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1985-12-04 第103回国会 衆議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月四日(水曜日)     午後一時五分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君    理事 白川 勝彦君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    赤城 宗徳君       稻葉  修君    臼井日出男君       榎本 和平君    北川 正恭君       田川 誠一君    田名部匡省君       塚原 俊平君    中村  靖君       二階 俊博君    町村 信孝君       渡辺 栄一君    天野  等君       木島喜兵衞君    田中 克彦君       中西 績介君    有島 重武君       伏屋 修治君    滝沢 幸助君       藤木 洋子君    山原健二郎君       江田 五月君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官内閣審議         官       門田  實君         大蔵大臣官房審         議官      尾崎  護君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房総         務審議官    五十嵐耕一君         厚生大臣官房審         議官内閣審議         官       山内 豊徳君         社会保険庁年金         保険部長内閣         審議官     長尾 立子君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         厚生省年金局年         金課長     谷口 正作君         厚生省年金局数         理課長     坪野 剛司君         会計検査院事務         総局第四局上席         調査官     小川 光吉君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合理事         長)      保坂 榮一君         文教委員会調査         室長      高木 高明君     ————————————— 委員の異動 十二月四日 辞任          補欠選任   稻葉  修君     塚原 俊平君   渡辺 栄一君     田名部匡省君   佐藤 徳雄君     天野  等君 同日 辞任          補欠選任   田名部匡省君     渡辺 栄一君   塚原 俊平君     稻葉  修君   天野  等君     佐藤 徳雄君     ————————————— 十二月二日  私立大学に対する国庫助成大幅増額等に関す  る請願中西績介紹介)(第七〇一号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願  (中西績介紹介)(第七〇二号)  教育充実等に関する請願矢山有作紹介)  (第七五四号) 同月四日  公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に  関する法律制定に関する請願武部文紹介)  (第八〇六号)  義務教育学校学校事務職員に対する義務教  育費国庫負担制度の維持に関する請願有島重  武岩紹介)(第八三二号)  同(駒谷明紹介)(第八三三号)  同(武田一夫紹介)(第八三四号)  同(薮仲義彦紹介)(第八三五号)  同(浅井美幸紹介)(第八九三号)  同(小谷輝二君紹介)(第八九四号)  同(山田英介紹介)(第八九五号)  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関  する請願有島重武君紹介)(第八三六号)  学生寮充実発展等に関する請願馬場昇君  紹介)(第八三七号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願  (伏屋修治紹介)(第八三八号)  同(山原健二郎紹介)(第八九二号)  義務教育費国庫負担制度改革に関する請願(神  田原君紹介)(第八八七号)  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案反対等に関する請願田中美智子紹介  )(第八八八号)  同(林百郎君紹介)(第八八九号)  同(山原健二郎紹介)(第八九〇号)  私立大学に対する国庫助成大幅増額等に関す  る請願山原健二郎紹介)(第八九一号)  教育充実等に関する請願藤木洋子紹介)  (第八九六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八二号  )      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  第百二回国会内閣提出私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、私立学校教職員共済組合理事長保坂榮一君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 阿部文男

    阿部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伏屋修治君。
  5. 伏屋修治

    伏屋委員 私は、先回文部省理事長に対して質問をいたしましたけれども理解しにくいところもございますので、その問題を重ねてお尋ねをしたいと思っております。  まず最初に、私学共済が二月一日に文部省に対する要望事項を四項にわたって要望なさったわけでございますが、その二項のことについて、私も理事長文部省説明を求めましたところ、今までの私学共済経緯から見ましても、発足時からの経緯を見ましても、国共済に準じてきておるということが第一点、それともう一点は、給与明細が明らかでない、そういう二点から国共済に準じてもらいたい、こういう要望をなさった、このように説明をいただいたわけですが、そのとおり間違いがございませんか。
  6. 保坂榮一

    保坂参考人 そのとおりでございます。間違いございません。
  7. 伏屋修治

    伏屋委員 としますと、一応先回の委員会に私ちょっと欠席しておったのですが、その委員会の席上、私共済の方で試算されたとみなされる資料が提出されて、一応文部省はあずかり知らぬ、こういうような答弁の中で、三分の二が上回り、三分の一が下回る、こういうようなことが試算上出てきたわけでございます。私もその問題については先回私の質問のときに申し上げましたところ、文部省は新制度移行についてはやむを得ない、理事長文部省発言どおり私もやむを得ないと考えます、こういうように御答弁があったわけでございますが、私はそのときにもこの改正案整合性がないではないか、こういうようにお尋ねをいたしたわけでございます。その面について、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  8. 保坂榮一

    保坂参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。この間の制度改正でそちらの方をお願いしてとりましたもので、そういうような有利、不利の差が出てくるのはやむを得ないと考えました。
  9. 伏屋修治

    伏屋委員 先回私が質問したときには、三分の一でなくて五分の一くらいだ、こういうようにお答えになりました。いずれにしましても三十四万人の三分の一ということになると相当数に上るのではないか、このように考えるわけです。先回理事長は五分の一 —五分の一にしてもやはり数万人という人が下回る、こういうことになるわけでございます。  やはり年金一元化を目指して、これからそういうような方向で進んでいくというときに、整合性が全く欠けておる。いわゆる公的年金制度改革について閣議決定が五十九年二月二十四日になされておるわけでございます。そのときには現在の文部大臣は御同席ではなかったかと思いますけれども、その中においても「公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図る」、このように言われておるわけでございますが、三分の一がそういうふうに五年方式をとった場合には非常に不利になるということもわかっておりながら、それをやむを得ないという一言で済ましてよいものかどうか、その辺を文部省と私共済両面からお答えをいただきたいと思います。
  10. 松永光

    松永国務大臣 今先生の御指摘になっておる、改正法案が議会で成立をして施行される予定が来年の四月一日でございますが、その四月一日前の期間標準給与月額算定方式は、前にもお答えしたと思いますが、二つ考えられるわけであります。一つは今お話に出ておる五年掛ける補正率という方式と、これは仮にA案といいますが、そのA実と、もう一つは全期間方式と、二つの方式考えられるわけであります。施行日後の分は本則に基づきまして全期間となるわけでありますけれども施行日前の期間標準給与月額算定方式は、今申したとおり、五年間掛ける補正率というA方式と、それから全期間というB方式とあると思うのであります。  そこで、私学共済の場合にどちらが妥当であろうかという問題だと思うのでありますけれども先生も御承知のとおり、三百何人でございますか、きちっとした資料のないという人が実はいらっしゃる。その人の場合は全期間方式はとりがたいわけでありますね。そしてまた、もう一つは、私学共済はいろんなことを決める場合に国共済に準じて行うということになっておりまして、国共済の方では五年掛ける補正率というふうにお決めになったということもありますので、そこで、文部省としての私どもとしての物の考え方は、同じ私学共済組合員であって、一部の人は五年、補正率、ほかの方は全期間というふうに、組合員によってその物差しといいますか算定方式が別々になるのはいかがなものであろうか、やはり算定方式というのは一つ算定方式が妥当なんじゃなかろうか、これが第一点。一つ算定方式をとろうとするならば、この三百何人の人はしょせんとれないわけでありますから、そこで五年掛ける補正率をとらざるを得ない。二番目は、私学共済がかねがね準拠をしてきた本体ともいうべき国共済の方が五年掛ける補正率ということになっておる、こういう第二点があります。三番目には、そのA方式の方が全体としていい計算になる人が多いということを考えますと、やはりこれは国共済に準じて私学共済の方も五年掛ける補正率の方が妥当であるというふうに考えたわけであります。そして、こういう計算基準の問題でありますから、基準を人によってまちまちにするということはかえって不公平を招くことになりはせぬか、基準によって決められた標準給与月額というものは、これはみんなが認め合っていくというのが共済制度整合性という観点からいっても妥当ではなかろうかというふうに考えまして、前にもそのように答弁したわけでございます。
  11. 伏屋修治

    伏屋委員 大臣お答えの中にありました国共済に準ずるという一つの根拠、この国共済そのものもいわゆる今回の公的年金制度一元化という方向の中で、いわゆる国民年金基礎年金とし、厚生年金一つの大きな柱として、それに準ずる方向で検討をされてきたのではないか。このように考えるときに、今まで私学共済の方は給与明細がわからないのは三百人程度あるということでございますが、この法律の中にも読みかえ規定がございまして、この中のいわゆる恩給財団加入教職員であった期間が非常に不明であったというところにおいては、標準給与月額は一万円であったものとみなすということで、いわゆる標準報酬月額基礎計算ができるようになっておるわけでございます。私学共済というものがそういうような形で、三百名が給与が不明であるというけれども、それは今の法律の中にもあるように一万円として計算できるようになっておる。そういうことからすれば、そしてさっき申し上げたように、今回の公的年金一元化というのが、いわゆる厚生年金一つ基準にしながらその水準に合わせようという形で改正が行われると考えるなら、私学共済を、今までの経緯から国共済に準じてきたんだから国共済に準ずるというのではなくて、今まで私学共済というのは厚生年金並みに本俸と諸手当を含めてずっとやってきた、今までの私学共済年金の中でも過去退職前一年間の平均と全期間平均とを比較して高い方をとるという形で私学共済はやってきたわけでございます。したがって、何も国共済に準ずる五年方式を取り入れなくても、私学共済厚生年金並みにその標準報酬月額が算定できる仕組みになっておる。今のような大きな流れからいいましても、厚生年金水準に合わせていこうというような改正方向だとすれば、今までの経緯から国共済に準じたということではなくて、そういう厚生年金並みにやっていった方が妥当ではないか。三分の一の人が不利になるということすらも解決され、整合性がそこで充足されてくるのではないか、このように考えますが、どうですか。
  12. 松永光

    松永国務大臣 先生考え方一つのお考えではあると思うのですけれども、今整合性という問題が出ておりますが、要するに私学共済というものは、その制度仕組み等国共済と同じというか、それのグループですわね。そのグループの中での計算方式というものはやはり同じ基準の方が整合性という観点からいえば妥当ではないかというふうに一つ考えるわけです。  もう一つは、三百何人と数は少のうございます。少のうございますけれども、この人はいろいろな記録がないわけでありますから、これは五年、補正率方式をとらざるを得ない。そういう方々は五年、補正方式で他の方は選択できるというのも、これは同じ共済組合組合員の中で、基準というか物差しが、計算方式がばらばらになるというのもいかがなものであろうか、そういうふうに思います。そして、全体としてどちらがいい金額になるかといえば、大多数といいますか、厳密なことはわかりませんが、多数の方はむしろ五年、補正率の方がいいようだ、こういったことを総合的に判断をいたしまして、その総合判断の結果、今御審議を願っておるような方式を採用した、こういうことなんでございます。これは先生御所論、おっしゃりたいことはわからぬわけではないのですよ。ないのですが、提案する側としては総合判断の結果、先ほど来申し上げておるような方式でお願いしたわけでありまして、何とか御理解を願えればありがたいな、こういう感じでございます。
  13. 伏屋修治

    伏屋委員 その辺がどうもこだわっておられるようでございまして、思い切って国共済自体厚生年金横並びにしようという考えのもとに今の改正案が出てきておるということを考えれば、私学共済の三分の二が上回り、三分の一が下回るというようなでこぼこが生じない整合性のある改正案ということであれば、私学共済は、この際、国共済に準ずるのではなくて、今までのような厚生年金方式でやっていくならば三分の一も三分の二も解消できるのではないか。三分の二上回るということ自体も問題ですね。やはり厚生年金の全期間平均同一水準にするという責務というものを考えていけば、やはりそういう面での私学共済は、今までの経緯にこだわることなく厚生年金の全期間平均水準に適合する方向をとった方がよい、こういうふうに私は考えるわけでございますけれども、私共済理事長はどういうお考えですか。
  14. 保坂榮一

    保坂参考人 従来ずっと共済制度の枠の中にあって国共済に準じて事を行っておりますので、私は国共済のそれに準じた方法がいいと思ってそのようにさせていただきました。
  15. 伏屋修治

    伏屋委員 どうも私学共済の方の主体的な回答は何一つ出てこないわけでございまして、全部が文部省におんぶにだっこという感じは免れ得ないわけであります。  文部省としましては、その私学共済要望を入れて本改正案をつくった、だから、この改正案はどんなことがあっても中身をさわることはできぬぞというガードを固めておられるような感じがして仕方がないわけでございます。今の年金一元化方向というものを考えれば、筋からいえば私が申し上げておるような筋で私学共済というものをやっていくのが筋ではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。その辺どうでしょうか。
  16. 松永光

    松永国務大臣 先生よく御承知のとおり、施行日以降はそれは本則すなわち全期間方式になるわけでありますが、その施行日前の期間計算の、言うなら特例の問題であるわけですね。特例の問題については、先ほども申したとおり厚生年金とは違う制度仕組みになっているのが共済——国共済地方公務員共済私学共済農林共済、このグループは、先ほど言ったようなわけで施行日前の期間平均標準給与月額計算方式を五年、補正率ということを採用しておるわけでありますから、それと合わせるのがいわゆる整合性じゃなかろうかなという感じがするわけであります。そして、実質論からいえばそっちの方がどうもよさそうだということもありますし、先ほども言ったように、組合員によって算定方式が区々になるというのもいかがなものかな。一つにしますと、今度は逆に、現在私の方で提案している方式による計算よりも低くなる人が多くなるということも考えますと、何とか文部省審議をお願いしている方にひとつ御理解を願えぬかなという感じでございます。もちろん私どもは提案をしたわけでありまして、審議権をお持ちなのは国会の方でございますから、国会の論議をしていただいて、そして何とか私どもの方に理解をしていただいてこのままお通し願えればありがたいな、こういうふうに願望している次第なんでございます。
  17. 伏屋修治

    伏屋委員 なかなか理解できない面もあるわけでございますけれども。この附則四条で見ますと、国家公務員共済補正率、この補正率私学共済考えていくということですが、給与体系からいいますと国家公務員給与体系私学給与体系というものはおのずから違うわけですね。それが国家公務員補正率によって、私学の方がその補正率を乗ずることによって適正給付を受けることができるのかどうなのか、その辺も疑問があるわけでございますが、その辺はいかがですか。
  18. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生お話附則の第四条でございますが、あれは国家公務員のそういう補正率をしんしゃくしてやるということでございますので、その点につきましては私学の方の給与実態は若干は反映できるのではないかというふうに思っております。
  19. 伏屋修治

    伏屋委員 もう一回確認をいたしますが、附則四条補正率というのは国家公務員横並び補正率ではないということであって、その参酌するというのは私学給与体系というものを考慮に入れて補正率考えることである、こういうふうにとらえていいわけですね。
  20. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 補正率自体国家公務員の方がおつくりになる補正率はやはり一つの数字ということになると思います。例えば、十年間勤務した人の場合にはやはり一つ補正率を使いますし、私学共済私学共済一つ補正率を使う。その場合におきまして、例えば組合員の全体の給与の曲線がどういうことであるかということの平均的なものがなるべく反映できるようなこと、それは確かに、先生のおっしゃいますように私学共済組合職員の中にはいろいろな職種がありますので、それが完全に同じかといいますとそれはそういうことではございません。ただ、これは国家公務員につきましても、例えば行政(二)の人がありますし行政(一)の人がある、そういうようなことがありますので、そこの点の違いというのは国家公務員の方が私学共済組合員よりも違いがより少ないということはございますが、やはりそこには違いがあるというふうに御理解いただければと思っております。
  21. 伏屋修治

    伏屋委員 公的年金制度改革閣議決定の中でもそのことがうたわれておるわけでございます。給付負担両面において制度間の調整をこれから進めていき、バランスをとっていかなければならない、そういうことでございまして、その補正率のいかんによって、いわゆる国共済に準じていって三分の一の人が下回る、しかも補正率によってまたさらにそれが影響を受けるというようなことになりますと、将来にわたる老後生活設計というものから考えていきましたときに、やはり適正給付の受けられるようなそういう補正率というものを熟慮していただかねばならないのではないか、このように思いますので、その点もう一度お尋ねしたいと思います。
  22. 松永光

    松永国務大臣 私学共済の設立の本旨からいって、私立学校でその職責に従事していらっしゃる方の福利厚生充実することによって私学教育振興を図るという目的でそもそもこの制度は創設され、そして今日に至ったものでありますから、私ども私学振興ということを非常に大事に考えておりますので、補正率に関する政令にっきましては、今先生指摘のように、私学教職員老後生活に不安なからしめるように適正な補正率ができますように最大限の努力をしていきたいと考えております。
  23. 伏屋修治

    伏屋委員 時間もありませんので、最後に、この間も私学の方から要望、今四点の二項目についてお尋ねをしたわけでございますが、他の三項目について、いわゆる所得制限とか在職中の給付とかそういう問題についての要望があるわけでございます。その他の要望についてどのように考え、どのようにこの改正案に反映されたか、その辺をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  24. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私どもが御要望いただいております第一点は、「六十五歳以上者には年金支給すること」ということでございますが、これにつきましては、私学共済組合自体退職共済年金ということでございますので、在職中である場合には支給はされないわけでございますが、昭和六十一年四月一日現在で六十歳未満の者が六十五歳以上になれば、これは当然のことですが基礎年金支給をされる、それから六十歳以上で標準給与一定額の方につきましては退職共済年金の一部を支給するようにするというような措置をとっておるわけでございまして、これは新たな措置でございます。  それから、その次の「所得制限を緩和すること」ということでございますが、これにつきましては、国家公務員その他につきまして他の有利なところに就職した場合に高給をもらいながら年金をもらうのはいかがかというような御批判が全体的にありまして、全体の中で所得制限を少し厳しくしていかなくてはいけないということになっておるわけでございますが、私ども考えておりますのは、現役の国家公務員標準給与、これが年間約四百五十万くらいでございますが、そういう場合におきましては年金の二分の一をカットするというくらいのことで行ってまいりたいというようなことで考えておるような次第でございます。  ただいまが要望の二点の御説明でございます。
  25. 伏屋修治

    伏屋委員 先ほど大臣も、私学振興という立場から考えても適正な補正率考えていかなければならない、こういうようにおっしゃいましたし、また、その要望所得制限あるいは在職給付という面につきましても、やはり私学の置かれた特異な立場というものを考えていき、その教育的な内容というものも水準を高めていくということから考えれば、そこにある教職員がいわゆる失望しないような法改正がなされなければならない、このように強く感ずる次第でございますので、その要望事項実現のためにさらに努力をお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 阿部文男

    阿部委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  27. 阿部文男

    阿部委員長 速記を起こしてください。  山原健二郎君。
  28. 山原健二郎

    山原委員 質問の順序がちょっと変わりましたので、厚生大臣はまだですね。——では文部大臣に伺います。  先日の連合審査におきまして六人の大臣がそろうということでございましたが、文部大臣はちょうどそのとき参議院の方に法案審査で行かれておりまして質問しませんでしたので、厚生大臣が来るまでちょっとお伺いしたいのです。  現在の私学共済の長期給付に対する国の補助率でございますが、これはおわかりのとおり百分の十八ですね。百分の十八で、さらに五十七年、五十八年、五十九年と行革特例法で長期給付の国庫補助金が四分の一カットされまして、六十年度もこの四分の一カットが延長され、五十七年度から六十年度までの減額分、これは合計して幾らになりますか、これは大臣でなくても結構ですが、お答えいただきたいのです。
  29. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、減額の元本といいますかそれ自体の金額でございますと、五十七年から六十年まで累計いたしますと七十六億円ということでございます。それから、利子分につきましては、一応私学共済の最低の予定運用利回りというのがございまして、これが年利五・五%でございますので、仮にそれで利子分を計算いたしますと八億円ということでございまして、合計で八十四億円という金額に相なります。
  30. 山原健二郎

    山原委員 今お伺いしました八十四億円、これは相当な金額でございまして、大蔵省お見えになっておると思いますが、これらは私学共済に対して利子分を含めて返済するとお約束をしてきたわけです。再度お伺いしますけれども、これはいつから返済をするのか、お伺いしたいのです。——大蔵省まだ来てないようですね。これは非常に重要な問題でして、文部省としては私学共済の場合にこの返済計画についてどういうふうにお考えでしょうか。これは特例法の審査のときに随分大問題になって、返済するからという約束で来たわけですが、この見通しが立たないということになりますと極めて重大な問題でありまして、その点、文部省としてはどういう判断をしておられるのでしようか。
  31. 松永光

    松永国務大臣 今御指摘の補助金の四分の一カット分でございますが、これは法律の規定が昭和五十七年度から六十年度までの特例適用期間における特別な措置とされておるわけでございまして、特例適用期間が経過後、このカット分につきましては、先ほど審議官お答えいたしました、元本に利子分を含めて、国の財政状況を勘案しつつできる限り速やかな機会に返済がなされることになっておるわけであります。したがいまして、従来からカット分とその利子相当分については、特例適用期間経過後に、国の財政状況を勘案しつつできる限り速やかに繰り入れに着手することが明らかにされておるところでありまして、私どもとしても、そのようになされるものだというふうに承知しておるわけであります。
  32. 山原健二郎

    山原委員 八十四億という数字ですが、財政好転の時期というのを大体どういうふうに今お考えになっていますか。——時間の関係もありますから……。  経済審議会の報告によれば、六十五年度を財政再建期間として、今まで言っておったのをさらに先へ延ばした格好になっていますが、今までは五十九年度までと言っておったのがそういうふうに延びてきた。しかもそれも全く不確定であるという状態ですね。そうしますと、これはいつ返済をするのかわかりませんが、ここで厚生大臣、お忙しいところをお見えになって恐縮ですが一言お伺いしたいのです。  この間の連合審査のときにも申し上げましたけれども厚生年金の例をとりましても、いわゆる五十七年、五十八年、五十九年の四分の一カット、しかも六十年にこれを延長しまして、四分の一カットの影響額は厚生年金だけでも六十年度まで九千五百四十億、六十一年度で四千億という数字ですが、大蔵省はあの法案審議のときにこれを利子をつけて返済すると言ってきたわけです。これについて厚生大臣に一度連合審査でお伺いしたことがありますが、私はこの問題にこだわっているわけです。五十九年度で財政再建と言っておったのが、六十五年に延びてそれも不確定であるということになりますと、これはまさに重大な問題でございまして、かなりこの法案審査に当たって確たる見通しがなければやり切れない話でございまして、その点で、厚生大臣として、年金の所管大臣としてどういうお見通しを立てていらっしゃるか、お伺いしておきたいのです。
  33. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この問題につきましては、特例適用期間経過後において積立金並びに運用収入の減額分を含む年金国庫負担金の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手する所存であるという方針が既に明らかになっておりますので、そのような方針でできるだけ速やかにお返しいただきたいと事あるごとにお話を申し上げております。
  34. 山原健二郎

