南に行ったり、過去そういう侵略やりましたが、そういうふうなことではなくて、日本のこの限られた国土をどう利用するか、ここにやっぱりウエートを、物の考え方をきちっと置いていただきたいと思うんです。  私は、中小企業の経営者の皆さんと議論をするんですが、分割民営化になりますと何か国鉄はけしからぬじゃないかと、やり方に対する御批判もあるんです。ああそうですかと、確かにそれはあるでしょうと。しかし、恐らく九州が一つ国鉄分割された場合には、東海岸の大分県や宮崎には、もう複線化の工事が途中でとまっているんです、進まない。時間が小倉からかかってしようがない。この複線化は恐らくもう永久にできないんじゃないか。独立採算ですから恐らくできないでしょう。それから、永久に新幹線は走らないだろうと、こう言ったら、それは困る、反対してくれと、経営者の方でもそういう人が多いわけです。  だから、もっと国土全体のバランスを考えて、限りある国土ですから。大臣の庭先だって、家の庭考えて、真ん中だけよくしますか、やっぱり隅も気になるでしょう。そういうように、国鉄に対する物の考え方というのは、分割して民営化したらもう端々の線は全部草生えて通りませんことになりますよ。ましてや、先ほど言いましたように資源がなくなるでしょう。五十年、百年先になったら、恐らく大変なことになるでしょう。そうなったときは、やっぱり人はできるだけ鉄道で運んで、それ以外のところは、最小限どうしてもというときは車で運ぶような時代だって来るんではないでしょうか。  ぜひ国鉄問題については少し枠をはみ出して、答申をしている亀井さんの会社も、これは住友電線ですから、私、口が悪いけど言いますと、ここは、電線の業界が苦しくなりました、苦しくなりましたと言ってあなた方どうしましたか。これは産構法——特定産業構造改善臨時措置法がなんかをつくりまして、そうして供給制限をやって価格をつり上げているんじゃないですか。そうしてまでやっている住友出身の亀井さんのところだって、民間の自由競争の原理が完全に適用されていないんですよ。私がそう言ったら、もうその話違いますと、この前亀井さん逃げて帰りかかったんですけれどもね。やっぱりそう亀井さんが言うからといって、それがすべてじゃないんですよ、民間で。雇われ重役じゃないですか。むしろ神戸市長の宮崎さんあたりの発想をもっと聞いた方がいいですよ。  ちょっと長くなりましたが、金子長官、ぜひひとつもうちょっと前向きな答弁をお聞きしたい。
  59. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 梶原さんのお考え方、これまた一理屈あると思うんでございまして、特に、日本全体を結ぶ例えば新幹線ルートを今後どう持っていくかというような問題につきましては、やはりこれは国としても今後考えを具体化していかにゃいかぬ問題と考えておるのでございます。  六分割による民営化を進めますと同時に、今申しましたような意味での国土の全体的な利用については別途検討を重ねていきたい。また予算的にも、新幹線等につきましてはそういう取り上げ方をしておりますし、北海道のあの青函トンネル、何とかこの際鉄道を通したらどうだというふうな有力な意見も出ておることも私ども十分承知いたしておりますので、御趣旨は十分尊重しながら、これからも前向きにひとつ考え方を進めてまいりたいと考えております。
  60. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど対馬委員からも質問が若干ありましたが、円高問題につきまして、最初に日本銀行の方にお尋ねをいたします。  円高の今後の見通しは一体どうなるのか、それから、日銀が円高維持あるいは円高誘導に向けて介入といいますか、手を出しておりますが、その状況を言える範囲についてできるだけお願いいたします。
  61. 深井道雄

    参考人深井道雄君) 御答弁申し上げます。  現在の為替市場でございますけれども、御承知のようにG5によりましてドル高是正という合意ができまして以来、九月末から相当急ピッチにドル安、それから円高という方向で進んできておるわけでございます。私どもとしては、当時の二百四十円台から今や二百円——きょうあたりは二百二円でございますから、円相場はかなり高いところまで来たなという感じを持っております。しかしながら、最近の為替市場を見ますと、まだ必ずしも円高基調が定着したとは見られないというのが私どもの判断でございます。と申しますのは、為替市場におきましては、為替相場観が当時に比べてかなり変わってきたことは事実でございますけれども、またドルが安くなってまいりまして、市場で、ドルがこの辺が底値がなというような感じが出てまいりますと、またドルの買いの需要が起こる、そういったような状況が見られているわけでございます。  私どもといたしましては、あのG5の合意に基づきまして、今の円相場が日本経済のファンダメンタルズをよりよく反映するような方向円高の定着を図っていきたいというふうに思っているわけでございますけれども、相場観が自然な形で円高方向に定着している、そういった相場観が現実の相場を支えるという形を期待しているわけでございます。  御質問の介入でございますけれども、これはG5の合意によりまして、介入につきましての話し合いが行われたわけでございますけれども、具体的にどうするかということにつきましては、国際信義のことがございますので申し上げかねますけれども、一般論として申しますと、G5の合意以来、日本を初めといたしまして先進五カ国、その他の先進国も含めまして相当積極的に介入が行われた。特に、今まで介入に対して消極的であったアメリカがかなりの積極的な介入を行ったということが大きな特徴でございまして、その結果として、現にドル高の修正というのが進んできておりますということは、その背景において、各国とも相当量の介入が行われたというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  62. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 一つは、どのくらいが我が国としては適正と判断するか、この点と、介入の問題につきましては、アメリカは相当やった、各国もやったと言うけれども、やっぱり日本の介入も大きいんじゃないですか、その点を少し。今聞いておりましたら、日本は余り、まあ適当だというふうな感じですが、その点はいかがですか。  それから、日本の金利が、介入によって長短金利が一体どうなるのか、短期金利は新聞見ますと大分上がっているようですが、この点につきましてあわせてお願いをいたします。
  63. 深井道雄

    参考人深井道雄君) ただいま申しましたように、円高基調を定着させるということでございますけれども、私どもとしては、特定の相場水準をねらって、それをターゲットとして円高にしようということは考えておりません。また、G5の合意におきましても、各国がドル高を修正しようということは合意したわけでございますけれども、それではどの程度の水準までドル高を修正するという合意は行われなかったわけでございまして、一般的に、為替相場が各国の経済のファンダメンタルズをより多く反映するというような文言になっているわけでございます。したがいまして、どの辺のところがいいかということについての特定の相場水準について、日本銀行としての評価は申し上げるわけにいかないんでございますけれども、今の感じを申しますと、G5の前の二百四十円台から二百二円くらいまで来たわけでございますから、私どもとしては相当円高が進んできたなという感じを持っているわけでございます。その辺からお酌み取りいただきたいというふうに思っております。  それから、介入でございますけれども、先ほどの私の御説明、若干舌足らずなところがあったらお許し願いたいんでございますけれども、各国とも介入しておりますけれども、日本も極めて積極的に介入しております。その点につきましては、以後、各国が日本の介入姿勢が積極的であるというようなことを評価しておるわけでございますから、決して日本が介入をちゅうちょしているということはございません。先進国の中では最も大量に介入している方だというふうに御理解いただいて結構だと思います。  それから、金利の点でございますけれども、御指摘にありましたように、最近、短期金融市場におきましてはコールレート、手形レート等が上昇してきております。これはどういうことかと申しますと、今申しましたように、円高を図る、したがって協調介入を行っていくということでございますけれども、私どもは、それに合わせて金融市場におきましても市場の引き締まり感というものをそのままレートに反映させるということが側面から協調介入をバックアップするものだというふうに考えているわけです。御承知のように、協調介入をいたしますと、ドルを売るわけでございますから市場からは円が吸い上がります。これは市場の引き締まり要因になりますけれども、そういった引き締まり要因をそのまま市場レートに反映させるということが円高定着を図るために必要だということで、今そういった政策をとっているわけでございます。
  64. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 日銀はなかなか腹は痛まないと思うんですけれどもね、何をやろうと。しかし、やっぱり二百四十円台から急に二百二円台になりますと困るところがたくさん出るんですよ。困るところがたくさん出ているのを私も知っておりますし、後から通産省にもお伺いしようと思うんですが、あなた今いろいろ言われましたから、その辺のことを一体どう考えているのかお尋ねいたします。
  65. 深井道雄

    参考人深井道雄君) 確かに九月末、G5以来かなり急ピッチで円高が進んだわけでございますけれども、もう少し長い目で見ますと、本年の春ぐらいから、世界の為替市場におきましては、ドルがちょっと高過ぎるんじゃないかなという警戒感が出ていたのは事実でございます。そういった警戒感がありましたところに、九月末のG5のドル高修正という合意が出ましたものですから、それによって円高それからドル安というのがかなり急ピッチで進んだというのが実情でございます。  御指摘のように、為替相場が余り急ピッチで動くということは決していいことだとは私どもも思っておりません。ただ、やはり今、変動相場制度でございますから、この中でドル高の修正を図ろうということになりますと、その相場の流れに乗ってやらざるを得ないという面があるのも御理解いただきたいと思います。  こういうふうに円高が進んでまいりますと、確かに輸出産業については採算面、受注面にかなり苦しいところが出てきているというようなことは私どもとしても十分承知しておりまして、したがって、この円高がそういった輸出産業、特に競争力が大企業ほど強くない中堅、中小の輸出産業にどういった影響が出ていくかというようなことについては十分注目してまいりたいと思っております。  ただ、一つ御理解いただきたいと思いますのは、やはり今、日本経済が抱えております非常に大きな問題というのは、やはり対外の不均衡、経常収支の大幅黒字、それに伴う経済摩擦ということでございますので、その経済摩擦を解決いたしますためには、やはり為替相場というのを円高に持っていくということが最も効果的である、したがって円高定着を図るという私どもの方針は、そのこと自体はむしろ日米経済摩擦というのを解消して保護主義を防ぐ、あるいは自由貿易主義を守るということにつながるという面は御理解いただきたいと思います。
  66. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこまで言われますと、前段の方は理解をある程度しますが、対外不均衡の問題が円高によってどのくらいあるかという問題と、円高誘導することによって、それなら対外経済摩擦が一体当面どうなるかという問題と、これはいろいろ見方がありますね。いろいろそれぞれ銀行やなんかも出しておりますし、政府も出しておりますが、議論のあるところです。  私は、日本銀行もそこまで言いますから少し考えていただきたいんですけれども、やはり日本の輸出競争力というのは、日本人の経営者やあるいは従業員が非常によく働いて、政策もよくて、そこが結局競争力の非常に強い原因だろうという、そういう見方を皆さんよくするんですが、私は必ずしもそればかりじゃない。労働時間で比較しますと、西ドイツが約千六百時間、イギリスやあるいはアメリカが千九百時間、日本は二千百時間を超えております。特に、輸出競争力の強い産業の中を見ますと、例えば一万人の企業で言いますと、それ以上の関連部品納入メーカーやあるいは関連従業員をその下に使っております。ここはもっと労働条件が悪いんですよ、上よりは。本工、社員よりは悪い。そういう状況が、二重構造が組み合わされて——労働時間も長い、賃金もそんなに相対的には高くない、ここが組み合わされて、私は結果的にはこの輸出競争力の強い原因になってきていると思うんですよ。ここが問題だと思うんですよ。  だから、対外不均衡の問題をあなたが言われるんなら、やっぱりそこのところも考えた上で、何かほかのところでやればそれで済むような考え方ではうまくいかない、問題がやっぱり間違っていると私は思うんですよね。この点について通産省いかがでしょうか。
  67. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私ども、今先生御指摘のような、対外不均衡、日本の黒字の創出というのは幾つかの要因が複合されておると思っております。もちろん為替のミスアラインメントと言われます極端なドル高・円安というのも大きな一つの要因でありましたし、また、アメリカと日本の景気の拡大の局面の相違ということにも原因があったように思います。それからまた、輸出が伸びやすい、輸入が伸びにくいといった構造も一つございますが、その背景には、今御指摘ありましたように、労働慣行、労働条件、環境等の問題もそこには入るように私も思います。  今の労働時間の短縮ということはこれまでもかなり言われておるわけでありますが、これはまた別の面から見ますと、自由時間の増大ということから消費の拡大につながるといった側面もあるわけでございまして、これはもちろん労使で決めるべきことでございますけれども、私どもも、こういった労働時間の短縮ということについての環境を醸成する意味でいろいろな調査をする、あるいは諸外国の事例を調べるといったようなことで、労使の話し合いの資料を提供するなり、そういった環境の醸成を労働省ともどもいたしておるわけでございます。また、当然この円高・ドル安ということになってまいりますと、相対的に見るとデフレ効果の方が大きいことになるわけでありますから、これから私どもとしても内需の拡大ということも非常に重要な政策課題になってくると考えております。
  68. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先般、当院の山内先生を団長にいたしまして、私、先ほど言いましたようにフランスから西ドイツ、東ドイツ、ハンガリー、オーストリア、イギリスをずっと見てまいりました。特に海外に進出している日本の企業を各国二つずつぐらい見てまいりました。よく言われていますように、向こうの労働者は働かないんじゃないか、そういう先入観があったものですから、その辺をずっと見て、日本の経営者の皆さんにも聞いてまいりましたが、私は認識がちょっと違うんですね。昼休みは短いところでは三十分。午前中十五分休憩し、昼休みは三十分でやる、そのかわり午後は早く帰らせてほしいと。残業はできるだけしたくないから、朝六時から出て仕事したいと、こういうところもありました。フランスでも、西ドイツでもあるいはオーストリアでも労働者はみんなよく働いております。  それから、これとこれは不良品出したらいけないということをイギリスでは言っておりましたが、厳しく言っておけばそれはきちっとやる。かえって日本の労働者の方が頭ちょっと働かして、まあこれくらいいいだろうということで不良率高い場合だってある。西ドイツでやっておりましたベアリングの工場も非常に不良率も日本の工場と遜色ない、こういうことなんですよね。  だから、当然そういうところからいきますと、問題は労働時間の差あるいは下請構造の問題、この辺がやっぱり非常に問題だろうと思います。ぜひここは、日銀に言ったってしようがないと思うんだけれども、通産省サイドで、きょうは経済企画庁の方もお見えでしょうが、ひとつもう少し真剣に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、私はなぜそう言うかというと、これはG5が九月の二十二日でしたかね、それから一カ月以内ぐらいにある自動車の部品メーカーの皆さんと話をしたんです。バネを納めているんですよね。値引きが二・五%ですよ、円高によって。それでぎりぎりやっているのを二・五%仕入れ価格を落とされる。自動車でも電機でもそうでしょう。非常に下請に厳しくやっぱり対応しております。  産地で直接つくって、燕の製品やなんかの問題出ておりましたが、通産省もちゃんと調査しておりますが、そういう産地の問題と、表面は何でもない、このくらいの円高、二百円ぐらいでもやれるといっても、そのしわ寄せというのは、下請や関連部品納入メーカーにやっぱりしわ寄せが行く可能性が非常に強い。ここのところに対しまして、くどくど申し上げませんが、通産省もいろいろと通達やなんかも出しておられるようで、調査もされておりますが、十分その辺のところのことまで行き届くように、この円高で犠牲者が余り出ないようにぜひひとつしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  69. 木下博生

