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1985-11-21 第103回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十一日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       大石 千八君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    松田 九郎君       三池  信君    山崎平八郎君       上西 和郎君    串原 義直君       島田 琢郎君    新村 源雄君       辻  一彦君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    駒谷  明君       水谷  弘君    吉浦 忠治君       稲富 稜人君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤 守良君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 元次君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産省構造         改善局長    佐竹 五六君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      大坪 敏男君         農林水産省食品         流通局長    鴻巣 健治君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁長官   石川  弘君         林野庁長官   田中 恒寿君         水産庁長官   佐野 宏哉君  委員外出席者         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局参事官   佐藤 孝志君         総務庁行政管理         局管理官    加納 正弘君         国土庁長官官房         水資源部水資源         計画課長    徳岡 康夫君         大蔵省主計局主         計企画官    田谷 廣明君         厚生省薬務局安         全課長     渡辺  徹君         運輸大臣官房国         有鉄道部国有鉄         道再建実施対策         室長      戸矢 博道君         建設省河川局水         政課長     二橋 正弘君         会計検査院事務         総局第四局上席         調査官     大橋 顕治君         日本国有鉄道貨         物局営業課長  松崎  傑君         農林水産委員会         調査室長    門口 良次君     ————————————— 十一月二十日  農林年金制度改悪反対等に関する請願(新村  源雄紹介)(第三三〇号)  同(上西和郎紹介)(第三四一号)  同(島田琢郎紹介)(第三四二号)  同(新村勝雄紹介)(第三四三号)  同(田中恒利紹介)(第三四四号)  同(竹内猛紹介)(第三四五号)  同(細谷昭雄紹介)(第三四六号)  同(武藤山治紹介)(第三四七号)  同(串原義直紹介)(第三六〇号)  同(新村勝雄紹介)(第三六一号)  同(小川国彦紹介)(第三七三号)  同(新村勝雄紹介)(第三七四号)  同(新村源雄紹介)(第三七五号)  同(津川武一紹介)(第三九四号)  同外五件(中林佳子紹介)(第三九五号)  同(小川国彦紹介)(第四五〇号)  同(小川国彦紹介)(第四六二号)  同外一件(上西和郎紹介)(第四六三号)  同(島田琢郎紹介)(第四六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 今井勇

    今井委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  第百二回国会内閣提出農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 今井勇

    今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 今井勇

    今井委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  5. 島田琢郎

    島田委員 きょうは林業問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  特に、去る十月十八日には、国有林合理化一環として強く林政審や行革審から迫られておりますことを理由にして、営林署九つの箇所づけが発表になりました。今日の山の状態考えますときに、あるいはまたことしは国際森林年という大変記念すべき年に当たっておりますときに、林政の後退を象徴するような出来事として私は大変遺憾にたえないと思っているところでございます。後ほど同僚議員が、具体的にその点、営林署の問題については大臣のお考えを聞くことにいたしておりますが、私はまず冒頭に、今度の九つ営林署廃止は断固として認めることができない、こういう立場で、これを撤回されることを求めておきたい、こう思います。  まずそこを基軸にしながら、今日の山の問題を基本的に考えていかなければならない問題点幾つかある、そこを私は担当して大臣の所信を伺ってまいりたい、こう思います。 第一の点は、今日、申し上げるまでもないことでありますが、地球規模森林荒廃と山が消失をしている、これはまことに憂慮すべき事態である。これは地球上に生きている我々にとって、その国その国の問題というだけではなくて、人類あるいは生存するものすべてにとっての大変大事な問題意識でなければならない、こう思います。しかし、我々は今地球全体を論じている暇がないほど、我が国の山もまた同じような命運をたどりつつある、こういう認識に立たなければならぬと思います。  先ほども申し上げましたように、ことしは国際森林年、ちょうどそれと時を同じくして、先月、十月の十四日でありますが、国際森林年事業推進協議会が主催いたしました国際森林年記念シンポジウム横浜で開かれました。これはこの国際森林年記念事業一大エベントという位置づけでありまして、この記念事業に対しまして非常に国民的な関心が高かった。それを受けまして横浜森林宣言というのが採択された、御承知のことと思いますが、大臣はこの宣言につきましてどのような受けとめ方をしていらっしゃるか、まずそこを冒頭お尋ねをしていきたいと思います。
  6. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。  本年は、先生指摘のとおり国際森林年でございまして、我が国としても、国際森林年記念の森の造成とか、あるいは森林林業展開催等、これに積極的に取り組んでいるところでございます。  ただいまお話しになりました横浜森林宣言は、国際森林年記念事業一環として本年十月に開催されました国際森林年記念シンポジウムにおいて採択されたものと承知しており、参加者の熱意に心から敬意を表しておる次第でございます。  農林水産省としましても、国際森林年を契機としまして、今後とも森林林業に関する国民関心を喚起しつつ、各般の施策実施により、我が国林業の発展及び森林保全造成並びに海外林業協力推進に努めてまいりたいと考えております。
  7. 島田琢郎

    島田委員 十月一日付の毎日新聞でございますが、「かけがえのない地球日本の緑 農林水産大臣 佐藤守良」、一大キャンペーンを張られました。これは私は評価をいたします。ただ、今、宣言につきましての御感想をお述べになりましたが、従来、私どもがこの委員会あるいはその他国会の本会議等におきましても、山の状態心配される、荒廃しているではないか、こういう指摘をしました段階では、もう終始一貫して、山は荒れていない、大丈夫だ、こう言い続けてきたのでありますが、大臣は初めてここで、「みどり豊栄にみえる森林も、山村過疎生産活動の低下などで荒れつつあります。」と本音をお述べになったわけです。  特措法が審議された五十三年のことでありますけれども、私は、本会議のあの本舞台から、まさに山は荒れなんとす、こういうことを言ったわけであります。しかし、断じて荒れていない、こういう答弁が返ってまいりました。そういう認識では、特措法あるいは改善計画推進に当たっても出発点が違ってしまう、問題の認識がそれぐらい違ったのではこれは話にならぬと思って私は大変心配をしていたのでありますが、私が指摘したとおり今日進んでいる、こういうことであります。そのことはまた後ほど少し詳しく述べていきたいと思うのです。  ところで、今御感想を述べられましたが、特にこの宣言の第一項に、各国政府森林施策国家開発計画中心課題一つに位置づけることが大事であるというふうにうたわれているわけであります。日本森林林業も、今大臣が新聞で訴えておられますように、山村住民過疎化そして高齢化、こういうものが進んで、林業担い手のいわゆる山からの撤退、そしてまた弱体、脆弱という現象がとめどもなく進んでいる。それに加えまして木材価格が一向にどうも上がってこない。そのために、山を持っている人たちも希望を失っているものですから、保育間伐もままならぬ。  私は、ここへ立ちますと、間伐の今日的な状況を訴えてこれを緊急に措置しなければならぬということを叫び続けてきた一人でありますが、この間伐、さらにまた、せっかく人工林が一千万ヘクタールもあるのでありますが、これの手入れも行き届いていないばかりか、むしろ放置されていくという状況にある、これはまさに危機的な状態だと言わざるを得ないわけであります。  ですから、私は冒頭に、国際森林年記念事業の大イベントとして横浜宣言が採択された、この意味合いは非常に重く大きい、ですから、大臣にこの御認識がきちっとないと、これからの山づくりが、ただ口先だけ、スローガン倒れに終わってしまう、こういう心配を私は持っておりますので、今申し上げましたような今日の状況のもとにおいてこの再建を図っていくためには、まさにこの横浜宣言出発点とした山づくりへの第一歩を踏み出していかなければならないと思うのです。くどいようですが、スローガン倒れに終わることのないような具体的な対策を含めて、大臣が今後ここを第一の出発点としてどういうふうにおやりになろうとしているのか、その決意のほどを次にお聞きしたいと思います。
  8. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたしますが、先生指摘のとおり、森林に対する認識は同じだと思います。山村をめぐる状況というのは、人口の減少高齢化等、依然として厳しいものがございます。  そんなことで、私はこんな状況に対処するために五つの施策を積極的に推進したいと思っております。その一つは、造林、林道等林業生産基盤整備等林業地域活性化、その次に、国産材主産地の形成と林業担い手の確保、三番目に、間伐計画的な実施から間伐材流通加工利用開発に至る総合的な間伐対策実施、四番目に、保安林機能強化治山事業推進等国土保全対策の充実、木材産業体質強化等施策中心に積極的に推進したいと思っています。  これに加えまして、大蔵省当局の御理解によりまして、森林林業木材産業活力回復五カ年計画実施によりまして、今後とも我が国山村等林業振興を図ってまいる所存でございます。
  9. 島田琢郎

    島田委員 千五百億の問題はまた後ほど触れたいと思いますが、今お述べになっているような決意、お考えというのは、それが何よりも具体化されなくてはいけない。具体化一つとして、国内林業育成活性化のための千五百億という予算を今回一応考えとしてまとめることができたという御趣旨のお話でございます。  しかし、こうした大事な緑のダムと言われる森林づくり、これはまさに国民、我々にとっての心のふるさとでありまして、ここをやはり大事にするという基本的な考え方をまず持っていかなくてはならない。そのためには、ようやく最近農林省自体地域振興ということを言い出すようになりましたが、つまり、下から盛り上がってくるそういう活力を大きく生かしていくという政策に変えていかなければならない、これはひとり林業だけではなくて、漁業も農業も、もちろん地域における振興地域からのいわゆる主体的な盛り上がり、そういうものがなくてはいけない、これは最近一貫してきた農林省の姿勢として私は一定評価をしたい、こう思っています。  これは長年我が党が言ってまいったものでありまして、上から押しつけるようなことを幾らやったってだめだ、地域山村振興、特に山村振興農林漁業一体になった地域からのいわゆる盛り上がりが必要である、そういうものを醸成していく政策というものをまず先行させていくべきだという主張をしてまいりました。  ところが残念ながら、林業でいいますと、まさに山の状態は放置できない危機的状況にある。それは大臣も認めておられる。そういう中で、特に私は、従来もこれは言ってきたことでありますが、出づくり模範たるべき国有林国有林は出づくり模範でなくてはならないということを言ってきました。しかし、国有林の今日の状態は、残念ながら民有林に比較いたしますと、歴然としています、国有林手入れが行き届かず、荒れるに任されている。これで一体我が国の緑、山づくりというものが、本当に大臣のおっしゃるような方向に進んでいくかどうか、私は危惧の念を強く持っています。  ですから、これに対してやはり具体的なやり方国有林にも講じていかなければならぬ、こう思っているのでありますが、この国有林事業財務状況というのはこれまた容易でない状況に今追い込まれている。したがって、いわゆる国有林再建、とりわけ財政的な再建というものは大変急がれる。ここが五十三年に国有林野事業改善特別措置法、つまり特借法としてその後改善計画が立てられて進められてきている一つの原因になっているわけであります。  しかし、私は、五十六年の十一月にここで指摘をいたしました。第一次改善計画と私は位置づけましたが、今進められている改善計画はこれでは破綻をする。冒頭で申し上げましたように、私は社会党として再建法という法律を当時出しまして、我々の考え方をそこに明確に打ち出したのであります。そのときにはっきりしましたのは、政府が出している改善計画は数年を出ずして破綻するということを私は明確にあのとき指摘をいたしました。  そのためには我々が出しているこの再建法によって再建計画が立てられていかなければならない。その柱は何だったかといいますと、国の財政の思い切った一般会計への投入であります。それから、そのほか償還に当たっても一定条件緩和が要る等々、六つほどの考え方を当時私は示して、具体的にこういう方法でなければ国有林再建はできませんと言い切ったのでありますが、いや大丈夫です、できる、こう言った。ところができなくて、今第二次改善計画が手直しされて進められている、こういう状況にあるわけです。しかしこれだって、手直ししたとはいうものの、とても抜本的な改正にはなっていないから、私は今この段階ではっきり予告をしておきますが、このままでは来年これはもう破綻です。何らかの策を講じなければならない。  しかし、山の実態は、手抜きがどんどん進んでいて荒廃が深化している。それはなぜか。山から国有林職員をどんどん撤退させるという合理化の方が先行しているからです。その一環として既に十六の営林署廃止され、今度九つが追加された。こうやってどんどん大事な拠点を廃止していく。合理化が物すごく進んできた。先ほど大臣がせっかく決意を述べられておりますけれども、これではその決意疑いを差し挟まざるを得ないのです。本当にこの経営が大丈夫かどうか。私は予言いたしましたけれども、私の予告が当たらないことを私自身も祈りたいのです。  恐らく、六十一年度の予算はもう概算要求で出ましたから何とか乗り切れるでしょう。大臣は、千五百億持ってこられて林野全体の会計は何とかつじつまを合わすことができるという安易な考えをお持ちかもしれませんが、国有林の方はとてもそうはならない。大丈夫でしょうか、私はここのところをもう一遍念を押しておきたい。私が指摘したようなことが当たらないことを祈りながら、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  10. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。  国有林野事業が悪くなった理由は二つあると思います。その一つは、林業全体を取り巻く構造的要因と、もう一つは、国有林野事業固有要因が重なり合って経営が悪化してきていると思います。  我が国林業全体を取り巻く構造的要因は、先生御存じのようなことでございますが、三つございまして、その一つは、昭和五十五年以降木材価格が下落、低迷していること、二つ目には、資源的制約から伐採量に限界があること、それから、事業運営全般にわたりまだ改善途上にあること等でございます。私はこれらが経営が悪化している理由だと思っております。  したがって、国有林野事業経営健全性を確立し、その使命を十分に達成していくためには、昨年六月に策定しました新たな改善計画に則しまして自主的改善努力を徹底することであります。  それには三つございまして、一つは、事業運営能率化二つ目には、要員規模縮減組織機構簡素化販売対策強化等自主的改善努力を徹底するとともに、所要の財政措置を講ずることにより、新たな改善計画に定める目標の達成に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  11. 島田琢郎

    島田委員 最近林野庁が発行されました「国土を守り水をはぐくむ森林 緑豊かな森林づくりをめざして」というパンフレットがございます。私は重ねて同じようなことを言うつもりはありません。ただ、「日本森林危機に直面している」というページの中に、間伐その他手入れのおくれが大変際立っている、特に一千万ヘクタールの人工林手入れを待っている、これが放置されているという点で日本森林危機に直面しているという中身の説明があるわけですね。これは民有林中心にして言っているようでありますけれども、国有林はまだひどい状態になっている。  間伐の点で、私は一つの例を申し上げておきたいと思うのです。  過般、私は、今回の九つ営林署廃止対象になっております私の地元の北雄営林署現地調査いたしました。その中でこういう事実があるわけであります。間伐状態でありますが、間伐をやるためには間伐指定を行うわけであります。それは局ごとに、北見でいいますれば支局でございます。支局がことしの間伐指定を行うわけです。それを受けて各営林署が自分の守備範囲の山の間伐指定を行う、それをもとにして実行していくわけです。  ところが、局が指定をした間伐指定率を下回るような実態になっている。これでは、一体支局がどういう指導をしているのか、その点も疑いがありますけれども、末端に行くほど指定率が下がって実行率が下がっていくということだったら、山がよくなるわけがないのであります。一体これはどうしたことなのか。理屈はいろいろ述べておりました。現地の署長も担当の業務部長も、それにはかくかくしかじかの云々と、私の納得できない理屈幾つか並べられた。私はそんなもの全く納得ができない、なぜ支局指定した指定率を下回っているのか、この山の状態を見ればそれを上回るような間伐をしなければならない状況にあるではないか、私は山の中でそういう指摘をしたのであります。この種のケースは、ひとり私のところだけではなくて、私は全国に同じような傾向としてあるのではないかと疑いました。  ですから、幾らここで、一千万ヘクタールの間伐が大変おくれている、緊急の百九十万ヘクタールの要間伐林もそれこそ口をあけて早くやってもらいたいと待っていると大臣が一生懸命お述べになっても、実態一つも伴っていない。そういう状態だから大臣心配されてこういうキャンペーンを張られたとすれば、一つの効果としてはあるかもしれませんが、山の実態日本列島をもう少し細かに精査をしてみる必要がある。一カ所でそれだけの計画との乖離があるのでありますから、実行段階になってきたらもっと乖離がひどい、それは認めているわけです。そういう状況の中で要員縮減機構縮小、いわんや局、営林署廃止などはもってのほかということになるのではないか、その辺私は大変心配をいたします。  そこで、次の質問に入りますが、五十九年度の特別会計決算がこの間出ました。自己収入が六十億円近い減少であって二千六百九億円、また前年を下回る収入になりました。もちろん、切るべき木もなく手入れも行き届いてないという状況のもとでだんだん山の大事な資源が減っているわけですから、そうならざるを得ない。  ここは私としても一応理解ができるところですけれども、もっと積極的に打って出ることもあわせてやっていかないと、だんだん切る木一本もなくなってしまう。今間伐をしないでおいたら、みんなちょろんぼ、モヤシみたいな木になって、そんなもの幾ら切ったって金になりません。今切っても金にならないからやめたというやり方、これは民有林も含めてそういう傾向になっているのでありますが、むしろ今国有林が大事な山の経済価値を高める展望をきちんと持ちながら積極的に打って出て、間伐をまず手本を示してやる、こういうことが私は緊急に必要なことではないかと思っているのですが、どうもそういう状況に相なっていない。  そうやってあと、土地を売ったり、伝え聞くところによると東京のその辺の高いところを売ってしまおうかというのでありますが、私も土地を持ておる農家でありますが、大臣、売ってしまったらもう終わりです。だから、これはそう簡単に売ってもらっては困る。仮に売るとしても、弱り目にたたり目みたいにねらわれて、足元を見られて安く買いたたかれるのが落ちたなんていう売り方をしたのでは、これは佐藤守良の山ではございませんから、佐藤大臣土地ではないのですから、国民みんなの山なんですから、下手な売り方されちゃ困っちゃうわけです。  ところがどうもそういう傾向が強い。ただ単年度のつじつま合わせ土地を売り山を切り売りしていく、こういうやり方を各所に見ることができるというのは極めて遺憾なことであります。この点の反省はぜひひとつ欲しいと思うのですが、どうですか。
  12. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 先生指摘なさいましたように、間伐実行が山の管理上一番大きい問題になってございまして、ただいま手元に資料がございませんが、全国的に申し上げますと、間伐指定量に対して大体八〇%の実行にとどまらざるを得ないというような状況にございます。  現在、それをさらに上げるために、間伐量民有林間伐量も含めてその地域全体としてどのくらい出るかとか、あるいは継続的に買える人に対しましては数カ年分を予約して販売するとか、いろいろな手だてを講じたり、零細な民有林人たち国有林が一緒になりまして継続的な伐採をすることによって安定供給をする、そういう方法についていろいろ努力をしております。どうしても保安伐採をしなければならないような間伐につきましては、販売によらずとも直接伐倒をするという実行考えなければならぬと思っておるところでございます。  なお、財政全般につきましては、御指摘ありましたように、現在の市況をもってすれば予定収入満度の達成は難しい状況にございますけれども、現在、営林局署が、販売方法の改善、生産方法の改善等いろいろな努力を重ねまして、必要額の確保に最大限の努力をしておる状況でございます。
  13. 島田琢郎

    島田委員 ところで、気になるのはやはり材価ですね。これが上がってくればそんなに心配しないでもいいのでありますが、もう下がりっ放し。ことしの見通しもかなり暗いのじゃないか。もう後半に入りましたが、この見通しをどう持っておられるのか。  それから、六十年度の予算の見通し。減収があるのではないかと予測されます。昨年のは先ほど申し上げましたように六十億ほど減収でありました。ことしも恐らく減収が見込まれるのではないか。そうすると、それはどういう方法で補てんしようとされるのでしょうか。私はさきに、そのために土地を売ってなんていうような安易な考え方はだめよと申し上げたのでありますが、これを含めてお考えを聞いておきたいと思います。
  14. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 材価水準につきましては、物余り時代と申しますか、かつてのような上昇を期待できない時代になったという気がいたしまして、将来にわたりましてもそう市況のアップは期待すべきではないということを考えております。現在は、生産方法販売方法の改善、そういう販売努力をも加味いたしました収入計画を組んでございますけれども、本年はやはり予定収入には達しないであろう、二百数十億は減収になるのではないかと見通しております。  それらの対策につきましては、分収育林、土地売り払い等を中心にいたしまして極力カバーを計画いたしておりますが、既定経費の節減等につきましても最大限努力をいたしまして、必要最小限度の事業につきましては何とかこれを確保してまいりたいと考えております。
  15. 島田琢郎

    島田委員 私だけではなくて、ここでしばしばこういう議論も行われてきた経緯がございます。例えば国有林材の売り方なんでありますが、一般競争入札と随契と二つありますね。私は少し前にも議論したことがありましたので、ここ十五年ほどの随契と一般競争入札の間に開きがあるのではないかという感じを持ちましてちょっと調べてみたのでありますが、案の定私が考えていたような値開きがあります。それは本質的にそこのところに意味合いが違うものがありますから、それをすべてかくかくだからだめだと断定することは無理があると私は思うのであります。  ただ、単純にわかりやすく言いますと、一般競争入札でやりますと、四十五年なんかの例をとりますと大体一一九%ぐらいの値段になっているわけですね。ところが随契でやりますとそれが一〇〇%ちょっと、一〇四ぐらいで、こういう傾向はずうっとほとんど変わることがない、つまり逆転することがない。随契と一般競争入札というのはそういうものだと言ってしまえばそういうものであります。しかし、かなり開きがありまして、最近は特に、競争入札ですと一三九%に対して随契だと一〇八、これは立木の場合でありますが、製品の場合もやはり値開きがある。これは売り方を工夫しませんとこういう傾向は直っていかないだろう。そのためにやはり一般競争入札を中心にして丸太、製材ともに売っていくという基本姿勢を貫くべきだと私は主張してまいりました。  しかし今日、全体の状況は、大臣もう御存じのとおり、木材の需要停滞、景気がさっぱりよくない、こういうものが木材のところに来ますから、売る方も汗かいて売っている、その御苦労のほどは私も現場でよく承知しております。そんな簡単に値を開いて売っているものではない、もう売れなくて困るときもある、その御苦労はわかるにしろ、この辺にもう少し工夫があってしかるべきではないか。これはそのままの数字で単純計算ですから、数字的にはかなり正確性を欠くと言われるかもしれませんが、そういう計算でずっとやってみましたら、一般競争入札で売っていったのに比べて、大体二兆六千億ぐらい損じちゃったという勘定になるのです。これは単純計算だから、事務方からはそんな単純計算で物事は決まるものじゃないよというお考えがあるかもしれませんが、単純に申し上げますとそういうことなんです。  それから、立木で売った場合、製品で売った場合、いろいろ売り方に問題があり、長い間積み重なって、国有林の今日の財政危機を招いたその一因もここにあるという指摘をきょうはしておきたい。特にお答えは要りません。私は売り方の苦労をよく知りながら、なおこう指摘をせざるを得ない。だって左うちわの国有林じゃないのですから。売り方一つにも、あるいは金をもらうときのもらい方一つにもやはり厳しさがないとこれは再建できませんね。材価がこのような状況のもとでは大変御苦労なことだと思っていますが、ぜひ頑張ってもらいたい。そういう点で、一つの例として挙げておきたいと思います。  大臣そろそろよろしゅうございます。あと長官とやりますから。  さて、次の質問に移りたいと思いますが、時間が随分迫ってきましたから、少しはしょらせてもらいます。  ところで、国有林の公益的機能を積算するとどれくらいになるかという話をよくするのでありますが、長官の手元でも、過般二十五、六兆円というようなことをこの席でもお話しになったことがあります。大変な財産であります。そして、ひところは本当に、左うちわと言ったら言い過ぎですが、かなり運営がうまくいっていた時代があります。そんなときには国庫にも召し上げられるというか取り上げられるというか納めたというか、何百億かこれを納めてきた。そして、間断なく国民の大事な生活を守る機能を果たしてきた。つまり、公益的な機能をずっと持ってきた。  それに対しまして、私は、財政当局の国有林に対する理解がいま一つどうも足りないように思う。足りないことはないと言うかもしれぬが、こんなに苦しんでいるときでも一般会計から九十億足らずの繰り入れしかない。ところが、現実には二千三百億も今借り込んでいます、単年度で借りて。そして千三、四百億返していく。そのうち一千億は金利なんですね。これでは、幾ら田中長官が有能でも国有林再建はできない、どんな立派な人がこの仕事に当たっても、私は国有林財政的な再建は不可能だと思うのです。もっと国有林の過去の実績を評価してもらって、この苦しいなべ底の状態のときだけでいいから、また十七、八年たってきて経済の活性化がよみがえってきたときには金利をつけて払ってもいい、この一番苦しいときに何とか面倒を見てもらうことにはならぬか。きょうは大蔵省から私の議論を聞いていただくために来てもらっておりますが、どうも冷たい、もっと一般会計に繰り入れしてもらいたい。  そして、それには林野庁自身も及び腰ではなくて、今日国有林の置かれている状況はるる今まで述べてきたとおりですし、これから先も、決して国有林の持つ責任と任務は小さいものではありません、また国民の期待も大きい、胸を張って財政当局に今日の状況打開のために要求したっていいではないか。どうもその辺いささか意気地がなさ過ぎるような姿勢に終始しているように思えてなりません。長官、いかがですか。
  16. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、基本的には大体五十年ごろまでは収支償い得た、あるいはその前には黒字を出しまして、いろいろ一般林政協力もできる内容で参ったわけでございますが、五十年を境にしまして赤字体質に変わってきた。このまま推移いたしますと非常に大きい問題になりますので、五十三年から改善計画に取り組んでおるわけでございますが、その際に、そういう改善計画の中で、必要な保安林の造林でありますとか幹線林道の開設でありますとか、非常に枢要な部分につきまして一般会計が入るようになったわけでございます。  これはその後もいろいろな機会に拡充をいたしてまいりまして、現在では林道の施設復旧でありますとか、あるいは治山事業が全額一般会計とか、そのような拡充と、それから導入する期間につきましてもそれを延長するというふうな、国有林の改善努力を助長する形で一般会計のそういう支援をいただいておるわけでございますが、今後におきましても、私どもが自主的な改善努力をするのは当然といたしまして、それを支援する財政措置の確保には私どもも大いに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 島田琢郎