    山原委員 厚生年金で来年度末には一兆三千五百四十億円になりますし、これに利子を加えますと、先日もお答えになりましたように約二千億円ということになりますと、合計しまして一兆五千億を超えるという数字が出てまいります。今厚生大臣としてはできるだけ早くというお話でございましたけれども、率直に言って、返し始める時期を推定できるどころか、逆に、今度の厚生省の来年度概算要求を見ますと、四分の一カットですと三千四百億のカットとなる分を四千億円カットで概算要求を出しておられるわけでございまして、これは四分の一を超えるわけですね。要するに四分の一のカット、五十七、五十八、五十九年、さらに延長して六十年、四年間のカット分を考えますと、それが返済される方向に向かうどころか、さらに厚生省みずからも四分の一を上回るカットの概算要求を出しておるという事態は何と考えても納得がいかないわけです。その点について厚生大臣、今度の概算要求との関係でどういうお考えを持ってこういうふうなことになったのか伺いたいのです。
  35. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 厳しい財政状況のもとで、厚生省が担当しておりますあらゆる福祉政策について実際上差し支えがない範囲内の予算を獲得しよう、そういうところからこのような措置を講じておるところでございます。したがって、どうしても必要な部分については確保しなければならぬということがございます。そういう建前からこういうことを行っておるところでございます。  なお、その点については今後もまだ大蔵省とお話し合いをする余地があるわけでございますので、その点と返済の方と両方で鋭意詰めてまいりたいと思っております。
  36. 山原健二郎

    山原委員 財政状況ということを言われますと、国民の将来の老齢化した場合の生活の安定の問題という面から私ども年金問題を考え、国や政府は国民の年金制度についての責務を持っていると思うのです。ところが、一方で財政状況によってということになると、ここで次々と後退していくということになりますと、我が国の財政状況が、率直に言っていつ再建される時期を迎えるかわからない。そうなりますと、この前の特例法の審議をしました場合に、大蔵省が責任を持って利子をつけて返済するという約束がほごになってしまうということが考えられるわけです。  そういう現実があって、現に今度の法案によって基礎年金に対する三分の一補助ということが出てくるわけですが、こういう事態の中で基礎年金に対する三分の一国庫補助というのが果たしてできるのか、そんな保障があるのかということを考えますと、率直に言って、現実の問題としては、こんな後退を続けておる状態の中ではこれすら保障はないのじゃないかという心配をするわけです。  厚生大臣、行かれる時間が迫りつつあると思いますから、タイムリミットになったら出ていただいていいわけですけれども、どうかその点についてははっきりした御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほども申しましたけれども、この返済計画につきましては事あるごとに鋭意大蔵省と折衝を重ねておるところでございまして、できるだけ早い機会にその実現を見たいと思いますけれども、その日付につきましては今ここで確約申し上げるわけにはいかないと思います。
  38. 山原健二郎

    山原委員 すべての国民に生活のできる年金をという言葉のもとに、国際的に見ましても、各国において年金制度が打ち立てられまして、以来、各国においてもそうですし、また日本国内においてもそれぞれ関係者が年金制度の拡充のために努力をしてきた、これが今までの歴史であったと思います。したがって、例えば私学共済でも、この委員会で論議しますたびに、今までは改善の方向に向かって論議してきたのです。  ところが、今度はがたんとこれが、改善というよりもむしろ改悪の方向に向かっている。そして、基礎年金については三分の一の補助ということが今度の法案の趣旨でございますから、そのことが本当に確保されるのかどうか、そのことに保障すらないということになりますと、今度の共済年金改正というものが本当にこれは明確に国民の意思に反したものになってくるということを考えますと、この点については大蔵省との話し合いもされるとおっしゃいますけれども、相当の決意を持って臨まなければ、この点すら保障されないという心配を持つわけでございます。  その点について、厚生大臣、まだお聞きしたいことはありますがこれでおきますけれども、もう一度確たる御決意のほどをお伺いいたしまして、大臣に対する質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 各種年金に対しましての基礎年金部分の三分の一の国庫補助につきましては、最大限の努力をもって確保いたすような決意を持って臨んでまいりたいと思います。
  40. 山原健二郎

    山原委員 どうも厚生大臣きょうはありがとうございました。  ついでに、この問題で文部省の方にお伺いしたいのです。同じ質問になりますけれども、四年間にわたる四分の一カットによって私学共済としてはどのような影響を受けたかということを今お伺いしたわけですが、これについて今厚生大臣がおっしゃいましたけれども私学共済としてもやはりこの返済の問題とそして三分の一補助の問題は重大な問題だと思います。その点について文部大臣としてどういうお考えを持っているか、この際伺っておきます。
  41. 松永光

    松永国務大臣 先ほど答弁いたしましたように、四分の一のカットは法律に基づいて六十年までの特例適用期間の特別な措置、こうされておるところでありますし、またしばしば、利子をつけて、国の財政状況を勘案しつつではありますけれども、速やかに返済をするというふうに財政の責任者から答弁もなされていることでありますから、当然のことながら速やかに返済がなされるものというふうに承知をしておるわけであります。  そしてまた、国の法律によって制度仕組みができる以上、その法律どおり補助等はなされるものと私は確信しておるわけでございます。また、そうなされるように最大限の努力をしていくのが私学共済を担当する私の責務であるというふうに思っております。
  42. 山原健二郎

    山原委員 これからの問題として出てくるわけですね。だから返済計画——大蔵省おいでになっていますでしょうか。——まだですか。来たら言ってください。  この文教委員会で、年金財政を安定させるために法案審議が行われるたびに附帯決議をつけてまいりました。これはもう御承知のとおり、長期給付に対する補助率を百分の二十にしなさいというのが附帯決議の中身でございまして、私はここへ全部資料を持ってきましたけれども、もう当初から、昭和四十四年六月の段階で私学共済が論議をされましたときに、これも附帯決議で、国の補助率を百分の二十に引き上げるというふうに決議をいたしました。以来十六年にわたって毎国会たびに百分の二十、そして最近は百分の二十以上という言葉が使われておるわけです。これは各党一致の決議ですね。その決議が行われて私学共済財政の健全化のために努力をせよということを決議しております。百分の二十以上となったのがたしか四十九年五月の国会でございまして、自来ずっと百分の二十以上、これを要求しております。これが国会側の意思であるというふうに私は考えるわけでございますが、これをどう受けとめているか、この点について文部大臣の御見解をお尋ねいたしたいのです。
  43. 松永光

    松永国務大臣 私学共済の長期給付に対する国庫補助については、私ども努力をしてまいりまして、制度発足当時は百分の十であったものが、十五になりそして十六になり十八になったわけであります。その後しばしば百分の二十にしろというありがたい決議をいただいたのでありますけれども、我々もそれに基づいて努力をしてきたわけでありますが、現在の補助率百分の十八のままにとどまっておるということは、国の財政事情等もあるわけでありますけれども私学共済を所管するものとしては力不足で申しわけないわけであります。国会でありがたい決議をいただいているのにそれが実現しないという点については申しわけないというふうに思っておるところでございます。国会決議というものはこれからもやはり最大限尊重して、その実現に向けて努力をしていくのが行政府側の責任であるというふうに思っております。
  44. 山原健二郎

    山原委員 百分の二十以上の国会の毎年の決議、これが国権の最高機関としての意思だと思うのですね。これは自民党からすべての党が一致して要求してきた附帯決議の中身でございます。ところが百分の十八で据え置いてまいりまして、今度は逆に五十七年度からはさらに四分の一の削除ということになってまいります。そして今度の法案によりまして、いわゆる報酬比例部分に対しては私学共済でも国庫補助をゼロにする、そして基礎年金部分に対して三分の一の補助のみにするという、これ自体が率直に言って大改悪なんです。  そういうことですから、まさに当文教委員会の満場一致の附帯決議というものが完全にないがしろにされているわけですね。そして、この私学共済のいわゆる長期的安定を図るというお言葉を使っておられるわけでございますけれども、果たしてこういう経過から見ましてそれを信用できるのかどうかという心配が出てくるのは当然でございますが、この点についてはどういうお考えでしょうか。
  45. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私ども先生の御指摘の長期見通しをどういうふうに考えておるかというようなことでございますが、現在の段階におきます私どもの国庫補助の収支見通しの積算の基礎といたしましては、一応現在の国庫補助率百分の十八、それから財源調整といいまして過去のベースアップその他を支えるものとしていただいておりました百分の十九・八二といいますものを積算としまして、現行制度のままで参りますと、この前から御説明を申し上げておりますように、昭和八十一年度には単年度収支が赤になり、それから長期資産を完全に食いつぶすのが昭和九十年度になるというようなことで推算をしている次第でございます。
  46. 山原健二郎

    山原委員 四分の一カット、これについての利子をつけての返済という分についても、お聞きしますと何となくあいまいでございますし、そういう面から見まして今回の年金改正案というものが我々にとっては全く納得できないものです。  私学共済年金財政の問題については後で少し詳しく質問をしたいと思っておりますので、きょうは会計検査院並びに厚生省に伺いたいのですが、昨日の読売新聞によりますと、健康保険と厚生年金の徴収漏れが昨年度約一千会社で二億三千万円を超える史上最高額に上っていることが会計検査院の検査で明らかになったと報道されております。年金制度の信用を失う問題でありまして、極めてゆゆしい事態ではないかと思いますが、会計検査院としまして、この報道につきましてどういう御見解を持っておるか、まずお伺いしたいのです。
  47. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 健康保険及び厚生年金の保険料の徴収不足につきましては、毎年検査を実施し、決算検査報告に掲記してきているところでございます。本年にっきましても例年と同様検査しているのは事実でございますが、その結果にっきましては現在取りまとめ中でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思うところでございます。
  48. 山原健二郎

    山原委員 厚生年金に関する部分の徴収不足額というものも、今検査中であるというお話でございますとおわかりにならぬかもしれませんが、一応お伺いしておきますが、厚生年金についての徴収不足額というのはおわかりになるでしょうか。
  49. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 先ほど答弁申し上げましたように、毎年厚生年金についても保険料の徴収不足について指摘申し上げているところでございますけれども、本年の部分につきましてはまだ結果を取りまとめるまでに至っておりませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  50. 山原健二郎

    山原委員 いつごろ調査の結果が出るでしょうか。
  51. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 検査結果につきましては、年内には結果を取りまとめて終える予定になっております。
  52. 山原健二郎

    山原委員 新聞の報道によりますと、ことしはまだおまとめになっていないのだけれども、史上最高額に上っているという言葉が出ております。毎年検査をされて、史上最高ということでありますと、ことしだけでなくて今までもこういう未徴収、そういうものがあったと思われますが、今までもそういう状態であったのでしようか。
  53. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 今までもそういう状態でございました。
  54. 山原健二郎

    山原委員 まさに年金制度の信用問題ですよ。サラリーマンにとって自分の知らないうちに会社側が納めた保険額を納めなかったりあるいはそれが少額であったりすることになりますと、年金が支払われなかったりあるいは少額になったりする可能性を持つわけでございまして、今度は史上最高と新聞には書かれておりますが、もし今までもそういうことがあったということを会計検査院がお認めになるとすると、これはサラリーマン諸君にとっては大変重大な問題だと思いますが、そういう意味の認識をお持ちになっておられるのでしょうか。
  55. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘のように、厚生年金、健康保険の保険料の徴収漏れがありましたこと、私どもの業務不行き届きということでまことに申しわけないというふうに思っております。  この徴収漏れの実態につきまして御説明を申し上げさせていただきたいと思います。  徴収漏れが行われます原因でございますが、これは、従来の経緯を見ますと、資格取得届つまり雇用されたということについて被保険者になられるわけでございますが、その届けがおくれるということが一番大きな原因のようでございます、これは事業所の数でございますが。この場合には、今先生お話しのございましたように、御本人といたしますと、被保険者になっておられるにもかかわらず被保険者になっておられないという形になってしまうわけでございますので、将来の年金の上で期間が短くなるという不利益があるわけでございます。したがいまして、被保険者の資格取得には、事業主の方の届け出と御本人の確認請求、それから私どもの方の職権で確認をするという三つの種類でやっておるわけでございますが、私どもといたしましても、各社会保険事務所の調査員が各事業所を回りましてこういった事態が起こらないような調査はいたしております。その段階で発見いたしました場合には、職権でその被保険者の資格取得届の確認をいたすとか、その間に徴収漏れになっております保険料を徴収するということをいたしております。保険料の時効は二年でございますので、二年以内にこういった事態が発見できますと事実上その方にとっては不利益にならないような扱いになるようにいたしております。もちろんこういった徴収不足が出てくるということ自体望ましいことではございませんので、事業主の方への指導と申しますか、実はこういった徴収漏れが起こります原因で検査院の方から従来御指摘いただいておりますこと、また私どもとして反省いたしておりますことは、大部分の事業主の方が制度の趣旨をよく御理解いただいてないということがございます。つまり、臨時で雇用された方は二カ月を超えてずっと雇用されておられますとこれは被保険者になるわけでございますが、二カ月を超えても届け出をなさらない、こういった事態が多いわけでございますので、こういったことについて十分指導を強化いたしまして、徴収漏れがないよう、それから今先生から御指摘がありましたように各被保険者の方が年金受給の面で不利にならないような取り扱いをいたすよう、私どもとしましても調査の徹底、それから事業主への指導ということについて強化をしてまいりたいと思っております。
  56. 山原健二郎

    山原委員 今の御説明で経過につきましてはわかりましたが、いわゆる年金制度に対する信頼、信用の問題ですね。サラリーマンにとりましては強制加入でございますから、加入して信じ切っているにもかかわらず会社側がこれを支払っていないということになりますとまさに重大な問題ですから、これ以上申し上げませんけれども、これについては今おっしゃったように適切な措置、そしてさらに厚生省としての十分な調査の徹底というものをぜひ図っていただかないと年金制度そのものが崩壊する可能性が出てくるわけですから、その点はよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、婦人の年金権の確立の問題につきまして、二、三例を挙げまして質問いたしたいと思います。  私学共済の例をとりますと、私学に働いておられる教職員の妻で家事に専念する方は、夫が四十年共済年金に加入した場合、年六十万円の基礎年金給付を六十五歳から受けるというわけですが、この婦人の年金権の確立ということについて厚生省はどういうお考えを持っていますか。     〔委員長退席、白川委員長代理着席〕
  57. 山内豊徳

    ○山内政府委員 婦人の年金権の確立の基本的な考え方でございますけれども、従来サラリーマンの女性配偶者の場合は任意加入という原則でありましたために、例えば任意加入しておりませんでした場合に、障害をお持ちになったりあるいは離婚離別した場合に年金の保障が非常に不安定であったという問題があったわけでございます。今回の改正ではこの点を最大の着目点といたしまして、これはサラリーマンの配偶者である場合あるいはそうでない場合も含めてでございますが、すべての婦人が国民年金の加入者として位置づけられる。やや事務的なことを申し上げますと、サラリーマンの配偶者の場合は三号被保険者、あるいはその方御自身が結婚していない御婦人の場合は一号被保険者、厚生年金の適用事業所に働いていらっしゃる女性の場合は厚生年金の加入者であると同時に国民年金では第二号被保険者ということにいたしまして、すべて国民年金の加入者となる。このことによりまして、基礎年金という部分に関しましては、御自身の名義と申しますか御自身の権利としての年金権に結びつくような仕組み改革されたわけでございまして、このような意味での婦人の年金権が今回の基礎年金の導入によって確立された、そのように考えておるわけでございます。
  58. 山原健二郎

    山原委員 婦人の年金権が確立されるということ自体に問題があるわけではありません。けれども、例えば、ある私学に勤めておられる大学卒で二十五歳で結婚された方の例を今度の法律に基づきまして私の方で試算してみたわけですが、夫が私学共済に四十年加入した場合、現行の保険料は千八百九十五万六千円、これが改正後どうなるかといいますと三千四百七十二万七千円、一・八三倍という数字が出てまいります。年金はどうかといいますと、年に三百八十六万四千円が、改正後は二百九十四万八千円になりまして、基礎年金の六十万を含めましても年金は年九十一万六千円の減額になる、こういう数字が出てまいりました。いろいろ見解があるかもしれませんが、こういう計算の仕方についてどういうお考えを持っているでしょうか。
  59. 山内豊徳

    ○山内政府委員 ただいまの計算例、実は事前にメモもいただいておりますが、一つは、率直に申しまして、私学共済加入の方の実例なものですから、保険料の計算その他について私ども厚生省としてはちょっと正確でない点がございます。ただ、私どもとして率直に申し上げさせていただきたいのは、改正前の保険料として積算されていらっしゃるのは恐らく現行の保険料ではないかと思うのでございます。  今回の基礎年金の導入を土台にしました年金改正は、現在のままの給付水準でいくとこれから非常に保険料の負担が上がる、したがってそれを軽減する意味からも給付の方を適正にするという意味合いがございますので、積算そのものの数字はこのとおりかと思うのでございますが、改正前の保険料が千八百九十五万というのは、私ども改正の基本的考えとして、将来の給付を今のまま守るためにもそれでは済まなくなるという前提で比べておりますし、年金額につきましても、そのようなことを考えて適正化ということで、私どもはある意味では倍率が下がることも踏まえて御提案しているわけでございます。私は共済年金の保険料について詳しくございませんので積算そのものについてコメントできない点がございますが、基本的な考え方としましては、改正前の保険料を現行の保険料で四十年間累計してお比べいただくことはいかがかというふうな考えを持っております。
  60. 山原健二郎

    山原委員 試算のファクターというものがありますから、こういう見通しも一概にはいかないかもしれませんけれども、さらにもうちょっと試算を申し上げておきますと、例えば夫が私学共済に四十年加入しまして、妻が国民年金に四十年任意加入をした場合で計算しますと、現行では夫と妻の保険料を合わせたものが二千二百十九万千二百円になります。年金は夫と妻の合計分が四百八十万七千六百八十円という数字が出てまいりまして、改正後は、保険料の合計が三千四百七十二万七千円、年金額が二百九十四万八千円、こうなります。つまり、現在妻が任意加入していて妻の保険料を支払った場合でも、改正後の夫の保険料の方がずっと高くなりまして約一・五六倍、一方年金額は百八十五万九千六百八十円減額になるという結果が出てまいります。こういう状態で婦人の年金権を確立したといいましても、無職の妻が喜ぶことができるであろうか。まして、夫婦で考えてみますと、この数字からするならばとんでもない収奪になってしまいまして、とても改善と言えるようなものではありません。  さらに、独身の働く女性をとってみますと、これはもっと手痛い打撃を受けるわけです。私学共済四十年加入の場合、保険料は合計千八百二十七万一千円、改正後は三千三百二十五万二千円、約一・八二倍になります。一方、年金は現行の三百八十六万四千円から、改正によりまして二百二十六万七千円、実に百五十九万七千円も減額をされるという数字が出てまいります。  さらに、夫婦共稼ぎで両方とも私学共済四十年加入の場合を見てみますと、保険料は単身者の二倍、年金削減額も単身者の二倍、こういう数字になりまして、保険料は夫婦合わせて三千六百五十四万二千円から六千六百五十万四千円、一・八倍。一方、年金は夫婦合わせて七百七十二万八千円から四百五十三万四千円へと、実に三百十九万四千円の減額になるという数字が出てまいります。  結局、こういうことを見ますと、婦人の年金権の確立という標構は出てきましても、実際にはむしろ保険料は高くなる、給付は少なくなるということで、ちっともいいことはないばかりか、むしろ言うならば大収奪である。これは大蔵委員会その他でもこの問題については我が党の議員が別の年金制度を試算して指摘をしだところでございますが、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  61. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生指摘のように、従来の年金給付といいますものは世帯単位に行っていたわけでございますが、今度からは婦人の年金権確立ということで夫と妻がそれぞれ別々に基礎年金支給されるという形になるということでございます。  一方、私学共済その他の共済組合員の保険料負担につぎましては、職のない、夫に扶養される妻につきましては夫の報酬に比例して払うということでございます。そういうことから、例えば、先生が御指摘のございました共稼ぎの場合あるいは単身者の場合におきましては、夫婦がございまして、その場合の妻が自分で稼いでいない者に比べまして保険料を余計負担するという形になるということは、これからつくってまいります制度自体がそういう報酬に比例して保険料を払っていただくというような仕組みに相なっておりますので、先生指摘のような違いが出てまいるということでございますが、これは今度の年金設計自体が世帯単位から基本的には個人単位という基礎年金が入った結果によるものだと私ども理解しておる次第でございます。
  62. 山原健二郎

    山原委員 この問題については指摘にとどめておきたいと思います。  次に、年金支給開始年齢を六十五歳とすることについて、私学共済の場合、女性の若年退職者が非常に多いわけです。昭和五十八年度退職者約三万五千人のうち、加入期間二十五年以上の方は約八百名にすぎないと言われておりますが、私学共済の方、この数字は正しいでしょうか。
  63. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生の今の数字でございますが、私が現在持っておりますのが五十九年度実績でございますので、それで御勘弁をいただきたいと思います。  それによりますと、組合員期間別脱退状況でございますが、五十九年度でございますと約二万五千人ございます。そのうち、二十年以上といいます方が千人強でございまして、約四%というような数字になっております。それで、現在年金の受給資格が出る期間といいますのは二十年ということでございますので、一応二十年以上ということでとらせていただきました。もう一度繰り返させていただきますと、現在の年金の受給資格が出てまいりますのは同一組合に加入して二十年ということでございますので、一応二十年以上といいます者をとらせていただきました。
  64. 山原健二郎

