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1985-12-19 第103回国会 参議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十九日(木曜日)    午後四時二分開会     —————————————    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      高桑 栄松君     中西 珠子君  十二月十一日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     和田 静夫君      中西 珠子君     高桑 栄松君  十二月十三日     辞任         補欠選任      石井 道子君     藤田 正明君      佐藤 昭夫君     宮本 顕治君  十二月十四日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     石井 道子君      宮本 顕治君     佐藤 昭夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 大浜 方栄君                 佐々木 満君                 高杉 廸忠君                 中野 鉄造君     委 員                 石井 道子君                 遠藤 政夫君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 村上 正邦君                 森下  泰君                 糸久八重子君                 浜本 万三君                 和田 静夫君                 高桑 栄松君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君                 下村  泰君    衆議院議員        社会労働委員長  戸井田三郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君    政府委員        厚生大臣官房長  下村  健君        厚生大臣官房審        議官       内藤  洌君        厚生省健康政策        局長       竹中 浩治君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        厚生省薬務局長  小林 功典君        厚生省保険局長  幸田 正孝君        社会保険庁医療        保険部長     花輪 隆昭君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   伊藤 一実君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  森下 忠幸君        建設省都市局下        水道部公共下水        道課長      辻  栄一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○医療法の一部を改正する法律案(第百一回国会  内閣提出、第百三回国会衆議院送付) ○下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合  理化に関する特別措置法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○国民健康保険財政に関する請願(第二一号) ○重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(第二二  号) ○老人医療への定率負担導入反対等に関する請願  (第三九号外一件) ○国民健康保険財政に関する請願(第四一号) ○失業対策事業の六十五歳線引き・四万人首切り  反対等に関する請願(第四五号外五〇件) ○国民健康保険財政健全化に関する請願(第七  四号) ○国民健康保険財政健全化に関する請願(第九六  号) ○健保本人十割給付復活をはじめとする医療保険  改善に関する請願(第一七八号外一件) ○被爆者戦時災害援護法即時制定に関する請  願(第二三八号外一件) ○保育制度充実等に関する請願(第二四九号外  三件) ○老人保健制度拠出金増額反対に関する請願  (第二八四号外一六件) ○小規模障害者作業所の助成に関する請願(第三  〇五号) ○てんかんの総合対策に関する請願(第三〇六号  ) ○消費生活協同組合法改正等生協規制立法反対  に関する請願(第四〇〇号外二件) ○被爆者援護法制定に関する請願(第四九九号  外七件) ○民間保育事業振興に関する請願(第六〇〇号外  五九件) ○輸血及び血液製剤エイズ汚染排除等に関する  請願(第六〇二号外三件) ○保育所制度充実に関する請願(第六七四号外  七件) ○失業対策事業存続等に関する請願(第六七七  号外一件) ○国立十勝療養所国立療養所帯病院の統廃合  反対に関する請願(第七〇九号) ○保育予算大幅増額に関する請願(第七九二号  外五件) ○福祉制度改悪反対に関する請願(第七九三号外  一八件) ○労働者災害補償保険法改正に関する請願(第七  九九号) ○国民医療・仕事・暮らしの充実に関する請願  (第八四七号外八四件) ○老人医療費患者自己負担増大反対等に関する  請願(第八八九号外三四件) ○看護専門学校寮における電気製品使用規制と  消燈規制の緩和に関する請願(第九二一号外一  件) ○国立佐渡療養所整備拡充存続発展に関する  請願(第九二二号外一件) ○国立療養所新潟病院整備拡充存続に関する  請願(第九四五号) ○国立療養所東高知病院存続発展国立高知  病院機能充実強化に関する請願(第一〇  〇三号) ○下垂体性小人症の治療に関する請願(第一〇一  八号) ○老人福祉に関する請願(第一〇六九号) ○障害者の働く権利の保障に関する請願(第一〇  九二号外一二件)     —————————————
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一日、中西珠子君が委員辞任され、その補欠として高桑栄松君が選任されました。     —————————————
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 前回に引き続き、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 和田静夫

    和田静夫君 まず、先日の委員会スタンガンを取り上げましたが、適切な措置要請しました。ところが、その後もスタンガンを使った事件が続いています。  警察としては、それなりの努力をなされているとは思いますが、先日も申しましたけれども、きちんとした使用基準をつくる、あるいは登録制をつくるなどの対応が私は早急に必要ではないかと思うんです。いかがでしょう。
  5. 伊藤一実

    説明員伊藤一実君) お答えいたします。  スタンガンにつきましては、ただいま先生指摘のとおり、本年七月以降、犯罪の用に供された事案を私ども九件把握しておりまして、大変悪用されるおそれが強い器具でありますので、販売元に対しまして販売自粛申し入れを再三にわたり強力に行っているところであります。  スタンガン輸入または販売を規制する法令につきましては、関係省庁とも連絡をとりながら検討いたしましたけれども、現在のところ、規制する法令はないというような結論に達しております。  それから、スタンガンの所持につきましては、軽犯罪法第一条第二号にいうところの凶器の隠し持ちに該当する場合もあると見ておりましたところ、去る十一月の二十九日に宮域県で発生した傷害事件被疑者スタンガンを携帯しておりまして、このことにつきまして軽犯罪法の適用をいたしまして有罪となっております。  当面の対策といたしましては、スタンガン販売元に対しまして引き続き粘り強く販売自粛申し入れを行う、あわせまして警備業界とかあるいは防犯機器業界に対しましてスタンガンを取り扱わないように協力要請をしております。  また、スタンガン及びその類似品輸入販売等についての実態把握して、事前指導いたしまして、輸入販売等の抑制に努めることをしております。例えば十一月二十九日には、ほかの業者が当該スタンガン輸入しようとしていることを私ども把握いたしまして、事前指導によりましてこの輸入を断念させた事例がございます。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 引き続いて厳格な対応を求めておきます。  どうもありがとうございました。  そこで、先日の委員会資料要求をいたしました必要病床数標準についてでありますが、厚生省が今考えている必要病床数標準を仮に東京に当てはめるとどうなるか。試算式その地やりまして、結果的に私が言うことに間違いがあれば訂正をしてもらえればいいですが、時間がありませんから、おたく資料に基づいて私がはじいた数字を申し上げていきます。  性・年齢別人口掛ける受療率イコール推計入院患者数、その総和掛ける全国平均病床利用率分の一掛ける百、これで粗必要病床数が出る。これに流出入によっての補正を行う。それを東京モデル計算に当てはめる。そうすると九万六千九百床で、一万対病床数で八十二・六床。現在八十二・一床。こういうことに私の計算ではなる、おたく数字をずっとはじき返しますとね。ここは余り問題ないところですが、一万対で見ますとそう違わない数字に結果的にはなりました。これはあくまでも全国平均受療率をとって計算した仮定計算であるわけですね。さらに補正されることにこれからなるわけです。しかもこれは三次医療圏トータル数字でありますから、トータルとして病床数に大枠の変化はないとしても、先日も指摘したんですが、東京都内における偏在、あるいは先日も問題提起した老人特例病院小児専用病院などの集中によって普通の病床のクラウディングアウトといった事態が十分に予想されるわけであります。  これについて厚生省は、必要病床数標準病床機能、性格に応じて本当に必要な病床数が確保されるよう考えるべきだと思う。私はそのことを要求をしているわけですが、これはそれでよろしいですね。
