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1985-11-29 第103回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十九日(金曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十八日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     斎藤栄三郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         丸谷 金保君     理 事                 出口 廣光君                 林  ゆう君                 松尾 官平君                 服部 信吾君     委 員                 石井 道子君                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 仲川 幸男君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 梶原 敬義君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 田代富士男君                 佐藤 昭夫君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        労 働 大 臣  山口 敏夫君    政府委員        労働大臣官房長  岡部 晃三君        労働省労政局長  加藤  孝君        労働省労働基準        局長       小粥 義朗君        労働省婦人局長  赤松 良子君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君        労働省職業能力        開発局長     野見山眞之君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        内閣参事官    荘司 晄夫君        法務省刑事局刑        事課長      原田 明夫君        文部省高等教育        局学生課長    佐藤 孝安君        厚生省生活衛生        局指導課長    中井 一士君        労働大臣官房審        議官       田淵 孝輔君        労働省職業安定        局障害者雇用対        策室長      小倉修一郎君        会計検査院事務        総局第四局長   立石 一雄君    参考人        日本航空株式会        社勤労部長    兼子  勲君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和五十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十八  年度政府関係機関決算書(第百二回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百二回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十八日、岩動道行君が委員を辞任され、その補欠として斎藤栄三郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 昭和五十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、労働省決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  4. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  6. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 昭和五十八年度決算検査報告書というのを会計検査院からいただいておりますが、この報告書労働省関係する不当事項指摘が六項目にわたってなされております。項目だけ読みます。  一〇三で指摘されている事項は、「身体障害者職業訓練校運営委託に当たり、委託費の精算が適切でなかったため、支払額が過大になったもの」、これが一つ。それから一〇四で、これは保険のところでありますが、「労働保険保険料徴収に当たり、徴収額過不足があったもの」、それから一〇五が「雇用保険失業給付金支給が適正でなかったもの」、それから一〇六「雇用保険特定求職者雇用開発助成金支給が適正でなかったもの」、それから一〇七が「雇用保険定年延長奨励金支給が適正でなかったもの」、最後に補助金関係ですが、一〇八から一一一までですが、「職業訓練関係補助金の経理が不当と認められるもの」ということで、全部金額まで表示をされておりますが、この件について、会計監査指摘事項は不当だということで、お金の払い戻しとか何かをずっと全部やっておりますが、労働省はどういう見解をお持ちかお尋ねをいたします。
  8. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 労働省所管の予算の執行につきましては、従来から適正執行十分留意をしているところでございまするけれども、ただいま先生指摘のとおり、昭和五十八年度決算検査報告におきまして、先生おっしゃるような項目につきましての不当事項指摘があったわけでございます。例えば、労働保険徴収額過不足の問題につきましては、徴収不足額が六億一千万円余、過大徴収額が八千万円余というふうな具体的な金額に基づいての御指摘でございます。このような事項報告書に掲記されましたことにつきましては、まことに遺憾に存じているわけでございます。今後はこのような指摘の趣旨を十分認識いたしまして、また先生指摘の点を十分踏まえまして、このような事態が発生しないようにより一層関係部局指導してまいりたいと、このように考えております。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは会計検査院が幾つかあるうちの抜き打ちみたいな形で、サンプルみたいな形でやった中で洗い出たものですから、いわば氷山の一角のようなとらえ方もできるわけですが、これはやっぱり国のお金でありますから、日ごろから慎重にやっているといっても、これはもうごく一部だと、こう見なきゃいけないと思うんですが、ひとつよろしく今後の行政でこの会計検査院指摘を生かしていただきたいと思います。  次に移ります。  自治体労働者清掃従事者労働災害がここ数年非常に、特に重大災害死亡災害事故が多発しているようでありますが、労働省の方でつかんでいる数字を簡単にひとつ、ここ五年ぐらい出していただきたいと思います。
  10. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 御指摘清掃事業におきます災害発生状況でございますが、特に死亡の数について申し上げますと、昭和五十五年が死亡災害発生件数十件で死亡者数が十六、五十六年が件数が九で死亡者数が九、五十七年が件数十四件で死亡者数十四、五十八年が件数十七で死亡者数二十二、五十九年が件数二十一で死亡者数二十三ということで、五十六年以降だんだん大きい数字に増加している傾向にあるわけでございます。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、しかもこれは下請関連労働者にたくさん出ているやに、聞いておりますが、行政改革が言われ出しまして、人が多いとか、あるいは下請でやらせるとか、こういうような傾向がずっと出ていると思うんですが、労働省としてはこれからこういうところを事故のないように、特に死亡災害というのは大変ですから、今後の指導を強くやっていただきたいと思います。  それから次に、私はきょう二つの、岩手日報神奈川新聞持ってきておりますが、十一月二十二日の神奈川新聞朝刊を見ますと、「ごみ収集車欠陥」ということで、一人、ごみ収集車パッカー車に挟まれて、テールゲートに挟まれて亡くなっております。それから岩手日報記事は十一月二十七日、盛岡市の清掃職員が同じように死亡しております。角材が詰まっておるところをそれを取りにいったら、上から六百五十キロのゲートがバーンと落ちて、挟まれて死んだと、こういう内容ですが、全部これは富士重工のごみ収集車、フジマイティとかいうごみ収集車のようですが、これは欠陥があるんではないか。ゲートがじわじわ落ちることもあるということですが、落ち方が角材を取って狭まるということで、この点について私は、通告もちょっと遅かったものですから後日で結構ですが、労働省にお願いをしたいんですが、実態を、フジマイディ、このパッカー車の構造や何か問題ないか調査をして報告をしていただきたいんですが、いかがですか。
  12. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 先生指摘新聞は私も見まして、岩手それから神奈川、共通の問題があるようにも見受けたわけでございます。御指摘の事実の把握について、基準監督署を通じまして調査をいたしたいと思います。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひ早急にやっていただきたいと思います。  それから労働大臣、先ほど言いましたが、行政改革行政改革ということで言われておりますが、一方ではこういう清掃作業に従事している労働者あるいは民間の下請労働者が非常に労働災害傾向的に先ほど言われましたようにふえている。この事態労働大臣としてもやはり今の傾向というのはそういうことになっているんだということで非常に大事にとらえていただいて、強く調査をし行政指導をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  14. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 基準局長からも御答弁申し上げましたように、先生の御指摘問題等実態十分把握をいたしまして、そうした労働災害、安全が十分確保でき得ますように最善の努力をなさねばならないと考えます。また、清掃業等における労働災害防止につきましては、第六次労働災害防止計画におきましても清掃業重点業種一つとして取り上げておりまして、安全管理体制の整備、安全衛生教育徹底ごみ収集車による災害及び酸素欠乏等による災害などを防止するための作業基準周知徹底、そうした対策を推進をしております。こうした対策徹底を図るために、労働省といたしましては厚生省及び自治省と連絡協議を行いまして、各都道府県、労働基準局ごと清掃事業を行っておる地方公共団体等との連絡協議の場を設けまして、労働災害防止徹底についての要請もさせていただいておるわけでございます。今後ともそうした機関との連絡を密にしながら、先生の御指摘のように労働災害防止のために一層努めてまいりたい、かように考えております。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  労働大臣の名誉にかけても、私次のことはなかなか勇気が要って聞きづらいことでありますが、名誉のために真相を明らかにしていただきたいと思います。  十一月二十八日の朝刊あるいは二十七日の毎日新聞朝刊等によりますと、新聞を持ってきておりますが、見出しは「労相、私的印で200枚乱発国際美容協会に、頼まれ 「大臣賞」ってこんなもの!?」、こういう記事が載っております。  そこで厚生省にお伺いをいたしますが、山口労働大臣国際美容協会会長山野愛子さんに頼まれて、労働大臣の公印ではない私的な大臣印を使って同協会会員の約二百名、どうも本当は二百六名らしいんですが、労働大臣賞乱発というか、乱発し、受賞に当たって金の動いた疑いが持たれている。この問題について同美容協会を監督する立場にあります厚生省は、二十七日の午後同省で山野正義理事長ら二人から詳しい事情を聞いたと、こういう記事が載っておりますが、この点について厚生省いかがでしょうか。
  16. 中井一士

    説明員中井一士君) ただいま先生指摘のように、本件につきましては私ども厚生省監督官庁に該当するわけでございますので、事実につきまして現在調査中でございます。当該新聞報道にありますように、その当日関係者からも事情聴取いたしております。ただ現在の時点では、新聞報道にされておりますような金銭授受等については的確な事実関係把握しておりません。  以上でございます。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、現金の授受は知らないけれども、あとのことは一応そういうことは認めるわけですね、新聞に載っている記事
  18. 中井一士

    説明員中井一士君) 御指摘のように、二百何がしかの表彰がなされたということについては新聞報道のとおりであるというように関係者から事情を聴取しております。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 あなたは担当課長じゃないですか。
  20. 中井一士

    説明員中井一士君) そうでございます。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうですか。事情を聞いているというのはどなたから事情を聞いているんですか。
  22. 中井一士

    説明員中井一士君) 国際美容協会事務局次長、すなわち実質的に当該事務担当しております山野正義氏及び事務関係者からでございます。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 当日のパーティー、十月二十日の東京新宿京王プラザホテルで開かれたこのパーティーには、厚生省のあなたか、あなたの部下かわかりませんが、その現場に居合わせているんではないですか。
  24. 中井一士

    説明員中井一士君) 当該芸術祭につきましては、従来からでございますが、厚生省が後援をしております。と同時に、その芸術祭におきまして美容等コンテストを行っております。その優秀者に対しては厚生大臣表彰を行っております。したがいまして、当日私ども関係者出席をいたしまして、優勝者に対しては厚生大臣表彰を行っております。ただ、新聞記事にもございますように、私ども関係しておりますのは当該美容コンテストでございまして、そのコンテストの席及び当該表彰式におきましては、労働大臣表彰ということにつきましては私ども関係はしておりませんでした。  以上でございます。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 聞いていることを答えてくださいよね。大臣もおられて、そこで表彰を次々にやられるときに、厚生省皆さん、あなたかあなたの部下かがその会場にいたかいないかということを言っている。
  26. 中井一士

    説明員中井一士君) 厚生大臣が後援いたしましたコンテスト……
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 違う、そのことを言っているんじゃない。
  28. 中井一士

    説明員中井一士君) 出席しております。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 現場出席をしておりまして、一一労働大臣賞を渡すときにいたということなんだから、これは数はあなたたちは山野理事長を呼んで聞くまでもなくて、現場で確認していることでしょう。
  30. 中井一士

    説明員中井一士君) 二百何がしかに対して表彰をされたと報道されております。その席上には、私ども関係者出席しておりません。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 その労働大臣表彰をしている場面厚生省の方が、あれ労働大臣賞が出るのか、おかしいなというようなことはないんですね、現場におって、だれか、あなたじゃないがあなたの部下厚生省の方が。
  32. 中井一士

    説明員中井一士君) そのとおりでございます。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 いたのかいないのかということを聞いているんです。先ほどはいたということを聞きまして、後はいなかったと言う、どういうことですか。
  34. 中井一士

    説明員中井一士君) 私ども厚生省が後援いたしましたコンテストの席及びその表彰式には、私ども関係者出席しておったということでございます。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと委員長、さっきの違いだけ、時間食い込みますから速記をとめて聞いてください。
  36. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  37. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 速記を起こして。
  38. 中井一士

    説明員中井一士君) 私ども承知しておりますのは、当該芸術祭には二つ行事がなされたというように理解をしておるわけでございます。一つは、ただいま申し上げました芸術祭大会でございます。その大会には私ども関係者出席をして厚生大臣表彰を行ったと。それから、その大会の終了後に別途パーティーが開かれまして、そのパーティーの席上で新聞報道のような事実があったというように承知しております。
  39. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止
  40. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 速記を起こして。
  41. 中井一士

    説明員中井一士君) パーティーの席には私ども関係者出席しておりません。
  42. 梶原敬義

    梶原敬義君 出席はしていないけれど、しかしその大臣賞を渡す現場は見ているんですか、見てないんですか。出席ということはそれならいいですわ。しかし、その場面で。
  43. 中井一士

    説明員中井一士君) 出席しておりません。したがいまして、承知しておりません。見ていないということでございます。
  44. 梶原敬義

    梶原敬義君 そんならそれと言って答えてください。しかし、後でその現場におったということになりましたらどうするんですか。間違いないですね。
  45. 中井一士

    説明員中井一士君) 私ども本日までの調査をした限りにおきましては、私今お答えしたとおりでございます。
  46. 梶原敬義

    梶原敬義君 後で実際に現場にいたということがわかった場合はどうするんですか。あなたは知らないというんですか、いないというんですか、どっちですか。
  47. 中井一士

    説明員中井一士君) 知らないということでございます。
  48. 梶原敬義

    梶原敬義君 そんならそれで初めから言ってくれりゃいいじゃないですか。危ない橋渡らない方がいいですよ。  厚生省、聞きますがね、美容協会環境衛生同業組合、そういうところは厚生省担当ですね、環境衛生の。ところが、これ大臣表彰をそこで、たとえ私的であっても大臣表彰されるということについては、これはおかしいじゃないですか、厚生省、どうなんですか。見解を聞きます。
  49. 中井一士

    説明員中井一士君) どういう観点から当該表彰がなされたかということについては、私ども十分承知はしておりませんが、一部新聞報道にありますように着つけということについて表彰をされたようでございますので、その着つけにつきましては、私ども美容ということを所管しておる立場から言いますと、直接私どもが所管しておる事項には必ずしも該当しないというように理解をしております。
  50. 梶原敬義

    梶原敬義君 厚生省といたしましては、そういうことになりますと、労働大臣であろうが運輸大臣であろうが何々大臣であろうが、大臣の肩書を使って私的な表彰を出すということについては、それは知らぬ、我々に関係することじゃない、いわばどうぞやっても結構ですと、こういうお考えですか、今の。
  51. 中井一士

    説明員中井一士君) それはケースバイケースであろうというように考えます。
  52. 梶原敬義

    梶原敬義君 ケースバイケースなら、今までそれじゃ美容関係でこういうような表彰をされたことはかってあるんですか。要するに、ほかの大臣が、厚生大臣以外の皆さんが何か大臣賞を出したことがあるんですか。
  53. 中井一士

    説明員中井一士君) 私すべて承知しておるわけではございませんが、少なくとも今回の国際美容協会におきましては、労働大臣表彰が初めてであるというように承知しております。
  54. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、あなたは時と場合によってはほかの大臣がやってもいいということを今言われているの。あなたの厚生省にかかわるそういうところの表彰をほかの大臣が、よその厚生大臣じゃない大臣がやってもいいと、ケースバイケースだとこう言われておるならば、かってそういうケースはあったんですか、なかったんですか。
  55. 中井一士

    説明員中井一士君) そういうケースがあったということを私は承知しておりません。知りません。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 私も時間がないからきつい質問になりますけれども、素直に答えてくださいよ。そうこれが問題だと言っているんじゃない、大臣も後から答弁もあるだろうと思う。結局問題があるかどうかは後の話ですからね。  次に、その前に労働大臣新聞内容によりますと、これはゴルフのコンペに労働大臣賞を出すようなものだというようなことを言われております。労働大臣が一体どうして厚生省のかかわるようなところに労働大臣賞を出されたのか、不可解でならぬのですが、いかがでしょうか。
  57. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 今回の新聞報道の件で、関係皆様方に大変御迷惑をおかけいたしましたことを、私といたしましては深くおわびを申し上げたいと思う次第でございます。  今、厚生省の方のいろいろまた御質問もございましたけれども、私はそういう枚数その他乱発という表現等の中で、今釈明をさせていただいたわけでございますけれども、基本的には労働省はやはり勤労国民皆さん方技能振興奨励、こういうことでございまして、労働省の中にも能力開発局、こういう独立した局もございます。また、その局を通じまして各法律に基づきまして企業労働大臣技能検定委託をして、そしてその企業内での技能基準評価の中で検定証を差し上げている、こういうケースもございます。私、財団法人国際美容協会という準公的な活動をしておる団体ということもございますし、また、多年の知人でもございますし、日本の美容界に六十年という長きにわたって草分け的な存在として数々の実績も残されておる。男女雇用均等法ではございませんが、髪結いの時代から男性社会の中で職業婦人として頑張ってこられて勲位もいただいておる、こういう立派な方でもございましたので、財団国際美容協会基準をお任せして、三十周年でございましたか、お祝いの行事を兼ねた技能奨励賞を出していただけないかということに対しまして、現在の労働省表彰基準に着物の着つけでございますとか美容関係におけるそうした認定項目がございませんので、私の責任においてそれじゃ十分協会で人選を選考していただいてというこの条件のもとに了承をした、こういう経過でございます。
  58. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、ということになりますと、何か少し関係があれば大臣表彰はそれぞれ違う立場の省庁でも、大臣は自分の大臣の名前を使って判を押してやれるという見解に立っておられるわけですね。
  59. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 私自身、労働大臣に就任させていただきまして以来一年の間に、こうした労働大臣たる衆議院議員山口敏夫見解の上で、労働大臣の賞のような賞状を出したというケースは初めてでございますが、かってはよく地元の菊の大会とか運動会とかそういうところに地元衆議院議員、またあるいは労働大臣、こういう立場賞状を出したようなケースもあったかもわかりませんが、出していいというと、いいというその返事がすぐ出しにくいわけでございますが、私は財団法人国際美容協会という団体の権威と実力、実績というものを踏まえまして、技能奨励のために役立つならば御協力申し上げましょう、こういう見解で、この一連の報道の中で特に金銭授受云々という部分等大変誤解といいますか、指摘をされておる部分の中で今調査中のようでもございますが、そういう点を除けば私はこの奨励賞を差し上げたということについては、枚数その他多少行き過ぎの点もあったというおわびは申し上げたいわけでございますけれども、こういう技能奨励ということも大切なのではないか、今日の段階でもそう考えておるわけでございます。
  60. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと労働大臣、これは公人として出したと受けとめていいんですか、私人としてやったんですか、どっちですか。
  61. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 公人私人という論議で御指摘をいただきますと、公人私人かということでございますけれども労働大臣たる衆議院議員山口敏夫奨励の意味で賞状協会に対して御協力を申し上げた、こういう見解でございます。
  62. 梶原敬義

