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山口最高裁判所長官代理者 まず
最初に、三者協議会で現在
裁判所の適正
配置問題を協議しているところでございますが、三者協議会が発足いたしました経緯につきましては、
稲葉委員御承知のとおり、
昭和四十五年の
民事事物管轄
改正の際に参議院の法務
委員会、それから翌年衆議院の法務
委員会でいろいろ附帯決議がございまして、司法
制度にかかわる事柄については法曹三者でよく意見を交換してやってこい、こういう仰せでございまして、それに基づいて、司法
制度にかかわる事柄についてなるべく意見の一致を見るように三者協議会が設置されてやっているわけでございます。
この問題につきましては、昨年の一月に三者協議会に問題を提起いたしまして、自来一カ月に一回ぐらいのペースで、かなりの資料を提出しまして私どもの方から種々御
説明申し上げてまいりました。昨年の六月にこれが三者協議会の正式議題として取り上げられまして、主として私どもの方から
昭和三十年から今日までに至る例えば人口動態であるとかあるいは人口の都市集中に伴います事件数の偏在状況であるとか、それに伴って生じます種々のデメリット、さらには、御承知のとおり交通事情が非常に発達しておりまして、簡裁相互間の時間的、経済的距離が非常に短縮している、こういうふうな社会事情の変化を前提にすると、特に
独立簡易
裁判所の
配置の見直しをする必要性があるんだというような事柄を御
説明申し上げてきたわけでございます。ことしの三月に日弁連の方から私どもの意見に対する基本的な見解の表明がございました。そこでは、簡裁発足以来四十年近くを経過した今日、
最高裁が提起しているように、各簡裁間の処理件数の不均衡あるいはもろもろの社会経済事情の著しい変化などが生じていることは事実であり、この際、その
配置の適正化を含め今後の簡裁のあり方についての根本的な検討を行うことが必要である、こういう意見表明がございまして、簡裁の
配置の見直しの必要という点におきましては基本的に法曹三者間で認識が一致していると考えているわけでございます。その後このような基本的認識のもとに本年の五月に
裁判所側から、小規模
独立簡裁及び大都市
独立簡裁の
配置の見直しにつきまして
裁判所の考え方を示したところでございます。
それで、これにつきまして法務省はいずれも基本的に異論がないという御意見でございまして、日弁連サイドにおかれましては、
裁判所側の意見に対しまして各単位会にそれぞれ求意見をなさいまして、現在意見形成に努められているところでございますが、半年を経過いたしました今日まだお答えをいただいていない、こういう状況でございます。
先ほど御指摘のように、私どもといたしましては、見直しの必要性と実質的な司法全体の機能の充実という観点からいたしますと、一日も早く実現にこぎつけたいわけでございまして、法曹三者間で意見の交換はいたしますものの、法曹三者間の合意で事柄が決められる性質のものではございません。国民の便益に広くかかわる事柄でございますので、私どもといたしましては、より広く国民階層のいわば代表を集めておられる法制審議会でこの
配置の見直しの問題を御協議いただきまして、答申をいただいた上で各地の実情をつぶさに検討し、御
意向も伺いながら具体的構想を詰めていきたいというように考えているわけでございます。
先ほど申しましたように、私どもの方の考え方を示しましてから半年くらい経過いたしておりますが、まだ日弁連の御意見をいただけない、これでじんぜん時を過ごすわけにもまいりませんので、いわば同時並行の形で、法制審議会での御議論のほかに簡裁に関しましてはまだいろいろ検討すべき点もあろうかと思いますので、法制審議会と三者協議会でいわば同時並行の形で審議することも可能である。したがいまして、できる限り早く御意見を伺って法制審への移行を速やかに実現したいということを日弁連の方にも申し上げているわけでございます。
法制審議会で御審議いただくにいたしましても、この問題はやはりかなり国民の利便にかかわる大きな問題でございますので、短時日に決着をつけるというわけにはまいりません。ある
程度の回数御審議いただきまして御答申を得なければなりません。しかし、先ほど六月ごろというお話もございましたけれども、私どもとしましてはできる限り早く御答申を得たいというように考えておりますけれども、六月がデッドラインであるとかそういうふうに考えているわけでは決してございません。
大体以上でございます。