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1985-11-14 第103回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月十四日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————   委員氏名     委員長         小山 一平君     理 事         工藤砂美君     理 事         堀内 俊夫君     理 事         増田  盛君     理 事         青木 薪次君                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 古賀雷四郎君                 志村 哲良君                 服部 安司君                 福田 宏一君                 松本 英一君                 大川 清幸君                 白木義一郎君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 安武 洋子君                 山田  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小山 一平君     理 事                 工藤砂美君                 堀内 俊夫君                 増田  盛君                 青木 薪次君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 古賀雷四郎君                 志村 哲良君                 服部 安司君                 松本 英一君                 大川 清幸君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 安武 洋子君                 山田  勇君    国務大臣        建 設 大 臣  木部 佳昭君    政府委員        国土庁土地局長  末吉 興一君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設省建設経済        局長       清水 達雄君        建設省都市局長  牧野  徹君        建設省住宅局長  渡辺  尚君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        大蔵大臣官房参        事官       塩田 薫範君        大蔵省主計局主        計官       涌井 洋治君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        住宅金融公庫理        事        猪瀬 節雄君        住宅金融公庫理        事        川上 幸郎君        住宅都市整備        公団総裁     丸山 良仁君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十月十二日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。     —————————————
  3. 小山一平

    委員長小山一平君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきまして建設事業及び建設計画等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小山一平

    委員長小山一平君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、住宅金融公庫及び住宅都市整備公団役職員をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 小山一平

    委員長小山一平君) 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。木部建設大臣
  8. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、昭和二十五年に設立されて以来、国民大衆住宅建設に必要な資金等を融通することにより、国民住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、今後なお一層国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境確保を図っていくためには、現下の財政状況を考慮しつつ、改善措置を講ずることが必要であると考えられます。  この法律案は、以上のような観点から、昭和六十年十月十五日に決定された政府内需拡大に関する対策の中で、当面早急に実施する対策一つとしている住宅金融公庫特別割り増し貸付制度実施に関し、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法について所要の改正を行おうとするものであります。  次に、その要旨を申し上げます。  この法律案は、内需拡大のための緊急かつ時限的措置として、この法律の施行の日から昭和六十一年度末までの期間に限り、みずから居住するための住宅を必要とする者に対し、通常住宅資金貸し付けに加えて政令で定める金額割り増し貸し付けを行うこととし、割り増し貸付分利率政令で定めることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  9. 小山一平

