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1985-12-10 第103回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  十二月六日     辞任         補欠選任      中西 珠子君     高桑 栄松君  十二月十日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     穐山  篤君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 大浜 方栄君                 佐々木 満君                 高杉 廸忠君                 中野 鉄造君     委 員                 石井 道子君                 遠藤 政夫君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 森下  泰君                 糸久八重子君                 和田 静夫君                 高桑 栄松君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君    政府委員        文部省高等教育        局長       大崎  仁君        厚生大臣官房審        議官       内藤  洌君        厚生省健康政策        局長       竹中 浩治君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局老人保健部長  黒木 武弘君        厚生省児童家庭        局長       坂本 龍彦君        厚生省保険局長  幸田 正孝君        社会保険庁医療        保険部長     花輪 隆昭君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        清水 傳雄君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        文部省高等教育        局医学教育課長  佐藤 國雄君        厚生大臣官房審        議官       代田久米雄君        厚生大臣官房審        議官       古川貞二郎君    参考人        杏林大学教授・        医学部長     竹内 一夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○医療法の一部を改正する法律案。(第百一回国  会内閣提出、第百三回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六日、中西珠子君が委員辞任され、その補欠として高桑栄松君が選任されました。     —————————————
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  医療法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会杏林大学教授医学部長竹内一夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席を賜りまことにありがとうございました。委員からの質疑を通じ、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。     —————————————
  5. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 まず、先日の委員会で積み残した問題にちょっと入りますが、高率補助金問題。  大蔵省は、生活保護は三分の二、保育所運営費補助は二分の一、失業対策事業は二分の一、その他補助率二分の一の奨励金補助金を三分の一または十分の四に引き下げる、この案を各省に提示していると言われるのでありますが、厚生大臣はこの事実を確認されますか。労働省はいかがですか。
  7. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) この問題につきましては、閣僚協議会あるいは閣僚会議あるいは補助金問題検討会において検討していただいておる最中でございます。その間いろいろ新聞記事にも出ておりますけれども、現段階におきましては具体案としては私は承っておりません。
  8. 清水傳雄

    政府委員清水傳雄君) 失対事業補助率の問題につきましても、補助金問題全般に関します関係閣僚会議検討結果等を踏まえつつ対処していかなければならないことでございまして、現段階で御指摘のような結論が出されたという状況ではございません。その結果を待って適切に対処してまいりたいと、このように考えております。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 両答弁者とも、いずれこういうような削減提案が明るみに出ることになるんでしょうけれども、今そういうふうに言われておっても。知っておっても知らぬと言っておるのでしょうが、厚生大臣あるいは労働省としてどういう態度をおとりになりますか。
  10. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 検討会結論を待って判断をいたしたいと思いますので、今、予断をもって申し上げることははばからしていただきたいと思います。
  11. 清水傳雄

    政府委員清水傳雄君) ただいまお答え申し上げましたように、関係閣僚会議検討結果等を踏まえながら対処いたしてまいりたいと、このように考えております。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 自治省、こういうような補助率削減地方財政を圧迫し、ひいては福祉水準後退をもたらすと思いますか。——自治省来てなし
  13. 岩崎純三

  14. 和田静夫

    和田静夫君 財政当局来るように言っといた。じや、まあいいや。  そこで、大臣ね、これはこの間も確認しましたように、今申しましたように、後退をもたらす。福祉を担当する大臣としてしっかり現行補助水準を堅持していただかねばならぬと思うんですがね、いかがです。
  15. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 私どもといたしましては、福祉の実質的な水準が保たれるようにということは常に念頭に置かなくてはならないというふうに思っております。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 まあ、十分これ議論をしている時間がありませんが、高率補助金は、その施策に対して政府が責任を持つという趣旨で設けられたものであることは御存じのとおりです。それをマイナスシーリングだからできませんということには私はならない。特に生活保護日本福祉制度の根幹なわけですから、福祉の原点だと言ってもよいわけですから、財政の論理だけで削られてはたまったものではありません。あなたは日本福祉後退させる厚生大臣として歴史に名をとどめるというようなことにならぬように、きちんと防衛をしていただきたい。強く意見を述べておきます。  次に、ツツガムシ病ですが、最近急速にふえてきている。ことしに入って八月までに全国で六名の死亡者が出ている。患者数は二百八十二名余に達するとされているわけであります。厚生省は調査されていると思うんですが、これまで把握されている事実を具体的に報告してください。
  17. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) お尋ねツツガムシ病でございますが、御指摘のように、最近非常にふえてきております。五十八年で六百七十名ぐらい、五十九年で九百五十七名ということでございますし、本年一月から八月末までで二百八十二名の発生報告を受けておるところでございます。前年同月で二百四十名でございますので、昨年を上回るということでございます。  死亡者につきましては、私どもが現在把握しておる死亡数は二名となっておるわけでございます。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 どうもその数が食い違うんですがね。  それでは、福島の三名、鹿児島の一名というのはおたく統計の中に入っていますか。
  19. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 人口動態統計の月報の方で私ども把握しておるわけでございますが、これにつきましては岩手県で一名、東京都で一名という報告を受けておるところでございます。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 これは調査願いたいんですが、私はこれは正確に福島県などの発表をもとにして申し上げていましてね、福島で三、鹿児島で一、計六名の死亡。それが、言ってみれば原死因ツツガムシ病でなくても、ツツガムシ病にかかったことが誘因となってお亡くなりになっている。がん患者が最後に肺炎で亡くなると同じような形のことでありますから、ここのところはしっかり掌握してもらいたいと思います。私の数字に間違いはないと思うんですが、いかがでしょう。
  21. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) ただいま御指摘のように、死因を決めます場合には、原死因ということで私どもとしてはコーディングをしておるわけでございますが、届け出のございました患者さんがその後どう死亡したかということにつきまして、時点の差もあるかもしれませんので、私どもとしても調べさせていただきたいと思います。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 十月、十一月にこれは発生が多いと言われているわけでありまして、これからまた件数がふえるようなことも考えられますが、そういうことはいかがでしょう。
  23. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 御指摘のように、これから発生がなおふえるというふうに私どもも聞いておるところでございます。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 八〇年代に入って増加傾向にありますね。この辺のことの推移はいかがですか。
  25. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 戦後しばらくは、昭和二十年代、三十年代、やや多かったり少なかったりしましたけれども、せいぜい百人とか二けたどまりでございましたけれども、御指摘のように、二けたないしは一けたでずっと推移しておりましたけれども昭和五十五年、一九八〇年が二百名、八一年が丸めまして四百名、それから八二年、昭和五十七年が五百名、一九八三年、昭和五十八年が六百七十名、八四年が先ほど申し上げましたように九百六十名ということで、かなり増加をしてきておることは事実でございます。
  26. 和田静夫

    和田静夫君 例えばゴルフ場などでも罹病するといいますか、罹患するというふうに言われているわけでありまして、原因の問題ですが、開発がずっと進んでいくことと並行的に患者数がふえる、こういうような傾向を見ることができると思うんですが、開発との関係などというものはどういうふうに考えていますか。
  27. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 御承知のように、ネズミにつきますツツガムシから感染いたすわけでございますので、ネズミ生態系と申しますか、その変化、あるいはネズミに寄生いたしますツツガムシそのもの生態系変化ということで病気の全体の態様が変わってくるわけで、これは疾病の自然死といいますか、そういう観点から見ますと、人間生活とともに変わってくるというふうなことは起こり得るわけでございますので、ただいまお尋ねのように、なぜふえてきたかということを考えます際には、もちろん人間がそちらの方へ行く、ゴルフ場に限りませんけれども、山の方へ行くとかいう問題と同時に、ネズミが人里の方へ来るとかいうふうなことで、生態系変化することによって一つの病気がふえたり減ったりするということで考えられるのではないかと思います。
  28. 和田静夫

    和田静夫君 たしか私が四十三年に議席を持った当時に、北海道でエヒノコックス症厚生省保健所に対するところの補助を打ち切ろうとした。エヒノコックスは青森から新潟にかけてずっとふえているではないかということを指摘しながら、皆さん方懸命に補助を、結果的には守っていった、その結果、エヒノコックス症対応する行政上の措置が進んだ、そういう経験を私は十七年ぐらい前に議会の論戦を通じて持っているんです。  このツツガムシ病も、どうも医者が気がつかない、風邪ぎみであるというようなことで初期症状で誤診することが非常に多いように仄聞をいたします。ここのところは、都道府県厚生省医師会などに注意を喚起する、あるいは検査体制の整備を行う、必要ならばそこに資金を考えるというようなことはやっぱりやらなきゃいかぬと思うんです。厚生大臣、いかがです。
  29. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 御指摘のとおりでございまして、五十二年から五十四年度にわたりまして、私ども新型ツツガムシ病に関する調査研究という研究班を組織いたしまして、その成果を得まして、私ども五十八年の二月に局長通知を各都道府県あてにお出しいたしまして、ツツガムシ病全体の防疫対策を含めました、あるいは臨床症状も含めましてお医者さんの関心も喚起するということで通知をお出しして、それを通じまして各都道府県衛生部から保健所、あるいは私どもから直接日本医師会等へも情報を流しまして、早期診断適正治療をやっていただくということの関心を喚起いたしたところでございますし、同時に、病気対策全体につきましても、新たにその通知の中で内容を細かく書きまして、予防対策の一層の推進を図るようにということで申し上げたところでございます。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 大臣
  31. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) このような問題に対しましての対策は、やはり常時、長期にわたって努力をする必要があろうかと思いますから、今後もそのような配慮を払ってまいりたいというふうに思います。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 これも先日のあれですが、エイズですが、どうもエイズ、ますます大きな社会問題となってきているわけでありますが、厚生省対応予算絡みで及び腰だという印象を受けざるを得ません。  先月、京都で専門家会議を開かれたわけですね。その内容報告はできますか。
  33. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) これは日本ウイルス学会が主催いたしましたシンポジウムでございまして、討論内容非公開ということで行ったものでございます。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 非公開だということはわかっているんですが、ピックアップして報告ができるような状態にはないわけですか、おたくの方は。
  35. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 私どもは直接そういう形で報告を受けておりませんけれども患者数の将来予測でございますとか、幾つかの点につきまして御討論があったように伺っております。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、このエイズ抗体を持つ日本人はおよそ何人でしたか。
  37. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 幸いなことに、献血者七千例ばかりだったと思いますが、健常者について調べた範囲では、抗体はゼロでございます。  それから、いわゆるハイリスクグループ、これはみずからが疑って、ある医療機関に相談に来たケースが百例余りだったわけでございますが、これの抗体陽性率は五%弱でございます。  それから、血友病の患者さんで血液製剤を過去に受けておられた方の抗体陽性率は三〇%でございます。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 日本でも来年は急速にエイズ患者がふえるのではないかという懸念があるわけでありますが、日赤は献血時に検査をする方針を固めたとされるわけです。厚生省、これにどういうふうに対応されますか。
  39. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) お答えをいたします。  献血時のエイズ抗体検査でございますが、エイズ抗体検査に必要な検査薬というものを現在検討中でございまして、まだ承認がなされていないという状況でございます。  それから、先ほどお話ございましたように、献血時の血液検査を試験的にモニタリングを行いました結果では、エイズ抗体保有者は全く見つかっていないという状況でございますが、しかしながら、今後万一の状況を考えまして、献血時におけるエイズ抗体検査の効率的な検査方法等について、現在検討を行っております。  先ほど、財政的な問題というふうなことがございましたけれども費用をどうするかということにつきましてはまだ検討中でございまして、現段階では申し上げるような段階には至っていないという段階でございます。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 この前の答弁から一歩も大臣、これ進んでいないわけでして、これは先日もお尋ねしたんですが、例えば東京都に続いて、不安を持つ者に無料検査を行うという自治体がふえてきていますね。これに対しては何らかの補助が私は必要じゃないかと思うんですよ。大臣、いかがです。
  41. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 東京都の不安な方に無料検査をするということを新聞で報道されました後に私ども直接聞いたわけでございますが、前回御答弁申し上げましたときに、診断薬検査薬薬事審議会で認められた後は健康保険で採用されるということの情報を提供いたしましたところ、この予算については今検討中と聞いておりますが、私どもといたしましては、そのような方が現におられる場合には、非常に不安を感じられるということもございますので、全国に約六百ございます協力医療機関に訪れました疑いのある患者さんについての確定診断でございますとか感染源調査接触者調査でございますが、そのために行われる抗体検査費用につきましては、現在、私ども厚生省予算検査機関予算措置をしているところでございますので、この部分に関しては対策の一環として実施しておるということでございます。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 大体概算どれぐらいこれかかると見ていますか。必要だと見ていますか。
  43. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 献血の際にどのような積算をするかということもございますけれども、私どもは、今疑いのある方、あるいは、ないしはその方と接触をされた、いわゆる接触者調査の結果必要と思われる対象ということで、現在予算措置をしておりますのはそんなに数は多くございません、数十件、百件弱でございますけれども、現在のところはそこでまだ間に合っておるわけでございます。これを、献血の方でございますとか、その他みずから疑いをかけて検査をするとなりますと、これはさらに件数が多くなりますけれども、その場合には、現在やっておりますような確定診断的な抗体検査でなくて、もう少し簡便な方法ということで、今、中央薬事審議会にかかっております診断薬が許可されれば、またそれなりに対応を考えていかなくてはいけないというふうに考えております。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 今、厚生省がお使いになる予算は大体どれぐらいですか。
  45. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) お尋ね医療機関で疑われました患者さん、あるいはその接触者につきまして確定診断のために予算措置をしておる件数は七十件ぐらいでございまして、一件につき抗体検査リンパ球サブセット検査をやりますと、一件が一万二千円でございます。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、私、確実に死に至る病を持つ患者がふえるわけでありますから、しかも、感染経路というのは同性愛だけではないということも明らかになってきていますから、これはもう迅速な対応が必要だと思うんですね。その意味では、新試薬が云々というようなことを待つまでの間、もっともっと行政的な措置が必要だ。それに対応する予算措置も講ずべきである。ある意味では、概算要求とは別枠にそれを求めていくという大胆さが厚生大臣、今求められている、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  47. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) エイズの問題につきましては、まず輸入します血漿製剤の面の安全性というものを図ったわけでございます。しかし、今後、その発生状況を見ながら、どういう手段で、どういう方法でやれば有効であるかということを研究しながら検討してまいりたいと思います。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 どうも参考人、お待たせしまして失礼いたしました。  脳死ですが、七日に脳死に関する研究班研究報告書発表をされました。報告をまとめられた研究班先生方には敬意を表するところであります。  そこで、まずお尋ねをいたしたいんですが、今回の報告ですが、「全脳死をもって脳死とする。」とされているわけであります。これは私は素人の質問でありますが、いわゆる植物状態やあるいは脳幹死脳死ではないと承っておいてよろしいのでしょうか。また、そういうような定義をお下しになった理由は何でしょうか。
  49. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) ただいまお尋ねの件でございますけれども、私どもは全脳死概念を最初から採用してまいったわけですが、全脳死ということは、頭骸内にあります大脳半球小脳脳幹など、すべてを含む全脳髄の機能の永続的の停止状態というふうに御理解いただきたいと思います。  今おっしゃいました植物状態というのは、脳の植物中枢はまだ機能をしているという状態でありまして、植物中枢、まあ一応イコール脳幹部というふうにお考えいただいてよろしいかと思います。逆に脳幹死といいますのは、この脳幹部機能をしていないという状態でありまして、したがいまして残っている部分大脳とか小脳という部分には触れていないわけであります。イギリスなどで、脳幹死概念脳死にとってかわって出てまいったわけでありますけれども、これは、脳幹死もやがて全脳死至り心停止に至るという事実から、脳幹死をもって脳死と考えているわけであります。  以上であります。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 ここの十九ページですが、脳死といわゆる死との関係といいますか、これはどうなるんでしょうか。
  51. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) もし死ということがいわゆる死の三兆候、すなわち心拍動停止呼吸停止瞳孔散大、対光反射消失ということでありますならば、その中で心拍動脳死状態でも残っているわけでありますから、したがいまして直ちに死というわけにはいかないと思います。  ただ、考え方によっては、これは世界的に見まして、もう脳死状態という状態イコール人の死であるという考え方を持っている人もあります。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 この脳死についてオーソライズされた定義、基準が作成をされたわけでありますが、これを契機に臓器移植が加速をされるのではなかろうか、心臓移植の再開が行われるのではないかと観測をされているわけであります。そうい うような観測について先生の御見解はいかがでしょうか。
  53. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) 脳死状態というのは、一口に言いますと、脳の障害が重篤なほど、なおそれに対する治療が迅速かつ十分であるほどふえる傾向にあります。したがいまして、移植というようなことと関係なく、医学の進歩によって当然この件数はふえることは理解できるわけでありますが、たまたま臓器移植というような医学が別の分野で発達してまいりまして、そのためには脳死状態から心臓あるいは肝臓というような臓器を提供してもらいたいという希望が出てまいったわけでありまして、それがたまたま脳死との接着点になっているという状態でありますので、もしそういう臓器を摘出するようなことが実施されるならば、それは脳死状態が人の死であるという考え方が定着しないわけにはいかないということになるわけであります。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 この十九ページの「判定者」のところなんですが、「特定資格を持つ医師である必要はないが、脳死判定に十分な経験を持ち、移植と無関係医師が少なくとも二人以上で判定する。」というふうにされているわけであります。特定資格を持つ医師を必要としないとされた理由はいかがでしょう。
  55. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) 御承知のように、死亡診断書医師ならばどなたでも書けるわけでございますが、そのようなことで、脳死状態判定するために特別の資格というようなものを考えるのは、この時点では必要ないんではないかということであります。では、医師ならばだれでもできるかというと、必ずしも現在はそうは言えないと思いますが、脳死判定経験を持つ人というのはかなりふえてまいっておりますので、そういう人たちによって判定をしてもらいたいということをここに書いてあるわけでございます。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 脳死の問題は、医学の年前卒後教育の中でも取り上げられるべき重要な課題とされているわけであります。私はまことにもっともな御指摘だと考えますが、行政に望まれることは何かございますか。
  57. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) 私は医科大学の教員でありまして、自分の立場から考えますと、やはりこういう問題に関しては直接学生あるいは卒後研修医に対して教育していくべきことであろうと思っております。  したがいまして、古い医学教育にはこういうものはなかったので、生涯教育という面からも医師会レベルでの啓蒙、教育というのは必要だろうと思いますが、それ以上に行政面での問題に関しては、私、直接今考えていることはございません。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、文部省、この部分指摘についてどういうふうに受けとめられていらっしゃいますか。
  59. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回、竹中先生を班長とする研究班が新しい脳死判定基準をおつくりいただいたわけでございます。私ども段階では、竹内研究班の御報告が最善のものであると考えておりまして、今後は、脳死判定はこれに準拠して行われることを期待いたしておるわけでございます。  したがいまして、各大学の医学部あるいは医師会あるいは都道府県等々の関係機関に対しましてこの判定基準、この研究報告を送付いたしまして、周知徹底方を依頼することを考えておりますし、また、各種の学術雑誌等への掲載を行うというようなこともいたしまして広報に努めてまいりたいと考えております。
  60. 大崎仁

    政府委員(大崎仁君) 脳死判定のあり方につきましては、関係学会等におきましての検討、理解というものが十分深まり、かつ広まっていくということが基本だと存じておりまして、このたびの御報告というものがそのことにつきまして非常に大きい意義を持っているのではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、教育面につきましては、そのような関係者の理解の深まり、広がりというものを背景にして、おのずから大学等における教育内容にそれが反映されるというような形ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 歌手のフランク永井さんが脳死状態から奇跡的に生き返ったという報道があるわけですが、これは実際には脳死に近い状態、切迫脳死のようでありますけれども、素人にはちょっとわかりにくい。脳死状態でも蘇生するのではないかという国民の疑問があるようにこの場合も思われるのでありますが、この点は研究班ではどういうような御議論がありましたでしょうか。
  62. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) ただいま御指摘になりました症例について直接研究班として取り上げたことはございませんが、脳死になったということと脳死の一歩手前であるということは非常に大きな違いがございます。したがいまして私どもは、脳死の一歩手前までは、あるいは脳死までも含めて全力を挙げて治療に努力するわけであります。したがって、その効果が上がって起死回生の効果を得られるという例は決して珍しくないわけであります。ただ、一たん脳死になりますと、残念ながらいかんともしがたいということでございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 これは厚生省でしょうか、移植との関係に戻りますが、移植と無関係医師ということは具体的にはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
  64. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今の御質問は、判定の場合の医師の問題だと思いますが、竹内先生もそうでございますが、脳神経外科の専門家というような方々がこういう経験を十分にお持ちではなかろうかと考えております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、これを契機に臓器移植が促進されるという見方が先ほども言ったようにあるんですが、臓器移植についてはさまざまな問題が指摘をされています。嫌がる家族を強引に説得して移植するというケースもあると言われます。  そこで、そういうようなトラブルを引き起こしてはならない、そういうようなトラブルを未然に防止する策はないのだろうか。いかがお考えですか。
  66. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の研究班報告は、先ほど竹内先生からお話しのとおり、脳死判定基準をお決めいただいたということでございまして、脳死をもって人の死とするかどうかということにつきましては、これは本研究班の研究内容ではございませんで、今後の問題であろうかと思っております。医学界のみならず、国民各層の幅広い議論を経た上で合意の形成が必要であろうかと考えております。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省は、立法化については何かお考えですか。
  68. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 脳死をもって個人の死とすべきかどうかということ、この点につきましては広範な議論が必要であるわけでございますが、いずれにいたしましても、その結果として国民的合意が形成されることが重要でありまして、したがって、国民的合意が形成されるかどうかがキーポイントで、政府としてそのために立法措置を講ずるというようなことは今のところ考えておりません。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 参考人の方では、立法措置については何かお考えございましょうか。
  70. 竹内一夫