  7. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 先生お示しの数字は、東京都を例にとりました数字はそのとおりでございまして、ただ、現在入院受療率全国数値しかございませんので、全国の性・年齢階級別入院受療率を適用して計算いたしたということでございます。  今回の新しい患者調査の結果につきまして、今、統計情報部の方で地域ブロック別の性・年齢階級別入院受療率というものを計算してもらっております。できるだけ早くそういうものを得まして、本来の東京都の必要病床数につきましては、入院受療率関東ブロックの性・年齢階級別受療率計算をしたいと、そのように考えておるわけでございます。  その次に、老人病床、例えば一般病床の中で老人向け病床あるいは小児向け病床、その他機能別の分類で考えるべきではないかという御趣旨でございます。私ども現在の段階におきましては、二次医療圏におきます必要病床数は、現在の医療法病床種別一般病床結核病床精神病床ということでございますので、一般病床一本で必要病床数を算定したいと考えておりますが、その際に必要病床数計算の過程、つまり計算基礎で、例えば必要病床数はこれだけになったが、その積算基礎になっておる六十五歳以上の患者に必要なものはこれだけである、あるいは四歳以下の計算はこうなっておるというようなことは、医療審議会では当然御説明をするわけでございますし、必要に応じてそういった年齢階級別積算基礎等を明らかにいたしまして、病床整備医療供給体制整備の参考にしてもらうし、また行政指導の場合も、そういった積算基礎を踏まえながら指導してまいるというふうなことも考えていきたいと思っております。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 さらに、これは簡単な答弁でいいんですが、先日も述べておきましたし、どっちみち後ほど確認の質問があろうと思いますから。  医療圏線引きも、その地域の実情に特段の配慮が必要であるということを述べました。市町村都道府県自主性が十分に尊重されなければならない、そのことはきょうももう一遍強く要請をしておきます。  さらに、都道府県医療審議会構成あるいはその内容の公開について、これは地域住民労組代表構成に加える、審議内容を公開する、このことについても先日来述べていることでありますので、これも強く要望をいたしておきます。  これ、何か今私が言ったことで御異論がございますか。いいですね。
  9. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 今おっしゃる線で進めてまいりたいと思っておりまして、線引きについては十分地元市町村都道府県の意向が反映できるようにいたしたいと考えておりますし、審議会構成につきましても、医療を提供する側、それから医療を受ける側、学識経験者という三者構成でございます。現在の都道府県医療機関整備審議会におきましても、例えば労働組合代表の方あるいは婦人団体代表の方もかなりの県で入っておられますので、そういった方向で考えてまいりたいと思っております。  それから、審議会の議論の内容でございますが、これは審議会でいろいろ決定をされました際には、当然のことといたしまして、都道府県当局報道機関等に御説明をするわけでございますので、そういった方法を通じまして、できるだけ審議会の中身もおわかりいただけるようにしてまいりたいと思っております。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 医療監視ですが、医療監視の結果、厚生省提出資料によれば、医師全国の五千九百五十六病院において法定人員を満たしていない、看護婦は三千百三十九病院標準未満薬剤師は四千二十病院不足。実に調査対象病院八千四百三十六のうち、医師は七〇%が標準未満看護婦は八千四百二十三病院の三七%で標準未満、それから薬剤師は八千四百二十七病院中四八%で標準に達していない。これは驚くべき数字であります。全国病院の七〇%で法律が指示する人員というものが守られていないということにこれはなるわけであります。十分な医療が行われていないということにもなろうかと思うのであります。中には、まじめに取り組んでもなかなか人が集まらないという病院、これも数多くあるでしょうけれども、それにしてもこの数字は問題であります。  厚生大臣、御見解があれば一言まず承りたい。
  11. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 定められておる医師等標準数に達していない病院かなりの数に上るということはまことに遺憾なことと考えておるわけでございます。  病院におきましての医師等充足については、従来から都道府県医療監視を通じて改善指導を行ってきたところでございますけれども地域によっては、特に医科大学がなかった都道府県において全般的に医師不足が見られる傾向があることも事実であります。今後は、新設医科大学においても卒業生が逐次出てくることや、今回御審議願っておる医療法改正案による医療計画の策定、推進によって改善を期してまいりたいと考えております。  なお、医療監視のあり方についても検討をさせてみたいと考えておる次第でございます。まことに遺憾なことでございました。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 これは私、一人二人足りない、あるいはパーセンテージに置きかえてみて八〇%程度充足率なら、これはある程度やむを得ないということは、施行規則標準という考え方をとっている以上、言えるかもしれないとは思っているんです。しかし、充足率五〇%以下という病院がぞろぞろあるというおたく数字を見て大変驚いているわけであります。  今、ストライキをやっている山形県の光ケ丘病院というのがございますが、これは二十六人の医師が必要なんですね。ところがわずか四人なんです、これ。私が調べた山形県のデータでは二十四病院充足率五〇%以下なんです。これは五十九年度の数字でありますが、調査対象民間病院の何と六五%が充足率半分以下ですよ、これ。半分以下であります。これはどう言っても弁護できないだろう、こう私は思うんですね。  全国調査対象病院のうち何病院で一体医師充足率五〇%以下なのか、これは厚生省ちゃんととっていらっしゃるわけですかな。
  13. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 医療監視の結果でございますが、医療法施行規則標準数に達しない病院については数を把握いたしておるところでございますが、達していないものについて、どの程度のものがどれだけあるかという分布、今お尋ねの充足率五〇%に満たないところがどれだけあるかという点につきましては、まことに恐縮でございますが、現在の段階では把握をいたしておらないわけでございます。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 この辺非常に重要なんで、本来ならこの辺の調査ができていなくて医療法論議にならぬだろうと私は思うんですがね。しかし、理事会での協議結果がございますから、尊重しながら進めますけれども、この辺はぜひ調査をしていただいて、第二次医療法のいわゆる改正作業とでもいいますかね、その論議を早く進めてもらうことに我々要求しているわけですから、そこには間に合うように、そういう基礎的なデータがないまま論議をしているというのは私は非常に不十分な論議だ、こう思いますがゆえに、これは強く要求をしておきます。  それからもう一つは、こういう状態というのは、広い意味で私は、やっぱり医療法違反だ、こう思うんです。医療法違反実態すら行政が満足に把握をしていないということになるだろうと思うんですがね。充足率というもののランク別統計をやっぱりちゃんとやるべきだ。今度数字をはじいてみて本当に思うんで、おたく調査されたのと私が全国的に網を張って調査したのとでの若干の食い違いはありますけれどもね。その辺をやっぱり権威づけるためにも、もう少し厚生省側調査というものがしっかりしなきゃ、データというものがしっかりしなきゃならぬと私は思う。悪質なケース全国にいっぱいある、全部が全部だとは言いませんけれども。そういう実態を知らずして医療行政推進をできるというふうには考えられません。これは厚生大臣、そうでしょうね。
  15. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) できるだけ実態把握しておくべきであるというふうに思います。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 ここは強く調査を求めておきます。局長、よろしいですか。
