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1985-11-29 第103回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十九日(金曜日)     午前十時三十五分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君    理事 白川 勝彦君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    臼井日出男君       榎本 和平君    北川 正恭君       田川 誠一君    中村  靖君       二階 俊博君    町村 信孝君       渡辺 栄一君    木島喜兵衛君       佐藤 徳雄君    田中 克彦君       中西 績介君    有島 重武君       伏屋 修治君    藤木 洋子君       山原健二郎君    江田 五月君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君  出席政府委員         臨時教育審議会         事務局次長   齋藤 諦淳君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房総         務審議官    五十嵐耕一君         厚生大臣官房審         議官内閣審議         官       山内 豊徳君  委員外出席者         大蔵省主計局共         済課長     坂本 導聰君         文部大臣官房福         利課長     岡林  隆君         日本国有鉄道共         済事務局長   小玉 俊一君         参  考  人         (臨時教育審議         会第三部会長) 有田 一壽君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合理事         長)      保坂 榮一君         文教委員会調査 高木 高明君         室長     ――――――――――――― 十一月二十八日  私学助成大幅増額に関する請願網岡雄君紹  介)(第四七四号)  公立幼稚園学級編制及び教職員定数の標準に  関する法律制定に関する請願井上泉紹介)  (第四七五号)  同(阿部喜男紹介)(第四九四号)  同(山下八洲夫君紹介)(第四九五号)  同(阿部喜男紹介)(第五五三号)  同(瀬崎博義紹介)(第五五四号)  同(辻第一君紹介)(第五五五号)  同(松本善明紹介)(第五五六号)  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案反対等に関する請願佐藤観樹紹介)  (第六一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する作  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八二号  )  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、臨時教育審議会第三部会長有田一壽君に参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 阿部文男

    阿部委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤誼君。
  5. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 有田さん、きょうは、お風邪を召しているようにも聞いておりますが、御出席大変御苦労さんでございます。  有田さんにきょう参考人として御出席をいただきましたのは、去る十一月十三日、衆議院の文教委員会参考人として出席していただいた際に、有田参考人新聞発表記事が問題にされ、その件については理事会で後日検討することになったのであります。本日はそれとの関連出席していただいておりますので、私の方から逐次質問関連においてさせていただきたいと思っております。  なお、その点については後でずっと逐次質問してまいりますが、まず最初に、十一月十三日以降の臨教審審議にかかわる部分でお尋ねしておきたいと思っております。  そこで、まず第一に、ここに「教員資質向上方策(二次素案) 六十年十月七日 第三部会」という資料がございます。たしかこの前もお聞きいたしましたが、この素案が十一月二十日の臨教審総会議論されたときの素案だと思うのですが、どうなんでしょうか。
  6. 有田一壽

    有田参考人 そのとおりであります。
  7. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それじゃ、これに基づきまして十一月二十日の臨教審総会議論にされたと思われる部分新聞報道されております。その新聞報道に基づきまして若干確認をしていきたいと思いますから、ひとつ御答弁を願いたいと思います。  第一は、初任者研修制度について質問をいたします。  新聞報道によれば、その内容が、一年間程度研修制度化すること自体は大方の賛成を得た。次に、教職適格審査会で最終的にチェックする提案には反対論が多く出た。次に、一年間の初任者研修の終わった者は教育委員会の責任で採用する。以上三つが、私が見た新聞報道ではなされておるのですが、大筋間違いございませんか。
  8. 有田一壽

    有田参考人 大筋間違いございません。そのとおりでございました。
  9. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それじゃ引き続きまして、教職適格審査会設置について質問いたします。  これまた新聞報道に基づいての質問でございますが、この名称を教職適性審議会と呼ぶことにしたという報道になっております。  次に、この教職適格審査会の問題は一時棚上げにし、第一部会と第三部会で、まず教育委員会活性化方策について検討することにした。この検討の結果を踏まえて、来年一月の「審議経過の概要(その3)」を取りまとめる際再度適格審査会設置是非について問う形になっているというような報道がなされておりますが、これも大筋間違いありませんか。
  10. 有田一壽

    有田参考人 それも大筋先生指摘のとおりでございました。
  11. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それでは、次に質問を進めます。  私の手元に去る十一月十三日の文教委員会議事録がございます。この議事録に基づきながら、若干この前と関連させながら質問させていただきます。  十一月十三日のときも質問いたしましたが、その同じ日に朝日新聞報道された記事でございますけれども、この記事の中の「好ましくない教師は一、二割はいる。」という有田参考人発言に対して、私は、いかなる根拠に基づいて一割、二割と言っているのかということについて質問しました。そのことについてあなたが答弁したのを議事録で見ますと、正確な数字を出せと言われても、出すほどの力もありませんし、それは正確かと言われれば、正確であるとも言いかねます、いろいろ聞いたりそういう機会が割合に多いものですから、その結果の私の判断です、そしてずっとそのくだりをいきますと、最後に、そうでないんだという数字も出しにくいのじゃございませんでしょうかという形で締めくくって、言うなれば最後の方は開き直った形で答弁しているわけであります。  それで、重ねて質問でありますけれども、今の議事録で明らかなように、なぜ根拠もはっきりしない、しかも私の判断という、言うなれば独断で天下の公器である新聞にこのような、概数とはいいながらも数字を挙げてまで発言をしているのか、真意をつかみかねますので、重ねてその辺についてのあなたの考え方を聞きたいと思うのです。
  12. 有田一壽

    有田参考人 教育委員会あるいは学校関係者等に会う機会が多うございますし、また私どもも努めてそういう機会を求めておるわけでありますが、その結果私の得た感触を先般申し上げたわけであります。あくまで感触でございますので、先般も数的根拠を示せという先生の御指摘でありましたけれども、数的根拠といっても私の感触でありますから根拠は示せませんということを申し上げたわけでございます。  今後、このような学校現場評価にかかわる事項につきましては、慎重に発言するように努めたいと思っておる次第でございます。
  13. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 最後に、慎重に発言をしたいということがありましたから、それなりの反省の上に立っていると思います。しかし、今あなたは感触に基づいて述べたと言いますけれども、あなたは感触に基づいて述べたかもしれません。しかし、この新聞を見た多くの方々、現場教師は、不満やら不平やら驚きやらいろいろあったと思うのです。またこの中には、「昼寝中のような教委もある 採用面では情実がうず巻く」というような、これは新聞報道です。しかし、あなたがこれに関連するような発言をされたとすれば、これは極めて事は重大だと思うのです。御承知のとおり、今全国の教師教育現場において悩み、迷い、しかし多くの教育問題をいかに解決するかと血みどろの努力をしているのです。教育委員会だってある面からいえばそうだと思うのです。それをあなたは、言うならば感触で得たというようなことでこのような重大な発言をされるということは、しかもあなたは、今国民挙げて注目しておる臨教審の第三部会長でしょう。そういうことは、私は極めて不謹慎であり不穏当な発言だと思うのです。したがって、私はあなたに重ねて聞きますけれども、この十一月十三日の報道に関する私の発言は極めて遺憾であって、今後このような不謹慎な発言はしないということをここではっきり言ってもらいたい。どうですか。
  14. 有田一壽

    有田参考人 先ほど申し上げましたように、学校現場評価にかかわるような問題につきましては慎重に発言するようにしたいということを申し上げたわけでございますが、撤回せよというお言葉ではなかったと思いますが、今後極めて慎重に発言をせよという御指摘であったと思います。したがいまして、個人の感触を述べたものであって、今後は慎重にいたしたいということを御了解願いたいと思う次第でございます。
  15. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 今後慎重にということですが、この中で一割、二割という数字が出ているものですから、私はこの部分については撤回をしてもういたいのですが、どうですか、これは数字であるだけに。
  16. 有田一壽

    有田参考人 私の感触、一、二割という感触を得たということは、この前も申し上げましたように事実でございまして、これをそうではないという撤回は私はいたしません。  先般はこれを持ち合わせておりませんでしたから、きょうは私も持ってまいったのですけれども、ここに書いてございますように、「多少出世を考えたり、組合運動をしたりしても悪いとはい文ないし、正義感の強い教師校長の言う通りには動かないだろう。だから、八、九割の教師は一生懸命やってると思う。しかし、好ましくない教師は一、二割はいる。何人かの校長に聞いたが、「なるべくならよその学校に行ってほしい」という教師が必ず一、二割いて、各学校たらい回しになっているという。私ども資質向上をいっているのは、とくにその一、二割を念頭に置いている」ということで、八、九割は一生懸命やっているということを最初に言っているわけでございまして、しかもその後、好ましくないという教師適格審査会排除する対象なのかという新聞記者質問に対しまして、決してそうではないということで、その次にるる述べておるところでございますので、御不満でありましょうが、この一、二割というのは撤回せよと言われましても、それは撤回はいたしません。
  17. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 撤回はいたしませんと言うのだけれども、八割、九割はまじめにやっているのだろうが、裏を返せば一割、二割は好ましくない、ふまじめだとは断言しませんけれども、そういうグループに属すると言う。この八割、九割と一割、二割は何を根拠にして言っているのですか。あなたの感触で得た事実だなんということを言いますが、そんな感触でこういう数字を挙げられたのでは、現場皆さんはたまったものじゃないと思います。どうなんですか。この一割、二割とか八割、九割という数字撤回してくださいよ。
  18. 有田一壽

    有田参考人 先ほど申し上げましたように、現場校長あるいは先生方あるいは教委等教育関係者に聞く機会が多うございますので、その結果私の得た感触でありまして、根拠がないと言えば根拠はないと思いますが、根拠があると言えば根拠がある。ただ、先般も、はっきり数字を示せという御指摘がありましたけれども、それは示せませんということを正直に申し上げたわけでございます。
  19. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 一割、二割と言ったからには、この数字根拠を示さなければならぬのです。例えば、私は学校におけるいじめとか非行の問題をここで議論することがありますけれども、それを数字であらわしたりいろいろありますよ。しかしそれは、警察庁の何月何日の調査によればとか、文部省のこういう調査によればとかいう前提をつけて数字を挙げている、こういう公的なところでは。しかも、あなたは、ここで指摘されたにもかかわらず、数字を挙げながら、根拠はないと言いながら撤回しないというのは不穏当じゃないですか、なぜ撤回しないのですか。根拠を明らかにしなさい。
  20. 有田一壽

    有田参考人 理屈張るようでありますけれども、いると思うと私は言っておるわけでありまして、ではそれを撤回して五%だと言い直せと言われましても、感触としては一、二割、それから八、九割という先生方は立派にやっているということですから、その一、二割というのは別に問題教師と言っているわけではございませんで、後に書いてありますように、使命感職業感が足らないとか、生徒、父兄から信頼されていないとか、そういう少し広い意味でつかまえた場合の数字を一、二割と言っているわけで、問題教師かという質問に対して、決して問題教師ではない、問題教師というのはこういう教師である、これは微々たる数であるということを後に今の新聞に言ってあるところでございますので、撤回をせよと言われましても、これを撤回するということは私は考えておりません。
  21. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 あなたが数字を挙げているから、私はそのことに撤回を求めているのです。どの世界だって、人が集まっているときに、その人の価値判断なり価値基準によって違いますけれども、言うなれば、何人かの問題のある方であるとかいろんな方がいるということは常識ですよ。そういう一般的な表現であればこれは許容の範囲に入ると思うのです。しかし、数字を挙げていますから、じゃ根拠は何ですか、しかも教員現場からいえば問題視されている問題ですから、私はそのことを聞いている。はっきりしないならば、この際は数字撤回しまして、一般的な表現であるならばそれはそれなりの対応の仕方がやはりありますから。ただ、どうしたってあなたが数字撤回しないと言われれば、撤回しなさいと言わざるを得ないのですよ。どうなんですか。
  22. 有田一壽

    有田参考人 八、九割ということは大部分という意味にも置きかえられると私は考えておりますが、その大部分というのを八、九割と言ったわけでございまして、それを除いた一部少数の者というのを一、二割という表現をしたわけでございまして、数字というよりも感触ということの表現であることを御理解いただきたいと思います。
  23. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 これ以上やっても禅問答みたいなことで深入りしますからやめますけれども感触でもって多少ということを一、二割だとか八、九割だというふうに言ったとす馬ならば、そういう根拠のない数字を挙げるなんということ自体が非常識だと思うのです。もしあなたの言をかりるならば、発表の仕方の是非は別にしても、多少とか何人かというそういう単語で述べるのだったらそれはそれなり許客範囲に入ると思いますけれども数字を挙げて好ましくない教師が一、二割いるなんて天下朝日新聞にあなたが出すということは不謹慎ですよ。どうなんですか、これはもう一遍だけ。数字部分だけは撤回しなさいよ。
  24. 有田一壽

    有田参考人 先ほど申し上げましたように、いろいろ学校現場その他に聞いた結果の私の感触でございますということでありまして、それと、大部分はよくやっているということを表現し、その裏で一、二割は好ましくないということは、資質向上をやらなければいけないという問題に続けての私の発言でございまして、それを撤回せよと言われましても、その程度、好ましくないという、これは物差しというか、どこまでを好ましい好ましくないかというその言葉意味と密接に関連してくると思いますから、別に問題教師と言っているわけではないので、今職業感が不足したり、まだ指導法が不十分であったり、そういう教師は一、二割はいるというふうに私は感触を得たものですから、それを正直に言っているわけでございまして、撤回を私に迫られましても、仮に私が撤回をすると言ってじゃどうなんだといえば、私はそれ以外の答えが出ませんので撤回をしないということを申し上げておるわけでございます。
  25. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は、問題の教師とかなんとかというそのことの表現も問題なんだけれども、あなたは数字を挙げて言っているから、その数字部分は、そういう表現は不適切であった、それをまず撤回しなさい。その後、多少云々とか問題の教師云々は、これはいろいろ見方、考え方価値観とり方で違いますから、それはまた別の議論になると思うのです。それじゃ、数字を一割ないし二割とか八割、九割と挙げたことはあなたは適切だと思うのですか。適切だと思うのか思わないのか、どうなんです。
  26. 有田一壽

    有田参考人 適切だとは思いません。
  27. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 だったら撤回すればいいじゃないか、素直に。その部分どうなんです。
  28. 有田一壽

    有田参考人 数字は挙げずに、大部分とか一部分とかいう表現の方があるいは適切であったかもわかりませんし、そういう意味では、今後そういう数字を挙げずに何らかの意味で公にしたいということを考えております。
  29. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 頭が固いというか頑迷固陋というか、そこまで不適切であった、適切ではなかったと言ったならば、そういう一割、二割なんという数字撤回するということに何でそんなにこだわるのですかね。私はこれ以上言いませんけれども、このことは教育現場なり関連皆さんに大きな衝撃なり影響を与えていますから、この部分は、後ほどあなたに対する臨教審委員としての私たちの見解を述べますから、このことは以上にしておきます。  それから、十一月十三日の文教委員会でも質問しましたが、七月二十四日の朝日新聞記事について重ねて質問したいと思うのです。  つまり、七月二十四日の朝日新聞でありますけれども、この記事について私が前回の文教委員会質問いたしましたところ、この記事は「私自身が筆をとって書いたものでございますので、そのとおりであります。」というふうに言っておりますね。この点はどうですか。
  30. 有田一壽

    有田参考人 そのとおりであります。
  31. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それじゃ、それに基づきまして続いて質問いたします。  まず、この記事を見ますと、「学校荒廃に対する教師立場」に触れて、その中で教師組合活動教職員団体である日教組を特定して批判し、最後に「日教組反対を押し切っても教員資質向上に取り組む」と強調しておりますね。これはあなたも認められておると思う。同時に発表された教育陪審制度ですか、当時これはいわゆる問題教師排除すると称して陪審制度構想発表しているわけです。その発表に当たって、なぜ組合活動日教組を特定して批判して挙げているのか、その真意がはかりかねるのです。つまり端的に申しますと、問題教員排除するそういう発想に基づいて教育陪審制度構想発表しているわけです。その前段部分で、なぜ組合活動日教組を特定して批判しているのか、ここに関連があるのかないのか。どうなんです。
  32. 有田一壽

    有田参考人 これは先般も御指摘をいただいて、私もまた答弁を申し上げたところでありますが、最初に「学校荒廃に対する教師立場」というタイトルで、別に日教組とは書いてありません。ただ、今御指摘のとおり、戦後の教育において「学校荒廃が始まる前に教師荒廃が始まっていた」と指摘できるということを書いたことは事実。その後、ストライキによる授業放棄、その他赤旗を立てての教育委員会前での座り込み等、私がずっと書いておりますが、これはあるいはとり方によっては、それは教職員団体に対する批判ではないかと言われれば、そうでないとも申しません。言葉日教組とは使っていませんけれども、そうそうへ理屈で逃げるつもりもございません。  ただ、その後問題教師排除について書いてあるところがありますけれども、それはこの前も御答弁申し上げたところでありますが、その前段に書いたそういう荒廃現象についての分析と、次に問題教師排除するというところとは直接にリンクさせているわけではございませんということを申し上げたはずでございまして、別でございます。したがって、例えばストライキに参加したから問題教師として排除するのかといえば、全然それとは関係はありませんということも申し上げたと思います。したがって、決して直接に関係しているということを言っているわけではございません。
  33. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 直接に関係するとは言っていないということを言いますが、最後くだりへいきますと、特に最後の締めくくりで、「有田氏は「日教組反対を押し切っても教員資質向上に取り組む」と強調している。」こう締めくくられているのですね。なぜ、「日教組反対を押し切っても」ということで、構想発表するに当たって、予断をもって、日教組反対するだろうというようなことでこういうことを強調しているのか。つまり、ここに日教組という特定の教職員団体を挙げて強調しているゆえんは何なのかということなんです。おわかりですか。  そういう意味で、私は、どう見ても組合活動日教組予断をもって敵視している、こういう言動は、少なくともこれから教育改革をやるという臨教審委員としては極めて不適切、不謹慎な言動発言と言わなければならぬので、この点については陳謝をするか撤回をしてもらわなければならぬというふうに思いますが、その点はどうですか。
  34. 有田一壽