    参考人竹内一夫君) 私の立場では、特に立法措置については考えておりません。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 ひとつ私提案を行いたいのでありますが、脳死についても臓器移植についても非常にデリケートな問題をたくさん含んでいます。私は、臓器移植については慎重論者で前々からあるわけでありますが、現実には進行しているわけで、人権上からの歯どめが必要であると考えているわけであります。  そこで委員長、この参議院社会労働委員会脳死及び臓器移植に関する調査小委員会とでもいいますか、仮称ですが、そういうものを設けたらどうだろう、これは理事会で検討されて結構なんですが、いかがでしょう。
  72. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 理事会で十分に検討いたします。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、参考人ありがとうございました。
  74. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) それでは竹内参考人、どうも大変御苦労さまでした。結構でございます。ありがとうございました。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 どうもありがとうございました。  もう一つ、新薬の問題ですが、新薬臨床試験の基準づくり、専門家会議が設けられているわけですが、その作業状況報告はできますか。
  76. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) お答えいたします。  医薬品の臨床試験の実施に関する基準につきまして、昭和五十八年の一月に専門家会議を設置いたしまして、検討を進めてきております。この会議からは、年内じゅうにも基準の案の形で御報告をいただける見通してございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 まとめの方向でありますが、各医療機関に一般の社会人を含む審査委員会を設けるということ、これが実現することは、新薬臨床試験のオープン化にとって意義があるといいますが、そういう方向でまとめられると承っておいてよろしいでしょうか。
  78. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) お尋ねの審査委員会でございますが、その構成等につきましては、専門家会議の基準案の中では、医学、薬学の専門家以外の者もそのメンバーに加えることが適当であるとされているというふうに伺っております。  ただ、この報告、いわゆる基準の案につきましては、厚生省といたしましては、これを公表いたしまして広く関係者の方々から御意見をいただき、その御意見を踏まえて基準として実施に移していきたいということでございますので、しばらくは関係者の方々の御意見をよく聞いて、内容検討するという過程が必要であろうというふうに考えております。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 新薬の臨床試験が患者被験者に無断で行われて、被験者の人権上の問題を引き起こしている、そういうことがあるんですが、この点に何らかの歯どめ、例えば承諾をとるとかの歯どめを設ける、そういうことはどうなんでしょうか。
  80. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) これは、ヘルシンキ宣言などにも患者さんの人権の問題はうたわれておるわけでございますけれども、この基準の審議の議論の経過におきましても、いわゆる患者さんあるいはその家族の同意の問題というものは随分議論をされております。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 法律本体に入りますが、最近、営利目的で病院経営に乗り出してくるケースがふえています。  その一つの例ですが、オリンピックグループという企業が病院経営に進出して、各地でトラブルを引き起こしています。小金井や立川で病院建設の計画をしましたが、地元の医師会その他の反対で断念をしたようであります。北区の東十条では、住民の反対にもかかわらず建設を強行しようとしている。これは内容は、企業が経営を行い、院長は名義借りにして開設しようとする計画であると言われる。そして、北区議会では東京都に対して意見書を提出しておる。さらに東京都は、株式会社オリンピックビルに対して病院建設着工前は開設許可を取るように要望している、ことしの四月に。  厚生省、これは実質的に営利目的の病院開設であって、認めるわけにはまいらぬと思うんですが、いかがでしょうか。
  82. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お話しのように、現行の医療法は、営利を目的として病院経営を行うことは認めていないわけでございまして、これは形式的には医療法人やあるいは個人の開設となっておりましても、実質的に営利企業がその取引関係等を通じて当該病院を経営しているものというふうに認められるような場合には、その是正を強力に指導してまいるつもりでございます。  オリンピックグループそのものにつきましては、どう判断すべきか、東京都とも十分これから協議をしてまいりたいと思っております。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 これは、審査に当たっては、今言われましたが、十分実態を把握して、関係者の意見を聞くように要請をしておきますが、大臣いかがでしょう。
  84. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 本来、現行医療法で営利を目的とすることを認めていないわけでございますので、そのような方向で処理をいたしたいというふうに思います。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 これは、オリンピックグループに限らず、営利目的の病院開設が増加するおそれが十分にある。営利目的となれば過剰診療、過剰投薬は避けられない。医療費の適正化の観点からも問題が出てくる。地域医療システムは大きなマイナス要因を抱え込むことになる、こういう点の認識というのはどうでしょう。
  86. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療は営利を目的としてはならないわけでございまして、その方向で十分私どもも考えてまいりたいわけでございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 営利目的の開設というのは、七条四項で許可されないことになっているわけですが、実際には、別法人にして法の網をくぐり抜けるという実態がある。  そこで、この点については現行法の規定を私は強化する必要があると思われる。  まず第一に、七条四項でありますが、現行法は、「営利を目的として、病院、」云々「を開設しようとする者に対しては、」「許可を与えないことができる。」となっていますが、これは本委員会で修正を求めて強化をしまして、許可を与えてはならないとすべきであると考えるんですが、これは修正要求ですが、いかがです。
  88. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お話しのように、現行の医療法では「許可を与えないことができる。」とされておりますが、実際には株式会社等によります開設は全く認めておりませんので、私どもは現行の条文でいいのではないかと考えております。  しかし、病院等の開設主体あるいは設立目的、運営方針、資金計画等、そういったものをきめ細かく精査いたしまして、営利目的の開設を排除するよう、今後とも指導の徹底を図っていく考えでございます。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 「与えないことができる。」とすると、行政の裁量で与えてもよいということになるわけでありまして、実際にこのオリンピックグループを考えてみますと、千葉県と東京都では対応が違う状態です。したがって、もっと厳しく、与えてはならないとすべきだと私は考えたわけですが。
  90. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 営利を目的とする医療機関、お話がございますように、最近またいろいろ新しい問題を生じておるわけでございます。私ども都道府県間でアンバランス、不均衡が生じませんように、具体的な事例等も考慮しながら、関係の県をあわせて指導してまいりたいと考えております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 私は納得できません。「与えないことができる。」という規定によりまして都道府県の審査基準がはっきりしなくなっているわけです。それが自治体間の食い違いとなってあらわれているわけです。したがって、私が言うように、与えてはならないと法文を修正すべきなんですが、なぜそれがまずいんですか。
  92. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 「許可を与えないことができる。」、あるいは許可を与えてはならない、その条文上の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、私どもも指導もいたしておりますし、実際上、各都道府県とも認めないという方針で、そこのところは一致をいたしておるところでございます。  むしろ、私どもとして今後実例等も見ながら整理を進めていかなければならないのは、何をもって営利目的とするのか。つまり、先ほども申し上げましたが、株式会社経営ということであれば極めて明らかでございますけれども、いろいろな形で装いながら形式は整えてくる、そういうものについてどの点があれば営利目的と考えるのかという点が一番問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、営利目的というのは具体的にどういう場合なのかということを、もっときちっと議論をし、整理をして、そして都道府県を指導していくという体制を固めていきたいと考えておるわけでございます。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 私は、そこのところはよくわかるんです。「許可を与えないことができる。」を、与えてはならないとして、そして今言われるように、営利目的の判断基準は省令にゆだねる旨を明記する、こういうことが必要だと思いまして、これは、ここですぐ修正に応ずるということにもなかなかならぬのでしょうから、理事会に預けますが、一遍、真剣に理事会としてここのところは私は修正すべきだと実は思います。営利目的か否かの審査基準があいまいなわけで、それが法律上きちんと明定されることが私は必要だと思うのです。  開設の許可要件は、七条三項で施設の構造設備と人員が必要とされるわけですが、営利目的か否かを判断する材料も私は必要要件とすべきである、そういうふうに考えているから述べているので、大臣、ちょっと見解があれば承りますが。
  94. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、やはり営利目的であるかないかということの判定は非常に大事なことであると思います。それぞれ各都道府県知事に対しても、そのような厳正な姿勢で臨んでもらうように督励をいたしてまいりたいというふうに思います。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 病院の開設許可申請に当たって、どうもいろいろ混乱があるんですが、例えば開設者の資産、経歴、債務状況、さらには土地家屋、施設設備を賃借する場合は、開設者と所有者の関係を提示させる、そういう必要があろうと思うんですね。その根拠を法律に私はきちんと書き込むべきだ。ここのところは、医療法をこんなに長い間かかって検討してきて、中途半端な改正じゃいかぬと私は思うんですよ。
  96. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 営利を目的とするか否かの判定につきまして、かつて厚生省の医務局長通知が出ておりまして、「その申請に係る医療施設の開設主体、設立目的、運営方針及び資金計画等を総合的に勘案して行うべきものと解する。」と、こう言っておるわけでございます。これらの点につきまして、この通知もなお若干抽象的な面もございますので、私ども前向きに検討いたしまして、さらに具体的な内容を持った通知を考えていきたいと思っております。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっとくどいようですが、私は、営利目的は医療を歪める元凶であろうと、こう思っているんです。  そもそも、医療法の改正作業が必要とされる直接のきっかけというのは、あの富士見病院事件であったし、あるいは京都の十全会病院事件であったと思うんですが、そういう営利による医療荒廃がもとでしょう。そうすると、肝心な部分を強化できない法律改正なんというのはナンセンスだということになりまして、あえて衆議院で賛成法案で通ってきていることは知らぬわけじゃありません、賛成したことを知らぬわけじゃありませんが、どうも私はやっぱり欠けているところは、そのために参議院があるのでありますから、二院でもって修正して送り返すことに大胆であってもいいと思いますし、恐らく与党の皆さんもお聞きになっておって、それはそうだろうとお思いになっていると思いますから、ここのところは大胆に理事会でやってもらいたい。  現在まで営利目的に関して通知を出されているお話が今ありましたが、よく知っています。これらの通知を整理して省令に格上げすることが、私はまた一方では必要だと思っているんです。今の御答弁はそういうふうなことも含んでいると受けとめてよろしいですか。
  98. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 現段階では、私どもは通達に具体的な考え方を盛り込むことによりまして、十分目的を達し得るものと考えております。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 政府案は、どうも一般に開業医サイドの意向が非常に強く取り入れられているという印象を、ひがみかどうか、私は受けるんです。地域医療を考えるとき、開業医の協力なしには不可能であることは、私は百も承知しています。開業医を罪悪視するなどということは決してありません。ややバランスを失しているのではないかというふうにこの法律案全体を見ながら思うんです。それは、端的に言って、病院関係者、住民の意見が十分に反映されるものになっていないという点を思うからです。  こういうような事情というのは、中医協にも同じことが言えまして、中医協の構成が病院側の意向を反映するものに必ずしもなっていません。日医が病院団体に推薦を依頼する現在のスタイルというのは、結局日医の意向に左右されるわけでありまして、これはずばり私は、病院関係の連絡組織に一名の枠を与えるべきだということ、これはもう年来、極端に言えば、議会に、ここに出てきてからずっと主張していることでありますが、古くて新しい問題ではあるのでありますが、大臣いかがでしょう、この辺で一遍決断されたら。
  100. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 中医協におきましても、医師を代表する委員五名の中に病院の院長さんもいらっしゃるわけでありまして、病院の診療報酬についても活発に中医協の場で御審議をいただいておる状況でございまして、このやり方は、長年の経緯を経て現在の構成に落ちついておるわけでございまして、円滑な審議が行われております状況のもとでは、構成を変えることまでの必要性は乏しいものではないかというふうに考えております。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣ね、決して円滑に動いているのではなくて、病院関係者からは強い不満がずっとあるわけでありまして、そういう不満というものには、これはお互い厚生大臣も私も素人という立場、アマチュアという立場から客観的に見ることができるわけですから、そういう意味で、今、行政の責任者になられたあなたは勇気を持ってここの解決のために一歩踏み出すべきだ、そういうことを強く意見として申し上げておきます。  地域医療計画についてですが、この計画というのは本当に住民や患者のための計画になるのかという疑問がわいてきます。これは利用者のため、住民のための計画であると思ってよろしいでしょうね。
  102. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 仰せのとおりでございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 三十条の三、九項で、「医療計画の案を作成するため、診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴くものとする。」、これは衆議院で「聴かなければならない。」と修正されています。これは端的に言って三師会を想定しているわけでしょうか。
  104. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 学識経験者の団体でございますが、現実には私ども三師会を中心に考えておるわけでございます。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 病院関係者あるいは自治体病院、公的病院あるいはその他の病院団体というのはどういうふうになりましょう。
  106. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 現在考えておりません。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つは、利用者代表の意見はどうなりましょう。
  108. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 利用者代表ということでございますが、そのために医療計画の策定に当たって各市町村長の御意見を伺う、市町村の御意見を伺うということにいたしております。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、例えば病院関係労働組合であるとか、あるいは市民団体だとかという、患者団体だとかいうようなものは考えていない、こうなりますかな。
  110. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) そういう点は特に考えておりませんで、先ほど申しましたように、市町村の意見が住民の総合した意見として出されるものと期待をしておるわけでございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、結局三師会に意見を聞くということになるわけなんですが、私は、三師会の意見をお聞きになる、聴取するということは、これは非常にやってよいことだと思っているんですが、しかしそれだけでは片手落ちでありまして、市町村長と今言われて一歩踏み出されましたが、私はもう少し加えて、病院関係者、住民代表といいますか、そういうものの意見、住民のための計画が住民抜きに決められていくというのは納得で きませんから、その辺の配慮というものがあってしかるべきではなかろうか、単に市町村長というだけに限定せずにね。いかがでしょう。
  112. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 先ほど御答弁を申し上げましたのは、医療計画を策定する前にあらかじめ聞くものとして学識経験者の団体、それから市町村の意見ということでございますが、実際に医療計画を定めるに当たりましては、それぞれの都道府県の医療審議会にかけるわけでございます。医療審議会の構成メンバーとしては、医療を提供する側、それから医療を受ける側、そして学識経験、こういう三者構成でございますので、今、先生のお話の点につきましては、医療審議会のメンバーの編成という点にもあろうかと思っております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、その都道府県医療審議会でありますが、幾つかの県でもう医療計画が策定されつつありますね。その計画作成機関は、もうちょっと突っ込んで、例えば大学医学部、医師会行政が中心となっているところが多いわけですけれども、構成は具体的にはもう頭の中にあるわけですか。
  114. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 例えば、医療を受ける立場にある者ということでございますが、社協、民生委員関係の方あるいは社会保険の関係の方、それから市町村長及び市町村の議員、そのほかに婦人団体、労働団体等が考えられるわけでございまして、現在、都道府県医療機関整備審議会、これは現行法のもとにある審議会でございますが、それを見ましても、例えば二十六県が実際に婦人団体の代表者を医療審議会に御参加をいただいておる。あるいは労働関係につきましては十県が現に審議会のメンバーにお願いをしておるというような状況でございます。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、それを全体的なものにする、いわゆる公的病院、議会代表、さらには労組、市民代表を入れていく、そういう十分な配慮があってしかるべきだろう、そういう意見を述べておきます。  厚生省、既に作成機関の偏った構成によって引き起こされている紛争が起きていますがゆえに、私はあえてこれを取り上げたわけであります。  それは、長崎県の北松地区についてでありますが、県の保健医療対策協議会は、北松地区の県立病院について、民間活力を阻害し地域医療の混乱を招くものとしまして、県立佐々療養所を不必要とされました。それを受けて県会は、県立佐々療養所の廃止条例を強行可決をした。ところが、地域住民はこの決定に対して猛反対。条例制定を求め直接請求運動が御存じのとおり巻き起こった。これは六十五万の署名を集める大運動になったわけであります。この紛争の最初の要因は、県の協議会が医師会サイドに好都合に構成されているために起こったものであります。  こういうような具体的事例からしましても、都道府県医療審議会にあらかじめ住民代表、利用者代表を加えるべきだと、そう考えたのであります。これは強く要請をしておきます。  今、答弁にありましたことを一般化していく、全体のものにしていく努力をされる、そういうふうに承っておいてよろしいですね、これは。
  116. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 委員会のメンバー構成につきましては、先ほど申し上げました三者構成でございまして、その範囲内で最終的にどう決めるかというのは都道府県知事の権限に属するわけでございます。しかし、私ども、医療を受ける側の意向が的確、適切に審議会で反映できるような委員構成をとるよう、できるだけ都道府県を指導してまいりたいと考えております。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つは、都道府県医療審議会は公開を原則とすべきだと思っているんですが、いかがでしょう。
  118. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 審議会につきまして公開をするかしないかという点は、御承知のように、臨調やその他におきましてもいろいろ御議論が行われたところでございます。  現段階におきまして、医療審議会、国の場合もそうでございますが、都道府県の場合もそうでございますが、やはり自由に御議論をいただいて適切な御結論をいただくということが一番大事な点でございますので、私どもといたしましては、医療審議会は原則として非公開の形で進めていくのが適当ではなかろうかと考えております。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 まあそこは不満です。  そこで、三十条の三、第九項、意見聴取に戻りますが、今のような論議を踏まえまして、市町村長までの答弁があったわけですが、そこらを頭の中に描きながら、「診療又は調剤に関する学識経験者の団体」の後に続いて、住民代表という表現にしますか、言ってみればそういうものを加える、あるいはもうそこまでいけなければ、別項を立てて、住民代表の意見を聞く旨を法律本文の中に入れる。これは修正要求の第二として理事会に預けたいと思います。  それから、病院薬剤師についてでありますが、法十八条は、「病院又は医師が常時三人以上勤務する診療所にあっては、開設者は、専属の薬剤師を置かなければならない。但し、病院又は診療所所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、この限りでない。」とされているわけでありますが、このただし書きが適用されている病院は幾つありますか。その病院、規模別の数字が出ますか。
  120. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) このただし書きは、例えば耳鼻科でございますとか眼科でございますとか、そういった診療科の単科の病院、こういった病院の場合には調剤等も非常に簡単な場合が多いわけでございますので、そういうケースの際に都道府県知事がただし書きで認めると、こういうことでございます。  現在、ただし書きに該当しておる病院の数でございますが、今ちょっと手元に持ってきておりませんので、至急調べまして御報告をさせていただきたいと思います。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 病院と名がつく以上、薬剤師を置くのが私は当たり前だと思うんですね。薬品がふえて新薬が次々に出てくる中で、医師の薬剤知識はそれについていけないという事態が生じているわけですし、また、薬剤師の仕事は、調剤だけではなくて、安全性の確保や管理あるいは情報管理など重要な分野が広がってきているわけであります。少なくとも十八条ただし書き部分から「病院」の文言というのは削除すべきではありませんか。
  122. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 先ほども答弁申し上げましたが、現在の段階では、そういう眼科、耳鼻科等の単科の病院の場合には、薬剤調剤が単純であることが多いというようなことでこのただし書きを規定いたしておるわけでございます。  ただ、その運用につきましては、薬剤業務の内容あるいは薬剤師の業務の最近の進展度合い、そういうものを十分勘案いたしまして、安易に認めることのないよう都道府県を指導してまいりたいと考えております。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 病院の薬剤師について、法律二十一条、「省令を以て定める員数」の中に薬剤師を加えるべきだ。これはもう私たびたび言ってきたことなんですが、病院に薬剤師を置くことは当然なのでありますが、薬剤師について明定をすべきなんですね。ここのところが、僕は十八条と二十一条の修正をワンセットで強く要望したいが、どういうふうにお考えになりますか。
  124. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 省令の方で薬剤師の必要数を規定いたしておりまして、私ども、法の運用につきましてはそれで十分やっていけるのではないかと考えております。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 薬剤師出身の皆さんもここにはいらっしゃいますが、病院薬剤師からの不満が非常に本法に対して多い。病院に薬剤師を置くということは当然でありますし、その点からすれば、員数中に薬剤師を明定すべきです。これはもう議論は残しておきますがね。  もう一問ですが、施行規則第十九条の一項三号、「調剤数八十又はその端数を増すごとに」、これは変更ありませんね。
  126. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 変更はございません。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 以上の論議の中で、厚生省と私の意見の食い違いがありますが、ともあれ、十八条と二十一条の修正をワンセットでこれは要望いた します。  それから、公的病院の病床規制ですが、今回民間病院に対して医療計画の達成に必要ある場合は勧告する、三十条の七、とされたわけですが、民間病院には勧告で、公的病院には法律による規制というのではこれは偏っていますね。これも私は年来ずっとやってきたことでありますが、この機会でありますから、ここを直そうじゃありませんか。  まず、勧告の性格、勧告を民間病院が聞かなかった場合はどういう制裁があるか、お尋ねします。
  128. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 勧告を出すにつきましては、医療審議会にかけまして、医療審議会の十分な御議論をいただいた後に知事が勧告をすると、そういうことでございますので、その県内で十分な関係者のコンセンサスが得られた、それを前提基盤にいたしまして勧告が行われるということでございますので、私どもは、勧告ということではございますけれども、十分実効が上がると考えておるわけでございます。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、実際には勧告というのはかなり厳しい制裁になるんでしょうか。そこのところはどうなんですか。
  130. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 制裁という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、今申し上げましたように、十分議論を尽くし、関係者のコンセンサスを十分練り上げた上で勧告をするということでございますので、その勧告には十分従っていただくようにお願いもいたしたいし、そういう行政指導を強力にするということに相なろうかと思います。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 もう一遍尋ねますが、その勧告の内容は、具体的にどういうふうに、何をどうするということになりますか。
  132. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画を策定いたしまして、当該医療圏が病床が過剰であるというような場合に、その医療圏、その地域におきまして新たに病院を開設する、あるいは既存の病院が増床をする、あるいは既存の病床の種類の転換をする、こういった場合に都道府県知事が勧告をするということでございます。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 それはわかっていあんです。勧告の内容的なものを聞いているのです。
  134. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 開設とか増床の場合でございますが、中身といたしましては、開設の中止を勧告するとか、あるいは場合によりますと開設、増床の際の規模の縮小というようなことが勧告の中身になろうかと思います。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 それ、守られないということは起こり得ませんか。
  136. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 先ほども答弁申し上げましたとおり、十分な手続を経、十分なコンセンサスをつくり上げた上で勧告ということでございますので、形は勧告でございますが、十分強力な行政指導を行いまして実効が上がるようにしたい、また実効が期待できると考えております。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 それだけの例えば規制を考えられるということであれば、法律七条の二の削除というものはしかるべきではありませんか。
  138. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) ただいま御説明を申し上げました点は、従来全く規制のございませんでした民間の病院につきまして、増床、病院の開設について過剰地域で勧告をするということでございまして、七条の二の方は、御承知のように、公的病院の問題でございます。別の問題であろうかと思っております。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 私は別にひっかけたわけじゃありませんけれども、民間は勧告でいって、公的病院は規制なんだというところが問題だから、したがって、民間に対してそれぐらいの勧告による規制が行われるのならば、公的病院の七条の二だって外しちゃって、同様の位置に置いたっていいじゃないか、国立病院は放置されているわけだし、などということの観点から申し上げているのですよ。
  140. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) この公的病院の病床規制は、御承知のように、病床過剰地域におきます公的病院の開設、増床等を抑制する、その分の医療資源をむしろ病床不足の地域やあるいは高度、特殊な医療機能に振り向ける、公的病院の側でそういう余裕があれば、今申し上げましたような点に振り向けていただくということで、医療機関の適正配置、あるいは地域に必要な医療機能の確保を図る趣旨でございます。  したがって、今回は、従来規制の対象外でございました私的病院を加えたわけでございまして、両方ともそれぞれ意味のあることだと思っております。
  141. 和田静夫

    和田静夫君 自治体が民間病院に対してもそういうあれをやるんですが、自治体がみずから病院を持つ場合には、より厳格にやることは当たり前のことでしょう。したがって、もう七条の二の存在価値というものはなくなってきているじゃありませんかということですよ。
  142. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 自治体あるいはその他の公的病院の設置者等々も、認識はだんだんと仰せのとおり進んでおるわけでございますが、私どもといたしましては、現段階におきましてもこの条文の意味はあるというふうに考えておるわけでございます。
  143. 和田静夫

    和田静夫君 僕はどうも矛盾していると思うのですね。おたくの方は国立病院関係の統合などを考えられていらっしゃる。そして第一段としては、自治体に対するところの移管が行い得るのならば——私は反対ですよ、反対ですけれども、そのことを求めようとする、そうすれば病床はふえていくなどというようなことを一方でやっておりながら、一方でそこに規制を設ける。大変、厚生大臣ね、全体として矛盾があるじゃありませんか。  これは大臣、お互いどうです、これらの問題を憂慮するアマチュアとして、しっかり一歩を踏み出す必要があるとお考えになりませんか、私とのやりとりをお聞きになっていて。
  144. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 私どもがやろうとしております国立病院の統廃合につきましても、当然医療法の規制を受けるわけでございます。もし仮に公共団体によってお引き受けいただくという場合にも、この規定は適用されるものだと思います。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、そうだから全体の中で病床規制を含みながら、そこにこれだけのものを押しつけていくと言えば、自治体の側はそれだけでも受けませんよというのは当たり前になってくるじゃありませんか、行政上大変矛盾があるじゃありませんかと私は申し上げているのですよ。
  146. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 国立病院の統廃合問題は、今やいろいろ議論されておりますが、私ども、当然のことといたしまして、医療法でその地域で医療計画が策定をされました暁には、国立病院も含めましてその医療計画にのっとって医療計画が達成できるようにしていくべきものと考えております。
  147. 和田静夫

    和田静夫君 そうだから大変矛盾をしているので、私はやはりここは、これは幸いにして、本委員会委員長は大変自治体の問題については専門家でいらっしゃいますから、十分実りある修正要求を受けていただけると思いますから、第四の修正要求にしておきます。  政府案が施行されれば、オーソライズされた医療計画が作成されるのですね。そうして必要病床数も策定されるわけですね。その医療計画の策定主体というのは都道府県にあるわけですね。ということは、自治体病院が医療計画に従わない、背反する政策をとるというようなことは、これは考えられませんよ。そういう点からしても七条の二というのは、これはこの機会に削除すべきですよ。どうしても納得できないです。
  148. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 過剰地域の問題もございますけれども、特に重要なのは、病床不足地域やその他の問題もございます。そういったこともあわせ考えまして、従来の規定は今般の医療計画導入の趣旨に沿うものであるというふうに考えております。
  149. 和田静夫

    和田静夫君 どうも必要がない。その必要がない事柄をあえて条文に含めるということは、法律作成のイロハから考えると、これは許せません。七条の二は必要がない。勧告という行政行為が確保されればそれで十分である。これは大臣、率直 に撤廃しましょうと言えば、もっともっとスムーズにいくんですから。
  150. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 御承知のように、公的病院の中には、自治体立はもちろんございますけれども、そのほか日赤でございますとか済生会でございますとか、そういった病院も公的病院であるわけでございまして、その点を御理解賜りたいと思うわけでございます。
  151. 和田静夫

    和田静夫君 御理解賜るって、そんなことを私は含んで言っているわけでありまして、私の方は無知だと思っていらっしゃるだろうからそういう答弁になるんでしょうが、ちゃんとそのことも考えながら言っているつもりです。  大臣ね、医療計画に背反して自治体が病院を新設したり増設したりということを考えますか。これは大臣どうでしょう。
  152. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) そのようなことは例外的なものであって、常時あるものではないと思います。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 そうでしょう。そうだから私は、繰り返すことになりますが、意味がない条文というのは撤廃されていいんですよ。そんなものは、少なくとも県立病院で病床規制が必要とされるということは考えられませんよ。どうしても必要というんなら、勧告で十分じゃありませんか、民間で勧告だというんですから。これは思い切ってそこに合わせたらどうですか。これはもう私の方が筋が通っていますよ。
  154. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 民間の私的な病院につきましては、御承知のように、憲法に定めます営業の自由等々もございます。そういった観点から知事は勧告をするということにいたしておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、自治体立、そのほかの日赤、済生会その他も勘案をいたしまして、現行の規定を存続しておくことについては問題がないと申しますか、それでいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  155. 和田静夫

    和田静夫君 これは、別に委員会をここでとめて話がつくまでなんということを言うつもりはありません。しかし、話は詰まりませんから、詰まりませんからこれは論点として残しますよ。次回に機会を持つように、私の時間を少し残さしてもらいますが、そうしてもう少し詰めた話をしましょう、ここのところは。  現在の病床状況は、地域的偏在が著しいわけです。これはお認めになると思うのです。そうすると、医療圏の設定のいかんによっては現状の地域的偏在が固定化されてしまう危険性は当然ありますよ。私はそれ予見しておきますよ。こういう点、どういうふうにお考えになっているんですか。
  156. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 病床あるいは医療機関の地域偏在があるということは私どもも認識をいたしておるわけでございます。今回、医療法の改正をお願いいたしまして医療計画を策定するということの重要な意味、ねらいもやはりそこにあるわけでございまして、私どもこれを通じて、医療計画の策定達成を通じまして地域偏在の解消を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  157. 和田静夫