    梶原敬義君 衆議院議員山口敏夫私人でしょうね。しかし、労働大臣とつけばあなた政府労働省のトップですね。もらう人はあなた個人から私人でもらったという受けとめ方をしているんですか。そうはしないでしょう。あくまで労働大臣の肩書を持った労働省のトップの労働大臣からもらった、こう受け取るのは当たり前、常識じゃないですか。
  63. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 私がいろいろな自分の私的な関係とか、私の例えば選挙区の会合にいろいろ労働大臣賞をどんどん差し上げた、こういうケースと違いまして、国際美容協会は公的な活動を認知されている財団法人でもございますし、その三十周年の一つの記念行事の中で技能奨励の意味で労働大臣奨励賞をいただけないか、こういうことに対する御協力ということでございますので、私自身は労働大臣の名前も含めましてこうした行事に御協力を申し上げたということは、大臣の責任の範囲において国民の皆さん方技能奨励とか督励の意味におきまして、そう間違ったことを個人的見解でしてしまった、こういう認識にはないわけでございまして、そういう一つの考え方は考え方として日ごろ技能奨励というものを持っておったわけでございますので、そうした必然性の中で御協力を申し上げた、こういう考え方でございます。
  64. 梶原敬義

    梶原敬義君 私はたから、そういう答弁をされると思いましたから、委員部を通じまして内閣官房長官に来ていただいて、それで内閣として、一体それぞれの大臣があなたのような形で理屈をつけてやれば何ぼでも、今まで厚生大臣賞とかなんとか、決まった手続して県まで上げて文書で出してやる手続を省いて、好きなところへどんどん出せるようなことになる、だから私はきょうは官房長官を呼んで、官房長官はそういうあなたの見解に対して内閣として一体どう考えるのかということをただしたかったわけですが、これは委員長、きょうは官房長官おりませんから、この問題については後日やり直さなきゃいけないと思っております。  問題は、裏で金が動いたという事実もつかんでなければ新聞はこんなことは書きませんでしょう。大臣として名誉に関する問題です。あなたは表彰されるときやパーティーにずっと初めからおったんでしょう。立ち会っていた。ここで金が動いたという記事も出ている。これは重大な影響をあなた自身に与えることなんです。それに対して遺憾だ、こう言っているけれども、それで済むものじゃない。あなた何人に大臣賞を渡して、お金授受が一体どうなったか、あなたはすぐこの新聞を見た後調べるべきじゃなかったですか。今どこまであなたはこの問題について認識しているんですか。
  65. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 私はその表彰式にも出席をいたしまして、代表として山野愛子先生にその賞状をお渡しをさせていただいたわけでございます。現段階において国際美容協会からの報告の中におきましても、そうした事実関係は全くございません。所管の厚生省の方にも事前に出しておるこの事業計画書、そしてまた経理報告書等をごらんいただいても証明ができます、こういうことでございまして、理事長初め事務当局のそういう御説明について、私の方はそういうことが誤解を招かないように今後ともしっかりやってもらいたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  66. 梶原敬義

    梶原敬義君 新聞記事の中に、こう書いているじゃないですか。「山野理事長らは、金の動きについて「授賞式のお祝いや協賛などの意味で五万円や十万円、二十万円、中には百万円を出してくれた人もいる」」こういうことを言ってますよね。そういうお祝いのときに、何か受賞式かパーティーのお祝いに百万円も出す人おりますか、常識であなた金銭が全然動いていないと言うなら、この動いているという記事が載っている、副理事長か、この国際美容協会、これ何ら否定してないじゃないですか。どうして金が動いていないということをあなたは言えますかね。
  67. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 私が協会の責任者から承る範囲におきましては、こうした大きな美容界に影響を持つ団体また会員の方々のお祝い事という形の中で、各事業協賛のような形でこの運営費の一部を御協力を申し上げた、こういう事業所も、メーカーですな、そういうのもあったということの報告は聞いております。しかし、それは私と関係のない部分でございまして、労働大臣表彰を受けるに当たってその見返りとして協会に何らかの協賛金とか協力金が出された、こういう事実があればこれは当然のごとく私の趣旨が伝わっておらないと、こういうことでございますから、これは仕切り直しといいますか、戻してもらわなきゃならないわけでございますが、その分まで、これは私の方でもとへ戻すべきだとか、経理がこうすべきだというようなことは申し上げる立場にない、こういう理解でございます。
  68. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣ね、あなたその労働大臣賞にかかわったことはないと、お金や金品は動いてないと、こういうことをあくまで言っておられますが、私はこう言っている以上ある程度つかんでいることは、これは言いませんが、ありますよね。だから、あなたがそう言う以上、あなたの名誉のためにも、ここで山野理事長がきのうの新聞で言っておりますが、金の動きについては授賞式のお祝いや協賛などの意味で五万、十万、二十万、百万と、こういう話が出ておりますが、あなたはその内容を全部一々、あなたがかかわった問題なんだから、あなたがかかわって大臣賞を二百六も出したんだから、あなたこれをずっと出して、後日決算委員長にその内訳を全部、ここに書いてあるだけじゃなくて、全部出していただいたらどうですか。そうしなければそれはどうしても疑いは 晴れませんよ。
  69. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 先生の御指摘をいただいている部分、これは私も冒頭申し上げましたように、この一連の報道を通じて労働大臣賞を御協力申し上げた趣旨がどうも十分伝わっておらない、こういうことで、そういう経過の透明度を明確に示す意味におきましても、当然協会としては所管の厚生省の方に事業報告あるいは経理報告を提出すると思います。そうした中身を含めまして、今先生指摘のように、決算委員長の方に協会の資料を提出するということが、私の大臣賞を出したことのまた立場におきましてもそうしてもらいたいというふうに考えますので、私の方からも協会の責任者にそう伝達をしたいと、かように考えます。
  70. 梶原敬義

    梶原敬義君 厚生省、今大臣の話ありましたが、こんな話は新聞に出て時間かけていけば、それは出るものも出なくなりますよ。早くしてください、いいですね。
  71. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  72. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それでは速記を。
  73. 梶原敬義

    梶原敬義君 法務省、おいでですね。  お尋ねいたしますけれども労働大臣の印鑑をたとえ私的でも、公的なものじゃなくてもつくって押して、労働大臣表彰ということを受ければ、これは受けた人たちはこれはもう政府労働大臣からもらったんだと、国からもらったんだと、こう受け取るのが我々の常識なんです。これが一つ。  そしてまた、その大臣賞をもらった美容室なら美容室に行ったお客さんは、ああここの先生労働大臣から表彰された立派な技術屋だということで、権威があるからそこにまた行く。ところが、これは私的なものということになればこれはがくっとくる。そこに金が動けば一種の詐欺になる。それから、労働大臣表彰をもらってない美容院というのはいっぱいある。そこの人は被害を受けますよ。あっちの労働大臣賞をもらったところにどんどんお客が行けば被害を受ける。これはとんだ内容を含んでいると思うんですね。しかも労働大臣山口敏夫と、こうなれば政府労働省のトップに立つ人ですから、私人ではない。それを出したということは、公人として出している。しかもそれが利害の関係をずっと呼ぶ。だからこの点については、私はやっぱり印鑑の偽造の疑いがあるし、詐欺的な行為にもつながると思うんですが、法務省の見解をお伺いしたいと思います。
  74. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  せっかく先生の御指摘でございますが、ある一定の事実に関しまして刑事責任が発生するかどうかを判断いたしますためには、あらゆる状況と申しますか、それに至った状況を含めまして事案をつまびらかにいたしませんと申し上げることはできないだろうと思いますので、その点御了承いただきたいと思います。
  75. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういう事実が新聞にもう出ておりますが、法務省としてはそれの調査を早急に、厚生省は今言いましたように非常に時間はかかりますが、やはり調査を始めると、こういうことにはなりませんか、事実の関係
  76. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) 今の段階でいたしますとごく一般的なことしか申し上げられないんでございますが、私、ただいま先生の御質問、また関係の方々のお答えを聞いていたわけでございますし、また新聞報道ももちろん承知しておるわけでございますけれども、例えば、一般的に申し上げますと、刑法上の印章の偽造ということになりますと、これは他人の印章を偽造するということで、その本人に断りなしにありていに申しますとつくるということでございますが、そういう状況でもなさそうでございますし、また、先生指摘の詐欺ということになりますと、これは状況から申し上げましてもなかなか難しい面があると思いますし、今の段階で私ども検察庁の方としてこれに対して捜査に入るとかあるいは調査するという状況ではないのではなかろうかというふうに考えております。
  77. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、確かに大臣賞についてお金が何ぼか要ると。それに出したという事実が一つでもあれば検察庁としては動くということですね。
  78. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) 私の方で申し上げられますことは、事態が明らかになりましてそれにつきまして刑法上あるいはその他の犯罪があり得るということになれば、関係捜査当局は当然それについて適正な措置をとると思いますし、私ども検察庁としてはそのようにやるだろうと思います。それ以上のことは、ただいまのは一般論でございますけれども、具体的な事案に即してどうこうするということをこの場で申し上げられないことを御了承いただきたいと思います。
  79. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後に委員長にお願いをしたいんですが、きょうは官房長官がおりません。私は基本的に、大臣が自分の担当省庁以外のところに何何大臣だれだれとそこに印鑑をついて表彰をするようなそういうことというのはかつてなかったと思いますし、今労働大臣はそれはケースバイケースでやれるような意味のこともちょっと言われましたが、これは中曽根総理大臣の内閣に係る問題でありますし、官房長官にも私はきょう聞きたかったわけですが、この点については今これ以上進みませんから、後日この問題についてはどうしても決着をつけて、こういうような大臣がそういうことをどんどんやれるかやれないかという問題については、早急に結論を出していただきたいんですが、その点について理事会なりによろしくお願いします。
  80. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 後で理事会で相談をしてまとめたいと思います。
  81. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がなくなりましたから、次に移ります。  非常に短い時間で日航の労使問題についてここで質問し、そして日航の労使関係を私はどうしてもよくしていただきたいと思うんですが、時間が非常に不足すると思いますが、労働省にきょうは幾つかお願いをしたいと思うんですが、本当に前向きに誠意を持って対応をしていただきたいことをお願いをいたします。  きょう資料一で配付をいたしましたが、「日本航空における不当労働行為事件の概要」というのが回っていっていると思いますが、これは労働省にお願いをいたしまして、労働組合の方からも出していただいたんですが、それと突き合わせる意味で出していただきました資料であります。これを見ましても一目瞭然で非常にわかりますように、昭和四十一年以降、日航の労使関係というのは地方労働委員会あるいは裁判所やあるいは約三百回と言われる労働基準局あるいは監督署、ここに要請行動に行っておるようでありますが、非常にこれを見ても日航の労使関係というか、日航の中には不信感が渦巻いていると思うんです。これに対して労働省は過去、努力もされたようでありますが、どうも私がこう見たら、難しい問題には一定の枠以外は入り込まないというような形で対応してきたんではないかと思います。  それから資料の二番目に、日航機重大事故をずっと挙げました。このほかにニアミスみたいなのいっぱいあります。それから八月の十二日ですか、この前の日航の五百二十名にわたる事故、これはここに載っておりませんが、その後サハリンの方にコースを離れていったり、あるいは博多の空港でちょっとニアミスみたいなのが出たり、たくさん出ておるわけでありますが、私は日航になぜ一体こんなに事故が多いかというふうな、この昭和四十一年以降不信感の中でたくさん出て、労使関係がうまくいってない、これがやっぱり遠因の一つになっていると見ておるんです。私はこのためにたくさん資料を集めましていっぱい持ってきておりますが、非常に時間が限られておりますので、私が今申し上げましたような点につきまして労働省は一体どう把握しどう考えてどうしようとしているのか、お尋ねをいたします。
  82. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 先生の配付されました資料でもございますように、日本航空におきましては、過去におきましてこういう労働委員会におき まして不当労働行為であるとかないとか、あるいはまた双方の話が食い違って、いろいろ労働委員会が間に入りまして和解的な形での解決とか、率直に言いまして非常にこういう労働委員会が間に入って問題の是非、決着、和解をつける、こういうような経過をたどってきた労使関係であることは事実でございます。  ただ、この間におきまして私ども労働省としても、この日本航空というのが個別企業の問題である、そういう意味で行政が一般的に立ち入れないという事情は踏まえながらも、これが公益性の非常に強い産業である、会社である、こういう観点に立ちまして、あるいは公式にあるいは非公式に労使を呼びましたり、あるいはまた接触しながら、労使関係の正常化といいますか、円滑な労使関係の確立のためにそれなりの、いろいろアヒルの水かき等も含めましてやってきたわけでございますし、また具体的なぎりぎりと争われる問題については、こういう労働委員会を通じまして事実関係を明らかにしながらその問題解決に当たってきた、こういうことでございます。  そういう中で、私ども少しずつ労使関係の面でのいわば話し合いなりあるいはまた労使の接触というものも少しずつ深まりつつある、こういうような理解はいたしておるわけでございまして、例えばことしのいろいろ賃金問題あるいはまた一時金問題等におきましても、できるだけそういう力の対決ではなくて、対話の中で解決を図っていこうという方向は出てきておる、こんなふうに見ておるわけでございます。  しかし、今後、日本航空が伝えられますところによれば、いよいよ民営化の方向でのまた方向も出ておるようでございますし、またそういう中での労使関係を一層安定的なものにしていくためにどうするか、こういう方向につきましてさらに今後私どもも、労働省としてもこういう労使関係全般の問題を扱う立場から、労使に対していろいろまた実情を伺いながら、必要な面についてのできる限りのまた事情を伺う中での助言等をしながら、何とか安定的な労使関係に持っていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  83. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は日航のこれまでの歴史というのは、やっぱり昭和四十年前後を境にいたしまして、分裂支配といいますか、やはり今労働組合が資料三にもありますように四つありまして、機長会というのが別にありまして、入れると五つぐらいになる。ぱらぱらになっているわけですが、徳川幕府が世の中を治めるときにやはり分裂して支配をしたように、そういう形でこれまでやってきたというのは否定できない。そこから不信感が生じて、そしてもうお互いに不信感が高まり合ってきた。あるいは組織の取り合い、こんなことが続いてきたら、本当に私は安全の問題というのはうまくいくはずはない、これはまた起こる、このままにしておれば、そう思うんですよ。  だから、以下ちょっと具体的な問題についてお尋ねをいたします。  一つは三六協定の締結をめぐりまして、非常にもめておることは御承知だろうと思います。特に副操縦士あるいは航空機関士でつくっております乗員組合、それからスチュワーデスやパーサーや皆さんでつくっております客乗組合、こういう方方が非常に不満を持っていると思うんですね。やはり過半数を持っている組合が三六協定を結べば、もう右へ倣えと、こういうことが法律ではこれでいいじゃないかと、こういうことかもしれないけれども、非常に不満を持っている。それは空を飛ぶ人間でないと疲労度もあるいは危険の問題もなかなかわからない。だからここの問題は非常に問題があるということはどういったって事実でありまして、もういろいろ詳しいことは申し上げませんが、この問題について第一点、もう少し私はパイロットやあるいは空を飛ぶ皆さんについては、この三六協定の問題については、さあ、ここで結んだら後は後だというような形じゃなくて、もっと理解ができるように、私は何も労働組合同士が対立するんじゃなくて、仲よくなるために言っているわけですから、その指導をひとつ三六協定の問題については早急に労働省が一歩踏み込んでいただきたいと思います。  それから安全衛生委員会につきまして、これは私も長いこと民間で労働組合をやっておりまして、労働省指摘を、勧告を受けなければ成田で安全衛生委員会ができないとか、既に今日でも形はあるんだけれども、空を飛ぶ客乗とか乗員組合とかここがまだ委員出してない。非常に異常な事態なんですね。これは出さぬから悪いだけでは済まされない。なぜ出てもらうように努力をしないのか。これはやっぱりイニシアチブを持っている会社が努力すべき問題だと。お互いに不信感がなくなれば問題点を出し合って、そしてゴルバチョフとレーガンが今話をするような時期だから、ここはやっぱり安全衛生委員会の問題については一体問題がどこにあるのか。非常に安全衛生委員会なんかを軽視してきている日航、これは異常だと思うんですね、異常な会社のあり方ですよ。これはもうだれがどう言ったって、私は異常じゃないかと言える資料全部持っておりますから、時間があれば出すんですが、もうそう決めつけていいと思います。  それからもう一つは機長会。機長は全日空も東亜もみな管理職じゃないわけですよ。国際的に見て機長というのは、一部管理職があるかもしれぬ。しかし全体はやはり組合員であるべきなんですよ、これは世界的な常識として。これはやっぱり労働組合と認めるのが当たり前で、労働省はこの辺は勘違いをされているのかどうかわからぬけれども、その辺の、労働三法から見ても私はおかしいことがいっぱいあると思うんですが、この点について見解を伺い、また指導していただきたいと思います。  それからもう一点は、会社が、先般の八月の航空事故の後も会社と組合のやりとり、あるいは会社のこういう「おおぞら」やなんか書いてあるのを見ますと、安全問題は労使協議会の事項でないと、こう言っているんですよ、一貫して言っているんです。これは炭鉱労働者なんかは安全がなかったらストライキやる。我々一般の民間でもそうだ。自分が危険なところで働くわけがない。これは労働交渉事項。労働交渉事項ということはストライキかけたって安全は守らなきゃいけない、こういうことなんだ。これは社長以下何ぼあれしても、交渉の中でも調べてみますと、交渉事項ではない、一緒に安全はやる問題だと、こういう言い方をずっとしてきている。これは間違っているんですよ。これはまたやりますよ、事故を。この点について、あと幾つかありますので、今の点だけとりあえず答えていただきたいと思います。
  84. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) お尋ねの四点のうち、初めの二つが労働基準行政関係するかと思いますので、二点についてお答えをしたいと思います。  まず三六協定の問題でございますが、御指摘のように一本で協定が結ばれている。その中にその協定が適用される労働者がいろいろ違うのに一律の協定が適用される点の問題でございますが、先生も御承知のように、形の上では、これは三六協定それ自体そういう結び方は違法とは言えないわけでございますが、現実にはいろいろの会社でも一つの協定の中で職種を区分して協定していることもあるわけでございます。ですから、日本航空の場合に、そうした協定が結び得ないのかどうかといったようなところに一つの解決の道もあるいはあるんじゃないかというふうに考えられます。したがって、違法だとかという問題とは別にしまして、そうした点についての労使の考え方というのは、私どもとしてもいろいろ伺って適正な形での残業が行われるような形に持っていきたいというふうに考えております。  それから、二点目の安全衛生委員会、御指摘のように設置はされているんですが、一部の組合が参加してないという変則的な形になっております。これについては、日航側としては別途協議会の設置を呼びかけているようにも聞いておりますけれども、この単位、安全衛生委員会どういう単位で置くかという一つの問題が前提としてござい ますが、その点はまあその企業の管理、監督の組織がどういう形につくられているかということによる面が大きいもんですから、必ずしも一概に言えない面がございますが、少なくとも一部が参加してないという形は異常であることは御指摘のとおりだと思います。したがって、そうした穴を埋める形がどういう形で今後考えられるか、その点も含めまして企業側あるいは労働側の考え方も伺って対応したいというふうに考えております。
  85. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 三番目にお尋ねのございました機長の労働組合加入の関係の問題でございますが、一般論で申し上げれば、機長が会社側の利益代表者であるかどうか、こういうことに法律上なるわけでございまして、この利益代表者としてのいろんな法律上の判断というのがあるわけです。これについてそれぞれの会社で機長に対して与えております権限、そういうものとの関係でこの辺の判断が出てくる、こういうことでございます。しかし、このところについてこれが厳密に利益代表者に当たるかどうかというぎりぎりした実態判断、個別実態判断ということになりますと、やはり労働委員会でこれは最終的には判断をされる、こういう問題でございまして、先生が御指摘のほかの二社と違うという点の認識は、まさに機長にどういう権限をそれぞれの社が与えておるか、そこのところにかかってくる問題ではないか、こう思うわけでございます。  それから、四番目にお尋ねございました安全関係の問題を協議事項でない、こういうことについてのお尋ねでございますが、一般論で申し上げますれば、運航の安全そのものが団体交渉対象事項というふうになるわけではございませんが、運航の安全が労働者の職場の安全や、あるいは労働条件にかかわってくる面があることもまた当然でございまして、そういう限りにおきましてそういう側面から団体交渉事項になると考えておりますし、それからまた、私どもがいただいておりますこの日航におきます労使の確認書におきましては、安全及び健康管理に関する事項というのは協議会においての協議事項、こんなふうになっておると承知をいたしておることでございます。
  86. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひ、今前向きの発言が、私は前向きにとった点幾つかありますから進めていただきたいと思います。  安全の問題について基準局長から少し話がありましたが、ちょっとまだ認識が足らないんではないか。  一つは、スチュワーデスさんなんかいる客乗の組合の皆さんが一二三便の事故以降の調査をしてみて、その世論調査によりますと、総数でいきますと、日ごろ安全についての不安があるかどうかということに対する回答が八百二十五、中間報告ですが、ないというのが六、わからないが五、何と九八・七%が安全に対する不安を感じておるわけですね。これは、この前運輸大臣と各労働組合の代表が会ったときにこの数字が、ほかにまだいろいろとあるんですが、会社の安全対策は職場の声を反映しているか、いいえと言ったのが九五・四%、七百九十名。こういうような数字は全部運輸大臣は聞いているはずです。  それから、乗員組合の皆さん調査をしているんですが、機材の経年劣化が進む中、現行の整備方式に不安を感じますか、八三・三%。その他、会社は職場の声を聞き、抜本的な事故再発防止策をとると思いますか、これに八一・一%、非常に不安を感じておるんです。この人たちの、やっぱり空を飛んでいる皆さんの、しかも機長を入れて、安全問題という点については早急に話をするように、これは危くて乗れませんよ、そうじゃなきゃ。私らもときどき乗るんですが。ぜひ、もう答弁要りませんから。  あと、いろんなアンケート調査が要るならお渡ししますから、ひとつやっていただきたいと思います。  最後になりますが、私は労働組合の皆さんも四つ会って、機長会も会って聞くところによりますと、いろいろあるけれども、レーガンとゴルバチョフじゃないが、話し合いもやっぱりトップ同士でぼつぼつしようかという雰囲気も感じております。労働省としてもぜひそういう仲介役というか、一歩踏み出していただきたいと思います。  それから労働大臣ですね、美容協会まで、外まで行って厚生省担当のところに行っていろいろやるより、あるいは総評の幹部とゴルフするのもいいかもしれないけれども、これはやっぱり早く日航の労使の問題あるいは労働組合の不満をあなた方はもっと逃げないで、運輸大臣だって代表に会って話をしているんだから、そりゃあなたもっと前向きに飛び込んでいって、どことどことどこに問題があって、どうすればよくなるのか、少なくともあなたはやはり局長クラスに早く命じて、そして前向きにやる、私はそういう姿勢がほしかった。何ぼしてもせぬから、私はこの質問の準備をして、きょうはたくさん資料持ってきましたけれども、もう時間がなくなりましたから、ほとんど二十分の一ぐらいしかできなくて非常に残念です。もう言いたいことが多いんです。運輸大臣がやっぱりやっているんだから、かって労働大臣も一度そういうこともあるようですが、やはり会社も組合員もみんなが、安心してお客が乗れるように早くしなきゃいけないと思うんですよ。いかがですか、最後に。
  87. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) やはり日本航空の運航における安全、これはもう国民の皆さん、利用者の方々にとりまして最重要優先課題でございまして、こうした安全運航もすべてはやはり円満な労使関係というものが非常に大事なポイントであろうと思うわけでございます。私も、運輸大臣にこうした日本航空の組合員の方々の事情もよく聞いてもらうように、こういうことで申し上げたこともございますが、今先生から御指摘のように、やはり労働行政をあずかる労働省といたしましても、労使双方、特に労働側のいろいろな御事情や御意見も十分承りまして、新生日航の一つのスタートに、十分雇用面において労使関係において、前進、改善が見られるように行政立場を通じて積極的に取り組む、このお手伝いをする必要もある、かように思いますので、よろしく今後ともの御協力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  88. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと時間オーバーして申しわけありませんが、ちょっと大臣、気になるんですね。今でもやっぱり私は会社の皆さんからも意見も聞いているんです。組合の皆さんともずっと会って、それぞれ会って聞いたんです。しかし、じっと見ておりますと、今一番、言われましたように大事な時期なんですね、役員もかわって。ただ問題は、今でもやっぱり不当労働行為といいますか、分裂支配のような会社の考え方、中に何人か、重役の中にそういう人がいるわけですよ。  私はきょうは、特にそういう意味では霞勤労担当重役と堀田業務部長に来てもらって、きょうは勤労部長が来られているんですが、その方にその辺の問題をやっぱり反省をしてもらう、反省すべきところはしてもらう。そしてお互に言いたいことは言い合って、腹の中を出してやってもらいたい、こういうことであったんですが、勤労部長もおられましたが、ひとつ日航、私の言っていることを素直にとっていただいて、労使間の改善といいますか、本当に日航がみんなから信頼されるようになってほしいと思うんです。よろしくお願いをいたします。
  89. 菅野久光

