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1985-11-26 第103回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十六日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 大浜 方栄君                 佐々木 満君                 高杉 廸忠君                 中野 鉄造君     委 員                 石井 道子君                 斎藤 十朗君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 村上 正邦君                 糸久八重子君                 浜本 万三君                 和田 静夫君                 中西 珠子君                 佐藤 昭夫君                 藤井 恒男君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  増岡 博之君    政府委員        厚生省官房総        務審議官     北郷 勲夫君        厚生省健康政策        局長       竹中 浩治君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局老人保健部長  黒木 武弘君        厚生省生活衛生        局長       北川 定謙君        厚生省薬務局長  小林 功典君        厚生省社会局長  小島 弘仲君        厚生省児童家庭        局長       坂本 龍彦君        厚生省保険局長  幸田 正孝君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        警察庁刑事局刑        事企画課長    上野 浩靖君        警察庁刑事局捜        査第一課長    藤原  享君        警察庁刑事局保        安部保安課長   伊藤 一実君        法務省民事局参        事官       永井 紀昭君        法務省刑事局刑        事課長      原田 明夫君        大蔵省主計局主        計官       中島 義雄君        厚生大臣官房会        計課長      末次  彬君        農林水産省農蚕        園芸局植物防疫        課長       岩本  毅君        通商産業省生活        産業局紙業課長  香田 忠維君        建設省住宅局建        築指導課長    立石  眞君        自治省財政局財        政課長      湯浅 利夫君        消防庁予防救急        課長       長谷川寿夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (退職者医療制度に係る見込み違いに関する件  )  (国民健康保険制度抜本改革に関する件)  (昭和六十一年度以降の高率補助金の在り方に  関する件)  (米国製護身具スタンガン規制に関する件)  (エイズ(後天性免疫不全症候群)の対策に関  する件)  (PCB入りノーカーボン紙保管処理に関  する件)  (水銀入り乾電池処理に関する件)  (昭和六十一年度厚生省予算予算編成に関す  る件)  (佛祥庵(静岡県富士市)における暴行・傷害  事件に関する件)  (医療法改正歯科保健の推進に関する件)  (歯科医師の将来需給に関する件)  (農薬パラコート剤保管販売規制に関する  件)  (へき地医療対策に関する件)  (国立病院療養所の統合再編成に関する件)  (老人保健制度見直しに関する件)  (腎移植対策に関する件)  (ATL(成人不細胞白血病対策に関する件  )     ―――――――――――――
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 和田静夫

    和田静夫君 まず、退職者医療制度ですが、見込み違い。九月三日からこの社会労働委員会として石川県、富山県へずっと視察に出て、両県知事あるいは町村長から強い意見があったものをこの委員会に反映させようと思っての質問でありますから、誠意を持って答弁をしていただきたいと思います。  加入者数、それから加入者保険料、これは大幅な見込み違いが生じています。国民健保財政に穴をあけたわけですが、この見込み違い実態をまず答弁してください。
  4. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 退職者医療制度創設に伴います見込み違い実態でございますけれども、ただいま御指摘のとおり、退職者数見込み違い、それから一人当たり保険料の違いが主たる原因でございまして、昭五十九年度におきましては六百七十億円、それから昭和六十年度は推計でございますけれども千四百十億円、合わせまして二千八十億日本来市町村に交付すべき交付金減少している、こういうことでございます。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 その数字の問題も、私の計算とは随分違いますから後で申し上げますが、五十九年度の数字を見ますと、退職者本人見込みの七五・一%でしょう。それから家族は四九%。家族に至っては半分にも満たないわけですね。これはもう大幅な違いであります。このことは、私は予算委員会で既に予見をしていまして、この制度を導入するときに見込み違いが生じますよと、あなた方の態度ではと。今の局長でもありませんし、今の大臣でもありませんが、しかしながらそのときの局長は次官で、あるいは担当審議官官房長でお残りであります。大臣はもうおやめになった。私の見通しの方がこれは当たったわけですね。  そこで、そういう警告をしておいたにもかかわらず行政は耳を傾けなかった、そして大失態を演じた、こういうことでありますから、これは大臣見込み違い理由を聞かしてもらわなきゃならぬと思うんです。
  6. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、主たる理由は、退職者数見込み違い保険料見込み違いであります。  退職者数の方は、当初四百六万人と見込んでいたのでありますが、昭和五十九年度でございます、実際には二百五十八万八千人ということにとどまったわけでありますが、その理由は大きく分けまして二つございます。  一つは、任意継続保険者という、被用者保険退職をいたした後も被用者保険本人の申し出によって利用できるという制度がありますけれども、この任意継続保険者制度の活用が予想外に急増をしておりまして、退職者医療対象となるべき者が、一年ないし二年のタイムラグを置きましてから国民健康保険に加入する事例がかなりふえていたことであります。  それからもう一つは、配偶者について、御指摘がありましたように特に数字の乖離が甚だしいのでありますけれども、今のような理由で、本人の数が減少いたしましたことに伴う配偶者見込み違いの増大がありますほかに、サラリーマンになりました自分の子供の扶養家族になっているケース予想以上に多いと、こういうようなことであります。  それから、さらにつけ加えますならば、通算老齢年金受給者につきまして、私どもが利用し得る限りの統計資料を利用いたしまして積算をいたしたのでありますけれども、若干の見込み違いを生じたということであります。  それから、保険料見込み違いでありますけれども、ただいま申し上げましたように、退職者本人減少に比べまして、所得のない扶養家族の数が当初見込みよりも大幅に減少いたしましたために、全体として、一人当たり保険料が当初見込みました以上にかなり高くなる結果になったわけであります。  そのほか、退職者本人の主たる収入源年金であるというふうに推計をいたしたのでありますけれども、かなりそのほかの諸収入があったんではないかというようなことも考えられるのであります。  いずれにいたしましても、保険料は当初一人当たり二万八千九百円というふうに見込んでおりましたが、実際には五万三千五百円ということになったわけでありまして、この退職者数見込み違いと一人当たり保険料見込み違いというのが今回の大きな原因である、こう考えているわけであります。この制度を設計いたします際には、既存の利用し得る限りの統計資料を活用いたしたのでありますけれども、ただいま申し上げましたようなことで予想外見込み違いを生じたということであります。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 私は、事前の実態調査が全くずさんであったと思うんです。私たちでさえ見通しを、各市町村長などやその他と協議をしながら見通すことができたのに、厚生省の側がそれができなかったということはもう言わせないつもりです。ある意味では、私は、調査もせずに既存の集まっていた資料だけに基づいて発想がなされた。そういういいかげんな根拠国会説明する。そのいいかげんな資料に基づいて国会議員論議をするというような、こういうやり方というのは大臣許せないと思うんです。大臣としてコメントを求めます。
  8. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のような経緯があるわけでございますから、今後はそのようなことがないように十分注意をしてまいらなければならないと思います。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 政府見込み違いによって、国保加入者は大幅な負担増ということを強いられる。五百七市町村が二割の保険料アップを行っている。ずさんな見積もりをやったそのツケ地方財政国保財政、そして加入者負担にはね返る。これは許せないと思うんですね。このツケ政府はどういうふうに処理しようとしているのか。  まず、一人当たり保険料二万八千九百円で四百六万人が退職者医療に加入すると考えて、国庫負担を四五%から三八・五%に下げたわけですね。ところが、実際は一人当たり、今お話があったように五万三千五百円で二百五十八万人でしかなかったわけですね。そうしますと、国庫補助率引き下げ過ぎであったわけです。実態からして引き下げ適正水準というのは何%であればよかったんでしょうかね。
  10. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 国庫補助率国民健康保険の場合に何%が適当かという御指摘でありますけれども医療費動向あるいは所得動向、いろいろな要素があるわけでありまして、昨年、健康保険法改正の際に私どもが御説明を申し上げましたように、国民健康保険につきましては、従来の考え方を改めまして給付費の五〇%、半分を国で負担する、こういう考え方にいたしたわけであります。国民健康保険は、御承知のとおり、事業主負担がないという問題、あるいは低所得者層が多いというような、そういう事情を勘案いたしまして、全体の給付費の半分は国で負担をする、残りの半分は保険料負担をしていただく、こういう考え方制度の設計をし直したものであります。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 答弁が非常に不満ですがね、きょうはわずか五十分ですから、もっとほかの問題もありますので。  この制度への加入者は、今後ふえてもまあ三百万どまりというふうに見積もられていますね。今後を展望しますと、国庫補助率一定水準への回復が必要とされるわけです。その一定水準というのも明らかにしてもらいたいんです。大臣、これは行政見積もりミスなんですから、お認めになっているように。きちんと一定水準国庫負担率に戻すべきものですよ、これは。
  12. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 御指摘のとおり、退職者数が予定どおりいっていないということでありますけれども、これから先、人口老齢化年金受給者数増加ということを考えますと、かなり急スピードで退職者医療制度対象となる退職者数もふえてまいります。  私ども医療保険制度全体を昨年の健康保険法改正に際して見直したわけでありまして、その際、ただいまも御説明を申し上げましたとおり、国民健康保険については二分の一という、国全体の補助からいたしますとかなり高率補助を実施する、こういうことで医療保険制度全体の見直しの一環としてお願いをしたものでありまして、私ども、問題は、国民健康保険制度の安定的な運営市町村国民健康保険事業運営を健全に図っていくということにあると思いますので、そういった面での各般の施策を積み重ね、また努力をしてまいりたいと思っているわけであります。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 これは大臣一定水準回復をすべき筋合いです。大臣、そうお思いになるでしょう、わずかこれだけのやりとりを聞いておっても。そこのところちょっとはっきりしないと、抽象的な論議では許せません。きょうここで答弁できなければ、次回に回してもいいですがね。しかしながら、予算編成期でありますから、ここのところはしっかりしてください。よろしいですか。
  14. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほど保険局長からお話し申し上げましたように、五〇%という数字は、ほかの制度に比べましてもそう遜色のないところでありますけれども、今後ともその問題についてはよく検討してまいりたいと思います。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、これはちゃんと予算編成に間に合うようにしてもらいませんと、ここだけの答弁逃れでは困ります。新しく予算委員会もあることでありますから、この約束が守られていなければ予算委員会がどうなるかもお考えになりながら十分に対処してもらわなければ困る。意見を述べておきます。  それから、質問の角度を変えてみますが、政府は、見込み違いによる財政影響額を五十九年度は、先ほどお話しがありましたが六百七十億と踏んだ。そして、それとの類推で六十年度を一千四百十億と見た。計二千八十億。これは私は大変過小だと思っているんです。  影響額算出方法というのは、まず第一に、今回の国庫補助率引き下げ分計算することが必要だと思う。それから従来の国庫補助を超える被用者負担分を差し引く、さらに医療費減少分を引くという形でもって算出をすべきじゃないですか。この方法によりますとね、九百二億円になるんですね。六百七十億円ではなくて九百二億円じゃありませんか。
  16. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 退職者医療制度退職者数等の数によります影響をどの程度というふうに判断をするかという問題でありますけれども、御案内のとおり、国民健康保険の場合には、人口老齢化その他いろいろな事情からいたしまして、いわゆる医療費自然増、当然増というものが見込まれるわけであります。  私どもは、退職者医療制度の実施に伴う見込み違いの額を算出いたしますに際しましては、全部の市町村につきまして退職者数、それから一人当たり保険料、一人当たり医療費の実績を詳細に調査いたしまして算出をしたものでありまして、いわゆる退職者医療制度創設のあるなしにかかわらず、国民健康保険自体として伸びてまいります医療費の当然増加の分は別な要素でございます。そういった別な要素を除きました退職者医療制度発足そのものに伴います見込み違いを、今申し上げましたような全市町村調査もとにいたしまして精査をし、まとめましたものでありまして、私どもといたしましては精度の高い調査である、かように考えているものであります。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 どうしてもここの数字は疑問です。きょうここでやりとりしておってもあれですから、後で一遍数字突き合わせをやりたいと思うんです。もし私たち計算の仕方が正しければそれに是正をしてもらう、こういうことにしたいと思います。  そこで、大臣ね、一応今二千八十億という数字が出ていますから二千八十億で言ってみると、補正予算要求するというふうにとっておいていいですかね、これ。
  18. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 補正予算で所要の財源措置を講じていただきたいということで、財政当局ともいろいろ協議中でございます。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 五十九、六十年度は補正処理、処置したとしても、今後は、国庫補助率是正をしなかったならば、またツケが回ることになるわけですね。これに対してはどういう対策をお考えになるわけですかね。まさか老人保健加入者案分率処理しようというわけではないでしょうね。
  20. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 市町村国保事業の長期的な安定を図りますためには、六十一年度以降制度的な見直しが必要だと考えております。御指摘老人保健制度の問題もありますが、そういった問題も含めまして、国保事業の長期的な財政基盤安定強化が図られるように、制度的な面の改革も含めまして検討してまいりたいと考えております。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 報道によってもいろいろと検討されているようでありますが、既得的な権利が損なわれるような形のことはやっぱり避けていくということは、大臣、しっかりお考えになっているでしょうね。
  22. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 国保事業の安定的な運営を図るためには、やはりいろいろな幅広い制度にも目をつけた対策が必要であろうかと考えておりますので、そのようにやりたいというふうに考えております。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 国保抜本的見直し作業が今どうも進められているような感じがするんですが、現行国保加入者の一部を政管健保に移して、そして保険料を払えないグループを別建てにするという方向ですか。
  24. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 五人未満等事業所に勤務する被用者につきましては、昨年の健康保険法改正におきましても、法人事業所につきまして年次計画をもちまして政管健保を中心といたします被用者保険に吸収をすると、こういう方向で進めているところであります。私ども、やはり被用者につきましては、将来的には被用者保険でカバーをすべきではないかと、こういう基本的な考え方でありまして、法人事業所のみならず、個人の事業所につきましても、今後の方向としては被用者保険でカバーする方向に進めたいと考えております。  仮にそうなりました場合に、残る国民健康保険がどうなるかという問題がございますが、そういった前提のもとで私どもいろいろな案について現在検討をしている最中でございまして、御指摘のような考え方一つの案としてはあり得るというふうに考えますが、まだ具体的な成案を得るまでには至っておりません。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 ただ一つちょっと聞いておきたいんですが、保険者市町村から都道府県に移管するという考えもあるわけですか。
  26. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) ただいま申し上げましたように、具体的な成案はまだ得ておりませんけれども、現在の検討の過程の中で、国保制度を基本的にどうするかということで議論をいたしておりますので、保険者あり方の問題ももちろん含めまして議論をしているところであります。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 補助金ですが、高率補助金の削減問題ですけれども生活保護などの補助率引き下げ、六十年度限りの措置である、これはもう何度も予算委員会で確認をいたしました。概算要求では一割カットという形で要求が出ているんですね。この概算要求自体許しがたいことですが、大臣はどういう見解ですか、これは。
  28. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) 六十年度予算編成時に、六十一年度以降の補助率あり方につきましては地方と国との責任分担ということとあわせまして見直しをするということでございまして、現在関係閣僚会議を設けられ、その下に補助金問題に関する専門委員会が設けられまして検討が進められているところでございますので、六十一年度の要求につきましては、補助率の中身が固まっておりませんので、前年同額の枠要求という形で概算要求処理させていただいているところでございます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 これは大臣、納得できないんですよ。そんな話にならないでしょう。六十年度を基礎にするのならば、六十年度の予算要求の一・一倍で要求して初めて予算委員会約束が守られるということになりますよ。これは大臣ね、官僚の皆さんの答弁ではだめなんでありまして、予算委員会でも明確に確認したことが概算要求の中で勝手に削られちゃ、たまったもんじゃないですよ、これは。
  30. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほど社会局長からお話し申し上げましたように、現在補助金問題検討会におきましてあるべき姿を検討いたしておりますので、その成案ができますまでは一応前年並みのいわば枠として要求をいたしておるわけでございます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 委員長ね、これ関係閣僚会議でも学識経験者検討会でも結論はまだ出ていないんですね。いかなる根拠でもって一割カット概算要求になるのか。これはもう納得させることはできませんよ、大臣。そうでなかったら、予算委員会というのはなぜ存在するんですか。
  32. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほど申し上げましたように、検討会あるいは閣僚会議があるわけでございますので、その結論が出ますのを待って最終的な具体案を決定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 だめですよ。  その上に、十一月十五日の朝日新聞の報道によりますと、「生活保護補助率 2/3に引き下げ 大蔵・厚生両省が合意」と、こうなっていますね。「大蔵省は来年度予算編成の焦点になっている生活保護補助率を来年度から現行の十分の七を三分の二に引き下げることで厚生省と基本的に合意した。」と。それは報道ですなんてあなた方言われるんでしょうが、大臣ね、各省間協議結論も出ていないのに三分の二という具体的なカット数字まで水面下で出てくるというのは、これはどういうことですか。
  34. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほどから申しておりますように、補助金問題の検討会あるいは閣僚会議の結果を待って適切に対処をするわけでございます。  なお、大蔵省との報道のことでありますけれども検討会とは別に、検討会の今後の成り行きを含めていろいろ、いわば協議をするということではなくして、話をするのはやむを得ないことではないかと思っておりますが、いずれにしましても、検討会審議中でもあり、具体案によって協議を行っているわけではございません。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 大臣ね、十分の七から三分の二という数字一つ検討の目安としてはあるわけですか。
  36. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) いろんなケースを想定して検討していることは事実でございますが、大臣からお話がございましたように、三分の二によって合意したというようなことはございません。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 現行六十年度予算補助率をさらに引き下げるということはあり得るという話なんですか。
  38. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) これは、先ほども御答弁申し上げましたように、六十一年度以降の高率補助あり方につきましては、地方と国との責任分担ということをあわせて御検討いただくということになっておりますので、十分の八に戻るか、また新たな補助率が出るか、その辺のところは下がることも含めていろんなケースがあり得るものと考えております。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 地方を含んでというお話ならば、自治省はこの話にかんでいますか。
  40. 湯浅利夫