    和田静夫君 例えば、先ほど取り上げましたが、長崎県の北松地区の場合は、佐世保市を含む形で県北地域というふうにくくってしまっているから北松地区の県立病院は必要ではない、こういう形にくくるとなるんですよ。ところが、ある地区を考えますと、人口一万対十床なんですね。これちょっと、ずっとそこのところを私、図解をしてみましたが。これは隣接する地区というのは一万対百床であったとする。これらの地区をまとめて一つの医療圏としてしまいますと、そうすると一万対十床の地区というのは、病床数が不足したまま必要病床数を満たしてしまうということになってしまうんですよ。  したがって、二次医療圏の地域設定に当たっては地域的事情を十分に考慮していかなきゃならぬ、それはそういうふうに考えていらっしゃいますか。
  158. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 二次医療圏の設定でございますが、これは医療計画の基本になる非常に重要な事柄でございますので、いろいろの要素を勘案いたしまして適切に二次医療圏を設定することが必要であろうかと思っております。
  159. 和田静夫

    和田静夫君 医療圏の設定は、外来通院が可能な範囲とすることが、こうした地域的偏在を固定せずに本当に必要な病床数を策定するために必要なんではないだろうか。大臣ね、医療圏は外来通院が可能な範囲とすること、そういう位置づけでいくべきなんだと私は思いますが、いかがでしょう。
  160. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療圏の設定に当たりましては、もちろん交通事情等を勘案することは当然でございますが、私どもは二次医療圏は、病院の病床、一般病床の整備を図るべき地域的な単位ということでその区域の設定を考えておるわけでございまして、外来通院の問題も念頭にもちろんないわけではございません、十分あるわけでございますが、一番のポイントは、一般病床の整備を図る場合に、一つの地域の単位として考えるべき地域、区域というふうに考えておるところでございます。
  161. 和田静夫

    和田静夫君 地域的偏在と並びまして種類別な偏在という問題が指摘されていますね。種類別というのは、結核とか精神ではなくて、老人専門とか小児専用の病床がある地域に集中しているという問題ですね。これらの専用病床を必要病床数に含めるといたしますと、一般の病床が、そのあおりを受けて、過小に決定されてしまうということが出てくるおそれがありますが、そういうことはありませんか。
  162. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療圏の中におきます必要病床数の算定につきましては、その医療圏内におきます性別・年齢階級別の人口構成、これが非常に大きな要素になるわけでございまして、老人の多い地域につきましては、それ相応の必要病床数を算定するということでございますので、老人、小児を含めまして一般病床につきましては、その地域の条件、地域の状況に応じた必要病床数を算定していく考えでございます。
  163. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、ちょっとこれ使わしてもらいますが、東京都多摩地区の病床数をおたくで資料つくってもらったんです。これを見ますと、西多摩地区——青梅、福生、秋川、羽村では老人病院の病院病床数が非常に高いんですね。非常に高い。大体二〇%を超えています。ところが、南多摩の方ではそれよりも低い。さらに北多摩ではほぼ一けたのパーセンテージになっているわけです。これはおたくの数字ですから間違いありません。いや、間違いありませんか、私の方は裏をとっていませんけれども。大体間違いないんでしょう。  そこで、厚生省、こういうような種類別の偏在というものを医療計画の中でどういうふうに配慮されますか。
  164. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 先生にお示し申し上げました資料でございますが、今、御指摘部分は老人病院特例許可病床数でございます。特例許可病床数の人口十万対でございます。そのほかに普通の、特例許可でない病床、病院に老人が入院しておるケースがいろいろあることは御存じのとおりでございます。  しかし、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、基本的にはその地域の老人の割合等を勘案いたしまして、それを計算いたしまして必要病床数を算定する。また、その医療圏から現実に、老人に限らずでございますが、どれくらいの患者さんが他の医療圏に流れているか、あるいはまた他の医療圏からその医療圏にどれくらいの患者さんあるいは老人の方が入院をしてきておられるかというような、それぞれの医療圏の特質と申しますか、特殊な状況と申しますか、それも十分必要病床数の算定の中に加えてまいるということで考えております。
  165. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、この医療計画の中で老人専用、小児専用などの病床数については特に配慮をされるというふうに今のところ承っていいんでしょうか。
  166. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 御承知のように、老人専用ベッドあるいは小児専用ベッドというものは現在の体系にはございませんで、それらを含めま して一般病床数ということに相なるわけでございます。先ほど来申し上げておりますのは、一般病床の必要病床数の算定におきまして、その地域の人口構成、老人の割合、小児の割合等を計算の基礎にいたしまして一般病床の必要数を算定するということでございます。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 精神病院の地域的偏在も著しいものがあります。偏在化が著しいために外来通院が困難になっていて、入院患者の在院日数を長くしているわけですね。これは患者の人権上の問題を引き起こすもとになっていると私は考えるんですよ。外来通院が可能な範囲に精神病院をつくるということが大変大切です。  これは、国際精神病学会が一九八二年に京都で開催したシンポジウムの記録なんですが、この中に、三十七ページですが、東京の偏在状況がレポートされていますね。これは当然御存じだと思います。この状況を説明してください。
  168. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 今、先生がおっしゃいました一九八二年の報告については、現在手元にございませんので、後で調べさせていただきたいと思います。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 ここに持っていますが、ちょっとどうですか。(資料を手渡す)
  170. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) ただいま和田委員からお借りいたしました「WPA Regional Symposium KYOTO」という一九八二年四月の資料の三十七ページに、ちょっとその部分だけでございますけれども、青梅市は、九万八千六百四十四人の人口を持つ東京都区部に隣接する市で、精神病院が九つ、それからそのベッドは人口当たり百五十である。これに反して東京の南東及び中部では、三百五十九万の人口で、これは東京の三一・六%の人口を占めており、そこにはたった六百五十六のベッドしかなく、それは人口当たり一・八である。このような傾向は、人口の高度に稠密な南東地域においては特に顕著であると、このように記載されておるようでございます。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、そのことをお認めになりますね。
  172. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) この調査がいつの時点がどうかによって、この数字が正確かどうかにわかには判断いたせませんので、後でチェックをさせていただきたいと思います。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく、国際精神病学会が一九八二年に京都で開催をしたその中で、今述べたような報告がちゃんと記載をされているわけであります。これは私は裏をとってみて、当時の時点間違いありません。  そうすると、厚生省、精神病床の地域計画は三次医療圏で考えては私はだめだと思うんですね、そのとおりになっているわけですから。やっぱり私が言うように、外来通院圏でこれも考えるべきである。それは常識じゃないでしょうかね。
  174. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 精神病、精神疾患の入院治療でございますが、御承知のように、非常に広大な地域、敷地を用意いたしまして、建物等もゆったりした入院環境が必要だと、あるいはそういった形の中で治療形態を考えていく必要がある。こういったような特殊性があるわけでございますので、これまで都道府県単位で精神病床の整備が進められてきたというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、今回の地域医療計画におきましても、精神病床につきましては都道府県単位で算定することとしておるわけでございます。  ただ、退院をされ、あるいは社会復帰をされるというような場合には、例えば病院、住居、就労場所等々が同じ生活圏域にある、そして社会生活を続けながら外来治療を受ける必要があるということでございますので、今後の医療計画の策定の際におきましては、そういった外来患者あるいはリハビリテーションというようなことにつきましては、その地域の精神保健医療体制の確保、そういった意味の外来での、あるいはリハビリテーションを含めた精神保健医療体制の確保を十分配慮する必要があろうかと考えております。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 私は、厚生省の認識、大変甘いんだと思うんです。幸いにして私の方の理事は、精神を系統的にずっと追及をしてきた人であることは御存じのとおりであります。  精神病患者を病院の中に長期にわたって隔離しているというのは、これは先進国中日本だけですよね。外来通院に切りかえていくべきでしょう。宇都宮病院では多くの入院の必要のない患者が鉄格子の中に隔離されておる。それであれほどの人権問題を引き起こしたのであります。外来通院圏、つまり二次医療圏の範囲で考えるべきでしょう。幸いにして、私たち九月の初旬の段階、石川県の精神病院を見て歩きましたが、痛切にそのことを感じますよ。どうです。
  176. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 先ほど来申し上げておりますように、精神の病床数については、これまでの経過等を踏まえて、一応現段階におきましては、精神病床の整備計画、地域医療計画の中では都道府県単位で算定をするというふうにいたしておりますが、先生の御意見もございますし、今後の精神病床の整備状況等を十分見まして、二次医療圏単位で精神病床の必要病床数を算定すべきかどうかということにつきまして十分研究、検討させていただきたいと思います。
  177. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ、十分に私が述べた趣旨に基づいて検討をされますよう期待しておきます。  そこで、もう一つですが、精神科外来をふやすために、一つの方法でありますが、法律四条の総合病院の要件、この総合病院の要件に精神科を含むようにすべきだというふうに思うんです、この改正の機会ですから。これが私の求める修正の第五点です。
  178. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 現在改正をお願いいたしておりますのは、私どもの気持ちといたしましては、医療供給体制の確保につきまして、第一段と申しますか、第一歩の改正というふうに考えておるわけでございます。今回の改正をお願いしまして成立をいたしますれば、例えば病院と診療所との役割分担なりあるいは連係のあり方なり、その他標榜科目の問題等々いろいろ今後の医療供給体制の確保のために検討し、結論を出し、それに基づいて医療法の改正を考えるべき事項がたくさんあるわけでございます。私どもは、それを第二次改正というふうに内部では呼んでおりまして、先生の仰せの総合病院の定義の問題でございますが、これにつきましても、その第二次改正の検討事項の一つとして十分検討させていただきたいと考えております。
  179. 和田静夫

    和田静夫君 精神の問題はたくさん予算委員会や本委員会で集中的に論議をされてきたことでありますし、もう長い年月をかけた医療法の改正がやってきたわけですから、そこになお欠陥があることを我々が指摘をすれば、次の医療法の改正まで待ってくれというのではなくて、そんなにこれ検討を要することじゃありませんから、素直にこの機会に修正をされるということの方が私はよいと思いますから、これはあわせて理事会に預けておきます。  ところで、これとの関連で標榜科目名の問題ですが、病院の内部科名として既に使われている例えばリューマチ科、こういうのは患者のために早急に認めてやった方がいいわけですからね。この機会にあわせてその辺のところを、十二ぐらいあるようでありますけれども、その中で最も患者に、特に今、世論としてリューマチの問題なんか非常に大きくなっているわけですから、しかも自治体病院やその他ではもう既に科名として存在もしているわけですから、お認めになるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  180. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 診療科目の標榜の問題につきまして、お話しのとおり十四でございますか、十四の要望、特に最近リューマチ科の要望が非常に強いという点については私どもも十分承知をいたしておるわけでございます。この標榜科目の追加見直し等につきましては、従来も提案をされます、あるいは要望されております標榜科目が独自の診療分野を形成しておるかどうか、あるいは国民が医療を受ける場合の利便を図る上で妥当かどうか等を基準として検討を行ってきたわけでございます。  今のリューマチ科でございますが、上に述べたような観点から、さらに検討をする必要があろうかと考えております。  また、この標榜科目につきましては、現在自由標榜制という原則、考え方でございますけれども、それで果たしていいのかという基本的な問題の提起が、特に日本医学会を中心にいたしまして現在起こされておるわけでございます。  それからまた、個別のリューマチ科という問題につきましては、病名をもってその標榜科目とするのはどうか。例えばリューマチなら、糖尿病がどうだ、心臓病がどうだ、いろいろの病気があるわけでございまして、そういう観点からの御議論もあるわけでございます。  私ども、この標榜科目の問題につきましては、これから早速日本医学会、日本医師会等とも十分相談をして、場合によればこのための懇談会の設置というようなことも含めて方向を考えていきたいと思っております。
  181. 和田静夫

    和田静夫君 私の記憶で言えば、例えば美容外科などというのは我々は猛反対をしました。ああいうのは簡単に決まっていって、そしてこういう国民が切望しているものが決まらぬというのでは困りますから、今の趣旨に基づいて早急に結論をお出しになるように求めておきます。  精神病院についてもう一問聞いておきますが、宇都宮病院に現在なお人身保護法第二、第四条に反して拘禁されている人が三十九名もいると言われる。これらの人々を一刻も早く私は解放すべきだと思うんですが、福祉事務所、保健所、近県の国公立の精神病院を動員すれば、退院させて地域精神医療のルートに乗せることができるように私は思うんですけれども、これは大臣、一刻も早く手を打つべきことだと思っていますが、いかがお考えですか。
  182. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 宇都宮病院の入院患者さんのうちで、栃木県が昨年の四月以来行いました実地審査の結果でございますけれども医学的に見まして入院医療の必要性がないと判断、診断された者が、十二月五日現在でございますと私どもの数字で三十五名というふうに承知しております。  これらの三十五名の内訳でございますけれども、現在閉鎖病棟に入院しておる方が九名のようでございます。もちろんこれらの方々が退院できない理由というのはいろいろあるようでございまして、家族が全くおられない方とか、家族がいろいろの理由で引き取ることが困難である、あるいは退院をしていただいても患者さんがひとりで生活が困難であるとか、いろいろございますようですが、医学的に入院の必要性がない者が精神病院に入院しているということは、ただいま御指摘患者の人権面から考えても遺憾なことだと考えております。  現実には、先ほど申し上げましたように、退院後の患者生活の見通しがつかない場合に退院が行われないという実態もあるようでございますけれども、そういういろいろな問題がございましても、私どもといたしましては、各般の社会復帰施設等による受け皿をつくるなどいたしまして、このような方々が一刻も早く退院できるように努力していくことが必要だと考えておるところでございます。
  183. 和田静夫

    和田静夫君 栃木県なら栃木県の枠内でもって処理しようとすると、やっぱり非常に無理が生ずるでしょうから、国として、近隣各県と連絡をとって、国の責任で解決するというようなことも十分お考え合わせになるべきだろうと思います。  そこで、次に進みますが、必要病床数のところへ戻るんです。必要病床数で十九床以下の診療所の病床数、これは含めて考えるわけですか。
  184. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 十九床以下のいわゆる有床診療所の病床数でございますが、現在、有床診療所の病床につきましては必要病床数には含めないということでございます。これは御承知のように、有床診療所の病床と申しますのは、患者の長期収容を予定していないということで、病院の病床と機能が違うわけでございますので、したがいまして、これを必要病床数に含めて取り扱うことは適当でないということで含めないことといたしておるわけでございます。
  185. 和田静夫

    和田静夫君 私は、そこのところどうも、素人だからおまえの考え間違いだと言われるのかもしれませんが、おかしいように思うんです。  というのは、地域医療計画の外枠のポイントというのは、区域設定と必要病床数でしょう。そのポイントとなる必要病床数の中に重要な構成要素である診療所の病床は入れないんだと、今のような理由で。診療所の病床は計画の枠外に置かれるというのはどうも納得できないんですね。診療所のベットというのは医療とは無関係だとお考えになっているわけではないんでしょうね、これは。
  186. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) もちろん無関係とは考えておりませんが、ごく短期の入院を対象と考えておるわけでございまして、四十八時間を超えて患者が入院の必要があるという場合には、他の病院に送る等々のことでやっていただくというのが原則であろうかと思っております。
  187. 和田静夫

    和田静夫君 それは原則でしょう。しかし、ベッド数を計画の中に入れないで、診療所に対する計画がどういうふうに成り立つんだろうか。通常の理解ではちょっと全く理解できないんですが、どういうように診療所の配置、病院の配置を考えるということになりますか、それじゃ。
  188. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 診療所、これはベッドと関係のない診療所でございますが、診療所の配置そのものにつきましては、現在お願いをいたしております改正の中身では、医療圏の設定を特に考えていないわけでございます。むしろ診療所の段階におきましては、診療所と病院との機能連係、あるいは診療所がプライマリーケアにどういうふうに活躍をしていただくかというようなことが大事であろうかと思いますので、特に診療所につきまして、数、それから配置等々については特段に医療計画の対象としては考えておらないわけでございます。
  189. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、区域の設定、必要病床数に関する標準、これは省令にゆだねられる。これも私どうも不思議だと思っているんですが、その考え方のアウトラインは法律の中に書き込むべきじゃないんでしょうかね。標準の腹案というのは出るんですか。
  190. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 標準省令の中身でございますが、一つは医療圏の問題、もう一つは必要病床数でございまして、医療圏につきましては、先ほど来御議論いただいております、俗に言います二次医療圏、病院におきます一般病床の整備を図るべき地域的単位としての区域、必ずしも一致はいたしませんが、おおよその感じといたしましては広域市町村圏、それが大体二次要件に当たる、もちろん個別には違う点はいろいろございますが、大体そんな感じであるということでございます。  それからまた、三次医療圏につきましてはこれは都道府県の単位ということを、原則的にはそうなるんではないかというふうに考えておりまして、医療圏につきましてはそういった点を整理いたしまして標準省令に書き込みたいということでございます。  それから、必要病床数でございますが、これにつきましては、それぞれの医療圏、二次医療圏ごとに必要病床数を算定するわけでございますが、それぞれの二次医療圏におきます性別・年齢階級別の人口、これにその要件が属す地域ブロック、私ども、例えば近畿でございますとか、関東でございますとか、そういうことを考えておるわけでございますが、その地域ブロックにおきますやはり性別・年齢階級別の入院受療率、これを掛け合わせいたしまして、あと空床率、これはまあ大体全国の空床率を頭に描いておりますが空床率、それからその地域の特殊性、どれぐらい患者が現に外へ出ているか、あるいは外から中に入っておるかといったようなその地域の特殊性、こういったものによって必要病床数を算定する。これが必要病床数に関します標準省令の中身になろうかと考えております。
  191. 和田静夫

    和田静夫君 計算の仕方はわかりました。私も計算の仕方、おたくたちが考えているのをこれ持 っているんですよ。その結果、いわゆる標準の腹案を出してくれと言っているんですが、例えば人口万対、東京なら東京はどうなるとか、二、三ピックアップしてここで言えますか。
  192. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 具体的にある地域に当てはめた数字を現在用意をいたしておりませんが、例えば、人口百万なら人口百万の県で、それが例えば幾つかの二次医療圏に分かれる。その二次あるいは特定の二次医療圏における人口構成を一つつくり上げてみまして、その二次医療圏が、例えば近畿ブロックなら近畿ブロックにあるというようないろいろの想定をいたしまして、こういう想定の地域に、あるいはこういう想定の二次医療圏では今申し上げましたような計算をすると原則はこうなるというような試算例というようなものは、あるいは次回にお示しできようかと思っております。
  193. 和田静夫

    和田静夫君 例えば、あなたの方で補正係数を考えられるわけですがね、その補正係数のつくり方などというところは出せますか。
  194. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 補正係数でございますが、一つは、先ほど申しました病床利用率、これは今のところ全国平均の病床利用率を考えておりまして、そのほかにその地域の補正係数があるわけでございます。これは主として、先ほど申しましたように、その区域、その医療圏からどれぐらい入院患者が流出をしておるか、そして何人流入しておるか、それが一番大きな補正のファクターになろうかと考えております。
  195. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、今二回続いた答弁での資料は、今出るということですか、若干時間をくれということですか。
  196. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今申し上げましたような算定式でございますが、補正係数についてはなお詰めなきゃならぬ点があろうかと思いますが、今申し上げました算定式の概要は現時点でお示しができようかと思います。
  197. 和田静夫

    和田静夫君 係数の方を含んで、それじゃ、次回いつになるのか知りませんが、どっちみち今、修正の論議を幾つかしましたから、理事会にお諮りになって、質問時間を残しますから、それまでの間に少し詰めさしてもらおう。よろしいですか。
  198. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 計算式、計算方法、次回までに間に合うようにお示しをいたしたいと思います。
  199. 和田静夫

    和田静夫君 私、申し上げたのは、必要病床数と区域の設定は医療計画の根本にかかわる論点だと思っていますからね、その意味で申し上げて、ここのところは外すことができないところでありますから、次回に資料の出てくるのを待って、譲ります。  現在の病床数をどう評価しているかという問題なんですがね、これは過剰と考えていらっしゃるのか、おおむね適切なのか、少ないのか。また地域的に見てどうなのか、大都市部には過剰と考えているのか。あるいは、必要病床数はどういうように算定をされるかという問題は今出てきますから、それに対応することを私も考えますが、東京は、どうもおたくたちが考えていらっしゃる、これは補正係数の私のとり方とおたくのとり方が狂っていれば話は違ってくるわけでありますがね、そこのところは詰めてからの話になろうと思うんですが、人口万対比で七九・七を六一・一に削減。するような形をお考えになっているんじゃないかと、おたくの算定試案をもとにして私なりにはじいてみると非常に危惧される状態でありますから、ここのところは出てきてからの論議にした方がいいと思います。まあ、ここでやり合うよりも、それじゃ、出てきてから、次回にここのところはいたしましょう。  それから、問題をクリアするためにもう少し別の問題を取り上げておきたいのでありますが、医療法人の監督の問題なんですね。  医療監視の結果、報告が全く公表されなくなってきていますね。医療監視の結果、医療法違反がぞろぞろ出ているにもかかわらず、その結果が公表されないというのはどういうわけなんですか、これ。  さっきも言いましたけれども医療法改正のきっかけは、富士見病院事件だとか十全会事件だとか、医療法違反の事件が多発をした結果であります。そういう意味からして、医療法違反に対して行政がきちんと対応できる法的根拠を与えることが今次改正の私は最大の目的だろうと思うんですね。ところが、その判断の基礎となるデータが公表されていない。これじゃ、大臣、話にならぬと思うんですね。医療法違反件数都道府県の内訳あるいは事例別内訳、これは出ましょうか。
  200. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療法違反の問題でございますが、重大な違反がありますような場合、これまでの国会の御質疑等を通じてお答えを申し上げておるところでございます。  医療法違反によります処分件数につきましては、今ちょっと手元に用意がございませんが、次回には御報告をさせていただきたいと思います。
  201. 和田静夫

    和田静夫君 次回にはでは困るので、私の次回の残された質問までに間に合うように出してもらわぬと……。
  202. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 仰せのとおり、次回の御質問に間に合うようにいたしたいと思います。
  203. 和田静夫

