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説明員(吉川淳君) それでは、アクションプログラムの実施状況を先に御
説明いたしたいと思います。
アクションプログラムの実施につきましては、政府内にこのアクションプログラムの実行推進のための
委員会をつくっておりまして、官房長官が長でございますが、各省の次官をメンバーといたしまして
委員会をつくっておりまして、常時実施状況につきましてチェックしてまいっておるところでございます。七月末の決定以来三度ばかりこの
委員会を開いておりまして、きょうの御報告はそのうちの一番最近の時点の
委員会での実施状況のチェックということで、十月末現在ということで御報告申し上げたいと思います。アクションプログラムは非常に多岐にわたっておりまして、全体を、ある
意味ではきのうもきょうも進んでおるかもしれませんけれ
ども、やや、そういうことで時期を決めてその時点でチェックしてございますので、本日の時点で十日ぐらいあるいはそのタイムラグがございますかもしれませんけれ
ども、それについてはお許しを願いたいと存じます。
ちょっとお手元にパンフレットのようなものをお配りしてございまして、そこにアクションプログラムの概要を整理してございますので御参考にしていただければと存じますが、一番初めは
関税の
分野でございます。
関税の
分野につきましては、新ラウンドの推進のための交渉目標といったこと、それから
関税の撤廃、引き下げ、さらには特恵
関税制度の改善等がございますけれ
ども、目下力を入れて実施のために作業しておりますのは
関税の撤廃、引き下げに関する件でございます。
アクションプログラムによりますと、個別撤廃、引き下げ
品目といたしまして七十二
品目、それからさらに原則二〇%の
関税引き下げを行う
品目として千七百九十三
品目、合計千八百五十三
品目を決定してございます。
これにつきまして、原則として六十一年のできるだけ早い時期に引き下げを行うということをしておりましたが、これにつきまして六十一年でも一番早い時期ということで一月の初めからやりたいということで、十月二十四日に開催されました
関税率審
議会にこの件をお諮りいたしまして答申をちょうだいしてございます。目下それに基づきまして作業中でございますが、千八百五十三
品目のうちワイン関係の四
品目は再来年の四月の実施となっておりますので、作業上はこれを除きました千八百四十九
品目につきましての作業をしておるところでございます。なお、これは本臨時国会にも御提出申し上げまして御審議をちょうだいしたいと思っておるところでございます。
それから、二番目は
輸入制限の問題でございますけれ
ども、アクションプログラムにおきましては、農産品につきましては、ガット等の交渉を踏まえながら
我が国の農水産業の実情にも配慮しつつ、国際的動向に即した
市場アクセスの改善に努めるということになっておりまして、本件につきましてはそのうち十三
品目が
アメリカとの協定で決まっておるものでございますが、これが来春には期限切れとなる予定でございます。したがいまして、
アメリカ側から本件につきまして話し合いを開始したいという
提案はございますが、
日本側といたしましては、その協議に先立って予備約話し合いに入りたいということで
アメリカに回答しておるところでございます。
それから、
輸入制限品目のうち鉱工業品につきましては、皮革及び革靴の
輸入数量制限でございますけれ
ども、ガットの場で適切に対処するということでございまして、これにつきましては、既にガットに対しましてこの件につきましての交渉と申しますか、そういうことにつきまして申し入れを行っておるところでございます。
それから、三番目の
分野が基準・認証、
輸入プロセスに関するものでございます。
これにつきましては、基準・認証、
輸入プロセスの改善につきまして五つぐらいの大きな項目がございます。政府
介入の縮小、特に自己認証制度の拡充、それから外国検査データの受け入れ及び外国検査機関の積極的活用、
政策決定における透明性の確保ということで外国の関係者の
意見を反映させるということ、それから国際基準への整合化、そして
最後に
輸入手続の簡素化、迅速化でございます。
これにつきましては、アクションプログラムにおきまして合計八十八項目の改善措置を決めておるところでございますが、現時点におきましての整理で申しますと、八十八項目のうち二十六項目、全体の三割に当たりますが、につきまして既に実施済みでございます。残りの六十二項目につきましてなお作業中ということでございます。
それから、本件に関しましては幾つか法律事項がございまして、特に自己認証制度の導入を中心に
四つの法律の改正がございます。
一つは消費生活用製品安全法、消防法、ガス事業法、電波法の
四つでございます。これにつきましては、いわゆる規制緩和関係の一括法案ということの中にこれを組み入れまして御審議をお願いしておるところでございます。
それから、その他各省に基準・認証の実際にやられておる状況につきまして、査察官にその状況を査察させ、そして指導を行わせるということでございまして、この件につきましては各省で既に査察官の方がその方針に沿いまして指導等をやっておりますところでございます。
それから、次の
