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1985-10-28 第103回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 天野 光晴君    理事 大西 正男君 理事 小泉純一郎君    理事 橋本龍太郎君 理事 原田昇左右君    理事 三原 朝雄君 理事 稲葉 誠一君    理事 岡田 利春君 理事 二見 伸明君    理事 吉田 之久君       相沢 英之君    伊藤宗一郎君       石原慎太郎君    宇野 宗佑君       上村千一郎君   小此木彦三郎君       小渕 恵三君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       倉成  正君    河野 洋平君       砂田 重民君    住  栄作君       田中 龍夫君    葉梨 信行君       原田  憲君    武藤 嘉文君       村山 達雄君    山下 元利君       井上 一成君    井上 普方君       上田  哲君    大出  俊君       川俣健二郎君    佐藤 観樹君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       矢山 有作君    池田 克也君       近江巳記夫君    神崎 武法君       正木 良明君    矢野 絢也君       大内 啓伍君    木下敬之助君       小平  忠君    瀬崎 博義君       木破 哲三君    松本 善明君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年十月二十八日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 天野 光晴君    理事 大西 正男君 理事 小泉純一郎君    理事 橋本龍太郎君 理事 原田昇左右君    理事 三原 朝雄君 理事 稲葉 誠一君    理事 岡田 利春君 理事 二見 伸明君    理事 吉田 之久君       相沢 英之君    伊藤 公介君       伊藤宗一郎君    石原慎太郎君       宇野 宗佑君    上村千一郎君      小此木彦三郎君    小渕 恵三君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    金子原二郎君       熊川 次男君    倉成  正君       鈴木 宗男君    砂田 重民君       住  栄作君    田中 龍夫君       葉梨 信行君    原田  憲君       松田 九郎君    村山 達雄君       山下 元利君    井上 一成君       井上 普方君    上田  哲君       大出  俊君    川俣健二郎君       佐藤 観樹君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       矢山 有作君    池田 克也君       市川 雄一君    神崎 武法君       中川 嘉美君    大内 啓伍君       木下敬之助君    小平  忠君       岡崎万寿秀君    瀬崎 博義君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 嶋崎  均君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君         通商産業大臣  村田敬次郎君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         郵 政 大 臣 左藤  恵君         労 働 大 臣 山口 敏夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君         国 務 大 臣          (内閣官房長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      竹内 黎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      藤本 孝雄君  出席政府委員         内閣法制局長官 茂串  俊君         内閣法制局第四 工藤 敦夫君         部長         総務庁長官官房 藤江 弘一君         長         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁統計局長 北山 直樹君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  千秋  健君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁参事官         長       宍倉 宗夫君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛庁装備局長 山田 勝久君         防衛施設庁長官 佐々 淳行君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁綜合         計画局長    及川 昭伍君         国土庁長官官房         長       吉居 時哉君         外務省アジア局         長       後藤 利雄君         外務省北米局長 栗山 尚一君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省情報調査         局長      渡辺 幸治君         大蔵省主計局長 吉野 良彦君         大蔵省主税局長 水野  勝君         国税庁次長   塚越 則男君         国税庁税部長 冨尾 一郎君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         運輸省航空局長 西村 康雄君         建設大臣官房長 高橋  進君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     金子原二郎君   伊藤宗一郎君     松田 九郎君  小此木彦三郎君     鈴木 宗男君   河野 洋平君     伊藤 公介君   武藤 嘉文君     熊川 次男君   堀  昌雄君     広瀬 秀吉君   近江巳記夫君     中川 嘉美君   正木 良明君     市川 雄一君   不破 哲三君     岡崎万寿秀君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     河野 洋平君   金子原二郎君     相沢 英之君   熊川 次男君     武藤 嘉文君   鈴木 宗男君    小此木彦三郎君   松田 九郎君     伊藤宗一郎君   広瀬 秀吉君     堀  昌雄君   中川 嘉美君     近江巳記夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  予算実施状況に関する作      ――――◇―――――
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  予算実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  直ちに委員長において所要の手続をとることといたします。
  4. 天野光晴

    天野委員長 これより予算実施状況に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  5. 大出俊

    大出委員 九月の十八日に五九中業つまり皆さんの言う新防衛計画決定をされたわけでありますが、この九月の十八日、どうも私はこの九月十八日にひっかかるのですけれども、日清日露戦争があり、満州事変が起こり、日支事変が起こり、大東亜戦争、第二次大戦と言われるのでございますが、戦史に詳しい防衛庁長官にちょっと承りたいのですが、九月十八日というのは日本戦史を振り返るとどういう日でございますか。
  6. 加藤紘一

    加藤国務大臣 申しわけございませんが、まだ幼少のころでございましたので、戦史について比較的詳しくございませんので、後ほどまた……。
  7. 大出俊

    大出委員 実は、だからちょっと私はひっかかると申し上げたのですが、中曽根さんは比較的お若くないわけでございますから御存じなんですが、お手をお挙げにならぬようだから私の方から時間がありませんから申し上げますが、満州事変の勃発の日でございます。  ここに「されど、わが「満洲」」という本がございますが、これは文芸春秋の読者賞受賞作品でございまして、大変に読まれた本でございます。私も実は非常に興味を持ちましてこれを読んでみたのでありますけれども、この方は満鉄時代に図書館にお勤めの方の御子息さんでございまして、衛藤さんという方は知られた方でございます。  この方の冒頭に、「また九月十八日がめぐってくる。五十二回目である。」これは一昨年でございますから、ことしは五十四回目になるわけですが、「いったい、私にとっての「満洲」とはいかなるものであろうか?当時、八歳の児童であった私は、もう満六十歳に近づいている。昭和六年」これは一九三一年でございますが、「九月十八日の夜は、幼い私にとっては何とも恐怖に堪え難かった。」これは奉天、今の藩陽ですね、あそこにおいでになったのですが、「地をゆるがすような砲声に眠りをさまされ、奥の部屋で声高に語り合う両親の声に一挙に神経は緊張した。とび起きて両親部屋に駆け込んだところがこというところから始まるのでありますが、電話を父親が方々にかけてから、もう大丈夫だから寝ようということになったのでありましょうが、翌日、日の丸の印のついた飛行機が飛んでくるというところから始まりまして、「当時奉天とよばれていた藩陽で生まれ、満鉄線の鉄道付属地の中で育ち、日本人小学校に通っていた私の九月十八日の記憶である。この柳条溝の一炬が全「満洲」を戦乱に巻き込み、そして昭和十二年七月七日の蘆溝橋事件の原因となり、」つまり九月十八日は、柳条溝事件の一発で全満州が戦火に包まれまして、ちょうど張作林張学長時代でありますが、これが蘆溝橋事件に発展をして、これは昭和十二年でございます。福田さんがお書きになっていた昭和十年という高橋是清さんが大蔵大臣のときのことは、日支事変というものを想定した膨大な予算の増額という軍部の要求が出た時期でございます。「軍事研究」というところが冒頭にこの日にちを取り上げておったようでありますけれども、少し年数が違うのでありますが、私はここに立派な書物を持っております。ちょっとどうもこの九月十八日に新防衛計画、十八兆四千億、大蔵大臣にちょっと承っておきたいのですが、おぎゃあと生まれた子供さんを初め、十八兆四千億というのは一人一体幾ら負担を義務づけられますか。
  8. 吉野良彦

    吉野政府委員 単純に十八兆四千億円を、人口一億でございますので……(発言する者あり)失礼いたしました。一億二千万でございますので、それで割りますと正確でございますが、割り算の答えが出るわけでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 困ったな、これは。どうも戦史がわからないとおっしゃる防衛庁長官がおられたり、これだけの金を決めておいて、これは国民の血税でございますからそういいかげんなことでは困るので、おぎゃあと生まれた子供さんでも約十五万円負担しなければいけないめであります。ところが、一億とおっしゃって、今度一億二千万という声が上がったら、それで割れば答えが出る。非常に無責任なんですね。まことによろしくないですな。  ついで一つ厚生大臣に承りたいのですが、中曽根さんが八月六日の日に広島記者会見などをなさっております。そのとき私は、この一%の話はあきらめたんだろうと思ったのですけれども、途端に翌日の八月七日に一%と五九中業同時決着指示をしたなんということになりまして驚いたのですが、朝令暮改もいいところで何を考えているのだという気がしたのであります。原爆で亡くなられた皆さん、ことし四十周年でございますが、広島平和公園慰霊碑がございまして碑がございます。これは厚生省、今でも中曽根さんは原爆の被災に遭って入院されている方に、病は気からとおっしゃったことがあったけれども、この平和公園慰霊碑の碑、何て刻んでございますか。こっちの方は厚生大臣の所管ですから、ちょっと大臣に聞いておきたいのです。
  10. 増岡博之

    増岡国務大臣 過去のことは反省して過ちを二度と繰り返さないというふうに刻んでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 これは、「安らかに眠って下さい過ちは繰返しませぬから」と書いてある。大臣広島じゃなかったですかな。  私はなぜこういうことを申し上げたかというと、この新防衛計画がどうもまた日本のいつか来た道に戻りかねない危惧国民皆さんがお持ちだと感ずる。新聞の投書その他たくさん読んでおりますけれども、その危惧を持つ方が非常に多いですね。だから世論調査などを見ましても、防衛費は今のままでいい、五四%もあるわけでありまして、これは総理府の調査ですがね。後から申し上げますが、国が調査した。減らせというのが一七・七%もある。合わせると七一・八%の方がふやしちゃいけない、こう言う。つまり、一%を守りなさいというわけですね。そういう時期ですから私はやはり一私の方が間違っているんじゃない、総理が間違っている。だからこれは直していただきたいのです。つまり撤回を願いたいという考え方なんです。  そこで、議会制民主主義というものは政党政治でございますから、立場や主張が違うことは当然でございましょう。だが、やはりお互い人間がやっているんですから、最低限度信頼関係がやはりどこかになければならぬ。それは議会における約束というもの、政党間の約束というもの、これはやはりお互い努力し合って守っていくということにしてくれないと議会制民主主義が成り立たぬと実は私は思っている。総理、いかがでございますか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 議会制民主主義各党間の協調及び協力によりまして有終の美をおさめることができると思います。
  13. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、六月の二十五日でたしか前国会は終わったんだと思うのでありますが、都議選等がございましたが、総理は一%、この枠を守る、そういうことでの御努力を何かなさいましたか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 通常国会におきましても、守りたい、守るように努力をいたします、そう言ってまいりましたが、そういうつもりで一生懸命努力したつもりでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 どうもあなたのおやりになったことを振り返って、努力をしてまいりたいと存じましたと言うんだけれども、確かに田邊書記長質問、我が党の質問に関しまして「守っていきたいと思って、努力したいと思っております。」と答えている。ねえあなた、そうでしょう。「守っていきたいと思って、努力したいと思っております。」その前に「これらの計数、関数の変化にもよります。しかし、守っていきたいと思って、努力したいと思っております。」議事録ここに持っておりますが、そう言っておられる。  ところが、これは人間のやったことというのは、たくさんの人の目がありますからね、全部わかっちゃう。幾ら密約したって何したってみんなわかっちゃう。天網恢々疎にして漏らさず。そうでなければまた世の中通りませんよ。文部大臣そこにいてうなずいているけれどもね。そうでしょう。  「七月中旬のこと」これは七月中旬というと国会が終わってすぐその後です。「中曽根首相がことしの夏にも防衛費GNP一%枠の撤廃決定するとの情報を耳にしてびっくりした大蔵省は、すかさず小粥主計局次長首相官邸に送って思いとどまるよう説得に全力を挙げた。小粥氏は首相秘書官から古巣の大蔵省に戻ったばかりで首相とは最も気心の知れた仲。小粥氏「総理、それは困ります。せめて十二月の予算編成期まで時間をかけてじっくり検討すべきです」」GNP改定があるのですからね。これでことしも来年も大丈夫だというのはもう五月の段階からわかっているのです。それをとめたのは総理ですよ。「総理「そんな悠長なことを言ってはだめだ。早期決着させる」」頭から努力ところじゃないじゃないですか。撤廃の方へ努力しているのです、これ。話は逆だ。関西ではてれこと、こう言う。続いて首相は同二十三日、すぐその翌日、吉野主計局長に対し、早期決着のため大蔵防衛で作業を開始してほしいと指示をしております。努力のかけらもないですね。  あなたは、お互い政党政治だからと今おっしゃった。私の意見に同調された。やはり国会約束したことは――あなたも今努力するというふうに国会答えたのですよ。最低限守らなければ議会制民主主義は成り立ちませんよ。そうでしょう。そういういいかげんなことじゃ困るじゃないですか、中曽根流かもしらぬけれども。言ったことがころころ変わったんじゃ、どうしようもないじゃないですか。  さて、「防衛費につきましては、今日まで対GNP比一%を超えないことをめどとするとの三木内閣閣議決定方針を守ってきました。六十年度も、当初予算においても、その方針を守ったところであります。今後とも、その方針を守りたいと存じます。」これは各党間で一生懸命議論して、最終的にこうまとまったのです。議会意思ですよ。衆議院の意思です。国民に対する約束。それをいきなり頭からおっ外すという話はないですよ。これは了解できませんね。何と言われても了解ができないところでございます。  さて、もう一つついでに申し上げます。  防衛費GNP一%枠を外すとおっしゃるのだが、ことしは国民経済計算改定の年でございまして、GNPが大きく膨らむ。このことは中曽根さん、あなたはわかっておったのでしょう。いかがでございますか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先に、今お話しいただきました小粥君とのことというのは、そういう事実はありません。一%撤廃をせよとかそういうことを指示したことはありません。ただ、予算編成概算要求というような段階にだんだんなってきまして、今まで防衛庁大蔵省の下の方でいわゆる五九中業について話をしておったようでありますが、もう少し上の方のレベルでこの数字の問題についても防衛庁大蔵省でよく検討しなさい、そういうことは指示したことはございますけれども、前提を持ってそういうことを申したことはございません。
  17. 大出俊

    大出委員 どうせあなたのことだからそんなことを言うだろうと思った。一遍言ったって次になれば全く前と違ったことを平気でおっしゃるから。今までいつでもそうじゃないですか。それは聞き流しておきます。各新聞がいっぱい書いているものをあなただけ否定したってどうにもなりません、今までやってきたことを取材して。  ところで、もう一つ。あなたは議会で、この間予算委員会で「今の一%の問題でも、遺憾ながらと申し上げました。それは、できるだけ守りたいという悲願を持っておるからそういうことを申し上げた」。守りたい悲願をお持ちの方には見えませんがね、総理。どうですか。一%を超えることに生きがいを感じている、そんなことは毛頭ございません。毛頭というともの頭ですから、そうでしょう。全くないですよ、これ。そうでしょう。「悲願を持っておる」二%を破ることに生きがいを感じている、そんなことは毛頭ございません。」と議事録に残っている。  それじゃ、これはどういうことなんですか。金丸さんとあなたの話も全部載っかっているじゃないですか。後世のためにも泥をかぶるのだ、国連に行く前に防衛費問題を決着したい、帰国後だと米国の圧力を受けて帰ってきたとの印象を持たれる、それで急いでいる、党内外意見を取りまとめてほしいと言った。渡辺幹事長代理、これは五役会議の席上ですよ、私も首相と電話連絡したが、私の後の人のために十字架を背負っていく決意。十字架を背負っていく、内閣支持率が下がっても意に介さない、後世のためにも泥をかぶる。これは国会で言っていることとあなたがここでやっていることは全く正反対じゃないですか。容認しろと言ったってこれは容認しようがないじゃないですか。どういう責任をあなたはおとりになりますか。しかもこれはあなたが記者全部がいるところでですよ。この窮鼠猫をかむ発言について記者がいろいろあなたに質問した。そんなことはいつでも言っているじゃないかと答えている。仏頂面を見せて側近に金丸幹事長はみんなしゃべってしまうとあなた、記者は聞いている。これでもあなた、金丸さんにこういうことを言わなかったとおっしゃいますか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 新聞に書かれておることは必ずしも全部真実ではございません。
  19. 大出俊

    大出委員 さすがに中曽根さん少し変わりましたね、答弁が。全部真実ではない。そうするとどうもおおむね本当だというニュアンスになりますな。そうすると国会のこの発言は食言ですよ、これは。毛頭ございません、悲願を持っているのを持ってない。これは国会ですから黙って見過ごせません。全く反対のことをおやりになって、一体国会の権威はどこへ行くのですか、政党政治はどうなるのですか、我々の側からすればふざけたしとをということになりますよ。当たり前じゃないですか。後に引けた筋合いのものじゃない。少なくともあなたができるだけ守っていくという悲願を持っている、国会でそう言った。一%枠を破ることに生きがいを感ずる、そんなことは毛頭ないと言った。そのとおりやってください。まだ我々は報告を受けているわけじゃない。報告は受けていない。だから、十八兆四千億などという一%を突き抜けるようなものは改めていただいて、一%の枠内におさまるものをお出し願いたい。いかがでございますか。
  20. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 金丸幹事長との会談あるいはそのほか今おっしゃったようなことで、一%を突破するというようなことを言ったことはございません。ともかく五九中業大蔵省及び防衛庁の間で数字を詰めさせよう、そういうことは確かに申しました。しかし、一%以内にできるだけおさめようという自分の気持ちは変わってはおりません。
  21. 大出俊