    委員長小山一平君) 以上で趣旨説明の聴取は 終わりました。  これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 私は、まず大臣に質問いたしたいと思うのでありますが、来年度の住宅対策内需拡大策の柱として、またこの第五期住宅建設五カ年計画のスタートの年として特に重要な位置づけが必要だと思うのであります。その意味があってか、六十一年度の概算要求住宅対策を見てまいりますると、国費ベースでは伸び率ゼロに終わっているのでありますが、事業費ベースでは一・一〇倍と他の事業予算に比べて大きく伸びているわけであります。  住宅建設計画戸数でも四万戸増を要求いたしておるわけでありまするけれども、その中身を検討いたしてまいりますと、結局のところ住宅金融公庫事業費融資戸数をふくらませた結果であって、住宅対策が重視されている割には新味に乏しい内容だというように考えているわけであります。建設省として六十一年度の住宅対策費概算要求についてどのような方針で臨んでいるか、これは政府計画としても大きな問題でありますので、まず大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。
  11. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 昭和六十一年度の概算要求につきましては、住宅金融公庫につきまして無抽せんによる貸し付けに必要な戸数確保であるとか、また規模別貸付制度面積区分見直しであるとか、また高齢化社会に対応した施策充実等に関しまして予算編成要求をいたしておるところであります。これらの今申し上げますような問題につきましては予算編成過程でその実現のために全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、かように考えておるのであります。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 新しい住宅建設五カ年計画内容についてでありますけれども、概算要求のこの白パンを見てまいりますると、計画案を見ただけで建設計画戸数前期計画に比べて百万戸減っているんです。それで六百七十万戸となっておりまして、前期計画実績見込みが六百十二万戸ですから、新計画の六百七十万戸はほぼ前期実績を踏まえた規模であって、六百七十万戸を単純に五カ年で割りますと年間百三十四万戸で、これまた現在の着工戸数実績に近い数字に実はなっているわけであります。これでは計画を策定してもしなくても同じだという声が出ております。  そこで、計画という場合には、望ましい目標を決めまして、政策努力をいたしまして目標誘導することでなければ意味がないと思うんです。二十一世紀に向けて住宅建設促進しなきゃならないという社会的、経済的状況下にあるにもかかわらず、長期計画規模を縮小するのはやっぱりどうしても納得いかないということなのでありますけれども、局長答弁をお願いいたします。
  13. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 第四期の五カ年計画実績等についての数字は、先生お示しのとおりでございます。  我々といたしましては、御存じのように居住水準向上ということを主眼にいたしまして第五期の五カ年計画を、今まだ建設省の案でございますが、今後固めていくわけでございますけれども、その際に世帯増の数を大体四、五十万戸といろんな推計から見ております。それから建てかえに必要な戸数というものを七、八十万戸というふうに見ておりまして、さらに今後ふえるであろうと考えられます別荘でありますとか、そういったものについての戸数を十万戸、そういったような数から大体年間百三十四万戸、百三十万戸程度というふうに見込んでおりまして、それを五カ年計画ということで六百七十万戸ということになっております。確かに御指摘のように第四期の五カ年計画に比べますと戸数は減っておりますけれども、やはり経済社会状況変化に応じた的確な五カ年計画ということで考えておるわけでございまして、居住水準向上等を図ってまいりたいということでございます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 わかるようなわからないようなことなんですけれども、一応答弁を踏まえまして、じゃひとつ、新五カ年計画では新しい居住水準が設定される予定であるわけでありますね。その場合に、住宅宅地審議会が六月に答申いたしました居住水準見直しでは、現行最低居住水準が五十平米、まさにウサギ小屋であります。それから平均居住水準が八十六平米、この二分類というものを、平均居住水準を分割いたしまして都市居住型誘導居住水準一般型誘導居住水準の三分類にする、都市居住型誘導居住水準は九十一平米、一般型誘導居住水準は百二十三平米ということのようでありますが、広くしていくということについてこれはよりましな案だと思うのでありますが、一般型は三ないし五割程度面積拡大しているのでありますけれども、都市居住型は一割ということであります。  いわゆるウサギ小屋からの脱出ということに非常に気を使っている案だと思うのでありますが、それよりむしろ最低居住水準を引き上げた方が私はやっぱりイメージとしても、あるいはまた外国に対してもいろいろ悪口を言われないで済むのじゃないかとも思うんです。確かに現行最低居住水準は六十年度までに解消すをという計画になっていたはずであります。そのことから最低居住水準こそ見直して引き上げるべきではないだろうかということを思うのでありますけれども、局長の見解をお伺いいたしたいと思います。
  15. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 居住水準状況を五カ年計画によります居住水準によって見ますと、六十年をめど半数世帯確保すべき目標ということで設定いたしました平均居住水準、これに満たない世帯は五十八年では五〇・九ということで、平均ということですから、約半数ということでございますので目標達成はほぼ確実というふうに見込まれるわけでございます。ところが一方、六十年をめどにすべての世帯確保すべき水準であるということで設定いたしました最低居住水準、これにつきましては五十八年にはまだ一一・四%残っている。五十三年の一四・八%ということからいきますと改善はされておるわけでございますけれども、まだやはり大都市の借家世帯を中心になお相当存在しているというのが現実でございます。  今、先生からも御指摘ございましたが、我が国居住水準につきましては、全体としては今申し上げましたように着実に改善されているということは言えると思うわけでございますけれども、いわゆる欧米先進諸国というものと比べますと、例えば五十九年の新設住宅平均面積は、平均床面積でございますが、アメリカの場合に約百三十五平方メートル、西ドイツでも九十平方メートル、我が国の八十四平方メートルに対してかなり差があるという状況でございます。  最低居住水準を改めるべきではないかということでございますが、平均居住水準の方につきましては先ほど申しましたようにほぼ達成ができるということでその居住水準を上げたわけでございますけれども、最低居住水準につきましてはまだ一一・四%残っている。したがって、現在の目標はこれをいかに早く解消すべきか、そういうことではないだろうかということで、今度の五カ年計画の案におきましてはこの期間中になるべく早期にこれを解消するというふうに考えておるわけでございまして、諸施策をいろいろ総合的に展開しながら、その目標に向けて邁進したいというふうに考えているわけでございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 その努力は認めているわけでありますが、住宅対策内需拡大策の柱として期待されているのでありますから、戸数の問題もさることながら、住宅投資規模が問題にされなければならぬということになろうかと思うんです。最近は増改築が急増しているんですね。その市場規模というものは十兆円にも達する勢いにあるということが一説では言われているわけであります。したがって、新築戸数が伸びなくても増改築等を含めた住宅関連投資規模がいかに伸びるかが重要だ、トータルとして住宅投資を今後どのように伸ばしていくかが問題だと思うんです。  新五カ年計画期間中の住宅投資規模について は、建設省はどう予測しているか、試算があるはずであるので示してもらいたいと思うし、それからまた新五カ年計画住宅投資規模について内需拡大の柱となり得るような規模でなければならないと思うのでありますが、国民総所得に占める割合はどのようになっていくのかということについて御答弁を願いたいと思います。
  17. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 計画期間中の住宅投資額、つまり投資規模でございますけれども、六十一年度から六十五年度までで七十五兆というふうに見込んでおります。  それからいわゆる質の向上ということで、居住水準を上げるためにどういうことをやっていくのかということでございます。先ほど申しましたように、その基本は新しい居住水準、これは平均の方でございますけれども、誘導の方でございますが、設定して、それに向けていろんな施策を展開していくということでございますが、最低居住水準解消を早くやろうということを先ほど申し上げたわけでございますけれども、そのためには老朽、狭小のストックの建てかえの促進でありますとか、あるいは市街地住宅供給促進事業、こういったものをやっておるわけでございますけれども、そういうものを推進することによりまして公共賃貸住宅の的確な供給を図る、あるいは住宅金融公庫土地担保賃貸住宅貸し付けの拡充、こういったようなことを進めまして良質な民間賃貸住宅供給促進が図られるようにしてまいりたい。そういうことによって先ほど申しましたような目標達成に一歩でも近づきたいというふうに考えているところでございます。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 去る十月十五日の経済対策閣僚会議におきまして決定されたところの内需拡大に関する対策の中で、当面早急に実施する対策として、住宅金融公庫特別割り増し貸付制度実施、それから貸付枠追加が盛り込まれたんですね。過去にも、例えば私の記憶でも五十三年、それから五十七年と五十八年というように景気対策の一環として公庫に対する財投追加が行われたのでありまするけれども、今回のように制度改正いたしまして住宅建設促進を図るということは初めてのことなんです。  そこで、まず特別割り増し貸付制度の概要と、急遽済対策の中に盛り込まれるに至った背景についてお伺いいたしたいと思います。
  19. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 我が国住宅事情につきましては御案内のとおりでございますけれども、新規の住宅建設も百十万戸ないし百二十万戸、最近は百二十万でございますけれども、そういった推移をしておりまして、我々としては、先ほども申しましたが、低い水準であるというふうに考えてございます。したがって、居住水準向上という点から考えましても、住宅建設促進というのは急務であるということが考えられると思います。  一方、輸出にインパクトを与えない内需拡大というのがまた特に求められておるわけでございまして、そういう観点から今回の内需拡大策一つの柱として住宅建設というのが出てきたというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回の内需拡大の、金融公庫の問題でございますけれども、従来のいわゆる基本的な貸し付け枠外で特別な割り増し貸し付けをするということで制度改正をお願いしているということでございます。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、財投金利並みの六・八五%を予定しているようでありまするけれども、この利子の点についてなぜ財投金利並み利子にしたのか。財投金利並み金利では、今民間住宅ローンが七%のちょっと先まで来ているんですよ。そういたしますと、何か政府がいろいろ考えてくれるについてもどうも時代に逆行しているのじゃないかというように思われがちなんですね。したがって、民間住宅ローン金利が戦後最低水準を歩んでいる。それだけ厳しい世の中だと思うのでありまするけれども、その魅力の点で私は心配しているんです。  ですから、後で申し上げたいと思うのだけれども、二万戸伸ばすと言っても二万戸伸ばすことになるかどうかということも私は心配しているんですけれども、この利率について一律財投金利並みの六・八五、財投金利だって今度下げたんですからね。大臣、そうでしょう。財投金利を下げたけれども、建設省で考えている金利についてはぐっと上げたという形になるわけですよね。この点について、ちょっと時代逆行型だと思うのだけれども、その点いかがですか。
  21. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) もう御案内だと思いますが、今回の内需拡大に関する対策、決定されておるわけでございますけれども、そこにおきましては「予算税制措置を伴う施策については、今後の予算編成税制改正過程で検討する」というふうにされておるわけでございます。そこで、今回の特別割り増し貸し付けにつきましては、こういった趣旨を前提といたしまして緊急かつ時限的措置として通常貸付限度額枠外で行うということにしたわけでございまして、その結果といたしまして財投並み金利ということになったものでございます。  なお、現行制度におきましても類似のものがございまして、貸付限度額の枠内で行っている住宅積立郵便貯金に対する割り増し貸し付けなども財投並み金利となっておるわけでございます。先ほど先生指摘のように、確かに民間金利が下がってきておりますが、現時点で七・三八%というふうに私理解しておりますが、したがいまして、仮に財投並み金利であるということでありましても、金額が比較的大きいということがございますので、民間ローンを借り入れる場合に比べまして毎月の返済額、これはいろいろ条件ございますけれども、三千円から六千円程度軽減されるというふうに試算されておりまして、かなりの効果が期待できるのではないか。  しかしながら、私どもとしましては、六十一年度の予算におきまして本来金利である例えば五・五%口につきましては、これは土地と上物と両方入れてございますけれども、八十万円の引き上げを要求しているところでございまして、そういった改善というものを予算編成過程を通じて努力してまいりたいというふうに考えております。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 私ども、今回の特別割り増し貸付制度の創設はこれを評価しているんです。この改正案に賛成の立場をとっているのでありますけれども、利率財投金利並みということであればその評価も相当低くなってしまう。利率は何も制度財投金利並みでなければならないということではないのでありますから、それ以下でもいいんですね。個人住宅融資と同率の五・五%まで引き下げを検討してもらいたいと思うのだけれども、検討することについていかがですか。
  23. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほども申し上げましたように、今回の緊急措置というものにつきましては、予算に絡むものにつきましては予算編成過程でやるということになっておりますので、今回の改正につきましてはこういう形でぜひやらせていただき、本来の予算のものにつきましては予算編成過程で、先ほど申し上げましたようなそのほかにもいろいろの内容ございます。例えば五・五%金利口が現在百十平方メートルまでということになっておりますけれども、先ほどから出ております居住水準向上ということから考えましても、これを百二十平米までに上げてもらいたいというような要求もいたしております。予算編成過程でそういった住宅金融公庫貸し付け条件改善ということを図ってまいりたいというふうに考えております。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 局長、このごろいろんな意見を聞いてみますと、親子世代にわたって住宅ローンを返していくということを考えてくれないと、ともすれば住宅の売れ行きが悪い、思うようにいかないということは、毎月毎月の、人事院の勧告を抑えたり、いろいろ月給を抑えたりするものだから限界に達しているわけですな、生活費に追われてしまって。そういう点が一番問題なんです。それはほかにもいろいろあるけれども、そういうことなんかについて親子世代にわたってローンを 返していくというような制度について検討する用意がありますか。
  25. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今御提案のありました制度一つの考え方と思います。なお、いろいろな問題もあるかと思いますが、いろいろと勉強さしていただきたいと思います。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 今回の特別割り増し貸し付けは、実施期間を六十一年度末までとしているんですね。それはあくまでも内需拡大のための特例的な緊急措置ということでそうしたのであろうと思うのでありますが、対外均衡是正のための内需拡大必要性というものは一年や二年で済みそうにはないんです、今の状況からいきまして。何ゆえ六十一年度までとしたのか、情勢の推移によっては六十一年度末以降も継続させる用意があるかどうか、これはひとつ政府方針として大臣から御答弁願いたいと思います。
  27. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 私、ちょっと最初に申し上げたいと思います。  今回の内需拡大に関する対策におきましては、経済摩擦解消対外均衡是正というものを目標としておりまして、当面早急に実施する施策と今後推進する施策というふうに定められておるわけでございます。  今回法律改正をお願いしております特別割り増し貸し付け、これにつきましては当面の緊急かつ時限的措置として実施されるものでございます。そういうことで六十一年度末までとしているものでございます。  今後につきましては、中長期的な観点から、二十一世紀に向けまして居住水準向上を図るために予算を伴う措置を含めまして公庫貸付条件整備あるいは充実を図る必要があると考えておりまして、先ほども申し上げておりますように、予算編成等を通じてその努力をしていきたいというふうに考えております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 特別割り増し貸し付け実施に対応いたしまして貸付枠の二万戸追加が行われることになったわけでありますけれども、この二万戸はある程度需要予測を立てて決定された戸数であると思うのでありますが、追加の枠を二万戸とした根拠をひとつ示していただきたい。また、この二万戸の完全消化の見通しがあるかどうか、この点についても確信に満ちた答弁をお願いしたい。
  29. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今回の特別割り増し措置先ほど民間ローンとの問題ございましたけれども、それに伴いまして利用者の借入金全体の金利が、いろんな条件がございますけれども、そういったものを設定しながら計算してみますと、〇・二%ぐらい下がるわけでございます。これに従来からの経験則等に基づきまして一つのシミュレーション方程式を持っておるわけでございますが、いわゆる金利が幾ら下がったときにどういう効果があるかというシミュレーショシ式でこの〇・二%というものの効果を考えてみますと約二万戸の増加があるというふうに出てくるわけでございまして、今度の措置全体としてそういう効果は間違いなしに出てくるというふうに考えております。  それからこの消化につきましては、あるいは後ほど公庫の方でお答えがあるかもしれませんが、特に下期の受け付けにつきまして従来は大体三回目と四回目二回、大体一カ月程度やってきたわけでございますけれども、今回は年末年始を除きましてなるべく早くこの募集を開始いたしまして、年末年始は除きますけれども年度の終わりぐらいまでやるということによっていわゆる営業日数というものを例えば昨年の五割増しぐらいにするということで切れ目なく募集をしていく。さらには、いろんなPRでありますとか、もちろん新聞、テレビを通じるPRもございますが、そういったことを通じまして国民の皆様方によく理解していただくということを考えておりますので、鋭意その消化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 今回の特別割り増し貸付制度はみずから居住するために住宅を必要とするという者に対して貸し付けることになっているわけであります。したがって、個人住宅建設と購入だけが対象になっている。そういたしますと、先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、賃貸住宅建設にはこの特別割り増し貸し付けは利用できないということになる。何ゆえ賃貸住宅をその対象から除外したのか、この点が私は理解できないわけでありますが、この点について説明願いたいと思います。
  31. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 金融公庫土地担保賃貸住宅になるわけでございますけれども、これにつきましては、土地所有者によります住宅供給促進でありますとか、あるいは土地の高度利用、それから賃貸住宅の的確な供給、さらには都市の不燃化の促進、そういったような観点からほぼ建築費の全額に相当します、現在九九・四五%という融資率になっておるわけでございます。これは最も優遇されている融資率でございます。我々といたしましては、その促進に鋭意努めておるところでございますが、個人住宅向けの融資と異なりまして特別割り増しの言ってみれば余地がないということになるわけでございます、九九・四五という融資率でございますから。そういうことで今回の対象としなかったわけでございます。  しかし、先生のおっしゃるとおり、我が国住宅事情を見ますと、特に大都市地域を中心といたしまして四、五人用の標準的な世帯向けなど、言ってみればしかるべき規模を持った賃貸住宅というものの供給が不足しているということも事実でございます。そういうことで、先ほども冒頭にありましたが、最低居住水準に達しない世帯がなお多数残っているということでございまして、いわゆる借家世帯居住水準向上というものを図るのは住宅政策上の非常な重要な課題であるというふうに考えております。  こういったような観点から、低所得者層あるいは都市勤労者等の中所得者層に対しまして公営住宅あるいは公団住宅等の公共賃貸住宅の的確な供給を図る必要があるわけでございまして、そういうことから老朽、狭小なストックの建てかえの促進でありますとか、それから先ほども申し上げましたが市街地住宅供給促進事業、そういったものを促進しまして良質な民間賃貸住宅供給促進するということで、金融公庫土地担保賃貸住宅貸し付け、それから特定賃貸住宅建設融資利子補給制度、いわゆる施策民賃と言っておりますが、こういった制度の充実を図っておるところでございますが、なお今後ともその充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 私の記憶の中に、五十八年に景気対策の一環といたしまして九千戸の貸付枠追加が行われたことがあるんです。そのときは、個人住宅三千戸、団地住宅が三千戸、賃貸住宅が三千戸、賃貸住宅にも対策が講じられたのであります。  確かに今、局長のおっしゃったように九九・四五%、これらの関係等については融資率がよく、最も優遇されているから今回外したという話でありますけれども、やっぱりどうも納得できないということで賃貸住宅への配慮がなされていないということが言えると思うのでありますけれども、これからの住宅対策というものは賃貸住宅重視ということが言われた中におきまして、また現実にいろいろ建設省の発行した資料なんかを見てみましても非常に賃貸住宅志向というものが多いんですよ。住宅取得ということは、これは大きな財産を自分が取得するわけですから、どんなに無理してもひとつ買いたいということはあったにしても、やっぱり買う能力がないというようなことから、それだけ生活が派手だけれども厳しくなっているという証左だと思うんですけれども、その点についてもう一度答弁をしていただきたい。
  33. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 非常にごもっともな御意見だと思います。ただ、前のいわゆる割り増しといいますか増加に比べて今回違うのは、今回の特別割り増しということでいわゆる通常の枠のほかにそれに加えてお貸しするということで、多少事情が違うのだと思います。  それから賃貸住宅が重要であるということは、 我々十分考えておるわけでございます。例えば、来年度の予算要求でございますと、住宅都市整備公団でございますが、建設戸数、賃貸用特定分譲住宅、いわゆる民賃でございますけれども、一千戸増加して九千戸にしておるというようなこと。あるいは、やはり住宅都市整備公団関係でございますけれども、民賃の制度の拡充でありますとか、さらには都市住宅総合建てかえモデル事業の創設ということで公団住宅団地を対象に含め、あるいは施行者に加えるといったようなこと。また、住宅金融公庫につきまして申し上げますと、賃貸住宅につきましては六十一年度要求では昭和六十年度の一万六千五百戸に比べまして二万二千五百戸というふうにふやしておりますし、また土地担保賃貸住宅貸し付けにつきましても敷地規模を下げるというような制度改善要求をしておるところでございます。ほかにもいろいろございますけれども、我々、先生のおっしゃるとおり、賃貸住宅必要性というものを十分認識して予算要求等を行っているつもりでございます。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 住宅投資拡大するには、持ち家住宅建設促進も必要だけれども、今申し上げたとおりですけれども、同時に賃貸住宅増改築などのリフォームの促進も重要だと思うんですね。ところが、内需拡大に関する対策には賃貸住宅については何も触れておらない。確かに今、局長答弁にあったように民賃を千戸ふやしたということもあるでしょうけれども、今回の内需拡大は今申し上げたように賃貸住宅については何も触れておらないということについて、増改築等のリフォームの促進については申しわけ程度に書かれているだけだというように考えるわけです。  何ゆえ内需拡大に関する対策の中で賃貸住宅対策を盛り込まなかったのか。また、今回の特別割り増し貸付制度の対象に増改築貸し付けを加えなかった理由はどこにあるか。内需拡大の即効性を期待するならば増改築資金貸し付けについても割り増し貸し付け実施すべきではないだろうかというように私は確信を持って言えると思うんです。今、私の近所でも見てまいりますると、家族がふえてきたとかというようなことで一間ふやしたとか、こういった意味増改築という希望が相当高まっているということなんかについて建設省は期待にこたえるべきだと思うのでありますけれども、この点いかがですか。
  35. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 住宅の量的充足の伸展に伴いまして住宅ストックを良好な状態に維持管理する、それとともに居住水準改善あるいは設備の高度化等々いわゆる質の向上を図るという観点からいたしますと、先生指摘のとおり、増改築等のいわゆる住宅リフォームの推進というものは今後の住宅政策上あるいはさらには内需拡大を図るということにおいて非常に重要な課題であるということはそのとおりだと思います。  ただ、今回の特別貸付制度につきまして申し上げますと、増改築平均工事費というのが新築に比べて約三分の一であるということ、それから現行貸付限度額が三百五十万でございますが、これで見てみますと平均的には実質貸付率が七〇%近くまでなっているというようなことで、今回割り増し貸し付けの対象といたしました例えば新築住宅でございますと実質融資率が約四割であるというような実態がございます。そういったようなものに比べて高くなっているというようなこと等を勘案いたしまして対象としなかったわけでございます。  なお、繰り返しのようになりますが、六十一年度の概算要求におきましては、住宅改良資金につきまして通常金利、これは六%でございますが、通常金利口によります貸付限度額の引き上げ、これは三十万円でございますけれども、それから償還期間の延長、これは十年を二十年にするといったような要求を行っているところでございまして、その重要性を十分認識しながら予算編成過程で対応してまいりたいというふうに考えております。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 私がなぜこの賃貸住宅にこだわるかといえば、都市の地域には世帯人員四ないし五人の平均的なサラリーマン家庭向きの質がよくて家賃の非常に安い賃貸住宅ストックが少ないんですよ。このことが結局最低居住水準未満の世帯解消をおくらしている、こういうように思うわけです。したがって、今後の住宅対策というものは、良質かつ適正家賃の賃貸住宅というものについてどうしてふやしていくかということが最大の課題でなければならないというように思うわけであります。  この点で、六十一年度からスタートする第五期の住宅建設五カ年計画の案では前期計画に比べまして賃貸住宅のウエートをふやすなとかなり配慮していることは承知しているのでありますけれども、それならばなおいっそのこと賃貸住宅対策を拡充強化しなければならないというように思うわけであります。公団の丸山総裁が見えておりまするけれども、この点とういうようにお考えになりますか。
  37. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 先生、賃貸住宅の重要性についていろいろ御意見をお持ちのようでございますが、私も全く同感でございます。  我が国住宅事情は、申すまでもなく戸数的には充足されたわけでございますが、質の改善はこれからのことだと思っております。特に、持ち家とそれから貸し家を比較してみますと、現在建っておりますものは、貸し家は持ち家の半分ぐらいの規模あるいはそれ以下のものしか建ってないわけでございます。ところが、民間で四、五人世帯用の立派な賃貸住宅を建てようといたしましても、これは経営採算に合わないわけでございます。したがいまして、先ほど住宅局長から御答弁がございますように、公団住宅あるいは公営住宅政府の補給金なりあるいは補助金をいただいてやることによって初めて成り立つわけでございます。  したがいまして、当公団といたしましては、数年前までは分譲住宅の方が賃貸住宅よりも戸数が多かったわけでございますが、最近では現実に建っておりますものを見ますと賃貸住宅が分譲住宅よりもはるかに多い、こういう形になっておりまして、我々といたしましては今後とも賃貸住宅に特に重点を置いてまいりたい、このように考えております。  ただ、問題は、なかなか適地が得にくいという問題がございます。したがいまして、今までは公団が行います場合に大部分全面買収で土地を取得した上で賃貸住宅を建てたわけでございますが、地主さんによりますと土地を売るのは嫌だけれどもお貸しはしましょう、こういう話があるわけでございますから、最近では土地をお借りして建てるとか、あるいは地主さんに公団の住宅を建てましてそれをお譲りして賃貸経営をしていただく、そのような方向で賃貸住宅の充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、丸山総裁、先ほど私のところへ大勢の陳情団が参りました。これは私今申し上げますから、時間がありませんので、後で御答弁願いたいと思うのであります。  やはり居住水準向上とサービスの向上という意味から大阪の池田市議会の議長を先頭にいたしまして来たわけでありますが、空き家基準家賃の値上げ等について、これは不公正なものである。例えば公団に対して空き家家賃の不当な値上げには反対する意思を伝えてきたけれども、十一月一日から空き家の家賃が大幅に値上げされた、甚だ遺憾である。この間、改正前六十年五月に二Kで三万六千二百円のものが改正後十一月に、半年たった後に四万二千二百円になった。一DKが同じく二万一千七百円のものが急速二万四千四百円になってしまったということです。この理由等について伺いたい。  それから一DKを二戸一にしてくれ。このことはお認めになると思うのでありますが、家族が多くなって一DKというわけにもいかないですね。問題行為も増加しているような状態で、家が狭くて困っているんだ。しかし、三K以上は甚だ少なく困っている。一方、一DKには家賃が納金されていながら空き家同然になっているところが続出 しているんだ。しかし、管理現場では放任状態になっているということであって、さらに空き家申し込みが多いという理由で二戸一にしないという話も聞いているのだけれども、これでは理解できませんということなんですね。  それから屋内補修費の一部を公団負担にしていただきたい。これは、現在入居者負担区分の補修費を公団負担に速やかに改正をされたい。一般社会で常識的なものまでも現在入居者負担になっている。例えば壁の中に水道が通っている。水が漏れた場合においては、これは公団が負担する。しかし、工事の関係でちょっと首を出した、そうするとこれは本人負担だ、こう言う。それから便所の水回りなんかにつきましても、ちょっと通って便所へ顔を出すとこれは本人負担だ、こう言う。この辺の区分がはっきりしなくて、工事の関係で便宜的になった場合においても本人負担になってしまうものですから、この辺についてひとつ何とかしてもらいたい。  それから五十八年度家賃値上げ七〇%、これは補修費に回っているということなんですけれども、根拠がわからないということで、国会答弁でも明らかにされたのだけれども、補修費に充てたことについて現在その執行内容はどういうふうになっているのか、お伺いいたしたいのであります。  これは、青木議員がきょう質問するというので私どもは大勢連れてきたんですと言って私のところへ参られたわけでありまして、私も全く納得する面が非常に多いものですから、きょうは丸山総裁がお見えになるのでよく聞いておきましょう、しかし答弁までいただくというわけには時間の関係でいきませんから、私のところへ回答をいただくようにいたします、こういうことでありますので、総裁、その辺ひとつ温情こもる回答をお願いしたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  39. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 今の御質問に対しましては後ほど十分検討さしていただいて先生のところに御説明に上がりたいと存じますが、基本的考え方を申しますと、まず家賃の値上げの問題でございますが、これは当委員会におきましてもいろいろと御議論を賜ったところでございまして、基本的考え方を申しますと、やはり民間の家賃も相当上がってくる場合にそれとの均衡を図る必要がある、また新たに建てるものと古いものとを比較しますと古いものは非常に家賃が安いわけでございますからこれらの均衡も図る必要があるということで、空き家家賃につきましては原則として三年に一回、それから一般の家賃につきましては原則として五年に一回ぐらいの値上げをさしていただいているところでございます。  それからそれらの使途でございますが、今も先生からお話のございましたように七割程度は修繕費に充てる、残りの三割は新たに建てる住宅の家賃が高くなりますからそれらの引き下げに回さしていただくということをこの当委員会でも御了解を賜っているところでございます。  それから二戸一改造あるいは建てかえの問題でございますが、公団は現在六十六万戸の賃貸住宅を管理しているわけでございますが、そのうちの三十年代にできましたもの約十七万戸につきますと九三%までが四十平米以下、こういう小さい住宅になっておりますから、これらにつきましては二戸一改造をするとか、あるいは建てかえて立派なものにするとかいうことで今後ストックの改善に努めてまいりたいと存ずるわけでございます。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 住宅局長、今、丸山総裁から丁寧な答弁があったわけですけれども、当該建設省の責任者としてどうお考えになりますか。
  41. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほど総裁が申されましたように、公団の方で慎重に検討した結果につきましてまたいろいろと調整等を図ってまいりたいというふうに考えております。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 賃貸住宅の関係は、今回の二万戸は特別だ、そう言ってしまえばおしまいでありまして、大臣、この辺は非常に重要なところなんですよ。ですから、大臣からもこの面は、広く一般住宅居住水準改善を求める声、住宅を取得したい声、あるいはまた何としてもこの際ひとつ非常に狭い、たった一間しかない、一戸だけしかないということでも家族は広がりが非常に多いというような点につきまして、これらの声にどういうようにこたえていくか、大臣の決意を表明していただきたいと思います。
  43. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 先ほどから青木先生の大変格調の高いいろいろ御質問をいただきまして、私も傾聴に値するところが非常に多かったと思います。  特に、基本的には、これからの住宅対策というものはやはり充足の時代から質の時代、そういう時代に大きく急カーブをして努力をしなければならぬということが第一点であります。  第二点は、今質問のありましたように、国民のニーズにこたえるということが非常に大事でありまして、いろいろな調査その他を見てまいりましても、世論調査やなんかを見てまいりましてもそうでございますが、今の若い人たちはむしろ賃貸住宅に重点を置いて希望しておる、そういうふうな点等も、今御指摘いただきましたように、数字の面でも、またそうした世論調査の面でも出ているわけでございますから、私どもといたしましても、そうしたニーズを大切にしながらいかにして良好な住宅水準確保するか、こういうことが大事だと思うのでございますから、前向きでそういう点を今後検討さしていただきたい、かように考えております。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 住宅金融公庫の貸付金について返済の延期や返済が不能となっている件数、いわゆる焦げつきですね、この現状はどうなっておりますか。これは保証料の二・四倍への引き上げとか、いろいろなファクターがあると思うのでありますけれども、この点、現状はどうなっておりますか。
  45. 猪瀬節雄

