運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-12-12 第103回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十二日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 青木 正久君 理事 亀井 静香君    理事 金子 みつ君 理事 浜西 鉄雄君    理事 草川 昭三君       伊吹 文明君    尾身 幸次君       工藤  巖君    二階 俊博君       串原 義直君    武部  文君       元信  尭君    小谷 輝二君       駒谷  明君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      工藤 敦夫君         公正取引委員会         事務局経済部長 厚谷 襄児君         公正取引委員会         事務局取引部長 利部 脩二君         公正取引委員会         事務局審査部長 樋口 嘉重君         経済企画庁調整          局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁国民         生活局長    横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君  委員外出席者         大蔵大臣官房参         事官      塩田 薫範君         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       龍宝 惟男君         国税庁間税部酒         税課長     宗田 勝博君         文部省高等教育         局私学部私学行 中林 勝男君         政課長         文化庁文化部宗         務課長     高橋 一之君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      伊藤 雅治君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 大澤  進君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 寿紀君         厚生省薬務局審         査第二課長   小宮 宏宣君         水産庁漁政部水         産流通課長   高木 勇樹君         通商産業省産業         政策局商政課長 山下 弘文君         通商産業省産業         政策局サービス         産業官     菅野 利徳君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      糟谷  晃君         通商産業省基礎         産業局鉄鋼業務         課長      庄野 敏臣君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      松田 憲和君         通商産業省機械         情報産業局産業         機械課長    中田 哲雄君         通商産業省機械         情報産業局電気         機器課長    広野 允士君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     黒田 直樹君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       鳥居原正敏君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   中尾 舜一君         中小企業庁計画         部計画課長   長田 英機君         中小企業庁計画         部金融課長   土居 征夫君         郵政省放送行政         局業務課長   岡田 吉宏君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省道路局国         道第一課長   布施 洋一君         自治省税務学府         県税課長    志村 哲也君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十二日  辞任         補欠選任   中村 正男君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     中村 正男君     ――――――――――――― 十二月五日  消費者保護行政充実強化に関する請願串原  義直紹介)(第一〇四二号)  同(清水勇紹介)(第一〇四三号)  同(中村茂紹介)(第一〇四四号) 同月九日  消費者保護行政充実強化に関する請願(小沢  貞孝紹介)(第一三〇四号)  同(林百郎君紹介)(第一三〇五号)  同(井出一太郎紹介)(第一四〇八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四〇九号)  同(田中秀征紹介)(第一四一〇号)  同(中島衛紹介)(第一四一一号)  同(羽田孜紹介)(第一四一二号)  同(宮下創平紹介)(第一四一三号)  同(若林正俊紹介)(第一四一四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  3. 元信堯

    元信委員 私は、過去二回の当委員会におきましてワイン問題を取り上げてまいりました。きょうは三回目ということでございまして、大分問題点も絞り出されてきたかと思います。きょうは総仕上げにいたしたいと思いますが、まず公正取引委員会からお尋ねをしてまいりたいと思います。  十一月二十一日の当委員会におきまして、公正取引委員会からはマンズワインの二商品について景表法違反警告をしたということでございました。このマンズワイン銘柄についてということでございますが、最表法違反と見られるものは他のメーカー多様にわたっているというふうに見ざるを得ないわけでございますが、マンズワインのみを警告したという理由、根拠、そこから承りたいと思います。
  4. 利部脩二

    利部政府委員 お答えいたします。  当時私どもの把握していた実態認識からいたしまして、他のワインメーカーにも問題はあろうかと思いましたが、マンズワイン社表示が特に不当表示疑いという点で突出していたという感じを持ちましたので、マンズワインを特に調査したわけでございます。
  5. 元信堯

    元信委員 いささかあいまいだと思うのですが、そのほかの商品については調査しなかった理由は、マンズワインが突出していた。突出していたかどうかは表示方法実態等調査して比較してみなければわからぬというのが道理だろうと思うのです。実態について調査されましたか。
  6. 利部脩二

    利部政府委員 マンズワイン社ワインにつきましては内容表示、広告について調査し、それを検討いたしました。
  7. 元信堯

    元信委員 マンズワインについて聞いているのではなくて、そのほかのメーカー銘柄についてと聞いているのですから、ちゃんと聞いたことに答えてください。
  8. 利部脩二

    利部政府委員 他のワインメーカーにつきましては、表示の方針といいますか、どういう基準表示をしているかという点を、ワイン業界全体の表示実態を知ろうという観点から事情を聴取いたしました。
  9. 元信堯

    元信委員 要するに他のメーカーのものについては、内容について調査をしなかったということを裏側からおっしゃっているのが今の御答弁だろうと承るわけであります。そういう答弁の仕方は余り適当でない。素直にはっきり言った方が理解のためにいいと私は思います。  一つ確認しておきたいのは、先般当委員会でこういう質問をしたところ、二銘柄に対して警告をしたという御答弁があったわけでありますが、新聞報道等によれば、それだけが景表法違反に当たっておったというふうに受け取られかねない報道がされているわけです。ですからここで事実をはっきりさせておきたいと思うのですが、要するにマンズワインだけを調べた、そのほかのメーカーについてはいかなる事情があったか知りませんが調べなかったということですね。一般的な調査はしたかしらぬが、景表法違反警告するかどうか、処分するかどうかということは表示実態とその品質と両方見比べてみなければわからぬことですから、その品質については調べなかったということで、何もそのほかのメーカーがそれに当たらなかったということではないのだ、この点だけ確認しておきたいと思いますが、間違いございませんね。
  10. 利部脩二

    利部政府委員 景表法に基づく個別措置を予想して調査をいたしましたのは、マンズワイン社だけでございます。その他のワイン企業についての調査は、先生おっしやられたとおりでございます。
  11. 元信堯

    元信委員 わかりました。  ところでその後、マンズワイン社を含むメーカーの五つというふうに承知しておりますが、団体では公正競争規約をつくろうという動きがあるそうでございまして、現状必ずしもスムーズに進行しておらないというふうに漏れ承っているわけでございます。現状について一体どこがどういう問題があるのか。仄聞するところによれば、大手の方の業界団体が非常に抵抗をしておる、会議そのものも非公開で行われている、こんなふうに聞いておりますが、現状について公正取引委員会認識を承りたいと思います。
  12. 利部脩二

    利部政府委員 ただいま御質問のありましたワイン関係団体表示適正化について協議をしておりまして、まだ結論を見ていない。公正取引委員会の方にはこういう結論になったという報告はまだ受けておりません。国産ブドウを原料としたワイン、それから輸入ワインとのブレンドの実態をどういうふうに表現するかとか、国内でのブドウ産地に関するワイン表示をどうするか、その他の点も含めまして議論をしているようでして、なかなかまだコンセンサスは得られていないように聞いております。
  13. 元信堯

    元信委員 公正競争規約がいつできるかというのはさっぱりわからないということのようでございます。  そうしますと、その間の品質保証というのをどういうふうにしていくか。もちろんこれは規約がないわけですから、個々のメーカーの努力ということになると思います。実際マンズワインでも、最近売り出した新酒についていえば一〇〇%の産地表示をいたしておりますし、従来から山梨県のある町では町で独自の基準をつくってこれの表示をしておる。さらにまたあちこちのメーカーでこれに類する表示考えているところが出てきているわけですが、最近の新聞報道等によりますと、そういう表示をきちんとやろうという動きに対して、公正競争規約ができていないときにそういうものをまちまちにやるのは突出行為である、平たく言えばええ格好するなということだろうと思いますが、そういう動きに対してブレーキをかける動き業界団体内にあると承知しておりますけれども、事実でございましょうか。
  14. 利部脩二

    利部政府委員 私どもの方はそういうことは聞いておりません。
  15. 元信堯

    元信委員 聞いておりませんて、新聞にちゃんと出ているのですよ。公正取引委員会の方にもそういうことは新聞に出ていますよということで確認したらどうですかというふうに聞いているのですから、御確認ぐらいはされているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  16. 利部脩二

    利部政府委員 確かにそういう記事が載ったことは承知しておりますが、私どもの承知しておるところでは、一部のメーカーが独自の基準を打ち出すことによって業界競争基準がつくりにくくなる、あるいはワイン消費者にかえって混乱をもたらしやしないかということを懸念してそういう意見を言ったことはあるようでございますが、抑えるということではなかったように聞いております。
  17. 元信堯

    元信委員 懸念してそういう意見を言った。そういう意見とはどういう意見ですか。
  18. 利部脩二

    利部政府委員 業界共通基準がもう少し明確になってから各個別企業基準も打ち出していったらどうかという意見だろうと思います。
  19. 元信堯

    元信委員 いつできるかわからない公正競争規約を待って個別企業表示を抑制する、そういう趣旨と受け取らざるを得ませんけれども、それは今の流れとして、ワイン品質表示をちゃんとやろうということに対して足を引っ張る行為に客観的になりはしませんか。
  20. 利部脩二

    利部政府委員 ワイン業界の一部でそういう懸念を持っているようには聞いておりますが、仮に一部のワイン企業表示適正化を進めることを抑えるごときことであれば甚だよろしくないことでありまして、公正取引委員会がそういうことを後押しすることはもちろんございませんし、一部の企業であっても率先して表示の適正を図るのは結構なことだと思います。
  21. 元信堯

    元信委員 せっかくそういう幾つかのメーカーにおいては積極的な動きがあるわけですから、ぜひこの積極性が生きるように、ひとつ公正取引委員会としても協力されるように要請をしておきたいと思います。  次に、厚生省に伺いたいと思いますが、山梨県知事食品衛生法二十二条を適用してマンズワイン社営業禁止を命令したと、この前の委員会でそういう御答弁でございましたけれども、二十二条は四条、六条、幾つかの条項違反を処罰する規定だと承知しますが、何条の違反ということで処分されたのでしょうか。
  22. 大澤進

    大澤説明員 山梨県の二十二条の行政処分は、食品衛生法第六条の規定違反する、すなわち指定外添加物を混入したワイン製造販売がされた、こういうことから二十二条の処分を行ったところでございます。
  23. 元信堯

    元信委員 二十二条は四条違反処分をできるような規定になっているわけですが、四条というのは不衛生食品等販売等禁止ということになっておりまして、「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着し、又はこれらの疑いがあるもの。」を販売のために製造輸入加工、使用、調理、貯蔵、もしくは陳列してはならぬということになっておりますが、この条項を発動されなかった理由を承りたいと思います。
  24. 大澤進

    大澤説明員 食品衛生法四条の二号、これの条項にも今回の食品衛生事故というものは該当するのではないか、こういう御指摘でございますが、その四条二号に該当するかどうか、我々も当初疑いを持っておったわけでございますが、この条項は御承知のように、有毒または有害な物質が含まれたり付着した食品または添加物あるいはその疑いのあるもの、健康上の被害を生じせしめる可能性が強いものがあるということからその製造等禁止されているのですが、この有毒または有害な物質という解釈でございますが、これは人が一定量摂取した結果何らかの健康上の危害を生ずるおそれのある物質であり、またその中には、そういう量的なものと毒性の程度あるいはその性状等そういうことから見て、たとえ微量であっても同条違反になるという場合もありますが、さらに、含まれる量が一定量を超えて初めて有毒、有害な物質、すなわち人の危害を発生するというものとなる場合があるわけでございますが、このジエチレングリコールで今回の実態では四条の二号に該当するには至らなかった、こういう判断でございます。
  25. 元信堯

    元信委員 四条二号の後段には「但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。」すなわち、厚生大臣が認可した添加物についてはこの限りでないということにして、それ以外の有毒もしくは有害な物質あるいは疑いのあるものというふうにかなり広範に規定しているというふうにも読めるわけでございます。きょうは法制局にもおいでをいただいているわけでございますが、こういう法律の読み方、そういうふうに広く読むべきではないか。特定のものを排除してその他のものについて、ジエチレングリコールというような物質が有害でないというふうには言えないわけでございますから、これはここを発動すべきではなかったかなという見解を持つわけでございます。御見解を承りたいと思います。
  26. 工藤敦夫

    工藤政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘食品衛生法四条でございますが、四条につきましては、そこの四条の二号にございますように、「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、著しくは附着し、又はこれらの疑いがあるもの。」その後ろにただし書きをつけて「人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。」というのは、先生指摘のとおりでございます。  この場合の有毒あるいは有害な物質が含まれているという点において、含まれている限りにおきましてはまさにそういうことでございますが、本件のような場合、その有毒あるいは有害の程度、こういったものを科学的知見と申しますか、そういうふうなところからこの適用有無考えるべきであろうかとまず思うわけでございます。  それからもう一点は、これはちょっと案件が違いますが、例えば四条につきましてかつて高等裁判所判決どもございまして、例えば疑うに足りるというふうなところも厳密に読むべきだというふうな判示があるものもございます。
  27. 元信堯

    元信委員 その最後の高等裁判所判示、疑うに足りると読むべきであるというのは確定判決ですか。
  28. 工藤敦夫

    工藤政府委員 お答えいたします。  私の承知しております限りにおきましては、これは多少古い案件でございますが、大阪の高裁が一審を破棄自判した四条三号の系列でございますので、ただいま先生の御指摘の二号とは案件はもちろん違いますが、例えば疑うに足りるあるいは汚染されまたはその疑うに足りるというあたりは、単に可能性があるだけではなくて蓋然性の認められるような場合を指すものであるというふうなことでございまして、比較的厳しく読んだ判決だと考えております。
  29. 元信堯

    元信委員 ところで、六条を適用されたわけですが、六条は一定の例外を除いてありますが、「食品添加物として用いることを目的とする化学的合成品」あるいはこれを含む食品を流通せしめてはならないということだと承知しますが、このジエチレングリコールというのはどういう物質であって、ここで言うところの食品添加物として用いることを目的とする物質というふうに言えるのかどうか。その点についてまず厚生省のお考えを承りたいと思います。
  30. 大澤進

    大澤説明員  ジエチレングリコールそのものは、一般に食品添加物目的として用いられる物質として言われているものではございません。
  31. 元信堯

    元信委員 この場合、そうすると、「食品添加物として用いることを目的とする化学的合成品」に当たるかどうかということも質問の中に入っていたと思います。
  32. 大澤進

    大澤説明員 食品添加物としてその食品添加する目的として使用される化学的合成品、そういうものには該当しない、こういうことでございます。
  33. 元信堯

    元信委員 そうすると、この六条を発動したというのは何となくおかしく聞こえるわけですね。食品添加物として用いることを目的とする化学的合成品販売あるいは販売目的のためにあれこれしてはいかぬ、これが法の趣旨ですから、これで立件したというのはちょっと当たらぬように思いますが、ちょっと法制局、この辺どうお考えでしょうか、原局はそう言っておるわけですが。
  34. 工藤敦夫

    工藤政府委員 六条はいわゆる「人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が」云々で「定める場合を除いては、食品添加物として用いることを目的とする化学的合成品」これこれは販売し等々してはならない、こういうことでございますが、この六条の趣旨というのは、やはり食品添加物として用いる化学的合成品、これは厚生大臣が人の健康を損なうおそれがない、こういうものに限るという趣旨だろうと思います。  ただいま御指摘のケースにつきましては、私も実態は十分には存じませんけれどもジエチレングリコールワインの何か甘味を増すというふうな目的で用いた原液を使ったというふうに理解しておりますが、この場合、食品衛生法の二条に戻りまして、二条の二でございますが、「添加物とは、食品製造の過程において又は食品加工若しくは保存の目的で、食品添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。」こういうことでございますし、さらに三項で化学的合成品の定義をしておりますが、そういう点から考えますと、今の「食品添加物として用いることを目的とする化学的合成品」、これには当たるのではないか、かように考えます。
  35. 元信堯

    元信委員 ちょっと苦しいと思うのですね。いかにも添加したということは確かにそのとおりですから添加物ということには当たると思いますが、食品添加物として用いることを目的としているかどうかというのは、前段の厚生省の御答弁のとおり、そうじゃないわけでしょう。ですから、その目的じゃないものを添加した途端に目的があったということになるのは、やはりいかにも法解釈的にも無理がある。すなわち、この六条の立法の趣旨というのは、こういう事態というのを恐らく想定していなかった、自動車の不凍液に使われるようなものを食品にぶち込むなどというようなとんでもないようなことが起きるということを想定せずに、ここはサッカリンであるとかズルチンであるとか、甘味料とかその他味づけのために食品添加物として認可されないものを売っちゃいかぬよ、あるいはそれを含むものを売ってはいかぬ、こういう規定だろうと思うのです。それをこういうものに適用したところに無理がある。そうしてその無理というのは何かというと、四条をそういうふうに極めて限定的に解釈をして、こっちで当てられないから苦し紛れに六条、こういうことになったのじゃないか。  ですから、日ごろの厚生省、今までも四条適用については何かいろいろ内規を設けてやっておいでるようですけれども、この際ちょっと見直さないと、今食品保健課長がおっしゃったような御答弁だとちょっと後苦しくなると思うのですね。そういう問題があるということだけをこの際指摘をしておきたいというふうに思います。  ところで、二十二条を適用したということでございますが、これは多少問題はあるけれどもジエチレングリコールの混入したものを販売したということに係るわけですね。そうすると、処分の対象になるのはマンズワインだけではなくて、これを輸入販売した業者、これはすべてこれに係る。恐らく、故意であったかはともかくとして、全国の酒の小売業者は、これはすべてこれに違反したということにならざるを得ないわけですね。その辺の御見解、いかがでしょうか。
  36. 大澤進

    大澤説明員 マンズワイン社六条違反、その他マンズワイン社以外につきましても、六条違反という場合として、このジエチレングリコールを混入したワイン輸入販売したそれらの者に対してもこの条項が適用されるということになります。
  37. 元信堯

    元信委員 そうだとすると、処分というのはひとしくされた、こういうことですか。
  38. 大澤進

    大澤説明員 マンズワイン社以外につきましても、輸入販売している者につきまして、回収命令、さらに回収されたものを廃棄処分、こういう処分を各関係都道府県においてしているところでございます。
  39. 元信堯

    元信委員 ここでなさった処分というのは、その回収廃棄、それからマンズワイン社に対しては一定期間営業禁止、こういう処分をなさったわけですが、これらの処分というのは、私考えますに、ペナルティー、懲戒的な意味合いというのは全くないんじゃないか。単に回収してそれを廃棄するというのは、これは当たり前のことですね。そういう有毒なものを売ってはいかぬ。そういうものは市場から回収して廃棄をする、これは被害が起こらないようにという観点で当然やらなければならぬ。営業禁止も、そういう有毒なものを生産ラインを通したわけですから、一定期間その生産ラインをとめて、その中に残っているものを全部排除をして二度とそういうものが出回らないようにする、こういう観点でされた処分というふうに理解してよろしいですか。
  40. 大澤進

    大澤説明員 二十二条の処分でございますが、衛生上の危害を防止する、今後そういう事態を発生しないように予防といいますか、抑えていくという観点からいろいろな手だてがとられている。物について言えば、食品そのものが流通しておればそれは回収するなり廃棄する、製造工程であれば、それが衛生上の危害が発生しないという確認がされるまで営業を停止したり禁止したり、そういう観点からこの処分が行われておるわけでございます。
  41. 元信堯

    元信委員 ここでちょっと経過をもう一遍振り返ってみたいと思うのですが、恐らくマンズワイン社が、みずから原料として使っているところのシュテファン・ハーラー社のバルクワインジエチレングリコールが含まれているのではないか、そう疑い出したのは七月の下旬だろうと思います。七月の三十日には山梨県が収去に赴いたわけですが、そのときにはにせものをつかました。その間、こっそり回収を始めていたわけですから、恐らく自分の会社でつくっている製品に有毒ワインがあるということは承知をしておった、こういうふうに思われるわけですね。承知をしておきながら、消費者に対しては何にも言わずに知らぬ顔でその回収作業をしていた。  八月二日に厚生省がいわゆる安全宣言と言われるものをやった。八月八日には、それのしり馬に乗ったのか、みずから新聞に広告を出して、我が社の販売するブドウ酒にはジエチレングリコールは含まれておりませんとわざわざこういう宣伝をやった。これはまさに故意だと思うわけですね。今まではどちらかといえば被害者だっただろうと思うのです、知らぬで売っていたわけですから。そのことだけをとらえてみれば被害者だったと思いますが、その七月下旬から不作為、何にもせずに知らぬ顔をしておった、あるいは八月八日からは積極的にうちのは無害だと言い出した。この点からは非常に悪質になった、こう言わざるを得ないわけであります。  そうすると、そういう者が食品製造に携わっているという問題については私どもは非常に疑問を感じますし、そういう者は当然何らかの形で懲戒されないと、これから安全な食品がつくられるかどうかということについては何の担保もないということになると思うのです。結局毒の入ったようなものを売って、それを流通させて、しかもそれが毒がないなどというようなことを言っても、何をしていたのかというと、ばれた時点で毒の入った酒を回収して捨てて、製造工程に残っているものがなくなればまたもとと同じようにやってよろしい――食品衛生法をどんなに読んでみても、これに対する懲罰規則というのはないわけですね。ただあるのは刑事罰が科されておって、刑事で告発するということが監督官庁ができるたった一つの手段なわけです。ところが、今回は刑事で告発するということはされなかった。  本来食品の安全というものは、業者の良心にまつ以外に消費者としてはどうしようもない問題ですね。食品に毒が入っているかどうかということを分析で知ることは不可能であります。結局、そういうことをする者は食品製造に携われない、このことがなくてはいけないと思うのですが、食品衛生法には刑事告発を除いて何ら罰則規定というものがないということが明らかになったと思うのですが、なぜ残された手段である告発をなさらなかったか、それについて伺いたい。
  42. 大澤進

    大澤説明員 マンズワイン社は、先生が御指摘のように七月の下旬においてそういう混入のものが入っておるワインを持っておるということを恐らく知り、ひそかに回収した。こういう状況を持ち、しかも八月の初めには新聞紙上で一般読者が誤解するような形の広告も出しておる。こういうことで、食品を取り扱う、業とする者として私どもとしても非常に遺憾に思っているところでございます。  この経過は、当時県も立入調査に入っている、その後も二度、三度調査に入ったわけでございますが、県の調査による報告によりますと、マンズワイン社としては確かにひそかに回収しておったわけでございますが、しかもそれを工場内に抱えていたということは、いずれ廃棄処分をするということで、要するに販売の用に供するために持っておったわけじゃない、こういう報告を受けておりまして、それをいわゆる故意に販売の用に供するという目的をもって保存、保管していたという状況でないということで、今回は御承知のように行政処分、二十二条についてさらに行政罰をかける場合には故意の要件を一般に必要とするということで、県の判断では同会社はいずれ処分すると判断されて今回行政罰についての告発にまで至らなかった、こういうことでございます。
  43. 元信堯

    元信委員 行政罰の告発は故意がなかったからしない、こういうお話でございますが、二つの点から私はちょっと異論があるわけであります。  一つは、まず故意がなかったかどうかということがどうも明らかじゃない。なぜかといいますならば、このマンズワイン社は七月三十日に山梨県が収去に向かったときにバルクワインを別に隠しておったわけですね。実際に捨てたのは八月二十九日だと承知をしております。約一カ月の間、別に捨てるでもない、ほかのところに隠しておった。この隠しておった目的は一体何か。本来なら、証拠物ですから長く手元にとどめておくはずがないのであって、すぐ処分すると考えるのが常識的な判断だろうと思うのです。それを持っておったというのは、ほとぼりが冷めたらまた売ってやろう、もったいないじゃないかという判断。これが、四条でも六条でも同じですけれども販売目的として貯蔵するに当たらないかという疑問が一つあります。  それからもう一つは、告発について故意が必要だというふうにおっしゃいますけれども、どんな場合でも必ず故意を必要としているのか。過去の例から見て必ずしもこの場合は故意が必要であるとは言い切れないと私は思うのですが、その二点についてもう一遍伺いたいと思います。
  44. 大澤進

    大澤説明員 マンズワイン社がそれを故意に隠匿あるいは貯蔵といいますか保管しておったかどうか、この点でございますが、県の調査、立ち入りあるいは事情の聴取ということを踏まえて、県の報告では故意であると断定するに至らなかった、こういう状況でございます。  それから第二点の、行政罰をかける場合に故意を要件としているというぐあいに先ほど一般的に申し上げましたが、厳密にその運用をそれだけでしているわけではございませんが、一般には過失の場合であってもその法に明文規定があればもちろん行政罰をかける。それからさらに、法令解釈上そういう解釈ができる場合には故意でなくても行政罰をかけていくことができるというぐあいに解釈しておりまして、この場合に、その過失についても非常に重大な状況といいますか、そういうものに至っているという場合には、必ずしも故意の要件がなくても一般には行政罰をかけていくことは可能だと思います。
  45. 元信堯

    元信委員 重大であれば故意は要件とされないということなんですね。ここで事は重大性の認識に至るわけでありますが、厚生省は終始この事件を重大と見ておらない、こういう認識が腹の中にはあるのじゃないかということがどうも透けて見えるような気がするわけであります。重大でないから告発しなかった、こうですね。  重大であるかないかというのはどこで分かれるか。これによってばたばた死人が出たりあっちこっちでおなかが痛くて転げ回る人がいなかったじゃないか、こんなものは軽微なものだ、ワインに含まれているジエチレングリコールで死にたければアルコール中毒で先に死ぬほど飲まなきゃだめだ、こういうような認識というのがあるんじゃないかなと思いますが、事の重大性というのは、そういう現象面の重大性ではなくて、食品製造業者がみずからの食品に毒を入れ――この場合は入れたわけじゃありませんが、毒の入っているものを承知しておきながら、そのみずからの消費者に対してこれを飲むように勧めた、安全広告を出して、飲んでも大丈夫でございますと天下に公表したということは、これは僕は極めて重大な問題ではないかと思うのです。  ところが食品衛生法というのは、設備とか衛生状態については非常に細かく規定をしてありますけれども、言うならば製造者の心がけについては何の規定もない。この心がけの悪い者をどうするかということについては、すべてこれは告発にゆだねているわけであって、行政罰にゆだねているわけであって、みずから厚生行政の中ではどうしようもない。あれこれの処分は、それは衛生上の問題が生じないためにとるだけのことであってペナルティーでないとさっきお話ありましたね。私は重大性の認識というところに甚だ問題があるんじゃないかと思うのですが、一体この事件、重大でないというふうにおとらえになっているのかどうか、もう一遍御答弁願います。
  46. 大澤進

    大澤説明員 本件のこの重大性の認識の問題でございますが、本件自体は重大であるという、我々はそういう認識を持っておるわけでございますが、一般に行政罰をかける場合に、重大な過失、すなわち食品その他でいえば、食品を取り扱う者がその食品販売あるいは製造する過程の中で、それを利用する消費者といいますかそれを購入された者において重大な危害、相当程度の影響というものが出てきた場合に、結果として重大な過失がある、そういう考えを持っているわけでございます。
  47. 元信堯

    元信委員 もちろんこれは重大な過失じゃないですよ。過失でやったことじゃありませんね。初めのうちは知らなかったんだからどうしようもない。不可抗力が成り立つと思います。ですが、さっきからくどくど言っているように、七月の下旬からは不作為が始まり、八月の八日からは故意が生じているわけですね、ここの時点で。重大な過失より故意の方がもっと悪いに決まっている、一つ事をするのに。にもかかわらず、ここで重大な過失がなかったから故意の方は見逃されるという、これはちょっと論理が逆立ちしているんじゃないかな、私はこういうふうに思わざるを得ないわけですね。  どうか運用の上で十分お考えを願うとともに、今回のマンズワイン事件で明らかになったことは、食品衛生法が想定していないこの種の有毒食品を原料としてそれを販売して、気がついても何らの措置もしなかったというものについてはお手上げである、こういうことがわかったわけですね。ひいてはこの法の基本的な性質、すなわち設備、衛生状態の保全についてはかれこれ細かく規定してあるわけですけれども製造者が食品製造業者として基本的な倫理観を欠如しておるというものについては全くお手上げである、こういう法の限界が明らかになったわけですから、食品衛生を確保するために必要なことは、単に設備だけじゃなくて製造業者のモラルというものがどうしても必要でしょう。そういう意味で法律そのものを考え直していかねばならぬ、そういうことを今回の事件は示しているんじゃないか、こういうことを申し上げておきたいと思います。  時間の関係で、次に大蔵省へ進みたいと思います。大蔵省からはこの前、処分を検討しているというような御答弁をいただきましたが、どういう条項を適用して、どういう罰則があり得るのか。この点についてまず承りたいと思います。
  48. 宗田勝博