    説明員湯浅利夫君) 先ほど来のお話の新聞で報道されている件につきましては、私どもは直接的には関与していないわけでございますけれども、いろいろとうわさと申しますか、そういうような形で、内々の話なり、そういうような形での話は来ているわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、昨年来申し上げていますとおり、国庫負担金に係ります負担割合というものは、国と地方責任の度合いに応じて定められるべきものでございまして、国の財政事情だけによって負担割合を変えるということは、これは許せないものではないかということで申し上げているわけでございます。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 重ねて自治省にもう一問だけ伺っておきますが、六十年度の措置が全くイレギュラーであって、もとに戻すのが制度論から当然であると私は考えていますが、さらに切り込むということは地方財政の観点から大変な問題なわけです。  そこで一般論として、補助率三分の二などというようなことは、これは自治体は受け入れられる考えではないと思うんですね。ここのところは自治体は受け入れるとお考えになりますか、自治省は。
  42. 湯浅利夫

    説明員湯浅利夫君) 負担割合の決め方の問題につきましては、国と地方との責任分担の問題と関連いたしまして決めるべき問題でございます。したがいまして、現在の制度をそのままにしておいて負担割合だけを変えるということは、これはどうしても許せないんじゃないかという考え方でいるわけでございます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣ね、補助金問題検討会などという話がさっきから局長答弁ではあるんですが、これ全くブラックボックスなんですよ。我々に一向に知らされないんですよ。私はもうたくさんの資料要求をしましたが、一つも出てこないんです。まあ最終的には大蔵省が近日中に何か持ってくるんだそうですけれども、これはさっぱりわからぬのですよ。  九月二十七日に第六回会合が開かれたですね。そして社会保障分野における検討がされたんですよ、これ。俎上に上っている補助金大臣何ですか。これは大臣に聞いていますからね、大臣何ですか、おわかりですか。
  44. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) 今はっきりした日にちをここに手持ちがございませんが、社会保障関係につきましては、たしか九月の段階で二回にわたりまして事務、事業につきまして、国と地方との責任分担あり方、あるいは事務の性質のあり方等について意見交換が行われたというふうに承知しております。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 あなた方も全然知らないということですか、これは。  生活保護費はどうなっていますか。
  46. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) その席に出席してはおりませんが、生活保護につきましては、やはり国が一番大きな負担を持つ分野であろう、社会保障の中でも一番国の責任を重く考えてしかるべき事業ではなかろうかというような御意見があったやに伺っております。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 大臣ね、政府がつくった検討会の内容がなぜ国会に報告されないんですか。あるいは、きょうの委員会のために私は資料要求してもなぜ出てこないんですか。大臣の見解を求めます。
  48. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) まだ結論を得るに至っておりませんので、御報告をするような、中間報告でもするようなところまでの段階に行っていないということではなかろうかと思います。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 これは、税金使いながらいろいろなものがプリントされながら出ているわけですよ。結論が出る出ないの問題は別の問題です。その過程、全過程を専門委員会としての社会労働委員会が知ることによって、あわせそれらを論議するのならばする、こういうような機会が与えられなくて国会の存在がありますか。――これは大臣です。
  50. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) 事務的なと申しますか、委員会運営についていろいろなお考え、御意見があろうかと思いますが、まず委員相互が自由な発言をしながらできるだけ詰めていくと、他のいろいろな影響をできるだけ排除しながら自由に詰めていくというような運営の方式で、非公開という扱いになっておるというふうに伺っております。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 何かの意見影響されると、影響されるような学識経験者が集まっているわけじゃないですよ。それぞれみずからがちゃんとしっかりした定見をお持ちの方がお集まりになっているわけですよ。私たちは彼らが書いているものを読んでいますわ。その定見に対して私たちが違った角度から物を言う、そのためにこの委員会は存在をしているでしょう。あなた方も知らない、大臣も知らない、こういうような状態で私たちも知らない。私は、真剣に勉強しようと思うから、何をおやりになっているんですか、お出しになった説をちゃんと読ましてくださいと言ったら、そんなものはお渡しするわけにはいきません。こんなふざけた話というのはないじゃないですか。
  52. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) これは、関係閣僚会議の下部組織ということで、内閣に設けられた委員会でございまして、その運営等につきましても事務方は審議室が務めているというふうに承知しておりますが、我々が伺っておるところでは、いろいろ御意見があろうかと思うのでございますが、非公開で審議を行い、その結果は当然また公表されると思いますが、それらの扱いについては、委員相互、運営全体としての考え方から現在のような取り扱いになっているものと承知しております。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 私は、情報公開問題で中曽根総理と予算委員会でいろいろな約束事がありますが、こういうものは全く約束をした情報公開に逆行するものですよ。そういうふうにお思いになるでしょう。あなた方はここで私に抗弁するのではなくて、担当が違う、どこかで管理しているのならそこに向かって、総理府に向かって物を言うとか、大蔵に向かって物を言うという立場をちゃんと大臣とるべきですよ。それでなかったら社会労働委員会の権威なんというものはなくなりますよ。  私は、第三回の会合で、例えば国会における補助金に関する論議説明されていますよ。これだって皆さん方秘密にしておいて全然漏らさなかったんです。私は一生懸命調べて、何をやってきたかを全部調べ上げた。これは一体あなた方どういうことを言ったんですか、ここで。
  54. 小島弘仲

    政府委員小島弘仲君) 厚生省からは官房の政策課長がその会議に出席しておりますので、政策課長の方から答弁さしていただきたいと思います。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 もうその必要はありません。  私は補助金特別委員会の委員ですよ。そして、補助金特別委員会での緻密な論議を、私が緻密であったかは別として、政府側の緻密ないろいろの物の言い方に対して、私は幾つかの論戦を挑みながら問題点をちゃんと整理していったつもりですよ。その委員である私に対しても説明用のペーパーを見せない、見せようとはしないわけですね。これは厚生大臣よく聞いておいてもらいたい。閣議でしっかりこの辺のところは困るということを主張してもらいたいんですよ。  これは、委員長、私は理事会に預けますよ。こういうやり方は大変けしからぬ。委員長補助金問題等については、市長経験者でいらっしゃいますから、十分に今の政府のやり方がある意味じゃ間違っていることも御存じです。したがって、理事会としてここの問題は資料を提出させる、そういう形で結論を得るようにお預けをします。
  56. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) それでは、ただいまの資料提出の件については理事会で検討することにいたします。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 時間がないので、そういう運びにしました。政策担当のあなたを無視したわけじゃありません。  スタンガンですが、護身用の高圧電流銃、スタンガンを精神病院に大量に売り込んでいる事実が明らかになってまいりました。既に買っている病院もあります。これは患者の人権上からも、薬事法の上からも私は問題があるような気がするのですが、まず業務局、把握の状態。
  58. 小林功典

    政府委員(小林功典君) スタンガンの問題でございますが、新聞報道が事実だとしますと大変ゆゆしい社会問題ではないかと考えますが、薬事法上のかかわりということになりますと、一般的に申しまして、いわゆる護身用だけに使うということでございますと、これは薬事法の問題にはならない、しかし治療上あるいは診断用として使えば、これは薬事法に抵触する。現在のところ、まだ許可はもちろん得ておりませんから、もし治療用に使っているとすれば、あるいは製造、販売しているとすれば、これは薬事法に抵触するというのが一般的な考え方でございます。  ただ、うちの担当官が一応医業者に事情聴取したことがございますけれども、今までのところの感触では、どうも治療用を標榜しているものではないんではないかという感触が強いわけでございます。ただ、具体的な販売方法あるいは販売のときの説明等々から見て、治療用として病院が購入しているという場合もないとは言えないと思います。  したがいまして、そこら辺はさらに調査検討いたしたいと思っていますので、その結果、もし薬事法に抵触するということであれば厳正な処置をしたい、このように考えております。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 そうなると使用禁止ということになりますか。
  60. 小林功典

    政府委員(小林功典君) もし治療用として製造、販売されておって薬事法に違反するとすれば、これは無許可の医療用具の販売になりますから、罰則がかかるということでございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁、スタンガンを悪用する事件が多発しています。けさの報道も非常に大きいし、NHKのニュースもけさやっていましたが、警察はどういう対応になりましょうかね、ここのところは。所持規制をするとか、あるいは保有者を登録して許可制にするとか、とにかく野放し状態は一刻も早く改善される必要があると我々は考えるんですが、いかがでしょう。
  62. 伊藤一実

    説明員(伊藤一実君) ただいま委員御指摘のスタンガンにつきましては、私ども、暴力団がこれを使用しているという第一線からの報告によりまして、これを入手したところであります。  警察庁といたしましては、早速当該物件を入手した上で種々検討を加えたのでありますけれども、当面、当該物件の所持自体を直接規制する法令がないという結論に達しまして、あえて申し上げれば、その所持の形態によっては軽犯罪法にも触れるんではないかということで今検討中でございます。  しかしながら、ただいま御指摘のとおり、現に暴力団が所持をしておる、あるいは別な犯罪の凶器として使用されているというような状況もございますので、去る十一月八日と十四日の両日にわたりまして、同物件の販売会社に対しまして、この物件の販売を自粛するように警告を発したところであります。  今後とも、関係省庁と十分連絡をとりながら、強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 どうもありがとうございました。  エイズですがね、このエイズ対策、これいろいろの角度からあれがありますが、東京都が来年度からエイズウイルスの抗体保有検査を全額公費負担で行うという予算要求をしています。今後、自治体が希望者に無料で検査するケースが私は出てくるだろうと、こう思うんです。厚生省、どういう指導をされますか。
  64. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 献血された血液の抗体検査という御質問でございますが、実は日赤で今、献血をされた血液についてモニタリングをしております。今までに大体七千二百名ぐらいの検査をしておりますけれども、幸いにして今までのところエイズウイルスに侵された血液はまだ皆無でございます。したがいまして、現段階では、これはまだ全数について抗体検査をやる必要はないんではないかなという考え方でおります。  ただ、問題が問題だけに、これから先、万一をおもんぱかりましてそこら辺を現在考えているところでありますが、何分九百万人分の献血を今いただいているわけでございまして、何かその中で効率的な検査方法はないかということを現在鋭意知恵を絞っている最中でございます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、これ何らかの財政補助考えるということにならぬですかな。なりますか、そういうふうに。
  66. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 簡便な抗体検査方法が今、薬事審議会の方で検討されておるようでございまして、それが認可されますと健康保険に採用していただける予定になっております。したがいまして、健康保険の方でやるということでいいのではないかと考えておりますが。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 献血時に問診をするような指示をされているわけですね。希望者には検査を行うような対応をとることが必要だと考えるんですが、その点はどうですか。
  68. 小林功典

    政府委員(小林功典君) ただいまの御質問は、献血の際の問診というふうに理解いたしますが、確かにおっしゃるとおり、いわゆるハイリスクグループについては、これは献血されてはむしろ困るわけでございますから、そういうエイズウィルスに汚染されていると、あるいは感染していると思われる方々には、これは御遠慮いただくということで日赤は今指導しているわけでございます、  ただ、それでもなおかつ自覚症状がない方で献血なさるという場合、もちろん抗体検査をすれば一番いいんでございますが、何分にも多量な献血でありますし、そこで何か効率的な方法はないかと先ほどから申し上げておるわけでありますが、それを現在検討中でございまして、もうしばらく時間をお与えいただきたいと思います。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 私、ことし、実は文化・教育の視察団で、林健太郎先生団長のやつでアメリカへ行ったんですよ。ニューヨークの教育委員会などといろいろの討論、ディスカッションをしました。そうしたら、ニューヨークの教育委員会が、エイズの子供を学校に入れることは反対という、私は写真も全部撮ってきましたけれども、そういう父兄たちのデモに囲まれているわけですね。そうすると、私たちが想定しておったようなエイズの伝染経路だけではなくて、子供たちは子供たちでもってひっかき合いをやる、ひっかき合いをやっただけでエイズの保菌者からうつっていくということがわかってきますね。  それから最近は、ベルギーのブリュッセルのサンピエール病院とアメリカのがん研究機関との共同発表で、性行為そのものによってありますよというような形になってきた。売春の中からもエイズの伝染はありますよという発表が公的になされてきましたね。そうすると、そこらのところの対策というものも、やっぱり日本の場合、都会地においてかなりの部分ふえているわけですから必要だということになるわけでしょう。これらに対してはどういうふうにお考えになっているわけですか。
  70. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 子供同士でひっかき合いでうつるケースがあるかどうかはちょっと私わかりませんけれども、要するに血液を通じて感染するという疾患でございますので、可能性としては否定できないと思います。  ただし、こういう病気でございますので、非常に患者さんのプライバシーも保護しなくてはいけないという観点もございますので、対策としてはかなり難しい病気ではございますけれども、私ども今やっております対策は、全国に約六百の協力医療機関を設けまして、常時監視体制と申しますか、いわゆるサーベーランス体制をしいておりまして、早期発見に努めるというのが第一の対策として取り上げているところでございます、
  71. 和田静夫

    和田静夫君 アクションプログラム関係の措置として、輸入血液製剤の一部の検定を廃止して、そして業者の責任でチェックするという方針のようですね。一体、エイズ対策上からいって安全を確保できるような措置はこれでとられているわけですか。
  72. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 輸入される血液製剤と申しますと、血漿分画製剤だと思いますが、これにつきましては、既にアメリカでは問診をしておりまして、その証明書のあったものだけを日本に入れるということにしておりますし、それは現にチェックしておりますが、全部証明書はついております。  さらに、最近加熱処理の方式が承認をされまして、これは異例な優先処理で第Ⅷ因子製剤の承認をしたわけでございますが、それについてはもう既に全部加熱処理が行われております。それからもう一つ、血友病患者で関係あります第Ⅸ因子製剤というのがありますが、これも今、加熱処理の製剤の承認申請が出ておりまして、恐らくことしじゅうには、年内には承認になると思いますので、そうなりますと輸入品についてはすべて、ウイルスを不活化してある加熱処理製剤が入ってくることになりますので、その点は、第Ⅸ因子製剤の承認がおりて、それが輸入されるようになれば、まず心配なくなるであろうというふうに考えております。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 PCBですが、もうわずかな時間しか残らないようになりましたが、PCB入りのノーカーボン紙の処理が極めてずさんであるという実態が明るみに出ているわけですけれども、新聞報道によりますと、各県庁、主要市役所の保管状況がいいかげんで、廃品回収に出したり焼却処分にしたりしていると言われるわけですね。  そこで厚生省、この保管状況で知っているすべてのデータは出せますか。それから、もしここで厚生省でなくて通産省だと言われるなら、通産省、各省の内訳を知っているはずですから、これを示してもらいたいんですがね。
  74. 香田忠維

    説明員(香田忠維君) 先生御指摘のPCB入りのノーカーボン紙につきましては、通産省としましては、昭和五十四年当時に、任意団体としまして設立されました旧ノーカーボン紙協会に国、地方公共団体、それから一般事業者の保管する物を一括処理させる方針でございました。  そこで、国の機関及び地方公共団体につきましては通産省が、一般事業者につきましては旧ノーカーボン紙協会が、その保管量につきまして任意の調査を行ったわけでございます。その結果は、中央官庁等においては約七百トン、地方公共団体においては約四百八十トン、及び一般事業者におきましては約四百八十トンの計千六百六十トンの存在が認められたわけでございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省答弁ないですか。私が言っているのは、もっと具体的な、保管状況がどうなっているのか、責任持って具体的に答弁してもらいたいんですよ。例えば、省庁でどれだけだ、自治体でどれだけだというのはわからないの。
  76. 香田忠維

    説明員(香田忠維君) 通生省の行いました調査は任意の、先ほども申し上げましたように任意の調査でございまして、協会におきます一括処理のためにおおよその全体量を把握するために行ったものでございます。したがいまして、個々の数量の把握を目的としたものではございませんので、先ほど申し上げましたグループ別の数字で御理解賜わりたいと存じております。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、これはそれじゃだめなんですよ。五十一年度に厳重に保管するように通達を出しているわけですよ。それが守られていない。保管実態も知らない。これは廃品回収で出せば再生紙としてリサイクルするわけですね。これも、冒頭申しましたように、重大な行政のミスですよ。保管状況がどうなっているのか、これは責任を持って大臣、具体的に出してくださいよ。
  78. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 厚生省といたしましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律を所管しておる立場から、このPCB入りノーカーボン紙問題については行政上の責任を持っておるわけでございますが、事の経緯が、先ほど通産省の方から御報告を申し上げましたような経過があったわけでございますので、通産省と十分連携をとりまして、今後の管理につきまして遺憾のないように努力をしてまいりたいというふうに思います。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 通産省、もう一遍返りますがね、十省庁プラス電電、四十二都道府県、九政令都市、わかっているでしょう、あなたの方は。なぜ言わないんですか。
  80. 香田忠維

