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滝井参考人 ただいま御紹介い
ただきました
全国豊田商事被害者の
会連絡協議会事務局次長を務めさせてい
ただいております
京都の
被害者の
滝井信子でございます。
私は、最初に自分の
被害に遭うた
経過を簡単に
説明いたしまして、次に
被害者の実情を述べさせてい
ただきます。それから、
全国の
被害者を代表いたしました
立場から、
被害者全員の要望を陳述させてい
ただきます。
私は、
京都の
西陣織物下請加工を家業としている者でございます。
織物業界は景気の変動に非常に左右されやすい
業界でございまして、去年の秋以来の不況がことしの春になっても
回復の兆しかなく、家計の赤字が続き、何かアルバイトでもと思っていたことしの三月、
新聞の
折り込み広告で
豊田商事の
求人が目につきました。全く普通の
会社と思って就職いたしました。
研修第一日目は、
会社はいかに堅実で
発展途上の
信頼性のある
会社であるかということを、
ビデオと
パンフレットによる
研修で教え込まれ、
支店長の
研修によっても、「
政府の認めたこの
会社は、
お客様と私
どもの互いの
信頼関係で強く結ばれており、
全国六十
支店に及ぶ
発展ぶりであり、金は
現物取引で、
会社の経営が
現物取引が
基本であるから、
お客様との
トラブルは一度も起こしたこともなく、大変に喜ばれている
会社です。」と、堅実で日本の社会に貢献していると、あたかも一流の真っ当な
会社と信じ込まされ、まるで
麻酔にでもかけられたように
会社のすべてを信用させられてしまいました。
支店長との自然な会話の中に、まさか
当方の
財産状況を調べるための意図がたくらまれていたとは全く知る曲もありませんでした。
第二日目は、
研修と銘打って
支店長は私を
営業課長に引き合わせ、
課長は私に二時間以上かかって
当方の
財産形成状況を詳しく探り出した上で
ファミリー契約の
説明をし、
当方が所持している金三・五キロを
会社に預ければ有利であることを強調し、昼食のさなかにも、
支店長は私の家へ
課長を
ファミリー契約の
説明にやらせることを強く勧め、ついに
課長は家に同行し、夫に再び
ファミリー契約の
説明を長々としたあげく、
契約をすることを迫りました。ためらっている私
どもを、奥さんの勤められる
会社であるからぜひ見に来いと誘い出し、再び夫に
研修の際の
ビデオを見せ、
契約をしなければ絶対に帰らせないという雰囲気の中で強引に
契約を迫ったのであります。勤め先の
支店長や
課長が策略を企てて
財産を巻き上げる
人たちとは疑ってもみませんでした。
三日目の
研修は、
テレホン室の現場で
電話応対をしている人の間に入って話しぶりを聞いておりました。中には遠慮がちに小さな声で
電話している人、堂々と名のって
電話している人、しかし少し妙だと思ったのは、お年寄りの人は
契約がとれやすいと言って、なるべく女名義で
電話帳に載っている人を中心にやっていた人もありました。でも二年半続いている人がいると聞くと、やはり信用できる
会社であるという感じもしないではありませんでした。しかし、
面談票を隣の席の人に見せてもらったら、
契約者と
トラブルになったとか、長時間に及んだので
警察を呼ぶと言われたので
契約に結びつかなかったという記事を見て、かなり強引な
やり方のようにも思えました。半信半疑の気持ちで帰宅いたしましたが、しかしその夜は眠れませんでした。
思い返せば、私と同じ日に
テレホン係へ入社した人も、夜遅くまで
部長が家に上がり込み、金を買う
契約をしろと強要されたという話、また
営業課に入った人が、
保証人を頼みに親戚や友人の家を回ったが、
豊田商事なんてとんでもない、
トラブルの多いややこしい
会社だとだれも信用しないのでやめるという話、すべて
当方の
契約の後で聞いた話でした。
夫と話し合っているうちに、
ただの二日目で
契約を強引に迫ったのは、
会社のあらを知られないうちにと仕組まれた
支店長と
課長の謀略であったこと、
求人広告はまさにカモの募集であったことに気がつきました、まるで
麻酔が少しずつさめていくように。
ビデオと
パンフレットによる
研修は、
会社を信用させるための手段にすぎなかったこと、
現物取引ゆえに
トラブルを起こしたことがないと
支店長が
説明していた
時点にも
トラブルが
全国で続出していたことを私
どもは知らなかっ
ただけで、真っ赤なうそを並べ立てた
研修であったことに気がつきました。これは大変なところへ勤めてしまった、私の口で
被害者をつくるということはとてもできたことじゃないと
思い至り、四日目に辞職を申し出ました。
その午後、弁護士さんのところへ駆け込みましたら、
トラブルの多い問題の