    大出委員 そういういいかげんなことを幾ら言っても――さすがにさっき、とっさに答弁が変わりましたが、今考えてみてまたこれはぐあい悪いというんでしょう。そういういいかげんなことじゃだめですよ、総理。  時間の関係がありますから、もう少し必要なことを承ってから物を言いますが、もう一つ議会の合意を無視して対米密約などをされちゃ困る。五十九年の二月十四日、つまり去年の予算委員会でございますが、ここで田邊書記長質問に対した総理答弁は、「昭和五十一年の三木内閣防衛費に関する閣議決定方針については、これを守ってまいります。」あなたはそういうふうにお答えになった。これが各党合意の決着です。昨年の予算委員会。  ところが、このときには既にガストン・シグールさんが去年の一月に大統領特使で書簡を持っておいでになった。形は農産物の市場開放、日曜日だと思いましたが、休みの日だと思いましたが、あなたはこのときにシグールさんにレーガンさんに対する言づけを言っているのですね。私はアメリカへ行っていろいろ調べてきたのですよ。大分いろんな方に聞いてみた。シグールさんと親交のある方にも会って聞いてみた。あなたの言っていることは、中身までちゃんとあるのですよ。  こう言っているのですね。防衛費GNP一%以内とした政府決定では国際社会に対して応分の負担を拒んでいると受け取られ、米国などで、日米がアンフェアだ――不公正だというわけですね。批判を助長していることはわかっている。国際国家の日本が責任逃れをしているのではないかというふうに言われては困る。いずれこの私の手で枠を外します。あなたはレーガンさんに言づけを頼んだ。  あなたは何もかも否定しようというつもりでお座りになっているかもしらぬが、たくさんの方がそれぞれ、それぞれの人に会って聞いてきているのですね。いかがでございますか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 シグール氏にそう言ったことはございませんし、レーガンさんに言づけを頼んだというようなこともございません。
  23. 大出俊

    大出委員 そう、しらを切らぬでもいいじゃないか。あなた、勇気を持って、逃げてはいかぬと言うんでしょう。王道を踏んで進む、こう言ったんじゃないですか。王道、どっかへ行っちゃったじゃないですか。  あなたはその後で、最高顧問会議の席上で、一%枠を外すと言った。途端に三木さんから大きな反論が出た。激論になる。田中六助さん、亡くなりましたが、中に入ってまとめた。そして、中曽根発言はないことにする。それで、表に出なかった。これはシグールさんに言づけしたすぐ後です。これは、日本記者の方みんな知っている。幾らあなたがそういうふうに全くないと言ってみたって、取材している人はたくさんいる。  さて、もう一つ聞きましょう。ことしの一月二日でございましょう、ロスにおけるあなたとレーガン大統領の会談。ここであなたはレーガンさんに、一%の枠について何とおっしゃったのですか。
  24. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 一月二日のロサンゼルスの会談においては、たしか、本年度の予算防衛費はこれこれになった、たしか予算編成直後であったと思います。それから、五九中業の策定を夏ぐらいまでにやっていきたい、そういうことは言いましたけれども、それ以上のことは何にも言っておりません。
  25. 大出俊

    大出委員 だから、私はアメリカへ行っていろんな方に会って聞いてみた。時間を節約しながら申し上げますが、議会筋の皆さんに会ってみて、私も何遍も行きますから、ロッキードのとき八日もおったのですからね、知った方はたくさんいます。両院の方々に会って聞いてみた。そうしたら、ミスターディフェンスという。もっとも私のあだ名がミスターディフェンス、ソーシャリストパーティーのミスターディフェンスというのですが、ミスター防衛というわけですが、今ごろ何ということを言っているのだという。みんな知っている。一月二日のロス会談におけるあなたとレーガンさんの約束事、みんな知っている。どういうことなんだと聞いてみたら、上院の決議、今四項目ですが、決議されたのは、「防衛計画の大綱」を見直せというのが一項入っている。ここにもう一つあったというのです。一%の枠を撤廃しろと入っていた。明文で、原案に。そうしたら、国防省の諸君が働きかけてきて、それは削除してくれ。何で削除するか。そうしたら、一月二日に中曽根・レーガンの約束事がある、だからここまで書いてはかえってマイナスになる、あなたが外すと言っているのだから。そういうことなんですね。だれも知らぬ者はないという。だから削除したというのです。なるほど国会決議をした中身を見ると、ちょっと不自然だけれども「防衛計画の大綱」の見直しの次にあったやつがない。削除している。説明を聞いたのです。文章をこう持ってまいりました、私が。ここまでの形になっているでしょう。  あなたはいつの間にか、田邊書記長とあなたの間で一%枠を守ることになっている、にもかかわらず、昨年の暮れからあなたが始めたことは何かと言えば、一月二日にレーガン氏に会いに行く。二つ土産を考えたのです。一つは、昨年の十二月二十六日に調印をされた日米共同作戦計画、ティシエ在日米軍司令官と渡部統幕議長の間の調印が行われているでしょう。もう一つは、一%枠外しの党議決定ですよ。総務会に働きかけている。結果的に、河本さんのところも反対だ、宮澤さんも首を振らないということで、できなかった。そうでしょう。そういういきさつまであって、二日にレーガン氏にあなた会ったんだ。アメリカ議会の人は知らぬ人はない。日本に帰って、大出さん調べてみなさいというのです。こんなことはだれだって知っている。そこまでのことに向こうに行けばなっている。  総理、もう一遍聞きますが、本当にあなた、確かにレーガンさんとあなたの話に私も立ち会ったわけじゃない。ないが、ワインバーガー氏にレーガン氏が話したという、ワインバーガー氏が自民党の有力者にも話したという、議会筋にも話したという。みんな知っている。それでもあなた否定されますか。
  26. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私がレーガンさんに一%を突破するというような約束をしたことはありません。
  27. 大出俊

    大出委員 中曽根さん、あなたはやっぱりこれは正直なところを言うべきものは言わにゃいけませんですよ。国際的には責任を果たしたという、結果的にはそういう言い方をしましたが、アメリカとの公約、約束を果たしたというふうに受け取れる、我々には。  そこでもう一つ承りたいのですが、この十八兆四千億。新聞はどこでも書いておりますけれども、一つ読み上げますが、   去る五十一年に閣議決定された「防衛費GNP比の一%枠を超えないことをめどとする」について中曽根首相は、つい先日「一%枠尊重」を明言したばかりである。首相の公約 と今回の決定との矛盾について、政府与党はどう説明するつもりか。野党各党が、なし崩し突破に道を開いた、と一斉に反発しているのは、当然の反応だ。   これに対し政府は、一%枠は各年度の防衛予算を対象にしたもので、五カ年計画の総額に適用したものではない、数字の基礎となるGNP見通しは、実際の経済成長によって流動的としているが、これはだれが見ても奇弁に過ぎない。  詭弁ですね。この社説は 「奇弁だらけの新防衛計画決定」と、こうある。そのとおり。  「これで、ある程度、日本の国際的責任を果たし得ると確信している」と総理が述べた。が、首相の言う「国際的責任」が「対米責務」「対米約束」を意味しているのは明らかだ。 あなたがしゃべっていること、みんな知っているからですよ。  首相の本音が出た、とみていい。 ここにこう書いてありますよ。   米国向けには、新防衛計画に盛られた一%枠突破を強調して見せ、国内向けには官房長官談話にある一%枠尊重をかざして見せる。 こういうわけですね。尊重努力なのですね、今度は。  言いようのない不快感を覚える。これは中曽根首相一流の“修辞政治”である。 このとおりなのですね。  そこで、十八兆四千億というのは、ここでひとつ聞いておきますが、物価上昇を入れると一体幾らになりますか。
  28. 加藤紘一

    加藤国務大臣 今後の物価上昇率、デフレーター等複雑な計算がございますので、よほどの幾つかの仮定を申し上げないと言えないと思いますが、御必要ならば政府委員よりお答えさせます。
  29. 大出俊

    大出委員 ちょっと、これは数字ですから答えておいてください。
  30. 西廣整輝

    西廣政府委員 十八兆四千億は、御承知のように五・四%、実質ベースで六十年度価格でつくられておりますが、今後の物価アップがどの程度あるかということは現状ではわかりませんので、何とも申し上げられませんが、幾つかの試算として申し上げますと、例えば現在の「展望と指針」、これによりますと、実質が四%伸びた場合に六ないし七%が名目だというようなお話があります。それでいきますとデフレーターは二・四ぐらいになると思います。それから、過去の「展望と指針」の実施されました五十八年度以降のデフレーターといいますか、物価アップの実績からいいますとデフレーターが一をちょっと切ったところというような数字じゃないかなと思いますが、したがって五・四というものを土台にしますと、過去の三年間の実績を見れば六・四、五、「展望と指針」のデフレーターをそのまま用いますと七・九前後というようなことになるのじゃないかと思っております。
  31. 大出俊

    大出委員 「八〇年代経済社会の展望と指針」、ここで言っている物価調整率、調整値、これで計算すると幾らになりますか。
  32. 及川昭伍

    ○及川政府委員 「八〇年代経済社会の展望と指針」によりますと、消費者物価上昇率は三%程度、卸売物価上昇率は一%程度と言っております。実質経済成長率四%程度、名目経済成長率は六%程度から七%程度ということにしておりまして、明確な形での防衛費の物価上昇率というものを算定することは、「展望と指針」から直接には困難であります。
  33. 大出俊

    大出委員 そこまで何も逃げることはないじゃないですか。今あるデーダで計算すれば出てくることじゃないですか。十時間の密室の論議という中で七・九%、これも言葉は悪いがバナナのたたき売りみたいなことだけれども、十時間もやっておって土壇場で何をやったかと言えば、八%に乗せたくない――大蔵大臣どこかにいますな、ここにいる。八%がだめなら七・九でいこう、もう時間切れだ。これであなた二千億違うのですよ。これは国民の血税なんだ。防衛費の中身の議論なんか何もしてないじゃないか、十時間やったって。そこで、七・九という数字は、ではどこから出てきたのだ。国民皆さんに対して小さく見せようという意図じゃないですか、あなた方。だから、五・四%で計算しようとしている。五・四%で計算をしようとすれば十八兆四千億ですよ。そうでしょう。あなた方の出しておられる「展望」によれば、年率の物価の調整値、はっきりしているじゃないですか。二・五%ですよ。だから、七・九になるんでしょう。七・九で計算すれば――将来どうなるか、それはわかりませんが、十九兆八千億になるじゃないですか。何で言わないの、そんなことぐらいを。「八〇年代の展望」に明確になっているでしょう。企画庁が出している数字じゃないですか。そこまで何であなた方ごまかすのだ。はっきりしていることじゃないですか。いいかげんにしなさい、そんなことは。どうなんですか。今ある資料で計算するよりしようがないじゃないですか、そんなこと言ったって。はっきりしてください。
  34. 天野光晴

    天野委員長 防衛局長。はっきりしなさいよ。
  35. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたします。  今、先生「展望と指針」の二・四デフレーター、実質四の場合の六ないし七程度という場合のデフレーター二・四を使うべきだという話でありますが、そういう計算式もあろうかと思いますが、御承知のように、年度の予算等につきましても当年度のデフレーター分の見通しというものは必ずしもその二・四そのままとっておりませんので、今後五カ年間についてそのままの二・四をとるものがいいかどうかということについてはまた別問題であろうかと思っております。
  36. 大出俊

    大出委員 そんないいかげんなことではだめだよ。あなた方四人の折衝の中身というのは、みんな記者の方聞いてわかっているじゃないですか。八%に乗せたくないというわけだったんでしょう。竹下さんどうなんですか、あなた。そうでしょう。七・九でいこう。七・九でいこうということになれば、このとおりじゃないですか。五・四%に二・五%足せば七・九じゃないですか、そんなことは。それで計算すれば、私の言ったように十九兆八千億になるでしょう。はっきりしているじゃないですか、大蔵大臣
  37. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今、大出さんおっしゃっておりますのは、経済企画庁や閣議決定いたしました「展望と指針」のその数値をこれに当てはめてみろ、その計算をすればかくなるではないか、こういうお話であろうと思うのであります。私どもその折衝の経過は別に申し上げる考えはございませんが、結果は政府一体の責任でこれを責任をとるべきものだという考え方に立っておりますが、今おっしゃった八に乗せたくないから七・九、こういう考え方で決定したものではありません。
  38. 大出俊

    大出委員 私は、物価上昇を見込まない十八兆四千億だから、物価上昇を入れればどうなるかと聞いているんです。皆さん聞いている方は一番わかりやすいじゃないですか。そうでしょう。それで、閣議決定している「展望と指針」の調整値がはっきり出ているでしょう、二・五と。そうでしょう。そうなれば七・九になる。新聞に書いてあるのは間違っちゃいない。七・九で計算すれば十九兆八千億になる。十八兆四千億としきりに言うけれども、べらぼうな額じゃないか、五年間というのは。そうでしょう。そんなものを、一%守る、守りたいと言ってきたあなた方が決めて、そうでござんすかと言えた義理か、こんなことは。だから数字を聞いたんだ、一生懸命小さく見せようとするから。  そこで、後で一括、私の言いたいことは言いますが、総理世論調査の結果は一体どういうふうになっておりますか。さっき私がちょっと冒頭で申し上げましたが、数字を話してください。七月七日に発表しましたね。――話にも何にもならぬ。七月七日に総理府が発表した防衛費についての世論調査がございます。この中身を見ますと、防衛予算を今の程度でよいとする方々が五四・一%、今より少なくてよいという方が一七・七%、合計七一・八%。これは民間の調査じゃない。政府が調べたんだ。明確に七一・八%の方々が防衛費はふやしなさんなと言っている。数字を確認しておこうと思えば、いつになっても出てきやせぬ。これが今の状況ですよ。そこに十九兆八千億もの、一%を突き抜けていくものを決められて、国会約束があって、しかも総理のさっき申し上げた答弁があって、引き下がれる筋合いのものじゃない。撤回を求めたいのですが、もう一つだけ申し上げておきます。  防衛庁長官に承りたいのだが、あなたは旧来から、私も直接聞いていますけれども、GNP一%という防衛費の枠、これと五九中業、これは枠を撤廃しないと矛盾する、何遍もあなたは言ってきておりますね。セットである。いかがでございますか。
  39. 加藤紘一

    加藤国務大臣 五九中業を策定いたしますときに、私たちとしてはこれが「展望と指針」に基づきます四%程度の実質成長で計算した十七兆七千二百億の中でおさまり切るかどうか、最大の私たちの問題でございました。そしてもう一つ、一%の枠との関係では、六十年度のベースアップを常識的な線で実行した場合におさまるか、この二つの問題点があったと思います心  その中で、特に五カ年計画につきましては、理論的な整合性を考えるならば、五カ年間のGNP十七兆七千二百億と、そして私たちが計画します金額との間で、それが仮に一という数字を超えるならば、そこに理論的な整合性を考えるべきではないか、そこはなかなかすっきりしておかなければいけないポイントではないかと申しまして、同時決着ということを防衛庁としては必要なんではないかと言って問題提起したことは事実でございますし、国会及びその他の討論会等で大出委員の前でも申しました。  しかし、その後、党内の中で、確かに理論的な整合性の問題もあるけれども、GNP一%の枠をできるだけ守っていきたい、守っていくべきだという党内外の世論というものが非常に強いのだから、守れるところまでできるだけ頑張ってみるべきではないか、五十一年度の閣議決定は、単年度のGNP防衛関係費の関係でございますから、そういうことで国民世論を背景にして頑張るべきではないかという党内外の非常に強い御議論もございましたので、私たちはその方針でできる限り今後守っていくように努力していきたい、そういうふうに思っておるわけでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 もう一遍聞きますが、GNPの一%の枠を外さないと整合性を欠く、矛盾をする、だからワンセットである、それは防衛庁の考え方だった、そこだけ聞きますが、お認めになりますな。
  41. 加藤紘一

    加藤国務大臣 御承知のように、「展望と指針」も四%程度、こう言っております。それから、将来のGNPの動向ははっきりわかりませんし、各年度で幾ら予算がとれるかというのも、これは分子の方は不確定な要素でございます。したがって、それはなかなかはっきりとしないところなんだけれども、より一〇〇%の整合性を考えたならばそういうことも必要ではないかと言って問題提起をいたしたわけでございます。
  42. 大出俊