    説明員(香田忠維君) 繰り返しになりますけれども、この一括処理を目的としまして、全体数量を把握する目的で任意調査をしたものでございまして、もともとこの調査した相手方から公表を前提にしてとったものではございませんので、個々の内訳につきましては申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 こんなものはあなた守秘義務に該当するようなものじゃないのよ。そんなふざけた答弁ありますか。  大臣、聞いていてどうですか。
  82. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 専門的なことはよくわかりませんけれども、今後の管理についてはやはり厳重にチェックすべきだと思います。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 大臣ね、ここであれやっておっても、時間が来ましたからあれですがね。都合の悪いことになると今のように所管のなすり合いというのかな、そういうことを言ったら悪ければキャッチボールを各省間でやると。これは非常に悪いことなんですよ。  国、地方、民間企業、それに日銀――日銀は既に焼却してしまったようなんですがね、それらをきちんと調査する、保管実態を調べる、大臣約束できますか。
  84. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、通産省と今後十分連携をとって実態の把握に努めてまいりたいというふうに思います。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、そこでPCB紙の散逸を防止するために実態調査をやるということになります、連絡をとって。必要とあれば改めて通達を出す、このことはお約束になりますか。
  86. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいてどういう対応ができるのか、十分に早急に検討してまいりたいと思います。
  87. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 時間です。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 これ向こう側の答弁で少し時間が延びているのでね。  必要とあれば、それは大臣、通達ぐらいお出しになるわけでしょう。これは大臣として当然のことでしょう。
  89. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) そのような必要が生じました場合には通達を出したいと思います。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 もう終わりますから、少し延びていますけれども。  私、最後に、もう少しこのPCB問題であれなんですが、改めての機会にといえばそれまでですけれども、生活環境審議会の適正処理専門委員会が報告書を出した。その報告書をずっと読んでみますと、結論は、ボタン型水銀電池以外は特段の回収を必要としないという、そういうものになっているんですね。この結論は私は納得できない。この報告書は、生活環境保全上の問題を非常に短期的にしかとらえていない。上表中の無機水銀が有機水銀に変わるという研究報告もあって、東京都環境科学研究所の調査によりますと、東京都内三地点の土壌表面の水銀含有量は極めて高い数値を示しているわけです。この調査報告は、清掃工場で焼却処分したことによる可能性もあるとしているわけですね。こういうような調査報告からしますと、「特段の措置を講ずる必要性は認められない。」という報告書は非常にイージーである、そういうように思いますので、ここのところは厚生省の見解を求めたい。これが一つです。  それから、将来に禍根を残さないためにも、疑わしきは分別収集を行うという姿勢が必要であります。東京都の環境科研のレポートというのは大変重要な指摘を私は含んでいると思うんですが、専門委員会はこれを参考資料にされましたか。これが二つ目です。  それから、アルカリ電池を一般ごみと一緒に燃やしたり埋めたりするその土壌汚染の調査は特別に行われましたか。これが三つ目です。  私は、専門委員会検討が不十分であるように思えてならないのは、報告書は、市町村の独自性を尊重するように書かれているわけですが、その財源保証は特になされない。そうすると、市町村が独自に判断して分別回収をしても、その処理は当該の市町村負担となって、ひいては住民の負担となる。環境保全に敏感な市町村ほど負担増になるという行政の仕組み、システム、これはいただけないので、製造業者の責任はどうなるのだろうか。これが四つ目です。  それから、アルカリ電池についてですが、事業者は市町村における経過的措置への協力と、こうなっている。これは五つ目、具体的にはどういう協力を行うんですか。  それから六つ目、市町村が製造業者に引き取りを要求した場合にはどうなりますか。  それから、アルカリ電池の処理費用についても製造業者が協力するということになっているわけですが、これは具体的協力の形態はどうするんですか。五億が三億になったとか、いろいろな話があることはみんな知っていますけれどもね。  最後に、報告書では、六十二年秋にはアルカリ電池は水銀含有量を従来のものに比べて六分の一にするということになっていますね。六分の一でも水銀は入っているわけでしょう。そうすると、市町村の分別収集はこの六分の一の電池が出回ればやらなくてもよいということになる。これは妙なぐあいになるように思えてしようがない。制度上からすると、六十二年度までは、アルカリ電池を回収して水銀はオープンな環境に放出しないということになっていますね。ところが六十三年からは、水銀はその量が半分になるというふうになるのですが、オープンな環境に放出されていくことになるわけでしょう。そうすると、これは環境の汚染を行政が促進していくことになるが、これは最終的には大臣の見解を求めたい。専門委員会報告がまとめられる段階でいかなる動きがあったか。これはいろいろなことを仄聞していますが、はっきり言って、製造業者に甘いのがこの報告書ではないだろうか。六分の一になった段階でも、市町村が独自に判断し、そうして分別する、そういう場合に厚生省はどういう立場を大臣おとりになるのか。  以上、まとめて答弁願います。
  91. 北川定謙

    政府委員(北川定謙君) 乾電池に関する専門委員会調査報告でございますが、報告書そのものは、そういうことで現段階においては問題がないということで意見をいただいておるところでございますが、厚生省といたしましては、この報告書の提言を受けまして、さらに環境の保全の確保を図るために、乾電池の水銀含有量が従来の三分の一に低減されるという、その環境汚染のもとをさらに押さえていくということが一つ。  それから、市町村に分別保管されている乾電池につきましては、市町村による広域的な回収処理を推進するために、今般、社団法人で全国都市清掃会議の中に廃棄物処理技術開発センターというものを設けまして、その処理を適正に図ることをしておるわけでございます。また、周辺のモニタリング等を強化いたしまして、今後ともこういう水銀汚染の実態というものを常にフォローしていくということでございまして、今の段階で全く問題なしとして放置をするわけではないわけでございます。  それから、一度に幾つか御質問をいただいておりますので、ちょっとお待ちください。  それから、先ほどの東京都の報告でございますが、これは委員会が報告書を提出した後のことでございまして、委員会としては参照をしていないわけでございますが、私どももこのリポートにつきましてはいろいろ検討しているところでございますが、まだまだいろいろ専門的な意見議論がある余地は十分にあると考えておるところでございます。  それから、事業者の協力でございますが、全国都市清掃会議の廃棄物処理技術開発センターに三カ年にわたりまして五億円の拠出をしておる、こういう状況にございます。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、最後に見解をお願いします。
  93. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 専門的なことはよくわかりませんけれども、より安全であるためには、なおかつそれが効率的、効果的であるためにはどのような措置をしたらよろしいかということは研究をしてみたいと思います。
  94. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私は、厚生行政に対する一般質疑に際し、第一に来年度の厚生省予算について、第二に先般社会問題となりました佛祥庵事件について、第三に許認可の規制緩和について、以下順を追い、厚生大臣を初め関係当局にただしたいと存じます。  まず、来年度の予算に対する厚生大臣の姿勢について伺います。  昭和六十一年度概算要求枠について、政府は七月末に各省に大変厳しい概算要求枠を示しました。それに従って八月末の概算要求財政当局に提出されているわけでありますけれども、高齢化社会進行に伴う当然増経費が膨大となる社会保障予算は切り詰めようのない実態になっていると思います。  そこで大臣に伺いますが、大臣はどのような認識をこれお持ちですか、まず伺います。
  95. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 厚生省といたしましては、高齢化社会に備えて、やはり長期的に安定をした社会保障制度を再構築するために、医療保険あるいは年金制度改革を初め、各分野において合理化、効率化を進めてきたところであります。来年度においても老人保健制度見直し措置を講じようといたしております。  しかしながら、社会保障予算は、御指摘のとおり、高齢化等によって毎年巨額の当然増を生ずるという特殊性を持っておるわけでございますので、今申し上げたような可能な限りのあらゆる制度改革を行った上で、なおそれ以上に社会保障予算を抑制することは極めて困難な状況になってまいったというふうに思っております。
  96. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 具体的にお尋ねいたしますけれども昭和六十一年度厚生省考えております当然増経費、これはどの程度の金額に上っておりますか。また、その内訳をこの際明確に示していただきたいと思うんです。
  97. 末次彬

    説明員(末次彬君) 昭和六十一年度におきます厚生省予算の当然増は、ごく粗い推計でございますが、約一兆五千億と推計したわけでございます。  その内訳といたしましては、年金あるいは医療費等の自然増分が約八千五百億、厚生年金国庫負担の繰り延べ等六十年度の特例にかかわる部分、これが約六千五百億、合計いたしまして約一兆五千億と推計いたしたわけでございます。
  98. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 一方、六十一年度財政当局厚生省に示した概算要求枠というものはどういうものになっていますか、伺います。また、その総枠と具体的なプラスとマイナス、これを明らかに示していただきたいと思うんです。
  99. 末次彬

    説明員(末次彬君) 本年七月に閣議了解されました概算要求基準の内訳といたしましては、まず原則といたしまして、経常部門につきましてはマイナス一〇%、投資部門につきましてはマイナス五%、これが原則でございます。これに対して例外がございまして、人件費、年金政府開発援助等につきましては、ただいまも申し上げました原則の削減率を掛けずに、それぞれ実情に応じた増額を認める。それから第二点といたしまして、補充費途経費、例えば生活保護等の経費でございますが、この補充費途経費、予備費につきましてはこの原則の削減率を掛けない、つまり同額という要求になるということでございます。  この概算要求基準を厚生省予算に当てはめて考えてみますと、昭和六十一年度の厚生省予算概算要求の基準の枠といたしまして、いわゆるシーリングの枠といたしましては三千九百二十八億円になるわけでございます。これをさらに具体的に申し上げますと、人件費、年金成熟化等によりまして例外的に増額が認められた額といたしましては四千四百八十億円でございます。そのほか特殊要因に基づく増減額、これは共済年金の財政再計算に伴う減等でございますが、これが四億円、ここから先ほど申し上げました原則の要求基準による一律削減額、これが省全体といたしまして五百四十七億円ございます。これを差し引きいたしまして三千九百二十八億円という枠が算出されております。
  100. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 今もお答えがありましたように、当然増経費が一兆五千億円ですね。一方、財政当局が認めた増加分は、プラスマイナスして約四千億円になりますね、そうすると、差し引きますと約一兆一千億円が新規政策増がなくても財源不足が生ずる。明らかなんですね。  そこで、こういうような財源の捻出、どういうふうにつじつまを合わしたのか伺います。
  101. 末次彬

    説明員(末次彬君) 一兆五千億からただいま申し上げました三千九百億を差し引きました約一兆一千億につきまして、第一点といたしましては老人保健制度見直しでございます。これで約千九百億になるわけでございます。それから第二点といたしまして高率補助金の前年度同額要求をいたしております。これで約三千六百億円でございます。そのほか、医療費の適正化等の推進によりまして約千三百億円。それから最後に、厚生年金国庫負担要求額の一部を減額いたしております。これが約四千三百億円でございます。これによりまして対応したわけでございます。
  102. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 先ほど和田委員からも御指摘がありましたが、最近の新聞報道によりますと、さらに高率補助の削減を行う、これで大蔵省厚生省の合意ができた、こういうふうに伝えられているわけです。  厚生大臣、この問題についてどういうような態度で財政当局との折衝に臨まれたのか伺います。また、国と地方との間の補助率の変更については、必要な地方財政措置をあわせて考慮するというのが私は当然だと思うんです。この点は大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  103. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 最近の新聞報道についてでありますけれども高率補助金あり方につきましては、補助金問題検討会結論を待って具体案を決定するということでありまして、現段階で厚生省案というものを持っていないわけでございます。したがいまして、今報道されておりますようなことは、厚生省具体案協議としては行っていないわけでありますけれども、ただ、同検討会の成り行きなどを含めていろいろ話題になり、頭の中で考えておることはやむを得ないことであろうかというふうに思うわけでございます。  国と地方との関係でございますが、先ほど申しました検討会結論を待って具体的に対処するわけでございますけれども、それにより仮に地方負担分がふえる場合は、当然地方財政対策で手当てがなされる必要があると思います。それによって地方財政運営に支障が生じないように努力をする所存でございます。
  104. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 先ほど和田委員からも指摘をされました高率補助の一律引き下げというのは、六十年度限りということに約束されているんですね。この問題について私は不思議に思うのは、政府部内に補助金問題検討会、それからさらに補助金問題閣僚会議、これが設けられているんです。そういった機関の意思が表示されないうちに、その前に前年度並みの引き下げ概算要求を組む、こういうことはどうも理解できないし、大変遺憾なんです。  さらに伺いますけれども、厚生年金国庫負担減四千三百億円はどういうふうにして算出をされた額か、それを明らかにしていただきたいと思うんです。  先ほど説明で、一兆一千億の財源不足から、高率補助引き下げ三千六百億円、老人保健改正で一千九百億円、医療費の適正化による千三百億円を差し引いた残額が四千三百億円となっているわけですね。こう見ますと、いかにもつじつまを合わせたものであって合理的根拠はない、こういうふうに私は思うんです。経営主体が政府だからといって、当面給付に支障がないとして安易に国庫負担を減らし、数字合わせをするのは被保険者、国民を愚弄するものではないか、こう言わざるを得ないんです。安易に認めるわけにはいかないところです。  そこで大臣、見解を伺います。
  105. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 厚生年金国庫負担の取り扱いにつきましては、今後諸般の情勢を踏まえながら、予算編成の過程の中の一環として慎重に検討をして、年末までに結論を得るようにいたしたいというふうにいたしておるところでございまして、仮に六十一年度におきましても国庫負担について繰り延べ措置を講ずることとなるような場合におきましては、やはり将来の年金制度の安定的な運営が確実に保障されるような措置を講じた上でなされることを強く要求する所存でございます。
  106. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 次に、若干意見を申し上げながらただしたいと思いますけれども老人保健制度見直しもとに、患者の一部負担の増大、加入者案分率の安易な変更による現役への負担転嫁、これは私は認めるわけにはいかないところなんです。  なぜなら、政府昭和五十七年度以降、老人医療への拠出、健康保険本人一割負担退職者医療制度への現役被用者からの拠出などなど、いずれも負担の容易なところに安易に転嫁して国庫負担減らしを続けてきたからであります。また、こういった現役への負担増大、私は、増税なき財政再建の名のもとに、租税こそ取らないけれども、現役の負担になっていることには間違いない。社会保障の見地から考えれば、所得再配分がない点、こういう点では私は改善、改正ではなくむしろ改悪なんだ、こういうふうに言わざるを得ないんです。  そこで、大臣に伺いますけれども大臣は、こういった毎年度悪循環を繰り返す予算編成についてどのような認識を持ち、また当面これを打開する方途について具体的にどういうふうに対処するお考えなのか、この際明らかにしていただきたいと思うんです。
  107. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 将来にわたって社会保障制度を安定させなければならない、再構築をするため、その一環として老人保健制度見直し考えておるわけでございまして、そのような制度の中で負担増があるわけでございますけれども、これはやむを得ない措置であり、負担に耐えかねるものでもないというふうに判断をいたしておるわけでございます。そのような医療、年金等の改革を初め、考えられる限りの制度改革、合理化、効率化に取り組んできたところであります。  しかし、他方厚生省予算は、人口の高齢化により、毎年巨額の当然増を生ずるのでありまして、制度、施策の改革、合理化、効率化も限界に近づきつつあるように認識をいたしておるわけでございまして、したがって、現在の財政制度を前提とする限りは、今後の厚生省予算編成は極めて困難な状況に立ち至るものと考えられるところであります。  したがって、将来にわたっても社会保障制度が揺るぎない基盤を保ち、有効に機能していくようにするためには、国全体の財政制度あり方を含めて、幅広い観点から新しい仕組み、枠組み等を工夫していく必要があると考えております。
  108. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 先ほど和田委員からも指摘されましたけれども退職者医療制度創設に伴って加入者数見込み違いなど、これの財政影響額を今後老人医療費における加入者案分率、この見直しでカバーしていこう、こういう考え方があるようですけれども老人保健制度の老人医療費の拠出方法というのは各制度間でどのように負担し合うのが合理的か、こういう観点で見るべきであると思うんです。しかるに、政府がこの基準に老人加入率をとっているというのは私は極めて遺憾だと思っております。しかも、それを退職者医療制度の穴埋めに用いる、これは筋が通らないと思うんです。  退職者医療制度見込み違いによる財政影響額の穴埋めと老人保健制度見直し、これは基本的には別個の問題なんです、関連がないんです。こういうことを別個の問題であり関連がないということをこの際明確にしておく必要があると思うんです。  そこで、大臣はどのようにお考えですか。
  109. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 老人医療費の費用負担増につきましては、私どもはこういうふうに考えております。  サラリーマンが退職すれば国保に加入することでありますので、特に国保におきましては老人加入率が年々高まっておるわけでございまして、現在、組合健保の四倍ということになっております。これにより著しい負担の不均衡が生じており、放置できないというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味合いから老人保健制度見直しをしておるわけでございまして、退職者医療の補てんを目的とするものではございません。このような医療保険制度間の著しい負担の不均衡を是正して、老人医療費の公平な負担を図るという観点から行うものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  110. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 大臣にさらに伺いますけれども昭和五十七年度以降に見られる国庫補助率や給付率の引き下げ、あるいは当面の国庫負担の先送りや繰り延べの措置、または当然増との数字合わせなど、こういった悪循環を断ち切らない限り、私は、我が国の社会保障予算、社会福祉諸施策は先細りになると考えますし、明るいものにはなり得ないと考えるんです。  そこで大臣、この際発想を転換して、社会保障予算は一般会計予算とは別の勘定とするなど、財政当局に積極的に提起する必要があると考えるんです。増岡厚生大臣の実力をますます発揮する機会だと思うんです。昭和六十一年度予算編成について、せめてその足がかりを残していただきたい、こういうふうに強く願うんです。我が国の社会保障、国民の福祉の増進のために一層の奮闘をしていただきたい、ここに強く要請するんです。大臣にその決意を伺います。
  111. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほどから申し上げておりますように、人口の高齢化等によって当然増がかなり大幅に見込まれておるわけでございますから、これに対応するためには、社会保障予算を一般会計と切り離して考えるということは一つの有力な御提案であろうかと思います。私どもといたしましても十分検討してまいりたいと思います。
  112. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 ひとつ大臣の御奮闘を願います。  時間の関係がありますから、次に佛祥庵事件についてただしたいと存じます。  ことしの八月七日付の新聞によりますと、静岡県富士市の私立であります精神修養施設佛祥庵(合田正さんの経営)内で、ことしの六月三十日、精神分裂ぎみの庵生であるAさんが、庵生によるリンチで死亡した事件であります。静岡地検の沼津支部は八月六日、同席の看護人二名と庵生一名、計三名を傷害致死容疑で静岡地裁沼津支部に起訴したとあるんです。  そこで伺いますが、検察庁、警察庁、厚生省は、それぞれこの事件についてどのように把握をしておりますか、その実態把握についてまず伺います。
  113. 上野浩靖