    宗田説明員 マンズワイン社ジエチレングリコール入りのワインのタンクの中身のすりかえを行った、それからワイン製造部門において廃棄を行ったというようなことが伝えられておりますけれども、これが酒税法に規定しております記帳義務、これは法律の第四十六条、それから検査を受ける義務、これは法律の第四十九条一項、これに違反する疑いがあると思いまして、九月以降調査を実施してきておるということでございます。
  49. 元信堯

    元信委員 罰則は。
  50. 宗田勝博

    宗田説明員 罰則につきましては、記帳義務違反及び検査を受ける義務違反につきましては、酒税法第五十九条一項三号及び四号の規定によりまして、それぞれ十万円以下の罰金または科料ということになっております。
  51. 元信堯

    元信委員 今回の事件というのは酒に毒物を混入した、こういうふうに言っていいと思うのですが、酒税法には毒物を混入した者に対しては罰則というものは想定されていますか。
  52. 宗田勝博

    宗田説明員 酒税法には想定しておりません。
  53. 元信堯

    元信委員 先ほどお話のありました罰則ですが、この罰則は告発を必要としますか。
  54. 宗田勝博

    宗田説明員 まず国税庁におきまして通告処分を行う、通告処分を履行しなかった場合は皆発する、こういう手順になります。
  55. 元信堯

    元信委員 もうちょっとわかるように説明してもらいたいのですが、その通告処分というのは、罰金を払いなさいという通告をして、それを断った場合は告発する、こういうことですか。
  56. 宗田勝博

    宗田説明員 罰金に相当する金額を支払えということでございます。
  57. 元信堯

    元信委員 罰金を払えということと同じことでしょう。どこが違うのですか、ややこしいことを言うが。
  58. 宗田勝博

    宗田説明員 通告処分の方は行政処分でございまして、租税法につきましては一般の刑事事件とは異なりまして処分手続等が国税犯則取締法に規定しておりますので、間接国税に関する事案につきましてはまず通告処分というのが行政当局によって行われる、こういう慣例になっております。
  59. 元信堯

    元信委員 いずれにしても、今お話のあった記帳義務違反とか検査を受けない、こういうようなことはすべて酒税確保の観点から行われていることですね。検査を受けずに捨てられると、その分ひょっとしてやみで出しておって酒税を取りっぱぐれちゃ困る、平たく言えばそういう観点であろう、こういうことですね。記帳しないでも同じことで、やみからやみへやみ酒ができると、これもまた税収確保に支障を来す、こういうことがあっては困る、こういうことだろうと思います。  お酒というのは、国税庁に言わせれば財政物資だというわけでございますが、それ以外にもちろん食品でございますね。食品をつくる者についてはそれ相応のモラルが必要であるということは先ほどから繰り返し申し上げておるとおりですが、酒税法にはそういう観点からの規則というものは何かございますか。
  60. 宗田勝博

    宗田説明員 製造免許を与えるに際しまして、先ほど先生おっしゃられましたとおり酒税につきましては重要な財政物資でございますので、酒税の保全が図られるように厳しい要件を定めております。その中に直接的にはそういう食品衛生ということは示しておりませんけれども、一般的な法の遵法精神というものについては検討できるような形にはなっております。
  61. 元信堯

    元信委員 その遵法精神というのは恐らく十条の八号のことを指しておいでるのだろうと思うのです。十条の八号、つまり禁錮以上の刑に処せられた者には免許を与えない、それが十二条にはね返って、そういう者については免許の取り消しがあり得る、こういうことをおっしゃっているというふうに思うのですが、これとても、おっしゃったとおり一般の遵法規定であって、食品製造者としての特段の定めではないわけですね。そのことを確認した上で、ちょっとこの法についても伺いたいと思います。  法律関係は複雑ですが、今の酒造業者というのはほとんど法人だと思いますから、法人について伺いたいと思います。  個人の場合は、禁錮以上の刑に処せられた場合は製造免許取り消しがあり得るということになっておりますが、法人の場合は、そういう者が役員をやめた場合は一体どうなるのか。その点についてちょっと教えてください。
  62. 宗田勝博

    宗田説明員 免許の取り消し処分は当該処分時における状態を基準として行われることになると思いますので、そういう処分時に取り消し要件に該当する役員が既に退陣して、いない場合は、免許の取り消しは困難であろうかと思います。
  63. 元信堯

    元信委員 そうなると、法人に対する遵法精神の適用というものは極めて希薄になるというふうに思わざるを得ないわけです。今回の事件のように、いわば会社ぐるみ、会社の意思として行った犯罪といいますか、そういうものがあったとしても、それが発覚した時点で、あるいは起訴された時点で、あるいは裁判の判決が出そうになった時点で、確定しそうになった時点でそれぞれどんどんやめてしまえば、これは全くそういう面からの責任追及はあり得ない、こういうことなんですね。それは個人の場合についてと比較してみると甚だ不公平に思いますが、いかがですか。
  64. 宗田勝博

    宗田説明員 先ほど申し上げました酒税法第十二条二号の免許取り消し規定趣旨が、著しく遵法精神に欠ける者が法人の営業方針の決定に参画したり業務の遂行に責任を負っていたりする場合に、そうした法人に免許を継続するということでは酒税法等に違反した業務運営が行われる可能性が高く、また酒税の確保にも不安が生ずるおそれがあるということなどから、このような法人については酒類製造免許を取り消して酒税の保全上の不安を除去しよう、こういう趣旨でございます。  そういうことでございますので、こういうおそれがございますのは法に違反した者が引き続き法人の役員をしている場合に限られるということでございますから、そういう者が既にいない法人については取り消しということが求められなくなるというぐあいに考えられます。その点、個人についての場合は免許者そのものに効果が及ぶことになりますから、個人とは扱いが違ってくるということは出てくると思います。
  65. 元信堯

    元信委員 結局しり抜け規定だと思うのです。実態はほとんどが法人である現状にかんがみれば、何をやろうが、会社ぐるみで犯罪と言われることをやろうが、罰せられるのは個人である。法人が罰せられるのは滞納処分のときだけであって、それ以外はすべて個人が責任を追及されるわけですから、たとえ両罰規定が発動されて法人に罰金が及んでも、法人には禁錮刑なんというものはありませんからこれには当たらない。すなわち、この規定というのは現状では全く意味のない規定になっているということを改めて申し上げておきたいと思います。法人については遵法規定というのも、そういう人は役員から外せというふうにしか読めないわけであって、それ以上の意味はない、こういうふうに言わざるを得ない。  そこでひとつ伺いたいと思うわけですが、これは課長さんに伺うのではちょっと気の毒かもしらぬが、酒というのは、さっき言いましたように単に財政物資であるというだけではなくて、食品であるわけです。特に食品としての特徴は致酔性である。つまり、これを飲むと酔っぱらって判断力が失われる。少々おかしいなと思ってもどんどん飲んでしまうという可能性があるということが一つ。それともう一つは、大量摂取食品であるということが言えると思うのです。例えばピールを、どのくらい飲むものですか、一ダース飲むと何リットルになりますか、五、六リットルにはなると思いますね。清酒だって一升飲む人はそう珍しくはないわけですが、二リットル近く一遍に飲む。水を二リットル一遍に飲めなんて言われれば、とてもじゃないがおぼれ死んでしまう。とても飲めたものじゃありません。こういう一遍に大量にとる食品というのはちょっと例がないだろうと思うのです。飯だって二リットルは食えないです。  こういう食品に対して、大蔵省の考え方は税収確保一本やりなわけです。これだけ大量に消費されるものについて、消費者保護という問題を全部食品衛生法にゆだねてしまって一体いいものかどうか、僕は非常に疑問があるだろうと思うのです。ちょっとその点について御見解があれば承ります。
  66. 宗田勝博

    宗田説明員 先生おっしゃられましたように私の任務をはるかに超えるような大きな御質問だと思うのでございますけれども先生がおっしゃられるような酒の特性というものは私ども十分よくわきまえております。そして、そういう特性に応じた消費者保護とか品質についての規定を酒税法の中にも盛り込むべきではないか、こういう御意見として承りましたけれども、それは大変貴重な御提言ではなかろうかと思います。  ただ、私ども現在の法律で与えられた範囲の中で酒税の保全という法益の実現のために仕事をしておることは、おっしゃられるとおりでございます。加えまして、食品といいますとアルコールも飲食物でございますけれども、やはり安全性その他御専門の知識をたくさんお持ちの官庁が一元的にそれを検討する、こういうこともまた重要な点じゃなかろうかとも思います。
  67. 元信堯

    元信委員 食品衛生法、酒税法、両方の観点からお酒の安全というものについてかなり時間をかけて議論をしてきたところであります。結論を要約して言いますと、食品衛生法も、製造業者のモラルの問題については今の法制であっては全く無力であるということ、これが明らかになっただろうというふうに思います。さらにまた酒税法の方も、お酒というものがこういう特殊な食品であるにもかかわらず酒税一本やり、こういうことですから、消費者保護という観点からは非常に問題がある。すなわち今回のように悪質な意図を持った者が酒の製造にかかわっておるという場合には防ぎようがないということがわかったというふうに思われるわけであります。したがいまして、今課長からお話がありましたように、ここで両課長を幾ら責め立てても仕方のない問題ではあろうと思いますが、この際ぜひそういう御認識をお持ちになりまして、私どももまた別の機会に努力をしてまいりたいというふうに思いますけれども、酒にとどまらず食品全体の安全が確保されるように一層の御努力をお願いしておきたいと思います。  なお、酒税課長さんから最後に言及がありましたけれども、お酒を財政物資という観点から大蔵省が所管しておるというのはちょっとおかしいという考え方も今聞きながら浮かんだわけでございまして、食品という観点から農水省、衛生という関係から厚生省に移管した方がいいのじゃないかな、そんな感想も持った次第であります。  いずれにいたしましても、長時間費やして問題点を絞り出すことに御協力いただきました委員長以下に感謝申し上げまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  68. 竹内猛

    竹内委員長 次に、串原義直君。
  69. 串原義直

    串原委員 まず最初に、飲用乳の表示に関する問題で伺いたいと思うわけでございます。  公正取引委員会は先ごろ二回にわたりまして飲用乳の表示に関する表示連絡会を開いたと伺っておるわけであります。その経過についてでございますけれども、まず九月二十四日に開かれた第一回目の表示連絡会は、業界側の提出した表示改正試案が消費者団体や生産者団体側の改正要求を何一つ盛り込んでいない、そのために消費者団体や生産者団体が強く反発して、公正取引委員会は再検討を業界側に指示した、こう聞いているのであります。  その後、十月二十五日、消費者団体である八団体で最低限の改正要求をまとめまして公取に要請書を提出したようであります。消費者団体がこのような形で一本にまとまるということは過去に大変例の少ないことでありまして、今回の問題の重要性が伺われるのであります。その直後、十月二十五日に開かれた第二回目の表示連絡会におきましても、業界側は消費者側や生産者側の要求を受け入れないで平行線のまま終わったというのであります。  最近の飲用乳表示の改正問題の経緯というのは、およそこのようなものであったかどうかをまず確認をしておきたいと思います。
  70. 利部脩二

    利部政府委員 先生のおっしゃったとおりでございます。
  71. 串原義直

    串原委員 それでは伺いますが、飲用乳表示改正問題についての生産者団体からの要請事項というのはどのようなものであるのか、概略でいいですから御説明ください。
  72. 利部脩二

    利部政府委員 生産者団体が希望しておりますことは、牛乳、加工乳、乳飲料等に原材料名とその使用割合を表示すること、飲用乳の種類別名称、これは厚生省の方の乳等省令の分類でございますが、その表示を明確化すること、牛乳以外の乳製品に商品名として牛乳の文言を使用することをやめてほしいということ、牛乳へ原料生乳一〇〇%使用というような表示を義務づけるようにしてほしいということなどでございます。
  73. 串原義直

    串原委員 同じように、飲用乳の表示問題について消費者団体の要請事項というのはどんなものか、お示しください。
  74. 利部脩二

    利部政府委員 まず、消費者が必要と考え表示を一括表示にすること、加工乳、乳飲料に牛乳という文書を使用しないこと、飲用乳に用いられているすべての原材料名と主要原材料の使用割合を表示すること、乳脂肪を除いたかどうかを明らかにすること、品質保持期限の表示を義務づけること、紙容器の場合に、紙容器の上の方に飲用乳の種類別名称を色でわかるようにしたらどうか、そういう提案でございます。
  75. 串原義直

    串原委員 幾つか要請事項がありますけれども、整理をいたしますと、消費者側、生産者側の要請というのは、その重点の一つは、牛乳以外の加工乳、乳飲料というのに○○牛乳という商品名は使わないでもらいたい、二つ目には、牛乳、加工乳、飲用乳にどのような原材料をどのくらい使っているのか表示をしてもらいたい、例えば牛乳は牛乳一〇〇%、加工乳は生乳が何々%、あるいはバター何%、脱粉が何々%というようにわかるように表示をしてもらいたい、大きく言ってこういうのが消費者団体と生産者団体が要求している、こういうことであるわけですね。
  76. 利部脩二

    利部政府委員 まとめますとそういうことになろうかと思います。
  77. 串原義直

    串原委員 生産者団体消費者団体の要請、私が受け取ると無理はない、当然だと思うのでございますけれども、こうしてもらいたいという要請を業界側は今日時点で拒否をしている、受け入れることはできないという姿勢でおる、こういう理解でいいわけですか。
  78. 利部脩二

    利部政府委員 おっしゃったとおりでございます。
  79. 串原義直

    串原委員 それでは、この問題について私は少しあなた方の考え方、取り組み方、姿勢について、以下伺ってまいりたいと思うのでございます。  まず、○○牛乳という商品名について公正取引委員会考え方を伺いたいのでございますけれども、本来牛乳という商品は、搾ったままの牛の乳を殺菌してパックに詰めたものをいうのが正しい呼び方だ、私はこう理解しているわけであります。でありますけれども、還元乳をまぜたり添加物を入れた加工乳あるいは乳飲料にも○○牛乳という商品名を使っているというのは、乳等省令の趣旨を大きく逸脱するものじゃないか、乳等省令に定められましたところの牛乳の定義、それが正確に消費者に伝わってまいりますように乳等省令をきちっと守る、こういう形で表示されるべきものではないのか、こう考えるのでございますけれども公正取引委員会はどうお考えでございますか。
  80. 利部脩二

    利部政府委員 乳等省令、そのもとになりますのが食品衛生法でございますが、法律で義務づけられている事項を法律の趣旨に従って明確に表示するということは当然なすべきことであろうと思いますし、その趣旨を混乱させるような表示が加わってはいけないということも当然だと思います。  ただ、乳等省令の乳製品の分類というのは、主として衛生的観点と栄養の観点から分類されているというふうに理解しております。それと、現実には乳製品の商品としての効用といいますか、企業の方がこの乳製品にはこういう特徴ありと訴える点、それからまた消費者の方がどういう点を重視してその商品を選ぶかという点、そういう観点と乳等省令が表示を義務づけている観点とは違った面があるように思います。今回の問題は基本的にはその食い違いから出ているのではなかろうかというふうに考えております。
  81. 串原義直

    串原委員 私はそこにその食い違いが出ることが不思議だと思っているわけであります。  今あなたの答弁の中に、栄養が同じであればという意味の御答弁がございました。これも私ちょっと耳にしているわけでございますけれども、お話のように、原材料というのが生乳であっても、バターや脱粉あるいは水をまぜたものであっても、栄養が同じであれば○○牛乳というふうに呼んでもいいじゃないか、表示してもいいではないか、こういう意見があることも聞いておりますけれども、とれは受け取り方によると大きな誤りを犯すというふうに思うわけであります。例えば、これはちょっと様子が違いますけれども、中身といいますか議論の対象は違いますけれども、栄養が同じであればいいではないかということであるならば、ハムでございましても栄養というものが同一でありますならば○○豚肉、こういう表示も間違いではないという格好に発展するという感じが私はするわけですね。  私が特に強調したいのは、現代は終戦直後と違いまして、余りいい言葉じゃありませんけれども、飽食の時代というような言葉すら使われているほど食品は豊富である。したがいまして、消費者というのは栄養の問題だけで商品考えていないこと、これは部長さんも御承知のとおりで、御理解をいただけるだろうというふうに思うわけでございますが、問題は、消費者というのは、栄養ももちろんだけれども、原材料、つくられた場所あるいはつくり方等々が正しく受け取られるようなものを求めている、こういう視点で食品を選ぶあるいは食品を評価する、こういうふうに考えているのでございますけれども、この点に対して公正取引委員会というのはどんなふうに考えていらっしゃるか。つまり商品表示というのは、一人の人の価値観あるいは一方から見ただけの価値観で決める、そういったことではいけない、こう私は思っているのでございますけれども、いかがでございますか。
  82. 利部脩二

    利部政府委員 食品表示のあり方については全く先生のおっしゃるとおりでございます。私もそういうふうに考えております。当公正取引委員会もそういうふうに考えております。
  83. 串原義直

    串原委員 いま一つ部長さんに伺っておきたいわけでありますけれども、お話のように乳飲料の表示に対して業界は余り賛成しない、そういうことの中にこういう意見もあるということを聞くわけであります。外国では成分強化乳や栄養強化乳にもミルクという表現を使っているから、日本でも加工乳や乳飲料に○○牛乳という表現を使ってもいいじゃないか、こんなことを言う人があると聞くわけでございますけれども、私は外国の表示の仕方がどんな格好であろうとも、全然参考にしてはいけないとは言いませんが、日本人の食料、食品表示は、日本人の価値観、日本人の判断、日本人の感覚で決めていくべきものである、あるいは日本の経済の現状あるいは社会事情というようなものを踏まえて考えていくべきだ、こう思っているのでございますが、これも公取の考え方を伺っておきたいのでございます。
  84. 利部脩二

    利部政府委員 その点も先生のおっしゃったとおりだと思います。日本の消費者、日本人が自分で食べるために自分で買うわけですから、外国の表示の仕方、用語、基準等は、もちろん現在の商品の国際交流が多くなっている時点で大いに考えなければいけないことではありますけれども、要は消費者が何を求めているか、消費者が求めているものが確実に選べるような表示であるということが大切だと思っております。
  85. 串原義直

    串原委員 部長さんは私の考えていることとほとんど同じような立場で御答弁をいただいているわけでございますが、さらに次に、原材料名の問題についてちょっと伺っておきたいと思います。  高度経済成長を契機にいたしまして加工食品が大変伸びでまいりました。その結果、一体どのような原材料でつくっているのか、表面から見ても理解できない商品がいっぱいこのごろ出ております。前委員がこの席でワインの問題について触れられておりましたが、あんなのに何か入っていたという話になると論外な問題でございまして、これは許すべからざることでございますが、なかなか事態は深刻なところまで実は加工食品というものが発展しているように思えてなりません。なりませんが、消費者商品を安心して買えるように、あるいはそれぞれの用途に合った商品選択の目安となるように、そういう意味で原材料表示というものが明確に、正しくされる、これがもう原則でなければいかぬ。今のお話に出ておりましたワインの中身の問題などは論外といたしまして、とにかく加工食品がいっぱい出てきて、いいことではありまするが、それだけに内容が明確に正しく消費者に理解される、こういうことが商品表示の原則でなければいかぬ、特にそのことを求められている時期ではないのか、こういうことを思うのでございますけれども公正取引委員会としてはいかがでしょう。
  86. 利部脩二

    利部政府委員 加工食品にどういう原材料が用いられているかということは、その商品、その食品を買おうか買うまいか、あるいはそのうちのどの種類の食品を買おうかということを考え消費者にとっては確かに重要な商品選択の事項でありますし、そのことが消費者に理解されるように明確に表示されていることが食品表示の基本であろうと考えております。
  87. 串原義直

    串原委員 そこで伺いたいのでございますが、今私がここで問題として取り上げさせていただいておりますところの牛乳、加工乳、乳飲料、この場合でも同じことが言えるのではないか。  例えば牛乳は生乳一〇〇%を原料とする、こういうことになっておるのでありますけれども、それは乳等省令に書いてあることであって、実は消費者の皆さんの多くにはまだ、牛乳に水が入っているのではないか、こんな理解をしている人もいるというふうに言われておるわけでございます。でありますから、親切という表現が一番いいかと思いますけれども、この商品は生乳一〇〇%ですよ、こういうふうに親切に表示してやることが必要なのではないか、これが親切な表示というものではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。それと同じように、加工乳というのはこういうものである、乳飲料というのはこういうものでございます、こういうことが明確にわかるようにしてやることが親切な表示ではないかというふうに思うわけでございまして、加工乳や乳飲料にも明確に、本来の生乳は何%入っておりますというぐあいに原材料とその割合というものをわかりやすく表示をしてやる、その商品の特性というものを消費者に知らせてやる具体的な方法を用いるべきである、こういうふうに私は思うのでございます。  仄聞するところでありますが、中には、生乳が一〇〇%ということやあるいは今申し上げたように製品の中身を具体的に知らせなくとも、乳等省令で決まっているからわざわざここで成分を表示する必要はないじゃないかというような意見をお持ちの方もある、こういうふうに聞いておるわけでございますけれども、そうだとするなら、どうも消費者にとりましては無責任な態度、こういうことにつながっていくのじゃないか。乳等省令で明示してあるからわざわざここへ書く必要はないという考え方は間違いである、こう思うのでございますけれども、いかがですか。
  88. 利部脩二

    利部政府委員 確かにおっしゃるとおりだと思います。乳等省令は、先ほども申し上げましたように主として栄養的、衛生的観点から消費者に必ず知ってもらわなければいけないことの表示を義務づけているわけでございまして、消費者としてはそのほかにも知りたいこと、その商品を選ぶ際の選択の手がかりにする事項というのはあろうかと思います。そういう点を表示する必要もありますから、乳等省令の表示だけで足りるというものでもございません。また同時に、乳等省令の表現というのはやや技術的で、加工乳という言葉なんかもそうでございますが、一般の人にはちょっとわかりにくい表現であります。その面からも乳等省令の表示だけで足りるということはなかろうと思っております。
  89. 串原義直

    串原委員 商品名に例えばジュースなどがあるようでありますが、何々一〇〇%、何々が九〇%と表示している商品というのは、ジュースなどのほかどんなものがありますか。
  90. 利部脩二

    利部政府委員 全部の食品については承知しておりません。余りたくさん知識を持っておるわけではございませんが、何々一〇〇%というふうに一〇〇%を強調する表示は非情に少ないと思います。  ただいまおっしゃいましたジュースの問題は、まず表示の基本的な考え方としては、そもそも他のものが入ったものはジュース、果汁とは言わない、それから濃縮還元の方もたしかジュースとは言わない、自然のものだけをジュースと言うのだというふうに、まずその言葉の方を限定していたと記憶しております。これは、業界の自主規制であります果実飲料等の表示に関する公正競争規約でそういうふうにしていたと思います。  それから、一〇〇%という表示をされませんのは別の観点もありまして、一〇〇%であることが当たり前のものに一〇〇%だと書くと、かえって誤解される場合が出てまいります。例えば、また仮定の例でございますが、包装した米に米一〇〇%と書いてあると、それが書いてないものは何か別のものが入っているのではないかという誤解が出てくる場合もあります。一〇〇%であることが当たり前のものに個々一〇〇%と書くと、消費者の方がかえって誤解をしやしないかということも考えなければいけない点だと思いますので、そういう誤解を生ずる場合もありますので、何々一〇〇%という表示が少ないのだろうと思います。
  91. 串原義直

    串原委員 ジュースには一〇〇%、こういう表現がされておりますね。ただいま御答弁を願いました言葉の中に、つまり自然のものだけをジュースと言うのだという立場でジュースは一〇〇%と表現しているわけです、こういうお話がございました。私もそうであろうと思う。  したがいまして、この際私が申し上げたいと思いますことは、本来の自然の牛乳、これはまさに一〇〇%であるべきだし、一〇〇%です。したがいまして、今、自然のものであるジュース、これが一〇〇%という表示になっているというお話でございましたし、私もそうであろうと思いますだけに、本来の自然の牛乳は一〇〇%と表現をした方がいいのではないか。消費者は実はこれを求めているはずなのであります。いかがですか、今のことに対して。
  92. 利部脩二

    利部政府委員 その点は非常に難しいところだと思います。先ほど申し上げましたように、乳等省令の種類別名称による牛乳というのは、生乳一〇〇%であってそれを必要な殺菌の処理をしたものでありまして、異物が入っているというか牛乳に由来しないものが入っていてはいけないということでありますけれども、乳等省令によりましても、また過去からもそれがごくごく当然のことになっておりますので、それに年乳一〇〇%と書きますと、それが書いてない牛乳は一〇〇%じゃないのじゃないかという誤解をされることもございます。特に、中小の酪農の方々は余り清涼飲料的な乳飲料はつくらない。まさに搾った牛乳に必要最小限度の殺菌処理をしてそのまま売るという企業が多かろうと思いますが、そういうところはまた表示を変えるというのも随分お金のかかることでもありますし、他の一部が生乳一〇〇%と書いたためにあそこの会社のは一〇〇%じゃないのじゃないかという誤解を受けても困る、そういう考慮もございますので、一〇〇%表示というのはどうも、どちらが消費者の本当に役に立つかということはなかなか難しいところのように思います。
  93. 串原義直

    串原委員 先ほどの答弁の中で、当然のものを一〇〇%と書くのはどうかという意見もある、例えばということで米を例に出されました。部長さん、米はこれは当然のことなんですよ。お米に加工乳みたいな、乳飲料みたいなものはございませんね。でありますから、米は品種、種類、これは表示することはあるでしょう。例えば、しなのこがねでありますとか何々でありますとかという種類の表示はありますでしょうけれども、米に対してのまぜものはない。したがって、米は一〇〇%という表現をしなくてもいいという話はこれはよくわかるのでございますが、私が申し上げておりますことは、乳という活字は使うけれども、中身は先ほどから申し上げておりますように随分といろんなものが出ておる。出ていて結構なんでございますが、本物の牛乳、つまり申し上げておりますところの一〇〇%の牛乳と、加工物、添加物が加わったところの乳飲料、これは区別して表示されるべきものであり、考えられるべきものではないでしょうか。こういうことを私は実は強調をし御質問申し上げているところであります。いかがですか。
  94. 利部脩二

    利部政府委員 その点は先生おっしゃるとおりだと思います。本来の牛乳と加工乳、仮に加工乳が成分的に牛乳と同じものであったとしても還元した牛乳である場合、あるいは加工乳の場合ですと乳に由来するもの以外は添加できませんけれども、例えば脱脂粉乳なんかを添加したものと本来の牛乳というものは区別さるべきものだ、消費者が本来の牛乳が欲しいという場合にはそれを選べるような表示になっていること、それが大切だというふうに考えております。その点はおっしゃるとおりだと思います。
  95. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、消費者団体、生産者団体が求めておりますところの、乳飲料、加工乳、牛乳含めまして内容表示をするということに、公取は賛成である、こういう理解でよろしゅうございますか。
  96. 利部脩二

    利部政府委員 本来の牛乳と加工乳が消費者が購入する際にちゃんと区別できるようになっていなければならないという点はそのとおりでございますが、そのために、消費者が明確に理解するためにどういう表示をすればいいかということは実は非常に難しい問題でございまして、それを今業界でも検討しておりますし、私ども公正取引委員会の者も検討しているところでございます。  消費者団体でいろいろ要請しておりますけれども、私どもの理解しておりますところは、消費者団体の方がそういう問題提起をしておられる段階であって、消費者が求めていることはこういうことなんだということを主張しておられるその消費者の求めておられるところが、どういう表示によれば一番的確に実現されるかということを、行政の方も、もちろん業界の方も考えていかなければいけない。今それを検討している段階でございます。  だから、必ずしも消費者団体の現在提案している方法が実は消費者の求めておるように明確に理解されるような表示でない場合もございます。それは消費者団体の方も業界の方も大いに議論をしてみて、実態をお互いに知り合って、その上で考えていくことではなかろうかと思っております。
  97. 串原義直

