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佐藤(徳)
委員 失礼な言い方になって恐縮でありますが、これは事務レベルの問題じゃないのですね。政策的な問題です。だから、そういう意味では、
厚生大臣の方にもぜひ私の発言
内容というものをつぶさに伝えてほしいと思います。機会がありましたら社会労働
委員会に赴きまして
厚生大臣と直接やり合いたいと思いますから、その点も含めてお伝えいただきたいと思います。
さて、次に入りますが、前段申し上げましたように、私は、ハルビンにおきましては黒竜江省の人民
政府、北京におきましては中国公安部の出入境管理局の
局長とそれぞれ会ってまいりました。丹念にメモをしてきたのでありますが、この会談には
日本大使館の有信参事官が同席をしていらっしゃいます。それで、御承知のとおり中国公安部は直接孤児問題、残留邦人問題を担当するところであります。その出入境管理局の
局長は曹履和という方であります。一定の時間をいただきまして意見の交換をしてまいりました。そのときに彼はこういう中身を発表しているわけであります。
その第一は、孤児問題は
日本軍国主義の残虐な行為が生み出した問題である。
第二は、
日本政府、民間団体の行っている問題解決に中国側は協力をする。
第三は、原則に基づいて一回も訪日
調査をしていない孤児の全部について中国がこれから
調査をすることにしている。これが七百人になったのだと思うのです。
第四は、孤児の永住帰国後の家族の問題もある。
第五は、以上の見解に基づいて各省とも円満に解決するようにしている。こういう見解が出されました。
さらにまた、永住帰国について、希望している者につきましては判明、未判明の者を分類する必要があるし、希望もとらなければならない。永住帰国の希望者名簿ができれば
日本側に提供したい。こういう好意的な発言もされているわけであります。
そして、
日本語習得についての
日本語
学校創設問題は、経費が必要である。新しい
学校を建てるというのには経費の問題があり、非常に困難である。それは
日本側が経費を出せばよいのではないかと最後に結んでいるわけであります。
いま
一つ紹介しておきましょう。今申し上げました管理
局長との会談は八月五日でありますが、これは八月二日であります。八月二日にはハルビン市人民
政府の副市長李嘉廷という方とお会いをしてまいりました。彼の発言をまとめてみますと次のとおりであります。
第一、
日本政府が孤児問題で積極的に
対応するよう希望する。
第二、一番大事な問題は孤児の家庭問題である。養父母、妻の関係を大切にしなければいけない。
第三、
政府と省は一貫して孤児問題を積極的に
対応している。
第四、
日本語
学校を各
学校に創設することは非常によい提案である。これは後で注釈を加えますが、
日本政府に働きかけてほしい、こう言っておるのであります。
御承知のとおり、所沢センターに四カ月間入所されて、一生懸命
日本語の勉強を今でもされております。ついこの前、未判明孤児が帰ってまいりまして、これは中国名李桂芹という方でありますが、きのう私は所沢センターから手紙をいただきました。中国語で書いてありましたから判読の域を出ないのでありますけれ
ども、いずれ翻訳を頼みまして明快にしたいと思いますが、あの四カ月間で果たして
日本語がマスターできるだろうか、私は今でも心配であります。そして、四月十日の文教
委員会で私が申し上げた中にも入っているわけでありますが、
言葉がわからないために不自由を感じたり、それだけではなくて、心のいらいらが募って大きな事件に
発展したりという事例が何件か出ていることは御承知のとおりであります。だから、私
どもが
実態調査に入りましてまず感じてまいりましたのは、帰国希望者が中国現地で一定の
日本語を習得して帰国をした場合にはかなり有利な条件で生活することができるという判断をしてきたところなのであります。それには何といっても、中国現地で
日本語
学校を
日本の
政府自体がつくってやり、そして温かい手を差し伸べる、これが今求められているのだろうというふうに感じ取ってまいったわけであります。
実は、昨年の十月からことしの十月まで丸一年間でありましたが、福島県引揚者団体連合会の会長の滝田さんという方がこの問題について非常に本気になりまして、ハルビンの黒竜江大学にみずから滝田日語
学校というのをつくられました。そこには講師といたしまして、元小
学校の教員でありましたが、退職をされた小島マサ
先生という方が一年間派遣をされまして、孤児を対象にして
日本語を教えてこられました。私が行った時点でお会いをいたしまして、あるいはその
学校の生徒ともお会いをいたしました。
日本語がかなり上手になっています。ところが、この点についてはかなりいろいろな問題があることが私もわかってまいりました。同時に、調べてみましたら残留孤児だけの対象ではありませんでした。中国人の学生が十四名、残留孤児が十一名、合計二十五名で一
学級の編制をして一年間学習をしてきたわけであります。黒竜江大学の責任者ともお会いをいたしまして、いろいろ意見の交換をしてきたのですが、独立採算制をとっているだけに黒竜江大学では限界があると言っています。だから、
日本の
政府が金を出して
学校を設立してくださるとすれば大変ありがたい、場合によっては、用地が非常に応うございますので私
どもの黒竜江大学の用地を提供してもいいから、ぜひ働きかけてほしいという依頼もされてまいりました。
この問題、孤児の
皆さんが帰国をして生活に溶け込む絶対的条件の
日本語習得のためには、まさに本気になって取りかからなくてはいけないのではないかと私は感ずるわけであります。ただ、これは単に事務レベルで話がつく問題じゃありません。まさに外交上の問題であります。それで外務省の方に来ていただいたのであります。中国課の
課長さんでありますか、即答できるかどうかわかりませんけれ
ども、私の申し上げました真意を酌んでいただきながら、現地に
日本語
学校を開設するという
検討をしてみる
考えがないかどうか、御見解を承りたいと思います。