会社であると聞かされて、改めてだまされたのだということに気がつきました。まさに晴天のへきれきと言うほかありません。私
たちのような
被害者をつくらせないために何か手を打たねばと考え、記憶に新しいうちに
被害に遭うた
経過を十三時間かかって
手記にまとめ、
警察の困り
事相談所や
消費者センターなどへ持参いたしましたが、そのとき改めて
豊田商事に対してたくさんの
苦情相談が寄せられているということを知らされました。
通産省へも、
全国の
人々がこの手口に乗せられないようにと注意してい
ただくべく
手記を送りました。今後このような
悪徳商法がはびこってはならないという
思いから、
東京悪徳商法対策委員会へも
手記を送り、入会いたしました。
新聞社初め
放送協会へも、大きく取り上げて啓蒙してい
ただきたいと願い、
手記を送りました。
私のような個人でも、
豊田商事の非道さ、悪らつさを知るや、これ以上の
被害を出してはならないと考え、
思いつく限りの
手だてを尽くしてきたのです。しかし、
行政の
方々は、何ら有効な
手だてを打つことなく、
豊田商事の活動するままに任せ、
被害者がふえ続けるのを黙認してきたというほかありません。
七月十三日
京都被害者の会第一回総会以来、
京都の会の世話人を仰せつかりました。会場を埋め尽くしている御
老人たちの打ちひしがれた姿、つえにすがっている人、耳の不自由な人、半ばぼけてしまって家族に付き添われている人、中には
手話通訳によって
説明を受けておられた
聾唖者数人の姿が大変印象的でございました。
被害者の半数以上が孤独で優しい言葉には非常にもろい面があり、また
義理人情に厚く純朴な
人たちばかりであります。
セールスマンが
身の上話を持ち出して同情させ、何時間も粘り込んで土下座をして
契約に結びつかせたというケースもあります。マル優が外されて
預金に
税金がかかりますとか、
預金の
目減り、福祉の切り捨てなどの
世間一般の共通した
不安材料を巧みに利用して、
お母さんの
老後は
豊田商事の有利な金利で保障されますよとか、金(きん)は絶対にもうかります、
税金もかかりませんという甘言と、ついには、
お母さんは私の親のように
思います、
お母さんの将来は私が絶対に
責任を持ちますから、と巧妙に親しく優しく近づき、肩をもんだり
世間話をしながら夜中までへたり込み、相手を根負けさせて
契約をさせたという例が大変多いのです。
生命保険も解約して
契約させられたため
葬式金さえもないという人もおられます。
全盲の七十六歳の女の方も、銀行より有利とか全
責任を持ちますからお任せくださいとすっかり信用させられて
預金通帳を見せたら、翌日は
ただの
紙切れに変わってしまった、と言われます。まさに赤子の手をねじる
やり方です。人の懐に手を突っ込む
やり方であります。がんの手術後
自宅療養中の五十六歳の主婦は、長時間の
勧誘にすっかり根負けして
息子さんの
結婚資金すべてを
契約させられてしまい、その後ショックのため病気が再発した、と絶望的な訴えをされておられます。
身体障害者の
息子さんがおられます七十五歳の女の人は、自分の死後もその子が
政府の世話にならなくてもよいようにと手芸教室をやりながら長年こつこつとためてこられた
預金と、親からの株券、
証券などの相続
財産ともに
契約をさせられ、いまだに教室の仕事を続けながらも暗たんたる不安の日々を送っておられます。
お母さんの
契約一つ取れたら私は正社員になれます、
お母さんの
老後は私が
責任を持ちますからどうぞお願いしますと再三にわたって訪問し、その都度長時間頼み込み、ついに亡くなられた夫の遺産を預けたその人は、何度
警察へ訴えても民事と刑事は違うからと相手にしてもらえず、どうしてよいか途方に暮れてもだえ苦しみ、半狂乱の日日を送っておられます。毎夜のごとく私の家へ
電話をかけてきて、仏壇に線香を供えてくれたセールスマンを信じた私がいけなかったのでしょうか、もう生きる望みもありません、と泣きつかれます。つらいのはあなた一人ではありませんよ、私もいまだに泣いたり怒ったりの毎日ですと慰めながらも、私も悔しさが込み上げてきて、泣きながら応対しております。
中には、創価学会のひとり暮らしの男性の家へ訪れたセールスマンは、自分も創価学会の会員ですと自宅に誘い、御本尊さんを一緒に拝んで信頼させ、六千万円の
契約をさせたのです。信心までも利用して信頼を裏切る卑劣きわまりない手口、信頼という人間社会に最も大切な面を裏切る行為は、極刑にも値する犯罪であります。
全国の
被害者の文集を読んでおりますと、一葉一葉が胸に迫るものがございます。長年白昼堂々と弱者から
財産をだまし取ってきたというこの行為は、文明国、法治国にあるまじき犯罪であります。すなわち、国の恥であると考えます。
豊田商事こそ、人間の皮をかぶった悪魔の大
詐欺集団であったのであります。日本