    和田静夫君 これは、私の調査ではこうなっています。東北のある県の五十九年度の数字ですが、百六十二件もの医療法違反が見つかっている。医師不足が五十五、薬剤師、看護婦、助産婦の不備が五十九、構造施設の違反が六十カ所、管理運営が八十八カ所。これはほんの一例です。医療法違反は天文学的数字であります。こういう実態を伏せておいて医療法の審議をしろと言ったって非常に無理なわけでありますから、これは資料が出てきてからやります。  私は、医療計画の作成において住民側の意見が反映されるようにすべきだときょうずっと主張してきたのも、こういうような医療法違反の実態を踏まえてのことであります。営利を目的とする開設規制を強化せよというのも、こういう実態がかいま見えるからであります。かつては保健所報告に載っていたものが伏せられる、それは端的に言って医師会行政とのなれ合いの結果ではないだろうかと、まあこれは邪推であれば幸いでありますが、そんなふうにまで思わざるを得ないのであります。基準原案と医療監視結果報告を出す、これはそこのところも含んで私は求めたい。これは審議のやっぱり基礎をなすデータでありますからね。
  204. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療監視の結果でございますけれども、違反例の中に、もちろん重大な違反もございますし、極めて軽微な違反というようなものもございます。現在、全国的に私どもとして把握をいたしておりますものは、軽微なものは必ずしも十分把握をいたしておりません。いずれにいたしましても、現段階で把握しております範囲内で先生に御報告をさせていただきたいと思っております。
  205. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、あとは次回に譲らしてもらいます、出てきませんから。  もう一遍確認をしておきますが、私は、法律案の修正点として以上六つのことを申し上げました。  営利目的の開設禁止、七条四項、現行「許可を与えないことができる。」を、与えてはならないにすること。営利目的の判断基準は省令にゆだねる旨を明記すると。  それから、医療計画の作成に際して住民代表の意見を聞かなければならない、三十条の三、九項に続いて一項を加える。  公的病院の病床規制を撤廃する、七条の二。  総合病院の要件中に精神科を加える、四条一項。  標準のアウトラインを法律中に加える、三十条の三。  それから、病院薬剤師関係、十八条。病院、診療所は許可を得れば薬剤師を置かなくてもよいという現行規定から「病院」を削除する。それから二十一条、員数の中に薬剤師を明定する。  この六点の修正要求はすべて、現在の医療行政 に私はバランスをもたらせるものである、したがって提案をしたところであります。住民のための医療計画をつくる、バランスのとれた医療供給体制を確保するために最低限必要なことであります。したがって、確認的に要求をいたしておきます。  約四十分残りましたが、次回に譲らしていただきます。
  206. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 まず、増岡厚生大臣医療法の改正、共済年金法の改正等日夜大変な御苦労をなさっておられることに対し、深甚の敬意を表するものでございます。  私は、まず厚生行政の基本的な姿勢等も含めて、今回の医療法に関していろいろな問題点を指摘しながら、医療法がいい意味日本の二十一世紀の国民医療に対して大きく貢献するような医療法になってもらうことを祈念して御質問をしたいと、こう思っております。  まず、厚生大臣にお伺いしたいことは、現在の我が国の医療が世界最高のレベルに達している、しかもそれが、欧米先進諸国もひっくるめて、最低の費用で最大の効果を上げている、こういうことについて御認識を持っておられると思いますけれども、あえてロンドンのエコノミスト誌の報道をもとにして申し上げたいと思います。私がなぜそれを申し上げるかというと、国家財政の危機の折から、余りにも財政危機が強調されて、日本の医療費は上がりっ放しである、このままでは困るという面のみが強調されているうらみがあるので、あえて引用させていただくわけでございますけれども、エコノミスト誌によると、対国民総生産費、いわゆるGNPに対して日本の国民医療費は欧米先進諸国の中でも最低になっておることは御存じであります。英国に次いで最低でございます。国民一人当たり医療費概算は五百ドルでございますけれども、米国は御存じのとおり千五百ドル、西ドイツが九百ドル、フランスが八百ドル、英国が四百ドルになっております。また平均寿命も、大臣御存じのとおり、日本は七十七歳となっております。また乳児死亡率も、千の出生当たりに対して米国が十二、西ドイツが十三、フランスが十、英国が十二に対して日本は七、世界で最低の乳児死亡率でございます。また十万人当たりの心疾患死亡率も、日本は二百六十六、米国は四百三十五、西ドイツは五百八十四、フランスは三百八十、英国のごときは五百七十九。  それで、戦後こういうすばらしい実績を日本の医療制度、医療保障制度は上げてきたわけでございますけれども、私はこの実績は、GNPの伸び、厚生行政のよさあるいはいろんな面が影響してきたと思っていますけれども、この理由の中で、何といっても我が国の民間医療機関が大きく寄与していると、こう思っております。なぜならば、日本医療機関の八〇%は民間医療機関が占めているわけでございます。  まず、この点について大臣の御答弁をいただきたい。要するに、日本が世界一の医療レベルをキープし、こういう実績を上げてきたのは、民間医療機関のみとは言わないんだけれども、民間医療機関が大きく寄与してきたんだと、こういうことでございます。御答弁をいただきたい。
  207. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) ただいま列挙されましたように、特に平均寿命、乳児の死亡率等を見てみますと、世界のトップレベルにあることは間違いございませんし、そのことは、民間医療機関の積極的な医療活動が大きな役割を果たしてきたことも事実であると考えております。  また、今後急速に高齢化社会を迎えることになるわけでございますが、その際には、医療需要の増大、多様化、医療の高度化等に対応するためにも、自由開業医制を柱とした活力ある医療制度の構築が必要だと考えております。
  208. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、今回の医療法改正に当たっては、我が国の医療制度の実績、メリット等を踏まえて、それを伸ばす方向に持っていくべきであるということは言うまでもございません。  私は、九月にアメリカ及びヨーロッパを四十日にわたって調査してまいりましたけれども日本の医療制度に比べて欧米ではやっぱりいろんな意味で考えるところがある、こう思っております。それは、医療国営を行っているイギリスではウエーティングリストに六十万人も控えている。手術をしたくても手術ができない。実際に英国大使館のドライバーに聞きましたところ、脱腸の手術をするのに、鼠径ヘルニアの手術をするのに二年も三年も待たなきゃいかぬ、こういうような例にもぶつかってまいりました。はっきり申し上げて、医療国営は効率が悪い、そういうような面がございます。  それで、今回の改正に当たっては、日本の自由開業医制度のよさを伸ばすということを私は大きな点にしなきゃいかぬ、こう思っておりますけれども、ややもすると今回の医療法改正が、逆に日本の従来の医療制度等の長所を阻害する方向にいくのではなかろうかと憂えている人々がいることもまた確かでございます。それで私は、今回の医療法改正に当たっては、日本の現行の医療制度のよさを伸ばすべきであって、角を矯めて牛を殺すというようなことがあってはいけない、こう思っておりますが、大臣、いかがお考えでございましょうか。
  209. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほども申し上げましたように、国の医療は自由開業医制によって支えられてきたことが我が国の伝統でありまして、今後とも、民間の活力を生かしてこれを堅持していくことが基本的に必要と考えるわけでございます。  したがいまして、都道府県において医療計画を策定されるにつきましては、基本的には自由開業医制を前提として行われるものでありまして、各地域の医療の実情に配慮して、また、各方面の合意を得ながら計画の策定、推進を図るものであって、御指摘のような御懸念は当たらないと考えております。
  210. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 さらに、今回の医療法改正で懸念されることの一つは、先ほども同僚の和田議員からも御質問がありましたけれども医療法第七条で、医療は営利を目的としてはならない、こううたわれております。今度の医療法改正に当たってどうしても我々が注意しなければいけないのは、いわゆる今アメリカではやっているところの医療を事業と認める医療産業、あるいはシルバー産業などと呼ばれておりますけれども、この医療産業を絶対に阻止しなければいけない、こう思っております。これが認められるようになると、現在アメリカの例で見るように、金持ちは質の高い医療を受ける、貧しい人は質の低い医療を受ける、その結果、アメリカでは人口の約五%に相当する一千万人が全く社会保障、特に医療保障、保険から取り残されている。日本は、御存じのとおり、生活保護が百二十七万でございますけれども、いかにシルバー産業の弊害が強いものであるかということを私は憂えるものでございますが、この点に関して厚生大臣の御見解を賜りたい。
  211. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、医療を金もうけの道具にしてはならないというのは我が国の国民的な感情でございまして、したがって、医療法におきましても営利を目的とするものに対しては開設の許可を与えないこととしておるわけでございまして、今後とも、この趣旨が損なわれることのないよう、法の適切な運用を図ってまいりたいと存じております。
  212. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 今回の医療法改正で、修正案の附則第四条についてでございますけれども医療機関の社会的役割の重要性にかんがみ、経営基盤の安定に必要な措置を講ずると、こううたっております。医療は金、経済のインセンティブが働かないとどうしても医療保障の質が落ちる、あるいは効率化が妨げられる、こういううらみがございます。先ほど申し上げた医療国営のイギリスで、六十万人の人がウエーティングリストに載っているという例でございます。働いても働かなくても全く同じような経済的な利点しかないということであれば、人間ややもすれば怠けがちでございますから、働かぬ方がいいという結果になってくるので、どうしても財政危機だからといって、社会保障、医療保障の面で余りにもその医療費の抑制効 果のみならうと、逆に医療の効率が落ちるといううらみを私は非常に持っておりますが、従来、社会保険診療報酬の改定では、薬価の引き下げ分を下回る金額で技術料の改定が行われております。そのために、医療機関の経営基盤が不安定な状態になっているということは、これはもう衆目の認めるところでございますけれども、私は、医療機関の経営基盤の安定のために、従来のような診療報酬改定手法、いわゆる薬価基準のみをいじるやり方ではどうかと思っております。  それで、来る診療報酬改定には、大臣、この点に格段の御努力をなさって、少しでも技術料がアップするようにお願いをしたい、こう思うわけでございますが、大臣の御答弁をいただきます。
  213. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、医療機関の経営基盤の安定化を図ることが医療を安定的に供給していくためにぜひ必要であることは御指摘のとおりでございます。  そこで、厚生省におきましても、来年度の要求に際しまして医業経営の近代化、安定化に関する検討費を要求して、関係の専門家、学識経験者から成る懇談会を設置して検討を進め、政策融資、経営指導等さまざまな観点から総合的に所要の措置を講ずる等の努力をしてまいりたいと思っております。  診療報酬の点につきましても、そのような姿勢で臨みたいと思っております。
  214. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 地域医療の実績を上げるためには、行政、医療の現場に働く医師、パラメディカルスタッフ、そういう医療人、また国民、この三者が一体になって初めて地域医療、国民医療の実績は上がるものだと思っております。いわゆるトロイカ方式というものでございまして、この行政と医療人と国民、地域住民が一体にならなければ実績は上がらない。  しかしながら、最近のある学会における厚生省の高官の発言が、今、医療団体の間で問題になっております。私は、その高官は優秀な方であると思っているがゆえに、きょうここで質問することも大分ちゅうちょしたのでございますけれども、このまま放置するならばかえっていけないと、こう思ってあえて申し上げるわけでございます。  それはどういう発言がというと、「医師の医療技術について国民不信があり、とくに第一線の開業医に不信がある。かてて加えて医師は不親切である。この両面から、医師への信頼が低下している。」、こういうことをおっしゃっておられます。先ほど大臣の御答弁では、日本の医療は世界で最高の実績を上げている、それは民間医療機関の果たした役割が大きいからであると、こういう御答弁をちょうだいしたわけでございます。したがって、厚生省高官のこの発言は大臣の御答弁と違う。また、厚生省高官の発言のように、医療技術が不信である、国民の間から第一線の開業医が特に不信であると、こういうようなことが真実であるならば、先ほど私が御答弁をいただいたような世界最高の実績を上げるわけはないんでございます。それは、医師の一部が、あるいは開業医の一部が、そういうようなことがあるということはわかります。どの階層にも、どの階級にも、どの職業にもそういう不心得な者があることは、これはやむを得ないわけでございますけれども、残念なるかな、この高官の御発言を熟読しても一部という言葉はどこにもない。これから受ける印象は、医師が、開業医が全部悪いと、こういうような誤解を生むおそれがある。これは学会で発言しておるのであります。私思うに、学会に出席した医師もまただらしがないと思っている。そういうものに対しては堂々として反論すべきであるのに黙って聞いておる。  それで私は、もう一つ、厚生省統計情報部の発表昭和五十九年保健衛生基礎調査によりますと、医院や病院を選ぶ理由を調べてあります。自分はその病院を選ぶ理由として、病気治療についてよく説明するから、二三・五%。それから、前の病院に不信感があれば、医療技術、医師に対して不信感があれば二度と行かないわけでございますけれども、前にかかったことがあるからまた行くというのが二二・三%。それから、どんな病気でも診てくれる、一七・一%・合計して六二・九%の国民の信頼を得ているということが厚生省統計情報部の発表で出ているんですよ、五十九年。だから、厚生省の高官がおっしゃる国民に不信がある、第一線の開業医の医療の技術に不信があるということは当たらないのでございまして、私は、この点を特に反省をしていただきたいと、こう思うわけでございます。  こういうようなことでは、国民の不信をあおって、医師の医療への意欲を低下させる。今後、二十一世紀の医療に向かってどうしてもいろんな諸制度の改革をやらなければいかぬ。改革をやるときに最も協力を求めなければいけないのは現場に働く医療人でございます。医療人に協力を求めなければいかぬ、国民にも協力を求めなければいかぬ、そういうときにこういうような発言をされると、協力ところか医療人の感情を逆なでするようなことになる。私はこういうぐあいに思っているのでございますけれども、もちろん、一握りのふらちな医師に対しては徹底的な法の制裁を加えるべきであるということは言うまでもございません。そのために、日本医師会日本歯科医師会も薬剤師会も襟を正しているところでございます。自浄作用ということを今しきりに医師会の中でも言っている。そういうときにこういう発言は私はいかがなものかと思う。  もちろん、医師に反省を求める、協力を求めみ意味で発言なさったと善意に私は解釈したいのでございますけれども、この点に関して厚生大臣の御答弁をいただきたいわけでございます。
  215. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、医療従事者と医療を受ける立場にある者並びに行政の三者が協力していくことが医療を円滑適正に行うために必要でございます。したがいまして私といたしましては、現在、医療従事者と医療を受ける立場にある者の間について不信感があるというようなことはさらさら考えておりません。国民と医療関係者との間に真の信頼関係が形成されることが最も重要であるというふうに常日ごろから考えておりますし、また現状では、大部分の医療行為はそういう中で行われておるというふうに思っております。  特に医療というものは、国民の一人一人に極めて身近な問題でありますだけに、いろいろな議論がなされるところもありましょうけれども、いずれにしましても、やはり医療関係者との信頼関係、従来からございますものをさらに確立することのための環境づくりに意を用いてまいりたいというふうに思います。
  216. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ただいまの厚生大臣の御答弁をいただいて、私は、今後厚生省と、厚生省のみならず、行政と医療団体と地域住民が一体になって地域医療の向上のためにやっていくことを心から願うものでございます。まことにありがとうございました。  次に、医療法改正案についての具体的問題でございますが、国公立医療機関、その他公的性格を有する医療機関機能、役割の明確化の問題でございます。  最近の国公立医療機関、その他公的性格を有する医療機関の問題でございますけれども、公的医療機関がややもすると民間医療機関と競合するような状況が見られます。例えて申し上げますと、公的医療機関の本来の任務の一つであります救急医療活動について民間医療機関ほど行われていない。それで、採算を重視する余り、一般診療分野への進出を図って民間医療機関の本来の役割までも割り込んできている、こういう問題が起こっております。このままこれを放置した場合には、明治以来我が国の医療を支えてきた民間活力を低下させる原因になるんじゃなかろうか、こう思っております。  また実際に、先ほど申し上げましたとおり、私が欧米先進諸国をせんだって回ってみましたら、欧米先進諸国の公的医療機関では紹介患者のみに限ると、一般外来は原則禁止するというような例もございます。  それで私は、ぜひ我が国においては、国公立病院と民間医療機関の役割分担を明確にする必要があるんではなかろうか、こういうぐあいに思っております。私的医療機関、すなわち地域の病院、診療所で十分治療可能なものは国公立病院へ治療に行かなくてもいいというような制度に持っていく、しきたりに持っていくということが大事じゃなかろうか。  また、このことは医療計画の達成についても言えることで、病院、診療所の不足地域については、まず民間医療機関の進出を図ると、それで民間医療機関の進出ができない場合に、これはまた国あるいは地方公共団体が医療施設を開設すると、こういうような役割分担をきちっとすべきである、こう思っておりますが、これについての御答弁を、もし局長でもようございますから御答弁をいただきたい、こう思うわけでございます。
  217. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療供給体制におきます公私の役割でございますが、これは各地域、各都道府県の実情に応じて考えるべき問題であろうかと考えますけれども、一般的に申しますと、我が国の場合では、民間医療機関を主体といたしまして、その活力を生かしつつ医療供給体制の整備を図る、その一方で民間医療機関では担うことの困難な分野につきまして国公立等の公的な病院でこれを担当するというふうにいたしまして、相互に相補いながら全体として住民の医療需要に適切に対応し得る地域の医療供給体制を整備していくことが望しいと考えております。  医療機関が不足をいたしております地域につきましては、民間の医療機関の整備が促進されますように、政策融資を初めといたします諸施策を今後とも講じてまいりたいと考えております。
  218. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 医療計画における必要病床数でございますけれども、先ほども同僚の和田議員から御質問がございました。必要病床数に関する標準といいますか、基準といいますか、医療審議会の意見を聞いて厚生省令で決めると、こういうふうになっておりますが、必要病床数はどの程度になるのかということで、都道府県あるいは医療関係者は不安感、危惧の念を抱いております。地方の医療に関する状況は、ただいまも御答弁がありましたとおり、それぞれ異なるわけでございますが、国が一方的一律に算式を示した場合には、どうしても官僚統制という、過剰な疑念が関係者の間に生まれるのではなかろうかとも、こう思っています。  それで、必要病床数の算定方法及びそれに関連した数値については、医療に関する学術職能専門団体と十分に協議、検討を進めることが必要不可欠だと、こういうぐあいに認識をしております。それで、繰り返しますけれども、各地方の特性を十分考慮し、当該地方に最も妥当な数を出すべきで、標準算定方式といえども幅のあるものでなければいけない。すなわち、弾力的に運用されなければいけないと、こういうぐあいに思っていますが、この点について厚生省当局ではどうお考えでしょうか。
  219. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画におきます必要病床数の算定方法でございますが、これは法施行後に国の医療審議会の御意見を聞きまして定めるということになっておるわけでございます。この場合、これを定めるに当たりまして、関係者の意見を十分踏まえながら検討をいたしてまいる所存でございます。  必要病床数に関します標準につきましては、先ほども答弁申し上げましたが、現在のところ、当該医療県の性別・年齢階級別人口、それに地域ブロック等を単位といたします性別・年齢階級別入院受療率を勘案した算定式、これに基づきまして算定してはどうかというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、地域の実情に即したものになるよう、検討してまいりたいと考えております。
  220. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、ガイドラインについてでございますけれども、改正案の第三十条の四によりますと、「厚生大臣は、医療計画の作成の手法その他医療計画の作成上重要な技術的事項について、医療審議会の意見を聴いて、都道府県に対し、必要な助言をすることができる。」というふうにうたわれております。「医療計画の作成の手法」あるいは「医療計画の作成上重要な技術的事項」とは具体的にどういうことでございましょうか。具体的な説明をお願いしたいというのが第一点でございます。  次は、ガイドラインで都道府県の医療計画を縛るのではないかというのが、関係者の間でまた同じく危惧の念を抱いております。そのガイドラインによっては、医療計画の中央統制、最も恐れている官僚統制のおそれが出てくるというのが本音でございます。それで、都道府県が医療計画を策定する際の参考にする程度のものであると、あくまでも先ほど申し上げた学術職能専門団体あるいはその他関係者の意向を十分参酌してやっていくのだと、こういうふうに御確約を願いたいわけでございますけれども、以上の二点について御答弁をちょうだいしたいと思います。
  221. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) まず、第一点のガイドラインの中身と申しますか、内容でございますが、具体的に一、二例示をさせていただきますと、まず一番目に、計画策定のための体制づくりはどういうふうに考えたらいいか。それから二番目に、計画策定のためにどんな調査が必要であろうかと。つまり、計画策定のための必要な調査の内容。それから三番目に、医療供給体制の整備に当たりましての配慮事項、次のような点に配慮をして医療供給体制の整備を考えてもらいたいと。例えば、医療施設間の機能分担及び連係、それから医療情報システムの整備等でございます。それからその次に、医療計画推進上の留意事項ということで、例えば医療計画を推進するための推進体制あるいは医療計画の達成状況の評価等、こういったことを例を挙げますと考えておるわけでございます。  このガイドラインでございますけれども、今申し上げましたようなことで、医療計画の作成上重要な技術的事項について示すというものでございまして、御懸念のような医療計画の中央統制を行うというようなことでは決してございません。  また、ガイドラインを示すに当たりましては、あらかじめ国の医療審議会の意見を聞くとともに、その内容につきましても、地域の実情を反映した医療計画の策定がなされるよう十分配慮してまいりたいと考えております。
  222. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時五十分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後二時五十四分開会
  223. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、和田静夫君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。     —————————————
  224. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 休憩前に引き続き、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  225. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 今回の医療法改正案では、国の医療審議会、都道府県医療審議会に新たな重要な権限が加えられております。すなわち、国の医療審議会では、医療計画における医療圏の設定、必要病床数に関する標準省令の制定、特殊医療を定める省令の制定、厚生大臣がガイドラインを示す場合に関与をする等でございます。  さらに、国、都道府県の医療審議会の関与ということについてでございますが、従来、審議会と称するものは行政や官僚の隠れみの的なものが多いという通念がございます。それで、今回の医療審議会も官僚統制に対する歯どめにはならないのではないかという意見もありますが、そのことについてどのようにお考えでございますか。
  226. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 国及び都道府県の医療審議会の委員構成でございますが、これは政令で 定めることといたしておりまして、医療計画の策定等非常に重要な問題でございますので、利害関係によって左右されることは適当でございませんので、医療制度に関する学識経験者によって構成をし、客観的な立場から広く医療の需給の両面にわたる審議をお願いしたいと考えておるわけでございます。  こういうことでございますので、医療計画の策定に当たりましても、それが円滑に機能するために、審議会を通じまして地域医療を担う医療関係者とも意見が集約されるとともに、専門的立場から地域医療の状況についての調査結果を分析、評価されることが重要でございまして、こういった審議会が行政の隠れみのとなるというような御心配には及ばないものと考えております。
  227. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 さらに、医療法人に関してでございますけれども、今回の医療法改正案で、医療法人の監督規定の整備強化の一つとして、今までなかった立入検査、改善命令等の規定が新たに加えられております。すなわち、改正案第六十三条第一項、医療法人の事務所への立入検査の要件が規定されております。さらにまた、第六十四条第一項には改善命令を出す場合の要件も規定され、その中に「運営が著しく適正を欠くと認めるとき」というような表現がございますが、このように要件を抽象的に不明確にしておくと、監督係官の恣意のままに不当な立入検査、改善命令が出されるおそれがありますが、そういったことに対しても医療に対する官僚統制の兆しと思われるおそれもありますので、不必要な立入検査あるいは改善命令を正当化しないため、立入検査とか改善命令とかの場合には具体的な例を通知等で示して、あらかじめ徹底さしておく必要があると思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  228. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 御指摘のように、具体的な例につきましては通達で示すことといたしたいと考えておりますが、立入検査が認められる場合といたしまして、例えば法人の附帯業務の継続がその法人本来の業務でございます病院、診療所の運営に支障があると認められるような場合、あるいは放漫経営によりまして医療施設の運営に支障があると認められる場合、こういった場合が立入検査が認められる場合に該当するのではなかろうかと考えております。  また、改善命令を出す場合の具体的な内容といたしましては、例えば不動産の買い占め、不動産賃貸業、株式投機等附帯業務の範囲を超える事業を行っている場合のそういった事業の中止。それから、附帯業務の継続が、先ほど申し上げました法人本来の業務でございます病院、診療所の運営に支障があると認められるような場合の当該附帯業務の中止とか縮小についての改善命令。それから、定款または寄附行為に定めのない附帯業務を行っておるような場合の当該業務の中止。放漫経営によりまして、法人の業務の運営上支障があると認められるような場合の関連企業に流用した資金の回収等、放漫状態の是正等の命令、こういったものが考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった具体的な例につきましては通達で示すことといたしたいと考えております。
  229. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、行政処分についてでございますけれども、ただいまの改善命令に従わない、そういう問題のある医療法人に対して都道県知事は、業務の停止、役員の解任等の勧告、設立許可の取り消しなど行政処分ができるようになっておりますが、これらの処分はいかなる手続で行われるのか。これもまた、先ほど質問しましたよう。に、官僚統制につながる、あるいは医療警察国家的な厳し過ぎるというようなことがあってはいけないと思っておるんでございますけれども、その点についてもお伺いしたい。
  230. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の改正によりまして、医療法人についてその業務または会計が法令に違反している等の事実が判明いたしました場合に、手続といたしましては、まず第一段階といたしまして改善命令を出す。改善命令を出しましてもそれが是正されない場合には、第二段階といたしまして業務停止命令または役員の解任勧告を行う。それでも目的を達成できないときになりまして初めて最後の手段といたしまして設立認可の取り消しを行う。こういう手順を踏むことになるわけでございまして、従前に比べまして、その実態により合致したきめ細かな対応を行えるようにするものでございます。御心配のような官僚統制の強化というふうなそういうことでは全くございません。  なお、衆議院におきます修正によりまして、都道府県知事が法人の業務停止もしくは役員の解任勧告、または設立認可の取り消しを行うに際しましては、あらかじめ都道府県医療審議会の意見を聞くものとするとされておるわけでございまして、これによりましてさらに万全の処分手続になるものと考えております。
  231. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、複数の都道府県にまたがる医療機関についてでございますけれども医療法人の中には、多くの都道府県にまたがる医療機関を開設して、医療産業、実際にチェーンストア、ハンバーガーチェーンという表現もあるような病院会社を設立しているところがあるのでございますけれども、そういう医療機関は、医療機関同士で医師や看護婦の名義借りをして、今、マスコミに報道される憂うべき事態にも至っております。  この問題について衆議院における議員修正で、複数の都道府県における病院、診療所開設の医療法人の設立については新たに厚生大臣の認可を必要とする、こうなっておりますけれども、この厚生大臣認可の規定改正について厚生省はどのような認可基準、具体的にどういうような厚生大臣の認可基準をお考えでございましょうか、お聞かせ願いたいのでございます。
  232. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 複数の都道府県におきまして病院等を開設する医療法人でございますが、その設立認可、監督等につきましては、現行法では、主たる事務所の所在地の都道府県知事が、従たる事務所の所在地の都道府県知事と連絡調整をとりながら行っているものでございます。  今回の修正によりまして、広域的に事業を展開する医療法人につきまして、厚生大臣が統一的に指導監督を行うということに修正がなされたわけでございまして、今、御質問ございましたその認可基準等につきましては、これから鋭意検討を行うわけでございますが、いずれにいたしましても、今回の衆議院の修正の趣旨が生かされるように努めてまいりたいと考えております。
  233. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、医療法人の健全な育成についてお伺いしたいわけでございますけれども、今、日本医療法人の総数は三千八百二十二、我が国の医療機関の経営主体の中核的存在になっておるわけでございます。衆議院における議員修正で、いわゆる一人医療法人を制度化されて、その数はますます増加をしようとしております。それで、こういう多数の医療法人の育成は、行政機関のみの対応ではこれから困難になるのではなかろうか、こういうぐあいに思われます。  アメリカにはJCAH、ジョイント・コミッション・オン・アクレディテーション・オブ・ホスピタルズ、病院認定合同委員会というのがございまして、インターンとかレジデントの教育病院の審査認定機関がありまして、これは政府の介入、干渉を許さない中立的な民間機関でございます。このJCAHはそこの病院認定マニュアルを作成して、アメリカの大部分の病院はそのマニュアルによって運営をされている。それから、さらにまた各病院にはティシュー委員会というのがございまして、病院の内部で自浄作用、医の倫理にもとらないようにという運営がなされております。  私は、そういうことも参考にして、我が国の医療法人の運営、育成に当たってはどうか。と申し上げますのは、各都道府県の学術専門職能団体と民間組織を活用して自浄作用に期待をする。先ほど申し上げたように、医療警察監視制度と思われるようなことは避けるべきである。政府がやたらに干渉や関与することを避けて、自主的に運営させた方がいいんじゃなかろうか、こういうぐあいに思うんでございますけれども、その点御見解を 賜りたいと思います。
  234. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お話がございましたように、医療法人の健全な育成につきましては、行政対応できる範囲にはおのずから限界があるわけでございまして、医療法人みずからが相互チェックによってその運営の適正化、経営の改善を図っていただくということは大変望ましいことであると考えております。  このような観点からいたしまして、今、先生が例に挙げられましたアメリカのJCAH等でございますが、これらも参考にしながら、医療法人協会等の関係団体が積極的に活動されることにつきましては、行政としても大変歓迎すべきことであると考えております。
  235. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 いわゆる一人法人についてお伺いしたい。  一人または二人の医師が常勤する診療所においても法人化への道が開かれた法案となっております、今回の医療法では。医業経営の経費と家計が分離化されて、医業の近代化が図られるということは非常に喜ばしいことでございます。  ところで、このいわゆる一人法人は非常に小規模法人でありますので、従来の病院または三人以上の医師が常勤する診療所を前提とする現行の医療法人の諸手続などの規制をそのまま小規模法人たるいわゆる一人法人に適用することは、煩雑に過ぎて実際的でないと。そこで、決算の諸届けなどの手続、定款などについても小規模法人向けにふさわしい簡略化が可能かどうか、具体的に何についてどの程度の簡略化が認められるのか御見解を承りたい、こう思うわけでございます。
  236. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 一人法人につきまして小規模法人にふさわしい手続の簡略化を考えるべきであるという御指摘でございますが、ごもっともでございまして、その方向で検討いたしてまいりたいと考えております。  それからまた、検討に当たりましては、既存の医療法人も含めました医療法人全般の手続、書類等も簡略化の方向で検討を行ってまいりたいと考えておりまして、現在の段階で、例えば決算書類につきましては、税務署に提出するものと同一のものとしてはどうか、あるいは法人設立時の申請書類につきましては、病院等の構造設備の図面は不要としてはどうかというふうなことを具体的に考えております。
  237. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 最後に、通告にはなかったのでございますけれども、私は、せんだって二カ月間アメリカ、ヨーロッパを回ってみまして、社会保障の道に迷っていると、今回イギリスのグリーンペーパーにそううたっておりますけれども、まさにしかりだと、こう思っております。  私がなぜこのことを申し上げるかというと、今、医師の社会保険診療報酬に対する事業税の問題が論議されているのでございますけれども、この事業税の問題は、これは単に銭金の問題じゃないんだということでございます。国の財政が厳しいからといって、医療費抑制策の余り、余りに締めつけると、抑制策をとると医療保障の質が下がるということでございます。先ほども申し上げましたように、医療というものは金、経済のインセンティブが働かないと質が落ちていきます。イギリスやスウェーデン、デンマーク等では既にもうウエーティングリストに六十万人が載っている、鼠径ヘルニア、脱腸の手術をするのに三年もかかると、考えられないようなことが起こっております。これは私は、特に今後の日本の社会保障、医療保障を考える上において、我々国民、行政、学術職能専門団体が留意すべきことである、こういうぐあいに思っている次第でございます。  午前中の質問にも私申し上げましたけれども、御存じのとおり、医療保障というのは社会保障の二本柱の一つでございます。所得保障、医療保障、これなくしては社会保障は成り立たないわけでございまして、今後、その医療保障を進める上において最も大事なことは、行政と国民と学術専門団体、医療の現場の方々が一体になっていくということでございます。私も医師の端くれでございますけれども、やっぱり医師の大部分は国民医療のために献身しております。豪雪地帯で、あるいは台風地帯で、あるいは夜の夜中に、難しい病気と取り組み、難しい手術と取り組んで、患者さんを治すことに喜びを見出し、貧しい人々を助けることに喜びを見出しているのが私は日本医師の九〇%以上、むしろ九八%ぐらいじゃなかろうかと、パーセンテージは計算したことないんでございますけれども、そう思っております。医師の本当の喜びは、難しい患者を治し、貧しい困った人々から感謝される、そういう人たちから年賀状をもらう、暑中見舞いをもらう、そういうのに喜びを見出しているのが私は医師の大部分であると思いますから、ぜひひとつ厚生行政の担当に当たられる方々はそういう点に思いをいたして、一部に医の倫理にもとるような非常に嘆かわしい傾向も全くないとは言えません。しかしながら、それはごく一部でございますから、そういう人たちに目を奪われて、肝心のまじめに良心的にやっている医療人を忘れないようにひとつやっていっていただきたい、こう思うわけでございます。  今、経済の日本と言われていますけれども、先ほどから申し上げますように、日本の医療保障制度は世界の最高のレベルをいっているから、二十一世紀までの間に、経済の日本ではなくて医療保障の日本であると言われるような施策に向けて努力をすべきであると、私はこう思うわけでございます。  以上、感想を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  238. 石井道子