    串原委員 これからの公正取引委員会の努力に期待をしておりますけれども、それと関連して、さらにこの際一、二伺っておきたいと思うのでございます。  今質問を申し上げて御答弁をいただきました飲み物、乳の中身の表示、業界は簡単になかなか賛成しない、賛成してくれないという理由の中に、こういうことがあるということも実は耳にいたしました。夏場に生乳不足が生じるから原材料使用率が表示できないというふうに言われている向きもあるようでありますけれども、昨今の生乳需給は、生乳の生産過剰で生産者はみずから生産調整を行っているという実情であることは部長さん御承知のとおりであります。それに、以前は夏場になりますと生乳が不足しておりました近畿地方ですら、このごろでは真夏に乳業者の受乳、つまり乳を受ける受乳拒否が起きたり加工が発生したりしているというふうに聞いておるわけであります。  だから私は、夏場に生乳不足が生じるから配合の割合表示ができない、これは理由にならないと実は考えているわけでございまして、この点につきましては、先ほども若干触れましたけれども、ジュース類の表示というのは一〇%幅で原料の表示をしているわけでございまして、これは考え方だけ、姿勢の問題で夏場の生乳不足云々という問題は克服できる、こういうふうに私としては考えているわけでございますけれども、いかがでしょう。
  98. 利部脩二

    利部政府委員 果汁入り清涼飲料には割合表示がされておりますが、食品の中で原材料の割合が表示されている珍しい例でございます。それは、果汁入り清涼飲料の場合は果汁と水とをまぜるわけでございまして、水は幾らかはもちろん値段はつきましょうけれども価値が全然違う。それが一見したところ、いかにも果汁であるかのように色やにおいで見える。しかし実は五割は水ですよということを示す必要があるので、そういう意味で割合表示をしているのだと思います。乳飲料の場合は、まぜるものが、特徴の差はありますけれども価値が劣るとか品質に優劣があるという話ではない。そういうところで、原材料が何が使われているかは非常に大切なことだと思いますが、それがどれだけの割合で使われているかということは果たしてその食品の特徴を決める重要な要素であるかどうかというのも、もう一つ考えてみなければいけないところかと思います。  それから、確かに最近は供給の状況もよくなっておりますが、まだ中小の乳業メーカーの方、特に地域的な市場を持っておられる方ですと、牛乳の供給側で地域的な不均衡が生じた場合にどうなるだろうかという不安も非常に持っているわけでございます。特に、大手の方ですと仮に割合を表示するにしても何種類かの容器をあらかじめ用意しておくことができますけれども、中小の乳業メーカーですと全体が少ないですから、余り多種類の容器を用意して、例えば生乳の割合が少なくなったからそれに合わせた表示をした容器を使うということも経営上非常に難しいという点もございます。また、そういう点も中小の乳業メーカーは非常に不安を持っております。そういう点も考慮していかなければいけないのではないかという状況がございます。
  99. 串原義直

    串原委員 それからいま一つ触れておきたいと思うのでございますけれども、原材料名とその配合割合の表示についてでありますが、この話が出ますときに、人によるとその担保がないということで渋っているという話を聞くのでございます。この問題は、実は飲用乳の製造工場には加工原料乳の認定上原材料配合割合等の帳簿が常備されておりまして、これによって確認ができるはずだと私は理解しているわけです。全国牛乳協会が決めました加工乳生乳使用率の表示要綱に基づきまして常に集計表というのをそれぞれの事業場、工場に備えていらっしゃるわけですね。でありますから、中身の割合を表示しろと言ってもなかなか担保がないというようなことは当たらないのではないか。常に工場にこの集計表が備えられているはずでありますから十分可能なことであると考えているのですけれども、いかがでしょう。
  100. 利部脩二

    利部政府委員 その点は先生のおっしゃるとおりだと思います。確かに担保することが難しい点はあろうかと思いますが、不可能なことではございませんし、仮に六〇%と書いてそれが五%ぐらい違ったからといって別にそんなに怒る人もいないでしょうから、そういう点では割合表示ができないという理由にはならないと思います。むしろ、先ほど申し上げましたように乳製品にいろいろな種類のもの、実に多様なものが出ておりますので、それに原材料割合まで表示することが消費者にとって本当に重要なことなのであろうかという点と、それから供給側がそういう対応ができるであろうかという点が考えなければいけない点だと思います。担保云々の話は先生のおっしゃるとおりで、それが理由ということではないと思います。
  101. 串原義直

    串原委員 時間が経過をしてまいりましたから余りこれ以上質疑ができないかと思うのでございますが、最初申し上げましたけれども消費者の八団体が一つにまとまって先ほどお答えをいただきましたような立場での要請事項を公取にお願いしている。これは珍しいことだと私は思っているのでございます。生産者団体も同じですね。私はきょうの質疑を通じてもそう思うのでございますけれども消費者の皆さんや生産者団体の皆さんの要請事項を具体的に実現をしていって商品の信頼性を高める、そして消費者にも喜んでいただける、こういうことになるならば、業界側も大きなプラスになるはずだと実は考えているわけであります。むしろ、消費者の皆さんよく言ってくださった、生産者諸君よく提案をしてくださった、一緒にやりましょう、こういう姿勢になってよろしいはずだなと思うのでありますけれども、どうしてこんなことをこだわっているのか、私はまことに理解できない。どう考えていらっしゃいますか。
  102. 利部脩二

    利部政府委員 その点も、私も同じことでございます。基本的に、消費者が求めることを的確に表示することによって、少なくとも長期的に見て企業が損するということはありませんし、今までもそういうことはございませんでした。景品表示法の運用でいろいろな表示の改善が行われましたけれども、よい表示をしたために売れ行きが落ちたということはいまだかつてございませんでした。もっともインチキをやっていたらそれは別ですけれども。  基本的にはそうでございますから、本来基本的な対立があるわけはないということでございますが、今見ておりますところですと、消費者団体の方も、いろいろの問題を指摘していることがそのままの形で実現しないとだめだというふうに、実はもっと深いところをお考えなのかもしれませんが、議論の過程ではそういう主張をなさる。企業側の方も、それをそのままの言葉で受けて、それはできる、できないと言う。ですから、消費者団体が求めていることの、本当に求めていることは何だろうかということをよく考えてみますと、おのずから対応策は出てくるんじゃないか。あるいは消費者団体がいろいろ言っていることも、全然別の形でそのことが実現するということもございましょう。それからさらには、業界だけではできにくい食品衛生法なり乳等省令の観点考え直してみなければいかぬ点なんかもあろうかと思います。そういう点を消費者団体の方も全部まとめておっしゃるという場合もあります。そういうところからの食い違いであって、本来基本的に対立すべきものではないと思っておりますので、何とかそういう点が実現されるように、今後とも私の方も努力してまいりたいと考えております。
  103. 串原義直

    串原委員 時間が参りましたので、飲用乳の問題はこれでやめることにいたしますが、あなた今、業界側もプラスになるはずだ、消費者もいいけれども生産者もよろしい、そういうふうに私も思うという立場で御答弁いただきました。したがいまして、ぜひその立場で、若干のすれ違いもあるでしょう、これはあって当然だと思うけれども、それを克服してすばらしい表示方法が具体化するように、より一層頑張っていただきたいと思います。強く要請をして、この表示問題はこれで終わることにいたします。  時間が参りましてまことに残念でありますけれども、通産省お見えでありますか。急いで伺います。  このところ急速に円高になってまいりまして、この円高による物価の影響、いろんなものが受けるわけでありますけれども、安くなるという立場で特に影響の大きいのは原油だと思っているのであります。ところが、二〇%余の円高になったにもかかわらずガソリン、灯油の小売価格というのはちっとも安くならない、その傾向すらも見えないというほどであります。時間があれば、私ここに数字を持っておりまして、これを挙げて伺いたかったのでありますが、時間が来ましたから数字を挙げませんけれども、不思議でならない。二〇%余に及ぶ円高というのは必ず小売価格にも影響してもらわなければ困る、影響して当然だ、こう思うのでありますけれども、この点についてどう思いますか。
  104. 鳥居原正敏

    ○鳥居原説明員 円高が原油価格あるいは石油製品にどう影響するかということは、一般論を言えばコストダウンになり、そういう意味では産業にとってもいろいろなフェーバーがあるわけでございますが、それが末端の価格にどう反映されるかということにつきましては、御承知のように石油製品はいわゆる市場メカニズムで決まっておりますので、一概にどういう形で影響されるかということはわかりかねる面がございます。  いずれにしましても、御指摘のガソリン、灯油等の市況につきましては、既に昨年の暮れあたりから非常に安い形で価格が形成されておりまして、現在では、例えばガソリンについては一リッター百三十九円くらい、灯油につきましては十八リットル缶で千三百四十三円程度ということでございまして、円高傾向以前にかなりコスト割れの形での価格形成になってございます。その結果、本年度、六十年度の上期におきましては、石油産業、三十数社関連廃業がございますが、合わせて残念ながら約一千七百億円の経常赤字を出すというような経営状態でございまして、これから円高のコストダウンが影響し、この赤字を早く解消して健全な経営に持っていくことがまず先決だろうというふうに考えてございます。  そういう意味で、即座に末端の価格にこの円高の影響が反映されないというのは、ある意味では極めて残念なことだと思っております。通産省としましても、そういう意味で早く健全な経営を行えるように積極的に指導してまいりたいと思っております。
  105. 串原義直

    串原委員 時間が参りましてまことに遺憾でありますけれども、経済企画庁に伺うわけでございます。  今、通産省から御答弁をいただきました。円高であるにもかかわらず末端価格に影響していかないという方向、まことに遺憾に思います。今、御答弁にも遺憾だという話がありました。そこで、端的に伺いますけれども、円相場が二百円の場合に、好ましいガソリン、灯油の小売価格はどのあたりというふうに経済企画庁としては考えているか。いま一つ、その対策をこれからどう進めますか。
  106. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 大変難しい御質問でございます。と申しますのは、先ほど通産省からの答弁にもございましたように、灯油なりガソリンの価格というのは市況にゆだねておる、市場原理で決まるということでございますから、市場の需給状態がどうなるかということで決まるわけでございます。フルコスト主義で申しますならば、コストが幾らかかった、一定の利潤をそれに乗せて幾らになるのが正しい、こういう計算が可能でございますけれども、市場原理にゆだねております以上、為替レートから直ちに幾らが妥当である、これはなかなか言えないのだろうと思います。  ただ、円高によりましていろいろ企業に、俗に差益と申しておりますけれども、そういった利益がたまる傾向にあることは間違いないわけでございますから、私どもとしては、その円高の差益が長期的に見れば当然にユーザー、消費者に原則的には還元されるべきものである。ただ、それはどういうメカニズムを通じてであるかといえば、通常の商品は市場原理を通して、つまり競争を通して下がっていくのであろうというふうに考えております。  ですから、今御質問の第二の点のどういう取り組みをするかという点につきましては、私どもは第一義的には、価格の動きがどういう歩みをたどるか十分監視をしたい。為替が安くなりましても、それが末端の価格まで映るのには当然タイムラグがございます。石油製品などについて言いましても、これは通常三カ月契約でやっておりますし、備蓄の油もございますから、そういった意味で末端に響いていくのは当然ある程度の時間的ラグというのは考えなきゃいかぬ。しかし、そうはいいましても、長い目で見ても影響が出てこないとすれば、それはなかなか解しがたいことでございますから、そういう状況になりますれば私どもは、下がらないとすればそれがなぜ下がらないのか、競争が不足であるのかあるいはその他の要因があるのかということをよく見定めまして、それに即した対策をとりたいというふうに考えております。
  107. 串原義直

    串原委員 時間がなくてガソリン、灯油の問題、議論を深めることができなかったことを遺憾に思いますが、強力に対策をお立てください。強く要請をして、これで終わります。
  108. 竹内猛

    竹内委員長 次に、浜西鉄雄君。
  109. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今同僚議員が最後に質問いたしましたものと少し関連をするわけですが、詳しくは午後の部に譲りまして、ちょうど昼食を挟みますので、特に建設省関係、経企庁関係だけに絞りましたので、御了承願いたいと思います。  まず、内需拡大の問題と中小企業対策ということに力点を置いて私は質問をするわけです。  そこで経企庁並びに中小企業庁に考え方だけお伺いいたしておきますが、いろいろ関連法案を見てもわかりますように、内需拡大の方向で今、国会で論議をされ、これからいよいよ実行に移る段階でありますが、特に私がここで思うのは、中小の土木事業者、私の選挙区内で知り得た範囲内では非常に仕事がないということでありますが、そういう意味合いで、内需拡大の中の公共事業、これらのこれからの計画、構想、予算的な措置などを絡めて、簡単でよろしゅうございますから、多少これから先を占う意味で、内需拡大にどのような方策を持っておるのか、効果が上がるであろうか、そういう方向についてそれぞれお尋ねいたしておきます。
  110. 望月薫雄

    ○望月説明員 先生お話しのように、内需拡大というものが大変重要な課題になっている今日でございますが、そういった中で私ども建設省といたしましては、公共事業がその中で果たすべき役割は極めて大きい、こういう基本認識に立っております。  そういった観点から、まず一つは、事業費を着実に拡大、確保するということが課題だと思っておりますが、あわせまして、この事業の執行に当たりましてもきめの細かい地域的な物の見方とか、あるいは事業の執行に当たりましての中小業者に対する配慮というものについて十分努めてまいりたい、こういう基本姿勢でおります。
  111. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それじゃ、経企庁あるいは中小企業庁にはまたおしまいに総括してお尋ねします。というのは、円高発益の問題とも多少関連をする問題が含まれておりますから、それでは後ほど関連をさしたときに質問をすることにいたします。  次は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律というのがあるわけですが、中小企業者の受注の機会を増大させるというのがこの法律の目的であることはもう説明するまでもないと思うのですが、この法律が実際上どのような実効が上がっているのかについての把握ですね。この把握の仕方を聞いておきたいと思うのですが、四条三項では、遅滞なく方針の要旨を公表しなければならない、こういうのですね。そういう三項の遅滞なく方針の要旨を公表するというのは、どのような手順でどういう公表の仕方をされておるか、これを聞いておきたいと思います。
  112. 長田英機

    ○長田説明員 私、ちょっと突然でございまして、直接の担当じゃございませんので余り詳しくございませんが、官公需法に基づきまして毎年国の方針としまして目標数字を公表し、それを後ほど各省相談しながらフォローアップしているということと理解しております。
  113. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 専門の立場でないからということですから詳しく追及はしませんが、今の段階で聞くと各省庁に対する公表というふうに受けとめますが、中小企業者に対して、例えば県なら県の中央会だとかそういう業者に対する公表という意味ではないわけですか。これは通産省を中心として各省庁に公表するという、そういう条項になるわけですか。
  114. 長田英機

    ○長田説明員 今私が御答弁申し上げましたのは、国全体の目標としまして数字がどれぐらいである、またその実績がどれぐらいという数字でございまして、県別とかそういうような数字ではございません。
  115. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私が聞きたいのは、業者が今年度の政府計画、国の方針はこうで、こういった公共事業がこれから起こってくるというふうな知識というか、政府の方針が業者に伝わる方法までこれは含まっていないのか。これは業者まで知らせる必要があるのではないかというふうに私は素人考えながら思うのですが、一体それは含まれていないわけですか。
  116. 長田英機

    ○長田説明員 国の方針につきましては、中小企業団体を通じましてそれぞれ各中小企業者の方に伝わるように配慮しておるわけでございます。
  117. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 わかりました。そういうことになっておるとすれば、中小企業団体にどのような伝わり方、周知の仕方があるのか、私がまた後日これは聞くことにいたします。  それから、同じく法律の条文の中にあるのです。第五条にあるところでは、各省庁の長から契約の実績が通産大臣に通知される、こういうふうになっているわけです。通産省とすれば、現在は六十年ですが、既に年度を超えておりますから五十九年度の実績というか、これについてわかれば、ここで大まかな数字で結構でありますから、そういうふうなことが各省庁の長から通産大臣に通知をされておるのかどうか、把握されておるのか。この第五条に基づくところの意味合いですから、実行されておるかどうか。
  118. 長田英機

    ○長田説明員 五十九年度につきまして各省から報告されておる数字は、今数字の絶対額をちょっと失念しておりますが、目標に比べますと三六%ということになっております。
  119. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それで法律の意味するところは、ただ報告をし、通産省が把握をするということが目的じゃなくして、通知をするということはそのことが生きて、次にその報告が実行されていく、つまり中小企業の仕事をふやすというか、それを育成強化するという立場でこの法律ができておるわけです、受注の確保に関する法律ですから。そうするとその結果、五十九年度の確実な数字はまだつかまえてないようですが、一応大まかに三六%ということは、一〇〇%じゃないわけでありますから、そういった場合にはどのような手だてというか、これを実効あらしめるための指導、手だて、こういうものがありますか。
  120. 長田英機

    ○長田説明員 まず第一に、先ほど私が三六%と申し上げましたのは、実は全体に対する中小企業の割合が三六%でございました。  それから次の達成率、大体目標のように上がっているわけでございますけれども、この達成率を上げるべく、各省庁といろいろ相談しましたり、あるいは中小企業団体等に対しましていろいろ注意を喚起したりして努力している次第でございます。
  121. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そこで、その数字はいずれ公に周知をされると思いますし、また我々も把握したいと思いますが、一つの例を申し上げて、私この中に疑問を持つわけですから、それをちょっと申し上げます。  私は山口県でありますから、山口県下で五十九年度、土木関係で総件数が五千四百七十五件、うち中小企業、ここが問題です。中小企業基準がちょっと問題なんですが、これが何と五千二百二十二件ですから、九五・四%中小企業が仕事をもらったとされているのですね。これは数字が莫大に高いと思うのです。ついでに総金額を申し上げますが、五百七十九億四千六百八十万円と、こうなっておる。そのうち中小企業は四百七十五億一千六百三十八万円、これは八二%。だから、件数にしても金額にしても大変結構な数字が上がっておるのですが、問題は、さっき申しました受注の確保に関する法律の中小企業という定義、これは少し細かくする必要があるのではなかろうか。  冒頭申しましたように、私が知り得た五人じゃ十人じゃというような土木事業者は仕事がもらえないというのですね。であるのに、数字を今申し上げましたように把握すると、件数で九五・四%は中小企業が仕事をもらっておるとされている。さて、その中小企業とは、これを見ますと資本金一億円以下ですね。それから従業員が三百人までですか。これは私のイメージの中にある中小という土木事業者とははるかに違うわけですね。  この問題について、冒頭申しました把握の仕方、中小が全体の中の三六%の把握の仕方が、今私が言った中小という第二条の一項一号の分類でいっておるのか、それとも二条の一項四号あたりの小さな組合が協業組合などをつくっておる、そういう単位の組合の把握の仕方はどうするのか、この把握の仕方がどうも私は腑に落ちませんので、現在把握しておる中小企業という分類は一体どういうふうな分類になっているのか。これをちょっと聞かしてください。
  122. 長田英機

    ○長田説明員 現在私どもの把握の仕方としましては、いわゆる中小企業の定義としまして一億円以下あるいは三百人以下の従業員というような基準で把握をしております。
  123. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 再度お尋ねしますが、それでは今言う基準以下の、この言葉でいくと中小と言うよりかむしろ零細と言った方がいいでしょうが、零細事業者の受注率の状況というものは確実にはわからない、こういうことになるわけですか。
  124. 長田英機

    ○長田説明員 先生の御指摘のとおり、現在いわゆる小規模零細企業というものを特に区分けして数字を集めているということはございません。
  125. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 やはりこれは問題だと思います。この適格組合のことも含めて私が実際に肌で聞いたことでは、一口に言って仕事がないということで、仮にあってもその仕事は、今ここで規定されておる資本一億円、従業員三百人以下、私はかなり大きな会社だと思うのですが、そういったところからさらに仕事を一部もらって、もらったのがまたさらに小さなところに、トラック一台出してこの道路工事をさせろとかいうふうなことで仕事が漸次おりていく。本当に中小企業がまともにこの法律にある精神、つまり官公需の受注の機会を与えてもらえるというそのためにつくった法律が、実際上は非常に不明確なものになっておると思うのです、今答弁を聞いても。したがって、この問題はもっと細分化して実態を把握する必要があると思うのです。今私はここで直接これだということを申し上げませんが、少なくとも資本金が二千万なら二千万、一千万なら一千万、従業員が十名なら十名、それは二十名でもいいですが、どこかにその基準を設けて、本当の零細の事業者がこの法律に基づいての官公需の受注を受ける機会がどの程度あったのかどうなのか、これを把握する必要があると思うのですが、それについてのお考え、どうですか。
  126. 長田英機

    ○長田説明員 非常にたくさんの案件を集めまして集計しなければならないということがございますので、先生指摘の点なかなか難しい点があるのじゃないかと思いますけれども、私は担当課長じゃございませんので中小企業庁に持ち帰りまして、先生のそういう貴重な御意見があったということで内部で議論をさせていただきたいと思います。
  127. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 では、その言葉に私は期待をかけておきます。  そこで、円高差益と関係があります具体的な内容は午後質問をいたしますが、随分もうかった業種と輸出専門で大変困っておる赤字の会社と、悲喜こもごもあるわけです。これは内容的には午後の部でいろいろ質問いたしますが、私が言いたいのは、結論として、そういう円高差益を建設省が中心となって社会資本という方向に向ける、そういうようなこれは新しい提案であります。  私は経企庁の考え方をこの質問を最後にお聞きしておきたいと思うのですけれども、内需拡大といっても、我々が住んでおるこの国内で仕事がいろいろ活発に行われていく、順当に動いていくというのが本当の内需拡大だと思うわけです。輸出型の事業に対して私は今ここで妙薬があるわけではありませんからそのことはちょっとのけておいても、つまり、さっきも質問がちょっとありましたように、輸入で石油あたりは原油でもうかっておるわけでありますから、またそれをもとにしておる電気事業者はもうかっておるわけでありますから、そういったいろいろなもうかる業種ともうからない業種がありますが、もともと商法というものは、釈迦に説法で私が言う必要はないと思うわけですが、これはあくまで個人の経営努力によるもので、全部個人の私有としてもらって結構なものですけれども、円高差益差損というものは国際社会間の出来事と言った方がいいと思いますから、そういう意味では国家的な規模で、これは仮称でありますが中小企業助成特別会計とか援助特別会計とか、名前はどうでもいいのですが、そういう国家的な規模でもうかったところは社会資本として返す、あるいは中小企業をある程度援助してやるための資金にするというような発想を持つ必要があるのではなかろうか。  これからますますこういった事業については国際競争の中で変化していくと私は思うのです。そのためにも、これは一つのアイデアでありますが、共同溝というのを――東京電力は近いうち、もし切断されたり災害が起こったときには三日間ぐらいで電力が送れるようにするための特別訓練をやるようであります。それから一年前のあの電話線の問題もありました。今回の千葉動力車の関係であのような不祥事も起こりました。起こってはならないことが突発して起こるわけでありますので、やはりこれは、ガスの管がどうだとか電話線がどうだとか動力線がどうだとかいうばらばらの行政じゃなくして、むしろ建設省が中心となって、そういう円高差益の問題とも絡ませながら、私はこれから日本の社会資本の面で一番必要になってくると思いますので、共同溝を、キャブシステムといいますか簡易のあれじゃなくて、本格的なやつをむしろ進めるべきだと思います。  そういったことは、今即座によしやろうとかどうだとかということにはならないと思うのですが、一つの例でありますから、中小企業援助特別会計だとか共同灘だとか思いつきみたいな話でありますが、円高差益差損の調和の意味も含めてそういう制度を国家的規模でつくる必要があると思いますが、午前中の質問の最終の締めくくりとして、ひとつそれぞれお答え願いたいのです。  きょうはたまたま通産大臣は参議院の方のあれがあるので来られておりませんが、ひとつ経企庁長官として、少しとっぴなようでありますがこの種の問題について、円高差益については社会資本に還元をする、そういう発想を持ってもらいたいが、御感想を伺っておきたいと思うのです。
  128. 金子一平

    金子国務大臣 大変見識のある御意見でございまして、私どももこれは大事なことだと思うのです。ただ、どういう方法で今の円高差益を吸収して社会資本に還元するか、そのやり方につきましては技術的に大変厄介な問題がございますので、方向として、今の中小企業の対策を考えたりあるいは特におくれている社会資本の充実に向けるような方向でこれからどういう方法をとったらいいかということは、十分検討するに値することだと考えております。
  129. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 考え方について基本的には――まあ難しいいろいろな条件があるので慎重に発言されたと思うのですが、最大限この問題について取り組んでもらいたいと思います。  建設省にお尋ねしますが、今私が提起した共同溝というものはこれからの社会に大変必要な問題となってくると思うのです。電線やら何やら外に線がぶら下がっておるのとおらないのとでは、立体交通の工事をやるにしてもはかり知れない波及的な利便さというものが出てくると思うのです。建設省はこれに対する窓口になって、関係する各省庁あるいは主要な公団、そういったところに対して指導力を持ってこの共同溝の普及について進めてもらいたいと思いますが、考え方だけで結構でありますが、お尋ねいたします。
  130. 布施洋一

    ○布施説明員 共同溝あるいは簡易な形のキャブシステムというものを私ども道路管理者としてやらせていただいているわけでございます。  共同溝につきましては、既に御案内と存じますが、電気、ガス等の公益事業物件を地中に一括して収容するということで整備を進めてきておるのでございまして、現在まで約二百キロ弱ほどの整備が進んできているという実情でございます。それで、実際に整備をするに当たりましては、今のそれぞれの電気あるいは通信、ガスといったような方々の御意向も踏まえるべく、それぞれの地域におきまして連絡協議会を設けて御相談をしながら進めてきているということが現在の実情でございます。  それで、今後につきましては、やはり共同溝整備というものは道路管理者としても非常に重要だと考えておりまして、今後とも公益事業者と御相談しながら、実際に設置をいたします路線でありますとか対象の地域でありますとか、そういったようなものの拡大を図るなどしながら積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
  131. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 時間が来ましたので、午前中はこれで終わりたいと思います。
  132. 竹内猛

    竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十六分開議
  133. 竹内猛

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。浜西鉄雄君。
  134. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 午前中に多少関連をいたしますが、問題は円高、この円高によるところの影響が中小企業にもかなり深刻に影を落としておると思うのです。つまり、もうかったところと、技術を駆使して輸出をする産業は軒並みに大変な赤字で、生産力はあるけれども倒産というふうな変なことになっておると思うのです。  そこで、少し具体的にお聞きした方がいいと思うのですが、まず基本的なことを経企庁にお尋ねいたしますが、ざっと大まかな話ですけれども、年度当初一ドル二百五十円前後であったものが今日ではかなりの円高で、三十円から四十円という言ってみれば値上がりが現実に続いておるわけですから、そこで単純計算ですけれども、我が国の輸入総額というものは大体千三百億ドルというふうに聞いております。この数字が違えば訂正してもらいますが、千三百億ドルとすれば、例えば三十円の円高で単純に計算してもその差益というものは三兆九千億円、こういうことになるわけです。四十円という円高、これも単純計算すれば五兆二千億円、こういうことになるわけでありますが、さて、この円高差益というものが果たして国民生活の上に影響があるだろうかと思うと、実際にサラリーマンあたりを対象として考えてみたって、それに対する見返りというか、何にもないわけですね。だから、単純計算しても確実に日本という国の懐に入っておるのが今言う三十円の差益だけでも計算して三兆九千億円、四十円ならばこれは五兆二千億円という単純計算が成り立つわけですが、これは一体どこに消えてどういうふうな滞り方をしておるのだろうか。差益の行方というものについてどう判断をされるか、まずそれを冒頭に伺っておきたいと思うのです。
  135. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 為替レートが上がりますと、先生指摘のように輸入物資が安く購入できる、輸入できるというメリットがございます。つまり、例えば二百四十円から二百円になったといたしますと、一ドルの海外商品は二百四十円出さなければいけなかったものが二百円で買えるということで、四十円だけ購買力が節約になる。これがいわゆる差益になります。ただし、輸入の方を見ておりますとそうでありますけれども、輸出の方を見ておりますと、従来一ドルの品物を輸出をして二百四十円稼いでいたものが、今度は二百円しか入らなくなるわけでありますから、したがいまして四十円損をする。現在輸入は大体千三百億ドル強でございますし、それに対しまして輸出の方は千八百ドルに近い数字だと思います。そういうことで、輸出の方が金額がはるかに大きい。したがって貿易黒字がたまるということになるのですけれども、そういたしますと、輸入で確かに得はいたしますけれども、輸出の損の方が大きいということになります。こういうことになりますと、経済全体として見ればむしろ差損が発生してしまう、こういうことになるわけです。  しかし、それぞれ輸入企業経営をしている方々にとりましては、為替レートが高くなった分だけそれに比例をして収入が減ったんじゃやっていけない、こういうことで、例えばのことでありますけれども、従来一ドルで販売をしておりましたものを、先方といろいろ交渉して、かなり困難な交渉などをして一ドル十五セントで売る、こういう努力をいたします。そういたしますと、一ドル十五セントで売れるわけですから二百三十円。従来の二百四十円に比べまして十円だけ損といいますか、収入が不足になる。ただし、その反面におきまして、これまで一ドルで販売していたものですから、これを一ドル十五セントに値上げるということになりますと当然輸出量が減ってくる、売れ行きが困難になる、こういうことがございます。したがいまして、差し引きいたしまして、輸入でプラスの四十円、輸出でマイナスの十円、つまり経済全体として見ると三十円もうけかといいますと、今の輸出数量の減少というところがございますからそう簡単ではありませんけれども、しかし経済全体としては確かにプラスになる、こういうことであります。  プラスになるメカニズムは、輸入が安く買えることと、輸出につきましてドル建ての価格を引き上げる、この両方の要素が重なって差し引きプラスになる。このプラスになったものは、公共料金なんかの場合ちょっと問題は別でありますけれども、それは従来のケースで分析をいたしますと、大体八カ月から九カ月ぐらい、いわば三・四半期ぐらいたちますと消費者物価の段階までこのプラスの利益というのが均てんしてまいります。消費者物価が下がってくる。例えば中間製品である部品の段階までプラスが及んでくるのが四、五カ月だと思います。それから輸入品を直接原料として使っておりますいわゆる素材部門などは、一カ月とか二カ月といったような非常に短時日の間に価格が下がるという形でこのメリットの還元が行われる。こういうのが従来、と申しましても五十五年ぐらいのときに円安から一転して円高になりましたこの当時の状況を分析すると、そういうことじゃないかと思います。  したがいまして、差益はどこへ行ったのかということでありますけれども、物価の安定を通じて需要家、また需要家の一人であります消費者にその利益が及んできている、これが過去の姿でありますけれども、今回の場合も当然過去の姿と例外ではないものと理解をしております。
  136. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 一つの経済の法則のような意味では今の説明はそれなりにわかりますが、ことしの上半期、四月から九月、この上半期はそういう一つの理論に反して逆に、貿易黒字というものは二百九十二億ドルというふうに、過去にない最高の状態が出現しておるわけですね。だからその辺の分析が、大変ノーマルな分析でない結果が生まれておるわけですね。基本的には今説明のあったことで、そんなものだという意味で私どもは理解いたしますが、実態はそうではないわけですね。一体これはどうなんだろうかということで、一つは代表的な企業というか業種というか、こういうものの実態をここで説明してもらいたいと思います。  最初に言っておきますが、代表的などと言えば、もうけたと思われるところで電力、ガスあるいは石油、それから水産関係、これは言ってみれば燃料安ということであるはずです。それから食品関係、飼料、肉、こういうようなもの。それから、逆に円高によって大変困っておる、つまりマイナスだというところの業種の代表的なものが鉄鋼、非鉄、それから電機、自動車あるいは精密機械、代表的なものはこういうふうなものになろうかと思うのです。  順序はひとつ、電力、ガスの関係、石油の関係、鉄鋼の関係、非鉄の関係、それから電機、自動車、精密というふうな順番で、それぞれ本日はその道の専門家が来ておられますので、まずその順序でお尋ねをいたしますので、現状を、例えば電気、ガスの場合は、これは一般に伝えられておるところですけれども、東京電力だけでも一円高で年間四十億円というものが黙っておってももうかっておるはずだ。九社で百二十億円、一円でそうであります。ですから、そういった意味では円高によるところの差益はかなり大きいと思うわけです。一つの例を私申し上げましたが、そのようなことについての実態ですね、その業界、業種はただいまこうなっておる、あるいはもうけておらぬとか、それはこういう理由だということを、簡単にそれぞれのものについて順番を追って説明してもらいたいと思います。まず電力、ガスから……。
  137. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  電力会社の為替レートが収支に及ぼす影響の関係でございますが、いろいろな貯油、貯蔵の関係を抜きにして考えて、純粋に為替レートの関係だけを取り出して申し上げますと、一円レートが高くなりましてそれが一年間続くということになりますと、今先生指摘のとおり業界全体では百二十億円のプラス要因となって働きます。  現在の状況でございますが、実は十一月末に各電力会社の中間決算というのが発表になっておりますが、この中におきましては、為替レートにつきましては去年の同じ期間に比べますと八円程度円安となっておりまして、むしろ為替要因ではマイナスファクターとなって働いております。  それから、本年度これからでございますが、九月末からの円高によりまして、これはプラス要因に働くわけでございますけれども、先ほどもお話出ておりましたように、まだ日も浅うございまして、それからタイムラグというものがございます。したがって、これがどういう働き方をするかという点につきましては、今後の燃料消費の動向なども関係することでございますので、需要の動向、燃料の動向、為替レートの動き、そういうものが総合して出てまいります。それにタイムラグの関係が出てまいりますので、いましばらく様子を見さしていただいているという段階でございます。
  138. 中尾舜一

    ○中尾説明員 ガス事業についてお答え申し上げます。  ガス会社たくさんございますので、大手の三社につきましての円高の影響につきまして申し上げたいと思いますが、電力と同様いろいろな要素がございますが、要するに単純計算をいたしますと、一年間継続したという場合に三社で十四億円のメリットがあるという計算になります。  なお、三社の六十年度の中間決算でございますが、これも為替レートがむしろ円安ということでございまして、中間決算におきましては、対前年に比べまして三社合計経常利益では三六%程度の減という結果になっております。  それから円高の影響でございますが、今後の、ガスの場合には需要期、冬場を迎えますので、その辺の需要の動向でございますとか、あるいは保安対策等にいろいろと力を入れているわけでございまして、そういう経費の増も一応あるわけでございます。そういうことがございますし、円高、円レートの問題につきましては、これが収支面に影響が出てくるまでにはタイムラグもあるということでございまして、現時点におきましては、円レートの動向等事態の推移を慎重に見守っているという状況でございます。
  139. 鳥居原正敏

    ○鳥居原説明員 石油製品についてお答え申し上げます。  石油につきましても、議員御指摘のように円高の効果はコストダウン効果としてあるわけでございますが、既に御承知のように、石油製品の価格はいわゆる市場メカニズムといいますか、市況によって決定されるということで、一概にこの円高の効果がどういう形で市況に反映されるかということはなかなか申し上げにくい面がございます。  これも既に御承知かと思いますが、既に石油産業の場合には、円高傾向以前に大変いわば採算割れとも思われるような廉売をいたした結果、非常に苦しい経営状況になっておりまして、六十年度の上期の決算で、三十数社石油関連の企業がございますけれども、何と一千七百億円の赤字を計上するというような事態でございます。  ともあれ、今の市況は非常にコスト割れ的な要素も強うございますので、とりあえずは我々といたしましては企業の健全な経営を確保することが第一、こう考えておりまして、そういう面での指導を積極的に続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 庄野敏臣

    ○庄野説明員 鉄鋼関係についてお答え申し上げます。  鉄鋼関係につきましては、直接間接に需要の約五割が輸出に関連いたしております。そういう意味では、円高に伴いまして直接間接、二重の影響を受けると認識いたしております。  まず第一に、直接輸出につきましてでございますが、鉄鋼が伝統的に国際商品ということでほぼ生産の三割ぐらい輸出してございます。確かに例えば高炉部門では鉄鉱石、石炭関係で輸入してございますけれども、これを大幅に上回る輸出額出超でございます。概算的に申し上げますと、約百四十億ドル強輸出しておりますが、他方において輸入は約九十億ドル弱、したがいまして、差し引き五十億ドル程度の出超ということに相なっております。特に、原材料関係の輸入がございません電気炉関係あるいは圧延関係につきましては、輸出依存度も高うございますので、かなりの影響が出るのではないかと懸念いたしております。  それから二つ目は間接輸出についてでございますが、御案内かと存じますけれども、鉄鋼の需要の約二割につきましては間接輸出関係で使われております。したがいまして、この間接輸出される相手先の輸出動向いかんによってまた影響を受けるという形に相なるわけでございます。  それからなお、当面の大幅な円高に伴いまして日本経済全体が少し減速ということであるのであれば、基礎資材である鉄鋼需要が落ち込むということの懸念もまた他方において心配されている状況でございます。  なお、ことしの九月に中間決算がございましたが、売り上げが一〇%ほど減、それから経常利益で約三割ぐらいの減ということでございますので、今後円高が本格的になりました下期については、さらにそこから落ち込むのではないかというのが大方の予想でございます。  以上でございます。
  141. 松田憲和

    ○松田説明員 アルミ業界について御説明させていただきます。  アルミ業界の現状は、先生御承知のとおり国際的な需給が非常に緩んでいるということで、国際的な市況というものが落ちております。日本の国内価格というのが国際市況の写真相場でございまして、為替レートが直接価格に響いてくるという状態でございまして、そのためアルミ製錬業界としましては、ボーキサイトあるいはアルミナ等の材料を輸入しておるわけでございますが、それによるメリットを超えまして、現在の国内生産あるいは在庫の評価損、そういうものを合わせてこの六十年度下期で、現在の二百円台のオーダーですと大体百億程度の悪化ということになるんじゃないかというふうに見ております。  一方、圧延業界でございますが、圧延業界の場合は輸出が若干ございます。しかし、地金の国際価格が下がっているということから原料費が非常に安くなっておりまして、実際の付加価値分だけの損失ということで、これも半期で十数億から数億円という幅で影響があるというふうに見ております。  製錬業界につきましては、御承知のように現在構造改善を進めておるわけでございまして、これの確実な実施ということで対処するよう我々としては指導しておるという状態でございます。
  142. 中田哲雄

    ○中田説明員 時計、カメラなどの精密機械につきましては、一般的には国際競争力の強い業種でございますが、今回の円高が急速に進んだこともありまして、業界といたしましては、円高に伴う輸出先との価格引き上げ交渉などに頭を悩ませているというふうに聞いているところでございます。  今後、輸出向け受注の減少あるいは企業収益の低下を予想する企業も多いわけでございまして、これから先、慎重に輸出の動向を見定めていく必要があるというふうに考えております。
  143. 黒田直樹

    ○黒田説明員 自動車産業でございますが、御承知のように、生産の半分強が輸出に依存しているわけでございまして、また、輸出の中で約四割がアメリカ市場に依存しているというのが現状でございます。そういうことから、自動車業界の中では円高によりまして収益面での影響を懸念する声が強いわけでございます。  そういう中で、一部の企業におきましてはアメリカ等現地での販売価格を若干引き上げる動きも今月あたりから出てきているというのが現状でございまして、これが輸出先での販売に今後どういう影響が出てくるか、それがまた輸出にどういう影響が出てくるか、そして産業の収益等にどういう影響が出てくるか等につきましては、なおしばらく事態の推移を見守る必要があるのではないかというふうに考えております。
  144. 広野允士

    ○広野説明員 電機業界についての影響でございますけれども、電機業界は、重電プラントですとか家電あるいは産業用エレクトロニクス、電子部品というように非常に多岐にわたりまして、円高の影響はそれぞれによって違ってまいっております。  しかし、概して申しますれば、輸出依存度の非常に大きい家電業界等におきましては、G5の後の急激な影響というのも、為替予約等、あるいは非価格競争力と申しますか、そういうところで今のところはある程度吸収をしておるというようなことがございます。  しかし、今後こういう二百円程度のことが続きますれば、契約ができない、あるいは収益が圧迫されるというようなこと、その点については輸出価格の引き上げ等で対処をしていくということでございますけれども、非常に大きな影響が出てくるのではないかというふうに懸念されます。特に、中小企業性の高い電子部品等についてはその影響が心配されるわけでございます。
  145. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 時間が刻々迫ってまいりまして、店を広げ過ぎてどうも時間が不足するようで、ちょっと飛びます。  水産関係は燃料安でいいはずなんだという反面、けさの新聞で見ると、マグロなんか倉庫で眠っているとか。これは市況の関係で、為替レートと関係ありませんけれども、この実態はどうなっておるのか。  それから食品関係。農産物とか食品関係は押しなべて、為替レートで変動があってもその業種が守られるというか、あるいは調整機能が働くというふうな、例えば小麦の場合には食管法で保護されるとか、それから牛肉の場合には畜産振興事業団があってそこで価格のきちっとした管理をされるとか、それから蚕あたりの蚕糸砂糖事業団とかいろいろなものがあってコントロールされるとか、直接物価に変動がない状態があると思うのですが、電力、ガスから始めて、今までずっとあるところはそういう調整機能が全くないわけですね。水産関係、食品関係の実情は、今回の円高で一般的な見方はもうかっているはずだ、そういうふうな目で見られておるわけですが、簡単でいいですが、それをちょっと述べてください。
  146. 高木勇樹

    ○高木説明員 お答え申し上げます。  水産の関係ですと、とる方とそれから水産物の輸出入の関係だと思いますが、とる方につきましては、燃油が漁業の経営で大体二割強を占めておりますから、今の円高がずっと続けば、燃油の下がりということで経営にプラスになると思われますけれども、現時点ではまだ燃油の具体的な値下がりということになっておりませんので、影響が具体的には出ておりません。  それから、特にとる方では遠洋漁業が燃油のウエートの大きい部門でございますけれども、これは御承知のとおり二百海里規制が非常に強化されてきておる、また入漁料が年々上がっているというようなことで、燃油の動向よりもそちらの動向の方が経営に大きく影響する。  それから輸出入の関係でございますけれども、現時点までのところでは、外国からの輸入品につきましては、向こうの漁の時期、それから輸入契約の時期がかなり円高の前になされているものが大多数でございまして、現在入ってきているものにはそれほど大きな円高の影響は出ていないと見ております。ただ、これが続けば来年以降入ってくるものについては影響のあるものもございます。例えばサケ・マスのようなものは、向こうの漁との関係で七月前後に契約をしておりますので、これはほとんど影響がない。ただ、年末かなり安くなると見られておりますのは、いわゆる国内の漁獲量が非常によかった、秋サケの豊漁というようなことで価格が下がるということでございますが、必ずしも円高の影響ではない。  総じて言えば、まだ影響はほとんど見られないということでございます。
  147. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 食品関係もお願いしようと思ったのですけれども、ちょっと時間がこうですから、大変失礼ですが、これはまた違った角度で、流通問題でやる意味もありますので……。  今までの部分は、円高でどのような影響があるかということをそれぞれ述べてもらったわけです。そこで、これはもう時間なので、大変話を広げてしまってまとめるのに苦労しておるのですが、経企庁長官がおられますので結論的に締めくくる意味で、通産大臣はきょうは参議院の方でいろいろ用があるようですからまた別の機会にして、経企庁長官に代表でお答え願いたいのです。  今それぞれ現状を説明された中では、まだそれの関連をする下請の実態というものが浮かび上がっていない。私はこの話の進め方として、中小企業、下請、こういったところが円高、円安の場合に犠牲になって、円高のときには都合がいいわけでしょうけれども、そういういろいろなしわが寄ってくるというか、この問題について中小企業の倒産防止のために、こういった国際的な円高、円安で変動により生じたところの中小企業に与える影響を防止する意味で、何とか国の施策として、極端なわかりやすいことを言うと、もうかった時点では、それの調整機能を果たすような機関として中小企業対策特別会計でもよければ何かそういうものに応分の、これは大変基準が難しいと思うのですが、そういうものを拠出し、取り上げて、それを若干コントロールするような使い方をすべきではないか。個人経営の個人の商法でもうけたものは全部懐へ入れるという、これは努力の結晶ですからこのことは何にも言いませんけれども、円高は国際社会におけるところの変動なので、会社が努力したかしないかと関係なくこういう結果になるわけです。明暗を分けるようなことになる。そして、その暗の場合は中小企業、下請が犠牲になる、このことについて何とか救済策を考えられないものだろうか。  午前中に私が言ったのは、そういうもので社会還元として共同溝のようなもの、ガス、電気あるいは水道、そういったもので還元をするような施設にどうかという話もいたしましたが、それとは多少変わった意味で、中小企業倒産防止の意味で、円高差益でもうかった場合、少しそういったことに調整機能を果たせるような別会計、別仕立てというか、こういうことを考えたらどうだろうかという、これは新しい提案みたいなものですが、ひとつ経企庁の方に、私のそういう発想がとっぴなものか、検討に値するものか、その辺の考えをちょっと聞いておきたいと思うのですが、きょうは時間がありませんからこれで終わります。また続きをやりますが、きょうのところはこれで終わります。
  148. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 ただいま先生の御提案でございますけれども、この点、技術的な点から非常に問題があると思います。そうした技術的な点を詰めないことには具体化することについてはかなり困難ではないかと思っております。  例えば、輸入を中心として御商売をなさっている方は差益が出るということでありますけれども、その反面におきまして、輸入をしているところはもうかるにしても、また他方、輸入と競合するところはそれによりまして被害を受ける、しかし、こうした人が同じという場合もあると思いますし、さらにいろいろ市場の競争ということで値下がりすることもあるわけです。そういった点をどのように押さえていくのか大変技術的に難しい点があるのではないか、御提案を伺っておりましてそういうふうに思いました。
  149. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 いろいろ前段となる論議をお互いにまだしておりませんから、唐突として私が出したことに対してそれぞれ抵抗があるだろうと思いますが、やはり中小企業対策上の立場で私は物事を眺めておるわけでありまして、そういった意味では、今、回答がありましたように技術的にたくさん問題があろうと思いますが、時間がございませんから、これからの問題としてこの種のことをお互いが研究をし、為替レート変動によるところの浮き沈みがないような何らかの国家的な規模で、行政指導もあるだろうしいろいろあるでしょう、何らかのものをつくり出すということに研究をいただくことをここでお願いしておきまして、結論が出ませんで大変失礼をいたしましたが、時間の関係でこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  150. 竹内猛

    竹内委員長 次に、草川昭三君。
  151. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  私は、きょうは一時間半の時間をいただきましたので、最初に円高差益の問題、年末年始の物価対策、そして二番目に化粧品の問題、三番目に新聞販売、そして最後にセメントのカルテルの問題を聞きたいと思います。でございますから、関係省庁の方々はそれぞれ質問が終わりましたら御退席は御自由でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず最初に経企庁にお尋ねをいたしますが、年末年始における物価対策として、十一月二十七日物価担当官会議というのが開かれまして、大変多くの提言をなすっておみえになります。特に年末年始の生鮮食料品の価格見通しを見ると、干ばつ等の影響を受けたネギだとかニンジン等は作柄が悪くなって出回り量は平年を下回る、こういう見通しを立てておるようでございますが、その他は大体物価は安定をしておる、卸価格等についても見通しは非常に楽観的な状況になっております。  しかし、この一連の提案を見ておりますと、円高効果というのは余り反映をしていないようでありますが、特に年末年始に向かって担当省庁としての経企庁は具体的な提案をどのようになされるのか。例えば、予想されます食肉等については「年末にかけて関係小売店による値引き販売を拡充実施する。」、これは庶民にとっても非常に期待をしたい提言でございますが、本当にこういうようなことができるのかどうか、まず経済企画庁の決意を表明していただきたいと思います。
  152. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 十一月二十七日に決定いたしました年末年始対策の今御指摘の牛肉の点あたりは、これは個別に担当省におきまして処理をするということで決めておりますので、ここに書いてございます年末年始対策で決めた内容の実現の見通しは確実でございます。  それに関連いたしまして、六本の項目から成っておりますけれども、その中で輸入品の拡販について、円高の状況のもとにおいて円高傾向等を反映した輸入品の販売拡大をするという項目がもう一つございます。こちらの方は全般的に輸入品の販売の拡大の努力をするということでございまして、繰り返しになりますけれども、個別に品目について価格に触れているところは具体的に各省で措置のめどをつけたものでございます。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 そういうように各省庁で自信を持っておみえになるなら、ぜひこれを一層守るように、フォローアップというのですか対策を立てていただきたいと思うわけであります。きょうはもう十二月十二日でありますので、いよいよ年末物価は追い込みになるわけでございますので、一段と努力をお願いしたいと思います。  二番目に、いわゆる公共料金と円高差益還元の問題。ただいまも議論があったようでございますが、少し具体的に、電力とガス業界に問題を絞ってお伺いしたいと思います。  そこで、まず電力というところで、きょうは通産省から電力のエネ庁の方も来ておりますので、お伺いをしたいと思うのでございます。  円レートが今も二百円少しのところへ来ておるわけでございますし、それから原油価格の変動という問題――瞬間風速とよく言われておりますけれども、その瞬間風速だけで物を見てもらっては困るというような反論があるわけです。私はこの際、瞬間風速で物を言うのではなくて、電力業界として当面やらなければいけない設備投資分というのを一体どれだけ抱えているのか、そして料金体系というのがあるわけでございますけれども、この料金体系というのは一体どういう要素からできているのか。この料金体系というのもいろいろな体系があると思うのでございますけれども、原価主義だとか適正報酬、あるいは負担の公平さ、あるいは三段階ですか、段階的な料金制、あるいは償却の定率法、いろいろな要素があるわけでございます。そういうものを含めても、円高差益というものがあるならばこれは還元してもらわなければいけない。これは国民に明確にしてもらわなければいけないわけですね。しかし、償却の問題なり、あるいはどうしてもやらなければいけない設備投資という問題があるならば、これはしかじかかくかくだという形の中から少し国民の合意をとるような、長期展望というのですか、そういう展望がございませんと大変難しい問題になってくるわけですね。  私が申し上げたいのは、今の料金体系というものは、エネルギーの供給が非常に足りない逼迫した時代の精神に基づいて組み立てられた体系だと思うので、OPECの総会なりいろいろな中東情勢等もあるわけでございますが、大体わかってきたわけですから、それならば、料金体系そのものにメスを入れて電力料金のあるべき姿というものを明示することが、本来の経企庁なら経企庁あるいは通産省なら通産省、エネ庁ならエネ庁としての方針だと思うのですが、その点どうでしょう。まず通産省からお伺いしましょう。
  154. 川田洋輝

    ○川田説明員 先ほども御説明をいたしたところでございますが、本年度の上期の決算段階は五十八、五十九年度とほぼ同様の状況でございまして、これが今後どのように動いていくか、為替レートの動きもいま一つ見きわめまして、六十年度の決算がどういうまとまりをするか、そして六十一年度以降どういう形になっていくか、そういうことを見た上で、今先生からもいろいろお話ございました電力会社の収支見通しとともにいろいろな考えるべき考慮要素を総合的に勘案いたしまして、国民経済的にどういう方策で考えていくのが最もいいかということを十分その時点で検討させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁は一般的な答弁で、私は満足しないのですが、今度は経企庁の方で、今のような答弁も含められて公共料金と為替差益の関連性についてどうお考えになられるのか、経企庁からお伺いしたいと思います。
  156. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御指摘のように、公共料金とそれから一般の市場原理にゆだねられておる商品とは円高の反応が全く違うわけでございます。市場原理にゆだねられている商品は、当然のことでございますが、競争を通じて、ある程度のタイムラグはございますけれども、価格に反映して、消費者ないしユーザーに還元をされていく。公共料金の方はそういう競争下に置かれておりませんから、そういう意味で公共料金については監督機関がしかるべき配慮を当然しなければならないというふうに一般的には考えております。  ただ問題は、それをいつやるかということとそれからどういう方法でやるか、この時期と内容の判断というのが非常に問題点であろうというふうに私ども考えております。しからばこの円高差益の議論をいつするかというのがその前にあろうかと思いますけれども、いろいろ業界の方も指摘をされておりますように、まだ今のところでは円高差益というのはごく一部生じておるだけであって、言うならば絵にかいたもちである。したがって、これがはっきりとしたもちとなって食べられる状況になってきたら、どういう格好で処理をするのがいいのかということについて判断をすべきであるというふうに考えております。  それから、先ほど通産省の方で公共料金体系、電気なら電気の料金体系含めて検討するというお話がございました。私どももそういうこともひっくるめて、還元の方法というのはしかるべき時期に十分検討が必要だろうと思っております。
  157. 草川昭三

    ○草川委員 もう一回エネルギー庁にお伺いをしますが、今の経済企画庁の答弁を踏まえても結構でございますが、私が言った、この際いわゆる体系まで踏み込んで少し抜本的な対応を立てることが必要だということについては肯定をなされるのか、そのことも含めて将来考えるというふうに逃げるのか、どちらですか。
  158. 川田洋輝

    ○川田説明員 先ほどもお答え申し上げましたように現在の状況がどういうことになっていくかということを今見極めておる段階でございますので、今の先生の御質問に端的にお答えするとすれば、まだ全体のことをこれから考える段階であるというところだと思います。
  159. 草川昭三

    ○草川委員 これはこの物特の場で議論すべきことかあるいは商工委員会で議論すべきことか、なかなか難しいところでございますが、国民の合意ということが非常に必要になってくるわけです。国民の皆様も円高差益、差損ということについてはそれぞれの産業で手痛くあるいは鋭く見守っているわけです。十分関心があるわけです。だから、この際にこそただ情緒的に物事を判断するのではなくて、日本の基幹産業のエネルギー政策あるいは公共料金のあり方――現在どれだけ中小零細企業が為替差損で被害をこうむっているのか、それならば差益をどう還元させるのか、これは相当急がなければいけないことだと思うのです。しかも、私が申し上げておるように、その体系自身に一歩踏み込んだあり方というのがあってもいい、こういう意見を持っておるわけです。これは後で長官からもちょっと感想を聞かせてもらいたいので聞いておってもらいたいのですが、これは余り時間をとれませんので、ひとつ今度はガスの方へ行きます。  ガス業界は、率直に申し上げて電力業界と少し条件が違うと私は思うのです。電力とガス業界の質的な意味での格差というものは将来拡大をするのかどうかということを私は少し注目をしておるわけです。特にガス業界は大手三社のLNGへの転換も大体峠を越したようでありますし、設備容量の余裕度というのもかなりあるやに伺っております。同時に、電力のような長期の大型投資の当面する必要性というのは、電力に比べて若干違うように私も思います。  業界の決算内容を見ておりましても史上最高の決算を出しておる、こういうことですね。東京瓦斯の場合でも積立金というものはかなり持っておりまして二年半分の配当維持能力がある、こういうように報道等では紹介をされておるわけであります。ガス業界はどちらかというとこれまで電力業界の陰に隠れて料金改定の火の粉を浴びていませんね。どっちかといえば電力の方が表に出、その後にガス業界というのが陰に隠れていたと思うのでございますけれども、この際私はガス業界もこの公共料金のあり方についてどうあるべきだということで少し国民の理解されるようなアクションを起こしてもしかるべきだと思うのですが、エネルギー庁としてどうお考えになられるのかお伺いします。
  160. 中尾舜一