    ○菅野久光君 時間が大分短くなりましたので、私は身障者の雇用問題について質問を申し上げたいというふうに思います。  我が国の身体障害者の雇用対策は、昭和五十一年に身体障害者雇用促進法の大改正によって、法定雇用率の設定と雇用納付金制度が創設されました。それから約十年を経過し、また昭和五十六年には完全参加と平等をメインテーマとした国際障害者年で、約二十一億円もかけて記念行事を中心に行われましたが、それからまた五年経過しておりますが、身体障害者の雇用対策は遅々として進んでいないと言っても過言ではないというふうに思います。  そこでまず、この十年間を振り返って、身体障 害者の雇用対策によって雇用改善がどのようになされ、どのように雇用促進が図られたのか、その要点をひとつ、時間も余りございませんから簡潔に答弁をしていただきたいと思います。
  90. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  今先生おっしゃいましたように、身体障害者の雇用対策を法律、十年計画その他で進めてまいっているわけでございますが、その間、雇用状況を見ますと、昭和五十二年度には雇用率が一・〇九%であったものが、昭和六十年には一・二六%まで上がってきております。  最近の厚生省調査によりますと、身体障害者の数は増加してきておりまして、その内容を見ますと障害等級で一、二級のいわゆる重度障害者が増加している、こうした状況下でございまして、最近の状況は我々としては逐年改善が進んでいると思っておりますが、就職させる中身につきまして非常に難しい問題を抱えております。すなわち、重度障害者がふえて、中軽度の障害者に比べ、その雇用の改善がいまだ十分でないという点があるかと思います。今後、障害者の雇用対策を進めるに当たっては、これらの重度障害者、それから精神薄弱者、こういう問題の、手のかかる人人に対しての積極的な施策を進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  91. 菅野久光

    ○菅野久光君 いろいろ調査をされた結果のことについて、若干今御答弁がありましたが、民間企業における雇用状況は実雇用率一・二六%、法定雇用率の一・五%にもこれは及んでいません。そういう意味で私は遅々として進んでいないということを申し上げたわけであります。  しかも、これは前年に比べて〇・〇一%上昇したといっても、実際には日本たばこ産業とNTTの民営化によってこれが押し上げられたということだというふうに思うんです。そうだとするなら、実質的には身体障害者の雇用はもう進まないといいますか、もうこの辺のところで停滞しているのではないかというふうに思うんですが、この雇用の停滞の原因を労働省はどのように見ておられるかお伺いをいたします。
  92. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 雇用の停滞の原因としましては、先ほども申し上げましたが、その重度の問題その他ございますが、また実態的には就職した身体障害者の定着状況が悪いということなど、安定所に求職申し込みをしている身体障害者がまた重度化、高齢化しており、就職のあっせんが非常に難しいケースがふえていること、それから企業の新規採用は増加しておりますが、企業内におきます障害者の高齢化に伴い、定年退職者等の離職者が増加しているということ等が考えられるというふうに考えております。
  93. 菅野久光

    ○菅野久光君 今局長からいろいろ答弁がありましたが、私はまだそこに大きな問題が抜けているのではないかと思いますが、この点については後ほど指摘をしたいと思います。  今後の身体障害者の対策は、重度障害者と障害者の高齢化に対応したものに重点を置かなければならないということでありますが、私もまたそうしなければならないのではないかというふうに思いますが、この基本認識について大臣、どのようにお考えがお伺いをいたしたいと思いますが。
  94. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 今先生から御質問、御指摘いただいております障害者雇用の問題につきまして、私も就任以来障害者雇用の拡大の通年キャンペーンを、むしろ月間のような形ではなくて通年キャンペーンを通じて地道に一つ一つ実績を上げていくべきだと、こういうことでいろいろ進めておるところでもございますが、ただいまの御指摘のことにつきましては、障害者雇用対策を進めるに当たりまして、その意思と能力というものの中におきまして健常者とともに一般企業において自然体で働けるようなそういう社会、そういう形の中でこの政策を一層進めていきたいというふうに考えておりまして、障害者対策に関する長期計画に基づきまして、今先生の御指摘の重度障害者に最大の重点を置いて、障害者の特性に応じた施策をきめ細かく積極的に推進をしていくと、こういうことが大切なことだと考えております。具体的には、身体障害者雇用率制度の厳正な運用による雇用の促進、身体障害者雇用納付金制度に基づく各種助成措置の積極的活用による雇用の促進、第三セクター方式による重度障害者雇用企業の育成、また四つ目といたしまして公共職業安定所における求職者に対するきめ細かな職業指導、紹介、また定着指導等に努めることが大切であろう、かような施策を通じまして今後とも積極的な行政を推進をしていきたい、かように考えております。
  95. 菅野久光

    ○菅野久光君 今大臣からお答えがありましたが、総理府国際障害者年の推進本部が昭和五十七年の三月に決定した障害者対策に関する長期計画、このことを今大臣が答弁として申されたわけであります。まさに基本方針として重度障害者に最大の重点を置き、可能な限り一般雇用の場を確保するということを掲げております。  そこで、この基本方針に沿って重度障害者対策とその効果を私は数字でいろいろ調査をさせていただきました。その中でいろんな問題がありますが、ここで長期計画というこの長期というのはどのくらいを目途にしているのか。その長期というですね、そのことをまず先にお伺いいたしたいと思います。
  96. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  約十年ぐらいを目途といたしております。
  97. 菅野久光

    ○菅野久光君 本年の十月九日に発表されました身体障害者の雇用状況調査結果によりますと、雇用率一・九%が適用される非現業的行政機関は実雇用率一・八八%で、昨年の一・八九%より下がっております。また、法定雇用率にわずかではありますが、これは〇・〇二%ですね、達していません。このような状況において、まず行政機関が率先して法定雇用率を守るだけでなくて、もっと積極的に雇用を推進しなければならないというふうに私は思うんであります。特に政府関係特殊法人の雇用率については、これは一・九%が雇用率なわけですけれども、これは政府関係の雇用率よりももっと下がって、一・八四%という状況ですね。こんな政府及び政府関係機関の雇用率の状況で、どうして民間企業に雇用促進の指導ができるのか。この点についてどのようにお考えでしょうか。
  98. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  国務大臣を任命権者といたします中央二十一省庁の雇用状況について見ますと、今先生がおっしゃいましたとおりでございます。政府機関が率先して雇うということで強力な御協力をいただいているわけでございますが、試験制度その他ございますし、最近では、戦後いろいろ戦争で負傷された、その他の方が定年に達しまして、定年でやめられる方が多いというような状況がございます。その中で、極力入職を図ってまいっているところでございます。  それから、今もう一つ特殊法人の問題を申されましたが、これは雇用率は一・八%が適用されておりまして、全体の雇用率としましては、今先生おっしゃいました一・八四%で若干上回っているわけでございます。ここは従来からいろいろと御指摘も受けまして、我々としてもその指導の基本を、重点を置いてまいったわけでございますが、昨年一・七九%であったものが今度一・八四%に上がってまいりまして、かなりの前進を見たというふうに思っておりますけれども、今後とも、先生のおっしゃいますように、国の機関、特殊法人等通しまして強力に雇用を勧奨してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  99. 菅野久光

    ○菅野久光君 特殊法人の一・九%については一・八%、これは訂正をさせていただきたいと思います。  しかし、中身については、最も高い法人が四・一七%、最も低い法人が〇%ということでありますから、しかも、私は資料にもあった中で極めて問題な表現だと思うんですが、「雇用率〇%の特殊法人の不足する身体障害者数は最多でも二人である。」最多でもですよ、二人である。二人だからわずかじゃないかというこの表現なんだ、文章表現ですよ。ここのところにやっぱり基本的な労働 省のこれに取り組む姿勢があらわれているのではないかというふうに私は思わざるを得ないわけであります。この長期計画の基本方針は、先ほどから申し上げておりますように、重度障害者に最大の重点を置いておるわけであります。今御答弁のように、各省庁別に重度障害者の雇用状況というものを私は資料としていただきました。数字的に見れば、かなり積極的に取り組んでいる省庁もありますし、全くゼロのところもあるわけであります。同じ役所でも、その役所役所によって相当な取り組み方の違いがある。今は各省庁に協力していただいているというような答弁でありましたけれども、このゼロというところについては、労働省としてはどのような要請といいますか、このことにかかわっての取り組みを指導しているのか、あるいは要請しているのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  100. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 重度障害者は、やはり職場に適応するために、いろいろと重度障害者自身の能力の開発その他が必要でございますし、また省庁におきます適職の開発等も必要でございます。その点につきまして、個々に進めていく必要もございまして、労働省といたしましては、重度障害者の能力と適性、それから職務の開発についての各省庁との協議を進めているところでございまして、重度障害者の任用が進むように今後も努めてまいりたいと思っております。
  101. 菅野久光

    ○菅野久光君 その取り組みのおくれているといいますか、全くゼロというところについて具体的にどのくらいやっておられるのですか。
  102. 小倉修一郎

    説明員小倉修一郎君) 各省庁に対しまして、雇用率をクリアすること、そしてまたその中でも特に重度障害者についての職域の開発をしてもらいたいという要請につきましては、各省庁の任用担当連絡課長会議が総理府の方で持たれておりまして、そういった席で労働省の秘書課長を通じて各省庁の採用担当課長に重度障害者の職域開発あるいは採用についての配慮ということでお願いをしておるところでございます。
  103. 菅野久光

    ○菅野久光君 これはお願いということじゃなくて、少なくとも政府としてこういう方針を決めたわけでしょう。決めたんですよ。決めたことはやっぱりきちっと守ってもらわなければならないし、当然担当労働省としてはそのことに積極的に取り組まなければならない問題だというふうに思うんです。五十七年にこの方針が決められてから何年たっているんですか。それでも、今でもまだ重度障害者の雇用者が一人もいないという省庁がある。三年も四年もそういうことが許されていいのか。どうですか、この辺。
  104. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 障害者雇用の拡大の月間は九月でございますが、先ほど先生にも御答弁申し上げましたように、労働省としてはこれを通年キャンペーンのような形で、ひとつ一歩一歩前進、拡大をしていかなきゃならない、こういう立場でもございます。きょうも御論議いただいた点も踏まえまして、閣議などにおきましても、各関係閣僚にこうした状況なども報告を申し上げまして、六十一年度の職員の雇用面におきましても十分配慮をしていただくように、労働大臣としてお願いを申し上げることも大切ではないか、かように考える次第でございます。
  105. 菅野久光

    ○菅野久光君 今の大臣の言葉を和しっかり受けとめて、本当にこのことにかかわって、どの程度ゼロというところがなくなっていくのか、これから見守っていきたいというふうに思っております。  まず、みずから姿勢を正すということが、民間に対しても政府としてやはり胸を張って指導ができることになる。そういう意味で、私はこのことについては真剣にひとつ取り組んでいただきたい、このように思います。  さっきの調査結果によりますと、雇用率の未達成企業は全体の半分近い四六・五%なんですよ。その内容をさらに見ますと、千人以上の大企業の未達成企業の割合が七六・八%と最も大きい。企業規模が大きくなるほど法律違反の企業割合が大きくなっているということです。  そこで、この身体障害者雇用促進法第十五条の第四項、第五項では、労働大臣は未達成の事業主に対して勧告することができることになっていますが、同条の同項に基づいてこれまでどのくらい勧告してきたのか、最近五年間について各年ごとに説明していただきたいと思います。
  106. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 最近五年間では、五十五年に五十八企業、五十六年、三十八企業、五十七年、五十八企業、五十八年、四十一企業、五十九年、九企業になっております。
  107. 菅野久光

    ○菅野久光君 五十八年が四十一企業、それまでは大体少ないところで三十八、多くて五十八企業、五十八年が四十一企業。五十九年に九企業と急にがんと下がったその理由は何でしょうか。
  108. 小倉修一郎

    説明員小倉修一郎君) 五十八年度から勧告の基準の見直しを行いまして、それまで大企業では雇用がかなり改善されまして、非常に厳しい基準で勧告の基準が定められておりましたけれども、それに該当するものがだんだん少なくなってきましたために、五十八年度に勧告の基準を改正いたしまして、五十八年度以降は計画作成命令をつくっていただく企業の数がどんとふえましたけれども、その基準の改正前まではかなり計画作成命令あるいは勧告の該当企業の数が大幅に減ってまいりました。そういう点から、五十九年度は九企業とかなり落ち込んでおりますけれども、今後数年たちますとまたこの数は、勧告に該当する数はかなりふえてくるんではないかというふうに思っております。
  109. 菅野久光