    説明員(上野浩靖君) お答えいたします。  お尋ねの件でございますが、本年六月下旬、静岡県富士市所在のただいま御指摘のありました養護施設佛祥庵におきまして、入庵生の二十六歳の青年が大声を上げましたり、建物の一部を損壊するなどいたしまして暴れたことに腹を立てた同室の入庵生二名及び看護人兼入庵生二名の計四名が、この入庵生に対しまして殴るける等の暴行を加えて死亡させた事案でございます。  静岡県警察では、六月三十日に富士市内の病院からの届け出によりまして事件を認知いたしまして、直ちに関係者の取り調べ及び現場検証等を実施いたしまして所要の捜査を行い、被疑者を特定いたしまして、七月十七日でございますが、この四名を傷害致死の容疑で通常逮捕いたしまして、翌十八日に静団地方検察庁沼津支部に送致したものでございます。
  114. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま警察当局から説明ございましたように、静団地方検察庁沼津支部におきまして被疑者四名の送致を受けまして、所要の捜査を遂げました上、八月六日、このうち三名につきましては傷害致死の事実で静団地方裁判所沼津支部に公判請求をいたしました。また残る一名につきましては、捜査の結果、同一被害者に対する暴行の事実によりまして沼津簡易裁判所に略式命令の請求をいたしております。
  115. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ただいまの御説明にございましたようなことで私どもとしては事件を把握しているわけでございますが、一部の報道には、精神障害の疑いのある者が入庵しておるという報道もございますので、精神衛生の立場から私どもも関心を持っておるところでございます。
  116. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 さらに、具体的にお尋ねしますけれども、合田庵生によりますと、庵生の二百六十七人のうち百人ほどが精神障害者や情緒不安定者という報道になっているのです。  そこで伺うのですが、どんな人たちが入っているのか、また全体をどのように把握をされているのか、この際伺います。
  117. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 佛祥庵におきまして、精神障害の方、情緒不安の方、あるいは非行等の問題を抱えた方々がそこへ入っておるという報道は私ども承知しておりますけれども佛祥庵という施設が特別の法律に根拠を持つ施設ではございませんので、立入権限がないために立入調査を行っておりません。  また、かつて静岡県に対しましてプライバシーの問題を理由に入庵者の名簿の提出を拒否しているということもございまして、精神障害者が現にいるかどうか等につきまして厚生省としては把握をしておらない状況でございます。
  118. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 報道によってすべて私どもは知るわけなのですが、この佛祥庵には反省室というのがあって、読経室というのだそうですが、暴れたり庭内の秩序を乱したりした者を入れている。室内は、トイレつきで八畳から十畳間、こういう洋室であるようです。寝具があるだけで、窓は鉄格子がはまっていて、外からはかんぬきがかけられ、かぎは二重で、古参の庵生が廊下で見張っていて脱出することはできない、こういうふうな報道なのですね。つまり精神病院の保護室、それ以上のものだと思うのです。こういう部屋に登校拒否児や情緒障害児あるいは元暴走族の児童も入れられているということなのです。  先ほど示されましたリンチで死亡したAさん、この反省室で矯正と称して五日間にわたって殴ったり足げりにされたり、さらに布ひもで両手両足を縛られて殴られた、こういうふうになっているのですね。このために十数カ所に及ぶ打撲の皮下出血の傷害を受けて、六月三十日午前零時ごろに外傷性ショックによって死亡した、こういうふうになっているのです。  さらに、このような部屋に登校を拒否した児童が入れられて、暗室の状態で一週間近くも拘禁されていたというふうにも言われているのです。  そこで順次伺いますが、この施設、いかなる法的地位にあるのか、いかなる法的根拠があるのか、まず伺います。
  119. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 法的根拠ということでお尋ねでございますが、私どもの理解しておるところでは、精神病院やあるいは児童福祉施設等特定の法律に根拠を持つ施設ではないと考えております。
  120. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 精神衛生法第四十八条によりますと、精神障害者を収容することのできる施設、これは限定されているわけですね。佛祥庵には収容できないと私は考えるんですが、いかがですか。
  121. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、精神衛生法の四十八条には、「精神障害者は、精神病院又は他の法律により精神障害者を収容することのできる施設以外の場所に収容してはならない。」と規定されておるわけでございます。したがいまして、佛祥庵に入っておられる方がもし精神障害者であるとすれば、精神衛生法上問題があるというふうに考えておる次第でございます。
  122. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 また、報道によりますと、この佛祥庵で昨年五月二十三日に火事があったと伝えられているんです。その際、居住棟に鉄格子があって、かぎがかけられていたために消防隊がこじあけて庵生を救出した、こういうふうに報じているんです。  そこで、消防法や建築基準法に違反をしておって、危険建築物であるにもかかわらず、再三の警告や改善命令などが無視されていると、こう言われているんです。これは事実であるのかどうか、この際明らかにしていただきたいと思うんです。そしてまた、現状はどうなっているのか。これもひとつあわせて、建築基準法ですからこれは建設省でしょうか、消防法になりますとこれは自治省でしょうか、それぞれひとつ現状と事実についてどういうふうに把握されていますか、伺います。
  123. 立石眞

    説明員(立石眞君) お答えいたします。  御指摘の建築物につきましては、まず構造の安全性について規定しております建築基準法の第二十条、耐火建築物にしなければならない建築物を決めております第二十七条第一項、また、特殊建築物の避難について規定しております第三十五条等に違反するとの報告を特定行政庁であります富士市から受けているところでございます。  この違反建築物に対しまして、富士市は、昭和六十年三月二十六日付で建築基準法第九条第二項に基づきまして使用禁止の予告通知を行いまして、さらに本年九月三日付で、同法第九条第一項に基づきまして本年十二月二日以降のこの建物の使用禁止命令を行ったというように聞いております。  なお、現在までこの建築物の違反箇所は是正されていないというように報告を聞いております。
  124. 長谷川寿夫

    説明員長谷川寿夫君) 御指摘の建築物でございますが、現地の消防機関といたしまして、消防法に定めますところの消防用設備が未設置であるという実態の把握をいたしまして、その是正について再三指導をしてまいったところでありますが、是正がなされないため、本年三月の十六日をもちまして、消防法十七条の四に基づきます改善命令を発したとのことであります。しかし、その後も、再三の指導にもかかわりませず、その是正が図られておりませんので、万一火災が発生した場合には人命危険が大きいという現地消防本部の観点から、本年九月三日をもちまして、消防法五条によります。その建物の使用の禁止を命ずる、本年十二月二日以降使用を禁止するという命令を発したとのことでございます。  以上でございます。
  125. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 厚生大臣ね、お聞きしたとおりなんですね。使用禁止になるんです。それで、さっきもお答えがあったように、何の法的根拠もない。  そこで厚生省ね、これは確認ですけれども、すると、当然何人かの人が、看護人がいると思うんです。これも無資格になると思っているんですよ。  それから庵主は、合田さんは単なる経営者であって、入庵については、庵生とこの庵との契約が何かあると思うんですね。これはどういうふうにつかんでおられますか。
  126. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 佛祥庵が、先ほども申し上げましたように、特別の法律に根拠を有する施設でないわけでございますから、看護人という方がいるかどうかはわかりませんけれども、もしそういう方がおられたとしても、特に資格を持った人を充てているとは思われません。ただし、看護士等の資格を有しているかどうかの詳細については、お尋ねでございますけれども、不明でございます。  それから庵生といいますか、そこへ入っておられる方とその佛祥庵との手続契約についてのお尋ねでございますが、静岡県から報告を徴したところ、入庵時の保証金及び入庵後の月々の経費として一定額を徴収することになっていると聞いておりますけれども、入庵に際しての契約については具体的に把握しておりません。  それから、この持ち主の方でございますけれども、医師でもございませんし、また児童福祉施設の施設長という立場でもなく、性格としては沸祥庵運営の事実上の中心者にあるという立場に立っておられるということで承知しております。
  127. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 また、その報道によりますと、同席の第四号、これは読経室というそうですけれども、これには窓もない、トイレもない、こういうことなんですね。このような独房のようなところに十二歳の女の子が十日間も入れられたと、こういうことになっているんですね。しかも、この十日間のうちの七日間というのは、水も食事も与えられなかったと、こう言われているんです。  そこで、これは法務省なり厚生省に伺うんですけれども、こういうふうな人権侵害ですね、これが現に行われている、これはどういうふうにお考えですか、この際見解を受けたいと思うんです。  しかも、国連の一九五五年八月三十日に採択の被拘禁者処遇最低基準規則、これは刑務所などの公的施設に拘禁されている者については適用されているんです。この考え方は、私はある程度民間施設についても参考になると思うんです。  そこで伺いますが、規則第三十一、三十二、これはどうなっていますか、ここに示していただきたいと思います。そして、当然十二歳の子供を一週間も暗室に入れて食事を削る、こういうことは許されない。これはまさしく不法監禁であると、こう考えるんです。この見解についても伺います。
  128. 坂本龍彦

    政府委員(坂本龍彦君) ただいま御指摘のありましたような事実がありとすれば、児童福祉の見地から見てまことに遺憾なことでございまして、到底許されるべき行為ではないと考えておるわけでございます。  また、十二歳の子供を一週間暗室に入れて食事、水も与えなかった、これが不法監禁かどうかと、刑法上の不法監禁に該当するかどうかというのは、私どもちょっと直接にお答えする立場にはございませんが、やはり児童福祉の観点から見てまことに遺憾であって、いずれにしても許されないことであると考えております。
  129. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) ただいま御指摘のような事実について私ども実は承知しておりませんので、具体的な事実に即して申し上げることはできませんが、一般的に、当該行為が刑法上の不法監禁その他の犯罪に該当するかどうかにつきましては、その態様、また実際の状況を含めまして、具体的な事情をつまびらかにいたしませんと申し上げることができないだろうと考えるわけでございます。
  130. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 まあ一般的に見たって、七日間も食事も水も与えないで十二歳の女の子を入れて監禁したということになれば不法監禁であるんですよね。ただ、その具体的な事実関係をまだ把握してないというのなら把握をしていただきたい。これはお願いしておきます。  私は、どうしても言うことを聞かない子供を親が直接押し入れに入れたり物置に入れるということはあるかもしれないと思うんです。しかし、実の子に対した場合でも、おのずからそれには制約と範囲があると考えるんです。  そこで伺いますが、民法の第八百二十二条についてどういうふうに法務省、厚生省はお考えになっていますか、この際、明らかにお答えいただきたいと思うんです。
  131. 永井紀昭

    説明員(永井紀昭君) 懲戒と申しますのは、親が子に対しまして監護教育権に基づきましてその必要な範囲で行うというふうに定められております。八百二十二条にもございますとおり、「必要な範囲内」ということが言われているわけでございます。この「必要な範囲内」ということにつきましては、これは結論的に申しますと、いわば社会常識的あるいは社会倫理観念上相当である、こういうふうに解釈されておるわけでございます。
  132. 坂本龍彦

    政府委員(坂本龍彦君) 厚生省の側としても、ただいまの法務省の御説明と同様の考えでございます。
  133. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 最高裁からいただいた資料によりますと、親権者の子に加えた暴行が監護教育権または懲戒権の行使とは認められないとされた事例、判例がたくさんあるんです。例を申し上げますと、盗癖を矯正するために、当時八歳余の男の子の両手を針金で縛ったまま、二日半余りにわたって、自宅の押し入れの戸をくぎづけにして、押し入れに押し込めたこの親権者の行為というものを、懲戒のために必要な範囲を超えたものである、こうして逮捕監禁罪とした判例があるんです。このように、みずからの子においてもおのずから一般社会観念上の制約があると、こう考えるんです。  どう考えてみても、この佛祥庵で行われていることは、私はこのまま放置しておくことはできない、こう思うんです。そこで、さっきも事実関係がまだ把握されていないということでありますから、厳正にひとつ調査をし処理をすべき事柄である、こう思うんです。  厚生大臣、それから法務省、あわせまして伺います。
  134. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ただいまおっしゃいました調査でございますけれども先ほどからお答えいたしておりますとおり、その法的根拠等いろいろ難しい問題があると考えております用地元の静岡県、富士市ともよく相談してまいりたいと思いますが、私どもの立場といたしましては、やはり精神衛生の立場からもしできることがあれば、何らかの調査をできるかどうかを地元とよく相談してまいりたいと考えております。
  135. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 また、佛祥庵のようなものが全国的にどのぐらいあって、どのくらいの人たちが入っているか、これも早急に調査をしていただきたい。  特に、大臣にこの際お伺いをし、お願いをするんですけれども、法令によらず人身の自由を奪い、拘禁下で不法な懲戒を加えることなどは断じてあってはならない、こういうふうに思うんです。そこでこの際、大臣に特にお願いすることは、厚生、法務、文部、警察、この四者で協議をしていただいて、厳正にひとつ対処していただきたい、こういうふうに思います。  この際でありますから、厚生大臣に強く要請をし、大臣の所見と決意を伺います。
  136. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先生御指摘のように、法令によらず人身の自由を奪い、拘禁下で不法な懲戒を加えるということはまことに遺憾なことでございまして、お尋ねの佛祥庵の問題につきましては、今、静岡県と富士市が集まって検討しておるところでございます。その状況を聴取しながら、今後このような事態をどうすれば防ぐことができるかということについて、各省有効な対策考えるための研究をいたしてまいりたいと思います。
  137. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 もう最後になりましたから、あわせまして大臣の所見も伺うんですけれども、私は、今の一般厚生行政に対する質疑の中で幾つかの提案をし、要請をいたしました。要は、厚生大臣に、国民の健康、生命を守る所管大臣として、また社会保障や福祉の増進を願い、かつ激励をする立場でただしてきたところであります。増岡大臣に期待するところ大であります。私は、予算についても、今の人権の問題についても、福祉の問題についても、ひとつこれはもう大臣に期待するところ大でありますから、積極的にここでお約束したことは実現していただきたいと強く要請をし、最後に大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。
  138. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほどから御指摘のような事態は、まことにあってはならない大変遺憾なことでございますので、今後そのようなことがないように十分対処してまいりたいというふうに考えております。
  139. 関口恵造

    ○関口恵造君 現在国会に提出されております医療法改正案につきまして、歯科医療の確保という観点から幾つかの質問をしたいと思います。  我が国の歯科医療は、自由開業医制に支えられ、予防活動や健診等においても、地域の歯科開業医の献身的な努力に負うところが大であります。これからの歯科医療を考察したときに、この自由開業医制の堅持と歯科医業の安定的経営が基盤となるべきものであります。今回の医療法改正案を見たとき、地域医療計画の策定や医療法人に対する監督規定の改正等、重要な論点が含まれております。  そこで、まず大臣に、今回の改正の趣旨、目的についてお伺いしたいと思います。
  140. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 現行医療法は、これまでも我が国の医療制度の発展に大きな役割を果たしてまいったわけでございますが、今後は、人口の高齢化に伴いまして医療需要が増大し、かつ多様化するとともに、医学、医術の進歩に対応していかなければならない。すなわち、国民に適正な医療をあまねく確保する観点から、根本的な見直しが必要であるということで今回の改正考えたわけでございます。  以上申しましたことの第一歩として、まず、地域の中で医療供給体制の体系立った整備を促進するために、都道府県医療計画について定めることを中心としておりますこと、次に、あわせて医療法人に対する指導監督等の規定を整備する等でありまして、本法案は、医療制度改革の推進のため極めて重要なものでありまして、今国会においてもぜひ成立をお願い申し上げたいところでございます。
  141. 関口恵造