分野は政府調達でございますが、政府調達につきましてはいわゆる契約手続の改善を含めまして、既に決定事項すべてにつきまして本年の十月一日から全項目につきまして実施済みでございます。
それから、金融
資本市場に関しましては、これは八項目が決定になっておりまして、預金
金利の自由化に始まりまして、債券先物
市場の創設、
国内における債券発行
市場の整備、証券会社による円建てBAの流通の取り扱い、外銀の信託参入、東京証券取引所会員権の拡大、ユーロ円債等の発行の弾力化、金融自由化の環境整備の八項目でございます。
このうち既に四項目ばかりが実施されておりまして、
一つは九月に東証の正会員の定数枠の拡大をやっております。それから十月に入りましていわゆる大口の定期預金の自由化、単位十億円以上でございますけれ
ども、自由化が実施になってございます。それから十月の中旬に債券先物
市場が発足してございます。それから外銀の信託参入につきましても、既に二行につきまして営業免許が与えられております。
それから、
最後がサービス、
輸入促進の
分野でございます。
これは非常に多岐にわたっておりまして、かいつまんで申し上げたいと存じますが、まずサービス
分野につきましては、外国弁護士の問題につきまして、次期の通常国会への法律改正を目途といたしまして、法務省、日弁連の間及びそれに
アメリカ側等も加わりまして詰めの作業がなお続いておるところでございます。
それから、サービスの中でやはり法律項目がございまして、航空法の改正というのがございます。これは航空機関士を乗り組ませなければならない航空機の範囲についての規制緩和でございまして、これも先ほど申し上げました規制緩和一括法の中でお願いしておるところでございます。
それから、その他不正商品の取り締まりというのがございまして、これは警察庁の方で本年の十月を不正商品取り締まり等の
強化月間といたしまして取り締まり
強化に努めたということで、検挙、逮捕等も出ておるようでございます。
それから、
輸入促進につきましては、本年十月と十一月を全国的規模での
輸入拡大月間といたしまして、インポートバザールを始めまして、全国約千カ所におきまして
輸入品バザールを実施中でございます。このうち四百ばかりは既に実施済みということでございます。
それから、
輸入金融の方で、財政投融資
金利が十月に引き下げになりましたので、製品
輸入金融につきまして行っております輸銀の貸し付けの
金利を下げております。
それから、投資の促進ということで、開発銀行におきます対日投資促進の融資の
金利も同様に引き下げを行っておるところでございます。
以上がほぼ概要でございますが、なお、アクションプログラムにつきましては、これは実施という中に入るかどうかあれでございますけれ
ども、非常に広範かつやや専門的
分野にわたる面もございまして、七月以降これは内外に対しまして精力的なPR活動をやっておりまして、PR活動が進行するにつれましてこのアクションプログラムに対する評価が高まっておるというふうに感じておるところでございます。本件につきましては、なお実施及びこの広報活動を引き続き努めてまいりたいと思っております。
それから、内需拡大の対策でございますが、これもお手元に十月十五日に決定になりました対策をお届けしてあるかと思いますけれ
ども、本件はそもそもは
対外経済問題諮問
委員会におきまして四月に
報告書が出されまして、それ以来の
課題となっておったものでございまして、アクションプログラムの策定当時にも
総理の方から引き続いて内需拡大に取り組むという宣言をされておりまして、それを受けまして採用してまいったものでございます。
考え方といたしましては、
経済の拡大
均衡を通じて
経済摩擦の解消に資するということで、アクションプログラムそれからG5以後の円高の定着、そしてこの内需拡大策と、いわば三位一体の形で
対外不
均衡是正に取り組んでまいりたいということの一環でございます。
本件につきましては、大きく二つの対策に分かれてございまして、「当面早急に実施する対策」と、それから「今後推進する対策」ということでございます。ややその時間的な面を考えておりまして、前者が名前どおり当面の対策ということで、要すれば
年度内といったことで考えておるわけでございます。
この「当面早急に実施する対策」も
四つの柱がございまして、「
民間住宅投資・都市開発の促進」が最初の柱でございます。それからあと「
民間設備投資の促進」、それから「個人消費の喚起」、「公共事業の拡大」と
四つの柱になっております。
最初の住宅投資、都市開発の関係でございます。ややこの
分野が
一つの目玉かと存じますけれ
ども、これにつきましては五本ばかり考えでございます。これも今、国会での御審議をお願いしておるところでございますけれ
ども、住宅金融公庫の貸し付けにつきまして、特別割り増し貸付制度というのを導入したいと思っておりまして、これはこれまでの貸付枠とは別途に名前どおり特別の貸付枠をつくるものでございます。これによりまして、個々の住宅投資をやりたい方の投資の懐を深くするといいますか、そういうことで増額してまいりたいということでございます。それからさらに、戸数の増加ということで、これは約二万戸ばかりの追加を行いたいといったことで、全体の事業規模としては五千億円程度を考えておるところでございます。これはもし国会の方で御承認をいただけをしたら、早速下期の受け付け期間を三月までずっと続けてやることになっておりまして、すぐに実施に入りたいということでございます。