    有田参考人 御不満ではあると思いますけれども、多少理屈張って言えば、やはりそれぞれ思想、信条は自由でございまして、私も、戦後からの教職の長い経験の中で、また県の教育委員を務めたりした中で私が感じたこと、それが私の現在の信条になっておるわけでございます。それが先生の言われる日教組に対する見解あるいは批判が一方的に強過ぎるではないかと言われればそうかもわかりませんけれども、これはやはり先生日教組運動は正しいんだとお考えになると同様に、私もまた今までのこの日教組の行動を外部から見てまいりまして、適当ではなかったものが多多あるというふうな感触を持ったわけでございまして、これを今撤回と申しましても、これは撤回するということはできません。
  35. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は、日教組運動が正しいとか正しくないとか、そういうことを言っているのじゃないのです。あなたの教育陪審制度発想そのものが、問題教師排除するためにこういう制度をつくってやらなければならないと思うかという構想を述べて、その構想を述べた同じ時点で組合活動批判日教組に対するそういう見解を述べているわけです。そういうふうな問題教師排除云々と言いながら、それと関連する形で組合活動とりわけ日教組という固有名詞を取り上げてなぜそこでこういう形で発表しなければならないのか。日教組運動がいいとか悪いとかということを私ここで論じようとは思わないのです。教職員団体だっていっぱいあるでしょう。教職員活動といったって広い分野にあるでしょう。その大きな分野団体がたくさんある中から、なぜ組合活動日教組だけを取り上げて、特定して、しかも予断と偏見をもって反対しても押し切るなどという談話をあらかじめ発表しなければならぬのか。そこにあなたの予断と偏見が入り過ぎているのじゃないかと言っているわけです。  だから、日教組をどう思うかということはそれぞれ個人の価値基準なり判断ですから、そんなことを私は問うのじゃないのです。なぜ特定しているか。しかも、あなたは公の臨教審委員としてこれからの日本の教育を改革しようとしているのでしょう。そういうときに、なぜ特定の活動と特定の団体だけを挙げて予断をもって敵視しようとしているのか、このことを言っているんだ。どうなんです。
  36. 有田一壽

    有田参考人 教職適性審議会というふうに名前を変えましたが、それまでは教職適格審査会という名前を使用しておりました。これは言葉が適切であるかどうかは別として、問題教師と言われておりますから問題教師という言葉を使いますけれども、教壇にそれをそのまま立たせることは子供の人権侵害につながるという認識が私自身にありますので、そういう何らかの機関が必要である。したがって、これをつくらなくても、現在の教育委員会が十二分に機能するとすれば、固有の業務ですから別に第三者機関をつくる必要はないというのが先ほどちょっとお触れになりました総会での議論でありまして、私も決してこれに固執しているわけではなくて、総会のときもはっきり、教育委員会が固有の機能を発揮し活性化をしさえすれば外部にこういうものをつくる必要はない。ただ、活性化と口で言うのはやさしいけれども、地方自治の問題ですから、実際には非常に困難が伴うであろう。だから、それがはっきりするまでは適性審議会を設けるという構想はこのままおろしませんということをはっきり言ったわけであります。  それで、今の御質問、御指摘のことでありますけれども、先ほど申したように、日教組とその問題教師排除というか、適性審議会というものを直接リンクさせているわけでは決してない、また、そういう乱暴なことはできるわけでもありません。ただ、先ばと申したように、日教組といいますか、教職員団体はほかにもありますけれども、私の短い経験ではありますが、戦後から今日まで中学校長をしたり高等学校長をしたり、あるいは県の教育委員会委員をしたりしてきた中で感じたこと、それは、日教組に対して私は批判があるわけであります。したがって、それについてはもうくどく申しませんけれども先生の御指摘のようにそれは独断と偏見ではないかと言われれば独断と偏見かもわかりませんが、これはもう私の信条にまでなっておりますので、私の方から言えばむしろ日教組がもう少し変わってくれればいいなというくらいの気持ちがあるわけでございますから、いろいろなところでそういう言葉がつい出てしまう。それが行き過ぎの場合があるかもわかりません。したがって、極端に行き過ぎるようなことは反省をして、今後そういう行き過ぎた言葉は使わないようにできるだけ慎みたいという反省の気持ちはございます。
  37. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 重大な発言でありまして、予断と偏見と言われればそうかもしれませんがということを言われますが、あなたもそのことは認められていることがわかります。ただ、あなたが自分の著書として自分の考えなり信念なり信条を述べられる分には、これは思想、信条の自由、報道の自由ですから、私はそのことをこういう公の場でとやかく言おうとは思っていないのです。あなたが臨教審委員として、しかも第三部会長として報道するときに、特定の団体なり特定の活動を挙げて、これは私の信念です、考え方ですという発表の仕方をすることがどうなのか。あなたは個人じゃないでしょう、臨教審委員は。法律で定められた公人でしょう。公の人として公の機関に発表するのでしょう。そのときに、特定のところを挙げて、私の信念ですという発表が適切なのかどうか。私はそれは予断と偏見と独断ではないかということを言ったわけですが、重ねて、どうなんですか、私は公の人としてあなたに問うているのです。あなたの私人としての信念を聞いているのではないのです。
  38. 有田一壽

    有田参考人 私も参議院の文教委員をいたしておりますときにやはり今のような発言をしたことがございます。ただ、臨教審というものは中正中立でなければならないということから考えますと、特に私が臨教審の第三部会長という公的な立場にあるということを考えますと、先生指摘のように、個人の思想、信条は別として、それを外部に発表する場合は、今まで行き過ぎた点があるとすればそれは今後そういうことを慎むということをいたしたいと思います。
  39. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 そこで、この質問はこれで終わりますけれども、きょうの十一月二十九日の読売新聞に、「教育改革は着実、建設的に」ということでこの間の日教組の臨時大会に触れた社説があるのです。この中の中段のところに、「こんどの臨時大会の特色の一つは、「教員資質向上」をめぐる臨教審審議が、かなり進んできたことに対して、危機感を深め、警戒と対決の姿勢を表したこと。もう一つは後を絶つことなく広がる「いじめ」など、学校現場荒廃をどう克服するか、苦悩の中から、改めて、教師の責任を自ら問い直そうとしたことだろう。」こういうふうにある。  私は非常に適切な社説だと思うのですが、後段の方の「いじめ」については、これは真剣に取り組んでいるのです、教職員団体である日教組も。敵視するなどということは、大体これは予断なんですよ。それからもう一つ、前段の方の「危機感を深め、警戒と対決の姿勢」というのは、これは何もないところに出てきたのじゃないのです。臨教審がどんどん進むその中で、あなたが先ほど言ったような発表をどんどんする。しかも、何も日教組が言っていないのに、日教組反対しても断固これをやるのだなどということを、言葉は不適切だけれどもけんかを売るような態度でやるということが、相手だってあることですから、これは「危機感を深め、警戒と対決」ということにならざるを得ないじゃないですか。そういうことを言うと、あなたは、わざわざ日教組との対決、現場にいろんな波紋を投げることをあなた自身がっくり上げているのじゃないですか。このこと自体がこの教職の適格審査制度の問題点を私は浮き彫りにしていると思う。またあなた自身が問題を惹起していると思う。このことについてどうなんですか。
  40. 有田一壽

    有田参考人 けさの読売新聞の社説は私も読みました。適切な指摘表現であるという感触を私も持ちました。今御指摘の、日教組に対して私の方がけんかを売ると申しますか不必要に対決姿勢を出しているではないかとおっしゃられます。その点、当たっている点もあると思いますが、あえて言わせていただけば、しかし、日教組自身も、臨教審が発足して以後、臨時教育審議会は認めないとは言っておりませんけれども、自民党内閣がつくったものであって、これに対しては対決するんだというようなことは再々言っておりますし、また二、三の大会でもそういう対決色を打ち出す、これは臨教審の方が悪いんだと言えばあるいはそういう見方もできるかもしれませんけれども、しかし、もう少し相互に協調していきたいものだ。結局日本の未来の子供のためですから、どちらかが多少のメンツをつぶしても、いい教育をつくり上げるために協力、努力をするという姿勢が、私どもの方も努めなければならないと思いますが、同時に日教組の方も、多少の立場、経緯、メンツはあるにしても、やはり未来のために多少のメンツは犠牲にしても努力をするという姿勢が欲しいという気持ちが常に私どもあるものですから、いろいろなところで先ほどから御指摘をいただいておるような発言になってしまうわけでございます。
  41. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は、ここで日教組臨教審を取り上げて裁こうとか論評を加えようなんということを言っているのじゃないのです。私は具体的事実に基づいて、臨教審委員という公的立場にある第三部会長である有田さん、あなたに対して質問しているのですからね。その具体的事実というのは、この教育陪審の七月二十四日の初めての発表であなた自身が、「日教組反対を押し切っても教員資質向上に取り組む」、この「教員資質向上」というのはどういう考え方かよくわかりませんけれども、こういうことまで、最初から対決姿勢といいましょうか予断といいましょうか、こういう態度で臨むことはいいのかどうかということを言っている。こう言われれば、これを聞くところの一方の団体、しかも固有名詞を挙げられれば、何だということになるのは当たり前じゃないですか。私は具体的事実に基づいて言っているのであって、臨教審日教組を並べて論評するなんということを言っているのではないのです。どう考えてもその部分は、あなたは予断と偏見をもって事を構えようとしている、このことは公人としてやるべきことではない、私はそのことを申し上げて、次に進みます。  次に、同じく七月二十四日の新聞報道にもう一つ重要な部分があります。あなたはこのとおりであると言っておりますから、新聞に基づいていきます。  この中の二段目のところに、「「信念と教育観」に欠けた教員が、事なかれ主義や組合盲従型に陥ってきているなどとしたうえ」云々とありますね。つまり、信念と教育観に欠けた教員が事なかれ主義や組合盲従に陥っている、こういう評価を下していますね。以下ずっと、最後にいきまして、「特に異常な行動が目立つ問題教師排除」云云とつながっていっているわけです。信念と教育観に欠けるというのはだれがこれを判断するのか。信念と教育観に欠けるというこの判断をだれがするのか、極めて価値観の伴う問題なんですね。人によって違う問題なんです。これを欠けているとか何であるとか、これはだれが決めようとするのか。それから、このことと、あなたが同時に発表しておりますから、この陪審制度とはどういう関係があるのか、その辺について見解を述べていただきたい。
  42. 有田一壽

    有田参考人 普通の一般人あるいは普通の公務員の場合と、教育公務員というか教師の場合と、多少そこは違うと思います。信念あるいは教育観、使命感等に欠けるという場合はそれが教育作用の中にあらわれるわけで、子供の立場から見てやはりよい影響を与えないという場合はよくない教師だというふうに言うべきだと私は思います。だれがその信念、使命感に欠けているか欠けていないかという判定をするかということは、これは私は日本人の場合は大体コンセンサスがあるといいますか、常識として御父兄なり一般に大体わかっていると思うのです。それを、よい教師とは何だ、悪い教師とは何だという定義という言葉もありますけれども、それをずっと議論していけば、一年議論してもなかなか結論の出にくい問題であるというふうに私は考えております。  それから、適性審とどういう関係があるかと言いますが、直接には関係はありません。えんきょくには関係がないとは言いませんけれども、いわゆる適性審議会で困るんだという問題教師というのは、先ほどから申し上げているように本当に限局され、急に凶暴性を発揮するとか子供に明らかに被害を与える教師のことを指しているわけで、ただ好ましいとか好ましくないとか、使命感が足るとか足らないとかその程度で、問題教師だから排除するということはさらさら考えておるわけではございません。
  43. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 さらさら考えていないということを言うのですが、じゃ聞きますけれども、信念とか教育観に欠ける云々、こういうこと空言っていますね。これは人々の、一人一人のあるいは人の価値観とか思想、信条とかこれに深くかかわっていることはお認めですね。どうですか。
  44. 有田一壽

    有田参考人 イデオロギー的なものを含んでの思想、信条に直接かかわっているとは私は思いません。それは異質の問題で、ただ、先ほど申し上げましたように、教育者としてという場合ですから、子供によい教育を与えることのできる教師がいい、それも詰めていけば、先ほど申し上げたように、じゃいい教師とは何だ、悪い教師とは何だという定義を分析していけば、これは限りなくいろいろな議論があり得ると思います。だから、どこかであるいはそういうのが結びついていることが絶無とは私も言う力はありませんけれども、一応素直に言えば、よい教師、悪い教師というのは一般国民がわかっていると思うわけでございます。
  45. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 今の、信念、教育観が主義、信条価値観関連あるのかどうかと聞いたら、あなたはいみじくもよいとか悪いとかという言葉を使ったでしょう。よいとか悪いというのはそれ自体価値判断の問題であり、その本人の思想、信条にかかわっていることはだれしも常識でしょう。しかも、どこかでつながっておるということはあなたは認められておりますから、そういう個人の主義、信条や信念やそういうものにかかわることをこの陪審制度で取り上げられていったら、これは大変なことになると思うのです。あなたは全然無関係だとは言っていない、どこかでつながっていると言っている。しかも、よい悪いという判断ということも言われておる。そうすると、今申し上げたように、教師の信念とか価値観とか主義、信条までふるいにかけられる可能性が絶無とは言えないわけです。しかし、この部分が大切なんです。あなたは問題教師ということで具体的な行動を取り上げて言われておりますけれども、この制度が生まれたときに、制度というのは、あるいは法律というのは、残念ながら、生まれますとつくったときの趣旨とか考え方とかそういうねらいに外れてひとり歩きする可能性を持っておる。ひとり歩きしたときに、今のようなあなたの意思とは直接関係なく、今のような形で本人の信念や価値観や主義、信条までふるいにかけていくということを、これは危険な部分として考えられるわけです。これは極めて重要、重大だ。このことが私は今日教育陪審制度の一番大きな問題になっておると思う。  このことについて、時間ありませんから、あなた今うなずいておりますから、関連して、あなたは今のことについて次のことを言っている。これは十一月十三日の私の質問に対する答弁の中で、次のことをあなたは答えているのです。この中で、「そのつもりでありまして、この教職適格審査会を拡大解釈していくとすれば、教育委員会の多少気に入らない者とか、正義感が強くて口返答する者とか、これは限りなく拡大されていくと思いますし、そこまで拡大されていくぐらいなら初めからこの制度はない方がいいというふうに私は考えております」、こういうことを言っている。今のようなことをあなたはおもんぱかっているわけですよ。主義、信条やそういうことまで踏み込んで拡大解釈されていく、それは重大問題だということをあなたは言っている。しかし、この制度が生まれてひとり歩きをしていったときに、あなたがここで今いみじくも言われたように、「この教職適格審査会を拡大解釈していくとすれば、」という仮定の上に立って議論されている。しかし、拡大解釈をされていかないという歯どめになるという、このことを断言できますか。拡大解釈されていかないということをあなたは保証し、断言できますか。
  46. 有田一壽

    有田参考人 そこが一番大事なところでありますので、私の書きましたものにもはっきり書いてあるのですけれども、やはり組合の代表あるいは人権擁護関係団体の代表を入れる等して、知事だとか教育委員会だとか、権力サイドに寄らないということがこれの生命である。したがって、公平、公正ということが確保できなければこれはない方がいい。したがって、神ならぬ身の人間ですから、そういうものが今のように偏ることがあるかないか、これは常に気をつけなければならないことですけれども制度を発足させる場合にやるのは、構成員をはっきりと決める、条例に任せずに法律ででも決めるということ以外には、運営に関してはなかなか難しいと思いますから、構成に関して、人数を二、三人にしない、そういうことで知事寄りだとか教育委員会寄りになっては困るから、人数を二十人から二十五人ということにふやしてバランスをとって、県民の目の前で批判を仰ぐということにしたわけでありまして、ねらいはどこまでも公平、公正ということ、それが初めから確保できないというのなら、これはつくらない方がいい。しかし、第三者機関をつくらないで教育委員会の中につくるとしたらよりいいものができるかどうか私は若干の危惧の念を持っておりますので、第三者機関にして、そこに一般の弁護士だとか精神科医だとか組合の代表とか人権擁護関係の人を全部入れるべきだということを主張しているわけでございます。その意のあるところを何とか御推察を願いたいと思うわけでございます。
  47. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 御推察と言うんだけれども教職適格審査会が生まれてひとり歩きしていったときに拡大解釈されていかないように歯どめをするということがきちっとできるかどうかということについて、あなたは、できますとも完全になりますとも端的に言い切れないわけです。したがって、こうこうこういうことを周辺から固めなければならぬという趣旨のことを今言われているんだ。なぜそこまで危険なことを、あなたは危険な側面を持つと出発に当たってお考えになりながら、なぜそれを踏み切っていかなければならぬのかということを私たちは逆に危惧をするわけです。  ですから、これは制度自体がそうなんでございますが、特にこれは簡単に人を裁くわけだ。しかも、先ほどあなたもいみじくも言われましたように、単なる行動ではなくて、場合によっては主義、信条に至るまで触れて裁くこともあり得るかもしれぬ。そうなりますと、これは大変な事態になりますよ。いみじくもあなたは、多少気に入らないとか正義感が強く云々ということを言われましたけれども、非常に情実的、感情的なそういう審査になるという部分もあるし、それから思想、信条にわたるものを裁くということだって人間あり得る。しかも、これは第三者機関とはいっても、ある面においては教育委員会、国につながる機関でしょう。そうなりますと、これは教育委員会なり、ひいては、極論かもしれませんけれども、国の意にかなった教師だけがふるいにかかって残るということだって、我々戦時中のことを考えれば考えられるわけです。したがって、私は日教組を弁護するわけじゃありませんけれども、ふるいによって国の意にかなった教師をつくるという、これがあり得るんじゃないか、国定の教師づくりにつながるんじゃないか、こういう危倶、このことを私はいたずらに等閑視するわけにいかぬと思うのです。そこまで心配されるものをなぜここでつくらなければならぬのか、このことを私は非常に危惧するわけです。  特に、私たちはあの戦中の教育を受けて、戦争に子供を駆り出すために教師がその役割を担わされた、そのための教師づくりもされた。私もかつて山形師範学校で師範教育を受けた。そのことを今振り返ってみると、こんなことがあってはならないと思うのです。あなたはそういう意図でないかもしれませんけれども、生み落としたものがそのように発展していかないという可能性が絶無だとは言い切れない。あなたはそのことについてどう思いますか。あなただって教育経験あるでしょう。
  48. 有田一壽