    参考人(猪瀬節雄君) 公庫の延滞状況でございますが、昭和五十九年度について数字で御説明申し上げますと、個人債権関係で五百三十六万六千件の貸し付けがございますが、このうち六カ月以上の延滞になっておりますのが一万五百八十三件、率にいたしまして延滞率は〇・二〇となっております。  この延滞率でございますが、昭和五十七年度が〇・一二、五十八年度が〇・一四でございますから、〇・二〇というのは相当な勢いでふえているということが言えようかと思うのでございます。  また、この主な原因といたしましては、やはり経営の不振あるいは倒産といったようなことに伴います収入の減、これと部分的に重なる点があるのでございますが、いわゆる脱サラリーマンあるいは転職といったようなことを図りましてその思惑がうまくいかなかった、そういったことによる収入の減、それから病気によります臨時の出費というようなところにあるわけでございます。  これが現況でございます。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 住宅金融公庫貸し付けに当たりましては、返済を保証している公庫住宅金融保証協会の保証料が今申し上げたように十月から平均二・四倍になったということでありますけれども、公庫融資に今説明のように焦げつきが急増いたしまして保証協会の財政が悪化している。保証協会が公庫融資について代位弁済している金額及び件数はどの程度になっているか、伺っておらないわけでありまするけれども、五十六年度以降の数字についてひとつ説明してもらいたいと思います。
  47. 猪瀬節雄

    参考人(猪瀬節雄君) 保証協会に対します代位弁済でございますが……
  48. 青木薪次

    青木薪次君 それじゃ、いいわ。後で僕に資料を下さい、時間がないから。
  49. 猪瀬節雄

    参考人(猪瀬節雄君) 公庫の立場でございますと、私どもの方から代位弁済を協会に対し求めました件数は今でも御答弁申し上げることができるのでございますが……
  50. 青木薪次

    青木薪次君 時間がないから、後で資料を持ってきてくれればいい。
  51. 猪瀬節雄

    参考人(猪瀬節雄君) はい。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 それから住宅減税について。 大蔵省主税局は見えていますか。——公庫融資の拡充も重要だけれども、より効果のある対策住宅減税の充実強化であると思うんですね。ところが、我が国住宅減税は欧米先進国に比べると極めて貧弱で、これは全くお話にならない、アメリカの二十分の一、ドイツの十分の一ですからね。この辺については実態がどうなっているか、お伺いいたしたいと思います。
  53. 塩田薫範

    説明員(塩田薫範君) 住宅関係の税制でございますけれども、諸外国との対比でどう考えるか、これはなかなか非常に難しい問題だろうと思います。各国の税制を含めます住宅対策、それぞれ各国の長い歴史の中で、あるいは社会的な事情を反映して築き上げられてきたものであるということでございますので、それを単純に比較するというのはいかがかということと、それから税制の面だけを取り出して比較するのもいかがかというような感じがいたします。  それから先生から今お話のございました計数等につきまして、我が国の税制上の住宅関係の減税がどのぐらいあるかという点につきましては、住宅取得控除その他のあれのほかに、例えば貯蓄優遇税制、これは必ずしも住宅資金だけということではありませんけれども、そういった面からも考えられておるということだろうと思います。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 外国と日本とは違うし、税制も違うことはわかっているけれども、それならばどういうことがあるかといってここで税制論議をするわけにもいかないけれども、しかしアメリカの二十分の一、ドイツの十分の一ということについてはいろいろやっぱり問題があることは事実ですよ。したがって、この住宅問題に対する税制等についてこれから検討していく重要な政策課題ということだと思うんです。それから財政再建というような問題があったにいたしましても、不均衡是正ということはやっていくべきであるというように考えておるわけであります。  建設省は六十一年度の税制改正住宅土地投資の促進税制の創設とか住宅取得の控除制度改善要求しておるようでありますけれども、ひとつ簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  55. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 住宅関係の税制は細かいものまで含めますとたくさんございますが、その主なもの三つについて御説明申し上げます。  第一点は、住宅投資促進税制というものでございまして、持ち家、貸し家を問わず、取得費または建築費の一%を五年間にわたって税額控除しようというものでありまして、新しく創設をお願いしているところでございます。  それから二つ目は、現在住宅取得控除制度、いわゆるローン減税というものがございますけれども、この中身を大幅に改善をお願いしたいというものでございまして、例えば期間を三年から五年にする、足切りを三十万から二十万に下げる、また控除率を一八%から三五%に上げるといったようなものでございます。  それから三つ目は、いわゆる生前贈与制度の中身の改善でございまして、これは二つございますが、一つは、現在は新築にしか適用されておりませんが、今後はやはり中古の時代といいますか中古が非常に重要でございますので、既存住宅についてもこれを対象にしていただきたいということと、所得制限が現在五百万ということになっておりますが、これを八百万に引き上げていただきたい。  以上でございます。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 住宅金融公庫総裁、今の六・八五%という利率について、あなた、端的に言って普通の五・五%にしてもらいたいという要望はありますか。
  57. 河野正三

    参考人(河野正三君) 先ほど住宅局長から御答弁いたしましたように、来年度の六十一年度概算要求におきまして五・五%の貸付限度額を八十万円現在よりも上げてほしいという要求をいたしております。したがいまして、五・五%口の融資額をなるべく上げていただきたいという要望は住宅金融公庫として強く持っているところでございます。  しかしながら、今回の二百万から三百万円の幅での特別貸し付けにつきましては、先ほど政府の御答弁になっておられますように、予算編成前の現段階におきます当面の応急措置として決められたものでございますので、六・八五%、これは現在の段階ではぎりぎりの可能な限りの御措置がと存じ上げております。したがいまして、今回の措置に関しましては心から喜んでいるものでございます。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 住宅金融公庫総裁がそんな姿勢じゃ困りますよ。少なくとも私どもは、財投金利並みといったって、それは六・八%でしょう。じゃ〇・〇五はどうしたのだ、手数料を取るのじゃないか、そのような問題一々言いたくもないことを言わざるを得ない。やっぱりこれは、予算の先食いと言うかもわからぬし、いろいろ言うかもわからぬけれども、枠をちょっとふやしてもらったからいいのだなんという考え方で、大蔵省や建設省がいろいろそれなりに苦労しているかもしれないけれども、当の責任者である金融公庫総裁が私はそんな姿勢では困るということで、それはひとつ考え直してもらわなければいかぬというように思います。そんな姿勢では、私はこの金を借りてやろうとする、せっかく金利も五・五%まで、逆ざやまでやってやろうとする今の制度が泣いてしまう。これは別枠だからいいのだなんという考え方は、感謝しているなんという言葉はもってのほかだと私は思うんです。それはひとつ今後の課題として、私は金融公庫総裁の考え方というものをやっぱり変えてもらわざるを得ない。  それから先ほど大蔵省から外国の税制と日本の税制とは違うということでありますけれども、税額控除というのは、これは例えば五年間なら五年間に限って住宅取得に対して一%なら一%減税するんですよ。これが五年たったら、例えば四千万で買ったとすれば四十万でしょう。四十万が五カ年間では二百万でしょう。これらのことは、住宅取得する人は大変うれしいんですよ。したがって、そういう問題等についても、現下の情勢、住宅問題等が景気に与える影響等のことを考えても、外国から日本のウサギ小屋という批判に対してもこたえる道であるということでありますので、そういう点については大蔵当局もひとつ真剣になってこれらのことについては考えてもらいたいという要望を付して私の質問を終わります。
  59. 馬場富

    馬場富君 今回の住宅金融公庫法の一部改正に関連して、まず政府住宅政策の基本となっておる住宅建設五カ年計画についてお尋ねいたします。  まず最初に、第四期住宅建設五カ年計画においては全体で七百七十万戸の住宅建設計画しております。そのうち公的資金による建設を予定した住宅戸数は三百五十万戸となっておりますが、計画当初から現在までの公営あるいは公庫、公団住宅実績及び計画達成状況はどうなっておるか、まず御説明願いたいと思います。    〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕
  60. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 第四期住宅建設五カ年計画におきます公的資金によります住宅建設戸数は三百五十万戸でございまして、このうち公営住宅、これは改良を除きますが、三十二万戸、公庫住宅が二百二十万戸、公団住宅は二十万戸というふうに計画しておるわけでございます。  これらの公的資金によります住宅建設の進捗状況についてのお尋ねでございますが、昭和五十六年度から六十年度までの、これは見込みが入りますが、実績見込みで申し上げますと、公的資金住宅全体では三百三十万九千戸ということで、進捗率は九四・五%となっております。  その内訳でございますが、公営住宅につきましては二十三万七千戸ということで、進捗率が七四・一%、それから公庫住宅は二百四十六万三千戸ということで、進捗率は一一二・〇%でございます。また、公団住宅につきましては十一万戸でございますので、進捗率は五五%という状況でございます。
  61. 馬場富

    馬場富君 次に、六十一年度より新たに第五期住宅建設五カ年計画が考えられておりますが、こ の新たな計画において考えられている公的資金による建設計画戸数というのは、さきの公営、公庫、公団住宅のこの三点についてひとつお尋ねいたします。
  62. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 昭和六十一年度を初年度といたします第五期の住宅建設五カ年計画、これにつきましては建設省として原案を今つくったところでございまして、今後関係各省庁と調整を行いまして、さらに住宅宅地審議会の意見を聞いた上で今年度末までには閣議決定を行いたいというふうに考えておるわけでございますが、建設省原案におきます数字を申し上げますと、五カ年間計画期間中に公営住宅は二十七万五千戸、公庫住宅は二百三十五万戸、公団住宅十四万戸を初め、総計で三百三十九万五千戸という住宅建設を図ることといたしております。
  63. 馬場富