    山原委員 年金支給年齢に達する前に退職する場合が非常に多い女性にとりましては、年金支給開始年齢を五年も先に延ばすということは、まさに生活にかかわる問題でございまして、しかも現行法では減額退職年金制度によって五十一歳からの支給が認められているわけですが、今度の改正によりますと、この制度もなくなるわけでございます。女性を含めましてすべての国民が六十五歳まで働く場を保障した上で六十五歳支給開始というならばまだしもでございますけれども、そういう保障は今あるのでしょうか。
  65. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生承知のとおりに、減額退職年金につきましては一定の経過措置を設けましてこれを将来廃止するというような方向へ持っていこうということが原案でございます。  これの基本的な考え方でございますが、減額退職年金は本来の支給開始年齢よりも早く年金が受給できるというメリットがある反面、生涯にわたって減額される、年金を受ける場合におきましてずっとそれは減額したままでいくということでございますので、これからこの高齢化社会を考えます場合に、老後に稼得能力を完全に喪失した段階で十分な保障が受けられないというような問題があるというような観点から、今申しましたような措置をとろうとしているものでございます。  それで、経過措置につきまして若干申し上げさせていただきますと、現行の退職年金支給開始年齢の経過措置の適用を受ける者は、昭和十五年七月一日以前に生まれた者につきましては従来と同様な取り扱いをしているということでございます。それからもう一つは、若年でおやめになった方でございますが、今度は基礎年金である国民年金に全部強制加入ということでございますので、その上に二十五年という期間が乗っかってまいりますれば、私学共済組合から、勤めていた期間につきましてはそれに応じた報酬比例の年金が差し上げられるということでございます。
  66. 山原健二郎

    山原委員 今度の改正、私は改悪部分と思っておりますが、それを今一つずつ挙げているわけですが、もう少しお尋ねしておきます。  いわゆる懲戒処分者に対する職域加算額の支給制限についてでございますけれども、これを設けた理由というのはわからぬわけではありません。けれども、今までなかったものですね。しかも、まかり間違えばそれがいわゆる労務管理を強化するために使われかねない、いわゆる制裁的な制限といいますか、そういうものになりかねない要件を持っているわけでございまして、この点については相当の歯どめがなければ、まさに制裁規定のごとき運用をされますと重大な事態を招くわけでございますが、この点について文部大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  67. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私の方で一応現在の制度とこれから設けようとする制度にっきまして御説明をさせていただきます。  懲戒処分者等に対するいわゆる給付制限でございますが、これは現在の制度にも設けられておりまして、現在の制度は禁錮以上の刑に処せられたときあるいは懲戒により解雇されたとき、その者については長期給付の額の百分の二十ということで、それは給付制限期間は五年というようなことでそういう制度が設けられているわけでございます。  それで、今回の改正案におきましては、これにっきましては私ども私学共済組合でございますが、これは教育基本法六条に基づいて制定されたものでございまして、国公立学校教職員に係る年金とバランスをとっているというようなことでこういう制度を設けているわけでございますが、今回の改正案におきましては、厚生年金に相当する部分につきましてはそういう給付制限を設けませんで、職域年金の部分だけにつきまして給付制限を設けるというようなことを提案している次第でございます。
  68. 山原健二郎

    山原委員 これは、本人はみずから積み立てをして、そして恐らく懲戒処分という行政処分を受ける、そうするとこれに対する支給制限を加えるということが、これは今経過報告がありましたけれども、これが悪く使われますと、今言いましたような労務管理を強化する、あなたは学校側あるいは理事者側の言うことに対して従わなければ処分を受けますよ、しかもそれは共済年金せっかく掛けてこられたものまでパアになりますよというようなことになりかねないわけですね。そういうものは懲戒処分との関係ではないものだというのが年金制度だと私は思いますし、また拠出の性格だと思うのですが、それに対してこういう規定になってまいりますと、これが乱用されたりいたしますと大変な事態ですから、そういう意味ではそこに何らかの歯どめもなければならぬと思うわけでございますが、そういう点についてはどういうお考えを持っているでしょうか。
  69. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私が一つだけ補足して説明させていただきます。  職域年金部分についてどの範囲でとめるかということにつきましては、政令で全部または一部という範囲内で定めるということに相なっております。
  70. 松永光

    松永国務大臣 現在の制度と、それから審議をお願いしておる法案の制度とにつきましては、今審議官答弁したとおりでありまして、現在も制度としてはあるわけであります。先ほど答弁にありましたように、今度は厚生年金相当部分についてはそれはないわけでありまして、職域年金部分について政令で定める一部または全部、こうなっておるわけであります。  そもそも私学共済というものの仕組みが、教育基本法六条の趣旨に基づいて、私学ではあるけれども学校教育というのは公のものであって、国公立の学校教職員と同じように公務に専念し、そして教育という極めて大事な仕事に携わっていただいているのだという前提があるものですから、そこで国共済や地方共済と同じような形で職務の公正その他という意味でこういう制度はやはり必要なものだというふうに考えるわけであります。
  71. 山原健二郎

    山原委員 この点、例えば懲戒処分ということになると免職処分もありましょうし、また、あるいは戒告、減給というふうな行政処分もあるわけですね。公務員の場合はそれははっきりしているわけですが、私学によってはいろいろな形態で処分が行われ、あるいは地労委に対する提訴の問題とか、あるいは裁判所の判決を待つとかいう事件が必ずしも少ないわけじゃありません。そういう点から考えますと、年金というのは生活権の問題ですよね、それをここで一つにしていわゆる職域加算額の支給制限をしていくということが果たして正しいのかどうか。しかもそれが乱用されてくると事態は一層複雑になってくるわけでございますから、この点については一定の不安を持っておることを改めて申し上げておきたいと思います。  次に、私学共済年金財政の問題について伺いたいと思います。  これまで文部大臣は、私学共済は発足が若く、年金財政は健全であるが、五十年、百年先には財政状況が悪化することは確実に予想される、長期的観点に立って基盤の安定を図り、世代間の公平を図ると繰り返し述べられてまいりました。確実に予想されるというち言葉でございますが、その根拠は何でしょうか。
  72. 松永光

    松永国務大臣 御承知のとおり、私学共済組合年金の受給者はこれから確実に増大してくると思われます。しかし、それを支える組合員は従来のように増加するとは考えられない。そうすると、支える人が増加しない、給付を受ける人が増加すれば、これは当然のことながら年金財政というものは大変悪化してくる、こういう筋合いのものであろうと思っておるわけであります。
  73. 山原健二郎

    山原委員 今までの答弁をお聞きしますと、また、藤木議員に対する資料を見せていただいたわけですが、お答えとしまして、昭和百年に成熟度が、現在四・三%ですが、三三・五%、これで八十一年度には単年度収支がマイナスになるという資料をいただいております。それから積立金の食いつぶしが九十年度に起こってくる。二十年後には収支マイナス、三十年後には積立金の食いつぶし、こういうふうなお答えをいただいておるのですが、これはそういうふうに見てよろしいでしようか。
  74. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 お答えいたします。  藤木先生にお示ししました資料のとおり、昭和八十一年度では現行制度のままを維持するとすれば単年度収支がマイナスになりまして、昭和九十年度におきましてはいわゆる積立金がゼロになるというようなことでございます。
  75. 山原健二郎

    山原委員 それは何に基づいて出されましたか。
  76. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 これにつきましては一定の仮定を立てておりまして、給与改定率、年金改定率は六%、それから運用利回りにつきましては七%、それから先々の組合員数につきましては増加をしないというようなことで一応仮定を立てております。
  77. 山原健二郎

    山原委員 今おっしゃった数字は、ここにいただいております昭和五十九年四月二十二日、社会保障制度審議会の年金数理部会から出しております第一次報告書、それによりますと今あなたがおっしゃったことがそのままここへ出てくるわけでございまして、八十一年度にマイナス、九十年度に積立金がゼロになるという数字でございますが、これに基づいているのでしょうか、そのままですが。
  78. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私ども私学共済が掛金率等をどうするかといいます場合に、長期的な見通しのもとで行わなくてはいけないということでございまして、これは昭和五十五年度にそれを行いましたものでございますが、その資料でございます。     〔白川委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 山原健二郎

    山原委員 この資料によりますと、拠出保険料率が千分の百二、それが八十九年度まで据え置いたままになっている資料ですね、この資料の注によりますと。そうなりますと、結局、保険料率が一定しているわけですから、問題は組合員数が保険料の収支に大きな影響を与える結果になると思いますが、この資料によるとそういうことは当然考えられますね、料率が一つですから組合員数が問題になってくるのですね。
  80. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 昭和五十五年度におきます推計は、現行の制度のもとにおけるということでございまして、掛金率につきましては、先生指摘のとおり百二ということでそのまま据え置いたらということでやっております。それから組合員数につきましては、どういう組合員数の状況になるかということは推定が難しいものでございますから、現行の組合員のままに推移するとすればどういうことになるかということでやっております。
  81. 山原健二郎

    山原委員 五十六年、五十七年、五十八年度の組合員数をちょっとお知らせいただきたいのですが、どうなっていますか。
  82. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 これは成熟度も出しておるわけでございますが、五十九年が三十四万一千、六十年が三十四万四千、六十一年が三十四万六千、六十五年が三十四万七千、以下ずっと据え置きということになっております。
  83. 山原健二郎

    山原委員 「私学共済の概要」、これはおたくの方で出されているものですが、一九八四年、昨年度の分ですが、これによりますと、組合員数の実数が出ているわけですが、五十六年度三十三万七百四十人、五十七年度三十三万六千三百七十二人、五十八年度三十四万三千六百六人、五十九年が三十四万九百四十一人、これは違いますか。
  84. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 推定の場合と現実の場合とは若干違うかもしれませんが、これは組合員自体は、短期の組合員数とか任意継続の組合員数というものが入っておりますので、若干数字が違うということでございます。
  85. 山原健二郎

    山原委員 これは実数じゃないですか、あなたの方の概要は。実数が出ているのじゃないのでしょうか。
  86. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 これは私立学校教職共済組合でおつくりになったものでございますが、実数でございます。
  87. 山原健二郎

    山原委員 文部省からいただきました基礎表、数字、これをいただいているのですけれども、これを見ますと、五十六年度が三十二万六千四百二十九人、五十七年が三十三万二千四百二十九人、五十八年が三十三万七千四百二十九人、五十九年が三十四万千四百二十九人となっておりますが、これは文部省からいただいたのですが、これは何でしょうか。
  88. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私どもがお出しいたしましたのは、先ほど申しましたように、昭和五十五年度におきまして財源率がどうなるかということを再計算した際の推定の数字が当然入っているわけでございますから、実際の数字とはそこで若干の食い違いがあり得るというふうに考えております。
  89. 山原健二郎

    山原委員 あなたのおっしゃるのはこれの方ですか、これの方が推定だとおっしゃるのですか。
  90. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 この「私学共済の概要」で出しておりますのが、一九八四年のものでございますから、これは実際の数字ということでございます。
  91. 山原健二郎

    山原委員 これ、いただきましたが、随分数字が違うのですよね。差は五十六年度で、文部省からいただきましたこの基礎表、これが五十六年度で四千三百十一名の差があります。それから五十七年で三千九百四十三人、五十八年で六千百七十七人、五十九年でマイナス四百八十八人、四年間で一万三千九百四十三人という差が出てくるのでございますが、この差というのは組合員数から見ますと、四・三%のずれになってまいります。しかも、予想を上回っていますから、保険料収入も多くなるはずなんですね。保険料収入はもっとたくさん入っていることになると思うのです、この四年間でこれだけ差が出てくるわけですからね。それはどういうふうにお考えでしようか。
  92. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生、恐れ入りますが、十七ページのところをごらんいただきますと、今の「私学共済の概要」の一九八四年の分でございますが、ここの十七ページの一番下のところに「任継」と略してございますが、この「任継」が五十六年度におきましては六千六百二十四人、それから五十七年度におきましては七千七百五人、五十八年度におきましては八千五百五十八人というのがございます。この任意継続というのはどういう方々かといいますと、これは私学共済をやめられた後、健康保険的な要素で二年間入られる方というものがありまして、その方の数でございまして、これは長期には関係ございません。
  93. 山原健二郎

    山原委員 それで、実数というのはどれですか。
  94. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 ですから、大ざっぱに言いますと、この三十三万の合計から約七千ぐらい引いていただいたものが、むしろ長期組合員の実態に近いであろうということでございます。
  95. 山原健二郎

    山原委員 ちょっと資料が、私の方混乱するわけですけれども組合員の実数というのが出て、それがこっちの数字と随分違うものですから、収支が——では、収支はどれが基礎になっているのですか。私学共済の収支というのは、どっちを基礎にしているのでしょうか。
  96. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先ほど申しましたように、私どものお出しいたしましたのは、五十四年度に五十五年度以降どうなるかということについてのあくまでも推計でございます。ですから、その推計におきましても、一応九年間に四万五千人の組合員がふえるというようなことでお出ししたのが先生にお届けした資料であるというふうに理解しております。推計でございますから若干の誤差はあり得るということでございます。
  97. 山原健二郎

    山原委員 組合員数の推移を見ますと、昭和六十二年度以降は三十四万七千四百二十九人で一定して推定をしておりますね。これは非常に難しいことだろうと私は思いますけれども、なぜふえもしないし減りもしないと仮定しているのでしようか。なぜそうしたものが一定のまま動かない形で推定しているのかちょっとわかりませんが、どうですか。
  98. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先ほどから申し上げておりますように、これは五十四年度に行いました推計でございます。最近の私学共済組合員の数のふえ方といいますのはもう大分プラトー状態に近くなってきているというようなことで、五十四年度におきまして推計いたしました数字でございますが、これは九年間に四万五千人増加する、そこから先は一定の数を維持していくであろうという推計でございます。
  99. 山原健二郎

    山原委員 ちょっと別の角度から。  昭和六十年から百年の四十年という長い期間の問題で、仮定でございますからいろいろなファクターが入ってくることは当然ですが、例えば組合員の一番多い大学の問題を見てみますと、大学設置審の分科会の報告書が出ております。「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」、これがその報告書ですが、これにはこう書いています。「我が国の高等教育をめぐる諸般の情勢には、不確定な要素が多く、現段階においては、我が国の高等教育について、長期的な見通しを持って、計画的整備の方向を明確に見定めることは、極めて困難な課題である。」と指摘をしておりますが、高等教育についての長期の見通しというのは極めて困難だ、大体そういうことでしょうか。
  100. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生承知のように、最近高等教育への進学率自体は頭打ちないし足踏み状態になっているということが一つあると思います。それから、もう一つは、いわゆる第二次のベビーブームということで子供の数がふえたり減ったりしているというようなことがございます。そういうベビーブームでどのように変わって、それが進学率にどのように影響していくのかというようなことについてはなかなか推計が難しいという状況にあると私ども考えております。
  101. 山原健二郎

    山原委員 今後の十八歳人口の動態、十八歳人口の動向をどう見ていますか。
  102. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 はっきり覚えておりませんが、大体六十七年くらいがピークであると考えておりまして、その後はまた急激に減ってくるというようなことでございます。
  103. 山原健二郎

    山原委員 六十七年まで急増して、それ以降はまた急減するというわけですけれども私立大学教職員の動向がどうなるかということを見てみますと、今後の動向についてこの報告書にはこういうふうに書いております。「大学、短期大学への進学意欲には根強いものがあること、経済社会の成熟化に伴い高等教育を受ける必要性がますます高まっていくこと、職業人・社会人、留学生を積極的に受け入れる要請が強まっていくこと等を考えると、現状程度の規模が必要になるものと想定するのが妥当である。」と述べております。要するに、この大学設置審の分科会の報告によりますと、十八歳人口が減るけれども高等教育を受ける人口は下がらないということが書かれておると思いますが、そういう判断をしてよろしいでしょうか。
  104. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先ほど申しましたように、昭和六十七年度に十八歳年齢人口がピークになる、ただそれは臨時的なものでございますので、今高等教育関係で一番頭を痛めておりますのは、どの点までを臨時増募にし、どこからを恒久的な増募にするかというようなことがあるのではないかというふうに思っております。
  105. 山原健二郎

    山原委員 その中で私学の比重が問題になってまいりますね。今後の高等教育機関の整備としまして、この報告書の中に公私協力方式あるいは国公私協力方式が打ち出されています。これは設置形態としては私学だと思いますが、いかがですか。
  106. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 学校法人立の場合には明らかに私学ということで私立学校共済組合法に入っておりますが、例えば特殊法人でつくりました放送大学の場合には入っておりません。ですから、新しい設置形態でできたものについては、それをどういうふうに扱うかということはこれからの課題ではないかと考えます。
  107. 山原健二郎

    山原委員 もちろん我々は賛成しているわけではありませんけれども、今臨時教育審議会で設置形態についてどのような審議がされておるか、皆さんも御承知だと思いますが、いわゆる民営化論というのが進められております。そして、自由化論、大学の民営化が非常に強調されておりますね。例えば、一番新しく出た「内外教育」に臨教審の中で一番自由化論を主張している香山健一氏の論文が出ておりますけれども私学設置の自由拡大ということで、二十一世紀は私学の世紀であるということが出ています。もちろんこれは個人の発言でございますけれども、中曽根首相も義務教育民営化論まで言っておるわけでございますし、さらに日本の財界は、日本経済調査協議会、土光さんが理事をしているわけですが、あの中にはもうはっきりと、日本の教育は民営化をしていく、さらに大学のみならず義務教育小中学校の民営化は日本の自由化の発展のための不可欠の条件であるというくらい強力な民営化論というのが出ているわけですね。それが臨教審に反映をされて時には国民の反撃を受けているわけでございますが、そういう動きを考えました場合に、この私学共済との関係も必ずしも無関係ではないと思います。  例えば、現在組合員は多くはありませんが、専修学校の動態についてどのように皆さんは受け取っているか、このことを伺います。
  108. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 専修学校という制度ができまして、現在非常にその役割を果たしているというふうに考えております。そういう意味におきまして、専修学校の高等課程の卒業者で高等学校と同等程度の者につきましては、先般来大学の入学資格を認めるというふうな措置をとっておりますし、今後もそういう専修学校は今度は高等教育の面におきましてもまた役割を果たしていくのではないかというふうに考える次第でございます。
  109. 山原健二郎

    山原委員 こういうことを考えますと、私学といいますか私学共済あるいは専修学校の問題とか、先ほど言いましたようないろいろな提起されている問題を絡めてみますと、十八歳人口に対する比率もふえてまいりますし、場合によっては私学共済組合員もふえるのではないかということも考えられますが、その辺については全く参酌なしに、先ほど言いましたようにいわゆる三十四万七千名がずっと続くというふうな仮定のもとに、私学共済財政が八十一年には行き詰まり、九十年には積み立てもなくなってしまうというふうな判定でしょうか。これは文部大臣もそういう答弁国会で何遍もやっておられますので、私はその基礎がどこにあるかという意味でごたごた言っているわけですけれども、その辺は、私学共済財政というものが八十一年には行き詰まり、九十十年には積立金も取り崩してしまうというふうな国会における答弁というのは何がもとになっているかということがわからないものですから今までいろいろなことを述べたわけですが、その辺はどういうふうに判断をしたらよろしいでしょうか。
  110. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生承知のとおり、今幼稚園の園児数あるいは小学校の児童数が減少しているということがございまして、それに伴いまして若干幼稚園の数も減っているというようなこともございます。それで、先ほど申しましたように、子供の数の波は高等教育だけではなくて当然初等教育、中等教育段階にいろいろ影響を及ぼしておりまして、やはりそのトータルで見ていかなくてはいけないということでございまして、それがどういうふうになるかということにつきましての予測というのはなかなか難しいというふうに私ども判断しておる次第でございます。
  111. 山原健二郎

    山原委員 難しいとは言っても、一定のさまざまな要件というものを考えながら、いわゆる私学共済の行く先というものを見ておく必要があるのではないでしょうか。例えば私学共済組合員が一定の数で推移するなどとは到底言えないと思うのです。そうしますと、保険料収入というものがおのずから変わってくるわけでございまして、その点ではこの年金数理部会の表というものが必ずしも正確ではない。そうすると、八十一年度赤字、九十年度にはゼロになるというような国会における答弁そのものがまるで根拠なしに言われているということになると私たちも困るわけです。この点は、国庫負担について長期給付の何分の何を計算しているのか。これは百分の十八で計算しているのでしょうか。
  112. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 国庫負担率につきましては、百分の十八足す財源調整費というのが百分の一・八二もらっておりますので、それで十九・八二ということでございます。
  113. 山原健二郎

    山原委員 資料の問題ですけれども文部省が持ってきました資料とこの報告書による数字とは随分違うのです。六十一年度に国庫補助が百四十三億円、七十年度に五百三十八億円、八十年度に千七百七十二億円、九十年度はありませんが、八十九年度四千六百五億円、こうなっています。文部省の国庫補助の将来推計を見ますと、六十一年度百億、七十年度二百二十億、八十年度四百十億、九十年度六百六十億。けた違いに数字が違うわけですよ。どっちが本当の数字でございましょうか。
  114. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私どもがお出しいたしました、現行制度のものでいきますとどういうことになるかといいますものにつきましては、現行制度が六十一年度の百億ということが、九十年度には六百六十億、百年度には八百三十億というような数字を出していると思います。それで改正案によるとどうなるかということにつきましては、六十一年度が百五十億、それから八十年度が三百五十億、百年度が四百四十億というような数字でございます。
  115. 山原健二郎