    ○中尾説明員 一般ガス事業についてお答え申し上げます。  今先生の方から、ガス会社につきましては電力と違ってもう設備投資もないのじゃないかという御指摘があったわけでございますが、先生御承知のとおり、大手ガス三社はこれまでLNG化を積極的に進めてきたわけでございまして、まだ当分このLNG化関連の投資が続くということでございます。それからガスの今後の需要に対応した設備投資というものは判然必要だということでございます。  それから保安の問題でございますが、ガスの場合には、電力に比べましてもガスの事故その他保安面で私どもとしてはかなり立ちおくれているというふうに考えている次第でございまして、今後こういう保安面におきます対策をその設備投資等で一層強化していくということで指導しているとごろでございます。  先日の内需拡大策におきましても、ガス会社大手三社で今後三年間で一千億円の設備投資等を行うということで要請したわけでございますが、その中身を見ますと、需要家先におきます保安対策でありますとかあるいは古くなった導管の取りかえ、そういう保安面におきます設備投資などが主な内容になっているわけでございます。  それからもう一点、ガス会社においては多くの内部留保もあるではないかという御指摘があったわけでございますが、ガス会社の収支、これは私どもとしましては先ほど申しましたように保安対策の充実ということで、それを強化させる指導をしておるわけでございまして、こういうコスト増の要因があるということでございますし、需要につきましては温度その他によって非常に左右されるという不確定な要素があるということでございまして、収支云々につきましては十分これらの諸要素を見きわめる必要があると考えております。  それから内部留保につきましては、現在積み立てております内部留保というのは別途積立金あるいは原価変動調整積立金という形で積み立てているわけでございまして、いずれにしましても料金の長期安定を図るという見地から区分して明確に積み立てているという内容のものであるということを御理解いただきたいと思います。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 今聞いていると、電力担当とガス担当はかなりスタンスが違うのですよ。経企庁、これはよく聞いておっていただきたい。安全対策はもちろん大切だと思うのですよ、当たり前です。余り安全対策のことを言われると、今は全然不安全なのかと、今の御答弁を聞いていますと私は非常に不安になってくるのですよ。今のガス業界は、今おっしゃるような不安全な構造じゃないと思うのです。大体うまくいっていると思うのです。だから、今後もと言うならわかりますが、非常に大きく発言されますと――中小企業の方に仕事を回すよ、だから今使えるものでも新しく設備更新をしますよ、それに円高差益を与えるよ、こういう議論なら、非常に国民的な理解がいくのですよ、今の御答弁は。しかし、ただ安全対策に必要だ必要だと言うのなら、もうガス栓は今から全部閉めてしまわなければ大変だというようなことになってしまうので、その点だけはひとつ十分注意をして御答弁願いたいと思うのです。もう時間がございませんので、そういうことを強く要望しておきます。  それから、どこになりますか、通産省の中小企業庁になると思うのですが、円高で輸出業者、特に中小が非常に困っているわけでございます。過日、村田通産大臣は、円高の緊急融資として年六・八%、合計一千億の特別融資をする、不況業種の指定をして無担保の枠を拡大するという緊急提案をなさっているわけです。これは私ども非常に賛成です。ところが、県段階はもっと早いのですよ。長官お見えになりますが、岐阜県なんというのはいち早く五%と出ているわけでしょう。五%の融資だというわけですよ。だから、先生方困っちゃっているのですよ。村田さんも我が愛知県の出身だから別に敵がい心を持つわけじゃないのだが、一生懸命頑張ってみえる割には、県の方は五だ、片一方は六・八だ、何を言っているのだ、こう業者の方は言うわけですよ。これから金利が下がるかどうかという問題もあります。金利がどうなるかというのは非常に難しいのですけれども、少なくとも下がるのならば、さかのぼって今回の特別融資の金利を下げる気がございますかどうか。これは中小企業庁にお伺いします。
  162. 土居征夫

    ○土居説明員 ただいま先生が御指摘になりましたように、最近の円相場の急騰に対応いたしまして我が国産業の調整を円滑化するために、中小企業向けに中小企業国際経済調整対策特別貸付制度というのを十二月二日から発足させております。金利につきましては御指摘のとおり六・八%ということでございますが、先生御承知のように、十二月二日から長期プライムが上がりまして政府系金融機関の基準金利が七・五に上がりました関係で、それに対しては〇・七の低金利ということになっておるわけでございます。ただ、この金利につきましては、いずれにしても当面の、とりあえずの対応ということでございまして、予算編成期に向けて、現在金利の引き下げの問題あるいはその遡及適用の問題につきましては法的措置の問題も含めて検討しておるということでございます。  一点、自治体の制度融資につきまして五%の低利があるというのも、一部の自治体において事実でございます。これは、金利の面では確かに五%ということでございますけれども、限度額とか期間等の面でそれなりに政府系金融機関の今回の特別融資というものはかなり大幅な優遇面を持っておるというのも事実でございます。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 何といっても大企業は円が二百円を多少割ろうとも持ちこたえられるかもわかりませんけれども、中小零細は二百二十円段階で勝負をしておるわけでございますので、この点についてはぜひ格段の御努力を願いたいと思うのですが、長官、どうでしょうか。今私が申し上げた点について一言発言をしていただきたい、こう思います。
  164. 金子一平

    金子国務大臣 金利が最近少し上がりぎみだものですから、我々の意図と違って少し高目な対応策になったようでございますけれども、これはもう私ども、声を大にして金融の緩和というか高目誘導に対する調整策をそろそろ考えなければいかぬよということも言っておりますし、年末にかけてさらにこの点につきましては一層の配慮をしてまいりたいと考えておることを申し上げておきます。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 では、以上で円高あるいは公共料金の問題は終わります。  二番目に、日本訪問販売協会の正全員でございます株式会社アイスターという会社がございます。これは化粧品を販売しておるわけでございますが、宗教的な手法という新しい次元で訪問販売をし、その訪問販売のあり方自身、いわゆる代理店、営業部員の採用あるいは契約、これをかなりマルチまがいで行っている。そして、何々キャンペーンというようなやり方をしまして買い取り制を行っている。それなりに数多くの被害が出ておるばかりではなくて、この企業がかなり高収益を上げておりまして、この高収益で、税金逃れとも言われておりますけれども、学校法人を申請して学校経営にも乗り出そうとするという非常に特異な企業について今から少し問題提起をしてみたいと思います。  特に、彼らが販売をしておりますところのクリームというものは、一般の化粧品会社のように多品目ではなくて、わずか二ないし三品目を販売しておるわけでございますが、そのクリームの中にいわゆる薬事法違反とも称すべき薬品が混入をされているのではないか、こういう疑いがございますので、早急に行政の方も手を打っていただきたい、こういう立場から問題提起をしてみたい、こう思います。  そこで、まず通産省の方にお伺いいたしますが、この株式会社アイスターは、東京都港区三田一の四の二十八、三田国際ビルの十四階にあると言われております。会社の社長は西山栄一という万でございまして、資本金は二億、設立は昭和五十一年の九月、年商約二百五十七億九千万だと聞いております。相当大きな会社でございますが、この会社の概要についてお伺いをしたいと思います。
  166. 山下弘文

    ○山下説明員 ただいま先生指摘の訪問販売協会のアイスターという会社は、先生指摘のとおり存在しておりますし、今おっしゃったとおりだと思います。ただ、年商のところは、実は小売価格ベースの換算値でそのくらいというふうに承知いたしております。
  167. 草川昭三

    ○草川委員 通産省はこの会社に対して過去どのような指導をしたのか、これを日時を追って説明を聞きたいわけでございますが、その前に、私の方から少しこの会社の概要を申し上げますと、今申し上げましたように本社は東京にあるわけでございますが、全国に約二十カ所の販売会社、これは法人になっておりまして、ここで配送業務をするわけです。二十カ所に販売会社があり、代理店をつくるわけでございますが、その代理店は全国で八千店あります。この八千店の代理店になるには、これは多少金額が違うのでございますけれども、従来、百四十四万円ほどの品物を買い取る、それで登録料として十万円納金をする、こう言われているわけです。この代理店が代理店をふやしていくということになるわけでございますが、その場合に九%のマージン、こういうものが支払われる。さらに、紹介をした代理店が次の子供を生むと、その最初の代理店にはまた六%のマージンが追加をされていく。いわゆるマルチまがいというのですか、マルチそのものかもわかりませんけれども、そういうやり方をしてきたといわれております。  そこで、そういうやり方はおかしいじゃないかというので通産省の方も指導をなされたと聞いておりますが、現在では少し変わっておるようでございます。  例えば、ここに私クリームを持っておりますが、このアイスターという会社が売っているクリームは、アイレディース・エモリエントクリームBあるいはアイレディース・エモリエントクリームC、それから洗顔フォームというのがあるのですが、これも同じようなことでございます。  金額をたまたま申し上げますと、このクリームは現在岡山県の倉敷でつくられておるのですが、「弱油性クリーム エモリエントクリームC アイレディース」ということになっているのですが、一万三千五百円になっております。小さいクリームですがこれを一万三千五百円で売っておるわけですね。これはアイレディース洗顔フォームでございます。最後に顔を洗うときに使うのですが、三千五百円という金額になっております。  これはそれぞれ代理店には五五%引きで売るとか五〇%引きで売るとか、ボーナスのキャンペーンの場合にはさらにプラスアルファをするとかといういろいろな売り方をやっておるようでございますが、いずれにいたしましても、私が最初に申し上げましたように、かなりマルチ的な商法をやっておって、通産省の指導を受けたと聞いておりますけれども、どのように御指導になっておるのかお伺いしたいと思います。
  168. 山下弘文

    ○山下説明員 同社の販売方法について、通産省との関係を御説明申し上げますが、私どもの方で五十五年の末近く同社の販売方法に問題があるのではないかということを情報により知りまして、東京通産局の方で同社を呼びましてその販売システムについて報告を求めたところでございます。  その結果、先生が最初の方に御指摘になりましたような事態があることを承知いたしましたので、その改善の方法について同社といろいろ議論をしてまいりました。ほぼ半年ぐらいかかりましたが、途中会社側からは店舗での販売に切りかえるというふうな考え方も出てまいりまして、それがなかなかうまくいかないというようなこともございまして、委託販売への切りかえということを会社の方は宣明いたしまして、それでやるというふうに了解をしておりました。  その後、一年ほど後でございますが、再度同社の方に状況を確認いたしましたところ、その委託販売方式というのが必ずしも十分完遂されていないということを承知いたしましたので、同社から再びその方針をしっかりやるというような意図の表明を受けたところでございます。  その後、最近でございますが、ことしの夏、雑誌の報道で同社の問題が出ておりましたので、それを契機に今度は本省の方で呼びまして、事実関係を確認いたしました。そこでもなお、先ほど先生おっしゃいましたセールスのための特別な処理とかいうようなことがございましたので、従来からの原則を徹底すべきではないかということでいろいろ申し上げまして、十一月から新しい委託方式の契約書に切りかわったというふうに承知しております。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 通産省も一生懸命この会社に対して指導しておるというのが今の答弁で明らかになりましたが、ようやく十一月段階になってその委託販売契約になった。十一月というのは一カ月前ですから大変長い間かかって指導しておるわけでございますが、それにもかかわらず、委託契約を結んでいると通産省に報告をしたわけでございますが、実際上は、少なくとも二カ月後には買い取ってくれというような言い方をし、買い取らなければ代理店の資格を剥奪する、こういう言い方をしているわけでございます。  それで、そのことを長々と言っておりますときょうの本筋の問題に触れられませんから、また後で若干触れますけれども、この会社のあり方が従来のマルチとも全然違うのは、会長という方を中心に、代理店という衛星のグループとの関係が宗教的な次元で結ばれるわけです。会長の指導はすごいんだ、そのすごいのにこたえるために化粧品を売ろうというならいいのですが、私、ここにアイスターの会社の月に三回ほど出る広報誌を持っておりますけれども、一人が一人の代理店をつくろうという、いわゆる本当のハントというのですか、人狩りというのですか、これが目的なんですね。化粧品を売ろうということは余り書いてないのです。代理店をつくっていこう、品物を回転しようという言い方をしてみえる。しかもそこには宗教的な次元の中でこたえていこう、その会長というのは社長のことですけれども、それにこたえていこうというような販売方法をこの会社はとっているようですね。  そういうあり方は一体何かということをこれから具体的に議論をしたいわけですが、この化粧品は、今通産省のお答えのように、年商二百五十七億と言っていいのかどうか、売り値を掛け算すると二百五十七億ということでございますから、実際二百億売っておるのか百八十億になるのかちょっとわかりませんが、少なくともこの企業の経常利益ということだけを考えてまいりますと、例えば、五十九年度の申告は四十六億九千万円です。御存じのとおり訪問販売で一番大きいのはポーラですね。二番目がメナードです。このメナードの経常利益よりもこのアイスターの利益の方が高いのです。ところが、御存じのとおりメナードは約一千億売っておるわけです。一千億売っている企業の経常利益よりも二百億程度の売り上げのこの会社の利益の方が高いということですから、相当中身で利益を上げておるに違いはないわけですね。あるいは物が売れておるのか、こういうことになるわけです。  そこで、ここで売っているのは、アイレディース・エモリエントクリームB、それからアイレディース・エモリエントクリームC、B、C二つあるのです。それからアイレディース洗顔フォーム、この三つしかないのです。ポーラだとか資生堂だとかいろいろな人に聞きますと、化粧品会社はそれぞれのお客さんのニーズに合うものをたくさんつくりますよと言うのですが、この会社は三つしか売ってない。しかも業界二位の経常利益を上げるという非常に不可思議な会社でございますけれども、実はこの会社の内部の方々から大変な手紙を私は受け取ってきたわけです。  それはどういうことかといいますと、この会社に勤めておったのですけれども、怖くなってやめたというわけです。売っている品物が余りにも恐ろしいというので、この人が私の会社のこのクリームの中に何が入っておるのか分析をしてもらいたいと言って駈け込んでいきまして、分析結果の報告書をある研究所に持っていったわけです。そのデータがここにあるのですが、これは内部から出てきたデータですから、客観的にこれをどう証明するかという問題があるわけでございますので、きょうはここへ厚生省に来ていただいて、少し専門的な言葉になりますが厚生省の方から御答弁を願い、私が何を言いたいかということを客観的に長官も聞いていただきたいと思うのです。  そこで、まず第一番に厚生省にお伺いをしますが、この株式会社アイスターの販売をしているアイレディース・エモリエントクリームB、C、洗顔フォームは当然化粧品の許可を取って営業していると私は思うのでございますが、申請を許可した成分の中にデキサメタゾンとエストロンという薬が入っているかどうか、これをまずお伺いします。
  170. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 ただいま先生御照会のありました株式会社アイスターが販売しておりますアイレデイースーエモリエントクリームB、それからアイレディース・エモリエントクリームC、それとアイレディース洗顔フォームにつきましては、株式会社アイレディース化成北海道、それから同岡山、同静岡に対しまして製造の許可を与えております。これらの化粧品の許可成分の中に、先生今御照会ありましたデキサメタゾン及びエストロンは入っておりません。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 この会社は、エストロンというものとデキサメタゾンというのは申請してないわけですね。  現在、化粧品にこの二成分を入れるということは認められているのかどうか。二つとも認められているのか、あるいは一つはだめか、一つは条件つきなのか、その点についてお答え願いたい。
  172. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 化粧品につきましては、保健衛生上の危害を防止するために、薬事法の第四十二条の規定によりまして化粧品の品質基準が定められております。この基準によりまして、化粧品に配合できるホルモンの種類と量が規定されているところでございますが、先生今御指摘の副腎皮質ホルモンであるデキサメタゾンにつきましては、使用が認められない成分となっておりまして、これらを含有する化粧品を製造販売することは禁止されております。  それからまた、もう一つの成分のエストロンは女性ホルモン剤の一種でございます。これにつきましては、化粧品への使用がごく微量であれば認められるケースがございますが、これらのエストロンを配合する化粧品につきましては厚生大臣の個々の承認を必要とするということになっておりまして、先ほど先生が御照会ありました三つの化粧品については、いずれも許可のみの化粧品でございますので、このような個別の承認はとっておりません。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 今厚生省の方からも明確に答えられておりますけれども、そのデキサメタゾンというのは副腎皮質ホルモン、こういうことでざいますが、これを化粧品の中に入れてはだめだということで禁止をされておるわけですね。それからエストロンという女性ホルモンの一種ですけれども、これは条件というのですか、製造等に当たっては、入れるということについては厚生省に申請をして許可を得なければだめですよ、こういうことになっておるわけです。  ところが、このエモリエントクリームCあるいはBあるいは洗顔フォーム、この中にそれぞれデキサメタゾン、エストロン、こういうものが含まれていますよという分析報告が私の方に寄せられてきたわけです。もしこの中にこれが入っておったとするならば、これは薬事法に違反をすることは当然だと思うのですが、その点はどうでしょう。
  174. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 化粧品に配合することが認められてない成分でございますデキサメタゾン、あるいはその配合に承認を必要とする成分でございますエスメトロンを含有しているという事実があれば、それらの化粧品を製造販売することは薬事法違反になるというふうに考えております。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 これは、厚生省の方から薬事法に明確に違反だ、こういう御答弁があったわけですから、あとはこれが入っているか入っていないかという事実。  私が今ここに持っているこの会社の方々の方から出てきた分析結果報告書というのを見ますと、私もこれは専門家でないので非常に難しいのですが、標準品というのを持ってきて比較をしてみえるわけです。それによりますと、例えば一つの基準というのですか、クリームという意味ではなくてデキサメタゾンというものをこちらのものに一を入れる、この会社のものと比べるとこんなに違いがありますよという、地図というかチャートが私に寄せられました。  これを見ますと、同じ時間帯に一を入れた場合は、こちらの数字ですよ、もちろんこれは入っていない化粧品ですよ、入れちゃいかぬということになっているわけですから。入れてはいけないのですけれども、いろいろな分析のときにそういう物質一を入れてみたら、一時間でにじみ出た量はこれだけですよ。ところが、この会社のクリームを分析して一つの単位でにじみ出るのを見ていたら、こんなに倍のような、倍というよりも十何倍のにじみが出てきた。こういうデータが出てきて本人が非常にびっくりした。それで、これは大変だということで、人道的にも問題だという形になって私の方に御相談に見えたわけでございます。  そんな意味で、非常に重要な事件でございますが、私は、この件について厚生省調査をなされているのかどうかお伺いをします。
  176. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 御指摘の化粧品につきましては、北海道、静岡、岡山の三つの工場で製造されておりまして、厚生省におきましても、事実関係を確認するために、所管の都道府県と協力しましてこれらの工場に立入検査を実施し、調査を行っているところでございます。
  177. 草川昭三

    ○草川委員 それはいつやられましたか、お伺いします。
  178. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 ことしの十二月十一日に立入調査を行ったわけでございます。
  179. 草川昭三

    ○草川委員 きのうだと思うのです。それは非常に結構なことだと思うのです。早くそういうことをやっていただいて、工場で現在製造しているものを押さえてもらわなければいけないわけですね。  これは当然のことながら分析をされることになると思います。厚生省として、県を通じて品物を押さえたわけですから、分析結果がきちっと出ると思いますが、どの程度期間がかかりますか、お尋ねします。
  180. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 ただいま申し上げましたように、三つの工場に立入検査をしまして問題の商品の検体を収去いたしました。現在、地元の都道府県の研究機関等と相談しまして試験、検査の実施を進めておるわけでございますが、成分の定性、定量、二つ検討するわけでございまして、試験法等をいろいろ検討しながら進めていくということで、短期日にやるということは難しいのでございますが、なるべく早く実施したいということで、今のところ大体二週間ぐらいがかるのではなかろうかという先生方の御意見でございました。
  181. 草川昭三

    ○草川委員 現在三つの工場に立入調査をなされたという御報告がありますが、それは一つは北海道の雨龍郡妹背牛町、それから静岡県は掛川市の大池、岡山県は倉敷市の上東という町に三つの工場があるわけです。  そこで、今申し上げましたように、少なくとも八千店の代理店、営業部員は約十万人だと言われておりますね。この方々が何だかんだというキャンペーンを張りながら、しかも従来の販売業界と違って特殊な宗教的な発想で品物を売ることになるわけでございますが、これは相当強烈な販売方法と見なければなりません。  ということになりますと、この二つの成分が入った化粧品というのは一体どういうことになるのか、こういうわけですね。あるいはまた、なぜわざわざ薬事法で禁止をしている薬あるいは届け出が条件であるところの薬品を入れて化粧品を販売するのか。これは推察するところによると、この化粧品を長期間使用した場合に、使う消費者が使用を中止しづらくなるような薬品ではないだろうか。とするならば、これは一種の麻薬のような化粧品が一つの宗教的な次元で売られるということになるならば、これは豊田商事の被害どころではない重大な問題になってくるわけです。  この二つの成分が化粧品に入った場合、消費者は一体どういうような状況になるのか、お伺いをしたいと思います。
  182. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 今先生指摘のデキサメタゾン及びエストロンが含有されている製品の作用につきましては、その製品に入っている成分の含有量によりまして当然のことながら異なってくるわけでございまして、一概にどういう作用かということは言いがたいわけでございますが、その中で副腎皮質ホルモンでございますデキサメタゾンにつきましては、一般に強い抗炎症作用を有するというふうに言われております。もしこのデキサメタゾンが高濃度に入っておりまして、その高濃度に入っておる製品を長期間使用するということになりますと、長期間使用した後使用を中止したときに皮膚に発疹とか炎症などがあらわれるというごとも考えられるわけでございまして、長く使っておる消費者がやめたときにそういう皮膚のトラブルが起こる可能性があるということで、また続けるということも考えられるわけでございます。そういう意味で、結果として使用中止しづらくなるような場合が生ずる可能性考えられることもある。と思っております。
  183. 草川昭三

    ○草川委員 今、非常に重要なことを御答弁なすっておみえになるわけです。確かにおっしゃるよ、うに一概には言えないと思うのですね。多いか少ないかということ、あるいは長期間使うか使わぬかといういろいろな条件があると思いますけれども、このデキサメタゾンには強い抗炎症作用がある。それから高濃度の場合には、長期間運用した後にもしもやめた場合には、皮膚に発疹というのですか、炎症などがあらわれることもあるので、結果としてはやめるわけにはいきませんよ、こういう可能性もあるよという趣旨の御答弁だったと思うのです。私が一番心配をしておりますような、この薬を一たん使い出すとやめるわけにはいかない皮膚の状況になってしまう、こういうことになるわけです。  実は「アイスター・ニュース」というのがあります。ことしの六月一日号の中で、これは東京の人、支部長だと思いますが、何かの会議で自分がいろいろなことを報告しておるわけです。その中に「昨年一年いろいろなことがありました。あの化粧品はトラブルが多いのよ、みんな皮膚科に通っているのよ。町中にいいふらされて営業部員をやめる人もでました。だけど」云々ということで否定をして、私はこれからも「一人でも多くの人に西山会長を伝え続けます。 (四月二十五日、全国幹部研修会での体験発表より)」という言葉があるのですが、現実にはこういうような非難もやはりあるのですね。ですけれども、あなた続けなさいよ、続ければいいじゃないですかと言って売る。  あるいはこの化粧品をやめて新しくほかの化粧品に移る、そのときに発疹というのですか皮膚が非常に荒れる、こういうことで、化粧品をかえたためにこんなになったよと言って他の化粧品会社とのトラブルがあるというようなことも言われているわけです。  公正取引委員会にお伺いをいたしますが、公正取引委員会は、五十九年十一月二十九日に、「訪問販売化粧品の取引に関する独占禁止法上の考え方」、この中で、情報の公開が必要だとか、商品の供給の条件だとか取引の内容、あるいは誇大な虚偽のようなことを言ってはいけないとか、販売員が営業所に昇格する条件等についても十分な情報が必要だとか、非常に微に入り細に入りの独禁法の考え方を説明してみえるわけでございます。こういうことは、公取の指示を出した精神からいっても大変違反すると思うのですが、どういうようにお考えになられるか、お伺いをします。
  184. 利部脩二

    利部政府委員 ただいま問題になっております企業について考えますと、本来販売してはいけない化粧品を販売しているおそれがあるという場合でありますと、何よりもそういう販売そのものをやめてもらうことが先決だということになりますが、仮に将来、そういう妙なものは売らないことにしてまともな商品を扱うことになった、そういう疑いがなくなったとして考えますと、先ほど御質問にありましたように、商品販売が主でなくて、代理店なり営業部員なりの募集によって利益を上げていくというやり方、そちらが主になるというやり方がいけないということを、この間、独禁法の考え方でまず示したわけでございます。  それから、そういうことでなくて商品販売を主とする一応まともな商売のやり方になった場合でも、とかく訪販のシステムというのはわかりにくい点が多いし、特に、それに参加する代理店、営業部員の方は、商売に未経験な人が応募してくることも多いといろところから、そういう商売を始めるに当たって必要な情報を十分に知らせるように、それから、そういう取引が始まった後も一方的に営業部員なり代理店なりに不利な条件を押しつけるようなことがあってはならないということを指導いたしまして、訪販化粧品の業界ではそういうことを自粛するということを決めたわけでございます。  それに反するようなことがありましたら、独占禁止法上問題になるということで警告していることでございますから、当然そういう観点から措置が考えられると思います。
  185. 草川昭三

    ○草川委員 これは一つの企業でございますけれども、関係省庁連絡を相当密にしていただいて、この企業実態というのを徹底的に解明をしていただかなければならぬと私は思うのです。  きょうは大蔵省も来ておみえになりますね。大蔵省にも一言申し上げておきますが、実は、この企業は共済会を相当活発にやっておるわけです。もちろん共済会でございますから、損保事業から生保事業から社内独自の共済運動もやっておるわけでございますが、大蔵省が認可をするところの日本では非常に大きな生命保険会社あるいは火災海上保険会社と連携をして、「今がチャンス 会員募集中!!」だとか大々的に共済をやっているわけです。こちらの方でもアイスター共済会といって、ともに手を携えようという意味での共済の精神は、それはいいのですけれどもいこれでまた会員を募集していく。これはこの会社の一つの大きな販路拡張策ともとれるわけでございます。もしこういう極めて非人道的な商品を売る企業の販路拡張に共済活動が利用されているとするならば、これは許しがたいことになると思うのですが、監督官庁としてどう判断されますか、お伺いします。
  186. 龍宝惟男

    龍宝説明員 先生からただいま御指摘をいただきましたように、アイスター販売員のうちで一定の資格を持ちました者を対象にいたしまして、保障でありますとか、年金でありますとか、あるいは各種の慶弔金を支払うという共済事業を行うために、共済会アイスター販売員会というのが組織されておりまして、その共済事業のうち保険の部分を保険会社が受託をいたしております。この受託いたしております部分は、いずれも普通に売られている商品団体定期保険とか医療保障のついた保険あるいは企業年金保険、損害保険等でございます。保険料等も含めて保険契約の内容それ自体には現在のところ特に問題もございませんし、死亡者が出た場合には保険金支払い等はもちろん正当に行われているわけでございます。  保険契約それ自体は正常でございますけれども、御指摘のような実態があるといたしましたら、御承知のように、保険会社というのは免許企業として社会性、公共性を持った組織でございますので社会的な誤解を受けてはいけないというのが第一義的にございますし、一方、私どもとしましては、一般的に行政の立場で個々の保険契約について関与をしていくことは必ずしも適当でない場合がございますので、本件につきましては、まず第一義的には当該保険会社の方で実態を十分見きわめてもらって対処をしていただき、私どもといたしましても、保険会社から事情を聞きながら事態の推移を見守ってまいりたいと考えております。
  187. 草川昭三

    ○草川委員 くどくど申し上げませんけれども、これで実態が十分おわかりになったと思うので、ぜひ真剣な対応を立てていただきたいと思います。  文部省にも来ていただいているので申し上げます。  この会社は、学校法人西山学院高校を設立しようということで県に申請をして、たしか許可になっておると思うのでございますが、何年からこの学校は発足するのか。もし私が申し上げたことが事実とするならば、そういうふうに人狩りでしかも麻薬のような化粧品を売りながら、それで得た収益で学校法人が設立されるということになるとすれば、それは社会的に許されることではないと思うのですが、その点も含めてどのような対応を立てられるか、お伺いしたいと思います。
  188. 中林勝男

