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1985-12-09 第103回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月九日(月曜日)    午前十一時三十一分開会     —————————————    委員異動  十二月三日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     青島 幸男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         丸谷 金保君     理 事                 倉田 寛之君                 出口 廣光君                 林  ゆう君                 松尾 官平君                 服部 信吾君     委 員                 石井 道子君                 大浜 方栄君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 仲川 幸男君                 夏目 忠雄君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 梶原 敬義君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 刈田 貞子君                 田代富士男君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 井上  計君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  左藤  恵君    政府委員        郵政大臣官房長  中村 泰三君        郵政大臣官房経        理部長      成川 富彦君        郵政省郵務局長  高橋 幸男君        郵政省貯金局長  塩谷  稔君        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省電気通信        局長       澤田 茂生君        郵政省放送行政        局長       森島 展一君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        公正取引委員会        事務局審査部第        一審査長     地頭所五男君        警察庁刑事局刑        事企画課長    上野 浩靖君        警察庁警備局公        安第三課長    鏡山 昭典君        総務庁長官官房        地域改善対策室        長        熊代 昭彦君        総務庁人事局参        事官       衛藤文一郎君        大蔵省主計局主        計官       兵藤 廣治君        大蔵大臣官房企        画官       杉井  孝君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        林田 英樹君        通商産業省機械        情報産業局電子        機器課長     兵頭  洋君        運輸省航空局管        制保安部無線課        長        松本 健治君        郵政大臣官房審        議官       廣瀬  惠君        郵政大臣官房首        席監察官     永野  明君        建設大臣官房会        計課長      望月 薫雄君        建設省道路局国        道第一課長    布施 洋一君        会計検査院事務        総局第二局長   天野 基巳君        会計検査院事務        総局第五局長   秋本 勝彦君        日本国有鉄道電        気局長      吉田 一哉君    参考人        宇宙開発事業団        副理事長     園山 重道君        宇宙開発事業団        理事       船川 謙司君        通信放送衛星        機構理事     大竹 利男君        日本電信電話株        式会社代表取締        役社長      真藤  恒君        日本電信電話株        式会社常務取締        役        寺島 角夫君        日本電信電話株        式会社取締役通        信機器事業部長  山本 千治君        日本電信電話株        式会社取締役高        度通信サービス        事業本部事業        本部長      藤田 史郎君        日本電信電話株        式会社電話企画        本部災害対策室        長        土屋 治昭君        日本電信電話株        式会社電話企画        本部営業推進部        長        西脇 達也君        日本電信電話株        式会社経営企画        本部営業企画部        長        井上 秀一君        日本放送協会専        務理事      川口 幹夫君        日本放送協会理        事        井上  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和五十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十八  年度政府関係機関決算書(第百二回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百二回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十二月三日、喜屋武眞榮君が委員を辞任され、その補欠として青島幸男君が選任されました。     —————————————
  3. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 昭和五十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、郵政省及び日本電信電話公社決算について審査を行います。     —————————————
  4. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 菅野久光

    菅野久光君 初めに、NHKの方にお伺いをいたしたいと思います。  私はきょうのこの委員会会長または副会長参考人として要請をしたわけでありますが、私、事情はいろいろ聞きましたが、最終的に会長も副会長も出られないと。したがって、参考人専務理事が出るということについては一言も私に話がなく、きょうのこの参考人出席ということになったことについてはまことに遺憾であります。私は土曜日の午前中にいろいろ話をして、それからまた時間があったわけでありますから、こういうことについてはやはりきちっとしてもらわないと困るわけでありますから、今後十分注意していただきたいと、このことを冒頭申し上げておきます。  私は、NHK手話通訳にかかわる問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、まず総合テレビ教育テレビ放送時間でございますが、平均的に一日何時間、年間どのくらいの時間を放映されておるか、そのことについてまずお伺いをいたします。
  8. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 現在NHK総合テレビ教育テレビはそれぞれ、午前六時から午後十二時まで、一日十八時間ずつ放送しております。したがって、年間放送時間は、それぞれ六千五百七十時間に相なります。ただ、特集番組あるいは臨時番組等がありますので、実際の放送時間はこれより多少増加しております。例えば昭和五十九年度で言いますと、総合テレビが六千六百七十四時間二十六分、それから教育テレビは六千五百七十六時間十九分というふうな計算になっております。
  9. 菅野久光

    菅野久光君 これらの放送時間のうち聾唖者向け手話通訳を入れた時間というのはおわかりでしょうか。
  10. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) NHKの場合は、手話通訳を入れた放送は、現在のところ「聴力障害者の時間」という番組でやっております。そのほかにはございません。
  11. 菅野久光

    菅野久光君 NHK国会中継をなさっておりますが、これはどういうような事柄について中継をされているのかお伺いをいたします。
  12. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 国会中継は、国会国民の立場に立って国家の大事な問題を論議するところと心得ております。したがって、国会中継はできるだけこれをテレビジョン、それからラジオ放送によって中継すべきものと考えております。  ちなみに、五十七年度からの三年間で言いますと、五十七年度が百十時間、それから五十八年度が百六時間、五十九年度は臨時国会が開催されなかったものでありますから四十五時間というふうな放送時間になっております。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 これは衆参両院の本会議予算委員会、それから逓信委員会と、国会中継については今私が申し上げたことについてのみやっているというふうに理解をしてよろしいですか。
  14. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 大体先生がお話しになりましたようなところが主でございますが、そのほかに特別委員会等放送しているケースがございます。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 主として先ほど申し上げたもののほかに、特に重要と思われる特別委員会等を放映しているということですね。そのようにNHK国会審議状況中継することによって政治が随分身近なものになったというふうに感ずる国民が非常に多いというふうに私は思います。  しかし、私にとってはいま一つ物足りないものが残っているわけであります。それは、テレビ健常者対象にして身体障害者、中でも聾唖者対象になっていないのではないかと、こう感じるのであります。  先ほどのお話のように、手話通訳放送というのはNHKとしては取り入れてないと。いわゆる障害者の時間といいますか、その時間以外には取り入れてないということでありますね。それはなぜでしょうか。
  16. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 手話日常生活言語として非常に聾唖者の中で有用性といいますか、非常に重要な役目を果たしている、これは私どもも十分知っております。ただし、NHKとしましては、これまでの調査あるいは研究、これは現場とそれから放送文化研究所等でやりましたのでありますが、手話だけでテレビ番組における情報の的確な伝達ができるか、あるいは番組内容の十分な理解ができるかと、このようなことを調査した、これは続けてやっております。その結果では、なかなか困難であるというふうなことがあります。  そこで、NHKとしましては、手話とそれから口話、それに字幕スーパーとこの三つを組み合わせて、いわゆるトータルなコミュニケーション伝達というふうな形でテレビ番組としては実施をすべきであろうというふうに考えておりまして、これに基づいてやっておりますのが先ほど申し上げました「聴力障害者の時間」の番組でございます。できるだけ不自由な方々のためにテレビも役立つべきだということは承知しておりますので、今後とも十分な検討結果を参考にして、そして前向きに考えたいと思っております。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 手話では困難だというふうに今言われたわけですね。それで、口話も取り入れ、字幕スーパーもというようなことが言われておりますが、どういうところが手話通訳では困難だというふうに理解されておるんですか。
  18. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 例えば、いわゆる一般的な内容手話で十分通じると。ところが、複雑あるいは特殊な会話でありますとなかなかそれを表現するのは難しいというところがございます。私ども国会中継の中で手話を取り入れておりませんのは、国会中継のような、日本語を使っての論議が闘わされる中でも、国会論議のようなものは非常に複雑でかつ微妙であると思います。そういう細かいところが十分に伝わらないというふうな懸念をするためでございます。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 そういうことであれば、これからもいろいろ研究はするといっても、今あなたがおっしゃるようなことで言えば、何ぼ研究しても手話通訳を取り入れることにはならないという前提で言われておるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  20. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 手話を全面的に否定しているわけではございません。トータルコミュニケーションといいますか、NHKのこれからの研究は、いかにしてテレビジョン聾唖者の方にも理解していただけるか、その方向に進みますので、手話を決して否定するんではございませんで、いろんな形と組み合わせてやりたいというふうに考えております。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 いろいろ私は話を聞くわけでありますが、手話通訳が言えば標準化されていないだとか、あるいはテレビ画面に、何か隅の方にちょっと手話通訳のあれが出るということは画面を見づらくするだとかなんとか、そういうふうな意見もあるということは聞いているわけでありますけれども、その辺についてはいかがですか。
  22. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 昔そのような事情があったことも事実でございます。ただ、昨今は手話についても全国的な標準ができまして、相当そういう点については改善されているというふうに承知しております。画面の隅の方の云々は、これは健常者側から見た問題でありますので、それは御理解を得れば当然解消できる問題ではないか、このように思っております。したがって、今のことは決してそれだけが問題ではない、結局はいかにもっと正確に理解していただくか、その方法が現在のところまだ結論に至ってないというところでございます。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 私は聾唖者方々といろいろ懇談をする機会を持ちました。そのときに、私は初めにも申し上げましたけれども、今の政治状況について非常に強い関心を持っているわけですよ。ところが、それは翌日の新聞でなければ見られないわけですね。テレビで見ても、ただ絵が映っているというだけで聞こえないわけでありますから、だから何とか手話を取り入れてもらえないか。それは今あなたがおっしゃるように、正確には伝わらないかもしれない、言葉の微妙なニュアンスというところはわからないかもしれないが、しかし何を言っているのか、何を論議しているのかということは手話で十分わかると思います。今それだけの手話通訳をなさる方の努力というものがあるというふうに思うんですが、こういうようなことについて、手話通訳をなさっている方々といろいろ、どうやれば手話通訳放送に取り入れることができるかどうかということで論議をされたことはあるのかどうか、その辺をお伺いいたしたい。
  24. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 聴力障害者情報文化センターという組織がございますけれども、私ども現場の者、それから私もそうでありますが、理事者としてあるいは評議員としてその中に入っています。現実的には、そこの中で、事務局的なところにも私どもの職員が日常のように話し合いに行っておりまして、相当聴力障害者方々とは込み入ったコミュニケーションができているというふうに思っております。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 やろうという決意があれば、私はもっと早くに、少なくとも昭和五十六年から国際障害者年ですね。ことしは五年目ですよ。もっと早くにNHK決意さえ持ってやれば、手話通訳というものを取り入れることができたのではないか。一般放送の中に取り入れて、それは全部が全部というわけにはいきません。しかし、例えば民放テレビで、東京の場合でも東京都の広報を放映していますね。御存じでしょう。そうですね。私が調べたのでも民放テレビで、例えば私の住んでいる北海道では札幌テレビ放送が、「朝のニュース」を手話通訳を入れてやっていたり、あるいは「ふれあい広場サンデー9」だとか、これは月曜日に三十分番組、あるいは火曜日に一時間五十二分という「火曜サスペンス劇場」というドラマを放映している。民放テレビは、そのほかにもいろいろありますが、かなり努力をしている。そういう中で、NHK手話通訳を入れたものというのは、教育テレビ聴力障害者の時間」ということで、日曜日の午後六時四十分から七時まで放送しているだけです。総合テレビの中では一切取り上げておりませんね。そこは確認しておきます。
  26. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) そのとおりでございます。
  27. 菅野久光

    菅野久光君 そこのところがおかしいんじゃないか、NHKこそこういうことについて先頭に立って、積極的に取り扱ってやるべきではないか、そういうふうに思うんです。私はいろいろ民放テレビ全部調べてみて、NHK聴力障害者に対する放送への取り組み、これは極めておくれているということがはっきりしたわけであります。  国連は、昭和五十六年を国際障害者年と決議しまして、各国に将来に向かって十年間障害者のための長期計画作成を要請いたしました。日本においては、国際障害者年の理念をどのように具体化するかの行動計画を、中央心身障害者対策協議会が、「国内長期行動計画の在り方」として、五十七年一月に、当時の総理でありました鈴木総理に具申をしております。  なお、中央心身障害者対策協議会は、政府側から、総理府総務長官大蔵、文部、厚生、運輸、労働、建設の各事務次官と十三名の学識経験者から成っているわけでありますが、この協議会が、障害者は、情報文化への接触が少なく疎外感を持っている、テレビ障害者も利用できるよう改善せよ、また、手話従事者養成確保に努めよと述べておられます。NHK、このことを御存じですね。
  28. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) よく存じておるつもりでございます。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 よくわかっていて、民放テレビが既にそういう一般放送の中に取り入れていて、なぜNHK総合テレビの中に一つも手話通訳者の入った放送が取り入れられないのか。そこのNHKとしての姿勢、それを私は疑いたいわけであります。  それでNHKは、国際障害者年の五十六年から今日まで、障害者のためにテレビ放送をどのように改善、改革してきたのか、その実績を簡単に話してください。
  30. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 特に聴力障害者の問題に限って申し上げますならば、文字放送を重要視してやろうということに決めたわけでございます。  文字放送はその性格上、例えば字幕放送でありますと非常に的確に中身が伝達できます。それから、ニュースそのほか情報につきましても、そのこと自体が字あるいは画面でもって的確に伝達ができるということで文字放送をスタートさせて、これが聴力障害者のために役立つようにということで、例えば受信機等もそのための施設等に備えつけまして、御利用を促進しているというところでございます。さらに、ことしの十一月二十九日に文字放送が新しい方式に切りかわりました。番組も倍増いたしました。それから、来年度始まります大河ドラマ等には字幕放送を実施しようということで、そちらの方に重点を置いて制作を進めてきたところでございます。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 文字放送によって、聴力障害者に対してNHKとしては対応していきたいということでやっていると。しかし、文字放送というものは、限られた番組でなけりゃできないんじゃないですか。そうですね。例えばドラマ番組、これは台本があるから、それでせりふを既に収録した録画に入れていくことができる。またニュース、これもあらかじめニュース原稿があるためにアナウンサーの話す内容に合わせて画面ニュース内容を入れるということができるわけです。つまり、文字放送番組の収録から放送までに時間的余裕があるもの、あるいはテレビ放送する内容があらかじめわかっていて容易に文字画面に入れることができる番組だけですね。それに使われるわけです。だけど、国会中継のように生放送でなければ政治の動きはすぐに国民理解されない。つまり、台本がないものを直接聴力障害者に伝えるには手話に頼るしかないわけであります。文字放送ではだめだと、そういうふうに私は言いたいんですが、このことについてはNHKとしていかがでしょうか。
  32. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 私も文字放送だけですべてよしというふうには考えておりません。したがって、現在の聴力障害者の時間の中では手話口話、いろんな形を取り入れた総合的なやり方をやっているわけでございます。それが手話をすぐ入れるからすべてがよろしいというふうにもまたまいりませんので、いろんな形で現在どのようなスタイルがそういうときには一番的確なのか、そういうことを検討している最中でございます。したがって、これですべて終わり、あるいはもう字幕放送しかやらないんだというようなことではございませんので、その辺は先生にも御了解いただきたいと思います。
  33. 菅野久光

    菅野久光君 検討中ということですね。いつまでにその結論を出すつもりですか。
  34. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 先ほども申し上げましたように、聴力障害者の方の団体あるいは文化センター等とも十分な連絡協議をしておりますので、できるだけ早く事態の進展に伴って的確な作業を進めていこうと思っております。今のところ確定的な日時等はこのような番組性格上、時々刻々と変わっていくべきものであろうかと思いますんで、その段階段階でいいことは実施するというふうな姿勢でまいりたいと思っております。
  35. 菅野久光

    菅野久光君 私は冒頭申し上げましたように、 会長または副会長ということだったんですが、あなたで十分に足りるということですから、あなたは会長代理というそういう性格を持ち合わせているものだというふうに思うんですよ。ですから、そのときそのときの状況に応じてというような、そういうあいまいなことではいつになるかわからない。五十六年に障害者年が始まって五年たったってまだ検討中ということじゃないですか。おおよそのめどを示してくださいよ。
  36. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 先ほどから申し上げておりますように、手話だけの放送というのはどうも的確ではないのじゃないかというふうな感じがありますので、何かと組み合わせたトータルコミュニケーションというものを目指そうというふうなことでございますので、決して私どもが例えばやる気がないとか怠けているとかいうふうなことではないと思います。その辺はぜひ御理解をお願いしたいと思います。
  37. 菅野久光

    菅野久光君 手話通訳だけでは的確じゃないというふうに思いますのでということですね。やらないでですよ、やらなければいつまでもいろんな問題というのは出てこないわけですよ。そう思っているだけであって、実際に手話通訳をやってみて、その上でいろんな問題があればこうすべきじゃないか、ああすべきじゃないかという意見が出てくるのではないでしょうか。そういう批判を恐れていたのでは、いつまでたったってこれできないじゃないですか。いかがですか。
  38. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) NHK聴力障害者のためにテレビを役立てるというふうなことは、これはもう当然のことでございますので、私どもは決してこのことを後ろ向きあるいは否定的に考えていることはございません。したがって、そのことが前の方に向かって進んでいくような形でいつも検討しております。例えばおとといの土曜日でございますが、私は聴力障害者団体理事会出席をしまして、そういったことについても前向きな話し合いをしております。そういう誠意をもって前進していることをぜひお認めいただきたいと思います。
  39. 菅野久光

    菅野久光君 先ほども申し上げましたように、民放は一般放送の中に既に手話通訳を取り入れている番組を持っているわけです。ところが、NHKは教育番組しか持っていないわけでしょう。総合テレビの中には手話通訳を入れた番組というのはないわけですよ。そのこと一つを見ても、NHK聴力障害者に対する番組の問題ね、昭和五十五年の統計では聾唖者の人口というのは五十五年で三十一万七千人。参加と平等という国際障害者年とのかかわりを含めて、昭和五十六年から今日五年間NHK総合テレビの中では一切これにかかわっていない、そういう姿勢を僕は非常にNHKとしてあってはならない姿勢ではないのかということを申し上げているんです。  検討している。検討していることはわかりました。だからね、こういうものというのはある程度めどを持たないでいつまでも検討しているということだけで済む問題じゃないわけですよ。一日も早くNHKとして聴力障害者に対する対策、その意味でこの手話通訳をとりあえず国会中継になるか何になるかこれは別にしても、やっぱり取り組むべきではないか。そのおおよそのめどぐらいここではっきり言ってください。そうでなければ私は承知できませんよ。
  40. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 現実的にはいろんな形で検討が進んでおりますので、それが例えば放送番組の実施の形でどのように相なりますか、私今ここですぐ日時を言えとおっしゃいましても的確に答えられないところがございます。それは例えば私一存で進もうというんじゃなくて、これにはいろんな方々との協議が必要でございます。それは進んでおりますけれども、そういうものがだんだん熟してきて、そして的確にこれがそのような形でやるのが一番ふさわしいというふうな時期が来たら必ずやるということを申し上げたいと思います。
  41. 菅野久光

    菅野久光君 よくそういう答弁を役人のような答弁だと言うわけですね。しかし、私は先ほどからも言っているように、もう民放では例えば市民へのお知らせだとかなんとかということでみんな取り入れているわけですよ。先ほども言ったように、それは国会中継とかなんとかという、そういう動きのあるものについては的確にそれはお知らせができないという部分があるかもしれない。しかし、先ほども言ったように、ドラマだとかお知らせだとかあらかじめ台本がきちっとあるものは、これは取り入れようと思ったらすぐできるんじゃないですか。なぜすぐできるようなことについてもそういう時期というものを言えないんですか。あんたは責任者ですよ。NHKの責任者です。だから、私は何月何日なんということは聞かぬが、おおよそのめどだけでもやっぱりはっきりさせてくださいよ。
  42. 川口幹夫

    参考人川口幹夫君) 現在までのNHKの方向というのが、手話のみの放送といいますか、手話通訳のみの放送はやらない、別な方向で、あるいはトータルなものでというふうな形で進んできております。したがって、そのことについての検討をここでもう一遍白紙に返す、あるいは手話のみをやるかやらないかというふうなことをこれからすぐまた検討をいたします。したがって、この結果につきましては大体半年ぐらいは御猶予いただきたいと思います。
  43. 菅野久光

    菅野久光君 手話のみはやらないということは今初めてあなたの答弁から聞いたわけですよ。しかし、それは決まったものについては字幕も入るわけですから、両方含めてやるということもあるいは必要なのかもしれませんが、いずれにしろ全然それに今まで取り組んでなくて、民放の方が先に進んでいるということだけはしっかり認識をして、ひとつNHKとしての役割をしっかり果たしてもらいたいということを私は申し上げておきたいと思います。  この問題だけやっているわけにいきませんので、最後に郵政大臣、政治は健康な人のためのものだけではないわけで、逆に政治は恵まれない人人にもっともっと深く入っていかなければならないし、そうしなければならないものというふうに私は思っております。聴覚障害者政治国会を結びつける唯一の方法が、今の段階ではこの手話通訳ではなかろうかというふうに私は思います。左藤郵政大臣は元郵政省の幹部であったし、電波行政の専門家でもあった方です。聴力障害者の人人が心から願っているテレビ国会中継に何とか手話通訳を入れることをぜひひとつ実現をしてもらいたい。大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。
  44. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) お話ございましたテレビ番組手話通訳を挿入するという問題につきましては、これは申し上げるまでもございませんが、放送番組の編集に係る事項でございまして、放送法の三条でこれは放送事業者に放送番組の編集の自由というものがゆだねられておるわけでありますから、放送事業者が自主的に決めるべきことでございます。しかし、今、先生お話ございましたように、こうしたテレビ時代におきまして、耳の不自由な方々に対してテレビ番組をともに楽しむことができるようにという配慮は私はできるだけ進めていくべきである。特に、今テレビ文字多重放送というものが始まったと、こういうこともございますので、これとの活用もあわせまして、そうした方策について放送事業者が十分検討して実現に努力していただきたいと、私自身はそういうふうに考えております。
  45. 菅野久光

    菅野久光君 大臣、私は放送内容にまでかかわれと言っていることじゃなくて、その放送にかかわって手話通訳をぜひ早急に取り入れて、これらの聾唖者方々政治に対する関心をより一層深めていく。この方々もともども日本国民としての政治意識というものをしっかり持ってもらう、政治の動きをわかってもらう、そういう方向で大臣としてもひとつ努力をしていただけないか、こういうことを申し上げているわけでありますので、その辺はひとつよろしくお願いいたしたいというふうに思います。  それじゃ、NHKの関係は以上で終わります。  次は、郵政省にかかわる問題でありますが、五十九年の九月三日、イギリスの金融・資本市場の有力調査機関でありますラファティー社が世界の預金金融機関上位五百社の番付を発表いたしました。これによりますと、日本の郵便局は預金残高が三千五百五十二億七千二百万ドルと、二位のバンク・オブ・アメリカの九百五十七億五千百万ドルの実に三・七倍という圧倒的な規模を誇っている、それでいて、従業員数は十一万九千七十五人と、英国のバークレーズ銀行の預金残高八百二十七億二千六百万ドル、従業員数十三万人より少ないという大変効率のよい状況になっております。今日、郵便貯金の資金量は百兆円を突破するのではないかと言われておりますが、その見通しはどうなっておるのか。  そのこととあわせまして、五十六年以降民間の金融機関がビッグとかワイド、国債定期口座等々高金利商品を販売したために、一時郵便貯金の増加が鈍りましたね。ところが、ことしになって増加目標額を上回って伸びております。この原因をどのように分析しておられるか、お答えいただきたいと思います。
  46. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 菅野先生お尋ねの件でございますが、私の最新の資料ではこれが十二月の五日で九十八兆ということでございます。ただ、これが百兆になるのはいつかということなんですが、これからの年間の預入状況、それからこの時期はいろいろ物入りで支払いも多い時期でもございますので、そういった状況を見て百兆になるのはいつかなということを今算定しているときでございます。ちょっと確定的な日時では申し上げられないんですが、いずれ百兆を超すのは間違いない。ただ、中身を見ますと、お尋ねのこれは後段にお答えすることになろうかと思いますけれども、いわゆる預け入れ額からお支払いした払戻額を引きました、これを我々純増加額と言っておりますが、純増加額で見ますと本年度は十一月末現在に一兆五千三百六十一億円、この数字は一応前年同期に比べて五割を超えてはおります。ただ、これは昨年の実績が非常に低かったわけでございまして、昨年は前の年に比べて八〇%、同じ四月から十一月の時期をとらえますと五十七年が二兆一千六百五十八億であったのが五十八年一兆七千三百八十億と落ちているわけで、それで五十九年になりますと九千八百六億とさらに五六%、前年度一兆七千億に対して九千八百六億と五六%の数字であるわけです。ことしの一兆五千三百六十一億というのはその九千八百億に対しては五割増しですけれども、前々年の一兆七千億に比べてまだ及んでいないと、こういうわけで五十三年からは伸び悩みになるということになっているわけでございます。ですから、こういう原因は一体何かということで、今御指摘のようにビックやワイドなどいろいろな高利回りの商品が出回っているということで、大変最近のお客さんは金利選好で有利な商品をお選びになるということでもあります。それから全体として家計の可処分所得が伸び悩んでいるということも手伝いまして、郵便貯金としてはそう大きな伸びはしていない、むしろ落ち込みが続いていると申し上げてよろしいんじゃないかと思います。
  47. 菅野久光

    菅野久光君 大蔵省に、ちょっとお伺いいたしますが、金融界全体に目を向けますと金融の自由化あるいは金利の自由化が進もうとしております。既に自由金利商品でありますCD、譲渡性預金の発行条件の弾力化、それからMMC、市場金利連動型預金の創設が四月から実施されました。さらに一口十億円以上の大口定期預金金利の自由化が十月一日から実施されました。国内金融市場の自由化がいよいよ幕をあけたということになります。アメリカを例にとりますと、千ドル以上が自由化されているのに対して、我が国はまだ十億円の単位にとどまっております。十億円を単位にした根拠は一体何なんでしょうか。これは金融機関保護優先主義だとかあるいは金持ち保護策ではないかというふうな批判もあるわけでありますが、いかがでしょうか。
  48. 杉井孝

    説明員(杉井孝君) 金融の自由化につきましては、国民経済の効率化に資するという観点から、私どもとしましては前向きかつ主体的に進める考えでございますが、やはり信用秩序あるいは国民経済全体に与える影響等考えますと、無用の混乱をもたらさないように漸進的に進める考えでございます。こうした観点から、金利自由化につきましては大口のものから小口のものへと順次段階的に進める方針をとっておるわけでございます。そのうち大口預金につきましては、六十二年春までには金利規制の緩和あるいは撤廃を実現することとしておりまして、御案内のように七月末に出しましたいわゆるアクションプログラムにおきましてもこの方針を示したところでございます。御指摘のように、その大口預金の第一ステップとして、十一月一日から十億円以上の定期預金につきましてアクションプログラムに沿いまして金利自由化を実施したところでございます。今後とも、この預入単位十億円につきましては順次段階的に引き下げを図っていく考えをとっておるとこちでございます。
  49. 菅野久光

    菅野久光君 大口については一応やったが、あとは段階的にということでありますが、国民生活に一番縁の深い預貯金金利であります小口預貯金の金利、これの自由化が今のお話のように段階的にということでまだはっきりしていない。今お話しのように、ことし七月の市場アクセスの改善のためのアクションプログラムに方針が出ておって、「小口預金金利については、預金者保護、郵便貯金とのトータル・バランス等の環境整備を前提として、具体的諸問題について早急に検討を進め、大口に引き続き自由化を推進する。」とあるだけで、何ら具体的な点がないわけですね、今のお答えのように。  そこで、この点について大蔵省の自由化のスケジュール、これを一体どのように考えておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  50. 杉井孝