  17. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 仰せのとおり、できるだけ早く調査をしてまいりたいと思っております。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 私は各県の担当者に取材をいたしましたところ、何度行政指導を行っても実は不備改善されない、そういう事例たくさんあるんだと、そこのところ非常に困っているわけですよ。富山県の、こういうところですから固有名詞は挙げませんが、ある外科病院では、六名の医師が必要なんだが一名しかいない、そういう状態が何年も続いている、どれだけ言っても。こういうのはやっぱり悪質なケースだと私は思うんです。これはやっぱり法の趣旨に照らして明白な違反でありますから、そういうものに対する処分なり告発なりというようなものはないわけでしょうか。
  19. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 標準数に適合していない、特に著しく適合していない病院でございますが、従来、改善計画書を出させ、それに基づいて逐次指導をしていくということでやってまいっておるわけでございます。仰せのような、何年にもわたって何ら改善が見られないようなケースもあることは確かでございますが、今後は、十分調査をいたしまして、厳正に対処をしてまいりたいと思っております。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 五名必要なのに一名しかいない、六名必要なのに一名しかいない、これ厚生大臣、私たち素人ではありますが、非常に遺憾な状態だと、こう思いますので、今、局長答弁がありましたからしっかりやってもらいたいと思うんです。  構造設備に関して、これも私は、広狭両方をとっても明白な医療法違反じゃないだろうかと、おたく数字で思うんですよ。例えば山形県ですが、病院数、延べにして二十二病院構造設備不備がある。あるいは香川県でも検査に必要な設備不備が十七病院ある。病室以外に患者を収容している病院が十三など数多くの違反が明らかになっています。  ところが、厚生省はこういう実態を全く公表もされてこなかった。厚生省衛生行政業務報告を見てみますと、私が今言った各県は処分件数ゼロとしかなっていないんです。これは正確な実態把握をされて、そしてやっぱり一定の公表はされるべきだろうと思うんですが、この点はいかがでしょう。
  21. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 構造設備につきましては、もし仮に重大なる違反と申しますか、重大な問題がある場合には医療法の二十四条によりまして、例えば改善命令でございますとか、使用制限命令等を出せることに法制上なっております。  それから、公表してはどうかという御提案でございますが、私ども、先ほどの従事者数の問題で極端に悪い場合とか、あるいは施設で非常に危険があるというような場合、今の改善命令はかけるわけでございますが、極端な事例につきましては今後病院名公表等についても検討をしてまいりたいと思っております。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 ぜひそのことも求めます。何も嫌がらせて乱やるつもりは全然ありませんで、やっぱり公正な医療地域的に保障をされていくという体制をどうしても私たち真剣につくり上げてもらいたい、そういうふうに思うからであります。  もう、きょうお約束になりましたから深追いをいたしませんが、医療法違反についてきちんとした調査もされていない、あるいは調査結果も公表されない、何度も同じ事項を行政指導しても改善しない、そういう、極めて少数の例だと言えばそれまでかもしれませんが、一部のとにかく悪質病院処分はされない、告発もされない、こうなりますと、医療法などどうでもよいのだと考えていらっしゃるのかな厚生省は、というふうに思われても仕方がないだろう。そうでないならば、法的不備行政的不備改善すべきだ、こうなるわけでありまして、大臣、よろしいでしょうね。
  23. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のような方向改善をすべきであると思います。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 こういう問題は次の改正作業まで待てる問題ではありませんので、今の大臣答弁を尊重しておきますので、きちんとした調査、結果の公表、厳正な行政処分、そういうものを強く求めておきます。  私が医療監視を取り上げたのは、第一に、営利目的病院経営が行われているケース全国的にかなりの数に私の調査では上ってきた。それから第二に、一部の医師会行政がどうも癒着しているのではないかとうわさされるような実態があること。この二つの実態を具体的に示すために取り上げたのでありますが、こうなりますと、大臣、七条四項の趣旨がほとんど生きていないということになるわけです、ここらの問題について。そういう実態にある。よって、先日も言いましたオリンピックグループのようなケースが今後ふえていくことが予想されるわけであります。七条四項が生きるように行政はきちんとした対応をぜひしていただきたい。そして、一部にうわさされるような、一部のいわゆる医師会行政が癒着をするというようなうわさが断ち切れるような、そういうことを強く要求をしたいのであります。  医療監視についてさらに言えば、監視を行う人員が、これがまた不足をしているんです。満足な監視ができないというのが実は現場の実態であります。これも非常に不幸な状態だと思っているんです。大臣、この医療監視が十分に機能するような行政的な対応とでもいいますか、体制充実強化、そういうことを強く求めたいんですが、いかがでしょう。
  25. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 先生が前段でお話がございました七条四項の問題でございます。前回も御答弁申し上げましたとおり、営利目的とする病院診療所の開設は禁止をいたしておるわけでございまして、直接営利企業経営をするというのはもちろんでございますが、ダミー等を使いまして実質的に病院診療所経営を行うということも私どもは認めるべきではない、認めるわけにはいかないということで、この点につきましては、前回答弁申し上げましたとおり、都道府県に対しまして厳重に実施していくようさらに行政指導を重ねてまいりたいと思っております。  それから医療監視でございます。確かに仰せのとおり、一部で人員不足等の問題が生じていようかと思いますが、行政改革の非常に言われておる折からでございますので、できるだけ効率的と申しますか、現在の人員を有効に活用しながら医療監視にとりましての必要な業務を的確にやっていくよう、これも都道府県と十分相談をしながら指導してまいりたいと思っております。
  26. 和田静夫

    和田静夫君 さらに、医師看護婦の名義貸して実際いないというケースが私の調査で浮かんできました。これは診療報酬の不正受給につながっているわけであります。この点をきちんと把握するためには医療監視とレセプト点検をリンクさせる、これは全く私の思いつき的なことでありますが、そういう調査をする必要があるように感じたんです。この辺のところは十分に対応していただきたいという要望をしたいわけでありますが、いかがでしょう。
  27. 幸田正孝

    政府委員(幸田正孝君) 実は、基準看護問題をめぐりまして福岡県の北九州病院で、御指摘のような看護婦の名義借り等の事実がつい最近ございまして、厳重な処分をいたしたところでございます。  私ども、こういった問題がございましたので、本年の六月に全国の基準看護病院につきまして総点検を実施いたしました。全国で三千四百十二の基準看護病院を対象にいたしまして総点検を実施いたしました結果、基準看護に適合していないということで基準看護の取り消しをいたしました病院数が二十四病院。それから基準看護の種別を変更させましたものが十病院ございます。なお、一時的な不足ということで現在経過監察中の病院が二百五十病院、こういう状況に上っている次第であります。  お話のございましたように、レセプト点検と医療監視との連係ということも極めて有効な手段でございまして、北九州病院の場合には、医療監視の担当部局と医療保険の担当部局が共同で指導に当たった、こういう事例もございますので、必要に応じて今後ともそういった方向を考えてまいりたいと思っております。
  28. 和田静夫

    和田静夫君 ぜひ、私の提案が生きるように行政の真剣な御検討を求めておきます。  さらに、現在の医療財政病院経営をめぐっての質問をしますが、病院経営収支状況という資料によりますと、病院経営は、一九八一年初頭から医業収支率は一〇〇を超え、赤字となっている状態ですね。そうすると、これはこの間薬価基準の引き下げが、これは私の考え方ですが、極めてトラスチックに行われた。診療報酬の引き上げがそれに追いつかなかった。いわば政策的な赤字だというふうにどうも感じておるわけです。この四年間診療報酬は単純に合計しまして一四・五%引き上げられた。薬価の引き下げは四六・一%に及んだ。薬価の医療費ベースでは一四・六%の引き下げである、こういうことになりますがね。この大幅な引き下げによって多くの病院が赤字経営に転落したということになろうかと思うんですが、こういう事実についての評価というのはどういうふうになさるわけでしょう。
  29. 幸田正孝