    山原委員 ところが実績は、報告書によりますと——実績ですよ、過去の。五十六年度五十九億、五十七年度七十一億、五十八年度八十五億となっていますが、これは報告でこうなっていますが、実績は、「私学共済の概要」によりますと、五十七ページに出ておりますが、五十六年度が五十六億、五十七年度が五十一億、五十八年度が五十九億ということになっておりまして、これも全く数字が違うんですね、過去の問題についても。こういう違った数字をもとにして文部大臣答弁がこの国会において終始行われているとすると、ちょっと信用できないわけでございますが、これはどうしてこんなふうに過去のことまで違いが出てくるのですか。
  116. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私ども先生にお出ししました過去の実績につきましては、これは間違いございません。
  117. 山原健二郎

    山原委員 間違いございませんって、間違っているじゃないですか。過去のことについての報告が、五十六年度だけ見ましても五十九億と五十六億と、こんな違いが出てくるはずないでしょう。五十七年度が七十一億と五十一億、どうしてこんな数字が出てくるのでしようか。それをもとにして答弁書がつくられるのですから、これは一致しておかないと。過去のものまで違うということで、今までは将来の推定だからといってあなたの方はいろいろ、ごまかしだとは言いませんが、いろいろ私にわからぬようなこと三言ったのですけれども、過去のことが違うということはどうしてですか。
  118. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 今私どもが申し上げましたものと、先生が仮に、「私学共済の概要」の五十七ページのところをごらんおきいただきますと、それとは合っているはずです。といいますのは、ここで長期給付費と事務費というのが補助金を出しておりまして、この長期給付が五十六、五十一、五十九というようなことでございまして、これに事務費を加えたものがこういうことになるということでございまして、この数字は違ってないと私ども理解しております。
  119. 山原健二郎

    山原委員 数字合わせになって大変恐縮ですけれども、違うでしょう。五十六年度五十九億、五十七年度七十一億、五十八年度八十五億と、それからあなたの方の数字、これは事務費を入れましても違いますね。
  120. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私ども藤木先生にお出しいたした資料の五番目、「私学共済に対する国庫補助の推移実績」でございますが、これによりますと長期給付事業費五十六億、これにつきまして、五十七ページで書いてありますのが五十六億二千七十九万二百六十七円という数字でございます。それから五十七年でございますが、私どもが五十一億でお出ししておりますが、これにつきましては五十一億三千五百七万六千五十九円ということがここに書いてございます。それから五十八年度が、五十九億というふうに私どもがお出ししておりまして、これが五十九億四百十八万八千百五十八円ということで、この数字は合っているのではないかと私どもは思っております。
  121. 山原健二郎

    山原委員 今ちょっといただいた資料をどこかに置いてしまった——とにかく、こういう数字で時間をとっても時間がたつばかりでございますから……。  八十一年度単年度収支がマイナスになり、九十年度には積立金もマイナスになるという大臣お答えでございますけれども、これはいわゆる長期的な成熟度、いろいろな要因があります。単純には出せないと思っていますけれども、それをこのように非常にはっきりと八十一年度、九十年度というふうに分けられて国会に対する答弁を行われてきたわけですから、その資料がどこから出てきたかという意味で、その基礎となる数字についてはっきりさせたいということで質問をいたしたわけです。  当然のごとく年金財政が悪化し、いついつまでに収支はこうなるというわけでございますけれども、結局どこに問題があるかというと、計数の仕方に問題があるのじゃないかということが一つです。それから、もう一つは、結局これを解決する道はやはり私学共済に対する国の補助の問題、これが非常に大事になってまいりまして、最初に私が申し上げましたように、国会の方が附帯決議で満場一致で可決をしてきた長期給付に対する補助金を百分の二十以上にした場合にどうなるのか、そのように考えてみますと、私学共済の財政というものがそんなに簡単に八十一年にはこうなる、九十年にはこうなるということではなくて、その健全な財政を維持する方法が出てこないはずはないのではないかというふうに考えるからです。国庫負担金はどれだけ出せばいいかという問題を考えませんと、また、教職員の掛金率を現行で維持するためには、いわゆる理事者側の負担と労働者側の負担ですね、この原則をどうしていくかというようなところまで思いをいたさないと、いわゆる年金制度としての私学共済の健全な財政を保持することはできないわけでございます。  そういう意味で、本当に私学共済というものを健全に育成をしていく、あるいはここで働く人々の生活権を擁護するという立場から見ますと、一つは、単に計数の単純な見方だけでなくて、国の補助金をしっかりとさせていくといういわば国の責務というものを果たしていくことが大事ではないかというふうに思います、そういう観点からしますと、今回の私学共済改正案に対しまして、幾つかの点から私ども賛成できない面があります。  そういう気持ちを込めまして、最後に文部大臣に対しまして、国の助成というもの、しかもそれは国会側の決議でもあるということから考えますと、そういう面から見た私学共済の健全な育成ということについて大臣はどういうお考えを持っておるか、これを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 松永光

    松永国務大臣 先生承知のとおり、現在は私学共済の収支は極めて健全なんであります。成熟度が極めて若いわけなんであります。これがなぜ成熟度が進んで、そうして先ほども申し上げましたけれども昭和八十一年度に単年度収支が赤字になると予想され、あるいは九十年度で積立金を食いつぶすことになるのかということでありますが、いかんともしがたい点があるわけでありまして、これは先生もお認めになると思いますけれども、高齢化の進展ということ、これは厚生省人口問題研究所で推計していただいているわけでありますけれども、現在の六十五歳以上の人口が千二百万ぐらいのところが、昭和八十年になりますと二千二百万、昭和九十年になると二千七百万、その結果、二十歳から五十九歳の人口との対比によれば、現在が五人そこそこで一人を支えているのが、八十年になりますと三二人で一人、九十年になりますと二人そこそこで支えなければならぬという日本の急速な高齢化という現象、これは認めざるを得ないでしょう。これはもちろん私学共済の分野でもそういう事情は起こってくるわけでありまして、私学共済の分は別だ、一般的にはそうだけれども、こういう理屈が成り立つならば極めてありがたいのですけれども、そういう理屈は成り立たないだろうと思います。  それから、もう一つは、私学共済が成熟度が極めて若い状態に現在あるというのは、御承知のとおり、ベビーブームの影響もございまして、私立幼稚園から、私立高等学校から、私立大学というものが発足後どんどんできました。それで組合員がふえたわけであります。これから先どうなるか。先ほど私立大学がもっとふえるだろうというお話がございましたが、現在、大学、短大等の学生数の中で七五%が私立大学でありますが、それがさらに八〇%、八五%が私立大学で国公立の方が減るという事態はちょっと私には予想されないわけであります。それからまた、幼稚園の問題がございます。一人っ子が多くなってまいりましたから、これまた幼稚園がふえるという予想はつけがたい。現在七五%ぐらいが私立幼稚園と思いますが、これが八〇%も九〇%もなるとは予想されません。むしろ減るのじゃないでしょうか。  そういった点を考えますと、私学共済の方で推計されました八十一年度で単年度収支が赤字になる、九十年度で積立金を食いつぶすという推計、これは残念ながら大体当たるような感じがするわけであります。そのときになって改革しようといってもそれはもう大変なことでございますから、そこで、そういう事態を予測して長期的に安定を図っていくということで今回の改正案審議をお願いしておる、こういう状況でありますので、何とぞ御理解を賜りたいわけであります。
  123. 山原健二郎

    山原委員 これで終わりますが、今大臣おっしゃったことは、今度の国会でも初めから政府側が言っておられる所感ですね。でも、それに対してまた見解は違いますけれども、きょうはその場所でもありませんし、またそれについては今後の問題として、きょうはこれでおきたいと思います。ありがとうございました。
  124. 阿部文男

  125. 木島喜兵衞

    ○木島委員 大臣、のどを痛めていらっしゃるようでありますから簡単に、そして、もうここまで来ておりますから余り細かいことは抜きにいたしまして、全然別個の話なんですが、この法案は、一つは高齢化社会というのが背景にあるわけです。ところが、定年五十五歳というのをしかれたのが、これはいろいろな説がありますが、日本郵船だと言われているのですよ。これは明治三十五年なんです。明治三十五年の平均寿命が男四十二歳、女四十五歳。この当時は女は余り考えないでもいいかもしれません。これが五十五歳定年制をしいているのです。あるいはそれ以外のものもあったのかもしれません。そうすると、平均寿命が四十二歳のときに五十五歳という定年制をしいているのです。そして、日本全体が五十五歳でずっと今日まで続いているわけです。どう思いますか。
  126. 松永光

    松永国務大臣 これは私、専門家じゃありませんけれども平均寿命がぐんと延びた背景には、生まれてすぐ亡くなる、ゼロ歳、一歳、二歳くらいで亡くなる子供が、国民の所得水準の増強、栄養がよくなってきた、医療水準が上がった、衛生がよくなったということで、乳幼児期の死亡率が非常に減ってきた。世界一少ないのかもしれません。それが全体として平均寿命を延ばしている要因だと思います。実際、その時期を過ごしてある程度一人前になってきた人の寿命というものは、四十が八十になったというような、そんなに差はないのじゃなかろうかと思われる節があるような気がいたします。これは私、専門家じゃありませんが、私個人として考えていることでございます。  そうでございますので、今先生のおっしゃった、昔は平均寿命よりも定年が長かったが、現在は平均寿命が八十歳なのに定年がぐっと低い、逆になっているという問題を、その数字からだけ見てはいかぬような気がするわけであります。しかし、それでも一般的に言って寿命が延びているわけでありますから、定年の問題については、雇用情勢等を見ながら適切なところに定年を持っていくのが望ましいことではないかと私は思います。
  127. 木島喜兵衞

    ○木島委員 きっとこのことが、日本的な雇用条件というのですか、家族的な雇用条件、言うなれば終身雇用、生涯雇用という意味では日本的な雇用関係というのはそこから生まれてきて今日に至っているんだろうと思うのですね。ただ、今まさにおっしゃるような要素が非常に多いことは確かですけれども、例えば日本の統計で言うと、一番古い統計は明治二十四年から三十一年ですが、男が四十二・八歳、女が四十四・三歳。そうすると、今の八十歳年齢からいうと二倍近くなっているわけですね。今おっしゃるように幼児だけの問題ではないですね。戦後で言いましても、昭和二十二年が男五十・〇六歳、女五十三・九六歳ですから、三十歳近く延びているわけですね。そうすると逆に、四十三歳のときに五十五歳定年ならば、寿命八十歳の定年は幾らかというと百歳を超えるのですね、単純に言えば。——いや、そのことを私は言おうと思っているんじゃないですよ。ただ、問題は、そういう状態になっておるにもかかわらず、むしろ我々の意識の方が少しおくれているんじゃないかという感じがするわけです。  そういうことを考えていくと、例えはよく言われるようでありますけれども、三十、四十歳代くらいは子供や家族のために働く、それから六十、七十になって働くのは言うならば人生の生きがいのために働く、こういうふうに考えられておるし、そういう方向にあるのじゃないか。すなわち、例えば先ほどお話がございました臨教審なんかの場合でも、生涯学習という問題でも、働きながら学ぶということは、人生がだんだんと高齢化社会になっていくときにおいても働くことを前提としながら学んでいくということになっていくんだ。ただ、そういう中で我々の意識の方がむしろおくれておる。一方、男女雇用平等、殊に女性の職業への進出が顕著になったのは第二次世界大戦以降だと思うのです。今度日本でも雇用平等法ができ、女性の職場進出がある。このことは労働にも大きな影響を与えるし、同時に年金においても非常に大きな影響を与えるだろうと思う。百歳以上の定年なんということは別としましても、例えば七十歳なり七十五歳定年になる、あるいは定年かどうかは別として働いたら、一方、婦人の労働が多くなってくる、そうなってくると労働そのものが一体どうなるか。同時に、そのことは年金が一体どうなるかということと深くかかわっていくのじゃないだろうか。そういう観点を持ちながら、この年金制度をどういう方向に持っていこうかとする理念が日本の場合確立しているのかどうかということを、私は専門家でないから知らないのでありますけれども、そういう観点ではどう理解したらいいのでしょうか。これは大臣の専門でもないのでありますから、こんなことに大臣から明確な御答弁があってそれでもって議論しようなんというものではなくて、ただ、政治家同士の物の考え方のやりとりぐらいにお考えください。そういう意味でいかがでございますか。
  128. 松永光

    松永国務大臣 先ほどもちょっと触れましたけれども、かつて平均寿命が四十三歳のときに定年が五十歳であった、現在は平均寿命が八十歳なのに定年が五十五歳とか六十歳というのは云々ということでございますけれども平均寿命が四十歳とか五十歳という当時から現在八十歳になった原因の一つは、乳幼児死亡率の急激な低下であります。したがって今度は、成人になった後の余命の比較ではどうなるだろうかという問題があるわけでありまして、そっちの方も確かに延びているとは思います。しかし、それが五十歳から八十歳への三十歳の延びにはなっていないだろうと思うわけであります。しかし、それでも五十歳人口、六十歳人口あるいは六十五歳以上人口が延びてきていることは事実でありますから、その実情に合わせるような形で定年制は延ばしていくことが一般的に言えば妥当であろうと私は考えます。しかし、これは雇用情勢とのかかわりもあるわけでありますから、それをにらみながら考えていくべき事柄であろうと私は思うわけであります。また、そのことと年金支給開始年齢も考え合わせて、できるだけ接続した形がとれるならばそれは望ましいことであろうと私は思うのでございます。
  129. 木島喜兵衞

    ○木島委員 おっしゃるとおり、平均寿命が四十三歳のときに五十五歳が定年だから、今で言うならば百歳にならなきゃいかぬということでなしに、それから、定年制であるかどうかは別としても、高齢化社会というもののときに、例えば今五十五歳、六十歳の定年でもって、定年になってやめさせられると、そこでもって自分の人生が終わりという式の意識のおくれがある。逆に言うならば、六十になっても七十になっても働いていくということが必要になってくる。働ける限りは年金とかかわってきますよね。一方、婦人の労働もまたある。そのことは、確かにおっしゃるとおり、時には失業も余計になる場合もあるかもしれない。しかし、両方進めていくとやはり時間短縮だと思うのですよ。そういう方向で行くしかないのだろうと思うのですね。そこに余暇が出てくる。余暇が出てくると、むしろ生涯学習社会というものをどうつくるかということと深くかかわってくる問題になるわけですね。ですから、そういうことは文部省としてもそういう方向へ進めるべき筋合いのものだろうと思っておるのですね。人生はそれで終わりじゃない。しかし、一方において、生涯学習社会というのは単に趣味や何かだけでなしに、もっと自己を豊富にする、充実したものにする、労働と一体のものにするという要素があるわけであります。したがって、そこへ持っていくとすれば時間短縮がなくなっていくのだろうと思うのです。しかし、同時にそのことは、働いている限りは、この保険に入っておれば、これは保険全体の話ですね、年金全体の話ですが、とすればこれは一体どういう影響を与えてくるのだろうか。よく私もわからないのです。ただしかし、長くまで働いておって、長くまでもしも掛金を掛けておれば、年金をもらう時間は短いですな。そういう可能性もありますね。婦人の労働者が余計になっていったらまたそういう要素も出てきますね、雇用が平等であるとすれば。そうすると、そういう先を見たときにおける年金制度というのは一体どうあるべきなのだろうか。だんだんそうなっていけば、まさに保険でなしに保障になっていくんじゃないのか。保障でいいんじゃないのか。全体がそうなっていったらきっと年金はだんだん健全化されますな。掛金は高年齢まで掛けて、受給期間は短くなりますな、そうなったら社会保険から社会保障。例えば今回の国鉄の問題でも、他の要素もあったから結局国が財政的に見ようということが中心になってきますね。そのことは何かというならば、社会保障の性格が余計になってきたということになりますね。こういうことがどういうように影響していくのかというあたりを私は疑問に思っておるものでありますから、大臣お答えなくてもいいのです。ただ、そういうことについての大臣のお考えがおありであれば聞きたいし、そうでなくても結構でございます。
  130. 松永光

    松永国務大臣 私は、日本人の意識はこれからだんだん変わってくるのじゃなかろうかとも思っております。というのは、六十五になってもなかなか元気である人が多うございますけれども、四十年、四十五年もある分野で非常な活躍をされた場合に、やはり第二の人生を考えてもいいんじゃなかろうかと思うのですよ。そしてまた、一般的に言えば、人間は必ず親になるのが原則でありますが、親の立場からすれば、子供が心配ないという状況になったならば自分自身の第二の人生を考えて、そしてその分野で活躍なさるのもいいことであろうと思います。それからまた、あくせく働くのでなくして、楽しみながら働き、楽しみながら人生を送るという、自分の人生の設計、選択があってもいいんじゃなかろうか。そういうふうな日本人の意識になってきやせぬだろうか。もちろん働いている間の勤労意欲というものがずっと継続することが望ましいわけでありますが、一定の期間が終われば、家庭にも社会にもある程度の貢献をした、自分自身の判断でこれからは自分の楽しみをより多く求めていきたいということで人生を送られる方がふえてくるのじゃなかろうかというふうに私は思うのでありまして、そういう日本人の意識の変化も考えながら、定年制の問題その他は検討されてしかるべき面が出てくるのじゃなかろうかというふうに思うわけであります。
  131. 木島喜兵衞

    ○木島委員 まさにおっしゃるとおり、社会が変化しているのに我々の意識の変化がおくれておるということにせんじ詰めればなると思うのです。ですから、先ほど大臣もおっしゃいましたように、言うなら労働を前期の労働と後期の労働に分ける。前期の労働というのはまさに子育てのためにあるいは家族のために働く。しかし、後期の労働というのは自分の生きがいのために働く。その結果、長くまで働けばしょせん年金をもらっておらないわけね、保険であるから掛金は掛けるわけね。そうなってくると一体どうなっていくのだろうか。僕が最後の問題点というのは保障か保険の問題になってくるのだろうということを申し上げたのもそこであります。そういう意味では一致したように感じます。  それから、今回のことを行革とのかかわりで考えるのでありますけれども、ある意味では縦割り行政から横割り行政への一律化というのでありましょうか、一つ方向として考えていい。おのおの各省ごとに合った年金というものを、独自性を生かしながらも、かつまた共通部面を拡大していくという限りにおいては、縦割り行政を一定の横割り行政に持っていくという行革的意味があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  132. 松永光

    松永国務大臣 今回の公的年金制度改正問題は、制度間にいろいろ格差があるのは好ましくない、それは不公正という評価を受ける、あるいはどの業種で働いているかによって大きな差があるということもこれまた不公正という評価を受けるだろう。世の中は、どういう分野で働いていようともあるいはどういう職種に働いていようとも、できる限り公正な制度仕組みが望ましいわけでありまして、しかもその公正さというのは、現代に生きる者同士を比較しての公正の問題と、長く続く日本という国を考えて、現代の者と次の世代の者との間の公正の問題もあろうかと思うのでありまして、そういう意味で横と縦の公正をできるだけ打ち立てていこう、そういう基本的な考え方での今回の公的年金制度改正であるというふうに私は受けとめておるわけであります。縦と横の公正を打ち立てるための制度改正だというふうに私は思っているわけであります。
  133. 木島喜兵衞

    ○木島委員 私もそのことを申し上げたのであります。ですから、年金なら年金だけの問題でも、逆に言うならばそういう共通性がなかったのを、むしろ共通性を拡大して、しかも独自性を生かす。そうすると、行革全体の中でもって縦割り行政というものが批判されながらなかなか進まないですね。しかし、この方式はこの方式一つの特殊性をおのおの生かしながら共通性を拡大していっている。すなわち、その方式というものを考えていけば、今の縦割り行政というものの弊害というものを、その長所を生かしながらも弊害を除去することができる方式だと思うのです。しかもこのことは、出発は行革から出てきたわけでしょう、あの答申が出てきたわけですから。したがって、そのことが行革全体、すなわち行政全体になぜ及ばないのか。年金だけでなしに、もっと広く、縦割り行政についての弊害と言われておることにもっとメスが加わっていいのじゃないかという気がするのでありますが、そのことを要望いたしておきまして、質問を終わります。  あと関連して……。
  134. 阿部文男

  135. 中西績介

    中西(績)委員 前回の委員会におきまして質問をいたしました点でまだ十分な確認のできていない問題等がございますので、一、二確認をする意味で質問を申し上げたいと思います。  その一つは、高齢組合員に対する共済年金在職支給をどう制度化していくかという問題について、私たちはこの点の実現をぜひ願っておるわけでありますが、特に長期給付にかかわる組合員資格では、六十五歳以上の在職者が実在するし、相当数いるということになりますと、この方たちに私たちは共済年金制度を適用して支給できる体制をとるべきではないだろうか、こう考えておるわけであります。したがって、この点について今直ちに解決すべきめどがないといたしますならば、この問題については、この国会を終えて直ちにでも、どう措置をしたらいいのかという点等についてぜひ検討していただきたいと思うわけでありますが、この点はどうお考えですか。
  136. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  この法案が成立いたしました暁におきましては、公的年金制度間の調整を進めるということが非常に大きな課題となっておりまして、ここの中で、先生方からかねて御指摘のとおり、厚生年金自体は老齢年金という仕組みになっておりまして、私ども共済組合退職年金ということになっておりますので、そういうものにつきまして全体としてどのように考えていったらいいかということにつきましては、今後の課題ではないかというふうに考えております。
  137. 中西績介