    島田委員 ところで、民有林との比較をするというのは必ずしも妥当とは私は思っておりません。しかし、現在六十年の予算で公共事業二千五百億が民有林関係に振り向けられている。その比率からいったら、八十九億というのは比較にならぬ数字ではないのでしょうか。  きょうは大蔵省から主計企画官の田谷さんがこちらへ来ておられる、御感想を聞かしてもらいたいのですが、どうですか。
  18. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいま御質問ございましたように、私どもといたしましても、国有林野事業につきまして五十九年度末で累積欠損金六千三十六億円、債務残高が一兆一千四百六十一億円といった極めて厳しい状況にあるということはよく承知をいたしているところでございます。  このような近年における厳しい財政事情にかんがみまして、昨年、臨調の答申でございますとかあるいは林政審議会の答申を踏まえまして、国有林野事業改善特別措置法の改正及び新しい改善計画の策定を行いまして、今後はこれに基づきまして事業運営能率化経営管理の適正化あるいは収入確保等、各般にわたりまして経営改善の着実な推進に努めていくということにしたところでございます。  今後の予算編成に当たりましても、こういった厳しい財務状況を踏まえまして、新しい改善計画に則して経営改善を着実に進めることを基本といたしまして、自己収入の確保と支出の縮減による自主的な改善努力の一層の徹底を図りつつ、所要の財政措置というものを今後とも講じてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  19. 島田琢郎

    島田委員 きょうは大蔵省に対する陳情みたいなものになりましたが、考えてやってくださいよ。これでは余りにもひど過ぎる。一千億ぐらいぼんと入れてやってくださいよ。さっき言ったように、未来永劫くれなんて言ってないんで、苦しいときだけ面倒見てやってくれ。こんなことは無理とは僕は思っていないのです。どうか十分ひとつ御検討いただきたい。  ところで、今財政再建の話ばかりしましたけれども、冒頭申し上げましたように、いろいろキャンペーンを張ったり、大臣みずから新聞に出されて、こんなでかい、新聞一面ではなくて両面全部これ緑。これはいいことだと思うのですよ。大いにやるべきだと思う。こういうこともおやりになっている、そして自助努力も一生懸命されているというお話でありますが、一向に緑の再建が進まない。  そこで、私は冒頭にも申し上げたのでありますが、赤字になっているから、苦しいから後退したんではいけない、やるべきことはきちっとやらなければだめだ。その例としてさっき間伐の問題を私は取り上げました。これはもうお金があろうとなかろうと、除伐、間伐は差し迫ってきている、あごにつかえてきている。こういう問題を含めて、緑の再建、緑づくりは急がれるわけでありますが、これに対してのお考えをお聞かせ願いたい。
  20. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林野事業は使命がございますので、その使命を達成するために、収支が悪化したという理由をもって管理経営をゆるがせにしてはならないことだと思っております。  そういうことをしないためにはみずからの経営体質をしっかり立て直すことが大変な急務でもありますので、今日の新たな改善計画に基づく各般の改善努力を徹底し、所要の財政措置を講ずることによりまして、国有林の課せられた使命達成に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  21. 島田琢郎

    島田委員 余り期待したようなお答えではないのだけれども、時間がないから仕方ありません。  そこで一つ、私はやはり木材のよさ、とりわけ国産材を見直す、こういう運動を起こしていくべきだ。既にこれは閣議でも話題になったそうでありますし、国産材のよさを広くPRしていくという面も含めて、川下から川上までという言葉をよく使いますけれども、林産業も含めて活性化を図っていくことが必要であります。ですから、山に活力がよみがえってくるその原点はどこかと言えば、需要が拡大されていくことが必要だ。その手っ取り早い話として木材を大量に使っていく道を開かなければならない。国産材のよさをもう一遍みんなで見直す運動がそこになければならない。  そこで、まず隗より始めよで、公共建造物の木造化を真剣に検討すべきではないかと私は思う。これも多年私は主張してまいりました。ところが、やれ建築基準法がどうだの消防法がどうだのといろいろあります。東京のど真ん中に今木造物を建てたら、火事が出たら一番先にそこだけぽっと燃えてしまうなんという木材に対する誤った認識さえ今は定着化しつつあるという点に、私は非常に深い憂慮を覚えます。ここはやはりPRし直さなければならない。  学者の間には、木造だから必ずしも紙のように燃えてしまうというようなものではないという反論をする学者もいるわけでありますから、そういう点も含めて、必要な法改正、制度の見直しなどを図りながら、思い切った国産材の活用を進めていく必要があると思う。そのためには、まず公共建築物から始めて一般住宅に至るまで、国産材を使っていくための対策を進めていく必要があると思う。  今申し上げました法制度の見直しとか改正にとどまらず、住宅建築の貸付金に対する特別な措置をとってあげる、あるいは税の軽減を図ってやるといったような、一時期思い切った大胆な見直しを図っていく、PRをやっていく、ここが今急がれると私は思うのですが、この私の考えに対してはどうですか。
  22. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国産材中心としまして木材需要の拡大を図ることが、我が国林業、林産業活性化の最も重要なことと考えております。活性化の王道と申しますか、大道と申しますか、一番の大事なことと考えておりまして、五カ年計画におきましても、最初にこれを掲上したというような経緯もございます。  これにつきましては、私どもも各省庁との協力を随分前からいたしておりまして、それらが徐々に実ってきておる。決して十分とはまた申しませんけれども、そういう実りがだんだん出てきておる。あるいは六十一年の予算施策におきましても、各省におきまして、内需拡大の関連もございますけれども、お話のございました住宅税制、融資等の促進措置を盛り込んでいただいておりますことを大変喜んでいるわけでございます。  公共施設とか補助事業施設等の木造化の推進につきましては、政務次官会議におきまして当省から特にこれをお話しするとかもいたしましたし、文部省におきまして学校の内装木造化を特別に通達を出したような例がございますように、各省におきましても大変協力をいただいているところでございます。  なお、基本的な建築基準法の問題等につきましては、非常に広範な問題もございますので、事務方も含めまして、勉強会で基本的なところからの勉強を深めるということなども今いたしておるところでございます。
  23. 島田琢郎

    島田委員 予定の時間にまだ五分ほどありますから、重ねて国有林財政再建について一つ問題点指摘して、お考えを聞いておきたいと思います。  先ほどから言っておりますように、一般会計繰り入れをやらなかったらとても再建できる状況にない。しかし、財政当局もなかなか手ごわいからなんでしょうか、林野庁は別な手だてを今考えているというお話であります。つまり、新聞紙上をにぎわしております水源税構想がそれであります。  一方で緑づくりの撤退が行われ、営林署廃止する、苗畑をなくす、事業所も廃止してしまうということをやりながら、一方で国民山づくりに御参加くださいと言ったって、それは虫がいいというものであります。やることをきちっとやっていく中から、蛇口をひねったら、この水の出てくる向こうに緑をつくり水をつくって頑張っている人たちがいるということを国民の皆さんに認識してもらい、そのために応分のカンパをいただきたいという気持ちにならなかったら、これは不遜というものであります。  しかし、どうも林野庁の士気がいま一つ上がってこないということを私ども心配しておりました点から言えば、思い切って、役所の皆さんの説明によると、本当に清水の舞台から飛びおりるような勇気でこの考えを打ち出しましたということでありますから、私はその勇気を評価しておきたい、せっかくの芽でありますから、これを全くつぶしてしまうことはいかがなものかとも思い、我々も真剣に検討してみたいと思っておりますが、国民的にはなかなか、今は懐に手を突っ込んで税金をよこせなどというやり方財政当局だってやれぬことでありますから、国民大衆を敵に回すようなことをおやりになって力の弱い今の林野庁が勝てるとは私は思えない。ここはもっと誠実に物事をお考えになるというところから出直しされてしかるべきではないか。そうであるならば、我々としてはこの芽を大切にしていきたいと思っております。  そういう一面の努力を持っていることを私は評価しながらも、ここは田谷さんもう一遍、とにかく財投金利は少し下がったとは言うものの、一般民有林に比べれば倍なんです。この金利も、まけてくれと言ったって制度上はそううまいことにはいきませんが、何らかの方法考えて利子補給するなりそれに見合うようなものをやるなり、あるいは林道、造林の林野庁からの要請に対しては、ことし条件緩和が一部された部面がありますものの、全体的には実にみみっちい部分でしかない。思い切って利子の軽減を図るための特段の措置が欲しいし、間伐促進のための特別な一般会計繰り入れなどの措置が欲しい。この点について真剣に検討してもらいたいと思うが、検討するお考えがあるかないか、この際聞いておきたいと思います。
  24. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の運用部資金の貸付金利あるいはそれに伴う財政負担の問題でございますが、現在、運用部資金の貸付金利は預託金利と同一になってございまして、その水準は、預金者あるいは年金積立者の利益、資金運用部の収支、財投対象機関の収支等を総合的に勘案して決めているところでございます。このように決められました貸付金利を特定の機関、御質問にございました国有林についてだけ引き下げることは、私どもの立場といたしまして、他の機関とのバランスあるいは運用部特会全体の収支の観点から見て非常に難しいのではなかろうかということでございます。  なお、貸付金利につきましては、最近の長期金利の低下状況もございまして、十月十一日より七・一から六・八と〇・三%ほど下がったところでございますし、御質問にもございました、金利を動かすのが無理であれば財政負担をしたらどうかという点でございますが、我が国財政は未曽有の危機的な状況にございまして、今私ども来年度予算を非常に苦心して編成いたしておるところでございますけれども、国全体の予算も組むのがなかなか難しい状況でございますので、そういった厳しい財政事情についても御賢察を賜りたいと思う次第でございます。
  25. 島田琢郎

    島田委員 これで終わります。
  26. 今井勇

    今井委員長 次に、串原義直君。
  27. 串原義直

    ○串原委員 まず、私は大臣に伺いたいのでございますが、大臣は公的な行事で長くおられないようでございますから、最初に伺っておきたいのでございます。  御承知のように、かつて林野庁の行政機構の改革、つまり二度にわたりまして営林署の統廃合が行われました。その過去二回の統廃合の際に、当時の中川農林大臣そして続く亀岡農林大臣は、我が党委員の当農林水産委員会における質疑の中で、この統廃合を実施する場合はあくまで地方自治体の理解と納得を得た上で、こういうふうに強調をされ答弁をされているところであります。これは当然と私は理解をいたしておりますけれども、佐藤農林水産大臣も、過去、中川、亀岡両大臣が御答弁になったこの姿勢と変わりないであろう、こう理解しているのでございますが、大臣の所信をお伺い申し上げたいわけです。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  28. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 串原先生にお答えいたします。  営林署の統廃合に当たりましては、地元地方公共団体の理解と協力を得るよう最善の努力を払い、できる限り円滑な実施を期してまいりたいと考えており、この考えに変わりはございません。したがって、中川、亀岡両大臣考えと同じでございます。
  29. 串原義直

    ○串原委員 じゃもう一度お伺いしますけれども、ただいま明確に御答弁をいただきましたが、その立場に立って、今後の市町村との話し合い、これは大臣、より以上の努力をしてまいります、汗を流してまいります、こういうことで受けとめてよろしゅうございますか。
  30. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  国有林野事業経営改善にとって組織機構簡素化合理化というのは極めて重要な課題でございます。  そんなことで、その点について営林署につきましては、昭和五十九年十二月二十九日の閣議決定に則しまして、昭和六十年度に九営林署の統廃合を行うこととしているのは、先生御存じのとおりでございます。この統廃合の実施に当たりましては、国有林野事業の機能の低下や地元関係者に対するサービスの低下を招くことのないよう配慮いたしますとともに、地元地方公共団体等の理解と協力を得るよう最善の努力を払った上で実施してまいりたいと考えております。
  31. 串原義直

    ○串原委員 それでは大臣、都合があるようでありますから、長官に伺いたいわけでございます。  ただいま島田委員からも若干御指摘になりましたけれども、ことしは国際森林年でございます。この立場で二つほど伺いたいわけでございますが、私は実はことしの春、アフリカに伺う機会がございまして、具体的にはエチオピアを訪問をいたしました。そして、行く前に聞いておりましたけれども、現実に現地を訪れて驚いたのでございます。エチオピアは六十年前、およそ国土の六〇%が森林であった、それが今日、つまり六十年後の今日、森林国土の三・四%に激減をしてしまったというのであります。その現実を私は現地で見ることができまして、ある意味では戦慄を覚えた次第でございます。  したがって、国際森林年にちなんで、ぜひとも従来以上に我が国は、エチオピアを初めとするアフリカ諸国の緑を取り戻すために積極的に援助、協力をしなければならぬ、こう考えて帰ってきたわけでございます。来年度つまり六十一年度以降の予算編成、これから取り組んでまいるわけでございますけれども、国際協力という立場から考え、それから地球規模の緑を取り戻すという視点に立って、我が国は経済大国と言われておりますだけに、よりこの問題について積極的に取り組んでいかなければいかぬ、取り組んでいくべきである、こう考えておるのでございますが、いかがでございますか。
  32. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 これまで我が国の海外林業技術協力は比較的東南アジア地区の国々が多かったわけでございますが、現在はアフリカにおいて非常に深刻な事態が進行しておるということから、今度アフリカにつきましてもこれを拡充すべく各種の調査等が現在行われております。具体的には、ケニア等におきまして相当な薪炭林の造成などにつきまして調査が進んでおります。今後の日本林政と申しますのも、そういう世界の森林事情も踏まえました海外技術協力につきましては重点を置いていきたいと思っております。
  33. 串原義直

    ○串原委員 この問題は実は重要な課題だと思っておりますから、私は改めて機会を得、また質疑をさせてもらいたい、こう考えておりますので、国際協力という立場、発展途上国に対する援助という立場から積極的に取り組んでもらいたいことをきょうは要請をしておきたいというふうに思っているところでございます。  それと同時に、国際森林年、いよいよ我が国の緑を守るという立場で、より以上、従来以上に頑張って森林行政、林野行政を前進させなければならぬ。国際森林年にちなんでこういうことを今後積極的に取り組んでいくように考えております、いたします、こういった前向きな積極的な施策を御検討であるならば、この際、お答えを願いたいと思います。
  34. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 ことしは大変記念すべき年でもありますので、林政の大変大きい課題でございました森林林業木材産業活力回復五カ年計画を本年スタートをさせたいと思っておりますし、また水源税につきましても長年の課題でありまして、これが実現のための各方面の折衝を行っているところでございます。  年初から申し上げますと、やはり林業問題に大変関心が高まったときでもありますので、林業関係につきましては、特にこういう森林林業のもとではありますけれども、これまで五つばかり大きな施策を立てておりまして、基盤の整備でありますとか、林業活性化でありますとか、治山、保安事業の充実でございますとか、それらにつきましては、このシーリングのもとにおきましても充実を図ってまいりたい。大きいことを申しますと、やはり五カ年計画と水源税とでございます。
  35. 串原義直

    ○串原委員 きょうは時間もありませんし、この議論を深めてまいるわけにはいきませんけれども、国際森林年にちなみまして、より日本の山を守るという立場で強力な施策を前進をさしていただきますように、私は機会を得てこの問題にも改めて質疑をさしてもらいたい、こう思っておりますから、前進する施策を強力に進めるということを強く要請をしておきたいというふうに思う次第でございます。  そこで、実は今申し上げました立場とは後退する感じがまことにするわけでございますけれども、営林署の統廃合の問題が具体的に政治課題に上がってまいりました。私はまことに遺憾至極だと考えているところでございます。営林署の設置目的というのは農林水産省設置法の第三十四条で決められているところでございますが、つまり営林署国有林野事業にとって必要不可欠、しかも特に地域の経済の振興、民生の安定と深くかかわっているものである、こういうふうに私は理解しているのでございますが、いかがですか。
  36. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 営林署はそれぞれ相当長い期間地元に密着した組織といたしまして、林業その他地元の経済、民生に大きい影響があったものと考えております。
  37. 串原義直

    ○串原委員 あったものであると同時に、営林署というのは地域と完全に結びついた大事な機関である、あったものではなくて、そういうものである、こう考えているのですが、長官、どうですか。
  38. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 大変重要な組織と考えております。
  39. 串原義直

    ○串原委員 しかるところ、昭和六十年度におきまして九つ営林署の統廃合、この計画を進めておられるようでございますけれども、この計画に当たりましては、昭和五十九年四月十八日、当農林水産委員会において国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案が審議をされたわけでございますが、これに対する附帯決議の内容が生かされていかなければならぬ、こういうふうに考えているのでございますけれども、この点につきましては長官いかが御認識でございますか。
  40. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 附帯決議の御趣旨に沿って取り運ばなければならないものと考えております。
  41. 串原義直

    ○串原委員 つまり、この附帯決議では、若干ここで繰り返したいと思っているのでございますけれども、組織機構の整備に関して当委員会では次のように決議しているわけであります。「組織機構の整備に当たっては、地方自治体及び関係団体等の意見をも踏まえつつ、地元サービスの低下をきたさないよう慎重に対処すること。」こういうふうになっております。そしてまた、参議院におかれましても次のように決議をしているわけであります。ちょっと朗読してみますけれども、「国有林野事業がその事業を通じ、農山村地域振興へ寄与する使命にかんがみ、組織機構の整備に当たっては、地方自治体及び関係団体等の意見を踏まえつつ地元サービスの低下を招くことのないよう慎重に対処すること。」こういうふうに決議されているわけでございます。  そこで、今回の九つ営林署の統廃合を進める、計画するということに当たりまして、これら関係市町村の意向をどのように把握されていらっしゃいますか。いろいろな意見、要望、時によりますと意見書、陳情書、請願書というものが出されているというふうに思うのでございますけれども、その辺の状況について、この際、明らかにしておいてもらいたいと思うのでございます。
  42. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 大方の署におきましては、営林署廃止につきまして、それは大変問題があるという御心配から、現在のところはそれにつきましてもう少し慎重に対応してほしいという意見が寄せられておりまして、営林局署を通じましてこの問題につきましての地元の理解を得るべく、私どもがいろいろお話し合いを続けておるという状態でございます。
  43. 串原義直

    ○串原委員 長官、営林署ごとにどういった意見書、陳情書が出ているか、御説明願えませんか。
  44. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 営林署ごとの意見書の提出につきましては、北雄営林署につきまして滝上町から、標茶につきましては標茶町から、函館につきましても函館市、大野、長万部町等から、それから猪苗代が猪苗代町、磐梯町、北塩原村、上松運輸につきましては上松町、木曽福島、高崎営林署につきましては高崎町、計十三の意見書が出されております。
  45. 串原義直

    ○串原委員 長官、その意見書は反対という意見書でしょう。いかがです。
  46. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 反対の意見書であります。
  47. 串原義直

    ○串原委員 長官、そうだといたしますと、今回の九つ営林署の統廃合計画というのは、林野庁がその方針を明らかにした以降は、今のお話しのように反対である、極端なことを言いますと、この方針を明らかにする以前、うわさの段階でもそれは困る、こういう強い地方自治体の意見であろう、こういうふうに私は受けとめるわけでございますけれども、今日時点、ただいま解説を願いました具体的な地域、市町村において、地方自治体の理解と協力を得ておるという段階ではない、得られない、こういうふうに私は理解するのですけれども、いかがですか。
  48. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 私ども、今理解を得るための最大限の努力を重ねておりまして、その辺につきましては理解をたんたんと得られつつあるものというふうに考えております。
  49. 串原義直

    ○串原委員 長官、それでは具体的なことについてちょっと伺ってまいることにいたしますが、この九つ営林署の統廃合の中に、私ども長野県の木曽谷の上松運輸営林署廃止の方針を打ち出しているのでございます。  この地域は山と一心同体、山と共存してまいりました地域でございまして、関係住民のショックというのは非常に大きい。過疎対策が今日的な政治課題であることは論をまちませんけれども、この上松運輸営林署廃止はまさに木曽谷の過疎に拍車をかけるものである、こういうふうに私どもは受けとめているのでございますけれども、長官、いかがですか。
  50. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 過疎の大きな原因に林業のこういう不振があろうと思いますけれども、やはり国有林も同じく林業経営するものとして、みずからがしっかりした経営内容にならなければ大体どこにも立地できないというようなことがあります。したがいまして、多少そういうことで組織機構の縮小が地方のそういう問題に影響があり得ることとは思いますけれども、それを耐え忍んで経営の改善、確立に努力しなければならないものというふうに考えております。
  51. 串原義直

    ○串原委員 長官御承知のように、上松運輸営林署というのは大変な歴史と実績があるわけですね。これは大正十年帝室林野管理局木曽支局の上松出張所の運輸部門というのが独立をいたしまして今日に至っているところでありますけれども、昭和五十年に王滝森林鉄道が廃止されましてからは、上松、王滝両営林署の木材販売を主に担当してまいりました。六十年度の販売量、これは見込みということもあるわけでございますが、六十年度の販売量、見込みを含みまして、約五万八千立方メートル、このうちの木曽ヒノキの占める部分は約五〇%と言われているわけですね。販売収入というのを金額で言いますと、七十億三千万円くらいになる。これは長野県営林局の全収入の四〇%余を占めるというのでございます。大変な任務を帯びてきた営林署でございます。山を現実に持っていないとはいいますものの、この営林署の機能というのは大変な機能を果たしてまいりました。地域のためにも貢献してきた、こういうことですね。  この実績を持っておりますところの営林署を行政改革、機構を簡素化する、こういうことだけで廃止するということは、とても納得できない。よく日本一と言われますところの木曽ヒノキ、御料林として守られてまいりました木曽の山を守るという立場から見るならば、まさにこの営林署廃止は時代逆行である。山を守るという立場から言うならば後ろ向きの行政である、こう考えるわけでございますけれども、いかがでしょう。
  52. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 木材販売業務が大変大きかったことはお話のとおりでありますが、それはそのまま木材販売所に引き継がれる、営林局直轄を考えておりますけれども、そのようになる予定でございます。  なお、このような形で販売業務を改善いたしましたのは、青森におきます青森運輸営林署、それから当時の名古屋営林局におきます熱田営林署をそれぞれ木材販売所として販売業務に特化したというふうな事例がございまして、販売業務につきましてはむしろ居直轄ということで従来と変わりなく、むしろそういう点では変わりなくやれるものと考えております。
  53. 串原義直

    ○串原委員 今木材販売所として今後機能していくように考えているという話でございましたけれども、そうしますと、従来の上運営林署、上松運輸営林署の時代と比べ、木曽谷の木材関連産業に深刻な影響をもたらしていくのじゃないか、機能が後退していくことによって木材関連産業の衰退につながっていくのではないか、こう危惧するのでございますけれども、その辺はどうなんですか。
  54. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 その点につきましては、この組織機構の改廃が販売量とか販売方法に直接に関係をさせるものではございませんので、そういう御懸念はないものと私は考えております。
  55. 串原義直

    ○串原委員 それでは木材販売所の機能、権限はどうなるのですか。
  56. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 それにつきましては、従来営林署長が持っておりました権限を販売所長が行使するということでございます。
  57. 串原義直

    ○串原委員 従来の署長の権限と変わりございません、こういうことですか。
  58. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 販売につきましてはそうでございます。
  59. 串原義直

    ○串原委員 私は今回の統廃合に基本的に反対でございますが、重要な課題ですから今あえて繰り返して伺っているところでございますけれども、販売の権限については従来の上松運輸営林署の権限と変わりはない、機能ということになりますとどういうことになるのですか。
  60. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 ほかに林道の維持修繕、それから機工課の業務がございますので、それはそれぞれ上松営林署、王滝営林署に権限を分散する予定としておりますので、そこらは従来とは変わることになります。
  61. 串原義直

    ○串原委員 つまり、木材販売に対する権限は全然今までと変わりはありません、ほかの機能については分散をいたしますけれども心配はありませんということになりますと、上松運輸営林署という看板を外すだけ、こういうことなんですか。
  62. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 もちろん現在私が御説明申し上げました機構によります方が、林道の管理等は直接の事業実行署と関連いたしますので、実態的と申しますか、そのような合理化された運営ができるものと思っております。  なお、お話しのように営林署長枠は一名減るわけでございます。大きい組織機構としてはそういうふうな営林署長枠の一名減がございます。
  63. 串原義直