    ○中林説明員 私立高等学校を設置する場合、都道府県知事の認可が必要になっておりまして、都道府県知事が認可を行う場合には、それぞれの県の私立学校審議会の意見をあらかじめ聞かなければならない、かようになっているところでございます。  具体的な認可に至る手続は、それぞれの都道府県によって異なっているところもございますけれども、設立発起人が学校設置の前々年度に学校設置計画書を都道府県に提出いたしまして、私立学校審議会の計画承認を得て、校舎等の建築に着手する、このような取り扱いになっているのが通常でございます。さらに、設置の前年度、学校の設置認可申請書並びに学校法人の設立寄附行為の認可申請書をそれぞれ提出いたしまして、私立学校審議会への諮問、諮問に対する答申を経まして都道府県知事からの認可を受ける、こういうのが事務手続の流れであるわけでございます。  御指摘のございました西山学院の件でございますけれども、私立高等学校設置の認可につきましては都道府県知事が行うという制度でございますので、文部省では、個々の学校の設置について具体的な把握をしにくい立場にあるわけでございますけれども、宮城県の私学担当課に照会いたしましたところ、六十二年四月開校を目途に、本年三月末に学校設置計画書の提出がなされまして、これについて宮城県の私立学校審議会におきまして審議した結果、六月に設置計画の了承がなされた、このように承知いたしておるところでございまして、今後、学校設置認可申請があれば、私立学校審議会に諮問するという運びになると承知いたしているところでございます。  会社が収益を上げてそれを学校法人の設立に寄附するというのは、納税義務を果たした上でのことであれば何ら問題はないのではないかと思っておりますけれども、宮城県の方におきましては、私立学校審議会を中心といたしまして学校法人設立については慎重に対処しておるということでございまして、我々もそのようなことを期待しているところでございます。
  189. 草川昭三

    ○草川委員 今の答弁答弁にならぬのですが、これは二週間後に一つの結論が出ますから、その結論が出た上で文部省はしかるべき措置をとっていただきたい。ただいまのところこれ以上申し上げても仕方がないことでございますし、私どもの資料等、話も随分聞いて御判断なすっておられると思うので、それなりの対応を立てていただきたいということを強く要望しておきます。  文化庁に来ていただいておりますが、同じくこの会社は宗教法人理想教団の設立を進めているといわれております。宗教法人理想教団の設立というのは、いわゆる利益のために宗教活動を利用する。理念があってそれぞれ動くというのではなくて、利益追求の手段として宗教法人を設立しようとする。後追いになっていくわけであります。豊田商事の事件でも同様であります。豊田の永野氏も一時大阪で利益隠しのための宗教法人設立に動いたことがあります。悪徳商法には一連の動きがあるわけでございます。ただいまのところはこの申請が出ていないやに我々も聞いていますが、文化庁もこの届け出については事前の十分な対応を立てていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  なお、全国の代理店の中には、販路拡大のために品物を大量に引き受けざるを得ないがお金がないというのがある。こういう場合に、これも豊田商事と同じでありますが、株式会社一点といういわゆる金貸し業、事業者向けの金融専門の店が東京にございまして、年平均一二%でこの資金を融資しているわけでございまして、これも西山栄一氏そのものが会長になっている企業であります。  これは昨日大蔵省から得た資料でございますが、東京都庁の方を通じて調べた。株式会社一点の会長は西山栄一氏、この人が代理店に金を貸し付ける、こういうやり方が今行われているわけでございますので、我々は、許すことのできない、公序良俗に反する企業ではないかと思います。  大変長く時間をとりましたので、金子長官、国民生活を守る上でこのような事例についてどのような感想を持っておみえになるか、お伺いしたいと思います。
  190. 金子一平

    金子国務大臣 豊田商事、ジャパンライフ、その他いろいろな事件の追及をこの委員会を通じて随分長くやっていただきました。その上でのまたこういう問題提起でございますので、関係方面とも十分連絡をとりながら対応に誤りなきを期していきたいと考えております。
  191. 草川昭三

    ○草川委員 以上でこの二番目の問題は終わりまして、三番目に広告税の話に入ります。  広告税について、与党の税制調査会の方で毎年のようにこれが問題になり、民放各社としては相当な抵抗をしておるようでございますけれども、私は、広告の持つ需要喚起効果というのは非常に重要なものだと見ております。広告課税というものが今回はどうも見送りになったようでございますけれども、毎年のように出てくる社会的な背景というのは非常に問題だと思うのです。そういう意味で、まず経済企画庁に、広告課税が及ぼす経済への影響をどのように判断なすっているかお伺いしたいと思います。
  192. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 お尋ねの広告課税に関連いたしまして、広告による需要喚起効果という点でございますけれども、広告をなさる注文主は、それによって販売促進効果、つまり需要喚起効果が当然あると期待してやっているのだと思います。それとともに、そうした広告が永続しているということは、それだけの需要喚起効果があるということの証明だろうと思います。ただ、その反面におきまして、成功しなかったのは没落をして退場するわけでありますから、すべて含めて果たしてどの程度の需要喚起効果があるのか、その効果の程度については明らかではございません。そういったような観点から広告課税というものをどういうふうに考えるのか、突然のお尋ねでございますので、はっきりした私ども考え方をまとめた結論を申し上げられないのは申しわけないことでございますが、御了解願いたいと思います。
  193. 草川昭三

    ○草川委員 それから、今度は郵政省にお伺いをしますが、放送事業というのはどうしても収入を上げなければ経営できませんし、特に今日のような放送衛星の時代になってまいりますと、相当な設備投資も必要になります。ところが、収入を上げるにはいわゆるスポンサーからの提供ということになりますが、スポンサーにしてみれば、視聴率がより高ければ高い費用負担をしても経済効果があるということで支払うわけでございますから、当然のことながらこの視聴率が大きなウエートを持ちます。聞いてみると、視聴率掛ける何%というので広告収入を上げるということですから、視聴率を上げるために最近のようなやらせ事件が起きたりいろいろな問題が出てくる。だから、視聴率という一つの物差しでなくて、本来ならばドラマならドラマの中身が非常によかった、例えば日曜日の何々のドラマが非常によかった、水曜日の何々の提供の内容が非常にいい、だからそこにチャンネルを合わせるという満足感のようなものを新しく一つの尺度にすべきではないか、こういう考え方をたまたま私持っておるわけでございます。お伺いをしますと、民間放送連盟の研究所等でもそのようなことをやっておみえになるということでございますが、ぜひそういう方向でこの広告というものを取り扱いながら経営を安定させることが必要ではないかと思うのです。  郵政省にこういうような質問をして、答えることができるのかどうかわかりませんけれども、郵政省はとにかく監督官庁ですから、私が以上提起をしたことについてどう御判断なされるか、お伺いをします。
  194. 岡田吉宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  視聴率の問題は放送番組の編集にかかわる事項でございまして、放送番組の編集につきましては、放送法によりましてその編集の責任は放送事業者にあるということで自主規律が認められているわけでございまして、私ども十分な実態を把握しているわけではございませんが、現在の視聴率が非常に機械的な調査によっておりますので、御指摘のような番組に対する満足度といいますか充足度、こういった問題については明らかになってない形でございますけれども、ただいま御指摘ございました問題につきましては、関係者の間でも一つの重要な課題であるということで、いろいろと技術的にも難しい問題もございますけれども、現在研究課題として研究をされているというふうに聞いております。
  195. 草川昭三

    ○草川委員 時間が大分過ぎておりますので、広告税はこの程度で終わります。  次に、新聞販売正常化の問題について、関係省庁の意見を聞きたいと思うのです。  私は、新聞販売正常化については過去何回かごの委員会でも取り上げてきておるわけでございますが、漏れ承るところによりますと、この新聞販売の正常化についてはなかなかうまくいっていないやに聞いております。  そこで、私がなぜこの問題を取り上げるのかといいますと、結局、販売店の経営は中小企業の方が多いわけで、余り経営が安定していないようであります。同時に、そこで働いている新聞の従業員の労働条件というのはもう大変劣悪なものになっておりまして、正規の雇用労働者というのは非常に少ない、パートの方々が多い、学生、主婦のアルバイトが多い、そういうものの上にこの販売店の経営というのはなされているわけでありますし、親会社のシェア争いというのですか、占有率の争い、こういう問題点というのは例に事欠かないわけでございます。  労働省の方にお伺いをしたいと思うのですが、新聞販売店の従業員の労働条件、例えば年間の労働時間なり、週休だとか年次休暇が本当にとられているのか、定期健康診断の実施はどうなのか、こういうことをどの程度調べてみえるのか、あるいは調べてなければどうされるのか、まずそんなところからお伺いしたいと思います。
  196. 菊地好司

    ○菊地説明員 御指摘のように、新聞販売店は零細な事業場が多いということもございまして、通常の調査ではなかなか実態が把握できない。そこで労働基準監督官が専門的立場から実地に入りまして聞き取り調査をしているわけですが、五十八年の調査結果によりますと、通常の日の一日の労働時間の面で見ますと、三時間未満の短い労働者が三割ある等、一日の労働時間については通常の労働者に比べまして短い時間になっております。時間外労働、残業につきましても、通常の労働者に比べまして短目になっておりますが、反面で、一カ月四週、四日ある休日に労働する日数が三日、四日あり、休日をだめにしてしまっているというような労働者が三五%程度ございます。  定期健康診断につきましては、通常の労働者では、法律に基づく検査が一割程度行われていないという状況にあるのに対しまして、新聞販売店につきましては、半分程度定期健診が適正に行われていないという実態を把握しております。
  197. 草川昭三

    ○草川委員 今おっしゃったようなことで、新聞販売店労働者の把握というのは非常に難しいわけですね。朝刊を早朝からやり、夕刊を配る、あるいは日曜日に集金に行く、あるいは新規の拡張に走るというようなことで、非常に苦しい条件でございますので、労働省としては一般的になかなかつかみづらいと思うのです。  たまたまここに業界紙がございまして、第二回の都市販売店労務実態調査というのが出ております。これは新聞協会販売委員会の下部組織がやったわけでございますが、週に一回休むというのは五割以下だというのですね。従業員十人のうち六人が勤続三年未満で、長期間定着するということは非常に低い、こういうような条件だ。そして新聞等の中にはボーナスが年間五カ月だとか四カ月だとかいろいろな報道がなされておるのですけれども、彼らの年間のボーナスの支給というのは本当にもち代程度だ、こういう非常に労働条件の悪い話が依然として出ているわけです。ということは、一体何かというと、販売店の経営がよくないということですね。販売店の経営がよくないというのは、親会社が払うべき販売店の手数料が安いということになるわけですね。じゃ、親会社の経営は安定しているのかどうか、こういう理屈になっていくわけです。  親会社の経営はどうか、いろいろと聞いてみると、いや最近は設備投資がばかでかく要る、特に通信衛星だ、あるいは新しいコンピューター化で紙面をコンピューターを利用して編集をしなければならない、あるいはデータを蓄積しなければいけない、いろんなことを言っておみえになるわけでございますが、一方では相変わらずの拡材競争というのがやられているわけであります。  きょう、私持ってきませんけれども、娘さんがおみえになるなら嫁入り道具ができるくらいの拡材の材料があるわけです。私の事務所の部屋に実際あるのです。ここに持ってこられないぐらいの、驚くような、健康器具から日常生活用品まであるわけです。そんなばかな拡材になぜ狂奔をしなければいけないのか、新聞の紙面で勝負をすべきだということを私は繰り返し言ってきておるわけです。  そこで、きょうは公正取引委員会にお伺いをしますが、まず最近の新聞販売に伴う公正取引委員会の所管するところの違反行為の規制状況がどうなっているか、お伺いします。
  198. 利部脩二

    利部政府委員 新聞販売に伴ういわゆる拡材の提供につきましては、景品表示法でまず禁止されております。景品表示法で告示を出しまして、新聞販売に伴う景品は原則的に禁止という規制になっております。それと同時に、新聞の業界で新聞公正取引協議会という組織を設けまして、景品の提供あるいはそれに類似する行為をやめるという内容のルールをつくりまして、それに違反する行為をみずから規制するという体制になっております。  ただ、それがまた十分に効果を発揮しているとは言えないわけでございまして、公正取引委員会といたしましては、五十九年の九月にこの新聞公正取引協議会に対しまして、自主規制組織をもっと充実し、そのルールの遵守をもっとしっかりやるようにということを強く要望いたしまして、新聞公正取引協議会の方も、それを実施するための改善策というのを検討して出してきております。そういう方向で新聞販売正常化に努力はしているところでございます。  また、業界の公正取引協議会だけでは違反行為が排除できないところでございますので、公正取引委員会としても、直接調査をして違反事実が認められたものにつきましては、最品表示法に基づく法的措置ないしそれに準ずる措置をとっております。最近三カ年のそういった措置の件数を見てみますと、五十七年に警告いたしましたのが二百三十三件、五十八年には警告いたしましたのが四百八十一件、法的措置をとりましたのが三件、五十九年には警告いたしましたのが三百五十件、法的措置をとりましたのが十一件というふうになっております。
  199. 草川昭三

    ○草川委員 違反行為は減少しているのか、あるいは仮に減少していないとすればその理由はどこにあるのか、お伺いします。
  200. 利部脩二

    利部政府委員 遺憾ながら、少なくとも現在においてはまだ減少しているとは見られません。  公正取引委員会消費者モニターというのを全国に持っております。七百四十余名ございますが、この消費者モニターに対しましてアンケート調査の形で、新聞の購読勧誘を受けた際に拡材の提供あるいは無代紙の提供を受けたことがあるかという点で調査をいたしましたところ、消費者モニターからの回答数を分母に、違法勧誘を受けた回数を分子とした違反性向ということで見てみますと、全国で四七%ぐらいあります。昨年の同時期三七%でございましたので、一〇%ぐらい悪化したということになります。  違反の回数を発行本社別に見ますと、部数の多いところに部数の多い割合以上に違反が多いという傾向が見られます。消費者モニターにあらわれた違反件数のうちで、全国紙有力三紙の違反割合が九割ぐらいに達しております。  以上のようなデータから見る限りは、違反行為はまだ減少しているとは考えられませんが、理由幾つかあろうと思います。  まず、新聞販売部数の伸びが頭打ちになっておりまして、そのため顧客奪取の競争が激化しているということがあろうかと思います。  それから新聞発行本社も、販売店も、新聞販売の正常化を進めなければいけないという点では自覚はしておるわけでございまして、具体的な改善措置は出してきておりますけれども、その具体的改善措置の成果がまだ上がっておらない、少し時間がかかっておるということがあろうかと思います。  それからまた、特に全国紙あるいはその一部に見られますように部数の拡大志向がなお非常に強いというところで、販売正常化が販売の段階まで十分に徹底していないことも大きな理由ではないかと私ども考えております。
  201. 草川昭三

    ○草川委員 今答弁がありましたように、全国紙三社で違反件数の九〇%を占めるというのは、これはもう本当にいいかげんにしないと問題だと思いますね。同時に、全国紙三つがお互いに責任があるとはいいながらも、そのしわはやはり販売店なり販売店に従事する労働者、アルバイトの方々の労働条件に寄って悪化していくわけですから、私、この新聞販売店の問題は、これはもう公取しかないと思うのですね。もちろん役所では、ABCという発行部数の関係では通産省等がございますけれども、あるいは文化庁もそれなりの役所でありますけれども、やはり公正取引という面では公正取引委員会がしっかりと御指導願ってやらなければいけない点だと思います。  そこで、今お話が出ました販売担当の公正取引協議会の自主的な組織があるわけでございます。現在ここで規約違反になるのかどうかということでいろいろな問題があるというのですが、何が問題になっておるのかお答え願いたいと思います。
  202. 利部脩二

    利部政府委員 特に具体的な問題についての御質問でございましたら、現在、新聞公正取引協議会で議論しております一つの具体的な問題としては、ある新聞社がルーブルの絵の額絵とでも申しますか、それを相当の規模で配布するということを計画しておりまして、それが新聞の景品を禁止している自主的なルール、公正競争規約違反するものであるかどうかが議論されているという問題がございます。
  203. 草川昭三

    ○草川委員 相当な金額を使わないとそういうものを使えないと思うのでございますが、これは公取としてどのように対応なされているのか、考えられているのか、お伺いします。
  204. 利部脩二

    利部政府委員 ただいま申しましたような形での印刷物を新聞の購読者あるいは新聞の購読者になりそうな人に配布するという行為が現在の自主規制公正競争規約違反するかどうかというのは、甚だ微妙な問題でありまして、はっきりしていないのでございます。まず、その自主規制のルールの内容がはっきりしていないのではまことに困ったことであって、自主規制が実行できるわけはない。御自分たちでお決めになったルールなんだから、まずそのルールの内容がどうなのかということを検討してはっきりしてほしい。はっきりした上で、その自主規制をみずから守っていくようにしてほしいということを強く要望しているところでございます。
  205. 草川昭三

    ○草川委員 その自主規制の内容について公取は今非常に第三者的な御発言をなすっておられますが、私どもが聞くと、大分前からこの自主規制はできているんだけれども公正取引委員会に正式にそれが提出されていないから今のように非常に冷ややかな御発言になっておるやに私は聞くわけです。そういうことにこだわらずに、出してあろうと出してなかろうと、公取という一つの公の機関が指導している自主機関が自分たちでつくった内容があるならば、ここはおかしいじゃないかとかいいじゃないかとかという指導を役所がやられてもいいと私は思う。それは介入とかなんとかではなくて全く行政指導だと思いますし、逆に言えばジャッジだと私は思うのです。今彼らに幾ら言ったって、国会の場で何回か取り上げても、次から次へと出るわけですから、やはりだれかが忠告をするなりあるいはだめだぞと言ってやらないとだめだと思うんですね。そういう意味で、私は公取の役割というのは非常に重要だと思うので、ひとつ正常化に向けての公取の決意というのをお伺いをしたいと思います。
  206. 利部脩二

    利部政府委員 確かにおっしゃるとおり、販売の正常化ということの実現のために公正取引委員会がさらに努力を続けなければいけないことだと思いますが、何しろ全国非常に広範な地域で、また問題の行為も数多く行われておりますので、法的措置を公取がみずからとるだけではなかなかうまくいかない。新聞業界みずからがそういうことをやめよう、先ほど御質問にありましたように、本来の紙面の公正な競争でやっていこうということをみずから申し合わせていることでございますので、そういうみずから申し合わせたことをまず確実に実施するように強く求めていくことが必要だろうと思います。それも抽象的な言い方ではなかなか進まないと思いますので、正常化が進まない原因を具体的に一つ一つ検討していきまして、具体的な案をこちらからも出していく。新聞の業界でも、提案されたことは確実にそれを遵守していくということを根気よく進めていかなければいけないかというふうに考えております。
  207. 草川昭三

    ○草川委員 どうやら時間が来ましたので、通商産業省の菅野サービス産業官もお見えになりますし、それから自治省の府県税課長がお見えになりますので、これはひとつ要望だけを申し上げておきます。  今お話がありましたように、なかなか新聞の正常化ということはうまくいきません。その一つは、発行部数に比例して広告収入がある。これは通産省のABCという一つの基準というのですか、このABCという発行部数の認定によって広告収入が決まりますから、押し紙というのが依然として残っている。押し紙をなくそうではないかということを我々は随分主張をいたしまして、一部改善をされておりますが、まだ有力な新聞社の販売店においては相変わらず押し紙というのがあるわけです。その押し紙は当然販売店主の負担になる。そうすると販売店がつぶれる。三分の一が五年間にかわるわけです。というのはつぶれるからで、今度は、仕方がないから本社がまた別な形の補助金を出す、何のことかわからぬというような状況がございますので、ぜひ通産省としてもこのABCのあり方についてはもう少し知恵を出していただいて、客観的な、私が先ほど申し上げましたような実態に応ずる広告収入のスケールというものを考えてもらいたい、こういう要望であります。  それから自治省に対しては、この販売店の事業税だと思いますけれども、今まで特別措置があったわけでございますが、これがことしの四月に廃止になっております。それで、来年の一月一日から来年の十二月三十一日、いわゆる暦の一年間分が六十二年の四月一日から課税をされるということでございます。この課税の限度についての特例が行われておりますけれども、私は、これはやはりいろいろな税制上の問題があると思いますけれども新聞販売店の特殊な状況ということも考えられて、ぜひ従来の事業税の取り扱いが残るようにしていただきたい。そして、零細な新聞販売店の経営を十分認識をしていただきたいということを要望いたしまして、質問が残りましたけれども、私の質問を終わりたい、こう思います。  以上です。
  208. 竹内猛

    竹内委員長 次に、塚田延充君。
  209. 塚田延充

    ○塚田委員 本年初めの第百二国会の予算委員会総括質疑におきまして、民社党の塚本委員長、当時は書記長でございましたけれども、生命保険会社のあり方につきまして、その資産の問題を中心に据えまして質問を行ったわけであります。  その論旨は、生命保険会社は、インフレも含め、戦後の国民経済の客観的結果として膨大な含み資産を持つようになったのだから、国家財政が大赤字で苦しんでいる現在、何らかの形で国家、国民に還元すべきであるということだったと理解するわけであります。  財政政策上のこのような問題はさておくといたしまして、当委員会は物価対策委員会でございまして、消費者保護ということを基本的に審議する委員会でございますので、私は、若干角度を変えまして、消費者の立場に立って生命保険問題について質問したいと存じます。  まずお伺いしますが、最近では、保険といえば、一般的には月払いであるとか年払い、またはさらに養老保険というのが中心でございましたが、そのような月払いの生命保険などが伸び悩んで、一時払いの保険が急激に伸びていると伺っております。その一時払いの生命保険の伸びの状況ですね、最近の状況、その実際のデータと、それからなぜ一時払いというような特殊な保険が今売れるようになってしまったのか、その理由をどうお考えになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  210. 龍宝惟男

    龍宝説明員 御指摘をいただきましたように、現在一時払いの養老保険というのが大変ニーズを高めております。御承知のように、養老保険と申しますのは、我が国で最もポピュラーな保険でございまして、それからまた一時払いというのは、御指摘のありましたように保険料の払い込みの方式の中で一番基本的な払い方で、年払いとか月払いというのは、まず一時払いの保険料を決めまして、それから割り増しをして決めていく、そういう仕組みになっております。したがいまして、一時払い養老保険というのは特別な保険種類があるわけではございませんで、たまたま昔からあります養老保険の払い方が一時払いのもの、こういうふうな商品でございます。  この特徴と申しますと、一時に一括して保険料が払われますので、保険料は相対的に安くなっております。したがいまして、分割払いよりは満期保険金に対する払い込み保険料が安いものになりますので、払い込み保険料と満期の保険金だけとの関係を取り出しましてここで利回りという見方を行いますと、ほかのいろいろな金融商品に対しまして相対的に高いものになる、こういうことでございます。  一方で税制の扱いでございますけれども、満期保険金に対します課税方法は御承知のように一時所得扱いになっておりますので、今申しました一時払い養老保険も一時所得の扱い、こういうことでございます。  以上のことから、大変ニーズの高い商品でございますけれども、私どもの目から見ますと、これは死亡であるとか生存であるとかそういう保険事故を保障する保険でございます。したがいまして、例えば年齢、性別によって入り方、保険料が違うとか、保険としての特色を持っておりますので、先ほど申しました利回りとか利殖とかに余り重点が置かれ過ぎるということになりますと非常に誤解を生ずるのではないかということで、生命保険商品としてふさわしい募集を行うことが必要ではないかと考えております。  計数でございますけれども、保険種類別しかも払い込み方式別という統計がございませんので、個人保険の一時払いの実績がございます。昭和五十九年度の計数がまとまっておりますけれども、件数が百三十九万八千件でございまして、前年に比べて九〇%の増でございます。
  211. 塚田延充

    ○塚田委員 金額の伸びは前年と比べていかがですか。
  212. 龍宝惟男

    龍宝説明員 同じく五十九年度で、金額の伸びが一〇九・二%、金額で申しまして一兆三千九百八十三億円でございます。
  213. 塚田延充

    ○塚田委員 私ども調査でもそのとおりでございまして、五十九年度のデータを見てみますと、初年度保険料として個人保険の部分の中で払い込まれた中のこの一時払い保険の比率は四八%に達する。半分がこういう一時払いの保険になってしまっておる。そしてこの四、五年間はもう倍増ゲームのような形で年々ふえてきておる。  そこで考え直してみたいのですけれども、そもそも生命保険とは何ぞやということになってくるわけでございます。この一時払いというのは、今課長の御説明がございましたように、どちらかというと税制上の利点などを生かして、金融商品としてのよさが消費者に受けたわけでございまして、そういう意味では消費者ニーズに合わせてもらった商品開発ということで大変結構だとは思いますけれども、いわゆる生命保険そのものの意味からするとちょっと逸脱するような傾向もありはしないか。この辺の議論は後にさせていただきたいと思います。  それでは次に、生命保険、火災保険、自動車保険、交通災害保険などがいわゆる会社の保険から全労済とか生協、農協などの共済の方に大分流れておるという現象が指摘されているわけでございますけれども、この現象を大蔵省はどのようにとらえておりますか。
  214. 龍宝惟男

    龍宝説明員 御説明いたします。  御指摘になりましたように、今共済の方の保険と同じような仕組みが相当伸びている。私ども必ずしも正確な計数を持ち合わせておりませんけれども、大変な勢いで伸びていることは承知いたしております。もちろん生命保険の事業と共済というのは仕組みが違いますし、規模も違いますし、いろいろな形で違うわけでございますけれども、いずれにいたしましても相互救済のための仕組みであるという点については同じでございますから、同じように契約者の保護、消費者の保護が図られなければいけないということであろうかと思います。  民間の生命保険事業につきましては、保険事業ということで保険業法の規制の対象、監督の対象になっているわけでございますけれども、生協につきましては消費生活協同組合法、また農協につきましては農業協同組合法というそれぞれの根拠法に基づきまして監督、規制が行われている、こういう状況でございます。  生協、農協みたいな大変大規模な共済事業と民営保険事業との関係ということになりますと、提供する商品内容あるいは募集行為が適正に行われて、妥当な、公正な競争が行われることが一番大切でございますので、そういう中で共存共栄が図られ、切磋琢磨が行われることが適当ではないか。そんな観点から、私ども、関係の省庁その他関係者と話し合いの機会を通じまして、保険も共済も同じように健全に発達していくようにということを考えている次第でございます。
  215. 塚田延充

    ○塚田委員 今の御答弁でわかりますように、共済がかなり伸びて、いわゆるポピュラーな昔からの一般の生命保険は苦戦しておる。生命保険会社の商品の中でも、先ほど指摘したように金融的色彩の商品がふえておる。となると、本来的な生命保険は一体どうなっていくのであろうか。これは何らかの欠陥といいましょうか、消費者に飽きられたのか、もしくは問題があるからこのようなことになっているのではないかという気がするわけでございます。いってみれば、生命保険は苦戦中である。  そのような中で、第一線で頑張っていますのは女性を中心としたいわゆる保険外務員の皆さんでございます。ところが、昔から指摘されておりますけれども、こういう方々の定着率が低いままである。保険審議会などの指摘によって、教育とか、歩合制の率を低めるとか、固定給の割合を高めるとか、いろいろなことをやって定着率を高めようとして、一時は効果が上がったけれども、またもとのもくあみ的な傾向が出ているということが数字の上で出ているようでございます。これは見方によりましては使い捨て、人の使い捨てですから大変なことです。これによって保険会社が成り立っているようにも私たち素人目から見えるわけでございます。この外務員のターンオーバー約十五万人と言われているようでございますけれども、そういうわけで、大変な問題であると私ども認識しているわけでございます。  そこで、お伺いしますけれども、最近の基幹外務員の占率と育成率がどのようになっておるのか、わかりやすい数字でお答えいただきたいと思います。
  216. 龍宝惟男