    有田参考人 つくるがいいかつくらないがいいかというところでありまして、問題教師がおるという事実はそのとおりだと思うのです。多いか少ないか、これはまた申し上げる力もありませんが、あることは事実です。そうすると、これをそのままほっておけば子供の人権というものが侵害をされる。そうすると、何らかの意味で、これは教壇に立たせないようにする処置をとる必要がある。この処置をとる方法論ですけれども教育委員会でやる。しかし、今まで戦後長い間、例えば香川県で二年間車の中におったとかどうだとかいうようなこと等を含めて考えて、今の教育委員会に、すべての教育委員会にそれを機能させる力があると私は思ってないものですから、つい、対応しなければならないとすればそういう、名前はどうでもいいのですけれども、何らかのものが必要ではないか。しかし、その何らかのものが、人権を無視したり、思想、信条によって憲法で保障されておる人権を無視したりするようなことはしない、また、してはいけないという考えはあります。  しかし、そういう方法をとっていった場合に、どこかでそういうおそれがないかと言えば、おそれがあるかもしれませんから、極力おそれのないような仕組みのものにしていきたいというわけで、これはつくらなくても構わないのです、何回も申し上げているように。ただ、どこかで機能をさせたい、それが教育委員会だというのなら教育委員会で結構です。要するに、問題教師があるという厳然たる事実と、これは何らか配慮しなければならないということ、ここからの発想であります。
  49. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 問題教師とは何かということになりますと、いろいろな議論の分かれるところもありますから、私はそこに深入りいたしませんけれども、しかし、どの世界でもいわゆる問題の方、ある面から言えばその社会に、その職業集団に不適応な方というのはいると私は思うのです。それが教師のあるいは教員の世界では殊さらそのことが際立って取り上げられるし、またそうあってはならないというふうになるのだと思うのです。ですから、あなたの言う「問題教師」というのは、これは私はいないとは断言しません。それは「問題教師」の内容についての判断は別にいたしましても、そういう不適応な方がいると思うのです。しかし、その少数の人のために、あなた自身が危険な側面を持つと言うこういうものをあえてここに制度化して、その人をふるいにかけるためにやる必要があるか。そのことを考える余りに、先ほど言った多くの思想、信条にわたるものまで弊害を及ぼしていくということがあり得るのじゃないか。だとするならば、わざわざこれを考える必要がないじゃないか。  例えば百歩譲って、あなたの言われるような方方、つまり問題の教師云々と言うならば、現在の制度の中だって、地公法、国家公務員法、そういう中で分限の規定もありますし、教育委員会だってその任用からその処分に至るまで権限を持っていますし、教育委員会の中でやれるのじゃないですか。また、やらなければならないことじゃないですか、このことは。それをあえてあなたが屋上屋、危険な側面を持つと言いながらやろうとするところに問題があると思うのです。したがって、新聞報道によると、これは第一部会と第三部会総会でもいろいろ議論になったそうですが、かなりの意見の違いもある。その中で、一と三が一緒になってこの問題を議論すると言われている、こういう問題状況に今ある。  そこで、私はあなたにあえてまた聞きますけれども、あなたはこの制度をどうしてもやろうと思っているのですか。どうなんです。
  50. 有田一壽

    有田参考人 総会でも申し上げたことですけれども、ねらいは、問題のある教師を、言葉は別としてお許し願いたいのですが、問題のある教師を子供のために排除したいという、ただその一念ですから、方法としてこういう適性審議会的なものが必要であればやるし、それが必要でない、言いかえればその役目を教育委員会活性化することで肩がわりすることができるならば何をか言わんやそれでいい。あるいは国家公務員法、地方公務員法等、現在十分機能しているとは思っておりませんけれども、それを機能させれば済むではないかと言われれば、そして本当に機能するようになるのであれば、それも一つの方法。だから、決して固執をして絶対何が何でもこれをつくるんだとは私は全然思っておりません。総会でもそういうふうにぽっきりと申し上げております。
  51. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 だんだん時間になりました。私は先ほどから、好ましくない教師が一割二割いるという、私たちから言わせれば根拠のない、無責任な発言言動が多い、そしてそれが現場や世に不信と不安を投げかけている、こういう問題。その数字だけは撤回すべきだということに対してあなたは撤回もしない。それから、問題教師排除するんだという陪審制度構想発表するに当たって、特定して組合活動批判し、日教組を敵視する、そういう予断と偏見が多過ぎる。そのことによっていたずらに教育現場に問題を惹起させている。さらに、今いみじくもあなたが言われたように、マイナスが多く、しかも将来危険だと思われる側面が多いこの教職適格審査制度、これをあなたはおろそうともしない。  私は、そのようなことを考えたときに、一々のことは言いませんけれども、あなたは臨教審委員として任命されているわけでありますけれども、公人として、しかもこれから二十一世紀に向けて日本の教育を改革するという、言うなれば臨教審委員として、どう考えてもふさわしくないと私は思う。したがって、あなたの身分については、内閣総理大臣が国会に諮って罷免することに規定上はなっておりますけれども、あなたは深くこの際辞任すべきじゃないかなというふうに私は思うのですが、あなたはどうですか。
  52. 有田一壽

    有田参考人 いろいろ御指摘がありましたし、公的な立場は別として、いろいろ反省をしなければならない点はあると思いますが、辞任をするという意思は全然ございません。
  53. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 ありませんではなくて、全然という言葉までつけ加えておりますが、私たちはどう考えても、これから先の言動をずっと想定した場合も、あなたは臨教審委員としてふさわしいというふうに判断できない。したがって、ここに私は、有田臨教審委員の罷免を求める決議まで用意をしております。これを発動するかどうかということについては留保しておきます。  それで、きょう私が質問した、あなたも答弁された、このことに関連して、これからどういう対応あるいは態度をあなたがとるか、このことについて、この有田臨教審委員の罷免を求める決議を発動したいと思いますから、それまで留保しておきます。あなたも慎重にその点については言動を慎んでもらいたいし、またきょう約束したことについては守ってもらいたいし、また私たちはこれからの言動に注目し、場合によってはこの罷免決議を発動するということをあなたに申し添えまして、きょうの質問を終わります。
  54. 阿部文男

    阿部委員長 有田参考人には御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございました。  午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時十二分開議
  55. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  第百二回国会内閣提出私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、私立学校教職員共済組合理事長保坂榮一君に参考人として御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  57. 阿部文男

    阿部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
  58. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、去る十一月二十二日の本委員会におきまして質問を申し上げたわけでありますけれども、国鉄共済年金の財政問題でそれぞれ大臣の答弁等ございましたが、納得できる状況になかったために留保いたしておりましたので、引き続き国鉄共済問題について質問申し上げたいと思っています。  そこで、まず第一に、その後政府としては国鉄共済年金財政問題についてどのような措置をしようとしておるのか、この点についてお答えください。
  59. 坂本導聰

    ○坂本説明員 お答えいたします。  さきの連合審査におきまして、官房長官から以下のような御答弁を申し上げました。   国鉄共済年金については、財政調整五か年計画の終わる昭和六十四年度までは、政府として、国鉄の経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。  以上については、昭和六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ることといたします。  なお、昭和六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう措置いたします。私どももこれに従って措置をしたいと考えております。
  60. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、課長が答弁に立ってくれたのですけれども、これから後は大臣あるいはそれにかわる者でなければ答弁できないと思うのですけれども、そうした全権的な委任があって課長は来ているのですか。
  61. 坂本導聰

    ○坂本説明員 統一見解等につきましては委任を受けているものと考えております。
  62. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、統一見解だけについて質問をしようと――内容的にはこれにも触れるわけでありますけれども。少なくとも所管大臣の責任ある回答を得なければ本委員会での質問にはならないと思っているわけでありますけれども、他の委員会なりでそれができないとするなら、私はきょうはおりまして、再度時期を選んでいただいて討論をしていきたいと思っております。でなければ、例えば国鉄財産の処分問題などについて詳しくできるのですか。他の共済に完全に負担をかけぬようにして、明確に答弁できるのですか。私は、大臣としての答弁をいただかないと、一課長がこれらの問題について全責任を持つなどと言ったってこれは到底不可能です。今までそういう例がないわけですから、この点について委員長取り計らってください。
  63. 坂本導聰

    ○坂本説明員 ただいま御指摘の、例えば資産処分の点でございますけれども、国鉄の自助努力は今の時点では御指摘のように明確ではございませんが、当然資産処分等を含めて検討させていただくことになろうかと存じます。
  64. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、わからない点がたくさんあるのです。少なくとも年金資格退職者が増大することは必至ですよ。そうなってきたときに悪化していく過程がある。そうしたときにはどうするのか。一つの問題だけじゃありません。挙げていくとたくさんあるのです。だから、少なくとも代表して答弁のできる方にここに見えてもらえないと、私は質問を留保したいと思います。
  65. 阿部文男

    阿部委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  66. 阿部文男

    阿部委員長 速記を起こしてください。  佐藤徳雄君。
  67. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 前回に引き続きまして、残余の部分について何点かお尋ねをいたします。  前回もお願いをいたしましたが、冒頭、委員長にお願いしておきますけれども、前回同様、私の質問に対しては、田中委員あるいは中西、佐藤誼委員関連する質問でありますから、その必要性が生じたときには関連質問をさせていただきますので、前もって御了承をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  68. 阿部文男

    阿部委員長 よろしゅうございます。
  69. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、そのように受けとめて、以下順次質問をさせていただきます。  まず最初に、私は文部大臣にお尋ねをいたしますが、本改正案、つまり私学共済制度の改革のねらいとその特徴点について御説明をいただきたいと存じます。
  70. 松永光

    ○松永国務大臣 今回の制度改正は、去年二月二十四日の閣議決定に基づく公的年金制度の改革の一環をなすものであり、国民年金、厚生年金の制度改正と同様に年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るというのがその目的であります。このため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、給付と負担の長期的な均衡を確保するため、将来の給付水準の適正化を図るなどの措置を計画的に講ずることとしておるのであります。
  71. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 さらに、文部大臣に続いてお尋ねいたします。  当たり前の問題でありますけれども、改正法案がどういう形にしろ通過するまでは現行法が生きている、こういう理解と確認してよろしいですね。
  72. 松永光

    ○松永国務大臣 法理論としては、改正法が成立をし施行されるまでは、現行法が生きているというか、適用になるわけであります。
  73. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今お答えをいただきました前提に立ちまして、前回に引き続き今度は文部大臣並びに担当者にお尋ねをいたします。  前回、共済組合の理事長さんがかなり長時間をかけていろいろ質疑、あるいはその答弁をいただいたわけでありますが、結果的には部分的に不公平が生じてくるということをお認めになったわけでありますけれども、今申し上げました前回のその答弁を文部大臣として確認していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  74. 松永光

    ○松永国務大臣 私学共済の理事長さんは、部分的には不公平が生ずるという趣旨の御発言がございましたが、私の見るところ適当な表現方法としては、不公平というよりは有利になる人、不利になる人があるというのがより正しい表現じゃなかろうか、こういうように思うわけであります。問題はどこにあるかというと、先生もよく御承知のとおり、改正法案が成立をして、そして施行された場合における施行日以前の平均標準給与月額を計算する計算方式に関する点であったかと思うのであります。その計算方式については一つか二つのやり方があると思うのでありますが、一つは、施行日以前の全期間の給与の平均でとるという計算方式と、もう一つは、御審議をお願いしておる改正法案の附則第四条にありますように、施行日前の五カ年間の標準給与月額を出して、それに補正率を掛けて決めるという二つのやり方が考えられると思うのであります。我々としては、私学共済というのは国家公務員共済に準じていろいろな部分は決めていくというやり方がずっと定着をいたしておることもありますし、そしてもう一つは、組合員の施行日以前の平均標準給与月額を出す場合の物差しとしては、やはり統一した物差しであることが妥当であるという考え方のもとに、国家公務員共済と同じような計算方式をとることとして本法案を提出をして御審議をお願いしておる、こういうことでございます。  今申した国家公務員共済と同じような計算方式、すなわち施行日前の五カ年間における標準給与月額を出して、それに補正率を掛けたやり方での計算方法をした場合と、それから全期間の計算でやる場合とにおいては、それが三分の二という話になってくるわけでありますが、三分の二ぐらいの人は国家公務員共済と同じような方式で計算した方が大分有利になるが、三分の一ぐらいの人は、これはまだ補正率がわかりませんから正確にはわからぬことでありますけれども、感じとしては全期間の平均で出した方が有利になるという人もおるように思われるわけであります。この前の議論の要旨はそういうことであったろうと思うのです。ただ、我々としては、先ほども申し上げましたように、国家公務員共済に準ずるということでもありますし、またその基準、物差しというものは全組合員共通であることが妥当であるという考え方で、御提案申し上げているような方式をとった、こういうことでございます。
  75. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 残念ながらどうも明快な答弁になっておりません。  端的にお答えをいただきたいと思いますが、大臣御承知のとおり、厚生大臣に対して私が質問したことに、いわゆる国家公務員等共済組合審議会が大蔵大臣あてに出しました答申、意見がありますね。その中で、公益委員及び使用者委員の意見が載せてあって、その引用をさせてもらいながら前回厚生大臣に答弁を求めたはずであります。それに対して、まさに「長期的に安定し、世代間及び同一世代内の公平性が確保され、国民に信頼される制度でなければならない。」という部分でありますが、この点についてはまさに制度の安定、それから公平性というものを重視をしなければいけないという意味合いの答弁がなされていたことは御承知のとおりであります。さらに今度の法改正の趣旨からいっても、官民格差を是正する、こういうことにあるわけでしょう。さらにそこには公平性がなければいけないということですね。ところが、前回のやりとりの中では、大臣御承知のとおり、明確に共済組合の理事長さんが、先ほど申し上げましたように部分的に不公平があるということをお認めになっているわけであります。何回も繰り返したくないわけでありますが、私は、この私学共済の法改正の責任者であります大臣からも、公平なのか不公平なのか、三分の二と三分の一、つまり先ほどの大臣答弁では有利になる人、不利になる人が存在しますというお話でありましたが、それは明らかに不利になる人があれば公平性を欠く、いわゆる不公平である、そういう状態であることはお認めになりますかどうかということを聞いているのでありますから、端的にひとつお答えください。
  76. 松永光

    ○松永国務大臣 言葉議論をするようで恐縮でございますが、理事長さんは公平とか不公平という言葉をお使いになりました。しかし、公平とか不公平という言葉はこの場合適切な表現ではないのでありまして、Aという計算方式をとった方が有利な人と、Bという計算方式をとった方が有利な人とあるということならば私も理解できます。ただ、計算方式、基準というものは、すべての組合員が同一であることが公平であり妥当である、こういうふうに私は思っているわけです。したがって、一つの計算方式をとったならば、それでいくのが公平だ。計算方式を人によって区々にするのは、公平、不公平という観念からすれば、計算方式をいろいろとることの方が私は公平を欠くことになりはせぬかというふうに思うわけでありまして、計算方式を一つでとるならば、そこには公平、不公平の観念は入らない。ただ、先ほど言ったように計算方式が二つぐらいあるわけでありますから、Aという計算方式でとった方が有利になる人と、Bという計算方式でとった方が有利になる人とあるということはわかりました。そういう点は私も認めるわけであります。その表現の方法は、公平、不公平よりも、Aという計算方式で有利になる人と、Bという計算方式で有利になる人とあるということは私も認めます。しかし、それは公平、不公平でなくて、基準が同じであることが公平であろうというふうに思うわけであります。
  77. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それは言葉の言い回しにすぎないじゃありませんか。つまり、明らかに前回の委員会では、三分の二有利になる人と、三分の一不利になる人がいる、そして紛糾をいたしました。長い休憩の時間に、大臣も大臣席に座って見られておったように、文部省の人も入っていろいろなまとめを裏でやったのではありませんか。明らかに共済組合の理事長さんのおっしゃったことそのものは、まさに共済組合の理事長さんがおっしゃったのですけれども、文部省も介在してあのような表現になったと私は理解をするわけであります。したがって、三分の二が有利であって三分の一が不利になるだろうということが現実的にわかっている限り、その不利な人をつくっちゃいけない。つくることによって公平性を欠くということが前回の委員会で明確になっているわけでありますから。そうだとすれば、三分の一の不利になる人をつくっちゃいけないし、さらに、伏屋委員の方からより以上有利になる人もつくっちゃいけないのじゃないかという指摘のあったことも事実なのであります、だから、審議官がそれは選択上の問題だとおっしゃいました。それは有利、不利の選択ではなくて、まさに制度の選択の問題だという答弁もされているわけでありますから、そういう意味では、前らかに共済組合理事長さんの部分的に不公平があったというのは妥当な表現であるし、それをすりかえることはこの前の審議経過からいってできないと私は思うのです。重ねてお尋ねをいたします。
  78. 松永光

    ○松永国務大臣 共済組合の理事長さんの表現表現で、私の表現じゃありません。しかし、その話を聞いておりまして、ははあ有利、不利という言葉の方が適切なのであって、公平、不公平という言葉は適当でないな、こういうふうに私は思っておりました。ですから委員の席から、公平、不公平と言うのはおかしい、有利、不利と言うのが正しいのだという不規則発言があったわけでありますが、基準が一つならば公平、不公平という話はないわけなんですよ。共済制度そのものの原則からいって、やはり標準給与月額などを計算する方式は同じ方式で決めるのが公平であろうというふうに私は思うわけであります。そういうことでありますので、先生とどうも意見が一致しないのは恐縮でございますけれども、私はそう考えているわけであります。
  79. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 意見の一致にならないから恐縮だなんて、それは問題にならないのですよ。つまり三分の一の、この前のお答えですと六万人余の人たちが不利になるということが明らかにわかっているとすれば、別な制度の選択をすればそうならないというやり方があるということは明らかになったじゃありませんか。どうしてそういう選択の方法をとらないのですか。  それじゃ、それに引き続いてお尋ねいたします。  給付水準の引き下げには、私どもの調べでは四つありますね。大臣、共済方式から通年方式に変わるわけでしょう。これが一つです。第二は、退職前一年から全期間平均に変わるわけでしょう。さらに手当の問題が含まって、その中には少なくとも公務員が二割、私学共済が四割該当するわけでしょう。さらに三つ目は、厚生年金と同じ切り下げが報酬比例の問題で出てくるじゃありませんか、千分の十から千分の七・五に。そして第四の問題は、今議論されております附則第四条の厚生年金水準を上下することになるでしょう。上の部分については三分の二である、下の部分については三分の一である。  そういたしますと、明らかに不利な条件が二重に重なってくるじゃありませんか。第二の問題の退職前一年から全期間平均に切りかえるという改正法でいけば、附則第四条の上下する人の下の方の人たち、つまり不利になる部分の人たちは二重の不利を招く、こういうことになりませんか。いかがです。
  80. 松永光

    ○松永国務大臣 厳密に言えばまだ補正率が明らかでないわけでありますから、これは仮定の議論をしているようなことなのでありますけれども、共済組合の理事長の方で便宜お使いになった補正率をもとにして議論を進めてまいりますと、三分の一の人が不利になる。その三分の一の不利になる人が不利にならぬような計算方式を採用すれば、今度は三分の二の人が不利になるという結果になるわけでありまして、同一基準をとる以上は今言ったようなことになる、こういうことであります。その他細かい点は政府委員から答弁させます。
  81. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 確かに、先生のお話のありますように、従来とは計算方法が変わってまい力まして、現行の仕組みでございますと、原則として退職前一年間の平均標準給与の実績といいますものが全期間の標準給与の月額に基本的になる。それから、報酬比例の場合におきましても、これも厚生年金と同じでございますが、一定の経過措置を持ちまして妥当な水準まで持っていくということがございます。これは職域年金につきましても同じということでございます。それから、こういう給付水準を千分の十から千分の七・五に下げるものにつきましても激変緩和措置を二十年間かけてやる、そういうことを行っているわけでございます。
  82. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 重ねてお尋ねいたしますが、どうも前回の委員会審議とかみ合わないのですね。共済組合の理事長さんがるる説明されました。私だけではなくてお答えもありました。そういたしますと、今大臣の答弁を聞いていますと、文部省と共済組合というのは意見がばらばらであって、質問に対しての統一された答えではない、こういうふうに理解してよろしいですか。そうだとすれば重要な問題です。
  83. 松永光