    政府委員(幸田正孝君) 昭和五十六年以降公的病院の収支率が一〇〇を上回っておりまして、それは今御指摘の薬価基準の引き下げあるいは診療報酬の不十分な引き上げの結果ではないかと、こういう御指摘だと思いますが、私ども、やはり公的病院は何といいましても救急あるいは難病その他の不採算医療をも担当しているわけでありまして、赤字の原因はそういった問題にも負うところが大きいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、中医協におきましてもこの収支率、今御指摘のございました公的病院の収支率を参考にして診療報酬の改定問題を考えるべきだと、こういう御指摘も関係委員からございまして、こういった問題につきまして現在前向きに検討しているところであります。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 来春の薬価改定について中医協で、厚生省は五%程度の引き下げの方向であると報道された。これは医療費ベースに置きかえますと一・五%の引き下げになるようでありますが、問題は、それに応じてこの診療報酬が引き上げられなければならないと思うんですね。そうしなければ病院経営の赤字基調は改善されないだろう、そう考えるんですが、一部に二%の引き下げという観測が出ましたね。この点はどうなんですか。
  31. 幸田正孝

    政府委員(幸田正孝君) 本年の十月取引分を対象に薬価調査を実施いたしましたが、その結果は一昨日の中医協で報告をいたしましたところでありまして、その内容は、医療費ベースで一・五%程度、それから薬価ベースでは五%を上回る程度の部分改定の方向で考えたいということであります。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 病院経営の赤字をこのまま放置しておくわけにはまいりません。大臣、新医療法がスタートするに際して、この点きちんとけじめをつけておく必要があると私は思うんです。そのためには基本方向として、社会保険診療報酬の抜本改定と、それにリンクする形で薬価制度の抜本的な見直しを図る、それが正しい行き方だと考えています。  厚生大臣ね、これ若干時間がかかってもそういう作業を開始する指示というもの、今も答弁がごさいましたが、強く大臣の側からされるべきだと、大臣の御認識も今、局長答弁等があったことで理解をしておいてよろしいですか。
  33. 幸田正孝

    政府委員(幸田正孝君) 薬価基準の問題につきましては、関係方面からも薬価改定方式の再検討ということで各方面から見直しの要望がございます。中医協におきましても、本年の四月と六月に関係業界、製薬業界等医薬品の卸業界からの意見聴取を行うというような動きがございまして、現在この薬価基準のあり方につきましても少し基本的に見直しをしようじゃないかと、こういう空気に中医協はなっているわけであります。  診療報酬問題につきましては、中医協で既に二年前ほどから診療報酬体系の合理化ということをそれぞれ検討項目を挙げまして検討をいただいている最中でございます。私ども診療報酬問題につきましては、その中で関係方面の意見の一致を見ましたものにつきまして逐次実施をしていきたい、こういう姿勢であります。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 大臣
  35. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) ただいま局長から御説明申し上げましたように、次なる検討課題として検討させていただきたいと思います。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 前回、約六項目の修正要求を含んで理事会にお預けをしました。後ほど高杉理事を通じて確認的な質問、答弁が行われると思いますので、きょうの質問は私はこれで終わります。
  37. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 極めて時間が限られていますので、焦点を絞って質問をいたします。  今回の医療法改正案は、医療費の適正化、すなわち医療費を抑制する、その医療費の適正化を医療の供給面から図ろうと、ここに大きな目的があると考えるわけであります。  既に政府は、需要面での適正化、抑制を図ろうということで、国庫負担を削減するなど医療保険の改定をやってまいりましたけれども、今回、供給面でさらにそれをやっていこうという、この両面で推進をしようとするものでありますが、こうしたことから、今回の医療法の改正をとらえて日本医師会など医療関係団体は、この結果が医療の官僚統制強化を引き起こすということで強く反発をして、国会でのいよいよ具体的な審議に当たっての修正協議に手間がかかったのが実情であります。  このような両面の医療費の適正、抑制政策、これは大変な片手落ちであって、国民から見て絶対に釈然としないものを残している政策だと思うわけであります。  こうした見地から私は以下質問をしたいと思いますが、先日の十一月一日の厚生省調査発表によりましても、国民の健康問題に対する関心が非常に高いと、また高齢化社会に向かいつつあるとき、いわば国民の健康保健担当省ともいうべき厚生省が、あの既に厚生省が出しました文書、昨年の「今後の医療政策の基本的方向」についてという、厚生省試案の説明ということでありますけれども、その中でも「地域・職域を通ずる健康増進」が必要だということを言っているわけであります。他の省庁にかかわる問題については相互に協議をしながらということを当然のこととして、要は政府として、職域の国民、すなわち働く労働者、こういう働く労働者の健康増進の問題について積極的な政策、積極的な提言、こういうものを厚生省として進めてしかるべきじゃないかと、医療費を削ることばっかり考えるんじゃなくてという、そのことについてまず大臣の見解を聞きたいと思います。
  38. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、積極的に前向きに健康を確保しようということはまことに重要でございまして、そのためには国民の一人一人が真剣に取り組んでいくことが大切でありますけれども厚生省といたしましても昭和五十三年から、まずライフサイクルに応じた健康診断等の保健サービスの提供、次に健康増進センター等健康づくりのための基盤整備、さらには健康づくりのための啓発普及等を内容とする国民健康づくり運動を展開しておるところであり、今後とも総合的な健康づくり対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  39. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は特に、厚生省の文書にもある職域で働く国民、すなわち労働者、この健康増進の問題について、厚生省としてどういう積極的施策を考えているかということで聞いているわけです。  念のために大臣に聞きますけれども、労働者の健康を増進するということと職場の労働条件を改善するということとは無関係じゃありませんね。
  40. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 全く無関係ではないと思いますけれども、即一〇〇%それが影響しておるかということは、また別の見方があるのではないかというように思います。
  41. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大臣も御存じのことと思いますけれども、我が国の労働者は、先進国の中でも例がない長時間労働の状態に置かれているわけであります。その上、過密労働や交代制の労働、また通勤に多くの時間を要するという状態であります。  もう一遍聞きますけれども。この長時間労働、労働条件問題、中でも長時間労働問題というのが労働者の健康状態に影響を与えているということについてはお認めになるでしょうね、大臣
  42. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 今お話しの、労働時間を含めました労働条件でございます。私ども厚生省といたしまして、労働条件と健康につきましての直接的な研究というものは行っていないわけでございますが、大臣からお話ございましたように、国民全般の健康の確保という点、これは厚生省の使命でございますが、そういう観点から、もし必要がございましたら労働条件と健康との関係も調査研究をしていきたいと思っておりますが、今の二つの労働条件と健康との関係、大臣答弁ございましたように、関係があることは確かであろうと思いますけれども、完全に直接的な関係があるかどうかについてはいろいろ議論があるところではなかろうかと思っております。
  43. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 局長にお尋ねしましょう。  長時間労働と労働者の疾病の関係、逆に言えば週休二日制の完全実施や週四十時間労働制、こういうものを完全に実施すればどれくらい労働者の健康に、したがってひいては医療費の削減効果があるかと、こういう問題について研究したことありますか、厚生省として。
  44. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 先ほども申し上げましたように、労働条件あるいは労働環境、それと労働者の健康との関係といった点につきましては、御案内のように、労働省の労働行政におきます重要な課題の一つであろうかと思っております。私どもといたしましては、国民全体の健康確保、それのための総合的な対策の樹立ということが厚生省の使命でございますので、そういう観点から、労働関係の問題につきましても必要がございましたら労働省と連携をとりながら、厚生省としてできる範囲のことを調査研究ないしは方策の検討をしていきたい、そんなふうに考えておるわけでございます。