    ○菅野久光君 基準の見直しとか何とかといっても、未達成企業が全体の半分近い四六・五%なんですよ。企業の数が一体何ぼあるんですか。そのうちたった九企業にしか勧告をしていない。これは言えば、今まで数年にわたって勧告をしたけれども、さっぱり効果があらわれないということで半ばあきらめの状況になっているのではないかということも、これは全く憶測でありますけれども、そういうふうに思わざるを得ないような数字なんです。このことはまた別な機会にやりますけれども、身体障害者雇用促進法の第十六条は、「労働大臣は、前条第一項の計画を作成した事業主が、正当な理由がなく、同条第四項又は第五項の勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。」と、一般事業主についての公表制度を昭和五十一年の法律改正で設けていますが、この制度を設けた趣旨と、この条文にある「正当な理由」とは具体的にどのようなことを指しておりますか。
  110. 小倉修一郎

    説明員小倉修一郎君) 勧告企業につきましては、五十九年度は九企業ということで非常に少ないわけでございますが、過去五十一年に法改正になりましてこの制度ができましてからのずっと毎年、勧告企業の数は相当数に上っておるわけでございます。  私どもは、その勧告した企業につきましては一定の指導期間を設けまして、そして重点的に個別的に達成指導を行っておるわけでございまして、そしてその行政指導を繰り返し行ってもなおかつ誠意が見られない、非常に悪い、改善されない、そういうところについて公表するという措置があるわけでございまして、現在までのところ特別指導を実施した企業につきましては、かなりまだまだ達成には遠いかもしれませんけれども、しかし一歩ずつ着実に成果は上がってきているというふうに判断しておりまして、現在までのところ公表には至っていない、こういう状況でございます。
  111. 菅野久光

    ○菅野久光君 私の調べたところでは、これまでに第十六条の公表制度をもとに一般事業主を公表したのは、たしか五十一年の大改正の直後に一回あったというふうに記憶しておるわけですが、それ以後は、今も御答弁のように公表していない。しかし今回の調査でも明らかなように、法改正から十年を経過して全体で約半数、大規模な企業ほど法定雇用率が未達成の割合が多くなっている。少しずつ一歩ずつ前進ということはわかりますが、法律違反ですよ、そうですね。これを繰り返す企業名をなぜ公表することができないのか、そこのところは私は非常に問題だというふうに思う んですよ。それが先ほど一番最初に言った、遅々として進んでいないことの一つの理由ではないのか。もちろん政府自体の中で指摘しなきゃならぬようなところがある。それがあるからこれもできないということなのかどうなのか、その辺はいかがですか。
  112. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 先ほど室長が答弁いたしましたように、この公表制度は最後の手段としてあるわけでございまして、やはり雇う側とそれから雇われる側とのスムーズな就職ということが必要でございます。したがって、我々としては手はかかっても、計画をつくって一歩ずつ進めてまいりたいということで、これは最後の手段として考えているわけでございます。
  113. 菅野久光

    ○菅野久光君 いずれにしましても、私先ほど指摘したことについて、大臣が閣議の場でも努力をしたいということでありますから、そういうことでやっていただきたいと思います。  時間がございませんので最後、精神薄弱者の雇用対策、これが大変おくれているんですね。私は聴覚障害者と実は話し合ったことがいろいろありますけれども、精薄者の方も全部含めて、一般的に障害者の人たちの賃金というのがやっぱり低い。もう最低生活すら保障されていないような状況の中で何とか生きている。しかし、仕事についたときの喜び、そして最初は受け入れた企業も戸惑いながらやっているけれども、その人を本当に受け入れてその職場になじんだときに、ああ本当にこの人たちと一緒に仕事ができてよかったなあという思いを障害者の人たちもするし、一緒に働いている人たちもどれだけそういう中で人間的な温かいつながりというものを持つことができたか。そのことはまた企業にとっても大変大きなプラスだということもある新聞にも出ております。まさに国際障害者年というのは昭和五十六年の一年だけのお祭りじゃない。この十年間で本当にどれだけのことができるか。それが言えば今の日本の国内の中におけるいじめだとか、いろいろ非人間的なことがたくさんあります。けさのああいう問題もみんなそこにかかわってくるのではないでしょうか。今こそ本当にこのノーマライゼーションということが必要な、そういうときだというふうに思うんです。そのためには障害者の生活を安定させる雇用対策というものが何よりも大事だと。そのためにひとつ労働省も真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  114. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) この際、午後四時に再開することとし、休憩いたします。    午後二時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後四時開会
  115. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度決算外二件を議題とし、労働省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、さきの同僚委員の中から出ました山口労働大臣山野愛子会長が主宰するところの財団法人国際美容協会大臣賞をお出しになったというこのテーマについて、ちょっとお伺いさせていただきたいと思います。  山口大臣は御就任以来大変エネルギッシュに御活躍をなさいまして、小さな体でよく活躍するものだというふうに思って大変歓迎をいたしておりました者の一人でございます。労働外交などという側面もお開きになって、大変にユニークな発想を持って活動されているということは歓迎をしているところでございますし、また新自由クラブから大臣が出たということで、その存在は私どもは大変期待をしていたのでございますが、がです、先ほど来話がございましたこのたびのこの大臣賞の問題に絡んで、私もいささかお伺いしてみたいと思うんでございますけれども、同僚の委員質問の重複を避けまして質問さしていただきますが、端的に伺いまして、先ほど大臣の御答弁を伺っておりまして、この大臣賞なるものが私的なものなのか公的なものなのかという御答弁が、やっぱり私にはちょっとはっきり理解ができなかったので、もう一度この点について確認をさしていただきたいと、このように思います。
  117. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 御承知のとおり、各種賞また大臣表彰の中におきまして、先ほど梶原先生からも御指摘いただきましたように、多年労働界に功績があった方でございますとか、あるいは使用者側の立場で労使問題また改善に大変御協力いただいた方でございますとか、そうした方々に対する、あるいは安全確保のために労使双方が職場の安全のために大変御努力、お取り組みをいただく方々の表彰でございますとか、現代の名工というような形で卓越した技能者に対する大臣表彰でございますとか、いろいろございます。そういう中でいま一つ表彰規定の中で、企業認定でもうAならAという会社に労働大臣として検定を、推薦を委託いたしまして、そして企業の中での技能検定をもちましてそれを奨励をすると、こういう基準もございます。  私が今回、今いろいろ御指摘いただいておりますような財団法人国際美容協会の会員の方々に差し上げた賞状は、労働大臣たる衆議院議員山口敏夫が、協会から選考推薦された方を対象に奨励賞状を御協力申し上げたと、こういうことでございまして、この賞状山口敏夫個人の賞状であることについては、協会の責任者にも事前にお伝えを申し上げまして認識をいただいておるところでもございます。
  118. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私が思うには、今回の受賞者二百六名というふうに伺っておりますけれども、その中の八割方が着つけ師の方が多かったというふうに聞いておるわけですね。この着つけという技術に関しては、これはまだ国家試験制度もございませんし、したがってこの検定の仕方あるいは評価の仕方とかいうようなものについて国家規模で基準がないわけですね。そういうものに対して、少なくともこれは公的であるか私的であるか、今の御答弁の中でもまだちょっとわからないんですが、国を代表する大臣名で技能優秀なるをもってというような賞状が果たして値するかどうかという疑問を私は持っているわけです。国の評価の仕方、今その評価の仕方を財団法人に預けている、そこで決めてもらっているというふうにおっしゃいましたけれども、少なくとも今回の表彰状は大臣名で出ているわけですから、これが公であれ私であれ、それは一般社会では存じおらぬところですよね。その中で国を代表する大臣名でその技能優秀なるをもってというふうに表彰することはいかがなものだろうか、こういう疑問はお持ちになりませんでしたでしょうか。
  119. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 今いろいろ国会を初め、衆議院議員山口敏夫労働大臣立場労働大臣たる衆議院議員山口敏夫がそういう奨励の意味を込めまして賞状を出したということの疑問を感じなかったか、こういう御指摘をいただきますと、さらに慎重に判断すべきであったのではないかというふうに考えますが、私自身は先ほども梶原先生の御質問で申し上げましたように、美容界において数々の実績と歴史的な経緯を誇ります山野先生が主宰をする財団法人の国際美容協会、それぞれが洋服と違いまして御承知のように着物でございますから、特別なまた結婚式でございますとかいろんな形で進める場合において、大半の方は美容師さんがまた着つけ技能という部分でいろいろ研究、御努力をいただいておる、そういう方方の技能検定のようなものを何らかの形でひとつ公的に資格といいますか、習得資格を決めていくべきではないかというような意見や御論議も業界の内部ではいろいろ盛んに行われておるようでございます。ただ、全体としてのまだまとまりの一部欠けておる形の中で、そうした技能検定への結論がおくれておる、こういう経過も私後ほど伺ったわけでもございます。  いずれにしましても私は、そういう国家試験を既に別な職域において、職分においてもういただいておる皆さん方、そうしたお仕事を通じてさら に着物の着つけ等の技能習得に研究、御努力をいただいておる皆さん方を対象として、たまたままた三十年のお祝いを兼ねてのそういう一つの大きな今後の発展を期しての奨励賞をいただけないか、こういう協会からの御依頼でございましたので、それでは選考方を十分慎重適切に進めていただくということを前提に、協会の責任者の方々にその選考はお任せをいたしまして、私の名をもって賞状を御協力を申し上げた、こういうことでございまして、私の気持ちはあくまでも一般のそういう方々の技能習得への御熱意と今後ともの振興と、こういう気持ちでございました。
  120. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大臣の善意みたいなものは私もわからなくないんですね。そしてこの着つけというような技術は、やはりこれから大事な実は分野で、なかなか着物を一人で着られる人が少なくなってきている時代で、一つの技術として社会的に認知されていかなければならないものであることも私よくわかります。ですけれども、それと賞状とはまた別なんですね、話は。やっぱり大臣はそういう善意でなさっているかもしれないけれども、受賞する方の人はやっぱりこれは国家からもらったと。これは家宝ですよね。一番家のいいところの高いところへ上げて何世代にもわたって拝む賞状になるかもしれないものなのよね。ところが、大臣新聞のインタビューにもお答えになっていらっしゃいますけど、ゴルフのコンペに出すのと同じがごときというふうにおっしゃっている。これはやっぱりもらった側の方にしますとけしからぬということが出てくると思うんでございますよ、こういう言い方をなさいますと。ありがたいものだと思っていたらゴルフのコンペにもらうようなものと似ているんだというようなことになりますと、これは非常に遺憾ではないかというふうに思いますし、受賞している者の中に女性が多いということも含めて、私は女性の立場からこういうコメントをお出しになるのもどうかなというふうに思いました。  それから、先ほどの御答弁を伺っていて、まあいささか行き過ぎたかなという感があるやに御発言があって、その中で枚数その他の行き過ぎがあったと思うのだがというふうにおっしゃったわけよね。そうすると二百六枚は出し過ぎなんだけど、もうちょっと少なかったらよかったというお考えですか。
  121. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 実は先週最低賃金を守ろうという一つ基準月間で、渋谷の一〇九というところの各商店街をいろいろの方々と視察をし、またそのキャンペーン方をお願いをしたわけでございますが、そのときたまたま卓越した技能者の立場で昨年受賞された宮内庁なんかの御用達の刻印を押す判こ屋さんがございまして、その玄関のショーウインドーの一番いい場所に私の名前の労働大臣証書が飾ってございまして、まさに先生が御指摘のようにそうしたやはりこの大臣証書というものをそれぞれの職人さんといいますか、技能者の方が大変大切にしていただいておるということを私目の当たりに見まして、先生の御質問を、御指摘をいただきながら内心じくじたる気持ちを含めて実は清聴しておったわけでございますが、まあ枚数云々ということは協会が歴史と伝統と、それなりの私なりの権威を評価しておるとはいいながら、全国から選んできて各県三人、四人ということでありましても全国的な規模になりましてたまたま二百名近くの方が受賞されたと、こういうことの経過を拝見をしていまして、まあやはり特別に特に協会の中においてもすぐれた技能を絞った形での選考の中で、大臣賞といいますか私が御協力申し上げた賞状ということの方が、私が技能振興という意味も込めて御協力を申し上げたという真意がより明確に、そしてまたこうした形での誤解なく伝えることができたのではないかと、こういう気持ちで枚数云々ということの発言が私の口から出たと、こういう経過でございます。
  122. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 厚生省にお伺いします。  先ほどお金授受があったかどうかということについては、今調査中であるというふうな話でございましたけれども、こういうことにお金が要る、動くというようなことについては、これをお出しになった当の大臣も御存じなかったというようなことなんですが、もし調査した結果、そういう事実関係があったとしたらこれどうするんですか。
  123. 中井一士

    説明員中井一士君) お答えいたします。  今回の国際美容協会といいますのは、私ども厚生省が監督しております公益法人でございます。そういう公益法人が公益法人の趣旨に反するような形でいろんな業務を行ったということでありますと、私どもとしても監督官庁としてしかるべき措置をとらざるを得ないと、かように考えております。
  124. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 公益法人に反するようなというのはどういうことですか。
  125. 中井一士

    説明員中井一士君) 本件に関連して言いますと、一部、例えば先ほど来労働大臣がお答えしておられますように、労働大臣の趣旨はそういう技能をたたえるという趣旨であろうかと思うわけでありますが、そういう趣旨とは反して、例えば金銭の何がしかの授受の対価としてというような意味がありますと、御指摘のような問題がこれに該当するのではないかというように思います。
  126. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この問題ばかりやっているわけにいかないので、次に、内閣官房の方からおいでいただいて、きょうは先ほど同僚委員の方もおっしゃってみえてましたけれども、本当は官房長官がおいでになって軍配を振ってほしいわけなんですけれども、そういうお出ましがないものですから、しかしやはり内閣のまとめ役としての所管のところからおいでいただいて話を伺わないと示しがつかないという感じがありますので、大変お渋りになったのですがちょっと出てきていただいたわけですけれども、私がお伺いしたいのは、仄聞ですけれども、閣僚大臣私的印というのは皆持っているということなんだようですがこれはどうなのかと、乱発ということも実はあるのだというのだが、これはどうなのですかという。ことですね。もっと言えば、私的内閣総理大臣賞みたいなものもあるという、これ新聞にも書いてあるわけですけれども、これがどうなのかというその事実関係をお伺いしたいわけですが。
  127. 荘司晄夫

    説明員(荘司晄夫君) ただいまの御質問でございますけれども大臣が私印というものをお持ちであるのか、あるいは私印による賞状というものを、お言葉でございますけれども乱発ということがあるのかないのか、あるいは私的な総理大臣賞というのがどうかというふうな御質問でございますけれども、私どもといたしまして担当しておりますのは、公式な公印を使用いたしましての内閣総理大臣賞担当いたしておるわけでございまして、各省大臣を含めまして個人の御資格で出されるものについては関知をしておらない立場でございますので、お尋ねの件でございますけれども、それぞれ事実について確たるお答えはできかねるということでございます。
  128. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 あのね、大臣賞というのは、その授与に当たっては各省庁担当の部局で非常に厳密な規定がある。そうですね、非常に厳密な規定があるわけでしょう。そして新規に大臣賞を申請するに当たっては正式文書を提出して、そしてさらにその賞に値するかどうかの厳密な審査がある、こういうことでしょう。それからまた、大臣の公印を使用するに当たっては内規によって使用が限定されているとか、この公印の使い方というのは非常に、大変に難しいんだそうでございますけれども、それからまた、その公印を使用した場合にはそういうものについて何の目的で、どういうことに使われたかの記載を記録しておくということがあるんでしょう。そういうことも全然経ない、大臣が持っている私的大臣印というのがひとり歩きをしているというふうに認識してよろしゅうございましょうか。
  129. 荘司晄夫

    説明員(荘司晄夫君) 大臣賞につきまして今一一御指摘の点は、おおむね御指摘のとおりだろうと思います。私どもが所管しております総理大臣印によります総理大臣表彰につきましても、まさ におおむね今先生が言われるような手続を経て処理をしておるところでございます。したがいまして、私どもとしてはそういう公印を使用しました総理大臣賞の取り扱い手続をしているわけでございまして、先ほども申し上げましたけれども、私的な大臣印というものが概念上あり得るのかどうか、私どもちょっとそこまではお答えしかねるわけでございまして、あくまでも私印というのは、大臣でございましても個人用の印であろうと考えるわけでございまして、私的な大臣印というものがどうかというふうな点については私どもとしては関知しておらないところでございます。
  130. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 法務省、お出ましいただいていると思います。今の話のことですけれども、私的大臣印というのは法律的に成立するのかどうなのか。そうすると私的大臣がいるということになりまして、事実上大臣職を私物化しているということにつながるんだろうと思うんですが、法務省の方の御見解を伺わしてください。
  131. 原田明夫

    説明員(原田明夫君) せっかく御質問でございますが、大臣職を私しているかどうかについてのお尋ねでございましたら、私の方でちょっとお答え申し上げるのはいかがかと思うわけでございますが、ただ、ただいまの御質問が先ほど来御質問の中にあらわれております事案につきまして、私どもが所管しておりますのは刑事法でございますので、刑事法の観点から何か問題になるのかという御質問だといたしますと、やはりこれは具体的な事案といいますか事情を、経緯を含めましてつまびらかにいたしませんと、犯罪が成立するとかあるいは法律違反があるとかというようなことについて申し上げることはできないことを御承知いただきたいと思います。
  132. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私はやっぱり非常にすっきりしない。大臣は善意でなさっているのよね。だけど、それが非常に誤解されていますね。また、誤解される要因が非常に多過ぎるということ。私は、この種の私的大臣印ないしは私的大臣賞なるものについて検討する機関をやはり設けるべきではないかというふうに思うんですが、これ内閣の方はいかがでしょうか。
  133. 荘司晄夫