政府が認めた
会社だと言われれば、だれもが信用いたします。だまされる者が悪いというのならば、だました者が正当化されてよいのでしょうか。
被害者に対して
欲ぼけという言葉の世間の非難も耳に入ります。しかし、
被害者の実態は決してそうではありません。勘定ずくで
契約したものでもありません。
被害者の大半の御
老人は、
契約内容とか金の
取引の知識などに全く疎い
人たちばかりであります。その
人たちに何の
責任がありましょうや。
法律家
たちは、何年も前から
行政に対して
被害を未然に防ぐ対策を提案してきたと言われます。今までに何回も国会で
豊田商事問題が審議され、
政府に対策を求めておられたのですから、
行政側から国民に警鐘を乱打されていたならば、強い規制が行われておりましたならば、これほどに悲惨な
被害状況には至らなかったでしょう。
被害をもっと未然に防ぐことができたことでございましょう。五年間も野放しにされていたために
被害は年年拡大の一途をたどり、社会悪が増長されたのであります。
関係各省の
行政の怠慢の結果がこのような
悪徳商法の蔓延を招いたのであります。多数の
被害者が今日置かれている実情を日々見るにつけ、まことに無念であり、残念に
思います。この実情を世間の一般の
人たちに広く知ってい
ただき、
行政の
責任の重さを自覚してい
ただきたいのでございます。
京都は去る十一月十一日に二度目の告訴状を地方検察庁へ提出いたしました。その際当事者六十五名に招集の
電話をかけましたのですが、中には何度呼び出しても出ない人がありました。後でわかったのですが、ショックの
余りに痴呆症になってしまって入院した人、告訴直前に亡くなった人もおられたのです。ショックのために衰弱が激しくなり亡くなられる御
老人が続出しております。自殺者も各地から出ております。日航機
事件などは直接人命にかかわる問題でありましたから直ちに
政府は対策を講じておられますが、この豊田
事件は、表面は人命にかかわる問題ではないと思われがちでしょうが、このために労働意欲をそがれ、生活の不安定、家庭不和、家庭崩壊、離婚など、精神的、肉体的健康の阻害にも直接つながっているということを御認識い
ただきたいのでございます。
私でさえも三日で気がついて
会社をやめておりますのに、何カ月も何年も
豊田商事へ勤めていた
人たちには、良心の一がけらもなかったのでしょうか。人をだまして
お金を巻き上げるだけが
会社の営業であったと知った以上、退職するとか告発するのが普通の人間の常識であります。その上、
豊田商事にたかって利権をむさぼっている
水野グループや
熊谷組、
松本祐商事などに対しては、管財人に協力されますように
関係各省からの適切な措置を強くお願いいたしたいと考えます。一
国税庁にお願い申し上げます。
被害者を次から次へとつくらなければ
会社の経営が成り立たなかったこの
商法を察知の上で、国税を債権の第一位として差し押さえられております
国税庁にも御理解ある全面譲歩を強く望むものでございます。
警察庁、検察庁へお願い申し上げます。
このような明らかな
詐欺手口を訴えておりますのに、いまだに
警察は
詐欺商法を立証できないということに
被害者一同非常にいら立っております。なぜ早く刑事問題として捜査し厳重な処罰をされないのか、
被害者一同不可解に思っております。
被害者から没収した金を山分けした者から早く取り戻してい
ただきたいと願っているのでございます。
この
事件の完全な解決なくして今後の
悪徳商法の根絶はあり得ない上に、同じような
詐欺商法が繰り返され局でありましょう。そんな日本の社会であれば
被害者たちは浮かばれようがございません。
最近は特にさまざまな手口で一般
消費者、善良な国民をだます悪質巧妙な手口がふえてきており、訪問販売、押し売り、強盗的な
商法での
被害が発生しております。
豊田商事と同じ
被害はもう起こらないでしょうが、私
たちのこの大きな犠牲を生かして、その場だまし的
商法が絶対できないように取り締まりに有効な法律を整備して幅広く規制できる法律を迅速につくってい
ただきたいと強く希望いたします。
政府へお願い申し上げます。
被害者一同は、今後は国家を信頼し安心して生活のできる政治であってほしいと強く願っております。これは国民としての要求の最低の条件であります。余命幾ばくもない御
老人たちが、いわれなき苦しみ、悲しみに暮れ、人間不信に陥り、これからの生活の不安とだまされたことの悔しさのみが頭にこびりつき、判断力も理解力も失い、
ただ荘然と生き長らえているという
現状をどうか御賢察い
ただきまして、実質的な
被害の救済措置を早急に講じてい
ただきますことを心から切望いたします。
御清聴を感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)