    ○串原委員 長官の答弁、私何とも納得できませんね。私はそう理解できない。  実は私ども、過日我が党の国会議員団が現地調査に木曽谷を訪れたのでございます。そして関係する機構、現場の機構等々についての説明を受けたり視察をいたしました。その際、営林署に働く仲間はもちろんでありますけれども、木曽の町村長会、それから現地の上松町長さんあるいは上松町議会の議長以下議員の皆さんあるいは地元の代表、それぞれの皆さんから御意見をいただいたのでございます。いろいろな強い御要請、御意見がございました。それを全部ここに列挙するわけにいきませんけれども、一口にまとめて申し上げますならば、こういう意見でございました。これは正しくお伝えをしておきたいと思うのでございます。  地域の実情あるいは事情、実態考えない画一的な統廃合の進め方というのはまことに困る。最も好ましくない形で今回の上松運輸営林署廃止問題は持ち込まれました。上松運輸営林署は木曽の木材センターとして長く地域とともに機能してまいりました。今後もこの上松運輸営林署は、地元のためにも、木曽の山を守ってまいりますためにも絶対に必要な組織でございます。こういう意見で強く廃止に反対しておりました。  長官、さっき地元との話し合いは順次得られるものと思いますという意味の御答弁がございましたけれども、いささか現地の実情とは違いますね。この強い御意見に対してあなたはどういう格好で今後対処していこうとお考えになりますか。     〔衛藤委員長代理退席、田名部委員長代     理着席〕
  64. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 長野営林局からも、木曽谷の市町村長さんが直接参られたこともございますけれども、営林署統廃合のよって来るゆえんあるいはこの上松運輸営林署の条件等につきましていろいろるるお話を申し上げておりまして、先生今お読みいただきました文言はそのとおりでございましょうけれども、私どもとしては統廃合に向けまして御理解を得られつつあるものというふうに考えておりますし、まだ不十分な点につきましては、今後さらに我々の手だてを尽くしまして、御理解をいただくべく最大限努力をいたしたいと思っております。
  65. 串原義直

    ○串原委員 今長官の御答弁のように、上松運輸営林署の統廃合についてはぜひ理解をしてもらいたい、そういう立場で繰り返し市町村や地域の皆さんに説得工作をするということは、ある意味では行政の立場から地域に対する強制と言えなくもないわけです。さきに私が触れましたように、本委員会あるいは参議院におきますところの附帯決議の趣旨に反するということで、ある意味では国会軽視と言っても言い過ぎではないと私は思っているのでございます、  特に、現在我が国林業国有林野事業を取り巻く諸情勢の中で、地方自治体や地域住民等の理解を得て、将来、国有林の姿を何としてももう一度取り戻さなければならぬ、こういう時期でありますだけに、そうだとするならそれに逆行する姿勢ではないかというふうに考えるわけでありますので、繰り返し繰り返し統廃合について理解してもらいたいというような説得工作は考え直すべきではないのか、こういうふうに思います。その点について改めて長官、御答弁をいただきたいと思う次第でございます。
  66. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林の改善の中で組織機構簡素化していくということは、どうしてもこれからも避けて通れない道程でございます。その中での非常に重要な位置がこの営林署の統廃合でございまして、既に五十三年に、当時三百五十一ありました営林署の一割について統廃合するという計画を決めて、その内容が現在着々と実行されておる。これにつきましては、どこまでも私どもは地元の皆様の理解を得るための努力を重ねて、既定計画実行してまいりたいというふうに考えております。
  67. 串原義直

    ○串原委員 長官、この上松運輸営林署の統廃合の問題についてはさらに御検討願いたいということを強調すると同時に、あえてこの際申し上げたいのでございますけれども、上松運輸営林署等々を廃止する、組織を縮小するという後ろ向きの政策だけではなくて、ヒノキの宝庫と言われる木曽谷、あの山を活性化させるために、山と観光を結びつける新しい施策考える、あるいは御岳山ろくを大公園化するなどいたしまして、それに木曽五木と言われる出とを結合させる等々の具体策を立てることによりまして、前向きない積極的な行政をこの際考えていくべきではないだろうかと思うのであります。木曽はすべて国有林とともに共存してまいりました。その立場から考えて、山を守り地域を守るという新しい視点で林野庁は積極的に取り組むべきではないのか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  68. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林地域社会でそういういろいろな形で活用されまして産業の振興なり雇用機会の増大なりに結びつくことは大変歓迎をするところでございますけれども、それとその国有林管理いたします営林署組織機構を合理的に再編するということは、たとえその縮小再編をいたしましても、地元に果たすべき国有林の任務を軽視するとか、今お話のございましたようなことについて後ろ向きにするということとは、全くそのようには考えておりませんので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  69. 串原義直

    ○串原委員 長官、だからね、組織の統廃合、縮小を考えるということだけではなくて、あの地域活性化させるために、ただいま申し上げましたように山と観光を結びつける施策を新しく考える、あるいはあの貴重な御岳などという山もございますけれども、あれと結びつけてあの地域を大公園化する等々、考え方はいろいろあると思う。あると思うから、山を活性化させるために新しい施策を、木曽は国有林とともにある地域でありますだけに、林野庁としても関係町村とともに取り組むべきときではないのか、前向きな活性化のための施策考えるときではないのか、私はこう申し上げているのでございます。いかがですか。
  70. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 私もそのとおりだと考えます。地域振興への寄与というのは国有林の重要な使命でございます。
  71. 串原義直

    ○串原委員 長官、そういう理解でありますならば、私がただいま申し上げた立場に立って、木曽谷の町村長の皆さんあるいは議会も含めてでございますが、関係機関と積極的に話し合い、取り組んでいくという姿勢をお持ちになりませんか。いかがですか。
  72. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 従来から営林局には国有林所在地町村連絡協議会とか、あるいは施業計画を組みます際にはそういう協議会との話し合い等々十分私どもは地元との連絡調整に遺憾がないようにこれまでも進めてきたつもりでございます。したがいまして、さらにそういうふうな組織、公式、非公式を問わずそのような従来からのパイプ、階段等を活用いたしまして、意思疎通に欠けることがないような国有林の運営をしてまいりたいと考えます。
  73. 串原義直

    ○串原委員 長官、国有林の運営とともに、今申し上げておりますことは、あの地域活性化のために国有林を生かした新しい施策を関係町村とともに模索するという姿勢をお持ちになりませんか、こう言っているわけですよ。それに取り組む考えはありませんか。
  74. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 私どもは常にそういう気持ちで仕事を運営してまいらなければなりませんが、ことしは特に国際森林年という節目の年でもありますので、先生の御趣旨を生かしまして力を入れてまいりたいと思います。
  75. 串原義直

    ○串原委員 時間が順次経過してきますから、長官、今の御答弁になったことを踏まえて、あの地域の山を生かしていく、地域活性化させるための努力、配慮をし、取り組んでいただきたいことを強く要請をしておきます。  最後に、繰り返しますけれども、上松運輸営林署の統廃合について地方自治体等の理解と協力が得られないといたしますならば、営林署の統廃合というのは無理をしないで断念すべきではないのか、こう思うのです。いかがですか。
  76. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 理解と御協力が得られるべく最大限の努力を尽くした上で実施をしてまいりたいと考えております。
  77. 串原義直

    ○串原委員 さらにこの問題を深めたいのでございますが、時間がありませんからまた改めて機会を持ちたい、こう思っております。繰り返しますけれども、安易に廃止する、統廃合によって機構を縮小する、私に言わせますならば後ろ向きの行政だ。こんなことでないように、地域の皆さんとよく話をいたしまして、あの地域活性化のために何をすべきか、新しい視点で取り組んでもらいたい、強く要請を申し上げておきたいと思います。  それでは畜産局長に伺いたいのでございますけれども、このところ豚肉価格の暴落は大変にひどいものであり、まさにこれは困ったことであります。豚肉価格は五百円すれすれのところで行き来いたしております。畜安法に基づきますところの六十年度の安定基準価格はキロ当たり六百円でありますから、百円下、大きく割り込んだ状態が九月、十月、十一月と続いているわけでございまして、畜産農家の皆さんは大変なショックを受けているところでございます。この豚肉価格の暴落というのはどこから来ているのでしょうか、その原因はどこにあるのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  78. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいま先生指摘のございました豚肉の卸価格の最近の動向でございますが、ことしに入りましてから低調に推移しておったわけでございますけれども、特に九月の中旬以降は安定基準価格でございます六百円水準を割り込んだ形で推移しているわけでございます。  その要因についてでございますが、私どもはこのように理解しておるわけでございます。  まず需要面について見ますと、ハム、ソーセージ等の加工需要は若干伸びてはおりますけれども、需要の過半を占めます家計消費が停滞的であるということでございまして、需要全体として見れば停滞的に推移しているということでございます。  一方、生産の方でございますが、先生御案内のように、ここ四、五年豚肉価格は極めて堅調でございまして、そういった点から養豚経営は極めて収益性が向上しておるということもございまして、増頭の意欲が高まっておったことに加えまして、昨年の夏以降数回にわたりまして配合飼料価格の引き下げが行われたわけでございます。こういったことが養豚農家の生産意欲を刺激いたしまして、結果として最近に至りまして生産が急速にふえたということでございます。  したがいまして、今日の価格の下落は、何と申しましても需要と生産とのアンバランス、つまり過剰生産に起因しておるというふうに考えております。
  79. 串原義直

    ○串原委員 今言われたように、この要因は過剰生産である、こういうことですか。輸入等々の関連ということはいかがでしょうか。
  80. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 もちろん輸入のこともございますが、輸入自体は、最近の動向を見てみますと、ことしの一−九月でございますが、前年同月対比で約九割ということでございまして、基本的に輸入増加はこの価格の下落の大きな要因とはなっていないと考えております。
  81. 串原義直

    ○串原委員 そういたしますと、豚肉価格暴落に関連する対策は急いでもらわなければならぬと思うのでございますが、この対策をいつどのようにおやりになるのか、重要な時期でありますから明確に御答弁願いたい。
  82. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいま御説明いたしましたような豚肉価格の低落の状況でございますので、私どもとしては緊急の対策といたしましてこれまで各種の対策を講じてまいっておるわけでございます。  まず、豚肉の生産増分を極力消費するという考えに立ちまして、テレビの料理番組とかラジオのスポット等々を使いまして消費宣伝を行ったり、さらには全国約二万四千店舗の専門小売店や全国約四千六百店舗の量販店、これらの参加を得まして値段で大体二〇%前後値引きいたしました特別販売等を実施してまいっております。また、ハム等の加工品をつくる場合に極力国産の豚肉を使っていただくというようなこと、さらにはこのような需給事情でもございますので、輸入は慎重にやっていただきたいということで、加工メーカーや商社等に対して協力を求めてまいっております。  特に、ただいま申し上げましたように、今回の価格の低落の基本的要因は生産の過剰というふうに見られておりますので、価格の回復のためには何としても豚肉の生産調整を行うことが肝心であるわけでございます。そこで、先生御案内のように中央畜産会が中心となりまして、生産者団体等から成ります養豚経営安定推進会議が既につくられております。この会議といろいろ相談いたしまして、最終的には母豚につきまして通常淘汰する以上に淘汰しようというふうな方針を決めまして、現在十一月でございますが、淘汰に踏み切り、実施に移ったところでございます。そこで、私どもといたしましてもこの母豚の淘汰が円滑にいきますように指導、支援をしているところでございます。  こういうふうに生産者団体も母豚の淘汰に踏み切っていただきましたので、私どもとしてもこの際、これまで講じてまいりました各種の対策にあわせまして、畜産振興事業団の助成によりまして調整保管を実施しようという方針を立てまして、現在そのための各種の準備を鋭意進めているところでございます。準備が終わり次第、近々にも調整保管に踏み切りたい、かように考えております。
  83. 串原義直

    ○串原委員 母豚の淘汰のお話もございました。これは具体的にどういうことですか。
  84. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 母豚の淘汰につきましては、先ほど申し上げましたように中央畜産会が中心となりまして、生産者団体等から構成される養豚経営安定推進会議というものができております。これは昭和五十四年に豚が過剰でやはり急落した際にできた組織でございますが、この会議において、通常でございますと毎月大体四万頭程度の母豚の淘汰更新が行われている、これに対しまして、最近の需給事情にかんがみてこれに約二万七千頭を上乗せして淘汰しようという方針を七月に決定したわけでございまして、この決定に基づいて十一月から一カ月の間でこの淘汰を実施しようということで、目下実施が行われているという状況でございます。
  85. 串原義直

    ○串原委員 局長さん、つまり従来の自然に淘汰される四万頭に比較すると何%ぐらい淘汰の速度を速めることになるのですか。
  86. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 通常頭数が四万頭でございまして、上乗せしますのが、正確に申しますと二万六千七百頭でございます。したがいまして、傘として申し上げれば七〇%弱ということになります。
  87. 串原義直

    ○串原委員 それから、事業団による調整保管、この答弁もございましたが、この内容について解説をいただきたいし、これはいつ発動されますか。
  88. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 調整保管についてでございますが、現在考えておりますやり方は、生産者団体等が一体となりまして、畜産振興事業団の助成を受けまして豚肉の調整保管をするということでございまして、その事業の実施主体といたしましては、全農等の全国の区域を地区とする農業協同組合連合会が一つ、それからハム、ソーセージ製造業者等を構成員といたしますハム・ソーセージ工業協同組合、それから市場の買い受け人等から成ります法人、一応そういった三つの事業主体を予定いたしまして、目下この三つの事業主体と実施の細部について事業団を交えまして協議をしているところでございます。  発動の時期でございますが、先ほど申し上げましたように、準備がございますので、その準備を急いでいる最中でございますが、なるべく早く発動いたしたい、かように考えております。  それで、この事業を実施する場合の助成でございますが、事業団の方から事業を実施する主体に対しまして、調整保管に要します金利、倉敷、これの助成をするというふうに考えております。なお、調整保管する規模でございますが、約二十九万頭相当の豚肉を調整保管する。そこで予定されます金利、倉敷の額は約二十五億円というものを予定いたしまして、現在細部を詰めている最中でございます。
  89. 串原義直

    ○串原委員 局長、概略説明を願いましたが、これは、極端なことを申し上げますと一日を争うというぐらいに畜産農家は対策を待っている。いつ発動しますかということに対して、できるだけ早く、こういう御答弁でございましたが、今週末ですか、来週になりますか。
  90. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 先ほど申しましたように、事業団、さらには事業主体との詰め等もございまして、連日やっておるわけでございますが、現在のところは来週早々ではなかろうかというふうに見ております。
  91. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから急いで伺うのでございますけれども、ただいまの事業団を含めた施策を早急に講じてもらう、それから母豚の、つまり生産豚の調整も行う。これを含めて対策を講じてもらった場合、六百円という数字をここで挙げるのが適当かどうかちょっと迷いますけれども、少なくとも基準価格まで戻る、早急に戻ってもらわなければいけませんけれども、それに戻るのに、今の施策を講じていただいた場合、どのくらいな時期に戻ると想定して農林省はこの施策をお進めになりますか。
  92. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 まず前提といたしまして、今後の需要と供給をどう見るかということにかかるわけでございますが、まず需要につきましては、年末需要がございます。ただ、一−二月は例年、不需要期ということで需要が落ちる、こういう時期でございまして、需要的には当面、極めて弱い時期が続くということになるわけでございますが、一方、出荷の方は過去の子豚の生産頭数からある程度各月の出荷頭数が予定されますので、それで推計いたしますと、これから三月までの間の毎月の出荷頭数の対前年比を見ますと、一〇七から一〇九という状況でございます。こういった状況を見ますと、率直に申し上げまして、一挙に安定基準価格水準までに価格を回復させることは極めて困難ではないかというふうに考えているわけでございます。  そこで、私どもはこの実施に当たりましては、やはり基本的には生産調整の進行が基本でございますので、十一月から取りかかっております母豚の淘汰の浸透状況を見ながら調整保管を実施していきたいと思っておるわけでございまして、一にかかって豚肉の出荷の動向なり消費の動向にかかるわけでございますが、一−三月の不需要期を終えまして春から夏にかけては需要期に向かいますので、そのころまでには何とか六百円水準までには回復いたしたい、そういう方向で最大限の努力をいたしたい、かように考えております。
  93. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから終わります。
  94. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 新村源雄君。
  95. 新村源雄

    新村(源)委員 私の質問は林業に関する問題でございますので、先ほど質問されました島田委員あるいは串原委員と若干、重複する点があろうかと思いますので、御了承いただきたいと思います。  ことしは国際森林年であるということは先ほどから再三にわたって述べられておるわけですが、ことしもあとわずかになってきました。この国際森林年という年は過ぎ去っていくわけですが、これはまさに現在、地球的な規模で緑資源のあり方というものを人類に問いかけた極めて重大な年であろう、こういうように思うわけです。  先ほど串原委員からエチオピアの今日の飢餓の状態はどうなって発生してきたかということを述べられましたが、私は昨年、中国の新疆ウイグル地区というところへ行ってまいりました。ここは東京と比較をいたしますと五分の一ぐらいの雨量しかないということで、この新疆ウイグル地区の総面積の約八〇%近いところが砂漠化している。その中で、天山山脈の氷河から出てくる水を管理して耕地をつくり緑をつくろうという非常に涙ぐましい努力を見てまいりました。  さらに今年、農林水産委員会の派遣によりましてヨーロッパの実態を見てまいりました。スペイン、ここは、東京が約一千五百ミリ年間の雨量がありますが、ちょうどこの半分で七百五、六十ミリの雨量、地域によって多少の差がありますが。飛行機に乗ってスペイン領土の上に参りますと、本当に砂漠じゃないのかなと思うくらい、国土荒廃をしていると言ってはなんですが、それに近いような状態を見てまいりました。スペイン当局の農業関係者に聞きますと、非常に農業情勢厳しい、特に農業開発をする場合にかんがいを伴わなかったならば、あるいは、さらに緑化をしていかなかったならばスペインの国土の開発というのは進まないんだ、こういうことを言っておったわけです。  そういう点から日本の現状を見ますと、非常に雨量も多い、そういう地域から比べますと緑資源も豊富に蓄積されている、こういうように思われるわけでございます。今日本の経済発展あるいはこの狭い島国に一億二千万人も住んでおる、この原動力というのは、やはり緑が豊かであって、そこに豊富な水資源が蓄えられている、こういうことが日本の欠かすことのできない資源である、こういうように見てまいったわけでございます。  これは非常に小さい例でございますが、私の住んでおります十勝の本別町で起きている問題です。ここでは、本別川という川を水源地として、約一万三千人の住民のうち約八千五百人の方々がこの水の供給を受けている。ところが、年々水量が少なくなってきて、去年あたりは断水をしなければならないというので、町を挙げてその原因究明に当たっておられたわけです。このように、豊かであるとは思っていても、今日の国有林荒廃状態、こういうことから考えますと、果たして今のような豊かな水資源を確保することができるかどうか、こういう心配が出てくるわけでございます。  そこで第一点として申し上げたいのは、この大事な国の基本ともいうべき国有林というのは国有林野事業特別会計によって事業が行われておる。したがって、今日のように材価が安いあるいは伐採もできない、こういうようになってまいりますと、だんだん収入が窮屈になってくる、そうすると山が荒れてくる、それと並行して林野庁全体の縮小合理化が進められていく、こういうところに非常に大きな問題があるのじゃないかと思うのです。  私はかつて北海道の中標津営林署地域調査をいたしました。そのときに、国有林があり、町有林があり、民有林がある。そこで一番手入れの悪いのはどこかというと、国有林なんですよ。民有林もそれなりに手を加えられている。町有林はきちっと間伐もあるいは枝打ちも行われている。国有林手入れがおくれているということは、私は先ほども申し上げましたように、国有林野事業特別会計、これに規制をされているからこのように縮小合理化をし事業の手抜きをする、こういうことにつながっているのじゃないかと思うのですが、この点についてどういうように認識されておりますか。
  96. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林日本森林の三割を占める最も大きい経営体でございますので、現在の木材景況の影響を非常に大きく受けて、お話ございましたように経営内容につきましては財政上大変問題の多いところでございます。現在、経営の改善に向けて計画に沿って努力をいたしておるところでございますけれども、日本最大の事業体として民有林模範たるべき内容を具備しなければならないものと考え、日夜努力をしておるところでございます。
  97. 新村源雄

    新村(源)委員 先ほど島田委員からも厳しくこの点について追及があったわけですが、長官、この最大の原因というのは、私がさっき町有林あるいは国有林というように比較をして申し上げたように、国有林手入れが町有林よりもはるかにおくれているということは特別会計によって縛られているから、例えば町村の場合は適切な予算をもって町有林の手入れができる、しかし林野庁はそうではなくて枠の中で閉じ込められておる、こういうことだから十分な手入れができないのだ、こういう認識になりませんか。
  98. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林の施業方法が、これまで極力木材の大量供給というような施業方針をとっておりましたので、民有林のきめ細かな、目的に応じた多様な施業方法とは相当異なった点もあろうかと思いますが、先生指摘のように最近は大変にいろいろ苦しい事情もございまして、少ない、限られた中での効率的な使用につきましては現場もいろいろと苦労をしておるところでございます。
  99. 新村源雄

    新村(源)委員 そこで、国有林野事業特別会計の事業勘定の内容を大ざっぱに見てまいりますと、昭和四十年代前半までは非常に順調な運営をやっているわけです。ところが五十年に入ってから経営がだんだん悪化した。五十年では四百億円、五十二年では八百二十億円、これだけ赤字を出した。そういうことで、五十三年度から国有林野改善特別措置法というものによって何とか国有林財政を立て直していこう、そのときの財政の立て直しというのは、要するに国有林野事業全体を縮小合理化をしていく、こういうふうに方向づけられた。そのことが今日非常に大きな負債を残し、さらに大幅な縮小合理化を行ってきている、こういうことがこの経過の中で明らかになっておるわけです。  しかも、赤字の出てきた経過をずっと見ますと、毎年累積赤字が多くなって、昭和五十九年においては一兆一千四首六十一億円、六十年の見通しては一兆三千三百五十億円になってくるわけです。五十三年以降すっと見てまいりますと、毎年着実に赤字がふえてきている。今の状態の中でこの悪循環を断ち切っていくことが一体できますか。
  100. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 先生の御指摘になりましたのは長期借入金の残高でございますが、それが現在は造林地あるいは林道等に形を変えておるわけでございます。木材価格が従前のように高騰をするようなことがありますと余り心配もないかと思いますけれども、やはり長期借り入れを漫然と累積させていくことは極めて問題だろうと思います。  国有林の現在の改善の進め方につきましては、毎年林政審議会の意見を聞きながら、決算を公表していく、それから、毎年計画実行等の進みぐあいを林政審議会に御説明し意見をお聞きして、計画の前半までの間にはそのような問題についてもいろいろと御意見をいただくこととなっております。いわば常設の相談役という形で、今後のことについても御相談をしながら進めていかなければならないと思いますので、問題いかんによりましてはそういうふうな相談の方法をとらなければならないものと思っております。
  101. 新村源雄

    新村(源)委員 この財務状況の推移を見ておりますと、ことしは長期借入金が二千三百二十億円、そのうち償還金と利子が千三百五十一億円、そのうち利子が九百二十億円ということになっておるわけです。それでいてなおかつ前年度よりも、二千億までいきませんけれども、二千億近い赤字が出てくるという状態になっておるわけです。  ですから、この数字の動きを明らかにつかんで財政措置を的確にやっていかなければ、国有林にこれ以上合理化なり事業の縮小はもうできないということを前提とすれば、この借入金と償還金の問題についてどうしても措置をしなければならないということがはっきりしておるわけでしょう。長官、そうでしょう。
  102. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 長期債務につきましては、これは当然お返ししなければならないものであります。現在のところは国有林日本森林の三割を持っておりまして、その資産内容等から、これを健全に運営することにより計画的に返せるものとしてお借りしているわけでございます。なお、そういう方向に向けて真剣に、着実に進めなければならない、安易に返せる借金とは毛頭考えておりません。
  103. 新村源雄

    新村(源)委員 国有林の一番大きな収入源というのは木材を売って得られるわけです。ところが、国有林あるいは林野、あるいはことしは国際森林年であるということの意義は、木材資源を供給するという一面もありますけれども、緑資源地球上に蓄積しなければならない、日本国土だって緑資源を蓄積することによって潤沢な水資源の供給ができる、こういう役割の方がこれからもっともっと多くなってくると私は思うのです。森林の果たす役割のうちで木材供給と並んで水資源を確保するという重要な役割がある。今日の状態では、山が荒れているために、ダムをつくっても倍くらい速い速度でダムが埋まっていっているということが言われているわけです。そうすれば、安易に木を切って負債をなくしていくという考え方は間違いではないか。いや、それも当然あります、ありますけれども、大きな期待をかけることはここしばらくないのではないかという気が私はするのですが、政務次官、この点についてどうお考えですか。
  104. 近藤元次

    ○近藤政府委員 木材を取り巻く環境、経済的にだけ追求していくのは厳しい環境にあることは先生指摘のとおりでございます。  国有林林野事業については、従来から一般会計にも一部依存して、保安林内の造林とか幹線林道の開設の一部の経費についても一般会計から繰り出したり、治山事業等については全額を一般会計で負担して実施いたしておるところでもございます。なお、昨年改正させていただいた国有林野事業改善特別措置法により一般会計から繰り入れを行う対象の期間もまた延長させていただいた。なお、退職手当の財投資金の借り入れに対してその利子補給等を一般会計で行うようなことをいたしたところでもございます。  今、財政の大変厳しいときでございます。かつまた国際森林年。先ほど来諸先生方から御指摘、御指導いただいておりますように、今こそ将来を憂え、そして今日的な課題としてこの問題が国民関心事でもあることは言うまでもないことでございます。それゆえに、従来の財源の確保はもとよりでありますけれども、さらに一層御指導をいただきながら努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  105. 新村源雄