それから、「宅地開発の円滑化」、「都市開発の促進」、この辺は規制緩和の
案件でございまして、それぞれ規制緩和をやることによりまして、宅地開発の円滑化、都市開発の促進に努めたいということでございます。
それから、「国公有地等の有効活用」というのがございまして、これはその
数字といたしましては六十
年度内で国有地六十九件、それから国鉄用地二件の処分の予定が決まっておりまして、この処分を進めてまいりたいということでございます。その他国公有地の活用を条件といたしました整備事業の活用もあるわけでございます。
それから、これは新しいネットの住宅投資ということじゃないわけでございますけれ
ども、最近増改築等リフォームの促進につきましての需要が上がってきておりますので、こういう増改築等リフォームの促進ということも掲げてございます。
それから、「
民間設備投資の促進」につきましては、特に電気事業及びガス事業につきまして追加投資をお願いしたいということで、六十三年までの間でございますが、一兆円程度の追加をお願いしておるところでございます。
それから、その他
日本開発銀行の融資の活用、それから十月に発足いたしました基盤技術研究促進センターの活用等がございます。
それから
三つ目の柱、「個人消費の喚起」でございますが、本件につきましては特に摩擦等との関係ではカラーテレビ、自動車についての割賦販売標準条件の緩和があるかと存じます。特に自動車につきましては今回割賦販売標準条件をすべて撤廃するということにいたしております。したがいまして、これまで要求されておりました頭金とかそういったものの要求がなくなるわけでございます。
輸入車などは非常に頭金が大きいというふうなこともございまして、この辺が効果があればと思っておるところでございます。
それから、「公共事業の拡大」でございますが、公共事業は四件ございまして、一般公共事業についての国庫債務負担行為による増加、それから財投の追加により事業を進捗する公団等への財投の追加、それから災害復旧工事の実施、それからさらに、地方単独事業におきまして地方債の活用によります下水道等の事業の実施ということでございまして、どれが総額一兆八千億円ということになっております。
それから、残りのといいますか、第二部の方が「今後推進する対策」でございまして、これは柱が
四つございます。「公共的事業
分野への
民間活力の導入」、「規制緩和」、「週休二日制の拡大」、「国公有地等の有効活用」でございます。
これは当面実施するべきものもございますが、おおむねやや中期的に着実に実施していかなければならないという種類のものでございまして、「公共的事業
分野への
民間活力の導入」につきましては、立法措置を含めまして事業の効率的かつ円滑な実施を図るための所要の環境の整備を引き続きやっていくということでございます。
それから、「規制緩和」につきましては、九月の閣議決定におきまして二百五十項目ばかりの規制緩和の項目が決まってございますが、そのうち特に内需拡大と関係がありそうなもの等につきまして三十数項目ばかり選んでおるのが別紙のものでございます。このうち一都は規制緩和一括法律案に載っていくものかと思いますが、また一部は今後さらに着実に措置を実施していくというものでございます。
それから、「週休二日制の拡大」でございますけれ
ども、これにつきましては目標を掲げてございまして、今後五年間に週休日等の年間休日日数が十日程度増加することを目指すということでございまして、それによりまして、年間の休日日数におきまして欧米主要国に近づけたいということでございます。
それから
最後が、先ほどの当面の措置に載ってございませんでした「国公有地等の有効活用」でございます。これは土地委託制度の導入等の問題がございます。
今回の対策につきましてどういう効果があるかという御質問がよくございますのでコメントさせていただきたいと存じますが、以上のような対策の中で割合数量化になじむといいますか、ある程度効果を図る手法がございまして、楽ではあってもある程度前提条件を置けば何とか計算ができそうだというものがございます。そういうものにつきまして
数字を足しますと、事業規模で先ほどの例えば公共事業の拡大とか、それから住宅投資の追加とかでございますけれ
ども、おおむね三兆一千億円程度の事業規模になるのではないかと存じます。
ただ、これをいわゆるGNPベースに証します際には、土地取得などはGNPベースに乗りませんので、そういうものを
修正いたしまして、さらにこれがまた波及効果というものもございますので、そういうことを考えまして、ほぼ今後一年間ぐらいの間にこれが四兆一千億円程度のGNPの増加になるのではないか、これは名目でございますけれ
ども、そういうふうな計算をしてございます。
それから、
輸入への効果でございますけれ
ども、こちらの方になりますともっといろいろな前提条件というものが加わってまいりますし、例えば、現に円高の影響等も入ってまいりますのでなかなか難しゅうございます。そういう他の条件をやや変化なしというふうなことで、これもラフな計算でございますけれ
ども、一年間の
輸入増加額としては二十億
ドル前後かなというふうな計算を
経済企画庁の方でやっておるところでございます。
以上でございます。