    ○松永国務大臣 この御審議をお願いしておる法律案は、文部省で案をつくり、閣議決定を経た上審議をお願いしているということでございます。共済組合の理事長さんの方は、この改正法案が先生方の御審議の上で成立した場合にどういうふうになるかということを利害関係者として計算をされた、こういうことでございますので、その利害関係者の方の発言について文部省の方で拘束されたりすることはないわけなんでございます。したがいまして、あのときに私の方の立場を申し上げるべく私が申し上げようかと言ったら、いや参考人質問しているのだから政府の方は答える必要なしということでありましたので黙って聞いておった、こういうことなんでございまして、前の委員会における共済組合の理事長さんの発言に我々の方の側としては拘束されるいわれはないわけなんです。法律案をつくり御審議をお願いしているのは私どもの方の責任においてお願いしておる、こういうことなんでございますから。
  84. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 確かに形式的には法案提出者の責任でありますから、それは私も理解いたします。しかし、これは前回の委員会で私を含めて何人がお答えをいただいた経過があるわけでありますから、今日の作業過程ではもちろんばらばらではないはずでしょう、見解を統一するためにも。例えば「五カ年給与からの全期間平均給与の推計例」というのは渡りましたね。大臣、これはお認めになりますか。共済組合から行っているでしょう。
  85. 松永光

    ○松永国務大臣 私もそれは見たことがありますが、補正率が決まってないのに何でこういう計算をしておるのかなというふうに私は思った次第でございまして、私どもの方でつくった文書ではございません。
  86. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そうすると、はっきりいたしましたのは、文部大臣が考えていることと共済組合の考えていることは全く別個なものである、こう理解してよろしいですね。
  87. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほど申したとおり、補正率が決まってないのにどうしてこういう計算ができるのかなと私はけげんに思ったぐらいでありまして、この審議をお願いしておる法律案につきましては私の方でお願いをしておるわけであります。私学共済の方では、委員皆さん方の御協力で法律案が可決成立をされ施行された場合における利害関係者としていろいろな計算をされたということなんでありまして、その共済組合の計算についてこの段階で私どもの方では責任を負ったりいろいろ言う立場では実はないわけであります。
  88. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうもおかしいじゃありませんか。全議員に配ったのでしょう、これを。全議員に配って資料とさせておいて、なぜこういうのが出たのかななんということを大臣が言うこと自体が私は納得できません。だから意思統一してください。おかしいじゃありませんか。そうすると、前回の議論というのは、もちろん参考人として来ていただきましたから理事長さんとやりとりをさせていただきました。しかし、参考人といえども文部省と無関係の行政をやっているわけでないでしょう。しかもこれを配ったじゃありませんか、議員全体に。議員全体に配って、それはそちらですということはちょっと私どもは理解できませんね。納得できません。意思の統一をしてください。問題でしょう。みんなこの資料を配って大臣が否定するということになったらどうなっちゃうんですか。意思統一しない限り審議できませんよ、これは。
  89. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、厳密に言えば補正率の方は決まってないわけでしょう。理事長さんも一応の仮定でございますからということで御説明の上お配りになったようであります。そういう経過であるということは私も承知しておりますが、それ以上のことは私は承知していないわけです。
  90. 田中克彦

    ○田中(克)委員 前回の文教委員会からの引き続いている議論でありますから、私から重ねてお伺いしますけれども、当初、大臣は、私学共済組合から四項目にわたる要望があって、特にこの問題については第二項で私学共済の方から要望が出ておった、したがってその要望を受けて文部省はそういう方針を決めた、こういう答弁をされておりますね。そういう前提に立って私どもは、私学がなぜそういう要望をしたのかということについて、前回の文教委員会で詳しく内容をただしたわけです。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕 その内容が今言われたような説明になって、三分の一、三分の二の議論になっているわけです、中身が。だとすれば、私学共済は当然そういう中身であるから第二項のような要望を文部省に対して出したんだということに当然なりますね。私どももそういう議論の経過の上に立って、確認の上に立って聞いているわけですから、それをきょうになって文部大臣が、全然それは、その根拠については私は関知してないと言うことは大変問題ですよ。そうでしょう。私学は何を根拠に第二項を出したんですかということを私ども聞いたわけです。そうしたら、その中身として三分の一、三分の二の議論が出てきたわけです。そうでしょう。だとすれば、それをきょうになって否定するというのは大変おかしいです。
  91. 松永光

    ○松永国務大臣 お言葉を返すようでございますが、私は今までの答弁を、私自身の答弁を否定したりしておることではありません。前も申し上げましたように、私学共済法の改正法案の策定に当たりましては、私学共済の代表者から四項目でしたかの陳情を受けたことは事実であります。その中の一つが、ただいま議論になっておる法施行前の平均標準給与月額の算定方式について国家公務員共済と同じような方式をとってもらいたいという趣旨の陳情があったことは事実であります。それで、私どもの方としては、主要部分については国家公務員共済に準じて定めるというのが私学共済の今までのあり方でありますし、また、私学共済そのものの設立の経過が御承知のとおり教育基本法六条に端を発していることでありまして、私立学校教職員は国公立の教職員と同じような立場で仕事をしているという前提からこの私学共済ができたということで、それを受けて主要な項目については国家公務員共済に準ずるということでやってきた経緯がありますので、国家公務員共済が、法施行前五年間の給与をとり、それに補正率を掛けるということでやるのであって、それをやるのであるならば、それに準ずることが私学共済の場合でも妥当である。であるから、そういう方式がとれるならばとってあげなさいということで事務当局に指示し、そして事務当局の方で、今提案しているような計算方式に案をつくりまして、そして審議をお願いしている、こういう経過になっておるわけであります。そのことにつきまして、そういう措置がとられた後、私学共済の関係者が、私たちの陳情が通ってありがとうございましたということでお礼に来られたことも事実であります。  以上申し上げたことは、前回の委員会でもそういう趣旨のことを私は申し上げたつもりでありまして、取り消しも撤回も実はないのでございます。
  92. 田中克彦

    ○田中(克)委員 今までの議論の経過からすると、随分おかしな話に発展をしているわけでありまして、これは議事録等を詳細に調べてみないと、私どもも今ここでやりとりをしても解明できる問題ではないと思います。しかし経過として見る限り、大臣は当初、これは私学共済から要望があって、その要望にこたえてこういう措置をとった、こういうふうに答えているわけですよ。四項目ありますからね。当然受ける文部省としては、その四項目の中身について私学からの要望の中身も聞き、また文部省という立場で検討もして、最終的にその改正法案をまとめたと思うのですよ。だとすれば、私どもは、なぜ私学がそういう要望を出したのかという根拠について今まで議論をしてきたわけですからその議論の中身が明らかになったわけです。明らかになったものは、当然文部省もそういう私学の明らかにされたような要望を受けて立法措置を講じた、こういうふうに当然私どもとしては受けとめますね、それは。だから私は、きょうになって、そのことは全然、これは文部省は文部省の責任でやったんだという大臣のお答えは、前段で言われた議論とかみ合わない、きょうの段階では。私どもはそう受けとめざるを得ないわけです。しかしこれは議事録をよく調べてみます。  そこで、私はちょっと、一度これは大臣にも伺ってありますけれども、社会保障制度審議会から文部大臣あてに答申が出ていますね、六十年の四月十日付の。この中の第一項の中に、「年金給付の支給要件、支給制限等の点において、厚生年金と共済年金との間で合理的と思えない違いが見受けられることは問題である。」こういうふうに指摘をされています。具体的に言って、この指摘の中身は何ですか。
  93. 松永光

    ○松永国務大臣 技術的な分野にわたりますので、恐縮でございますが、政府委員をして答弁させます。
  94. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 これにつきましては、具体的に申しますと、共済年金と厚生年金との制度間につきまして、今回お出しいたしております法案の中でも、例えば給付水準につきまして職域年金を設けるというようなこと等、そこに制度の差があるというようなことも入っているのではないかというようなふうに考えるわけでございますが、これにつきましてはそれぞれの沿革があるわけでございますから、その沿革を十分私ども尊重しながらやっているということでございます。
  95. 田中克彦

    ○田中(克)委員 いや、具体的に何ですかと聞いているんですよ。
  96. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 これは今申しましたように、例えば職域年金部分といいますものがある。これと厚生年金とは完全に一致してないではないかということであると思っております。
  97. 田中克彦

    ○田中(克)委員 例えば職域年金部分云々、こういうことですけれども、これは少なくとも社会保障制度審議会が答申として問題点として指摘をしたわけです。具体的に、厚生年金との整合性でこことこことここの部分に問題がある、こういうことがあるからこういう文章で載ったわけでしょう。例えばこれがあるから載ったでしょうなんて、そんな答弁ありますか。
  98. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 社会保障制度審議会全般のお考えとしましては、いろいろな点はあるけれども、一つの選択としてやむを得ないのではないかということを基本的にいただいておるわけでございます。
  99. 田中克彦

    ○田中(克)委員 いや、それも答弁になってない。私が聞いているのは、厚生年金との間に「合理的と思えない違いが見受けられる」、そこが問題だと審議会は言っているわけです。だから、その問題の点は具体的に言えば何と何だ。――時間ばかりかかってだめじゃないか。
  100. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 それでは、今の答申の部分を読み上げさせていただきますが、「公的年金制度の一元化を進める道筋に沿う限りにおいて一つの選択であろう。しかし、以下のような問題がある。」ということでございます。そこで、「年金給付の支給要件、支給制限等の点において、厚生年金と共済年金との間で合理的と思えない違いが見受けられることは問題である。」というようなことが書いてあります……(田中(克)委員「中身を聞いているんだよ、具体的に何だと聞いているんだよ」と呼ぶ)ですから、具体的な中身といたしましては、例えば六十五歳以上の人につきまして厚生年金の場合と共済年金の間とは違いがある、そういうような……(田中(克)委員「違いがあるから問題だと言われているんだ、その問題とは何だ」と呼ぶ)だから、今言いましたような違いがあるということでございます。
  101. 田中克彦

    ○田中(克)委員 委員長も今聞いていておわかりのように、私の質問に答えていませんね。これでは納得できないじゃないですか。今言われているのは答申そのものなんですよ。答申で、具体的な違いがあって問題だと言っておるから、その問題とはどういう点なんだ、具体的に説明してほしいということを聞いておるのですよ。
  102. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 それではお答え申し上げます。  一つは、組合員資格につきましては、先ほど申しましたように、六十五歳に達しますと厚生年金の場合は被保険者の資格が喪失する、私どもの方は退職ということで、それは喪失いたしませんというようなことはございます。それから、障害共済年金及び遺族共済年金の支給要件につきましては、障害厚生年金及び遺族厚生年金につきましてはその支給要件といたしまして、被保険者期間のうち保険料納付済み期間及び保険料免除期間が三分の二以上であることが必要であるが、共済についてはそのような要件は設けていないとか、遺族の範囲につきまして、夫、父母、孫、祖父母に関して若干の相違点があるとか、そういうことでございます。
  103. 田中克彦

    ○田中(克)委員 大臣にお伺いします。  社会保障制度審議会がこういうふうに厚生年金と特に違う点について問題があると指摘をしているわけです。この間、私学の組合の代表、理事長さんを呼びまして議論をしております点、これも厚生年金との比較において合理的でない違い、大変大きな問題点だというふうに私は思いますが、大臣は、あれほど議論している問題ですから、この点についてはどう思いますか。
  104. 松永光

    ○松永国務大臣 今のようなわけで、年金の支給年齢の違いの問題、それから一部支給停止の問題等々が言うなれば厚生年金との違いであって、一見厚生年金よりも不利と思われる点のようでありますが、それらにつきましては、実は先ほど申し上げました共済組合理事長からの要望書の第一項目、第三項目の中で陳情があった点であります。したがいまして、六十五歳以上の者に年金を支給するようにしてもらいたいというふうな棟情がありましたが、この点は、実はこの法律案にありますように、所得の少ない者につきましては一部支給するという制度等をとり、あるいはまた所得制限についても所要の措置をとって、この違いが実質上ならぬようにいろいろな措置をして、そして提案をして審議をお願いしておる、こういうことでございます。
  105. 田中克彦

    ○田中(克)委員 いや、私が聞いていることに答えていただかないと困るのですよ。  今審議官の方から相違点の問題は指摘をされました。指摘をされているけれども、前回の文教委員会でも私学の共済の理事長さんを呼んであれだけ問題で議論しているわけです。そこも厚生年金との大きな食い違いの一つだと思っておりますが、大臣いかがですかと私は聞いているわけです。そのことに答えないで、わかり切っている六十五歳の問題をここで答弁されても、こちらの聞いていることと全然かみ合わぬじゃないですか。もう時間もありませんから、私はその点だけはっきり聞いてまた問題をもとへ戻します。それはどう思っているのですか、大臣。
  106. 松永光

    ○松永国務大臣 審議をお願いしている法案が成立をし施行された日以前の問題につきましては、取り扱いが違っておるわけであります。それは相違点であるというふうに承知しております。     〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 田中克彦

    ○田中(克)委員 それも聞いていることと全然違うな。だめですよ、質問に答えてくださいよ。  私が聞いているのは、厚生年金との違いについて問題がある、こう指摘をされているわけです。今審議官が幾つか具体的に挙げました。挙げた問題以外に、今私ども議論してこれだけ時間がかかっている問題というのは、要するに標準給与のとり方の違いの問題があるのですよ。それも食い違いの大きな問題点じゃありませんか。私はそう思っているのですよ。これだけ時間かけたのですから、大臣、どう思っているかと聞いているのですよ。そのことにだけ答えてください。
  108. 松永光

    ○松永国務大臣 計算方式の違いがあるということは相違点の一つであると思います。
  109. 田中克彦

    ○田中(克)委員 問題点の一つでしょう。
  110. 松永光

    ○松永国務大臣 問題点といいますか相違点といいますか、その点の違いがあることは私も認識しております。それを問題点というか相違点というか、その表現、後で尾を引いてはいけませんから、相違点というか問題点というか、そういうことであろうと思っております。
  111. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 関連しているわけでありまして、甚だ恐縮であるわけでありますが、ちょっと前に戻ってお尋ねをしたいわけであります。  先ほど私がこの資料を全議員に配ったと申し上げましたけれども、後で連絡がありまして、全部でないそうでありますから、それは訂正をさせていただきます。  そこで、共済組合の理事長さんにちょっとお尋ねをいたしますが、これは確かに委員会における佐藤誼委員の資料要求に基づいて提出されたものですね。これは文部省と全然連絡をしないでつくって佐藤誼委員にお渡しになったのですか。
  112. 保坂榮一

    ○保坂参考人 資料は私どもの方の独自な計算でいたしました。そして、資料としてお出しすることは文部省の方にも連絡申し上げました。
  113. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 文部省に連絡をしたということは、文部省もこれを承知の上で資料を配付したと理解してよろしいですね。理事長さん、いかがですか。
  114. 保坂榮一

    ○保坂参考人 内容は私どもの方で作成いたしまして、これを資料として提出するということは文部省の方に連絡いたしまして、そして、こちらへ提出するのは私の方でいたしました。
  115. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 何遍も恐縮でありますが、文部省のどなたに御連絡されたのでしょうか。
  116. 保坂榮一

    ○保坂参考人 文部省の担当課長、福利課長に連絡をいたしました。
  117. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 担当課長おいでになっていますか。――ちょっと担当課長にお尋ねいたしますが、あなたが了承を与えたということは、つまり権威のある資料でありますから、この内容をお認めになった上で了解をしたと理解してよろしいですか。
  118. 岡林隆

    ○岡林説明員 お答えいたします。  出すという話だけで、私どもは内容についてそれでいいあるいは悪い、そういうようなことは言ったことはございません。
  119. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 行政ってそんなものでしょうかね。少なくとも正式に文教委員会で資料の提示を求められて、それを受けて、提出する際に文部省に連絡をとって提出することは手続上私は正しいと思います。だけれども、正しいか正しくないかわからないけれども配りなさいなんて、文部省の指導そのものに問題がありませんか。これは問題になりますよ。そうでしょう。そんな無責任な話ありますか。重要な審議をしているこの問題で、見せられてオーケーしたということはつまり認めたということでしょう。どうなんですか。そんな無責任な話ありませんよ。責任ある答弁をしてください。
  120. 岡林隆

    ○岡林説明員 お答えいたします。  これはあくまでも私学共済が一つの試算として計算をしたものでございますので、私どもの方でこれから定めます政令等のそういう率等も決まっておりませんから、私どもの方でこの内容についてどうこうという立場にはないというぐあいに考えております。
  121. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それはおかしいでしょう。先ほど大臣の答弁に、まだ定まっていない補正率を乗ずるわけにはいかない、それはそのとおりだと私も思います。前回私がそう言ったのでありますから、それは間違いないと思います。ここに「仮の補正率を乗じて」とある、この基準は何だということを私は前回答えをしてもらったのですよ。しかし、少なくとも我々が考える範囲では、私学共済自身がつくられたものを文部省の了解なしに単独で議員に配るということは考えられない、実際に。これを文部省に連絡をとって配付したということは、文部省も責任を持つ、こう理解をするのが当たり前じゃありませんか。どうなんですか。これは単に目を通しただけですじゃ済みません。国会の権威がなくなっちゃうじゃありませんか。いかがですか。
  122. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 これにつきましては、私学共済組合におきまして一定の仮定のもとにお出しになった資料ということでございますので、それにつきまして私どもは今その中身がどうこうというように言える立場にございません。
  123. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 おかしいじゃありませんか。ちょっと大臣にお尋ねいたします。私の言っていることが無理でしょうか。私学共済が出された資料を文部省の担当課長にお見せして、そして了解を受けて配付したのでしょう。目を通したとすれば、仮の補正率が目にとまらないはずがないでしょう。そうすると、大臣がおっしゃっているとおり、仮の補正率なんてやってみたって、まだ定まってないのだからだめだよとなぜ言わなかったのですか。そうだとすれば、前回の委員会審議が全くむだな議論になってしまう。これは文部省の責任ですよ。そうでなければ、共済組合がひとり悪者にされてしまうじゃありませんか。この改正法案は、皆さんの文部省も、直接担当いたします私学共済組合も、責任を持ってお答えするためにあるいは議論するために本店に出ているんじゃありませんか。関係のない議論だったら出てくる必要がないのですよ。しかも、資料まで配っているじゃありませんか。文部省が知らないまま配ったのなら問題です。文部省が承知して配ったということは、その中身に関与していると受け取るのが当たり前でしょう。大臣、いかがですか。
  124. 松永光