    説明員(荘司晄夫君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、私ども行政といたしましては、個人の御資格で賞的なものをお出しになることについては、行政立場では関知しておらないところでございますので、それの取り扱いについて私ども立場で検討するというのはなかなか困難な面があるんではないかというふうに存じておるところでございます。
  134. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私的と名前がつくと行政はとても入り込めませんもね。それはおっしゃるとおりなんで、私は今言ったように、こういうものを基本的に見直して検討をしていただく機関を設けていただくということを要望いたしましてこの質問を終わりますけれども、とにかくお金が絡んだことがこのたび非常に大きな問題になったのではないかということが一つと、やっぱり出た大臣賞というのはひとり歩きをしていくということを大臣の方々、閣僚の方々もお心得になっていただかなければならないというふうに思いますので、この辺ぜひ申し上げておきたいと思います。この質問を終わります。  次に、失業給付金の過大支給について私お尋ねいたしますが、会計検査院調査では、職業安定所が昨年度約百五十四万人の失業者に支給した失業給付金のうち二万六千人を追跡調査したところ、一億八千万円を超える過大支給があったことが明らかになった。こういうことで会計検査院では労働省を通じて職安側に不正受給者全員から返還を求めるとしている、こういうことなんで、この実態について御説明をしていただきたいわけですが、私はこの失業給付金というのは非常に大切な、必要なものだと思います。十二分に手だてをしていただいていいものだと思う。しかし不正はいけません。それでこの実態について御説明をしていただきたいと思います。
  135. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  会計検査院調査されまして、今先生がおっしゃいました内容は、いわゆる自己就職をする人々の書類の選定で就職未届け、その他につきまして御調査なさった結果、今のような結果が出たわけでございます。労働省としましても、不正受給は今先生申されましたように非常に問題になるものでございまして、不正受給の防止のためにはいろいろな施策を進めているわけでございますが、昭和五十九年度の全体の不正受給件数は二万四千八百三十二件、不正受給金額約三十四億となっております。これは前年度と比べますと件数でまた金額でそれぞれ減少はいたしておりますが、今申し上げましたようにかなり大きな数字になっているわけでございまして、これに対する防止を強化してまいりたいというように思っているわけでございます。そのために日ごろから被保険者の資格の取得、喪失手続、それから受給資格の決定、失業の認定の際に十分確認を行いますとともに、事業所調査や家庭訪問の実施、また機械によります雇用保険トータルシステムがございますが、これらのチェック等を通じて防止を図っているわけでございまして、五十八年度からは雇用保険不正受給防止啓発月間というのを毎年十一月に設けまして、制度の周知及び対策徹底を図っているところでございます。御指摘のようなケースがまだ一部で見られるのは甚だ遺憾でございますが、今後ともこのような事例が生じないようにこの防止、摘発を強化してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  136. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは抽出して二万六千人の調査をやったわけですね。その中から、私が計算すると不正受給者が約三・八%ぐらい出ているわけですね。そうすると単純計算すると百五十四万人の三・八%だと五万八千五百二十人という人数になって、金額にすると百億三千三百六十万円、そういう試算をしてみたわけ。つまりこの抽出をした人たちだけでなく、実際に不正受給者が非常に多いのだということ、これはやはり私は、労働省側でもっと適正に考えていただかなければならない、税金の使い方がまことにむだがあるのではないかというふうに思うわけでございますので、その辺の不正受給のチェックというもの、そして今おっしゃっておられましたけれども、このチェック機能についてさらに強化をしていただきたいというふうに思うのですけれども、もう一度御決意をどうぞ。
  137. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  今先生指摘になりましたように、比率でいきますとそういう計算になりますが、先ほど私ちょっと申し上げましたように、会計検査院調査いただいておりますのは、自己就職をした場合、これは失業給付でもし働いておれば、その分その期間は給付はもらえないということになるわけでございますが、その中でこの雇用保険の制度と申しますのは、いろいろな諸手続が事業主及びその受給資格者の申告によって給付を行うということで、その辺がちょっと普通の保険制度と違う点で不正受給の生じやすい余地があるわけでございますけれども、その自己就職の中で怪しいと思われる者につきまして会計検査院の方でサンプル調査をされたのが今のような結果になったわけでございまして、これが全体全部そのパーセントでいくということではないというふうに考えている次第でございます。しかしながら、今申し上げました御指摘を受けましたような不正受給があるわけでございまして、その不正受給というのはやはり国民の税金で賄われております失業給付、特に本当に失業して困っておられる方の給付、善良な方々に対しての遵法意識を減退させるものでございますので、この取り締まり強化は的確に進めていかなければならないというふうに思っているわけで、先ほど申し上げましたように不正受給防止それぞれの段階でのチェックを進めますとともに不正防止啓発月間等を設け、そのほか不正受給の摘発のための専門の職員を置く等の施策をもちまして、チェックに努めているところでございます。しかし、何よりもこの遵法精神を守らせなければならないということで、制度の周知等にも今後ますます努めてまいりたいというふうに思っている 次第でございます。
  138. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 次に、最低賃金法の問題についてお伺いをいたします。  先ほど大臣もおっしゃっておられたように、現在最低賃金周知旬間に当たっておるわけでございますが、六十年度地域別最低賃金額改定の目安についてという、この目安についての答申についても私はいろいろ持論を持っておりますけれども、きょうはこの目安についてはとにかく脇へ置いて、この周知旬間の中で出てきた調査報告書、最低賃金に関する六十年上期の監督指導結果、これについていささか質問をさしていただくわけでございますが、一八・六%の企業が最低賃金法に違反をして法律で定められている水準を下回る賃金で労働者を雇う、こういう実態があるわけでございますが、私はこの報告書指導結果を見ておりまして非常に感じたことは、この違反率、ことし上期一八・六ですけれども、違反率が定着しているということ、これが非常に気になるわけですけれども、御指導が足りないのか、相手が聞かないのか、このことも含めてこの違反率について、つまり周辺の状況をひとつ御説明ください。
  139. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 御質問の最低賃金の履行状況でございますが、六十年上期約三万弱の事業所を対象に監督実施を行いました結果が、今先生指摘のような一八・六%という違反率でございます。これは企業の数で見た違反率でございますが、同じ違反率、過去にさかのぼって見てまいりますと、五十八年が二〇・一%、五十九年が一八・九、それで六十年上期が一八・六ということで、わずかですが若干減少の傾向にあるわけでございます。ただ、いずれにしてもまだ二けた台、二割近い違反率が出ているということは最賃制度の趣旨から見ましても決して好ましいものではございませんので、これを極力下げるための周知徹底を図らなければいけないと思っておりますが、なぜこうした高い違反率が出てくるかという点は、実はこの最賃法が適用になります企業がいわゆる中小企業というよりもむしろ零細企業に非常にこうした最賃すれすれの賃金が多いといったことから、一つの高い数字が出る傾向もそこに由来しているのじゃないかと思われるわけですが、もう一つは、数字は大体今までのところは毎年最賃額が改定されております。したがって最賃という制度があることは知っているんだけれども、今の最賃額は幾らであるかというところまでは正確に知らなかったという事業主もいるわけでございます。ちなみに違反率一八・六でございますが、その違反した事業所の最低賃金に対する知識、認識度がどうであったかというのもあわせて調べたわけでございますが、最賃額を知らなかったというのが違反事業所の中で七三・九%でございますから約四分の三が知らなかった。最賃制度があるのは知っているけれども額を知らなかったというものと、最賃制度そのものも知らなかったという極端な例もあるわけでございます。いずれにしてもその具体的金額を知らなかったというところが相当今申し上げたような数字で多いわけでございますから、これはぜひとも最低賃金の周知徹底を図らなければいけないというふうに考えておりまして、それでことしから十一月下旬を周知旬間ということで設定をいたしまして各監督署、労働基準局を通じてその徹底を図るようにいたしているところでございます。今後ともその点の努力を続けたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 最低賃金法四十四条、四十五条、罰則がありますね。この罰則規定ですけれども、一万円以下ないし五千円以下というものでございますが、まず罰則の適用状況はどうなっておりますか。
  141. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 最賃に違反した場合に、違反の態様によって直ちに司法処分に付する場合と、それから是正を勧告して例えば知らなかったという場合は是正勧告に応じて直ちに是正をされるということもございますので、その意味ではそうした是正勧告をしたり、あるいは繰り返し違反する悪質な事業所、それはいわゆる司法処分の対象になるわけでございますけれども、五十九年の数字で申し上げますと八件でございます。
  142. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それで、八件にせよ九件にせよ、とにかく反社会的な企業であることには間違いないわけでありまして、先ほどのお話ですと非常に中小企業が多いということではありましたけれども、私この一万円ないし五千円の根拠がわからないのですけれども、今の時代に軽過ぎるんじゃないかと、違反得みたいな格好で幾らでも違反ができるというような状況があるのではないかなあというふうに思うんですけれども、この点はいかがなものでしょうか。
  143. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 五千円ないし一万円の罰金刑が軽過ぎるんではないかという点でございますが、今の通貨の値打ちといいますか、ということからしますと、そうした面も御指摘の面もあるいはあろうかと思います。ただ、これはいわゆる労働基準法の罰則がこの最賃法の前にあったわけでございますけれども、これがもちろん違反条項によって違いますが、例えば五千円というようなケースが多かったわけでございます。これは罰金等の臨時特例の措置でございますか、あれで八千円まで読みかえられてはおりますが、そうした基準法等の罰則との比較、これの上で一万円というふうに決められたというふうに理解しております。ただ、その一万円も既に最賃法ができた時点での一万円でございますから、今の状況からすると必ずしも高いとは言えない、むしろ安過ぎるという御指摘をいただくこともございます。ただ、この点は一人一罪という関係になりまして、違反事業所で最賃以下の賃金を払っていた場合に、例えばその最賃以下の賃金が五人なら五人の労働者に払われていたとなると、これは五倍で五万円ということになるわけでございますが、そういう意味では、単なる一万円ぽっきりというのではないわけでございますけれども、他の罰則との均衡等から、なお今後どういうような量刑が適当であるか、これは私どもとしても検討していきたいと思っております。  といいますのは、労働基準法の罰則については、さきの国会で成立しました男女雇用機会均等法の関連で罰則の改正も行われております。したがって、今後最低賃金法の改正を必要とするときがございました際には、そうした点も含めて検討をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  144. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほどの調査の中で、最低賃金法があることも知らなかったし、その額も知らなかったと、毎年改定になるので周知徹底はなかなか難しいということでございますけれども、これはやはり労働省の御指導、啓発、行政が大事だと思いますので、この辺をよろしくお願いいたします。  次のテーマは就職協定の問題です。  ことしは大学生の就職、採用ということが非常に早いスタートであったということは皆さんよく御存じのことでございますけれども、青田買い等の弊害もいろいろある中で、現実はそういうものがどんどん進んだという実態がございますね。私は、この青田買いの事後現象というか、そういうふうな問題を一つ二つ伺ってみたいわけであります。  いわゆる大学生の間で就職希望、第一希望の会社から滑りどめのために二つも三つも内定を重複して持っているというような現象があろうかと思うわけですけれども、一方で、企業の側も逃げられることを想定して、目減り分を入れて一二〇%採っておくというようなことがあるわけですね。ことし、特に就職戦線が早く始まり、こういう現象が非常に顕著に出たその後の現象として、目減りが非常に顕著であり、企業が慌てている、そういうことから、内定者が逃げられないように小遣いをつかませるとか、あるいはまた研修費というような種類のもので、私は私大連とか大就研あたりにも問い合わせてみましたが、これあたりは五万円が相場だというふうな話も聞いておるわけでございますけれども、こうした金縛り的な行為も今企業の側から出ているというふうに聞くんですけれども、この辺の周辺の事情について、まずお 伺いいたします。
  145. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 先生の御質問の周辺の事情でございますが、必ずしもその辺につきましては新聞報道されている事実以上のものをなかなか把握できない、労働省立場では、非常に就職協定に違反して早目にいろいろ結ばれたというようなことはありますが、これはしかし、実際に調査はしてもなかなか出るものではございませんので、十分な把握ができていないということは答弁になりませんが、そういうことでございますので、よろしくお願いします。
  146. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大学の就職課か何かへ聞きますと、そういう事実がありますというふうに言いますよ。私はことしの例でなくても今までの例で、例えば自動車メーカーなんかへ就職をした、そうして誓約書を交わした後には背広代とかお支度金とかいうのが出るのが普通だというふうなこと、御存じありませんか。ことしはそれが特に顕著だという話のことなんです。それは、青田買いみたいなものが非常にことしの就職戦線で盛んだったから、その事後現象としてこういうものが出ているのではないかという言い分なんですね。  これは文部省の方にお伺いいたします。そういう現象をつかんでいらっしゃいますか。
  147. 佐藤孝安

    説明員佐藤孝安君) 大学等の卒業予定者の就職活動につきましては、個々の学生が企業研究等を行いまして、能力、適性に合った職業を選ぶことが望ましいわけでございます。このため、各大学におきましては、就職担当者がガイダンス等を通じまして適切な情報を学生に提供したり助言等をいたしているわけでございます。  ただいま御指摘のような実態があるかどうかは、私ども、具体的には承知いたしておりませんけれども、仮に何らかのそういう名目のお金でもって学生が不当に拘束され、その上で職業を選択されるというようなことは、これは学生にとっては望ましいことだと言うわけにはいかないわけでございます。そういうこともございますので、私どもとしましては適切な就職指導が行われますように、大学の就職指導の一層の充実が図れるよう努力してまいりたい、そのように考えているところでございます。
  148. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それからその逆の現象、つまり、幾つも幾つも滑りどめを持っていた大学生が、仮内定の状況の中で仮内定を破ったらとんだツケが回ってきたというようなもの、これは新聞記事皆さんも御存じだと思いますけれどもね。企業名は言いません、一人当たり一万八百円ずつ、いわゆる採用選考にかかった費用を実費で請求された、送りつけてきた、こういう事実があるわけでございますね。つまり、幾つも幾つも抱えていたけれども一つずつ整理をしていってここに決めた、大学生の側ではそういう選択をした、そしてけった方の会社からは請求書が来た。これは十人の人の請求書がここに現実に話としてあるわけでございますけれども、こういう現象に対して労働省はどのようにお考えですか。
  149. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  これも今先生指摘のように、新聞報道等で言われているわけでございますが、もしそれが学生に対する不当な拘束を生ずるようなものであれば、その学生の適正な職業選択の観点から好ましいことではないのではないかというふうに労働省としては考えます。
  150. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 非常に大学生が金で動かされているというような感じが、この就職戦線の最前線で私はこの種のものを調べさせていただきますとありまして、よくないなと思います。御指導をしていただきたいなと思いますよ、これは。  時間がないので、次はもう一つのこれもやっぱり青田買いの事後現象かなというふうに私は思うんですけれども、採用内定した大学生の取り消し問題の原因として、いわゆる急激な円高不況が経営見通しに陰りを持たせた、それで、今回あなたを採用するはずであったが取り消しますという通告を受けたという、こういう問題があるわけですけれども、この内定をした後の取り消しというようなことについて労働省ではどのようにお考えですか。
  151. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 今先生指摘の円高に伴いという記事がある新聞に出たわけでございますが、円高全体の問題としまして、円高に伴いまして今後輸出関連産業を中心としました雇用に与える影響は確かに懸念されるところでございまして、これはいろいろと第一線の各県の安定機関を通じながら雇用面の影響について調査しているところでございます。しかし、まだ現在までのところ、円高に伴いましてそのために内定を取り消した――新聞には一人そういうのがあったと書いてございますが、そこまでははっきりしたことで出てきてはいない状態でございます。今後とも新規学卒者についての経済変動に伴うこの点につきましては、まだ就職まで相当期間があるわけでございますから十分注意してまいりたいと思っております。  今まで労働省としましては、新規学卒者に対します内定取り消しがそういう形で行われた場合には、あらかじめ事業主団体等を通じる等の方法で内定取り消しを行わないよう求人者に対する指導を行いますとともに、内定取り消しを行う求人者に対しては回避されるように個別指導を進めてきているところでございますが、今後とも事態の推移を見守りながら適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  152. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 文部省の方ではそういう状況をつかんでいらっしゃいますか。
  153. 佐藤孝安