    説明員(杉井孝君) 先ほども御説明いたしましたように、金利自由化は大口から小口のものへと順次段階的に進める方針でございまして、先生御案内のように、大口預金につきましては、六十二年春までには大口定期預金でありますとか、あるいはMMC、それからCD、そういう各方面におきまして金利規制の緩和ないし撤廃を実現することとしておりまして、今、順次段階的に六十二年春までに向けて検討、実施をしているところでございます。  一方、小口預金につきましては、これも先生御指摘のありましたように、七月末のアクションプログラムにおきまして方針をお示ししたように、預金者保護あるいは郵便貯金とのトータルバランス等の環境整備を前提といたしまして、具体的諸問題について早急に検討を進め、大口に引き続き自由化を推進するという考え方でございます。このため、現在学識経験者で構成されております私どもの金融問題研究会というのがございますが、そこにおきまして、民間金融機関あるいは関係省庁といった各方面の意見をお聞きしながら理論的に幅広く今現在検討している段階でございます。
  51. 菅野久光

    菅野久光君 そこで、今の問題について郵政省にちょっとお伺いいたしたいわけでありますが、零細な貯金を預かっているこの郵便貯金が、小口預貯金金利の自由化にどうかかわっていくかということについては、これはもう預金者だけに限らず、今お話しの大蔵省あるいは金融界にとっても大変大きな関心事であります。  そこで、郵政省の小口預貯金金利の自由化に対する考え方、基本姿勢とはどういうものか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  52. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 金融自由化の背景あるいは最近の動きにつきましては、今大蔵省の方からも答えられたとおりでございまして、この問題、もう目前に迫っているといいますか、いろいろ自由化が始まるとそのテンポが早まるというのは、これはアメリカの例もあるわけでありまして、私どももこの問題については基本的に、今先生おっしゃいましたように、小口の預貯金金利の問題、これは郵便貯金にとって大変重要な問題でありますので、この問題については積極的かつ的確に対 応じていきたい。積極的にというのは、大口ばかり先行しておりますと、小口の預金者に対して金利が仮に自由化されて高くなっていくという場合に相対的に不利な面があるわけでございますので、できるだけ大口に引き続いて小口を実施していきたいと。そういう意味で積極的にいきたいと。それから、的確に対応していくということでございますが、これは自由化ということになりますと、今まで規制金利のもとで行われておりました金融運営あるいは預金者心理、そういったことについて、言うならば国民経済及び利用者、国民に及ぼす影響が大変多かろうと思いますので、いろいろ円滑に進むためには、その実施スケジュールを初め具体的な諸問題について、大蔵省とも十分意見交換をして着実に実施できるように対応していくことが必要だろうというふうに考えております。  いずれにしましてもこの問題、完全な自由化の過渡的な措置として、例えば私ども小口の市場金利連動型貯金の創設というようなことも考えることも必要ではないかということで、こういったことも検討しておるところでございます。  それから、これはこの機会に先生の御発言に続いてちょっと私言わせていただきたいと思うんでございますが、預金の面で自由化に対応するのは、その預かったお金がやはり市場金利によって運用されないと、めぐりめぐって預金金利がつけられないということになりますので、市場金利による資金運用制度の創設ということも必要ではないかというふうに考えて対応しておるところでございます。
  53. 菅野久光

    菅野久光君 市場金利と連動してということが郵政省の一貫した考え方のようでありますが、貯金局長の私的諮問機関であります郵便貯金に関する調査研究会、これが五十九年の八月、預貯金金利の自由化を促す報告書をまとめておりますね。中で注目されるのは、完全自由化に至るまでの経過措置について具体策を打ち出していることだと思います。つまり、金利については、臨時金利調整法と日銀のガイドラインで上限金利を決める現在の仕組みを、下限金利を決める形に改める。また、小口の預金者向けに期間三年で金利は国債の流通利回りと連動する新金融商品の導入を提案していることだというふうに思います。  郵政省はこの提案をどのように具体化するお考えか、また一方、このことについてはいろいろな問題があるんじゃないかというふうに思いますが、片や大蔵省としてはこの具体化に対する対応策をどのように考えておられるか、両者の見解を伺いたいというふうに思います。
  54. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) ただいま先生が引用されました郵便貯金に関する調査研究会の報告でございますが、これについては、御指摘のような具体的な預貯金金利自由化のプロセスについて御提言をいただいているところでございます。  私ども、これが具体的にどうなのかということになりますと、預貯金金利完全自由化を目指して、そのいろいろな過渡的な措置として一つの具体的な例としてこういうことが考えられるという意味では十分参考にしたいと思いますが、現実に私どもの施策としてこれがどうなのかということになりますと、その点についてはまだいろいろ私どもこれから今申し上げました問題を含めて検討しなければならないことが多々ありますので、そういった検討の一つの素材としてこの提言を考えていきたいというふうに思っております。
  55. 杉井孝

    説明員(杉井孝君) 小口預金の金利自由化につきましては、先ほどもお答え申し上げたように、現在金融問題研究会でいろんな問題について検討を進めておるところでございまして、小口金利の自由化の進め方でありますとか、あるいはその他もろもろの諸影響等について現在研究しておりますので、その検討結果を見ながら私どもとしても検討してまいりたいと考えております。
  56. 菅野久光

    菅野久光君 郵政省の方ではまだ、具体化の問題についてはある程度何かあるんでしょうけれども、今の段階ではちょっと答弁ができないというのでしょうか、そういうことだろうと思いますが、先ほどちょっと貯金局長が、今のところは郵便貯金は全額資金運用部に預託することになっているわけですが、この郵便貯金を市場金利と直結した郵便貯金の運用制度を何か考えるようなそのようなことを答弁されたというふうに思いますが、郵政省としては、金利の自由化ということになれば金利は上がるか下がるか、どのようになると予測されておるかお伺いいたしたいと思います。
  57. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) アメリカの例あるいは最近の日本における大口預金金利の自由化された結果などから見ると、いずれもこれは現在の規制金利よりは上がっているというふうに受けとめております。その全体として上がった金利がそれぞれまたその金融情勢といいますか、そのときどきの資金についての需給関係でどう動くかというのはこれはまたあろうかと思いますけれども、今までの例では、自由化に伴って預金金利は上がっているというふうに受けとめております。
  58. 菅野久光

    菅野久光君 自由化になれば当然のこと、預金をやっぱり獲得するという意味を含めて、これは金利は上昇するというのが常識だと思います。上昇すれば郵便貯金の運用先である財投はこれはもう対応できなくなるのではないか。これは後から触れたいと思いますが、日本開発銀行や住宅金融公庫等の政府系の金融機関の貸出金利も当然高くなるというふうに思います。そうすればこの低利融資を特色とする政府系金融機関の存在意義は少なくなるのではないか。郵政省はそれでも構わないと考えるのか。金利自由化における財投への対応というのがどうあるべきと考えるのか。その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  59. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 私どもこの郵便貯金、これが金利自由化に積極的かつ的確に対応していくということを先ほど申し上げたのでありますけれども、あわせて従来と同様に自由化になっても郵便貯金資金を安定的に確保して、それを財投に対して安定的に供給するというこの役目も重要であろうと思っております。  これが自由化になってどういうふうにどういう状況に遭遇するのかということになるわけでございますけれども、現在の預託利子制度、これは硬直的な感じ、硬直的な運用もされているわけでございまして、なかなかその辺の対応が難しかろうということで、私どもとしては郵便貯金の受け入れから運用まで一貫して市場金利が反映される仕組みをつくることが不可欠ではないかと考えております。そのために、これはまた申し上げますけれども先ほど申し上げました市場金利による資金運用制度の創設ということを六十一年度予算で要求しておりまして、この実現に努めたいと思っておりますし、預託利率につきまして、これは資金運用部に預託した我々がその郵貯会計として受けるその預託利率の関係でございますけれども、これもやはり市場金利を反映したものとして市場金利連動型とするように大蔵省と協議しているところであります。こういうことで、受け入れから運用まで一貫して市場金利が反映される仕組みをつくって金利自由化に対応していきたいというふうに考えております。
  60. 菅野久光

    菅野久光君 残高が約百兆円、先ほども現在最も新しい情報では九十八兆円ということで、約百兆円ですね。この郵便貯金の運用の仕組みそのものに市場金利を反映させるということになりますと、これは金融市場への影響も大変大きくて混乱が起きないのだろうかという心配がありますが、これについては大蔵省、郵政省、どうでしょうか。つまり、小口金利が自由化されると金融機関のコストが上昇する、コストが上昇すれば中小金融機関の経営の悪化が起こることはもう当然考えられるわけですが、その辺についてはいかがでしょうか。
  61. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) これは私どもの方の考えから先に申し上げさしていただきたいと思いますけれども、自由化ということになりますと、これは当然のことでございますけれども、それぞれの金融機関が市場の実勢を見て金利を合理的かつ自主的に決めるというのが本来の姿ではないかと思います。したがいまして、郵便貯金につきまして も金利自由化のもとでは市場の実勢を反映した金利を、郵便貯金が合理的かつ自主的に決定して預金者に適用していくということになろうと思います。  そこで、郵便貯金が自由化のもとで預貯金金利に影響を与えるのではないか、あるいはプライスリーダーになるのではないかという懸念が先生の今のお話にもあったわけでございますけれども、ただ、郵便貯金はこれは自由化になりましても独立採算性、現在の郵貯会計で維持しております。その独立採算制を維持していくわけでございまして、決して採算のとれないような利子をつけるわけにはいかぬわけでございます。それから、直接運用といいますか、市場金利で財投協力とは別にそういった運用をしたとした場合でも、その運用対象が私どもの今の考えておることでは一応公共債等公共部門への資金供給、例えば国債、地方債など郵便貯金が運用主体というような内容の要求、こういうような形での市場金利による資金運用制度ということを考えておりますので、まあこういったことでの運用ということになりますと、おのずから運用利回りにも限界があるんではないかということでございます。そうあれこれ高利の運用ということはできないわけでございます。当然公的な資金の制約があるだろう。こういうわけで、金利自由化のもとでも郵便貯金が民間金融機関が提供する金利からかけ離れた高い金利をつけるということは考えられない。まあ市場金利に対して、市場金利とまあいろいろ連動はしますものの、そう決定的に重要な影響を与えることはないというふうに考えております。
  62. 杉井孝

    説明員(杉井孝君) まず民間金融機関における金利自由化による影響についてお答え申し上げますが、民間金融機関において金利自由化が進んでまいりますと、民間金融機関の資金調達コストがそのときどきの金融情勢や市場金利をより一層反映したものとなることが当然予想されるわけでございます。したがいまして、金融機関経営に対して何らかの影響が出ることも、これは十分予想されるわけですが、それがどの程度になるかは、経費節減等の経営努力でありますとか、資金運用上の工夫でありますとか、あるいは貸出慣行の変化等によりまして異なってくると思われますんで、現在のところはっきりとどの程度かという見通しは立てがたい状況にございます。いずれにいたしましても今後の金利自由化の進展に伴いまして、民間の金融機関が資金吸収あるいは運用面といった面でのそういう対応や、あるいは営業体制面の見直し等を図っていくことを当局としては期待しておるところでございます。  それから小口預金につきましては、先ほどもるるお答えしておるところでございますが、大口に引き続き自由化を推進すると。その前提といたしましては、預金者保護あるいは郵便貯金とのトータルバランス等の環境整備がまず前提になるということでございまして、特に郵便貯金金利と民間預金金利とが真に整合性のとれた、そういう仕組みなりルールということが必要不可欠だと私どもは考えておるところでございます。いずれにいたしましても、今金問研の方で研究しておりますので、その検討状況を見ながら具体的に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  63. 菅野久光

    菅野久光君 時間もあとわずかしかありませんので、最後に大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、去る十月二十五日、自民党四役と経団連など財界四団体首脳との懇談会の席上、財界側はこの金融の自由化と郵便貯金問題に関連して、郵便貯金金利の民間追随を実現し民間金融機関との競争条件を対等にするとともに、将来は民営化すべきだとこの郵便貯金の改革を求めたやに聞いております。これに大臣としてはどう対処するおつもりか。  また、竹下大蔵大臣は、郵便貯金の自主運用について、年末にかけて詰めなければならない問題、しかし、六十一年度財投までに抜本的結論は無理と答弁をしておられます。これは衆議院の大蔵委員会で、六十年の十一月八日でありますが、こういったようなことから、郵政大臣として六十一年度予算で郵便貯金の自主運用、これをかち取る自信はおありでしょうか。そこをお伺いして、私の質問を終わります。
  64. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 郵便貯金事業は、申し上げるまでもございません、郵便局を通じまして、郵便、貯金、保険の三つの事業が一体的な運用の利点を生かして、そしてどういったところでも、不採算地域におきましても、そういうものも含めめて全国あまねく公平な公共的なサービスを提供しておるわけでございます。今後金融自由化の進展によりまして、民間の金融機関はだんだんに不採算地域に対する切り捨てとか、小口預金者へのサービスの水準が低下するという、そういうおそれもあるわけであります。国営、非営利の郵便貯金の役割は、そういう意味ではますます私は増大してくるんじゃないかと、このように考えておりますし、また、二十一世紀を展望して大規模社会資本整備の必要性がだんだんふえていくわけでありますが、この分野は収益性が低くてリスクが大きい分野で、市場メカニズムが十分働かない、そういったところに対してやはりそういった分野の資金供給を行っている国営の郵便貯金、これの役割が一層重大になっていくんじゃないかと、このように考えます。いろんな御意見もあるわけでありますけれども、私はそういう意味で郵便貯金が国営経済であるという意義は一層大きくなっていくんじゃないかと、このように思うわけであります。  それから次に、自主運用につきましてから取る自信があるのかと、こういう御質問だと思います。そういうことで、今郵便貯金の金利自由化に積極的、的確に対応することが喫緊の重要な課題であるというわけでありますが、郵便貯金の受け入れから運用まで一貫して市場金利が反映される仕組みを、どうしてもそういったものをつくる必要があるということを考えまして、先ほど局長からも御説明申し上げておりますように、市場金利による資金運用制度の創設という問題を六十一年度の予算で要求しておるわけであります。これによりまして、国民に対してよりよいサービスを提供するとともに、財投に対して安定的な資金供給をしていくというもの、そういうことができると、このように考えておりますので、もうとにかくこの六十一年度予算編成におきましてその実現を図るべく全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えておるところでございます。
  65. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  66. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度決算外二件を議題とし、郵政省及び日本電信電話公社決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 きょう、私は二つの問題で質問をいたします。  最初に放送衛星BS2aの故障問題についてお尋ねをいたします。故障の原因とその後の経過について簡単に御報告をお願いします。
  68. 船川謙司

    参考人(船川謙司君) 放送衛星ゆり二号aの故障の経過につきまして御説明いたします。  放送衛星二号は昨年の冬期に打ち上げたわけでございますが、打ち上げ後、静止いたしまして、軌道上での初期段階のミッションチェックも無事終了した後でAチャンネルに故障が生じました。その後、二チャンネルの放送が順調にできるという見込みで通信放送衛星機構の方にお引き渡ししたわけでございますが、残念ながら、その後Rチャンネルの方がまた故障になりました。この事態にかんがみまして宇宙開発事業団では、科学技術庁の宇宙開発委員会に設置されました放送衛星対策特別委員会の御指導を得まして、技術的な故障原因の検討を進めてまいりまして、その御指導によりまして故障原因の追求をほぼ終え、それに 対処する対策をとりまして、十分この次の放送衛星二号bに反映することができたというふうに考えております。  放送衛星二号aにつきましてはこのほか若干問題がございまして、一つは姿勢制御装置の、我々モノパルスセンサーと呼んでおりますが、姿勢を保つためのセンサーの一つが故障いたしましたけれども、これもほかの手段で十分この機能は補われまして、放送衛星二号aは正常に姿勢が維持されております。これにつきましても宇宙開発委員会の第四部会で御審議いただきまして、放送衛星二号bに対する対策も完了しております。  その後、また若干の問題も生じておりますが、それらはすべて我々としましては十分原因を探求いたしまして、十分な対策ができているというふうに現在のところ判断しております。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 BS2bに十分反映させるということですが、マスコミや何かの情報を見ますと、BS2bにも既に打ち上げる前に欠陥部分が指摘されているようですが、その点はいかがですか。
  70. 船川謙司

    参考人(船川謙司君) 先生御指摘の点は、新聞に報道されました放送衛星二号bのBチャンネルの出力が、本来百ワットあるべきところが九十ワットになっているということをおっしゃっているんだと思いますが、この点につきましても関係者十分討議いたしまして、この問題の原因につきまして専門家の意見も一致しております。これにつきましては、このBチャンネルと申しますのは特に念入りに熱真空試験を四十サイクル二回繰り返して行った真空管でございまして、大気中で行いましたいわゆるバーンインと称する衛星への出荷前の試験状態と、それから我々が行いました長期の熱真空試験の環境の変化で若干球の中の特性が変化いたしまして、少し出力が下がったわけでございますが、非常に安定方向への変化だというふうに我々は考えておりまして、九十ワットにはなっておりますけれども、その後この数十サイクルの熱真空試験の間を通じまして、特性は非常に安定しておりますので、我々の方としましてはAチャンネル、Rチャンネルと同様に、これの軌道上での動作は安定した動作が続け得るものと判断しております。  また、若干下がっておりますけれども、これはアンテナの能力で若干補っておりますので、総合性能としましては当初仕様に定められた値を上回っております。
  71. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今九十ワットに出力が落ちているということですが、しかしうまくいくだろうというようなお考えですが、これは承っておきます。どうせ来年の一月ぐらいに打ち上げるんでしょうから、そのときにやっぱり悪かったら、これはあなたがそう言っているんだから、また後、私も国会のこの場で議論さしていただきたいと思います。  次に、契約のこの経路、NHKからずうっと東芝さんまで行く経路と発注価格ですね、2bと2aについての発注価格のトータルでいいですから、それをずうっとひとつお聞きをいたします。
  72. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 私の方から関係機関の契約の経路について御説明申し上げたいと思います。  放送衛星につきましては、NHK通信放送衛星機構を通じて製作並びに打ち上げを宇宙開発事業団に委託するという関係になっておりまして、宇宙開発事業団はまだその製作部門をメーカー、具体的に言えば東芝でございましたけれども2aの場合、に委託をするという関係になっております。したがいまして、NHKそれから通信放送衛星機構、宇宙開発事業団、メーカーという四つの機関が介在することになります。それらの間の法律周係は、いずれも企業協定なりあるいは契約においてすべてきちんと整理をされているところでございます。  多少具体的に申し上げますと、NHKはユーザーとしての立場から、通信放送衛星機構を通じて衛星の設計と製作と打ち上げを宇宙開発事業団に委託をするという関係でございます。したがいまして、宇宙開発事業団は、通信放送衛星機構から委託を受けました部分のうち、製作についてはさらにその部分をメーカーに請負契約として委託をするという関係になっております。  価格につきましてはそれぞれの機関から答弁をしていただきます。
  73. 園山重道

    参考人(園山重道君) 発注金額の御質問でございますが、人工衛星、放送衛星二号BS2は、先ほどお話も出ましたように、昨年打ち上げましたBS2aと来年度予定しております2bと両方、一つの契約で発注いたしております。  契約の詳細、いろいろございますけれども、総体的に申し上げますと、人工衛星といたしましては二百六十二億、両方合わせてでございます。なお、このほかにロケットの経費あるいは打ち上げの場合の所要経費等がございますので、全体といたしましては約六百億円ということでございます。
  74. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 六百億円、私は六十年の三月二十五日の衆議院の逓信委員会会議録を持っておりますが、大体六百十億のように承っております。  それで問題は、NHK通信放送衛星機構に対して幾らで出して、そして通信放送衛星機構は宇宙開発事業団に幾らで出して、宇宙開発事業団は東芝に幾らで出したか、それを聞きたかったんですが、そういうようにマクロでひとつ答えてください。
  75. 井上豊

    参考人井上豊君) お答え申し上げます。  先ほどお話がございましたように総額で約六百十億円ということでございますけれどもNHKの負担分といたしましてはその六〇%ということでございますので、三百六十六億円のうち現在までに支払っております額は三百三十一億円でございます。その内訳といたしましては、BS2a百八十九億二千五百万円、BS2b百四十一億七千五百万円でございます。なお、六十一年度分といたしまして三十五億二百万を予定しておりますけれども、これはまだ支払いを行っておりません。  以上でございます。
  76. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 聞いていることが違うんです。NHK通信放送衛星機構に幾らで出して、通信放送衛星機構は宇宙開発事業団に幾らで出して、宇宙開発事業団は国からの予算も入れて幾らで東芝に出している、そこを言ってくださいと言っているわけです、
  77. 大竹利男

    参考人(大竹利男君) ただいまのルートの一番最初のところ、NHKから通信放送衛星機構、それから宇宙開発事業団、そこの関係をちょっと申し上げます。  NHKからの委託費は三百六十七億でございまして、それでその中には受託手数料が一億ほど含んでおります。その分を引きました三百六十六億ちょっとでございますが、これを宇宙開発事業団の方に再委託しております。その経費でございます。
  78. 園山重道

    参考人(園山重道君) 宇宙開発事業団はただいまお話しのように通信放送衛星機構からいただきましたもの、それから国からいただきました出資金、その合計といたしまして先ほど先生おっしゃいました六百十億というものを人工衛星、ロケット、それから打ち上げ関係経費に使うわけでございます。先ほど私が六百億と申し上げましたのは、予算段階では先生おっしゃるように六百十億でございますが、だんだん進んでまいりまして額が確定してまいりまして現段階では五百九十九億と思っておるところでございまして、これはいずれ全部終わりますとまた精算をいたしまして、余った分は機構さんを通じてユーザーさんの方にお返しするというようなことになりますのでほぼ六百億と申し上げたわけでございます。したがいまして、その内訳で申し上げますと、人工衛星として製作メーカーでございます東芝の方に発注いたします額が約二百六十二億、それからロケットはこれはロケットメーカーに発注いたしますので、これいずれもa、b両方合わせてでございますが、ロケット関係は二百三十一億、それから打ち上げのときの打ち上げ、追跡管制費、その他の諸費が合わせて百六億ということになるわけでございます。
  79. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 通信放送衛星機構というのは百人ぐらい職員がおりますけれどもNHKが受けたまま、そのまま開発事業団に渡すというような意味に聞こえたんですが、それが一つ。それから、東芝に二百六十二億払っているというのは今わかりました。それから諸経費ですか、打ち上げ以外に百六億というこの百六億の内訳は何ですか、この二点について。
  80. 大竹利男

    参考人(大竹利男君) 通信放送衛星機構の役割の御質問と思います。私どものところはNHKから委託を受けましてそれでその一部といいましょうか、実質大部分ではございますけれども、これを宇宙開発事業団の方に再委託するということでございまして、私のところでは何をするかと申し上げますと、先ほど申し上げました受託手数料という形でございますけれども、設計その他のチェックをさしていただく、そういうことをしておりまして、それを差し引いて宇宙開発事業団の方に再委託をする、そういう格好でございます。
  81. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それが一億ということですね。
  82. 大竹利男

    参考人(大竹利男君) はい、そうでございます。
  83. 園山重道

    参考人(園山重道君) 先ほど申し上げました打ち上げのときの経費と申しますのは、まず打ち上げのときにたくさんの人員を役務として使います、そういう役務関係の費用、それから追跡管制関係がございます。これは御承知のように日本の国内だけではなくて外国にも人を出したりいたしまして追跡管制を行います。そのほか打ち上げのときのロケットの燃料代、こういったようなものを含めまして全部で合わせて百六億ということでございます。
  84. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 会計検査院にちょっとお尋ねをいたしますが、大体今お金の流れはわかりましたが、そのようにチェックを一体会計検査院としてしているかどうか、特に東芝に払った二百六十二億、その内訳、あるいはロケットの二百三十一億、打ち上げその他百六億、これは大変な金額でありまして、会計検査院としてはどうこのあたりを検査をしているのかお尋ねをいたします。
  85. 天野基巳