    ○松永国務大臣 先生がそういうふうにおっしゃるのも無理からぬことだと思いますけれども、先ほどから申しているとおり、補正率が決まってないのに有利になる人、不利になる人というのを責任を持って言える立場じゃないわけなんです、本当を言うと。ただ、前回の委員会のときに、仮のものでいいから一応の資料の計算をしてみたらどうだという話が委員の方からありまして、どなたであったか忘れましたけれども、それが正式の発言であったか、いろいろな相談をしている場合の発言であったか、どちらかであったと思いますけれども、とにかく仮のものでもいいから一応計算をして資料として出してみぬかね、こういうことになって、それならばということで、補正率は決まってないから責任ある計算はできないはずだけれども、事実上私学共済の方でおつくりになった資料だというふうに私は思います。しかもそれは、委員会に出して正式にお配りしたのではなくして、事実上参考のために全員であるか一部の人であるか知りませんけれども渡された、その渡すこと自体については通告があった、こういうことなんでありますから、それはそれなりに受け取っていただいて、そして議論の材料にしていただいて結構だと思うわけであります。
  125. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 重ねて共済組合の理事長さんにお尋ねいたしますが、どうも問題が、突っ込めば突っ込むほど非常に不鮮明な部分が出てくるわけでありますけれども、これは単に文部省に通告しただけですか。
  126. 保坂榮一

    ○保坂参考人 私どもで私どもの仮の補正率を考えて出しまして、そして委員さんにお配りいたしまして、そして文部省の福利課長の方へ連絡をしたのでございます。(佐藤(徳)委員「それは連絡だけですか」と呼ぶ)最初出すということを文部省に連絡いたしまして、それから資料をお手元にお渡しいたしまして、それからその資料を福利課長のもとに提出いたしました。
  127. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 もう時間がなくなって残念なんですけれども、受け取りました福利課長さん、あなたこれに全然目を通さなかったのですか。目を通したときに気がついたところがあったのですか、ないのですか、いかがですか。
  128. 岡林隆

    ○岡林説明員 出した後で、私どもの方でこういう資料をお出ししましたというのはいただきましたが、これは私どもの方では、あくまでも一つの試算ということでもございますので、そういうことかということで受け取った次第でございます。
  129. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これ以上やりとりしても水かけ論みたいになっちゃいますから、関連してまたお尋ねをいたします。  私は、こういう重要な法案を審議する際の資料の提出の仕方についてあるいは手続について非常に問題を残したと思います。同時に、そのことは、前回の委員会は単に参考的な議論にすぎなかったという結果になってしまうおそれが実はあるわけであります。私はその点について非常に不満であります。しかし、この試算に基づいての議論でありましたから、それを盾にとって私はお尋ねをいたしますけれども、明らかに三分の二が有利になって三分の一が不利になるということは、提出をされました資料の範囲で理解をすればそうなるわけであります。  そうしますと、大臣、三分の一が不利になることは望ましいのですか、望ましくないのですか。公平の原則、官民格差の解消の面からいってどうなんですか。
  130. 松永光

    ○松永国務大臣 実は前回の委員会のときも、私の方で答えますよというわけで随分申し上げたのです。しかし、それを、質問している相手は参考人の方だからというわけで発言をさせてもらえなかったのできょうの議論になっちゃった点があるということを御理解願いたいと思います。  それから、三分の一が不利で三分の二が有利だということでありますが、仮の補正率によればそういう計算になるという一つの資料が私学共済の方から出されたということであります。これが確定的とは言えないわけですよね、仮の補正でございますから。ただ、一つの基準をとった場合に、一つの方式を採用した場合に、給与の上昇ぐあいその他がまちまちでありますから、その結果として有利な計算方法になる人と不利な計算方法になる人と出てくるという面があることは私も認めます。ただ、それを直ちに不公平とかなんとかというふうに評価すべきかどうかということはいかがなものか。やはり一つの基準、計算方式の採択の問題ではないか。基準ないし計算方式が同一になされるならば、それはそれで一つのやり方であって、そのことによって有利な数字になる人と不利な数字になる人が出てきた場合に、それをもって直ちに不公平とはなかなか言いがたいな、私はそういうふうに思うわけでありまして、要は計算方式ないし基準の選択の問題であるというふうに私は見ておるわけであります。
  131. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大臣が最後におっしゃった部分、だから不公平にならないような選択をすればよろしいでしょうということを前回私も田中委員も申し上げたはずなんであります。  そこで、共済組合の理事長さんに再度お尋ねいたします。今お聞きになったとおりでありますけれども、しかし、少なくとも仮の補正率を設定したというのにはそれだけの基準があるということをこの前お答えになりましたね。それはやみくもに仮の補正率をつくったのじゃないと私は思うのです。その基準についていま一度根拠のある答弁をお願いいたします。
  132. 保坂榮一

    ○保坂参考人 私学共済の組合員を加入期間で分類いたしまして、その一人当たりの平均給与を算出いたしまして、それによって各時点ごとの直近五カ年平均と全期間平均との比率を出しまして、その比率から仮の補正率を算出したのでございます。
  133. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その判断はどういう判断に基づいて今のようなお答えになったのですか。やみくもに設定したわけでないでしょう。  あわせて答えていただきます。この試算をするときに、文部省とは全然連絡ないまま試算したのですか。
  134. 保坂榮一

    ○保坂参考人 文部省とは全然連絡申し上げないで、私学共済独自のそれで計算をいたしました。  そして、それは政令の率がどのように決められているかは私どもではわかりませんので、法施行前五カ年の給与から全期間平均給与を換算するというその補正率の趣旨に沿うべく、私どもの資料から先ほどのような計算の仕方で推計させていただいたのでございます。
  135. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 恩給財団の三百十人の問題については記録がない、こういうことでしたね。ところが、この三百十人の人たちも不利にならないようにといういろいろな配慮の中のやりとりが前回までありました。附則十五項を適用さえすればこの問題は解消できるという判断をいたしますが、大臣、いかがですか。
  136. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 ただいまの恩給財団の件につきましては、判断する記録がないものですから、一万円とみなして行うということでございます。
  137. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも時間が来てしまってなんでありますが、私は全然今までの一時間にわたる質疑の中の答えについて了解することはできません。なぜなら、繰り返しませんけれども、まさに奇妙な現象が文部省と私学共済の中に出てきているということはかなり問題があろう、私はこう思うわけであります。  同時に、資料提出したのが悪いと言うのではありません。しかし、少なくとも正式の委員会でそして正式の発言の中で了承されたことから資料が出されたのでありますから、それが勝手に出されて、それは共済組合の問題と文部省が逃げる筋合いそのものがおかしい、私はこう思うのです。だから、仮の基準のとり方についてだっていろいろな意見があるでしょう。問題もまだまだ残るはずなんであります。しかし、少なくともこの試算でいけば三分の一の人が不利になるということはこの前のお答えの中でも明確になっているわけでありますが、できれば三分の一の人たちの不利をなくしてあげたいというお考えになれますか、なれませんか、理事長さん。
  138. 保坂榮一

    ○保坂参考人 私どもの方でお願いいたしましたものが法令に盛られて、その結果このようになったわけでございますから、その点はいたし方ないと存じますけれども、しかし、不利なものが不利にならないようにできればより結構なことでございます。
  139. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それは当たり前のことだと思います。  不利にならないようにするためにはどうすればよろしいとお考えですか。
  140. 保坂榮一

    ○保坂参考人 これは基準の選択でございますから、法令にとられましたその基準からこのような有利、不利が出てまいりますことはやむを得ないことと思っております。
  141. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そんなこと聞いているんじゃないのだ。不利にならない方法がどこにあるかと聞いているんです。
  142. 保坂榮一

    ○保坂参考人 そのために制度をどうしたらいいかということはこちらでは判断できません。
  143. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そうすると、資料を出したそのものに問題がありますね。おかしいじゃありませんか。ある意味では、仮の補正率であっても自信と確信を持って出したのでしょう。これに対して責任が持てないという話はないでしょう。  残念ながら時間終了のメモが渡されましたから、いたずらに時間を長引かせるつもりはありません、これで終わりますけれども、しかし、大臣、お聞きになって、私の主張する点あるいはお尋ねしている点がばらばらではないと思います。行政というのはそんなものでないと思います。共済組合は文部省と別個のものではありませんから、実際に実務的にやるところでしょう。そことの連係プレーなしには単に法律を通しただけでよろしいということにはならないはずであります。したがって、私はこの問題は解決したとは思いません。かなり重要な問題でもありますし、とりわけ不利になる人がないようにつくろうじゃないかというのが私どもの考えなんでありますので、問題点については締めくくるわけにはいきません。大臣もその点について十分意を解していただいて御理解をいただきたい。  同時に、委員長にお願いいたしますが、理事会預かりにして再度議論をしていただいた中から、必要によってはまた私は質問をさせていただきます。  最後に、大臣の答弁をいただきます。
  144. 松永光

    ○松永国務大臣 先生のお気持ちはわからぬではありません。組合員にできるだけ有利になるようにしてあげたいというお気持ちだと思いますので、その点はわかります。  しかし、問題は計算方式をどういう方式を採用するかということでありますので、共済制度の原則からいえば、原則として全組合員が同じ基準で計算するというのが妥当なのじゃなかろうかと私は思うわけでございまして……(「選択の仕方だ」と呼ぶ者あり)選択の仕方ですから、Aという方式を採用するか、Bという方式を採用するかということでございまして、私どもとしては、国家公務員共済に準じて同じような方式を採用したということであります。これは、ある意味では共済制度そのものの本質からくる問題があると私は思っておるわけでございます。先生のお気持ちはわかります。
  145. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 もうこれ以上続けません。したがいまして、大臣、有利になる人と不利になる人の選択ではなくて、不利な人を出さないために制度の選択の残されているということだけは意識して、理事会議論していただきますから、その点については十分御理解をいただきたいと思います。  これで終わります。
  146. 阿部文男

    阿部委員長 中西績介君。
  147. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほど中断いたしまして、大蔵大臣においでいただきまして審議が続行できるようになりましたこと、ありがとうございました。  そこで、問題は、先般の本委員会における大臣の答弁なりをお聞きしておりまして、我々としては納得できないということで留保してあったわけでありますけれども、その後、統一見解が出されたようであります。この点について、内容的なものについての説明をお願いします。
  148. 竹下登

    ○竹下国務大臣 前回、本委員会にお呼びいただきました際は、私も国鉄共済年金の担当大臣ではありますものの、藤波官房長官から、連合審査会に当たって政府の統一見解を申し述べます、こういうことが前提に置かれていましたので、おのずから答弁に限界があったわけであります。  この「国鉄共済年金についての統一見解」というのは、国鉄共済年金については、財政調整五か年計画の終わる昭和六十四年度までは、政府として、国鉄の経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。  以上については、昭和六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ることといたします。  なお、昭和六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう措置いたします。これが統一見解の全文であります。
  149. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、今統一見解を読み上げられましたけれども、「昭和六十四年度までは、政府として、」云々ということから始まり、「国鉄の自助努力と国の負担を含め、」云々ということになっている。国鉄が自己努力して果たしてこうした措置ができるのかどうか、この点はどうなんですか。
  150. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も国鉄の自助努力のみをもってしてすべてが解決するであろうというふうには思っておりません。国鉄の自助努力は今の時点で明確にはできませんが、財産処分等を含めて検討させていただくことに当然なろうというふうに考えておるところでございます。
  151. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、国鉄だけではできない、そこで自己努力をするというその具体的なものは今のところまだ明確になっていないということですね。言うとすれば国鉄財産の処分などということを含むような物の言いようでありますけれども、この国鉄財産処分の問題については、きょうは時間がありませんが、この分については大変多くの問題を含んでおると私は思うのです。  というのは、大臣も御存じのように、監理委員会の案の中を見ましても、この問題については、三十七兆円に上る長期負債の処理を含んで、そうした問題等についてどうするかということについてはまだまだ不明な点があるわけです。これでもってしても不十分だし、このことが果たしてそうしたものに充て得るかどうかということだって、私はまだ不明だと思います。  したがって、少なくとも責任ある大臣の物の言いようがあるといたしますならば、その次に来る「国の負担」、このことが大変重要な内容になってくるのではないか。というのは、この自己努力というのは大変な不確定要素を持っているわけですから、それよりもこの国の負担をこれからどうしていくかが非常に重要だと私は思いますが、この点いかがですか。
  152. 竹下登

    ○竹下国務大臣 そういう立場で御議論があるのは私は当然だと思っております。  しかしながら、国鉄の自助努力というものは、これは今までも、例えば第一段ロケットとでも申しましょうか、国家公務員共済、電電、専売、国鉄の合併の際の議論からいたしましても、国鉄の自助努力というものを初めから横に置いて議論するわけにはまいらないではなかろうかというふうに私は考えております。
  153. 中西績介

    ○中西(績)委員 横に置いてと言うけれども、もともと国鉄共済の赤字になった主要な原因が何であるかということを、今ここですべてを挙げて論議する余裕は時間がないのでありません。ですから、大変に残念だけれども、先般の連合審査の中におきまして論議されている過程を聞いておりましても、それから国鉄当局の皆さんにも先般お聞きしたのだけれども、それじゃどういう内容でもって国鉄共済に政府なり国鉄当局が今まで対応してきたかという、この歴史的なものから全部をひもといていくと、そこには我々がうなずけるような内容は全くないと言っても過言ではないのです。しかも、諸外国の場合の例を聞きますと、そういうものは調べておらないということを国鉄当局は言っておるわけですから。総理大臣は知っておるのだけれども、じゃ具体的な案があるかといったらそれはない。ところが、片や肝心かなめの運輸省なりあるいは国鉄当局はどうかといったら、その点については知らないと言うのでしょう。こうなってまいりますと、具体的にこの自助努力を云々と言うけれども、その次善の策なり何なりからいたしますと、その自助勢力というものに力を入れるといたしますと、これはまた破産状況にあるということが歴然としているわけですからそれに拍車をかける以外の何物でもないということが言えると思うのですね。ですから、少なくともこの自助努力ということがどういうふうになってくるのか、この点でもう少し話を進めますと、国の負担を含めてその後に諸般の検討を加えるということになっています。じゃ国の負担というのは何を指しますか。
  154. 竹下登

    ○竹下国務大臣 結論的に申し上げますと、支払いに支障のないようにいたします、これが結論でございます。したがってその中身として、「国の負担を含め」と、こう申しておるわけでございます。国庫負担のどの部分かと言われますと、およそ考えられることがあったとしても、この部分とこの部分でございますとかということはやはりいささか予見を持ち過ぎたお答えになるではなかろうか。したがって、一年以内に結論を出して、そして速やかに立法措置に入っていくというのが私が答える最大公約数ではなかろうかというふうに考えております。
  155. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、支払いに支障のないようにするというこれが前提でなければもう支払いができなくなっても仕方ありませんなどということは言えぬでしょう。だから、支払いに支障のないようにするということはわかりました。しかし、その方法論、どういう内容でもって支払いをしていくかということになりますと、財政的な裏づけがなくてはなりません。財政的裏づけというのはそれではどこにかけてやるのか。今、予見的なものを大臣が言うといろいろ後に問題が残るというような言い方でありましたけれども、これほど論議されてこのようになってきたのも、一つは、六十四年までは少なくとも他の共済に大きな負担を転嫁したり、あるいはそのことによってこれを解消していくなどということ、他の共済の面倒によって、負担によって解消していくということなどにはならぬということになるのですか。
  156. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは、私がたまたま国家公務員共済等で国鉄救済法案を出しました際に、いわゆる労働者連帯というものをいたく感じました。それはとうといことだ、余りそれを強調しましたので、もっともっと広げていくのじゃないか、こんなふうなある種の先入観を与えまして、それからこの種の質問をいただいておるところでございますが、いわゆる国鉄の自助努力が計算してさあ幾らになるかとかそういうことは現時点では言えません。国の負担につきましても、非常に下世話な言い方で私まとめましたけれども、理屈のあるものしか出せませんので現時点ではお答えができませんが、理論的には他制度からの連帯はあり得るわけでございますが、強いて言えば、現時点で考えておりませんと、こう申しておるわけであります。
  157. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣、一般的に言うならなかなか答弁うまいのか知りませんけれども、私はわからぬですね。私ごとき頭の回転ではなかなかわかりにくい。ですから、もうちょっと具体的に言いますと、あくまでも他の共済にこの期間においては負担をかけぬということをある程度明確にしないと、今大臣言うように、労働者連帯だとかなんとか言いますと、これは当然だということが前提になってくるわけです、我々の感覚からいくと。大臣の方から労働者連帯などということは今まで言ったこともなかったのだけれども、竹下大蔵大臣だけが労働者連帯ということを盛んに言い始めた。今まで政府は言わなかった、分断しようとしておったのですから。ですから、労働者連帯ということを強調すると、さっき大臣自身も言われたのですけれども、それを言うと他に転嫁をということにつながるのです。ですから、少なくともこの期間においては他の共済に迷惑をかけない、この点だけは明確にしてほしいと思うのです。
  158. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ちょっと時間がかかりますが、簡単に申し上げます。  いささか誤解を受けておりますのは、ああして国鉄五十八年度改正のときに、いわゆる国共済等の審議会がありました。その審議会一年もかかりましたでしょうか、そのときに、審議会ではございませんが、私は懇談会にはたびたび出させていただきました。そして個々の経営者側、労働者側、本当に一人一人と何日もかけて話をしましたときに、出た結論が労働者連帯というものであったときに、ありがたいなと思って深々と頭を垂れて手を合わせたいような気持ちでございましたという答弁が、五十八年にも実は残っておるわけであります。それを私が言いますと、すぐそれじゃもっと範囲を拡大するかというふうにおとりいただいたので、これは余り素直過ぎて申しわけなかったなと思っております。  したがって、私は、理論的には他制度からの連帯はそれはあり得ると思います。だんだん二元化の方向に行こうという意味において理論的にはあり得ると思いますが、この現時点でそれは考えておりません、こういうことをあえて申し上げておるわけであります。私の場合幾らか言語明瞭なれども意味不明というようなことが時々ございますので、その点は御容赦をいただきたいと思います。
  159. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣は将来のことまでかけて言ってはならないというのが先に立って物を発想しておるから、いろいろ言うものだから、我々わからなくなってくるのです。ですから、少なくとも私がさっき制限をしたのは、六十四年という限界までの間にはこれはもうかけてないのですね、こういうことを言っておるわけでありますから、他に広げないのだな、こういうこと空言っているわけですから、この点は問題ないと思うのですよ。そうしなければこれが出てくるあれがないのだから。
  160. 竹下登