    大出委員 だからつまり、枠を外さなければ矛盾をする、間違いないじゃないですか。そうでしょう。
  43. 加藤紘一

    加藤国務大臣 先ほど申しましたように、GNPの動向ははっきりわかりません。しかし、より明確な、理論的な、どっちかといえば生まじめな、そういった事務的な整合性ということを考えたのは事実でございまして、それよりも、国民世論がそういうことであるから、できるだけこの五年間の間でも努力してみるという強い御議論がございましたので、私たち、そっちの方で今努力しているところでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 つまり、矛盾をする、だから提起をした、間違いないじゃないですか。一〇〇%だとか九〇%じゃないのです。一%の枠を外しておかないと片っ方の五九中業の方は、あなたは私に何遍も答えている、単年度でいくというとはみ出す、そういう年度が来ると、国会計論会でもあなたは答えている。大出さんの御指摘のとおりである。だから、一%といえば十七兆七千二百億です。これも国会討論の私の言い分をあなたはお認めになったじゃないですか。そうでしょう。だから、十七兆七千二百億を超えるから整合性を欠く、矛盾する、これをあなたはお認めになった。だから単年度で飛び出すことがある、そのときには大出先生相談したいとあなたはちゃんとお認めになったでしょう。そこを聞いているのです。はっきりしてくださいよ。矛盾するでしょう。十七兆七千二百億でなければ――GNPの先々、そんなことはだれにもわかりませんよ。だから、今政府が閣議決定している「展望と指針」しかないんだから、数字は。これで計算するよりしようがないんだから、五年間で千七百七十二兆円、だから一%は十七兆七千二百億、これを超える計画をお決めになるんだから当然矛盾する、整合性を求める、当たり前じゃないですか、そんなことは。あなたは認めているじゃないですか、私に。もう一遍はっきり答えてください、そこのところを。
  45. 加藤紘一

    加藤国務大臣 累次御答弁申しましたように、そういう議論をいたしたことは事実でございますし、先ほどから申しておりますように、より完璧な整合性ということをとるか、それとも単年度でできるだけ守れるように努力をするか、その二つの比較の問題であろうと思っております。そして、国民の間で一%に対する気持ちが非常に強いので、まず単年度でできるだけやってみようということでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 ここでもう一つ承りたいのですが、総理は、一%枠を外さないと五九中業と矛盾をする、こうあなたは言っていましたね。いかがでございますか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 五九中業の総額は大蔵省防衛庁の間でいろいろ樽俎折衝し、また、党の首脳部との間でもいろいろ協議して十八兆四千億、そう決めたわけでございますが、これは五カ年の一応の見積もりということでありまして、予算は単年度ごとに決める、これは本会議田邊書記長にお答えしたとおりでございます。  したがって、GNPがどういうふうに今後異動していくか、あるいは毎年度の予算要求に対して社会福祉とか教育とかそのほかのバランスの問題も考えて具体的に決めていく、あるいは人事院勧告による給与のベースをどういう程度上げていくか、そういう非常に不確定な要素がございますから、一%を突破するというようなことは既定事実のようになるということはない。できるだけ我々は三木内閣の五十一年の決定の趣旨を尊重して努力していく、こういうことでございます。
  48. 大出俊

    大出委員 しかし、あなたは一%の枠を撤廃するのに、新聞関係がみんな追って書いておりますように、執拗に一%の枠外しを努力されましたな。そうでしょう。八月の二十五日に軽井沢で宮澤さんをあなた、お呼びになったときも、一%の枠を外さないと五九中業と矛盾する、だから一%枠を外すことについて党内の取りまとめを依頼したいとあなた、言っているじゃないですか。一つや二つや三つや四つの新聞が書いているんじゃないんですよ。人が話し合っているんですから。あなたは、だから一%枠を外そうと懸命に、私に言わせれば狂奔した。言っているじゃないですか、ここに明確に。読み上げましょうか。五九中業を政府計画に格上げするとGNP一%枠との間に矛盾が出てくる、一%枠撤廃に向け党内の取りまとめをしてほしいとあなたが依頼をした。八月の二十五日です。そうでしょう。違いますか。各新聞が、何枚もここにございますよ。いかがですか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 取りまとめを依頼したことはありません。あのときは、政府計画として格上げしよう、そして国防会議及び閣議で決定して国会報告をするというふうに変化させていこう、そういう話はいたしました。
  50. 大出俊

    大出委員 私は、あなたが一々一々全部みずからしゃべっていることを、いつものことではあるけれども、片っ端から否定してその場その場限りで逃げていく。国会で一%を外すことに生きがいを感ずる、そんなことは毛頭ない、できるだけ一%を守っていこうという悲願を持っている、こう言っておいて、あなたがやっていることを、さっき金丸さんの話を私しましたが、答弁が途端に変わって、全部が全部本当ではない、こう言う。そういういいかげんなうそを言われては困る。本当のことを言ってくださいよ、本当のことを。初めからしまいまであなたはみんなうそで固めて逃げてしまっては、まともな議論にならぬじゃないですか。だめだこれは。こんなばかなことがありますか。あなた、自分で言っていることを何でそう逃げるのですか。だから、あなた一%枠外しに狂奔したじゃないですか。もう一遍答えてください。
  51. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は前から国会でも申し上げているように、我々の防衛計画の一番の基本は昭和五十一年三木内閣決定した防衛計画大綱の水準をできるだけ早く達成するということだ、その目的のためにあらゆる努力をしようというのが三木内閣あるいはその後できた大平内閣や福田内閣や鈴木内閣、私の内閣、みんな言ってきた線であろうと思います。そういう線で努力していく。目標は、要するに防衛計画という国を守るに必要な内容、計画、そういうことをまず第一に置いて、そしてそのためにはどういう防衛力が要るか、あるいはどういう人員を必要とするか、そういうような内容の問題をまず我々は中心に考える、しかしまた一面において、あの決定のときには一週間後にこれは要注意ということで、めどとするといういわゆるかんぬきみたいのをかけたということであります。そういうことでありますから、できるだけ私は守っていきたいということを通常議会でも申し上げまして、その線でも今も努力しておる。したがって、十八兆四千億を決めたときも、官房長官の声明等の中におきましても、今後も三木内閣決定の趣旨はできるだけ尊重して守っていきたいという趣旨を述べておったのであります。
  52. 大出俊

    大出委員 答弁になりませんな、全く、それでは。  もう一遍ここで聞きますが、十八兆四千億というのは、単年度、単年度と言うけれども、今閣議決定している経済指標で計算するしかほかに方法がない、そうなると、十七兆七千二百億というのが一%だ。これを超えた。単年度を五回重ねれば五年でしょう。十七兆七千二百億の範囲に抑えるというのが一%を守るということですよ。これしかない。十七兆七千二百億に戻してくれませんか。国会報告されているんじゃないんだ、今日は。我々は、世論の動向を本当に皆さんが心配なさるなら、十七兆七千二百億は譲れない。これ以内に戻してくださいよ。いかがでございますか。
  53. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 一%を守るという三木内閣のあのときの、昭和五十一年十月三十日でしたか、二十九日でしたか、あのときの決定は、各年度の予算要求に際して一%の中におさまるようにその方針努力する、そういうような趣旨の言葉で、各年度の予算要求に際しての一つの基準というものを示しておるわけでございます。したがいまして、六十一年度予算を今度は十二月に組むことになりますが、その際にも単年度の予算要求に際して一%以内におさめるように努力する、これは変わっておらないわけでございます。
  54. 大出俊

    大出委員 三木内閣当時の決定、私もこれはもうあなた、四十五年当時から質問しているのですから、百も二百もこれは承知の上。あのときの論争を今ここでする気はない、時間がないから。しかし、今日まで明確な歯どめとして一%は定着してきていることに間違いはない。しかも十八兆四千億という数字が出てきたときに、だれが考えても、あなた方の経過を全部追ってみても、だから一%を超える、したがって枠を外そうという懸命な努力皆さんはされた。なぜしたか。十八兆四千億というのは一%の枠を飛び抜けるからですよ、単年度とあなたは言うけれども。だから防衛庁長官も、これでいけば、各年度を追っていけば一%を超えることになると認めている。五年間の総枠だとは言うけれども、千七百七十二兆円という政府の数字も出ている。これしか今、数字がないんだから、この一%でとどめるのが当然の筋じゃないですか。もう一遍答えてくださいよ。
  55. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、GNPがどういうふうに動くか、あるいは人事院勧告等による自衛官の給料はどういうふうに動くか、これはまた毎年度の予算編成の際に、ほかの諸指標との調整でどういうふうに考えるか、そういう政治的決定にかかわるものでございますので、これで一%は当然破れるというふうに即断するということはまだ早いと私は思います。
  56. 大出俊

    大出委員 まだ早いですか。(「早晩そうなる」と呼ぶ者あり)早晩そうなるということですか。まだ早いですか。あなたはちょいちょい本音が出ますね。破りたい、破りたい、撤廃したい、撤廃したいと考えてきていて、その場に来ると適当にあなたはお逃げになる。あなたの言うことはけしからぬですよ。先ほど来、国会で言っていることとやっていることが違うと指摘しているとおりですよ。  しかし、たまたまあなたから今、「防衛計画の大綱」の話も出ましたから、せっかくの時間ですから、途中でということは避けまして、あと続けますが、後から一括してひとつ、私はあなたに要求をいたしますが、「防衛計画の大綱」の方に入ります。  計画大綱、あなたは達成優先だとおっしゃる。さて、実は計画大綱というものは初めから達成しているんですよ。読みましょうか。「防衛計画の大綱」というのは、大綱にこう書いてある。過去四次にわたる計画、これは一次防から四次防です、これにより整備を行ってきた現状の防衛力は、規模的には、この大綱において目標とするところ、これは別表に示されている中身とほぼ同水準にあると判断している。初めから、大綱をつくったときに、四次防までやってきた日本の装備、これは大綱別表とほぼ同水準にある。初めから大綱は達成しているのですよ。大綱優先とは、何を大綱優先と言うのですか。――あなたがお答えにならないの。
  57. 加藤紘一

    加藤国務大臣 たしか当時のそれぞれの装備等の機数がかなりのレベルにあったことは事実でございますが、大出委員御承知のように、その後いろいろな、いわゆる現役から退いていきます装備もございますし、現在、その機数がかなり下がっていることも事実でございます。また、量的にも防衛大綱は、諸外国の技術水準に対応できるものと言っておりましたけれども、その点につきましては当初からかなり差があったのではないか。そういう意味で総合的に質と量の相乗効果としてのものとしては五十一年当時ではなかなかその水準に達していなかったし、その後、数のダウンもありましてかなり差が出ておるというのが現状でございます。
  58. 大出俊

    大出委員 そうじゃない。そうじゃないのです。明確にしましょうか。  大綱というのは部隊の単位数を示しているのですね。あとは機数、艦数。部隊の単位数ですよ、これは。そうでしょう。そうすると、六十年度で見たってそうでしょう。今大綱水準に達していないというのは海上自衛隊の対潜水艦部隊、対潜部隊、これだけですよ。そうでしょう。答えてください。
  59. 加藤紘一

    加藤国務大臣 海上自衛隊のものだけではなく、例えば作戦用航空機等がなり差がございますので、政府委員より答弁させます。
  60. 大出俊

    大出委員 いや、要らない。いいですか。六十年度達成分で計算をすると、海上自衛隊の陸上対潜部隊、これが十六隊が六十年達成で十四隊ですね。小さなことを言えば、それはいろいろありますよ。ありますが、大筋でいえばこれだけです、ほとんど。これは専門誌もいっぱい書いている。「軍事研究」なんかもずっと最近解説を書いていますけれども、この中でも明確にしておるじゃないですか。今そんな細かいことを議論しようというのじゃない。「防衛計画の大綱」というのは、四次防までの装備というものをまず前提にして、それに合わせたのだから、大綱というのは。だから、部隊の単位数が中心なんです。あとは機数。だから、艦艇や航空機の数、部隊の単位数、これだけが動かなければ、核装備以外は何でもやれるように書いてある、大綱というものは。どこをつかまえて達成優先と言うか、そんなものはない。  ただ、一つだけ大きな問題がある。それは何か。大綱の中に抽象的に書かれている、「諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意しつつこれらを維持することを基本」としている、この一項に皆さんがすべて集中させている、問題点を、焦点を。幾らこの大綱に書いてある部隊数が足りても、機数や艦艇数が足りても、諸外国の技術水準の動向に対応するんだから、新しいものが欲しいと、こうなる。そして、今まで部内計画である中業ができる。それを今度は中業を基礎にして、これは政府決定じゃない、何を幾ら、新しいものをふやしてくれと、こうなる。例えば次々に、単価は非常に高い、性能はいいが。戦闘機も、いろんな騒ぎが起こったがF4を購入した、F4ファントム。ところが、これからF15へとこうくる。ファントムなんという飛行機は非常に優秀な飛行機だから、今だって使える、これは。さらに対潜哨戒機は、P2JからP3Cにと高いものを買いたいとこうなる。早期警戒機のE2Cの導入が必要だとこうなる。地対空ミサイルもナイキからペトリオットへとこうなる。  大綱の水準というものは、総理も余り御存じないんじゃないですか。部隊数と機数、艦数しか書いてない。部隊の単位数ですよ。だから大綱ができたときに、四次防まで装備をした、この装備したものを大綱にしたんです。だから大綱ができたときに、大綱の水準というものは、一次防から四次防までやってきたこの水準とほぼ同等のものであるとうたってあるんだ。はっきりしている。ところが、それ以後、さっき申し上げた「諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意しつつこれらを維持することを基本」とするというふうに書いてあることにすべて皆さんは焦点を合わせて、高いもの、性能がべらぼうに高いものを次から次と要求する内部計画をつくっている。五三中業であり、五六中業です。今回の五九中業は最たるものだ。これでは一体、日本の国防の基本方針あるいは「防衛計画の大綱」で言う限定的かつ小規模の侵略対処という原点はどこかへ行ってしまう。  もう一遍総理に承るんですが、何をもって大綱優先と言うんですか。
  61. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大出さんがおっしゃっておりますように、大綱の中で政府はやはり心配して大事に考えております一つは、諸外国の技術水準に対応し得るようなものを充実させていくというポイントなんです。今までは、四次防のときにはF86とかあるいはF104とかそういうものでファントムが出てきました。飛行機は、耐用年数が来れば新しいものにかえていかなければ性能も落ちるし、飛行機が足りなくなるという形になります。艦艇にいたしましても、耐用年数が来れば新しいものをつけ加えるということになります。その場合には、古い性能の悪いものをもう一回つくるよりも、性能のよりよい諸外国の技術水準に対応できるものを整備するということが、本当の防衛を全うするゆえんになるわけです。ですから、104の次にはF15に変わるとか、P2Jの次にはP3Cに変わるとか、そういうようにして兵器の性能をよくしていく。これはやはり、諸外国の技術水準に対応できて国防を全うするために必要な改革なのでありまして、それを大綱水準も意味しておると我々は考えて実行しておるわけであります。
  62. 大出俊