    説明員(天野基巳君) お答えいたします。  放送衛星等の人工衛星の開発、打ち上げ等を実施しております宇宙開発事業団に対する会計検査につきましては、本社並びに事業所での実施検査を中心として行っておりますが、本年は本社及び筑波、種子島宇宙センターを含む五事業所について百七十六人日の人日数をかけて実地検査を行いました。お尋ねの放送衛星につきましてはその契約がBS2a、BS2bを一括したものとなっておりまして、その納期が六十一年一月となっておりますので、まだ契約額が確定しておりません。したがいまして現在は、衛星の開発、契約等に関する各種の資料を収集し、また先ほどお話がありましたふぐあいの発生並びにこれの対策についての報告の聴取等を行っている段階でございます。今後精算が完了し額が確定すれば2a、2bあわせまして設計、仕様、予定価格の積算、検収、精算等の妥当性についてさらに検討を進めてまいる所存でございます。
  86. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 会計検査院に要望いたしますが、NHKは既に三百十六億払い込んでおりますし、ほとんどもう大半が払い込まれておるような状況ですから、全部済んでからとは言わず、やはり経過措置として十分検査をしていただきたいと思います。さらにゆりBS2aですか、これは打ち上げて故障が起こっております。結局会計検査院の機能のうちの一つは、そういうお金をかけたそれに対する機能までチェックをするという一項目入っております。有効性というんですか、あなた方の言う。だからそういう点についても十分に後の検査においてはやっていただきたい、要望して次に移ります。  郵政大臣、放送衛星BS2aを打ち上げて故障があちこち出たと、故障が出たその責任はどこが一体とるのかといったら非常に不十分なんですね。NHK通信放送衛星機構と宇宙開発事業団と東芝と、どこが一体この故障の問題についての責任をとるのか、責任の所在はどこにあるのか、ひとつお金をどこがどう払うとかそういうことはもういいんですが、結局責任の所在だけこの場でひとつはっきりしていただきたい、いかがですか。
  87. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 四者の責任関係でございますが、恐らく先生のおっしゃっておられる責任という意味は単なる金銭的な責任だけではないと思いますが、いわゆる法律上の金銭的な責任、つまり損害賠償責任とその他の責任に分けてひとまず大臣の前に説明をさせていただきたいと思います。  いわゆる金銭的な損害賠償にかかわる責任につきましては、これらは放送衛星に係る技術がいわゆる宇宙の最先端技術であるということから、アメリカ並びにヨーロッパを含めまして、世界どこでも故意責任のみを追及するというのが相場になっております。アメリカのNASAにおいてもそうなっております。日本のBS2における打ち上げにかかわる関係機関の責任関係も、射場搬入後の打ち上げにかかわる責任は故意責任に限定されているわけでございます。ただ、日本の場合は宇宙開発事業団がそれをさらに一歩進めまして、メーカーとの間では重過失責任を加重しているという現実がございます。そのように、我が国といたしましては世界の平均的な基準よりもさらに加重した契約条項をも設けたわけでございますけれども、冒頭に宇宙開発事業団の方から御説明がありましたように、原因究明の結果、その原因がどこから来るかということも含めて慎重恒に係機関で検討いたしましたけれども、現時点まで故意あるいは重過失にかかわる事態が出てきていないということでございまして、その限りにおきまして損害賠償にかかわる責任の追及はできないということになっております。しかしながら、私どもは単に金銭的な責任だけをもってすべてこの問題が終わるとは考えておりません。したがいまして、2aの故障の発生後、直ちに関係機関真剣に今度の問題に取り組みまして、2bに向かってさらに幾つかの合意事項を決定したところでございまして、2bの打ち上げが万全を期されるよう所要の措置を最大限の努力をもって講ずると同時に、今後もしそのような事態が起きた場合にはNASDAが、宇宙開発事業団がその原因究明並びに回復措置について最善の努力をするといったような、改めて私どもとして現時点でなし得る限りの措置を講じたつもりでございます。したがいまして、今後私どもはこの反省は反省といたしまして、またこのBS問題を国の宇宙開発計画の一環として推進してまいりましたそれぞれ関係機関の責任は十分了知しているつもりでございますので、この2aの失敗を無にすることがないように2bに向かって最大の努力をしたいと思います。
  88. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今局長から御説明申し上げましたが、こうした各機関で責任をなすり合いするとかそういうことであってはならないわけでありまして、BS2aの中継器の故障の問題につきましては、そうしたことで関係者がすべて集まりましてこうした問題についての原因究明に努力をしたわけであります。その結果を十分反映することができるような形でBSの今度は2bの打ち上げに対しまして、2aの予備機でもあるわけでありますので、その反省を踏まえて十分配慮をしなければならない、そういったことで宇宙開発事業団はまず最大限の努力をもって必要な措置を施した上で打ち上げること、それから二番目に、衛星引き渡し後に異常が発生した場合は宇宙開発事業団は原因究明及び回復措置を速やかに行うこと、三つ目に、打ち上げ保険、及び寿命保険の付保に努めること、こういったことが関係機関の間で合意されておりますので、私はそういった意味でこの関係者がすべてこの問題について一体となって今後とも努力していくということを申しておりますので、これに期待をし、またそういったことで指導してまいりたい、このように考えております。
  89. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 答弁になっておりません。どこに責任があるかということについて何にも答えてない。
  90. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 契約あるいは協定に基づくいわゆる金銭上の責任問題については先ほど申し上げたところでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、私どもはそれですべてこの問題についての責任が解除されたとは思っておりません。このBSの開発並びにその利用につきましては、既に十年来の経過がございます中で国の宇宙開発計画の一環として、私どもはもちろんでございますが、科技庁も含めそれからNASDA、通信放送衛星機構、NHK、それからメーカー、それらの共同開発プロジェクトであるというふうに認識をしております。したがいまして、共同開発プロジェクトとして推進してまいりました結果がこのようになったこと自体につきましては、私どもは非常に深く反省をしているところでございます。したがいまして、そうしたことを踏まえて二度とこのようなことが再現しないように、先ほど大臣が申し上げましたとおり、2bに向かって関係機関が合意のもとに最善の措置をするというのが現在時点における責任のとり方であろうというふうに関係者の間で考えているところでございます。
  91. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  92. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 速記を始めて。
  93. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 契約上の責任についてはたびたび申し上げましたので繰り返しませんが、広い意味でのこのプロジェクトを進めてきた責任と申し上げますのは、これは国の宇宙開発計画に基づいて関係機関の共同プロジェクトとしてやってきた、その結果がこのような事態を招いたということについては、関係機関ひとしくそれぞれの立場において責任を感じているところでございます。
  94. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 六百十億円という金はあなた方大した金じゃないと思うかもしれません。しかし、私は地方に帰りまして地方の人口約三十万の都市の一年間の一般予算、会計予算なんですよ、これは。一年間ですよ。これをどこかやっちゃって、どこか故障したときは、いや、何かどこかわからぬと。しかし、実際に結局この問題のしりぬぐいをしているのはNHKじゃないですか。NHKが六〇%、そして国が宇宙開発事業団に四〇%出しているじゃないですか。だから、金をどこからどう出すかは別として、それはやっぱりこの問題を一番進めたなら進めたところが悪いんなら悪い、あるいは東芝が悪かったら悪いとか、そんなところはぴしゃっと国民に。だれもわかりませんよ、国民は今。この問題は、NHKが打ち上げたときには、さあさあ見えないところも見えますと言ってえらい宣伝をしましたが、その後は全然宣伝しない。一体あれはどうなったのか。そこで、六百十億円の多額な金がそこに使われているというのはだれもわからない。そして、その所在は一体どこかといったって、NHKが視聴者から上がってくるお金を出している、六割。こういう状況ですから、大臣、きょう時間ないですから、私はしつこいんですから次に残しますが、あなたの考えをぴしゃっと言ってください。
  95. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) こうした事故が起こったということにつきましては、私はやっぱり政府及び関係の機関すべての私は連帯責任といいますか、そういうようなものじゃなかろうか、このように思います。そうした意味におきまして、今申しましたようなことでこうしたことが起こらないような次の対策を考えなければならないまた責任がある、このように考えております。
  96. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これはもう関係、関係と言わぬで、私にあるならあるといって言えはすっきりするんじゃないですか。でなければ、関係と言うんなら、そんならどこがどうとるのか、ただ言うだけで、結果的にはNHK国民がこの金払っているわけじゃないですか。  それから、大蔵省ちょっと聞きますが、宇宙開発事業団には出資金という形で七千五百五十億か今出しておりますが、こういうぼっと打ち上げて後、形が残らぬ、出資証券だけ大蔵省の金庫の中にたまっておるんですか。いかがですか、それは。
  97. 兵藤廣治

    説明員(兵藤廣治君) お答えいたします。  出資金が施設整備費なり投融資の財源に充てられる場合におきましては有形資産が残ることになります。しかし、研究開発費の場合には相当部門が形の上では費消されて、いわば物として残ることはございません。けれども研究開発費を投じた結果、技術が温存され、中には特許の出願となってまいりますものも出たり、ノーハウ、知識がそのまま蓄積され、次の研究開発に進んでいくことになるんだろうと思うわけでございます。  このような技術の進歩は、終局的には直接、間接の影響をもちまして国民経済の発展に資することになると思うわけでございまして、それが結局将来の国民がその利益を享受できる、いわば国民共通の財産として認識できるのではないかと思っておるわけで、そういったことで出資の形で国の支出をいたしておるということでございます。お尋ねのとおり、今、形としては出資証券が保管されておるということになりますが、その内容は今申したようなことでございます。
  98. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 本来こういうかすみのように消えていって、それで何か特許がどうやこうやこじつけりゃ、補助金だって交付金だって、国の関係でやった分はそれは国がやるわけですから、これは検討してください、大蔵省で。出資金という形で、これは実態に合わないと思うんですよね。どんどん出して、今七千五百五十億からたまっておりますが、あと何にもカタは残っておりません。要望しておきます。本当はもうちょっとこの問題はNHKにも聞きたかったんですが、一応これで終わります。  次に、郵政省に最初にお尋ねしますが、高度情報化社会への対応ということで、いろいろな幾つかのメディアに対する、新しいニーズに対する対応ということで奨励をしております。ファクシミリなんかも随分郵政省の方も宣伝し、力をNTTと一緒に入れているようでありますが、郵政省はファクシミリにかかわる年間予算というのは一体どのくらい郵政省が抱えているのか。それから、ファクシミリの機械について、単体一つ、郵政省が大体最近買ったファクシミリの機械の値段というのは幾らするのか。ちょっとその辺を先に。
  99. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) ファクシミリ通信に判う五十九年度の所要経費でございますが、約二億三千万円となっております。内訳を申し上げますと、通信費関係が二億百万円、記録紙が二千四百万円、トナー等のその他の経費が約五百万円ということになっております。  それから、最近郵政省で購入したファクシミリの価格でございますが、契約金額が市場価格の大体四割程度ということで落札している次第でございます。
  100. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 建設省お見えですか。先般、朝日新聞にトップに次々と出たんですが、建設省が十三台ファクシミリを買った。そのファクシミリの一台の値段というのが市場価格の七五%引き、こういう非常に異常な価格で契約をしているわけです。これは、建設省の会計課長とリコーの浜田社長が覚書に基づく契約書を交わして、そしてその契約書を各地方建設局の方に出して、こういう形になったからという覚書を通知をしておりますが、非常にこれは異常な価格であるわけでありまして、こういう記事を読んでそう思っているんですが、事実はいかがでしょうか。
  101. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 御質問のファクシミリの導入に関しまして若干の経緯等も申し上げさせていただきたいと思います。このファクシミリは、新聞等にも出ておりますけれども、本省と地方建設局あるいは施設等機関などに一つのネットワークとしてクローズドの格好でもって導入しようというふうにまず計画したものでございます。そういった中で私どもとしましては、率直に言いまして本省の機器といわば端末といいましょうか、地方建設局等の機器を同一の機種でひとつ統一して導入したい、そういった方向によって保守管理等のトラブル等についても合理化を図りたい、こういった考え方で十三台に限った一つのシステムと して導入したものでございます。これにつきまして、私ども、三社から見積もりをとったわけでございますが、はっきり言いまして、かなりの値引きといいましょうか、定価に比べて低い数値の見積もりが出てまいりまして、そういった中で私どもとしましては、会計法令にのっとりまして一番安いものを決めさせていただいた、こういった経緯でございます。  なお、覚書の件でございますが、これは先ほども申しましたような意図、目的を持ったものでございますので、はっきり言いまして本省で地方建設局等の分も含めて見積もりをとらしていただいております。そういった中でその辺の確認された事項を周知徹底する。それでもって支出負担行為担当官の参考に供して形式契約に入っていただく、こういった目的のもので覚書を交換したものでございます。以上でございます。
  102. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 市場価格というのは、本省が入れましたリファクス2317HS、これが一台百九十八万、これが市場価格でありますが、一台当たりの価格が四十九万五千円。それからリファクス2317H、十二台、一台当たり価格が百十八万、これが二十九万五千円。このようなことでいいわけですね。
  103. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) リコーからの見積もりで出てきた数字は以上おっしゃるとおりでございます。  なお、ついででございますが、他の二社につきましても、五〇%台、六〇%台の見積もりが出てまいっております。
  104. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もしここで明らかにできるならば、あとはどことどこの社から見積もりをとったのか。それから、普通は見積もりというのは同じ日に出すのが大体普通の常識ですが、その見積もりをとった日にちは同じ日にとっているのか、差があるのか、その辺はいかがですか。
  105. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 率直に申しまして、見積もりは同日付ではとってございません。三月の上旬から中旬にかけまして大体一週間程度の日時の差がございますが、そういった期間を置いた中に三社から見積もりをいただいております。
  106. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 見積もりを違う日に、何日かの間にとっておる。そうすると、リコーの見積もりはその三社のうちで一番早いのか、真ん中なのか、一番後か、この三つに分けられると思うんですが、いかがですか。
  107. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) ちょっと今手元に資料を持ってまいりませんでしたけれども、私の記憶では一番最後であったかと思います。
  108. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これはおかしな話でありまして、それは五割、六割の見積もりがあるという状況の中で、そこでもし情報が相手の業者に流れておるとすれば、それをさらにくぐって安いところで見積もりをするということはあり得ることですが、そういうことはないですか。
  109. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 私どもも今お話のような、そういったいやしくもいささかも疑いを持たれるようなことをやっておるつもりは毛頭ございませんし、あくまでも見積もりを出していただきたいという御連絡は前後しないで同時に出させていただいておりますが、それに対する見積もりの提出が、先ほども申しましたように日を置いて出た。その間において私どもは契約担当実務者からいささかも他に情報を漏らすということは一切いたしておりません。
  110. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃあ今まで建設省はこれこれに対する見積もりというのは絶えず幅を持って見積もりをとっているわけですね。これいかがですか、そのほかのことも。
  111. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) これは物品の購入の件でございますが、物品購入について何月何日の何時何分というふうなとり方は必ずしもいたしていないところでございます。
  112. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 物品の購入でも、十三台まとめて買う、しかも、建設省の下には地建があり、地建の下には各事務所がずっとあります。これは大変な将来に対する需要が潜んでおるわけです。そういうような重大な、本省と地建の間にリコーならリコーの線で結ぶということは、それはやがては端々に非常に影響を及ぼすようなこういうものを契約するときにも、そんな幅を持ってゆっくりやっているんですか。おかしいじゃないですか。
  113. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) たしか先般の新聞報道では、今先生お話しのように、何となく本省と地方建設局、地方建設局から今度は工事事務所あるいは出張所、こういったふうにどんどん広がっていくシステムを考えているように報道されておりましたけれども、冒頭申しましたように、私どもは今度入れたのはあくまでも本省と地方建設局、本局、これを結ぶクローズドのものでございます。別途、地方建設局の中の事務所等についてはもう既に私どもも大分ファクスの導入が進んでおりまして、千三百台くらい普及いたしておりますが、くどいようですが、これをさらに広げていくというふうな考え方は全くないものでございまして、ある意味では単発のものでございます。
  114. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は九州ですがね、出身は。では、あなたがこの十三台契約した後、九州地建では新しいファクスを、リコーのファクスを買っていますね。あなた方からいただいた数字でも四台ありますね。その四台の価格は幾らですか。
  115. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) お話のように、私ども、九州地方建設局の契約担当セクションに照会してみましたところ、お話のとおり四台の導入をいたしております。  その価格でございますが、機種等はちょっと私も専門的でわからないんですけれども、四台購入した機種は、私どもが本省と地方建設局との間で買った機種とは実は違うものでございまして、私どもが買ったのはリファクス2317HSあるいは2317Hと、こういったもので、新年度早々買ったわけでございますが、その後リファクス210Sというのが新製品として出てまいりまして、これが、私どもが購入いたしましたリファクス2317HS、これよりも機能的にはすぐれたもの、私どもが買った機能を備えているのみならず、スピードも速いという機器でございますが、そういったものでありますが、定価が実は百二十八万円というものでございます。参考までに私どもが購入いたしましたものの定価は、今先生お話出たと思いますが、百九十八万円ということでございますが、わずかな期間に定価が三十数%、まさしく定価の段階で下がっておると。これを購入したわけでございますが、これにつきまして九州地方建設局は七十万八千円で購入いたしております。率にして四四・七%の値引きになっております。
  116. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 おかしいじゃないですか。本省と地建の間よりも、建設局と事務所、例えば大分なら大分の工事事務所と九州の地建との間のファクスの方が高いということはどういうことなんですか。それが一つですね。そんなことはないです。  それから、あなた方が買いましたリファクスの2317のHSとかHとかいうやつは、これは去年の十一月か十二月に出た製品で、ことしの六月とか七月に出た新しい機種じゃない。それが今度九州地建が買いましたリファクス210S、これ四台、これとちょっと差があるといったって、それが二十九万何ぼと七十万八千とどうしてこう開くんですか。おかしいじゃないですか、あなたずっと言っていることが。
  117. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 率直に言いまして、こういう値段で業者が見積もりを出し、あるいは私ども契約に至ったということにつきまして、なぜこういう価格が出てきたかということにつきましては、率直に言いまして私どもも確たることはお答えできる立場にはないと思います。  ただ、申し上げられることは、私ども先ほど先生お話しの九州地建で購入した四台、これは四月の初めに買ったものより高いんじゃないか、あるいはその定価との値引き率が違うんじゃないかということはそのとおりでございます。そのとおりでございますが、率直に言いまして、事務所で求めたこの機器に対する機能、何を期待していたかということについては、私どもの導入した、いわゆる本局と本省との間のネットワーク以上の機 能も求めていた嫌いもあるかもしれませんし、ちょっとそこのところについては私ども、なぜこういう値段でもって入ったかということについてはちょっと確答できる立場にないことを受容いただきたいと思います。
  118. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 だからね、これはおかしいですよ。本当に疑惑を持たれたってしようがない。本省と地建の間で安く、七五%引きで、そして、それから何カ月もせぬでそう変わらない九州が今度は七十万八千円、こうなっている。それから、レンタルでやっているのも、やっぱりそんな高い値段に計算しますとなりますよ。どう考えてもこれはおかしいじゃないですか。
  119. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) ただいま率のことだけで私もわかりにくいと申し上げましたけれども、実はこの九州地方建設局が購入した210Sというのは六月から新規に発売された機種でございます。そういった意味で、これ本当は私が御答弁するのがふさわしいかどうかわかりませんが、この業界での商品販売の一つのあり方として、新規に発売したもの、いわば発売後日の浅いものについては主力商品として余り値引きをしないのかなあ、こんな感じも私はするところでございますが、なぜこうなったかについては、くどいようですが、業界の立場でない私の立場からはお答えしにくいところでございます。
  120. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ、九州地建が買った四台が本当にそんなに新機種かどうか、それを証明する、そしてあなた方が前に買った十三台の分とどれだけ機種の陳腐化が出ているのか、それらひとつ、今ここではあれでしょうから、資料としていただきたい、要請をしたいと思います。  それから、次に移りますが、リコーの社長が朝日新聞の記事で業界の秩序を逸脱ということで、これは大きく出ているわけですよね。それで私は、あなた方は安かったら何でも買うということのようですが、今まで建設省あるいは役所の方で、郵政省もそうなんですが、五割引き以下で、七五%も、そういうようなところで物を買ったことがあるのかどうなのか。こういうのは異常じゃないかと思う。しかも、入札の時期は同時にやらない。それで、先に二つとらして、後から一番最後に出たのが七五%引き。しかも、それより後に今度は地建に幾つか機械が入っている。それは高いものが入っている。これは一連の流れから見まして、どうしてもこれはおかしい、納得ができないわけであります。この点について、ひとつもう一回お考えを聞いておきたいと思います。
  121. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 今の資料要求いいですか。
  122. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 私が求められている資料要求と言われましても、そのリファクス210Sという九州地建で購入したものとリファクス2317HSという私どもが購入したものとの違い、これについての資料要求は、実は私どもも正確には業界、企業が発行している、いわゆるカタログの資料以外はちょっとどうにも申し上げようがないんじゃないか、こんなふうに考えるところでございます。  それで、ただ先生の今のお話で……
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 資料がないのに何で説明できるの、何で理解ができるの、こっちが。
  124. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) ただ、私が申し上げたかったのは、九州地方建設局が購入した機器は発売直後の新製品を購入さしていただいているという事実を御答弁さしていただいたわけでございます。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ、それを証明してくれればいい。
  126. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 私どもが調査しているところでは新機種、九州地建で購入した機種は六十年の六月から発売しているというふうに承知いたしております。
  127. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 では、六十年の六月から発売をしたというようなそういうカタログか、何かそういうよくわかるものを、どうせそれを買うときには、皆さん受け取るときは検査をするんですから、それを出してください。それから、さっきあんたたちが買った十三台のやっと比較できるようにひとつ出してください。これは何も難しいことじゃないですからお願いをいたします。  それから建設省としては、このような形でこれから先、物品を買ったりあるいは何か事業をやるときに、このような形で見積もりやなんかというのは何日か置いてそして締め切るとか、あるいはこういうように非常に厳しい状況の中で、一方ではダンピングと言われるようなことも、そういうようなこともあり得ると、こうお考えなんですか。そういう考え方に立っておるかどうか。
  128. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 私ども物品購入に当たりまして、今後とも複数社から見積もりをとらしていただく、これは基本でございます。それから、その場合に見積もりをとる日を当然同日で御連絡を申し上げると、これを基本に据えていく方針は変わっておりません。その結果としてどういう業者と契約するかということにつきましては、会計法令の基本にのっとりまして最低の価格のものを契約すると。また、これ以外にちょっと現在のところでは事務処理の方法が見当たらないというのが現状でございます。
  129. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 公正取引委員会にお尋ねをしますが、これ公正取引委員会、公正取引法の不当廉売、今言いますように見積もりを時間的に差をつけてしておる。そして結果、一番最後の部分が非常に安い、そしてあとのところは高く入っていると、こういうような形について公正取引委員会としては独禁法の関係で一体どう考え、判断をしているかお尋ねいたします。
  130. 地頭所五男

    説明員地頭所五男君) 不公正な取引方法の中で不当廉売という規定がございまして、不当廉売は独禁法で禁止されておるわけでございますが、この禁止の対象は売り手の方でございます。したがいまして、本件が問題ありとすればリコーの方が問題になるかどうかということになるわけでございますが、先ほどのお尋ねの中の見積書の提出の時期云々については、専らこれは会計法、予決令等の問題かと存じます。  七五%引きの点がどうかという点でございますが、御指摘の点につきましては、具体的なケースでございますので、法律上の制約もございますし、御答弁は差し控えさしていただきたいんでございますが、一般論として申しますと、当該廉売について正当な理由があるかどうか、原価を下回っているかどうか、継続性を持つ廉売であるかどうか、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるかどうか、こういったことを把握の上、判断されるわけでございます。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 通産省お見えですか。  このリコーの価格ですね、製造原価と販売価格、これまあ製造原価でいいわけですが、これは一体皆さんの常識ではどう見るのが正しいんですか。もし七五%ぐらい引いてもそれでやれるというんなら、それはもっと国民大衆に私はどんどん売ってもらわなきゃいかぬ問題、こう思うんですがいかがですか。
  132. 兵頭洋

    説明員(兵頭洋君) ただいまの先生のお尋ねでございますが、製造原価等につきましては、これは企業機密でございますのでこの場で私からお答えすることはできないんでございますが、ただいまのケースを見てみますと、かなりきつい線かなというような感じがいたしております。
  133. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 製造原価はそれは機密でしょうが、しかし専門にやっておりましてかなりきついかどうかというぐらいのことはわからないの、通産省では。大体の線はわからないんですか。
  134. 兵頭洋

    説明員(兵頭洋君) ただいま申し上げましたとおり、かなりきつい価格ではないかというふうに考えております。
  135. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 公正取引委員会にお尋ねしますけれども、通産省の見方、専門的に見ている見方でそういうことなんですね。私は問題は、それなら安いから、それだけ安くしたらそこで飛びつく、そこで買うと今言う。そうすると後々、例えば建設事務所が幾つかあると、本省と地建の間に入っている線はあと何年かすると、これは本線と同じようなのが入りますよ。会計課長の覚書でずっと 出ている。これは、こういうようなやり方の不当廉売みたいなやり方というのは、一つは疑惑が持たれる。同時に、あなた方が言うように不当廉売に当たらないならば、原価からいきますと一体どうなるのか。今の通産省の答弁があります。そこをお考えになって、公正取引委員会としてはどう判断するのか、もう一度お尋ねします。
  136. 地頭所五男

    説明員地頭所五男君) 具体的なケースでございますので、本件についての法律適用、つまり違反か、でないかということについては答弁は御容赦いただきたいんでございますが、あくまでも一般論として申し上げますけれども、工業製品の場合に、非常に技術革新のテンポが早いもの、あるいは商品のライフサイクルの短いものにつきましては、先々陳腐化する、あるいは現在しているというような場合に安く売るということが、先ほど四つのチェックポイントを申し上げましたけれども、その正当な理由として存在するということがあろうかと考えます。
  137. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 会計法からいきましても、あるいは常識からいっても、東京都の場合は年間そういう物品の購入件数は二千万件か何かたくさんある。だけれども、五割引、五割以下でたたくというか値引きしたやつを買っている例というのは一件もないです。私も知っている、地方へ帰っても、地方の自治体は、そこでばんと安く買うような、常識外れて見積もり出してそれを落札するような形というのは余りとられてない。普通はやっぱり最低見積もり価格みたいなものを大体しいて、原価から想定してどのくらいが常識的だろうと、それを極端に下がるというのはやっぱり常識外。そういうようなやり方をしているんです。建設省はさらにこれからもどんどん見積もりとって安いのを次々にやっていくというような課長の答弁でしたが、それは常識に外れやせぬですか、いかがですか。
  138. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 先生のおっしゃっていることは、今後の物の考え方、端的に言うと立法政策も含めての考え方という面はあるいはあるのかもしれませんが、私ども現行の制度でやっていく限りは、物品購入については、実は先生御存じと思いますけれども、最低線価格的な思想が会計法令上ないわけですね。そういった中で、一番安いのを排除して二番手、三番手を仮にこれが合理的だと決めるとすれば、どういう基準でやるのかなということもちょっと気になるところでございまして、いずれにしましても、私どもは法令を遵守して会計事務を進める限りはそういう格好にならざるを得ないということを申し上げたわけでございます。  なおもう一言、先生今、覚書のことを申されましたけれども、覚書の内容は、先ほど冒頭私が御答弁申し上げましたような背景の中で価格と機種を決めたものでございまして、将来に対する意味合いは何も含んでいないものでございますので御理解いただきたいと思います。
  139. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこまで気になるんでしょうね、あなたが言うということは。それは言外に、こういう覚書が行けば、どこどこへ入っているか、それは非常に重みを持つわけですよ、あなたが言う、言わぬにしても。だから軽々にそういうことはやっちゃいけませんよ。  それから建設省に聞いているのは、これからもとにかく見積もりでどんどんとると、七五%でも八〇%でも安ければいい、そこで勝負をしていくと、こういうお考えのようですが、もう一度そこを。
  140. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) くどいようでございますが、私ども会計事務を預るものとしましては、最低価格のものを排除する根拠がない中では、法令を遵守して事務を処理する過程では、何%が起こるか知りませんけれども、そういった事態を避ける方途はないということを申し上げさせていただくしかございません。
  141. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。それじゃもう一度言いますが、見積もりをとる場合に、これからは、僕はそういうことを言うんなら同時見積もりを、何月何日何分までに見積もりは出してくださいと、同時見積もりとらないとあなたが言っているようなやり方なら、もし情報がばれた場合には、これはあなたが言うような形でどんどんいって、恐らく今もそういうことがいっているんでしょうけれども、これはおかしいですよ、見積もりの場合。あなたがそういうやり方をするなら、最低価格をしく方法がないんなら、やっぱり同時見積もりをとる、こういう方法に変えなきゃおかしいんだ。この点いかがですか。
  142. 望月薫雄