    ○竹下国務大臣 現時点においては考えておりませんということは、六十四年度までということを今先生おっしゃいましたが、それを含めてお答えをすることができると思っております。
  161. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、問題は、御存じのように財政調整をするのに一年で四百五十億、ここでこの前答弁を願ったら、ところが実態としては七百億から八百億近い赤字になるということを言われました。ところが連合審査では、私は記録をしてあるのだけれども七百億から九百億、門田氏はそう言っています。ですから、それぞれの言い分がそれすらも全部違うということなんです。ですから、少なくともこうしたことからいたしますと、じゃ不足額が幾らになるかということ、究極不足類はどのくらいになるのですか。
  162. 坂本導聰

    ○坂本説明員 先日お答えいたしました不足額七百億円から八百億円と申しますのは、現在行っている財政調整四百五十億円のほかにその分だけ余分にかかる。これは六十年から六十四年度までの平均でございます。平均一年間にそれだけという意味でございます。したがいまして、国鉄の要員は次第に減っていくわけでございますから、初めのうちは減少額が少なく、終わりになってくると多い、それを五カ年平均すると七百億円から八百億円、こういう点でございます。
  163. 中西績介

    ○中西(績)委員 トータルすると三千億から四千億ということになるわけですね。
  164. 坂本導聰

    ○坂本説明員 ただいまお答えいたしましたように、一年につき七百から八百、この幅を持たせていただいておりますのは、実はどういう方がおやめになっていくかによって違いがあるからそういう幅があるわけでございますが、トータルとしては五倍、五年間の分でございますから、御指摘のような数字になると思います。
  165. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、私が不正確で、三千億でなくて三千五百億から四千億、こういうことになる生言っておるわけですね。  そうなりますと、今積立金が四千三百七十七億あるわけで、住宅貸し付けが一千百億、鉄道債券が一千三百億で二千四百億貸し付けしておるわけです。そうなると残る分二千億、こうした内容のものがあるのだけれども、これまで含めて取り崩しをしたとしても、先ほど言うような金額があるといたしますならば、これは財産処分だとかなんとか言っておりますけれども、まだ未確定の中身ですから、今あるもので計算をしますと、不足しますね。そうすると、では国の負担は何によってどうするかということを考えておかないと、今時点で一つの結論は出ないのじゃないか。六十一年度中に結論を得て速やかに具体的にすると言っていますけれども、そこいらを含めて全体的なものを出してくるということになるのですか。取り崩しまでしてやるということを考えようとしておるのかどうか、この点どうですか。
  166. 坂本導聰

    ○坂本説明員 御指摘のように国鉄の積立金は四千三百億あるわけでございますが、これも御指摘のように使えるものと使えないものとございます。ただ、どれだけ使えるかというのは、今後例えば住宅ローンをどうしていくかというような点があって必ずしも明瞭でございません。したがって、そういう点を考慮いたしましても、緒論的に言えば到底一年間七百から八百億穴があく分を埋め合わせるわけにはいかないわけでございます。ただ、そういった中で積立金を使うという点も当然考慮される問題だろうと考えております。
  167. 中西績介

    ○中西(績)委員 それまで使ってしまうということになりますと、それでもなお不足するわけですから、今度は国の負担か何かをまた補てんしなければならぬということに当然なってくるのです。そうなると積立金はゼロですよ。そうすると今度は、さっき言ったように、大臣が将来のことを考えて先走るといろいろ物が言えなくなるというのはそこにまたかかってくるわけです。  したがって、例えば一元化と言っておりますね。一元化をするとかなんとかということになってまいりますと、そういうところと一体的になる場合に、では保証金なしのものがどうなるかというようなことだってこれから論議されることはもう必然ですよ。だから、こうした点まで含んで、少なくとも国の負担というのは――出てきた赤字というのは国鉄の皆さんの責任じゃないのです。ですから、その人たちが肩身の狭くならないように国がどれだけ負担をするかという政治的な決断だろうと私は思うのです。それがこの六十一年度中に結論を得るということになると思うのだけれども、その点についての大臣の決意はどうなんですか。
  168. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは確かに、いろいろ詰めていかなければならぬと思いますが、最終的には、これは私一人で決めるわけではございません、もとより各方面との相談の上にやるわけでありますが、私自身は国庫大臣でありますけれども国鉄共済の担当大臣でございますから、その辺を踏まえた私自身にも政治決断をすべき点はあるだろうという問題意識は持っております。
  169. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしないと、この一番最後、「なお、昭和六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、」云々というここいらは、文章としてはあっても、今言うものが前提になってこないと、この六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講ずるということになかなかなりにくいわけですね。なぜかならば、他の共済との関係が、そこにコンセンサスを得ることができなくなってしまう。負債だけ持ち込んでいきましょうかなんという話になってくるわけですから、したがって、私はその点を強く指摘をしたわけであります。その点、大臣よろしいですか。
  170. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに、強いて申しますならば、その後はどうかというお尋ねに対しては、私も言葉を整理して、白紙であります、こう申し上げておるわけでありますが、今おっしゃいました意味は私は十分理解をいたしております。
  171. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣、入らないといかぬようですから、議場にどうぞ。  私まだ言いたいことがあったのですけれども、今言うようなことがこれから問題になるわけです。ですから、文部大臣にも聞きたいのだけれども、大臣やはりもう行かなければいかぬでしょう。そうするともうできないんだ、最後の文部大臣。――いいですか、それなら一問だけ。  そこで、文部大臣としては、今私が論議をしましたように、この経過があるわけですね。そうすると、大蔵大臣もそうした前提をある程度考えていかないといかぬだろうということを言っておりますけれども、私学共済というのは成熟度もまだ非常に未熟なんですね。したがって、そういうところが今度は大変なところと一体的になるというような条件が将来出てくる可能性があります。私はまだそのことについては了解はしませんけれども、その際に大臣としては、今さっき私が主張するようなことを十分主張をしてやるという意思があるかどうか。
  172. 松永光

    ○松永国務大臣 国鉄共済の救済問題であるわけですけれども、その処理の方法は、連合審査会で官房長官が申し上げ、かつただいま大蔵大臣が申されたとおりでございまして、その趣旨に沿って対処されるものと思いますが、この問題に関して私学共済を所管する文部大臣の立場はどうだという御質問と思いますけれども、私としては、全体の方向を踏まえながらも、私学共済年金制度の沿革等にも配慮をして、私立学校教育の振興に資するという共済のねらいが損なわれることのないように十分に検討して、対処をしてまいる所存でございます。
  173. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣がもう出なければいかぬようですから、不十分ですから、後で他の人のときに関連でまた質問をさせていただきましょう。  終わります。
  174. 阿部文男

    阿部委員長 午後四時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後四時四分開講
  175. 阿部文男

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場昇君。
  176. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、多くの人がこの私学共済改正案で質問したのですけれども、ずっと聞いていまして、ここでまじめに聞いておったのですけれども、どうしてもわからないのですよ。素朴な疑問ですけれども、なぜこの私学共済というのを改正しなければならぬのか、そのことが、基本的なことがわからないのですよ。そこで、最初に、なぜ私学共済を改正しなければならぬのかということについて端的に御説明してください。
  177. 松永光

    ○松永国務大臣 高齢化社会が到来することはもうだれでも認めるところであります、しかもそれが急速に。これに備えて給付と負担の均衡を図り、公平で安定した年金制度の確立がどうしても必要なんであります。この趣旨に沿って、民間の人々にとっては基礎年金の創設、厚生年金の給付の適正化のための法律が既に成立しているところであります。共済年金につきましては、私学共済の場合にはまだ相当の余裕がありますけれども、しかし、このままにしていけばいずれは給付と負担の均衡が崩れて、そしてえらいことになるというようなことがあるわけでございまして、そういった点を考え、かつ、公的年金制度一元化の観点からも、今回どうしても改正が必要であるというふうに考えまして、そこで法案を提案し、審議をお願いしている、こういうことでございます。
  178. 馬場昇

    ○馬場委員 給付と負担の均衡が崩れるというのは、私学共済は今から何年先のことですか。何年と言っていただけばいいですよ。
  179. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 現行のままで申しますと、二十一年後の昭和八十一年度に単年度収支が赤字になりますし、保有資産は三十年後の昭和九十年度に赤字に転じるというふうに見込まれるわけでございます。
  180. 馬場昇

    ○馬場委員 二十一年後あるいは三十年後、そこでいわゆる給付と負担が崩れるわけですけれども、そういう中で、大臣、この改正をいたしますと私立学校教職員が有利になる点が何かあるのですか。今、ことしこれを改正して私立学校教職員が有利になる点はありますか。
  181. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 全般的に申しますと、給付水準が下がるという点は先生指摘のとおりでございますが、制度自体としてみますと、従来不安定でございました組合員の妻の年金権が確立されることということが一つございます。それから、遺族年金の支給割合でございますが、現行は二分の一でございましたのが、それが四分の三に相なります。それから、退職共済年金、障害共済年金につきましては、現行では退職して初めて支給されますが、今回の改正では、六十歳以上で給与が低い者については、在職中でありましても一定割合、これは今二十万円ぐらいの所得の方で言いますと二割とか、さらに低い方につきましては五割とか八割の年金が支給されるということでございます。それから、組合員となって短期間で障害となりあるいは死亡した場合の障害共済年金または遺族共済年金につきまして、現行の最低組合員期間の十年分の年金額が保障されていたものが、二十五年分の年金額が保障されることに相なります。
  182. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣に政治的に判断を聞きたいのですけれども、さっき言われましたようにこの共済が二十一年後負担がちょっと危なくなる。今有利になる点を尋ねたのですけれども、まさにスズメの涙はどの部分的なものはありますけれども、不利になるものが怒濤のごとく流れてくるわけですね。これは本当に組合員並びに給付を受けている者にとってはマイナス、不利になる点が非常に多い。そういう中でこの法律を提案されるときに何か心が痛まなかったかという点と、もう一つは、何に一番留意をなさったのですか、文部大臣として。私学共済を管掌している大臣としてこの改正を出すときに、非常に不利になるのだから、そういう中で少なくとも何を留意なさったかということをちょっと聞きたいのです。
  183. 松永光

    ○松永国務大臣 この制度で妻の年金ができてくるわけでありますが、長期的な観点に立たなければいかぬわけでありまして、先ほど審議官がお答えいたしましたように、今のままでは八十一年度から単年度収支が赤字になる、九十年度には積立金がなくなる、こういったことになっているわけでありまして、現在ただいま働いている人あるいは年金をもらっている人のことだけを考えてはいかぬわけでありまして、子や孫の時代がどうなるかということを考えますと、長期的に安定した年金制度を今のうちにつくっておいて、そして世代間の公平を図る、それから制度間の公平を図る、こういったことで、安心してすべての人が年金をもらえるようにということで公的年金制度の一元化というものがあるわけでありますが、私学共済の場合におきましても、自分たちのところはまだ成熟度が若いからというわけでやっておるわけにはいかぬわけでありまして、公的年金制度一元化という流れに沿いながら、同時に、私学共済そのものとしても長期的展望に立って安定した年金制度をつくり上げる、そして安心して年金が受け続けられるというようなことを今確立しておく必要がある、こういうことで改正をお願いしたようなわけでございます。
  184. 馬場昇

    ○馬場委員 まさに空虚な答弁にしかすぎないわけですけれども、子や孫の時代とおっしゃいましたけれども、ほかの年金なんかはいろいろ成熟度がありますね。そういうほかの例を見るまでもありませんけれども、少なくとも今この年金を取り巻く状況というのは非常に悪いですね。例えば国鉄共済という破綻に瀕したところをどう救うかという議論が片一方である。さらに片一方で、大きく見ると「増税なき財政再建」というのを今やっている。そういう中で、あなたは、この間は五十年とか百年先、今は子や孫の時代と言われた。一番条件の悪いときにそんな五十年先、百年先、子や孫の時代を考えるのじゃなしに、国鉄の共済が再建をした、増税なき財政再建もできた、そういう環境の中で子や孫の時代というものを考えてやれば、今出ているような改正案、こんなお粗末な組合員やら受給者に犠牲を強いるようなことはあり得なかったと思うのです。文部大臣としてその辺のことを主体的に考えなければならなかったのじゃないか、これを提案するときに。しかし、横並びだとか命令だとかそういうのをはいはいと受けて、今言われた答弁なんかでは、そういう担当大臣の気持ちであればそれは哀れなものは組合員ですよ、受給者ですよ。私は、その点について強く、こういうものは今やるべきでないということで、本当はここでこれを撤回しなさいということを要求すべきだ、こういう気持ちで今いっぱいでございます。  そこで、その論点から申し上げますと、それにかかわりまして国庫負担の問題についてお尋ねしたいのです。現在の私学共済に対する国庫負担の率は幾らですか。
  185. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 ただいま国庫補助をやっておりますのは給付費用の百分の十八でございます。
  186. 馬場昇

    ○馬場委員 現在百分の十八です。そこで、この改正案によりますと基礎年金拠出金の三分の一が今度は公的負担になっておるわけでございますね。あとはみんな労使の折半になっておる。  そこで、具体的にお聞きしたいのですけれども、現在私学共済に百分の十八の国庫負担がある。改正されましたときに基礎年金の三分の一だということになりますと、例えば来年度実施された後の私学共済に来る金はどれくらい変わりますか、国庫負担は。
  187. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、国庫補助の方法が変わるわけでございますが、その場合の見通しでございますが、昭和六十一年度で現行制度を前提としました場合には約百億円ぐらい、それから新しい国民年金への拠出金の三分の一ということになりますと、むしろ逆にふえまして、これは百五十億円ぐらいになるということでございます。これは何でふえるかと申しますと、今度の国民年金への拠出金といいますと、現在の組合員とその被扶養の奥様の分の率に応じまして、毎年必要な金額からその比率に応じてお金を出すというようなことに制度的な改正がございますので、今申しました増加額に相なるわけでございます。
  188. 馬場昇

    ○馬場委員 そうすると、ちょっとわからなかったのですけれども、国庫負担というのは現在百分の十八出ている、それから今度の改正によって私学共済に対して国庫負担がどんどん今みたいにふえていく、こういう改正になっているのですか。
  189. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 これは先ほど先生からお話のございましたように、私立学校共済組合の成熟度がまだ低いということがございまして、成熟度が低いといいますのは現在組合員が支えております年金受給者の数が少ないということでございまして、今の制度はそういう年金受給者に対する給付費の百分の十八をお出しするという格好になっております。それで比較的今は低くなる。ただ、今度制度改正で、国民年金の拠出金に出します頭割りの勘定でございますが、これにつきましては組合員とそれから組合員に扶養されております奥様の分を出す、それで多いということでございますが、これは先の方に参りますと、例えば昭和九十年度をとらせていただきますと、現行制度でまいりますとだんだん成熟度が高まってまいりますので給付費用の分も上がってくるということがございまして、昭和九十年度で約六百六十億円ぐらいになるだろう。それで、もう一つの国民年金の拠出金は、そんなに組合員の数あるいは被扶養者の数がふえないものでございますから、これは四百三十億円となるというふうに予想されるわけでございます。
  190. 馬場昇

    ○馬場委員 じゃ、逆の方からまた質問をいたしますと、共済年金の給付ですが、この改正によりまして給付はどうなりますか。
  191. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 今度の全体の給付水準でございますが、これにつきましては、減り方といいますかそれにつきましては今いろいろな調整がございまして、約八割強ぐらいになるであろうというふうに考えられます。
  192. 馬場昇

    ○馬場委員 給付は、結局年金の裁定の基礎が下がりますね。それから、本俸だったのに手当を加えますから、それで約一五%ぐらいふえると思う。それから乗率を考えますと一〇%ぐらい減。私の計算では給付は大体三五%ぐらい現在よりも下がるのじゃないか、こう計算をしておるのですが、そうじゃありませんか。
  193. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 私が今八十数%と申しました根拠をまずちょっと御説明さしていただきますと、まず、五十九年度の新規裁定者の平均でございますが、それで試算いたしますと、夫婦とも六十五歳以上の場合ですと完成時ではおおむね現行水準に比べまして平均八六%ぐらいでございます。  それで、今先生から御指摘のございましたものでございますが、従前の給与水準の低い者につきましては、その多くが今回制度改正による年金裁定方式に類似しますいわゆる通年方式ということによっておりましたので、その給付水準については今回の制度改正によりまして影響は比較的少なくて済むわけでございますが、給与水準の高い方の方がより強く効いてくるというようなものであるというふうに理解しておるわけでございます。
  194. 馬場昇

    ○馬場委員 では、端的に聞きますけれども、まず勤続年数四十年、そういうモデル事例でもって、例えば年金の裁定の基礎になる平均本俸、これは大体、現在とこの改正でどう違ってきますか。
  195. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 私学共済の場合には勤続年数が四十年の方が比較的少ないものでございますから、その数が余り多くないので、完全にこれが正確なものかどうかはちょっとわかりませんですが、一応私どもの試算によりますと七七・二%ぐらいになるのじゃないかということでございます。
  196. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、今お聞きになっておって、いろいろ数字は少し食い違いもあるようでございますけれども、まずこの改正によって給付の水準が三〇%程度は下がるということは大体明らかでございます。これはほかの共済も大体そうなるわけでございます。そういう中で、これだけこういう時勢に下がる。  ここでもう一つ聞いておきたいのは、国際的には例えば、これはもう公務員の場合しかないのですけれども、日本の年金の水準というのは、公務員を比較した場合に国際的にどうなっているのですか。高いのですか、低いのですか。
  197. 山内豊徳

    ○山内政府委員 恐縮でございますが、公務員年金を国際比較しました資料につきましては、厚生省ではちょっと手持ちがございません。
  198. 馬場昇

    ○馬場委員 そういうのは文部省にもないのですか。
  199. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 そういう資料は持ち合わせておりません。
  200. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、例えばこういうものを審議するときに、国際的な年金がどうなっているか、こういうことなんかはきちんと調べて、そういう中で日本の年金はと――中曽根さんはすぐ国際社会、国際社会と言っているじゃありませんか。私が調べたところによりますと、日本を一〇〇といたしますと、フランスが一六一、アメリカが一五三・九、西ドイツが一三九・二、イギリスが一一九・三、こういうのが現在の比較、そして今度の改正で引き下げられますと、欧米諸国の半分近くになってしまう、こういう資料を私は実は持っておるわけでございます。だから私学も、少しは違うかもしれませんけれども、絶対に高くはない。これが一つの裏から見た問題、現実の問題です。  もう一つ、じゃ掛金は、現在とそれから改正になった場合にどういうぐあいになりますか。
  201. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 長期的な見通しの場合と今度改正になった場合の掛金の見通しとが若干違うわけでございますが、現在のままでいきますと、掛金はやはり三・数倍まで上げていかなくてはいけなくなるであろうということでございます。
  202. 馬場昇

