○国務大臣(木部佳昭君) 今、
岩動先生から財政法その他、みずからが戦後の財政法のあり方の骨格をつくるために参画されたというような貴重な体験を交えての見識の高い御意見でございまして、非常に感銘をいたしておるものでございます。
今私どもは内需の拡大、それから円が高くなりましてある意味ではほっとしておるような、そういう率直な感じでございますけれども、これから中小企業が受ける大きな影響というようなものを考えてまいりましても、公共
事業を促進することによって内需の拡大を図るということは非常に今国策として私どもは真剣に考え取り組んでいかなきゃならぬと思います。そこで十月の十五日にも、御承知のとおり、
住宅建設を柱にいたしまして三兆一千億に及ぶ内需の拡大の具体的な公共
事業の追加ということを政府も決定をいたしたわけでございます。私から今さら申し上げる必要もありませんが、道路を
一つとってみましても、私どもは
欧米諸国に比較をいたしまして半分程度やっとという状態でございます。今御
指摘のありましたように、下水道であるとかそれから都市の再開発とか、また公園まで含めてでございましょうが、我々の生活
環境というようなものを考えてまいりましても、
欧米諸国と比較すると非常に公共社会資本の充実というものは立ちおくれていることは御承知のとおりでございます。
そういう意味で、私どもはこうした日本の
産業構造また
産業のあり方というものを考えてみましても、最近は非常に大きな変化を御承知のとおりいたしております。高度成長の時代には油をたくさん使って電力をたくさん使って鉄をたくさん使う、そういうふうな
産業で日本は高度成長期の坂を乗り越えたわけでございますが、今高度成長にさよならをして、そして安定成長をいかにして今申し上げるように維持するかということが政治の大きな使命でありますが、今申し上げますように、非常に
産業構造が大変な大きな変化を来しておる。ですから、例えば東京とか大阪とかというようなところは景気の面を見てまいりましてもやや安定いたしておりますけれども、東北六県とかまた
北海道とか九州とかというようなところは非常に景気の問題、また
産業構造の問題に対しても問題があり、景気がやや、まあマイナス面に今いってませんけれども、横ばい状態であるというように私どもは認識をいたしております。
そういうふうなことをいろいろ考えてまいりますと、こういうことにこそやはり建設国債を発行して、そういうことによって社会資本を充実して、そして子孫のためにストックを積み上げるということは非常に大事なことだというふうに、御
指摘いただきましたように、私も基本的な考え方は同感でございますけれども、今御承知のとおり国債が百三十三兆にもなんなんといたしておるというようなときでございますし、そういう意味を考えてまいりますと、この建設国債の発行というものは財政運営全体の問題でもあり、また私ども予算編成を通じてこの厳しい中にも社会資本の充実、そして国土の均衡ある発展というものが非常に大事な我々建設行政の使命でございますが、そうした点等十分認識をしながらまだ勘案しながら、この社会資本充実に工夫を凝らしながら前向きで努力をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
答弁が長くなって恐縮でございますが、時間もありませんから民活の問題につきまして今御
質問がございましたが、今申し上げますように、私どもは内需の拡大を図り、そして公共
事業の分野において何としても、こういう厳しいときでございいますから、私はある意味では車の両輪でありまして、公共
事業その他について非常に厳しい中でございますが、一方では公共
事業を傾斜配分をしながら、一方では都市部なんかについては民間活力を大いに推進することによってこれが車の両輪で、それでしかも安全運転で、そして物価が上昇しないように私どもは安全運転をしながらこの社会資本の充実のために最善の努力を尽くさしていただこうと、そういうふうなことで、今さら私が申し上げる必要もありませんが、この民活法の原理というものは民間の資本力や
経済能力、これを活用さしていただくと同時に、
事業の促進に当たりましては民間の英知を、また技術的な援助をいただくことによって効率的な実施を図ると、そういうふうなことによって、先ほど来申し上げておりますように、社会資本の
整備に大いに役立たしていただこうと、こういう基本的な考え方でございます。したがって、民活の基本は今申し上げましたように民活法の理念というものは民間の皆さん方の
経済的支援、
経済的協力、そしてまた今技術の革新時代でございますから、新しいいろいろな技術を民間の英知を結集したものも促進することによって、例えば比較的大きな有料道路
事業であるとか、それからまた我々の生活周辺に一番
関係のある良好な町づくり、それからそれには下水道であるとか都市の再開発とか、そういう問題について民間活力を導入して実行いたしてまいりたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
その際には何といっても一番大事な問題は、この民活法によって大きな公共
事業その他を
事業化を進めてまいる場合に一番大事な問題は、何といっても利子を非課税にしていただいて、そして私どもは特定公共
事業債という、そういうふうなことを申し上げておりますけれども、そうした税制上の問題、それから財政上の援助というものがやはりなければならないと、そういうふうに考えておるわけでございます。そういうことによりまして、皆さん方の
経済的支援、資本に対する協力、それから
事業の効率的、効果的な促進、それからまた関連の
地域の均衡のある開発、そういうような問題が総合的に進められて、均衡のとれた国土の発展ということが非常に大事な問題である、そういうふうに考えておるわけでございます。
岩動先生は長い間財政の立場にありまして非常な見識を持っておられますので、こうした民活法の法案等につきましても我々に対して御
指導、御
鞭撻をいただくということは大変ありがたいことであり、お願いを申し上げたいと考えておる次第でございます。先ほど来申し上げておりますように、私どもはこういう財政の厳しい中でございますが、一方では一般公共
事業を拡大するために予算編成に当たって最大限の努力をし、一方では民活法の制定によって、そして車の両輪のようにこれが稼働することによって安全運転であり、そして内需の拡大であり、これが今国際的にも我々がこたえていかなきゃならぬそうした大きな施策に貢献できるようによろしく御
指導、御
鞭撻を心からお願い申し上げまして、長くなりましたけれどもお答えにさしていただきます。