    ○石井道子君 このたびの医療法の改正の修正におきまして、医療従事者としての薬剤師の役割と地域医療における薬局の位置づけが明記されましたが、関係者の皆様方の温かい御理解ある御配慮に対しまして心から感謝を申し上げますと同時に、責任の重大なことを痛感する次第でございます。  このたびの医療法の改正におきましては、第三十条の三第三項三号に、医療計画に定めることができる事項に、病院等と薬局との機能及び業務の連係に関する事項があります。また、同じく第六号には、医療計画の策定に当たっては、薬事に関する施策とも密接な連係を図るように努めることとございます。さらに第三十条の六には、病院の開設者は、病院に勤務しない薬剤師の研究または研修のために利用させるように努めることとなっております。  このような法律の修正になりまして、医薬品に関する専門職として地域医療に薬剤師が参加できることになりました。このことによって、医療の質がより一層高められることが期待されると思うわけでございますが、より適正な充実した医療の体制を確保するための具体的な問題につきまして、何点かお伺いをしたいと存じます。  近年、医薬品の開発、製造が急速に進んでおります。多種多様な医薬品が使われ、薬価基準に収載をされている数は一万三千四百七十一品目に及んでおります。その情報も、高度化し、細分化され、非常にはんらんをしております。医療において薬物療法は重要な役割を果たしておりますが、どんな薬でも副作用がありますし、よく効く葉ほどそのリスクが高いと言えます。医療品に関する副作用や相互作用、また中毒情報など、より速やかに的確に把握することが必要でございます。特に最近は医薬品の市場開放が求められておりますし、ますますその必要性が高まっているのではないかと思います。  現在、厚生省が行っております医薬品副作用モニター制度や薬局モニター制度によりまして、どのような情報が収集をされておりますか。また、その情報はどのような形で医療関係者に伝達をされておりますかお伺いをいたします。
  239. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) お答えいたします。  ただいまの医薬品の安全性に関します副作用モニターでございますが、厚生省といたしましては、副作用のモニター制度、これは医療機関を対象としたものでございますし、薬局モニター制度、その二つのモニターの制度を設けております。  特に、前者のモニター制度につきましては、これはWHOの国際的なモニター制度の一環として運用されているものでございます。副作用モニター制度は昭和四十二年に発足をいたしまして、現在は全国で千五カ所の病院をモニター施設として指定をいたしまして、主として医療用に使われます医薬品に関する情報を収集いたしております。  それから、薬局モニターにつきましては昭和五十三年に発足いたしまして、現在全国で二千七百三十三カ所の薬局をモニター薬局に指定をいたしまして、主として薬局に持ち込まれます医薬品、あるいはそれ以外の化粧品等に関する相談や副作用に関する情報を収集いたしておるわけでございます。  これらのモニター制度で収集されました情報は、薬事審議会におきまして評価、検討いたしまして、その結果に基づきまして、例えば使用上注意の変更でありますとか、そういった必要な行政措置をとっております。ちなみに、昭和五十九年度におきます報告実績は、副作用モニター制度では七百六十七件、薬局モニターの制度では七百七十二件の副作用報告が挙げられてきております。  それからもう一点、情報の伝達の御質問でございますけれども、これらのモニター制度で収集されました情報は、先生の御質問のとおり、医療関係者に迅速に、かつ広範に伝達する必要がございます。厚生省は、定期的に副作用情報を発行するということで、都道府県あるいは関係団体にこれを配付いたしまして伝達に努めているところでございます。なお、製薬業界に対しましても、医療関係者への迅速な情報伝達に努めるように、日ごろから指導しておるわけでございます。
  240. 石井道子

    ○石井道子君 現在、薬剤師会では医薬分業を推進させるために中央薬事情報センターを設置し、各都道府県も薬事情報センターを設置しております。そして、その連係を図り、また病院薬剤部のDIセンターとも協力をいたしまして、医師会や歯科医師会とも提携をし実績を上げている県もあると聞いております。医薬品情報は、医師、歯科医師、薬剤師、また医薬品を扱う者にとりまして共通した重要な課題でございますので、官民協力してそのネットワーク化に努めるべきではないかと考えられます。  地域医療計画の策定推進に当たりまして、医療情報システムの整備が必要であるとの先ほどのお話がありましたけれども、その中に医薬品情報システムを組み入れて活用を図っていくべきではないかと考えておりますけれども、いかがでございますでしょうか。
  241. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画の策定推進に当たりましては、医療に関する情報システムの整備を図っていくことは御指摘のとおり大変重要でございます。    〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 医療情報システムを各地域で整備していくに当たりましては、各地域の実情に応じまして医薬品情報システムの活用等を図っていくことも十分検討に値する問題であろうと考えております。
  242. 石井道子

    ○石井道子君 次に、病院におきます薬剤師の問題についてお伺いをしたいと存じます。  医学、薬学の進歩に伴いまして多くの医薬品が使用され、病院における薬剤師業務は高度化、複雑化をしております。先ほども申し上げましたように、医薬品の副作用、相互作用などのさまざまな情報を生かして薬歴管理や処方監査を行うことは重要な仕事になっております。また、医薬品の品質管理や試験研究や薬物血中濃度の測定や解析、高カロリー輸液の無菌混合調整などの特殊製剤の製造なども行っております。調剤業務というものは非常に幅広くなっているわけでございまして、多様化をしております。  また、現在の診療報酬体系におきましては、調剤フィーというものが非常に低く抑えられておりますので、人件費の数分の一にも足りないくらいの額でございます。そのために定員が低く抑えられているわけでございます。  病院薬剤師業務の充実強化を図るべきではないかと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  243. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 病院等におきます薬剤師業務は、お説のとおり、単に調剤だけにとどまりませず、医薬品管理、医薬品試験、医薬品情報管理等大変広範にわたっているところでございます。このような状況を踏まえまして、病院の薬剤師が充足されますよう指導するなど、所要の措置厚生省としても講じてまいりたいと考えております。
  244. 石井道子

    ○石井道子君 医療計画の策定に当たりましては、医療審議会が重要な役割を果たすと考えられますけれども、薬剤師が医療法に明記をされました以上は、薬剤師の代表を必ず加えるべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  245. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 都道府県医療審議会の構成は政令で定めることといたしておるわけでございますが、医療計画の策定等が利害関係によって左右されることは適当ではございませんので、薬剤師を含めまして医療制度に関し学識経験が豊かな方々によって審議会を構成し、客観的な立場から広く医療の需給両面にわたる審議をお願いしたいと考えております。
  246. 石井道子

    ○石井道子君 医療法の第三十条の三の「医療を提供する体制の確保に関する計画」の第三項の二号に、「へき地の医療及び休日診療、夜間診療等の救急医療の確保に関する事項」がございます。休日・夜間診療所の処方せんを受けております薬局がある場合には、その中に含まれると解釈してよろしいでしょうか。現にそのような会営薬局が存在をしておりまして、医療の公共性を踏まえまして公的な補助金もなく、会員の奉仕によりまして休日、夜間の調剤業務を行っている実態があるわけでございますので、御意見を伺いたいと思います。
  247. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 休日・夜間診療に際しまして処方せんを受け入れる薬局でございますが、これは、医療計画上の休日・夜間診療の確保に関する事項に、御指摘のとおり含まれると考えております。
  248. 石井道子

    ○石井道子君 第三十条の三の第六項に、医療計画作成に当たり「公衆衛生、薬事、社会福祉その他医療と密接な関連を有する施策との連係を図るように努めなければならない。」とございます。各地域で薬剤師が行っております薬に関する相談業務、副作用問題あるいは薬に関する指導、また薬物乱用防止のキャンペーンとか、そのようなことは医療と密接な関連を有する施策として評価できるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。その他薬事ということについてどのような内容が想定をされますでしょうか、お伺いをいたします。
  249. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お話しの薬と健康に関します相談事業等は、これは医療と密接な関連を有する施策であると考えております。そのほか、医薬分業の推進の問題等もこの医療と密接な関連を有する施策として考えるべきではなかろうかと思っております。
  250. 石井道子

    ○石井道子君 また、社会福祉についてもどのような内容が想定されますでしょうか。
  251. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療と密接な関連を有する社会福祉施策でございますが、一例を挙げますと、老人の老人ホームヘの入所措置でございますとか、在宅老人に対します指導やサービス、こういった老人福祉施策、それから心身に障害のある児童の児童福祉施設への入所措置あるいは療育の指導、こういった児童福祉施策等が医療と密接な関連を有する社会福祉施策であると考えられると思います。
  252. 石井道子

    ○石井道子君 次に、医療法に新しく薬剤師、薬局、薬事などが加えられましたので、地域医療計画の策定に当たりましては都道府県への指導が大切ではないかと思います。適切な指導をどのようになさっていただけるか、お伺いをしたいと思います。
  253. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 国といたしましては、医療計画の策定に当たりましての標準指針となり ます厚生省令あるいはガイドライン、これを示しまして、都道府県間で協議、調整が必要な場合等には所要の指導を行うことといたしております。また、個別具体的な問題が生じまして、国の指導が求められました場合には、これも適切に対応してまいりたいと考えております。
  254. 石井道子

    ○石井道子君 次に、大臣にお伺いいたしますけれども、医薬分業の面から考えてみたいと思います。  医薬分業のその基本理念は、医師による診療や処方と薬剤師による調剤に分けまして、物と技術を分離することによって、その専門性と独自性を生かして、服薬指導や薬歴管理によって重複チェックとか相互作用のチェックを行い、より安全性の高い適正な薬物療法を行うことにあると思います。そして、より一層の医療の公正と質の向上を図ることにあると思いますので、非常に医薬分業は大切なものではないかと思います。  それで、薬剤師でなければ調剤することはできないとされながらも、医療法の第十八条のただし書きなどによりまして、薬剤師不在の医療機関が大変多いわけでございますけれども、安全で適正な医療を確保する上でも、薬剤師がいない医療機関においては院外処方せんを発行すべきではないかと考えられますけれども、いかがでございましょうか。このことは、患者の立場に立って考えますと、一つの医療機関だけの問題ではなくて、やはり複数以上の医療機関から投薬を受けたときの重複チェックとか相互作用を防止するためにも必要になるのではないかと考えるわけでございます。このたびの医療法改正は、現在厚生省が行っております医薬分業の推進に対しましてどのような影響を与えるとお考になるでしょうか。また、医療法改正を生かしてどのように対処されますか、お伺いをしたいと思います。
  255. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 今回の医療法の改正におきましては、薬局と病院等々の連係の強化など、地域医療における薬局の位置づけを明確化する規定が盛り込まれており、医薬分業の推進に好影響を与えるものと考えております。  その前に御指摘の院外処方せんの発行につきましては、ごもっともな御意見でございますけれども、当該地域の調剤薬局の受け入れ態勢の問題等もありますので、地元医師会と薬剤師会との話し合いの上、受け入れ態勢の整備等を促進することが大切であると考えますが、医薬分業の趣旨にかんがみまして、必要に応じ、適宜その指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  256. 石井道子

    ○石井道子君 医薬分業の理念と目的を踏まえまして、具体的な効果があらわれるように格段の御配慮と御指導を重ねてお願い申し上げる次第でございます。  次に、社会保険診療報酬の事業税の問題を伺いたいと思います。  医療の事業というものは大変公共性が強いということでございまして、これは社会保険診療報酬によって価格が規定をされておりますし、非営利性の色彩が大変強いわけでございますし、自由な宣伝活動も制約を受けております。そして、ここのところ、非常に医療費の抑制のために老健法が成立をし、また健康保険法が改正をされまして、薬価基準などもこの四年間で四六%も下げられておりますので、医療機関の経営というものは非常に圧迫をされております。このたびの医療法の改正で、より医療の公共性というものが高まってきたと思うわけでございますけれども、このことは非常に医療経営にとって大きな障害になるのではないかと思います。  そして、財政再建のための行革法案ということに対して医療界というものは大変な協力をし、大きな犠牲を払ってきていると思うのでございますけれども、このような状態の中で、さらに老健法の見直しが予定をされております。そして事業税の課税措置の問題についていろいろと論議がされているわけでございまして、これでは全く泣きっ面にハチではないか、そんなふうに考えられるわけでございますので、この問題につきまして厚生省の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  257. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 元来、医療は生命や健康にかかわる非常に公共性の高いものであるわけでございまして、その中でも、社会保険医療は国民皆保険という国の施策に協力して、診療報酬という法的な価格のもとに国民に必要な医療を提供するものでありまして、極めて高度の公共性を有しておるわけでございます。  また、御指摘のように、今回の医療法改正案におきまして地域医療計画の策定、医療法人に対する指導、監督規定の整備によりまして、その公共性は一段と高まっておると考えておるわけでございまして、そういう意味合いからこの社会保険医療の性格を踏まえますと、従来の診療報酬についての税制上の取り扱いには合理的な理由があると考えておりますので、今後ともその存続を強く働きかけてまいりたいと思います。
  258. 石井道子

    ○石井道子君 どうもありがとうございます。質問を終わります。
  259. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは、最初にまず大臣にお伺いしたいと思いますが、医療のビジョン関係についてでございますけれども、この医療法改正の前に健康保険法の改正がございましたし、もっと前に老人保健法などが通ったわけでありますけれども、本来、基本的なものとして医療法があって、それに沿っていろいろな改革、改正が行われているものだと私は思っておるんですが、この医療法が言うなればおくれたというか、そういう理由は何でございましょうか、お伺いいたします。
  260. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、本来、国民に対する適正な医療を確保するためには、医療の供給体制と医療の費用負担の仕組み、その双方をあわせて整備を図っていくことが必要であるわけでございまして、このような観点から老健法や健康保険法の改正を実施しておるところでありまして、また、この医療法の改正につきましても、実は昭和五十八年の三月以来、国会に提案してお願いをしておるところでございまして、これらが相まって今後の保険医療政策が円滑に推進されるものと考えておるわけでございます。
  261. 高桑栄松

    高桑栄松君 今のお話伺って、相まってとおっしゃったけれども、私は、医療法が基本をなす、根本をなすものだろうと申し上げたので、五十八年に出されておって、それが今日までおくれたというふうに御説明があったように思います。  まあ、その辺にいたしまして、今度の医療法改正は、第一歩として地域医療計画の作成等と書いてございますけれども、これが第一歩であるとすると、第二歩というのはどういうことになっているんでしょうか。
  262. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の医療法の改正は、医療制度改革の第一歩ということで、地域におきます医療供給の基本的な整備を図るための医療計画の導入、これを主とした内容とするものでございます。しかし、今後高齢化社会を迎えるに当たりまして、より良質な医療を確保していきますためには、病院、診療所の機能分化、区分の問題でございますとか、あるいは広告制限、標榜科目の問題でありますとか、そのほかいろいろな基本的な問題がございまして、これらの解決を考えていかなければならないわけでございます。  そういうことで、今回の医療法の改正が成立いたしました後に、至急、今申しましたようなことを課題として取り組んでいきたい、そういったものの整理がつきますれば、これを第二段の改正ということでお願いをしたい、こんなことを考えておるわけでございます。
  263. 高桑栄松

    高桑栄松君 今のお話は、大体「二十一世紀をめざして」という医療のビジョンの四つの柱の二つ目だったと思いますが、三つ目の柱に医療保険制度の改革というのがございまして、前々から健保統合化ということが言われているわけでございますが、これについては基本的な考え方というか、現在検討されているのかどうか、大臣にお伺いしたいと思いますが。
  264. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 医療保険制度の一元化ということを考えておるわけでございますが、現在それぞれ分立しております諸制度の給付と負担の両面の格差を是正して、公平な制度をつくろう ということを目途といたしておりますが、それにつきましては、やはり医療保険制度の基本にかかわる極めて大きな問題でありますので、医療及び保険関係者あるいは経済界、労働界など関係者の間でいろいろと御意見があるところでございまして、厚生省としても、先般、医療保険制度改正後の状況をよく見きわめながら、給付の平等と負担の公平の観点から幅広い検討を行っておるところでございます。
  265. 高桑栄松

    高桑栄松君 そうすると、健保の統合化については検討がもう既に開始されているということでございますか。
  266. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 医療保険制度改正後の状況を見きわめながら、幅広く検討を行っておるところでございまして、まだその成果を見るに至っておりませんけれども、目下検討中でございます。
  267. 高桑栄松

    高桑栄松君 それでは、地域医療計画に入りたいと思いますけれども、今度の地域医療計画の中で、医療圏を設定するということが大変重要なテーマになっているわけですが、私も北海道大学におりましたときに、北海道の地域医療計画作成の審議会の委員長などを務めまして、若干実際にいろんな計画をした経験がございますけれども、そういうのを念頭に置きながら伺いたいと思っております。  今度の医療圏というところで、医療圏のレベルがございますが、どういうレベルを念頭に置いておられるのか。それから、今回第一歩として考慮されるのは何次医療圏なのかというふうなことを伺いたいと思います。
  268. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の改正案におきましては、主として一般の病床の整備を図るべき地域単位として区分する区域、俗に言われます二次医療圏でございますが、これと三次医療圏、つまり、主として一般病床で特殊医療に係るものの整備を図るべき地域的単位としての区域、この二次医療圏と三次医療圏を地域の実情に応じて都道府県が定めるということにいたしておるわけでございます。
  269. 高桑栄松

    高桑栄松君 私の記憶では、行政圏と生活圏があるかと思うんですが、医療圏というのは生活圏に非常に接近しておって、必ずしも行政圏の中にはないということなんですね。北海道で言うと、何々支庁だからそっちへ行けと言っても、別な支庁の方にいい医療圏があるとそちらに行くというようなことがあるんで、そういったところは考慮しておられるんでしょうね。いかがでしょう。
  270. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お話しのように、医療圏につきましては、交通事情でございますとか、その他の社会的、経済的な条件等々を十分勘案しなければならないわけでございまして、必ずしも行政圏にこだわるものではなく、むしろ生活圏と言われるようなものを中心といたしまして考えていくべきものだと思っております。
  271. 高桑栄松

    高桑栄松君 そうすると、二つ以上の市町村にまたがるような二次医療圏については、どういう協議が持たれることになるんでしょうか。
  272. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 二次医療圏につきましては、これは都道府県医療審議会の意見を聞いて都道府県が定めるということでございます。  その際に、複数の市町村を含む二次医療圏もございましょうし、場合によれば、一つの市あるいは町が二つの二次医療圏に分かれるというようなことも地域の事情からしてあり得ようかと思いますが、いずれにいたしましても、その場合にも市町村の御意見というものも十分伺って、その上で医療圏の設定をするということでございます。
  273. 高桑栄松

    高桑栄松君 北海道を例に挙げて申し上げますと、医師会自身がやはり医療圏としては分かれるような場合があるんですね。北海道は広域なもんですからそういうことがあるんで、医師会の中でも二つに分かれていくというようなことがあるんで、そういうことがあり得ることを念頭に置いておられますか。医療圏設定に当たって、つまり、医療供給体制にある医師会側の意向を十分に尊重される必要があると私思って申し上げているんですが、そういうことはお考えになっているでしょうか。逆に分かれる側のことを申し上げたのです。
  274. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 北海道の具体的な状況につきましては、私はつまびらかにしないところでございますが、いずれにいたしましても、二次医療圏の設定の際には、先ほど申しましたような、住民が入院医療を受ける、その場合にその圏域で普通の入院医療が十分受けられるかどうかというようなことで二次医療圏を考えていくわけでございますので、具体的に医師会自身が分かれるというケースが出てくるかどうかわかりませんけれども、まずはそういった生活圏なり交通事情なり、住民の入院医療の受けやすさというようなことによって二次医療圏の設定が行われますので、場合によれば先生お話しの医師会が分かれると、その際に医師会と十分協議をしなければならぬかと思いますが、そういうケースも場合によってはあり得るのじゃなかろうかと思っております。
  275. 高桑栄松

    高桑栄松君 これは私、具体的に例を持っていて申し上げるんじゃないんですが、私、北海道の経験が一番長いので、ある意味では極端な例かと思いますけれども、北海道で国鉄が廃止をされるところが多いんですね。そういうときにこの医療圏が、今のお考えの中で、交通網が分断されたときに、そして冬はどうするのかということについてはいかがでしょうか。
  276. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 地域の交通事情の中で、やはり鉄道の問題は非常に大きな問題でございますので、廃止が確定をしておる、そしてその代替機関がどうなるかというようなことは十分念頭に置きながら医療圏の設定をしていく必要があろうかと思います。
  277. 高桑栄松