    大出委員 それは明確に違うのでありまして、大綱というのはさっきから申し上げているこれしかないんだ、別表というのは。これは部隊の単位数ですよ。平時地域に配備する部隊十二個師団、二個混成団、十八万人、これしか書いてないんだ。対潜水艦艦艇部隊(機動運用)、四個護衛隊群、これしか書いてないのです。あなたが今言っていることは、防衛庁が欲しいというもの、これを優先しようということなんだ。切りがない、そうなれば。  具体的に言いましょう。今回の五九中業、主力要撃機、六十年完成時でどうなっているかというと、F15五個飛行隊百十五機ある。まだ発注してこの中に入ってくるのもありますが、百十五機。F4EJ五個飛行隊百三十機。主力要撃機というのはこの二つだ。これで今大綱水準にいっているわけですよ。おおむねというふうに言っておきましょう、大綱水準にいっている。ところが、今度はどうするかというと、この別表には十のスコードロン、飛行隊は十になっている、大綱は。いいですか、十だから、五個飛行隊、五個飛行隊なら十飛行隊なんだ。そうでしょう。ところが今度あなた方が考えているのは、F15を大量に買う、六十三機買うというのだから、買ってどういうことになるかというと、F15の方を七飛行隊にしようという。そうでしょう、七飛行隊。F4EJ、こちらの方を三飛行隊にしようという。それで十飛行隊にしようという。今も十飛行隊、今度の新防衛計画も十飛行隊、変わってはいない。つまり総理が今言った大綱優先というのは大綱ではない。大綱は単位数が決まっているんだから十飛行隊なんで、充足しているんだが、そうではなくて、F15を余計買いたいということなんだ。これが優先をしているということなんだ。これは六十三機買いたいということなんだ。果たして買う必要があるかという問題は議論されていない。十時間の徹夜の折衝だって何にもない。果たして六十三機じゃなくて六十二機じゃいけないのか、六十一機じゃいけないのか、六十機じゃいけないのか。F15を六十三機買うと言うが高いんだ、一機百二億もするのだから。五十機じゃいけないのか、どこにも議論がない。買い物計画だけ議論している。こんなばかなことがありますか。大綱違反じゃない、大綱水準になっている。部隊数を見てごらんなさい。  おまけに、F4が今度の新防衛計画達成のときには十七機余裕ができる。F4というのは皆さん前科がある。私がかつて質問をして、改修計画をひた隠しに隠して、表へ出て大騒ぎになったでしょう。優秀な飛行機なんです。百機改修するという。そうすると、十七機この新計画達成のときには余ってくる。余るのはどこへ持っていくかというと、偵察機に持っていく。今RF4Eという倶察機が十三機ある。そんなに、三十機も要りゃしない。悪く考えれば、十スコードロンと決められているから、十飛行隊と決められているから、十七機余ったものはこっちへ持っていって置いておこうとこうとれる。しかも、スコードロンの中身、一飛行隊の中身というのは十八機になってきていた。中身は、予備機が幾つかありましたが、二十二機でございますとか、沖縄は二十五機にしますとか、中身をふやそうと言う。なぜそれだけ要るのか、何の説明もない。  しかもF15は、今度の新計画で六十三機ふやすのだけれども、百八十七機体制になるのですよ。ところが、百八十七機体制になるのだが、実は百六十三だと言う、達成時は。二十四機は何だ。各国の水準に基づいて、事故が起こったりいろいろなことになって消えてなくなる飛行機がいるからその率を見た。だから、二十四機減耗してなくなってしまう計画なんだ。百八十七機計画を立てたが、この五カ年間、達成したときには百六十三機しかないことになる、あなたの計画では。二十四機はどこへ行くんだ、それはなくなるのだと言う。事故その他もある。二十四機というのは、一体、一機百億にして幾らですか。二千四百億でしょう、国民の血税を。一体、六十三機は六十二機じゃいけないのか、六十一機じゃいけないのか、五十機じゃいけないのかという議論は何にもしないで、こんなものは容認できませんよ。なぜ六十三機要るのですか、二十四機何でなくなるのですか。二十四機もなくなりはしません。私はその意味でも、皆さん御存じのとおり、私も専門家の一人ですよ、なくなりはしません。  さて、もう一つ申し上げます。F15をこれだけたくさん買うと、百八十七機体制になる。資料を差し上げたいのですが、アメリカに次いで世界第二位ですよ、日本というのは。世界第二位ですよ。これ配ってください。委員長、よろしゅうございますね。これを見てくださいよ、今お手元に行くから。こんなばかなことを承認なんかできませんよ。とりあえず配ってください。大綱は初めから充足している、四次防の計画どおりにしたんだから。高いものみんな買う。アメリカの言うとおりやろうとしている。  よろしゅうございますか。F15、一つだけ言っておきましょうか。アメリカ、今F15を何機持っていますか。ちゃんと答えてくださいよ、そんなことぐらい。――委員長、もういい。時間がない。全くもう議論にならぬじゃないですか。もういいよ。アメリカのF15というのは十六個隊で、三百八十四機全部入っていませんが、三百機ちょっとしか入っていませんが、現在三百八十四機近い三百機ちょっとです。日本の場合も百十五機だが、あとまた入ってきますから。そうすると、あとはほかなんだ。私が差し上げた資料をごらんになってください。この半ぺらの一枚をあけていただくと、ここに「F15戦闘機」とございます。これはイスラエルとサウジアラビアと日本しかないのです、こんな高いもの。ほかの国は買えない。アメリカは三百機ばかりですよ。イスラエルが四十機。イスラエルというのは戦争の渦中にあるでしょう。サウジアラビアはオイルダラーがたくさんあるでしょう。使い道をいろいろ考えておられる、使い道に困っていると言っては失礼だけれども。アメリカから六十二機買っている。日本が百八十七機。アメリカが三百機ばかり。そうすると、日本は何でこんな高い飛行機を百八十七機も買わなければいけないのですか。どうなんですか、ちょっと一遍だけ答えておいてください。世界、ほかには何もないんだから。
  63. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたします。  各国の作戦機につきましてはいろいろな機種があるわけでございまして、必ずしも制空戦闘機はF15だけではございませんので、F15につきましては、それを開発し生産したアメリカ、そしてそれを採用した日本が次いで多いということでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 あなた、何でこんな高い飛行機を、今度六十三機もまた買うと百八十七機も必要なのかと聞いているんだが、あなた方は、つまり裏側がそういうシステムになっていないから、買い物計画だけだから、何で六十三機要るんだ、六十二機じゃいけないのか、答えがないから今のようなことになってしまう。アメリカが生産した、いろいろな機種があるけれども日本はアメリカのを買った、これだけだ。そんなふざけた話がどこにあるの、国民皆さんの金を使うのに、血税を使うのに。皆さん、聞いているとわかるでしょう。今のようなばかげたことでこれだけのものを買おうという。しかも、二十四機消えてなくなることになっている。これは一体どういうことなんですか、二十四機、ちょっと簡単に答えてください。
  65. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたしますが、大綱水準達成と申しますのは、大綱で定めております限定的・小規模侵略事態、これに有効に対応し得る能力を持つということが大綱水準でございまして、そのためには、先生御指摘の、例えば量的枠組みにつきましては、大まかな枠組みが別表で定めてあります。しかしながら、あくまで能力でございますから、単に数をそろえればいいということじゃございませんで、それなりの質、これは装備の性能もございますしあるいは隊員の練度もございますが、そういうものを含めた能力として、大綱水準というものを我々考えておるわけであります。したがいまして、周辺諸国の航空機等の性能の向上というものがあれば、それに対応した性能のものが要るということで、御承知のようにF15を選択いたしましたときも……(大出委員「二十四どうしたかと聞いているんだよ」と呼ぶ)はい。それらの最も経費効率の高いものということで、F15を選んだわけでございます。  まず、数字でございますが、二十四という数字を私ども理解しておりませんが、六十三機の充て光といいますか、なぜ充てるかということについて申し上げますが、これはF15の期間内損耗、十五機を期間内損耗ということで考えております。  それから、F4につきましては、これは大綱水準で……
  66. 大出俊

    大出委員 聞いてなさい、そうじゃないんだ。全然別な答弁されては困るんだ。私が言っているのは、百八十七機になるんだが、達成時百六十三機というのが皆さんが出している五九中業でしょう。だとすると、二十四機F15が消えてなくなるが、二十四機事故その他でなくなると言うんだが、本当に二十四機なくなるのか。百八十七機体制をつくろうというので、達成時百六十三機というのだから二十四機なくなるんでしょう、事故だとかなんとかで。それは本当に二十四機なくなるのかと聞いているんだ。
  67. 西廣整輝

    西廣政府委員 お断り申し上げますが、現在、六十四年度予算までで手に入りますF15は百十五機でございまして、それから中期計画の完成時は百六十三機でございます。その差が二十四じゃございませんで……(大出委員「二十四だ、百八十七と百六十三の差は二十四でしょう」と呼ぶ)百十五と百六十三の差でございますから、その差は四十八になります。四十八と六十三の差ですから、十五機が減耗ということを私、申し上げているので、二十四機じゃございませんということを申し上げておるわけであります。
  68. 大出俊

    大出委員 この減耗というのは、各国の水準に合わせたと言うけれども、一機百億からするんだから、十五機なら十五機でもいいが、あなたの方の計算でそうだと言うなら、千五百億超してしまうじゃないですか、減耗が。そうでしょう。こんな高いものをなぜ買うんだと私は言っているんです。何で六十三機でなければいけないのかと言っている。何の説明もないじゃないですか。見てごらんなさい、イスラエル、サウジアラビア、日本しか買ってない。  次に、P3Cを見てください。P3C、一番上の半ぺらです。米海軍のP3Cは、八五年度までに二百五十機しかない。二百五十機。これは全世界をカバーしている。だからアメリカのP3Cというのは、現在、嘉手納に九機、三沢に九機、グアムに九機、フィリピンに九機、これだけだ。ディエゴガルシァ、インド洋。そうすると、四、九、三十六機でしょう。四、九、三十六機。そうすると、今度の五九中業で――今四十九機あるんでしょう、六十年度達成で。P3Cが日本、四十九機ある。これをまた五十機ふやすと言う。五十機ふやすと言うんですよ。一機百十四億八千万円。これ、五十機ふやす。五十機で一体幾らになりますか、大体六千億近いじゃないですか、もうこれで、五十機で。  つまり、ここで問題は、アメリカがこの極東水域、アジアの側に、太平洋の側に三十六機しかない。四、九、三十六機日本は今日ただいま六十年度で四十九機あるでしょう。アメリカより多いでしょう、日本の方が。それにまた何でもう五十機お必要なのか、百機にしなければならぬのか、どうなんですか、ちょっと答えてください。
  69. 西廣整輝

    西廣政府委員 大綱をつくりますときに、当時陸上用型対潜機というのは百二十数機持っておりましたが、当時からP3Cという性能のものを導入したいということで、我が国周辺の海域、これは日本海側は距岸百ないし百五十海里、それから太平洋岸は三百海里くらいのところでございますが、その海域について哨戒をするために八隊要る。これは一日一回の哨戒で計算をいたしております。そのほかに、いわゆる船舶の護衛といいますか、航路帯を護衛するためのものとして二隊〇二十機ということで、百機ということで大綱の機数、現在の大綱の別表にあります二百二十機の作戦用航空機の内訳になっておりまして、それを達成いたしたいということでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 それじゃ、これ、五十機というのだが、四十九機じゃいけないのですか。ちょっと答えてください。
  71. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、現在使っておりますP2J、これが逐次減耗いたしまして、百機体制のうちの六機まではまだP2Jが生き残る形に、耐用命数に達しませんが、残りにつきましてP3Cで埋めたいということで、五十機ということで計画させていただいております。
  72. 大出俊

    大出委員 P3Cをどのくらい方々で持っているかというのがここにございますけれども、P3C、二枚目のこの大きい方にあります。スペインが七機、ニュージーランドが六機、オーストラリアが二十機、ノルウェー五機、オランダ十三機、ポルトガル六機、カナダが十八機、イランが六機。英国でさえ、ニムロッド対潜哨戒機が二十八機しかないのですよ。アメリカがここに、一番表にありますように、嘉手納、三沢、グアム、フィリピン、九機、九機、九機、九機しかない。何で日本は四十九機あるところにまた五十機買うのですか、こんな高いものを。これは、アメリカの肩がわりをしてグアム島、フィリピンのこの扇形の水域を守ろうとでも言うのならこれはまた話は別だ。日本防衛の原点は本土防衛ですよ。本土、領海、領空の防衛ですよ。はるか公海かなたまで日本がなぜ守らなければいかぬのですか。  いいですか、ここにこう書いてあります。これは岩波ブックレット、岩波の「トマホークとは」、これは皆さんにわかりやすくちょっと申し上げますが、P3Cというのは戦略核戦力の一部である。どうなっているかというと、アメリカ、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド五カ国のP3C部隊を電子的に一本につないで作戦できる。どうするのか。水上艦艇八十隻、水中艦艇七十六隻にトマホークを積む。合計百五十六隻。攻撃型原潜もだから積む。そうすると当然ソビエトの原潜の攻撃の対象になる。当たり前だ。大変な潜水艦戦争になる。そうすると、アメリカの「ディフェンス。ガイダンス」やその他を説明している時間はありませんけれども、ここで解説しておりますように、オホーツク海にデルタ型原潜、八百キロの射程を持っているものをソビエトは持っている。そうすると、そこに対する攻撃を考えてアメリカは戦略を立てている。それはどこで問題になるか。日本の周辺の海域です。そうすると、ここに書いてありますように、「戦略核制海権の争覇は、オホーツク海やバレンツ海を「聖域」として確保しようとするソ連と、それをゆるすまいとする米国との間で、もっとはげしく戦かわれよう。米国の六〇〇隻海軍計画は、それを見越してたてられたものだが、日本もまたP3C一〇〇機計画をもって、この争いに参加させられようとしているのだ。」当然なんです、これは。ところが、そう言ったんではあなた方は困るんでしょう。アメリカの補完だと言ったんじゃ困るんでしょう。  そこで、もう一つお配りをしますが、ワインバーガー氏が――これをちょっと配ってくれますか。この一番表の一番左の端、「米がアジア戦略で新指針決定」、この一番下の段の右の端、「日本記者クラブでの講演などで「日本が北西太平洋の一千カイリシーレーン防衛を受け持つならば、この地域の米戦力をインド洋方面に振り向けることが可能で、米戦略を補完する役割を果たすことができる」と強調しておりこれはワインバーガーです。「ただ、ワインバーガー長官は、」もう一遍言いますが、「日本記者クラブでの講演などで「日本が北西太平洋の一千カイリシーレーン防衛を受け持つならば、この地域の米戦力をインド洋方面に振り向けることが可能で、米戦略を補完する役割を果たすことができる」と強調しており、」つまりアメリカの肩がわりをしなければならない、そこに、どこも持っていないP3Cを四十九機も持っているのに、もう五十機ここで、この計画で調達をしよう、そういうことではないんですか。
  73. 西廣整輝

    西廣政府委員 陸上型対潜機につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、大綱策定時に、当時まで持っておりましたP2Jその他百二十数機の陸上型対潜機がございましたが、当時は潜水艦がまだ在来型が多いので、レーダー哨戒でもって潜水艦の発見が可能であった。しかるに、逐次原子力潜水艦がふえてくるということでソーナーで見つけなければいけないということになりまして、そのためにはP3級のものが要る。しかもソーナー捜索であるとP3級のものにかえてもP2Jと同程度の海域しか捜索できないということで、百機というものが先ほど申し上げたように我が国周辺海域の哨戒とそれから護衛のために要るということで出てきておる数字でございまして、決して先生今御指摘にありましたようなアメリカ側の要請があって云々ということではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  74. 大出俊

    大出委員 アメリカの要求に応じたものではない、こう言うわけですね。かつ補完でもない、こう言うわけですね。いいですな。そこを確認しておきたいのです、後からのことがありますから。P3Cはこんなにふやすのだが、四十九機もあるのにさらにこれを五十機ふやすのだが、アメリカの補完ではない、日本防衛だ、こう言うのですね、念を押しておきますよ。  次にE2C。E2Cというのもこの表にございますから見ていただきたいのであります。二枚目の大きいものでありますが、イスラエル四機、エジプトが四機、シンガポール四機、日本が十三機、これもまた本来アメリカの要請があったわけですけれども、これも二百二十数億する大変高いものでございます。これもまた日本がべらぼうに新しいもので突き抜けている。  一つ一つ指摘していきますが、それから今度はペトリオット。ペトリオットというのはナイキの後継というわけですね。このペトリオットの六十年完成、つまり地対空誘導弾部隊ですね、ナイキ六個群、ペトリオット〇・五個群。一個群というのは四FUというのですね、四個FU、ファイアユニットでございます。つまり四連装ランチャーというのがございまして四FU。一FUというのは四連装ランチャーが二十五基なんです。ところが、一FUというのは一ファイアユニット、一つのランチャーを持っていて二十五基あるんですが、二百億ですね、これは。これも今度は導入しよう、こういうんですが、これは将来一兆円商戦と言われているんですよ、業界では。大変にこれまた高いものです。高いもの。指摘しておきます。後から、なぜ要するかをあわせて答えていただきたいのですが。  次に、急速な掃海を必要とする掃海ヘリ。海をきれいにする。機雷があったとかいろいろある。掃海をする。バートル107というのをかえて、あなた方十二機買おうという。今度の計画で十二機。これも高いんですが、MH53Eという掃海ヘリ。今までバートル107でやってた、これを新しいものを買おうという。MH53Eと、こう言います。十二機。  ところが、このMH53Eというのは何かといいますと、アメリカ海軍は三機しか保有してないのです。新たな発注分が八機ございます。両方合わせてもアメリカは十一機分。ところが、今度の五九中業では日本はこれ十二機買おうという。これも随分どうも。さすがに「軍事研究」あたりでも、「最新鋭であるが、そこまで果たして必要かどうか大きく疑問が残る選択である。」こう言っている。こんなものまで買わにゃならぬのかと言っている。そうでしょう。これはぜいたくきわまる。百三十三兆の赤字どころじゃないんです、これは。  ついでに、もう少し進めて物を一緒に申し上げておきます。  陸上自衛隊のSSM。これは地対艦誘導弾。宗谷海峡にソビエトならソビエトの艦船が入ってきた。そこに新編の部隊を置いておいて、軍艦が通っている、相手の軍艦。陸上自衛隊がですよ。初めてのこと。SSM五十四基、三個隊を新編する。一個隊が十六基、教育所要分が六基。配置は特に北海道の道東、道の東、道の北。三個隊。これはいみじくも、どうも中曽根さんの四海峡封鎖、宗谷海峡封鎖じゃありませんけれども、そこまで陸上が参画をするということになりかねない。なぜ要るのですか、これは。  今、SSM、それからMH53E、ペトリオット、三つ一緒に申し上げましたが、これがなぜ要るのですか、答えてみてくれませんか。
  75. 西廣整輝