    説明員佐藤孝安君) ただいま内定取り消しにつきましては一件報告がございます。これは内定文書を会社からいただいたにもかかわらず取り消されたということでございまして、このことにつきましては大学として抗議をしたという報告を受けております。
  154. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 大就研というのは大学生就職研究会というんでしょうか、大就研というふうに私聞いているんですが、そこに所属している人たちに話を聞くと、兆しがあるということは聞きますね。つまり、内定している会社から電話がかかってきて家庭事情等を一生懸命尋ねられると。あれだけ全部書類を出してあるのになぜこんな電話が入ってくるのだろうかというふうに思うのだが、いろいろと事情が変わってきておるのでという言葉が一言ついて電話が切れるというわけですね。そういうことをもって就職課に相談に来ている者があると。これはつまり兆しであろうというふうに私どもはそのメンバーと話をして思ったわけでありますけれども、これは経済情勢を各新聞では、あるいはその他のマスコミ等のニュースでは輸出型産地に円高打撃というようなことで、この種のいわゆる円高ショックというものが及ぼしている産業界への影響というのはかなり大きなものがあるわけでありますね。それは当然やはり採用とか就職というようなことにかかわって現象的に出てくるわけですから、労働省としてもこういうテーマを抱えてぜひこの種のことに真剣に監視というかチェックというかしていっていただきたいというふうに私は希望いたします。これはお願いでございます。  そして最後なんですが、先ほども申し上げましたように、ことし青田買いが非常に進んだ。大学生は大学生で三つも四つも滑りどめを持つような、就職に臨んでそういうのが大学生の方も上手になってきたわけですね。そういうことの中で、これはどこでも言われているように、いわゆる就職協定というものが非常に空文化し形骸化してきているというふうに私は思うんでございますけれども、この点については何か協定ができてきているというふうに聞いているんですけれども、これ大臣いかがでしょうか、見直し。お願いいたします。
  155. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 就職協定の問題につきましては、日経連の松崎さんが座長をしております中央雇用対策協議会等におきましても、どうも長い間熱心に取り組んでみたものの、なかなか青田買いの弊害を是正することができない、こういうことで、今年度限り、こういうような強い決意もあったわけでございますけれども、また労働省 の方といたしましても、何らかの罰則規定を持たない雇用協定ということは、行政立場といいますか、公平性あるいは信頼性を損ねてしまう、こういうことの事情もございます。しかし、先生も御承知のとおり、臨教審などでもこうした大学生の就職協定の問題、教育優先という立場からいろいろ御論議もございますので、文部省などの御熱意もございます。労働省としても、そういうことがなかなか実際上の取り組みは難しいという点もございますけれども、先般も文部大臣労働大臣等が出まして経済四団体のトップの方々とその実務責任者が集まりまして、何とか新たな実効措置の伴った就職協定というものができ得ないものであろうか、こういうことで、新たなものができたという段階ではございませんで、今作業を進めておる、こういう段階でございます。
  156. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 就職戦線を健全なものにしていくためにもとても大事なことだと思いますので、よく話し合いを進めていただきたいと思います。  それから時間がなくなりましたので、これも実は大臣にお伺いをしたいことなんですが、私のきょうの通告の中に入っております土日社員の話でございますけれども、実は私は、これは大変関心事でございまして、この質問に大半をかけようと思っていたわけなんです。ところがきょうは時間がございませんので、大臣の御見解だけを伺って終わることになりますんですが、山口大臣は御就任からずうっと勤労者の休日について非常に意欲的な姿勢で取り組んできておられるわけでございますね。土日のいわゆる週休二日制とかあるいは連休の中の法制化とかいうふうなことで、大変に精力的に各所でお話をなさっておるわけでございまして、御主張かと思うんですが、そういう大臣の言い分には――ミサワホームという会社が試み的にではありましょうけれどもこのたび発表し、社員を募集するという形のこの土日社員というのには、大変いろいろな課題があろうかというふうに思うんですけれども大臣の御見解を伺いまして、残念ですけれどもこれはまた後日に譲ってお話し合いをさせていただきたいと思います。
  157. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 今先生の御指摘のいわゆる土日社員の制度でございますけれども、ミサワホームという民間企業がこういう提案をしておるようでございますが、いろいろ聞いてみますと、主婦とか定年退職者の方々に土日を利用して、いわゆる生活者としての立場から、おうちを新しく買われるようなお客さん方に対していろいろな応対とかしていただくと、主婦としての生活の連帯の上でいろいろお客様に便宜を図れるんではないか、こういう趣旨のようでございますが、いずれにしましても、私どもといたしましては、先生も御指摘いただきましたように、経済摩擦の問題等の取り組みの中にも、経済政策の展望と指針の中で週休二日制の完全実施というものも一項あえて入れていただいたわけでございます。また、この五年間の間に休日を十日ほどふやす、こういうことも具体的に行政の分野でひとつ取り組んでいこうと。こういう具体的な労働時間短縮また休日の拡大、いわゆる生活余裕時間を広げていこうと。これは労働者福祉の改善と同時に、今日的な国際社会における日本の労働時間調整とか労働摩擦の解消とか、いろいろな意味においてこれを取り組んでいこうということでございますので、こうした傾向がただ単に週休二日制に世の中が移行していくということを前提として、週休二日制の社員をキャッチしてこれに新たな職業を持たせる、こういう傾向は好ましいことではないというふうに考えておるわけでございます。
  158. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私もまず労働大臣大臣賞問題で質問をいたします。  念のために労働省まず聞きますが、きょうも問題になっておるようなこういう大臣私的印による大臣賞、今まで例はありませんね。
  159. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 私的印鑑による大臣賞は今まであったかということでございますが、私その辺については存じ上げない次第でございます。
  160. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 存じ上げないということは過去もあったということですか。まあそれは念頭に置いておきましょう。  山口大臣、この労働大臣賞の授与については労働省内で厳格な規定があることはよく御存じだと。だから、今回の美容協会のこの表彰についてはそれの適用が難しいので、できないので、したがって私的印による大臣賞を出すことにしたと、こういうことですね。
  161. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 着物の着つけ師等における国家の技能検定というものがまだ整備されておらない。しかし、実質的にはそうした専門的な学校等も含めまして大勢の方々がその技能習得に努められておると、こういう経過でございます。そういう中で、そうした一般の方々が技能習得への意思とまたお取り組みということは大変望ましいことでもございますので、今日までの長い実績を踏まえて、協会の式典に対して私の判断において、先ほど来御説明申し上げておりますように、技能奨励振興という大きな一つの前進に今後つながるという意味も含めまして、大会に私の賞状を御協力を申し上げたと、こういうことでございます。
  162. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いやいや、私が聞いているのは、あなたが大臣賞を出した趣旨を聞いているんじゃないんですよ。それはもうずっと今まで何遍も説明しているからわかり切っている。しかし、それは労働大臣賞というものを出すには労働省の中にきちっとした規定がある。これに乗せるわけには難しいので、できないので、したがって私的印による大臣賞を出さざるを得なかった、こういうことでしょう。
  163. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 乗せるわけにはいかないということよりも、まだ乗せる段階には至らないのではないかという判断のもとに、労働大臣たる衆議院議員の私として表彰を申し上げたと、こういうことでございます。
  164. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同じことですよ。  そこで、行政というものは法や規則に基づいて厳正公正に執行されなくちゃならぬということはあなたもしばしば口にされてきていることだ。そうしますと、労働省の規則ではできないけれども、しかし美容協会の、特に山野さんというような人とは親しい関係だし、私的印による大臣賞を出したと、こういうことになりますとね、これこそ行政の私物化だと思うんですよ。しかもあなた何か善意でやりましたということばかりしきりに言うけれども、大変な行政の私物化をここで犯しているじゃないですか。しかも何の反省もしてない。いや、地元でいろいろやっていますよと、ほかにも、というような口ぶりをされますと、こういう行政の私物化ということは断じてやめるということをはっきりここで約束をしてもらいたい。いや、今後もありますよというようなことだったら大変なんです。どうですか。
  165. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 私は善意でこの賞状を、差し上げたということではないので、私のやはり労働政策の一つの考え方の中で、いろいろな日本の技能の習得という問題については非常に大事なことだという常々考え方がございましたので、そういう熱心なそのグループの方々の今日までの、きのうきょうのことではなくて、長い経過と研究、やはり習得への御努力、こういうことを私自身も承知をしておりましたので、私の立場においてそういうものを出したということでございますが、しかし、今先生が最後に御指摘いただいた今後はどうするのかということでございますると、いろいろ国会でもこうして御指摘をいただき、この労働大臣たる衆議院議員山口敏夫が出すということの問題が公私混同ではないかと、こういう御指摘も含めて十分私どもは傾聴し、反省もしなきゃならない点もございますので、今後は自重さしていただきたい、かように考える次第でございます。
  166. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、今もあなたは私の労働政策の一つの考え方に基づいて、熱心な人たちの御努力に報いるためにこういうことをやろうとしたんだと言われるんですけれども、その報いるにしたって、それは労働省として大臣賞を出す場合はか くかくという定めがあるでしょう、この定めを無視してやってはいかないと。行政というものはそういう法律や規則に基づいて厳正にやるべきものが、これが行政だと。勝手な個人の大臣の懇意的な判断で事をどんどん進めてはいかぬという、ここの原理上の問題はあなた否定するんですか。
  167. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 今、佐藤先生から御指摘いただいている問題につきましては、私が大変、国会の先生方の御論議もございますように、各方面で御迷惑、御心配をかけましたので深くおわびを申し上げますと、こういうことでございますから、そこで尽きるわけでございますが、しかし政治家として、労働大臣として仕事をしている中で、今先生がおっしゃるように、やはり行政の中における一つの政治的な判断といいますか、我我の一つ見解の中でやっぱり進めるべき点は進めると、こういうケースもあるわけでございますから、今度のことがそうだと言っているわけじゃございませんけれども、全部が先生の御指摘のような形で四角四面の形で大臣職を務めろというわけにもまいらないと、こういうことでございます。
  168. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 大臣、二百六人を表彰をしたということですけれども、その中であなたの選挙区の埼玉県の関係者は何人ですか。
  169. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 存じておりません。
  170. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう言い方で逃げられますけれども、私いろいろ調べてみましたよ。千葉県が八人、神奈川県が五人、同じ東京周辺の首都圏の中で埼玉と並ぶような位置にあると思うんですけれども、埼玉十七人、いかにも多いじゃないですか。だから、御苦労なさっている人の努力に報いようという、そういう善意という言葉を使われないにしても、善意でやったんですよというふうにしきりにきょうの朝から言っておられるけれども、しかし、やはりこの数字が示すものは一定の政治的思惑が働いているというふうに思われても仕方ない数字になりますね。
  171. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) いろいろそういう御指摘になりますと、いかにも選挙区の御都合主義の中でそういうものを出したと、こういう疑問のようでございますけれども、私の選挙区の方々が意図的に十七名選ばれた、こういう数字ではないと思います。私も数は覚えておりませんけれども、十七名という方たちの中で、余計なことでございますけれども、私の選挙区の人間が何人いたかというと、恐らく二、三人ぐらいのことではなかったかという程度に薄々記憶しておるところでございます。
  172. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく二百六人を四十七都道府県で平均的に割り算したら四人ないし五人ですね、一府県。それに比べたらいかにも多いというのは余り弁解しない方がその点はいいと思うんですよ。  あなたは献金は受け取っていないというふうに言っておられますけれども、これも私の聞いたところでは、七人の人が確実に金を出したというふうに言っていますし、副理事長のマイク山野さんですか、その仲介者の役をした人が二十万円出すように言ってくれというふうに頼まれて、八人の人にそういうふうに声をかけたというふうに言っているわけです。これは氷山の一角でありまして、こうしたことからあなたが疑惑を持たれるのはこれまた仕方のないことだというふうに思うんですよ。  さっきもありましたが、大臣賞を受けた人たちは正式の国からの表彰だと思って、ほとんどの人が店に飾っている、祝儀をもらったり祝賀パーティーまでも開いたという人があるというのが実は中日新聞に載っておるんですよ。ここまでそういう人たちは本当にこれは本当の大臣賞だということで思い込んで喜んでおると。ところが、実際は私的大臣賞、正式の大臣賞ではないわけですね。これこそそういう人たちを詐欺にかけた行為であるということは間違いない。あなたこの機会にそういう人たちにあれは正式の大臣賞ではございませんでしたということを、謝罪通知を出す気はないですか。
  173. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 当日の式典におきまして、この賞状山口敏夫個人の賞状であることについては協会の責任者にも事前に伝えてあるわけでございますし、そうした認識のもとで私は代表者たる山野愛子先生にこれを代表して差し上げさしていただいた、こういう経緯でございます。  それから、先ほど来からこの大臣表彰と引きかえに金銭授受があったような御指摘でございますけれども、私さっきも、協会の人間ではございませんから、その実態は所管の厚生省の方にも、担当課にも具体的な計数とか事業計画書の報告は当然あろうと思いますけれども、その運営に対する協賛とかその他は、いわゆる美容業界とかそうした着つけ関係団体の中でそれぞれの企業、事業所が協賛をしたということは後ほど主催者から伺いましたけれども、その金額新聞報道ではあたかも大臣表彰を受けた人がその高額のお金を受賞と引きかえに払ったような印象の書き方もされておるわけでございます。私は、こういう点もきちっと報道関係に対しても明確に、明朗会計といいますか、ガラス張りで会の運営を進めていただくようにと、こういうことも言ってございますので、いずれ先生の御指摘のような経過があるかどうかということもあわせて明快になるというふうに私は考えておるわけでございますし、そういう点の授受があったというふうに認識をしておらない、こういうことでございます。
  174. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、そのように言われても、そうであれば祝賀パーティーまでやる人出てこぬでしょう。これは私的なものだというふうに協会の人から伝わっておるはずですというけど。おまけに毎日新聞に出ましたこの写真、正面にがっと看板がかかっておって「労働大臣賞授賞式」と、こう書いてあるじゃないですか。そういう看板が出ているんですよ。私的大臣賞授賞式とは書いてないわけですからね。余りそういう見え透いた言い逃れはおっしゃらぬ方がいい。  とにかく今回の行為は、行政を私物化し大臣の地位を利用した詐欺的行為と思います。あなたの進退も含めたどういうふうに一体反省の態度を示すつもりなんですか、関係者に。
  175. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) まあ大臣の地位を利用した詐欺的行為というのは、協会を指しておるのか、あるいは私のことを指しておるのか、その辺が明快でございませんけれども、私は先ほど来諸先生方の御質問、御指摘の中で答弁申し上げている見解に立っておるわけでございまして、その中で今後ともの労働行政に一層の責任を果たしたい、こういう考えでございます。
  176. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 内閣官房お願いをしていますけれども、ほかの方もおっしゃいましたけれども、今回のこのようなことがまかり通って各大臣が一斉にやり出すと、特に選挙近しと、こうなって一斉にやり出すということになったら、それこそ大変なことになると思うんですよ。しかも、山口さん、あなた衆議院議員も相当年数やっていられるんだから知らぬとは言えない。議運で、大臣としてこんなことをやったらいかぬということはもちろんのこと、議員としても虚礼廃止のあの申し合わせの中には、○○賞、○○杯、こういうものも含んでこういうことはやめようという申し合わせをしてきているでしょう。知らぬとは言えないはずなんですよ。そういう状況のもとで、内閣官房ね、私はこの問題を内閣全体としてどうするか検討の余地なく厳重に禁止すべき問題だと思うんです。こうしたことで理事会としても検討をする問題の提起されていますけれども、できるだけ速やかにひとつ内閣にきょうの趣旨を伝えてもらって、こういうことを各大臣もうきっぱりやめるということをこの委員会に回答してもらいたい。まああなたの責任ではそういう回答できないから、ひとつそのことを内閣によく伝えて早い期会に返事をすると。やってもらえますね。
  177. 荘司晄夫