    説明員(望月薫雄君) 私ども、実は見積もりをとる会計事務担当者としては、当然のことながらこれはすべて厳秘厳守、秘密を守る、適正に契約を進めるということがすべてでございまして、いやしくもそういった今先生おっしゃらんとされている情報を他に漏らすとかいうことのないように努めているところでございまして、今後ともそういった精神あるいはそういった姿勢で貫いて契約事務に当たってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  143. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひそのようにしてください。  ただ、そうすると言ったって、今疑惑を持たれるようなことが多過ぎる。私はさっきも言いましたように、ずっとこれは疑惑を持たれてしようがない、一般の国民はそう判断する。労働省はこの前つぶれたリッカーミシンとの間で何か金のやりとりがあってみたり、建設省はこの前通産省の建物を建てるときに、プロが設計して十一億ぐらいの設計をやるのに間違って七千何百万余計高砂熱学に払っていたり、こんなことは普通考えられないの、プロがやることで。しかし、そういうことが次々に起こっているじゃない。僕はやっぱりこの問題というのは全く何にもないとはとれないんだ、今常識から考えて、ずっと。だから、もう答弁要りませんから、少なくとも同時見積もりはぴしゃっととるならとる、そして今言ったような形でやらざるを得ないならそのように対応しなきゃおかしい。このことを申し述べまして、ちょっと時間をオーバーしましたが、終わります。
  144. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 質問の中身を若干前後しまして、残された時間内に終わりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  初めに少額貯蓄非課税制度について伺います。  まず大臣にお聞きをしたいのであります。最近民間金融機関にはこの少額貯蓄非課税制度を廃止して一律分離課税導入の動きが出ています。また一方では、自民党の中にも少額貯蓄非課税制度を廃止して今度は低率分離課税を導入する動きが強まっているように聞いています。来年一月一日より限度額管理の強化を実施しようとするこの時期にあって、この少額貯蓄非課税制度を廃止をせよとかあるいは一律分離課税を導入せよ、また低率分離課税と、こういう状況は朝令暮改もよいところだと私は思います。国政に対する国民の信頼を甚だしく失し、そして国民を裏切るものである、こう思うんですが、郵政省も郵便貯金を持っており、この少額貯蓄非課税制度の問題について来年の一月一日限度額管理の強化を実施しようとするやさきでもあり、一体郵政大臣としてこうした動きをどのようにとらえておられるのか、お考えをまず聞かしていただきたいと思います。
  145. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 御指摘のとおり国民各層各般にわたっていろいろな論議が昨年の暮れに行われました。そして、そのときに非課税貯蓄制度を存続していくということが決定され、そして先生御指摘のように、今後とも正しく利用できるように利用者の国民の皆さんに周知、準備して、そしてそのために非課税貯蓄制度の存続を前提にした新しい本人確認手続を定めました所得税法の施行を目前にして、この非課税貯蓄制度を廃止しようとかあるいはまた課税を導入しようというような議論が再燃すること自体、私は非常に遺憾なことであると、このように考えております。法の安定性を阻害するものであり、いたずらに国民の皆さんを惑わすといいますか、国に対します国民の皆さんの信頼を裏切るということになりまして、こうしたことはまことに遺憾なことだ、このように考えております。  私としましては、そういった意味におきまして 郵便貯金の非課税制度はこれを断固堅持していかなければならないということで、かたく決意をしておるところでございます。
  146. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この一律分離課税の導入を求めている民間金融機関は、来年の一月一日からの限度額管理の強化、これによってお客が当局の手の届かない、というのは税務署だと思うんですが、郵便貯金に流れるといった危機感から、どうせそういうふうになるんなら少額貯蓄非課税制度をもう廃止してしまえ、そして自分たちに有利な一律分離課税導入をやれ、こう言っているように私は聞こえるんですね。  そこで、郵便貯金の限度額管理というのは、民間の金融機関が言うように限度額分散をやって脱税が容易にできるような仕組みになっているのかどうか、また、別の観点からはそういうようなことにならないように郵政省としてはどのように限度額管理の強化をやる計画を持ち、その段取りを今進めているのかという点について聞かしていただきたい。
  147. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 郵便貯金の限度額管理につきましてでございますが、これは現在、昨年の五十九年三月に完成いたしました為替貯金オンラインネットワークといいますか、全国ネットワークを生かしまして、コンピューターによりまして全国一本で迅速かつ効率的に行っているところでございます。それに加えまして、さらに来年一月一日からは一連の手続を定めましてこれを強化しようというふうに計画しております。  今準備を進めているところでございますが、その一つは、新たに貯金する際はすべての預金者から運転免許証などの公的証明書類の提示を受けて本人確認を行う、これが一つでございます。それから第二番目に、本人確認のない貯金の利子及び預入限度額を超えた場合におけるその超えた部分の貯金の利子を課税の対象とするということでございます。それから第三番目に、課税の対象となる貯金を支払ったときには、郵政省がその利子額等を税務当局に通知する、こういうことになりますので、架空名義等による悪用の防止など、限度額管理の一層の厳正化が図られるものと考えております。
  148. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、民間の金融機関が言っているように、限度額管理というものを来年一月一日から強化していけば、お客が全部郵便貯金へ流れてしまう、当局の手が郵便局には届かないんだというそのことについて、もう少しはっきりとそんなことはありませんよというふうに説明してください。
  149. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 郵便貯金につきましては、今申し上げましたようにコンピューターによって全国一本ネットワーク化により管理いたしておりますので、郵便貯金に対して民間金融機関が言っているような指摘は全くございません。むしろ私どもからすれば、民間の金融機関におけるマル優の枠の管理といいますか、枠の名寄せというか、その辺についてどうなのかなという感じを抱くくらいでございまして、私ども郵便貯金につきまして、いやしくもこの強化によって民間から郵貯へ来るということは考えられないと思っております。
  150. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは、幾ら民間金融機関でも理由のないことを主張しない、こう思っているんですが、一番の問題は、当局の手が届かないというところにあるんではないかと思うんですが、先ほどおっしゃっていたような郵便貯金の郵政省における自主的な管理というものを厳格にやられることによって、こうしたことが絶対ないという問題をもっと解明をしていかなければ、郵便貯金そのものが守れないという状況にあるんではないかと思うんで、しっかりと限度額管理というものをやってもらいたいということを要望しておきます。  それと大臣に聞くんですが、大臣も自民党出身でありますが、自民党税制調査会がマル優、郵便貯金などの少額貯金非課税制度の見直しというものを論議したが、六十一年度税制の改正では見送りということになったようです。しかし、六十二年度に予定されている戦後税制の抜本改革の段階で再びこの問題は論議するというふうに先送りをしていますね。しかも、少額貯蓄非課税制度の見直しというものは、見直すことによって減税財源を生み出していこう、こういうことに連動をしているようであります。とすると、これはかなり事態は厳しい、こう思います。この自民党の税制調査会に対して自民党出身である郵政大臣が庶民の郵便貯金、庶民の貯蓄ということで長い間つくり上げてきた歴史と伝統のあるものをどのようにして守っていくのかということが迫られると思うんですが、再度郵政大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  151. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 少額課税全体の問題といたしまして、というよりもむしろ郵便貯金として非課税制度というのは創業以来国民の皆さんの中に深く定着した制度であって、そういうことで先ほどから先生御指摘のようなことで議論になること自体が非常に私は残念なことであると、このように考えております。特に最近の人口の高齢化とか長寿社会、そうしたものを予定し、またそして国民の皆さんの本当に汗の結晶といいますか、そういう庶民のお金であります郵便貯金、こういった健全な資産形成に貢献するとかいろんな面から見まして、郵便貯金というものが国民の中にあります考え方からいたしましても、絶対にその利子に課税するということがあってはならないと、このように考えておりますので、今お話しの中にいろんな御議論が既にされておりますし、六十二年には抜本改正をやるんでないかと、こういうようなこともあるわけでありますけれども、我々としてはあくまでも郵便貯金のあり方ということについての理解をさらに党内で求めるように努力しなければならない、このように考えております。
  152. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それではもう一点、郵政省の労務政策の問題について伺います。  郵政省が出している「活力ある郵便局づくりをめざして」というこのパンフがここにあります。この中に「労働組合に何を求め、どのような労使関係をつくっていくか。」という項目があります。私は興味を持ってずっと読みました。私が一番強く印象づけられたのは次のくだりであります。「管理者は、労働組合を敵視したり、介入したりすることはあってはならず、労働組合の立場を理解し、誠意と信頼をもって接し相手の人格を尊重する態度が大切である。」という内容であります。私はこの内容郵政省の労務政策の正常化への姿勢を読み取ることができるのであります。しかし、問題は、文章で書げば簡単に解決するというふうなことではないと私は思います。郵政省として、それでは全国のすべての管理者に対してこの基本的態度で労働組合と対応させていく具体的な手だて、どのようにそれでは講じようとしているのか伺っておきます。
  153. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) お答えします。  先生の御指摘のとおり、この指針を末端の管理者まで徹底し実行することが重要でございます。そこで私どもといたしましては、この指針を発出いたしました際、各郵政局におきましてそれぞれ管理者を集めまして、会議等を開きましてこの趣旨を徹底しております。また、労務管理の方針なり具体的な施策につきましては、平生から各種の訓練、会議その他を通じて徹底を図ってきておりますので、今後そういう機会におきましてさらに徹底を図っていく考えであります。また、労使間の信頼関係というものは、ひとり管理者の心構えとか態度のみによって確立されるものではありませんで、労使双方が互いの立場を理解し、誠意と信頼を持って接し相手の人格を尊重することがあって成り立つものでありますので、郵便局段階の労使双方がこの趣旨を正しく理解することも肝要でありますので、今後管理者に対する指導を継続するとともに、組合に対しましても理解を求めていくこととしたいと考えております。
  154. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 組合に対して理解を求めもどうこうという事柄を私は聞いているんじゃなくて、このパンフにあります管理者の立場というものの中で、やはり現在の労使がもし不正常ということの 場合は、もちろんそれは労働組合にも一端の責任があるということもありましょう。しかし、私は郵政の場合労働組合への敵視、そしてそれに対する不当な介入、やはりそうした問題が労使の不信感というものをもたらしてきた大きな一因である、こう見ています。それだけに私はこの項目を注目しこの郵政省姿勢そのものを多とするというふうに申し上げたんでありまして、まず労使双方という立場は基本にあったとしても、まずみずから労働組合を敵視したり介入したりしない、こういう基本的な立場、それをはっきりさせるということが管理者側になければならぬという私の主張であります。その点についてここで議論する時間がございませんので、また機会があればやらせていただきたいと思います。  そこで最後に、もう時間もありませんから大臣にお伺いして終わります。  私は、兵庫県の郵便局に働く全逓信労働組合の組合員の皆さんにお出会いするため郵便局をよく訪問をいたします。県下の郵便局を全部知っております。そこで局長初めさまざまな管理者と接するのでありますが、時にはあからさまに私に対しても敵対視をして応対される経験を持つのであります。ところが、そうした職場というのはほとんどここに求めてある活力ある郵便局と言えない陰気で暗い状況の雰囲気を持っているのが共通であります。したがって、私はこのパンフの効果が管理者にどのようにあらわれるか、これからもしばしば郵便局を訪れてみたいと思います。  そこで、このパンフに述べられていますが、郵政事業は三事業とも厳しい競争の時代にありながら、先ほど郵政大臣もおっしゃいましたが、百有余年国民生活にとってかけがえのないサービスを不断に提供し続けて、文字どおり国民生活と密着して活動してきたと見ています。今後この民間企業との競争の激化というようなものがいろいろ予想される中で、引き続いて郵政事業国民のための郵政事業として発展させていくために、この労務政策というものが極めて重要な中身を持っていると、こう思うんですが、郵政大臣として将来のそうした展望を見通しながら、新しい労務政策に対する所信を披瀝いただいて私の質問を終わりたいと思います。
  155. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 確かに御指摘のとおり、最近のいろんな技術革新の進展とか社会環境の変化、そういったことで民間との競争が激化するとか、郵政三事業を取り巻く環境は非常に厳しいと思います。そうした中で国民の皆さんに今御指摘のような歴史と伝統を持った郵政事業が期待と信頼にこたえていくというためには、やはり一番大切なことは、今お話がございました事業に対します取り組みの姿勢だと思います。それはやはり職員が意欲と創造性を持って生き生きとして働きがいがあるといいますか、明るい職場をつくるということによって、それが基本になって全職員が積極的に一体となって事業の運営に参加していく、こういう姿勢がなかったならばこの問題は解決しないんじゃないか。それには労使が事業に対します認識を深め、安定した労使関係をもって事業改善努力をしていかなければなりません。  そこで、まず管理者側の問題につきまして、先ほど先生御指摘いただきましたような指針をつくり、そして理解を徹底するということによってこの問題の解決を図っていかなきゃならないということで、もう一度その問題を見直して考え直していこう、こういうことがこの労務政策といいますか、そういうものに対します管理者の姿勢も考え直すという意味におきましてこうした通牒も出し今後の取り組みについて努力をしていこう、こういうことでございます。そういったことにつきまして、今先生御指摘のようなところで、今まで十分でなかったところをこれから努力をして改めていかなければならない、このように考えておるところでございます。
  156. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに、民放テレビの多局化等について若干お伺いしたいと思いますけれども郵政省としては関東、近畿等都市部と地方テレビの受信機会の格差の是正を図るため、地方民放テレビの多局化構想を十一月の電波監理審議会に予備説明していますけれども、まずその構想の内容を説明していただきたい。
  157. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 去る十一月二十二日の電波監理審議会に民放のUHFテレビジョンの周波数割り当て計画、いわゆるチャンネルプランでございますが、これの修正につきまして案を予備説明いたしました。それの概要でございますが、現在全国の各地域で民放テレビジョンが二つを最低にいたしましてチャンネルが見られるように、そういうふうに周波数割り当てがしてございますが、これは全国的に受信機会の平等ということを目標といたしまして従来も周波数の割り当てを逐次行ってきたところでございますが、今回の予備説明に当たりましては、全国の世帯数にしまして八〇%の地域が既に民放のテレビ四チャンネルが見られるようにチャンネル割り当てがしてございますので、それがまた二つしかチャンネルの手当てがしてございませんところにつきまして、四つのやはりチャンネルが見られることを目標にしたい、こういう趣旨の修正の予備説明をしたところでございます。  そのうち二つしかチャンネル割り当てしておりませんのが十七県ございますが、経済事情、それから周波数の割り当ての可能性、それから放送の需要、こういった点を考えまして、十七県のうち七県につきましては今現在二チャンネルの割り当てがされているものを三チャンネルにする、こういう考えで予備説明をいたしたところでございます。
  158. 服部信吾

    ○服部信吾君 八日の閣議後、左藤郵政大臣は記者会見を行いまして、そして北海道の五局あるいは東京の六局化の意向を表明している。大変東京の六局化の意向に対しては大臣は積極的に推進する予定、こういうような閣議後記者会見を行っておるわけでありますけれども、これがある面から言いますと先送りになった、こういうことでありますけれども、この点について大臣の東京六局化構想を打ち出してきたその根拠をまずお伺いしておきます。
  159. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) これは私が積極的に申し上げたんじゃなくて、記者会見のときに御質問がありましたので、今事務的に検討を始めたということだけを御説明したことがそういうふうな報道になったんだと思います。  そこで、民放テレビジョンは原則として各県に周波数が割り当てられておりますが、関東の広域圏内でのほかの県につきましては県域を対象として周波数の割り当てが行われており、現に放送も開始しておる県があるわけでございます。そうしたときに、東京都域を対象とする周波数の割り当てがないというような問題もありますし、東京都からも現に都議会の模様とかそういったものも報道したいというようなことで知事の方から強い要望が出されておるというふうなこともございますので、こういったことの可能性とかいうふうなことについて検討をしておるということを申し上げたわけでございます。
  160. 服部信吾

    ○服部信吾君 これらの検討といいますか、かなり大臣はこれに対しては積極的に動いたというようなことがいろいろ新聞報道でありますけれども、全国独立UHF放送協議会、そういう協議会が十三日に会議を開いたようでありますけれども、「東京六局化案に対する独立U局の対応について」これは何ですか陳情書ですか確認書ですか、こういうものが郵政大臣のところに届けられておると思いますけれども、この点についての見解はどのようにお考えですか。
  161. 森島展一

    政府委員(森島展一君) 東京都の都城という地域に対しますUHFのテレビジョンの割り当てにつきましては、ただいま大臣が申されましたように検討中でございますが、これに対しまして独立のU局の方から経営に対して非常に心配だというような趣旨の御意見はいただいております。
  162. 服部信吾

    ○服部信吾君 それでは、社団法人の日本民間放送連盟会長中川順さん、こういう方からも郵政大臣あてに、今回のこのテレビチャンネルプラン、特に東京六局についてちょっとなかなか厳しい状 況なので取りやめてほしい、こういうような申し入れがあるようですけれども、この点について大臣はどのようにお考えですか。
  163. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 一つの御意見としてそういうようなことで、なるたけこういうような問題について時間的な余裕がほしい、こういうふうな御意向が私に中川さんから直接、そういうふうな民放連の会長というふうな立場であったかどうかわかりませんが、中川さん個人としてもそういう御要望があったことは事実でございます。
  164. 服部信吾

    ○服部信吾君 何か最近こちらの方の業界も大変厳しいということで、テレビ広告等のあれも非常に減っておる。そういう厳しいときにこのような東京六局がある面から言えば唐突的に出てきた、こういうことで今このような業界の方たちから陳情があろうかと思いますけれども、現在広告収入と言うとおかしいですけれども、これをどのようにとらえておりますか。
  165. 森島展一

    政府委員(森島展一君) ちょっと御質問、民放の広告収入でございますね。これは民放全体としまして広告収入に頼ってやっておりますので、これが最近のいろいろな経済情勢あるいは社会情勢でちょっとそういう広告の収入が落ち込んできておるというような話は聞いておりますが、民放全体としての経営状況につきましては、実は最近十一月一日に全部の放送局の再免許をいたしましたときに資料を全部私ども審査いたしました。その中で確かに赤字経営が続いておる社も二十幾つかあったと思いますが、長期的に見ましてこれは漸次改善されていくというふうに私ども考えております。
  166. 服部信吾

    ○服部信吾君 この問題が最後ですけれども、大臣、この東京六局化構想、これはもう完全に、ある面から言えば断念したのか、それとも今後放送政策懇談会、こういうようなところで諮問を続けていくのか、この点について大変微妙な問題ですので、何か聞くところによると、省内でもまだまだこのような問題についていろいろ意見のあれがあるようにも聞いておるわけでありますけれども、大臣のお考えをお伺いしてこの質問を終わります。
  167. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) いろんな御意見も伺っておるわけでありますし、また検討の中には技術的ないろんな検討もありますので、引き続いて検討していきたいと、こう考えております。
  168. 服部信吾

    ○服部信吾君 断念したというよりも、これからやっぱり諮問して聞いていきたいと、こういうことですか。
  169. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) どういう結果になるかはわかりませんけれども検討はしておると、とういうことでございます。
  170. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、これも大臣にお伺いしたいんですけれども、二十一世紀は高度情報化社会と、こういうようなことで、先般国鉄ゲリラ事件等が起きたわけでありますけれども、意外と夢のような、バラ色のような高度情報化社会がもろく崩れていったと、こういうような面があるわけでありますけれども、大臣のお考えと同時に、逮捕された中に二人の郵政省の職員がいたと、こういうことも報道されておるわけでありますけれども、この点について大臣のお考えをお聞かせください。
  171. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 国鉄のゲリラ事件で二名の郵便局職員が逮捕されたということは御指摘のとおりでございまして、郵政事業を預かる責任者としてまことに遺憾で責任を感じておるようなところでございます。  平素、職員に対しまして、国家公務員として法秩序を守って、国民の皆さんに対してのよりよい事業サービスをしなければならないと、こういうことで指導教育しておるという立場から考えましても、こうした事件が起こったことは本当にそういう意味では遺憾であり、これを一つの教訓として、今後こうした違法行為を再現させないように、郵便局長などに対して十分職員の平素の服務管理とそれからその指導教育の徹底を図り、綱紀の厳正な保持に配慮するように、その趣旨の浸透を図っていかなきゃならないと、このように考えておるところでございます。  それから第一問の、お尋ねの国鉄ゲリラによります通信回線の切断、あるいは昨年ありました世田谷の洞道火災のこともありますが、今お話しのように、二十一世紀、高度情報化社会というふうなことになっていく、その対策として、電気通信の神経とも言えるこの回線保護にどういう考え方を持っているかと、こういう御趣旨だろうと思います。こうした国鉄におきます事件が起こりまして、今回は国鉄が被害の復旧を行ったわけでありますけれども、電気通信事業者によりますバックアップ体制と、例えばNTTと現在の回線というものが国鉄のそうしたものに対しますバックアップの仕事ができるかどうかと、こういった問題も、今関係の向きと連絡をとってこれから対策を考えていかなければならないじゃないかと、このように思います。また、国鉄以外の有線、自営の有線電気通信設備、これも非常に公共性の高いものがその中にあるわけでありますが、こうした管理がどのように行われているかにつきまして、こうした機会でもありますので早急に洗い出しを行って、設備の設置者に対して必要な指導とか助言とかいうものを行っていかなきゃならないと、こう考えておりますし、またこうしたことによって改めてNTTのほかにKDDとか新規参入の電気通信事業者、こういった方々に対しましても安全対策、災害対策ということで、高度情報化社会の電気通信ネットワークの確保に向けて今後とも努力しなければならないと、このように考えておるところでございます。
  172. 服部信吾

    ○服部信吾君 こう言っちゃおかしいですけれども、泥棒を捕らえてみたら我が子なりなんという、こういうことわざがあるようですけれども、逮捕者四十六名、そのうち二十四名が判明したと。そうしてその中で公務員が四名、国鉄職員が二名、六名と。こういう国民から見れば大変びっくりしたというような感じが深いと思うんですけれども、総務庁としては、公務員の総元締めとしてこれらについてどのようにお考えですか。
  173. 衛藤文一郎

    説明員衛藤文一郎君) 今回の事件につきまして、総務庁といたしましては、公務員等の中から逮捕者を出したことにつきましては、公務員全体の人事行政を総括する立場から見まして、国民の公務員等に対する信頼を著しく傷つけるものであり、まことに残念に存じております。  当庁といたしましては、事柄が公になりました十二月五日当日、警察当局から通報を受け、直ちに関係省庁に厳正処分方を要請いたしたところでございます。さらに、今回の事件は極めて反社会性の強いものであることにかんがみ、今後さらに厳正な職員管理に努めてまいりたいというふうに考えておりまして、同日の事務次官会議及び翌日の閣議におきまして、それぞれ事務次官及び大臣から全省庁の協力を要請したところでございます。
  174. 服部信吾

    ○服部信吾君 この影響についてはいろいろと述べられておりますけれども、例えばデパートなんかじゃ大変売り上げが落ちだとか、通勤客は当然、その中でやはり学校が大変休校になった、こういうことでありますけれども、文部省としては、どのくらい休校して、何人ぐらいの子供たちが休んだのか。また、これは先生が来れなくて休んだのか、この辺について文部省にお伺いしておきます。
  175. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) お答え申し上げます。  ただいまのいわゆる国鉄ゲリラ事件によります学校への影響でございます。こういう影響につきましては、私どもの方へ公的に報告が上がってまいるシステムになっておりませんので、今回それぞれの都道府県の担当部局へ電話で照会をいたしましたところでございます。  公立の学校、小・中・高等学校について申し上げますと、特に影響を受けました埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪の各都道府県につきまして調査いたしましたところでは、小・中・高等学校全体の数が七千九百七十六校になるわけでございますけれども、このうち休校が百二十三校ということでございます。なお、この百二十三校はいずれも 高等学校において起こっておるところでございます。また、盲・聾・養護学校でございますけれども、調査が実施されております千葉、東京、神奈川、大阪につきまして調査いたしましたところでは、合計百十八校のうち十八校が休校したということでございました。  それから、私立学校への影響でございますけれども、これも都道府県によりまして詳細に調査しましたところ、十分調査が及んでないところもいろいろあるわけでございますけれども、全部の県につきまして調査が行われております高等学校について見ますと、合計四百九十七校のうち二百七十八校が休校したというふうな経過でございます。これらの学校の児童・生徒数につきましては、ただいままでのところ調査が行き届いておりませんので御容赦をお願いしたいと思います。  なお、休校の理由でございますけれども、これもそれぞれ学校の実情によりましていろいろ事情が違うわけでございまして、一律な調査が行き届いておりませんのでこの点も御了解をいただきたいと思います。
  176. 服部信吾

    ○服部信吾君 大変大きな影響を与えているわけですね。そういう中にやはり学校の用務員さんがまた犯人に入っていたなんということを子供たちが聞いたらどう思うか、私は非常にあれを思うわけですね。  ちょっと警察にお伺いいたしますけれども、十二月五日現在で四十六名捕らえた、そのうち二十四名の氏名がはっきりした、こういうことですね。いろいろ何か黙秘権を使っているようですけれども、その後何か状況変わったことありますか。
  177. 鏡山昭典

    説明員(鏡山昭典君) ただいま先生が二十四名とおっしゃいましたけれども、その後も残念ながら被疑者全員完全黙秘でございまして、まだ新しい内容はわかっておりません。
  178. 服部信吾

    ○服部信吾君 その中で、二十四名の中で十月の二十日成田闘争で検挙された五名が含まれていた、こういうようなことも聞いているわけでありますけれども、この点についてはどうですか。
  179. 鏡山昭典

    説明員(鏡山昭典君) 御指摘の点、事実でございます。  十月二十日の成田闘争で逮捕されまして、名前がわからないまま釈放をされたのもおるわけでございますけれども、そういうのは指紋が残っておりますので、今回の一一・二九、十一月二十九日の事件の際に逮捕した被疑者を調べましたところが、その中に五人十月二十日に捕まった者がおった、これは事実でございます。
  180. 服部信吾

    ○服部信吾君 この辺がやっぱり国民から見ますと、十月二十日に捕まって、そしてそれこそ一カ月ちょっと過ぎた時点でまたこういうことをするということになりますと、これは全く何やってるんだということになると思いますけれども、この点についてはどうですか。
  181. 鏡山昭典

    説明員(鏡山昭典君) 御指摘のとおりでございまして、まことにもう遺憾だと言わざるを得ません。  私どもとしましても、逮捕したからにはその罪に服してもらうというような気持ちでやっておるわけでございますけれども、やはり捜査というものは非常にいろいろ法律の制約等もございまして、それに従って処理していかなきゃならぬわけでございます。そういう意味で、完全に黙秘しているからというだけではそのまま勾留を続けていくわけにもいきませんので、やはり日にちが参りますと法律に従って釈放せざるを得ない、とういうような状況でございまして、私どもといたしましても、捜査官といたしましても最大の努力をいたしておりますが、今後ともさらに努力していきたいと思っております。
  182. 服部信吾

    ○服部信吾君 それでちょっとお伺いしたいんですけれども、これは十二月六日の新聞報道ですけれども、博多−小倉間、この新幹線でありますけれども、その新幹線の軌道に妨害装置が仕掛けられていた、たまたま下請会社が工事をしたところ、そこにいろんなものが埋めてあった、こういうような事実があるようですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  183. 鏡山昭典

    説明員(鏡山昭典君) お尋ねの事件は十二月五日の午前一時半ごろでございますけれども、福岡県に鞍手郡鞍手町というところがございます。ここの山陽新幹線で、博多と小倉間でございますけれども、この軌道敷内に軌道点検中の作業員が行きましたところが、バラスの中に集積回路、IC、それから乾電池等の入ったプラスチック製の箱、それからその箱から左右のレールに接続するコードが埋め込まれているのが発見された、こういう届け出がございまして、私どもが認知した事件でございます。  この犯行は鉄道のATC、自動列車制御装置というのがございますけれども、これに作動させまして新幹線をとめることをねらった非常に悪質な事件でございまして、そういうことで今、福岡県警察といたしましては、いわゆる新幹線特例法違反被疑事件として捜査中でございます。現在、現場周辺における聞き込み、国鉄関係者からの事情聴取あるいは現場に遺留されております品物等の捜査を実施しておりまして、犯人の割り出しに最大の努力を傾けておるところでございます。
  184. 服部信吾

    ○服部信吾君 これはたまたまそういうことで、そういう作業をしていて発見されたからよかったですけれども、もしこれ、そういうことがなかったらどんな事件になるのかと。この何というのですか、集積回路、IC、乾電池やら透明のプラスチック、こういうものが詰め込まれているものがあった、これを今どこか研究所へ出して調査をしている、こういうことですけれども、その調査状況はどのようになっておりますか。
  185. 鏡山昭典

    説明員(鏡山昭典君) この列車妨害方法といいますのは、ちょうどある区間に列車が入ってそこでとまってしまう、だから後続の列車からいうと前に列車がとまっているなというような装置になる妨害でございます。これにつきまして今御指摘のように科警研の方で鋭意捜査中でございますけれども、捜査内容については引き続き過激派との関連も含めまして捜査いたしております。  詳細につきましては捜査中でございますので、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  186. 服部信吾

    ○服部信吾君 一点だけもう一回確認しておきたいんですけれども、たまたま今御答弁がありましたけれども、この事件と二十九日との関連性、この点については非常に大事なことだと思うんですよ。そういうことでこの装置が仕掛けられたのが大体五日から一週間、こういうことですので、この辺の関連性をもう一回御答弁いただきたいと思います。  それから国鉄として、新幹線、これを私は総点検をしてもらいたい、このように思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
  187. 鏡山昭典