    龍宝説明員 お答えいたします。  基幹外務員は、私どもの定義によりますと、登録いたしましてから二十五カ月在籍いたしまして、それからその直前の十二カ月間にある程度の挙績がある人、しかもその方の上げた契約についての継続率が八割以上の人ということで一応定義をつけまして数字をとっているわけでございます。  まず基幹外務員育成率ということでございますけれども、これは新規の登録外務員が毎年あるわけでございますけれども、この方が二年たった時点でどの程度基幹外務員になっているかという比率でございます。二年おくれで数字が出てまいりますので、実は五十七年の数字しか今のところございません。それが現在一〇・三%ということでございます。この計数は、その三年ほど前の五十四年ごろは九・〇でございましたから、逐次上がっているということでございます。  それから、期末基幹外務員占率という数字がございます。これは、期末に登録しておられます外務員全部を分母にいたしましてその中で基幹外務員が何人いらっしゃるかという比率でございますけれども、これは五十九年度の数字がございまして、三七・八ということでございます。五十四年当時は三三・九ということでございましたから、これも着実に上昇しているわけでございます。  ただ、私ども必ずしもこれで満足していないということでございまして、この比率を高めるために一層の努力をしなければならないということで、さらにこのための募集体制の整備改善計画を業界にもお願いして、今進めているところでございます。
  217. 塚田延充

    ○塚田委員 改善しているようだというような御答弁でございますが、今のような数字ではとても改善されていると外野席からは見ることができないと思います。このように定着てきない、いわゆる使い捨てに近い形の外務員の行動は、契約の獲得に当たってどうしても親戚縁者とか友知人をまず頼って無理に頼む形になるわけでございます。  生命保険文化センターの六十年六、七月に行った調査では、契約者の二八・四%がセールスマンヘの義理で保険に加入したということになっていますし、またそのような外務員との出会いのきっかけというのは親戚、友知人だからというのが三九・六%、紹介されてきたというのが一七%、このように義理を感ぜざるを得ないような形が合わせて五七%に達しているわけです。  すなわち、消費者の方は義理で保険に入らざるを得ない、一方、後ほど御質問申し上げますけれども、それゆえに保険の契約の継続率というのは極めて低くならざるを得なくなっているし、また、その解約のときの払戻金は歩が悪い、こうなりますと消費者の方は踏んだりけったりの状態になっているわけです。  しかしながら、我が国の公的年金など社会保障はまだまだ不十分でございますので、自助努力として万一の場合に備えて可処分所得のかなり大きな部分を保険料支払いに充てざるを得ないのが庶民の実態であると思います。ところが、その可処分所得が対前年度比で実質的に目減りしているような現状考えますと、税制上、払い込む保険料の所得控除の額、今行われておりますけれども、まだまだ低過ぎるのではないかというような感じがするわけでございます。これにつきまして、常々業界とか消費者サイドからも要望があるわけでございますが、一般生命保険及び個人年金保険ともにこの所得控除額を大幅に引き上げる必要性があると考えますが、いかがなものでしょう。
  218. 塩田薫範

    ○塩田説明員 ただいま生命保険料控除あるいは個人年金保険料についての控除の引き上げをどうか、こういうことでございますが、御承知のように生命保険料控除は、長期の貯蓄の奨励ということ、あるいは相互扶助による生活安定の効果を持つ生命保険によって社会保障をみずから補完しようとする自助努力を助長するための特別措置でございます。また、個人年金保険料は生保控除の別枠ということでございますけれども、老後生活安定のための自助努力の奨励、あるいは老後生活に対する相互扶助の推進と社会的な連帯意識の助長というような観点から設けられているものでございます。  生命保険料控除につきましては、その加入率も相当高くなっております。しかも、このところ余り変化が見られないということ、それから控除によりまして税の減収がかなりの金額に達しているということがございます。それから個人年金保険料の別枠控除制度、これにつきましては五十九年度の税制改正で設けられたものでございますが、その控除額、今別枠で五千円ということになっておりますけれども、この水準は現下の厳しい財政事情のもとにおきまして最大限の配慮を行って定めたということでございます。その上に、御承知のように現在租税特別措置全般につきまして整理合理化を行っている状況にあるということでございますので、お話しのように限度額を引き上げてはどうかということにつきましては、現状では適当ではないと考えております。
  219. 塚田延充

    ○塚田委員 さて、契約の継続率は二年目で八二ないし三%程度という資料がありますけれども、実感からしますと五年で約半分ぐらい、十年たつと八割ぐらい減少してしまって二割ぐらいしか残らないのではないかといわれています。  今実感と申し上げましたのは、三年目、五年目あたりの継続率の資料要求を大蔵省にお願いしたのですけれども、出てこなかったから申し上げているわけでございます。保険会社から見ますと最も重要な経営資料、また業界指導を行う大蔵省としても同様に必要なデータのはずなんですけれども、そのデータがないというのは全くもって不可解と言わざるを得ないわけです。  この三年目、五年目とか十年目の継続率のデータは、大蔵省は持っているのだけれども公にするとまずいからそれを資料として出すわけにいかないのか、それとも、こういうことはちょっと考えられないのだけれども、必要にもかかわらずできていると困るからわざわざつくらないようにしているのか、わざわざつくらないならばなぜそのような継続率の資料をつくらないのか。そして最後に、今後はこういう資料がなければ経営もできないし業界指導もできないと思うのだけれども、そういう資料整備をすぐやるつもりがあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  220. 龍宝惟男

    龍宝説明員 ただいま継続率の数字について三年とか五年とかがないのか、あるいはあるけれども出さないのではないかという御指摘がございましたけれども、これは私ども持っておらないわけでございまして、その一つの理由は、私どもは継続率ということで十三カ月目、つまり一年たった段階で契約がどれくらい残っているかという数字を把握して業界を指導し、業界もその水準を上げるために努力をしているわけでございます。  これはなぜ一年目をとったかと申しますと、加入時の募集が適正に行われたかどうかというのを把握する、あるいは判断するために継続率をとるということでございますけれども、十三カ月目をとりますと、この程度の期間内に脱落をするとかあるいは消滅をしていく契約は募集時のあり方に問題があったのじゃないだろうか、そういう問題をはらんだ契約ではないだろうかということで、一年目の継続率が指標として意味があるし、これをとって指導しよう、こういうことで考えているわけでございます。  ところが、三年とか五年あるいは十年というふうになってまいりますと、これは新規の募集時の外務員の方法とかいろいろなところに問題があったというよりも、むしろ契約者のサイドでいろいろな保障ニードが、例えば独身の人が結婚したとかあるいはお子さんができたとか、いろいろな形でライフサイクルが変わってきた、あるいは経済環境が変わってきたということで、むしろ契約者のサイドから解約をするというふうなニーズになってくるのではないだろうか。そうしますと、そこに何らかの数字を設けてここまでは絶対頑張ろうということを決めても余り意味がないのであって、むしろそういう意味で契約者のサイドで契約を変えたいとかあるいは消滅させたいという事情が生ずるとすれば、その契約を消滅させるときの、先ほど御指摘のありました解約返戻金の水準を上げるべきであるとか、あるいは新しいライフサイクルに合わせて新しい保険に入るときに有利に入れるようにする転換制度というのをつくったわけでございますけれども、そういうふうな形でそれに対応していくのが適当ではないかと私ども考えていた次第でございます。  それから、私ども数字は持っておりませんが、手がかりとなる数字ということで生命保険協会の統計がございまして、持ってまいったわけでございますけれども、五十五年度の契約につきまして五十八年三月末での残存率が八六・二%、それから五十五年度の契約の六十年三月末での残存率が六四・三%という統計がございます。ただ、この統計自体は死亡保険金でありますとか、満期保険金が支払われて保険本来の目的によって消滅してしまったものであるとか、あるいは途中で転換がされたものもそのまま落ちてしまっておりますので、手がかりにはなりますけれども、必ずしも私どもが一年目でとっております継続率とはつながらない数字、そういう問題をはらみながら、しかしある程度の傾向を読める数字というふうに考えております。したがいまして、長い期間たったところでの継続の問題をどう考えるかということになりますと、私どもとしては、何らかの率の水準をとるなりその水準を定めてそこへ到達するということよりも、むしろそういうニーズにどうやって有利にこたえていくか、そういうことで対応したいと考えている次第でございます。
  221. 塚田延充

    ○塚田委員 それではお尋ねしますけれども、私が申し上げた、実感として五年目では約半分ぐらいはやめてしまうのじゃなかろうか、十年たったら大体もう二割ぐらいしか残らないのではないか、これは大変なことだと思うのです。大体保険会社が売るのは二十年、三十年で売っている。ところが、五年で半分の者がやめざるを得ないような状況に追い込まれる。あなた方は自分の都合でそうなるんだと言うけれども、客観的に見て、半分しか残らない、または十年で八割は消えてしまう、重要なことです。五年目で五割、十年目で二割しか残らないという実感についてどう考えますか。
  222. 龍宝惟男

    龍宝説明員 今御指摘をいただきました五年目で五割、十年たつと二割程度しか残らないという数字、これはある保険の専門誌等にも一時書かれた数字でございます。これはある意味では権威ある専門誌でございますからそれなりの計算をしたと思われますけれども、そのベースになっておりますのは、先ほど私が申し上げましたように残存率という統計を加工したものでございまして、そのもとの統計は死亡保険金とか満期保険金、これは十年の間ですと実際に払われるケースが相当ございますのでそういうのが落ちているとか、あるいはその間で転換をしますと根元から全部落としてしまったという統計がベースになっておりますので、そういう問題点をよく把握した上で読まなければならない数字だろうと思います。  ただ、それでは私ども、五割であるとか二割であるとかその数字の問題を別として、そんなことで満足をしているかというと、これはもう改善すべきであるということはもとよりでございます。こういう問題が生命保険会社の社会的な信頼を得るためにも、あるいは契約者の保護のためにも、一番重要な問題でございますので、そこのところは当然のことながら各社それぞれ努力をするべきであるし、また今やっております募集体制の整備改善計画というものをさらに強力に推し進めていくべきではないか。特に最近、生命保険会社のサイドでも、いたずらに新契約を伸ばすということではなくて、いわゆる純増と申しますか新契約を伸ばすばかりでなくて、今ある保険契約のお客さんを的確にフォローして、契約をとったからその後行かないよということではなくてきちっと生活相談に乗っていけるようにフォローしていくというふうに経営体制が大分変わってきておりますので、こういうのを見守りながらこの数値がさらによくなっていくように当然努力すべきであるというふうに考えております。
  223. 塚田延充

    ○塚田委員 確かに契約失効率という問題で、新契約とか転換によった純増と、それから満期であれ死亡であれ、また解約であれ、この比率を見てみますと大体半分ぐらいが解約になっているわけですね。これはある先生の表現をかりると、保険会社はざるに水をくんでいるようなものじゃないか、そこにコストをかけるのはおかしいじゃないか。私は、消費者の立場で言ったらば、そんないわゆる長続きしないような商品を売っておること自体が消費者を欺瞞するものじゃないか、このような見地から指導しなければいけないのじゃないか、こういうような気がするわけでございます。  となりますと、どうも保険会社の方は、特別配当制度というのはいい制度だからとかなんどか言いながら、片方では解約することを勧奨しているんじゃないか、そのために商品の陳腐化を進めているんじゃないかと思われる節が結果的には出てしまっているわけです。となりますと今言ったように継続率が一年目のところだけ、十三カ月目のところだけ見ているよ、そんなのはおかしいのであって、消費者の保護の立場、それから業界の本当の指導からいったらば、三年目であれ五年目であれ十年目であれ、業界に命じてきちんとした資料をとるべきじゃないか、つくるべきじゃないか、それに基づいていわゆる保険の本質について考え直してまた指導すべきじゃないかと思うのです。もう一度お聞きしますけれども、その点いかがですか。
  224. 龍宝惟男

    龍宝説明員 御承知のように、確かに生命保険会社の保険商品というのは時代の流れに沿っていろいろ新しいものができております。しかもまだ、入っておられる契約者の方々の方のライフサイクルも変わりますので、新しい商品を求めるということは、これは事実としてあるわけでございます。しかし、そういう場合に、今まであった契約を全部やめてしまってまた新しいものに入り直すということになりますと、これは全く非効率な話でございまして、保険料も損をしてしまうということでございますから、それはその前の契約の権利なりを生かしながら新しい商品に入っていって新しい自分の生活のニーズにこたえていく、こういうことをやらなければいけないと思うわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、再三申し上げますように、そういう形での業界の指導なり解約返戻金率の改善なりを進めまして、契約者の方が三年なり五年なり十年たってかわりたいときあるいはやめたいときになるべく有利な形でということの方がむしろ指導なり業界のあるべき姿勢ではないかというふうに考えております。  それでは、その数字を改めてとるかといえば、先ほど申しましたような残存率の数字が一応ございますので、これは一つの問題はございますけれども手がかりとなる数字でございますから、そういう数字の推移も見ながら今申し上げたようなことで進めてまいりたいというふうに考えております。
  225. 塚田延充

    ○塚田委員 普通、生命保険会社で発売しておる商品、例えば暮らしの保険なんという名前をよく使っているようでございます。特別配当がつきますよということを宣伝しておりますけれども、通常、配当は何年目からつくのですか。
  226. 龍宝惟男

    龍宝説明員 一般的に申しますと配当というのは普通配当と特別配当というのがございます。お尋ねの特別配当と申しますのは、これは生命保険会社の資産がたまっていきますと、そのたまる段階で含みの益が生ずるではないか、その含みの益を契約者に還元しないと含みばかりどんどん残っていってしまうではないかということで、現在十年以上継続した契約の方に、その継続の年限によって率が違いますけれども、特別配当というのをやっております。昭和三十年代の初めの契約で五〇%、二十年代の初めで二一〇%ということになっておりますけれども、そういうことで特別配当をやっているわけでございます。  それからもう一つ、それでは中途で、十年より前に契約から脱落した人に対しては特別配当がないではないかということでございますけれども、これは事実ないわけでございますが、やはりその間の資産形成ということを考えますと、含みの還元という意味での特別配当の対象の契約であるのかという問題がございます。  もう一つは、例えば十年未満の七年とか八年の段階で次の契約に転換した方、この方については、今までの七年とか八年というふうな契約期間をそのまま算入をいたしますので、新しい契約に入ってから七年の場合だったら、三年たったところで特別配当の権利が発生するということで運用をいたしております。
  227. 塚田延充

    ○塚田委員 配当の件でございますが、十年以降について配当をつける、十年前に脱落というお言葉を使いましたね。脱落というのは、基本的にみんな行くんだけれども、どうにもついていけないで一割とか二割が落後する、これが脱落です。そうした場合は、母集団全体を見渡して、十年以降のものにつけるのはいいのですが、私が実感として申し上げたほとんどのもの、しかもあなたははっきりとある雑誌か何かで試算も見たというけれども、八割の方は契約が続いてないのです。二割の人しか行ってない。そういうもののみに配当をつけます、こんな商品を認めておるということがそもそもおかしいんじゃないですか。そういう意味もあるので、八割が脱落しますよと言っているかもしらぬけれどもそうじゃないんだ、脱落の言葉どおり三割ぐらいしか脱落してないんだから保険会社が十年以降じゃなければ配当をつけないというのも正当化される、そういうことを言いたいのならば、三割なのか八割なのか、いわゆる継続率についてデータをとる必要が当然あるのじゃないですか、というよりも指導する必要があるのじゃないですか、いかがですか。
  228. 龍宝惟男

    龍宝説明員 ただいま特別配当というのはキャピタルゲインの含みの還元のために十年以上継続した契約からお支払いをするということを申し上げたわけでございます。それから、もちろんいわゆる普通配当、毎年毎年生じます予定の利率と実績の利率との差でありますとか、そういうものの配当というのは毎年払われておりますので、十年未満の方々につきましてもその段階その段階で配当が支払われているということでございます。  御指摘の特別配当ということでございますと、おっしゃるように十年未満の契約についてはその対象になっていないわけでございます。ただ、十年未満の契約でも新しい契約に転換されました場合には、新しい契約の中にその特別配当の期間の権利を受け継いでいくということでやっている次第でございます。
  229. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、中途解約の問題について言及したいと思います。  私、ある生命保険会社の暮らしの保険の全期保障型というものを調べてみたのですけれども、男子で三十歳加入、三十年払い込み、三十年満期、これは養老保険部分が三百万円であって定期特約保険金が三千二百万円、だから保険会社の方では三千五百万円ですよという宣伝をしているわけでございます。それのいわゆる月々の払込保険料が二万四百四十円ずつでございます。これで、残念ながら事情があって中途で解約しなければいけなくなった場合、どれだけ解約払戻金が来るのか、その会社の契約のしおり、定款、約款、別表というのがありましたからそれで算出してみたのです。一年間丸々払い込むと払込金額が二十四万五千二百八十円、一年でやめたら返戻金ゼロ。三年間営々と三十六カ月納めた累計保険料が七十三万五千八百四十円、これは利息は入れておりません。ところが返ってくるのはたったの九万円です。これは払込金額の何%に当たるかといいますと一二・二%。そして保険会社の言うように、長くなればなるほど返戻率はよくしてありますよということでございますので、それならばということで五年目を調べてみた。払込保険料百二十二万六千四百円、返ってくるのが二十七万一千円、二二%しか返ってこないのです。そして先ほど申し上げたように五年たったら五割の方々は残念ながらやめざるを得ないのだ。配当もほとんどもらえない。そして返戻率も、このように二割しか戻ってこない。十年目になったらどうなるのですか。  このように、現在の保険の実態はあくまでも何年ぐらい実際に継続するかということをきちんと把握した上で、それに基づいた形での指導といいましょうか、商品構成を考えなければいけない。こうなった場合、これは失礼な言い方になりますけれども、丸もうけに近い形になってしまいませんか。いかがでしょう。
  230. 龍宝惟男

    龍宝説明員 御指摘の数字につきましては、私どもちょっと今手元にございませんので若干違う数字になるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  その前に、生命保険の保険料の性格でございますけれども、これは本人が死亡しなくても、他人が死亡しましたらその保険料から死亡保険金に充当されるという性格のものでございます。それからまた、営業費用、外務員の方々に支払われる費用は特に初年度に高くかかるわけでございまして、そういう費用にも充てられますので、いわゆる金融機関の預貯金のように払い込んだ金額が全額払い戻されるという性格のものではございません。  それからもう一つ、養老保険と定期保険というのが大きな保険種類のジャンルでございますけれども、養老保険の場合には死亡しても百万円、生きておりまして満期になったら百万円という形でございますから、満期保険金の百万円の部分をだんだん蓄積していくということでございますので、当然その部分についての解約返戻の問題が起こってくるわけでございます。  ところが、定期保険の保険料は非常に安いわけでございますけれども、定期保険というのは満期保険金がなくて、死亡したときだけの保障でございますから、そこで支払われる保険料は主としてほかの方が亡くなったときの死亡保険金のために充てられる保険料でございまして、逆に言えば、自分のための蓄積部分はほほゼロに近い、こういう性格でございます。  今先生指摘がありましたように、十倍型とか十五倍型とかいういわゆる定期つき養老保険というのがございます。これは最初の一番根元の部分が養老保険でございまして、したがって、この部分については蓄積部分がある。例えば十倍型の場合ですと、その上に乗っております九倍の部分につきましては蓄積部分がございませんので、つまり解約がほぼゼロであるということでございます。したがいまして、そういう商品構成によって、定期保険の割合が高い場合には実際に払い込んだ保険料と解約した場合に戻ってくるお金の比率というのは悪くなるということにならざるを得な。いわけでございます。  いろいろ数字の御指摘をいただきましたけれども、私どもといたしましては、この解約返戻金の率を改善することはもちろん必要でございまして、ことしの四月にもその解約返戻金率の改善を図ったところでございます。戦後七回やっておりまして、現在その解約返戻率の改善に努めているという状況でございます。
  231. 塚田延充

    ○塚田委員 いわゆる死亡時の保障のためということで定期特約保険金があるんだ、だからこの部分については保障という面が強くて貯蓄部分が少ないから、返戻金が少ないんだ。実はこの部分だけをきちっとうまくとってやっているのが共済じゃないかと思うのですよ。そうすると、この共済と比べても、はっきり言って定期特約保険金部分は物すごく割が悪い。だから冒頭申し上げたように、共済へ共済へと流れるのは私は当然だと思う。いずれにせよ庶民というか払う者にとっては養老部分がどうだ、定期特約部分がどうだ、そんなことは考えておらない。とにかく月二万円払っておる、年に約二十四万円払ったんだ、それに対してこれっぽちしか戻ってこないんじゃないか、ここに問題があるわけですよ。  今もちょっと語が出てまいりましたけれども、いわゆる保険というのは保障を受ける利益が消費者サイドにあって、また会社側に保障を与える義務もしくは負担をする義務があるから、俗に言えば配当の開始時期が遅いんですよとかまたは返戻金率が低いんですよという理論構成になっているのじゃないかと思うのです。  そもそも保険というのは、契約者が社員となって相互に保障し合う、こういうことから生命保険会社のほとんどが相互会社という形態になっているわけでございます。そして我が国の敗戦直後、昭和二十年、戦時中大変なインフレなんかで以前の生命保険会社が打撃を受けて、大蔵省の大変な肝いりで、護送船団方式とかいろいろなあれで、とにかく優遇措置といいましょうか業界育成措置をとられた。そしてそのときに、これは戦前からあったわけでございますけれども、相互会社というシステムをそのまま生かしてきた。  そこでお伺いしますけれども、そもそも相互会社というのは何ですか、これは。どういう会社のシステムなんですか。そして、なぜ相互会社じゃなければいけないんですか。生命保険に向いておるからそうしたのでしょうけれども、株式会社との違いとか、その辺のところを簡単に説明してください。
  232. 龍宝惟男

    龍宝説明員 相互会社についてのお尋ねでございますが、相互会社というのは、保険業法によって設立を認められました社員相互の保険を営むことを目的とする法人でございます用意思決定機関、執行機関その他ございますけれども、職務権限については商法の株式会社に関する規定がほぼ準用をされておるということでございます。  そこで、保険会社の会社形態といたしましては、実体的にも法律的にもそうでございますけれども、相互会社の形態と株式会社の形態と両方ございます。ただ、保険事業というものは、もともとは先生もおっしゃいましたような相互扶助的な性格を持っているということが一つございます。それから、生命保険契約というのは長い契約が中心でございますから、その間いろいろな経済変動があるかもしれない。その中でその生命保険契約を全うするためには、保険料の計算の基礎の決定に当たって、死亡率であるとかあるいはその運用の予定利率であるとかいうことに若干の安全割り増しを織り込んで設定をしているということでございます。したがって、その若干の安全割り増しを見込んでいる結果、年度を締めてみますと例えば予定利率より実際の運用利回りが上回れば、あるいは予定していた死亡率よりも実際に死ぬ方が少なければ、それだけ剰余が生ずるということになります。それではその剰余はだれのものかと申しますと、ここが相互会社の相互会社たるゆえんでございますけれども、これが社員に配当金として配分されるということでございます。  そこで、株式会社との相違の問題が出てくるわけでございますけれども、株式会社の場合ですと、そうやって出ました剰余について契約者配当に充てるべきなのかあるいは株主配当に充てるべきなのか、株主が取るのか契約者が取るのか、俗に言えばそういうことで大変問題が起こる。アメリカなどでは、一時、株式利益が優先され過ぎるということでいろいろ問題になったこともございます。そういうことで、相互会社というのは保険事業に適した会社形態ではないかというふうに考えられておりまして、アメリカ等におきましても大手の生命保険会社の相当数は相互会社ということになっております。  相互会社と株式会社、どこがどう違うのか、あるいはどちらにどういうメリットがあるのかという御質問でございますけれども、一つは先ほど申し上げましたように株主利益と保険者利益というのをどうやってバランスさせるかというのが株式会社の場合には常に存在するという問題がございます。  それからもう一つは、提供する商品によりまして、相互会社が適しているか株式会社が適しているかという問題がございます。例えば相互会社が仮に無配当保険ばかり売るということになりますと、これはもう剰余金がどんどん会社にたまってしまうということでございますから、やはり株式会社が売るのに適した商品ということになります。それから、保険の期間が短い保険というものにつきましては、例えば社員が何度も入れかわるということになりますと、これも株式会社の方が適当かなというふうな感じがいたします。  今現実にどこが違うかというと、そう実態上の差異はないということでございます。ただ、保険会社については相互会社の方が適しているということの考え方につきましては、先ほど申し上げたような理由であろうかと存じます。
  233. 塚田延充

    ○塚田委員 五十九年度末の生命保険会社の剰余金総額が二兆二千九百十億円という数字が出ております。これについてはだれのものだということになれば、相互会社は社員でできているのだから社員のものだという一言で片づけておるけれども、さて、その社員とは一体何だろうか。契約者だということになっておる。ところが、今まで申し上げたように、もう十年もするとほとんど半分がわってしまうというようなことですし、社員がころころかわっていくわけです。もし株式会社だったら、権利というのは、株主権といいましょうか、相続を通じてかわからぬけれども、これで権利というものがあくまでも続いていくけれども、実体のないものが幽霊のように入れかわっておる。そして、おるのはその経営者だけじゃないですか。そうなると、社員、あなたのものですよと言いながら、社員であっても十年未満のいわゆる配当をもらえない。返戻率の割の悪いもの、そういうものの犠牲という言葉はおかしいかもしらぬけれども、それで剰余が出てきておる。その剰余はあなた方のものですよと言ったって、だれのものかわかりはしない。この辺、かなり大きな矛盾があると思うのです。  そもそも相互会社というのは、剰余そのものが出るのがおかしいんじゃないですか。相互会社は営利団体じゃないはずだ。営利事業をすべき目的で設立されているわけではないはずです。となれば、もし剰余とかなんとかがこんなに出てくるならば、これはさっき言った返戻率が悪いとか、最初から、金融商品じゃないから率は少し悪くなるかもしらぬけれども、配当であれ何であれ、二年だって三年だって入っていた者に対して、もっともっと手厚い商品をつくるよう指導すべきではないか。相互会社という名のもとに、またそれに大蔵省が乗っかるような形で一般の消費者が犠牲になって、だれのものかわからない剰余金がお化けのように膨大なものとなっている。これに対して国民は非常に大きな疑問を感じておる。そして、こんなことを通じて外務員の女性の方々が大変説明に苦労して、俗っぽい井戸端会議みたいなことで言えば、生命保険会社は全部目抜き通りのいいところばかり建てるじゃないですかというようなプリミティブな疑問を投げつけられてあっぷあっぷしている。  私は同じようなことをここでぶつけたいのだけれども、剰余金がこんなにあって、しかも会社理論上だれのものかわからないもの、こんなものをつくるならば、どうして配当の方とか返戻率とかもしくは最初からの商品設計に生かさないのか、このように考えるのですが、いかがでしょう。
  234. 龍宝惟男

    龍宝説明員 生命保険会社に剰余金が発生して、その額はおっしゃるような数字になっております。  ただ、相互会社たる生命保険会社になぜ剰余金が発生するかと申しますと、これは保険の仕組みということで先ほど申し上げましたように、予定の死亡率あるいは予定の利率より上回った部分、その部分はどうしても剰余金が出ます。その剰余金をどうするかということでございますけれども、これはある意味では、最初に払い込んでおりました保険料が、俗な言葉で言いますと過払いであったというような性格ではないだろうか。したがいまして、そういう剰余金が出ましたら、その部分で最初に払ってある保険料を精算するという形で配当を行うということでございます。  それで、先ほど先生おっしゃいましたような、剰余金の数字のうちの九九・七%くらいだと思いますけれども、すべて普通配当の財源に回して、ある意味では契約者に過払いの精算という形になりましょうか、保険料部分を返しておる。したがいまして、生命保険会社の保険料というのは最初に払う入り口の保険料ではなくて、そこから配当を差し引きました、いわゆる正味の保険料という言葉を使うわけでございますけれども、ここで考えなければいけないと言われるゆえんでございます。  それからもう一つは、そういう剰余の問題と絡みまして、先ほど御指摘のございました解約返戻金率の方も充実を図るべきではないか、ごもっともでございまして、一方では普通配当を充実させて正味の保険料をなるべく安くする、それから解約返戻金率についても見直しを図っていくということを私どもはやっておる次第でございまして、出ました剰余金がわけもわからずたまってしまうということではなくて、そういう形でそれぞれに還元をしているということでございます。
  235. 塚田延充