    馬場富君 今御説明のように、新五カ年計画において公庫住宅について四期五計より計画戸数をふやしておりますが、その理由はどういう点にございますか。
  64. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほど申しました五カ年計画、これはまだ案でございますが、これにおきましては国民が安定した、そしてゆとりのある住生活を営むことができるよう良質な住宅ストックの形成を図ることを基本目標としておるところでございます。  お尋ねの住宅金融公庫融資住宅につきましては、こうした基本目標を踏まえつつ、第四期計画実績見込み数が計画戸数を上回ると見込まれておりますが、そういったようないわゆる公庫住宅に対する需要が非常に大きいこと、そういったことを考えまして第四期計画計画戸数を上回る戸数計画しておるということでございます。
  65. 馬場富

    馬場富君 公的資金による住宅についてはそれぞれ政策的な位置づけがあると思いますが、そこで新五カ年計画における公庫住宅の役割あるいは位置づけはどのように考えておるか、お尋ねいたします。
  66. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほど来申し上げておりますように、今後の住宅政策の目標国民居住水準向上にあるというふうに考えておるわけでございます。この目標達成するためには住宅建設促進を図ることが重要でございますけれども、最近、御案内のように住宅建設が伸び悩んでおります。これは住宅価格といわゆる国民住宅取得能力、この乖離にあると考えられるわけでございます。この乖離を埋めるためには非常に大ざっぱに申し上げますと二つある。一つは長期低利の融資によりましていわゆる取得能力を上げる、もう一つは税制によりまして取得能力を上げるというものでございます。  その中で、住宅金融公庫は、長期低利の融資によりまして、資金の確保、そういうこと自体と、それから先ほど申しましたような国民住宅取得能力の向上、こういうことに資するものでありますので、そういう意味におきまして住宅政策において大きな役割を果たしているというふうに考えておるわけでございます。そういった観点から、先ほど申しましたように、第四期計画戸数を上回る戸数を第五期計画において計画しておるところでございます。
  67. 馬場富

    馬場富君 今までの御説明でもわかりますように、やはり国民の持ち家志向の背景に住宅政策の中で特に公庫住宅の果たしてきた役割は大きいと思うわけです。戸数からいきましても、いろんな柔軟性からいきましても、また現実性からいきましても住宅政策の中でやはりピカ一は公庫住宅にあるのではないか、政府の政策の中で私は一番光っておるのは、国民に還元できるのはこの公庫住宅制度住宅政策としては一番だ、私はそのように実は現場で物を見ながら考えておるわけです。  そういう面で、新設住宅着工の状況を見ますと、五十年代初めに比べて最近持ち家住宅関係の着工が落ち込んでおるような傾向がありますが、これにはいろいろな原因が私はあると思うんです。例えば宅地が非常に高騰して大変住宅に対して宅地の問題が一つは大きい影響を与えておるという点や、あるいはあわせまして、この住宅金融公庫の政策が非常によくても、例えば個人住宅貸付制度の中でも五十ないし百十平米の六百三十万円を基準といたしましても、建設省調査されましたように、実際かかる平均というのは、そういう対象となった住宅がやはり一千四百二十七万円も実はかかっておるわけです。そして、その中で公庫住宅の占める役割というのは六百三十万円ですから四四%しか貸付制度がないわけです。低利で非常に効率的なものが四四%しかない。例えば、よしんば省エネとか耐久性のものをプラスアルファしても七%で約五〇%だというんですね。そうすると、半分しか住宅対策の金を公庫の立派な融資制度があっても借りられない、あとは住宅ローンとかそういう民間融資に頼っておる、そのためにやはり住宅志向というのが落ち込んできておるという、この二点に私は現場で見ておって大きい問題があると思います。だから、国民住宅志向は絶対落ちていない、持ち家はしたいという意向はある、低所得者ほど非常に強いということを私は感ずるわけでございます。  この点について、ただ単に数字的なだけの面で私は見るのではなくて、実際国民が現場で家を建てる場合にどのような問題に直面しているかという点からいきますと、住宅金融公庫制度改善こそ日本の住宅対策の一番よき方向であるし、また内需拡大についても最も効果的な方法であると私は思うわけですが、この点ひとつ建設当局はどのようにお考えか、基本的な考え方を局長とあわせて大臣にお尋ねいたします。
  68. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほどから申し上げておりますが、公庫の貸付改善につきましては非常に重要な課題であるという認識はもちろん我々は持っておりまして、六十一年度の概算要求においていろいろ要求をしておるわけでございますが、例えば、まさに今、先生が御指摘になりました五・五%のベースの金額を上げるということで八十万円の増額の要求をしております。また、先ほどもちょっと申し上げましたが、居住水準を上げるという場合に百十平米までしかいけないのだというような制度になっておるわけでございますが、これを、なかなか飛躍は難しいわけですが、百二十平米まで、つまり五・五%口の対象面積を百二十平米まで拡大したいというようなこと、そのほかにもございますが、いろんな形で公庫貸付条件の充実を図るように努めてまいりたいというふうに思っております。
  69. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 馬場先生からお話のありましたように、私どもも基本的には、先生のお考えのとおり、公庫の今日まで果たしてこられた役割その他につきましては、非常に大きく貢献をいたしておると思います。同時にまた、国民居住水準向上ということにつきましても認識はこの点では一致いたしておると思います。そういう意味で、これからの政策で住宅政策の一番大きな根幹はまさに先生指摘のとおりでございまして、居住水準向上に対するニーズにいかにしてこたえるかというようなことでもございましょうし、また今日まで公庫が果たしてきました、例えば五・五%の貸付金利、それから無抽せんの体制というようなことを維持するとともに、今申し上げますように貸付条件改善、また税制の問題、そういう問題につきましても最大限の努力を払って国民の期待にこたえてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 馬場富

    馬場富君 これらの融資実施してみえる立場から国民公庫に対する期待をどのように認識し、また公庫としてどのように期待にこたえて今後やっていかれるか、その点について総裁の所見をお伺いいたします。
  71. 河野正三

    参考人(河野正三君) 先生の御質問にもございましたが、ほぼ四世帯というか、四戸新しい家が建ちますというと、その中の一戸は公庫融資を御利用いただいているような状況でございます。しかも、その利用者が次第に低所得階層の方にだんだんふえてまいりまして、一方、物件価格は高どまり状態であるということで、融資を御利用していただいている方々が大変苦しい思いをしておられる こともいろいろと拝察しているところでございます。したがいまして、先生御主張のごとく、また青木先生もおっしゃいましたが、公庫の低利融資の拡充改善を図っていくということが非常に重要だと考えております。  今般の特別割り増し融資は、これはこれで国民のためになることでございますから、大いに趣旨の徹底を図り、住宅建設促進努力をいたしますが、年末になりました場合には、ただいま住宅局長から御説明いたしましたとおり、五・五口の貸付限度額の引き上げということを要求しておりますので、それの実現に向けて最大限の努力をさしていただきたいというふうに考えております。今後とも、住宅金融公庫の役割がますます大きくなるという状況のもとで、身を引き締めて努力をさしていただきます。
  72. 馬場富

    馬場富君 次に、今回の法改正に直接関連してお尋ねいたします。  第一点は、まず今回の内需拡大のための措置として公庫融資について財投並み金利による貸付限度額の引き上げを図る特別割り増し制度を考えておられますが、貸付金利についてはやはり通常金利による方が効果的であると私は考えるわけでございますが、今回の措置でなぜ財投並み金利融資になったか、その点についてぜひお尋ねいたします。
  73. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 効果につきましては、先生指摘のとおりだと思います。ただ、今回の内需拡大に関する対策におきましては、これも御案内かと思いますが、予算税制措置を伴うものについては今後の予算編成税制改正過程で検討するということが前提になっております。今回の特別割り増し貸し付けは、この趣旨にかんがみまして緊急かつ時限的措置として財投並み金利によって特別の貸し付けを行うというものでございまして、いわゆる通常金利口によります貸付限度額の引き上げにつきましては、先ほど公庫総裁が申し上げましたが、六十一年度の概算要求においてこれを行ってまいりたい、そういうふうに考えております。  なお、財投並み金利でございましても、その金額が比較的大きいということもございまして、民間ローンを借り入れる場合に比べますと、これはステップ償還を使った場合でございますけれども、毎月の返済額というのは、金額によって異なりますが、三千円から六千円程度軽減されるということでございまして、相当の効果を期待しているところでございます。
  74. 馬場富

    馬場富君 今回の措置によりますと、二戸の貸し付けに対し通常貸付分は五・五%、特別割り増し分は六・八五%というように二種類の金利が実は適用されるわけでございますが、これはやはり公庫金融の根幹をなしている五・五%を、こういう数字が出てくると将来的に崩す結果になるのではないかと国民は大変心配しております。この点どうでしょうか。
  75. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 五・五%口あるいは六・四%口といいますか、現在六・四%になっておりますが、金融公庫通常貸し付け住宅建設に必要な費用の八割、これは木造の場合でございます。また、耐火あるいは簡易耐火の場合には八割五分、この貸付限度内で行われるものでございます。これに対しまして、今回の特別割り増し貸し付け内需振興のための緊急かつ時限的な措置ということで、貸付限度額枠外で特例的に行う貸し付けでございまして、この点で通常の貸付金とは性格を異にするというものでございます。したがいまして、今回の措置通常の貸付金の性格を何ら変えるものではない。先ほど大臣申し上げましたように、五・五%という基本の体系につきましてはこれを堅持していくという考え方は全く変わっておりません。
  76. 馬場富

    馬場富君 五・五%の金利の点と今回の特別割り増し分の六・八五の金利、この点につきまして大蔵省のひとつ考え方を聞きたいと思います。
  77. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) ただいま住宅局長から答弁がありましたように、今回の財投金利口による特別割り増しは通常の貸付限度内で緊急的かつ時限的なものでございます。そういうことでございますので、住宅金融公庫の基本的な金利体系を壊すものではないと我々は考えております。
  78. 馬場富

    馬場富君 ここで現在の国民住宅取得の状況を見ますと、やっぱり新規に持ち家を取得する階層は比較的所得の低い層が多くなってきたという統計が出ております。一方で、住宅価格は、最近値上がりはそれほどでもございませんけれども、一種の高値安定という状況でございます。また、国民の所得についても最近は伸び悩んでおるわけでございますので、このような状況下において国民住宅を取得する場合に公庫の低金利融資は非常に大きな意義を持っておるわけでございますが、この点、六十年度は何とか守ってきたわけでございますけれども、今後とも公庫の五・五%の金利の堅持、それからあわせまして無抽せん体制の確保、あるいは各種の割り増し融資制度の充実、あわせて融資条件改善努力をしなければ公庫融資は次第に魅力がなくなってしまうという心配もするわけです。そういう点でこれは極めて重要であると私は考えますが、大臣はどんな決意を持っていらっしゃいますか、お尋ねいたします。
  79. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 先ほど私御答弁申し上げましたように、住宅金融公庫の果たす使命はもちろんでございますが、建設省といたしましても、住宅政策の根幹をなすものは何といっても私は国民居住水準向上に寄与するということだろうと思います。そういう意味で、今、先生が御指摘になりましたように、五・五%の金利の維持であるとか、無抽せんの制度のこれからの確保の問題であるとか、またいかにしてこの融資制度を充実していくかという問題につきましては、私ども今後とも最大限の努力をして住宅政策の根幹を維持し国民の期待にこたえる、そういう決意でおるわけでございます。
  80. 馬場富

    馬場富君 ここで五・五%の認識については大臣も同じようにお考えでございますが、一方、五・五%の対象となるのは百十平米以下の小さな住宅に限られておりますが、より大きな住宅を求めるという国民居住水準向上への意欲に水を差すことになると思うんですね。そういう点で、六十一年度予算要求においてはこの点も含めて持ち家取得促進のためにどのような考え方を持っておみえになりますか、建設省の見解をお尋ねいたします。
  81. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 昭和五十七年十月から規模別貸付制度というのを導入いたしたわけでございます。その結果、百二十平方メートルを超える比較的規模の大きい住宅建設が増加したということでございますが、反面、五・五%口の適用対象面積の上限でございます百十平方メートルというのがございますが、その影響がと思われますが、百十平方メートルから百二十平方メートルまでのシェアが減少しているという傾向が見受けられます。したがいまして、御指摘のように五・五%の適用対象面積につきましては、国民居住水準向上の面で重要な課題として検討すべき時期を迎えていると我々は考えているわけでございます。  したがいまして、六十一年度の概算要求におきましては、規模別貸付制度につきまして新設着工住宅のうち持ち家専用の平均規模を見てみますと、これが既に百十八平方メートル、これは五十九年度でございますが、に達している。それから第五期住宅建設五カ年計画の構想におきまして、標準四人世帯誘導居住水準を、一般型の方でございますが百二十三平方メートル、そういうふうにしておるわけでございまして、こういったことから五・五%口の対象となります住宅規模の上限を現行の百十平方メートルから百二十平方メートルに引き上げる、そういったような現行面積区分見直し要求しておるところでございます。また、円滑な持ち家取得の促進居住水準向上を図るために、通常金利口による貸付限度額の引き上げ、さらには老人同居向け住宅への割り増し貸付額の引き上げ等、各種の割り増し貸付制度の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  82. 馬場富

    馬場富君 特に、今後、住宅規模拡大国民の強い要望でございますので、この点を十分認識されて公庫融資面積区分の引き上げについても努力されることを強く要望しておきます。  ここで、あわせまして、内需拡大を図るためには今回の公庫融資制度改善のほか税制の改善も必要と考えておるわけでございますが、住宅減税については欧米各国に比べて、先ほど青木議員からも説明がありましたが、我が国は極めて不十分であると考えるわけでございます。こういう点につきまして六十一年度税制改正においてどのようにこの点をお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  83. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先生指摘のように、我が国住宅居住水準の現状は欧米先進諸国に比べて低水準にある、そればかりでございませんで、私は住宅税制につきましてもその内容において大きな差があるというふうに認識しております。こういう観点から、昭和六十一年度の税制改正におきましては、いろいろ細かいのがございますが、まず住宅投資の大幅な促進を図るということで、新築住宅につきまして持ち家、貸し家を問わず、毎年取得費もしくは建築費の一%を五年間にわたって税額から控除するいわゆる住宅投資促進税制の創設、それからいわゆるローン減税の内容の大幅な改善、それから五十九年度に創設していただきましたいわゆる生前贈与制度内容改善等を要求しているところでございます。
  84. 馬場富