  45. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 労働者問題は、他省庁、具体的に言えば労働省の問題だという言われ方をするんですけれども、そういうことで責任逃れができるんでしょうかね。これは、もう私数字を挙げるまでもなく明白なように、国民医療費のうち職場の労働者にかかわるいわゆる健康保険や共済、この分野が占める比重というのは圧倒的に大きいわけでしょう。だからここの部分が、労働者が健康になって病気にかからぬようになる、したがって、医療費が少なくて済むと、こうなれば厚生省としてやいやいと口にしておる医療費効率化のこの問題とも大いに関係ある問題と、だから当然ここに厚生省としての注意を向ける必要がある問題じゃないかというふうに私思うんです。  長時間労働、したがって、そういう過労が蓄積をされた場合に、一般的に言ってどういう病気にかかりやすいかということについてどんな認識ですか。
  46. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 疲労の問題でございますが、疲労の本体につきましては、先生も御案内のように、まだ十分に解明されていない状況でございます。普通、疲労いたしましても休養をとりますとそれで回復するわけでございますが、その範囲を超えて放置いたしました場合には、一般に疾病に対する抵抗力が弱まるというふうに言われておるわけでございます。  疲労の蓄積と、例えば具体的な疾病との因果関係といった点につきましては、必ずしも医学的に明らかにされていないわけでございますが、例えば、過去にそういった疾病に対する抵抗力が弱まるというようなことで結核との関係が議論されたり、あるいは最近は疲労と申しましても主として精神的な問題といたしましてストレスの問題などがあるわけでございますけれども、ストレスが自律神経に影響をするとかあるいはノイローゼの発生に非常に関係があるというようなことが言われていることは聞いております。
  47. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 非常に抽象的な言われ方をしていますけれども、例えば「賃金と社会保障」という雑誌があります。これは社会保障というタイトルがついておるがごとく、厚生省としても大いに注意を払っておる雑誌だと思うんですけれども、例えばことしの六月上旬号に、新松戸診療所の石田一宏という方が長時間労働と労働者の疾病との関係についていろいろ研究の結果を発表しているわけであります。その中ではいわゆる心身症、過労死——過労による死亡、自立神経失調症、神経症、うつ病あるいはアルコール依存症と、こういう病気が多発をしてくるということで、これは一例として挙げたわけでありますけれども、その他数々の研究や単行本なんかも出されているということで、もっとこういう点に厚生省として注意を向けてしかるべきじゃないかと。あるいは夜勤交代制労働者の場合、健康にどういう影響を与えるかということで、よく知られている日本労働者安全センター「いのち」の一九八三年の九月号に、労働科学研究所の酒井という人の論文、かなり詳しい臨床結果に基づくまとめが出ているということで、より一層長時間労働、中でも夜勤労働の場合に深刻な影響が労働者の健康にあらわれてくるということであります。また、今もちょっと触れられましたストレスの関係で、労働者の健康、疾病にどういう影響が出るかということで、労働省が研究委嘱をした中央労働災害防止協会が、九月三十日にその研究の中間報告をしているわけであります。  私は、何遍も言うようですけれども、労働者問題というのは労働省の問題だと、こういうことで他省庁任せにするんじゃなくて、医療費の問題を論ずるのであれば、その中で欠かすことのできない労働者の健康増進をどう図るかと、これが医療費問題とも極めて密接な関係を持ってくるんだという、こういう見地からもっと厚生省として責任を持った研究やあるいは調査がなされてしかるべきじゃないかと。官僚の人はそのとおりですというふうにはそれは言えぬかもわからぬ、いろいろ役所の縄張りがあるから。しかし私は、大臣国務大臣の一人として、あるいはまた政治家の一人として、厚生省としてもそういうところに研究の目を向けるべきではないかという、この点についてはどうお考えになりますか。
  48. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 大臣の御答弁の前に、君千事務的な点がございますので御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。労働環境、長時間労働等については私どもも十分関心を持っておりますが、先ほども申し上げましたようなことで、国民全体の健康問題という視点で私どもはやっておるわけでございます。ただ、お話に出ましたストレスの問題につきましては、これは単に労働者だけでなしに、家庭の主婦を含めまして大変大きな国民的な問題だというふうに認識をいたしておりまして、来年度六十一年度の概算要求におきまして、このストレス問題を課題にいたしまして関係の専門家によります検討会をひとつ設置して、予防を含めた対応策の検討をお願いしたいと考えておるところでございます。
  49. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ストレスの問題の研究では少し触れられましたけれども、しかし、全体として私が提起をしておるような部分について、官庁の縄張り意識なども働いているんでしょうか、依然としてそういう答弁をされているわけですけれども大臣、本当にお尋ねをします。  医療費ということを論ずるのであれば、その中でも重要な比重を占める労働者の健康問題、健康増進をどう図るかという見地で、労働者問題は労働省任せと、こういうことではなくて、厚生省としてその問題に積極的に目を向ける、そして必要な場合には相協力をして、労働時間の短縮とか深夜交代労働を規制するとか超過密労働を規制するとか、こういう問題について厚生省としても熱意を示してもらいたいということについて、大臣としてはどう思うか、政治家としてどう思うか、もう一遍聞いておきます。
  50. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほどから局長からお話しを申し上げておりますように、国民一般の健康を守る立場で作業をしておるわけでございますけれども、その中でも、先生指摘のような過労の蓄積によって起こる問題等については、やはり厚生省が勉強していかなくちゃならぬ問題だと思います。ただ、今、労働省が休日の問題やら時短の問題をいろいろ議論しておられるわけでございますから、私は私なりに、労働大臣に対してそのような問題に対しての適切な処理はお願いを申し上げたいと思います。
  51. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 本法案は、昭和二十三年以来の大改革であり、本委員会における重要法案にもかかわらず、厚生大臣が年金担当大臣として年金の審議に優先をされ、本業の本法案については十分な審議を尽くすことができなかった、このことは極めて残念であり遺憾である、このように思います。  私は、本法案審議の最終段階に際して、今までの本委員会における質疑を通じてこれを総括する立場から、医療法の第二次改正を早急に行うことを前提として、以下、厚生大臣に確認の質問を行いたいと思います。  まず第一に、厚生大臣に伺います。  都道府県医療計画を策定させるだけではなく、医療従事者の養成を含めた確保の対策、さらに現実の地域偏在をなくすための国としての医療計画の策定を行うべきである、こういうふうに思います。大臣、いかがでしょうか。
  52. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 医療供給のあり方につきましては、地域の特性により種々異なる面がありますので、医療計画の策定は地域の実情をよく把握している都道府県において行われるのが適当であると考えて、都道府県知事がこれを行うことといたしたものでございます。国としては、そのような都道府県医療計画の適正かつ円滑な策定を推進することとし、その策定に当たっての必要最小限の標準を示すとともに、技術的な事項についての助言を行うこととしておるわけでございます。  なお、ナショナルセンターの整備等都道府県地域を超える広域的な見地から必要とされる医療の確保並びに看護婦等の医療従事者の養成、確保等については、国としても計画的な施策の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  53. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に確認をいたしますが、改正案第三十条の三第三項に定める医療計画の記載事項として、地域中核病院整備に関する事項、これを明記すべきではないか、このように考えます。大臣、いかがでしょう。
  54. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 各医療圏における必要な各種の医療機能の確保につきましては、特定の病院のみが担うのではなく、医療圏の中の公的病院、私的病院を含むできるだけ多くの医療機関が相協力して推進することが望ましい場合もあると考えておりますが、今後、医療計画の推捗状況も踏まえながら、地域における医療機関の整備のあり方について研究を深めてまいりたいと存じております。