    中西(績)委員 特にこの問題は、厚生年金の場合には今言われたように老齢年金でありますからその節が明確になっておりまして、その年齢に達すればこの方にはいかなる事態になっても年金支給ができるようになりますね。ところが、残念ながら共済年金の場合には退職年金方式でありますから、今言うように六十五歳を超えてなおかつ掛金は掛ける、そして受給はできない、こういう状況になっていくわけですね。さっき極端な話みたいなものがありましたけれども、中にはいるようですが、例えば八十歳まで勤めたといたしますと、今の平均を生きるとすると、やめてから年金受給する期間はもうほとんどない、こういう状況等があるわけでありますから、将来に向けて一元化を図っていく際に、そうした問題等についてもやはり重要な課題として措置をしなくてはならぬのではないだろうか、こう思うわけですね。  しかも、私立大学などにおきましては厚生年金を受給されている皆さんがいらっしゃるし、その方はちゃんとそういう措置がとれるのに、同じ私立大学の中におきまして私学共済の場合にはそれが受給できない、こういう条件があるわけですから、やはり公平ということを考えていく場合には、こうした問題等についても将来の大きな課題として、年限を区切って目標を設定をして、この時期ぐらいまでには何とかしたい、こういうものがこれから必要ではないかと思うのですが、大臣、この点どうでしょう。
  138. 松永光

    松永国務大臣 今先生の御指摘の点は、これからの検討課題として七十年を目途に検討していかなければならぬことだと思っております。  ただ、先生承知のとおり、基礎年金の方が来るわけでありますが、それと、七十になっても七十五歳になられても在職しておられることも結構なことでありますけれども、しかし、もう一つは、もう少し若い人があるいはもっと上の地位に上りたいという気持ちもあるでしょう、これは全体のバランスの問題もありますが、いずれにせよ、公平という観点からいえば、先生指摘厚生年金の方は来る、しかしこちらの方は基礎年金だけだという二とは、ちょっと検討すべきことでもあるような感じがいたします。建前上、片方は老齢年金だ、片方は退職年金だからという理屈だけでは、必ずしも十分に納得できがたい点もあるような感じもいたしますので、先ほど審議官も申したとおり、七十年をめどに他の制度との均衡を図っていくというような考え方で検討をしていきたいというふうに考えるわけであります。
  139. 中西績介

    中西(績)委員 この点に関しましては、短期給付などが絡みましていろいろ複雑な様相を呈するだろうと思いますが、私学の場合には、私たち提案をしたいと思うのは、短期給付については厚生省に移すとかそういうことではなくて、この関係については組合員資格として在職中についてはそこにとどめ置く、こういう中身でいけばある程度解決がつく内容になるわけでありますから、そうしたことを含んでぜひ速やかに対応していただくよう要望しておきたいと思います。  それから、もう一つ、この前から問題になっておりました私学共済年金給与問題からいろいろ論議がされました。平均標準給与月額を算定する場合の問題がいろいろありましたけれども、これにつきましては、確かに、私たちが問題として指摘をしてまいりましたように、制度を設定をする場合には公平ということが一つの原則として確立されなくてはならないであろう。文部大臣は、国公に準じておるので、これに倣うことによって一つの枠の中で押し合っていけば公平になるのだということを言われました。私たちは、そうでなくて、一つ制度を実施する場合、そこに有利、不利になる人が出てきておるとするなら、少なくともより公平化を願うという立場から物事に対処すべきではないか、こう主張したわけです。言葉のやりとりをするとまた長くなりますから、この点、私今ここで改めてしようとは思いませんけれども厚生年金方式によって組合員期間平均額を下回ることが出る場合があるわけですから、そうしたものまで含んでさらにこれを検討を加えていくという問題についてはどうなんですか。
  140. 松永光

    松永国務大臣 しばしばお答えいたしておりますように、計算方式基準の問題でありますから、組合員の中に別々の計算方式があることは適当であろうか、公正という観点からいえば一つ計算方式というのが望ましいのじゃなかろうかという考え方一つあります。その考え方でいきますと、三百何人の人がいや応なしに五年、補正率という方式をとらざるを得ないわけです。それ以外の人は二つの方式があり得ますが、一方、国家公務員共済の方は五年、補正率ということでありまして、そうすると、この三百何人の分が選択の余地はないわけです。五年、補正率でいかざるを得ないと考えるわけでありまして、そうすると、国家公務員に準ずるという考え方、そしてさらにそっちの方がいい計算になる人が圧倒的に多い、こういった点を総合的に考えまして、現在御提案申し上げたものが適正妥当であろうということでお願いしておるわけであります。しかし、この委員会でいろいろ御議論をいただいたことでございますので、これらの問題については今後勉強させていただきたいと思っております。
  141. 中西績介

    中西(績)委員 二つある方式をとると言うけれども、この三百何人という問題については、従前からのかかわりの中でその人が残ってきているわけですから、その分についての対応策は、先ほど公明党の委員の方の指摘でも、それはもうわずかな問題だし大体はないものとして考えていい、しかしその際にやるとすればということで言っておられたと思うのです。ですから、一つの公平という原則をどう守るかということになってきたときに、三分の一とそれを比較した場合にどうかということになってまいりますと、数の多いものの方を公平化することが一つの原則になってくるだろうということもありますので、これはさらに検討していただきたいと思います。  次に、私この前質問申し上げておりましたが、懲戒処分に基づいて給付制限を受けておる者があるわけです。この問題は何としても将来に向けてぜひ考えてほしいと思うのです。と申しますのは、例えば私学の皆さんの場合にはストライキ権があるのです。ストライキを実施することができます。そういう身分的なあれからしますと、公務員に準ずるということで何もかも律していくというような考え方があるようですけれども、この前も私が申し上げたように、三十校の皆さんの場合には厚生年金ですから強制をしないので、この分についてはこうした給付制限はありません。それからさらに、それと比較した場合に、身分上の問題からいたしますとそこには何も差異がない。しかも、枠をはめられた中で掛金を支払う場合に、今のままでいきますと、国公に準じてやるといたしますとそれがそのまま掛けられはいたしますけれども、本人の負担それから厚生年金に対する国の負担などを考えてまいりますと、そこには何も差異はないと私は思うのです。それを、懲戒処分に基づく給付制限を、三階建て部分、職域年金部分についてはあくまでも守り通そうとする。この根拠は非常に薄いと思うのです。一口言っておるのは、公務員に準じておるからということだけなんです。これでは、実態から何からいたしましても理由にならぬと私は思うのです。ですから、この点はぜひ改めていただきたいと思うのですけれども、どうですか。
  142. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 私学共済につきましては、教育基本法の六条の趣旨に基づいて制定されたということがございまして、国公立学校教職員に係る年金との均衡を保つということで、私ども、懲戒処分によります職域加算部分については給付制限をするということでお願いしているわけでございます。  ただ、その給付制限の範囲につきましては、具体的には政令で全部または一部の範囲内でやるということで、政令で委任を受けているところでございます。そういう点におきまして、私どもも十分考えてまいりたいというふうに思っております。     〔委員長退席、白川委員長代理着席〕
  143. 中西績介

    中西(績)委員 この点は、実際にこれに該当しておる人の場合を考えてまいりますと、非常に根拠そのものが薄い。だから二分の一、例えば本人が掛けた分についてはこれには影響なしに給付制限をせずにといういろいろな考え方があるようでありますけれども、何人おるか知りませんが、そんなのはこの点に関しては随分古臭い考え方であるわけですから、将来に向けて今度は一元化していくという場合にはこれがまた必ず問題になってくるわけですから、この点も含めて、限定するのではなしに全体的に給付制限そのものをどうするかという検討をぜひ起こしていくべきだと私は思うのですけれども、この点どうでしょう。
  144. 松永光

    松永国務大臣 全部または一部について支給しないという措置の問題でございますが、対象は職域年金分だけなわけです。厚生年金の方はそもそもそれがないわけでございますから、その関係では厚生年金の方に行っている人との差は形式的にはないと思うのです、もともと厚生年金の方は職域年金分がないわけでありますから。  ただ、それではどういう範囲でそういう不利益な処置をするかということは、政令に任せられておるわけでありますので、政令においていろいろ研究することはさせていただきたいと思いますが、もとを外すということは私どもとしてはできないことではなかろうかというふうに思うわけであります。それはやはり教育基本法から来ておる。私立学校教職員といえども公の仕事をしていらっしゃる、そして全体の奉仕者という立場で自己の使命を自覚してその職責の遂行に当たっていただくのだ、そういう意味で国家公務員や地方公務員とその関係ではほとんど同じなんだというふうなのが教育基本法にあるものですから、その精神を受けている以上はもとを外すことはできない。ただ、具体的な問題としては政令の面でいろいろ勉強させていただきたいと答弁するのが精いっぱいでございます。
  145. 中西績介

    中西(績)委員 厚生年金に三階の部分がない、そこまで論議するとまた深くなりますから今はやめます。しかし、政令事項に関してある程度検討を加えていくということのようでありますけれども、もうそうした時期ではなくなっているということを、教育基本法云々から説き起こしてやっているがこじつけみたいな感じがしてならぬわけでありますから、この点も含めてぜひ論議を起こしていただきたいと思うのです。そうせぬと根拠そのものが非常に古臭いし、依然として文部省が持ち続けるそうした体質がここににじみ出ているような感じが私はしてならぬわけです。ですから、この点は何としても、将来に向けて一元化していく内容等があるわけでありますから、そのことも含めてこの点については措置すべきではないか、私はこう考えますので、この点も含めて検討してください。  それから、次に、公的年金制度整合性あるいは発展を図るためには、私学共済の場合には将来を考えますと、国公にいたしましても地公にいたしましても、全部そこには審議会なるものが設置をされまして、本格的に論議され、諮問された事項が当該大臣に建議される、こういうシステムになっているわけですね。ところが、この私学共済三十四万人、将来に向けてはまだ数もふえる可能性があると思いますけれども、これにはそうした協議すべき場所が正式な機関としては設置されていませんね。ですから、これをぜひ設置すべきではないかと私は思うのでありますけれども、この点はどうでしょう。
  146. 松永光

    松永国務大臣 私学共済制度の改善に当たりましては、従来から、何回も言うので怒られるかもしれませんけれども制度のスタートの精神もございまして、国家公務員共済制度との均衡を図るという観点で、国家公務員共済組合審議会等の検討結果をしんしゃくして制度の改善をやってきたわけであります。しかし、公的年金制度一元化に伴う私学共済制度の今後のあり方などについて、広く私学関係者、学識経験者を含めた協議の場を何らかの形で設けることについては、諸般の状況をも勘案しながら今後検討いたしたいというふうに考えております。
  147. 中西績介

    中西(績)委員 なぜ私がそのことについて触れるかといいますと、この前から問題になっておりました国鉄共済の問題がございましたね。この分をこれから一応国なりあるいは国鉄当局なりで六十四年までの間の赤字については措置をするということになっておりますけれども、これらをめぐる問題が、ひとつやはり機関を通じてどうするかというこの面は、それぞれ三者構成による、そういう問題も含めて検討していかないと、ことしの問題等を考えてみてもやはり不十分であったと私は思うのですね。今回のこの法案をめぐっての討論の際にもその点を私は特に強く感じたわけであります。ただ、さっき大臣が言われました、私たちが指摘をするように、自分の私的な諮問機関的なものでやっていきますと、つばをつけた人だけ集めればいいということだってできるわけですから、そうでなくて、やはり公正さを期すというそうした立場での協議のできるところというものが今大変重要な中身になってくるのではないかと私は思います。したがって、この点を含めてもう一度お答えいただければと思います。
  148. 松永光

    松永国務大臣 先ほどお答えしたとおりでありますけれども先生の御意見も踏まえて、何らかの形態で広く学識経験者や私学関係者等を含めた方々に協議をしていただくというふうな場を設けるということについて、いろいろな情勢を踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えるわけであります。
  149. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、ぜひ諮問機関的なものをそこには明確にさせて十分な検討を遂げていく、そして公的年金制度としての私学共済のあり方と、そして将来に向けてのそうした、従来から大臣言っているように、私たちが言う最低生活の保障から含めて全体的な構想というものをこれから練り上げていかなければならぬわけですから、その点をぜひ設置方を考えていただきたいと思います。  そこで、もう一つ、これは先ほども論議されている過程の中で出ておりました四分の一カットの問題であります。四分の一カットの問題は、昨年も国庫負担法を論議する際にもいろいろ問題になってきた点でありますけれども、この四分の一カットを、ただ単に、今私学共済が成熟度がまだ十分でないあるいは低いということで、八十四億円程度であるならばまだ大丈夫だなどというそうした感覚で処理をすべきでない。ですから、国鉄の問題は国鉄の問題として、そこにいる人たちは何ら責任があるわけではありませんし、したがって、その分については国の責任なり何なりで処置をしていくという一定の方向が出たわけでありますから、今度はその負担をさらに拡大していく、あるいはこの前申し上げたように国民年金そのものの、極端な言葉を使いますなら無計画による拡大方針などによって出てきた財政困窮あるいは赤字をこういうところでカバーしていくというこうしたことは、やはり一切やめなくてはならぬと思うのです。したがって、国鉄問題は六十四年までですけれども、それから以降必ず出てくる、さらに他の年金におきましても、共済年金、たばこなどにおきましてもまた次々出てくる可能性があるわけでありますから、今割合に健全な私学年金においてそうした負担をということになると、今までのやり口からすると私学年金がたくさんの負担を負わなくてはならぬというふうに将来必ずなってくる、そういうことにならないようにぜひ大臣頑張っていただかなくてはならぬけれども、この点については明確にしておいていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  150. 松永光

    松永国務大臣 これも従来からお答えしておるわけでありますが、四分の一カットの問題につきましては、昭和五十七年度から六十年度までの特例適用期間の特別な措置とされているわけでありまして、そのカットされた分については、利子を含めて国の財政状況を勘案しつつではありますけれども特例期間経過後速やかに返済がなされるということになっているわけでありますから、そのとおりなされるものと私は承知しているわけであります。  次の、国鉄共済の救済問題でありますが、これはしばしば政府を代表して官房長官から御答弁があるわけでありまして、その答弁の趣旨で対処されるというふうに考えます。  じゃ、文部大臣どうするのだという話でございますが、私は私学共済を所管する文部大臣でありますので、全体の方向を無視するわけにはいきませんが、その全体の方向を踏まえつつ、私学共済年金制度の沿革にも配慮して、私立学校教育振興に資するというのが私学共済の本旨でありますから、そのねらいが損なわれることのないよう十分検討して、誤りなきよう対処してまいりたいというふうに考えるわけであります。
  151. 中西績介

    中西(績)委員 この点は大変重要な点だと私は思います。これから後、公平原則なりあるいは私たち主張する生活面における最低限をどう支えるかということも含んで、先ほどから論議もありましたようにやらなくてはならぬわけでありますから、その際に、今割合に財政的にも有利になっておるその原因がどこにあるかというと、若くてやめる人が多いとか、年限が浅いとか、諸条件の中で今一応こうして保たれておるわけでありますから、この点を公平ということによって他のものまでも含んで全部それに引き入れていくということになってまいりますと、これは将来必ず問題が大きくなってくる。私先ほどから言う審議会なり何なりを設置すべきだということもそこから出てきておるわけでありますから、そうしたことも十分総合的に考えられて対処していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  152. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申し上げました私学共済制度の沿革云々というのもそこに入るわけでありまして、それを踏まえながら誤りなきよう対処してまいりたいと考えておるわけであります。
  153. 中西績介

    中西(績)委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。  そこで、大変細かい問題ですけれども、最後に一つだけお聞きしたいと思います。  障害基礎年金受給で、学生の場合二十歳を超えますと任意加入ですね。そうなった場合に、加入していない者がもし事故などがありまして障害者になりますと、これは一生受給できないということにつながると私は思うのですね。小学校、中学校、高等学校というのは安全会でもって一定の保障がされると同時に、二十歳未満の場合には障害基礎年金が受給できるわけでありますけれども、二十歳を超えた者でそうした状況が出たときにはどのように措置をするのですか。この点だけちょっとお伺いしたい。
  154. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 先生指摘のとおり、二十歳以上の学生の国民年金への加入につきましては、保険料負担等の問題もございまして任意加入とされているということでございます。したがいまして、先生が今お示しにございましたように、何か事故が起きて障害となっても現在の制度のもとでは救う道はございません。この問題につきましては、既に成立、公布されております国民年金法等の一部を改正する法律の中に、「国民年金制度における学生の取扱いについては、学生の保険料負担能力等を考慮して、今後検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとする」旨の規定が設けられたところでございまして、これにつきましては今後の検討課題であると考えておる次第でございます。
  155. 中西績介

    中西(績)委員 この点はぜひ、措置をしておらないと、強制加入ならなんだけれども、任意加入であって加入しておらなかった、それが後になってそうした事故があった場合には障害者としての年金受給ができないというふうな状況ですから、ぜひこれは早い機会にやらぬと、具体的に出てくるわけですから、直ちに対応していただきたいと思いますが、その点よろしいですね。
  156. 五十嵐耕一

    五十嵐政府委員 国民年金を担当いたします厚生省とも十分連絡をとって慎重に、しかも先生の御趣旨に合うような努力をしてまいりたいと思っております。
  157. 中西績介

    中西(績)委員 これは特に学生ですから、文部省とのかかわりが非常に深いわけですから、直ちに措置をしていただくようにお願いを申し上げまして、終わります。
  158. 白川勝彦

    ○白川委員長代理 佐藤誼君。
  159. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私、私学共済年金の文教委員会での質問の最後になると思いますが、考えてみれば、共済年金の関係法案四本ありますけれども、衆議院での各委員会での審議の最後にもなるかと思うのです。これから参議院の方に舞台が移ると思いますが、ただ、私は文教委員会での私学共済審議をずっと見てまいりますと、何かしら一階年金と言われる基礎年金部分についての議論がやや不足であったのではないかという感じがいたしております。したがって、最後にはなりましたけれども、この基礎年金部分を中心にしながら質問を進めたいと思っておる次第でございます。  なお、御案内のとおり、四本の共済年金のうち共済年金として共通する問題点がございますが、これはそれぞれの委員会の代表の方々が違うステージでいろいろ御議論されておりますから、それについては関連程度の質問にする。それから、私学共済プロパーの問題、私の方では三点の修正事項として提起をしておりますが、これもかなり議論が詰まっておりますから、最後にその点に触れるというような形で質問を進めたいと思っております。  そこで、まず基礎年金について質問をしていきますけれども、この点については、このたびの年金改正の全分野にわたっておりますからかなり議論は深められており、国民もそれなりの理解を得て関心を持っておりますが、私は、それらを総体的に踏まえながら、極めて原則的な質問と確認というような形になっていくと思いますけれどもお答えをいただきたいと思っております。  そこで、第一は、基礎年金についての保険料と給付額についてまず質問していきます。  その第一は、現行の国民年金の保険料は幾らか、また、制度改正によって基礎年金が導入された場合、将来の保険料は幾らになるのか。時間の関係上、基礎的な問題の質問を続けていきます。  二番は、現行の国民年金制度で算定した場合、四十年保険料を納入すれば月額給付額は幾らの計算になるか、また、制度改正されて基礎年金が導入された場合、四十年保険料を納入すれば給付月額は幾らになるか、まずこの二点。
  160. 山内豊徳

    ○山内政府委員 まず、第一点にございました現在の国民年金の保険料でございますが、六十年四月からの保険料額で申し上げまして、月額六千七百四十円でございます。それで、お尋ねの点は、今回改正により基礎年金仕組みが導入された場合、この保険料がどのような推移で上げられていくかということでございますが、ピーク時において五十九年度価格で月額一万三千円までには引き上げざるを得ないというふうに考えております。  それから、四十年加入を前提にしました現行の国民年金の受給額でございますが、これは月額五万円を超えます、ちょっと正確な数字は私の手元にございませんが。今回考えました五万円のレベルは、現在二十五年加入をなさった方の水準をとったものでございます。それで、新しい改正後の姿では、今先生お示しの四十年の加入で月額五万円、夫婦の場合で十万円になるという新しい改正案が去る四月に国会を通過しているわけでございます。
  161. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 そうすると、現行の国民年金で四十年加入している人はいないわけですから、仮定の算定の数字を私は求めているのですが、これは二十五年とした場合幾らになりますか。
  162. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  現行制度におきまして二十五年で計算した場合について年金額が幾らになるかというお尋ねでございますが、六十年度価格で計算いたしますと、二十五年加入で四万九千六百八十二円ということになっております。
  163. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それでは質問を続けていきます。  老齢基礎年金、つまり現在改正された場合の新しい基礎年金ですね、老齢基礎年金では、加入年数二十四年以下では給付がゼロ、加入年数二十五年で年額三万七千五百円、それから徐々に増加し、加入年数四十年では年額六十万円、つまり月額五万円になる、このように理解していいですか。
  164. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  今度の改正後の年金額についてのお尋ねでございます。先生指摘ありましたように、四十年の場合にはお一人月額五万円、年額六十万円ということになります。二十五年の場合は年額で三十七万五千円ということで、以下年数を重ねるに従ってふえてまいりまして、四十年で月額五万円、年額六十万円ということでございます。  さらに、これにつきましては経過措置がございまして、発足までに期間の足りない方々については、年数が短くても月額五万円を差し上げるというような経過措置も片方では講じておるところでございます。
  165. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 今私は三万七千五百円と言ったと思いますが、三十七万五千円ですね。それは私の方の誤りですから、そういうふうに確認しておきます。  私が聞いているのは、経過措置を聞いているのじゃないのです。これが成熟段階に入って完全な姿になったときを私は想定して聞いているのです。  そうなりますと、よく五万円年金、五万円年金と言いますが、正確に言えば、二十四年以下の掛金では給付がゼロだということ。そして二十五年で年額三十七万五千円。つまり、現在は、先ほどありましたけれども二十五年で四万九千円という額ですね。それがこういうふうに変わっている。そして、四十年間一カ月も欠け目なしに保険料を一万三千円ずつ払っていったときに年額六十万円、いわゆる月額五万円の基礎年金支給される、こういうことですね。この点は、よくだれでも月額五万円と言うけれども、実は中身はそういうことだということを確認しておきたいと思います。  その次に、老齢基礎年金額は四十年毎月欠け目なしに保険料を納入して一人で五万円、夫婦では十万円の支給であるということは今言われたとおりです。果たしてこれで老夫婦が暮らしていけると思うのかどうか。どうですか。
  166. 谷口正作