    政府委員(木下博生君) ただいま御答弁ありましたように、円高の傾向自体は日本の国際的な貿易黒字の縮小という意味で望ましい方向であるわけでございますが、一方、先生御指摘のように、中小企業には特に影響が及ぶ可能性があるわけでございまして、そういう意味で中小企業製品で輸出の契約が新たに非常にできにくくなっておるというような産地もたくさんございますので、そういう産地に対する金融面等の措置は十分講じていきたいというふうに考えております。  それと同時に、下請の点につきましても御指摘の懸念があるわけでございまして、親事業者六千社、それから親事業者の事業者団体百八十数団体に対しまして、通産大臣とそれから公正取引委員長の連名で、輸出価格低下に伴うしわ寄せを下請中小企業者に及ぶことのないよう通達を出しておるわけでございます。  むしろ、私どもとしては、対外経済均衡のためにも輸出価格自身を下げるということじゃなくて、むしろ高い価格でうまく売っていくというような形で処理していくということが望ましいことではないかと考えておるわけでございます。
  70. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひそういう方向で、結局、私も県に、調査をして、どういうところが被害が出るか、きょうの質問もありますから調べたら、大きなところばかり電話で県の方も調べていまして、その下請のところのは全然来ていないんです。それはだめじゃないですかと言ったら、いやちょっともう間に合わぬからと言って、私の方はわかります、選挙する身ですから、全県くまなく歩きますからもう全部頭の中に入っているわけですよ。ああ、ここはこうなれば響くとか響かぬとかですね。ぜひきめ細かいその辺まで指導をお願いをしたいと思います。  それから、先ほど福川局長から内需拡大の問題が出ましたので、余り時間がありませんが、経済企画庁もおいでですかね、内需拡大に対しましていろいろ議論があるようですけれども、私はエコノミストで、西ドイツのシュミットさんが、「日本は財政赤字覚悟を」云々という記事を読みまして、私は彼の考え方はなかなか意味があると思うんです。そしてかつて狂乱インフレのときに、西ドイツはたしか日本と比べまして卸売物価やあるいは消費者物価は半分ぐらいで、あのときに、昭和四十八年から九年にかけておさまったんですよね。非常にそういう意味では、これは物の見方が、今中曽根総理大臣とシュミットさんたちを比較すると、私は深さが違うと思うんです、物の見方が。  ここでシュミットさんがいろいろと言っておりますが、「日本人の生活水準は、一人当たり所得では欧米とかわらないが、住宅を拝見させていただくときわめて貧困だ。住宅建築に関して法的規制があることも聞いているし、土地の値段」云々ということから、もう一つは内需の面で、「日本の村落に行ってどうしても目障りだったのは、電線がどこでも走っている。そして美しい自然を破壊している。たとえば日本中の電線を地下に埋めるとしたら、一〇〇億ドルから二〇〇億ドルはかかるでしょう」と、そして最後に、「これは中曽根首相や大蔵省の方々の意見に真っ向から反対することになるとわかっていますが、黒字を解消しない限り日本は、それでなくても孤立」してしまうと、こういうことですね。  ぜひそういう意味では、まあ内需拡大に対して住宅あるいは生活に密着した公共下水道とか、そういう面とか、それからどうしても内需拡大のためには勤労国民の所得が伸びないとやはりいけないわけですね。  この前、デパートや何か回ってみまして、いろいろみんなと話をしておりましたら、一番関心があるのは、公務員の賃金が、十二月中に差額が出るかどうか、これなんですよね。小売業者の皆さんも。やっぱりそういうものが出れば消費に結びつくというのは、過去何年間かの統計で商売人はもうわかっているわけですよ。それがなかなか消費に出ないというのは、今毎月毎月消費というのが厳しいというのは、実質可処分所得が伸び悩んでおるからでありますね。  そういう意味では減税についても、所得税減税についても与野党書記長・幹事長会議の中で何回か話したけれども、ふわふわなっておりますが、通産省の方もやっぱりいいことはいいわけですから、ひとつ強く言っていただきたちと思うんですが、この辺につきまして内需の問題と大臣の決意を伺って、次に移りたいと思います。
  71. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 梶原委員が今、国民生活というものをじかにごらんになって、いろいろな指摘をなさって、非常に参考になります。またシュミットさんの論文も非常におもしろいと承りました。  内需の振興というのは、こういった時期に至るまでもいろいろな点で築かれてきたわけでございまして、例えば公共投資等についても、従来河川とか道路とか、そういったものが非常に重点を置かれた時代が長かったんでございますが、最近は公共投資について住宅、下水道等、梶原委員の御指摘になる事業のウエートが非常に高くなってきておるわけでありまして、これはやはり生活関連を重視しなきゃならぬという考え方が昭和四十年代から五十年代ずっとだんだん拡大をしてきておるのだと思います。  具体的な内需拡大の問題になりますと、梶原委員承知のように、十月十五日に内需拡大に関する対策が決定をされました。これはもちろん私出席をしておるわけでございますが、その中で住宅金融公庫の特別割り増し貸付制度の実施だとか、貸付枠の増加だとか、追加だとか、あるいは下水道事業など、生活関連公共事業の追加なども大きな柱の一つとなっておりますし、それから通産省関連で、例えば電力、ガス事業等のいわゆる事業投資、設備投資というものを前倒しいたしまして、一兆一千億のひとつ拡大をしようというようなことも決定をされました。それから基準・認証の緩和といったような面で内需拡大になる面、いろいろなものが指摘をされておるわけでございまして、また、先ほど梶原委員のおっしゃった週休二日制の問題等も、やはり諮問委員会の答申を待って通産省としても労働省と対応しながら積極的に対応しておるところでございます。  そしてこれからの問題としては、今減税の問題お触れになりましたが、予算それから税制措置を伴う内需拡大策というのは十月十五日の時点ではまだ触れられませんので、今後引き続いて検討をしていくということになったわけでございます。  私は、内需を拡大していかなきゃならぬという基本的な出発点は梶原委員の御指摘のとおりだと思いますし、またそれに積極的にかかわっていかなきゃならぬのでございますが、ただ現在の政府の財政上の状況が非常に苦しい状況にあるために、やはり民間活力の重視であるとか、今回いろいろなものについてできるだけ知恵を働かしておるということでございます。  現在、景気の拡大がやや緩やかなものとなっておりまして、円高のデフレ的な影響も勘案いたしまして内需拡大の必要性は一層高まってくる、このように考えておりまして、通産省としても設備投資減税など各般の施策の実現に努力をしていくということで、六十一年度予算編成に向けていろいろな具体的な努力をしておるところであります。
  72. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひお願いをしたいと思います。  ただ大臣、言葉じりをとらえるようでありますが、財政上手が打てないということをよく言われますが、私は大分前の委員会でも住宅問題を取り上げてきました。私ども土地を買って家を随分前にやりましたが、全部借金で買ったんです。やって今振り返ってみて、あああのときやってよかったと、これは多くの国民がそう言うんじゃないかと思うんです。したがって、国の財政も借金のしようによっては国民全体の富がふえるような形のものに対しての、少し財政支出があったとしても、赤字に若干なったとしても、特に住宅やなんかにつきましては、これはもっと思い切って、国民が豊かになればそれでいいじゃないですか、国としては。しかも赤字が子供に伝わるっていったって、これは資産になって伝わっておるんですから。  住宅減税につきましても、税額控除を建設省は一%と、こう言っていますけれども、少なくとも通産大臣経済企画庁長官は、やっぱり住宅取得の税額控除は二%ぐらいに思い切って打ち上げて、そこでどうかという勝負ぐらいして、それは必ず国民にプラスになってはね返えるわけですから、一緒くたに何もかも財政が財政がという中曽根流の今のやり方というのは、どうももう鼻についてしようがないわけですから、またこの際、毎回毎回言いますが言わしていただきます。  それから、また国鉄問題に返りますが、通産省の方で、石油資源というものについては今少し緩和されているから、みんなもうそっちには振り向かないわけですが、五十年先あるいは百年先の資源というものをもう少し科学的に調査をして、科学的にもっと念を入れて調べ上げて見通しを立てて、そしてその上に立って国鉄の扱いというのはやっぱり考えないと私は大変なことになるんじゃないかと。  分割民営化をしてしまいますと、これは九州なんか久大線も豊肥線も恐らくなくなる可能性ありますよ、十年、二十年たちましたら。しかしそれから先にあと十年、またその後十年、二十年たって、五十年ぐらいたって、百年たったときにはどうなるのかね。貨物輸送にしても、あるいは今はガソリンたいて車どんどん走っていますが、本当に五十年、百年先に今のような、車がどんどん走るような、そんなにガソリンがあるんですか。だからやっぱりそういう点では、人を運び物を運ぶのに効率のいい線路、これは石炭でも原子力でもあるいは水力でもあるいはLNGでも発電はできるわけですからね、私はやっぱり線路というのは貴重だと思うんですけれども、どうもそこのところが初めから私はわからないので教えてください、そして頑張っていただきたいと思います。
  73. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) これは全体のグローバルな問題ですから私がお答えをしますが、実は先ほど、金子経済企画庁長官国鉄問題を梶原委員が御質問になっておられたときのエネルギー問題と輸送パターンという問題で、非常に大きな観点からこの問題をとらえていらっしゃったことに私は実は敬意を表しながら伺っておったわけです。  地球全体的な大きな視野からいうと、私は鉄道輸送というもののパターンがだんだん道路輸送というパターンに変わっていくという全体の傾向はあると思うんですね。したがって、いろいろこの百年、近代国家が日本として成立してきた動きを見てみますと、非常にそのことが明瞭な形で出てきている。例えば私どもは国鉄というのは世界に誇る何と申しますか、組織であって、例えばテレビドラマなどで出てくる国鉄職員のああいった姿を見ると、何とも言えないノスタルジアを覚えるわけですね。しかしノスタルジアはノスタルジアとして、ここまでやってまいりますと、国鉄の組織が余りにも大きいために、また国が関与をしておるといったようないろいろな組織体制の問題もございまして、にっちもさっちもいかないぐらい経営不振に陥った。ここへやってまいりますと、やはり私は企業体としての国鉄のあり方というものを考えてみますと、どういうものが採算がい、どういうものが採算が合わないかということを思い切って取捨選択しなきゃならない段階がきっと来ているんだと思うんです。  国鉄の機能が非常に高いという評価は、それは国民の側からあるのは当たり前でありまして、例えば国鉄には社会対策的な意味で採算が合わなくても走らせておる路線がたくさんあるわけでございますね。そういった採算、不採算、いろいろな国鉄の抱えておる状況を考えてみますと、ここへ来て先般政府が尊重することと決まった国鉄改革に関する路線というのは、私は正しいと思うんでございます。  また、エネルギーの問題は、梶原委員御指摘のように、石油エネルギーに今頼り過ぎているんじゃないかというようなことからも、例えば水素自動車であるとかあるいはLPGの利用だとか、電気自動車だとか、いろいろな新しいエネルギーの開発がだんだん進んできておりますし、そういった日本石油がほとんど賦存されていないという資源の状況や、それから代替エネルギーを開発しなきゃならぬというようないろいろな組み合わせによって今後の国鉄動向を考えていかなきゃならぬ、国民的な視野からいうと大変苦しい、国鉄の方々にも随分苦しい試練になるわけでございますが、こういう決定がなされた以上、それに従っていろいろ工夫を凝らしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。  ただ、国民生活上、それならば地方路線等で廃止をされる面についてはどういうふうに対応するのか、あるいは分割されてからの国鉄の経営というものがいかにして効率を重んじてやっていくのかというのは、これからの文字どおり血のにじむような努力の積み重ねであろうと、このように考えておるのでございまして、通産省としては、私も閣僚会議に列席をするわけでございますし、産業政策の面から考えるべき点は本当によく考えていかなきゃならぬ、こういうふうに概括的な理解をいたしておるところでございます。また、梶原委員の御高見もよく拝聴をしてディスカスしてまいりたいと思います。
  74. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、時間がなくて済みません。ちょっと一つだけ。  総評で五千万署名というのをやりまして、私どもの地元では有権者約九十万に対しまして十九日現在五十六万人が署名している、ダブリを省いても五十万はいっているんですよ、きちっとやっていますからね。非常にそういう意味ではこの分割民営化して、私がさっき言いましたように国鉄の荒廃がやっぱりくるだろうと心配をしているのが一つです。  それから、どうも先ほどから言っているんですが、電力会社を九つに分割してあれは成功したといいますか、しかしあれは今度法案審議のところでも、少し基本的に私は問題をえぐっていきたいと思っているんですよ、電力料金のあり方や何かにつきましてもね。国鉄料金も電力料金のような決め方でいろいろと基本的には採算、要するに資本費がどのくらい要る、経費がどのくらい要るからどのくらい利益を出して、そのために運賃をどうすみかとか、こういうようなやり方をすれば国鉄だってこれはいけるわけで、これは後で、電力と一緒くたにした物の考え方から、分割民営化すれば成功するというような物の考え方には、私は根本的に問題があると見ておるんですよ。  どうもそういう方向へばっと流されておりますから、ぜひそういう意味では、もうちょっとエネルギーの問題と大臣立場で、これはいつまでたっても、水素や何かやったってそう簡単に石油にかわるものがあるものですか。やっぱり先では自動車がどんどんどんどんガソリンたいて走れないような時代が私は来る。そのときにはやはり軌道で、主なものはむだをせぬように、値段も上がるし、そういう時代が来るのじゃないか。だから、そういう点でひとつ国鉄問題については、大臣から閣僚会議で頑張っていただきますようにお願いを申し上げまして終わります。
  75. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  76. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 五十九年度中小企業白書によりますと、コンピューターの導入利用率は大企業が約八三%であるのに対し、中小企業は三八%と大きな立ちおくれが見られ、またコンピューターのオンライン化を実施している企業を比較しても、大企業の四三%に対し中小企業は六%と、ほんの一けた台であります。極めて大きな格差が見られるわけであります。言うまでもなく、これからの中小企業は、情報化の進展に対しうまく対応できたものは生き残り、これに落ちこぼれた企業は淘汰され、あるいは苦しい経営を強いられると思うのであります。  しかも、近年情報ネットワークはますます大規模化してきております。これが経営に与える効果もまたそれだけ大きくなりつつあると考えられます。したがって、このままでは大企業との間の情報化格差はますます拡大し、このことから生じる経営格差によって中小企業経営は大企業の圧迫を受けるような結果になるんではないかということが心配されているわけであります。こういった観点から、政府中小企業情報化対応に対しましては特段の支援態勢を用意して援助すべきであるというように考えますが、長官見解を伺いたいと思います。
  78. 木下博生

    政府委員(木下博生君) ただいま先生がおっしゃいましたように、今後の中小企業の経営の効率化、近代化を図っていくということのためには、どうしても情報化を進めなくてはいけないということであります。ところが、中小企業情報化は大企業に比べて相当おくれておりますので、おくれておる点を改善して大企業並みのコンピューターの有効利用というものを実現する必要があろうかというふうに考えております。  そういう意味で、来年度中小企業庁の予算要求におきましては、情報化を一番大きな柱といたしまして、中小企業情報化がうまく進むように、機器の導入あるいはソフトウエアの開発、ネットワークをつくり上げること、そういう点について中小企業事業団等の事業を活用するほか、各都道府県にあります中小企業情報センターをさらに中核的に強化して進めていきたい。それから、組合レベルの情報化等についてもこれを進めていくようにいろいろな施策を考えているわけでございます。
  79. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 少しく中に入ってお尋ねをいたしたいと思いますが、ある調査によれば中小企業の約八割は情報化に対応することの必要性を認識しております。しかし、六割はこれをどのように進めてよいのか、その方法がわからないで、情報化の進展に不安感、危機感を抱いているとのことであります。このことは、中小企業にあっては情報化に関する人材、よき相談相手の不足が大きな原因になっていると思います。中小企業者にとって、情報化についての知識を持った人材、機器をうまく使いこなせる人材が確保できないという点は大きな悩みとなっております。  五十九年度中小企業白書におきましても、オフィスコンピューターを導入しない理由として、機器を使いこなせる人材が確保できないことを挙げる中小企業が全体の約四分の一を占めておるのでありまして、人材不足がいかに大きな問題であるかを示していると思うのであります。  私は、この人材不足に対する対策として、中小企業の従業者に対する教育とコンサルタントの養成などに努めるべきであると考えておりますが、通産省見解と具体的な施策を御開示いただきたい、こう思います。
  80. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 御指摘のように、コンピューターを導入いたしますときに、導入しているユーザーの側の問題は、それが非常にうまく使いこなせないという問題がございます。それは単に中小企業にとどまらず、大企業の場合でも、それから私ども官庁の場合でもそうでございまして、私の部屋にも端末はございますが、なかなか私自身も使いにくいということでございまして、うまくユーザーが使いやすい機器をメーカーの方でつくってもらうということも非常に重要なことかと思いますし、またコンピューターの場合には機械だけではなくて、それを動かすソフトウエアというものが非常に重要でございまして、そのソフトウェアのつくり方あるいは使い方という点が非常に難しいわけでございます。  それで御指摘のように、そういう意味で日本全体としては人材が非常に不足しているということがありまして、最近はその人材の養成に政府としても取り組んでいるわけでございまして、通産省の来年度情報化施策の中で、そういう教育問題、人材養成問題というのを情報化全体の問題としても取り上げておるわけでございます。  中小企業分野につきましては、まさにその必要性が高いわけでございまして、私どもといたしましては、中小企業大学校における研修の中にそういう情報化の研修の内容を充実させるというようなことも必要かと思いますし、それから今、先生御指摘がありましたように、そういう情報化について非常に高い知識を有する人たちをアドバイザーというような形で、関係の団体あるいは都道府県の情報センターというようなところに配置して、その人たちが中小企業者を指導して、うまくそういう情報化機器を使いこなせるように持っていくようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 ただいまお話のありましたソフトウエアについてお尋ねをいたしますが、最近、情報処理にかかるコストは、ハードウエアに二割、ソフトウエアに関するものが八割というように、ソフトウエアの占めるウエートが大きくなりつつあると聞いております。しかし、中小企業は自分の力だけではみずからの業務に適したソフトウエアを入手することが容易ではありません。  そこで中小企業庁などにおいて、中小企業が使いやすい汎用のソフトウェアをどんどんつくり、これを中小企業の間に普及するよう施策を講ずる必要があると考えますが、御見解を伺います。  さらに、ついでに伺いますが、中小企業が独自のソフトウエアを開発するためには相当の資金が必要であろうと思われます。しかし、中小企業は資金負担力が小さいわけであります。また、ソフトウエアの開発も外部に依存しなければなりません。みずから開発力のある大企業と比べて大きなハンディキャップを背負っていると言えるわけであります。このようなハンディキャップを克服するために資金手当ての充実を図るべきであると考えますが、これに対する通産省の具体的な施策を伺いたいと思うのであります。
  82. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 御指摘のように、情報処理コストの中に占めるソフトウエアコストの割合は非常に高くなっておりまして、今後もますますその割合は高くなっていくと考えられます。  その一つの理由は、機器の方は非常に技術革新によってどんどん値段が安くなっているという傾向はございますが、ソフトウエアの開発には全部人手をかけるということがありまして、人手をかける非常に複雑なソフトウエアであればあるだけコストが非常に高くなるというようなことでございます。したがいまして、個々の企業にとって、その企業の経営だけのために必要なソフトウエアを使う必要がある場合もございますが、中小企業の場合には、そのような形でそれぞれ独自のソフトウエアを使っていくというようなことになりますと、非常にコストが高くなるというようなことになるわけでございます。したがいまして、できるだけ同じような業務をやっている人たちが同じソフトをみんなで分け合って使っていくという必要があるわけでございまして、そういう意味で汎用ソフトウエアの開発というのは非常に重要なことだと私どもも思っております。  従来から通産省では、情報処理振興事業協会で特に中小企業向けの汎用ソフトウエアの開発をやっておりますし、また開発したソフトウエアを中小企業者にうまく普及する、それからまた、民間の事業者がつくっております汎用ソフトウエアを中小企業者の間に周知せしめて、大いに使ってもらうというような事業をやっておるわけでございまして、この事業を今後も私どもとしてはますます重視して、それに対する助成も高めていかなくてはいけないというふうに考えております。  それと同時に、最後に御指摘がございました中小企業者自身のソフトウエアの開発についても、当然のことながら、それが汎用のソフトウエアでは用が足りませんときには必要になってくるわけでございますので、そういう分野につきましては、今年度から各政府関係金融機関でもソフトウエア融資ができるようになりましたし、また情報処理振興事業協会におけるソフトウエアの開発に対する融資というようなこともできるようになっておりますので、そういう事業をうまく活用し、中小企業者ができるだけ安いコストでソフトウエアの開発ができるように今後も持っていきたいと考えております。
  83. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 この際、関連してお聞きしておきたいと思いますが、中小企業にとりましてはハードウエアにかかる負担も相変わらず大きな問題でございます。先ほどの数字のように、中小企業のコンピューターを初めとするメカトロ機器の導入状況が大企業に比べて大きくおくれているという現状にかんがみ、ハードウエアの導入に対する助成措置も充実されるべきであると思います。  特にメカトロ税制は、中小企業にとって効果が大きいものがあったと私は思います。  そこで、今年度で期限が切れることになっております同税制は、拡充、延長されるべきであると考えますが、通産省見解をお聞きいたしたいと思います。
  84. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 情報化関連機器の導入についても、それは非常に精密なものであるだけにコストが高いと、中小企業者の負担になるものだという点は御指摘のとおりでございますので、来年度の私どもの予算要求におきましては、従来からの制度だけではなくて、リース制度というようなものも中小企業関係の機関から行えるような形での予算要求をいたしております。  それと同時に、今御指摘ありました税制でございますが、これは五十九年度から実施されたいわゆるメカトロ税制というのがございまして、中小企業の情報関連機器については非常に広い範囲でその対象として指定され、それがいわゆる中小企業設備投資の促進に役立っておるわけでございます。これが今年度いっぱいで一応期限が切れることになっておりますので、中小企業庁といたしましては来年度以降もそれは延長する。延長すると同時に、対象となる機器の数もふやして関連の中小企業者がそういう情報関連機器をどんどん導入できるようにしていきたいというふうに考えております。
  85. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 中小企業情報化対応を促進する上で、中小企業の身近に有力なデータベースが用意されることは極めて重要であると思います。  そこで、通産省は、地方において中小企業のためにできる限り多く有効適切なデータを収集することができるよう援助すべきであると思うんであります。さらに、そのデータベースと中小企業事業団のデータベース、SMIRS、これはもちろん例えば日経、日本科学技術情報センター、まだあると思いますが、そういったものなどのデータベースともオンライン化させるというような構想はお持ちでありますかどうか伺いたいと思います。
  86. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 情報化を進めてまいります場合に、日々の中小企業の業務を機械化することによって効率化を図るということと同時に、中小企業が必要な情報を十分に得られるように持っていく必要があるわけでございまして、そのためには各種のデータベースを中小企業向けに用意しておく必要があるだろうというふうに考えております。  したがいまして、従来から中小企業事業団に今お話のございましたSMIRSという名前のデータベースを持ってそれの充実を現在図っておるわけでございますが、そのデータベースは日経のNEEDSあるいは日本科学技術情報センターのデータベースとも情報をつなげて利用できるような形になっております。したがいまして、そのようなデータベースを今度は個々の中小企業者がうまく利用できるようにしていかなくちゃいけないわけでございまして、それと私どもは各都道府県に置かれております情報センター等をつなげまして、その情報センターが中小企業事業団で持っております情報を利用していくというような形にしていきたいというふうに考えておりまして、それをオンラインで結んでいくことを考えておるわけでございます。  ただ、地方におきましては、また地方独自独自の情報を蓄積する必要もあるわけでございまして、そういう意味では各県のそういう情報センターに地方独自の情報もあわせて今後は蓄積していくように私どもとしては助成をしていきたいというふうに考えております。  それで、データベースというのもソフトウエアと同じように人手がかかるものでございますので、これは人手がかかって一度できたものは、多数の人がどんどん使っていくことによってそれぞれの情報のコストが下がっていくということでもございますので、できるだけその網を広げまして、みんながどんどん利用できる形に持っていくことが結局個々の情報の値段を下げるということにもつながってくると考えております。
  87. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 いろいろお聞きいたしましたが、中小企業情報化の問題の最後になりますが、今や中小企業情報化への対応は喫緊の課題であります。中小企業が置かれたさまざまな状況にきめ細かくかつ総合的に対応し得るよう、中小企業情報化施策の抜本的強化が必要であると思います。私は、通産省挙げて強力な取り組みをすべきである、こう思いますが、最後にこのことについて通産大臣の御決意を伺い、この部分の質問を終わりたいと思います。
  88. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 杉元委員にお答え申し上げます。  情報化そしてまた技術開発、これはやはり通産省の施策としては全般的な極めて重要な問題であるということで、通産省では一丁目一番地というようなことを言っておりますが、それは技術開発と情報化のことだと思っているわけでございます。  ただ、大企業に比べまして中小企業情報化というのは大規模に立ちおくれておりまして、例えばコンピューターの利用率は大企業が八三%でありますが中小企業は三八%、それからオンライン化率は、大企業は四三%でありますが中小企業は六%というようなことで、このままで推移をいたしますと中小企業が非常に大企業に対して立ちおくれる、したがって中小企業情報化を進めなきゃならないという杉元委員の御指摘はまさに私はポイントをついておると思います。このために中小企業を支える人材の養成、確保、情報化に係る金融などの助成制度の整備、普及・啓蒙事業の充実、さらには中小企業地域情報センターにおける情報化支援機能の強化といったような中小企業のさまざまな状況について、きめ細かくかつ総合的に対応し得る中小企業情報化施策の推進に、御指摘のように全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
  89. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 貿易摩擦について通産大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、先月下旬の中曽根・レーガン首脳会談において、両首脳は、保護主義と闘っていく、五カ国蔵相会議で決定されたドル高是正のための協調介入を強力に支持し、強化していくことを合意しました。また、日本側は市場開放と内需拡大、米国側は財政赤字の縮小に努力することが必要であるとの認識で一致しております。  さて、米国議会内でこれまで異常なほど燃え上がっていた保護主義の動きも、総理訪米と前後して鎮静化に向かい、このところ米国の保護貿易主義への急傾斜に歯どめがかかったように思われるのでありますが、通産大臣はどのように見ておられますか、お伺いいたしたいと思います。  また、ついでに伺いますが、日米首脳会談、G5、米国の新通商政策、我が国の内需拡大対策と、両国の最近の協調的な動きあるいは経済政策が、日米貿易摩擦ひいては自由貿易体制維持のため果たした影響力とその成果は大きなものがあると思いますが、通産大臣はどのように評価しておられるか、御見解を承りたいと思います。
  90. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) お答え申し上げます。  日米貿易摩擦の問題は、杉元委員御指摘のとおり、非常に過熱をしておったわけでございまして、例えばアメリカのドール院内総務一行の来られたとき、あるいはヤイター通商代表が来られたとき、私は個々に全部お会いをして向こうの様子を聞いておりました。保護貿易主義の米議会における高まりが非常に強い、これは大変憂慮すべき状態であるということが言われたわけでございますが、委員御指摘のように九月二十二日にG5の会議がございました。それからまた、日米首脳会談あるいはニューヨーク・ミニサミットの会合等を通じて、ドル高に対する介入が積極的に始まったわけでございます。それ以来、円高基調というものが非常に短期間の間に出てまいりまして、二百四十円台であったものが今二百円台にまで円高が進み、ドル安が進行しておる。それからまた、アメリカ議会における日米貿易摩擦に対する非常に強い動きというものもやや鎮静化に見えるというような、今杉元委員の御指摘になったような点があるいは若干あるのかもしれません。  しかし、私は決してこれは楽観ができないと思うのでございまして、このところ行われておりました米ソ首脳会談であるとか、そういったほかの大きな国際的な動向がございまして、その陰で日米貿易摩擦がやや小康を得ておるというような感じではないかと思っておりまして、今後、十二月あるいは来春にかかりますと、この貿易摩擦の勢いというものがまた激しく始まってくる可能性もある。現に通産省の若杉審議官をアメリカのヤイター通商代表のところへ派遣いたしまして、例えば皮革、革靴の交渉でございますとか、あるいは日本国内においてエレクトロニクスの日米折衝でございますとか、そういうことが真剣に行われております。  スミス通商代表の代理がつい一日、二日前、私のところへ来たのでございますが、こういった個々の問題について非常に楽観し得ない厳しい米国情勢を伝えておったところでございます。もちろん円高傾向は原則的には非常に貿易インバランスの解消に対してプラスに役立つという判断をいたしておりますけれども、しかしまさに自由主義経済と自由主義経済の対応であり、また日米は極めて貿易の上で緊密な関係を持っておりますだけに、友好状態と同時にそうした摩擦状態というものも常に並行して起こり得るというのがやはり根本的には我々の考えておかなきゃならない基調だと思います。  しかし、保護貿易主義を防圧するということについては、レーガン大統領も中曽根総理も、あるいは先進国首脳会議出席をする国々、その他現在の開発途上国を含めて、基本的にはこれは一致したコンセンサスだと思います。したがって、保護主義を排し、ニューラウンドに向けて最大の努力をしていくということによって、我々は世界の繁栄というものを経済の上で図っていくことができる、そのために頑張らなきゃならない、こういう認識でございまして、今一生懸命頑張っておるところでございます。  特に総理は、アクションプログラムであるとか、内需拡大対策であるとか、そういったものを具体的にどんどん決定をしていき、そしてそれを私どもにも、また各省のスタッフにも積極的に陣頭指揮をしておられるということで、私は、こういった効果が東京サミットに向けて着々とあらわれてくることを期待しておるところであります。
  91. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 これまで政府は、数回にわたり対外経済対策を発表してまいりましたが、これは必ずしも十分な評価を得ていたとは言えないと思います。  先般のアクションプログラムについても、アメリカの議会、政府関係者から、早急かつ目に見える成果が必要であると強く指摘されておるわけであります。中でもアクションプログラムの主要な柱である関税の一律引き下げ、撤廃、基準・認証制度の改善等については、アメリカを初め各国から速やかな実施を求める声が高いのは御承知のとおりであります。このために必要な法的措置を可及的速やかに講じ、対策の早急な実施を図ることは、我が国の国際的信義にかかわる重大事だと思います。  米議会の保護主義の動きは、ただいま大臣の仰せのような姿でございますが、仮に一時鎮静したような姿でありましても、日本側の市場開放等の努力を怠ることがあってはならない、こう思うわけでございまして、政府のこれについての覚悟をお聞かせをいただきたいと思います。
  92. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 七月三十日に骨格を決定いたしましたアクションプログラム、これを発表いたしましてから、実は今御指摘のようにアメリカ、欧米その他いろいろな国々からそれに対する反響が出ておるのでございますが、最初非常に言われましたのは、三カ年間でやるというのは少しツーレートではないか、遅過ぎるのではないか。また、こうして発表になったものだけでは、具体的な成果がどういうことになるかということを見なければわからないというようないろいろな御指摘があり、そしてまたいろいろ個々の事項についての要望がアメリカ、EC、その他開発途上国からもあったわけでございます。  したがって政府としては、このアクションプログラムを各国に理解していただくように関係各省、例えば通産省でも、ジェトロその他を通じて英文に翻訳してPRをするなどのいろいろなことをやってまいりました。そしてまた、外交マターで日本に来られる外国の代表の方々に私はそういったものを御説明申し上げたり、アメリカに行ったときもブッシュ副大統領だとかボルドリッジ商務長官だとかヤイター通商代表などにも、個々に具体的に時間をかけて説明をしたりいたしております。  先ほど申し上げた三年間では遅過ぎるというのは、まことに実はある意味ではもっともな指摘であるわけでございまして、その一つ一つの個々の問題について、これは半年でやるとか、これは一年でやるとかという期間が明示をしていない部分が多いためにそういう誤解を生じたのでございますが、そういった誤解を解き、そして各国の要望にこたえるために、政府はこの臨時国会でも関係法律案やいろいろなものを準備をいたしまして、これが早期に実施できるようなことをどんどんと進めております。今御指摘になった関税の引き下げ等についてもそうでありますし、それから基準・認証の緩和手続でございますとか、あるいは私の方の関連の例えば法律案の一つを申しますと、石油製品輸入拡大していくための制度の改善であるとか、そういう各般の措置を着々ととっておるところでございます。  一つの例を申し上げますが、つい二、三日前、日本・EC閣僚会議が東京で開催をされました。そしてその折にも、アクションプログラムあるいは内需の拡大等について日本政府のやっていることは評価をするということは公式にECの閣僚が言ってくれたわけでございます。ただ、やはり具体的にどのくらいそれで輸入の数量が増すかとか、そういうことがぜひ知りたいので頼むという要請があったわけでございまして、私どもとしては輸入拡大目標というようなものを数字で各国の代表に示すわけには、自由主義経済体制ですからいきませんが、そういった自由主義開放体制またニューラウンドの推進のために輸入アクセスを改善したり、輸入を拡大したりするということについては、全力投球でやっていくということをよく話をしたわけでございます。  こういった努力を積み重ねまして、三カ年間という期間、これは一応最大限度として設けておるだけであって、早いものはこの臨時国会で法律が通過すればすぐやっていく、あるいは来年の一月一日から関税等の引き下げをするものも相当あるというようなことで、具体的に個々に対応をして各国の要請にこたえてまいりたい、そういう努力を続けておるところでございます。
  93. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 貿易インバランスを解消するためにはドル高を修正することが最も有効であり、このため適切な協調介入は国際的責任を果たす上からも当然のことであると思います。こうした視点からは現在の円高傾向は好ましいことでありますが、一方円高の急激な進展によって輸出関連の中小企業に悪影響が出始めてきています。例えば、日本輸出スカーフ等製造工業組合の示すところによりますと、輸出比率、すなわち全生産額のうち輸出に向けられるものは約八〇%であります。そして、昨年の輸出額は二百二十億でありました。  さて、五カ国蔵相会議開催前の九月十二日の為替レートは一ドル二百四十四円でありましたが、二カ月後の十一月十四日には四十円高い一ドル二百四円になっておりました。この業界の実情から、一円の相場変動で五千万円の為替差損が出ると言われております。この四十倍は二十億円になります。これはどこまでも推定したものでありますが、全国でわずか約五十数社であります。この五十数社で二十億円の差損ということはこれらの企業にとっては極めて重大なことであるわけであります。  また、先ほどお話が出ましたが、円高傾向が続いていけば輸出が停滞ぎみになるのはこれは当然でありますが、その実績は二、三カ月後にならなければ統計には出てこないと言われております。しかし、最近、輸出関連中小企業の間から、今まであった引き合いがほとんどなくなった、実際には深刻な実情にあるという話を聞かされるのであります。  今申し上げましたようなことはほんの一例でありますが、このように円高傾向が進むに伴い、これら輸出関連中小企業は、差損にしろ輸出の減退にしろ、苦悩はだんだん深まってくるわけであります。  政府は、国際的には貿易インバランスの解消に努め、対外的な信義を貫かなければならないわけであります。他方、国内的には、これによって派生する中小企業の今申し上げましたような苦悩を和らげるための努力をしなければなりません。この対策は極めて重要であると考えますが、通産大臣の御見解を、あるいはお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  94. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 円高によって貿易のインバランスが解消する方向に向かうであろう、あるいはその他非常に好ましい現象が起こるであろうという期待感と同時に、一方では、今杉元委員が御指摘になったように、輸出に非常に頼っている企業について、中小企業が特に大変な苦悩を味わいつつあるのではないか。これは事実、九月二十二日のG5以来相当急激な形で円高が進行いたしておりますために、なかなかもって憂慮する事態が一部には起こっているわけでございます。通産省では、中小企業庁を中心にそういった円高によって被害を受けておる産地等についての実態調査もいたしまして、これから年末にかけて中小企業が非常にそのためにショックを受けるようであれば、これについての適切な金融措置その他の対策を立てなければならないというようなことで、来年度の予算要求を含めて諸般の措置を道かておるところでございます。  なお、詳細につきましては、木下中小企業庁長官がおりますから、中小企業庁長官の方から答えてもらいます。
  95. 木下博生

