○石川
政府委員 自主流通米の
問題点につきましては、本年の米価決定の際に、今後の自主流通のあり方等について
検討して予算編成期までに詰めをするという約束をしておりまして、その一環といたしまして、生産者、流通
関係者、学識経験者として米審の
委員から何人かの方に入っていただきまして、九月以来五回にわたって会合をいたしておりまして、今月の二十日に最終的な会合をやりまして、若干修文のために時間を要しましたが、
関係者の合意を得ましたのできょう公にして私
どもの方にいただいたわけでございます。
良質米の助成の話だけではなくて、生産、流通全体にわたります討議をいたしておりますけれ
ども、主な点を申し上げます。
まず、流通
規模。御承知のように、五十九年は三百万トンを超えたわけでございますが、それがいわば自主流通の供給過剰というような状態で問題を起こしておりますので、そういう流通
規模をどう見るかということ。
これは、三百万トン超えということにつきましてはちょっと過大なものであるということについては意見が一致しておりますけれ
ども、それが豊作要因なのか構造要因なのかということでは若干意見が分かれております。具体的に二百七十五万トン
程度というような
水準についても若干意見が分かれておりますが、適正
規模でなければ
建て値その他なかなか困難な事態になってきているということではほぼ意見が一致していると思っております。
それから、政府米との関係でございます。御承知のように政府米と自主流通米のバランスがとれておりませんと自主流通で売りにくい、あるいは政府米の売り方次第では自主流通の価格にもいろいろな影響があるわけでございますが、この両者を一体的に運用するということについては皆さんそういう御意見でございますが、そうかといって自主流通比率を何%にするかとかそういうことではなくて、両者の
制度運営、自主流通は自主流通として
建て値だとかそういうことで弾力的にやると同時に、政府米も売却操作にいろいろ工夫をして、一体として運用していくというような形で意見が出ております。
それから、良質米生産につきましては、着実に拡大してきており、まだ作付の
意欲がなかなか根強い。しかし、良質米をつくるには単収の低さとかつくりにくさというような不利性も確かにあるが、そうはいうものの肥培管理等の技術の進歩によって
かなり単収が向上して、その不利性は克服されているのではないかということ。それから、何と申しましてもササニシキ、コシヒカリに集中してきておりますので、そういう単品集中というようなことは適地適産という面で問題がある、あるいは災害が来ました場合に一斉に当たるという
意味で危険分散という問題があるのではないかということ、それから機械等が一時期に集中しまして、機械の効率的利用の
観点から問題があるのではないか、そういうようないろいろな御意見がございまして、これらの
考え方についてはほぼ一致しております。
それから、今後の作付動向がさらに生産拡大というようなことでの供給過剰につながるかどうかということでは必ずしも意見は一致いたしておりません。
それから、流通の諸問題といたしまして、自主流通計画の立て方なり情報提供の
仕組み等につきましても御
議論がございましたが、これは技術的に話し合いを進めれば足りる問題だと思っております。
それから、流通とか価格決定の
仕組みをめぐる問題といたしましては、価格決定の
仕組みに政府等の第三者介入が必要じゃないかというような御意見も一部ございましたけれ
ども、やはり当事者同士で話し合って決めていく現行方式が適当ではないかということでは意見が一致しておりますし、価格への需給
事情の反映は必要だ、余り量が多くなってきますとやはり価格的に弱くなる、あるいは少なくなれば高くなるわけでございますが、そういうことは必要だけれ
ども、そうかといって余りに乱高下するようでは困るので、安定性というようなことについても極力
考えなければならないとか、
事情の変化に応じて適切な数量
調整と価格決定を行う。御承知のように、今まで当初に決めますと一本調子でそれを守らせるわけでございますが、かつて、五十三年、五十四年のように過剰時期においては
一定の数量については特別販売というような形でこなしたということもございますので、そういう点にはある
程度の弾力性が必要ではないかということではおおむね意見が一致をいたしております。
価格形成の際に、今これは全国段階で卸売業者といわば生産者、集荷業者で価格決定をやるわけでございますが、二次集荷業者、県連段階にいきなりつないでやったらどうかというような
議論だとか、あるいは需給