    ○谷口説明員 基礎年金水準についてのお尋ねでございますけれども基礎年金の額は、高齢者の方々の老後生活の基礎的部分を保障するという考え方で設定いたしたものでございます。そういった考え方に基づきまして、月額五万円そして御夫婦については十万円という水準にいたしたものでございまして、妥当な水準ではなかろうかと私ども考えておる次第でございます。
  167. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 老後生活の基礎的な部分と言われますが、基礎というのは何を指すのかということは意見の分かれるところだと思います。ただ、実際、現在施行されているところの生活保護基準に基づく生活扶助、これを見ますと、五十九年度、夫婦七十歳以上、一級地の生活保護基準に基づく生活扶助、これは十二万四百円、それに家賃を支払った場合住宅扶助が九千円、合計十二万九千四百円だ、こういうふうに私は資料で見ておりますが、それは間違いありませんか。
  168. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  生活保護の基準についてのお尋ねでございますが、先生の御指摘のありました昭和五十九年度の生活保護基準は、私どもの持っております資料に基づきますと、御夫婦とも七十歳以上の方につきまして、五十九年度の基準が十二万四百円、そこにさらに九千円の家賃、地代、間代等の加算をいたしまして、十二万九千二百円という水準となっておりまして、その点については先生のおっしゃった数字のとおりでございます。
  169. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 これはちょっと細かいことですが、十二万九千二百円ですか、倍ですから、そこは四百円になるのじゃないのですか。
  170. 谷口正作

    ○谷口説明員 大変失礼申し上げました。十二万九千四百円でございます。失礼いたしました。
  171. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は夫婦が七十歳以上ということで数字を挙げていますから、繰り返しての答弁は要りません。このとおりであるかどうか言ってもらえれば結構ですから。  そうしますと、私が言いましたように、五十九年度で七十歳以上の夫婦、一級地の生活保護基準に基づいての生活扶助、住宅を入れまして十二万九千四百円、これは生活保護基準に基づく生活扶助なんですね。我々は、これを常識的には、先ほど基礎的な生活に当たるのか、あるいは最低生活に当たるのか、人たるに値するのか、つつましい生活なのか、これはいずれ意見の分かれるところだろうけれども、まあ何とか暮らしている、こういうふうに国民は常識的に思うと思うのです。今の、四十年間欠けることなしに毎月掛けて夫婦で十万円、これをもらったところで、今申し上げたところの一級地の生活保護基準プラス住宅扶助ですが、これに満たないという、こういう形では国民は、これはひどい年金だなというふうに声が出るのは、私はさもありなんと思うのですね。この辺をどう考えますか。厚生大臣どうですか。
  172. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金給付生活保護と違いまして、収入や資産、その他世帯の個々の状況にかかわりなくどなたにも基礎的部分を保障するものとして支給するわけでございます。生活保護はそれに比べまして、世帯の個々の状況に応じて最低生活を保障する必要な額を支給するわけでございまして、その両制度の目的がそれぞれ異なることから、年金給付水準生活保護の基準とを比較するのは必ずしも適切ではないと思います。そのことは、やはり収入、資産その他の状況を考えておるかいないかということの差異からくるものと思います。
  173. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 いろいろあろうけれども、今日言われる老齢基礎年金夫婦合わせて十万円というのは一級地の生活保護基準生活扶助より少ないという、これははっきりしているわけなんであります。ただ、今の大臣答弁の中でいろいろ言われましたが、これは、生活保護は最低生活を保障するのだということを言われておりますから、私は年金だってそういう性格を持っているのじゃないかというふうに思います。私はそういうふうに思うので、どう見たってこの十万円という年金は暮らせない、少ないというのは国民の偽らざる感じじゃなかろうかというふうに思います。  それから、消費生活調査によりますと、昭和五十九年価格で老夫婦の標準的な生活費、これは五十九年価格に直して十五万五千円かかるとなっている。これは五十四年の調査でありますけれども、五十九年価格で老夫婦の標準的な生活、注釈を入れますとつつましやかな生活、十五万五千円となっているわけですね。私は、これに比べてもとても、今の四十年毎月一万円ずつ掛けてもらった、それにしては余りにも低い十万円の夫婦の年金ではないかということを言わざるを得ません。  そこで、質問を続けます。次の設定の中でお答えいただきたいと思うのです。  これは、保険料の納付総額とそれから給付の総額の関係についてお尋ねするのです。物価五%、実質利回り二・五%、名目七・六二五%とした場合に、言うならば年金会計からいえば収入の方ですね。これは月額一万三千円を四十年間支払い、そして六十歳から六十五歳まで五年間据え置き、その場合の六十五歳時点での元利合計は幾らになるのか。それから、これは年金会計からいえば支出の方になると思いますけれども、年間六十万、月額五万円給付を六十五歳から八十歳まで十五年間受給した場合に、その場合の六十五歳時点の給付総額は幾らになるのか。その差し引き、差額は幾らになるか。どうですか。
  174. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  まず、収入の件でございますけれども先生おっしゃる仮定で計算いたしますと、六十五歳における元利合計千百八十九万七千円、一方支出の方でございますけれども先生の言われました仮定による計算によりますと、六十五歳における給付原価七百四十二万九千円、差し引き四百四十六万八千円という数字になるかと思います。
  175. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 そうしますと、差額四百四十六万八千円というこの金額は、本人は保険料を納めたけれども本人の懐には返ってこない金、つまり国の手元に残る金ということになるわけですね。そして、これは保険料を納めている本人、今私が述べたのはやや標準的な方だと思うのですね。もらう方が六十五歳から八十歳まで十五年間もらうというのは大体標準的だと思いますから、そうすると、標準的な方は定めに従って保険料を納めて、定めに従って給付を受けるけれども、四百四十六万八千円というのは本人の懐には入ってこない、国の手元に残る、こういうふうに理解されると思いますが、どうですか。
  176. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  国民年金の保険料、今一万三千円というお話ございましたけれども、一万三千円を四十年間納められる方といいますのは、昭和八十二年に、すなわち再来年生まれる方が二十二年後に二十歳になって四十年間保険料を納められる方ということになるかと思うわけでございます。現在の国民年金、いわゆる基礎年金につきましては、先生御案内のとおり世代間の扶養ということで財政を維持しておりますので、ある特定の年齢、例えば二十歳だけを取り出してどうかといいますと、そうしますと、現在の受給者六百五十万の人、あるいは現在の高齢者、国民年金平均年齢約四十二歳でございますが、こういう方々に対してはどうかということになりますので、ある特定の年齢−民間の個人年金でございますと、年齢別に保険料というのは計算されているということは私たちも承知しておりますけれども、公的年金にっきましては、男子、女子ということ区別なく、また年齢について区別なく保険料が設定されているわけでございますので、ある特定年齢だけを取り出して高いというふうに言うことはいかがなものかというふうに思っております。あくまで国民年金は、先ほどお話しいたしましたけれども、世代間扶養ということで賦課方式に近い財政状態になっておりますので、払っていただいた保険料はそのままその年に給付として出るということでございますので、国に残るというような仕組みではないというふうに理解しております。
  177. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 国に残るかどうかというのは見方でしょうけれども、私は、本人の実感としてはそうだろうというふうに思うのですね、常識的な実感。  それから、今いろいろ答弁されましたが、私が言っているのは成熟段階に合わしたモデルのことを言っているのでありまして、経過のことを言っているのじゃないのですね。そういうモデルを想定すれば今のようなことが言えるのではないかというふうに私は思うのです。  それから、世代間ということはそのとおりだろうと思うのですが、よしんば、現在それ相当の方いますから、言うならば、私の言葉を使えば国に残るというのはそっちに回っていくんだ、こういう趣旨で言われたと思うのですが、それではそういうふうに変えていったときに、確かに今保険料を納めている人はそっちに回すかもしれぬですよ。しかし、国の負担はどうなるのか。国も今まで以上にそのことのために余計負担しているのかどうか。後で質問いたしますけれども、むしろ、国が負担している分は簡単な話吸い上げていっているのじゃないか。国も余計出してやるのだったら話はわかるのですよ。世代間の助け合いだといいながら、国は、我々の分は保険料を余計取ってそっちの方に回して、自分が今まで出しておったのは吸い上げてどこに回すのか知らぬけれども、それでは私は国民の皆さんが納得できないのじゃないかと思う。それは後で国民の皆さんに御判断をいただきたいと思う。  そこで、私、引き続いていきます。  私の表現を使えば、国の手元に残る金は約四百四十六万と言いました。これがゼロになると考える、これはどこまでも算定の上ですが、ゼロにするあるいはゼロとなると考えると、保険料は一万三千円は要らないと思うのです。私の計算では八千百十八円で済む計算になる。おおよそそのとおりだと思うのですが、どうですか。
  178. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  前提が、私たちが財政再計算をしたものの前提といささか違っておりますので、一概にこの前提が正しいかどうか、あるいはいいのか、現実的であるかどうかという点については問題がありますけれども先生の条件で計算いたしますとおっしゃるとおりでございます。
  179. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私が立てた前提の上に立てば、この一万三千円ではなくて約八千円ちょっと超えたところで間に合うということになりますね。私はそういう点からいって、もらう方からいえば一万三千円は高過ぎる、もっと低くならないかという声を考えたときに、知恵のある者はこういう計算をすると思うのですね。  そこで、私は次に質問を進めます。  次は、制度改正されていった場合に国の負担はどうなっていくのか。そこで、まず、現行の制度国民年金厚生年金共済年金の国庫負担は率にするとそれぞれ大体何%、何分の一ぐらいずつになっているのか。それから、今申し上げたように、この制度ができ上がってこれが実施に移されていった場合に、この各年金に対する国庫負担はどのように変わっていくのか、明らかにしていただきたい。     〔白川委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  二点お尋ねでございました。国庫負担は現行制度でどうなっておるかということでございますが、厚生年金につきましては給付費の二〇%、それから国家公務員共済組合につきましては一五・八五%、地方公務員共済組合についても、これはちょっと形が違っておりますけれども、一五・八五%、私学共済につきましては給付費の一八%、農林共済につきましても一八%、それから国民年金につきましては給付費の三分の一という格好になっているわけでございます。そして、改正後の国庫負担につきましては、先生御案内のとおり基礎年金の三分の一という格好になっておるわけでございます。
  181. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 イコールにはならぬけれども厚生年金共済年金の国の負担分はゼロに近づいていくということだと思うのです。  そこで、これはあらかじめ資料要求いたしまして私の手元にありますから申し上げます。つまり、今のように国庫負担が変わることによって、私の手元にある資料によりますと、昭和五十九年度価格で昭和九十年を比較した場合、国民年金厚生年金、現行で言いますと国の負担は八兆一千億、国家公務員共済二千億、地方公務員共済四千億、農林漁業共済千七十億、私学共済六百六十億。それが改正されますと、五十九年度価格、同じく九十年比較で、国民年金厚生年金は五兆八千億、その差額二兆三千億。国家公務員共済千二百億、その差額八百億。地方公務員共済二千二百億、その差千八百億。農林漁業共済五百九十億、その差千百八十億。私学共済四百三十億、その差二百三十億。で、共済関係だけで三千三百十億。それに先ほど国民年金厚生年金のこの制度改正によって出てきた差額、つまり国の負担が軽減された分が二兆三千億。同じ意味で、今申し上げた共済年金の国の負担が軽くなった分三千三百十億。合計いたしますと二兆六千三百十億、これが昭和九十年で国の負担が軽減された分、ただしこの価格は昭和五十九年度価格。私の手元の資料ではこのようになっていますが、およそそうですか。
  182. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  厚生年金国民年金については先生がおっしゃった数字のとおりでございますけれども、他の共済、農林、私学につきましては、私たちの段階で責任あるお答えできませんが、今まで国会審議の段階でお聞きした数字であるという点では間違いないのじゃないかというふうに思います。
  183. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は昭和九十年の比較をいたしましたが、これは資料の関係でこの年を比較したのですけれども、他の資料で見ますと、恐らくその差額が最高になるのは昭和百五年ではないかと思うのですね。ですから、私は今、国の負担が軽減されるのが合計二兆六千三百十億と言いましたけれども、さらにこの国の負担は軽くなっていくだろうというふうに思いますね。これはなぜかと言えば、先ほどお答えありましたように、国民年金三分の一、厚生年金二〇%、共済年金約一五%相当、この部分が、基礎年金部分だけを三分の一国が負担する、それとの見合いでゼロに近づいていく。この結果、国の負担だけは軽くなっていく。これは明確に出ているわけですよ。  そうなりますと、これは厚生大臣に聞きますけれども先ほどから申し上げておりますように、このたびの制度改正によって、保険料は上がっていく、一万三千円までいくのですから。支給される額は、二十五年で五万円相当が四十年で五万円ですから、それを見ただけでも相当の切り下げになっていく。果たして暮らせるかどうかわからぬ。しかも、言葉は悪いけれども、保険料の相当部分が国の手元に残る。こういう年金の中で、国の負担だけはどんどん減っていく。これでは国民は納得できないと私は思う。  皆さんはこのたびの改正のときに官民格差とかいろいろなことも言いました。その中に、高齢化社会を迎え、成熟段階に入れば、給付をもらう人は多くなるけれども抱える人が少ない、簡単に言えば、年金財政が大変だということのために、保険料を多くして、給付する額を少なくして、もらう年金を先送りして、そして雇用と年金も続かないようにして、国の負担だけは——私たちも出すのだという、これであれば国民は納得できるかもしらぬけれども、国の負担だけはあなたが今答弁されたようにどんどん減っていって、三兆円近く国の負担が軽くなるなんていったら、国民の皆さんは、何のための改正だ、政府の財政負担を少なくするためじゃないか、こういうような形にとらえられると私は思うのです。この辺の全体の改正のねらいについて、改めて厚生大臣考え方を聞いておきたいと思うのです。
  184. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この問題は給付の適正化に起因するわけでございまして、したがって、国の場合でも現行制度より増加する額がこれまでの予測よりも低減する、その金額を先生おっしゃっておられるわけでございます。それと同時に、掛金を掛ける人のピーク時におきましての負担というものもかなり下がっておるわけでございます。その双方とも給付の適正化ということを考えた場合に生じてくる現象でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  185. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 いろいろありましょうけれども、この国の負担だけが現在の制度から見れば改正されることによって二兆六千三百億も減っていく、このことはどうしても国民の皆さんが、財源不足と言われるならばすとんと落ちない、理解のできない部分だということを私はこの際指摘をして、前に進みます。  それで、次は、この制度改正の大きな問題と言われてまいりました無年金者の問題について質問したいと思うのです。  それは、まず最初に、現状を聞きたいと思いますが、現在国民年金の強制加入者のうち保険料免除者は何%か。また、保険料未納者は何%か。また、それらを合計するとおよそ何%になるか。  次に、以上の質問は強制加入者を前提にしておりますけれども、実際は強制加入すべき対象者で加入をしていない人、つまり保険料を初めから納めない人がいると思うのです。この人はどのぐらいとつかんでいるか。そして、両方合わせると大体どのぐらいと見ているか。
  186. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  まず、国民年金の保険料の滞納者の数でございますが、滞納者数という形でございませんで、保険料を納入すべき月数に対してどれくらいの保険料が、何月分入っているかといういわゆる検認率という形でお答えさせていただきたいと思いますが、昭和五十九年度におきまして検認率は九四・一%でございます。したがいまして、五・九%が滞納という形になっておるわけでございます。この滞納の中には実はいわゆる任意加入の被保険者の方も入りまして、国民年金の被保険者全体としての滞納ということでございます。  次に、保険料の免除でございますが、これは強制加入の方だけしか免除の制度はございませんが、この免除の方はいわゆる法定免除、生活保護を受けておられるといった方々でございますが、これが八十七万人おられまして、強制加入の被保険者に対しまして四・八%でございます。これのボーダーライン層、いわゆる申請免除者でございますが、これが二百三十二万人おりまして、一二・六%ということでございまして、合計いたしまして一七・四%という形になっておるわけでございます。  先生の御質問の第三点は、本来国民年金に強制加入すべき人員に対して今の国民年金の納入状況がどのような数字になっているのかということになろうかと思いますが、実は国民年金に加入すべき者というのは、現行制度で申し上げますと、例えば他の年金制度におきまして年金の受給に必要な加入期間を既に満たしておられる方、それから他の年金を受けておられる方、例えば遺族年金、障害年金を他の制度から受けておられる方等々につきましては強制加入でございません。これらの方々につきまして、市町村におきましては、そういう方々のすべてを網羅して把握できないという事実がございますので、現実段階におきましては、こういった強制加入すべき者というものが確実に何人おるということが確定的に申し上げられないという状況でございます。こういうようなことでございますので、全体の対象者の中で保険料を納めておらない、滞納しておるという者がどれくらいあるかということはなかなかに申し上げられない事情でございますが、今後この数、多くなってはいけないという御趣旨の御質問かと思いますが、私ども、なるべくその対象者を把握すること、保険料の免除者については十分趣旨を徹底することということで努力をさしていただきたいと思っております。
  187. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 最後に言った対象者の把握というのは非常に難しいと思うのです、確かにそのとおり。  そこで、今の答弁ずっと集約してみると、検認率九四・一%、逆に言えばまるまるでなくても未納しているという方、これを含めて五・九%、それから免除者が一七・四、これを、合計はできないと思いますが、それなりのアレンジをして、免除されている人、未納の人入れますと大体二一、二%じゃないかなと思うわけですよ、この分が。さらに、今強制加入の対象者であって入っていないという、これはなかなかつかめないという。これは入ってから滞納者はわかるけれども、それはそのとおりだと思うのですが、これはそれなりにいると思うのです。例えばこれが仮に三、四%と考えてみただけでも、今申し上げた免除者、滞納者、最初から保険料を納めない人、おおよそ二五%程度はいるのではないか。  そうしますと、今の制度の七千円弱の保険料の中で、約二五%というと四分の一ですか、四分の一相当の人が無年金があるいはそれに近い形の状態になっているということが、大づかみな言い方で言えば言えると思うのですね。そうすると、先ほどから言っているように、基礎年金、特に第一号被保険者の場合、定額制になっていますから、そうなりますと、これは七千円からどんどん、一万三千円になっていった場合に、夫婦で二万六千円です。私は、これからの行政努力もあると思うけれども、少なくとも今述べたような四分の一相当の人が減るとはちょっと考えられない。今のままで推移するならば、保険料が定額でどんどんふえていったとすると、この二五%相当はさらにふえていくと見なければならぬ。まずその点をどう考えるのか、そのことに対してどのように対処しようとしているのか、その点を重ねて質問します。
  188. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  まず、第一点の、免除をお受けになられました方の問題でございますが、免除をお受けになられました方の場合には、その期間につきましては年金額の計算上三分の一という額になりますので、いわば額の上では不利になられるわけでございますが、年金をお受けになる資格期間としては算入されるわけでございますので、無年金に直接結びつくかという点は必ずしも結びつかないというふうに考えております。  それから、現在老齢年金を受給しておられます方が過去にどれくらいの免除の期間を持っておられたかというような数字と過去の免除率の推移を見てみますと、実は相当の方が年金をお受けになります前に追納をされておられる。免除をお受けになりますと、現行制度では、十年以内に後からその期間を納めるということができるわけでございますが、その当時収入がなかった方でも就職されて収入が回復されたときに追納をされるということがございまして、そういう形で回復をされておられる方が相当にございます。そういう意味では、免除の方が年金の受給の面で無年金になるというようなことはそれほど多くないのではないかというふうには思っております。もちろん、その免除の数字が今後先ほど申し上げました数字以上に伸びていくということは、先生の御指摘をまつまでもなく大きな問題であると私ども考えておるわけでございます。  免除の申請に当たりましては、これは市町村が実情を審査いたしまして、都道府県知事が判断をいたすわけでございますが、法定免除以外の申請免除の部分につきましては、御本人に、その免除を受けるということが年金受給の上で、さっき申し上げましたように額が三分の一に減額になるということについて十分御説明を申し上げまして、その免除の制度を利用されることについて十分な御認識をいただくというような努力をさせていただきたいと思っております。  現在、私どもの方で今までの実績等を見ておりますと、御指摘のように、最近免除率が非常に上昇してきているという御指摘をいただいておりますけれども、私どもとしては、これ以上大きな数で伸びていくということはないのではないかと思っております。実は、御承知のように、国民年金の被保険者数自体が減っておりますので、相対的にこの部分が、免除者がそれほどふえたということでなくても、傘としてはふえていくという実情があるわけでございますが、この部分はそれほどふえないのではないかと私どもは思っております。  もう一つの、滞納の問題でございますが、これは確かに、年金をお受けになれなくなるという事態がございますので、これはもう大変問題であると私どもも認識いたしておるわけでございます。私どもは、こういった滞納をされておられます方、また加入の手続もしておられません方も世の中にあるということでございますので、こういう方々にっきましては、先ほど市町村で把握することはなかなかに難しいということを申し上げたわけでございますが、できる限りいろいろな帳簿類を利用いたしまして対象者の把握に努めまして、ある場合は職権適用といいますか、年金手帳をこちらから送付するということをいたしまして、必ず保険料を納めていただくような努力をいたしております。  もう一つは、現在国民年金の保険料は三月をまとめて納入していただくということをいたしておるわけでございますが、三月をまとめますと、御夫婦になりますと相当まとまった額になるということでございますので、これを今回の法律では毎月納付ができるような仕組みに改めております。  それから、一々金融機関にいらっしゃるというふうに、お出かけいただく場合に納入をついお忘れになるということもあるかと思いますし、例えば口座振替というような仕組みも今二割ぐらいしかいっておりませんけれども、こういったものも考えていくということで、できる限り先生指摘のような無年金者の発生、また低い年金にならないような、そういった日常的な努力というのをやらさせていただきたいと思います。
  189. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 無年金者をなくす、あるいはそれに近い状態の人をなくすというのは、制度改正に当たってはもちろんのこと、この制度の根幹に触れる問題だと私は思うのです。だから今長々と答弁されたのだろうと私は思うのですけれども、ただ、私は、もう少しこの問題を掘り下げて考えてみる必要があるのじゃないかな。これは無年金者なりそれに類する人々がどんどん出てきたら、国民皆年金だ、どなたもだれも年金だと言ったって、これは絵にかいたもちに等しいわけでありますし、特に、保険方式という形をとって、しかも世代で助け合う、こういうことを考えたときに、免除者あるいは滞納者がどんどんふえていったらそれ自体制度が持たないということになるわけでありますから、これは重大な問題だというふうにとらえておかなければならないと私は思うのです。実態はなかなか押さえづらい点がありますけれども、私はどう考えても、今の改正でいきますと、免除者なりあるいは滞納者なり、ひいては無年金者あるいは無年金者でなくとも、今の制度でいえばまるまる月五万円もらえない人、先ほどありましたゼロから五万まであるわけですから、この中間に位する人が相当に出てくるのではないかということをどうしても考えざるを得ないわけであります。特に第一号被保険者の場合、この場合には定額ですね。しかも、これは年々上がっていくわけです。そうなりますと、今ですら一人七千円だとすれば夫婦で一万四千円、今度は一人一万三千円ですと夫婦で二万六千円、これは大変な額になっていくわけです。ですから、滞納者ということが、定額との絡み、しかも保険料が上がっていくということを考えますと、ふえることはあっても減ることはない、こういう想定の中で取り組んでいかなければならぬのではないか。  それから、もう一つは、このたびの新しい制度として例の第三号被保険者がいるわけですね。つまりサラリーマンの無業の妻、この方々は自分が納めるのじゃなくて、夫の職場から天引きされる、月給の中から納めるわけであります。しかしこれとても、その方々が扶養されている間はいいけれども、例えば九十万以上の所得があるとか、あるいは離婚したとか戸籍が変わったとか、あるいは今のような経済変動なり労働需給の関係で生活の条件が非常に変わっていったときに、離婚も含めてですよ、一々手続をしなければならぬ。そういうようになっていったときに、例えば経済変動なりあるいは本人の生活の変化によって手続を忘れたとか何かということで、滞納者なりなんなりがかなり出てくるということも十分想定しなければならぬと思うのです。これは婦人の年金権との深いかかわりを持っておりますけれども、そういうことを考えたときに、特に第一号被保険者、それから第三号被保険者、この場合には滞納、したがって無年金あるいは満額もらえないという人が相当出るだろうということを私は想定せざるを得ない。したがって、この点については今るるありましたけれども、十分意を尽くさなければ、そういう人が今の制度を進めていく場合に出てくるだろうということを、私はこの際特に指摘をしておかなければならぬというふうに思うわけであります。  特に、今のことに関連しましてよ三言われますのは、二つの問題、一つは婦人の年金権の問題ですね。これは今までもいろいろ議論されてまいりましたから、ここで多くは質問いたしません。ただ、やはり婦人の年金権というのはこのたびの改正の重要なポイントであるわけです。しかし、実際問題、サラリーマンの無業の妻の場合には、簡単に言えば夫の収入に依存した形になっての保険料の納入になっています。したがって、離婚なり戸籍が変わった、それから家族の環境が変わった、経済変動によって雇用関係が変わったとなってくると大変な問題が出てくる。そのことによってサラリーマンの無業の妻の年金権というのは非常に不安定な状態になっていくということは一つ考えなければなりませんし、それからまた、不公平という点からいえば、このサラリーマンの無業の妻の場合と、婦人の労働者といいますか働いている方々、これは単身であろうと共稼ぎであろうと、この方々の保険料の負担の不均衡の問題もありますし、また、先ほど言いましたような御本人が無業の妻の場合に、いろいろなそういう形で将来にわたる年金が非常に不安定だ、こういう問題がどうしても出てくると思うのですね。ですから、この辺は、これまでのいろいろな議論の中でやられてきたと思いますが、この国会の中でも議論されてきたと思いますが、まとめてこの婦人の年金を確立するという観点からいうと、今後どう考えているのか、いろいろな問題を含んでおると思いますから、この辺、重ねて答弁を願いたいと思います。
  190. 山内豊徳