    ○関口恵造君 現在の改正案につきましては、医療供給の体系的整備を図るものとのお話でありますが、なお幾つかの点について考えてみるべき問題が含まれているように思います。  私としましては、我が国の医療における自由開業制は堅持していくべきと考えておりますが、今回の法改正については、医療関係団体から、医療計画の名のもと厚生省がガイドラインを設定することは地域の特性を損ない、全国画一的な医療統制への危険があるという指摘もあります。特に歯科については、各地域において歯科保健医療が適正に確保されており、改めて策定の義務化をする必要があるか疑問であります。  したがって、医療計画の策定は、地域の実情に一番詳しい地方公共団体と専門団体に任すべきと考えておりますが、その見解をお伺いしたいと思います。
  142. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の医療法改正でございますが、地域医療計画を策定いたしまして、体系的な医療供給体制の整備を図るということが一つの大きなねらいでございます。歯科医療につきましても、計画策定を通じまして特殊な歯科診療の確保など、体系的な歯科医療供給体制の整備が図られることがこれによって期待をされておるわけでございます。  また、厚生省が医療計画の策定の指針といたしましてお示しすることに予定をいたしておりますがイドラインでございますが、これにつきましては、事前に、歯科医師もメンバーとなっておられます国の医療審議会の御意見を伺うことといたしております。  また、都道府県が実際に医療計画を策定いたします際に、これも事前に、市町村あるいは歯科医療に関します学識経験者の団体の御意見を伺うということとなっております。  さらに、医療計画を各都道府県において審議されます都道府県医療審議会でございますが、そのメンバーにも、当然のことといたしまして、歯科医師の方が入られることが予定されておるわけでございます。  以上のようなことでございますので、医療計画につきましては歯科医師の方々の御意見も十分反映されるわけでございまして、その内容におきましても、地域のそれぞれの実情に応じたものとなるよう規定されているわけでございます。画一的な医療統制を行うというふうなことに、決してそういうことにはならないと考えておるわけでございます。
  143. 関口恵造

    ○関口恵造君 そのほか、医療と保健の位置づけが現在不明のままで、その責任を医療機関に転嫁するということは納得できませんという声がございます。  歯科の場合、その環境整備がおくれておりまして、特に歯科医師を採用している県庁は全国でわずか十一県、それから保健所では八百五十五カ所のうち六十人程度しかいない現状でございます。これら不在のところには年次計画をもって充足し、歯科保健の推進強化を図ることもぜひ必要だと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか、御答弁をお願いします。
  144. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 歯科保健行政でございますが、例えば三歳児歯科健診でございますとか、あるいは保健所におきます歯科健診、それから地域の歯科保健等々につきまして開業をしておられます歯科医師の方々に大変お世話になっておるわけでございまして、そういった方々の奉仕的な活動によって歯科保健行政が支えられておるということは、私どもも十分認識をいたしておるわけでございます。  今後の歯科保健の充実でございますが、今、先生がお話しのように、県庁あるいは保健所におきまして必ずしも十分な歯科医師が確保されておるとは言いがたい現状でございます。これらにつきましては、地域の実情に応じまして、県庁並びに保健所等かにおきます歯科医師の採用を非常に必要だと考えておるわけでございます。  また当面、国といたしましては、保健所におきます歯科衛生業務指針、これの見直しをいたしまして、歯科医師等の業務の明確化を図るなど、歯科保健行政の一層の充実に努めてまいりたいと考ております。
  145. 関口恵造

    ○関口恵造君 次に、今回の改正のもう一つの柱であります医療法人に関しまして、今回の法改正による法人の組織的な整備を通じまして適正な運営を図るとともに、民間医業経営の中核的主体として、その健全な育成を今後一層積極的に推進することをねらいとしているものと理解をいたしております。  しかし、現在の医療法人の設立要件を見ますと、診療所におきましては、医師または歯科医師が常時三人以上勤務することが求められております。医師または歯科医師が常時一人または二人勤務する診療所におきましても、他の法人制度の例も参考としつつ、法人化の道を開き、医業経営と家計とを明確に分離し、経営の近代化を図る必要があると考えておりますが、この点に関します厚生省の見解を伺いたいと思います。
  146. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の医療法改正案でございますが、政府といたしましては、慎重に検討をいたしました結果、現在御審議をお願いいたしております案、これを国会に提出させていただいたところでございます。  ただいま先生から御指摘のございました、医師または歯科医師が常時一人または二人勤務する診療所について法人化の道を開くべきであるという御主張でございますが、私どもといたしましても傾聴に値するものであると考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、国会におきましてこうした方向で御決定がなされました場合には、政府としてこれに従うことは当然のことと考えておる次第でございます。
  147. 関口恵造

    ○関口恵造君 次に、将来の歯科医師数についてお伺いをいたしたいと存じます。  厚生省昭和四十五年に、昭和六十年までの最小限度人口十万対歯科医師数五十人という目標を立てておりますが、昭和五十五年で既に突破いたしております。将来、過剰を招くことは必至でございます。すなわち、現在歯科大学卒業者数が三千四百人程度であります一方、引退者は六百人程度でございまして、毎年実質二千八百人程度増加する計算になっております。  諸外国を見ましたときに、人口十万対フランスが五十七人、アメリカが五十五人、西ドイツ五十四人でありまして、日本は現時点でこれらの諸外国と同じでありますのに、今後はますますその増大する率が非常に高いわけでございます。  昭和五十七年七月の臨調答申、同年九月の行革大綱、昭和五十九年八月の健康保険法改正時にも、その養成確保対策を見直すべく決議されてまいりましたが、将来の歯科医師の需要と供給のギャップといった観点からも早急に削減を実行すべきであろうと考えておりますが、この点についての見解をお伺いいたしたいと思います。
  148. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今後におきます歯科医師数の推計でございますが、現在の養成状況、養成数がそのまま推移をいたしますと、昭和七十五年には人口十万対八十三人、さらに昭和百年におきましては百二十一人ということになりまして、その後もどんどん増加をするということが見込まれておるわけでございまして、この歯科医師数の問題は、仰せのとおり、大変重要かつ深刻な問題であろうかと存ずる次第でございます。  厚生省で「将来の歯科医師需給に関する検討委員会」、これは昨年の五月に設置をいたしまして、以後十二回にわたりまして歯科医師数問題につき多角的に御検討いただいたわけでございますが、昨年の十二月に「中間意見」が報告をされておるところでございます。その「中間意見」によりますと、歯科医師数の供給数が現状のまま推移をいたしますと、先ほど申しましたようなことで、昭和百年には歯科医師の二〇%程度が過剰になるということが予想されるので、当面昭和七十年を目途に、歯科医師の新規参入を最小限二〇%程度削減する必要がある、こういう内容になっております。  そこで、厚生省といたしましては、本年一月十八日に文部省に対しまして、この「中間意見」の趣意を踏まえまして協力方をお願いいたしました。これを受けまして、文部省におきまして歯学教育の改善に関する調査研究協力者会議というものを発足されまして、歯学教育の改善充実を図るための具体的な方策について、現在鋭意調査研究を行っておられると聞いておるところでございます。  厚生省先ほどの「将来の歯科医師需給に関する検討委員会」でございますが、「中間意見」をお出しいただいた後も、最終報告に向けまして、例えば諸外国の状況でございますとか、地域別の歯科医師数等々につきまして現在検討を進めていただいておるところでございます。
  149. 関口恵造

    ○関口恵造君 次に、昨今医療機関の倒産が増加してきていることもありまして、地域におきます適正な医療を確保するためには、医業の経営基盤の安定と業務の円滑な継続についてさらに検討していくべきであろうと思うわけでございます。  特に、事業税につきましては、歯科医業経営の安定、医療の公共性の観点から、今後とも非課税措置を存続していくべきであることを、この際強く主張しておきます。  また、最近、企業等がオーナーとなりまして歯科医業を行っているケースが目立つ傾向にありますが、医業の非営利経営の基本原則の徹底を図りまして、営利企業が歯科診療所等の経営を行うことがないよう、これらを取り締まるための適切な指導強化を行政当局に強く要望しておきたいと思う次第でございます。  質問を終わるに当たりまして、大臣に再度確認をさせていただきます。  先ほどの地域医療計画に関する質問に対しまして、国の医療統制を図るものではないという答弁がございました。この点を強く心配する向きがあります。つきましては、地域医療計画の策定されます諸段階におきまして、関係者の意見を十分聞きまして、国民の歯科医療受診の抑制、国民の医療に対する受診権を侵害するようなことを招かないよう、慎重な法の運用をしてほしいと存ずる次第でございます。  以上でございます。
  150. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のような御心配に対しましては、そもそもこの地域医療計画の策定につきましては、国がガイドライン等により必要な助言、指導を行うわけでございまして、一方、都道府県が市町村診療及び調剤に関する学識経験者の団体及び都道府県医療審議会の意見を聞いて定めるわけでございますので、御心配はないものと考えておるわけでございます。  なお、念のため、実際の法の運用に際しましても問題が生じないよう適切な配慮をしてまいる所存でございます。
  151. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  152. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  153. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 まず初めに、私は、最近多発しているパラコート入りの農薬による無差別殺人、この問題について御質問いたしますが、現在までの事故の件数、自殺者だとかあるいは誤飲、そういうものも含めて、いわゆるこの事故の件数の発生状況はどうでしょうか。
  154. 藤原享

    説明員(藤原享君) お尋ねの最近非常に目立ちますパラコート混入ドリンク事件の現在までの発生状況でございますが、本年に入りまして四月以降急に全国的に、いわゆるドリンク物等に農薬のパラコート剤などを混入し、自動販売機その他に放置する事案が多発いたしておるところでございます。その数は十一月二十五日現在三十四件が発生しておるというところでございます。この中には、先般来報道されております三重県の津市の事件のように、小学校、保育園等にパラコート剤を混入した牛乳パック十八個を数回にわたり放置するなど、幼児、児童等を対象とした悪質な連続的事犯や、つい先日は、埼玉県の上里町におきまして、女子高校生が自動販売機で購入したパラコート混入のドリンクを飲んで死亡するといったような事案も発生しておるわけでございます。  この三十四件の被害の実態でございますが、そのうち二十人がこれを嚥下いたしまして、うち十三人が死亡いたしております。また、三人がいまだ入院加療中という状態になっておるところでございます。  これらの事案につきまして、今関係府県警察がそれぞれ捜査中でございますが、ドリンク剤の嚥下につきましては、自殺と判明したもの、自殺の疑いが強いものなど十数件も含まれておるという状況になっております。
  155. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 それで、このような非常に危険な猛毒であるパラコートが、我が国では現在のところ、自分の名前、住所、職業、そういうものを記載しさえすれば農協でも薬局でもだれでも購入できる、しかも家庭園芸用のパラコート剤の場合には、園芸店によっては全くノーチェックでこれが販売されているというような、こういう現状にあるわけですけれども、ここいらのところを警察庁としてはどういうようにとらまえておりますか。
  156. 藤原享

    説明員(藤原享君) 今、先生御指摘のこの種の問題に対します未然防止の対策でございますが、やはりこういった問題につきましては、いわゆる一つの啓発活動、こういうものの強化、あるいは自動販売機、この管理者に対する指導、あるいは毒劇物取扱業者に対する指導等がその大きな柱になるわけでございますが、そういった意味から警察庁では、去る九月末、この関係につきまして各都道府県警察に対しまして、それぞれ関係機関、団体等と十分連絡をとってその種の未然防止対策の徹底を図るよう通達をいたしたところでございます。  また、そういった通達を受けまして各府県警察では、それぞれの機関、団体にお集まりをいただきまして、この種連絡会議を開催いたしまして、それぞれの地域、団体の中にそういった対策が浸透するようないろいろ運動をやっておるわけでございますが、一番末端におきましては、それぞれ業者あるいは防犯協会、そういった名前入りの注意を促すステッカー等を自販機等に張りつけまして、末端での購入時のいわゆる毒入りのそういったドリンク剤等を十分に注意するような具体的な方向を打ち出しておるといった状況でございます。
  157. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いろいろパラコートの入ったそういう園芸用の除草剤にしろ農耕用のものにしろ、こういったようなものを販売する場合の末端販売者への通達というようなことはなされて。いますか。今私が申しましたようなチェックするというようなものと厳重な取り締まりの方法はなされていますか。
  158. 藤原享

    説明員(藤原享君) 先ほど申し上げました、九月末に警察庁から行いました各都道府県警察に対する通達の中にもその種の一つの方策を示しておりまして、各関係都道府県警察で、それぞれそういった業者に対してその種の対策の徹底を一応いろいろと呼びかけておるというところでございます。
  159. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 義務づけているわけじゃないんですね。
  160. 藤原享