    説明員(鏡山昭典君) 御指摘のように新幹線に対する妨害という極めて悪質な事件でございます。御承知のように十一月二十九日にも関西の方では新幹線の変電所等を襲撃するといいますか、そうした事件も発生しておるわけでございまして、私どもといたしましても今回の福岡県下におけるこの事件が極左によるものではないかという点も十分に考えまして、鋭意捜査中でございます。
  188. 吉田一哉

    説明員(吉田一哉君) 国鉄でございます。  ただいま御指摘の小倉−博多間の問題でございますけれども、今回の設備については電気側の設備には異状はございませんでした。ただ、私ども二十九日にケーブル等切断等の問題が発生いたしましたので、全線にわたってそういう調査は電気関係いたしております。その後異状なしということでやっておりますが、線路内にこういうものがあったというのは五日の日に初めてわかりましたので、また再度十分点検はしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  189. 服部信吾

    ○服部信吾君 警察にもう一回お伺いしたいんですけれども、これはちょっと事件違うんですけれども、昨日ですけれども、日曜日の朝大阪において住宅街に塩素ガスが漏れたということで大変な騒ぎになっているようでありますけれども、この 事件については警察どのようにお考えですか。
  190. 上野浩靖

    説明員(上野浩靖君) お答え申し上げます。  昨十二月八日の未明でございますが、大阪市東住吉区の電器部品製造会社に何者かが侵入いたしまして、電子制御装置等を破壊するとともに、工場内の塩酸サブタンクのバルブなどを開放して、中に入っておりました塩酸などを流出させまして、揮発いたしました塩素ガスによりまして付近の住民の方々など七名の方が咽頭部等に痛みを訴え入院したほか、百二十三名の人たちが治療を受けるなどの被害を受けた事案でございます。  大阪府警におきましては一一〇番通報で事件を認知いたしまして、付近の住民の方々を一時避難させますとともに、器物損壊、威力業務妨害などの容疑で現場検証を実施いたしますとともに、現場付近の聞き込みその他関係者からの事情聴取等所要の捜査を鋭意進めているところでございます。  現在のところまだそういうことで捜査中、捜査に入ったばかりでございますので、背景その他についてはまだ判明いたしておりません。そういうことでその点につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  191. 服部信吾

    ○服部信吾君 会社ですね、いろいろ何かいろんな問題もあったようにも聞いておりますけれども、この会社はどんな会社ですか。
  192. 上野浩靖

    説明員(上野浩靖君) お答えいたします。  この会社につきましては、ICのプリント配線の基盤製造をいたしております会社というふうに報告を受けております。ただ、会社の営業実態その他につきましてはまだ詳しい報告を受けておりませんので、その点は差し控えさしていただきたいと思います。
  193. 服部信吾

    ○服部信吾君 いろいろ大変でしょうけれども、ひとつ大いに調査していただきたいと思います。  次に、これからのこういう情報化社会の中において、こういうような事件が大変起きてくる可能性は十分あるわけですけれども建設省における共同溝なんかも、ある面からいうと、いろんな意味で大変危険なところじゃないか。また、五十三年、五十四年ごろは運輸省の航空管制ですか、こういうものもねらわれておりますけれども、それから電電公社の方も昨年の世田谷のああいうふうな事件、そういうたくさんの事件があって、非常に大きな混乱を招いているわけでありますけれども、それぞれ防衛対策と申しますか、防災対策がありましたら述べていただきたいと思います。
  194. 布施洋一

    説明員(布施洋一君) 建設省で管理をいたしております共同溝の問題につきましてお答えをさしていただきたいと存じます。  共同溝につきましては、共同溝法並びに施行規則といったものがございまして、その中に管理規程を設けなければならないということになっているわけでございます。そして、管理はその規程に基づいてやっているわけでございますが、特に保安、防災上必要があるという場合には保安細則というようなものも定めているわけでございます。  その細則におきまして決められている主な点でございますけれども、まず共同溝の中に入る場合の手続、あるいは入る者に対する義務といったようなものも定めてございます。また、共同溝に入る場合のかぎの保管といったようなものにつきましても厳重に定めているわけでございます。また共同溝の中におきます火気の使用でございますとか、あるいは喫煙の禁止でございますとか、そういった細々したものも定めているというようなことでございます。したがいまして、共同溝の管理につきましては、今申し上げましたような基準を厳正に管理をするということで、従来から万全を期してまいってきたところでございますが、ただいま御指摘がございましたようなもろもろの事故が起こっておりますので、そういうものに対処すべく、例えば、より侵入を防止するための措置でございますとか、あるいはかぎの管理方法のさらに徹底強化でありますとか、広く管理体制の強化につきまして、さらに努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  195. 松本健治

    説明員(松本健治君) 航空保安施設の防護対策につきましては、過去におきます過激派のゲリラ事件にかんがみまして、警備当局と十分に調整しつつ、場周のフェンスの二重化、窓枠の強化、あるいは重要回線の多重化等を図るほか、ガードマンの配置等必要な措置を推進いたしまして、この種の事件の発生防止に努めているところでございます。今後とも警察庁と関係機関との連絡を緊密にいたしまして、この種の事件の防止に万全を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  196. 土屋治昭

    参考人(土屋治昭君) お答えいたします。  NTTとしましても昨年の世田谷の火災事故を契機としまして、この再発防止のために部外の学識経験者方々にも参加をいただきまして、昨年の十一月に洞道内火災事故対策委員会を設けまして検討してまいりました。この対策に基づきまして、現在鋭意施策を実施しているところでございますが、三つの基本として今取り組んでおります。  まず一つには、洞道内の火災対策としましてまず第一には出火をしないこと、火を出さないということを最重点といたしまして、このための施策としましては、一つにはできるだけ洞道内では火を扱わないということ。それから、二つには洞道内の設備をできるだけ燃えにくいものにするということに努めております。具体的に申し上げますと、在来のバーナー等を使いましたケーブルの接続工法にかわりまして、機械的に接続するという工法を洞道の中にも適用いたしております。さらに、ケーブルの不燃化、難燃化対策でございますけれども、既設の、既に洞道の中にはたくさんのケーブルがもう埋設されておるわけですが、これらのケーブルにつきましては不燃化対策といたしまして不燃性のカバーをそれに巻きまして、全国の主要な洞道につきましてこの十二月までに完了することになっております。また、全国の洞道におきましても、六十一年度の第一・四半期には完了することになっております。  それから、第二点の火災が発生した場合に被害を最小限度に食いとめるために延焼防止対策を現在とろうとしております。これは具体的に申し上げますと、NTTの洞道と共同溝の間、それと洞道と電話局との境に防災壁を設けまして、これで延焼を防ごうとしております。これもこの十二月には全洞道に完了することになっております。  それから、三点目でございますが、洞道の中への出入りの管理あるいは洞道の中の作業現場における管理でありますけれども、これも洞道管理システムというシステムを採用しまして、災害の感知、センサーですね、そうしたものはもちろんでございますが、出入りの管理あるいは中との連絡体制、こうしたもののシステムでございますが、これも主要洞道から逐次導入してまいりまして、六十二年度までには完了する予定になっております。  そのほか、作業の管理のシステムとしまして、出入りの管理はもちろんでありますけれども、火を使うことをできるだけ極力抑えるわけですが、どうしてもやむを得ず火を使う場合には特別の防火専任者を配置するなどいたしまして、二度とこのような事故の起こらないようにしていきたいと考えております。
  197. 服部信吾

    ○服部信吾君 その中で、たまたま先般新宿駅も襲われた。ケーブルが二重回線になっていたためにそんなに混乱がなかった、こういうようなことのようでありますし、世田谷においてもその教訓からいろいろ二重回線ですか、これの必要性が大変高まってきておるということで、民間あたりに、何ですかね、特に銀行だとかそういうところにあれをしたところ、大変向こうから引き合いがあった。しかし、ちょっとこれが高過ぎちゃって見合わしたと、こういうようなことがあるようですけれども、この点についてはどうですか。
  198. 寺島角夫

    参考人(寺島角夫君) いわゆる対策といたしましての二重化、多ルート化ということにつきましては、従来も同一の局へ入る回線を多様化すると申しますか、はしておったわけでありますけれども、もう一つ、他の局へ収容するという形でのひ とつの防止策というものも既に実施に入っておるところでございます。
  199. 服部信吾

    ○服部信吾君 二重回線だけではなくて、衛星ですね、こういうふうな利用も考えてもいいんじゃないかと。現在通信衛星CS2が実用化されているわけでありますけれども、これだけでは将来の通信をすべて賄うと、そういうわけにはいかないと思いますけれども、将来の開発計画、こういうものについてはどのようにお考えですか。
  200. 寺島角夫

    参考人(寺島角夫君) 先生御案内のとおり、現在CS2a、bを運用しておるわけでございますけれども、この通信衛星の目的の大きな一つに災害対策ということがございまして、災害のときのバックアップ回線として十分機能するように現在使われておるわけでございます。今、もう既に御使用になっているところでございます。
  201. 服部信吾

    ○服部信吾君 最後に、郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、民間企業がこの通信の自由化あるいは安全確保のためにいろいろな設備を投資したり、いろいろあると思いますけれども、そういう場合において税制上の面から優遇措置、こういうものも検討していいんじゃないか。例えば、この通信情報施設への投資減税、こういうものも考えていいんじゃないか、こう思っているわけでありますけれども、大臣、どのようにお考えですか。
  202. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 非常に高度情報化社会の電気通信ネットワークを確保するという見地から、そうした意味で今先生御指摘のような公共性が非常に高いものであるわけでありますし、そうした点につきまして十分税制調査会等々でいろいろ我々の方で御説明も申し上げ、御理解をいただいて、税制の問題についても配慮をしていかなければならない。現在、テレコム税制という形でその実現に努力をしておるところでございます。
  203. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 まず最初に、郵便局職員の不正についてお伺いをいたします。  会計検査院の検査報告の郵政省のところの部分を見ますと、毎年決まって多くのページ数を割いて郵便局の職員の不正が指摘をされております。これは過去、国会でも何回か指摘をされ、取り扱われてきた事柄でありますけれども、あえて私がきょうこれを取り上げたのは、五十八年は一気に十件ふえております。このふえている実情等も踏まえまして、まず実情をお伺いしたいわけでありますが、その前にまず大臣に、なぜこの種の不正は後を絶たないのであろうか、どんな御見解を持っていらっしゃいますか、お尋ねをいたします。
  204. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 職員によります不正行為は、郵政事業の信用を傷つけるというだけでなくて、お客様にもまたいろんな面で御迷惑をおかけするわけでありまして、その防止には最善の努力をしていかなければならない、このように考えておるわけでありますが、郵政省といたしまして、従来から職員による不正行為を防止するための防犯意識の高揚、徹底、綱紀の粛正ということに努力をし、また内部検査措置を強化する等各種の施策を講じてきたわけでありますが、今御指摘のようなことで、なかなか部内犯罪も減らないようなことで、大変そうしたことについては申しわけないわけであります。我々、一層努力しまして、とにかく現在郵政事業を取り巻く環境が非常に厳しいということから考えましても、この防犯管理体制の強化をさらに進めまして、職員の不正行為の絶滅を期さなければならない、このように考えておるところでございます。
  205. 永野明

    説明員(永野明君) ただいま、五十八年度の国会報告の件数が前年に比較してふえておる、こういう御指摘がございました。おっしゃるとおり、五十七年度は二十九件にとどまっていたわけでございますが、五十八年度の報告の中では三十九件掲記されてございます。その中で損害が未補てんのもの、これが十三件、補てん済みのもの二十六件、こういうふうな内訳になっておるわけでございます。  私ども、こういった部内職員によります不正行為につきまして、最大の努力をもってこれを防止するよういたしておるわけでございますが、五十七年に比べて件数がそれでもなおかつふえておりますことは本当に残念であり、申しわけなく思っております。ただ、そういったことによって起こされました金額につきましては、五十七年度よりもかなり減少を見ている状況でございます。今後とも、そういった件数、金額等、さらに減少いたしますように努力を重ねてまいりたいというふうに思っております。
  206. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今、補てん部分が二十六、それから補てんされていないものが十三というふうにおっしゃいましたので、これは後で伺おうと思いますが、私は今の大臣の答弁の中で、できるだけ防犯管理体制の強化を図って、そしてこういう事故のないようなことにしていくのだという御答弁なんですけれども、私は管理体制はもちろん大事ですけれども、こういうものが起きないような環境づくりというようなテーマについてはどんなふうに考えられるのか。つまりオンライン化等も含めて、いわゆる新社会システムのようなものが今どんどん発達しているところの中で、この種の事故が起きないような、つまり手だてとか環境づくりというようなことについてはどのようにお考えでしょうか。再度お伺いいたします。
  207. 永野明

    説明員(永野明君) 先生おっしゃいますように、私ども毎日毎日の郵便局の仕事を進めていく上で、非常にお金に関連するケースが多いわけでございます。そういった場合に、やはり第一には、それを取り扱います職員の心構えをしっかり意識づけをしていかなければならない、こういうふうには思っておるわけでございますが、やはりいろいろと新しいシステム等も開発しまして、できるだけ有効な犯罪の防止策にしていく、こういうことには心がけておるわけでございます。  私どもの今おっしゃいました貯金のオンラインシステムなどは、やはり一般に貯金の犯罪件数を総体的にも非常に減らしていく有効な役割を果たしておりますし、また内部的な職員の犯罪もやりにくくするような、そういった効果を持っておりますので、なお一層そういった点につきましては研究を重ねていきたいというふうに思っております。
  208. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 郵便局というのは国民生活に、先ほどから話も出ておりましたけれども、非常に密着している、ないしは地域に非常に密着しているということで、一番いわゆる金融機関というんでしょうか、にしては私どもの身近なものなんですね。子供がやがてお年玉をもらいます。そうすると郵便局に貯金に行こう、こういうふうに思うのが郵便局ですよ。そこで不正が行われているというようなことになりますと、これはやはりいろいろな意味で示しがつかないのではないかということで、私はかねがねこの種の事件を新聞で見るについては憤慨をしていた者の一人だということで、きょうたまたま機を得ましたので、このことを御質問しているわけでございますけれども先ほど件数はふえたけれども銭高は減ったと。五億五千四百万円の五十七年度分から五十八年度は三億五千三百万、確かに二億ほど減ったということではありますけれども、件数はふえたんですから、これはやっぱり私は非常にふえたという実情があることに間違いはないということ。それからもう一つ、ついでに苦言を申し上げておきたいのでございますけれども、私どものところへまいります「会計検査情報」という情報をいただきます。そこで、今のは五十八年の話ですけれども、五十九年になると、これが見通しとして二十六件になるということになっているんですよね。それに対しまして、これはもうそちらお求めになっているからわかると思うんだけれども、これどこにも文句の言いようがないようなので、私あえて当局に申し上げておきますが、「郵便局職員の不正行為が減少に」と書いてあるわけよ。現象的には確かに少なくなってきたということになるのかもしれないけれども、私はこの表現は適切でないというふうに申し上げます。つまり、依然として続くと、こう書かなければならない情報であろうというふうに私は思うんですけれども、これは二十六件になって、今度は五十八年度から五十九年度に かけては十件以上少なくなるわけです。それを称して不正行為減少というふうに。本来あってはならないもの、ゼロからいって減少という言い方はないんです、依然として続くと言っていただかなければならないのに、なぜか会検情報というこの情報には不正行為減少というふうにお書きになっているので、これは当局から厳重に注意をしていただきたいと思います。  そして、私がもう一つ調べましたことの中にこの不正行為の中身の問題で、五十四年から五十八年までの不正件数の中の郵便局長による不正というのを調べてみますと、五十四年はゼロです。五十五年が三件、五十六年が二件、五十七年三件、五十八年は一件になっております。この局長による不正行為、このことについてはどのようにお考えですか。
  209. 永野明

    説明員(永野明君) ただいま御指摘の、局長による犯罪ということでおっしゃいましたケースは、特定局長による場合でございます。私ども先ほど来御指摘をいただいております非常に大勢の国民の皆さんに御利用をいただいておるわけですが、その第一の基礎は信頼関係、信用を持っていなければいけない、こう思っているわけですが、そういった場合に、職員の犯罪ももちろんですが、やはり管理の責任に当たります局長の犯罪が一番そういったことに影響を与える。したがいまして、重大な関心を持ちまして、これの根絶に最大の努力を払っている次第でございます。ただいまの数年の中で五十七年度に非常に大きな特定局長の犯罪がございました。そのケース等をいろいろと分析をいたしまして、何とか有効な策をもってこれの防止、根絶を図りたいということで努力をしておりますのが今日の状況でございます。
  210. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 特定郵便局長任用規程というのを見ますと、これには「一 年齢満二十五年以上ノ者」、「二 相当ノ学識才幹アル者」ということが書いてあるだけなんですね、これ。  それで、これは五十六年の参議院決算委員会で政府からの御答弁として、「特定郵便局の局長の大事につきましては、特定郵便局が全国にあまねく設置されておりまして、それぞれ地域に密着したサービスを提供するという特色を持っているものでございまして、したがいまして、特定郵便局長には、それにふさわしい管理能力を持ち、またそれぞれ地域の信望を担い得る責任感と、活動力を持った人材を登用するという方針」をとっておる、こう書いてある。その特定郵便局長の任用に当たってのテーマをひとつお答えいただきたいんです。
  211. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) 特定郵便局長の任用は、国家公務員法並びに人事院規則に基づきまして、郵政大臣が特定郵便局長任用規程というものを定めまして行っているわけでありまして、先生のお言葉のとおり、すぐれた管理能力を持ち、それぞれの地域の信望を担い得る責任感と活動力にあふれた人材を登用するということで行っております。特定局長任用規程は、今先生のおっしゃいましたように、任用の基準といたしまして「年齢満二十五年以上ノ者」、そして「相当ノ学識才幹アル者」ということになっております。これに基づきまして、具体的には任命権者でありますそれぞれの郵政局長が任命をするわけでありまして、それぞれの郵政局において、教養試験とか作文、面接等の方法を活用いたしまして、能力、適性を厳正に判断をして任用をするというふうにいたしております。
  212. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからもう一つ伺いますけれども先ほど私が申し上げました局長不正の数字の中で、局長の出身がいわゆる世襲制による局長ではなくて、部内から局長になった人の方に不正があったというようなことを仄聞するんですけれども、そんなことはございませんか。
  213. 永野明

    説明員(永野明君) 個々のケースにつきましてただいま手元に資料を持ち合わせておりません。したがいまして、世襲の局長というのは現在ないわけでございますが、いわゆる部内の経験の中から登用された局長であるか、あるいはいわゆる部外からの任用であるか、その辺につきましてはちょっとつまびらかにいたしておりません。
  214. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういうのをつまびらかにしておいた方がいろいろの分析になると私は思いますので、やはりお調べいただいておいたらよろしいんじゃないでしょうか。私はそれを仄聞いたしました。  それから次に、起きた事故の不正処理についての問題でございますけれども、これは先ほど、既に国損額が補てんされているものと、それから補てんされていないものとの件数で、五十八年の分をおっしゃられたわけでありますが、私もこの資料を見て、やはり何といってもその犯罪額の大きいものほどオ語な補でんされていませんね。それから、二十六件の補てんされた方の部分については、犯罪額の最高額が千二百四十三万というようなことで比較的額が少ないということなんですが、これは当然だと思うんですね。この補てんされていないものについて、これ今後どうしていくことになるんですか。
  215. 永野明

    説明員(永野明君) 掲記されているものの中で補てんをされていないもの、金額が書かれてございますが、その後もそれぞれにつきまして回収を図る努力をいたしております。  その状況を申し上げますと、昭和五十四年度から昭和五十八年度までの最近の五年間決算検査報告に掲記された金額を見ますと、総計で十四億五千六百十二万円という数字になっております。その時点での回収済み額が約五億七千八百五十一万円ということになっておりまして、未回収額が約八億七千七百六十一万円というような数字になっておるわけですが、その後も引き続き回収に努力をしておりまして、本年の九月の末日現在までに約五千六百六十一万円回収が追加されております。そんなふうなことで、その残りが現在未回収額として残っているものになるわけでございますけれども、私どもはあらゆる手だてを使いまして引き続き今後とも息長くこの回収に努めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。そのためにいろいろと債務名義を取得するとか、回収のための法的な手段をとってまいるということになるわけでございます。
  216. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうすると、いわゆる郵政事業特別会計の中から補てんをするということになる段階は、どの段階になるとそれを補てんするようになるのか、それからまた五十八年度ではその見込み額がどのぐらいになるのか。
  217. 永野明

    説明員(永野明君) 五十八年度の段階での未回収額は八億七千七百六十一万円ということを先ほど申し上げました。
  218. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうすると、それ全部特別会計で埋めることになるわけ、お国が。そのことを聞いているんですよ。
  219. 永野明

    説明員(永野明君) 先ほども申しましたように、これはいわば省の保有する債権ということになっておりまして、これを債権の回収を現在進行させようと、こういうことでございますので、必ずしもこの差額が即郵政事業特別会計の負担ということにはまだなってないわけでございます。
  220. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 時間がないので先へ進めますけれども、この種の指摘を会計検査院が報告をすると、それに対して当局がいわゆる指摘事項に対して遺憾の意であることを表明なさるわけでありますけれども、私はこれをずっと五十六年、五十七年、五十八年の分と拾って見てみた。そうしたら、文言、文章全部同じ。よろしいでしょう、同じで。それ以上言いようがないと思うんです。だけど、いかにも反省がないのではないかというふうに私は思うんでございますけれども、これいかがでしょうか。
  221. 永野明