    ○馬場委員 現在の私学の掛金は大体何%ですか。
  203. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 現在は千分の百二ということでございます。
  204. 馬場昇

    ○馬場委員 これがどんどんまたこの改正によって上がっていく、こういうことになるわけでございます。そこで今度の改正は、組合員と給付を受ける者にとっては、来年すぐあらわれるあるいは年数を置いてあらわれるということはあっても、結局、掛金は高くなるわ給付は低くなるわ、何一つとっていいことはないのじゃないですか。  大臣、そこで私は、国鉄の共済を救済する、それから中曽根内閣が進めておる財政再建、その一環、この二つのところからくる改正であって、私学そのものについては当面必要はないこと、そこからのしわ寄せでやらざるを得なかった、こういうような改正ではないか。そういうときに、私学を預かっておる文部大臣というものは、そういうすべて悪くなる、ほとんど悪くなるというものについて何かをやはり発言をし、そしてそこに手当てを加えるというようなことが必要だったのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  205. 松永光

    ○松永国務大臣 今度の私学共済自体の改正をお願いしておるのは、それだけでは国鉄の共済の救済とは直接的には関係ありません。それは別の問題として、政府がする対処方針というのは、先ほど申し述べたとおり、官房長官が連合審査会で申し上げ、かつこの委員会で先ほどの時間帯で大蔵大臣が申したとおりでありまして、そういう方向で政府は対処するものと考えております。  私どもが私学共済の改正案をお願いしておるのは、繰り返して申し上げますと、現在のところは私学共済は組合員数が多い、そして年金の受給者が少ない、すなわち成熟度がまだ非常に若いということで、しばらくの間は余裕があるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、八十一年度、あと二十年いたしますと単年度収支が赤字になる、そして、それからさらに十年した昭和九十年度には掛金率据え置きのままでは積立金がなくなる年になる、こういうことでありまして、現在はよろしい、しばらくの間はよろしいけれども、いずれ大変な危機的な状況が出てくるわけでおりますから、そのときになって改正しようとすれば実は大変な問題になりますし、またそのときの人たちが大変な負担をしなければならぬということになりますから、今のうちから世代間の給付と負担の公平を図っていくということで今回の改正をお願いしたということでございます。
  206. 馬場昇

    ○馬場委員 そこで、今国鉄の問題について触れられましたので、その点について少し質問を申し上げておきたいと思います。  先ほど中西議員も大蔵大臣にも質問をしたところでございますが、特に文部大臣にお聞きしておきたいのは、私学共済から将来国鉄共済に対する財政調整について文部大臣はどうお考えになっておられますか。
  207. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、政府の方針は連合審査会で官房長官が申し上げたとおりでありまして、そしてそれに補足してこの委員会で大蔵大臣が御説明申し上げたとおりでございます。したがいまして、この趣旨に沿って対処されるものと考えております。  私学共済を所管する文部大臣はどうなんだということでございますが、全体の方向を踏まえることが一つ、もう一つは、私学共済年金制度の沿革に配慮することが一つ、そして、私学共済というものが私立学校教育の振興に資するためにこの制度ができておるわけでありますから、そういうねらいが損なわれることのないように十分検討して対処していかなければならぬというふうに思っておるわけであります。
  208. 馬場昇

    ○馬場委員 国鉄共済の今日の危機というのは、先ほども議論されましたけれども、これは決して国鉄の責任ではない、国鉄の労働者の責任ではないわけでございます。一にかかってこれは政府に責任があって、政府の責任でこの危機に瀕した国鉄共済を建て直さなければならぬ、これが私は原則であろうと思います。  そういう中で、具体的に聞きますと、六十一年度から六十四年度までに、官房長官の政府の統一見解があるのですけれども、私学共済から国鉄共済に繰り入れるということは絶対にない、こういうぐあいに理解していいのですか。
  209. 松永光

    ○松永国務大臣 それは政府として責任ある立場で藤波官房長官がお答えしたとおりだろうと思いまして、「国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。」これが政府の統一方針なんでありますので、その答弁の趣旨に沿って対処されるものだというふうに私は考えております。
  210. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたは国務大臣ですから、政府の統一見解というのは中身を十分御存じと思うのですよ。そういうときにだろうと思いますとかそういうような答弁じゃ話にならないわけです。少なくともあなたは私学共済の管掌大臣であるし、政府の閣僚の一員、政府統一見解というのは十分御存じと思うのですよ。そういう中で、念を押して言いますけれども、この六十一年度から六十四年度まで私学共済から国鉄共済に財政を繰り入れるというようなことは絶対ないのか、そう理解していいのか、こういうことを聞いているんですよ。それはあなたが責任者ですから、答えてください。
  211. 松永光

    ○松永国務大臣 現時点ではそういうことはないだろうと私は思いますが。
  212. 馬場昇

    ○馬場委員 現時点というのは六十一年から六十四年までのことですか。じゃ、この期間中は繰り入れることはない、こう理解していいんですね。
  213. 松永光

    ○松永国務大臣 現在の私の立場、現在で見るところでは六十一年度から六十四年度までの間に私学共済の方で応援するというような事態はないだろうというように、現時点では私は判断いたしております。
  214. 馬場昇

    ○馬場委員 だろうという判断じゃなしに、あなたが管掌の国務大臣だから、私学を担当しておる者としてだろうと思っているけれども、そうではなかった、変わってきた、いたし方なかったとか、そういうような態度じゃいけないと思うのですよ。  もう一つお聞きしておきたいのは、後でこの問題は、さっきちょっと質問を残しました中西委員関連質問いたしますけれども、六十五年度以降はどうなるのですか。私学共済から国鉄共済に入れるとか入れないとかの問題、六十五年度以降はどうなんですか。
  215. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、私学共済を所管する文部大臣の立場として申し上げますと、全体の方向は一つあるわけでありますが、それも踏まえなければならぬことは事実なんでありますけれども、しかし、私学共済のそもそもの沿革、そして私学共済は私立学校教育の振興に資するというねらいでもって制度ができておるというようなこと、こういった点を十分踏まえて、誤りのないように対応していきたいというふうに考えておるわけであります。
  216. 中西績介

    ○中西(績)委員 ちょっと関連質問。  今、馬場委員の方からお聞きしておりました点で関連をしてぜひお聞かせいただきたいと思いますけれども、その前に国鉄共済の方お見えですか。国鉄の方はお見えですか。――共済だけですね。
  217. 小玉俊一

    ○小玉説明員 お答えいたします。  国鉄の場合に、国鉄共済組合の事務局を私どもが兼ねてやっておりまして、そういう意味では私は国鉄でもありますし、国鉄の共済組合事務局でもある、こういうことでございます。
  218. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほども指摘をしたわけでありますけれども、総理大臣はこの年金制度そのものについて、西欧の国有鉄道関係の国からの負担なり内容等について知っておるというけれども、先般来られた国鉄の方あるいは運輸省の方については、どうした内容で国庫負担がされておるかということを知られておらなかったのですね。そして、この前の国鉄の方に答弁いただいたのは、国からの助成金はこれだけありますということを言われただけであって、実は年金にかかわる部分については全く触れないままであったわけであります。したがって、日本の場合の国鉄共済年金に対する援助額がどれだけの枠になっておるかということは皆目わからないという実態になっておるわけですね。ですから、私たちはこの国鉄の今の助成措置というものは、年金という部分に関しては助成されておらない、国庫負担はないという認識に立っておったわけでありますが、この点どうですか。
  219. 小玉俊一

    ○小玉説明員 国鉄共済組合に対しまして、国の助成というものは入っておりません。
  220. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、国の助成はゼロだということですから、そこで文部大臣にお聞きをするわけであります。  先ほども言われておりましたように、私学の共済制度そのものは私学振興に資するということが大きな目的であるということ、これは法律の中にもそのことがうたわれておりますから否定はいたしませんが、こうした生活基盤安定を図る、そして最低生活をどう保障するかということなしに、今言われたように私学教育振興のために安心して働けないというのがあるのでこうした制度を設けたと私は思います。そうなってまいりますと、さっきも言われるように、先ほど論議をいたしましたように、この国鉄問題についてはほとんどといっていいほど国の助成措置がないし、それについて論議も余り今までされてきてない。そして、今こうして大変な赤字になり、しかも先ほどの大蔵大臣の答弁によりましても、六十四年までについてはある程度措置をする、国の負担でやろう、こう答弁がありましたけれども、それから以降については全く皆目わからないということになってまいりますと、この責任があくまでも国鉄の共済組合員のものでないということを確認した上でいかなくちゃならぬと私は思います。国鉄のそうした組合員の皆さんは何も責任ないと私は思うのですけれども、この点はどうなんですか。文部大臣はどう受けとめられておるのですか。     〔委員長退席、一船田委員長代理着席〕
  221. 松永光

    ○松永国務大臣 ちょっと恐縮ですが、今の先生質問の趣旨がよく私にはわからなかったのです。
  222. 中西績介

    ○中西(績)委員 国鉄が破産状態になっておるという実態は、これはもう現実の問題としてあるわけですね。ところが、このようになってきたその内容は、先ほどから言っておるように国からの措置は全然されてない。この前の連合審査でお聞きいただいたように、多賀谷委員が言っておりましたように、諸外国の場合には全部それが措置されてきておるわけです。我が国の場合だけこれは措置されてない。その額は、もうここで全部説明しようとすると長くなりますからやめますけれども、大変な金額になるということですね。ですから、そういう条件の中におきまして、こうなった原因というものは国鉄で働いておられる皆さんの、共済組合関係組合員の責任ではない、私はこう言っておるわけでありますけれども、その点は文部大臣はどうとらえられておるのですか。
  223. 松永光

    ○松永国務大臣 私は国鉄共済を所管する立場ではありませんものですから、そのことについてああであるこうであると言う立場にないわけであります。したがって、私の方からはイエスともノーとも答えることはできません。
  224. 中西績介

    ○中西(績)委員 それじゃお聞きしますけれども、いよいよこれから、先ほど答弁あっておりましたこの統一見解の中身ですね。統一見解については、これは「六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入ることといたします。」ということで、先ほどもやりとりがありました。そうすると、この四千三百億の積立金も取り崩してしまってこれはなくなってしまう。そして、今最高の掛金と、それからスライド制も全部ストップしちゃう、こういうすべての条件の中に置かれておるということになってきますと、六十五年度以降については七十年に向けての一元化を図っていかなくちゃならぬということは、先ほど馬場委員指摘をしたとおりであります。そうなると、私学だけが独立をしておることができるのか、その点どうなんですか。
  225. 松永光

    ○松永国務大臣 その問題につきましては、先ほどからお答えいたしておりますように、私学共済年金を所管する文部大臣の立場としては、公的年金制度一元化という全体の方向を踏まえつつ私学共済年金制度の沿革にも配慮をして、そして私立学校教育の振興に資するという私学共済の目的、ねらい、こういったものが損なわれることのないように十分検討して誤りなきを期していきたいというふうに先ほどお答え申したわけでありますが、そのお答えを繰り返さざるを得ないわけであります。
  226. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなりますと、今あなたが言われたことを具体的に実現するためには、私たちから言わせると全く責任のない、そういう人々は今大変な状況に置かれておる。将来的には一元化すると閣議では決定しているわけですから、目指すということは決定しているわけですから、そのことは大臣は外れることはできないのですよ。そうなると、そのような実態にあるものと、二十年後赤字になるといって今騒いでこの問題を、組合員にとっては大変不利になることを強行しようとまでいたしておるわけですが、そういうものにさらに今度拍車を加えるようなものについて一元化しなければならぬというようなことになってまいりますと、今まで言われたことを守り通す、そのためにはどうしたらいいのですか。
  227. 松永光

    ○松永国務大臣 今提案を申し上げておる法案が審議が終わってそして成立、施行させていただければ、長期的な展望に立って安定した私学共済の基盤ができ上がるというふうに考えるわけでありまして、そのでき上がった基盤を保持していきたいというふうに考えるわけであります。
  228. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういたしますと、国鉄問題を含んでもそうした基盤ができ上がるということを意味しているのですか。
  229. 松永光

    ○松永国務大臣 国鉄共済の救済につきましては、先ほど申し上げましたとおり連合審査会で官房長官が申し上げました、また、この委員会でもそれに補足して大蔵大臣が申されました、それで処理されていくわけであります。
  230. 中西績介

    ○中西(績)委員 具体的には何も出ていないのですからね。私が言っておるのは、初期の目的があって、それに沿ってずっとやっていくわけですね。そのためには今度のこの法案を成立をさせることによってさらに安定化するということを言っています。その安定化というのは、先ほど審議官から答弁ありましたように、将来は三倍もの掛金を取るということでしょう。そしてしかも、支払う金額は、国民年金から試算をいたしましても、基礎年金と言っておりますけれども、七万円を超える分がわずか五万円で抑えられる中身であります。ですから、支払う分についてはうんと切り込んで三倍もの掛金を取って安定化という言い方なんです。それは実際に運営をするだけを考えていったら安定化でしょう。しかし、我々国民の側からいうと安定化ではないのですよ。なぜなら、三千九百円掛ければ四十年経過すれば五万円の年金が実現できるじゃないですか、基礎年金で。それを今の五千五百円をさらに三倍くらいに引き上げなければならぬという実態でしょう。何をもって安定化と言っているか、全然わからぬですよ。それに今度は今言う責任のない国鉄の問題まで含んで実際にやらなければならぬということをこのことは示しているわけです、六十五年以降。だから、そうしたことに賛成ですかと私は聞いておるのですよ。所管大臣ですよ。私学年金を担当する所管大臣としてどうか、こう聞いているわけです。官房長官じゃないですよ。
  231. 松永光

    ○松永国務大臣 ちょっと先生質問意味が、私とりがたかったわけでありますけれども、国鉄共済の救済問題はしばしば繰り返し申し上げておるとおりであります。  私学共済の改正をお願いしておるのは、現在のところは言うなれば成熟度が若うございますからいいのでありますけれども、長期的展望に立って考えれば、このままではいずれ私学共済も大変な状態になる。世代間の負担の公平ということを考えますと、今回お願いしておるような改正措置をやらざるを得ない、やってもらいたいということでありまして、この改正をしていただければ、私学共済の基盤というものが長期的な立場から見ても安定をしてくるというふうに考えておるわけであります。
  232. 中西績介

    ○中西(績)委員 もう全く私たちが指摘することに対して触れようとしない、意図的にですね。  ですから、厚生大臣が来たようですから馬場委員に譲りますけれども最後に一言だけ国鉄の方にお聞きしますけれども、先ほど言った、文部大臣は答弁できないと言っておるけれども、組合員の責任ですか、このように赤字になったのは。
  233. 小玉俊一

    ○小玉説明員 過去の問題はさておきまして、今後の国鉄の共済財政が危機に瀕するという最大の原因は、国鉄の経営改革、これを進めれば進めるほど要員事情が悪化いたしまして、その結果財政が悪化する、こういうことでございます。
  234. 中西績介

    ○中西(績)委員 過去のことを言わなければ、全く避けたことになるのですよ。人の責任みたいなことを言っておるでしょう。こういう態度だから問題なのですね。このことがもう歴然としておるわけですよ。要求すべきは要求をし、解決すべきは解決していかなければならぬ多くの問題があったのに、全くされていないというのが国鉄の現状ですよ。年金制度そのものについても、他国との比較、全部されてないでしょう。それと同時に、今度はそういう無責任な体制と一緒になる。何も組合員の責任じゃないわけですから、少なくともここでの掛金あるいは給付金、これをこれからどんどん減額をしたりなんかする、あるいは増額をしたりするというのは絶対にあってはならぬわけですよ。そういうことを抜きにしてすべてがやられておるところにこうした問題が依然として残っておるわけです。  ですから、いずれにしましても、文部省は主管官庁として、この問題についてむしろ積極的にそうした面についての新しい政策なり何なりを求めてでも、国鉄財政を正確に我々が把握できる体制にして六十五年以降を考えていかぬと大変なものを背負い込むわけでありますから、この点はもう答弁は要りません。大臣はぜひそうしたことを認識した上で、逃げでなくて、積極的な面でどうするかを十分考えていただきたいと思います。これはまた後日時間をもらってやります。
  235. 馬場昇

    ○馬場委員 厚生大臣にお尋ねいたします。  この委員会にもたびたびおいでいただいておるわけで、私もこの場所でまじめに答弁議論も聞いておるのですけれども、先ほど文部大臣にも言ったのですけれども、今度の公的年金制度の改正、本当に何のために改正するのかということがわからないのですよ。どんなに議論を聞いておっても、答弁を聞いてもわからない。  そこで、さらに念を押して、厚生大臣、今度の公的年金制度は何のために改正をするのですかということに端的にお答えいただきたいと思います。
  236. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 公的年金の改革の理由は、これから迎えます高齢化社会の到来に備えまして、公的年金制度が長期間公平でかつ安定的に運営していくために、その基盤を確保するということでございまして、こうした観点から、具体的には基礎年金の導入により制度間の格差の是正を図るとともに、現役勤労者との所得水準のバランスを考えて年金給付水準を将来に向けて適正化しながら、ピーク時、いわば年金をお受け取りになる方がピークに達するときの保険料負担も軽減しようということでございまして、この国民年金、厚生年金の考え方に同趣旨のものとして六十一年四月に実施できるようお願いを申し上げたいということでございます。
  237. 馬場昇

    ○馬場委員 それはこの前も御答弁いただきまして、それを聞いてもわからないのですけれども、じゃあ聞きますけれども、この改正で真の年金改革というのができるのですか。真の年金の改革というのができるのですかどうですか、端的に答えてください。
  238. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 今度の、お願いしております共済年金改革法によって基礎年金の導入ができるわけでございまして、その場合に、厚生年金、国民年金とともに、一つの共通項目としての給付の面でのある程度の公平が一段落するわけでございまして、その後におきまして、いわゆる所得比例方式その他の面につきましては今後制度間の調整というものも考えていきたい。それは基礎年金が導入できるようになりました暁、昭和六十一年四月からその検討に入りたいというふうに考えておるわけでございます。
  239. 馬場昇