    政府委員(木下博生君) ちょっと補足させていただきますと、今御指摘のように、輸出関連中小企業者は非常に困っておりますし、スカーフの業界を初めといたしまして輸出に非常に大きな依存度を持っておる産地では、新規契約がなかなかできにくい、とまっているというようなことで、金融措置等を要求しております。したがいまして、私どもとしては、十月に入りまして直ちに関係中小企業金融機関に対して通達を発して、できるだけそういう業者の方々には機動的に金融をするようにというようなことをやっておりますし、また、信用保証協会あるいは下請の関係は下請の関係の団体、親企業等に対しても通達を出して、その影響が中小企業に及ぶことのないように措置しようとしております。  ただ、現在やっております措置は、あくまでも現在の制度の内容のままでやっておるものでございまして、それだけで必ずしも十分かという点があると考えられますので、私どもとしては、特にこの年末に向かいまして、そういう経済摩擦の関連で影響を受ける中小企業者の方々に今以上の措置をやる必要があるかどうかという点を関係省とも相談しながら検討しているところでございます。
  96. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 日本における原子力発電の歴史は、昭和三十二年に日本原子力発電株式会社ができまして、三十六年に東海発電所の建設が始まりまして、四十一年に稼働を始め、二十年に及ぶわけでございますが、私は、この間、四十九年、五十四年、二度にわたる石油ショックを経験したわけでございまして、そういうことを考えますと、原子力の平和利用という問題に関して、先輩たちの炯眼と申しますか、先見性について敬意を心より表するものでございます。  そして、現在、原子力発電所が二十八基、二千五十六万キロワット、総発電量の一三・八%を占めるという状況になっておるわけでありまして、また、現在計画中のものも十八基、千七百九十三万キロワットあるということをお聞きしまして、これからの電力発電における原子力発電の重要性というものについて非常に強く感じておるわけでございます。特に、現在石油の需給が緩んでおりますけれども、長期的にはやはりタイトになるというお話も伺っておりまして、そういうことにおきましても非常に原子力発電の重要性を感じておるものでございます。  さて、その原子力発電の稼働以来の事故あるいは故障等につきましても、関係省各位の御努力によりまして、統計を見ましても四十一年から五十年度ぐらいまでは数的にも少なかったのでばらつきがございますが、五十一年からはずっと徐々に減ってきておる。参考までに申すなら、五十一年、一発電所当たり一・八、後、順次一・二、一・二、一・二、一・一、一・五、一・一、一・〇、〇・六、昨年度は一発電所当たりの事故あるいは故障の件数が〇・六というお話を伺っておりまして、これに対しても非常に敬意を表すると同時に、また大変すばらしいということを感じるわけでございます。  また、国民の中における原子力発電に関する考え方、これは大変な反対の声等も過去においてはあったわけでございまして、または現在もないとは言えないわけでございますが、国民の一般的な世論としては、原子力に対する考え方も大分この二十年間皆さんの努力で変わってきておるというふうにも考えるわけでございます。  そういうことで、昨年は〇・六、すなわち発生件数において十八件ということであったわけでございますが、もし今年度、六十年度において、十月まででも結構ですから、その数字がわかるなら教えていただきたいと思います。
  97. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) お答え申し上げます。  昭和六十年度の事故、故障につきましてでございますが、電気事業法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律がございますが、この二つの法律で報告されました事故、故障の件数は、現在、本日まで六十年度は十六件でございます。これは先生が先ほどから申し述べておられますように、昨年よりは若干多目かと思いますが、それまで五、六年の間やっておる件数に比べますと、ほぼ同程度の数字がというふうに思っております。したがいまして、まだ年度が終わりませんから、年度の途中なんでございますが、年度終了の時点で比べますと、大体一基当たり一件というくらいの数字になろうかと思います。
  98. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 この十六件のうち、東京電力関係、すなわち福島第一原子力、第二原子力関係の事故の件数はおわかりになりますでしょうか。
  99. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 福島第一発電所でございますが、一号の二件とそれから五号の一件、それから福島第二発電所に二号と三号それぞれ一件ずつ、こういうことになっております。
  100. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 簡単にでよろしいんですが、この内容についてお話しいただければありがたいと思います。  なお、私の方で調べた限りでは、一号機の事故については三件になっておるわけでございますが、八月の二十一日、八月の二十三日、それから八月の三十一日、第一原子力の方につきましては三件というふうな数字になっておりますが、これは私の間違いでございましょうか。
  101. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 第一発電所につきましては、法律に基づく報告は二件でございますが、そのほかに通達でとっておりますのは事故報告が一つございます。  これは中身はタービン建屋内の電気品室内のケーブルダクトの火災事故でございまして、これは放射線に直接関係しないといいますか、電気設備の火災でございますので、それで先ほどの統計の中には別になっております。確かに八月三十一日にそういう火災がありました。それは報告されておりますし、その関係のいろんな調査、原因究明その他対策がとられております。
  102. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 それじゃ内容については省略いたしますけれども、実は福島第一原子力の一号機に関しましては、今お話しのように、火災の件も含めますと三件、事故ないし故障が起きているわけでございます。これも非常に短期間に起きておるわけでございまして、短期間と申しますのは、八月の二十一日から三十一日の十日間に、通達に基づくものまで含めますと三件の事故が起きておるということでありまして、いわゆるその近在に住む住民にとっては非常に不安感を一時期、あるいは現在も持っておるわけでございますが、持ったわけでございます。  そういう意味で、これは、先ほども申しましたように、現在二十年に及ぶ経験、歴史があるわけでございますが、この原子力発電の耐用年数というものにつきまして、まあ税制上の法定耐用年数もあるでしょうけれども、法定耐用年数、あるいは、またこれは経験がなくてお答えになれないかもしれませんが、その辺の予想についてお話しいただければと思います。
  103. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 八月から起こりましたことにつきましては、確かに先生御指摘のとおりでございまして、八月に第一発電所につきまして八月二十一日と二十三日に主蒸気隔離弁というものの信号によりまして自動停止があった、これは計器の誤差といいますか、誤動作でございますが、この原因となりますのは、従業員が足場で圧力関係の計測パイプに振動を与えた、あるいは施工不良によりましてパイプの信号系のところの、異常信号が出るような結線になっておりまして、全く別の回路の蒸気を通す操作をしたときにその振動が伝わっていって誤動作して炉の停止に結びついたというようなものでございます。  したがいまして、こういうものはいろいろ原因究明してみますと、それぞれが関連性があるものではございませんで、火災もそうなんでございますが、それぞれ個別の事象がたまたま重なった、こういうことでございます。したがいまして、御心配のような耐用年数との関係では、私どもは基本的にはそういう問題ではないというふうに承知しておりますが、こういうふうなことがまたいろいろ御心配をかける、こういうこともありまして、十分な対策をとるように指導しているところでございます。  なお、先生の御質問の耐用年数でございますが、原子力発電所の一応寿命は、一般には三十年から四十年ということで、この第一発電所はまだしばらく運転することができるというふうに思っております。それで、稼動中の発電所につきましては相当丁寧に保守するということにしておりまして、毎年一回、約三カ月にわたりまして入念な定期検査を行っておりますので、運転の年数のいかんにかかわらず一定の水準を確保するということでやっておりますので、当面そういう耐用年数でもって保安が不安になる、安全の問題が出てくるということは考えておりません。十分な対策をするというふうに私どもは心がけております。
  104. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 耐用年数についてはまだまだ安心ということで、私も安心いたしました。  これはちょっと話が飛躍いたしますが、スリーマイル島の「恐怖の二時間十八分」という、ノンフィクションみたいなフィクションみたいな小説がございます。その小説を読みましたときにもちょっと出ておりまして、百万分の一以下の確率なら対応しないけれども百万分の一以上だったら対応、対策を考えるということで、飛行機事故に対する、原子炉に墜落するという可能性が百万分の一以上ということで、飛行機が墜落しても大丈夫の堅牢な建築物にしたという話がございます。しかし、それであっても事故があのスリーマイルにおいては起きたわけでございますが、これは、いかなるハード——建物あるいは機械を間違いないものにしても、人の心の緩みでそういう事故が起きるということだろうと思います。  そういう意味で、先ほど言いましたように、初めて日本で原子力発電が始まってから十九年、二十年になろうとしておりますし、我が福島県におきましては、四十一年からですから、二十年になろうとしております。そういう面での、人の心の面での緩みと申しますか、甘さというものが、今度の事故に関して、一カ月に三件という事故の中になかったのかどうか。これは非常に難しい質問がと思いますが、ひとつコメントをお願いできればと思います。
  105. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 原子力発電所の安全性の確保に当たりまして、人の運転、特に運転員の要素というのは大変重要であるということを認識しております。  ところで、今度の問題でございますが、今度の一連の問題につきましては、個別に原因究明いたしまして、対策は十分とりました。先ほど来から申し上げておりますように、共通した問題というのはないといいますか、共通してたるみがあったとかそういうことではないというふうに思います。  ただ一件、火災の問題につきまして、現地ではいろいろ火災の通報連絡体制が悪かったのではないか、こういうふうなことが県当局あるいは消防当局その他から指摘されているということを承知しております。私どもその点については今後とも連絡通報の重要性を十分認識してもらって、そこの辺のそごのないように、不備がないように十分体制を整えるようにというところで口頭指示をして、その対策を報告さしたところでございます。そういう意味では、その問題のところは改善されたというふうに思っております。
  106. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 今も御指摘ありましたように、この火災の問題ですね、これは原子力の直接の事故、故障と関係ない通達上の問題であるというお話でしたけれども、これが住民あるいは近隣市町村の一番の不安のもとになったわけでございますが、六時四十二分に火災が発生して、消防署に連絡が入ったのが八時六分ということでございまして、一般の家庭では考えられないような一時間二十分にわたる初期消火の時間があったということでございまして、これは大事に至らなかったからよかったようなものでありまして、私どもはそういう管理体制について、やはりもっとぴしっとした体制をとってもらいたいと思う次第でございます。  この件に関しては今の管理体制の中では特に問題ない、初期消火一時間二十分やっても、それから報告しても法的な問題とかそういうものはなかったのかどうかお尋ねしたいと思います。
  107. 逢坂国一