    新村(源)委員 森林、緑の問題は、日本国土形成、国家形成の中の最重点課題であると私は認識しております。したがって、予算が厳しいとおっしゃるけれども、防衛費に毎年どんどん上置きされるわけでしょう、ないとは言えません。これは政府がその気持ちになっておやりになるとすれば、もちろんことし一般会計から百五億円入ることになっておりますが、少なくともこの返済金の千三百億円ないし千五百億円ぐらいのものは一般会計から国有林野事業に補てんすべきである、そうしなければ今の荒れた国有林をよみがえらせることはできないと私は強く主張いたします。次官もいろいろ御答弁されたようにそれぞれ少しずつ進歩の跡はあるけれども、しかし、今のような歩みでいったのでは、もう四、五年先には二兆円を突破するのです。この状態でいけば二兆円を突破する。そんなときになって手を打ったってこれは大変なことになる。今のうちに抜本的に林野特別会計というものを見直す、これは国家的な重大事業だ、こういうことを強く要請して、御努力をいただきたい、こういうように思うわけでございます。  そこで、営林署というのは農林水産省設置法第三十四条で決められておりますが、この中で営林署の任務というのは明確に位置づけされています。それは、「国有林野及び公有林野等官行造林地の造林及び営林を実施すること。」さらに二番目は、「民有林野の造林及び営林を指導すること。」三番目には、「国有林野及び公有林野等官行造林地の産物及び製品の生産及び処分を行うこと。」四番目に、「立木の取得、加工及び処分を行うこと。」こういうことになっておるわけです。  したがって、地域営林署を統廃合するということは、政府林野庁のそういう立場だけではやってはならぬ、できないということがこの性格からいったら明確になるのですが、この点について、長官、どういうお考えでおられますか。
  106. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 営林署はいろいろ地域の産業、経済との結びつきも深いわけでございますので、いろいろな理由によりましてその組織の改編を行う場合には、そういう点につきましての十分な御理解、御協力をいただくような努力なしに組織を安易に動かすということは大変好ましくないことであると思います。
  107. 新村源雄

    新村(源)委員 そのことは、過去二回の統廃合に際して、当時の農林水産大臣中川さん、亀岡さんが、今長官がおっしゃったように、地域理解と協力なしにはやらないんだ、先ほども佐藤農林水産大臣が串原委員の質問に対して答えておられまして、これは明確に位置づけされております。  そこで、そういうのを前提として、十月十八日にもつの営林署の統廃合を提示されましたね。これは、そういう営林署の持つ基本的な使命と、あるいはこれに基づいてしばしば農林水産大臣が言明をなさっていることと、そういう手続が先に行われたのか、どうなんですか。
  108. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 統廃合対象営林署を検討する段階におきましては、私どもの持っておりますいろいろな情報、知識によりまして内部的な検討を進めた次第でございまして、事前に地元の御意見を聞くというようなことにつきましては、正式にはお尋ねをしてない、私どもの責任におきまして内部的に検討を進めたわけでございます。
  109. 新村源雄

    新村(源)委員 そうしますとこれは、農林水産省そして林野庁地域に対して何の相談もなしに勝手にやめるぞ、こう言ったことになりますね。
  110. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 署名を提示と同時にいろいろな御説明、御相談もいたしておるわけでございますけれども、それに先立っては、私どものこれまで持っております各般の情報等を整理をいたしまして、それらを慎重に比較検討して決定をしたという経緯でございます。
  111. 新村源雄

    新村(源)委員 私どもの立場からいえばやはり事前に十分意見を聞いてということが当然だと思うのですが、まあそれはそれで長官の言われることを子として、それでは、先ほどから言っておりますように、営林署のいわゆる任務、さらに地域理解と協力、こういうものはこれから行われるわけですね。
  112. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 お話ございましたように、これからそのようなことを誠意を持って重ねてまいりたいというふうに考えております。
  113. 新村源雄

    新村(源)委員 そういたしますと、今ただそう言っただけだ、両大臣並びに現佐藤農林水産大臣がおっしゃいましたような地域理解と協力を求める手続というのはこれからなさるわけですね。もう既になさっていると思うのですが、これからやっていく、こういうことでしょう。
  114. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 現在既にしておりますけれども、それを継続してまいるということでございます。
  115. 新村源雄

    新村(源)委員 先ほど串原委員に対して答えられましたから確認だけでいいのですが、関係市町村のこれに対する意見というのは、全部反対だ、こういうことですね。
  116. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 そのとおりでございます。
  117. 新村源雄

    新村(源)委員 そうすれば、こういう姿勢というのは、皆さん方といろいろ話し合いをしても最後まで了解できない、こういうことになれば、これは当然この計画を撤回しなければならなくなるのですが、そういうことになりますね。
  118. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 私どもとしましては、そういう御理解、御協力を得られるように最大限の努力を払いまして、その上で実行をいたしてまいりたいと考えております。
  119. 新村源雄

    新村(源)委員 一生懸命努力をされてもどうしてもだめだ、例えば私の近隣の営林署では、そこは農業と林業しかない町なんだ、そしてどんどん過疎化が進んでいる、もし今営林署が統廃合されれば、小中学校の学級編制までやらなければならぬ、こういう深刻な実情を訴えられておるわけですよ。これは、ただ単に営林署がなくなったという東京の考え方現地では全くこの受けとめ方は違う、こういうことをまず認識をしておいてもらいたい。  次に、標茶の営林署でパイロットフォレストという、いわゆる未来の森林造成についてどうあるべきかという非常に貴重な、しかも一万八千ヘクタールもの大面積に、現地に行って以前の写真と今日の写真とを見比べましてすばらしい造林が行われておるわけなんです。私も展望台に上ってみまして、そしてそこに備えつけてありました訪問者の名前をずっと見ますと、日本各地からそして世界各国から視察に来ておるわけですね。そのくらいすばらしい事業をおやりになった。これからパイロットフォレストというのを、長期にわたってどういうような方向であれを生かされようとしていますか。
  120. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 パイロットフォレストは私どもも本当に誇りにする大事業でございまして、いい方向での自然改造と申しますか、今後あのフォレストがどういうふうな遷移をたどっていくのか、その造林木の遷移等を注目し、施業上もあるいは植物学上も大変幾多の教訓に富んだところだと思っております。したがいまして、あの林の取り扱いについては、本当に専門に従事する、担当する職員、組織を置きまして、十分相当長期間にわたってあれを観察、管理をしていくことが必要だと思っております。今度の統廃合に当たりましても、そういうふうな機能は現在よりも充実をさせまして存続をしてまいりたいというふうに考えております。
  121. 新村源雄

    新村(源)委員 本当に現在、カラマツの一斉林といいますか、そういう中で樹種の転換事業等もおやりになって、カラマツの中にいわゆるトドマツとかアカエゾというのを植えられて、それが非常に立派な成績で伸びているのを見て非常にうれしく思ってきたのです。長官にお伺いしますとあれを管理する事業を置く、こうおっしゃっているのですが、恐らく林野庁の中でも最も誇り得る事業の一つだと思う。しかし、その地元に営林署がなくなるなんということは考えられますか。
  122. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 標茶営林署営林署として果たしておりました営林機能につきましては、これを弟子屈、釧路等に南北に分けるわけでございますけれども、パイロットフォレストそのものの本当の管理、研究等につきましては、名前は仮称でございますけれども、パイロットフォレストの営林事務所なり管理事務所なりの適当な名称を付与いたしまして、その機能に純化した業務を担当さしたいと思っております。
  123. 新村源雄

    新村(源)委員 私は、先ほど申し上げましたように、パイロットフォレストの所在する標茶町ですね、これはもう釧路原野といいますか、根釧原野という大体中央地帯に属している。そして、酪農と木材の町ということで、みんな一生懸命町づくりをやっておるわけですね。それで、先ほど言ったように過疎化もどんどん進んでいく、学級編制までやらなければならぬという深刻な状態になっている。しかも、そこにパイロットフォレストという立派な事業があるということになれば、私はやはりどうしても標茶の営林署というのは、これは統廃合の廃止対象にはなれない、そしてまた統廃合をするとしても理屈にならぬのですね。統合していく釧路なんというのはもう五十キロ以上も離れておるわけですね。そうすれば、総合的な管理の上からいっても当然できない。  私は、これも含めて、あとそれぞれの事情によって恐らく九営林署ほとんど反対だと思うので、前段に申し上げましたように国有林野の果たす役割というものは非常に重大な、日本民族の将来の繁栄にかかわる基本である、こういう観点から、九営林署のこれは全部撤回しなさい、こういうように私は強く要請をいたしておきます。これについて政務次官ちょっと意見を……。
  124. 近藤元次

    ○近藤政府委員 今回九営林署の統廃合でそれぞれ御意見をいただいておるわけであります。国有林野事業国民経済及び国民生活に重要な役割を果たしておりますことも先刻御意見をいただいておるとおりでございますが、ただ、極めて厳しい経営状態に置かれていることも承知をいたしておるところであります。国有林野事業が十分にその使命を果たしていくためには、今後とも経営の改善を推進をして、経営健全性を確立する必要がある、こう考えておるところであります。  したがって、地域振興なり地域営林署との関係についての迷惑は最小限で食いとめて、そしてまた事務的、合理的なこともあわせ経営改善の面での推進をさせていただきたい。しかし、長年にわたって地域に定着しておりますので、理解と協力を得るべく最善の努力を今いたしておるところであります。  したがって、まだその努力の過程において、今から予想して最終的に結果がこうあればこうなるかということは、本日のただいまの段階では御答弁を差し控えさしていただきたいと思う次第でございますが、歴代大臣が答弁をいたしてきたとおり、関係市町村、関係地域の皆さん方の理解と協力には万全を期して、迷惑のかからないように、また事後の処置もしていきたい、こう考え努力中でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  125. 新村源雄

    新村(源)委員 今の次官の御答弁のように、十分地域住民の意向を酌んで善処されますことを要望いたしまして、次の問題に入りたいと思います。  国鉄の分割・民営化についてでございますが、特に私はこれに関連をして北海道の農林漁業に及ぼす影響、こういう観点から主として進めてまいりたいと思います。  その前段として、国鉄再建監理委員会は約二カ年余にわたって慎重に審議されたのだと思いますが、本年七月二十六日に「国鉄改革に関する意見」が発表されました。これによれば、日本のいわゆる国有鉄道を六分割をする、そしてそれぞれ民営化する、こういう方針が出されました。この審議の過程で私どもがしばしば耳にし、そしてまた私ども、関係者からお伺いすると、非公開で、そして極めて非民主的な過程を経てこの意見がまとめられた、こういうように聞いているのですが、この審議の状況についてちょっと……。
  126. 佐藤孝志

    佐藤説明員 お答えいたします。  国鉄再建監理委員会は、今先生のお話にありましたとおり一昨年の六月に発足したのでございますが、委員が自由闊達な議論ができるようにするために、委員の申し合わせで従来非公開の扱いにしてまいっております。しかしながら、当委員会では、先般「国鉄改革に関する意見」を出したわけでありますけれども、この意見を取りまとめるに当たりましては、十三回にわたりまして全国各地における国鉄の現場などの調査を行いますとともに、運輸省、国鉄当局はもとよりでありますけれども、さらにその他の関係省庁、関係労働組合、地方公共団体それから私鉄経営者あるいは交通経済学者などのいわゆる学識経験者から幅広く御意見を拝聴いたしまして、委員会の審議の参考にさせていただいてまいりました。委員会は百三十回を超える慎重かつ熱心な審議を経まして意見を出したわけでございますけれども、この過程におきましていろいろと御意見等を賜りまして、各界各層の御意見などには十分配意してまいったつもりでございます。  なお、当委員会が最終的な意見を出すまでに当たりまして、昨年の八月にいわゆる第二次緊急答申を出しておりますけれども、その緊急答申の中におきましては、それまでの一年有余の審議の過程を経て委員会で得られましたいわゆる効率的な経営形態の問題とかあるいは国鉄の抱えます長期債務だとかあるいは余剰人員の問題につきましての基本的な考え方を中間的に発表いたしておりますし、また最終的に出しました意見の内容におきましても、おのおのの事項につきましてこの委員会がどういうふうな経過で考えてきたか、あるいはこういう考え方をとるのはどうしてであるかというような審議経過等につきまして、できるだけ詳細に述べているところでございます。
  127. 新村源雄

    新村(源)委員 私は北海道でございまして、北海道は御案内のとおり日本国土面積の約二〇%を占めております。そこに人口が約五百七十万住んでおるわけです。ですから、人口比からいえば大体五%でないか、こういうように思うのです。  そこで、国鉄の現在の営業キロ数は四千二十七キロ、これは国鉄の二〇%、全国の二〇%の延長を占めておるわけです。しかし、この中で現在まで第一次、第二次の廃止線、これはキロ数にいたしますと、千四百五十六キロ、実に三六%に上る、いわゆる地方交通線の廃止が前提にされております。こういうようになりますと、北海道二百十二の市町村があるわけですが、このうち九十九、約百の市町村に国鉄が通らない、こういうことになりますし、そのうち紋別、三笠、歌志内、この三市にも鉄道がなくなる、こういうことに在るわけです。したがって、現在この二百十二市町村のうち反対決議をしている市町村が百二十四ございまして、この百二十四の市町村に住んでおります人口が四百十八万、実に七三%の方々が、今の地方線廃止あるいはこの民営・分割の問題については、なおいろいろ問題がありますのでいろいろな意見がありますが、しかし総体的には反対である、こういう現在の状況でございます。  そこで、特に貨物輸送が今までどういう形になってきたかといいますと、昭和四十八年では四百一駅、それが五十六年ではちょうど半分になりまして二百一駅、五十九年度には四十三駅というように、本当に主要なところでしか貨物の取り扱いをしなくなってきている。  そこで、これは私は全部調べることができなかったのですが、北海道の農業関係だけで一体どのくらいの貨物が動いているかということを調査をしてみました。そういたしますと、米麦、バレイショ、てん菜も含まれますが、この出荷量が八百十一万二千トン、それから生鮮食料、これは野菜、果汁、牛乳でございますが、これが三百六十二万八千トン、そのほかに家畜、これはトン数で出ておりませんけれども、豚それから牛馬、こういうものを合わせますと百三十一万八千頭、これだけのものが動いております。さらに農業生産資材、肥料、飼料、農薬、これが三百四十四万七千トン、この家畜の頭数を除いても実に千五百三十三万二千トンという膨大な貨物が動く。このほかに木材あるいはセメント、石炭、それから建設用の資材、こういうものが動きますと、膨大な量が貨物として動いているわけです。  どうも時間がなくなってきましたので、私の方から一方的に申し上げて御答弁いただきたいわけですが、このように膨大な貨物が動いておる。したがって、今国道なんか走りますと、大体十トン車の大きなトラックがどんどん列をなして走っている。そして残念なことに、最近いわゆる死亡事故につながる交通事故というのは多くはこの重量貨物、こういうものが関連をしておるわけです。ついこの間なんか私のところで、本当に短いところでございましたが、パートで通う主婦が乗っているワゴン車が交差点でちょっとぶつかった、ワゴン車が反対車線に出た、その反対側から重量トラックが来て一挙に七人の主婦が死亡するという生々しい事故が出ておるわけです。そればかりではなくて、今北海道では冬期間にスパイクタイヤをはかせますので、舗装の摩耗率が、一年間に百億円摩耗すると言われております。こういう状態を、これからの新しい交通体系としてこのままでいいのかどうか。  国鉄の計画によりますと、貨物も扱わない、まだ貨物会社の計画ははっきり出ておりませんけれども、こういう状態の中で、大量輸送で一番安全に輸送できる国鉄というものを、本当に採算面からだけ考えてこれを縮小合理化をしていく、これで一体本当に住んでいて安全で、そして生活環境のいい、そういうものを交通体系の上から見てできますか。国鉄を除いて、国鉄をどんどん縮小していってできますか。私はこういう点から、今の国鉄は本当に赤字だという面からだけとらえて国の動脈をどんどん切っていってしまう、これについては全く反対ですが、今私が総括的に申し上げましたが、この点について、どなたでございますか、運輸省の方からまず意見を。
  128. 戸矢博道

    ○戸矢説明員 貨物の輸送体系につきまして、一般的に輸送体系全体でございますけれども、私どもといたしましては、各輸送機関がそれぞれの役割分担を行いまして、それぞれがその特性の持ち得る分野におきましてその役割を十分発揮するという形で形成されるというのが一番望ましいと考えておりまして、国鉄貨物輸送につきましても、非常に特性がございます長距離大量定型輸送というような分野につきまして事業の再建を図るということが、我が国の効率的な輸送体系の形成のために必要ではないかというふうに考えております。そんな観点から、実は現在、先生おっしゃいましたように分割・民営化後の貨物事業体のあり方につきましては検討を行っているところでございまして、その際にも、もちろんただいま申し上げたような観点から十二分に検討してまいりたいというふうに考えております。
  129. 松崎傑

    ○松崎説明員 民営・分割に際しましては、現在政府において、貨物輸送につきまして全国一本で運営するということで検討を重ねられております。国鉄といたしましても、そういった線で今作業に協力し、また勉強を続けておるところでございます。この新しい会社の大事な商品であります列車ダイヤ等につきましては、来年十一月に予定されるダイヤ改正において、そのダイヤ自体を新しい会社に引き継いでいくという観点から現在勉強中でありまして、今その具体化に向かって鋭意詰めておるという段階であります。  先生指摘のように、北海道の貨物は、特に農水産品につきまして大変なウエートを占めておりますので、私どももその輸送を十分やるべく現在も努めておるところでもありますし、また、来年のダイヤ改正に向けても引き続き勉強していきたい、こういうふうに思っております。
  130. 新村源雄

    新村(源)委員 時間がなくなりましたが、今のようなどんどん貨物の取り扱いを全く少なくしていってしまう、そのことによってこの膨大な貨物が道路輸送だけで将来ともやっていけるのかどうか、本当に安全で、そして確実な輸送体系というものができるかどうか、こういうものについて非常に多くの懸念を持っております。  きょうは時間がございませんのでまた機会を改めて御質問を申し上げたいと思いますが、きょうは運輸省、各省から御出席いただきまして本当にどうもありがとうございました。以上で終わります。
  131. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 午後一時四十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  132. 今井勇

    今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水谷弘君。
  133. 水谷弘

    ○水谷委員 公明党の水谷弘です。  最近、農薬のパラコート剤を使った犯罪が全国民を震憾させ、不安に陥れ、大変な社会問題に発展しております。このことについてきょうは私は御質問をいたしたいと思います。  十八日、三重県の津市で、これはとんでもない事件でありますけれども、事もあろうに保育園の園庭にパラコート系の農薬が入っている牛乳が十一個も置かれていた、こういうことが明らかになりました。この秋口からこのようなパラコート剤を使った事件が頻繁に起きてきた。  これが直接的に農薬として流通しているものから使われているか、またどういう経路をたどってそういうものが使われたか、これらについては今後の検証を待つわけでありますが、しかし、農薬を直接担当しておる農水省としてこれらの問題に対してどのように考えておられるか。冒頭、大きな網をかぶせたような質問でございますが、御所見をお伺いをしたい。
  134. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農薬のこういう広い意味での安全性の問題、また安全な使用、流通の問題につきましては、私ども従来からいろいろな形でいわゆる危害防止運動あるいはそういう農薬に伴う事故の防止ということを指導しているわけでございますが、今先生お尋ねのような、最近のパラコート剤をめぐりますいろいろな形の事故、あるいはこれを一種の犯罪的な意味で使用されるということにつきまして、私ども非常に残念な事態であるというように思っております。  こういう意味で、これは農薬というものが流通することに伴って農薬以外の用途に係る使用であるというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、こういうような事故を生みますことについては、私ども行政の方としましても、できる限りこういうことがないような、またこういうことにいわば機縁を与えるようなことを少しでも少なくする、そういう意味で努力していかなければならない、かように考えております。
  135. 水谷弘

    ○水谷委員 逐次御質問をしたいと思いますが、最初に、日本の農業の中において現在パラコート剤が大変重要な役割を果たしている、これは事実でございます。特に、これは約二十年前から除草剤として登場してきたわけでありますけれども、昭和五十年ころに比べますと、現在その生産、出荷量は大体二倍くらいにはね上がっている。  そこで、確認の意味でお尋ねをするわけでありますが、現在その使用が全国各地に及んでいるわけです。北海道から沖縄までこれが使われております。その使用量またはその使用量相当に対する使用面積、これはどのくらいになっているのか、お尋ねをいたします。
  136. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 パラコート剤は、御承知のように除草目的に使われますもので、農業の面からしますと、ある意味でかなり有効な機能を持った農薬でございます。  除草剤全般につきましては、戦後除草剤のいろいろな開発、実用化によりまして、農業労働力が減ります過程で、特に大変手のかかります除草作業のところで労働時間の低減に役立っておるわけでございます。  パラコートにつきまして今お尋ねのあった点でございますが、この除草剤は、昭和四十年に登録されまして、畑、樹園地、水田、そういうところの除草に非常に広く使われております。特に果樹、野菜、稲作などの省力化に寄与する点が非常に大きいものでございますので、農業生産上大変欠くことのできないような地位を今や持っているわけでございます。  生産量、出荷量についてお尋ねがございましたが、五十五年から見ますと、五十五年当時が生産量五千七百十キロリットル、出荷量五千五百四十六キロリットルでございます。その後、若干増加をして、五十七年あたりから生産量、出荷量とも六千キロリットル台に乗っておりますが、五十九年についてこの両者の数字は、生産量が六千百二十五キロリットル、出荷量の方が六千十六キロリットル、こういう状況でございます。  こういう状況でございますが、面積にこれを割りつけてみますと、大体普通の使用量が十アール当たりで五百ミリリットル、こういうような水準であると見込まれますので、これで計算しますと大体百万ヘクタールぐらいという、かなりの面積について使用されているということが見込まれるわけでございます。
  137. 水谷弘

    ○水谷委員 いわゆる農水省が所管されておる農耕用の生産量、出荷量、これは登録をされたものであろうと思いますけれども、はっきり掌握されているかどうかわかりませんが、非農耕用に使用されているものというのは大体どのくらいなのか、これはおわかりになりますか。
  138. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農薬全体の中で、お尋ねの非農耕用にどのくらい使われているか、これはちょっと数字が今までございませんで、こういう面についても調査をする必要があろうかと思っております。  パラコート剤については、やはり小売に当たる数字がないのでございますけれども、いわゆる農耕地以外の部分、例えばあぜとか農道とか、そういうようなところの非農耕地に使われたものの割合は、私どもの大体握っております数字では、推定としまして、パラコート剤全体のうちで一七%ぐらいのものが非農耕地。といってもいわゆる園芸用とかいうことではなくて、あぜ道とかそういうようなところに使われているものが面積で一七%ぐらいあるのじゃないか、こういう推定をいたしております。
  139. 水谷弘

    ○水谷委員 面積的にも百万ヘクタール、大変な面積、量にしまして六千キロリットル台を超えておるわけであります。これだけ全国的にこれが使用されている。その除草剤としての、いわゆる農薬としての効果、またはコスト面、使用形態、こういうものが非常にすぐれているからであろうという、片方にはそういう考え方があります。しかし、直接飲んだ場合に人体に重大な影響を与えるということを考えますと、このまま放置しておいていいのだろうかという、これは当然疑問が出てまいります。  そこで、現在の段階で、この安全性、コスト、それから使用形態、あらゆるものを総合して、パラコート剤にかわるべき除草剤というものがないのか、あるけれどもコスト面で使えないのか、いろいろな理由があるかもしれませんが、その辺はどうなっておりますか。
  140. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 パラコート除草剤にかわるような機能ないし役割を持った除草剤はどうなのかというお尋ねでございます。  これは、パラコート除草剤にいわばかわるという意味ですと、パラコート除草剤のいいところと申しますか、農業上で申しますと、非常に効力というか、すぐれている点が大きなところで二つばかりございまして、一つは非常に使用方法が簡便で速効性がある、こういうことでございまして、大体散布俊二、三日で雑草が枯れるというようなことでございます。しかも散布した後で土壌中では速やかに分解したり、あるいは不活性化しますので、すぐに播種、植えつけといういわば本体の農作物関係の作業ができるという点もいい点でございまして、こういうふうに直接散布された雑草に効き目があって、後作である本体の農作物の作付には影響がない、こういう点がすぐれておるわけでございます。  こういう意味で類似しているような使い方のできる除草剤というのは、現在私ども三割ぐらい承知しておりますけれども、これらのものは、やはり使い道として見ますと、今パラコートについて申し上げました点が必ずしもそのとおりいかない。特に今申し上げました残留性、後に残りますので、食用の作物にはなかなか使えないというような点が一番問題でございます。例えば桑とか花木類、こういうようなものは比較的ようしいわけでございますけれども、食用作物になりますと、パラコートと違いまして残ってまいりますので、どうもそういう土壌残留性その他の面で毒性のチェックが必要であるということで、使用目的が限られる、これが一番の難点でございます。  そういう点につきましては、現在存在するものとしましては、パラコートについて先ほど申し上げましたような利点というか効能を持った除草剤、それに相当するというようなものは現在のところ、実際にはなかなかないというのが実情でございます。
  141. 水谷弘