    西廣政府委員 E2Cからお答え申し上げますが、E2Cにつきましては、御承知のように、もともとこれは海軍用のものとして開発されたものでございますが、他国では、我が国のように島国であって海を隔てて空からの脅威があるというところは少のうございますので、E2Cを持っておるところは比較的少のうございます。そういう意味で我々としては非常に恵まれた立場にあるわけでございますが、その際に低空侵入等をできる限り早く発見をするという意味でE2Cの所要が出ておるわけでございます。  次にペトリオットでございますが、御承知のように、現在自衛隊が運用いたしておりますナイキというのは二十年以上前に開発された兵器でございまして、我が国としても三十年代から運用いたしておりますが、航空機の技術が進んでまいりましてなかなか対抗できなくなっている。航空機の運動性能に追いつかない、あるいは電波妨害に弱いといったこともございますし、一方、部品の維持そのものが非常に難しくなっておるということで、新しいものにかえて、そして所望の撃墜率を確保いたしたいということでペトリオットを考えております。  ペトリオットは、先生御指摘のようにナイキ六群を逐次かえていきますが、五カ年間で五群までかえていきたいというものでございます。  次のMH53E掃海ヘリでございますが、これも我が国が一番、いわゆる機雷掃海、機雷による被害が多い、第二次大戦中の経験からいっても多いということで、掃海には力を入れておりますが、現在のバートル107の掃海用の航空機では、磁気掃海及び音響掃海の複合的な機雷を掃海するための器具が引けない、曳航能力が足りないということで、MH53Eというより曳航力の強いものにかえていきたいというものでございます。  最後にSSMでございますが、御承知のように北海道等におきましてはなかなか航空部隊等の支援も少ないところでございますので、やはり陸上部隊が中心になって国土防衛をしなくちゃいけないところでございますが、その際に、北海道というのは非常に広うございまして、スイスの二倍ぐらいあるわけでございますが、そこで少ない兵力で守るためにはできるだけ洋上あるいは水際までで敵の力を減殺しておかなくちゃいけないということで、そのための新しい兵器体系として国産のSSMを初めて装備をいたすということでございますので、その点御理解いただきたいと思います。
  76. 大出俊

    大出委員 一応答えていただいたのですが、私先ほど冒頭から指摘しておりますように、F15というものを、アメリカも三百機ちょっとしか持っていないというのに何で百八十七機要るのか。P3Cというものが今四十九機ございます。アメリカがこちら側に配置しているのは四、九、三十六機しかない。はるかに多い。掃海、つまり潜水艦を捜す密度と言った方が皆さんにおわかりいただけると思うのですが、非常に密度が高くなっている、日本はアメリカよりもはるかに。機数が多いですから。P3C一つで四国くらいの面積、九十キロ捜せるのですから。ソノブイをぽんとほうって捜せる。SOSUSなんというのをずっと張りめぐらして、パッシブ、アクティブありますが、余り専門的なことを申し上げるのは差し控えますが、何で一体その上に五十機も要るのか。  ちょっとこの資料を配ってください。今お配りしたのは、八一年のハワイ会談で、つまり八一年の六月の十日、十一、十二、三日間、ハワイのホノルルで安保事務レベル協議が行われた。この席上で、当時日本新聞も非常に大きく書きましたが、このときの中身というのを、これは私一遍取り上げておりますから多く説明しませんが、上に書いてありますように、「下院共和党調査会調書」というのは、アメリカ下院の共和党の調査会が調査をしまして、この会談の中身を、安保事務レベル協議の中身を共和党の大会に提出している、公式文書なんです。与党の共和党大会です。日本文の方を読み上げます。  「レーガン政権は、日本が現在の政府の計画以上に防衛能力を強化すべきであると考えている。六月にホノルルで開かれた日米の防衛担当者の会談において、米側は、日本が航空兵力の要撃機を増強するとともにこれは口頭で三百五十機と言われたとも二百二十機と言われたとも言われているのですが、「対潜機を百二十五機に、」今百機になりましたね。次になるとこれはもう二十五機ふやせと言いますよ、アメリカは。百二十五になりますよ。「百二十五機に、護衛艦を七十隻に、」今これは護衛艦は六十隻体制ですね。七十隻に、今度はAEGIS艦を入れるというのですね。「潜水艦を二十四隻に増強するよう勧告した。経費の見積りは困難であるが、これらの勧告は、日本防衛予算の初年度一五%増、」予算を一五%ふやせというわけですよ、初年度。昭和五十七年の予算。「その後四年間は、継続的な大幅予算増を必要とするであろう。この計画によれば、日本の本土防衛能力とともに、日本周辺約一千海里までのシーレーン防衛を支援する能力を改善するであろう。しかし、この会議日本は、消極的な提案を行い、また、次年度は防衛予算の伸びを七・七五%増にとどめるとの考えを示した。」  これは、私、かつて鈴木総理質問いたしましたら、アメリカでも質問が出たがアメリカ政府が答えなかったんで、お答えは何とか御勘弁を願いたいという答えをした。否定はしておりません。認めております。つまりアメリカの要求ですね。さっき皆さんは、アメリカの要求に基づくものではないと言い切られた。アメリカの要求じゃないですか。このときの予算は七・七五ですよ、伸びは。七・七五%ですよ。(「言うとおりだ」と呼ぶ者あり)私の言うとおり。六月の時期に七・七五を先に決めちゃっているんです、皆さんは。米政府の勧告に対して七・七五という提示をしたんだ。書いてあるじゃないですか。否定しませんでしたよ、これはかって。アメリカ議会で、対日公聴会等で質問が出て答えなかったんだから、何とかひとつこれは御勘弁を願いたいということを文書で私のところに持ってきた。ここにございますよ、文書も。いいですか。黙って見てましたが、どんどんこれに近づいて、ついに、百二十五機対潜機をアメリカが要求していたが、百機まで来たわけですね。あと二十五機ですね。F15を大変にたくさん買うことになりましたね。百八十七機ですね。どんどん近づいておりますね。一五%要求していますね、予算増を。切りがないですよ、これじゃ。  そこで私は、全部皆さんが否定されたから、ここで要求をいたします。冒頭中曽根さんの国会答弁、私は、国会約束違反である。国会で、予算委員会で、そして理事会でいろいろ議論をして、できる限り守ってまいりたいと存じます、やりとりの中で、破ろうということに生きがいを感じていることは毛頭ございません、守っていくことに悲願を持っている、ここまでお答えになったが、やっていることは反対。アメリカで約束をいろいろされている。調べてきて、具体的に聞いてきて、直接私も聞いているけれども、そういうことはないとおっしゃる。だからアメリカから、言われたんじゃないと。それならば、私が納得できるようにあなた方の資料を出していただきたい。納得できないんだから。国民の税金をこんなに使うんだから。おぎゃあと生まれた子供さんまで十五万円も使うんだから。いいですか、資料をいただきたい。  ここに防衛諸計画の作成等に関する訓令というものがございます。防衛諸計画の作成等に関する訓令、昭和五十二年四月十五日に出されておりまして、条文がずっと並んでおりますが、まず一つ、第六条でございますが、「統合長期防衛見積りは、その作成する年度の八年後の年度以降の見通し得る期間を対象とし、努めて科学的分析評価を行い、内外の諸情勢を可能な限り見積り、これに対する防衛戦略を考察するとともに、」防衛戦略ですよ。五九中業は戦略も何にもないんですよ。買い物計画ですよ。八%は困るというんなら七。九にしろ。二千億どっかへぽんとこうなくなる。国民の血税ですからね。「防衛力の質的方向等を明らかにし、統合中期防衛見積りの作成等に資することを目的とする。」これが六条です。  第八条、「統合中期防衛見積りは、原則としてその作成する年度の翌々年度以降五年間を対象とし、統合長期防衛見積りを参考として、努めて科学的分析評価を行い、内外の諸情勢を見積り、これに対する防衛構想、防衛の態勢並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の体制について検討し、防衛力整備の基本構想及び重点等を明らかにし、」重点を明らかにしなければ困る。科学的な分析が必要なんだ。「中期業務見積りの作成等に資することを目的とする。」  十条、「中期業務見積りは、」中業ですよ、五九中業です。「中期業務見積りは、原則としてその作成する年度の翌々年度以降五年間を対象とし、統合中期防衛見積りを参考として、防衛力の計画的な整備、維持等を図る」、こうなっておる。  五九中業というものは、六条に基づく、統合長期防衛見積もり、科学的な分析、内外の軍事情勢の分析に基づいて、そして統合中期防衛見積もりの作成に資する、これに基づいて中期防衛見積もりができる。極めて科学的に、海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊の体制を検討して重点その他戦略を全部明らかにしなければならないことになっている。それによって五九中業ができる。この統合長期防衛見積もり、統合中期防衛見積もり、これをひとつお出しを願いたい。  私は二十二年間、防衛に携わっておりますけれども、見たこともなければ、中身の説明を受けたこともない。ただ単に買い物計画だけを提示をされて、見てきているだけです。それでは、今アメリカがこれだけ強い要求をしている、だんだんそっちに近づいているという現実があるというのに、皆さんの方は補完ではないと言い張る。それならば、あれだけの機数、これだけの構成のものが、どういう状況判断のもとに、いかなる戦略のもとに、いかなる重点のもとに必要であるのかというのは、六条、八条、十条に明確になっているのだから、納得し得るようにひとつ資料をお出しいただきたい。  あわせて、昨年の十二月二十六日に、日米共同作戦計画が五十三年以来六年かかってまとまって、渡部統幕議長とティシエ在日米軍司令官の間で調印をされましたね。外務省が途中からこれに横やりを入れた、つんぼ桟敷に置いたといって。そうしたら、こっちは防衛庁の所管だから、外務省も参画することになっているけれどもといって突っぱねた。騒ぎになって、最後には見せたか何かしたようでありますが、外務省までつんぼ桟敷で決められる。いろいろな人が書いているけれども、この中の共同作戦計画の一資料でも出てきたら時の内閣の首が飛ぶ、こう言われている。全部絡んでいる。これは当時我が党の村山喜一さんの質問もあって、将来予算あるいは防衛の審議のときに、あるいは必要ならば法律もつくって、そのときにこの中身を明らかにするということをここで答えている。ひとつこれを出していただきたい。  そして、十七兆七千二百億で抑えるのが一%だから、一%をはみ出すものをつくられて、そうでございますかと、国民の税金一人十五万円で、あなた方明確に答えられなかったが、十五万円、これだけ莫大なものを一%を突き抜けて、しかもアメリカの要求は、今ここに出しましたが、どこまでふえるかわからぬ世の中に黙って引き下がるわけにいかない。したがって、納得し得るようにお出しをいただいて、その上で、我々納得できないのですから、十七兆七千二百億、一%以内におおさめをいただきたい。お出しください。
  77. 加藤紘一

    加藤国務大臣 共同作戦計画の研究とか、それから我が方の各種の業務見積もり等につきましては、事柄の性質上、我が方の能力をどう考えるか、そしてそれぞれ周辺の潜在的な能力との関係等いろいろ機微にわたるところがございますので、累次これは国会でも申し上げておりますけれども、それを全部出すことはお許しいただきたいと思います。
  78. 大出俊

    大出委員 私は、さっき幾つか例に挙げましたが、専門的なことでございますから気をつけて、なるべくそうでなくわかっていただきたいと思って物を申し上げているのですが、つまり、こんなに六十三機も――今、六十年度でF15というのは百十五機でしょう。「防衛計画の大綱」というのは、さっきから私が申し上げておるように最初から四次防というところででき上がった装備を、これが防衛計画大綱の平時における装備なんですとこう言って枠を決めた。ただ、抽象的に技術の進歩その他があるからこたえていきなさい、こうなっている。皆さんはそこに集中して、べらぼうに高いんですね、百二億をはるかに超えるF15をこれだけふやそうとなさる。P3C、アメリカだって太平洋側に三十六機しか持っていないというのに、こっちは当年度で四十九機もあるのにまた五十機ふやすという。ペトリオットを持ってくるという、一兆円の商戦と言われるものを。E2Cもまたふやそうという。一機二百二十何億するんですよ。そうでしょう。しかも陸上自衛隊まで、海峡封鎖なんという話が伝わるけれども、艦船を攻撃する新しい新編の部隊をつくる、しかも北海道の北と東の海岸に部隊を置こうという。危なくてしようがないじゃないですか。しかも、掃海ヘリだってアメリカはまだ三機しか取得していない。日本が十二機買うという。さすがに専門誌でも、そこまで買わなければいかぬのか、疑いを持たざるを得ない選択だと言っているでしょう。それならば、我々になぜ必要なのかということを、国民皆さんにわかるようにはっきりしてもらわなければ困るじゃないですか。こんなもの放任できないじゃないですか。議論のしようがないじゃないですか。  しかも、秘密というようなことばかりじゃないですか、あなた方言うけれども。秘密がどのくらいあるか知っていますか、国会にあなた方出しているけれども。  実は、新聞の報ずるところによれば、あなた方が国会へ出したのは十万五千ぐらいですよ。十万五千どころじゃないんですね、秘密というのは。べらぼうな数。百万の単位。庁秘、防衛秘。こういうことでは、何もかも秘密では議論のしようがない。今回は一%枠を外すというのだから、どうしても出してください。
  79. 加藤紘一

    加藤国務大臣 シビリアンコントロールということは非常に重要なことだと思っておりますし、私たちの計画も、我が国の自主的な判断に基づいて、そして科学的な検証をやりながら進めていかなければならないと思っております。  今度の中期計画をつくりますときに、私たちの能力見積もりとか、それから事業見積もり等、それが構成要素の重要な部分になっておるわけでございますが、例えば、能力見積もりといいますのは、我が方がどの程度対処する能力があるかということなどが中心でございます。これを表に出しますことは、いわば我が方の手のうちを明らかにするということになりまして、恐らくそれぞれいかなる国でも、国防に関与した場合にはこれは表には出さないのではないかと思います。  ただ、シビリアンコントロールが重要でございますから、今度いわゆる計画をつくりますときには、国防会議におきまして、この点は総理大臣、それから国防会議議員のいる前で詳細に御検討いただきましたことだけ、つけ加えさしていただきたいと思います。
  80. 大出俊

    大出委員 私はアメリカに行って、私のあだ名がソーシャリストパーティー・ミスターディフェンスと言われるくらいですから、下院の軍事委員会の皆さんなんかと話しても、向こうの方がよほど詳しいですよ、我々よりも。全部資料持っていますから。  そこで、私申し上げるのですが、これは昭和四十五年の四月十五日ですが、私の質問に対する中曽根さんの答弁防衛庁長官のときの。「シビリアンコントロールと申しますのは、前にも申し上げましたように、国民代表である政治家が軍事を掌握するということであると思います。したがいまして、シビリアンコントロールの大黒柱は、国民代表の最高機関である国会であると思います。」そうでしょう。国会しかないでしょう。国会でしょう。ちゃんとこれは御答弁なさっておるでしょう。その国会が全くつんぼ桟敷で、買い物計画だけ見せられて、はらはらしながら国民の税金がどんどん使われていく、ふえていく、黙って見ていられますか。しかも、あなた方は勝手にみんな秘をつくっている。  申し上げましょう。国会へ出したのは、防衛秘密、極秘二百十八件、秘五千九十五件、合計五千三百十三件、これが防衛秘密。それから防衛庁の庁秘、機密二千百三十三件、極秘五千八百八十一件、秘九万七千九百七十四。何ですかこれ、十万五千九百八十八。  新聞で調べて、調べた新聞がここにございますが、大分違う。いいですか、防衛秘密十一万一千百九十一点。庁秘百二十三万六千六百九十四点。何ですかこれ、百二十三万とは。何もかも全部秘にして、何にも出そうとしないで、何が中曽根さんの答弁に言うシビリアンコントロールは国会が大黒柱なんですか。はっきりしてくださいよ。何にも出さぬで、これだけの一%枠を突き破る決定をしておいて中身を何にも出さぬとはどういうわけだ。  最近のこの書物、「欧州の例を見ても、こうして一握りの専門家が防衛政策をつくり、国会国民一般が事後にそれを承認するという形は、イギリスでもオランダでも最近まで同様だったが、防衛政策はつまり民主化されていなかったが、この状況がここ数年がらりと変わった。変化をもたらした最大の原因は、国民一般の核兵器問題等への関心の急激な高まりである。核戦争への恐怖あるいは反核運動といってもよいがこというところから、「防衛政策、政策づくりを一人の専門家に任せることはもはやできないと考えるようになった。政府や与党の側から見れば、防衛政策は、まずその形成や決定に先立ち、国民に語りかけ、解き明かし、その合意をつくることがどうしても必要になってきた。」明確に書いてあります。その時期に日本も来ていますよ。  二十二年私やっていますが、整合性も合理性も何にもない買い物計画だけ審議させられてきた。だから、一%枠内というなら定着しているのですから我慢をしますが、そうでなければ出してください。十七兆七千二百億以内におきめるとおっしゃるなら我慢のしようもある、今まで我慢してきたのだから。これがだめだ、突き抜ける、それを国会報告するというなら、そんな報告は受けたくない。その前に出してください、これを。国民皆さんに説明がつかぬじゃないですか。何と言われてもこれは私聞きません。だめです、これは。出してください。
  81. 天野光晴

    天野委員長 理事会で相談したいと思いますが、いかがですか。(「休憩」と呼ぶ者あり)  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  82. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大出俊君。
  83. 大出俊