    説明員(藤原享君) 義務づけということではなくて、呼びかけて、行政指導的にそういう問題について注意を促しておるということでございます。
  161. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この問題について農水省の方ではどのようにお考えですか。
  162. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) お答えいたします。  パラコート剤につきましては、かねてから、いわゆる農耕用といいますか農業用以外の目的に使われまして、自殺とかあるいは犯罪への悪用といったようなことがなされてきておりまして、私ども大変残念に思っておるわけですが、こういった多目的の使用を防止する観点から、私どもといたしましては、従来からメーカーに対しまして、万一パラコート除草剤を飲み込んだ場合にもすぐ吐き出すことができるような催吐剤を添加するとか、あるいは誤って飲むことのないように、製剤の中に濃緑色の色素を添加させるというようなこと、あるいは本年二月には、非常に悪臭を放つ物質を添加いたしまして、においをかげばパラコート剤であるということが識別できるような剤型の改良も義務づけてきたところであります。  また、パラコート剤に限らず、除草剤あるいは農薬の使用が大変最盛期を迎えます六月の一カ月間を農薬危害防止運動の月間といたしまして、厚生省なりあるいは都道府県関係団体と密接な連携のもとにこの運動を強力に展開いたしておりまして、こういった運動を通じて農薬の適正使用あるいは保管管理の徹底の啓発宣伝等を実施してまいっておるところでございます。
  163. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 今お答えがありましたこれらの農薬は、催吐剤を入れるとかあるいは着色、においをつける、こういったようなものは現在登録されている除草剤にほとんど限られている、こう思うんですけれども、問題は登録されていないパラコート入りの農薬でありまして、つまり、韓国あるいは主に台湾から輸入されている農薬については登録外でありますので、これらがどのくらい日本に輸入されているのか、また、それが現実に園芸用あるいは農耕用にどのくらい使われているのか、ここいらの数字はわかりますか。
  164. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) ただいま先生お尋ねのいわゆる台湾その他から入っております無登録のパラコート剤の問題でございますが、我が国内におきます出回り量がどのくらいの量になっているかという正確な数字は現在のところつかんでおりませんが、いわゆる登録されておりますパラコート剤の全体の流通量が約六千キロリットルございますので、それに比べればはるかに少ない数字であろうというふうに見ております。
  165. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 今おっしゃったように、台湾あたりから来る登録されていないパラコートについては、当然催吐剤だとかあるいは着色、においをつける、そういう処置はなされていないということなんですね。
  166. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 私どももそういったものの品質等についてこれまで十分な点検はいたしておりませんけれども、これまで調査した限りにおきましては、催吐剤、着色剤あるいは着臭剤といったようなものが添加されていないというふうに見ております。
  167. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、いろいろ今申しましたような登録をされているパラコートというのは、現在三種類であるというふうに聞いておりますけれども、これがどういうように使用されているか。特に末端の方になるとこれはわからない。園芸用に使われているのか、農耕用に使われているのかなかなかそれは把握できない。特にそういう非農耕用の除草剤については、農薬登録をされていない以上これは取締法の対象外だと、こういうように農水省ではお考えになっているようですし、また厚生省としては、これが毒物劇物としての物質の把握と製造、輸入販売業に携わる業者の登録は行うけれども、販売製品に対する規制はこれはかけられないと、こういうような見解があるようですし、また一方では、今度は消費者の側からすると、農薬に登録を受けたパラコートを使うよりも、登録を受けていない方のパラコートの方が販売価格が五百cc当たり三百円から四百円も安いと、こういったようなことでそういうものの方に農家の方は余計使われていると、こういう傾向があるんですけれども、この辺のところはいかがです。
  168. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) いわゆる無登録のパラコート剤の問題でございますけれども、先生御指摘のように、確かに価格が安いとか、あるいは農耕用に一部使われているんではないかといったような情報もあるわけでございます。  私どもといたしましては、そういった無登録のパラコート剤が農業場面に使われているということ、あるいはその目的をもって売られたという確証が得られます場合には、農薬取締法の規定に基づきまして一定行政処分を検討してまいりたいというふうに考えております。
  169. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 要するに、こうした今までの農薬による自殺者が多発している、あるいはこれが無差別殺人に使われる、しかも容易に手に入る、こういうような危険度からいえば、現在の状況ではあの青酸カリよりかむしろ入手しやすく、だれにでも使える、しかもその毒性においてはこれは変わるところがない。こういうようなことになると、これはもうただ単に毒物というよりも、青酸カリと同様な特定毒物にこれは値するんじゃないか、こう思うんです。  特に、去る十月に行われました日本農村医学会の総会では、このパラコートを特定毒物として指定すべきだと、こういう決議もなされているようですけれども厚生省の方ではいかがですか。
  170. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 今まで農水省からいろいろ行政指導による規制強化のお話がございましたが、厚生省といたしましても、先生御指摘のように、これは毒物に指定されてもおりますので、毒劇取締法の見地から厳しい規制をしているわけであります。  特に、最近のこの一連の事件にかんがみまして、毒劇物の保管管理の徹底について、関係者に対する監視指導をさらに強化するようという指導もしておりますし、また今般、農水省から購入者を農家及び防除業者に限定するという指導も行われているわけでございますので、ひとつ毒劇法と農薬取締法と両面で、農水省といろいろ協議をしながら規制を強化していきたい、こう思っておるわけでございます。  したがいまして、そういういろいろな行政措置を見て、特定毒物の指定というのは将来の検討課題として考えたい、このように考えております。
  171. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 それで、先ほど申しました台湾あたりからのそうした登録外のパラコートについても何らかの規制方法考えておられるのか。当然それはやるべきだと思うんです。片っ方はやって片っ方はやらないというのはもうしり抜けでございますから、だからそれは当然ひとつやっていただく。  それと、今言ったように、もう毒物と指定されてから久しい。しかし、現状こういうような状況でふえることはあっても減ることはないと、こういう現況でございますので、これはよくひとつ農水省あたりと検討をされ、また警察庁とも協議されて、これは当然特定毒物に指定すべきだと私は思いますが、いかがですか。  今の台湾の方のあれもお願いします。
  172. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 台湾からの無登録農薬の取り締まりにつきましては、先ほど答弁させていただいたとおりでございまして、農業用として売られた事実というようなことを十分点検いたしまして、そういった確証を得た上で厳正な対応をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、特定毒物に指定したらどうかということでございますけれども、御承知のように、我々農業側にとりまして、パラコート剤は大変有効な除草剤であるというふうに考えております。  具体的に申しますと、使用方法が比較的簡便で、しかも効果が非常に即効性であるということでございます。大変日本人の気質にも合っているということでございます。それから、直接散布されました雑草のみが枯れまして、その跡にいろいろな作物を植えつけるわけですが、そういった作物に対する影響がない。それから、何よりも価格が、他の同じような特性を持ちました除草剤に比べまして安いという特性がございます。こういうようなことから、先ほど申しましたように、農業生産上非常に有用な農薬であるというふうに考えております。  こういうことから、パラコート剤が特定毒物に指定されますと、当然のことながら、その使用者あるいは用途、使用方法が厳しく限定されるということになりまして、厳格な規制を受けることになるわけです。そうなりますと、農業者が実質的に個人でパラコート剤を使用するということができなくなりまして、農家は他の高価な薬剤を使わざるを得なくなるということが出てきます。そうなりますと、農業生産に与える影響は相当なものがあるというふうに私ども考えております。  こういったことから、私どもといたしましては、現行制度もとで、販売業者に対して、販売する際、購入者の身元、あるいは使用目的の確認の励行、あるいは保管管理の徹底の指導、あるいは立入検査の実施等によりまして、現在問題になっておりますような事故の、あるいは犯罪の未然防止に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  173. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 私の方は、やはり毒物の適正な保安管理という面で、農水省とはあるいは違った目で見る必要がある場合もあるんではなかろうかと思います。  ただ、今、先ほど来申し上げておりますようないろんな規制措置を鋭意努力しておりますので、その結果を見て、この特定毒物指定問題も将来の検討課題にしたい、こういうことでございます。
  174. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、僻地医療の現状と対策についてお尋ねいたしますが、現在の無医地区の状況、それと医療施設、医療従事者の充足状況等について簡単にお答え願います。
  175. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 僻地医療対策でございますが、従来から年次計画に基づきましていろいろの施策を進めておるわけでございますが、まず、無医地区数でございますけれども昭和五十九年、昨年十一月三十日現在で無医地区数が千二百七十六でございまして、過去の数字を申し上げますと、昭和四十一年四月で二千九百二十、それから四十八年五月で二千八十八、五十三年の十月になりますと千七百五十ということで、おかげさまでだんだん無医地区数は減っております。  また、今申し上げました無医地区に居住をされます方々、つまり無医地区人口でございますが、五十九年十一月末現在で三十一万九千七百九十六。これも四十一年は百万を超えておりまして百十九万一千三百十二ということでございますので、人口で申しますと約四分の一に減少いたしておるという状況でございます。
  176. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 それで、僻地という概念も以前とは、最近、モータリゼーションの発達だとか道路の整備だとか、これによってだんだん変わってきたとは思いますけれども、そうした中で、今おっしゃった、年々歳々無医村といったようなものがかなり減りつつあるということはこれは喜ばしいことではございます。しかし、それにしても、僻地医療の特殊性と申しましょうか、一般診療、いわゆるプライマリーケアという程度のものでしかないと。もちろん、CTなんというようなそういう高級な医療機具を備えつけるということはなかなかできないとは思いますけれども、それにしてもいま少し近代的な医療機器を設備する必要があるのではないかと思いますが、この辺の状況はいかがですか。
  177. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) おっしゃいますように僻地医療対策、従来はどちらかと申しますと量の問題、つまり無医地区数を減らすということに大変重点が置かれておったわけでございます。  本年の六月にへき地保健医療検討委員会から御報告がございまして、それに基づきまして私ども、六十一年度を初年度といたします第六次の五カ年計画を現在策定中でございますが、その中で重点を置いておりますのは、今申しましたように、従来は僻地診療所の拡充、僻地診療所の充実という点に重点を置いておりましたのを、僻地中核病院を中心にいたしまして、その傘下にございます僻地診療所あるいは一部開業医の方、そういう方々の、要するに従来は点の拡充でございましたのを面の拡充にしていきたい。それから、僻地に勤務される方々の研修の機会を確保するという策をとりまして、従来の量の拡充から質の拡充を図っていきたい。あるいは、従来僻地医療対策ということでございましたが、例えば健康管理とか健康教育とか、そういった面を加えまして、六十一年度以降は僻地保健医療対策という形でヘルス、医療一体化の対策を進めていきたい、そういったことで僻地医療対策の質の強化ということを図っていきたいと考えております。
  178. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 現在、医師の供給過剰だということが言われる一方では、なお数多くの無医村が存在しているとこういうときに、例の自治医科大学というものが昭和四十六年ですか、設立されておりますが、この自治医科大学の役割といいましょうか、これはもう僻地医療のための特別の医師の養成機関ということが大きな目的の一つであったろうと思いますけれども、僻地医療従事者養成のためにこの自治医科大学といったようなものがこれからも絶対に必要であるのか。御承知のように、一県一医大というものが達成された今日、これからも自治医科大学というような僻地医療を主目的とした賛成機関、これはやっぱり必要と思われるのかどうか、その辺いかがでしょうか。
  179. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 自治医科大学でございますが、お話がございましたように、設立の当初と現在と十数年の時間が経過をいたしておるわけでございますが、その間にいろいろの状況が大変大きく変化をしてきておることは事実でございまして、そういった状況の変化に伴いまして、自治医科大学のあり方についていろいろと議論が行われておるということは私どもも承知をしておるわけでございます。  しかし、厚生省といたしましては、僻地医療の充実のために、今後も自治医科大学の卒業医師の果たす役割は少なからぬものがあると考えておりまして、いろいろ方策を考えなければなりませんけれども、自治医科大学の卒業医師が、今後もその建学の精神に基づきまして活躍していただけることを私どもは期待をいたしておるわけでございます。
  180. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 現在、自治医科大学の卒業生が八百人程度と聞き及んでおりますけれども、この人たちが卒業と同時に地方公務員になるということも、医療の現場での混乱の一つになっているようでして、すなわち、他の医大出身の研修医とは立場が違うため、研修病院では一貫した対応ができないというのも事実のようであります。つまり、研修を受ける病院が文部省直轄の大学病院か厚生省指定の病院かで研修医の身分や研修内容が変わってくるというような、非常に混乱の原因が多いようですけれども、こういったようなこと。  そして、さらにはまた、この卒業生の人たちが九年間のいわゆる年期奉公とでもいいましょうか、研修を受け、僻地に行き、また戻ってきてという九年間の年期奉公が明ける、そして毎年春になると百何十人の人が本就職をするわけですけれども、一県一医大の先ほども申しましたようなこういう医師の供給過剰時代、伝統校と新設校、この挟み打ちに遭って、将来非常に不安定な思いをされているというのも事実のようであります。つまり、年期が明けてから引き続き地方公務員として、医師として勤務できるという保障は今のところ何もないわけなんですね。こういったようなことに対してどのようにお考えになっておりますか。
  181. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今いろいろお話がございましたが、自治医科大学の卒業生がすぐ地方公務員になるということでございます。これは、自治医科大学の性格その他から、いわば当然のことであろうかと思いますが、実際問題には、お話しのように、一緒に研修をしておる他の医師との間でいろいろ議論があることも私どもは承知をいたしております。  それから、臨床研修でございますけれども、現在、自治医科大学の卒業者八百六十一名のうち臨床研修に携わっておる者が二百二十七名でございまして、そのうち大学附属病院で臨床研修を受けております者は四十七人、約二〇%ということでございまして、そのほかの八割でございますが、大部分の者が大学病院以外の都道府県立病院あるいは公的病院で臨床研修を受けておるというのが現状でございます。  それから、義務年限の終了でございますが、昭和六十二年の五月ないしは六月ごろから、第一期の卒業生で義務年限が切れる方が出てまいるわけでございます。大部分の都道府県におきましては、その対応はもうスムーズにいくのではなかろうかと思いますが、一部の都道府県では若干問題視しておる県もございまして、そういうことを含めまして、現在、全国の衛生部長におかれまして自治医科大学卒業生等に関する委員会というものを設置されまして、今申し上げましたような問題も含めまして結論を見出していきたいということで、今、検討が行われておるわけでございまして、私どもといたしましては、そういった衛生部長会の検討等の結果が出ました段階で、都道府県がどうしていくべきかということを考えてまいりたいと思っております。
  182. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、大臣にお尋ねいたしますが、ひところちょっと新聞紙上をにぎわしておりました例の「国立病院療養所の再編成・合理化の基本指針」、ここの進捗状況、それとまた、その対象施設のリストアップというようなものはいつごろこれは発表になる見通しなのか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。
  183. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 国立病院・国立療養所の再編成につきましては、来年を初年度といたしまして約十年間で再編成を図ってまいりたいということで、来年度分の八カ所については箇所を特定いたしましたが、その後の全体計画については今作成中でございまして、まだ発表の段階に立ち至っておりません。
  184. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、社会保障費についてお尋ねいたしますが、六十一年度の社会保障費、いわゆる年金医療費、社会福祉、厚生年金国庫負担繰り延べ、政管健保特例高率補助金一律カットなど、こうした分が六十年度から自然的に経費増としてこれはふえることは明らかでありますけれども、六十一年度の社会保障費、福祉に関する当然増が一兆五千五百四十億、こういうような積算になっておりますけれども大蔵省としてこの当然増経費に対してどのような配慮をなされておりますか。
  185. 中島義雄

    説明員(中島義雄君) 御指摘のように、来年度六十一年度の厚生関係予算の当然増は約一兆五千億円ということでございましたが、大変厳しい財政事情もと予算編成を進めていくために、概算要求基準につきましては三千九百二十八億円という枠内で御要求をいただいておるところでございます。この御要求をいただくに当たりましては大変な御苦労をおかけしておる、またその中で大変な工夫をしていただいているということは私どもも十分に承知しておるわけでございますけれども、この要求もとにいたしましてどのように予算編成を進めていくか、今、鋭意検討中でございます。  一兆五千億円の当然増を縮減するために、概算要求段階で既に、老人保健制度見直しでございますとか、高率補助金につきまして前年度同額の要求をしていただきますとか、あるいは厚生年金国庫負担要求額につきましての一部調整を織り込んでいただきますとか、さまざまの工夫をしていただいておるわけでございます。私どもの段階で、こういった事柄を受けまして、一つ一つ検討を進めさせていただいておるというところでございます。
  186. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 厚生省の方から三千九百二十八億の要求があったということなんですが、そうじゃなくて、むしろ最近の予算の配分の仕方を見てもわかりますように、何せ初めに財政ありきと、そこから始まっていくわけなんですね。それで、おたくの方はこれこれの金額でやってもらいたいというような、要求があったというよりも、むしろ大蔵省の方からの各省への一方的な宣告みたいなことになっているんじゃないか、そういう気さえするんです。  いずれにしても一兆五千億、それに対して三千九百億というそれだけの金額しか得られない。そうすると、あとの不足分については、今後これは絶対必要なものなんですけれども、それをいろいろな見直したとか何だとかで、結局非常に弱い立場の人たちにしわ寄せがいかざるを得ないようなことになってくる。この現状を大臣はどのようにお考えになりますか。
  187. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 来年度の概算要求当たりましては、先生御指摘のとおり、当然増が一兆五千億円見込まれたわけでございまして、しかし一方、予算概算要求基準としては約三千九百億円になったわけでございます。  したがいまして、その中身につきましては、先ほどから大蔵省から説明がありましたようないろんな制度、施策等々見直しをすることによって減額をいたしておるわけでありますけれども、今後やはり高齢化社会の到来とともに、社会保障費は当然増が必然的に多額になってくると思われますので、現在のような概算要求基準を示してその範囲内で行うという、そういう予算編成要求方針といいますか、そういうやり方では今後はとても賄い切れないものが出てくるだろうというふうに思っておりまして、その面での制度の改善というものを今後重点的に行わなければならないというふうに考えております。
  188. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ただいままで挙げられた数字でいくと、これは明らかに福祉の後退と言わざるを得ないわけですが、大臣、この三千九百億、これはもう今後どうしようもないものであって、これ以上は望めないんですか。
  189. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 私どもとしましては、そのほかに四千億円程度の要求というものを出しておるわけでございまして、それがあるいは厚生年金の積立金の減額になるのか、あるいは予算としていただけるものかという交渉は今後に残されておるわけでございますけれども、ともかく、それにいたしましても、先ほど申しましたようないわゆる当然増を賄うに足りない予算ということは今後は避けなければならない。当面こういう施策を行いましても、実質的な福祉の水準ということについては、地方負担に求めたりその他のことで、水準としては保たれておると思いますけれども、今後はその保証がないということも考えられますので、非常に憂慮をいたしておるところでございます。
  190. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 これは大蔵大臣に聞くべきことでしょうけれども、こういう現状を踏まえて大蔵省はどういうふうにこれは考えておられますか。どんどん高齢化していく、それに対してどんどん費用はかさんでいく。だけれども、今申しますように初めに財政ありき、そこから出発するんですから、だからどうしようもない。これじゃ今後どういうことになるか。
  191. 中島義雄

    説明員(中島義雄君) 私ども、社会保障関係の予算編成するに当たりまして常に念頭に置いておりますことは、確かに一つには、現下の大変厳しい財政事情を踏まえまして、財政改革を進めていくために少しでも経費の節減合理化を進めるということでございますけれども、同時に、先生も御指摘になりましたように、これから必然的にふえてまいります社会保障給付、これを将来賄っていくための負担というものとどのようにバランスさせていくかというような観点から、最も合理的な制度、仕組みというものをつくっていくということもまた必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。  それとともに、真に必要な福祉施策につきましては、きめ細かく、また前向きに対応していかなければならないことはもとより当然でございまして、私どもは、こういった幾つかの観点を踏まえて予算編成を進めているつもりでございます。したがって、決して初めに財政ありきというような観点ではなく、社会保障予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。    〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
  192. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 最も合理的な仕組みにと言われるのが、結果的には、何のことはない、非常に弱い立場のお年寄りの人たちへのしわ寄せになっている、これも事実なんですね。  ですから、一つの例を挙げますと、この老人保健法もそうですけれども、例えば厚生省は、老人保健制度老人保健拠出金の算定方法、これも変更しようとしている。現在の加入者案分率が四四・七%、それを二カ年計画で一〇〇%に拡大するというそういう方針を決めておりますけれども、何で二カ年間という短期間のうちにこれだけのアップをしなくちゃいけないのか。そこいらも私どもとしては非常に納得しがたいところなんですが、いかがですか。
  193. 黒木武弘

    政府委員(黒木武弘君) 加入者案分率を二年間で一〇〇にすることについてのお尋ねでございますけれども、私どもは、現状の老人医療の費用の負担の公平と申しますか、その問題について考えまするに、特に国保が老人加入率が年々高まっておるということから、現在、組合健保の四倍ものを人を抱えている、著しい負担の不均衡が生じておりまして、このまま到底放置はできない状態になっていると考えているわけでございます。この負担の不公平を是正するためには、案分率をやはり一〇〇にする必要がある、どの制度も同じ率の老人を抱えてもらった形で拠出金を仰ぐことが適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、御指摘のように、被用者保険に急激な負担増があるということはやはり問題でございますから、六十一年度は八〇%、六十二年度に一〇〇%にさしていただきたいというふうに考えております。このような措置をとりましても、現在の被用者保険の財政状況が安定基調にあるということから、保険料を引き上げなくても対応は可能であるというふうに考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  194. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 なかなか理解できないところなんですね。つまり、今お答えがあったような加入者案分率を八〇%とすれば、組合健保の負担国保をさらに今度は大きく上回っていく。さらに加入者案分率が一〇〇%となりますと、組合健保の負担率は国保の二倍以上になるわけなんですね。すると、これはもうそこに著しい負担の不公平も出てくるわけでして、組合健保、政管健保国保、どのような拠出金の影響額が出てくるのか、そしてその国保国庫負担の削減額というものがどの程度になるのか、お答えいただきたいと思うんです。
  195. 黒木武弘