    ○馬場委員 とれは公的年金の共通基盤、共通項ができ上がるんだというようなお話でございました。その基盤の上に立って公的年金の一元化というものを考えておられるわけでございますが、じゃあこの公的年金の一元化の計画はどのようなスケジュールとかどういう計画でもって進んでいくつもりであるか、その点について御説明ください。
  240. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 公的年金一元化は、先ほど申し上げました給付と負担の公平、制度の安定を図ることを目的としておるわけでございまして、この一元化も、ただいまのところでは、統合するのかあるいは制度間の財政調整を行うのかということもまだ決まっていないわけでございまして、この六十一年四月以降そういうことを検討していって、昭和七十年には一元化を行おうということでございます。そのスケジュールその他につきましては今後の問題でございます。
  241. 馬場昇

    ○馬場委員 今の一元化の計画というのは六十一年度、統合をするのか、別々にしておいて財政調整をするのか、そういうことを今から検討するとおっしゃったわけでありますけれども、文部大臣は、このことで孫子の代まで盤石とした年金改革ができるんだ、そういう答弁をなさっておりますけれども、六十一年、来年具体的なそういうことを話をするという今の答弁でございまして、文部大臣の答弁は、五十年とか百年とか言われましたし、孫子の代までと言われましたが、そういうできたこの改正、それが六十一年度いろいろの角度から検討もなされていくということでございますので、孫子の代までこれでいくんだ、これでいいんだというような感覚で私学共済を扱ってもらっては、これは大変なことだというようなことを今も感じておる次第でございます。  そこで、厚生大臣、この政府の国庫負担の将来あるべき姿というか、国庫負担はふやすべきだとかあるいは減らすべきだとか、国庫負担の公的年金に対するあるべき姿は厚生大臣どう考えておられますか。
  242. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国庫負担につきましては基礎年金の三分の一ということで決めておるわけでございます。したがって、現在の情勢から考えますと、この基礎年金そのものの額が五万円でありますけれども、これをどういうふうに考えるかといういろいろな御意見もございます。ございますけれども、その給付をいじるということはすなわち負担、これは加入者の保険料並びに国庫負担に影響してくる数字でありますので、現在の情勢では今の三分の一という数字を変えるということは非常に困難であり、またあらゆる方面に影響いたしますので、現状水準を守っていきたいというふうに考えております。
  243. 馬場昇

    ○馬場委員 先ほども文部大臣に言ったのですけれども、今度のこの共済年金の改正というものは、国鉄が破綻に瀕しておる、これを救済するというふうな問題がありますね。それから、「増税なき財政再建」という路線の中で国庫負担を減らしたい、こういうところから出ておって、本当に将来年金で福祉を充実して憲法二十五条に基づく健康で文化的な暮らしを日本の国民がする、そういう立場から行われておるのじゃないんじゃないか、私はそう思います。  そこで、今基礎年金の三分の一を国庫負担で見るとおっしゃったけれども、この基礎年金そのものが額をまだ上げなければいけない、こういうぐあいに私は思うのです。少なくとも今度のこの法改正で基礎年金の三分の一を改正してもう少し上げるべきだと私は思いますが、大臣、これは財政再建というのもありまして、だんだんだんだんふやしていって基礎年金くらいは全部国で見る、そういう方向に進んでいくべきだと私は実は思うのです。そういう意味で、この基礎年金を年々ふやしていって国庫負担をふやしてこれは全部国で見るという方向に進めるべきであると思うのですが、大臣はどうですか。
  244. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この制度につきまして国庫負担をこれ以上ふやすということは、今日の財政事情から極めて困難であるわけでございます。それとともに、我が国の年金制度は社会保険方式で運営されておりまして長らく定着をしておるわけでございます。したがって、国の負担全部で行うということになりますと新しく租税の負担を課さなけばならぬということで、国民の合意が得られるかどうかという問題がございますと同時に、掛金をこれまで掛けてきておられたことも考えますと、なかなか容易に踏み切れる問題ではないというふうに考えます。
  245. 馬場昇

    ○馬場委員 この改正によりまして、今日まで各共済に国庫補助金が出ておるわけですね、この国庫補助金が基礎年金の三分の一ということに今度なりまして、そうなった場合に、今日出ておる国庫補助金、それがこの三分の一になった場合に当面はどうなるのか、あるいは将来はどうなるのか。私は国庫補助金というのが減っていく、あるいは逆に言うと減らすためにやった、こういうぐあいにも考えるのですけれども、その推移はどうなっていきますか。
  246. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この国庫補助につきましては、改正前に比べますと国庫補助のふえ方が減る、ただし現在の国庫補助金よりもふえることはもちろんであります。また、保険料をお払いになる方も従来のものよりもうんとピーク時における負担が減ってくる。そのためにある意味で給付の適正化というものを図ったわけでございます。したがって、国庫補助金を減らすために行ったということではございませんで、年金制度が長期に安定をするために給付の適正化を行った、その結果国庫補助金のふえ方が少なくなったというふうに御理解いただきたいと思います。     〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
  247. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、最近国家予算の編成を見ておりますと、国民はだれでも言っておりますが、福祉がだんだんだんだん後退していっておる、教育もだんだんだんだん後退していっておる、それに比べて軍事費がどんどんどんどん突出しておる、これは国民だれしも批判をしておるのですね。だから、こういう今日の、私どもに言わせますと軍事大国化路線といいますか、そういう路線の中でやはり国庫補助というのは減らされていっているんじゃないか。そしてまた、今、国鉄の分割・民営化という中で、国で経営しておった国鉄を民間にやる。教育の中では教育の自由化という議論が行われて、学校設立の自由そして学校選択の自由、言うならば公教育というものを後退させる、そういうことが風潮として出ておるわけでございます。そういう中でこのことが行われてきておる、こういう現状にあるわけでございまして、国庫負担が減っていく、社会保障制度の後退だ、そうなっていく、私はこういうぐあいに思うのですが、大臣は、社会保障制度はこの年金の改革によって後退するのか前進するのか、どういう判断を持っておられますか。
  248. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、年金制度の基盤を安定化するわけで、そのためにやっておる改正でございますので、社会保障制度の基盤がかえって安定をするというふうに思いますし、また、これからそれに必要な予算は我々が努力をして獲得していかなければならないと考えております。
  249. 馬場昇

    ○馬場委員 長期安定と言われますけれども、その中ではいわゆる社会保障制度を後退させないというのだったら、国のかかわり、国庫負担というものをきちっと、例えばさっき言いましたように、基礎年金は全部国で見るんだ、そこで安定をさせていくんだとか、長期安定、その路線に例えば国庫負担がどうかかわってくるか、これはふやさなければならぬわけですけれども、そうして本当の意味の社会保障制度の前進というものを考えていただきたいと思います。  次に、具体的な問題で、例えば既裁定者のスライドが私学共済では今度当分の間なくなっているのです。そういう点について、既裁定者というのはお年寄りに決まっている、ほとんどお年寄りです。この人たちが、だんだん物価も上がる、そして普通の人たちの賃金も上がっていく、そういう中でストップするということは、そういう高齢者を生活困窮に陥れてしまう、これは暴挙と言ってもいいぐらいな内容ではないかと私は思うのです。そういう点を考えますと、厚生年金にはストップはないようでございます。これは私の調べ違いかどうか知りませんが。私学共済にはそれがある。そこは私学共済と厚生年金なんかが均衡を失してはいないかと思うのですが、これは厚生大臣、文部大臣、両方からお答えしていただきたいと思います。
  250. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほどから制度間の公平ということを申し上げておりますように、厚生年金に比べますとほかの共済年金はかなり有利な給付を受けておられたわけであります。しかし、将来ということを考えますとなかなかそのとおりにはいかないだろうということで、これからの今働いておる若い方々は今現在の既裁定者よりかなり低い水準になるだろうと思います。そうしますと、これから引退する人はそう高い年金がもらえないのにもかかわらず、一つの世代だけ、団塊的な世代だけが一生涯高い年金をもらうということは、世代間の公平ということから考えますと問題があるのではないかということで、スライドなさらないということになさったのではないかと思います。  残余のお答えは所管省からお願い申し上げたいと思います。
  251. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  ただいま厚生大臣からお答えがございましたように、今回の改正では、既裁定者の年金につきましては通年方式による年金額に全部裁定がえをいたします。ただ、現在退職年金受給者の約五七%が通年方式によります年金額になっておりますので、これらの方々につきましては当然物価スライドにいくわけでございますが、残りの四三%の方が一般方式の年金額になっておる。この方が厚生年金その他に比べますと非常に水準が高いというようなことが従来からいろいろ御論議がございまして、そういうことから今回の改正になっておるわけでございます。ただ、現在の絶対額だけは保障をいたしまして、新しく裁定がえになりました一般方式によります年金額につきましては一定期間ストップをするというようなことになっております。
  252. 馬場昇

    ○馬場委員 これは文部大臣にお尋ねしますけれども、厚生年金の方は既裁定者はストップはないのですよ。五年になるのか何年になるのかはっきりしておりませんけれども、少なくとも既裁定者はストップをしない、そのくらいのことはあなたは主張してよかったのじゃないか。そして賃金にスライドさせるべきだと思います。既裁定者のストップの問題と、既裁定者のスライドは賃金にスライドさせるべきだと思うのですが、これに対する大臣の見解はどうですか。
  253. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 まず御説明をさせていただきます。  現在年金につきましては、たしか国家公務員の賃金水準を見ながらやっていくというような格好でやっております。それに対しまして、厚生年金の方につきましては基本的には物価スライドということになっておりまして、年金の給付水準の調整ということから今度は物価スライドに相なったわけでございます。それで、今度のそういう年金の既裁定者の保障につきましては、絶対額は保障する、ただ新しく裁定した基準に達するまでは待っていただくというようなことでございます。
  254. 馬場昇

    ○馬場委員 厚生大臣、時間ですから……。今の日本の政治の中で、社会保障は後退しつつある、後退させられつつあるというのは国民ひとしく思っているところなんです。事実、予算編成なんかについても、軍事費の伸び率に比べて福祉とか教育は伸びていない、あるいは医療なんかも後退していっておる、こういう実情がありますから、厚生大臣、本当に憲法二十五条に基づきまして社会保障の制度というものは国が一番重視しなければならぬ問題だと思いますので、今後も、この法律の修正なんかもあるでしょう、あるいは一元化の問題もまた出てくるでしょう、そういう中におきましては、いつまで大臣をしておられるかわかりませんけれども、ぜひひとつ厚生省頑張っていただきたいということを申し上げて、大臣、ありがとうございました。  そこで、文部大臣、今度はあなたが立たなきゃいかぬですよ、もう今まで大分話があっていますから。少なくとも私学共済の担当大臣として、この既裁定者のストップというのはやめた方がいいんじゃないか、それから今まで賃金スライドしてきておったのだからスライドは賃金制を残す、この法律はこういうことに修正すべきだ、こういうぐあいに思います。こういうことを私たちは後でまた相談したいと思うのですけれども、このくらい私学共済に対して考えるべきじゃないかと思うのですが、これについて大臣はどうですか。
  255. 松永光

    ○松永国務大臣 しばしば申し上げますように、私学共済は国共済に右へ倣えして準ずるということでやってきておりますが、既裁定年金のスライド停止の問題は、その内容につきましては先ほど審議官がお答え申し上げたとおりでありますけれども、これは国共済も同じであるわけでありまして、私学共済だけ別の措置というわけにはまいらぬと思うのであります。したがいまして御了解を願いたいと思います。
  256. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたは先ほどから、私学教育の振興と、そのために教育に当たる教職員、そういうものの生活を安定させる、こういう任務を持っているわけですよね。今あなたが言ったことならば、文部大臣は私学共済管掌大臣として要らぬじゃないですか。私学共済もほかのところの大蔵大臣かどこかに管掌させればいいじゃないですか。何も自主性もなければ独自性も特殊性もない。私学教育の振興という名分から、あなたはやはりもう少し踏み出すべきだと思うのです。聞いていると、もう文部大臣は法に関しては要らぬじゃないですか。  そこで、もう一つ追加して言いますと、支給開始年齢が六十五歳になっている。六十歳定年というのが今ほとんど行き渡っている。ここに五歳の差があるのですけれども、これについてやはり定年と支給というのは直結させるべきだ、間を置いてはいかぬというのがほとんどの人の意見だと思うのですけれども、この問題については大臣はどう考えておられますか。
  257. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 御説明させていただきます。  今回の改正におきまして、今御指摘のように、本則上は退職共済年金の支給開始年齢が六十五歳になっております。これは国民年金がそういうことになっているということで、今度国民年金を基礎年金として私学共済の組合員、その被扶養者も入るということに相なったものでございますからそういうことになったのでございますが、ただ、附則におきまして、厚生年金と同様六十歳ということでございます。さらに若干の経過措置を設けておる次第でございます。  ただ、今後の高齢化社会を展望しますと、支給開始年齢の問題は将来一つの検討課題になると思われます。その場合におきましては、高齢者の雇用動向等も十分踏まえていく必要があるのではないか、その中には当然定年の問題も入ってくるというふうに考えております。
  258. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、今の答弁も聞いたのですが、やはりこの六十五歳までなるというのは相当期間で経過措置をとっているわけですよね。その期間に定年というものとの関係、この辺はやはり慎重に検討してブランクができないようにするということに政府は全部努力しなきゃならぬと思うのですが、どうですか。もう文部大臣にやってもらいます。
  259. 松永光

    ○松永国務大臣 支給開始年齢と雇用の接続の問題につきましては、雇用の動向等を勘案しながら総合的に判断をしていかなければならぬというふうに考えております。
  260. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたはちょっと、血が流れているのか流れていないかと思う。働く人、私学教育を振興するために一生懸命やっている先生たち、そういう人たちがやめるのともらうのとやはりそれをくっつけるのは当たり前じゃないですか。そういう方向に文部大臣として努力する、力が足らなくてできなければそれまででしょうけれども、そういう努力をしようという意欲もないような文部大臣じゃ困りますよ。だから、そういうのは間がないように努力しなければならぬと思うのは当たり前じゃないですか。どうですか。
  261. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほど審議官がお答えしましたが、本則では六十五歳としておりますが、実際には六十歳から支給を開始するということとしておるところであります。  それはそうなんでありますが、その本則と実際とは少し違うわけでありまして、本来的にどうすべきかという点から言えば、支給開始年齢と雇用との接続は大事なことだというふうに思っておるわけであります。
  262. 馬場昇

    ○馬場委員 そこで、懲戒処分による支給制限がありますね。これについては職域年金部分について支給停止がされるようになっておるのですけれども、この職域年金部分の財源は労使折半になっているわけですね。自分が納めた、労働者が納めたものを懲戒処分によってもらえない、これはまさに不合理きわまるものであると思うのですよ。このことはまさに別の問題ですね。何か年金をやるのを労務管理に使っている。今こういう格好になっておるわけですが、少なくとも年金と労務管理は別だ。しかも、もらうべきものに労働者が半分金を出しておる。そういうことだから、絶対に懲戒処分の問題と年金の問題、労務管理の問題と年金の問題は切り離すべきだ、別個の問題だ、こう思います、本人が金を掛けたのをもらえないのですから。これはいかがでございますか、大臣。
  263. 五十嵐耕一

    ○五十嵐政府委員 私立学校共済組合は教育基本法の第六条の趣旨に基づきまして制定されたものでございまして、そういうことから、私立学校の共済年金は国公立学校教職員に係る年金との均衡を保つということで今までも進めてきておるわけでございます。このような観点から、組合員が公務員の場合における懲戒の事由に相当する事由によりまして処分された場合には、今までも一定の割合につきまして給付制限を行っておるわけでございます。今回の改正案におきましては、従来の基本的な考え方は踏襲するといたしておりますが、新たな共済年金は厚生年金相当部分と職域年金相当部分を区分してございますので、給付制限につきましては職域年金相当部分だけに限定をするということでございます。そういうことで、国家公務員共済組合その他もやっておりますものでございますから、私学共済組合につきましても同様にやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  264. 馬場昇

    ○馬場委員 これはもうあなたが答弁せぬでもいい、大臣でいい。  大臣、これは理屈は簡単というか、職域部分については自分の納めたものですから、そしてそれが懲戒処分でもらえない、おかしな話ですよ。そして、労務管理の問題と年金の問題は別なんですよ。だから、これは改善のためにそういうことを切り離す、懲戒処分と結びつけないということで検討しなければならぬ問題だと思うし、もう時間もありませんが、この法律を修正すべきだと私は思いますので、申し上げておきたいと思います。  そこで、ずっとこの委員会で問題になっておりました組合員期間の標準報酬月額の算出の問題、これはまだ保留して残っておる問題でございますけれども、これは二つ選択の制度があるわけですから、本当に私学の組合員並びに年金をもらっている人たち、どっちが有利かというような制度の選択の問題ですよ。それから、厚生年金をもらっている者が早稲田とか慶応とか三十校あるわけです。大手は皆そうなんですよ。そういう人たちとの不均衡が出るわけです。この人たちは厚生年金だから全期間中の給与の標準月額を出している。ところが、同じ私立学校の他のこの私学共済に入っている人たちはやり方が違う。その差も出てくるわけです。それから、さっき言ったように、同じ組合員の中でも不公平が出てくる、こういう問題がございますので、これはこの法律の附則四条から出てきているわけです。だから、この点については明らかにこれを修正すべきだと私は思うのです。これは先ほどから議論されていますけれども、まだ同僚議員の質問が残っているのですが、答弁は先ほどと同じになるかもしれませんけれども、これは通告をしておきたいと思います。  それから、もう一つは、高齢組合員がおられるわけです。六十五歳を過ぎた組合員が私学にはおられるわけです。こういう人には六十五歳になったらやはり年金を支給すべきだ。これは六十五歳でも、勤務しておったら支給されないのですよ。だから、六十五歳以上になっている私学の在職者も多いのですが、そういう人たちにはやはり年金を支給すべきだ、私はこう思います。  それから、先ほどの選択を標準月額でなさいましたものですから、この時点を見る限り、私学共済は非常に賃金が下がるわけです。そういうところには、やはり私学については激変緩和措置というようなものをぜひとっておかなければならない、私はこう思います。  まだまだたくさん問題点があるわけでございますが、時間が参ったわけでございますけれども、さらに我が同僚議員が質問をいたしますけれども、私は、そういう点、本当にもう何にも、国並みでございますとか、官房長官が言ったことと同じですとか、総理大臣が言ったことと同じでございますとか、何も言わなくて、私学の教育の振興、そこに働く人、その管掌する大臣としてこの際やはり言うべきは言う、修正すべきは修正すべき、そういうような態度を文部大臣がとられることを要求して、私の質問を終わります。
  265. 阿部文男

    阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後五時三十二分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