    高桑栄松君 これは社会労働委員会のテーマではございませんけれども、北海道は非常に広域であるという意味で、やはり国鉄は単なる赤字であるから廃止ということではいけないのではないかと思っているんですが、大臣に御参考までに頭に入れておいていただきたいと思います、これはテーマではございませんから。  そこで、三次医療圏のことを伺いますが、三次医療圏というものの地域的なレベルはどんなふうにお考えでしょうか。
  278. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 原則といたしましては、一つの都道府県が一つの三次医療圏に該当するというのが普通あるいは原則であろうかと思いますが、北海道を例に挙げておられますが、北海道のような場合あるいはその他の場合で、一つの県域を二つあるいはそれ以上の三次医療圏に分けるということも地域の実情に応じては必要であると考えております。
  279. 高桑栄松

    高桑栄松君 都道府県単位ということは一応わかりましたし、道とか都はちょっと今別にいたしまして府県単位で考えますと、一県一医科大学が全部完成しているわけですが、そのときの三次医療圏の担い手というのは大学でございますか、それとも別にお考えでしょうか。
  280. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 三次医療圏の場合は、一般の病床で特殊医療に係るものということでございますが、特殊な医療であるとか、あるいは極めて頻度の低い疾病についての医療であるとか、そういったものが対象になるわけでございまして、医科大学の附属病院もそういった特殊医療につきまして当然一翼を担っていただく必要があり、またそうなっていただけると思いますけれども、単にそれだけではなしに、そのほかにも活用できる医療機関があれば、それは三次医療圏の医療機関として特殊医療に対応していただくというふうに考えております。
  281. 高桑栄松

    高桑栄松君 ここでは北海道の例を申し上げますと、北海道は、御指摘のとおり、非常に広域でございますので、道に一つというわけにはいきませんので、あそこはたしか四つに分かれたと思うんです。そしてそれぞれ三次医療を引き受けるセンター病院のことを考えるということだったと思うんです。そういう特殊な例もあって、私は、一般的に一県一医科大学というものは、医師を養成すると同時に、やはり地域のセンター病院的色彩 を持っている。もう一つは、当然高度な医療技術の教育訓練に当たる場所でもございます。そういう意味で二つというか、大きな意味では、そういう医師の養成のほかに、高度技術の研究開発と同時に指導に当たっていくという意味では、センター病院であり得ると同時に、センター病院へのサポートをする体制にある、こういうふうに思っております。    〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕  そういう意味で北海道で考えてみますと、医科大学が今三つなんですね、札幌に二つ集中しておりますけれども。しかし、人口五百七十万ということで三つというのは、一大学当たり百九十万でございます、それに、北海道のような広域医療を考えますと、大学病院があるということは若手の医師を含めてのリザーブがあるということで、一つの医科大学に医師の数が数百名、千名に近い数百名がおるわけですから、それは常時異動はしておりますけれども、地域医療を支える重要な人的リソースになっているわけですね、資源になっているわけです。そういう意味で、大ざっぱに言うと、今の道路事情で言うと、半径百キロ圏内は車で片道一時間半以内ぐらいですから、要するに即日行ってこれるということで非常に重要な地域医療のセンターであり得ると、殊に北海道のような広域のところは必要である。そういう意味で私は、今の医師過剰問題はまた別に論じますけれども、北海道は道東にどうしても一つやっぱり医科大学が要るのではないかというふうに考えますが、医療供給体制という意味厚生省、どんなふうにお考えでしょう。
  282. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医科大学は、地域医療のセンター的な役割と同時に、医師養成という役割があるわけでございます。  北海道におきまして、三次医療圏を幾つにするかという点につきましては、いろいろ議論もあろうかと思いますが、一応現在の段階では、道におきまして四つに分けるということでございまして、そういうことでございますと、その四つの医療圏におきまして、やはり先ほど申しました特殊医療に対応できる一般病床を持った病院というものがいずれにしろ必要になるわけでございます。その際に、道立の病院でございますとかその他の種類の病院とかいろいろあり得ると思いますが、そういう点では必ずしも医科大学の附属病院でなければならない、地域医療のセンターの役割を担っていただく病院といたしましては必ずしも医科大学の附属病院でなければならないことには相ならないんじゃないかと思っております。
  283. 高桑栄松

    高桑栄松君 いや、局長はまだわかっておられないようですが、大学病院というのは、さっき申し上げたように、勉強していて、つまり診療要員の人数以外に研究、勉強というのがたくさんおりますので、それが人的なリソースとして半径百キロ以内くらいならどんどん行けるということを僕は申し上げたんです。例えば、釧路あるいは根室の病院、根室なんかもう医者が足りないと言っていますが、あの辺はまた僻地がたくさんございますけれども、どうしても赴任はしないんですね。だから、大学がありますとそこから行ったり来たりできるから、勉強ができるし、若手でも行ってまた戻ってくるということで、言うなれば毎日でも交代できるし、一週間交代でもできるし、一カ月でもいい、一年でもいい、そういう若干の期間的な変動があっても行き来ができるという意味で私は必要だろうし、人口割からいいますと、今申し上げました五百七十万の人口に三つですから、そして、いかに日本医者が仮に過剰であるといたしましても、それは北海道に行きませんから、ですから、そういう意味で私は、北海道というものは僻地であるという意味ではやはり医科大学が必要なのではないかと実は申し上げたんです。もう一度お考えを伺います。
  284. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医師の供給と申しますか、その県域の中におきまして不足する地域への医師の一時的な供給といったようなことにつきまして^医科大学が非常に大きな力をお持ちであるという点につきましては、先生のお話しのとおりであろうかと思います。  ただ、先ほども申しましたように、医科大学ということになりますと、やはり医師養成という柱がもう一本あるわけでございまして、現在北海道の三大学で入学定員が三百四十人でございまして、昭和五十七年現在で人口十万対の医師数を見ますと、全国が百四十一・五人に対しまして、北海道が百二十七・四人で全国の二十九位であるということでございますが、今のまま推移をいたしますと、昭和七十五年には、全国が二百十三・二人に対して北海道が百八十七・八人ということで、人口十万対の医師数を北海道全体で見ればまあほぼ充足をするのではなかろうかというような推計も成り立つわけでございまして、仮に北海道にもう一つ医科大学をつくるということになりますと、北海道の医師需給問題というものを真剣に考える必要があるんじゃなかろうかと思うわけでございます。
  285. 高桑栄松

    高桑栄松君 今のお話を聞いていただいて、文部省の方で今の北海道東に医科大学をということについてはどんなふうにお考えでしょうかね。予算のことがひっかかってくると大変だと思いますけれども、その辺は若干置いておきまして、理念的にどうかということを伺いたいと思います。
  286. 佐藤國雄

    説明員佐藤國雄君) 先生御提案の北海道東に医科大学を設置するということにつきましては、かねてから地元の方からいろいろと御陳情等がございまして、私ども承知はしております。  しかし、先ほど先生お話しのように、現下の財政事情もさることながら、厚生省の方で、医師需給の検討委員会の方が中間報告を取りまとめられまして、将来の医師の新規参入につきましては削減だというような御提案もございまして、そのような事情から、目下のところ私どもは考えていないというのが実情でございます。
  287. 高桑栄松

    高桑栄松君 北海道の道東の方からいろいろお願いが上がっているということを今伺いましたけれども、一県一医科大学が初めて発表されて、我も我もというときに最初に許可になったのが北海道ですね。北海道、山形、愛媛ですよ。そのとき私、医学部長をしておりまして、文部省にも何遍も頭を下げに参りましたけれども、おかげさまで北海道はトップに上がったんです。しかし、トップだったということは大変過疎であったということが条件であったんですね。だから、一巡した後にもう終わったんだと言われると、北海道は、国鉄赤字線を切られたように、地域住民の医療格差というものがやっぱりもっともっとついてくるのではないかと。私は、北海道で医師養成に携わった関係で、大変やっぱり切実に物を考えているんです。  ですから、今の予算等々のことを、私もその立場でお願いに上がった者としまして、よく存じておりますけれども、今の事情をひとつ御勘案いただいて、文部省と厚生省でやっぱり知恵を出していただければ大変ありがたい、これは私の希望でございます。  その次に参りたいと思いますが、先ほど北海道の医療圏は、三次医療は四つと申し上げたんですが、ほかの都道府県では、都は別にしまして、一般に、ひょっとすると隣の県と一緒になるということがありますね。あるいは市町村の場合も同じなんですが、そうすると、例えば病院の整備充実を図っていくときの費用分担なんかはどんな話し合いになるものなんでしょうか、伺いたいと思います。
  288. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 病院の整備に係る国の助成制度、御承知のように、いろいろ共同利用型病院でございますとか、がん診療施設でございますとか、あるいはリハビリテーション関係とか、そういったものがあるわけでございます。医療圏が県域を超える場合、つまり複数の県に医療圏がまたがる場合に、病院整備に係る県の費用負担のあり方をどうするかという御質問でございますが、関係する二つの県の間で十分話し合いをしていただいて、それで調整ができるのではないかと、私どもとしてはそう考えておるところでございます。
  289. 高桑栄松

    高桑栄松君 まあそうなんだろうと思っておりますけれども費用になるとなかなか難しいかなと。  救急医療のときに、これも私札幌にいたときの話で、札幌市医師会が率先をして夜間救急センターを日本では比較的早く発足をいたしました。そして、名前はやめますが、隣の市からやっぱり担ぎ込んでくる、救急で。それを行政地区が違うんだというわけにいかないと。そういうことがありまして、そうかなと言ったら、まあ火災も同じではないでしょうかと、こっちの消防が向こうの火事を知らぬ顔するというわけにはいかないと同じなんですと。ただやっぱり、費用の点でどうもと、何も助成がないというようなことを言っておりましたので今伺ったんですが、どうでしょうか、費用の点なんかどうなりますかね。
  290. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 病院の整備に係ります補助につきましては、最終的には設置者がその補助金を受けるわけでございます。例えば、A、B両県にまたがってB県の病院があると、B県立病院というものがあって、それに整備をするという場合には、B県の方に補助をするというのが現在の制度でございます。したがって、この辺のところ、例えばお説のとおり、隣のA県も応分の負担をすると。その場合に、それじゃ国庫補助はどうなるのかと。現在は、A県に対する補助という形は考えませんで、設置者であるB県に対して補助をするということで進めておるわけでございます。  ただ、こういった病院もそうでございますが、その他いろいろの問題で、隣同士の県なりあるいは隣同士の市町村というものはいろいろのかかわり合いがあるわけでございますので、そういった面で、個別の問題についての費用負担というのを個別に解決していく必要があるのか、あるいは多角的にいろいろこう関係があるわけでございますので、全体としてこの事業についてはそれじゃB県が持つ、B市が持つ、しかし、病院の整備についてはA県なりA市が持つというようなこともあり得るわけでございますので、その点で先ほど両県なり両市が十分御相談をしていただける余地があるんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  291. 高桑栄松

    高桑栄松君 医療情報システムは地域医療計画及び医療供給体制にとって不可欠であると、これはお説のとおりだし、現在どれくらい医療情報システムというものは、規模もいろいろあるかと思いますが、余り簡単なのは別としまして、一応システムと言える程度のものはどれくらい一体採用されているものでしょうか。
  292. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 現在までに開発され、普及を一部しておる医療情報システムでございますが、まず地域医療情報システムというのがございます。これは御承知のように、救急医療でございますとか僻地医療、あるいは健康管理情報システムといったようなものでございまして、それが一つ。  それから、病院の情報システムといたしまして、病院の会計事務でございますとか、病歴管理でございますとか、そういったものがございます。  それから、医療情報サービスシステムといたしまして、例えば腎移植患者の管理のシステムでございますとか、あるいは心電図解析システム、耐性菌情報システム、こういったものが現在までに開発され普及をしておる情報システムとして現存するわけでございます。
  293. 高桑栄松

    高桑栄松君 「厚生の指標」の昭和六十年特集に、全国で約八十かな、運営されているというふうに書いてありましたが、大体今おっしゃったのがそれに入っているんですね、多分そうですね。
  294. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) そのとおりでございますが、そのほかに、今申し上げましたもの以外に、現在、六十年度予算において予算化をいたしまして開発中のシステムというのもほかにございます。
  295. 高桑栄松

    高桑栄松君 そこで、私ちょっと興味があって伺いたいんですけれども、医療情報システム開発センターというのが大島正光先生理事長で発足をして九年になると書いてございましたが、あそこでヘルス・ケア・ネットワーク・システムという、HCNSですか、このことが一番最終的にというのかな、一番統合的なものとして挙がっておったようで、私大変関心を持っているのですけれども、この研究というのは進んでいるんでしょうね。いや、ねというのは、どの程度までいって、いつごろそれが実用に供されるようになるんだろうかというようなことを聞きたいと思ったんです。
  296. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お尋ねのヘルス・ケア・ネットワーク・システムでございますが、これは病院、診療所等、医療機関相互の情報ネットワークを結合して相互に情報を利用し合う。例えば、ある医療機関からある医療機関患者を紹介する。その場合に、このネットワークを通じまして病歴、検診データ、心電図、薬品、医療機器、そういった情報を一つの医療機関から紹介を受ける医療機関の方にコンピューターで流す、こういったシステムでございまして、五十三年度から開発を始めまして、五十八年度、六カ年で一応開発を完了しております。
  297. 高桑栄松

    高桑栄松君 五十八年度……。
  298. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 五十三年に開発を開始いたしまして、五十八年度で開発を完了いたしております。
  299. 高桑栄松

    高桑栄松君 昭和五十八年ですか。
  300. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 昭和五十三年度から昭和五十八年度までの六カ年で開発を終了したということでございます。
  301. 高桑栄松

    高桑栄松君 じゃ、進んでいるんじゃなくて、もう終わった。それは実用に進もうということですか。どんなぐあいですかね。
  302. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 実際に実用化する点につきましては、またいろいろ検討を要する面もございますが、同時にまた、御承知のように、この辺の関係は日進月歩でございまして、一応五十八年度で完了いたしておりますけれども、その後の例のVAN、付加価値通信網等の関係もございまして、実用に至るまでにはなお若干検討を要する問題があろうかと思っております。
  303. 高桑栄松

    高桑栄松君 今度の医療法改正案を拝見しておりますと、オープンシステム病院というのが私には大変興味深いテーマであると思ったんです。ひょっとしたらこの改正案の一つの目玉になっているのではないかと思うんですが、現在、オープンシステムを採用している病院というのは医師会立病院が主力だろう、ほとんど大部分じゃないかなと私は思うんですが、ただ一つ私が知っている範囲では、小樽の市立病院がもう十年ぐらいになりますかね、ベッド五十ぐらいか何かオープンにいたしました。  そういう医師会立病院とその他ということについて、ちょっと数字を教えていただきたいと思います。
  304. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医師会立病院以外の開放につきまして、私どもの局で把握をいたしておりますのは幾つかの事例でございます。  例えば、今、先生お話しの市立小樽病院、それからこれは姫路市医師会のオープンシステムということでございますが、実際にオープンしております病院は兵庫県立循環器病センター、姫路日赤病院、国立姫路病院、この三病院を姫路市医師会にオープンをしておると。あるいは、オープンの一つの形でございますが、国立療養所東徳島病院におきまして心電図自動解析装置の共同利用、こういったことをやっておると、そういう事例を把握いたしております。
  305. 高桑栄松

    高桑栄松君 オープン病院というのは、私がアメリカに留学したのが一九五四年、五年でございますから、今からもう三十年も昔で、しかし既にオープン病院がございました。最近また話を聞いたんですけれども、アメリカのオープン病院というのと、日本で言っているオープンシステム病院というのはもう基本的に違うんですね。つまりアメリカですと、開業医が登録をしておって登録医が使うという、完全にそこは分離しているわけで すね。それで、これはレジデントシステムというか、インターン制度との深いかかわりがあるわけですけれども、アメリカですと、当直をするようなのは勉強中の若手の医者のレジデントがほとんどやっていると。日本の、主として医師会立病院というのは登録医ではないんでしょう、ないですよね。だれでもということなんですが、だれでもということで、しかも当直医がいないということになると大変なので、今伺うんですが、多分当直医を専任に雇っているんじゃないかと。専任医が結局は必要になっているのではないかと。したがって、日本の言うオープンシステムというのはアメリカのような意味での使用のされ方はされていない。  そして、あともう一つは、アメリカは完全に自分が行って手術をすれば、技術料の評価の国ですから、技術料はそのまま全額入ると。あとは入院費と看護婦の人件費だとか、手術の材料費はみんな入院費の中で賄うということですが、日本ですと、何でしたっけ、管理科でしたか何か忘れましたが、何かそういうことでやっているので、日本では何かオープン病院に患者を送るのは、手に余ったのを送って、後で返してもらいたいという形ではなかろうか。つまり、診療報酬の分け前が必ずしも合理的ではないのではないかなという気がして、逆に言うと私は、オープンシステム病院というのは、ここで勢い込んで御推薦になっておるけれども、どれくらいこれ発達するものなのかなと、若干の危惧を持っているんです。そういうことについての説明をお願いしたいと思います。
  306. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) お答えいたします。  ただいまアメリカのシステムのことでお話がございましたが、その前に、日本の現状で申し上げますと、診療報酬上オープン化を認めているわけでございます、御案内のとおり。現行の点数表におきましては、病院のオープン化につきましては、開放型病院共同指導料というような形で設定されております。すなわち患者が、開放型病院として厚生大臣によって認められた保険医療機関に入院中である場合におきまして、主治医である医師がその病院に赴きまして療養上必要な指導を行った場合に、患者一人一日につき二百四十点を算定できると、こういうことになってございます。一方、病院側には、主治医と共同して療養上必要な指導を行った場合に、患者一人一日につき百五十点を算定すると、こういうふうな診療報酬上の開放型病院共同指導料というものが設けられていると。現在、こういういわゆる開放型病院として認められておりますのは、先ほど先生指摘医師会立の病院とか、あるいは小樽市立病院とか、これはことしの七月一日現在で五十二病院ございます。  なお、アメリカの場合のお話でございますが、これは先生先ほどお話しのとおり、国情が違う、あるいは医療制度が違うというようなことで、こういったアメリカのシステムというものを直ちに我が国に導入するということは、これは非常に難しい問題だと思いますし、私、先ほど申し上げたような形で病院のオープン化というものを推進してまいりたい、こういうふうな感じでございます。
  307. 高桑栄松

    高桑栄松君 このオープン病院というもののメリットは、やはり一次医療と二次医療との連係はどれくらいうまくいくかということにあるわけで、それがなくて行きっ放し、行ったら返ってこないんならこれ意味ないわけですよね。だからその辺が大変難しいんで、私立の病院なんかに開業医が、これオープンじゃありませんが、紹介で送りますと、大抵は説明づきで患者が返ってくる。公立病院に行くと知らん顔される例が多いというふうに僕は開業医から聞いているんですけれども、全くそれは人間関係が問題なんで、国情だとか患者の心理だとか、いろんなことが働いているんだろうと思いますので、これはどうせいこうせいじゃございませんけれども、オープンシステムというものにはいろんな条件があるだろう、あるいは、ひょっとすると地域別にまたいろいろなことがあるわけです。  その辺をひとつお考えいただいて、だから、技術料というのは今二百四十点というと二千四百円ですか、応診料が入るわけですか。応診料も入るわけですね。
  308. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) そういうものも含まれて二百四十点が設定されております。応診料というものではないと思いますけれども、そういうものもひっくるめて二百四十点が設定されております。
  309. 高桑栄松

    高桑栄松君 私に開業経験がないものですからよくわからないんですけれども、それは行ったり来たりの時間も入るとすると、何となく技術料としては少ないような、タクシーでは少なくとも行かれないんじゃないか、やっぱり地下鉄を使うか、歩いて行くか、自転車で行くかという範囲かなと今思いながら聞いたんですけれども、それは今の規則でございましょうから、そういうことも今後オープンシステムを進めていくには技術料を一般論としてやるのか、オープン病院の場合というのか知りませんが、やっぱりお考えになる必要があるのじゃないか。そうするともっと進んでいくだろうと。それからカルテのやりとりのようなことも大事なことではないだろうかなと思ったわけです。  それから次に、それじゃ、同じ場面で家庭医の問題がこの前のビジョンの中に出ておりましたし、家庭医の問題を少し聞きたいんですが、家庭医についてはお医者さん方は、特に開業の先生方は大変気にしているんです。どうなるんだろうということでございますが、現在検討中でしょうか、中間報告があれば何か若干のことを教えていただきたい。
  310. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 家庭医でございますが、ことしの六月に家庭医に関する懇談会を発足いたしまして、現在までに六回開催をいたしております。現在までの段階はフリーディスカッション、それから特定のテーマにつきましてゲストスピーカーに御出席をいただきまして、その話を伺った上で特定のテーマについて検討をするというようなことで、現在の第六回まで進んでまいっておるわけでございます。  私どもといたしましては、この家庭医の問題というのは非常に重要であると同時に、またいろいろの御意見も現にあるわけでございますので、少し時間をかけたいということで、今年度から来年度、二カ年にわたりまして検討した上、来年度末を目途に結論を出していただきたい、そういうお願いをしておる段階でございます。
  311. 高桑栄松

    高桑栄松君 これは質問ではなくて、私の考えていることを御参考までにというか、注文というか、お話をしておきたいと思います。  やはり非常に心配していることも幾つかございますけれども、まず一つは一般医、ジェネラルプラクティショナー、GPというものなのか、それとも科目標榜がその場合に許されるのかどうか、同時にGPであるのかということ、それからGPであるためにはその養成というか資格、したがって試験ということはどうなるか、今後と、それから既得権みたいなものはどうなるのかということがございますし、英国で行われているような登録制度ということはどうなるかというようなこと、やっぱり先進国がございますので問題にしているようですね。それから、GPというものの報酬はそうするとどうなるんだろうか、こういった問題が私の気のついた範囲でございますから、一応指摘をすることにとどめさせていただきます。  次のところに入りますが、医療法人を幾つか考えてきたけれども、皆さん御質問になりましたし、一人法人のところにいきたいと思うんです。  何か報告というのを、さっき私よくわからなかったんですが、税務署に出すのと同じようにするとかとおっしゃったようですが、それはどういうことなんですか。つまり事務所の法人監査というか、そのことをおっしゃっておられたんでしょうか、ちょっと伺いたいと思います。
  312. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療法人におきましては毎年度決算報告を出さなければならないわけでございますが、同時にまた、医療法人は税の関係 で税務署に申告をしなければならないわけでございます。この税務署に出す収支関係の資料と、それから医療法人としての決算関係の資料を様式を一緒にして、二度手間にならないようにしてはどうかということで申し上げたわけでございます。
  313. 高桑栄松

    高桑栄松君 はい、わかりました。  保健所というのが医療監査の、監査というんですか、医療監視ですか、それの第一線を担当しているのが保健所だと思うんですが、保健所は今までの医療法人に対しても法人の監督をしているわけですね。毎年一回やっていると言っていました。今度一人法人の場合には、やっぱり保健所がやるんだろうかということはいかがですか。
  314. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療監視でございますが、これは医療施設に対するもの、つまり病院、診療所に対するものでございます。今回新たに立入検査等々で改正をお願いいたしておりますのは法人の事務所でございまして、病院、診療所にはもう現行法で立ち入りができる、しかし医療法人の事務所そのものには立ち入りができないということでございましたので、法人の事務所についてお願いをしておるわけでございます。
  315. 高桑栄松

    高桑栄松君 それを今伺ったつもりなんですが、一人法人の場合、今までの医療法人ですと、報告書を出さして、保健所がやっぱり見ていたそうですよ。今度は一人法人も同じ立場に立って保健所が見るんだろうかということなんです。
  316. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療監視につきましては、従来どおり、保健所がその診療所について医療監視をするわけでございます。一人法人の場合でも、法人の事務所についての立ち入りは都道府県知事がやるわけでございます。この場合は、特別に問題がある法人についてだけ立入検査をする。一方の医療監視は、御承知のように、すべての医療機関について年に一回はやろうということでございます。
  317. 高桑栄松

    高桑栄松君 そうすると、保健所は、特別に法人である一人法人に対しての法人監督は、一般論としてはしないということですね。
  318. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) そのとおりでございます。
  319. 高桑栄松

    高桑栄松君 それから、有床診療所は四十八時間は患者を置いておくというのがありましたね、四十八時間。今度一人法人になったときに、四十八時間以内ならば患者を収容できるということはどうなりますか。
  320. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 有床診療所、つまり十九床以下のベッドを持っておる診療所でございますが、そのベッドにつきましては原則として四十八時間を超えないということでございまして、この点については全く変わりはございません。
  321. 高桑栄松

    高桑栄松君 企業の医療産業への進出ということが大変今問題になっておりまして、チェーン店ができていくというふうなことがあって、そういうことも今度の医療法の中ではチェックをされるんだろうと私は思っているんです。  これも札幌の例でありますけれども昭和六十三年をめどに会員制度の有床診療所がホテルを経営してやる、そういうのが大々的に新聞に出ていまして、道内初の医療ホテルが建設される、地上二十六階、六階以上は客室三百というふうに書いてありまして、どんなふうになるんだろうかと開業医の先生方は大分気にしておりました、つまり、こういう医療ホテル的な意味での健康産業への進出があちらこちらで散りざたされておりまして、こういうものに対しては一体どういうチェックがされるんだろうかなということを伺いたいと思うんです。
  322. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療施設、つまり病院、診療所につきましては営利を目的としてはならないということでございますので、これは今後も変わらないわけでございます。そういう病院、診療所以外の面で、お話しのいろいろのいわゆる健康産業というものが今だんだんと多くなりつつあるわけでございます。一面で国民の健康志向、健康に対する認識の高まりといったような背景で、そういった健康産業がだんだん盛んになるというのは一方で是認をされると同時に、他方、それが度を超える、あるいは広告その他の面で行き過ぎがあるということでございますと問題があろうかと思いますが、現在の段階では私どもといたしまして、医療機関ではございませんので、直接規制をするということは、法律がないということで、手段、方法がないわけでございます。
  323. 高桑栄松