    馬場富君 これは先ほども各国の日本に対する比率が青木議員からも述べられておりましたが、いろいろな税制が違うという点もございますけれども、私は建設省の資料をもとにして割った関係におきますと、その国の歳出総額に対する住宅関係の減税総額という、こういう基本的な額においても、日本の〇・二%に対しまして、アメリカは四・一%、イギリスは三・七%、西ドイツは三・七%、フランスは一・八%と、全然美がすごい違いなんですよね。だから、税金の制度が違うか遣わぬかの問題でなくて、予算総額に対して住宅対策に対する税制措置をどうしたかという額がこれだけ開いておるわけですから、これはやはり日本の住宅対策の税制面につきましての配慮が十分でないというふうに私は考えますが、大蔵当局はどのようにお考えですか。
  85. 塩田薫範

    説明員(塩田薫範君) 今の諸外国と比べて我が国住宅関連の税制いかがか、こういう話でございますが、各国におきます住宅対策、税制を含んでの住宅対策でございますが、それぞれの国の長い歴史あるいは社会的事情等を反映して構成されてきているということでございますので、それを単純に比較することは適当ではない、また住宅税制のみを取り出して比較するのもいかがかということでございます。  我が国における住宅対策の税制上の措置といたしましては、住宅取得控除を初め幾つかの措置が講じられているわけでありますけれども、そのほかに我が国におきましては貯蓄優遇税制もあるわけでございます。住宅資金に関しては貯蓄段階及び支出段階、いわば両面で税制上の恩典があると言うことができるのではないかというふうに考えております。    〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕
  86. 馬場富

    馬場富君 答弁は僕は納得できませんが、歳出総額に対して各国の住宅関係減免税額が大きい意味でこのような違いがあるということは、いろいろな政策のあり方やあるいは融資のあり方、それは別として、完全にそういう点では日本の方が低いということだけは事実だと思うんです。これを大蔵省が認めなかった場合、忘れは予算総額に対する住宅関係の減免税額の額についてのあれですから、その点どうでしょうか。あなた、いいかげんなことを言っちゃいかぬ。
  87. 塩田薫範

    説明員(塩田薫範君) 今御指摘の計数の中で、全体細かく精査しておりませんのであれでございますが、今申し上げましたような貯蓄優遇の話もございますし、諸外国の中には、持ち家に対する帰属家賃といいますか、仮にそれを賃貸としたとすればどのぐらいの家賃が要るかというようなことで、それを所得に算入するというような制度をとっているようなところもございます。したがって、直ちにこれを比較してどうというのは非常に難しい状況にあるのではないかというふうに考えます。
  88. 馬場富

    馬場富君 こういう論議をしておっても時間がないから、今私の方の算出はそういうことだから、後日、一遍、大蔵省のあれを、今はじいたのを出してもらいたいと思います。委員長、お願いします。
  89. 小山一平

    委員長小山一平君) はい。
  90. 馬場富

    馬場富君 質問を続けます。  この税制改革が実現した場合にはどの程度住宅建設の増に結びつくか、御当局の考え方をお願いします。
  91. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) これらの税制が実現した場合の効果につきましては、経済事情の変化に伴いまして変動する要素もございます。したがいまして、一概には言えませんが、公庫融資の拡充等の措置と相まちまして、いわゆる住宅価格と取得能力との乖離、これを縮小しまして取得能力の向上を図る、そういうことによって潜在需要を顕在化するということから相当の効果があると思っておりますが、一つのいろいろな仮定を置きまして計算しました結果といたしましては、先ほど申しました住宅投資促進減税と、それから住宅取得控除税制、それの大幅改善、この二つによりまして年間約八万戸の住宅戸数増を見込んでおるところでございます。
  92. 馬場富

    馬場富君 次に、我が国は非常な高齢化社会を迎えております。このために、我々は今後本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀までに早急に高齢化社会の対応に備えていかなければならない、このように思うわけでございますが、この点、国として高齢化社会に対する住宅政策の対応についてお尋ねいたします。
  93. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 高齢者対策住宅施策におきまして極めて重要な課題ということでございまして、その推進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  この場合、今後の高齢者の住まい方あるいは選択といたしまして、三世代の同居等家族との同居あるいは老夫婦とか老人の単身居住、さらには近身者といわゆるスープの冷めない距離に生活するという近居あるいは隣居、こういったようなものが考えられるわけでございますが、それぞれの需要に配慮しながら対応していくことが必要であるというふうに考えております。  このために、公営住宅におきましては規模でありますとか、老人、高齢者に特別に必要な施設、設備等を考慮いたしました老人対策向け住宅供給でありますとか、公団住宅におきましては入居の優遇措置を講ずるとともに、住宅金融公庫におきましては老人同居の割り増し貸し付け、そういったものを行っております。今後とも、この重要な課題であります高齢者対策、その推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  94. 馬場富

    馬場富君 次に、住宅対策の中で重要なのは土地の利用の問題でございますが、これは今回の措置についてもやはり土地問題が解決しなければなかなか効果は上がらないと思います。そういう点で民間活力の活用とあわせまして規制緩和措置が考えられているということでございますが、この点につきまして具体的に都市計画区域等についての線引きの見直しとか、あるいは開発許可基準の緩和、あるいは用途地域の見直し等が従来から言われておりますけれども、これがをかなか進んでいないというのが現状でございますが、この具体的な実施方法をちょっと御説明いただきたいと思います。
  95. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 私から線引きの見直しと用途地域の見直しについてお答え申し上げます。  まず、線引きの見直しでございますが、これが実態に即しまして適切かつ弾力的に行われるということを趣旨にしまして、五十七年九月に通達を出しました。現在、これに基づきまして各都道府県で二回目の見直しを、鋭意作業をしております。六月末現在の数字を申し上げますと、二十五 道府県、百五十都市計画区域で見直しが完了しておりまして、約三万七千ヘクタールの市街化区域が増でございます。なお、この三万七千の中には今回から新しく設けました保留分というものも含まれておりますが、そういうことでございまして、住宅戸数に換算して言うならば六十七万戸分程度になろうかと考えております。残りのところにつきましても一刻も早く見直しを完了するように指導をしてまいりたいと思っております。  それから用途地域の見直しの点でございますが、これも当然都市の既成市街地等におきまして良好な環境を保ちながらも、あるいはまた各種の都市施設とのバランスを保ちながらもなるべく土地の高度利用を促進するという観点でいろいろやっておりますが、まず一番ベースとしては、都市計画法律に基づきまして五年ごとに基礎調査見直しをやるわけでございますが、この見直し調査の結果に基づきまして見直すことにしております。これは各県でやっておりますが、例えば東京都二十二区で一斉の調査をやったのは五十六年度でございますが、それに基づきましては幾つか数字がございますが、例えば一種住専が七百ヘクタールほど減り、二種住専あるいは近隣商業地域が三百数十ヘクタールずつふえておるというふうな状況がございます。それから、そういう一斉の見直しに加えまして突発的と申しますか、スポット的なプロジェクトが出てまいりました場合には、当然そのプロジェクトの優良性等も勘案いたしまして、必要であればスポット的な用途地域の見直しもいたします。また、その際に特定街区制度あるいは総合設計制度等も十分積極的に活用していっております。これも具体的な事例が幾つかございます。  それからもう一つつけ加えさせていただきますと、高度利用を必要とする大都市につきましては、五年前に都市再開発法を改正していただきまして、再開発方針というものを義務的につくっていただく市を二十二ほど決めております。この二十二の大都市につきまして現在の到達でございますが、半分の十一都市が再開発方針の策定を終わっております。残りの十一都市が作業中でございますが、東京二十三区につきましてもその残りの十一のうちに入っているわけですが、先日、東京都の素案というものが公表されました。今後、いろいろな調整過程を経てそういうものができていくというふうに考えております。
  96. 馬場富

    馬場富君 次に、今の各種見直しとあわせまして、やはり土地問題で問題になるのが現場では建ぺい率の問題でございます。建ぺい率の基本的な考え方について科学的根拠が非常に明確でないという声もしばしば耳にしておるわけでございますが、この点についてお尋ねしたいと思いますが、特に既成市街地での住宅建設促進のためには建ぺい率のあり方を見直すべきだという声も非常に強いわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  97. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 建ぺい牽制限につきましては、これは敷地面積に対します建築面積の割合を制限する、そういうことによりまして敷地内の空地の確保を図る、それによって通風でありますとか、日照でありますとか、採光あるいは防災、防災の観点かなり大きいわけでございますけれども、そういった市街地の環境条件確保すること、それからさらに緑化のための空間を市街地に残す、こういったことを目的としているものでございます。  科学的根拠があるのかというお尋ねでございますが、建ぺい率の制限の値につきましては用途地域に応じて定められております。また、防火地域内で耐火建築物を建築する場合でありますとか、あるいは敷地が角地である、つまり二面道路に面しているといったような場合には緩和措置が講じられております。それで、それぞれ定められている建ぺい牽制限の値についてでございますけれども、市街地におきます建築物相互の延焼の防止、これは防災の問題でございますが。それから最小限の日照の確保、そういったものに必要な空地を敷地の中に設ける、そういうことを基本といたしまして、市街地におきます敷地規模でありますとか、建築物の用途でありますとか、道路等の公共空地の分布状況、こういった実態を踏まえまして、これは外国の例等もあるかと思いますが、経験的に設定されたものでございます。
  98. 馬場富

    馬場富君 例えば商業地域等につきましては、一つの例でございますが、防火建築さえしっかりされれば一〇〇%までいいとかというような見方もあるようでございますが、そういう点につきましてやはりかなり個々については問題点があると思いますので、この点については一応見直しを考えるべきであると思いますが、その点どうでしょうか。
  99. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 御案内のように、我が国の市街地におきましては、オーブンスペースあるいは緑の確保、それから防災性の向上というものを進めることが非常に重要な課題となっております。現状としましては、敷地が非常に小さい、あるいは道路等のオープンスペースが十分でない、そういったような実情があるわけでございまして、こういうことを勘案いたしますと、現状においてこれを緩和するというのは適切ではないのではないかというふうに考えられます。
  100. 馬場富

    馬場富君 次に、今回の公庫融資の特別割り増し措置によりまして公庫融資拡大が行われますが、これにつきまして、やはり宅地が十分でなければ先ほども話しましたように内需拡大にはつながらないという点で、宅地供給の現状はどうなっておるのか、またあわせて今後この宅地供給促進策についてはどのような考えを持っておるのか、建設当局の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  101. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 宅地供給量は、昭和四十七年に二万三千四百ヘクタールというふうな非常に大きな水準であったわけでございます。この当時は住宅建設も非常に多かったということでございますが、それ以後だんだん減ってまいりまして、五十八年度におきましては九千八百ヘクタールというふうな状況になっております。なぜこのように停滞しているのかということでございますけれども、一つにはやはりまとまった素地の取得が困難になってきているというふうなこと、それから地価が上がらないというようなことで金利との関係で事業採算が非常に悪いというふうなこと、それから地方公共団体で開発抑制策をとっているところがあるというふうな原因によるものと考えております。  そこで、建設省といたしましては、従来から公的な宅地開発の推進、それから公庫の政策金融による民間の宅地開発の推進、それから関連公共公益施設の整備促進、それから線引きの見直し等開発許可制度の適切な運用、それから都市再開発による土地の高度利用、土地税制の改善といったふうな施策を総合的に講じて促進を図るということでやっておるわけでございますけれども、特に今後は宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正、それから開発許可事務の簡素化、迅速化というふうなことでできる限り宅地開発コストの軽減を図っていく。それから最近におきましては、地方公共団体は単なるベッドタウンでなくて就業の場も備えたような複合的な町づくりを非常に強く要請してきておりますので、公的宅地開発事業制度につきましてそういうことができるような改善を検討していきたいというふうに考えております。  それから何といいましても市街化区域内の土地の有効利用を促進するということが大事でございますので、現在法制審議会で本格的な検討が開始されております借地法の改正、これによる借地供給促進、それから信託方式の活用といったふうな地主参加型の宅地供給促進にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  102. 馬場富

    馬場富君 ここで国土庁にお尋ねいたしますが、住宅建設促進策が実施されますと住宅地の地価上昇というのが一つは出てくるわけですが、特に最近いわゆる商業地域におきましては、御存じのように東京でも大阪でも名古屋でも中心都市におきましては坪何千万という我々の気が遠くなるような地価の数字が実は出ておるわけです。そ の結果というのは、やがてだんだんとその周辺の住宅地域にも波及されてくる、こう思うわけです。だから、ここでやはり日本の住宅対策とあわせまして、基本的に今後土地対策という問題について考え直さなきゃならぬ時期が来ておるのではないか。  非常に戦後自由化というのが叫ばれて、そしてどんどんと土地の取引についてもかなり自由に販売ができるという立場になってきておりますが、やはり土地というのはほかの生産品と違いまして有限なものなんですね。これ以上できるわけじゃないわけです。生産されないんですね。そういう点で、共産圏は別といたしましても、私が自由圏をずっと回っておりますと、お互いに土地の所有権は認めておっても使用するという面については各国ともかなり制限がしっかりしております。そういう点について日本はどっちかというと自由過ぎるという点も私はあるのではないか。  こういう点で、ここらあたりを一つはしっかりしておかないというと、土地はどんどん上がっていってしまって、やがて土地のために日本がだめになってしまうというおそれすら私は出てくると思うんです。いわゆる内需拡大の政策についても、住宅資金を活用さしたとしても、そういう面について土地で消えていく金というのは大きいわけです。また、公共事業においてもしかりですね。そういう点につきまして、私は国全体としてここらあたりで本当に真剣に土地問題について考え直さなきゃいかぬときが来ておるのではないか、こういう点で国土庁のそこらあたりの見解をお尋ねいたします。
  103. 末吉興一