    大出委員 理事会でいろいろ御相談いただいたようでございますが、続けて基本的な点明らかにしてほしいという理事のお話もございましたから、改めて申し上げて、要求をしたいと思うのでありますが、私が午前中申し上げておりますのは、「防衛計画の大綱」ができた、このときは四次防まで整備をいたしまして、この四次防まで整備してきたものが大綱別表なんだ、別表と同水準にあると判断していると大綱に書いてあるのですから、四次防をここまで装備を充実させてきた、別表をつくった、別表にあるのが四次防までやってきたこれなんですと言っているわけですね。  ただ一つだけ、科学技術が進歩をする、つまり諸外国の技術水準が向上する、そういう動向に対応し得るように、質的な充実に配慮するようにと書いてある。すべてそこに集中させて、あれが欲しいこれが欲しい、こういうことでどんどん予算がふえてきて一%を突き破った。突き破ったのですね、そういう決定、十八兆四千億をなさった。しかもそれは閣議決定、政府方針。今までは防衛庁の内部資料だから我慢ができるが、そうではない、政府決定。政府決定というのが十八兆四千億を実施するということなんです。物価上昇を入れれば十九兆八千億実施するということ。  そうなると、現在F15というのは百十五機ございます。これを六十三機なおふやして百八十七機体制にするというんだが、六十三機といったって、六十二じゃいけないのか、六十一じゃいけないのか、六十じゃいけないのか、なぜいけないのか、解明のしようがない。アメリカだってそんなにたくさんは持っていない。  さて、P3Cにしても同じことでございまして、六十年の今、この年に四十九機P3Cを日本は取得している。アメリカは四カ所に配置しておりますが、九機ずつでございますから三十六機しかない。日本は四十九機持っている。そのP3Cをまた五十機何で要るんだ。百機体制にする、わからぬじゃないか。では五十機、半分じゃいけないのか、二十五機じゃなぜいけない、二十機ではいけないのか。単なる代替では済まない、能力が全然違う。P3Cというのは九十キロ索敵できるのですよ、ソーナーをぼんとほうれば。全然違う。アメリカよりもうんと密度の濃いことになってしまう。三月末に百三十三兆も財政赤字が残って大騒ぎだという世の中に、何で国民に、おぎゃあと生まれた赤ちゃんまで十五万円負担させてこんなべらぼうな計画遂行が必要なのか、わからぬじゃないかとるる今申し上げたわけであります。  そして、P3Cのみならず、ペトリオットなんかにいたしましても、FUというのですが、ファイアユニットというのですが、一FU、四連装ランチャー二十五基なんですけれども、これ二百億かかるんですよ。だから、業界は将来、一兆円商戦と言っているんですね。そういうことでございますから、そんな高いものがなぜ要るか。  急速な掃海、海の機雷その他掃海する。今までバートル107がやっておりましたが、MH53Eというのを十二機買うとこう言う。ところが、MH53Eという掃海ヘリを調べてみたら、アメリカ海軍だって三機しか持っていない。三機ですよ。八機発注はしているけれども、三機しか持っていない。何で日本はこれ、十二機買わなければいかぬのか。そうでしょう、こんな高いもの。  陸上自衛隊がSSM、これを買うという。三隊新設をする。陸上から軍艦を撃つシステムです。どこへ置くのだ、北海道の道北と道の東に置く、宗谷海峡封鎖のときに使うのか知りませんが。  E2Cも、二百二十二億もするものをまたここでふやそうとなさる。その上に空中給油機は要るの、OTHは要るの、AEGIS艦は要るのというわけですから、そうだとすれば、それはアメリカが要請するから仕方がないからやるというのか。ワインバーガーさんの記者クラブの発言ではございませんが、補完だ、しようがないからそうするんだと言うなら、わからぬわけではないと私は言うんだ。それならそれなりに理由は別に立てる。だが、そうじゃないと皆さん否定なさる。すべて日本防衛だと。そう言うのならはっきりしてもらいたいことがある。一%枠を突き抜けないと言うなら、十七兆七千二百億で我慢すると言うなら私も黙るが、そうじゃないんだから。  日本防衛の基本というのは、ここにございますけれども、訓令で統合長期防衛見積もりというのをつくることになっている。そして、内外の諸情勢を科学的に可能な限り分析をして防衛戦略を考察する。戦略なんかないでしょう、出てないでしょう。そして統合中期見積もりの作成資料にする。  さて、統合中期防衛見積もり、これは何か。努めて科学的に分析評価を行って、内外の諸情勢を見積もって、これに対する防衛構想――そんなもの出ていないでしょう。防衛の態勢並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の体制についての検討をして、防衛力整備の基本構想及び重点を明らかにして、中期業務見積もりの作成に資することを目的とする。  二つあって、この二つに基づいて五九中業、中期業務見積もりが出てきたんでしょう、買い物計画だけが。この統長、統中がなければ、いかなる理由で科学的評価を行って、部隊構成それから防衛構想ができて、いかなる理由で今私の申し上げたF15が六十三機要るとか、P3Cをまだ五十機買うとか、アメリカよりうんと多くなっちゃうのに、この理由が成り立たないじゃないですか。  もう一つひっかかるのは日本共同作戦計画ですが、これも過去の議事録によれば全部がんでいるわけだから。  統合長期防衛見積もり、統合中期防衛見積もり、日米共同作戦計画、調印しておりますから、この三つをお出しいただきたい。あなた方が十七兆七千二百億以内で、一%以内におさめると言うなら話は別。閣議決定したのですから、この三つをお出しください。そうしなければ買い物計画の裏づけがないんだから、国民皆さんに説明がつかない。皆さんの今までの論議はすべて、さっき私は悪い言葉を使ってバナナのたたき売りと言ったが、国民の税金二千億ぽんとふえたり減ったりするようなやりとりじゃいけない。何が必要なんだ、なぜ必要なんだという理由がなければならぬ、だから出してくれと言っている。以上です。
  84. 加藤紘一

    加藤国務大臣 大出委員から個々の装備についての日米比較等をいただきましたけれども、大出委員防衛に関しては大変なエキスパートでいらっしゃいますから、私たちから申し上げることでもないのですが、確かに私たちはF15を持っております。その機数はおっしゃるような数字でございますが、例えばフランスはミラージュを持っておりますし、アメリカもF15に限らずF15というものを大変いっぱい持っているわけで、個々の装備で比べたら日本に多いものはございます。しかし、いろんな全体像で御審議をいただきたい。例えば我が国のように国民が比較的防衛について安心感を持てる部分は、海に囲まれているという部分でございますから、そこの海が私たちにとってどういう状況になっているか、プロペラをつけた、コンピューターを積んだ、P3Cというほぼ他国を攻撃する能力のないいわゆるパトロール機が海の周りを哨戒して、一日一回見ておくことは必要なのではないか。そんなふうにぜひ全体像で御理解いただければと思う次第でございます。  さて、ただいま御指摘のものでございますが、共同作戦計画の研究というものは非常に機微にわたりますし、それからいろいろ過去の予算委員会でも、この内容についてどこまで出せるかという御議論をいただいた長い長い経緯がございます。それから、統長、統中、この二つの資料でございますが、それぞれ私たちの防衛の態勢それから装備の仕方、その際には我が国の周辺の潜在的な脅威がどの程度の力があって、そしてそれを本当にどこまで見ているかという私たちのぎりぎりのものでありまして、防衛庁の中に幾つか機密がございますけれども、その中のトップのトップのぎりぎりのものでございます。それをお出しすることは、当然私たちの手のうちを明確にいたすことでございますので、その辺はぜひ御勘弁いただきたいと思いますが、委員の御指摘でございますので、そういう資料がどういった手順でどういった部分を検討しながらつくられていくかというようなことなどを含めて、その作業の発想、作業の手順みたいな部分につきましてどこまでお出しできるか、ちょっと時間をいただいて検討さしていただきたいと思います。
  85. 大出俊

    大出委員 それはだめなんだ。なぜかというと、加藤さん御存じでしょう。私は二十二年もやっているのですよ、防衛を。皆さん御存じのとおりでしょう。だからアメリカへ行ってもミスターディフェンスなんて言われるんですよ、ソーシャリストパーティーの、二十二年間、私、統長、統中についても物は言ってある。我慢した、今まで。買い物計画だけは出てくるけれども、五三中業、五六中業、今度は五九でしょう。だけれども、後ろに、なぜこれだけの機数、これだけの性能のものが要るかというのは、戦略防衛構想何にもない。何にもない。これでは議論のしようがないでしょう。発想だ、構想だ、そんなもの、何遍も出していただいていますよ。意味がない。共同作戦計画も同様です。六年間我慢してきた、質問もしておりますけれども。調印をしたでしょう、あなた方。特に十八兆四千億、一%の国民合意と考えなきゃならぬ枠を、防衛費の枠を突き抜けた十八兆四千億を決められたでしょう。物価が上がれば、物価二・五%入れれば十九兆八千億でしはう。だから、ここまで来て、しかも、閣議決定したんだから、防衛庁内の計画じゃないんだから、ならば、出せというのは当然じゃないですか。国民皆さんに何にもわからぬで金を負担しろと議会の立場で言えますか。そんなことじゃだめですよ。認めない。出してください。――だめだ、それは。(「休憩、休憩」と呼ぶ者あり)
  86. 天野光晴

    天野委員長 いや、休憩ではありませんよ。休憩ではありません。(発言する者あり)  それでは、理事会でちょっと検討しますから、このままで休憩していてください。     午後一時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十一分開議
  87. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  理事会の協議により、大出君、上田君の残余の質疑は後に譲り、小泉君の質疑を許します。小泉純一郎君。
  88. 小泉純一郎

    ○小泉委員 私は、自由民主党を代表しまして、総理大臣以下の閣僚に、防衛問題、外交問題、定数是正問題、さらに財政問題について、私の見解を述べながら、若干の基本的な問題をただしたいと思います。  総理、国連総会あるいは首脳会談等の大変きついスケジュールをこなされて、帰国早々大変御苦労さまでございます。  歴代の総理に比べまして中曽根総理大臣は、防衛問題に大変真剣に取り組んでおられると思います。そこで、まずこの防衛問題、自衛隊の問題を抜きにして語ることはできないと思いますので、歴代総理答弁を研究しながら、改めて総理大臣防衛に対する見解なりをただしてみたいと思います。  昭和二十九年の衆議院内閣委員会における吉田総理大臣答弁でございますが、まずこれを読みますので注意深く聞いていただきたいと思います。省略して要旨を、答弁を読みます。「再軍備をいたして国際紛争の具に供しない、あみいはまた戦力に至る再軍備はいたさないという趣旨は、いまなおかわっておりません。」中略がありまして、「戦力に至らざる軍隊といいますか力を持つ、自衛軍を持つということは、これは国として当然なことであると考えるのであります。」これは昭和二十九年の吉田総理大臣答弁であります。  さらに戦力論議に関しまして、昭和五十年三月、参議院予算委員会におきまして、社会党の藤田進君の質問と三木武夫総理大臣答弁をこれまた読み上げます。藤田進君、「戦う力があるということを、要するに日本語は戦力だというんですよ。どうなんですか。」三木総理大臣いわく、「われわれはこれを戦力と言わない、考えないのだということでございます。」藤田進君、「それじゃ、戦う力はあるんだが、それを戦力と言わないで何と言うんですか。」三木総理大臣、「防衛力と言うわけです。防衛力と言う。」  これを聞きまして、私は大変奇異の念に打たれたわけであります。防衛力そのものも、戦力がなければ防衛力たり得ないと私は考えるのでありますが、総理大臣はどう思われますか。
  89. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 憲法上、戦力を持たない、そうたしか書いてあったと思います。我々は憲法に従って行政を施行しており、政治を実行しております。そういう考えに基づきまして、日本防衛は、外国が一般的に行っているのとやや違った性格を持って行っております。つまり、白国の防御のみを中心に防衛ということを考えておる、そしていわゆる憲法九条における戦力に至らない自衛力というものでこれを行っている、そういう考えのもとに防衛力の整備もしていく。建前、考え方が外国とは違う、そういう我が国の憲法の独特の性格に基づいて行っておる、そのように理解いたしております。
  90. 小泉純一郎

    ○小泉委員 ですから、私が聞きたいのは、戦力に至らない防衛力というのはあり得るのかどうか。常識的に考えて、戦力がなければ防衛力たり得ないというのが普通の考え方ではないでしょうか。それについて何の疑問も感じないで、自衛隊には戦力はないんだということを総理大臣は言うわけですか。
  91. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げますように、憲法を解釈し、憲法を厳格に守りつつ行おうとしておるわけでございまして、個別的自衛権というものを中心にして日本防衛に必要な最小限の力を持とう、そういう性格を防衛力と称しておるので、戦力とは呼ばない、こういうふうに解釈しておるわけであります。
  92. 小泉純一郎

    ○小泉委員 次に、またこれは古い問題ですが、自衛隊は軍隊がどうか、この論議がありまして、昭和二十九年四月、内閣委員会議おきまして、当時の木村防衛庁長官、こう言っているのです。一体軍隊とは何ぞや、この定義であります、普通に言われまする外部からの侵略に対して対処し得るものをもって軍隊ということであれば、まさしくこの自衛隊は軍隊であります、はっきり申し上げられます。これは普通の常識的な考え方ですね。  ところが、昭和四十二年、参議院の予算委員会におきまして、時の佐藤栄作総理大臣答弁でこう言っているのですね。いろいろ追及されまして、その後、「自衛隊を、今後とも軍隊と呼称することはいたしません。はっきり申しておきます。」こう言っているわけです。  それ以来、この国会防衛問題を論議する際にも、自衛隊には戦力がない、自衛隊は軍隊ではない、こういう実態とはかけ離れた論議のために、防衛論議が実りあるものになりがたくなっていると私は思うのであります。総理は、この自衛隊は軍隊と呼ばないという答弁を今後も踏襲されるのでしょうか、本当にそうなんでしょうか。
  93. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 吉田さんが言われたようないわゆる再軍備しない、そういうような考え方に立っておるわけであります。陸軍、海軍というようなものは持たない。軍という言葉はたしか使われておったと思いますが、そういう意味からも誤解を受けないように、軍隊という言葉は使わない、そういう配慮がなされたものではないかと思います。先ほど来申し上げたような、日本独特の考えに基づく防衛力という考えに立って行っておるものなんであります。ですから、自衛隊という名前を使っております。
  94. 小泉純一郎

    ○小泉委員 それでは、海上自衛隊が遠洋航海とか、あるいは駐在武官を海外の大使館に派遣する、そういう場合に、海上自衛隊の護衛艦とかあるいは武官、海上自衛隊だったら何というのでしょうかわかりませんけれども、相手国に対しては海軍軍人あるいは空軍軍人、護衛艦だったらいわゆる軍艦扱いされているんじゃないでしょうか。外務省ですか、防衛庁ですか、どういう扱いになっているか、実態は。自衛官、人の場合だったらば軍人扱いじゃないですか、あるいは自衛艦、船だったらば軍艦扱いじゃないですか、どうなんですか。
  95. 小和田恒

    ○小和田政府委員 人間の方の自衛官あるいは船の方の自衛艦が国際法上の軍人あるいは軍艦として取り扱われるかどうかというのは、個々の具体的な国際法の規則あるいは条約の規則、規定の解釈問題として処理されると思います。  ただ、今お尋ねの慣行について申し上げますと、諸外国における自衛官あるいは船の方の自衛艦の取り扱いについては、実態的にそういうふうに扱われるケースが多いのではないかというふうに承知しておりますけれども、具体的には相手国がこれをどう取り扱うかという問題になっていると思います。
  96. 小泉純一郎

    ○小泉委員 相手国がどう取り扱うかと言うが、実態的にはアメリカの場合もイギリスの場合も、いわゆる人の自衛官も船の自衛艦も軍人、軍艦扱いでしょう、具体的にはアメリカもイギリスも、日本に対して。どうなんですか。
  97. 小和田恒

    ○小和田政府委員 個々のケースにつきまして、具体的にどういうふうに扱われているかということは防衛庁の方からお答えした方がいいかと思いますが、私どもが承知しております限りでは、現実にはそういうふうに扱われるのが普通であるというふうに承知しております。
  98. 小泉純一郎

    ○小泉委員 それは本論じゃないからいいのですが、要するに、今の日本国会防衛論議というのは実態からちょっとかけ離れたといいますか、実際、自衛隊には常識で考えて戦力がある。また、自衛隊というのは軍隊である。これは普通の人が考えればもうそう思っていますよ。日本にも既に軍備がある、これは常識ある人が考えれば当たり前だと思っています。ところが、そうじゃないなんという前提のもとに議論が進められていることに、本当の防衛問題が実にむなしいものになっていると私は思っているのです。確かに、戦争の反省から、二度と軍事力は持たない、武力は持たないという、そういう精神のもとにやってきたわけでありますが、これは軍事力にしても武力にしてももろ刃の剣でありまして、あるときには戦争のために武力を使う、軍事力を使う。しかし、あるときにはまた平和を守るために武力を使わなければならない場合もある、軍事力を使わなければならない場合もあると思うのです。  私は、率直に言いまして戦後のこの四十年間、日本がこれだけ平和のうちに繁栄を謳歌することができた、それは全然軍事力がなかったからか、私はそうは思いません。戦争に負けてから後、直後も、今まで一日たりとも日本に軍事力が存在しなかった日なんてあるのですか。ないですよ。負けたときも強大なアメリカの占領軍が日本に存在したのです。いわゆる軍事力というのは存在していた。自衛隊が生まれてからも、自衛隊の上にさらに補完的措置として日米安全保障条約をもって、日本は軍事力が立派に存在している、今までずっと。軍事力が戦後も全くなかった日なんというのは一日もないのが私は事実ではないかと思うのですが、総理大臣、どうですか。
  99. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 防衛力は存在していたと思います。
  100. 小泉純一郎