    政府委員(逢坂国一君) 八月三十一日の火災の件でございますが、場所はタービン建屋内の電気品室付近で発生いたしました。具体的にはケーブルの火災でございまして、電源関係のケーブル火災でございました。  この原因は、詳しく述べれば長くなりますけれども、雨水が漏れまして、そこでその雨水を原因とした電気関係の短絡事故ということでありまして、そこで熱を持ちまして火災を発生した、それでケーブルが燃えた、こういうものでございます。恐らくその最初の判断としては、電気のあれなので、いろんな泡消火器その他で消したというふうに報告されておりますけれども、その消し方の方に気を奪われてといいますか、初期消火の方で時間をとられて、消防の方に連絡するのが遅くなった、こういうことではないかと思います。  この問題につきましては、火災の連絡をどれだけ早くやるべきだったか、今から言うと若干遅いではないかという御指摘は確かにあると思いますが、一般の火災とは違いまして、被覆に囲まれた中でのいわばケーブルダクト内での火災でございますので、時間的に消防に連絡するのがどうでなくちゃいかぬ、こういうような規則上の問題はないんではないかと思います。ただ、一時間半たってから初めて連絡が行くというようなことは、いかにも遅いんではないかというふうに私どもも思っております。
  108. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、原子力発電の大切さについて十分認識しておるだけに、特に二十年たち、新しい経験のない世界のことでもありますので、十分管理体制等について御配慮願うことをお願いいたしまして質問を終わります。  以上でございます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 最初に、昨日通産省より発表されました六十年、六十一年度設備投資計画調査を見てみますと、この二、三年拡大を続けてきた設備投資が六十年度後半から鈍化いたしまして、特に製造業では六十一年度四・三%城となりまして、先行きに陰りを生じてきているこの動向が見受けられておりますけれども、これをどう受けとめていらっしゃるのか。また、この調査には円高による影響が含まれていないのでありまして、実績では計画を下回る公算が強いのではないかと思いますが、まずその点からお答えいただきたいと思います。
  110. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 昨日、九月一日付現在で実施いたしました設備投資調査の結果を産業構造審議会産業資金部会にお諮りをし、かつ発表いたしたわけでございます。通産省所管の民間企業を対象に行いました設備投資調査では、昭和六十年度設備投資計画額は全体で前年度比一〇・七%の増ということで、その時点で見ます限り二月に調査いたしましたときよりも若干上額修正に年度としてはなっておるわけでありますが、しかし上期と下期と分けて見ますと、前年同期比の伸び率が六十年度の上期は一三・二でございましたが、下期は八・四ということで、増勢が鈍化してまいりました。また、特に製造業を見ますと、前期比の伸び率で見て、五十九年度の下期が一二・四で高かったのでありますが、六十年度上期四・八、下期三・六ということで増勢が鈍化をしてまいりました。六十一年度計画まだ未確定の分野がございますが、これはむしろだんだんとさらに減少するおそれがあるということでございます。  昨日、産業資金部会で関係委員の方々の御意見も拝聴いたしましたが、まだこのときは円高になる状況が入ってはおりませんでしたので、あるいはまたこの数字がさらに下方に修正される可能性があるということの御指摘がございました。特に輸出に関連をいたします業種、輸送機械等がその可能性があるわけでございますが、とりわけ今まで設備投資を引っ張ってまいりました自動車等の設備投資が今後もこれ以上はふえないという傾向がございますので、製造業を見ます限り、今後設備投資を引っ張っていくというような業種は見当たらないような形になってまいりました。したがいまして、私どもとしても、もう一歩消費が非常に伸び上がってくるということであればまた別でございますけれども、従来輸出とともに内需、景気を引っ張ってまいりました設備投資が今申し上げましたような経緯でございますので、今後また円高の影響も出てくることでもございまして、内需の振興ということが一層必要になってくるものと考えております。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 また同じく、七月から九月期の鉱工業生産指数についても発表がなされましたが、これも輸出不振の影響を受けまして前期に比べまして〇・一%低下をしております、御存じのとおりでございますが。前年と比べますとまだ高水準にあるとはいえ、今後景気後退がはっきりしてくるのではないかと、ただいまの心配する御答弁もありましたけれども、見通しについてはいかがですか。
  112. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 鉱工業生産指数につきましては、必要があればまた別途担当の方から御説明さしていただきますが、景気全体でございますけれども、大きく全体で眺めてみますと、今、先ほど申しましたように今後の先行きに不安はございますが、これまでのところは設備投資はだんだんとふえてまいっておりまして、個人消費は四月−六月で〇・六%の増、七、八月平均して〇・四%増ということで緩やかな伸びを示しております。また住宅は四月−六月に四・三%増の後、七−九月期はこれが〇・七%の減ということで若干減少ぎみになっているわけでございます。したがいまして、景気は全体として緩やかながら拡大の基調を示してまいりました。  しかし、今後の見通しということになりますと、これはまだ今後の為替レートの見通し等先行き不透明な要因を残しておるわけでございますけれども、例えば製造業の業況判断、これはあるいは日銀の俗に言う短観、日銀の企業短期経済観測調査によりましても、製造業において業況がいいあるいは悪いという、いい悪いの差をとりました指数で見ましても、いいとするものがだんだん減少をしてまいっておるわけでございまして、このところそういった先行きの不透明感が出てきておるわけでございまして、今後の動向につきましては、私どもとしても十分注視していかなければならない状況に差しかかっておると考えております。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 ところで、同じ日にアメリカの商務省よりアメリカのGNP統計が発表になりましたけれども、これによりますと、ことしの第三・四半期、七月から九月でありますけれども、そのGNPを先月発表した速報値より一ポイント大幅に上方修正をしております、御存じのとおりだと思いますが。  これを短兵急に明るい材料とすることはできないかもしれませんけれども、このアメリカの景気の動きをどう見ているのか、我が国にとって明るい材料となり得るのかどうか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  114. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 昨日、アメリカの第三・四半期の米国の実質成長率が発表されまして、その先月発表されておりました速報値三・三%増ということに比べまして、ただいま御指摘のように一%ポイント上方修正されて四・三%ということになったわけでございます。これは内需が全体として五・四%ポイントの寄与度を示すということで内需が強かったということでございますが、その中を見てみますと、主として政府支出の増でございまして、これはその農産物の購入といったようなことが一時的に出てきたために上がったように私どもは見受けられます。  したがって、もちろんこの内需は依然として強いということが、ある意味ではあるという意味で、明るい材料であるということも言えるかもしれませんけれども、全体として見ますと、例えば設備投資についても九月ごろから少しずつ下方に伸びてきている、消費も少しずつ陰りが出てくるのではないかと懸念されるような指標も出てきておりますので、私どもとしてはこれはこの四・三に上方修正されましたのはむしろ一時的な要因ではないだろうかというふうに思っているわけでございまして、今のところこれが年率一%ポイント上がったから明るい材料だと即断することはできないと思っております。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 次に、来年度予算交渉が本格化する時期に当たりまして、通産省基本姿勢についてお伺いをしてまいりたいと思います。  中小企業税制の改善に関しましては、中小企業団体からしばしば要望が出ているのでよく御承知のことと思いますが、その中でも中小企業の承継税制については、中曽根総理みずからがこれを拡充するようにと大蔵省に検討を命じたと報道されたこともありまして、中小企業者の関心は並み並みならぬものがあるわけでございますが、まずこの報道の真実はどうであるか、確認をしたいと思うのでございます。  もし真実とするならば、当該監督官庁であります通産省としてもほっておける問題ではないと思いますし、大蔵省とは、予算の交渉の時期でもありますし、どのような話をしているのか、また早期の改善の見通しはどうなっておるのか、ここらあたりまず最初に伺いたいと存じます。
  116. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 十月三十日の新聞にそういう報道が出ております。たしかその前日であったかと思いますが、衆議院予算委員会での御質問に対して、中曽根総理から中小企業の承継税制問題について言及されたわけでございます。そのときに、その日に自民党の最高顧問会議の中でそういうことが話題になったというような形でお話しになっておりまして、私どもは大蔵省にその点確認いたしましたところ、特にその件に確定的に言及してお話があったわけじゃなくて、全体としての税の見直しの問題の一環として相続税の問題も検討しているので、その中に入っているというふうに確認しているというのが大蔵省の返事でございました。  それで、中小企業の承継税制の問題につきましては、御高承のとおり、五十八年度の税制改正におきまして、取引相場のない株式の評価方法の改善とそれから個人事業者の宅地の評価方法の改善等を行ったわけでございます。これに対しましては中小企業者の中で必ずしも十分ではないじゃないかという意見もございますし、最近また東京の都心におきましては地価が非常に上がっているというようなことがありまして、そういう相続のときに個人事業者が非常に大きな負担になるんじゃないかという声も上がっているのは事実でございます。  ただ、承継税制全般の問題につきましては、現在政府の中で税制の抜本見直しをやっておるわけでございますので、その一環として議論していただく課題ではあるんではないかというふうに私どもは考えておりますが、ただそのような問題指摘もございますので、中小企業庁としても、具体的な問題点等につきまして関係中小企業団体から意見を聴取するというようなことをやっている段階でございます。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 通産大臣いかがですか、予算の時期でもありますし、責任者として。
  118. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 承継税制問題につきましては、従来から田代委員御指摘になられた点であり、また取引相場のない株式の評価方法、それから個人事業者の宅地評価方法の改善など今までも行っておるところでございます。  この改正によって、地価が高騰いたしましたり、相続税負担が過大となっているケースについてかなりの効果がある、こういう期待をしておりますが、中小企業の場合、事業承継をいたします場合に、その税制につきましては、税制の抜本見直しに際して、その一環として議論していただく課題であると、このように考えておりまして、新年度を見越して党においても税調が動き出してまいりますし、政府においても税制調査会が活動してまいりますので、こういった時期に現在具体的な問題点等について関係中小企業団体からの意見を聴取してこれに対応したい、このように考えております。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 長官の今のお話と大臣の話とは大体同じでございますが、わかりました。  また、中小企業者にとりまして関心が最も高くてまたかつ要望の強いのが、御承知のとおりに減価償却制度の改善問題ではないかと思うのでございますが、技術革新によりまして設備、機器等の陳腐化が急速化していることから、この法定耐用年数の抜本的見直しというものが叫ばれておりますけれども、最近では印刷関係の短縮が実現されましたけれども、その他の業界でも要望が非常に強まってきております、これはもう御承知かと思いますが。  そういう状況でございますから、通産省としても本腰を入れて長期的展望のもとに推し進めていかなければならない問題ではないかと思うのでございますから、どのような構想を持っていらっしゃるのかお聞かせをいただきたいと思います。
  120. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 御指摘のように、機械装置に関しましては、昭和三十九年度に抜本的な見直しが行われて以来、部分的な手直しが行われてきたにすぎません。六十年度は、今先生お触れになられましたように、印刷設備、製本設備、写真製版用の設備といったようなものに若干の手直しが加えられたわけでございます。今御指摘になりましたように、技術革新は大変な速度で進んでいるわけでございまして、二十年以上このままになってまいりました償却制度の耐用年数の抜本的な見直しというのは、私どもとしても本当に御指摘のように腰を入れてやらなければならないと考えております。私どもでも現在、企業活力と税制に関する研究のための委員会を省内に設けまして、現在産業界の抱えております税制上の諸問題を聞いておりますが、その中でもこの耐用年数の問題というのは一つの大きな課題として取り上げられているわけでございます。  また、したがいまして、恐らく来年、政府税制調査会でも抜本的な税制改革ということが税制全般にわたって行われるわけでございますが、その際私どもとしても、産業界立場から今御指摘のような諸問題について、十分企業の活力を発揮できるような体制で、その税制の改正に我々の意見を反映させていくべく今後大いに努力してまいりたいと思っております。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 今予算の時期であるからということを前提に私は申しておりますから、村田通産大臣どうですか、大蔵省にどういう決意でこの問題取り組まれますか。
  122. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 税制問題全般にわたって非常に大事な問題であると考えております。したがって、今御指摘になりました耐用年数の問題でございますとか、あるいはメカトロ税制でございますとか、各般にわたって検討をいたしておりまして、真剣に要求をする決意でございます。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 同じく法人税の引き下げの問題、また現行税制の特別措置の延長ということも、中小企業の皆さんからいろいろ私たちも話をいたすときに要望されるわけでございます。その法人税の中で、所得に応ずる段階税率を導入して中小法人に対する税負担というものを軽減するなどの意見も一部にあります、これは御承知かと思いますけれども。  特にこの中小企業新技術体化投資促進税制の適用期限を延長してもらいたいということと、このエネルギー利用効率化促進税制の創設というものは、中小企業団体が一体となって望んでいることでございまして、今も予算の時期であるからということで大臣に一項目、一項目お尋ねしてまいりましたけれども、やはりこれも中小企業の皆さんにとりましては大事な要望でありますし、これに対してもいかがでございましょうか。お答えいただきたい。
  124. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 中小企業関係、毎年大蔵省にいろいろな税制の要求をしておるわけでございますが、来年度の税制改正の要求といたしましては、今先生から御指摘がありましたように、中小企業新技術体化投資促進税制の延長と拡充、それからエネルギー基盤高度化設備投資促進税制を初めといたしまして、中小企業事業転換対策臨時措置法が来年の十二月に期限切れとなりますので、それを延長することに伴いまして、その拡充措置として税制の新たな創設等、国税関係では十二項目、地方税関係では四項目の要求をいたしておりまして、現在大蔵省に説明する等の事務手続をどんどんやっておるところでございます。  そういうことの中で、メカトロ税制あるいはエネルギー効率化税制、それから転換税制というような税制は非常に重要な税制でございますので、私どもとしてはその実現のために大いに努力していきたいというふうに考えております。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、関連をいたしまして、私はねじ業界の振興問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  御承知のとおりに、このねじの業界というものはそのほとんどが中小企業であります。需要業界に対しまして、こういう言葉が当てはまるかどうかと思いますが、従属的なまた下請的な色彩が強い上に、市場が買い手市場というような現在の状況であることから、構造的に過当競争に陥りやすい業界ではないかと思います。これは通産省指導していらっしゃる立場でよく実態はおわかりではないかと思うのでございますが、そういう状態であるという一つの事実を知らなくちゃならない。それと同時にもう一方では、このねじ工業の技術というものは、その国一国の技術水準の基礎をなすものであると、こういうふうに見られる一面もございます。  我が国の機械工業の発展にこれは欠かすことのできない業界であることは間違いないわけでございまして、このようにねじ工業というものが求められている水準というものは高いにもかかわらず、その業界全体の体質の面ではまだまだ改善の余地というものが残されている点が多いのではないか。こういう矛盾を抱えた業界と言えるこの現状をどう認識していらっしゃるのか、この業界の今申し上げました体質改善及び技術水準を高めるためにどのように努力しておられるのか、まずここのあたりからお答えいただきたいと思います。
  126. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) ただいま先生から御指摘のございましたように、ねじは各種の機械類に共通に使用される重要な部品でございまして、いわば機械工業の基盤の一つと言える業界かと存じます。こういう観点から、通産省といたしましては、昭和三十一年に制定をいたしました機械工業振興臨時措置法以来、この業界の合理化、振興にいろいろと努力をしてまいりました。  ただ、先生も御指摘ございましたように、企業数が非常に多うございまして、私ども把握している限りにおきましても千二百社を超えるような企業数でございますし、全体の企業の中の九八%までが中小企業でございます。完成機械のメーカーはいずれも大企業でございますから、そういうところとの力関係から申しますと常に押されがちでございます。最近の情勢を見てみましても、昨年こそ生産金額におきまして一〇%台の伸びを達成いたしましたが、それ以前数年間にわたっては生産金額はほぼ横ばいでございます。生産量は多分ふえていると考えられますので、単価が下がっているということが生産金額の横ばいというようなことにもなっているんではないかと思います。  こういった問題につきまして、最近では私ども五十六年度中小企業近代化促進法の構造改善業種として指定をいたしまして、技術開発でございますとか共回生産、共同販売体制等、業界の構造改善に努力をしているところでございます。目標年度が六十一年度でございますのでほぼ半ばを過ぎた時期になってきているところでございますが、目標達成のためにこれからも努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 また、ねじ業界中小企業が非常に多いということは今御答弁にもあったとおりでございますが、この業界というものは、日本の宿命といえばそれまででございますが、中進国の追い上げというものに直面しているのも現実でございます。  技術水準の一層の高度化を進める一方で、この中小企業体質をどのように改善するかという二つの大きな問題を抱えているわけでございまして、中小企業の体質に関して言うならば、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に取り組んでいるわけでございますけれども、この進捗状況について、今もちょっとお話ありましたけれどももう一度お聞きしたいと思いますし、あわせて具体的に計画の目的、それと同時に、千二百社という今も御答弁がありました。その中にはアウトサイダー対策というものもこれは必要ではないかと思うわけでございまして、これらの問題に対してのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  128. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) ただいまも御答弁申し上げましたように、五十六年度から六十一年度までの期間にわたりまして構造改善をやっております。  構造改善の主たる目標でございますが、一つは品質性能の向上、そのための技術開発というようなことでございますが、技術開発の問題につきましては、全数自動検査装置の開発等、既にある程度の成果を得ているものもございます。それからまた生産なり経営規模の適正化の問題につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、集約化、共同化といったことを主たるねらいにいたしておりまして、既に共同出資会社につきましては九グループの共同出資会社ができているほか、組合ペースでも幾つかの組織が生まれておる状況でございます。  全体といたしますと、完全とは申しかねますけれども目標のラインに沿ったところで構造改善事業が進行しているのではないかと考えておりますが、最終年度も近くなっておりますので、これに向けて私どもなお一層バックアップをしてまいりたいと考えているわけでございます。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 今もちょっとお答えいただきましたけれども、ねじ業界の体質改善を考える上で一番ネックとなっているのがこの業界の組織化をどう進めるかという問題ではないか、今ちょっとお話ありましたけれども。まずこの業界の組織化の実態をもうちょっと詳しくお答えいただければと思います。  このねじ部品業界というのは今千二百社もあるという、そのうち約九八%が中小規模の企業であるというこの実態、そしてさきにも述べましたとおりに、下請的な体質から構造的に過当競争が行われやすいという状況にありまして、業界はこれに対抗するために、販売窓口の今もお話が出ておりました集約化だとか共回生産化、それから共同購入化、また共同輸送化など一連の共同化を進めたいという希望もあることは事実でございまして、このような事業を行うには、やはり何といいましても裏づけでありますところの資金が必要になってくるわけでございまして、やはり国として、監督官庁としてこのような要望に対処していかなくてはなりませんけれども、どのように対処していこうと考えていらっしゃるのかお答えをいただきたいと思います。
  130. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) まず最初に、ねじ業界の組織化の現状からお答えを申し上げたいと思います。  ねじ業界の全国組織といたしましては、社団法人日本ねじ工業協会というものが存在をいたしております。これは昭和三十五年に設立をされたものでございますが、現在この協会のメンバーになっております法人数が二百四十三社でございます。それから団体会員、これは品種別ないしは地域別の協同組合組織が中心でございますが、これが十五団体ございまして、この十五団体はそれぞれメンバーとして四百八十五社を抱えておるという状況でございます。先ほど申し上げましたように全体として千二百を超える企業があることから考えますと、既に業界の組織はあるとは申しますもののまだまだ不十分だと考えざるを得ませんので、こういった点から組織化の問題につきましては私どももなお一段と努力をしていく必要があろうかと考えております。  なお、先ほど先生からお尋ねのございました構造改善事業につきましては、約四百社弱の企業が参加をしておりますが、この構造改善事業につきましても参加企業の数もなお不十分かと思いますので、先ほど申し上げましたように目標年度も間近になってきておりますので、できましたら、さらにこれに対する参加企業の数等もふやしていきたいと考えているところでございます。  なお、構造改善事業を資金面からバックアップするための手だてでございますが、これも御案内のように、中小企業振興事業団、それから政府系の中小企業関係金融機関、それぞれ助成の措置を既に持っております。こういったものを既に御利用はいただいておりますが、今後ともこういう政策金融が活用されまして、資金面から問題がないように、私ども中小企業庁にもお願いをいたしまして後援をしていくつもりでございます。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 続いて企業の海外進出問題についてお伺いをいたしますけれども、我が国の海外投資は御承知のとおりに昭和四十八年の石油ショックとそれに伴う長期不況の影響を受けまして、昭和五十二年まで停滞状況が続いておりましたけれども、その後の景気回復とともに海外投資も息を吹き返した状態ではないかと思います。  その要因として考えられるのは、御承知のとおりに、まず第一に収益に改善が見られ、投資余力が生じたという点もあるでしょうし、また資源の安定確保、また貿易摩擦回避など長期的観点から海外投資の重要性が再認識されてそのようになったということも言えるでしょうし、また海外投資のノーハウ蓄積など、自信をつけたことなど指摘することができるのじゃないかと思いますけれども、まず最近の投資動向につきまして、業種別また地域別にどのような特徴があるのか、また中小企業と大企業の動向に違った点があるのか、さらに今後の海外進出のあるべき姿について通産省としてどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  132. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 最近五年間の我が国企業の海外直接投資の動向を見てみますと、大蔵省の統計によりまして、昭和五十四年度末累計が三百十八億ドルでございましたが、五十九年度末でこれが七百十四億ドルとなっておりまして、この五十四年度から五十九年度までの間に二・三倍ということで、御指摘のように最近数年間第二次ブームと言われるくらい海外投資というのは今着実な伸びを示しておるわけでございます。  従来発展途上国向けの投資ということになりますと、例えば今お話しありましたように原材料の確保を図る、あるいは低廉な賃金をねらった動機といったものがございますが、最近では、むしろ発展途上国も、アメリカ等に比べますれば発展途上国向けの投資も多いのでございますけれども、最近ではアメリカあるいはヨーロッパといった先進国向けの投資がふえるように相なってきております。  また業種別では、従来資源確保あるいは販路拡張といったような投資が多うございましたが、最近では特にアメリカあるいはヨーロッパといった先進国向けの投資におきまして、テクノロジーを背景にいたしましたいわゆる高度組み立て型の産業の投資がふえるように相なってきております。  もとより、海外直接投資と申しますのは、その国の雇用の拡大あるいは経済の活性化になるわけであります。発展途上国につきましては、その経済発展を促すという効果があるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、海外投資、これを現地との調和ということを考慮しながらこういった海外投資というものを、民間の海外直接投資を支援する、円滑化するような措置をとるということで、税制あるいは金融といった措置を講じますと同時に、また情報収集、情報提供といったようなものを、例えばジェトロの機能を活用するというようなことでやっておるわけでございます。  私どもとしても、今まで商品貿易で貿易摩擦というような問題がございますけれども、投資が現地の社会とうまく融和して投資摩擦を起こさないように、その円滑化を図っていく必要があると考えております。
  133. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 中小企業の投資についての御質問が最後にございましたので、ちょっと補足させていただきますと、中小企業の投資も最近漸増傾向にあるわけでございまして、昭和五十九年の数字で見ますと、全投資の中に占める割合が金額で一六%、件数で三九%ということになっております。  それで、業種的に見ますと、機械関係が多うございまして、中小企業の場合には約四三%が機械関係の業種だという形になっておりまして、従来よりも比率が高くなっております。  また、地域的に見ますと、アジア地域が、五十九年の場合、中小企業の投資では五五%ということになっておりますが、五十年代の初めのころは六〇%とか七〇%という数字がございましたけれども、それに比べるとアジア地域の比率が相対的に落ちているということでございます。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 中小企業の国際化政策について少しばかりお尋ねをしたいと思いますけれども、「八〇年代中小企業ビジョン」におきましては、「八〇年代中小企業をめぐる基本的環境要因」の真っ先に「国際化の一層の進展」を挙げて、中小企業にとって国際化の意味は大きいということが言えるのではないかと思うのでございますが、しかしながら実情は、ねじの業界の例に見てみますれば、親企業の海外進出に伴いまして、下請企業も海外進出を要請されるというような負担を強いられるようなケースもあるようでありますけれども、そこでまず中小企業海外進出の実情を、ただいま長官からもお話がございましたけれども、下請企業のあり方、指導方針についてはどのようにお考えであるのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  135. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 大企業の海外に工場進出するケースというのは非常にふえておりまして、それに伴いまして関連下請企業の進出が見られる例もあるようでございます。  ただ、私どもが承知しておりますところでは、今まで大企業が進出する際、関連企業として進出することを求められたというケースは、そういう関連企業の中でも非常に規模の大きな大企業でございまして、またいわゆる純粋の中小企業分野まで同時に進出するようにという要請を受けたケースは余り聞いておりません。ただ、今後はその可能性があろうかと思います。  その場合に、大企業が進出するので下請の中小企業に対して進出を強く要請する、あるいは強要するというような形になるということは必ずしも好ましくないというようなこともございますので、そういう点は公正取引委員会等とも十分連絡をとりながら親企業を指導していくということにしていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、中小企業の海外への進出というのは今後ふえてくる可能性もありますし、またふやしていかなくてはいけないという面もございますので、どういう形で海外進出を進めていった方がいいのかという点について、中小企業近代化審議会総合部会の中に新たに国際化小委員会を設けまして、本年十月から審議をお願いしているという段階でございます。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまも御答弁がありましたけれども、中小企業海外進出には、大企業に比べましてまず第一番目に情報量、それから経験、資金という、こういう大きな障害が中小企業にはあるのではないかと思うわけでございまして、これらに対して、今も申されましたけれども、行政としてやはり適切な円滑化対策を推進することが望まれますけれども、これ、長官もちょっと御答弁いただいたんですが、大臣、いかがでございましょうか、この点。
  137. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 中小企業海外進出に当たりまして、大企業に比べて、委員御指摘のように、情報力でございますとかあるいは人材、資金力等において劣っているのは事実でございます。  このために、通産省といたしましては、中小企業海外進出の円滑化を図りますために、中小企業事業団の海外投資アドバイザー事業、あるいは各種情報誌の作成などによりまして、進出先の投資環境であるとかあるいは税務関係、労務関係など各般の情報提供に努めますとともに、現地会社で管理者となる者を対象にした中小企業管理者研修、これは中小企業大学校で実施をいたしておりますが、こういった研修による人材養成、また政府系金融機関による中小企業海外投資金融の実施など、きめの細かい施策を講じておるところでございまして、今後とも中小企業の海外投資のために施策の充実を図っていく所存でございます。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま村田通産大臣の方から、現在、海外投資アドバイザー制度も実施しているという御答弁がございましたが、この制度の概要及びこれらの実績がどうなっているのか、もうちょっと詳しくお答えいただきたい。これでは私、まだ十分ではないじゃないかと。これは私の個人的な考えでございますけれども、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  139. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 海外投資アドバイサー制度は、昭和五十六年度に発足した制度でございまして、現実に海外に進出しまして工場をつくり、運営した経験のある企業、これは大企業の場合も非常に多いかと思いますが、そういう経験のある企業の職員の方々などをアドバイザーとして中小企業事業団に登録いたしまして、それで、海外進出を予定しております中小企業者の申し込みに応じて適切なアドバイスを与えるようにするというような制度でございます。現在、本制度のもとで約四百人の方のアドバイザーが登録されておりまして、欧米、アジアへの海外投資案件を中心に、毎年七、八十件程度の中小企業者の方々からの申し込みに応じたアドバイスを行っておりまして、私どもとしてはこの制度は十分な実績を上げておるというふうに考えております。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 今、十分に働いている——現時点においてはそうですけれども、まだ充実していく必要はあるのではないかと思います。例えば商社のOBの人であるとか、そういう人たちに対してもお願いする等でこれは充実していくべきではないかと思いますけれども、その点とうでございますか。これでよしといたしますか。
  141. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 現在登録している企業はメーカー関係が多いかと思いますが、商社の方々で現実に海外でいろいろそういう工場をつくったりなんかした経験のある方も多いかと思いますので、そういう方々にもお願いして、今先生御指摘のありますように、中小企業者の方々が、出てみたら失敗をしたというようなことにならないように、十分事前にアドバイスを与えるという制度を充実させるように今後も努力いたしたいと思っております。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 次に、ジェトロでは、御承知のとおりに各国への進出に役立つような情報の収集をして、現在活躍をしていらっしゃいます。我々も海外に参りましたときに、それをこの目で見てきておるわけでございますけれども、この中小企業海外進出を支援する上でのジェトロとの連携というものはどうなっているのか、ここらあたりいかがですか。
  143. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 従来ジェトロは貿易振興を中心に、特に輸出の振興を中心に仕事をやっておりました時代もありましたが、そのときから中小企業者の人たちのお手伝いをするという点が非常に強い形での運営が行われておったわけでございます。したがいまして、最近のように輸入促進あるいは海外投資の促進に関する事業をジェトロで行っていく場合にも、当然そういう情報を必ずしも十分に持っていない中小企業者の人たちに対する情報提供というのも非常に重要な任務としてやっていくものと考えております。  それで、中小企業の場合には中小企業事業団におきまして各種の海外投資に関する情報提供を行っておるわけでございますが、その情報提供を行います場合には、当然のことでございますが、ジェトロで得ました情報を中小企業事業団の方に提供してもらいまして、それを中小企業向けに加工し、それから中小企業とのルートを中小企業事業団が持っておりますので、そういう形で中小企業向けに投資環境、法律制度等の情報を含めて各般の情報提供をするような仕組みをやっておりますが、今後もこういう制度の充実に努力していきたいと考えております。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 これは将来の問題になるかと思いますけれども、中小企業海外進出に伴いまして、短期的な見方でなくして、将来的に国内産業の空洞化という問題が起こらないかという心配をする一面もあるわけでございます。やはりこの点も考慮していかなければならない問題点の一つではないかと思いますが、これに対する対応はどのようにお考えでしょうか。
  145. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 先ほどから申し上げますように、中小企業の海外への進出というのは、近年件数も金額も増加しております。ただ、そのようなことが進んでいく場合に、果たして日本の国内において中小企業の活動がそれだけ減っていくんではないかというような懸念があるのは事実でございます。  現実に私ども地方を回りますと、地方においてはもっと企業が来てほしいというようなことを希望するところが非常に多いわけでございますが、そういうところに企業が行くかわりに、企業が外国に出ていく。外国に出ていくものも、経営条件が外国の方が有利だから出ていくというより、場合によっては輸入制限というような問題を回避するために生産条件がよくなくても出ていかざるを得ないというようなケースが出てきておるわけでございまして、そういうことの結果、今先生御指摘のように、国内における空洞化というようなことが起こるということは、国内経済全体の安定的、均衡的発展を図るために必ずしも好ましくないというようなこともあろうかと思います。具体的にその空洞化がどういうふうに生じているかということは、必ずしも数字がございませんので、何とも今の段階で申し上げられるわけではございませんが、将来のそのような懸念を払拭するためにも、今後国内においては創造的であり、より高度な技術開発に努めまして、新製品の開発、新規事業への展開というようなことで国内での生産活動、活力の維持をしていくこともまた重要かというふうに考えております。
  146. 田代富士男