    政府委員(末吉興一君) 最近、オールジャパンといいますか、日本全国で見た場合には地価は極めて安定的に推移してございます。特に、住宅地につきましては、最近の調査によりましても、対前年上昇率が二%程度と極めて安定をしてきております。しかし、東京の都心部の商業地においていわゆる高い地価上昇率が見られます。御指摘のとおりでありますが、それが一部の都心の住宅地においても若干目立ってきております。  これらを調べてみますと、住宅地といいましても、例えば商業地がたくさん広がっているいわゆる商業業務地に近隣した地域で知名度の高い、例えば番町、青山、松濤というふうなところ、むしろ商業地域のところが上昇しております。それ以外のところの住宅地へは私どもとしましては波及はしていないものと考えておりますが、当然波及が懸念されるわけでありますので、今後とも土地取引の監視につきましては努めてまいりたいと思っておるわけであります。  それから土地取引の規制の検討の問題、御指摘がございました。行革審におきましてもそういう実は宿題を私どもはちょうだいをしてございます。その内容は、簡単に申し上げますと、今、先生の御指摘のような土地取引の規制の強化の方向という面と、あるいは非常に安定しているところについては緩和すべきであるという、強化、緩和の両方の意見がそれぞれございますので、それらの意見を踏まえまして制度のあり方を検討すべし、こういうふうな宿題をちょうだいしておりますので、国土庁といたしましても、先般、中長期的な観点から国土利用計画法の今後のあり方につきまして学識経験者を含めての検討に着手したところでございます。  先生から諸外国の例の御指摘がございましたが、それらにつきましても今後その中で幅広く検討してまいりたいと考えております。
  104. 馬場富

    馬場富君 それから住宅建設内容でございますが、最近木造住宅建設が大変停滞してきております。日本の気温とか国土あるいは風土等の関係からいたしましても、やはり木造建築というのは大変適しておるという点が各所で言われておるわけでございますが、例えば昭和四十五年には七〇%であったものが現在木造住宅は五〇%というような低下の状況でございますが、そういうような木材の資源等の活用からいってもこれはぜひ振興させるべきじゃないかと思いますが、この点の考え方はどうでしょうか。
  105. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 木造住宅は、我が国の気候、風土に非常に適しております。しかも、国民のニーズあるいは愛着も非常に強いというものでございます。そこで、建設省といたしましてもその振興に努めているところでございます。  このため、従来から例えば木造公営住宅建設の推進、ちょっと数字を申し上げますと、五十三年には全体の、これは公営住宅の中でございますけれども、〇・三四%であったものを、六十年度におきましては、これは見込みでございますけれども三・〇二%、少なくとも比率からいくと十倍近くになるというような推進、あるいはいえづくり85プロジェクト、これは前にやりましたハウス55というものの在来木造版というふうに呼べるかと思いますが、いえづくり85プロジェクト等によります木造住宅に関します技術の開発等の施策を講じてきておるところでございます。  昭和六十年度におきましては、金融公庫融資につきまして、木造住宅の需要が非常に多い地域、そういった地域の融資限度額を引き上げておりまして、四百八十万円から五百十万円というふうに、これは地域区分の見直しでございますが、引き上げを図っております。また、新たに地域木造住宅生産供給促進事業、非常に長い名前でございますが、そういったものを実施しまして、地域の林業でありますとか木材産業とリンクいたしました地域に適した木造住宅供給促進を図る、そういったような各般の木造住宅の振興施策を講じてきているところでございます。今後とも、国産材使用を推進するためにも木造住宅の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
  106. 馬場富

    馬場富君 最後に。  先ほども来年度の予算要求の中で住宅投資促進税制の創設の話が出ておりました。ぜひこれは実現していただきたい、こう思います。  特に、住宅取得控除制度の面で、民間住宅ローン金利は最近急速に下がってきておりますが、それでもやはり年利七・三八程度でございます。これに対して特別割り増し制度の貸付金利財投金利並みの六・八五%でありますから割り増し貸し付けを利用した方が有利であるというように見えますけれども、民間住宅ローンには住宅取得控除制度先ほどのようにございます。公庫住宅融資制度についてはこの対象にならないという税制面の違いがございます。だから、多くの国民の中にはこの民間住宅ローンの税制のように公庫融資住宅につきましてもやはり税制の対象にしてほしいという声が圧倒的に多いわけでございますが、この点についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。
  107. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 現行住宅取得控除制度は、公的資金によります助成措置の講ぜられていない民間住宅ローンの初期返済の負担軽減ということを目的としております。そのために、住宅金融公庫融資分につきましては適用されない。これは利子補給でありますとか財投という形でなっておりますので適用されない仕組みとなっておるわけでございます。しかし、まさにお示しのような需要もある、要望もあるわけでございます。建設省といたしましては、昭和六十一年度の税制改正という中におきまして住宅投資を全般的に促進するという観点から、先ほども申しましたが、住宅の取得費または建築費の一%を五年間税額控除する、これはどこの金ということは関係ございません、ともかく取得あるいは建築すればその一%を五年間税額控除するといういわゆる住宅投資促進税制の創設を要望しているところでございまして、いろいろなハードルはあると思いますが、何とかその実現に努力してまいりたいというふうに考えているところであります。
  108. 馬場富

    馬場富君 ここで大臣にお尋ねいたしますが、住宅減税、公庫貸付条件改善要求を今後の予算編成におきまして税制改正過程で検討されることになると私思いますが、先ほどもお尋ねいたしましたが、編成時におきましては大臣にしっかりと頑張ってもらわなければ、今建設省概算要求しておる予算は十二月に通らないということになるとこれはだめになってしまうと思うんです ね。そういう点で、やはり大臣のこれに対する決意と意気込みが私は一切を決めてくると思うんですね。だから、来年度の要求の中で、概算要求には種々多くの国民のための政策が盛られておりますので、この点についてひとつ大臣の意気込みをお聞かせいただきたいということと、あわせまして、先ほど局長に質問いたしました公庫融資に対しても国民の中にはぜひ税制の対象にしてほしいという声が圧倒的に多いわけですから、今後の考え方の中でひとつぜひ考えに置いて検討してほしい、こう思うわけですが、これもあわせて所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  109. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 基本的には住宅建設促進し、そして居住水準向上する、また同時に内需拡大を図るということが今私ども当面の非常に大きな政治的課題でございます。  今、先生から御指摘のありましたように、住宅取得の際の一%の投資減税の問題、これにつきましては私どもは全力を挙げて創設のために努力をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。これを突破できれば、先ほど局長からも数字の点では答弁申し上げましたように、一歩の前進である、そういうふうに私は受けとめて最善の努力をさせていただきたい、かように考えております。
  110. 馬場富

    馬場富君 大臣先ほどのもう一点落ちておりますが、公庫融資の対象に対する住宅減税、今日ということではなくて今後の段階としては、国民の中に非常に強い声があるわけですから、ひとつ検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
  111. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 今御指摘の点につきましては、我々建設省といたしましても、これからの問題として大いに研究をしてまいりたい、かように考えております。
  112. 安武洋子

    安武洋子君 本法案は、内需拡大に伴う緊急措置、こういうことで六十一年度末まで特別な割り増し貸付制度を行うというふうなことでございます。これによりまして内需拡大をねらっているというふうになっているわけですが、一体、内需拡大効果というのはどのようにあらわれるのでしょうか、お伺いいたします。
  113. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今回、特別の割り増し貸し付けによりまして二万戸の追加をやるわけでございますが、それによります戸数増の分の住宅投資増といたしまして四千億円を見込んでおります。その内訳といたしましては、公庫融資分が千六百億円、それから民間資金分、これは当然公庫とともに民間分が出てくるわけでございますが、二千四百億円、合計で四千億円というふうに見ております。  また、この特別割り増し貸し付け追加分を含めまして下期において個人住宅全体について適用されるわけでございますから、より多くの貸し付けが受けられるということになります。それによりまして、下期に計画をしておった方々は、住宅規模拡大でありますとか、あるいは設備の高度化でありますとか、あるいはインテリアの充実といったようなことに向かわれるのではないかということが考えられまして、これをいろいろ計算しますと九百億円程度の質の向上が行われるというふうに考えております。  以上、二つを合わせまして四千九百億円というふうに考えておるところでございます。
  114. 安武洋子

    安武洋子君 お伺いをいたしておりますと大変結構だというふうに思うわけですけれども、しかし実際問題、これは百五十万から二百五十万、金額的には上積みをされるというふうなことなんですね。百五十万から二百五十万の上積みだというふうなことで、住宅を購入しようとか、あるいは新築をしようとか、そういうことが促進をされるというふうに本当にお考えになっているのかどうかというふうに思うわけなんですね。私は、本当に住宅建設内需拡大だというふうに物事を進めようと思うのであれば、これはこういう措置というのは一年限りじゃない、これはやはり一年限りの措置ということではなくて期間は延長していくのだというふうなこと、あるいは金利現行並みに抑えるというふうなことをやらなければいけないのではないかというふうに思います。この点はいかがですか。
  115. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほども申し上げましたが、まず緊急かつ時限的措置ということで六十一年度限り、これを六十年度としますといかにも短過ぎるということがございまして、当面の緊急措置というのは大体六十一年度までを効果の発現期間というふうに見ておるようでございます。そういうこともございまして六十一年度までとしたわけでございます。  また、金利の点につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、今度の内需拡大対策の前提条件として、予算措置によるものは年末の予算過程でやるということになっております。そういう前提を置きました上で特別貸し付けを行うということになりまして、財投並み口ということになった次第でございます。
  116. 安武洋子

    安武洋子君 では、六十一年度末でそれは打ち切ってしまうということで、それまでに四千億ですか、こういう内需拡大が必ず出てくるということでございますか。
  117. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 二万戸の追加でございますが、これは六十年度と六十一年度両方でそういうことになるかと思います。  それから六十二年度以降どうするのかということでございますが、現時点ではこれについて云々すべき時期ではないというふうに思いますが、基本的には我々は本来口、つまり例えば五・五であるならば五・五%の貸付枠、六・四%であるならば六・四%の貸付枠、これを充実していくことが本筋であるというふうに考えております。
  118. 安武洋子

    安武洋子君 百五十万から二百五十万なんですね。これは余りにも金額的にわずかな上積みにすぎないというふうに思うわけなんです。実情にもこれはなかなか合わないと思うんですね。大都市圏でも住宅取得が非常に困難であるというふうなことが指摘されているわけですから、私はこの金額も実情に合わせるべきでないかというふうに思いますが、いかがですか。
  119. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今回の特別割り増しというのは、いわゆる本来の貸付枠、つまり八割でありますとか、八割五分でありますとか、その貸付枠外に特別に割り増し貸し付けをするということでございますから、一割五分ないし二割のいわゆる枠外のところは残っておるわけでございまして、それに対して六割ないし七割の額を設定したということでございます。もちろん、多々ますます非ずというと言葉は悪いと思いますが、全体の問題ありますけれども、しかし八割とか八割五分以内の問題というのはやはりいわゆる予算の問題と絡みます。そういうことで六十一年度予算要求の段階でそれを解決といいますか、実現していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  120. 安武洋子

    安武洋子君 私は、本法のこの措置を否定するものではございません。法案にも賛成はいたしております。それにいたしましても、内需拡大というのであれば、これは私は内需拡大と言うにはちょっとお恥ずかしいのじゃなかろうかというふうな気がするわけなんですね。住宅問題でこの内需拡大、そして住宅問題を解決しようというのであれば、やはりこの抜本的な対策が要るというふうに思うわけです。その中でも段階的金利、こういうふうなものはやめるなどということで抜本的に私は今考え直していただかなければならないと思うんですが、一体、ほかにも住宅関連でどのような内需拡大策を考えていなさるのでしょうか、その点お伺いいたします。
  121. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 一つには、現在法案でお願いしております金融公庫特別割り増しがございますし、それからいわゆる増改築等の問題がございます。その他、今後長期的に、いわゆる緊急ではなくて、今後の問題としては予算過程でありますとか、税制改正過程でありますとか、そういうことを通じていろんな手を打つようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  122. 安武洋子

    安武洋子君 けさほどから論議になっておりま すけれども、六月十二日に住宅宅地審議会が答申をいたしております。「新しい住宅事情に対応する住宅・宅地政策の基本的体系についての答申」というものが出ておりますけれども、この中身についてちょっとお伺いをしておきたいわけです。  政府は、十年前から昭和六十年を目標にいたしまして最低居住水準未満世帯、これを解消すると言ってきなさったわけですけれども、この答申の中にも出ておりますけれども、「最低居住水準確保に関する六十年目標については、なお最低居住水準に達しない世帯借家世帯を中心に相当数残存している」と指摘をしております。例えば四人家族を例にいたしますと、住宅面積五十平方メートル以下、この最低居住水準に達しない世帯、これが大変多いということで指摘をされているわけですね。そして、最低居住水準未満世帯というのは全国でなお三百九十五万世帯にも達しているということが言われております。建設省は六十年を目標ということにこの最低居住水準未満の世帯解消、これを目指してこられたわけですけれども、六十年といいましたらことしですよね。こういうふうにまだ、全国で三百九十五万世帯といったら大変な数だろうと思います。こういう解消という点につきまして目標どおりいっていない、しかも大変な数が残っている、日本の住宅事情の足を引っ張っていると思いますけれども、これをどのように答申を総括なさいまして、そして今後どのように具体的に取り組んでいこうとなさっているのか、その点をまずお伺いいたします。
  123. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 御指摘のように六十年で全部解消しようという目標でありました最低居住水準、これはお示しのように四人世帯で五十平米でございますけれども、これがまだ見込みでございますけれども、五十八年度の住調でございますが、三百九十五万世帯、一一・四%残っているということになっておるわけでございます。  そういうことになった理由はいろいろあると思うんですが、一応考えてみますと、住宅建設がこの五カ年間かなり水準推移した、したがって住宅の新設によります浸透効果といいますか、そういうことによる居住水準向上がなかなか難しかったということ、それから住みかえでありますとか増改築、こういったものが伸び悩んでおるということでございます。それから賃貸住宅につきましては、四、五人用世帯のいわゆる賃貸住宅、大型といいますか、そういった世帯向けの住宅が依然として不足しているというようなことが理由に挙げられるかと思います。  そこで、第五期の五カ年計画のまだ案でございますけれども、確かに六十年度までにできなかったものですから、居住水準を見直すということではなくて、最低居住水準計画期間にできるだけ早期に解決するという目標を設定したところでございます。その目標達成するために今後取り組んでいくべき施策といたしまして、老朽あるいは狭小なストックの建てかえの促進でありますとか、市街地住宅供給促進事業の推進、こういったものによります公共賃貸住宅の的確な供給、それからさらに住宅金融公庫土地担保賃貸住宅貸し付けの拡充によりまして良質な民間賃貸住宅供給を図る、そういったような施策を総合的に展開することによって第五期の五カ年計画目標としておりますできるだけ早期に最低居住水準未満の世帯解消を図るという目標に向かって努力してまいりたいというふうに考えております。
  124. 安武洋子