    ○塚田委員 その未処分剰余金に対して配当準備金繰入額ということで、今課長がおっしゃったように各社九九・三から九九・六くらいで繰り入れているようでございますけれども、これは保険会社名社によって経営効率といいましょうか、実際に大変な差があるにもかかわらずほとんど同率でやっておる。また、それに基づいての配当とかいうのは、差はつけてきたとは言うけれども、まあ差と言えない程度、横並びと見た方がいいのじゃないですか。こういうことを考えると、やはり保険業界にカルテル的な体質があるのじゃないか。現に護送船団方式という言葉があるし、終戦直後ではそれをねらったことは確かです。それが今も続いておる。  これにつきましては、公正取引委員会の御意見をお伺いしたいのですけれども現状のこのような保険業界のあり方について、大蔵省の行政指導のあり方とか、独禁法に触れる危険性がありはしないか、この辺どうお考えになっておるか、公取の御意見をお伺いしたいと思います。
  236. 厚谷襄児

    厚谷政府委員 先生質問の保険業界においてカルテルがあるのじゃないかというようなことでございますが、保険業につきましては、まず大蔵省が保険業法に基づきまして監督しておるところでございます。  御指摘になりました配当の率というような点につきましても、保険業法に基づく命令によりまして大蔵省がそれについていろいろ監督しておるのじゃないかと思っております。  そこで、それではそういう行政指導あるいは行政介入と申しますか、そういうものと独占禁止法との関係ということになりますと、私ども公正取引委員会として最も懸念いたします点は、そのような行政の介入によりましてカルテルを誘発するということでございます。この点につきましては、昭和五十六年の三月に行政指導と独占禁止法との関係についての考え方を整理いたしまして、それを公表しまして、関係各省にも、所管行政の運営に際しましてはこの考え方に十分配慮されるように要望しております。大蔵省におきましてもこの趣旨が十分尊重されるものというふうに私たちは考えております。  もちろん公正取引委員会としましては今後とも行政指導によってカルテルが誘発されることのないよう注視していくことは当然でございまして、また、関係の所管庁におきまして行政指導をする前に十分私どもと調整していただきたいというふうに考えておるところでございます。
  237. 塚田延充

    ○塚田委員 行政指導に当たって、具体的な法的根拠が定められている場合であっても価格、数量等の市場条件に影響を及ぼすものについては問題があるよというような、これは公取の見解が昭和五十五年度の公取年報に出ておるわけでございますが、私が先ほどからるる申し上げておりますように、配当だってみんな、特別配当については十年目からしか払わないよとか、それから返戻金の率についてはこうだよとかいうのが結果的には全部横並びになっておるけれども、それははっきり言って市場条件に影響を及ぼしているというか消費者が選好できるような状態になっておらない。こういうところから見ると、これは五十五年度の年報の九ページの(2)にあるのですけれども、その辺に触れる危険性がありはしないか、このように私は見ております。  また、生命保険協会におきましては三十幾つ委員会があるそうでございます。これは業界でいろいろ研究し合い切磋琢磨することは非常に結構でございますけれども、いかに仲がよかろうと、またお互いに情報交換していい商品を生み出す、いわゆる寄り合って知恵を出すのはいいかもしらぬけれども、この辺のところに、カルテルとは申しません、的体質の源泉があるのじゃなかろうか。そして結論として消費者の目から見たらどうも私ども納得いかないような形に、不利なようなことにみんな横並びになっておるところから見ると、この辺公取としてひとつ出番じゃなかろうか、御検討いただく時期が来たのじゃなかろうか、このような感じがするわけでございます。  相互会社とは何ぞやというようなことについてもう少し理論的に詰めてみたいのですけれども、時間がございませんし、これは学界においてもいろいろな論争があるようでございますが、私は学者じゃございません。あくまでも相互会社という一般の人がわからない会社形態のもとにおいて、とにかく奥の院のような形でもっていろいろな商品開発といいましょうか、または商品設計が行われて、それしか私たちは選択することができない状態にある。これについては極めて遺憾であるし、また前段申し上げたような、すなわち民社党塚本三郎が指摘したような見地からの問題もございますし、とにかく業界として襟を正して――相互扶助というのは大変結構でございます、そういうことでございまして、本当に国民のためになる生命保険業界になっていただきたいし、よりすぐれた、そして実態に合った、すなわち三年目とか五年目でもって解約する率が結果的には多いような庶民事情にあるんだということを踏まえた上での商品設計になるように御努力をいただきたい。そのように大蔵省、ぜひ御指導をいただくことをお願いいたしまして、本日のところは第一ラウンドとしてこれで終わらせていただきます。  質問を終わります。
  238. 竹内猛

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。
  239. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょう私は、食品添加物の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  まず最初に、先日開かれました日米食品パネルについてお伺いをしたいわけです。この日米食品パネルでアメリカ側から具体的に食品添加物の拡大要求はあったのか、また、その後現在に至るまでアメリカ側から具体的に食品添加物拡大の要求があったのか、これは食品化学課長さんから。
  240. 内山寿紀

    ○内山説明員 お答えいたします。  本年十一月十五日に開催されました日米食品化学パネルの定期会合において、日米間の食品化学に係る科学的情報の交換が行われ、日本側からは本年七月末に決定されました市場アクセス改善のためのアクションプログラムなどに関する説明が、それから米国側からは最近の食品添加物の状況などに関する説明が行われました。その際、米国側より添加物に関する具体的な指定要請はございませんでした。また、その後も同様の要請はございません。  以上でございます。
  241. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 アクションプログラムの説明をされたということですが、国会決議についても説明をしたと聞いております。具体的にどのような説明をされたのかお聞かせをいただきたいわけです。
  242. 内山寿紀

    ○内山説明員 アクションプログラムの説明とともに昭和四十七年の国会附帯決議の説明、それから昭和五十八年の十一品目の指定後の国民運動等の状況について正確にお伝えしております。
  243. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと一言だけ聞かせてください。十一品目指定後の国民運動の動向はどう言われたのですか、一言で結構です。
  244. 内山寿紀

    ○内山説明員 食品添加物の指定拡大に反対する署名が数百万に及んでいること、それから地方自治体での反対決議がなされていること、そういうことについてお伝えしております。
  245. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは、厚生省の保健医療局健康増進栄養課からお越しいただいておりますね。ことしの五月に「健康づくりのための食生活指針」というのを発表しております。一日三十品目の食品を目標にするようにと呼びけておられますけれども、この指針によると、健康づくりのために加工食品中心の食生活が進んでいくことは望ましいということになっておりますでしょうか。
  246. 伊藤雅治

    ○伊藤説明員 本年五月に発表しました「健康づくりのための食生活指針」におきましては、加工食品につきまして、大変便利なものでありますが、一方では便利であるがゆえにそれに過度に頼り過ぎ、栄養のバランスが偏りがちになるおそれがあるという指摘をしておりまして、したがって必要な栄養をバランスよくとることが肝要であるというようなことを述べておりまして、このようなことから厚生省としても食生活の改善に努める指導が必要であると考えておるところでございます。
  247. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 長官、「袋の味よりおふくろの味」という言葉があるのです。私は、一人の主婦としてもその言葉をとても大事にしていきたい。こんな生活をしていますから、とても忙しくて家族に手づくりのものをつくってやるというようなことがなかなかできませんけれども、できるだけおふくろの味を残しておいてやりたい、それは家族の健康のためにも、また食の文化を次の世代に伝えていくためにも一人の母親としての責任だなと、実態は生意気に言えませんけれども、そういうことを心しているわけなんです。私はそういう点で、この厚生省が出された食生活の指針を見たときに、はっと目が覚めるような気がいたしまして、ああやっぱりそうなんだということで、きょうは何品目食べたかなというふうに毎日数えて、そしてきょうは大丈夫かなと思うわけですね。  それと同時に、四十七年の食品添加物は極力抑制するべきであるという国会決議は今日の時点でますます新鮮かつ非常に意義のあるものとして存在すると私は思いました。さっき数百万とおっしやいましたが八百万署名ですね。その八百万署名でもやはりそういうことを訴えているわけです。  そこで、私は以前にもお伺いいたしましたけれども、「健康づくりのための食生活指針」ということで厚生省の国民への新たな呼びかけが出されたわけですが、国民の健康づくりの立場から、食品添加物の問題についての御見解をもう一度長官にお伺いしておきたいわけです。
  248. 金子一平

    金子国務大臣 安全性の確保は消費者保護の基本でございまして、十一月一日の消費者保護会議におきましても食品の安全対策の推進を重点事項として決めたばかりでございます。食品の安全性の確保につきましては国民の総意であると考えまして、先般の会議における決定の線に沿って、消費者保護の観点から関係省庁と十分連絡をとりながら、今藤田さんおふくろの味とおっしゃいましたけれども、それが本当に生かされるように今後とも努力してまいりたいと考えております。
  249. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今日、我が国の食品添加物の規制緩和を執拗に求めているのはアメリカなど諸外国だけではなしに、経団連はもとより、食品添加物業界も非常に熱心に求めてきています。例えば食品添加物協会は、八月に開きました技術委員会で「将来、新規食品添加物指定が検討される場合、単に、諸外国の要求による品目ではなく、会員の要望する品目であることが望ましい」こういうふうに言って業界からアンケートをとっているわけです。そして、近々厚生省に要望するとしておりますが、日本食品添加物協会というのはどういう組織であり、またこの協会のこのような動向について承知をしておられるかどうか、お答えをいただきたい。
  250. 内山寿紀

    ○内山説明員 日本食品添加物協会は、食品添加物食品製造輸入販売を業とする法人または個人等を会員とする任意団体でございます。したがいまして、日本食品添加物協会で今後どのような添加物が必要かということについて種々会員から意見を収集しているということについて私ども承知しております。
  251. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 日本食品添加物協会という組織は、味の素の会長が協会の会長でもあるわけです。その協会の理事会で、食品添加物十一品目の新規指定は画期的な成果であると述べられまして、ことしの年頭所感の中で協会の常務理事は、当時の食品化学課長のことを「消費者連盟の永年に亘るアンチ添加物の運動に対して、厚生省の前食品化学課長藤井正美先生の並々ならぬご熱意と勇気ある対応、」だと褒めたたえているわけです。  内山課長さん、あなた御自身も、九月五日に開かれたこの協会の常任理事会に出席されて「食品化学課と、日本食品添加物協会とは密接な関係にある、と前任者の市川課長から伺っているが、今後ともこの関係を保っていきたい」とあいさつをされておられますね。一体、この協会との密接な関係というのはどういう関係を指すのか、御説明をいただきたいわけです。
  252. 内山寿紀

    ○内山説明員 同協会は食品添加物関連業者団体でございまして、食品添加物について必要な情報の収集あるいは業界の指導等の活動を行っておりまして、厚生省も必要に応じて助言あるいは情報交換を行っているというようなことでございます。
  253. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 密接な関係なんというような言葉がその程度なんですか。えらく丁寧な、熱っぽい言葉を言われるわけですね。  この食品添加物協会の日添協会報を私はこの間からずっと見てみたわけです。そして、消費者団体に対してどういう認識を持っておられるかということがよくわかりました。全部取り上げたいのですが、本当に時間が少ないので残念ですが、例えば第二回食品添加物実用講座というので、「消費者運動家といわれる一部の人びとは、それぞれの主義主張に基づいて、信仰的に食品添加物は有、害、と信じて疑うことを知らない状態にあるので、これらに対する説得は、無駄な努力であるが、科学的根拠に基づかない彼等の暴言に対しては、敢然と否定する態度が必要である。」こういうふうに言っているのです。これでは消費者運動に対して敵意丸出しじゃありませんか。協会と密接な関係を誓った課長消費者団体に対する認識を私はここで明らかにしていただきたいわけです。
  254. 内山寿紀

    ○内山説明員 私どもは、食品添加物の行政につきましては安全性の確保を基本として進めているわけでございまして、一般消費者の皆様方のいろいろな御意見等につきましても、尊重すべきは尊重すべきというふうに考えております。
  255. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それじゃ、あなたは協会の言うことはどう思われますか。
  256. 内山寿紀

    ○内山説明員 今の先生の御質問は、今先生が御発言になった部分についてでございましょうか。(藤田(ス)委員「はい」と呼ぶ)それについては協会の方のあれで私存じておりませんので、ちょっとここでは意見は控えさせていただきたいと思います。
  257. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 食品添加物の規制緩和を熱っぽく叫んでいる食添協会に対して、あなたが協会に行かれて密接な関係などという言葉を重ねて言われるということは非常に安易なやり方である、軽率だと私は思うのです。同時に、歴代の課長さんは協会に随分利用されている。情報交換と言われるけれども、私は利用されていると思います。だからこそ、国民の方は行政に対して不信感を募らせずにはいられないことになってしまうわけです。  そこで、私はきょうここに「食品添加物Q&A 私たちの食生活と食品添加物 編集 厚生省環境衛生局食品化学課」と書いてあるパンフを持っています。ある消費生活センターの責任者の方が、食品化学課作成ということであるので食添協会から送られてきたときに安心して窓口に置いていたというのです。ところが、後で内容をずっと見ていくと、何だこれは、日ごろセンターが消費者に話をしている、説明をしていることとは全くその趣旨が合わない、そういうことで、せんだっても日本食添協会からパンフレットの増刷をしたので追加注文をしてくれ、もちろん無料ですが、そういうふうに言ってきたけれども、我々の趣旨と合わないのでお断りをしたということを言っているわけです。私は、政府の方針が変わったのかというふうに尋ねられました。このパンフレットは厚生省でつくられたのですか、食品添加物協会でつくられたのですか。
  258. 内山寿紀

    ○内山説明員 その内容につきましては、厚生省食品化学課で記述したものでございます。
  259. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 内容は当たり前ですよ、ちゃんと表に書いてあるから。このパンフレットは厚生省がつくられたのか、協会がつくられたのかということを聞いているのです。
  260. 内山寿紀

    ○内山説明員 正確に申し上げますと、そこに書いてあります出版社が作成したものでございまして、これにつきましては、国の食品添加物に対する広報活動が必要だということで、その一つとしまして出版社より所定の手続を経まして五千五百部買い上げております。
  261. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと言うことがわからないのですね。出版社がつくるのは当たり前ですよ。厚生省がこんなパンフレットをつくれませんからね。そんなわかりにくいことを言わんといてくださいな。  私が聞いているのは、一番最初は出版社がつくったのですか、厚生省がつくったのですか、それとも協会がつくったのですかということを聞いているわけです。
  262. 内山寿紀

    ○内山説明員 それは食品化学課が内容を記述いたしまして、それを出版社に渡しまして、先ほど申し上げたような形で国が必要部数を買い上げております。なお、それを食品添加物協会が別途この出版社から買い上げているということは、事実として承知しております。
  263. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 先ほど五千五百冊とおっしゃいました。この出版社から五千五百冊買い上げた、こういうことですか。編集をしたのが厚生省でしょう。そして出版をしているのが社会保険出版社。そうしたら出版社ともう一つ食品添加物協会との間にパンフをめぐるお金のやりとりの約束はあったのですか。
  264. 内山寿紀

    ○内山説明員 私ども承知しているところでは、食品添加物協会がその出版社から買い上げているということを聞いております。
  265. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 厚生省は予算を幾ら使いましたか。
  266. 内山寿紀

    ○内山説明員 ちょっと数字を持っておりませんので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  267. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 後ほどというのはきょうですか、後日ですか、どっちですか。
  268. 内山寿紀

    ○内山説明員 後日説明に伺いたいと思います。
  269. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 実は、私がこの「食品添加物Q&A」を見たときに、まずそのことをおたくの食品化学課の方に何度もお尋ねしたのです。一体この発行元はどこなのか、そしてそことのお金のやりとりの約束はなかったのか、あるいは厚生省はこれに対してどれだけの予算を使ったのか、そういうことを先週から何度も聞いていたんですよ。そして、今日に至るも後日というようなことは、非常にそこはあいまいだというふうに私は思うのです。
  270. 内山寿紀

    ○内山説明員 先生に言われましたことは私どもも重々承知しておりまして、先週から御要求があることは知っております。それにつきましては、私どもの内部事情でございますけれども、現在の担当の者が家族に不幸がありましてずっと欠勤していた、それから当事者が今出張中ということで、これにつきましては、私どもの方としましては、別途先生の方の秘書の方にはその事情については御説明しているつもりでございますし、それから、これにつきましては、わかり次第私どもは御説明に伺うつもりでございます。
  271. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 余りそのことは理由になりませんよ。御不幸なんて言われるとこっちの方がちょっとあれですけれども……。それにしても、その人がいなければというようなものじゃないですよ。この問題は、もうこれ以上お尋ねしても後日調査をしてということですから、もうこれ以上押しても出ないでしょう。しかし、その態度には非常に不信を抱かざるを得ないわけです。  食品添加物協会の会報八五年の四月号を見ますと、五十九年四月一日から六十年三月三十一日までの間に地方自治体、保健所など五百二十八件、十八万二千九百二十五部、会員会社に対して一万八千八百三十部、会員各社の特別会費でざっと二十万部発行したと書いています。このパンフレットを業界の方は二十万部発行した。厚生省は五千五百。大阪府に聞きましたら各保健所に五部ずつ、こういうことでありました。これは編集こそ厚生省でしょうが実際その活用を主としているのは食品添加物協会ではないでしょうか。  さらに、同協会の鈴木三郎助会長によりますと、「昭和五十八年度の「食品添加物規制緩和反対一千万人署名運動」を頂点とする食品添加物反対運動に対する消費者啓もう活動につきいくつかの試行を重ねてまいりましたが、昭和五十九年夏に至り、地方自治体のご協力をうる形での資料配布がその目的達成のために適した方法であるとの結論をえここう言っているのです。念のために言っておきますが、自治体は別に協力したわけじゃないんです。向こうから送ってきたんです。しかも協会の方から一回ならず二度、三度と送ってきているのです。いずれにしても、その表書きの「編集厚生省環境衛生局食品化学課」、この肩書が物を言って地方自治体の方はすんなり受け入れたにすぎぬわけです。  続けて言いますが、この鈴木三郎助会長は「全国の消費生活センター等通じて配布も開始し、情報チャンネルの一部が確立した」、こう言って、一口一万円の特別会費を協会参加の業者に訴えた経緯をるるこの中で述べているわけです。八五年三月十五日現在六百四十二社、集めたお金は一千三百三十三万円というふうに大変丁寧に報告されています。  厚生省食品添加物協会の広報活動のためにこのバンフをつくったのではないですか。
  272. 内山寿紀

    ○内山説明員 このパンフレットは、私どもも国としまして食品添加物について的確な情報をその広報活動に使うためにつくったものでございます。
  273. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 国として的確な食品添加物の情報を国民に伝えるためにつくった。  それでは、この中身について見ていきます。お持ちですね。このQ3というところをごらんください。この中に「食品添加物がなくなると、私たちの食生活は、どうなりますか。」という問いがあるわけです。そして答えとして、「食品添加物がなくなると多くの加工食品が店頭から消えてしまい、」「食品を安定した価格で入手」できなくなり、「都市の食生活は成り立たなくなる」というふうに書いていますね。まさにこれは国民の願いをねじ曲げた、おどしにも似た言葉だというふうに考えざるを得ません。それとも課長、あなた方は、八百万署名だとか、日ごろの消費者団体だとか、あるいは国会決議も、食品添加物をゼロにせよと言っていると一体思っておられるのですか、全くなくせと主張していると思っておられるのですか。
  274. 内山寿紀

    ○内山説明員 私どもは、いわゆる食品添加物については安全性を最重点にして……(藤田(ス)委員「そんなこと聞いていない」と呼ぶ)安全性、ゼロにしようというようには理解しておりません。
  275. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと、私の質問にちゃんと答えてくださいな。安全性をゼロにせよなんて私今言っていませんよ。食品添加物をゼロにせよと消費者団体や八百万署名は主張しているというふうに受けとめているのか、ここにあなた方は「なくなると」、こう言っていますから、食品添加物を全くなくせと国民は願っている、主張しているというふうに思っているのかと聞いているわけです。
  276. 内山寿紀

    ○内山説明員 食品添加物をゼロにせよというのは今現在の食生活においては無理だと思いますから、そのような主張ではないと思っております。
  277. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっとわからないのですよ。もっと素直に答えたらどうなんですか。私の言っていることは、ここに「食品添加物がなくなると、私たちの食生活は、どうなりますか。」こうありますので、あなた方は一体、その食品添加物について云々する消費者団体や国民の声、それは食品添加物をゼロにせよと主張しているのだというふうに思っておられるのかと聞いているのです。
  278. 内山寿紀

    ○内山説明員 そのようには理解しておりません。
  279. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 だったら何でこんな言葉を使うのですか。非常に極端に「食品添加物がなくなると、今のような都市の食生活は成り立たなくなる」。私は、これは国民の非常にまじめな、真っ当な願いに対して、あるいは国会が食品添加物を極力抑制し、食品の安全を守っていくべきだと言っているその中身に対しても、非常に挑発的な、わざわざ非現実的なことを想定してこういう問答集をつくるということ自身は非常に不適切だと言わざるを得ません。これは直ちに私は撤回をしてもらいたいわけです。このパンフレットをこれ以上厚生省食品化学課ということの名前でひとり歩きさせて、そしてこれがどんどん業界からずっと広がっていく、人々はまじめに食品添加物の問題について考えようとしているのに、まるでそういう食品添加物のことに対して云々する消費者団体がゼロにせよと言っているような主張であるかのごとき言い方で、おどしをかけたような表現というのは、非常に不適切だと思いますので、これはもう回収をするべきだと思います。
  280. 内山寿紀

    ○内山説明員 先生、そこのところにつきましての記述についての私どもの意図について説明させていただきたいと思います。  現在の我が国の食生活、特に都市での食生活は加工食品なくしては成り立たないのではないかというふうに考えているわけです。「食品添加物Q&A」の中の該当部分でございますけれども、現在大都市圏に多くの人間が生活しておりまして、その食生活を成り立たせるために膨大な量の食品を毎日滞ることなく供給することが必要であり、その中で加工食品は極めて重要な役割を果たしている、その加工食品と、食品添加物加工食品製造に大切な役割を果たしているのだということを述べたものでございます。
  281. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私を含めて、食品添加物を極力抑制していきたい、そういうことを願っている人々は、何も加工食品は今重要じゃないんだ、必要じゃないんだなんというようなことは言っていませんよ。私は、その考え自身がねじ曲げている、そういうふうに言わざるを得ない。食品添加物の有用性というのは、Q1「食品添加物をかんたんにいうとどんなものですか。」それからQ2「食品添加物は、どのような役割を果たしているのですか。」有用性はちゃんとここで二つ述べている。さらにつけ加えてこういうふうに、それがなくなるとどうなりますか、こういう論というのは公害問題でも一緒なんです。公害反対だ、できるだけ窒素酸化物を少なくせいと言ったら、まるで芋とはだしの生活に戻らなければならぬようなおどしをかけるのです。それと同じような論をあなた方はこの中で立てて編集をしているから、これは非常に不適切だということを申し上げているわけです。
  282. 内山寿紀

    ○内山説明員 私どもとしましては、そこで書きましたことは、先ほども申し上げましたけれども加工食品食品添加物の関係というのは密接不可分なものであるということを述べたかったわけでございます。
  283. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 納得できませんよ。しかも、さっきのお話を聞いておられたでしょう、加工食品は広がっていくけれども、できるだけ手づくりのものを、そして多品目のものを私たちは食べて、食の文化も伝え、家族の健康も守っていこう、そういう努力を精いっぱいしていこう。それが今生きる者の責任じゃありませんか。私はあなたの説明は全く納得できないし、改めてこのパンフレットの回収を要求をしておきます。同時に、先ほどの疑念のあるところはぜひとも調査をして明らかにしていただきたいわけです。  さらに言えば、Q8なんてどうですか。「十一品目の食品添加物を新たに指定したのはなぜですか。」と、ここであなたの言う加工食品がふえた云々の話が出てくるわけです。そして、この中でアスパルテームの問題が書かれています。「もちろん安全性などは十分確かめてあります。」こう書いているのです。しかし、これは国会でも私が、あるいは共産党だけがこのアスパルテームの問題を取り上げたのじゃありませんよ。社会党さんも、それから社民連さんも取り上げていますよ。そういう点では国会の意見というものがあったわけです。きょうは議論しませんが、私は十分確かめていないと今でも思っています。さらに私は、フェニルケトン尿症の子供たちに、フェニルアラニンが含有されているアスパルテームを摂取させてはならない、そのことを表示するべきだということを言いました。このパンフレットにはそういうことも一言も触れられていないじゃありませんか。そういう点でもこれは非常に不正確であり、厚生省が責任を持って出すにしては余りにも不適切。食品添加物協会が勝手に出されるのならこれは文句の言いようがないですが、しかし、それなら厚生省が指導するべきはずのそういう中身にわざわざ厚生省がお墨つきを与えて、こういうものを片一方の業界の方は二十万も発行し、厚生省の方は五千五百でちょっとお茶を濁してお墨つきだけ与えるというようなことは、もう本当に納得できない話であります。回収を求めておきます。  時間がありませんので、最後に、通産省からわざわざお見えでございますので、一、二点だけお伺いして終わりたいと思います。  訪問販売トラブル情報提供制度というものが設けられまして、十一月二十九日に第一回目の情報提供が行われたことであります。私は、こういうものは今後もどんどんやっていってもらいたいものだというふうに思っておりますが、通産省から改善の指導を受けた企業がその指摘を受けた点を再発させた場合、企業名の公表を行う、こういう手順になっているわけなんですが、私が聞いたところでは、その再発の認定は通産省に苦情が来ることを条件にしているというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
  284. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、今お話がございましたように、十一月二十九日に一回目の情報提供をいたしております。英会話教材を初めといたします五つの商品群につきまして、十二の企業を選んで強く指導をした次第でございますけれども、今後そういう企業につきまして消費者トラブルの件数が顕著に減少するというような明らかな改善のしるしが見られない場合には、今御指摘のように、第二段階といたしまして企業の名前を含む公表を考えているわけでございます。  そのベースとなる情報の種類でございますが、私ども基本的には通産省の相談室、これは本省と通産局にございますけれども、そこに寄せられる情報をベースとして考えております。そこに寄せられる情報は、消費者のものに限らずいろいろなところから寄せられておりますので、そういう幅広いデータをベースとして今後の改善の状況というものを見守っていきたいというふうに思っております。基本的には、通産省の相談室に寄せられる情報がベースでございます。
  285. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私が思うのは、現在もジャパンライフのことも大問題になっておりますし、豊田商事の問題にしても、とにかくそういう再発の状況というのをできるだけ早く、かつ広くとらえていくようにしなければ、結局、被害者がたくさん出てからこうなったというようなことになるわけですね。そういう点では、国民生活センター、全国の消費生活センターというものが消費者にとっては一番身近なところとしてあるわけですから、そういう国民生活センターに集中される苦情相談というものも、その再発認定の情報の重要な柱にしていくべきだというふうに考えているわけです。この点はいかがでしょうか。
  286. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 この情報提供制度のベースになる情報といいますのは通産省に寄せられる情報だというふうに先ほど申し上げました。通産省に集まってまいります。そういう苦情あるいは相談といいますのは、もちろん一般消費者から寄せられるものが一番多いわけでございますけれども、それ以外に、先生が今御指摘の国民生活センターであるとか、あるいは各地に設立されております消費生活センター、こういうところから、特に難しい問題につきましては、通産省にいろいろな形で問い合わせ、照会がございます。私どもの方で利用させていただいておりますデータというのは、こういう各地から寄せられたものも含めてベースとして使わせていただいているということでございます。各地の消費生活センターは第一線で働いておられるところでございますから、情報が非常に早く、しかも広く集まるところでございまして、私ども消費者行政をやる上で、こういうところとの連携は非常に密接にやっていかなければならないというふうに思っております。今回の情報提供の際にも、各地の消費生活センターに情報はお届けしておりますし、そちらから寄せられる情報も、今申し上げましたような形で積極的に取り上げさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  287. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その再発の情報を素早くキャッチしていくために、待ちの姿勢ではなしに、国民生活センター、消費生活センターを積極的に協力体制の中に組み込みながらこの制度をうんと活用をしていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  288. 竹内猛

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会