○工藤万
砂美君 説明会や懇談会の中で、
反対派の方もいらっしゃったかもしれないといったような想定でのお話でございますけれ
ども、たまたまきのうも私は札幌で
成松町長とも会っていろいろ聞きました。ぜひ会いたいということで
反対派の酪農民の
方々とお会いしたそうでございますけれ
ども、
地元の
幌延町の方は一人もいらっしゃらない。みんな他市町村からお出かけをいただいた酪農民の
方々ばかりらしゅうございましたけれ
ども、説明をしようと思ってもがんがんどなりたてるばかりでもって話を聞いてくれない。どうしてもっと私にじっくり話をさせてくれないのですかというような話までしたそうですけれ
ども、一方的に話をされて、
反対だ
反対だということで終わってしまった。そういうようなお話し合いあるいは説明会というものが今まで私はあったような気がするわけでございますけれ
ども、そういうことではなしに、できるだけ親切、丁寧に
反対派の
方々とあくまでもひざを交えてお話しをする、そして
理解を深めていただくということについての
努力を私はしていくべきだなと思うわけでございます。
そこで、私は
横路知事の
調査の拒否回答というものを見ますと、まことに微妙な
内容であります。特に文面の中で地域のコンセンサスも得ていないのでといったようなことがやはり理由の一つになっておるわけでございますけれ
ども、これは逆に
反対派の
方々をいろいろ説得をしまして御
理解を得た場合には、逆に地域のコンセンサスを得たことになるわけでございますから、そういう場合はやむを得ないといったような受けとめ方も逆にできるわけでありますから、私は政府も
動燃も最大の
努力をしてきたと
理解はしている次第でございます。
ただ私は、諸外国の研究の実態を見て、
現地の
住民のこの問題に対する受けとめ方に大きな違いがあると実は思っておるわけでございます。私は、
調査に参りましたときには本当にこの核廃棄物というものの処置について非常に危険なものであるし、
北海道で例えばそういう工学センターをつくるとか、あるいはまた
調査をするということ
自体にも危険なものであれば、私自身が
反対しようという白紙の状態で実は行ったわけでございますけれ
ども、一般に流布されている、
知事さんが言うなれば外国を視察して帰って後のPRの仕方とかあるいはマスコミがとらまえている報道についてはかなり差異があるように実は受けとめたわけでございます。と申しますことは、ワシントン州に参りましたらば、ワシントン州の
知事が、これは連邦政府に対して
反対であるという訴訟を起こしているといったようなPRが一時なされました。で、受けとめる側といたしましては、科学技術の進歩をした、しかもその
原子力利用の問題については、先端を行くアメリカでさえワシントン州で連邦政府に対して訴訟を起こしているではないか、
反対だと、こういうようなニュアンスで流布されているわけでございますけれ
ども、実態は全く違いまして、ワシントン州の
知事と直接会っての話でございますからこれは間違いございませんが、私
どもワシントン州といたしましてはこれに対しましては訴訟を起こした事実は全くありませんと、はっきりとそういう回答をしております。ただ問題は、危険なものであるということの事実は事実でありますから、連邦政府に対しまして言うなれば提議をしておりますと。その
内容というのは、まず第一に安全
確保を主体とすること。これは当然であります。第二番目は、この核廃棄物を処理をしようというハンフォード地域は、全米の中で最も適切であるといったような証左をいただきたい。それから三点目は、地域の
住民のコンセンサスを得てやってもらいたい。この三つであります。
これは当然のことでありまするし、日本においても当然これが中心になるわけでございますけれ
ども、そういうことが、ややもすれば日本へ来ますると、
反対であるから訴訟を起こしているんだと、こういうようなふうに受けとめられている節がありますので、それはひとつ、やはり政府の方としても
考えてPRしなければならぬと思いますのと、それから日本では、三十年ないし五十年間貯蔵をして、その有効利用とかあるいは
調査とかあるいは研究をするという計画でありますけれ
ども、アメリカは様式が違いますね、御案内のように。日本では、再処理をして、しかも三十年、五十年貯蔵するわけでございますけれ
ども、アメリカは使用済み燃料というものを再処理もしないでいきなり深地層の中に埋めてしまう、そういう方式でございます。でありますから、その方式をそのまま聞いてまいりますと、いわゆる環境
調査も十分やるんでしょうけれ
ども、いきなり例えば日本においても土中に埋めてしまう、こういうような
認識を持たれているということも、実は私は違いがあるなというふうにも受けとめてきたわけでございます。
さらにまた、ペンシルバニア大学のロイ教授に会いましていろんな話を聞いたわけでございますけれ
ども、日本でも、あるいは