    安武洋子君 大臣がおられないからあれなんですが、続けますけれども、今御答弁をいただきました。しかし、私この答申を見てみますと、一層の政策努力ということを繰り返しているだけなんです。私は、目標年次すらこれにもはっきりしていないということで、今いろいろの施策をおっしゃいましたけれども、そういうものをひとつ年次的に計画をきちっと立てて本当に解消をするというふうにやっていただくべきではないかというふうに思うんです。そういう点も具体的にやられての今の御答弁でございましょうか。
  125. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 六十年、つまり第四期の五カ年計画のときもいろいろそういうことを考えながら目標を設定したわけでございますけれども、なかなかそういうふうにいかなかったということかと思います。第五期につきましては、できるだけ早期にいろんな施策を総合してその目標達成したいということでございます。
  126. 安武洋子

    安武洋子君 第四期のときもそういう御答弁をやってこられたと思うんですよね。できなかったと、やはり努力はするけれども解消できなかったということがずっとこのまま続いていくということは、私はこれは大変まずいと思うんですね。本当に五カ年の間に解消してしまおうということであれば、年次的に総合的な計画を一体どういうふうにやっていくのかということをもっと具体的に立てていただかないと、いつまでたってもそれこそウサギ小屋からの脱出はできないというふうになってしまうのではないかということを非常に懸念するわけなんです。ですから、そういう点で私は目標をどういうふうに立てて、どういうふうに一つずつ解決していくのかということをここできっちり考えていただきたい、そのことを要望しているわけなんですが、いかがでございますか。
  127. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 最低居住水準未満の世帯につきましては、これは統計は必ずしも連続しておりませんけれども、昭和四十八年では三〇・四%ございました。それが五十三年で一四・八%というふうにかなり急激と申しますか改善されたわけでございますが、五十三年から五十八年、この五年間を見てみますと、一四・八から一一・四というふうにかなり改善のテンポがおくれてきております。そういうことで、一一・四%というのはかなりやはり大変な数字だなというふうに考えておりますが、なお一層いろんな施策を、特に大都市の借家世帯に多いということもございますから、賃貸住宅に力を入れるというようなことを総合しまして対応してまいりたいというふうに考えております。
  128. 安武洋子

    安武洋子君 この答申の中にもあるんですけれども、住宅価格は上昇している、それから「所得の伸び悩み等住宅建設を取り巻く経済的諸条件が悪化した」というふうなことが挙げられているわけなんです。ですから、本当に私は解消をしていこうということであれば、個人の努力というのはこういう状況がありますから限界がありますので、総合的な施策というのを目標を立ててきっちりやっていただいて、今度はいろいろやってきたけれどもやっぱり残っちゃったというふうな御答弁をいただかないように確実にやっていただきたいということを申し上げておきます。  今回のこの答申といいますのは、従来の住宅政策の指針としてきた平均居住水準、これを見直しまして新たに誘導水準を設定いたしております。昭和七十五年、西暦二〇〇〇年までに半数世帯がこの誘導水準達成するということを目標にいたしております。非常に結構なことではありますけれども、この新水準、これは四人家族で都市では三LDK九十一平方メートル、一般では百二十三平方メートルというようなことで、この住宅水準半数世帯をレベルアップするということになっておりますけれども、私は大変バラ色の展望というのはそれは結構です。悪いとは申しません。でも、現実はどうかということはやっぱりきちっと押さえていただかないといけないと思うんです。これは新設住宅の二戸当たりの床面積、この四年間を見てみまして一体どうなのか。これは九十四平方メートルから八十四平方メートル、十平方メートルも減ってきているのではないんですか。これは間違っていますか。いかがでしょうか。
  129. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 御指摘のように、持ち家、借家等々を平均いたしますと、着工新設住宅の床面積は減ってきておりまして、五十五年が九十四・三平方メートルに対しまして五十九年では八十四・一平方メートルというふうになっております。
  130. 安武洋子

    安武洋子君 バラ色が描かれている。そのバラ色を目の前にしてこういうやっぱり現実であるということなんですね。私は、国民の居住レベルが全体としてダウンしてきているという現実を押さえていただかないといけない。しかも、四百万も の五十平方メートル以下、四人世帯で五十平方メートル以下というふうなところもあるのだ、最低居住水準未満の住宅に住んでいなければならないのだという現実があるわけなんですね。これを解決しない限り私は住宅事情改善につながらない、何よりもこの現実をどう解決していくのかということをやっていただかない限りは真の住宅事情改善にならない、こう思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  131. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 先ほど数字が出てまいりまして、確かに平均の床面積は減っております。この中身を見てみますと、持ち家につきましては着実に上昇しております。先ほどもちょっと数字を申し上げましたけれども、持ち家の専用住宅でありますと五十九年あたりで百十八平方メートルということになっております。問題は借家でございまして、数はふえておりますけれども床の平均面積かなり落ち込んでいるということでございます。したがいまして、先ほどからもいろいろ申し上げておりますように、そういったものへのいわゆる賃貸住宅といいますか、そういったものの施策の充実ということをいろいろ来年度の要求でも考えておるし、また要求しているところでございます。そういったものを実現することによって何とか対応してまいりたいというふうに考えております。
  132. 安武洋子

    安武洋子君 持ち家は、やはり個人の努力で床面積はふえているというふうなことなんですね。私は、行政の努力という点で考えますと、これは公団、公営の住宅につきまして今後どのように努力をしていくのかということが大きく住宅政策にかかわってくる、それの改善にかかわってくるというふうに思うわけなんですね。その点はいかがなんでしょうか。
  133. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 今の点は御指摘のとおりでございます。今後、例えば住宅都市整備公団はその賃貸住宅に力を入れていろんな条件改善していく、また金融公庫につきましても貸付条件を、これは賃貸住宅も含めましてですけれども、貸付条件を充実していくことによりまして政策目的を達成してまいりたいというふうに考えております。
  134. 安武洋子

    安武洋子君 今貸付条件とおっしゃいましたけれども、その中身は。どう改善なさるのか、その中身。
  135. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 幾つもあるんですが、今私の頭に残っておりますのは、いわゆる土地担保賃貸住宅、これにつきまして対象面積を減らすことによって、減らすといいますのは何平米なきゃいけないという面積を減らすことによりましてその充実を図る。つまり、一般の場合、例えば今までは原則千平米以上の土地がないとそういうものができなかった、それを五百平米以上に減らすといいますか、五百平米あればそういうものができるようにする。  それから木賃整備計画適合建築物の場合には現在五百平米以上でございますけれども、それを二百平米以上というふうに下げるとか、あるいは建築規模を、現在五百平米以上なければいけないというものを三百平米以上に下げるとか、それから先ほど申しましたが、賃貸住宅戸数につきましては約六千戸をふやしまして一万六千五百戸から二万二千五百戸にする。  ほかにもございますけれども、そういったようなことでふやしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  136. 安武洋子

    安武洋子君 それに金融面、それから金利面、そういう点でも改善をなさるというおつもりはあるわけですか。
  137. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 例えば金利面で申しますと、特定賃貸住宅建設融資利子補給補助事業というのもございますけれども、それが現在、例えば十年から十五年目は——十年目までは二・五なんですけれども、補助といいますか国のあれが。それが十一年目から半分になってくる。それをもとに戻してくれというような、これは例でございますけれども、要求をしております。それから非住宅部分が現時点では〇・四五%である、これを〇・八五にしてくれ、利子補給部分ですけれども。そういったような形で金融、融資等々改善してきたいと考えております。
  138. 安武洋子

    安武洋子君 大いに改善をしていただいて、本当に住宅問題を前進さしてほしいと思うんです。  そこで、私、中小の建設業者の問題についてちょっとお伺いしておきたいと思うんです。先日、兵庫県の土木部に最近の公共事業の労務単価について問い合わせをしてみたんです。そうすると、数字は公表できないと言いながらも、傾向としてはここ数年ほとんど労務単価は上がっていないという返事なんですね。横ばいだと言われているわけです。  業者の方にお伺いをしてみたんですけれども、業者の方にお伺いをしてみても、大工さんなどでも日当が大体一万二千円前後というふうなことなんです。これは高く聞こえますけれども、一万二千円というふうに言いますと。雨降りで仕事ができない日もございますし、大体二十二日働くというふうなことになるんです。これは道具代というのが大体大工さんに換算しますと一日に六百四十八円、それからボーナス相当分ということで四千三十六円、それから退職金相当ということで千五百四十八円、この合計が六千二百三十二円になりますから、一万八千円要求をされているわけなんですけれども、その六千二百三十二円というのを引きまして、そして一万一千七百六十八円ということになりますが、それに二十二日を掛けて二十五万八千八百九十六円ということで、一人前の技術を持っている方にとっては私はこれで大変安いのじゃなかろうかというふうに思うんです。  ところが、それどころか、一万二千円前後の手取りになるというふうなことで、私が今申し上げましたような道具代とかボーナス相当分、退職金、これを引いて、二十二日しか働けないということになりますと大変労務単価というのが安いのじゃなかろうか。ここ数年横ばいということであれば、これは私は労務者の方も大変だというふうに思うわけです。  今、数字とか、いろいろ実情を聞かれまして、大臣、どういうふうにお思いでございましょうか。
  139. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) ちょっと制度の仕組み等についてお答えいたしたいと思います。  公共工事を発注する場合は、まず予定価格というのをつくりまして、それで入札に付すわけでございますけれども、その予定価格の積算に使う労務賃金につきましては三省協定というのがございまして、農林水産省、運輸省、建設省三省で調査をいたしまして、その実勢労務単価といいますか、そういうものを調査して、それに基づいて積算をする、こういうことになっております。これは会計法の系列に予算決算及び会計令というのがございまして、予定価格を積算する場合にはそういう市場の取引価格、実例価格というものを基礎にやらなきゃならぬということになっておりまして、そういうことから今申し上げましたような積算をするわけでございます。  ただ、これはあくまでも平均的なものでございますから、実際に受け取る賃金というのはその人の能力とかいろいろなことによって違いが出てくるということは当然だと思いますが、制度的にはそういうことになっておるわけでございます。
  140. 安武洋子

    安武洋子君 三省協定を知って御質問申し上げているんですよね。  公共事業の労務費の実態調査をして、その集約結果をもとにして、それで三省協議で労務単価を決める、こういうことになっているから私はこの現実の賃金というのが非常に労務単価が安いというふうなことになっておりますので、悪循環から抜け出せないわけなんですよ、現実が低いと。それを調査して三省協定で決めていく、またそれが反映していくというふうなことですから、この悪循環からどこかでやっぱり抜け出さないと。先ほど数字を挙げたのは、これでは大変でしょうというふうなことで私は申し上げているので、この悪循環をどこかで断ち切るためにはやはり政府にイニシアチブを発揮していただいて、そしてこうい う悪循環を断ち切るためにもっと真剣に考えてほしいという声があるからなんです。そういう点をどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  141. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 最近、建設業者の数が非常にふえている、しかし公共工事はふえないというふうなところから業界におきまして大変過当競争による安値受注、特に民間の建築工事なんかに多いわけですが、そういうふうな状況がありまして、元請が安く受注いたしますとどうしても下請に安い単価で出さざるを得ない、そういうふうなのが究極的には労務者の賃金なんかにしわ寄せがいくといったふうな傾向があるということは私ども認識をいたしております。したがいまして、そういうダンピングによる安値受注といいますか、そういうことが起きないように、できるだけそういうものの防止対策ということをやらなきゃいけないのじゃないかというようなことで、建設業界団体に対しましてダンピングの自粛でありますとかいうふうなことを要請いたしておりますし、それから公共工事の場合にはダンピングをやったかどうかというようなことも指名に当たって配慮してほしい、つまり業者の選定に当たって、というふうなことを発注機関に要請をしたり、やっておりますが、そういうやはり構造的な対策といいますか、そういうことを講じませんと、いわゆる契約事務上は実勢価格によって積算をせざるを得ないということでございますので、悪循環と先生おっしゃいましたことにつきましては、そういったダンピング対策でありますとか、あるいは元請、下請の契約関係の合理化とか適正化とか、そういうふうな対策でおっしゃるような点に対処していきたいというように考えております。
  142. 安武洋子

    安武洋子君 私、先ほどいろいろ細かい金額を挙げて申し上げたわけなんですけれども、私は公共事業の労務単価というのを、三省協議による労務単価、これを思い切って引き上げるというふうなイニシアを建設省に発揮してもらわないと、やっぱり現実問題としては一万八千円というふうな要求をされているということが私は無理でないかなというふうに思ったわけですけれども、本当に今大変な状態であろうと思うんです、この現実は。ですから、建設省が頑張るとともに、私はそういう単価というのが末端まで守られるというふうでなければいけないと思うんですね。  ところが、現実はそうじゃないというふうになっておりますので、単価を公表するとか適切な措置というのがやっぱりとられるべきである、そしてそういうことが講じられて初めて私は現場で働いていなさるような労務単価、これが適正になっていく、それがまた三省協定に反映していくというふうなことになろうかと思うんです。ですから、そういう措置を講じていただかないことには私はこの悪循環というのは断ち切れないということで先ほどから申し上げております。  もう一度お伺いいたしますが、やはり三省協議によるこの公共事業の労務単価、これを思い切って引き上げるようなそういうイニシアを発揮していただきたいということと、それからその単価が末端まで守られるような適切な措置、これを講じていただきたいということ、二つをお伺いいたします。
  143. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 三省協定による労務単価につきましては、先ほど来申し上げておりますように、建設労働者の賃金の実態を調査して、それに基づいて決めるということになっておりますので、政策的にこれを相当大幅に上回るような引き上げをして決めるということはできないということでございます。  それから、いわゆるそういう積算上の単価といいますか、そういうものが末端の方に浸透しないといいますか、そのことにつきましては、これは賃金ですから実際にはいろいろその人その人の能力等によって違ってくるわけでございますし、またこれは元請業者と下請業者との契約関係とか、そういう民事的な取引関係でそういう単価が決まる、それから雇用契約で労務単価が決まるという性質のものでございますから、行政的にそこのところに介入するということはいかがかというふうに思っているわけですが、ただ、先ほど申し上げましたように、いわゆる安値受注の結果が労働者にしわ寄せがいくという点につきましては、行政的にそういうことが起きないような行政指導なり努力をしていかなければならぬというふうに考えております。
  144. 安武洋子