    ○水谷委員 パラコートによる事故、これは近年大変急増しているわけでありますが、この事故の原因別に、農耕用として使った場合の事故、それからそれ以外の目的に使用されて起きた自殺、他殺、中毒等の事故、これについて、その経過はどうなっておるか伺いたいと思います。
  142. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農薬に関連します、農薬として使用したことに伴います被害の発生実態については、御承知の病害虫防除所という県の機関がございまして、これを通じまして農薬による危被害の実態把握を行っております。これは実は、パラコート直接というようなことではなくて、農薬全体でございますが、以前に比べますと散布中の事故は比較的減少しております。  五十四年ぐらいですと、死亡と中毒合わせまして九十七件、百件近くございましたが、その後少し減っておりまして、五十七年が六十一件、五十八年が六十一件、六十人前後でございます。このうち死亡が五十七年四人、五十八年五人、中毒が五十七年五十七人、五十八年五十六人、こういうような状況が私どもの把握しておるところでございます。  パラコートにつきましては、調べましたところ、全体のうちで五十七年については死亡二人、中毒一人、合計三人、五十八年が死亡一人、中毒三人、合計四人、こういうような状況でございます。  これらは、いずれも農薬として散布したことに伴います、それに関連します事故でございまして、これら以外のパラコート剤による一般的な被害につきましては、これは関係御当局、具体的には厚生省の関係でお調べになったものを私どもの手元にもちょうだいしておるわけでございますが、これによりますと、やはり死亡者のところで五十八年が二百五十四人、五十九年三百三人、こういうようなことで、パラコート剤の使用に伴います事故と申しますかが、かなり把握されているというふうに承知しております。
  143. 水谷弘

    ○水谷委員 厚生省の人口動態調査とか、またいろいろな機関が推計をしている数字によると、パラコートによる事故は年間七百とか八百とか大変な数字が出ております。先ほどお話のあった厚生省の監視指導課の調べによりますと、自他殺等が三百三人、誤用による死亡が十六人、散布中の死亡が三名、五十九年でございますけれども、そういう数字が出ておる。合計で三百二十二という大変痛ましい数字が出ているわけであります。  これは農薬としてのパラコート剤の安全性ではなくて、目的外に使用した場合の大変な猛毒性が原因となって死亡に至る、こういうわけでございますから、直接農薬取締法等によって取り締まる対象の外であることはもちろん間違いありません。しかし、これらの問題が発生していることについて、今日まで農水省としてはどのように対処をしてこられたか、その経緯について、対処の仕方を教えていただきたい。
  144. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 パラコート除草剤関係の事故対策ということで、冒頭にお答えしましたように、農薬以外として使用する面も含めました事故の軽減について十分努力すべきことである、私どもこういうふうに承知しておりまして、全体としましては、毎年六月一カ月間を農薬危害防止運動月間としまして、厚生省それから都道府県、関係団体、農林水産省の機関と一緒になりまして運動を展開しております。内容的には、農薬の適正使用、それから保管管理の徹底、そういう面での啓発宣伝、講習会の実施、こういうことを行っているわけでございます。  さらに、予算的な措置としましては、農薬危害防止対策等事業を実施して、県の病害虫防除所を通じて、その地域の実情に応じた適正使用、保管管理の徹底の濃密指導を行っているわけでございます。  さらに、パラコート除草剤につきましては、先ほども御指摘のありました農薬以外の面で、特に清涼飲料水に混入する事態が相次ぎまして、こういう本来の用途以外の使用に伴う問題が出ているわけでございますので、先般も、特に農蚕園芸局長名でこの辺の指導をさらに徹底しようということで通達をいたしているわけでございます。  これらの指導の中心点は、第一には、農薬の販売業者に対しましては、農薬の保管設備の再点検を行う、それから盗難、紛失の防止措置を強化する、それから、農薬をお買いになる購入者の方々についてはその身元、使用目的等を十分に確認して販売する、さらに、農薬として使用されるおそれがあります登録を受けない薬剤については業者として取り扱わない、これらの点を重点に指導しているわけでございます。それから、防除業者その他の農薬を使用する方々に対しましては、第一に、かぎのかかる場所に保管する、それから盗難、紛失の防止に万全を期する、もしも盗難、紛失事故が発生した場合には速やかに警察署に届け出る、こういうやや細かい点も含めました指導を行いながら、農薬取締法に従いまして関係業者の指導、さらに農薬以外の目的に対する、非常な危険を伴いますような使用の防止に努めておるところでございます。
  145. 水谷弘

    ○水谷委員 そのほかに、パラコート剤そのものに対する登録に当たっての数々の措置をとってきているわけでありますが、それについて伺いたい。
  146. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農薬取締法に基づく安全性の問題でございますが、基本的には、まず登録のところで十分な審査をするということでございます。これは具体的には慢性毒性試験によりまして、現在のいわゆる毒性学という学問の分野の水準に応じました毒性試験成績それから残留試験成績、こういう各種の成績をもとにしまして、農薬検査所におきまして厳正な検査を行い、さらに農業資材審議会で学識経験者の方々による評価を行っていただきまして、その安全性を十分確認の上で登録をしておるということでございます。  さらに、安全性が確認されません、登録を受けない無登録農薬の流通、使用の排除のための取り締まりが必要でございますので、無登録農薬の取扱業者については行政処分を実施する、販売業者等に対しましては厳正な指導取り締まりを行っているわけでございまして、こういう各種の措置を有機的に活用しまして、これからも農薬全体につきまして安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。
  147. 水谷弘

    ○水谷委員 今お話がございましたが、農蚕園芸局長の通達は「パラコート除草剤の保管管理等の徹底について」、昭和五十三年十一月十六日に既にこれは出されております。その後、昭和五十九年二月十三日、そして本年の十月二十四日と、パラコート剤による各種の事件が発生しているために、その安全管理のためにいろいろな手だてをしておられます。しかし、これらの通達が現実に具体的に現場でどのようになっているかという追跡調査が必要であろうと私は考えているわけであります。  それから、従来のこういう手だてと、特にここ頻繁にパラコート剤による毒物事件が起きてきているわけでありますが、特にここへ来てとられた措置がありましたらお教えいただきたいと思います。
  148. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 今回のようないわゆるドリンク剤混入事件等も含めました一種の誤飲事故、それからいわゆる自殺とか犯罪とか、こういう農薬以外の面での使用の防止、こういう面ではやはり直接的なパラコート剤そのものに対する、いわばそういう面に対する対応をしよう、こういうことでございまして、これは少し前から何段階かにわたって実施をいたしておるわけでございます。  一つは、パラコート除草剤を飲み込んだ場合にすぐ吐き出せるということで嘔吐剤を添加することを実施しております。こういうことで登録の改定をいたしまして、これは少し前でございますが、五十五年七月九日に嘔吐剤添加をいたしました製剤の登録を行っているわけでございます。  次に、さらに万全を期するという意味で、誤って飲食することがないように濃い青色の色素を添加する、これが五十七年九月一日の登録でございまして、この面では、特に先般の京都府宇治市における水筒へのパラコートの混入とか、三重県津市における紙パック牛乳へのパラコート混入、こういう場合には内容物の色が変わっておるというようなことにかなりの関係者の方が気づかれまして、この着色の効果として事件の発生を未然に食いとめるような機能もできたというようなことでございます。  さらに改善というか対応しようということで、本年の二月からでございますが、パラコート除草剤であることが識別できるようなかなり特徴のあるにおい、着臭化をいたしまして、これを本年の二月十五日に登録をしまして、こういう面で製剤としての誤用あるいは他目的の使用、これをできる限り防止するような努力を薬剤そのものについて改善をしてまいっております。  なお、先ほど申し上げましたような局長通達等による販売管理、使用面、こういう面での指導をあわせて行っている次第でございます。
  149. 水谷弘

    ○水谷委員 それから、ちょっと角度を変えますが、今までパラコート剤はどういうところで販売されてきたのか、その辺が明らかになっていきませんと今後の問題に対応できないわけでありますけれども、どのようなところで販売してきたか掌握をされておりますか。
  150. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 これは一般に、農薬取締法の規定に基づきますと、農薬の販売業者は都道府県知事に届け出をするということが義務づけられております。  そういうようなことでございますので、販売業者は全部届け出を要するわけでございますが、農薬全体を通じて見ますと、流通の経路としましては、メーカーから蔵出しされたものが特約店を通じて小売店へ流れて、小売店で生産者に販売される。もちろん、特約店から一部農協系統に回るものもございますが、こういう経路が一つと、それから、これはいわゆる農協系統販売でございまして、メーカーから蔵出しされて全農、経済連、それから単協ということで、農協の店頭で生産者に販売される、大体こういうような二つの系統があるわけでございます。  パラコート除草剤の場合についてこれを概略見ますと、最初に申し上げました特約店、俗に言う商系販売でございますが、これの割合が大体六割ということでございまして、全農系が四割、こういう割合でございます。末端のいわゆる小売段階で見ますと、生産者が買う段階で見ますと、商系の小売店が二七%、農協の方が七三%、こういうシェアを持っておりまして、先ほどの特約店、全農の段階とシェアが違いますのは、特約店の系続から農協へ薬剤が売られるというものが相当ございますので、農協の方のシェアが小売段階では七三%になっている、こういうようなことでございます。従来では、そのほかに一部園芸店でも販売される、こういうようなこともございます。  こういうことでございますので、これらの流通形態に着目した対応が必要でございまして、先ほど来問題になっております他目的使用の事故防止という面では、園芸店などでの取り扱いを行わないよう指導するということ、それから、販売業者に対しましては、販売帳簿への記載、そういう手段を活用いたしまして農業者向けに限定して販売するということで指導してまいりたいと考えております。こういうようなことでございますので、いわば流通経路の再点検ということが必要になってまいりましたので、現在一時出荷を見合わせておるというような状況でございます。  なお、厚生省の方では毒物劇物取締法に基づく流通管理は別途行われておる、こういうことでございます。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  151. 水谷弘

    ○水谷委員 今の答弁の中に、一部園芸店というのがございました。現実に種屋さんの店頭でほかの肥料と並べてパラコート剤を売っておる。それを買おうとしたら、さしていろいろな身元の確認とかそんなことはなく、拇印でも結構ですよというような形で売られておった、最近の例のようでございますけれども。  現実にパラコート剤がこれだけ大変な問題を起こしている中で、今これにどういうふうに対処しなければならないか。一つは、パラコート剤そのものをどうするか、もう一つは、流通をどうするか、いろいろ議論はあろうと思いますけれども、大きく分けるとその二つ。  そこで、現在の農薬取締法または毒劇法における取り締まりの中で、私は、やはり流通、いわゆる販売、保管という流れの中でもっと徹底した対応をしていきませんと、これは国民からあんなものはなくしてしまえという議論が起きてこざるを得ないだろう、こういうふうに考えるわけです。スーパーだとか園芸店だとか、こういうところには本来、物が置かれていること自体が問題でありまして、販売できるできないの問題ではなく、そこに既に物があること自体が大きな問題であるわけです。  そこで、実際に毒劇法の所管であります厚生省、きょうおいでになっておると思いますのでお伺いをしますが、いわゆるパラコート剤は毒物に指定されているわけです。四十年の当初は劇物でありました。しかし、たび重なる誤飲または自他殺、いろいろな事故が発生してきて、昭和五十三年ですか、これが毒物に指定をされたわけであります。  そこで、パラコート剤は、この毒物及び劇物取締法における製造、流通、販売、各段階においてどのように取り締まりがなされているのか。直接は農水省でありますが、厚生省に、これに対してどのように今日まで対処してこられたのかお伺いをしたい。
  152. 渡辺徹

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  パラコート剤は、先生指摘のように、現在毒物劇物取締法上は毒物に指定されております。  この毒物劇物取締法では、毒物劇物につきましては流通から保管までいろいろな規定があるわけでございますけれども、特に、まず製造業者、輸入業者、毒物を取り扱いますこれらの業者は登録の義務が課されておる。それから販売業者につきましても、卸、小売店ともに、これはやはり都道府県におきまして販売業の登録をする必要がある、こういう形になっております。さらに、毒物の販売の際には譲渡手続が規定されておりまして、例えば購入者の住所、氏名並びに捺印をする、こういう譲渡手続が義務づけられております。そのほか、交付に当たって、毒物の取り扱いに不安のある者、例えば精神病の方には交付しない、こういう規定があるわけでございます。  私ども、この毒物の取り扱いにつきまして、各都道府県に約二千七百名の毒物劇物監視員というのが配置されておりまして、この毒物劇物監視員が直接的にはただいま申し上げましたような毒物劇物取締法上の遵守規定を守るようにということで指導をいたしておりまして、毒物劇物取締法に違反した場合には行政処分するというような行政的な措置も必要に応じて行っておるわけでございますが、このパラコート剤につきましても、他の毒物と同様に現在申し上げましたような毒物劇物取締法上の規制を行っているということでございます。  特に最近このパラコート剤につきまして、清涼飲料水への混入、それから先ほど先生指摘ございましたが、このパラコート剤が自殺に使われるということで昨年は三百三人の自他殺の事故例もあった、こういうようなこともございまして、実は先般来数次にわたりまして、各都道府県の薬事担当者に対しまして私ども直接、一つは、今申し上げましたような毒物劇物取締法上の各種の遵守規定をさらに販売業者あるいは製造業者に徹底指導するようにという指示をいたしました。  また、中でもその販売に際しての手続でございますけれども、毒物劇物取締法上は氏名、捺印ということで規定されておるわけでございますけれども、今般のような大きな社会問題になっているというようなこともございまして、私ども特に購入者の身元の確認を徹底して行うようにという指示を先般来いたしておりまして、この点も毒物劇物監視員を通じまして販売業者に対して指導をするということにいたしております。  それから、この私どもの指示に基づきまして、各都道府県におきましては、例えば販売業者等関係業者の団体に対する講習会を開く、あるいは特にパラコートを取り扱っております販売業者等に対して重点的な監視指導を行うというようなことを既に行っているところでございます。  さらに、私どもといたしましては農林水産省とも協議をいたしまして、先ほど申し上げました購入者に対する身元の確認あるいは使用目的の確認ということを励行させる、あるいは販売業者におきます在庫量、取扱数量、販売数量というようなものの記録を十分に行わせて、紛失あるいは盗難防止のチェックをする、また保管管理を徹底する、こういう指導をさらに強化する。  それから、実は毒物劇物取締法上は、農家のようなこういうパラコート剤を業務用として取り扱う者に対しましては業務上の取扱者という規定がございまして、この業務上の取扱者は末端のユーザーであってもこの保管管理等の義務を持っている、こういうことでございますので、この点、農家等におきます業務上取扱者としての義務についても、農水省とも協力をさせていただきまして周知徹底を図るということで、文書等を発行するというようなことを考えているところでございます。
  153. 水谷弘

    ○水谷委員 厚生省ちょっとお伺いをしますが、このパラコート剤に関してだけでございますけれども、パラコート剤だけの監視員じゃなくて、毒物劇物監視員が全体で二千七百、こういう体制を組んであるということでございますが、過去においてこの行政処分の対象になったものはあるのですか。
  154. 渡辺徹

    ○渡辺説明員 この毒物劇物の販売業者あるいは製造業者に対する立入検査、例えば立入検査数で申しますと、五十九年で全国で約八万八千カ所行われているというようなことでございます。  行政処分につきましては、特に都道府県において販売業者については行政処分を行っております。これは、行政処分と申しましても営業停止から設備の改善命令、そのほか始末書の徴収といろいろな段階があるわけでございますが、製造業から販売業者、それから先ほど申し上げた業務上取扱者まで、昨年いろいろな行政措置をとりました数が五千二百七十件ということになっております。ただし、これは先ほど申し上げたように、業務停止というような重いと申しますか、そういう行政処分から設備改善命令という行政措置までをすべて含めての数字でございます。
  155. 水谷弘

    ○水谷委員 毒劇法の第七条には、いわゆる小売店、店舗であってもそこには毒物劇物取扱責任者がいなければならないという規定があるわけでありますが、いろいろな実態を調べてみますと、またいろいろな情報によりますと、園芸店だとか一スーパー、そういうところにまでこのパラコート剤が置かれている。そこに、どう見てもそういうようなしっかりした取扱責任者などいようはずがない、そういう実態がたくさんあるわけです。  特に今後の対応として厚生省にお願いしたいのは、そのようなスーパーとか小売店、どこから見てもその取扱責任者がいないような店、そういうところについては厳重に立入調査を行って、そのようなところに流通しないように徹底した対応をしていただきませんと、今後ますます多くの問題を起こしていく、その温床になると私は思うのであります。特にそれを御指摘をしておきたいと思う。  それから、農水省と厚生省ともどもにお願いをし、またしっかり対応していただきたいと思いますのは、冒頭の農蚕園芸局長の答弁の中にございましたように、いわゆる無登録のパラコート系の除草剤、これは国内で生産をされているもの、または台湾、韓国あたりから輸入されているもの合わせて十数種類のものがあると言われております。先ほど非農耕用として流れているものが、局長の答弁ではあぜ道とかそういうところの農薬として散布した対象が非農耕地、そういうものが一七%程度と言われておりますけれども、実際に流れているパラコート剤全体の中で三分の一ぐらいはいわゆる非農耕用のものであるというような調査等も伝わっております。  そうなってくると、正式な流通の流れ、毒劇法それから農薬取締法でぴしっと察知できる範囲内において使われている、流れているパラコート剤については、私はそれは現状においても安全管理はかなり厳しくされていると思う。しかし、そうではない、どこで製造されて、どこでそれが流通段階に乗って販売されていて、どこの店で売られているかわからない、これらのものについて、農水省はもちろんですけれども、厚生省も、これだけの重大な問題が起きているときでありますがゆえに、徹底した調査をぜひやっていただきたい、そして御報告をしていただきたい、どういう実態になっているか。  厚生省の立場とすれば、毒物に指定されているパラコート剤が、明確に登録されたものでなければ市場に出てはならぬわけです。その責任があるわけでありますから、それをしっかり行っていただきたい。このことをひとつお答えをいただきたいと思います。
  156. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 農薬につきましては、農薬取締法においてすべて登録を義務づけておりますので、無登録農薬の製造販売についてはもちろん法律違反でございまして、私ども取締法の実効上、こういう問題については一番力を入れるべき問題でございますし、ましてや今のようなパラコート製剤関係のものになりますと、大変な重大な影響を持ちますので、この点についてはこれまでも無登録農薬の取り締まりに努めてまいりました。  特に、こういう事故が起きましたことに対応いたしまして、今先生も御指摘ございましたが、農薬検査所あるいは病害虫防除所も動員いたしまして、この実態のとりあえずのいわば調査、この実態をよく把握をいたしましてこれらを防止するという対策をとりたいと思っておりまして、現在この関係の調査実態の把握に努めておるところでございます。  なお、これに基づきましていろいろな実際上の対応が必要となってまいると思いますが、まずこれらの実態把握については、御指摘のございましたとおりに早急に実施をいたしたいというふうに考えております。
  157. 渡辺徹

    ○渡辺説明員 私ども厚生省といたしましても、先ほども申し上げましたように、今般の一連の事件は大きな社会問題となっておりますので、パラコート剤の取扱業者に対する重点的な立入検査を徹底して実施してまいりたいと思います。
  158. 水谷弘

    ○水谷委員 農水省に伺いますが、ここのところ頻繁に犯罪に使われているパラコート剤、これは何年に登録されたパラコート剤が主に使われているかおわかりになりますか。
  159. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 パラコート除草剤について、嘔吐剤を混入しあるいは着色しあるいはにおいをつける、こういう措置を実施しておることは先ほど申し上げたとおりでございますが、現在までに犯罪に使われておりますもの、これがどういう由来のものであるかということにつきましては、私どもの感じとしましては、まず着臭されているものについては、これは現在も従来も着臭されたものは使われたという実態はないと承知しておりまして、ことしの二月以前に登録を受けました着臭のないものが使われている場合がある、また、先ほどお尋ねのございました無登録のパラコート除草剤が一部流通している実態があるというふうなことがどうもあるようでございまして、これらの実態把握に努めているわけでございますが、これがどうも犯罪目的にも使われておるのではないか、こういうようなことでございます。  実際上はいろいろございましてどこの会社の製品というふうには言えませんけれども、まず登録を受けているものについては着臭前のもの、それとやはり非常によくないことでございますが無登録のものが使用されている、こういうようなことがあろうか、かように考えております。
  160. 水谷弘

    ○水谷委員 これは使われている、使われていないということもありますけれども、いわゆる原則論として、これは登録三年、再登録三年有効期間というふうになっております。登録ごとになっているかどうかわかりませんが、催吐剤を入れるようにした、または着色、そして今度は着臭ということで、パラコート剤が非常に大変な毒性を持っているために、少しでも誤飲または悪用された場合に未然に危害を防ぐということでいろいろな苦労をしてこられたわけであります。  そして、六十年二月十五日に再登録がされた、そういう場合に、それ以前のものというのは、これは登録そのものは生きているんですか、生きてないんですか。
  161. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 これにつきましては、今お尋ねのございました三年なら三年という登録期間が満了する以前の状態においては、例えば着臭でございますと、以前の着臭されない状態で登録されました農薬が依然として法律上はその登録が有効である、こういうようなことになるわけでございます。
  162. 水谷弘

    ○水谷委員 ということは、再登録をされた場合、その再登録をされた成分のパラコート剤しか登録農薬として認められないということになりますな。
  163. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 従来のにおいのない状態ならにおいのない状態で登録されたものは、その登録期間が切れますとそれでもう登録の効力がなくなりますので、また再登録されるということは私ども考えておりません。したがいまして、期間満了とともに法律上は登録が無効になる。したがって、製造、流通できない、こういう状態になるわけでございます。
  164. 水谷弘

    ○水谷委員 そういうことになれば、農薬取締法の第九条第四項で「当該農薬を防除業者その他の農薬使用者から回収するように努めるものとする。」こうなっておりますが、それ以前のパラコートについては回収に努めていらっしゃるのか、どの程度回収をされていらっしゃるのか。これだけの問題が起きているのですから、各方面に行政指導をするなりして、そういう以前のパラコート剤については徹底して回収すべきである、私はそう考えるわけでありますが、どのように取り組んでおられますか。
  165. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 今先生の御引用になりました農薬取締法の条文は、これは、形式論的また書生論的で恐縮でございますけれども、一たん販売が禁止された状態の場合にその回収に努める、こういうような規定でございまして、着臭される以前の状態で登録されて、登録期間がまだ有効なものについては直接この規定は働かないわけでございます。  しかし、回収という問題になりますとやはり影響が非常に重大でございますので、私ども、着臭剤が添加されていない旧製剤、前の製剤については流通段階での回収に努力しておるわけでございまして、現在関係業者の指導をしておりますが、この冬に入りましてパラコート除草剤のいわば使用期が一たん切れる、まあ冬は余り使いませんので、終わりますので、次の春にかけましての来シーズンから使用されるパラコート除草剤についてはすべて着臭されております新製剤になるように、今そういう方向で業者を指導し、努力してまいっているところでございます。
  166. 水谷弘

    ○水谷委員 時間が大分迫ってまいりましたので、結論的なことについてお伺いをしておきたいと思います。  ずっと今まで現在のパラコートのいろんな問題について指摘し、答弁をいただいたわけです。確かに現在のパラコートが日本農業に果たしている役割は大きな役割を持っている。今いろいろ各方面から指摘されているように、一たび人体に入ると、わずか杯一杯、十二、三ccで致死量に至るという大変な毒性を持っているパラコート剤、これが有用な除草剤として位置づけられて今日まで来ております。  しかし、どんなに有用な除草剤であっても、これだけの猛毒性を持っておるものについて将来にわたってそのまま続けていくという考え方国民から御納得はいただけない。毒物指定をして既に七年たっておる。毒物に指定したという時点で、もう既にこれは大変なものだという位置づけがなされていた。それから今日まで七年。新しい除草剤、同じ効用と、またコスト、取り扱い、いろいろなものでパラコートにかわるべき新しい除草剤を見つけるのは大変かもしれないけれども、新たな除草剤の開発について積極的に取り組んでいくべきである。現在の農薬として優等生であるからということではなくて、これだけの指摘をされている以上、最大限の努力をしてこれにかわるべきものを開発する、そういう取り組みがどうしても必要だと私は思いますが、これについてはどのように取り組んできたか、また、今後どういうふうに取り組んでいかれるか、お伺いをしたいと思います。
  167. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 パラコート製剤のいわば農薬としての有効性と申しますか、これは初めの方でお答え申し上げたとおりでございますので、これに匹敵するというか、機能を持ちつつ、同時にまた安全性なり一般的な使用という面でも非常に危害の少ないようなものを開発するということは大変難しいことでございますが、今先生の御指摘のような問題意識からしまして、私どもとしてもこれから開発という努力をするという考え方を持つべきものである、かように考えております。  御承知のように、農薬の開発というのは、もとになりますいわゆる原体の化合物をつくり出す、それからその毒性なりの試験、反面有効性も確認する、こういうことで、大変長い期間、相当の投資を必要とするわけでございますが、従来も私どもの行政の一つの分野としまして、新しい、より有効かつ安全な農薬の開発ということは取り組んでおります。こういう中に、パラコート製剤ないしそれに準ずるような除草剤の改善あるいは新しいものの開発につきましても、これからの問題としまして、こういういろいろな事故を機会に業界に対しましても十分な指導をしまして、開発に取り組むということにしてまいりたいと思います。  ただ、いろいろ総合的な観点からの試験を経まして実用化をするということでございますので、かなり期間を要しますが、やはりこれは取り組むべき問題である、かように考えておる次第でございます。
  168. 水谷弘