    政府委員(黒木武弘君) まず、健保と国保保険料負担額が倍になるという御指摘でございますけれども、健保と国保負担状況を申し上げますと、現在の加入者案分率四四・七の場合でございますけれども、組合健保が約一万五千円、国保は三万円となっております。ただし、これは国庫負担をカウントした形でございますけれども本人保険料負担でとりますと組合健保が六千四百三十円、それから国保が一万三千五百九十円ということで、現状は明らかに国保の方が負担が重いと思っておるわけでございます。これを加入者案分率一〇〇%にいたしました場合に倍になるということではなくて、私どもは組合健保、国保両方とも加入者一人当たりで二万一千七百七十円程度の負担になるというふうに考えております。  次に、組合健保と国保の案分率引き上げに伴う財政影響でございますけれども、組合健保につきましては加入者案分率八〇%で七百八十億の増になります。国保は二千九百億の減になるように見込んでおるわけでございます。一〇〇%の場合で申し上げますと、組合健保が千三百六十億の増、国保が四千百二十億の減になるわけでございます。  次に、国庫負担関係でお尋ねでございますけれども加入者案分率の引き上げに伴いまして一千六十億の減になるわけでございます。一部負担の引き上げに伴います財政影響も含めますと一千九百四十億円の国庫負担の減になります。
  196. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう時間がありませんので、この問題についてはまだ他日いろいろ論議したいと思いますけれども、どうしても今おっしゃったような合理的な解決方法という、合理的という名の老人いじめというようにしか私どもとして受け取れないわけなんです。  私どもの試算としては、この問題についても被保険者一人当たりでは一万五千五百円の負担増になる、こういうように試算しておりますけれども、とにかく、先ほど冒頭申しましたように、この問題は六十一年度、六十二年度の二カ年間で加入者案分率を八〇%、一〇〇%にする、こういうようなことではなしに、いろいろな各面からもう少し検討を加えていただいて、いま少し微増的、段階的推移をすべきではないかと思いますが、この辺の検討、努力の余地はないものでしょうか。
  197. 黒木武弘

    政府委員(黒木武弘君) 保険料の比較の際にお答えいたしましたように、組合健保の保険料負担増が一万五千円になるという御指摘でございますけれども、これは事業主負担を含めての話でございまして、本人負担から見ますとその約半分以下ということでございますので、御理解をいただきたいと思います。  どうしてもやらねばならぬかということでございますが、御案内のように、老人医療費は老人人口の増等によりまして急激に増大を見ておりまして、六十一年度で私どもは四兆円を超えるというふうに考えておるわけであります。  したがいまして、私どもの最も重要かつ緊急な課題は、この老人医療費をどういうふうに適正化するか、歯どめをかけるか、そしてその老人医療費をどう国民に公平に負担してもらうか、これが課題だと考えておりまして、これに対しまして老人保健審議会も、老人保健制度を長期的、安定的に運営するためには総合的な見直しが必要だ、こういうことで意見をいただいておりまして、その際、加入者案分率も、多数意見として、一〇〇%を目指して公平な負担を図りなさいという御意見もいただいておるわけでございまして、どうしてもその方向に沿って加入者案分率の引き上げをやらしていただきたいというふうに考えております。
  198. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 終わります。
  199. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 政府は、臨調行革路線に沿って、高齢社会に備えてという名のもとに、社会保障や福祉の適正化を図ってきました。しかしその内容は、端的に言って、福祉の切り下げ、社会保障制度の全面的な切り込みであったわけであります。現在、きょうも議論が出ていますように、いわゆる高率補助金見直し問題が課題に上っている。新聞報道では、六十年度並みの切り下げにとどまらず、さらに二分の一にまで補助率切り下げをやるという方向大蔵省厚生省の合意もされたとの報道さえおる。これに対して、同僚委員に対する答弁でも、結論は年末だと言いながらも、二分の一までの切り下げが検討に上っているということを隠そうとはいたしません。まことに遺憾千万と言うべきであって、したがって、今、国民各層の中から非常に大きな、こういう政府の姿勢に対する反対運動が巻き起こっている。  先日も、全国私立保育園連盟の決起大会が行われまして、厚生省にも強い申し入れが行われたことと思うわけでありますけれども、こうした安易な福祉切り下げを断じて許さないと、そういう立場で厚生省としては予算編成に臨んでもらうべきだということを、きょう極めて持ち時間が少ないので、まず冒頭私の強い意見としてこのことを申し上げまして、きょうは、腎臓病対策の問題を中心に、以下質問をしたいと思います。  そこで、最初、十一月二十三日、日本経済新聞の生体腎あっせん業者に関する非常にショッキングな報道、皆さん方も御存じのことと思います。このような業者はしばしば今日までも報道されて、国会でも取り上げられたことがあるのですが、しかし、次々と同様のケースが発生するというのはまことにゆゆしい問題であります。  今回のケースは、主に東南アジア人を日本に連れてきて、腎臓の摘出、移植をするそのあっせん業であります。既に、大臣局長にもお渡しをしておきましたように、こういう「腎臓提供のあらまし」というパンフレットまでつくって、近く業務を開始するというのでありますが、ここに書いております日本腎提供データーバンクという名称からして非常に紛らわしいものでありますが、一体このアジア腎協会なるものは存在をするのかどうか、大森誠なる医師の名前が刷り込まれているわけでありますけれども、この医師に対して厚生大臣は免許を与えているのかどうか、こういう医師は現存をするのか、こうした点について調査の結果はどうでしょうか。
  200. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘の千葉市内の日本腎提供データーバンクなる業者につきましては、私ども情報を得た段階で千葉県に指示をいたしまして、実態調査と当面の業者に対する自粛指導に当たらせておりますが、今後ともなお県と協力して善処してまいりたいと考えております。  腎の提供を受けたいという透析患者さんはたくさんおられるわけでございますので、このようなことを考える人も出てくるのかもしれませんけれども、実際に生体腎を血縁でない方から取るということは学会でも自粛と申しますか、絶対しないようにということで、移植学会から会員に通知が行っておりますし、移植をする際には、多数の医者の共同作業といいますか、情報もございますし、技術も必要でございますので、そういう点で実態としてこのようなことが行われることはないと私ども思っておりますが、    〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 なお引き続き厳重に目を光らしてまいりたいと考えております。
  201. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで、私のお尋ねをしておるアジア腎協会なる組織あるいは大森誠なる医師、これは現存をするんですか。
  202. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 失礼いたしました。  アジア腎協会という組織があるかどうかはまだわかっておりません。  それから、大森誠さんという方のお名前がここに入っておるのも、私どもも県から入手いたしました資料に印刷されておりますが、これも確認されておりません。
  203. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今も答弁の中で触れられましたように、厚生省からも指示をして、千葉県の衛生部が昨日の二十五日、この日本腎提供データーバンクに対して仲介業務を中止するよう申し入れ、指導をやったということですが、果たして業者の方は中止するとはっきり確約をしたんでしょうか。
  204. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 現在までの報告によりますと、中止をするというふうには言ってないように私ども聞いております。
  205. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まことに重大だと思います。  大臣、私の思うところでは、この業者は医師法違反の疑いが濃厚であると思うのであります。それは、既に六千人の腎患者のデータを持っているとか、これは具体的には大森医学博士を指すものと思われますけれども、先生がデータの照合をするとか、こういうふうに言っているわけでありますけれども、医師でない者が診療行為をしてはならないし、データは他人が持つことができない、これは医師法の定めに反する行為だということにもなるわけでありますし、しかも、今の答弁によりますと、業務を中止すると確約してない。こういうことであれば、放置をしておけばこれは大変なことになる、不安を天下にまき散らすということになるわけでありますから、ぜひ大臣として、厚生行政責任者として、こういうものに対しては厳密な再調査と厳格な指導、適切な指導、これを断固やってもらいたいというふうに求めますが、大臣どうでしょうか。
  206. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、医師としての道に反するのみならず、まず人間として恥ずべき行為であろうというふうに思うわけでございまして、したがいまして、適切な対策を講じなければならぬと思いますけれども、詳しくは政府委員から答弁いたさせます。
  207. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) お尋ねの医師法の件でございますが、事実関係をもう少し確認いたしませんと、そのデータがどういうものであるか、もしカルテであるとしますとそれは非常に問題だと思いますし、その医師の国籍関係も関係してまいるかと思いますし、やや私どもに判断の材料がございませんので、御指摘のような点も含めまして、千葉県を通じてさらに調査をしていただきまして、必要があれば関係方面にも相談いたしまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
  208. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ところで、こういういわば悪徳業者がまかり通るというのも、腎移植普及対策政府の対応の不十分さ、これと関連がないとは私は言えないと思うわけであります。  先日も、九月二十二日だったと思いますが、腎臓病の患者さんの皆さん方が、腎バンクの登録者の拡大を目指して全国一斉に街頭キャンペーンを行われた、これがマスコミにも大きく報道されたところであります。  まず、患者の早期発見の第一としての検尿の普及、これが重要と思いますが、学校健診の充実などで一定の前進はしてきていますけれども、職域や地域ではまだまだ不十分。こうした点で、この面での普及促進をどう図るのか、実情はどうでしょうか。
  209. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) おっしゃいますように、腎不全の対策の第一歩は、もちろん予防もございますけれども、早期発見だと思いますが、学校健診でございますとか、成人病の四十歳以上の健診等におきまして尿の検査が加えられておりますので、その部分についてはデータはあるわけでございますけれども、受診率等さらに向上に努めていかなくちゃいけないと考えておるところでございます。
  210. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この移植の問題に関係をして、先日厚生省は、いわゆる拒否反応抑制剤でありますスイス製のシクロスポリン、この輸入承認を行ったところでありますけれども、臓器移植の医学上の壁がこの拒否反応にある。これを解決する方策としてシクロスポリンが有効な働きをするということで、腎移植の普及に果たす役割は大きなものがあろうと思われますけれども、これが本当に役立っていくためには、当然保険薬に適用される必要があろうと思います。この点で、いつごろ保険薬に適用をする方向なのか、考え方を聞かしてもらいたい。
  211. 幸田正孝

    政府委員幸田正孝君) 御指摘の免疫抑制剤シクロスポリンにつきましては、十一月五日に新医薬品として承認を行ったところであります。健康保険の適用については現在検討をいたしているところでありまして、健康保険で採用いたします際には、薬価基準に登載をいたすわけでありますけれども、そういった観点から、諸外国における価格あるいは市場規模というものについて現在検討をしている最中であります。
  212. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ぜひ早くやってもらいたいと思うわけです。  腎臓移植の普及にとってすべてのかぎとも言うべき問題は、先ほども触れました患者家族の皆さん方が街頭でも訴えているように、死体腎の提供者、その登録をふやすことであります。全腎協、すなわち全国腎臓病患者連絡協議会、ここの皆さん方の八二年の調査で、約半数の透析患者が移植を希望しているということになっています。現在人工透析患者は約六万人、仮にこの半数、三万人に移植をしようと思えば、組織適合や死亡の時期等の問題もあって、その何倍もの提供登録者が必要なことになってくるでしょう。一度に機械的に移植をするわけではないから、単純には言えないかもしれませんけれども計算上、仮に三万人の人々に移植するには何倍、何人程度の登録者が必要かということを厚生省はどう想定しているでしょうか。
  213. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) それは非常に難しい計算でございまして、提供してもよいと言って登録をされている方が亡くなりませんと死体腎移植はもちろん行われないわけでございますので、三万人の人工透析の患者さんに対して、死体腎を移植するのに何人必要かというのは非常に難しいお尋ねではないかと思います。  ただ、腎提供登録者という方々が、先ほどの患者団体のキャンペーンももちろん効果があったと思いますけれども、年々ふえていることは事実でございまして、現在累積で約十万人に達しておるという数字はございます。
  214. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ただ、現状では余りにも少な過ぎるということははっきり言えるわけですね。
  215. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) おっしゃるとおりだと思います。
  216. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、腎臓だけに限らないわけですけれども、死後臓器を提供するということはまさに国民的な理解と協力、これが欠かせない問題だと思うわけでありますけれども、そこへ向けて政府としてどう積極的な協力また施策を講じていくか、こういった点で、その一つとして、六十一年度の予算要求厚生省は、腎提供者の登録普及促進のために普及月間というようなものも設ける新たな予算要求をされておると思うのですけれども、その内容はどういう内容なのでしょうか。
  217. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) おっしゃいますように、私どもも腎の移植の推進というのは非常に腎対策全体の中で重要な施策の一つだと位置づけておるわけでございまして、そのために、今おっしゃいましたような腎登録月間というようなものも設けて、国民の間に内容、思想の普及を図りたいということで考えておるわけでございまして、パンフレットでございますとか、いろいろな媒体を通じての意識の普及促進というふうなことを考えておるわけでございます。
  218. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣厚生省のこの予算要求、腎提供登録者の普及促進月間などを設けてのこの普及活動、これは厚生省予算が軒並み今の臨調路線のもとで削られ、抑えられておる、そういう状況のもとで一点の光明ということで、それほど褒めるわけではありませんけれども、どんな財政上の壁があろうとも、患者の皆さん方が非常に期待をかけて今ここを見守っておる一つの重要な点になっていると思うんです。ただ一年限りの措置で、一年限りの月間で急速に登録者がふえるという生易しいことではないだろう。だから、これを機会に今後とも、やり方はいろいろあると思うんですけれども、そういう提供登録者を一層拡大していくそのための施策を、厚生省としてこれを機会にはっきりと確立するということで努力をやってもらいたいというふうに、特に大臣に要望をしたいんですけれども、どうでしょうか。
  219. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 御指摘のように、提供者の多くの登録を求めることが必要でございまして、幸い逐年提供者の登録はふえておるわけでございますので、この際、月間運動というものを実行してはどうかというふうに考えておるわけでございます。来年度の成果を見ました上で、また判断を下したいというふうに思います。
  220. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ぜひ永続的なひとつ対処としての努力をやってもらいたいと思うんです。  腎提供のPRや登録を扱っていくものとしての腎バンクというのがあります。この腎バンクの増設をするということも非常に重要な仕事になるわけですけれども、現在全国で七カ所。少なくとも各県に一カ所ぐらいに増設をしていく必要があるだろうということで、民間団体の寄附に頼るということだけじゃなく、国としても一定補助を行ってこの増設、前進を図っていくということを検討してもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  221. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、腎移植を推進するためには、先ほどお話にございましたように、登録者をふやすということが不可欠でございます。したがって、その方々の登録を行う腎バンクというのは七カ所では足りないと私ども考えておるわけでございまして、各県に一カ所ずつ腎バンクを設置するということを目標としておりますけれども、現在までのところ、七カ所のうち補助金の出ておりますのは一カ所でございまして、あとは情報ということでございますので、情報で、それこそデータバンクということでいろいろ情報をデータベースにして持っていかなくちゃいけないということでございますけれども、今直ちに補助金にするかどうかということをまだ検討しておりませんが、腎バンクそのものをふやす方向で私どもとしては努力をしてまいりたいと考えております。
  222. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それからもう一つ、いわゆる移植の手術を行う施設として腎移植センターというものがありますけれども、これも現在全国で十一カ所。六十一年度予算要求として三カ所をふやそうとされているわけでありますけれども、これはいわば当然のことであって、厚生省としても各府県一カ所以上、これを目標にしていこうという計画になっていると思うんですけれども、年三カ所程度の増設というこのテンポでは、相当の年数まだそこへ到達するのにかかるということで、ぜひこのテンポを速めた積極的努力が必要じゃないかというふうに思いますが、その点についてどうでしょうか。
  223. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ただいまの腎移植センターでございますが、これは私ども計画当初から十四カ所でございまして、来年既整備が十一カ所、あと三カ所を要求しておるところでございます。そのほかに、今おっしゃいました腎移植を行う医療機関につきましては、既に相当の実績を持っておるものにつきまして、この十四カ所私どもが計画いたしました地方腎移植センターの協力医療機関として位置づけて、円滑な腎移植の実施が図られるように考えておるわけでございまして、今後、現在この腎移植施設というのがまだ二十五カ所でございますので、これを五十六カ所にふやしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  224. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 腎臓病対策の問題を一つの具体例ということでいろいろお尋ねをしてきたわけでありますけれども、もしも、こうした問題を含めて、冒頭意見ということで言っておりましたけれども、今の臨調路線のもとで、せっかくの国民の期待にこたえて今始め出そうとしておるこういったことが、軒並みに抑えられ、切り捨てられるということになれば、これこそ重大であります。  こうした点で、あともう少し時間が残っている模様でありますので、大臣に今後の福祉行政の基本についての考え方について尋ねておきたいと思うわけであります。  冒頭言いましたように、とにかく一年限りの措置だということで強行された六十年度の高率補助金カット、これを六十一年度にもさらに継続していくということについても、これは国会の中はもちろん、国民的にも非常に強い反対がある。いわんや、これをさらに切り込むということで、補助率を二分の一以上のものは二分の一まで一斉に下げるといったようなことが行われたら、それこそ事は重大であるわけですけれども大臣、ほかの大臣にだれか任せるというわけにはいかぬ、国民の社会保障、福祉の問題については、何はさておいても責任を負うべき厚生大臣という立場において、年末に向けて協議検討をやっていくということでありますけれども補助率もとへ戻すということはあり得ても、六十年度以上の切り下げは断じて食いとめると、こういう立場で厚生大臣としては頑張り通してもらいたいということを何としても私は強く主張をするものです。だれかほかの大臣にそれを頼むわけにはいかないわけですからね、厚生大臣頑張ってくれということで、国民はあなたに期待をかけざるを得ないというのでは、それこそ余人をもってかえがたいあなたの使命じゃないかというふうに思うんですが、その点の決意を聞きたいと思う。
  225. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 地方との関係におきましては、国と地方公共団体が機能の分担、費用の負担あり方について幅広い見直しが必要であるとされておりまして、したがって、関係閣僚会議及び補助金問題検討会においてそのあり方について検討いたしておるわけでございまして、六十一年度予算はその結論を待って編成することといたしておりますけれども、もちろん福祉の実質的な水準が下がることのないよう格段の努力はいたしてまいりたいと思います。
  226. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 午前中からと同じような答弁を重ねてここで聞こうという意図じゃないわけです。本当に国民の福祉の後退を来さないと、そのことのために厚生大臣としてはもうとことんその点で頑張ると、これ以上の後退は来さないということで頑張るという気持ちはあるんですか。
  227. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 先ほど申し上げましたように、福祉の実質的な水準は下げることのないように格段の努力をしてまいりたいと思います。
  228. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 時間です。終わります。
  229. 下村泰