事情をもっと今まで以上に価格に反映させて、供給過剰なら下げろ、あるいは少なければ上げろというような形にしたらどうかというようなことについては、いろいろ賛否がございまして意見が一致をいたしておりません。
それから生産者手取り額あるいは生産者手取り差額、これはメリットといっておりますが、こういうものの
水準と良質米供給との関係でございます。生産者手取り額にしろ手取り差額、メリットにしろ、近年着実に上昇しているということ、それから良質米を安定供給するためには生産者にとって
一定の有利性がなければ困るというようなこと、もう
一つは過度の生産刺激、要するにソリッドが過度に多いということは供給過剰等を起こし、いろいろ問題があるということでは意見が一致をいたしております。では、どの
水準ならば、要するに刺激もし過ぎず、あるいは適正な刺激として生産が維持できるかというような
水準論になりますと、現状でいいんだというのと、現況はメリットがあり過ぎるということで意見が分かれております。
それから自主流通助成の
問題点ということでございますが、最終的にこの点につきましては、通年販売促進費、これは金利とか保管料助成でございますが、これについては基本的に重要な助成であるということでは一致をいたしております。
それから良質米奨励金につきましても、良質米の安定供給のために今後とも必要であるということは一致をいたしておりますが、その具体的取り扱いといたしまして、現行単価
水準の維持が必要であるという意見と、現行単価
水準は刺激的に過ぎるということから縮減合理化を図るべきだということで、完全に意見が分かれております。
その理由としまして、現行
水準の維持を主張なさる
方々は、良質米生産の不利性を克服するに足る
一定の有利性の
確保が必要だということ、それから良質米奨励金の縮減合理化は生産者手取りの減につながる、これは現状がある
程度生産が多いという
前提でございまして、そういう供給過剰下で切れば手取りはそのまま下がるという
意味でございます。それから、現在の生産者手取りが減少した場合には、
一般多収米に切りかわるおそれがある。それから、最近の供給過剰は豊作原因であって、奨励金の要因ではない。それから、良質米が
一般多収米に切りかわれば
財政負担はかえって増高するんではないか。その場合に自主流通米Aランクと政府米の一類は、今のところ
財政負担が自主流通米Aランクの方が多いわけでございます。そういうことで削減しろという意見があるわけですが、自主流通Aランクというのはほとんど政府に戻ってないのだから、これを
比較するのはおかしいというようなことで現行
水準を主張される
方々がいらっしゃる。
一方、縮減合理化を必要とする論拠としましては、良質米は既に供給過剰基調にあり、良質米作付拡大
意欲の根強さから見て現状のままでは需給の不
均衡が拡大される心配がある。その背景には、近年、生産者手取り及び生産者手取り差額が差実に増加していること等があり、現行の良質米奨励金のままでは良質米の供給過剰に拍車をかけ、価格の下落により生産者手取りの減少を招くことになりかねない、これは五十三年とか五十四年の例を引かれて、そういうことになりかねないということでございます。
それから良質米奨励金を中心とする
財政負担が
相当額に上るとともに、単位数量当たりから見ても、自主流通米の平均では政府米の
財政負担に接近してきている。また銘柄によっては
財政負担が逆転をしており、Aーランク米については政府米にUターンした方がかえって
財政負担が少ないという異常な状態にあるのではないか。それから、消費者の需要動向から見て、消費者が望ましいと
考える米と良質米の生産奨励の
方向との間にはずれが出てきているのではないか。いずれもただ良質米だけがいいのではなくて、例えば品質等がほどほどであれば普通の米でも需要が伸びているのではないかという御意見。そういうことから良質米供給の現況を
考えてみると、ということは、実は奨励金をもらいながら結果的に安売りというようなことも行われている、そういうことでは納税者の立場から現行
水準の奨励が必要かどうか疑問だという御意見。それから、需要に見合った良質米の安定供給は、基本的にはプライスメカニズムの活用を通じて図られるべきだ、いいものならば自動的に値段が上がって、それで手取りが多くなるということでしかるべきではないか。それからさらに、二次臨調の答申の中でも単価引き下げをすることが提言されているではないかというような形で意見が分かれております。
これは、その
出席者のお立場その他を
考えますと簡単に統一できる問題ではございませんので、私たちはそういう論点が分かれている点につきましては素直にそのまま受け取りまして、その事態でどのような評価をするかということを
政府部内で決定をしなければならぬと思っております。