    ○水谷委員 いろいろな理由はあるし、困難な問題もおありになると思いますけれども、ぜひひとつ早急にあらゆる方面に働きかけて頑張っていただきたい。  そうしませんと、これだけ大きな問題が起きていますと、これは事実上使えないものにしてしまえという議論が起きてくる。しかし、冒頭私御質問をしながら明らかにしましたように、六千キロリットル、北海道から沖縄まで百万ヘクタールにわたってこれが現実に使われている、善良な農業者が農業用として一生懸命使っている、そこにおいては事故らしい事故はほとんど起きていない。それが悪用されたからといって、すぐ規制をかけてこれが事実上使えないものになってしまうということでは、何ら代替措置もなくてそういうことをしてしまったならば、大変な混乱と心配を巻き起こすことになる。農業者の側からの考え方を言えばそういうことになるのです。しかしながら、今度は一般的に国民的な立場に立ってこれを見ますと、そんな危ないものがあちこちにあったのでは困る、こういう御議論が起きるのも、これまたやむを得ない。  ですから、せめて農水省、現在の法規制の中ででき得る限りの対応をして、先ほども申し上げましたように無登録のパラコート剤についても徹底して調査し、その対応をする。登録をされている現在のパラコート剤については厳格な流通と保管、さらにはそれを使用される農家についても、これがもし人体に入った場合は猛毒なんだということも徹底的にPRをし、認識していただき、日本全国、パラコート剤というのは大変危険なものであるということをはっきりさせた上で万全の体制を組む。その上で、これでよしとはせずに、日本農村医学会が指定毒物にしろ、こういう決議までされている、そういう各方面の大変な御心配に対応できるような新たな除草剤を開発して、近い将来においてこれが市場からなくなることを私は希望するわけであります。そういう意味で、今後の万全の取り組みについて、最後に大臣の御決意をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  169. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 水谷先生にお答えいたします。  パラコート除草剤については、先ほど局長がいろいろ言いましたが、その適正な保管管理等安全対策につきましては、従来から農薬の販売業者及び農薬使用者に対する指導の徹底を図ってきたところでございます。  しかしながら、最近、パラコート除草剤が農薬本来の用途以外に使用される等の事態が相次ぎ、問題が生じていることから、先生指摘のようなことでございますが、特に実態を十分把握、調査いたしまして、今後都道府県、メーカー、販売業者及び使用者に対し、関係省庁とも十分な連絡をとりつつ、保管管理の徹底、あるいはそのPRに努めるということを指導しますとともに、安全対策上に。すぐれた除草剤、例えばパラコートの改良剤あるいは別の研究開発したいいものをつくるとか、そんなことで除草剤の研究の促進を図るなど、安全対策に強力に取り組んでまいりたいと思っております。
  170. 水谷弘

    ○水谷委員 ありがとうございました。
  171. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 武田一夫君。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 私は二問質問します。  最初に、ソ連の漁船の入港に伴う塩釜市の問題、これをちょっと水産庁にお尋ねします。  これまで二十八隻、塩釜に入りました。前にも私、その対策についていろいろとお尋ねをしたわけでありますが、そろそろその期間も間もなく終わろうとするときに、塩釜市としましては、これに対するこれまでのいろいろな財政的な問題で苦労してきたことを水産庁、国に何とか対応してくれというふうに申し入れをしてきているわけであります。  その内容は恐らく大臣にも水産庁長官にも行っていると思いますが、これまで市の方としましては、警備等の対策費として一千五十一万七千円、水揚げ減少による損失額として九千八十七万八千円、海上取り扱いの貨物量減少による損失額四百二十七万四千円、公共土木工事の工期延長による損失額として三百二十一万七千円、合計一億八百八十八万六千円、これは最小限の金額、これくらいはひとつ国の方で面倒を見てもらいたいということで具体的なものを持ってきたわけです。そのほかに商店街等のいろいろな売り上げの減少等々、実際につかめない苦労がたくさんあるということで、そういう方々に対する迷惑料というものもあるのでありますが、これはさておいて、今申し上げた内容のものを何とか手当てをしてほしいということでございました。  これについて、しかとその要望にこたえてもらいたいと思うのでありますが、水産庁、そして大臣の方でどういうふうにお考えであり、またどういう手当てをして、いつごろまでに関係当局にそのことを知らせることができるか、ひとつはっきりと聞かしてもらいたいと思います。
  173. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からお話がございました塩釜市の要望書は、私も篤と拝見をいたしております。  それで、まず私どもといたしましては、水産庁が抱えております漁港とか沿岸漁場整備とかそういう予算で、地元の御要望のある事項につきましては、今回ソ連漁船の寄港ということで御迷惑をかけておるということを念頭に置きまして、御希望に沿うようできる限りの善処をしてきたところでございます。  それで、ただいまお話のございましたようないろいろな塩釜市としてこうむっておられる迷惑を補うためにどういう措置を講ずべきかということにつきましては、私どもとしては、地元の御要望をよく伺って、関係の省庁とも相談をいたしまして、可能な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。しかしながら、現在のところ塩釜市の方の御要求の主体をなしております、こういう形で迷惑を受けたのであるから使途を特定しない迷惑料的な性格の金を用意をせよというお話があるわけでございますが、この点につきましては、財政上のルールや先例から見まして、この種の性格の金を用意するということは極めて困難であるというふうに思っております。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 今私が金額を申し上げたのは、市が最小限試算してかかった金額でありますから、これさえもどうしようもない、はっきりできないとすると、これは一年限りという約束でありますからね。これは一年限りで、塩釜は来年は安心して、こういう迷惑なことはないようなそういう市になる、こう言っているわけでありますが、この次またいずれどこかで貧乏くじを引くところが出てくるのでしょう。  何かきょうの新聞を見ると、どうもソ連は複数化を迫ってくるのではないかということですからね。一港でなく二港などと言われますと、はっきりしたやはりそれだけのものを手当てをしてやらぬと、迷惑ばかり大きくて、市長を初め多くの皆さん方の苦労というのは並み大抵でないということになりますと、だれも引受手がいなくなったときにどうするか。こういう日ソ間のいろいろな問題の大きな火種にもなりかねないのではないかと思うと、塩釜が、本当にこういうことをしっかり我々のところにやってくれて、次のそういう当番といいますか、寄港地となったところの方々がやはり安心してそれを受けられる、そういう条件をつくってもらうということが大事ではないか、こういうふうに話もしているし、私もそう思うのでありますから、この問題については私はしっかりと努力をして、ほかの省庁という話なんかよりもやはり水産庁として、農林水産省として主体性を持ってこれはやらないといけないと思うのですよ。  自治省の方に相談するとかなんとかと言っても、自治省では自治大臣は特別交付税などというようなことではこれは金を出すわけにいかぬ、こういうふうに答弁しているわけでありまして、こういうことを持ってこられても困るとちゃんとくぎを刺しているわけですから、大臣しっかりとこれは今年のうちに、来年になるといずれにしても慌ただしいのですから。十二月の臨時国会が終わる十四日あたりまでにある程度具体的なものを市の方に示してやらぬと、これは食い逃げされるとまた騒ぎになるのじゃないかと思う。この間のいわきの場合は初年度でいろいろとわからないこともあったかもわからないけれども、もう二年目ですから、ここでまだわからないといってごじゃごじゃされまして変なことになったらもう大変だ、そういう一つの問題を抱えているわけですから、この点しっかりやってもらいたいと思うのですが、大臣いかがですか。
  175. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 先ほどもちょっと申し上げたことでございますが、塩釜市につきましては、本年ソ連漁船の寄港をお願いをしておるという特殊な事情を考慮いたしまして、漁港につきましても、水産物流通加工拠点総合整備事業にいたしましても、新治構あるいは運輸省の港湾整備、すべて地元の御希望のとおり予算上の対応はしたわけでございます。  そういう意味で、特定の事業と結びつかない、使途を特定しない金を用意しろという御要望には大変おこたえしにくい事情でございますが、それ以外の制度に乗った予算で対応できる分野につきましては、市の御要望に全面的におこたえをすることによって、御迷惑をかけておるという事態に対する私どもの気持ちをあらわすような行動をとったつもりでございます。  それで、そこから先のことになりますと、これはソ連漁船の寄港と、それからそれに反対して活動をされる団体の皆さんの行動と、その結果生ずる市民の日常生活上のいろいろの御不便というような問題をずっとつないでまいりますと、これは水産行政の分野を超える問題になってまいるわけでございます。その点につきましては、関係各省庁と御相談をしながらということで対処をさせていただかざるを得ないということはひとつ御理解を賜りたいところであるというふうに思っております。  それから、そういうことと関連をいたしまして、これで塩釜は終わりだなというお話がございましたが、一九八六年の問題につきましてはこれからソ連側と協議をする時期が近づいておるという現在の段階でございますので、予断を与えるようなことを申し上げることは控えさせていただかなければならないわけでございますが、塩釜市のお考えは十分念頭に置いて対処するつもりでございます。
  176. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 武田先生にお答えします。  先ほど水産庁長官の言ったとおりでございますが、先生のおっしゃる意味はよくわかります。というようなことでございまして、この塩釜というのは、本年一月の日ソ漁業委員会において難航した交渉の局面打開のために、やむを得ず六十年からの措置として塩釜にお願いしたというわけでございまして、先生おっしゃる意味はよく御理解できるものですから、我が省といたしましては最大限の努力をいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  177. 武田一夫

    ○武田委員 地元は懸命に誠実にこたえたわけですから、やはり誠実に、懸命に、一生懸命こたえて、そしてぎりぎりまで心配をかけることのないような措置をしてもらいたい。これはお約束できますね。大臣、どうですか。
  178. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先ほど水産庁長官がお答えしたとおりでございますが、先ほど私申し上げたとおり、先生のおっしゃる意味よくわかりますので、最大限の努力をいたしたい、こう思っております。よろしく御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
  179. 武田一夫

    ○武田委員 その結果によってはこの次の、来年の問題というのはまた大きくトラブルを生むようなことになる心配もあるわけですから、そういうことをしないようにひとつ頑張ってほしいと思うのです。  それから、これはこれくらいにして、それじゃもう一つ聞きたいのですが、これは米の問題ですからたくさん時間をとったときにまた改めてやりますが、ちょっとだけ気になることがある。  それは、去年、ことしと豊作であった。だから、減反緩和の分は上積みして六十万ヘクタール減反する。何だか天候が悪ければ云々、よければ云々というようなことでふやしたり削ったりするというようなことであれば、農家の皆さん方はどういうふうにしたらいいのかということで大変な問題だと思うのですよ。減反した分をどうするのだ、転作する、何をやるのだ。今のところは、来年もまた天気がよくて豊作であろうということが前面に出ているけれども、それではその前の前、八二のときがありましたね、大凶作のとき。ああいう事態になったらどうするのだということです。そういうことを考えれば、天候によって一喜一憂するような米の減反云々という考えは、まことに農家にとっては迷惑千万だと思うのです。  まして、第三期以降というのは間もなく来るわけですよ。ですから、今回の措置は第三期以降と関係を持ってくると思うのですが、農家の皆さん方の、特に稲作農業によって生活している方々の実態をよく知った上でやるのが重要だと私は思う。農業団体の皆さん方は、大臣の、ことしはどんなことがあっても減反面積はまずふやさない、現状維持であるという言葉を信じたのですね。いつでしたか、大臣が閣議の後で話したことが新聞に載っていましたね。心から信用申し上げていましたよ。大臣よりも食糧庁長官の方が偉いのかといつも私は聞かれるのですよ。お役人さんの言うことであの立派な大臣が自分の公にしたものをくるっと変えるというのは、食糧庁の皆さん方というのは相当の権力を持っているのかと言われるのですが、そういうことではいかぬと思うのです。大臣はどういうふうに考えるのか、その点農家の皆さん方にわかりやすく説明してくださいませんか。説明さえ聞かせてもらえれば、きょうは時間がないからどうこうするというような余りしつこい質問はしないつもりですが、御所見を聞かせてください。
  180. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 昭和六十一年度の転作等目標面積の決定に至りますまでに、私ども今武田先生のお話の中にございましたいろいろな点を十分考慮しまして検討したわけでございます。  特に、転作の推進という面から申しますと、面積を安定して推移させるということが建前でございますので、第三期対策としましては六十万ヘクタールということで出発し、昨年二万六千ヘクタールの、いわゆる私どもの言葉で言う微調整を加えたわけでございます。  これにつきましては、昨年特にこの決定時期に至りましてむしろ作柄はだんだん上がってまいりまして、最終的にはこの決定当時で一〇八というところまでの作柄が判明しておったわけでございますが、そういう状況のもとでも微調整が必要だとしましたのは、昨年の場合特に他用途利用米の定着を図ることとの関連でこの調整が必要であろう、こう考えた次第でございます。     〔島村委員長代理退席、玉沢委員長代理     着席〕  今年につきましては、今お話のありましたような安定的に推移させるという点、反面、全体的な米の在庫状況から見ますと、二年続きの豊作によってかなり回復しておりますし、第三期対策そのものに、もともと平年作であれば毎年四十五万トン、そのくらいの積み増しも組み込まれているという事情、それから他用途利用米の場合には、昨年いろいろな経緯がございましたが、おかげさまで六十一年にかけては希望も多いというくらい相当定着してまいりましたので、これらの事情を勘案しますと、昨年、さらにまたことしも変えるということは確かに望ましくないと言えば望ましくないわけでありますが、第三期対策以後の展望も含めて考えますと、この際、原則目標面積である六十万ヘクタールというところで対応するのが一番妥当なところであろうという結論に達したわけでございます。  なお、その間いろいろ財政当局方面の意見なり、ざっくばらんに申しまして農林水産省の中でもいろいろな観点からの検討をいたしましたし、またその途中で大臣の御指示を仰ぎましていろいろ検討したわけでございますので、その間若干紆余曲折を経たような感じを持たれましたことは大変申しわけないことと私ども思っておりますが、全体としては今申し上げましたような諸点を勘案しまして、この際、原則目標面積でいくということが妥当であろうという結論に達した次第でございます。
  181. 武田一夫

    ○武田委員 農家の皆さん方に言わせると、その日暮らしの米政策では困るわけです。だから、私さっき言ったように、来年、ことしと同じように一〇八くらいになれば確かにかなりの数量、倉庫に二百七十万トンくらいですか、けれども、それだけが前面に出てきまして、それじゃ五年前の大凶作だった八七のときどうなのだ。三、四十万トン程度に落ち込んでしまう、そういうふうなことになって、特に最近は作柄の予想というのは非常に揺れが大きい、ぶれが大きいでしょう。ですから、そういうことを考えますと、天候との闘いでなかなか難しいと言うかもわからぬけれども、もう少し先の読めるような稲作農業を展開していかぬといかぬのじゃないか。  だから、六十万ヘクタールで抑えるなら当分このままでいく、転作作物だってもう限界に来ているのでしょう。その中で辛うじて大豆やえさくらいが何とかなるとなれば、そういうものをしっかりと見きわめた対応をこの際、三期以降にやるなどと言わないで、あわせてそういうことも考えた上での配慮をしてあげないと、農家の人たちは仕事が手につかないと思うのです。その点、大臣どうお考えですか。これは重大な問題であって、これからの農業の中でこんなにしょっちゅう天候に左右されるようなことであってはいかぬということを強調して、大臣考えを聞きたいのです。
  182. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先ほど農蚕園芸局長の答弁したとおりでございまして、水田利用再編第三期対策は基本的には二つの面を持っております。一つはゆとりある米管理の確保、それからもう一つは三たびの過剰発生防止、この点に留意しながら、二年連続の豊作による需給事情及び他用途利用米制度が円滑に軌道に乗ってきた、こんなことを考慮しまして原則目標面積の六十万ヘクタールとしたのでございまして、特成の御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
  183. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたのでこれはまた改めてじっくりと質問したいと思うのですが、いずれにしましても日本の食糧自給率は世界でも本当に珍しいくらい落ち込んでいる。本当に悲しいわけです。私もいろいろ聞いたら、食糧自給率が一番落ちているのは日本ですよ。二十年間に食糧の自給率が落ちているのは、ポルトガル、日本、アンゴラ、レバノンしかないのだそうですね。レバノンとかアンゴラというのは、戦争や飢餓の慢性的なところです。先進国の農業国である日本がそういうようなことを自慢できるものではないでしょう。  そういうことを考えますと、やはり今日本がやることは、日本の基幹産業としての農業の中での米作農業というものをしっかりと確立しながら、それに見合う、また即必要なもの、そういうものをどのはうに手当てをしたらいいかという物の考え方をもう少し明確に打ち出してやって、戸惑いなく農業に励めるような対応をしてほしいな、私はこれは要望をして、きょうはもう時間がないのです、たった二十七分の中でやるわけでありますから。この次はじっくりこの問題をまたさせていただきますが、その点だけを要望して終わりたいと思います。  私は、大臣、もう一期か二期やってもらいたいと思うんですよ。一番勉強家でありまして、最近の大臣の中では特に農業に熱心でございますから、ここまで来たんですから、この際延長しまして長くやっていただく中で、第三期以降もひとつ懸命に日本農業の再建のために頑張ってもらいたいという願いを込めて、私は要望するわけでございます。  以上で私の質問を終わります。
  184. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員長代理 菅原喜重郎君。
  185. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 きょうは、大臣林野庁長官出席を求めての質問でございますが、お二人には全く御苦労さんでございます。  まず、構造改善局の方から質問をさしていただきたいと思うわけでございます。  十年以内あるいは前後に何としてでも日本農業をEC並みの水準に高めていきたい、こういう一つの願いを込めて私たちは農政にいろいろな進言をしているわけでございますが、しかし、EC並みの農業の基盤は、何といいましても合理化、機械化あるいは水が自由に使える管理体制、かんがい排水の体系化、そういうことを整備しないわけにはいかぬわけでございますが、現在のこの基盤整備の進捗率はまだ四〇%以下でございます。  また、再三申し上げるわけでございますが、第二種兼業が水田の六〇%も所有しており、その第二種兼業の七割がもう五十歳以上という老齢化、さらに二割は後継者難にも悩んでいる、こういう事態を見ますと、本当に十年後には、農業そのものを、基盤整備を早く推進しないと内部から耕作ができなくなる、耕作を放棄せざるを得なくなる、そういう事態が予測されますので、基盤整備の促進は焦眉の急だと私は感じ、その進展に対しまして、現在の状態の進捗率を危惧しているわけでございます。  さらに、今国が赤字でございますから、今までの補助金行政を一層強化するといいましてももうこれはできない算段でございます。しかし近代化のためには農業投資を二、三倍にふやさなきゃならぬ、こういう矛盾の解決のために、融資行政をもっともっと真剣に考えるべきだというようなことも申しているわけでございます。  さらに、この基盤整備には、国と地方自治体とが一体になって、一〇〇%、強制執行をかけても緊急事態が予測される将来のためにこれを執行しろということを申し上げているわけでございますが、今この農地開発事業を見ますと、本当に直接これに携わっている農民の側からも、なぜこのように進捗がおくれているのか、これを促進していただきたいというような陳情もまた参っているわけでございます。  各地におけるこれらの事業は、これは予算の制約もあるとは思いますが、やはり予定より大幅におくれているのが実態でありますので、ぜひこの営農計画を円滑に進めるための努力をしていただきたい。そして本当にやる気のある、これからの農業を担おうとするところの生産意欲のある農民に対して、その意欲減退を招かないように六十一年度予算においても的確な措置を講じていただきたい、こう願うわけでございます。  つきましては、このことにつきまして現在の状況と、今申し上げました六十一年度への措置ということ、それから将来展望ということに対しまして質問するわけでございます。ひとつお答えを願いたいと思います。
  186. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 農業基盤整備事業は、ただいま先生指摘のございましたように、食糧の自給力を強化し、かつ国際競争力をつけるための最も基礎的な条件の整備を進める事業でございます。私どもも、第三次土地改良長期計画に基づいて鋭意努力しているところでございます。  しかしながら、五十五年以降、公共事業全般につきまして事業費予算の伸びがほとんど横ばいないし減少という状況のもとでございまして、はかばかしい伸びを見せていないことは事実でございまして、まことに遺憾に思っている次第でございます。  特に、ただいま先生のお話のございました農用地開発事業、それから開拓地整備事業、これらの事業につきましては、それぞれの地域におきまして本当にやる気のある農家にとっては、規模拡大のまさに一番の確実な手段でございまして、大変厳しい財政事情のもとではございますけれども、私ども、来年度予算におきましても何とかその必要な所要額を確保するように努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  187. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらにでございますが、開拓地整備事業につきましても、もう既に戦後政治の総決算だというようなことを総理も口にするようになった現在でも、開拓地の整備事業は、戦後の総決算どころか、この事業そのものがまだ現在の進捗率を見ると全くおくれているわけでございます。この促進についても要望するわけなんでございますが、状況と今後この事業の進捗に対する心構えのほどを、ひとつお聞きいたしたいと思うわけでございます。
  188. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 開拓地整備事業は、旧制度開拓が専ら戦後の緊急な事態に対処するための事業であり、そのために、道路等については人力あるいは畜力による輸送ということを前提にしている、それからまた、飲雑用水等生活面の配慮が必ずしも十分でなかったところから、旧制度開拓が終わりました四十五年以降においても、基幹的な道路それから飲雑用水の整備を図るために、四十六年以降、特に補完的な事業として、第一次計画といたしまして四十六年から五十年まで五百八十八地区、約百八十億。第二次計画といたしまして、五十年から五十四年まで五百四十九地区について四百八億。第三次計画といたしまして、五十四年以降六百三十八地区について約七百億の予算を見積もりまして、現在事業を実施しておるところでございます。  六十年度までの採択地区数は四百八十八地区、七六%になっているところでございます。来年度におきましても本年度とほぼ同じ額の予算を要求しているところでございまして、できるだけ早期にこの計画の達成を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  189. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 予算の問題と関連するので大変困難な事情はわかるわけですが、農地開発の面で、財投利用の特別会計による農地整備は、建設期間中の利息も、利益者、農民が負担するようなわけでございますので、本当にこういう事業は遅滞のないように、くれぐれも計画どおりに促進するように要望して、次に、林野庁の方に質問を移したいと思います。  まず、大臣に所見を伺うわけでございますが、私は、長い農村生活から、自然の管理あるいは荒廃というものは、油断なく対処しておりませんとすぐ報復があることを経験していますから、このことに関しましては特別に気遣いさせられているものであります。  今、国内の森林保全問題を考えますと、木材価格は需要の低迷もあり、このままでは将来が危惧されるわけでございます。しかし、森林問題は、日本ばかりじゃなくして地球的規模で森林が抹消されており、殊に熱帯雨林地域では毎年日本国土の三分の一ほども消滅しておる。エチオピアでは、七〇%あった緑地が四十年間に一〇%以下に消失し、飢餓の原因になっていることを見ますと、私たちは大変な時代へ突入しているという感を深くするわけでございます。  このため、森林行政への国民関心も、全地球内緑の防衛に関連するという国際的責任感にまで高めてよいものだと考えるわけでございます。幸いに今年は国際森林年でありますから、超長期的森林培養の絶対的な必要性からしましても、単年度でこれを終わらせるのでなく、二十一世紀につなぐ国際森林年の継続を日本政府として積極的に働きかけてよいのではないかと思っております。つきましては、このことに対する大臣の所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
  190. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたします。  先生指摘のとおり、本年は国際森林年でございまして、我が国としても各般の記念行事の実施等により積極的に取り組んでいるところでございます。その一環としまして、本年十月に横浜市で開催されました国際森林年記念シンポジウムにおいて横浜森林宣言が採択され、その中で、国連による「明日の人類のための森林の十年」を設定することが提唱されております。  農林水産省としましては、この宣言に至る参加者の熱意に敬意を表するものであり、国連食糧農業機関等国際機関及び各国関係機関に対しこの宣言紹介し、その趣旨について理解を求めていくこととしているものでございます。
  191. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 日本は押しも押されぬ経済大国になったわけでございます。と同時に、平和を愛好する民族としての大きな緑の防衛という使命も海外に宣揚してよいと考えるわけでございますので、この点に対する大臣の御努力をお願い申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。  日米貿易摩擦解消に係る関税引き下げによる合板関係企業の経営難は大変深刻になるものと予想されますし、また、私たちの地域にある合板企業も数次の人員削減を行っているわけでございます。  つきましては、アクションプログラムによる合板企業の実態はどのように変化するのか、また、その際合板産業への対応措置は具体的にどのように配慮されるのか、お伺いしたいと思います。
  192. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 合板関連産業が、大変長く続いております不況のために非常に体力が弱っておりまして、先生お話しのようなことがあったことと思います。  このほど決定をいたしました活力回復の五カ年計画におきまして、木材産業の体質改善のためにいろいろな手だてを講ずることといたしておるわけでありますけれども、その中には、原料転換を図る場合の設備投資への利子補給でありますとか、あるいは全く業をやめてほかへ転換するような場合の所要資金に対する利子補給でありますとか、そういう内容を含んでおるわけでございますけれども、これらをこの十一月の初めに決定いたしまして、現在、それらを整々と行っていくための計画づくりに着手をしておるところでございます。  そういう考え方につきまして、業界団体を通じまして個々の会社にも考え方が伝わるようになってございますので、会社として自分の会社の経営の方向をどう持っていくか、いろいろな措置とにらみ合わせて十分考えて決定をいただきたいと思っているわけでございます。
  193. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 森林林業木材産業活力回復五カ年計画、五カ年という期間の長いものでありますと、計画どおりになかなか進まないという過去の事例もございますので、できるだけ計画どおりに進展させることができるよう、私から要望するわけでございます。  次に、我が国における森林林業の中枢をなす国有林野事業経営改善計画のうち、組織、要員規模土地の売り払いについて質問したいと思います。  第一の組織については、これまで五営林局の支局化、十六営林署の統廃合を中心実施してまいり、本年度はさらに九営林署の統廃合を計画しており、今次改善期間にはさらに十営林署を統廃合することが明らかにされているわけでございます。  このため、我が党の方にも陳情を受け、私も現場の調査などもしているわけでございますが、この統廃合にただ反対のための反対ばかり言っていてもいけないなというふうに、営林署等の説明を聞き、また閣議決定でもあるという実態から、やはり私たちの態度もできるだけ実態に結びついた、今までの地方の経済阻害、あるいは地元振興を阻害する要因とか不利益になるようなことを生じないように、もしこの統廃合を進めるならそうさせなきゃならぬ、そういう判断をしてきているわけでございます。  本来、営林署は、地方自治体を初め地域経済との結びつきが密接なものを持っているわけでございますので、何といいましてもこれらの統廃合は地域社会の十分な理解と協力なくしては円満に実施できないものでありますから、ひとつ将来の林野機構のあり方、現在の要員補充の実態等を含めて、明確なビジョンを計画的に実施されるよう納得させる努力が本当に大切だ、こう思っているわけでございます。  ついては、今言いましたような観点から、一体、現場あるいは地域に対するこういう努力がどの程度なされているのか、あるいはまた地域の、地元の不利益が生じないように本当に配慮されているのか、この点をお伺いしたいと思うわけでございます。
  194. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 組織機構簡素化につきましては、国有林経営改善を進めていく上でどうしてもこれは実行しなければならない道程でございまして、そのために、経営改善計画の中にもはっきりとそのことを盛り込みまして計画的に実施をしていく、ビジョンというお話でございましたが、その計画の中に具体的にそういうものを盛り込んで進めることといたしておるわけでございます。本年度の九署は、現在の改善計画に示されております一部でございますけれども、本庁組織の改編、合理化等も改善計画に盛り込んだところでございます。  そのようにして進めておるところでございますが、いずれも大変歴史の古い役所でもありますので、地域社会経済に対する影響を極力緩和しつつ、従前からのいろいろな措置について、それをなるべく支障の生じないような形での統廃合を進めていきたいということから、本年度分につきましては今月の十八日に決定をいたしまして発表したわけでございますが、それから今日に至るまで、地元市町村に対しますいろいろな説明等を行っておりまして、理解と協力を得るよう努力を重ねておるところでございます。これまでにおきましても、地元のいろいろな要望につきまして、林業関係その他につきましてもできる限りの配慮をするように努力をいたしまして、統廃合におきます影響を緩和するような措置を考え実施をしてきたところでございます。     〔玉沢委員長代理退席、衛藤委員長代理着席〕
  195. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 関連するわけなんですが、地方自治体あるいは森林組合の労務班員や民間請負事業体における雇用労務者の育成確保。やはり林野庁としてもある程度仕事を回したり、こういう育成に対応する何らかのメニューがあってもよいのではないか、こう思うわけです。このことについてはどのように計画を進めようと考えているわけでございますか。
  196. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 民間の林業事業体、請負事業体でございますが、地域におきまして、民有林の仕事であれ、国有林の仕事であれ、それらを通じた地域林業活動を担う担い手といたしまして健全に育成されることが望ましいと考えております。  これらにつきましては、一般林政施策としていろいろな経営基盤の整備等をとるわけでございますけれども、仕事を発注する国有林野事業の側といたしましても、こういう事業体の健全な育成のためにいろいろな手段をとっております。  例えば事業体の登録制を整備しまして内容の充実を図るとか、あるいは仕事を計画的に発注いたしまして経営の安定強化に資するとか、昨今は国有林の場合も事業活動が縮小してまいりまして事業量が減少傾向にございますので、造林と生産をあわせて発注するとか、あるいは間伐の仕事を発注するとか、従業員の雇用安定に資するような仕組みを考えて、その地域に定着した事業体として健全に発展するように、国有林としてもいろいろお手伝いといいますか、そういう手段を講じてまいっておりますし、これからもそのようにしたいと思っております。
  197. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 当該市町村にとって、統廃合されても関連的な仕事の発注が地元の民間に増大するということになれば、これはそう大きな反対も出てこないのではないかなというふうにも現地に行きまして感じたものですから、このことに対してはくれぐれも今後関心を払って対応していくようにお願いしたい、こう思うわけでございます。  次に、総務庁の方にお伺いするわけでございますが、要員規模について、最盛期には八万八千人ほどもいたこの要員が、六十三年度末には四万大規模になるように計画されておりますが、現在林業に従事している雇用労務者の平均年齢は、国、民間ともに五十歳となっているわけでございます。また、政府は公務員の定員削減を計画しているわけでございますが、昭和五十九年度、昭和六十年度の実態はどうなっているのか、お伺いするわけでございます。
  198. 加納正弘