  55. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、都道府県自主性を重んじるため、都道府県医療計画における医療圏の設定及び必要病床数に関する標準、これを厚生省令で定める旨の規定は削除すべきである、このように考えます。大臣、いかがでしょう。
  56. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 今回の医療法改正の目的は、医療施設の不均衡な配置を是正し、体系的な医療供給体制整備を図ることにより、国民がひとしく医療を享受できるようにすることにあります。このため、医療圏の設定や必要病床数の算定の方法等医療計画の基本的な内容が各都道府県ごとに区々にわたらないよう、必要な範囲でその標準厚生省令で示すことにいたしたものでございます。  いずれにしましても、医療計画の策定に関しては、各都道府県自主性を十分尊重しながら、中央統制となることのないよう留意をしてまいりたいと存じております。
  57. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に確認いたしますが、都道府県地域医療計画の案を作成するため、「診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴く」、このようにしておりますが、これは都道府県医療審議会委員の一部について事実上特別扱いとすることになり、同審議会の運営に支障を来すおそれがあると考えます。そこでこの項を削除すべきである、このように考えます。大臣、いかがでしょう。
  58. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 「診療又は調剤に関する学識経験者の団体」は、地域医療を実際に担っており、計画策定に不可欠な情報を有しているので、計画案の策定に当たり、これらの団体の意見を聞くことは重要であると考えております。  これに対し、都道府県医療審議会に諮問する趣旨は、医療制度に関する学識経験者のより広範な視野からの意見聴取を行うということにあるので、御指摘のような特別扱いをしているわけではないことを御理解願いたいと存じます。  なお、都道府県医療審議会構成、運営に当たっては、このような趣旨が十分生かされ、幅広い意見が反映されるようにしてまいりたいと存じます。
  59. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、地域中核病院の拡充等を図るに当たって、公的病床規制が妨げとなる場合が多いと思われるのです。そこでこれを撤廃すべきである、このように考えます。大臣、いかがでしょう。
  60. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 公的病床規制は、今般の医療計画導入の趣旨にも沿うものでありまして、これを廃止することは適当ではないと考えておりますが、そのあり方については、今後の運用状況を見て改めて検討することといたしたいと存じます。
  61. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、「営利目的として、病院診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、」都道府県知事は開設の「許可を与えないことができる。」としている現行法を改めて、許可を与えてはならないこととして、また、営利目的に関する判断基準は省令にゆだねることとすべきである、このように考えます。大臣、いかがでしょう。
  62. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 現行規定におきましても、実際上、営利目的とする医療機関の開設は認めていないのでございまして、法文修正までは必ずしも必要はないのではないかと考えております。  今後とも、医療営利目的として行われることのないよう、その趣旨の徹底に万全を期すこととし、その点について、個別的事情に応じきめ細かく指導できるよう、通達による指導強化していくことといたしたいと思います。
  63. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に確認いたしますが、総合病院に必置すべき診療科目として精神科及び神経科を加えるべきである、このように考えます。大臣、いかがでしょう。
  64. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 総合病院につきましては、次期法改正に向けて、御指摘の点も含め、その基本的なあり方に関する検討を行ってまいりたいと考えております。
  65. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に確認いたしますが、病院には専属薬剤師を必置として、現行法における都道府県知事の許可を受けた場合の免除規定は、医師が常時三人以上勤務する診療所に関してのみ存続するように改むべきである、このように考えます。  また、病院が置かなければならない人員についても、法第二十一条第一項第一号の例示に薬剤師を追加すべきである、このように考えます。あわせまして伺います。いかがでしょう。
  66. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 病院等における薬剤師を含む職員配置のあり方については、次期法改正に向けて早急に検討を行ってまいりたいと考えております。
  67. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 病院診療所の区分、役割分担について見直しを行うべきである、このように考えます。いかがでしょう。
  68. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 現行の医療制度につきましては、御指摘の点を含め、医療需要の増大及び多様化、医療の高度化など時代の変化に対応し、国民に対し適正な医療をあまねく確保する観点から根本的な見直しが必要であると考えております。次期法改正に向け、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
  69. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に確認をいたしますが、中間施設の法的性格を早急に明らかにすべきである、このように考えます。いかがでしょう。
  70. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 中間施設の法的性格につきましては、現在鋭意検討中でありまして、早急に結論を出したいと考えております。
  71. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 最後の確認質問になりますけれども医療計画の作成に当たっては、住民の意見を聞くために公聴会を開くことができるようにすべきである、このように考えます。この点、最後に確認をいたしまして、私の確認質問を終わります。  以上でございます。
  72. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘趣旨につきましては、医療計画の策定に当たり、都道府県医療審議会において、医療を受ける立場にある者を含め、幅広い見地からの意見を聞くこととするとともに、住民の総意を代表するものとして市町村の意見を聞くこととしているところでありまして、これらの方途により、十分反映されるよう配慮してまいりたいと存じます。  なお、御指摘の公聴会につきましては、各自治体において自主的に判断さるべき問題であろうと考えております。
  73. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上をもちまして、本案に対する質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  74. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、医療法改正案反対の討論を行います。  本改正案は、臨調答申に基づく医療費抑制策の一環として提出されたものであります。政府は、臨調方針に沿って、高齢化社会に対応するためとか医療費の適正化の名によって、老人保健法や医療保険を、患者負担はふやしながら国の負担は削減する改悪を強行してまいりました。その上、都道府県ごとに必要病床数を規制することによって、医療供給面から医療費抑制を図ろうとするのが本法案の本質であります。  政府の言う医療費適正化対策とは、需要と供給の両面から、国民が安心して必要な医療を受けられる状態に著しい制限を加えるものであります。この政策方向は、到底容認できませんし、私が本法案に反対する最大の理由もここにあります。  私は、医療費のむだをなくすことや不正請求など不法行為には厳しく対処すべきであると考えます。しかし、政府が今、医療費適正化対策として先行さすべきことは、公衆衛生の向上や疾病の予防と早期発見のための体制の確立であり、僻地等医療過疎地域の解消のための努力であります。また、勤労国民の多数を占める雇用労働者の健康保持のために、世界的にも有名な長時間労働、過密労働の規制の強化と労働時間の短縮などが急がれるのではないでしょうか。  私は、WHO憲章前文が言う、「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」という定義を、どう政治的、政策的につくり上げるかが政府に課せられた任務でありまして、国民にのみ犠牲を求める現状では、国民は絶対に納得しないということを付言、強調しまして、私の反対討論を終わります。