    説明員(荘司晄夫君) 先ほども申し上げましたところでございますけれども、私どもといたしましては、公的な扱いによる総理大臣賞の所管をしておるところでございまして、個人の御資格で賞的なものをお出しになることについて、私ども立場でどのようなことがどういうふうにできるかという点はなかなか困難な面があろうかというふうに存じておりますけれども、今御指摘のこういう御議論があったということにつきましては十分伝えたいというふうに存じております。
  178. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは次の問題へ進みます。  定年延長と引きかえに賃金を大幅に引き下げるというこの問題が、今金融業界などを中心にして大問題になってきているということでありますが、言うまでもありませんけれども企業といえども超憲法的、超社会的な存在じゃない。したがって、当然雇用の安定、労働者の生活向上に十分意を用いていく責務がある。定年延長もその一つとして打ち出されてきているわけでありますけれども、今言いましたように賃金が大幅ダウンになって脅威を与える。労働省は五十五年の九月全国銀行協会に対して、五十六年の九月地方銀行協会に対して、当時の大臣が定年延長協力を要請していますが、このとき、延長後は賃金を大幅に引き下げてもよいという指導をやってきたんでしょうか。
  179. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  労働省としましては、今先生おっしゃいましたように、定年延長を推進するために業種別懇談会等を通じて要請をしてきております。昭和五十五年九月に全国銀行協会、それから五十六年九月に地方銀行協会と懇談会を開催したことは事実でございます。この懇談会におきます公式的な記録は養っていないわけでございますが、労働大臣としましては、高齢化社会における高年齢者の雇用の安定を図るためには、定年延長は重要であること、定年延長が着実に進んでいるが、銀行業界においては五十五歳定年が多い状況にあること、このため、銀行業界においても労使の話し合いを進め、六十歳定年について積極的に取り組まれたいことを申し上げたと思います。具体的に今申されたように賃金を下げてよいというようなことを申し上げたかどうかはわかりませんが、恐らく賃金問題については、そういうことではなくて、弾力的な対応について意見交換がなされたことはあり得るというふうに思います。
  180. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 賃金については具体的にこういう方向をということを特に言ったわけじゃないというふうに理解していいですね。  そこで、都市銀行の定年延長後の賃金水準、おおむねどういう姿になっているか、どういう把握ですか。
  181. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) これは「労政時報」によるものでございますが、定年延長後は賃金七、八〇%、賞与年三カ月という状況になっております。
  182. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今おっしゃったのは「労政時報」五十六年六月のナンバー二五五三号、この数字で引用されたわけですね。しかし、私聞いたのですけれども、これは会社の提案、こういう提案をしておるということで、実際に五十六年、その後何年かたっておる中でこれよりもさらに現実は二〇%ぐらい低いと。ですから年収は約半分ぐらいに減っているというのが実情だと言うんですよ。  地方銀行、この関係については、定年と引きかえに賃金がどういう姿になっているか、どのような把握ですか。
  183. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 現在ちょっと資料が手にございませんので。
  184. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 これは私、労働組合の関係の方の御協力を得て調べてみましたけれども、最近、六十歳定年制を六十年度から実施をした地方銀行、これを余りたくさん言う時間ありませんので言いますと、紀陽銀行、青森銀行、岩手銀行、大分銀行、静岡銀行、足利銀行、北海道銀行、百五銀行というところですが、大体年収は約四〇%にダウンしている、ひどいところなんかは三四%までダウンするというところがあるんですね。――それから、先ほどの都市銀行、地方銀行おしなべてでありをすけれども、退職金です。これが問題ですけれども、旧定年時、すなわち五十五歳、どこで退職金確定をして、新定年六十のときに五十五歳で確定した分を払う、別に利子をつけるわけじゃないという形になっているわけです。仮に一千万円の退職金、これは都市銀行も地方銀行もおしなべてそう言う、一千万円の退職金の場合、年利五%として複利運用をすれば五年後には千二百七十三万円になるはずです。しかし実際は支払うのは、六十歳のときに一千万円払う。こういうやり方が、金利でもうけている、運用を旨とする銀行でこういうことがまかり通っておるというのは、これはどうしたものかということで、こういう事実があるとすれば、ちょっとこれは直さぬといかぬなというふうにお思いになりませんか。
  185. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 手元に資料がなかったので失礼いたしましたが、本格的な高齢化社会の到来を迎えまして、高年齢者の雇用就業機会を確保するのは重要なことでございまして、労働省としては六十歳定年の一般化を早期実現するように進めてきたわけでございますが、しかし、企業の側が定年延長を実施するに当たりましては、我が国の人事管理制度や賃金・退職金制度などの問題が阻害要因となっていることも事実でございます。したがいまして、定年延長の目的は雇用の保障にあるわけでございますけれども、六十歳に引き上げることによって雇用の確保を図っていくには、定年延長後の賃金、労働条件をどうするかについては、やはり労使間で企業実態に応じた決定をしていただきたいというふうに思います。雇用審議会の答申、先ほどの答申におきましても、高年齢者の雇用就業問題の解決には、「労使双方が共通の問題として考え、新たな雇用賃金慣行を形成していくという観点に立って相互の立場理解し合うという姿勢が肝要であろう」というふうに述べております。したがいまして、この賃金問題その他については、企業の全体の経営それから労働条件の問題を含めまして労使間の決定にゆだねるものではないかというふうに理解している次第でございます。
  186. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 労使間の話し合いで結論を出してもらいたい、こう言われますけれども、私は、労働省自体の指導に重大な問題があったんじゃないかということをここで取り上げざるを得ないんです。  実は、昭和五十四年一月二十三日付で職安局長名で各都道府県知事あての「高年齢者雇用対策の推進について」という通達が出ていますね。この中の、ページで言うと十三ページ、「定年延長を指導するに当っての基本的な考え方は、」ということでこうありまして、三項目ある。「延長後は、 ①労働能力、労働内容に応じ、横ばいないし低下するような賃金体系 ②延長後の期間を加算しない退職金制度 ③ラインからスタッフへ移行するような人事管理システム」こうありますけれども、問題はその二項、「延長後の期間を加算しない退職金制度」、こういう形でひとつやりなさいということを、文書まで出して労働省は促進をしているわけでしょう。労使の話し合いで決めてもらったらいいということじゃない、こういう方向に持っていきなさいということをあなた方言っているじゃないですか、通達で。さらに、賃金の方、この「横ばいないし低下するような賃金体系」この言い方も問題です。しかし、百歩譲っても、年収が五〇%以下になるというのはこの表現には私は当たらないと思うんですよ。これを悪用をして余りにもひどいことをやっているというふうに言わなくちゃならぬじゃないですかね。「横ばいないし低下」というんですから、その二つを並べているんですから、この「低下」というのはどんと落とせということじゃない、横ばいないしまあそれに近い低下、こういうふうに日本語の文章というのは解される。それを五〇%以下に、半分以下に減らせということになれば、さっきの三四%というのもあるんですからね、こんなことになればこれはもう低下どころかまさに墜落、転落、大暴落、こういうことになるわけであって、こんなことがもし他産業にどんどんと波及していったらこれはもう大変なことになる。しかも、今労働省は六十歳代前半層の雇用対策を言っているわけですね。今五十数歳から六十歳まで定年を延長したという、これをしおにどかっと賃金を減らすと いうのが出始めている。こんなことがもし野放しになっていったら今度は六十歳代前半層にまで雇用を延ばす、定年も延ばす、そういうようなことが問題になってきたときにはさらにもっと大規模な賃金ダウンが起こる。労働者の生活と雇用の未来にとって大変なことになるというふうに思われませんか。
  187. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  今おっしゃいました通達があるわけでございますが、五十四年当時非常に五十五歳以下の定年が多かったときに、一つの参考として出されたものだというふうに思います。この賃金問題それから退職金問題は、先ほどから申しておりますように、企業の経営基盤それからその給与体系全体を含めました賃金の水準その他で、労使の話し合いで決めていっていただくべきものでございまして、そういうことで、今後とも労使の話し合いで進められるように、労使の合意決定がなされるように進めていっていただきたいというふうに労働省としては考えております。
  188. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いずれにしても、今のまま黙ってこの姿を放置するわけにはいかぬということで、ついに裁判も起こっているわけでしょう。青森銀行の関係とそれから新潟の第四銀行、訴訟が起こっておる。この訴状を見れば、もう時間の関係で余り詳しく引用することができませんけれども、青森銀行の裁判ていけば、四人の方が原告となって訴えているわけですけれども、その賃金ダウンは、四二・五九%、四三・一〇%、四四・九八%、三九・三一%で、これだけ落ちましたというちゃんと賃金明細票もつけた、そういう訴状も出ているんですから、これはもう疑うべくもないはっきりした問題。第四銀行の場合も同様でありますけれども、もう時間の関係でそれはここでは言いませんけれども、もう裁判の訴状ですからはっきりした問題です。  そういうことで、ぜひ労働省にひとつ要望をしたいと思うんですけれども、災いの芽は早いうちに摘めという言葉がありますけれども、これが起点になって他産業の関係にもどんどん広がっていくということになるとそれこそ大変なこと。こういうことでひとつ余りひどいことはしないようにということで、この銀行、金融の関係について、一つ実態把握と必要な助言指導、こういうことでひとつ乗り出すということを検討してもらえぬかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  189. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  今先生指摘のいろいろな訴訟が起こっていることも承知いたしております。ただ、これにつきましては今訴訟係属中でございますので、具体的なコメントは差し控えさしていただきたいと存じますが、労働省としましては二十一世紀に向かいまして非常に高齢化社会を迎えてくるということで、先ほどの雇用審議会、それから中央職業安定審議会の答申、建議を踏まえまして、新たな形での高齢者の総合的な雇用対策ということで、次の通常国会にできますれば法律をもって施策の実施をお願い申し上げたいというふうに思っている次第でございます。そういう中でいろいろな高齢者のあり方その他を検討していかなければならないというふうに思っておりますが、今の具体的問題につきましては、実態把握その他等については十分把握さしていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  190. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 必要な助言をしてもらうと。
  191. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 助言はどういう立場で行うのか、いろいろな、もし労働省立場から言うべきものがあればなしていかなければならないと思いますが、労働条件全体の問題としましては、やはり労使の話し合いが一番最重点ではないかというふうに思っている次第でございます。
  192. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 必要な部分があるんですから、労働省としてぜひひとつやってもらいたい。  それでは最後でありますが、同じ定年にかかわる問題でありますけれども、日立造船の合理化問題であります。  最近日立造船が赤字を理由にしまして全従業員の三割に当たる五千十一人、一万六千八百一人から一万一千七百九十人に減らすという大合理化を発表しているわけですけれども、その中で非常に重大な問題は、六十歳定年制を五十八歳にむしろ繰り下げると、そして五十五歳以上についても再就職のための特別休業制度、賃金は六割と。四十歳以上については早期転進制度あるいは再就職あっせん制度、命令休暇の実施、それから年末一時金、これを十二月と三月に分けて払うと、時間外割り増し率現行の三〇%等々を二五%に一律に下げる。さらに子会社をたくさんつくってエビの養殖や酒の醸造会社、ここへ千七百三十人出向させるという、本当に過酷な内容が打ち出されていると思うんです。しかもこの特別休業制度については、造船業が特別不況産業であるからということで雇用調整助成金の支給対象になると。この助成率は日立造船の場合支払われる賃金の二分の一ですね、したがって。そうすると国費でここまで助成をして何とか雇用対策の万全を期してもらいたいという、こういう意図、目的で助成金を出すと。ところが、実際は三割というまことに過酷な人員削減がやられるということは、これは本当にひどい話じゃないかというふうに思うんです。それで、いずれにしても労働省としてこの定年延長を指導しておるこの時期にむしろ逆行してこれを引き下げると、六十歳を五十八歳にするという、これはまことに好ましくないというか、不当というか、というふうに思われるでしょうね、その点は。
  193. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 今先生指摘の日立造船につきましては、私の方でも日立造船の情報を得ております。ただ、細かいところにつきましては若干数字の違う点等もございますが、十一月一日に労働組合に提案して、引き続き現在も協議中だというふうに聞いております。今後その中身につきましては事情を十分聴取してまいりたいというふうに思っておりますが、今の定年の問題につきましても六十歳を五十八歳、三年間の暫定措置として実施したいということが提案されているようでございます。その後、労働組合との交渉で、これを特別退職制度ということで変更されているというようなことも聞いておりますが、その実態把握してまいりたいというふうに思っております。  ただ、企業全体のあり方、その中で雇用をどう維持していくかということについては、それぞれの企業立場があるわけでございまして、労働組合との協議がどういうふうに整うかということを見守ってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  194. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 最後に一問。  労働組合との協議を、これを何ら否定をしているわけでない。まだそこの最終結論に至ったわけじゃない、というこの時期であるから、労働省の定年延長というこの指導方向に照らして、むしろそれを逆に五十八歳に引き戻すというのは、これは好ましいことじゃないでしょう。結構なことだというふうに労働省として言えた話じゃないですね。ですから、そういった点で何とかこの定年の問題については避けられないかといったようなことも含めて、実情把握と必要な助言、これにひとつ入ってもらいたい、また早急にやってもらう責務があるんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
  195. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) 確かに定年六十歳を推進している労働省としては、好ましいと申し上げることはできないわけでございます。  しかしながら、先ほど申しましたように、企業におきます経営の実態、それから雇用の確保という点から見れば、それがどういうふうに措置されるかということについては労使で十分話し合っていっていただきたいというふうに思うわけでございますが、労働省としてはやはりそのために企業が雇用を維持できないという実態とこの定年制のあるべき姿との兼ね合いでございますので、その辺を十分実情を把握してまいりたいというふうに思います。
  196. 井上計

    ○井上計君 職業分類及びそれに関連する問題等 についてお尋ねをいたしたいと、こう思います。  技術革新がますます急ピッチで進んでおります。またそれに伴って社会構造も随分と変わってまいりました。したがって、新しい職業名というものが随分と出てきましたし、またこれからますますそのようなことが出てくるであろうと、こう思います。報道等によりますと、職安行政に共通して用いる職業分類表、これについての職業名称を検討し、今変更する作業が行われておると、こう聞いておりますけれども、どのような経過あるいは状況でありますか、まずそれをお伺いいたします。
  197. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答えいたします。  今、先生指摘のように、現在総務庁において進められております日本標準職業分類の改定に合わせまして、労働省としましても職業分類について時代の変化に対応した職業の現状に適応したものとなるように、昨年六月から改定作業に着手しているところでございます。目下作業中でございますが、今後の予定については、総務庁の改定作業の進行状況に合わせまして、来年四月からの施行を目指して改定作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
  198. 井上計

    ○井上計君 これも新聞報道でありますけれども、トリマーだとかヒーブなんていうのは私ども全く見当もつかぬような新しい職業名がどうも誕生するようであります。それに引きかえて、我々がなじみ深い赤帽であるとか、ダンサーであるとか、蒸気機関士なんというのが実は消えていくということでありますが、もちろんこれは時代の推移であり当然であろうと、こう思いますが。  さてそこで技能検定の問題に関連をいたしますけれども、過去いつやりましたか、当決算委員会技能検定制度の見直し、古いいわばもう現在ほとんど行われていない作業というふうなものが依然として存在する、そういうことについての見直しであるとか、あるいは名称の変更であるとかいうふうなことを実はお願いをしました。その後、早速労働省においてはいろいろとそれについての調査検討を進めていただいている、こう聞いておりまして、これはお礼を申し上げます。  依然として、これは私、実は身近な例を引いて申し上げて恐縮でありますけれども労働大臣も若干御存じでありましょうけれども、印刷の技能検定の中に現在もう全く使われていない職種の名称がまだ幾つか残っておるんですね。活字組み立て工なんというのは全くありません。それから、もっと私も実はびっくりしておるんですけれども、全然そういうふうな作業部門がないというふうな、石盤工なんというのは、石盤なんて印刷技術は現在全くないわけでありますが、このようなものが依然として残っておるというふうなこと。したがって、これが、今度の職業分類表の改定の中でそのようなものをもっと取り上げていただいて、まあ取り上げていただくつもりでありましょうけれども、したがって、民間団体のそのような業種団体の意向を十分ひとつ聴取していただいてやっていただかないと、なかなかせっかくの改定が、一回改定されるとまた五年、十年ということになってまいりますと、現在でそういうふうな変化がある。さらにこれが五年、十年先には随分と変化が起きるわけでありますから、やや近い将来を見通した形の中での職業の分類表の見直し、職業名の見直しというものが必要であろうというふうに思うわけであります。この新聞、さっき申し上げたトリマー、局長失礼ですが、トリマー、ヒーブ、どんな職業がこれは局長は御存じですね。
  199. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) よく存じません。
  200. 井上計

    ○井上計君 じゃ、御存じないとすると、大臣も御存じありませんかな。私もこれ全く知らなかった。新聞見てびっくりしたんですが、トリマーというのは犬猫美容師だそうであります。ヒーブというのは企業内家政学士、企業と消費者のパイプ役を果たす。このような名称の職業が今度どんどん登場するわけですから、だから古い過去のこの際使われていないような、実際に現存しないような職業についてはもう思い切って全部整理をしていく、こういうふうなひとつ姿勢、方針でぜひ今後とも臨んでいただきたい、こう思うわけであります。  そこで、今度は技能検定の問題で伺いたいと思いますけれども技能検定についてはさっき申し上げましたし、また見直しもいろいろ検討していただいておるようでありますけれども、技術面でない、例えて言いますと営業面、そのような技能検定、技能と言っていいかどうか別ですけれども技能検定があるわけであります。ところが、印刷の場合は、従来これが労働省のすなわち国家認定であるところの技能検定に即さないということで、営業活動、営業面の技能ですね、印刷営業士という名前で業界でも既に十数年前から業界内の認定、教育認定をずっと行ってきておるわけですね。それを国家認定にということで業界がいろいろとお願いをしておるようでありますが、そのお願いの段階の中で、現在の職業分類からいうと外交員という名称がまだ残っておるわけですね。その外交員の中に広告外交員であるとか印刷外交員という名称がありますが、したがって、印刷外交士という名称ならどうも可能のようなことだというふうに聞いておるわけでありますけれども、この経緯については御存じでしょうか。
  201. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 印刷の営業に従事している労働者の方々の職業能力についての国家検定についての御依頼、私どもことし中央職業能力開発審議会の中に専門調査委員会を設けまして、そこで専門的に検討していただこうということにいたしておりますが、名称そのものにつきましては、まあ現在の職業分類では印刷外交員ということでございますが、今後技能検定を実施するということになった場合におきましても、その名称が職務の内容、職業の内容を適切に表示するものとしてどれが適当か、その辺のところにつきましてはさらに検討してまいりたいというふうに思っております。
  202. 井上計

    ○井上計君 わかりました。外交員というのはもう現在ほとんど使われていないんですね。事実、印刷外交ということで職安に申し込んだら絶対に応募者がないわけですよ。そうすると、さっきから言っているような全くわからないような名前の職業名がどんどん登録されておる時代ですから、したがって、これはやはり業界がせっかく行ういわば検定制度、それを労働省、国の検定制度に持っていくために、やはり受けやすいような、また資格を取った人が常時使えるような、そういうような名称に改めるということを、これを積極的にお進めいただきたい。また、そういう中でそういう検定制度をぜひお進めいただくようにこれはお願いをいたしたい、こう思うわけであります。  いろいろと業界との問題がありますけれども、そういうふうなことを考えますと、業界が従来必ずしも労働省技能検定のカリキュラムと全く一致しない、あるいは労働省のいわば検定内容では実際現在の営業活動等には全く適応しない、あるいは不十分であるところがかなりたくさんあるわけですね。そのようなことがありますから、それらを含めた形で、印刷だけ例として申し上げたわけでありますが、ほかにも随分あると思うんですね、そういうものが。だから、それらについてひとつ新しい角度でこの技能検定制度の見直しをお願いをいたしたいと思いますし、できるだけ早く、やはりそのような資格を既に業界内の資格でありますから持っておる人、これから持とうとする人が労働省の、すなわち国の検定制度の合格者であるということを待ち望んでおりますから、ひとつ事を思いそいただきたい、これはひとつお願いをしておきます。  それからもう一つは、やっぱりそのような場合、現在の技能検定は一級、二級というのがありますけれども、今後あるいは現在相当やっぱり技術が進んでいますね。だから従来の二級、一級というさらにその上の、まあ特級という名称がいいかどうか知りませんけれども、さらに高度の資格を必要とする、また高度の資格を持たすことが必要だと、こういうふうな状況になっておると思うんですね。ですから、一級、二級のさらにその上に、その上のクラスの検定というふうなことをあ らゆる技能検定等の中でお考えになっておられるかどうか、あるいは全くおられないのか、今後どうであるかお聞せをいただきたい、こう思います。
  203. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 現在、一、二等級または単一等級の制度をとっておりますけれども、最近における技能の質の多様化あるいは質が深まってくるという中で、作業管理能力なども含めた新たな技能のレベルというものを公称する必要性は先生おっしゃったとおりでございまして、実はことし、技能検定の多段階化の問題として、つい最近研究会を実は設置したところでございます。できるだけ早い結論をお願いいたしまして、多段階化の方向に向けての検討を進めていきたいと思っております。
  204. 井上計

    ○井上計君 ぜひ早くそのような結論を出していただくように、これまたお願いをしておきます。  赤松局長にお尋ねをいたしますが、先般、赤松局長初め皆さん方の御努力で男女雇用均等法が成立をいたしました。大変結構なことだ、こう思っておりますが、しかし一面、若干の矛盾がやはり起きておる、あるいは起きるであろう、こう考えるわけであります。  一つの例を申し上げますと、製造業と非製造業とに区分をされて女子の残業規制が行われる。これは私の承知しておりますのは、製造業の場合には一日二時間、週六時間、年百五十時間ですか、非製造業の場合には四週間で三十二時間、年間で二百時間ですか、私の記憶では。間違っておれば御訂正いただきたいと思うんですけれども。ところが、先ほど申し上げているように技術革新が進み、さらにまたいろんな企業の中の構造も変わりという中で、実は製造業の属する企業の中の従業員、女子社員のやっている仕事が非製造業の女子社員のやっている仕事と同じというのは随分ふえておるんですね。だから、一律に製造業と非製造業という区分で女子の残業規制を行いますと、そこにやはり矛盾が起きてくるし、ある意味ではまた不平等、不公平というものが出てくるんではなかろうか、こう思いますが、私の考えとしては、その規制等については非製造業あるいは製造業という、そういうふうな区分でなしに、職種によって区分をすることが適当であろう、こう考えますが、いかがでございますか。
  205. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。  世の中にたくさんある仕事を分類する場合にどういう基準でするかということにつきましては、業務でするやり方もあれば職業でするやり方もいろいろあるわけでございます。それは確かに一長一短がございまして、一つの切り方をすればはみ出るものというのは出てくる、別の切り方をすればまた別のはみ出し方をするものがある、こういうふうに思うわけでございます。従来からずっと労働基準法は事業活動というとらえ方をいたしまして、事業場単位で監督もし、労働基準法施行全般をしてきたという経緯がございます。確かにそのとらえ方ではみ出るものというのはあるわけでございますが、そこで多少その修正をするというようなことはあり得るわけでございまして、このたびの規則の案でございますが、つくり方にも職種的な要素を加味して規定をした部分もあるわけでございます。しかし、全体としては、やはりなお事業活動が事業場単位で有機的、一律的に行われており、かつその実態に応じて労働基準法の施行を監督を含めていたしているということが大きく変わっていないということからかんがみまして、このたびのように、やはり労働時間の規制には従来どおり事業という考え方で切った方が、そのはみ出るもののはみ出方がやや少ないと申しましょうか、まあ矛盾がより少なくて済むのではないか、このように考えて規定をし、その案を審議会にお諮りしているところでございます。
  206. 井上計