    ○加納説明員 お尋ねの点でございますが、昭和五十九年度、六十年度の国家公務員全体の定員削減数は、それぞれ五十九年度一万二百九十三人、六十年度一万二千四百六十四人となっております。この中で国有林野事業職員のウエートは、五十九年度一六%、それから六十年度一二%というふうになってございます。
  199. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、現在のまま推移していくとすれば、終戦後の一千万ヘクタールに及ぶ人工造林地がもうそろそろ伐期を迎える段階に入ってくるわけでございますが、この段階林業技術者が不足することは明らかである、こう考えるわけでございます。また、森林づくりは、これはやはり人づくりからも始まるわけでございまして、大学、高校の林業修了生は毎年四千人を超えておりますが、国の採用はわずか二百名足らずであります。こういう実態から、具体的に要員の育成確保、この一千万ヘクタールに及ぶ人工林の伐期を迎えた段階に果たして十分に対応できる計画を持って現在の定員削減を進めているのかどうか、このことを明らかにしていただきたいものだと思うわけでございますが、この計画はどうなっているわけでございますか。
  200. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 一千万ヘクタールの人工造林地が経営活動が盛んになってまいりますと、いろいろそれを担う担い手が必要となるわけでありますので、先ほど申し上げました林業事業体対策でありますとか一般の林政施策で重点を置いております担い手の育成確保の施策が重要になるものと思われるわけであります。  今の、先生御質問の要員関係の管理につきましては、国有林は当面は要員規模縮減が大変急務でございますので、新規採用の厳正な抑制を続けておるわけでございますけれども、国有林の永遠の管理を継続するために必要な要員につきましては、これは将来にわたって確保していかなければならない。現在は厳しい抑制でありますけれども、経営体質の改善とともにその辺についても考えていかなければならないというふうに考えております。
  201. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 やはり、ホワイトカラーの問題よりもブルーカラーの要員問題、これは本当にひとつ十分に、その事態に達したとき混乱のないようにひとつ対応方をお願いしたい、こう思うわけでございます。  次に、第三の土地売り払いについてでございますが、財政の赤字補てんという印象が強いわけでございます。土地売却は、文字どおり土地の利用、活用という原則でなければならないわけでございますが、本年度計画されている国有林の売り払い計画実施状況はどうなっているのか、明らかにしていただきたい。  特に、都内の高地価地域の売り払いが計画どおりに進まない理由はどんなことで進まないのか。聞くところによると、入居者を退去させて住宅公団等の集合住宅に転居させますと、宿舎法に基づく料金の差額を負担しているということでもありますが、売却が予定どおり進まなければその分は赤字の上乗せになる、こう思っておりますので、この点について御説明をお願い申し上げます。
  202. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林野事業会計の当面の財務事情からいたしまして、どうしても土地売り払い収入に相当程度依存せざるを得ない現状にございまして、そのために、保有する資産の見直しを行っておるところでございます。  不要となっているもの、将来とも保有する必要がないもの等につきましては、地域土地利用計画に沿った方向で売り払いを進めておるという現状でございまして、本年度の収入予定は約四百八十億円でございます。これは例年のことでございますけれども、やはり土地の処分のためにはいろいろと前提条件の整備等が年度前半に随分とかかりまして、最終的に年度後半、それも第四・四半期ぐらいに話がまとまって成約になるというのが例年の現象でございます。したがいまして、現在まで、九月末までの収入は六十五億円でございますが、例年のこの事務処理の型からいたしまして、これは第四・四半期に集中して契約できるものと考えております。  なお、都内の高地価地域のものにつきましても特におくれているということはございませんで、高地価地域でもありますのでいろいろ慎重な処理をいたしておりますけれども、特段におくれたということではございません。  さらに、そういう売り払いに協力をいたしまして宿舎を退去した職員につきましては、お話しのように家賃の差額の補てんという形で入居をしてもらっているわけでありますけれども、現在の要員事情などからいたしまして、これが将来持ち家の増加とか要員の縮減傾向等を考えますと、固定的な宿舎よりはむしろこのような形での対応をしておいた方が将来は有利ではないかと考えられますこと等もありまして、現在の対応をさせていただいているわけでございます。
  203. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ひとつ、今申し上げました危惧のないような取り進め方をお願い申し上げておくわけでございます。  次に、大臣にお伺いするわけでございますが、国有林野事業財政赤字は、私は、国鉄の場合とは根本的に異なるものであるというふうに考えているわけでございます。時間がなくなってきましたのでこの内容はるる申し上げませんが、一応大臣の、どうお考えなのか所見をちょっとお聞きしたいと思います。
  204. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 菅原先生にお答えします。  結局、先生の御質問は、国有林野事業の赤字原因はどのようなものであるかということだと思うのですが、二つございまして、その一つは、我が国林業全体を取り巻く構造的要因と、それからもう一つは、国有林野事業固有要因が重なり合って経営が悪化している、こう考えております。  実は、その林業全体を取り巻く構造的要因というのは三つございます。その一つは、昭和五十五年以降木材価格が下落、低迷していること、それから二つ目には、資源的制約から伐採量に限界がある、戦時中切り過ぎたということですね、そんなことで伐採量に限界があるということ、それから事業運営全般にわたりまだ改善途上にあること等が大きな要因だと私は思っています。  したがって、国有林野事業経営健全性を確立し、その使命を十分に達成していくためには、昨年六月に策定いたしました新たな改善計画に則し、一つは、事業運営能率化、もう一つは、要員規模縮減組織機構簡素化販売対策強化等自主的改善努力を徹底するとともに、所要の財政措置を講ずることにより、新たな改善計画に定める目標の達成に全力を尽くしてまいるということだと思います。  問題は所要の財政措置だと思うのですが、これは実は、御存じのようなことですが、国は非常に厳しいということで、なかなか一般会計からは導入が厳しい状況でございます。そんなことで、今皆さん方にお願いしておりますが、自民党を中心に、水源税などで新たな財源を確保したい、こういうことで努力しておるわけです。  私は、そういうこととともに、もう一つ、もっと国民的合意を得た金集めができぬだろうか、こんなことを考えています。これは例えば、現在日本国民は一億二千万ございますが、一人に一本の木を守ってもらえぬだろうか。この山というのは、先生御存じだと思いますが、水資源の涵養という非常に公益的な機能がございます。しかも、水というのは数十年かかって出てくる。そんなことで、我々の子供や孫に水を守ったらどうだろうか。そんなことで、実は私は、一人から一万円とした場合、利息を寄附してもらうわけです、十年。そういう形のものをすればかなり財源ができる。そんなことで、国民全部で山を守ってもらうというようなことを考えたらどうかということで、きょうちょっとおしゃべりしたのですが、そういう構想も温めておるということでございまして、よろしく御理解をお願いしたいわけでございます。
  205. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣の御答弁、本当にありがとうございます。私も、何としてでも国有林野事業を守るためには、いろいろな観点から一つの新しい使命感的なものを国民にも納得してもらわなければいかぬ、そういうような観点で、先ほど質問いたしましたように、国際森林年にかけての国際的責務につながる問題も提起したわけでございます。  それと、もう一つでございますが、今大臣指摘されました中にもありますように、国有林野事業の赤字の原因は、職員努力の及ばない面も多いわけでございます。しかし、ここ数年、林野職員の期末手当は、赤字財政理由に他の公共企業体よりも低率で支給されているわけでありますので、国有林再建に向けて努力している職員の労働意欲を喚起するためにも、年末手当等はカットしないように御配慮いただきたい、こうお願い申し上げる次第でございますが、林野庁長官、いかがお考えでしょうか。
  206. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 期末手当につきましては、大変重要な問題でございますので、慎重に対応してまいりたいと思います。
  207. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、ポット造林につきましても実は詳しく説明もしたいと思ったわけでございますが、過般農水委の調査団で欧州の農業事情を見て回ったとき、イギリスでペーパーポットの育苗をしておりました。そのデータを持ってきたわけでございますが、後ほど提示したいと思うのですが、このペーパーポットは根がぐるぐるラウンドする欠点はあるわけなんですが、オウシュウクロマツと訳しましたこの種類、英語ではコルシカンパインという名前であるわけですが、二月から三月中に播種して苗木を育てたのが、七月、八月までには造林に適した苗木となるようにも植林技術を改善しているわけでございます。私は、皆伐主義はやめろ、一たん植林した森林は寿命の来る百五十年、二百年、こういう大口径林相に育てていかぬといかぬ、そしてしょっちゅう間伐計画的な収入も上げさせるように林業施業技術を改革すべきだと言っているわけでありますので、後ほど資料も提示いたしますので、ポット造林についての研究促進もお願いするわけでございます。  次に、もう時間がなくなってまいりましたが、水源税の問題につきましては今大臣からも答弁の中に触れられたのですが、もっと積極的に国民のコンセンサスを得る努力をしなければならないのじゃないか。本当に水源税が必要だったら、この前もちょっと説明を職員の方から聞きましたが、ダムへの堆砂率の問題や、山の荒廃率なんか、我々が説明を聞いたとしても、果たしてこういう資料を十分に国民が納得できるまでに努力なされているのか。そういう点では、まだ反対の強い声が上がっている現状を見ますと、こういう努力の足らないことを感じるわけでございますので、ひとつこの点は今後も積極的にPRを推し進めて、国民からどう判断されるかわからぬといたしましても、資料を提供しまして大いにPRしていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、国土庁の水需給計画についてでございますが、昭和六十五年には約九億トンの水不足が予想されているわけでございますし、三全総では人口の中核都市への分散がビジョンとして示されておりましたが、どうもこのビジョンとは反対に、人口は都市に集中化の傾向でございます。  つきましては、四全総での水の需給計画はどうなっているのかお伺いしたい。中間的展望でもよろしゅうございますので、お願いいたします。
  208. 徳岡康夫

    ○徳岡説明員 お答えいたします。  国土庁におきましては、昭和五十三年八月、第三次全国総合開発計画を踏まえまして長期水需給計画を策定いたしました。以来、これに基づきまして水需給の長期的安定を図るための施策推進してきたところでございます。  最近の水需給の動向について見ますと、都市用水の全体の需要量のうち約一割が、ダム等の水源手当てがなされておらず、渇水時には取水が困難となる不安定な河川取水に依存しております。五十九年から六十年にかけての全国的な渇水に見られますように、水需給の均衡がとれているとは言えない現状でございます。  最近の経済、社会情勢の変化に対応いたしまして、国土庁におきましては、二十一世紀を目指す第四次全国総合開発計画を今策定作業中でございます。水資源に関しましても、その一環といたしまして、二十一世紀の経済、社会の動向を踏まえ、新たな水需給計画を策定するため、現在作業を進めているところでございます。  今後、水需給の動向は、人口の増加、生活水準の向上、産業の発展等によりなお着実に増加するものと見込まれております。したがいまして、ダム等による水資源開発を長期的視点に立って計画的に行っていくことが重要であると考えております。
  209. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 水資源問題は国民の生活全般あるいは企業全般にも影響する問題でございますので、万全の対応ができるような事業の推進方、計画の取り進め方をお願い申し上げる次第でございます。  次に、農蚕園芸局に質問するわけでございますが、政府昭和六十一年度予算編成に当たりまして、協同農業普及事業交付金を廃止し一般財源への移行を検討していると聞いているわけでございますが、普及事業の実態と重要性からして、これでは将来大変なことになる、こう思っているわけでございます。バイオテクノロジーの利用農業、そういう点を考えましても、また、何といっても後継者育成、人材育成、そういうものも必要なわけでございますし、国民各層が念願する食糧の安定的確保の上からもまたその健全な発展を期する必要があるわけでございますので、この普及事業の不可欠性を認識されまして、ぜひ本制度を継続すべきものである、こう思考するわけでございますが、どうなっているわけでございますか。
  210. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 協同農業普及事業につきましては、先生お尋ねの中にございましたような新しい農業技術の普及なり農業後継者の養成、そういう問題も含めまして農政の中で大変大事な仕事というふうに考えております。  その財源措置につきましては、御承知のように昭和五十八年に農業改良助長法を改正いたしまして、従来の定率の人件費補助から定額交付金化を図ったという措置をとっているところでございまして、これは農業以外の蚕糸、林業、水産、これらの関係の普及事業についても同じような財源措置にこのときに切りかえているわけでございます。  今般、六十一年度予算編成に絡みましてこの交付金制度の廃止、一般財源化というようなことが多少取りざたされておるわけでございますけれども、我々としましては、この事業が農業技術の向上のために全国的にバランスのとれました一定の行政水準を確保する、それから、国と都道府県の協同事業としてこの事業が位置づけられている、こういう面から考えますと、やはりこの際、五十八年に切りかえました現在の交付金の制度を堅持するということが絶対に必要であるというふうに考えておりまして、こういう方向でこの制度を堅持し、また継続すべく、予算編成に向けまして今最善の努力をいたしておるところでございます。
  211. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この制度の堅持、継続を強く要望しまして、次に、畜産局の方に御質問いたしたいと思うわけでございます。  牧草の利用についてでございますが、この問題につきましては、私いろいろな牧草観を持っているわけでございますけれども、実は日本に今導入されております牧草というのは北方系の牧草でございますので、これは暖地にはいろいろな欠点を持っておるわけでございます。幸い、今回のヨーロッパの農業調査団に加えられましてポルトガルに行った際、ポルトガルの大使館の中で新しい牧草の品種だと見られるものを発見したわけでございまして、これは暖地向けの牧草として日本での研究に値するものだなというふうに感じたわけでございます。  そこで、岡田大使からその資料を分けてもらいまして、これを一応当局の方に提示したわけでございますが、現在、日本におけるこの暖地向けの牧草利用の実態がどうなっているのか、また、私が提示しておりました草の種類、これの研究の将来性というものについてどうなのか、これは日本畜産の振興策に欠かせない問題だと思いますので、この点についてお伺いする次第でございます。
  212. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいま先生指摘の草はヒメカモジグサというものかと思うわけでございまして、日本での俗名は、北海道ではシバムギ、岩手ではヒメシバと称しているもののようでございます。原産はヨーロッパでございまして、我が国では北海道、北東北に帰化しておるという状況のようでございます。強い線条の地下茎が長く横に張っておりまして、永年性で極めて強靱ではございますが、収量が低いということもございまして、今のところ牧草としての試験例はないわけでございます。ただ、この草は寒地型でございますので西南暖地には向かないわけでございますが、その強健性を生かしますと、傾斜地の放牧地等での土壌保全等には十分利用できるのではないか、かように考えているわけでございます。  そこで、現在の我が国での暖地型の牧草についてでございますが、暖地型牧草にはローズグラス、バヒアグラス、ネビアグラス等々がありまして、これらは我が国では年間平均気温が摂氏十六度以上の地域で栽培可能であるということになっておるわけでございます。ただ、そうではございますが、越冬できるものはバヒアグラス、タリスグラス等々に限定されるわけでございます。  現在放牧に活用している面積といたしましては、約二千ヘクタール程度あるようでございます。また、青刈り利用もございまして、これは約七千百ヘクタールということになっております。単収は種によって異なりますが、十アール当たり生草で約十トン程度で、寒地型牧草の五トン程度に比べますと多収であるというふうに見ておるわけでございます。  また、我が国でつくられました暖地型牧草の新品種といたしましては、バヒアグラスが二品種、タリスグラスが一品種、ギニアグラスが一品種ございます。特にギニアグラスの中のナツカゼは多収でございまして、試験結果によりますと、十アール当たり生草で約十五トンを上げるということでもございまして、来年度からこれの普及に取りかかりたいというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも西南暖地におきましては、地域的な条件を考えながら、暖地型牧草の通草種、適品種の普及を図ってまいりたい、かように考えております。
  213. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、暖地型牧草の研究を大いに進めていただきたい。  さらに、大臣、この草は、日本大使館の隣にある大使館の面積は半分ですが、管理費は倍かかる、日本大使館の方は倍の面積があっても管理費は半分で済むというような、そういう草でございましたので、ひとつ外務省の方にもこういう低廉な芝生化を大臣の方からも要請していただきたいな、こう思うわけでございます。  時間がなくなってまいりましたが、次に、食糧庁にお伺いいたします。  食糧庁は、新米穀年度から一部省令を改正して米の流通改革に踏み切ると聞いたわけでございます。政府米の売却に競争原理を導入するという考え方、これは画期的なものだと考えておりまして、私も今まで再三質問してきたところであり、改正に当たっての大臣食糧庁長官の決断を本当に高く評価するものでございます。つきましては、この省令改正の考え方をまず説明いただきたいわけでございます。  それと同時に、やみ米も一緒に抑えるということでございますが、物の余った時点で出てくる現在のやみ米というのは、品質のよいのには高い金を払おうとする、品質の悪いうまくない米はもうもらっても要らないとする、そういういわゆる市場メカニズムの働いている現象だと私は思うわけでございます。  ですから、やみやみといいましても、物のないときのやみは不正利得を生むわけですが、現在の、物の余っているところのやみは良質米をどんどん伸ばすやみになっていると思うので、今度の競争原理導入で果たしてこういう対応ができていくものかどうか、高く評価しながら、またそういう不安があります。さらに、ブレンド米なんというのは流通機構における立派なやみじゃないかと思っておりますので、この点につきまして、ひとつ御意見をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  214. 石川弘

    ○石川政府委員 お答えいたします。  今回の改正につきましては、先生も御承知のように、品質等によっていろいろと需要の形態も変わってまいりますので、画一的な運用をしておりますれば、今先生御発言のありましたように正規でない米が流れやすい条件ができているわけでございますので、そういうことをなくそうということで、集荷から政府の売り方あるいは販売の結びつきまで改善しようということでございます。  今御指摘の、いい米がやみでというお話でございますが、私どもいろいろ調べておりますと、必ずしもそうではございませんで、いわゆる未検米と称して、検査も受けてないものをいいお米の袋に詰めて持って歩くとか、そういうのもございますし、それじゃ農家の手取りが高いかというと、決して高くはなくて、かなり低く抑えられたもので流れているとかというのがございます。したがいまして、私ども、やはり正規の流通機構が活発になることによって、それなりの、いわば評価に応じた米がそのように流れるということが一番大切かと思います。  御指摘のブレンドの問題でございますが、これは一概にはなかなか申せないわけでございますが、単品の良質米というのはおのずと限度がございまして、それにはそれなりの需要もございますけれども、いろいろ需要が伸びてまいります段階で、単品の、例えばササ・コシほどのことは要求しないけれども、もうちょっといわば標準価格米より格の上のものをというような需要もございます。そういう場合に、今まで行われているようないわば格上げ混米的なブレンドというのでございますれば先生のおっしゃるように大変けしからぬことでございますが、それを値段と中身をバランスさせる。今回店頭で複数の卸から入れました小袋詰めのものを並べてよろしいということにしますのも、そういう格上げ混米的なものだとこれはすぐ味ではれるわけでございますので、そこを並べて競争させるということでございます。そういうことを頭に置きながら新しい制度を運用したいと思っております。
  215. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間が参りましたので、これで質問を打ち切ります。どうもありがとうございました。
  216. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 中林佳子君。
  217. 中林佳子