  75. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  医療法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大浜方栄君から発言を求められておりますので、これを許します。大浜君。
  77. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 私は、ただいま可決されました医療法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     医療法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、国民の健康と福祉の向上を図るため、疾病の予防、治療からリハビリテーションに至るまでの包括的な保健医療体制の確立に努めること。また、医療従事者の重要性にかんがみ、その確保に努めること。  二、病院診療所の区分、役割分担を含め、所要の法制整備を行う等医療制度の抜本的な見直しを行うこと。  三、病院等における薬剤師を含む職員の配置の在り方について早急に検討を行うこと。また、総合病院について、精神科・神経科の必置の問題を含め、その基本的な在り方を検討すること。  四、医療計画の策定に関しては、都道府県自主性を十分尊重し、中央統制に及ぶことのないよう留意すること。  五、医療営利目的とせず、適正に行われるようその趣旨の徹底に万全を期すこととし、歯科を含め適切な指導監督を行うこと。また、医療法人の育成について積極的な対策を講ずること。  六、医療審議会構成、運営に当たっては、医寮を受ける立場にある者を含め、医療に関する識見を有する者の幅広い意見が十分反映できるように留意すること。  七、公的病院に対する病床規制については、今後の運用状況を勘案し、鋭意検討すること。  八、中間施設について、法的性格等その在り方を早急に明らかにすること。  九、歯科保健の増進強化を図るため、保健所、都道府県等における業務の円滑な推進体制整備に努めること。  十、医療を提供する体制の一層の充実を図るため、医薬品情報の確保、薬剤師による適正な医薬品の管理・調剤が行われるよう努めること。  右決議する。
  78. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいま大浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  79. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 多数と認めます。よって、大浜君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣
  80. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
  81. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  83. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 この下水道の整備に伴って、一般廃棄物処理業務の縮小、廃止という事態が出ています。これまでは各市町村で円満に話し合いが行われている現状にあるわけでありまして、そういう意味では別に新たな法律をつくる必要はない、そのことを私たちはっとに主張してまいりましたし、政府においてもそういう考え方が多数であったわけであります。しかし、議員立法という形で衆議院を通過してまいりました。百歩譲って、この法律をつくというのであれば、次の点だけは最低確認をしておかなければならないと思います。  まず第一は、この業務の縮小や廃止で一番困るのはそこで働いているところの労働者であります。その当該労働者に十分な配慮が必要であります。交付金が出される際に、十分労働者の権利や利益を配慮すべきだと考えますが、このことが第一。  第二に、さらに当該の企業に労働組合がある場合には、労働組合の意向を十分に尊重される、そのことが必要でありますから強く要望いたしますが、いかがでしょうか。
  85. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 大変ごもっともな御指摘と存じます。日ごろ非常に御苦労の多いし尿処理の仕事を引き受けられまして市町村の清掃行政に貢献してこられましたのは、一般廃棄物処理業の経営者と並びまして、日々実際の仕事に従事されている従業員の方でございます。これが下水道の整備等によりまして業務が縮小するとか、あるいは廃止を余儀なくされるという場合には、御指摘のとおり、これらの従業員に対しましても十分な配慮を払っていかなければならないと考えております。  したがいまして、厚生省といたしましては、市町村がこの法律に基づきまして合理化事業計画をつくりますが、その場合に、資金上の措置を定める際には従業員に対しましても適切な考慮が払われたものとなるようにする必要があると考えておりますので、その旨地方公共団体を指導してまいる所存でございます。  なお、この場合、市町村は事業者など関係者の意見を十分聞きながら合理化事業計画を定めるべきでありまして、お尋ねのように、必要に応じまして当該事業所内の労働組合の意見を聞くことも望ましいと考えておる次第でございます。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 今回の法律改定が新たな民間委託を推進するのではないかという危惧が生じていますが、この点はいかがでしょうか。
  87. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 合理化事業計画は、合理化法にも規定されておりますように、あくまで清掃事業の担い手でございます市町村が、地域の状況を踏まえまして、みずからの発意によって定めるものでございますから、厚生省といたしましても、地方自治を尊重しながら適正な法の運用を図ってまいる考えでございます。  なお、お尋ねの民間委託等の点でございますけれども、清掃事業の実施体制は、一般廃棄物の処理責任を有する市町村が生活環境の保全上支障が生じないように、地域の実情に応じまして自主的に定めるものでありまして、今回の法改正が特段民間委託の推進に結びつくものとは考えておりません。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 関連労働者の再就職などの際に、職業訓練その他の特段の配慮が必要だと考えられますが、何か具体的な方策をお持ちですか。
  89. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 職業訓練に関する一般的な制度といたしましては、職業訓練法に基づきます公共職業訓練施設による職業訓練等の制度がございますことは、先生御案内のとおりと存じます。このほか、廃棄物処理業それ自体の事業を転換しなきゃならぬとか、あるいは、そこで働いておられる従業員の方々の職業訓練が容易に行われるために、特別の措置といたしまして中小企業事業転換対策臨時措置法がございますが、この法律によります業種指定を受ける方途がございます。  そこで、厚生省といたしましては、今後し尿処理業などをその指定業種とすることにつきまして関係省庁、これは通商産業省あるいは労働省でございますが、これらと十分連絡調整を図ってまいりたいと考えております。また、ただいま申し上げましたような職業訓練制度の活用などにつきまして、市町村や事業者に対しまして周知徹底を図ってまいる考えでございます。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 下水道の普及状況を見ますと、六十年度末の見込みで三六%という数字です。この普及率は欧米先進国に比べて著しく低いものであります。  まず、厚生省としてはこの普及率をどう受けとめていらっしゃいますか。
  91. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 仰せのとおり、低いと思っております。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、建設省、第五次下水道整備五カ年計画の達成率は何%ですか。それから、新たに第六次下水道整備計画が作成されているわけでありますが、現在の財政事情からしてこの目標、三六%を昭和六十五年で四八%に持っていく、この達成の方向というのは可能だとお考えですか。