    ○井上計君 局長のお話はわかるんです。また非常に難しい問題だということもわかっています。ただ、これもまた身近な例で恐縮ですけれども、印刷業というのは製造業の範囲に入っていますね。ところが、もう十年二十年前と違って、例えて言うと従業員百人の会社の中で本当に印刷を担当する現業部門に属しているのはせいぜい二十人あるいは二十五人ぐらいというケースが非常にふえているんですね。じゃああとは何をしているかというと、もちろん事務系統等ありますけれども、デザインであるとかあるいは企画であるとかあるいは校正であるとかという全く非製造部門なんですね。だから、百人の社員を擁する会社だから製造業だといっても、実際には四分の一程度が本当の製造部門に属するもので、実は非製造部門の方がはるかに多い。これは印刷だけの例ですが、ほかにも随分そういうケースは多いと思うんです。これがやむを得ぬということで、従来の労基法の形で進められると、会社はそういうふうな部門別に別会社をつくるという動きがあるんですね。そうしないとなかなか的確な仕事ができないというふうな動きがありますから、まあ難しい問題でありますが、今すぐお答えをということは期待しませんけれども、その面もひとつ勘案をしていただいて、今後ひとつ諮問等の中でまたお考えいただくということをひとつぜひお願いをいたしたい。これは要望しておきますが、どうでしょうか。
  207. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 先ほどお答えいたしました中にも、業務に従事するという考えで職種的な考えを取り入れているところがあるというふうに申し上げましたが、例えば「新聞又は出版の事業における記事の取材又は編集の業務に従事する者」というふうな表現をいたしておりますし、また、「衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務に従事する者」というような表現をとっているところもございます。それは業態に関係なく、そのような業務であれば専門的な職業として労働時間の規制を外すというようなことにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  208. 井上計

    ○井上計君 じゃあもう一つ伺います。  今、除外するといいますか、そういうふうな職種をずっと明示されるわけでしょうけれども、その範囲を今ちょっと伺った範囲内ではそれに入らないような非製造職種はまだたくさんあると思うんですね。だから、それらについてもっと検討していただいて、拡大をしていただくこと、これはひとつもう一度また要望しておきます。特にお答えは結構でありますが、その範囲にはなかなか入らないな、ちょっと今こんなふうな感じがしますので、ひとつお願いをいたします。  最後の質問は、これは特に大臣へのお願いといいますか質問でありますけれども、各地で労働省相当力を入れて古くから職業訓練所、特に最近は職業訓練大学校等々つくられて、職業訓練についてはかなり重点を置いていただいている、これは承知をしております。また、技術革新の時代、ますます職業訓練の必要性、さらには中高年層の再雇用のためにも職業訓練の必要性が従来以上に高まってくると思うんですね。ところが、そこで問題がありますのは、各地の職業訓練所等に置いてある設備が非常に老朽化しておる。物によっては最近は三年ぐらいで陳腐化するわけです。特にコンピューター関係ともなりますと、三年たてば大体もう陳腐化というふうなことになってますが、予算の関係で当然やむを得ないと思いますけれども、依然として十年、ところによっては二十年前の設備がそのまま訓練用に使われておるというところが非常に多いわけですよね。しかし、そこで予算の点を考えますと、そう三年、五年で設備を更新して新しい訓練用の設備をといってもこれは不可能であろう、こう考えます。  そこで提案でありますけれども、最近、主要な機械といいますか、かなり高額な機械であってもリース制が非常に多いわけですね。だからリース制を採用していけば、限られた予算の中でいわば新しい技術に対応できるような設備を行って訓練ができるんではなかろうか、こんなことを考えておるんですが、そうなりますと予算決算及び会計令が非常に問題になってくる、こう思います。ところが、この予決令の中にこういう項目がありますね。随意契約の項目でありますが、随意契約第九十九条の四項に「予定賃借料の年額又は総額が 八十万円を超えない物件を借り入れるとき。」と、こういう項目がありますから、これらのところを拡大解釈をして何か暫定的に、あるいは除外してせめて職業訓練所のそのような設備等についてはリースをひとつ活用して、もっと有効な訓練ができないものであろうか、こう考えておるんですが、大臣どうお考えでありましょうか。
  209. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 技術革新の時代でございますから、そうした職業能力を付与することが非常に大事だというふうに考えますし、そのために前国会におきまして職業訓練法を職業能力開発促進法に改めたり、あるいは訓練基準を大幅に弾力化いたしまして、技能の変化等に対して柔軟に訓練が実施できるようにしたわけでございまして、今井上先生からの御指摘のように、設備等につきましてはNC旋盤でございますとかパソコン等の問題に関しまして、先端機器を中心としたリース制などを大いに活用したい、そういう御指摘のような形の中で時代に合った訓練が行き届くように今後とも努めたい、かように考えます。
  210. 井上計

    ○井上計君 ぜひ早急にそういう検討をしていただいて実施できるように、大臣、骨を折っていただきたい、こう思うんです。現実に聞いた問題でありますけれども、せっかく職業訓練所で半年間教育を受けた、訓練を受けた、ところがどこも採用する人がないんですね。というのは、職業訓練所で使った設備なんというのはどこにもないわけですよね。だから、全く本人も大変なむだ、あるいは国も大変なむだ、こういうケースが相当あるんではなかろうか、こう考えましたので、特にこのことを実は提案し要請したわけでありますが、ぜひひとつこれは大臣だけじゃありません、労働省全体の問題として、これについてはぜひともひとつお考えいただきたい、こう思いますが、まだ時間がありますけれども皆さんもお疲れでありますので私の質問を終わります。  そこで、訓練局長からどうお考えかひとつお聞かせをいただきたい、それで終わります。
  211. 野見山眞之

    政府委員野見山眞之君) 今基本的な方向につきましては大臣からお答え申し上げましたけれども、具体的には、例えば五十九年度には公共職業訓練の機器の整備で約五十六億ございますが、そのうち既に先端機器のリース八億九千万、約九億ぐらいこのリース制を入れております。今年度もそれを十億台に実は上げております。今後とも計画的に進めていきたい、かように考えております。
  212. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 きょうは特に遅くなりまして大変お気の毒な気もいたしますが、しばらく御辛抱をお願いいたしたいと思います。  山口労働大臣は日本の労働大臣であることは当然でありますが、特に沖縄の労働大臣ですよということをあらかじめ言いたいこの喜屋武の気持ちはもうお察したと思うんですが、といいますのは、それを明確にしておきませんと、短い時間でくどくど説明する時間もありませんし、ぴしゃり回答していただくためにはどうしても私はそれを確認しておきたい、こういう気持ちで申し上げるわけですが、念のために沖縄振興開発特別措置法の第三十八条に明確に位置づけられておりますね。「労働大臣は、沖縄の労働者の雇用を促進し、その職業の安定を図るため、沖縄県知事の意見をきいて、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする。」と、こう明確に位置づけられておりますね。  それで私は二、三質問いたしますが、もしすれ違いになりますとこれは空砲にしかなりませんので、ぴしゃりピントが合うためにそのことを一応位置づけたわけであります。  それで第一番目に聞きたいことは、総理府が最近沖縄県民の意識調査をしております。世論調査の結果をどのように受けとめておられるか、そのことを特に労働大臣立場から絞って述べていただきたいと思います。
  213. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 内閣官房広報室の「沖縄県民の意識に関する世論調査」等によりますと、沖縄で失業者が多い原因として「県内に働き口が少ない」、半数近くございまして、失業問題の解決策としては「県内の産業を振興し、雇用を促進する」ことが基本であると考えております。  また、沖縄県の産業振興の基本的方向につきましては、沖縄振興開発特別措置法に基づく第二次沖縄振興開発計画によって各種施策が実施されているところでございますが、労働省といたしましてもこうした施策と密接な連携を図りながら雇用失業情勢の改善に努めるべきであると考えておりますし、来週私もそういう現地の事情を一層認識をするために沖縄県にお邪魔する予定になっておるわけでもございます。
  214. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 失業率が高いという原因については、特に私が世論調査の反映として重視したいことは、注目したいことは、「県内に働き口が少ない」、これも世論に出ています。今度は、二つ目に「国や県の雇用対策が十分でない」という答えの比重が大きいです。三番目に行政側の進めている県外就職の促進、企業誘致による雇用促進、これは好んでいないようです。一番ポイントは、県内産業振興による雇用促進を第一に挙げた者が六割を占めておるんですね。このことが日本の労働大臣、わけても沖縄県の労働大臣としての、この世論をどう具体的に反映さしていただくかと、こういう観点から、それではこの声にこたえるために、要望にこたえるためにどういうことを考えておられるか、あるいはやってこられたかと、このことを簡単に聞きたいんですがね。  そのもう一つ裏づけに、沖縄の失業率がこの数年間、本土の二倍ないし三倍の、全国平均の率を占めてきておるということは御承知でありますね。そういう中で、さらに最近の傾向として若年層のたまりが多くなりつつあるんです。ところが、その多くたまっておる中でどういう傾向にあるかというと、現地就職を希望しておる新規学卒が七割を占めておるんですね。ところが、それにさらに失業率を高めておる条件に、本土に集団就職で来ておる若者が四年、五年の間にUターンが最近多くなっておるんですね。それがさらに混乱をさせておるわけなんです。  そこで、沖縄の現状で失業者もこのように若年層が多くなりますが、現状として常時雇用という形でなく、一時雇用、臨時雇用の形でふえてきておるんですね、臨時雇用の形で。それで、この臨時雇用を少しでも解消して若者に希望を与えるためにはどうすればよろしいか、その観点から、今申し上げたような点、はしょってひとつ具体的なお考え、あるいは進めてくださることを聞かしてもらいたい。
  215. 白井晋太郎

    政府委員白井晋太郎君) お答え申し上げます。  今先生からいろいろ御指摘ございましたが、非常に雇用失業情勢が厳しく、失業率が五・一%で、全国平均の二倍である、高い水準にある厳しい情勢であること、若年者対策が現状としては非常に必要になってきていること、御指摘のとおりでございます。  先ほど大臣が申し上げましたように、基本的には五十七年八月にできました第二次沖縄振興開発計画によりまして、この雇用失業情勢に対処した施策をいろいろと進めているところでございます。特に、沖縄県内におきます就職の促進、雇用の改善ということにつきましては、これも先ほど大臣が申し上げましたように、県内産業の振興ということが第一でございますが、これはまあ労働省だけではいかないことでございますけれども、全体の施策の中で労働省としても協力しながら進めていくということでございます。  さらに具体的には、このような情勢に対処しまして改善を図るために、沖縄関係失業者等に対しての就職促進手当を支給しながら積極的な職業指導、職業紹介を実施する、それから再就職の促進を図るための各種就職援護措置を、例えば、特定求職者雇用開発助成金、移転費、就業支度金等をもって対応するというような点、それから、若年失業者につきましては職場適応訓練等を実施するほか、学卒就職予定者に対する進路指導、職業指 導の充実等を図っているところでございます。  若年の定着の問題が出てまいりましたが、先般東京におきまして、関東近辺の沖縄御出身の若い就職された皆様方に、沖縄県それからこの近辺の各都道府県、それから労働省が主催いたしましてこれらの方々の沖縄県人会全体での定着の促進、それからいろいろふるさとを離れての相談等についてのPR等を行ったところでございます。  それから、それらに付随しまして、昭和六十年度からは沖縄県におきましては雇用機会の拡大を図るために、従来は那覇の安定所管内のみであったわけでございますが、市町村等の協力を得て地域の特性や民間の活力を生かした雇用開発を推進することを目的とした、雇用開発推進事業を特例として沖縄県におきましては全域に拡大いたしまして、雇用促進給付金を一層効果的に活用する等の地元雇用の促進を図ることといたしているわけでございます。今後ともこれらの施策の活用を図りながら、沖縄県における雇用失業情勢の改善に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 抜本的には二つあると思います。沖縄の開発をもっと量的にも質的にも広げていく中からこれが吸い上げられていくという点と、現状は非常に零細規模であるためにいわゆる雇用保険の適用、雇用保険というものが労働者の福祉と身分を守っていく制度であるわけですが、それさえも果たし切れぬような零細企業が、事業所があるためにますます落ちこぼれてくる、こういうことになるんですね。ですから、そういうことを抜本的に検討してもらわぬというと、部分修正をしただけでは救われないということを強く申し上げておきます。  次に、数年来もたもたしておる沖縄のバスの合併の問題、このことは、まず前提にしてもらわぬといかぬ。沖縄には国鉄、私鉄がない。そうして交通機関としてはバスとタクシー以外にはないというこの特殊事情、これを抜きにしては沖縄の交通問題はすれ違いにしかならない。そういう情勢の中で、労使の間でもう数年来トラブルが起こって合併問題をめぐって今日まで引きずってきたわけですが、ところが今度の七月にバス統合に踏み切ったと、いわゆる労使の話し合いと県の三者の話し合いができて、さらにそれに国も加わって一応組合が納得したという裏には、国と県は責任を持って労働者の三百五十名の解雇について離職者の対策をいち早く講ずると、こういう条件を設定をして組合が納得したいきさつがあるわけなんですね。ところが、いまだにその対策本部ができたのかできぬのであるかあいまいになっておるわけですが、その点まずお聞きしたいということと、それから三百五十名の離職者の対策はどのように考えておられるかということをまず聞きたい。
  217. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) お答え申し上げます。  沖縄バスの統合計画につきましては、先生指摘のとおり、七月三十一日に一応の労使及び関係者の基本的な合意ができたわけでございますが、現時点におきましては、その後、合併する予定であった両バス会社間の話し合いがなかなか進展を見ないということで、年末も押し迫っておりますし、年末の手当の問題等もございまして、十一月末をめどに両社が合意しないかということで関係者の間で促進が図られているところでございますが、きょう現在のところはまだ合併の合意が成立していない状態でございまして、御指摘のバス離職者対策協議会につきましては、沖縄県の副知事を本部長といたしまして、関係行政機関等で設置する準備は十分整えておるわけでございますが、肝心の本体の合併問題の帰趨がはっきりいたしませんので現在まだ設置されておりませんが、いつでも設置できる態勢は整っておる次第でございます。  それから二番目の離職者問題につきましては、まず第一義的には、離職者を出した企業自体が、あるいは関連の融資銀行等も含めまして関連企業等でまず自主的な努力で解決が望まれるところでございますが、沖縄では厳しい失業情勢にございますので、なかなか再就職の困難が予想されますので、労働省としましても関係行政機関と密接な連絡をとりながら、また県のバス離職者対策協議会とも連携をとって、個々の離職者の特性と規模に見合った再就職が図られるよう対応していきたいということで、先般も担当の室長を現地へ派遣して準備を整えておるところでございます。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一般論では片づきませんよ、すれ違いでは困りますよと、私前置きしたのはそれなんですよ。一般論で言うならば、これは労使の問題である。だが、沖縄のこのバス問題は、いきさつをもう数年も引きずって問題を起こしてきておる。それが大きな社会問題になって、教育関係、学校、小・中・高校にも重大な影響を及ぼしてきておる、大混乱をいたしてきた、今に始まったことでない。それを労使の問題という限りにおいてはこれは解決はできない。解決しなければいけない、これは国の至上課題でもあるし、責任でもあると私は思うんですよ。それで、割って入って推進してしりをたたいてもらう時期に来ておる。そういう前提で労使が三百五十名の首切りもやむを得ぬと歩み寄って、組合が一応納得した。それはいち早く対策本部をつくると、県と国の話し合いによって、こういういきさつがあるんですよ。だから、できるまではといって待ったらこれがまたよりが戻るかもしれない。そうすると迷惑をするのは県民、大衆である。そしてわけても学童、教育関係ですね、だけでもありませんが、とにかく足を奪われておる、こういう状態を日和見で、おぜん立てをしてきたら何とかしてやろうというようなこういう逃げ腰ではいけませんよ。それをぜひひとつ積極的にどうしておるのか、どうしておるのか、つついてしりをたたいて前進をしてもらわなければ、この三百五十名の解雇は一体どうなりますか。それについては、だから答えが出るまではまだ具体的には触れておられぬということでしょう、この解雇の問題についても。それなんですよ、言いたいことは。それでそのことを強く要望して、大臣、今のことをもうあしたからでもこの問題に取り組んで促進する、こういう意気込みを持っていただきたいということと、最後にこれはお耳にだけ入れておきます。  沖縄の労働者の特性というのは、基地労働者、駐留軍の基地の中で働いておる一種の種類がありますね、間接雇用四種ですね、その四種の間接雇用の労働者の中で理容師、いわゆる床屋さんですね、理容師が通行証を取り上げられて、雇用はその事業主ですよ、パス券を取り上げたのは軍なんですよ。取り上げて、そうしたらパス券がないものだから、そこにあしたから基地内に入ることができない、入ることができぬで休まざるを得ない。どういう理由でそのパス券を取ったか理由を言え、返せ返せともう一カ年近く、これも二月二十三日だったと思うんですが、今日まで引きずっておるんですよ。そしてその雇用主は、あなた方は仕事に来ないからもうやめてもらおうと解雇を宣言しておるんです。パス券は軍が取り上げた、解雇はその雇用主がやったわけね。それが今やっさもっさして、これが最近県議会でこれは人権問題である、前近代的な今状況でしょう、沖縄では。それを県議会で取り上げて、それで解雇者中四名ですよ、四名を中心に今国にも訴えてきておるんです。国に要請をしておりますが、国の窓口が、労働省に行けば違う、施設庁に行けば違う、外務省に行げば違う、こういう格好で押し合いへし合いをしておる。それで私は沖特委で、窓口は開発庁だから長官この要請書は一体どこで受け付けてどこで処理するのか、それを決めてくれ、こう先般要望して、じゃ話し合って窓口を決めますということは、開発庁長官ですね、河本長官が返事された事態です。ところがその窓口が決まったかどうか、このいきさつは沖特において開発庁長官との答え待ちがありますので、そのお尋ねは沖特でやろうと思うのですが、山口大臣はそのこともわかっておられるかどうか、そのことと、さきの要望に答えていただいて私の質問を終わります。
  219. 山口敏夫

    国務大臣山口敏夫君) 先ほどのバスの問題でございますけれども、やはり第一義的には企業の 自主努力ということでございますけれども、厳しい先生からも御指摘の雇用情勢でございます。労働省といたしましても関係省庁と緊密な連絡をとりながら、雇用の確保のために最善の取り組みをしなければならない、かように考えております。  また最後の御質問の問題につきましては沖縄開発庁とも十分連絡をとりながら問題をひとつ認識し、進めていきたいというふうに思います。いずれにいたしましても、私来週沖縄に参りますので、先生からの御質問いただいた問題点も十分踏まえて、地元でさらに実情を十分承りまして、労働大臣としても最善の努力をいたしたい、かように考えております。
  220. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 他に御発言もないようですから、労働省決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る十二月九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会      ―――――・―――――