    高桑栄松君 そうなると、医師会にも入らないでということになると大変問題が起きてきやしないかなというふうな心配があるんですが、私も、今どうしたらいいかということではなくて、やっぱり何らかのチェックがなければならないのではないか。今、局長は度が過ぎた場合とおっしゃったから、それが何らかの歯どめの意味なのかなと思っておりますが、度が過ぎたという判断というのはどういうことでなさるんでしょうか。
  324. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 大変難しい御質問で、的確にお答えをできないわけでございますが、今お話しのような、例えばある有床診療所の設置者がホテルを別に経営をするというようなことでございますと、もし仮にこれが一人法人あるいは二人法人というようなことで医療法人になってまいりますと、今回の法律の改正によりまして、本来事業にどういう影響を及ぼすかというような観点から、この医療法人の附帯事業を適切であると見るのか、あるいは改善をしていただくように指導するのかというようなことになろうかと思います。  個人の場合には、その個人の診療所の設置者がまた別にホテルを経営されるというような場合、私どもから見ますれば、それを経営しておられる診療所が医療法に的確で適正に運営をされているならば、私どものサイドからは一応問題がないのではないかというふうに考えております。
  325. 高桑栄松

    高桑栄松君 次は、これはうわさでございますから、うわさだと思って、御存じの範囲で言っていただけば結構なんですが、どうも日米トレードフリクションのあおりを食っているのではないかといううわさ話を私の耳に入れてきたものですから。きょうも業務局長、保険局長はそちらに行っておられるようでございます。  事例を挙げますと、自己腹膜灌流というので、これの指導算定を月二回を四回にしたというのがことしの三月二十八日、保険局が通達を出しておるというふうに聞いております。これは、次がうわさでございます。  米国のトラベノール社が圧力、プレッシャーを加えてきたのではないかと。つまり、日本は自己腹膜灌流が余り安いので商売にならぬので、もうちょっと商売になるようにしろといって圧力をかけてきたんではないかという、これは医者の間のちまたのうわさでございます。  もう一つ申し上げますと、医療法の中で、先ほど来何遍か問題になりましたが、営利を画的としない、こううたっている部分を削除すべきであるという外国資本のプレッシャーが某々偉い政治家の方に来たとか、そういうのをうわさとして伝えてきているんです。  私も、まあうわさだろうと思うんですけれども、その辺についてのお考えを聞きたいと思うんです。
  326. 古川貞二郎

    説明員古川貞二郎君) 前段のお話につきましてお答えを申し上げたいと思います。  経過を申し上げますと、自己腹膜灌流指導管理料のことについてのお話でございますが、これは御案内のとおり、在宅医療を推進する、こういう観点から昨年、つまり五十九年の三月の診療報酬改定時に保険に導入されたものでございます。それで、さらに六十年、つまりことしの三月の改定におきまして、この両方の一層の徹底を図ろう、普及を図ろう、こういうふうな観点から点数を引き上げたわけでございます。一回七百点、月四回というものを一回千五百点、月二回、こういうふうに点数を引き上げ、回数は二回にする、こういうふうな改正を図ったわけでございますが、なお、先生今お話しのように、ことしの四月に、医療上医師の手厚い管理が必要な患者、例えばこの方式を導入し始めの人とか導入期にある人とか、あるいは糖尿病で血糖コントロールが非常に困難 である、こういうふうな医療上医師の手厚い管理が必要な患者につきましては月に四回まで算定を認める、こういうふうなことの改正を行ったわけでございます。  これらの措置につきましては、腎不全患者に対する治療対策の推進の見地ということから関係学会、例えば日本腎臓学会とかいろんな関係学会からの要望もございましたし、御意見をもちょうだいいたしまして、こういった関係学会の要望に基づきまして、中医協の了承を得て実施したわけでございまして、先生おうわさだと、こう申し上げられたんですが、御指摘のように、アメリカの圧力があるとかなんとかということは一切ございません。  以上でございます。
  327. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 御質問の後段の方の医療法の七条四項の営利を目的としないという規定を削除すべきであるというプレッシャーがあるのではないかという御指摘でございますが、私どもはそのような事実は全く聞いておりません。
  328. 高桑栄松

    高桑栄松君 まあ、それを言明していただくことが私は価値があると思って伺ったんで、結構でございます。今後とも、そういう外国資本なり大企業なりの進出に対しては、やはり医療産業のあり方について真剣に大事な医療の憲法を守っていただきたい、こう思っております。  今のようなお話を聞いていただいて、大臣に、このような大資本というか、大企業あるいは外国資本の日本の医療産業への進出が実際いろいろとあるわけで、それにどういうふうに対処しようとするのか、大臣のひとつお考えを承りたいと思います。
  329. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 我が国におきましては医療を営利追求の手段とすることは許されない、その弊害は甚大なものがあるということで、現行の医療法におきましても営利を目的として病院、診療所を開設することは禁止しておるわけでございまして、そういう経営は認められないということは言うまでもないことでありまして、今後とも、この趣旨にかんがみまして、法の適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。
  330. 高桑栄松

    高桑栄松君 時間が少し何となくなくなってきましたので、時間があったらまたもとへ戻って少し質問をしたいと思いますけれども、医療従事者の養成につきましてOT、PTですね、作業療法士とそれから理学療法士ですね、オキュペーショナルセラピストとフィジカルセラピスト、これは高齢化社会に対応する技術者として養成が重要であると、時間が少しありませんので、数字の面は若干省略さしていただきまして、この将来計画を見てみますと、現在は予定に達していないようだけれども、間もなく需給関係は要求よりもオーバーするようになっていたように私は見たんですが、医師、歯科医師、薬剤師等々の過剰問題も今現実には起きているわけで、こういったことに対してはOT、PTの養成はどんなふうにお考えでしょうか。
  331. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) OT、PTでございますが、昭和六十年代の前半までにPTが六千人、OTが四千人を確保するということを当面の目標といたしまして養成施設の整備を進めてきたわけでございますが、これはほぼ達成できる。さらに今後数年の養成力の伸びを考えますと、六十年代後半には需要と供給がほぼ均衡をするという見通してございまして、私どもといたしましては、PT、OTについては今後は質の向上に努力をいたしたいと考えております。
  332. 高桑栄松

    高桑栄松君 今のOT、PTは身分法があるわけですね。ところが、身分法がないということで、職種としてはまことに保障されていないようなもので、近来非常に重要になってきたものが幾つかありますから、今ちょっと挙げてみます。  一つはスピーチセラピストですね、言語障害者の治療士です。  それから、クリニカルエンジニアというのが非常に重要になってきた。これは、非常に高度化しているME機器に対しまして、その精度管理、保守管理をしなければそれによったデータが信頼できないということがあるわけです。これの保守管理を会社に任すと、むしろ利益がそちらに取られていくということで、高度の医療機器に対する精度管理、保守管理にクリニカルエンジニアの必要が増してきた。  それから、昔からあるのにメディカル・ソーシャル・ワーカーがございますが、高齢化社会においては医療と福祉の間にありますと、これはやはりメディカル・ソーシャル・ワーカーというのが非常に相談に乗ってもらうのに大事な専門職であります。  それから、病歴士、先ほども医療サービスのシステムのところで出ておりましたが、病歴の出し入れというのはこれは大変でございまして、新しい医科大学へ行ってみられるとわかりますが、病歴管理はもう膨大な部屋を使って大変な作業をしております。これは昔はなかった司書ですね、ライブラリアン。あれに匹敵するものがこれでございまして、短時間に病歴を引っ張り出すということが今必要であるし、分類が必要であります。  それから、精神科の事件がしばしば世上の話題となっておりますが、精神科には精神科に勤務する心理屋さんですね、そういう人がいるわけです。精神科臨床心理士とでもいうようなのがおるわけです。  こういう、今挙げたのは全部身分法がない。身分法がないというのは、ひょっとすると守秘義務もないと。これは道徳的な問題としては守秘義務がございますけれども、法律的には身分法がないということでありまして、これは私はどれが順序が先だと申し上げているんじゃございませんが、これについてはやはり早急に検討を加えて、身分法の制定といったようなことを念頭に置いて検討していただく必要があるのではないか、そしてその養成をする必要があるということでございますが、一言お考えをちょっとお聞きしたいと思います。
  333. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 近来の医療の進歩、医療需要の多様化ということで、今お挙げになりましたようなST、クリニカルエンジニア、ME技師と申しますかMSW、病歴関係の技術者等々の職種に関しまして身分法をつくる、身分を法制化するという要望がいろいろ出てまいっておるわけでございます。  私ども、こういった職種につきまして法制化を考えるに当たりましては、医師を初めその他の既存の職種との関係をどうするかといったような問題がございまして、それらを踏まえて慎重に検討をいたしたいと考えております。
  334. 高桑栄松

    高桑栄松君 慎重に、なるべく早くひとつ検討をしていただきたいと思います。  それから、先ほど来ちょっとエイズの問題が出ておりましたが、私の提案もございますのでひとつ聞きたいと思うんですが、皆さん御承知かと思いますが、今、週刊誌をにぎわしたり新聞に出たり、しかしいろんな意味で誇張もあるかと思いますかれどもエイズ死因は何であるか、致命率がどれくらいか、この辺をちょっと説明をしていただいて皆さん御参考にしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  335. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) お尋ねエイズ死因でございますけれども、御承知のように、免疫が非常に低下をいたすわけでございまして、各種の感染によって死亡するということが非常に多いわけでございます、いわゆるWHO等でも言っております診断の手引によりますと、日和見感染等によって亡くなることが非常に多いというふうに聞いております。
  336. 高桑栄松

    高桑栄松君 致命率。
  337. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 日本の場合には十一例ということでございますので、まだそういう形の率は余り出すのは適当でないと思いますが、アメリカのデータによりますと、二年で七〇%、三年になりますと九〇%を超えるというふうに数字としては出ておるようでございます。
  338. 高桑栄松

    高桑栄松君 発病が確認をされると非常に致命率が高い。したがって、皆さん恐怖に駆られるということは当然でございますが、これからのお話 の中に関係もあるんですけれども日本では血液製剤でかかっている人がかなりあると。血液製剤は加熱でいいわけですね。五十六度、三十分ですか、それはもう現実に日本でやっているんですか。それはどうでしょうか。
  339. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 日本で製造しているものについては日本で加熱しておりますし、輸入品につきましては外国で加熱したものを持ってきております。
  340. 高桑栄松

    高桑栄松君 外国からのは加熱したものを買うということですか。いかがですか。
  341. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 外国で加熱をして製品化されたものを輸入しております。
  342. 高桑栄松

    高桑栄松君 問題は、血液製剤を使う場合は、多分今のお話で大丈夫だと私思いますけれども、全血輸血があるわけですよね、手術なんかのときの。全血輸血に対しては、私はビールスの抗体検査センターが要るんだと思うんです。先ほどこれについてのお答えがありましたが、ここへ頼めばやってくれるという、ちゃんとした国立の検査センター、あるいはそれがどこかに置いてあるということはないんですね。予研もそれは一般のものは受けないんですね、どうなんですか。
  343. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) 午前中の御質問にお答えした限りで申し上げますと、疑いのある患者あるいはその接触者につきましては検体を送っていただきまして、予研、鳥取大学、国立大阪病院等数カ所で抗体検査をやれるような体制になっておるわけでございます。
  344. 高桑栄松

    高桑栄松君 アメリカでは、これは私は数字を確かめなかったんですけれども検査センターのために既に約二百億、多分円だと思いますけれども、ドルだとちょっと多過ぎるかなと今思って、円だったと思うんですが、二百億投入したと言っってるんですよね。それは日本とは罹病の状況が違いますから、向こうは大変なパニックなんだろうと思うんで、当然でありますけれども日本でもやはり疑わしい場所、つまり大都会が主だと思いますよ。麻薬中毒の患者とかあるいはホモだとか、いや、ホモでうつるわけじゃなくて性交行為でうつるわけですから、売春婦を通じてうつる可能性が非常に大きいということは指摘されているわけですね。ルワンダですか、その売春婦は八〇%抗体陽性だと言っておりますから。売春婦を通じてというのがこれから問題になってくるわけですね。ですから、やっぱり検査センターをどうしても置く必要がある。常時やれるようにする必要があるのではないがということが言えるんですが、それはまあ検討していただきたいと思います。  それで私は、さっきの死因でございますけれども、日和見感染症というのは免疫力が低下するから、本当は問題にならない程度の菌がぐんぐん猛威をふるって死んでしまう。それで、三年後に九〇%ということは、全員死ぬと考えていいわけで、本当に大変な病気なんだなと思うんです。  それで、日和見感染症はエイズに限ったものじゃないわけですね。カビのカンジダなんかもそうですし、簡単に言うと、レントゲンの治療なんかやると生体の抵抗力が低下してくる、みんなそのとき日和見感染症が起こり得るわけで、ですから、日和見感染症というふうな自己抵抗力がなくなっていって感染、例えば病院ですと院内感染がありますから、感染をどうしても予防しなければならない。それがもうまず第一の手段だというような病気に対しては無菌治療室が必要ではないか。ですから、無菌治療室というものを各県とか各病院に置くわけにはいかないかもしれませんが、多発地域のどこかに無菌治療室というものを、つまり計画的に配備をすることが私は今必要なことではなかろうか、こう思って提案を申し上げるわけですが、いかがお考えでしょうか。
  345. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) おっしゃるように、日和見感染につきましては、最近特にそのようなことで呼ばれるようになった状態でございまして、宿主側の免疫の低下によって、ふだんなら発病しないようなカビでございますとか原虫でございますとか、そういう形で病気になるというようなことを総称するというふうに理解しておるわけでございますけれども、おっしゃいますように、無菌室があればそのようなことが発生前ですと可能性はあるかもしれません。  私、臨床はよくわかりませんけれども、骨髄移植の後でございますとか、臓器移植の後には無菌室に入れるというふうなこともあるようでございますので、免疫を落とすときに他の感染を起こさないようにということで無菌室が使われるということも承知しておりますけれども、日和見感染そのものは、伝染病対策というか、その範疇をはみ出している部分もありますし、高度の医療ということで考えるとすれば、先ほどから話題になっております地域医療計画の中で、例えばそのようなものも今後どのように配置していくかというふうなことで考える必要がある御提案の一つではないかと考えられます。
  346. 高桑栄松

    高桑栄松君 あと、できれば二つ質問をしたいんですけれども、一つは医学教育会議(仮設)の設置でございますが、地域医療計画でさえもと申し上げるとちょっと言い方が悪いんですが、ここには少なくとも五年で見直すと書いてございます。医学教育は、それこそ大変な日進月歩の学問の進歩の中で、カリキュラムは年々歳々本当は変えていかなければいけないぐらいの進歩でありますが、カリキュラム自身というのは、医学教育六年を考えますと、最低限度十年に一度ははっきり見直さなければならないと思うんです。それはしかも生涯教育の理念に立っての教育であります。医学というのは医学、歯学、薬学、この三つを含んでおります。言い忘れましたが、この三者を入れて医学と今申し上げました。この医学教育会議の設置は、私が学術会議会員当時から私たちが主張してまいりまして、私も今国会で機会あるごとにお話を申し上げて、その設置を要望してまいりましたが、前の文部大臣厚生大臣、それぞれしかるべきお返事を承っておりますが、きょうもそのお話を承りたいと思うんです。  まず、厚生省側はいかがお考えでしょうか。厚生大臣、いかがでしょうか。
  347. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 医学教育会議の設置に関しましての学術会議の勧告は、貴重な考え方と受けとめております。その勧告の背景となる医学教育、国家試験の充実、改善等につきまして、文部省あるいは医療教育機関等と連絡を保ちながら施策を推進しているところでございまして、医学教育会議という具体的な新たな組織を今直ちに設けることは困難と考えておりますけれども、学術会議の勧告の趣旨を踏まえまして、文部省ともよく協議をしながら今後とも検討を続けてまいりたいと考えております。
  348. 高桑栄松

    高桑栄松君 それじゃ最後に一つ。  医師養成問題で医薬分業のお話を石井先生おっしゃっておりましたが、私も学術会議医学教育問題の中で、医師、歯科医師、薬剤師一緒なんですが、薬学側の方が特に主張して念願しておられますのは、医療薬剤師という制度というか、資格でございますが、先生方の御希望は、今四年でございますが、六年で医療薬剤師という資格を設けて、特に医療のことを、つまり臨床を勉強した薬剤師で調剤が、医学的なそういった臨床を踏まえた投薬、それから点検ができるという制度を希望しておられますし、私もそれは大変いいことだと思っておりますが、文部、厚生両省それぞれお返事を承って、私の質問を終わらしていただきます。
  349. 佐藤國雄

    説明員佐藤國雄君) 薬学の教育につきましては、近年、医学、医療と薬学というものの関連をさらに密接不可分なものにしたい、こういう機運でございまして、教育面でかなり進んでまいっていると私ども思っております。一部の大学で既に病院実習を課しておりますし、また文部省といたしましても、一部の国立大学等に対しまして医療薬学に関する講座を設けるとか、あるいは大学院の研究科を新設する、こんなような努力をしてきているわけでございますが、先生指摘の薬学教育の就業年限を延長する、あるいは医療薬剤師の養成を行うということにつきましては、資格制度 等種々の問題も検討しなければならない点がございまして、現在のところは考えていないということでございます。
  350. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 厚生省側といたしましては、ただいまの、疾病治療のため臨床の場において用いられる医薬品に関する医療薬学という知識が、いわゆる科学的知識のみならず、薬物治療の知識が薬剤師に必要であるという先生の御意見は、御指摘のとおりであろうというふうに考えております。ただ、こういう知識につきましては、医療の場で調剤に従事する薬剤師というもののみならず、医薬品の販売あるいは研究、製造等々に従事するすべての領域の薬剤師に共通に必要とされる基本的なものではないかという考え方もございます。  そういうことで、現在の段階におきましては、新たに医療薬剤師の養成を図るということではなく、現在の薬剤師の養成教育のあり方を、御指摘趣旨を踏まえまして充実させるように、関係行政機関あるいは関係団体等とも連携をとりながら検討していくという考え方でございます。
  351. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、十二月七日の朝日新聞の夕刊に一面トップで、来年度予算案で政管健保について借金を大蔵省は要請している、こういう報道がありましたが、これは事実ですか。
  352. 花輪隆昭

    政府委員(花輪隆昭君) 政管健保の国庫補助の繰り入れの特例措置に関するお尋ねでございますが、これにつきましては、六十一年度概算要求におきましてもそのような姿のものは盛り込んでございませんし、現段階に至るまで大蔵省からそのような要請を受けておりません。
  353. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 厚生省としては、もし仮にそういうものが出てきても、この報道にもありますが、黒字は積立金に回す、この立場で頑張ると、こういうことですね。
  354. 花輪隆昭