    中林委員 私はまず養豚問題についてお尋ねしたいと思います。  豚価がことしの九月中旬以降安定価格の六百円を割り込んで、十月二日にはついに四百九十四円までに暴落して五百円を割るという異常安値になりました。この豚価の暴落、低迷が二カ月も続いて、養豚農家は本当に深刻な事態になっております。  私の地元であります島根県に湖陵町というところがあるわけですけれども、ここの農業収入の大半が養豚で賄っているという町です。そこの西浜養豚団地の方々のお話を直接聞き、また収支の中身も詳細に伺ってまいりました。たまたまお伺いしたときに十月二十四日付の出荷収支のものがあったわけですけれども、Aさんの例を引き合いに出しますと、上肉で単価が四百八十三円、枝肉の重量が七十四・九キロで、いろいろ手数料なども差し引いて一頭当たり三万四百六十七円手元に入るという仕組みで、一方生産費はこれに対してどの程度かかったかとはじき出してみますと、子豚が約一万二千円、えさ代がここまで大きくするまでに二万円、その他経費がかかって、一番よい豚でも採算割れをもうその時点で起こしていて、ましてや労賃などというものはとても割り出せないという状況になっております。このAさんのその日の中で並み豚もあったわけですが、これは何と単価が三百六十三円で、一頭二万二千四百二十五円となりますから、まさに豚に一万円札をつけて出すような状態になっていて、これ以上こういう状態が続けば、あの五十四年の暴落以上の大変な危機になってしまう。  今農家は、生産調整を初め自分たちでは最大限努力をしているし、県連でも必要な基金を取り崩して手だてをやっております。ですから、今求められているのは政府が養豚農家の方々に価格を少しでも引き上げていく努力だということで、調整保管などの措置を早期に発動してほしい、これが非常に強い要望でございます。午前中の討議を聞きましてもその発動の用意はあるということでございますけれども、なるべく早く、一刻も早くという要望について、いつごろ調整保管の措置を発動されるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  218. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいまお尋ねの豚肉価格の低落の問題でございますが、当面の緊急対策といたしましては、既に消費拡大のためのテレビの料理番組あるいはラジオのスポット物の提供を行ったり、さらに全国約二万四千店舗の専門小売店に参加を求めまして、さらに全国約四千六百店舗の量販店にも参加を求めまして、二割前後の値引きをした特別販売等を実施してまいっております。     〔衛藤委員長代理退席、島村委員長代理着席〕 また、ハム等の加工品につきましても極力国産の豚肉を使っていただく、あるいは輸入につきましても国内需給を踏まえた慎重な対応をしていただきたいということを加工メーカー、商社等に対しまして協力要請をしてまいっております。  今回の価格の低落は基本的には生産の過剰にあると考えているわけでございまして、これは先生御案内のように、この四、五年非常に堅調な価格水準が続いたということで、著しく養豚経営の収益は改善しております。そういったことともう一つは、昨年来四回にわたりまして配合飼料価格の値下げが続いたということが生産意欲を刺激したと考えておりまして、ここ最近の急速な生産増に結果としてあらわれているわけでございます。  そこで、今回の対策につきましては、何としても過剰事態を解消することが価格の回復の決め手でございますので、先生御案内のように、生産者団体等から成ります養豚経営安定推進会議というのがございまして、そこと生産調整の方途につきまして相談してまいったわけでございますが、同会議におきまして十一月から雌豚を淘汰しようという方針が決まりまして、現在その実施に踏み切った段階でございます。  そこで、私どもといたしましても、こういった情勢を踏まえまして、この際、畜産振興事業団助成による調整保管に踏み切ろうという方針を固めまして、目下細部の準備を進めているところでございます。鋭意急いでおりまして、なるべく早く実施に移したい、かように考えております。
  219. 中林佳子

    中林委員 聞かないことはいいですから、なるべく聞いたことだけお答えいただきたいと思います。  一日も早く調整保管の実施に踏み切っていただきたいということを再度御要望いたします。  今おっしゃったように、輸入の規制についても企業に対していろいろPRなどを行っているんだというお話がありましたが、ことしは昨年に比べて実際輸入が若干落ちているということは数字的にもあらわれていると思いますが、ここ数年の輸入の状況を見ますと、やはりふえていると言わざるを得ません。八〇年のときに比べて去年はその約倍の二十七万トンの輸入が入っておりまして、農家の人たちの一番の強い声は、国内でお互いが自重していろいろな手だてをやっているけれども、輸入規制さえしていただくならばそういうこともなるべく行わなくても済むしということで、輸入規制に対する要望が非常に強いわけです。これについては政府として新たに何らかの方途をお考えなのかどうかという点が一点です。  それからもう一つ、生産農家の方々の強い要望は、農外資本の進出が最近極めて高くなってきている。農水省の方でお聞きしますとそうたくさんないんじゃないか、こういう受けとめでございましたけれども、私どもが調べてみると国内生産の約二割、例えば三菱商事系だとか住友商事系だとか、こう言われるものが生産から流通まで支配しているという状況で、例えば三菱商事事業のジャパンファームは五万九千頭という状況になっておりますし、現在青森県で建設中の日本ハムのは親豚だけで二万五千頭、こういう大変な状況なんですね。生産調整が既に進んでいるという状況の中で、こういう大資本の養豚に対する企業進出が本当に露骨にどんどんふえてきている。今や採卵よりもその割合は多くなっているという数字すらあらわれているわけです。  ですから、こういう農外資本、特に大資本系列の養豚に対する進出そのものもやはり畜産局としても規制をしていくべきだというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  220. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 まず第一点の豚肉輸入問題でございますが、先生御案内のように、豚肉につきましては既に自由化いたしておるわけでございますが、ただ、差額関税制度を設けておるということでございます。したがいまして、この制度のもとにおきましては、国内の安定上位価格と安定基準価格の中間価格を基準輸入価格として定めまして、輸入価格がこの基準輸入価格を下回る場合はその差額を関税として徴収するという措置を講じているわけでございまして、したがって現実的にはこの中心価格がせきとめ価格的機能を果たしているというふうに理解しているわけでございます。  そこで、最近の輸入の状況でございますが、先生も先ほどお触れになりましたように、ことしの一月から九月までの間の輸入量につきましては、最近の豚肉の需給なり価格の動向を反映したものとして、対前年同月比で見ますと約九〇%と相なっているわけでございまして、私ども、このような豚肉の需給、価格の動向にかんがみまして、また別途、加工メーカー、商社等に対しまして、ハム等の加工品に使う場合は極力国産豚肉を使ってほしい、かつ、輸入につきましても慎重に対応してほしいという要請をしているところでございまして、業界におきましてもこの方向に即した対応をしてもらっているというふうに私どもは考えております。したがいまして、今後輸入が急増するようなことはないというふうに理解しているわけでございます。  次に、大規模養豚経営の進出の問題でございますが、確かに養豚などの中小家畜経営におきましては多頭飼養技術が進展してまいっておりますことから、比較的資本集中的な経営が可能になるようになっております。そういうところから、市場の販売先なり生産物の集荷先なりの安定的な確保を図る観点から大企業が進出している例がございます。  ただ、これらの企業が養豚経営を行う事例におきましては、私ども昨年九月現在で都道府県を通じまして調査したわけでございますが、その結果によりますと、全国の豚の飼養頭数のうち、この種の企業経営が飼養している頭数の割合は四・六%という結果の数字を持っているわけでございます。また一方で、近年農家経営におきましても協同化なり法人化等の組織化によりまして大規模な経営が出てまいっております。そういうことから考えますと、あながち大企業による大規模養豚のみが全国の農家養豚経営を圧迫しているかどうかにつきましては一概に言いがたいのではないか、かように考えております。
  221. 中林佳子

    中林委員 輸入規制に対しても大変消極的、それから大資本が養豚に進出してくるのも農家には大した影響はないんだというような認識では、私は養豚農家の方々の本当の声を御存じないと指摘をせざるを得ません。この問題はこれで終わるわけではございませんので、今後とも追及してまいりたいと思います。  それでは次に、流水占用料の問題について、まず建設省にお伺いしたいと思います。  建設省が打ち出しました流水占用料構想は、生活用水、農業用水からも流水占用料を徴収して、単価も大幅に引き上げるために新たな負担を押しつけ、それが八百三十億円に上ろうということになっておりますし、二級河川からも百三十五億円の増収を見込んでおります。ですから、総額九百六十五億円の負担増になるわけですが、これに現在の負担額二百八十五億円を加えると、住民負担が何と千二百五十億円にも上ります。農民の負担増を試算してみますと、これは一級河川のみですけれども、島根県では六千三百万円、大臣の広島県では八千万円、こういう負担増になるわけです。  農業用ダムだとか用排水施設の設置などの費用負担は今農民のみが負担しているわけです。ですから、流水占用料は既に多くの負担を強いられている農民に追い打ちをかけるものでありますし、また農民には古来から水利権というものがあったわけですね。これを全く無視した建設省のやり方は農民犠牲をさらに助長していくものだということで許されないことだと思います。自民党の建設部会長は農業用水からは流水占用料を取らない、こう表明しておられるわけですけれども、建設省としても同じ考えでしょうか。
  222. 二橋正弘

    ○二橋説明員 お尋ねの流水占用料制度の改正は、治水財源の充実を図りますために六十一年度の概算要求に盛り込んだものでございますが、河川水の利用者に対して適正な負担をお願いするという観点から、農業用水についても応分の負担をお願いしたいということで提案申し上げているものでございます。  現在関係省庁と調整を行っておるところでございまして、ただいまお話のございました自民党の建設部会長の発言は私ども聞いておりますが、建設省といたしましては引き続き関係省庁と調整を進めてまいりたい、したがって、概算要求の方針についてはただいまのところ変更はいたしておりません。
  223. 中林佳子

    中林委員 治水のため、このようにおっしゃるわけですけれども、水田の持つ治水能力、このことについては建設省もお認めだと思うのですね。島根大学の永田教授がこの問題で計算して金額まではじき出していらっしゃるわけですが、今日本の水田は約五十億トンの治水能力がある、田んぼを整備完了したときには八十億トンの治水能力があるとはじき出されております。これは黒部ダムの約五十五倍に匹敵する治水能力を持つ。そうしますと、約十兆円の建設費を既に日本の水田が持っているということになろうと思うのですね。これは少し前の単価ですけれども、十アール当たり約二万円の治水能力が田んぼにはある、こういうふうにはじき出されておるわけですけれども、田んぼの持つこういう治水能力について建設省、お認めになりますか。
  224. 二橋正弘

    ○二橋説明員 農業用水につきましては御指摘のような側面があるということは私どもといたしましても承知いたしております。  ただ、河川の側から見ますと、農業用水につきましても河川水の利用、それに伴う利益があるということもまた事実でございまして、そういう意味合いで応分の負担をお願いするということで概算要求いたしておるものでございます。
  225. 中林佳子

    中林委員 今まで治水のための予算をどんどん削ってきておいて、それを国民に今治水がおくれているからということで新たな税金ということで負担をさせるなどということは、私は本当に許されないことだというふうに思いますし、新河川法のときにも農業用水については占用料を将来において徴収しない、こういうふうに国会答弁になっているわけですよ。農水大臣もこれは反対しなければならないとこの委員会でも言明されているわけですから、建設省に占用料の徴収については撤回されるよう強く要望いたしまして次に移りたいと思います。建設省の方、どうもありがとうございました。  次に、国有林について若干お尋ねしたいと思うのですが、国有林において造林を手がけたけれども、手入れ不足で人工林として成林の見通しが立たないで天然林に編入されているものが相当数あるわけです。  国有林野事業の決算を見ますと、資産除却費の中に人工林から天然林に編入されたために生ずる欠損が計上されているわけですが、全部をお伺いしたいわけですけれども、お聞きすると資料が全部ないという話もありましたので、改善計画の始まりました昭和五十二年から昭和五十九年までの決算に計上された面積と金額をお知らせいただきたいと思います。
  226. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 資産の除却と申しますのは、造林をいたしまして約五十年で伐採するわけでございますけれども、その間におきまして、いろいろネズミでありますとかウサギでありますとか、そういう獣害あるいは気象害などもございます。雪で折れる、風雪にやられる等もございますし、途中まで立派な造林地でまいりましても、例えば雪に保護されているうちは立派な造林地だけれども、雪から頭を出すと寒風害にやられるとかいう現象もあるわけでございます。そういうふうな途中での減耗の状態を、五年置きに行います計画編成の際に資産の棚卸し的にそういう被害状況を調べまして、それを資産から落とす作業を資産除却と言っているわけでございます。  もちろんこれは多い方がいいということは決してございません。これは極力少なくしなければならないわけでありますけれども、国有林の置かれております立地条件、これは大方が脊梁山脈その他大変厳しい自然条件のところにございますので、いろいろ我々努力をいたしておりますけれども、一部そういうものが過去においても発生したわけでございます。  統計数字につきましては、このような実態につきましてしっかりと内容分析するということで、改善計画が始まりましてから特にこれにつきましては内容を見てございますので、五十四年から五十九年までの数字を申し上げますと、累計で三万五千ヘクタール、金額にしまして約三百四億円、これが総額でございます。
  227. 中林佳子

    中林委員 私、手元にいただきました資料、これは林野庁からいただいたのですけれども、金額的には四百十四億円になるのです。面積は一緒になりますけれども、五十二年から五十九年まで。何回も計算してみましたが、四百十四億円。資料をいただいているわけですけれども、三百四億円とは百億円以上も違うのですが、これはいかがですか。
  228. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 資産除却の中には、ダム敷で水没するとか林道敷でつぶれる、その他構造改善事業に農地として出すとか、私どもの言葉では除地と言っておりますが、それも資産除却の対象になりますので、その差であろうと思います。後ほどまた詳しく御説明しますが、大方間違いはないと思います。
  229. 中林佳子

    中林委員 それにしても、面積で三万五千ヘクタール、これは島根県の国有林野全体が三万三千ヘクタールですから、ほぼそれ以上に匹敵するという大変膨大な面積になりますし、資産除却された欠損が三百四億円、ダムなどによって若干除却されたものがあるということで、それも合わせると四百十四億円ですね。これは国有林における造林事業の一年分に相当するお金になっているわけです。  人工林として成林が見込めないということは、造林事業に投資した所期の目的を果たしていない、こういうことになるわけですけれども、先ほどネズミとか雪だとか風だとか、若干原因はおっしゃったのですけれども、それぞれ原因とその発生別の面積はわかりますか。
  230. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 金額についても少し補足させていただきたいと思いますが、決算に使用いたします額でございますので、それは広く職員の給与でありますとか厚生でありますとか間接費でありますとか、そういうものを全部割り掛けて資産価格にしておりますので、直接の経費ももちろん入っておりますけれども、その辺は決算額で計上しておるわけでございます。ちなみに、五十九年の造林投資総額は、今のようなやり方でいたしますと千八百億となるわけでございます。(中林委員「それは一年だけですか、今までのですよ」と呼ぶ)いいえ、昨年一年の造林投資総額が約千八百億円でございます。  原因別の数字につきまして申し上げますと、一番大きいのがやはり気象要因で、風雪害によりますのが四六%でございます。その次がカモシカ、ネズミ、ウサギ等の獣害が二七%でございます。それから除地にいきましたのが一〇%、それ以外の要因が一七%、この一七%の中には樹種の選定誤り等もありましょう。いろいろ複雑な原因が全部合計いたしまして一七%、そのような比率になってございます。
  231. 中林佳子

    中林委員 会計検査院の方に御出席願っておりますが、国有林において人工林から天然林に編入してこれに伴う資産除却を行っている問題で調査をされていますでしょうか。
  232. 大橋顕治

    ○大橋会計検査院説明員 本年四月以降に北海道営林局ほか十局の検査をいたしまして、その際に立木資産の経理を通じまして、このような発育の悪い人工林についても調査をいたしております。
  233. 中林佳子

    中林委員 会計検査院の方、結構でございます。  こういうせっかく植えたものが天然林に編入される。とても育てられないという木が五〇%以上になった場合は天然林に変更ということになっているわけですが、今お聞きしますと、気象の条件だとかいろいろなものを類別されておりますけれども、本当にそれを今後の施業に生かさなければ——いろいろな名目はあると思います、それは植えた木だけの問題ではなくて、長官はいろいろな数字がその中には入っているのだというふうにおっしゃいましたけれども、私が林野庁からいただいた資料は、天然林等に変更した人工林に係る資産除却額ということでいただいているわけですから、これは欠損として一応計上されている数字に間違いないと思うわけですね。  ですから、私がいただいた数字でいくと、改善計画が始まってから四百十四億円に達するということになるわけですけれども、本来、私思いますのは、途中でよく見て、育っていなかったらもう一度植えかえるとか、補植するとか、この木はここに合っていなかったらまた別のものを持ってきて植えるとか、いろいろ手をかけてやるのが国有林としての仕事だというふうに私は思うのですね。しかし、臨調行革の指摘もありまして、赤字になっている、人員も削減されているということでこれ以上手はかけられないというものが、実は本来人員削減も一緒になって手がかけられないから、天然林に変更すれば当然それはもうあとは手を加えなくてもいいという結果になってしまうわけですから、そういう意味では、なるべく山に費用をかけないようにしていくという林野庁の方針が、こういう天然林をどんどんふやしていくところにあらわれていると私は指摘をせざるを得ないわけなんですね。  ですから、今回、山を守らなければならない、治山のために水源税というものは必要だ、こういうふうにおっしゃっているわけですね。山を守らなければならないというのは私も同じ気持ちでございます。しかし、一方でどんどん人員も削減したり、営林署や局の統廃合をしたり、いわば国有林に責任を持つ政府が山からどんどん撤退していく、それが山の荒廃を助長させていると言わざるを得ないわけですね。  今回の水源税の構想は、収入を大体五百五十億円見込んでいるというふうに聞いているわけですけれども、一方で四百億円を超える資産除却、欠損を出しながら、新たに出そうというのは余りにも虫がよ過ぎるのではないかと私は思うのです。山というのはいろいろな意味で多くの国民に公益的な意味があるとおっしゃっているわけですけれども、そのために水源税というものを取っていくならば、今度は、空気も提供しているじゃないかということで空気税、あるいは国土保全税というように、どんどんエスカレートしていく可能性があると思うのですね。本来国がやるべきところから撤退しておりながら、こういう新たな水源税徴収というのは、本当に本末転倒した論だと思いますので、勇断をもってこれを撤回されるよう要望いたしますけれども、大臣いかがでしょう。
  234. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 多少前段のことについてもお答えさせていただきたいと思いますが、おっしゃいますように、資産除却が少なければ少ないほどいいということでございまして、私どもも適地適木に徹して立派な施業をするように努めておりますので、だんだん効果が上がっておると申してよろしいかと思います。この五年間の資産除却の状況を見ますと、最近の二年ですと年に十八億ぐらい、その先立つ三年間は約五十八億というふうに非常に落ちてきておりますので、これはさらに少なくするように努力いたしたいと思っておるところでございます。やはり多く出ておりますのは、特に昭和三十年代の拡大造林、経済成長の盛んだったころの押せ押せムードと申しますか、切った後どうしても植えていくというところから、この種の反省を現在は十分にいたしておりまして、適地の選定、適正な施業に努めておるところでございます。  また、水源税につきましては、国有林民有林を問わずその場所が重要な水源地帯でありますものについて、保育間伐等のおくれが森林機能の低下を来さないように手入れをする、あるいは必要な治山施設をするということでございまして、これを直ちに国有林経営問題と結びつけることはいかがなものかと思うわけでございます。
  235. 中林佳子

    中林委員 しかし、現実に山から撤退していっているのは予算的にも明らかになっておりますし、人員的にも明らかになっております。  現に七五年と八〇年の下刈りの面積を比較いたしますと、七五年度は四十三万ヘクタール、八〇年度は三十七万ヘクタールとうんと減っている。つまり、それだけ事業量は減っているのですよ、天然林にどんどん変更していく木がありますから。そうすれば人は要らなくなる、削るということになって、山は守れないという結果になりますし、それだけじゃなくて、資産そのものを考えてみれば、人工林として手を加えてやるならば、その林は立派に育って、将来国の財産としても有効に働くわけでしょう。  こういうことは今後改める、なるべく少なくするようにするとおっしゃいましたけれども、そのことは厳重に申し入れますし、大臣、先ほど言いましたように、本当に水源税の撤回は——どんどん広げれば空気税だって取れるわけでしょう。建設省には占用料は反対だとおっしゃって、水源税は取るよというのは、私は農水省の考えとしては余りにも虫がよ過ぎはしないかというふうに思うわけです。どちらにしても国がちゃんと責任を持つべき問題だと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  236. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 現在、日本森林荒廃は、その進みぐあいが表面からわからない形でひそかに進んでおります。特に我が国人工林地についての間伐保育等がなかなかうまくいかないためでございまして、このまま放置すると何倍もの年月をかけなければそれを取り返せない。お話のように、一般財源、一般会計等がそれに対応すべきでありましょうけれども、現実にマイナスシーリングのもとで全く期待できないような財政状況でございます。このまま見過ごして大きなツケを将来に払うよりは、一定期間国民の御負担を願いまして、その間に完全にこれを回復してまいりたいということで、この水源税につきましてはぜひとも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  237. 中林佳子

    中林委員 私は、水源税については断固として導入反対でございますことを申し添えて終わりまして、次は、津川議員が行います。
  238. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 津川武一君。
  239. 津川武一

    津川委員 中林委員の質問に関連して、簡単に二つばかりお尋ねします。  営林署の統廃合の問題ですが、先月林野庁から計画が発表された途端、該当する町村では町ぐるみ村ぐるみの運動が起こっております。私の地元の碇ケ関や北海道の標茶町、私の国会の事務所に町長、村長、町会議員、村会議員初め労働組合の人も訪ねて反対運動を展開しております。中でも標茶町では、人口一万一千六百人、有権者八千三百八十四人、この町でわずか一週間で七千人の営林署廃止反対の署名を集めております。宮崎県の高崎町では、営林署存続を求める町民大会が千五百人結集して開かれており、長野県の上松町では、この問題で臨時議会を開いて反対決議を上げております。  こうした動きは、農山村地域では営林署地域住民にとって欠かすことのできない大事な存在であることを示しております。碇ケ関村でも標茶町でも、営林署廃止によって、人口の減少、町村財政の減収、教育への影響、商業への影響など大変なものがあります。標茶町ではその影響を数字としてはじき出しております。  質問です。一体林野庁は、今回の措置によって廃止対象となった市町村の社会や経済状態に否定的なダメージ的影響が出るということを考えなかったのか。標茶町、碇ケ関村についてお答え願います。
  240. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 営林署はその所在する地域におきましては大変密接な関係を持って運営をされておりますので、その組織を再編いたしますことはいろいろな影響が生ずるものとは承知をしておるわけでございます。国有林野事業管理運営するための合理性という観点からのみ見るのではなくて、そういう組織の再編を受け取る地域の側の立場についても十分考えまして、従来果たしておりました営林署の機能はどうすれば、どのような形で代替され得るのか、どういう措置が必要であるか等につきましても今後いろいろ理解と御協力をいただく折衝の中で見きわめながら、打つべきものについては十分手を打ってまいりたいと考えております。
  241. 津川武一

    津川委員 今の長官の答弁でも、その地域に影響がある、代替しなければならないという、そんなことを林野庁地域人たちに押しつけるのはとんでもないことであって、計画は撤回すべきだと思います。その点ひとつ答えていただきたい。  続けてもう一つ質問しますが、壊茶町からいただいた要請書によれば、標茶町ではだんだん衰えていく町村なのでいろいろなことを考えて町を維持するのにかかっている、その一つの中にはパイロットフォレスト、こういう計画も入っている。こういう計画などが今度の営林署廃止で揺るがされてしまう、こう言っております。  碇ケ関村でも、僻地山村であり、出稼ぎに頼っておりますが、営林署からの仕事でやっとのこと地元雇用をつないでおります。それだけでは足りなく、山中にダムをつくってくれ、そこで働くんだと林野庁にお願いしております。営林署廃止は、過疎をさらに過疎にしていきます。  標茶町の場合は、国鉄の赤字線の廃止の問題も出てきている、営林署廃止によって町づくりが大変な目に遭うのでございます。廃止は絶対に許されないと主張しております。  しかも、ことしは国際森林年であり、林野庁自身が森林荒廃林業危機を叫び、森林整備の緊急性を事あるごとに唱えているではありませんか。その森林整備の拠点である営林署をつぶすなど、逆行も矛盾も甚しいものであります。本当に森林振興考えるならば、今からでも遅くありません、統廃合計画をまず撤回し、関係市町村とその地域の経済や社会生活をどうしたならば維持していけるか、もう一回でも二回でも協議すべきだと思うのでございます。この二点について答えをいただきます。
  242. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 現在国有林野事業財政全般がまことに危機的な状況にありまして、これを根本的に立て直すためには、これはいずれの企業におきましても常識であろうとは思いますけれども、組織機構とか要員等につきまして抜本的な簡素化、いわゆる減量化をしなければならない。それはやはりいろいろ難しい問題はございますけれども、どうしてもそれをやらなければそのほかの問題につきましての経営管理能力も疑われるというような感じすらするわけでございまして、全体としての国有林が将来立ち直るために、何としてもこの組織機構を見直さなければいかぬということにつきまして地域の皆様方の御理解を得る、そういう点で大所高所からの御協力をぜひいただきたい。そういう線につきまして、私どもはどこまでもお話をいたしまして御理解をいただきたい。計画につきまして撤回することは現在考えられないところでございます。  なお、それぞれの地域での特色のある仕事もございますけれども、それは代替して残りますところの営林事務所でありますとかそれらに引き継ぎまして、あとう限り支障のないような形は考えるわけでございますけれども、全体としての組織の簡素化でございますので、残ります組織は従来の営林署よりは相当減量化されたものにならざるを得ない、それでもってできるだけのことに対応していきたいと思っております。
  243. 津川武一

    津川委員 もう終わりますが、最後に、山は酸素、水、緑、いろいろなものを供給する、我々に美しいもみじも森林も提供してくれる。この公的な山をあなたたちは一銭もペイされないで運営しているのです。したがって、これを維持していくことは、営林署の統廃合でなくて、国にその財政を求めることが根本的には必要であるということを指摘しておきます。  その次に、標茶のパイロットフォレストですが、計画は終わりましたが、これから維持、管理が必要だということを指摘して、私の質問を終わります。
  244. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 次回は、来る二十六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会