    ○山内政府委員 ただいま御指摘の点、幾つかの点をまとめて婦人の年金権ということで御指摘でございますが、やはり私ども基礎年金の導入によりまして、当委員会で申し上げておりますように、すべての婦人が自分の名義で基礎年金の権利に結びつくという基本ができたという点では、これをもとに今後の婦人の年金権問題をさらに実行上より強固にしていくということが努力する方向ではないかと思います。  なお、今のお話の中で、例えば、確かにサラリーマンの配偶者の場合、夫の収入が続きあるいは結婚状態が続いていればそのままでいいかもしれないけれども、離婚をした場合あるいは死別した場合どうなるかという問題、これはやはり残された配偶者に収入がないという問題はありましょうが、制度の上では、国民年金の場合によっては一号の被保険者になっていただく、あるいは自分がお勤めに出られれば厚生年金加入者ということで、やはり同じく国民年金の二号被保険者になっていただくということで、これもがっちりと国民年金制度の中で受けとめるという建前になっておるわけでございます。  それから、三番目の御指摘にありました、女性の方、男性の方含めまして単身者のサラリーマンなりあるいは共稼ぎの場合、どうも何か自分の取られている厚生年金の保険料から人の奥さんの分を持っているのではないかという感覚がぬぐえない点でございます。これは端的に申し上げれば、お一人の保険料の中に何がしかはほかの無業の配偶者の方の保険料が入っていることは全くそのとおりでございます。しかしながら、今回の基礎年金の拠出金の取り方は、それぞれの共済組合なりそれぞれの保険者集団ごとに計算をいたしますものですから、ある共済組合、ある集団をとらえますと、共稼ぎの多い、単身者の多い集団の場合は相対的には基礎年金の拠出金が軽くて済むという形にはなっております。ただ、この問題は、かつてこの席でも申し上げていると思いますが、御本人の受けとめ方としては、その違いの感覚があることはよくわかるのでございますが、これは、例えば医療保険の場合に、奥さんがある方も独身の方も同じ料率の健康保険料を取られて、家族持ちなり奥さんがいる方はそちらの医療費もその中からカバーされるということで、私ども国民年金法がうたっております国民の共同連帯による老後保障という意味で、私どもは、やはりこの基礎年金を仕組んだことが国民年金の新しい連帯の仕組みを仕組んだものとして、その点については、先生の御指摘のような問題もよく正しく理解を得ながら、この基礎年金の働き、機能を国民の皆さんにわかってもらうように今後ともPRに努めてまいりたいと考えております。
  191. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 国民の理解を求めるというのは、それはそれなりにいいんでしようけれども、私は今までるる申し上げてきましたので、このたびの老齢基礎年金の導入というのは、幾つかの問題点と、それから私に言わしむれば多くの国民がすとんと落ちない欠陥を持っていると言わざるを得ないと思います。多くを言ってきましたから重ねてのことは申しませんけれども、例えば保険料にしても、先ほど申し上げたように、まあ国民の側から言えばどんどんふえて二倍にもなってしまう、しかもそれは定額でいくわけですからそれには所得再配分の機能はないのです。したがって、低所得者の場合には、納めようったってなかなかそういう壁にぶつかってしまうという問題点をはらんでいる。しかも、もらう方からいえば、先ほどるる言いましたように、従来からももらう額が下がる。しかも、とてもその額では暮らせない状態の年金になっているということですね。という状態ですから、今も申し上げたように五万円年金、夫婦十万ということでは、先ほど申し上げたような生活保護基準以下のそういう年金ではとても暮らせない、こういう状態になっているわけですね。  さらに、先ほどるる言いましたけれども、無年金者の問題ですね。いろいろ答弁はありましたけれども、四十年掛けての五万円、これを基準にした無年金者というのも相当出るだろうと考えられますが、それ以上に、二十四年未満ではゼロですから、二十五年からどんどん大きくなっていって四十年掛けて五万円ですから、この間の人、つまり五万円満額の年金でない方が相当出るだろうと思うのですね。そういうことを考えたときに、この年金というものは非常に大きな欠陥を中にはらんでいるというふうに言わざるを得ないわけですね。特に、今の保険方式年金にさらに二階の年金を打ち立てようといったって、これはなかなか難しい問題があるわけですね。ですから、私はこの際、この辺の問題を整理したときに、社会党としては基本年金構想というのは出しておりますけれども、私は、我が党が出しているから手前みそと言われるかもしれませんけれども、今申し上げたような基礎年金に対する多くの欠陥を是正しようとしたのがこの基本年金構想だというふうに思っているわけであります。  そこで、この際ですから、社会党の提唱する基本年金というものは何かということを端的に申し上げておきますと、これは保険方式ではなくて税方式で、六十五歳以上の方に単身の方は月六万円、夫婦の方に十万円を支給する、こういう制度になっているわけです。さらに、この税方式による一階建ての年金にさらに所得比例年金を二階に上乗せする、こういう構想で、最低生活を保障すると同時に、本人の希望と努力によっては暮らせる年金を公的に保障していく。しかも、二階建ての年金も民間の個人年金と違いまして、これはスライド制をとる、こういう特徴を持った年金だというふうに私は考えているわけであります。  しかし、これを直ちに持っていくというのは現行から比べて困難でありましょうから、そうなりますと、当面、財政再計算期間が五年ごとにあるわけですから、その辺の節目節目を考えながら、税方式と保険方式の折衷、具体的には三分の二は国の負担、三分の一は保険の負担、そして将来は全部税方式によって国の公的年金として確立していくという考え方でありまして、これは税方式というのが、皆さんの御案内のとおり所得型付加価値税方式を検討するということになっているわけですね。ですから、このたび出されたところの基礎年金というこの内容は、保険料の額、納入の仕方、それに伴うところの給付、それから無年金者をいかにしてなくするかという問題、それから婦人の年金権等々を考えたときに、多くの問題を抱えている。少なくとも今私が申し上げたような社会党の基本年金ということは、それらのものを克服するに値する年金だと私は考えております。したがって、厚生大臣にこの辺の総体的な考え方をこの際述べていただきたいと思います。
  192. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御提案の基本年金構想につきましては、一つの有力な御意見だというふうに考えております。ただ、我が国ではこれまでずっと社会保険方式で運営されており、定着をいたしておるわけでございまして、したがって、今段階的にとおっしゃいましたけれども、いずれ巨額に達します税負担を国民に訳せることになるわけでございますので、国民の合意が得られるかどうかということに一つ問題点がありはしないかというふうに思います。それと、これまでずっと保険料を拠出してきた人とそうでなかった、拠出をしない滞納をした人たちとの公平の観点が図れるかどうかという問題があると思いますので、引き続き社会保険方式を当分維持することが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  193. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は、年金を基本的にきちっと考えてもらいたいと思うのですけれども、日本人、まあ日本人とは限りませんけれども、人たる者がこの世に生を受けたならば、まじめに働いてきて一定の年齢になったら人たるに値する老後生活を保障する、これは私は国の責任だというふうに思うのですね。そのためには、やはり国としての税による、しかもその人が暮らせる年金を保障していくということが極めて重要だと私は思うのです。その場合に、税方式といいますと、とかく新しい税金を取り立てるんじゃないか、こういう発想になると思うのです。しかし、今の制度のままでも、国の負担は軽くしながら保険料はどんどん上げていくという、ポケットから出るのは同じなんですよね。しかも、今の保険料というのは、先ほどから言われているような定額ですから、これは所得再配分の機能というのはないわけです。基本的にこういう矛盾を持っているわけです。ですから、これは新しい税を創設するのじゃなくて、保険料の引き上げに相当するものを所得再配分という機能を加えながらそれにかわるものだという、しかもそれはだれでもその人の履歴を問わず一定の年齢に達すれば国として保障するという、さらにその上に上積みするものは本人の努力と所得で上積みするという制度ができるわけですから、私はそういう点を大いに考えていかなければならないのではないかというふうに思っているわけであります。  そこで、この税方式といいますか基本年金構想といいましょうか、これは内閣直属の社会保障制度審議会の中で私が今述べたようなこの基本年金構想に相当したものをたしか答申を出したと思うのですけれども、なぜ政府は、この所得型付加価値税という税方式も含めた言うなれば基本年金構想というものではなくて、保険方式を採用していったのか、この辺の考え方は那辺にあるのですか。
  194. 山内豊徳

    ○山内政府委員 確かに、先生指摘のように、社会保障制度審議会が五十四年でございましたか基本年金構想ということで、当時の価格でございますので年金額は申し上げませんが、六十五歳以上すべての者に支給される基本年金を打ち立て、かつその財源については所得型付加価値税を目的税として創設して、その上乗せに社会保険年金というような形でできるのではないかという御提案があったわけでございます。これは先ほど大臣も申しましたように、社会党で御提議なさった基本年金構想とある意味では軌を一にした御提言でございますし、私どもも、今回の国民年金厚生年金改正を部内で立案します段階でこの提言について十分意を用いていったことは事実でございます。  ただ、私どもが今回の改正に具体的に着手する過程で、一例を申し上げれば、五十七年の暮れに実施させていただきましたこれからの年金に関する有識者調査などにおきましても、やはり将来の年金制度の基本的な仕組みとしては社会保険方式を選ぶことが適当ではなかろうかというお声が八割を超えるような姿もございました。また、私どもが今回の改正法案を御審議いただきました関係の審議会におきましても、先ほど大臣が申しました、これまでの我が国に歴史を持っている社会保険方式を当面維持するという御提言をいただきましたものですから、そういった関係者なりの考え方の上に打ち立てて基礎年金として御提案し、また国会で去る四月成立させていただいたという経緯でございます。
  195. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は、そういう選択の仕方は問題があると思うのですね。今、その社会保険方式は歴史的な経過を持っている、そういう上に立っていろいろ検討したが、その社会保険方式を採用した、またそれに基づいて改正案をつくって検討してもらっている、こういう言い方ですけれども、しかし、内閣直属の社会保障制度審議会が今市し上げたような言うなれば基本年金構想、しかも税方式による所得型付加価値税まで含めて建議をしているのに、しかも、今申し上げたように、今の基礎年金構想からいえば数段すぐれた内容を将来に持っていると私は思う。なぜそういうものを十分検討し、議論の対象にしていかないのか、またこなかったのか。この辺、基本的な問題なので、将来にわたりますので特に大臣に聞きますけれども、第百二回通常国会では、参議院で、基礎年金については基礎年金水準や費用負担等を含めて検討していくんだということを言っておりますね。こういうことまで言っているのですから、今私が質問したような趣旨に沿った場合に厚生大臣はどう考えておりますか。
  196. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国民年金法の附則におきまして将来の検討の規定が設けられておるわけでございます。私どもは、このことにっきましてこういうふうに考えております。すなわち、現在の保険料負担とのバランスも考慮すれば、今の基礎的部分を保障するものとしての給付は妥当な水準であると考えておりますし、その費用負担についても、定着しておる社会保険方式に引き続きすることが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。御指摘の規定につきましては、今申し上げました基礎年金水準や費用の負担のあり方等について今後社会経済情勢の推移等を考慮して検討を加えなさいという趣旨でございまして、国会修正により追加されたものでありまして、今後その趣旨を踏まえて十分検討を行ってまいりたいと考えております。
  197. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 今、私手元に持っておりませんけれども、社会情勢その他のことも考慮しながら基礎年金について検討するということですが、その際、今の基本年金構想ということを私申し上げましたが、検討するに当たりましてこれらのことについてどう考えますか。厚生大臣、メモじゃなくてあなた自身の考えていることを述べてください。
  198. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金水準につきましては、財政の再計算期がございますので、そういう時期に検討をいたすことはやぶさかでございませんけれども、もともとの社会保険方式を税方式に切りかえるということはやはり相当な困難が伴うものと考えております。
  199. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それでは、時間も相当経過いたしましたので、私は今までるる述べてまいりましたが、このたびの基礎年金構想を導入した改正というのは多くの問題を持っているし、また、これからのことを考えたときに多くの国民は疑念と不安を持っているという、これは否めないと思うのですね。ですから、これから経済社会の変化に対応して、つまり諸般の情勢を考えながら、基礎年金については給付水準やあるいは保険料を含めて検討していきたいということでありますから、この辺は厚生大臣も十分に留意をしながら検討を重ねていってもらいたいと考えておりますし、私は、このたびの年金改正については反対の立場をとらざるを得ないということが言えます。  そこで、あと若干の時間ですけれども共済年金全体の問題については先ほど申し上げましたようにそれぞれのステージで議論しておりますから、時間もありませんし、この際それを省かせていただきまして、私学共済で特に問題になっているこの問題の一、二を述べて終わりたいと思うのです。  この委員会で問題になってきたのは、私たちが修正案として三点を出しておりますから、それに関連して申し上げてみたいと思うのです。  そこで、第一点は、このたびの私学共済改正案附則四条にかかわる問題でございまして、平均標準給与月額の算定について、この附則四条によれば、施行日前五年間の平均給与補正率を掛けて算定する、こういうことになっているわけですが、私は、この附則四条をこの際削除をするのが至当だという考えに立っているわけであります。  その理由の第一は、全期間平均給与月額は現在でも私学共済では算出しているわけです。国共済と同様に給与記録がない、これは三百十人いるという文部省答弁のようでありますが、したがって五年方式をとった、こういう答弁をしているわけであります。しかし、私学共済の場合は、現行の制度でも平均標準給与月額を求める場合に、退職前一年の平均と全期間平均を比較して高い方をとるという、つまりこれは本法第二十三条二項ということになっているわけです。その際に、給与記録がない者については、本法附則第十五項の読みかえ規定によって、その期間標準給与月額は一万円とみなして全期間平均を求めているのであります。したがって、現在でも全期間標準給与月額を必要に応じて算出しており、私学共済の場合五年方式による必要はないと考えるからであります。  第二番目は、これは私学共済理事長答弁の中にあったわけでありますけれども、このたびの附則四条に基づいてやった場合に、厚生年金水準を下回る者が三分の一出る、こういうことを答弁しているわけです。このようなことがはっきりわかっているいわゆる五年方式は用いるべきでない。つまり、試算の結果三分の二が有利、三分の一が不利になるということが言われているわけでありますけれども厚生年金に準じた全期間平均を下回る者が三分の一になるという推測がありながらあえて五年方式をとる、このことは私たちはどうしても理解できない。つまり、五年方式をとれば不利になる三分の一の人をどうするんだという、このことの解決なり見通しもないままにこの方式をとることは問題がある。また、全期間平均を上回る者が三分の二になるというのも、今回の改革の方針である不均衡の是正という趣旨に反するものであって、厚生年金の全期間平均同一水準にする責務があると考えるからであります。  私、今その理由を申し上げましたけれども、この点についてはいろいろ経過があり、しかも私学共済理事者側からも答弁があり、大臣からも答弁があり、また各党の皆さんからもいろいろ質問がありました。そこで、私は、ここでまとめて文部大臣答弁となりますと、文部大臣はそれなりの答弁しかできない立場にもあるような気がするのです。したがって、この問題はもう少し知恵を出した方がいいのではないかということで、私の見解を述べて今後の検討の素材にしていただきたい。第一点はこういうふうに申し上げておきます。  第二点の問題は、例の私学共済特有の六十五歳在職支給にかかわる問題。厚生年金は今回の改正で被保険者を六十五歳未満の被用者とし、六十五歳以上の在職者に年金支給することになっていることはそのとおりであります。したがって、厚生年金に加入している私学教職員、例えば早稲田、慶応などの場合は六十五歳以上の者は在職のまま老齢厚生年金を受給でき、掛金の納入も必要がございません。なお、公務員の場合は、六十歳の定年制によって六十五歳以上の者は特殊な職を除いては存在しません。しかしながら、私学共済の場合は国家公務員共済と同様に退職しなければ退職共済年金は受給できないという形になっています。現在、私学共済の場合に六十五歳以上の組合員は約四・五%、全組合員の中で一万五千人相当いる。これに対して国家公務員共済は○・二%程度です。このことを考えたときに、私学共済特有の六十五歳以上の高齢者、つまり在職者に厚生年金並み年金支給するということは当然あってしかるべきだと考えるわけでございます。この点、文部大臣もその特殊性と私たちが言っている趣旨は十分わかると思うのです。したがって、この辺についての文部大臣の感想があれば求めたいと思うのですが、これもいろいろ議論もしているそうでございますから、私が述べた意を十分体して、今後まだ審議も続くわけでありますから、十分私の要望にこたえるように御検討いただきたい、このことを申し添えておきたいと思います。  いろいろ質問いたしましたけれども、各党の皆さんからもいろいろ御議論がありました。私はきょうは、特に今までの共済年金の議論の中で比較的議論が少なかったと思われる基礎年金についての質問を中心といたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  200. 阿部文男

    阿部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  201. 阿部文男

    阿部委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。
  202. 町村信孝

    ○町村委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となっております私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行います。  御案内のとおり、我が国の公的年金制度におきましては、人口構造の高齢化、社会経済情勢の変化等により、年金制度のよって立つ基礎に重大な変化が生じてまいりました。  言うまでもなく、年金制度は国民の老後生活を支える主柱であり、社会保障の中心的なものとして重要な役割を占めており、社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、二十一世紀の高齢化社会においても健全かつ安定的な運営が必要であります。  本法律案は、公的年金一元化を展望しつつ、公的年金全体の長期的安定と整合性のとれた制度の実現を図るための改正を行うものであり、このような観点から、私学共済年金についても、国民年金厚生年金国家公務員共済等の改正と同様に、世代間における給付負担の公平姓及び各公的年金制度間の調整を図るため、私立学校教職共済組合組合員等についても国民年金基礎年金制度を適用し、給付水準の適正化等の措置を講ずることは、今日の情勢から見て当然の措置であると考えるものであります。  今回の改正において、年金給付については、厚生年金と同様に原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とすることとしておりますが、私学共済年金の設立の経緯、目的にも配慮し、公務員共済年金と同様の職域年金部分を加算する措置が講じられているところであります。  この改正により、私立学校教職員の福利厚生、ひいては私学教育振興に重要な役割を果たしてきた私立学校教職共済制度が、今後とも安定、充実してその役割を担える基盤を確保することができるようになるものであると考えます。  以上をもって、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  203. 阿部文男