    田代富士男君 この海外進出についてよく言われることは、また今も御答弁の中にもありましたけれども、現地社会との調和ある海外投資が必要であるという点ではないかと私は思うのでございます。  特に日本人はとかく海外に出ますと日本人だけの閉鎖社会を形成しがちな面がございます。これは島国の生い立ちという面もあるかわかりませんが、そういう面も我々海外で見てきております。海外の友人からもこういう面をよく聞くのでございます。  こういうことは、海外進出しましても、かえって我が国の経済の国際化という点から見ますとマイナスな面があるんじゃないかと、こう考えるわけなんですが、これは中小企業の国際化にとっても避けられない、こういう問題ではなかろうかと心配しているところでございますけれども、これらを含めまして、国際化についてどのような見解を持っていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
  147. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 中小企業海外進出、そして国際化、そしてまたそのために日本国内に空洞化が生じないか、非常に重要な御指摘だと思います。  中小企業が現地社会と調和をしながら海外進出を円滑に行っていく、これは大事なことでございまして、従来から進出先の投資環境だとか、あるいは労務関係、現地の方々の採用などについての情報提供を行うなど、きめの細かな施策を実施してきたところでありまして、私も海外によく参りますので、そのときに日本企業の進出に伴うそういった問題をあるいは視察をしたり、現地との協力方式などもいろいろ勉強してきておるところでございます。日本経済全体の国際化に伴って中小企業の国際化も引き続き進展していくものと考えられます。今後とも中小企業国際化対策の充実を図ってまいる所存でございます。  また、先ほど田代委員が御指摘になりました空洞化の問題でございますが、今よくアメリカの国内で空洞化が起こりつつあるという指摘を経済の専門家等がするのでございますが、私は今の段階日本の国内の空洞化というのは、施策を充実をし、技術開発に努め、情報化を推進していくという努力を怠らなければ、そういった田代委員御指摘の危惧に対して、できるだけ万全の対策をとっていくことができるのではないか、このように考えておるところでございます。
  148. 田代富士男

    田代富士男君 御承知のとおり、最近急激に円高が進んでおりまして、輸出関連企業が苦しんでおります。そういう立場から中小企業庁は先ごろ円高の輸出型産地中小企業への影響を調査してまとめられたようでございますけれども、その結果は、もし結果が出ていたならば概要を御説明いただきたいと思います。  また、今後の影響はどのように推移していくと予想されるのか。巷間いろいろ二百十円とか二百円とかいう、一つの山であるという見方もありますけれども、今後どのような対策を講じようとしていらっしゃるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  149. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 九月の末に急激に円高動きが生じて以来、特に輸出向けの商品をつくっております産地において、いろいろと影響が出始めているというような声を聞きましたので、私どもといたしましては、各通産局あるいは都道府県を通じまして産地の状況を調べたわけでございます。  その結果を先週発表いたしたわけでございますが、その内容は、約四十産地につきまして調べたものでございまして、具体的に言えますことは、一つは既契約があるものがございまして、既契約がある間においては一応各企業とも操業を続けることができるという状況はございますけれども、ただ契約自身を改定してほしいというような動きもありますし、あるいは円建て契約でせっかくなっておりながら、円建て契約の中身をまた変えてほしいというようなバイヤーからの注文を受けたというようなケースも出てきておるわけでございます。  ただ問題は、既契約よりもむしろ新規の契約でございまして、新規の契約については、円高がどのように今後推移するかは非常に難しいというようなことがあって、模様眺め的に契約がなかなか進まないというケースもありますし、また輸出採算レートを一応二百二十円から二百三十円ぐらいに置いている産地が多うございますので、そういう産地につきましては、今のように二百二円とか三円とか四円とかというような状況になりますと採算がとれないので、なかなか新しい契約ができにくいというような状況になっておるわけでございます。  したがいまして、そのような産地につきましては、当然のことでございますが、現在の契約が切れるころには、新たな契約を得られない限り金融上の問題等も出てまいりますので、金融上の助成措置をしてほしいというような非常に強い声を出しておる産地もたくさん出てきております。したがいまして、私どもとしては、金融面で遺漏のないよう中小企業三機関に対して金融面の助成措置、機動的な運営をやるようにというような通牒を出しておりますし、また、信用保証協会に対しましても、そういう円高によって影響を受けた企業に対する信用保証は早く機動的にやるようにというような通牒も出しております。  ただ、現在の制度のもとにおけるそういう金融措置だけで十分かどうかという点もございますので、昭和五十二年、五十三年に円高が起こったときにいろいろと政府としても措置を講じたことがございますので、そういう経験等も踏まえながら、現在、特に金融面について特別の措置が必要かどうかを少し検討している段階でございます。
  150. 田代富士男

    田代富士男君 直接円高に起因するわけではありませんけれども、ねじ業界の問題といたしまして、メーカーが輸出向けのねじ部品の製造のために購入をしております素材の価格が割高であるために、価格面で競争力を失いつつある、そういう面が見られておりますけれども、そこで、この問題を解決する一つといたしまして、輸入ねじ素材の関税を撤廃することが一つの手段ではないかと、このように考えているわけでございます。また、海外におけるねじ部品の共同供給センターというようなものの設置も考えられるのではないかと思います。  今後我が国の工業基盤を支えるねじ業界の発展、育成、特に下で支えている一番日の当たらない業界でありますし、このためにどのように臨んでいくのか、この問題の最後の質問として大臣にお答えをいただきたいと思います。
  151. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) とりあえず私の方から技術的細目にわたりまして御答弁を申し上げます。  ねじ素材につきましての関税撤廃につきましては、かねてねじ業界から強い要望として承っておるところでございます。  ただ、先生御案内のように、このねじ用の鉄線と申しますのは、伸線業者が高炉メーカー等から供給を受けました素材を加工をするということでございまして、この伸線業者、これもねじ業界と同じように大多数が中小業者でございまして、現在のところ、一挙に関税を撤廃するといいますと、こういう業界に対して与える打撃も大きくなるということでございまして、両者の要望をそれぞれ若干ずつ入れるというような形になったわけでございますが、御案内のアクションプログラムの一環といたしまして二〇%の関税の引き下げをやることにいたしておりまして、現在、びょうら用鉄線の関税率四・九%でございますが、これにつきましては二〇%の引き下げが実現いたしますと三・九%でございますから、わずかですが値下がりをするということになっております。素材の安定供給、安価な供給というのは望ましいことでございますので、さらに今後どこまでできるかという問題については十分検討してまいりたいと思いますが、当面以上のような措置をとることを考えております。  それから、ねじ部品の共同供給センターにつきましては、業界の一部で熱心に御検討を進めていただいているということも承っておりますし、構想それ自身としてはかなりおもしろい構想ではないかと思いまして、業界の構想が固まりましたところで、いろいろ私どもといたしましてもお話を承りまして、応援できる面については積極的にこれを応援してまいりたい、かように考えております。
  152. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) ねじ業界について先ほど来田代委員から御質問のありました点につきましては、今杉山局長からお答えしたとおりでございますが、アクションプログラムの実施を含め、ねじ業界の将来についていろいろと指導をしてまいりたいと思っております。
  153. 田代富士男

    田代富士男君 次に、航空機工業の育成について質問をしたいと思います。  八月の日航ジャンボ機の墜落事故はいまだに記憶に生々しく、遺族の方々には衷心よりお悔やみ申し上げる次第でありますが、その問題がまださめやらぬこのときに、またもやうっかりミスと申しますか、日航機が航路をはみ出すというようなことが起きまして、日航に対する批判が続出していることが現在のところじゃないかと思います。しかし、問題は日航にあるだけではなくして、二重三重に安全対策を施したはずのこのジャンボ機が落ちたということ自体にもっと目を向けなくてはならないのではないかと思うのでございます。  まあ運輸委員会ではございませんが、航空機工業の育成という点からの質問でございますから、受け取り方の間違いのないように前もってお話ししておきますけれども、そういう意味におきまして、航空機工業の育成に当たってどのような基本理念を持っていらっしゃるのか。これも監督指導する立場であります通産省の任務でありますから、いかがでございましょう。
  154. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 航空機工業、この問題、非常に私は強い関心を従来から持っておるのでございますが、自動車工業の国際的な大発展に比べて航空機工業が非常におくれておるというのが日本の現状だと思います。その際に、日航機の例を挙げて今御指摘になりましたが、航空機の開発に際しまして安全性というのはもちろん一番基本的な問題でございまして、これを欠いておったらもう全く話にならないわけであります。したがって、安全性に万全を期して航空機の開発を行うことはもちろんでありますが、さらにその上に経済性が極限まで追求されますために、同一種類の技術でも他の製品で使用される場合に比べて格段の正確性、信頼性が要求をされると思います。  こうした観点から、航空機産業については種々の先端技術を牽引し、ハイテク産業基盤を強化するためのリーディングインダストリーとなり得ると、こういうふうに考えておるのでございまして、航空機工業の発展そしてまた安全性については、十分今後熱心に対応してまいらなければならない、このように考えております。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 先日、航空機・機械工業審議会から「航空機工業の当面する基本問題と政府助成の在り方について」という中間報告がなされました。これは御承知のとおりだと思いますが、この中間報告の言わんとしていることは理解できるわけでございますけれども、この中には一番肝心かなめの安全性の確保に関する項目というものが全くありません。この安全性という言葉がわずか二カ所で、「安全性に万全を期した上」でと、ごく当たり前のことしか述べられていない。この安全性の観点からこの答申をどう把握していらっしゃるのか、ここらをお尋ねしたいと思いますし、また今後の答申に安全性の観点が反映されてしかるべきと考えますけれども、この点はどうでございましょうか。
  156. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 航空機開発に当たりまして安全性が何よりも重要だということにつきましては、ただいま大臣から御答弁を申し上げたようなところでございます。  先生御指摘の審議会の答申と申しますのは、現在、今私どもが開発に着手をいたしておりますV二五〇〇と申します旅客機用のエンジン及びYXXと申します旅客機の開発につきまして、これまで補助金の交付を中心としてやってまいりましたが、厳しい財政事情のもとで予算の要求もシーリングもございまして、これから資金需要が高まる時期におきまして予算要求がなかなか困難になってまいりましたので、そういった助成策を中心といたしまして、当面解決しなければならないという問題についての御議論をお願いをしたためでございまして、冒頭申し上げましたように、航空機の開発に当たりましての安全性の追求というのは、これはもう大前提でございます。  これについては、特に今強調するということを審議会の中では問題にならなかったわけでございますが、当然の大前提として我々これを受けてやっていくつもりでございますので、審議会の答申には直接は触れておりませんけれども、繰り返すようになりますが、特に大きな前提であるということで、肝に銘じてこれからやっていくつもりでございます。
  157. 田代富士男

    田代富士男君 中間報告にはただいまお答えいただきましたYXX計画、またV二五〇〇計画、こういう席で、大体百五十席クラスの航空機の開発について述べられておりますけれども、もっと小型の航空機の生産についてはほとんど述べられていない、この中間報告の中には。  聞くところによりますと、三菱のMU300やあるいは富士重工のFA200などは実質生産が中止されているようでありますが、御承知のとおりに、国土の狭い我が国では国内の需要がほとんどないことなどの理由があるとは思いますけれども、まあそれにしても、どうしてこのように我が国の小型機が後退を余儀なくされたのか、政府として我が国航空機工業の中でこのような小型機をどのように位置づけて政策を行っていくつもりか、ここらあたり、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  158. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 小型機の開発問題でございますが、これにつきましても、先ほど先生御指摘の答申は、御答弁の中でも申し上げましたように、当面の問題についての対応ということで触れていないわけでございますが、この審議会は今後も活動を続けることが予定されておりますので、あるいはその中で今後の小型機の開発についての御意見をちょうだいするという事態もあり得るかと思います。  それから、今までの開発の実績について先生から御指摘がございました。これまでやってまいりました日本での小型機の開発と申しますものにつきましては、まず最初に政府がやりましたYS11の開発計画も百八十機程度の生産でピリオドを打たざるを得ないことになったわけでございます。それから今お話のございました三菱のMU300につきましても六十機程度でございまして、新聞紙上の伝えるところによりますと、その製造権を譲渡するとかということもうわさされているわけでございまして、必ずしも日本における小型機の開発というのは成功をしたとはなかなか言いにくい状態にあろうかと思いますが、また一方、三菱が開発いたしましたMU2につきましては、これまで六百五十機程度の販売実績も上げておりますので、これなどは相当販売機数を上げた部類に入るのではないかと思います。  この理由につきましてはいろいろございますけれども、やはりマーケットリサーチの問題、さらにはYS11の場合につきましては最初に手がけた飛行機ということがございますので、これの販売について若干不十分なところがあったんではないか。今になりますといろいろ反省させられるところも多いわけでございますが、やはり小型機の開発につきましても、今後の航空機関係の技術開発という観点からはおろそかにできないところでございますので、民間におきまして新しい開発構想があります場合には、そういったマーケットリサーチなり販売面の問題なりにつきまして過去の経験を十分に踏まえて慎重に御判断をいただき、やっていただくようにする必要があるのではないかと思いますし、また、それに対しましての政府としていろいろ御相談がありました場合には十分御相談に乗りまして、万全を期してまいりたい、かように考えております。
  159. 田代富士男

    田代富士男君 これは御承知のとおりに、報道されましたが、日中で小型航空機の開発に当たるという、これは通産省の事務次官が訪中されて決められたことだと思いますけれども、具体的にいかなる計画であるのか、航空機開発政策の中でどのような位置づけを持ってなされるのかお答えいただきたいと思います。
  160. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 新聞に報道されました日中共同の小型機の開発でございますが、これにつきましてはことしの八月に航空機関係業界の代表団が訪中をいたしました際に、中国側から非公式に提示をされたというふうに承知をいたしております。  中国では第七次の五カ年計画が始まりまして、その中での航空輸送力の増強という観点から、小型航空機、三、四十席のもののようでございますが、そういったものを中国で生産するようにしたいという計画があるようでございました。これに対して日本の航空機業界がYS11の生産計画がありますので協力を求めてきたという背景のようでございます。  これにつきましては、業界におきまして委員会を設けまして、提案を受け入れて、フィージビリティースタディーからこれに着手するかどうかということを現在検討中というふうに承知をいたしておりまして、業界内の意見がまとまりました場合には、来年早々にも人を出しまして中国側と話し合いを始める、こういうふうな状況にあると承知いたしております。
  161. 田代富士男

    田代富士男君 わかりました。  この中間報告では、航空機の国際共同開発がメーンテーマとして述べられておりますけれども、この国際共同開発の形態としてどのようなものを考えておられるのか。聞くところによりますと、エンジンの開発につきましては、インターナショナル・エアロ・エンジンズ社という国際会社を設立して行うということでございますけれども、それであるならば機体の方の開発についてはどのようになっているのかお答えいただきたいと思います。
  162. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 御指摘のように、現在私どもジェットエンジン、V二五〇〇及び航空機YXXの国際共同開発を進めているところでございます。  このうち、エンジンの国際共同開発の方が進んでおりまして、今先生御指摘のございましたような国際的なジョイントベンチャーをつくりまして、五カ国がこの生産を共同して行うということになっております。  YXXの方はまだエンジンよりはちょっと開発のステージがおくれておりまして、ボーイングをパートナーとして考えておるわけでございますけれども、基本的な開発についての覚書は交わしておりますが、いつの時点から本格開発に着手するかというあたりにつきましては、今ボーイングと接触中でございます。本格開発に着手するということになりますと、あるいはエンジンの場合と同じような国際的な組織もつくっていかざるを得ない場面もあろうかと思いますけれども、まだちょっと開発の段階はおくれておりますので、その辺につきましては具体的な計画が固まっていない、こういう状況にございます。
  163. 田代富士男

    田代富士男君 このYX計画では、日本は機体の胴体部分の製造、こういうようなことになっておりまして、我々は航空機のことは素人でございますけれども、素人目から見ると航空機の中枢部分ではないのではなかろうか。そういうことになりますと、他の産業への波及効果というものも少ないのではないかと思われるわけでございます。  その部分を担当しているという見方をしているわけなんですが、このYXX計画では我が国はボーイング社等と対等にリスク及び収益も分かち合う、そういうようなパートナーとして参加するとのことでございますけれども、例えば我が国にとりまして得意なエレクトロニクス関係などの部分も担当することになるのか、またYX計画と比べてどの点がYXX計画は違うのか、また販売やメンテナンスなどはどのように変わっていくと考えていらっしゃるのか、ここらあたりお答えいただきたいと思います。
  164. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) 御指摘のございましたYX計画は、ボーイング767ということで結実をしたわけでございます。これはボーイング社とイタリアのアリタリア社及び我が国の航空機業界の三国の共同開発でありまして、その際我が国の分担部分は胴体部分を主として受け持つということになったわけでございます。  先生の御指摘は、胴体部分というのは機体の他の部分に比べて技術的に比較的簡単な部分ではないか、そういうところを分担してどれだけの意味があるのか、こういう御指摘かと存じますが、航空機全体としては申し上げるまでもございませんで、技術先端的なところでございますが、確かにおっしゃるように、胴体部分につきましては他の部分より技術的には比較的容易な部分ということが言えるようではございますけれども、それにいたしましてもこの胴体部分につきましては新しい複合材料を大幅に採用いたしますとか、新しい加工技術を採用し、また設計方法としても、コンピューターを利用いたしました設計方法を採用するとか、技術的に相当波及効果のある部分を含んでおりまして、我々これに参加しましたことにつきまして、それなりの成果はあったものと考えているわけでございます。  今後YXX計画を具体的に詰めていくわけでございますが、これは今後のボーイング社との交渉の過程によって決まってくることでございますので、今の段階で確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんが、我が国の業界といたしましては、このYX計画の経験を積みまして技術的にもかなり自信ができ、また海外からの信頼も高まったというような状況にございますので、できれば従来とは違った、もう少し技術的に高度な部分の分担もしたいということのようでございまして、日本側の内々の希望といたしましては、主翼なり尾翼なりといった部分を担当をしたいという気持ちが強いようでございますが、いずれにいたしましても、これは今後先方との具体的な詰めの段階で決まってくる話でございますが、我々もできるだけ民間業界の希望している分野の分担ができるように側面的にこれを応援をしてまいりたい、かように考えております。
  165. 田代富士男