    政府委員(花輪隆昭君) 特例措置の要請がありましたならば、その段階でいずれにせよ判断をいたすことになると思いますが、私どもといたしましては、政管健保事業の適正な運営というものがあくまで大事でございますので、その運営に支障を来さない、こういうことを最優先といたしまして慎重に対応していかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  355. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく、今のところ大蔵省からそういう動きはないということでありますが、単なるこれは杞憂にすぎないそういう問題じゃないだろうというふうに私は思うわけです。しかし、もしこういうことが現実に起こってくるとすれば、これはもうまことにむちゃな要求でありまして、国民からすれば決して納得できる問題ではない。  既に政府は、国民の多くの反対を押し切って、昨年、政管健保制度発足以来とも言うべき本人の一割負担制度を導入して、国庫負担を大幅に削減しました。この一割負担は、やはり受診抑制効果を果たして黒字決算となった。これに早速目をつけて国の財政のやりくりに使おうというのは、まさに国民に挑戦をし、国民を愚弄するものだということで、このようなことがもし行われるならば、国民の政治への不信感を増幅することになるというのは明瞭でありまして、こういう問題に対しては毅然たる態度で対処をしてもらいたいというふうに思いますが、大臣、どうでしょうか。
  356. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 大蔵省から、もし仮にそういうような要請がありました場合にも、先ほど御説明申し上げましたように、政管健保事業の適正な運営に支障を来さないということを最優先として対処いたしてまいりたいと思います。
  357. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ところで、昭和五十六年四月十日の社会保障制度審議会の答申でありますが、その答申の中で、医療法に基づく医療計画の作成の問題にも触れまして、「この計画作成を法定することの緊急性については、十分納得のいかない点があり、さらにその基本となるべき国の医療に関する政策が明確さに欠けており、今後検討を要する点も少なくない。また、計画作成に当たって住民側の需要の把握が軽視されているうらみがある。」というふうに答申が行われているわけでありますけれども、ここで言っております指摘、これはすべて解消、解決をしたんでしょうか。
  358. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 昭和五十六年の社会保障制度審議会の答申でございますが、その答申を踏まえまして、まず医療計画の策定に関する国の考え方をより明確にすべきであるという観点から、「区域の設定並びに必要病床数に関する標準は、厚生省令で定める。」ということにいたしたことでございます。それからまた、同じ観点から、医療計画の策定に当たりましては、「公衆衛生その他医療と密接な関連を有する施策との連係を図るように努めなければならない。」こととしたわけでございます。また、「国は、」「都道府県の区域を超えた広域的な見地から必要とされる医療を提供する体制の整備に努めるものとする。」という規定を置いたわけでございます。さらに、病院の開設者等は病院のオープン化に努めるべきであるということといたしたわけでございます。  こういった修正を、先ほどの国の考え方の明確化という観点からいたしたわけでございます。  それから、もう一つの住民側の需要の把握の問題でございますが、医療計画の策定に当たりまして地域住民の需要把握を適切に行うという観点から、都道府県は管内すべての市町村の意見を聞くということを義務づけることとしたところでございます。
  359. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今の説明では納得ができませんね。私は、この答申における指摘、これはまさに今回の法案の抱えている問題の本質をついていると思うんです。そして、指摘する問題のすべてが解決をされてこの法案提出がされてきたということにはなっていない。だからこそ与党の小委員会日本医師会との詰めに最近に至るまで随分時間がかかった。そして問題はすべて解消せず、むしろ衆議院修正で明白なように、肝心な点は先送りになっています。国の医療に関する政策が明確でないというこの答申の指摘している点についても、医療保険のあり方、国庫負担の将来方向、何一つ明確でありません。保険に対する国庫負担、将来はほとんどゼロに近くまで削減しようという方向があるわけであります。現にそういった報道もある。  したがって、国民が、医療保険の将来一つとってみても、政府のこれまでの政策方向から見て非常に大きな不安を、危惧を抱くのは当然のことであります。現に、次期通常国会提出予定の老人保健法改正のその方向は、国民の負担はふやして国庫負担はますます減らす、こういうものであるわけですし、国民皆保険のもとで国民に将来どのような医療が本当に十分に保障されるのかという基本的方針があいまいのままに、都道府県にばかり責任を押しつけるという性格が本法案の最大の問題じゃないでしょうか。どうでしょうか。
  360. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の法案の中で、医療計画の策定を都道府県にお願いするということでございますが、御承知のように、医療の問題は国民の生活に極めて密着した問題でございますので、市町村の意見を聞いて都道府県が策定をするということにいたしたわけでございまして、いたずらに都道府県に負担を押しつけるというような性格のものではないと考えております。
  361. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そのように言われましても、それならば一つ一つ具体的に明らかにしていきたいと思うのでありますが、まず医療計画の問題ですね。  都道府県が定める医療計画について、「定めるものとする。」と都道府県に義務を課しているのは、対象区域の設定と必要病床数、これだけですね。このほかに「定めることができる。」と、こうしているのは病院の整備目標に関する事項、二つ目に病院と診療所の業務の連係に関する事項、三つ目に医療従事者の確保に関する事項、四つ目にその他と、こうなっておって、衆議院修正で僻地医療や救急医療などが加わったわけでありますけれども、しかしどうでしょうか、仮にこの「定めることができる。」事項を定めない府県が出たらどうなるんですか。
  362. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 任意的記載事項でございますが、これにつきましても私どもとしては大 変重要なもの、医療計画の中で非常に重要なものと考えておるわけでございまして、各都道府県において極力医療計画に盛り込むよう指導をしてまいりたいと考えております。
  363. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、目下住民の側にとっての急務である僻地医療の問題や救急医療の問題、ここらの問題が任意規定になっているわけでしょう。法律ではわざわざ「定めるものとする。」という規定と「定めることができる。」という規定と、二種類に定めているんですけれども、後者の方に、今言った僻地医療の問題や救急医療問題というのは含めている。こういうことでは国民が望んでいるような方向での今回の法案の内容になっていないと思うんですね。住民の関心はベッドの削減、こんなところにあるんじゃなくて、今も言った僻地医療とか夜間、休日の診療とか救急医療とか、こういうものがいかに整備充実をされるかという、ここに強い関心が向けられておる。  本当に厚生省としては、また大臣として、この医療計画作成の指導に当たって、こうした内容が必ずきちっと盛り込まれるように指導を徹底するというふうに約束ができますか、大臣、どうですか。
  364. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画の中におきます必要的記載事項は、医療圏の設定と必要病床数でございますが、これにつきましては、すべての都道府県が足並みをそろえませんと病院病床の適正配置を図る上で効果が出ないわけでございますので、そういう意味合いで必要的記載事項にいたしたと。  それから、その他の事項につきましては、任意的記載事項、つまり、これはある県が仮に記載をしないとしても、他の県の医療計画に影響を及ぼさないということでございますので、任意的記載事項にしたというだけのことでございまして、先ほども申し上げましたように、私ども、この任意的な記載事項も重要なものと考えておりますので、各都道府県で医療計画に盛り込むよう極力指導してまいりたいと考えております。
  365. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、よその府県に影響を与えないといったって、そんなことないでしょう。例えば救急医療の受け入れ態勢がこの県では不十分だといった場合には、どうしたって緊急措置としてよその府県へ行くじゃないですか、そういう場合には。  問題をさらに進めますが、必要病床数の問題ですね。これは都市部に病院が集中をしておるという現状から見て、結果としてはベッド数の削減のみを主たる目的にしておるんではないかという、そういう心配の声は当然起こってくるんです。  そこで、基本的な点を質問しますが、必要病床数を定めるに当たっては、住民の状態を無視してベッド数の削減だけが先行してはならないと。国民皆保険のもとで、地域住民に必要にして十分な医療が受けられるような状態をどうつくるか、これを原則にする、基本にする、こうすべきだと思うんですが、この点大臣、一遍お聞きしましょう。
  366. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 御指摘のとおり、必要病床数の算定に当たりましては、地域の人口構成あるいは疾病構造等々を勘案した上で、その地域の医療の確保の観点から必要にして十分なものとなるようにすることが肝要であると考えております。
  367. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 答弁はそういうふうに言われるけれども、そうならばなぜそのことが全うされるようにしなかったかということです。  したがって、医療計画は文字どおり住民に安心を与えるもの、賛成できるものでなくちゃならぬと思うわけでありますが、そのためにも、拙速に進めるのじゃなくて、十分時間をかけて民主的に練り上げたものでなくちゃならぬ。住民の理解と賛同が十分得られるように、そういう手続を万全に進めるということが肝要だと思うわけですけれども、この点、大臣どうですか。
  368. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画の策定に当たりましては、地域の医療需要を十分調査しました上で、地域の実情を把握している市町村あるいは都道府県医療審議会の意見を聞くことにいたしておるわけでございます。このように、医療計画の策定に際しましては、関係各方面の意向が、意見が十分反映されるようにしてまいる所存でございます。
  369. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 重ねて大臣にお聞きをします。  この医療計画というものは、住民に不安を与えないよう、住民が賛成できるよう、拙速に進めるのじゃなくて、十分時間をかけて民主的な議論を尽くして進めていくという、この基本的な立場をぜひ貫いてもらいたいというふうに思いますが、大臣、この基本的な点はどうですか。
  370. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほどお話局長からいたしましたように、地域の事情を十分調査した上で、なおかつその上、実情を把握しておる市町村や都道府県医療審議会の意見を聞くことといたしておるわけでございまして、御指摘の点につきましては鋭意留意をいたしてまいりたいと思います。
  371. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、医療計画の策定に当たっては市町村の意見を聞く、こういうことに法案の第三十条の三の十項で定めています。これは単に意見を聞くだけじゃなくて、市町村は住民の状態を一番よく知っているのだから、意見を十分聞いて、その意向を基本に医療計画の策定もしくは変更に当たるべきだと、そういう見地で国として指導を行うべきだというふうに思いますが、この点どうですか。
  372. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画の策定は都道府県が行うものでございますけれども、各地域の実情を十分踏まえる必要があるということで各市町村の意見を聞くことといたしたものでございまして、その各市町村の意見につきましては、医療計画の策定に当たりまして、都道府県が十分尊重するよう適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
  373. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次は、都道府県医療審議会の構成の問題でありますが、医療と福祉は密接な関連があって、例えば老人福祉、障害者福祉、これらの問題は医療と深い関連をする施策が要求をされているわけであります。その意味からも、福祉関係者あるいはその関係の学識経験のある者、こういう人たちをぜひ審議会の構成員に加えるべきだというふうに考えますが、その点についてはどうでしょう。
  374. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 都道府県医療審議会の構成でございますが、基本的には医療制度に関する学識経験者によって構成をするというふうに考えておるところでございますが、医療と福祉の連係を図るということは非常に重要なことでございますので、そういった観点から社会福祉関係者の選任につきましても検討をしてまいりたいと考えております。
  375. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その趣旨をぜひ地方に徹底してもらいたいと思うんです。  次に、医療機関の偏在の問題でありますが、いわゆる医療過疎地域の診療所や病院の整備や確保、これは具体的にはどういうふうに進めるわけですか。
  376. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療過疎地域におきます医療機関の整備でございますが、これにつきましては所要の助成あるいは政策融資等、地域の実情に応じたさまざまな手段を講じてまいる所存でございます。
  377. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私の地元であります京都の例を一例として挙げますと、こんな姿になっているんです。  京都府は、北は日本海、南は奈良県の山国に接している、こういう地域でありますけれども、北の日本海に面する丹後、そして南の相楽郡、これは大変な医療の過疎状態にあります。調べてみましたところ、診療所の数、人口十万当たり京都市百十、それに対して丹後の地域は四十九・八、人口当たりのこれまたベッド数、この相楽郡は京都市の四分の一以下、おまけにこの相楽郡というのは、近年人口急増地域であるのに依然としてそういう姿にあるということで、こういう姿というのはしからば何年ぐらいでこれを解消しようという のが今度の法案の趣旨ですか。
  378. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 何年ぐらいで一定の水準を確保できるのかという御質問でございますが、これは各地域の実情によって大変異なっておるわけでございますので、現在の段階で、国として何年でそういった医療過疎地域につきまして必要な医療水準が確保できるかという点については、お答えをすることは困難であると考えております。
  379. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今回の法案を提出するその目的の重要な一つに医療の過疎地域解消、そのための医療計画をつくるということを強調しながら、しかし実際に、京都だけの例じゃない、全国どこの府県も似たような現象があると思うんですけれども、そういう医療の過疎状態、これを解消するのにどれくらいでそれが、今度の法案が出されたことを契機にして、解決をしていくんだろうかということについては、いや、そんなことはわかりませんと、こういうことで一体国民は納得をするんでしょうかね。当然、今回こういう法律を出してきたということを契機にして、国としても特別の努力、特別の自治体に対する援助、これが必要なはずであります。  この第三十条の五で、国と地方公共団体は、病院、診療所の整備その他必要な措置を講ずるよう努めるというふうに書いているわけですけれども、この具体的な内容というか、一体医療過疎地域解消のために国としてはどのような特別の努力をするんでしょうか。
  380. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療過疎地域というお話でございますが、その極端な場合が僻地医療であろうかと思います。  僻地医療につきましては、従来から年次計画をつくりまして、それによりまして僻地中核病院あるいは僻地診療所の整備、僻地巡回診療の実施、僻地勤務医師の確保等総合的な対策を進めてまいっておるわけでございまして、昭和六十一年度からは第六次の僻地保健医療計画を策定いたしまして、引き続き対策の強化に努めてまいる所存でございます。  一方で、僻地医療対策の対象にはならないが医療過疎であるという地域に対する措置でございますが、先ほども申しましたように、所要の助成、例えば病床不足地区における病床整備に係る医療施設等施設整備費の国庫補助という制度がございまして、これに基づきまして都道府県、市町村その他公的団体に補助をいたしておりますし、また政策融資という点につきましては、社会福祉医療事業団によります一定水準以下の病床しか整備されていない地域に対します病院の新築、増改築等にかかわります融資を事業団で行っておるというようなことでございます。  こういった対策をできるだけ効率的に生かしてまいりたいということでございます。
  381. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今の御答弁を注意深く聞いておっても、今回の医療法改正案、この法案を出した、これを機会に新しい制度をつくってそういう僻地医療充実改善のためにこういうことをやっていく、新しい援助制度をつくりますというようなことは言葉に出てこない。あるいはいろいろ言われておるのも、今度の法案の出る出ないにかかわらず、今までやってきた助成措置、これを引き続きやっていくという程度の言い方しかされていない。本当にその問題についても、冒頭から触れましたように、大蔵省からの高額補助金抑制を初めとして福祉予算、これを切り捨てるさまざまな圧力がかかっておるもとで、責任を持ってこの点はこうしますというふうに一体大臣言えますか、ここで。この点はやっぱり大臣に。
  382. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医療計画との関係でございますが、既存の助成制度、政策融資を十分活用いたしまして各都道府県の医療計画の推進を支援してまいりたいと考えておりますけれども、各都道府県の医療計画の策定状況もにらみながら、今後一層それらの施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
  383. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく、今の答弁の限りでは、医療法、今回の法案を出しましたと、こう言ったところで、そういう医療過疎地の解消が急速に進展をしていくというふうにはとても考えることができませんね。  さらに問題を発展させますが、国民によい医療を提供するには、医療経営の安定が不可分であります。この点で大臣、これはぜひ大臣お尋ねをしますが、御存じのように、十一月の十二日、国民医療を守る全国病院大会ということで公私立の病院関係の皆さん方が決起大会を持って決議を行っております。ごらんになっていることと思いますけれども、三項目に集約をされる決議でありますが、その第一点、「政府は、社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置を存続すること。」という、この決議の第一項目になっているわけですけれども大臣として、厚生省として当然この立場で頑張るということでしょうね。
  384. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 社会保険の診療報酬につきましては、高度の公共性を持っておるわけでございまして、税務当局はその廃止を主張しておりますけれども、私どもといたしましては、ぜひともその存続を強く働きかけていきたいと考えております。
  385. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次に、決議の二点目としまして、「病院診療報酬改定要求を直ちに実施すること。」というのが第二項目にあります。その趣旨として、要求の具体的な十六項目とあわせまして、なぜこのことを今日緊急に要求をするかという趣旨を書いた文書も添付をされておるわけでありますけれども、それによりますと、   昭和五十九年三月の診療報酬改定は、病院にとって、実質二・四%の収入減となり、病院経営を一段と悪化させた。五十九年十月の健保本人一割負担の実施により、経営状況はさらに悪化し、六十年三月の改定は、平均的には二・二%の増収となったが、物価や人件費の高騰に見合うものではなく、特に小病院においては実質的な増収とはならなかった。  このような状勢の下で、病院の経営は逼迫の度を増し、医療の荒廃を懸念させるようになってきているので、拡大再生産費を含め診療報酬を適時適正に改定して、良質の医療が継続発展できるようにしなければならない。 というふうに趣旨を述べまして、以下十六項目の具体的要求をさらに展開をしているわけでありますけれども大臣、これらの要求を中医協の場で十分協議をするという御意思はおありでしょうか。
  386. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 私といたしましては、中医協に対しましても、診療機関の経営の安定ということはかねて考慮に入れてくださいということを申し上げておるところでございます。現在、中医協におきまして審議中でございますので、その審議の状況を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  387. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 最後に、もう一問お尋ねをいたします。  今も、この診療報酬改定要求の、全国公私病院連盟のこの文書の中にもありますように、大変な医療経営危機のもとにあると。しかし、国の施策が不十分なために、一部の医師の中に苦肉の策として、政治献金や党員集めによって危機の打開を図ろうとするこういう傾向が出ています。大臣、ぜひこのような献金などをせずともいいように、日本の医療の一層の発展のために、この文書でいきますと、「良質の医療が継続発展できるように」施策の充実に一段と努力をしていただきたいというふうに思いますが、大臣の決意のほど、どうでしょうか。
  388. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御趣旨の点は十分尊重してまいりたいと思います。
  389. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まだ少し残っていますが、これで切りがいいから本日はこれで……。
  390. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) よろしいですね。
  391. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 はい。
  392. 下村泰

    ○下村泰君 今回の医療法の改正なんでございますけれども、私はもうこういうものはまるで素人でございます。  今度の改正案は、地域の医療供給体制の体系的 整備を図るための都道府県医療計画の策定と医療法人についての規定を整えることを主な内容とするものであると、こういうふうでいいんですね。何か足りなければ足してください。これが主な趣旨だと思うんですけれども、足りなければちょっと足してください。
  393. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 仰せのとおりでございます。
  394. 下村泰

    ○下村泰君 それで、衆議院の方の修正案が出ておりまして、この中に、先ほどからもいろんな委員の方が述べておりますけれども、「へき地医療、休日及び夜間診療等の救急医療の確保に関する事項を明記するとともに、機能及び業務の連係に関する事項の関係施設として薬局その他の関係施設を追加すること。」と、こういうふうな修正案が出ております。これは大変係結構なことだと思います。  よく新聞の記事をにぎわすのは、救急車が患者を運ぶ場合に、救急病院に指定されているにもかかわらず、その患者状態の担当医がおらぬからというようなことでたらい回しをされて、あげくの果てにお亡くなりになるという事件が時々ございます。  それで、先般の歌手のフランク永井の件に関しましても、たまたまあの救急隊員の方が、ああいう状態患者は文京区千駄木の日本医科大学病院の救命救急センター、ここが大変よくこういうのを扱っているんだそうですね。私は、フランク永井がここの病院に入院したという記事を見たときに、フランク永井は私の家の近所でございます、目黒でございます、何であんな遠いところまで行ったのかなと最初思ったんです。ひょっとしたらこれはたらい回しの結果かいなと、こういうふうに私は私なりに解釈したんですが、後で実はこの救急隊員が機転をきかせて、この状態はここの病院に持っていった方が一番的確であるという救急隊員の判断でここへ運ばれた。それで辛うじて一命を取りとめ、今リハビリの生活に入っておるんでございます。  こういった救急センターあるいは救急病院、これがたらい回しにならないように何としてでも私は確立してほしいと思うんですけれども、各地域における救急の施設の確保について厚生省はどういうふうに支援なさるおつもりなのか。確立できるのかできないのか。先ほどのお話を伺っておりますと、何かちょっと頼りないんですがね、完全に皆さん一般大衆の方が安心していられるような状態になるのかならないのか、そこをちょっと聞かせてください。
  395. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 救急医療対策につきましては、昭和五十二年度から計画的に、例えば初期、二次及び三次の救急医療施設あるいは救急医療情報センターといったようなものを体系的に整備をしてまいっておるわけでございまして、まだまだ不十分な点はあろうかと思いますけれども、計画に従って着実に救急体制の整備拡充が図られてきておるというふうに考えておりまして、今後とも一層努力をしてまいる所存でございます。
  396. 下村泰

    ○下村泰君 今、局長御自身がまだ不十分であろうかと思いますなんて言っているでしょう。不十分であろうかじゃないんだ、不十分過ぎるんですよ。不十分過ぎるからこういう記事が新聞の活字をにぎわすわけなんです。ですから、暫時だとか悠長なことをおっしゃってないで、速やかにやれるような体制を整えてほしいと思います。いかがでしょう。
  397. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 昭和六十年度予算におきましても、休日夜間急患センターの箇所数の増加でございますとか、その他病院群輪番制病院の地区数の増加でございますとか、大変財政上窮屈な中でございますが、五十九年度に比較をいたしまして約五億強増額いたしまして、百五十四億六千七百万の予算を計上しておるところでございます。
  398. 下村泰

    ○下村泰君 とにかく、ここでこういう問答をしている時間さえ惜しいくらいのこれは私は施設じゃないかと思っています。よろしくお願いします。  それから、第三十条の六でございますけれども、この件に関しまして私はこういう話を聞いたことがあるんですよ。ある大学の医学部を卒業した方がAという地点からBの地点へ行った。Bの地点で開業しましたら自分の卒業した大学の関係がないわけなんです。そのために御自分が診療に当たってもろもろの疑問があります。それを、自分が卒業した大学病院がそばにあるならばいろいろと研究もできるんでしょうけれども、できないわけですね。何とかしてその土地にある、Bの地点にある大学の施設あるいはそこにいらっしゃる諸先生方にお伺いを立てたいと思えども、何もない、筋道がない。じゃ、どうすればいいんだといったら、そこの大学の附属病院に何とか会という会がある、その会に研究費として三十万でしたかな、納めて、そうすることによってつながりができる。やくざと同じようなものです。納付金を取られるわけですよ。そうしないと、自分が診療に当たっていろいろ悩んだときに相談相手になってくれないというような話を聞いたんです、私は。  ですから、この三十条の六は大変結構なことだとは思いますけれども、この最後の文句が気に入らないですね。「利用させるように努めるものとする。」というんです。努めるところは努めるでしょうけれども、嫌なところも出てくるわけでしょう、これは。そういう問題はどういうふうになるんですかな。
  399. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 地域の医療を確保します面で病院、診療所の連係プレーというのが非常に重要でございます。今お話しのように、我が国ではどちらかといいますと出身大学といったような特別のコネクションによりまして病院と診療所の関係が保たれておるというふうな例が多いわけでございますけれども、今回の医療計画の策定に当たりまして、そういう特別のコネクションということではなしに、それぞれの地域において病院と診療所の関係をより深めていきたい、そのためには病院のオープン化あるいはまた特定の病院の機器を共同利用するとか、あるいはその病院を利用して研修をするとか、そういったことが非常に有効ではなかろうかということで、今回規定を置いたわけでございます。  こういった点につきまして、病院の施設を利用させてもらうということでございますので、やはり強制的にというわけにはまいりませんので、十分病院の開設者の御理解をいただきまして、オープン化が十分進むように指導をしてまいりたいと考えております。
  400. 下村泰

    ○下村泰君 聞くところによりますと、地域によってはその土地の医師会と何か対立している病院もあるんだそうで、そんなことのないようにひとつ厚生省の方でも仲介役をとっていただいて、よろしく指導していただきたいと思います。  それから附則の四条に、政府は、経営基盤の安定のため開業医に対して必要な措置を講ずるものとされておるんだそうでございますけれども、これは病院が倒産しますと入院している患者はたまったものじゃないですからね、行き場所もなくなるし。それは、ほかの病院に移れるくらいの病状ならようござんすけれども、そうでなかったらえらいことになります。これは適切に対処してほしいと思いますけれども、この点についてどういうふうに厚生省の方はお考えでしょうか。
  401. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) よい医療を安定的に国民に提供していきますためには、医療機関の経営基盤の安定化というのが非常に重要であるわけでございます。当面厚生省におきましては、このために、六十一年度予算要求におきまして医業経営の近代化、安定化に関する検討費というのを要求をいたしておりまして、関係の専門家、学識経験者から成る懇談会を設置いたしまして、総合的な検討をしていただこうというふうに考えております。
  402. 下村泰

    ○下村泰君 私の方もいろんなことをお尋ねするはずだったんです、エイズ脳死の問題、家庭医の問題、こういうものをお尋ねしようと思ったんですが、既に私より先に質問していらっしゃる委員の方からそれぞれ出ておりますので、中を割愛してまいります。  次は、中間施設の問題について伺いますけれども、これからはとにかく本格的な高齢化の社会になります。我が国の医療についてはこれから解決をしていかなければならない多くの問題が残されていると思います。  厚生省は、現在、寝たきり老人対策として医療と福祉の中間に、位置するいわゆる中間施設の問題、その制度化を含め検討を行っていると聞いているんですけれども、この検討状況についてお伺いしたいんですけれども、特にこの中間施設は医療法上どのような位置にこれがなるのか、与えられるのか、医療計画の中に位置づけられるのかどうか、これちょっとお伺いしたいんですけれども
  403. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 中間施設につきましては、ことしの八月に懇談会から中間報告がございまして、在宅型の中間施設と収容型の中間施設というふうな考え方がまとめられておるわけでございます。  厚生省といたしましては、この報告趣旨を踏まえまして、現在いろいろ検討をいたしておるところでございますが、昭和六十一年度には十カ所、モデル実施をしてみたい。そのモデル実施の結果によりまして内容を固め、そして六十二年度以降、本格的な実施に移りたいと考えておるわけでございます。  現在の段階におきましては、この中間施設、特に長期収容型の中間施設、いわゆる病院と特養との中間ということに相なろうかと思いますが、これにつきましての内容、この内容がまだ十分確定をいたしておりません。これがもしかなり性格的にその内容が病院寄りのものということになりますと医療計画に大きな関係が出てまいりますし、一方で、中身が特養寄り、福祉施設寄りの中身というふうな結論になりますと医療計画にのせる必要性というのは薄れてくるというようなことでございまして、現在の段階では、まずその中身、性格を決めるという作業をいたしておりますので、それが確定いたしました段階で医療計画との関係を決定していきたいと考えております。
  404. 下村泰

    ○下村泰君 これはやっぱりそういう施設が完全にでき上がったとして、それが位置づけられないと、これは施設を経営する人も大変でしょうし、中で働いている人も大変でしょうし、それから、ましてそこに入っていろいろ治療をする方、あるいはリハビリをする方もいろいろございましょう、そういう方たちも非常に戸惑うといいますか、そういう状態に追い込まないように、ひとつお願いしたいと思います。  アメリカの方でたばこを吸わない人、禁煙者がふえたために肺がんの率が大分減ったというような発表がございました。吸わないにこしたことはありません。と言っている私はやめられないんですけれども、まことに残念でございますけれども。それからアルコール中毒、これが大変、今、日本ではふえつつあるんですね。殊に家庭の主婦に多い。最近のテレビでもよくこれ報道しております。  さて、こういったアルコール中毒対策について公衆衛生審議会から答申が出されているというふうに承っておりますけれども、喫煙並びにアルコール中毒、これらの問題について今後の取り組み方についてお伺いしたいと思います。
  405. 仲村英一

    政府委員仲村英一君) アルコール関連問題と私ども称しておりますけれども、これの対策につきまして十月の九日でございますけれども、公衆衛生審議会から意見具申がございました。内容的には、もしお尋ねでございますれば御紹介いたしますけれども予防対策でございますとか、地域包括医療体制の整備でございますとか、社会復帰の問題でございますとか、教育、研修、研究等でございますけれども、そのような内容意見具申があったわけでございます。  厚生省、私どもといたしましてはこれを受けまして、公衆衛生審議会の中に精神衛生部会というのがございますけれども、そこに、アルコール委員会と申しますか、仮称でございますけれども、アルコールの関連の対策に関しての委員会を設置する方向で検討しておりまして、今後、この意見具申に盛られました総合的な対策のうちで実施可能なものから順次具体化を目指していきたいと考えておりますし、関係する各省もたくさんあるわけでございますので、各省庁とも十分協議をしながら今後の対策を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  406. 下村泰

    ○下村泰君 あとの問題もほとんど出尽くしましたし、私の用意してまいりました質問はもうこれでネタ切れでございますので、種切れでございます。ですから、これで終わることにいたしますけれども大臣にひとつお願いしておきます。  大臣は落語はお好きでしょうか。落語の中に、「手おくれ医者」というのがあります。聞いたことございますか。何かというとすぐ手おれだ、手おくれだと言うの。で、屋根屋の職人が屋根から落ちるんです。もう手おくれだ。すると、本人が、先生何とかして助けてください。屋根から落ちる前に来いというの。これが落としなんですよ。  ところが、日本行政機関というのはこういうのが多いんですよね。一番いい例が、私が法務委員やっておるときに、ベーチェット氏病の患者の皆さんが秩父の郊外に御自分たちのリハビリセンターをつくるために、ちょうど今いらっしゃいませんが、大石武一先生がまだいらしたころですよ。あの大石武一先生のお友達がたまたまその秩父の郊外に土地を持っていらした。その土地を提供するからリハビリの施設をおつくりなさい。そこで、そのベーチェット氏病の患者の方々がそこへ出かけていったんです。それで測量しようとした。これは追っ払われたんです。わけのわからない病気を持ってくるなとか、観光の町秩父をそれこそどめくらの町にするなというような言葉を使って追い出されたんだそうです。それで、私は法務委員会で扱ったんですよ。時の法務大臣は稻葉先生でした。人権擁護局というのがあるのにもかかわらず、なぜこういうのをちゃんとしてあげないんだと申しましたら、訴えがなければ人権擁護局は動かないんだと。これじゃ「手おくれ医者」と同じなんですよね。  ザイルでロッククライミングやってますね。岩登りしておる。そのザイルが切れかかっておる。当然落ちれば死ぬんです。ところが、おっこちてから死体を収容したって何にもならぬでしょう。落ちるのを助けにゃいかぬ。  私は、いつもこれを申し上げたいんですよ。日本行政というのはいつもこういう状態が多いんです。ですから、救急医療の確保などというのは私は本当に声を大にし、口先のとんがるほど私は申し上げたいんですよ。とにかく「手おくれ医者」になってほしくないんです、殊に厚生省は。厚生大臣の力強いひとつお言葉をいただきたいと思います。
  407. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 物事というのは、やはりおっしゃるように、手おくれになるということは取り返しがつかない、あるいは取り返しがついても莫大な経費がかかるということが多かろうと思います。行政を預かる者といたしましては、そのようなことがないように十分配慮をしながら前向きに取り組んでまいりたいというふうに考えます。
  408. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      —————・—————