    説明員(永野明君) 私どもこの個々のケースをできるだけ迅速に捜査をし、これの損害額等を確定をするわけですが、そういったものを今後防止、予防する、抑止をしていくというような手段としてどういうふうなものがあるか、個々にいろいろと分析はしてまいっております。そういった詳細までをこの報告の中にお書きをするということにしておりませんので、あるいは同じ文章で申しわけないかと存じますが、そういうふうなその 時期その時期の変化と申しましょうか、研究と申しますか、これは絶えずしてまいっているつもりでございますし、今後ともそういう心がけて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  222. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 「指摘のような不祥事件が生じたことは、誠に遺憾である。」、これも全部同じです。それから、「今後」「不正行為の絶滅を期することとする。」、全部同じ。私はこういうことを機械的にお出しになっているというふうには思いませんけれども、やはり当局としてきちっとこういうものに対する反省と自戒を持っていただきたいと、こういうことでこのことを指摘申し上げるわけでありますが、金融事業、これから自由化の中でいろいろな形にさらされていくわけですよね。競争にさらされていきますよ。置いていかれちゃう、私はそんな気がいたします。郵便局が頑張ってほしいと思いますのでこう言っているわけでございますから、よろしくどうぞ。  次に、KDD、国際電話料金について少しお尋ねをいたします。  最初に大臣に伺うわけですが、我が国の国際電話料金は高いとお思いになりますか、安いと思われますか。
  223. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 現在のKDDの国際電話などの国際通信料金につきまして、昭和五十四年以降六回にわたりまして引き下げを行いました。総体として見れば諸外国との料金格差は大変縮まってきたと、このように考えております。なお、我が国の料金と諸外国の料金を比べる場合に、為替相場を介して比較するということになりますので、その結果は為替相場に非常に大きく左右されてまいります。この間一ドルが二百五十円以上であったのが現在二百円余りであると、こういうようなことによっても非常に大きな影響を受けると思いますが、国際通信料金は各国独自で決めるという仕組みになっておりますから、日本からかける方が割高と感じます。その相生地、対地もあれば、また反対に割安だと、こういうふうに国民の皆さんが感じられる対地もありますが、非常にそういうことで為替相場に影響をされますが、全体として見ますと、今申しましたようなことで格差は縮小されたと、このように考えております。
  224. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 KDDが五十四年以降過去六回にわたって国際公衆電気通信料金と申すんだそうですね、正式には。この引き下げを行ってきたということで、かなり私も適正化が図られてきていると思いますし、今物価、サービスを通じて物が下がるという傾向はなかなかない中で、努力をしておられるというふうには思います。そこで伺うんですが、この適正料金に対する基本的な考え方というものはどんなところに視点を置くのでしょうか、お伺いをいたします。
  225. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 国際電話と申しますのは、国際経済活動あるいは文化交流、こういう国際交流というものを支えるものとして大変重要な役割を果たしているということでございまして、その料金のあり方ということについては、利用者にとりましてはなるべく安い、そして安定的で利用しやすいものということと同時に、諸外国における料金と比較いたしましてバランスがとれているというようなことも重要なことかと思います。また、事業体の側にとりましても、長期的、安定的なサービスの提供が可能となるような料金であるということが必要であろうというふうに考えております。
  226. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 時間がなくなってきたので、済みません、箇条書きでお伺いしますね。  そうだとすると、料金引き下げの条件というのはどういうことになりますか。
  227. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 料金の改定といいますのは、これは第一義的には電気通信事業者、この場合は国際電気通信事業者であるKDDがまずは判断をするということになるわけでございますが、その要素といたしまして一般的に申し上げられるのは、収支状況あるいは国際電話の今後の需要の見通し、また改定に伴う財務への影響とか、諸外国における料金との格差是正の必要性、こういうことを総合的に勘案して値下げを行うということであろうかと、こういうふうに考えております。
  228. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 KDDはことし四月から平均九・五%料金を引き下げたわけでありますけれども、総額にして二百四億円規模の料金引き下げということになるわけですね。この引き下げの根拠はどこにあったんでしょうか。
  229. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) ただいま料金改定というものについての考え方を御説明を申し上げたわけでありますけれども、具体的に本年四月の改定について私ども注目した点と申しますと、国際電話の需要の動向という観点から見ますと、対前年度比が一六%の伸びというのを当初の事業計画時においては見込んでおったわけでありますけれども、これが期間が進行いたしまして、五十九年度の中間決算というのがございまして、この時点でその見直しをいたしますと、対前年度比二三%増ということでございました。これに伴いまして、収支につきましても、事業計画上その経常利益というのは、これが事業計画の当初見込みでございますが、二百五十億円であったというのに対しまして、中間決算時では計画を百七十一億円上回る増収四百二十一億円、そういうものを見込まれるようになったこと、それを踏まえました六十年度以降の収支見通しというようなものもいろいろ勘案をいたしまして、そういうことで先生御指摘ございました九・五%の値下げというのを本年四月に行ったということでございます。
  230. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 五十九年度決算の当期利益の収支差額でしょうか。ありますか、そこに。それが二百四億なんです。それで、今年四月から二百四億を値下げ分に投資したということは、この数字と関係ありますか。つまり、もうけ分だけは値下げに充てたと、こういう考え方でしょうか。
  231. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) もうけ分そのものを即値下げに充てるということではございませんで、まずは利用者に対するメリット、それから株式会社でございますので、株主に対する還元と申しましょうか、そういったもの、それから会社自体の今後に対する競争力を高めていくとか、いろいろな施策もございます。そういったようなものをやはりにらんだ形で、ではこの程度のものを値下げをしても将来とも十分バランスのとれた形でやっていけるかどうか、いろいろ試算をいたしまして、そういった上で判断をしていくということでございます。
  232. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 だから、この数字はたまたま偶然に一致していたということに了解していいわけですね、そうですね。本当にたまたま一致しているんですよ。  それで、ことしの四月から九・五%値下げをしたということの影響でしょうか、というのはどんな形に出てくるというふうに見込まれますか。つまり、その営業収支の中で、当初の見積もりと比較してどんな形にその影響性が出てくるというふうにお思いでしょうか。
  233. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 営業収益の比較でございますけれども、六十年度KDDの営業収益といいますのは、四月の料金改定時におきましては二千百六十六億円というふうに見積もっておったわけでございますが、これの中間決算時における通期見通しということでは二千二百二十六億円、二・八%増、こういう形になっております。
  234. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 要するに、値下げをしたら利用者もふえてきたということで、いわゆる利益はこれからますます上がっていくであろうというふうに私は思うんです。その中で、さっき大臣も言われたように、ここでいわゆる円ドル関係の問題でもっと違う条件が出てきたわけですよね。  それで、私はあと五分ぐらいしか時間がないのではしょって申し上げますと、つまり今はこちらからニューヨークにかけるととても利用者にとって損な感じがあり、そして向こうからかけるととても得な状況にあるというのは確かでしょう。それで、その料金改定がやはりこのときに及んでなさらなければならないのではないかというのが、前段でいろいろ言ってきたことの私の一蚕言いたい部分になるわけでございます。これについて私 は新聞等のあれで見ますと、五%程度下げてみようとか、来年の九月をめどにしてとかいうふうなことをちょっと読むわけですけれども、この辺について御説明をいただきたいと思います。
  235. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 為替差損という為替損益の問題につきましては、KDDの場合につきましては、これは何か外国から資材を買ってくる、そしてそれが円高によって安く買える、それを使って製品を売るというような場合と違いまして、その時価、そのときの為替相場によって生産をするという形でございますので、ちょっと一般の言われている場合と事情が違うということを御理解いただきたいわけであります。したがいまして、KDDの場合も当初見通しとしては、例えば二百三十円なら三十円で計算をしておった、それがたまたま二百五円になった、その差というのが、何か取り損なったというか、損だとか得だとかということではなくして、これはあくまでもそういうものとして当初見込んだというだけにしかすぎないのでありまして、そこで損得というふうには出てこないんだろうと思うわけでありますが、そういう意味で、先ほど申し上げましたような中間決算を踏まえましてKDD自体といたしましては、新聞等ではそういう報道がございますけれども、なお現在のところ検討をし続けているということでございまして、まだ結論を出したというものではございません。私どもといたしましては、利用者にとって利用しやすいより安い、品質のいいサービスというものが提供できるように総合的な観点からいろいろ検討し、値下げの努力というものが払われるようというふうに私どもは現在時点においては期待をいたしておるということでございます。
  236. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 でもね、六十年九月二日現在で日本からアメリカへ即時通話で平日の日の五分間電話をかけた場合、国際電話料金でいくと二千五百五十円、それがアメリカから日本にかけてもほぼ同じ電話料金だったわけよ、改定してきているからね。ところが最近の、いわゆるドル安・円高という外国為替相場でアメリカから電話をかけた方が安くなったのは事実でしょう。それで、十二月四日の相場でいくと、二百四円二十五銭で計算をした。そうすると千九百七十七円で済み、五百七十三円の差が生ずるということであれば、KDDは知りませんよ、だけれども使う人にとってはそうなんです。間違いございませんね。
  237. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 今、先生の御指摘の計算、ちょっと私もしかねておりますが、ただ私どもこういうあれといたしましては、例えば日本側の料金を一〇〇とした場合の相手国料金の指数というのはよく計算を出しております。四月一日の改定時点におきましては、アメリカと日本の場合一〇五という数字でございまして、アメリカの方が高いという数字でございました。日本を一〇〇とした場合、アメリカの料金が一〇五だ。それが今回の為替レートで換算し直してみますと、現在、アメリカの方と日本のあれが、日本が一〇〇に対してアメリカが八五という逆転現象というのはございます。
  238. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 その逆転現象を利用して、例えば商社なんかが日本からかける回数を減らして、向こうからかける回数をできるだけふやしてくれ、二割安になるからと。こういうふうなことになると、事実上それによって一番打撃をこうむるのは、私、KDDの精査の仕方は聞いてますから、だからそれによってドルでKDDに返されてくると、一番損するのはそこのところじゃないですか。そうでしょう。だから、早く料金改定をして、そういう差損のないような処置をおとりになったらどうですかというのが、一つ私の言い分なんです。いかがでしょうか。
  239. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 日米間の国際通信の問題を見る場合、これは従来から米国からの方の発信が多いわけでございます。これは日本とアメリカの経済力、人口、いろいろな関係もあろうかと思いますから、アメリカからの方が多いわけでありますが、そういう意味ではアメリカから差額をもらうというのが今までの対応でございました。  御承知かと思いますけれども、国際料金の場合、発信側の料金それぞれが個々に個別に精算するんじゃなくて、トータルである時期、三カ月ごとぐらいに精算をいたしますので、その差というものの半分を、お互いそれを折半するという形でございますから、その場合の為替差益という問題も、そう大きな額にもならないかと思います。したがいまして、いろいろな商社さん等の生活の知恵と申しましょうか、そういうものはあろうかと思いますけれども、それが直ちに料金全体のあり方ということになるかといいますと、私どももう少し勉強さしていただきたいと思いますけれども、トータルとしては、いろいろな観点からの総合的な判断というのが適正な料金というものを継続、安定的に提供していくことになるんじゃないかというふうに考えております。
  240. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、さっきの五%しか値下げしない、そしてその時期を来年の九月にするということについては、私はなぜ、ことしは四月に下げたんだから、来年の四月の改定期であっていいと思うんですね。    〔委員長退席、理事林道君着席〕  それから、五%という根拠はやはりどこにも見当たらないというふうに私は思うんです。  そこで、ちょっとこれお伺いしたいんですが、五十九年の八月から日本向けの電話料金を、西ドイツが五三%引き下げたという事実がございますね。これについて、奥田前郵政大臣は大変これに関心を示され、我が国でもまだまだ大幅な値下げができるのではないかというふうなことを言われておるわけでございますけれども、この西ドイツの事情についてはおわかりでしょうか。お伺いします。
  241. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) ちょっと私、今手元に詳細の資料ございませんので、数字等についてはお答えを申し上げかねるわけでございますが、確かにそういった時期かと思いますが、西ドイツが大幅な引き下げというものを行ったということはあったと思います。  これは、電気通信の料金というのが、ある意味では地域をグループ化いたしまして、その地域ごとに対地別に幾ら、こういうふうな決め方というのが伝統的に行われておりまして、そのグループと申しますか、地域区分というものを変えるということによって料金というものが大幅に変わってくるというようなこともございます。これはいろいろな利用の実態等を見て対応していくべきものであろうというふうに思います。そういう観点から、西ドイツの方がそういう対応をしたであろう。そう利用度が少ないような地域はある程度まとめていくということによっての料金を下げたといたしましても、そう大きな全体としての経営上の支障がないというような判断もあるいは成り立つのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、    〔理事林道君退席、委員長着席〕地域によって、日本からかける場合、外国からかける場合の格差ということについては、できるだけ均等感が保たれるような、バランスがとれるようなものというのが望ましいということは言えるかと思います。  そういった意味で、従来も国際電気通信料金についてはいろいろ検討してきているわけでございますので、今後ともそういう点についても十分踏まえた形で対処してまいりたいと思っております。
  242. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 最後に申し上げますけれども、さっきから答弁聞いていて、局長は対処してまいりたいと思いますと言うけれども、それに対処していくのは、郵政省が対処していくんじゃないんですよね。おわかりですね。KDDが対処していくんですよね。そして、郵政省はそれに対して適切な御指導をしていかれる立場ですから、言葉じりをつかまえて申しわけないんだけれども、立場が違うと思います。私は、だからそういうことになるから、だからぜひKDDの方に、いじめるのじゃないのよ、建設的な意見を申し上げようと思っているんだから、出てきていただいて、そしてお 話し合いをいたしましょうと、こういうことだったんだけれども、皆さんが代弁してくださるということだからお願いしたんです。だけど、やっぱり立場が違いますね。そう対処してまいりますは、対処していくのは郵政省方々ではなくて、当事者のKDDの皆さんですから、私どもはそのように適切な指導をしてまいりたいと思いますというのが本当じゃないかと思うんですけれども、私これ苦言を呈して私の質問を終わります。
  243. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず冒頭に、七月の二十三日の当決算委員会で、私も取り上げてきた艦隊作戦統制センター、フリート・オペレーショナル・コントロール・センター、この問題について、その後の事態をめぐって質問をします。  あのときにも強く指摘をしたことですが、このセンターは従来からの米軍の上瀬谷通信基地の機能をはるかに超えて、核戦争を前提にした新たな作戦を指揮、統制するセンターとして、日本をまさに核戦争の基地化する危険きわまりないものであります。  あの質問のとき外務省は、アメリカの議会で予算が承認されていないから騒ぐ必要はない、こういう答弁でありましたが、先週の十二月の六日、外務省当局は我が党の山中参議院議員等に、米議会で予算が承認されなかったのは日本の思いやり予算に期待をしているからで、日本側で建設をしてほしいと非公式な打診があった。六十一年度の思いやり予算は既に満杯であるので、六十二年度以降の分で検討していく、このように答え、いよいよ事態は重大化をしてきたのであります。  そこで、この問題について郵政省並びに大臣に関係する部分について幾つか質問をいたします。  まず、この問題の米軍上瀬谷通信基地でありますが、この周辺はいわゆる電波障害地域ということになっておって、テレビ電波などの障害がある地域で、住民は建物建築の際に高さが制限されたりなどしていると思いますが、そうですね、郵政省
  244. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 私ども、今先生のお話の艦隊作戦統制センターの問題につきましては、実は関係の向きからの話というのは聞いていないわけで、具体的なその地域あるいはその地域における電波障害の状況等について、ちょっと今手持ちに資料がございませんので。
  245. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私がお尋ねをしているのは、今回新たにつくろうとする艦隊作戦統制センター、この関係で障害が起こるか起こらぬか、このことを聞いているんじゃないんです。現にここは通信基地があって、この地域は電波障害が起こり得る地域ということで、したがって一定の制限、建物建設なんかの場合に現に制限がありますねと、こういうことを聞いているんです。
  246. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 申しわけございませんが、具体的なその地域における障害状況というのは、ちょっと今承知をいたしておりませんのでお答えしにくいわけでございますが、テレビジョン放送の受信障害というようなものについては特に発生しているというふうには私ども承知をしてないんでございますが。
  247. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちゃんと質問の通告をしておる点で、大変私は不勉強だと思いますね。現に防衛施設庁からはそのことのための一定の補償金なんかを出して、保護措置なんかをとっている、こういうことがあるんですから、今さら論ずるまでもないはっきりした問題だと思うんですが、まあそういう関係で郵政省にとっても決して無関係な問題じゃない。今でさえいろいろ問題を生んでおるこの上瀬谷の通信基地に、新たにさっきも指摘をしました重大な内容を持つ米軍の艦隊司令所がつくられると。その予算はビル五棟、総工費二千百四十九万ドル、五十三億八百三万円、この金を投ずるということで、これを安保条約上の義務のない日本が負担をするというんでありますから、その点ももちろん問題でありますけれども、最も重大な問題はこの建設目的が「ビルには核爆発で生じる電磁波からコンピューター、通信機器などを防御するためのシールドを施すことになっており、同センターが核戦争の際にも機能することを想定している」という、このように八月二十九日の日経を初めとして各紙が報道しているところであります。すなわち、核戦争にも耐え得るようなそういう新しい施設をつくるんだということでありまして、本来、上瀬谷の通信基地は米軍のP3C対潜哨戒機、アメリカの第七艦隊への指揮通信基地であります。アメリカはいわば本気で核戦争を考えてその準備をしている。こういう危険なことは絶対に許せないことだと思うんでありますけれども、さっきも言いましたように、今でさえ防衛施設庁として電波障害防止のための一定の措置をとっている、ここへ今回の計画が進んでくるということになりますと、これは単に電波障害ということにとどまらず日本の国土全体が核戦争に巻き込まれる危険性を一層大きくするということで、これは断じて避けなくちゃならぬ問題だと思うんです。  そこで、郵政大臣にお尋ねをします。  一つは、今も申しました郵政省の責任者として国民通信が無用に障害を受けることのないよう、国民の安定した通信を確保すべきその任務に照らしてもという問題が一つ。  それからもう一つは、同時に国務大臣の一人として核戦争を前提とした通信施設を、わざわざ日本が金を出して建設をするというようなことは断じてやめると。幸いまだ日本の最終態度が決まったわけじゃありませんから、こういう危険な道はきっぱりやめるという、そういう方向で閣内においてぜひ左藤郵政大臣頑張ってもらいたいと、こう思うんですがどうですか。
  248. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) まあ今、艦隊作戦統制センターですか、これは電波を発射する施設かどうか、私どもそういったことについてよく存じておりませんけれども、電波障害の原因になるというふうなことになればこれはやはり一つの問題だろうと思います。  それからもう一つは、艦隊作戦統制センターそのものについて、このことにつきましては米軍からも何も私の方にはそういったことの申し入れもございませんし、外務省からもこのことについては話は一切聞いておりません。したがって、どういうものであるかということについての内容についても私自身承知いたしておりませんので、今お話しのような点につきましてこれ所見を申し述べる立場にないと、このように思うわけでございます。
  249. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 前段でもしも具体的に通信に障害が起こるというようなことがはっきりすればそれは問題だと、こういうふうにおっしゃったわけでありますけれども、そういう角度から、また同時に日本を断じて核戦争の足場にしてはならない、基地にしてはならない、こういう角度から、一体今度新しくつくられるこのセンターの機能がどういうものか、通信への影響がどういうものになるのか、こういうことをよく研究して、危険だということがはっきりしたときには大臣としてのはっきりした見解を述べると、こういうことで対処していただきたいと思いますが、もう一遍お尋ねします。
  250. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今お話しのとおり、十分そういったことについて承知した段階におきまして我々対処しなければならない、その必要な対処をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  251. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次に、近畿郵政局を中心にした同和行政の問題について質問をいたします。  既に私は、百二国会の五月二十八日、我が参議院の逓信委員会でありましたが、この近畿郵政局の行ったいわゆる同和アンケート、これがアンケートの表紙の色を職場ごとに変えるという方法まで使って、同和問題についての思想調査をしようとしたのではないかということを指摘を行いまして、当局はよく調査をすると答えられましたが、調査の結果はまずどうだったでしょうか。
  252. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) お答えいたします。  近畿郵政局がことしの五月に行いました同和問題に関するアンケート調査でございますが、これは局別にこの用紙の色を変えているということで はございませんで……
  253. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 表紙。
  254. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 表紙は二府四県ございますが、その二府四県県別に地域的な意見の差異というようなものがあるのかどうかという観点からも、集計の利便を考えまして府県別に色分けをして実施したということを伺っております。
  255. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 府県別に表紙の色を変えたということですけれども、なぜ府県別に色を変えなくちゃならぬのか。大体職場ごとで集めて箱に投票というか箱へ入れさしてということですから、別に表紙の色を変えなくても府県別の分類はできるはずでありますけれども、そういう点で私は合点いきません。  お尋ねしますけれども、色を変えておったのは府県別に二府四県の表紙の色を変えているというこのことは実物で確認されましたか、本省は。
  256. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 私自身、二府四県のすべての調査票を見たということではございませんが、一部調査票を私自身も見まして、かつ局所別にかあるいはどういうことでアンケートの表紙の色を変えたのかという質問に対しまして、そのようなことを確認した次第でございます。
  257. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 すべてを見たわけじゃないけれども一部を見たと。  それなら聞きますが、二府四県、六府県ありますね、それぞれ何色ですか、表紙。
  258. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 府県別を色分けした各府県別の表紙の色でございますが、大阪府は薄灰色、京都府は薄肌色、兵庫県は薄緑色、滋賀県は薄紫、奈良県は薄黄色、和歌山県は薄青色というふうに伺っております。
  259. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それはあなたがというか本省がじかに実物で確認をしたものじゃない、そういうふうに聞いているということでしょう。でありますから私は、そのことについては依然としてそうじゃないということを言わざるを得ません。しかし問題を前へ進めましょう。  この五月の逓信委員会であなた方は、このアンケートの結果をもって個人を追及するような悪用はしない、そのためにもアンケートの結果は公表すると答えてきたんですけれども、公表をしましたか。
  260. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 本件、このアンケート調査の目的は、あくまでも従来の同和対策の諸施策についてどのような反省があるのか、あるいは意見が持たれているのかということを調査をいたしまして、今後の施策に参考としたいということで調査をいたしたわけでありまして、決して先生御指摘のような職員の思想調査といったようなことは毛頭考えておりません。現在、集計分析中でございまして、まだ結果は公表されておりません。
  261. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 調査を実施をしてから半年たってもまだ集約中、整理ができていない、そんなことが一体あるでしょうか。半年たっているんですよ。一体いつこれは集約完了して公表するんですか、約束どおり。
  262. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 目下鋭意集計分析中であるというふうに伺っておりますが、現在のところ来年一月末か二月ごろになれば完成をするというふうに伺っております。その時点でもちろん職員にその結果は周知をしてまいりたいというふうに考えております。
  263. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 金曜日に私にお答えになったのからさらに変わったですね。年明け早々には発表できるでしょうと、こう言っておったのが。本当に完了したら公表するんですね。間違いないんですね。
  264. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 調査結果につきましては、職員に周知をいたします。
  265. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次に、この問題の背景でもあるところの当局がいわゆる解放研に対して言いなりになって、さまざま便宜供与を行っている問題でありますけれども、この問題指摘をして五月の委員会では改善するとお答えになってきたんですが、どのように改善は進んでいますか、改善改革。
  266. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) いわゆる解放研等に対します事務室の貸与であるとか、あるいは職員の勤務解除等につきましては、差別事象等の事案に即しまして所属長の判断によりまして最小必要限度の勤務解除であるとか、あるいは局舎事情が許せる範囲におきましてそういった事務室の貸与を認めてきているところでありますが、もちろんそういったものが業務運行の支障を来すようなことのないように正常な運行との調和を図りながら実施をされることを再三私どもも指導をしておりまして、郵政局もそのような観点に立ってこれまでも指導してまいったわけでありますが、今後とも一層注意をいたしまして指導を徹底いたしたいというふうに考えております。
  267. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 改革をするよう指導しているけれども、今の段階でこういう改革ができましたということをお答えをする問題は一つもない。アンケートの集約をして、とにかくその結果を個人の追及に悪用せぬようにそれは公表しますというのも、これもしかく進んでおらぬ。便宜供与を改革をするという約束も全然進んでない。いやしくも場は逓信委員会でありますけれども国会の席上でこの二つとも大臣もお答えになった点ですね。そういうふうにすべきだということで大臣も約束をされてきた。これがそのとおりに半年たっても進んでないということは、一体それで通るんですか。この五月の委員会でも言ったんですけれども、国の段階でさまざま省庁はある、こういう姿になっておるというのは郵政省だけでしょう。総務庁も確認をされました、あの段階で。郵政省の中でも近畿だけでしょう。これだけ行革行革、このむだ遣いはやめなくちゃいかぬということも言っておるこの時期に、こんなことが依然として半年たっても野放しになっているというようなことは、私はこれは許されない。指導していると言うんですけれども、本当に郵政省の本省からいっときも早くこれ改善をするように、改革をするようにということで本気になって指導しているんですか。
  268. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 私ども、同和問題の解決というものが基本的な人権を守る立場から非常に重大な問題だというふうに認識をしておりまして、やはり一日も早く差別事象等のないように努力をいたしているところでございますが、そういう意味では近畿管内でさまざまな差別事象が遺憾ながら根絶をされていないという現状に照らしまして、必要な諸対策を懸命にとっているところでございます。今後とも業務運行との調和を図りながら、そういった差別事象が一日も早く根絶できますように努力してまいりたいというふうに考えております。
  269. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 近畿であらわれている事態は遺憾なことだ、一日も早くそれが根絶をされるように本省からは鋭意指導しておるというんですが、そうしていながら半年も何も進んでいないということは命令違反じゃありませんか。あなた方職員に何か問題があって指導したときに、半年も馬耳東風で全然それを実行に移さないというようなことが起こっておると、命令違反ということであなた方はやるでしょう。しかし、この問題についてはそういうことでやらない、本省の皆さん方も。  大臣、ぜひ大臣も五月の逓信委員会でお約束になってきたこと、期限を切ってこういう姿は改革をするという立場で年内にひとつ改革をやってもらいたい。大臣どうですか。
  270. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) この問題につきましては大変歴史的な問題があったりして、とにかく今までそういうことで指示をいたしまして、また近畿郵政局でも取り組んだわけでありますが、なかなか今先生お話しのような形で具体的な対策案が出てこないというふうな問題がございまして、過日、人事部長も本省から近畿郵政局へ出張して、直接いろいろこの問題について対策をやるようにということで、数日前そういうことで派遣いたしました。そういうようなことで、今お話がございましたようにこの指導の一層の徹底を図るために全力を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。
  271. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで全力を尽くしてやってもら うということで、この年内に何かの形で改革の実を上げてほしいんです。目に見える形で改革をやってほしいんです、年内に。どうでしょうか。
  272. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 年内といいましても、郵便の年賀の問題もございましたりしてなかなか年末非常に忙しいときでもありますので、年明けましたらすぐにでもこの問題について改革を図っていくということで努力したい、このように考えます。
  273. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 年明けてすぐにということは常識的な理解がありますからね。そんなものが二月や三月になってなお改革が出ていないということであれば、それは年明けて早々とは言いませんから、念を押しておきたいと思うんです。  こういうふうにこの解放研に対しての言いなり、便宜供与という非常にほかの省庁にもない、郵政省の中でも近畿だけ、こういうゆがんだ姿の改革が急務とされている中で、しかしなお一方それに逆行する形で、最近新たな問題として言葉狩りといいますかね、日常会話におけるごく部分的な言葉じりをとらえて、それをやれ差別発言だなんだということで追及する問題が問題化をしているようです。本省御存じですか。
  274. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 特に具体的な問題としましてこれこれの発言が問題になっているというところまでは承知しておりませんが、まあ職員の発言等をめぐりましていろいろ問題を惹起しているということは承知しております。
  275. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 御存じのようでありますけれども、これも近畿だけの問題じゃありませんか。
  276. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 必ずしも近畿管内だけで問題が起こっているということではございません。過去におきまして他管内でもそういった事象のあったことは承知しております。
  277. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうすれば事は重大です。近畿だけじゃない、全国的に起こっていると。例えばどこに起こっていますか。
  278. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) 具体的な時期等はちょっと手元にございませんが、中国管内でもそういった事象があったということは報告を受けております。
  279. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まあ、中国管内で起こっているんだかどうか私はつまびらかにしていませんけれども、しかし大体この問題も近畿の管内で異常にわあわあと騒がれているんですよ。ほんの言葉じりをとらえて、やれそれが差別発言だ、何だかんだということでね。例えば私の聞いた話では、労働組合が近畿でですよ、交渉をして、そのときにやりとりをしたほんの部分的な言葉をとらえて、あのときの発言は差別だったとかいうことで後から呼びつけられて問題にされる、こういうことさえ起こっているそうですね。しかもその際に、それを差別か差別でないか、一つはその認定、あとの対処をどうするかということについて、これまた解放研に当局が相談をしていろいろと意見交換をやると、こういうことをやっていると。それをそういう手続をといいますかルールを、この近畿郵政局の通達六百九十号というものがあって、そこにかくかくしかじかという定めをしておって、差別発言があったときはこういう対処をやるということを決めている模様ですね。ひとつこの通達を、これがそういう異常な言葉狩りを職場でわあわあやっていく一つのてこになっておる模様でありますので、一遍これを私に資料として提示をしていただきたい。六百九十号通達。どうですか。
  280. 中村泰三