    ○小泉委員 そこなんですね。最初から言っているように、これはかみ合わないのですよ。防衛力というのは、戦力がなければ防衛力たり得ない。これは当たり前のことなんです。総理大臣答弁関係上これ以上の答弁はできないというのは、私、わかっていますよ。しかし、実態としておかしいということがわかってくれればいいのです。非武装中立政策をとっていたならば、私はこんなに日本が平和のうちに繁栄していたとは思えないのです。今の東南アジア、中近東あるいは中南米を見てみれば、非武装で軍事力がない、各国の思惑にめちゃくちゃにされて、その日暮らすにも大変じゃないですか。  軍事力、確かにこわいものかもしれません、しかし、同時に、この現実というもの、軍事力が果たす役割というもの、武力が果たす役割というもの、これはあるときには平和を守るためにもなるんだ、この認識がなしには防衛問題というのは論ずることができないし、そういう意味におきまして軍事力とか武力とか軍備というもの、目を覆うのじゃない、しっかりと現実を直視して、それをいかに我々国会が、政治家が管理して平和を維持するためにうまく活用していくのか、こういう議論が国会でなされるべきだと私は思うのであります。  それぞれ各党の政策はありますが、私は先月フィンランドを訪れる機会がありました。フィンランドはソ連と国境を隣にしております。そして、ソ連と友好協力条約を結んでいながら、ソ連の駐留を認めていない、いわゆる中立政策。そこで、スウェーデンとかスイスにはいわゆる避難ごう、シェルター、核戦争にも備えるようなシェルターがあるということは聞いておりました。しかし、フィンランドに行ってみまして、フィンランドにもすごいシェルターがあるのですね。しかも一部の人じゃない。フィンランドにおいては、全人口が入れるようなシェルターを備えていて、平時は駐車場として使っている。いざというときには核戦争にも生き残れるような備えを着々としている。そういう実際のフィランドにおけるシェルターを見て、またそのとき案内してくれた説明員から、我々はこのシェルターがむだになることを願っているんだ、むだになることを願っているんだけれども、やはり独立と平和と安全を確保するために備えはしておかなければならないという説明を聞きまして、フィンランドという民族も大した民族だ、そういうふうに一つの感銘を覚えたわけであります。  私どもは、防衛問題あるいは軍事力というものを考える場合に、やはり現実というものをよく直視して、これからの新しい防衛体制をどうやって整備していくべきか真剣に考えていかなければならない。そういう中にあって、あえて改めて御質問いたしますが、総理は、やはり自衛隊には戦力がないし、また自衛隊は軍隊であるとは言えない、そういう答弁しかできないんでしょうか。
  101. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりであります。
  102. 小泉純一郎

    ○小泉委員 そこで、私は、確かに現在日本にはちゃんとした軍事力が存在している、自衛隊も軍隊とは変わらない、そういう認識を持っておりますが、だからといって、現在いろいろ出ておりますGNP一%枠を撤廃しろなどとは思っていないのです。今のGNPの一%枠を守っていこうという、そういう考え方はそれなりに意味のあるものだと私は思っています。  私は、野党の一部の方が言うように、GNPを一%でも超えたならばすぐ日本が軍国主義になるとか、あるいは軍事大国化への道をまっしぐらに進むのだというような、そんな見方は全然していません。現に今までの日本防衛関係費を見てみますと、かつて吉田内閣におきましては、防衛関係費はGNPの二%以上超えているのですね、昭和二十六年も。二十七年なんというのはGNP比二・七八%、しかも一般会計歳出に占める防衛関係費は実に二〇%を超えていますよ。今五%台ですよ、日本は。そのときに、日本は軍国主義への道へ進んだとか軍事大国化だなんて言った人がいますか。そうじゃないのですね。当時よりも、比率にしてみればはるかに今は低いのです。だから一%を超えたならば直ちに軍事大国になるんだとかあるいは軍国主義になるんだという論議は全く当てはまらないと思っておりますが、今の国情、日本の経済力に応じて考えるならば、この一%枠というのは十分に意味は持っている。  なぜならば、私はスイスとかスウェーデンの防衛費をちょっと調べてみました。スイスもスウェーデンもフィンランドも武装中立の国であります。よく我々も国会議員がその国へ視察に行って防衛体制を研究されていると思いますが、あのスイスでさえも確かに日本に適当するGNPに対する防衛費の割合は二・一%、日本の比率にしては倍以上を使っておりますが、国防費、額にしてみれば一九八四年度は十九億七千万ドル、日本の六分の一弱なんですね。日本は百二十三億ドル。ですから確かにGNP比率にすると日本防衛に対する努力は少ないんだという、一方の勢力からいえばそういう批判はあるかもしれません。しかしこれだけ日本が経済力が大きくなってきた。あの武装中立のスイスでさえも国防予算というものは十九億七千万ドル、日本はその六倍以上今使っているわけです。スウェーデンも武装中立国であります。かなりの重武装の国ですよ。防衛費GNPの中に占める割合が二・七%。額は一九八四年度で約二十五億八千万ドルです。これも日本から比べれば四分の一にも満たない。日本はこの約四・七倍を国防予算で使っておるわけです。あれほどしっかりとした武装を整えているスイスにおいてもスウェーデンにおいても、あるいはフィンランドに至っては全国民が核シェルターに入れるくらいの準備をしていながら、防衛費の額は日本の十七分の一です。  そういうことを考えますと、日本GNPに対しては一%弱だけれども、額全体としてはかなりの防衛予算をつぎ込んでいるのですよ。ですから、これだけ経済力を持った日本、一%に満たないからといって日本がそれ相応の防衛努力はしていないという批判は、ほかの面でもっと協力すれば防げるのではないでしょうか。総理大臣はどのように考えますか。
  103. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 防衛の必要というのは、その国、その国の環境あるいはその国の国情によって違うわけでありますから、ほかの国を論評することは適当でないと思いますが、日本のように、一億二千万の人口を持って、そして非常に長い列島を構成している、しかも非常に高度の工業技術、産業技術を持っておる国である、こういういろいろな条件等を考えてみますと、やはり現在程度の防衛力を持つことは必要である。スイスやあるいはスウェーデンは、それぞれの国情はございましょうが、周囲の環境とかあるいは国民の皆様の人口の数とか富の力とか、そういういろいろな面を考えて、政府は国民意思に従ってそのようなことをおやりになっておるのだろうと思います。しかし、日本の場合を考えてみますと、なるほどGNPはほかの国よりは非常に大きい状況にはございますけれども、しかし、これだけの大きな産業あるいは工業力というものを保持して守っていく、これだけの膨大な人口を持っておる、そういう面を見ますと、やはりそれに応じた必要最小限の用意はしなければいけないのではないか、そういうふうに考えております。
  104. 小泉純一郎

    ○小泉委員 ですから私は、これだけの経済力を持った日本、必要な防衛予算として、この現在の国情を考えると、一%枠を守るという努力はやはりそれなりの重要な意味を持っていると思うのであります。  そこでちょっと、また数字でありますけれども聞いていただきたいのですが、昭和十六年にいわゆる真珠湾攻撃が開始されて、第二次世界大戦が始まりました。その前年、昭和十五年、日米のGNPを比較してみますと、その当時の日本GNPは約九十二億ドルでした。そのときのアメリカのGNPは一千億ドルだったのですよ。アメリカの十分の一にも満たなかった日本、国力において、経済力において十分の一にも満たなかった日本があれだけの戦争をやったのですね。そして、敗戦後五年たって、一九五〇年、昭和二十五年、このときのGNPは、日本が百十億ドル、アメリカは実に二千八百億ドルを超えていたのです。日本GNPに比較して約二十六倍。だからこそアメリカも、非常に寛容な精神で、日本に対してもヨーロッパに対しても、世界に対して大変な援助もできたと思います。  ところが、だんだん日本も経済力が発展してきた。戦後、三十倍近く離れていた日米のGNPの開きが時とともに狭まっていった、日本の発展によって。一時期は、日本はアメリカのGNPの四割を超えたときもあったわけであります、一番円高のときは。現在、日本とアメリカのGNPの比較は、アメリカの大体三分の一程度が日本GNP、非常に国力としては大きくなってきたと思います。  ですから、これだけの経済力のある日本が世界からそれ相応の、平和と経済繁栄のための枠組みを守るためにそれなりの代価を払いなさいという先進諸国の要求というのは、私も当然だと思います。しかしながら、この経済大国、決して軍事大国にならない、また日本といたしましては、総理も国連総会で演説されたように、非常に軍縮に熱心な国である、最も熱心な国である、そういう実を上げるために、防衛費というのはできるだけ抑えてそれ以外に貢献できる道を大いに実績の面で上げていくならば、日本はただ乗りしている、安全保障においてもあるいは経済の繁栄の上においてもただ乗りされている批判というものには、軍事面以外の面で伸ばすことによって私は立派に責任を果たすことができると思うのであります。  具体的に言うならば、今、発展途上国への経済援助というもの、これも日本としてはそういう――確かに戦後、一番平和の恩恵を受けてきた国である、自由貿易、経済繁栄の恩恵を受けてきた国である。その恩恵をお互いつくり出す代価を払えといった場合に、確かに平和憲法の制約がある、軍事面ではその代価を先進国が言うような、そのとおりに払うことはできないけれども、経済の面ではその経済力にふさわしい、軍事予算の少ない面を補って余りあるような、そういう貢献をしますよという道もあるんじゃないか。しかも、GNPの一%というわずかな額ですけれども、全体が大きいのですから国防予算においてもかなりの額を投じている。それでは経済の面で日本はお手伝いしますよといった場合に、経済援助というのはどの程度しているかということを見ますと、必ずしも胸を張って答えられるような実績は残していない。毎年毎年、外務大臣努力されまして、政府開発援助に対しましては、総理、内閣一体となって進められている点は高く評価いたしますが、しかし現在においても、先進十七カ国で構成されますいわゆる開発援助委員会におきましては日本は十一位、GNPは二位だけれどもまだ十一位という、一九八四年の対GNP比においてはそれほどの特筆すべき、胸を張れるような額は投じていないかもしれないが、額としてはアメリカに次いで第二位で、アメリカの約半分の四十三億ドル以上の政府開発援助をされております。  そこで、私は今後とも計画的に、着実に政府開発援助というもの、発展途上国に対する援助というものを伸ばしていくべきだと思いますが、外務大臣のお考えはいかがでしょうか。
  105. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 おっしゃるように日本が自由主義国家では世界第二位の経済大国になったわけですから、それだけの国際的な責任を果たしていかなければならぬ。そのために開発途上国に対する援助を積極的に行っていくというのが日本の最も大きな国際的責任の一つであろうと私は思います。そういう見地に立って政府としてもこれまで倍増計画、三年倍増、そして五年倍増を果たしてまいりました。今回から七年間をもってさらに倍増計画をつくりまして、世界に対してこれを示したわけですが、これは今の開発援助を七年たったら倍増するということで、大体七年目には四百億ドル以上ということになるわけでございまして、現在でも確かにDACの中での一人当たりの援助の負担というのは十二番目ですけれども、量からいけば少なくともアメリカに次いで第二位ということになっておりますし、今の七年倍増計画を着実に実行すれば世界の中における日本の国際的な責任をきちっと果たすことができる、そういう国家になり得る、私はこういうふうに考えておりますし、ぜひともこの新中期目標を実行するためにこれから努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  106. 小泉純一郎

    ○小泉委員 この政府開発援助というのは、やはり国際社会の中で日本の責任を果たさなければいけないという視点から考えても大変重要だと思います。  さらに総理は、アメリカ滞在中各地区で演説をされ、日本が自由主義陣営の一員として、さらには自由主義経済というものを維持する一方の旗頭として開放経済体制推進に全力を尽くしているということを言われました。いろいろ批判がある中で堂々と日本の立場を主張され、精力的な活動をなされましたが、総理が自由経済体制を維持したいという点において、アメリカ国民に対して最も言いたかったこと、この点を心してもらわなければいかぬということは何だったのでしょうか。
  107. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 それは、アメリカ議会の中に今や非常に力を占めんとしつつある保護主義に対する戦いでありまして、第二次世界大戦後、世界の繁栄がこのようにもたらされた大きな原因の一つは、自由貿易体制であったと思うのです。  これは一九三〇年代、各国がブロック経済をとりまして、アメリカでも何とかハートレー法というのができました。また、イギリスはオタワ会議でコモンウエルスの関税を自分たちだけでうまくやるような封鎖的なブロック経済をやった。そういうことが引き金になって、世界経済が萎縮して大不況が世界的に訪れた。それが戦争の原因でもあったともいう分析もございます。  そういう経験にかんがみまして、戦後はみんなが自由貿易を推進して、垣根を小さくしようという努力をした結果、貿易が拡大して富が上昇してきたというこの現実を前にしまして、また昔へ返るということはよくない。  また、その自由貿易経済の最大の恩恵を受けたのは日本でありますから、そういう意味におきましても、アメリカで台頭しつつある保護主義に対して、ここで徹底的に戦いを挑んで、それをつぶさなければいけない。幸いにアメリカのレーガン大統領は、アメリカ国内においては先頭に立ってその保護主義と戦っておるわけですから、我々はレーガン大統領を助けなければいけない。そういう考えに立って、アクションプログラムをやり、国民の皆様にも輸入をお願いしたりしておるわけであり、そういう努力をアメリカにおいても精力的にやってきたつもりであります。
  108. 小泉純一郎

    ○小泉委員 やはりこれからの日本の国際社会での一員として信頼に足る国としては、総理も国連総会で演説されましたように、日本というものは軍縮に最も熱心な国なんだ、同時に、発展途上国への経済協力に対しても最も熱心な国なんだ。なおかつ、自由主義経済、開放市場体制をつくるに最も熱心な国であるということを実績をもって、また予算面においても実質を積み重ねて、世界に理解させる努力をすることが今後も必要だと私は思っております。  時間がありませんので、次の問題に移ります。定数是正問題と最高裁の判決に関してでありますが、前回の総選挙、昭和五十八年の十二月の総選挙であります。  私は、解散後、中曽根総理が川崎に来られるということで、総理と一緒に街頭演説の街頭宣伝カーに乗って、総理の演説を聞いておりました。そのときに総理大臣は、一般聴衆に向かって、自分はこの時期に本当は解散したくなかったのですということをはっきり言われて、私はびっくりしました。解散権を持っておられる総理が、解散というのは総理の専権事項だと言われている総理大臣みずからが、解散された後の選挙演説で、一般聴衆に向かって自分は本当はこの時期に解散したくなかったんだというこの言葉、非常に印象的でしたけれども、結果は総理が心配されたように、当時の解散前の議席二百八十六から二百五十議席、いわゆる三十六議席減って破れたわけであります。これについては総理も選挙後、総裁を辞職するに値する敗北だということを声明で発表されましたけれども、この解散問題というのは、私は大変重大な問題だし、今回の最高裁の判決で、五十八年の総選挙は憲法違反であるという指摘をされたわけであります。  今までの議論を見ますと、総理大臣は、この違憲判決が出ても法律的には内閣の解放権は制約されないという答弁をされているようであります。しかし、法律的にはともかく、私は政治的にこの定数是正なしでの解散、総選挙というのは大きく制約されたと思っております。  なぜかといいますと、それは解放権は制約されないとしても、その後、それでは選挙を執行する場合、これは憲法違反という法律に基づいてしなければならない。そんなことをしたら、当然国民の反発を買いますし、選挙の無効、差しとめ請求とか出てくる。あるいは本来解散というのは、政治の信頼を取り戻すために、あるいは事態の打開を図るために解散をするのが政治の常道だと思います。それが逆に、定数是正なしで万が一解散をされたとなりますと、事態行脚どころか、事態の混乱をもたらすような解散、総選挙しか執行できない。そういう点から考えましても、私はこの最高裁判決が出た後、定数是正なしの選挙というのは事実上不可能になったと思います。  そこで、この定数の問題ですが、今自民党が出しております六選挙区で六人ふやし、六選挙区で六人減らすいわゆる六・六案、なおかつ原則として現行の選挙区は変えない、そして人口の格差を一対三以内に抑える、こういう案を出しております。しかし、この案の弱点は、五十五年の人口を基礎にしてこういう案を考えついたわけであります。そこで、今六十年になっちゃっている。こういうことに対して、今法案が提出されてこれから審議されると思いますが、この定数是正問題については、政治の不信を取り除く、一票の平等を得る、格差を是正するという意味においても大変重要な法案だと思いますが、この法案に対しての総理の御見解を承らせていただきたいと思います。
  109. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 解散権について御論議がありましたが、これは従来から申し上げますように、法律的には解散権は制約されない。つまり、解散権というものは、憲法上、政府が政局の重大局面に当たって、これを運用していくというために基本的に認められた政府の最も重要な機能である、そして憲法上これを制約する他の規定はない、そういう点から見て、解散権の行使と選挙というものとは別個のものである、したがって制約されない、そういう従来の解釈を政府はとっておるところであります。しかし、政治的にどうであるかと言えば、それはそのときの政治状況、国民意思等を、世論とかそういうものも考えて、そのときの政治情勢によって判断すべきものである、そう考えております。  それから、御質問になりました点は、何でしたか、最後は。(小泉委員「弱点、五十五年の」と呼ぶ)六・六の問題については、これは国勢調査を十月一日でやっておりまして、この結果がどういうふうに出るか。しかし、その以前にこういう事態が出て最高裁の判決が出ておるものですから、これは、最高裁の判決が出た時点において国会としてはこれを是正しなければならぬ、そういう立場にあると考えて、そういう意味で法律も出し、継続審議にもなり、そして今やっておる最中でございますから、この国勢調査の結果がどう出るかという状態も、一面においては我々の頭の中にもあります。そういう意味においては、将来、これは各党各派の話し合いによりましてもう少し基本的な改革というような問題も考えられる。  野党の中にはそういうことを御論議になるところもございますから、そういう意味で、国会のグラウンドルールに当たるようなこういう問題は、野党、与党よく話し合ってやるという性格の方が正しいと思っております。が、しかし、最高裁の判決がああいうふうに出ているという今日の事態においては、緊急避難としても、ともかくこの是正措置をしておかなければならぬ、そういう立場に立ちまして、本議会において六・六案をぜひとも成立させていただくようにお願いいたしたいと思っております。
  110. 小泉純一郎