    ○下村泰君 午前、和田委員からもエイズのことについてちょっとお尋ねがございました。私は、エイズだけをやろうと思っておったんでございますけれども和田委員の問いに対しまして余りはっきりしたお答えが出ていなかったので、そのはっきり出ていなかったお答えのことに関してお尋ねをしたいと思います。  厚生省の方としては、これからエイズ患者というのは一体どのぐらいふえていくとお思いですか、見通しは。
  230. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 現在十一名というのは御承知だと思いますが、潜伏期が二年、三年ないし五年ということでございますので、既に感染されておる抗体の陽性の方はある程度おられるわけでございます。その抗体陽性者から、アメリカのデータによりますと、一〇ないし一五%発症するということでございますので、確定的な数字は申せませんけれども、三けたにはなるのではないかという感じを持っております。
  231. 下村泰

    ○下村泰君 三けたになるということは、今からつまり確定的な数字は見られないけれども、三けたにはなるという変な確定的な推理が成り立つわけですね。と申しますと、これはもうどんどんふえていく、減ることはあり得ないというふうに私も考えるんですけれども、ふえてはいくが減ることはないとやはりお考えですか。
  232. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) アメリカと事情が違うわけでございますけれども、アメリカの場合には半年に倍々でふえてきておるというような状況でございます、私どもの持っておりますデータによりますと。ただ日本の場合は、多少文化その他の差がございますので、そのような急激なふえ方は私どもないと考えておりますけれども、おっしゃいますように、ここしばらくはふえるということで、減るということはないと考えております。
  233. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますると、これは安閑とはしていられないということになりますね。私も余りこういうものには、大体同性愛的趣味は私にはありませんから、こういうものにはぴんとこないんですけれども。  これは、いろんな記事を拝見するんですけれども、アメリカの統計を見ると、ことし八月三十日現在で患者数累計一万二千九百三十二人、うち六千四百八十二人が死亡、こういうふうになっています。もちろん潜在的な数としてはこれ以上の患者の数はあると見て間違いないし、また死亡率もこれ以上のものである、こういうことになります。ですから、アメリカの方では何かレーガン大統領が最優先課題に取り上げて、ことしは一億ドル、約二百十億円、来年は一億二千六百万ドルの研究費を出すと表明している、こういう記事があります。  さて、そうなりますと日本は、これから減ることはない、ふえる一方であるというこのエイズ患者に対して、厚生省としてはどういうふうな費用、どういうふうな研究費、どういうふうなことをなさっていらっしゃるのか、ちょっと教えてください。
  234. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) エイズ対策でございますけれども、ワクチンもございませんし、治療方法もないということで非常に対策の立てにくい疾患でございます。  しかしながら、私ども現在立てております対策は、約六百の各都道府県に設けられました協力医療機関に御協力をいただきまして、エイズと疑わしき患者さんが出た場合には、AIDS調査検討委員会がお決めいただきました調査票を配付してございまして、それに記入をしていただいて、即刻私どもの中に設けられましたAIDS調査検討委員会の専門の先生方にそのデータを見ていただきまして、これがエイズかどうかということを確定していただく、そこでできるだけ早く見つけるという体制を私ども立てておるわけでございます。  早く見つけるということは、一つには、その方から次の方へうつす二次感染の予防にもつながるわけでございますし、早く見つけまして、まあ対症療法ではございますけれども、できるだけ軽いうちに治療をするということで、早期発見網、これをまず一つ考えておるわけでございます。  それからもう一つは、一般の方たちにこの病気の知識を普及するということは非常に重要なことでございますので、種々の媒体を通じまして私どもこの病気の内容、うつり方等について普及啓蒙をしてまいりたい、このようなことで考えておるわけでございます。
  235. 下村泰

    ○下村泰君 つまり、そういう対策に対する対策費ですね、厚生省はどのくらい早い話がお金出しているんですか、予算は。
  236. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) AIDS調査検討委員会につきましては、これは主に事務費でございますので、約二百五十万程度でございます。それから、研究を推進していただくということでございますけれども、血液感染症研究班の研究費として約一千万ございますが、その中で研究をしていただくという方向考えておるわけでございます。
  237. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、それはまあアメリカとは患者数が違いますわね、患者数は違いますけれども先ほど局長がお答えになったように、減ることはない、ふえる方の一方であるということになれば、そのくらいの研究費じゃちょっと間に合わないんじゃないかという気がするんですがね。これ、これからふえる一方。  と申しますのは、これは私も記事でしか拝見できないんですけれども、順天堂大学の講師でいらっしゃる松本孝夫さんという方がことしの七月、ホモ、いわゆる男性同性愛者百十三人、在日外国人二十人を含むんですけれども、エイズ抗体があるかどうかを検査した結果、四・四%に当たる五人が陽性であったと。日本でもホモと言われる人たちは約三十万人いると。これは恐らく「薔薇族」とかああいった本の愛好者とか、その他そういった関係を調べての数だろうとは思いますけれども、もっと本当はいるんじゃないかと思いますよ、私も。この比率で見ると、一万五千人が保有者になる。これからまた計算していくと、もうことしのうちにも二十人は超えるであろう、患者が。こんなような状況であるといってとが言われているわけですね。  さあ、そうなりますると、今の厚生省のそういったような対策費で果たして事足りるのかどうか、これからそういったことに対する研究費とか予算を組むことができるのかできないのか、どういうふうになるんですか。
  238. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 先ほど対策の二番目で申し上げましたように、この病気のうつるメカニズムと申しますか、それは主に今おっしゃいました男性同性愛者の場合の出血を伴う性行為というのが今一番感染の危険の高いものになっております。したがって、そういう方たちにそのような知識を持っていただいて、感染の機会を持たないようにしていただくということで、将来に向かってはそれ自体の予防はできると思っておるわけでございますが、先ほどふえ続けると申し上げましたのは、最長、一番長くて五年潜伏期がございますので、今まで感染した方たちがまだこれから発症するだろうということで申し上げたわけでございますけれども、そのようなことから考えましても、新たな感染者をつくらないようにするというのは将来の患者を減らすことにもなりますので、思想の普及も図ってまいりたいと考えております。  同時に、おっしゃいましたような研究につきましても、私どもさらに推進をしていきたいわけでございますが、厚生省の中には研究費の枠がございまして、その枠の中でテーマごとに決める研究費もございますので、その部分を配分していただくような努力もしてまいりたいと思いますし、広くこれは免疫にかかわる病気でございますので、難病の研究班の方でも免疫に関係する研究班もございますので、そういういろいろなところで研究を進めていただくということで考えておる次第でございます。
  239. 下村泰

    ○下村泰君 そうすると、つまりエイズならエイズという部門でなくて、あらゆる厚生省の抱えていらっしゃる血液の研究部門がありますね、そういうところでも全部やると。そういうのを一括すると大体どのぐらいになるんですか、予算は。
  240. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 本年度は先ほど申し上げた数字でございますが、来年度はそういうものをふやしてまいりたいということで、各部局、担当部局がございますけれども、そこへお願いをしてまいりたいと考えておりますので、ただいまここで金額はまだ申し上げられない段階でございます。
  241. 下村泰

    ○下村泰君 まあそれは話のついでにお尋ねしたんですけれども、例えば厚生省のある幹部がこういうことをおっしゃっておるんですね。献血時の抗体検査を行うと約四十億円かかり、まだ一般人に広まっていない時期には実施しにくい、こういうようなお答えをなさった幹部の方がいらっしゃるんだそうです。今しかし、かける四十億円で将来どういうふうになるかということですわな。例えば献血時の抗体検査を行うことにそれだけの費用がかかったにしても、人の命を考えて、しかもこういった病気を蔓延させない、ストップさせるということを考えたら、この金額というのは私はさほど恐るべき数字ではないと思うんですがね、いかがでしょうか。
  242. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 今お読みいただきましたそのとおりの言葉ではないと思いますが、こういうことでございます。つまり、献血していただく場合に、エイズの抗体検査をするという場合に、実はまだエイズの検査薬が承認になっておりませんので、これは承認になった後の話としてお聞きいただきたいんですが、その場合にどうするかということでございます。ところが、現在日赤で献血をお受けする場合にモニタリングとして一部検査をしているわけです。現在までに七千二百例やっておるんですが、幸いにしまして、これには一件もそういう抗体を持っている例は見当たらなかったという現状でございます。  ただ、そうは申しましても、今後万一の事態になっちゃいけませんので、この検査の点は費用ももちろんかかります、献血者が大体九百万人でありますから大変な額がかかりますけれども、これは避けて通れない問題だという認識は持っております。ただ、実際に始めます場合に、何か効率的といいますか、ハイリスクグループを選んでやるとか、そういう方法はないかという点で今鋭意検討している最中でございます。方向としてはやるという方向検討したいと思っておるわけでございます。
  243. 下村泰

    ○下村泰君 それなら結構ですけれども、お金の問題じゃないと思いますよ。  それから、先ほど和田委員にお答えになっていらっしゃいましたけれども、輸入した血漿ですね、加熱処理、私らは素人ですからぴんとこないんですけれども、果たして加熱処理をすることによって完璧なのかどうか、ここのところをひとつ伺いたいんです。
  244. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 血友病患者に使われます血液凝固因子製剤、これは第Ⅷ因子製剤と第Ⅸ因子製剤と二種類あるんでございますけれども、それで第Ⅷ因子製剤の加熱処理製剤、新しいタイプでありますが、これについては既に承認をしております。承認に至るまでの間に中央薬事審議会で専門家が集まりまして非常に慎重に検討した結果、加熱処理しました製剤の中のエイズウイルスは不活化すると、つまり活性を失うというデータがはっきり出ておりまして、これはまず間違いないということが申し上げられると思います。
  245. 下村泰

    ○下村泰君 それでは今度、成人不細胞白血病というんですか、これについて伺いたいんですけども、何か私はこの記事を読むことによって、肌にアワ立つ思いという言葉がありますけれども、そんな感じがしているんですけれども、これはある程度の、四十歳以上の年にならないとこの病気は何か発病しない。潜伏期間が非常に長い。ちょうど梅毒の四期の後期ですか、のような症状で潜伏期間が長い。そしてお母さんの母乳からもその子供に感染していくとか、あるいは御主人から奥さんの方へ精液として入っていくとか、そうすると、その奥さんが今度は保菌者になって、またその孫の代まで伝わっていくというような大変これ恐ろしい病気なんですけれども、今のところ厚生省ではどの程度まで把握していらっしゃいますか。
  246. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) ATLと略称しておりますが、成人不細胞白血病のことでございます。この病気は、今まで一般の白血病と思われた中からウイルスによって白血病が発症するということで、五十二年に熊本大学の先生がこの名前をお使いになったようでございます。それから五十七年に、ウイルスによる感染というのがはっきりした論文が出されておる非常に新しい病気でございます。  このウイルスは、今おっしゃいましたように、非常に長い潜伏期で発病するようでございますが、感染が成立いたしますとまずキャリア、いわゆるウイルス保有者になるわけでございますけれども、そのうち二千人ないし四千人から一人が発病するというふうに言われておるようでございます。したがって、病気の数としてはそう多くはないようでございます。また、地域的に主に九州地方、日本の南の方に多い、地域がやや偏在しておると申しますか、偏っているような流行状況のようでございます。  それから、いまだ治療方法がおっしゃいましたように確立しておりません。対症療法しかございませんので、予後は余りよくない病気であることは間違いないようでございますが、そんなような現状でございます。
  247. 下村泰

    ○下村泰君 この記事によりますると、京大のウイルス研究所の教授で日沼頼夫さんとおっしゃるんでしょうか、この方の言葉として記事になっておるんですけれども、母子間などの自然感染者と輸血感染者を合わせて百万人と。九州、沖縄に五十万人、その他五十万人、こういうふうになっておりますね。これだけの数ですと、これはもう大変な恐ろしい数になるのではないかなと私も心配します。輸血だけでも全国で毎年四万人程度、今おっしゃったキャリアというのがふえているということになります。これ、治療法も何もないとなりますると、一体この先どういうことになるのか。こういうことは人々の心に与える影響だけでも大きいと思うんですよ。  今のところ、つまり、つかみ得ているものというのは一体どういうことなんでしょうかね。例えば治療でありますとか、まあ感染経路はここに出ておりますけれども、恐らく治療対策でしょうね、そういうようなものはどうなってございましょう。
  248. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 厚生省の研究班で抗体陽性率というのを一万五千件ばかり調べたデータがございまして、九州の方ですと約三%ぐらいというデータが出ております。その他の地域では〇・〇八から〇・三%という抗体保有率のようでございます。したがいまして、その中から先ほど申し上げたような率で発症するということですので、先ほどのエイズとかなり違うような発生状況だとは思います。それから、今申し上げましたように、地域的にも多少偏っているということですので、発生の分布もエイズのようなものとは違うと考えられるわけでございます。  治療方法につきましては、先ほども申し上げましたように、現在のところ原因療法、つまりウイルスに対するワクチンのような形のような原因療法は、あるいはウイルスを直接やっつけるというふうな治療方法はないようでございまして、他の白血病と同様に、対症療法が行われておるというふうに承知しております。
  249. 下村泰

    ○下村泰君 この日沼さんという教授に言わせますと、いわゆる成人不細胞白血病をほうっておいて何のがん対策であるかというふうに締めくくっておられるんですけれども、エイズの方はどちらかといえば人間の体を免疫退勢にしてしまう。それからこちらの方は何かがんの細胞をつくってしまう、リンパ球をがんにしてしまうというような恐ろしい病気。これが今まで野放しになっていたという、もちろん発見がこういうふうにおくれたことも原因なんでしょうけれども、私が例えば緊急対策はどうなさるんですかと聞いた場合には、どういうお答えになりますか。
  250. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 潜伏期の長い病気というのは、インフルエンザのような対策と形が変わって考えなくてはいけないと私ども考えておりますが、白血病は、御承知のように、がんの一種でございますので、がん対策の中でも当然位置づけなくてはいけないと思うわけでございます。  ただ、私ども考えますには、日沼先生の御意見もあろうかと思いますけれども、この病気についての知験を――知識、経験でございますけれども、そういうものをもっと集めるという必要性もあろうかと思いますし、血液の病気としての考え方もございましょうし、がん対策の方でも同時にやはり研究費で御研究いただくというふうなことで、私どもとしては、やはりまず研究をしていろいろ知験を集めるということが必要ではないかということを考えておる次第でございます。
  251. 下村泰

    ○下村泰君 それ以上のお答えのしようがないでしょうね。聞いている私も、どんな答えが出てくるか、余り期待はかけておらないのですよね。かけようがないんです、こっちも。――笑い事じゃない。ただしかし、こんな恐ろしい病気が発見できないなんて、殊に九州の方において、その新聞の記事なんかを見ますと、日本人は大体九州の方から発生したんじゃなかろうか、日本人の起源を向こうに置くと何かそこに因縁みたいなものを感じるなんて、こういうふうに考えていけば大変ロマンチストになるんですけれども、病気なんかロマンチストなんて言っていられませんから、ロマンの話じゃないのです、これは。  先ほどから大臣、私とのやりとりをお聞きになっていて、こういうものに対する対策費といいますか、予算というのは余りついていないのですね、いつでも。何となく後手後手と後ろになっているわけですね。たまには先手必勝をとっていただきたいと思いますけれども、こういうことの予算に対してどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
  252. 増岡博之

    国務大臣増岡博之君) 比較的人々の間に知られていない病気というものは、やはり予算編成でいろいろ議論をする過程の中では力が弱いということがあり得ると思います。  しかし、今お聞きいたしておりますと、相当多数な患者さんがおありになるようでございますから、今後の研究課題として処理させていただきたいと思います。
  253. 下村泰

    ○下村泰君 よろしくお願いします。
  254. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十二分散会      ―――――・―――――