    田代富士男君 時間が参りましたものですから、まとめてちょっと失礼ですけどお尋ねいたしますから、まとめてお答えいただきたいと思います。  航空機の開発は、リスクも高く、関連する分野も広く、波及効果も大きいわけでございます。そういうわけで、当然資金需要も莫大であります。そこで、助成をどう施すかということが重大な問題になってまいりまして、通産省はそのために基金の創設などを考えていらっしゃるようでございますけれども、航空機開発の助成策をいかに考えていらっしゃるのか、これがまず第一点でございます。  これと同時に、心配な点ですが、助成について問題になるのが諸外国からの批判であります。国を挙げて開発をするというゴーサインが出て、それだけのお金がついて、そして日本の優秀な民間企業が情熱を持って取り組むならば、我が国がおくれていると言われている業界でございますけれども、この航空機の開発分野でも先進国に追いつくことは可能でありますし、これが同時に今問題になっている新たな摩擦の原因になりかねないのではなかろうかという心配があります。これが第二点でございます。  それから、問題飛ばしまして、航空機工業の防衛需要というのは八二%を占めている、これは御存じのとおりでございますが。この航空機の研究開発費というものはV二五〇〇及びYXX計画とSTOL「飛鳥」の開発機の助成金の合計が八十九億円、これは六十年度でございますけれども、御承知のとおり支出されているのに比べまして、防衛庁の航空機の研究開発には六十年度百四十七億円支出されている。このように民間航空機と自衛隊機ではその設計思想も、使用部品も、材質も違うと思うわけでございますけれども、その技術などは相互に利用、応用可能な分野はあるのではないかと思うわけでございますが、防衛庁の技術で民間機に応用された例はないのか、また今後どのように考えていらっしゃるのか、これは第三点でございます。  最後に、航空機の平和利用の観点から、航空機のこの技術開発費で助成を民間機重視で考えていくべきではないかと思いますけれども、これは最後のところは大臣にお尋ねいたしまして、航空機産業についてどう考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。  まとめて失礼ですが、時間がありませんですからよろしくお願いいたします。
  166. 杉山弘

    政府委員(杉山弘君) まずお尋ねの助成策でございますが、現在手がけております、先ほど来出てまいりましたV二五〇〇エンジンの開発、YXXの開発につきましては、これから本格開発の時期を迎えることになりますので、政府の助成策の中で占める資金の量というものは格段に欠きぐなってまいります。  繰り返すようになりますが、現下の財政事情の中では、そういった必要な額の資金を要求し、支出することがなかなか難しくなってきておりますので、ここらあたり助成策として新しい考え方を導入する必要があるのではないかということで、先ほど先生御指摘の審議会で御検討いただいたわけでございますが、国際航空機共同開発基金構想を御提言いただきましたが、やはり当面必要でございますのは、この二つのプロジェクトをどうやって継続をしていくかということでございますので、この二つのプロジェクトの継続のためには、従来の助成としての補助金の交付ということから、少し無利子融資制度の導入ということを考えてみたらどうかという審議会の御提言をいただいておりまして、現在その線に沿いまして財政当局に予算を要求中でございます。  この無利子融資制度が実現できますと、航空機業界の受けます実質的な利益は従来の補助金制度と変わりません、効果が期待できるわけでございますので、ぜひその実現を図ってまいりたいと考えております。  それから、諸外国との関係で、政府が助成することに対して風当たりが強くならないかという御心配、御懸念でございますが、二つの具体的な計画とも国際共同開発ということでございます。そういう意味におきましては、国際的な協力関係の一環として我々はとらえておる次第でございますし、またこれから新しいプロジェクトが何か出てまいります場合でも、現在の世界の航空機に関する市場状況から考えますと、日本単独の開発というのはリスクがとても大きくて負担にたえられないと考えられますので、今後もやはり国際共同開発路線を歩むということになろうかと思いますので、その点についての御心配は余りなくていいのかなという感じがいたします。  そのほか、政府の助成につきましても、諸外国では、例えばコンコルドの開発につきましては、開発費を参加いたしました各国が一〇〇%負担をいたしております。現在の日本の助成は、開発段階が進むに従いまして助成比率を少なくするということで、本格開発の段階での補助金の交付率は五〇%ということでございまして、諸外国の助成策に比べましても格段に程度の低いものでございますので、この点からも特に国際的な批判対象になるようなことはないのではないかと考えます。  それから、防衛用の航空機の開発の技術が民間にも利用できるのではないかということでございますが、確かに航空機の開発ということにつきましての技術的なノーハウというものはそのまま民間機の場合にも十分利用できるものだとは思いますが、ただ、パテント類につきましては、従来までこれが民間機の生産に使われたということはないようでございますけれども、全体としての民間航空機業界の技術レベルの向上には防衛用の飛行機の開発も大いに効果があることと思われるわけでございます。  以上、三点につきまして私からお答えをさしていただきました。
  167. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 航空機関係について広範な御質問をいただきましてありがとうございました。  杉山政府委員からもお答え申し上げたとおり、航空機に関して日本の産業自体が大変諸外国に比べておくれをとっておるということは全く事実でございまして、これは一体どういう原因なんだろうかということを考えました場合に、終戦になって航空機関連のいわゆる技術開発やそういったものが一たん途絶え、そして、そのために日本における優秀な技術陣が一度解散をしてしまって、諸外国がいち早く手をつけていた分野に対するおくれが目立つというようなこともありましょうし、いろいろな原因があるんだろうと思います。  しかし、これは田代委員御指摘のように、非常に大切な分野であって、何としてもこれだけ経済力あるいは知能の高い日本民族でありますから、航空機におけるおくれを何とかして取り戻していきたい。しかし、この開発のためには相当の資金が要りますし、単独の現在の日本によって急速なこの面における発展ということを望むことがなかなか困難な事情もあろうと思います。  したがって、先ほど例としてお挙げになりました日中の小型航空機の開発であるとか、それも一つの例でございますが、いろいろこういった面の技術開発を検討をし、ノーハウを検討をいたしまして、やがて航空機分野における日本の技術あるいは生産力というものが諸外国に比肩し得るようなそういった時代を展望して今後の通産行政を考えるべきである、このように考えております。
  168. 橋本敦

    橋本敦君 冬を間近に迎えまして、灯油の問題は国民生活全体に非常に重要な影響を持つ大きな問題になっておりますが、まず、この問題から質問をしたいと思います。  通産省灯油価格の全国的調査をおやりになったようでありますが、二十日、先日まとめられたその結果によりますと、全国平均は十八リットル缶、配達価格で千三百八十七円、九月に比べて七円安というようになっているように伺いますが、これは間違いございませんか。
  169. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 通産省のモニター調査でございますけれども、今委員のおっしゃいました数字調査のとおりでございます。
  170. 橋本敦

    橋本敦君 この傾向は今後の需給関係がよっぽど乱れる、逼迫するという状況がない限り安値で推移するという傾向のように見てよいのではないかと思いますが、通産省の見通しはいかがですか。
  171. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 通産省の分析といたしましては、その七円下がりましたのは、ことしの冬があるいは暖冬かもしれないというようなことからそういうことになったんであろうということでございますが、今後の見通しにつきましては、一応私どもで石油業界指導いたしまして、九月末までに六百七十万キロリットルという在庫を持ってもらってもおりますので、供給は順調、安定的な供給が確保されると思いますので、需給の基調に大幅な変化があるというようなことはないであろうというふうに考えております。
  172. 橋本敦

    橋本敦君 今のお話で暖冬が予想されるというお話がありましたが、原油のCIF輸入価格を調べてみますと、大蔵省貿易統計によって八月に発表された数字を見ましても、基準年度の昭和五十五年に比べて一キロリットル当たり四万七千五百八円であったものが六十年八月には四万一千五十一円。月別に見ましてもわずかでありますが、ずっと漸次低落傾向にある。この事実は間違いありませんね。
  173. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 原油の価格が漸次低落基調にあることは間違いございません。
  174. 橋本敦

    橋本敦君 それに加えて最近の円高基調という問題がありますから、灯油価格の全国的安値傾向というのは、今おっしゃった暖冬ということだけではなくして、こういった原油価格の値下がり傾向それから最近の円高、こういうことも含めて、そして今あなたがおっしゃった需給逼迫というそういう事態も予想されないということを含めて値下げ傾向が出ている、こう理解すべきじゃありませんか。
  175. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) そういった今御指摘のような要因も確かにあると思いますが、そのほかにまた元売企業の、何と申しましょうか、シェア拡張意識に基づきます過当競争、それを反映した流通段階における競争、そういったものが激甚に行われているということの結果でもあろうかと思っております。
  176. 橋本敦

    橋本敦君 いずれにしましても、一番価格を左右する原油価格の値下がりがあるし、円高傾向があるし、需給逼迫状況の見通しがそうないということですから、値上がり要因というのは社会的にないわけです。そういうことで、現在社会的に灯油価格が、値上がり要因は全くないはずで、値下がり傾向があるということは、これは国民生活の安定からいって好ましいことなんですが、にもかかわらず最近三菱、大協、シェル石油元売三社が盛岡の市民生協あるいは県民生協、県学校生協に対して灯油価格の値上げを要求をしている。その交渉がうまくいかないというので出荷停止を通告する、こういう事態が起こって非常に大きな問題になってきたわけです。  この傾向は宮城から福島あるいは山形、こういったところの生協についても同じような問題が出てくるというような状況も言われておりまして、生協の購入は御存じのように何千人、何万缶という大量の需給関係基本としながら、言ってみれば灯油価格のプライスリーダーのような役割を果たしてきておりますから、通産省としてもこれは当然重視をされておると思うんですね。今私がお話ししたような傾向でありながら大幅の値上げ、あるいは大幅でないと業者は言うかもしれませんけれども、値上げを要求している。話がつかなければ出荷を停止するということになりますと、国民の側からとってみれば、あなたは暖冬だとおっしゃったけれども、東北、北海道は既に雪が舞っておりますし、まさに寒さの脅威にさらされているということになるわけですね。  言ってみれば、元売業社は、寒さの脅威から解放されたければ値上げ要求をのんで価格の引き上げに同意しろと、こういうことにもなりかねないので、私は今の社会的状況から見ても、またこういうやり方から見ても、この問題はゆゆしい問題だというように思っておりますが、通産省としてはこの出荷停止問題にどういうお考えを持っておられますか。
  177. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 今御指摘のございました岩手県の灯油価格交渉状況でございますけれども、私ども聞いておりますところによりますと、九月の末以来いろいろ交渉が重ねられてきたわけでございますけれども、売り手と買い手側との間の主張に差がございまして、交渉は難航しておるということのようでございます。  それで、供給をしないというか、灯油を売らないと言った人たちは、例えば中川石油でございますとか三田商店でございますとか、そういった現地での特約店でございまして、今御指摘の大手の名前が出ましたけれども、大手の企業自身が物を売らないということを言ったわけではございませんで、その大手が物を売っている先である、今申し上げた特約店が灯油生協さんに売らないと言ったという話であるようでございます。  それで、今申し上げた特約店側といたしましては、生協が主張なさる価格での販売では自分たちの経営が悪化するということで、交渉を行っておったわけですけれども、その折り合いがつかなかったので取引が中断したということのようでございまして、私どもとしましては、灯油価格は無論市場メカニズムによって決められるものでございますので、今回の事態も現段階におきましては値決め交渉中の一時的な現象かなというふうにも考えておりまして、基本的には当事者、特約店と生協さんの判断にゆだねられるべき問題かなというふうに思っております。
  178. 橋本敦

    橋本敦君 今の答弁は、私は通産省として本当にそういう姿勢でいいのかどうか、まことに私は憤慨にたえないんですが、まず第一に、今、出荷停止をしたのは元売業者ではない、特約店だというようにおっしゃいましたね。しかし、通産大臣あてに出されている緊急要請書を見ましても、それから各種の新聞報道を見ましても、元売会社が特約店を通じて価格の値上げを要求させ、元売業者がその特約店に出荷停止というような状況をつくり出して、やむを得ず特約店は元売業者の言うとおりに生協に言っているというのが事実じゃありませんか。本当にそれ調べていますか。私が見た新聞やあるいは通産大臣あての緊急集会で皆さんが言っておられる文書を見ても、元売三社が出荷停止をやっているという事実をはっきり言っていますよ、どうですか。
  179. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) これはこの間大げさな新聞記事も出たものでございますから、大げさなというか、大きな新聞記事になったものですから、ですから私どもも大手が出荷停止を頼むとかそういうことがあってはいけないと思いまして調べてみましたけれども、大手は今申し上げた特約店の側に納入をする側でございまして、特約店への納入を大手が拒否をするということはない、それで特約店が拒否をしたということのようでございます。  ただ、御指摘のように、新聞記事等で出ますのは、無論その特約店が大手の契約関係にある会社でございますので、したがってそういう記事になったのかなというふうに考えられますし、また御指摘の点に……
  180. 橋本敦

    橋本敦君 簡単にやってください、事実だけ。
  181. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) よろしゅうございますか。
  182. 橋本敦

    橋本敦君 もう事実は今の答弁で尽きているわけですか。
  183. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) はい。
  184. 橋本敦

    橋本敦君 生協に対する特約店の通告は、元売業者から一リットル当たり六十五円、これに値上げを生協側は同意しないという状況ならば、これは今お話しした三菱、大協、昭和シェル、これが指示する価格がそれなんですが、それが話にならぬようなら出荷しないということを言っているから、特約店も出せない、こう言っていると生協の皆さんはちゃんと文書に書いていますよ。あなた、どこ、で調べたんですか。生協に直接聞きましたか。だれに聞いたんですか。
  185. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 私は、私の方の課がございまして、課の方で調べたことを申し上げているわけでございます。  それから……
  186. 橋本敦

    橋本敦君 だれに対して聞いたかと聞いている。拒否された側に聞きましたか。
  187. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) それはあるいは聞いていないかもしれませんですね。
  188. 橋本敦

    橋本敦君 それなら、だれに聞いた。
  189. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) ですから、大手の側に聞いたかもしれません、それは。
  190. 橋本敦

    橋本敦君 大手が事実に反して違うことを言っておるとすれば、これは役所をだますということだけではなくて、役所だってそんな調査でいいかということになりますよ。  この点については、私が指摘している問題は、どれを見ても大手が出荷拒否ということを強要しているという状況から特約店がそうならざるを得ないということになっているとなっていますから、重ねてしっかりした調査を双方の側にもう一遍やり直して、もらいたい。いかがですか。
  191. 畠山襄

    政府委員(畠山襄君) 生協の側からも、どういう事情にあるかについてはよく承りたいと思います。
  192. 橋本敦

    橋本敦君 公取に来ていただいておりますが、この元売大手会社がこういう価格の引き上げを三社共同でやっているような状況があるとか、あるいは出荷をしないとか、こういうような優越的地位を利用してプレッシャーをかけるとかいうような状況になった場合には、これは不当な取引制限の禁止ということとの関係で問題が出てくるんではないかと私は思うんです。  その前に公取にお伺いいたしますが、「灯油の流通実態について」ということで六十年十一月十九日、つい先日お出しになった文書がここにあるわけです。それで価格形成の問題についてお調べになっておられますが、その中でこういう項があります。「今回の調査において、灯油の需要期前の生協と納入業者との価格交渉に際し、納入業者の価格決定に対して元売会社が関与することが懸念されるとの話が一部に聞かれた。」実際にそういう話があったと言うんですね。「この問題については、当委員会は、昨年、元売会社の業務提携を認めるに当たり、各提携会社に対し、特約店等が需要者と行う価格交渉に干渉することのないよう注意しているところであり、今後とも生協を含め需要者と特約店等との価格交渉の成り行きについて十分注視していく考えである。」ということがこの文書で出されているんですが、このことは間違いありませんか。
  193. 樋口嘉重

    政府委員(樋口嘉重君) ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、今月の十九日に「灯油の流通実態について」という調査結果の報告をしておりまして、その中で先生が今お読みになったとおりのことを指摘してございます。
  194. 橋本敦

    橋本敦君 したがって、通産省は再度調査を約束されましたが、その結果、元売業者が特約店と生協との価格交渉に、実際上特約店への出荷を停止するぞというようなことで価格交渉に干渉しているという事実が明白になってくれば、公取としては再度調査を行い、独禁法に照らしてしかるべき調査検討をしていただかなくちゃならぬと私は思いますが、お考えはいかがですか。
  195. 樋口嘉重

    政府委員(樋口嘉重君) ただいま先生御指摘のとおりに、そういうような事実があればしかるべく独禁法の規定に照らして厳正に対処していく所存でございます。
  196. 橋本敦

    橋本敦君 大臣、お聞きのように、公取の方としては、元売が不当な方法で価格交渉に介入するということがないようにということを注意されているんですね。もしあれば厳正に対処せざるを得ないと、こう言っているんです。しかも、冬を迎えて出荷拒否というようなことが、実際調べていただきますが、元売あるいは特約店によっても値が合わなんだら真冬を前にして一切停止してしまうというようなことで、言ってみれば、そういう寒さの脅威に国民をさらすぞというようなやり方でやるというのは、私は政治的にもよろしくない。これは公取にお願いするまでもなく、通産大臣の方としてしかるべき解決方向に向けて指導していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  197. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 今橋本委員の御質疑によって、この事態について、今回の取引の一時中断ということが灯油の安定供給に支障を来すまでに至り、市民生活に大きな影響が出るような事態になれば問題であると認識をしておりまして、そのようなことのないように今後の動向を十分注視してまいりたいと思います。  また、関係の元売企業等に対しましては、灯油の安定供給に支障を来すことのないよう誠意を持って交渉に当たるよう指導いたしたいと思います。
  198. 橋本敦

    橋本敦君 はい、わかりました。  それじゃ、その点の指導をさらに強めていただくことをお願いし、さらに今お話しした再度の調査の結果は連絡していただくことをお願いいたしまして、灯油関係の質問はこれで終わって、次に国鉄関係の質問に移ります。公取の方は御苦労さまでございました。  さて、国鉄の問題ですが、これもまた大変な問題でありまして、今中小企業はいろいろ苦労しておるわけですね。ところが、そこへ大国鉄中小企業の分野に参入をしていくということで大きな問題が起こってまいりました。現に昨日の二十日も国鉄中小企業分野進出反対ということで緊急分野協代表者集会というのが開かれまして、新聞でもテレビでも報道されました。  こういうことで、この問題についてまず最初に伺いたいのでありますが、まず東京駅の書店の問題、今どうなっておりますか。これは国鉄から後で伺いますが、まず中小企業庁の方から。
  199. 照山正夫

    政府委員(照山正夫君) 私どもがただいま承知しておりますところは、先生今御指摘の問題は、国鉄が東京駅の丸の内北口に、名称はブックスシグナルと伺っておりますが、という名称で、店舗面積、現在の計画では約百三十平方メートルのようでございますが、の直営の書店を出店しようという御計画がありまして、これに対しまして東京都書店商業組合が反対の陳情をされ、引き続きまして九月から十月にかけまして何度も交渉を行っておるわけでございます。さらに、十一月六日には東京都に対しまして書店商業組合の方から小売商業調整特別措置法の規定に基づきます調停の申請を行っておりまして、現在引き続き両当事者間で話し合いが進んでいると、このように承知しているわけでございます。
  200. 橋本敦

    橋本敦君 国鉄に伺いますが、これは開店はいつというように考えてやっておられるんですか。
  201. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) 当初、予定は十月一日ということでございます。
  202. 橋本敦

    橋本敦君 今後もこの点は話し合いを継続されるという国鉄側のお考えですか。
  203. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) 十一月六日に、東京都の方から国鉄側と書店組合側によく話し合いなさいという指導がございましたので、現在話し合いを続けておるということでございます。
  204. 橋本敦

    橋本敦君 北口側では、丸の内から半径五百メートルをとってみましても、私どもの調査では八つの民間の書店が既にあるんですね、五百メートルの範囲に。そこへ最も人の集まる場所である駅そのものの中に、また北口に書店ができるとなりますと、その皆さんが圧迫を受けるということはもう目に見えているという状況が、一つはこの問題でははっきりしているわけですね。現に、書店全体の現在の経営事情を考えてみますと、小売店舗は過剰ぎみでありますし、その上、大企業業者によってコンビニエンスストア等もチェーン化されるということもありますし、シェアの拡大競争は激化をしておりますから、中小小売商というのは経営的には本当に苦労をしているというのが書店の現状だということは異口同音に書店の皆さんがおっしゃっておられる。そういう書店のところへ、今度は、国鉄は最も人の集まる有利な場所、これを利用して書店を、小売店をやっていかれるとなりますと、これは大きな打撃が与えられることはもう明白であります。  今度は書店だけではなくて写真の現像等、DPEですね、これについても全日本写真材料商組合連合会の陳情書を見ますと、このDPEの窓口販売、現在全国で二十万店を超えておりますが、まさに飽和状態。そこへ今度は国鉄が、人の行き来する最も便利な場所で、そこのところで顧客獲得には最も有利な場所を利用して割り込んでくる。こうなりますと、もうまさに私たちは引導を渡されるも同然だと思いたくなるぐらいだというようにおっしゃっておるんですが、これも零細事業に対する脅威になっていることは明らかですね。  今度は、飲食店の場合はどうかということで、大阪の杉本町、これは阪和線でございますが、この問題を考えてみますと、この駅で国鉄の方は喫茶店とハンバーガー店、これをおやりになろうとして、今駅の改装工事の一環としておやりになろうとしているんですが、この杉本町のあたりを考えてみますと、この付近では飲食業店という店舗が五十店舗ぐらいあって、これが全部飲食店。ところが、その最も人の集まり、行き来をし、かつ道路に面し、上が駅だというその場所に、ハンバーガー店と喫茶店ができますと、これも大変な脅威でありますから、皆さんは早速組合をこしらえて、そして国鉄のこの進出については反対ということで交渉をされている。この杉本町の交渉には我が党の正森議員も参加をしてやっておるようでありますが、現在どうなっておりますか。これはどちらからでも結構ですが、国鉄の方からでも。
  205. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) この杉本町のハンバーガー店につきましては、八月初旬に駅改良工事と同時に店舗を設置する計画で対応したわけでありますが、十月までの間に数度話し合いをやっておりますけれども、いまだ話がつかないということであります。その間、大阪市御当局の方にも説明をして、市の方からも地元に対して十分話し合いなさいという指導を受けたわけでございます。  そういう経緯を経まして、現在なお地元商店街にアプローチし、話し合いを続けておる現状であります。
  206. 橋本敦

    橋本敦君 ということで、非常に反対運動が高まっている中で、国鉄当局は話し合いをしているというようにおっしゃるんですが、その話し合いは続けているというものの、大阪市からの今言った話し合いをせよというような話、それから東京都からの話で、話し合いはするとおっしゃるんですが、実際は、杉本町の場合は工事は中止しないで店舗をつくる工事は進めている。東京の場合は、これは話がつけばいつでも開店できる状況の準備も進めている。それは国鉄間違いないでしょう。
  207. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) そのとおりでございます。
  208. 橋本敦