    ○小泉委員 最後に財政問題に移りますが、現在国家財政は公債残高百三十三兆円にも上っております。その中で、財政再建に向かっての予算編成努力が現在も進行中でございますが、総理は、六十五年度に特例公債発行をゼロにする、さらに、「増税なき財政再建」という旗を今後も堅持していかれる予定ですか。
  111. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 守ってまいりたいと思っております。
  112. 小泉純一郎

    ○小泉委員 そうなりますと、現在の税収状況とかあるいは国債費、一般歳出状況を勉強してみますと、ことしも引き続きかなりの厳しい歳出削減努力がなされなきゃいけないと思うのであります。一方では、国債の発行量を一兆円以上減らしていこう。なおかつ、このところ、三年連続横はいないしマイナスの一般歳出抑制努力が続いている。公共事業に至っては、六年連続横ばいないしマイナスの抑制努力がなされているわけであります。  そこで、いろいろな所得減税をせよという声も各方面に上がっております。効果のあるような所得減税をいたしますと、結局増税があるいは新たに国債をもっと発行しなきゃならない。財政再建の方向に逆行するわけであります。そういう点を考えて、来年度、もうすぐ十二月の予算編成が迫っています。これに対して、今の財政状況を考えると、一方の増税なしに所得減税はできないと考えるのが、ちょっと勉強すればわかることでありますが、この点について総理あるいは大蔵大臣、どのように考えておられますか。
  113. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは、いわゆる所得減税というものが一時的効果というものを上げるであろうという論理はあり得ると思いますが、今の小泉さんのいろいろな角度からの分析を前提にすれば、まさに所得減税をすればそれだけのものは赤字公債を発行するのかあるいは歳出をそれ以上また削るのか、こういう結論になりますので、いわゆる「増税なき財政再建」というものを貫いていく限りにおいて、今の小泉さんの論理というのはそれなりに通用する論理であるというふうに私も理解をしております。  そこで、先般、総理が政府税制調査会へ諮問されて、まずシャウプ以来の税制のゆがみ、ひずみ、これらを基本的に公平、公正、簡素、選択、活力という立場から検討をしていただこうというのが現段階の実情でありまして、そして税制調査会におかれてもその後精力的な審議が行われておるという実情にございます。
  114. 小泉純一郎

    ○小泉委員 政治家としてはだれでも所得減税したい気持ちは持っていると思います。しかし、そういう中にあって現下の厳しい財政状況、どうやって財政再建を果たしていかなければならないか、財政に対応力を持たせていかなければならないか、これまた政権党の政治家として、また政府として大変大きな責任だと思います。  だれでも所得減税はしたい。しかし、率直に、つぶさに勉強すれば、効果のある所得減税の財源措置としては同程度の増税措置なしにはできないような状態でありますが、総理はよく税制改革についても発言をされています。この税制改革というものが六十一年度予算にも生かされるような税制改革を考えておられるのでしょうか、どうでしょうか。
  115. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 六十一年度予算においては、また党とも相談して十二月にいろいろ検討しなければならぬと思いますが、しかし、いわゆる住宅減税とかそのほかの問題も検討材料に入ってくるだろうと思います。あるいはEC諸国がユーレカ計画なんかを始めておる。科学技術の振興という問題等もあるいは大事な問題であるかもしれません。これらはみんな十二月の検討材料になると思いますが、先般、九月に政府税調を開きまして私から諮問しましたのは、これはシャウプ税制を施行して以来三十五年になって、その間にいろいろなゆがみやひずみが出てきておるし、国民の不公平感や重税感というものが非常に多い、したがって、このひずみやゆがみ、重税感というものを直すということがまず大事である、そういう意味において諮問をいたしますから、まずこれを直す、言いかえれば減税をするとか不公平を直すとかそういう点を考えていただきたい、その基礎の上に立って、税源問題も含めて、そして総合的な包括的な答申をしてください、そういうふうにお願いをして、今検討が進められているというところでございます。  そういうわけでございますから、大体において中立的性格を持つあるいは答申になるかもしれませんが、しかし、その間におきましても、例えば土地とか株式とか国有財産を相当売るということも考えられますし、あるいはさらにそのほかいろいろな努力をして、行政改革の実行によって経費を節減するという部面も考えられますし、民有化を行っていくという部面もございましょう。そういういろいろな面を組み合わせまして実現していきたいと考えておるわけであります。
  116. 小泉純一郎

    ○小泉委員 一時間が来ましたので終わりますが、今本当に財政再建の厳しい正念場に来ていると思うのです。我々の先輩というのも、やはり厳しいのだけれども、常にあすのことを考えるならば、きょうを何とか我慢してあすのために一生懸命努力していこうよ、そういう気持ちが今日の日本を私は繁栄させてきたんだと思います。減税したいんだけれども、所得減税を先行させてその財源措置は後に任せるというような、そんな無責任なスケジュールは決して考えるべきじゃない。これから総理の後、政権を継がれるだろう安倍外務大臣にしても竹下大蔵大臣にしても、後継者がいるわけですから、やはり後継者にも責任ある財政状況にして、国民に理解を求める努力が必要だと思うのです。  大変今厳しい抑制努力が効いてきまして、この抑制に少し飽きている声がありますが、私は後から考えれば、この中曽根内閣の歳出削減努力、抑制努力というのは高く評価されると思うのであります。最後まで頑張って財政再建のために努力をしていっていただきたいとお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
  117. 天野光晴

    天野委員長 この際、伊藤公介君より関連質疑の申し出があります。小泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。
  118. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 総理、国連は大変御苦労さまでした。小泉議員に関連をいたしまして、若干の時間をいただいて、総理並びに関係閣僚に税制問題を中心にして伺ってまいりたいと思います。  今も同僚議員の中に御議論がありましたけれども、総理府が政府に対する要望というテーマで毎年世論調査をいたしております。その結果を見ますと、昨年までは物価問題が最も大きな国民の関心だったという結果が出ていたわけでありますが、ことしはとうとう物価問題を抜いて、国民の関心は税の問題が一番高いという結果が出ております。  ここ数年の間に、国民の間には税金の不公正を何とかしてほしいという声が非常に高まっております。ただいまの総理の御答弁の中にもそうした趣旨がございましたけれども、これは言うまでもなく、業種間に見られる税の捕捉率の不公平、あるいは中堅所得者、特に圧倒的多くのサラリーマンの皆さんのこうした方々を対象とした税の不公正、そういう税の重税感というものが大変国民の中にも大きな関心事になってきているわけであります。ここ六年間で経済成長は三〇%、しかし、所得税は何と二一三%も伸びているという実態であります。私どもは、かねてから大型減税の実施あるいは不公平税制の是正のための税制改革、これは極めて緊急性の高い政治課題だということを主張してきたわけでありますが、既に昭和六十一年度に対する減税の問題もいろいろな角度から検討されているところでありますが、まず、総理に、最近の国民の税制に対する不満への感想も含めて、今後の減税問題の必要性について御所見を伺いたいと思います。
  119. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、シャウプ税制以来三十五年経過いたしまして、さまざまなひずみ等が出てきており、重税感、不公平感もかなり強い、あるいは税の捕捉においても必ずしも十分でないという面も見られる。新聞にしばしば大きな脱税が報ぜられております。そういうようないろんな点から考えてみて、国民の間に不公平感、不公正感も強いものがあるようにも考えます。そういうすべての点を考えまして、この際、公正、公平、簡素、選択、それから、活力、そういうような考えに立った大きな税制改革を行うべきである。そして、重税感、不公平感の解消をまず目指してやるべきで、税の増収を目標としてやるべきではない。そういう意味から、まず減税を出しなさい、そうして、その後に包括的、一体として財源措置も考えて、そして出してもらおう、そういうような考えてこの間諮問したばかりで、その答申を来年の秋待つということでございます。
  120. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 まず減税ありきという御答弁でありますが、その後の問題については、いずれまた私どもも機会を見て御質疑をさしていただきたいと思いますが、ここに、最近国税庁が出されました三つの調査報告書があります。一つは所得税の脱税についてであります。もう一つは法人税の脱税、三つ目にはマル優制度の不正利用についての報告書であります。この報告書は、いずれも調査は一割ということでありますから、全体の極めて一部ということになるわけでありますが、法人税では一兆一千二百八十七億円、所得税では五千五百億円、マル優の不正利用も九千五百億円に上る。  不正によって未収となっている税収は、私どもの試算によりますと、例えばマル優及び郵貯などの非課税預金関係で約四千五百億円、法人税の関係で約七千六百億円、そして所得税の関係では二千五百億円と推計をされている。トータルをいたしますと一兆五千億にもなるわけであります。  この脱税、税制の不正を正すことがもしきちっとできるとすれば、いわゆる納税者の七割を占めるサラリーマンは源泉徴収ですから一円たりとも税金をごまかすことはできないわけですから、そうしたサラリーマンの方々やあるいは善良ないわゆる自営業者の方々、こういう方々が要求をするいわゆる一兆円減税の財源も出よう、こういうことであります。  ここに出ているのは極めて一部かもしれませんけれども、最近はこの脱税ということが非常に目に余るような状況になってきたように思うのであります。  これは、総理に伺いたいのでありますが、いわゆる申告納税制度に本来的につきまとうそういう制度上の欠陥なのか、あるいは納税者のモラルの低さに起因をするのか、あるいは税務行政のいわゆる執行体制の弱さに原因があるのか、脱税の実態について総理の御感想を含めて、その原因についての総理の見解を伺いたいと思います。
  121. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今感想を述べての御質問でございますが、御指摘なすった三つ全部、私はおっしゃるように存在しておる、どれに優劣をつけるべきものでもなかろう、こういう感じがいたしております。  ただ、報告等で御指摘になりましたところのいわゆる調査結果というのは、調査実績というのはいろいろな資料、情報等に基づいて申告内容に特に問題があると認められたものに的を絞って税務調査を行いますので、それなりの比率できちんといくものでは必ずしもございません。中にはまさにいわゆる誤った記載というような単純なミスもないわけではございませんが、多くそういうものにつきましてはこれからもなおこの調査をいたします。それについては御案内のとおり、いわば税務署の人員の問題等たびたび委員会等でも御質疑をいただいておりますが、これらも乏しい中に充実を図っていかなければならぬ。  なお、いずれにせよ、申告というものの重大さについての教育というもの、これはやはり引き続き行っていかなければならない重要な課題だという問題意識を持っております。
  122. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ちょうど大蔵大臣から教育の問題が出ましたので、続けて質問させていただきたいと思いますが、税金に対する考え方というものは、その国の歴史とかあるいは民族性ということもあると思いますが、私は税に対する教育のあり方にも若干問題があるのではないかというふうに思うのです。  そこで、きょうは、日本と外国との教科書を見比べてみました。  アメリカの小学校三年生の教科書には、かなりのページを割いて、人々がもっと仕事をすることを求めるならば自分たちはもっと税を納めなければならない、こういった趣旨で、既に小学校三年生から税の問題を教えておりますし、中学や高校の教科書になりますと、総理大臣は英語を読めますから後でお渡ししますから見ていただきたいのですけれども、高校の教科書すごいのですよ。高校生の教科書の中に給与支払い明細とか、それから還付申告書、高校の教科書に全部載って、しかも十二、三ページを割いて、納税者の立場から、つまり税金というものがどういう形で使われて、そしてどんなに税金というものが大事かということを非常にわかりやすく教えているわけです。  日本の教科書を見ました。日本の教科書を見ましたら、小学校の教科書にはほんの一言、国民には納税の義務がある、こう書いてあるわけです。高校生や中学の教科書全部見ましたけれども、納税者という言葉は日本の教科書には一言もないのです。これはやはり小さなときがら税金の仕組みというものをもう少し教育の中できちっと教えてもらいたい。そして、税金は納める、そのことによって公平に恩恵を受ける、そういうことを学校教育の中できちっと教えるべきではないかと私は思いますけれども、総理の御意見を伺いたいと思います。
  123. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 納税の義務は我が国の憲法にも書かれている義務でございまして、そういう面から見ますと、この憲法を擁護していくという意味においても、納税の義務を国民皆さんによく知っていただいて実行していただくということは大事だと思います。そういう点からすると、確かに、おっしゃるように日本の教科書においては字数を割くのが少ないように思います。私も教科書を読んだことがありますから、少ないなと自分でも感じたところであり、あなたのおっしゃるとおりのところであります。少なくとも中学から高校ぐらいにかけては、以上のような納税の仕組みやらあるいはやり方、クレトムのつけ方、そういうような問題についても触れるのが適当ではないかという気がいたします。
  124. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 文部大臣に御意見を伺いたいと思いましたが、極めて限られた時間でありますので、どうぞ文部省でもよく御検討をいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  さて、限られた時間で、最後の質問になりますが、防衛費GNP一%の問題と経済協力について私どもの立場を申し上げ、総理にも御意見を伺いたいと思います。  私ども新自由クラブは、防衛費の対GNP一%を堅持せよということを主張してまいりました。その私どもの強い主張をも受け入れて、総理昭和五十一年のGNP一%の閣議決定を継続されるということになりましたが、私たちはこれを積極的に評価するものであります。  私たちがGNP一%を守れと言っていることは、もちろん、いたずらに防衛費を削れなどということを私たちは申し上げているつもりはありません。GNPは毎年上がるわけですから、しかも、その日本GNPは世界の一割を占める大きなものであります。GNPがふえれば防衛費は当然にふえるわけでありますから、そのふえる一%の中で、近代装備、質的な転換をしていくべきだということを私たちは申し上げているわけでございます。我々は、無防備中立て、他国から来て、我々は攻められたら赤旗を持って逃げるなんという立場ではもちろんありません。しかし、私は、一%というりは今世界各国の軍事費の中で第八位を占めているわけですし、極東の中ではソ連に次いで二番目の防衛費を持っているわけでありますから、私たちの置かれている国の状況、例えば私たちは世界で唯一の被爆国でありますし、そして非核三原則を国是として、かつまた私どもは平和憲法の中で二度と再び他国には侵略をしないという不戦の誓いをいたしました。  そうした立場から考えますと、今我々は、必要以上の戦闘機やあるいは戦車を買うことではなくて、きょう一枚の毛布を求めている発展途上国、総理が国連でも演説をされましたとおり、ODAの開発援助等に積極的に私たちは援助をしていく、そういう道を選ぶことがこれからの我が国の進むべき道だと思いますけれども、もう一度総理GNP一%堅持についての強い御決意を伺い、そして、今後、国連でお約束をされたODAのいわゆる経済援助についての決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 政府は、三木内閣決定いたしました昭和五十一年「防衛計画の大綱」の水準に達するように努力していく、これが一番の基本的な前提でございます。そして、それを努力していく過程におきましても、できるだけ三木内閣決定いたしました一%をめどとしてこれを守っていくというこの趣旨を尊重してまいりたい、そう思っておる次第でございます。  しかし、日本の立国の国是等から見ましても、発展途上国に対する協力ということは極めて望ましいことでもあると考えておりますので、今後とも大いに努力してまいりたいと思っております。私は、国連でも次の七年間に四百億ドル、総額において日本のODAを伸ばしていくということを言明してまいりましたが、こういう精神で今後も大いに努力してまいりたいと思っております。
  126. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 どうもありがとうございました。
  127. 天野光晴

    天野委員長 これにて小泉君、伊藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十九日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会