北海道でもガラス固化という問題については完全なものではないといったような、そういう報道がなされているわけであります。したがいまして、ロイ教授に直接会ってお話を聞きまして、あなたはそういうことをおっしゃいましたかという話をしたら、私はそんな話をしたことはありませんと。ただ、要望はしたことがございます。それはどういうことかというと、このガラス固化という問題と、それからセメント固化という問題とセラミック固化という問題と、三つの方法を実は研究をいたしましたと。この三つの方法はいずれも安全であるということの確認をされました。しかし、セラミック固化とかあるいはまたセメント固化というものは非常に安くつくというんですね、製作原価が。まあしかし、硼珪酸ガラスに閉じ込めるということは非常に高くつくので、これは国家的に不経済ではないか。なぜ政府はこのガラス固化ということに決めたのかということについて不満を漏らしたと、そういうことであります。
したがいまして、アメリカの私はエネルギー庁に行きまして聞きましたが、アメリカでは、そういう大事な廃棄物の固化という問題については、安くやるということになると企業的なベースで採算がとれない。まあしかし、ガラス固化であるならば製作
自体に、企業として成り立つ、それから扱い方も非常にたやすいという、そういう問題でガラス固化に決めたんです、こうエネルギー相も言っておりましたけれ
ども、ロイさんも、そういうことで不満であるということは申したけれ
ども、安全については全く問題がない、こういうようなことも言われたわけでございます。しかしそれが一たん日本へ帰ってまいりますと、ガラス固化もどうも完全ではないといったような、そういうPRがなされる、そういうようなことであります。その辺の違い。
それからまた、フランスのカスタン
委員会でいろんな話を聞きましたけれ
ども、これは横路さんがお
伺いをして、いろんなことで
調査をしていきました。熱心に
質問も受けました。我々もこれに対しまして熱心に説明をいたしましたけれ
ども、非常に
横路知事さんも、ああこれで十分わかったと、安心しましたといって感謝をして帰られた。そんなフランスでのことが全く日本には伝えられてないといったようなことも違いの一つでありまするし、また私は、ラアーグの研究所のすぐそばの海岸、これは御案内のように戦時中、大戦でノルマンジー作戦が行われたあの海岸でございますけれ
ども、海岸のすぐそばに実はこのラアーグの研究所があるわけでございます。そのラアーグの研究所で言っておりましたけれ
ども、日本から実はカキの稚貝を大変たくさん輸入をしておるというんですよ。その研究所のすぐそばの海岸でこれを養殖をしておる。私もその海岸から出ました生カキを腹いっぱいたくさんごちそうになってきましたけれ
ども、漁民の
方々はもっともっと日本から稚貝をたくさん輸出するように帰ったら話をしてくださいと、こういうような話を私もされてまいったわけでございまして、漁民の
方々も全くもって政府の施策については安心をして何のトラブルもないと、こういうようなことを実はおっしゃっておりました。これはそういう問題も漁民の
方々にはお知らせする必要あるなというふうにも感ずるわけでございます。
さらにまた、ベルギーのモル研究所へ参りまして、モル研究所の
施設の数百メートルのところに大酪農地帯がございます。まあ酪農民の
方々も国の
方針というものを信頼して一度も実は問題を起こしたことない。問題があったとするならば、御承知のようなグリーンピースが来まして、三日ですか、四日ですか、マイクでもってぎゃんぎゃんがなり立てていった程度である。そんなようなことで、ベルギーは御案内のように
北海道の面積の三分の一ぐらいで、人口も大体一千二百万程度でございますから
北海道とちょっと似ている感じがするわけでございますけれ
ども、いずれにいたしましても酪農民の
方々もこれに対しましては非常に
協力的であるし、何の不安もないということであるわけでございます。
そこで、各
施設の研究所の結論は、放射能そのものは三十年間の貯蔵で十分の一に減ってしまうんだと、ましてや日本のように五十年間も三十年間も貯蔵するということになれば、最終的には放射能というものはほとんどなくなってしまうんで一番いい方法であるな、こういうような意見を実は申し述べておりましたし、それから深地層に埋める超元素、これらについても、我々は千年後、そしてまた二千年後を心配をしているわけでございますけれ
ども、この超元素にいたしましても、いろんな、地球が崩壊するということになれば別であるけれ
ども、五千年単位で、五千年で大体最大限動いても、動いても五センチだというんですよね、五センチ。だから五十万年にその計算でいきますと最大限動いても五メートルだと、こういうような研究ができておるんですと、こういうようなことを実は申しておったわけでございます。
したがいまして、これらの研究の成果というものを十分
理解をしてもらう作業を積極的に行わなければならないと思うわけでございます。
そこで、これらのPRをいたしますと必ず出てくる反応は、
貯蔵工学センターを設置した場合、高
レベル廃棄物の最終処分地になるというような受けとめ方をされて
反対運動に拍車をかけることになるわけでありまするし、また核のごみ捨て場なんというようなイメージを与えますので、最終処分地との
関係というものは一体どうなるのか、それからまた、今私が申し上げたような諸外国の例というものをもっともっと地域
住民の
方々にPRをしていただく必要があると、かように申し上げたいわけでございますけれ
ども、その最終処分地の
関係は一体どうなるんですか、その辺を
お答え願いたいと思います。