    安武洋子君 まさに安値受注のしわ寄せというものがある。そして、現実問題として先ほど私が一万二千円ぐらいですよ、その中で実質こういうものが引かれてしまう、大変な生活実態ですよということを申し上げているわけです。それが反映していくわけですから、私はそんなのは行政介入じゃないと思いますよね。やはり労務単価というのはこんな状態でいいのかどうかということになろうかと思うわけです。ですから、私は、安値受注のしわ寄せなんというのがまさにいっておりますので、そういうところはきっちりといかないようにしていただくというふうなこと、それから建設省がこういう労務単価であってよいという立場でなくて、是認するのではなくてそれを引き上げていくというふうに、建設省としてはどういうふうにやっていけばいいのかということを真剣に考えていただかなければならないと思うんです。  下請業者の方というのは、お話を聞いてみると本当に大変なんですね。発注というのは、これは。契約書もなしに口頭で行われております。それで、発注された条件が悪いからといってそれが断れるかといいますと、それは断れないんですよ。文句をつけますとほかの業者に回すとか言われますし、次にいい仕事を回すからこれをやれと言われたり、おどされたり、なだめられたりというふうなことで、結局は非常に悪条件でも受注をしなければならないという状況に置かれてしまうわけです。労災事故が起こりましても元請は責任を回避するというふうなことで下請に押しつけてくる、こういうこともあります。一たび元請が倒産でもしようものなら、これはとても悲惨な状態に置かれてしまうわけなんです。  これが建設業の下請の実態なんですけれども、そこに先ほど言ったような労務単価が非常に低いということなんですね。下請の未払いの問題もたくさん起きております。これを建設業法に基づきまして、下請の未払いの問題で指導について地方建設局に行くわけですね。そうすると、そこでは、それは本省だけで扱っている問題だから、だから本省に言ってくれと。そういうせっぱ詰まった人が本省までわざわざ言いに来るというふうなことにはならないわけです。  そこで、お願いですけれども、これは各地方建設局にも担当を設置して、窓口となって応対できるというふうなところを私はつくっていただきたい、こう思いますが、これは御検討いただけますでしょうか。
  145. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 建設業法の運用を中心とする建設業行政につきましては、許可権者であります建設大臣、これは本省でやっているわけですけれども、それから都道府県知事、この両者が連携をとってやるということになっております。したがいまして、今、先生がおっしゃいましたような問題がいろんな地域で起こるわけでございますけれども、これにつきましては都道府県に言っていただいて、都道府県で処理できない、例えば大臣許可業者なんかにつきましてのいろんな法律上の処分といいますか、指導といいますか、そういうようなことは知事ができる場合もありますし、大臣でなければできない場合もありますが、そういうときには都道府県を経由して大臣の方に言っていただいて適切に対処するということでやっておりまして、そういう体制で今後とも、これは都道府県の方の体制が弱いなんという声も間々ありますけれども、そういうところは県にもよくお願いしまして十分な対応ができるように努力してまいりたいというように考えております。
  146. 安武洋子

    安武洋子君 今、都道府県を経由云々で支障が起こっているからこそこういう声が出ているわけなんですよね。都道府県の体制が弱い、そこを経 出してなんという話になりますと、これは本当に靴の上から足をかくようなそういう感じで、適切に対応なんてとてもできない。適切に対応していただかないと、下請の未払いなんということになりますと大変悲惨な状態で緊急を要する状態になる。ですから、私は地方建設局ぐらいにそういう相談の窓口ぐらいは設けて適切に対応をしていくというふうなことは考えていただいても至当でなかろうか、こう思いますけれども、いかがなんでしょうか。
  147. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 地方建設局が発注する工事といいますか、そういうものに関連した問題ですと地方建設局も今、先生がおっしゃいますようなことで窓口的な対応はできますし、また都道府県なり我々の方なりにつないで解決を図るというようなことも現にやっているわけでございますが、一般的な制度といたしましては建設大臣と都道府県知事ということの連携で十分な対応ができるように努力をしたいというように考えております。
  148. 安武洋子

    安武洋子君 だから食い下がるわけですけれども、十分な対応ができるようにどうしていただけるのか。今できていないから問題が起きているわけなんです。ただ、言葉の上だけでそういうふうにおっしゃっても困るわけです。どういうふうに対応していただけるんですか。
  149. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) いろんな問題がいろいろあると思うんですが、行政的にどうしても対応できない、不可能だという全くの民事問題みたいなものは、これはどこがやってもなかなか難しいという問題はあるわけです。ですから、具体的な事例がないとちょっといろいろ申し上げられないんですけれども、何といいますか、そういう窓口が不備だからというふうな面で対応が非常に不十分だというようなことはないのじゃないかというように我々は考えておりますが、なお具体的な何か問題がありましたらお教えいただければ対処したいというふうに思います。
  150. 安武洋子

    安武洋子君 私、この下請の未払いの問題で都道府県に行っていろいろ相談してもなかなからちが明かない、だから地方建設局に行ったらそんなことは全然受け付けない、それはうちではないのだ、本省に行ってくれ、こう突っぱねられてしまうと本当に困っちゃう、だからそこでも適切なアドバイスぐらいはするべきだということを言っているんですよ。そこで全部解決してくださいなんて言っておりませんからね。だから、それが私は親切なやり方ではなかろうか。非常にせっぱ詰まった問題が起きているわけですから、それは都道府県に行きなさい、そこ経由でないとこちらは全然タッチしないんです、そういう行政のあり方というのはまずいのじゃないか。もっと血の通った行政をしていただいて、こういう下請業者の人たちの私は悩みにこたえてもいただきたいということなんですよね。だから、これぐらいのことは私はいい御答弁をいただいても行政として当たり前じゃなかろうか、そう思っているわけです。その御答弁をお伺いしまして、時間が来ているので質問を終わりますけれども、もう一遍御答弁くださいませ。
  151. 清水達雄

    政府委員(清水達雄君) 地方建設局が建設大臣、本省あるいは都道府県知事と同じような法律上の権限に基づくそういったことをやるためには大臣の事務を地方建設局におろさなきゃならぬわけですけれども、この点につきましては非常にいろいろ行政の簡素化とかそういったふうな、余り地方建設局が中に入りますと何段階にもなってしまうとか、いろいろそういう問題もあって今のような体制ができているわけでございますので、地方建設局にもできるだけの対応はするようにこちらからも指導はいたしますけれども、制度としては今の体制で対応としてはできるだけ十分できるように努力したいというように考えております。
  152. 山田勇

    山田勇君 各議員さんが質問いたしまして重複するところは多々あろうと思いますので、御答弁は簡潔で結構でございます。よろしくお願いいたします。  まず、今回の住宅金融公庫法改正案政府内需拡大策の一環として出てきたものでありますが、内需拡大は即効性が求められるわけでありますが、この改正案による住宅建設融資枠二万戸の追加がすべて消化し切れるとお考えになっておられますか、またこの住宅建設による経済的波及効果をどのぐらいと見込んでおられるのか、まず御答弁をいただきたいと思います。
  153. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) 昭和六十年度におきましては、世帯増加の鈍化とか、あるいは所得の伸び悩みなど、そういったことがございまして、着工動向がいろいろなっているわけでございますが、それを考えまして四十九万戸ということにしたわけでございますが、その状況は現在のところはおおむね順調に来ておるところでございます。  それで、二万戸は消化できるかというお話でございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、いろんな体制を組んでその完全な消化を図りたいということでございます。  それから経済効果でございますが、事業といたしましては、いわゆる増効果で四千億、それから貸し付け増によります下期のいわゆる質効果、これで九百億、四千九百億、約五千億でございます。これが、それじゃ経済効果としてどうなのかということになりますと、このうち用地費の問題がございます。したがって、それを引きますとGNPの投資額規模では約四千二百億ということになるかと思います。それにいわゆる乗数効果の初年度分といいますか、一年度分でありますところのいわゆる経済企画庁の世界モデルでございますが、一・四七というものを掛けますとGNP増加額は六千二百億というふうに考えております。
  154. 山田勇

    山田勇君 建設省がこれを内需拡大一つの大きな柱とするならば、建設省としても住宅減税の実現に大いに努力すべきだと考えますが、どのような減税措置をお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  155. 渡辺尚

    政府委員渡辺尚君) これも先ほどから繰り返しになって恐縮でございますけれども、住宅関係の税制としては細かいものまで入れますと約十八本ございます。しかし、それはいろいろ延長でありますとか細かいものもございますので、そのうち特に重点と考えておるものを三つ申し上げます。  一つは、新しい税制の創設でございまして、住宅投資促進減税というものでございます。これはいろんなことを検討した結果、実現性の高いものとして改正要望を行っておるものでございますけれども、持ち家、貸し家を問わず、取得費、これは土地費を除きますが、取得費または建築費の一%を五年間にわたって税額控除する。税額控除といたしましたのは、各国はかなり所得控除制度を使っておるわけでございますけれども、やはり所得の高い人の方に効いてしまう、つまり限界税率が高いところに効いてしまうというようなことも考慮いたしまして税額控除ということでお願いをしておるものでございます。  それから二番目は、いわゆる住宅取得控除制度改善でございまして、いろいろございますが、例えば期間、現在三年というのを五年に、それから足切りが現在三十万円でございますけれども、これを二十万円に、それから足切りした後に掛ける控除率、これが一八%でございますけれども、これを約倍の三五%に、それから所得制限が現在八百万でございます。しかし、実際に一千万ぐらいの人を見てみますと、一千万以上の人は低利の公庫融資も借りられないということで、民間ローンの比率が統計的に見ますと千五百五十万ぐらいというふうにそこで非常に大きくはね上がっております。そういうこともありまして、所得制限八百万を二千万まで緩和していただきたいという要望をしております。  それから最後に、三つ目のいわゆる生前贈与でございますけれども、現在は新築住宅しか対象になっておりません。しかし、先ほど来申し上げておりますように、中古住宅というものの比重というのはこれからますます高くなってくると思いますし、やはり低所得者というようなことも考えますと、中古住宅いわゆる既存住宅が非常に重要で ございますので、これを対象にしていただく。それから所得制限が現在五百万でございます。これはいかにも低いので、これを八百万に上げていただきたいというような要望をしておるところでございます。
  156. 山田勇

    山田勇君 局長、大変今御努力をいたしているように伺います。これは相手があることでございます。大蔵省という相手があることでございます。大変御苦労があると思います。この法案の趣旨のいろんなレクチャーを受けたときに御親切に本当にわかりやすい、ちょっと今ここではわかりにくいんですが、この六百三十万をここへふやすまで、この六百二十万をあと十万ふやすだけでも二年間一生懸命大蔵省と折衝した、それでこの十万を上げて六百三十万になったというふうに御説明を受けたんですが、そういうふうにしてたった十万を上げるにも二年間ぐらいかかる。今そういう形で三つも四つも大きな住宅減税政策を建設省として大蔵省に出している。そのうち、すべてが通るとは思いませんが、僕なんか考えますと、一%のこの減税というのはぜひかち取っていただきたい。これをもうちょっと早く聞いたら私も家を買うのをちょっと、ことし買うたばかりなんで、もう少し待てばよかったなんて思う気持ちでございます。  続きまして、時間もそうございませんので、建設省としては、これからの問題、いろんな住宅政策、一般に建築家や学識経験者などの参加を求めて懇談会を設置して今後の新しい住宅政策に寄与していこうというふうに聞いておりますが、ここで大阪の例を申し上げて大変恐縮でございますが、これは私企業的な問題として「つかしん」という大きな町づくりをやられました。私たちも大変興味を持っておりましたし、当然見てまいりましたが、例えばわかりやすく言えば、飲み屋も昔風の細い路地を無理とに細くして石畳を敷いて赤ちょうちんだけの規制をして昔風の飲み屋というふうなもので、地域住民にも大変歓迎されておりますし、すばらしい住宅政策ででき上がったものでございます。その中で、御承知のとおり大阪も大きな土地ございますが、あと七万坪ぐらい今大きな開発をしようかというふうに聞いている場所があります。これは西淀川区でございますが、そういうところになりますと、公団が私は悪いとは決して申しませんが、公団が大変政策的に言いますと、四角はできても丸ができないというのが我々の通説でございまして、そこでひとつこういう懇談会を通じて新しいそういう町づくりといいますか、住宅政策といいますか、そういうものをひとつ考えていっていただきたいと思います。  大阪の場合ですと大変水が悪い。そうしますと、一カ所ぐらい集会するところにボーリングで井戸水を揚げてきて、おいしい井戸水をそこから噴水状で飲めるとか、何かそういうふうな工夫をこれからぜひしていっていただきたいと思います。  御承知のとおり、あのオーストラリアの首都キャンベラをつくるときに、メルボルンとシドニーが引っ張り合いして、じゃその中間地点。そのときは世界的な建築家に呼びかけていわゆる新しい首都をつくる建築の募集をし、それでアメリカの一建築家がそれを落としてキャンベラという首都ができた。それと一緒で、住宅公団が大きな開発を——僕は今なぜそれを言うかといいますと、これから空港関連事業の中で南が相当大きな公団住宅の予定地もあります。取得にかかっている場所もあります。だから、今までどおりのああいう形のものではなく、ひとつすばらしい民間の活性化という位置づけの中でも、そういう民間の知恵も導入しながらすばらしい住宅をぜひつくっていっていただきたい。これは御答弁結構でございます。強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  157. 小山一平

    委員長小山一平君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 小山一平

    委員長小山一平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木君。
  160. 青木薪次

    青木薪次君 私は、ただいま可決されました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対す     る附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、宅地供給の円滑化を図るため、地方公共団体の自主性に基づく適切な線引きの見直し促進するとともに、関連公共施設及び利便施設の整備をより一層推進すること。  二、既成市街地における住宅建設促進するため、都市再開発を推進すること。  三、公共及び民間の賃貸住宅建設促進を図るとともに、大幅な住宅減税の実施に努めること。  四、住宅金融公庫財政の健全化を図り、公庫貸付金の根幹的金利を維持するとともに、貸付枠拡大及び貸付条件の充実を図るため、同公庫に対する利子補給等の財政援助に特段の、配慮をすること。  右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  161. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 小山一平

    委員長小山一平君) 全会一致と認めます。よって、青木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、木部建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。木部建設大臣
  163. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただきまして、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存であります。  ここに、法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  164. 小山一平

    委員長小山一平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 小山一平

    委員長小山一平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会      —————・—————