    政府委員(中村泰三君) そのような通達が近畿郵政局から出されているということを伺いましたが、まあ部内の機関長にあてた通達でございますので、資料として御提出することはひとつ御勘弁いただきたいというふうに思います。
  281. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣これどうですか、とにかく日常会話とはいえこういう発言をしたらこれは問題になるよと。したがって、そのときにはこういうふうにその評価について、処理についてそれぞれの職場長が対処をしなさいと、こういう通達が出ておる模様ですけれども、しかし、一遍それを参考に見せてくれといったって、きょうの朝から要求しているんだけれども、いやそれは部内通達でマル秘通達でありますから外にはお見せできませんと。なぜ一体、公文書じゃありませんか、これにしたって、これが見せられないのか。ここにも非常にこの問題のやり方の異常さがあらわれておると思うんですね。  私はぜひ、この公明正大な国の行政、国の機関ですから郵政省は、近畿郵政局とはいえ。そういう行政を進める上で、やっぱり通達類というのはちゃんとひとつ提示をして、そのことを職員に徹底するために公表せぬといかぬでしょう。そういうふうに大臣お思いになりませんか。
  282. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) どういった通達であるかということも私も見たことがないわけでありますし、今お話しのようなことがもしあるとすれば、これはまたそういったものの性格から判断して適切な方法を考えなきゃならないと思いますが、まずそういったものの存在を私も調べまして、そしてその上でお答えを申し上げたいと、このように思います。
  283. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ぜひひとつ調査を、よく調べていただいて私は公開をしていただくように重ねて要望しておきたいと思います。  それでなお、この機会にもう一遍、総務庁来ていらっしゃいますか、念のためにお尋ねをいたします。  この今のいわゆる言葉狩りという姿ですね。日常会話でちょっとしゃべった言葉をとらえて、やれ差別だどうだということでやる。こういうことが郵政省以外の省庁で今問題になっているということを同和行政の連絡調整の衝に当たっておる総務庁として耳にしておられるかどうかということと、それから、いわゆるこれは差別用語だ何だと、これが差別用語がどうかということについて何か国としての基準を出しているというようなことがあるんでしょうか、私はないと思うんですけれども。  この二つ、総務庁、念のためにお聞きします。
  284. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 初めに、お尋ねの第一点でございますけれども、ここ一、二年のところは国家公務員の間で現在の御質問の件以外の差別発言の事例については承知いたしておりません、その前には若干のものがありましたようでございますが。  それから、差別用語についての国としての指導基準はあるかどうかというような御質問がと思いますが、御承知のように、差別用語というのは相手を侮べつすると、そういう意味が込められた言葉でございますので、同じ用語でありましても用いられる状況によりまして、ある場合には差別用語になったりならなかったりというようないろいろ複雑な問題もございますし、国といたしまして一律にそれを示すのはいかがかというようなことで、指導基準は現在のところは作成してございません。
  285. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私が聞いたのは、いわゆる言葉狩りということがほかの省庁で出てますかと。これはないんでしょう。  それから、何が差別用語かということを示す物差しになるようなそんな基準を国は出してないと。今言われたとおりそんなことが出せるはずがないと。にもかかわらず、さっきの便宜供与問題じゃありませんけれども、国の数ある省庁の中で郵政省だけでこういうことが起こっている。特に近畿に集中をしているというこの異常な姿は本当に一日も早く改革をしなくちゃいかぬということで、もう一遍大臣にこの点については改革の努力を、改革の指導を重ねてお願いをしておきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  286. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) 今お話しのようなことで、これはどうしてもやらなければならない問題でありますので、とにかく真剣に取り組んでいかなきゃならない、このように考えております。
  287. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう一つ同和行政に関してお尋ねをしておきます。  最近、部落解放同盟などが部落解放基本法の制定促進運動というのに取り組まれまして、実行委員会や集会などへの協力要請が地方の出先機関を含めまして国の各機関にも寄せられておる、こう 聞くわけです。この点で郵政省の態度についてでありますけれども、この十月二十三日、私この参議院の決算委員会で法務省に対して同じような質問をしまして、法務省としては運動団体と行政機関の違いを明確にして、一線を画して対処する、要するに国の行政機関というのは、法律が決まったらそれをいかに厳正に実行するかというのがこれが役目であって、運動団体とは違う、こういうことであったわけですけれども、この基本的立場というのは郵政省としても当然同様の態度だというふうに理解をしておいて郵政大臣よろしゅうございますね。
  288. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) そうした点ははっきり区別をするべきである、このように考えます。
  289. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは次の問題へ移ります。  電電公社はこの四月からついに民営化をしてNTTに衣がえをしました。しかし、その運営が利潤第一主義となって、会社法及び事業法にも明記をいたしております公共の福祉増進という責務がゆがめられるのではないかという当初からの我が党の批判が的を射たものであったことが、日とともに明らかになってきているんじゃないかと思うのであります。その具体的なあらわれとしてテレホンサービス問題、電話機販売をめぐる問題をこれから少し質問をしたいと思います。  まず、電話帳の末尾を見ましても、NTTは各種のテレホンサービスを行っています。このサービスはNTTの増収活動の中心的な柱とされているようで、各局ともその開発と宣伝にかなり力を入れている、全国コンクールまでやっているというんですが、このテレホンサービスの件数そして一日当たりの利用回数、まずこれをお示しください。
  290. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) お答えいたします。  現在、テレホンサービスの提供件数でございますが、九月末で全国で約一万五千件、一日当たりの利用回数は約百四十万回ということになっております。
  291. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 このテレホンサービスの多くはまじめで、利用者に有益であることは否定をしませんけれども、その中には随分むだ電話を奨励するもの、子供を食い物にするものなど、そうした行き過ぎがあると思うのであります。NTTが青森県で「おしゃべり電話」、すなわち五人まで会話ができるという新しいサービスを始めたところ、子供が乱用をしたり非行の温床になるということで世論の批判を浴びました。子供の乱用という点で言いますと、NTTの東京総支社が六月末現在でのテレホンサービスの利用の多い番組ベスト五を調べました。その資料によると、第二位に「バービーテレホン」というのがあります。明らかに小学生向けのもので、女の子の人形についてのおしゃべりの話ですけれども、これはNTTの直営ではありませんけれども、「バービーテレホン」について見ますと、一日当たり二万八百七十四件、したがって一カ月六十二万六千件、年間七百六十二万通話、こういうことになります。東京都の小学生の数は約八十八万人でありますから、そうすると機械的に割り算すれば、東京都の子供が全部かけておるとして、子供一人が年間九回以上かけておる、こういうふうに計算上なってくる。そうしてNTT直営のものを見ましても、「サンタクロースの声が聞こえる」とかタレントや野球選手の声が聞こえるとか、子供相手に何でも電話がけてくれたらいい、それでもうかればいいということで、学校の門前でまでちょうどはがきの半分ぐらいのビラを配っているわけですね。何か御家庭の方にも投げ込みが行くらしいです。こういうビラを子供に学校から下校時に門前でさえ配って、とにかく子供に電話をわんわんかけさせてこれでもうけよう、こういう営業姿勢、これについてNTTは何の反省もありませんか。
  292. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) お答えいたします。  私どもとしましては、お客様サービスの向上に役立つように、また私どもNTTとしまして経営の基盤がきちんといたしますように、また職員の働きがいがますます増進するようにというような見地から、積極的な営業活動を展開をしておるところでございまして、テレホンサービスにつきましても通話の利用促進ということで積極的に取り組んでいるところでございます。しかしながらテレホンサービスというものにつきましては、最も手軽な情報の収集、伝達の手段ということもございますが、その内容等につきましては私どもとしましても十分注意をいたしまして進めておるところでございまして、決して無理強いをしたりして無理やりに通話をさせようというような営業政策をとっておるわけではございません。
  293. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この電話をかけるのは東京の子供が東京の都内だけじゃないのですね。例えば都内で配っておるこのNTTのチラシ、このカードを見ましても、「札幌時計台の鐘」、「有珠山大爆発の音」を聞きましょう、あるいは「函館の夜景」、夜景が一体聞こえるのかどうか、「函館の夜景」というのがあるのですよ。「稚内の流氷の音」、こういうものでとにかく子供をつって、それで東京から北海道までじゃんじゃんと電話をかけさせようということじゃないかと言わざるを得ないようなチラシをつくって、東京の都内で学校の門前でまいているじゃないですか。一体東京から北海道までかけて三分間で幾らですか。
  294. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) 三分間四百円でございます。
  295. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 さらに電話だけじゃないのです。小学校の門前で配っておるもの見ますと、「好きなタレントの誕生日に祝電を打とう」、こういうのがありまして、そういうビラまでまいておる。「タンジョウビオメデトウ サトウアキオ」、この祝電を子供に打たせたら幾らですか。
  296. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) 二十五字以内は基本の料金の中でございますので、それに五割増しということになりますから四百五十円でございます。
  297. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いずれにしても北海道へ電話をかける場合、祝電を打つ場合、そんなことが重なったら親の知らぬ間に物すごい電話代の請求が各家へ行く、こういうことになりかねないわけです。しかもお金の問題だけじゃないですよ。食い物にねらっている相手は子供だけじゃなくて、テレホンサービスのチラシを見ますと、かなりいろんなのに共通して出てきますからこれは相当NTTが力を入れているんじゃないかと思われ得る一つの番組テープに「女子大生おしゃべりダイヤル」というのがある。これどういう内容か、部長さんお聞きになったことありますか。
  298. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) ただいま先生御指摘の「女子大生おしゃべりダイヤル」でございますが、女子大生が自由奔放にいろいろなおしゃべりをしておるのが録音されております。
  299. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 一日平均何件ぐらいこれ利用されておるという統計ですか。
  300. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) 個々のサービスにつきまして常に統計をとっておるわけではございませんので、ちょっと手元に何件利用されているか資料を持っておりません。
  301. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どういう内容かということで、どういう答弁されましたか、ちょっともう一遍。
  302. 西脇達也

    参考人(西脇達也君) 女子大生が自由奔放におしゃべりをしておる内容が録音されておりますとお答え申し上げました。
  303. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 自由奔放というこの言葉の概念が何を指すのか、非常に抽象的な表現ですけれどもね。実は、きょうの質問の関係で私いろいろとその内容調べてみたんです。そうしましたら、実在の、現に現存をする東京にある女子大学です、そこの学生だということをまず前置きで言う。そしてそこの女子学生五人を集めてアナウンサーがいろいろと応答をやる。十八分ほどの番組ですよ。その中の大部分いわゆる性体験のあれやこれやという話し合い。自分の行っている学校の大学の名前まで出てくるということであれば、これはまじめな女子学生なら憤慨するような内容じゃないか。そういうのが延々として続く。これが自由奔放なおしゃべりとして、どんどんとそういうことが広がったらいい、そういうことが盛んになっていったらいいということで進められるようなことなんでしょうか。冒頭言いました、NTTという のは民営化されたとはいえ会社法並びに事業法で公共放送としての使命がある、公共の福祉増進に努めなければならないということもあの審議の中で法案に明記したわけでしょう。そのNTTの責務、使命に照らして、こんなふうにまでして子供に電話をどんどんと乱用させて、子供を釣って食い物にする、あるいはピンク産業の潮流に悪乗りするような、そういうテープ番組を公共の通信を預かるNTTがやっているということは、いかにもこれはちょっと行き過ぎだというふうに寺島常務取締役、あなたがきょう最高の方で来ておられますからお聞きします。どうですか。
  304. 寺島角夫

    参考人(寺島角夫君) 御指摘のございましたように、本年の四月一日から電気通信制度の改革がございまして、その中で電電公社が株式会社NTTとして発足をいたしたわけでございます。したがいまして我々といたしましてはその改革の趣旨というものを踏まえまして、より効率的な経営を行わなければならない責務を持っておると考えておるわけでございまして、そのために各種多彩な営業活動を展開をしておるわけでございます。しかしながら同時に株式会社として企業としての社会的な責任というものもまた存在をすると思うわけでございまして、そういった多彩な営業活動を行うということは当然必要と考えておりますけれども、その中で一定の節度と申しますか、そういったものを持ちながら進めていかなければならないこともまた事実だと思うわけでございまして、いろいろな御指摘ございましたけれども、それぞれの事象等につきましてなお検討すべきは検討いたしまして、社会的な指弾等を受けないような形でより積極的に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  305. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちょっともう一つすかっと答えてもらいたいと思うんだけれども、しかしまあ一応今の答弁でも公共的使命を持つ企業として一定の節度が当然求められると、そういう見地から検討すべきものは検討するということでやっていきたいというそのことを、この席上での言葉だけにとどめないで、本当にそういう立場で今まずNTTがやっておるいわゆるテレホンサービスなるものの内容についてこれで一体いいのか、あるいは学校の門前で下校時をねらって子供にチラシを配るというふうなことをやったり、北海道までかけさせよう。最近だったらかぎっ子が多いわけですから、そういう子供たちが家へ帰ってお父さんもお母さんもいないその中で退屈して、それで北海道までじゃんじゃんと電話かけ出したら一体どういうことになるんですか。ひとつその点は本当によく検討してもらいたいと思うんですよ。  この点で、同時に左藤郵政大臣にもお尋ねをしておきます。もう繰り返しませんけれども、私るる申し上げましたそういう角度から、NTTの営業活動のあり方について、さうにそれだけじゃない、NTT以外が経営をしておるテレホンサービスもありますからね、そこの問題も含めましてやっぱり当然の営業上の節度というものが求められると、こういう点で自粛自戒を求めていく。そういうひとつ必要な助言指導、こういうものを大臣としてもやってもらいたいというふうに思いますが、大臣どうでしょうか。
  306. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) NTTにおきまして、特殊会社に移行した後、事業本部制を導入するとかいろいろ積極的な営業活動を努めておられることは私はこれはそれでいいと思いますけれども、今御指摘のような営業活動の中で社会的に許容されないような、そういう良識の範囲を超えたものがあってはならないと、このように考えます。そういうふうなことで今回の電気通信改革の趣旨というものも、他の事業者との公正な競争条件が確保されなければならない。そういった見地から見てもやはり営業というものについてはおのずから自粛をしなければならない節度、先ほどのお話の節度というものが私はあると思います。  そういう意味で、私といたしましても今後ともNTTの経営姿勢、経営陣がこの社会的使命を十分自覚して行動されるように期待をし、また我々もそういうことで指導をしてまいらなければならないと、このように考えておるところでございます。
  307. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 あとほんの少し残っているのでありますが、実は、電話機、端末機の売り込みをめぐって、本来はレンタル制と買い取り制と二本立てのはずなんですけれども、事実上レンタルというのは制度がなくなって、もう買い取り一本だということを言わんばかりのこういうやり方がどんどんと横行しているということで、さすが批判も強く、NTTとしても社内の一定の自粛通達というようなものを出されたということになってきているんですけれども、ぜひこの点はひとつ徹底をしてもらいたい。制度は制度としてきちっと国民の側というかお客さんの側の選択にゆだねるという立場を貫いてもらいたいということなのでありますけれども、もう時間がありませんから、そのことを最後に申し添えまして、本日は終わります。
  308. 井上計

    井上計君 最近郵政省のサービスが大変よくなったと方々で実は耳にいたしまして、大変結構なことだと喜んでおります。「ふるさと小包」便であるとか、あるいは郵便配達においても大変親切になったとか、あるいは窓口が非常に親切であるとかいろいろ聞くわけでありますが、大変結構なことだと思います。つい四、五年ほど前までは、年末になりますと年賀状の配達が果たして三が日以内にできるのかどうか、あるいは十日、半月過ぎてやっと年賀状が配達されるとか、いろんな問題があったことを考えますと、わずか四、五年の間でありますけれどもまことに隔世の感がある、こういう感じもするわけでありまして、大変結構だと、こう考えます。  ところが、先ほども同僚委員からちょっと話が出ておりましたが、先般、人事部長名によって公用私信として出された「活力ある郵便局づくりをめざして」という管理職対象の通達であります。私、見まして感じましたことを率直に申し上げますと、今さらこんなものを出さなくちゃいかぬほどまだまだ郵政省、郵便局内部の状態はおくれておるのかという感じが一つ。いま一つは、やっとこのようなものが出せるようになったのか、風通しがよくなったのかなという感じ、そういう、実は相反するような両方の感じがするわけでありますが、さて、これを出された本当のねらいは何であるのか、あるいはこれを出されたことによってどのような成果が上がっておるのか、まずこれをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  309. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) 労務管理のまとまった方針といたしましては、私ども、十年ばかり前に管理者に向けまして指導をしてまいったわけであります。当時は、私どもの仕事にいたしましても郵便物を毎日完配をするというようなことに大変精力を費やしておりましたし、職場秩序、服務規律を守るというようなことにも、大変職場が荒れておりまして管理者が苦労をいたしておったわけでありまして、そういうことに大変、労務管理も力を注がなければならない、いわば組合対策というようなものが強く出ておったわけでありますが、その後、郵政事業をめぐる社会経済環境も大変変わってまいりまして、今日では三事業とも大変厳しい競争場裏にあるわけでありまして、先ほど申しましたような郵便物を完配するというだけでは足らないわけで、実際、現場では皆郵便物を完配した上、さらにもっとお客様のニーズに合ったサービスをしていこう、営業活動をしていこうというようなことに力を入れております。そのために、民間の会社で行われておりますような小集団活動というようなものも大いに取り入れまして職員指導をし、仕事を進めている。  また、組合の方針も最近では、部内に二つの主要な組合がございますが、いずれも事業の現状というものにつきまして私どもとほぼ共通の認識を持って、事業の発展を図る中から労働条件の維持改善を図っていこうということで、いろいろとこの事業のあり方につきましても建設的な提言を行うというような状況にもなってきております。  そういう中で、管理者が日常職場の中でやはり力を入れてやっていくべきことと申しますと、そ ういう積極的に小集団活動などをやりながら営業活動を進めていく、あるいは組合のそういういろいろな建設的な提言にも積極的に対応をして、労使の関係をより正常化していくということが重要になっております。したがいまして、以前のそういう服務規律をしっかり守るとか、労使間のルールを守るというようなことに加えまして、現在のそういう私ども事業の置かれている現状、管理者が何に力を入れていかなければならないかということ、そういう問題をこの際取りまとめまして新たな労務管理指針として出したわけであります。  これによりまして、管理者自身の意識改革を図りまして、時代にマッチした体制づくりを目指し、またこの際、管理者に、労働組合の変化などもありまして平穏な職場というものになれ事なかれ主義に陥るということで、積極的な職場改善というものに手抜かりがあってはなりませんので、そういう労務管理の重要性を再認識してもらい、問題意識を持ってもらってやっていってもらいたいということで出したものでございます。
  310. 井上計

    井上計君 長々とお答えいただきましたけれども、私が最初に申し上げたように、今さらこんなものを出さなくちゃいけないほどおくれておるのかなという感じが実は改めてするわけであります。今お話しになりました管理者としての職務というのはもう言うまでもないことであって、ただ、今までこれが全く管理者がそのようないわば管理者としての任務、管理者としての心がけ等々がなかったから改めて出された、このようにしか思えません。私、読んだ感じは、今さらこんなものを出さなくちゃいかぬほどいわば郵政省、郵便局の内部体制は管理者が管理者らしくなかったんだなという感じがするということが一面。  それからもう一面は、さっき申し上げましたが、これは七、八年前ならこういう文書が出されれば恐らく労働組合、あえて全逓と申し上げますけれども、全逓の中で大変なまた反発が起きて余計にまた労使関係が悪くなったであろうなという感じ、しかしそれが最近ではようやくこういうふうなものを出されても特に問題とならなくなったんだなという感じ、両方の感じがする、こう申し上げるわけですね。まあ効果については、ねらいはわかりましたが、効果もややあったであろうということを感じます。ただそこで、私もちょっと時間急いでおりますので簡単にお尋ねしますが、簡単にお答えいただいて結構だと思います。なかなか十分内部に浸透しない、しにくいこともあろうと思いますが、現実にまだまだ今お話しになったようなこの真のねらいが末端では浸透していないという面がたくさんあると思うんですね。  衆議院の逓信委員会で我が党の永江議員が質問を既にしたようでありますけれども、兵庫県の神戸の東灘局でこういう実例がある。長期の欠勤者が非常に多い。それらの人たち、あるいはまた病欠を長くやって出てきた人で軽作業に従事している人等が多いが、そういう人たちが昼休みに野球をやったりかなり過激なスポーツをやっておる。ところが長期療養ということで来ても軽作業しかやらないというふうな矛盾がある。そのために東灘局では臨時雇いをたくさん採用しておる。その経費が年間約六千万円に上っておる。これは氷山の一角だというふうなことも聞いておりますが、全国的に見れば相当これはまだまだそういう例が幾つかあるんではなかろうか。ところが、新しい東灘の局長は、言えばこういうふうな従来の悪例を、悪習慣を打開しようとしてなかなか努力しておられるけれども、全逓の組合員の大変な妨害といいますか、あってできない、こういう実例があるということを聞いておりまして、先般衆議院の逓信委員会で我が党の永江議員が質問をしたようでありますが、この実態については何か掌握しておられますか。
  311. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) 東灘局でかなりの職員が頸肩腕あるいは腰痛症等を訴えまして、実態上勤務時間内における回復体操や通院を認めてきた経緯がございますが、その後関係職員、関係組合等との話し合いなどを進め、現在改善に取り組んでいると聞いております。
  312. 井上計

    井上計君 今実例等、若干私も資料として持っておりますが、また別の機会に譲りますけれども、そのようなことがやはりまだまだ各地で残っておるようであります。ですから、本省からそのような面についての十分やはり管理監督をされて、せっかくの親しまれる郵政省、冒頭申し上げましたように、最近郵政省の評判かなりよくなりました。非常に親切だという評判も大変よくなりましたが、その評価をさらに高めていくためにも、そこらのことについて十分今後徹底をしていただくように、そういうふうなことのないようにひとつ御努力を願いたい、これは要望しておきます。  それからいま一つは、先ほど通達を出されたねらい、お話の中にもありましたし、またこの中にも  営業活動の目的は、業績の向上、収入の増加にあることは当然であるが、その実践は、職員が地域社会やお客様とのつながりを意識し、自らのアイデアや熱意が直接的な形で反映され、働きがいが充足される機会でもあることに留意し、職員を育成するという観点からもこれを積極的に 云々と大変いいことが書いてあります。私は、これらによってなされたのかどうか知りませんけれども、こういう新聞記事を見ました。大分県の久住町とのことでありますが、全逓の大分地本の豊肥支部が新たな組合運動の一環として取り組んだこと、すなわち、それは町役場と実施についての調印を行ったそうでありますが、この久住町におりますところの寝た切り老人のうち、あるいはひとり暮らしのお年寄り等々との触れ合いをひとつ深めていく、すなわちそれらのところへ町役場からのはがきや封書を届ける機会、あるいは一般郵便物を届けるのを利用してそれらの人たちに声をかけて、そうしてお年寄りの方から依頼があれば軽い用事等もする、このようなことで地域とのつながりを深めていこうという運動、私はこの運動自体は大変結構だと思うんですね。お年寄りに一言声をかける、そうして地域とのつながり、さらに郵政省のサービス、大変結構だと、こう思います。しかし、ただ問題は、労働組合の分会が町当局とこれらのことについての協定調印をした、これが一つですね。それから勤務時間内に、言えば、お年寄りから依頼を受けた用事を足すとか、そのようなことをすることが果たして公務員として許されるのかどうかという問題だと思うんですね。だから、こういうふうなことをおやりになるんなら、これは郵政省全体の問題として、労働組合の問題ではなくて郵政省全体がこういう方式をうたって、それぞれの地域、自治体とそういうことについての話し合い、調印をする、そうしてやはり勤務の一環としてやるんならこれはいいと思うんですね。ただ単に労働運動のあり方として、一部の労働運動が、それらの町と労働組合と協定をしてということになってくると、これはまたいいことではあるけれども、実はこれがさらに大変な大きな問題になってくるんではなかろうか、ひいてはこれは国家公務員法違反にもつながってくるんではないか、こう思いますが、これについてはどうお考えですか。
  313. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) 労働組合が組合の立場で地域住民の福祉の向上等に取り組むことは、これは結構なことでございましょうが、郵便局が業務として地域住民の福祉や地域の活性化のために行い得るサービスにはおのずから限界があるものと考えております。  本件につきましても、地域住民と親しく協調していくことは大切なことである一方、サービスの具体的な内容とか態様等のあり方について、省としても慎重に検討をする必要がある問題であると考えております。
  314. 井上計

    井上計君 私の手元にある「週刊労働ニュース」等から見ても、「配達の途中であいさつをしたり、何か手伝いはないかと声をかけたり、買い物をしてあげたり、の信頼関係をつくり上げた。」と、こう書いてあるんですね。勤務時間中にこう いうことをするんだということなんですね。そういうふうなことは、私はさっきも申し上げているように、労働組合あるいは郵便局員が地域との触れ合い、特に寝た切り老人とかひとり暮らしの老人に対して声をかけてそういうお手伝いをすることが悪いとは言っていない。大変ある意味では結構だな、非常にやはり言えば特に全逓の大変な前進だ、こういう評価はするんです。ただしかし、それが労働組合がやる、あるいは一郵便局が町当局と調印をするということになってくると、これはいささか問題が別になってくる、こう申し上げているんですね。だから、悪いと言っているんじゃないんですよ。しかし、これを郵政省全体が、これはもうぜひいいこと、こういうことは地域との触れ合い等々からいっていいことだと言われるんなら、郵政省全体の方針としてこういうことをひとつお考えになったらどうか、こういう提案なんです。どうですか。
  315. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) この協定の内容は大変抽象的でありまして、実際にどういうような郵便局側に義務が生ずるのかというようなことについてはちょっと判断が困難な問題であります。また、この協定に基づいて実際にどういうようなことが行われているかということにつきましても、まだ具体的に何が行われたかということは承知しておりません。  今後、やはり郵便局として地域住民とのそういう触れ合いを考えるという場合には、具体的な中身を見ながら慎重にこれは判断して、どう対処していくべきかを検討すべきことだと考えます。
  316. 井上計

    井上計君 廣瀬審議官ね、あなたはこれらのこういう事実は今まで承知しておられたんですか、どうなんですか。私が質問通告したから初めて知られたんですか、どうなんですか。
  317. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) このような協定書を交わしたという事実は承知しております。
  318. 井上計

    井上計君 承知しておられる、それで今まで以前から知っておられたわけね。
  319. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) はい。
  320. 井上計

    井上計君 あのね、私実は余り追及したり詰めたりという質問はなじまないんです、するつもりじゃないんですが、これは十月のことなんですよ。十月にこういう調印をしたということを知っておられて、なおかつそれで内容については詳しく知りませんというふうなことですが、内容検討して云々と言われるけれども、私はさっきから言っている、大変いいことなんですよ。やったこと自体は、どんな内容か知りませんが、いいことなんだ。しかしね、いいことといいことだから何をやってもいいということとは違うわけですね、物事は。だから、公務員として郵政省の職員が仕事の中で業務の一部としてこれをやっておるわけでしょう、事実上。そうでしょう。あなた、ここにちゃんと書いてあるんだ。やはり勤務時間中に配達をする、それで声をかける、お年寄りから用事が依頼があればそれを用足しをするということですから、勤務時間中の仕事でしょう。だから、そういうことをやっていいかどうかということ等については、やはりこれはいいことではあるけれども、やること自体が公務員法あるいは郵政省の職務内容等々からいっていいのかどうか。だから、そういうことをやるのがいいことなら、全体のこととしてやることを検討されたらどうですかという提言をしているわけですから、何も責任追及じゃないんです。それを今までよく内容を知らぬからどうとかこうとかと言われるよりも、これからもっと前向きにお考えになったらどうですか。大臣どうですか。審議官のどうもお話聞いていると、何か事なかれ主義ですべて済ましていこうというところに私は従来の郵政、こんな管理職に対して立派なものを出されても何にもならぬなあと、こんな気がするんです。もっとやはりいいことと悪いことを区別をして、いいことはどんどん進めていく。いいことをやるために障害があるんならどんどん積極的に直していく、こういうふうなもっと前向きな姿勢が必要だと思うんですが、大臣、どうお考えでしょう。
  321. 左藤恵

    ○国務大臣(左藤恵君) このこと自体、私はそういう意味で地域住民と親しく協調していくという考え方、これは非常に大切なことだと思います。ただ、職務に影響があっては困るわけでありますので、そういった点についての区別をきちっとしながら、こういったことについて地域の人たちと十分連絡を密にする。そういった意味におきまして、やはり地域あっての郵政事業であると、そういう見地からこういったことは私は大切なことだと思います。ただ、それが協定をして調印してやるべき問題がどうかについて、私はもう少し検討する余地はあると思いますけれども、そういった姿勢というものは大切である。ただ、郵便局の業務に支障がない範囲内でやるということについて、その点を大いに進めていくべきではないか、そういう点を協調しながら進めていくべきことだと、このように考えます。
  322. 井上計

    井上計君 私はね、だから、さっきからたびたび申し上げているように、悪いことだとか非難をしているんじゃなくて、ただ町当局と一労働組合が協定調印をしたという事実を申し上げている、それはよろしくないでしょうと。そういうことをおやりになるのなら郵政省全体の問題としておやりなさい。それから、職員が業務の中でも業務に支障がないという判断で、本当の親切でやるのならそれはそれとして結構でしょうと、こう言っているわけですから、その点を十分、今大臣御答弁いただきましたが、そういうことについての指導も十分されないと、要するに何をやってもいいんだと、いいことなら何をやってもいいんだということとは違うということをこれは申し上げておきます。  時間がないから次に移ります。  さてそこで、去る十一月二十九日首都圏及び近畿圏においての大変なゲリラ活動がありました。国鉄の通信線がずたずたにされて大変多くの人が損害を受け、迷惑をこうむり、また事実東京では放火事件がありまして、一歩間違えば死者が出るところであった。これをあえて承知してそういうゲリラ活動を起こした許せない事件でありますが、その中に、先ほどの質問の中に同僚議員からありましたが、四十数名の逮捕者の中に全逓に所属しておる職員が二名入っておるという報道がありました。黙秘権を使っておりますから、そのほかにもまだいるんではなかろうかと思いますが、従来全逓職員の中に過激派グループがずっと前からいて、事あるごとに何か事件等を起こしたり、あるいは中核派と革マル派のいろんな闘争等の中で必ず全逓の中で双方で傷ついたりと、いろんなことが報道されておりますが、依然として全逓の組合員の中に過激派と思える人がいることは確かであろうと、こう思うんですね。だから、それはなぜ全逓の職員の中に過激派グループがいるのかということについてはどうお考えですか。
  323. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) 職員の中にいわゆる過激派と言われるような職員がおりまして、成田事件あるいは浅草橋事件等で逮捕されるということは大変遺憾なことでございます。従来から私どもも職員に対しましては法秩序を乱すような行為はしないようにということで、常々指導をしてきているところでございますけれども、遺憾ながらまだそういう過激派に所属をし、このような事件を起こすという職員がいるわけでありまして、私どもといたしましてもこの際さらに通達を出しまして、職員がそのような反社会的な行為をしないように指導を強化いたしたいと考えているところであります。
  324. 井上計