  93. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 第五次下水道整備五カ年計画の達成率につきましては、事業費で約七四%の見込みでございます。  今後の下水道整備でございますけれども、今、先生お話しのように、第六次の五カ年計画を策定して計画的に整備をしていこうという考えでございますが、現在の要求案でございますと、十四兆一千億という投資規模によりまして四八%まで普及率を上げていきたいというふうに考えておりまして、十四兆一千億が確定いたしますれば四八%は可能であるというふうに考えております。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 第六次計画では小規模な公共下水道に重点を置くと、これは歓迎すべきことだと私は思っていますが、他方で流域下水道を進めるわけですね。建設省は、この流域下水道から小規模公共下水道へ方向転換するということではないだろうか。基本的方向として建設省は、大規模化あるいは広域化という形、下水道行政をそういう形で展開をされてきた。ところが、この方向はスケールメリットをもたらさずに逆にデメリットをもたらす、そういうケースが数多く指摘をされているわけであります。そのあおりを受けて、下水道料金が上がって大衆負担やあるいは受益者負担がふえる、そういう一部の問題をずっと引き起こしてきたわけであります。  建設省は、そういうような問題を起こしている大型化、広域化の基本方向を見直す、ある意味では基本方向を転換する、そういうようなお考えはございますか。
  95. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 六次五計では、先生おっしゃいますように、小規模下水道だとか地方の下水道に重点を置く、こういうふうに私ども申しておるわけでございますが、下水道の計画につきましては、それぞれの地域におきまして非常に広域的にまとめてやった方がよろしいか、あるいは市町村単位でやったらよろしいか、あるいは市町村よりももっと小さい区域に区切って整備をした方がよろしいのか、それぞれの地域でいろんな比較検討をいたしまして、最も適当であるという方式を採用しておるわけでございます。  小規模下水道に主要課題を置くという私どもの意味は、今まで地方のそういう小さいところの下水道整備というのが非常におくれておりますのでこの整備を促進したいということと、それからもう一つは、現在の公共下水道の補助事業の制度からいきますと、ある規模以上の計画になりませんと補助事業の対象にならないというようなこともございますので、できれば五カ年計画が改定されるに当たりまして、もっと小さい規模の下水道についても補助事業として実施されるようにしたいということで今いろいろ検討しておるところでございます。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 雑誌エコノミストのことしの九月十七日号ですが、中西準子さんが単独と流域とのコスト比較を行っておるわけですね。非常に興味がある。単独の処理場一人当たり建設費は二十四万二千円だ、流域の方は四十七万一千円だ、流域の方がはるかにコスト高に中西先生のいわゆるレポートではなっているわけですね。この数字というのは建設省は確認できますか。
  97. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) どういう計算をされたかというのがよくわかりませんので、ちょっと確認ができない状況でございます。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 流域下水道を建設する際に、コスト比較はおたくもされるわけでしょう。そうすると、その個別個別のデータは出ますか。出していただけますか。今出せなければ後ほどでもいいですがね。出ますか。
  99. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) それぞれのプロジェクトにつきましていろいろ比較検討して方式を決めるわけでございますので、そういう検討資料につきまして、結果につきましては先生の方にお知らせできるかと思います。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ、後でください。  そこで最後ですが、私、中西レポートを読んでみまして、これは単独であっても計画が過大であるというふうにされているんですよ。例えば茨城県の鹿島町では、昭和四十四年計画策定時の人口が二万一千人なのに、昭和七十年には人口が二十二万人になるという予測を立てて、そして下水道事業に着手をされた。その過大な人口予測によって膨大なむだが生じた。この下水道計画は区域内十万人という広い枠で組み立てられたために計画変更がきかないんですね。現在の見通しては、昭和六十五年に人口五万五千人なのに管理棟は十万人分でつくられてしまっているわけだ。ほかにもこういうケースはいっぱいあるわけですね。  建設省にお尋ねしたいのは、中西さんはこのレポートの中で次のような具体的提案をされていますね。  第一に、長期の計画と当面の投資計画を分けて、二十年以上の投資は行わない。その際、長期計画と整合性を持たせる。それから第二には、公共下水道区域を限定して、集落下水道、個人下水道で整備する区域をふやす。第三に、工場排水は下水道で受け入れない。  私は、この提案というのは傾聴すべきものであると考えますがね、素人の考えでしょうか。
  101. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 先生おっしゃいますように、下水道の計画を立てますときに、二十年後を見通して立てると、こういうことでやっております。したがいまして、その計画を立てますときの社会情勢の状況によりまして、その後の状況の変化がございまして、その見通しが違ってくるというようなこともございまして、一部先生のおっしゃるような状況がございますので、建設省といたしましても、社会情勢の変化に応じて逐次計画の見直しをするようにということで公共団体を指導しておるところでございまして、また、施設の整備につきましても、できるだけ段階施工をして過大投資にならないようにということを指導しておるところでございます。  そこで、エコノミストに書いてございますいろいろな下水道方式の名前が出てくるわけでございますが、一応集落下水道というのは、恐らく集落単位で下水道を整備するということではなかろうかというふうに想定いたしますと、その件に関しましては、先ほども申しましたように、下水道計画を立てますときに、どの範囲のものを一つの区域として下水道整備をしたらよろしいかということをいろいろ検討いたすわけでございますので、一つの市の中でも幾つかに集落が分散しておれば、分割して計画を立てた方がいいか、あるいはそれをくっつけて大きく計画したらよろしいかと、いろいろ検討いたしまして決定するわけでございますので、その結果、一つの集落単位で下水道を整備した方がよろしいということになりますれば、集落単位の下水道というものを現在でもやることにしておりますので、そういう意味では、その地域に適しておればそういうことでいけるのではないかというふうに考えます。  それからもう一つの個人下水道でございますが、これもちょっと定義がはっきりしませんので想像で申し上げますと、個人という言葉から申しますと、まあ一戸かあるいは数戸ぐらいの単位がなというふうに想定いたしますと、私どもが今考えておりますのは浄化槽に相当するものではなかろうかということでございまして、そうなりますと、下水道が整備できていない地域とか、計画区域になっていないところあるいは下水道整備ができるまでの補完的な施設、こういうふうに考えておりまして、下水道と相まって、全体の排水処理をしていくということでそういう水質関係の改善には非常に効果があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 下水道のコストなどの資料をいただいてから、コストや財政、さらには広域、大型化の是非などについては、予算委員会で時間をかけて少しこれ論議をさせていただきます。  きょうは厚生省、最後に、集落下水道などの小規模下水道について私はもっと重点的に推進すべきだということを前々から地行その他で言ってきたのでありますが、そういう立場を私は持っているんですが、これは厚生大臣はどういうお立場といいますか、私の考え方について何か御意見ございますか。
  103. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 先ほど建設省の方からもお答えございましたように、その地域地域でそういう小規模のものが適当だというものにつきましては、私どももそれは適切に管理運営されるように浄化槽法に基づいてやっておるところでございますし、また、市町村が管理いたします。そういう小規模の浄化槽につきましては、国庫補助の道も開いておるところでございます。
  104. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上をもちまして本案に対する質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  107. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、請願の審査を行います。  第二一号国民健康保険財政に関する請願外三百三十七件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第四一号国民健康保険財政に関する請願外十四件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二一号国民健康保険財政に関する請願外三百二十二件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会      —————・—————