    橋本敦君 そういう姿勢に問題があるんですね。話し合いをせよと地方公共団体も言い、そしてまた皆さんが要求しているのは、そういう出店計画をやめよというのが中小企業基本的要求ですから、どう話をつけるかということではなくて、その話を真剣に聞いて、それで一方で着々と準備をしながら、話し合いだ話し合いだというのではなくて、そこのところで国鉄中小企業の分野に参入するということについて抜本的に腹を決めて私は考えてもらいたい。言いかえてみれば、誠実に話し合いをする前提として、工事の中止あるいは計画の中止を一時やってでも誠実に話し合うという態度をとるべきなのが私は当然だと思うんですが、国鉄はどう考えていますか。
  209. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) 国鉄の附帯事業として、現在余剰人員という非常に私ども厳しい中で、できる限り自前で努力する道を講じておるわけでございます。こういう努力というのは、国民の皆さん方にも新しい国鉄の仕組みを控え、現在努力できるところはできる限り努力していきたいということで、そういう期待にもおこたえしていきたいという熱意を持っておるわけでございます。  その中で出てまいります余剰人員、その人たちにどのような仕事を与えていくかということも私どもの非常に緊急かつ重要な事柄であるわけでございまして、この店舗という仕事にも振り向けていきたいということで、地元の皆さん方にもその点の御理解を十分得ていきたいというふうに努力しておる過程でそういう事柄が生じてきたということでございます。
  210. 橋本敦

    橋本敦君 答えにならない答えだと私は思うんですが、具体的に聞きますが、国鉄の直営店、今全国で何店舗ぐらいあって、今後の出店計画は、今あなたがおっしゃったことをやるとすれば、今後ほどのくらいふやすつもりですか。
  211. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) 現在の直営店舗でございますが、二百四十店舗ございます。それで、この状態のままでまいりますと、本年度には約三百店舗になるであろうということでございます。この直営店舗といいますのは一斉計画でやっていくものではございませんで、余剰人員といいますのは効率化を推進していく過程で、個々、各所各所の現場で発生する人間でございます。したがいまして、その発生した都度、要員の需給等を考えながら、その余剰人員を活用する方途を逐一講じていくと、そういう中で私どもは進めておるわけでございます。
  212. 橋本敦

    橋本敦君 数字で言ってください。私どもの知っている調査では、六十年度今おっしゃった三百店舗、六十一年度では全国的に約五百九十店舗ぐらいというように予想されているんじゃないんですか。
  213. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) 今の先生のお話、五百九十店舗ということは、その数値というのは私どもは考えておらないわけであります。
  214. 橋本敦

    橋本敦君 どれくらいですか。
  215. 松井隆平

    説明員(松井隆平君) 私ども六十一年度につきましては、この余剰人員といいますか、要員の需給状況というものをこれから考え、かつその発生状況、逐一発生してくる中で考えていかざるを得ないということで、まだその具体的要素というのが未定でございますので、今のところまだ確定したことは出ておりません。
  216. 橋本敦

    橋本敦君 私は今の答弁は信用できないんですが、私どもの得た情報と調査では、六十一年度では六百店舗近くぐらいになるというように国鉄は考えているというように私どもの調査ではなっておりますので、これは論争しませんけれども、今のお話によっても三百店舗からさらにふえることは明らかになっておる。  そこで、大臣、お考えいただきたいのはですね、書店にしても、それからDPEという零細な写真の現像焼きつけの皆さんにしても、それから喫茶店だとかお好みだとかそばだとか、こういう零細企業にしても、本当に人の集まる場所といういい場所をねらえば、土地から買っていけば大変な資本投下しなきゃならない。それがないから、借りれば大変な家賃を払わなくちゃならぬ。そしてまた、こういう仕事ですから、従業員の手当を集めるのも苦労しなくちゃならぬ。そしてまた税金も納めなくちゃならぬ。これは大変ですよ。しかも、今業界全体が苦労していることは中小企業庁通産省も御存じのとおりでしょう。  ところが、国鉄はもう頭から最もいい、人の集まる場所を持っている。しかも、多少の改良で、その営業自体は、賃料だとか土地の買い入れ、建物の買い入れという資本投下はそれ自体必要としないということでしょう。そして、上がった収益については、人件費は国鉄の一般人件費ですから特に考慮しなくてもいいし、上がった利益については、これは附帯事業として一般的に収入になるので、そのことから独自の税金を納めなくてもいい。だから、これで中小零細業者と競争するなんといったら、これは競争にならぬのですよ。不公正どころじゃないんですよ。本当に巨人と小人が争うようなことになりかねないんですよね。こういうようなことで、余剰人員対策などとおっしゃいますけれども、余剰人員対策で附帯事業をやるとすれば、もっと知恵を出して、本当に中小企業に殴り込むようなことでない、知恵を出して、国民的な支持とコンセンサスが得られるようなことを国鉄事業部がもっと考えるべきだと私は思うんですよ。  昭和五十五年に国鉄経営再建促進特別措置法案が出されたときに、運輸省と通産省、ここの間で覚書が交わされて、中小企業に悪影響を与えることのないよう国鉄指導するということがそのときに言われておる。これはもう業者の皆さんだってそのことを知っていますから、そう言っていますよ。そうなりますと、今のような国鉄中小企業への分野への殴り込みのようなそういうことについては、これは運輸省も通産省も、この五十五年の覚書に基づいて国鉄に対してはこれは十分な指導をしていかなくちゃならぬのではないかと私は思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  217. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 東京駅に書店を出すというような問題であるとか、いろいろなケースを承りました。国鉄がその再建を図りますために、関連する各種の事業活動を行うということは理解できるわけでございますが、国鉄が行う各種の事業活動については、これによって中小企業者の事業活動の機会の適正な確保が損なわれることがないようにする必要があると思います。具体的な問題につきましては、国鉄において地域の実情に配慮をしながら地域の関連事業者との話し合いを行う、そして十分な協議を行って対処していただくということが重要であると私は考えます。
  218. 橋本敦

    橋本敦君 その考えはその考えとして、通産大臣としてもやっぱり地域の実情に応じて適正にやれということを今おっしゃったんですからいいわけですが、今私が指摘をした昭和五十五年の国鉄経営再建促進特別措置法案の審議に関連をして運輸省、通産省の間で、今後は中小企業に悪影響を与えることのないように国鉄指導するというような申し合わせ、覚書がつくられておるという事実はどうなんですか。
  219. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 過去におきまして、国鉄が再建のためにいろいろ計画を進められるに当たりまして、今お話がありましたような点につきましては、運輸省と通産省との間で十分了解をしてやっておるわけでございますが、これはそもそも中小企業基本法にそういう規定があるわけでございますから、これは当然のことかと考えております。
  220. 橋本敦

    橋本敦君 その当然のことを当然なこととしてきっちり今こそ英断をもって指導すべきですよ。中小企業に悪影響を及ぼさないように国鉄国鉄として知恵を出して、再建促進やるならやりなさいと、こういうことですからね。今その知恵の出し方が私は足らぬと、こう言っているんですよ。中小企業の零細で苦労しているところへ、あの一等場所をぱっと使って殴り込むようなことをしなさぬなと。知恵出しなさいと。  そこで、今私が言ったように、通産大臣もおっしゃった立場に立って国鉄に対して、中小企業に悪影響を与えることがないように万全の配慮をせよというように厳しく指導してもらいたい、重ねてお願いしたいんですが、いかがですか。
  221. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 本件につきましては、単に国鉄の問題だけではございませんで、大企業が新たに店舗を設けるというようなときの問題につきましても、大規模店舗法というようなことで調整を行ってきておるわけでございますが、国鉄との関係につきましては、従来から私どもは国鉄当局及び運輸省との間でも十分協議をしてきておりますし、今後も十分相談をしていきたいと考えております。
  222. 橋本敦

    橋本敦君 くどいようですが、国鉄と協議をしているとおっしゃいましたが、今言ったように、六十一年度には何ぼになるか知りませんが、どんどん店舗をふやしていく、しかも中小企業が苦しんでいる分野、飲食店、それから写真の現像、焼きつけ、こういう零細、それから書店、これが中心で広がっていくということについて協議して、了解しておるんですか。それをはっきりしてください。何をおっしゃって先ほどから協議をしているとおっしゃっているんですか。問題ですよ。
  223. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 先ほど来申し上げておりますように、個々のそういう店を設ける、事業を行うという場合には、その地域における中小企業者との関連を考えなくちゃいけないわけでございますので、そういう点を十分考えて事業を進めていただきたいという申し入れを運輸省及び国鉄に対してやっておるということでございます。
  224. 橋本敦

    橋本敦君 それでよくわかりました。だから、今のような通産省中小企業庁姿勢で、中小企業に悪影響を及ぼすことがないようにというような御意見もはっきりしましたので、今後ともそういうことで、大臣さっきおっしゃったようなことで、運輸大臣とも相談をされて国鉄指導していただくということを切に私は強くお願いをして、そしてまた、国鉄もきょう来ていただきましたが、地元との話し合いをするとおっしゃっているんですから、誠意をもって話し合いされることを要求をして、質問を終わります。
  225. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は三つの点について質問したいんですけれども、余りに質問通告が莫然としているんでお答えにくい面もあると思いますけれども、お答えにくい点は答えにくいと言っていただければ結構でございますから、ひとつ柔軟な問答をしてみたいと思うんです。  まず一番初めは、先日商工委員会で、群馬、長野の委員視察に行ったわけですけれども、それでいろいろ問題を感じたんですが、時間の関係一つだけ申し上げたいんですけれども、松本に松本家具という伝統工芸というのですか、家具屋さんがあるわけです。なかなか立派なものをつくっておられるんですけれども、何しろ値段が高くて到底ちょっと私なんかの手には負えないという感じがしたんです。  その節、池田社長が言われた中で非常に感じたのは、後継者の育成が大変だと、したがって地元の協同組合でみんな何とか後継者を育成しようとしてやっている、なかなか定着も大変だし、教育も大変なんだということをおっしゃっていたわけです。  私、それを聞きまして、ああいうのはなかなかコマーシャルペースではペイできないんで、それに就業しようという人も少ないというのはわかるんですけれども、やはりああいうものは残していかなきゃいかぬ。通産省としては四十九年に伝産法ですか、これをおつくりになって、そういう伝統的な工芸品産業については非常に今月を入れて助成されている。年間相当の、四億三千万とか五千万の補助も出しておられるということなんですけれども、私がそこで受けた感じはやっぱりちょっと不十分じゃないかという気がするんです。ただ、展示館だとか工芸館とかいうものの箱物は一応整っているでしょうけれども、後継者の育成ということについては通産省として改めて本腰を入れていただく必要があるんじゃないか。家具だけじゃなくて、これで承りますとやっぱり百五十一品目から四品目あるわけです、いろいろな伝統工芸が。  そこで、私の一つの提案なんですけれども、例えば国立の工芸専門学校というふうなものをつくって、通産省の管下でそういう学校をつくって、そこで各業界から先生とかいろいろの理事なんか出していただいて、そして計画的に養成していくということを考えた方がいいんじゃないか。それから、あそこでもちょっとあったんですけれども、やはり東南アジアなんかから日本のそういう工芸を習いたいという人も来るわけです。これは日本の労働不足の問題もいろいろありますから、そういう点からもそこで教育して、そしてきちっとオーソライズして、そういう人を業界に帰すと同時に、外国にもそういう日本の伝統的な工芸を伝えていくということも一つの意義があるんじゃないかと思うんです。大学がいいのか専門学校がいいのかわかりませんけれども、そういうものをつくっていくということについて、今すぐつくれとか何とかという問題じゃなくて、感触的にどういうふうにお感じになっているか承りたいのですが。
  226. 高瀬和夫

    説明員(高瀬和夫君) ただいま先生御指摘のとおり、我が国には全国各地に長い歴史を有するいわゆる伝統的工芸品産業というものが多数存在するわけでございます。これらの産業は小規模かつ零細でありまして、後継者の確保が非常に難しいとか、あるいは原材料の入手が困難、その他いろいろ難しい問題を抱えております。大変我が国伝統工芸品産業を取り巻く環境が厳しいということは事実でございます。  このような状況にかんがみまして、御指摘のとおり通産省におきましては昭和四十九年に制定されました伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づきまして伝統的工芸品を指定いたしております。そして、各産地の組合が行います後継者の確保、育成の事業あるいは需要の開拓等の事業に対しまして認定された振興計画に基づきまして国庫補助の形で助成を行ってきております。また、後継者の技術研修等のためには、いわゆる伝度会館の建設に対しましても同様の助成を行っているところでございます。  伝統的工芸品は、国民生活に豊かさと潤いを与えるものであり、さらに今後進展が予想されます高度技術社会におきまして、ますますその存在が貴重になるんだというふうに考えられますので、通産省といたしましては、今後とも後継者の育成を初めとする伝統的工芸品産業の振興に努めてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  227. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひ努力していただきたいと思うんです。  それで、ただ一つ、これは私しょっちゅう補助金特別委員会でも言ったんですが、補助金の使い方とかやり方というのは、私はもうちょっと変えなきゃいかぬじゃないか。したがって、イニシアルコストですね、例えば学校をつくるとか、初めの投資のときに国からぼんと金を出してつくる。後は、民活じゃないけれどもなるべく民営で運営させて、自主的に運営させる。それで後は通産省は口も金も出さないというふうな方法がいいんじゃないかと思うんです。そういう点を踏まえて、ぜひ今後とも前向きに取り上げていただきたいと思います。  次に、貿易摩擦の問題に移ります。  先般横浜の桜木町でインポートバザールがありまして、大臣も行かれてテープカットをされて、みずからいろいろな物をお買いになっていたようですけれども、私も行きまして二、三の物を買ったんですが、後でいろいろ聞いてみますと、余り安くないじゃないか、余りいい物ない、ほかの百貨店だとかなんとかにあるのと余り変わらないというふうなことで、あれはよかったという声は余り聞かないんですね、庶民の間では。そこで売り上げが五億数千万円であったというふうに新聞で見ているんですけれども、私あのやり方を見ていて、非常にこれじゃやっぱりしようがないんじゃないかなという感じはしたわけです。  それはなぜかというと、わざわざああいうものをやるということは、やはり外国品を紹介するということ、そしてみんなに味をしめてもらうということですね、まあ食い物なら。それで、いろんな物を買ってみて、ああなるほどいいじゃないかと。今まで日本人は舶来品の崇拝もありますけれども、食わず嫌いもあるわけですね。それをやっぱり実地にやってもらうという点で、ああいうものは非常に意味があると思うんですね。  ところが、私もその後も調べて、きょう大蔵省に聞いたんですけどね、あそこに入ってきた物は全部関税もかかっていれば物品税も全部かかっているんですね。それで輸入の手数料もかかっているし、それからマークアップ、マージンも相当かかっていると。それで普通の輸入と同じことなんですね。そんならなぜジェトロがあんなことやって、大臣があんなところへ行ってテープカットするか、私はあんまり意味がないと思うんですよ。  ああいうことをやるからには、もういや今回だけは免税だとか、関税は要らぬ、物品税は要らぬと、それで業者も、商社でもいいと思うんですけど、おまえさんら今度は実費でもう協力しろと、それでほかの人たちにも今回はこれ紹介するんだから犠牲を払っておいて、それで輸入品がもうかるようになったらそこでもうけりゃいいじゃないかという指導をやっぱり通産省としておやりになるべきじゃないかと。そうしてみんなに喜んでもらって、ああなるほど外国品も捨てたもんじゃないよという経験をさせるのが大事じゃないか。あそこで五億売る、六億売るというのは、そんなものあんまり目じゃないという感じはするんですね。  その辺、今後ああいうものをどんどんおやりになっていくのに、私は例えばあの池袋のインポートマートですか、ああいったところで場所を大使館とその国に貸してやって、そして免税にしてやって、そして日本消費者に紹介するというふうなやり方の方が僕はいいんじゃないかと思うんですが、通産省としてどういうふうにお考えになっているか、ちょっと感触をお聞きしたいんですがね。
  228. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) お話しのような輸入促進の一環といたしまして、この十月、十一月を輸入促進月間といたしまして、その政策の一環として、おっしゃるような全国千カ所で輸入バザールをやっているわけでございますが、非常に大きな目的は、御指摘にもございましたけれども、消費者に輸入品というものを知っていただくという面が非常に太さい一つの要素にございます。もう一つは、やはり売る方に一生懸命売ってもらうと、かつ日本の需要というものをつかんでいただいて、一体日本消費者は何を希望しているかを知りながら積極的に輸出努力をしていただく、両面あると思います。  そういう意味で今回意欲的にやっているわけでございまして、まあちょっと横浜の件をお触れになりまして、少ないか多いかいろいろ御議論があると思いますが、実は私どもから見ますと予想以上に売り上げもありますし、入場者も多いということで、現実の最近の実施状況を見ますと、我々から見ますと非常に成功をおさめていると思っております。それだけ一般の消費者の輸入品に対する関心は高いと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、本当に日本の消費層に合ったものを売っているかどうかという点はやはり疑問がおりまして、これは我々もニーズに合ったものをつくって、そして売っていただく。まあ例えば色にしろ柄にしろサイズにしろ、日本人に合ったものを開発して売っていただくというのが非常に重要で、そういう努力をしていただくという意味においては成功だと思っております。  その際におっしゃるような関税等を免除する、一つのお考えだろうと思います。我々も検討はしてみますが、ただ、私どもから見ますと、やはり輸入品が日本に定着をしてもらわなくちゃいけない。仮に関税を一時期下げますと、そのときは確かに安いから売れますが、また結局もとへ戻りますから、その結果として売れなく劣ると意味がないので、やはり現行を前提にして輸出努力して、本当に売れるようにしてもらうという方も重要がなと思いますが、ただ御指摘の点もございます。私どもとしても研究したいと思います。
  229. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、今努力なさっているということはもうよくわかるんです。ただ、まあずばり言わしていただくと、やはりお役所仕事だなという感じはして、私なんかはそういう仕事ばっかりやっていましたんで、ちょっと見てもお粗末だなという感じがするんです。まあしかし、そういう点じゃ今後商社もどんどん起用されたるいいと思うし、商社もこんなことでもうけようなんて絶対思わないと思いますので、これはやっていただきゃいいと思うんですね。  それで私、この九月に参議院から派遣されて豪州その他へ行ったんですね。豪州のシドニーなんかでも、あの何と言いましたかな、こんな倉庫を改造したところにおみやげ品がわんさとあるんですね。日本語をしゃべれる売り子さんがいっぱいおるわけですね。それで日本語で全部説明もあれば、値段も入っているわけですね。フィリピンへ行ったらフィリピンへ行ったで、タイ国へ行ったらタイ国、もうインドネシアもみんなそうなんですね。あんなにすごい日本人の観光客がショッピングやる。これは私も前から感じていましたけれども。あれだけ外国で外国品を買うのに、なぜ日本で百貨店やなんかで買わないかということなんですね。もう唯一値段が高いというだけなんですな。  私が申し上げるのは、業者の立場を考えてみたら、フィリピンだとか外国ね、フランス品でもそうですけれども、そんなややこしい物を入れて本当に売れるかどうかという心配があるわけですね。そうすると、相当やっぱり余裕というか、利益を見ておかないといかぬということで余裕見るわけですね。見ると値段が高くなる。値段が高くなるとやっぱり買わないわけですな。そういう悪循環を起こしているわけです。その辺をどっかで断ち切らなきゃいかぬ。今回のアクションプログラムとか、こういうのは私はもうチャンスだと思うんですよね。  そこで、今言ったようにインポートバザールでこれを安く売って、ああなかなかいいじゃないか、うまいじゃないかということになれば、今回は物品税から何から全部なにだから仮に三百円だと、それが全部かかっても四百五十円だということになれば買うし、業者の方も売れるとなれば、何も八百円しなくたって四百五十円でいいわけですよね。その辺をやはり微妙に商売のなにをつかんでいただかなきゃいかぬと思うんですね。したがって、これももう少し百貨店とかそういった知恵をやっぱり動員していただいた方がいいんじゃないかと思うんですね。私なんかもう本当に見ていて歴然と、ああまずいことやっていると、わざわざあれだけの大きなイベントやって、もうちょっと知恵を出せばいいじゃないかという感じはしたわけです。  その辺をぜひ、例えばよくここでも問題になりますけれども、成田なんかで、あんなにウイスキーだとか、重いのに持って帰ってくるわけですね。そういうことも、ついこの間の新聞に十倍ぐらい高いからというのは、もうまさに庶民の感覚というのはそれにあらわされているわけですよ。そういうことで、何も外国品を忌避しているわけじゃなくて、もう値段だけの問題だと、まあ品質も問題ありますけれども。そういう点をぜひ御考慮をいただきたいと思うんですよね。  それから先ほどの、前にこれもジンバブエの大使館の主催で、インポートマートで何か物産展をやるというので、私まあちょっと行ったんですよね。象牙だとか、やっぱりなかなかいい物があるわけですね。日本は象牙なんか輸入禁止ですから、製品でしか入ってこないんですね、向こうは輸出しないから。ところが、非常にいいんだけれども、どうもデザインだとかそういうものが日本向きじゃないわけですね。  したがって、私はあのときに大使に言ったんですけれども、これはまた三越でも何でもいいんですけれども、そういうところからデザイナーを招聘して向こうで指導してもらって、日本向きの物をつくって持ってくればもう相当売れるんじゃないかと思うんですね。日本は労賃が高いですからね。そういうことも少し政府があっせんされて、これはまあジェトロがやるのか知りませんけれども、通産省の方であっせんして、それで私は、まあこれほかのことでは言っているんですけれども、今買える物があるから買うとか、そういうものじゃなくて、何とか輸入さしていただくというか、売っていただくというか、もうこっちが頭下げて売っていただくような態度にならなきゃいかぬのじゃないかと思うんですね、今の日本の現状は。  それで一生懸命努力したと、四億の予定のところが五億数千万円売ったからいいじゃないかというんじゃなくて、これはもう本当に世界がみんな、なるほど日本はよくやってくれているということを満足させなきゃいかぬ段階だから、その点で私はもうぜひ考え方を変えなきゃいかぬ時代になってきているんじゃないかと思うんですね。その辺はどういうふうにお考えですか。
  230. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 大変木本委員の御意見は参考になるいい御意見だと思います。  私は横浜インポートバザールも行ってみましたし、それからこの間は渋谷でやはり渋谷の商店街が一致してインポートバザールを開いた。これにはアメリカのマンスフィールド大使だとか、あるいはブリンクホルストEC大使などと一緒に出席をしてテープカットをした。その真意は、製品輸入拡大というものを国を挙げて勧奨をしておる、お勧めをしておるということでございますから、ひとつ、先ほど鈴木次長からお答えしたように、ことしの十月、十一月で一千カ所、実際には一千百カ所を超えると思いますが、そういうところでインポートバザールをやる、そういう契機に国民に外国品をできるだけ輸入していただくという気持ちを養っていただくということだとか、そしてまた、総理自身から一生懸命やっておられるアクションプログラムやそういったものに対する理解を深めていただきたいという趣旨でございまして、なるほど、売る工夫が専門家である木本委員から見られてどうも足りないという御指摘、私はきっとあると思うんです。  というのは、外国へ行きました際に、日本人の観光者を目当てに非常な努力を外国の業者がしておられる、それに比べるとまだまだ工夫が足らないのかなということも考えるんですが、実は、ジェトロなども本当に一生懸命にやってくれておりまして、その誠意は私は非常に高く買っておるわけでございます。  今の御指摘の点はよくわかりますから、また具体的にいろいろと教えていただいて、この輸入拡大という問題が国民意識にしっかりと植えつかるような、そういったPRをいたしたいと思います。
  231. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひそういう方向努力していただきたいと思うんです。  それで、ちょっとまた嫌なことをもう一つだけ申し上げますと、通産省の優秀な事務局の役人の方々と打ち合わせていますと、アクションプログラムをやったときに、世界各国の残存輸入制限とかそういったものを全部調べて、それよりも下回るレベルで設定しましたと、それから関税にしても非常に下げておりますというふうな御説明だったわけです。それはそれなりに正しいと思うんですね。  ところが、今の日本はもうそういう考え方でない、例えば、外国はここだからここでいいじゃないか、あるいはここまで行っているんだからいいじゃないかという考え方じゃなくて、もう日本は全部ゼロにいたしますと。ただ、ゼロにはするけれども、一番極端な例が鉄砲だとか麻薬が入ってきては困るので、これは制限させていただきたいということをガットに話せば、いや、それはそうでしょう、鉄砲やなにはお困りでしょうというふうなことで、そこから始まって残存輸入制限はこの辺まで上がったということじゃないといかぬと思うんですね。ここまで下げたからここから比べたらいいじゃないかということでは、もうみんなが承知しないと思うんですよ。したがって、その発想をがらっと変えていただかないと、なかなか皆の満足を得られないんじゃないかという気がしますので、ぜひそういう方向で御検討をいただきたいと思うわけです。  それで、経済摩擦の問題は皆さんもよく言っておられるし、新聞なんかにも出ていますけれども、私の感じでは、世が世ならばというのか、戦前なら、これは経済紛争から当然戦争になっているんじゃないかと思うんですね。ところが、今世界的に戦争はできないと。したがって、みんなが我慢強くいろいろな交渉をしながら、いろいろな譲歩をしながら何とか解決という方向でやっているというような状況だと思うんですね。そういうことなんで、その上に、私は、日本ももうここまで来ますと、いわゆるシングルプレーヤーになるとシングルプレーヤーらしいプレーの仕方をしろと、何か今、ハンディ十八ぐらいにしておいて賞品ばかり稼いでいるということじゃいかぬのじゃないかということが外国から言われていると思うんですね。  そこで、局長さんにお伺いしたいんですが、私は、結論的にちょっと感じているんですけれども、この貿易摩擦の問題は、今後二十一世紀にかけて日本の輸出構造というか産業構造、経済構造からは不可避じゃないかという感じがするんですよ。幾ら輸入してみても、日本の今の世界におけるポジションからいって輸出をどんどんせざるを得なくなって、例えば韓国なんかに対して自動車工ンジンを出していますね。ところが、貿易摩擦があるからといってエンジンの供給をストップしてしまうと向こうの自動車ができなくなって、韓国の対米輸出ができなくなっちゃうわけでしょう。それから、日本からいろいろな部品がアメリカに行っていますね。日本がストップするとアメリカが手を上げちゃうわけですね、自動車の部品でも。そうなると、いや応なしに日本は供給を続けざるを得ない。供給を続けると外貨が入ってきちゃうわけですね。  そういうジレンマというか、輸出をやめた方がいいじゃないか、輸出を抑えた方がいいといったって、例えば先般の自動車の自主規制、これは通産省が大変にうまくやられたんですけれども、私の友達なんか、アメリカでは、何だ、日本はカルテルを結んで供給制限して、そのために向こうでは何か三百ドルぐらい高いというわけですね。それで、三百ドル高い上にどんどん売れちゃうわけですよ、供給がちょっとしかないから。もうちょっとあればダンピングなんか起こるのに、あんなマーケティングの、うまいマーケティングだけれども極めてずるい、それで自主規制だといってとんでもないと言って消費者は怒っているわけですよ。自主規制をやれ、やれと言っているのは向こうの自動車メーカーですね。こういう非常に矛盾したことにうまく対処せざるを得ないのが日本の置かれている宿命というか、体質みたいなものだと思うんですね。  その辺、今後の方向について通産省としてどういうふうに受けとめられているか、お伺いしたいのです。
  232. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 今御指摘のように、最近国際間の分業というのが大変進んでおりまして、日本は、あるいはアメリカあるいはヨーロッパ等に部品も供給する、あるいは製品も供給する、また日本も発展途上国が日本の海外投資でつくった部品を持ってきて組み立てているというような、国際分業の複合化が今大変進んでおりまして、製品間あるいは工程間の分業が進んでおるわけで、その意味では世界的に相互依存関係が大変深まっておると私は思います。  今、黒字の問題は、御指摘のようにいろいろな要因がございまして、一つには為替レートが、いろいろな経済政策の運営の結果として大変ドル高・円安が続いてきた。その間に、その条件の中でいろいろな産業の活動が新しい形で形づくられてきた、あるいは極端な言い方をすれば、アメリカの産業が部品供給等を海外にむしろ求める、工場を出すというようなことすら起こってきたわけであります。また、景気回復の局面が、アメリカが大変内需振興を目指した投資減税、所得減税等をやったことによって、かなり内需と外需のバランスでどうしても日本から輸出が出るような形になってきた。それからまた、今御指摘のように、日本もかなり所得弾力性の高い産業に特化してきたために、世界の経済成長が進むと輸出が出やすいという、そういう体質に今なってきたと思っております。  したがって、今はレートがある程度直ってまいります。それからまた、経済政策のいわゆるマクロの政策の国際間の調整、コーディネーションということが非常に重要になってきて、それがまた価格機能を通じて、新しい分業ということになっていくと思いますが、しかしそこもまたいろいろ機能に限界があるところもあると思いますので、私どももこの産業構造というものを国際的な視点でとらえていかなければならないと思っております。したがいまして、今お話もございました輸入促進あるいは市場開放というのもその大きな一環であろうと思いますし、それからまた今後海外投資を進める、日本の成長の成果を先進国あるいは発展途上国に資本あるいは技術の形で移転して、それぞれの経済の活性化あるいは経済のフロンティアの開発に貢献していくということもまたこれ日本としてやるべきことであろうと思います。  しかし他方、日本の国内に雇用の不安が起こるとか、あるいは産業の空洞化が起こってはならぬわけでありますから、そういう意味では国内の成長の源泉たる研究開発、技術開発、これも十分行われると同時に、諸外国にもある程度マーケットを譲るという意味がもし必要になってくるといたしますれば、当然日本の産業構造を柔軟な形にして、今後日本が技術集約的なものに変えていくような素地をつくっていく、こういうことも必要だと思っておりますが、まさに御指摘のように、産業構造を非常に国際的なインプリケーションで考えなければならない時代であるという点については、私どもとしても全く同じような考え方を持っております。
  233. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の御意見を聞いて非常に心強く思うんです。  ところが、もう少し皮肉な言い方をさせていただきますと、やっぱり官庁というのは一つの限度があると思うんですよね。何か事故が起こった、したがってその事故対策をやると。その起こることがわかっていてもなかなか予防的なことはやれない。アクションプログラムの悪口を言うわけじゃないですけれども、経済摩擦が起こって、アメリカからぎゃあぎゃあ言われるからやる。例え話的に言えば、きのう起こったことをきょう一生懸命考えて、それでまあとりあえず手を打つ。きょう起こっていることについてもまたその次考えていくということであって、あすのことをきょうやるという体制にはないわけですね。私はこれはもう国の将来を考えていくのはやっぱり政治家の仕事だと思いますけれども、政治家の方がなかなか力がないものですからね、そこまでいかないんですけれども。  それで、私ちょっと話を飛ばして経企庁の方にお伺いしたいんですけれどもね。日本の二十一世紀の経済構造というんですね、産業構造、経済構造、産業は通産省の方かもしれませんけれどもね、それをどういうふうに今設定されているか、予想されているかというふうな点をちょっとお聞かせいただきたいと思うんですがね。
  234. 勝村坦郎