    井上計君 全逓の運動方針はもう二十数年前からほとんど変わっていません。長期抵抗大衆路線、すなわち階級闘争至上主義、反体制、反事業、反合理化、依然として運動方針変わっていないようです。しかし、最近のあり方は随分柔軟路線になって、さっきから申し上げているように、随分と変わったなと私ども評価をし、喜んでおります。しかし、一面いわばそういうふうな分子は、全逓の路線が柔軟路線になればなるほど、逆に今度は自分たちがもっと過激的な行動に移るおそれもあるんですね。だから私は、そういう反社会的なことをやってはいかぬという通達を出す と、もちろん管理者に対して十分そういうふうなことを徹底されなくちゃいけませんが、同時に、過激派としての行動を一回でもしたことがあれば、やはり厳罰で臨むということでなくちゃいかぬと思うんですね。実は従来過激派に属して何かどこかで逮捕されている。ところが、何日かたって釈放されてくると、また職場に復帰しておるというのがたくさんあるでしょう。要するに反社会的な行動を明らかにとったということがわかっておっても、懲戒免職にしていない事実がたくさんあるわけですね。だから、むしろ私はそれは今後それらについては厳罰主義で臨むということでなければいけないと思いますが、どうお考えでしょうか。
  325. 廣瀬惠

    説明員(廣瀬惠君) 従来も反社会的な行為をしたという事実が判明した者につきましては、厳重な処置をとってきておりますが、今後もよく事実を把握いたしまして厳正な対処をいたしたいと考えております。
  326. 井上計

    井上計君 愛される郵政省、サービスのよい郵政省に脱皮をしようとされるんですから、従来よりかもっと視点を変えてそういうことについて厳重な態度で臨まれないと、俗にいう元も子もなくなる。やはりまた国民からせっかくの郵政省努力が水の泡になるような批判をされるおそれがある。多分にそうなりますから、十分ひとつお考えをいただきたい、要望しておきます。  私ちょっと自分の質問時間を切り上げて御無礼したいと思いますので、NTTの方にお伺いしたいと思うんですが、これはむしろ私は勉強のつもりでお伺いするんですけれども、キャプテンシステムが昨年の春ごろからいろいろと言われて、昨年の十月ですか十一月でしたか、三鷹地区で試験的に実施された。私どもとしては、当初NTTさんの宣伝あるいはいろんなこと等から、これがかなり普及が速いスピードで行われるであろうというふうな期待といいますか、あるいは危惧、同時にこのキャプテンシステムが、当時は電電公社時代でありましたが、当初言われておったような形で普及すると、いわば流通産業界にどのような革命をもたらすのであろうかというふうなことについて大変な関心を持っておったわけですが、最近、新聞報道にもありますけれども、思ったよりかなかなか普及のテンポが遅い、そのために、一つは例の器材が高いということで、NTTさんが直接販売をされる、安くする、こういうふうなことも新聞報道で見ましたけれども、なぜ思ったほど、皆さん方が当初考えておられたほど普及しないのかという理由と、それから現状がどうであるのか。それから、今後どのような促進計画でおられるのかということ。それから、あわせて情報化社会、ますます今後情報化社会がさらに高まり、強まることは間違いないわけでありますが、そういう中でキャプテンシステムをどのように位置づけをしようとお考えになっておるのかということ等についてひとつお考え、御計画をお聞かせをいただきたい、こう思います。
  327. 藤田史郎

    参考人(藤田史郎君) ただいま幾つかの内容を含んでおります御質問を承りましたので、全部お答えできるかどうか、できるだけその線に沿ってお答えしたいと思います。  キャプテンサービスを開始いたしましたのは昨年の十一月三十日からでございまして、首都圏、それから京阪神地区を最初にやりまして、その後逐次サービスを開始して今日に至っておりまして、十二月の二十二日、もうすぐ参りますが、そこで福岡とそれから清水市にサービス開始いたしますが、これまで含めまして現在十八都道府県にまで普及しております。今後、私どもといたしまして、地方的な御要請のあるところをさらに拡大することを考えておりまして、六十年度末、それから六十一年度第一・四半期、すなわち六月ぐらいまでには大体県庁所在地級の市町村には普及していきたい、こういうふうに考えております。  さてそこで、目的に比べてどうだったのかという最初の御質問がございますが、先生御指摘のとおり、最初考えていたほど普及のテンポは速うございませんで、現在まで契約数が八千九百契約ということになっております。私ども、最初はまず半年、ことしの三月ぐらいまでに大体一万ぐらいの加入数、それから来年の三月までに二万ぐらいというような形での進歩、進展を考えておりましたが、それに比べまして、今申し上げたように、半年以上若干計画よりおくれているような状況でございます。  なぜそういうふうにおくれているのかということでございますが、三つほど挙げられるんじゃないかと思います。  一つは、先生御指摘の、実際に利用される方がお買いになる端末のアダプターというのがございまして、これが御家庭のテレビと電話機とをつなぐ装置でございますが、このアダプターの値段が現在市販で大体二十一、二万しておりまして、非常に高い、なかなか一般の家庭には手が届かないということが一つございます。  それからもう一つは、情報を提供しているわけでありますが、それを検索して画面に出すわけでございますが、その仕方が非常に複雑だということで面倒くさいということ、なかなか出てこないということ、それが二番目であります。  それから三番目は、これは一番大切なことでありますが、これは将来にかかわることでありますが、なかなか魅力が出ていないという、この三つが挙げられるわけでございます。  私七月から事業部付になりまして、その掌の責についておりますわけでございますが、これらが全部こんがらがっておりますので、私たちNTTとしてできることとして、まず、それじゃ私たちが集中購買益を出しまして購入することによって端末価格が安くできないかということで、私どもの技術開発グループといろいろ検討いたしまして、その可能性があります結果が出ましたので、つい最近数社と入札、これは国際調達になりますので公開入札いたしまして、そのうちの一社と契約いたしまして、大体販売価格が七万九千八百円、テレビのアダプターでございますけれども一般普及型でございます、そのくらいでできるという見通しが出ましたので、これをしばらく私どもの方で購入いたしまして私たちのルートで販売をしてみたいというふうに思っております。  それから、あと検索する情報検索の仕方が難しいということと、それから内容がどうもヒットするものがない、魅力がないということ、この二つに関しましては、つい最近私どもNTTと、それから実際にサービスしておりますキャプテンセンター会社というのがございます、それと、先ほど先生おっしゃった三鷹でモデルをやっておりますモデル室長というのが、組織がございまして、ここも加えまして、それとあとシンクタンクとして情報通信研究所というのがございまして、その情報通信研究所にキャプテンの抜本的な検討を実は依頼しておりまして、その内容を加味しましてプロジェクトチームをつくりまして、そして問題点を即刻できるものから行動に移していこうというアクションプランをつくりまして、今日二回ほどまだ会合をやったばかりでございます。大体二週間に一遍ぐらいずつ会合をやりまして、その中で情報内容の検索のしやすいようにすること、それからいかにしてヒットするようなものが出せるかという検討をしておる段階でございます。  さて、そういうことで将来このキャプテンはどういうふうに私ども位置づけるかという御質問でございましたが、最初このキャプテンシステムというのが出たときに、いろんな報道関係あるいは知識階級関係の方々からかなりこれのメディアというものが将来二十一世紀にかけて非常に二十一世紀の文化に、あるいは企業活動に役立つものだということが言われております。その考え方は私どもとしていまだに変えていないつもりでありますが、かつてテレビが出始めたときのようなああいう爆発的な共同目的といいますか、一つの同じ問題意識というか、興味、関心意識といいますか、そういう中で普及していくとはとても考えにくい面がございまして、やはり新しいメディアというのは、今度私もみずから手がけてみまして、やはり試行錯誤といいますかカット・アンド・ト ライの中で道を切り開いていくことが大切ですし、道を誤らないように多くの利用者の意見を聞きながらやっていくことが、地道にこれを拡大していくことが大切だと思っております。ある時点まで行けば後は弾みがつきまして、その道に倣って普及が急速に促進していくものと考えておりまして、そういう形で今取り組んでいるところでございます。
  328. 井上計

    井上計君 どうもありがとうございました。承って、私自身が感じておったことと大体同じであるなということで私も参考になりました。ただ、当初キャプテンシステム構想が発表されたとき以来、特に小売業界においてはこれの実は普及の状態あるいはこれのあり方等々を想定して大変な混乱があったわけですね。事実それに対する対応のための投資もした人があるわけですね。だから、そういう人たちが非常に今さらにまた混乱が起きておる、今後どうなるであろうかということによってかなり小売流通業界、特に無店舗販売等等については大きな影響があるわけですから、ただ単にこれが普及のテンポがおくれたとか速いとかということだけにとどまらない大きな問題がありますので、これらについてはNTTさんの責任がある意味では重い、こう思うんですが、今後とも十分ひとつそういうこともお考えいただきながら、さらに新しい具体的ないい方法を発表していただきたい、こう思います。同時にまた、今後のニューメディアの中で私はやはり何といっても市民生活、日常生活にキャプテンシステムの占める役割、位置というのはやっぱり大きいものだと、こう考えております。それだけに大いにひとつさらに積極的なお進めをいただきたい、こう思います。以上要望して終わります。
  329. 青島幸男

    青島幸男君 私もせんだっての国鉄に対するゲリラ事件からいろいろ想起したことでお尋ねするんですけれども、世の中が進んでまいりまして簡単に一本のケーブルでたくさんの情報が伝えられるというような高度化社会になりますと、それはそれなりに便利は便利なんですけれども、一面それが切れたらもう何も動かなくなるという実にアキレス腱と申しますか、複雑な機能を持っていれば持っているほど重大な欠陥を簡単に招いてしまうというおそれがあるということを、つくづくこの間実感したわけです。あの辺の線を切ったからといって、昔の市街電車のように運転手が前方を見ながら旗を振りあるいはポイントを手で動かしてあっちこっち走っているような状態だったら、少しぐらい電話のケーブルを切ったぐらいじゃ電車はとまらないはずなんですけれども、それがポイントの切りかえから信号通達あるいは安全運行の細かいシステムに至るまで、全部ワイヤを通じてコンピューター化管理されているという状態になれば、何カ所かでこれが切断されるというようなことになれば、もう当然全機能を失ってしまうということは実に明白でして、またしかも線路端に大した施設でもないような格好、ただ転がしというような、作業員の言葉で言う転がしというんですか、その辺にただ簡単な溝を掘ってそこに埋め込んであるというような、実に考えようによっては粗雑なやり方で埋設してあるということが大変な問題を呼んだわけでして、改めてその神経がむき出しになっているということに対するおそれを痛切に感じたわけですけれども、今もお話ありましたようにキャプテンなんというシステムも今後できてくるでしょうし、「もしもし」、「はいはい」といって随時に確実に相互に話ができるというだけの電話機という基本的なシステムだけが切れても相当な被害が考えられるんですけれども、その上にコンピューター化によりまして電話線を通じて相互のコンピューター、端末機器、それからメインのコンピューターとつながっている。あるいはキャプテンによってそれぞれの末端と深く連絡を取り合っているというような電話のケーブルが、この間の世田谷の事故のように、あれは完全に事故でしたですね。何か作業員の不慮のミス、過失がさまざまな悪条件と重なったんでしょうけれども、洞道火災というような事態を引き起こして、何百回線か何千回線か、かなり重要な部分が何キロかにわたって焼失したということで、かなり多大な迷惑を各方面にかけるという結果になりました。しかしあれが全く過失であって万全の対策を講じていながらああいう事故を招来してしまったと。今度の過激派による事件になりますと過失ではなくて、あえて故意に悪意を持って弱点を襲おうというようなことですから、これが頻繁に安易に大事件を惹起するというようなことになりますと、彼らとしては、本当に少人数の人間が簡単な金のこぎりを持って鉄道のフェンスを越えてちょっと手を加えれば、あれだけ重大な麻痺を生むということが証明されたわけですから、電話回線などに弱点を発見して、あえて悪意を持って故意にこれを損傷してというようなことを計画的に行うとすれば、世田谷事故の何十倍、何百倍というような大騒動が彼らにしてみれば起こし得るという、少なくとも確信まで持ってしまったんじゃないかというところに私は大変恐ろしさを感ずるわけでして、だからと申して先ほどから同僚議員などの質問を通じてよくわかったんですけれども、洞道あるいは共同溝につながる部分の点検口のかぎをどうするとか、出入りの管理を厳しくするとか、さまざまな工夫をなされておいでのようですけれども、世田谷の火事を拝見しましても道路の途中でもくもくと煙が出てきたということは、そこに通気口とかあるいは不意の用意のための特別な出入り口とかというものが必ず幾つかあるはずで、少なくとも換気口ぐらいはあるはずで、そこに悪意を持って引火しやすいガス、液体もしくは火炎瓶等による発火物を挿入もしくは爆破する計画でやれば、割合簡単に大騒動を惹起することが可能なんじゃないかという気がしまして、しかも、あの事件以来各方面の方々のお話などを聞いてみますと、どうも鉄道の沿線、山手線、中央線の沿線すべてに何百メーター置きに番人を立てるとか、あるいはいきなり完全無欠な洞道に埋設してしまうとかいうことはおよそ不可能でして、当分の間あのような状態を続けるより仕方がないというお話を聞きまして、やる気のある人たちにとったら割合やりやすいことなんで、これはどうしても何とかしていかなきゃならないことだという認識を持っているんですけれども、その辺に対するおそれとか手当てとか、どの程度重大関心事として省なりNTTさんはお考えになっていらっしゃるか、今度の事態から惹起されたそういう無防備なケーブルに対する憂慮といいますか心配といいますか配慮といいますか、その点の御認識なりあるいは御覚悟なりを承りたいと思います。
  330. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 先般の国鉄ゲリラによる通信回線の切断事件といいますのは、今先生御指摘のように故意に基づく計画的な事件であったのだろうと思いますが、こういうものに対する防御態勢といいますのは、これはなかなか万全を期すといいましても大変全国津々浦々にわたる回線でございまして、これをすべてをということはなかなか非常に困難な面が出るだろうと思います。さりとて余りにも安易にそういうことが行われるようなまま放置しておくというのもいかがであろうかということもございます。もちろん企業としての限界というものもございましょうし、そういった点について、私どもも今後こういうことが頻繁に起こらないということを願っているわけでございますけれども、少なくとも安易にできるような形というようなものについては、何らかの対策というものは必要であろうというふうに思います。それがどういうものであるのかどうかということについては、今後NTTだけではなくして国鉄を含めまして、そのほかの自営の有線電気通信設備というようなものについてもかなり公共性の高いものもあろうかと思いますので、そういったものも含めましていろいろ私ども検討してみたいなというふうに思いますし、その結果を踏まえましていろいろな指導助言というものができれば、そういうふうなものについて対策を講じてまいりたいと思います。  一般的な安全対策あるいは災害対策というようなことについては、私どもそれなりにいろいろ準 備もし指導もしてきているわけでございますけれども、今回のようなそういう悪意、故意、計画的な犯罪に対応するということにつきましては、なかなかそういったものにつけ入れられないような態勢というものも必要でございますし、それと同時にまた起こった場合の後の処理ということのスピード、これが大変、広範にまた長期間にわたって障害が起こるということになりますれば、それはまさにそういったものを非常に成果があったことという評価でもてはやされるおそれも多分になきにしもあらずで、そういったものに対する後の対策ということも非常に重要であろうと思いますし、そういったことも含めまして関係の向きともいろいろ連絡をとってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  331. 寺島角夫

    参考人(寺島角夫君) 一点だけ事実関係について一言申し上げておきたいと思いますが、昨年の十一月に起こりましたこの事件の実は原因につきましては警察、消防といった公的な機関で原因の究明をしていらっしゃいまして、私どもNTTといたしましてはそれに全面的に御協力申し上げてやっておりますが、現時点におきましてまだそういう公的機関で原因を結果はこうですということを公表なさるところまで至っておらないというふうに承知をしておりますので、その点は御理解いただきたいと思います。  事故につきましてその後NTTとしてどういう各種の対策をとったかということにつきまして、概要を土屋参考人の方から御説明いたさせます。
  332. 土屋治昭

    参考人(土屋治昭君) お答えいたします。  世田谷の今回の火災事故につきましては、再発防止のために、部外の学識経験者方々にも入っていただきまして、昨年の十一月末でございますが洞道内火災対策委員会を設けてまいりまして、結論が出されております。この結論に基づきまして、私どもNTTとしましては可能なものから実施しておるところでございます。  それは三つを一つの基本としているわけでございますが、その三点について御説明しますと、まず洞道内の火災対策としましては第一には火を出さないこと、出火防止対策、これを最重点としております。このための対策といたしましては、一つには洞道内ではできるだけ火を扱わないということでございます。それから二つには、洞道内の設備をできるだけ燃えにくいもので構成するということでございます。それから第二には、もし万が一にも不幸にして火災が起きた場合におきましてもできるだけその被害を限定するということ、局地化するということでございまして、延焼防止対策を今実施しております。それから三点目は、洞道内への出入り、あるいは洞道内の作業のやり方といいましょうか、管理を徹底強化することにございます。  少し具体的に申し上げますと、最初の第一の出火防止対策でございますが、在来はバーナー等の火を使って接続をするという工法を使っておりましたけれども、火を使わないで機械的に接続できる工法を現在開発しまして、洞道内のケーブルの接続に適用しておるところでございます。  それからケーブルの難燃化、不燃化対策でありますけれども、これから新しく設置するケーブルにつきましてはそうした新しいケーブルを使っております。しかしながら河道内には既にかなりのケーブルがございますので、これらのケーブルに関しましては不燃化のカバーを巻きまして燃えないようにいたしまして、主な全国の主要洞道につきましては既に今月の十二月末までには完了する予定になっておりまして、全区間につきましても六十一年度の第一・四半期までには完了することになっております。  そのほか延焼防止対策でございますけれども、共同溝とNTTの洞道との境、それからNTTの洞道と電話局の局舎の境、こうしたところには防火壁を設置するなどしまして延焼の防止を図っていきたい。これも今月十二月末までには全部完了するようになっております。  そのほか洞道の管理のシステムでありますけれども、洞道内監視システムというのを今採用しておるところでございます。これをちょっと簡単に申し上げますと、洞道内でどのような火災が起こるか、一般的には煙の感知とかあるいは可燃性ガス、あるいは水位を検知する、こうしたセンサーを置きまして、そうしたもののシステム化でございまして、こうしたもののシステムを主要洞道から逐次導入してまいりまして、これは少し時間がかかりますが、六十二年度末までには完了したいと考えております。  そのほか洞道内作業のあり方でありますけれども、もちろん入出の管理というものを厳重にいだすとともに、やむを得ず火を使うというようなこと、万が一火を使うというようなことがあるとすれば、そうした場合には特別の防火責任者を配置するなど、守るべきこと、遵守事項を定めまして厳重に作業をやってまいりたい。二度とこのような事故が起こらないようにしてまいりたいと思います。
  333. 青島幸男

    青島幸男君 私も原因がいまだに明確に文書になっていないことも承知しておりまして、ただ、あれはわざと計画的に悪意を持ってやった事故ではないんであろうということを申し上げたわけでして、あの事故のおかげでNTTさんの方も大事なケーブルを損傷したりしては困るということで防火壁をお設けになられる、あるいはセンサーをおつけになる、あるいは不燃化あるいは難燃化の材料をお使いになって、一カ所悪意を持って火をつけられる、あるいは爆破されるというようなことがあっても、それがその部分だけで食いとめられるようにパラレルで線を配するとか、あるいは何らかの補完システムをとられるとかさまざまな手だてを講じられて、たとえ故意に悪意を持って何かするような人がいても被害を最小限に食いとめるように、できるように万全の処置をおとりになってくださっていると思いますし、その方針で省の方も、これも金のかかる問題ですけれども日常生活に即つながってくる問題ですし、今後ますますケーブルに依存する部分が大きくなりますと、私ども現在でもはかり知れないほどの何か重大な事態を引き起こすかもしれませんので、ケーブルの上に乗って生活しておるという現代生活が安心して日常を送れるようにするための万全の配慮が、今後とも重ねて必要だということを深く認識しましたんで、皆さん方も重々そのことをお考えになっていらっしゃると思うんで、その点について万全の配慮を逐次重ねていって、公共の安全を確保なさっていただけるように特別の御配慮をお願いしたいということをまず重ねてお願いをしておきます。  それからますます光ケーブルなんというようなことになると、あれは導線を応急処理でしょうけれども、国電のあれのとき見ましたけれども、複雑に入り組んだ断ち切られた線を被覆をはがして、つまんでつなげていらっしゃいましたけれども、あれは応急の処置で、あれで一応の回線を確保したらあとはもっときちんとした補完の仕方、つなぎをきちっとやって当然耐久力を増すような格好でやられたんだと思いますけれども、光ファイバーになりますと特別な計器が要ったり器械が要ったり、つなぐのにより時間がかかったりということも聞いていますし、よくよく気をつけて、なかなか人の手の届かないように破壊されにくいようなところにケーブルを引いていただくように御配慮を重ねてお願いしたいということであります。  それはそれでいいんですけれども、あと郵政省にお尋ねしますけれども、今も井上議員の質問にもありましたけれども、郵便局のシステムが大変細かい神経が行き届くようになって、一時は宅配便などのサービスに押しまくられていた傾向がありましたけれども、やや若干取り戻してきて窓口が非常に明るくサービスよくなったというお話も方々で聞くんですけれども、まだまだ扱いが乱暴であるとか不親切であるとかぶっきらぼうであるとかというところがぬぐい切れない部分があるような気がしますし、また一回過去にそういう思いをした方がその嫌な思いを根に持つというと変ですけれども、その印象がぬぐい切れずになかなか 郵便局に近づかないというようなことになりますと、せっかくの皆さんの窓口の方々の御努力も無になってしまいますんで、腹を据えてかかっているんだぞということを、このごろ郵便局へおいでいただいてもサービスがよくなりましたよということを周知徹底せしむるために何か強力なPRの手段みたいなものがあれば、もうちょっと手近に皆さん方から軽い気持ちで御利用いただけるようになるんじゃないかと思いますので、せっかくの御努力が報いられるようなPRの手段などをお考えになったらいかがでしょうかということを提言申し上げますが、いかがなものでしょうか。
  334. 高橋幸男

    政府委員(高橋幸男君) 郵便小包の利用増進等に関しまして私どもスピードアップあるいは丁寧な取り扱い、また集荷サービスの実施などといろいろサービス改善に取り組んで、お客様によりよく御利用いただけるよう努力しているところでございますが、御指摘のようにいまだ私どものサービスが十分に至らない点があること事実でございます。やはり苦情等も参っております。私どもそういう点につきまして、御指摘のように郵便事業に対するイメージアップを図るための努力というものを今後ますます続けていかなければいかぬというふうに考えているところでございます。しかし、私ども御指摘のようにせっかくいろいろサービス改善いたしましても、お客様に十分理解し御承知していただかなければ利用の増進にはつながらないということでございまして、これまで、従来ですと郵便局のPRと申しますとポスターをつくって郵便局に出しておくというふうな、いわば動かない、静の形でのPRということが主体でございました。こういう形から、例えば新聞あるいはテレビ等マスコミを使うというふうなことも昨年あたりから初めて実施したところでございます。しかしまだまだ私ども不十分であるということで、今後とも工夫を凝らしたPRを展開していくということを考えているわけでございますが、ただ私ども事業の推進のPRということにつきましては、こういうマスコミ媒体によるPRということに加えまして、やはり職員一人一人が郵便の商品のPRをしまた心のこもったサービスを提供していくということが基本ではなかろうかというふうにも考えているところでございます。そういう全職員の参画によるPR活動という点についても、私ども今後努力していきたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、本当にまだ郵便局の業務、特に郵便事業につきましての御理解の度合い、不十分であると思いますので、各方面の御意見もいただきながら、PRの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  335. 青島幸男

    青島幸男君 結構です。その線でどうぞ十分に推進していただきたいと思います。  来年からマル優利用の方が本人確認のために公的な身分を証明する何かが必要になるということで、限度額をオーバーして課税されるべき利子を逃れるというようなことのないようにしていきたいという御趣旨はよくわかるんですけれども、どうも私どもの手元に郵便局単位でおつくりになっているパンフレットかビラかと思うんですけれども、来年からは身分証明書が要りますけれども今なら要りませんから、どうぞ今のうちにという、何か一方では限度額を明確にオンラインで決めるんだぞと言っていながら、今のうちなら少しぐらいオーバーしてもいいんじゃないかというような印象を与える駆け込み貯金を奨励するような、貯金と言ってはあれですけど、駆け込み利子脱税を奨励するような雰囲気のあるチラシなどが出ているのを散見するんですけれども、これは各郵便局単位で勇み足で行ったことなのか、あるいは省としてそういうことを奨励なすっていらっしゃるのか、その辺を明確にしていただきたいんですけどね。
  336. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) 先生今お話の件は、これは確かに来年から所得税法が改正になりまして、本人確認をきちんとするということになりまして、その本人確認の証明といたしまして公的な書類というものが、やかましいことを言いまして住民票の写しでありますとかあるいは運転免許証あるいは共済組合員証でありますとか、そういったようなものを見せてもらって、その人がその人であるということが間違いないということで初めて貯金をしていただくと、こういうことになるわけでございます。  実は郵便貯金につきましては、こういう来年からの法律改正以前から、隣近所で既にその顔が顔見知りで、あるいは勤め先でとかいうことで顔見知りと、そういう面識者である場合はもういいんですけれども、そうでない、どこの人かわからぬという場合には、一応やはりその人が客観的に見てその人だなと証明するに足るような、今おっしゃいました身分証明書でありますとかあるいはそのお宅に来ているはがきですね、一応そこへ来たと。これを持っていれば、私はこの人間だと、こういうような程度の確認資料を見せていただいて、そして郵便局を御利用していただいている。ですから全然本人確認ということについて何もやってないということではないわけでございます。  ですから、この本人確認を今のうちやって、何でもかんでも来年になると難しくなるからどうぞということは、私どもこの法律の今の仕組みから申し上げても、現場に対してそういうことを駆け込みでやれというようなことを指導するいわれもございませんし、また現場の方も、そういう気持ちでそんなパンフレットをつくっているのを私どももまだちょっと聞いてないんですが、恐らくあるいはあるとすれば、手続が変わりますよということを利用者にいろいろ誤解のないようにPRしてもらう、その辺に力点を置く余り、あるいはそんなような感じを先生に抱かせるようなあれがあったのかなというふうに考えております。そういうわけで、決してそういったどさくさに紛れて云云というようなことは考えておりませんので、よろしくお願いします。
  337. 青島幸男

    青島幸男君 それはそうあるべきだと思うんですよ。省としてそれをやるのは非常に矛盾があると思うんですよ。しかし、私も資料を持ってこないでここで抽象的なことを論じているのは甚だ恐縮なんですけれども、私は現実にそれを目にしておるわけですよ。来年からはちょっと身分証明で手続が面倒くさくなりますから、今のうちにどうぞということで、今のうちなら多少オーバーしても大丈夫なんじゃないかという印象を確実に与える書面でありました。これは、省としてはそういうお考えで促進していないはずだと私も思います。多少勇み足があったとしても、ある程度ノルマがあるし、成績があるんだろうから、これは善意に解釈すればこういうことも言えるんですよ、たんす貯金をなすっておいてもつまりませんから、今のうちでしたら余り身分証明のことで、御本人確認でとやかく申しませんので、今のうちに口座をお開きになって貯金をなすっておいた方が御本人のためにも有利ですよ、国策にも沿うことですということで、たんす貯金をこちらへお持ちくださいという意味に、善意に解釈すればそうなるんでしょうが、そういう誤解を与えるようなものが出回るというような事態を見逃しますと、長い郵政の歴史の中で信頼されてきた郵便貯金に対する失望を少なくとも利用者に与えるというようなことがあればゆゆしき問題ですので、その辺をひとつ御配慮の上で、よき指導をということをお願いしたい、こういうことでございます。  以上でございます。
  338. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 他に御発言もないようですから、郵政省及び日本電信電話公社決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会      —————・—————