    阿部委員長 田中克彦君。
  204. 田中克彦

    田中(克)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。  財界主導の臨調答申を忠実に履行することを至上命令として行われた年金改革閣議決定に基づき、昭和五十八年、第一段階で、まず国家公務員共済組合法の一部を改正し、破綻寸前に行き詰まった国鉄共済を救済するために、国鉄共済組合員はもちろん、他のすべての国家公務員の掛金率を大幅に引き上げ、第二段階として、昭和六十年、百二国会では、国民年金法の一部改正によって国民年金基礎年金として厚生年金との一元化を図り、今回は、これに加えて国家公務員、地方公務員、農林漁業団体職員など各共済とともに私立学校教職共済組合にも基礎年金を導入して全年金制度一元化を進めるいわば第三段の改革であり、これによって昭和七十年までにすべての年金制度一元化を達成しようとするものであります。  政府の説明では、二十一世紀を展望する高齢化社会に向かって、安心して暮らせる老後を保障する年金制度を確立するために、世代間、世代内の負担の公平と各制度間の整合性を保ち、国民に信頼される長期に安定した年金制度改革を推進すると言っているのでありますが、これは真っ赤な偽りであります。  すなわち、厚生年金はもちろん、今回の法改正によって四共済年金にも定額部分にかえて基礎年金を導入し、三分の一の任意加入者、一七・四%の保険料免除者、三〇・四%を超える年金受給者を抱え行き詰まっている国民年金を救済しようとするものであります。その上さらに、昭和六十二年を目指す分割・民営化促進によって大量の解雇者つまり年金受給者の出る国鉄共済の穴埋めを、地方公務員、農林漁業、私学の各共済にまで広げて負担させようとしているのであります。  政府は、説明とは裏腹に、この年金改革によって、基礎年金給付費の三分の一を負担するほかは、あらゆる手を尽くして国の財政負担を逃れ、社会保障の本質をごまかして、自立自助に名をかり国民に負担増と給付の削減を押しつけ、その責任を転嫁しているのであります。  本来、最低生活を保障する基礎年金は社会保険方式より税方式であるべきだという基本問題を含め、年金水準の低さや費用負担のあり方の再検討、障害年金、遺族年金充実、婦人の年金権の確立などを初め、年金スライドに賃金水準の要素を配慮する必要があること、併給調整、所得制限の見直し、懲戒処分による給付制限の緩和など、問題は極めて多く積み残されております。  特に、私学共済は、他の共済に比べ歴史も新しく、成熟度も若い健全な組合として運営されてきただけに、今回の改革によって最も大きな犠牲を強いられる結果となったと言えるのであります。  つまり、第一は、平均標準給与月額の算出について、本法附則第四条により、国家公務員に準じ施行日前五年間の平均本俸月額に政令で定める補正率を乗じて算出することにしているが、私学共済の場合、制度発足時から厚生年金並み標準給与制をとっており、給与記録はすべてあり、また当然に本俸はもちろん諸手当分についても掛金を納入しているのであります。したがって、平均標準給与月額は、本法案、私学共済法第二十三条の改正で算出が可能であり、国家公務員に準ずる必要はありません。このままだと厚生年金水準を下回る事例が数多く出るおそれがあり、私学共済適用除外校との間に格差が生ずることになります。  第二は、国家公務員共済法第七十六条の準用によって、退職共済年金の受給権が退職した者で六十五歳以上でなければならないことになっているため、組合員の四・五%を占める多くの六十五歳以上の在職者は、年金をもらうこともなく掛金の納入を続けることになり、大きな矛盾が生ずるのであります。  第三は、年金額の算定基礎を改めることに伴う問題であります。現行の退職前一年間の平均標準給与から厚生年金同様全期間平均標準給与月額に改められますが、この結果、算定額は約三〇ないし四〇%引き下げられることになります。しかし、国家公務員は本俸に諸手当が加算されることによって緩和され、おおむね一〇%台になるものと考えられるのであります。私学共済の場合は発足当初から本俸に諸手当を加えたものを標準給与としているので、三〇ないし四〇%の引き下げをまともにかぶることになります。さらに、報酬比例の退職共済年金の額を千分の十から千分の七・五に引き下げるのでありますから、それなりの激変緩和措置をとらなければ、他の制度との整合性を欠くことになるのであります。  以上の理由により、本法案に反対し、真に国民に信頼される長期に安定した制度の抜本的検討を強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  205. 阿部文男

  206. 伏屋修治

    伏屋委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  そもそも今回の公的年金制度改革に当たっては、その長期的安定と整合性ある発展、それに給付負担両面において制度間格差を調整することが主たるねらいであります。  しかるに、本法案においては、年金額の算定基礎となる給与のとり方について整合性に欠ける面があり、私学共済の特異性が失われており、私学振興にも大きな影響を与えることは免れ得ません。このことから、まことに残念ではありますが、本改正案に対し反対の意志を表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  207. 阿部文男

    阿部委員長 滝沢幸助君。
  208. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、今日までいろいろと議論されてまいりました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成という立場から討論を行うものであります。  我が国の二十一世紀への道は、言いかえれば高齢化社会への急速な進展という道でもございます。本格的高齢化社会の到来は当然のことでありますが、人生八十年時代、すなわち長寿社会に突入するわけでございます。人生八十年時代におきまする国民の願いは、生きがいのある老後生活を営みたいということになろうと存じます。  公的年金制度は、長くなってきまする老後生活を支える経済的基盤でございます。公正な年金給付の確保、年金財政の長期的安定を図ることは、政治に課せられました重要な責務でございます。御承知のとおり、我が国の公的年金制度は三種七制度に分立しておりまして、さらにそれが個別集団に分かれておりまするがゆえに、個別制度ごとに財政が破綻することになってまいります。既に国鉄共済の財政のごときは破綻を来し、ほかの共済組合員の方々の財政的援助を仰いでおりまして、その救済策が今回大きな議論を呼んだところであります。ほかの共済組合年金もいずれは国鉄共済と同じような道をたどるでありましょう。すなわち財政危機を引き起こすことは必定と思われます。それは私学共済も決して例外ではありません。組合員の高齢化などに伴う将来の財政危機を推察することは容易でございます。ここ数年来、国民の間に、多年にわたりまして保険料を払い込んだにもかかわらず、年金がもらえなくなるのではないかとの不安が急速に高まっていることは否めない事実でございます。こうした事態を一日も早く克服し、国民に信頼される年金制度を確立すること、これは国家的な急務でございましょう。  また、制度の分立は、いわゆる官民格差と言われるような制度間の不公正を招き、今日まで大きな社会問題となっております。その是正も急がなければならない課題でございます。  さらに、世代内のみならず世代間の公正ということを期することも、年金改革に不可欠な課題でございます。年金財政は、人口の高齢化と年金受給者の増大に伴いまして、必然的に賦課方式に移行することになりまするが、そうしますると、当然現役世代の負担も増加することになります。したがって、これまで以上に年金生活者の給付額と現役世代の負担の適正化を図ることが重要となり、こうした視点からの年金改革も政治に求められておるわけであります。  この改正に対しまして強い不満や不平があることは十分我々も承知をしておりますが、この改正を断行しなければ、公正な年金制度の確立は大幅におくれまして、何よりも年金財政がパンクをいたし、老後の経済基盤がなくなり、あすのパンを求めて苦労をする老人が続出する事態も予想されるわけでありまして、社会不安を惹起することになります。不満や反対があったといたしましても、国家百年の大計という観点に立つならば、今回の改正は必要不可欠なものであり、我が党はこの改正を一応の評価をするものであります。  しかし、今回の改正制度発足以来の大改正であります。よって、多くの問題点がありましたために、我が党は、私学共済を含むいわゆる共済四法案に関しまして、政府・自民党に十二項目にわたる修正を要求してまいったところであります。  その結果、第一に職域年金部分につきましては、二十五年未満二分の一支給というものにつきまして、加入年数を二十年未満とするとの約束を得たわけであります。第二には、年金計算経過措置のうち、施行時四十歳を中心に年金水準を改善し、完成時の水準を下回らないようにすることも附帯決議に盛り込み、次の見直しの時点までに調整することを確約されて、その合意がなされたわけであります。第三に、禁錮刑、懲戒免職など職域年金部分の支給停止は、本人掛金部分についてはこれを行わないこと。第四に職域年金部分の支給停止は遺族に及ぼさないことの二点につきまして、実質的に我が党の主張に沿うよう政令を決める時点で改める方針が打ち出されたわけであります。  さらに、最大の焦点となりました国鉄共済の財政対策につきましては、「国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないように」するとの政府見解が示されたところであります。  政府は、これらの内容を誠実に履行するとともに、年金制度一元化の今後の具体的なスケジュールと年金体系等のビジョンを速やかに国民に提示するよう強く要求をいたします。  もちろん、このほかにもなお多くの問題点を残してはおりましようけれども、今日、私学の置かれておりまする立場を思い、かつは他の共済制度等との関係を考える上におきましても、一応この改正を成立せしめることは必要なることと存じまして、私はここに賛成の討論を申し上げる次第でございます。(拍手)
  209. 阿部文男

  210. 藤木洋子

    藤木委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。  反対の理由は、何よりもこの改正案が中曽根内閣による年金制度抜本改悪の総仕上げ法案にほかならないもので、国民年金厚生年金法案の改悪に引き続いて、共済年金においても創設以来の大改悪を行い、臨調行革路線に基づく年金一元化構想に沿って、我が国の年金制度全体を反国民的に再編統合するねらいを持ったものであり、断じて容認することができないからであります。  反対の第二の理由は、三十五万私学共済加入者及び退職者の生活と権利を、現在はもちろん将来にわたって著しく破壊するものだということです。  まず、給付水準の大幅切り下げです。年金の算定基礎、計算方式の変更、支給率の削減などで、共働きや単身者の場合、現在より実に四割も切り下げられるという全くひどいものです。こうした給付水準が引き下げられる一方で、保険料は大幅に値上げであり、政府の試算でも将来の保険料率は二・八倍にもはね上がることを明言しているのです。そうなれば、本俸の三分の一も税金や保険料に先取りされ、実質の大幅賃下げにつながることは火を見るより明らかです。  こうした政府案を一人の被保険者について試算すると、私たち共産党が指摘したように、基礎年金でも共済年金でも積立分に見合う給付さえ受けられません。九十歳から百歳以上生きなければ、みずから掛けた掛金分すら受け取れないという驚くべき事態を招くのです。  続いて、既裁定年金者への物価スライド停止の問題です。これにより受給者の過半が十年近くにわたって約二割の受給減を強制されるのです。このようなことが許されるでしょうか。  あわせて、受給資格を二十五年と強化し、支給開始年齢を六十五歳にしていることも大問題です。私学共済組合は、幼稚園教諭など女性が半数を占めており、政府も認めているように在職期間も短く、この組合資格の強化と支給年齢の延長は、今後大問題を引き起こすことは必至と言わなければなりません。  反対理由の第三は、年金制度に対する国と政府の責任の放棄の問題です。先ほど山原議員が指摘したように、私学共済の長期給付に対する国庫補助を百分の二十にせよという本委員会の十六回にわたる附帯決議を踏みにじり、百分の十八に据え置いたままにし、あまつさえ五十七年度からは百分の十三・五まで低くしてしまいました。この削減分の利子を含めて、返済するというめどすら立っていません。私学助成も削りに削り、私学経営の悪化を招いているのです。このように、政府の努力を放棄しておいて、長期的に年金財政を安定させるといっても信用できないのは当然ではありませんか。  しかも、国民には給付負担両面にわたって多大の犠牲を負わせ、その反面、国は共済年金本体には一円も出さず、基礎年金の三分の一だけに国庫負担を限ることによって、三十年後の昭和九十年には全年金で実に二兆六千億円にも上る公的負担の大幅軽減を図っているのです。ここにこそ今次改悪の最大のねらいがあると言っても過言ではありません。  私ども日本共産党は、かかる法案には断固反対いたします。何よりも軍拡最優先、大企業奉仕の財政運営を根本から見直し、年金の労使負担割合を三対七に切りかえることを含め、国庫負担を基礎に年金制度全般の抜本的改善を実現することを改めてここに要求し、私の討論を終わります。(拍手)
  211. 阿部文男

    阿部委員長 江田五月君。
  212. 江田五月

    ○江田委員 私は、社会民主連合を代表して、本法律案につき、反対の討論を行います。  我が国は、現在世界に例を見ないほどに急速な高齢化の道をたどっています。このことが国の施策に対しさまざまな困難な問題を投げかけていることは言うまでもありませんが、一方、人間が長生きをすることは祝福されるべきことであって、その意味で我が国の将来を長寿社会と表現することは的を射ていると思います。  長寿社会における高齢者はどういう生き方をするのか。中曽根首相に言わせば、仕事と孫と年金。医療と介護と年金という人もいます。それに住宅を加える人もいます。いずれにしても、年金が重要な課題となることは言うまでもありません。  年金についてのコンセンサスも変わりつつあります。単に年老いて生活に困った人々の生活を助けるためということではなく、次第に高齢期における生き方、ライフサイクルとしての年金生活ということについての理解が広がりつつあります。  このようなときに、従来の年金制度を抜本的に改め、将来とも安定した年金制度の基礎を築くことは、二十一世紀を迎えるために何よりも必要なことです。必須の条件と言えるでしょう。いわんや現状のままでは、従来の複雑多岐にわたった年金制度が、程度の差はあれいずれも破綻してしまう運命となっているのですから、改革は当然です。年金制度の優等生ともいうべき私学共済についてもこのことは同じです。国民みんなが、同時代では横に、また時間を超えて縦に、協同し合っていかなければならないということからいっても、私学共済のみひとりよしとしていられないわけで、私も今回の改正についてその必要性を認めるにやぶさかではありません。その改正の骨子についても、年金の官民格差を是正し、将来的に統合の方向を、その具体策はまだ定かでないとしても、目指そうとしているものであることを評価します。  しかし、以上のとおり提出者と共通の理解に立ちながら、なお本法律案は国民の求めるところにこたえるに十分でないと言わざるを得ません。  既に各会派代表の各討論の中で本法律案の不十分な点については詳述されているので、あえて重複は避けながら、私が今基本的に問題と考えていることを二つだけ申し述べます。  一つは、今回の年金改革の基本的精神がなお定かでないということです。今回の制度改革についてのすべての主張と反論を尽くした後になお結論として残るのは、本制度改革が、給付の低下、負担の増加、開始年齢の遷延という点で、年金水準の下落となるという点です。国民に対してこれまでにした約束が部分的に不履行になるというわけです。私学共済もそのそしりを免れません。  なぜこうなったのか。政府と与党だけの責任とは思いません。国民年金不加入運動などということもあったのであり、いやそんなことを越えて、野党もまた政治過程に参画してきたのですから、野党にも責任があります。私は、この際、政治に携わってきた者が、とりわけ行政を主宰してきた政府・自民党が、国民に向かって、表現は別として、こうべを垂れて遺憾の意を表し、新しい考え方についての理解を求めるべきであることを主張してきました。  年金制度の確立のためには、国民全体の制度に対する確信、信頼が不可欠です。年金制度というものが一人一人の人生を、老若男女を通じて支えていくのだ、これが社会を成り立たせる背骨の制度なのだという信念です。こうしたコンセンサスを得るには、細目にわたった金の出入りや期間計算、損得の勘定に先立って、政治に携わる者すべてが、新しい時代と新しい制度について、立場の違いを越えて共通の問題意識、いやもっと根源的な共通の時代精神を共有していることを国民に示すことが不可欠だと考えるのです。  考えてみると、年金改革については随分以前から積立方式から賦課方式にという主張がなされてきました。もっと早く改革に着手し、国民合意の形成に努力していれば、国民の不安はずっと少なくなっていたはずです。それなのに、いまだに社会保険的考え方と公的扶助的考え方との対立とか言って、新しい考え方がすっきりと定着していません。これでは年金統合と言っても日暮れて道遠しの感をぬぐえません。  年金水準の下落という犠牲を払ってもなお新しい社会連帯の精神を得ることができれば、国民は納得するでしょう。しかし、得るものがなお不安定なのでは、水準の下落を納得しようがないではありませんか。  二つ目は、公的資金の配分のバランスが欠けているということです。政治にはさまざまな要請が寄せられます。それをすべて完全に満足させることはもとより不可能でしょう。事はバランスの問題です。  世界が大きく軍縮と平和の方向に歩み始めようという時代です。レーガン・ゴルバチョフ会談の行方をにわかに見通すことはできませんが、紆余曲折はあっても、新たなる軍縮時代の幕を開く以外に人類の二十一世紀はありません。そうした歴史の大きな動きを洞察し、特に唯一の被爆国である日本の悲願を考えれば、おのずから国民の求める公的資金の配分のバランスが決まってくると思います。  この点はさまざまな議論のある点ですが、私はやはりこの数年の予算の動向に異論があります。現在の世界の情勢のもとで防衛の役割を認識するにやぶさかではありませんが、防衛費ばかりが我が物顔で伸び、福祉や教育の費用が抑えられ続けている現状に、国民は決して満足していません。最近の世論調査でも、中曽根内閣の不支持理由の中で最高位を占めているのが福祉の後退です。今までどおりの福祉諸制度をそのまま続けよというのではありません。制度改革に大胆に取り組みながらも、なおバランスをほんの少し変えれば、例えば職域年金部分の改善ぐらいすぐできるのではありませんか。今回の改革が国庫負担の減少と防衛費の増大とを目指すものだとまでは決めつけませんが、国民がマイナスシーリングのもとで初めに財政負担の減少ありきだと感じているのは事実です。  この点は、所管庁としては何とも対応できないことであって、制度改革に大変な精力を傾けておられる担当の方々に責任のあることではありませんが、だからといって、担当者の努力への賛辞をもって法案の賛否にかえるわけにはいかないことは言うまでもありません。  残余の点は省略しますが、以上さまざまな問題を抱えている本法案は、いい線行っているけれどもなお不合格と、遺憾ながら私は採点せざるを得ません。  いずれにせよ年金改革は、今後も続く恐らく今世紀の残り十五年を通じて最大の課題の一つだと思います。すばらしい制度の実現のために、関係する者すべて全精力を傾けることをお願いし、私もそのことをお誓いして、反対の討論といたします。(拍手)
  213. 阿部文男

    阿部委員長 これにて討論は終局いたしました。
  214. 阿部文男

    阿部委員長 これより採決に入ります。     —————————————  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  215. 阿部文男

    阿部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  216. 阿部文男

    阿部委員長 この際、船田元君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党一国民連合及び社会民主連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者からの趣旨の説明を求めます。船田元君。
  217. 船田元

    ○船田委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案についての御説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の事項について検討し、速やかにその実現を図るべきである。  一 今回の改正は、共済年金制度の歴史上例をみない抜本的な改正であるので、共済組合員はもとより、国民全体の理解と納得を得られるよう周知徹底を図ること。  二 公的年金一元化の内容及びスケジュールが依然として明らかにされていないので、今後できるだけ速やかにその内容等について明らかにすること。  三 基礎年金水準、費用負担の在り方等については、国民年金法の附則の規定に基づき、できるだけ速やかに検討に着手すること。  四 今後の年金額の改定にあたっては、賃金の変動という要素を取り入れるよう十分配慮すること。  五 今回の改正における職域年金相当部分の根拠、水準が必ずしも明瞭でないので、この点につき、人事院の意見もふまえ見直しに努めること。  六 既裁定者の通年方式の切り替えにあたっては、一般方式適用者の裁定額切り下げについて、激変緩和措置を講ずるとともに、今後の経済変動等によって必要が生じた場合においては速やかに再検討を図ること。  七 既裁定の遺族年金については、最低保障の改善を図ること。  八 職域年金相当部分の支給要件については、その緩和を図ること。  九 懲戒処分等による給付制限措置については、その緩和に努めること。  十 併給調整、所得制限の実施にあたっては、低額年金者の生活等を勘案し、必要に応じ再検討を図ること。  十一 所得制限の具体的な運用にあたっては、退職者と現役教職員との間の生活の均衡が図られるよう十分考慮すること。  十二 現在四十歳の者については、将来給付が最も低い水準になる点について、次の見直しの時点までに調整するよう努めること。  十三 私立学校教職員の給与の実態にかんがみ、施行日前の期間を有する組合員平均標準給与月額を算定する場合には、厚生年金方式による施行日前の組合員期間平均額を下回ることがないよう所要の対策を講ずること。  十四 私立学校の特殊事情にかんがみ、六十五歳以上の在職者に厚生年金と同様に退職共済年金支給できる措置を速やかに講ずること。  十五 年金の算定基礎額となる平均標準給与月額計算にあたり、退職前一年の平均から全期間に改めることによる減額の度合が私学共済の場合は特に著しいので、なんらかの激変緩和措置を講ずること。  十六 私学共済組合公的年金制度として整合性ある発展を図るため、その制度等に関する重要事項を審議する文部大臣の諮問機関の設置を検討すること。   右決議する。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただいます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  218. 阿部文男

    阿部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  219. 阿部文男

    阿部委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松永文部大臣
  220. 松永光

    松永国務大臣 ただいま御決議がございました事項につきましては、御趣旨を踏まえまして、十分検討いたしたいと存じます。     —————————————
  221. 阿部文男

    阿部委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  223. 阿部文男

    阿部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会