    政府委員(勝村坦郎君) 二十一世紀に向けましての貿易構造、産業構造はどういうふうになっているかという非常に難しい御質問でございますので、十分お答えできるかどうかわかりませんけれども、一応手がかりといたしましては、これは五十七年でございますが、経済審議会の中に長期展望委員会というのをつくりまして「二〇〇〇年の日本」という成果を一応発表いたしております。それから、最近やはり総合計画局に研究会を設けまして、二〇〇〇年にかけましての「太平洋地域の発展と課題」という作業もいたしているわけでございます。産業構造がどの程度になるか、例えばサービス産業が何%ぐらいになるか、先端産業は何%になるか、そこまでの詳しい作業はちょっといたしておりませんものですから、世界経済、国際経済の中での日本の位置というものをどういうふうに見ているかということをお答えさせていただきたいと思います。  それで、両方の研究ともほぼ共通した結論を出しておりますが、貿易ということで申しますと、やはりこれは今後日本が例えば四%ぐらい、それからアメリカが二ないし三%ぐらいの経済成長を続ける、そういう中で、特に現在のNICSでございますね、それから今後NICS化してくる国、そういう国の経済成長あるいは貿易の伸びというのが恐らく、もちろんこれは一応順調な国際環境ということを前提にした上でありますが、一番伸びとしては高いんではないだろうか。そういう中で、さらに水平分業的な構造が発達をいたしまして、一部の進んだNICS等は資本財の輸出国にもなってくるだろう。それから、特に地域ということで申しますと太平洋地域、環太平洋地域という言い方もございますが、太平洋地域の伸びというのは、日本それからNICS、それから現在はまだ発展途上国である国々も含めまして、恐らく国際的には一番成長力の高い地域として発展していくだろうということでございます。  そういう中で日本がどういう形で今後の世界経済の発展に対応していかなければならないか。これはいろんな問題がございますけれども、思いつくままに幾つかの問題を拾い上げますと、やはり今通産省の方からも御指摘のありました相互依存関係の一層の進展という中で、大きな対外不均衡をいつまでも日本が続けていくというのはこれは不可能、それはもう経済的にも外交的にも不可能であろうと思うわけであります。したがいまして、現在経済審議会でも御討議をいただいているのでありますが、今後長期的な形で内外にわたっての基本的な均衡を保った日本の経済成長というものをどうやって維持していくか、これが今後の基本的な政策課題になるだろうというふうに思うわけであります。  そういう対外均衡の維持の問題がございますが、同時に技術の問題などになりますと、日本はよく技術の問題につきましては、ほかの国々からいわば輸入技術で実際の製造段階の技術を発達させて、みずからは開発のコストを余り負わないで発展しているじゃないかという非難がよくあります。これには相当誤解もまじっていると思いますが、否定できない面もあるのではないだろうか、ですから、そういう意味ではやはりこれから世界最先端の技術開発というものをやりまして、それを発展途上国のみならず、ほかの先進国に対しても技術移転していける。日本というのは、そういう意味で非常に国際的に貴重な国だという形をつくり上げていかなければいけないだろうというふうに思うわけであります。  それから、やはりそういう中で、同時に市場の開放ということをもっと積極的に、これはもう必然的な命題として続けていかなければならないだろうと思うわけであります。日本の競争力の強さあるいは産業発展力の強さということは御指摘のとおりでありますが、今までの世界の工業品貿易の中での日本のシェアというものを考えてみますと、最近は輸出のシェア、工業品の世界輸出に占めるシェアはどんどん上がってまいりまして、最近ではむしろアメリカをしのぐという形になっておりますが、実は工業製品の中での輸入のシェアということになりますと、これはもう七〇年ごろからほとんど上がっていないということがございます。いわゆる製品輸入比率の低さという考え方もありますが、やはり世界工業品貿易の中でのシェアが輸入としては上がっていないという問題はやはり何とかしていかなければならないことではないだろうかというふうに考えております。  それで、国内の産業ということで申しますと、いわゆる積極的な産業調整ということを進めていくのは当然でございますが、その点について二、三申しますと、日本はOECD等で五十六、七年に産業調整の議論が進められていたわけでありますが、結果として見ますと、日本というのはむしろ産業調整の優等生であったとも言えるわけでございます。典型的に言いますと、かつての石炭とか、繊維とか、そういうふうに規模を、雇用を縮小してまでも産業調整をやってきたというのは、日本が一番積極的にやってきたわけでありまして、そういう意味で日本が保護主義的な体質を持っているという非難は必ずしも当たらない面があろうかと思います、もちろん一次産品等の問題につきましては問題が残されておりますが。  ただ積極的産業調整を進めてまいりますと、これは御指摘のような貿易摩擦の問題というのはどうしても起こってくるわけでありまして、例えばアメリカの問題を考えてみますと、いろいろな問題がございます。特に最近はドル高の問題がございますが、やはり長期的に見ますと、成熟産業がだんだん衰退してきた、あるいはいわゆる先進国病にかかってきたということで、鉄鋼、自動車等に典型的に見られますように、競争力をむしろ失ってきたという問題がございます。それにもかかわらず、例えばアメリカの自動車産業などはいまだに八十万の雇用を抱えておりまして、調整をしろ、縮小しろと言われても、そう容易にできることではない。  そういう問題が、やはり積極的産業調整といいながら、既存の成熟産業をそう急に縮小するというようなことはできない。それはOECD等の議論でも、一定の調整期間を与えながら積極的にやれと、これは公式論でございますが、現にアメリカの産業を見ますと、そういう産業は徐々に保護主義の中に浸って安定化を図るという形が出てきているわけでございます。  そういういろいろな問題は今後とも起こってくると思いますが、やはり日本が、一つはさっき申しました太平洋地域で、そこの指導者という言葉はちょっと語弊を生じますけれども、一番進んだ国としてそこの発展に寄与していくということを申しますと、もちろん技術移転も援助も必要でありますが、やはり市場を積極的に与えていく、日本を非常にありがたい市場だと思ってもらうように開いていくということが、やっぱりこういう今後の国際社会の中での一番の安全保障の要素にもなってくると思うわけでございます。  それから、最後に一つだけつけ加えますと、対外均衡を図っていくことはもちろんでありますし、それから国際通貨制度のより有効な機能というものを協調的な政策で回復していくということはもちろんでありますが、それをやりましても、日本はやはり世界最大の債権国家にもう既になりつつあるわけでございまして、今後五年、十年ということを考えますと、一体どういうふうに処理したらいいかというぐらいの、これはちょっと推定の額を申し上げるのは差し控えますが、それぐらいの大幅な債権国になる可能性があるわけでございます。そういう中で日本としての責務をどう果たしていくか、これは真剣に考えなければならない問題だろうというふうに考えております。
  235. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の明快な見通しで非常に安心したわけですけれども、ぜひそういう方向で今後とも進めていただきたいと思うんです。  時間がなくなったものですから、はしょってちょっと言いたいことだけ申し上げますと、今の円高の問題は、私はこれはほっておいちゃいけないと思います。どんどん円高になればいいと言って百八十円までやると、けさほどのなにもありましたけれども、やっぱり混乱を起こす。混乱を起こすと、日本の今の世界におけるポジションからいって、混乱を輸出することになっちゃうわけです。したがって、世界のためにも混乱を起こしちゃいかぬ。したがって、これははっきりG5か何かのところで言って、こういう事情があるので一応二百円なら二百円でずっと推移を見る。おさまるのを見てからまたフリーにするとか、そういうことが今大事になってきていると思うんですね。ただ単に円高にすればいいというふうな状況じゃないということを申し上げたいんです。これは議論がいろいろあると思いますけれども、その点はまた教えていただきたい。  それから、今経企庁からお話がありましたことを最後に私なりにまとめて、大臣意見をお聞きしたいと思うんですけれども、先ほどの説明がありましたように、今の世界的なポジションからいけば、私はオイルダラーのときと同じだと思うんです。これは入ってくるのはしようがない、オイルを売るのをやめると世界が混乱しますから売らなきゃいかぬ。ところが、売るとダラーが入ってきてオイルダラーが困る、これの環流をいかにするかという問題なんですね。  今お話がありましたように、例えばODAでどんどん裏から出していく、あるいはNICSの国に対するプラントの累積債権がありますね、これをOECDに渡してチャラにしてやるとか、そういうことだとか、あるいは国際分業の問題、その国の経済開発をやるとかあるいは飢餓の救済をやるとか、アメリカの援助の肩がわりをやるとか、それから技術移転だとか、製品をできるだけ輸入していくと、鉄鋼だとかそういったものをどんどん輸入していく。そうすると日本の方で鉄鋼が非常に困るわけですけれども、そういうふうな、総合的に環流を、サーキュレーションをいかにやるかというのを、これは人任せじゃなくて日本がやらなきゃいかぬポジションになっていると思うんです。  したがって、私は、東京と鹿児島県の問題を通産省が今お考えになっているように、先進国と発展途上国、世界のことを国境を外して、ここで、霞が関でお考えになっていただかなきゃいかぬときに来ているんじゃないかと思うんですよ。その辺で、いや輸入すると牛肉やオレンジがどうだとか、そういう国内の問題もありますけれども、国内の問題、内需拡大も、こっちを内需拡大しないと世界に混乱が起こるからやるんだとか、そういう観点から見ていただかなきゃいかぬときに来ていると思うんです。ぜひそういう点でお考えいただきたいということで、最後に大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わります。
  236. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 木本委員のお考えは非常に前向きでよくまとまっておるという感じがいたします。経企庁からも大変まとまった意見を言っていただきました。  まさに、二十一世紀を展望してみますと、木本委員が御指摘のような国際経済的な観点というものは非常に必要になってくるし、また、日本が世界の一割国家としての責任、現在の日本の経済構造からのいろいろな影響力ということを考えても、おっしゃるとおりでしょう。総理は国際協調のための経済構造調整研究会をつくって勉強なさる、こういう非常に意欲的な姿勢でございますし、通産省も、産業構造審議会の総合部会企画小委員会で、二十一世紀産業社会の基本構想というものをまとめるということで、大変意欲的に取り組んでおりまして、まさに国際分業、そしてまた世界を全体として眺めていかなきゃならないという重要な時代が来たと思います。  こういった点については、経済哲学と申しますか、そういう基本的な問題をしっかり勉強しながらやっていくということでしょうし、また、日米首脳会談、いわゆるファンダメンタルズまでさかのぼってマクロ経済を検討するとか、総理がいろいろ述べておられることも、そういう大きな経済哲学というものに従ったものだと思います。ODAの拡大、国際分業、あるいはこれから発展をしてまいります発展途上国へのいろいろな救済、そういった問題を含めてよく勉強してまいりたいと思います。
  237. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  238. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 次に、一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案について趣旨説明を聴取いたします。村田通産大臣
  239. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及び要旨を御説明いたします。  現行の一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法、いわゆる社債特例法は、昭和五十一年に制定され、一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の設備設置のための資金需要の増加に対処するため、これらの会社の社債の発行限度に関し、電気事業法における社債の発行限度及び商法の一般会社発行限度額に対して、それぞれ特例を設けております。  現在、政府は、喫緊の政策課題である民間活力による内需振興策として、一般電気事業会社に対し、今後昭和六十三年度までの間に、総額一兆円程度の追加的投資を要請しているところであります。また、中長期的にも、電力需要の増加に対応しつつ電源の多様化を進めるための発電施設の建設、それに伴う送電線網の整備、さらには経済社会の高度化・情報化に対応するための供給信頼度の向上等を行うことが必要であり、これらに要する設備資金は、確実に増加していくものと見込まれております。  これらの事情を勘案いたしますと、一般電気事業会社による設備投資額は、今後十年間で総額約四十六兆円に達するものと予想されます。これに必要な資金を調達するため、長期・安定的な資金源である社債の発行額は今後も増加し、現行の発行限度、すなわち商法の発行限度額の四倍を超え、昭和七十年度末には、一般電気事業会社の平均の社債発行倍率は、商法の発行限度の五・五倍にまで達するものと見込まれております。  したがって、今後当分の間大幅に増大する見通しにある一般電気事業会社設備投資のための資金需要に対処し、電気の安定供給の確保を図るためには、一般電気事業会社が社債による所要の資金調達を円滑に行い得るよう、現行社債特例法の期限を延長し、当分の間の措置として、一般電気事業会社の社債発行限度額を拡大することが必要であります。  なお、一般ガス事業会社につきましては、今後の設備投資のための資金需要の動向からみて、昭和五十二年に制定された社債発行限度暫定措置法によって、社債による所要の資金調達が可能であると見込まれるところから、改正された後の社債特例法の対象とはしないものとしております。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  まず、題名を一般電気事業会社の社債の発行限度に関する特例法と改めるものとすることが第一点であります。  第二に、一般電気事業会社は、現行法では、社債の発行限度額を商法の社債発行限度額の四倍に定めておりますが、当分の間、この限度額を商法の発行限度額の六倍に引き上げることとしております。  第三に、一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例は、廃止することとしております。  なお、内需拡大策として、政府一般電気事業会社に要請している追加的設備投資を円滑に実施するためには、これら会社は、本年中にも周到な資金計画を策定した上で、関係金融機関との事前調整を行う必要があります。このため、できる限り早く社債発行に係る法的整備を行い、今後の社債発行を含めた資金調達について確実な見通しを与えることが、政府の責務であると考えられます。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
  240. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会      —————・—————